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1967-06-08 第55回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月八日(木曜日)    午後三時十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 鶴園 哲夫君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        林野庁長官    若林 正武君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        林野庁指導部造        林保護課長    大塚 武行君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 野知浩之

    委員長野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  農林水産政策に関する調査として、農薬によるブドウの被害に関する件調査のため、山梨県果樹試験場長岸光夫君及び武田薬品工業株式会社常務取締役西村伊一君を明九日参考人として出席を求めることにしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 森林病害虫等防除法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し御質疑のある方は、順次御発言願います。
  5. 宮崎正義

    宮崎正義君 病害虫等防除法の一部を改正する法律案の先ごろ委員会提出された「資料(その一)」でございますが、その資料につきまして最初にお伺いをいたしたいと思います。  この資料を見ていきますと、被害面積は発表されてあるようでございますが、その被害総額あるいは被害金額が明らかにされていない。これは当然年度別に発表されてしかるべきだと、こう思うわけでありますが、これについての詳細の発表をお願いいたしたいと思います。  また、マツ材積マツクイムシ被害材積はどのようになっているのか、資料のどの辺にあるのか、これは資料に見当たらないように思うのですが、この点について御説明を願いたいと思います。
  6. 若林正武

    政府委員若林正武君) 森林病害虫等被害につきましては、御承知のように、食葉害がございましたり、あるいは被害木等につきましてもその材質にいろいろと差がございます。こういうようなことによりまして、その推計はきわめて困難でございまするが、昭和四十年におきます一応の推計を概算で申し上げますると、総額約八十億円というふうに推算をいたしておるのでございます。その内訳を申し上げますると、法定内の病害虫によりまする被害が七十億円、法定外におきまして約十億円、合計八十億円、かように推算をいたしております。  それからマツクイムシによりまする被害材積が、マツの全蓄積量あるいは成長量、こういうものに対しましてどのような比重を占めておるかということでございまするが、昭和四十年慶におきまするマツクイムシによりまする被害材積は約四十五万立方メートルでございまして、わが国のマツの全蓄積約二億立方メートルに対しまして〇・二%に当たっておるのであります。また、成長量に対しましては約七%でございます。
  7. 宮崎正義

    宮崎正義君 この資料につきましてもう一度お願いしたいのは、各地域別といいますか県別被害状況の詳細を、きょうでなくてもけっこうですから、提出をしていただきたい、こう資料請求をしておきたいと思います。  枯死寸前までマツクイムシが蔓延して、ほとんど手の施しようがない、これが今日の実情じゃないかと思います。かような防除の手おくれ、あるいは研究機関が少ない、あるいは多大の経費がかさむ、そういうようなことが今日まで無策放任と言えるような状態に追い込んでしまっている。ここで、大臣にお伺いいたしたいことは、こういうふうな実情にある四十二年度の防除額は四億円余でありますが、この被害を積み重ねてきたのは二十年来でございます。この積み重ねられてきた被害状況を四億余の予算額で今後どのような病虫害の対策の万全が期せられるのか、この点について所信を伺っておきたいと思います。
  8. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御指摘の四億という国費があるわけでございますが、これに基づきまして、林野庁として言えることは、もちろんそれだけで十分ではないのでありますが、完ぺきを期するということはなかなかむずかしいのでありますが、予防措置重点をおいてやっていかなければいけないのではないかと、こういうことで考えておるわけであります。森林病害虫の国家的な防除実施いたしますためには、御承知のように、早期発見が何より大事でございます。早期発見と、それからしたがって早期防除が一番重要で、そういうことで防除行政の第一線の者を督励いたしましてこの成果をあげるように全国的に努力をいたすのでありますが、約千三百名の都道府県職員森林害虫防除員に任命されまして、いま申しました早期発見防除指導に当たっておるわけでありますが、そのほか、約三千名の林業普及指導職員も、森林病害虫等防除協力いたしまして、病害虫等に関する知識または防除技術普及指導に当たっておるわけでございます。それからまた、さらに、今後は、市町村または森林組合等技術職員、それからして森林所有者等にも積極的に協力を願いまして、早期発見また早期駆除に万全を期してまいりたい、こう考えておるわけであります。
  9. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま、大臣の御答弁で、十分でないということをお認めになっているようでありますが、そして、予防処置重点を置いていくということ、早期発見早期処置というふうなお話がありましたけれども、それに対するには、林業技術普及員が三千名、それから都道府県森林害虫防除員でございますか、それが千三百名というお話がありましたけれども、それでは、その林業技術普及員三千名がこれを専任しているのかどうか、また、森林害虫防除員千三百名というものがこれを専任しているのかどうか、この内訳を詳細に御説明願いたいと思います。
  10. 若林正武

