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1967-07-19 第55回国会 参議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十九日(水曜日)    午前十一時五十二分開会     —————————————    委員の異動  七月十九日     辞任         補欠選任      柴田  栄君     田村 賢作君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 内田 芳郎君                 源田  実君                 柴田  栄君                 玉置 和郎君                 田村 賢作君                 中村喜四郎君                 船田  譲君                 宮崎 正雄君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 瀬谷 英行君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        自 治 大 臣  藤枝 泉介君        国 務 大 臣  塚原 俊郎君        国 務 大 臣  増田甲子七君    政府委員        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        防衛庁長官官房        長        海原  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁教育局長  中井 亮一君        防衛庁人事局長  宍戸 基男君        防衛庁衛生局長  高部 益男君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁総務        部長       財満  功君        防衛施設庁総務        部会計課長    春日敬太郎君        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君        自治大臣官房長  宮澤  弘君        自治大臣官房会        計課長      薄  津芳君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省選挙局長  降矢 敬義君        自治省税務局長  松島 五郎君        消防庁長官    佐久間 彊君        消防庁次長    川合  武君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        自治大臣官房参        事官       鎌田 要人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○自治省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十二年度における旧令による共済組合等  から年金受給者のための特別措置法等の規定に  よる年金の額の改定に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法に規定する共済組合が支給する年金の  額の改定に関する法律案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、前回に引き続き両案の質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、増田防衛庁長官その他政府委員の方々でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私はこの法案に関連して二、三お伺いしたいと思いますが、まず、順序として、先般、長官から提案理由説明を承りまして、本法案の内容の概況を承ったので、順序として、まず法案自体に直接関係のある面についてお伺いしたいと思います。  まず、お伺いしたいのは定員の問題ですが、この提案理由説明によりますと、今回の定員増四千三百三十一名、その内訳はどうなっておるかという点、それと陸海空自衛隊自衛官の増は、それぞれいかなる部隊編成要員であるのか、こういう点、概要を御説明いただきたいと思います。大綱については長官から御説明いただき、それから具体的な問題は政府委員のほうでけっこうです。
  4. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 大綱について申し上げます。本会議においても御説明申し上げましたとおり、陸海空自衛隊合計は四千三百三十一人でございまして、そのうちの陸上自衛隊は千五百人でございまして、主として今回はヘリコプター部隊並びに気象関係部隊の整備、充実に充てるわけでございます。海上自衛隊につきましては千六百二十八人でございます。また、航空関係は千百五十人でございます。そのうち、陸の関係は今年度が予算化されておりまして増員せんとするものでございますが、海と空は昨年度並びに一昨年度予算化されましたのと本年度予算化されましたのとたまっておるわけでございまして、合計いたしまして、海は千六百二十八名、空は千百五十人と、こう相なる、こういうわけでございます。すなわち海空は三年分になりまするし、陸は今年度一年分、こういうわけでございます。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在の自衛隊欠員状況はどうなっているかという点、陸海空別に、また階級別充足率はどうなっておるか、特に陸上自衛隊の士の欠員が著しいと思うわけですが、もちろんこれは概要でけっこうです。その詳細は、別途、資料として提出していただければけっこうです。ここでは概要だけ。
  6. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) お尋ねの自衛官充足状況につきまして、本年度の五月末現在で申し上げます。陸上自衛隊幹部充足率が九七・七でございます。曹の充足率が九五・六でございます。士の充足率ば八五%でございます。総平均いたしまして、陸で九〇・三の充足率でございます。海で申しますと、幹部が九十七・六%、曹が九十七・二、士が一〇二・三、総平均いたしまして海の場合九九・二でございます。それから空、航空自衛隊を申し上げますと、幹部が九六・三、曹が九五・九、士が一〇一・九、合計いたしまして九八・五、それ以外に統合幕僚会議がごくわずかおります。これが九八・七、全部合計いたしますと、幹部で九七・四、曹で九五・九、士で八九・三、そのすべての合計で九二・九、以上のような充足率になっております。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいま御説明のような充足率であると、訓練あるいは教育の面、あるいは勤務の面で支障があり、無理が伴うものと当然に考えられるわけです。この点はどうでございますか。
  8. 島田豊

    政府委員島田豊君) 欠員の多いのは陸上自衛隊でございますが、陸上自衛隊におきまして教育訓練あるいは隊の運営におきまして、いろいろな面で支障があるということは事実でございますが、教育訓練におきましては、現在の充足率をもちまして、できるだけ訓練効率をあげるような各種の方途を講じまして、欠員充足に対する対処方策考えているわけでございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このような充足率を高めることに防衛庁としてもいろいろ苦慮していると思うんです。そこで、この充足率を高めるための対策としてどのようなことを考え、これを実行しておられるか、その概要を御説明いただきたい。
  10. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 充足を高めるための方策としましては、まず何と申しましても国の防衛の必要、自衛隊の存在の必要、価値というものを国民各層に理解してもらうことが第一になります。そのためのいろいろ広報なりその他の施策を講じていくということが第一でございます。第二には内部処遇の改善でございます。自衛隊隊員が魅力のあるものであるというふうにしたいということで、生活環境なり、内部生活環境、隊舎とか、宿舎とか、あるいはいろいろな給与の問題、あるいは食事とか、被服の問題、そういった内部処遇をいろいろ改善して魅力あるものにしていく、任務はりっぱな任務であっても、いろいろな待遇が十分でなければどうしても若い人を引きつけるということになりませんので、そういう処遇を改善していくということが第二の方策で、そのためのいろいろな施策を講じていきたいということ。それから直接には募集体制を強化していきたい。地方連絡部という募集機構がございますけれども、ここでいろいろ募集広報宣伝をやり、ほかに地方公共団体にもお願いいたしまして募集を委託しまして、隊員募集に協力していただく、こういうふうに募集体制を強化していく、以上、大筋を申し上げますと三つの方策をとって充足率を上げていく、こういうふうに考えております。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最近の充足率を見ると、やや上向きに上昇しておる、こういう点は確かにあると思うのですが、先般問題になりました市町村のいわゆる適格者名簿、この作成をめぐっていろいろと問題が起こっているわけです。この実情についてまず御説明いただきたい。
  12. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) いわゆる適格者名簿実情でございますが、まず、名簿そのもの性格でございますけれども、これは先ほど申し上げました市町村募集広報宣伝を委託しておりますが、そのいろいろ広報宣伝をいたしますための基礎になる資料として市町村が作成しておる、こういう性格のものでございます。それは住民台帳がございますが、それを転記させてもらって、転記しまして、そういう名簿をつくっておるということでございまして、住所、氏名、年齢等がわかる。そして、われわれの募集対象である十八歳から二十四歳までの募集対象がそれぞれの市町村において、どういう部落なり、どういう町に何人いるかということを的確につかみまして、そして募集を効果的に、効率的にしたい、こういうことでつくっているわけでございます。で、全国的にすべての市町村でつくっておるわけではございませんで、やはり地域の特性がございますが、たとえば東京とか大阪とか、青少年の浮動率の高いところでは、そういう名簿をつくりましてもほとんど効果がございませんので、別にこちらもお願いもしておりませんし、大都会ではつくっておられない。そのほかの効率の上がりそうなところでは、府県の指導によって市町村がつくっておられるというふうな状況でございまして、全国的に申しますと、全国約三千市町村がございますが、その約三分の一、千足らず市町村でつくっておられるという状況でございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この適格者名簿は十八歳から二十四歳、これを対象にしておると思うのですが、これは、全国各地でということをおっしゃいましたが、大体、全国計三千の町村の中の約三分の一にこういう通達を出したということのようですね。そこで、なおお伺いいたしますが、これは昨年五月二十六日付で、防衛庁事務次官人事局長名で各都道府県知事あてに送達したものであるようですね。そこで、これが問題になったのは、いわゆる徴兵台帳というものが戦前あったわけです。この徴兵台帳の復活につながるものとして、いろいろ各地で問題が取り上げられたわけです。この点については長官としてはどういうふうにお考えになっておられるのか。
  14. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 伊藤委員にお答えいたします。  いわゆる適格者名簿は、自衛隊法が制定されました、すなわち十数年前からつくっておるわけでございます。それから、徴兵制連絡のあるものでは全然ございません。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この点についてはいろいろと問題があるわけですが、時間の制約がございますから、これで私のほうは納得したという意味ではなくして、問題をあとに残して、後刻またお伺いすることにして、次にお伺いしたいのは、自衛官募集業務プロセスについて、大体どういう順序募集が行なわれるのか、概要を伺いたい。
  16. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 募集プロセス概略を申し上げますと、まず、年度ごとにいま御審議願っているような増員計画等がありまして、予算できまりまして、あるいは法案できまりまして、それに即する募集計画をまず立てるわけでございます。その立てた募集計画に従いまして、防衛庁系統では地方連絡部へ、都道府県市町村系統ではそれぞれの所管の部局へそういう計画を流します。たとえば地連ではそれに基づいてさらに具体的な募集計画を立てます。そうして広報宣伝をやるわけでございます。その広報宣伝によって応募してくる人たちが何万人か出てくるわけでございまして、それを各地連ごとに期日をきめまして、大都会ではほとんど毎日やっております。地方では必ずしも毎日ではございませんけれども、試験をやりまして、そうして合格者をきめる。合格した者を逐次計画に従いまして、教育団という教育部隊がございますが、そこに配置する、こういうふうな手続概略を申し上げますと、そんなふうな手続になります。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう二、三年前になろうかと思いますが、当委員会自衛官募集の問題が取り上げられたときに、その当時の防衛庁としての意見として、あるいは上野の駅頭で、あるいは上野公園の西郷さんの銅像の前で、あるいはまたパチンコ店上京青年を待ち受けておって、これはと思う青年に働きかけて云々と、こういう問題が取り上げられて、なるべくそういうことをせずに、もっと堂々と募集したらいいじゃないかという論議がかわされたわけです。その点については十分検討したいという意向の御答弁もあったわけです。それからもう二、三年たっているわけです。このような方法は現在もう全く取りやめられているのか、あるいは依然としてこういう募集方法もあわせ行なわれているのか、こういう点を承りたいと思います。
  18. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 数年前、募集状況のたいへん苦しい時代がございましたときに、御指摘のようなふうの募集方法も一部で行たわれたことは事実でございます。しかし、いろいろ御批判もございましたし、わがほうでもいろいろ反省をいたしまして、そういうまずいといいますか、品の悪いといいますか、そういうやり方ははっきりやめようというふうに方針をきめまして、汽車で上京してきた人をすぐどうだというふうなことをやるようなやり方は、街頭でそういうふうなことをやるようなやり方は現在はいたしておりません。当時は、募集経費も現在よりも不足でございましたし、人員不足、こちら側の人員不足というようなことで、やむを得ずそういうことに近いやり方をやったわけでございますけれども、昨日も申し上げましたように、防衛庁経費もだんだんふえてまいりますし、こちらの募集体制も強化してまいりましたし、さらに府県市町村のほうも次第に御協力も強くしていただけるというふうなことで、数字的にも募集成積も上がってまいりましたので、先ほど指摘のようなやり方は現在はいたしておらない、こういうことでございます。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、自衛官募集一つの手段として、こういう自衛官募集という広告を出されているわけですね。そこで、この中で一点だけお伺いしたいのは、いろいろ項目を見てまいりますと、特典、進路という項で、通学とか、あるいは通信教育を受けることもでき云々という特典とも思われる項目があるわけですね。そこで、その中でお伺いしたいのはこの通学ですね、通学の問題についてお伺いしておきたいと思うのですが、いまこの自衛官通学について、一部の大学では自衛官の入学を拒否している学校があるわけですね。そのことについてお伺いしておきたいと思うのですが、大体どのような学校通学をさせておるのか、またはっきり拒否しておるのはどういう学校か、こういうことについての概要をお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 募集に関連いたしましていろいろなパンフレットを配布しておりますが、それで通学通修というふうなことを言っておりますのは、主として士隊員でありまして、一、二士とか、士長になりますけれども、そういったいわゆる昔の兵隊さんの位の人たち、現在では士とか、そういう人たち通学の問題で、これは十八歳とか、十九才とか、若い年齢のものでございまして、中学卒の人が入ってまいりまして、高校に行きたいという希望の人が自衛隊に入りまして、自衛隊訓練を受けながら夜は時間が余りますので夜間の通学を認める、そういう便宜をわれわれは認めておりますし、そういう便宜があるぞということをそのパンフレットに書いている、そういうのが大部分でございまして、これは御指摘のような高等学校のほうで自衛隊の二士の人の通学を拒否するというふうな問題は現在起きておりません。ただ、京都その他の大学でごく幹部——一尉とか二尉とかという幹部でございますけれども、これが博士課程なり修士課程なりに、全体の人数として数十人程度と思いますけれども、いろいろな大学研究に行っておりますが、そういう博士課程なり修士課程課程につきまして、一部の大学自衛官通学を拒否するという問題が起きてわれわれが心配している、こういうことでございまして、募集の直接の対象になっております二士階級以下ではそういう問題は起きておりません。なお、大学のほうの条件につきましては、教育局長から御説明申し上げます。
  21. 中井亮一

    政府委員中井亮一君) 自衛隊員大学院の修士課程博士課程に行って勉学をしている者につきまして、先ほど数十人というお話がありましたが、修士課程については五十八人、それから博士課程につきましては五十一名の隊員研究に行っております。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 戦後のベビーブームによって、一時代青年層の数も相当ふえつつあったわけですが、ただしかし、現時点に立って考えると、その青年層の数についてももう峠がきたというふうに考えられるわけですが、先ほど来の御説明充足率は上昇しつつあるという、こういう情勢の中で、また青年層の数の下降によって、せっかく充足率が上がりつつあるそういう情勢の中でまた下がるやもしれないわけですね。もちろん青年の数だけで判断はできないが、そのときの経済状況とか労働問題、いろいろ問題がからんでくるわけですから、ただ端的に数だけでは判断できませんけれども、青年層の数の問題も一つの大きな要素になることは当然考えられると思うのですね。こういう中でせっかく上昇しかかったのだが、こういう点については防衛庁としてはどういうふうに把握し、どういうふうに対策考えておられるのか、そういう点をお聞かせ願いたい。
  23. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 募集対象になる人口は、たしか御指摘のように、非常に最近ベビーブームの影響で上がっておりまして、これが数年間続きまして、数年後からまた下向きのカーブになるということは数字が明らかに示しておるところでございます。で、それに対応して、われわれも募集体制の強化ということを当然考えなければいけないというふうにもちろん考えております。その対策はどうかということになりますと、先ほどもちょっと抽象的に申し上げましたけれども、こちらの募集体制をますます充実さしていくこと、さらに待遇を、前よりか幾らかよくなりましたけれども、さらに待遇をよくして魅力あるものにしていく、防衛基盤防衛意識というものを一そう伸ばしていくというふうな方策をとる、あるいは内部でもいろんな昇任等の問題を考えて厚遇していくというようないろんな施策を講じまして、絶対数が幾らか上向きになることに対処していかなければならないというふうに考えております。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この自衛官充足率については、以前は多いときは三万近くあったわけですね、欠員が。いまは大体二万足らず、約二万ということでだいぶその当時と比べると上昇してきた。そういうことはわかりますが、いま御指摘申し上げたような点、あるいは今後の経済状況いかんによってはまたどんどん下降するのではないか。現在、相当条件がいいときであってなおかつ約二万の恒常的欠員が現存しておる、こういうことをあわせ考えると、もはや自衛官募集は、日本ではもう現在大体最高の頭打ちがきておるのじゃないか、ことばをかえていうと、もう限界がきておるのではないか、そういうことが当然考えられるわけです。そうだとすると、陸上十八万が目標であって、この目標に向かって努力しておるということでありますけれども、この陸上十八万の人員については再検討を要する時期だと思うのですが、長官はこの点について基本的にどういうふうにお考えですか。
  25. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 伊藤さんの御質問は非常に御配慮のもとにおいて行なわれた御質問でございまして、そういうことも心配しなくてはならぬと思っております。しかしながら、陸上自衛隊の十八万名というものは過去十数年かかりましてぜひとも達成いたしたい、こういうふうに努力してまいりましたが、諸般条件上できませんでしたが、われわれはあくまでも十八万名という目標を立てまして、今回は幸いに定員法が認められますというと十七万三千人ということになるわけでございまするが、三次防の末期におきましては十八万名程度といたしまして、喜んで自衛官になるように諸般の努力をしなくてはならない、自衛力というものはこの範囲において陸上は必要である、こう考えておる次第でございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの比較的条件のいいときであってなおかつ約二万の欠員がある、これは長官も認めざるを得ないわけですね、現実にそういう欠員があるのだから。そういう中で、さて、これでもうだいじょうぶだということはいえないと思うのです。この十八万に近づくためには自衛官応募者かどんとんふえるということと——それだけじゃだめですよ、どんどん除隊していくわけですから。入隊する者がふえて除隊するものが漸減していく。どんどん減っていく、自衛隊に残る自衛官が多くなる。こういう状態の中において、初めて自衛隊自衛官がふえていくわけです。ただ入隊者がふえたことだけで喜べないわけですね。自衛隊としてはどういう経済状況、国の動きでまた除隊者はどんどん希望者がふえるかもしれない。これは志願兵だから、除隊希望すれば除隊させざるを得ない。こういうことになってくると、防衛庁としても当然再検討すべき時期だと思うのです。大体この十八万というのは、先日、稲葉委員指摘申し上げたように、これは日本の本来の国情に合った数ということではないと思うのです。例の自衛隊のできる前の池田・ロバートソン会談で、日本がアメリカから請負った請負の数ですね。日本独自の自主防衛を確立するのだという防衛庁のたてまえから言うと、ちょっと矛盾すると思う。日本には日本国情がある。その国情に合って、あまり無理のないように、そういう数を当然日本独自で判断してしかるべきだと思うのです。ずいぶん無理があるわけです。いままだいいほうですよ。欠員が大体二万に減ってきた。多いときは三万くらい。恒常的に欠員が長い間続いていて、ようやくここまで来たわけですね。これも一時的の現象かもしれないわけです。青年層がだんだん減っていく、これはいなめない事実です。そこで、経済状況動きによっちゃまた除隊者がふえてくる。こうなると、ますます、一たん上昇するかに見えたこの入隊者もまた減っていくかもしれない。とにかく十八万にすることは相当無理があるということだけは長官も認めざるを得ないと思うのですね。そうでしょう、相当長い聞そういう状況であったわけですから。だからこの場で、それならひとつ、せっかくそう言っていただくならば、ここでひとつ減らしましょうと、十八万の定員を減らしましょう、そういうことは長官の立場で言えないでしょうから、諸般情勢を十分検討して、陸上十八万の定員については再検討したいと、そういうお考えは出ませんか。
  27. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いままでが、伊藤さんの御承知のとおり、陸上自衛隊の数は十七万一千五百名でございます。そこで三次防を策定するにあたりまして、国防会議の議員、これは、その議員が各省を担当いたしておりまするから、各省の事務職員等にあらゆる検討をしてもらったわけでございます。国防会議自身の職員はもとよりでございます。そういうわけで、三次防末、昭和四十六年末までには十八万名にいたしたい。いままでは十七万一千五百名でございまするから、それに九〇%をかけますというと、十五万名台でありますことは、伊藤委員の御指摘のとおりでございまして、今度十八万名にいたしまして、まずまず欠員というものをだんだん少なくしてまいりたい。それから、大蔵省側からもこの募集状況に応じまして、従来、予算上の充足率というようなものについて制約が一つございましたが、その制約もだんだん解除してもらう、そういうような面におきまして、私どもは欠員の数をできるだけ少なくいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もちろん十八万は——いま陸上自衛隊定員は十八万とは私も申し上げていないので、三次防の最終的な段階には陸上十八万、これが目標であろうと思うわけですね。これは明確な目標であるわけです。そこで、そういう無理な目標を置かないで、実情に合った、いま少し減員したそういう定員ではどうかと、そういう考え方からお伺いしているわけです。むろん十八万を減らすことについて、社会党は賛成するのだ、そういうことではなくて、私どもは基本的には、自衛隊それ自体に反対しているわけですから、ここではそういう問題を大きく掘り下げませんけれども、さらにこの定員についてお伺いしたい点は、先ほど来申し上げているように、今回の法案は、自衛官の四千二百七十八名と予備自衛官の六千名、この増員、これをおもなる改正内容としているわけですね、ところが、過去、先ほど来申し上げているように、多いと三万、少ないときでも——現在は少ないときだと思うのですが、約二万、それでも欠員があるわけですね、それでも何とかかんとか間に合ってきたと思うのですが、この点はどうなんですか、もうそういう数で結局間に合ってきたということであれば、いまの定員で十分やれるんじゃないですか、どうなんですか。この実情は、どうしても十八万の目標に向かってふやさなければ動きがとれないということではないと思うのですが、この点はどうですか。
  29. 島田豊

    政府委員島田豊君) 昨日、稲葉先生の御質問に対してお答え申し上げましたように、現在の特に陸上自衛隊の問題でざいます十七万一千五百という数字は、これは編成上の技術的な積み上げでございまして、これが第一線部隊におきましては、こういうかっこうで人と装備を充実いたしまして、作戦行動に任ずるというたてまえでございまして、これが今日におきますところの充足の努力の目標でもございます。したがいまして、現在の体制をくずさずしてできるだけ充実をさせていきまして、そうして隊員訓練あるいは有事の場合の出動に際しまして支障のないように努力したいということが今日の考え方でございます。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 かつての防衛庁長官は、南極観測船「ふじ」の乗組員のことを例に出して、南極観測船も動かないのだからと、こう言う、これがいわゆる増員の理由の有力な一つになると説明されたことがあったわけです。それから、この法案は四十年以来いわゆる審議未了、廃案ということを繰り返してきたので、結局、増員は達成されなかったにもかかわらず、南極観測は目的どおり完全に近い使命を果たしてきているわけです。あれから二回も果たしてきている。だから増員しなくても、そのとき長官が言われた南極観測船のその職員にも支障を来たすということはあたらなかったのではないか、りっぱに使命を果たしてきているわけですから。こういう観点からも、もうこの辺で増員しなくてもいいんじゃないか、そういう理論は当然出てくるわけですね、この点はいかがですか。
  31. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 過去において二回、軍艦「ふじ」というものは南極観測に協力したことは事実でございます。また、これからも協力してまいりますが、それは既設の各艦船の乗組員を割愛しまして、そうして充てているわけでございます。でございますから、割愛された部分は、それぞれの編成というものがございまして、艦船を動かすには曹が幾たり要る、尉官の中の尉が幾たり要る、あるいは佐官が幾たり要る、それから士が幾たり要る。こういうような士と曹と、それからそれ以上の者を幹部要員と申しますが、それを割愛いたしておりますから、非常に一般の海上自衛隊は艦船その他の運用面におきまして苦しんでおります。苦しんでおりますから、あれだけの実績をあげている関係からも、ぜひとも伊藤さんのほうでほめていただきたいのであります。苦しんでいるほうは、従来の編成があるのだから、編成どおりやって、そうして艦船のほうも充実した運用をするようにというおことばをいただきたい次第でございます。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、繰り返し申し上げるように、現在約二万の欠員がある、そういう中で欠員欠員としてそっとしておいて、一方で四千名からの増員をいまやろうとしておる。もし防衛二法が通ったと仮定すると、これが四千何がしか増員される。どうも各省庁に見られない事実だと思う。各省庁では凍結欠員があると、それを補充した後に定員増ということが考えられるのが常態であるわけです。ところが、欠員はそっとしておいて、その上に増員計画をやる。どうもこれは筋が通らぬと思うのですがね。長官はりっぱに筋が通るとお考えですか。欠員を補充して、それでも足りないから増員をこれだけと、これではじめて筋が通ってくるのじゃないですか。各省庁のやり方を見ておりますると、佐藤内閣のやり方は大体欠員を補充して増員をはかる、それが常態だと思うのです。これがまた行き方だと思うわけです。そういうものから判定すると、どうも不自然と考えられてもしかたがないわけです。この点はどういうふうにお考えですか。
  33. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は各省庁にもいた経験があるわけでございますが、各省庁において凍結職員ということがあることは伊藤さんの御指摘のとおりでございます。しこうして、一〇〇%認められた場合におきましても、なおかつ欠員がございます。各省庁におきましては数%の欠員があるわけでございまして、その数%の欠員関係の予算をどうするかこうするかというようなことは、またこれは法の命ずるところによりまして使用し得るわけでございまするが、どこの省でもという、これは一般論で申すわけでございまして、特定の省を私はさしませんが、どうしても四、五%はございます、結果的に見まして。それから凍結職員というものをその上にまた加えたところもございまするが、凍結職員を通り越してしまって定員増というものがあるところと、凍結職員は相変わらず凍結職員だと、たとえば凍結職員が五十名だといたしますと、二十五名だけ認める、定員増をあと二十五名認めると、こういうこともございまして、種々のやり方がございまするが、自衛隊に関する限り、海上と航空とは各省に比べて決して遜色のない充足率である、こう考えておる次第でございます。それから凍結職員も比較的少ないわけであります。ただ、御指摘になる数万という線が出ておるのはそのとおりでございまして、これは陸上のほうが種々の原因がありまして充足率が満たないものですから、財政当局等におきましても、凍結といいますか、充足率を認めない、充足率欠員と両方に私ども分けて考えておりまするが、充足率がある程度認められましても、欠員がそれ以上に出るといったようなことが過去の現象でございましたが、この一、二年来は陸上自衛隊は、充足率が認められたそれに上回るといったような欠員状況でございます。すなわち募集成績は非常によいわけでございます。でございまするから、財政当局から充足率の向上、欠員を認めた状況がいまは非常によく認識されております。でございまするから、充足率を上げてもらうと同時に、欠員のないように努力いたしたいと思っております。これが一つ。もう一つは、いま人事局長その他から申し上げましたとおり、曹以上、尉以上、佐以上、将はもちろんでございまするが、そのものはほとんど常識的に見て充足されておる、欠員はないというような状況でございます。そこで、今度定員が認められませんと、曹以上、尉以上、佐以上の者が昇進の道もなく、また隊の構成、あるいは艦隊の構成、編成上からも非常に支障を来たす、こういうわけでございますから、やはり定員千五百名の中に相当の曹もございまするし、——陸曹、空曹でございます。その曹もございまするし、それから尉もございまするし、佐もございます。いまはこれはほとんど充員ということで、つかえているということもぜひ御考慮の中に入れていただきまして、なるほどこれは定員増が必要であるということの御参考に供したいと思っております。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま指摘されている凍結職員については、これは私が申し上げるまでもなく、三十九年の閣議決定以後、各省庁の欠員については凍結されてきており、ある一定の比率だけ現在認めておるわけでございます。これはそのとおりだと思います。そこで防衛庁としては、凍結というよりは、現在の欠員については初めから予算に組んでいないわけですね、初めから当初予算に組んでいないでしょう、欠員分は。そうすると、欠員を補充するという意図は全然ないということですね。欠員年度じゅうに何とか充足していきたいという計画があるならば、当然この部分を予算化しておかなければいかぬわけです。ところが欠員分については当初予算に組んでいないわけですね、ということになると、欠員充足しようという考えは毛頭ないのじゃないですか。これは一体どういうわけなんですか。欠員充足して、それから定員増というのが常道であるということを、先ほど来私は申し上げてきておるわけですね。そこでお伺いしたいのは、いま申し上げたとおり、欠員をそのままにしておくということがわからない。この際、欠員については充足するのが筋ではないか、そうだとすると、なぜ予算に組まないのか、そこのところがどうも合点いかぬわけです。
  35. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 詳細な点は人事局長から補足させます。まず充足率ということが、隊についてあることは事実でございます。そこで、その充足率以上に欠員を補充しよう、こういうことで努力いたしておりまして、予算面から見れば大体とんとんというところまで行っております。とんとん以上になりつつございますると、予算がないものでございますから、これはとんとん以上までには行きかねますけれども、財政当局の認めた充足率までは——それ以上に欠員のいま成績は非常によろしいのでございます、非常によろしい。だから、充足率からまたその下に欠員を置こうということではないのでございまして、充足率が、いわゆる設置法なり何なりで認めた定員法と同額までには行きませんけれども、財政当局が充足率というものを一つ置いておりますから、しかしながら、充足率までは、充足率以下にかりに欠員があるという、それを欠員というならば、その欠員はほとんどございません。陸上はずっとふえてきております。海上、航空等はなおよろしいわけでございます。それから一般に凍結というものは、これは防衛庁の文官、それから各省の文官等にあるわけでございまして、その凍結部分というものは予算にも計上しないわけでございます。それで各省も予算その他の際には、凍結部分をなるべく少なくしてくれということで努力するわけでございますが、これは、事財政当局のことでございますから、これ以上は申し上げられません。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうも話がわからないのです。現実に現在自衛隊には約二万の欠員があるわけでしょう、これは認めているわけですね。この欠員を現存させながら、いま四千何がしかの定員増をはかるということでしょう、この二万を充足さしたほうが防衛庁としても有利じゃないですか、四千何がしかをふやすよりは二万もあるのだから、いま二万入って来たら一〇〇%になる、現在の充足率は非常に成績がよろしゅうございますなどとおっしゃっているけれども、あと成績をあげるには、二万の欠員をどんどん充足したらこれが一番成績がいい。ところが陸上自衛隊を主体にして、ほとんど陸上自衛隊欠員ですが、大体約二万の欠員があることは事実ですね。そういうのをほうっておいて、新たに四千何がしの内容を主体とした防衛二法を通すために、政府はずいぶん骨を折っているわけです。四十年以来、提案ごとに審議未了、廃案、こういう運命を繰り返してきたわけです。御承知のように、今回もまだわからない。また廃案になるかもわからない。審議の過程ですからわからないですね。そういうことになると、こんなことで精力を使うより、二万の欠員充足に政府の精力を、努力を結集したほうが賢明な方策だと思うのです。そういう努力はしないのですか。
  37. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 欠員のあることは事実でございます。また、充足率というものがあって、大蔵省がこれくらいしか認めないということも事実でございますが、編成の関係——幹部関係は全然充足でございます。そこで編成の関係で、幹部だけではどうも自衛力になりませんから、そこで昔のことばで申しますと、兵の関係を主として上げてもらいまして、そして幹部関係と相待って、編成関係において自衛隊が充実する。いまのままで、欠員があるのならその欠員を補充すればいいじゃないかといいますというと、昔のことばで申します将校あるいは下士官、いまのことばでは曹あるいは尉官以上、これは充足しておるのでございますから、これは編成関係が非常に妙な形に、さかさピラミットとまでは申しませんけれども、妙な形になって非常に苦しんでおるわけでございます。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう事実はこちらもよく了解しているわけです。幹部は大体充足率がいいわけです。士が大部分欠員であるということ、そこで私の言わんとするところは、新たな増員などで二万に対する四千何がしかで、数はだいぶ開きがあるわけです。だから四千何がしかをふやすために三年も努力してきたわけだけれども、そういう努力を欠員充足のほうから埋めたら、そのほうが賢明ではないですかと、そういうたてまえから申し上げているわけです。それで、士が足りないわけです。幹部充足しているわけですね。いま長官が言われたとおり、それは私どもも理解しているわけです。士が足りないのだから士を補充すべきです。それをどんどん欠員補充に向けていったら、現在の定員は一〇〇%ということになるわけでしょう。そちらへ努力したほうが賢明じゃないかというたてまえからお伺いしておるわけです。
  39. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) たとえばヘリコプター団をつくります。そのときには幹部要員も必要でございます。そこで、いまは欠員充足充足と、こうやっていきますと、数ではそろいますが、ヘリコプター団にいたしましても、あるいは気象隊の関係にいたしましても、士だけではできないという関係で、幹部要員も必要でございまするが、定員をふやしていただかないと、幹部要員は全然ふえない、こういう関係になっているわけでございます。  それから大蔵省との関係は、もうこの際明瞭に昨日来いたしておりますのでございまするから、明瞭にいたしまするが、大蔵省が陸上だけで申しますと、十七万一千五百人を認めておりまして、それに対して十五万何千しかございませんが、多く昔の兵の関係欠員でございまして、これを充実したならば自衛隊は目的を達成するのではないかとおっしゃいますなら、本年度は九〇%を認めておるわけでございます。八九・五を認めております。それに対して募集成績は月によって上下がございます。除隊というか、退団する人もございますから、九〇・三というのが現在の状況でございます。しかしながら、新しき艦船等もつくりますし、あるいは航空隊にいたしましても、これを動かすものはやはり幹部要員とそれから士の要員とが必要でございまして、やはりこういうようなことをしてふやしていただかないと、運用編成ができにくい。こういうわけでございます。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお引き続いてお伺いいたしますが、第三次防と本法律案との関係は一体どうなるのか、具体的にはこういうことです。この法案がかりに通ると、陸上自衛隊については一万五千の増となるわけでありますね。そこで、三次防では十八万ということを目標にしておるわけであります。そうすると、なおまだ七千人が不足するわけでありますね、十八万には。そうすると、この七千人の年度計画は一体どうなっておるのか。それと第三次防では、航空、海上の増員はどの程度見ておるのか、こういうことをあわせて説明してください。
  41. 島田豊

