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1967-07-14 第55回国会 参議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十四日(金曜日)    牛後一時十三分開会     —————————————    委員異動  七月十四日     辞任         補欠選任      内田 芳郎君     中村喜四郎君      鬼木 勝利君     矢追 秀彦君      中沢伊登子君     向井 長年君   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 玉置 和郎君                 中村喜四郎君                 船田  譲君                 山本茂一郎君                 中村 英男君                 前川  旦君                 山崎  昇君                 多田 省吾君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君    国務大臣        自 治 大 臣  藤枝 泉介君        国 務 大 臣  増田甲子七君    政府委員        防衛政務次官   浦野 幸男君        防衛庁長官官房        長        原海  治君        防衛庁防衛局長  島田  豊君        防衛庁教育局長  中井 亮一君        防衛庁人事局長  宍戸 基明君        防衛庁衛生局長  高部 益男君        防衛庁経理局長  大村 筆雄君        防衛庁装備局長  國井  眞君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁総務        部長       財満  功君        防衛施設庁施設        部長       鐘江 士郎君        自治政務次官   伊東 隆治君        自治大臣官房長  宮澤  弘君        自治大臣官房会        計課長      薄  津芳君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省財政局長  細郷 道一君        自治省税務局長  松島 五郎君        消防庁次長    川合  武君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        自治省行政局公        務課長員     森   清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○自治省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日、内田芳郎君、鬼木勝利君、中沢伊登子君が辞任され、その補欠として中村喜四郎君、矢追秀彦君及び向井長年君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 自治省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本窯は、去る六月二十二日、衆議院から送付され、付託されております。なお、提案理由説明はすでに聴取いたしております。  それでは、これより本案の質疑に入ります。関係当局からの御出席は、藤枝自治大臣その他政府委員方々であります。  質疑のある方々は順次御発言願います。
  4. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自治省設置法法案の内容の公務員部設置の問題、それから定員の増加の問題がありますが、その問題に入る前に、基礎的な地方自治のあり方というか、こういう問題について少しくお伺いをして、それから入りたい、こういうふうに考えているわけであります。  まず、これは自治大臣お尋ねをしたいのは、府県合併する問題ですね。これについて、いま合併促進法はどういうふうになっておるのですか。ちょっと私知りませんけれども、それに伴ってどういう点が問題となっておるかという点と、その進めることについての考え方ですね、どういうふうな考え方なのか、そういう点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  5. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 都道府票合併特例法案は、現在、衆議院に提案されて継続されております。それから府県合併につきましては、御承知のように最近の社会経済情勢から、府県におきましても相当広域な行政をやる必要ができておることは御承知のとおりでございます。そういう意味で、私どもといたしましては、都道府県ほんとうに自主的にそういう広域行政的な見地から合併したいという盛り上がりがあります場合に、その合併にいろいろ支障になるような問題等を解消してあげて、その盛り上がった合併機運というものが十分目的を達成するようにという意味におきまして、あの府県合併特例法案を提出しておるような次第でございまして、あくまで地域の自主的な決意によるべきものと考えておる次第でございます。
  6. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この府県合併ということに関連をして、自治省内部では非常に議論があって、それは検討が尽くされてない点があるんだ、府県合併することによってメリットディメリットが当然ある。これは何でもありますね。それについての分析がまだ非常に足りないと思うのだというふうに、これは悪いけれども宮澤さんが言っておるわけですね。言っているというか、まあそういうようなことね。宮澤さんは宮澤官房長のほうですよ、そういうふうなことで議論があり、検討が尽くされていないのにそういう法律案出したのですか、そこはどうなんですか。これは真意をぼくのほうで把握していないかもわからぬからね。
  7. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 大臣から御答弁をいたします前に、ただいま稲葉委員、私の申しましたことで御引例になりましたので、ちょっと申し上げたいと思うのでございます。稲葉委員が御引例になりましたものは、つい一月ばかり前でございましたか、私があるジャーナリストの研究会に呼ばれてまいりまして、プライベートな研究会でございますが、そこでいろいろ地方自治の当面する問題をざっくばらんに話をして意見を交換をする、こういう会合でございました。そこで、いろいろ私個人で考えております問題を申したわけでございます。したがいまして、速記等もとっておりませんので、ごく一々については私も見ておりませんが、その中で、確かに私そういう意味のことを申し上げた記憶がございます。それは、やはり府県合併というのは非常に大きな問題でございまして、ただいま稲葉委員がおっしゃいましたように、メリットもあればディメリットもある。そういう点についてはなお検討すべき余地があるのではないかということを私確かに申したわけでございます。ただ、現在出しております府県合併を促進するための法律は、御承知のようにわが国の幾つかの地域におきまして、府県合併についての機運がかなり出てきているところがございます。それらの点につきましては、自治省といたしましては、かなり研究をいたしておりまして、合併の障害を排除して合併をしていけばメリットのほうが多かろう。こういう結論には達しているわけでございます。ただ、私そこで申しましたのは、全国的に見ました場合に、地方制度として全般を見ました場合に、それでは残った地域というものについてどう考えているか。そういうことについての検討をなお尽くすべき余地があるのではないか、こういう意味合いで私は申したわけでございます。
  8. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 自治大臣としてはどの程度この府県合併が進むだろうというふうなことをいまの段階でお考えなんでしょうか。それはいまの段階ではまだわからぬですか。
  9. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 御承知のように、そういう気分のあるところは、大阪、奈良、和歌山及び東海三原、それに広島と裏日本というようなこともまだささやかれている程度だと思います。しかし、これはすでに御承知のようにこれらの表面に出ている二地区につきましてもいろいろ意見がありまして、はたして言われるような合併がスムーズに促進するかというと、私は必ずしもそうじゃないのではないかというふうに考えております。
  10. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、自治省としては、府県合併というものは強力に進めるというのではなくて、あくまで自主的なものを待ってやるのだということですか。
  11. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) そのとおりでございまして、もう自治省として勧奨するとか、あるいは慫慂するというような気持ちはございません。自主的な合併について、その不便だけを国としては解消していったらいいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  12. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはプライベートな集まりのところで官房長が話されたことを引用するのは、ぼくもちょっと率直に言って悪いと思います。だから、この中でいろいろあなたにとってまずいようなところがかりにあれば、それはぼくも考えながらやっていきますけれども、そこで、地方税財政制度根本から引っくり返して考えていいと思うのだ、考えるべきだと思う、こういうようなことを言っておられるわけですね。ところが前段があると思うんですよ、宮澤さんの言っておられることは。そこら辺のところはどういうことからいって、地方の税と財政制度根本から引っくり返して考えるべきだとかということが出てくるのですか。これは宮澤大臣みたいになっちゃって申しわけないんですけれども
  13. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいま稲葉委員のおっしゃいましたように、プライベートの問題でございます。あるいは自治省の公式な税財政の見解についてということでございますれば、政府委員も来ておりますから、これは後ほどお求めに応じて御答弁をいたすと思います。で、私の考えましたのは、結局、現在地域社会というものは非常に変動を来たしております。よく言われておりますように、過密化とか過疎化という状態を生じているわけでございます。現在の地方制度税財政のみならず行政制度が、明治以来のいわば非常に静態的な行政区画なり市町村なり府県というものを前提にして組み立てられているのであります。そういたしますと、現在のように非常に人口も激しい移動をいたしております、経済的な格差もますます激しくなってきております、そういう場合に、明治以来の伝統的な考え方——私はそう思うわけでございますが、そういう考え方に基づいた税財政制度では、新しい社会情勢に適合していくわけにはいかないのではなかろうか。現在の地方税制度あるいは地方交付税制度にいたしましても、自主財源増強というようなことで私ども努力をいたしておりますけれでも、これまでのような考え方では新しい情勢にマッチできないのではないか、こういう意味合いで御指摘のような発言をした記憶がございます。
  14. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、そこまではわかるけれども、そのいま言ったことに対する——官房長にあまり聞くのはぼくはちょっと筋が違うと思いますし、大臣に聞くのもあとにして。そうすると、あれですか、税と財政制度の、政府委員のほうから、その点一体どういうふうに考えておるのか、ちょっと説明をしてください。
  15. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように、いまも話が出ておりましたが、われわれは地方財政を確保するため、特にその際、自主財源増強することによって地方自治の円満にして健全な運営に資したい、こういう角度から絶えずいろいろ努力をいたしておるのでございます。なかなか現実は私ども自身としても思うようになっておりません。そこへ加えて、最近いろいろ社会経済情勢に対して自治団体がそれに全くノータッチではいられなくなってきておる。具体的に申しますれば、人口移動、こういうものに対して自治体としてやはりこれに関与せざるを得なくなってきておる、行政の一面で。また、いろいろ産業立地問題等もございまして、そういう新しい事態——俗に象徴的に過疎であるとか過密であるとかいうような表現も行なわれておるわけでございますが、そういう新しい事態が生じてきておりますので、そういう新しい事態に対応するようなことも、地方自主財源増強しながら、あわせて考えていかなきゃならぬじゃないだろうかと、まあこういうふうに実は思っておるのでございます。なかなか名案も早急には立ちにくいかと思うのでございますけれども現実に現在の地方交付税あるいは地方債、そういったような制度運営、あるいは企画の面でそういう点を徐々に充実しながらやっておる。なお、基本的には地方制度調査会等でも御議論をいただいて、そういう御意見を尊重して対案を立ててまいりたい、かように考えております。
  16. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまのお話は、抽象論としてはわかるのですよ。わかるのだけれども、それじゃ根本から引っくり返して考えていいと思うし、考えるべきだということにちっともならないですね。どこが根本から変わっているのですか。それではいまのとちっとも変わらないじゃないですか、どこか特別に変わったところがあるのですか、いまの考え方
  17. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 根本から引っくり返すという私の発言をお読みになったと思います。たとえば私が考えますのは、過疎なら過疎地域というものを一つ取り上げまして見た場合に、いままで私ども自主財源増強ということで、やはり税源というものを主に考えまして自主税源増強をしていく、で、それを補うものとして交付税制度を考えているのであります。ところが、このように過疎状態というものが非常に顕著になってまいりますと、自主税源増強すると申しましても、おそらく増強する余地がない。あるいは税源配分というようなことをかなり言っておりますけれども税源配分ということでやっても、そういう過疎地域市町村配分すべき一体税源があるか、こういう問題が出てくるわけであります。そういたしますと、旧主税源基礎にして交付税制度とあわせて地方財政基礎を考えていくという考え方自身、かなり新しい社会経済情勢というものを対象にして考えてみますと、もう一度根本から考えなければ、口で自主税源増強と申しましても実際にはなかなか実効が上がらないのではないか、こういう一例を申し上げました。そういう意味根本からと申し上げたのであります。
  18. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうなことは自治省内部で相当考えられているのですか、これはどうですか、大臣
  19. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) いまお答えしましたようなことでございまして、たとえば税にいたしましても、現実個人事業税というようなものを考えていきますと、はたしてこういうものをいつまで残していいかどうかということは、まあいろいろ財源の問題がございます。また、常に国会で御指摘になるのでございますが、所得税免税点の、課税最低限住民税課税の限度とが非常に違ってくる。その中間にあるものは一体どういうことになるのだというようなことをいろいろ考えますと、一つは、たとえば所得税住民税の間の配分、国と地方との配分問題等ほんとうにもう少し変わった角度から考えていかなければならない。それからさらには現在御承知のように、本年の地方財政計画では、歳入歳出の差が四兆七千七百億ぐらいでございますが、その中でいわゆる国庫支出金が一兆三千億ほど占めております。はたしてそういう補助金制度というものが、まあ必要なものもございましょうけれども補助金をやめてむしろ地方へそれだけの財源を与えるというようなことのほうがいいのではないかというような問題がございまして、それらについて、一方、地方制度調査会等において、あるいは税制調査会等において御検討願っておりますが、その御検討願う一つの案といたしまして、何かそういうものをわれわれはつくらなけりゃいけないのじゃないかということで、いま検討をいたしておる次第でございます。
  20. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまのは地方自治に関する基本的な問題ですし、本来なら予算委員会とか、あるいは地方行政委員会でやるべきが本筋だと私も思うんですから、まあこの程度にしておきたいと思うのですが、いろいろ地方自治をめぐって国と府県ないし市町村との関係の、何といいまするか、指導の問題等、いろいろ問題がたくさんあると私は思います。そこで一つの問題として、これは宮崎県ですか、何か去年の十月二十一日の人事院勧告を完全に実施しろという、こういう統一行動を起こした。このことに関連して、自治体職員やあるいは教職員処分をされた問題に関連をして、何か公平審査がたくさん起きているわけですがね。これは熊本なんかもわりあい起きているんですが、全国的ですが、宮崎県のは人事委員がやめられたという話を聞いておるのですが、それはどういうことですか。
  21. 森清