    政府委員若林正武君) 専任をしておるのかどうかという問題でございまするが、森林害虫防除員約千三百名の中で専任病害虫防除事業に従事いたしておりますのは、五十名でございます。それから林業普及指導職員、これは約三千名現在配置をいたしておりますが、これは林業普及一般仕事の中で病害虫防除等仕事もあわせて行なっておるのでございます。
  11. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま言はれた員数で全くこの防除作業ができるかどうか、まことに疑問だと思うのですが、専任指導員専門指導員が、全国でわずか五十名というお話がありましたけれど、これで万全が期せられるかどうか、このことについて大臣から御答弁を願いたいと思います。
  12. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申し上げましたように、理想的に申せば完全とはなかなか言いがたいかもしれませんが、そのほかに、森林組合に約四千名ほど技術員がおりまして、これがやはり同じようなことについて努力をいたしておるわけであります。いまのところ、そういうことで先ほど申しましたように早期発見及び駆除努力をいたしておるわけでありますが、なお、このことは、大事な国及び民間の森林保護育成でありますので、さらにこういうことに力を入れてやってまいりたいとこう思っております。
  13. 宮崎正義

    宮崎正義君 私から言わせれば、技術普及員が三千名であり、そしてまた、防除員が千三百名、この病害虫防除の問題にこの人たち全部の合計の人が当たっても、これだけでも足りないように思うわけなんでありますが、さらに森林組合の四千名の人がいると言いますが、実際問題としてそれだけの人が事実上動いていけるかどうかというところに大きな疑義があるわけですが、こういう点についての考え方をもう少し詳しく話していただきたいと思います。
  14. 若林正武

    政府委員若林正武君) ただいま大臣から申し上げましたとおりでございまするが、それ以外に、個々森林所有者に対しまして森林病害虫等に関しまする技術普及というものを現在もいろいろそういう面での強化をいたして、森林所有者教育指導ということに当たっておるのでございまするが、今後そういう点もさらに強化をいたしまして、森林病害虫等発生につきましての早期発見あるいは早期駆除というふうな体制をとれるように努力をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 宮崎正義

    宮崎正義君 この際、念を押しておきたいと思うのですが、今後、いま私が申し上げましたように、三千名の千三百名の四千名の人たちがかりにこの作業に当たったとしても困難だと、こう思うわけですが、そういうことから考えまして、増員をしていく考え方があるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。——大臣にお願いいたします。
  16. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほど申しましたように、大事な仕事でありますめで、いま申し上げました千三百と三千と四千の人たちにも、その技術等について、内容を十分に質的に目的を達成されるように勉強させ、研究させてまいりたいと思っております。そこで、さらにまた、その様子によりましては、そのあとのことについて善処してまいるように検討いたしていきたいと思っております。
  17. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 一つだけ関連して伺いますが、森林害虫防除員千三百名のうち、専任がたったの五十人、それに対する質問に対して、あるいは林業普及指導員なり森林組合技術員なりその他等々の動員というような意味の話もありましたけれども、私、現地でいろいろなこういう問題に取っ組んでおるなまの声を聞きますと、そういう答弁でまあいろいろ言いわけをされるようなことをやる前に、本来あるべき指導体制が、一体、いまの千二百五十名の臨時的な体制で十分であると思っておられるのかどうか。千三百名のうち、わずか五十名が専任職員で、あとは一体どういう待遇でどれだけの機能を期待しておるのか。本来的な防除体制というものの中核体でしょう、これは。まず中核体を十分結集することがあって、それにさらに応援する体制が外延的なものとして付加されるのが本来の姿じゃないですか。それをもっと専任職員に拡充するとか、そういう姿勢がこの大きな問題に取っ組む基本的な政府姿勢ではないかと思うのですが、大臣、そういう点は一体どうなんですか。本末転倒じゃないですか。——いや、大臣に伺う。基本的な考え方じゃないですか。
  18. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 病害虫の出方によっては、こういう人たちの手が足りないという感じを受けることもあるかもしれませんし、そういうことにつきましては、まず早期発見早期駆除ができるように、ふだん、先ほどお答えいたしましたようにつとめなければなりませんが、御存じのように、被害がばらばらに出てまいるものでありますからして、不幸にして多いようなときには非常に手薄のように感じられることもありますが、私どもこれで万全であるとは決して考えませんので、そういう点についてはひとつなおよく検討いたしまして、われわれの早期発見早期駆除目的が達成できるようにするために掘り下げて検討いたして善処してまいりたいと、こう思っております。
  19. 宮崎正義