    政府委員島田豊君) 残余の七千の年度割りの計画につきましては、まだ十分セットしたものがございません。今後の募集状況等ともにらみ合わせまして、具体的な計画を立てる。これは年度年度計画を立てます際に具体的にはきめたい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、七千人の階級的な内訳等につきましても、まだここで申し上げる段階ではございません。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案では、外務省に定員を振りかえて韓国と南ベトナムに、いわゆる防衛駐在官を派遣することになっておるわけでありますね。それはわかるのですが、まだ法案が通ってないわけですが、現実にはもう防衛駐在官は派遣されておるのではないですか。もしそうだとすると、これはまことにけしからぬことではないかということになるわけです。この点はどうなのか。
  43. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 外務省のほうの定員改正が行なわれまして、ここでふえておりますので、こちらの人は向こうへ出向させまして、そうしてベトナムに行ける、こちらのほうは定員をそれだけ振りかえですから減らさなければいけないのですが、それは今度の法案に盛られておる。外務省のほうはふえておる。そういうことで派遣をいたしたい、こういう状況であります。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 外務省のはふえる、このふえる要員は防衛庁からということになるのでしょう。そうなると、ふえるほうの法案は別の法案だからいいとして、これは外務省設置法で、もうこれは通っておりますから、外務省設置法はこれは問題がないわけです。ところが一方、要員を出すほうは防衛庁でしょう。防衛庁法案はまだ通っていないと思うのですが、そうだとすると、これはおかしな関係になる。まだ法案が通っていないのに要員を出す、防衛庁が出さなければ外務省の要員はふえないわけですよ。それは法を軽視するのもはなはだしいという議論が出てくる。まだ通っていないのです、これは。
  45. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) まずお答えいたします。まだ行っておりません。それから防衛庁設置法におきまして定員が一名減るわけでございます。それが今度の防衛法案の中でございます。外務省設置法におきまして一名ふえるわけでございます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういう内容はこちらもよくわかっておるから伺ったので、ただ、問題はまだ派遣していないということであるなら問題はないわけです。もし派遣しておるということであれば、これは外務省は受け入れるほうで、外務省設置法で認めているわけです、増員を。それはもう外務省設置法が通っておるから問題ないわけです。こちらはまだ通っていないわけですね。それなのにもうすでに派遣したとなると問題だということを申し上げたのです。もし派遣してなければ——それは間違いないですね。現実に派遣していないわけですね。もう行っているということを聞くけれども、もし行っておったら問題になりますよ。
  47. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 防衛庁長官が知らないのに行くはずはないので、これは併任でございますから、そこで私が判こを押しましてから行くわけでございまして、その判こを押すというのは、皆さまの御議決いただきます法律が可決成立してからでございます。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 一国の大臣が委員会の場でそう言明されるのだからそれをとにかく信じて話を、——もしものことがあるとこれはただでは済みませんよ。
  49. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いま申したとおりでいいのでございます。まだ派遣しておりません。ベトナムは昨年四月から派遣しておりますし、外務省の職員になっております。これから派遣しようとしておるのでございまして、派遣しようというのは、法律が通ってからでございまして、あくまでも国会の議決があった後に、私が行政関係長官として外務省の行政関係長官である外務大臣と話をしてやる、こういうわけでございます。前に申しましたが、いませっかく、その候補者はあるにはありますが、研修所で勉強中でございます。
  50. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  午後は二時に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後二時十一分開会
  52. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員会を再開いたします。  自治省設置法の一部を改正する法律案を議題といたし、前回に引き続き本案の質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は藤枝自治大臣その他政府委員の方々であります。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  53. 山崎昇

    ○山崎昇君 議題になっています自治省設置法の一部改正案について質問をする前に、四、五点にわたって自治省の態度並びに見解についてお聞きをしたいことがありますので、逐次質問をしたいと思うのです。  第一番目に、ことしの七月三日から六日までの約四日間、広島市において全国の第十回の地方自治研究集会というのがございました。これは大臣も御承知だろうと思うのですが、その地方自治研究集会において、いま私は一冊持ってきておりますが、膨大な報告書が出ています。本来ならその中身について一つ一つお尋ねをしたいのですけれども、そういう委員会でもありませんし、また機会を得て自治省の見解も聞いてみたい、こう思うのです。そこで、この地方自治研究集会には、大学の教授あるいはその他地方自治の研究者、さらに国会議員、地方会議員、あるいは関係する労働組合、一般の職員等々、約五千人ぐらい集まりまして、行政部門別の分科会等が行なわれておるわけです。そこで、まず第一にお聞きしたいのは、こういう地方自治研究集会というものについてどういうふうに考えられるか。こういうものはきわめて地方自治振興のためには有益なものだからもっと発展をさしたらいいというふうにお考えなのか、こういうものはどうも自治省にとってはぐあいが悪いというふうにお考えなのか、この地方自治研究集会についてまず大臣の見解をお聞きしたい。
  54. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 地方自治の問題は非常に複雑多岐にわたるものでございますので、これが地方自治の確立、その発展ということはわれわれの念願するところでございますから、各方面においていろいろ御研究をいただくということは非常にけっこうなことだと考えております。
  55. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣からいまきわめてけっこうなことであるという御答弁ですから、大臣のお考えとしてはますますこういう研究は発展をしてもらいたい、こういう考えもあっての答弁だと思うのです。そうだとすると、自治省はこの地方自治研究集会に出席するに当たって、各自治体に対してあまり出席するなという指導を行なっておると私ども聞いておるわけです。その点はどうなりますか。
  56. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 地方公務員がその職場を離れてそういう研究集会に参りますのには、やはり事務に支障のない限りにしていただきたい、そういう意味でございまして、各方面で地方自治についての御研究をいただくことはけっこうなんでございますが、その結果、地方住民に不便を与えるようなことになってはいけませんので、その辺の節度は持っていただきたいと考えておるわけであります。
  57. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、あれですか、一般的にああいう研究集会に出てならぬぞということは言ってない、ただ、職員が出席するに当たって、勤務の時間なり、あるいは住民に対するサービス等が低下しちゃいかぬから、その限度だけはわきまえてもらいたい、こういう趣旨であなたのほうで言っていると、こう理解していいのですか。
  58. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 大体さようでございます。
  59. 山崎昇

    ○山崎昇君 ところが実際はそうではないのじゃないですか。また、地方の議員に対してもあまり行くなというような指導が行なわれておると私ども報告を受けておるのです。これは逆な言い方をすれば、各自治体で、自治省に対して、どうも行かせたくないから、自治省のお墨つきがあれば断わりやすいというのもあるかもしれませんよ。もしそうだとすれば、自治省がそういう指導をしていないというのであれば、私どもは各自治体はこれは行き過ぎなことをやっておるのじゃないか、こう思うので、今後、自治省のほうとしては、こういう研究集会にはつとめてやりくりして出ていって、地方自治の問題というものは大いに検討してもらいたい、こういうふうに指導するおつもりはありますか。
  60. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいま申しましたように、地方住民の不便になるようなことがあってはならないわけでございます。まあつとめてというのがどの程度になりますか知りませんけれども、その事務の支障のない限りというふうに御理解をいただきたいのでございます。
  61. 山崎昇

    ○山崎昇君 私はつとめてというのは、それはいろいろ解釈があろうと思うのですがね。ただ、自治省としては、こういう研究集会はやはり好ましいものだから、なるべく出せるものなら出してもらいたい、こういう積極的な意思をお持ちだというふうにいまの大臣、私は解釈するのですが、いいですか。
  62. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 地方団体に対しましては、私どもはそういう意味でこの事務の支障のない限りということの意味でございます。そういう点は十分徹底するようにいたしたいと思います。
  63. 山崎昇

    ○山崎昇君 重ねてこの点でお尋ねしたいのですがね。これは直接政府の考えではないと思うのですが、大臣の所属する自由民主党は、何か幹事長から通達が出て、所属の地方議員に、あまりこういうものに出るなという指導をしたとぼくらは聞いておるのですが、その同じ政党に属する大臣として、自由民主党のとっておるそういう方針についてどういう見解ですか、あわせてひとつお答えいただきたい。
  64. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) まあ私も自由民主党員でございますけれども、幹事長名でどういう通達が出たか不敏にして存じておりません。したがいまして、どういう趣旨であったかをいまおことばだけで批判するのもいかがかと思いますので、この点はひとつお許しをいただきたいと思います。
  65. 山崎昇

    ○山崎昇君 私は自由民主党のことですからあえてそう追及しませんが、とにもかくにも全国的に五千人も集まって熱心に地方自治の問題について検討するわけですから、したがいまして、今後、自治省としてもっとめて積極的にこういう研究集会というものが発展するようにこれはやはり指導してもらいたいということをつけ加えてこの質問を終わっておきたいと思います。  その次に、最近、新聞報道によると、自治省は地方自治法の施行記念行事を全国的に何かなされる、こう報道されておるのですが、できればその内容をかいつまんででけっとうでありますが、お伺いをしたい。
  66. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 本年は地方自治法が施行になりましてから二十周年に当たるわけでございまして、そういう趣旨で、これは十周年のときにも記念行事をいたしたわけでございます。したがって、二十周年でございますし、そういう意味でも意義深い年に当たるということで、戦後から今日までの地方自治の回顧、あるいはまあ将来ますます地方自治が発展するというような記念にいたしたいということで考えているわけでございますが、内容は、一つ関係者の表彰ということが一つでございます。その表彰も、藍綬とか、いろいろな表彰もございますが、今回は、一つは自治体の職員の方、一つは議員の方、一つは民間のいろいらなまあ地域的な団体の方、それからさらには、もう一つは純粋な民間の個人の方、こういうふうな分類を一応いたしておりますが、そういう方々の中で戦後、主としてまあ二十年間ということにしておりますけれども、二十年間にやはり非常に卓越した業績をもって自治の発展に寄与された団体とか個人とか、まあ市町村の場合でございますと、その上にさらに市町村の自治運営が非常によろしかったというようなところでございますとか、あるいは生産組合とか、そういうような組合がいわゆる自治活動に協力をしたとか、そういうようなもの、それから府県の場合でございますと、どうも県全体をとらまえてものを言うことがなかなかむずかしい点がございますので、たとえば県の各部なり、課なり、係なりというようなところで非常に卓抜した行政事務の処理をいたしましたとか、あるいは非常にすぐれたアイデアで県政を推進された、まあそういうことが他の模範といいますか、それによってほかにも続々そういう方式が普及をしていった、あるいは国がそれを取り上げるに至ったというような観点からいたしましてのまあ功績の多い団体なり個人なりというものを、議員、団体、民間人を問わず、まあ表彰をいたして顕彰をいたしたいし、同時に、それによりまして将来への自治に対する関係者としての反省の資にもいたしたいと、こういう趣旨で、ことしの秋そういう行事を行なうことを予定いたしております。
  67. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、大臣に聞きたいんですがね。この地方自治法というのは、御存じのように根拠はまあ憲法にあるわけですね。そこで、戦後初めてこういう地方自治法というのが一章設けられて今日に及んでいるわけなんですが、その基礎法である憲法については、あまり政府が熱心じゃないんですがね。一体、大臣は、憲法もこういう記念行事といいますか、あるいは普及といいますか、そういうことについてどうもここ四、五年はきわめて冷淡な態度をとっているのですが、私はどうも本末転倒ではないかという気がしてしようがないんです。そこでですが、憲法う記念日は終わっておりますが、この地方自治法施行の記念行事の際に自治省はもっと指導して、憲法についても私は何か記念行事をやったらどうかと思うのですが、憲法のほうはどうされるのですか。
  68. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 実は、本年初頭に閣議におきましても、憲法、ことに二十年というような憲法記念日と申しますか、それの記念行事をやったらどうだろうというような意見も出まして、いろいろ検討いたしましたが、まあ行事は特にやらない、特にきわだったことをやらないことになりましたのでございますが、そういう議論はございました。この自治法制定の記念行事につきましては、まあただいま局長から申し上げたようなことでやりたいと思っておりますが、そのときにあわせて憲法の記念行事をやるということはいまのところ考えておりません。
  69. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃことしはまあそれは間に合わないかもしれません。来年の憲法記念日には自治省は積極的に地方自治体に指導して、もっと憲法を国民にわからせるようにやるとか、あるいは憲法のいろいろな条文について、もっと国民がわかるようにするとか、そういう積極的な考え方は持っておりませんか。
  70. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 従来は特に、ただいま御指摘のありましたようなことを、自治省として地方団体に呼びかけたことはないと記憶いたしております。しかし、とにかくわれわれの憲法でございますので、まあこれは自治体が自治体として考えるべきことであろうと思いますが、何か行事をやれというような意味で指導するのはいかがかと思いますけれども、事あるごとに、何かそうしたことも必要であるということにつきましては、今後も言ってまいりたいと考えております。
  71. 山崎昇

    ○山崎昇君 たとえばことしあたりは、主として革新系といわれるような首長さんのおられるようなところは、かなり憲法についても市民的な行事が行なわれておる。ところが、そうでないところはほとんど行なわれてないのですね。ですから、私のいうのは、どうもいまの政府はきわめて憲法には冷淡だ、というよりも、何かしらん別な方向に動くような気配さえある。こう私ども勘ぐっていえばいえるわけなんです。ほんとうに皆さんが憲法が大切だというならば、地方自治法の記念行事ももちろん大切ですけれども、もっと根本法規であるこの憲法についても、やはり自治省というのはもっと積極的に地方自治体に働きかけていいんではないだろうか、こう思うのですが、重ねてひとつ大臣の考えを聞いておきたい。
  72. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) こういう記念行事、少なくとも憲法の精神と申しますか、各条項、そういうものを十分住民に理解をさせる、普及をするという仕事をやることは必要だ。ただ、それを記念行事という形でやるかどうか、こういう問題は、まあ地方団体の自主性に待つのがいいのだと思います。要するに憲法の精神なり、憲法の各条項が守られなければならないというようなことについて、地域住民に十分な徹底をはかるということは必要でありますので、そういう方向でやりたいと思います。
  73. 山崎昇

    ○山崎昇君 憲法論議はその程度にして、いまお聞きしたら、地方自治法の記念行事についても、中心はこれは表彰ですね。何かそのほかにも二十年らしきといいますか、新しい自治法の施行二十年だなんて、あとで最も印象に残るそんな行事がありますか。いまお聞きした限りでは、何か多少関係者の表彰がどうも中心のように聞こえてならないのですが、そのほかに何か特徴的なものがありますか。
  74. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 表彰がまあ中心というふうに申しましたが、表彰が実際中心でございまして、それ以外には、地方自治読本でございますとか、二十周年記念論文集でございますとか、あるいは自治法の関係の出版物とか、そういうものとタイアップをいたしまして、二十周年関係の記録なり記事なり、こういうものを扱って、よくわかる地方自治のあり方というようなものの普及につとめたいというふうに考えております。
  75. 山崎昇

    ○山崎昇君 これは記念行事ですから、あまりとやかいくうものでもありませんしね。ただ私は、形式的なことより、もっとほんとうの実のあるようなことも十分お考えの上で、これはやってもらいたいと思うことをつけ加えて、この点については終わりたいと思うのです。  そこで、次にお聞きしたいのは、最近、自治省は人事面を通じて自治体を支配しているのじゃないかという声がかなりあります。そこで第一番に聞きたいのは、いま自治省から、都道府県、それから市、町村に派遣されている職員の数を御説明願いたいと思います。
  76. 宮澤弘

    政府委員(宮澤弘君) ただいまの、人事によって地方を支配をするというお話でございますが、私どものほうの仕事自身が国と地方団体との連絡という仕事をやっております。私どものほうの職員自身が地方団体の経験を積むことが非常に必要な面があることは山崎委員も御了承いただけると思います。ただいまの私どものほうからどのぐらい地方に出ているかということでございますが、御承知のように私どものほうから出ております職員は、市町村と申しましてもこれはきわめて少のうございます。ただいま県の資料を持っております。県には相当多数の職員が行っております。ことしの四月現在で私ども調査をしたものによりますと、大体、全府県を通じまして課長なり、課長相当職以上のポストが大体五千ぐらいございます。それに対しまして私どものほうから出ております職員が二百七名、大体以上のところでどういう傾向になっているかを御推察をいただきたいと思います。
  77. 山崎昇

    ○山崎昇君 その配置されているポストを、大ざっぱに分けたら大体どんなふうになりますか。
  78. 宮澤弘

    政府委員(宮澤弘君) 副知事なり出納長、いわゆる特別職でございますが、これが八人でございます。それから部長なり、部長相当職、六十二人でございます。それから次長——部の次長でございますが、次長、次長相当職が十六人、それから課長が百九人、それから課長相当の職が十二人、以上でございます。
  79. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまの説明で、大体、都道府県に二百七名行っておる。これは四十六で割ってもおおむね平均五名ぐらい行っていますね。そして私の知る限りでいえば、ほとんど県の場合には総務部長ですね。それから課長の場合でいうと財政課長あるいは地方課長、いわば自治省が地方自治体を支配しやすいようなポストヘほとんど自治省から行っている。そしてここ十年くらいの間は、その人が帰ればまた自治省から送られる。そのポストというのはおおむね自治省の人で占められている。県の下から上がってこのポストを占めるなんということは、ほとんどいまできない状況にある。私の出身の北海道でも、私の知る限りではもう十年ぐらいは自治省から来た総務部長で占められている。したがって、いま地方自治体の場合は、自治省の天下りでもって、ほとんどいま地方自治体というのは左右されている、こういうふうに言われているわけです。私は一がいに全部が全部悪いとは申しませんけれども、あまりにもいまは自治省のやり方というのは、重要なポストは全部押えちゃうというやり方が、かなり各自治体から反対闘争なり、あるいはそういう天下り人事反対なり、そういう声が強くなってきているのではないかと思うのですが、これに対する見解と、それからいま説明ありました数字は各省から行っている人は入っておりませんね。たとえば建設、農林、労働でありますとか、各省からいっている方々についても、もしお調べがあればその数字をお聞かせを願いたいと思うのです。
  80. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど官房長からお答えいたしましたように、課長または課長相当職以上の者が五千有余おりまして、その中の二百人ということでございますので、それならばお察しいただけると思うのでございますが、いま御指摘のように、たとえば総務部長とか、財政課長とかというポストはおまえのほうで占めているじゃないかという御指摘でございます。それは弁解だという御反論があろうかとも思いますが、私どもいつも、おまえのところの総務部長はおれのほうから出すぞというような、そういうことではないんでございまして、総務部長として適当な者があるか、あるいはどういう課長に適当な者があるかというような依頼を受けまして選考をいたしておるというのが実情でございます。したがいまして、地方団体によりまして、そこにはえ抜きといいますか、の者を上げたいということでされるのに、何ら干渉がましいことを申し上げているわけではございません。ことに自治省の関係の者といいますのは、やはり地方の、特に都道府県の行政事務などには精通をするべき者が、また自治省の役人として連絡調整などに当たるにも好都合でございます。まあ人事の交流、そういう意味におきましては、また地方で採用された中で優秀な方を自治省に来ていただくというようなこともやっておるわけでございます。その点でいろいろ、ときに誤解を招くようなこともないではないと私どもも率直に認めるわけでございますので、その辺は十分今後も気をつけてまいりたいと思います。  それから第二にお尋ねの、各省から行っております者は、現在、自治省、私のほうといたしましては調査はいたしておりません。
  81. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ、それは調査して私は資料でもらいたいと思うんです。これも実際はもうポストがきまっておる。たとえば建設なら、そのポストの人間を引き揚げる、そうすると、かわりの人間がもうすぐ来る。それがきまらなければ自治体は人事異動ができないんです、現実的に。ですから、私はいま大臣から、これは人事交流であってまずい点があれば改めると言うけれども、実際に地方自治体で人事異動をやる場合に、絶えず中央の顔色をうかがわなければ人事異動ができないという現況にある、そういう点は大臣に十分知ってもらって、今後こういう点はないようにつとめてもらいたい。それから、つとめて各省のほうのひもつき人事みたいなやり方は排してもらいたい。これは当然私は自治省の任務でなければならぬと思う。ところが実際はそうでありません。この点はここで何ぼ論争をやったって決着のつく点ではないと思いますから、問題点だけ指摘しておきたいと思います。  さらに、私はいま自治省から人が行っており、また市にもかなり行っておるようでありますが、その次にお聞きしたいのは、自治省の採用試験というのがありますね。これは幹部養成だそうでありますが、これはどこに根拠があってそういうことをやっておるのか。私はいま自治省がやっておる幹部の採用試験なるものは、戦前の行政科試験と同じではないか、いわば戦前の内務省の採用試験の復活であって、何かエリート族をつくっているのじゃないかという気がしてしようがない。そうしてこの試験に採用されると、各自治体に対して、あなたのほうは計画的に配置しているのじゃないでしょうか。向こうから配置してくれと言うのじゃない。たとえばこの人は何々県、この人はどこどこというようにあなたのほうで計画的に配置しているのじゃありませんか。ですから、先ほどの問題とあわして、私は自治省はかなり人間を配置して実際に自治体を支配している、これがいまの現実の姿ではないかと思うので、第二番目にこの自治省の採用試験の性格と根拠と、戦前の内務省の採用試験の復活だと私は思うのですが、その辺について意見を聞いておきたい。
  82. 宮澤弘

    政府委員(宮澤弘君) まず私から事務的な御答弁を申し上げます。自治省で採用いたしておりますのは、ただいま山崎委員申されましたように、たとえば自治省の将来幹部になります者、それからなお地方団体の職員のうちから自治省で仕事をしたいという希望を持っております者、二種類ございまして、いわゆる幹部候補者というような者だけではございません。そこで、お尋ねの幹部候補者の試験の問題でございますが、これはただいまおっしゃいました自治省で採用して地方団体のほうから需要がなくても配っているのじゃないか、こういうお話でございますけれども、実は毎年地方団体のほうから大学を出まして国家公務員試験を通りました者を、需要があるかないかという要望をまとめまして、その取りまとめました範囲内において、私どものほうで国家公務員試験に合格をしました大学卒業者を採用いたしておるわけでございます。まあこれが戦前の内務省の高等文官試験を通りました者の、内務省の再来ではないかというお話でございますけれども、先ほど申しましたように、自治省といたしましては国と地方団体との間の連絡をはかりながら、地方自治の企画立案をする役所でございます。各省が各省の幹部職員となります者を採用するのと同じような意味でやはり採用する必要があるのではなかろうか、私どもはそう考えております。
  83. 山崎昇

