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1967-06-13 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十三日(火曜日)    午後一時二十四分開会     —————————————    委員異動  六月十二日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     達田 龍彦君  六月十三日     辞任         補欠選任      吉江 勝保君     岡村文四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君     委 員                 青田源太郎君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 温水 三郎君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省蚕糸局長  石田  朗君        林野庁長官    若林 正武君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        林野庁指導部造        林保護課長    大塚 武行君        日本専売公社生        産部長      大塚 孝良君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○連合審査会に関する件 ○農業共済基金法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、吉江勝保君が委員辞任され、その補欠として岡村文四郎君が選任されました。     —————————————
  3. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 村田秀三

    村田秀三君 森林病害虫等防除法の一部改正、これは今日まで法改正の部分については相当質疑がなされたと思いますので、私は、若干それに触れる部面はありますけれども、過去の実績に徴しまして、はたしてこの法律効果運用、それがどういう状態であったかということについてお伺いをしてみたいと思います。資料をたくさんちょうだいしておるわけでありますが、この御提示をいただきました資料を見る限りにおきましては、どうも私としては法制定効果が十二分に発揮されておったとは考えられない面がたくざんあるわけであります。また、疑問もあるわけでございますが、その点について逐次質問をしてみたいと思います。  初めに、きょういただきました資料を見ますと、マツクイムシ発生状況というのは、ほとんど全国にわたっているようにも見受けられます。しかし、いままでの何といいますか、法律発動状況を見てみますると、必ずしもそうではなくて、部分的にわたっておる、そういうことも考えられるわけでありますが、マツクイムシ発生とその蔓延状況、これについてお伺いをいたしたいと思います。
  5. 若林正武

    政府委員若林正武君) マツクイムシ被害発生状況について申し上げますると、「参考資料」にございますように、民有林につきましては、昭和二十五年度に材積で八十八万八千立方メートル発生をいたしております。自後減少をいたしまして、昭和三十四年度には十七万三千立方メートルに減少いたしまして、その後若干ずつ増加をいたしておりまして、昭和四十年度におきましては三十三万一千立方メートルの被害材積が出ておるのでございます。  国有林につきましては、昭和二十五年度に十六万三千立方メートルの被害がございましたが、途中若干の増減はございまするが、昭和三十二年度になりまして六十三万五千立方メートル、三十三年度に八十万一千立方メートルというふうに非常にふえております。これは、御承知のように、昭和二十九年度に北海道を襲いました洞爺丸台風によって発生いたしました風倒木影響のためでございます。自後、増減をいたしながら、傾向的には減少いたしてまいっておりまして、昭和四十年度におきましては十一万九千立方メートルの被害材積ということになっておるのでございます。
  6. 村田秀三

    村田秀三君 私はもう少し詳しくお伺いしたいと思ったわけでありますが、この資料等を見ますると、南九州に非常に多い、九州地方に多いという実情があるわけです。したがって、マツクイムシ対策を立てなければならないというような時期、これは発生の時期と見まして、それがどういう事情によって発生をして、そうして全国的に蔓延をしていったか、その経過ですね。たとえば、九州発生をいたしまして、北海道にポツンとまた発生をしたとか、あるいは、日本の本土を南のほうから席捲するよらな形で発生をしてきておったとか、そういう実情について知りたいと思うのです。
  7. 大塚武行

    説明員大塚武行君) お答えいたします。  マツクイムシと申しますのは、種類で約四、五十種類くらいございます。それで、この害虫はほとんど日本全国に生息しておるわけでございますが、その中で特に森林に対して大きな被害を与えますのは、いわゆる西日本地帯でございます。関東以北から北海道にかけましては散発的な発生でございまして、お手元資料にございますように、全国的にわたっているように見えますけれども、関東以北につきましては散発的でございまして、森林に対する大きな施業上の影響はないというふうに言えるかと思います。  西日本に大きな被害を与えております害虫と申しますのは、約七種類ございますが、この発生は、昭和の十二、三年ごろと思いますが、長崎県に最初大きな被害発見されました。その後、熊本県それから宮崎県等に蔓延いたしております。それからそれ以後中国地方東海道地方蔓延してきておるわけでございます。その地域は、大体九州一円、四国は高知県、それから中国地方では岡山広島地帯、それから近畿地方では主として和歌山あるいは京都地方、それから東海道筋の岐阜、静岡県、それからさらに関東地方では神奈川、千葉県等に発生しております。  先ほど長官が御説明いたしました北海道における洞爺丸台風の際の発生と申しますのは、エゾマツとトドマツに対する害虫でございまして、ヤツバキクイムシとトドマツキクイムシと申すものが主体をなしております。これは、洞爺丸台風の際、大きな被害を受けた被害木温床になりまして、激発的に発生したわけでございますが、その後、防除対策が適切であったこと、それから害虫性質が、爆発的に発生しますが、数年にして終息するという習性を持っておりますために、被害がその後おさまっておるという状況でございます。
  8. 村田秀三

    村田秀三君 いまの説明をお伺いしますと、最初長崎発生をして、そうして九州地方、そして中国、しかもそれが太平洋岸を東上しているというか、そうしてまたこれが北上するというような、そういうように理解ができるわけですが、そう理解してよろしうございますか。
  9. 大塚武行

    説明員大塚武行君) そのとおりでございます。それで、お手元資料の、昭和二十五年現在でございますが、すでに昭和二十五年現在におきまして、先ほど申し上げましたような九州四国、それから東海道関東筋蔓延をしてきたわけでございます。それにつきまして法律が制定されまして防除措置が講ぜられたわけでございまして、その後におきまして区域は特に拡大はいたしておりません。
  10. 村田秀三

    村田秀三君 そこで、お伺いをいたすわけでありますが、二十五年の法制定当時の駆除命令発動状況を見ますと、岡山長崎宮崎、鹿児島、主として九州で、そして神奈川と、こうなっているわけですね。それで、その他の県に被害がなかったのかどうかということについては私は触れませんけれども、駆除命令が出たということから相当激甚地であったということの規定ができるわけです。したがって、二十五年に法制定がなされて、そして二十六年以降、広範囲にわたって激甚地が出ておった、それがおよそ継続をされている、こういうことを見た場合に私が疑問に思いますのは、他の県にまで蔓延をした理由は一体何であろう。確かに、台風等によりまして虫が何十キロ、何百キロ——何百キロはどうかわかりませんが、相当風に乗って飛ぶということが想定されるにいたしましても、変ではないか。こんなに急速に虫というものは蔓延していくのかという疑問を持つと同時に、法律の中におけるところの移動禁止移動制限命令条項、これがあるわけでありますが、これとの関連考えてみたわけでありますけれども、この移動制限禁止命令発動状況は、この資料によりますると、都道府県知事の責任において数件なされております。しかしながら、大臣命令というのがそこに出ておらないわけでありますね。したがいまして、他の県にまで及ばせないとするために移動禁止条項を設けながら、それが行使されなかった理由というのは一体何であるのか、こういう疑問を持つわけでありますが、その間のことについて御説明いただきたい。
  11. 若林正武

    政府委員若林正武君) 法第三条によります農林大臣移動制限命令が出なかった理由でございまするが、参考資料の一四ページにございますように、昭和二十五年以降、府県知事命令によりまする松丸太移動制限措置実施されておるのでございます。こういうことによりましてマツクイムシ被害を減少させますのに相当効果をあげることができたのでございまするが、これはやはりマツクイムシが付着いたしておりますものの駆除徹底化と相まちまして、はじめて十分な効果というものをあげ得るものというふうに考えておるのでございます。昭和三十七年度ごろからは、異常気象等影響もございまして、マツクイムシ被害が漸増する傾向を示すようになったのでございます。しかも、その発生区域も、木材の流通圏拡大に伴いまして、府県をまたがって拡大をしていくというような傾向を示すようになってまいったのでございます。これに対しましては、大臣命令による府県間の移動制限をすることが考えられるわけでありまするが、広域にわたる林産物の流通制限につきましては若干問題もあるわけでございますし、被害状況とにらみ合わせて慎重に検討を進めてまいったのでありまするが、最近におきまする被害漸増傾向にかんがみまして、昭和四十一年度からは農林大臣命令によりまする駆除区域拡大いたしまして、これは従来大県でございましたが、八県に拡大をいたしますとともに、移動制限措置大臣命令によって二十二の府県広域にわたって実施をすることといたしたのでございます。  今後におきましても、これらの従来からとってまいりました措置とあわせまして、今回御審議いただいておりまする法律改正によりまして、早期かつ適期の防除の推進、伐倒費補償の新設、代執行の拡充等によりまして、防除徹底をはかり、被害区域拡大の阻止ということに万全を期してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  12. 村田秀三

    村田秀三君 二十五年といえば、もういまから十六、七年になるわけでありますね。この間、別途資料を見ますると、法律が設けられて防除活動がなされていたにもかかわらず、一例をマツクイムシに見るならば、相当動きがあるようであります。しかし、一体的に見ますと、これは下がっておらぬ、ふえる傾向にあるんだということがまあ一口に言えるわけでありますね。そうすると、この十五、六年の間ですね、まあ四十一年に大臣が直接乗り出すということになりましたから、それ以降はよしといたしましても、その前に大体何をやっていたんだろう、こういうしろうと考えが出てくるわけでありますが、これはどうなんでありますか。  つまり、私が申し上げたいのは、移動制限禁止発動、これが現段階ではなされておったけれども、しかし、大臣としては関知しないような形の中に推移をして不徹底だった。不徹底であるから、移動禁止条項というものが結果的には生かされないでしまったのではないか。したがって、広範囲に蔓延を許す結果になったんではないかというような疑問が出る、わけでありますから、その点について見解をひとつお聞かせを願いたい。
  13. 若林正武

    政府委員若林正武君) 資料でおわかりになりますように、マツクイムシも最近ふえてまいっておりますし、その他の森林病害虫等につきましても、総体的に被害増大をしていくというふうな傾向にあるわけでございます。なぜ駆除をやっているにもかかわらず増大傾向にあるのかということでございまするが、これにはいろいろ原因があるわけでございまするが、まず、御承知のように、各種の開発事業、こういうものが進展をいたしまして、自然環境というものが破壊をされ、そういうことによりまして森林内におきまする生物的な均衡、バランスというものがこわされてきておるということが言えるわけでございます。開発事業進展の中には、人工造林拡大というふうなことに伴いまして、従来自然環境のままでございました天然林というふうなものも伐採をされまして、新しく人工林がそこに生まれていくというふうなこともこの中に当然入ってまいるわけでございます。それから特に最近数年来の問題でございまするが、連続して発生いたしました台風なりあるいは異常乾燥等気象条件によりまして被害を受けました樹木が、森林病害虫等発生温床になっているということでございます。さらにまた、病害虫等に対しまする試験研究進展ということに伴いまして、新しい病害虫等種類というふうなものも逐次発見をされてまいっております。従来、そういうことがわからずに、単に気象被害あるいはその他の原因によっての被害であるというふうな誤認をされておりましたものが、病害虫被害として仕分けされるというふうになってまいったということもあるわけでございます。それ以外に、人工造林地等拡大等に伴いまして、森林への投資の増大ということに伴いまして、被害に対する森林所有者の認識というものが高まってきたということも側面的な因子と考えられるのでございます。  以上申し上げましたような原因で、駆除によって相当成果はあがってまいっておるのでございまするが、一方、被害対象分野というものがまた新しくふえてくるというふうな傾向もあるわけでございまして、今後そういった面の駆除につきましても徹底を期してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  14. 村田秀三

    村田秀三君 私も、この提出をいただきました資料にのみ拘泥をいたしましてものを判断をいたしておりますので、それは実態を知らないからそういう考えが出てくるんだということになるかもしれませんが、しかし、出された資料を見る限りにおいては、やはり、法運用が不徹底であったというそしりを免れないのではないか、こう実は思うわけなんですね。まあ当局としては、いや、実はそのとおりでございますと言うわけにはなかなかまいらぬと思いますけれども、しかし、私の印象、そして数字の示すものを見ましても、なおざりにしておったとは言いませんけれども、不徹底であったと言わざるを得ない。それに答弁をなさるにしても、まさにそのとおりでございますということにはまいらぬと思いますから、答弁は要りませんけれども、いずれにしても、不徹底であったと私は感じておるととだけはひとつ申し上げておきたいと思います。  次に、前回も中村委員のほうから予察制度の問題についてずいぶんと論議がかわされたようでありますが、そのことをあえて私は重複をするつもりはありません。しかし、これに関連をいたしまして若干質疑をしてみたいと思うのでありますけれども、予察というのは不可能なのかどうか、絶対不可能だと言い切れるのかどうか、この点についてお伺いしておきます。
  15. 若林正武

