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1967-06-29 第55回国会 参議院 内閣委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十九日(木曜日)    午前十時五十六分開会     —————————————    出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 宮崎 正雄君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 中村 英男君                 前川  旦君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        法 務 大 臣  田中伊三次君        運 輸 大 臣  大橋 武夫君    政府委員        法務大臣官房経        理部長      辻 辰三郎君        法務大臣官房司        法法制調査部長  川島 一郎君        法務省民事局長  新谷 正夫君        法務省矯正局長  勝尾 鐐三君        法務省保護局長  本位田 昇君        法務省人権擁護        局長       堀内 恒雄君        法務省入国管理        局長       中川  進君        公安調査庁長官  吉河 光貞君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省海運局長  堀  武夫君        運輸省船舶局長  芥川 輝孝君        運輸省船員局長  河毛 一郎君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        運輸省航空局長  澤  雄次君        運輸省観光局長  深草 克巳君        海上保安庁長官  亀山 信郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        法務大臣官房人        事課長      羽山 忠弘君     —————————————   本日の会議に付した案件法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、参議院送付) ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案の質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、田中法務大臣、その他政府委員方々でございます。  速記とめて。   〔速記中止
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を始めて。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して二、三お伺いしたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのは、この提案理由にございました喜連川少年院の新設に関連して、非行青少年対策についてお聞きしたいわけです。法務省のお出しになった例の犯罪白書を拝見したのですが、それを見ますると、青少年犯罪非行に激増しておるだけではなくして、非常に凶悪化している、それから低年齢層化しておる、そしてまたさらには中流家庭少年へも彼及しておるということが統計的に示されておるわけです。そこでお伺いするわけですが、この青少年非行問題がいま、社会問題としてだけではなく、政治問題として多く取り上げられておる現状であるわけです。そこで、一方成人層犯罪の数を見ますると大体横ばいになっておるにもかかわらず、青少年犯罪は激増しておるということは、きわめてゆゆしい問題であろかと思います。もとより、この青少年非行対策は、法務省に限ったことではなく、各省庁全般に関連した問題であろうと思うわけです。だがしかし、この際は、法務省立場からどのような対策をとっておられるのか、そしてまたその実施状況、そういうものについて、ごく概要でけっこうですから、大臣から御説明いただきたい。
  5. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) おことばのように、最近少年犯罪は、単に量のみならず、質においてもだんだんと凶悪化する傾向にございます。また、家庭的な方面からながめましても、おことばどおり中流家庭から出る案件の数がふえてきておる。これはゆゆしい大問題でございます。これを手続的にいかにするかという問題と、もう一つ大事な問題は、その根源をなす青少年生活根源を改めるという問題と、二つあろうかと存じます。主として私のほうの関係は先の関係でございます。しかし、あとの関係につきましても一言申し上げますと、どうもおとな責任に帰するものが多いのではなかろうかということを考えるのであります。文化財の問題にいたしましても、マスコミの責任にいたしましても、まあ映倫映倫で一生懸命にやってくれているのでございますけれども、まだまだその運営の面においていろいろお考えを願わなければならない問題が多い。その環境が非常によくないということでございます。教育的環境を見ましても、学校教育社会教育家庭教育、いずれもおとな責任に帰するものが多いのでございます。こういう面について、青少年環境を改めていくことに国をあげて御協力を願う方向に持っていかなければならない。それから、いま先生のおことばがありました最後の手続の問題でございますが、まず一番大事なことは、私就任以来力こぶを入れております点は、いわゆる非行少年と申しますが、初めから悪質の少年が飛び出すということは少ないのでございます。何としても一番最初は、いわゆる指導補導非行少年と言われる子供たち非行指導についてひとつしっかり力こぶを入れていきたい。これは警察関係も、一般の補導員方々も、私たちのほうも協力いたしまして、指導補導に力を入れていき、大火事にならない間にこれを指導し、補導をしていくということに力こぶを入れていきたい。案外これが、従来の行き方から見ますというと、おろそかということばは使いかねるのでありますけれども重点をそこに置いてなかったのではなかろうかと思う節が相当に強うございます。それで、その補導指導のしょっぱなの入り口でまず力を入れていこう。そうして、これを検挙をいたしまして、審判をいたします。検挙警察が行ない、審判家庭裁判所が行なうことになっているわけでございますが、そういう指導補導、それから検挙審判、それから矯正保護——少年院少年刑務所その他に入れましてこれを矯正をいたしまして、さらにその矯正の終わりました者に対しては更生保護を加える。こういう一連手続というものを、やはり警察、検察、それから家庭裁判所、それから少年院少年刑務所、その他の諸施設、それからそれが終わりました後における更生保護というような一連のものにつきましては、総合的な刑事政——総合的刑事政策というのはわかりにくいことばでございますが、これを総合いたしました総合的な刑事政策というものに力を入れていきたい。なかんずく私の考えますのは、一番最初に申し上げました指導補導のその時点で特に留意、力こぶを入れて子供を取り扱っていくようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。法務省もそういうことに意見一致を見ておるわけでございます。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま対策概要について御説明があったわけですが、その対策の一環として、結局いまいろいろあるわけですが、少年法改正を検討しているように伺っておるわけですが、そうだとすると、その少年法改正についての作業はどのように進展されておるのか。前の石井法相のときに新少年法構想について発表されたわけですが、その構想の中に、いわゆる適用年齢の引き下げとか、あるいは検察官先議権の問題があったと思うのですが、この問題については最高裁との話し合いが進められているように聞いておりますが、その話し合いについてはどのように進展しておるのか、こういう問題を一括してお答えいただきたい。
  7. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 少年法改正の大まかな方向といたしましては、石井法務大臣時代にお考えになっておりました方向と、発表されております方向と、変わりはございません。ただ一点だけ私になりまして変わった点がございます。その点は、現在は、先生御承知のとおりに、少年は二十歳未満少年と見ておる。今度の石井さん時代改正では、その二十歳未満を十八歳未満と二年下げる。そうして、単に下げたのみならず、二十三歳未満という三年間上積みをするという考え方でありました。三年間と下げました二年間とを合わせまして合計五年間の年齢期間を、これを青年層と申しますか、そういうふうにいたしまして、おとなとして扱うのであるが、同時に少年としても取り扱いができるようにしていこう、この五年間の年齢というものは大事な年齢でございますからそれをおとなとして扱うのだ、そうして十八歳未満のみを少年にするのだ、そう急転直下いかない、そう急激に変化をさすこともいかがかというところから、その五年間はおとなとして扱うたてまえであるが、事情によっては少年としても扱ってやるのだ、こういうふうに考えまして、おとな子供中間層という意味で青年層という考え方が出ておったのが、石井時代構想でございます。そこで私は、だんだんとその研究をし、各方面意見を聞きました結果、上積みのほうはひとつこれをやめたらどうだろうか、複雑に持っていかないで、現在二十歳未満を十八歳未満とする、その二年間はおとなとして扱うのだが、心身の発育その他本人の事情いかんによって場合によっては少年としての取り扱いもできる、両様できるようにしてやろう、そういうふうに単純に持ってまいります、さらに、二十三歳未満は三年間の上積みはそれはよそう、そういうことに単純に修正を加えまして、ただいま法制審議会にかける案文を立案さしておるわけで。ございます。  それからもう一つ了解をいただきたいと存じますことは、法制審議会——決して私は法制審議会のことをどうこう言うのでは、ございませんが、非常に熱心な大事な会議をして苦労をしてくれておるところでございますが、どうも最近の法制審議会のやり方を拝見しておりますというと、時間がかかり過ぎる。そこで、あまり時間をかけておりましてはお役に立ちませんので、こういう少年犯の激増する時代に必要に応じて改正をしようというのですから、こんなものをそう一年も二年もかかっておられてはとても急場の間に合いませんので、具体的な案文をつくりまして、非常に具体的な条項というものを作成をいたしまして、具体的な案文法制審議会に付議したい、そのかわりに審議は短くしてもらう、二カ月とか三カ月とか五カ月とか短い期間審議していただく、こういう方針で、提案をいたしますときに、具体的な案文国会提出のできる寸前ぐらいな案文をそこに作成をいたしまして、そうして誠意をもって付議する、こういうことで、短い期間審議をしていただきまして、これを法務省にお渡しを願い、それに基づいて国会提案をしようという考えでございまして、大体は非常に急いでおるわけでございますが、いままでに時間がかかり過ぎております。来年の一月——次通常国会休会明けの一月終わりまでには法制審議会答申を受けまして国会提出をする段取りに持ち込みたい、こういう意気込みでただいませっかく苦心をしておるところでございます。  それからもう一つお尋ね最高裁との関係ということでございますが、たいへん表面から見ますと最高裁とのあつれきが強いように皆さまお考えになっておるわけでございます。私も、法務省に参りますまでに、すでに最高裁の御意見というものは公表されておりましたわけで、その公表されました意見を十分にかみしめまして、その上で私みずから足を運んで最高裁訪問をいたしました。弁護士会訪問をいたしまして、どういうニュアンスであろうか、どういうお考えであろうかということを懇談をしてまいりました。いろいろ個々に意見も聞いております。そういう努力をいたしましたが、いま先生ことばのように、まず第一はその検察官先議権という問題に賛成ができないということが一つの大きな点でございます。それからもう一点は、青年層といいますか、これは五年間の青年層というものに反対なんですね。私になりまして、これを二年間の青年層に縮めたわけです。上積みをやめたわけでございますが、まあ上積みがあるものとして五年間の青年層時代意見を前提として最高裁判所反対という御意見が出ておる。それからもう一つは、私のほうで持っております少年鑑別所、それから最高裁のほうでお持ちになっております家裁の調査機関というものの二つを合わせて一つ国家機関に統合をいたして充実したものたしてはどうであろうかという、紙一機関を新設するという、この点につきましても、第三点として強い御反対がございました。しかしながら、この御反対は、いずれも全く理由のないものでもない。いずれも全く理由のないものでもございません。そう仰せられると、そういうふうに考えてもよかろうと思う節もございます。そこで、この問題については、私もゆるやかな態度でお話をしてまいりました。法制審議会にかけてこの問題の三点はしっかり審議をしてもらいたい、これにかわるべき方法があればかわるべき方法を出してもらいたいというふうに、ゆとりのある考えで現在は作業を続けておるという事情でございますので、表面ごらんのごとく非常な対決があるわけでもない。これは譲るべきところを譲りまして、また新しく考え直すところは考え直していきますならば、ある程度意見一致も見るように漸次進めていくことができるのではなかろうか。それは国会に出しますまでの法制審議会審議においては、裁判所側委員もいらっしゃるわけでございますから、十分御意見を承りまして、ゆとりのある審議をして、そうして答申に持ち込んでいただきたい、こういうふうに考えております。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私も各種少年院などしばしば実際に視察したことがございますが、そのいわゆる感じからも、次のようなことをお伺いしたいと思うわけです。現行少年法が施行されて大体二十年になろうかと思いますが、この現行少年法改正について大臣一体どういうふうにお考えになるか。もとより少年法改正ということも必要でありましょうけれども、私ども各種施設を見て感じますことは、やはり各少年院施設の充実とか要員確保、また保護観察機構強化拡充と、こういうことを痛感させられておるわけですが、きわめて施設も貧弱だ、要員もきわめて少ない、労働過重ということで、十分所期目的を達するには現状ではきわめて不十分だと、こういう印象を強く受けてきておるわけです。こういうことは、少年法改正も必要でありましょうけれども、まずもってこういう施設拡充要員強化、こういう点に最重点を置いてこれを整備することが急務中の急務ではなかろうかと思うのですが、この点いかがですか。
  9. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) まことにおことばのとおりでございます。いろいろ非行少年取り扱いには重要な点はございますが、いま一番大きな欠陥は、おことばに便乗するように聞こえるが、そうでないのでありまして、現状は非常に施設が悪い、そうしてこれに従事いたします少年刑務所少年院等教官、看守の人員が非常に少ないということが大きい欠陥であろうかと存じます。それで、私が法務省へ参りますまでの年度を見ましても、年々歳々教官増員をしてきておるわけで、本年も若干の増員に成功したわけでございますが、今後一そうこの人員増員施設強化ということに力こぶを入れていきたい。最近は義務教育学校の分校まで設けまして教育をいたしますようなことをいたしておりますのみならず、単に収容して、しかるのみでなく、職業補導にも相当力を入れて効果をあげておる。職業補導——具体的な職業をからだにつけるという方面の行政には相当な成果があがっておるように存じますので、人員増加とともに、施設改善を行ないまして、そうして教育もしっかりいたしまして、また身につける職業補導についても力こぶを入れるように反省していきたい、こう考えております。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回稲葉委員から「刑務所及び少年院収容定員収容状況」等に関する資料要求があって、それにこたえて出していただいておりますが、せっかくここに刑務所少年院とありますが、この少年院の中にはおそらく少年鑑別所は入ってないと思うんですが、そうだとすると、せっかくここへ数字が入っておりますから、この際、おわかりでしたら、少年鑑別所について、収容定員とか収容人員、こういう数字いまおわかりでしたら御説明いただきたい。
  11. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 少年鑑別所について御説明申し上げます。少年鑑別所収容定員は二千三百九十八名、収容人員二千四十五、収容率八五・〇%。施設の数でございますが、本所は五十、支所一、計五十一。これが施設収容定員収容状況でございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいまの説明でもよくわかるように、施設の増設のほとんど見るべきものがないわけですね。また人的面でも、ここにも稲葉委員要求に対しての資料がございますが、これを見ても、人的面でも強化がされておるとは解釈できないわけです。少年犯罪の非常に再犯が多いこと、それからよく私ども身近に見受けるわけですが、集団脱走事件どもしばしば繰り返されている。そこで、少年院教化活動十分目的を果たしているかどうか。先ほど大臣の御答弁もございましたが、なかなか期待が十分持てない面が相当あるわけですね。そこで問題は、少年院職員とか教官等待遇改善されることが、要員確保もさることながら、その確保した要員処遇改善ということも非常に当面教化活動に関して密接な関係を持つものではないかと思います。こういう点について、ひとつ明快な御説明をいただきたいと思います。
  13. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 少年院職員についてお尋ねでございますが、現在私のほうで、少年院、あるいは少年鑑別所、さらに刑務所職員について、問題としてぜひ検討いたしたいと思っている点、これを二、三御説明を申し上げたいと思います。  一つは、勤務形態並びに時間が二十四時間勤務であるということでございます。結局、夜間、収容者が寝室に入っても、やはりこれを見ていなければならないという、このような形態勤務は、おそらく他にはないのではないかと思います。それからいま一つは、職員が接する収容者というのが、遺憾ながら、要するに社会適応性の欠けていた人たちに接触するわけでございます。したがいまして、その勤務の実質も非常に困難な状況である。さらに、勤務場所が、言うなれば、へいあるいは金網の中での、閉ざされた場所での勤務でございます。さらに、勤務が明けて帰りますのも、歩いて五分足らずの官舎住まいでございます。結局、職員生活環境勤務環境というのは、いわば陸の孤島とも言うべき特殊な立場にある職員でございます。したがいまし、こういう職員に対する俸給表が現在のままでいいのだろうかどうだろうかという根本の問題が一つあろうかと思います。しかし、さらに、それはさておきまして、いわゆる超過勤務の問題でございますが、かりに夜勤をしまして午前七時に明けたとしても、すぐ帰れない、必ず生きた人間を次の交代者に引き継ぐ、最低限度三十分なり一時間なり超過勤務が、これはやらないで済むという性質の超過勤務ではない。そういう点を考えますと、どうしても勤務場所環境を整備して明るくしてやるということ、さらに物質的な手当といたしましては、いま言った超過勤務についてはできるだけ十分な支給をしてやるようにしていきたい。さらに、できるだけ時間をつくってやって、生きた人間を相手にする識見、技能というものをぜひ充実していく必要があろうと、そのような点を問題として、それらの改善に鋭意努力しているというのが現状でございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この処遇については、何も少年院職員に限ったことではなくして、昨年松山刑務所に見られたあの例の不祥事件、こういう点をあわせて考えてみても、教化観護関係される職員のいわゆる規律の保持とか処遇改善、こういうことは全く急務中の急務と指摘せざるを得ないわけです。これはいま初めてこういうことを申し上げるわけではなく、当委員会法務省設置法がかかった際は、必ず私どもこういう点を指摘して、強く具体的な改善策を要請しているわけです。にもかかわらず、この数字を見ても、あまり見るべきものはない。やはり具体的にこれを予算化してですね、一歩一歩着手すべきであると思うのです、前向きに。あまり見るべき進歩は見られないわけです。ひとつこの点については、大臣としても、当面の重点事項一つに加えて、強力に推し進めてもらいたいと思うのですが、その決意のほどをこの際伺っておきたいと思います。
  15. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) おことばをいただきまして、たいへん恐縮に存じます。御意見のごとくに、施設強化と相まって、この待遇改善ということには今後とも力こぶを入れていきたいと存じます。  それから当面の対策でございますが、これは私は私なりの考えをもって推進しているわけでございますが、まことにこの申しわけのないのが松山刑務所不祥事件でございます。こういうことが再び起こることがありましてはまことに申しわけがない、こう考えますが、その原因は、いま御同情をいただいております職員待遇処遇に欠くるところがあるというばかりでなく、私の見ますところでは、綱紀が弛緩している、こういう環境でこういうところで働いている役人の綱紀が弛緩している、綱紀の弛緩に強い原因があると、こういうふうに判断をいたしておりますので、法務省で行なっておりますあらゆる会同その他の機会をとらえまして、声をしぼって綱紀の粛正ということに力こぶを入れているわけでございます。綱紀の振粛によりましてこういう行動は絶滅のできるもの、加うるに待遇改善——実情に即した行き過ぎのない待遇改善ということによりましてさらにこれを健全にすることができると、こういう考えをもって対処していきたいと思います。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この喜連川少年院設置については、前に稲葉委員から一部御指摘がその後あったと思いますが、関連ございますから伺っておきますが、地元側との了解協力はもうすでに得ているか、それから施設予算関係はどうなっているか、あるいはまた敷地の所有関係はもう解決しているのか、こういう問題を一括して要点だけをお聞かせいただきたい。
  17. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 地元関係につきましては、完全に御了解をいただきまして、私も現地に参りまして所在地の関係者の方にお目にかかりました。非常に好意的な受け入れでございます。それから、予算関係につきましては、昭和四十一年度の予算関係に相なりますが、宇都宮市の南のはずれのほうに宇都宮刑務所——江曽島農場と称しておりますが、農耕場がございます。その土地の一部を財源にいたしまして、それの値段に見合う面積を喜連川で獲得したものでございます。したがいまして、所有権関係も終了いたしております。それから、さらに建物につきましても、四十年度、四十一年度の予算で全部完成を見ております。予算等関係はそのように相なっております。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先日大臣から提案理由説明をお聞きしたわけですが、その一節に「最近大都市周辺の少年院においては収容者が増加する傾向にあり、」云々と、だから少年院を新設する必要があるのだ、そういう意味づけにしているわけです。それはよくわかるのですが、しかし、喜連川少年院はなるほど新たに新設してその趣旨に沿うているわけですが、神戸の再度山学院は廃止するのでしょう。一方は新設して、一方は廃止して、プラス、マイナス同じじゃないですか。せっかくここに、大都市周辺の少年院収容者が増加するのだから新設の要があるのだ、だから新設を認めてもらいたい、喜連川少年院はそういう趣旨に沿うての新設だ、まことに理路整然としているわけです。それならいいのです。今度は再度山学院を廃止してしまうわけですね。どうもここのところ趣旨一貫していないと思うのですが、この点御説明  いただきたい。
  19. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 全国に少年院、現在再度山も入れまして六十二ございますが、ここ数年来の犯罪傾向が、先ほどお話にもございましたように、大体大都市地域に多発するという傾向がおおむね固まってきたと私のほうで考えております。したがいまして、そういう状況をにらみまして、全国の少年院の所在地とその収容状況というものを見ました際に、このような最近の固まってきた傾向にマッチした少年院の再配置をする必要が少なくないのではないかというのが第一点でございます。その場合に、先ほどもございましたように、関東ブロック管内というのが、収容定員に関しまして、収容状況は一〇九%という過剰収容でございます。さらに、そのうち中等少年院が特に過剰収容状況になっておる。それに比較いたしまして、他地方を比較いたしますと、一〇〇%をこえるのが現在北海道でございます。これは一三五%の収容状況になっております。そこで、こういう収容状況で再配置を考える際に、古いものはできるだけ新しく近代的なものにかえていきたいということで、シラミつぶしに一つ一つ少年院に当たったわけでございます。その際、再度山と、さらに同じ六甲にあります鈴蘭台という少年院がございます。これは現在地改築が可能であろうか、また妥当であろうかということを検討いたしましたところ、両者ともこれは山の中でございまして、水はなく、職員の家族が町へ出る途中凶漢に襲われるという状況その他が。ございまして、ここで改築をするということは適当でないというのが出た結論でございます。そこで、一方全体の状況をにらみまして、関西につきましては、加古川に播磨少年院という新しい施設をつくりまして、一方関東には喜連川に中等少年院をつくりまして、そうして鈴蘭台と再度山をこの際改築をするよりも廃止をしても、収容状況並びに新しく建った播磨並びに喜連川とをあわせて収容の現状を見ましても差しつかえないということで、再度山を廃止した、こういう経過になるわけでございます。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この神戸再度学院が廃止になりますと、当然にそこにつとめおられる職員の身分がどうなるかという、そういう問題が一つ起きてくるだろうと思います。もちろん、配置転換を強行してやれば、机の上の事務はりっぱに進行するでありましょうけれども、やはり神戸に在住、地元の人もおりましょうし、それがはるかに離れた遠方へ移るということになると、いろいろむずかしい人事問題が出てこようかと思うのです。なるべく配置転換を了解もとでやることはいいわけですけれども了解なくして無理強行するということは極力避くべき問題の一つだと思うのです。そういう点で、この点をひとつ納得のいくように御説明いただきたいと思います。
  21. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 現実に再度山に勤務しております職員につきましては、播磨、あるいは加古川、あるいは浪速、河内という近辺の少年院にそれぞれ本人の居住地の交通事情その他を考えまして配置転換をいたしました。そうしてさらに、今度は喜連川のほうにつきましては、一応再度山の定員の数だけは喜連川のほうに回せるわけでございますが、そのほうの回し方につきましては、東京近辺に転任を希望している職員というのがかねがね申し出があるわけでございます。したがって、そういう希望する転任職員を関東のほうに転任をしていただき、さらに足りない分は新規採用をするということで、その点は御心配のような点はなしに実現できるということでございます。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま御答弁があったわけですが、この御説明のとおりだとすれば心配ないわけですが、ここで確認しておきたいことは、配置転換等については、無理強行は断じてしない、そういうふうに理解していいわけですか。
  23. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) おことばのとおり、絶対に無理はいたしません。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、問題をかえまして、入国管理事務所の出張所を今度六カ所設置されるという提案理由がございましたが、これに関連してお伺いいたします。  今回の法案では、六カ所の出張所を設置しようとしているわけですが、まずお伺いしたいのは、庁舎関係は問題ないのかということですね。もちろん急に新造できるわけじゃありませんから、借り上げ等の措置を講ずると思うのですが、施設がその港における他の港湾関係の行政機関と地理的な関係は一体どうなっているか、こういうことはきわめて大事なことだと思うのです。六つの出張所のうち、港湾関係の合同庁舎ができており、それに入る分もあろうかと思いますが、そういうものについてもひとつあわせてお答えをいただきたい。
  25. 中川進

