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1967-07-21 第55回国会 参議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十一日(金曜日)    午後一時五十一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  七月二十一日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     鬼木 勝利君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 内田 芳郎君                 源田  実君                 柴田  栄君                 玉置 和郎君                 中村喜四郎君                 船田  譲君                 宮崎 正雄君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 瀬谷 英行君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        運 輸 大 臣  大橋 武夫君        国 務 大 臣  塚原 俊郎君        国 務 大 臣  松平 勇雄君    政府委員        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        行政管理政務次        官        北畠 教真君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        大蔵政務次官   米田 正文君        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君        大蔵省主税局長  塩崎  潤君        大蔵省関税局長  谷川  宏君        大蔵省証券局長  加治木俊道君        大蔵国有財産        局長       松永  勇君        大蔵省銀行局長  澄田  智君        国税庁長官    泉 美之松君        農林政務次官   久保 勘一君        農林大臣官房長  檜垣徳太郎君        農林大臣官房予        算課長     大河原太一郎君        農林大臣官房経        理課長      稲垣 元宣君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省農政局長  森本  修君        農林省農地局長  和田 正明君        農林省畜産局長  岡田 覚夫君        農林省蚕糸局長  石田  朗君        農林省園芸局長  八塚 陽介君        農林水産技術会        議事務局長    近藤 武夫君        食糧庁長官    大口 駿一君        林野庁長官    若林 正武君        水産庁長官    久宗  高君        水産庁次長    山中 義一君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        行政管理庁行政        管理局審議官   岡内  豊君        大蔵省主計局給        与課長      津吉 伊定君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  黒住 忠行君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部監  宮永偉志男君        理課長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十二年度における旧令による共済組合等  からの年金受給者のための特別措置法等規定  による年金の額の改定に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合支給する年金の額  の改定に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○許可、認可等の整理に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○旧軍人恩給に関する請願(第八号)(第九号)(第  一五号)(第四〇号)(第四一号)(第四九号)(第一  〇一号)(第一〇二号)(第一〇五号)(第一一九  号)(第一二二号)(第一二三号)(第一三〇号)(第  一四三号)(第一四四号)(第一四七号)(第一六二  号)(第一六三号)(第一七七号)(第二〇二号)(第  二三三号)(第二六二号)(第三一一号)(第三五六  号)(第三五九号)(第三六四号)(第三七六号)(第  三九三号)(第一二三三号)(第一四〇〇号)(第一  四四二号)(第一四六〇号)(第一四六二号)(第一  四六九号)(第一四七〇号)(第一四七一号)(第一  四七五号)(第一四七六号)(第一四八二号)(第一  四八四号)(第一四八五号)(第一四九一号)(第一  四九二号)(第一四九三号)(第一四九四号)(第一  五〇〇号)(第一五〇一号)(第一五〇二号)(第一  五一六号)(第一五一七号)(第一五一八号)(第一  五一九号)(第一五二〇号)(第一五二一号)(第一  五二九号)(第一五三〇号)(第一六三五号)(第一  六三六号)(第一七一三号)(第一七一四号)(第一  七一五号)(第一七一六号)(第一七一七号)(第一  七二九号)(第一七三〇号)(第一七五一号)(第一  七五二号)(第一七五三号)(第一七五八号)(第一  七七八号)(第一七七九号)(第一八九五号)(第一  八九六号)(第一八九七号)(第一八九八号)(第一  八九九号)(第一九〇〇号)(第一九〇一号)(第一  九〇二号)(第一九三四号)(第一九三五号)(第一  九三六号)(第一九三七号)(第一九三八号)(第二  〇三六号)(第二〇三七号)(第二〇三八号)(第二  〇三九号)(第二〇四〇号)(第二〇四一号)(第二  〇四二号)(第二〇四三号)(第二〇四四号)(第二  〇四五号)(第二〇五八号)(第二〇七七号)(第二  〇七八号)(第二〇七九号)(第二〇八〇号)(第二  〇八一号)(第二〇八九号)(第二一六四号)(第二  一六五号)(第二一六六号)(第二一六七号)(第二  一六八号)(第二一六九号)(第二一七〇号)(第二  一七一号)(第二一七二号)(第二一七三号)(第二  一七四号)(第二一八七号)(第二二五五号)(第二  三三四号)(第二三三五号)(第二三三六号)(第二  三三七号)(第二三五一号)(第二三五二号)(第二  三五三号)(第二三六四号)(第二四七五号)(第二  四七六号)(第二四七七号)(第二四七八号)(第二  四七九号)(第二四八〇号)(第二四八一号)(第二  四八二号)(第二四八三号)(第二四八四号)(第二  五二二号)(第二五二三号)(第二五二四号)(第二  五二五号)(第二五二六号)(第二六三三号)(第二  六三四号)(第二六三五号)(第二六三六号)(第二  六三七号)(第二六三八号)(第二六三九号)(第二  六四〇号)(第二六四一号)(第二六四二号)(第二  六四三号)(第二六四四号)(第二七八七号)(第二  七八八号)(第二八〇〇号)(第二八〇一号)(第二  八〇二号)(第二八〇三号)(第二八八九号)(第二  八九〇号)(第二八九一号)(第二八九二号)(第二  八九三号)(第二八九四号)(第二八九五号)(第二  八九六号)(第三〇二二号)(第三〇二三号)(第三  ○二四号)(第三〇二五号)(第三〇二六号)(第三  一三七号)(第三一三八号)(第三一三九号)(第三  一四〇号)(第三一四一号)(第三一四二号)(第三  一四三号)(第三一四四号)(第三一四五号)(第三  一四六号)(第三一六三号)(第三一六四号)(第三  一六五号)(第三一六六号)(第三一六七号)(第三  一六八号)(第三一六九号)(第三二二一号)(第三  二二二号)(第三二二三号)(第三二二四号)(第三  二二五号)(第三二二六号)(第三二四三号)(第三  三五一号)(第三三五二号)(第三三五三号)(第三  三五四号)(第三三五五号)(第三三五六号)(第三  三五七号)(第三三五八号)(第三三五九号)(第三  三六〇号)(第三三六一号)(第三三六二号)(第三  三六三号)(第三四六四号)(第三四六五号)(第三  四六六号)(第三四六七号)(第三四六八号)(第三  五九九号)(第三六〇〇号)(第三六〇一号)(第三  六〇二号)(第三六〇三号)(第三六六五号)(第三  六六六号)(第三六六七号)(第三六六八号)(第三  六六九号)(第三六七九号)(第三六八〇号)(第三  六八一号)(第三六八二号)(第三六八三号)(第三  六八四号)(第三七五九号)(第三七六〇号)(第三  七六一号)(第三七六二号)(第三七六三号)(第三  七六四号)(第三七六五号)(第三七六六号)(第三  八一五号)(第三八一六号)(第三八一七号)(第三  八一八号)(第三八一九号)(第三八四一号)(第三  八四二号)(第三八四三号)(第三八四四号)(第三  八四五号)(第三八四六号)(第三八四七号)(第三  八四八号)(第三八四九号)(第三八五〇号)(第三  八五一号)(第三八五二号)(第三九九二号)(第三  九九三号)(第三九九四号)(第三九九五号)(第三  九九六号)(第三九九七号)(第三九九八号)(第四  〇五四号)(第四〇五五号)(第四〇五六号)(第四  〇五七号)(第四〇五八号)(第四〇五九号)(第四  〇六〇号)(第四〇六一号)(第四〇六二号)(第四  〇六三号)(第四〇六四号)(第四一一二号)(第四  一一三号)(第四一一四号)(第四一一五号)(第四  一一六号) ○建設関係現場職員給与改善に関する請願(第  四八号)(第九九九号) ○年金恩給)の増額及び公立学校共済組合健康保  険証終身使用に関する請願(第一〇四号)(第  一二九号)(第一四五号)(第二二六号)(第三〇四  号)(第三九四号)(第四三三号)(第四六二号)(第  九三〇号)(第一〇七四号)(第一五一〇号)(第一  八〇二号)(第一八〇三号)(第一八〇四号)(第一  八〇五号)(第二〇三二号)(第二〇三三号)(第二  〇三四号)(第二〇三五号)(第二九三六号) ○元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給、共済問題に関する請願(第一〇六号) ○恩給年金等受給者処遇に関する請願(第一  一八号) ○法務局職員の一万名増員等に関する請願(第一  三一号)(第一三二号)(第一三三号)(第一三四  号)(第一三五号)(第一三六号)(第一三七号)(第  一三八号)(第一三九号)(第一四〇号)(第一四八  号)(第一五二号)(第一五三号)(第一五四号)(第  一五五号)(第一五六号)(第一五七号)(第一五八  号)(第一五九号)(第一六〇号)(第一六一号)(第  一七八号)(第一八二号)(第一八三号)(第一八四  号)(第一八五号)(第一八六号)(第一八七号)(第  一八八号)(第一八九号)(第一九〇号)(第一九一  号)(第一九二号)(第二〇七号)(第二〇八号)(第  二〇九号)(第二一〇号)(第二一一号)(第二一二  号)(第二一三号)(第二一四号)(第二一五号)(第  二一六号)(第二一七号)(第二一八号)(第二一九  号)(第二四二号)(第二四三号)(第二四四号)(第  二四五号)(第二四六号)(第二四七号)(第二四八  号)(第二四九号)(第二五〇号)(第二五一号)(第  二五二号)(第二六一号)(第二六三号)(第二六四  号)(第二六五号)(第二六六号)(第二六七号)(第  二六八号)(第二六九号)(第二七〇号)(第二七一  号)(第二七二号)(第二七三号)(第二七四号)(第  二九三号)(第二九四号)(第二九五号)(第二九六  号)(第二九七号)(第二九八号)(第二九九号)(第  三〇〇号)(第三〇一号)(第三〇二号)(第三〇三  号)(第三二三号)(第三二四号)(第三二五号)(第  三二六号)(第三二七号)(第三二八号)(第三二九  号)(第三三〇号)(第三三一号)(第三三二号)(第  三三三号)(第三三四号)(第三五七号)(第三六五  号)(第三六六号)(第三六七号)(第三六八号)(第  三六九号)(第三七〇号)(第三七一号)(第三七二  号)(第三七三号)(第三七四号)(第三七五号)(第  三七七号)(第三九五号)(第四〇三号)(第四〇四  号)(第四〇五号)(第四〇六号)(第四〇七号)(第  四〇八号)(第四〇九号)(第四一〇号)(第四一一  号)(第四一二号)(第四一三号)(第四二二号)(第  四二三号)(第四二四号)(第四二五号)(第四二六  号)(第四二七号)(第四二八号)(第四二九号)(第  四三〇号)(第四三一号)(第四三二号)(第四五六  号)(第四六三号)(第四七〇号)(第四七一号)(第  四七二号)(第四七三号)(第四九四号)(第四九五  号)(第四九六号)(第四九七号)(第四九八号)(第  四九九号)(第五〇〇号)(第五〇一号)(第五〇二  号)(第五〇三号)(第五〇四号)(第五一三号)(第  五一六号)(第五一七号)(第五一八号)(第五四〇  号)(第五四一号)(第五四二号)(第五四三号)(第  五四四号)(第五五三号)(第五五四号)(第五五五  号)(第五五六号)(第五五七号)(第五五八号)(第  五六五号)(第五六六号)(第五六七号)(第五六八  号)(第五六九号)(第五七九号)(第五八〇号)(第  五八一号)(第五八二号)(第五八三号)(第六八八  号)(第六八九号)(第六九〇号)(第六九一号)(第  六九二号)(第六九九号)(第七〇〇号)(第七〇一  号)(第七〇二号)(第七〇三号)(第七一三号)(第  七一四号)(第七一五号)(第七一六号)(第七五  一号)(第七五二号)(第七五三号)(第八一四号)  (第八一五号)(第八一六号)(第八一七号)(第八  四九号)(第八五〇号)(第八五一号)(第八六八  号)(第八六九号)(第八七〇号)(第九二四号)(第  九二五号)(第九二六号)(第九八九号)(第九九〇  号)(第九九一号)(第一〇〇七号)(第一〇〇八  号)(第一〇〇九号)(第一〇一八号)(第一〇一九  号)(第一〇二四号)(第一〇三二号)(第一〇三五  号)(第一〇四二号)(第一〇四七号) ○公共事業に従事する建設関係現場職員等に対す  る特殊勤務手当支給に関する請願(第一五一号) ○元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願(第二〇一号)(第二二  五号)(第三一二号)(第四二一号)(第四四八号)  (第四九三号)(第五一九号)(第五二〇号)(第五  六〇号)(第八八六号)(第九〇五号)(第九二七  号)(第一〇〇六号)(第一〇三四号)(第一〇五六  号)(第一〇七三号)(第一〇七九号)(第一〇八四  号)(第一〇九〇号)(第一三七一号) ○福島・宮城両県内国有林管轄営林局設置に関  する請願(第三五一号) ○傷病恩給等の不均衡是正に関する請願(第五七  〇号)(第一四四四号) ○各種共済組合法増加恩給受給権者に対する不  均衡是正に関する請願(第五七一号) ○公共事業に従事する建設関係現場職員に「現場  手当支給に関する請願(第六〇七号) ○公務員労働者賃金引上げ等に関する請願(第  八二〇号) ○公共事業に従事する現場職員に「現場手当支給  に関する請願(第八七二号) ○松山郵政監察局広島郵政監察局への統合反対  に関する請願(第九〇九号)(第二一八八号)(第  二四四二号) ○戦争犠牲警察退職者の救済に関する請願(第一  〇三三号) ○国家公務員等退職手当法の一部改正に関する請  願(第一〇七二号) ○旧勲章年金受給者に関する特別措置法の一部改  正に関する請願(第一〇七八号) ○旧金鵄勲章一時賜金受給者に関する請願(第一  二三〇号) ○金沢郵政監察局長野郵政監察局への統合反対  に関する請願(第一二四四号)(第一四九〇号)  (第一七一二号)(第一七七六号)(第一七七七号) ○公務員共済組合制度改善に関する請願(第一  三三一号)(第一三三二号)(第一三三三号)(第一  三三四号)(第一三七六号)(第一三三七号)(第一  三七八号)(第一三七九号)(第一三八〇号)(第一  三八一号)(第一四〇二号)(第一四四一号)(第一  五九五号)(第一五九六号)(第一五九七号)(第一  五九八号)(第一五九九号)(第一六〇〇号)(第一  六〇一号)(第一六〇二号)(第一六〇三号)(第一  六〇四号)(第一六〇五号)(第一六〇六号)(第一  六〇七号)(第一六〇八号)(第一六〇九号)(第一  六一〇号)(第一六一一号)(第一六一二号)(第一  六一三号)(第一六一四号)(第一六一五号)(第一  六一六号)(第一六一七号)(第一六一八号)(第一  六一九号)(第一六二〇号)(第一六二一号)(第一  六二二号)(第一六二三号)(第一六二四号)(第一  六二五号)(第一六二六号)(第一六二七号)(第一  六二八号)(第一六二九号)(第一六三〇号)(第一  六三一号)(第一六三二号)(第一六三三号)(第一  六三四号)(第二九〇五号)(第三七五八号) ○増加恩給受給公務員に対する普通恩給年金)期  間継続に関する請願(第一四一七号) ○千葉県柏市大室地区陸上自衛隊ホーク・ミサ  イル基地建設反対に関する請願(第一五六五号)  (第一五六六号) ○旧軍人等に対する恩給及び扶助料早期適正化  に関する請願(第二九三七号) ○ソ連長期抑留者処遇に関する請願(第三八六  七号) ○恩給格差是正に関する請願(第三九九九号)(第  四一五一号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案、  以上三案を一括議題とし、前回に続き三案の質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、武藤主計局次長黒住国有鉄道部長でございます。  それでは、御質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の恩給共済年金の一連の改正内容は、年齢によって三段階になっておるわけです。七十歳以上の者が二八・五%、六十五歳から七十歳未満が二〇%、その他の者については一〇%と、こういう引き上げ措置を講じておるわけですが、また、一方、新共済組合法による部分については一律に一〇%の引き上げ、こういう措置が講ぜられておるわけですが、昨年、恩給法をはじめとして各種共済組合法に、年金調整規定、いわゆる言うところのスライド制規定された後の初めての改定であると思うわけですが、今回の年金引き上げ率は、このスライド規定に基づいたものと当然考えられるわけですが、今回の年金額引き上げ率とこのスライド規定との関連、これはどのように理解したらよろしいのか、まずこの点からお伺いしたい。
  4. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) ただいまお話しがございましたように、五十一回国会の共済組合法の一部改正で、調整規定先生のおっしゃられるスライド規定というものが設けられました。で、これをどう運用するかということは非常にむずかしい問題がございます。そこで、その改定基準を一体どういうふうにしたらいいか、それから、改定に要する費用の財源措置はどういう原則で処理したらいいか、そういうことを含めまして非常に検討を要する事項がたくさんございます。それで、まだ本件については検討中ということでございますので、これは御承知のように、ほかの社会保険制度、それから恩給ともバランスをとって措置しなければいけないということだと思いますが、今回の私どもの提案しております改正は、この調整規定ということではなくて、恩給のほうとの均衡上どうしてもやむを得ないというものだけをやる。で、調整規定運用をどうするかということはこれからの問題と、そういうふうに考えております。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いわゆるスライド制規定した改正案を昨年審議したその際に、このスライド制運用については、恩給については恩給審議会で、共済組合については共済組合審議会でそれぞれ審議してもらって、その運用方法をきめていくということが言われておるわけですね。これらの審議会のこの問題に対する結論がまだ出ていないわけですね。出ないうちにこの法案が出てきたことになるわけです。そこでお伺いいたしますが、この経緯と、その審議会のこの問題に対する審議の現在までの進捗状況、こういうものをあわせて御説明いただきたい。
  6. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先生指摘のように、昨年、法律といたしまして、われわれ国家公務員共済で申し上げますと、第一条の二に、「国民生活水準国家公務員給与物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定措置を講ずるものとする。」という規定が設けられたわけでございますが、また、その際、御指摘にになりましたように、附帯決議も付せられておるわけでございます。国家公務員共済で申し上げますと、「この法律による年金たる給付の額については、国民生活水準国家公務員給与物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定措置を講ずるものとする。」という規定につきまして、参議院の本委員会におきましては、「今回設けられた調整規定運用については、その実効ある措置国家公務員共済組合及び公共企業体職員等共済組合を通じて統一的に講ぜられるよう適切な配慮をすること。」という附帯決議が付せられたわけでございます。そこで、その後の進捗状況でございますが、先ほど次長から申し上げましたように、それぞれの年金制度の本質といいますか、原則は、恩給をも含めましていろいろございます。で、前後いたしますが、去る六月二十一日に社会保障制度審議会から総理大臣に対して、各種公的年金給付額調整等につきましての申し入れがあったわけでございます。その中にも言われておりますように、調整が問題となるのは当然でありますが、公的年金の所管は十以上の省庁に分かれておりまして、これらをばらばらに混乱したかっこうで改定をすることは当然許されることではない。それぞれの共通的な観念、個別的な観念等区分いたしまして、異同を鮮明することにより、先ほど次長もお話し申し上げましたが、調整にあたって使用すべき基準及び方式、その財源負担区分、それを確定すべきである。それで、とりあえずといいますか、少なくとも、政府関係省庁を督励するとともに、本件に関する責任官庁を定め、おそくとも一両年内には結論を見出されるようにされたいというふうな申し入れを受けておるわけでございます。そこで、その申し入れを受けます現在の状態といたしまして、われわれ国家公務員共済で申し上げますと、御承知のように、国家公務員共済組合審議会というものが、共済組合制度の検討、あるいは重要事項の検討、その諮問、建議という権限を持っておりまして、われわれについて申し上げますと、国家公務員共済組合審議会におきまして資料を収集し、非常にむずかしい両面がございますが、改定基準をいかにとるべきか、その財源負担区分はどうすべきであるか、もちろん単純に国庫負担のみで増額をはかるというわけにまいりません。社会保険制度の一環でございますので、いわゆる三者負担ということを原則的に考えまして、その改定を要する寄与率といいますか、その責任の度合いに応じて、その要因の責任の帰するところ、あるいはその程度に応じてその財源の負担も検討すべきであるということで、その資料を収集、検討を開始しておるという状態でございます。なお、政府として総合的な場といたしましては、昭和三十八年に次官会議の申し合わせによりまして、事実上の機関として設けられておる状態ではございますが、公務員年金制度連絡協議会というものがございまして、これが公務員年金制度について各制度の連絡調整をはかるということで、その場におきましても、資料の収集、それから先ほどの申し入れの趣旨にも従いまして、特に具体的な検討を開始するという体制に相なっておる次第でございます。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 恩給審議会の中間答申が出ておりますね。それを見ますると、「将来の調整規定運用を妨げない限度において、適当と考える恩給の増額措置を行なうことが望ましい」ということが言われておるわけです。これが今回の改正案ができた一つの原因であろうかと思うのですが、今回の改定は将来の調整規定運用を妨げないものでないという根拠はどこにあるのですか、それを御説明いただきたい。
  8. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 問題は、御指摘になりましたように、恩給につきましても同様の性格の問題でございますが、われわれ共済組合といたしましては、御承知のように、昭和三十四年から、恩給を含みまして社会保険としての共済年金として発足をしたわけでございます。したがいまして、その新法に入り込んで来ておる公務員、これは、それぞれ恩給公務員の前歴を持っておる人、そのウエートも高い、それが大部分でございます。したがいまして、恩給のほうで、先ほど先生がお話になりましたように、恩給審議会の中間答申におきまして、「当面の暫定措置として、政府が、将来の調整規定運用を妨げない限度において、適当と考える恩給の増額措置を行なうことが望ましいと考える。」、こう考えまして、恩給法の増額改定がなされるという状態におきましては、われわれがその恩給公務員期間というものをそのまま引き継いでおる、あるいは恩給制度に併設してございました雇用人についての共済組合制度におけるバランス上の問題というものを考慮いたしまして、調整規定運用については、先ほど来申し上げましたような検討の過程にございますけれども、とりあえず、恩給とのバランスにおいて増額改定をはかるという態度でございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の改正案を国会へ提出するに先立って、国家公務員共済組合法は共済組合審議会並びに社会保障制度審議会に、また三公社の場合は社会保障制度審議会にそれぞれ諮問して答申を受けておるわけです。そこで、お伺いするわけですが、これらの答申に対するそれぞれ基本的な姿勢はどういうものか、このことについて。
  10. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 国家公務員共済組合で申し上げますと、本年三月二十二日に国家公務員共済組合審議会の答申をいただいたのでございます。その答申の内容は、「今回の諮問は、恩給法改正に伴う反射的な改正を行なおうとするものであって、その限りにおいて従来の取り扱いと同様、一応やむを得ないものと認められる。しかしながら、この恩給法改正は、恩給法共済組合法両法に昨年調整規定の挿入後、初の増額措置であるが、その独走的な考え方がそのまま共済年金における恩給該当部分に、ハネ返るのはたとえやむなしとしても、本来の共済年金改定にまで影響を及ぼすことには疑問がある。」という態度がとられておりまして、「また、各種年金に亘り同一趣旨の調整規定が、それぞれ思い思いに運用されることになると、国民年金時代となり、スライド制が強調される今日極めて不適当であるので、各年金を通ずるスライド制並びに財源負担の原則を確立するため、速かに適切な措置を講ぜられんことを強く要望する。」ということを答申として受けておるわけでございます。  それからちょっとつけ加えて申し上げますと、その翌日、三月二十三日に社会保障制度審議会に諮問をいたしまして、その答申をいただいておるわけでございますが、大体、同趣旨のものでございまして本案は、おおむね恩給法改正に伴うものとして了承するのほかないと認められる。」、そこで、国家公務員共済組合審議会においては、恩給法の独走に追随するのはいかぬというような、端的に申せば趣旨でございますが、社会保障制度審議会においては、恩給共済年金のみが独走的に年金額改定を行なうことは、他制度との関係で問題であるから、独自で、先ほど国家公務員共済組合審議会において述べられましたような、スライド制についての検討ということを総合的にやるべきだという同趣旨の答申をいただいておるわけでございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昭和四十年度における共済年金法の改正のときに――お伺いしたいのは、国家公務員共済組合審議会の答申に、共済年金独自のスライド方式の確立をはかれ、こういう趣旨の答申がなされておると思うのです。また今回、恩給に追随した増額方式がとられておるわけですね、審議会の答申に。政府は当然、これを尊重して従うべきであろうかと思うのですが、依然として、恩給に追随した増額措置をとって共済組合独自の増額方式をまだ今回は依然としてとられていないわけですな。これは認めざるを得ないわけですが、これはどういうわけで審議会の答申に政府としては従わなかったのか、何か理由があろうかと思うのですが。
  12. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先ほど申し上げましたことと重複いたすきらいがあるかと思いますけれども、社会保障制度審議会が六月二十一日に申し入れましたところ、まことにごもっともでございます。恩給その他公的年金制度、共済、そういうものを引っくるめまして、それぞれの観念の異同を弁別いたしまして、共通的な部分、個別的な部分というものを、やはりはっきりと区分をいたしまして、改定基準及び財源負担の問題というものを確立すべきものであろうかと思うのでありますが、現在のところ、恩給につきましても、先生すでに御承知のように、本年度末まで存続することとなっております恩給審議会において、恩給についての審議がなされており、また、われわれの関係におきましても、先ほど来申し上げましたような国家公務員共済組合審議会においてその検討を進めておるということがありまして、さらにこの社会保障制度審議会申し入れに即しまして、政府として全体の検討に少なくとも総合的に取りかかるという段階でございまして、直ちに国家公務員共済組合のみにつきまして、表現としては恩給追随とおっしゃいますけれども、恩給法の増額改定とのバランスのみを見て改定をはからざるを得ない段階であるということでございます。まことに遺憾でございますけれども、そういう段階でございますので、先ほど申し上げましたような国家公務員共済組合の増額改定の態度というのは、現段階においてはそういうことでございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 審議会の答申を尊重してと、ただ口先だけでの尊重だけではなく、これを実際に実行していくか、こういうことではじめて審議会を設けた意味があろうかと思うのですね。この審議会の答申を口では尊重するといっても、実際にこれを実現しないならば、審議会を設けた意味が全くない、こういうことになろうかと思うのです。ただ、ただいまの説明でいま直ちに、そういう意味の答弁があったものですから、その事情はわかるわけですけれども、なるべく早い機会にこの答申の趣旨は実現できるように当然政府としては努力すべきであろうと思うのですね。その点についてはどういうふうにお考えですか。
  14. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) お話、ごもっともでございまして、先ほど来御説明いたしておりますように、根本問題についていろいろむずかしい問題がありますので、まだ結論が出ていない。それで、恩給法改正がありますと、それとの均衡上やむを得ないところをやる。そうすると、先生のお話のように、なるべく早く根本問題について結論を出せ、そういう御趣旨だと思いますが、私どもなるべくそういうふうに努力いたしたいと思っております。先生御承知のように、これは共済だけではございませんで、いろいろな関連がございますので、なかなかむずかしい問題はございますけれども、おっしゃるとおり、なるべく早く根本問題について結論を出したい、そういうふうに考えております。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の国家公務員共済組合審議会の答申の中に、恩給公務員期間については、恩給の算定方法によることになっているので、恩給法改正に伴い、当然、共済組合法改正されるが、本来の共済年金改定にまで影響を及ぼすことには疑問がある、まあこういうふうなことを言っておるわけですね。また、当委員会でも、これはたしか第四十八国会であったと記憶しますが、ほぼ同様の趣旨の附帯決議がなされておるわけです。こういう点をあわせ考えると、恩給法と絶縁するような共済組合法改正ができてしかるべきだと思うのですけれども、この点についてはどのように考えておられるか。
  16. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) その点も、まことに恐縮でございますが、先ほどの私の説明をいたしましたところに重複をいたすかと思いますが、これは、国家公務員共済のみならず、いわゆる共済グループ全般、またそれのみならず、恩給、厚生年金国民年金というような公的年金制度全般の問題、それぞれに調整規定規定されておるという点も先生御承知のとおりでございます。この調整をそれぞれの年金制度の本質に従いまして、いかなる基準に、たとえば生活水準公務員給与物価云々というような諸基準のうちのどれをどれだけのウエートをもって改定基準として取り上げるべきであるか。これはそれぞれの公的年金の目ざすところによってその性格上の違いがあろうかと思います。また、もちろん財源負担につきましても、それぞれの公的年金の性格の差異によりましてやはり差異があるべきかと思います。それを横に並べまして検討された上、総合的な結論が出されるべきであると存じますので、われわれ国家公務員共済組合法のみで、それこそ独走的に調整をはかるということは、まだその段階でないことを遺憾ながら申し上げざるを得ないということでございます。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 国家公務員共済組合審議会の答申の中で、「各種年金に亘り同一趣旨の調整規定が、それぞれ思い思いに運用されることになると、国民年金時代となり、スライド制が強調される今日極めて不適当であるので、各年金を通ずるスライド制並びに財源負担の原則を確立するため、速かに適切な措置を」講ぜよと、こう言っておるわけですね、答申の中で。そこでお伺いするわけですが、こういうことになると、恩給の独走に追随することなく、各種年金制度に通ずるスライド制、あるいはまた財源負担の原則を確立する必要があろうと思うのです。そういう視野から考えると、このような点について見通しをどのように立てておられるか、この点を。
  18. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 御質問の点でございますが、先生もおっしゃられましたように、いろいろな年金について統一した原則がなければならない。それからまた、しかし、おのおの特殊性もございますから、その原則の上に立ってまた特殊性を発揮するということでなければいけないのだろうと思います。そこで、まず原則のほうを固めて、それからあとはおのおの年金について特殊性を盛り込んでいくということになると思いますけれども、これは非常にむずかしい問題でございまして、現在のところ、先生御質問の御趣旨は、一体いつまでにどういうふうにして結論を出していくのだというお尋ねかと思いますけれども、まだいつまでにどういうふうな結論を出すという目安を申し上げるという段階には、まことに申しわけないのですが、なっておりませんので、御了承願いたいと思います。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 新法施行日以後のいわゆる組合員期間の費用の負担については、今回も昭和四十年の増額改定の際と同様に労、使、国とこの三者負担となっているわけです。これを国庫負担とすべし、こういう意見が共済組合審議会の答申の中にあるわけですが、この点はどういうふうに考えておられるか。
  20. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これは先生よく御承知かと思いますけれども、ほかの社会保険の制度とのバランスを考えまして、現在の新法の国庫負担というものはきまっております。したがいまして、それをどうするかという問題、特にたとえば先生おっしゃっておられるのは、調整規定に関連してだと思いますけれども、調整規定運用に関して、どういうようにするかということは、これは他の社会保険制度とバランスをとりながら結論を出さなければいかぬ、そういうふうに考えております。     ―――――――――――――
  21. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) この際、委員の異動について御報告いたします。  鈴木一弘君が辞任され、その補欠として鬼木勝利君が選任されました。     ―――――――――――――
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまのお答えでは、バランスをとる必要があるので、従来どおり労、使、国と三者負担の原則となっておると、こういう意味の御趣旨ですが、なるほどバランスということは、もちろん大切なことですが、まずここでその答申の趣旨に従って、国の、国庫の負担とした場合、当然アンバランスが出てくるわけですね。そこで、国の負担とし、これにあとは右へならえば、前向きのいわゆる共済組合制度の前進がはかれる、こう思うわけですね。これじゃバランスが破れると思う。そのことだけでいつまでも答申の趣旨に従がわないと、いくら時間を空費しても前進がないわけです。だから、ここで思い切って審議会の答申どおり国庫負担にすると、あとのアンバランスの分はいきなり国庫負担にして右へならえで前進すれば、思い切った改正がはかれると思うのですね。そういう考え方も前向きの改善方策として当然成り立つわけです。この点についてはどうお考えですか。
  23. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) お話のように、組合員の負担を軽くするというふうな点からだけで申しますと、先生のおっしゃったように、特にここのところは国庫負担を大きくする、そうしてほかのほうも同じように国庫負担を大きくしたらいいじゃないかということになると思うのです。ただわれわれとしては、とにかく国庫負担というものはいろんな社会保険制度均衡がとれていなければ、一ヵ所だけやってほかをやらないということはこれは理屈に合いません。そうしますと、全部もし直すとすれば、全部合わせて考えなければならない、こういうことになります。そこで、全体を合わせまして財政負担のどのぐらいが適当かということを考えまして、そうして原則として、実質的にはこれは先ほどから先生おっしゃられましたように、いろいろ特殊性もございますけれども、原則としてはこういうところでいろいろの制度について均衡がとれており、そして政府としても財政上この程度ならばできる、そういう限度にとどめなければいけないと思います。そうなります前提のこの調整規定をどういうふうに動かしていって、それからその財源をどうしたらいいか、そういうところをきめてからでないと、あとのほうのことはこれに合わせてやることにしてということは、私ども財政当局としてはたいへんむちゃなことになりますので、まず先ほどからお話がございましたように、原則からきめていきたい、そういうふうに思いますので、その原則のほうを現在のところでは検討中でございますので、ここのところは従来どおりの国庫負担、そういうことになっておるわけでございます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がお伺いしておるのは、答申の趣旨は、国庫負担とすべしと、これははっきり出ているわけですね。そこで、この精神を取り入れて、まず国庫負担に変えた場合、ほかとのアンバランスが出てくる。このアンバランスはアンバランスでいいじゃないか。そういうことを言っているのじゃなくて、もちろん財政的には全般を見通して、これで国庫負担ができると、そういう時点で初めてやるんだと思いますが、これはいま御答弁のあったとおりでいいと思いますが、ただそういうところに目標を置いて努力をしなければ、いつになっても解決をしないということをお伺いしているわけです。したがって、全体を国庫負担にするという、そういう目標を掲げて、そのために前向きに、最終的には全部アンバランスのないように均衡のとれた国庫負担の措置が講ぜられるよう、そういう一つの目標を掲げて努力すべきではないかと、こういうことをお伺いしておるわけです。
  25. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先生おっしゃいますように、国家公務員共済組合審議会におきまして国庫負担とすべしということが触れられておるのではございますが、これはすでに原文をお読みになっておっしゃっておると思うのでございますけれども、なお組合員を代表する委員は、新法施行日以後の組合員期間に対応にする部分についても、これを国庫負担とすべしという意見であったことを申し添えるということでございます。それで、そういうていさいを別にかせにして申し上げるわけではございません。これは実質的な、単なるというとおこられますけれども、バランスの問題といいますよりは、先ほど次長からお話し申し上げましたように、原則の問題でございまして、物価上昇による年金改定を要する事態となった、あるいは生活水準の向上による年金改定を要する事態となった。それから既裁定の問題以外にも、すでに申し上げるまでもなく、厚生年金と違いまして、われわれ国家公務員共済は退職しましたときからさかのぼって三年間の俸給を見まして、その間の平均俸給年額を給付の基礎額といたしておるわけでございます。その間にもちろん昇給はございますが、また御承知のように年々のベースアップというものもあるわけでございます。したがいまして、その間にいわゆる後発過去勤務債務というものが生じまして、その財源をだれが負担するか、それだけの割合で負担するかという問題が起こるわけでございます。それと同様に既裁定の年金の増額につきましても、この増額を要する理由というものがやはり分析されまして、原則的には社会保険である限りは社会連帯の思想に基づきまして横の連帯があるとともに縦の連帯、時代間の連帯というものがあるべきでございますので、現在の在職者は、あるいは現在以前の過去の退職者の既裁定年金の増額改定財源を拠出すべき責任をどの程度持つべきであるか、その点も全然ないということは申し上げられないと思うわけでございます。したがいまして、そういう社会連帯の思想を前提にする社会保険制度として、その本質に基づいて運営をいたしていきますならば、およそ既裁定の年金の増額調整を要する部分については、あげて国庫が負担すべきであるという結論を、あるいは先ほど申し上げましたような検討の過程を経まして、そういう結論を得るということも絶対ないということは私は予言できる自信はございませんけれども、現在その本質から考えますと、やはり厚生年金においてもすでに既裁定年金改定をやりますについて、三者負担という原則に立ってやっておりますが、それはやはりいま申し上げる社会保険制度の本旨に即するものであろうかと、現段階においてはそういうふうに考えておる次第でございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、お伺いいたしますが、今回の三公社共済組合法では、旧共済組合法による既裁定年金の額の改定に要する費用並びに恩給公務員期間にかかわる費用は全額公企体の負担となっておるわけですが、それらの期間については国の官吏または雇用員であった関係などからいいまして、恩給法改正があればこれと並行して改正することになるので、国がこれを負担するのは当然であると、こういうふうに考えられるわけですね。三公社から国庫負担の要望をいままで受けているのかどうか。また政府としてはどう対処するつもりなのか。この点についてあわせてお答えいただきたい。
  27. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) われわれ大蔵省のほうには、特段の国庫負担の要求というものはございませんように承知をいたしております。で、これも申し上げるまでもないと存じますが、電電公社と国鉄におきまして、収支計画調査委員会というものを設けまして、四十年の末にその一応の結論を出しておるのでございますが、国庫負担というものと、それから公企体の事業主負担及び公企体の負担、国庫の公経済としての負担は、公企体の性格に照らしてやはり公企体がその公経済の立場を持ちながら、国が御承知のように現在公経済一五%と、残りを事業主、本人で四二・五%ずつという状態は、やはり公企体としてはイコール公経済も含めてその負担を国と同様にすべきものであろうというふうな結論を出されておるようでございます。したがいまして、具体的な国庫負担の要求というものは承知いたしておりませんが、一応それぞれの公企体におかれましても、そういう観念が確定的に統一的に出されたというふうに判断するとは、私は僣越でございますので申し上げませんけれども、収支計画調査委員会においてそういう結論も出されておる状態でございますということを申し上げたいと思います。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 地方公務員共済組合では、ちょうど本年は財源率の再計算の年になろうかと思うのです。すでに現行掛け金率についてかなり上回るのではないか、またおそらく上回るであろう、そういう結論はもう出ておると思うのですね。もちろんこれは本年十一月から実施に移される予定と聞いておるわけですが、国家公務員と三公社についても、今回の改正によって組合員の掛け金率に影響は出てくるものと考えられるわけです。そこで、今回の改正に要する経費、それと組合員の掛け金率の見通しですね、今回の改正によって掛け金率が上がるであろうという、こういう前提に立ってお伺いしておるわけですが、こういうことについてあわせてお答えいただきたい。
  29. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 国家公務員共済につきまして、年金改定の所要額を申し上げますと、総額で、昭和四十三年度予算において措置しているもの二億四千八百三十六万五千円でございます。これは四十二年度の予算に計上されます。その後、追加費用といたしまして四十三年度以降の負担金といたしましては四億一千四百四十六万円でございます。で、そのうちいま御指摘になりました組合員の負担というのは六百十四万五千円でございまして、掛け金率に反映する程度は千分の〇・〇一四程度でございます。先ほど総額でと申し上げましたのは、誤解を招くかと思いますので、ほんとうのトータルを申し上げますと、六億七千七百二十八万六千円でございます。これは先ほど総額四十二年度予算においてと申し上げましたのは、追加費用として四十三年度以降入れますものとか、あるいは財源率の計算において含めますものを除いたものでございまして、それらを全部入れ込みますと、ほんとうのトータル合計は六億七千七百三十八万六千円でございます。
  30. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 今回の分につきましては、三公社の場合に専売が四十二年度は五千七百万円、国鉄が十三億一千六百万円、電電が一億三千八千万円、合計いたしまして十五億一千百万円でございます。四十三年度につきましては三公社総計で三十七億一千八百万円でございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 恩給公務員期間については、恩給の算定の方式によるということになっておるので、恩給法改定に伴って、その増額率は恩給と同様であるけれども、この新法期間の分については、国家公務員の場合も三公社職員の場合もそれぞれ一〇%増額ということになっておりますから、その一〇%というのは根拠はどういうことなんですか。
  32. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 厳密に申し上げますと、旧令年金、旧法年金、これは恩給に対応する部分といたしまして、すでに御承知の恩給と同様にならって総額改訂をいたしております。それから恩給公務員期間につきましては、もちろんといいますか、それがいかぬのだとおっしゃるのかもしれませんが、恩給法で増額をするところにならいまして増額をすることにいたしております。新法年金のうち、純粋に新法部分に対応する期間につきましては、これは本来ならば、先生が御指摘に相なっておりますように、現在のところわれわれの調整の尺度というものは遺憾ながらございませんので、一〇%の増額をするということ自体については、すべきか、せざるべきか、問題があるところでございます。しかしながら、恩給公務員期間について、あるいは恩給公務員期間に対応する雇用人期間について恩給にならう増額措置をするといいますか、総体、実態として見ました共済年金の中で、たとえば新法共済年金として出ますけれども、重々御承知のように、恩給公務員期間は恩給の計算によって計算がされ、旧法、旧令の期間はその計算方式で計算がされ、純粋に新法の部分がございましたら新法の計算で計算がされました上で、新法の共済年金として給付されておるわけでございます。そのうちの純粋に新法の共済年金は、これはいま申し上げるように、尺度というものはないわけでございますが、これもバランス上、三者負担の原則によりまして、恩給のほうで増額改定をされる原則的な引き上げ率一〇%を適用いたしたという処理でございます。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の改正措置によって、年金額計算の対象者はいつごろまでに退職した人、またいつごろまでに死亡せられた方に及ぶのか、こういう点を明確にしていただきたいと思います。
  34. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 一々厳密に当たりますのは今後の段階でございますので、非常にシビアに御返事ができないわけでございますが、おおむね三十九年退職者までというふうに推測をいたしております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この退職の方については、おおむね三十九年までに退職した人で、退職の分は大体のめどがわかりましたが、死亡の場合はどうなんですか。
  36. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 死亡につきましても、退職年金、廃疾年金、遺族年金、障害年金等々引っくるめまして、いま申し上げたような大体のめどを推定しておるわけであります。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昭和四十年の改定年金額引き上げが行なわれたわけですが、引き上げ方法が非常に複雑であるために、まだ相当数の改定事務が残っておるように聞いておるわけです。したがって、今回の改定にあたっては、できるだけ簡易な方法を採用してしかるべきだと思うのですね。各共済担当者のそういう強い要望があると聞いておるわけです。そこでなおお伺いいたしますが、これを見ますると、今回も昭利四十年度と同様な方法がとられるのではないか、むしろとられておるわけですね。そういう疑問を投げ出す前に、よく見るととられておる、こういうことになると、国家公務員の場合と三公社職員の場合と、それぞれについて、昭和四十年改定事務は先ほど申し上げたように相当おくれておるわけでしょう。それがまだ済まないのに、次のまた改定に入っていく、ますます複雑になってくるわけですね。そういうことでは相ならぬと思うのです。そこで、なるべくそういう問題は、いわゆる簡易な方法をとってしかるべきであると思うのですけれども、こういう配慮はなされなかったのか、こういう点について。
  38. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) これもその経緯、歴史につきまして、よく御存じの先生に申し上げることではないと思いますけれども、この前の昭和四十年度の改定は、昭和三十五年における二万円べースというものに、それの二割アップをしたわけであります。その二万円ベースに、そのやめました人全部引き直しまして、二万円ベースからころがっていって、いわゆるころがしをやりまして、その後やめたやつは二万円ベースできたらどうなるか、その二〇%アップだ、こう見たわけでありますので、このころがし計算というものはたいへんなことであったし、御指摘なさるように作業も残っておるわけでございます。今回はその根っこを使いまして原則一〇%、それから六十五歳以上七十一歳未満は二〇%、七十一歳以上は二八・五%という率で上げるわけでございます。いわば同時に作業を進めていく、こういうことでございます。なお、そういう構想といいますか、体系的な増額改定の根っこの違い、把握の違いがございます上に、技術的に簡便な早見表等を考慮いたしまして、できるだけその事務を促進いたしたい。あえて遅滞させるということは、もちろんわれわれの本旨ではございませんし、そうあるべきではありませんので、簡易迅速に改定をはかりたいというふうに指導をいたしております。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の改正法で増加恩給受給権を放棄した者に対する給付については、公務による廃疾の状態を加味して廃疾の年金支給することになっておるわけですが、増加恩給を放棄しなかった者については、今回放棄の機会を与えてはおりますが、依然として放棄しなかった者については、増加恩給の基礎となった期間以外の恩給公務員期間は除算する結果、その期間は退職年金のいずれにも乗ってこないわけですね。この措置を何らかの方法で救済する措置はないものかどうか、こういう点をお伺いしたい。
  40. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 私、先生がおっしゃったのを誤解しておるかとも思いますが、そういう点がございましたらお許しをいただきたいのですが、増加恩給につきましては、三十四年に先ほど申し上げましたわれわれの共済制度が発足をいたしました際に、増加恩給受給権を持っておる人につきましては、施行日後六十日の間に増加恩給受給権を放棄するかいなかを選択することを認めたわけです。といいますことは、先ほど先生指摘されましたように、増加恩給受給権を放棄いたしましても、共済においてその恩給公務員期間を通算する際に、いわゆる実のある期間としてその増加恩給の基礎となった恩給公務員期間を通算はいたしますけれども、これは単なる退職年金、そこで通算をしましても、退職一時金にしか年限がならぬという人は、公務廃疾の状況を加味されずに、一般のぴんぴんとしてやめたのと同じような扱いをされておったわけです。それを今回、増加恩給をもらう公務廃疾状態につきましては、放棄をいたしました人は、少なくとも公務廃疾年金を受給できるようにしようという措置を講じたわけでございます。言うならば、三十四年のいま申し上げたところで一回勝負がついておるわけでございますが、いま申し上げた問題点を考慮いたしまして、公務廃疾年金を受給できるということにいたしましたので、いわば再選択を認める、こういうことにしたわけでございます。それで、増加恩給受給権を放棄しないで、増加恩給普通恩給を受給を続けてまいりまして、それで今回かりに選択をして放棄をいたしますと、いま申し上げました三十四年当時放棄したのと同じ扱い、もちろん公務廃疾年金がもらえるという改正はありますが、同じ扱いになりますから、増加恩給受給権を放棄いたしませんと、これは除算されるというのじゃなくて、増加恩給普通恩給はもらえます。増加恩給受給権の基礎になった公務員期間も、いわゆる資格期間として共済年金の受給資格判定に資するわけでございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この増加恩給という特殊な恩給であるわけですが、これは共済組合に乗り移ってこないわけでしょう、いまの説明によると。いまの説明ではそうですが、少なくも普通恩給の最短年限に達して増加恩給を受給している者で、その増加恩給を放棄しなかった者については、その在職年を共済組合の組合期間に通算してもいいんじゃないかと、こういうふうに考えられるわけです。この点を伺っておきたいと思います。
  42. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 非常に混乱していまして、ちょっと誤解があればお許しを願いたいのですが、増加恩給という制度は共済にはそのまま取り込んでおりません。ということは、増加恩給は、御承知のように、恩給の制度でございます。その恩給の制度を共済に――恩給公務員期間を持っておる公務員が、共済制度ができまして、そこに入り込んできましたときも、普通恩給でありましたならば、これは法令上消滅をさせておるわけであります。三十四年当時、現業でいえば三十四年の一月一日、非現業でいえば十月一日という施行日から六十日の間に増加恩給を依然受給するか、あるいはそれを放棄してしまうかという、増加恩給の特例にかんがみまして、その余地を設けたわけでございます。したがいまして、先ほども別な御質問に答えましたように、恩給の性格そのものはいろいろ議論もございますし、所管もあるわけでございますが、共済としては、社会保険制度恩給の制度そのままを取り入れるというたてまえは取り得ないところでございますので、先ほどの一般の公務廃疾のない者と同様な扱いが増加恩給受給権を放棄した者についてはやられておったという点を、共済の制度の中における新法施行後、公務廃疾となった人との均衡も考慮いたしまして、公務廃疾年金を給するという制度に選択によってなり得るようにしたのでございます。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 公企体共済組合法の問題についてお伺いいたしますが、昭和三十一年七月に共済組合法が発足しておるわけですが、それ以後に海外から引き揚げてきて再就職した方々ですね、いわゆる更新組合員でない職員についてお伺いするわけですが、以前の公務員期間は通算されないでおるわけです。そこでお伺いするわけですが、国家公務員の場合はこれは通算されるので、この点から考えると不均衡ではないかという、そういう問題が出てくると思うんです。これらの職員は、特殊な事情で引き揚げがおくれたのであるから、何らか救済方法があってしかるべきだと思うんです。大体この数については、ごく概算でけっこうですが、推定できないものか、このことをあわせてお伺いしたいと思います。
  44. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) お答えします。更新組合員の場合は通算いたしておりますが、更新組合員でない場合は通算いたしておりません。御指摘のとおりです。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでなおお伺いいたしたいのは、そこに不均衡があるわけですね。引き揚げがいろいろな事情でおくれたこととの間に不均衡がある、その不均衡は何らかの措置で救済できないかという問題と、その該当者は概数おわかりにならないかと、そういう問題です。
  46. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 該当者の数につきましては、ただいま資料を持ち合わせておりませんが、御指摘の点につきましては、今後非常に検討すべき問題であると思います。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、共済組合の特に短期関係の面について二、三お伺いいたしますが、現在、共済組合の短期給付財源は国または三公社と組合員のいわゆる折半負担となっているわけですが、長期給付の場合と同様にこの負担割合を変更して、国庫負担を定率化して負担するお考えはないかどうか、また、健康保険法等の場合と同様、国の補助というものは考えられないものか、こういう点についてあわせてお答えいただきたいと思います。
  48. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 当然指摘される問題でございますが、短期の国庫負担につきましては、われわれはやはりその政策の決定は、限られた財源によりまして重点的にそのニードに応じて配分をすべきものであるというふうに考えますので、国庫負担の緊要度、たとえば低所得階層を対象に一応いたしております国民健康保険でありますとか、あるいは日雇健保でありますとか、国民健康保険で申し上げますと、これは特に事業主というものがございませんで、農民等の自営者がみずからその掛け金を負担するわけでございますので、そういう条件の差異に対応しまして重点的、効率的に国庫負担を行なうべきものであるというふうに考えておるわけであります。なお、健康保険との対比で申し上げますと、これは絶対的な議論ではなくて、先ほど申し上げましたように、国の施策というものがある程度やはりある水準において、あるバランスによって考慮されるべきだという点は免れ得ないところでございますので、健保と国公共済をかりに比べてみますると、掛け金の点を見ますと、健保のほうは御承知のように標準報酬に掛け金率がかかるわけでございます。われわれ国公のほうは本俸に掛け金率がかかるわけでございます。国家公務員共済の掛け金率を見ますと、最低千分の二十四から最高は千分の四十一に至りまして、平均しまして千分の三十五ということになるわけでございます。かりに健保特例法が通りまして、政管健保が千分の七十二、その配分の掛け金千分の三十六ということになりますと、千分の三十六といいますのは、先ほど申し上げました共済と健保のベースの違いによりまして、千分の三十六はイコール共済の千分の四十三という掛け金率に相なるのでございます。したがいまして、短期掛け金率の帳面づらでは議論ができないという点が一つと、健保と国公共済との給付水準を対比いたしてみますと、まず第一は健保は付加給付はございません。これは付加給付の水準のほうから国公のほうは一〇%いい、それから法定給付のほうでも五%いい、福祉財源は五%いいということで、大体二〇%給付水準においても良好であるという状態になっておりますので、その国庫負担を定率的に行なうかどうかという点の判断については、いま申し述べましたような事情によりまして、少なくとも現段階では健保と全く同様の態度で対処すべきものであるという考え方はいたしておらぬ次第でございます。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は、いまここですぐこの国庫負担の定率化をやってもらえるよう、ここでお答えをもらいたい、そういう意味ではなくて、十分前向きでひとつ検討していただきたい、そういう趣旨からお伺いしておるわけです。いま直ちにという意味ではないわけですが、十分検討の余地はあろうかと思うんですが、その点はいかがですか。
  50. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これはたびたび先生からもお話のあった問題でございます。これからもいろいろとよく検討いたしたい、そう思っております。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、いま国会で大きな問題になっております健康保険法が政府提案のあのままの姿でもしかりに改正案が成立したと仮定すると、それはもちろん廃案でしょうが、そういう仮定を立てると、これが直ちに共済組合にもはね返ってくるわけですね。そうして、初診現在百円が二百円、入院が一日三十円が六十円に、いままで薬代、これについては全然負担がなかった患者が薬代についても負担しなければならない。もしこういうことが共済に乗り移ってくれば、これはゆゆしい問題です。そういう趣旨から申しますと、あげてこの健保の、改正ならいいですが、改悪案に全力を上げて反対している。反対するのが当然である。なぜならば医療保険の大きな後退であるかと思うのです。これはまだ推定ですから、現にまだ改正案は成立していないわけですから問題ないと考えられるわけですが、こういうこれは一つの例で、こういうふうなせっかくできた医療保険の後退はわれわれとしては許されぬと思う。こういう問題についてどういうふうに政府としてはお考えになっておりますか。そういう点の認識が足りないから、こんな健保法の改悪案などが出てくると思うのです。やはり前向きの姿勢で医療保険をだんだん文字どおり改善していくならたいへんけっこうです。あれが通りますれば、はるかに後退になるわけですね。この点についての見解を承りたい。これは大臣がおれば大臣にぜひ承りたいと思いますが、大臣おりませんから。
  52. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 御指摘のように薬剤の一部薬代負担、それから本人負担というようなものが実質的に負担になるわけでございますが、その反面は、一般に短期の掛け金率といわれておりますものにつきまして、短期財源率の減少という面であらわれてまいるのでございます。これは試算でございますけれども、薬代一部負担、初診、入院の一部負担というようなものを共済へ取り入れますと、財源率で千分の二少しマイナスになりまして財源率が下がる。したがって、応分の掛け金率にはね返って、それだけが減るという状態になると思います。それに加えまして、御承知のように共済組合には付加給付という制度もございますし、また直営医療機関における払い戻し、あるいは割り引きというような制度もございますので、直ちに実質的に一部負担がそのまま実質負担としてネット・プラスの負担としてはね返るというようには考えておらぬ次第でございます。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここで私はお伺いしたいところの趣旨は、いわゆる政府管掌の健康保険の赤字対策に共済組合がどうして同調しなければならない理由があるのか、こういう点なんです。健保のもし改悪があれば、患者負担が、先ほど言ったようなたとえばの例ですが、そういうような患者負担になって、これは医療保険の後退であるということを申し上げたわけですが、この政府管掌の健康保険の赤字対策ですね、そういうことは入院料を上げたり、薬料をいままでなかったものを取ったり、これはみんな健保の赤字対策だ。それを共済組合にそのまま移すというようなことは許されぬことだと思うのです。むろん健保それ自体の改悪も許されないわけですが、そういう理由は一体どの辺にあるのか、こういうことをはっきりさしていただきたいと思います。なお、この機会に国家公務員共済組合、あるいは三公社の共済組合のいわゆる短期経理の収支、それと長期についても、それから健保のそれについても、それぞれ経理の収支を資料として、ひとつなるべく早目に提出していただきたいと思うのです。この国会はもうきょうしかないわけですから、もう国会が終わるのだから、そんな資料出す必要ないだろうと一応考えるやもしれませんが、われわれはここだけが審議の場じゃないわけですから、十分こちらでも勉強したいと思いますので、その三つの経理の収支をひとつ御提出いただきたい、その詳細は資料として。  それから、どうして健保の赤字対策を共済にも取り入れなければならないのか、その理由をひとつ明確にしていただきたい。
  54. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) ただいまのお話でございますが、その大もとの健康保険のほうの議論は、ここは場所でございませんので、ただいまお話がございましたように、かりにそういうことが行なわれるとした場合にという御質問です。御承知のように共済組合の医療給付というものは、これは健康保険の代行的な性格を持っております。そこで、いまでも一部負担でございますけれども、そのときも健康保険と同じような措置をとってまいりました。今度の措置政府管掌の健康保険だけじゃなくて、それよりも財政的に楽な健康保険組合でも同様の措置がなされる、そういうふうに思っております。それで、この制度が合理化になるかどうかということは御議論があるだろうと思いますので、これは申し述べませんけれども、かりにそれが前提ということになりまして、これで合理化がされるということになりますと、共済組合においてもやはり合理化によってこれが負担が軽くなるということもありますし、また受益者負担ということも同じような趣旨で取り入れなければいけない、そう思っております。それからまた事務的な面を申しますと、同じような医療給付共済組合と健康保険とが別な扱いをするということも非常に煩瑣でございます。そういうことで、先ほど申されたような前提になりますと、共済組合のほうもそれに合わせるのが適当だと、そう考えるわけでございます。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は――この問題はと申し上げるのは、健保の改正案が国会に出されると、もうそのつどつど、これを健保のいわゆる赤字対策の一環が共済にそのままの姿で乗り移ってくる、大体これが問題になるわけです。きょう初めて論議するのではないわけですね。そこで、このことは、健保が特に経理の収支がどうしてもまかなえない、そういうことから健保としては赤字体策として出てくるであろう、そういうことであるわけです。これは国庫負担を増とすることによって、もう明確に救済できるわけですね。国庫が負担を渋っておるからこういうことになるわけです。それと、もちろん健保の赤字対策として、先ほど言ったような負担過重ということについては絶対反対でありますが、それはそれとして、共済のほうが概して経理の収支は健保ほど苦しくないわけですね。そうでしょう。健保ほど苦しくない。苦しくないけれども、健保がやったから右へならえで上げる、こういう考え方をいつも政府は持っておるわけです。これは長い間そういう慣行できておるわけです。そういう考え方は改むべきではないか、こういう考え方も当然出てくるわけです。これらの点についていま一度ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  56. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これはなかなかむずかしい問題でございます。私ども、先ほど申し上げましたように、従来もこういうことをいたしておりましたが、今回につきましても、健保のほうで改正がなされるということであれば、こちらもそれに合わせていくということが、先ほど申しましたようないろんな点から見て適当であろう、そういうことに私どもは考えております。そういう基本的なあれがいいかどうかということは非常に議論があるとは思いますけれども、私どもただいまのところはこれがいいだろう、そういうふうに考えております。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではこの問題は、この経理の収支状態を明確に検討することによってまた十分有力な検討資料ともなりますので、先ほどお願いいたしました共済の長期、短期、健保の経理の収支の詳細なものを早急に出していただきたいと思います。  そういうことで、それはまた検討の上で、それを拝見した上でまたこの問題はお伺いすることにして、次へ進みたいと思いますが、公務員であるとか、あるいはまた三公社職員でもそうですが、退職した後、現在の制度では、他に就職しない限り国民健保に加入しなければならないことになっておる。ところが、言うまでもなく国民健保は保険料が高い。高い上に給付は七割ないし八割、しかも付加給付というような恩典もない。七、八割ですから、あとの分は本人の負担ということになるわけです。統計上、在職中はわりあい病気も少ないようであるけれども、しかし、退職するとどうも生活様式が変わるせいか、いろいろ障害がふえてくるわけです。退職した後に病気になる人が多い実情と見受けられるわけです。これも、共済組合のワク内で退職者の給付の新設については何か具体的お考えがないかどうか、こういうことについてこの機会に伺っておきたいと思います。
  58. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先生指摘のその問題につきましては、いろいろと今国会におきましても議論があったところでございます。これにつきまして、われわれの考え方は、御承知のように、現在、国家公務員共済で申し上げますと、組合員期間一年以上を持っておる組合員が退職をいたしまして、その退職前から診療を受けておる場合には、そのときから以後、診療開始後五年間は継続療養が給付されておるのであります。ところが、これはいわば経過的な継続的な便宜上の処理というふうに一応考えられるわけでございまして、医療保険制度、医療費体系というようなものが、御指摘になりますように抜本的検討の俎上にのぼっておりますし、また、国民皆保険というたてまえからいたしますと、ある医療保険制度に属しておった者が、その後、いわばしっぽを引きまして他の保険制度に、医療保険に属すべきものであるという整理がされるべきであるにかかわらず、その部分だけ尾を引いて、前官礼遇ということでいくのはやはり医療体系の体系的な問題として問題ではないかというたてまえ論が一つございます。確かにおっしゃるように、国民健康保険は地域保険であります。それから、国家公務員共済は職域保険でありまして、人事管理面もあわせ考えまして長期、短期の給付というものが同時に行なわれておるわけでありまして、地域保険、職域保険という差、また実質的な水準、所得水準、給付水準の差というものが在職中と退職後とはまた違うわけでございますが、もちろんこれを問題にしないという態度ではございませんで、医療保険制度全体の問題として総合的に医療保険の抜本的改正の内容として検討されるべきところであろうかと考えておる次第でございます。そういう実態自体につきましては、何もわれわれ国家公務員共済主管者が同情しない、実質的にそういう点は放置すべきであるという考え方で申し上げておるわけではございません。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いしておるいわゆる退職後の療養の給付ができるような、そういう制度を新設する方向で十分検討してもらいたいと思いますが、ただこれは大きな問題ですから、いま急に直ちにということはできかねると思う。そこで、実現の可能性のある問題、ひとつこれと直接関連した問題としてお伺いいたしますが、現在健保では、組合員の資格を喪失した後、いわゆる退職した後ですね、一年間を限って本人がもし希望すれば依然として組合員としてその身分を確保して、病気の場合、療養の給付は受けられる制度になっておるわけですね、健保の現行制度は。そうですね。これならもう現に健保は実行しておるわけですから、せめてこの制度を共済に取り入れられぬものか。これは健保は現にやっておることですから、そうむずかしいことはないと思う。しかも、これは強制でなく本人が希望した場合ですね、いわゆる任意規定です。これならできると思うのですが、このお考えはどうですか。
  60. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) まことに先生指摘のように健保はそういう制度でございます。ただ、その前提につきましていろいろ議論もございましょうし、あるいはこういうことを申し上げると立場が違うのでおこられるかもしれませんですけれども、健保のほうは御承知のように一定の業種、これは法律できめておりますけれども、非常に多種多様の業態及び規模を包含いたしまして被保険者を把握しているわけでございます。その間の労働の流動性といいますか、就職、再就職、流動する機会というものは、やはり国家公務員共済の中における流動性よりも自然高いのではないかというふうに思いますので、そこの前提の見方というものにいろいろ議論がございましょうけれども、健保のほうで一年間のいわばつなぎを設けまして健保適用の間を渡り歩く、ちょっと切れればある健保所属から国保になる、また就職すれば健保になるというふうな出入りが非常に激しくなるという可能性は、少なくとも国家公務員共済の組合員よりも高いんでないかというふうに考えておりますので、そういう面からの継続給付、もちろん本人全額負担でございますが、そういう継続の手がなされておるんではないかというふうに考えておるのでございます。
  61. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題、もうこれ以上お伺いいたしませんが、結局現在のこの規定として、健保が現実にやっている問題、もちろん答弁の中にあったようにいろいろ事情は違うわけです。健保と共済とは違うわけですが、やはりいろいろ事情はあろうけれども、そういう障害を乗り越えて、やはり退職後せめて一年ぐらい、特に在職期間の生活様式と、やめるとどうも生活様式を急変する人が多いように見受けられる。これは統計の上でも明らかにそういうことがうなずけるわけです。そこで、健保もそういうところに着眼して、まあ退職後の救済という意味もあろうかと思うのですね。そこで一年間限定して、希望があれば依然組合員としてやっておる。そこでいま御答弁のあったように、事情は違いますけれども、十分そういう障害を乗り越えて、そういう方向で何とか一つ真剣に取り組んでもらいたいと思う。ここで、そんならすぐ近い将来いたしますとか、確約をとっておこうとか、そういうことではなくして、十分検討に値する問題だとは考えておるわけです。この点どうですか。
  62. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) ただいま最後に先生が御提案になった、これなら比較的乗り出しやすいんじゃないかというお話がございました。こういうこと、おそらく根本的な問題よりも、先生がおっしゃった案のほうが第一歩としては乗り出しやすいということは事実だと思います。そういう点も含めましてこれから十分検討いたしたいと思っております。
  63. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあ文字どおり、検討しますと言うから、ひとつ検討してもらいたいと思うのですが、ただ国会答弁用のことばでなくて、十分検討する、文字どおりひとつ十分取っ組んでもらいたいと思うんですよ。  次にお伺いしたいのは、いままで短期給付についてお伺いしましたから、長期給付について二、三お伺いしておきたいと思うのですが、現在、長期給付に要する費用の負担割合は、公経済の主体として国が一五%、残りの八五%を組合員と使用者が折半負担している。ところが、これを厚生年金の保険と比較して見ますと、国が二〇%ですね、残り八〇%を労使で折半負担しておるというふうに格差があるわけです。そこでお伺いしたい要旨は、国家公務員共済組合の場合もひとつ厚生年金と同様、公経済の主体としての国の負担を二〇%にして、負担の均衡をはかるべきではないか、こういう点についてはどのようにいま考えておられるのか、公平の原則をこの辺で生かしてもらいたいと思う。この点どうですか。
  64. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 御指摘のように、厚生年金保険につきましては、公経済として国庫負担二〇%でございます。国家公務員共済におきましては一五%の負担をいたしております。二〇%と一五%はパーセンテージが違いますので、確かに数字は違うわけでございます。しかし、この国庫負担がなぜ一応はバランスしておるとわれわれ考えておるかと申し上げますと、厚生年金国家公務員共済との間における給付水準の差異、これは御承知のように国家公務員共済におきましては、年金支給開始年齢は五十五歳でございます。厚年は六十歳でございますという点が一つと、それから給付額算定の基礎俸給でございますが、これも先ほどちょっと触れたかと思いますけれども、厚生年金は保険加入全期間の平均標準報酬でございます。国家公務員共済におきましては、退職前三年間を平均いたしました俸給でございます。その相違を見ますると、厚生年金給付水準は共済給付の六〇ないし七〇%ということに相なりますので、この厚年における国庫負担二〇%と言いますのは、共済ベースと言いますか、共済並みに引き直しますと一二ないし一四%の国庫負担をいたしておるということになるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、目下のところ国庫負担は均衡がとれておるんではないかというふうに考えております。
  65. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 公企体共済組合では年金額を算定する場合は最終俸給を基礎としておるわけですが、国家公務員の場合は三ヵ年の平均俸給をとっておるわけですね。このことについてお伺いしておきたいと思うのですが、この不均衡はなぜあるのかということを従来から伺ってきたわけですが、これはこの不均衡は退職手当均衡をとっておると、こういう答弁をなされてきたわけです。その退職手当は、本質からいって労働協約事項であって性格が違うわけです。そこで私ども社会党は、今国会にも退職手当法の改正案を現に出しているわけです。三公社職員を現在の退職手当法から外して労働協約事項とした内容の法案を出しているわけです。そこでお伺いするわけですが、政府としても三公社職員の退職手当をいわゆる労働協約事項として公務員年金算定基礎を三公社職員と同様に最終退職時の俸給とすべきではないか、こうやらぬと筋が通らぬと思うのですが、この点はどうですか。
  66. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先ほど社会保障制度審議会申し入れに関連いたしまして申し上げましたところでございますが、諸種の公的年金制度は現在のところ、たとえば厚生年金では保険加入期間全期間を通ずる平均標準報酬が基礎額になっております。御指摘になりましたように、公企体においては最終俸給額が基礎になっております。われわれ国家公務員共済、地方公務員共済も同様でございますが、退職前三年の平均の俸給が基礎額になっております。これはそれぞれやはり沿革的な理由もありまして現在に至ったのであろうかと思いますけれども、社会保険におきましては、やはり給付と拠出の対応、保険の公平というような面が当然ございますし、また、先ほど申し上げましたように最終俸給をとりますと、確かに最終時点での一俸給でございますので、過去三年にさかのぼって平均をして、いわば薄めるということがありませんので、退職時における実質価値を最も反映するということであるのかもしれません。しかし、その際問題になりますことは、先ほど触れましたような後発過去勤務債務の負担をどうするかということでありまして、その基礎の取り方いかんによりまして財源の問題というのは当然かわってくるわけでございます。それからまた口はばったいのですけれども、社会保障の問題といたしましては、厚生年金におけるような定額部分と報酬比例部分というものを、どの程度それぞれどういう考え方で取り上げるべきであるかという基本問題があろうかと思いますので、先ほど申し上げました公的年金制度全体について総合的な検討をすべき重要な問題ではなかろうかと存じますが、現在のところそういう検討を待って答えを出したいという問題であろうかと存じます。
  67. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、最近の積み立て金、それからその運用方法、特に長期運用資金の利差益の額、それとその運用について掛け金率の引き下げ、組合員の意思が反映されて、これがあるかどうか。こういうような問題について、もちろん大綱でけっこうですから御説明を願いたいと思います。
  68. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 国家公務員共済で申し上げますと、連合会に加入をいたしまして、連合会の長期事務をやっておる組合と、郵政、印刷等の現業で、連合会に加入しないで、それぞれの組合が長期給付をやっておるという組合とがございます。それを一応分けて申し上げますと、御承知のように、予定利率は五分五厘でございますけれども、漸時最近その利率が、利回りは下がってきておりますけれども、四十二年度の見通しといたしましては、連合会では六分一厘、その他若干出入りはございますけれども、平均給付六分二厘ちょっとというような利回りに相なるのでございます。もちろんその運用の対象は流動的な頭金、それから信託有価証券、不動産投資というような態様がございます。
  69. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、この機会にお伺いしておきたいのは、国公共済、公社共済の長期給付の収支状況、この詳細な資料は先ほど提出方をお願いしたわけですから、ごくかいつまんだところをひとつこの機会にお聞かせいただきたい。
  70. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 四十二年度を推定いたしましたところを申し上げますと、これは先ほど申し上げましたように、連合会その他単位組合で長期経理をやっておる組合全部ひっくるめますと、収入が、掛け金、負担金、整理資源で六百四十七億四千五十六万七千円でございます。それから利息、配当金が二百四億一千七百八十万七千円でございます。その他雑収入を含めまして、合計いたしますと八百六十九億七百九十八万五千円でございます。それから、支出を見ますると、給付、これが二百六億六千五百三十六万八千円でございます。当期利益が六百六十二億四千二百六十一万七千円、年度末の積み立て金を見ますると三千九百九十一億七千万円ちょっとということに相なっておるのでございます。
  71. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 三公社の中で、国鉄の場合を申し上げます。長期経理につきましては四十一年度が収入が四百八十六億三千三百七十四万三千円でございまして、支出が二百六十九億九千六百五十九万六千円、収支の残が二百十六億三千七百十四万七千円でございます。四十二年度につきましては収入が五百二十六億三千百三十一万八千円、支出が三百十三億六千七百七十三万二千円でございまして、収支の残が二百十二億六千三百五十八万六千円でございます。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に通算問題についてお伺いいたしておきたいと思います。共済組合法の長期給付に関して、現行法は、外国政府及び外国特殊法人職員期間を通算して退職年金支給することになっておるわけですが、この通算措置は、現行法施行当時、国家公務員昭和三十四年十月一日、それから雇用員及び現業は三十四年一月一日、地方公務員は三十七年十二月一日、三公社については三十一年七月一日在職した者のみこの恩典を受けるのであって、それ以前の退職者及びそれ以後の新入者は通算の適用から除外されておるわけですね。以前の退職者のうち、判任官以上は恩給法によって通算されるけれども、雇用員は旧共済組合法の適用を受け、通算されないわけですね。せっかく恩給法で通算を認めた精神がこれじゃ生かされないのではなかろうか。そうだとすれば、まことに遺憾のきわみであるわけです。判任官とか、雇用員の身分的差別を解消しておる現在、今日において、なおこの身分的差異がこういうふうに残っているのはきわめて非民主的であり、また公平の原則にも反すると思うわけです。この点については、もちろんこの場でそんならそういたしますとは言いかねるでしょうが、これも十分検討に値する問題であろうと思うのですが、こういう問題に対して真剣に取り組んでもらいたいと思います。この点いかがですか。
  73. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) この問題はたびたび御議論のある問題でございまして、先生もどういうところにどういう問題があって、しかもなお先生としては、これらは何とかすべきだということを御承知の上で言っておられることと存じます。この問題はこれから引き続き検討いたしますという結論だけ申し上げさせていただきいと思います。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ここでこれを論議してもこれ以上は進展しないと思いますし、ただ十分検討するとおっしゃるのだから、これも前向きでひとつ真剣に取り組んでもらいたいということを、この機会に強く要望しておきたいと思うのですが、こういう人々の共済掛け金をかけていなかったことが、おそらく通算を認めないという理由になっておると思うのです、これはこちらの推定ですが。しかし、恩給法では納付金を納めていなかった人でも通算を認めておる場合があるわけですね。納付金に相当するものは国庫から補助しておるわけです、恩給の場合は。また現行共済組合法恩給法を継承していることから判断いたしますならば、単純な共済組合の議論で割り切ることはきわめて不当であろうかと思うのです。恩給で通算を認めた趣旨を組み入れるならば、共済においても通算を認むべきではないか。掛け金に相当するものは国が補助するという手はありましょう。あるいは年金額の計算では若干の調整を行なうのが筋の通った公平な措置だと思うのです。そういう措置もできるわけです。この点についてはどうお考えですか。
  75. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) この問題は、先生御承知のとおり、一番関係の深いのは国鉄の関係だと思います。そこで、公共企業体のほうでこの問題をこれから引き続き検討する、そういうことになっております。で、問題はいろいろあると思いますけれども、先生が申された点も一つの問題点でございます。先生、その他の問題をよく御存じのようでございますので、こまかいことは省略させていただきますが、結論を申し上げますと、公共企業体のほうが中心となってこの問題を検討する、そういうことにいたしております。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題では国鉄関係が主体になるわけですが、運輸省としてはどういうふうに考えておりますか。
  77. 黒住忠行

