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1967-06-27 第55回国会 参議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十七日(火曜日)    午前十一時十分開会     —————————————    委員異動  六月二十三日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     宮崎 正雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事         石原幹市郎君                 八田 一朗君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 宮崎 正雄君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 前川  旦君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        運 輸 大 臣  大橋 武夫君        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省鉄道監督        局長       増川 遼三君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君        運輸省航空局長  澤  雄次君        海上保安庁長官  亀山 信郎君        気象庁長官    柴田 淑次君        建設大臣官房長  鶴海良一郎君        建設大臣官房会        計課長      高橋 弘篤君        建設省都市局長  竹内 藤男君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        建設省道路局長  蓑輪健二郎君        建設省住宅局長  三橋 信一君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        運輸省航空局監        理部長      手塚 良成君        運輸省航空局航        務課長      浜田 幸晴君        船舶技術研究所        長        大江 卓二君        船舶技術研究所        電子航法部長   安積健次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。去る二十三日、田中茂穂君が辞任され、その補欠として宮崎正雄君が選任されました。     —————————————
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き本案質疑を続行いたします。  関係当局の御出席は、大橋運輸大臣、そのほか政府委員方々であります。  それでは御質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案について二、三お伺いしたいと思いますが、その前に、成田空港について一言だけお伺いしておきたいと思います。大臣は、昨日初めて成田市を訪れたようでありますが、大体どのような目的をもっておいでになったのか、まずそのことからお伺いしたいと思います。
  5. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 成田空港につきましては、すでに運輸省といたしましては、空港建設計画につきまして空港公団に認可を与えておるわけでございます。そこでこの建設命令によりまして、公団土地買収に着手する段取りに相なっておるのでございますが、地元土地所有者方々の全面的な御協力を仰がなければこのことは至難でございまするので、私といたしましては、かねてから早い機会土地所有者方々にお目にかかりまして、御協力お願い申し上げたい、かように存じておったのでございますが、御承知のとおり、私就任直後に衆議院の解散がございまして、続いて地方選挙等もございましたので、かような行動に出ることが必ずしも適当な時期ではないと存じておりまして、今日まで延引をいたしたような次第なのでございます。そこで、昨日はすべての土地所有者方々代表の方とお目にかかりたいと思っておったのでございますが、幸いにして条件二派と称せられる方々とはお目にかかることができました。また、中立の方々にもお目にかかることができましたが、反対同盟方々とお目にかかることができなかったのはまことに残念に思っております。しかし、今後とも努力をいたしまして、ぜひ会見機会を持たせていただきたいと思っております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、話し合いを推進したいということでおいでになったと、その目的ははっきりしておるわけです。そこでお伺いしますが、その話し合いはいわゆる平穏裏に進められたわけですか、その点はどうなんですか。
  7. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 会場成田市役所に知事のほうでおきめいただいておりました。そこで私は、京成電車成田へおりまして、成田駅から成田市役所まで車で参る手はずをいたしておったのでございますが、成田停車場の構内及び前面広場におきまして反対同盟方々集会が持たれておりましたので、その間しばらくそれの終わりますまで駅長室で休息をいたしておりました。その後は平穏に会場に入ることができまして、ほぼ会見は所期の目的を達したように思っております。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 お答えによりますと、反対派集会があってそれが終わるまで駅長室で待機しておったと、その後は平穏裏市役所へ入れたのであれば、何かこれは新聞の間違いであれば話は別ですが、千葉県警機動隊も約二百名出動して、反対派も約二百名ばかりが出動しておって、相当もみ合いもあったように報道されておるわけですが、そういう中で、大臣は、市役所表玄関から入ることができないで裏口から入られたということですが、そうしますと、一国の国務大臣がそういう公務で行かれるのに、表玄関から入れないで裏口から入るのやむなきに至ったという事態は、これはどう考えても平穏裏にということは言えないと思うんですが、まあそういうことは別として、大臣が、まず条件賛成二派の方々と話を進められた、それはもとよりけっこうですが、私ども考えるのに、反対派が相当強力な運動を起こしておるわけですね。もちろん条件派方々話し合いも必要でありましょうけれども反対派をそのままにしておいて、条件二派との話し合いを進められるということは、条件二派との話し合いが妥結すれば反対派の動きを無視して建設を強行しようという御意図がおありなんですか。もし、そういう意図がない、十分納得のいくまで話し合いをしたいということであるならば、せっかく行かれたんだから、まず反対派代表十分話し合いを進められてしかるべきだと思うんですが、この辺は大臣どうお考えですか。
  9. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 当初は、条件賛成派といわれる方々及び反対同盟方々の皆さまにお目にかかりたいと思って会見お願いいたしたわけでございます。ところが、最終段階において、反対同盟方々は適当でないということで会見の拒否をなさいました。そこでこの方々とお目にかかることはできなくなったのでございますが、その他の方々とはすでに会見のお約束を取りつけてございます。既定計画に従いまして他の方々とお目にかかりました。しかし、私自身の気持ちといたしましては、反対方々とお会いするということが最も大事なことだと思っております。できるだけ早い機会に御了解を得ましてお目にかかるようにいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨日は、最初から反対派だけの代表と云々ではなくして、地元の各方面の代表という御意図のようですが、そうすればいずれ早い機会反対派代表方々ともそれだけでお話し合いをする機会を持つことも必要であろうと思います。条件派条件派だけでするということは考えられますが、ただそれだけで新東京空港建設できないと思います。やはり反対のある限りこれを説得して、何らかの方途を講じなければいかぬわけですね。そこで、これは本案に直接関係の問題ではございませんが、ただこれと間接には関係のある空港問題で、そこでとりあえずお伺いしたわけですが、ここで最後にお伺いしたいのは、そうすると、反対派方々との話し合いは、そういうことで話し合いができなかったということであるから、今後話し合い機会も持たれるであろうと思うのですが、そこで大事なことは、反対派方々が強い反対を持ち続ける場合には、大臣はどうなさいますか。これやはり条件派が、もういわゆる話し合いが済んだので、反対派は無視されて、どんどん空港建設に着手されるのか、それとも反対がある限り最後まで話し合って方途を見出すと、こういう態度をおとりになるのか。この際そのことだけ最後に伺っておきたいと思います。
  11. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私はただいまのところ、あくまで話し合いを進めて円満に解決をはかってまいりたい。ただいまのところは、さように考えております。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、いま大臣おっしゃったこと、ことばをかえて申しますと、反対派反対が続く限り、新空港建設は強行しないと、そういうことになろうかと思う。その点はどうですか。
  13. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私は、反対派反対が、いずれ御了解を願える時期が必ずあると思っておりますので、あまり先のことまではいま考えておりません。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただそれは将来のことであるので、そういうおことばも出てくるかもしれませんが、ただことばとして、反対派の強い反対が続く限りこれを無視して強行なさるのかなさらぬのかということは、ここでお答えできると思う。そういう点はいかがですか。
  15. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私は現在のところは、できるだけ早い機会にお目にかかってお願いを申し上げたい。それによって、反対態度についてもいろいろお考えをいただける可能性があるものと、こう存じておるのでございまして、できるだけこの問題を円満に解決すべく努力をいたしたいと、こう思っております。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣のお気持ちもわかりますが、私のお伺いしているのは、反対派の強い反対が続く限り、これを無視して建設を強行なさるおつもりか。そういうことはしない、反対を押し切って建設を強行するようなことはしない……。この点はどうかとお伺いしておるわけです。
  17. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) そこまで私は考えておらないのでございます。いまのところはできるだけ早い機会にお目にかかって、円満に了解を得るようにつとめたい、こう思っております。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえば、防衛庁内部施設庁がございますが、この基地の問題でしばしば施設庁に、こういう地元反対のある場合、これを無視して強行するのかどうか、こういう質問を出しますと、従来の経緯からいいますと、必ず反対を無視して、押し切って強行するようなことはいたしませんと、明確に答えておられるわけです。そこでこれは重要な要素を含んでおると思うのです。反対派反対を押し切って無理強行するかしないか。これはいま私が当然期待したのは、反対を押し切ってまで無理強行はいたしませんという明快なお答えがあると予期したわけですが、ところが、そういうことは考えていないということになると、これは重大問題と思うのですね、同じ内閣の各省庁によって大臣態度がそういうふうに変わっているということは、これは佐藤内閣統一性のない証左にもなるわけであって、これはきわめて遺憾だと思う。いま施設庁一つの例を出したわけですけれども、いわゆる行政民主化、こういうことを一つの大きな柱にしている佐藤内閣として、反対を押し切って無理強行するというようなことにするかしないかについてお答えいただけないということは考えられない。そうしますと、大臣の頭の中に、もうここまで来ていわゆる条件付賛成派条件か整えば——これはきのうあたりの新聞の報道によりますと、その条件についてもだいぶ話し合いが煮詰まってきたということも伺っているわけですが、こういう点で条件二派が賛成であれば、大臣反対派反対を押し切ってやるつもりのようにうかがえるわけですが、いまの御答弁からは、それは大臣としては、反対派を説得して建設を進めたいという御答弁ですが、それでは核心に触れていないわけですね、われわれとしてはなまやさしいいわゆる条件闘争でないわけです。あすこへ空港をつくられること自体反対しているわけですから、この反対大臣の説得だから相当効果があろうと思いますけれども、その大臣であるあなたにしても、なかなかいまの反対派は強力だから、簡単には説得されないと思う、筋から言って。そうしますと、近い将来説得して建設を推進したいということはわれわれには考えられないわけです。そこで反対の続く限りは建設を強行しない、そういうことがここでどうして言えないのかどうか。
  19. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私は、今後とも極力反対同盟方々にお呼びかけをいたしまして、ぜひお目にかかって実情を述べ、お願いを申し上げたいと、かように存じているのでございまして、近い将来において必らずこれらの方々も御理解を賜わるものと確信をいたしているのでございます。ただいまの段階では、その他のことについて考え段階になっておらないと思います。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、大臣としては、その強い反対派大臣の交渉により近い将来必らず理解してもらえる、理解してもらえるということは、賛成に変わってもらえるという意味のようですが、私どもの見解としてはなかなか簡単には説得されないと思う、基本的に相いれないわけですから。そうすると、話は対立してこれを繰り返し言っても、どこまでも並行線になるわけですが、遺憾ながら、この法案のそれ自体関係でないので——絶対に承服はできませんけれども、別途また機会を得てやることにして、法案内容に入りたいと思いますが、ただ同じ佐藤内閣大臣が、省によっては国民の、特にその関係地元民反対を押し切って無理強行はしないということを繰り返し明言してきているのに、運輸大臣だけが無理強行するとは言いませんけれども、まだそこまで考えてないと言っているのですから、無理強行するとははっきり言ってないわけですね。そこで問題にならぬわけです。まことに巧みな御答弁なので、これ以上追及することをしばらくおくことにしておきますが、ひとつ御要望申し上げたいと思うのですが、やはりそういう事例もありますので、反対派のいわゆる理解が得られない限りは無理強行はしないと、そういう意図でひとつ終始一貫していただきたいということを強く要望申し上げておきたいと思うのです。  さて、法案の問題に入りますが、先般、提案理由説明を伺ったわけですが、今回の改正では、航空行政組織について大きな改正を行なっておるわけです。運輸省としては、どのような基本的な考えのもとに今回の機構改正を行なわれたのか、その基本問題について伺いたい。
  21. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御承知のとおり、昨年大きな事故が繰り返されまして、航空の安全についての必要性が非常に唱えられるように相なりました。かねてから運輸省といたしましては、航空の安全ということにつきまして努力はいたしてまいったのでございますが、この機会に、機構についても拡充いたし、安全を一そう強化してまいりたい、こういう考えで、このたびの改正案におきましては、本省航空局に一部、一審議官、一参事官、一課を増担いたします。また、全国二つ地方航空局を新設いたします。さらに航空保安職員研修所整備いたしまして、これらのために所要増員を行なうなど組織強化をはかるのでございまして、これによりまして、航空行政については大幅な業務改善が期待され、したがって、安全確保に資するところも大きなものがあろうと考えております。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の相次ぐ大きな航空事故について航空審議会答申もあったと思うのです。この運輸省航空行政組織整備について、もちろん、その後検討を加えてきたであろうと思うのですが、どのような構想をまとめたか、また、今回の機構改正へのつながり、こういう点はどうなのか、こういう点について伺いたい。
  23. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) おそれ入りますが、監理部長から申し上げさしていただきます。
  24. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 審議会答申には、航空行政組織といたしまして、航空庁ということがございます。航空庁におきましては次長と、ただいま大臣から御説明がありましたように、飛行場部とそれから保安関係につきまして、ただいま技術部というのがございますが、これをさらに二つに割りまして保安第一部と保安第二部ということで、新しく保安第二部というのをつくりたい。ほかに、ただいまお話のございました企画あるいは国際というものを担当する参事官というものを置くほか、航空事故調査課の新増設をやりたい。そういうことで、本省内部局といたしましての組織強化をはかる。また、地方におきましては、管区航空局設置する。この管区航空局全国に四カ所管区航空局として置きたい、札幌、東京大阪、福岡でございますが、で、その下に現在ございます航空保安事務所というものを現状のとおり下部組織としてつけておく。これに要します所要要員が三百十二名ぐらいの増員をしたい。こういった内容が大体当時の構想でございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の大きな航空事故発生以来、いわゆる航空安全の確保ということは緊急な課題になってきておると思うのです。そこで今回の機構改革目的もここに着眼されたと当然考えられるわけです。運輸省としては、今回の改組はいわゆる航空安全の確保のための機構改革と、そういうふうに当然言われておるわけですけれども、私どもから見ると、どうも航空安全性はむしろこういうことで低下するおそれがあると思うのですが、この点はいかがでしょう。
  26. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私どもは、今回の改正によりまして組織強化が行なわれると、大幅な業務改善が期待されまするから、安全確保に資するところが大であると、こう考えております。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 航空安全確保のためには、もちろん、機構整備する、これはもう不可欠の要素一つだと思うわけです。しかし、それだけではなかなか航空安全を確保することはむずかしいと思うのですね。航空審議会航空安全について当面五カ年間にとるべき方策を答申しておるわけですけれども、そこで、運輸省はまず空港整備についてどのような計画を策定されておるのか。そのごく概要でけっこうです。大つまみにひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  28. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 空港整備につきましては、閣議決定によりまして空港整備五カ年計画というものを確立、確定いたしております。五カ年計画内容といたしましては、国際空港——一種空港、羽田、大阪でございますが、これを整備いたす。いろいろ整備内容がございますが、整備をいたすということ。それから第二種空港運輸大臣設置、管理する空港でございますが、この第二種空港につきましても、基本施設整備のほか、特に航空保安施設というものを整備する。基本施設につきましては、原則といたしまして滑走路の長さを二千メーターにする。これにILSあるいはVORレーダーという航空保安施設の中でも精測進入が可能な保安施設をつけまして、運航の定時性確保をはかりたい。もちろん安全性確保にもなるわけでございますが、そういう保安施設整備をする。それから第三種空港といいます地方空港におきましても、滑走路原則として千五百に延長する。それにただいま申し上げましたようなできるだけ一種空港におけると同様な航空保安施設整備をはかる。こういうのであります。これらに要しますところの経費と事業費といたしまして千百五十億というのが、ここに整備計画概要になっております。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 相次ぐ大きな航空事故発生、こういうことを契機にして運輸省としても航空の安全を確保しなければいかぬ、そういう観点からいろいろと検討を進めてきて、航空庁としては四地方局制を設けて、そういう想定のもとに業務を策定してきたと思うのですが、しかし、結果は、その四地方局制が二地方局制に削られてしまって、人員も大幅に減らされておるわけです。こういう要素では空の安全を確保することはむずかしいと思うのですが、その点はどうなんですか。