    政府委員(中川進君) 御指摘のとおり、ごもっともでございます。やや詳細にわたりまして御説明いたします。  小名浜でございますが、これは東京検疫小名浜出張所というところへ一緒に入るつもりでございます。それから秋田でございますが、これはやはり御指摘の合同港湾庁舎、それへ入ります。七尾でございますが、これは石川県がある運送会社に貸しておる、その貸しておる建物の中に一緒に入れてもらうつもりでおります。小松島でございますが、これは貿易会館というところへ入るつもりでおります。それから大分は、市役所の鶴崎支所という市役所の建物、この中に間借りするつもりでおります。細島でございますが、これは延岡地区の新産業地区建設局港湾課分室というのがございまして、そこへ入れていただくつもりでおります。要するに、御指摘のとおり、全部港に非常に近く、またほかの関係諸官庁とあるいは同居、あるいは同居しないまでも非常に近くということは十分考えて決定したつもりでございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最近港湾関係行政機関の一元化ということが強く叫ばれておるわけです。臨調でも、港湾における各行政機関が地理的に分散しておることは港湾事業者に非常な不便を与える、こういう関係から合同庁舎の建設を促進しておるわけです。それと書類とか手続の簡素化についてあわせて答申をしているわけです。少なくともこの合同庁舎が建設せられるまで、いわゆる現在の体制——いわゆる現在の体制というと、長期出張という形をとっておると思うのです。それでもいけるのではなかろうかと私ども考えておる。その点は一体どうなのか。それから、これらの出張所はいずれも所長以下二名の構成であるようですが、そのような少人数の出張所を設置することにもいろいろと問題があるのではなかろうかと思うのですが、こういうことについてもあわせてひとつ御説明いただきたい。
  27. 中川進

    政府委員(中川進君) 御指摘の、港湾関係諸官庁がなるたけ一緒のところに集まって、そしてこれに、何と申しますか、いろいろ手続をなされる側の民間業者のほうの御便宜をはかる必要があるということは、御指摘のとおりでございまして、中央におきましても、またそれぞれの現場の港所在地におきましても、正式な名前はちょっと忘れましたが、そういう港湾行政一元化と申しますか、簡素化と申しますか、そういう連絡協議会みたいなものができまして、御指摘のような点についての能率増進、事務の簡素化ということについて検討を進めておるはずでございます。  それから、入国管理事務所の出張所といたしましては、やはり予算関係でたくさんの定員がとれませんでしたことは、残念ではございますが、しかし、二人でもとにかくそこに常駐しておりまして、いつでも港から出入りされる船の乗員の方方にサービスする、あるいはその近在に住んでおられる外国人の在留管理に当たるということは、これは私は行政のあり方として妥当なものである、こう考える次第でございます。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次は、定員関係で若干お伺いいたしますが、この設置法の改正案では職員の定員には触れていないわけですね。そこでお伺いするわけですが、法務局の職員の定員増の必要はいまないのですか。定員増がなくても、事務処理に十分支障がないのか、こういう点をひとつ御説明いただきたい。
  29. 中川進