    ○山崎昇君 あなたのほうは、それは各自治体から希望をとってそれに基づいてやられておる。形式的にはそう踏んでいると思うのです。しかし、実際は、各自治体は何かもらわなければどうも自治省にぐあいが悪いというのが本音じゃないですか、私ども聞いているのは。それからもう一つ私が指摘しておきたいのは、あなたのほうで採用試験をやって、そして配置をしたこの人は、二年ぐらいたつとまた引き揚げるのですね、大体は。そして来た者は、おれは自治省の採用試験の合格者だというきわめてエリート意識を持っておる。おれは将来の幹部だから、おまえらみたいの土着の人間と違うのだという態度が各自治体ではかなり濃いです。この問題は事実です。ですから、私はあなたのほうでかりにやったとしても、実際やられている姿というのは戦前の内務省の採用試験の復活と同様であって、行っている本人はきわめてエリート意識が強い。目はあなたのほうだけ向いていればいい、住民なんてどっち向いていようがたいしたことはない。これを称して見習いと称しているのです、各自治体では。ですから、見習い期間二年ぐらいたつというと本省に引き揚げるか、どっかへ回すか、課長にするか、とんとん拍子の出世コースを歩く、こういうことで、あなたのほうで意図しているような実際には地方行政の発展のためにたいして、尽くしてないと思うんです。ですから、こういうエリートをつくるような採用試験というのは私はやめてもらいたいし、また根拠もないんじゃないですか。自治省が採用試験をやる、労働省が採用試験をやる、各省がばらばらに自分の省に合うようにこういうエリートをつくるために試験をやったらどうなりますか。そういう意味で、私はきわめてこれは憤慨を伴っている試験なんですから、ですから、いますぐあなたに、大臣、これやめれと言っても、私は、そうですかということにならぬと思うけれども、私は実情と問題点を指摘しておきますから、少なくともこの自治省の採用試験については考え直してもらいたい、改めてもらいたい、こういうことだけきょうはまあ申し上げておきたいと思うんです。そして、いま申し上げましたように、大体一人の任期は二年です。二年たったらどうするか、中央に上げるか、課長に上げるか、そういう状態になっておる。したがいまして、各自治体でもそれらに対する羨望ももちろんあると思いますけれども、ために職員間におもしろくない空気がかなりあります。そういう点についても、きょうは指摘だけしておきますから、ぜひこれは再検討願いたい、こう思うわけです。そこで、この点は、最終に要望になりましたけれども、平行線をたどりますから、指摘だけしておきます。  次に、問題移りますが、超過負担の問題について大臣にお聞きをしたいと思うんです。私が昨年の十月に、公務員賃金に関連をして社会労働委員会で自治省に対して超過負担の解消について質問いたしました。そのときには財政局長が出て来てこういう答弁をした。昭和四十年では千四百四十三億の超過負担がありました。しかし、その後、自治省とあるいは各省の努力がありまして、約三百億くらいは解消いたしました。こういう答弁でありまして、昨年の十月の段階では約千百億ほどの超過負担があると、こう言われておる。そこで、お尋ねの第一点は、昭和四十二年度の予算でこの超過負担というのはどれくらい解消されているのか、あるいはまた新たな要素としてどれくらいの超過負担というのが出ているのか、まずお聞きをしたい。
  84. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 大体四十一年度で三百三十億ほど解消し、それから昭和四十二年度で二百六十億の解消をいたしまして、両方合わせまして約六百億ほどになりますが、しかし、なおこの四十年の決算等から考えますると、八百億ぐらい超過負担が残っておるわけです。これにつきましては、もちろんいろいろ事情も調査をいたしてそういうことをやったのでございますが、さらにもう少し徹底した実情調査の必要がございますので、本年の予算編成の際におきまして、大蔵省、自治省及び各省共同して実情調査をして、四十三年度から計画的な解消をしようということで目下実情調査に乗り出すところでございます。
  85. 山崎昇

    ○山崎昇君 四十一年と二年で約六百億というのですが、そうすると、まだ約七百五十億くらいはあるという勘定になりますね。そうすると、大臣の答弁をすなおに受け取って、各省共同してこれから調査をして四十三年度以降から計画的に解消するようにしたい、そうすると、それまでの間は自治体はどうなりますか。いま地方自治体は赤字で困っている。その間、あなたのほうでは、それではどういう処置をとるのですか。それをお聞かせ願いたい。
  86. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 本年は、本年の予算編成におきまして、ただいま申し上げましたように二百六十億ほど解消いたしましたが、これで十分でございません。まだ地方に迷惑をかけておるわけでございます。したがいまして、ただいま申しましたように、各省共同の実態調査をいたしまして、そうして四十三年度予算から段階的に、私といたしましては、少なくとも三年間には解消をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  87. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、四十三年度から少なくとも三年間といえば四十五年度までの間にこれはやる。その間に新たにまた私はできる可能性があると思うのですね。それも含めての話ですか。
  88. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 実態調査の結果に基づきまして、たとえば物価の上昇による単価の値上がりというものは、十分その中で考慮をいたしてまいりたいと考えております。
  89. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、大臣に確認しますが、昭和四十五年度には、三年ということですから、その点を理解をして、おおむね昭和四十五年にはこういう超過負担というものはなくなりますか。なくします、それだけの決意でやりますというふうに私は理解していいのですか。
  90. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) そう御理解いただいていいと思います。ただお断わりいたしておきますが、町村がみずからの恣意によってよけいな負担をするという——恣意と申しちゃ悪いのですが、自発的に、たとえば学校をつくるときに基準の学校でなくてもっといい学校を建てるというようなのは、そういうのは超過負担とは言えないのじゃないか、その辺は十分御理解の上でのお話だと思います。
  91. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大臣から、私はこれは納得できる数字ではないのですが、ほんとうは昨年十月の社労では、政務次官が出てきて、昭和四十二年度で解消しますという答弁をしたのですよ。だから、私はその答弁からいうと自治省はうそを言ったと思うのですから、納得することはできない。ほんとうはこれから補正予算を組んででも四十二年度で解消をしてもらいたいと、こう思うのですが、かりに一歩を譲って、三年間でかりにやるとすれば、昭和四十五年度にはなくしてもらいたい。さらに私がこの機会に言いたいのは、国が自分の責任で地方自治体に財政措置をしなければならぬというものは、何か調べ上げて、これから三年くらいで解消しますと、こう言う。ところが、自治体のほうで何かちょっと自主的なことをやって一番問題がありますのは、給与の問題だと思うのだが、何か自治体で、そこの自治体の自主性に基づいてやると、あなたのほうは交付税を削りますとか、どうしますとかいう制裁を加える。国の責任を果たすべき段階になってくると、何かこれから調査をして、三年くらいの計画でやりますと、こう言う。ですから、私はどうしてもつり合わないんだけれども、各自治体では、あなたのほうで措置をすべきものを措置しないのについて何にも制裁手段がない、自治体のほうは。国のほうは権力持ってるから、何かすれば自治体に対して制裁をする。今後はこの超過負担の解消の問題と関連をして、各自治体で自主性に基づいて財政運営をする場合に、そういう、あなた方は権力的なことをやらない、このこともひとつこの機会に言明をしてもらいたいと思う。そうでないと片手落ちになると思うのですね。自治体のほうに対しては制裁を加えるし、国のほうが守らぬ場合には自治体で何にもできないというんでは、私はどうしても納得できない。そこで、いませっかくの大臣のお答えでありますから、私は不満であっても、とにかく三年くらいでこの超過負担は解消するというんだから、それは積極的な意思として私は理解をしますが、自治体に対するそういう不当な干渉なり制裁についても、この際いたしませんという、ひとつ大臣の言明をもらいたい。
  92. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 不当な干渉というのは、何をおさしになるのか、まあ交付税を削るといっても、そういうあれもないわけではございませんが、いずれにしましても、ただ地方自治体が非常に恣意的に、自分の財政のことも考えずにやったような場合は非常に困るわけでございます。そういう点について注意をしたり、是正してもらうようなことはいたしますけれども、それ以上につきまして、この自分の財政力に応じないような、分不相応な支出をやるというようなことは、これは是正していただかなきゃならない。しかし、その他につきましては、できるだけその地方の自主性というものを守ることは当然でございます。
  93. 山崎昇

    ○山崎昇君 私の言うのは、これからまた紛争が起きると思うのですよ。たとえば八月に人事院勧告が出る、それから年末手当が十二月には支給をされる。そうすると、全国に三千もある自治体で、それぞれ労働組合といろいろ交渉等が行なわれる。そして、その市町村なり都道府県で、多少つけることが今後の事務運営その他にいいという判断で、自主性というものをやる場合がある。そういうときに、自治省はもしそういうことをやれば交付税を削りますとか、あるいは何らかの形で制裁をとりますとかいうものの言い方をする、そういうことをやれば自治体の自主性というものはまるっきりなくなってしまう。こういうことを私は心配をするんで、いま大臣おっしゃるように、あんまりひどいものは、それはあなたのほうにも権限があるでしょうから、とやかくは言いませんけれども、つとめてそういう制裁的な、権力的なやり方というものはやらないというふうに、ひとつ言明してもらいたい。これは、これからも必らず紛争の起きる問題であるから、私は重ねて聞いているわけです。
  94. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、地方財政法の二十六条には、「地方公共団体が法令の規定に違背して著しく多額の経費を支出し、」云々という場合には、交付税の額を削るということはございます。ただ、いま御指摘のような点につきましては、たとえばそういうことが、それを支出したからといって、それを基準財政需要額を上回るものを交付税と見るというようなことはいたしませんけれども、それ以上のことは、この二十六条の規定に該当するような場合以外は、つとめて自主性を守ってまいりたいと考えております。
  95. 山崎昇

    ○山崎昇君 重ねて、私はしつこいようですが、これはやっぱり言っておきたいと思うのは、地方自治体について自主性をおかすようなことは自治省はしない、あるいは実際的に制裁措置になるようなことも自治省としては考えておりませんと、こういうふうに私は理解をしておきたいと思うが、いいですか。
  96. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 法令の定める以外のことについてはできるだけ自主性を尊重する、これは当然のことだと思います。
  97. 山崎昇

    ○山崎昇君 法令がひっかかってくる、そうなると、たとえば私は具体的に質問しますが、各自治体でその労働組合と賃金交渉をやりますね。そうして、かりに国の場合、年末手当に二・〇出すとしても、いろんな都合で二・一出す場合もある。あるいはその他の方法で何か市長なり知事が考えたいという場合もあり得る。そういう場合に、あなたのほうで制裁的な言辞や、あるいは交付税を削るからだめだとか、国家公務員並みにやれとか、そういうようなつまらぬことはやらないというふうに考えたいのですが、いいですか。
  98. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) もちろん地方自治体がいろいろな立場から給与の面等で国家公務員を上回る場合もございます。それを国家公務員並みにしろとか、そういうことを注意をしたり、強制といいますか、勧告をしたりする所存はございません。
  99. 山崎昇

    ○山崎昇君 この問題は、どうしても私はこれから起きる問題ですからね。ですから、自治省はとにもかくにも自分の責任を果たしておらないのですから、超過負担の問題一つ見ても。そういう意味で自治体に対して賃金統制にわたるようなやり方をせぬ。あるいはまた、各自治体の長が、いま大臣が言われたように、あまりにもだれが見ても政治的に走り過ぎちゃって少しやり過ぎではないかという場合もないとは言い切れないと思う。しかし、そういう極端のものは別として、一般的に自治体のとるいろんなやり方について自治省は介入をしていかないのだと、こういうふうに私は理解をしてこの問題の質問を終えておきたいと思うのです。  その次に私はお聞きをしたいのは、一昨年の七月にILO本部からドライヤーさん以下三人来て、ドライヤー報告というのが出されたわけです。そして、この中で問題にしておる第一の点で、これはあとでまた詳細に別に聞きますが、いまの自治体の中で給与条例のないところがたくさんあると、こう指摘しているのですね。そこで自治省は、今日まで賃金その他についていろいろ指導してきたそうでありますが、給与条例のないところがいまだに、自活法が施行になって二十年たつのにあるという、こういう現状についてどう思うのですか。
  100. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) ドライヤーさんの出ましたころにはそういう団体が確かにございました。しかし、現在ではすべて給与条例を制定いたしております。
  101. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、現在は給与条例のないところはないというように考えていいですか。
  102. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) そのように御理解いただいてけっこうでございます。
  103. 山崎昇

    ○山崎昇君 あわせてお聞きをしますが、国家公務員よりもかなり賃金が低いところがある。これは自治省の調査された給与の実態調査を見るというと、調査の七割までは大体国家公務員よりも低いというふうに言われておる。そしてその賃金の額も大体国家公務員の七〇%くらいにしか達していない。こういう自治体の賃金実態というものを今日までなぜあなた方放置してきた、どういう指導をしてきた、ちょっとでも国家公務員よりも高くなれば、えらいあなた方は目をひっくり返しておこるようでありますが、場合によってはえらい制裁を加えているようでありますが、低いことについては何にも指導していないんじゃないですか、いまだに存在してるじゃないですか、こういうことについてどういうようにあなた方指導してきたのか、お聞かせ願いたい。
  104. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 給与の水準につきましては、先ほど大臣も申し上げましたように、まあ国家公務員の給与に準ずるというのが考え方になっておるわけでございます。ただ、その場合におきましても、やはり給与決定というものは地方団体が条例できめるわけでございます。そういう意味で、それぞれの地方におきましていろいろな民間給与との関係とか、均衡というものがあります場合もございます。また職員構成なり、あるいは職員構成は学歴とか年齢とかいろいろなところ、必ずしも同一でもないわけでございます。単純に比較することもなかなか困難でございますが、私どもといたしましては、おっしゃいますように、著しく均衡を失するといいますか、というようなものにつきましては、ケース・バイ・ケースで指導をいたしておるつもりでございます。ただ、最終的には条例をもってきめるわけでございますので、地域的な均衡といいますか、そういうものによる一つの決定の基準というものが別個に働く場合が非常に多いようでございまして、いま御指摘のような点についてはケース・バイ・ケースで逐次改善をはかっていきたい、こう考えております。
  105. 山崎昇

    ○山崎昇君 ケース・バイ・ケースといったって、一つや二つなら私はあなたの答弁もそれで満足してもいいと思うのです。しかし、町村の大半がほとんど低い状態にある。そして、あなたのほうは、いまの答弁によると、低い給与をきめる給与条例ならそれは自治体の自主性だと、こう言う。国家公務員より少しでも上回るような給与条例をきめようとすれば、あなたのほうは干渉するじゃないですか。ですから、私は高いものを何も引っ込めろという意味で言っているわけでもないし、全体的にいえば地方公務員の給与というものは国家公務員よりも高くはない、多少、六大都市は高いところもあるが、そういう点から考えると、あなた方は積極的に何にも低いところについては手をつけていない、こういわれてもしようがないじゃないですか。ケース・バイ・ケースといったって、あまりにも多過ぎるじゃないですか。一カ所や二カ所なら私も理解してもいいと思うのだが、町村の七割くらいまでがきわめて低い状況にある。あまつさえ現業の職員などに至っては生活保護法の適用者よりまだまだ低いところがある。家族数で賃金を割ったらたいへんなところがある。そういうものをあなた方は黙って見殺しにする、放置をする、それは条例でございます、それは自治体の自主性でございますと、こう言う。ところが少しでも頭を出せば叩く、そういういま自治省はやり方をやっているのじゃないですか。ですから、私はケース・バイ・ケースなんという答えでは納得することができない。こういう低い賃金というものはどうあなた方は指導してあげるのですか、それを。そしてその自治体と労働組合を交渉させると、交付税が来ていないとか、あるいは何かというと自治省に交付税を削られるとか、それが必ずそこの自治体の長からの答弁です。だから、私どもは労使間の問題としてこの問題を見ると、必ずといっていいくらい背後に自治省がおって、自治省が何か糸を引いておる、こう私どもは言わざるを得ないのです。もしそうでないとすれば、自治省の権威をかさに着て、各自治体がつらいから適当に答弁しているのかもしれない。そうならそうで、私どもは今後やり方を変えなければならぬけれども、自治省はもっと一般的に低いそういう町村の給与というものをどういうふうに強力に指導するのか、もう少し突っ込んだ回答をほしいと思うのです。
  106. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 高いほうについては必ずやかましいことを言うじゃないか、低いほうについてはケース・バイ・ケースなんというのはどうかというお尋ねでございます。現実問題といたしまして、確かにいわゆる国家公務員の給与に準ずるということが法の予定しておるたてまえでございますけれども、御指摘の中にありますように、高いところもございます。低いところもございます。私どもは国家公務員の給与に準ずるという意味では、両方に同じような意味での指導を加えておるつもりでございます。しかしながら、高いほうが低くなるかといえばこれもなかなかならない。これはやはり地域団体、地域社会におけるところの給与上のいろいろな均衡という問題もありまして、高いところは高いままでとまっておるというところも相当あるわけであります。低いほうにつきましても、私どもも国家公務員の給与に準ずるようにという指導はいたしておるつもりでございます。しかしながら、そこにはやはり地域団体としての給与決定の基準の中には、いろいろな給与との関係というものも考え、あるいは財政上のいろいろな問題も考えるかもしれませんが、しかしながら、私どもはひくいところにつきましてこれを国家公務員の給与水準に近づけるためにいたしますときに、自治省が交付税を削るとか削らぬとかいうようなことを言っておるようなことはさらさらございません。もし、かりにもせよそういうことを言っておるという団体があるといたしますと、それは何かの誤解に基づいた言い方ではないだろうかというふうに考えております。
  107. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ確認をしておきますよ。交付税を削るなどという圧力をかけたことはございませんという答弁ですから、そのとおり確認をしておきますから、もしも私どもが調査をして、あなた方が地方自治体にそういうことを言ったということがあったら、あなたの責任を追及しますけれども、きょうはそういうことはないというのですから私は確認をしておきます。  次に、国家公務員に準ずると、確かに法律上の用語はそうなっておる。準ずるというのは、これは国家公務員どおりという意味じゃないですね。法律用語で言えば適用じゃないのですから。ですから、それについてあなた方が自主的に、それこそその自治体の労使間でまとまったものを、自治省の立場から権力的に介入するということは私は排除しなければならぬし、私どもしてないと思う。しかし、現実的にはそう言われるわけです、私どもが行けば。何ぶんにも自治省がうんと言いませんとか、何ぶんにも自治省がどうだとか、こう言われる。ですから、今後私どもはそういうことを言われないようにあなた方に指導してもらいたいし、また言われないようにさせなければならぬと、こう思っていますが、そこで、その次の質問は、同じ給与の中で、もう一つ問題がありますのは、超過勤務手当の問題が問題になっておる。これはいま予算上では六%組んでおる。ところが実際には六%では超過勤務手当を払うことができない。大体実績の四〇%ないし五〇%くらいしか払えない。そこで私は自治省に、これから基準財政需要額等で見る場合に、給与総額の六%ではもうどうにもならないのだから、この六%そのものについても再検討願いたいと思うのですが、どうですか。また、超過勤務手当についてほとんどと言っていいくらい実績の半分しか払われていない。労働基準法との関係についてどうあなた方理解をされるのか、その点についてもお答えを願いたい。
  108. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 財政計画上の問題といたしまして、財政の立場からお答え申し上げます。超過勤務手当の計上は六%といたしております。これは御案内のとおり、その実績を私どものほうで地方団体について調べましたものを基礎にして六%というものをはじいているわけでございます。現実に、また地方団体の現実の勤務におきまして、超過勤務手当というものは全般的には、やはり超勤のない事態というものが私は前提であろうと思うわけでございまして、現在の六%の検討の際、これは毎年、財政計画を立てます場合に私どもの内部、それから大蔵省との間でもその六%をめぐって議論があるわけでございますが、いまのところは現実にそう食い違いがあるということは私ども認識しておらないところでございます。
  109. 山崎昇

    ○山崎昇君 第二点目はどうですか、労働基準法との関係はどう考えるのですか、実績どおり払われていない。
  110. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 現実に成規に超過勤務を命じてありまして、しかるにかかわらず、それに対して超過勤務手当を払っていないという状況であれば、これは基準法違反ということに相なると思います。しかしながら、現実の場合におきましては、やはり実態といたしましては、命令——命令というのは超過勤務の命令でございますが、超過勤務を命令いたしまして働かした分については支払っておると、私どもはそのように考えております。
  111. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはもう認識不足もはなはだしい。いま自治体でも国家公務員でもそうだと思うのだが、超過勤務でわりあい払われておるのは選挙関係事務と災害だけです。これはどういうわけか知らぬけれども、選挙関係事務の従事者はきわめて待遇がいいのですね。それと災害復旧関係、災害復旧関係は私もわかるような気がします。ところが一般的な超過勤務については、先ほど事官のほうから実績を基礎だと、こう言うが、半分しか払っていない。実績ですもの、それはあなたふえるしかけのものじゃないのです。だから、この六%では、現実の問題としては実績の半分くらいしか払われていない。もしもあなた方それが正しいと言うなら、これは改めてもらいたい、完全に支払うように。それならば、各自治体で私どもは労働組合を督励して労働基準局に訴えますよ、これは提訴しますよ。そういう事態は私ども避けたいと思うから、できるならば予算のときにもつとあなた方が実情というものを知ってこの問題に対処してもらいたい。そうでなければ、きわめて認識不足だというふうに指摘せざるを得ない。そういう意味で、この問題、これはいまここで予算をつくるわけにいきませんから、私は問題を指摘をして、この問題について終わっておきたいのですが、とにもかくにも、自治省は実際は調査だとか、指導だとかという名前ではありますけれども、実質的にはもう賃金統制をやっておる、そういう状態に近いようないま状態にあるということも指摘をしておきたいと思うのです。そういう意味で各自治体の自主性をもっともっと尊重する、あるいはさっき答弁ありましたように、そんな制裁的な言辞を吐いたことないと言うのですから、それは私きょう記録としてとどめておいて、今後そういうことのないようにしていただきたいと思うのです。  そこで時間があまりありませんから、次の問題をお聞きをしたいと思うのです。それは定年制についてお聞きをしておきいたと思うのです。これはことしの七月九日の北海道新聞に載った記事ですけれども、自治省ではすでに定年制について意見がまとまって、次期通常国会をめどに地方公務員法の一部改正案を出す方針を固めたと報道されています。ですから、第一にこれが事実かどうか、事実だとすればその内容の説明を願いたい。
  112. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 定年制につきましては、単に労働力の需給関係のみによってきめられるものではございませんで、賃金制度でありますとか、あるいはいわゆる労働科学的に見た能力の限界、あるいは昇進管理など人事管理と密接な関連をするものでありまして、その必要性は十分にあると考えておるものでございます。しかしながら、定年制につきましてもまだ結論を得ておるわけでも何でもございませんが、将来の雇用状況、わが国の雇用条件、いろいろな事情というものも考慮いたしまして考えてみなければ、十分な結果というものも期待しがたいのじゃないかというようなこともございまして、現在検討中でございまして、まだ結論を得たわけでも何でもございません。
  113. 山崎昇

    ○山崎昇君 すると、この新聞報道は誤りですかね。かなり具体的に書いているわけです。たとえば五十五歳までは年功序列型賃金でいくが、五十五歳を過ぎたら一ぺんやめさして別な賃金体系でやるとか、あるいはそのほかの年金との関係でありますとか、かなり詳細に述べられております。あなたがいま検討中だと言うのですが、それなら、検討中だからあまり公開できないとあなたおっしゃると思うのだが、あなたの考えておる内容をもし公開できるなら公開できる範囲でけっこうですから説明をしてもらいたいと思います。
  114. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 現在まだいろいろな資料を整理いたしておりまして、いろんな観点から検討中でございます。私どもがおぼろげに予定しておりますのは、単純な定年制というものだけで十分目的を達するということに一体なるのかならないのか、国の将来の雇用条件その他、はっきりすぐ数年後にあらわれてくるいろいろな状況があるわけでございます。そういうものについて関係の各省なり関係の機関がどう考えておるのか、いろんな資料をいま集めまして検討をしておる、検討の緒についておるという状況でございます。内容についてはまだ申し上げる段階に至っておりません。
  115. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、あれですか、これは新聞報道ですから、この新聞報道は誤りだということになりますか。まあ誤りといえばあなたのほうでも表現上困る場合もあるけれども、正確ではない、この新聞報道は。そう思っていいですか。
  116. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) その報道はおっしゃるとおり正確を欠いておると思います。
  117. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、重ねてお聞きしますが、正確ではない、ただ将来の労働人口等も考えながら定年制そのものについては検討開始をしておる、こういう段階だというふうなあなたの答弁だと思うのですが、いいですか。
  118. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) そのとおりでございます。
  119. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうするとね、ちょっと私は日にちが確認できないで困っているのですが、全国の何か市議長会議——世話人会議か幹事会議か知りませんが、そこに自治省の幹部が出られて、定年制は当分やりませんというあいさつをしていったと私ども聞いているのですが、これもほんとうですか、違いますか。
  120. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 定年制については山崎委員も御承知のように、実は昨年の通常国会に提案するという準備までいたしまして、それが提案に至らずに終わったというような経緯がございます。したがって、いまそこにお示しになりました時点がいつかよく存じませんけれども、かりにその近いところでありましたならば、当分やりませんというようなお話も出たかと思いますが、私どものほうでは、自治省としては目下検討中であるということに尽きるのではないかと思います。
  121. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうすると、目下検討中だということなんですが、この新聞報道は不正確だ、そうすると、次期の通常国会には出さないということに論理上なってきますわね。この新聞はそうなっているわけだ、その点はどうなりますか。
  122. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 提案するしないというようなことは、私ども事務屋の考えるところじゃないわけでございます。したがって、定年制についての結論がいつごろまでに出るか出ないかというような問題でございますと、これはいまのところ何とも申し上げようがない、こういうことしか言えないわけでございます。
  123. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはおかしいじゃないですか。あなた自分でやっておって、今度いつ結論出すかわからぬというのは少しおかしいじゃないですか。そうでしょう。あなた自身がいま作業を進めているのでしょう。部下にやらせるには大体いつごろまでのめどとか、あるいはどうするとかいうことを、あなた指示して作業は進めなければ作業は進まないじゃないですか。ですから、事務当局の答弁なら、それはいいかげんだ。あなたのほうの事務当局では、それじゃいつごろをめどにやっているのですか。それから国会に提案するかしないかは第二の政治的判断になると思うから、それは大臣から聞きたいと思っているのです。
  124. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 事務的には現在基礎的な資料の収集中の段階でございます。それがある程度収集できましたところで、秋からいろいろ本格的な検討に入りたいと思っておりますけれども、私どもとしては、できるだけそういう意味で早く結論を得たいとは考えております。一応の目標を年内ということに置いておりますが、現在まだそこまで至っておりませんので、いつになるか、いつ結論が出るかということについてははっきり申し上げかねるわけでございます。
  125. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣どうですか、通常国会間に合いますか。
  126. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 定年制そのものについては、地方公務員の新陳代謝をいたしまして事務能率を上げるという意味において好ましい制度であると私は考えております。しかし、これをやります前提といたしましてはいろいろ給与体系の問題もございます。また、定年退職された方の再就職を容易にするような、そうしたいろいろな制度的な問題も考えていかなければたらないと思います。また最近の日本人の寿命の延び、したがって、また労働人口の年齢が高くたってきておるというようなことから、一体どれくらいのところで定年にするがいいかというような問題で、非常に今後検討をしなければならない問題、非常にむずかしい問題がたくさんございます。したがいまして、ただいま局長からは年内を目途としておると申しましたが、はたして年内にそのようなむずかしい問題に対する妥当な結論が得られるかどうかということに私も現在自信を持っておりません。したがいまして、もし妥当な結論が出れば、あるいは国会で御審議をいただくような方向に持っていくかもしれませんけれども、なかなかむずかしい問題でございまして、いま来国会とか、この次の通常国会に出しますとか、出しませんとかと申し上げる段階でないと考えております。
  127. 山崎昇