    説明員森清君) 宮崎県の人事委員辞任の問題について御報告申し上げますが、御指摘のとおり、大量の不服申し立てがございまして、その審査をどのような形でするかということで、申し立て人人事委員会、それから処分者側がいろいろ協議をしたようでございますが、その協議が最終的に整わないで、ある段階では数千人の申し立て人を一堂に会して審理をするというふうなことになっておったのでございますが、現実にはそういう会場が見つからないというふうなことで、二つに分けるとか、三つに分けるというようなことでありましたが、それもまとまらないままに、一人の人事委員任期がまいりました。人事委員長は病気で入院をいたしておりましたので、そのような状態ではその三人の委員では審理を続ける責任が持てないのではいなかということで御協議になって、一人の委員任期満了あとの二人は辞任の申し出がございました。で、知事のほうで受理をいたしまして、後任の委員を発令した、このように聞いております。
  22. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この点については北村さんや山崎さんからもお尋ねがあると思うのですが、いま公務員課長答弁したわけですが、これに関連をして、自治省である県の総務部長を呼んで、これの処分をしなかったのはけしからぬとか、処分しろとか、あるいはなぜ賃金カットをしなかったのかといろいろなことを聞いたことがあるのですか。
  23. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 昨年の十月二十一日の地方公務員あるいは教職員の問題につきまして、これはいろいろ全国的な規模で行なわれましたので、地方団体側から処分その他についてどのような処置をしていいかというようなことを、あるいは他の県が、他の地方公共団体がどのようなことをやっているかというような問い合わせに答えたという事実はあるようでございますが、こちらから処分しなければいかぬぞとか、あるいはそうしないとというような、強制と申しますか、そうしたことはやってはいないのでございます。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その具体的な例をあげないとやっぱりわからないと思うのですが、これは福岡は当時まだ社会党の知事だったわけですね。福岡総務部長自治省へ呼んで、なぜ処分しないかとか何とか聞いたことがあるのじゃないですか、あるいはその間の経過はどうなんですか。
  25. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 昨年の暮れでございますか、福岡県の総務部長が上京しておりますときに、昨年のいわゆる二一ストの関係の問題についての状況を聞いたことはございます。
  26. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、上京したときに聞いたことは何。あなたのほうで、自治省のほうで呼んだのですか、そこはどういうことになっているの。
  27. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 総務部長が上京しております際に、福岡県の模様を聞きたいということで連絡をいたしまして、行政局に来てもらいまして状況を聞いたわけでございます。
  28. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは自治体が自主的にその一〇・二一の統一行動というものに対して判断しておるわけです。それを何も自治省が呼んでかれこれ聞くべき筋合いのものじゃないじゃないですか、なぜそんなことをしたのですか。
  29. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 具体的な県の問題でございますのであれでございますが、福岡県につきましては、ILO八十七号条約後の改正地方公務員法に基づく条例制定その他についてもなお未制定というような状況でございまして、やや、ほかの県と違った特殊な状況があるわけでございます。そういうことでございました関係もございまして、福岡県のその後の状況を含めましてそういう事情の聴取をいたしたのでございます。
  30. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だれがだれを呼んで、どういう話をしたのですか。
  31. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 中島総務部長行政局公務員課に来ていただきまして状況を聞いたのでございます。
  32. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 福岡県という一つ自治体がやっておることに対して、自治省がなぜそういうことに関与するのですか、そんなこと、よけいなことじゃないですか。地方自治体に対する介入じゃないですか。あなたのほうでは、もちろんただ聞いただけだというのだから介入じゃないと答えるでしょう、答えは大体わかっているが。どういう目的でそんなことしたの。
  33. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 自治省といたしましては、地方公務員制度につきましての法律が予定しておりますところの制度実施ということにつきましての責任を負っておるわけでございます。そういう意味で、公務員行政につきまして地方公務員法実施を中心にして助言とか、援助とか、勧告とかいうことをいたすことになっておるわけでございます。御指摘の県の場合は、先ほども申し上げましたように、改正公務員法後の条例制定なり何なりの問題について円滑な実現を見ていない状況の中にある県でございますので、そういう意味でも、そういう実施をはかるということについていろいろ県としての事情もあるわけでございましょうが、そういう、なぜ実現できないでそのままにおるかというようなことも含めまして状況を聞くということは、これは自治省としての任務の範囲に私どもは属しておるものと考えておるのであります。
  34. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 状況を聞いたということではなくて、一〇・二一の統一行動関連をして福岡県では処分しなかったのですか。全国的にどうなんですか、全国的に処分をしなかった府県があるのですか。
  35. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 福岡県の場合は、たしか一〇・二一の関係での処分はしていないと思います。全国的には京都府その他二、三のところでそういう事例がございます。
  36. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 全国的に福岡京都その他ありますね。そのときに、なぜこの統一行動関連をして処分をしなかったのか。なぜ賃金カットをしなかったのかということを聞いたのじゃないのですか。
  37. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 確かにそういう点について聞いたと思います。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その聞いたことはあれですか、どういう必要性があって聞いたの。いまのあなたのお話は一〇・二一のことじゃないですね。どうもよくわからなかったのだけれども、ぼくにも。この一〇・二一のこのことに関連して、なぜ処分をしないのか、賃金カットをしないのかということを聞く必要が自治省としてあるのか。
  39. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 自治省といたしましては、この公務員法実施が法の要求しておりますとおりに実現されることについての行政府としての責任を持っているわけでございますが、そういう意味で、条例が未制定であるとか、あるいは違法な労働行為についての是正の措置が講ぜられないということになりますと、その点についてはそれが法の期待しているところじゃございませんわけでございますので、そういうものの実行についてなぜ支障があるのかどうかというような点についていろいろ事情を調査することは、これはいたさなければならぬものと考えるわけでございます。また、そういうことについての完全な法の施行ということを地方団体に期待をするということは、これは私どもとしては必要なことじゃないかと考えております。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 完全な法の施行を期待するというのが自治省の仕事だというのは、これは自治省一つの仕事かもわかりませんけれども、あたかも、聞いているほうでは処分をしなかったのがけしからぬ、賃金カットをしなかったのがけしからぬからということで聞かれているようにとるのじゃないですか、わざわざ呼んで。その二つのことを中心として聞いたのじゃないですか。なぜ処分をしないかとか、そういうことなんでしょう、聞いたのは。その必要性が特にぼくは何のためにあるのか、どうもあなたの説明では納得できないような気がしますがね。これは助言は必要かもしれませんがね。
  41. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 違法ないわゆる統一的な二一ストといいますけれども、公務員の争議行為というものは法律で認められているところじゃないわけで、公務員の側にはそれ相当ないろいろな理由もあるというふうな御主張もございますけれども、少なくとも現在のところではそういうことになっていない。そういうように違法な行為に対しまして、その違法な行為についての是正の措置を講ずるということは、これは任命権者としても、人事管理上としても法律上は当然期待をされているところでございますから、そういうものについての事柄が処置されていないということになれば、これは一種の特異なケースでございます。特異なケースについて、そういう事情がどうして起こったのかということについていろいろ事情をただし、またそれについての、実施についての助言や勧告をするということの中で、どうして実行しなかったかということが尋ね方として出てくるわけでございますが、これは私どもある程度はやむを得ないことであって、まあどちらかといいますと、そういう意味での違法状態の是正、あるいはそういう特殊なケースの場合というものについて、十分な管理態勢というものが整っているのかどうかということについて私ども事情を聴取するということは、これは起こってくることだと考えております。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 事情を聴取して、じゃこの場合はどういう自治省として助言と勧告をしたのですか。
  43. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 自治省として正式に助言勧告という形で手続をとったわけじゃございませんけれども事情を聴取しました結果、やはり認定の問題もございます。争議行為に当たるとか当たらないという解釈の問題もございまして、自治省考え方、そうして違法な争議行為であるとしますと、これに対するいわゆる処分の問題とか、賃金カットの問題とか、当然出てくるということについての自治省の見解というものを述べまして助言をした、こういうことに事実上の助言をいたしました、そういうことでございます。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 事実上の助言というけれども、はっきりしないな、どういうことを言ったのです。どういうことを言ったの。
  45. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 自治省としてはこの統一的な、いわゆる時間内の行動、統一的な行動というものはやはり争議行為として考えざるを得ない、その争議行為というものを行なったということになれば、それ自身についてそれぞれ適正な処置、つまり懲戒処分でありますとか、賃金カットでありますとか、そういうものについての措置を急速に講ずべきである、こういう意味での助言を行なったのでございます。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この一〇・二一行動の直後に何か総務部長会議というの開いたの、これ。これは自治省が指示したんじゃないような形とっているわけね、どういうんですか、これ。
  47. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 全国知事会その他、いまの総務部長会議につきましては、全国知事会で主催をいたしました総務部長会議でございます。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは自治省と連絡してやったのですか。
  49. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) その当時、知事会等におきましてもこの統一行動というものに、昨年の統一行動につきましてはたいへん関心を持っておったわけでございまして、その後の状況につきまして全国の総務部長が集まりまして、そうしてその対策なり状況なりというものについての意見交換をする会合があったわけでございます。自治省としてはそれに関係の者が出席をいたしました。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 前もってそういう会議を招集するについて自治省としてはどの程度関与したかというのです。あとの話じゃないんですわ。
  51. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 自治省としては関与いたしておりません。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 関与という意味ではね。自治省が積極的にそういう会議を持てといったことを関与ととるかもわかりませんが、そういう会議が開かれるということは当然自治省としても知っていて、だから出席したわけですね。ところが、この会議には福岡京都のところは除いたんでしょう、これはどういうわけなの。
  53. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) それは私ども事情はよくわかりませんが、知事会の主催でそういう扱いをしたものと思います。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのとき自治省から出席したのはだれです。
  55. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 公務員課長公務員課課長補佐、その他係員でございます。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのときにどういう話があったの。この一〇・二一の処分のことに関連して、自治省側からもこういうふうな者は処分をしてほしいというふうな意向を述べたのですか、あるいは各県側からだけ出たのか、そこのところはどういうふうになっているんでしょうか。
  57. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 一〇・二一ストというものにつきましては、自治省としましてもかねがね重大な関心を持っておったわけでございまして、自治大臣の依命通達も地方に連絡をいたしまして、そうして違法な争議行為等が起こらないようにということで、繰り返し注意を喚起しておったわけでございます。それは管理者たる任命権者と申しますか、人事管理当局であるところの総務部長あるいは職員団体、それを通じて職員団体側にもそういう連絡をしてもらっておったわけでございます。結果におきまして一〇・二一ストが行なわれました。これは行なわれた県と行なわれなかった県もあるようでございますが。そういう際でございますので、全国知事会としてはその情報の交換と、それから統一的に行なわれた問題に対しまして、やはり各県とも、任命権者としてもある程度調子のそろった措置をすべきだというような考え方から、まあ意見交換ということが行なわれたわけであります。その際に臨席をしておりました自治省の担当官にも意見を求められることが、その会議の中で終始あったようでございまして、そういう意味で、自治省としての考え方総務部長会議で伝えた、こういうことになっております。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その後、処分がいろいろ出てきたけれども、これは十分な処分が行なわれなかった、自治省が期待するというか何というか、あるいは期待しなかったかもわからぬが、処分が行なわれなかったというので、それで何回となく会議を開いたのではないですか、これ。そのつど自治省側と連絡をして、全国の総務部長会議というか、こういう会議を開いたのではないの。何べんくらい開いたの、その後ずっと。
  59. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 知事会主催の会議とか全国市長会主催の会議とかいろいろあったようでございますが、それぞれ何回あったかというようなことは正確には覚えておりませんが、数回はあったように思います。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何か十一月十七日、札幌で。自治省公務員課長がそこに行っておりますか、各市の助役会議があったというのだけれども
  61. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 出席をいたしております。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはどういう意味出席したの。
  63. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 公務員関係の問題につきまして、人事管理、あるいは新しい労使関係というようなものにつきまして、従来からもこの種の会合というものが各地万におきまして、市長会の主催とか、町村会の主催というようなことで行なわれてまいっておるのでございまして、昨年の札幌におきますところの会議もその種の会議の一つでございますが、出席を要請されましたので、公務員課長出席をいたしたのでございます。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この会議で自治省公務員課長がどういう発言をしたかということに関連して、あなたのほうで聞いていますか、何がどういう発言をしたの。一〇・二一の処分についても発言しておるわけでしょう。積極的に説明をしたのか、質問があったから説明をしたのか、そのこまかいところはわかりませんがね。
  65. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) その会合におきまして、一〇・二一ストの問題というものが取り上げられまして、そうして各地の状況でありますとか。——そもそもこれは全国的な統一行動であります。その行動の性格等につきましていろいろ意見をまとめられる、そういうことでございます。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この会議は一〇・二一の処分のことに関連をして開かれたのですか、どうなの。
  67. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この処分を直接の目的とする会議ではないように聞いております。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ、どういう会議なの。その会議の招集案内が自治省にきているでしょう。それをあとで出してください。この処分の問題を中心にして行ったのではないですか、案内状があるでしょう。
  69. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 現在その案内状、その他いま持っておりませんが、助役会議という会議でございまして、定期的か、随時か行っているようなところに、たまたま北海道に出かけておりましたので出席をした、こういうことに聞いております。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのときの経過は、たまたま行ったようにも言われるから、それならばあるいはそうかもしれませんね。だけれども、そうでないかもわからないし、会議の案内状があるでしょう。それから行ったのはだれとだれですか。会議の案内状があればあとで出してほしい。これは処分を中心として会議が開かれたので、自治省側の態度を伝えるために行ったのじゃないですか。それならそれでいいですよ。別にそのことでどうということはないのですから、自治省としての言い分はあるでしょうから。それで公務員課長がおれば、説明員だけれども、その点答えてもいいですよ。
  71. 森清

    説明員森清君) 私が出席いたしましたのでお答えをいたしますが、去年のことで、どういうことで北海道に行ったか、はっきり記憶を——ここで言っていることが全部正確かどうか、ちょっと留保させていただきたいと思いますが、たしか全国人事委員会の秋季の全国大会が札幌で開かれたときだと思います。私がそこに出席するということを北海道の道庁あるいは札幌市等も御存じになって、せっかく来ているならば、ちょうど助役会を——それはたしか定期だと言っておりましたが、二カ月に一回か何かやるそうです。これをちょうどやっているから、いま特に人事管理問題が非常に重要な問題になっているから、たしか二時か三時から一時間か二時間くらいだと思いますが、時間の余裕があれば行ってくれないかという要請がありまして私はその席に出席しました。いろいろ御質問がありましたので、その御質問にお答えした次第でございます。
  72. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その質問があったというのはどういう質問がありましたか。
  73. 森清

    説明員森清君) 実は一〇・二のストライキが行なわれましたが、その行なわれます原因というのは、政府が人事院勧告実施しないことに対する地方公務員の抗議集会である、そういう集会であれば地方公務員法三十七条に違反することになるのかならないのかというふうな法律問題。それからむしろ問題の中心になりましたのは、実は賃金カットの問題であったわけでありまして、国家公務員の場合には非常にはっきり規定がございまして、勤務しないことについては、それに応じた分だけ賃金を引くということは明文がありまして、さらにまた人事院規則でその計算方法まで書いてあるわけでございます。そういうところで明らかになるわけでございますが、そういう規則が、明文の規定が必ずしもないときに、国家公務員に準ずる扱いをしているのだから、それは引けるのかどうかとか、あるいは八時半から五時までの勤務時間になっておるが、現実には人が集まってくるのは九時から九時半だ、毎朝大目に出勤時間をみているのだ、あるいはこれは北海道道庁だそうでありますけれども、名実ともに九時からでいい。八時半と条例に書いてあるけれども九時からでいい。こういう扱いになっている。そういうときに、たまたま八時半に大会を開いて九時からの勤務時間に食い込んで大会をやれば、三十分引くのか、一時間引くのか。その法律問題はどういうふうに解釈するのかというような問題も出ました。私のいま記憶に残っておりますことは、そういうことが中心であったと思います。さらにまた、たとえば人事院勧告を完全実施しないということは、ちょうど政府から出ておりますのは私一人でございますから、なぜ政府がそのような態度をとったのかというようなことにつきましては、これは政府各閣僚が国会で御答弁になっておるように、それは財政上やその他万般の事情でできなかったのだというようなことも御説明申し上げ、あるいはそういうことと地方自治権との関係はどうなるのだというようなことが御質問の中にあって、それ相当にお答えをいたした。このように記憶をいたしております。
  74. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大臣にお聞きをするんですが、こういうような、いわゆる統一行動というか、これは政府が人事院勧告を完全に実施していれば起きないでしょう。そこはどうですか。
  75. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 地方公務員のことですから何ですが、大体ベースアップ等は御承知のように、地方公務員は国家公務員に準じてやりますので、そういう意味におきましては、政府が完全実施すればああいうことはなかったというふうに考えられます。
  76. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 政府が完全実施すれば起きなかったのを完全実施しないで、そうしてそれを完全実施してくれといって要求してやったら処分をされたというのでは、これはどうにも筋がおかしい。これは理屈はありますよ。財政上の状態がどうだとか、ああだこうだ、理屈は幾らでもつきますけれども、本筋はおかしいですよね。政府のほうでは悪いことやっていて、そうしてそれに抗議すれば処分する、こういうふうなことが一体許されるか許されないか問題だと思いますが。そこで、いまの札幌におきまする話の中でも、この行為を行なった職員に対しては厳正な処分をしろというふうなことを言っているんじゃないですか。それからもう一つは、処分をしない当局があるというと、当局としての能力がないものとするんだ、そんなことも言っているんですかね、そうですか。処分しない当局があるというと、当局としての能力がないことになるの、これ。そういうことを言ったか言わないかということは一つあるけれども、かりに言わないとしても、そうなのかな、これ。そういうことを言ったの。処分しない当局があると当局としての能力がないことになるの、これは。
  77. 森清

    説明員森清君) 速記をとっておるような形式ばった会議ではございませんので、どのような発言をしたかということにつきましては、詳しくは記憶にございませんが、能力がないというふうなことは言った覚えはないのでありまして、ただ、処分はしたいんだが、処分をしたら、あとごたごたするから、ほんとうはやるべきことなんだけれども、ようやらないんだというふうなことで、それでそういう態度をどうしますかというような御質問がもしあったならば、処分は本来すべきだけれども、する勇気がないんだ、したら、あとよけいごたごたが起きるんだということに対しては、これは処分すべきだということを考えれば、処分するのはあたりまえでしょうというようなことは、あるいは申したかもわかりません。能力がないとか、あるいは処分をすべきであるというようなことまでは申してないと思っております。
  78. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 話の内容は、これは政府委員でない説明員のことですから、ぼくも限度を心得て、限界を守ってあれしますが、これは大臣が言ったということなら、もっと事実かどうか確かめなきゃいけませんけれども、どうもそうじゃないらしいですよ。あるいは話を聞いているほうが、そういう考え方で聞いたのかもわからないけれども、どうもその中で、最終的には自治省としては自治省の持っているいろんな権能を使って処分させるようにするんだ、その権能というのはいろいろあるけれども、そういうことをやらないところは、特別交付税の減額ということも場合によっては考えられるんだという意味のことをどうも言ったように、列席した人からぼくら聞くのですよ。それは質問のしかたで特別交付税の減額ということも考えるのかと聞かれたので、そういうこともあるいはあるかもしれませんと答えたのかもわかりませんがね。こういう意味の問答もあったんですか。政府委員じゃないので、ぼくも聞くのもちょっとあれだけれども
  79. 森清