    政府委員(中川進君) 御指摘の点、まことにごもっともでございまして、私どもといたしましては、何とかして増員を認めていただきたいと思いまして、予算折衝を重ねたのでございますが、いかんせん通りませんで、とにかく現員のままでやれというふうにきまりました。そこで、そういうふうにきまりました以上は、私どもといたしましては、現在地方に千三百十五名の職員がございますが、これの再配分といいますか、その中からこの十二名の兵力をあっちこっちからひねり出しまして、そうして、とにかく理状兵力で、兵力増強なしに、事務所だけふやすということにやむを得ずやっておるわけでございます。しかし、来年はこのふえただけの事務所の定員はぜひとりたい、かように考えております。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この定員問題については、凍結欠員の解除、そういう形で行なわれておるのです。この凍結欠員の状況ですね、それと、本年度の解除の状況、これは一体どうなっておるのか、要点だけでけっこうです。
  31. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) お答え申し上げます。  本年度は、凍結欠員が、所管で、予算編成当時三百五十人解除に相なりました。その解除に相なりました内訳は、本省が一人、法務総合研究所が一人、刑務所関係が七十八人、少年院が十五人、少年鑑別所が七人、更生保護官署が——これは保護観察所でございますが、三人、それからただいまお話のございました地方入国管理官署、これが三人、法務局が二百人、検察庁が二十七人、それから外局の公安調査庁が十五人、こういうように相なりまして、合計で三百五十人が解除に相なっております。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、なお伺いますが、一体法務省としては、この法務局関係の定員増についてはどの程度要求したのか、初め全然要求していないのか、そういうこと。  それから、法務省としては、その法務局について四十年までは数年間毎年二百名程度の定員増を要求してきておるわけですね、増を実際に行なってきたわけですね。しかしながら、それとはアンバランスに、登記事務はますます増大する、そういうのが実情だと思うのです。その程度の増員計画でこの登記事務の処理が十分できるのかどうか。現在当委員会には、法務局職員一万名の増員についての請願書が出ておるわけです。しかも、この一万名の定員増の請願は採択になっておる。この請願書の要旨は、一般登記事務は十年間に四・五倍の増加を示しておる、一方人員については一四%の増である。非常に一目瞭然、きわめてアンバランスの状態であるわけですね。四・五倍と一四%とでは比較すべくもないわけです。これで登記事務が渋滞しているのは理の当然です。長い間当委員会においても、この登記事務のいわゆる滞貨については毎回重要な問題とされてきたわけです。十年一日のごとくこの問題はいわゆる時の問題として指摘されてきたわけですが、解決するどころか、ますます滞貨がふえておる、これが実情だと思うのです。もちろん、定員の増だけで解決する問題じゃないと思いますね。各面から十分な検討と創意くふうを加えること、並びに要員確保、これが両々相まって成果をあげ得ると思うのです。しかし、現状をもってしてはなかなか滞貨は処理しがたい実情です。先般ある地方の法務局に行ってまいりまして、実際にこの目で確認してきたわけです。そういう要員不足ということは、ひいては労働過重ということにもなる。いろいろ問題を次々に起こしていく要因になろうかと思うのですね。そこで、要員確保ということと、まあ登記事務ということになると一般国民に非常に関係の深い事務でありますから、国民としては一刻も早い処理を熱望しておるわけです。にもかかわらず、一たん出したものは長いものは半年、一年もかかるという事例も中にはあるわけですね。こういうことで、ひとつ早急にこの問題も前向きの姿勢で、年次計画で五年、六年の間にはりっぱに処理できる——これを短期間に直ちに処理するということは、なかなか長年の弊が続いておりますから簡単には処理できぬと思いますが、そういう前向きの姿勢で早急にひとつ処理する方策を講じてしかるべきである。ただ方策を講ずるだけでなく、これはできるものからどんどん実現に移していくという、こういうかまえが必要であろうかと思います。こういう点について大臣としてはどのように考えておられますか。
  33. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) おことばのように、法務局関係は国民の皆さんにだいぶ御不便をかけておるということは率直に認めなければならないと存じます。そこで、問題は人員でございます。この人員の問題については、ただいま御意見のありましたような事情で、これに全力を入れようというかまえは見せているのでありますが、なかなか予算折衝においてもうまくいかない。予算折衝を始めます寸前に私も法務省に来ることになりました。同様のただいま仰せをいただきましたような御趣旨で全力を入れました。その結果、凍結欠員が三百五十名ばかりありますので、この凍結欠員三百五十名全員をひとつ解除しろと、さらに進んで定員の増をやりたいけれども、そこまではいかぬとしても、凍結欠員はひとつ全部これを解除をしてくれという交渉にだいぶん時間をかけました結果、三百五十名というまあ大幅の解除に成功をいたしました。つきましては、三百五十名のうちで二百名をひとつ思い切って登記のほうに分配しようということで、二百名の分配をいたしまして、いませっかくその激励をいたしておるところでございます。  それから、一つは将来の問題でございますが、やはり増員も、これからはある程度思い切った増員をしてもらわなければとうていやっていけぬ。やっていけぬが、同時に登記事務を、予算折衝の寸前に私は東京の登記事務所を数カ所見てまいりました。見てまいりましたが、何としてもやはり、この事務所と申しますか、建物、施設改善を行なうこと、施設改善というものがずいぶん登記事務の促進に役立つことがわかりました。同時に機械化でございます。タイプをはじめとし、その他の機械化に力こぶを入れまして、ボタン一つで複写ができるような処置を講ずることができれば、人員は少なくとも確かにいける、また国家の上からも大きな経済である。こういうことも気がつきましたので、本年は若干の機械化にも成功しておるわけでありますが、今後は機械化と、それから建物の中の設備の改善という、一口に言って書類の置き場でございますが、その書類の置き場にくふう改善をほどこすという、その両方の面においても力こぶを入れて、人員の増強と相まって、国民の皆さんにこれ以上の不便をかけることがないようにしていきたい、こういう心がまえを持っているわけでございます。その他の事柄については事務当局からお答えをいたさせます。
  34. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 大臣から御説明のありましたとおり、法務局につきましては、年々事件が非常な増加の状況を示しております。これに対処いたします方策といたしましては、何と申しましても、人間が不足いたしておりますので、増員ということが第一の重点になっているわけであります。しかし、政府全体の方針といたしましても、公務員の数はむやみにふやすことは差し控えるべきであるという基本方針もございますので、われわれといたしましては、そのワクの範囲内で可能な限りできるだけ人員確保につとめてまいったというのが過去の経緯でございます。御説明のございましたように、過去数年間におきまして年々百人あるいは二百人という増員が認められてまいりました。本年度におきましては、法務局の凍結人員四十二名を全部凍結を解除していただきましたほかに、ほかの法務省所管組織からの凍結人員を割愛していただきまして百五十八名をふやして、それだけ法務局によけいに人員を採用できるという特別の措置を講ぜられておるわけでございます。もちろん、この二百名では十分ではございません。そこで、先ほどの御説明にもありましたように、いろいろの他の施策についても強力な方策をただいま推進いたしておるわけでございます。いろいろございますけれども、先ほどの大臣の御説明をさらにふえんして申し上げますと、庁舎のあり方というものが登記事務に非常に影響いたしますのでございます。明治年間につくられました庁舎がずいぶんたくさんございますが、率直に申し上げまして、ごく最近まで日本で一番大きな商業登記簿を擁し、登記事務も一番大きいものとされております東京の日本橋の登記所でございますが、これが残念ながら五日ないし一週間ぐらい謄抄本の作成に要する日数としてかかっておったわけでございます。何とかしてこれをその日に全部処理できるようにする方法があるまいかということで苦心いたしたのでございますが、人員の増加あるいは機械の導入ということと相まちまして、とりあえず暫定的な措置でございましたけれども、庁舎の改善をいたしまして、この倉庫のあり方、事務室の机の配置等をいろいろ考えまして思い切った措置をとってみましたところが、その庁舎の改善と相まちまして、日本橋登記所におきましては全部事件がその日のうちに処理できるようになったという実績を示したのでございます。そこで、私どもとしましては、増員要求と同時に、施設改善ということを最も重要な主眼といたしまして、これを予算要求の大きな重点項目といたしております。全国に約千五百の出張所、いわゆる登記所と言われるものがございますが、この中でも特別に緊急改善を要するものを三百三十六カ所選びまして、十年計画という、まあちょっと長過ぎるきらいがございますけれども、十カ年計画でとりあえず緊急な改善を要する庁舎の改築にかかろうというので、これが本年度で第三年度に入ってまいりました。おかげで本年度までの庁舎の新営を設められた数がおおむね当初予定どおり進行いたしておりますけれども、これもなお一そうその期間を短縮する等の措置を考えまして、できるだけすみやかにこの十年計画が完遂できるようにということを考えておるのでございます。そのほかに特殊な登記所向きのタイプライターを特別に考案いたしまして、登記簿のみに向くような能率的なタイプライターでございますが、これを全国の登記所に現在どしどし配置いたしまして、従来のような手書きの非能率なやり方を改めてしまおうということ、をやっております。これによって非常に能率が上がりますのみならず、謄抄本の複写をとります際に非常に迅速に処理ができます。能率の面には大いなプラスになると考えております。さらに複写機等につきましても、性能のいいものに順次切りかえていくというのが現状でございます。まあいろいろ機械化の方策等もございますが、そのほかになお制度そのものの問題も私どもとしては非常に重視いたしているわけでございまして、機械化を採用いたしますにしましても、現在の登記簿あるいはその用紙のままでいいかどうかという実は問題があるのでありまして、そういった機械化に不向きな登記簿を機械化に乗せられるような新しい効率のいい用紙に切りかえていくという、これは粗悪用紙の切りかえと言っておりますが、そういった作業も大々的に始めております。さらに、登記簿と台帳を一元化することによって事務の能率化をはかる。また、商業登記におきましても、登記簿の様式を改正する。あるいは、これを思い切って従来の帳簿式の登記簿をやめまして、利用度の高い登記簿につきましては、各会社ごとにファイリング・システムを採用いたしまして、これによって登記簿の閲覧の競合を防止できるというような非常な利便がございますので、そういった措置等を講じておる次第でございます。登記所の事務が渋滞いたしますことを防止いたしますためには、増員のみではどうしても足りませんので、いろいろの施策を講じまして、逐次その実施に移しているわけでございまして、今後ともこういった施策を強力に推進いたしたいというふうに思う次第でございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、このことに関連して、臨調は法務局と地方法務局の出張所の統廃合について意見を出しておられるわけです。これについて、法務省としてはどういうふうに受けとめておるわけですか。
  36. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 出張所の統廃合の問題につきましては、これは国家機関としてこの出先機関が、職員が一人あるいは二人という非常に小規模の地方が多いわけでございます。そのために、現在の事件の激増あるいは事務処理の相互牽制というふうなものを考えます場合に、現体制ではどうしてもまずいのではないかという考えに立ちまして、特にまた現在の登記所が明治年間に配置されたままのものが大部分でありまして、最近の交通事情、経済事情等を勘案いたしまして、できればこれを適当な場所に統合したらどうかという考えに立って過去何年かその措置をとってまいったわけであります。しかし、地元関係の公共団体から非常に強い反対の声も出てまいりまして、登記所をぜひそのまま存置してもらいたいという希望もあるわけでございます。そのために、なかなか思うように進捗いたしておりません。かたがた、臨時行政調査会の答申によりますと、職員が一人だけの登記所を廃止して、これを他の登記所と統合することによって機構の合理化をはかるべきであるという答申が出されたわけであります。私どもとしましては、そういったいろいろの事情考えまして、この際法務局の出張所のあり方を根本的に考え直す必要があるのではないか、基本的な配置の構想といいますか、そういったものを一度再検討いたしまして、その上でどうするかということをきめたいとこう考えまして、ただいまのところ登記所の統廃合については一切見合わせるということにいたしております。もっとも、市町村のほうで統廃合をやってもらいたいというところも間々ございますので、そういうところはもちろん例外的に実施いたすことにいたしておりますが、原則的には統廃合を見合わせるということにいたしておるのが現状でございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままで申し上げてきたように、法務局のいわゆる特に登記事務が渋滞しておる、これを何とか解消したいという一つの方策から、司法書士の嘱託制度というものがありますね。これについては、臨調としても改革意見を出しておるわけです。これに対しては、法務省としてはどういうふうに措置しようとしておるのか。
  38. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 登記事務についての司法書士の嘱託制の問題でございますが、現状人員が非常に不足いたしております状況下におきまして、完全な体制になるまでの間の暫定措置といたしまして、そういうことも一つ考え方として成り立ち得るだろうということは考えられるわけでございます。ただ、この登記薄という帳簿が非常に重要な帳簿でございます。したがいまして、これを処理いたしますにつきましても、責任者をやはり明確にする必要があるということ、さらに、嘱託制をとりました場合に、その身分関係がどうなるかというふうな問題もございまして、どうもこれを一挙にそういうところに持っていくということについて若干ちゅうちょせざるを得ない点があるわけでございます。できますならば、私どもとしましては、法務局の職員の手によって責任を持って十分処理できるような体制に持っていきたいというのが希望でございます。嘱託制の問題につきましては、なお十分検討したいということでございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしたいのは、この臨時職員について見ますると、千三百名ほど採用しておると思うのです。この臨時職員相当期間の方もおるわけですね。この臨時職員というと、説明するまでもなく、いつ解雇されるかわからないという不安を持ち続けながら、同学歴、同年勤務という条件にありながら、いつも不安にさらされておる、これが実態だと思うのですがね。この点については、法務省としてはどういうふうに対処しておるわけですか。
  40. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 登記所の経常的事務につきましては、臨時職員は採用しないことになっておりますが、たとえば登記台帳の一元化の臨時的な作業とか、あるいは今後行なわれますメートル法の切りかえの問題、そういった特殊な臨時の仕事が各登記所に出てまいります。そういうものに対処しますために臨時職員を採用いたしておるわけでありますが、臨時職員といえども、やはり法務局の中にありまして相当期間勤務いたすのでございます。こういった職員につきましても、十分優遇措置は講じたいというふうに考えております。もっとも、予算のワクがございますので、やはりある程度の制約は免れないと思いますけれども、基本的には臨時職員についても十分そういった配慮をいたしたいというふうに考えております。  なお、臨時職員につきましては、定員職員に振りかえてもらいたいという問題がございます。これも、過去何年かの間に相当数の優秀な職員を定員職員に組み入れております。この方法は、国家試験で試験の合格者を採用するのが原則でございますが、そのほかにも、特殊な事情に応じまして、相当期間勤務しておる優秀な職員を人事院の承認を得て定員内の職員に採用いたしておるというのが実情でございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 当委員会といたしましては、昭和三十七年の第四十国会に、法務局の定員、それと出張所の整備、職員処遇改善、こういうことについて「速かに検討の上善処されたい。」、こういう趣旨の附帯決議がなされておるわけです。これは三十七年ですから、もうそれからだいぶ期間がたっているわけですね。しかも、この附帯決議については、政府はこれを忠実に実行しなければならない義務があるわけです。しかも、三十七年の附帯決議に対して、時の法務大臣は、附帯決議の趣旨を尊重してすみやかに善処したいという意味の所信も披歴されておるわけです。そうしますと、もうすみやかに善処されたんだから、これらの問題はだいぶ片づいていなければならぬと思うのですがね、だいぶ年数がたっておりますから。こういう附帯決議について、大臣としては、一体、もう三十七年ですから、相当責任があろうかと思うのです。この点はいかがですか。
  42. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 努力不十分、情不十分のために、思うようにまいりません。まいりませんが、最近は、臨時職員の例を一つとりましても、千名を割って九百名台になってきておる。これをできるだけひとつ処遇を、御決議の趣旨にもかんがみまして、あらためてこれをやっていきたいということで、いま局長が御報告を申し上げましたような気持ちで努力して、だんだんに実現をしておるわけでございます。今後十分に反省と努力を重ねてまいりたいと考えます。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、法務局の庁舎の統合化という問題です。これは地元の要請と調整しなければならぬという難問題も横たわっておるとは思いますが、庁舎の老朽化という問題もあるわけです。したがって、庁舎の建てかえ整備という、こういう時期を利用して統合化を進めるべきだと思うわけですが、この点はどうなんですか。
  44. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) おことばのようにすることが理想なのでございます。理想なのでございますが、一つのネックは、地元がなかなか利害を持っておりまして、この統合に容易ならざる気勢を示すということで、これが思うようにまいりませんという事情でございますが、この理想の方向に一段ひとつ努力をしてみたいと思います。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたします。  この登記事務は、個人の権利義務に関係する重要な仕事であるわけです。そういうことは、確かにそういう面がありますけれども、やはり市町村長に主管委任するというようなことはできないものか、検討の要はあるのではなかろうかと思うんです。その点はいかがですか。
  46. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) かねてからその声もございまして、問題となっております。これはひとつ検討してみたいと思います。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この国会提案されております住民基本台帳法案ですね。これでは、この附則で法務省設置法の一部を改正されているようでありますけれども、これは法文の整理の程度であるのかどうか、こういう点を伺っで、おきたいと思います。
  48. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 住民基本台帳法案が提案されておりますが、この中身は、現在施行されております住民登録法の内容をそっくり取り入れまして、そのほかに選挙の関係、あるいは年金、健康保険の関係が結びつきまして、現在の制度以上に一そう窓口の合理化、国民の利便をはかることになっております。住民登録法は、従来は法務局で所管いたしております。しかし、そういう事態になりますれば、むしろこれは進んで自治省の所管に移すほうが適当であろうと考えまして、私どもとしましては、積極的に自治省に協力いたしましてよりいい制度をつくるべきであるという観点から、住民基本台帳法に賛意を表してまいったわけでございます。もしこれが成立いたしますれば、所管が法務省から自治省にかわるわけでございます。その間の規定を改正するために、設置法の一部改正がこの法律案の中に含まれておる次第でございます。なお、部分的には法務大臣と自治大臣の共管になる部分が残りますが、これはそれぞれしかるべき措置を講じてあるわけでございます。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほど来指摘して申し上げてまいりましたように、登記事務が停滞しておる。メートル法の完全実施をいまなされておりますが、なかなかメートル法完全実施についていけない、そういう実情だということを新聞報道で拝見したことがございますが、実際の実情はどうなっておりますか。
  50. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 法務局の関係におきましては、登記簿の面におきまして、従来の尺貫法と申しますか、坪あるいは反、畝、歩で数量が表示されております。そして、メートル法、計量法の規定によって完全実施に移すといたしますれば、これらの点も積極的に協力してメートル法単位に切りかえるという観点から、本年度より逐次計画的に従来の尺貫法の表示をメートル法の表示に書きかえるという作業を進める予定にいたしておるわけであります。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いしておきますが、出入国管理令について。これはいま懸案となっておるわけですが、この問題の、いわゆる管理令の改正問題については一体どうなっておるのか。これは、この管理令はいわゆるポツダム勅令であって、それが現在までいまだに生き残っておると思うのですが、法務省としては次の国会には法改正をしたいというように聞いておるわけですが、この際ひとつ法務大臣としての所見を伺っておきたいと思います。
  52. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) おことばのように私も考えます。法務省に参りまして第一に、妙な法律があるものだ、こんなもので、いつまでこんなことをしておるのかという感じを持ちまして、去る九日の日に法務省の入管局の中に出入国管理法制定準備会を設けました。内部の機構でございますが、設けまして、局長をその会長に当てまして、目下せっかく準備を急いでおります。そこで、来国会の初めに準備が間に合うかどうかでございますが、できるだけ早くこういう時代おくれの法規は改正をいたしまして日本独自の法律に制定をし直す、こういう考えでせっかく努力をしておる次第でございます。
  53. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止
  54. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を再開。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 最初に、喜連川に今度少年院を新設することになったわけでございますが、最近の犯罪白書を見ましても、非常に少年犯罪が悪質化して、非常な増加を来たしているわけでございますけれども、この少年犯罪の問題で法務省立場で一体どういった対策を立てられているか、またどういった実施状況か、法務大臣に承りたい。
  56. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) まず局長から先にちょっとお答えを申し上げます。
  57. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 少年犯罪につきましては、御指摘のように、質的に非常に凶悪化いたしてきております。したがいまして、そういう質的に凶悪化している少年犯罪法務省としてはどのように対処すべきかということにつきましては、法務省の法務総合研究所におきましては、少年犯罪原因あるいは質的に悪化してきた原因等を研究をしております。それを踏んまえまして、検察庁におきましてはそういう少年をどのように処置するのが適当かというふるい分けをいたします。さらに、事件は少年法により家庭裁判所に入りますが、その際におきましては、私どものほうの少年鑑別所が当該少年の資質の鑑別を適正にやって家裁の処遇の適正に寄与する、家裁の審判によりまして私どものほうの少年院に送られてきたものにつきましては、当該少年の個別的な事情に応じた個別的な適切な処遇を行ない、さらに刑事事件として起訴されましたものにつきましては、私のほうではおとなと区別いたしまして少年刑務所に収容いたしますが、その点につきましては、職業訓練その他を適確にやって、出所した際に再度犯さないようにする、このような施策を講じております。
  58. 多田省吾

    ○多田省吾君 この前の衆議院の会議録を見ましても、ある少年院では四〇%ぐらいの再入があるということを聞いております。全国一般に、入所前に補導を受けた青少年がその後の犯罪でまた入所する、そういう率はどのくらいになっておりますか。
  59. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 平均いたしまして大体四三%ぐらいでございます。
  60. 多田省吾

    ○多田省吾君 それは、入所中に対する補導が非常にうまくいっていないということも言えましょうし、またそのほかの原因も数多くあると思いますが、それはどういう原因であり、またそれに対する対策というものをどのように講じておられますか。
  61. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 個々の少年に対して個別ごとにやはりその環境、資質に適切な処遇を強力に実施していく反面、職業訓練を充実をして、出所の暁、職を失うことのないようにしていくという点がポイントになろうかと思います。
  62. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度は喜連川につくろうというわけでございますけれども、当然付近の住民の感情というものがあるだろうと思いますが、刑務所移転に際しましてもそういう問題が数多く出ておりますけれども、このたびの場合はそういったことは全然聞こえておりませんか。
  63. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 喜連川につきましては全く聞いておりません。
  64. 多田省吾

    ○多田省吾君 少年法改正の問題は前石井法務大臣のときにだいぶ問題になりましたけれども田中法務大臣としては、この前の適用年齢の引き下げとか、検察官先議権の問題、あるいは少年と成年の間に一つの層を設けるとか、そういった問題がありましたけれども最高裁判所との調整問題でこの前は非常に行き悩んでいるようでありますが、田中法務大臣としてはどのように法改正考えておりますか。
  65. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 先ほどもお答えを申し上げたところでございますが、現在二十歳の少年を十八歳未満に下げて、そうすると二年間浮くわけでございますね、その上に二十三歳未満、つまり二十歳、二十一歳、二十二歳、この三年を上積みするという案が石井さん時代の案でございます。私がこれを訂正いたしまして、上積み三年間ということを、これを取り除こう、現行の二十歳以下を十八歳未満に下げまして、その二年間のみについておとなの扱いをするのだが、しかし情状と事情いかんによっては子供の扱いもできるようにしていきたいというように単純に改めました点が一点だけの違いでございます。
  66. 多田省吾

    ○多田省吾君 その法改正案も、今度は間に合わないでしょうけれども、今度いつ出すとか、そういった予定はございますか。
  67. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) この分は、次の通常国会の休会明け、すなわち来年の一月末までには答申を得まして、これを国会提出にぜひ持ち込みたい、こういう決意で準備を急いでおるわけでございます。
  68. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度、この前の神戸の再度山ですか、そこの少年院をやめるということでございますが、それをつくるときには、神戸方面少年犯罪が非常に多かったからつくった、そういうわけでございますね。
  69. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) さようでございます。
  70. 多田省吾

    ○多田省吾君 それでは、今度は神戸方面の、関西方面少年犯罪が少なくなったということでございますか。
  71. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 少年院立場から見ますと、収容定員が九〇%を少しこえているという状況が続いております。
  72. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから、提案理由説明を見ますと、再度山学院の廃止については、施設が老朽の度がはなはだしいという、その理由のほかに、山の中腹に位置して水利その他の設備も悪い、少年院として不適当な環境にある、こういったような理由が述べられているわけでありますけれども、どうしてそういう条件の悪いところにこの前つくったかという問題、今度じゃなくて。
  73. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 御承知のように、戦後少年法が変わりまして、全国一斉に少年院を建てざるを得ない情勢にあったため、関西方面でありました犯罪収容者状況もふえておりましたので、まことにやむを得ず再度山の上に建てざるを得なかったというのが実情でございます。
  74. 多田省吾