    宮崎正義君 どうもはっきりしませんので、具体的な問題を取り上げて申し上げてみたいと思います。  神奈川県は、かなり行き届いているというふうに言われておりますが、その神奈川県で約一千ヘクタールに及ぶものがほとんど全滅のような状態に今日追い込まれてきているということを聞いておるわけです。なるほど、そこには、専門技術指導員が一名配置されている。それでは、防除員がどれだけいるかということになりますと、いま渡辺委員が指摘されたように、作業の実際できない職員がその作業に当たっているというような実情も見受けられるわけであります。それで、私が申し上げることもなく、景勝の三浦半島等におけるマツが壊滅の状態になっているというようなことは、きょう始まったわけじゃないんです。しかも、このごろ出ております新薬というもの、あとでこの問題については触れますけれども新薬散布してその駆除に当たっているということでありますが、実際問題からいって防除されていないというのが実情であります。  たがいまして、一つの県の実例を取り上げましても、専門中心になっていく、リーダーになっていく人の増員をどうするかということが、この防除法に関する一つの問題じゃなかろうかと、こう思うわけであります。  それで私はさっき質問したわけでなんすが、先ほどの御答弁では、これらを勉強さしていったり、また、質的な技術的な向上養成をやってみて、その上で善処するという御回答でありますが、その上で善処するのでなくて、いまほしいのは専門技術員中心になって作業員を動かしていって防除をしていくということが肝要なことだと私は思うのでありますが、この点、大臣から御答弁願いたい。
  20. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府委員からお答えいたします。
  21. 若林正武

    政府委員若林正武君) 森林害虫防除員、あるいは林業普及指導職員、さらに市町村及び森林組合等技術職員、さらに森林所有者等も含めまして、防除についての組織強化ということをはかってまいりまして、早期発見によりまする早期駆除というふうな実をあげるように努力をいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  22. 宮崎正義

    宮崎正義君 組織力強化と言いますが、では、どのような系統をたどって実際問題はおやりになっているか、お伺いしたい。
  23. 若林正武

    政府委員若林正武君) 森林病害虫等発生いたしました場合に、この被害の一般的な通報義務につきましては、森林病害虫等防除法の第十二条に、「森林病害虫等発生してまん延するおそれがあると認めた者は、遅滞なくその旨を都道府県知事又は市町村長通報しなければならない。」という規定がございまするが、発見をいたしました者が市町村長あるいは知事通報する。同時に、これは昭和二十七年度から私どものほうでやっておるのでございまするが、現地におきまする病害虫等発生状況というものを迅速に掌握をいたしますために、森林病害虫獣速報カード、これははがきになっておりまして、こういうものですぐ連絡をしてもらうというふうなシステムで現在やっております。年間平均いたしまして五千件くらいの通報がございます。これに基づきまして、林野庁あるいは都道府県あるいはその出先機関等を通しまして、さらに市町村あるいは森林組合森林所有者というふうなものを通しまして、駆除に当たっておるような次第でございます。
  24. 宮崎正義