    政府委員若林正武君) 予察制度が可能かどうかという問題でございまするが、中村先生の御質問のときにもお答え申し上げましたように、その前提となりまする発生消長調査というものを実は昭和三十四年から昨年にかけまして、実施をしてまいったわけでございますが、この発生消長調査の結果に基づきまして、森林病害虫——まあ法定病害虫でございまするが——の一部のものにつきましては、この防除の要否ということが数ヵ月前に判定できるというふうな調査方法の確立までできまして、現在実際に運営をいたしておるのでございまするが、また、気象条件その他基礎的な点におきまして、まだまだ試験研究段階で、究明を要する点がございまして、そういった点をさらに究明をいたしました上で、一日も早く発生予察制度というものへ踏み切りたいというふうに考えておるのでございます。
  16. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、それは、予察制度というものがなければならないと考えてこれから研究をしていく、こういうことでありますね。で、ただいまも長官がおっしゃいましたが、発生消長調査ですか、これは打ち切られた形になっておるわけでありますが、もうこれは今後の研究一つ前提となるデーターができたから、あとは必要ないんだ、もうあと研究にまかせるだけなんだ、こういう意味ですか、その点をひとつ……。
  17. 若林正武

    政府委員若林正武君) 発生消長調査につきましては、一応目的を達成をしたということで、あとは残されました基礎的な研究試験研究機関研究をしてもらいたいということで、一応打ち切っておるわけでございます。
  18. 村田秀三

    村田秀三君 それと関連して、研究機関における体制整備といいますか、予算的な措置も含めて、ひとつお伺いをしたい。
  19. 若林正武

    政府委員若林正武君) 「提出資料(その一)」の五ページでございまするが、試験研究機関体制整備の問題でございますが、この表にもございまするように、昭和四十一年度におきましては、林業試験場の木場に林業薬剤研究室関西支場保護部を設置いたしております。それから四十二年度におきましては、林業試験場本場浅川実験林天敵微生物研究室、それふら本場防疫薬剤研究室関西支場保護部樹病研究室昆虫研究室九州支場保護部を新設いたしますとともに、研究室一室を増設いたしまして、樹病研究室昆虫研究室菌類研究室を増設いたしておるのでございます。  予算につきましては、資料の七ページでございまするが、これは、林業試験場試験研究費の中で直接森林病害虫等防除関連のあるものだけを計上いたしたのでございますが、昭和三十七年度を一〇〇といたしますると、試験研究費の総額におきましては、四十二年度で二〇八というふうな指数に相なっておりますが、ただいま申し上げました保護関係試験研究費におきましては二一四というふうに予算的にも拡充をいたしておるのでございます。
  20. 村田秀三

    村田秀三君 その方向にあることだけはわかりました。  そこで、その試験研究の結果、これが達成をして実用化する一応の計画というのはあるわけですか。
  21. 若林正武

    政府委員若林正武君) 試験研究テーマごと目標計画と申しますか、年次的なものは、ちょっと手持ちがございませんので……。
  22. 村田秀三

    村田秀三君 それはあるんですか。あるけれどもいまは手持ちがないということであれば、それは別途資料をいただきますが、なければないとお答えをいただきたい。
  23. 若林正武

    政府委員若林正武君) ございますので、別途資料として提出さしていただきます。
  24. 村田秀三

    村田秀三君 それは、おおよそどれくらいを期間的に見て見込んでおるかということでありますか。
  25. 若林正武

    政府委員若林正武君) これはテーマによりましていろいろでございまして、いつまでという期間のないものも中にはございます。大体、ある一定の計画を立てまして試験研究をやっておるのが実情でございますが、中には、ただいま申し上げましたような、今後やってみませんとわからぬというふうな問題もございますので、そういうものは年次計画がちょっときめられぬだろうと思います。
  26. 村田秀三

    村田秀三君 計画はおそらくお持ちだろうと思います。もちろん、これは、これからのことでありますから、道を開発するわけでありますから、計画どおりにいかないということも考えられます。  そこで、予察ということ、あるいは予知するということは、非常にむずかしいかもしれませんが、しかし、いままでの御答弁の中でいろいろと出てまいります。つまり、気象条件であるとか、あるいは台風影響であるとか、こういうことを考えてみた場合に、それは一つ経験としてお持ちだろうと思います。だとすれば、予知、予見ということの完全さを求めることは至難であったにせよ、ある程度危険というものの予感といいますか、まあそれが予知と言えるかどうかは別にいたしましても、そういう状態というものは、過去の経験の中である程度できたのではないかと私は思うわけであります。  予察予知がなかなか不可能であるとするならば、その次に何が大切かということになれば、これは早期発見ということになると思われるわけでありますが、この早期発見の組織的な体制というものがいまあるのかないのか、これについてお伺いしたい。
  27. 若林正武

    政府委員若林正武君) 初めのほうにお話のございました、予察までいかなくても、何か予報予知のようなものができないかという問題でございまするが、一部の病害虫、たとえて申し上げますと、ノネズミであるとか、スギハダニ、あるいはカラマツの先枯れ病、こういうものにつきましては、ある程度、気象長期予報等によりまして、異常繁殖についての予知はできるのでございます。たとえて申し上げますと、夏期低温でササの結実等によりましてノネズミ異常繁殖予知されましたり、あるいは、からつゆのような場合にはスギハダニ異常繁殖する。また、つゆ期高温多湿の際におきましてはカラマツの先枯れ病菌の異常繁殖がある。こういうふうに、特定の地方におきまする病害虫異常繁殖というものにつきましては、ある程度の予知はできるのでございます。  それからあとからお話のございました早期被害発見するまあ早期診断でございますが、そういうものの体系がどうなっているかということでございまするが、森林病害虫等被害原因性質等に関しまする一般的な診断につきましては、都道府県におりまする森林害虫防除員及び林業普及指導職員がこれに当たっているのでございまするが、識別が困難であったり、あるいは、特殊な病害虫等によりまする被害につきましては、森林保護を担当いたしておりまする特技改良指導員——特殊技術を持っております改良指導員——、あるいは、森林保護に関します専門技術員がおりますが、こういう者が調査をすることといたしております。さらに、そういう段階におきましてもまだ判断ができないというふうなものにつきましては、都道府県林業試験場なりあるいは国立の林業試験場の本支場あるいは分場、こういうところと連絡をとりまして、さらに場合によりましては当該地方にございまする大学等にも協力を依頼しまして、原因等調査を行なって早急な被害対策を策定するというふうにいたしておるわけでございます。
  28. 村田秀三

    村田秀三君 私は、ある程度予知できるというその予知前提として、台風があった、だからこういうものがあり得るぞということの林野庁なら林野庁が病害虫発生の警報のようなものを各都道府県地方末端にまでおろして、そうして警戒をさせ、発見をしたならば直ちにそれが中央にあがってくる、こういう一つ防除組織があるのかないのかということを聞いておるわけです。そしてまた、警報が出された実績があるとすれば、それもひとつ聞いてみたいと思いますが、確かに、地方末端の関係の職員には、一般的な問題としてはそういう任務を課しておるかもしれないけれども、しかし、それが組織的に有機的な連絡の中で活動がし得るようになっておるのかなっていないのか、こういうことを聞いているんです。
  29. 若林正武

    政府委員若林正武君) 林野庁、さらに都道府県都道府県におきましては県庁自身もでございまするが、さらに末端に配置いたしておりまする森林害虫防除員林業普及指導職員、さらに市町村の技術員、森林組合の技術員、こういうふうなところを通しまして、行政指導で、予報と申しますか、連絡をいたしているのでございます。
  30. 村田秀三

    村田秀三君 そうすると、その体制はあるということですね。わかりました。  そこで、長官はあるということを言っておるわけでありますけれども、法律の第十二条に「(通報義務)」ということがあります。この対象が明らかじゃないと私は思うのでありますが、これは何を対象として通報義務を与えているのですか。
  31. 若林正武

    政府委員若林正武君) 通報は、発見いたしました者が、これはだれでもいいわけでございますが、発見をいたしました者が、都道府県知事あるいは市町村長に通報するということになります。
  32. 村田秀三

    村田秀三君 それを国民に周知をしたというような経験がございますか。まさか東京都の住民を対象にしてとまでは私は言いませんが、つまり、少なくとも山村森林地帯の一般住民が法律にこういう事項があるんだということについて周知をされた、周知をしたという実情があるかどうか。
  33. 若林正武

    政府委員若林正武君) 被害発生いたしましたときに、林野庁のほうには速報カードというものが参ります。これははがきになっておりまして、大体年間平均いたしまして五千件ぐらいの報告がございまするが、これに基づきまして、先ほど申し上げましたような都道府県、さらに末端等を通しまして被害発生その他についての周知徹底をはかっておるのでございます。
  34. 村田秀三

    村田秀三君 それだけの体制がその体制と言えるかどうかわかりませんが、それだけのことをやっておったというにいたしましては、どうも被害発生状況から見るならば非常になまぬるかった、こういう印象きり私は受けないわけです。たとえば、いまの通報義務ですか、私も森林県にいるわけだけれども、実はこういう法律があったということについては承知をいたしておりませんし、しかも、県におるところの防除保護員ですか、これがどれだけの活動をしておったかということもよく承知をしておらない。そういうことから考えてみると、明らかに体制の中に欠けるものがあるのでないか。これは、国民が通報義務を課されたからといって、全員がその気になるということにもならないし、五千件の投書があると言いますけれども、これはアメリカシロヒトリの話もおそらく含んでおるのではないかと、こう思ってみた場合に、何か一つ欠けるものがある。国民に義務を課したけれども、これは義務とは言いながら、実際は義務でない、法律を一本つくっただけの話になっておるというふうな感じがするわけですね。そうしますと、県の防除保護員がおるという単にそれだけではなくて、あるいは森林組合の指導員云々という単にそれだけではなくて、いわゆる末端の行政機関——末端ということばはいろいろ誤解を生みますけれども、少なくともその地域にあるところの機関に責任を負った者が一人でも二人でもおるということが、村民との相互連絡をし、早期発見に役立つのではないか。予察ができなければ予知、しかもその上に立っての早期発見ということが防除対策にはきわめて大きな効果をあらわす、私はこう考えるわけであります。  そこで、一つものを申してみたいと思うわけでありますが、市町村段階にこの種の任務を持った職員というものが配置されておるのかどうか、ひとつ……。
  35. 若林正武

    政府委員若林正武君) 各市町村ごとには配置はいたしておりませんが、森林害虫防除員あるいは林業普及指導職員、こういうものが末端に配置をされておりまして、こういうものが現在中核となっておるわけでございますが、今後はさらにこういう県の職員を中心といたしまして、先生からお話のございましたように、防除体制組織づくりというものを強化いたしてまいりたいと考えております。
  36. 村田秀三

    村田秀三君 これは私も仄聞をいたしましたことで、明らかに申し上げるわけにいきませんが、関係方面から、市町村に森林防除保護員——名称はともかくといたしましても、その種の任務を持つ職員を置きたいので、それに対して国は助成をする考えはないかというふうな意見が出されてきておる、こういうことを聞いたことがありますが、いま強化をしたいということについては、それらの市町村の意見というものをこの際聞いていきたい、こういうことと理解してよろしいですか。
  37. 若林正武

    政府委員若林正武君) 現に、市町村段階におきましては、市町村の技術員等あるいは森林組員の技術員等におきまして、森林保護の技術を持っておりまして、お話のような防除等にも従事いたしておるのでございまするが、ただいまお話しのように、国のほうから補助をしてやっておいたらどうかという点につきましては、これは予算上その他いろいろ問題もございますし、今後慎重に検討させていただきたいと、かように考えております。
  38. 村田秀三