    ○多田省吾君 今度、関東地方の少年院では過剰収容の状態だ、当然東京近辺、関東方面少年犯罪というものが急増しているに違いないと思うわけでございますが、これはどの程度でございますか。
  75. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 少年院で見ますと、収容定員に比べて一〇九%という収容状況でございます。
  76. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、この問題につきまして、大臣としては、こういったこれからの少年犯罪についてどのように把握され、どういう精神で臨まれるか。
  77. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 大ざっぱな方法を申し上げますと、少年犯罪の激増という傾向、しかも質的に見まして悪化をしているというような状態、数においても質においてもふえており悪くなっているというこの状態に対処いたしますためには、どうしても根本的な問題としましては、少年取り扱いを中心とする少年刑法であり少年刑事訟訴法である少年法を、私たち構想しておりますような方向にまずこれを改正していきたい、こういうふうに考えるのでございます。  それから、もう一つの大きな問題といたしましては、この青少年取り扱いに、これは私の持論でもあるわけでございますが、少年指導補導時代に、一番最初非行少年の入り口の時代に全力を傾けて、おとなのあたたかい温情をもってこの子供指導するということにもっと力を入れていきたい、こういうふうに考えるのであります。  なお、これを審判を経まして収容いたしましたときには、先ほど局長からも申し上げましたように、職業補導ということにうんと力を入れて、外に出ました場合に職業が身についている、自分の好きな職業が身についているために犯行を重ねる余地がないというふうに、職業補導に力を入れていきたいというふうに考えております。
  78. 多田省吾

    ○多田省吾君 法案とは少し離れますけれども、最近の問題で選挙裁判の迅速化ということが強く叫ばれているわけです。この前も、文京区におきまして、四年前の選挙違反の件がようやく最高裁で四年二、三カ月ぶりで最終判決が下って、もうすでに再当選している議員が四名失格になったというような事態も起こっております。そうしたならば、その選挙事件に間しては結局何にもならなかった、そういう結果さえ起きているわけです。この前もまた、参議院選挙の連座制にかかわる問題でありますけれども、やはり五年何カ月で高裁で判決が出た——五年九カ月ぶりですか。そういった事態もございます。もしほんとうに有罪であるならば、選挙裁判の遅延によって少しも選挙違反の判決が有効に生かされていないで、やり得だ。もし無罪であるならば、その何年かの間精神的負担を感ずる度合いというものは非常に強いと思うのです。そういった面で、まあ選挙法には百日裁判ということもうたわれておりますけれども、最近の選挙裁判の遅延は目に余るものがあるわけでございます。で、イギリス等例を見ますと、高等裁判所に選挙裁判所というものを設けて、二人の高等裁判官の任命をして、それで一審だけで判決を下した結果を国会の議長が判定して失格かあるいはどうかというような姿で、非常に選挙裁判が、早いのは十日というような状態で、そのために有効に生かされて、非常に違反が少なくなったという、そういう事例も起こっているわけです。そういった面で、この前も最高裁の長官から選挙裁判を促進するようにというような話も出たのでありますけれども、全然最近も改まっていない。そのことに関して、選挙裁判の促進という面と、それから裁判自体が非常にいまの選挙法では問題があるんじゃないかと、そういうことも思うわけです。ですから、イギリスのように変えられるようなおつもりはないのかどうか、その二点を法務大臣にお伺いしたいのであります。
  79. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 選挙の裁判は厳格にやるべきもの、急ぐべきものであるということは、世論でもあり、いまおしかりをいただくとおりの事情でございます。しかしながら、この選挙の裁判といえども、いやしくも刑事被告人の裁判でございます。その裁判が、いいかげんで、おろそかで、迅速だけでいいという筋のものでもございません。これは申すまでもないことでございます。したがって、大部分の選挙裁判は早く行なわれておるのでありますが、一部のものについて世のおしかりをいただくようなものもございます。しかし、それはいずれも根本をたずねてみると、訴因が複雑であったり、関係者がちりぢりばらばらになっておるというようなもの、証人がいたずらに多いといったような事情があります場合に、その事件の複雑性からこの裁判に時間がかかるような事態となっております。しかしながら、起訴をいたします場合にも、訴因をできるだけ簡略にする——複雑なものはみな無罪放免をしておるのかというまた非難が起こるわけでございますが、できるだけ訴因を簡単にいたしまして起訴を行なうといったような態度に努力をすることも、一つ目的を達する上の協力かと存じます。それからまた裁判の手続それ自体でございますが、これはどうも法務省だけでもやれませんので、裁判所が中心となって、弁護士会、それから法務省という、訴訟関係人を出しておりますところがこれに協力するという態度が促進ができる結果になると存じますので、そういう意味から、法務省は裁判所の事件の審理促進に協力をする態度を今後一そう強化をしていきまして、早く裁判ができますように、おしかりをいただいたようなことがあちらにもこちらにも起こるということがないように努力をしていきたいと存じます。
  80. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま法務大臣のお答えでは、裁判が遅延しているのは一部である、大部分は非常にすみやかに行なわれておるというようなお答えですけれども、私どもの調査ではその正反対で、やはり判決が下っても、また高裁から最高裁へと持っていくような事例が非常に多いので、三年、五年、七年とかかるのが大部分であると、当選人の失格に特にかかわるような問題ではそういった問題が大部分であると、そのように理解しておるわけです。で、法務大臣が大部分とおっしゃるのは、それは、たとえば戸別訪問とか、ちょっとした軽い選挙違反の場合は、なるほど略式裁判で早く審理できるような傾向もありますけれども、その当選人の失格か有効かという問題になりますと、それがほとんど大部分三年、五年。ですから悪質な買収違反が絶えない、そういうふうに私たちは思うわけです。それに対してはどうですか。
  81. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 私の申し上げましたのは、公職選挙法違反事件と名のつきますもの全体として統計上ながめますというと、七、八割までは早く審理が進んでおるということでございます。しかし、いま先生仰せのように、なるほど重大事件としての、当選人に関係をするとか、あるいは買収犯であるとか、供応であるとか、戸別訪問であるとかいった重大案件は世の中に目立つわけでございますが、その目立つものが表向き多く目立ちます。そういうことで、選挙違反全体がおくれているんではないかというおしかりがあるわけでございますが、今後は十分に、訴訟関係人の一人としまして、検事の訴訟、公判に対する態度を通じまして、極力この選挙裁判が進行できますように努力をしてまいりたいと思います。
  82. 多田省吾

    ○多田省吾君 もう一つ、ついでに選挙法に関連しまして、きのうの朝日新聞にも、「ゆがめられた選挙公営」ということで、朝日新聞の調査によりますと、二十五都道県で公金の陣中見舞いが出ている、そういった一覧も出ておりますけれども、特に長野県においては、五月十五日の長野県公報というのに、ある衆議院候補が確かに公費十万円を陣中見舞いとしてもらったということが書いてあります。それから、朝日新聞の調査によりますと、全部が公費とは言わないまでも、首長名義で、あるいは首長の個人名義で、相当の寄付がなされているわけでございます。それで、この点に関しては、まあこの陣中見舞いが公選法違反であるかどうかということは、また処罰に値するかどうかは必ずしも明確ではないが——とあります。私も公選法を見てみますと、百九十九条には「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国から、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体から、補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から起算して一年を経過した日までの間、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」、寄付をした場合は罰則があるわけですね。ところが、この選挙法には、そういった官公庁から公金をもらった場合の罰則はないようでございます。それは理解しておるのでありますけれども、ほかにこういった公金を陣中見舞いとしてもらった場合、やったほう、あるいはもらったほう、少しも法に触れないのかどうか。それから、法に触れなくても、道義的には非常にゆがめられていることは当然でありますけれども、またそれは別な観点から県あるいは市の財政支出の問題で追及されるべきでありますけれども、私がお伺いしたいのは、公選法に関してはどうなのかということですね、これをお伺いしておきたいのです。
  83. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) お尋ねの点は、二つに分けて考えるべきものではなかろうかと思います。一つは、市長何がし、村長何がし、町長何がしが金をくれたというのでありますけれども、それは個人として金をくれたのかどうか。それは内容的には、個人のふところの金をよこしたのか、それとも交際費その他公金の中から金をよこしたのかという、二つの問題があろうかと存じますが、個人として支出をいたしましてこれを受け取ったという場合においては、これは法律上問題の起こる余地は全くございません。それはまことに明白解明でございます。ところが、その財源が公的会計から出ておるという場合に、これを禁ずる法律があるかというと、先生お読みの百九十九条の条文は除外をされておりまして、これは適用されることは全くないのでございます。したがって、これもその法律的解釈からは百九十九条の適用がないといたしますというと、一向公共団体から金をもらって差しつかえない、こういう不都合を生ずるわけであります。しかしながら、公的ではございませんので、おことばのとおり、これは慎しむべきもの、かような金を受け取っております場合には、公金として、市長として、町長として、村長として受け取っておるという場合があり得るといたしますと、あの罰則の中にそういうことがあるといたしますと、これは道義的に深く反省すべきものであろうと思います。  それから、もう一口私の信念を申し上げますと、大体公選法ともあろうものが、国及び地方公共団体から金をもらってはいけないという禁止規定がないということが、私は手落ちではないかと思う。おそらく公選法は、そんなことは当然のことであるからということで書いていないものだと考えるものでありますが、国から直接融資を受けた団体からは金をもらうことができない、こういう規定があるにかかわらず、国それ自体、地方公共団体それ自体から金を受け取ることが差しつかえがないなどというこの条文の体裁をなしておりますことは、これは間違いである。こういうことが表に出ました今日の考え方といたしましては、将来の公職選挙法の改正に対しては、国並びに地方公共団体から公金を、選挙費用として、あるいは政治運動資金としてこれを受け取ることは、選挙のときのみならず、オールタイムで禁ずべきものである、三百六十五日、二十四時間さような金を受け取るべきものではないということを、厳格に、明文をもって禁じなければならぬものである、こう考えるわけであります。
  84. 多田省吾

    ○多田省吾君 まことにごもっともなお話だと思います。で、今度自治大臣も、今度の政治資金規正法あるいは公職選挙法の改正に際しては、適当なものであるならば修正に応ずるということは、数回明言しているようでございますが、いまの大臣の御所見を承りますと、当然もう公職選挙法等に公金をもらってはいけないという条文をつけ加えるべきであるというようなお話と承りましたが、もし私どもがそういった修正を出す場合には、今度の公職選挙法の場合も、法務大臣として、個人としてでけっこうでございますから、当然修正すべきだと、このようにお考えでございましょうか、伺っておきます。
  85. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) このことは、禁ずることが——政府が原案を決定いたします以前でございました場合においては、当然にこの明文を一項目入れるべきであるということになったろうと存じます。したがって、国会審議の過程において、衆参両院のいずれかでこれを修正していただきます場合においては、政府の態度として、で方針をきめておるわけではございませんが、法務省立場といたしましては、まことにけっこうな御修正だという態度をとってまいりたいと思います。
  86. 多田省吾

    ○多田省吾君 確かに、いま大臣がおっしゃったように、市長個人の金であるならば、別に問題ないわけです、いまの公職選挙法にも許されているわけですから。公金を、あるいは交際費等町長あるいは市長が選挙寄付あるいは陣中見舞として出すということは、これは、いまの法律にはありませんけれども、非常に道義的に慎しまなければならない大きな問題だと思うのですね。それが、新聞にも出ておりますけれども、現在自治省の藤枝自治大臣もその中に、それは公金か個人のお金かはわかりませんけれども、受け取っておられるような姿もあるわけで、非常にこの問題に関しては、一般国民としてもこの報道を見てがく然としたのではないかと、この影響は非常に大きいのではないかと思います。ですからまた、それを知らないで、公金と知らないで個人の金だと思って受け取っていた方々も、非常な迷惑だと思います。ですから、こういった問題はお互いに困る問題でございますから、私どもとしては、希望として、絶対今度の政治資金規正法に、またこの改正に、さらには選挙法改正に取り入れていただきたいということを要望したいのでございます。これは要望でございますが。  次にもう一点だけお伺いいたします。それは政治資金規正法にも関することですから、ほんとうは別の機会のほうがよろしいのでございますけれども、なかなかこちらにおいては機会がございませんから、お伺いしたいのでございますけれども、今度の政府案におきまして、会社、法人が二千万円以上の寄付を法に違反してやった場合の罰則というものが、わずか五万円以下の罰金と、非常にいまの政治資金規正法の、あるいは選挙法の罰則等と比べますと——いままでは全部禁錮刑がついておった、今度は五万円以下の罰金であるから、やり得であるという報道もなされております。事実そうなのか。非常に罰則がゆるやかである。やはりその法律の権威を保つためには、禁錮刑くらいつけてもいいんじゃないかと思うのでありますが、大臣としての御所見はいかがでございますか。
  87. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) その点は、私は実は意見が違うわけでございます。このたびの政治資金の規正法の提案をいたしましたうちで、罰則に関係をいたします限りは、法務省の所管として、自治省に意見を述べ、十分の協議を求めているのでありますので、罰則が重いか軽いかという問題は、私に責任があるわけでございます。そういう点から申しますと、私は、いま仰せのような、寄付金総額違反の場合に、単に五万円以下五千円以上の罰金ということは軽きに失するのではないかというおことばは、実はそうは思わないのであります。何を根拠にそれが軽くないのか、適当かということを言いますと、一口に言いますと、一体この政治に対する寄付金というものは自由でなければならない。何人も国民は、政治家を育てる、政党を育てるという場合に、自分が収入として得たる金の中から税金を支払っている、地方税、国税を支払っている、そうして自分の使い得る所得となったものは、非常に極端なことを申し上げれば、その使途は全く自由でなければならない。それは憲法の所有権の規定の明文から申しましても、自分の金は自分のどの方向に使おうが、それが違法、不法の方向でないならば、自由でなければならない。その自由な処分という観点に立ってこの政治資金を献金することになるのでありますから、本来は自由なものである。しかし、自由放任で捨て置いた場合においては、政界の秩序、政治資金の公明化、そういう意味における公共福祉に沿うことができないという観点に立って、やむを得ず、憲法十二、十三条の規定によりまして、法律によって規制していこうということがこの趣旨でございますから、本来自由であるべきものをやむを得ず規制をするのだという立場に立つわけでございますから、刑は軽いほうがいい、重くなってはいけない、こういう考え方から申しますと、その支出の総ワク制限が体刑にならぬということは、私は妥当ではなかろうか。しかし、同じ規正法でありましても、行き過ぎたものは体刑の処分をすることになっておること御承知のとおりでございますが、この部分については単なる罰金が正しいのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  88. 多田省吾

    ○多田省吾君 予定の時間もございますので、この問題については後日に譲りたいと思いますけれども、一点だけ申し上げますと、大臣は性善説に立っておられるようでありますけれども、ほんとうにそういった、まあ公職選挙法にしましても、政治資金規正法にしましても、ざる法だと言われるほど大きな抜け穴があるわけでございます。いままでのいろいろ、終戦後特にひどかった疑獄事件とか、政治資金規正法違反事件を見ますと、全部法の抜け穴を利用しているというような面が見られまして、むしろ政治資金規正法じゃなくて、政治腐敗助長法であるとさえ極言される向きもあるわけでございます。そういった面から言えば、私は、あくまでもこういった面の、特にこの答申の趣旨というものは、五年後においては個人献金に限るべし、党費に限るべしという答申でございます。ですから、会社、法人の政治献金というものは、あくまでもそこに政治家と会社の間にくされ縁が生じて、そして政治が腐敗するという姿があったのでございますから、その答申になったので、また佐藤総理も、絶対答申を尊重して、勇断をもってその法案を通したいとまで言っているわけでございます。その間の事情を全然考えないで、そういった一般論をもって大臣がお答えなさるということは、私は大きな誤りではないか、こう思うわけでございます。そういった面から、やはりこういった二千万円をこえるような政治献金をやった場合は体刑にすべきである、禁錮刑を用いるべきであるという主張を私はしたいのでございます。もしお答えがございますれば……。
  89. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 考え方にもよることかと存じますが、私はそういうふうに自信を持って態度をとっているわけでございます。
  90. 多田省吾

    ○多田省吾君 これをもって終わります。
  91. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それじゃ速記とめて。   〔速記中止
  92. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それじゃ速記再開。  午後は二時に再開することといたし、暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後二時十四分開会
  93. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 委員会を再開いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き、本案の質疑を続行いたします。  関係当局からの御出席は、大橋運輸大臣その他政府委員方々であります。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 設置法の問題ですが、その前に二、三問題いろいろお聞きをして、それから設置法の中に入っていきたいと思うんですが、最初にお聞きしたいのは、運輸省とそれから国鉄との関係ですね、これは組織上といいますか、権限上といいますか、その両者の関係がどういうふうになっているのか、こういうことをまず最初にお聞きをしたいと思います。
  95. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 国鉄は御承知のとおり、特殊法人でございまして、国有鉄道の運営をつかさどっておりますが、運輸大臣は、この法人に対しまして指導監督の立場にある、いわゆる監督官庁でございます。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 運輸省の幹部の中で国鉄の官舎というか、そこに入ってる人は何人ぐらいいまいるんですか。
  97. 町田直