    宮崎正義君 実際問題は、なかなか届出されるのがおそいわけです。また、所有地域によってはなされていない。そういうようなところから被害が蔓延してきているということになっているわけです。したがいまして、いまお話にありましたように、第十二条で、被害発見した者はすぐに届け出るようにするという法律はできておりますが、実際の面にあたってそれが行なわれておったならば、今日までの被害というものがもっともっと少なく済んでいたはずなんであります。それがなされていたかどうかということが、今日の被害総額八十億にも及ぶような実情をかもしているわけであります。ですから、早期発見をするのは、じゃだれがやるのか。個人の場合には個人でしょう。そしてまた、国有の場合には出先機関がやると言われますが、これだけの員数発見ができなかったというのが今日の禍根を生じたと私は思うのです。したがって、早期発見をやることについては、いまお話がありました速報カードというものを五千枚程度が報告されておると言いますが、広報機関等宣伝機関等も使って大いに早期発見防除対策教育をしなければならない、こう思うわけであります。所有者教育なんかということも、あまり実際問題はなされていない。しかもまた、発見したときには相当荒らされたあと発見をされるわけでありますから、マツクイムシが他のところに移っていってからの発見状態が今日まで繰り返されてきているということが実情じゃないかと思うのであります。  したがいまして、いま申し上げましたどうしてわからしていくかということについての考え方を伺っておきたいと思います。
  25. 若林正武

    政府委員若林正武君) 御承知のように、林業技術普及につきましては、普及制度がございます。こういうものを、林業改良指導員中核にいたしまして、先生からお話のございましたように、個々森林所有者に至るまで教育をやっていくというふうに考えております。  それから法定病害虫等につきまして、発生消長調査というものを従来やってまいったのでございますが、その調査の結果に基づきまして、数ヵ月ぐらい前に防除の要否が判定ができるところまでまいっておるものもございますので、こういった技術の面につきましても十分に指導いたしまして、防除に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  26. 宮崎正義

    宮崎正義君 この改正案説明の中に、「森林組合もしくは森林組合連合会にその措置実施に関し必要な業務協力することを要請することができることといたしております。」とありますが、その「業務」というものの内容についてもう少し詳しく説明を願いたいと思います。
  27. 若林正武

    政府委員若林正武君) 協力要請の具体的な内容でございまするが、この法の第三条第一項関係では、駆除命令書の交付、報告及び防除督励など、受命者に対しまする防除措置の推進に関しまして必要な事項、第四条関係では、防除班編成関係受命者との協議、打ち合わせ、防除資材の整備など、防除措置実施に関しまする事務に関して協力を要請いたすことにしております。
  28. 宮崎正義

    宮崎正義君 私が先ほどちょっと触れましたのですが、このことについて渡辺委員もおっしゃっておられたのですが、森林組合組合員の四千名からいると言われる人が、実際問題の防除作業に当たっていけるかどうかということなんです。そうしますと、事務的のことだけに終わるようなきらいが出てくるのじゃなかろうか、こういうことを心配するわけであります。むしろ、実際の作業につかせるん、だとはっきりしたほうがいいのじゃないか、こう思うわけですが。
  29. 若林正武

    政府委員若林正武君) 森林組合防除等協力を要請いたします場合、現在、森林組合で、作業班というものを全国的に編成をいたしておるのであります。現在約四千の班が編成されておりまして、人員にいたしまして約四万四千名、こういうふうな作業班森林組合編成をされておりますので、こういう作業班の活用によりまして防除をはかってまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  30. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、実際問題として事実行なわれているかどうかということをもう一度政府の立場において確認をされていかれることを要望して、善後処置をこの点についてはとっていただきたい。ただ事務的なものに流れるのじゃなくて、実際の実務に当たる者の指導確認養成等をしていただくことを要望を申し上げて、次に進みたいと思います。  マツクイムシ発生以来、昭和二十五年ごろから、殺虫剤研究が進められてまいりまして、それの資料をいただきまして、たいへんこまかく提出していただきまして感謝するものであります。このいただいた資料薬剤について、どのような薬剤が一番効果があるのか、そしてまた、人畜に対する安全性というものはどういうふうに実証されているのか、それを薬品によって説明を願いたいと思います。
  31. 大塚武行