    説明員森清君) たしかそのような趣旨の御質問があって、地方交付税法では地方財政上の——ちょっと覚えておりませんが、そういうことで交付税を——特別交付税ですか、そういう財政事情によって配るんだという規定によって、普通交付税でも、たとえば著しく不当な財政支出をして、他の団体に迷惑をかけたようなときには減額するのだという規定があるというようなことは、あるいは説明したかと思います。たしか質問の中に、自治省でどういうことをお考えになろうと、われわれ自治権があるのだから、どんなことをしてもそれは強制力がないじゃありませんか、あなたがわれわれの質問にどう答えようと何ともないじゃないですか。たとえば特交でも何も聞かれないのか、あるいは何かあったときにそういうことも関係あるのかという、たしか御質問があったと思います。それで全然関係ないことはないわけでございます。それはいろいろな事情を考慮して——それは財政上の事情でございます。財政事情を考慮してやるわけでございますから、そういう法律がこうなっておるという説明はいたしたと思います。
  80. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは一見形は法律説明のように見えますよ、大臣、だけれども、それは聞くほうによっちゃそういうふうに聞きませんよ。処分をしないところはけしからん、処分しないのは能力がないのだ、場合によっちゃ自治省としてはいろいろなことを考えるのだ、その考えることの中には特別交付税の減額ということも場合によっちゃ入るのだというような答えになってきますね。それはもちろん速記をとっているわけじゃないから、一言一句のニュアンスが出ていませんから、ニュアンスによって、ぼくももちろん聞き方は違うし、答え方が違ってくるので、直ちにこれに対してこうだといって大だんびらをつるすわけにはいきませんが。それでぼくも考えますけれども、どうもこのときの話は、場合によっては特別交付税の減額ぐらいやるぞ、うんと処分しろということを言ったように列席の人から私ども聞くんですね。どうもそういうふうなことがあったように思うのです。これはほかのことからもあらわれてくるんですね。ということは、たとえば大臣にお聞きしたいのは、いままではこういうふうに個々の人を処分することはあまりなかったでしょう、幹部を中心にやっていたわけですね。なぜ今回の場合に限って個々の人をこういうふうに処分するようになったのかということですね、これはどういうことなんですか。自治省がこれはいろいろと指示しているんじゃないですか。
  81. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) もちろん先ほどもお答えいたしたように、十月二十一日以前における地方公務員のこういう統一行動をとるということにつきまして、違法にわたらないようにというようなことを管理者並びに管理者を通じて職員団体にも警告を発しておったわけでございます。ただ、そううい実行が行なわれた場合に、その個々の問題について、自治省が、こうなったらこういう処分をしなければいけないぞというようなことはやっていないのでございます。ただ、照会やあるいは会合の際におきまして、こういう場合にどうしたらいいのかというようなことについては自治省としての見解を述べたと思いますが、あらかじめその行動に入った個々の職員について、すべてこういう処分をしろというようなことを一般的に言ってはいないのでございます。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうに一般的なことで、個別的なことをもちろん言っているわけではないでしょうけれども、全体として受けているのは、各県が何か個々の人を皆処分しているようなことを言っていますね。だから、自治省の意を受けてこういうことをやったんじゃないですかな。それをやらないというと、いま言ったいろいろな面で交付税の問題とか、起債の面とか不利になるかもしれないと考えて、こういうふうなことをやったんじゃないですかね。どうもそういうふうに考えられますね、いままでないことでしょう、こういうことは。お聞きしたいのは、人事委員会に対して提訴がいろいろ行なわれていますね。提訴で全員なら全員を一緒にやるということをきめたのに対して、それはよくないから分離してやるということを自治省側で言ったことはあるのですか。
  83. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) こういう審理につきまして、どういうふうなやり方をするか、従来からいろいろなやり方があると思いますが、場所によりますと、いまお話がございましたように、処分されたもの全部を一堂に集めて審理をすべきだという申し入れが職員団体の側からあるようなところがございます。こういう点について意見を求められておるわけでございまして、中にはそれが数百人あるいは数千人に及ぶようなものを一堂に会してやれというような事例もあるようでございます。そういうことでほんとう審理というものが一体できるのかどうかということになりますというと、これはやはり問題でありまして、それぞれの単位で考えていくというほうが、ほんとう意味審理ができるのじゃないか。これはまあきわめて、そういう意味の常識的な意見を述べておるのでございます。
  84. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  85. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  暫時休憩します。    午後二時十三分休憩      —————・—————    午後二時四十九分開会
  86. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、自治省設置法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。
  87. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 去年、十月二十一日の統一行動あとに、自治省で何か土曜日に朝からみんな運動会に行ってしまったという話がありましたね。(笑声)いやいや、笑い話じゃなくて、それはどんなことなんですか、ぼくはよく知らないものなんで。
  88. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 御承知のように国家公務員につきましてレクリエーションという制度がございまして、自治省といたしましても従前から職員の士気を高揚するという意味合いで、全職員一堂に会しまして運動会をやっていたわけでございます。昨年も成規の手続によって運動会をいたしたわけでございますが、それにつきましていろいろ世の中の批判も、おっしゃったようにあったような事態を招いております。
  89. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 別に批判はしてないのですよ。あなたのほうで士気高揚のためにやったというならいいことなんですね、これは。各省みんな運動会やるのはいいのですが、普通の日にやっているのですか、この日、土曜日にやったんですか、それで朝からみんな行っちゃったというのだけれども
  90. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 土曜日の午前中からかなりの職員が出ておりました。ただ、仕事自身渋滞を来たさないように、各課何人か置いてございましたけれども、そのほかの職員は朝から出たということでございます。
  91. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 このことで次官が何か訓告か何かになったのですか。
  92. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 手続きとしては手続きをとってやったわけでございますけれども、やはり一般の世間の批判なり何なりございましたわけでございます。その行事自身については慎重にやるべきであるというお話があったわけでございます。
  93. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 世間の批判は別であって、批判は正しい批判もあるし正しくない批判もあるのだから、そういうことにこだわる必要はないと思うが、何か訓告だが勧告だか受けたのですか、口頭の説諭みたいなものがあったのかどうなんですか。
  94. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) これは内閣筋のほうから、今後こういう問題については慎重に考えるように、こういう話があったと思います。
  95. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そういうふうにあれですか、職場をあけても別に事務に渋滞を来たさなかったのでしょう。それで、賃金カットも何もしなかったのでしょう。
  96. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 行事自身は国の公務員制度に基づきまして成規な手続をとった行事でございます。賃金カットというようなことはございません。
  97. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんな成規な手続をとった場合にはあれですか、普通の日でもあけてやっていいということなんですか、どういうことになっているのですか。変なこと聞くようで、恐縮なんだけれども、ぼくがなぜ聞くかといえば、こういうことやったって別に事務渋滞を来たさなかったわけでしょう、あなたのほうで。だから聞いているわけですよ。
  98. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 国家公務員法に基づきますレクリエーション計画と申しますか、レクリエーションの制度がございまして、それには、私はっきり時間数を覚えておりませんが、一定の時間はそういうものにさいてよろしいのだ、こういう制度になっていたわけでございます。事務に渋滞を来たしたか来たさないかということでございますが、それは全職員が出ておりました場合に比べまして多少問題があったことはないとは思いません。一方においては職員のレクリエーションの制度というものがやはり制度として認められておりますから、そういうことをいたしたわけでございます。
  99. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 人事院勧告は完全に実施されてない、七年間も実施されてないわけでしょう。完全に実施してくれということ自身決して悪くないですよ、これどうなんですか。
  100. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) まさにそういう要求をされること自体悪くないことだと思います。
  101. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その要求をするために三十分ぐらい、まあ一時間くらいか、かりにおくれたとか休んだとしても、そのことによって事務は別に渋滞しているわけではございません。手配を十分にしていけば問題にならないんじゃないですか。
  102. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) この人事院勧告をどう実施するかということについての御批判、いろいろあろうと思います。ただ、政府側といたしましては、財政上の関係その他からいたしまして、五月にさかのぼれというのを九月からということにいたしたわけでございます。それ自体についてのいろいろの御批判は確かにあろうと思いますが、そういう実施されましたことについて、それに抗議し、完全実施を要求するということ自体は決して違法な行為ではございませんけれども、それを理由にいたしまして、やはり就業時間内、執務時間の間を他にさくというようなことは、まあ地方公務員法上禁止されておることなんでございまして、その理由がいいからやってもいいではないかということにはならないのじゃないかと思うわけでございます。
  103. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 時間を他にさいたとしても、いま言ったように自治省のレクリエーションのように、ちっとも事務に実害はないのだから、そのことを処分したり賃金カットするというのはおかしいじゃないですか。行き過ぎじゃないですか。政府のほうが悪いからある程度の抗議は当然だと思います。
  104. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) レクリエーションについては法律の定めによりまして、成規の手続をすればそれだけある時間はそれに充ててよろしいということになる。ところが、一般の地方公務員が普通の勤務の際におきましては、その勤務をなまけて——なまけてと申しますか。他の仕事にさくということは禁止されておることなんでございまして、したがいまして、そうした違法の行為をやったものに対してある程度処分がされるということは、これはやむを得ないことではないかといりふうに考えるわけでございます。
  105. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 レクリエーションの問題、大臣の判断が当を得ているかどうか問題がありますが、この程度にして、いずれにしても一〇・二一の闘争について処分をするというのは、非常に広範囲にわたっているわけですね、非常に広範囲にわたっていて、その処分に対して人事委員会審査を要求すること、これは自由なんでしょう。これはどうなんですか。
  106. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) もちろん、公務員の権利としてやれるわけでございます。
  107. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その審査を要求するために、だから出て行かなければならないから休暇を有給休暇の範囲内でもらうということも自由でしょう、これは認められるじゃないですか。
  108. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) その有給休暇の範囲でありますならば認められるわけでございます。
  109. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 休暇以外であったとしても、これは当然自分の一身上の権利の問題に関することだから、そのことで休むということは決して悪いことじゃないでしょう。
  110. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) もちろん有給休暇の範囲において休むということは与えられた権利の一つでございます。ただ、それはあくまで事務の支障のないということの前提に立つわけでございます。
  111. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 有給休暇は権利である以上、事務に支障があるとかないとかいうことによって、それを許可するとかしないとかいうことは言えるか言えないか、これは問題のあるところだと思う、議論がね。これは防衛庁長官がお見えになっておりますから、きょうは議論は宙ぶらりんみたいな杉でまだ終わりませんけれども。それで、ひとつ別のことでお伺いをしていきたいのは、かねがね問題というか、前の地方自治法の改正のときに、たしか府県だとか、そういうところの県会議員や側かが府県の建設工事を請け負ってはいけないということが出ましたね。
  112. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 現在、地方自治法の改正によりまして、県会議員が請け負いとか、兼業というのは禁止されております。
  113. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 県の仕事を請け負うことは、県会議員は禁止されておりますね。ところが、その法律が出てからいままで、たとえば社長だった者を会長にしたり、名前を弟のものにしたり、自分は事実上会長の地位にあったり、ほとんどといっていいくらい脱法行為ですよ、全部がといっていいくらい請け負っていますね。その実態をきょうは時間がありませんから、この次に質問しますから、あなたのほうで調べた実態を明らかにしてくれませんか。各県に連絡して、各県の県会議員で土建屋が相当いますよ。それがいままではあれですよ、その地方自治法の前は自分が社長か何かだったのを、代表者だったものだから、県の仕事を請け負わせないと自治法が改正なったので、代表者だったら請け負えないというので、代表者を弟や細君にして自分は会長になったり、別の形になって、それで全部会社の名前も同じ会社の名前ですよ。それから社の何と言うか、紋章みたいなものもありますね。あれも同じ紋章。それで県の仕事を請け負っていますのが全国ざらにありますよ。これはだから、この地方自治法を免れるために名前だけを弟や細君に社長を譲って自分が実権を握って実際やっているのは、これは脱法行為でしょう。これはどうですか。
  114. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 現在の地方自治法は、先生が御指摘のとおり、そういう会社の責任者ということになることはできないときめられております。したがいまして、この規定を免れるために、実質上は会社の総括主宰者でありながら、免れるためだけにそういうことでやっておるということでありすならば、この法律に触れるものと考えます。
  115. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その法律を免れるためにやっているのかどうかということの認定はむずかしいのですね、率直な話。それはむずかしいですよ。だけれども多いですよ、それは、脱法は調べてごらんなさい、あなたのほうで。こんな人事委員会処分するひまがあったら、処分のほうを一生懸命やるひまがあったら、地方自治法違反の実態というものを、脱法行為が行なわれているのだから、これは全国的に調べてごらんなさい。ぼくは例を幾つでも知っておるのです。そのために県会議員であるのが多いのですよ。そういうことを言うちゃ悪いけれども、自民党に多いのですよ。いや、悪くないか。自民党の土建屋、土建屋と言うのは悪いけれども、正式な名前というものは知らないけれども、県会議員になりたいのですよ。県会議員になっていって県の仕事を請け負えば、選挙の費用なんかすぐまかなえるわけですから、県会議員一生懸命やっていて、形は前の代表者で、社長だけぱっとかわっているのですよ。実際は自分がやっているのですよ。こんなの全国ざらですよ。こんなのが多いから日本の政治が腐敗する一つの原因にもなる。これは話が横にすべってあれですけれども、これはあなたのほうで調べてごらんなさい。脱法行為が行なわれているかどうか、やってごらんなさい。大臣、それはどうですか、やりますか、やりませんか。
  116. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 脱法行為であるのか、ほんとうに実力者といいますか、ほんとうの主宰者からはずれているのかどうか、それをさがすのはなかなかむずかしいと思います。調査はいたしてみたいと思います。
  117. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの問題は、これは笑い話じゃなくて、ぼくはいかぬと思うのですよ。そのほかにいかぬところがまだいろいろありますがね。いずれにいたしましても、急に何か一時間ということでいろいろあれしたわけですけれどもあと北村さん、山崎さん、私も残っているのもあれば、この次にやりますが、きょうは一応これで終わっておきます。
  118. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 本案につきましては本日はこの程度といたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  119. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。     —————————————
  120. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  なお、両案につきましては、提案理由説明はすでに聴取いたしております。関係当局からの御出席は、増田防衛庁長官その他政府委員方々であります。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  121. 源田実

    ○源田実君 先月の十七日に、中共で第六回の核爆発実験が行なわれたのでありますが、この核爆発実験はいわゆる熱核兵器の爆発である。こういうことが大体まあはっきりしております。この開発の速度というものが非常に問題になると思うのでありますが、その速度についてこういうことを伺いたいと思います。いままで防衛庁で予想されておった開発の速度と、現実に行なわれた速度とは一体どういう関係になっておるか、これをひとつ伺いたいと思います。
  122. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 過去五回の核実験の状況、ことに三回目と五回目が熱核材料を含みますところの核実験であるということからして、中共は近いうちに水爆の実験をやるのではないかというふうにわれわれも観測をいたしておりましたので、そういう意味におきましては、第六回の水爆実験と言われておりますこの実験のテンポというものは特に早いというふうな感じを持っておらないのでございます。
  123. 源田実

    ○源田実君 そうすると、今後の開発の速度というものは、いままでの線をたどれば大体予想どおり、将来のことはわかりません。しかし、いまが大体カーブに乗っておるとすれば今後も大体カーブに乗るだろうと思うのです。その公算が多い。その場合に、これがある程度実戦配備につき得る時期、その実戦配備というものは、どれなら実戦配備ということに限定し得るかということは、これはなかなか私はむずかしいと思うのですが、大体まあ五十個ぐらいの数がそろって、それを運ぶ運搬手段、これは飛行機なり、あるいはロケットなり、こういうものが一応整備したときは、まず実戦配備が整うという時期だろうと思うのですが、その数によっても違うと思います。ロケットの性質によっても違うと思うのですが、それが要するに近隣諸国に対して大きな脅威となるというような時期、それからまた、これがさらに遠いモスクワとか、あるいはアメリカとかいうものに大きな脅威になるという、そういう時期の見通しは一体どのくらいな見当になっておりますか。
  124. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 今後の中共の核の装備の見通しにつきましては、これはなかなか的確に判断する資料を私ども持ち合わせておりませんが、アメリカのマクナマラ長官が言っておりますのは、MRBM程度のものにつきましては、ここ一、二年の間に装備がされるということでございますし、長距離のICBMにつきましては、これが実際に実戦化されるのは一九七〇年代の半ば以降であろうというふうに言っておるわけでございまして、その実戦化というものがどの程度の核爆弾なり、あるいは核弾頭を装備いたしました場合に実戦化と言えるか。あるいは現実に周辺諸国に対する脅威となるかという問題はなかなかむずかしい問題だと思いますが、そういう意味におきまして、実は核開発、核装備の時期につきましても、いろいろの数字がございます。それはやはりどの時点、どういう規模のものをどういうふうに判断するかということによりまして、時点もおのずから違ってくるかと思いますが、少くともここ数年の間にはかなりの原爆なり、あるいは弾頭が装備されるということが見通しされるわけでございます。ミサイル以外におきましても、たとえば現在ミサイルを運搬できます潜水艦がすでに保有されておるというふうに言われておりますし、これにミサイルが搭載されるということになりますと、これはまた一つの大きな脅威になるというふうに考えるわけでございます。的確にいつの時点からこれが具体的に実戦化されるか、それが周辺諸国に現実に脅威を与えるということは明確には申し上げられませんけれども、まあここ数年の間にはおそらく現実的な脅威というものが生じてくるのではないかというふうに見ているわけでございます。
  125. 源田実