    ○山崎昇君 どうもこれは地方行政委員会でないものですから、すべて中途はんぱになってたいへん恐縮ですけれども、もう二、三点、自治省の見解を聞いておきたい。  その次は労使関係の問題について自治省の態度を二、三聞いておきたいと思います。最近、各自治体で団体交渉というのが拒否されるケースが多くなってきておる。これは一がいに言われない場合もあり得ると思いますが、総じて多くなってきておる。そこで大臣に聞きたいのですが、公務員の場合には民間や、それから国鉄、公労協の諸君のように、不当労働行為といって団体交渉を拒否した場合に理事者側を制裁する規定がないのですね。だから、会いませんと言われれば、そそのままになって、ただ、紛争だけが残る。こういう関係になっているのだが、そういう不当な理事者側の行為について職員団体をあなた方が守ろうという考えはあると思うんだが、今後どういうふうにそれを法制的にしていくという考えがあるのか、あるいは現実的にはどういう指導をしていくというのか、まずお聞きをしておきたい。
  128. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) たとえば地方公務員法によりましても、登録団体の交渉に対しては、当局は交渉に応じなければならない地位に立つと、まあ、このことばいろいろ公務員法制定の当時も問題になりましたが、いわばやはり一種の応諾の義務を当局が持っているものと平易に解釈するのがほんとうだと思うのでございます。そういう意味におきましては、なるほどそれに対して制裁規定等がございませんけれども、これはやはりこの当局側と申しますか、使用者側が正しくこの公務員法を読んで、そうして労働者の権利というものを保護するという立場に立たなければならないと思います。私はそういう意味において、今後われわれがあるいは助言をし、あるいは勧告をするに際しましても、常にそういう態度で当局側に接してまいりたいと考えております。
  129. 山崎昇

    ○山崎昇君 この団体交渉は、時間がたってしまえば意味がないんですよね、ですから、いま拒否されたから、自治省にお助けくださいと言ったって、それは間に合うものではないと思う。ですから、私は一般的にそういう理事者があってはならぬし、また許してもおかれないと思う。そこで日ごろからあなた方の指導面ということがやはり重要性を帯びてくるのが一つと、もう一つは、何といっても日本の労使間というものは、ある程度法律で規制をされているわけですから、法制的にそういう場合の職員団体の救済措置なり、逆に言えば、理事者側に対する制裁措置なりをつくっておく必要があるのではないか、そうでなければ残念でありますけれども、労使間というものはうまくいかないのではないか、こう思うわけです。私がやはり自分で経験した例だけで言えば、これはかつての静岡の市役所の問題もそうでありますけれども、市長が暴力団を雇ってきて組合事務所に板を打ちつけてしまう、あるいは庁内に毎日一室を与えて二十人ぐらい暴力団を雇って、交渉に行けばその席上に出てきていやがらせを行なうとか、こういうことをやられても組合側は何の制裁もできない。ですから、私はやはり正常な労使間というものをきちんとしていくなら、私は残念なことでありますけれども、ある程度法制的に救済措置なり制裁措置というものをつくらなければならないのではないか、ところが残念ながらいまの一般公務員についてだけは、職員団体の救済措置というものはないわけです。そういうものについて自治省は今後法制的にやっていこうという姿勢があるのかどうか、そういう考え方があるのかどうか、あるいは検討されておるのかどうか。そういう点もう一ぺんひとつ聞いておきたい。
  130. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) まあそういうことを言うとおしかりを受けるのかもしれませんが、一般の民間の労働組合とその使用者という、その使用者という立場より、地方公共団体の長あるいは当局というものは、一面においては、その使用している地方公務員の地位の向上を、たとえ要求がなくても考えていかなければならない立場にあるわけでございます。したがいまして、たとえばいまの五十五条の問頭なども、そういう地位に立つという者は、それはもう明らかにそういう地位に立ってやるということを法律も予定をいたしますし、われわれもそれを予定いたしておるわけでございますので、実は法制的にそれをどうしようかということを、いままで検討いたしたことはございません。しかしながら、先ほども申し上げましたように、そういう地位にあるものですから、そういう地方の当局に対しましては、これら地方公務員法をはじめ、各労働関係の法規や、あるいは従来の慣行や、そういうものを十分尊重して、常に職員団体の権利を守っていくという態度をとるようにさらに指導してまいりたいと思います。  なお、実は現在中断されてはなはだ残念なんでございますが、こういう基本的な問題について、例の公務員制度審議会等も十分審議をされるべき一つ項目だったと思うのでございますが、いま空中分解のような形になっておりまして、非常に私は残念であります。ああいう公務員制度審議会というようなものも再開されて、これらいろいろな公務についている人たちのいろいろな労働問題の基本について御審議をいただければ幸いだと、こういうふうに私は考えております。
  131. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで大臣、重要さを帯びてくるのは人事委員会の存在なんですね。ところが、たいへんこれも残念なんですが、ドライヤー報告によると、いろいろ実情を調べてみたけれども、いまの人事委員会というのはどうも公平性というものが確保されておらない、こういう指摘をしているわけであります。それを私なりにいま考えてみると、なるほどいまの人事委員会というのは三名の委員でありますけれども、ほとんどが使用者側を代表するような方々で委員が占められておる。いわば、もっと端的な言い方をすれば、働く者を代表する委員というのは絶無なんです。一人もいない。こういう状況から、このドライヤー報告では、一般的に公平性を有しておるとは思われないという指摘をしておるわけです。そこで、このような人事委員会のこのドライヤー報告の指摘について大臣はどのように考えるのか。さらに、この人事委員会に労働条件の監督その他はほとんどまかせているのです。たとえば労働基準法でいえば、相当程度のものが人事委員会で監督することになっておる。私どもから言うと、使用者を代表するようなものに、使用者がやらないことについて監督権を与えているわけですから、まあきたないことばで言えば、どろぼうにさらにどろぼうをやりなさいと言わぬばかりの法律体系になっている。だから、この人事委員会について、第一に公平性を欠いておるのだが、それを守るためには、自治省として、今後、労働者を代表する委員は必ず一名入れるなら入れるとか、そういう指導をするお考えがあるのかどうか。それから、いま労働基準法の適用を排除して人事委員会にほとんどの権限を譲っていますが、これはやはり専門に労働基準について扱う労働基準局に返すべきではないのか、そういうところで監督すべきではないかと思うのだが、この二点についてまず聞きたい。
  132. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 第一に、ドライヤー報告において、地方の人事委員会が公平を確保していない疑いがあると申しますか、そういう意味のことを言われておりますことは承知いたしております。どういうところをさされたか、いま、山崎さんが御指摘になるように、どうも当局の鼻息ばかりうかがっているような者ばかり選んでおるのじゃないかということでございますが、私は実際も見ておりますが、必ずしもそういうことでなくて、できるだけ公平な第三者的な中立的な人を選ぶのに努力をしているように、私は都道府県知事はやっているように考えております。また議会の承認だって、それも保守党の議員が多いところばかりじゃないかというおしかりを受けるかもしれませんが、しかし、少なくともそういう議会の議決も経るというようなことで、できるだけ第三者的、中立的な公平な人を選ぶように努力をしておると思うのでございまして、こういう方面をさらに努力をさせてまいりたいと思います。そういう意味で、この第三者的と申しますか、公平なという意味からいきますと、いわゆる労働委員会のように三者構成的なものにするということがはたして妥当かどうか、こういう点もございまして、現在、勤労者の側を代表するものを必ず委員に入れろというようなことを申すつもりはございませんので、むしろそういうほんとうに中立的な第三者的な者を選ぶ努力を都道府県知事等がやっていただきたいと考えておる次第でございます。
  133. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣、このドライヤー報告によると、労働者団体がその任命に若干の発言権を有すべきことを確保することに対し考慮が払われること、こういうのですね。そうすると、この指摘を私どもがすなおに理解をするというと、人事委員会委員の任命については労働組合側とある程度話し合いをしなさい。そして任命をすべきではないのかというふうにこれは理解することが、すなおな理解ではないかと思うのです。そういう意味で、自治省はこのドライヤー報告というものをどういうふうにそれじゃ、指導するのですか、また、どういうふうに指導しようとして検討されておるのか、お聞きしたい。
  134. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいまの答弁を繰り返すようでございますが、実際的に職員団体と団体交渉ということではなくて、こういう人事委員を任命したいと相談をするということはあり得ると思うのでございます。ただ、何かまたおまえそういう審議会等に逃げてしまうのはけしからぬぞとおしかりを受けるかもしれませんが、こういう問題につきまして、要するに労働三法から離して、国家公務員なり地方公務員というものを各公務員法によって律して、あるいはそれに対して第三者的な機関として人事院なり人事委員会を設けた、こういう制度でございます。しかし、それをいま御提言のようなことにするためには、そういうことをまたひっくり返すことに一部なるのでございまして、そういう意味におきましては、公務員制度審議会のようなところでひとつ御審議をいただくことが一番いいのじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。
  135. 山崎昇

    ○山崎昇君 公務員制度審議会で私は議論することも大切だと思うのですが、せっかくこういう機会ですから、そうしてこういうドライヤー報告というのがきちっと出ているわけです。これは自治労が提訴して、それに対して調査をし、その結果、こういう結果について指摘をしておるわけですから、当然、政府がこれについての措置を具体的にしなければならぬと思うのです。公務員制度審議会にはかろうが、はかるまいが、その前にあなた方は忠実にこういうものをどう実現をするのか、具体的にどうするのかということ、やるあなた方義務を持っているのじゃないか。ですから、私がいま聞いておるのは、労働組合の発言権を認めなさいと、こう言っているわけです。ですから、これからあなた方は各地方自治体を指導する場合には、当然、人事委員の任命等にあたっては、この団体と話をするなり、あるいはもっと一歩進むなら、労働者を代表する委員を一名加えて、そうして絶えず人事委員会の中へ労働者の意見というものを吸収するようにすることが労使間の正しいあり方じゃないか、そういう意味で、私はこのドライヤー報告というものを真剣にあなた方は検討して、そうして、あなた方みずからが研究されて実施できるものを私はいま言っているのです。ほんとうは全部これはあなた方に聞きたいのですが、時間の制約がありますから、もう少しで終わりますけれども、少なくともいま一番地方で給与、身分、あるいは服務その他を扱う人事委員会に、労働組合が何の発言権もないということについて私は納得できないから、せめてこの条項でいま質問しているわけです。ですから、大臣としては、一ぺんに労働組合の同意を得なければ人事委員を任命しちゃいかぬとか、そういうふうなことまではいかないと思うけれども、少なくともこのドライヤー報告に忠実にやってもらいたい。ですから、やっぱりあなたから各地方自治体に対して、このドライヤー報告をすなおに理解をして、今後、労働組合と話をしなさい、できるならば労働者を代表する委員を一名くらい加えなさい。そういうあなた方の指導方針があってしかるべきじゃないか、そういう意味で大臣にもう一ぺんきちっとした答弁を聞きたい。
  136. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 第一に、先ほども申し上げましたが、地方の人事委員会、これは労働委員会のような三者構成でやる性格のものではないように私は考えるわけでございます。したがって、しかし、公平性あるいは第三者性というものを確保するようにやっていかなければならぬと思います。この人事委員を選ぶ際に職員団体の意見を聞くということにつきまして指導をするかということでございますが、そういうことが事実上行なわれることは私は一向かまわないと思います。団体交渉という意味ではなくて、職員団体の意見も聞くという事実の行なわれることは、これは否定するものじゃございません。ただ、それをすべて各都道府県にそういうことをやりなさいというのがはたして妥当であるかどうか。これもひとつもう少しこのトライヤー報告——一方においては、そういう問題について公務員制度審議会にかけなさいということもございますので、それらもあわせまして、もう少し考慮さしていただきたいと思います。
  137. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大臣から積極的に指導することについては考えさしてもらいたい、しかし、事実行為として各地方自治体で組合と話をされることはけっこうですと、こういうことですね。それじゃそれだけのことでもいいから、あなた自治体に言ってくださいよ。そうでなければ自治体はできないじゃないか。(「国会のこの委員会で大臣が意見を述べているのだから一番いいじゃないか。」と呼ぶ者あり)それはここで何ぼあなたがうまいことを言ったって実際問題はそうでないのだ。私はあなたが言われたとおり実際行なわれているなら、いまそっちで言ったとおり、はいと言いますよ。そうでないから私は言ってるのだよ。ですから、私はそっちからのやじもありますから、時間の制約もあるし、かなり気にしておるようですから、もうそろそろ集約に入っていきますけれども、ただ、このドライヤー報告というのは単に報告書だというふうに考えずに、実際問題としてどうやったらほんとうに公平性が保てるのか、あるいは職員の意向というものが反映されていくのか、そういうことももっと真剣に私は考えてもらいたい。そういう意味で、今後私のほうは私のほうで指導いたします、各組合を。ですが、事実問題として労働組合の意見を聞いて人事委員等を任命するようにひとつ指導してもらう、このことを言っておきたいと思うのです。  それから労使間の問題、たくさんあるのですが、大臣がいかれるそうですから、もう一点だけにとどめておきたいと思うのですが、同じくドライヤー報告で、どうも日本の政府というのは過度の法律尊重主義におちいっちゃっているのじゃないか。何でもかんでも法律法律で実施しているのじゃないか、こういう指摘があります。いまもずっと答弁を聞いていますと、法令の範囲内だとか、いや法律がどうだとか、やっぱりあなた方もドライヤー報告の指摘のとおりのやり方なんですね。しかし、労使間はそういうものじゃないのじゃないか。そういう意味で、この点は、このドライヤー報告が指摘しているように、何でもかんでも法律万能主義、法律一点ばり、そういう態度でなしに、もっと弾力的な態度で労使間を指導してもらいたい。そのことだけ、この点を指摘をして労使間の問題を終わっておきます。  そこで、大臣がいなくなると困るので、もう一点お尋ねいたします。それは身分移管の点、これをあなたに聞きます。あとは政府委員に二、三こまかいことを聞きますが、(「時間がないよ」と呼ぶ者あり)時間はまだまだゆっくりだよ。  さっき地方自治法ができてことしは二十年だ、そこで全国的に二十年の記念をやるわけでありますが、私は一つ気になりますのは、この自治法の附則の八条に国家公務員がおるのですね。これは二十年間投げっぱなしになっておるわけです。「当分の間」ということばで何にも措置されていない。そこで、今度出ました臨時行政調査会の勧告なり、あるいは行政管理委員会の勧告なり、こういうのを見ていると、すみやかに都道府県に委譲しなさいと、こうなってるわけですね。あなたのほうでは、この自治法の附則の八条をどういうふうにされるのか、あるいはどういうふうに検討されてどうされようとしておるのか、ひとつ大臣からこれは聞いておきたい。
  138. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 「当分の間」が二十年になってしまったわけでございますが、臨調の答申もございますし、われわれももちろん臨調の答申が正しいものと考えまして、各省との交渉をいたしております。率直に申し上げまして、運輸省関係は大体話し合いがつくのでございますが、まだ私どもの努力の足りない結果、他の関係におきまして結論に至っておりません。私どもはそういうこの地方事務制度全体を一括して解決いたしたい。したがって、運輸省との話がある程度ついたらそれだけやるとか、そういう形でなくて、他の問題も一緒にやりたいということで努力をいたしております。まだその成果があがらないのは遺憾でございますが、今後も全力をあげてその方向で進みたいと考えております。
  139. 山崎昇

    ○山崎昇君 考えはわかったのですが、具体的にどうされるのですか。たとえば、次の国会に自治省としてはこういう法律案を出すとか、あるいはこうしますとか、そういう具体性がなければ、二十年間唱えただけの題目であって、何も進まないじゃないですか。ですから、具体的にどうされるのですか、どういう時期をめどにして、どういうふうに具体的にこの附則の八条を措置するのですか、もっと具体的にしてくださいよ。二十年も同じことを聞いている。臨調の勧告が出てからもうすでに三年もたっている。その間何も具体的に進んでいない。政府は全く私は投げっぱなしにしているのではないかと思うのですよ、この問題については。質問をするたびに同じことを唱えている。どの大臣もそうです。もっと具体的にこの点だけは明確にしてください。
  140. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 投げっぱなしにしておるのじゃないのでございまして、その一つのあらわれは、すでに山崎さんのお耳にも入っていると思いますが、陸運関係の問題につきましては、ある程度の妥結点にきているわけでございます。しかし、他の問題とも一括してやりたいという意味で目下関係省と折衝を続けておるということでございます。
  141. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはわかったですよ。折衝していることはわかったけれども、具体的にいつまでにどうするのですか。二十年も投げっぱなしにしておいて、自治体は困っている。そうして、どの自治体もおおむねやはり委譲すべきだという、あれだけ膨大な金をかけてきめた臨時行政調査会もそう言っているし、行政監理委員会もそう言っている。やらないのは政府だけじゃないですか、怠慢なのは。だから、もっと具体的に言ってください。そうでなければ私は承服しない。二十年も投げておいて、二十年の間同じことを言って、それでは私ははいとは言えない。自治大臣としては具体的にどうするのだ。いつまでにどうするかということを明確にしてください、この点は。
  142. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) おしかりは重々わかるのでございますけれども、いつまでにどうするというところまで至っていないので、まことに申しわけないのですが、しかし、一方、たとえば職業紹介についてはILOにおいて国の機関がやらなければいけないというが、私どもはそうは考えない。公の機関ならばいいのだというふうにあの条項を読むのでございますが、そういう問題がございます。その辺をもう少し詰めないと、いつという御確約をできない現段階でございます。
  143. 山崎昇

    ○山崎昇君 これものれんに腕押しみたいで、きわめて要領を得ないのですが、それならあなた自身として、大体めどをどうするつもりですか、あなた自身として。自治大臣として、それはあとで私が言質をとるとか、あれはどうするとか、そういうことでお尋ねをするわけではありませんから、自治大臣としての決意は、大体いつごろまでにどういう方法でやるということぐらいまでは明らかにしてもらいたい。あの次の委員会で、あなたはそう言ったじゃないか、あなたはうそつきじゃないかとか、そういうけちくさいことを言って責めようとしているのではないので、せめて、あなたは自治大臣なんだから、私としてはこのくらいのことをしますということくらいは具体的に答弁してください。
  144. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 私としては一刻も早くということなんで、しかも、それは地方へ委譲するという形で、そういう方向でということでございます。
  145. 山崎昇

    ○山崎昇君 一刻も早くといったって、あなたね、役所の可及的すみやかにということばと同じで、それは私どもやはりわからないのです。だから、あなたの一刻も早くという一刻は大体長さはどのくらいですか、長さは、一刻の長さは。大体一番長いところでどの辺ですか、短いところでは、一刻もと言うのですから、ことしの暮れあたりの国会だと思うのですが、長くてどのくらいですか、この一刻の幅は。
  146. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) どうも現在においておそくともいつまでというようなことを申し上げる段階でないので、申しわけないのですが、まあ要するに、どうせ法律の改正を願わなければならぬわけでございますから、そういう早い機会ということを考えておるわけでございます。
  147. 山崎昇

    ○山崎昇君 これももう押し問答だからこの辺でやめますが、どうも私のほうばかり負けになってぐあい悪いのだが、ただ、この問題は、野党とか与党とかということでなしに、いま自治体で、二十年間も放置をされて実際にはいろいろな問題が起きて困っているわけですね。たとえば給与の問題にしろ、あるいはその他の労働条件の問題にしろ、あるいは職務上の監督にしろ、人事異動の問題にしろ、きわめてこれは困っているわけです。ですから一方では地方自治法施行二十周年記念だなんて大々的にいろいろなことをやっておって、片方では二十年間も、やろうと思えばやれないことではないのに放置されている、これは、あらゆる機関はすべて都道府県に委譲してやりなさいといっているのに政府は具体的に手をつけない、こういう状況なんです。ですから、この点はこれ以上申し上げませんが、あなたの責任で、いつまであなたの任期があるのかわかりませんが、少なくともあなたの任期中にこれは国会に出すというように私は理解をして、この問題はほこ先をおさめておきたいと思うのです。  そこで、たいへんまあ問題はこまごまたくさんあるのですが、締めにします、たいへん要望もあるようですから。そこで私は最後に、今度のこの法律改正案を見るというと、何かその理由の一つに、公務員の数がずいぶんふえたから公務員部でなければならぬのだという一つの理由があるようです。ところがもらった資料を見ると、これはふえているのは学校の先生と警察なんですね、あるいは消防関係、そうして私から言うと、計画を立てるとか、あるいは企画をするという部門は、多少公務員はふえたからまるまるふやさなくてもいいとは言いませんけれども、ふえたから公務員をふやすということにはならないのじゃないか、これは。これは総理府の人事局のように、あすこで全部やるとか、あるいは自治体の人事課のように実際に実務をいろいろやるところなら多少私は理解をします。しかし、そうではないのですね。多少の公務員がふえたからといってあなたのほうの計画がむずかしくなるわけじゃない、それから職種もそんなにふえているわけではないのです。そうなれば、今度の改正案で公務員部をつくらなければならぬという理由はきわめて薄弱ではないのだろうか。私は先ほど来申し上げているようなことを腹の中に持って、もっとひねたものの言い方をすれば、何かまた地方自治体を統制をする、指導をするという名前のもとに、あるいは調査という名前のもとに、自治省がいよいよ統制力を強めてくるのではないかという心配がされておる、ですから、私はこの公務員部の設置にはどうしても賛成できませんし、それから職員の増ということは必ずしも必要ないのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  148. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 地方公務員の数がふえたからというより、多種多様な職種があり、しかもその数二百三十万にもなっておる、これらの公務員に対する制度の調査立案につきまして、責任体制をとり、また専門的な技術を取り入れるということが理由でございます。そしてまた、先ほど来お話の出ましたいわば管理者側の、十分近代的な人事管理に習熟していないというような点は私どもも率直に認めるのでございまして、そういう点につきましても十分近代的な人事管理ができまするように管理者側に対して助言、指導等をするということを考えますると、せめてこの程度の陣容をつくらしていただきたいということでございます。
  149. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大臣から、二百三十万というけれども、このうちの大半は教員ですね、しかし、教員は文部省がいろいろなことをやるわけでしょう、何も自治省が教員のことについてとやかくする何ものもないじゃないか。ただ、共済組合法の問題のときには、学校共済の問題がありますから、これは全然関係ないとは言わないけれども、ほとんど関係がない。あとは何がふえている、警察は警察庁、あるいは消防は消防庁がある。一般の公務員についてはそんなにふえてない、職種だってそんなにふえてない。それから、あなたは、何か新たにいろいろな計画をされるというのだが、何もないじゃないですか。だから、私はそういう意味で言うと、あのふえた中身を分析をしたら、あなた方の、員数をふやしてどうかしなければならぬようなものではないのじゃないのだろうか。それよりあなた方のねらいというのは、公務員部をつくって、先ほど来私どもが言っているように、さらに地方自治体を統制するようなことばかりやるのじゃないかという心配が先なんだ、だから、あなた方の説明しているこの内容では私はどうしても納得できない。計画立案といったって、そんなに関係ないじゃないですか。
  150. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほどお答えいたしたように、地方公務員がふえたからというのじゃなくて、多種多様な職種を持っている二百二十万にも及ぶ地方公務員がおる、現在おる、それに対してその公務員制度のいろいろな問題について調査とか立案をしたり、あるいは先ほど申しましたように、まだまだ十分近代的な人事管理に習熟していない管理者などに対して、近代的な人事管理が十分できるような、そうして結局公務員の地位が向上され、それによって能率的な行政が行なわれ、地方住民の幸福になる、こういうような観点からいたしましたので、御指摘のように、この公務員部をつくって、さらにその人事管理面においていかにも職員団体その他を締めつけるのだ、あるいはそれによって地方団体をおどかして、そういう、自分の思うようにさせるのだというような意図はさらさらないことだけは御理解をいただきたいと思います。
  151. 山崎昇

    ○山崎昇君 それじゃ、もう最後にします。いま大臣からそういうお答えだから、私は信用しておきます、一応は。しかし、どうしても私は危惧に感ずることは、最近の自治省の調査のやり方、指導のやり方、あるいはその調査内容等を見ても、職員団体を締めつける、あるいは地方自治体に対してどうも必要以上に干渉がましいことが多い。ですから、この公務員部がつくられれば、よけいそういうことになるのじゃないかという心配がある。そういう意味で、大臣はそういうことは決していたしません、こう言うので、私は一応、大臣のそのことばだけを信用して、賛成するわけじゃありませんけれども、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 多田省吾

    ○多田省吾君 本案につきまして二、三お伺いしたいと思いますので、ひとつ簡明にお答えいただきたいと思うのです。  最初に、行政改革あるいは地方制度調査会の答申にも言われるように、行政事務の簡素化とか、あるいは行政の再配分、さらに財源の再配分などの問題で真剣に検討して実施しなければならない段階に来ていると思いますけれども、自治大臣としては、この問題に対してどのようにお考えになっておられるか。
  153. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 行政事務の再配分につきましては、すでに地方制度調査会におきましていろいろ御答申をいただいております。その線に沿ってぜひやりたいと考えておるのでございますが、しかし、それに伴う財源の再配分につきましてなお考究を要し、あるいはまた地方制度調査会におきまして御審議をいただく要がございますので、これらと相まちまして実行してまいりたいと考えております。
  154. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあ最近地方財政の赤字というものは非常に増大しているわけです。で、地方税の税収も事務的な経費であるところの人件費に全部投入してもまだ足りないという市町村も非常に多くなっている。ここでお尋ねしたいのは、一つは、地方公共団体の歳出総額並びに人件費、さらに都道府県市町村別にその歳出の総額に対する人件費の割合がどのぐらいになっているか。また、もう一点は、地方交付税の配分にしましても地方制度調査会の答申どおりの国債プラス交付税が三二%という線で行なうべきであると思いますけれども、これはいかがでございますか。
  155. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 昭和四十一年度の決算が現在集計中でございますので、昭和四十年度の決算で申し上げます。都道府県昭和四十年度決算総額二兆七千億でございますが、その中で人件費一兆一千億でございますから、約四割ちょっとに相なっております。それから市町村におきましては、一兆八千四百七十六億の決算総額に対しまして、人件費が五千二十六億でございますので、三割ちょっと切れる、こういう状態でございます。
  156. 多田省吾

    ○多田省吾君 地方交付税の配分のほうは。
  157. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 失礼いたしました。  それから地方制度調査会におきまして、昨年十二月八日の答申におきまして、国と地方の財源配分を国債発行下におきまして二三%にすべきだ、こういう答申があったわけでございます。現実の昭和四十二年度の財政措置の結果論で申し上げますというと、国の財源措置総額は二三%という御答申に対しまして二一・七%、額にいたしまして七百億余り不足をしたという形に相なっておるわけでございます。これは地方制度調査会の答申の非常に卓越した新しい考え方だと思うわけでございますが、現在の地方財政措置は、歳入歳出を積み上げて財源措置をする、こういう形に対しまして国から地方に対して賦与をすべき財源の総額を最初からワクをきめる。その中で地方財政も台所をまかなってまいる、こういうまあ新しい考え方であったわけでございますけれども、遺憾ながら国庫当局の同意を得られませんで、今年度といたしましては、ただいま申しましたような結果の数字に相なっておるわけでございますが、引き続きましてこの件につきましては、地方財源の充実ということにつきまして努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  158. 多田省吾