    説明員大塚武行君) 資料で御説明申し上げます。一一ページにございます。  現在使われております薬剤のうちで、BHC剤は、これは接触毒性でございますので、樹皮上におるもの、あるいは空中を飛しょうしておるものについて、効果が非常にございます。  EDB剤と申しますのは、浸透性薬剤でございまして、BHCとの混合剤としまして樹皮上から散布しますと、樹皮の表面から材の内部まで浸透しまして、幼虫あるいは卵を殺すという効果相当にございます。  それから有機錫及びPCP剤は、これは防腐あるいは殺菌というふうな効果がございます。マツクイムシが侵入します際に、並行しましてマツ青変菌等の病菌が入ります。そうして、材質をいため、あるいは成木を枯らしていためるということがあります。そのための防除として効果がございます。  それからPAP、ディルドリン、ヘプタクロール、そういった薬剤は、これは接触毒性でございまして、先ほど申し上げましたBHC剤と同様な接触剤として効果が出ております。
  32. 宮崎正義

    宮崎正義君 浸透油薬EDBというのとBHC混合薬剤といいますか、特にEDBは、非常に高価で使用しがたいという声があるのですが、この点についてはどうなんでしょうか。
  33. 大塚武行

    説明員大塚武行君) これは混合比率がそう大量を使用いたしませんので、それから実際上空中散布等ではございませんので、このたびの法律にございます三条一項一号命令のいわゆる被害を受けた木を伐倒しました材そのもの、あるいは伐採跡地の伐根、それから伐採跡地におきますところの枝条等を集めまして、そういうものに直接使用するというようなことをしております。そういう意味で、大量の使用をしませんで、集中的な使用をはかっておりますので、経費的には特に負担が大きいというふうには聞いておりません。
  34. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま効果の話が出ませんでしたけれども効果散布してどの程度きき目があるのですか。
  35. 大塚武行

    説明員大塚武行君) 大体、二週間から二十日で材の内部まで浸透いたしまして、内部害虫が殺されます。
  36. 宮崎正義

    宮崎正義君 実際これは私は現地で調べてきたのですが、いまお話がありましたようなわけにはいっていないわけです。どんどん切られた切り株の中にも相当幼虫発見して、しかも強い勢いで成長している実態を見てきたわけです。この油薬が非常に効果があるといわれていまは使用されておるのですが、実際現地に行かれてこれを調査したことがございますか。
  37. 大塚武行

    説明員大塚武行君) この薬剤使用にあたりましては、私どものほうの林業試験場等におきまして十分に薬剤効果についての試験をした後において使用しております。その試験データ等を見てみますと、効果相当にあるというふうに考えております。
  38. 宮崎正義

    宮崎正義君 現地に行きましてその虫までとっつかまえて見てきたのですが、散布のしかたが問題になってくると思います。東海道の例の松並木なんかは、はしご車を使ってやっているようですが、これも神奈川県だけがそういうふうな進歩的な行き方をしているということを聞いておるんですが、はしご車でもとうてい届かない点なんかは、むやみに散布して薬剤がむだに使われているような技術的な面もあるようであります。実際の技術面にあたっての指導育成というふうなことについて、どういうふうな指導をされているのか、直接に指導をされているのか、どんなふうな方法でやられておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  39. 大塚武行

    説明員大塚武行君) 森林害虫等防除につきましては、マツクイムシに限りませず、すべてのものについてでございますが、その防除方法、特に最近開発されつつあります薬剤等使用につきましては、先ほど御説明いたしました約千三百名ばかり配置されております森林害虫防除員、そういう職員等の指導を受けるように十分いたしております。それからなお、森林害虫防除員につきましては、中央において、あるいは各出先の都道府県において、防除技術内容につきましては教育をいたしております。
  40. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは神奈川県の状態を参考に申し上げるわけでありますが、初めは海岸線のほうからだんだん襲われてきているようであります。そうして、湘南海岸は三キロ以上にわたる潮害によって痛めつけられているということなんですが、海岸から奥地へ奥地へと進んでいっているというマツクイムシの現況を調査したものを参考にもらってきたわけです。これは全国的な傾向であるのかどうかということをお伺いしておきたいと思います。
  41. 若林正武