    ○源田実君 ここ数年の間にそういうことが一応現実化——現実化という意味は、脅威というものが行なわれる行なわれぬは別として、現実化してくるということが予想されます。ところが現実にいままでに核兵器を持って、日本のみならず、世界のどこへでも攻撃し得るような国があと二つある。アメリカとソ連である。こう二つあるわけです。英国とフランスはそれほど強くないと考えられるのですが、ところが結局そうすると、日本の周辺において核兵器を持つ国で、まさか使うようなばかなことはしないと私は思いますけれども、もし気狂いにその国がなったときには使うかもしれない。そうすると、日本が脅威を受ける国が三つある。こういうわけなんですね、攻撃を受けるとすれば。そういう場合に攻撃する手段が大体二つある。一つは飛行機によってやる方法と、もう一つはロケットによってやる方法と二つある。その二つの手段が考えられるわけでありますが、アメリカとソ連と中共と、この三つの国に分けて、どの国は飛行機とロケットを開発して、どの国はロケットだけ開発しておる、こういう問題をちょっと教えていただきたいと思います。
  126. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 中共の問題は後ほど申し上げるといたしまして、米ソの核戦力を見てみますと、核兵器につきましては、これはいろいろ文献からすべて判断せざるを得ないわけでございますけれども、核兵器そのものとしましては、米国は数万個というふうに書かれております。ある資料によりますと四万ないし五万個といわれておりますが、それに対しましてソ連は約半分、二分の一以下ではないかというふうに見られておるわけでございます。またICBMの長距離弾道弾の数からいきますと、アメリカは千四基という数字が出ておりますし、これに対しましてソ連は三百四十基、アメリカの千四基のうちにいわゆるミニットマンが九百五十、タイタンの2型が五十四ということで、ミニットマンも逐次新しい型に改造をせられておるわけでございます。それに対しましてIRBMあるいはMRBM、いわゆる中距離弾道弾につきましては、これは米国は撤去いたしておるわけでございまして、ソ連が九百五十基ほどこれを保有しておる、極東においてもこれを配備しておるというふうにいわれておるわけでございますが、そのほか、潜水艦から発射いたしますところの弾道ミサイル、アメリカの場合には御承知のとおり、ポラリス潜水艦がすでに四十一隻就役いたしておりますので、一隻十六発という計算からいきますと、六百五十六発ということになります。これに対しましてソ連は文献によりますと百三十基ということでございます。さらに戦略爆撃機の数から申し上げますと、米国が六百八十機、このうちにB52六百機、B58が八十機。これに対しましてソ連が同型の戦略爆撃機百五十五機という数字が出ておるわけでございます。これに対しまして中共につきましては、まだミサイルにつきましては第四回目でございますか、ミサイルの開発実験をいたしましたが、これのMRBM化、あるいは距離からいいますと、千三百キロから二千キロぐらいの間のものでございますが、これがおそらくマクナマラ長官の言明によりますとここ一、二年間、こういうふうにいわれております。さらに爆撃機につきましては、これは中型のIL28という爆撃機が現在約三百機程度というふうにいわれておるわけでございまして、すでにその軽爆で運搬できる原爆を保有しておるのではないかというふうにいわれるわけでございますが、これは直ちに、三百機ということで、その威力を断定するわけにはまいりませんが、少なくとも三トン程度の原爆を搭載できる可能性のある飛行機としましては約三百機、それ以外により大型の中型爆撃機と申しますか、これが十機内外、こういうふうに見られておるわけでございます。
  127. 源田実

    ○源田実君 いまのはいままでの数字なんですね。いま現実に開発しつつあるもの、将来持つであろうというもので私の聞きたいことは、どの国は飛行機とロケットと両方を開発しており、どの国はそのうちの飛行機だけか、あるいはロケットだけやるか、あるいは三つとも全部それをやっておるか、その問題。
  128. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 全般的に申し上げられますことは、やはり有人機で核兵器を運搬するというよりも、ミサイル弾道にいたしまして、ミサイル発射による攻撃ということが一般的な傾向ではないかというふうに見られるわけでございまして、おそらくアメリカにおきましても戦略爆撃機は逐次減少の方向にいくのではないか、新しく最近御承知のようにFB111というように、B52の後継機として開発されつつありますので、その辺の数がどういうふうになりますかわかりませんけれども、むしろミサイルのほうに重点がおかれるのではないか。ミサイルにつきましても、御承知のように、ミニットマンの新しい型、いわゆる2型、3型というものがふえてきておりますし、最近のABMの問題に関連いたしまして、原子力潜水艦から撃ち出しますいわゆるポラリスにつきましては、これもA3がだんだんふえてまいりましたし、さらにマクナマラ長官の証言によりますと、今後さらにA3を改良いたしたいわゆるポセイドンといいますが、これを原子力潜水艦に塔載をする。これは射程からいきますと、A3型とそう変わりませんけれども、非常に威力が増しておりますし、また多弾頭型式も可能でありますので、そういう面におそらく今後重点が注がれるのではないかというふうに考えられます。ソ連もおそらく有人機そのものを今後増強するというよりもミサイルの方向に向かっておるというふうに考えられますし、中共もいまのところ、中型なり大型の爆撃機を開発して、これを装備するという徴候は出ておりませんので、やはりICBMというものを中心にして、今後重点的に装備をしていくのではないかというふうに考えられます。
  129. 源田実

    ○源田実君 そこで問題がちょっと出てくると思う。というのは、第二次防衛力整備計画も第三次防衛力整備計画も、防空に関する問題についてはほとんど飛行機が対象であるということなんですね。ところが現実に、いまの答弁では、列国の趨勢はロケットに大体向いておるということになると、いまの防衛力整備計画、もちろんいまやっておる程度のものはロケット——私はロケットだけが万能になるとはちょっと考えられない節があります。あとからまたこの問題についてお聞きしたいと思いますが、ソ連の開発したABMの問題、現在アメリカがまた同じく開発しつつあるあのABMの新しい方法ということから、ロケットというものが必ずしも万能ではない、飛行機に返ってくるということも考えられるのであって、いまの日本の防衛体制そのものが、そんな全然役に立たないものであるということはもちろん言えないし、この程度のものは絶対必要だとは思うのです。ところが、いまの日本の防衛力整備計画には、ロケットに対する防御というものはほとんど何もないのじゃないかと私は思うのですけれども、その点はどうなんですか。
  130. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 御承知のとおりに、わが国の防衛力整備は通常兵器による局地戦以下の戦略に対処する、そういう意味で有効な防衛力を整備していくということでございまして、あくまで通常兵器を対象にいたす防衛力でございますので、こういう核ミサイルに対処することは、少なくとも三次防におきまして防衛力整備の対象としては考えておらないわけでございます。そういう面につきましては、従来からの方針でありまするように、核の脅威というものに対しましては、米国の核抑止力に依存する、こういう方針でまいっておるわけでございまして、そういう意味で現在の防衛力整備というのは、そういう核ミサイルに対処する力としてはない、こういうのが現実でございます。
  131. 源田実

    ○源田実君 なるほど核を使うということについては、それはいまのお話で済むと思うのですが、しかし、いまのミサイルの精度というものが非常に程度が上がってきておる。昔の海軍が持っておったあの戦艦の大口径砲の精度まで——あれ以上に、もうミサイルの精度が上がってきつつあるわけですね。ここ数年のうちには半数必中帯というのが二百メートル以下になるというぐらいまでいわれておるわけです。その状況においては、核兵器を使わなくてもロケットだけは使い得るということも考えられないでもないと思うのです。その場合に、ロケットは核兵器と同じ扱いというのは、日本ではそうしても、人はそうしないことも考えられるのです。現にベトナムでもああいうミサイルを撃っておるのですね。そういう場合に、ミサイルに対する防御策が全然ないということは、これは私はどうかと考えるんですが、これは何か将来はやるというような考え方もあるのかどうか。いまはないことは私は十分知っておりますから、将来はどうやるのか、そういうことはいままで防衛庁で検討されたことがありますか。
  132. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そういう問題につきましては、理論的な問題といたしまてはいろいろわれわれも関心を持って勉強いたしておりますけれども、具体的にそういうものの研究開発なり、あるいは装備というものを検討いたしたことはございません。
  133. 源田実

    ○源田実君 これは長官にお願いするのでありますが、いま申し上げたように、こういういくさなんかもちろんあってはいけないし、たぶんないだろうと私は思います。ないだろうと思いますけれども、これも準備があっての上のことであって、何にもなければ一人では、例のシカとか、あるいはシマウマが群れを離れているやつは、いつでもライオンとかトラに攻撃されて食われるわけです。そんなかっこうでは非常にあぶなくなってくると思うのです。したがって、やはりそれだけの準備はしておかなければいけない。しかし、それについては核戦争にならないぎりぎりのところまで、いまの防衛力整備計画の前提になっておる局地非核戦争というものは、あの弾頭に高性能爆薬を装備して攻撃してくるということも、これは想定からこれだけ除くということはちょっとおかしいと私は思うのです。したがって、ロケットに対する防御というものについては、やはり将来というか、なるたけ早い時期からひとつ研究をしていただきたい、こういうぐあいに私は考えております。
  134. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 核弾頭をつけないICBMに対する、あるいは飛しょう体に対する防御方法を考えたことがあるか。ただいま防衛局長の答えましたとおり、まだ研究いたしておりませんが、将来は核弾頭をつけないICBMも使い得るという源田先生のお話も承りまして、その方向に向かって研究をするとまでは言いかねますけれども、やはり考慮の中に入れなくてはならない、こう考えておる次第でございます。
  135. 源田実

    ○源田実君 先ほど防衛局長のお話の中に、例の、核戦争に関する限りはアメリカの核の傘の下に入るという、これは政府がずっと言っておる方針であります。しかし、これは方針なんでありますが、それからアメリカのほうの文献を見ても、アンブレラということばを使っておるから、あれは向こうからきたことばかと思うのです。ところが私はここで考えてみて、何か核の傘といって、日本の上に、アメリカが約束しておる国の上に何も傘を置いてくれるわけではないのであって、たまはやはり飛んでくると思うのです。あの核の傘という意味は、もし日本なら日本を攻撃するものがおったならば、それを攻撃できないように未然にアメリカの優越した反撃兵力をもって防ぐ、これがほんとう意味じゃないかと思うのです。その次に考えられることは、それでもなおかつ気違いがおってやったとすればあとからかたきをとってやる。日本はそのときはもう参っておるのですね。あとからかたきをとってくれたって非常に困るので生きている間に、これが現実に守られる必要がある。そういうことになりますと、二つの問題が考えられると思うのです。その一つは先ほども申し上げましたように、ロケット防御、このロケット防御に対する対策というものは、これはどう振り回してみても攻撃に使うことはできないのです。いまの技術では。これから十年余りのところを予想して、どう振り回してみても、これを攻撃に持っていくことはまずできないと私は考えます。したがって、ロケットを、日本の上空に到達する前にこれがインポテントになるように、そういうことを考えることは絶対に必要でもあり、また、これがいまの政府の方針を逸脱することにも全然ならないと思うのです。いまのワクの中で十分にこれは研究さえすればできることである、こう考えるわけです。しかし、ここは全然行なわれていないということは、一つの防衛上の私は欠陥であろうと思うのですが、その次にもう一つ大きな欠陥というものは、万一そういう核戦争が行なわれた場合、日本で行なわれなくてもよそで行なわれても、どういうことが起きるか。日本が全然戦争に巻き込まれない場合にどういうことが起こるか。全面核戦争が起こった場合、そういう場合どういうことになるか、もちろん地球上ほとんどこの放射能じんでおおわれるわけです。その放射能じんが一番乗りやすいのは、南北にある、このジェットストリームという、上空にある大きな空気のものすごい大きな川がございますね、御存じだと思います。これが日本の上空を冬は多いときは三本通り、夏は大体二本から一本、それから少し夏は北へ上がるわけです。それはちょうど日本付近を大体通るわけです。南は、冬は台湾まで下りますけれども、北は北道道ぐらいまで上がります。しかし、大体日本の上空を通って北半球をぐるぐる回っているわけです。これは釈迦に説法だと思います。しかし、こういうジェットストリームが通っておるその上空は、いわゆるキノコ雲が行って放射能じんがそこにたまるところである。そうすると、よそでいくさが行なわれても、もしそれが核戦争の場合には、日本がそれにはたとえ入っていないとしても、いまごろのようなこのつゆどきには一番日本は放射能じんがよけい降りてくるところである。これは日本がこういうところに置かれておるので、もう土地をかえる以外に手はないわけです。世界の気象を変えるか、日本の位置を移すか、ここにいる限りは、墳墓の地にいる限りは避け得られない。その場合に、人の戦争だ、あるいは人の実験だといって、日本の国民がもし放射能の影響によって、被害を受けるようなことになったらこれはたいへんなことだと思うのです。これは武装する、しないというようなことに——これはいろいろ日本の国内でも意見が分かれているのであります。分かれているのでありますが、武装する、しないにかかわらず、日本の国民が、自分が攻撃されたらもちろんのことだが、そうでなくても、人のけんかによっても日本の国民がなお被害を受けるというような状況にあると私は考える。このいわゆる民防という問題でありますが、これには、たとえば食糧の汚染をどうやって早く探知して、どうやってこれをきれいにして国民のみんなの食糧に供するか、水はどうやるのか、あるいは空気はどうやるのか、いろいろな被服なんかにも降ってきて、それが影響を及ぼすと思うのです。平和に暮らすつもりでも、日本人が実はそのうちに放射能の反応をあらわし出すというようなことについて、私は、いまこれは防衛庁が主管ではないのでありますが、やはり防衛庁は相当なこれは関心を持たなければならぬ、相当じゃない、うんと関心を持たなければならない問題だと思うのです。こういうことについては、いま私は私の承知している限りはほとんど日本では何にもやられていない。中立国、ほんとうの中立国としてやっておるスイスとか、スウェーデンとか、これに関しては非常に、完全ではないでしょうが、実に至らざるところなしというほどの準備をしておる。それからほかの、もうソ連もそうであろうし、アメリカもそうであるし、イギリスも西独もみんなそれぞれの準備をやっております。これほどの大工業力と、これほどの大人口を持っておる、しかも優秀な一億の人口を持っておって何にもやっていないのは日本だけじゃないかと私は考える。これはこういうぐあいに放置しておくべき性質のものじゃないのであって、日本国民が一人でもそういうところで被害を受けることがないように、これは当然やるべきだと私は考えておるのですが、あるいは私が知らないで、そういうことがもう準備されておるかもしれないのでありますが、もしそういうことがあったら教えていただきたいし、そうでなければ、これはなるたけ早く始めるようにしていただきたいと思うのですが、ここひとつ長官の御見解を伺いたいと思います。
  136. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 非常にむずかしい問題を御提起になりまして、私はなかなか答えにくいのでございまするが、私は現在の米ソの間にある雪どけムードというものは、全面核戦争になれば人類はなくなってしまうのだから、そこで政治体制がどうあろうとこうあろうと、そんなことは問題じゃないということを米ソおのおの考え出したということが原因であると私は考えております。したがいまして、全面的核戦争というものはないのではないか。もっとも「渚にて」という本を四、五年前に読んだことがございますが、またスウェーデンへ一昨年参りまして、民防のことも、地下室のこともずっと拝見してまいりましたが、これも局部的の核戦争以外はとてもスウェーデンもやっておりませんし、スイスのことはこまかくは見ておりませんが、むしろ源田さんからお聞きしたいわけでございますが、私は周到なる、全面的核戦争に対処する方法を講じている国はないんじゃないかと考えております。というのは、それがあったのでは人類がなくなってしまうのですから、ある国の指導者が、たとえその国の人口が半分なくなっても、残る半分が理想国家をつくればいいなんということを言ったというのは、私は普通の精神の所有者じゃないと思っております。残る人々もまた白血病患者になって、いずれは遺伝的素質を持って、本人が発病しなくても完全なる人類としては残らなくなりますから、そこでほんとうに真剣ならば、相手を殺し自分を殺す武器ができた以上は、普通の武器というのは相手を殺すだけで自分を殺さない武器が普通でございますが、相手を殺し、しこうして自分を殺してしまう、相手の国も滅ぼすかもしれないが、最後には自分の国も滅してしまう、なくなってしまうといったような、そういう武器を全面的に使うというようなことはとんでもないことである、あり得べきことではないと思っております。また、ないようにしなくてはならないと考えておるわけでございまして、そこで民防のことも——自衛隊のたとえば護衛艦が放射能を受けた場合には洗浄すればいいとかいう、そういうしかけは多少あるにはあります。しかし、これも徹底したものではございませんし、民防として各般の措置を講ずるというところまで、考慮するところまでいっておりませんが、これはやはり私は核のかさというものは核戦争がないようにするための核のかさである、そうでなかったら何ら意味がない、向こうで幾らこうもり、こうもりと言ってくださってもこうもりにはならないと、こう考えておるわけでございます。たいへん源田さんの御質問に対するお答えとして不満足なことになるかもしれませんけれども、防衛庁長官という立場においても、そういう信念を、個人のみならず持っておるわけでございます。
  137. 源田実