    説明員黒住忠行君) 主計局次長からいま答弁がありましたように、われわれといたしましても今後検討を加えていきたいと思います。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この現行法の改正以後に入った人については、改正時のいわゆる在職者と区別する理由は全く考えられないわけです。やはりこういう点からも通算を認めるべきではないか、こういう意見が強いわけです。この点についても重ねてお伺いするわけですが、この点はいかがですか。
  79. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) これは否定的な結論を出すために申し上げることではございませんが、先ほど次長が申し上げましたように、減点をもって検討すべき問題であるということは重々存じておりますが、たとえば一つの問題、こういうものはどうという意味で申し上げますと、共済組合におきましては単なる社会保険制度にとどまらず、職域保険として人事管理面を総合した制度に相なっておりますので、共済組合の新制度創設時において在職をしておったかどうかということが、新共済制度の性格の見方についてのいろいろな議論につながりますけれども、いわゆる初期過去勤務債務を社会保険、職域保険である共済制度においてどう扱うべきかという点、先ほど先生の触れられました掛け金をしたかどうかというのも確かに重要な一つの面でありまして、そういう共済制度の本質といいますか、そういう点からの検討をすべき議論が多々出ておるということでございます。もちろんこれは現在の結論をもって固定するために申し上げておるわけではないのでありますので、御了承を願いたいと思うのであります。
  80. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは実際問題として最後に一点だけお伺いしておきますが、シベリアとか、あるいは中共に抑留された人々の最後の引き揚げは三十一年の暮れであったと思うのです。これらの人々の中には、元満鉄とか、あるいは満州電電等に勤務しておった人たちで、三十二年春に国鉄あるいは電電公社に就職した人々が、時の調査によると、大体約三百人ぐらいいるわけです。これらの人々はもちろん通算の恩典に浴していないわけです。ここにいろいろ問題があるわけです。国家の犠牲になって、最も長い期間いて最後に引き揚げたのだから、一番長く苦労してきたということがはっきり言える人々です。これが通算の措置から除外されておるというのはまことにお気の毒であり、そのことは、ことばをかえて言うと、国としては片手落ちになるのではないかということが言えると思う。共済組合というのは大体社会福祉的な性格を多分に持った制度であるわけですから、そういうことから考えると、この不公平をそのままにしておかないで、この改正後に入った人についての通算措置については、先ほど一部御答弁はありましたけれども、最後に私は要望を兼ねてひとつ最終的にお伺いしておきたいと思うんです。これはもちろんあなたに最終的な決意のほどをといっても、大臣でないから責任ある答弁ができぬと思う。そういう意味で私どもは大臣の出席のない委員会はおよそ意味がないと思う。あなた方を軽視するという意味でなく、最高の責任は大臣にあるわけですから、したがって、大臣がいまいないわけですから無理かもしれませんが、しかし、あなたの立場として一体どういうふうに考えておるのか、こういうことを最後に要望を兼ねて伺って一応私の質問を終わっておきたい。
  81. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これは主としては国鉄の問題だと思いますけれども、ほかにも関連があると思いますので、全部合わせまして私から答弁させていただきます。この問題いろいろと問題がありますし、どこでどういうふうに切るかということで、そこのところの新しい切れ目にまた不公平ができてもいかぬといういろいろな問題がございますけれども、これは私どもかねてから御要望を伺っておりますので、それでこの問題は誠意をもって検討しようということになっております。そのとおりに誠意をもってこれからも検討いたします。
  82. 北村暢