  30. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 伊藤先生おっしゃいますように、私どもといたしましては、当初四地方局を希望いたしたわけでございます。これが二地方局になりましたにつきましては、十分なものであるとは考えてはおりませんが、ただ現状この地方局がございません組織との関連において考えます場合には、非常な改善安全性確保強化になると考えております。と申しますのは、現在中央におきましては、地方的な仕事と申しますか、現場的な仕事を相当多数中央でやっておるのが現状でございます。たとえば飛行場用地取得のごとき場合に、実際の用地取得関係仕事現場に行って中央の者がやるというようなことをやっておりますし、あるいはこの検査試験等仕事におきましても、また地方局ができれば、当然そういう地方でやるべきだということをやっておるわけです。で、中央では、元来われわれは、やはり企画的な面、計画的な面というものをやはりがっちり固めるような組織であるべきだと考えておりました。その面が非常に従来弱体であったと思うわけです。そういう中央における本来の計画企画陣というものが今回二局地方局ができますについて中央で非常に強化される、こういうふうに考えております。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうもその点納得しがたいのですがね。たとえば本局技術部も減員になっておりますね。それから地方航空局一つの係の係員は平均二名くらいでしょう。そうでしょう。そういうことを前提に千百五十億という五カ年計画の実施をしなければならぬ。膨大化したいわゆる施設維持運営もしなければならぬ。にもかかわらず、一名の増員もしていないわけですね、この面では。そういうことで、現場要員業務量の増にとても対処できないと思うのです、こういう事態では。したがって、高度化とかあるいは膨大化する航空保安業務を運用する要員の手だてが確定的に不十分だということがいえると思うのです。そうだとすれば、航空安全性は低下するのではないか、こういう反応も出てくるわけですね。その点はどうなんですか。
  32. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 地方局定員構成人員につきましては、本省から六十九名地方におろします。それから地方の現在の組織のうちから地方航空局へ百十五名上げております。そのほかに新規ということで百六名の定員増が今回行なわれます。この本省からおりる、あるいは地方から上がるということにつきまして、あるいは先生の御懸念になるようなことがお考えになられるかと思うのでございますが、たとえば本省から六十九人落としてまいりますけれども、先ほど業務で少し申し上げましたように、試験とかあるいは航空機の検査というようなことに従事しております試験官検査官などは、すでに地方に所在しながらその仕事を現在やっておるわけでございます。したがいまして、その姿そのままで地方局という組織に入れば、これは従来どおりの姿でかつ効率的に現場仕事に専念できる、こういうふうに考えるわけでございます。それから地方から吸い上げるといいますか、移ってまいります百十五名につきましても、これは主として管理部門に現在従事しておる者を地方局に上げてまいりまして、それで管理的な面について全般的なめんどうを見ようと、こういうようなことでこういう定員になっておるわけでございます。やはり強化されたと私ども考えますのは、新規採用百六名というのが地方局についております。これによりまして大幅に中央あるいは地方からの権限の委譲をもって地方局としての仕事が遂行できる、こういうふうに考えるわけでございます。  なおまた、先生のお話にございました新しい機械なり何なりが出てきているのに対処して定員がどうかというふうな御質問もあったかと思いますが、仰せのごとく新しいレーダーがつきましたし、ILSその他の先ほど申し上げました保安施設がついておりますが、これらのものの運用に対しましても、新規といたしまして七十四名という定員が新たについております。これらの定員で完全に十分で満足できる姿とは考えませんけれども、一応私どもとしては、これで現状のところ差しつかえなかろうというふうに考えております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、現在の乗員の試験ですね、これは十二分に行なわれておるわけですか。要員関係とか予算不足でまだまだ不十分ではないかと思うのですが、この点はどういうことになっておるのか。あるいはまた、航空機の検査ですね、航空自体検査あるいは事故が起きた場合、事故の調査、こういう業務はいわゆる航空安全を確保するためにきわめて大事な具体的な項目であろうと思うのですがね。ところが、これは間違いならいいんですが、その乗員の試験業務を民間企業に委託しようとする動きがあるやに聞いておるのですが、そういうことは全然ないとおっしゃるなら別問題ですが、この点は一体どうなのかということ。それから航空機の検査とか事故調査業務のその一部を切り捨てるようなことはないのか、そういうことを一部聞いておるわけですが、こういう点について御説明いただきたいと思うのです。
  34. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 乗員の試験官につきましては、毎年その対象人員がふえてまいっておりますので、それに伴う増員をいたしております。現在四十二年度で乗員試験官十月以降十五名ということになっておるわけですが、この人間でもちろん完全ではございませんけれども、現在のところまず試験そのものに支障はなかろうというふうに考えております。検査官におきましても現在定員が四十三人ということになっておりまして、それにつきましても事情は全く同じでございます。ただ、こういう定員状態でやはり十分な姿とは考えられません。特に乗員の試験におきましては、たとえばグライダーのような、非常に小型な飛行機につきましても、その乗員についての試験を、実地にこういう試験官がやっておるわけでございます。こういった面と、将来さらに対象人員が激増していくであろうと予想されますところから、やはり制度的な観点で検討を要する余地はあるんではないかというふうに考えておりまして、まあ目下検討中ではございますが、直ちに一部のものを委託するとか、あるいは仕事内容を切り捨てると、そういうふうに考えておりません。で、まあこれは、かりに委託なり何なり出てまいります場合にも、やはり制度的に十分な検討をして、それによる安全性確保が低下することがないように、ということは、十分な考慮を払わなければならないというふうに思って、現在検討はいたしております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらにお伺いいたしますが、無指向性の無線標識の、いわゆる遠隔操作化、あるいは管制の自動化、あるいはテレタイプ通信の自動中継化、あるいは地方及び航空局と、いわゆる空港事務所の管理事務の一体化とか、あるいは無線標識所の庶務業務あるいは一部空港施設業務の、こういうふうな面に切り捨てなどはないのか、いわゆるこれを要するに、非常な減員となって配置転換も相当あるやに聞いておるわけですが、そういうことになると、現場要員の人手不足は免れぬと思うのですが、そういう心配がなければいいわけですが、もしそうだとすると、この航空安全の確保はなかなか期待できないと思うのですが、こういう面でのいわゆる要員の配置、こういう点は一体どうなるのか、こういう点について伺いたいと思います。
  36. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 管制の自動化あるいはテレタイプの自動中継化、こういう面におきましては、私どもはできるだけ早急にそういう方向で施設整備をいたしたい。自動化を行ないますことによりまして、仰せのごとく、人間的な節約はもちろん行なわれますし、かたがた精度が非常に向上するということで、こういう面は、安全の確保上ぜひ進めたいというふうに考えております。ただ、名前のごとく、自動化といいましても、完全に人が要らなくなるということではございません。自動化の装置自体として、やはりメンテナンスなり何なりということでは、十分な定員の配置が必要であると考えております。そういう面で、自動化をしてむしろ安全性が阻害されるということは毛頭考えておりません。逆に安全が強化されるというふうに考えるわけでございます。なお、その管理部門の人間が地方局へ移るということによって現場であるところの空港事務所等でそういう面が弱体化しはしないかという問題が出ます。なるほど若干私ども考えまして、羽田あるいは大阪国際空港におきましては、ここにおきます管理部門が全部地方局へ、先ほどの定員では上がることになっておりますので、本来その空港事務所でやるべき管理業務はいささか弱体になるかという感じはいたします。これにつきましては、業務の配分関係等を十分考慮して、実行にあたりましては、その定員で十分できる仕事内容の委譲関係を見ていきたい、こういうふうに考えまして、管理部門の吸い上げによって弱体を来たさないような仕事内容の配分を行なう、こういうふうにやりたいと思っております。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 二つ地方局へ広範囲の業務がいわゆる分割される。それで二つ地方局施設課について見ると、土木とか建築、機械、電気、こういう専門業務の寄り合い世帯となるわけですね。また、管制通信無線課、これについて見ると、管制、通信、無線のいわゆる専門業務のこれも寄り合い世帯、そういうことになろうかと思う。しかもそれぞれの専門要員は二名ないし三名程度、従来の業務ですらなかなか期限内に処理できなかったむずかしい事態から見て、今度また、先ほど御指摘申し上げた五カ年計画の事業もあるし、新規業務に全く手も足も出ない、こういうのが今後の実情ではなかろうかと思う。この点はどうなんです。
  38. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 先生仰せのごとく、地方の官署から土木の仕事あるいは建築の仕事、こういうものを地方局へ移すということを今度の地方局では考えております。おりますが、この地方局において行ないますところの土木あるいは建築といった工事につきましては、まあ現場的な仕事ではございますけれども、やや全般の包括的な仕事、たとえば現場の土木工事におきますところの監督要員としての仕事、そういったのが非常に主になるわけでございまして、そういった仕事は、やはり局にそういった人間を置きまして、そういう仕事のあるところへ回すということがやはり能率的な人員の配置ということになるかと思うわけで、そういった趣旨でこういうことが行なわれた。今度先ほどの整備五カ年計画を大々的にやりますことによって、仰せのごとく、相当定員が必要になってまいります。私のほうで現在試算してみますと、五カ年計画に伴う定員増加というのが約千五百名内外ぐらい必要ではないか。これはただいま申し上げた工事の要員以外に、でき上がりました機械設備、先ほどの保安施設も含めまして、そういったものの維持管理をやる人間等々全部を含めまして、そういう計算をしております。それらのものをぜひ五カ年計画の推進に伴って逐年ふやしてまいりたい。こういうことによりまして、御心配の整備計画に対する定員確保していきたいというふうに思います。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえば航空試験官についてお伺いしたいわけですが、現在学科とそれから実地試験、これは二十四資格ぐらいだと思いますが、科目について百四科目ですか、もし間違っていたら訂正いただきますが、こういうことになって、一人の試験官が十二科目を受け持っておる。これが現状のようですが、しかしながら、地方局に二分されると、現状以上に業務をさばき切れなくなるのではなかろうか、こういう憂慮が持たれるわけです。そこで私のほうでお伺いしたい要点は、必要な要員をそこにつけないで機構だけを改革しても、空の安全が確保できないではないか、これがお伺いしたいところの要旨なんです。なるほど機構はこういうふうに変わったけれども、それに伴う要員はさっぱり不十分な状況ではなかなか成果は期待できない、むしろますます担当業務が多くなって、いわゆるオーバーワークになる、こういう心配が出てくるわけですね。こういう点を明らかにしていただきたい。
  40. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 先ほども申し上げましたように、常任試験官の総体の定員というものが、現状試験対象人員が非常にふえてまいりますのになかなか追いつかないという現状はあるわけでございますが、ただいま、その申し上げました先ほどの定員の中で、今度試験官として地方局に落とすというふうに予算上考えられております人間が八名ございます。で、この人間を地方局に落としますことによって、地方局が先ほど申し上げたように二つに分かれるわけでございますので、これをまた半分にする。半々の四人ずつでもって広般な範囲を受け持つということは、それ自体として、やはり人間の割り振り上あまり適当ではなかろう。そこで、予算はそういうふうな考え方になっておりますけれども、実行の面におきましてやはり全体の八人が機動的に、能率的に動き得るような張りつけを考えたい。したがいまして、たとえば大阪なり東京なりそれぞれ配属にはなりましても、やはり他の局のほうの仕事も兼ねてやり得るようにというふうな、たとえば併任というような措置等を考慮いたすことによって、やはりその人間が全体として能率的に、機動的に動き得るようにというふうな考え方で実施に移したいというふうに考えております。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案が成立しますと、振りかえとかあるいは新採用合わせておそらく四百名以上にわたる大異動が行なわれると思うんですが、そうしますと、以下お伺いするような問題が起きてこようかと思うんですね。同じ配転ならいいわけですけれども、勤務地を異にする配転ということになると、いろいろと個人生活上むずかしい問題が伴って、究極は生活権を侵すような問題も起きやしないか、この配転を強行するとですね、あるいは要員配置の適、不適という問題も起きてこようかと思うんですね。現在は、すべて適所適材というぐあいにいけばいいんですけれども、なかなかこれは机上の理論のようにうまくいきかねると思うんですね。そういう問題も起きてくると思う。あるいは新たな業務がここで開始されることになるわけですが、そこへ二百五名の——これは二百五名でいいわけですが、新採用の職員がそれぞれ現場で教育訓練を受けにやならぬ。ことばをかえて言うと、そういう新入の方々の教育訓練を施さなければならぬ、そういう問題も出てくる。それから、二百九十名の地方航空局職員に対して宿舎の問題も当然にこれに伴って起きてくる問題だと思うんですね。聞くところによると、二百九十名の地方航空局職員に対して宿舎は二十四戸ぐらいの新設が予定されておるという程度、まあこういうことでいろいろむずかしい問題が起きてくると思うんですね。この点をどのようにさばこうとなさるのか、こういう点は、プッシュして強行してしまえば、やるのは簡単ですけれども、それに伴う弊害は相当出てくると思うのですね、こういう点について御説明いただきたい。
  42. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 地方局をつくりまして、それの定員は先生のおっしゃっておられますように二百九十名の総体になります。約半々で、東京地方局大阪地方局ということに予定されております。この内訳は先ほど申し上げましたように、本省から六十九人、地方から百十五人、新規採用が百六人、こういう予定で見ておりますが、この本省からあるいは地方からという場合に、これらの者が全部本省から新たに地方に行くということにはいまのところ考えておりません。先ほど一例で申し上げました検査官のごときはすでに地方に張りついておりますので、こういった二百九十名の組織をつくる現在におきまして、あまり極端な異動はどうかと思いますので、そういう現在張りついておりますような検査官等につきまして、できるだけしばらくの間、その現状を続けるという考えでございます。地方からの百十五名につきましても、これは東京大阪の管理部に所属します者がここに入ってまいりますので、これらの人間は現在のところ地理的には、それぞれ東京大阪という新しくつくる局の現場におるかっこうになります。したがいまして、そういう方々もこの際ですから、あまり大きな異動考える必要はなかろうというふうに思っておりまして、ただ、やはり適材適所の関係もございますので、全部が全部そういうことにもまいらないかと思うわけです。で、いま、あとで仰せになりました宿舎との関係がやはりこういう配転には非常に問題があろうかと思いますが、仰せのごとく、地方局を二局つくりますについて、新規の宿舎の割り当てといいますのが二十四戸になっております。はなはだ少ないように見えるわけでございます。ただ、ただいま申し上げましたように、現在すでにその地方に張りついておる者につきましては、そのままそれが局という看板に塗りかえられる趣向になるわけでございますので、その方々の宿舎は新たに手当てする必要はなかろうというふうに考えます。新規の採用等につきましても、可能な者は、できるだけその現地において宿舎を持っておるというような者を現地採用をするようにいたしまして、その宿舎の不足をカバーしようというふうに考えております。いずれにいたしましても、全体として何がしかの不足が出ることは事実でございますので、その不足の宿舎に対しましては、実行の面におきまして借り上げ宿舎のようなものでとりあえずは進みたい、そういうものの、将来はさらに予算の獲得によりまして、新規の宿舎として整備していきたい、こういう考えでございまして、何戸の借り上げをやればいいのかというようなことにつきましては、これは具体的な人員の配置との関連がございますので、現在地方局設立の準備委員会において部内的に検討をいたしておるところでございます。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお答えございましたから——特に宿舎などについては、本省としては二十四の新設にして、あとは借り上げ等で何とかなるということのようですが、いわゆる当該本人から見ると、宿舎問題というのは実に重大問題なんですね。住居が不安定のまま置かれるということは、結局私生活についてきわめて不安定な形になる。そういう状況のもとで航空安全確保業務に携わること自体が芳しくないということははっきりしておるわけですね。特に航空安全確保のための機構改革であり、それに伴う人事の異動であるとすれば、すべての方々がそうですが、特に大事な空の安全確保のためにはそういうきめこまかいところまで十分な配慮があってしかるべきだと思うのです。そういう意味でお伺いしておるわけです。そういう点は今後住宅ぐらい何とかなるということではなくして、ひとつ十分配慮してしかるべきだと思うのです。強く要望申し上げておきたいと思います。  次に、航空審議会地方空港のいわゆる整備基準というものを立てておると思うのです。このことでお伺いいたしますが、現在国内の空港でこの基準に達しておるのもありましょうけれども、まだ基準に達しないものも相当あるやに伺っておるわけです。その点はどうなのかということ。それと、空港整備五カ年計画の年次計画との関連は一体どうなっておるか、この要点だけをお答えいただきたい。
  44. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 空港整備の基準と申しますのは、必ずしもこうでなければならぬという絶対的なものがあるわけではございません。と申しますのは、たとえば先ほどの精測進入というような空港保安施設をつけるかっけないかというようなことは、やはり空港需要なり、機材関係なり、そういうものの移り変わりに即応して必要になってまいるわけでございます。したがって、東京国際空港にあるような精測進入装置を三種空港等にも全部入れてくるということにはならない。そういう意味におきまして絶対の基準というものがあるわけではございません。ただ、一種なり二種なりというものにつきましては、おおむね重要空港でございますので、審議会でお立てになりましたような基本施設滑走路の長さ、またこれに伴う安全面の無線、照明施設、こういうものをわれわれは従来とも基準と考えてまいっております。従来の一種あるいは二種というものの基準に徴しますと、東京大阪の一種等はこれはまず八、九分どおりできているというふうに思います。ただ、たとえば東京等におきましては、さらにその滑走路を延ばす、Bランウエーという横風用の滑走路がございますが、こういったものを延ばして、これに精測進入というものをつけるというようなことが言われておりますので、これはそういう意味の新しい整備拡充という意味でやっていこうというような内容でございます。  二種におきましては、いま空港別に非常にばらばらでございまして、滑走路の長さ等も必ずしも一定いたしておりませんが、これを先般の審議会で二千メートルというふうなことで統一をしよう。いま大体数からいきますと、千二百メートルグラスが一番多いわけです。中に千五百メートルのものがあったり、千三百メートルのものがあったりいたしますが、こういったものを需要の度合いを勘案しながらできるだけ二千に持っていこうというのが新しい基準でございまして、滑走路といたしまして、この基準にすぐに適合しておるというものは現在ないわけでございます。保安施設等におきましても、いま申し上げましたような新しい精測進入装置というようなものが二種空港につきまして整備されておるものは現在ございません。逐次そういう方向で整備をはかっていきたい。  三種空港におきましては、滑走路が全部千二百になっておりまして、これを需要の多い空港から千五百メートルにしていこうということでございます。  そのほかに、三種については照明施設等を全部整備したいというのが審議会のお考えでございまして、私どももその方向で五カ年計画整備していくわけでありますが、その照明施設が現在ついておるものは一つもない、こういうのが現状でございます。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう昼の時間でありますので、あと一問だけで午前の質疑を終わりたいと思うのですが、空港整備五カ年計画に要する経費の総額は大体どのくらいかということ、四十二年度の事業費はどのくらいか、それから五カ年計画の各年次ごとの計画はどうなっておるか、こういうことを、概要でけっこうですが、伺いたい。
  46. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 五カ年計画につきましては、大蔵当局の了解を基礎にいたしまして、閣議で決定いたしました総額は千百五十億ということに相なっておるのでございます。本年度はその初年度として七十七億円が計上されております。  その後の年度割りでございますが、この年度割りはまだ決定いたしておりません。  なお、千百五十億でどの程度の計画を実施するかという点につきましては、およその了解といたしまして、成田の新国際空港の工事費はこれは全く別ワクであるということ、東京大阪の現在の国際空港及び第二種空港を主とする、必要に応じては三種空港をも含める、こういう考え方でございますが、個々の空港についてどういう計画を立てるかということは大体八月ごろまでに内定をいたしたい、こういう段取りに相なっております。
  47. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を始めて。  それでは、午後一時半再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会   〔理事八田一朗君委員長席に着く〕
  49. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、本案質疑を続行いたします。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  50. 前川旦