    ○源田実君 私は万一に備える、万一の備えがある場合にのみ、それがこの戦争を避け得るのであるというような考えに立って言っておるのでありますが、初めこの核兵器が出たとき、これを使ったらとにかく全人類が全部参るのだということが盛んに言われました。それからもう一つは、ロケットに対しては、これは全然防御の手がないのだということが言われたわけなんです。ところが、そのうちロケットに対しては現在のところこれは一〇〇%かどうかわかりませんけれども、相当程度有効に阻止し得る見込みがある程度ついている、それは人によって見解が違います。アメリカのマクナマラ長官は、そういうものをやったとしても、その上をやればまた同じことになるというのですが、こういう理論をマクナマラ長官が言っておりますが、それはどうも私当てはまらないので、それなら初めから防御なんか何もやらないに越したことはないので、やはりそういう競争をしながら、そういうものが発展していって、そこのバランスがくずれたものが危険になってくると思うのです。それで、とにかくオールマイティではなくなったということが現在出ているわけなんです。人類が全部参ってしまうというようなことも、人間がこのまま放置しておれば参るかもしれないけれども、これをどうやれば人類が残り得るかという手段が、私は、考えられると思うのです。スウェーデンのような国は、ほとんど全国民をたしか地下に入れるということまで考えておるようですが、ああいうことをすれば、ああいう国はほとんど残る。しかしながら、何もしていないところは、みな、死んでしまうというようなこともあると思いますから、これには答弁は要りませんけれども、重ねてひとつ、この犠牲を最小限にとどめるという意味において御考慮をお願いしたいと思います。  続いて、さっきちょっと触れましたが、いまABMという問題が、ミサイル防御のミサイルという問題が、非常にやかましく新聞なり雑誌なりで論ぜられているのですが、これがもし伝えられるごときことが、ほんとうにそのままが二、三年のうちにあらわれるとなると、現在、世界におけるいわゆる核バランスという問題が相当大きく動揺してくると、こう考えるのですが、この問題について、ひとつ防衛庁の御見解を伺いたいと思います。
  138. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 先ほど先生からお話がございましたように、従来まだこういうABMの研究開発が進みませんまでにおきましては、要するに、核兵器というのは、非常に絶対兵器、究極兵器である。それに対する対抗手段なしということでまいったのでありますが、その後、こういう防御網がだんだん研究開発されまして、ことに昨年の十一月でございましたか、ソ連のモスクワ周辺にABMが配備されているということがアメリカのほうから言われ出して、特にこの問題が大きく取り上げられるようになったわけでございますが、要するに従来の考え方は、おそらく米ソとも核攻撃力を持つことによって平和を維持する、要するに戦争を抑止する、こういう考え方でまいったと思いますが、その後ABMと申しますか、要するに防御組織というものがだんだん研究開発せられまして、それが有効な手段であるということになりますと、核攻撃力によって戦争を抑止するという考え方がだんだんとりにくくなってまいるわけでございまして、相手側が防衛網というものを非常に整備すればするほど核攻撃力のバランスというものはくずれてくる。そういうことになりますと、相手側にABMシステムというものを整備されますと、一方のほうは、さらにそれに対して有効な攻撃手段、ABMを突破する有効な攻撃手段というものを開発するでありましょうし、それに対して、さらに一方もそれに対抗する防衛組織を整備するというようなことで、これは要するに、非常に技術面での激しい競争になる。それから、また非常に巨額な経費を伴うということで、実はアメリカのほうも、御承知のとおり、これについての一つの制限に関する申し合わせをしようじゃないかというように、アメリカ側からソ連に提案をしたというふうにいわれているわけでございますし、この問題は先般のグラスボロの会談においても取り上げられたということが、新聞に報道せられておるわけでございます。私どもは、ソ連のほうの防御網につきましてはよく承知いたしておりませんけれども、アメリカ側の従来の開発状況を見ますと、一九五五年ごろから、いわゆるナイキジュースというシステム、これの開発を行ないまして、一九六二年ごろには現実にタイタン等を使いまして、これに対する迎撃の実験にも成功したと、こういうようにいわれておりますけれども、非常にたくさんの弾頭が一斉に攻撃を加えてくる。あるいはおとり弾頭が盛んに使われるということになりますと、ナイキジュースのシステではまだ脆弱であるということで、これは一九六三年ごろからナイキシステムというものが開発をせられてきておるわけでございまして、一つはナイキジュースにかわりますスパルタン、これは非常に広域を防衛するためのものでございます。それ以外にごく小さな都市でありますとか、あるいは軍事基地でありますとか、そういうものを防御するためのスプリント、こういうシステムにさらに相手方のミサイルを捕捉し、これを追従し、あるいはおとり弾頭と真弾頭と識別をする、そういうふうなシステムにつきましても非常な改善が加えられた。一方アメリカ側におきましては、ビミュースという早期警戒網を持っているわけでありまして、そういうシステムで開発が行なわれてきているわけでございますけれども、おそらくこれがソ連の攻撃に対処して十分都市なり、あるいはミサイルの基地なり、これを防衛するためには今後かなりなやはり年月と膨大なる経費が要るというふうなことで、アメリカ側としてもまだそれについての装備化、あるいは現実の展開というものを決心をいたしておらないということが報ぜられておるわけでございます。また、アメリカ側はソ連に対しましてICBMのミニットマンなり、あるいは先ほど申しましたような原子力潜水艦に登載するポラリスA3、それに防御網を突破する手段を整備いたしまして、要するに攻撃力をうんとふやすことによって戦争を抑制していこう、こういうふうな考え方が現在出ておるようでございます。ただ、これはまあ非常に大きな両国間の政治的な問題でございますので、今後そういう制限に関するところの申し合わせというものがどういうふうな推移をたどりますかわかりませんけれども、いずれにしても、これは何らかのやはり両国間に話し合いがつきませんことには、技術的にはおそらく今後さらに一段と競争が続くということになりはしないかというふうに私どもは一応考えておるわけでございます。
  139. 源田実

    ○源田実君 いまのABMについて、ことしの初頭からいろいろ問題になったところは、ソ連のほうが一歩先に出たということがアメリカで問題になったわけなんですね。ところが、そのままでは、さっき私が申し上げたように、バランスがくずれると思ったのですが、最近、英国のエコノミストですか、あれに載っておるところを見ると、アメリカで一応あれほど大きな何十メガトンというようなものでなくて、わずか一メガトン程度のものでエックス線を使う防御ミサイルが相当有効に働き得るというようなことが発見されたということをちょっと読んだのです。それで、これについて一体防衛庁で入手されている、あるいは防衛庁ではどういうぐあいにそこのところを判断されているか。そこらのところは、私はもちろん科学者じゃありませんし、十分わからないのですが、ひとつ防衛庁でわかっておったら教えていただきたいと思うのです。
  140. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 私ども大気圏外におきまして爆発をさせて、それによるエックス線等によりまして相手の弾頭を破壊する、あるいは無力化するというふうな研究開発が行なわれているというふうな記事は読んだことございますけれども、それについての深い研究は私どもはまだいたしておりません。
  141. 源田実

    ○源田実君 さっき局長のお話のあったアメリカとソ連との間で、たとえABMに対する協定ができたとしても、このことはアメリカとソ連との間における一応の安定は得られるかもしれないけれども、しかし、これはさらに大きな面からみると、いまの中共でどんどん核兵器の開発が行なわれると、これは全然無関係に、ABMがなければかえってぐあいが悪くなる。そういう協定がかえってぐあいが悪くなるという結果になると思うのです。したがって、これは日本の関知したことではないといえばそれまでの問題ですが、全体でいくさが起これば、もし長官が言われるように、全人類が死ぬなら日本も死ぬのだ、結局、日本も無関心でおれないと思うのです。こういう核拡散防止条約なんというものも、まだそういう関係でいまデッドロックに乗り上げてなかなか見通しがつかないというような状況でありますが、ああいう二つの国だけで協定がうまくいったというので、アメリカ本土あるいはソ連本土は、お互いの間ではある程度安全であるかもしれないけれども、そのほかの国はそれによって安定度を決して増すことにはならないというぐあいに私は考えられないでもないと思うんです。そして、そういう点については、もし中共の核兵器が今後どんどん多くなってきて、これがああいう協定から全然ワクをはずれたところで大きくなってくる場合には、重大なるバランスなり、安定度をくずすような結果になろうと思うのですが、そういう点についてはどういうぐあいに防衛庁でお考えになっていますか。
  142. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは現実に中共のICBMの装備化というのがかなり先の問題でございますので、いまそれが米ソにどういうふうな影響を与えるかということはなかなか判断がつきませんわけでございますが、アメリカのほうはマクナマラ長官が言っておりますのは、アメリカのABMシステムの展開というものが、中共のICBMの展開よりもさらに早いであろうという見方をいたしておるわけでございまして、ただ、これはそういう次元における見方でございまして、将来、中共のICBMが非常に数がふえてまいりました場合に、情勢がどうなるかということはちょっと見通しがつきませんけれども、これは要するに、私どもの問題というよりも大きな世界的な核の拡散防止というふうな問題にも関連いたしてくるわけでございますし、軍縮委員会等の問題、いろいろな問題ということになろうかと思うわけでございまして、私どもとしては、ここでどうという判断を下す力もないというわけでございます。
  143. 源田実

    ○源田実君 これはよく、いまも言われましたが、中共の核装備は何年か先の話であって時間がかかるという話はよく言うのです。ところが、こちらで何か準備をして、まさかの場合でもいいように準備をして、その準備をやっておるなら、何年か先だから余裕があって、それまでには追いつくということは言えるのです。何にもやらなきゃ百年先であろうが何年先であろうが同じことなんですね。これは私は慎重にひとつ考えていただきたい。これは、返答要りません。  次に、ひとつ、これはこまかいことなんですが、この間も核爆発やりまして、ソ連で一九六一年ですか、やったときからたしか始めたと私は覚えておるんですが、自衛隊機があの核爆発やったあと、あのときから始めて、それからずっと続いてきたんですが、とにかくいま続いておるかどうか知りません。知りませんが、とにかく日本の国民に若干でも被害を及ぼすようなことがあってはいけないから、ちょっとでも早く放射能の量を探知しょうというので、あの当時、日本で北海道、中部及び九州と三カ所に分かれて高空の空気を採集してきた、それが現在はたして行なわれておるか、またこの間、いまやっておるのは中共だけですが、その中共がやっておる核実験のあとは少なくともやっておるかどうか、どういうぐあいにやっておるか、その成果はどうなっておるのか、その分析はどういうぐあいに——これは科学技術庁ですか、どこかでやっておると思うが、その成果は一体どうなのか、それによってあらかじめ国民に危険を十分予知し得るだけの余裕をもって知らせ得る状態にあるのかどうかをひとつ御答弁願いたいと思います。
  144. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 放射能の調査につきましては、防衛庁としては、内閣に設けられております放射能対策本部の調査の一環ということで、ただいまお話のございましたように、航空自衛隊が北部、中部、西部三区域に分けまして、F86Fを主として使いまして、放射能塵の収集をいたしてきております。調査の方法としましては、航空機に集塵器をつけた場合と、それから一種のハエとり紙のようなものございますが、ガムド・ペーパーを取りつけて調査をする、この二つの方法を使って調査をいたしております。なお、この収集をいたしたものを、私のところの技術研究本部におきまして資料の計測並びに分析を行ないまして、結果をこの放射能対策本部に報告をいたしております。爆発等がありましたときには密度を濃くいたしまして調査をし、それ以外のときには、中部等を中心に週一回程度調査を平常行なっておるという状況でございます。
  145. 源田実

    ○源田実君 それは予防措置として相当信頼し得る状況ですか。
  146. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 私のほうが調査いたしておりますのは、ただいま申しましたように、調査の一部を担当しておるわけでございまして、大体高度八千ないし一万二千メーターの高空の放射能ちりを収集をして調査をするということになっております。内閣の放射能対策本部に集まりますこういった資料は、そのほかに地上におけるもの、その他関係各省が皆協力をいたしまして集まったものを集計をいたしまして、総合して対策本部で危険度の度合い、あるいは一般国民に対する事前の啓蒙と申しますか、全体としての状況の報道ということを行なっておるわけでございまして、少なくとも私のほうの調査につきましては、高空におけるものをできる限り精密にいたしたいという努力をいたしておるわけでございます。
  147. 源田実

    ○源田実君 この問題はそれでやめますが、続いて、防衛庁にお尋ねするのはちょっと違うかと思うのですが、しかし、大いに関係があるのですが、日本にはいま、要するに貿易でやっておる出入船舶ですね、その総数が幾らで、そのうち日本船が担当しておるのは一体その何十%で、あとは外国船という比率があると思のですね、隻数でそれをひとつお知らせ願いたい。
  148. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これはちょっと手先の古い資料でございますが、国内の船舶でございます三千総トン以上の外航船の運航実績でございますが、昭和三十九年でございますから、ちょっと古うございますが、往路帰路合わせまして一年間に一万四千四百十六隻、その船舶の総トン数でいきまして一兆一千九十六万総トン、これが運航量でございます。
  149. 源田実

    ○源田実君 一兆一千ですか。
  150. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 間違いました。一億一千九十六万総トンございます。  それから、ちょっと直接関係ございませんけれども、物資の輸入量からいきますと、昭和三十九年が油その他全部含めまして一万七千三百八十三トン、このうちに邦船による輸送量が七千七百二十八トン……。
  151. 源田実

    ○源田実君 それはちょっと少ないね。
  152. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 間違いました。万トンでございます。外国船の輸送量が九千六百五十五万トンでございます。四十年度が、邦船によります輸送量が八千六百八十五万トン、外国船の輸送量が一億一千二百五十三万トン、合計一億九千九百三十八万トン、こういう数字でございます。
  153. 源田実

    ○源田実君 いまの最初のやつね、一万七千三百八十三トンというのは間違っているでしょう。
  154. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 一億七千三百八十三万トンでございます。
  155. 源田実

    ○源田実君 それで、パーセンテージ幾らになりますか、外航船全部合わせての日本船の担当しておるパーセンテージは。
  156. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 四十年度だけで申し上げますと、外国船の輸送量が一億一千二百五十三万トン、これに対しまして邦船の輸送量が八千六百八十五万トン、そういう数字になっております。
  157. 源田実