    ○北村暢君 私の実はお聞きしたいのは、伊藤委員からもう恩給共済のこまかい点について質問がございましたから、そういうことは一切省略いたしますが、私は先般、社会保障制度審議会から申し入れのありました各種公的年金給付額調整等についての申し入れについてお伺いしたいんですが、どうも質問をする対象の人が、この答申でも言っておりますように、年金等を主管する官庁がまちまちでありまして、どこにどういうふうに聞いたらいいかちょっと判断に苦しむんですが、大体こういうものの相談の最後の締めくくりのところへいけば、大蔵給与局へすべてこれはいくんじゃないか。こまかい点についてはその監督官庁でやられるんでしょうけれども、結局調整するところは大蔵省へいってしまうんじゃないか。そういう意味において実はこれは大蔵大臣かだれかがいいんでしょうけれども、主計局次長が担当しておるのではないかと思いますから、そういう意味で御質問申し上げたいと思います。  まず、これらの公的年金給付額調整等について申し入れがあったのは、そのうちでも厚生年金国民年金その他の私学共済、あるいは農林年金等の公的な年金にも、共通的な改定基準の具体化というものを、要望せられておると思うのでありますが、これについて今後どのように検討をされていくのか、どうも相手がはっきりしないのでありますけれども、主計局のほうで考えられている範囲内でけっこうでございますから、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  83. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) この問題につきましては、最終的な責任者というのは内閣だと思いますけれども、実は七月六日に次官会議の申し合わせがございまして、それで公的年金制度調整連絡会議というのが設けられまして、議長は内閣の審議室長、それで皆さんに、いろんな年金がございますので、おのおのの年金制度を担当する局長がこのメンバーになりまして、ここで検討するということになっております。
  84. 北村暢

    ○北村暢君 当然、大蔵省主計局も入るのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  85. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 主計局長も入っておりますが、それは私どものほうが国家公務員共済組合を担当しているという、そういう関係で主計局長が入っております。
  86. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、そういう公的な年金の各庁間の連終という会議ですか、これができて、これからこの共通的な改定基準というものを検討する、こういうことになるのだろうと思うのですが、それはいつごろをめどに検討されるのか。会議ができたということだけはわかりましたけれども、その予定その他おわかりになっていたらお知らせを願いたいと思います。
  87. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 御指摘の点につきましては、先ほど来申し上げましたように非常にむずかしい問題をそれぞれ含んでおりますので、ただし、先生指摘になりましたように、所管庁も非常に多岐にわたっております。これはそれぞれが右顧左べんするという状態でおりますと作業が始まらぬわけでございますので、先ほど次長が申し上げましたような内閣において統一的な検討を積極的、具体的に取りかかるということで、そういう統一的な責任官庁を定めて、関係機関との調整をはかりながら実効のある具体的措置を講ずるように、これを具体的に何年度までとは申し上げかねるのでございますけれども、可及的すみやかに検討を開始するということになっております。
  88. 北村暢

    ○北村暢君 その責任官庁は先ほどお話になりました内閣審議室ですか、責任官庁と申しましたけれども、それは何になるのですか。
  89. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) まことに茶化すような答弁で失礼でございますけれども、事の次第から申し上げますと、現在十以上に所管がわたっております。その所管がばらばらしておりますために、各分担の総合統一調整ということをどこがやるか、さっき先生がおっしゃったように非常に不明なわけです、複雑でありまして。ですから、まずその統一的責任官庁を定めなければいかぬ。これは非常に喫緊の問題でありますが、まずそれから問題にいたしまして、統一的責任官庁をすみやかに定めたいという段階から統一的責任官庁がきまり、具体的作業過程に入るという段階でございます。
  90. 北村暢