    村田秀三君 大臣、いまの長官との話をお聞きになっておったと思いますが、同じことをお伺いするわけでありますが、市町村の末端に、森林病害虫問題というものは、今日の森林資源の枯渇の状況下において、きわめて重要である。したがって、早期発見早期防除体制を確立する意味において、市町村の段階にまで防除保護員というような、名称はともかくといたしましても、それらの任務を持った職員を国の責任で配置をする考えがあるかないかという問題であります。責任といいましても、これはまるまる一名というわけにはなかなかまいらぬと思いますけれども、関係する市町村の中で置きたいがひとつ補助をしてもらいたいというときには、それを補助するかしないか、この点について大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  39. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ちょっと長い時間ここで森林病害虫についていろいろ御検討願っておるわけでありますが、大事なことでございますので、私どもとしては万全を講じていかなければなりませんが、御存じのように、先ほど長官が申し上げました害虫防除員が千三百名、普及指導職員が三千名、それから森林組合関係の者が四千名、まあそういうことでやっておるわけでありますが、非常に多く出てきたようなときには、あるいはまた、早期発見というようなことについて、私どもはこれらの人々を督励してやらなければならぬわけでありますが、私どもといたしましては、森林病害虫発生、またその予防のためには、これらのいま処置いたしております人々にさらに活動を願いまして、所期の目的を達成するように努力をいままでもいたしておるわけでありますが、これからもさらにそういう点については政府はできるだけ援助いたしまして努力をいたしたいと、こう思っております。
  40. 村田秀三

    村田秀三君 私が質問いたしましたのは、まあいまの体制の中で法律があって防除に努力はしておるけれども、その効果というものが、資料によって見る限りは、これは全然なかったとは言いがたいまでも、完全な効果があらわれておらないと見受けられる。したがって、体制にも問題があるのではないか。だから、予察ができないとするならば早期発見、そして、局部的であろうともそれを完全に駆除して、もって蔓延を阻止する、こういう体制が必要であると思う。したがって、末端機構におけるところの防除保護員というものに新しい任務を与えて作業する人的配置を考えなくてはならないのではないか、その考えがあるかないかということを聞いているわけですけれども、いまの体制の中で努力をするというお答えだけでは、これはちょっとまあ納得ができないわけなんです。したがって、できなければできないで私はけっこうでありますから、その点を明らかにしてお答えいただきたいと思います。
  41. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほどのお答えにも申し上げましたが、私どもはこれらの職員を通じて森林病害虫防除、それから防除に関する知識、そういうものの普及徹底をさらにはかりまして効果をあげるように、なお現状の姿でも大いに努力をしなければならないと、また、そういうふうな心持ちで指導をいたして万全を期してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。     —————————————
  42. 野知浩之

    委員長野知浩之君) この際、連合審査会に関する件についておはかりいたします。  商品取引所法の一部を改正する法律案について、商工委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  45. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 再び森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。
  46. 村田秀三

    村田秀三君 同じような御答弁をいただいたわけでありますが、私が伺っているのは、市町村の段階に人を配置したい。ほんとうに森林地帯の市町村は望んでいるようでもあるし、それが今日の体制づくりの中では必要である。したがって、国は、補助をして人を置こうとするのか置かないのか、これだけをイエスかノーかはっきり言ってもらいたい。
  47. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) いまのお尋ねは、市町村段階でその職員に国が補助をして防除に役立たせる意思はないか、こういうことだと思います。いまそういう計画は持っておりませんけれども、この法律に申しておりますような目的を達成することのできるためには、いろいろ研究しなければなりませんので、そういう点についてもまたよく検討いたしてみたいと思っております。
  48. 村田秀三

    村田秀三君 どうも納得できない答弁でございますが、まあやるかやらないかそれを聞きたかったわけであります。もちろんやらせたいと思いながらもの申しているわけでありますが、いずれにいたしましても、今日までの体制運用の中では完全な効果がなかった諸資料が出ているから、私は、体制づくりをしなくてはならないのではないか、こういう立場に立って質問をいたしておるわけであります。検討するということは、単におざなりではなくて、少なくともここ一年の間には明瞭な答えが出るようにひとつお願いをしたいと思います。  そこで、これまた、出していただきました被害駆除実績、これを見ましてしろうと判断で非常に疑問を持っておりますのでお伺いをするわけでありますが、マツクイムシの例をとりますと、三十六年以降、被害とその駆除実績は、一々数字を申し上げますと長くなりますから、一例だけを申し上げまして、他ははしょりますが、資料に基づいて御承知を願いたいと思いますけれども、三十六年は、被害材積は三十三万七千立方メートル、うち民有地は二十万七千立方メートル、国有林は十三万立方メートル、駆除の実績は二十四万八千立方、うち民間十四万五千、国有関係が十万三千、こうなっております。それから四十年を見た場合に、被害材積が四十五万立方、うち民間が三十三万一千立方、国有関係が十一万九千立方、駆除材積が三十七万七千立方、うち民間が二十六万二千立方、国有関係が十一万五千立方、こうなっておりまして、いずれを見ましても、被害実績よりも駆除実績というのは非常に下回っておるわけであります。  ところが、マツクイムシ以外の法定病害虫、この防除駆除実績を見ますと、これまた抽出をして一例を申し上げますが、三十六年は、被害実績が二十九万九千ヘクタール、うち民有林が二十六万三千ヘクタール、国有林が三万六千ヘクタール、駆除実績が総計三十万五千ヘクタール、民有林が十四万ヘクタール、国有林が十六万五千ヘクタール。三十九年の場合を申し上げますが、被害が三十一万八千ヘクタール、民有林が二十八万ヘクタール、国有林が三万八千ヘクタール、駆除実績が四十三万八千ヘクタール、うち民有林が二十万八千ヘクタール、国有林が二十三万ヘクタール、こうなっております。  法定外の病害虫についても大体法定内病害虫と同じような計数になっておるわけでありますが、特に問題だと思いますことは、マシクイムシの場合、被害実績よりも駆除実績が少ないという理由は何であるかということです。
  49. 若林正武

    政府委員若林正武君) 被害量に比べて駆除量が少ないのはどういうことかということでございまするが、この被害量の中には、森林病害虫等の生息密度、あるいは被害の程度等によりまして、一定の基準以下のものも含まれておるのでございます。一定の基準と申しますのは、病害虫防除のほうでは微害程度という一つの基準をつくっておりますが、具体的に申し上げますると、害虫につきましては、食葉量——葉っぱを食べる量でございますが、食葉量が二〇%以下、ノネズミはヘクタール当たりの生息数が二十匹以下、こういうふうな微害の程度のものも含まれておるのでございまして、この程度のものにつきましては、天敵等によりまして自然消滅をし、自然生物界のバランスが保持されることが多いのでございます。したがいまして、場合によりましては駆除の対象としていないというふうなこともあるのでございます。  したがいまして、若干数量の面では食い違いが出てくるということになろうかと思うのでございまするが、さらに、先生いま具体的に数字をおあげになったわけでございまするが、駆除量という数字につきましては、国営防除、あるいは知事命令によります防除、その他の奨励防除、そういうものだけの累計でございまして、実は、これ以外に、県の単独事業、市町村の単独事業、場合によりましては個人防除というふうなものが行なわれておりまして、駆除の総量といたしましては被害量に大体マッチしているというふうなのが実態でございます。
  50. 村田秀三

    村田秀三君 マツクイムシの例は、それがよいか悪いかというのは後ほどの問題にいたしまして、わかりました。  後段のほうにお答えをいただきましたものは、法定外病害虫被害駆除実績の中でお答えをいただいたのではないか、こう思いますが、それにしては、これは国有林のほうが数字的に言うときわめて高くなっているわけですね、被害面積よりも駆除面積が。一例を申し上げますと、三十八年には、被害面積に対して駆除面積といろのが二十二倍にもなっているわけです。非常に理解できないわけであります。  と同時に、また、これ以外に、民間の場合は、個人でやったもの、あるいは公営でやったものが含まれないんだという言い方でありますが、その言い方も少しおかしいのではないかと思います。マツクイムシの場合は、そうしますと、それも入っていないということなんですか。民間の場合を含めると、もっともっと高くなる。資料のとり方に問題があるのか、防除実施のやり方に問題があるのか、非常に疑問でございますから、この辺のところはもっと明らかにしていただきたい、こう思います。
  51. 若林正武

    政府委員若林正武君) 民有林のほうの駆除量につきましては、実は、予算との関連におきまして、国の予算を使ったものだけの統計数値でございますので、御了承を賜わりたいと思っております。  それから国有林についてでございますが、これは国みずからまあ国の責任におきまして直接駆除実施し得るものであるのに対しまして、民有林につきましては、まず森林所有者の何と申しますか自発的な駆除措置に期待をいたしまして、これを補充するものといたしまして行政的な措置を講ずることといたしておるのでございます。このように防除実施の態様を国有林民有林とでは異にいたしておるのでございますが、森林病害虫防除にあたりましては、それが森林の持つ公益的な機能と森林の生産力の維持のための重要性にかんがみまして、国としては、みずから管理経営を行なっております国有林野についてであろうと、あるいは民間の森林所有者森林であろうとも問いませんで、徹底的に駆除をするということが必要であるというふうに考えておりまして、行政上は同じように防除に力を入れておるのでございます。
  52. 村田秀三

    村田秀三君 マツクイムシ以外の法定内外の駆除の実績、この民有林については、民間が自力でやったものは含まっておらない、こういうわけですね。それから駆除の補助事業として県がやった分も入っていないわけですね。入っておるわけですか。
  53. 若林正武

    政府委員若林正武君) 補助金に関係のございませんのは、入っておりません。
  54. 村田秀三

    村田秀三君 そうすると、おかしいですね。大まかに言いまして二つの疑問が私は出るわけです。  一つは、民有林については自発的な防除に期待をするんだ、こういうことを言っておるわけであります。しかし、法律というのは、これは何のためにできたものですか。資料のとり方としては、これは防除実績でありますから、民間がやったであろうと何であろうと、当然集計をしなければ、林野庁の行政としては片手落ちのものであるということになるわけではありませんか。  もう一つ国有林だけをまあ言ってみれば、法定外の病害虫駆除の実績の中で特別これはひどいなと思って私は取り上げて申し上げるわけでありますけれども、三十八年被害実績は八万ヘクタールであります。そのうち、民間は六万五千、国有林は一万五千。ところが、駆除の実績は、民間は三万三千、国有林は三十四万四千です。よしんば、この駆除の実績の中で、民有林の中には、これ以外に自力でやったものは入っておりませんよ、こういう言い方がされたとしても、その計数は明らかに後ほど出してもらいたいと思いますけれども、六万五千ヘクタールある中で、民間の場合はわずかに三万三千で終わっている。それ以外に何ほど自力でやったものがあるかわかりませんけれども、それがプラスされたとしてもわずかであろうと思う。被害面積に達しない防除面積であろうと思う。しかるに、国有林の場合は、これは二十二倍になっておるわけです。一回防除したけれども効果がなかったから二回やった、こういう話はありましょう。そのとおりに受け取ったとするならば、一回やって効果がなかったから二回やった、三回やった、二十二回やったということですよ。同時にまた、別の解釈をして、まあひとつ国有林を守るためには、同じ国有林の中で局部的に発生したが、それの前を予防するという意味で、一ヘクタールの被害面積に対してその周囲の国有林二十二ヘクタール防除したというならば、計数は合いましょう。しかし、その考え方に立ったとしても、国有林だけを防除して民有地を防除しないで被害は野放しになっておるという状態の中で、はたして国有林が守り得るのかどうかということになれば、これは守り得ないと思う。城を攻めるに外堀から埋めるということでしょう。国有林を守るためには、まず民有林を守らなければならないという考え方に立たねばならないわけであります。この間のところが、私はしろうと判断をして、何ほど考えてみても理由がつかないわけでありますから、先ほど長官が言われましたところの、これ以外に民間防除を自力でやったものがあるんだというケースも含めて明らかにしてもらいたい。なぜ国有林がこのように多くなっているかということについてお伺いをしたい。できれば、予算の支出区分、ここまでも私は知りたいと思います。
  55. 若林正武