    政府委員(町田直君) ただいまここに資料を持っておりませんので、たぶんおられると思いますので、至急に調べまして……。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたの考えでは大体何人ぐらいいると思ってますか。
  99. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) つまびらかには資料を持ちませんのでわかりませんが、大体二十名程度だと思います。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 つまびらかにしないったって、あなた入ってるでしょう。
  101. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 私も入れていただいております。
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 運輸省が国鉄を指揮監督する権限があるというわけですね。それでいて、幹部で国鉄の官舎に入っている人が、おもな人五人ですね。事務次官、観光局長、自動車局長、鉄道監督局長、鉄道監督局の国鉄部長、おもな人はこの五人じゃないですか。もし間違っていたら、ぼくは申しわけないから、あらためて聞くのですが、ぼくの言った名前の人、次官はいないけれども、ほかの人はいるでしょう。ちょっと聞いてみて、その人はそうかどうか。
  103. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) ただいま御指摘こざいました者は国鉄官舎へ入っております。
  104. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 鉄道監督局というのは、名前のとおりだけれども、国鉄を監督するのですね。どういうことを監督するの。
  105. 町田直

    政府委員(町田直君) 鉄道監督局の事務といたしまして、国有鉄道の新線の建設の許可、営業線の譲渡の認可、その他許可または認可に関する件、国有鉄道の予算、決算、交付金の交付及び資金の貸し付けその他財政に関すること、国有鉄道の役員及び職員の服務、分限、給与及び福祉の増進に関すること等々でございます。
  106. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いろいろありますね。大臣にお聞きしたいのですが、最初お聞きしたとおり、運輸省は国鉄を指揮監督する権限があるわけでしょう。その次官以下局長、幹部が、いろんな理由はあると思います。理由はあとでお聞きするし、あなたのほうで説明があるでしょう。理由はあるとしても、監督される立場の国鉄の官舎に、いまなお住んでいるということは、ぼくは全く理解に苦しむのです。運輸省の姿勢としてぼくはおかしいと思うのです。これは大臣としては、その点についてどういうふうに考えられておられるのか。ちゃんとこれは運輸省なら運輸省の官舎があるし、なければ自分のうちに住めばいいわけですから、なぜこんなことをやっておるのか、それに対してどう考えているのか、どう是正していこうと思われるのか、これに対してまずお伺いしたいと、こう思うわけです。
  107. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 先ほど申し上げましたごとく、国鉄は運輸大臣の監督下にある一個の事業体であり、それに対して運輸大臣が権限を持っておる、しかもその権限を補助する運輸省の幹部が、この国鉄所有の住宅を借用しておるということは、これは一般に申しますと、確かに適当でないような気がいたします。ただ、これはずいぶん前からあったことじゃないかと思うのでございますが、元来、国鉄が法人になります前には、これは鉄道省の一部局でございましたので、したがって、鉄道官舎あるいは運輸省の官舎というものはいずれも官舎であるというような感じで、また一向それで当時は差しつかえなかった事柄だと思うのです。しかし、いやしくも国鉄が独立し、しかも運輸大臣の監督を受ける団体になったということになりますと、やはり監督権をいかに公正に運用いたしておりましても、そうした事実から監督権の運用の公正について一般の疑念を持たせる原因となることはこれは常識上言い得るわけでございまして、もとより歴代大臣におかれましては、この辺は十分に御監督になり、差しつかえないというお考えでやってこられたものであろうとは思います。いまあらためて御指摘を受けますというと、私といたしましては、この問題は根本的に考え直してみるべき必要のある事柄だというふうに存ずる次第でございます。したがいまして、従来の沿革は沿革といたしまして、今後のあり方といたしましては、この際、実情を十分に調査いたし、何らかのけじめをつけるべく努力をいたしたいと存じます。
  108. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは沿革があるということも私もお聞きしているわけです。それはしかしずいぶん前の話でしょう。昭和二十四年じゃないかな。ちょっとあれは忘れましたが、もう二十年にはならないかもわからないけれども、十七、八年たっているわけでね。その当時たくさんいた人は、ほとんどもうすべてあれしているわけでしょう。その中で高級幹部だけが居すわると言うとことばが悪いかもわからぬけれども、いいことにして、そういうところに入っておる。家賃も月三千円か四千円ですね、ぼくの調べた範囲では。世間ではやっぱり納得しませんわね。監督する者が監督される者のところに入ってもう十数年のほほんとしている。国鉄のほうとしてもいろいろのことを言えない立場にあるのじゃないかと、こう思います。大臣がけじめをつけると言われるから、私はそれを信頼して、そのけじめをぴしっといつごろまでにつけるか、これははっきりさしていただきたいと、こう思うのです。実情を調べると言うけれども、実情を調べるというのはおかしな話で、調べるも調べないもないですよ、こんなことは。わかり切ったことなんですがね、まあことばじりをとらえるのはやめにしますが。いずれにしても、けじめをつけるというのだから、まあどういう形でけじめをつけるかということは、それはこまかい点は行政の問題ですからおまかせしますけれども、大ざっぱな点については、いつごろまでにどういう形でけじめをつけたいのだということはひとつお答え願いたい、こう思います。
  109. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 気持ちといたしましては一日も早くけじめをつけたいと考えるのでございますが、何ぶん今日のごとき住宅事情でございますので、これをはっきりいたしますためには、運輸省といたしましても、一般の官庁において心配しておるように、公務員住宅についてある程度の手当てをしてやることの必要なものもあろうかと存じます。これは個人個人の事情によりましていろいろな点がございましょうけれども、その辺を十分に考えまして、公務員住宅の配当その他必要な処置を急ぎまして、できるだけすみやかにけじめをつけたいと存じます。
  110. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 じゃ一人一人ここにいる人に聞きますがね。何か国鉄監督局長増川さんですか、あなたはそうするとそこに入っていたのは、どういうつもりで入ったのですか。それで自分でそれについてどうとも考えなかったわけですか、いままで。同じ問題ですよ。それから自動車局長、観光局長、それから監督局の国鉄部長、四人おられますね。その一人一人いまのぼくの言うことに対してどういうふうに考えておられるのか、そこでひとつ明らかにしてください。それでないとだめだ。
  111. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) この問題について一人一人について心境なりあるいは経過なりをお聞きいただくことは別に私どうこう申し上げることではございませんが、ただそれに先立ちまして一言だけ申し上げたいことは、これは終戦直後の住宅事情、ちょうど国鉄が特殊法人となりました当時の住宅事情も。ございまして、その当時国鉄職員が政府職員から分かれまして国鉄に行った、同時に政府の官舎であったものが国鉄の所有権に移った、こういう事情があったわけでございまして、その際応急的な措置として運輸省首脳部の了解もとにそういうことが始められた事柄なのでございまして、これについては監督者でありまする歴代の大臣考えもあったわけでございますので、この事柄について個々の人に責任があるというふうには私といたしましては考えることはむずかしいように思いまして、これは全く公務員住宅の整備を怠っておりました運輸省としての責任でありますので、私先ほど申しましたけじめをつけると申しますのも、そういう意味におきましてすみやかにけじめをつける、その辺のはっきりした形を打ち立てたい、こう思っておることを一言御参考までに申し上げておきます。
  112. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、答えなさいよ。四人の人、ここにいるのだから、はっきり出して言っているのだから答えなさいよ。
  113. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 私はもともと鉄道省当時に入省したものでございますので、その当時から官舎に入れていただいた経緯がございます。国鉄が運輸省から離れる際におきまして、当時の住宅事情から当時なお国鉄の官舎に入っておりました者につきましては、公務員宿舎が充足せられるまでは入っていても差しつかえなかろうというようなことで、当時の国鉄の官舎の担当と運輸省の官舎担当の者とで協議の上そういうふうな措置をとっていただいたものと考えております。その御関係から、私も現在国鉄の宿舎に割り当てを受けまして住んでおる次第でございます。
  114. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その経過を聞いているのじゃないので、あなたはこのことをどう思っているかということを聞いているのですよ。そういうことをいいことと思っているのか、悪いことと思っているのか、具体的にどう思っているのかということを私聞いているのです。あなた一人に聞くのはぐあいが悪いから、場合によってはほかの人にも聞くかもしれないけれども、あなたを代表者にして聞くので、ほかの人に聞くのはお気の毒だからあれしますけれども、経過はいいけれども、あなたはそういうことでいいと思っているのですか。あなたはその席にすわっているから運が悪いのだ。あなたは国鉄を監督する立場なんでしょう。立場にある者が、監督されるところの国鉄側に入って何とも思ってない、経過だけしゃべってああそうですということじゃ納得できませんよ、国民は。筋が違う、そういうものの考え方がいかぬと言っているのです。けじめをつけると大臣は言っているのですから、あなた自身もそういうことについてはこういうふうに考える——無理にこういうふうに考えるということを言えというわけじゃないです。考える必要はないと思っているなら考える必要はないということでいいわけです。そこをどういうふうに思っているのか、現在の気持ちというと語弊があるけれども、そこら辺のところを聞かしてもらいたいと思う。人権じゅうりんになってしまうといけないから非常に丁寧に言っているつもりなんですが、大臣にはあとから聞きますけれども、ちゃんと一言答えてもらってそれからまた話を別に進めます。
  115. 増川遼三