    ○前川旦君 航空機の問題でお尋ねをする予定でございますが、この航空気象といいますか、この問題をちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。  普通飛行機がこれは飛ぶときには事前に着陸地の気象等をちゃんと確認をして飛ぶと、こういうことになっていると思うのですが、いまこれはどういうふうに取り扱っていますか。ちゃんと確認できていますか。
  51. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 着陸地点の気象状況は、着陸地点から離陸地点へ事前に通達がございますので、離陸する前に離陸地点で飛行機の着陸地点の気象状況を関係者に、パイロットその他に知らしております。
  52. 前川旦

    ○前川旦君 長官そうおっしゃいましたが、新聞等で見ますと、そういう人員の配置が十分できていないので、やむを得ないから電話で向こうの着陸地の飛行場の事務所へ電話で聞いて、お天気どんなぐあいだ、だいじょうぶでしょう、この程度で確認して飛ばしているということを聞いたことがございますが、そういう事実はございませんか。
  53. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 航空測候所と申しますか、航空測候所の人数が十分ではないことは確かでございますけれども、いま先生がおっしゃいましたような事実につきましては、ちょっと私話を聞いておりません。もしもあれば十分その点は調査してみたいと思います。
  54. 前川旦

    ○前川旦君 それでは、それはあとにしておきまして、飛行場ができれば、そこに全部気象台の、これは何というのですか、分室というのでしょうか、何か気象庁の出先の機関ができるようになっていますか。
  55. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) そのとおりでございます。
  56. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃお尋ねしますが、航空関係の気象を扱うところは、気象庁の中でどういうふうになっていますか。どういうところがこれを扱うというふうに分担されていますか。
  57. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 気象庁の中と申しますと、東京のほうだと思いますが、気象庁の中では航空気象の行政的の問題につきましては、航空気象管理課というのを最近つくりまして、そこで扱っております。なお、航空気象に関する航空気象予報につきましては、主として予報部でこれを扱っておりますし、飛行場の観測機械というものにつきましては、主として観測部でこれを取り扱っております。
  58. 前川旦

    ○前川旦君 私が伺いましたのは、何というのでしょうか、行政機構というのでしょうか、その縦の系列というのは、それは一体、各空港の分室はどこにどういうふうに所属をして、どういう縦の系列でそれが統合されているのか。このことを実はお伺いした——機構をお伺いしましたのでお答えください。
  59. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 勘違いいたしまして申しわけございません。航空分室あるいは航空測候所というのは、航空気象台の監督下にあります。管区気象台は御承知のように、気象庁の監督下にあります。そういう系列になっております。
  60. 前川旦

    ○前川旦君 気象庁がありまして、その下に管区気象台がある。その下に地方気象台があり、測候所がある。これが縦の系列というふうに伺っておりますが、それでよろしゅうございますか。
  61. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) そのとおりでございます。
  62. 前川旦

    ○前川旦君 そういたしますと、空港の分室はどういうことになりますか。いまの縦の系列でいくと、どこに入ることになりますか。
  63. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 空港分室と称するものは地方気象台の配下に入ります。これは監督その他行政的の面においてでございます。
  64. 前川旦

    ○前川旦君 監督といま行政の面だとおっしゃいましたが、それでは一体、お尋ねしますのは、気象庁の下に管区気象台というのがありますが、海洋気象台という組織は、これ管区気象台と同じ横のつながりになるのですか。
  65. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) そのとおりでございまして、管区に並ぶものでございます。
  66. 前川旦

    ○前川旦君 地方航空気象台というのは、それじゃその下の地方気象台と同じ横なんでしょうか。これはどこに位置するのでしょう。
  67. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 地方気象台と同じ格であります。
  68. 前川旦

    ○前川旦君 飛行場空港分室を見ますと、ある分室は管区気象台の出先といいますか、系統下で、その出先。ある空港分室は地方気象台の出先。ある空港分室は海洋気象台の出先。ある空港分室は地方航空気象台の出先。これはたいへん混乱をしているように思えます。実は具体的にいいますと、たとえば地方航空気象台の分室は二つありますね。これが調布と東京ヘリ。地方気象台の分室は、盛岡の地方気象台は花巻飛行場空港分室を持っておるし、冨山の地方気象台は、富山の空港に分室を持っております。  測候所の分室はどうかといいますと、八丈島は八丈島空港に分室を持っており、松本測候所は松本空港に分室を持っている。  それから航空測候所の分室は、千歳の航空測候所、これは丘珠と読むんでしょうか、ここに空港分室がある、千歳ではない。板付航空測候所は小倉に空港分室を持っております。  海洋気象台の分室は、長崎海洋気象台は、大村に空港の分室を持っている。それから函館海洋気象台は、函館の空港に分室を持っている。  それぞれの飛行場の分室は、その上——系列の上が、地方航空気象台であったり、地方気象台であったり、測候所であったり、海洋気象台であったり、たいへんこれはややこしくてわかりませんが、一体どういうふうになっておりますか。
  69. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 一見非常に複雑な感じをお受けになるのはもっともでございます。たとえば海洋気象台の例を一つの例として取り上げましても、函館海洋気象台は函館空港に分室を持っております。と申しますのは、結局その函館は、海洋気象台としての業務とそれから地方気象台としての業務とそれから函館測候所としての業務とその三つの業務を一緒にしまして函館海洋気象台という名前で仕事をしているわけでございまして、そういう点でちょっと見かけ上から見ますと、函館海洋気象台が空港分室を持っているというような気がするのでございますが、海洋気象台のみならず、管区気象台、地方気象台、それぞれそういうような機能をもっているものです。  地方気象台は、たとえば高松の地方気象台は、高松の地方気象台の業務と高松測候所の業務と両方を兼ねているのでございます。ほんとうはそれをきれいに分割しまして看板を二枚かければすっきりした形になろうかと思いますけれども、それにはやはり一長一短がございますので、現在のところ、そういうようなやり方をやっている次第でございます。
  70. 前川旦

    ○前川旦君 各空港のこの分室ですが、これはそれぞれ大体似たような共通した仕事をしているのだろうと思うのですが、それがいま言ったように、測候所の下であったり、あるいは航空気象台の下であったり、いまあなたのおっしゃった海洋気象台の下であったり、航空測候所の分室であったり、この辺はどうなんですか、海洋気象台のことと函館の例はわかりましたが、たとえば地方気象台で分室を持っているところがたくさんございます。それから測候所で分室を持っているところがございます。航空測候所の分室というのがございますね。この辺はどういう関係になりましょうか。
  71. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) ちょっと私の申し上げたことに誤解か——あるいはちょっとことばの足りなかった面もございますが、いま関係官からの連絡によりまして、その関係はこういうようになっておりますから、ちょっとお聞きくださいますように。  羽田に東京国際空港がございますね、羽田の下に、さっき先生のおっしゃいました調布と東京ヘリの二つございます。これは羽田のすぐ下にこれはつけてございます。  それから地方気象台の下というやつは、二十五ございます。  それから測候所があって、その付近に地方気象台がないというような場合の分室が、十三ございます。  それから航空測候所、たとえば丘珠と大阪の八尾、それから小倉、それから対島の壱岐でございますが、この四つは、航空測候所の下についております。  それから海洋気象台の下についているように見えるのが先ほど申しましたように函館を含めて二つでございます。みんなで四十六ということでございます。
  72. 前川旦