    ○多田省吾君 自治省ではこの前から行政事務の簡素化、あるいは市民のサービスのために事務改善を推奨しているわけでありますけれども、地方公共団体でこの事務改善をしたところとしないところでどういうふうに差が出てきているのか、結果があらわれているのか、具体的にお答え願いたい。
  159. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) 現在、地方団体におきましては、非常に事務改善について熱意持っておりまして、たとえば先進的な市町村府県におきましては、たとえば最近、電子計算機等を導入いたしまして事務改善に鋭意つとめておる状況でございます。市町村について総体的に見ますというと、何らかの形で事務改善というものに着手をしておるというような団体は、大体各種の事務にわたりますので、総体的に申しますと、やはり市におきましては窓口事務の改善ということに一番多く意を払われておりまして、これ全体の市の八五%が、そういう努力をいたしております。町村においてこれを見ましても、やはり窓口事務の改善というのが非常に多い努力の一つでございまして、七二%くらいになっております。府県におきますところの管理改善といいますものは、まあ財政健全化の一つの手段とも関連しているようでございますが、物品の購入でありますとか、給与の計算でありますとか、あるいは自動車とか、その他の機械器具の集中管理でありますとか、いろいろな点での管理改善を行なって努力をしておりますものが大部分でございまして、そういう意味で最近は非常にそういう傾向が目立っておるのでございます。
  160. 多田省吾

    ○多田省吾君 地方公共団体の行政事務の中で非常に多忙な部課、またその反対に非常に閑散な部課があるわけです。特に建設とか、土木の問題は非常に多忙であるんでありますけれども、そういう部課においては特に優秀な技術員が不足している。そういう難点がありますけれども、この人事のアンバランスの面につきまして、どのように具体的に解決なされようとしておるのか、お伺いいたします。
  161. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 確かに御指摘のように、地方公共団体によりまして、この人事配置が適当でなくて、非常に多忙なところと閑散なところがあるというような実例は、私どもも率直に認めるわけでございます。これらに対しましては、いまの事務改善と関連をいたしまして、十分配置の適正化を慫慂してまりたいと思います。  それから技術者の不足、特に建築、土木関係、実は一番顕著にあらわれているのはお医者さん関係でございます。これはやはり医師の養成の問題ともからみますので、文部省あるいは厚生省と十分連絡をとりませんといけませんが、一方においてこの待遇の改善等につとめまして、これらの確保をいたしたいと考えておる次第でございます。
  162. 多田省吾

    ○多田省吾君 次にもう一点は、消防庁職員の定員増という法案でございますので、関連してお伺いしますけれども、現在の消防力の基準から申しまして、消防職員というものは四八%しか充足されていないということを聞いておりますけれども、はたしてそうなのか、これは非常に少ないけれども、そうであるならば、もっと現在の倍くらいふやす必要があるのではないかと、こう思われますが、この点に関してどういう努力をされておりますか。
  163. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 御指摘のように、消防力の基準に対比いたしますと、なお人員充足は十分ではございません。ただ、まあ消防力の基準につきましては六年前につくりましたのでございまして、なお今日の状態におきまして検討を加えるべき点もあるようでございますので、ただいまそれらの点については検討いたしております。しかし、それにいたしましても、現状におきましてなお格段の努力を今後いたさなければならぬというふうに考えて努力をいたしておる次第でございます。  なお、その内容を分けて申しますと、消防職員と消防団員とございまして、消防団員はいわゆる非常勤の義勇消防でございますが、こちらのほうが基準に照らしまして十分あるわけでございますが、問題は消防職員でございます。常備の職員でございます。これにつきましては、最近、都市化が進んでまいりまして、都市におきましては団員の確保が困難を来たしておるところが多くなっておりまするので、そういう地域におきましては、常備化をさらに進めていきたいということで、このところ逐年常備消防を設置いたします市町村の数をふやしてまいっております。今後さらにその努力を続けてまいりたいと思います。
  164. 多田省吾

    ○多田省吾君 消防庁職員の定員増に関する提案理由説明の中にも、最近、交通事故等の激増に対処して、救急業務の指導体制を強化する、こういうお話でございますけれども、確かに消防業務の中で、最近交通事故が非常に急増しているのに伴って、消防署の仕事の過半数は救急業務によって占められる、このようにも思われますけれども、政令で定める専門救急隊員というものは、定員に対して何名ぐらい、何%ぐらい不足しておるのか、お伺いしたい。
  165. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 救急隊員定員は政令では定めておりません。政令では救急業務をやらなきゃならぬという義務づけました市を指定をいたしておるわけでございます。その市におきましてそれぞれ所要の救急隊員充足するわけでございますが、小さいところにおきましては、一台の救急車に対しまして一回三人づつ乗りますが、これが二交代で六人というのを基準にいたしております。現状におきましては、その三人は、これは基準財政需要額にも計上いたしておりますので、これは大体充足されておりまするが、あとの三人につきましては、これは兼任の職員ということで、火災のないときにはその者が救急業務を勤務する、こういう状況になっております。
  166. 多田省吾

    ○多田省吾君 火災に出動する消防車の出動回数というものと、交通事故の救急業務等、またその他の事故で出動する救急車の出動回数というのは、比率は大体どの程度でありますか。
  167. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 昭和四十一年中の救急出場件数でございますが、全国で四十一方九千九百七十二件になっております。で、そのうちで火災に出場いたしましたのは七千九十六でございまするから、パーセントにいたしますとどのくらいになりますか、四十三万のうち七千でございます。
  168. 多田省吾

    ○多田省吾君 私はこの本庁の職員の増員よりも、むしろこういった救急業務に携わっているその第一線に活躍している救急隊員の補充が先決である、このように思うのですけれども、どうですか。
  169. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) もちろん第一線の救急隊員の整備ということは必要でございますが、本庁関係におきましても、たとえば総理府に置かれている交通対策本部との連絡、あるいはその他各省との、特に医師の関係で厚生省との連絡、あるいはまた第一線の救急業務に当たる者の指導、教養、こういう事務が非常にふえておりますので、一面において救急隊員の整備をはかると同時に、やはり本庁職員もこの程度の増員は必要であると考えた次第でございます。
  170. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間もありませんので、あと二、三点お伺いしますが、現在、霞が関ビルのように三十六階建ての高層建築物、そうい全局層建築物が激増する傾向にありますけれども、その火災防御の計画、あるいはそのほかにも地下街の火災とか、あるいは人命救助に関してですね、ヘリコプターなんかも使わなくちゃならないのじゃないかというような、具体的な計画が早急に必要だと思いますけれども、たとえば排煙車とか、はしご車とか、化学消防車、またこの前も空港事故で問題になりましたけれども、そういった手配ですね、あるいはヘリコプターの購入の際の補助なんかも、神奈川県の例なんかを見ましても必要ではないかと、こう思われるわけでございますけれども、そういった具体的な計画はいまできておりますか。
  171. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) いろいろ御指摘いただきましたような従来の火災と違った態度の、まあ私ども俗に特殊災害と呼んでおりますが、かようなものがどんどんふえてきている状況でございます。それらに対しまして、私どもといたしましても十分な体制を整えていかなければいかぬ、かように思っているわけでございます。第一におあげになりました高層ビルにつきましては、従来も十一階程度までのものを主として念頭に置きまして、現在の建築関係の法令にしたしましても、あるいは消防関係の法令にいたしましても規制がなされておりまして、それを越えて霞が関ビルのような非常に高いものにつきましては、規定上もいろいろ不備な点がございます。そこで、それらのものにつきましては、建築関係の法令、あるいは消防関係の法令につきまして、それぞれ現在、消防審議会あるいは建築審議会で御検討を願っておりまするが、早急に答申をいただきまして、その答申の線に沿うて法令の改正もやっていきたい、かように思っているわけでございます。そのほか、いまおあげになりましたように、コンビナート地帯でございまするとか、あるいは空港でございまするとか、地下街でございまするとか、そういうところにおきまする火災に対しましては、従来の消防装備と違いまして、化学車でございますとか、あるいは排煙車でございまするとか、あるいは空から消火をするヘリコプターでございまするとか、そうした、私どもは科学消防力と呼んでおりまするが、科学消防力の整備につきましては非常に力を入れてやっているところでございます。さらに今後その点については努力していきたい。それからなお、コンビナート地帯と関連いたしまして、海上の消防力につきましても、いろいろ不備でございまするので、本年度から消防艇を国庫補助の対象に入れることにいたしまして、所要の港湾には消防艇の配置というような努力をいたしている次第でございます。
  172. 多田省吾

    ○多田省吾君 消防庁長官にもう一点お伺いしたいのですけれども、これはちょっと法案からはずれますけれども、この前も選挙法改正の特別委員会で自治大臣にお尋ねしたのですが、伝わっていると思いまするけれども、結局この前の衆議院選挙、あるいは統一地方選挙、あるいは数重なる最近の統一外選挙において、結局、市の選管等が、具体的にいえば千葉県の市原市選管なんかは、消防庁に対して、棄権防止という名目で、選挙活動を依頼しています。そして、消防団はそれをいいことにして、選挙当日、あるいは選挙前日等に制服を着て猛烈なかり出し、あるいは威圧的な行動、あるいは前の晩なんかかがり火なんかたいて、そして全部部落の入口を固めたり、われわれが入っていっても、車なんかとめられたり、面通しされる、そういう具体的な例もあります。で、そういったいま非常に火災等で忙しいのに、選挙活動までできるのかどうか。そして、そういった活動をすれば、当然選挙の公正も非常に阻害されます。消防庁長官として、時間があれば詳しい実例はたくさん申し上げますけれども、そういった事例を知っておられるのか、これは何も一市一県ではありません。全国にまたがっている大きな問題です。もし消防団に対して、そういう選管において依頼が許されれば、さらに労働組合に依頼してどうか、あるいは各種団体に依頼してどうかというぐあいにもなってきます。非常に好ましくないと思うのです。まずいことだと思うのです。長官としてそういったような姿に対してどういう指導をしておられるのか、お答え願いたい。
  173. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 私もそういうような事例が、たしか新聞にも報道されましたことを読んだ記憶がございまするが、消防団の任務につきましては法律にきめられておるわけでございまして、ただいま御指摘になりましたような活動を団として行なうというようなことは、これはもちろん好ましくないことは申すまでもございません。今後このような事例があちこちに非常にあるということでございますれば、私どもも注意いたしたいと思います。
  174. 多田省吾

    ○多田省吾君 自治大臣にお尋ねしますけれども、今度は住民基本台帳ができますと、これがいわゆる自衛隊募集なんかに相当利用されるんじゃないか、そういうことが言われておりますけれども、この点に関して大臣はどのようにお考えになっておるのか。
  175. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 自衛隊法によりまして、自衛隊員募集事務の一部を都道府県知事あるいは市町村長に委任することができる、いわゆる機関委任することができることになっております。それを受けて、市町村長は自衛隊員募集の広報、宣伝をやるということになっております。その広報、宣伝をやるために、市町村長等がいわゆる適格者名簿と申しますか、そういうものをつくっておるところもございます。このこと自体は法律で機関委任になっておりますのでございますから、その範囲において利用されるということはあり得ると思うわけでございます。ただ、それが元来地方住民の福祉増進のための基本になる台帳なんでございますから、それが地方の地域住民の福祉増進の支障になるようなことになってはならないというふうに考えております。
  176. 多田省吾

    ○多田省吾君 選挙が一つ出ましたので、ついでに二点、この前調査を依頼しておる関係もございましてお尋ねしたい。一つは、神奈川県の清川村の村長選挙にからんで選挙管理委員長と管理委員が二人自殺しているわけですね。県選管にその後の経過というものは依頼しているそうでございますが、その結果ですね。そしてこういった事態になった姿、この前、松山でも傷害事件が起こりました。この選挙にからむ姿、当然選挙の開票事務なんかもルーズであるということも言われていると思いますが、そういった点もからめて、大臣としてどのように責任を感じておられるか、そしてそれを具体的にどのように改善されようとしてしるか。
  177. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 往々にして小さな町や村の長の選挙で激しい争いが起こって、いわば町や村を二分するような激しい選挙が行なわれることがございます。そういう際に、たとえば愛媛県の松前町の事件のごとき、あるいは今回の神奈川のごとき、これらはまことに遺憾なことでございます。根本的には住民の何と申しますか、政治意識の高揚とかいうことになろうかと思ますが、この選挙管理委員会等が常時明るく正しい選挙の啓発につとめておるのでございまして、今後もそういう点を通じまして、このような不祥事をなくしたい。また、選挙管理に従事する吏員等の教養につきましても、さらに意を用いてまいりたいと考えております。
  178. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前もお尋ねしたんですけれども、いわゆる公金の陣中見舞につきまして、長野県から具体的に、十万円を村から、公共団体から公金が陣中見舞として出されておる、その点に関して自治省に問い合わしたところ、どのようにすべきか、自治省の選挙管理局ですか、伺いを出したところが、出してないというお答えでした。その点に関して、この前も自治大臣は法律を改正するつもりはないと、そういうお答えでございますけれども、公共団体から補助をもらっている団体でさえも、選挙あるいは政治活動に関して寄付をしてはならないという制限があるのに、公金が陣中見舞に供されて、それで何も罰則もなければ制限もない。そして何もやらないということはおかしいと思うのです。その後の調査で、資料要求したのでありますけれども、まだ出ておりません。どういう姿であるのか、またどういう行政指導をしようとしておられるのか。
  179. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先般もお答え申しましたが、長野県のほうからは何ら照会はございません。しかし、直ちに調査に着手いたしましていま調査中でございます。公金が特定の候補者に寄付されるというようなことは、これはもう地方自治法あるいは財政法の趣旨からいたしましてもあり得べからざることで、いわばそういう地方自治を規律する根本的な法律にはずれていることでございまして、そういう意味におきまして、今後そのようなことの絶無を期すように指導してまいりたいと考えております。
  180. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度、政治資金規正法の改正案が出されておりますが、残念ながらまだ参議院にきておりません。それで一点だけお伺いしたいんです。それは今度の六月三十日の官報に記載されたものを見ましても、結局四十一年度において自民党に五十九億の収入があるのに、ほぼ二十億は寄付として記載されている。あとの三十九億はもうみな特別会費とか、あるいは賛助費とかいうような名目で総額だけ記載されて明細がない。これはいまの政治資金規正法の大きな盲点だろうと思う。いまの改正案においては、その会費も、あるいは党費も全部寄付とみなして申告を、記載をしなければならないようになっておりますけれども、それを今度は官報等に明細を全部公開できるようになっているんですか、それとも公開しなくて済むんですか。
  181. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 会社その他の団体がいたしまするものは、会費等の名義をもってしてもそれは寄付とみなして、そうして記載することになりますから、これは公表されることに相なります。
  182. 多田省吾

    ○多田省吾君 個人の寄付はどうですか。
  183. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 個人の寄付はもちろん寄付として公表されるわけでございます。
  184. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは最後に一点だけお尋ねします。  本年の八月上旬ごろ人事院勧告が行なわれると思いますけれども、当然、国家公務員のベースアップとともに地方公務員のベースアップも予定されますが、どのくらいのそれによって額が見込まれるのか、それが第一点、第二点は、本年度地方公共団体地方税の税収見込み、また国からの地方交付税はどの程度見込まれているのか、この三点を最後にお伺いをいたします。
  185. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) これは人事院勧告がどのような形で出ますか、われわれの推測するところでございませんので、どの程度の額になりますか、いま申し上げかねるわけでございます。いずれも大体従来とも国家公務員に準じてやるわけでございますから、人事院勧告が出て、国家公務員の措置がきまりますれば、それに準じてやりたいと思っております。それから税収の問題でございますが、これは実はまだ三カ月余、四カ月足らずのところでございまして、しかも、特に地方税に響きますのは、御承知のように法人関係の税だけでございまして、個人の事業税、住民税等は前年度課税でございますから、ことしの景気に左右されるわけでございません。さようなことで、ちょっといま推測いたしかねるわけでございます。また、交付税につきましても、まだ大蔵省側といたしましても国税の自然増収がどれくらいあるか、算定しかねておるようでございます。もちろん三税が上がれば、それの三二%は交付税になるということになります。
  186. 北村暢

    ○北村暢君 私は、すでに稲葉委員、山崎委員から今回の公務員部の設置に伴いますいろいろな問題について質疑が行なわれ、それなりの答弁がございましたのでありますが、大臣も御答弁にありましたように、決して公務員部の新設は労働組合の弾圧等をもってする公務員部ではない、いわゆる労使間の問題と、その他公務員制度の近代化の問題について、公務員の処遇の改善を目的として公務員部というものを設けるのである、このことを答弁としていただいておりまするので、私もそのようにぜひひとつやっていただきたいと思いますが、しかし、最近における労働問題に対する政府のやり方を見ておりますというと、いわゆる民主主義というものがまだ浅いのでありますから、労働組合にも行き過ぎもありましょうし、また、当局にとっても労務管理の面において未熟な点もありましょうし、いろいろ問題はあるのでありますが、最近の事情を見ますというと、それが好ましい方向ではなしに、非常に権力化してきている傾向が見られます。そういう点において、ひとつ今後十分注意をしていただきたいと存じます。そこで、先ほど申したように、稲葉委員、それから山崎委員質問もございましたが、だめ押しになるようで恐縮でございますけれども、二、三の質問をいたしまするので御答弁をいただきたいと思います。  時間の関係から、まとめて質問をいたしますが、自治省内に公務員部を新設し、公務員に関する事務を強化するにあたりまして、地方公共団体の労使双方に対して常に公正中立の立場で行政指導を行なうべきであると考えるのでありますが、どのような考え方を持っているか。これは若干説明をいたしますと、指導の具体的な態度というものが均衡を欠いている点が非常にある。ということは、不当解雇等の調査をやるときには、地方課を通じて、どちらかといえば無責任に調査をする。ところが処分をしろという指導、処分をしろということを指導するかしないか、そういうことはしないと、こうおっしゃるのでありますが、稲葉委員指摘されましたように、実は公務員課が直接県の総務部長等を呼びつけて厳格に申しつけをしている、こういう事態があって、そういうものを処理する上において弾圧的なときは直接やるし、その調査をするときには地方課を通じていいかげんなことになってしまう。これは公正を欠いていると私は思います。そういう点において、公正中立の立場で行政の指導をするということはそういうことでございますから、ひとつ御答弁をいただきたい。  それから第二点は、最近の地方財政の窮乏などの事情から、地方公務員の人件費総ワクを節減することが各地で見られるのでありますが、新しく設けられた公務員部は、これらの財政需要のいかんを問わず、地方公務員の待遇改善、定員確保、権利保護のために絶えず行政上注意を払い、積極的に発言をし、行政指導を行なうべきであると思うのですが、お考えを承りたい。これはあくまでも公務員部は公務員の処遇改善等についてあたたかい思いやりをやる立場に立って行政を運営していく、そういうことでありますから、予算の要求等においても、あらかじめ財政局から指示せられて、自主性を失った形において予算要求等をするのではなくして、ほんとうに公務員の立場に立った実情に会った、また、要求等を十分考慮された、そういう公務員部の自主的な立場で物事に処してほしい、こういう意味でございます。  それから次に、最近公務員の賃金に関して人事院勧告の実施にからんで、全国的な闘争が年々激化する傾向にあるのでありますが、このような場合に、地方公共団体においても、中央の労働問題から直接影響を受けることから、争議、紛争状態に入ることがあるのでありますが、公務員部はこれらの紛争について、地方自治体の自主性をおかすような介入指導はすべきでないと考えるのでありますが、どのような考えを持っていますか。特に任命権者の行なう懲戒処分等については、その具体的な内容にまで立ち入って任命権者に実施を強制する、そういう指導をしないようなことをひとつ約束ができるかどうか、この点は何回も何回も質問されたところでございますから、ひとつ明確に御答弁をいただきたい。特に強制をするというようなことは、直接、総務部長等を呼びつけたり何かするだけではなしに、間接的に、たとえば公務員制度研究会というようなものを通じて圧力を加える、こういうようなこともなきにしもあらずでありますが、そういうものを含めて、ひとつ地方自治の任命権者の自主性というものを尊重する意味において、そういうことがないということが約束できるかどうか、この点について御質問をいたしますので、御答弁を願いたいと思います。
  187. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) しばしばお答え申し上げましたように、今回、公務員部をつくりますのは、あくまで地方公務員の近代的な人事管理が確立されるようにということでございます。したがいまして、第一点としておあげになりました任命権者側と職員団体側と問題のありました際におきましても、常に自治省といたしましては公正な立場、公正な立場に立ちまして仕事を進めてまいりたいと考えます。  また、第二のこの公務員部のやりまする使命の大きな一つは、地方公務員の適正な待遇改善、過正な人員の確保、あるいは公務員の個人的な権利の擁護、こうしたことを通じまして適正な近代的な人事管理が行なえ、そうして地方公務員が安心してその職務に奉仕いたしまして、地方の住民の福祉を増進するということでございまして、公務員部の大きな役割りの一つ考えておる次第でございます。  また第三に、現にこの懲戒処分等に限らず、人事管理についてはあくまで地方団体の自主性を尊産することは当然でございまして、御指摘になりました懲戒処分等につきまして、個々の具体的な問題について強制にわたるような指導等は絶対にいたさないつもりでございます。
  188. 北村暢

    ○北村暢君 第二問について、趣旨はよくわかりましたが、特にこの労働運動に対する弾圧等について干渉をされない、このことをひとつはっきり御答弁をしておいていただきたいと思うのですが。
  189. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) もちろんこうした労使間の問題につきましては、それに干渉をするような所存は全然ございません。
  190. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  191. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。     —————————————
  192. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) この際、委員の異動について御報告いたします。本日、柴田栄君が辞任され、その補欠として田村賢作君が選任されました。     —————————————
  193. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御発言もないようですから、本案の質疑は尽きたものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  194. 八田一朗