    ○北村暢君 その統一的な責任官庁というのは目安すらまだついていないのですか。
  91. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) これは先ほど申しました次官会議申し合わせによります討議によりまして、どういうことになりますか、われわれも出席をいたしまして相談をしなければいかぬところであると、かように考えております。
  92. 北村暢

    ○北村暢君 それではまだきまらないということですね。  次にお伺いいたしますが、その社会保障制度審議会申し入れの共通的な改定基準が具体化するまで年金額改定を行なうなというものではないと思うのですね。したがって、私学共済、農林年金等についても今回の旧令共済、あるいは公共企業体等の年金改定に伴って、それに見合うものが他の公的年金についても改定が行なわれなければならないんじゃないかと思われるのですが、そういう点について、大体大蔵省へ相談があるのじゃないかと思いますが、そういう点について知り得ている状況をひとつ御説明願いたい。
  93. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) まことに恐縮でございますが、われわれの所管としては伺っておりません。
  94. 北村暢

    ○北村暢君 国家公務員給与課は国家公務員共済だけだけれども、主計局次長のほうはどうですか、主計局全体としては。
  95. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) たいへん申しわけないのでございますが、私の担当は、先生御承知のように、農林省、運輸省、郵政省、建設省でございまして、たまたま給与課だけが入っておりまして、この社会保障制度の問題は非常に大きいウエートを占めておると思いますけれども、その関係は岩尾次長の担当でございまするので、私のほうはほんの一部だけタッチしていると、そういうことでございます。
  96. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ、あなたの担当の農林年金については御相談がございましたか。
  97. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) それもまことに申しわけないのでございますが、農林関係の団体の年金のことも実は岩尾君にやっていただいております。
  98. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ、年金関係は、そうすると、岩尾さんのほうですね。それじゃ答弁者がおらないんじゃ質問したってどうにもならないのですが、総務長官が見えましたから総務長官に聞けばこれはわかるのですかね。どうも年金の各省にまたがっているやつはどこへ聞いていいのかわからぬ、質問するところがね。総務長官もおわかりにならないのかな、失礼な話だけれども。先ほど来御答弁があったのですが、非常にまちまちな年金を統一的に今度検討していくということで、次官会議も公的年金の連絡会議等を設けるということになったようでございますが、総務長官の知っておられる範囲内でいいのでありますが、今度の旧令共済、あるいは公共企業体等の年金改定に伴って、厚生年金国民年金等その他の公的年金改定作業というものがどの程度進んでいるのか、このことを、おわかりになっている程度でようございますからお知らせを願いたいと思います。
  99. 塚原俊郎

    ○国務大臣(塚原俊郎君) とうてい御期待に沿えるような答弁はできないと思いますが、うちのまあ総合調整の立場から審議室というのがございまして、その審議室を中心としてこの問題の検討に当たることになっております。その第一回の会合をこの二十五日に開くということになっておりまするから、いままでの質疑応答の内容はわかりませんが、大体見当つきますから、北村委員の意のあるところは、この会議に臨む連中に私からも指示を申したいと考えております。
  100. 北村暢

    ○北村暢君 やはり年金というのは力のあるところはどんどん改定されていくのですが、力のないところはどうも置いてきぼりになっていくという傾向があるのですね。そういうことで年金の差が出てきているのだろうと思うのです。でありますから、この私学共済だとか、農林年金だとか、こういう発言力の弱いところはおくれおくれと、こういうふうになっていく傾向があるわけです。こういう点についてひとつ十分な配慮をしていただきたいと思いますが、ひとつ大臣の所見を承りたい。
  101. 塚原俊郎

    ○国務大臣(塚原俊郎君) いろいろの御批判があることは私も聞いておりまするから、まあ公平の原則というようなことをたてまえといたしまして、そういった批判のないような措置をとるように努力いたしたいと思います。
  102. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ農林年金の直接の担当者であります農政局長おいでいただいておりまするので、農林年金について、今度の国家公務員共済年金改定に伴って農林年金等はこれにバランスをとる意味においてどのような処置をとられようとしているのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  103. 森本修

    政府委員(森本修君) 今回の改正の要点は、法律の内容にもございますが、退職一時金の額から通算退職年金の原資を控除しないことの選択ができる期限を延長するという点を中心にいたしたわけでございます。
  104. 北村暢

    ○北村暢君 それはあとで質問しようと思っていたことが、通告してあったものですから聞かないうちに答弁されたような感じがするのですがね。そうではなしに、今度の国家公務員共済年金改定がいまこの法律がここでかかっているわけですが、改定が行なわれるわけですね。それに従って共済年金改定もバランスをとる意味において改定が行なわれなければならないのじゃないかと思うのですよ。そういう点について作業はどういうふうに進んでいるのか、こういうことをお伺いしているのです。どうなんですか。
  105. 森本修

    政府委員(森本修君) 一般的な制度の調整の話ですか、それとも今回の……。
  106. 北村暢

    ○北村暢君 調整でなくて。今度の物価値上がりその他において年金改定をしているわけですよ。したがって、農林年金改定を行なわないのかどうかということを聞いているわけです。
  107. 森本修

    政府委員(森本修君) 農林年金給付の内容なり、制度の一般的な改正の問題だろうと思うのですが、農林年金のほうも、御承知のように、数次、法律改正をいたしまして、昨年も御案内のような法律改正をして、給付内容の改善につとめて来ております。しかし、なお昨年の法律改正の際にも、数点、附帯決議が付されておるわけであります。将来、給付内容の改善に努力を尽くす、こういう形に実はなっておるわけであります。ただ、その内容を拝見いたしますと、先ほど来御討議がございましたような各種年金制度との調整の問題に帰属するようなことも非常に多いわけでございます。そういう観点から、私のほうとしましては、各種年金調整を考慮しつつ、そういった御希望に対してはできるだけ努力を払っていきたい、こういうふうなことでございます。
  108. 北村暢

    ○北村暢君 次に、先ほど来、ちょっと出ました遺族に対する給付については、現行の各共済組合法では、「組合員又は組合員であった者の配偶者、子、父母、孫及び祖父母で、組合員又は組合員であった者の死亡の当時主としてその収入により生計を維持していたものをいう。」という、その規定がなされておるのでございますが、その「主としてその収入」ということの解釈のために、給付が受けられたり、受けることができなかったりする問題が今日出て来ているのです。この「主として」という文字を厚生年金法でははずしてあるわけなんですが、そういう点で認定のしかたについて、年金において差があるようであります。したがって、私学共済、農林年金等は、やはりこの「主として」ということでもって、認定の際、はずれるものが出て来ているのでありますが、厚生年金法と同様な「主として」というような文字をはずして、適用の範囲が厚生年金並みに行なわれる、こういうことにすべきではないかと思われるのでありますが、この点についてどのように考えておられるか、意見を伺っておきたいと思います。
  109. 森本修

    政府委員(森本修君) 大体、農林年金のたて方は、御案内のように、他の共済組合の制度のたて方とほぼ同様の形になっております。したがいまして、農林年金のほうは、おそらく国家公務員なり、あるいは私学共済等と同様な形で運用されておると思いますが、御指摘のように、あるいは厚生年金のほうとは若干違ったような形になっておろうかと思うのであります。これは制度全体を通じまして、実はそういった共済組合の共通の問題と厚生年金との間には、若干、制度の発足あるいは立て方において異なってきております面がございます。したがいまして、先ほど来の各公的年金調整問題、大きく言えばそういう問題が起こってきておるわけでございます。そういうこともございまして、私どもとしましては、そういった考え方が当然、最近問題になってきておるわけでありますから、共済組合のバランス、またそれと厚生年との調整といったような一般的な問題を通じて、いま言ったようなことを検討してまいりたい、このように考えております。
  110. 北村暢

    ○北村暢君 もう一つ農林年金についてお伺いしますが、厚生年金の遺族年金は四十年の五月の改正によってすべて六万円に引き上げられた。法律で六万円に引き上げられたのでありますが、厚生年金の遺族年金というのは、六ヵ月加入をするというと支給されることになっているようです。ところが、農林年金の場合は十年以上になっていて、資格が非常に長いものであるにもかかわらず、既裁定の遺族年金については厚生年金よりも不利な状態が出ているようであります。したがって、こういう点について何らかの改善措置を考えておられるのかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  111. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほどの御答弁と同じようなことになって恐縮だと存じますが、農林年金のほうの要件は、大体、国家公務員なり、あるいは私学共済といったような一連の共済組合系統のものと、裁定の資格期間、あるいは遺族の範囲等が一致といいますか、同じことになろうかと思うのであります。で、先ほど来の問題と性格としては同じことだろうと思うのですが、共済組合の一連のそういった制度の立て方と、厚生年金の立て方との間に、御指摘のように若干、差が出てきております。したがいまして、やはり、この問題についても、公的年金の制度の一貫性といいますか、調整といいますか、そういう問題の一環として検討をしてまいりたいと思います。私どもとしても、そういう観点から考えてまいりたいと思います。
  112. 北村暢

    ○北村暢君 これは制度としてのいろいろな条件については、国家公務員共済年金その他とバランスをとっておるようでありますが、農林年金の場合、遺族年金にしても、絶対額は各年金の半分程度ですね。これは給与所得が低いからこうなるのだという結果になるのだろうと思うのでありますが、いわゆる遺族年金等を見ましても、いま問題になりました遺族年金等を見ましても、厚生年金が六万三千円ちょっとですか、ところが農林年金は三万一千円ということで約半分であるわけですね。したがって、これは年金としては、やり方としては、制度上の問題としては同じであっても、絶対額が半分以下ということになるというと、これは先ほど来、話のありますように、年金といえども生活――社会保障制度の一環ですから、農林年金の人は半分で食べていけるということにはならないのだろうと思うのですね。したがって、これはまあ年金だけの問題じゃなくて、根本的には給与の問題に関係してくるのだろうと思うのですが、まことにこれはお粗末な給与の実態であると、こういうふうに思われるのであります。したがって、これは年金の問題以前の問題として問題があるだろうと思うのですが、その場合、他の年金との関係からいって、給与の低いことも事実ですが、何らかのこの措置というものは考えられなければならないのじゃないかというような感じがいたしますがね。あまりにも差があり過ぎるわけです。でありますから、この点についていかなる対策を持っておるのか、ひとつお伺いをしておきたい。
  113. 森本修

    政府委員(森本修君) 手持ちの資料によりますれば、そういうことだろうと思います。といいますのは、年金額の実額を比較してみますと、農林年金のほうは他の年金の実額よりも低いということであります。またその原因は、御指摘のございましたように、主として現在の制度の立て方が、給与額をベースにして計算をされることになっておりますから、その給与額の差がここに反映してきておるということであります。そればかりでございませんで、技術的な問題としては、あるいはいわゆる組合員期間が、わりあいに他の年金に比べて農林年金は短いといったようなことも、年金の実額の比較の中にあらわれてきておるといったようなことがあろうかと思います。いずれにいたしましても、御指摘のように給付額が実額としては低いというふうなかっこうになっております。私どもとしましては、従来制度の立て方が、農林年金が他の年金に比べて劣っておる、その結果そういうことになるのではまずいということで、できるだけ給付内容に関する制度の改善について、先ほど申し上げましたように、数次の改正をして、ほぼ他の年金と見劣りがしないというふうなことにこぎつけておるわけです。  したがいまして、今後の問題といたしましては、他の年金制度との調整を考慮しながら、できるだけ農林年金の実態に即して、今後の給付制度の改善には努力をしなければならぬだろうと思っております。なお、給与額が低いということは、結局において団体の経営なり経理に関係する問題であります。そういう点についても、ある意味では組合員の福祉に関係するものでございますから、組合の経営、経理についても適切な指導を加えながら、この点についての改善をはかっていきたいと思っております。
  114. 北村暢

    ○北村暢君 次に、総務長官にお伺いしますけれども、今回の改正で、衆議院で修正せられたようでありますが、その修正点の一つの、通算年金財源留保の選択権が昭和四十四年の十月三十一日まで延長するように議院修正がなされたようであります。通算年金制度が不十分で魅力のない内容だからと思うのでありますが、政府はこの際通算年金制度を抜本的に改善する、そのために支払い機構の一元化であるとか、あるいは年金給付額引き上げ等について検討せられる御意思があるかどうか、お伺いをいたします。
  115. 塚原俊郎

    ○国務大臣(塚原俊郎君) 問題が大蔵関係でありますので、一応大蔵からお聞き取り願います。
  116. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 総務長官、大蔵関係とおっしゃったんですが、実は大蔵でもございませんが、これは厚生省関係になろうかと思います。  通算年金は、それぞれ通算年金通則法というものが御承知のように昭和三十六年にできまして、各公的年金制度の間を渡り歩きまして、それぞれの公的年金制度に属しておる間だけでは年金の受給資格がつかないという状態の人も、国民年金を含めました場合は二十五年以上、国民年金を含めない場合は二十年以上渡り歩いたトータルがそれ以上になりますと、各それぞれ属しておった、渡り歩いてきました制度において通算老齢年金というものを払うわけです、それぞれから払うわけです。その通算老齢年金は、御承知のように退職一時金の資格しか、いま申し上げるようにそれぞれの制度では資格はございません。ところが、皆年金というたてまえからいたしまして通算年金ができておるわけでございますので、その年金支給する状態になる場合の原資を、退職一時金から差し引きまして留保いたしております。その留保を、女子につきましては、御承知のように、昭和四十六年五月末までに退職をする人は選択ができるということに相なっておりますが、男子については、これも御承知のように、去年の十月末でその選択できる期限は切れておるわけでございます。  そこで今回、御指摘になりました修正されました内容は、国民年金のたてまえを考えるとともに、いま御指摘になっておりますようなことだけではございませんでしょうが、通算年金というもののあり方、それからその実態というものを実情に即して考えなければいかぬという両面を考慮いたしまして、今回の修正としては、男子について四十一年を基準にいたしますと三年間延ばそう、昭和四十四年十月三十一日まで選択期間を延長しますという修正があったわけでございます。で、通算年金は申すまでもありませんが、一種、貯金の思想と、それから生活保障をする年金という思想と混在をしておりまして、それの生活保障的な面をどのように考えていくか、半面それぞれ渡り歩いておる人の原資につきまして、それぞれの制度からいま申し上げるように通算年金が出ますが、現にその制度に属しておる人がそういう渡り歩いて、どこかでちょんになって、そうして二十年以上で年金が出る、こういう人の財源を一体どこからどういう条件を備える人に出すべきであろうかという重要な問題がございますので、これは給付水準はできるだけ国民年金のたてまえに即して、よきにこしたことはないのでございますが、そういう重要な問題の検討を経た上で結論が出されるべきものと、私は承知しております。
  117. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 私は、恩給法につきましてお尋ねをいたしたいと思います。大臣のお時間が非常に詰まっているようでございますから、私は全般的な問題を四、五点についてお尋ねいたしたいと思うのであります。  そのお尋ねをいたす前に、私はここに審議中の恩給法改正について反対の意見を持っておるものじゃございません。また、従来恩給法改正をされました点についての努力をよく承知しておるつもりでございます。  そこで第一点としてお尋ねいたしたい事柄は、恩給法の基本の精神を尊重していただきたい、その点であります。今度の、四十二年度の恩給改正案の内容を見ますというと、老齢者の優遇でありますとか、遺族妻子の優遇、傷病者の優遇というような、社会保障制に似た観念が加味されていると解釈できる改正を行なおうとするものであります。私は、この老齢者、遺族、傷病者の優遇に反対するものではないばかりでなく、従来からその必要を強く感じておるものでありまして、このことは非常によいことだと考えております。また現在の世の中には、恩給は社会保障の一部として措置すべきだとの考えを持っている方があるようにも承っておるわけであります。しかし私は、原則的に見まして、恩給の基本観念と社会保障とは異質のものであって、別の規範に立ったところのものだと解釈をしておりまして、この両者の立つ規範を混淆してはならないと考えるわけであります。さらに、以上述べたと別に、恩給には恩給の本然の姿がありますと一緒に、それに伴う基本的な条件があるはずであります。  しかるに今日まで行なわれましたところの数次の恩給改善のうちには、基本条件を満たすことよりも、便宜主義的な措置や末節の改正に甘んじたというような感がないでもない、こういうようなことを感ずるのであります。私はこういう点について大きな関心を持っておる次第でございます。そこで総務長官にお願いいたしたいのでありますが、恩給と社会保障の関係恩給本然の姿を守るというこの根本的のことに関するお考えを承りたい、こう思います。
  118. 塚原俊郎

    ○国務大臣(塚原俊郎君) 政府はこの恩給の問題につきましては、今日までできるだけの努力をしてまいったのでありまするが、いま山本委員の御指摘のような御批判も私はちょいちょい耳にいたすのであります。社会保障との関連においての御質問のように思いまするが、私はこの恩給問題は、基本的には国家対国民関係において処置すべきものであるという基本原則から、この問題の処理に当たってまいっておるつもりでございます。  なお、今後の問題と取り組む姿勢といたしまして、いま山本委員の御指摘になりましたようなことを考慮に入れながら、社会政策の一つとしての、国家対国民関係において処置するこの恩給というものに対処してまいりたいと、このように私は考えております。
  119. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 次に、今度の改正法案では、いわゆる仮定俸給の増加に際しまして、年齢による格差というものが行なわれておりまして、またこの法律の構成におきましても、従来の措置とは異なるものがあるように感ぜられるのであります。といいますのは、別表でやっておりましたことを本文に入れるというような、そういう従来と異なっておるような感じもいたすのであります。私は、この改正法上にあらわれました年齢区分は、恩給法上にあるいわゆる若年停止というものとは別の性格のものでありまして、言いかえますと、これは恩給本然の姿としての新しい条件をここに制定されたのではなくて、いわゆる暫定的措置として採用された形である、こう考えておるわけでありますが、これに対する政府当局の見解をお示しいただきたい、こう思います。
  120. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 今回の恩給改正で、先生の御指摘のように、年齢によって格差をつけるという措置をとりました。これは旧来とも先生御承知のように、恩給法の本質を一応踏んまえた中で老齢者優遇、それから重傷病者優遇というふうな一つの措置をとってまいりましたので、そこでそれを、今回の恩給審議会の答申を具現するときにその考え方をこの中に取り入れたわけでございます。したがってこの考え方は、旧来のそれと大体軌を一にしておると実は考えておるわけでございます。
  121. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 私は、ここに議論しておりますのは、新しい恩給体制というものを白紙で議論しておるのではないと、こう考えるのであります。言いかえますと、現在の恩給は大東亜戦争以前において、政府法律という権威ある方式によって国民に約束した事項でございます。しかも現在恩給を受け取る者、また潜在的な恩給受権者というものは、すでにこの法律において示されました条件に合致するような義務を国家に対してすでに果たしてしまった人たちであります。すなわちこれは既得権とも言うべき性格のものであると私は思うのであります。既得権の尊重というものは、それは法運用上の一大原則であると考えます。既成事実を無視するということは、これは私は一方的な破約でありまして、国家が国民の信頼にこたえるためには、こういうことはやってはならぬものだと考えるのであります。したがって、日本の国情が許す限り、戦時中に約束をいたしました旧恩給法規定のとおり実施するという原則が当然のことであると私は考えるのであります。  さらに考え方を変えまして、昭和二十八年において復活いたしました旧軍人に対する恩給には、旧軍人に対してのみいろいろな不当な制約が加えられておりまして、しかもその制約のうちの一部分は、現在もまだ解決をせずに残されておるのであります。しかし私は、これらの、いままで述べましたような状況は、すべて過渡期的な状態でありまして、日本の情勢が許されたならば、恩給法の本然の姿において是正さるべきものである、こう考えておるわけであります。もとより私は、恩給法が時代の進展に伴いまして改正されるということに何ら反対の考えは持っておりませんが、先ほどから述べましたように、既得権的な条件を満たすということをやめたり、あるいはこの事柄を軽視してはならないということを私は主張いたしたいと思うのであります。この点について重ねて政府の御所見を承りたい。
  122. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 御承知のように、軍人恩給昭和二十八年の恩給法の特例審議会の答申に基づきまして再出発をいたしたわけでございますが、まあ当時の事情を勘案いたしまして、戦前と比較して相当改変された姿で実施をされることになったのでありますが、しかし、その後の事情の推移によりまして、たとえば在職年の通算あるいは加算の復活等、逐次改善をされてきておるわけでございますし、先生の御主張のように既得権尊重ということは、非常にごもっともな御趣旨でございますが、しかし、この法をどういうふうに現在の社会的あるいは経済的な諸条件の中で合理化していくかということが、やはり恩給法という法律を運営していく場合にも重要なことではなかろうか、かような点から、その後次第に合理化の方向をたどっているわけでございます。  なお、いろいろな御要望の点があることも事実でございますので、それらの諸点は、恩給の根本的な考え方をどのようにきめていけばいいか、こういうことで、恩給審議会も発足していることでありますので、御主張のような点については、審議会の御討議に待ちたい、かように考えておるわけであります。
  123. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 多少考え方に一致をしないところがあるのじゃないかという感じがいたしますが、時間の関係上次に第二点に移りたいと、こう考えるのであります。  第二点といたしましては、私は、政府恩給改定に関しまして積極性を持っていただきたい、このことを以下説明をいたしたいと思うのであります。  現行の恩給法については、改善向上をしなければならぬものが非常にたくさんあると思うのでありまして、しかも、その改善は緊急を要するものが多いと考えます。しかるに、今日まで政府恩給の改善は、気持ちの上は別といたしまして、形の上におきましては、消極的な態度をとった場合が多かったという感じを外部に与えておると思うのであります。それがために、やむを得ず恩給の受給者または潜在恩給の受給資格者が政府に要求するところの形をとらざるを得なかった。これが私は現在、現実の姿であると考えるのであります。これを国家予算の編成という一つの例によりましても、他の政府機関は、毎年積極的に改善事項を計画をし、その実行に必要な予算を要求しておるのに比べますというと、恩給に関する限りにおいては、先ほど言いましたように、少なくも形の上においては全く消極的な行き方をしておると言わざるを得ないと思うのであります。それがためにまた受給者をして、誤解をし、いろいろ不平を持たすという形になっておることも私は事実だと思うのでございます。私はいずれにいたしましても、これらの状況は好ましい状態ではないと、こう考えます。  昔、恩給というものが総理大臣の直轄事項であった時代におきましては、総理大臣が各省予算の統括者という立場におきまして、恩給予算を積極的に要求するのを控えたというようなことがあったかもしれないと思うのでありますが、しかし、今日総務長官が国務大臣であるのでありまするから、他の政府機関と同様な時期と同様な形式のもとに、積極的に恩給改善の予算を要求すべきではなかろうかと、こう考えるのであります。以上のような考えから次の事項をお尋ねいたしたい、こう思います。  政府は四十一年に恩給法改正を行なわれまして、その第二条の二においていわゆる調整規定が実現されましたので、私は政府が積極的にやるところの条件が備わりましたのとともに、積極的にやるべき責任がここにはっきりしたと思うのであります。今後この規定によって正常な積極的な行き方をする考えがあるかどうか、また、ただいま進行中の恩給審議会の答申が昭和四十三年の三月以前までに正式に出されるような形になると思いますが、当然この答申の趣旨に従って恩給の改善を行なわれるということは、常識からも当然判断できると考えるのであります。そこで、こういうような点から考えまして、今後における恩給改善については、政府が積極的に提案をすべき時期に入った、またそうせざるを得なくなった、こういうふうに考えるのでございますが、この点について政府の御見解をお示しいただきたい。
  124. 塚原俊郎

    ○国務大臣(塚原俊郎君) 総論と各論に分かれておるようでありますから、私から総論についてのお答えを申し上げたいと思います。  従来の政府の態度が消極的ではないかというお話でありますが、私はそうではないと考えております。できるだけのことはやってまいったつもりであります。従来からその解決に努力してまいったこと、そしてまた恩給年額の面においては、昨年の法律改正によって、恩給年額の実質価値を維持するためのいわゆる調整規定を設け、さらに恩給審議会を設置して恩給に関する重要問題を調査、審議していただくなど、恩給の改善については従来よりも一そう積極的に努力してまいったつもりでありまするが、いまのようなお話もありますので、なお、先ほど申しました国家対国民の観念ということを基本といたしまして、前向きに進んでいきたいと考えております。  自分はこの問題に取り組みまして、できるだけのことはやってまいったつもりでありますが、たとえば予算の面においては、平年度四百億をこえたというようなこの額から見ましても、まあ決して消極的でなかったということは言えるのではないかと思いますが、なおお説のこともありまするから、なお一そうこの問題に真剣に前向きに取り組んでいく考えでございます。
  125. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) それでは、各論をお答えさせていただきます。  調整規定が二条の二でつくられまして、私たちは、この二条の二の運用が今後の年金調整に非常な働きをするであろうと思われるのでありますが、ただ御承知のように、恩給審議会におきまして一番重要な課題として目下審議中でございます。その結論に従って、政府側も今後の恩給改善に努力していくことになるわけであります。
  126. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 それでは第三点についてお伺いいたしたいと思います。  それは現在の恩給年額と恩給支給条件といいますか、この恩給の内容というものについて、現時点においてこれが適正妥当なものかどうか、この点についてお伺いいたしたい、こう思います。それは私はいろいろな点、すなわち国民生活の水準でありますとか公務員その他の給与との比較、値上がりを続けておる物価等の現状からかんがみまして、恩給金額というものは不十分であり、恩給支給の本旨にもとるものであると考えるのであります。  それについて、私の御質問の趣旨を御理解いただくために、少し小さなことを申し上げたいと思うのでありますが、今後の改正が実施されましたときにおいて、物価指数というものを考えてみると、次のとおりになると思うのであります。昭和九年から十一年の物価指数を一と、こう仮定いたしましたときに、日本銀行の調査によりますというと、昭和四十一年の一月から十二月の総合統計の全国物価指数は三七三・三倍ということになっておるわけであります。そこで同じ昭和九年ないし十一年の恩給というものを一といたしまして、今度改正される仮定俸給の一〇%増のものの倍率を比べて見てみますというと、これは兵の階級において二百三十八倍になりまして、前に比べますと百三十五倍というもののこれは不足ということになるわけであります。将官の例をとりますというと、現実において百二十四倍になっておりまして、ここに二百四十九倍というものが実施をされず残されておると、こういう形になるわけであります。またたとえ貨幣の価値という一点から見ましても、恩給は実質的に下がっているということは、私は事実だと思うのであります。  また、恩給法の中において旧軍人としからざる者との間において、適用条件に不均衡のあることは、これは当然のようにいままで見過ごされておるというように感ずる。これが事実だと思うのであります。その例として大きな四つの点を申し上げたいと思うのでありますが、いわゆる加算年に恩給金額をつけないという一点、仮定俸給年額のいわゆる号俸の格づけというものにおいて、同じ階級であった旧文官と旧軍人間において、現在では旧軍人は文官に比しまして十二号俸ないし二号俸の低位に置いてあるという事柄。第三点といたしまして、一時恩給支給の年限に文武間において非常な差別待遇がある。言いかえますと、文官は加算を入れまして三年になれば一時恩給を渡しておりますが、旧軍人においては連続七年という条件がありまして、現実に召集されておる軍人において連続七年の勤務というのはりょうりょうたるものでありまして、ほとんど与えないということと同じ意味になっておるのであります。そのほか戦地外戦務でありますとか、各種の職務加算というものについては未処遇であるという事実であります。  これを私はさらに実例をもって御説明を申し上げたいと思うのであります。実例としましては、恩給局でよく御承知と思いますが、ここに実在の人間として、昔関東局において警察監獄職員として勤務して、現在普通恩給の受給者でございまして、その基礎となった在勤年数は四年四ヵ月であります。それに加算を加えまして十二年一ヵ月ということになります。この方の現在受けておる恩給は四万九千二百三十四円ということであります。その同じ人が伍長として召集をされまして、ここに二年一ヵ月の勤務をいたしました。そこに先ほど言いました警察官としての勤務四年四ヵ月を加えまして、実際の勤務が六年五ヵ月になったわけであります。言いかえますと巡査としての勤務よりも二年一ヵ月多いのであります。ところが、これを二年多い勤務を入れて軍人の現在の規則による恩給金額を計算いたしますと、二万八千五百五十六円になるのでありまして、これが四年四ヵ月の巡査としての短い期間の人が、先ほど言いました四万九千二百幾らというものに比して非常に差があるということであります。いろいろと加算年に金額を入れてほしいといいますが、この現実の例をごらんいただいて、ひとつ、理解を深めていただきたい、こういうように考えるのであります。  もう一つ、第二点の号俸の問題について御説明いたしたい思うのであります。これは現在兵庫県に住んでおる人でございますが、これは六年間現役兵として海軍につとめた人であります。その後に十二年六カ月間京都府の巡査として在勤をしたのであります。ところが、この方が警察官と軍人の通算をやりまして、十八年という形において文官恩給を受けておりますが、八万二千八百八十円の恩給を受けておるわけでありますが、この方はたぶん軍人では軍曹くらいの方だと思います。といいますのは、この方のいま受けておる号俸は三十四号俸なんです。ところが、この人はここまでになるまでには、いわゆる昭和三十一年の法四十九号によって三号俸、三十六年の百三十九号によってさらに号俸が上がっておりまして、さらに四十一年の百二十一号によって三十四号俸になっておるのであります。ここにその人がもし軍曹という形でおりましたならば、この人の計算しますというと、恩給は五万七千三百八十二円でありまして、いわゆる旧軍人においてはちょうど十二号俸下がっているというわけであります。一方においては軍曹と同じ階級の旧文官として受けておるこの恩給が、もし旧軍人として受ける場合においては少佐でなければ同じ金額にはならない。これが現実の姿でありまして、これではいろいろの、私のような号俸の計算に、必ずしも御同意をされないことは私も存じておりますけれども、現実の姿はかくのごとく、旧軍人というものが特別な制限を受けておるというところにひとつ御了解をいただきたい。われわれは単なる空論をしておるのではないということを御了承をいただきたいのであります。  そこで、この金額と条件が現時点において適正妥当なものと考えるか、また文武間に不均衡の存在を認められるかどうか、もし認められるならば、これを是正される必要があるとお考えになるかどうか、総務長官の御所見を承りたい。
  127. 塚原俊郎