    政府委員(増川遼三君) 私も現在の職掌柄、必ずしも妥当とは考えられないというふうに存じますけれども、私が現在のところに入りました当時の住宅の事情から割り当てを受けて私は入りましたので、その点につきまして、私が国鉄に対して監督上の職責を左右されるというような気持ちは毛頭ございませんし、そのてんにつきましては一般的には好ましくないとは存じますけれども、やむを得なかったと私自身は考えております。
  116. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくは、こういう形のものの中で一般の職員は全部出されているじゃないですか、ほとんど出されているでしょう。高級の者だけは残っちゃっているわけですね。国鉄としても監督官庁だから言えないわけで、遠慮しているのでしょう。そこにぼくは問題が一つあるというふうに思うのです。  それからもう一つは、そういうことでやむを得ないとかなんとか言っている考え方自身にどうもぼくは問題がありますけれども、それはあなたの考え方をぼくのほうから強制するわけにいかぬし、私の考えで私の求めているような答えをあなたが答えなければどうかという形にしてはいけませんから、あなたの考えはあなたの考えでけっこうだから、ぼくはそれで一応おきますが、判断する人がどういうふうに判断するかはそれはまた別個のことでしょう。ほかの方、三人の方がおられますけれども、そこまでやってはあれですから、あなた一人だけにしておいて、ほかの方一人一人に聞くことはまあ私としても遠慮しますが、どうも考え方がおかしいですね。あなたが別に国鉄に対するあれでどうこうしたということを私は聞いているのではない。そんなことがあってはたいへんすからね。もののけじめというか、綱紀の粛正というか、公務員のあれからいっても非常に筋が私は立たないと思うから言っているのです。それが入って半年か一年くらいなならいいけれども、そうでない。あなたが入ったのは何年間かこれは別にして、十年くらい高級幹部だけが入っている。こういうことは筋が通らないとぼくは言っているわけです。一人一人聞くのもあれですからこの程度にしておきますがね。大臣がああいうふうに言ったのも、大臣の言ったこととあなたの答えは違うように思うのです。大臣は政治的に適当にこの場をとりつくろいたいと思って言ったのかもしれませんが、そうでないでしょう。そのところをはっきりしてもらわなければならない……。
  117. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 私の気持ちをお問いになりましたので正直に申し上げた次第であります。
  118. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはいまの問題をあなたがけじめをつけて早急に善処をするというからぼくは善処をしてもらいたいと、こう思います。  そこでもう一つの問題に入りますが、いま六月ですから、今月の九日ですね、三時ごろに、堀さんはいま海運局長ですか、堀さんが何か運輸大臣の部屋に呼ばれたという話をお聞きしているのですが、そういうような事実はございまじたか。
  119. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 大臣からお呼び出しがあるのはしょっちゅうでございますから、どの場合のことかよくわかりませんが、大臣からお呼び出しを受けるのは一日に一回ないし二回あります。
  120. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 船舶整備公団というのがありますね。これはどういう仕事をするもので、運輸省のあなたのところとはどういう関係になっているのですか。
  121. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 船舶整備公団は、当初は旅客船の整備をはかるためにできた公団でございまして、その後、戦標船の代替建造とかあるいは港湾の荷役関係のはしけ、荷役機械、そういうものの整備をやるということまで業務が拡張されております。この公団の監督は運輸大臣が行なうことになっております。
  122. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 運輸大臣が行なうのは、これはわかりましたが、海運局とはどういう関係になるのですか。
  123. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 運輸大臣の行なっておられる監督の所掌事務を何と申しますか、分担して、事務当局として、その事務を行なっておる監督業務を大臣の指示に従って行なっておるという関係でございます。
  124. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 船舶整備公団の理事長は林坦という方ですね。この方が任期が満了になって再任をされたことがございますか。その間の日時はどういう日時になっておりますか。
  125. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 任期は、前任者の残任期間をやっておられたわけですが、六月のたしか十六日が任期の切れる日だったと思います。で、引き続きその翌日すぐだったと思いますが、再任をされております。
  126. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたが大臣のところに呼ばれたときに、何か銀行の総裁の方がいらっしゃって、浜口さんとかいう総裁の方がいらっしゃって、その人と一緒にいろいろお話というか、あったことがございますか。
  127. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) いつごろでしたか、日は正確ではございませんが、浜口さんに、大臣に呼ばれたときに浜口さんがおられたことはございます。
  128. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのときにあなたは——遠慮しないでくださいね、大臣からどういうようなお話があったのですか。
  129. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) いまの、船舶整備公団法が先般国会で成立したわけでございますが、その公団法の改正点は、政府保証債の発行に関する点が一点あるわけです。それでまあ法律が成立すれば債券の発行が始まるわけですが、その債券発行についての事務がどうなっているのかというお尋ねがございました。
  130. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 浜口さんというのは日本長期信用銀行のこれは総裁ですか、理事長ですかね。これは大橋運輸大臣の、失礼ですけれども義理のお兄さんですか、その人と大橋さんがおられて、そこへあなたが呼ばれて、三人で一緒になったことは一緒になったと、こういうことになるわけですね。どういうお話がございましたか。
  131. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 非常に短時間しか私はそのときにはおりませんですが、まあ先ほど申しましたように、その事務がどういうふうに進んでいるかというお尋ねがあっただけでございます。
  132. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 事務がどういうふうに進んでいるかというお尋ねとですね、そこに日本長期信用銀行の総裁である浜口さんがおられることとどういう結びつきがあるのでしょうか。これはあなた、そこで話はわかりますよ、そういうお話があったらしいですね、短時間にしても、確かに短時間ですよね、どういう話があったのか。運輸大臣からお話があったでしょう、何かね、いま言った政府保証債の発行に関連してのお話があったのじゃないですか。
  133. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) その事務は今後どういうふうになるのかというまあお尋ねと、まあその手続と申しますか、そういうことでありまして、まあそこでどう指示があったとか、そういうことではございません。
  134. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくはこれから設置法に入るのです。設置法の前に、基本的な運輸省の姿勢が問題です。指示があったとは私は言っておりませんよ。よく、誤解をしないでほしいですね。なぜそこに長期信用銀行の総裁の浜口さんがおられたのかということですね。浜口さんのおられるところで、その船舶整備公団が発行する政府保証債のその問題についてのお話があったのですね、これは間違いないですね。
  135. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) その債券の発行に関する事務の進み方を大臣からお尋ねになったときにたまたままあ前から、私が部屋に入る前から浜口さんがおられたという事実だけしか私は、申し上げることはそういう事実だけを申し上げ、これをどういうふうに考えるかということはちょっと申し上げにくいことでございまして、私としては、そういう推察とかなんとかでものを言うべきでないと思います。ただそういう事実だけを申し上げたわけであります。
  136. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはあなたの立場もありますしね、私もあなたの立場、役人ですしよくわかりますから、その点については控えながら、あなたの立場考えながら質問をしているつもりなんですが、そこで推測かどうかは別として、運輸大臣から、——いいですか、そこに浜口さんがおられたと、長期信用銀行総裁の浜口さんと二人がおられて、そこへあなたが呼ばれた、そこで船舶整備公団の発行する政府保証債のいろいろな問題、手続なり進行状況についてお話があったと——いいですか、これはもう事実なんです。そこであなたは、何かお話がありまして、自分としてはそういうことはできませんと、自分の権限ではございませんと言ってあなたはお断わりしたのではないですか、だから短時間だったのじゃないですか、話が。
  137. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) しょっちゅう大臣のところへ呼ばれていろいろな話をしておりますので、一々そのときの事情を全部覚えてはおりませんが、その手続は、まあ法律にちゃんと書いてあることでございますから、公団が大臣の認可を得て、そして運輸大臣は大蔵大臣と協議をしてそしてきめることになっておりますということを申し上げたわけでございます。
  138. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 結論はそうですね、あなたのおっしゃった結論はそのとおりですね、そのもう一つ前、ワン・クッションありますね、話があるのじゃないですか。大臣から、その政府保証債の発行の取り扱いは長期信用銀行にやらしてほしいという意味の発言があって、そして、あなたは、いや、それは、その船舶整備公団できめることなんだ、それは、いま言ったような手続になるのです、こういう話になったのじゃないですか。
  139. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 先ほど申し上げましたように、しょっちゅうまあ大臣と話をする機会があるものですから、特別そのときの話、記憶はいたしておりませんが、そのような大臣の指示があったという記憶はございません。
  140. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だからぼくが言っている、指示があったとは言っていない、いいですか、指示というと非常に強い話になりますからね。——いやいや、それは、あなたの立場もあるから、これは言いにくいことだと私も思うから、だから、非常に回りくどく遠慮しいしいぼくも聞いているわけですね。あなたはもうさっき、どのように推測されるかは自由だということを言われましたね、いまでもそういうふうにあなたはお考えですか。
  141. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 非常にむずかしいお尋ねなんですが、まあ常識的にいろいろ推測は、それはされると思うのですけれども、私が、私としては推測を交えたような答弁はまあできないと思います。
  142. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあ、あなたの答弁で、私も大体わかりました、私も私なりにわかったような気がします。ここまで聞いていて、ぼくは運輸大臣に、まあ答弁の機会というと語弊がありますが、そういう機会を与えないで、それで済んでしまうということは、これはぼくは紳士道に反すると思うのですがね、ですから、あなたのそのときの状況というか、あなたのお考えなり、ああだこうだ、いろいろあると思うのですね、そういうことが運輸大臣からあればお聞かせ願いたいし、いや、そんなことは答弁する必要ないと言われるならそれでも私はけっこうだと思うのですけれども、いずれにいたしましても、あなたの御自由で、御判断で、答弁されるなら答弁されてくだすって私はけっこうだ、こういうふうに私は思います。
  143. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 日にちは明かにいたしておりませんが、運輸大臣の部屋へ浜口が参りましたことは事実でございまして、そのときの話は、船舶整備公団で政府保証債を出すことになったらしいけれども、それについては従来から興銀あるいは長銀がその発行事務を引き受けるというような一般の公団の例であると、そこで銀行としては、その船舶整備公団の発行するものの発行事務を引き受けたいが、何とかならないかというお話でございましたので、そこで海運局がこういうことは扱っておりまするので、局長に来てもらいまして、こういう話があるが、一体君から話してもらえぬだろうかどうかということを尋ねましたところ、海運局長は、どうも自分の立場上公団に話しすることはぐあいが悪いと思うということでございましたので、その話を聞き置いたわけでございます。
  144. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 浜口さんというのは、たいへん失礼なあれですけれども、あなたの義理のお兄さんになられるわけですか。
  145. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 私の妻の次兄になります。
  146. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 公団に話をしてくれという、海運局長を通じてということは、具体的にはどういうことなんですか。そこがちょっとはっきりしませんがね。それで海運局長、断わったというのでしょう。どういうことを公団に話をしてくれと言ったのですか。
  147. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) できれば長期信用銀行がこの引き受け銀行になりたいということですから、その話をしてもらえぬかどうかということを海運局長に確かめましたら、海運局長立場としては、自分がその話をすることは適当でないと、こういう返事でございましたので、私はその質問を打ち切ったわけでございます。
  148. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あなたとしては、海運局長に公団に話をしてもらうのは適当だと思って海運局長を呼んだわけですか。海運局長は適当でないと判断したというのですけれども、あなたとしては、そういう話が浜口さんからあったときに、こんなことは、運輸大臣は船舶整備公団を監督する権限があるのでしょう。しかもあなたの近親者の方でしょう。その方、その人をだれが見たって、その政府保証債の発行を長期信用銀行にやらしてくれと、こういうような形に、あなたがお話を通じれば、局長を通じてやったとしても、だれが見てもそういうふうにとるのではないですか。そういうことを監督権限がある運輸大臣として、個人的ないろいろな関係はあったとしても、それを海運局長を呼んで公団に話をしてくれるかくれないかというようなことを、指示するのか話をしたのか別として、そういうことはぼくは運輸大臣としては問題だと思うのですがね、疑問だと思いますね、そういうやり方は。公私を混同し過ぎているのじゃないですか、ぼくはそう思いますね。あなたはそうでないとお考えですか。
  149. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 大体これは銀行がいままでの例からいって二つしかございません。興銀か長銀かということです。興銀になっても長銀になっても、それは銀行の計算は違うかもしれませんけれども、依頼者のほうは別に計算上違うということはまあないわけでございまして、特に海運局長が断わられ、それはまずいだろうという判断を、自分としてはまずいと思うという判断をされましたので、その話はそれだけにしたわけでございます。海運局長の話はそれだけにしたわけでございます。
  150. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 じゃ、海運局長、あなたの話、前の話がいろいろ立場もあったので、省略してというところありましたね。いまの大臣の話を聞いてくると、もうああいう話があったのだから、ある程度それに応じたことは答えてもだいじょうぶですね。いま言ったように、海運局長大臣の話はまずいというふうに思って断わったようだ、こういうのでしょう。あなたとしては、大臣からの話をどういうことからまずいというふうに判断をされたのかというわけです、それをお聞わせ願いたいわけですよ。大事なことですよ。あなたに御迷惑かけないようにしますから、だいじょうぶですよ、これは。
  151. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 先ほども申し上げましたように、そのときの会話の全部を私は記憶いたしておりませんということを先ほど申し上げておったわけでございます。で、その前から私の気持ちとして持っておったことがいまでも記憶に残っておるのですが、二つの興銀と長銀というのは、いま長期信用銀行ではライバルとして一生懸命自分の分野を広げようとしておるわけでございます。ですから、いろいろの両方から陳情というものは前からあったのです。それは私も承知いたしております。われわれとしては、これをどっちということをきめるのは、まず一次的には公団でひとつ判断をしてください。で、われわれはその申請を受けて考えればいいのである。まず第一次的には、公団自身が判断をすることがまず必要だというふうに考えておりましたので、あるいはもし大臣にそのときに何か私の意見を言ったとすれば、それは公団でまずきめるべきことだと思います、というふうにあるいは答えたのかもしれません。いずれにしても、先ほどから申し上げましたように、しょっちゅう大臣のところへ行っておりますので、一々どういうときにどういう話があったということを全部覚えておるわけにはまいりませんので、そういうあまりばく然たる記憶で、こういう公の席で責任ある答えをするわけにはまいりませんので、先ほどからあのような答弁をしておるわけでございます。
  152. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大臣ね、いま言ったように、興業銀行と長期信用銀行とはライバルで長期の金融ですか、をやっているわけです。有数な両方とも銀行ですね。しかも長期信用銀行のほうはあなたの義理のおにいさんが総裁をやっておられる。そういう状況の中で、しかも二人がおられるところに海運局長を呼んで、そうして公団に話をしてくれないかという意味のことは、結局大臣のお声がかりで長期信用銀行が船舶整備公団の政府保証債の発行を引き受けるようにしてもらいたいという意味にだれがとったって聞こえますね。だから、まずいと思って海運局長断わった、それはぼくに言わせれば公私混同ですよ。ぼくは運輸大臣としての姿勢が整っていないと思うのですよ。前のあれと同じですよ、国鉄の官舎に住んでいるのと。事の大小は違うかもわかりません。こっちがもっと悪いですよ、考え方によっちゃ。そういう話のあったときに、浜口さんから話があったとしても、なぜあなたは断わらないのですか。そんなことは自分としてできない、運輸大臣としては、船舶整備公団については監督権があるのだ、だからそういう問題については自分は一切ノータッチだとなぜ断わらないのですか。あなたはなぜ海運局長さんを呼んで、その指示に近いようなことを、話してくれと頼むのですか。なぜ断わらないのですか。その考え方がおかしいのです。いかぬですよ、それは。あなたはそういう点は何とも思いませんか。何とも思われぬならあなたの考え方がおかしいのだ、ぼくに言わせれば。この問題はいろいろいろなところにいっていますよ、知っていますね。木村官房長官から総理大臣のところへいっていますでしょう、この話、と伝えられているのですね。あなたはそういうことについてちっとも反省しないですか、あたりまえのことだと、自分の兄貴から頼まれて紹介してやったんだと、向こうのほうは、大臣からのお声がかりで、しかも監督されるほうなんだから、何とか聞いてくれるかくれないかわからないとしても。まあ、その程度のことだというぐらいで軽く考えていらっしゃるのですか。いや大臣から……。あなたの立場はあとで聞くから、ぼくは大臣のしっかりした考え方を聞きたいですよ。それによってぼくらは態度をきめなければならぬですよ、この問題について。もう一つあるんですよ、もう一つ。もう一つは内容は違いますけれども、もう一つあります。いまこの関係についてあなたのしっかりした考え方を聞きたいですね。
  153. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 私も心やすだてにうかつに取り扱ったことはまことに遺憾であったと思います。
  154. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) いま稲葉先生のお話によりますと、非常に無理をして、本来あっちへいくべきものを無理やりにこっちへ持っていくように大臣が動かれたというふうに……。
  155. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いやいや、そんなことを言っていないよ。
  156. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) そういうことじゃございませんで、これはごく常識的に考えても長銀ということは十分あり得るわけです。これはバックグラウンドで申しますと、この整備公団の法律が去年の十二月に成立いたしまして、それで融資業務ができたわけです。それで通例、この債券発行業務にたんのうな人を、公団としては当然定員もふえた、そのことによってふえておるのですから、専門家をどっかから迎えることを考えたわけです。その場合に、興銀と長銀に両方に債券発行にたんのうな人を出してくれんかということを銀行に話をかけた。そしたら興銀のほうが、たまたまそのときに何か都合が悪いということで人が出せなかった。そして長銀のほうから人を出した。その人を公団としては迎えたわけであります。この人が融資業務を担当しておるわけであります。そういうな状況から見ますと、むしろ公団としても銀行との連絡とかということから考えますと、そういう人を出してくれた銀行のほうにやってもらうのが何かと円滑にいくということは十分考えられるわけでありまして、非常にまあ大臣が長銀というふうにかりに考えられたといたしましても、これはそう無理やりな判断じゃございませんと私は思うのでございます。
  157. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくは無理やりにやったなんてだれも言っていないですよ。そんなことやったらたいへんな話ですよ。職権乱用だし、えらいことになりますよ。そんなことは言ってないけれども大臣の一言というのは、あなたはぼくが聞いたときに、最初から指示を受けない、指示を受けないというでしょう。指示を受けない、指示を受けないということは、話はあったけれども、それを指示ととられるような話があったということの裏書きですよね。裏づけのようにとられるんですよ。それは別として、ぼくは無理にそんなことをしろと言ったなんてということは決して言ってないつもりですよ。そんなことをしたらたいへんな騒ぎですよ。私の聞いている範囲では、どっからどういうふうに聞いたかということはぼくはここで言いませんよ。だけれども、この話は運輸省内部から出ているのですよ。そうでしょう。大臣が、ぼくが責任を持つから、この政府保証債の発行の事務は長期信用銀行にしてくれという話があったんだということすら運輸省の内部から伝わっているんですよ。これは運輸省の内部から伝わらなければぼくらの耳に入りませんよ。だれが言ったことか知っていますよ。運輸省の中の高官ですよ。非常に憤慨しているのですよ、運輸省の中では。そうでしょう。大橋さんとはひどい、あんな公私混同する人とは思わなかった、あまりひど過ぎると言って憤慨している人が運輸省の中に多いくらいじゃないですか。このことで、まああなたの立場もありますから、ぼくはこれ以上聞きませんが、この点についてはうかつだったでは済まされないと思います。ぼくは絶対納得しません。  もう一つ。これは事実だけですよ。もう一つ事実だけでお聞きしたいのは、これは運輸省をどうだこうだというのじゃなくて、成田のあれ東京国際空港公団というのですか、あそこはいままで政府保証債の取り扱いを興銀がやっていましたね。それを今度長期信用銀行にすることに内定しましたね。それはどういう経過でそういうふうになったの。
  158. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 新東京国際空港公団は政府保証債を発行することができますが、まだ土地の買い入れが御承知のように進んでおりませんので、公団債を発行いたしておりません。
  159. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いままでは興銀が一手に取り扱ったんじゃないのですか。みんな扱っていたんじゃないですか。政府保証債以外で興銀の取り扱うような債券か何か出しているんですか。ぼくの聞いているのは、実はこれはもうあんまり言いませんけれども、いままで興銀の取り扱いだったというんですね、大体において、まあ一般のこういう公団関係は。いいですか。それは興銀と長期信用銀行と両方の資料を出させればわかることなんですが、この東京国際空港公団ですか、それは長期信用銀行が扱うことに内定したというんですね。これは事実でしょう。これ知っているでしょう。
  160. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 従来の公団債をどの銀行が取り扱っていたか私よく存じませんが、新東京国際空港公団は御承知のように、土地の買収が進まないので、出資金だけで目下その公団の経費をまかなっておりまして、公団債は発行いたしておりませんが、ことしの末ぐらいからこれを発行する予定にいたしております。  それからその取り扱いはこれは公団自身がきめることでございますが、長期信用銀行が主銀行で、興業銀行は副取り扱い銀行、こういうふうに内定したように公団の理事から聞いております。
  161. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 運輸省の監督を受けるいろいろな公団が、運輸大臣と長期信用銀行の総裁とが義理のごきょうだいに当たられると、そういうようなことからか、あるいはそういうことを含んでか、あるいはそういうほうが便利だからというふうに自分自身で判断をしたのか、ここら辺のことはいずれにいたしましても別として、少なくともいま言ったような形で運輸大臣関係、個人別な関係のあるところが政府保証債を取り扱うように仕向けられておるというか、実際そうなっておるというか、そういうようなことをこのことから、いまの船舶整備公団のことからいってもどうもそういうふうに受けるわけですよね。現に海運局長呼んでお話ししておるわけですから。だから空港公団のほうもそれに内定したということも何かそこに、ことに理事長の再任問題ですね、任期が切れるわけですから、いまの話なんかも任期の切れるそれとのかね合いで話が出ておるのですからね。船舶整備公団理事長は六月十五日か、十六日に任期が切れるわけでしょう。その話があったのは六月九日ぐらいですからね。いまの海運局長呼ばれたのは。ですからそれの再任とのかね合いで話が出ておると勘ぐれば勘ぐれるわけですね。これは勘ぐりかもわからないけれども、いずれにいたしましても監督官庁である運輸省、その大臣が自分と特殊な関係のあるところのものをその公団にこれは手づるでそういうふうに何といいますか頼もうとしたのかどうか、いずれにしてもこれはぼくは公私混同するものであり、運輸大臣みずからのこれは姿勢というものはぼくはいかぬと思いますね。私はなってないと思う。ただ、軽率だったとか、うかつだったということだけではぼくは済まない、うかつだったということを言うならば、そういう話を局長にすること自身がぼくは根本的に基本的なものの考え方が足りないからそういうことになるんだというふうに私は考えるんです。  もうちょっと待ってください。法務省のほうが始まると言うんで、あれされていますから、大臣に最後のお答えだけ願って、きょうはこれで運輸省のほうは一応やめます。運輸省はまだほかにたくさん質問があります。陸運関係だとか、海運だとかたくさん問題があります。きょうはとてもできませんが、いまのことについての大臣の最終的な考え方、見解というものを承って、一応きょうの運輸省の関係の私の質問は終わって、あとのことは保留しておきます。
  162. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) まず最初に申し上げたい点は、空港公団の債券の長期間信用銀行の引き受けということですが、私は兄からそういう話を聞いたことは全然ございませんし、いま実は先生のお話を伺って、なるほどそういう問題もあったかと存じておるわけでございます。  それから前の船舶公団のことでございますが、実は私、長期にするか興銀にするかなどということはたいした問題でもないのじゃないかと、まあせっかく頼みに来た、それじゃまあ聞いてみようという程度のごく軽いつもりでおりました。ことにこれが兄と申しましても、何も兄の経営しておる銀行でもございませんし、単なる兄も銀行の一使用人でございます。それでまあ銀行としてはどちらの銀行も政府の監督を受け、きちっとしておる銀行ですからどうこうという違いもないと、こう軽く考えまして先ほどのようなことになったわけでございますが、かような席において先生にあらためてその点について申されまするというと、なるほど私の立場として確かにこれは適当でなかったという気がいたすわけでございまして、これでそこまで意識をして、深い心を持って、かまわぬからやれというふうな態度で出たわけではないのでございまして、そういう意味で先ほど軽率であったということを申し上げた次第でございます。この点御了承いただきたいと思います。
  163. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの運輸大臣の答弁については、私もある程度わかりますけれども、どうもやはり基本的にわからない点があります、ものの考え方がですね。これはいずれまた別の機会にいたします。運輸省設置法はたくさん問題が残っておりますが、法務省のほうをやれということでございますから、ほかの質問は保留して、きょうは運輸省はこれで終わらせていただきます。     —————————————
  164. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは議事の都合により、再び法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  午前に引き続き、本案の質疑を続行いたします。質疑のある方は、順次御発言願います。速記とめて。   〔速記中止
  165. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。
  166. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務省設置法の中で、検事の定員の問題なんかあるわけですけれども、検事に関連して一つ聞きたいのは、検事がアメリカの学校に入るので、アメリカへ留学する人がいますね。これはいままでどの程度あったのですか。こまかいことは、わからなければ、あとでもいいですがね。
  167. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 検事がアメリカに留学いたしますことにつきましては、いろんなケースがございますけれども、まずアメリカの大学の試験、留学生試験を受けまして、それに合格して向こうの大学の費用で留学するというのが最も多いわけでございますが、このケースにつきましては、昭和三十年前後から始まっておると思いますが、大ざっぱに言いまして大体二十人足らずの者が行っておると思います。大体これは一年きりで行っておるわけでございます。そのほかに、最近では各行政官庁共通の国費で二年間留学する制度もございまして、それで行っておる者もございます。しかし、これはまだ現在までわずか二名でございます。
  168. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのアメリカに行くときに、こっちは休職になるわけですがね——休職にならないで行くわけですね。そうでしょう。——これはまあいいですがね。そのときに、アメリカへ行ってからか日本でか、いま問題となっている例のアジア財団、あそこから何をもらうのか、小づかいという名目——小づかいという名目はないでしょうけれども、金をもらって行くようですね。これはどういう名目で、どういう経路でもらうのですかね。
  169. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) これは本人の希望によりましてアジア財団から寄付をもらっておる者もございますが、これの名目といいますか、これは留学いたします場合に関係大学でいただきますのは、大学所在地における滞在費と往復の旅費でございます。さような関係で、留学中にアメリカの各地を回って見聞を広めるとか、そういう場合の旅費としていただいておるのが大多数の場合でございます。
  170. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはどういうプロセスで申請するのですか。日本にあるのですか、このアジア財団の何か。
  171. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) アジア財団の東京事務所に本人が参りましてかようなことで留学するからということで申請して、いただいておるようでございます。
  172. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 アジア財団というものは、いろいろ言われておりますけれども、真相よくわかりませんがね。これは法務省としては、あなたのほう、検事が金をもらって行くのですから、全部もらって行くわけじゃないけれども、どういうものであるかということは大体お調べになっているんじゃないかと、こう思うんですがね。ここのところ四、五日、問題になっておりますからね。——それはどこでわかるのかな。
  173. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) これはアメリカのカリフォルニア州に主たる事務所を置きますアメリカのカリフォルニアの法律に基づく財団法人であるというふうに理解いたしております。
  174. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その財団法人が日本に東京事務所を設けているわけですがね、その実態は何なんですか。よくわかりませんが、CIAとかいろいろ言われておりますがね、何なんですか、これは。
  175. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) アジアにおきます平和、独立、個人的自由並びに社会的進歩の達成を目的とする個人または団体の事業に米国民間人の援助を与えるのだ、こういう趣旨の団体と理解いたしております。
  176. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大臣、検事がアメリカに行くのに、何のために行くのかぼくは疑問に思いますがね、それほどの必要があるのかどうか問題だと思いますがね。一年間休むのでしょう。もっと行くのかどうか。その必要があるかないかは別として、何もアジア財団というものから金をもらわなくったっていいんじゃないですか。どうして法務省なら法務省でちゃんとした予算をつけないのですか。アジア財団というもの、私らの聞いているのは、これはちょっと性質が違うように聞いておりますけれども、いずれにしてもそんなものから金をもらわなくったっていいじゃないですか。こんなことはやめたほうがいいと思うんですがね。検事が——何か、裁判官ももらっているらしいですね。どうも日本全体がまるでいかにもみじめな感じ受けて疑問に思うのですがね。どうですかね、これ。
  177. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) この法務省国家機関が金をいただいたという事実は全くございませんが、いまのお説のように、役人という身分を持っております法務省職員が、旅費であるとかあるいはアメリカに入りまして以後の具体的な問題をめぐる研究費であるとかいうような名目でその交付を受けたという事実は間々あるようでございます。そういう行き方がよいのかどうかという問題はお説のごとくに別個にこれは慎重に検討をしてみなければならない問題であると存じます。個人的にいたしましても、わが国の役人でございますから、研究をしてみなければならぬ問題と存じますので、これはひとつ慎重に検討をしたいと思っております。
  178. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはきのうあたりも出ておった問題の中の一つで、警察官がピストルを持っておって、犯人か何か逃げておるのを撃って射殺するのがここのところ相当あるわけですね。これはピストルを常時携帯しているのは日本くらいでしょう。外国では警察官はピストル持っていないわけですね。それから警察官は高等学校を出て一年くらいでなってしまうわけだから、二十歳くらいの少年法の適用を受ける警察官がいるのですね。少年法の適用を受ける警察官というのはこれは変だが、それがピストルを持っているのだからあぶなくてしようがないのです。これはしかし、国家公安委員会の問題だと思いますが。それでたとえば大阪の問題でも、何か間宮という人がモーターバイクかなんか無断で乗り逃げして帰宅の途中挙銃五発撃たれてそれが背中にあたってなくなったわけですね。これに関連して告訴が起きているのですね、弁護士を通じて。それからきょうあたり——きのうか、高知かどこかで気違いがあばれ込んだというので、刃物を持っていたらしいのですが、ピストルを撃ったらあたって死んでしまったというのでしょう。下腹部にあたったというのですね。これはいろいろな事案の内容があるから一がいに言えないにしても、こういうふうに、ことに警察官が告訴されているような事件には——これは大阪地検で調べるのでしょうけれども警察官だと、どうしても従来検事のほうで遠慮してというか調べにくいし、警察官にどうしても好意的に言い分を聞き過ぎるような形で調べが行なわれる可能性がある。訴訟の指揮権が変わってきたからちょっと違いますけれども、そういう関係がある。それから大阪の射殺による遺族の告訴の事件ですね。こういうふうなことについてしっかり法務省としても督励して、だれでもみんながやはり納得いくように早急によく調べてもらいたいと、こう思いますね。この点についてどういうようにお考えか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  179. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) ごもっともなことでございますから調査をいたします。なお調査をいたしますのみならず、これはあくまでも公平、慎重に取り調べをしなければならぬものと存じます。
  180. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから警察の取り調べが行き過ぎたということで、これは島根県の安来というところで、これは朝鮮人の女の人ですが、金広子という人が、料理店に置き忘れられた手さげ袋から金が盗まれたとき店番をしていたので、警察に呼ばれて六月七日の午前二時半ごろから参考人として調べられたと、こういうのですが、これはちょっと間違っているかもわかりませんが——夜中に調べられたのですかね。それで結局そのショックを受けて自殺したのですね。登録証の呈示を求められたり、指紋をとられたり、非常にひどい処置を受けたので、ショックを受けて自殺した。このことで人権擁護局へ、松江ですね、申し立てをしている。こういうふうなこともあって、警察官のいろいろな取り調べのことについて、従来法務省の扱いが、どうしても遠慮というか、しがちなところがありますね。調べが中まで入っていかないところがあるように思います。いまの人権侵害事件についても、特に徹底的に、松江ですけれども、督励して調べていただきたい。私は別な機会にそれを質問しようと思いますが、その点ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
  181. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 十分徹底して取り調べたいと思います。
  182. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 今度の法案の中に出てまいります少年院の問題ですね、これは矯正関係に聞くのですが、いろいろな資料をいただいたのですが、問題は刑務所なら刑務所少年院なら少年院で、全体の九割九分を収容しているとは言いますけれども場所によって非常に違うわけです。収容定員と実際に入っている人との違いですね。これが非常に刑務所も違う、少年院も違う、これはちょっと説明を願って、あと資料として、いついっか現在でもいいから、定員と、それから現在入っている者を調べたものを資料にして出していただきたいと思うんですが、ちょっと説明していただけませんか。
  183. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) お説のとおりに、各施設ごとに、各管区ごとに収容定員がアンバランスでございます。したがいまして、資料は後刻直ちに提出いたします。
  184. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 アンバランスなんですがね、これは全体で見ると、きちっといっているんですよね。ひどいところと、それからそうでないところと、まあ少年院は大体同じようなものですが、多少違うけれども刑務所はひどいですね。おもなものが何かありませんか。
  185. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 少年院につきまして、定員と収容人員の最も過剰なのが札幌の北海少年院の一八五%というものが最大でございます。それから最も低いのは、名古屋の宮川医療少年院、これが六五%、少年院につきましては、最も高いところと低いところはそのようになっております。  それから刑務所につきましては、最も高いところが宇都宮のこれは支所でございますが、小幡町が一三八%、最も低いところが福岡が八七%というところが低いほうでございます。
  186. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは医療少年院の場合は特別ですから、ちょっとこれの低いのは無理もないと思いますが、北海の場合一八五%というのは、帯広はまだできておりませんか、帯広ができてだいぶん移ったんですか、あれとは全然別ですか。
  187. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 帯広ができてからでございます。
  188. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 帯広の少年院ができてから一八五%というのはちょっと多いですね。この数字も、実際には多いけれども、それの中の低いところの数字をとっているんじゃないかとぼくは思いますが、それはいいです。それから刑務所の場合も、いまの宇都宮の支所、小幡町の支所ですか、これは二二八%というのは、低いときですね。定員六十六名でしょう。
  189. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) そうです。
  190. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 百名いつもこえているんですからね。きのうはちょっと少なかった。きのうは九十一人ですかね、少なかったんですけれども、大体百十人ぐらいになるときもあるんじゃないですかね。百人こえるのですが、一三八%というのは、あの中でも低いときをとった数字でしょうね。
  191. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) ただいま申し上げました数字は四十一年十二月末日現在で、矯正の統計はおおむねそういうことでやっておりますので、申し上げたところでございます。
  192. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 十一月末日というのは休みになっちゃうんで、大体十二月は二十五日ごろから身柄をどんどん釈放しちゃう時期ですよね。あまりこまかいことを言っちゃ悪いけれども、一番少ないときだ。まあこれは別として、非常にアンバランスがあるんですよね。旧態依然として、昔どおりのあれでいっているんですよね。だから刑務所は五部制のものと二部制のものとあるでしょう。それはいつごろできたんでしたかね。それで、どういう基準で五部制と二部制にしたんですか。
  193. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) ただいまの定員あるいは機構は、昭和二十八年ごろだったと思います。
  194. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 昭和二十八年の刑務所の五部制のものと二部制のものと、現在と当然非常に違ってきているわけですね。たとえばこの近郊では、浦和は五部制でしょう。宇都宮は二部制ですね。いまは宇都宮のほうがずっと多いんじゃ、ないですか、定員と、それから実際に入っているものと。五部制と二部制はどういうふうに違うのですか。
  195. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 当時におきましては、やはり収容状況ににらみ合わせてつくったものでございます。
  196. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 現在はどうですか。
  197. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 現在におきましては、十数年前のものをそのまま維持しているというところが、私是正しなくちゃならないと思いまして、目下その是正の作業をやっております。
  198. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大臣、五部制と二部制とはどう違うかといいますと、一番違うのは、いろいろ部が違うのですが、お医者さんが違うのですね。お医者さんが、五部制のほうが多くて、二部制のところだと、お医者さんがいないところはないかもしれませんが、一人ぐらいで、あとほとんどいないんですよ。二部制のところは近来収容者が非常にふえているが、お医者さんが少なくて非常に困るんですよね。そういう点があるので、このアンバランスの是正をよくやっていただきたいと思いますね。刑務所のことを詳しく説明し過ぎると、あまり詳し過ぎるんじゃないかと、少しおかしいんじゃないかと言われるから適当にしておきますがね、実際そうなんですね。それを早く、別に設置法の改正には関係ないでしょう。関係ないですから、内部のあれでいけるわけですから、早急にこれをやっていただきたいと思うんです。ただ転勤の問題なんかありますからね、看守の人の。だからそれでなかなかうまくいかないんですよね。そこはよく考えていただけませんかね。ちょっとその点どうですか。
  199. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 私のほうも、作業といたしましては、おおむねここ三月ぐらいの間に一応の案を立てまして、実施にあたりましては、ただいま申し上げましたように、職員の配置の問題がかかりますので、二年ないし三年の経過期間が必要かと存じます。
  200. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 何か問題となっているのは、東京拘置所を小菅に移して、小菅を青梅に移すというのですか。あれは青梅のほうで反対しているんですか。あれは現在どういうふうになっているんですか。
  201. 辻辰三郎