    政府委員若林正武君) まず、民間が駆除いたしましたものの中には、国から補助金をもらい、あるいは県の単独の補助金をもらってやるというのもございますし、お話のございましたように、自己負担で自力で防除をやるというものもあるわけであります。マツクイムシ、それからマツクイムシ以外の法定病害虫駆除量につきましては、国の補助金に関係のありますものだけを実は統計数字として提出をいたしておるのでございまして、先ほど申し上げました県の単独事業で実施いたしたもの、あるいは市町村の単独事業で実行いたしたもの、及び個人負担で自力で防除をいたしたもの、こういうのはいずれも入っておらないのでございます。  それから国有林防除が非常に多いじゃないかという御指摘でございますが、これはノネズミとノウサギに対しまして先生からお話のございましたように予防を目的といたしまして薬剤散布をいたしております関係上、量が非常にふえておるのでございます。  予算の問題でございますが、これは事業費の中で支出をいたしておるのでございます。先生も御承知のように、現在、国有林野事業特別会計といたしましては、目標を設定いたしまして、分権管理方式を導入いたしまして企業の経営の合理化を促進しておるのでありますが、そういう中で必要なものは事業費の中から支弁をしていく、こういうふうなたてまえに相なっております。
  56. 村田秀三

    村田秀三君 たてまえはまあわかりましたが、いずれにいたしましても、この資料のとり方それ自体が私はわからない。いまいろいろと説明がありました県単、市町村、個人がやったものは含んでおらない、民間の場合。これは当然とられておるべきものでしょう。それから個人がやった中には補助金を出して民間が自力でやったものがあるという説明でありますが、これは国が支出したものであるとするならば、それは当然含まってもよろしいはずでありますね。ところが、それが入っておらない。こうなると、ますます資料のとり方がおかしくなるのではないかと思うのです。  同時に、確かに国有林野事業が特別会計ということはわかります。わかりますけれども、しかしながら、林野庁というのは、国有林のための林野庁ですか。いや、一般の方々は、林野庁というとこれは営林署だと思っていますよ。はっきり言って林区さまだと思っている。ではなくて、林野庁は、少なくとも国全体の林野行政をつかさどるものであるとするならば、民間の自力が何ほどこれにプラスされるかわからないけれども、いずれにいたしましても、そのほうは被害面積よりも少ない駆除実績である。そして、国有林の場合は、防除を含めてどこにいるかわからないところを二回も三回も薬をまいたというようなことがあっていいのかどうかということです。どうしても私はわからないんです。その間の説明を納得させることができるような資料をいただきたい。
  57. 若林正武

    政府委員若林正武君) くどいようでございまするが、国のほうで補助金の出ております分につきましては、民間が個人防除いたしましても、これは統計としてとっておるのでございます。先生から御指摘のございましたように、個人が自己負担において自力で防除したものも当然防除行政の面でとるべきではないかという御指摘でございますが、こういった点につきましては、今後そういうものも統計の整備をいたしたいというふうに考えておるのでございます。  それから国有林が非常に予防的に大面積をやったという問題でございますが、これは、先ほど申し上げましたようにノネズミとノウサギでございまして、これは特殊な地域において薬剤の空中散布をいたしておるのであります。国有林が空中散布をいたします場合には、当然周辺の民有林等とも連携を都道府県を通しまして密にとりまして、従来一緒に薬剤の空中散布をいたしておるのでございまして、先生の御指摘のように、全国の数字ではそういうことになろうかと思いまするが、局部的な問題、特殊なノネズミとノウサギの駆除につきましては、先生の御指摘のような国有林だけよけいやればいいんだというふうなことになっておらないのでございます。
  58. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、国有林ノネズミの話をなされますから、私もその例をとりますが、三十八年の国有林被害面積一万五千ヘクタールに対して駆除面積三十四万四千ヘクタールであったということは、民間とも連携をとる必要があるから、民間の林野にも同時に薬剤散布をしたという意味になるわけですか。
  59. 若林正武

    政府委員若林正武君) 民間のほうには散布はいたしておりません。
  60. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、この場合、同じ年に、民間の駆除面積は三万三千ヘクタールで、これは十分の一に達しないんですね。そうしますと、民間と連携をとりながら防除したそれがいわゆる一とうしてもこの数字が理解できない。実際の問題としてしろうとだからそうであるかもしれませんが、それと同時に、民間がまさに自力でやった分が調査されておらない。そしてここに駆除面積を麗々と出して、それで完全な防除対策というものが政策的にも事務的にも成り立つのかどうかということに私は懸念を感ずるわけです。したがって、この場合、民間でこれ以外に自力でやったものが何ほどあるんだという数字を統計的につかんでおるとするならば、それは至急にひとつ出していただきたいということです。
  61. 若林正武

    政府委員若林正武君) ノネズミとノウサギを対象にいたしまして薬剤の空中散布をいたしましたのは、大体これは北海道が主体でございまして、国有林の非常に多い地帯でございます。したがいまして、それとの関連におきまして、民有林のほうが面積的にはそうたくさん入っておらないのでございます。  それから民間で自力で防除をやった数量でございますが、これにつきましては、たいへん遺憾なことでございますが、従来林野庁でとっておらないのでございます。今後、資料についても、十分整備をいたしたいと思っております。
  62. 村田秀三

    村田秀三君 大臣にお伺いをしたいと思います。いまのお話をお聞きのとおり、被害面積は民有地も使う。しかし、駆除の実績は、これは国でやった分だけしかつかんでおらない。自力で県単あるいは市町村が行なったものないし民家が個人でやったものは含んでおらないということで防除の総合的な施策というものを進めていくことができるのかできないのか、それをひとつお伺いをしたいと思います。
  63. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 民間の比較的小さいほうのものには補助が出ておらないようでございますが、そういうところは、先ほど長官が申し上げましたように、集計が出ていないもののようでありますが、そういうことも、これからはひとつもちろんあわせて総合的に計算をいたしまして対処していく必要があると思っております。
  64. 村田秀三

    村田秀三君 大臣、ちょっと中身を誤解しておるのではないかと思いますが、いま長官とのやりとりの中で、防除対策は立てるけれども、民間が自発的に個人の費用で出したもの、ないしは県や市町村が単独事業として防除したものの資料はとっておらないというわけですね。私らとしては、これは法律ができる、法律がいまもある、その法律運用の中では、被害地に対して、それも被害の程度ももちろんあるでありましょうけれども、少なくとも大臣なり県知事なりが命令発動して防除せしめるようになっておる。しかも、それには、当然助成もすることになっておるわけでありますね。ところが、そういうことがあるにもかかわらず、民間が防除しましたのは私は知りませんというようなかっこうの中で防除計画が国会の中に出てくるとするならば、何の基準をもってこれを審議していいかということに当然なるわけであります。とっておらないというんです。それじゃ、いままで二十五年に法律が制定をされて今日まで何をやっておったのか。私が冒頭申し上げましたように、とにかく法律がありながら、しかもなおかっこの被害状況なりその実態をしろうとながら判断する限りにおいては、法律効果というものがあらわれておらなかったということを感ぜざるを得ない。十七年たって民間でやったものが何もわかりませんという話はないのではないかと思いますが、大臣、どうですか、この点。
  65. 若林正武

    政府委員若林正武君) 駆除量につきまして統計的にとっておりますのは、国の補助金によって実行いたしたもので、提出いたしましたこの資料には計上してございませんが、都道府県の補助金によって実行いたしたもの及び市町村の補助金によりまして実行いたした分につきましては、数字は報告をとっておるのでございまするが、参考資料のほうには国の補助金にかかる分だけしか計上してございませんので、御了承を賜わりたいと思います。
  66. 村田秀三

    村田秀三君 いま私が御質問申し上げましたのは、民間でやったのを把握しておらない、県単でやったのを把握しておらない、こう言うからいろいろなことを申し上げたんです。その資料がいままで明らかに把握されておるということであるならば、当然この防除実績の中に資料として含まれるべきであるし、あるならば出してくださいというんです。それがなければ、これからどうするかなんという話はとうていできるはずはないのであります。
  67. 大塚武行

    説明員大塚武行君) ただいまの長官お話に補足いたします。  市町村の単独事業、それから都道府県の単独事業につきましては、駆除量につきまして報告を求めておるのでございますけれども、実は、こういう資料は、すべて機械集計にかけております。ところが、都道府県についても若干疑問がありますが、市町村の報告の中におきまして信憑性の問題で非常に疑問が出ましたために、集計事務からはずしておる現状でございます。
  68. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 一体、それは、何年から信憑性を問題として、その資料をいつから確実を求めて報告を提出さして、それがどうなっていますか。
  69. 大塚武行

    説明員大塚武行君) 三十六年から報告をとっております。ですが、一応それ以来報告はとり続けてはおるのでございますけれども、内容において疑問が多いために、集計を見合わしております。
  70. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 三十六年からとっておって、それが、いつ確実なものに修正をさせて、政府の責任で国会へ出せるような資料になってきておりますか、おりませんか。三十六年もまだだめ、三十七年もだめ、三十八年もだめ、三十九年もだめ、四十年もだめ、一切がそういうあいまいもことした実態の中にこういう法律を出しておるのですか。
  71. 大塚武行

    説明員大塚武行君) 実はこれは市町村からの報告数字によっておるのでございますが、市町村における予算書等とのチェックをしていけば解明はできることではございますけれども、報告の内容におきまして疑問があるということで、たいへん申しわけない話でありますが、集計しておらない状況でございます。
  72. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 何もたいへん申しわけないという話じゃなくて、それはあなた方の当然の仕事の一部じゃないんですか。三十六年はこういう点で市町村の固有の補助事業については不確かな点がある。だから、これは督励をして、そういう疑問点を整理して、その実態の上に総合的な駆除対策というものが科学的な長期の展望に立ってこういう大きな法律改正が出るのじゃないですか。それが不確かなデータのままに、国有林だけは一応確かなものの中で一方的にそれを確認してわれわれは進めるわけにはいかぬですよ、これ以上は。いつまでに出ますか。資料が出ないうちは審議ストップだ。
  73. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  74. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 速記を起こして。
  75. 若林正武

    政府委員若林正武君) 市町村の報告数字につきまして、一応信憑性を別にいたしまして報告数字そのままを集計するということでございますると、単年度だけでございますると、若干時間をちょうだいできれば集計が終わると思います。
  76. 川村清一