    ○国務大臣(塚原俊郎君) まあいろいろの例をお引きになりましての御説明、私もよい勉強になったのでありまするが、文官と武官というもの、今日まで文官の場合には例の不合理是正というものが何回ありましたか、五回くらいにわたって行なわれたと、武官の場合には二回しか行なわれなかったというところにも原因があると思いまするが、明らかにこの不均衡というものは認めざるを得ないと思うのであります。逐次改善の方向には持っていくかと思いまするが、十分これは関心を持たなければならぬ問題である。恩給審議会でも、これをいま大きな課題として取り上げております。われわれもこの不均衡是正のため努力しなければならぬと考えております。
  128. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 時間がありませんからそれでは第四点に移ります。これは恩給審議会の問題についてお尋ねしたいと思いますが、内容を省略いたしまして、最後の結論的なことをお伺いいたしたいと思うのであります。  今度の恩給改正は昨年の中間答申の趣旨を尊重せられまして、大体一割の増加というものによって編成をされたかと想像するのでございますが、私はいま恩給審議会進捗中でございまして、この正式の答申をいつお出しになるかという問題についても、いろいろ御見解もあるかと思いますし、また四十三年度の予算編成に間に合うように、どういうような処置をするか、また間に合わないか、こういうようないろんな未確定の事情があると思いますけれども、私の概念といたしまして、感ずるところによりますというと、以上述べたところによって御理解をいただけますように、現在受けておる恩給というものがいろんな趣旨から、方面から見まして、緊急に処置をしなければならぬ私は実情にあると、こう考えるのであります。こういう意味におきまして、この四十三年度予算に恩給審議会の答申が間に合わなかった場合においても、何らかの処置をとられる必要があるかと私は考えるのでありますが、また、先ほど申しました恩給法二条ノ二の調整規定の精神に基づきましても、そういう面が出てくると思うのでありますが、これに対しますとこの御所見をお伺いいたしたいと、こう考えます。
  129. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 恩給審議会は、先生御承知のように昭和四十三年三月末までの終期になっておりますので、目下審議会としてはすでに二十数回の会合を開かれまして、非常に精力的に問題と取り組んでいただいておるわけでございます。したがって私たちは、この恩給審議会の答申がどのように出てまいりますか、実は期待としては、あるいは先生と一致した考え方になろうかと存じますが、審議会のことでございますので、審議会の御審議の模様を私たちは待って考えていくということが本筋ではなかろうかと考えております。しかし、反面、この恩給につきましては、受給者側の立場がございます。これは必然的に受給者は切実な要求をお持ちでございます。したがって政府側の努力をいたすべき方向といたしましては、この受給者の立場というものをできるだけ配慮しつつ、この審議会の答申をお待ちする、かように私たちは考えてまいりたいと思います。
  130. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  131. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。
  132. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ちょっと質問したいんですがね、この審議でも相当ややこしいわけですが、いろいろ意見が出ているのは、結局はもとをただせば、恩給というのは非常に複雑になっているということ、こう思うのです。そこで総務長官にお伺いしたいんですけれども、この現在の恩給というものをもっと簡素化する、整理をして簡素化するということができないものかどうか、そういうことなんです。で、長年の間で該当者が多いわけですからね。そうすると物価、貨幣価値が変わっておる、世の中の仕組みが変わっておる、おまけに内容が、軍人もあれば文官もある。その軍人の中にもいろいろある。軍族がある、外地勤務云々、いろんな複雑な要素がからみ合っておるわけですね。だから恩給局にしたところで、こういう複雑な内容を持っていれば、よけいな人間も必要とするんじゃないかと思う。だから思い切ってこの恩給の内容に改正を加えて、その恩給の体系そのものを簡素化するというふうにしたほうが、私は合理的じゃないかという気がするんです。それは過去において検討されたことがないのかどうか、今日においてできるものかできないものか、その点をお伺いしたい。
  133. 塚原俊郎

    ○国務大臣(塚原俊郎君) 恩給がややこしい、繁雑であるということをよく言われております。それからいま瀬谷委員指摘のようなことも、私もこのポストにつきましてから聞きまして、事務当局に、何かもっと簡単にやれる方法はないかということを研究するように言っておいたんですが、何せ既得権の積み重ねと申しますか、そこにまあなかなか簡素化といっても一がいに踏み切れない面もあったようでありますが、御指摘の点は私も深い関心を持っておりまするので、せっかくの恩給ですから、もっと簡単にわかりやすくいくような方法、これをだんだん考えていきたいと考えております。現在のところ妙案はないわけですが、やはり研究すればいい案も出てくるんじゃなかろうか、事務当局に強くこれは命じております。
  134. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私の父親も恩給もらったわけですけれども、たとえば老人クラブであるとか、そういうところに人が集まった場合には、いろいろな昔の職業の人がいるわけです。二十年前、三十年前にやめたという人がいるわけです。すると、そのやめたときでもって、つまり現在の年齢でもって恩給が違うわけですよ、格差があるわけですよ。で、たとえば二十年前にやめた、たとえば恩給局長あるいは部長クラスと、三十年前にやめた人――生きておるかどうかわからぬけれども、そういう人と比べてみたところでうんと違うでしょう。そうすると、貨幣価値がこれは変わっていなければ別だけれども、貨幣価値が変わってきて、しかも現在までいろいろ機構が変わってきているわけですから、うんと複雑になってきているわけです。それは昔の既得権というものを何とかそのまま維持しよう出しても、現在に当てはめた場合は、どっちみちこれはうまくいかないと思うんですよ。どっちみちうまくいかないものならば、これを大きく何段階かに分類をしてしまって、若干の違いのものは一緒になるということはあるかもしれないけれども、そういう方法を講じないと、簡素化するということができないだろうと思う。  だから極端な話が、一枚の表を見れば、自分の恩給は幾らになるということが一目でわかるような方法、あるいはこれからやめる人にしても、それのどれかに該当するというふうな方法をもって、どっちみちこれは仕事をしないで金をもらうわけですから、過去はどうあろうともですよ、現在においては仕事をしないで金をもらうんだから、そんなに昔のあれでもって差別を多くつける必要はないわけです。だからそういう意味では簡素化するという方向に整理をすることのほうが、問題を合理化するために私はいいんじゃないかという気がする。これは専門の局長の見解を承りたい。
  135. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かに先生の御指摘のように非常に複雑にできておりますので、実は国会でも御指摘を受けて、私たちは何とか方法を考えたいというふうに思っておるわけでございますが、御承知のように恩給の仕組みが退職時の俸給と、それからそこまでの間にどれだけ勤続されたかという、つまり退職時俸給と勤続年数ということが非常に重要な要素になっておりまして、したがってそれをそのままで持っていきますと、たとえば昔の給与そのままになりますので、そこでそれを実質的な価値というものを考えてまいらなければなりませんので、昔五万円たとえばもらっていたものが、今日幾らの価値にすべきであろうか、こういう見方で、実は実質価値の維持という形で給与の改善を考えてまいったわけでございます。そこでその退職時の当時の俸給のいわゆる表がございますから、その表でその人の年金がきまってきておりますために、実はそれを根本的にがらりと変える方法は一つあるかもしれません。あるいはそれが、先生おっしゃったように一つの表でまとめてしまうということかもしれませんが、ただその場合に、旧来どういう状態になっていたかということをまるっきり無視していいかどうかという一つの技術的な問題がございまして、そこでそれをいま先生の御指摘のような一表になかなかまとめにくうございまして、しかし、それを御承知のように仮定俸給方式ということでそれをごらんになれば、大体自分の恩給というのはどれだけになるかということの見当がつくわけでございますが、ところが、いま先生の御指摘のように、その恩給に種類がございます。つまり普通恩給とか、あるいは普通恩給の中には軍人と文官に分かれておる。遺族の分、また傷病年金、こういうふうに種類が多いものを、しかも実質価値の維持をはかっていこうということで、非常に私たちも苦心はしているんですが、なかなかいままでに簡単に処置していきます方法が実は生まれてなくて、現在もまだ検討をさしていただいている、かような段階でございます。
  136. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 最後にひとつ要望をして終わりたいと思うのですが、こういうふうに法律をしょっちゅう出さなければならぬわけですね。物価が上がると、ほうっておけば実質的に恩給もらっている人のもらっている金の価値は下がっていくばかりでしょう。しょっちゅうこういうふうに恩給法の一部を改正する法律案というものを提案しなければならぬ。しかもその内容が複雑にできている、相当人手を要するわけです。行政管理庁長官も見えているけれども、まあ長官に質問するつもりじゃなかったんですが、内容がこういうふうに複雑になっているということであれば、それだけ人手を要するわけです。むだが多い。行政管理庁の立場で見ても、恩給の内容には相当問題があるのじゃないか。だから、これをやはり思い切って整理するためには、種類であるとか、年限であるとか、地位であるとかによって違うやつを、全部一律にはできないと思うけれども、これを整理すれば、ある程度はこれは一緒のものができると思うのですよ。これはある程度は、これはおれのほうがほんとうは多いはずだけれども、結果的には同じになったとかなんとかいういろんな問題が出てくるかもしれないけれども、そういうものはある程度忍んで整理しないと、簡素化できないだろうと思う。それをやるためには、従来のやり方をいつまでも踏襲しておったのではだめだろうと思う。だから、実質的にもらう金が、貨幣価値の移動によって変化しないように、自動的にスライドをするような方法をとっておいて、しかも、内容を思い切って整理すると、こういうふうにすれば、一々その改正法律案等を出して、しかも、わずらわしい手続を要しないで私は済むのじゃないか。そういう方法を講ずるべきでないかという気がいたしますので、その点について要望すると同時に、その簡素化ということ、整理統合といいますか、簡素化の方向に向かってこれから検討することができるかどうか。審議会がその方向でもって、方向を与えたならば、審議会自身がそういう答えを出すことができないものかどうか、その点についてお伺いしたいと思います、最後に。
  137. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 恩給審議会におきまして、いま先生の御指摘のような問題、つまり年次別格差という点でございますが、その点についての実はやはり御審議をいただいております。  それから、もう一つ先生指摘の、いわゆるスライドするということ、これは昨年国会で、恩給法二条の二という改正をいたしまして、これによっていま先生指摘の実質分の維持というものをどのようにするかということについて、一つは物価、一つは国民生活水準、もう一つの要素として公務員給与、大体この三つの柱をよりどころにしながら調整をしていく、その具体的なあり方を実は恩給審議会で御審議いただく、かようなことに相なっております。
  138. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  139. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  午後六時から再開することにいたし、暫時休憩いたします。    午後五時八分休憩      ―――――・―――――    午後六時十九分開会
  140. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 内閣委員会を再開いたします。  許可、認可等の整理に関する法律案を議題といたします。  本法案の提案理由はすでに説明を聴取しております。それではこれより質疑に入ります。  関係当局の御出席は、松平行政管理庁長官、北畠政務次官、大国行政管理局長、稲木行政監察局長、以上の方々であります。  それでは御質疑のある方は順次御発言を願います。
  141. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この法律について聞く前に、行政管理といいますか、行政改革というか、そういうことについて一般的なことをお尋ねしていきたいと思いますが、この行政改革というようなことは、いつごろから言われるようになったんですか、大体でいいですよ。
  142. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) これは起源というと、なかなかむずかしいことでございますけれども、大体大ざっぱに、戦争中に相当機構が膨張いたしまして、終戦後それを縮小するというのが初めでございますが、実際に今日いわれております行政機構改革というのは、御承知のとおり、佐藤喜一郎会長によりまして答申ができました、いわゆる臨調の答申ができましてから、つまり昭和三十九年でございますが、それ以来この行政機構改革というのに対しまして特に力を注ぐようになってまいったのでございます。
  143. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 臨調といいますか、それらができて、現在までの推捗状況ですね。これは大ざっぱな話で、あまりこまかくやるとそれだけで一時間ぐらいかかりますから、現在の進捗状況はどの程度かということ、それが実施に移されているのはどの程度かということ、政府委員でいいですよ。
  144. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 現在までに実施しまいりましたものは、大ざっぱに申し上げまして、機構の面では行政監理委員会の設置、それから大蔵省の臨時貴金属処理部の廃止、総理府青少年局の設置、経済企画庁の国民生活局の設置、文部省調査局の廃止と文化局の設置、通産省の軽工業局、繊維局を、これを化学工業局、繊維雑貨局への再編成、それから閣僚懇談会、各種審議会等の整理、これが機構関係であります。  なお、運営面の改善につきましては、苦情相談担当者の設置、通関関係行政の手続等の改善、それから立ち入り検査の改善、それから各省決裁制度の改善、休憩時間、休日等におきます受付機能の維持、許認可の簡素化等をやってまいったわけでございます。
  145. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それらは臨調の答申の全体から見て、現在はどの程度まで進んだんですか、大ざっぱに言って。これも目の子算になりますけれども。
  146. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 大ざっぱに申しまして、臨調答申が何ぶん相当膨大な、また内容の重要な問題にからまっておりますので、パーセンテージ等ではちょっと表現できないのでございますが、できるものからその実現をはかっておるわけでございまして、相当程度改善の実が上がったと、かように思っております。
  147. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはもちろん大ざっぱな話であって、なぜ大ざっぱなことを聞くかというと、全体の中でたとえば九割九分もでき上がっているなら、これはもうということもあるんです。五割とか、二割か三割かということによっても、将来のいき方が違いますし、これはほんとうに大ざっぱなことになりますよ。一つのことをやったとしても、一つのウエートの取り方が同じ件数であっても、軽いものと重いものとあるしということになってくるから、これは正確なことはもちろん言えないと思うんですけれども、大体目の子算で半分ぐらいいったんですか、その辺までいっているんですか。
  148. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 残念でございますが、まず三割程度までじゃないかと思っております。
  149. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、今後のものの中にはまだむずかしい問題が残されているわけですか。全体の三割ぐらいだったら、あと七割ぐらい残っているわけでしょう。その中で具体的には、そうするとむずかしい問題が残っているのじゃないかと、こう思いますけれどもね。どういう点がおもに残っているんですか、これもそうあまりきちんきちんとなかなか言うのは困難かもしれませんがね。
  150. 大国彰

    政府委員(大国彰君) まだ実現を見るに至っておりませんのは、相当問題が根本的に触れるものが多いわけでありますが、中央省庁に関する問題あるいは行政機構の統廃合、これは一部はできたわけでございますが、これが相当部分残っております。それから公社・公団等の改革につきましても、ほんの一部でございます。それから広域行政の問題、首都行政の問題、それから公務員に関する改革意見、そういったところがまだほとんど手もつけられずに残っているというような状況でございます。
  151. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、全体はあれですか、どの程度の年限でやりたいという、こまかいことになるとむずかしいですけれども、大ざっぱに言うと、どの程度でやりたいわけですか。あと十年くらいでやるんですか、百年――百年ということもないけれども、五年でやる、あるいは十年くらいでやりたいの、大ざっぱのあれはないの、計画は。
  152. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) 大体大ざっぱな考え方でございますけれども、私どもとしては、主要なものは、できるものはここ一、二年のうちに実現をしたいと事務的にはそういう考えを持っておりますが、関係省庁の了解がなかなか得られないということもございまして、非常に手間取っております。それから非常にむずかしい問題になりますと、これは相当長期的に考えませんとなかなか実現しにくいのじゃないか。たとえば行政手続の問題がございます。これなどはちょっと早急に手がつきかねる、こういうふうに思っております。
  153. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは行政管理庁という役所は、全体の役所の中で特殊な役所だし、実際の仕事を始めていくについて、やるにはいろいろ各方面から抵抗があると思うんですよ。こういう点の何かあれですか、具体的な例というと語弊があるけれども、どんな各方面から、いろいろな方面から抵抗があったかというような話はありませんか。参考になるんだ、国会として関心があるところだから。一番抵抗しているのは国会議員の一部の先生が抵抗してくるんだろうということも言えますけれどもね。それはあとの話にして、具体的な何かありますか、このまえ何かあったんじゃないですか、いろいろ。
  154. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 具体的な例とおっしゃいますと、非常に困るわけでございますけれども、最近いたしました下水道の一本化の問題が一つの例になるかと思いますが、御承知のとおり、これは建設省と厚生省の共管になっております。終末処理は厚生省が担当いたしております。それからその他のパイプのほうは建設省がやっておるというようなあれもございまして、非常に都道府県あるいは町村では二元行政で困っておったケースがあるわけでございます。その場合でもやはり行管の勧告といたしましては、建設省に一本化というのを出したわけでございますが、これに対して厚生省が非常な抵抗があって、なかなかその調整がつかなかったというような問題がございます。しかし最後に、厚生大臣の国務大臣としての大所高所からの判断によりまして、円満に解決いたした次第でございます。一応その過程におきましては、厚生省の担当からの抵抗が非常に強かったということは言い得ると思います。
  155. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 具体的にたとえば一つの省の中の一部の機構を廃止するというようなときには、どことどことどういう相談をして、どこで最終的な結論を得る形に持っていくのですか、実際にどういうふうにやるのですか。
  156. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 私のほうはあらゆる角度からしかも公平に調査いたしまして、また臨調の答申を尊重いたしまして、勧告という形で相手の省に出すわけでございます。したがいまして、裁判官のような判決を下すというような強力な決定権と申しますか、権限はないわけでございますので、それを受けました所管の省庁の長たる大臣が、それを勧告どおりに実行に移すかいなかということは、やはり責任をもって所管庁の大臣が決定することになっておりますから、要するに各大臣が並列に並んでいるというような関係で、それ以上私のほうは強く推し進めることはできないわけでございます。最後は総理の裁断ということも考えられますけれども、なるべくそこまでいかないまでに説得し合って、了解し合って、してもらって実行に移すというような形でやっております。
  157. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 人数なども行管のほうはあまり多くないわけですね。全部で何人くらいいるわけですか。
  158. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 千六百人くらいです。
  159. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 千六百人くらいですか。それで行政監察、各省のことやりますね。各省のほうではあまり、率直に言うと、おもしろく思っていないところもあるわけですね。そこでこの前あるところへ行きましたら、「行政監察月報」出ているでしょう、毎月もらいますね。あれに出ているのは、行管の監察の結果というのは非常に詳しく出ているわけですね。詳しく出ているので、行管というのはたいしたものだ、こんなに詳しく短日月の間に監査できるのはたいしたものだということを言ったわけですよ。そうしたらその省の人がおこっておりましたよ。そんなことはありませんよ、これはみんな私のほうの省から出た資料です、自分のところの省で問題点を出して行管へ提供するのだというのです、そうして行管はほとんどそれを写してやっているのだ、月報に載っけているのだ、こう言うのです。うそかほんとうか知らぬけれども、それは一つの抵抗かもしらぬけれども、資料は、各省の行政の問題点なんというのは、やはり各省から資料出されるのですか、それで監察するのですか。
  160. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 監察をやる場合におきましては、私ども最初に何々行政の監察をやるという場合には、その行政についてやはり一応問題意識といいますか、そういうものを持っておるわけでございます。そういう問題意識を持ちまして、それにつきましていろいろないわば仮説といいますか、そういうものを立てまして、そうしてその仮説について実地に調査する。実地に調査すると申しましても、結局いま先生のおっしゃったように、その相手方の役所におきまして、いろいろの関係の資料の提出を求め、そうしましてその役所から出ましたいろいろなデータを十分に内部でよく検討しまして、われわれが最初に考えておったような問題意識がはたして正しいのかどうか、仮説が正しいのかどうかということを内部的に検討しまして、その結果、やはりこれは最初の仮説のような問題がある、あるいはこういうように考えましたけれども、これは相手から出た資料その他を見まして、どうも間違っておるというようなことで、だんだん落としたり、あるいは新しく問題を引き出したり、そういうようなことをやりまして、そうしてそれに基づいてその改善を要するかどうか、そういう点を見きわめて勧告する、こういうような段取りでございます。したがいまして、調査しました場合に、いろいろ相手から資料をもらいますから、その資料そのものは、もちろん先生のおっしゃるように相手から出ておるのだと、こういうことでございます。
  161. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 千六百人くらいいて、各監察局は各県にありますね。それから管区もありましたね。だからそうしてたとえば本庁では各省の受け持ちはこの人だとか、そういう形はいま置かれているんですか、それはどういうふうになっておるのですか。
  162. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 現在私どものほうには、私の下に審議官というのが四名おりまして、そうしてこれはいわゆる総括整理職といいますか、大体組織としましては、監察官が十二名おりますが、そのうち一人だけは行政相談のほうの仕事をしておりまして、十一名の監察官が一応省庁別に分担をきめております。したがいまして、たとえば厚生省関係の担当の監察官、農林省関係の担当の監察官というような仕組みでやっておるわけであります。したがいまして、その監察官は、できるだけ常時その担当の省の動きといいますか、そういうものをキャッチするような形でやっておるわけでございます。
  163. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 十二名だというと、一人が幾つも受け持つ……、どういう方がそのいうことをやっておられるのですか。大体私の聞いた範囲では、元の拓務省の系統の方とか、拓務省というとことばが悪いけれども、拓務省ね。それから外地というか、引き揚げてこられた方とか、そういう方が多いですね。それから新しく入った方も多いと思いますけれども、それだから専門的な知識といってもなかなかたいへんですわね、正直な話。専門的な知識を得るためにどういうふうな勉強をされるのでしょうね。省によっては非常にやかましい省もあると思います。なかなかわかりにくいところもあるし、秘密主義なところもあるし、なかなかたいへんだと思いますが、どういう方がおられて、どういうふうな訓練というか、学習というのをされたわけですか。
  164. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 現在監察官として働いております者の過去の経歴といいますと、これは行政管理庁全体がそうでございますけれども、もともと戦後できた役所でございます。そういう関係でいろいろな出身者がおります。たとえば昔から内地の役人経験者、たとえば内務省系統の仕事をしておったということで、たとえば各府県の第一線の行政を担当しておった者もおりますし、また戦後外地から引き揚げてこられた人たち、外地から引き揚げてこられた人の中でも、たとえば朝鮮とか台湾とか、そのほかのところでも官吏として勤務したり、あるいはまた満州国の官吏等を経験した人もおりますし、たとえば満鉄その他の系統につとめた人もおります。いろいろ純粋の民間の会社等の経歴、職歴を持った人がございます。いろいろとございますが、監察の仕事というものは、これは非常にむずかしい仕事だと思いますし、先生もおっしゃるように、各省のやっている仕事はかなり専門的な分野がございますので、それに対して監察し得るだけの能力を、何と申しますか、つちかっていくということは、非常に困難な仕事でございますが、しかし、行政管理庁の行政監察が始まりましてから、もうこれで十数年になるわけでございます。したがって、過去にそういうような行政経験がなくても、今日まで現在監察官はすでに十数年行政監察の経験を持ってきておるということでございますので、その点では平素の勉強とあわせて、私は十分に能力を持っているというふうに考えております。
  165. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 たいへん御苦労されていると思うのです。私の友だちなんかもおりまして、たいへんに一生懸命勉強しております。前は経済調査庁がありましたね。あれの人もいるのですか、あれはどうなっているのですか。
  166. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 経済調査庁が昭和二十七年ですか、なくなりまして、その当時調査庁に勤務しておった大部分は行政管理庁に入ってきた、こういうことでございます。
  167. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 経済調査庁と行政管理庁と、仕事の性質がだいぶ違うのじゃないですか。
  168. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 仕事は非常に違うといえば違うと思います。経済調査庁は、御承知のように経済統制の取り締まりというようなことを主として任務としております。ただ、調査庁当時数年間、いわゆる調査業務と申しますか、いろいろな問題を掘り下げて調査し、そして、それについていろいろの、いわば公正な判断をするというようなくせと申しますか、そういう習慣、あるいはそういう技術というものは、行政管理庁の行政監察の面では、私は非常に役に立っておるというふうに思います。
  169. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) 若干補足をさしていただきたいのでございますが、経済調在庁当時に、これは大体経済査察ということで、経済違反の取り締まりが中心でございましたけれども、取り締まりだけではいけないのじゃないか、要するに経済行政のやり方が悪ければ、幾ら取り締まっても違反は消えないということで、経済行政の監察という機能が別にあったわけでございます。その機能が現在生かされてきておる、こういうことでございます。当時警察官の方もかなりおられましたけれども、そういう方はもう一応現在ではほとんどおらない。若干その中の優秀な方が残っておりますけれども、そういう状況でございまして、必ずしも経済調査庁当時の人間が監察のほうに不向きであったということにはなっておらないと私は思います。
  170. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 行政監察というか、行政管理というか、それをやるのには、行政監察官というのですか、その法律上の権限、たとえば会計検査院の人たちに比べての権限というのはどうなっておりますか。
  171. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 監察を担当します職員は、個人としては権限は別にございません。たとえば検察官だとか、かつての、いま経済調査庁の話が出ましたが、その当時は経済調査官というようなことで、その個人に権限がございました。現在の行政監察につきましては、そういうような調査を担当する個人に格別権限があるわけではございませんが、一応行政管理庁設置法では、監察については長官の命を受けて監察をやり調査をやる、こういうことになっておりますので、いわば権限というものは、行政管理庁設置法のほうではすべて長官の権限である。その長官の権限を受けて調査を担当する、こういうことでございます。その場合に、長官の権限につきましては、行政管理庁設置法の第四条に書いてございますように、調査につきましては、たとえば実地に相手方のところへ行って帳簿その他を出してもらってそれを見るというような、いわば実地調査権といいますか、そういうもの、それからその場合において、相手方が行政機関の場合においては、これを拒んではいけないというような規定がございます。調査につきましては、そういったふうな程度の権限でございます。そのほか、長官の権限としては、たとえば勧告権だとか、そのほか相手方に対する勧告権だとかございますけれども、これはすべて長官に専属した権限である、こういうふうに考えております。
  172. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、性質はもちろん違うから比べるのはちょっとおかしいのですけれども、会計検査院の検査官というもの、検査官というものは人数は少ないのですね。四、五人ですか。職員なんかの権限とはだいぶ違うのですか、職員は職員個人で持っているのですか。
  173. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 正確に記憶しませんが、たしか会計検査院の場合におきましても、その検査を担当する個人には特別の権限はないのじゃないかというふうに考えております。
  174. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで現在いろいろいわれております行政改革の問題の中で、公社・公団というもののことがいろいろいわれているわけですね。これはあれですか、元来のできた趣旨はどういうふうな形からできてきたのですか。いろいろなものがあるから一がいに言えませんけれども、大ざっぱにいって。
  175. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 公社・公団といういまの形のあれができましたのは、主として戦後でございます。結局その趣旨といたしましては、本来国がやるべき仕事でありますが、それをより能率的に果たすために、国の機関が受けております会計その他人事等の制約を緩和いたしまして、一そうより有効な運営ができるように期待してできたものと、かように思っているわけでございます。
  176. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 「行政改革の現状と課題」という去年の十月に行政監理委員会から出たものがあるわけですね。この中に、五十七ページですか、「既存の公社・公団等特殊法人の再検討」というのがありますね。これのいろいろ理由がありますが、「設立理由を分類してみれば、」ということで、「①国の実施業務をより能率的に運営するためのもの、②特に国の出資または投資を受け入れるための予算会計制度上の必要のためのもの、③地方公共団体または民間の資金の導入をはかり、国がこれらと共同して事業を営むためのもの、④経費を関係者の納付金・掛金等によってまかなう必要のためのもの、⑤経費を補助金によってまかなう必要のためのもの等に分類される。」というので、五つに分けておりますね。そうすると、現在ある公社・公団等をこの五つに分けた資料というものはあるのですか。この①のところにはどういうあれだとか、この公社はこの五つの理由の中のどれに当たるものだとか、そういう形の分類とか、そういうふうなことをやったことはあるのですか。
  177. 大国彰