    政府委員(辻辰三郎君) 現在青梅の刑務所の新設予定地が、青梅市の友田地区という所でございますが、友田地区と、それから青梅市民の一部の方が設置反対ということになっております。友田地区のほんとうの意味の地元の方は、この建設予定地が、数年前に観光施設の予定地であるということで、西武鉄道に売り渡したのに、そこに刑務所がくるのはおかしいという趣旨で御反対になっていると思うのでございますが、青梅市民のほうは、やはり刑務所というものに対する一つの嫌悪感と申しますか、さような点から反対になっておるというふうに理解いたしております。
  202. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑務所の欠員は百一人あるんですか、現在。少年院が二十六人。そうすると、刑務所職員は大体少年院の八倍ぐらいいるわけですか。だから、いずれにしても同じ程度の欠員ということになりますね、この比率でいくと。ずいぶん多いですね。これは埋めないんですか。
  203. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 人事院、行管等と個別に了承をとって、逐次埋めるべきものは埋めていくという方向で努力いたしております。
  204. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑務所職員の、いろいろ話を聞くわけですね、看守なんかにね。そうすると、こういうことが言われるのですよね。非常にまあ神経使ったり何かする、理由いろいろありますが、そんなもんですから、やめまして、定年でね、定年でやめてから短い期間になくなっちゃう人がある。それで、刑務所の看守の人はみんなそれ言うんですね、会って話しますとね。理由というのはいろいろあるのですね。勤務も、いまさっき伊藤さんの質問として出てますね、勤務条件の問題、ことに保安関係職員、あるんですがね、非常にこう気苦労が強いのですね。家へ帰って気分の転換できる人はいいらしいんですが、気分転換できない人は、刑務所の中で起きたことを頭に思ってますからね。神経使っちゃって、定年でもめると参っちゃう人がうんといるんですね。これは看守の人は、ずいぶんそういうことを訴えるのですね。まあこれはみんな言いますね、具体的に統計とったわけじゃないんですけれどもね。それに関連して、じゃあ、さっきちょっと出てましたけれども、具体的にどういうふうに看守の人の勤務条件というものを変えていくのかということも、これやっぱり考えてもらわなくちゃ、ぼくはいけないと思うのですがね。抽象的でなくて、具体的にはどういうふうにやっていくつもりですか。  というのは、たとえば看守一人にどれだけの収容者を、何人くらいの収容者を受け持たせるのが妥当であるとか、そういう点の基準とか、いろいろなものをもう少しはっきり考えなくちゃいけないんじゃないか。勤務時間なんかも普通よりも一時間早く出てくるのですよ。八時半といっても七時半くらいに来なくちゃやっていけないわけです、引き継ぎの関係で。夜はまたすぐ変えれない、こういう点やっぱり考えていただかなくちゃいかぬと思うのです。
  205. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) お説のとおりでありまして、私のほうで、目下来年の予算要求の時期でもございますので、刑務所職員勤務を分類いたしまして、たとえば工場担当はどれくらい、四十人が適当なのか、五十人が適当なのか、あるいは書信は一人で一日何度持たされるのかといったようなことも、適正基準というものを策定いたしまして、それに基づいてどれくらいの人員が必要であろうかということを算出してみたいということで、目下作業をいたしております。なお、勤務状況につきましても、早出は六時半、中出は七時半、後出が八時半というように、三段階に分かれているというのが実情でございまして、そういう点の勤務体制についても、基準というものをぜひ確実にして、それを目標に予算要求を根強くやっていきたい、このように考えております。
  206. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 看守の人が、収容者とのあれでけがをしたり、なくなった場合とか、いろいろありますわね。そういう場合の取り扱いが、警察官の場合と違うのですけれども、そんなもんですから、看守人も非常に不満があるのですね。不満というか、けがをした場合なんか、公傷でけがしたりなくなった場合の、それから表彰のときに、それは警察官のあれと非常に違うのですね。そこ、どういうふうになってましたっけね。
  207. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 法務省職員につきましては、法務省職員賞じゅつ規程による賞じゅつ金の支給ができることになっております。この最高の額は百万円。それから警察官の場合につきましては、三百万円まで出せることになっていると承知いたしております。
  208. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そのほかにも、こまかいところ違うのですね。いろんな表彰の規程なんかも違うのですよ。これは大臣ね、そこまで、何といいますか、お知りにならなかったかもしれませんけれども警察官と刑務所の看守の人との非常に条件が違うというのはおかしいじゃないかということは、相当出てくるのですね。ですから、そこを十分お考え願いたいと思うのですね。そういう点、どうですかね。
  209. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 賞じゅつ金制度につきましては、よくバランスのとれますように検討をしてまいりたいと思います。
  210. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから、少年院は、もちろん刑務所よりも職員が、人数が全体として少ないわけですからあれなんですけれども、そのためにか、宿直のような場合に、一般の刑務所ならあれですね、課長のような人は宿直やらないけれども少年院だと課長も宿直やらなければならないというわけですね。そういう関係で、少年院のほうが、自分のほうがもっと骨が折れるんだということを盛んに言うわけですね。少年院刑務所とあんまり仲がよくないわけです。仲がよくないというのはきわめてラフな表現なんですけれども。だから、どうしても行政が刑務所中心になっちゃうんですね。刑務所のほうが大きいし、作業の収入があがるんです。それが中心になっちゃって、少年院がちょっと置き忘れられたようなかっこうになってる。そういう一つの不満が少年院のほうに相当ありますね。おれのほうが勤務状態は非常にきついんだということをよく言うんです。この点についてもやはり十分お考え願いたいと、こういうように思いますね。これはどうなんですか。刑務所少年院とは非常に違うんだけれども、ある程度均衡をとってというか、何かこうだいぶ対立意識が強いですね。
  211. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) たとえば、刑務所のほうはどうしても世帯が大きいので、したがって人数も多い。少年院はやはり施設の性格上職員の数も少ない。その少ない職員で宿直をやっているということになりますと、回転率が早くなる。そのために、課長である教官も宿直に参加をしていかなければならない、こういうような事態が生じているのは事実でございます。
  212. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 超過勤務手当の資料もらっているけれども、ずいぶん違いますね。一時間当たりが刑務所は二百八十三円二十二銭、少年院が二百五十七円五十一銭ですか、一人当たり月時間も三十二時間と二十八時間、違うんですね。これはどういうんですか。だからいかにも差があるように、ハンディキャップがあるように見えますし、少年院のほうは人数少ないから、おれたちのほうはあれだということですが、こういう差なんかおかしいんじゃないかと思う、法務省の中で。直したらいいじゃないですか。
  213. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 超過勤務の一時間当たりの単価、これは予算の積算単価でございますので、結局刑務所職員の俸給と少年院職員の俸給というものが基礎になりますので、刑務所のほうにはいわゆる高額の単価の超過勤務手当を受ける職員の数が多いという関係でこのような差があらわれているのじゃないかと思います。それから一人当たりの月時間でございますが、これは三十二時間と二十八時間でございますが、この点につきましては、私自身、少年院職員超過勤務も、刑務所職員超過勤務も、実質的には変わりはないと思いますので、この時間の差については、少なくとも同じように持っていきたいと、このように考えております。
  214. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから3の表ですね。「刑務所看守及び少年院一般教官の俸級比較表」という3の表があるのですが、これは最初は看守の人が多くって、いろいろあるんでしょうが、途中で同じになったり、また看守の人が多くなったりして、最後はあれですか、これは教官のほうが多くなるんですか。これは公安(一)と(二)の関係でそうふうになるのですか、これはどういうわけですか。
  215. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) これは結局俸給表の適用の問題でございまして、看守については公安(一)の俸給表を適用している。それから教官につきましては、いろいろ議論が分かれておりますが、公安(二)の適用が最も有利であるということから、(二)のほうを適用してきた結果、最初刑務所のほうがよろしいのでございますが、最終的には、教官のほうがよろしい。なお刑務所につきましては、看守は昇進をしないでいけば最後まで看守という身分である関係上、上のほうがやはり押えられるという関係かと思います。
  216. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年院でもあれですか、刑務所の看守と同じような仕事をしている人もいるわけですか、これはいないわけですか。
  217. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 教官でございますので、ございません。
  218. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 少年院は保護処分だから、看守ということばを使えないんだと思いますが、いずれにしても刑務所の看守なり少年院教官といいますか、そういう人の待遇の問題ですね、これは労働組合つくれないわけですから、声が上へ届かないわけですね。上へ届かない人の声というものを、十分聞いてもらうように、大臣もよくお考え願いたいと思うし、それから、大臣刑務所なり少年院なりを、どこを視察されたのか、まだ存じませんけれども、どこを視察されたのかされないのか、そんなことはぼくは聞きませんが、意を払ってそういうところを視察して、それから看守の人なんかとひざ突き合わしていろいろ話をしてもらいたいと思う。上の人がいたらだめですよ、上の人がいたら絶対話しませんし、大臣行くというと、二、三日前から予行演習するんですから、しゃべることばも全部統制するんですから、しゃべる人も、しゃべることも統制して、聞かれたことはこれだけ答えろ、あとは答えるなということをするんですから、ほんとうのことは絶対聞こえないから、上役のほうを全部取っ払って、わからないところを言ってくれというふうにしないと、これはぼくらが行ってもそうですから、そういう点で十分お考え願いたいと思います。  それから、今度法務省設置法の中で、さっきいろいろ問題になっておったんですが、ぼくは疑問に思いますのは、たとえば喜連川少年院というのが今度設置法に出ているわけですね。ところが、予算はとっくの昔に通ったわけでしょう、もう建物建っているでしょう、人もいるでしょう、物理的にいるかどうかわかりませんけれども、人がいるわけです、少年が入っているというわけではないけれども。看板もかかっているんですね。どうして予算設置法と一緒に出さないんですか。前もって取ってしまって、もしも設置法通らなかったらどうするんですか。設置法通らなかったら、建物建っておって、実際問題としてどうなんですか、おかしいですよ。もし通らなかったらどうするんですか。これはまあ通るんでしょうけれども、おかしいじゃないですか。どうも理論的にわからないんです。前は予算も一緒に設置法通したこともあったというふうに聞いておるんですがね。看板も出ているんじゃないですか、小さな看板かもしれないけれども
  219. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 予算設置法同時に提出すべきではないかという御意見ですが、そういう法案の提出のしかたもあったように私記憶いたしておりますが、その場合、予算が通りましてから、現実にやはり建物を建てて業務を開始いたしますのは、やはり予算の入りぐあいによりまして、一年後、二年後というような場合がございます。その間予算も通り法案も通ったけれども、運営が一年も二年も動いていないという場合があり得るわけでございます。それではおかしいじゃないかという御意見があって、現在のような扱いになったと私は聞いております。
  220. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ぼくは、だから設置法通らなかったらどうなるのかと思うんです。建物こわしちゃうわけにいかないでしょう。どうなんですか、ほうっておくんですか、管理しなければなりませんしね。まあ、あまりこんなことを聞きませんけれども予算が通れば設置法というのは必ず通るものだというふうに考えているのだと思いますね。普通はそうだからそうですね。まあいいです、それは。  それで、いま言った矯正行政にはいろいろな問題がありますから、ぜひそういう点もお考え願いたいと思います。ぼくは、労働組合もつくれないところをほんとうに考えてもらたいと思うんですよ、言えないんですから、声が。
  221. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 要するに上下のパイプを十分通ずるということが必要であろうと思いますので、先ほどもお示しのように、できるだけ下の職員と会う機会をつくって、そのほか、各施設でいろいろ機関紙とか雑誌なども出しておりますので、そういうものには丹念に目を通し、そういう方面から声をくみ取るように心がけたいと思っております。
  222. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから少年院に対して、最高裁判所から人を呼んでいませんけれども、これは少年院というものに対するいろいろな考え方がありますけれども、とにかく少年院に入ったらもうおしまいだ、あすこへ入ったら悪くなるばかりだ、だからあすこへ入れては困るのだ、悪い大将がいまして、いろいろ訓練する。だから裁判所としては何とかして、家裁ではそういうものに入れないようにしたいという行き方が非常に強い。そうして試験観察をやって、自分のところでやっていきまして、そうして補導委託するのでしょう。これは補導委託は、根拠はどこにあるのですか。これはちょっと無理かな、最高裁になるかな、法律に根拠ないのじゃないですか。
  223. 勝尾鐐三