    政府委員若林正武君) 全国的な傾向であるかどうかということにつきましては、必ずしも全国的にそうであるというふうには考えておらないのでございます。ただいまお話のございましたように、マツクイムシ被害につきましては、一般的にマツの樹勢が弱まりました場合に被害を受けやすいのでございます。潮害などによりまして樹勢が衰えた、こういうふうな場合にマツクイムシが侵入加害するという場合が多いように考えております。
  42. 宮崎正義

    宮崎正義君 潮害のことにちょっと私もいま触れておきたいんですが、潮害によって三キロ余にわたる湘南海岸の沿線にありますマツが全滅になっておりますね。あのことについての調査研究をされて、対策を講ぜられたのかどうか。
  43. 若林正武

    政府委員若林正武君) 潮害の研究は林業試験場その他でいたしておるのでございますが、ただいま先生から御指摘のございました湘南海岸のマツの潮害につきましては、調査研究をしたということは聞いておりません。
  44. 宮崎正義

    宮崎正義君 せっかく景勝の地としてやろうとしたことが失敗に終わっている。しかも、俗称では、潮害というふうに聞いているわけです。それから考えていきまして、三浦半島等マツクイムシにやられた状況を見ましても、海岸線から全部やられてきているわけです。いま一番頭を痛めているのは、丹沢のほうにだんだん侵蝕してきているということを非常に恐れている。これに対して万全の対策を整えたいと思うのだけれども、その経費の面だとかあるいは労力の問題等について非常に現地では困っているというふうにも聞いているわけであります。いずれにしましても、潮害で痛めつけられたものに対する——老齢化ばかりじゃなくて、そういう点からも侵蝕していく率が多いのじゃなかろうかと、こう思うわけなんですが、いまお伺いしてみますと、潮害に対する研究はまだされていないというお話ですが、私の聞いた範囲では、目下研究中の人たちもあるということですが、この点はどうなんでしょうか。
  45. 若林正武

    政府委員若林正武君) 潮害自体につきましては、これはいろいろ研究をやっているわけでございまするが、潮害とマツクイムシとの関係についての研究はまだ行なわれておらないのでございます。
  46. 宮崎正義

    宮崎正義君 林業試験場等も、神奈川県の場合にはなくて、東京の目黒のほうに来るというお話を伺っているんですが、それはほんとうかどうか。そういうふうな発生した時点での研究機関ということも非常に少いし、農事試験場につきましても全国非常に少ないのじゃないか。これの増設、あるいは研究所の整備等が、このマツクイムシばかりじゃなくて、全般にわたる農政上の上からも必要じゃなかろうか、こう思うわけですが、現地で困っているのは、どれがどのような被害で、どのものが被害を与えているのかというそのことの発見が早ければ、また早いだけに手が打てるということをいわれているわけです。この点についての試験場の増設とかあるいは研究所の整備というものに対してどのように考えていられるか、お伺いしたいと思います。
  47. 若林正武

    政府委員若林正武君) 御指摘のように、試験研究機関の整備強化ということにつきましては、私どもも前々からそういう方向で努力はいたしてまいっておるのでございます。最近、大体の都道府県におきまして試験場あるいは指導所等を設置いたしておりまして、国のほうでも総合助成というふうな予算措置もやりまして、試験研究機関の整備をはかっているのでございます。国立の林業試験場等につきましても、逐年整備拡充をはかってまいっておりまして、技術の開発に鋭意努力をいたしておるところであります。今後におきましてもさらにそういう方向で一段と努力をしてまいりたいというふうに考えます。
  48. 宮崎正義

    宮崎正義君 こまかい質問なんですが、マツケムシ用のイザリヤ菌ですか、スミシアウイルスというのですか、これは蚕に非常に害あるというふうに聞いているんですが、ほんとうなんでしょうか。この資料にもありますが。
  49. 若林正武

    政府委員若林正武君) マツケムシの天敵で現在防除に使っておりますものは、イザリヤ菌が主体をなしておりまして、スミシアウイルスにつきましては現在検討中でございます。と申しますのは、先生からただいま御指摘がありましたように、養蚕への影響があるのじゃなかろうかというふうな問題がございまして、そういう面で検討をいたしているのでございます。
  50. 宮崎正義

    宮崎正義君 薬剤ばかりじゃなくて、天敵の件についてはあまり触れられていないようでありますが、病害虫別の天敵の実情といいますか、実態といいますか、そういうことがわかれば聞かしていただきたいと思います。
  51. 若林正武