    政府委員(大国彰君) この五つの分類は、現在百八ございます公社・公団等につきまして、その共通の点を抽出したわけでございまして、この一つ一つについてどれが該当するかという調査は、まだいたしておりません。特にまた、この各公団等の中におきましては、この五つのうちの二つなり三つなりをそれぞれかねておりますものもございますので、現実にこの五つに分類するということは、ちょっとむずかしいかと思っております。
  178. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは確かにそのとおりですね。一応の例としてあげてあるだけの話で、それはダブっているのもあるし、五つを全部備えているのもあるかもしれませんが、五つを備えているというのはちょっとおかしいかもしれませんね。国と地方公共団体があるから、五つ備えることはないかもしれませんが、いずれにいたしましても、多く備えているものがあると思うんですが、そうすると、これらを見ると、何か、「とくに最近の数年において急増の傾向を示しており、濫設の批判を免れない。また、その運営の実態についても、種々の弊害が指摘されている。」、こういうふうに書いてありますね。これは具体的にはどういうふうなことなんですか。まず最初の「急増の傾向」と「濫設の批判を免れない。」というのは、どういうことですか。それから「また、その運営の実態についても、種々の弊害が指摘されている。」と、こういうふうに書いてありますが、これはあれですか、こういうふうな形で百八つある、いわゆる特殊法人と称せられるものについて、行政管理庁としては一々内容的なものを分析しているの、そこはどうなんですか。
  179. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 私ども目下行管の審査対象になっております百八つにつきまして、いろいろ調査をいたしておりまして、いまおっしゃったような、ここに書いてありますような意味合いでのことも、できるだけ調べてみたいというふうに考えております。それから乱設されたという傾向があるということが書いてございますが、最近特に乱設されたということは必ずしもいえないんじゃないかと思います。三十八年だったと思いますが、三十八年まではこういうような特殊法人をつくることにつきましては、行政管理庁というものはいわばノータッチだったのであります。それがここに書いてあるような、いわゆる乱設の傾向というようなものもある、それから、できるだけこういうものは必要最小限度にとどめたほうがいいんじゃないかという意味で、これをつくる場合に行政管理庁が一応審査をして、そういうような乱設をチェックするというようなことになったわけでございます。したがいまして、三十八年以後にできた特殊法人の数、いわば行政管理庁が審査した上でできた特殊法人というのは、いま正確でございませんけれども、四ヶ年でおよそ二十くらいじゃないか、ことしできる予定のものも含めてですね、そういうことじゃないかというふうに考えます。それ以外のもの、つまり行政管理庁が審査権限を持つ以前にすでにできたものが実は百八つの大部分になっておるわけでございまして、今度いま調査しておりますものは、そういうような行政管理庁が審査しなかった特殊法人も含めて、実は一度全般的に見てみたい、そういう考え方で調査をやっておるわけでございます。
  180. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) 若干補足説明をさしていただきたいのでございますが、特殊法人の数でございますけれども、昭和三十年末が三十一でございます。それから、三十一年に六つできております。三十二年も六つ、それから、三十三年が九つでございます。三十四年に至りまして八つ、三十五年が四つ、三十六年が六つでございます。しかし、三十七、三十八は非常に多うございまして、三十七年が十ほどできました。それから、三十八年が十四できております。  それで、非常にこの調子でふえていくというのではとてもかなわないということで、当時九十八ぐらいになったかと思いますが、三十八年に私どもの設置法が改正になりまして、私どもで審査するようになったわけです。したがいまして、三十九年になりますとがたっと落ちまして、五つほどできておりました。それから四十年は八つできましたけれども、二つは減っておりますので、総計六つでございます。四十一年度、昨年度は三つでございました。それでことし四十二年度は七つ認めましたけれども、三つは統合するというようなことでございまして、純増は四つ、こういうことになっておりまして、したがいまして、私どもが審査するようになりましてからできた数というのは、ふえた数というものは十八と、こういうことに相なっております。
  181. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 行政監理委員会というものの会長ですか、委員長はあれでしょう、何か行政管理庁の長官がやっているのじゃないですか、一人で二つやっているんですか、これは。
  182. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) そのとおりでございます。
  183. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、これは去年の十月だから、去年の十月は松平さんですか。
  184. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 違います。
  185. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 田中さんか――ここに書いてあることと、いま言うのとは違うんですね。片っ方の行政管理庁長官も、こっちのほうの会長かねているんだから、何だかはっきりしないですね。しかし、こういうふうな、ことばは悪いけれども、しろうとの方のお集まりと言っちゃ悪いかわからぬけれども、そういう方のことだし、まあ言いたいこと言ってるんでしょうから、多少、何といいますか、ラフな形で書いているかもしれませんけれども、そうすると、あれですか、「急増の傾向を示しており、」というのは、設置法が三十八年改正してからはこの審査の対象になっているから、あまり多くないということに見て、それ以前に相当あったのだというふうにお聞きしていてよろしいわけですか、そういうふうに聞いておいていいですか。
  186. 大国彰

    政府委員(大国彰君) さようでございます。
  187. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、何かここに書いてあるでしょう、違うような気がするんだけれども、これは何か……。
  188. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) 補足さしていただきますが、そういうぐあいに私どもとしては非常にセーブしているわけでございますけれども、毎年毎年何がし、少しずつふえていくということは、やはり、ふえる傾向にあるというふうに言えるのじゃないかと思うわけでございます。私どもそういう感じがいたしております。まあそういうふうな表現になったのじゃないかと思いますが。
  189. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 まあそれはそれとして、そこでいまの百八あるそういういわゆる特殊法人というものの審査というか、それは新しくつくるときに審査するということなんですか、その権限としては。そこはどういうふうになっているんですか。前にできているものも審査の対象に今後できるんですか。
  190. 大国彰

    政府委員(大国彰君) これは庁法にも書いてございますように、設置の場合にだけではございませんで、「目的の変更その他当該法律の定める制度の改正及び廃止に関する」ものにつきまして審査をすることになっております。
  191. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、いまのあれでいくと、設立と、それから改正するとか廃止するときの話であって、ふだんのこの状態、運営の実態がどうだこうだということではできないのですか、これは。
  192. 大国彰

    政府委員(大国彰君) この特殊法人全般につきましての調査の権限としては与えられていないわけでございますが、そのうち第二条の第十二号によりまして、行政機関の業務の実施状況に関連いたしまして、監察におきます調査ができる対象をずっと、四十二ほどあがっておりまして、これが大体いわゆる百八の中の主要なものになっておるわけでございます。これにつきましては、調査権があるわけでございます。
  193. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その審査、三十八年の法の改正の審査というのは、そうするとどういうのですか。それといまの調査ですか、それとは具体的にどういうふうに違っているわけですか。
  194. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) 四号の二によります審査の対象といたしましては、各省は、いわゆる行管法人と称しておりますが、行管法人につきましては全部私どものほうで審査する、そういたしますと、振興会だとか会だとか、何々センターだとか、全部私どものほうの網にかかるわけでございます。ただ監察のほうで監察に関連して調査する調査対象といたしましては、大体これは大きなものというようなことで、事業団の名前を持った以上のものというような形になっておりまして、その辺若干設置法上に食い違いがございます。監察のほうではかなり大きなものを対象とするというように相なっております。
  195. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはどうしてそういうふうになったのですか。そうするとここにある特殊法人というふうなものに対するチェックはどこで行なわれるのですか。できるときに行なわれるのはこれはわかりますわね。そうすると、できてしまった後においてはあれですか、大きなものしかできないことになるのですか。
  196. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) それは設置法上の解釈の問題でございますが、監察に関連して調査できるというのは、そういうふうに事業団以上というようなことに従来からなってきているわけでございますが、それ以下のものにつきましても、これは設置法の四条でございますか、四条に規定がございまして、四条の六項でございますが、「長官は、監察上の必要により、公私の団体その他の関係者に対し、必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。」という規定がございまして、その規定によって実際上は調査ができる、資料の提供を求めることができる、そういうふうになっておりますので、実際の仕事をやる部面においてはあまり支障を従来生じていない、こういう現状でございます。
  197. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ただ形の上からいけば、それは協力を求めることができるという形になっているわけですね。だから行政監察の持っている長官の権限とはやはり違うのですね。
  198. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) やはりこれも権限としてはちょっと軽うございますけれども、一応協力を求める権限がある、そういうことでございまして規定といたしましは、非常に民主的な規定であるというふうにいわれているわけでございます。
  199. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 協力を求めるという場合は、協力しなくたっていいわけでしょう、相手は。それに対して別に何もできないわけでしょう、それは権力的にやることがいいか悪いかは別の問題としてね。それはわかりました。そうするといまの特殊法人のいろいろな形の審査、じゃなくて監察ですか、何ですか、そういうふうなものはどういうふうな計画でやっていくのですか、今後は。一々全部やるのですか、百八つのものを。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  200. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 実は現在やっております調査は、これは実は監察としてやっておるわけじゃございませんので、特に百八の特殊法人を全部一応調査しようという趣旨は、先生も御承知のとおりに、特殊法人の整理、総配合ということが非常に問題になっておりますので、その整理、統配合の問題に関連して、それに該当するような法人があるかないか、いろいろな実態をよく見まして、そういうようなものに該当するものかどうかという判断の資料を得たい、こういうことで調査をやっておるわけでございます。
  201. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは具体的にはどうやって調査するのですか。
  202. 稲木進

    政府委員(稲木進君) これはやはり関係の各省、それからその特殊法人のところからいろいろな資料の提供を受ける、またその資料についていろいろな説明を求める、こういうことですね。そのほか関係者のほうのいろんな意見を聞くというような方法でもってやっておるわけでございます。
  203. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 関係の各省を通じてやれば、関係の各省は、これはそれが必要だと言うにきまっているので、必要ないなどと言いっこないのだから、もちろんそれだけではなくて、別のところからの資料なんかも持ってやることはやるのでしょうけれどもね、これはよっぽど――それは、ただ、いまの一つの流行だからという形でそれに、時流に乗ってやるだけでは問題は解決しませんからね。必要性のあるものもあるだろうし、そこら辺のところはよっぽど客観的に見なくちゃいけないことだとは思いますがね。  そこで、この行政監理委員会というのは、いまどういう仕事をしているのですか。これはずっと存在するのですか。
  204. 大国彰

    政府委員(大国彰君) これは委員会の設置法第二条に書いてございますように、行政制度一般に関する基本的事項の企画、それから行政機関の機構、定員及び運営に関する調査、企画、立案、勧告のうち重要なもの、行政機関の機構及び定員の審査方針並びに機構及び特殊法人の新設及び廃止の審査、監察の方針及び基本計画の決定並びに監察結果の重要な勧告事項について審議し、行管長官に意見を述べ、また長官の諮問に答申する、こういうことになっております。
  205. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 長官の諮問に答申するというのに、会長に長官がなっているのは何だかおかしいですね。ほかのところもそういうふうになっているの、みんな、こういうふうな委員会が。社会制度の場合なんか、これは大内さんが会長やっていて、全然別の人でしょう。行管だけはどうして、監理委員会に行管長官が諮問する立場でありながら、そういう諮問機関のほうの会長もやっているのでしょうかね。そういうところからあれじゃないですか、行政管理の対象になるのじゃないかな。
  206. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 監理委員会委員長と行政監理庁長官とが同じになっておりますが、これはこの理由といたしましては二つあるわけでございます。一つは、行政の制度及び運営の改善については、その事柄の性質上閣議の場で議論することを適当とするものが多いわけでございます。したがって監理委員会審議した結論も閣議におきまして十分反映させる道を開いておく必要がありますし、このために行管長官と委員会の長を同じにしたのが第一の理由でございまして、また第二に、監理委員会審議する事項につきましても、内閣の意向を委員に十分に伝えつつ審議することが必要である、こういうことを考えまして、この際両者を一本にしたわけでございます。ほかには現在のところ原子力委員会がこのような形になっております。
  207. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 三十八年に改正になったこの行管設置法四の二ですか、これをまた行政監理委員会では四の二、これを改正をするようにというような意見を出しているのですか、正式な意見、まとまった意見かどうかちょっとあれですけれども、そういうことが伝えられておりますね。いわゆる特殊法人と称せられるものと関連して隠れ法人――隠れ法人というのはちょっと変な名前だけれども、これはだれが言い出したのかわからぬが、いずれにいたしましても特殊法人というものに関連をして、これを行管庁の審査の対象にする必要があるというので、四の二を改正するという意見が出ているのですか。それに対処して行管庁としてはどういうふうにするということになっているのですか。
  208. 大国彰

    政府委員(大国彰君) まあいわゆる隠れ法人ということばを最近、新聞が使っているわけなんでございますが、私どものほうといたしましては、そういう名称は絶対に使っていないわけでございまして、ただ、行管の審査対象になっております法人と比べまして、非常に類似した政府の監督なり助成なりが行なわれております法人がございます。それとの区別をどういうふうにしたらいいかという点が現在問題になっておるわけでございます。そういう観点からいたしまして、現在の法律の二条の四の二の規定のしかたで、十分いわば行管が対象とすべき特殊法人を網羅し得るかどうかという点につきまして、現在検討中でございます。委員会のほうも、そういう面で検討しようというふうな意見になりつつあるように伺っております。
  209. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは、行政監理委員会としては正式な結論を出したんですか、四の二を改正したらいいというようなことの、これはそこまではいっていないんですか。
  210. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) 委員会としては、検討したらどうかということでございまして、はっきり改正しろという結論にはまだ至っていないと思いますが、私どもも非常に区別しにくいものが実際問題としてございますので、どの範囲に限ったらいいのかというようなことを、事務的には検討はいたしておりますが、それで四の二を改正するんだというところまでの結論にはまだ至っておりません。
  211. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは非常に区別しにくいものがあるというのは、具体的にいうと、どういうものがあるのですか。一つ、二つ例をあげて御説明願いたい。いまの四の二の調査対象となるもの、それと区別しにくいものは、どういうものがあるんですか。例はどれでもいいです。いまの貿易大学の問題でもいいし、その他でもいいけれども……。
  212. 大国彰

    政府委員(大国彰君) その非常に区別のつきにくいと申します例といたしましては、行管対象の中には、私立学校教職員の共済組合は、いわゆる特殊法人としてあがっておるわけでございます。公立学校の共済組合は、いわゆる認可法人と申しますか、そういう形でこの百八の中に入っていないわけでございます。
  213. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはどういうわけですか。公立学校共済組合というのは、だいぶあとからできたの。これは地方公務員等共済組合法という法律に基づいたんでしょう。できたときからですか、これはいつごろの話ですか。いまの私立学校の共済組合ができたのと、時期的な関係はどうなんですか。
  214. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) ちょっと時期的な関係は私はっきり記憶しておりませんが、私どもの審査の対象になるということになる前に、たくさん――すでにもう九十八ぐらいたしかできておったと思いますが、ただいま申し上げた例などは、むしろ特殊法人として私どもが審査の対象にすることが、はたして適当なのかどうかというような感じのするものでございまして、どちらに入れたらいいのかということをいま検討しておる段階でございます。したがいまして、現在、私どもの審査の対象になるんだということになっております私立学校のほうをむしろはずしたらいいのではないかというような意見もありますし、それから、地方公務員共済組合みたいなものは、やはり特殊法人としてうちのほうで規定したらいいのだというような意見もございますが、まだ結論に達しておりません。現在といたしましては、当時あるものは全部網羅するような規定のしかたをいたしましたので、そういう点がいまのところはっきりしないという点がございます。そういう点を目下検討中ということでございます。
  215. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 九十八あるというのは、特別の法律による法人で、役員人事に国が関与するものですね。これは、たとえばモーターボート競走会みたいなものが十九ある、それも入れて九十八ですか。九十八にならないような気がするな。
  216. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) ちょっと私のことばが足りなかったかと思いますが、行政管理庁設置法の改正をするときの状態は、すでに九十五から九十八あったと思いますが、はっきりした記憶はございません。そのときにすでにできておったものでございます。いまの私立学校教職員共済組合というのは、すでにもうできておった、こういうものでございます。
  217. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いま、行管庁設置法第二条の四の二による調査対象となる法人、これとまぎらわしいというか、区別のつきにくいものというのが、どの程度あるかということですね。これは四十八というように聞いたんですがね。ところがこれは、行管庁の設置法二条の四が改正になる前からあるものと、それが改正になってから後にできたものと、分けないといけないと思いますがね。そうでないと、ごちゃごちゃになっちゃうんですが、そこの点はどうなんですか。
  218. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 特別の法律で設置されまして、その監督形式が非常によく似ている、特に、役員の任免に関しまして政府が関与しております法人は、お話のように全部で一応四十八あるわけでございます。その中で、行管設置法の改正以後にできましたものは、農業信用保険協会というのが昭和四十一年五月です。それと野菜生産出荷安定資金協会、これは四十一年七月、それだけでございます。
  219. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、この二つのものは、行管庁設置法の二条の四の二による調査の対象から、率直にいえば免れたいというような気持ちというか、そういうようなものを十分考慮に入れてつくったんですか。――ということは、今度、貿易大学と繊維の何かありましたね。あのようなもので一たん行管庁のほうに出したんだけれども、だめだと断わられたので、こういう形をとったんですか、この二つは。そこはどうなんですかね。
  220. 大国彰

    政府委員(大国彰君) いまお話の貿易大学校並びに繊維の構造改善協会でございますか、この二つにつきましては、私どものほうといたしましては、初め特殊法人としての希望で関係省から出てまいりましたが、私どもの判断といたしましては、これは特殊法人としてやるべきではないということで、特殊法人としての設立は認めなかったわけでございまして、これは民間の自主的な形式の法人としてその機能は十分発揮すべきものというふうに申し上げたわけでございまして、それに沿いましていわゆる認可法人と申しますか、特殊法人以外の形式をとっていきたいわけでございます。
  221. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると行管庁のほうで、特殊法人としてはまずいから、内容を変えないで認可法人というものに切りかえなさいというふうなことを親切にあれかな、教えてあげたの、この通産省関係の二つのものを。
  222. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) そういうことではございませんので、私どもといたしましては、特殊法人として認める場合には、これは大体国のたとえば部局に準ずるようなものである、あるいは外局に準ずるようなものである、国の事務をもっぱら処理するものを特殊法人として認めると、こういう考え方に立っておるのでございます。貿易大学校にしろ、それから繊維工業のまあ整備の協会にいたしましても、これは国が直接そこまで手を出さないで、やはり業界の自主的な発意でもってやるべきである。特に貿易マンの養成などというふうなものは、業界が自分で自主的にやるべきではないかというふうなことで、特殊法人であるということをお断わりしたわけでございますが、その結果こういう形で出てきたわけでございますけれども、それは要するに基本的な考え方といたしましては、あくまでも業界が自主的にやる、それに対して国が若干援助をする、こういうふうな形になっておるのが認可法人という形であろうと思いますが。
  223. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはわかりましたがね。そうすると通産省はなぜ特殊法人として新設要求を出したのですか、この二つについて。それは特殊法人というほうが補助金をうんともらえるという形ですか、それはどうですか。
  224. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) 特殊法人になりますというと非常に、何と言いますか、安定したかっこうになるということは事実であろうと思います。国が全面的に手を貸すと、こういうことになるわけでございますので、安定した形になるということは確かにございます。
  225. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 安定した形というのは、具体的にどういうことですか、はっきりしないのですが、どうなんです、認可法人の場合と特殊法人の場合と、補助金の出し方とか、非常に毎年毎年出さなきゃならないような形になってくるとか、あるいは人事の問題についても関与の度合いが非常に違ってくるとかということなんですか。特殊法人のほうが、通産省なら通産省のほうから役人の人が入りいいのかな、そこはどうなんですか。格が上とか、そういうことがあるのですか、特殊法人が認可法人より格が上だというような考え方。
  226. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) もちろん特殊法人のほうが格が上だという考え方もございますし、特殊法人のほうが国の監督が厳重行なわれるということがございます。したがいまして、困ったときには国に全面的にめんどうを見てもらえるだろうという期待が当然あると思います。
  227. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで農林省のいまの二つの農業信用保険協会ですか、それと野菜生産出荷安定資金協会、これはどういうことでできたのですか、これは法律の根拠にそれぞれありますのでわかりますが、このことは行管に対しては話があったんですか。
  228. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) 私そのいきさつよく存じないのでございますが、認可法人になりますと、事前に承認の手続とか何とかがございませんので、ちょっといきさつわかりかねますが。
  229. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そういう質問じゃなくて、いま言ったように、通産省関係の二つは特殊法人として新設要求が出て、行管で話があって、行管のほうで、そいつはぐあいが悪いからというようなことで、ぐあいが悪いという意味いろいろあるけれども、そうしたので、認可法人にしたというのでしょう。だから、農林省関係の二つをこの特殊法人にしたいというような意味の話が行管にあったのかどうかということなんですが、それで都合が悪いと言われたので、この法律の中での認可法人という形をとったのか、そこら辺のところの経過がはっきりしないものですからお聞きしているわけです。
  230. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) やはり特殊法人としての申請があったわけでございますが、一応お断わりしたといういきさつになっております。
  231. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その特殊法人としての申請のあった農林省側の言い分は、どういう言い分ですか。いまは農林省設置法がかかっているので、ちょうどいいときだから。
  232. 岡内豊