    ○源田実君 それから、いま生活の血液をなしているものは石油でございますが、その石油の日本におけるいまのストックは一体どのくらい現在ありますか、国全体で。
  158. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは昨年の一月でございますが、原油の在庫量が三百三万キロリッター、日数にいたしまして十二日分でございます。
  159. 源田実

    ○源田実君 海上自衛隊によって外航船舶——まあ有事の場合ですね、戦争にならなくても、これを安全に日本まで連れて帰る、危険海面を——というのに、海上自衛隊の兵力をもってどのくらいのところまで担当できるんですか、現在ので。機密にわたる部分はいいです。
  160. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現在海上自衛隊の護衛艦が三十九隻ございまして、三次防期間中に十四隻ほど建造いたしますけれども、また同数ぐらい除籍をいたしまするので、三次防末におきましてもほとんど隻数におきましては変わりありません。  そこで、現在海上自衛隊は三つの護衛隊群を持っておりますが、三次防期間中にこれを四つの護衛隊群に編成いたしたいというふうに計画いたしておるわけでございます。まあおそらく三次防期間中も従来と同様の護衛ということを考えておりますが、ただ逐次古い船は更新をいたしていきますので、船の性能としてはよくなります。  そこで、これを船舶護衛としてどういうふうに使って、どれくらいの能力があるかということにつきまして、これは一応われわれとしても数字は持っておるわけでございますけれども、これはいろいろな船団の組み方の問題もございますし、それから距離のいかんによりまして回転率の問題もございますので、ちょっとここではその計算の中身について御説明を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  161. 源田実

    ○源田実君 そうすると、内容は、まあこれは、私ももともとそういう自衛隊におったのだから、その機密ということが重要になっておることは十分もちろん承知しております。したがって、その詳しいことは聞きませんが、まず大体十分でないということははっきりしておると思うのですね。ところが、石油の在庫量というものが十二日しかないというような——これはいまは、私が数カ月前に調べたところは十六日だったのですが、だからその前の資料じゃないかと思うのです。これは、最近あるところで聞いたら、一カ月というあれも出ているが、とにかく一カ月以内である。これに日本国民のほとんどの生命が託せられておるようなかっこうなんですね。ところが、御存じのように、この間の中東問題で、あの戦乱がもしあすこで大きくあれが拡大したならば、日本はもちろん政府の声明のとおりに厳正中立でありますが、厳正中立のまま飢え死にせなきゃならぬというようなかっこうになると思うのでね。これはもちろん、防衛庁の問題じゃなくて、政府の問題でありますが、これは本会議で八田さんからも質問がありましたけれども、この重要な石油の問題を、どうやってその供給を将来確保していくか。一〇〇%はできないとしてもですね、これをある程度、大きな支障がない程度まで確保することについて、これは国の防衛という見地からも、ひとつ御検討を願いたいと思います。これは答弁いいです。(「いや、それはもう少し聞いたほうがいいですよ」「大事なところなんですよ」と呼ぶ者あり)これは御答弁になってもいいです。どっちでもいいです。  次いで、こういうことについて次はお聞きしたいのです。この間も台風の被害で、やはり本会議でいろいろ質問がございました。しかし、私の承知しておる限りは、いま日本の気象庁及び自衛隊の気象関係機関、これはずいぶんやっておりますけれども、台風の発生源というものは人工衛星で大体ある程度わかる。これは、台風のずっと来る経路というものは、アメリカ空軍の偵察機の資料によって知らしてもらっておる。それで、総理の御答弁では、日本ではいまのところちょっとできない。いますぐできないことは、私もわかっております。しかしながら、これをいつまでもアメリカに依存するということはいかがなものかと私は思うのです。これこそやはり日本で自分でやる。これには、もうたとえば次にできてくるCX、あれを装備を変えてやれば、台風の追跡を私はできるのじゃないかと思うのです。これはあまり遠くまでは出れないかもしれないけれども、それをちょっと改装して、やはり増槽をちょっとよけい持つというようなことをすれば、荷物は積まないのですから、台風の追跡ができる。台風が来る場合に、その台風の真上に常に日本の飛行機が一台なり二台なりおって、刻々、台風の中心がいまどちらの方向に向いてどうなっておる、雨はこちらが多いのだというようなことを、空中から直接、ラジオででも何ででも、一般に連絡をする。あるいは途中で中継してもいいです。これによって、いま伊豆半島にまっすぐ来ると思ったやつが急に曲がって駿河湾に入ったとか、あるいは相模湾に入ったとかいうようなことが、もし飛行機が夜でも昼でも真上にずっとおれば、これは私は即座にわかると思うのです。そいつを中継して——これをラジオの発信局で中継さえすればいい。そうするとすぐ、ラジオで各家々でみなわかってきて、ほんのわずかの瞬間にずいぶん人が、死ぬ人が少なくとも一人も出ないように済むのじゃないか。私は、これはまず、少なくともこのくらいのことは日本でやるべきであって、それをやり得るだけの力は日本は相当私は持っておると考えておるのですが、やるのはどっちにしても防衛庁の飛行機でやらなければならないと思うのです。いまの飛行機でも——いまの飛行機ではちょっと少しむずかしいけれども、それでもジェット機のT33みたいなものを使って、上空におってそこから電話で下に言うくらいのことは私はできると思うのです。そういうことについては、前にも一ぺんこういう問題を論議したことがあるのですが、その後どういうぐあいにそれが進められており、また将来どういう計画になっておるか、これをひとつ御答弁願います。
  162. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 先生おっしゃいますとおりに、航空機による気象観測が非常に大事であるということは申し上げるまでもないわけでございまして、また現実に今日は米軍機によりますところの観測しか行なわれておらないということも事実でございます。そこで、これは気象庁の諮問機関であります気象審議会におきまして、三十九年の五月に答申いたしておりますけれども、それによりますと、航空機による気象観測をわが国独自で実施する体制を確立する必要がある、まあこういうのが答申の内容でございます。そこで、私どもとしましては、これは気象庁との関係——何よりも気象観測でございますから、気象庁の所管になると思いますけれども、私どもとしましては、気象庁と協力をしてそういう観測体制というものを今後強化していくというふうなことにつきまして検討いたしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  現実に米軍が飛ばしておりますところの観測機というものは、これはグアムから空軍と海軍がそれぞれ六機ずつ飛ばしておるわけでございます。これは機種からいいますと、WC130B、それから海軍のほうがEC121K、これはいずれも四発のプロペラ機でございます。聞くところによりますと、台風観測の場合にジェット機はちょっと使えない。わが自衛隊が現在持っておりますようなC46程度では、これは普通定期的なコースを飛ぶ分にはかまいませんけれども現実に台風観測をやるとなりますと、非常に脆弱である。グアムの航空機につきましても、これは一ぺん台風観測をやりますと、すぐおりてきて完全なオーバーホールをやりませんとその次に飛べないということで、六機ずつ持っておるようでございます。わが自衛隊の飛行機をすぐこれに転用するということはなかなかむずかしい、かように考えます。おそらく、台風観測の航空機を整備するとなりますと、これを新しくつくるか、あるいは外国から買うか、そういう非常にむずかしい問題が出てくるのでございまして、そういう点についてもいろいろ検討いたしております。  ただ、これを自衛隊の任務としてやるということになりますと、これはいろいろ問題があるわけでございます。やはり第一義的には、気象庁がこの問題は責任を持つものというふうに考えております。ただ、われわれとしては、十分気象庁に協力して、今後その問題についてもさらに検討していきたいというふうに考えております。
  163. 源田実

    ○源田実君 いまのC46あたりではできないことはもう当然であります。しかし、私は、CXなんかがこういうことも考慮して設計をされているのかどうか、これをお願いしたいと思います。
  164. 島田豊

    政府委員(島田豊君) CXの要求性能といたしましては、かなりの強度は考えておりますけれども、こういう台風観測用の機能を兼ねさせるという意味では実は考えておらないわけでございます。
  165. 源田実

    ○源田実君 これはずっと前からいろいろ問題になっているのですが、もう日本の、ここまで発展してきておって、そうして日本人のパイロットなり、それから乗り組み員にしても、気象観測関係者にしても、相当な腕を持っているわけなんです。それで、これはアメリカはアメリカでやってよろしいし、その情報はお互いの交換は当然やるべきだと思うのですが、少なくとも日本の近海に台風が近寄ったときには、日本の飛行機で直接これを見て国民に知らしてやる、こういうようなことは当然日本がやるべきであって、もうここ数年間研究段階というのは、私はちょっとおかしいのであって、これは気象庁にもだいぶ当たりましたが、やはりなかなかはっきりしたことが出てこない。むずかしい、むずかしいと言うばかりであって、なかなかできないのですが、これはひとつ防衛庁長官にお願いしたいのでありますが、いま長官のように、えらい長官が長官でおられる間に、防衛庁のほうからこれをひとつ推進していただいて、これくらいのことは日本でやる。アメリカと断ち切れというわけじゃないのです。資料の交換はいい。しかしながら、もう少し、土佐沖とか、その沖に台風が来ている場合には、少なくとも、台風が毎年二十とか三十とかやってくるのですから、これに対して日本の飛行機が、これは防衛庁がやろうが、気象庁が——気象庁といってもなかなかむずかしい。パイロットがいないのです、実情は。だから、やれば防衛庁のパイロットを使う以外にないわけです。だから、実質的には防衛庁がやらざるを得ないと思う。これはひとつ、災害出動の最も最たるものになるのじゃないかと思うのです、予防措置なんですから。ひとつ強力にこれを進めていただきたいと考えております。長官にひとつ特にお願いしたいのです。
  166. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) いま防衛局長もお答えいたしましたとおり、気象審議会におきまして、数年前に、特に日本でやるようにという答申もあったわけでございます。わが国の誇りにかけても日本でやる必要がある、こう感ずるわけでございます。しかし、主体的にはあくまで気象庁でございまして、われわれが協力申し上げ、源田さんの御指摘のとおり、パイロットその他もあるわけでございまするし、しかしながら六機要るということでございますから、六機を整備してこれに当て得るかどうかという、その辺の予算その他につきましては、また御協力を願いまして、気象庁で大いに取れ、それからパイロットぐらいはこちらで貸してやるということで、国会の皆さんに御協力を願いたい、そうして日本のプライドを保持してまいりたい、こう考えております。
  167. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 関連質問。先ほどの物資輸送量の問題ですが、一億七千万トンというようなお答えなんですが、私どもは、確たる数字は持っておりませんけれども、原油の輸入量だけでも九千八百万トン大体輸入されているはずだと思うのです、四十年現在で。しかも、食糧において、米においても百万トン、あるいは濃厚飼料等でも約五百万トン一年間に輸入されているわけです。その他の鉄材等を考えてみると、一億七千万トンというその数字は、私どもはなかなか納得いかないわけですが、しかし、いま資料がないとすれば、後刻その資料をいただきたいと思うのですが、さらに、先ほど源田さんの質問の中で、日本のいまの油の貯油量がどのくらいになっているか、十六日間と、こういうような説明があるわけですが、普通一般的に言われているのは、原油として二十日分、これは現在の一カ月の消費量が、戦前の一年間に匹敵する油の消費量が使われている。かりにいまのようなスエズ動乱その他の問題を控えるときには、国内で貯油量というものをある程度整えておかなくちゃならぬ。二十日とするならば、私は直ちに産業も何も麻痺してしまう事態が起こることも可能性が考えられる。そこで、少なくともいまの貯油量よりプラス一カ月分の貯油量というものが、常に国防上の点からいっても、あるいは産業上からいっても、貯油されなくちゃならぬじゃないか。一カ月分の貯油をするためには約一千億円の——地下タンクをつくるためには一千億円以上の投下資本を必要とするわけです。こういう息も、やはり産業の面からと、国防の面からと、あらゆる面から考えて対策を立てていくというここは必要ではなかろうか。これは防衛庁に対して聞くわけじゃないけれども、通産省その他と関連して日本の貯油量というものを考えていかなくちゃならぬ。これもしお答えができるならばお答えいただきたい。御検討いただいてもけっこうです。
  168. 國井眞

    政府委員(國井眞君) ただいまお話がございましたように、確かに油の貯蔵分は国内においてきわめて、私ども考えまして、全般として見て非常に少ないという状況であろうかと思います。この問題につきましては、防衛庁として非常に大きな関心がございます。と同時に、産業政策上、あるいは国民生活の上から至大の関係がございますので、十分関係省庁とも打ち合わせをいたしまして、的確な見通しあるいは今後の対策というものを立てるように私ども努力をいたしていきたい、かように考えております。
  169. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 いまのに関連して。なお、現在の四十年、四十一年程度においては約一億トン、ドラムかんにすれば五億本。これが四十五年には、いまの伸び率からいくと一億四千五百万トンという類推ができる。昭和五十年になると、これが二億四千万トンの油が必要である。現在の自動車の台数が七百万、原動機付含めまして千六百万台近い車が動いている。こういうところから見ると、油の消費量というものは非常に大きくなってくる。そういうことをひとつ将来の問題とも関連して十分御検討をいただきたいと思います。
  170. 源田実

    ○源田実君 次には、あと三つだけお伺いしたいのですが、いわゆるこの間京都大学で自衛官の入学拒否問題が新聞でいろいろ出ております。その後どういうぐあいになっておるか。正式にどういうぐあいに決定されるかまだ存じませんが、いままで自衛官で大学院に派遣されておる学生が、各車門別で各学校何名という、その数字を教えていただきたいのですが。
  171. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) 源田先生にお答えいたします。自衛隊員で大学院に派遣をしております人員は、十八の大学に、修士課程が五十八名、それから博士課程で五十一名で、合わせて百九名でございます。  大学別で申し上げますと、東北大学が二十九名、東京工業大学が二名、東京医科歯科大学が一名、千葉大学二名、静岡大学一名、名古屋大学九名、金沢大学一名、京都大学十五名、大阪大学十八名、鳥取大学一名、九州大学十一名、札幌医科大学二名、東京都立大学六名、大阪府立大学六名、大阪市立大学一名、早稲田大学一名、慶応大学一名、東京医科大学一名。これで医学部の関係に行っておりますのが、東京医科歯科大学に一名、それから鳥取大学に一名、九州大学に一名、札幌医大に二名、東京医科大学に一名。それから薬学関係で、千葉大学に一名。そのほかは理工科系の学生でございます。
  172. 源田実

    ○源田実君 いま非常に早く述べられたので、私は写し切らなかったのですが、あとでひとつ数字をゆっくり資料として出していただきたいと思います。  学生がいまのところ問題になっておるのは京都大学だけのようですが、もしこれが蔓延して、自衛官が各大学からシャットアウトされるという場合に、自衛隊の将来の建設計画、ことに一番大きな問題は技術開発なり技術の維持だと思うのですが、そういうものに対してどういうような影響を及ぼすのでありますか。
  173. 中井亮一

    政府委員(中井亮一君) お答えいたします。ただいまの一般の大学院に学ばしております人たちは、自衛隊の装備がごらんのとおりにますます近代化され、高度化されてまいりましたので、それに必要な技術関係の——主として技術関係の職種の人たちにつきまして博士課程あるいは修士課程といった程度の高度の基礎的な知識あるいは基礎的な研究能力というものを向上させようということで大学に行かしているわけでございまして、今後将来の自衛隊から考えてみまして、この人たちと、防衛大学校に理工学研究科というのがございますが、その卒業生と両方で将来の自衛隊の技術関係の中心になるものと考えております。防衛大学校の理工学研究科は、現在まだ建設の途上といいますか、まだ整備の途中の段階でございまして、まだまだ十分な能力を付与するところにいくのには、現在博士課程という課程に当たるものがございませんので、修士課程の程度の二年間の修学期間でございますので、非常に高い程度のところまで達することがいまの段階ではむずかしいのではないだろうかと、こういうふうに考えておりますることから、先のことを考えますと、一般の大学で博士課程まで勉強さしてもらえなくなるということになりますと、自衛隊の技術レベルというものが落ちてくるということになりまして、非常に憂慮すべき状態になるのではないだろうかということをたいへん心配しておるものでございます。
  174. 源田実

