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参考人(
榊原正三君) ただいま先生の御質問に対しましてお答え申し上げる前に、御指摘のような事態を招きました会社の責任者といたしまして、まことに申しわけないというふうに衷心思っておる次第でございます。つきましては、会社の事情について
説明をしろという機会を与えていただきましたことにつきまして、これまた私ども非常に幸いと思っておる次第でございます。
お話のように、三月十一日に、フジ製糖といたしましては、創業以来あらゆる努力を継続してまいったわけでございますが、こういう事態が起こらないように、実は二年ほど前から何とかこの事業が継続できるように
政府筋におかれましてもまた各県等におかれましても御援助をしていただきたいということをいろいろお願いしてまいったのでございますが、いろいろ御親切な御指導等はございましたのですが、いかんせん、結論的に申し上げますると、私企業の限界にまいりました。と申しまするのは、私ども、
昭和三十年ころから、あの地域において何とか畑作改善、寒冷地農業というような問題で、当時の状況といたしましては国産糖の一助としてでき得べくんばというようなことでいろいろ試作をしてまいりましたところ、三十四年ころには寒冷ビートが理論的にはできるというような結論が、学者の先生方、また私どもの研究機関においても、大体確証を得られてまいったわけであります。しかし、私どもといたしましては、これを経営に取り入れるためには、試験的にできても、一たん畑に入って
農家の方に御迷惑かけるというようなことに相なってはならぬというふうに考えまして、さらに慎重を重ねまして、ある
程度の単位の大きいものでもやってまいったわけであります。そうして、工場を建てますには、それも
北海道の同業の方々の御協力を得まして、ある
程度数字をふやした量でも
農家の方に安らしてつくっていただけるというような試験もしてまいりまして、当時
政府におかれましても非常な御激励をちょうだいいたしました。われわれも、何とかここでもってがんばってやっていきたいということで、三十六年に工場を
青森に建てました。しかし、
青森に建てましてからいろいろ御支援をちょうだいしたのでございまするが、いかんせん、なかなか経済単位まで
伸び悩んでおったことは事実でございます。品種の改良だとか、あるいはいろいろ技術的な実際の試験もしてまいったのでございまするが、なかなか
伸び悩んでおることは事実でございます。
〔
委員長退席、理事
任田新治君着席〕
一方、砂糖業界の状況も、諸先生方ご存じのとおりでございます。そういう事態になりましたので、私どもといたしましては、二年ほど前から、私どもの力だけでは、せっかく国においてもまた各県におかれましても非常な御鞭撻、御指導をいただき、また、
政府資金を多額に借用いたしましてつくりました工場の運営にそごを来たすようなことに相なったのではまことに申しわけないというふうに考えまして、また、かたがた、各県におかれましても、そういうことが必要であろうということで、私どもも長年企業として努力し、また考えていたことでございましたが、でき得べくんばより有力な力を借りて所期の目的が達成せられるような体質の企業ということにしたほうが、従業員のためにも、また
農家の方にも、またビートの将来性を考えた場合においても、より有効な手段であるというふうに考えまして、それぞれの方々にそういうようなことも申し上げまして、御協力、御指導、御鞭撻をいただくようにしてまいったのでございまするが、また、その間私どもがやっている間におきましても、何と申しましても、ビートとしての後進性からいたしまして、ビートの品質が悪い。ビートの品質が悪いために歩どまりが悪い。したがって、コスト高になる。しかも、ビートにつきましてはやはり育成していかなければなりませんので、
農家の方にビートが悪いからといって安い値段で買うというわけにもまいりませんので、同じような値段で取引をし、さらに同じような値段で
政府にお買い上げいただくというような形になりますと、どういたしましても会社の負担にたえないというような形になります。かたがた、そういうことは私ども社運を賭してかかってきた仕事ではございますが、会社企業といたしましても、おのずからもうこれ以上は金融上の問題におきましても、実際採算点に達し得れば金融の道も開けてまいるわけでございますが、現在の形でありますると、今後におきましてもなお採算点に達し得ないというような事象が出てまいりますので、今後このままではなかなか金融措置もむずかしいのではないかというようなこともかねがね言われております。そういうことで、何とか早くいわゆる買上