    ○八田一朗君 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となりました自治省設置法の一部を改正する法律案について、次の修正案を提出いたします。  修正案の内容は、お手元にお配りいたしました印刷物で御承知願うこととし、朗読は省略させていただきます。  修正の趣旨は、本法律案の施行期日である七月一日がすでに経過いたしましたので、これを公布の日に改めようとするものであります。  右修正部分を除く原案に対しましては賛成いたしまして、私の討論を終わります。
  195. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより自治省設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました八田君提出の修正案を問題に供します。八田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  196. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 挙手多数と認めます。よって、八田君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  197. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 挙手多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は多数をもって可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔午後四時四十五分速記中止〕   〔午後五時一分速記開始〕
  199. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。     —————————————
  200. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案昭和四二年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案、以上三案を一括議題といたします。  これら三案は、去る七月六日及び十四日それぞれ衆議院から送付され付託されました。  なお、恩給法等の一部を改正する法律案を除く二案は、衆議院におきましては修正議決であります。両案の衆議院における修正点の説明は、便宜関係政府当局から順次聴取することといたします。武藤主計局次長。
  201. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 委員長からのお話でございますので、便宜衆議院における藤井勝志委員の修正の理由の説明を読ませていただきます。御承知のとおり、公務員関係年金制度につきましては、昭和三十一年に公共企業体職員等共済組合法が施行されましたのを契機として、三十四年には国家公務員、さらに三十七年には地方公務員についても、恩給と共済制度を統合した共済組合方式による新制度へと移行し、自来今日まで共済組合制度につき幾多の検討改善が加えられてきているところであります。  本年度におきましても、恩給法等の改正の内容に準じて、既裁定年金額の引き上げ等を行なうため、政府より年金改定法案が提出せられたのでありますが、この際、政府原案を修正して、所要の措置を講ずることが適当であると考えた次第であります。  それから内容でございますが、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律案に対する修正の内容でありますが、その第一は、退職一時金にかかる男子についての選択期間を延長することであります。  すなわち、昭和三十六年、通算年金制度の創設に伴いまして、通算退職年金の原資に充てるため、退職一時金について、その一部が控除凍結されることとなりました。その際、受給者の期待権を尊重いたしまして、その者の選択により全額支給を希望できる道が講ぜられましたが、男子については、すでに昨年十月三十一日をもって当該選択期限が到来しているのであります。  しかしながら、通算年金の給付水準の現状等を考慮して、その期限を昭和四十四年十月三十一日までさらに三年間延長するよう必要な規定を原案に追加しようとするものであります。  また、この際、農林漁業団体職員共済組合法に基づく通算退職年金と退職一時金との選択期間についても、同様に措置することといたしております。  なお、私立学校教職員共済組合法に基づく通算退職年金と退職一時金との選択期間については、同様に措置されることとなります。  第二は、現に増加恩給受給権を有している者に対する取り扱いであります。  今回、新法施行の際、増加恩給等を受ける権利を放棄した組合員に対する給付につきましては、公務上の廃疾年金が支給できるよう規定を改めることとし、これに伴いまして、現に増加恩給受給権を有している者についても、再び当該受給権を放棄して公務上の廃疾年金の支給を受ける機会を設けることといたしております。  しかして、その選択の申し出の期限は、原案ではこの法律の公布の日から六十日以内となっておりますが、増加恩給受給権の特殊性等にかんがみ、これを退職の日から六十日を経過する日までに改めることとしようとするものであります。  次に、昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案に対する修正の内容でありますが、退職一時金にかかる男子についての選択期限を、国家公務員における場合と同様、昭和四十四年十月三十一日までなお三年間延長しようとするものであります。  以上が説明の内容でございます。
  202. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 以上で両案の衆議院における修正点の説明を終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。  関係当局の御出席は、塚原総理府総務長官その他政府委員の方々であります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  203. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先般この法律案について長官から提案理由説明を承りましたので、まず順序としてそのことからお伺いしたいと思います。  申し上げるまでもなく、現在公務員の給与ベースは約四万三千円でありますが、恩給については二万プラス二割増し、二万四千円ということでございます。ということになると、両者の格差は相当大きく開いておるわけであります。このような現実に対して、長官としてどのようにお考えになりますか、まずこのことからお伺いいたします。
  204. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 本件につきましては、先生の御指摘をいただいておりますように、公務員給与は四万三千円近くまで上がってきておるわけでありますが、恩給のベースという考え方につきましては、これまでも御説明申し上げましたように、二万円の二割増という御説明を申し上げておりまして、ベースという形をとっての計算をいたしておらないわけでございます。これは、御承知のように、このベースの算定のしかたが必ずしも公務員給与のそれのような計算の方式がとれませんために、いたしておりませんで、したがって、二万円、これの二割増し二万四千円というふうには直ちには結びつかないのでございます。この点しかし、どのくらいになるであろうかというような考え方を、いろいろな形で一般には論議されておるわけでございますが、現状におきましては、恩給についてはベースという考え方を昭和四十年の改正以来はとっておらないのでございます。
  205. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ベースという考え方は恩給に関する限りとっていないということでありますけれども、実質両者の間に約一万九千円の差があることは現実の問題だと思う。で、今度の改正によって恩給が年額について一〇%——二八・五%、そういう増額があるわけですけれども、これは平均して一体どのくらいの増額になるのか、そのことをお伺いしたい。
  206. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) これも平均してという計算の方式ではございませんでして、御承知のように、いわゆる昭和四十年から三年計画、それを昨年二年に縮めての改善措置をいたしたわけでありますが、それを基本といたしまして、今回の改善措置は、一応恩給審議会の答申に基づいて、基本的には一〇%の増額改善措置、これに年齢別の、また病気の重い軽いによります、病気に対する優遇措置としての二〇%、二八・五%、こういう改善措置をいたしたわけでございます。
  207. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この恩給法とか、これにまた関連した共済組合、健康保険法、これら一連のこういう問題についての法律については、前々から、非常に難解で、なかなかわかりにくいということが当委員会でしばしば問題になって、歴代の恩給局長も、この点十分検討したいという御答弁であったわけです。ところが、今回そういう点から見ると、年齢によって三段階にしているわけですね。こういうことになって、ますます複雑難解になっているわけなんですが、これは一率に増額ということはできないものかどうか、そうすることが一つの平易にする一環であろうかと思うのですが、その点について伺いたい。
  208. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かに、先生の御指摘のように、実は今回も、そういう改善措置をいたしますときに、一率改善措置という考え方、確かに考え方として、実はいまの先生の御指摘のように、いわゆる簡素、またわかりやすくというふうなことと趣旨が一致するわけでございますが、しかし今回の改善は、先ほど申しましたように、恩給審議会との関係もございまして、そこで大体の改善の基準線を出し、それに加えるに、旧来の恩給改善として取り上げてまいりました老齢者優遇といわゆる重症者優遇という措置をこれにあわせることが、実は恩給法改正として、そういうこれまでの方針の踏襲でありますとともに、十分改正の意味を持っている、かように考えての措置で、三段がまえになったわけでございます。
  209. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この恩給法の規定を見ますると、若年停止については四十五歳まで、五十五歳から全額支給というふうに、もうすでに年齢によってそういう配慮がなされていると思うのです。こういう点からも、先ほどお伺いした恩給年額の増額措置については年齢——その上また年齢別にということがあるので、こういう観点からも、年齢別のこれ以上の配慮も要らないのではないか、そういうように考えられるのですが、この点。
  210. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かに、若年停止等があり、年齢別諸要素がいろいろな形で複雑に組み合わせられたかっこうになっておりますので、本来はやはり恩給受給者の立場からいうと、自己の恩給がどうだということが単純にわかり得るような方途の形式が望ましいかと考えるのでありますが、しかし、こういう改善措置というのは、それぞれの条件というものを一応考慮して改善をしてまいることがやはり社会政策的な要請にも合致してまいりますので、本年はさような措置をとったわけでございます。ただし、将来の課題としては、先生の御指摘のように考えていくというのが筋ではないかと考えられます。
  211. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の増額措置を見ますると、六十五歳未満で一〇%七十歳未満で二〇%、七十歳以上で二八・五%、こういうようなそれぞれ増額がなされることになりますが、こういう年齢によってこういう割合を出したのは何か根拠でもあってのことであるか、それとも腰だめでやったのか、こういうことを伺いたい。
  212. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 一〇%という線を出しましたのは、恩給審議会のいわゆる中間答申が、一つの暫定措置として給与改善をすべきだということを申しておられまして、その内容の一つに、いわゆる政府が従来とってきたような改善措置の方針を踏襲していくことによって、今後のいわゆる整調規定の運用を妨げない範囲というものを考えていくべきだという一つの筋が出まして、そのときの算定のされ方が、一〇%程度のものが、昭和二十六年を基準として消費水準の伸びを見てまいりますと、それくらいのものが出てまいります。そこで一〇%という基準線を一つ出しましたことと、さらに二八・五%というこの数字は、ちょうど公務扶助料におきまして月一万円程度年金の保障をすべきではないだろうか、こういうところから、ちょうど十二万円という公務扶助料の兵の額を算定いたします場合に、ちょうど現行の九万三千円程度のそれに対する二八・五%の増額が十二万円ということに相なりますので、その二つの線を押えまして、そうしてそういうふうな線を押えますと、中間の年齢層のものをもう一つ二〇%という点を考えることが一応年齢階層別の改善としては至当ではなかろうか、こういうふうに考えたわけでございます。
  213. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 傷病恩給のうちで、いわゆる増加恩給については一率に二八・五%、それと傷病年金については、七十歳未満が二〇%、七十歳以上が二八・五%、こういうことになっておりますが、これも何に根拠があってのことか伺いたい。
  214. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 傷病恩給につきまして、実は重症者優遇ということを一つのたてまえとしてまいっておりました。その中で、いま申しましたように、公務扶助料の二八・五%ということを一応の基準として出しました場合に、生存者についてもいわゆる公務扶助料と類型を同じくするような考え方で措置をしていくことが適当であろう、こういうことで重症者に対しての二八・五%を出したわけでございます。
  215. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 傷病年金受給者については、増加恩給受給者よりいわゆる傷病の程度が軽いわけであるわけです。しかしながら、軽いとはいうものの、この受給者は身体障害者であるわけですから、そういう事情もあるので、やはり年齢によって格差をつけるのは適当ではないのではないか、このいうふうに考えられるわけです。その点はどうですか。
  216. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 実は軽症の方々に対しましては、先生御指摘のように、いわゆる傷病年金として一款症から四款症という規定のしかたをしております。したがって、一款症でも、親指がとれたというふうな程度の方々も一応こういう款症に入りますので、そこでそういう方々の一般的な大体評価として考えますときに、二八・五と二〇という一つの差をつけた増額改善をいたしましたので、そこで大体ごしんほういただくのがいいのじゃなかろうか。ただし、その方々も七十歳になれば当然二八・五とすべきである、かように考えるわけであります。
  217. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、増加恩給受給者は、家族全員について、一人四千八百円の家族加給が支給されておるわけであります。ところが、傷病年金受給者については、妻のみが支給対象になっておって、他の家族については加給されてないわけですが、やはり扶養家族全員に家族加給を支給することのほうが適当であろうと思うのですが、この点はどうですか。
  218. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 考え方といたしましては、家族加給につきまして、本来はやはり重症者の場合、家族についての扶養という問題が非常に重大でございます。そこで、家族加給の問題の場合におきましても、本来は傷病年金についてはおらなかったのを、その後の改正では妻加給を認めた、こういうことで、一つの改善措置としてそういう扱いをしてまいったわけでございます。したがって、現在のところでは、私たちの立場からいたしますと、おおむねこの程度で均衡を得た措置ではなかろうかと考えております。
  219. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 増加恩給の問題、二項症以上のものについては介護手当として現在二万四千円が支給されておるわけですが、改正案によりますと三万六千円に増額されることなるわけです。この介護手当の支給される第二項症と第三項症との差はきわめて微妙なものがあろうかと思いますが、介護手当を第二項症以上に限った理由は一体なへんにあるかという問題、また、特別項症は非常な重症者であるわけですが、現在該当者は大体どのくらいおるのか、この際承っておきたいと思う。
  220. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) いわゆるわれわれ俗称介護手当と称しておりますこの手当につきまして、実はこの二万四千円が非常に長くそのまま据え置きになっておりまして、一般からの御要望として、この額は非常に少ないのではないだろうかという御要望がございまして、そこで私たちも、少なくとも二万四千円ということでは重症者に対する介護家族に対する手当として適切ではないのではないだろうか、こんなことから今回の改善措置に踏み切ったわけでございます。ただ、これに対して御要望としては、何も二項症に限らない、二項症以上に限らないで、いまの御指摘のように、二項症、三項症というのは、ある意味では片一方は三万六千円、片一方はまるきりゼロではないか、こういう御指摘もございまして、今後の改善としてもう少しその介護手当の範囲を広げるべきではないだろうかという御主張がございます。これらの点につきましても、実は新たな介護手当の設定でございますので、目下恩給審議会もございますから、そういうところで十分御審議をわずらわしたい、かように考えているわけでございます。ちょっと人数の点は後ほど調べてお答えさせていただきます。
  221. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、前々から問題になっておりまする通算問題につきまして一応お伺いしておきたいと思うのです。  毎回お伺いしておるように、この外国政府及び外国特殊法人職員であった公務員の恩給通算に関して、いわゆる満・日ケースの人と日・満・日とか日・満ケースの人との不均衡の是正をして満・日の完全通算を即時実現せられたい、こういう趣旨のいわゆる附帯決議が当委員会で、これは三十八年以来四年連続して、しかも全会一致で出されておるわけです。そういう事態でもありますので、もう実現してもいい段階だと思うのですが、いまだにまだ実現の糸口を見ていないわけです。前の国会でも、その当時の安井総務長官は、附帯決議については十分検討を重ね善処をしたい、そういう意味の御答弁もあったわけです。こういうことから見ても、もうこの辺でひとつ実現の方向を打ち出してもらいたい、こういう要望が強いわけなのです。この点について再度お伺いしておきたいと思います。
  222. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) ただいまの御質問につきましては、院の決議のあることもよく存じておりますし、この委員会を通さないで、別な会合のほうにおいてもいろいろと私も話を承っております。この問題の取り扱いにつきましても関係方面ともいろいろと御相談をいたしておりまするが、ひとつ、御趣旨のほどは私もよく存じておるつもりですから、検討して御趣旨に沿いたい、このように考えております。
  223. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 毎回政府のお答えとしては、恩給審議会で目下審議してもらっておるので、恩給審議会の結論を待って解決したいと、こういう意味の御答弁が続けられてきたわけです。しかし、考えてみると、その問題は恩給審議会ができる以前からの問題であって、しかもその実現については、先ほどの附帯決議でも申し上げたように、本委員会全会一致の強い要望でもあるわけです。こういう観点から、審議会の結論には関係なく、いわゆるもうすでに一部解決しておる日・満とか日・満・日と満・日との不均衡是正ということであるので、そういう方向でやはり解決すべきであって、恩給審議会には何ら内容的には関係ないと思います。そういう視野からひとつ一段と推進していただきたいと思います。
  224. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) いまの問題は、またその他の問題を含めて、懸案事項は全部恩給審議会にかかっておることは、御承知のとおりであります。ですから、この答申を待ってという、決して逃げ口上で申しているわけではございません。恩給審議会はこの問題の御審議を願うと同時に、われわれといたしましても、この問題についていろいろ御要望の強い点も承知いたしておりますので、それとはまた別な角度において解決のために努力いたしておるところでございます。
  225. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の六月九日の本委員会で、当時の安井長官は、日・満・日、日・満と満・日との処分に差をつける理由として、日・満・日、日・満の場合の人事交流は、ほとんど全部が当時の国策、国の方針に従って、本人の意思以上のもので行なわれておること、恩給制度を前提にした機関に最初からつとめておった人が、国の方針によって満州に行くとか、また帰ってくるという特殊事情にあったので、最初から満鉄あるいは外国政府に入った人とは通算の取り扱いに差はあるのだ、こういう意味の御答弁があったわけです。また、矢倉恩給局長は、昨年六月二十一日の本委員会で、当時の満鉄というものを考え、あるいは満州国の成立の過程を考えるときに、日本内地からそれらの機関あるいは政府に人を送り込む必要があったという実態的な理由があろうと思う、ある程度本人の意思にかかわらず運用せざるを得なかった事態もあるので、最初から満州国、満鉄にみずから入った人と一応の差を考慮して、特例措置として日・満・日、日・満は完全通算し、満・日は最低限度までの通算にしたのだ、そういう意味の御説明があったわけであります。しかしながら、よく検討してみると、安井長官も、矢倉恩給局長も、当時の実情を知らないでこういう発言があったと思うのです。事実を誤認しておったのでこういう発言があったと解釈せざるを得ないわけです。なるほど、満州国成立の際には、官の干渉によって多数の内地の官吏が派遣され、したがって恩給通算に関しては在満期間を合算するという昭和十八年の法律第七十八号の恩給法附則もできたわけです、その当時は。ところが、満鉄あるいは満電の特殊法人については全く事態が違うのであって、これは法律第七十八号の特殊法人には関係がないわけです。全然関係がないわけです。前国会において私からいろいろ事情を御説明申し上げたように、戦時中には約八千人の人々が運輸省から満鉄に転入しておるわけです。その間に本人の自由意思を拘束したりまたは官の干渉の事実は全くないわけです。いずれも本人の自由意思によっていわゆる希望者だけが行っておるわけです。多数の希望者の中から運輸省が選考して行っておるのであって、あなたとかいわゆる安井総務長官が言われたような事情は全くなかったわけです。この点については、なおこれを裏づけるものとして、満鉄への転出によって、その当時の実情を申し上げれば、内地より処遇上非常に有利であったわけです。したがって、それを希望して行ったということであって、官の干渉とか、そういう個人の意思に反して行ったという事例はないわけです。全くないわけです。このことについては、現にこれを証言する人も有力な人がおるわけです。これは現に、総理府の総務副長官であった細田さんとか、その他多数の有力な方々がこういう事実を確認しておられるわけです。したがって、そういう事実の誤認に基づいたそういう理論は全く成り立たぬと指摘せざるを得ないわけです。この点はいかがでしょう。
  226. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 先生の、この昨年の国会における安井総務長官あるいは私がお答え申し上げた内容の御指摘によりまして、満州国政府、あるいは満鉄、そういう関係の機関に日本の政府職員あるいは現在の国鉄の前身からおいでになりました方々、この方々が必ずしも、先生の御指摘によりますと、いわゆる人事管理上の要請に基づいて行ったのじゃなくて、むしろ御本人の希望、あるいは当時の満鉄における給与、処遇、そういう観点で自発的においでになった方々ばかりである、こういうような話でございましたが、私たちがいままで承知しております範囲の中では、やはりある程度人事管理上の要請というものがあったように考えてまいったわけであります。現に満州国政府等におきましては、ああいうふうな条件の中でつくり上げられましたために、そういうふうな事態が当然予測できますので、そこで私たちは、満州国政府あるいは満鉄というのは大体同じ条件の中で解決をしてまいらなければならない、こういうふうなところから、旧来こういう人事管理上の要請というものがある程度のこういうふうな特例措置というものを考えるときの一つ条件になりはしないか、こういうことを申し上げてまいったわけであります。しかし、先生はこの点については非常にお詳しいわけで、先生の御指摘の点が、あるいは私たちの承知しない、むしろそれが本来の事実であるというふうなことであるのかもしれないと考えられるわけでございますが、少なくとも現在まで私たちの考えてまいりましたのは、昨年お答えを申し上げましたような事実認識に基づいて、そしてそのことによる実は満・日の場合の是正措置というものを、これまで戦後処理の一つとして取り上げてまいったわけであります。しかし、御指摘の点については、さらに今後の検討の段階で、十分事実の誤認があればそれに即応した考え方をとってまいりたい、かように考えます。
  227. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 恩給局長は、戦時中満鉄の職員を補充するために内地から赴任せねばならぬような特殊事情が当時あったとこう言われておるわけですが、戦時中に満鉄が内地から人を求めたのは運輸省だけではないわけですね、一般の私鉄関係からも集めておるし、また鉄道に全然経験のない一般からも募集しているわけです。この中で私鉄とか一般から募集して入社した人々は、いわゆるいまいうところの満・日のケースであって、運輸省から応募した人、これは日・満・日とか日・満、こういう区別になるわけです。したがって、日・満・日だとか日・満の成立の事情は前に申したとおり、この通算上にあたってはその間にいかなる性格上の差別も見出し得ないわけですね。どうもこの点でも、差別をつけるのは不適当ではないか、不公平ではないかという議論が当然に出てくるわけです。この点はいかがですか。
  228. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) ただいま申し上げましたような点、いわゆる満州国政府あるいは満鉄のその後の状況の中で、一つの要請に基づいて出られた日・満・日のケースについては、それだけの措置を考えるべきであろうということで完全通算をいたしますとともに、片や最初から満州国政府あるいは満鉄等に御自身の意思でお入りになった方々、つまり満・日の場合におきましては、それなりの格差をつけるということが、一つの例外措置であるだけに、その点についてはある程度厳格な解決策を考えるのが至当ではないか、これがこれまでの態度であったわけでございます。
  229. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、昨年の六月九日の本委員会で、当時の安井長官は、満鉄は特殊法人であり、資本金の半額は国の一般会計から持っており、政府の監督権が相当強大であったことは事実であるけれども、しかしながら、やはりその運営は株式会社としてやっておった、それで、日本政府と同様の機関と言ってしまうことは、まだやっかいな未解決な問題があろうかと思うので、最低限度に不足の年数だけを認めるに踏み切った、こういう意味の答弁があったわけです。しかしながら、そういうことになると、日・満・日とか日・満の者に対して完全通算に踏み切ったのかということが出てくるわけですね。満・日は完全通算でなく、日・満とか日・満・日だけを完全通算に踏み切ったということが、どうも納得しがたいわけです。この日・満とか満・日の間のどこにどういうところが違うのかという質問が必ず出てくるわけですね、そういう観点からいうと。この点はいかがですか。
  230. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かに、御要望になります立場で考えてまいりますと、日・満・日と満・日とどれだけ違うのだ、ほとんど変わらないものをなぜそういうみみっちく格差をつけるのかというお考えが出てまいるかと思いますが、ただ恩給は、御承知のように、一つの均衡の上に立っておりまして、その均衡をどういうふうに見ていくのかという点が、いま先生の御指摘のような、日・満・日あるいは日・満と満・日の格差になっている。本質的には、実は恩給ということを考える場合に、満・日という形で出てくる雇用関係というものと、日・満・日というふうなあるいは日・満という形でそういう措置をとらざるを得なかったという経緯、そういう点をやはり考えてまいることが一つの均衡論ではなかろうか。この場合に、先生の御指摘のように、実は満鉄というのは日本の政府機関なんだという規定づけがもしできるなら、即日本政府機関であるという規定づけができるなら、この格差をつけることがおかしいという論理になろうかと思いますが、この点にも実は私たちが解決をこれまでしてきました措置の中では一つの差をつけるべきところであったと、まかのように考えてまいったわけでございます。
  231. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただここではっきりしておきたいことは、歴代の総務長官も、恩給局長も、満鉄等については、形式的には政府機関そのものではない、しかしながら実質的には政府機関の代行機関そのものでもある。形式的には株式会社だが、実質的には政府の機関である、こういうことについては歴代の総務長官も恩給局長も確認をせられてきたわけです。そういう前提に立って論議を進めてきたわけですが、そういうことであるならば、同一国策機関に同一条件で、そして同時に勤務して、入社の際の経緯も全く同様である、何よりも自由意思によって入社しており、しかもその中から選考されて入社した人々である、こういうことになると、繰り返し申し上げますが、日・満・日とか満・日との間のどこがどのように違うのかということは見出し得ないわけですね、そういう純理論からいって。そこになおかつ不均衡が当然指摘されるわけです。この点ではどうも納得しがたいのですが、そういう視野から見ても。したがって、ひとつそういう観点からも、完全通算の方向に向かって十分検討の歩を進めてもらいたいと、こういう要望を、かねての質問をいま申し上げておるわけです。
  232. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 実は日・満・日、あるいは日・満と満・日の区分をしてきましたのは、先ほど先生の御指摘のような、たとえばわれわれは人事管理上の要請ということばを申し上げましたけれども、それだけによらず、いろいろな条件をか入合わせまして、そして格差を一応あると見てまいりましたわけでございます。したがって、いろいろな問題について御指摘いただいております点は、実は確かに、あるいは先生のお立場と政府側の立場とのそこに微妙な差がこれまであったんじゃないかというふうに考えられますが、その微妙な差というのは、何となしにやはり考えてみたときに、いま申し上げましたような、たとえば満鉄そのものの性格、あるいはそういう一般的な要請というのは、当然そういう一つの機関を育て上げていくときに起こり得る事態でもございますので、さような点から、これまでは一応やはり格差はある程度やむを得ないものだというふうに理解をして、そして本院での附帯決議がございましたわけでございますが、なお検討を続けさせていただいてきた関係でございます。しかし、先ほど総務長官のお答えにございましたように、われわれとしましては、さらに先生の御指摘のようなあるいは誤認があっては困りますので、さような点についてさらに私たちの調査をいたしまして、長官の御指示に従って措置を考えるということも、われわれとしては当然の責務ではないかと考えます。ただし、先ほど来申しておりますように、恩給審議会もございますので、これらとの関係をどのように調整していくかというふうな問題については、長官と十分打ち合わせの上配慮してまいりたい、かように考えております。  それから、ちょっとこの機会に、先ほどの件数を申し上げます。特別項症の受給人員は約七百人でございます。
  233. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままでこの問題が当然解決されてしかるべきであったのになかなか今日まで解決をしなかったその一つの大きな原因に、もし政府の立場で満・日の完全通算を認めると他に相当大きな影響を及ぼすであろうことを実は総理府恩給局で心配されておったということはいなめない事実だと思うのです。ところが、その点から反駁すれば、満鉄とか、あるいは満州国も同様ですが、国の代行機関が他にももしあるならば——おのずから範囲は限定されておるわけですが、もし他にもあるならば、当然公平の原則でこれは同一であってしかるべきだと思うのです。ところが、実質にはそう無限に出てくる気づかいのないものなんです。それからもう一つ、満鉄だけの勤務者で全然公務員に関係のない人々についても、また配慮をせねばならぬ問題が出てくるのではないか。そうなるとこれは容易ならぬ事態になるということも、政府のお考えの中にあったやに見受けられるわけです。しかしながら、これはいわゆる恩給問題とは全然関係のない問題だと思うのです。元満鉄等の職員の処遇ということになれば、これは何ら恩給には関係ないわけですから、私どもが問題にしておるのは恩給上のいわゆる不均衡問題の一つとして質問申し上げておるわけです。そこで、先ほど来申し上げており、また従来から申し上げてきた観点から、いわゆる日・満とか満・日との間に差はないはずだ、差をつけるべきではないと思う、それが現実についておる、こういう恩給上の不均衡是正という問題にしぼってお尋ねしておるわけです。したがって、政府は、こういう満・日の場合を完全通算にすると他にも無限に拡大していくのじゃないか、満鉄だけでとどまった人々の問題も出てくるのではないか、こういう御心配は当たらぬと思うのですね。そうだとすれば、結局、先ほど来申し上げておるように、この問題は当然早急に解決されてしかるべきだと思うのです。
  234. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かに、先生の御指摘のように、実はかりに満・日というものを認めた場合、その波及の度合いという点がやはり政府施策の中では当然考慮の中に入ってくるのは、これは私たちの仕事のたてまえ上やむを得ないところだと考えられます。したがって、これまでのこの問題の扱いの中では、従来たびたび申し上げましたように、その問題の一つの中には波及の課題も含まれておりまして、さらにいま御指摘になりましたいわゆる満鉄オンリーの方々、この点についての課題も、実はすでにそういう関係の方々からのかなり強い陳情もございますし、それから最近いろいろな状態の中でそういう改善措置の要求をなされる方の中に満鉄だけの方々もおいでになります。したがって、そういう点について、まるきり関係がないものだということが言い切れるのかどうか、この点についてはやはり若干問題は残るところではなかろうかというふうに考えております。しかし、先ほど来申しておりますように、これまでのたび重なる附帯決議で政府側へのお考えのほどが明確になっていることでもありますので、したがって、私どもは、十分にこの国会の御意思のあるところを専重しつつ検討さしていただきたい、かように考えております。
  235. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおここで確認しておきたい点は、現行法において日・満・日は、この人々の在職期間は官吏の在職期間と全く同じように現実には通算されておるわけですね。これは一体理由は何かと申しますと、この根拠は、満鉄は官庁そのものではない、しかしながら官庁との実質的な差異は紙一重であって、職員の処遇上差別をつける程度のものではない、そういう判断に基づいたからこそ、日・満とか日・満・日については満鉄期間を全部通算しておる、こういうふうに私は理解しておるわけです。それでいいわけですけれども、そうだとすると、繰り返しお伺いしているように、日・満とか満・日の間にどこに本質がどのようにあるのか、こういう問題がどうしても出てくるわけですね。こういう観点からも、当然この際不均衡が是正されてしかるべきだ、そういう結論になろうかと思うのです。
  236. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 確かにいまの点は非常な微妙なところですが、実はたびたび繰り返し申しますように、日・満・日といういわゆる満ということがある一つのその人の公務員生活としてはつなぎと考えられそうな場合に、この人たちに対する恩給措置としてこれも確かに一つの特異措置でございまして、いわゆる恩給法そのものの正面から考えた場合には、確かにこれが平常時であれば問題があったと思われます。しかし、敗戦という異常事態の中でございますので、そこでこういうふうな場合の措置、つまり自己の意思に基づかずしてそういうふうな条件下の中に置かれた人たちの救済をどういうふうにしていくか。そこで日・満・日、満・日も一つ条件として考え、そうしてその差をどこで見ていくか。格差がないという一つの前提が明確になれば、いままでは問題がなかったわけですが、ただそういうふうな中間位にたとえば満が入る、あるいは日・満の形で入ってこられる人たちに、そういう従来の考え方を繰り返しますならば、人事管理的な要請というものもある程度配慮の中に入れていくことが一つのこういうふうな改善措置には望まれるんじゃなかろうか、かようなことで旧来格差が是認されてきたわけでございます。
  237. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、少し具体的な事例を中心にお伺いしたいと思いますが、国鉄在職の元満鉄職員の中で約千名の人々が本年三月定年退職をしたわけです。これらの人々の大部分は満・日ケースのために最低年限までしか当然通算されないわけです、現行法では。そこで年金額を調べてみましたら、月額わずか一万五千円ないし一万六千円である。同じ学歴、年齢も同じ、勤務年数も同じ、そういう日・満の職員と比較いたしますと、実に三対一の割合ですね。日・満とか日・満・日の方々の約三分の一の程度しか受けられないということです。そういうことになると、これは一万五千ないし一万六千円で家族をかかえて生活が一体できるであろうかという問題も出てくるわけですね。これは現実の問題である。こういう問題が現実に横たわっておるわけです。その問題を局長はどういうふうにお考えですか。
  238. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 具体的な例を出しての御質問でございますが、実は関係の向きからの資料として私たちがちょうだいしている中でも、確かにそのような事実関係を御指摘いただいております。  ただここでちょっと、伊藤先生もよく御存じのところでありますが、実はこの年金額計算はいわゆる退職時の俸給と在職年数ということが基礎でございますので、その退職時俸給が低ければ必然的に年金額も低いというのが当然の措置でございます。そういう点から、御指摘の方々につきましては、確かに国鉄は一つの職務給的形態をとっているから、御指摘のような方々については、そもそも基本給がかなり低く格づけされていたのじゃなかろうかと思われますし、それが年金額に当然はね返ってまいりますので、いまのような数字が出てまいろうかと思います。この点について、一万五千円ないし一万六千円というものが、生活のささえという観点からの御指摘は、いま先生はこの点は低過ぎるじゃないかということをお含みの上での御発言だと思いますが、碓かに恩給額というものを、一つの最終俸給、それから勤続年数というもので見ていきます場合には、一応その線をくずすというわけにはまいりませんので、こういった点が、おそらく御指摘の場合は、勤続年数をどういうふうに加算で見ていくか、通算の場合に通算のしかたとしてどこまで考えればいいのかということが次の課題ではなかろうかと思いますが、必然的に、たとえば満・日の問題をどう扱うかということと関連して、いわゆる通算される勤務年限をどう考えるかというような課題になろうかと考えますが、しかしそれは一応そういうふうな満・日の前提をどうきめるかということで、この問題も必然的な課題として波及してくる問題ではなかろうか、かように考えております。
  239. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は、いま御答弁になった点は、一応そういう向きもあるわけです。大体退職時の本俸が基準になる。ところが、満鉄から国鉄に入った方は、人事院の何によって、満鉄職員期間が一〇〇%勤務期間として通算されなかったわけです。大体八割くらいです。そこでもうすでに不公平が出ているわけです。そういうことと、いわゆる当時の国鉄の受け入れ方にもいろいろ事情があったのでしょうが、現実には、非常に待遇が悪かったわけです。そういうふうに満鉄の職員期間の数え方なんかで不利が出ている。それから再就職したときの処遇がもうすでに不利がある。そこへもってきて、日・満と違って、満・日の場合には、繰り返しお伺いしている、いわゆる不足分だけの通算しかない。満鉄に三十年、三十五年おった人も、何年つとめても同じなんですね。不足分だけしか認められない、そういうことで三対一という大きな差が出てくる。これは一割、二割不利だということとは問題が違ってくるわけですね。こういう差し迫った問題があって、これはもう満鉄だけではないわけです。外国政府——満州国政府、それから外国の特殊法人の職員の多くの方々は、こういう事情で、多少国鉄以外の人と国鉄の人とを比べると、もちろんその間に差があると思いますが、大筋としてこれらの人はみなそういうことで不均衡を嘆いている。やはり政治の要諦は、貧しきを憂えず、ひとしからざるを憂える——これは為政者のもってとるべきいわゆる目標だろうと思います。そういうことからいって、あまりにも差が大き過ぎるわけです。もう真剣にこの問題を訴えておる方が多いわけです。こういうことになると、やはり早急にこの問題をもう解決すべき時点に来ておるのではないか。従来の政府の考え方からすると、なかなかいますぐ満・日もいわゆる全額通算という結論出ないわけですけれども、こちらからいろいろと指摘している点をすなおに受け入れるならば、当然この問題は早期に解決されるべき問題だと思うのですね。こういう点で、現実の問題がいま横たわっておるものですから、そういう観点からもひとつ十分検討を進めて、将来実現を期すために最高度の努力をしてもらいたい、こういう要望を兼ねてのいま質問を続けておるわけです。
  240. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 繰り返すようでございますが、私もこの問題、皆さんから承っておりまするし、伊藤委員非常に熱心な御意見もよく存じておりまするので、十分ひとつ検討させていただきたいと思います。
  241. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、この問題に関連して、抑留、留用の問題が未解決で残っておりますので、この機会に二、三お伺いしておきたいと思いますが、外国政府とかあるいは特殊法人職員でシベリアに抑留された人、及び現地に徴用された人、まあ抑留、留用あわせてお伺いするわけですが、この通算問題もいまだに未解決であるわけです。これも御承知のように、附帯決議のその内容の一環として、四年間続けてこの抑留、留用の問題についても全会一致で要望されておる、こういう現実があるわけですね。この件については、いま申し上げたような決議もございまするし、一般の官吏とか軍人は抑留期間は勤続年数に当然通算されておるわけです。それと軍人軍属はこの恩給法の加算もついておるわけです。軍人軍属については二万円になるわけですね、加算がつきますから。こういう処遇を受けておるわけです。ところが、外国政府とか特殊法人職員であって、こういう方々が軍の指令でいわゆる軍属とかあるいはそういう使命でいわゆる軍属同様に抑留をされた、そういう場合には何らの処遇問題がないわけですね。これはきわめて不均衡ではなかろうかと思うのですよ。その問題、いかがですか。
  242. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 軍人との差ということのお話がございましたが、実はこの問題については、たびたびお答え申しておりますように、一般邦人の抑留を受けた人たちとの問題、均衡もございますので、旧来は本件についてはかなり困難だというお答えを申し上げておるわけでございます。しかし、満・日の問題とあわせて、これは附帯決議にも決議されておりますので、十分に今後検討させていただきます。
  243. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 旧文官分限令の第四条かと思いますが、官吏は廃官、廃庁の場合は当然退職者となる、こういう規定があったわけですね。在来の官吏とか軍人で、終戦時軍隊や在外官庁は解消したわけですね、あの当時もうすでに。そうなると、軍隊も解消し、在外官庁はみな解消したわけですから、そうすると旧文官分限令の四条によって廃官、廃庁の場合は退職者となる。こういうことになると、これはもう当然そういうものは通算問題から除外されるわけです。ところが、いま申し上げたように、軍人、官吏についてはこれが逆の効果を出して、廃官、廃庁にもかかわらず計算されておるわけですね。こういうことになって、たとえば、満鉄等で実際関東軍の軍属の仕事をしておる。ところが、民間から軍属になった場合はいわゆる個人契約になりますから、当然軍属の辞令など受けておるわけです。これはもう軍属として扱われておる。満鉄等から実質的関東軍の軍属になった者ば、そんな辞令なんかもらっていないわけです。給料も実際軍から出たかどうか、それは知るよしもないのですが、形式は軍から出たことにして、実際は満鉄からもらっておったわけです。そういうふうにして、一括して——一人二人の問題じゃないのです、何千何万という満鉄の職員が関東軍の軍属の仕事をしておったことは事実です。ところが、繰り返し申し上げるように、個人契約でないから一々辞令はもらってないわけです、軍属の。したがって、そういう者はみな除外されておるわけですね。満鉄等から実質軍属の仕事をしたという人は、いわゆる何の処遇も受けていない、こういう問題がいま私指摘する点なんです。それでは片手落ちではないかということをいまお伺いしておるわけです。
  244. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 実は文官等につきましては、御承知のように、身分をある時期まで持たしておりまして、その意味では、これはその人がある時期に公務員としての身分を持って、それが終結するまでは一応その人を継続させたというかっこうになっておるわけでございます。ただ満鉄の場合は、そういう措置が満鉄であるということだけによりますので、実は海外にあるそれぞれ本省庁の出先機関とはおのずから異なる考え方が働きまして、そこでいまの御指摘のような問題が出てまいろうかと思うのであります。そういう意味で、その人も均衡上は抑留と同じように見ればいいじゃないかというお考えがおそらく先生のお考えの点ではなかろうかと、かように考えますが、それをどういうふうに均衡をとって考えていくかということがこの課題ではなかろうかと思います。したがって、今後の問題としてこれは検討させていただきたい、かように思います。
  245. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、あと一、二点伺いますが、恩給局長は昨年六月二十一日の当委員会で、官吏は抑留期間も官吏としての身分を持っていた、外国政府、特殊法人職員の抑留期間は通算をだから認めた、外国政府、特殊法人の業務に従事してなかった人、また他の一般抑留者の抑留期間にもはね返るであろうおそれがあるので、拡張するのは困難だ、そういう意味の御答弁があったわけです。しかしながら、官吏が身分を保留したのは、これは形式的には文官分限令に違反した措置になるということが言えると思うのです、形式的には。また、抑留期間中は政府の業務に従事していなかったことも事実です。これも確かにそういうことが言えるのですね。そこで、外国政府とか特殊法人職員の抑留は、命令によって軍の仕事を担当しておったわけですから、したがってこれは自分の意思はああいう際ですから全然いれられないわけです。もう一括、君はこちら、君はこちらというふうに上司から命令を受けて、戦時中ですからそんなことはとても拒否できなかったわけですね。それこそその意に反して、結局その結果ソ連軍は軍属と認めて抑留したわけです。こういう厳然たる事実があるわけです。したがって、先ほども申し上げました個人の場合と比較すると、個人は、いわゆる個人の契約になりますから、みんな軍属の辞令をもらっておる。満鉄から一括した者は、そういう措置はなかったわけです、戦時中ですから。もう軍民一体でやった時代ですから、そういう特殊事情があった中で、満鉄と特殊法人の抑留者はこれから取り除かれておる。これはそういう視野からいうと、これもひとつあわせて、これは該当者がそうたくさんあるわけじゃなし、だからといってほうっておくということは忍びないと思うのですね。たとえ数は少なくても不公平は不公平で、やはり公平な原則で同様に扱ってしかるべきだと思いますね。
  246. 矢倉一郎