    ○前川旦君 どうもわかったようなわからぬような 聞いても、えたいが知れなくてわかりませんがね。——それじゃもう一つ伺っておきますが、札幌、仙台、東京大阪、福岡、これはそれぞれ飛行場がありますが、この分室は一体どこに直属してますか。
  73. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 札幌と先生おっしゃいますが、丘珠のことだろうと思いますが、これは千歳の下でございます。それから仙台の航空測候所は仙台管区気象台の下でございます。それから東京は、東京のうちでも羽田は別にしまして、東京ヘリと調布はいま言ったように羽田の下にございます。それから大阪の八尾は大阪の測候所の下でございます。大阪測候所は大阪管区の下でございます。それから福岡のうちで小倉と壱岐は、これは福岡の航空測候所の下ということになっております。
  74. 前川旦

    ○前川旦君 よくわかりませんが、いま札幌それから仙台、まあ東京はちょっと除いてもいいですが、大阪、福岡、笹区気象台があるわけですね。それぞれの管区気象台のあるところなんですが、同時に航空測候所というのもありますね。千歳にも、それから仙台あるいは大阪にもあるし、福岡にもありますね、航空測候所。一体ここの飛行場の分室はどこへ直属してるんですか。それとこの航空測候所とどういう関連があるんですか、その辺の系列は一体どうなってるんでしょう。
  75. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) たとえば大阪の例を申し上げますと、大阪管区気象台の下にこの大阪の伊丹の航空測候所があります。その伊丹の航空測候所の下に八尾の測候所がある。で、こういう機構になっておりますのは、大阪の伊丹の測候所は大阪管区気象台から直接資料をもらうということでございます。また、八尾の測候所は、今度は直接伊丹の航空測候所から資料をもらうというような、仕事をやっていく上において便利なと考えられるような組織に現在なっておるわけでございます。
  76. 前川旦

    ○前川旦君 ますますわからなくなりますが、地方航空気象台というのは、一体この上はどこですか、どこに直属してますか。
  77. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 管区気象台でございます。
  78. 前川旦

    ○前川旦君 先ほど管区気象台と海洋気象台とが出先のあれとしては同じだとおっしゃいましたが、航空気象台だけが管区気象台の下についてるというのは、一体どういうことからそうなってるんでしょう。常識的に考えまして、気象庁があって、管区気象台があって、同じランクといいますか、同じところに海洋気象台がある。航空気象台だけが、地方航空気象台というのが下になってるわけですね。海洋気象台と同格で航空気象台というのがあってしかるべきのように思いますが、そうじゃなくて、地方気象台と同格で管区気象台の下部についているというのはこれまたたいへんややこしいですが、どういうわけでしょう。
  79. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) たいへんややこしくて申しわけございませんが、この航空地方気象台というのは、言ってみれば地方気象台と同格でございます。だから航空地方気象台が管区の下についているということは、地方気象台が管区の下にあるということとまあ矛盾はしないというわけでございます。
  80. 前川旦

    ○前川旦君 運輸省、きょう運輸委員会でBOAC機の問題をお取り上げになりましたがね。御報告なさって質問があったと思いますが、乱気流による墜落だというふうに最終的に結論になったという話を伺っておりますが、それはよくほんとうの真相というのはわからないのでしょう。生存者いませんから。この飛行機を飛ばす上において気象というものは非常に重大であるということは、これはもうだれが見ても当然なのです。ところが、気象庁における航空気象の占めている地位というものは、一体どういうものなのか。先ほど申しましたのは、海洋気象台、海洋気象というものはずいぶんこれは大きく気象庁のすぐ下に並列に置かれておりますが、航空気象台というものは当然これと並列に置かれていいであろうと思うのにそうなっていないというのは、実はこれは航空気象を軽視しているのではないかというふうに普通常識的に見れば考えられますね。その点について一体どうなのか。これでこういう機構航空気象を把握して、航空安全に資するために一番都合がいいのか、やはり皆さん矛盾を感じていらっしゃるのか、その辺ちょっと含めて御説明いただきたいのです。
  81. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) ただいまのお話を結論的に申し上げますと、現在の機構、現在の業務のやり方を必ずしもわれわれは最善だとは考えておりません。したがいまして、もっと現行よりもいい業務のやり方、あるいはその機構にしようといま努力をしている最中でございます。ただ先生いまちょっとおっしゃいましたが、航空に関する業務と、海洋に関する業務というのは必ずしも同一に考えることについては問題があろうかと思いますので、その点は航空気象業務整備強化ということを考える際に十分検討していきたいと考えております。
  82. 前川旦

    ○前川旦君 十分検討するとおっしゃいますが、これ行く行くの、指向すると言いますか、目ざしていくところは、こういう航空気象台というもののランクを上げるというか、海洋気象台と同格のところへ持っていくのだという、そういうことで航空気象を充実するのだというふうなことなのでしょうか。
  83. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) そういうような考え方も確かにいい考え方だと私たちも思っております。それからまた地方のみならず、本庁におきましても、現在の本庁の航空気象業務のやり方、本庁におけるやり方ということについてもいまの状態は完全ではない、できるならば、われわれのほうとしては、航空気象に関する専門の部をつくりたいというような考え方もいまございまして、目下そのことにつきましては関係官のほうで検討している次第でございます。
  84. 前川旦

    ○前川旦君 ローカル空港の場合ですね。たいへん気象観測が、人員が不足で、器材もそろってなくてお粗末だということは前々からよく言われておりますが、いま第二種のローカル空港の分室には予報官というものが十分に配置されていますか。
  85. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 現在の実情では、この専門の予報官というものは分室には配置されておりません。
  86. 前川旦

    ○前川旦君 二種空港で配置されてないということであれば、三種空港はどういうことでございますか。
  87. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 同様でございます。
  88. 前川旦

    ○前川旦君 予報官が配置されてないとなると、空港分室にいるのはどういう人なんでしょうか。情報員ということなんでしょうか、単なる事務をやっている人なんでしょうか、連絡員でしょうか。
  89. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 現在の状況を申し上げますと、第二種空港には予報係がございまして、その予報係で、予報官という官職のものはおりませんけれども、その予報係がございますので、その予報係でその必要な予報業務をやっております。
  90. 前川旦

    ○前川旦君 予報官と予報係とこれはだいぶ違うと思います。予報係であれば私でもできるかもしれませんが、予報官となると、やはり一定の資格が当然要るのでしょう。たとえば、昨年の十一月のYS11の松山空港の例の事件のあったときも、あすこの空港分室はもちろん予報官でなくて情報員がいるだけだと、これは新聞に出ています。これはいまお伺いしますので、それからだいぶ時間がたちますが、やはり第二種空港に予報官が配置されてなくて情報員だけということであれば、パイロットが行く先の天候を聞くのに、やはり飛行場に電話で聞いて、お天気どんなぐあいと、ああ晴れていますよ、それじゃ飛ぼうかという程度のことしかやれてないということになるのじゃありませんか。
  91. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 現状はそうではございませんで、航空測候所に予報係がございます。予報係はパイロットが来ましたら必要な説明もし、資料もこの予報係がパイロットに提供するということになっております。また、航空測候所でも分室でもそうですが、全国必要なところの天気状態はテレタイプ回線で入っておりますので、パイロットが、自分は向こうのほうへ飛びたいんだけれども、向こうの着陸地の天気はどうかという質問がありましたら、向こうの測候所あるいは空港分室で返答はできるようになっております。
  92. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  93. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) じゃあ再開。
  94. 前川旦

    ○前川旦君 それではこの前、六月の十三日に航空安全の問題でお尋ねしまして、途中で昼の休憩時間が来まして、そのままあと半分ができてないのです。そこで、この前の速記録ちょっと見ましたところが、若干答弁の食い違いのある場面がありますので、そのことだけとりあえずお伺いをしておきますが、それは何かというと、ICAOに対する答弁がちょっと食い違っておるのです。と申しますのは、私が運航規程は一体何を基準にしてきめたのだという質問をいたしましたところが、これは政府委員の澤さんが、各国のエアラインの実例、あるいは実績を見てそれを大体の基準にしてきめたのだというようにお答えになりまして、それについて「このような運航規程の着陸回数であるとか、あるいは勤務時間につきましてはICAOなりその他国際的にきまった基準というものがございません。」、こういうふうに言っておられます。ところが、実は昭和四十一年の十一月十七日、これは衆議院ですが、同じ質問に対して、前の航空局長の堀さんですか、「運航規程の基準というものは、ICAOの規定というものに標準がございます。したがいまして、この標準に基づいて省令をつくれば」云々ということもありますし、「そういうICAOの基準というものは非常にはっきりした標準がありますので、そのものさしに基づいて運航規程というものを認可しておるというのが現状であります。」という答弁もあります。さらにまた、久保委員の質問に答えて堀説明員が、「根本にはICAOの標準がございます。そしてそれを標準といたしまして、日本のいろいろな特殊事情、飛行場の事情、そういうものを勘案して、そして認可をしておるというのが実情じゃないかと思います。」、こういう答弁もあります。幾らでもありますがね。今度は参議院の十一月十八日に堀説明員が、「運航規程を認可する基準、こういうものを何に求めているかということでございますが、ICAOの基準というものがございます。ICAOの基準というものは、このような運航規程につきましてもございますし、飛行場をつくる場合にもそういう基準がございます。それから、いろいろの航行安全施設につきましてもICAOの基準というものがあります。ですから、使う飛行機がたとえばボーイングならボーイングであるとすれば、飛行場もICAOの基準、それから運航規程もICAOの基準、それから保安施設もすべてICAOの基準というものを尺度に」いたしてやっております、こう回答しておられますが、この間の私の質問には、ICA○なりその他国際的にきまったものはございません。ちょっとこれ答弁食い違っておるように思いますので、説明してください。
  95. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 私も技術的な面について確とした御返答ができかねますが、私の知る限りにおきましては、ICAOにおきまして基準と考えられるものがあると聞いておりますが、ただこれは、ICAOは御承知のとおり、国際機関でございまして、それにのっとらなければならないというものではないと思うのであります。一種の勧告、リコメンデーションというたぐいでございます。そういった面で、各国共通にこうしたらどうかという種類のものである。各国におきましては、それを国際的な一つの基準と考えまして、それをもとにして各国内法で運航規程のかくあるべしという細部をきめていく。わが国におきましては航空法でそういうたてまえになっておりますが、現在まだ省令が確立されていない。そこで先ほど議事録をお読みになりましたが、現在のICAOのリコメンデーションに従ったその規程の審査なり作成なりということをやっているわけであります。
  96. 前川旦

    ○前川旦君 いま読みましたこの前の議事録では、ICAOというものに対して、非常にこの基準を参考にしているということを何回もくどくどとおっしゃいまして、非常に強くそれを押し出されておりますが、今度の私の質問にはあまりそれが触れられませんでしたが、これはやはり前の、去年の答弁のほうが正しいので、やはりICAOの基準を守っていくというか、その基準を大きく参照していく、こういう態度には変わりはないでしょうか、あるいはがらっと百八十度態度が変わったのでしょうか。
  97. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 変わりないと思います。
  98. 前川旦

    ○前川旦君 それではICAOの勧告といいますか、決議といいますか、そういうものについては今後とも十分勘案する。それに合わせて、それを基準にして日本に適応したようなものをつくっていくのだ、あるいはそういうものを参酌しながら考えていくのだということは変わりはありませんね。
  99. 手塚良成

    説明員手塚良成君) さようでございます。
  100. 前川旦

    ○前川旦君 それはけっこうです。  もう一つ、今度は質問に対して答弁のなかった点が一つありますからお尋ねしておきますが、大きな飛行機事故のあったあとで、会社、全日空と日航の出した運航規程の改定の中で離着陸制限、従来四回であったのを全日空は六回にふやす、一日の離着陸制限ですが、日航では五回であったのを六回に一つふやす、これはどうですかという質問に対して、全日空の問題はお答えになりましたが、日航は五回を六回に、昔はきちっと一日に五回であったのを六回に、一回ふやしているということについては答弁がございませんでしたが、これはどういうことでしょうか、どういう形でこれはお認めになったのでしょうか。
  101. 手塚良成

    説明員手塚良成君) その点につきましてちょっと私よく存じませんので、また後ほど調べてお答えいたしたいと思います。
  102. 前川旦

    ○前川旦君 これは離着陸制限はパイロットの疲労に非常に関係がありますから、大きな事故がありましたときにパイロットの疲労が非常に問題になります。そのあとで、三回事故の続いたあとで会社がこういう運航基準の改定を申請して、運輸省はお認めになっているのです。それが一日の離着陸制限がふえておる。従来全日空の四回が六回、日航の五回が六回。ただし、全日空の場合は、労働協約で四回と押えているのです。六回となったけれども、労働協約で四回と押えているようですが、日航の場合は六回になっている。事故のあとで、パイロットの疲労がやかましく言われているときに、運輸省がこういうような改定をどうして許したのか、こういうことに対して答弁がありませんでしたので、後ほどしてください。  それに関連して、そのときもお伺いをしたがったのですが、ちょん切られてしまってできなかったのは、離着陸制限だけでなくて、たとえば乗務員の疲労を防止するために連続して乗務することに対していろいろな制限があります。たとえば乗務する前には何時間の休養を与えなければならないというようないろいろな制限がありますね。これも従来の制限を大きく今度は縮めている面があるのです。はっきり言ってみまして、たとえば国際線の場合なんかには一番はっきりするのですけれども、連続乗務の制限条項あるいは連続乗務した場合の休日を付与する規程、運航前の休養保証、こういう点が安全性確保するために必要なものも全面的に削除されている。運輸省が大事故のあとでパイロット・ミスがあるのではないかというような大事故の原因を言われましたが、パイロット・ミスということになると、パイロットの疲労というものが非常に大きな問題になりますが、そういうようなことが非常に新聞等で論議された直後にやはり運輸省はそういうのをお認めになっているわけですね。これはどういうことなんですか、それをお尋ねしたいのです。
  103. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 後ほどちょっと専門家を呼びますが、たまたま事故のあとということに時期がなったかと思いますけれども、こういう面につきましては、従来ともに継続して常時検討を、会社側と航空局の立場で双方検討いたしております。それでさきの回数にいたしましても、ただいまの連続乗務の問題にいたしましても、従来のスタートを、端的に言えば、用心に用心を重ねたような形でスタートをし、そのものが継続しているのではないかと思います。そういうものにつきましては、やはりある種の訓練を経たりあるいは経験が多くなりますと、経済性の面とかね合わせましてだんだんに改定が行なわれておる、こういうのが現状でございます。飛行機の検査の時間等につきましても同様でございまして、そういったようなやり方でやってまいっておりますので、時期の問題がたまたまそういう時期であったかと思うのでございますが、考え方によりますと、先生のおっしゃいますように、時期からもあるいはその内容から見ても適当でないという見方もあろうかと思いますが、私どものほうでは、常時そういうことをやっておりまして、そういう時期にそういった結論を得てこういうことになった、こう理解をいたします。  なお、こまかい数字等につきましては、後ほど担当官を呼びますから……。
  104. 前川旦