    ○川村清一君 関連して。先ほどから、村田委員は、資料に基づいて数字をあげまして国有林民有林を比較しながら、被害面積と駆除面積を対比しながら、いろいろ林野庁の御見解を尋ねてまいってきておると思います。それに対する長官の御答弁をお聞きしておりますと、民有林については把握されておらないというような答弁を繰り返されてきておるわけであります。村田委員は、被害面積が八万ヘクタール、そのうち民有林が六万五千ヘクタール、国有林が一万五千ヘクタール、これに対する駆除面積というものが、民有林のほうは非常に少ない。ところが、国有林のほうは、被害面積の実に二十二倍の駆除面積がある。これはおかしいじゃないか。そこで、林野庁という役所は、これは国有林だけの役所なのか、日本全国の林野行政をつかさどる役所ではないのか。そういうたてまえから考えてみるならば、これはまことに変ではないか、理解に苦しむものであると、こういうようなことをさらに質問をされておるわけでございます。私も、しろうとでございますが、聞いておってまことにそのとおりだと理解しておるわけであります。ところが、長官は、これは北海道で野鼠だとかいったようなことを言われておりますけれども、そうしてだんだん質問されておったところが、今度は民有林のほうは把握されておらないのではなくして、民有林から出てきておるところのその報告というものは非常に信憑性に欠くるものがあって、これでは林野庁としては正確な集計ができないと。一体いつからだということを重ねて渡辺委員が問われましたところが、昭和三十七年からだと、こういったようなことになっておるわけであります。村田委員は、現在こういう法律があるじゃないか。法律のたてまえから言うならば、当然これはやらなければならない、また、やってもらわなければならないことではないか。やってきておってなお足らざるところにおいて今日の法律の一部改正案を提案をすべきものであろうと、これもまことにそのとおりだと思うわけであります。現実の姿を把握されないで何の法律改正なんだ、現実の姿を正しく把握されないで、予算をそこにつくるといったところで、積算の基礎がわからないで予算がつくれないのではないか、かようなことも考えるわけであります。  したがって、どうも村田委員質問に対する長官答弁はぐらぐらしておってさっぱりわかりませんので、これはこれ以上審議を続けるわけにはまいらぬと思うわけであります。したがって、委員長におかれては、これは暫時休憩されまして、もう少し整理していただきたい、かように考えますので、委員長のほうにおいてお計らいを願いたい、かように思います。
  77. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 暫時休憩いたします。    午後二時五十八分休憩      —————・—————    午後三時四十八分開会
  78. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから委員会を再会いたします。  農業共済基金法の一部を改正する法律案及び日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  初めに両案について提案理由説明を、次いで補足説明及び資料説明を聴取いたします。倉石農林大臣
  79. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 農業共済基金法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。  農業共済基金は、農業共済組合連合会を会員として昭和二十七年に設立されて以来、同連合会が保険金の支払い資金に不足する場合にこれに対する融資を行なって、農業災害補償制度の円滑な運営に資してまいったのでありますが、昭和三十八年に行なわれた農業災害補償制度の改正関連して、農業共済組合連合会への貸し付け金の一部を無利息長期の融資に切りかえる、いわゆるたな上げ措置を講じたことに伴い、その収支状況に余裕がなくなっております。  したがって、今後農業共済組合連合会の所要資金量が増大した場合、適切な融資措置を講ずることが困難な状態にあります。  このような現状にかんがみ、昭和四十二年度において政府及び会員がそれぞれ三億円を追加出資して農業共済基金の融資能力を拡充することとし、所要の予算措置を講ずるとともに、この法律案を提案した次第であります。  すなわち、現行農業共済基金法では、農業共済基金の資本金は三十億円とし、増資に関する規定を設けておりませんので、必要に応じて増資することができるものとするとともに、その場合に政府及び会員が追加して出資することができるものとする等、所要の規定の整備を行なおうとするものであります。  以上が、この法律案の提案の理由でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  蚕糸業につきましては、生糸の国内需要が最近急激な増大を見せており、一方、生糸の輸出は当面減少してきてはいるものの、海外における需要は将来一そう増加する可能性をもっており、蚕糸業は、これら内外の需要の増大に即応して今後とも安定的に発展することが期待される農業部門であるということができます。  最近における生糸の輸出の減退は、内需の急激な増大、価格の不安定等の原因に基づくものと考えられ、したがってこれに対処するには、基本的には繭生産の増強をはかり供給を確保することが必要でありますが、これによって需給の拡大均衡が実現するまでの間、生糸の輸出市場を喪失することのないよう、海外市場の確保について特別な措置を講じ、必要な規模の輸出を維持することは、きわめて緊要なことであります。  この法律案は、以上のような状況に対処し、当分の間、日本蚕糸事業団に、生糸の輸出を確保するための生糸の買い入れ、売り渡し等の業務を行なわせるため、日本蚕糸事業団法の一部を改正しようとするものであります。これによりまして、日本蚕糸事業団が、製糸業者等から生糸を買い入れ、輸出業者等に一定の期間、一定の価格で売り渡す業務を行なうことを予定しているのでありまして、今回の措置によって輸出される生糸について安定した価格が保証されることは、生糸の海外市場を確保する上にきわめて有効なものと考えるのであります。  以上が、この法律案の提案の理由およびおもな内容であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  80. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農業共済基金法の一部を改正する法律案の提案理由については、さきに御説明申し上げたとおりでありますが、この法律案の概要及びその趣旨につきまして補足的に御説明申し上げます。  農業共済基金は、昭和二十七年に、農業共済基金法に基づき、農業共済組合連合会を会員として設立されたものであり、会員が保険金の支払いに関して必要とする資金の円滑な供給をその任務といたしております。  一方、昭和三十八年に行なわれた農作物共済についての制度改正により、農業共済組合連合会の責任保有の割合が減少し、これに伴い、手持ち保険料も大幅に減少することになりました。したがって、それまでに生じた連合会の不足金を保険料収入により解消をはかることはより困難となったのであります。このため、農業共済基金は、昭和三十八年度末における連合会に対する貸し付け金の一部についていわゆるたな上げ措置、すなわち無利息の長期貸し付けに切りかえる措置を講じたのであります。  このたな上げ措置に伴って、農業共済基金の収入利息が大幅に減少し、このままでは、その収支状況は今後相当窮屈になるものと考えられるとともに、最近における共済金額の上昇等により農業共済基金の融資所要額が増大することも予想されますので、農業共済基金がその任務を円滑に遂行するためには、その資本金の増加が必要と考えられるのであります。そこで、昭和四十二年度に政府及び会員がそれぞれ三億円、合計六億円の出資をすることとし、それに必要な予算措置を講ずるとともに、この法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げますと、  第一に、農業共済基金の資本金の増加について規定したことであります。すなわち、現行法では農業共済基金の資本金は三十億円と定められているのでありますが、必要があるときは、農林大臣の認可を受けてこれを増加することができるものとしたのであります。  第二に、政府及び会員の追加出資について規定しました。すなわち、現在政府及び会員の出資額はそれぞれ十五億円と定められているのでありますが、今回、新たに、農業共済基金が増資するときは、それぞれ追加出資をすることができる旨の規定を設けたのであります。  第三には、追加出資の道を開くことに伴い、農業共済基金に対する会員の持ち分の譲渡禁止を緩和する等、所要の規定の整備を行なったことであります。  以上で、この法律案の趣旨と概要の補足説明を終わります。
  81. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 続いて、資料説明をやってください。
  82. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 「農業共済基金法一部改正関係資料」をお配りしてございます。簡単に御説明をいたします。  一ページをごらんいただきますと、「農業共済基金の概要」がございます。これは農業共済基金法に基づくもので、昭和二十七年の八月に設立いたしましたものでございます。連合会の保険金の支払いに必要な資金の供給を円滑にすることがその目的でございます。  二ページをおあけいただきますと、「農業災害補償制度の機構」がございます。組合員、組合、連合会、政府、あるいは農業共済基金の関係が図示されております。これは説明を省かせていただきます。  三ページに参りますと、農業共済基金の「会員」でございますが、これは各県の農業共済組合連合会で、会員の数は四十六ございます。「役員」は、理事長一人、理事三人、監事二人で、合計役員の数は六人でございます。「職員」は二十二名であります。簡素な団体でございます。  四ページをお開きいただきますと、「資本金」が三十億でございます。政府出資が十五億円、会員出資が十五億円で、会員別の出資額は表のとおり十五億円でございます。これは、昭和二十七年から三十三年にかけて出資の払い込みをされたものでございます。そうして、配分額の算定の基礎をあらまし申し上げますと、平等割りと総保険金額割りと事業不足金額割りと、この三つのファクターを用いまして十五億を計算いたしまして、平等割りが七千五百万円、総保険金額割りが二億八千五百万円、事業不足金額割りが十一億四千万円で、合計十五億でございます。ただ、念のため申し上げますと、二十七年から三十二年まで十二億六千四百万円のいわば実質的な払い込みが行なわれました以後、三十三年に農業共済基金の特別積み立て金を取りくずしまして払い込みに充当した分が二億三千六百万円ほどございます。  五ページをおあけいただきますと、「業務」でございまして、業務の内容といたしましては、年度末事業不足金と一時的不足金とをこの基金から連合会に対して融資をするというのが主たる目的でございます。その場合の貸し付けの利息は、日歩一銭五厘でございます。それで、基金として足らない分は、一番最後に借入金とございますが、農林中金から日歩二銭二厘で借りるわけでございます。二銭二厘で借りて、一銭五厘で貸すという関係になっております。  六ページは、「貸付実績」でございます。これは四十一年三月三十一日現在でございますが、四十一年の三月末現在の貸し付け残額約六十二億、正確には六十二億四千五百万円のうち、四十年四月一日にたな上げ措置を講じましておる分が、連合会の数にして二十二連合会——一番最後の行をごらんいただきたいと思います。二十四億六千七百万円につきまして、無利息、無期限でたな上げをいたしておるわけでございます。このたな上げをやりましたために、基金の財政事情が一挙に苦しくなりまして、今回の出資ということになったわけでございます。たな上げ額の最高額は、この表をごらんになりましておわかりのように、富山県で約三億円、最低は、長崎県で二千万円ということになっております。二十二連合会に対して二十四億六千七百万円のたな上げをやっておるということでございます。  七ページは、「農林中央金庫年度別借入実績」でございます。年度別借入平均残高でございます。年度末はもっとずっと大きな金でございますが、年間を通しますと、三十八年で十億八千六百万、三十九年で九億二千四百万、四十年で五億七千万という状態になっております。  それから八ページをごらんいただきますと、「基金の収支状況」でございます。これは、先ほど御説明いたしましたように、昭和四十年四月、連合会の事業不足金の一部をたな上げいたしました結果、従来に比して基金の収支が急激に悪化をいたしたわけでございます。ごらんいただきますと、三十一年から三十九年までは一億をこえる剰余がございまして、それが積み立て金に回っておったわけでございますが、四十年の四月一日に二十五億ほどのたな上げを行ないました結果、四十年には収支無残といいますか、剰余金がゼロの状態になったわけでございます。  それから九ページが「剰余金の処分」でございます。剰余金は、損失てん補準備金と特別積み立て金に分かれておりますが、ごらんになりますように、昭和四十年末で、損失てん補準備金が四億五千百万円、特別積み立て金が七億四千万、合計いたしまして十一億九千百万となっておって、これが連合会に対する貸し付けの資金の一部になっておるわけでございます。  一〇ページが農林大臣の「監督」でございます。省略させていただきます。  それから一一ページは、「農業共済組合連合会事業不足金について」ということで、昭和三十八年の水稲の場合の例が右側に、それから共済制度が変わりましてからの四十年産の水稲の場合が左側に書いてございます。簡略して申し上げますと、三十八年の水稲の場合で申し上げますと、政府の再保険料が五十七億円、それから組合の手持ち掛け金が十三億円、連合会の手持ち保険料が五十七億円ということで、それぞれ国の再保険料が四五%、連合会の手持ち保険料が四五%、組合の手持ち掛け金が一〇%ということでございましたが、組合に相当な責任を持たせると同時に掛け金を持たせるという制度の改正によりまして、四十年度で、総共済金額三千七百四十億円を対象にいたしまして、政府の再保険料が八十二億円で四二二%、連合会の手持ち保険料が四十億円で二〇・五%、組合の手持ち掛け金が七十三億円で三七・四%というように、共済組合で申しますと、手持ちの掛け金が一〇%のものが三七・四%にふえたのに対して、連合会のほうは四五%が二〇・五%に減ったということでございます。したがいまして、組合の手持ち掛け金が増加をし、また、実質的に共済の責任を組合がより多く背負うことになりました結果、無事戻し等が行なわれるわけでございますが、これによって、一つ効果は、連合会がいわばいままでございました相当の赤字をくずすだけの力がそれだけ鈍くなったということでございます。これが制度改正に伴いまして四十年四月一日に約二十五億円のたな上げをせざるを得なかった理由につながるわけでございます。  一三ページに参りますと、「連合会収支の現状」がございます。これは、必須共済事業だけで、任意共済には関係ございません。ごらんいただきますとおわかりですが、二十八年当時、不足金を持っております連合会は四十四で、金額が約四十四億円、剰余金の発生連合会は二つで、金額は六千万円でありましたけれども、最近では、不足金の発生連合会が減少をいたしまして、剰余金を保有している連合会が増加をいたしたわけでございます。したがいまして、三十八年でごらんをいただきますと、まだ不足金を持っております連合会が二十六で、不足金の合計が四十七億五千万円でございますが、四十年では、たな上げの効果もありまして、不足金の連合会が二十六で、不足金の合計が四十三億三千万円というふうに、不足金が多少減っておるわけでございます。  それから一四ページをごらんいただきますと、「勘定別事業過不足金累計」がございます。これは昭和二十二年から昭和四十年までの累計でございますが、不足金の連合会が二十六で、その不足金の合計額が四十三億三千万円でございます。その中で、農作物の共済勘定、これは水稲、陸稲、麦でございますが、その不足金の額が三十億三千万円で、連合会が二十三というふうに、不足金の大部分は農作物の共済勘定が背負っておることになります。これは剰余金につきましても同様なことが言えて、連合会が二十でその黒字の合計が四十五億九千万円でございますが、そのうち農作物共済勘定の黒字の額が三十五億六千万円という状態でございます。  それから一五ページをお開きいただきますと、「不足金連合会の棚上措置後の推移」というものがございます。この連合会の中で佐賀県のところをごらんいただきますと、佐賀県は、三十八年度末事業不足金が六千八百万円、たな上げ額が四千七百万円、非たな上げ額が二千百万円でございますけれども、これに対応する四十年度の事業不足金はゼロというふうになっておるのが一つでございます。一番最後の行をごらんいただきますと、三十八年度末の事業不足金が二十六連合会で四十七億五千四百万、たな上げ額が二十二連合会で二十四億六千七百万でございまして、非たな上げ額が二十二億八千七百万ということでございましたが、その分が十八億九千万円に減っておるわけでございます。  それから一六ページ以下は、「農業共済組合連合会不足金問題について」ということで、いろいろいままでの経過がございましたのを日誌風に書いてございます。一番最初のところが、三十九年一月二十三日、全国農業共済協会に連合会不足金処理対策委員会設置と、それから問題が煮詰まりまして、四十年の四月一日にたな上げが確定いたしたわけでございます。  一七ページが「連合会事業不足金処理対策について」ということで、連合会の会長会議の決議でございます。  これを受けまして、一八ページが、政府側の方針が書いてございます。いずれも、詳細は省略さしていただきます。  一九ページに、「農林共済基金の六億円増資についての経緯」というのがございます。四十一年の九月九日から始まりまして、十二月八日には、連合会の会長が集まりまして、三億円を出そう。そうして、出し方は、先ほど御説明いたしました十五億の出し方に準じてその五分の一を出そうということの決議がありました。以下、省略さしていただきたいと思います。  以上でございます。
  83. 石田朗