    政府委員(矢倉一郎君) 本件につきましても、十分に検討さしていただきます。
  247. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  248. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  暫時休憩いたします。    午後六時十一分休憩      —————・—————    午後七時三十四分開会
  249. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、両案に対する質疑を続行いたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  250. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 午前の部に引き続いて若干御質問申し上げたいと思います。午前の部の最後の時点で、この法案では外務省に定員を振りかえる、そして韓国、南ベトナムにいわゆる防衛駐在官を置けるということになっておると、そういう問題を御質問申し上げたわけです。この問題については、私のほうの質問点は、まだこの法案が通っていないのに、現実にはもう派遣されているじゃないか、こういう角度からお伺いしたわけです。そこで時間の関係もあって、しり切れトンボになっておったわけで、これにけじめをつけておきたいと思う。そういう考え方からお伺いするわけですが、このことについて大臣からは、まだ行ってないんだという御答弁があったわけですね。そのことを確認して、いま少し掘り下げてお伺いしたいと思います。
  251. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 韓国へはまだ参っておりませんけれども、伊藤さんの御質問も韓国のように承りましたから、韓国へは参っておりません。研修所へ入りまして、せっかく研修準備中でございます。候補者はございません。ベトナムその他のことは御質問がございましたならば、またお答え申し上げます。
  252. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、私のお伺いしたのは、いまも再び同じことを繰り返したわけですが、この振りかえは韓国と南ベトナムに防衛駐在官を派遣することになっておるけれども、いまだ法案は成立していないので、よもやまだ派遣されてはいないであろうけれどもと、お伺いしたわけですね。したがって、韓国だけでなく、南ベトナム両方に関係しておるわけです。南ベトナムについてはサイゴンですね。そこで時間の関係もありますから、こちらからもある程度申し上げておきますが、一昨日の午前、稲葉委員からこの問題に関連して質問があったわけです。それに対して防衛局長の御答弁は、南ベトナム、いわゆるサイゴンへ藤井一等陸佐を四十一年五月に派遣しておるということを、一昨日もうすでに御答弁になっておるわけです。そこで、それは大臣からではなかったと思う、たしか防衛局長であったと思う、そのことは当然韓国とベトナムと両面にかけて午前もお伺いしたわけですから、だから、韓国へは行っていないという御答弁はさっきあったわけですね、準備中だと。語学の学習中だという意味の御答弁があったわけです。そこで、大臣から南ベトナムサイゴンにはもし行っておるなら行っておる、韓国は準備中ということにこちら理解していいのかどうか。
  253. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 南ベトナムは昨年から行っております。そこで、設置法の関係から申します。外務省設置法におきまして、昨年は南ベトナムへ行く一人が増員されたわけでございます。また、本年は外務省設置法の改正はすでに今国会でおそらく通過成立したのじゃないかと思っておりますが、外務省設置法は。そこで、でき得るならば、今度、防衛庁の設置法を直しまして、増減なしということであるならば、こちらから人が向こうへ行ったんですから、向こうのほうをふやして、こちらのほうを減らすべきであろう、そこで減らすように昨年からの分も、その前の分も、実はまだでございまするが、減らす案になって、今回防衛二法の中に、定員の分は設置法でございますが、定員法である防衛庁設置法の中に減らす勘定を入れてあるわけでございます。そこで、両方の設置法が成立しなければ出せないかというような御質問がもしあるならば、昨年度のものは、外務省設置法ができまして定員一名の増になりましたから、こちらは減らすつもりで案は出しておりましたが、出せませんけれども、全体としては一名プラスという設置法が国会で認められまして、出ておるわけでございます。こちら側は減らしたいけれども、防衛庁施設法並びに自衛隊法が通過いたしませんから、減らすつもりなのが減らせなかった。今回あわせて減らす、つまり、外務省員として派遣することは外務省設置法で認めておりまするから行政法上できると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  254. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、過去の同じような条件の事例を申し上げてこの問題の研究の一助にしたいと思うわけです。これはたしか四十年の通常国会、四十八国会だと思いますが、自治省設置法の改正案、この内容は全く同じに外務省へ一名振りかえる、定員一名減ですね。全くいまの事例と同じなんです。いわゆる定員一名減、それをさらに詳細に説明すれば、外務省へ一名振りかえ、これは、わずか一名であっても、一万名であろうと、法的には手続には変わりはないと思うんです。そういう視野から自治省も一名の定員減を設置法の改正の内容として出してきたわけです。いまも申し上げたように、当時の自治省設置法は何にもないんです。ただ一名減という、それくらいの問題で設置法を出してきたわけです。たとえ一名の減といえども、設置法が通らなければ、これはもう法の内容にあることを先行してやったということで、脱法のそしりを免れぬわけです。それで、外務省のほうは受け入れるほうですから、外務省設置法——外務省としては別に問題ないと思う。今日の場合ですよ。外務省設置法はすでにもう通っていますから。現在通っておる。しかし、防衛二法は——外務省に一名増というのは、その原因を探ると、防衛庁の、南ベトナムだけを考えれば一名ですからね。そういうことになると、両方の設置法が通らなけりゃ、これは当然にできないわけでしょう。ところが、昨年、外務省設置法は通っておる、だから出したということは、これはどうも話がわからぬ。今年の場合、外務省には問題ないんですよ。昨年も外務省設置法は通っておるし、ことしも通っておるわけですね、現に。しかし、防衛二法は四十年来まだ通ってないわけですから、受け入れるほうの側の設置法が通っても、出すほうの設置法は通っていないでしょう、まだ。それを、それに先立って、法案の内容になっておることを、法がまだ成立しないのに先行してやる、これはもう脱法行為と言わざるを得ないと思うんですがね。そうでしょう。法の内容の一部であることが法が成立しないうちにどんどん先行されるということなら、国会の場で法審議の必要はないでしょう。その点はどうなんですか。これはもうりっぱな脱法行為になると思うんですが。(「法制局長官を呼んできて聞こう」と呼ぶ者あり)
  255. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これは詳しくは法制局長官に、ほんとうに、いま御発言がどなたかからあったようでございますが、聞くべきだと思いまするが、こちらも減らしたくて、そして昨年も防衛庁設置法を、減らした案を出しておるわけでございます。全体といたしましては、たとえば、百名なら百名ふえるというところを一名減らすわけでございまするから、九十九名増というようなことで——これはたとえた数でございますよ——九十九名の増というようなことで出しております。それから本年も、たとえば四千三百三十一名の増、つまり二名取った数にして、四千三百二十三名かもしれないところを、昨年の一名が取れまするし、本年の一名が取れるから、それを減らして、設置法を——御承知のとおり設置法は定員法でございますから、その定員法として出しておりまするが、これは行政上の措置の問題ではないかと私は思っております。法律上、必ず減らさなくても、欠員をしておけば、元来欠員は相当あるんですから、その欠員のあるところをもう一名欠員しておくという予算上の措置、行政上の措置だと思いまするが、両方の法制がそろわなくてはならぬというふうなところまで私は考えておりませんが、何でしたら伊藤さんの御発言に対しては法制局長官をお呼びくださってお聞き願いたいと思います。
  256. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、ベトナムの場合は一名であるわけですね。もしこれを一万名振りかえたら、やはり同じようなことは言えますか。数の問題じゃないんですよ、質の問題なんですよ。これはたまたま南ベトナムのサイゴンへの一名の派遣員の問題でありますけれども、これは数じゃないんです。先ほども申し上げたでしょう。四十年の四十八国会では——同じことを言って恐縮ですが、自治省設置法は一名減ですね。全く防衛庁と同じ、一名減。サイゴンの場合、一名減ですね。それだけを内容とする改正案がかつて審議されたわけです。自治省設置法ですよ。これは議事録を見ていただければよくわかると思うんですが、同じようなことがやはり四十年に審議されたわけです。一万名じゃない、同じく一名です。たとえ一名といえども、自治省設置法によって、これはもう国会の了解を得なければ、法の内容にあることを先行して法成立以前にこういう脱法行為は、自治省といえどもできないわけです。そこで、自治省は成立後に一名定員減を実行しておるわけです。全く同じですよ、今度の場合は。これは何も法制局長官の見解を待つまでもなく、大臣の見解は全く根本的に間違っておると思うんです。これは確信を持って申し上げ得ると思う。(発言する者多し)
  257. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 静粛に願います。
  258. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、繰り返し申し上げまするけれども、一名とか一万名の問題じゃなく、法違反かどうか、脱法行為かどうかという問題をいまお伺いしておるわけです。質の問題をいまお伺いしておるわけです。これはもうまさしく脱法行為であるということを確信を持って申し上げ得ると思うのです。私は法律の専門家ではございませんけれども、一応も二応も専門家にもたたいて見解を承ったわけですけれども、国会の法改正の内容のことが法成立以前に先行されて行なわれるということは、これは脱法行為だと、そういう見解も承っておるわけです。そこで重ねてお伺いするわけだ。これは責任を持って御答弁いただきたいと思いますね。
  259. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私も伊藤さんのおっしゃることは同感でございます、大体において。それで、先ほども御答弁のときには、両方が、一方の省で一名ふえて、他の省庁において一名減らす、——つまり防衛庁です。防衛庁から一名減らして、そして外務省で一名ふえるということでしたならば、でき得るならば、両方の省庁の設置法という法律が改正されることが望ましいと私は考えています。そこで、外務省設置法は、伊藤さんの御指摘のとおり、一名ふえたという設置法がそれぞれの年度において法律化されております。防衛庁設置法は、それぞれの年度において、実際におきましては減らすのは一名減らしたとしても、なかなか大蔵省も厳密でございますから、二重には予算はとっておりません。まず第一にそのことを御了解得たいと思っております。そこで、たとえていえば、百名ふえるというようなこと、いま大きくいえば四千三百三十一名ふえるということ、そういうことがございますから、ほんとうは四千三百三十三名ふえるところを二名減らして四千三百三十一名ということに、つまり昨年の南ベトナムのときには一ぺん法案として出したわけでございます。そのときの定員のふえ方は二千名弱でございましたので、その二千名のところに一名の定員が減った法律案を提出いたしまして、国会では流産したわけでございます。本年度は約二千名ふえますから、昨年にプラス二千名ふえますから、合計いたしまして四千三百三十一名でございまするが、その中には南ベトナムへまいっておる一名を減らして、それから今度韓国へまいる一名を減らした予算をいただいております。(「予算の問題と違うよ。」と呼ぶ者あり)予算にもからんでおります。行政上の措置その他から見まして、実は法制局とも、外務省とも打ち合わせをいたしておりまするが、このやり方でよろしいと、こういうことになっております。しかしながら、でき得べくんば皆様の御賛成を得まして、この減員の、つまり四千三百三十一名という中には二名の減員が入っておりまするから、この減員の二名の入った定員法改正、すなわち防衛庁設置法が法律化されることが最も望ましい姿であると私は考えておる次第でございます。
  260. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私はそういう点をお伺いしておるわけじゃないんですよ。この防衛二法が通った暁にですね、サイゴンへなりと、韓国へなりと派遣されたらいいわけであって、まだ法案が成立してないわけでしょう。通るかもしらぬし、また廃案になるかもしらぬ。それはまだわからない、われわれには。そういう時点で、法の改正内容にあるその一環が、まだ法成立以前に先行されて実行されておる。ただ単なる減員であっても同様だし、また両省にまたがる場合があるのですね。今度の場合は両省にまたがっておるわけです。外務省は振りかえですから、外務省は受け入れてプラスになるわけですね。たとえ一名の増であっても設置法を出さなきゃいけないわけです。ということは、たとえ一名の減であっても、設置法によって国会の審議を待たなければならない。これは繰り返し申し上げるように、自治省設置法は一名減を現に設置法の解決後に実行しておるわけです。そういうことにならなければ、せっかく国会の場で法案を審議しても意味ないでしょう。法案を審議してまだ結論が出ないうちにどんどんその法の内容、改正内容のことが先行されて行なわれるということは、これは脱法行為でしょうが。これは法制局長官、呼ぶまでもないことです。この二法が成立したあとならいいんですよ。バンコクなり韓国へ駐在官を派遣することに、いまいいとか悪いとかいうことを申し上げているわけじゃないんです。まだそういう内容が成立しないわけでしょう、現在。成立した後に実行してしかるべきだ。しかも、昨年五月も現にやっておるということは、これはりっぱな脱法行為になるじゃないかと、こういう角度からお伺いしておるわけなんです。これは明快に責仕ある御答弁をいただかぬと、これは他の省庁にも関係する重大な定員問題ですから、慎重にお考えの上御答弁いただきたいと思うんです。(「外務省設置法の附則で減らしてればいいけれども、減ってないものはいかぬ」と呼ぶ者あり)
  261. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 正式発言を願います。
  262. 北村暢

    ○北村暢君 関連質問。この問題は、正式発言だの何だの言うけれども、あれですよ、防衛庁長官は、いまそういう便宜的な答弁でここを逃れようったってだめですよ、それは。脱法行為であるのかないのかということが質問者の意思なんですから、脱法行為であるかないかというのだ。脱法行為であなたはないと思われるとか何とかで過ごされる問題じゃないです、これは。で、今度の国会でも、運輸省設置法が六月の二十何日かに通るだろうと思ったところが通らなかった。七月一日に人事発令するやつが、一切御破算になっちゃってできないのですよ。同じなんですよ。もうそれこそ厳格にやはりなされないと、定員法が通らないうちに通ったような人事の発令というものはできないのです、これは。そして、外務省設置法が通っても、外務省設置法の附則の中に、防衛庁の一名を減らすということが附則で出ていればいいけれども、こっちの外務省のほうが通っておっても、防衛庁の設置法のほうが通っていなければ減らされないのですから、行きたくても行けないのだ。こっちはもう受け入れ態勢があっても、来る人がこれないのですから、これは実施ができないということになる。これは正しい法の解釈から言ってそのとおりだ。あなたの、片一方通っていればいいというようなことだったならばですね、二万名も欠員があるのだから、その中で融通さえすればいいということになれば、四千名の増員なんて要求する意味ないでしょう。適当にあなたその中でやればいいということだ。何でそういう二万名も欠員があるところで、四千何ぼの増員をここでやらなければならないか。同じ理屈ですよ、一人であろうが、四千であろうが。それを脱法行為をやっているのじゃないかと、こう言っているのだ。脱法行為でないかと、こう聞いているのですから、脱法行為であるかないかということをはっきりさせてもらいたい。
  263. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 関連質問。この外務省設置法ですね、この法律の附則を見ると、1は、「この法律は、昭和四十二年六月一日から施行する。」とこうあります。2は、「大蔵省設置法の一部を次のように改正する。」とあって、大蔵省設置法による人員を改めるのが書いてございますね。3は、「警察法の一部を次のように改正する。」として、人員を改めているのですけれども、防衛庁関係は何もないのですが、これはどういうわけですか。
  264. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま御意見が出ておりますこの併任の問題でございますが、これは先ほど大臣から御説明しましたように、私ども法制局とも打ち合わせの上の従来の解釈では脱法行為じゃございません。その理由を御説明いたしますというと、この法律にございますように、自衛隊自衛官の定数につきましては、これは最上限を定めてございます。その細部の職員の問題であるとか、いわゆる職階級の問題は別に法律事項になっておりません。そこで、先ほどのサイゴンの防衛駐在官の問題は、先ほど大臣から御説明しましたように、向こうのほうで受け入れる形ができて、それに必要な予算が認められました場合には、私どものほうからあちらに出すわけでございます。これは実員を派遣するわけでございます。実員派遣の問題と、ワクの定数の調整の問題とは、別個に切り離してお考えいただきたいと思います。これは従来からの慣例でございまして、別に違法ではございません。かりに私どものほうでたとえば一佐を出しまして、そこに十名の一佐がおりまして、向こうに一人出て、九名になった。さらにその上に、減員をしない前に、たとえば二人、二佐が出たというようなことになってきますと、これは問題がございますけれども、御存じのように、定数につきましては充足の率がございまして、それぞれの階級に欠員がございますし、場合によりましては、一階級上限の規定もございますので、この辺のところは私ども内部の編成上の操作の問題でございます。このことは従来からこういう形で実施しておりますのでございますので、決して脱法行為ではございません。先ほどの大臣の御説明のとおりでございます。(「外務省設置法の関係はどうなんだ」と呼ぶ者あり)このことは、向こうの設置法の附則に書く、書かぬの問題は、少しこれは技術上の問題になりますけれども、各官庁におきましての、たとえば一等書記官になる程度のところはぴしっと定数としてきめられます。私どものほうは、それは先ほど申し上げましたように、法律では、これはいわゆる上限ワクをきめているわけでございますから、したがいまして、一々その附則にこちらの減を書かないというのが従来の例でございます。したがいまして、先ほどまたお話いたしましたように、当然減になるというような場合は、たとえば廃官廃庁の場合はこれは当然減にして減員措置をいたさなければなりません。しかし、同じことを繰り返して恐縮でございますが、防衛庁の定数の定め方はそういうことで、自衛官の総数につきましてのワクをきめたものであるというふうにお考えいただきたいと思います。これは、なお法制的な面の解釈につきましては、当然、法制局の責任でございますので、しかし、私どもは法制局とも相談の上、過去このような措置をいたしておりますことを御了承願いたいと思います。
  265. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの官房長の答弁を聞いておりますと、結論を先に申しますと、自衛隊に関する限り慣例が法律に優先するということになるわけですね。いいですか。先ほどの例をそのために申し上げたわけです。自治省は一名減員であっても、設置法を国会にはかって、成立した後に一名の減を行なっておる。ところが、官房長のことばを借りると、定員増についてはむろん設置法で今度審議しているわけですね。増の場合は法によって国会の審議を受ける。今度の場合、減ですね。減の場合は法によらないで、自衛隊は従来慣例によってやってきている、そういうことになると、増員の場合は法によってやって、減の場合は、いま官房長ははっきり言ったでしょう、慣例によってやっておると。そうすると、防衛庁設置以来、長い間、脱法行為を続けてきたということになりますよ。従来そういうことをやってきたとすれば。過去にさかのぼって私はこういうことを指摘しているのじゃないのです。現在の問題をとらえて、それだけに制約していまやっているわけだ。もし官房長のことばをそのまま正直にすなおに受けとめれば、そういうことが言えるでしょう。慣例が法に優先して行なわれておる、防衛庁に関する限り。そういうことになると、問題はますます大きくなりますよ。長い間、防衛庁は慣例を法に優先さしてやってきた。脱法行為を長い間続けてきたということに通ずると思うのです。わずか一名の減とか——増と減というのはかわらないですよ、法によらなければならぬということについては。たとえ一名の減であっても、たとえ一名の増であっても法によらなければならぬ。これは国家行政組織法にもはっきり出ているわけですね。そうでしょう。そうだとすれば、増の場合はいい。増の場合は、防衛庁自衛官について四千二百七十八名と、現に法案を出しているじゃないですか。これは国会が認めざる限り増員できないでしょう。減ならばいいんですか。減であろうと増であろうと、やはり国会の法の成立を待たなければできないわけですよ。それは官房長、答弁うまいから、何だかんだおっしゃるけれども、その答弁じゃ筋が通りませんよ。
  266. 海原治

    政府委員(海原治君) 私が先ほどお答えいたしましたのは、慣例によってということを申し上げたつもりでございませんが、そのようにお聞き取りでございましたら、私の発言が不適当だと思います。御承知のように、防衛庁設置法防衛庁単独で出せるものではございません。関係部局とも十分御説明の上、御納得の上、提出しているわけでございます。よその省の設置法につきましての扱いは私は存じませんけれども、従来の防衛庁の定数の改正、防衛駐在官の派遣に関しての定数の増減等のやり方は、これは過去から今日まで行なっております。法制的に法制局の審議を経ているわけでありますから、ほかの省の設置法との扱いの違いにつきましては、防衛庁の私が申し上げる資格はございませんが、決して脱法行為ではない。先ほど申し上げましたように、防衛庁の今回の四千三百三十一名につきましても、四千三百三十一名が、どういう資格の者がどういう目的でいくかということまでは規定しておりません。国会でお認めいただきますのは、全体の総数のワクでございますので、その範囲内において私どものほうでどういうふうに割り当てるかということについては、これは長官の権限に委任されております。そういうことでございますから、先ほど申しましたようなことになるわけでございまして、再度申し上げますが、防衛庁限りの慣例ではございませんで、私どものほうの防衛駐在官の派遣に関しましては、従来、法制局とも調整の上、このような措置をしている。今回の法案につきましても、法制局の御審議を経た上で国会に御提出しているのでございます。どうぞ、そのように御了承願います。
  267. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それはどうおっしゃろうと、いまの御答弁の内容では了解できませんね。それはことばをかえて言うと、増員の場合は現にこの法案を出しているわけでしょう。繰り返して申し上げるように、四千二百七十八名という自衛官の増を、これは三年間の分だからふえたわけですが、それを現に法案を出してきているわけでしょう、法案の内容の主要な部分として。今度、防衛駐在官を派遣するという問題は、これは階級とか何とか、職種ということでなく、いわゆる自衛官でしょう。自衛官には違いないでしょう。自衛官が一名減になるのでしょう。それはもう認めるでしょう。それなら、その一名減についても、当然、法によらなければならぬでしょう。そういうことを言っているわけです。
  268. 海原治