    政府委員若林正武君) 森林病害虫等に対します天敵について申し上げますると、まずマツクイムシの天敵でございまするが、種類といたしましては、アリモドキ、オオコクヌスト以下六種類ほどございます。ただ、まだマツクイムシ防除にまで使えるという段階には至っておりません。  それから二番目のマツケムシの天敵でございますが、これは、先ほど申し上げましたイザリア菌のほかに、約四種類ございます。現在、その中で防除のために有力な天敵であるというふうに考えられておりますのが、先生からもお話のございましたイザリヤ菌とスミシアウイルスでございます。  それからスギタマバエ、マツバノタマバヱの天敵でございますが三種類ほどございます。  それからマイマイガにつきましても、三種類天敵がございます。これは、いずれも、駆除にあたって天敵を導入するというところまでまだ至っておりません。  クリタマバチの天敵でございますクリタマオナカコバチ、クリマモリオナガコバチ——大体コバチの類でございますが、これも数種類ございます。その中で実際防除に使っておりますのは、クリマモリオナガコバチとクリノタカラモンオナガコバチでございまして、この天敵導入等によりまして、クリタマバチの被害というものは根絶をしたというようなところまで至っておるのでございます。  スギハダニの天敵は、これはクモ類でございますが、まだ防除に使うというところまで技術的にいっておりません。  それからノネズミの天敵でございますが、これはキツネ、イタチ、タヌキ、テン等がございますが、この中で有力な天敵というふうに考えられますのは、キツネとイタチとタヌキとテンでございます。現在、ノネズミの発生地にイタチ、キツネというものを放獣いたしまして、現実に防除をやっておるのでございます。それ以外に、野生鳥獣の保護によりまして、森林病害虫の捕食をする鳥獣を天敵として活用しておるというようなことがございます。
  52. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、薬剤によって天敵の働きを相当になくしていくのじゃないか、こう憂えておるわけでありますが、空中散布なんかにあたってはどういうふうに計画を立て、どういうふうにやっておられるか、お伺いしたいと思います。
  53. 若林正武

    政府委員若林正武君) 先生から御指摘のように、薬剤散布によりまして天敵が減少すると一般的にいわれておりますし、私どももそういう面では心配いたしておるのでございます。現実に薬剤の空中散布等に基づきましてやります場合に、天敵に害を与えないように配慮をいたさなければならないわけでございますが、特に天敵として重要な野生鳥獣への影響等も十分考慮いたしまして、繁殖期を避けるというふうな配慮をいたしまして薬剤散布というふうなことをやっておるのでごございます。
  54. 宮崎正義

    宮崎正義君 もう一つ伺いしたいのは、法定森林病害虫にないアメリカシロヒトリだとかあるいはノウサギの件について、どういうふうに考えておられるのか。
  55. 若林正武

    政府委員若林正武君) アメリカシロヒトリにつきましては、現在、森林にはまだ被害が出ていないのでございます。しかしながら、今後森林にも入ってくるというふうなことが予想されるといたしますれば森林では大体ナラ等を主体にしました広葉樹が多く加害されるのじゃないかと考えております。この防除につきましては、御承知のように、アメリカシロヒトリは、現在のところは、都市の並木であるとか、あるいは庭木であるとか、あるいは公園樹木、こういったものが非常に害を受ておるわけでございますが、関係各省庁との間に連絡協議会というものを設けておりまして、こういうところで十分連絡をとりまして、それぞれの行政分野に即しまして自主防除を行なっておるのであります。  それから二番目のノウサギについてでございますが、これは政令指定を受けていないわけでございますが、ノウサギは、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律によりまして、狩猟鳥獣に指定されております。御承知のように、狩猟期間がございまして、狩猟期間以外は原則といたしましてノウサギを捕獲することができないことになっておるのでございます。この趣旨は、野生鳥獣というものはできるだけ保護をするという自然愛護の思想、さらにまた、ノウサギの捕獲は銃猟によることが多いのでございますが、狩猟秩序の維持という観点からとられておる措置でございます。一方、ノウサギによります被害防除ということを考えますと、狩猟期間以外でございましても、被害がはなはだしいときには、有害獣駆除といたしまして都道府県知事の許可を受けまして捕獲することができるのでございます。また、被害防除いたしますために、ノウサギの忌避剤——現在使っておりますのはクレオソート、シクロヘキシミド等でございますが、このような忌避剤等を使いまして被害防除をはかっておるのでございます。  以上申し上げました点を勘案いたしまして、アメリカシロヒトリにつきましても、さらにまた、ノウサギにつきましても、政令で指定をするというふうなことは現段階においては考えておらないのでございます。
  56. 宮崎正義