    政府委員(石田朗君) 「日本蚕糸事業団法の一部を改正する法律案参考資料」について御説明を申し上げます。  この改正法律案は、改正案といたしましては非常に簡単なものでもございますので、いわばこの法案を必要といたしまするに至りました背景を御理解いただくのに必要であろうと思われる資料を取りそろえたわけでございます。  まず、一ページをごらんいただきますと、ここに、繭の生産量、生糸の需給及び生糸の価格が掲記してございます。ここで達観して全体を一応見ていただけるようにというふうになっておるわけであります。この中で、最近の動きで特に重要だと思われますものは、最後から三番目の欄に純内需という欄がございますが、この内需の増加傾向が特に最近において著しい、こういうことでございます。三十六年ころには約十九万三千俵でございましたものが、四十一年には二十九万七千俵に相なるということで、相当大きな内需の増大を見ておるわけでございます。このようなことから起こってまいります需給の関係及び価格との関係におきまして、輸出面におきましては最近におきましてかなり減少をいたしてまいっております。最近においては輸入が出てまいっておる、こういう形になっております。このことは、このような内需の増大が一面においてありました他面、繭生産及び生糸生産におきましてはいわば横ばいの状態でございまして、そこから起こる需給関係及び価格関係からこのようなことに相なっておるように思うわけであります。  次に、二ページをお開きいただきますと、二ページ及び三ページに、養蚕の面の若干の資料が掲記してございます。二ページには、養蚕戸数、桑園面積、掃立卵量及び繭生産量が掲げてあります。これは、全体といたしまして、農家戸数においてはかなり減少をいたしております。桑園面積は、三十三、四年のころ減少をいたしましたが、それ以後横ばいで、掃立卵量及び繭生産量におきましてはいわば横ばい、こういったような状況を示しております。  そこで、三ページに、いわば中身をなします若干の計数を掲げてございますが、ここにあらわれておりますように、一戸当たりの桑園面積あるいは収繭量というものは、養蚕農家二戸当たりにつきましてかなり増加をいたしてまいっております。桑園面積におきまして、三十年の二十三アールから、四十一年の三十三・八アールといったような姿がこれを示しておるわけでございます。他面、最後にございますように、上繭一キロ当たりの労働時間は、七・五時間から四・三時間に、十年間で約四割の節約を見て、かなりの成果をあげておると思われます宿直で、十アール当たり収繭量につきまして、必ずしも最近伸びておらない、停滞をいたしておるという点に若干の問題があろうかと思うわけでございます。  次の四ページは、府県別の四十一年をとりました概況を示してございますので、これはごらんおきをいただきたいというふうに思うわけでございます。  次の五ページには、繭の価格の推移が、春繭及び初秋蚕、晩秋蚕及び年間平均で掲記してあるわけでございまして、最近におきまして大体六百円から七百円、キロ当たりそういう価格を示しておったわけであります。昨年におきましてこれがかなり上昇を来たしてまいっておるというのが実態であろうかと思います。  次に、六ページには、今度は、製糸業の概況を、工場数、設備数及び生産量を掲記してございます。これは、ごらんいただけばおわかりかと思います。器械製糸業界の在来からのものが大部分の生産をいたしておるという実態でございます。  次に、七ページは、生糸価格の推移がグラフをもって示してございます。実は、三十八年に、一部取引所におきまする仕手の介入等もございまして、三十八年六月に異常高騰、次に暴落といった事態があったわけでございますが、三十九、四十年におきましては、変動はありましたけれども、おおむね一応の水準で推移をいたしたというふうに考えられております。四十年の晩秋蚕及び四十一年の春蚕のできが悪かったというようなことを契機にいたしまして、それ以後実は上昇傾向にあるわけでございまして、この点、現在ではかなりの高値を示しておるというのが実態でございます。  次に八ページ及び九ページにございますものは、一ページにございましたもののいわば内訳でございまして、八ページには、生糸そのものの需給を最近のものについては月別を加えて掲記してございます。九ページにおきましては、生糸の需要面、特に輸出の、生糸そのものの形、あるいは絹撚糸、絹織物、絹二次製品、これ別にここに掲げてあるわけでございます。先ほど申しました輸出の変化というものについてその内容をごらんいただけるかと存ずるわけでございます。  次に、一〇ページ及び二ページに、いわば国際的に見ました繭及び生糸の生産というものを掲記して、主要国別にあるわけでございます。これは繭のままの国際流通というのは比較的少のうございますので、生糸をあるいはごらんいただけば全体のウエートがおわかりかと思います。全体をながめまして、最近の情勢におきまして日本の生産の占めます比重は、ここで一一ページの一番下にございますところで三十一万八千俵という数字は、世界の約五八%に相当いたします。これに対しまして、次に位する中共が、十二万五千俵で、約二三%に当たるわけでございます。その他主要国を掲げてございますが、これらに比べますと、他の諸国はかなりウエートは小さくなっておると、こういうことになろうかと思います。  次に、一二ページに、参考といたしまして繭の生産と生糸の需要見通しというものがございます。これは、現在行なっております農産物全体の需要及び生産の見通しの検討の一環といたしまして繭及び生糸の見通しをいたしてみたものを御参考までに掲記いたしたわけでございますが、約十年後におきまして、生糸の需要量は、現在の三十二万俵から約五十万俵と相なり、このうち、内需が三十九万俵近くに相なる、こういうことでございまして、これに対しまして、桑園面積及び十アール当たりの収繭量からながめまして、これに対応する生産が見通されておるわけでございます。これが今後の考え方の一つの手がかりとも相なりますので、これにつきまして御参考に掲記いたしておるわけでございます。  以上をもちまして、最近の蚕糸業の概況に関する資料を御説明し、御参考に供した次第でございます。
  84. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 「農業共済基金法一部改正関係資料」に関連して、若干資料提出をお願いしておきます。  第一は、この資料の一番末尾に別表があります。収支不足に損失てん補準備金を充てない場合が、今後十ヵ年の展望で約一億の赤字になるということでありまして、先ほどの補足説明の中に、法律改正によって、たな上げ部分が出て無利息融資が出たということと、これによって収入利息が大幅にふえておる、それから今後共済金額の上昇等によって農業共済基金の融資所要額が増大する、したがって、政府三億、民間三億、合わせて六億の増資が必要だということを言われておるわけであります。従来の三十億に対して新たに六億が増資されることによってこれがカバーされるという、その積算の基礎をひとつ明らかにしていただきたい、これが第一点です。  それからこの法律を大幅改正をした以前からということになりますので、昭和三十八年度から毎年度別の各連合会別の勘定別——三つの勘定があるわけでありますが、それの事業の過不足金の推移を明らかにした表をお願いいたします。  それから組合等の共済金削減払いの実績を、これも同様三十八年度から年度を追って県別の内訳を明らかにした一覧表の資料がほしいわけです。  第四点は、三十八年度以降、再保険のつなぎ融資の運用があるわけでありますが、この実績と、政府の利子補給の金額を、やはり三十八年度から年度別の勘定別の利子補給金額を明らかにした一覧表を出していただきたい。  第五点は、共済団体の職員の給与、これが、いつもわれわれ陳情を受けておるのでありますが、非常にベースが低いということでありますので、その実態を把握するに値する資料がほしいわけでありますから、組合と連合会別の最高、最低、平均ということでけっこうですから、それの給与ベースを明らかにしたもの。それと、それに対する予算の単価がどうなっていたのかというようなことが横で見てわかるようなもの。それから、それと比較するために、県の職員、市町村職員というものの平均ベース、これは最高、最低は要りませんから、平均だけでけっこうであります。そして、これと平均年齢が一体どうなるか。そういう、平均年齢と平均給与が比較できるもの、組合と連合会は特にそのほかに最高、最低というものを最近年度三年ぐらいに分けた一覧表を出していただきたい。  これが、農林省に提出を求める資料の全部であります。あとは、審議の間にいろいろ伺うことにいたします。  それから専売公社に御出席をいただいておりますが、専売公社にはただ一点だけお願いいたします。たばこの損害補償金の交付規定を参考に出していただきまして、それによる補償制度の概要と、最近五年にさかのぼった実績をひとつ年度別に明らかにした資料をお願いいたしたいわけであります。  委員長は、これを委員会として正式に取り上げていただきたいと思います。
  85. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 詳細な資料の御要求でございますが、できるだけ御趣旨に沿うように至急作成いたします。
  86. 大塚孝良

    説明員大塚孝良君) 交付規定の概要と最近五年の実績というお話でございますので、さっそく取りそろえてお届けいたします。
  87. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 政府委員は、できるだけこの資料を早くまとめて出してください。  それでは、農業共済基金法の一部を改正する法律案について質疑のある方は、順次御発言願います。
  88. 青田源太郎

    青田源太郎君 ただいま農業共済基金法の一部改正案が出ました。これについて若干のお尋ねを申し上げます。  この法律は、昭和二十七年に制定されてすでに十数年間になっておるわけであります。この間、農業災害に対しまして大きく貢献しておるわけであります。この基金につきましては、共済連合会は大きく期待しておるわけですが、今回この資本金を増加する、その必要な理由についてお伺いをしたいと思います。
  89. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 先ほど資料説明でも申し上げましたが、この基金の資本金は三十億でございまして、それに約十二億ほどの積み立て金がございます。これに対応いたしまして、四十年の四月一日に、連合会に対する貸し付け金のうち約二十五億ほどたな上げをいたしまして、これは、たな上げと申しましても、無期限、無利息の貸し付け金にかえたわけでございます。したがいまして、三十九年度には、一億をこえる剰余金がございまして、それを積み立て金に振りかえて基金の経理を行なってまいったわけでございますが、四十年度以降、全く情勢が変わりまして、このまま推移いたしますと、今後十年間に約一億円程度の赤字が基金に出るというふうに考えられるわけでございます。この基金を健全に運用いたしますことが農業共済制度全体の運営を健全にするゆえんでもございますので、この際、政府と連合会とでそれぞれ三億ずつの出資をいたしまして、今後十年間にわたって約一億程度の赤字が出るという事態を回避いたしまして、この基金の健全化をはかりたいというのがこの法律を提案いたします理由でございます。
  90. 青田源太郎

    青田源太郎君 増資の趣旨は大体わかりましたが、さて、この基金の増資額を六億円というふうにしておる、その算定の根拠はどういうふうになっておりますか。
  91. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 基金といたしましては、三十億の出資金と約十二億の積み立て金等が原資でございまして、連合会に貸します場合に、出資金なりあるいは積み立て金でまかない得ない部分は、中金から借り入れ金を仰いで運営いたすわけでございます。中金からの借り入れ金は二銭二厘でございまして、基金から連合会に貸し出す場合の金利は一銭五厘でございますから、一定のバランスをくずしますと、二銭二厘と一銭五厘との逆ざやで、基金に赤字ができるわけでございます。今後基金を連合会が利用いたします割合もだんだんに活発になりますことが予想されますので、現在のままで推移いたしますと、二銭二厘と一銭五厘とのある程度の逆ざやがだんだん赤字を生みまして、今後約十年間にわたりまして累計一億程度の赤字ができるわけでございます。この一億程度の赤字ができないように基金をどの程度ふやしますと処理ができるかと申しますと、これが約六億円ということになるわけであります。
  92. 青田源太郎