    ○前川旦君 こまかい数字はけっこうですから、いま私が言いました国際線の乗務制限その他は八月ですよね、運輸省の認可は七月の終わりでしたかね。あの連続事故は三月でしたか、たまたま時期が一致したとは、四カ月もの間をおいておれば、これはそうだとは言えないと思います。これが一つ。  それからやはり安全に安全を見て、その上さらに安全を見るというのは、これは人命をあずかる者の態度であり、やはり監督する立場の者、運輸省態度であると私は思う。運輸省仕事全部が人間の安全に関係がありますね。いわば、人間の安全を扱っているのが皆さん方のお仕事でしょう。安全に安全を重ねるというのは当然のことでしょう。ところが、あなたのおっしゃったのは経済性その他を見てとおっしゃいましたが、私はあげ足を取るのではありませんが、経済性によって、採算性によって安全が犠牲にされているということは再三言われている。いまあなたが、いみじくもおっしゃいましたけれども、安全に安全を見て考えたことが経済性その他で、あるいは訓練もできて緩和されているとおっしゃいましたけれども、いまあなたが言われたことは、端的に経済性によって、企業性によって安全が無視されているのではないか、こういうことが感じられるのです。  そこで、もう一ぺんそれを答えてください。偶然日にちが一致したということは、このくらいの間、時間があいていれば言えないはずだ。安全に安全という態度といまの安全の上にも安全であるべきだという態度と、大事故のあとで、パイロット・ミスと疲労のことが言われているときに、こういう勤務条件を悪化するようなことをどうして認めたか。たとえば一月に、連続しての時間の制限がわずかに五時間延びただけで、いままでサンフランシスコ線で二往復で済んだものが三往復、一月に見たとろわずか五時間ですけれども、実際にはそういうようなケースが出ておりますね。ですから、単にちょっと時間でほんのわずかの時間延長をしたというときに、やりようによっては五割増し、五割増し、そういうのが出ているわけですね、それはどういうふうにおやりになって、どういう考えでこれはこのときにお認めになったのか。この前のICAOの基準で、あれだと、こういうふうにおっしゃいました、事故のあとで私お聞きしたときには、各エアラインの実績を見てとおっしゃいました。もう一度それを答えてください。
  105. 手塚良成

    説明員手塚良成君) ただいま私の申し上げた経済性の問題ですが、おっしゃいますとおりに、航空事業におきましては安全性が最優先であり、大前提であると、こう考えます。まあ安全性なくして事業はないといってよろしいかと思います。先般の全日空の事故後におきます運輸大臣よりの会社への勧告におきましても、全日空等においてはやや営業面が優先しておったきらいがあるので、安全性第一に切りかえるべきだ、そのために経営規模等の縮小もやむを得ない、こういう趣旨の勧告も出されておりますので、私どもはやはり安全性ということを第一義に考えていることは申すまでもございません。ただ、まあただいま先生のおっしゃいましたこの五割増しという点になりますと、これは安全性との結びつきをどう考えたかということになりますが、この数字の問題につきましては、後ほど技術的に御説明するといたしまして、これは安全性を大前提に考えましてこれで差しつかえないということで認可されたものと考えますので、単に時間がふえたというだけで即安全性が、労働過重になって安全性に影響がある、そういうふうには考えてはいないと考えるわけでございます。まあ認可の時期等がたまたまと申し上げましたが、これもおそらく、これは私の推定で申しわけございませんけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、時間的にこの時期にそうした結論が得られた、こういうことからこの時期にこういった認可がなされたと考えるわけでございます。
  106. 前川旦

    ○前川旦君 運輸省の皆さん方は安全に対して責任を持つべきだと、安全に対して責任を持つということよりも、むしろ企業のほうに引きずられているのじゃないですか、企業の経営というか、方針にですね、それに引きずられてあとからあとからついていっているじゃないですか、そんな感じがしてしようがないのです、安全に対しては企業にぴしっとそれをとめるというような、そういうようなき然とした態度はおありなんですかどうですか、引きずられていると感ずるじゃありませんか。
  107. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 企業のそういった営業的な感覚に対しましては、私どもは資材面、乗員面、両々十分なる監督を常時やっておりまして、事業計画の変更等でそういう問題が提起され申請されました際には、やはり一つのそういう技術的な監督の立場の者の意見を十分いれまして、そういった面からその変更は適当であるかどうかということを審査しているわけでございまして、何といいましても、繰り返すようでございますけれども、安全は私ども自主的に、引きずられることなくやっているわけでございます。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  108. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃもう一つお伺いしておきますが、このICAOでもそれからILOの民間航空の特別会議でも、こういった運航規程の内容である時間とか、それから乗務回数とかそういったようなものは労使で自主的にきめなさいということは、国際的なILOでも常識的になっておりますね、各国でもそういうことをやっておりますね。そこで、運航規程の改定というものが出てきた場合に、その辺までも私はやはりたんねんに気を配るべきだと思う。ところが、全日空のほうはやったようですけれども、日航のほうは全然一言も——従来は協議してきめていたわけです——この問題に関しては、一言も労働組合なりあるいはその従業員なりにそれを討議しようとか、そういう呼びかけも全然なしに、会社だけで一方的にさっと出されたということを非常に職員が不満に思っておるという話を聞きましたが、一体、それ、ILOの精神、ICAOの精神にだいぶ反しますけれども、その辺どうなんですか。その辺把握せずに、やはりこれ、認可なさいましたか。
  109. 手塚良成

    説明員手塚良成君) ただいまも申し上げましたとおり、そういう重要なる運航規程の改定につきましては、部内におきまして慎重審議をやるたてまえになっております。いま先生のお話しございました組合との話という点につきましては、情報を確と受けておりませんが、乗務員の乗務規律等の問題について専門的知識を十分持っている方々の御意見は当然聞いておるはずだと私ども考えております。まあ、部内的にも私はそういう面の非常にたんのうな参事官等もおりまして、そういう方々の御意見が大幅にいれられたものと考えております。
  110. 前川旦

    ○前川旦君 たとえば、普通の小さい何でもない事業所でも、これは就業規則その他労働基準をきめておりますが、これは労働組合がない場合は従業員を代表する者の意見書なり何なりをつけてということになっておるのですね、普通の就業規則でも。ましてこういう安全を扱うこういう大事な問題ですから、私はやはりそういうたんねんな調査、事前調査というものをまずなさる必要があると思うのです。実際そういうたんねんな調査をなさったのかどうか、いまのお答え、はっきりしませんでしたので、おやりになった上でおきめになりましたか、それ、ちょっと、もう一ぺん答えてください。
  111. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 具体的なやはり数字の問題になるかという気がいたしますので、その辺は先ほど来申しておりますように、担当官から御説明さしていただきます。ただ、私どもの手元に、まあ乗務員の勤務時間、乗務時間等についての資料といたしましては、外国の実例等々もいろいろあるわけでございます。ただいま手元にございます資料等で見ますと、アメリカ、カナダ等におきましては、連続する二十四時間中十二時間、一カ月で百時間、三カ月で三百時間、一暦年で千時間、こういうような例が出ております。これなどに比較いたしますと、日本航空の場合などは、連続する二十四時間中八時間、ただし勤務時間は十三時間、一暦月で八十五時間、三暦月で二百四十時間、一暦年で九百時間、こういうようなことになっておりまして、こういうアメリカ、あるいはカナダもアメリカと同様でございますが、こういったところなどから比較いたしますと、必ずしも国際基準的な見方の点では超過ではない、これは一つの資料でございます。直ちにアメリカの例、カナダの例が日本に適当しておるかどうかというのは、さらに細部の実態の調査比較が必要だと思いますが、その点、こまかい点につきましては、また後ほどお話しいたします。たとえば、まあそういうようなことになっている、こういうことでございます。
  112. 前川旦

    ○前川旦君 私、聞きましたのは、たとえば、小さな事業所でも労働基準法で就業規則の改定なり、きめるときには、ちゃんと従業員との間にとりきめをしておきなさいということをきめられているのですから、まして、こういう安全をはかる大事な運航規程が、ILOが、それは労使できめなさいと言われたのは当然だと思うのです。それをやらずにきたけれども、そのままうのみにしてさっとやっているじゃないかということで、そうではありません、ちゃんとやっておりますというものがあれば言ってくださいということを質問したのですよ。
  113. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 労使の関係のお話でございますけれども、役所のほうでの認可の時間と労使の間によってきまる実際の勤務時間というものは開きがあると思います。つまり、役所のほうで認可をいたしておりまするのは、言うなれば、下限といいますか、一つのリミットのあれです。この範囲内において労使の関係でまた話し合いがされて具体的な勤務時間がきめられるというふうな慣行があると聞いております。したがいまして、役所でやったのがそのままということにはならないわけです。ただ、役所でこういうのをやる場合におきましても、やはり実際の勤務者の意見は十分聞いてそういうワクをきめるべきだと考えております。その辺実際のルールとしてどういうやり方をやっておりますかつまびらかでございませんけれども、当然そういうことは聞いた上でこのワクがきめられておるというふうに考えます。
  114. 前川旦

    ○前川旦君 これは堂々めぐりになるから保留しますが、一つだけ申し上げておきますが、皆さんそういうお答えをされますね。これ労働基準法をきめるときもそういうお答えをしましたね。これはもう最低の限界です。労働基準法にもちゃんと書いてありますね。これは最低の基準だからこれよりよくなるように努力せよと言っておりますが、実際はあれが最高の限界になっていますね。あれだけやっておけばいいということで、これが最高の限界になっているのです。ですから、これはまあそのときの論議でもそういうふうにおっしゃいましたけれども、結局、実際はそこまでやられてしまうということになるのですよね。そのことを私はやかましく言いたいのですが、これは論議にならぬようですからあとにします。  もう一つだけ。ICAOで、この安全の問題で、救命胴衣、救命いかだを備えなければいなけいという、この規定というか、決議がなされましたね。これは一九六五年の十二月にモントリオールで開かれたICAOの会議です。そこで従来あった救命胴衣、救命いかだの搭載基準をさらにきびしくしたわけです。たとえば救命胴衣の場合、「海岸より五十海里離れた海上を飛行するとき、」あるいは「飛行場の離陸径路および進入径路が、惨事の際に不時着水の可能性のありそうな状態に水面上配置されている飛行場に離着陸を行なうとき」、これは東京国際空港なんかそうです。救命いかだは、「海岸より巡航速度で三十分又は百海里以上離れた海上を飛行するとき、それぞれ搭載しなければならない」。かなりきびしくなっていますね。これはほとんど日本は海に囲まれていますから、救命いかだ、救命胴衣を搭載しなければならないというところに入るような気がいたします、こういうICAO会議の決議では。ところが、これは国内線はもとより、東京‐香港、バンコック−シンガポール−ジャカルタ線、東京−ソウル線、載せていますか。かなり海の上を飛びますがね、国外に出て。これは現在どうなっていますか。
  115. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 航務課長をして説明させます。
  116. 浜田幸晴

    説明員(浜田幸晴君) お答えいたします。東京‐香港、香港までの区間につきましては、現在の施行規則の面及び日本航空の運航規程の面から救命いかだの搭載を要しない区間になっております。したがいまして、その以遠に飛行する航空機が香港まで就航している場合には、以遠のフライトに備えまして積んでおりますが、香港線用に使っております航空機の場合には、積まないものもあろうかと思われます。
  117. 前川旦

    ○前川旦君 バンコック−シンガポール−ジャカルタ線、東京−ソウル線はいかがです。
  118. 浜田幸晴

    説明員(浜田幸晴君) 東京−ソウル線は積んでいないと思います。
  119. 前川旦

    ○前川旦君 バンコック‐シンガポール‐ジャカルタ線は。
  120. 浜田幸晴

    説明員(浜田幸晴君) これは正確な区間距離を記憶しておりませんので、いま即答いたしかねますので、後刻調べまして御返事いたしたいと思います。
  121. 前川旦

    ○前川旦君 先ほどのICAOは、救命胴衣は「海岸より五十海里離れた海上を飛行するとき」と、ほかにまだありますが、おもだったものですね。救命いかだは「海岸より巡航速度で三十分又は百海里以上離れた海上を飛行するとき、それぞれ搭載しなければならない」と。これはICAOの会議で、さっき言いました一九六五年十二月に決議になっているのです。皆さん方さっきから、私聞きましたら、ICAOの基準なりなんなりは順守しますと言う。前にもそうおっしゃった。今度決して変わったのじゃありませんと。そうおっしゃりながら、これを運航規程に載せないということに日航はきめているのですね。これはICA ○の決議とだいぶ違いますが、そういうものをストレートにお認めになっているのはどういうわけでしょう。
  122. 浜田幸晴

    説明員(浜田幸晴君) 私おくれて参りまして、前半の話には誤解があるかもしれないのでございますが、ただいまお話しございました一九六五年十一月の会議というのは、第四回航空会議のことをおっしゃっておるのではないかと思われますが、もしそうだといたしますと、あの第四回航空会議におきまして附属書六の「救命胴衣の塔載に関する勧告」がなされたことは事実でございますが、これはあくまでその航空会議における勧告でございまして、それが国際民間航空条約の附属書六、「運航に関する附属書」の改定になりますためには、数年間、その後の手続上の措置を経まして初めて規定化されるものでございまして、現在の航空法施行規則及び日本航空の運航規程にありまするところの救命用具の塔載に関する規定は、現在有効な国際基準に適合しておるものでございまして、いまのところ実施されております国際基準というのは一九六五年十一月のモントリオールにおける第四回航空会議の決定とは少し異なったものでございます。それが実情でございます。
  123. 前川旦