    政府委員(海原治君) 御質問が技術上の問題でございますので、例で御説明します。たとえば自衛官の減が一名あれば直ちに定数を一名減じなければならないということになりますと、海原という一佐がおりまして、これが何らかの理由によって退職しまして、会社に行ったというときにも、その一名についても減員の手続をとらなければならない、こういうことになるわけでございます。したがいまして、そのたびごとに減員のための法案の改正をするということはございません。(「会社に行く場合とほかの官庁に行く場合とは違う」と呼ぶ者あり)そういうことでございますから、原因が何であろうと、減員に伴って直ちに法の改正をしなければならないというものではございません。他官庁に出向する場合には、特に外務省の場合には、先般も御説明しました併任のことでございますから、併任でございますから、向こうのうほで受け入れ態勢がございますれば併任できるわけでございます。したがいまして、その減員の手続は要らないわけでございます。ところが、今回の場合につきましては、外務省の扱いで事務官になるのでございますから、事務官との関係におきましての、法律でお願いしております増員要求の計算基礎にはこれを算定する。これは再度同じことを申し上げて恐縮でありますが、従来からの例でございます。決して私どもは脱法行為ではないと考えておりますし、先ほど申しましたように、法制局の御審議を経ておりますので、そのように御解釈願います。
  269. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それは従来からの例であると申しますけれども、それは従来からあやまちを繰り返してきたということを指摘せざるを得ないわけです。それは、そちらも繰り返して恐縮ですとおっしゃるけれども、こちらもそういう答弁では繰り返さざるを得ないわけです。とにかく増か減かということ、今度は問題が一名、二名の問題だからあまり問題にならぬわけですが、今度の法案の内容は、自衛官だけで四千二百七十八名でしょう。そうすると、これは増ですね。(発言する者多し)
  270. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 静粛に願います。
  271. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはどうです。これがもし逆に減であったらどういうことになるのですか、そんな従来の前例に従ってやりますか。
  272. 海原治

    政府委員(海原治君) どうも私の御説明が不十分で御理解いただけなくて残念でございますが、簡単に申しますと、増員をいたします場合には、定数は最上限をとめてございますので、そこまではできれば満たしたいという希望はございますから、さらに欠員があって増員の要求をするということは従来例がございます。しかし、減員の場合にはそのつど、それを減らすということはいたしておりません。これは先ほど申しましたように、現在の自衛隊の定数につきましては、そのワクをきめておるという考え方でございますから、したがいまして、外務省のほうに、こちらの者を受け入れる用意がございました場合には、向こうのほうで受け入れる用意がございますれば人を出して差しつかえない。予算がついておれば渡せるということは、これは事実ございます。そのとき、こちらのほうの減員の措置は常にとるかということになりますと、減員の際は法律の定数を変えないというのが従来の解釈でございますから、なお私の説明がよく御納得いただけませんでしたら、私のほうで法制局ともまた御相談いたしまして、またあらためて御説明してもよろしいのでございますが、これは私どもの従来ずっと関係しておりますことでございまして、そのように実施しておる。しかも、その解釈は法制局ともよく打ち合わせ済みということで、ひとつ御了解いただきたいと思います。なお、念のためにあらためて法制局とも連絡をとってみます。
  273. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私のさっき質問したことに対して答えがはっきりしないのですが、外務省設置法によると、たとえば、「警察法の一部を次のように改正する。」とあって、「第三十五条第一項中「七千七百九十三人」を「七千七百九十二人」に改める。土名減員になっているわけです、警察の場合は。それから大蔵省の場合は二つありますが、「第四十九条第一項の表中「一六、三五七人」を「一六、三五五人」に、」、二人減員ですね。それから、「「六七、五〇八人」を「六七、五〇六人」に改める。」、これは二人減員ですね。これは合計のほうで二人成員こなっているかもわかりませんが、こういうふうになっておって、その理由として、「大蔵省等から外務省に職員の定員の振替えをすることに伴う規定の整備をする必要がある。」、こういうことになっていますね。そうすると、防衛庁から外務省に行くのは職員の定員の振りかえとは違うのですか、これは。ちょっと待ってください。そこのところがどういうふうになっているかということです。それが一つ。  それからもう一つは、併任併任といいます場合、併任ならば防衛庁のほうの席があるのか、そうすれば減員する必要ないでしょう。ここはどういうふうなんですか。
  274. 海原治

    政府委員(海原治君) この併任の問題は、先般もこの防衛駐在官の任務性格等について御説明のときに申し上げたことでございますが、最初のことでございますと、警察官のほうで、警察官のほうの定数改正が減員のため、振りかえのためというのは、おそらくそれだけの理由のための改正じゃないかと思います。そのほかに増員、その他のことはございませんので、これだけの理由があります場合には、それだけのための定数の改正ということになろうかと思います。しかし、私どものほうは、ほかに増員の要素もございます。減員の要素もございます。したがいまして、法案として国会にお願いします場合には、プラスマイナスして出すということが従来のやり方であります。もし、いま全然定員の増加がなしに、来年どこかの防衛駐在官を五名ふやすということだけやるとしますと、来年の定数改正はマイナス五、その数は外務省に対しての定数の振りかえ、こういうことになろうかと思います。したがいまして、毎年出しております法案がそのつど通っておりましたら、そのとしごとにきれいにプラスマイナスは整理できたわけであります。しかし、残念にも法案が通っておりませんので、その辺の整理が三年分まとめて今回お願いすることになった、こういうことでございまして、これはその辺の事情をひとつ御了察いただきたいと思います。
  275. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 もう一つ質問があるでしょう。もう一つ質問は、併任の場合ならば減員する必要ないじゃないかという質問ですがね。それはどうなんです。
  276. 海原治

    政府委員(海原治君) いささか微妙でございますので整理して申し上げます。併任をいたします場合には、こちら側のほうの定員を食わないわけでございますから減員の必要はない、そういうふうにいま稲葉先生がおっしゃった……。
  277. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 じゃないかということを聞いておるのです。
  278. 海原治

    政府委員(海原治君) そういうことじゃないかと思いますが、私どもが併任併任と申しておりますその併任という意味は、防衛駐在官として制服を着用して大公使の指揮下において活動する場合の身分上の関係を従来そのような形で御説明しておるわけであります。で、今回の外務省におきましてのあれは、いわゆる向こう側の解釈としては、新しく在外公館に勤務するということは新規需要の形になりますので、増員の形を向こうがとるということは当然の措置でございます。こちらのほうは、本来は制服の者ですから、自衛官の定数内ですが、そのほうでなく、事務官のほうで振りかえをするのであります。予算的にもそのような措置をいたします。これは外務事務官になりますから。その辺のことで、従来これは慣例としてやっておることでございます。このことも、(「違う、違う」と呼ぶ者あり)いや、これは、このことはそういう措置をとることで、従来、法制局、外務省、大蔵省と実施しております。
  279. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私もわかればいいですけれども、併任というのは具体的にどうなんですか。お話を聞いていると、併任というのは防衛庁の職員としての身分を持っておるという意味のように聞こえる、併任ということばから受けるのは。それならば減員するのはおかしいじゃないか。それは予算は別としてどっちがとるかは問題はあっても、こっちに身分が残っておれば、そういう意味で併任というならば、ここで減員するのは変じゃないかということを私は聞いておるのです。そこがあなたのほうが微妙な問題だとか何とか、言うから、何が微妙だということになる。何かおかしいなと思う。何かいろいろああだこうだと言っておって、適当にということで言おうとしておるじゃないかというふうに疑われる。
  280. 海原治

    政府委員(海原治君) それではもう一度整理して申し上げます。私どものほうの自衛官が外務省の防衛駐在官として出向いたします場合には、外務省側で定員をとりまして、それに基づいて出向いたします。したがいまして、その場合に、これはこちらの定員が減るわけでございます。そういうかっこうになります。そうしますと、完全に外務省の人間になってしまったかといいますと、これは防衛駐在官の特殊な立場上、と申しますのは、任地におきまして制服を着て勤務をするということで、防衛駐在官として、各国の、ミリタリー・アタッシェの名簿に登録をするという関係もありまして、制服を着ることは、防衛駐在官、自衛官の身分を潜在的に持った者でないとできないという考え方があるいは成り立つわけであります。その意味においては防衛駐在官になりました者は、外務省の人間になりまして在外公館長の指揮で働く者ではございますが、防衛庁との関係が完全になくなったものではない、したがって、防衛駐在官として制服を着ることが許されるわけであります。その関係を従来併任という形で御説明しておるわけでございます。そういうことでございますから、防衛駐在官の現在の資格と申しますか、身分というものは主としては外務省の人間でございますけれども、したがいまして、指揮命令は在外公館長の指揮を受ける、その報告も外務省にくるということで、直接、防衛庁からの指揮監督はございませんけれども、潜在的には防衛庁自衛官任務を持っておる、その関係を従来併任併任ということで言っておるわけであります。したがって、定員上の操作は、先ほど申し上げましたそのおもな外務省の事務官となって勤務をするというその面をつかまえて、従来、関係当局との合意を得て、このような措置をしているということでございます。
  281. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、防衛駐在官に関する身分についての特別な立法が必要じゃないですか、そういう特殊なものならば。それがぼくは一つの疑問だ。それからもう一つは、一体、防衛庁職員であるのかないのか、どっちなの。どうなんだい、それは。
  282. 海原治

    政府委員(海原治君) その辺のところがございますので、先ほど非常に微妙なということを申し上げたわけでございますが、これは防衛駐在官という名前をつけますのにつきましては、外務省令がございまして、防衛庁から出向しまして在外公館に勤務し、主として防衛に関する事務に従事する職員は防衛駐在官と呼ぶということがきまっておるわけでございます。その防衛駐在官と呼ぶということは、対外的に出ますときには、これが制服を着用してその任地のミリタリー・アタッシェの名簿に登録するということになってまいりますので、完全に防衛庁としての身分関係を切るわけにはいかない。潜在的な形において防衛庁の職員であるという解釈をとりまして、従来実施しておるわけでございます。これが従来からのいわば行政慣例でございます。
  283. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくも関連ですからね——。そうすると、出向ということばを使っていますね。いまの出向ということばなら、防衛庁の職員としての身分残っているじゃないですか。職務の上としては別としても、身分としては防衛庁の職員としての身分のほうがウエートがあるのじゃないですか。それが通るのじゃないの。
  284. 海原治

    政府委員(海原治君) 現在の人事扱いにおきまして、出向ということばは、一応たとえば防衛庁から外務省へ出向を命ずるということになりますと、身分は切れる形になります。
  285. 山崎昇

    ○山崎昇君 関連ですが、人事行政で少しあなた違うのじゃないですか。行政法上は、出向だけでは切れませんよ。だから、外務省で発令をして初めて出向というのが切れるわけでしょう。いまのあなたの言っているのは、併任というのは、それは少しことばが違うですよ。やっぱり併任というのはね、国家公務員と地方公務員を兼ねてやる場合には併任ということばを使う。いまあなたが言っているのは兼官、兼任ですよ。だから外務省の事務官を自衛官に兼任させるわけでしょう。そうでなければ行政法上おかしいですよ、それは。それが一つ。  それから、出向して、外務省のほうでそれを採用すれば、定数は本官のほうになるですね。だから、あなたの言っているように、外務省の定数をふやすわけです。ただ、私が心配するのはね、それじゃ兼官を解いた場合に、一々防衛庁の設置法を変えなければ、その人の身分が、行きどころがなくなるのですよ。ですから私は、いまのあなたのやっているやり方は、人事行政からいけば邪道だと思う。だから、先ほど来、伊藤さんあるいは稻葉さんから言っているのはその点だと思う。  それから、防衛庁自衛隊員として外国に駐在する場合に、兼官させるのはやっぱり防衛庁の指揮系統に入るわけですよね。本官として外務省の指揮系統に入るけれども、兼任をしておる自衛官としては防衛庁の指揮下に入るのです。それはそうでなければ兼官の意味がないのですから。これは戦前の属兼警部というのがありましたよね、秘書課の人が。それと同じであって、少しあなたのほうの説明が足りないのじゃないか。足りないし、少し混乱をしているのじゃないか。だから、正確に用語は使ってもらいたい。併任ということばは誤りだ。それはあくまでも兼官、兼任ですよ、それは。そういうことであって、ですから、私は本筋からいけば、定数を削ってしまったら、兼官が本官になった場合に、防衛庁の設置法を変えなければ戻ってこれませんよ。その点はどうするのですか。
  286. 海原治

    政府委員(海原治君) まず第一の出向の問題でございますが、過去におきましては、私ども出向と申しますと、身分が、たまたま内務省に入った人間が一時通産省に行くという場合に出向ということばを使っていましたが、最近はそういう出向ではございませんで、通産省から防衛庁に来まして、もとの古巣といいますか、通産省に帰る場合にやっぱり出向ということばを使っています、発令上は。身分が切れるということは、向こうで発令されませんと身分が切れません。ことばの解釈を第一に申し上げました。  第二に、現在の防衛駐在官は、併任ではなしに兼官ではないかという御意見でございますが、これにつきまして、実は法制局とも二、三、私、過去におきまして打ち合わせをいたしました。しかし、現在におきましては、併任ということばのほうが適当だろうということで、これは私自身が行って交渉しましたこともございます。そういうことでこういうことになっています。しかし、先生がおっしゃいましたように、それが邪道ではないかという御意見でございますと、あらためてまた法制局と打ち合わせるということは、これは当然のことであっておかしくないと思います。ただ、従来の私どもの関係部局との解釈のいきさつを申し上げたわけでありまして、この点はなお正確を期するために、あらためてまた法制局と打ち合わせをいたしまして御説明申し上げたいと思いますが、従来はそのような解釈できている、これは間違いございません。
  287. 山崎昇

    ○山崎昇君 併任ということばは、行政法上ではあなたの言うのと私は違うと思う。それは地方自治体の場合は公吏ですから、それが国家公務員と兼ねる場合に併任というのは行政法上使っている。しかし、国家公務員が国家公務員と兼ねる場合には併任ということばはないのです。もう一ぺん相談してください。  それからいまは増員と減員と操作をして、そして最終的には増員だからいいのですけれども、あなたが一番先に言われたように、減員だけの場合、だったら、これはたいへんなことになると思うのです。ですから、私はいまあなたのやっていることは、少しやっぱり誤りがあるのではないか、そういう意味で私どもの委員——だからもう少し法制局と相談してきちっとしてください。それまで休憩してください、委員長
  288. 海原治

    政府委員(海原治君) 私が先ほどから御説明しておりますことは、私の一存ではございませんで、従来そういうことできておったということでございますし、法制局の関係部局とも打ち合わせ済みのものでございますが、なお御意見がございますので、あらためてまたこの問題はそれぞれのところと打ち合わせまして、結果につきましてはあらためて御報告させていただきます。このようにお願いいたします。
  289. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうすると、いま官房長からも御答弁あったように、この問題に関する限り、従来もこうやってきたと、今回もそれにならったにすぎないと、そういう結論になるわけですが、ただ、従来からやったから今回もやったということで、それが正しい慣例か。従来も行なったし今回もそれにならうのだ。何ら問題ないというわけですけれども、われわれはそれに大きな疑義を抱いておるわけです。そういうことで、ここでいまその場で直ちにこの大事な問題を結論出すことは、非常に意地悪い措置に誤解を受けては相ならぬので、ただ、こちらは是は是、非は非ということで大乗的な立場からお伺いしておるわけだから、いま官房長の言われたように、これからまだまだ審議は続くわけですから、この問題に関する限り、この時点で一応保留しておいて、十分、法制局等とも打ち合わせをして、ひとつ正しい見解をあすならあすの冒頭に披瀝していただくと、こういうことでよろしかろうと思うのです。その点いいですね。——そうしますと、この問題に関する限り、一応保留という形で一応済ませておきますけれども、次に問題をかえてお伺いいたします。  第三次防の内容を見ますると、いままでなかった少年隊員とか、あるいは婦人自衛官を採用していく、こういう計画があるようですが、この計画については内容明らかでないので、この際、この問題についても内容を明確にしていただきたいと思います。
  290. 島田豊

    政府委員島田豊君) 少年自衛隊員につきましても、婦人自衛官の職域拡大の問題につきましても、実はまだ具体的な問題につきましては検討中でございまして、その内容についてここで明確に申し上げる段階でございません。まあ一応の考え方としましては、現在、先ほど人事局長からも申し上げましたように、現在の募集対象というものは、大体十八歳から二十四歳ぐらいの範囲で募集いたしておりますが、さらに十八歳未満のもの、現在少年自衛隊員という制度がございますけれども、それと同じものにするか、あるいは別個のものにするか、これもこれからの問題でございますが、若干年齢を低下した形において募集をするということができるかどうか、もしできるならば、そういう制度を採用したいという構想がございます。  いま一つは婦人自衛官でございますが、これは現在いわゆる看護職員に四百十七名の婦人自衛官がございます。その職域を看護職域以外、たとえば会計でありますとか、通信でありますとか、あるいは衛生救護でありますとか、あるいは文書事務でありますとか、要するに男子の自衛官が現在ついております職でありまして、婦人でも十分できるというようなものにつきまして、その職域を拡大をするということについても現在検討いたしておるところでございまして、ただ、それの人数をどういうふうにするかということはまだ具体的にここで申し上げるという段階ではないのでございます。
  291. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしたいのは、繰り返し申し上げておるように、今度の法案の内容の主たるものは、自衛官の四千二百七十八名、予備自衛官六千名の増、こういうのがおもなる改正案の内容であろうと思うんです。そこで、予備自衛官の六千の増、これに関連して一、二お伺いしたいと思いますが、現在、予備自衛官の総数は階級別にどうなっておるか、年齢別ではどうか、再任——一たんやめてまた再任という場合もあるかと思うんです。再任の場合はどうか。このような問題について概要をお答えいただいて、なおその詳細についてはここでは無理ですから、資料として御提出いただきたいと思います。
  292. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) ことしの六月一日現在の階級別状況を申し上げますと、最高が一尉でありまして、一尉が十八名、二尉が三十五名、三尉が五十名、幹部合計しまして百三名。次に曹の階級で、一曹が四百二十四名、二曹が八百二十名、三曹が四千八十五名、士長が一万三千百三十五名、一士が五千三十八名、二士が十六名、曹士合計しますと二万三千五百十八名、全部合計しまして二万三千六百二十一名、こういう数字になっております。  次に年齢状況でございますが、詳細な数字の人数の資料は手元にちょっとございませんけれども、パーセンテージでお許しをいただきたいと思いますけれども、二十五歳未満が二二・四%、二十五歳から三十歳までが三三・七%、三十歳から三十五歳までが二七・二%、三十五歳から四十歳までが一三・一%、四十歳以上四十五歳までが二・一%、四十五歳以上五十歳までが一・一%、五十歳以上が〇・三%、平均いたしますと二十九・二歳という状況になっております。  次に任期の更新の状況の点を申し上げますと、一任期中の者、これは任期は三年でございますけれども、五一・三%、二任期の者が二三・二%、三任期の者が一三・九%、四任期の者が一一・六%、こういう状況になっております。
  293. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それで陸上自衛官の内容はわかったわけですが、なおお伺いいたしますが、海空の予備自衛官というのは現在ないわけですね。これは現在ない。今後はどうするのか。今後のそういう考えはないのか。もしあるならどういう構想を持っておるのか、こういうことについてあわせてお答えいただきたいと思います。
  294. 島田豊

    政府委員島田豊君) 三次防において私どもが考えております予備自衛官の問題につきましては、海空についていろいろ検討いたしましたが、さしあたり三次防におきましては、海上自衛隊においていろいろだ港湾施設の警備要員でありますとか、あるいは有事におきますところの航空部隊の稼動率の引き上げの問題でありますとか、あるいは各種の輸送に必要な要員の確保でありますとか、そういうふうな目的のためにある程度予備自衛官を確保したい、こういうふうに考えておりまして、目下検討中でございます。航空自衛隊につきましては、その計画は目下のところございません。
  295. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、これに関連してお伺いいたしますが、いわゆる尉官以上の幹部の予備自衛官ですね、これの採用状況は現在どうなっておるか、ごく概要でけっこうです。
  296. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 六月一日現在の幹部の予備自衛官の数は、先ほど申し上げましたように百三名でございますが、現在幹部はその程度にとどめておりまして、新たな任用はしておりません。
  297. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、いわゆる自衛隊の部外協力団体ですね。たとえば隊友会とか、あるいは自衛隊父兄会、さらには自衛隊協力会と、こういう自衛隊の部外協力団体があるわけですね。その概要について、要点だけでけっこうですから御説明いただきたいと思います。
  298. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 予備自衛官と関連いたしまして、部外団体の状況でございますが、隊友会という会がございますが、これは全国で七万八千人ばかりの会員を持っておりますが、先ほど申し上げました二万三千数百人の予備自衛官の大半はこの隊友会に所属しておるわけでございます。それからそれ以外に、父兄会あるいは協力会という団体がございますが、これは予備自衛官とは直接関係はございませんで、父兄会といいますものは、全国で十三万ばかりおりますけれども、これは現職の隊員の父兄の方々が、現職の隊員の援護等の目的のために団体を結成された、そういう団体でございます。それから協力会、これも予備自衛官とは直接は関係ございませんで、それぞれの部隊におけるいろんな支援をするという意味で部隊単位に協力会が形成されております。全国で、人数にいたしますと四十九万ばかりの人数になっております。
  299. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいまの御説明では、自衛隊に直接関係ないのだとおっしゃるけれども、これは隊友会は、大体は除隊者で形成しておる。だから、かつての自衛官ですからね、これは自衛隊関係ないとは言えないわけですね。それと自衛隊の父兄会、これはまあ自衛官そのものじゃないけれども、その父兄ですからつながりが深いわけですね、これはどのくらいおるんですか。
  300. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 先ほど私申し上げたのはちょっとことばが不足だったかもしれませんが、予備自衛官との関連で御質問かと思いまして、予備自衛官と特に関係のある、いま申し上げした三団体のうち特に関係のあるのは隊友会であるということで申し上げたのは、この団体は、いずれも自衛隊そのものとは非常な関係のある団体でございます。で、隊友会は七万八千人ばかりおりますが、これはお話のようにかつて自衛隊員だった人たちが形成しておる団体でございまして、しかも、その中で予備自衛官の身分を持っている人がたいへんに多い、もっとも予備自衛官は二万三千幾らなんですが、予備自衛官の二万三千幾らの大半は隊友会の所属会員である、こうういことを申し上げたわけでございます。  父兄会の人数は十三万数千人でございます。
  301. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおこれに関連してお伺いいたしますが、自衛隊の協力会ですね、これをいま少し詳しく御説明いただきたいわけですが、たとえば、そのメンバーはどういう方々で組織されておるのか、その構成メンバーですね、これの態様を承りたい。
  302. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 協力会といいますのは、先ほどちょっと申し上げましたように、自衛隊各地部隊を中心にいたしまして、その地元の方々が自衛隊をいろんな意味で支援をされるということで形成された団体でございます。で、協力会という名前のものが多いわけですが、それ以外に防衛協会とか、いろんな名前を使っておられます。で、構成メンバーとしましては、主としてその地元の市町村長とか、市町村会の議員の方とか、商工会議所の方とか、そういった実業界の方々、そういった方々がたくさん入っておられる、こういう団体でございます。
  303. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどの御説明で大体四十九万という相当な大きな団体のようですが、これは大体三十四年ごろ成立したように聞いておるわけですが、特に三十七年に飛躍的に増大したという説明があるわけです。これは何か理由があろうかと思うんですが、飛躍的に増大したという説明を聞いておるわけですが。
  304. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 三十七年ごろから急に大きくなった、人数がふえたというふうなことは私ちょっと承知いたしておりません。特別な事情はなかったように聞いておりますけれども、詳細なことは私ちょっと承知しておりません。
  305. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それはあなたのほうからいただいた防衛年鑑にそういうことが出ておるわけです。三十四年に成立して三十七年に飛躍的に増大した、理由は書いてないわけです。これは飛躍的に増大したからには何か意味があるんじゃないか。そこであなたのほうでお答えなければ、こちらからお伺いするわけですが、三十七年は、あたかも参議院選挙が展開されたわけですね、三十七年に。そこで、この自衛隊協力会ですから、自衛隊そのものに協力する団体であることはもう明確だと思うのですけれども、やはり自衛隊関係のある方々がもし立候補したような場合、協力させる意図もあって働きかけが成功して、三十七年に飛躍的に増大した、そういう想像も一応できるわけですね。そういう点はどうなんですか。
  306. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 先ほど申し上げましたように、その辺の事情、私直接つまびらかにしておりませんけれども、私のいままで伺っている範囲では、協力会というのは別に政治的な目的のために結成された団体ではございませんし、自衛隊のいろんな福祉事業とか、自衛隊員のいろいろな意味の支援ということで結成されておりますので、いまお話のようなことはないのじゃないかというように推測いたしております。
  307. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この問題は問題が問題ですから深入りはいたしませんけれども、どうかとお伺いすれば、表面上のいま御答弁のあった以外のことはちょっと御答弁しにくいと思う、そのお気持ちはよくわかります。したがって、それに免じてこれ以上追及いたしません。  それから次にお伺いいたしたいのは、防衛庁職員の給与法改正案が同時に出されておるわけですね。そこで、今度は予備自衛官については、従来千円であったものを千五百円に増額するわけですね。そこでお伺いしたいのは、千五百円という金額が出てきた根拠は那辺にあるのか、きょうこの際承っておきたいと思うのです。
  308. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 予備自衛官手当は現在千円でございますけれども、それはその性格が、いわゆるわれわれの月給のような生活給ではございませんで、自衛隊の行動時における応急不足要員ということ、それから年に一回は教育招集に応じなければならぬという義務を課せられておりますので、そういういわば精神的な拘束に対する対価ということで発足当時から千円ということになっているわけでございます。したがいまして、毎年のベースアップのように上げる必要はないわけでございますけれども、何しろ発足いたしましたのが十年ばかり前で、当時の物価指数と現在の物価指数を比較してみますと、一・五倍ちょっと、物価指数が約五割増しになっておりますので、それと見合います意味で千円を千五百円に改定いたしたい、こういうのが根拠でございます。
  309. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしたいのは、予備自衛官に対する訓練とか招集、こういうものはあろうかと思うのですね、当然。野放しじゃ意味がないと思います。これはどういうふうになっておりますか。
  310. 中井亮一

    政府委員中井亮一君) 予備自衛官には予備自衛官としての必要な知識、技能につきまして復習をするとか、あるいは練度の維持をはかるとか、必要に応じて新しい兵器のことも教えるというようなこともありまして、原則として一年間に五日間の訓練招集を実施しております。
  311. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはおそらく各地部隊で行なわれるであろうと思いますが、たとえば、徳性の涵養並びに各個教練、部隊訓練、野外演習ですね、こういうものを基礎訓練としてやるということがこの年鑑にも出ておるわけですが、それにしては、年間五日ぐらいでこういうことができるわけですか。
  312. 中井亮一

    政府委員中井亮一君) 必要最小限度のことをやっております。
  313. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この予備自衛官制度というのは戦前にいわゆる在郷軍人という制度がありましたね。それに大体ならってつくったんだと思うのですが、そのつながりはどうなんですか。まあこう聞くと、戦前の在郷軍人制度とは全然関係のない別個のものであるというふうにお答えになろうかと思いますが、率直に言ってどういうことなんですか。
  314. 宍戸基男

    政府委員宍戸基男君) 先生お話のように全く関係はございませんで、もともと自衛隊の存立している基盤と、戦前の陸海軍の存立している基盤と全然違いますので、昔の予備役将校といいますか、予備役将校を中心とした在郷軍人と、現在の予備自衛官とのつながりは全くございません。
  315. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔午後八時五十二分速記中止〕   〔午後九時四十二分速記開始〕
  316. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  それでは、暫次休憩いたします。    午後九時四十三分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————