    青田源太郎君 農業共済組合連合会の事業の不足金の一部を今回たな上げしたということでございますが、その理由と、また、その事業の不足金はどういう理由発生したというようなことについて説明を願いたいと思います。
  93. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 連合会の相当な赤字でございますが、これは、共済制度のたてまえから申し上げますと、長期的には均衡いたす理屈でございます。したがいまして、相当な赤字があります連合会でも、いつの日にかまたその赤字が消えるという可能性がないことはございませんけれども、四十年の四月にたな上げいたしましたものは、実は、連合会の事業不足金と申しましても、いわば戦後の異常な生産条件のもとで発生いたしました昭和二十年代の連年の農業災害に負うところが非常に大きいわけでございますから、それは長期的に見て均衡するということがなかなか事実問題としてむずかしいということがございます。す。  それからもう一つは、先ほども資料説明で申し上げましたが、昭和三十八年に農作物共済について相当な大きな手直しをやりまして、連合会の手持ち責任が相当減りましたことから、いままでの赤字が解消するという可能性がなかなかむずかしくなったわけでございます。  したがって、以上の二つの理由から、二十五億程度の貸し付け金についてこれをたな上げせざるを得なかったわけでございます。
  94. 青田源太郎

    青田源太郎君 次に、最近における農業共済組合連合会の事業の収支についての内容をひとつ御説明を願います。
  95. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 昭和四十年度末におきます連合会の事業収支状況を申し上げますと、先ほども申し上げましたが、不足金があります連合会が二十六で、その不足金の累計が四十三億円、剰余金を持っております連合会の数が二十で、その合計額が四十六億円ということでございます。  たな上げ連合会について見ますと、四十年度末の非たな上げ事業の不足金は約十八億円でございまして、これは先ほども申し上げましたが、三十八年度末の二十二億円に比べますと四億円程度の減少を見ております。この四億円程度の減少といいますのは、一番典型的な例が、佐賀県で赤字がなくなったという連合会も一つあるわけでございますが、全体として連合会の不足金が減りましたのは、ごく最近におきます災害の出方にもよりますけれども、二十五億程度のたな上げを行ないましたことによって、支払い利息が年間約一億四千万円ほど減少をいたしますものですから、それが三十八年に比べて四十年度の決算で赤字が約四億円減ったということの一つの大きな理由になっておるわけでございます。
  96. 青田源太郎

    青田源太郎君 農業共済組合連合会の事業不足金のたな上げの処置について説明を得たのですが、その効果がどのようにあがっておるか、また、特にたな上げ処置の対象となっておる連合会の内容について御説明願いたいと思います。
  97. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) ただいまも触れましたけれども、連合会の中では、一つの例でございますけれども、佐賀のように赤字が消えておりますものもございますし、全体として不足金が三十八年度から四十年度にかけて約四億円減っておることがございます。これは、農業共済事業の黒とか赤とかいうのは、災害がどういう形であらわれるかということに一番多くよるわけでございますから、必ずしもたな上げ処置によってだけよくなったというふうにも申し上げられませんけれども、現実に二十五億ほどのたな上げによって、年間の利息の支払い額は約一億四千万円でございますから、一億四千万円の利息を支払わないで済むという状態は、これは連合会の財政にとって相当なプラスであると思います。そういう意味で、たな上げ処置は所期の効果を現にあげつつあるというふうに考えてよかろうと思います。
  98. 青田源太郎

    青田源太郎君 共済組合連合会の事業不足金のうちたな上げされたその部分について、どういう処理をしておられるか、その考え方についてお聞きします。
  99. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) この約二十五億円ほどの不足金は、連合会の特別勘定に区分して経理をして、いわば凍結をしておるわけでございます。これは連合会の財政がよくなれば凍結を解くということも考えられないわけではございませんけれども、ただいまのところ、連合会の事業運営が円滑に行なわれるというたてまえから、もう少し様子を見てこの問題を処理いたしたい。現在のところは、この問題をどうするかということは、まだ結論を出しておらないというのが実情でございます。
  100. 青田源太郎

    青田源太郎君 二十四億六千万円の処理と、今回増資される六億円の増資のいわゆる完了、あるいは、連合会の収支、また基金の収支との関係というようなものがどういうふうになっておるか、伺いたいと思います。
  101. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 三億の出資を連合会から仰ぐわけでございますが、意見としては、一部に、赤字の連合会は出すことはかんべんしてもらっていいのではないかという意見が多少あったことも事実でございます。黒字の連合会だけがしょえばいいではないかという意見がございました。さらにまた、四十六の連合会が現在のところ全部必ずしも基金から金を借りておるわけではございませんから、黒字の連合会で非常に経理のいいところは、むしろ基金に出資しなくてもいいではないかという反対の意見もこれは内部のことでございますけれどもあったことも事実でございます。しかし、私ども考えまして、農業共済事業というのは長い間を見て収支が均衡するわけでございますから、赤字の連合会、黒字の連合会といいましても、一たん災害がひどく来れば、黒字の連合会も一挙に赤字に転落することもございますし、しばらくの間災害がありませんければ赤字の連合会の赤字が解消するということもないわけではございませんし、そういうたてまえからいって、どの連合会も、自分のところは決して基金のやっかいにはならないというふうには言えないわけでございます。また、現に、相当長い期間をとってみますと 四十六の連合会が全部基金のやっかいになっておるわけでございますから、そういう意味で黒字の連合会だけが金を出したらいいじゃないか、あるいは赤字の連合会は金を出す必要はないではないかという内部的な意見は多少ありましたけれども、結局、連合会長の総意としてきまりましたことは、赤字、黒字を問わず、四十六の連合会が全部出資しよう。出資する場合には、これはこまかく議論すれば切りがないわけですけれども、現に二十七年から三十三年にかけて連合会から十五億の出資をした例がございますし、そのときの金額の五分の一ということで出すことが一番まとまりがよいのではないかということにいわば衆議一決をしたわけでございます。
  102. 青田源太郎

    青田源太郎君 連合会の今回の出資の三億円の各配分でありますが、特に黒字の連合会と赤字の連合会という関係の配分はどういうようにいま考えられておりますか。
  103. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) これは、いま申し上げましたように、こまかい議論をして新しい基準を設けるということはやってやれないことはないと思いますけれども、一方の連合会がよければ他方が悪いという関係もございまして、連合会長の総意としてきまりましたことは、さきに出資いたしました十五億円のそれぞれ各県ごとにその五分の一を出すということにきまったわけでございます。私どもも、これは連合会が自発的に出してもらわなければ政府も出資しないというたてまえでもございませんで、また、連合会がそういうようにきめれば、あえて異を述べる必要もないわけでございますから、したがって、連合会長のさきにきめました十五億円の五分の一の三億円をそれぞれの県から出してもらうということにいたしておるわけでございます。
  104. 青田源太郎

    青田源太郎君 大体わかりましたが、私の考えでは、基金の設立当初は、会員の平等割り、そうしてまた、事業の各推計に基づく数字で、ちょっとまあ強制的なような出資になっておったと思うのですが、今回は、そうではなしに、任意出資というような形であるわけであります。先般の連合会長会において、いま説明のありましたように、当初の出資と同じようなかっこうで一律五分の一の分担をしていいというように了承されたように言われておるのでありますが、しかしながら、連合会につきましては、赤字連合会は、この上に大きな負担ということで、出資の困難性があるように言うておる。また、黒字であって未利用の連合会は、出資ということにもう積極性がないというようなふうにもいわれておるわけでして、こういう点から考えると、今回の三億を、会員出資というふうでなしに、政府の全額出資というような考え方を持てないものか。あるいは、各連合会が出すのなら、中途でやったような分割払いというような方法も考えられるのですが、こういうことについて、どういうように当局は考えておりますか。
  105. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども、農業共済制度を考えます場合、これはあくまで農家の共済事業、あるいは農家を対象とした保険事業で、国がそれを援助するというたてまえであろうかと思うのであります。したがいまして、水稲、麦等々につきまして掛け金の国庫負担を実は六割をこえるくらいにやっておりますけれども、あくまで農家がやる保険に国が参加する、あるいは国が援助するということであって、国だけがやるというふうには私ども考えないほうが、むしろ農業共済制度を今後健全にあるいは円滑に運営する上の大事なことではないかというふうに思います。したがいまして、この出資金につきましても、実は、政府だけが出すということをやれば、連合会なりあるいは組合なりにとって一番いいことでありましょうけれども、あくまで農業共済制度は農家がやる上に国が補助をするというたてまえをとっておりますものですから、農家がといいますか連合会が自分たちの必要に迫られてあるいは必要を感じて三億出資するから政府も三億出してくれということで私はこの問題が成立するのではないかというふうに思います。したがいまして、赤字のところはどうだ、黒字のところはどうだと一県一県話をしますと、なかなかむずかしい問題が確かに御指摘のようにあるわけでございますけれども、全部集まりましての意見としては、やっぱり政府が三億、連合会が三億で、その連合会が三億出す場合の基準としては前のやつをそのままとろう、その五分の一にしようということになったわけでございます。  それから分割の問題でございますが、前にやりましたときは、先ほども御説明いたしましたように、二十七年から三十二年にかけて十二億六千万円ほどのものを分割でやったわけでございます。毎年二億三千六百万ほどの金を何ヵ年か続けたわけでございますけれども、当時に比べますと、連合会の力は比較にならないほど強くなっておるというふうに思います。したがいまして、当時でもとにかく二十八年から三十二年まで——二十七年の当初は八千三百万ほどでございますが、二十八年から三十二年にかけて毎年二億三千六百万円という金の出資をしてもらったわけでありますから、今回の三億というのを分割ということでなしに一ぺんに出資をしてもらうことは、そう無理ではないだろうというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  106. 青田源太郎

    青田源太郎君 最近における共済基金の財務状況はどうで、また、今後どういうような見通しであるか、それを伺いたいと思います。
  107. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 昭和四十年度の基金の決算は、赤字、黒字なしのゼロでございます。収入といたしましては、貸し付け金の利息あるいは預金利息で一億二千百五十万円ほど、これに対しまして、支出としては、借り入れ金の利息が四千七百万円ほど、経費が七千三百万円ほどで、小計一億二千百万円ほどで、差し引き剰余金はございません。四十一年度につきましては、幸いに予想よりも貸し付け金の利息が——貸し付け金の利息といいますより、借り入れ金の利息がむしろ減りましたこともありまして、大体、赤字、黒字なしの予算を組みましたけれども、決算をいたしますと、実は、決算といいましても、まだ総会がございませんから、決算書というわけにまいりませんけれども、大体の腹づもりといたしまして決算案ができておりますが、七百万円ないし八百万円の黒字でございます。これは、しかし、今後の予想といたしましては、なかなかそういう予想は立ちにくいわけでございまして、先ほど申し上げましたように、年々一銭五厘と二銭二厘との逆ざやの支払う分がふえるわけでございますから、今後といたしましては十年間ぐらいで一億程度の赤字が出ざるを得ないようなことになりはしないか。もしも今回の六億円の出資ができませんければ、どうもそういう事態になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  108. 青田源太郎

    青田源太郎君 基金の収支は、表を見ると、二十七年から四十年末にゼロというふうになっております。ところが、一方、基金の将来の見通しというような点からこの表を見ますと、四十二年から五十一年のまあ十年後は、大体一億ぐらいの赤字でとどまるというふうにいわれておるのでありますが、私ども考えるのは、その中に六億の増資が完了したのを見込んでの計算でなっておるのか。また、そうでなければ、今回出資する大きな必要がないのじゃないかというふうにも感じるんです。その点についてはどうですか。
  109. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 十年間で約九千万円、一億ほどの赤字の計算になっておりますものは、六億の出資がない場合でございます。六億の出資はこの赤字を消すための出資というふうに考えてもらいたいと思います。
  110. 青田源太郎