価格を特別的に考えいただくか、あるいは、大根の質が悪いというようなことで、しかも畑作
農家経営上の施策として多少はそういう地域的な特別措置をお考えいただけるかというようなことをお願いにあがっていたわけでございまするが、そういうことも、いろいろな御事情もあろうかと存ずるのでございますが、なかなか目安が立たないということで今日に至り、なお、実際問題といたしまして、三月は新ビート年度に入りまして、種まきをするというような寸前の時期で、まことに遺憾な時期ではございまするが、私どもこれから種をまいて
農家の人にやっていただくというようなことになりましても、以上申し上げましたような会社の経営実力からいたしまして、これ以上御迷惑をかけるということは、まことに申しわけない上にも申しわけない結果になるおそれが多分にある。また、そういうことをしておりましても、実際わがほうといたしましては資金的な面とかいろいろな問題からしてやむにやまれずこういうような事態を引き起こしたということで、その旨を先般三月十日の日におそれながら
大臣にも申し上げまして、私どもとしては会社の血の一滴までがんばってまいりましたけれども、もうこれ以上はがんばりたくてもがんばり得ない状況をどうぞ御賢察願って、せっかく国家資金を多額に使ってそれがまだ全部返済していないというような状況でもございますし、この期の途中に
農家の方もすでにペーパーポット等についてはその準備もしておられる、それから畑作等においてはすでに四月に本まきをするという準備もあるさなか、また、いままで何とかがんばっても反別がふえなかったというようなことについても大いに奮起して、より一そうやろうというさなかではございますけれども、これ以上は会社としてはどうしても私どもの力だけでやれば一そう御迷惑をかけるという危険性が多分にあるというふうに判断いたしまして、何とかお助け願いたい旨のことを
大臣にお願いにあがったようなわけでございます。
大臣におかれましては、事重大であるから、関係県と十分協議するから、しばらくは会社も協力したらどうかというような意味の話もございましたので、私どもとしてももうがんばれるだけはがんばらなければいかぬというふうに考えまして、お金の点等についてはもうがんばりようもございませんけれども、せっかく従業員もおりますことでございますし、また、施設もあることでもございますので、何らかの方法によってこういう事態が少しでも好転し得るようなことで会社もいままでの御縁がつながり、御協力もできるような形にしていただければ、これ以上幸いなことはないわけでございます。そういう点もお願いいたしまして、今日に至っているわけでございます。
したがいまして、私どもといたしましては、いま先生から契約上の問題の破棄というようなことをおっしゃられたのですが、もちろん、最悪の事態になって、どうしても完全閉鎖というやむなきに至った場合には、そういう私の申し上げましたように、大根を買い上げる実力もございませんので、この旨はさっそく
大臣に
お話しすると同時に、各経済連の責任者の方、知事にも
お話しして
経過を十分御
説明しますが、現状においては、いませっかく
農家の方が種まきの準備をしておられるのですから、しばらくはわれわれの従来の仕事は続けさせていただきます。何ぶん早くしていただかないと私どもとしてもやりようもございませんという旨を
お話をして、現地におられる知事さん方、また、経済連の責任者の方も、会社の実情等には御理解をちょうだいしていただいております。したがいまして、私どもは、こういうときにこそ
農家の方の御準備に身をもって少しでもまたお役に立てばということで、各職員につきましては一そう勉強してということを指示して、日常業務は日常業務として現地もさせておるわけでございます。しかし、こういう事態は、働く者にとりましても、
農家の方におかれましても、非常に御心配でありますので、私どもだけの力をもっていたしましてはこの不安を解消するすべもないというふうに存じておりますので、こいねがわくば一日も早く何とか窮状をお察し願いまして、せっかくの施設、せっかくの従業員、せっかくの
農家の方の御希望を入れていただけるような御措置がとられることを心からこいねがう次第であります。