    説明員(岡内豊君) ちょっといま手元に資料がございませんので、至急取り寄せまして……。
  233. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは松平長官にお尋ねするのですが、まだほかにいろいろ質問があるんですが、時間の関係等もありますから一応お聞きしておきたいのは、行政改革に取り組む行管長官としての決意というか、今後のプログラム、それをどういうふうにしていきたいというふうにお考えになっておるかということをお尋ねするわけなんですが、具体的には何かこう総理を先頭にというか、行政改革閣僚協議会というのをつくってやるとかいう話も伝っておるし、それがどういうふうになっておるかということ、今後どういうふうに進めていくのか、こういうようなことをお聞きしたいわけです。
  234. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) まず最初に行政改革閣僚協議会の問題に関しまして申し上げます。  ただいま御承知のとおり政府部内におきましては行政改革本部というのがございまして、これは昭和三十八年に設立されましたものですが、これは次官クラスの方々が集まりまして、臨調の答申を推進する役目をもって仕事をやっておる組織でございますが、やはりこの行政機構改革に関しましては、さらにまた一段上の見地から判断しなければならない問題がございますので、行政監理委員会あるいは衆参の内閣委員会等の御意向もございますので、総理と御相談いたしまして、近く行政改革閣僚協議会を設置する運びになっておるわけでございます。大体来週あたりの閣議でもってそれを決定していただくということになろうと思います。  その内容は、総理が議長になっていただいて、そうして行政改革本部に出ております次官クラスの――庁も出ておりますが、その庁の長官が、まあ長と申しますか、大臣がメンバーになっていただく。そうして、必要に応じて自由民主党の役員がこれに加わるというような形で、これを運営してまいるということでございます。いま行政管理庁といたしましては、先ほど来お話がございました百八の特殊法人に対する整理統合の問題に関しましては、作業をやっておりますが、同時に部局の統廃合に関しましても、当庁の行政管理局を中心にいたしてやっておるわけでございます。いずれも八月末までにわれわれの調査結果を出すという考え方で、いま鋭意作業を続けておるわけでございます。私といたしましては、最小の行政費でもって最大の効果をあらわすような行政機構改革をいたすべく、今後最大の努力を払い、また勇気を持ってやる覚悟でございます。
  235. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 時間の関係もあるものですから、実はいま言った隠れ法人と称するものの具体的な内容なり、それと行管庁設置法との関係、将来のこの関係等についていろいろお聞きしたいわけなんですが、実はこの中に日本銀行なんか入っているのですがね、それは日本銀行を行管が審査の対象にしようなんといったらたいへんな抵抗が起きるだろうと思いますが、ここにいわゆる隠れ法人と称されるものがすべてが同じようなものじゃないし、それといまの設置法との関係もあるし、それから内容をやはり吟味していかないというと、ただ拡大してやれやれ、やれやれというのも、非常にラフな話ですからね。そこら辺のところを一つ一つ聞きたかったのですけれども、それと許認可の問題なんかについても、許認可はこれはほんの一部分なんじゃないですか、全体の中のですね。答申が指摘したのは、三百七十九件あるでしょう。百二十七件について措置が講ぜられたというけれども、そのほかに今度二十五件のものが出ているのですが、そこら辺はまたゆっくり聞きたいと思いますが、個別的に。全体としては許認可はどうなんですか。残っているものはどの程度あるとか、その辺はどうなんですか。
  236. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 許認可の問題についてお答えいたしますが、いま先生がおっしゃったように、臨調がこの許認可制度を廃止するとか、あるいは許認可をやめる、あるいはその権限を下部のほうに委譲するとか、あるいは現在の許認可というような強い補制をもう少し緩和したらどうだろうというようなことで指摘しました件数が、先生のおっしゃったように三百七十九件でございますが、それだけあるわけでございますが、そのうち、行政管理庁としましては、一応この臨調の改革意見をなるべく早期に実現するようにということで、過去二回にわたって監察、調査、各省との話し合いを進めてきたわけでございます。大体この許認可と申しましても、法律にはっきり書いてある許認可のものもありますし、行政措置、いわば政令だとか省令、あるいは各省の通達等でもってやっている許認可の問題もございます。臨調が指摘しましたのは、その両方を含めての件数でございますが、いわゆる政令以下によって縛っております許認可は、ほとんど臨調の指摘しました件数の七割まではすでに改善措置が済んでおるわけでございます。法律関係の許認可が比較的おくれておりまして、現在までにまだ一八%くらいしか実現していないわけでございます。ほとんど残っておりますのは法律関係のものが大部分でございますが、この法律関係の問題がおくれておりますので、私ども各省にこの推進をはかって実は監察をいたしまして、この三月に勧告をしたわけでございますが、その勧告した中で、各省がこの勧告に同意をしてくれたものをとりあえず今国会に改正法律として出したい、こういうことで進めたわけでございます。この件数が二十五件でございますので、比較的全体の件数からしますと少ないわけでございますが、その他の残りの問題につきましては、各省としましての意見は、これを廃止または規制の緩和その他の方法をとることについて、趣旨には必ずしも不賛成じゃないけれども、もう少し日時をかしてもらいたい、準備その他の関係もあるのでもう少し待ってくれというものが相当ございます。私ども、中には、臨調はそう言っておりますけれども、自分の省としてはどうも廃止することは困るというものもかなりございます。私どもは、まずできるものから逐次やっていこうというかまえで、一応行管は各省の意見の一致したものだけを今回の許認可整理法案でもって国会のほうに御審議願おうと、こういうことにしたわけでございまして、残りの問題につきましては、さらに引き続き各省と話し合いを進めていく、これが改善の実現方を促進してまいりたい、かように考えております。
  237. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その点に関連をして、行管としては処理をしても格別の支障がないけれども、関係省庁としては処理が困難だというふうに言っているのは、法律関係が二十四件、政令以下が十件ですか、これは厚生省、通産省、農林省が非常に多いわけですが、その他もあるようですが、いずれにしてもこれについては、この次に一つ一つ関係各省の局長クラスを呼んで、行管はこういう意見だが、あなたらはどういうわけでこれは困るのだということを一つずつやっぱり聞いていったほうが、非常に勉強になって、皆さん方にもいいと思いますから、皆さん方というのは、議員の方にも非常にいいんじゃないか、こう思いますので、そういうふうに進めたいと思って、きょうはこの程度にしておきます。
  238. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先般長官からこの法案に対して提案理由の説明を承ったわけですが、そこで以下その御提案の要旨に基づいて二、三御質問を申し上げたいと存じます。  そこで、提案説明の順序に従ってお伺いするわけですが、最初にお伺いしたいのは、これについての整理については、大体戦後一般の行政改革とともに、何とか行管はいわゆる行政改革は試みられてきたわけですが、ところが実際にはなかなかそれが行なわれなかった。その後臨調の答申が出されたわけですけれども、その臨調の答申が出たあとでもほとんど実現を見ていないということは、過言ではないと思うのです。もちろん、政令とかあるいは省令などによるものはある程度実現されている。これは私ども認めているわけですが、ただ法律によるものは比較的少ないということもこれまた事実であろうと思います。  そこでお伺いしたいのは、これまでの整理の進捗状況ですね、一体どういうようになっているか、ごくかいつまんで概要だけでけっこうです、詳細は要りませんから。
  239. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 数字的に申し上げますと、臨調が指摘しました許認可の件数は三百七十九件でございますが、その中で法律改正を要するものが二百十九件、政令以下の行政措置でできるものが百六十件という数字になっておりますが、今日までと申しますか、これは昨年の暮れまでの統計で調べた結果でございますが、政令以下の行政措置で改善できるものは、すでに百六十件のうち百十二件、比率にしまして七割までが改善措置をとった、終わっているわけでございます。その後、先ほどもちょっと申し上げましたが、私どものほうで監察して勧告いたしました件数が、これは一応期限を切りまして六月末までにひとつ処理してくれということで勧告をした件数が二十一件ございます。これはつい最近調べたものによりますと、この二十一件の勧告事項のうち約半数はすでに私どもが仕切った期限までに改善措置をとっており、残りの半分くらいはちょっとおくれておりますけれども、大体近いうちにこれは手直しをしてくれるというふうに考えております。  法律関係の案件は、臨調指摘件数二百十九件のうち、昨年の暮れまでに四十一件がすでに法律改正の手続が終わっております。残りがまだかなりあるわけでございますが、百七十件くらい残っておるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げました私どもの行政監察の結果、四十四件は早急に今国会にひとつ改善の法律改正の手続をとってもらいたいという勧告をいたしたわけでございますが、実際の歩どまりとしましては、先ほど申し上げましたように、各省の確約を得たものが二十五件でございます。ところが、この二十五件のうち、今度の許認可整理法に載ったものは二十件でございます。その残りの五件は、各省がそれぞれ独自にその法律についてほかの問題で法律改正の提案を国会にいたしております。その中に織り込むという形で出そうという話し合いになりまして、二十五件のうち二十件は整理法に載りましたけれども、残りの五件はそれぞれ各省から提出する改正法律案の中に載せる、こういうことに話し合いがなっておったのでございます。で、四十四件を今国会で改正する手続をとるようにということで各省に勧告いたしました結果が二十五件にとどまった。したがって、まだ二十件ばかりが実は勧告しましたけれども今国会に提案にならなかったということにつきましてはいろいろの理由がございますが、実はまだそこまで関係の省としては手配がどうしても進めかねるというようないろいろな事情もございますし、またその手続をとる前の段階として、たとえばその省の審議会等があって一応そこにもわたりをつけなければならないとか、あるいはその省だけではできないので、ほかの省と話し合いをする関連の省があるので、それとの話し合いをするまで待ってもらいたいとか、いろいろな事情がございまして、実は載らなかったわけでございます。そういうのが現在までの進捗状況でございます。
  240. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の許認可等の整理については、この法律案によるものと単独法案によるものと大体分かれておるようですが、この法律案によるものの中には、たとえば予約出版法のように、いわゆる法律そのものを廃止する分まで含まれておると思うのであります。そこでお伺いしたいのは、単独法で提案されるものと本法律案との二つに分けたその理由は一体那辺にあるのかという質問にお答えいただきたいと思います。
  241. 稲木進

    政府委員(稲木進君) これは特別な理由があるわけではありませんが、たまたまその省として、法律改正のほかの問題、許認可以外の問題で法律改正の提案を国会にするということで、そういう機会があるから、そのときにその中に許認可の問題を含めてひとつ出したい、そのほうがかえっていいのじゃなかろうかということでございます。この整理法に含めました二十件の許認可は、実はこの許認可の問題以外に改正を要する条項がございませんので、したがって、その許認可の問題だけについて各省がばらばらに国会に提案をするということよりも、むしろこういうような一括整理法案に載せたほうが非常に作業の手続として簡便になるというような事情もございますし、またこれは、こういうことを申し上げるのはあるいは適当でないかもしれませんが、一つの許認可事項のためにその省が国会に改正法案を出すということはやはり国会のほうに出す議案の数が非常にふえるというような事情もありますし、いろいろな事情をしんしゃくして行政管理庁が各省の取りまとめをやった、そうしてこの法案を国会に出した、こういう事情でございます。
  242. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法律案による許認可等の整理を見ますと、比較的容易なものばかりのように見受けられるわけです。そうだとすると、そういうやさしいものばかり含まれておるとすると、もっと早い時期にこういうものが出されてしかるべきだと思うんですけれども、だいぶおくれておるわけですね。もっと早目に――むつかしいものがあれば、そのことでいろいろ交渉で準備もあろうし、時間がかかったであろうけれども、この法律案による整理については、いま申し上げたように、非常にやさしいものばかり、容易なものばかりと言って過言でないと思う。そんなら、もっと早く、さっさとできたと思う。何かそれには、それを今日にまでもたらした何か支障というようなものはどういうものなのか、そういう疑問が、私でなくても、当然出てこようかと思うんです。その点はどうなんです。
  243. 稲木進

    政府委員(稲木進君) いろいろの理由があると思いますが、先ほども申し上げましたように、国会に法律改正案を出す、しかもその中身がある特定の許認可の問題だけにしぼられる、そういうような法案を出すことは、何といいますか、必ずしも積極的でないような気持ちもあるんじゃないかと思いますが、それはともかくとしまして、私どもとしましても、許認可の整理を――それからもう一つ申し上げることは、これはやはり国会に提案される法案の数が非常にふえるといいますか、各省が一つ一つの許認可について出しますと、たとえばこの一括整理法案として出しますと、これは法案一件として御審議いただけるわけでございますが、やはり二十件の改正法につきまして、それぞれ関係法律が、これだけでも約三十くらいの法律改正を要するわけでございます。そういたしますと、改正法案の数がやはり三十の法案になるわけでございます。そういうこともありますと、やはりこれは政府の方針としても、法案の数をなるべくしぼろうというような内閣の意向もあるわけでございます。そういうような問題と、先ほど申し上げましたように、やはりその許認可だけでもって改正法案を出すということについて必ずしもまあ各省がそう積極的に乗っかってくれないということもありまして、実は昨年この委員会でも御審議願いましたが、審議会の整理に関する法案というものがございました。ああいう形を実は初めて昨年とったわけでございます。ああいう形でやれば、許認可の整理も促進されるのじゃないか、こういうふうに考えまして、実は許認可にも昨年とりましたこの同じような方法を考えたわけでございます。
  244. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この整理が予定どおり行なわれたと仮定しても、この法律によるものは、いろいろ御答弁の中にございましたが、臨調の指摘したその数からいうと、ほんの一部分であるわけですね。これはもちろん、いろいろ説明の中にもありましたけれども、各省庁事情もあったろうし、あるいはまた関係業界の圧力もあったと思うんですね。いずれにしても、どうもまことに遺憾のきわみだと言わざるを得ないわけですね。そこで、たとえばいま各省庁のいろいろな事情、あるいは関係業界の圧力もあったと思うんです。そういう真意をひとつ率直にお聞かせいただきたいのですが。
  245. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 今回提案いたしましたこの一括整理法に載っている許認可の問題につきましては、業界の抵抗とか、そういったふうなものはございませんでした。したがって、話し合いのついたこの二十件につきましては、関係各省と非常に順調に話し合いが進んだ。実はそういう意味で、私どもはかような、国会に対する提案のしかたというものをもう少し早く気がついてあっせんをすれば、先生が先ほどおっしゃったように、こういうそうたいした中身の問題はないじゃないかと、もっと早くやれるのじゃないかというような先生の御期待なりにあるいは沿い得たのではないかというふうに現在反省をいたしておるわけでございます。
  246. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この許認可等の改革を推進するためには、臨調の答申にもあるように、その意を帯してこれを各省庁において自主的に努力しなければとうていこういうことは望めない。そういう意味のむろん手は打たれてあったと思うのですけれども、そこでこういう総括的な部局でまとめて推進すると、そういうことがはたしていまの情勢下の中でできるものであろうか。過去の事例からいうと、先ほど一部指摘申し上げたように、なかなか過去の行革では行なわれなかった。臨調ですら、先ほど申したように、これもはかばかしくいかなかったという、きわめて困難な事態が続いているのですね。この点については、よほど抜本的な手を打たないと、なかなか言うべくして行なわれないと思うのです。行管でもずいぶんその面では苦慮していると思うのですけれども、結局問題は、各省庁がこのことを自覚して大乗的な立場でどんどん国全体の行政改革という視野に立ってやらないと、実現なかなか困難なことになろうかと思うのですがね。この点は、行管としてはどうお考えですか。
  247. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 行政改革の問題は、御指摘のとおり、各省庁が自発的にやることが好ましいのでございまして、私どもから勧告を受けるというようなことがある前に、自分のところの省庁にむだがないかということを反省しながら、先ほど申しましたような効率のよい簡素化した組織にする、あるいはまた、運営面においても、また人事の面においても、そういった配慮が必要であるということは、全く御指摘のとおりでございまして、私どもも同様に考えております。
  248. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 臨調の答申によりますと、国民生活に関係の深い法律約五百四十を選んで、これによる許認可等をすべて拾い上げてリストをつくると、その数は約八千件という意味のことがあるわけです。この八千件のうち約二千件は、廃止統合、あるいは委譲、規制の緩和等の措置を講ずる必要があるとしているわけですね。したがって、臨調が例示した指摘事項三百七十九件全部を整理したと仮定しても、まだ整理すべきものが数多く残されるということになるわけですね。こういう残されるのがはるかに多いわけですから、こういう事態に対して行管としては今後どのような対策をお考えになっておるか、この機会に承っておきたいと思います。
  249. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 臨調が具体的に許認可の名前をあげて指摘しましたのは、先ほど来出ております三百七十九件でございますが、それ以外に全体約七千七百件、まあ八千件近くの許認可があって、二千件ぐらいは整理統廃合ということを、あるいはそのほかの改正措置を要するというようなことが一般論として書いてあるわけでございます。その点、先生のまさにおっしゃるとおりでございます。実はこの約二千件の廃止統合、その他規制の緩和とか、あるいは運営を改善する必要があるというふうに出ておりますのは、この二千件という数字は、臨調がいわゆる国民のいろいろな声をできるだけ吸収しようということで、各界各層に対していわばアンケート的に意見、要望の提出を求めたわけでございます。そこに書かれてあった数字を集計したものが大体約二千件というふうにわれわれ理解しておるわけでございます。したがって、二千件という数字がそのままいわゆる一応国民の意見、要望としてあがってきているが、実は臨調もこれについては実態の調査というものは何らしていない数字でございます。しかし、少なくとも国民の声としてそういうふうにあがったものが二千件ぐらいあるということでございますので、私どものほうとしましては、臨調が具体的に許認可の名前をあげて指摘しました三百七十九件は、これは当然に改善を早急にやらなければならないけれども、それ以外のいわゆる二千件についても、できるだけこの国民の声を行政改善に反映させるという趣旨で、実は昨年の暮れにこれをずっとこう整理しまして、そうしてこれはやはり一ぺん調べてみる必要があるのじゃなかろうかというように一つ一つずっと当たりまして、その中でまず早急に調べてみたいと考えます約百数十件のものを昨年の暮れから行政監察として調査しております。この点につきましては、まだ調査した結果がまとまっておりませんけれども、やはり臨調の指摘しました三百七十九件に準じて今後各省に必要な事項については改善措置を勧告したい、かように考えております。
  250. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最近、公団とかあるいは公庫の問題が非常に大きく取り上げられて、世間の批判を受けているわけですね。こういう特殊法人の統廃合とかあるいは運営の改善、こういうことについても、政府としては現在どの程度の検討を進めておられるのか、またその見通しについてもこの機会に承っておきたいと思います。
  251. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 特殊法人の現存いたしております百八に対しまして、統廃合を対象といたしましてただいま検討いたしておりますことは、御承知のとおりでございまして、この調査は、来年度の予算の編成が始まります八月末を目途といたしまして調査を終了するようにただいま作業を鋭意進めているわけでございまして、一応百八に対しまして大体の調査がいまできたというところでございまして、これからまたそれを基礎にいたしまして、さらに各省庁なり、あるいは当該の特殊法人からもいろいろ資料を提出してもらい、あるいは事情を聴取して、もうちょっと内容のある調査結果を求める段階になっておるわけでございます。大体いまの進度で申しますれば、八月末には一応の行管としての結論は出る見込みでございます。
  252. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特殊法人としていわゆる新設要求が認められなかったもので、各省庁の認可だけで設立されているものもあるわけですね。いわゆる認可法人が約三十ほどあるようですが、これについては、今後政府としてはどのように対処していかれるつもりなのか、このことを承っておきたいと思います。
  253. 大国彰