    政府委員勝尾鐐三君) 正確に言えば、私も根拠がないと思います。運用としましては、しかし、少年法の試験観察というのを、拡張解釈といっては語弊がありますが、やっておられるのではないかと聞いております。
  224. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは最高裁の問題ですから、ぼくも疑問に思っております。補導委託先が宗教団体、工場、事業場、職業訓練所とか、いろいろありますけれども、いろいろ問題があります。  民事局関係に移りますが、メートル法の書きかえ作業というものは、これはどうなってくるのですか、法律的に何かきちっときまったのですか。うまく、通産省ですか、ほかのところと連絡取れなかった、通産省のほうではそんな話聞いてなかったということもありますが、どうなっておりますか。
  225. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 現在の登記簿はに記載されておりますものにつきましては、計量法の施行法に規定がありまして、それはそのままでいいということになっております。したがいまして、本来ならばそのままでよろしいのでございますけれども、計量法を全面的に実施しようという方針でございますので、法務省としましては、その趣旨に従いまして、予算の許す限り、なるべくすみやかに、従来の尺貫法としての表示をメートル法に書きかえよう、こういうことにいたしたわけでございます。政府全体としても、それをすみやかにやってもらいたいということでございますので、その趣旨に従ってやろうということになっております。
  226. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、メートル法に換算するのは、法務局が職権でやらなくてもいいことなんですか。
  227. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 現行法上はメートル法で表示することになっています。ただ従来の尺貫法を使っておりますので、それをそのまま維持してもいいということになっております。したがいまして、新しく登記しますときにはメートル法で表示することになっております。その趣旨に従って書きかえをやっていくということでございます。
  228. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 新しく登記する場合には、申請人がメートル法で出すのですか、メートル法で出さないと受け付けないのですか。
  229. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) メートル法で書いていただくようにいたしております。さればといって、尺貫法を併記した場合に、これはだめかということになりますが、それでも差しつかえない。しかし、できるだけメートル法に慣熟するためにはメートル法を使っていただくという方針でございます。
  230. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、結局、新しいのは別として、古いものはメートル法にかえられていくわけでしょう。その作業をやるわけでしょう。そるのがたいへんですね。その人数なんかどうするのですか。
  231. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) これにつきましては、非常にこまかい換算表を用意いたしまして、すぐその換算表で出せるように準備いたしまして、これを登記所に配りまして、一々計算しなくてもいいように手配いたしております。
  232. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんな簡単にメートル法書きかえができるのですか。そうすると坪を直す場合ですか、坪を直す場合に、すぐ平方メートルというふうに簡単に出るのですか、何か表を見て出すのですか。
  233. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 一坪ずつ換算表ができております。さらにコンマ以下の数字につきましても、すぐその換算表を見ればいいようにできておりまして、職員にとりましては、計算をする必要はないようにいたしております。
  234. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だけど、そのメートルは何けたまで書くことになっておるのですか。
  235. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 小数点以下二位まで書くことになっております。
  236. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それで、いまの問題に関連するのですが、登記簿の謄本が全く読めないようなのがあるのですね。大臣、ぼくは読めないような代表のものを持ってきて、あなたに読んでもらおうと思ったのです。初めから終わりまで読めるか読めないか、ほんとうに読めないのですよ。何が書いてあるかわからないのです。それで金を取るのですよ。これは実におかしいと思うのだが、金を取るでしょう。もっとも、経過はいいから、一番最後のところだけ、現在の権利関係だけわかればいいという人がありますがね、それすらも見えないのですね。それで金を取っているのだから実に法務省というのは——と思いますがね。見えないのがありますね。そういうような苦情はあまりないのですか、どうなんですか、これ。
  237. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) お示しのような苦情が間々ございます。これはしかし非常に忙しいときございまして、普通はそういうことはございません。普通の、われわれここで使っておりますリコピーの機械でやっておりますが、それにのるような登記簿の用紙そのものも改善いたしておりまして、だんだんそういうことはなくなっていくはずでございます。
  238. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 だけど、原本そのものが古くなっているのじゃないですか。だから摩消しているから、それをリコピーとってもだめなんです。
  239. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 帳簿そのものが古くなっておるものもございます。また、紙の悪いものもございます。そのために、いま粗悪用紙の書きかえ作業をやっておりまして、これが完成いたしますれば、非常に写りのいい用紙に全部切りかえられますので、能率は非常に上がると思います。
  240. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それから日本橋の商業登記所、東京でもう一つつくったのでしたか。
  241. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 日本橋だけでございます。
  242. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どうして日本橋だけなんですか。どこかもう一カ所つくってくれという話があったのじゃないですか、台東か……。
  243. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) ただいまのところ日本橋の登記所だけが商業登記を扱っております。そのほかに商業登記専門の登記所をつくるという予定は、現在のところございません。
  244. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 各方面からもう一カ所つくってくれというのがあったのじゃないですか。台東区あたりに何かつくれという請願か話があったのじゃないですか。
  245. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) それは商業登記専門の登記所ではございませんが、商業登記の管轄についての希望が出たことがあったと思います。
  246. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 あなたの出した資料でも、商業登記簿が五日間もおくれているのがあるというのが書いてありますね。五日間もおくれると、その登登記簿謄本をとって、それで抵当権を設定して、金を借りるとか、その登記簿をとってほかに見せてそれで売買して金を得るとかいうことになるわけでしょう。あるいは登記簿謄本に基づいて転売して利益を得るという場合もあるのですがね。本来ならば、当然その日のうちにしなければならないということが、不動産登記法にはそういう前提での条文がありますね。商業登記簿もそうですね。それが、そういうふうにおくれるということによって、国民の権利というものを侵害していくわけですね。商業登記簿謄本は、本来その日のうちにできなければならないのに、あるいは不動産登記簿謄本が現在のような情勢のためにおくれてきた。そのために、登記簿謄本をもとにして売買なんかできるのができなくなったとか、金を借りるものが借りられなくなったということになってくると、国民は損害を受ける。そういう場合、どうなんですか、損害賠償の責任あるのか、国にとってある場合もあるのじゃないか。まあ、それは別として、とにかく国民にそういうことで非常に損害を与えていますね。  だから、今度二百人ふやしたって、二百人ふえたのは増員じゃないのですよね、内部の凍結の解除を持ってくるわけでしょう。だから、民事局だけに人数が入っちゃって、民事局から出る法案はみんな通っちゃって、刑事局から出す法案は今度も通らない、通らないと言っちゃ悪いけれども、どうも通らなそうだということになってくると、民事局恨まれることになって、非常に内部でうまくいかなくなっちゃう。それはもういろいろありますけれども、だから、内部での操作でふやすのじゃなくて、来年あたりからはやはり新しく増員するとい形をとらないと、大臣、ぼくはいけないと思うのですよ。いま言ったように、内部の凍結を解除するのでしょう。  今度でも刑務所関係の凍結が百六十六でしょう。そのうちの解除になったのは七十八でしょう。刑務所のほうがそういう形であおりをくっているわけでしょう。そのほかにもありますけれども少年院もそうですけれども。だから法務局で二百凍結解除を持ってきたということで、刑務所関係少年院関係が逆にふえてないわけでしょう。これは本来おかしなことなんで、だから法務省の中でごちゃごちゃなんですね。法務省の中には、御存じでしょう、大臣、八個師団でしょう、これね。八個師団の中で、実際は刑事局と矯正局が一番強いのだけれども、こういう形で民事局がみんな人数を持っていってしまうから、ほかはおこるわけでしょう。法案は通る、民事関係通っちゃうから。刑事関係通らない、局長立場もなくなっちゃう。いずれにしてもこういう形でなくて、新しくふやすように、これ来年からはぜひ持っていくようにひとつ努力願いたいですね。そうでないと困っちゃうのですよ。そういう点、ひとつぜひはつりお答え願いたいと、こう思いますね。
  247. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 本年の凍結解除三百五十名のうち二百名を、最も緊急を要すると考えました民事局の方面に、法務局でございますが、この方面に二百名を振り向けたというやむを得ない事情となっております。今後は十分、いま仰せをいただきました矯正関係、ことに少年院関係という方向に向かって十分力を尽くしていきたいと思います。
  248. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止
  249. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をつけて。
  250. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ほかにいろいろな問題がたくさんあるわけです、設置法に関連して。しかし、これはまあ法務委員会なり何なりで十分やりますから、いま大臣がもう席を立たれようとして、ほかへ急いでおられて、ほんとうにゆっくり何か聞いてないような印象を受けるのですが、それじゃ困るので、ゆっくり聞いて、いま言ったことは、しっかり来年はやるようにぜひお願いをして、そのことを必ずやるということをいろいろもう一ぺん落ちついて答えていただいて、そこで法務省設置法は、せっかくそういうお話ですから、しっかり来年は定員増をかち取ることに努力しますと、矯正職員のことなんか、組合関係のないところもあれするということを、はっきり明言していただいて、そのお答えをいただいて、私の質問は終わります。
  251. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 十分苦心と努力をいたします。
  252. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——御意見も別にないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  法務省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  253. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十分散会      —————・—————