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政府委員(新谷正夫君)
大臣から御
説明のありましたとおり、法務局につきましては、年々事件が非常な増加の
状況を示しております。これに対処いたします方策といたしましては、何と申しましても、
人間が不足いたしておりますので、
増員ということが第一の
重点になっているわけであります。しかし、政府全体の方針といたしましても、公務員の数はむやみにふやすことは差し控えるべきであるという基本方針もございますので、われわれといたしましては、そのワクの範囲内で可能な限りできるだけ
人員の
確保につとめてまいったというのが過去の経緯でございます。御
説明のございましたように、過去数年間におきまして年々百人あるいは二百人という
増員が認められてまいりました。本年度におきましては、法務局の凍結
人員四十二名を全部凍結を解除していただきましたほかに、ほかの
法務省所管組織からの凍結
人員を割愛していただきまして百五十八名をふやして、それだけ法務局によけいに
人員を採用できるという特別の措置を講ぜられておるわけでございます。もちろん、この二百名では十分ではございません。そこで、先ほどの御
説明にもありましたように、いろいろの他の施策についても強力な方策をただいま推進いたしておるわけでございます。いろいろございますけれ
ども、先ほどの
大臣の御
説明をさらにふえんして申し上げますと、庁舎のあり方というものが登記事務に非常に影響いたしますのでございます。明治年間につくられました庁舎がずいぶんたくさんございますが、率直に申し上げまして、ごく最近まで日本で一番大きな商業登記簿を擁し、登記事務も一番大きいものとされております東京の日本橋の登記所でございますが、これが残念ながら五日ないし一週間ぐらい謄抄本の
作成に要する日数としてかかっておったわけでございます。何とかしてこれをその日に全部処理できるようにする
方法があるまいかということで苦心いたしたのでございますが、
人員の増加あるいは機械の導入ということと相まちまして、とりあえず暫定的な措置でございましたけれ
ども、庁舎の
改善をいたしまして、この倉庫のあり方、事務室の机の配置等をいろいろ
考えまして思い切った措置をとってみましたところが、その庁舎の
改善と相まちまして、日本橋登記所におきましては全部事件がその日のうちに処理できるようになったという実績を示したのでございます。そこで、私ど
もとしましては、
増員の
要求と同時に、
施設の
改善ということを最も重要な主眼といたしまして、これを
予算要求の大きな
重点項目といたしております。全国に約千五百の出張所、いわゆる登記所と言われるものがございますが、この中でも特別に緊急
改善を要するものを三百三十六カ所選びまして、十年計画という、まあちょっと長過ぎるきらいがございますけれ
ども、十カ年計画でとりあえず緊急な
改善を要する庁舎の改築にかかろうというので、これが本年度で第三年度に入ってまいりました。おかげで本年度までの庁舎の新営を設められた数がおおむね当初予定どおり進行いたしておりますけれ
ども、これもなお一そうその
期間を短縮する等の措置を
考えまして、できるだけすみやかにこの十年計画が完遂できるようにということを
考えておるのでございます。そのほかに特殊な登記所向きのタイプライターを特別に考案いたしまして、登記簿のみに向くような能率的なタイプライターでございますが、これを全国の登記所に現在どしどし配置いたしまして、従来のような手書きの非能率なやり方を改めてしまおうということ、をやっております。これによって非常に能率が上がりますのみならず、謄抄本の複写をとります際に非常に迅速に処理ができます。能率の面には大いなプラスになると
考えております。さらに複写機等につきましても、性能のいいものに順次切りかえていくというのが
現状でございます。まあいろいろ機械化の方策等もございますが、そのほかになお制度そのものの問題も私ど
もとしては非常に重視いたしているわけでございまして、機械化を採用いたしますにしましても、現在の登記簿あるいはその用紙のままでいいかどうかという実は問題があるのでありまして、そういった機械化に不向きな登記簿を機械化に乗せられるような新しい効率のいい用紙に切りかえていくという、これは粗悪用紙の切りかえと言っておりますが、そういった
作業も大々的に始めております。さらに、登記簿と台帳を一元化することによって事務の能率化をはかる。また、商業登記におきましても、登記簿の様式を
改正する。あるいは、これを思い切って従来の帳簿式の登記簿をやめまして、利用度の高い登記簿につきましては、各会社ごとにファイリング・システムを採用いたしまして、これによって登記簿の閲覧の競合を防止できるというような非常な利便がございますので、そういった措置等を講じておる次第でございます。登記所の事務が渋滞いたしますことを防止いたしますためには、
増員のみではどうしても足りませんので、いろいろの施策を講じまして、逐次その実施に移しているわけでございまして、今後ともこういった施策を強力に推進いたしたいというふうに思う次第でございます。