    政府委員(大国彰君) ただいまいわゆる認可法人というおことばがあったんでございますが、行管の特殊法人ということばも、これは法律には載っておりません。行管の対象にいたします法人ときわめて類似した政府の監督なり助成なりを受けておる法人が相当数あるということは事実でございます。先ほど三十近くとお話がございましたが、私どものほうでは特別の法律に基づいて設立された法人でございまして、その役員の任命につきまして政府が特に強く関与しておりますものを拾いますと、現在四十八あるわけでございます。これはそれぞれの法律に基づきましてそれぞれの使命を持って設立されたものでございます。したがって、いわゆる隠れ法人ということばは少し当たらないわけでございます。ただ、監督の形式なり助成のやり方等におきまして、行管の扱っております特殊法人ときわめて類似した点がございますので、これを私どもといたしましてどういうふうに考えるべきかという点を実は検討しておる最中でございます。
  254. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、この機会に資料の提出をお願いしておきたいと思うのですが、これらの隠れ法人の一覧表ですね、それと、関係各省からの天下りあるいは出向者について、各法人ごとにその詳細を資料として提出願いたい。これはその資料によってまたこの国会で質問するとか、そういう意図ではないわけです。日ごろ不勉強ですから、そういう資料をこの際いただいて、今後勉強の資料にしたいと思いますので、そういう意味でお願いするわけです。それでよろしゅうございますか。
  255. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) ただいま隠れ法人というようなおことばがございましたが、たびたび申し上げますように、行管といたしましては、隠れ法人ということばは全然今日まで使っていないわけでございまして、各政府委員から御説明申し上げましたとおり、四十八あると申し上げましたのは、先生御承知のとおり、われわれ特殊法人と申しておりますのは、行管設置法の第二条一項の四の二に当てはまるものでございまして、それ以外のもので、特例の法律によって設立された法人で役員人事に国が関与するということで、四十八摘出しております。その表を差し上げるようにいたしたいと思います。  なお、あと人事のほうは、政府委員から御説明申し上げます。
  256. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昭和三十八年八月には行管長官を本部長として関係事務次官等で構成する行政改革本部が構成されたと思うのですが、三十九年に出た臨調の答申の趣旨は、当面の処理方針を決定されて行政改革を積極的に推進する、そういう姿勢が示されたと思うのです。その後行政改革を積極的に推進しているように見受けられれば問題はないのですが、それがどうも見受けられないわけです、私どもの目から見ると。はたしてどの程度の成果をあげてきたと行管ではお考えになっておられるのか、本部長としての行管長官に承っておきたいと思うのです。
  257. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 先ほども稲葉委員から同様の趣旨の御質問がございましたのですが、先生も御承知のとおり、臨調の答申というのは非常に広範にわたっておりまして、御承知のとおり、十六項目にわたっておりまして、したがって、一言でもってどのくらいの成果があがったかというようなことをちょっと申し上げるわけにはまいりませんが、しかし、個々に関しましては、たとえだ、ただいまおことばの中にありました、またただいま御審議を願っております許認可の問題等は、今度この法案を通していただけば、五二・何%、半分以上できるのでございます。しかし、別な面において、全然まだ手のつけられないというものもあるわけであります。総じて、やはり先生の御指摘のように、たいした効果があがっていないというのがまあ率直な私の感じでございます。
  258. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この国会もそうでございましたが、大体当委員会で多くの設置法の改正案が出るわけです。そのつど設置法の審議の際に、その庁なり省なりの大臣、長官に対して、私はほとんど例外なく、大臣は、あるいは長官は臨調の答申に対してどのようなお考えをお持ちですかと伺ってきたわけです。そうしますと、これはもう異口同音に、てにをはは違いますけれども、要旨はみんな同じで、臨調の答申は尊重いたします、そういうことである。さて、各実際の個々の問題について各省庁のそれを一通り検討してみたわけです。で、自分は自分なりに一覧表をつくってみたわけです。そうしますと、機構の拡大とか、あるいは権限の強化、こういうことについては、ほとんど例外なく各省庁は賛成の意を表しておるわけです。ところが、それとは逆に、機構の縮小とか、権限の弱小化、こういうことには、これまた各省庁例外なく反対の意向を明らかにしておるわけです。私は行政改革のガンはここにあろうかと思うのです。実はここにあろうかと、私は私なりに考えておるわけです。こういうことではとうてい行政改革を推進することはできないと思うのですね。まあほかにもいろいろ要因はありましょうけれども、どうも実際問題として、臨調の答申は尊重いたしますと、そのことばどおり実現されておればいいんですけれども、   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 国家全体の行政改革という現野に立たないで、いわゆる代表的立場に立たないで、所属の省あるいは庁だけの狭い視野で自分の省の、あるいは庁の機構が拡大することは、ほんとうに例外ないんです、みんな賛成です。その逆もまた真なり。機構の縮小、権限の弱小については、また例外ないわけです、みんな反対なわけです。繰り返し申し上げる必要はないわけですけれども、この辺に行政改革がなかなか遅々として進まない大きなガンがあろうかと思うのですね。これをことばをかえて言うと、いわゆる各省庁はなわ張り根性を依然として持っているわけです。現に前の国会でこの委員会である大臣に、名前をあげる必要はございませんが、いまと同じようなことを質問したら、おっしゃるとおりなわ張り根性がございますとはっきり答えた大臣もおったくらいに、ことほどさように、そういう卑近なことばで言うと、なわ張り根性が依然として続いておるわけです。これを打開しない限り行政改革の実は上がらぬと、そういうふうに私は考えておるわけです。そこで、ひとつ行管長官としてのお考えは一体どうなのか、私の言うことは間違っておるかどうか、こういう点についてひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
  259. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) ただいまの伊藤委員の御意見は、私も全く同感に思っております。しかし、これはただそういうふうに感じておっただけではだめでございまして、微力ではございますが、私は少しでもそれらの問題を解決するように今後努力いたす考えでございます。つきましては、いまこの問題は、あらゆる力を結集しなければなかなか行政機構の改革というのはむずかしい問題でございまして、総理を中心といたしまして、先ほどお話し申し上げましたような閣僚協議会をつくりまして強力に推進すると同時に、各閣僚が国務大臣という高い観点からこれをまたさらに協力していただく。また、国民の世論を喚起して、国民の厚い壁でもって役人の壁を破るということも考えられます。私はやはり国民の世論が一番力になると思うのでございまして、その国民の世論を起こすためには、行政の実態をやはり国民がよく知っていただいて、どこにむだがあるか、どういうところにいいところがあるかということをはっきり知っていただいてこそ、正しい世論が出るというふうに考えております。そういった意味におきまして、私どもといたしましては、逐次行政の実態を知らせると同時に、たとえば行政監理委員会でもって昨年から出しておりまする行政改革の現状と課題といったようなものを毎年必ず出しまして、しかもなるべく読みやすいようにして国民にこういった行政の実態を知っていただくというようなことも一つの方法じゃないかと思います。そうして、ほんとうに国民のために、国民の中に飛び込んでおるような行政の姿にするというふうに私はしたいというふうに考えております。
  260. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 長官は六月の末ごろ、行政改革の実効を期すためには、現行の行政改革本部をもってしてはなかなか成果があがらぬ、あげがたいと、そこで関係閣僚協議会を設置すべきである、そういう意味の提唱があったやに承っておるわけです。そうだとすると、これは総理の裁断で、その後現実に設置されたのかどうか、もし設置されたとすると、その構想、いわゆるメンバーとかあるいは運営などについて、この機会に承っておきたいと思う。もしいまだそれを見ていないということであれば、この方法、今後の見通しはどうなのか、こういうことについて承っておきたいと思う。
  261. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 行政改革本部が力がないからというようなお話でございましたが、私どもは非常に今日まで行政改革本部もこの行政改革に対しましては非常な功績があったというふうに考えておるわけであります。しかしながら、行政改革という問題は、閣僚ベースでもってやはりきめなければならないような大きな問題もあるわけでございまして、それには閣議ですぐ直ちに持っていって審議を願うということもなかなか実際的には困難でございますので、官房長官並びに総理とも御相談いたして、閣内に行政改革閣僚協議会というものを設置することに大体了解を得まして、来週の閣議において御決定いただこうと思っております。その内容は、総理大臣を議長といたしまして、各閣僚は行政改革本部にただいま次官のクラスの方々が出てやっていただいておりますが、そこの行政改革本部員の長である大臣がメンバーになっていただくということでございます。そのほかに必要に応じて自由民主党の役員がこれに出席するという構想で大体まとまっているわけでございます。
  262. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、審議会等の整理について、昨年度はもとより不十分であったと思いますけれども、ある程度整理されているわけですね。そこでお伺いしたいのは、本年度はどういうことになるであろうか、本年度はこれからどういうことになりますか、そういう点について伺っておきたいと思います。
  263. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 審議会の整理につきましては、引き続き作業をやっておるわけでございまして、まず第一に審議会の整理の基準をどういうふうにしたらいいかということを検討いたしまして、行政改革本部の承認を得ましたので、近くこれも閣議にかけて正式に決定してもらうという考えでございます。それと並行して、実質的には現存する審議会を当庁におきまして調査をしておるわけでございます。これも次の通常国会には御審議を願えるような段取りを目途にいたしまして、審議をいたしておるということでございます。
  264. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 行管では、この審議会等について、大臣の顧問格のものを各省庁に一つ、それから技術的な専門知識に関するものを各省庁の局に一つ、それ以外は認めない、このような基本構想を示して、来年度から抜本的な改革に乗り出す、そういう方針のようでありますが、はたしてそういう方針を確立されたのかどうか、もしそういう方針を確立されたといたしますならば、私どもとしてはかような抜本的改革が期待できると考えておっていいのかどうか、また、そうであるとするならば、来年度と言わず、善は急げで、なぜ本年度からやらなかったのか、こういう幾つかの点についてあわせてお答えいただきたい。
  265. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 審議会の今後の整理につきましては、ただいま長官から申し上げました線で検討中でございまして、お話の出ましたように、各省庁に一つあるいは二つというふうな点につきましては、そういう意見もあることはあるのでございますけれども、行管といたしましての意見としては、まだ固まっておりません。そういう点も考えておることは事実でございますが、現在のところは運営の適正化という方面で検討しておる最中でございます。
  266. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、大体私に与えられた時間がもうないようでございますので、最後に一点だけ長官に御要望申し上げたいと思うのですが、やはり何といっても、行政の民主化とか、あるいは簡素化、あるいは効率化、行政改革によってこういう成果をあげるためには、行管の長官の立場というものはなかなかもって容易でない立場だと私どもかねてから考えておるわけです。そこで、これは行管長官にひとつ、いままでも勇気を持ってやってこられたと思いますが、さらに一段と勇気を鼓して、まっしぐらに、大乗的な立場で行政改革に邁進していただきたいと思うのです。やはり臨調の答申が短時間に早急に実現するのが望ましいわけでありますけれども、それはなかなか容易でないわけです。いままでそういう長年の間のいわゆるなわ張り根性とか、いろいろ厚い壁があるわけでございますから、そういう点に、あなたがせっかくそういう立場にある最高責任者としていま立っておられるわけでありますので、ひとつ勇気を持って、さらに一段と真剣な取り組みをしてもらいたいということを最後に強く要望申し上げまして、その要望に対して、要望だから答弁要らぬわけですけれども、決意のほどを承って私の質問を終わりたいと思います。
  267. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) ただいま伊藤委員から非常に心のこもった御激励のことばを拝聴いたしまして、深く感銘いたしておる次第でございます。私微力でございますが、私のあとう限りの力をふるって、この行政改革の問題に関しまして力を注いでまいる覚悟でございます。どうか各委員におかれましても、この上とも力強き御支援を賜りますようお願いいたしたいと思います。
  268. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 行政改革ということにつきましては、これはただいま同僚の伊藤委員からもお話がございましたように、私ども非常にこれに対しては関心を持っておるわけでございますが、本法律案審議いたします前に、行政改革に対する基本的な考えをちょっと承りたいと思います。先ほどからお話があっておりますように、臨調答申が三十九年に出ておりますが、なるほど十六項目の膨大な何でございます。どうも私どもが考えるところと、その責任者である皆さんのお考えが、非常に隔たりがあり過ぎる。といいますのは、非常に安易なものにはよく手をかけられておるように見えますけれども、少し複雑なものになるというと手をかけない、どうもそういうようなきらいがある。今回のこの許認可の問題にいたしましても、当然これは私が内容を拝見してみまして、これくらいのことならばすぐできそうなものだと、一番これは簡単なものだと思うものですらも、ようやくいま出てきた。もっと大事なことがあるはずだ。いま伊藤委員からもお話がありましたように、根本的な行政改革の真髄といいますか、機構改革、あるいは行政機関の統廃合の問題とか、少し問題が大きくなるというと、全然それにはだれも手をつけない。しかも、答申は尊重する。一体どういうところに困難性があるのか、私らの考えと長官のお考えが非常に隔たりがあるのかないのか、その点をもう少し率直に、どういうわけで今日までできないか、たとえば、先ほどから言っておられましたような公社公団の問題にしても、あるいは審議会の問題にしても、われわれが望んでおる幾ばくもそれが実現できない。率直なひとつ長官のお気持ちを漏らしていただきたいと思います。
  269. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 御承知のとおり、佐藤内閣は、行政機構改革というのは重点政策、重大政策と申しますか、重要な政策の一つに掲げておるわけでございまして、佐藤総理といたしましても、行政機構改革という問題に関しましては、きわめて積極的な態度をとっておるわけでございます。しかし、御承知のとおり、先ほど来申し上げておりますように、臨調の答申をわれわれといたしましては、尊重して、その実現をはかるべく努力をいたしておるわけでございますが、何ぶんにも広範かつ現行の法律なり規定関係する問題でございますので、なかなかはかばかしく実行に移せないことは事実でございます。しかし、行管といたしましては、臨調の答申に従って勧告をいたして、そして各省庁の協力を求めて、この実現をはかるべく今日までやってきたわけでございまして、決して、行管庁といたしまして、行管庁自体が非常に臨調の答申と違ったような姿勢で立ち向かっているというわけではないのでございまして、ただ結果的には、勧告をいたしました各省庁の同意を得られなかったために、今日まではなばなしい成果をあげられなかったような次第でございます。しかし、去る三月七日に閣議でこの点を取り上げまして、行政組織等の簡素化という問題に関しまして閣議の申し合わせができまして、最小の行政費による最高の能率の発揮を目ざす行政の基本姿勢にかんがみ、臨調答申の趣旨に基づいて積極的に部局、特殊法人の整理再編成を推進するという申し合わせができたわけでございまして、総理もこの点に関しましては、さらにつけ加えまして各省大臣の積極的な協力を求めることの発言をした次第でございまして、内閣の考え方といたしましては、行政機構改革というものに対しましてはきわめて前向きな姿勢でこれに取り組んでおるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、現行の組織なり法規なり法律なりに関係する問題、あるいは財政の問題等も出てまいりまして、抜本的にはなかなか成果があがらなかったことは事実でございますが、今後はさらに力を注ぎまして、この臨調の答申に沿うような成果をあげたいというふうに考えております。
  270. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 いま従来の長官を私どうこうと申し上げるのじゃありません。従来の長官はみなりっぱな方でございましたが、どうも結果は龍頭蛇尾で、たいへん熱心に取り組むようなお話はいつも承りますけれども、結果においては龍頭蛇尾に終わっている。今回の松平長官は、たいへんまじめに、ほんとうに真摯な態度とあなたのそのおことばは私は承っております。今回はほんとうにわれわれが期待しておるようにいくのじゃないか、私非常に期待を持っていまの御答弁を承ったわけでございますが、これは国民がひとしく望んでおることでございまして、先ほど長官が、行政改革は国民の世論が大いにあずかって力があるんだ、まことに私も同感でございますが、臨調の答申は十分私は世論を代表しているものであると解釈しますが、その点長官の御答弁を願いたい。ちょっと私はふしぎに思ったから、その点ちょっと。
  271. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 臨調の答申は民意を代表したものと思うがどうかという御質問でございますが、これは御承知のとおり、佐藤喜一郎会長はじめ皆さん民間から出ておられまして、十分民意を代表される方々が集まってこの意見をつくられたわけでございます。したがって、民意なり国民の世論を代表しているものと私も考えるわけでございます。
  272. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 さすれば、この行政改革の実をあげるには、国民の世論が第一だと先ほど長官がおっしゃったことは、私もそのとおりと思いますが、そういたしますなれば、臨調の答申は、これは世論を代表して余すところがないと私は解釈する。でございましたならば、臨調の答申を世論の代表として、これより以上他にまた世論の代表を求めるということは、現時点において私はまずないと思う。これより以上の世論の代表はないと思う。その点において、世論の代表ということを長官が先ほどおっしゃいましたが、他にまたあなたのお考えで何らかの方法で世論を求めるという意味でおっしゃったのですか、その点もう一度。
  273. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 私は世論を尊重すると言っておりましたけれども、臨調の答申も含めて、一般の世論も、その他の世論も力にし、大いに参考にして行政機構改革をやりたいというふうなことでございまして、臨調の答申も含んでおります。
  274. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 その他の世論を含めてということは、まあ長官のおことばわからぬでもないのですけれども、あなた方のお考えとしては、そのために、世論を問う意味において、臨時調査会に、佐藤さんに委嘱されたのだ、こう私は解釈している。臨調の答申は世論を十分含んだものだ、世論を代表したものだと私は解釈している。これはことばじりになると何でございますから、長官のお考えは私の気持ちと一緒だと思いますから、これより以上は申し上げませんが、しからば、それほどあなた方が大事な答申だとかように考えていらっしゃるならば、またお考えになっていると思いますから、ただ単に答申を尊重する、尊重するとおっしゃって、そしてそれを実現しないということになれば、また私そこに問題が起きてくるのじゃないか。じゃあ、これは答申が世論を代表していない、また答申が現時点においては的確なものでない、だからそれを実現しないのだ、こういうふうに考えてもいいですか。その点どういうふうに、答申は的確なものであり、答申は世論を代表したものであり、答申はりっぱなものであると私は解釈いたしておりますが、それを実現できない、どうしても現内閣においてはそれを実現しないということになれば、答申は不完全なものである、こう解釈してよろしいですかと私はお聞きしているのです。
  275. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) なかなかむずかしい御質問でございますが、この答申は私はりっぱなものであるというふうに考えるわけでございます。私どもといたしましては、これを実行に移さないのではなくて、これを尊重してこれを実行に移すべく努力をいたしているわけでございますが、すぐにまた実行に移せるものと、なかなか一応ある程度期間をかけなければ実行に移せないものとあるわけでございまして、そういった点で非常におくれているものが相当残っているので、そういったような御質問が出たのだと思いますが、この臨調の答申を実際に実行に移しますには、やはり指摘されておりまするところの各省庁の納得がいかなければ、なかなか実行に移せないので、行管だけが強く力説してもなかなか実行に移せない、あるいはまた財政面の点においてなかなか大蔵省の同意を得られないような点も出てくるといったようなことで、非常に困難な事項が複雑に出てくるためになかなか実行に移せないわけであります。しかし、そういったこともやれないのは、行管の力が足りない、あるいは努力が足りないというふうにおしかりを受けるかとも存じますが、私どもといたしましては、この臨調の答申を一日でも早く実現に移したいという考え方で鋭意努力をいたしておる次第でごごいます。
  276. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 長官はなかなか謙虚なお考えで御答弁なさるから、強く追及ができぬ面もあるようでございますが、しかしこれが、臨調の答申が出ましてもうすでに三ヵ年もたっている。また従来、本法律案にいたしましても、臨調の答申が行なわれる前にも、もうすでに戦後から数次にわたって行政制度に関する審議会委員会等が行なった行政改革に関する答申の中で、その改革案が提示されておる。このようになりますが、いずれにいたしましても、臨調の答申が出て、それは長官のおっしゃるように短日月でできないことは、これはわかっておりますので、容易に実現ができないからまだこれだけ残っているとおっしゃるけれども、残っておるほうが少なくて実現のほうが多ければ、残っているということばもなかなかはっきりしますけれども、ほとんど実現できているものはなくて残っているもののほうが大部分だというのは、少し私らいただけませんね、そういうおことばは。ほとんどできてないのだ、大部分が実現できてない。残っていると言うならば、大部分できてまだ幾らか残っているというのなら、非常にはっきりしますけれども、ことばじりをとるわけではありませんけれどもね。だから、私が考えますのに、先ほどから言っておりますように、そういうことになりますと、せっかく膨大な予算を使って、しかも民間のベテランを集めて、全幅の信頼を傾けて、そして答申していただいた。それがいつまでたったって実現ができない。ほんのこれは答申が出なくたってできるような簡単なものはできる。大事な核心に触れるようなものはいつまでたったってめどが立たない。それでは長官に私はお伺いしますが、大体十年先のことですが、二十年先のことですか、これが実現するというのは。その点ひとつ長官の御決意を承りたいのですが。
  277. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) いま五年先か十年先か二十年先かというような御質問でございますが、期限を切って何年を目標にするというようなことは、ちょっと私としても申し上げられないのでございますが、私どもといたしましては、一日一日を大切にして努力をする、この実現を期して努力をするということより申し上げられぬと思うわけでありまして、大体十年を目途にしてやるというようなことではなくて、そういうことを申し上げることは、ちょっと私としては自信がないわけでございまして、一生懸命とにかく成果をあげるべく努力をする、こういうふうなことでございます。
  278. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 それは私のお伺いしようがちょっと抽象的であったかと思うのでありますが、それでは行政革に対してあなた方に腹案があるはずだと思うのでありますが、十六項目の答申に対して、この件に対してはいつごろ手をかける、この件に対してはどういうふうにやるのだ、これに関してはどうするのだというようないわゆるスケジュールがあるはずですが、それがなくて、出たとこ勝負で一日一日を大事にしていくのでは、あまりにも答申を尊重していないのだと、こうしか考えられませんが、大体の計画が立っておると私は思いますが、もしその計画が立っていないとすれば、怠慢です。それ、いま何でございましたら、資料として出していただいてけっこうです。本年度にはどういうことを手がける、どういうこととどういうこととどういうことを手がける、来年度はどういうことをやる、そうして十六項目はこの時点において大体の目鼻をつけるというような予定もなくて、行政改革本部をつくったり、あるいは行政改革協議会をつくるとか、ただ屋上屋を重ねるばかりで能事足れりというのは、承知できない。
  279. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) いずれ後ほど資料を差し上げることにいたしますけれども、大体この十六項目のうちの第五の「許認可等の改革に関する意見」、それから「行政機構の統廃合に関する意見」、それから「公社公団等の改革に関する意見」、それから十三番目の「事務運営の改革に関する意見」、これに本年度は重点を置いてやっておるわけでございます。それに「内閣の機能に関する改革意見」もいま検討いたしております。これは全面的になかなか臨調の答申のとおりにはまいりませんけれでも、一応前向きの形で、一歩前進という形で解決しようというような考え方でおります。
  280. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そういうことにつきまして資料として私要求をいたしますので、出していただけますか、局長どうです。
  281. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 簡単にまとめましてお出しいたしたいと思います。
  282. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 簡単にまとめるなんというあまり情のないことは言うなよ。簡単でなくて、見ればわかりますから。そんな事務的に、資料出せと言ったら、形式的に出しさえすればいいというふうな、そんな……、大事なことなんだから。
  283. 大国彰

    政府委員(大国彰君) ちょっとことばが足りませんで申しわけございませんでした。わかりやすい資料にしてお出しいたしたい、かように考えております。
  284. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 あまり時間がありませんので、基本的な問題についてはまたあとでゆっくり次回でもお尋ねしたいと思いますが、最後に一つお尋ねしたいのですが、運輸営業の休止許可はすべて運輸大臣権限事項となっているが、短期間の一時的休止等については不都合な面もあるので、その一部を陸運局長に委任することができることに改める、こういうのがございますが、行管の職務として、あなた方の先ほどあれはどなたにか御説明があっておったようですが、「行政機関の機構の新設、改正及び廃止並びに定員の設置、増減及び廃止に関する審査を行なうこと。」と、こう行管の設置法に載っておりますが、陸運局の今日の定員とかあるいは事務内容というようなことについて、十分あなた方はこれを知り尽くしてこうなさったのであるか、その点お尋ねしたい。
  285. 稲木進

    政府委員(稲木進君) ただいまの御質問は、ちょっと私十分理解しにくかったのですが、今度の許認可法の関係で陸運局長に権限を委譲するという項目がございますが、そのことに関連しての御質問でございましょうか。
  286. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そう。
  287. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 陸運局の業務の内容につきましては、私どもかつて監察をやったこともございますし、大体その業務量、業務の内容等については一応承知しておるつもりでございます。今回、この許認可の整理法に関連しまして、陸運局長に一部権限を委譲する――これは地方鉄道法に基づく運輸大臣の権限の一部を委譲するということでございますが、この問題に関連して特に陸運局のほうの業務に支障が起こるというふうには考えておりません。
  288. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 業務に支障を来たさないと、なるほどそれは一時的営業の休止ですから、年がら年じゅうあるわけじゃないと思いますが、しかも短期間の運輸営業の休止許可、認可ですから、それはなるほどわかりますが、現在の陸運局の事務量からして一般は非常に迷惑しておる。たとえば一例をあげますというと、自動車営業、個人営業の許認可というようなことに対して、一年半も二年もかかっておる。これはたいへんなことでしてね。車を用意して、それから申請の基準がありますから――御承知のとおり、すべての準備を整えて、財政の裏づけもあって、そして今度はそれが申請をして、あれ一年、長ければ一年もっとかかっています。普通短くても半年以上かかっている。そして聴問、聴問の結果また許可までに相当の日数を費やしている。そうしますというと、申請をして許可がおりてくるまでには一年半も二年もかかっている。その間の事情を陸運局に私調査しますと、あるときには聴聞するのに一日に一人しかできない。しかも、福岡の陸運局のごときは、全九州を一手に引き受けてやっている。だから、聴問に来る人も、全九州の果てからやってこなければならない。人員が足りませんので、一生懸命やっておりますけれども、できない。そういうのに、また権限を移していく。陸運局自体の事務を簡素化するために、地方自治体のほうへも幾らかでもおろすというようなことはあなた方考えられたことはないのか、そういう点を私はお伺いしているのです。はたしてあなた方陸運局の実態をよく知っておられるかどうか、その点をお尋ねします。
  289. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 先生のお話のように、自動車関係では、免許の申請があって、それが免許の許可がおりるまでの間に相当の日数がかかる。たとえばハイヤー、タクシ等の免許に対して非常に時間がかかっている。あるいは、申請が出たけれども、その申請の案件が相当陸運局に滞留しておるという実情は、私どもはよく知っております。この点は、今回許認可の整理法で実は御審議をお願いしておりますのは、その自動車局の関係の問題ではなくて、民有鉄道の関係の問題でございまして、まあ直接に自動車とは関係はないわけであります。しかも、この地方鉄道に関連する大臣許可の権限を陸運局長におろすという趣旨は、従来大臣の権限になっておりますものは、一応陸運局を経由して大臣のほうに申達されるわけであります。したがいまして、その申達をする場合におきましては、陸運局長はその申達された申請の内容を調査するというようなことをした上で大臣のほうに申達するわけでございます。今回のこの法案に出ておりますのは、それを大臣のところに持っていかないで、陸運局長限りでこれを処理しようという問題でございますので、したがって、その限りにおいては、むしろそういう方法をとったほうが陸運局の事務の簡素化になる。つまり大臣のほうに上げるだけの手間ひまが省ける。大臣のほうに上げて、また大臣からそれを許可がおりたら、許可証をまた取り次ぐというような手間がむしろ省ける、私どもは陸運局の事務の簡素化になるのじゃないかというふうに考えております。同時に、そのことによって、申請をした人に早く許可がおりる、こういうことになるというふうに考えております。
  290. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 あなたの説明で大体その点は納得しましたが、その一部を陸運局長に委任する、その一部というのはどういうことを意味しておるのですか。
  291. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 今回、いまこの法律が国会で議決されました場合において、運輸省がとりあえず陸運局長に権限を委任しようと考えておりますのは、この地方鉄道の短期間の一時的な営業休止というような場合の許可でございます。特にこの地方鉄道の中でも鋼索式の鉄道、そういうような特殊の鉄道のことについては、一ヵ月以内の営業休止をするという場合においてだけとりあえず陸運局長に権限を委任しようとこういう関係でありまして、こういう案件は実は年間にそうたくさんないわけでございますけれども、まずとりあえずこれについて一応委任して、逐次この範囲も今後の推移その他の状況も考えながら拡大できるような余地を残すような方法をとっていきたい、こういうような考え方になっております。
  292. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 一時的休止等については、不都合な面もあるので、その一部を陸運局長と――一時的休止等については不都合な面があると。じゃ、一時的休止でなければ不都合な面はない、だから仕事は多くてもかまわぬ、これはどういう意味かね。この点が私は納得いかないんだがね、どうしても。では、全面的にこれを委譲したらどうですか、陸運局長、大臣の許可を得なくてもいいように。あなたまだこの内容よくわかっていないんじゃないですか。ちょっともう少しはっきりして……。
  293. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 臨調が言っておりますのも、この一時的な休止、短期間の休止というのは軽微な案件である、そういう意味で、特に大臣の許可に、権限に保留しておく必要がないから、これを下部機関である陸運局長に許可の権限を委譲しよう、こういうことでございます。
  294. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 いや、だから、その一部をというんだから、その一部のあとはどういうことですかと言っている。(「残っちゃう」と呼ぶ者あり)だから、その残っているものを説明してもらいたい。
  295. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 一部と申し上げたんじゃなくて、一時的な休止ですね。そういうような一時的な休止というものは、いわば比較的軽微な案件であるから、これを陸運局長に権限を委譲してもいいじゃないか、こういう趣旨でございます。
  296. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 いや、どうも私はそういうことが、一部ということが、法的にそうなりますか。そういうことを、あなた、一時的なことを一部というんだと。どうも局長自体がこの法文をよくおわかりになっていないようにぼくは思うがね。
  297. 宮永偉志男

    説明員(宮永偉志男君) 民営鉄道部の監理課長の宮永でございます。私がただいまの事柄につきまして補足説明いたします。実は、このたび地方陸運局長に権限を委譲します事柄はどういうものかと申しますと、綱索式の鉄道等の特殊鉄道につきまして、一カ月以内の営業休止であって、しかも復旧再開の見通しの確実なもの、そういうものに限りまして許可の権限を陸運局長に委譲しようというような趣旨のものでございます。といいますのは、まあこの程度のものでございますれば――たとえばどういう場合に一ヵ月以内の営業休止が行なわれるかと申しますと、大部分は索条の取りかえとか線路の補修とかというような保守的な工事でございます。それから定期検査がございますが、定期検査とか、いまの保守改良の工事が大部分でございまして、そのような場合に一時運用を休止するわけでございまして、そういうような場合に限って陸運局長に権限を委譲しまして、それ以外の場合には大臣の権限で行なうというような趣旨でございます。と申しますのは、鉄道の運用と申しますのは、大量の輸送機関でございまして、非常に公共性の高いものでございますので、一日たりとも運転を休止するということは非常に国民に迷惑をかけることになるわけでございますので、そういった重要なものにつきましては、あくまでも大臣権限で監督していくという必要があるわけでございます。ただ、いま申しました鋼索式の鉄道、これは俗にケーブルカーと申しますけれども、こうしたケーブルカーとか、モノレール、それからトロリーバスがございます――無軌条電車、そういったものにつきまして、一ヵ月以内の短い期間の休止期間のものであれば、陸運局長に権限を委譲しましてもいいんじゃないか。陸運局長がその地域地域におけるところの特殊性を判断いたしまして、そして休止の許可を与えても、公共にさしたる御迷惑をかけることはなかろうというような趣旨でございます。
  298. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 大体わかりました。その他の権限は全部主務大臣の権限であるけれども、このことに限った場合のみ権限の一部を新たに陸運局長に委譲すると、こういう意味ですね。
  299. 宮永偉志男

    説明員(宮永偉志男君) さようでございます。
  300. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 それでわかりました。なお、陸運局のことについてもう少しお聞きしたいのでございますが、これはまたあとで……。これで終わります、私の質問は。
  301. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  302. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  暫時休憩いたします。    午後九時八分休憩      ―――――・―――――    午後十時三十分開会
  303. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 再開いたします。  許可、認可等の整理に関する法律案を議題といたします。  本案の質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  許可、認可等の整理に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  304. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  305. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  306. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案、以上三案を一括議題といたします。三案の質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより三案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  307. 八田一朗

    ○八田一朗君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました三法律案に賛成いたします。  なお、恩給法等の一部を改正する法律案については、自民、社会、公明、民社各党の共同提案にかかる次の附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。  恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について速かに検討の上善処するよう要望する。  一、今回の基準引上げ率の一〇%は、当面の緊急措置としても、あまりに低きに失する嫌いがあるので、四十三年度においても、その引上げに努めること。  二、外国政府、外国特殊法人等の職員の最短恩給年限をこえる職員期間及び抑留、留用期間の通算並びに最短恩給年限に達していた者が、外国政府、外国特殊法人等の職員となつた場合の職員期間の通算について、その早期実現に努めること。  三、旧外地官公署職員で、最短恩給年限に達していた者が、琉球諸島民政府職員となった場合における在職年の通算並びに内地の官公署職員から、琉球諸島民政府職員となった場合における在職年の通算について、その早期実現に努めること。  四、傷病恩給症状等差調査会の報告の取扱いについては、従来の傷病恩給受給者の既得権を充分尊重すること。  右決議する。  この附帯決議案の内容は、本法律案の審査を通じ明らかでありますので、説明を省略させていただきます。  以上で私の討論を終わります。
  308. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました三法律案に賛成いたします。  なお、共済組合関係法律案に対しましては、自民、社会、公明、民社各党共同提案にかかる次の附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。  昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について速かに検討の上善処するよう要望する。  一、公的年金スライド制運用については、統一的な責任官庁を定め、関係機関との調整をはかりつつ、実効ある具体的措置を講ずること。  二、共済組合給付に要する公的負担については、他の社会保険制度との均衡を考慮してその改善に努めること。  三、組合員が退職後一定期間内に発病した場合にも、療養の給付が受けられるよう検討すること。  四、国家公務員共済組合における掛金および給付額の算定の基礎となる俸給の最高限度額は、公務員給与の実態を考慮し再検討すること。  五、遺族給付を受ける遺族の範囲は、主として組合員の収入により生計を維持していた者に限定されているが、その取扱いにつき、実情に即した運用が行なわれるよう検討すること。  六、外国政府、外国特殊法人等の最短年金年限をこえる職員期間の通算については、恩給に関する措置にしたがい措置すること。  右決議する。  この附帯決議案の趣旨は、当委員会の審査により明らかであります。よって、説明を省略させていただきます。  以上でございます。
  309. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより三案につきまして順次採決を行ないます。  まず、恩給法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  310. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中述べられました八田君の提出の附帯決議案を議題といたします。八田君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  311. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって、八田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、発言を求められております。この際、これを許します。塚原総理府総務長官。
  312. 塚原俊郎

    ○国務大臣(塚原俊郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿うよう十分検討いたしたいと存じます。
  313. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案並びに昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案の両案を一括問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  314. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中述べられました稲葉君提出の附帯決議案を議題といたします。稲葉君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  315. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって、稲葉君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し発言を求められております。この際、これを許します。水田大蔵大臣。
  316. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分検討いたしたいと存じます。
  317. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 大橋運輸大臣。
  318. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ただいまの附帯決議につきましては、政府としては、御趣旨について十分検討をいたします。
  319. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) なお、これら三法案につきまして、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  320. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  321. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、大蔵省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  322. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  323. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  324. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  325. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  326. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  327. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、請願を議題といたします。  本委員会に付託されております請願は、六百十三件でございます。これらの請願につきましては、便宜、委員長及び理事打合会において慎重検討を行ないました結果、機構及び定員関係で二百十四件、国家公務員関係で八件、恩給、共済関係で三百二十二件、以上合計五百四十四件の請願は、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  328. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  329. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  330. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査は、閉会中も継続して調査を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  331. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。  なお、継続調査要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  332. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  333. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 閉会中の委員派遣についておはかりいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査の継続調査が議決されました場合、これらの調査のため委員派遣を行なうこととし、これが取り扱いについては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  334. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十時四十五分散会      ―――――・―――――