    ○源田実君 何といっても日本の学術の最高の権威は大学であって、そこでやはり一番進んだ学問を勉強していって、レベルが上がっていく。ところが、自衛官なるがゆえにこれが入れないというような——これはまさかそう蔓延もしないと思いますが、というようなことは、ちょっと私は了解に苦しむのであります。これはまあいろいろな考え方の人もあると思いますが、いまの自衛官でも何でも、これはやはり学問を受けようとする者に対して、その能力がある場合、自由に開放せらるべきであると私は考えておるのです。この問題についてひとつ長官はどうお考えになっているか、またこれからの対策はどうお考えになっておるか、この二つの長官のお考えをお願いしたいと思います。
  175. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 各種の官公私立大学が存在するということは、お互いに競争をしたり、切磋琢磨し合うという意味において、それぞれ存在意義があると思います。そこで、教育局長が御答弁申し上げましたとおりに、防衛大学は、一般の理工科系の普通大学の、つまり高等学校を卒業したあと四年でございますから、普通の理工科系の工科大学とも申すべきものかとも思いますが、加えて防衛のことも学びますが、それからあとは修士課程が三つばかりあるだけでございます。他の官公私立の大学における修士課程に学びまして、それから博士課程は全然ございません。博士課程にも、それぞれの官公私立大学が歓迎してくださることをぜひ希望するわけでございます。京都大学で少しいろいろトラブルがあったようでございますが、きょうも文部大臣とよく話をいたしまして、どうかどこの大学でも、学問のうんのうをきわめるのが大学の目的であるから、どうかそういう意味合いにおきまして歓迎してくれるように、文部省の指導監督というものは大学のどの辺に及ぶか、そこはわかりませんが、ともかくも文部大臣として考慮をわずらわしたいということを今朝も私と二人で話し合ったような次第でございます。方向はいま申し上げたとおりに私は考えております。
  176. 源田実

    ○源田実君 では最後に一つ、このF104ですね、あれをまあ例にとりますと、かりに部品がたしか十四万点ぐらいあると思うのです。これから後も、ミサイルにしても、それから飛行機にしても、その他のもの、今度バッジなんかはものすごい数だと思うのです。そうすると、かりに例にとりますと、十四万点の部品の一つ一つが一万回に一回故障するという率の場合には、飛行機が十四機あって初めて一機が飛べるということになるわけですね。一万回に一回しか故障が起きないというようなものでも、十四万点あれば、十四機あって一機しか飛べない、こういうことになるわけです。そういう意味から言いまして、絶対に欠陥がないということがもうきわめて重要である。これは何も防衛だけではなく、あらゆる近代的な機械においてはみなそうだと思うのです。ところが、この絶対に欠陥をなくするというために、相当前からアメリカでは民間のある会社が始めて、それをアメリカ国防省が採用して、ゼロ・ディフェクト運動というのを展開したわけです。そして、そのゼロ・ディフェクト運動が展開されだしてからは、アメリカでは国防省はゼロ・ディフェクト運動をやっていない会社とは契約しないというところにいま行っておるわけなのです。そうして各会社で非常にこのゼロ・ディフェクト運動が行なわれて成果をあげつつある。そうしないと、宇宙開発のように、これは三十万点以上も部品があるらしいのですが、そういうものはもう全然飛べないということになるわけですね。これを日本に導入して悪いわけのものではない。現にソ連がこれを導入すべくアメリカに使節団を出して研究した——これは数年前ですが——という話を聞いております。日本からもすでにもう数回使節団が行きまして、これは民間の使節団が行きまして、詳細にわたって研究しております。日本の会社ではほとんど大きな会社は、防衛庁の方も、三菱とか、日本電気とか、川崎とか、こういうところへ行かれると、すぐそこにZDと書いたあれが立っているのをごらんになっていると思うのです。ところが、私は防衛庁の関係者にちょいちょい行って聞いてみると、この運動が防衛庁でいま展開されているかというと、ひとつも展開されてない。それで私は、もとの古巣である空幕には、これはやったがいい、とにかく何とかやれと言うのですが、いまだにどうも展開されてないように思います。これはどういうことであるか。ちょっと、あまり講釈じみるのですが、実は人間のことで、要するに製品にオシャカが出る。その原因を大きく分けると、要するにミステークなんですね。そのミステークの第一は、環境の不完全である。要するに、工具が悪いとか、働く場所が悪いとか、あるいはアレンジメント、設計図が間違っておるとかいうようなところにミスがある。その次にあるのは、その働く人の訓練が不十分である、この場合にミスが起きる。もう一つあるのは、本人がいくら訓練されてもおっても、不注意をやる。こういう三つがあるわけですね。それを組織的に科学的に分析して、どうしてこれを除くかということによって非常な成果があげられておる。これは日本のほうの資料は日電、三菱のを持っておりますが、ちょっと見つからなかったのできょう持ってきませんでしたが、相当な、半期で一億とか二億とかいうような円に直して成果をあげているのです。ところが、ここにはっきりしたやつで、マーチン・オーランド会社事業部の例をあげますと、そのZD運動の費用で従業員一人当たり一ドル五十セント——これは宣伝、広報、報奨、こういうことに一ドル五十セントかかる。ところが、そこでいろいろな製品にオシャカを出した場合に、従業員一人当たりいままで十五ドルの損失を年間出しておったのです。年間一ドル五十セント、これはたしか年間だと思うのですが、その一ドル五十セントの経費を投じて十五ドルもうけておるという結果になっておるのです。これは日本の大きな会社はほとんど私はやっていると思うのです。しかしながら、私はここで申し上げたいのは、各会社では労働組合の協力を得なければ、労働組合がもし反対したらなかなかこれは実際はできないのですね。アメリカでも、その問題については非常な力を注いで、組合の協力を得て各会社がこれをやっている。日本でも、各会社はみな組合が協力的で一緒になってやっておりますから、各会社はどんどん成果をあげているのですね。ところが、お上の仕事である防衛庁においては、その点だけはもうすでに初めから、ハンディキャップはないわけです。プラスのほうに、プラス面のほうのハンディキャップと、ハンディがマイナスになってついておるというようなかっこうであります。したがって、私は、この飛行機の整備とか、あるいはいろいろな、戦車の整備であろうが、船の整備であろうが、あるいはこれの運行であろうが、こういう問題についてひとつ真剣にお考え願いたい。これはずいぶんいままであっちこっちの人に言いましたが、会社のほうは、すぐ自分の会社がのるかそるかということで関係するもんだから、すぐいくんですが、政府機関のほうはどこでもまだ私はほとんど行なわれていないと思うのです、日本の政府機関とも。私は、国鉄なんかでは当然これは採用せられるべき性質のものである、こう思うのですが、しかし、防衛庁のほう、これは日本の安全をあずかっておられるし、またそこには人命に直接関係するような仕事が非常に多いし、あずかっておるその機材が非常に高価なものである。したがって、こういうものが、数年間、すでに外国では、アメリカもやり、ソ連もやり、日本の民間でもすでにやっておるのですから、このゼロ・ディフェクト運動、これはもう相当しっかり研究された資料はずいぶんございます。いままでずいぶんやったのですが、どうも一つも反響が出ないので、この点ひとつ長官に私はお願いいたしまして、防衛庁が先がけてこれをやっていただきたい、これは私はお願いであります。  これをもって私の本日の質問を終わります。
  177. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 源田さんの御指摘の欠陥をゼロにするという運動は、マーチン社に始まりまして全米に及んでおるということは聞き及んでおりまするが、わが国におきまして、やはりそういうような、一つの部品がもし故障がございましても、アメリカにおきましても、ケープケネディであんな事故が起きたわけでございまして、私は、F104がこのごろ続いて三機落ちました。そのときにも、いま厳重に調査中でございますが、どうもあとからの調査ではいけませんから、やはりあなたの御質問は、非常な有益なる御教訓といたし、激して、防衛庁はじめ各省において、また、経営者並びに労務者各位にも要請いたしまして、全国的の運動として、欠陥をゼロにするという運動を展開してまいりたい所存でございます。
  178. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 時間もあまりないようでありますから、私はごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  先般の本会議におきまして、防衛庁長官からシビリアン・コントロールという問題について御説明がございました。そのときに、表現が、せびろを着た者と制服を着た者とのその関係という意味においてお述べになったようでありますが、このシビリアン・コントロールというものを日本語に直しますと、どういうような表現にされるわけでございますか、ちょっと……。
  179. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) シビルがコントロールするということを伊藤さんがおっしゃいましたから、私もそのことばを使いましたが、文民が制服に優先する、あるいは国会を含む政治が自衛隊という制服を監督する、こういう意味であると考えておる次第でございます。  そこで、国会におきましては、こういうふうに御審議を願っていることが、すなわちこれがまたコントロールでございますが、自衛隊法七十六条によって出動する場合には、事前において国会の御承認が原則でございます。できない場合には、二十日後に臨時国会を開いてでも御承認を得る、これでございます。それから治安出勤の七十八条の場合は、来たるべき国会において御承認を得る、これがまず国会が自衛隊を監督しておるのであるという形であると思っております。  それから次に、隊としての活動でございまするが、隊の組織というものは、これは一つ行政面の組織であり、隊であると考えております。その行政面における隊の組織の最高の指揮監督者はせびろを着ておるということを申し上げましたが、すなわち、制服を着ていない、自衛官といわれない内閣総理大臣が最高の指揮監督者である。それから不肖私が防衛庁長官として同じく制服を着ていないわけでございますから、この制服を着ていない防衛庁長官が、交民である内閣総理大臣の指揮監督を受けて隊を指揮監督する。隊を指揮監督する場合には、各陸上、海上、航空の幕僚長を指揮監督いたします。その運営、行動等につきまして、国会議員と同じようにせびろを着ておりまする防衛庁長官が隊の行動について指揮監督をいたします。その場合に、内局の次官、政務次官、あるいは内局の局長等が、それぞれ防衛庁設置法その他に所管事項がございまして、その所管事項について隊を指揮監督をする場合に、防衛庁長官あるいはが私を通じて指揮監督をする場合に補助者となる。たとえば人事面につきましては、人事局長が補助をする。経理面については、経理局長が種々の助言を私にいたします。防衛局長は防衛面につきまして、こういうふうに指揮をなすったらいかがですということを私に助言をする。こういうわけで所管事項が法律に定められておる、こう考えております。  この際、明瞭にいたしておきたいのは、次官、局長、課長、係員、つまりいわゆる内局でございまするが、内局の者が幕僚長以下を直接指揮監督するわけではないのでございまして、あくまで私を補助する。そうして防衛庁長官が制服を着ておる幕僚長を通じて隊を動かす、これがすなわちシビル・コントロール——文民統制と申しますか、政治優先という原則の本体である、こう考えておる次第でございます。
  180. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 御趣旨はよくわかりましたが、この問題はもう少し掘り下げて議論をすべき問題であると私は考えるのであります。いまの御説明によりまして、率直に私の所感を申しますと、長官は、いわゆる制服と文民との間の対立というものを頭に描かれまして、そうしてこの問題を取り扱っているようなにおいがいたすのであります。これは防衛を考える場合において基本的な間違いであると私は考えるのであります。世界のどこにおきましても、いかなる国におきましても、政治が軍事に優先するということは、現在においては除外例なしの原則であると考えるのであります。そうしておいて、ただ日本の過去の経験上、非常にいわゆる制服、当時の軍人の誤りからいたしまして、ここに非常な誤解を生じておると思います。私は、防衛でありますとか、あるいは安全保障という問題は、その服装がどうしているとか、その地位がどうであるからとかいうような問題で議論すべきものではないと思います。言いかえますと、これに関与している者は原則論といたしまして全部が相協力して最善の道を歩くのが、これは私は政治優先であるとこういうふうに考えるのでありまして、その中間に、もう一つ、御説明をいただかなければならないのでありますが、長官がこの防衛をやるために、自分の補佐を文民に求めて、制服のほうをこれをコントロールするための準備に持っていこうというところに、対立のお考えが潜在するのではないかということを私はおそれるのであります。  そこで私は、日本のこの防衛に関するいろいろの組織について、もう一度根本的に考え直す必要があるんじゃないか、こう思うのであります。その理由は、現在日本の国防の根拠をなしておりますところの機関として国防会議というものがございます。その国防会議は防衛庁の設置法によって横にくっつけられたものでありますから、これは近代的戦争指導なりあるいは国防を議論する立場にある機関ではないと思うのであります。いわゆる防衛庁の本来の仕事と、そのほかの産業でありますとか、あるいはそのほかの民生の安定でありますとか、そういうものとの調節をするための国防会議でありまして、決して日本の国防全般を見る機関ではないと思うのであります。そういうものをもって日本の国防と考えておるがゆえに、ここに制服をいかに押えていくかというような印象が多くあらわれると思うのであります。そういう意味におきまして、私は、日本の安全保障なり何かするために、もっと広い見地において独立いたしまして、総理大臣のもとに一つの新たなる機関を設置して、政治優先を確立する必要があるんじゃないか、こういうように考えます。この点についての御所見を承りたいと思います。
  181. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私に何か誤解があるような御指摘でございましたが、私は誤解していないのでございまして、憲法の精神、あるいは防衛庁設置法の精神、それから自衛隊法の精神がそうなっておる。ただ言い落としたのは、私が幕僚長等を通じて隊を指揮監督する、これはその他隊は幕僚長を通じて私に各種の補助をするということは、ちょうど内局の長あるいは課長等が——局長は直接ございましょう、あるいは次官を通じて私に種々の助言をするということと同様でございます。その点は、ただ局長が幕僚長の上であるといったような考え方、あるいは内局の課長が幕僚の副長より上であるという考え方を、私はこの国会においては是正をしておるつもりでございます。すべて私を通じてやっておる。つまり私服を着ておる私を通じてやっているところに政治優先の原則があるのでございまして、一方が上、一方が下ということはない。それから幕僚部と内局とは、もとより私の目はそう届きませんから、そこで、たとえば防衛計画等を立てた場合に、内局のほうへ持ってきて、これで長官を補佐しょうと思うがどうであろうか、内局のほうでもまた長官を補佐いたしますから、相互の間で相談をしてめくら判を押すこともあるかもしれませんが、たてまえは、いまのような両方長官を通じて、長官の上には内閣総理大臣がおる、こういう関係で、相互の関係は密接に連絡をしてこん然たる有機体になる必要はございますが、ただ、内局の次官等は防衛庁全体について全局補助をいたしております。それから部局補助をするのが局長以下でございます。その部局長以下が幕僚長の上官であるとか副幕僚長の上官であるとか課長の上官であるということはないということを、この国会において私は相当努力をして明瞭にしておるつもりでございます。  それから、総理大臣のもとにおいて国防というものの会議をもっと充実したものにせよというお話でございますが、各国会議員によりまして、安全保障というほうが広いとおっしゃる方もあります。それから国防というほうが広いというふうにおっしゃる方もありますが、これは国連憲章第五十一条には「自衛の権利」と書いてあります。そこで、自衛の権利というのは自国を防衛する権利でございまして、これは自衛の権利は、個別的の自衛の権利もあるし、つまり日本が日本自身を守る個別的な自衛の権利もあるし、集団的な自衛の権利もある。これに基づいて北大西洋安全保障条約もできておりますし、共産圏のワルシャワ安全保障条約もあるし、日米安全保障条約もありますし、その他もろもろの安全保障条約がございます。でありますから、安全保障というほうが上であるという方もございました。これは山本さんは国防のほうがもっと広範な意義を持っているということをいまおっしゃいましたが、私はいずれとも言いがたいのじゃないか、こう考えている次第であります。要するに、安全保障するものが国防であるし、国防がすなわち安全保障である。ただ防衛庁ばかりがやるとは限りません。安全保障となりますと、国防についてもそうでありまして、防衛庁は主として防衛の仕事をいたしますが、各省の御協力も得るわけでありまして、お説のごとく内閣総理大臣が国防会議の主宰者となってもっと充実したものにせよという御意見は、卓見であると考えております。ただしかしながら、いずれにいたしましても、それは合議制の官庁ではない。普通の官庁というのは独任制の官庁、つまり私どものほうから申せば、総理大臣がピラミッドの頂上の官庁でありますが、横に並んだ官庁もございます。会計検査院のごときはそうじゃないかと考えておまりすが、そういう国防会議というものをいかに強力にしたところで、政府の諮問委員会である、この点を忘れてはいけないと思います。憲法六十六条によりまして、内閣は連帯して国会に対して責任を負う、これがすなわち官庁のあるべき姿でございまして、国防会議を充実整備することはお説のごとく必要でございまするが、いかに充実整備いたしましたところで、それは諮問委員会である、内閣総理大臣に対する諮問委員会であるということも、また政治優先の見地から見まして忘れてはならないところであると、こう考えておまます。
  182. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 ただいまの御意向はよくわかりましたが、少し私の意見が誤解されている点があると思いますから、その点を修正しておきたいと思うのであります。  私は、安全保障会議というものは、防衛庁の中にくっついている国防会議より広い範囲のものである、こういう想定をいたしている次第であります。その考えから先ほどの議論が出てまいったのでありまして、いまの戦争という、あるいは国の安全を守るというためには、産業でありますとか、国家行動のあらゆる面にわたりましてこれは関与しているものと考えざるを得ないのであります。ことに、いまの問題となりますというと、防衛庁の担当しておられますところのこの治安あるいは防衛、こういうようなものを中心とする以外に、冷戦という大きな国家安全に関する問題もあると思うのであります。また、先ほど源田委員から、また本会議において八田委員から質問いたしましたように、石油の問題を取り上げられましたが、これは一つの例としてあげられたと思うのであります。国家のいろいろな行動は、いわゆる国の安全という見地をも考慮しながら決定さるべきでありまして、単なる治安行動とか防衛だけの限定においてこれは統制をすることは不可能なものが私はあると思うんです。そういう意味において、私は決して安全保障会議だけをつくれというのではありませんし、また国防会議だけでいかぬという意見ではないのでありますが、この近代的な国の安全を保障するための作用をする何らかの会議をここに編成する必要があるんじゃないか、いまの範囲ではあまりに限定されておるのじゃなかろうか——限定されておらぬかもしれませんが、現実の行動はそこまで日本の施策において及んでおらぬじゃないか、こういうことを申し上げたのでありまして、この点については簡単に決定をできる問題ではないと思う。将来引き続いて御検討をお願いいたしたい、こう考えるわけであります。  次に、日本の安全保障に必要な内政の諸施策についてお伺いいたしたいと思うのであります。これは自衛隊法の中に、第八章の雑則なり、その前の六、七章だと思いますが、いろんな準備すべき事項があげられておるわけであります。これがどの程度に具体化しておるのであるかどうか。私の考えるところは、他の各省及びそのほかと調整をいろいろ実施に関して必要な法規なりそのほかの手続規定をせなければ動かないのにかかわらず、これの整備はまだ不十分ではないか、こういうように考えるのであります。一方において、自衛隊の増強についていろいろと御腐心されることは、まことに適切なる御努力と考えますけれども、それだけでは日本の安全保障はできないという私らの考え方からいたしますというと、国をあげてのこういうものに関連することが実行のできるような御処置をとる必要は、私は、軽重の順序はありますものの、必要であることには間違いないと思うのであります。そういう意味において、どういうようにこれが準備されつつあるか、またこれの準備をどの程度に進捗しつつあるかというようなことを、ごく概略でけっこうでございますからお示しをいただきたい。
  183. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 詳細の点は政府委員に補足させます。  まず第一に、防衛庁設置法の中に六十二条等に国防会議の規定があるのはおもしろくないというお説は、賛成でございます。いずれは独立法をつくるべきである。ことに、独立法として国防会議の基準に関する法律というものはあるわけでございます。そういう意味合いからも、国防会議は防衛庁設置法の一部には書いてございますけれども、相当重要なる扱いを受けておるのであるということを御了承願いまして、なお六十二条を単独法にすることもしかるべきことと私は考えております。  それから内政諸施策のことにつきましては、いまこの自衛隊法を私もずっと読んでみましたが、政令をもってこれを定むというようなことで政令がないものが相当数ございます。そこで、法律事項等もあるようでございまするが、その法律事項、それから政令をもってこれを定むと書いてあって政令で定めてないものがたくさんあるから、その政令をひとつ整備するようにということを部局に指示をいたした次第でございます。
  184. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 次に、第三次防のことについてお伺いいたしたいと、こう思うのでございます。そのうちで、いろいろとございますが、この三次防をつくりましたいわゆる一般方針といいますか、達成目標といいますか、どういう事柄を目途としておやりになったかという、その精神的な問題をお示しいただきたい。
  185. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 大綱と申しますものは、昭和三十年にでき上がっておりまする閣議決定を見まして今日まで変更されておりません国防に関する基本方針でございます。その骨は四つあるわけでございまして、その四つの精神に従って、今回、昨年の十一月二十九日に発表されました第三次防衛五カ年計画に関する大綱、それから本年の二月十四日に——国防会議が十三日でございましたが、三月十四日に決定を見ました閣議決定でございます。主要項目、つまり昨年の十一月二十九日の世間に発表申し上げておりまする三次防の大綱、それからこれに基づいて、主要項目というのは本年の三月の十四日の閣議決定でございます。同じくこれに要する費用というのも閣議決定がございまして、第三次防のよって来たるところは、昭和三十二年の閣議決定にかかる国防に関する基本方針でございます。種々文言等は変わっておりまするが、精神は昭和三十二年に決定を見まして、今日まで閣議決定は、他の閣議決定をもって変更しなければずっと生きておるわけでございまして、今日まで昭和三十二年に決定いたしました閣議決定は生きておるわけでございます。そこで、防衛力整備という点から申しますというと、わが国の国力、国情に応じた有効な通常兵器による局地的侵略に対処すると、大綱を申せば、そういう意味合いのものが第三次防の大綱でございまするし、また主要項目を申せといえば、私も申し上げます。それから経費等も申せといえば申し上げまするが、専門家の山本さんがよく御存じだと思いまするから、このくらいにさしていただきます。
  186. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 そこで、ちょっとお伺いいたしたいのですが、この大綱の一般方針の中に、「通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的なものを目標とする。」、こういうふうになっておると思うのです。そこで、この局地戦以下において云々という問題の意味はどういう意味かという、私その意味と、それからもう一つお尋ねいたしたいと思いますのは、私は、長官が国会において——衆議院かとも思いますが、国会においてお答えになったうちに、局地的侵略にはこれに対処する実力が日本の自衛隊にある、局地戦的なものに対しましてはいまの自衛隊がこれに対処し得る実力を持っているのだと、こういうようないわゆるお述べになっておる事項であります。それについて、私のほうも、時間の節約上、私のひとつ突っ込んだところを述べて御質問をしたいと、こう思うのでありますが、ここに述べてありますような局地戦以下の場合におきまして、安保条約が発動するのかどうか、この問題であります。言いかえますと、日本のどこかで直接侵略が起こった場合においては、私は日米安保条約というものを発動するのだと、こう思うのでありますが、一方においては、それについてのことばが足らぬかどうか存じませんが、この問題に関する一度上から見た、何といいますか、概念的な考え方を御説明いただきたい。これは局長でけっこうでございますが。
  187. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この大綱でうたっております局地戦といいますのは、この局地戦という定義そのものはいろいろ、定義がございますけれども、少なくともこの大綱では、わが国の領土あるいはそれに近接する周辺、そこに生じますところの直接侵略、こういうふうに考えてよろしいかと思うのであります。その場合におきまして、もちろん日米安全保障条約の適用がございます。わが国に対する直接の武力攻撃ということになれば、五条が発動するということでございます。
  188. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 そういたしますと、長官がお述べになっておることばのあげ足をとるようになってはなはだ恐縮でございますが、これを排除するところの力を持っているというのは少し勇み足ではないかと私は思うのでございますが、それならば安保条約の発動は必要としないのでございますが、しかし、言いかえますと、現在、それならば、日本の安全保障に必要なる防衛準備は全部大体においてでき上がったという結論になってくるわけであります。私はそうは思わないのであります。つまらない例でございますが、今度の第三次防で整備されるところの弾薬の数は、これは専門的になりますというとどういう計算になるか存じませんが、大体一カ月分くらいしか準備をしておられない、こう考えるのであります。そのほか、国内の兵器その他の問題にいたしましても、はなはだ希望は大きいのでございましょうが、実質的に日本の兵器工業そのものから見ますというと、なかなかそうはいかぬと私は思っておるわけであります。そういうときに、これだけの自分で言うほどの内容になっておるということは喜ぶことでありますが、実質と少し違うのじゃなかろうか、こういうように考えまして、後ほどまたお尋ねいたしますけれども、三次防においてもう完成したというようには私は考えない、こういう考えであります。
  189. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 安保条約はわが国施政権下における——すなわち本土でございます——本土に直接の武力侵略が行なわれた場合には日米はおのおの自国の憲法、法律の規定に従って対処すると、こう書いてございまするから、局地戦であろうと何であろうと、日本に直接侵略が行なわれた場合には発動するわけでございます。  それから大綱その他に、あるいは衆議院あるいは参議院でも申したと思いまするが、「通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も」——「最も」というような字が今度加わっておりますが、前には「最も」という字はございませんでした。「最も効率的な」云々と、こう書いてございますが、そういう実力を目標として整備しつつあると言うほうが正確でございますから、実力が現在あるというふうにとられましたならば、それは修正いたしておきます。専門家であるあなたを前にしてあれですが、効率的なる実力を備えようとして努力をしつつあるという、こういう文章でございます。  あと、武器弾薬等がどれくらいあるかということは、お説のごとく、弾薬等はきわめて少ないわけでございまして、漸次備蓄の充実ということをはからなければならないと考えておる次第でございます。
  190. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 次に、今度の三次防で大きく転換をいたしております問題は、兵器の国産化をはかるということが一つの重点になっておると思うのですが、これについてひとつ関係の局長からででもけっこうでございますから御説明をいただきたい、こういうように考えるのであります。
  191. 國井眞