    ○前川旦君 それが実情でありますということで、それが実情であることはわかりました。しかし、まあ国際的な常識としてきめられた人命を守るためのこういう勧告なり決議なりというものが、いとも手軽く、しかも、しゃくし定木で、ただいまのお答えを聞いておりますと、いかにも冷酷そのものな法解釈、条約解釈のようなかっこうで扱われておることに対して私は非常に怒りを感じます、はっきり言いまして。ですから、これは後ほどまた質問します。伊藤先生が帰って見えましたから、私の質問はまたあとでありますから、後ほどいたします。
  124. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 午前に引き続いて二、三お伺いいたします。  本年鳥取空港が新設されるように伺っておりますが、このような地方空港について見ますと、その施設ども貧弱なものが多い。しかしまた、その利用度についてもきわめて低いものがあるようです。そこでお伺いするわけですが、この第三種空港のいわゆる設置基準は一体どういうものなのか。どういう基準によって設置を認可しているのか。また、地方空港の利用度の状況ですね。ほとんど利用されていないものもあるやに聞いているわけです。また、このような第三種空港については今後もどんどん新設していく方針なのかどうか。こういうことについてあわせてお答えいただきたい。
  125. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 第三種空港設置いたします場合の免許基準のお話でございますが、これはいまお話で問題だと思います輸送需要という点につきましては、国としてはそういうものは言っていない。要するに、そういう空港をつくるに至る能力、あるいは管理の確たる能力、資格があるという点が一応当面の基準でございます。ただ、やはりできました後におきまして実際に利用されないということでは困るわけでございますので、私どものほうでは、そういった将来における利用度というようなものについても、一応審査いたします。ただ、この審査が実際には非常にむずかしいわけでございまして、どの程度乗る見込みがあるものを認めるべきかどうかということになりますと、空港自体の持つ意味におきましていろいろな意味がございますので、数学でもって何%ということでなかなかきめられない。つまり空港は、地方の経済発展、地域開発等のある意味で先行投資的な面も考慮いたさなければなりません。あるいは民生安定という立場も考えるというようなことで考慮いたさねばなりませんので、利用率等の何%以上というようなものは確と考えてはおりません。
  126. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このような地方空港をどんどん新設していく、このことも必要でありましょうけれども、それよりもむしろ、利用度の高い既設の空港施設をどんどん整備していく、そこに重点を置いてしかるべきだと思うのですがね。その結論についてはどうですか。
  127. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 仰せのごとく、現在すでに着手またはできております空港はこれを完全なものにするという方向で、新設はやらないという方針を部内的に確立いたしております。けさほどお話が出ております空港整備五カ年計画におきましても、新設は一切考えないということにいたしておりまして、三種空港におきましては、もっぱら保安施設整備ということに重点を置き、一部のものについて基本施設の拡充、滑走路の延長というようなことを考えるという方向でございまして、新しいものはつくらないということになっております。
  128. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今度新設されることになりました飛行場部について、空港整備事業関係の事務を所掌するということになろうかと思いますけれども、そのことは具体的にはどのような事務を行なうことになるのか。そういうことと、現機構ではこれらの事務の円滑な処理は期待できないものか、現在の機構でもいいんではないか、こういうことも言えるわけです。で、今度専任の部長を置かなければならない理由は一体那辺にあるのか、こういうことについてあわせてお答えいただきたい。
  129. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 現状機構において飛行場関係業務が円滑に行くのか行かないのかということでございますが、現在飛行場関係仕事といたしましては、監理部と技術部との双方にまたがっております。具体的に申し上げますと、空港の具体的な計画、並びに、たとえばそれらの用地取得等につきましては、これは監理部におきます監理課、あるいは空港計画課というものが当たっております。それ以外に、実際に空港についての工事の監督等の中央機構といたしましては、建設課というのが、これは技術部の中に入っております。それから照明課という課、やはり飛行場には絶対必要な滑走路灯とか、誘導路灯という照明関係がこれまた技術のほうに入っております。したがいまして、その間の連絡調整ということを総合的に遂行しようという場合には、やはりこれらのものを一つにまとめて、部長に当たる者が総合的に指揮統括をするほうが責任体制も明確になることでございますし、業務の円滑な遂行が期し得るであろう、こういう考え方のもとに飛行場部設置する、こういうようにいたしたわけでございます。
  130. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今度航空局に新たに審議官参事官各一人を置くことになったようですが、どういう事務を所掌するのかということと、審議官というものは、言うなれば、局次長的な職に当たると思うのですが、そうなのか。もしそうだとすると、法律ではっきり次長としたほうがわかりやすいのではないか。こういう点についてお答え願いたい。
  131. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 今度の法律による審議官参事官の職務の所掌の問題でございますが、簡単に申し上げますと、国際——国際関係と申し上げますのは、航空協定が非常に航空には多うございます。これは、世界一周路線ができましたことによって非常に関係各国の間に、常時と言うと過言かもしれませんが、しょっちゅう航空協定改定の問題が起こります。そういう国際関係の担当。それから、先ほど来申し上げております航空局の特に本局におきます一番欠陥と考えられます企画面が非常に弱いというので、こういった企画関係を担当する。まあ、ことばを変えて言いますと、企画計画、こういうことで審議官参事官というものを考えているわけでございます。審議官が、これらのもののうち主として国際関係参事官におきまして企画計画等を担当いたします。そういうように、ただいまのところ考えております。
  132. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今度東京大阪地方航空局設置されることになりますが、その地方航空局設置されることによって、今後航空行政の事務処理上どのような変わりがあるのか、こういう点について、現行に比べてどういうふうに変わっていくのか。
  133. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 地方局におきましての仕事の分掌が現在とどういうふうに変わるかということでございますが、午前中にもお話が出ましたように、当初四地方局考えたりしたのが二つ航空局になった経緯等もありまして、実際事務分担については、そういった実情に合うようなことを考えていかなければならぬということを考えておりますので、いまだ決定的な結論を出しておりませんが、一応今日考えておりますところでは、たとえば飛行場の工事完成検査、あるいは供用の再開の検査、定期検査の実施というような事務、これは現在航空局で、先ほど申し上げました監理課というところで実施をしているわけです。中央で実施をしているわけです。これを地方局に移したい。あるいは地方官署、現在の地方の出先でやっております土木工事、建築工事発電機等の据えつけ工事、こういったものについての設計、施工、積算、こういう現場に近い企画的な仕事、こういうものをやはり局においてやらしていこう。そのほか保安施設に関する、いま申しましたような類のものを同様にやらしていく。それから、航空機の検査に関します耐空証明、装備品及び備品の型式認定、これは一種の現場的な仕事であります。そういったものの実施に関する事務、あるいはけさお話が出ました航空従事者の技能証明、計器飛行証明、操縦教育証明、こういったものの具体的な試験の実施、こういったようなことをただいまのところ考えております。ただ、これらを考えていきますにあたって、基本的にはその下の空港事務所と地方局、それから本省地方局の間で仕事等が重複し、いたずらに混乱することがないようにというようなことを基本に考えながら進めたいと思っております。具体的なお話としては、先ほどのようなことでございます。
  134. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この地方航空局設置するにあたって、特に東京大阪を選ばれたのは一体どういうことか。提案理由では、現実に即した事務を行なわせるためには云々とあるわけですけれども、この二カ所が設置するのに適当な個所であるのかどうかということ、それと、今回のように二カ所しか置かない場合、特に東京の場合は、東京本省があるわけですね、本省があるその東京二つのうちの一つ設置する。これは円滑な事務処理上むしろ他に適当なところを選んだほうが、二つしか設置しないというそういう前提に立つならば、本省のある東京につくらぬでもいいじゃないか、一応そういうことが言えると思うんです。また将来、東京大阪のほかにどんどん地方航空局設置していく方針なのかどうか、こういうことについてそれぞれ御説明いただきたい。
  135. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 地方航空局におきます当初の構想は、けさほど御説明申し上げましたように、地方に四つを期待しておったわけでございます。その際、東京大阪と札幌、福岡、こういう四地方局制考えたわけでございます。この姿は私どもとしては将来ともに望ましいので、そういうふうに将来の姿を整備をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。その際、とりあえず二つということで、東京大阪をきめたわけでございますが、これは、ただいまのような四つを二つにしようということになりますと、まあ簡単に言いまして、両方の区画割り等から見ますと、名古屋の西から松本の西を通った線でもって東西両方に分けるということになりまして、その二つで日本の両半分ずつを担当するという姿にいたします場合に、まあ、どこが適当かということになりますと、やはり飛行機の離発着の回数なり、その回数に伴ういろんな先ほど申し上げましたような所掌事務の関係なりから見ますと、東京大阪が適当ではないか、こういうふうに考えまして、一応そういうふうにきめたわけでございます。繰り返すようですが、先ほどのように、やはり四つの局がわれわれとしては望ましい、こういうふうに考えておったわけでございます。
  136. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、航空保安事務所、これは今回の改正によって地方航空局の事務を分掌する機関となって、第二次出先機関となると思うのです。そこで航空保安事務所の事務処理上、地方航空局はどうも中二階的な存在になろうかと思うんです。そういうことについて御説明いただきたい。
  137. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 先ほど地方航空局の所掌事務で御説明申し上げましたように、一応形式的には中二階的な存在になるかと思いますが、事務の内容そのものにおきましては、全然別個の内容を担当するというふうな考え方に立っていくと思います。地方航空局について申し上げました先ほどのような仕事は、これは保安事務所でも、また中央の内局における航空局でも扱わないということにしておりますし、空港事務所におきましては、現場飛行場における保安事務について専念をするかっこうで、それは地方航空局ではそれに関与しない、こういうふうなことで、それぞれの出先との間の仕事の調整はとっていく予定になっております。特に繰り返して御説明いたしますと、その間に仕事が重複して、中二階ができたばかりによけい仕事が煩瑣になり、外部の方々にそういう意味で非常に御迷惑をおかけするようなことがないようなやり方をとっていきたいというふうに考えております。
  138. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、地方航空局定員の配置についてちょっとお伺いしておきたいと思います。これを見ると、本省から六十九人が振りかえられるということ、それから航空保安事務所から百十五人が地方航空局に振りかえられる反面、本省で所掌している事務が大幅に分掌されることになる。地方航空局本省からいま言った六十九人程度の振りかえ、こういうような状態で円滑な事務処理ができるものか不安を持たざるを得ないわけです。それと航空保安事務所から振りかえとなる百十五人については、どのような職員が振りかえられるのかということ、それと、百十五人を抜かれた保安事務所のほうでは事務処理上何ら問題はないのか。こういう幾多の問題が出てくるだろうと思うんですが、これらの点について説明をいただきたい。
  139. 手塚良成

    説明員手塚良成君) 本省からの六十九人という点につきましては、試験官五と検査官三十三、一般三十一、こういう中身の定員を予定しております。これらの定員仕事量、仕事内容がこの数でまかなえるかどうかということにつきましては、地方局が、先ほど申し上げましたような二局というようなことに相なりましたし、要求定員に比べまして必ずしも十全な姿とも考えられませんので、地方に落としますこの六十九人の定員に見合うような仕事としてとりあえずスタートしたい。要するに、事務量のほうの調整をはかりたい。こういうような考えで進みたいと思っております。それから地方から移管をいたしますところの、移しかえをいたしますところの定員百十五名というものは、これは大体が監理部門に該当しております人間がこのうちの大半を占めております。つまり現在羽田に監理部というかっこうで総務、会計、人事というような所掌の仕事をやっておりますが、この監理部門系統の仕事を全部地方に上げる。その考え方は、大阪の場合におきましても同様でございます。これらのもののほか、さらに地方保安事務所におきますところの土木、建築、機械というものの一部をこの中に分けていく、こういうような姿を考えておるわけです。監理部門等を東京大阪保安事務所から全部上げる一応の予算めどになっておりますが、その姿が、残りました大阪東京保安事務所の仕事の上から適当かどうかということにつきましては、実行上われわれは十分検討した上で実施に移したいと考えておりますが、ただいまのところの予定はそういうことでございます。
  140. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 現在管制官等の養成とか訓練、これはどのようにして行なっておられるのかということ。今回航空保安職員研修所設置されるようでありますが、現在すでにある航空保安職員訓練センター、これと内容的にどういう違いがあるのか、こういうこと。それから、航空保安確保のためにはこれら職員の研修を非常に強化する、これはきわめて重要なことであるわけですが、したがって、航空審議会でもこのような意味の答申をしておるわけです。そこでお伺いするわけですが、組織を変えるだけでは強化にはならないと思うのですね。やはり養成訓練の内容強化もこれに伴わなければならない。こういう問題が出てくるわけです。ところが、今回の内容を見ると、それがはかられないというおそれのあるものだというふうに解釈せざるを得ないわけですが、こういう問題についてひとつ明確にしていただきたい。
  141. 手塚良成