    青田源太郎君 次に、共済基金の会員たる農業共済組合連合会が基金をどういうふうにいま利用されておるか、また、基金は会員たる農業共済組合連合会に対してどういうふうにサービスを行なっておるかというような点もひとつ御説明願いたいと思います。
  111. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 連合会が基金を利用いたしますことは、先ほども申し上げましたが、基金ができましてから四十一年の三月までの間には、すべての連合会が基金を利用いたしております。最近は、一部の会員の事業収支が好転いたしておりますから、四十六連合会すべてというわけではございませんが、それでも、最近、と申しまして、三十八年度では四十六のうち三十九、三十九年度で二十五、四十年度で二十九の会員がこれを利用いたしておるわけでございます。  なお 基金は 連合会会員に対するサービスといたしまして、連合会が行なう掛け金の徴収の指導や、あるいは、基金が依頼をいたしますいろいろな共済事業に関する調査事業等がございますが、それに資金的に協力をいたじておりますほか、基金の月報でありますとか、あるいは広報でありますとか、いろいろな印刷物を配って、連合会なりあるいは単共なりの事業の指導に必要な資料を提供いたしておるわけでございます。
  112. 青田源太郎

    青田源太郎君 農業共済基金の業務の範囲の拡大について、基本的な方針を承りたいのであります。今回、果樹保険臨時措置法というような法律も提案されるという準備ができておるようなわけでありますが、こういった点を御説明願いたいと思います。
  113. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 今回の六億の増資は、実は、いままでの事業規模によりましても将来相当な赤字が出そうであることを防ぐための出資でございますから、今回の六億の増資に伴って特別に事業を拡大いたしますものは、いま御指摘になりましたように、果樹の保険の相当大規模な試験実施を四十三年からやるわけでございますが、その事業に関連して連合会に融資をいたしますことを果樹保険に関する法律で別に規定をいたすつもりでおります。それ以外に特別に事業を拡大するというふうには考えておらないわけでございますが、ただ、私ども、現在、連合会に融資はいたしますけれども、単共に融資はしておらないわけでございます。それにはそれなりの私どもの理屈があるわけでございますけれども、将来の問題として、連合会の経理あるいは財務の状況が確立いたします場合、あるいは組合等の要望、これは当然出資の増額ということを含むわけでございますけれども、そういうものを勘案しながら、将来の検討問題として事業の範囲の問題を研究いたしてまいりたいというふうに考えております。
  114. 青田源太郎

    青田源太郎君 果樹保険のようないわゆる新種共済でありますが、特に果樹について参考にお尋ねしたいのですが、御承知のとおり、果樹は、いろいろ災害がありましても、特にひょう害があった場合には、天災法の適用をされぬとか、また、果樹は、ひょう害の場合には、その当年度だけじゃなしに、二年、三年と非常に影響するわけですが、それでも激甚災害の適用を受けぬというような欠陥があるわけですが、そういうような点は今度の保険の臨時措置法によって何かカバーできるような考えを持っておられるかどうかということをお尋ねします。
  115. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) おそらく天災融資法の問題について第一の御質問であろうと思いますが、天災融資法の発動につきましては、実は大体農作物の被害が三十億というところで線を引いておるわけでございまして、その中にひょう害が含まれますならば、当然天災融資法の発動の対象になるわけでございます。現に、そういう例が過去においてもあるわけでございます。したがって、ひょう害は天災融資法の発動からはずすということではございません。  それから果樹保険につきましては、また法案審議の際に詳細御説明いたしますけれども、私ども現在考えておりますことはミカンとかリンゴその他主要な果樹につきまして、成園面積の大体一割程度にわたって試験実施をいたしますが、当然共済の仕事としてひょう害を取り入れて考えておるわけでございます。
  116. 青田源太郎

    青田源太郎君 最近特に一般が関心を持っておる肉豚のいわゆる血清豚の問題、あるいは豚コレラ等で相当被害をこうむっておる。また、豚肉が非常に暴落しておるというような点、特に最近は鶏のニューカッスルに対する鶏のいわゆる共済保険制度というようなものを早くつくってくれというような陳情等があるのでありますが、こういうことについて、当局は、そういう制度化するという方針を持っておるかどうか、この点を承りたいと思います。
  117. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 肉豚あるいは鶏の共済についていろいろ御要望があることは十分承知いたして勉強いたしておるわけでございますが、御承知のように、肉豚なり鶏なりは、いま日本の農業経営がいろいろ変わっておるさなかでございますから、経営規模あるいは飼い方によりまして共済の被害率等も非常に違うという問題がございまして、なかなか簡単に手出しができかねる状態でございます。しかし、そういつまでもむずかしいむずかしいと言っておるわけにもまいりませんので、肉豚につきましては、四十一年度にすでに相当詳細な調査をいたしまして、その調査を現在取りまとめ中で、これは今年度中に、どういうふうにするか、あるいはほんとうにできるかどうかということの見きわめをつけたいというふうに考えております。それから鶏につきましては、四十一年度から三ヵ年、四十一年、四十二年、四十三年と、相当大規模な調査を現在続けておるわけでございまして、その調査の完了を待って、これも右するか左するか、十分腹をきめたいというふうに考えておるわけでございます。
  118. 青田源太郎

    青田源太郎君 ニューカッスル対策はいま四十一年、四十二年、四十三年と待って対策するというようなことでは、養鶏業が非常にいま不安があるわけでございますが、現在のところでは、相当被害を受けても、法定伝染病の救済だけより受けていない。こういうことでは、政府が選択的拡大であるというようなことで非常に奨励した養鶏あるいは養豚事業の不安というものがなかなか一掃できぬと、こういうふうに考えるので、各府県、特にまあ進歩しておる府県のごときは、相当この調査材料もそろっておるということもわれわれのほうへ言うてきておるわけでありますが、そういうような先進府県の統計でも早く調査して、そういう三年先というようなことでなしに、すぐさまこれを対策を講じるというようなふうに持っていくようにしてもらいたい、こういうふうに考えておりますが、どう思いますか。
  119. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 先進県で相当資料がそろっているというお話でございますけれども、鶏の飼養頭羽別、経営規模別の被害率というようなものはなかなかないわけでございまして、これはただ病気になったりあるいは死んだりした場合に見舞金を出すということではございませんで、保険数理に基づいてとにかくやる保険でございますから、どういう階層のどういうところでどういう被害率があるかということを見きわめないと、現地にまかせて制度をつくるというわけになかなかいかないわけでございます。私どもも、そう調査に名をかりて日を延ばすつもりは毛頭ございません。ただ、私どもが仕事を始めるために最小限度必要な資料だけはないと、これはなかなか行政として踏み出しかねるというのが実情でございます。
  120. 青田源太郎

    青田源太郎君 共済基金の早期支払いに対して若干お尋ねしたいのでありますが、共済基金の早期支払いは、すでにできる限り処置をされておるわけでありますが、しかしながら、連合会とかいう点については、中金の借り入れがあり、また、利子補給等があるようなわけでありますが、末端の組合に対してはそういうような恩恵がさらにない。また、いま説明もありましたように、連合会が基金の融資を受けるというようになっておるけれども、今度ひとつ法律改正して、末端の組合も基金の融資を受けるようにする考えがあるかないかということをひとつお尋ねしたい。さらに、災害があると、末端の罹災者は、一日も早く災害資金を要望しておるわけでありますが、災害の評価であるとかあるいは査定というようなことで年内に災害の資金が給付されるというようなことは少ないのでありまして、そういう点で翌年になる。また、末端の町村では、そういった場合、一時借り入れをするというようなことで利子の非常な負担を負っておるというようなことで、共済金が非常におくれるということと、そうして、一方では、借り入れ金の利子の負担というような面が非常に末端が要望しておると、こういう点を今回ひとつ法律改正をしてでもそういう欠点に対処するという考えがあるかないかということをお尋ねしたいと思います。
  121. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) いまのお話は、二点にわたっておると思います。一つは、共済金の早期支払いであります。私ども、これはずいぶん努力をいたしまして、また、連合会、組合等にも相当ハッパをかけまして、四十年、四十一年と、水稲につきまして、北海道、東北、北陸、長野等のいわゆる早場米の地帯につきましては、年内に共済金の支払いを終わっております。それ以外のところでも、必要に応じて、仮払いというような形式で、私どもはその点については相当いい結果になっておるというふうに考えます。実は、共済事業に対して、三十八年に制度を改正いたします前までは、組合の解散とかあるいは入らないという問題がずいぶんありましたけれども、最近におきましては、そういう声もなくなりましたし、また、掛け金の徴収も相当スムーズにいっておりますことの一つは、やはり共済金の支払いがわりあいに早くなったということがあるのではないかというふうに思います。これは、もちろん、御指摘のように、私ども今後におきましてもできるだけ早めるように努力いたしたいと思います。  それから連合会に対して共済基金から融資をいたしておりますが、組合については融資をいたしておりませんのは、組合について実は共済金の削減を認めているわけでございます。削減ということ自体はあまり人聞きのいい話ではございませんで、できるだけ削減がないことが望ましいわけでありますが、先ほども申し上げましたように、共済組合の責任の負担部分というのは非常に重くなりまして、三十八年度の制度改正前に比べれば、おそらく掛け金としても保有が四、五倍ぐらいにふえておりますので、削減をいたしました組合の数というのは、数にいたしますと、たとえば四十年の水稲につきまして約一割ほどの組合が削減をいたしておりますけれども、その額は、全体の水稲の支払い共済金に比べまして、二百二十二億共済金を支払ったうちの削減額が一億円ほとでございますから、二百分の一、約〇・五%程度で、それほど農家にとって困る状態はまだないのではないかというふうに思います。これは、先ほども申し上げましたように、それでも削減がないことが望ましいことに間違いはございませんから、将来の検討問題として組合に対する融資ということを考えたいというふうに思います。
  122. 青田源太郎

    青田源太郎君 最後に、もう一点だけお尋ねします。  農作物の共済金額でありますが、これは稲作については選択共済ということになっているのでありますが、この掛け金率と、実際に被害があった場合にせっかくある共済金が、実際に合わんというきらいもあると思うのであります。たとえば、現在のこの種の掛け金は一キログラムに対して三十円ないし百円というような線があるわけであります。収穫皆無の場合でも、最高の百円で換算いたしましても、実際金額は二万円かそこらより当たらない。日本全国平均いたしましても、十アール当たりの稲作が収穫皆無になった場合には、そういった保険金をたとえ給付を受けても、実際とあまり大きくかけ離れている、こういうふうに思っているものでありますが、こういう点について、農民の掛け金率を上げるのでなしに、国庫の負担率をひとつ多くして、実質に近いような稲作の共済金が支給されるような考えに持っていくようにしていただきたい、こういうふうに考えます。
  123. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 先ほども申し上げましたように、水稲の場合の掛け金の国庫負担は、六割をちょっとこえる状態でございます。農家は四割を多少割る状態で、国庫負担が半分をこえるということは、私は、まあ十分とは申し上げられないと思いますけれども、大体いいところではないかというふうに思います。  それからキロ百円ですが、三十円、四十円、五十円という安いところを選択する農家がある。もし百円を選択いたしますと、収穫皆無の場合は、大体想定の所得の六割をちょっとこえるぐらい共済金の収入があるわけでございまして、四十年で申し上げますと、最高額がキロ八十円ですが、全国で農家の選択した平均が四十八円、六割ぐらいのところしか選択をいたしておらないわけであります。もしも百円——四十年で八十円、四十一年で九十円、四十二年で百円ということですが、それか、あるいはそれに近いところを選択してもらえば、全損の場合はとにかく半分以上の共済金が確実にもらえるということになっているわけでございます。
  124. 青田源太郎

    青田源太郎君 計算はそうであるが、われわれは、補償するのに実質の災害の六〇%かあるいは七〇%ということに問題があるのであって、やはり、補償するというなれば、実質に近いだけの補償をするというのでなければ補償の効果がないというふうに考えております。しかしながら、農家の掛け金率を多くするというのでなしに、そういった面を国庫の負担率を多く上げれば実際の補償額がもらえるというふうになるので、もう少しこれを上げるという考えがあるかないかということをお尋ねしておきたいと思います。
  125. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私は、先ほども申し上げましたように、掛け金のうちの国庫負担が六割をこえておりますことと、それから農業共済事業全体の農林省の予算が四十二年度におきまして三百億をこえて三百二十億くらいになっておりますので、大体いいところではないかというふうに思います。
  126. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十分散会      —————・—————