    宮崎正義君 この資料によりましても、二万一千二十八ヘクタールですか、ノウサギの被害、これはネズミに次ぐものだと思いますが、いずれにいたしましても、いまお話がありましたけれども狩猟鳥獣法の問題等もありますでしょうけれど、これらは、各関係——文部省かもわかりませんが、そういう関係省と打ち合わせをやられて、そうして対策を次に進めていくようにしなければならないのじゃないか、こう思うわけであります。そういう考え方について、もう一度御説明願いたいと思います。
  57. 若林正武

    政府委員若林正武君) あるいはこれは同じお答えになるかと存ずるのでございますが、鳥獣狩猟ニ関スル法律等の関係もございますので、政令指定というところまでは考えておりませんが、先ほども申し上げましたように、この被害防除ということにつきましては、知事の許可、あるいはその被害防除いたしますための忌避剤を使うというようなことによりまして防除努力いたしたいというふうに考えております。三十二年に七万八千ヘクタールぐらいの被害があったのでございますが、その後だんだん減ってまいりまして、ただいま先生から御指摘のように、四十年度に二万一千ヘクタールというふうに減ってまいっておりますが、今後さらに被害の減少防除等につきましては努力をしてまいるつもりでございます。
  58. 宮崎正義

    宮崎正義君 被害金額が出ているのですか、この資料に。
  59. 若林正武

    政府委員若林正武君) 被害金額は、資料の中に収載いたしておりません。
  60. 宮崎正義

    宮崎正義君 どれくらいなんですか、おわかりでしたら……。
  61. 若林正武

    政府委員若林正武君) ただいま、手元に持ち合わせがございません。
  62. 宮崎正義

    宮崎正義君 それも、先ほど申し上げました各地域別県別被害状態とあわせて提出をしていただきたい、こう思うわけであります。  いずれにいたしましても、時間等もあまりありませんので、もっとお伺いをしたいのでありますが、最後に農林大臣に要望なり意見なりを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。  マツクイムシがつくと必ずそのマツはおかされてだめになってしまうということが従来まで言われてきておりますが、この対策については、大臣も先ほど来おっしゃられているように、早期発見、そうしてまた、具体的な防除措置が大事であり、予防措置重点に置くと御答弁がありましたけれども早期発見については、人間がやっていくわけでありますので、やはり、労力、そういうものに対する給与ということが満足に与えられていないという実情も聞いておるわけであります。一日千八百円出して夕飯を食わして一ばい飲まさなきゃ行かないよというような話もあるわけであります。  こういったような労働条件のもとに森林病害虫等防除法の改正法律案を今回も提出されておりますが、こういう人的な労力に対する賃金、及び、先ほど申し上げましたように、研究施設の整備、試験所等の増設等が拡充されていくことが急務じゃなかろうか、こう思うわけでありますが、今後に対するそういう考え方を総括して伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  63. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 先ほども申し上げましたように、国の富をそこなわないためにも大事な仕事でございますので、なお早期発見早期駆除につとめるとともに、先ほど来政府委員のほうからいろいろ申し上げましたが、私どもの所期の目的を達成いたしますためにさらに検討を続け、こういう被害をどうやって防ぐかということについて力を入れていかなければならぬと、さように考えております。なお努力を続けたいと思います。
  64. 若林正武

    政府委員若林正武君) 先生からお話のございました資料につきまして若干調製につきまして問題があるようでございますので、できましたならば別途先生とお打ち合わせをさせていただければ幸いと思います。よろしくお願いいたします。
  65. 野知浩之

    委員長野知浩之君) 本案につきましては本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十六分散会