    政府委員(國井眞君) 今度の三次防で一つの大きな柱として考えております国産化の問題でございますが、私ども、国産化にあたりましては二つの方法で国産化をはかりたいというふうに考えております。一つは、国内で自力開発と申しますか研究開発をいたしまして自前で開発整備をするものと、それから、外国の技術を入れましてこれを国内のメーカーで生産をするというものと、二つに分けられるかと存じます。そういった二つの方法を組み合わせまして国産化をはかるわけでございますが、私ども考えております現在の国産と申しますか、国内調達の比率としては、大体九割程度までを国内で調達をいたしたい、残りの一割につきましては、米車からの購入あるいは外国からの輸入という形で調達をする、かように考えております。
  192. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 少し急ぎたいと思います。  防衛二法案に関する改正が過去二カ年間停とんいたしておりました。これについていろいろな支障が生じておると思うのでございますが、この支障の内容について、具体的な説明関係担当官からいただきたい、こう思うのであります。
  193. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 今回の法案は、大きく分けまして、一つは増員の問題でございますし、もう一つは予備自衛官を増員をするという問題、いま一つは、現在第七航空団の司令部を茨城県の百里に移したいというのが主たる内容でございます。そこで増員問題につきましては、それはたとえば艦艇が襲撃してまいります、また航空機が射撃してまいります場合に、それに伴う人員がどうしても必要でございますので、この増員が認められませんと、勢い、結局既存の部隊からある程度隊員を集めまして、それによってやりくりをして、艦艇を動かしたり、航空機を動かす、こういうことにならざるを得ないのでありまして、これがことしで三年分ほどでございますが、過去二カ年間増員が認められておりませんために、そういうしわ寄せが各既存の部隊に行っておるということでございまして、各部隊の運営面に非常に支障を来たしておる、これが一つであります。  それから、一般的に申しまして、法案が通らないということが隊員の士気に影響する、あるいは隊員の昇任に影響するという問題がございます。  それから予備自衛官の問題、これはわが国の防衛力が、予備兵力につきましてまだ十分ではないわけであります。そういう意味で、二次防期間中に、三万名を増員したいということでございましたが、これが日の目を見ておりませんために、四十二年度におきまして六千名を増強いたしたいということでございます。これが予備兵力の確保ということでざいまして、これは有事に即応いたしますために必要なものであります。  さらに、第七航空団は現在その実体は大部分はすでに百里に移っておるわけでございます。すでにF104の部隊に飛行隊を編成いたしております。司令部のたとえば各飛行隊員でありますとか、あるいは基地業務隊員でありますとか、あるいは整備補給隊員でありますとか、こういう主力はもうすでに百里に移っておりますけれども、この法案が通りませんために、司令部そのものが移れないということで、司令部自体からの指揮、運営という面においていろいろな支障があるわけでございます。そういう意味で、これをここに具体的に御説明いたしますと非常にこまかくなるわけでございます。大体おもな点はそういう点でございます。
  194. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 いまの御説明はわかったようで実はわからんのであります。増加されるべき人員が増加されなかったら不便であることは、だれが見てもわかるのであります。私のお伺いしているのは、具体的に何ゆえにこういう要求をしなければならなかったか、しんぼうできなかったかという問題であります。しかし、これは時間の関係で省略します。ただそれに関連しまして一つお伺いしたいのであります。過去二カ年間においては陸上自衛隊の人員増はされておりません。今度千五百人の増員を要求しておられます。ところが、一方において陸上自衛隊において一万七千人余りの欠員があるわけです。充足し得ない欠員がある。これを充足すれば、当然千五百人はいいじゃないかという、これはそういう見解が成り立つわけです。それをなぜゆえに一万七千名の充足に努力することなく、千五百名の充足をここに要求されたか。これには何らかの根拠があるはずだ。その説明をしていただかぬというと、私は、これは問題があると、こう考えます。
  195. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 陸上自衛隊の定員十八万の問題でございますが、これは一次防以来の目標でございました。そこで、二次防の段階におきましても、四十一年度において千五百名というものを増員をしたいということでいろいろ努力いたしましたけれども、ちょうど自衛隊の充足率というものが三十七、八年は非常に下がっておるわけでございまして、欠員そのものがやはり二万数千名ある、こういうことで、実は増員問題は二次防から三次防へ見送ったわけです。ところが、その後充足の問題が非常に好転してまいりました。三十九年度、四十年度好転してまいりまして、最近におきましては、大体募集目標を突破するというふうな状況になっておりますし、募集の対象年齢層からいいましても、ここ一、二年というものは一応ピークになっている、こういうふうな状況で、募集そのものが非常に好転してまいったということでございます。しかしながら、もちろん一面定員を一〇〇%充足するということは、これは現在の充足が向上いたしましてもできがたい問題でございますが、そこで、そういうふうな欠員があるにかかわらず、千五百名の増員を何ゆえにやるのであるかということでございますが、これは実は自衛隊の編成の問題でございますけれども、自衛隊の編成と申しますのは、要するに、部隊が一つの任務を与えられまして、その任務を遂行していく上におきましてどれだけの定員が必要であるか、どれだけの装備の定数が必要であるかというふうなものを積み上げましてつくったものが編成でございます。したがいまして、一つの部隊をつくります場合には、そこの定員が何名であるか、あるいは装備の定数が幾つあるかというふうなことが部隊編成の基礎になるわけでございます。ということは、もちろん一つの部隊を運営をしていきます場合に、隊務運営の場合におきましても、あるいは教育訓練の上におきましても、これは充足率が多ければ多いほどいろいろ都合がよろしいわけでございますけれども、この編成というものが一〇〇%充足されていなければ、ほかの部隊ができないというふうなことではないと考えるわけでございまして、編成というものは一〇〇%の充足をされると限りませんが、要するに、この編成をもって有事において行動するということでございますので、有事においてはその編成をもとにして緊急に人を集めるというふうなことで、その編成をもとにして行動いたす、こういう性質のものでございます。全般的に充足率が高まるということは非常にぐあいがいいということはもちろんでありますけれども、全部の部隊が一〇〇%近く充足されなければ新しい部隊編成はできない、こういうものとはいま考えておらないわけでございまして、そういう意味で、今度の千五百名というものも、主としてヘリコプター団あるいは方面ヘリコプター隊、こういう部隊を中心にいたしましてお願いをいたしているわけであります。
  196. 山本茂一郎

    山本茂一郎君 時間に関係ございますので、私は、本日はこの辺にいたして将来またお尋ねいたしたいと思います。
  197. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕     —————————————
  198. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  それでは、両案につきましては本日はこの程度にいたし、本日はこれをもって散会いたします。    午後五時二十五分散会