    説明員手塚良成君) ただいま、管制官の養成につきましては現在の研修所で実施をいたしております。で、この研修所は一応省令上の所ということでございまして、内容的に見ましても、いまの管制官を主に考えておる養成所でございます。定員が、学生定員が三十名、こういうのが現状であるわけであります。今度その研修所を格上げいたしまして今度のような組織にいたしますが、おっしゃるとおり機構だけではございませんで、中身も充実したものにしなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。ただいまの管制官につきましては、養成期間が現在の研修所におきましては半年ということになっておりますが、これを大幅に延ばす。さらに研修をいたします職種も、管制官のみならず、建設、土木、施設、そういったもの、それから無線関係の保守要員の研修、こういったものも行なう。で、例の航空整備五カ年計画によりまして千五百人という新たなる工事並びに保守要員が必要になりますが、これらの要員を充足し、かつ、中身のあるものにしていきますためには、やはりこの研修所で十分なやり方をいたしませんとできない。こういうことで、総体的に中身を充実するというのが今度の研修所でございます。
  142. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、航空安全のためには航空気象業務整備もきわめて重要な問題の一つだと思うのです。そこでお伺いいたしますが、本年度はこのためにどのような措置をとられたか、そういうこと。
  143. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 航空気象業務の安全のための措置という御質問でございますが、本年度までにいろいろな設備の増強、人員の増強をはかってまいりました。  そのことについて簡単にお話しいたしますと、まず第一に、国際航空関係でございますが、国際航空関係につきましては東京航空地方気象台を整備するということがまず第一でございまして、これに大阪、福岡、名古屋及び千歳の各航空測候所の業務国際的な水準まで引き上げるということが必要であったのでございます。そのために東京の気象レーダーを東京航空地方気象台へ分岐をいたしました。それからまた、各空港に精度の高い雲高測定器と申しまして雲の高さをはかる機械、その雲高測定器と、それから滑走路の見通しと申しますか、視程と私たち申しておりますが、その滑走路視程をはかる透過率計というものを整備しました。それを東京大阪、名古屋、千歳などの国際空港に、それからまた、通信あるいは情報伝達のほうの関係でございますが、東京航空地方気象台——羽田にございます航空地方気象台で作成しました天気図、この天気図をできるだけ早く名古屋とか大阪だとかいうものに送ってやる必要がございますので、それを送るために高速度の気象模写専用施設というものがございますので、それを東京大阪間、東京‐福岡間に設置しました。大阪、福岡のこの航空測候所における航空気象予報業務、これによって国際的水準まで引き上げるというような措置をとっております。  それからなおその他の事項については、今後も順次整備していく方針でございまして、たとえば、高速度の気象模写専用施設というものは、今度は大阪、福岡以外の航空気象官署にもこれを整備したい、あるいは気象レーダーを分岐したいというようなことでございます。これは国際でございますが、それから国内航空関係につきましては、本年まで観測施設、通信などを国際空港に準備して整備をはかってまいりまして、人員の不足ということも少しずつではございましたけれども獲得をしまして増員をはかってきた次第でございます。なお、本年度は、さっき申しました雲高測定器、あるいは透過率計、あるいは温度と湿度とを遠いところからはかれるという機械、それから無線模写の受話器などを設置することにいたしました。所要人員につきましては、本年度は航空関係といたしまして四十一人の成立を見ておる次第でございます。  大ざっぱでございましたが、本年度までのところのお話でございます。
  144. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 航空気象官署として調べてみると、航空気象台があり、航空測候所があり、航空分室が置かれていると思うのです。これは一体どこの指揮監督に入るのか、その指揮系統ですね、これを御説明いただきたいということと、気象庁の出先機関として管区気象台あるいは海洋気象台が置かれておって、また、航空分室は管区気象台の分室になっているとか、その下部機関である地方気象台であるとか、あるいは地方航空気象台の分室、あるいは海洋気象台の分室となっているものもあると聞いておるわけですが、要は、航空気象業務組織がこのようにきわめて複雑になっておりますね。これは一体どういうわけなのか、どういうことでこういう複雑になっておるのか。もう少し整理統合したら指揮系統が明確になるのじゃないかと思うのですが、この点について御説明願いたい。
  145. 柴田淑次

    政府委員柴田淑次君) 実は、その問題につきまして先ほど前川先生から御質問がございまして、一応はお答えいたしましたけれども、非常にわかりにくいというようなことでございます。
  146. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 けっこうです。それでは、前川委員航空気象のことについて質問したように思いますので、この問題は重複しても意味ございませんから、以下の問題は省略いたします。  次にお伺いいたしますが、船舶技術研究所の電子航法部門を分離して独立の研究所を設置することになっておるようでございますが、電子航法部門は、先般私どもも船舶研究所に行って実地に視察をしてまいりましたが、そのときの感じでも、現在小規模の研究体制のようであり、定員も本年度増員してわずか三十一人の程度であろうかと思います。この程度のものをいますぐ船舶技術研究所から分離して独立させなければならない理由は一体那辺にあるのか。また、現在のまま船研の一部門としておいても何ら支障がないではないか。先般実際に視察して受けた感じからこういうお尋ねをしたいと思うのです。
  147. 大江卓二

    説明員(大江卓二君) お答えいたします。  電子航法につきましては、三十八年度船舶技術研究所が設立されましたときに分離機構考えたわけでございます。と申しますのは、電子航法の研究の性格上、船舶関係の研究とかなり趣を異にしているわけでございます。と申しますのは、船関係でございますと、学問的に申しますと、流体力学とか、あるいは機械力学とか、あるいは熱力学、あるいは構造力学、そういう分野でございますが、電子航法は、名前のとおり、電子技術に関する研究でございますので、かなり趣を異にしているわけでございます。したがいまして、専門分野というものが相当違うわけでございます。さらに、最近の電子技術の進歩に即応いたしまして、船舶あるいは航空機の安全運航あるいは精密な測定、こういう面に重点を置く必要があるということを痛感いたしまして、専門の研究所をつくるということに方針をきめたわけでございます。
  148. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、お伺いいたしますが、電子航法部門の研究については、電子航法開発五カ年計画があり、また、衛星航法開発研究の長期基本計画も立てているようですが、これらの研究を推進していくために、本研究所は研究施設とか、あるいは人員、その他研究体制をどのように充実なさる計画なのか。現状については、先ほど私が指摘申し上げたように、きわめて貧弱で、研究所に値しないような、現在のところそういう状況である。しかしながら、そういう重要な部門であるならば、今後研究の施設とか、人的要素あるいはまた、それに伴う研究体制を整備していく必要があるだろうと思うのです。そういうものについての実施計画は一体どうなっておるか、こういうことをお尋ねしたいと思います。
  149. 大江卓二

    説明員(大江卓二君) ただいまの件につきましては、計画を持って進めているわけでございまして、研究体制の計画、さらに施設整備計画、これを現在持っているわけでございます。専門の安積部長から説明さしてよろしゅうございましょうか。
  150. 安積健次郎

    説明員安積健次郎君) お答えいたします。電子航法では、大体やらなければならないことといいますのは、航空機や船舶に関する電子航法の評価試験ということが一つございます。これは民間なり大学なりその他で開発されつつあるいろいろな電子施設について、その研究をさらに進める上に確かめるということで、飛行機や船舶を使って試験をするということがあります。それからもう一つは、今度の航空事故を契機といたしまして、みずからも開発研究をやらなければならない。もう一つは、人工衛星の応用航法の研究をやる。そういう大きな仕事が三本ございますが、それをやりますためには、施設は、先ほど御指摘ございましたように、非常に現在は貧弱でございますが、まずさしあたって人間である。これは現在研究員が二十八名、それから管理要員三名でございます。それで、普通でしたら大体研究要員の三割ぐらいは管理要員がおりますから、大体五十名ぐらいの研究所とお考えになってよろしいかと思います。その程度の研究所ですと、国立の研究機関もたくさんございます。まだスタートしたばかりで、これからだんだんと拡充していきたい。ことに、いま一番困っておりますことは、実験用の飛行機などはすでに持っておりますけれども、まず建家なんであります。これはいまからもう五年も前に、定員が七名のときにつけていただきました建家があるだけでございまして、非常に狭くて、十分な実験ができない、こういう現状にございます。まず建家がほしい。それからその次には、調布飛行場に私たちの試験用の航空機が置いてございますが、その入れる格納庫もない、屋外係留になっておりまして、少しさびがついている。買ってからわずか二年しかたっておりませんけれども、そういう状態でございます。そうい建家と格納庫、それから先ほどから話が出ました航空交通管制の自動化ということが、現在航空路の管制について東京航空交通管制部、あそこの自動化が進められておりますが、それにしたがっていろいろな施設が出てまいります。それから機械もできております。そういうできたものを、いきなりなまの現実の管制に使うということはとうていできないわけでございます。その前にいろいろ試験をしなければなりません。その試験をするのが私たちの役目でございます。そのためには、ほんとうにたくさんの飛行機を飛ばしてやるということは不可能でございますから、電子計算機を主体にしたシミュレーション——模擬試験ということをやらなければならない。そのシミュレーターが現在中央の計算機だけが設備されておりまして、周辺の装置は何もございません。それをできるだけ早く整備したい。これまた多額の金を要しますので、年次計画で進めていきたいと思っております。  それから衛星航法関係、これはいま宇宙衛星開発の一元化という問題でやかましくなっておりますが、何か一元化機関でそういうロケットを開発し人工衛星を上げてもらってそれで管理していただきますと、あと私たちはそれを使わしてもらいたい。それを利用して船舶や航空機の航法、そういうことの研究をやっていかなければいけない。これは当然そのあとは運輸省の主管業務となる予定でございますから、この研究をみずからやらなければならない。そのためにはあまりにもその人員が少ない。現在の計画ではわずか二研究室、一部、総員七名という世帯でございますが、こういうものも拡張していかなければならない。大体いままで郵政省その他でおやりになったのを見ますと、大体十数名の研究者は最低必要であると言われておりますので、そういうこともやっていかなければいけない。大体大きいところはそういうものでございます。
  151. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ちょっと関連。私も先日伊藤委員などと一緒に船舶技術研究所を視察したんですが、その視察する前に、当面のいまの問題である自動車交通事故の問題とか、あるいは自動車の排気ガスの問題とか、そういう研究をやっておられるということで、それも見たいという気持ちで行ったわけなんです。ところが行ってみると——行ってみるとと言えば変でありますけれども、名称は船舶技術研究所ということになっておって、その一部で当面の非常な問題である自動車関係の研究が行なわれていることを見て非常な奇異な感じに打たれたのですね。ところが一方、いま御質問のあったような電子航法研究というものもやっておられるのでありますから、どうも私は船舶技術研究所という名称にちょっと納得しかねるものがあるんですが、これはいまはどうもやむなくこういうことにしているが、行く行くはこうするんだとか、何かそこに一つ考え方があるのかどうか、これは私運輸大臣からちょっと聞いておきたい。
  152. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御承知のとおり、科学技術の研究はますますその緊要性を増しつつありますと同時に、研究事項の細分化によりまして、研究機関は次第に分化の傾向にあると思うのでございます。いまの船舶技術研究所に付設いたしておりまする自動車の公害関係の研究部でございまするが、これにつきましても、望ましいことは、独立の研究所を設置することであろうと思いますが、御承知のとおり、最近数年間、独立機関の設置につきましてはいろいろと政治上の制約がございますので、便宜いま併設というような形になっておるわけでございますが、私ども機会あるごとにすみやかに分化してそれぞれの研究をより伸ばしてまいりたいと、かように考えております。
  153. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 もう一つ。私は、船舶技術研究所で自動車の公害事項が研究されているというその仕組み、組織にどうも納得しないものがあるのと、もう一点、その船舶技術研究所で鉄道のこともやっておるんですね。それはどういうわけかというと、運輸省は私鉄の監督をしておるとかどうとかいうことから、まあ鉄道の研究もやっておる。その船舶技術研究所を視察したあと、われわれは国鉄の技術研究所を見たんですね。これも非常にりっぱなものです。これはまあ国鉄は国鉄の技術を研究するというたてまえですからこれは別でしょうが、船舶技術研究所で鉄道のことを研究するような部門は、国鉄の技術研究所にぼくは委託してもできるのじゃないかと思う。それから、国鉄の技術研究所で今度はごくちょっぴり船舶のことをやっておるのですね。これはどういうわけかと聞いてみると、国鉄にも連絡船があるからやるんだと、これは、それこそ船舶技術研究所に国鉄のほうもまかしてしまったらいいんじゃないかと、こういう感じを受けたのです。どうも船舶技術研究所という名称と、包括しておられる全体について私は若干の疑義を持つので、非常に明敏な大橋運輸大臣のことでありますから、これは何かやはり、今回の設置法には載っておりませんけれども、あなたの時代にそういうなにを立てて、方向をひとつきちっとしてもらいたいというのが私の希望なんです。
  154. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まことにごもっともしごくの御意見でございまして、今後の問題といたしまして十分に検討いたしまして、あるべき姿に早くいたしたいと心得ます。
  155. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは海上保安庁の定員関係について一点だけお伺いいたしますが、で、これを昨年にさかのぼって見ますると、昨年は三十五人の定員が減少されている。本年は大幅に百七名の定員を減らしておるわけです。これは凍結欠員をいわゆる法律定員から落としているものと考えられるわけですが、こういうことになると、どんどん定員を減らしていって業務遂行上何ら支障はないのかどうか、そういうことはあり得ないと思うのですが。ということは、ひいてはまた労働過重にもなるわけです。このように海上保安庁はどんどん定員を減らす余裕があるのは一体どういう理由なのか、こういうことについて明確にお答えいただきたい。
  156. 町田直

    政府委員(町田直君) 凍結欠員の問題でございますが、御承知のように、現在政府といたしまして各省庁ともやめた人の補充の一部を凍結する、こういう制度でおるわけでございます。海上保安庁につきましては、船員その他は〇・九補充いたしまして、〇・一の凍結ということでやっております。この凍結欠員が毎年——海上保安庁だけではございませんで、各省庁とも、運輸省の各部門ともだんだんたまってきておるわけでございます。一方、毎年、年度で増員をいたします場合には、原則として各省を単位といたしまして、凍結定員の範囲内で、できるだけ増員をする、それでどうしてもまかない切れない分につきましては純増を認めると、こういう増員の方針をとっておるわけでございます。そういう方針に従いまして、実は海上保安庁は非常に全体の人数が多いので、それに伴いまして、いわゆる凍結された定員も昨年の九月一日現在で百六十二名でございますか、出たわけでございます。一方増員のほうは、各部局の増員要求に従いまして、海上保安庁も六十名、その他含めまして、今度の設置改正お願いしております人数の増員があったわけでございますが、その増員の前提といたしまして、運輸省の凍結されておる定員を、海上保安庁含めまして全部でひとまず増員に振り当てまして、残ったものを増員する、こういう方針でやった次第でございます。したがいまして、海上保安庁も、その他の部局もそうでございますけれども、今度の増員によりまして、いままでたまりました凍結定員が一応全部底をはたいた、こういうことになった次第でございます。御指摘のように、凍結された定員増員で振りかえてしまって凍結をゼロにしてしまうということが、海上保安庁の仕事の上で、非常に今後の問題として困るじゃないかという御指摘でございますが、確かに凍結された定員も、いずれ何らかの形で措置されるわけでございまして、あるいはそれが復活されるということも考えられないわけではございませんので、そういう意味では、非常に凍結定員増員に振りかえるということ自体が問題かと思います。現在の制度では、ただいま申しましたような方向でやっておりますので、やむを得ず、海上保安庁も含めまして凍結定員増員に振りかえたと、こういう次第でございます。
  157. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いままで航空保安の案件を中心に伺ってきたわけですが、昨年五月十二日、当委員会で運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議がなされたわけです。このことについて二点だけ大臣にこの際お伺いしておきたいと思うんですが、「最近の度重なる航空事故発生にかんがみ、政府は、この際航空保安の万全を期するため、航空保安要員については、すみやかに凍結欠員の解除等の措置を講じてその充実を図るとともに、施設組織等についても再検討を加え、事故防止のため最善を尽くすべきである。右決議する」。この内容二つに分けて大臣にお伺いしたいと思いますが、一つは、「航空保安要員については、すみやかに凍結欠員の解除等の措置を講じて」云々とあるわけですね。そこで運輸省としては、それからもうすでに一年以上経過しておるわけですから、この凍結欠員の解除等の措置を講じてその充実をどのようにはかってこられたかということと、それから、いま一つ要素は、「施設組織等についても再検討を加え」とあるから、その後再検討を加えた結果についてその成果を承りたい。以上二点をこの附帯決議に関連してお伺いしておきたいと思います。
  158. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 凍結欠員の解除につきましては、昨年度直ちに政府部内で検討をいたしました結果、とりあえず、予備費から百名の増員をいたしましてこれを解除してまいったわけでございます。  次の航空保安施設組織等についての再検討でございますが、まず第一に、飛行場整備五カ年計画というものによって、飛行場保安施設の拡充、それから組織につきましては、今般の改正におきましてごらんのような組織お願いしておる次第でございます。
  159. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体、法案に直接関係の面は一通り終わったわけですが、この機会に、臨調が行政改革の意図から、行政改革のそれぞれ関係事項に関する意見を関係省庁に対して答申しておるわけです。この臨調の意見に対する運輸省考え方を二、三お伺いしておきたいと思うのですが、最初に大臣にお伺いしたいのは、その個々のことではなくして、臨調の答申に対する運輸大臣としての基本的な考え方、このことについてだけお伺いしておきたいと思います。
  160. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 臨時行政調査会におかれましては、行政組織並びに実績等につきましていろいろな角度から御検討の結果打ち出された御答申でございまするので、私といたしましては、運輸省に関する部分につきましては、運輸省の実情等よく照らし合わせまして、できるだけこれを尊重して実現をはかりたい考えでございます。
  161. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 できるだけこれを尊重して答申の趣旨にかないたいとおっしゃることはまことにけっこうなんですが、実際は、個々の事例をあげますと、だいぶその線からかけ離れておるように——ということは、こういうことです。機構の拡充強化、いわゆる権限の強化、これは運輸省だけとはあえて申しません。各省庁ともそういう機構拡充、権限強化、こういうことには例外なく各省庁みな賛成しておるわけですね。ところが、機構の縮小、権限の委譲、こういう問題については、ほとんど例外なく反対なんです。ということは、わかりやすいことばで言うと、各省庁は、臨調の答申にもかかわらず、非常になわ張り根性が長い間依然として続いておる。臨調があれだけの国費を使い、あれだけの規模で、長時間かかってそれぞれ部門、部門で専門家が検討をして成果を出して、これを受けた池田内閣は、これを尊重するという意思表示を明らかにして、これを受けて立った佐藤内閣も、当然、この答申につきましては、極力尊重という姿勢で今日まで来ておるわけです。そこで、各省の大臣にお伺いすると、臨調の答申はこれを尊重いたしますと、必ずそういう意味の御答弁があるわけです。さて、個々の問題について検討してみますると、先ほど言ったような結果になるわけですね。結局、なわ張り争いは依然として続いておる。これが現状ではなかろうかと思うのです。そういうことでは相ならぬと思います。国全体の立場から、たとえ運輸省なら運輸省の権限が多少縮小されても、機構が多少縮小の方向へ行っても、やはり国全体の行政改革というものには協力しなければならぬと思うのです。こういうような点について大臣としてはどういうふうにお考えですか。
  162. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 臨時行政調査会の答申は、運輸省関係につきましてはかなりの項目がございます。これらの項目のうちで、すでに相当実施いたしたものもございますが、まだ実施にならないものも実はあるわけです。その実施にならないものにつきましても、趣旨としてこれは実施すべきであると考えておるものもございまするし、それから、ものによりましては、これは理屈はともかくとして、実際上簡単に実施するという結論を運輸省としては出しにくいと思われるものもございます。これらの仕分けによりまして、実施できるものは着々実施いたすようにいたしたいと、こう思っておるのでございまして、機会あるごとにこの実施を促進するように心がけてまいりたいと思います。
  163. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、具体的な問題を一つ二つだけしぼってお伺いいたしまするが、これは個々の問題は大臣でなくてけっこうです。おおむね都道府県の区域内にとどまる自動車運輸事業に対する規制は、知事に機関委任すべきである、これは臨調の運輸省に対する行政改革の意見でありますが、この意見に対して運輸省のお考えをこの際承っておきたいと思います。
  164. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御指摘の点は、ハイヤー、タクシー事業等の区域事業に関する行政事務を都道府県知事に機関委任すべきである、こういう答申の点ではないかと思うのでございまして、この点につきましては、現在ハイヤー、タクシーなどの行動範囲は一府県内にとどまるものではなく、相当広範囲に動き回るものでありまするし、また、鉄道やバスなどの他の交通機関に対する行政とも十分総合調整して行なう必要があるのではないか、かように運輸省としては考えておりまして、現状どおり国の事務として存置することが適当ではなかろうか、これがただいまこの項目についての運輸省の見解でございます。
  165. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 他の一つの例をお伺いいたしますが、公社の運営を改善し、労働基本権拡大をはかるべきである、こういう意味の臨調の改革意見が出ておるわけです。それに対して運輸省としてはどのようにお考えかということだけをお伺いしておきたいと思います。
  166. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま御指摘の点は公社、公団等がその職員組合との団体交渉において十分な権限を与えられておらないためにいろいろ組合との関係が労使関係の通常のレールに乗らないという問題が一つ。それから、スト権あるいはその他の争議行為、これが禁止されておる点を改善する余地はないのかというのが一点。大体この二点だろうと思いますが、前の当事者能力の点につきましては、私どももその意を体しまして、当事者能力を持たせるように指導していくべきものだと思っております。それから、第二の労働基本権の問題につきましては、公共企業体の性質及びその企業体の事業の内容等によりましていろいろの結論が変わってくる可能性もあろうかと思いますが、特に国鉄等の場合におきましては、いましばらく現在の状況をもって進むべきではなかろうか。むしろ、公共企業体のうちの公共性の厚い、薄いによりまして、他の事業体において考え直すべきものならば改正をし、その実績を待って国鉄あたりの非常に公共性の強いものを考えるということでよろしいのではないか、こう思っております。
  167. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このことについて、この当時、運輸省としては労働基本権拡大をいま直ちに行なうのには反対と、そういう意思表示をしておるわけです。その後もう三カ年も経過しておるわけですね。そこでお伺いしたわけなんです。これはいま直ちに行なう云々は昭和三十九年の時点でこういう結論を出された。それからもう三年も経過しておりますから、そこであえてお伺いしたわけなんであります。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  168. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 遺憾ながら、なお当時と同じような段階にあるわけでございます。しかし、私個人といたしまして、公共企業体にも、国鉄のごとく、その運営が停止されまする場合に国家国民に非常に重大な影響を与えるものもございまするし、また、アルコール専売その他のごとく、一般の私企業とそうたいした影響度において違いのないものもあるんじゃないかと思いまするので、将来の問題としては、その辺を勘案いたしまして、比較的公共に与える影響の少ないものから逐次取り扱っていくということが順序ではなかろうか、こう思うのでございますが、これはあくまでも私個人の見解としてお聞き流しをいただきたい。
  169. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣の言われることは一応わかりますけれども、先ほど申し上げたような意味の臨調が「公社の運営を改善し」とあるわけですね。公社の運営を改善し、労働基本権の拡大をはかるべきである、こういう意味の答申を明確に出しておるわけです。そこで、もう繰り返しませんが、これを尊重する立場にあるわけですね、現在の佐藤内閣は。こういうことであるから、この三十九年当時には、いま直ちに拡大することには反対とあっても、その後三年も経過しておりますけれども、今後、ここでいま大臣を幾ら追及しても、それでは拡大いたしますとは決して言わぬと思うんです。そこで、十分そういう臨調の答申の趣旨を尊重して労働基本権の拡大をはかるために努力すべきであろうと思います。その前提として、いわゆる国鉄なら国鉄の運営の改善をまずするということが前提ですね。改善するのは直ちには行なえない。したがって、国鉄のいわゆる運営を改善しつつ労働基本権拡大の方向に努力すべき義務があろうと思うんですね、臨調の答申ですから。そういう線でじっくり取り組まれるよう強く要望申し上げておきたいと思います。
  170. 前川旦

    ○前川旦君 先ほど途中で切れましたので、続けて少し質問さしていただきたいと思います。  この間お伺いしました運航規程の認可基準というものは二、三カ月じゅうに必ずつくる、こういう航空局長からお答えをいただきました。そこでこの際伺っておきたいのは、運航規程の認可基準ができていないということでずいぶんこれは問題になりましたが、これは百四条に該当する問題であったと思います。三十九条、申請の審査とありますが、その三十九条の第一項ですか、「当該飛行場又は航空保安施設の位置、構造等の設置計画運輸省令で定める基準に適合するものであること。」、この運輸省令はできておりますか。
  171. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この運輸省令は出ております。
  172. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃ法四十七条「飛行場又は航空保安施設の管理」この中に入っております「運輸省令で定める保安上の基準」この運輸省令はできておりますか。
  173. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 出ております。これは省令の九十三に当たります。
  174. 前川旦

    ○前川旦君 航空法第六十八条、ここにも最初に「運輸省令で定める基準」というのがありますね、これはできておりますか。
  175. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これはこの間御質問のございました運航規程と乗務割の規定、この二つに関する省令はできておりません。これは二、三カ月中に必ず省令を出します。
  176. 前川旦

    ○前川旦君 法第七十三条の二、「運輸省令で定めるところにより、」と最初の出だしにございますね、この運輸省令はできておりますか。
  177. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これはできております。
  178. 前川旦

    ○前川旦君 それではついでにお伺いしておきますが、いまのは法律できめられておりますが、これは法律はともかくとして、どうしてもやらなければいけない問題で空港計画基準というのはできておりますか。
  179. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま先生のおっしゃいましたのは、航空法の第何条ですか。
  180. 前川旦

    ○前川旦君 これは法律の問題じゃありませんが、ちょっと一例を申し上げますと、飛行場計画基準、飛行場別、空港別の管理規程、それから飛行場の設計基準、それから飛行場保安施設、諸施設の施工基準、積算基準、検査基準、こういうものはどうなんですか、できておりますか。
  181. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これはマニュアルといたしまして、航空局職員が取り扱うべきマニュアルとして先生のおっしゃったものの大部分についてはできております。
  182. 前川旦

    ○前川旦君 テレタイプ機器、照明施設、無線施設の保守及び運用規程、航空保安施設設置工事の標準仕様書あるいは照明用機器の試験基準、こういったものはできておりますか。
  183. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これもマニュアルができております。
  184. 前川旦

    ○前川旦君 この航空法のことですが、航空法を改正するという話を聞いたことがありますが、これは航空改正ということを現在検討されておるんでしょうか、どうなんでしょうか。
  185. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 航空法の改正につきましては、常に検討いたしておりますが、現在のところ、まだ成案ができていない次第でございます。この航空法は制定いたしましてから相当の年月がたちまして、特に乗員につきましてその後の実態に合わせまして、また、世界の航空界の実情に照らして、諸外国の制度その他も取り入れたものにしたいというような点が検討の第一点でございます。それからまた、そのほか検討いたしておりますことは、運輸省の責任の限界というものを一体どこにおくかということを根本問題として考えております。現在、事故が起きればすべて国が悪いのだというような印象を受けられるかと思うのでございますが、ここまでは国の責任である、これから先は航空会社の責任である、あるいはその航空機の責任であるというような点を明確にいたしたいと思っております。たとえて申しますと、管制官が何らかの不注意で間違った指示を出したといたします、その場合に通常の航空機のパイロットは、前方を見れば、前方に飛行機があるということが明瞭な事態の場合におきましても、管制官だけが責任を問われて、そのときに発進した航空会社のパイロットは責任を問われないというような事例もございまして、この辺は航空法を根本的に改正いたしまして、各航空事故の場合に責任の限界というものを明確にしてまいりたいということで、ただいま検討いたしております。
  186. 前川旦

    ○前川旦君 航空法の改正内容はただいま列挙されたので、たいへん範囲が狭まったように思いますが、念のためお伺いしておきたいのは、昨年の十一月ですか、民間航空会社が集まって航空技術安全協力委員会というのをつくったのは御存じだと思うのです。そこから航空法の改正について強い要望が実は運輸省に来ていると思います。いろいろ内容にこれは問題があると思うんですが、やはりこれも検討の対象になっているんでしょうか。
  187. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 検討の対象にもちろん入れてございます。
  188. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃ検討していらしゃるということでありますから、ちょっと簡単に触れますが、たとえば試験の問題で、その試験官がなかなかできないということで、パイロットの試験を会社側の乗務員に国家試験の実地試験を大幅に委任するということが一つ出ていたと思うんですが、これはどうなんですか、これをやると、だいぶ問題があると思います。どういうふうに評価されますか。
  189. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先生のおっしゃるように、いろいろ問題があると思います。あると思いますが、航空機の乗員の数が飛躍的に増加していって、運輸省試験官の数がこれに応じていけないといいますか、現在の定員制度でこれに応ずることが非常に困難であるというような事態になりましたら、航空会社の非常に優秀な操縦士にそういう資格を与えて、試験官としての一種の権限を与えるということも検討していかなければならないかと思います。ただし、これも非常に問題がございます。まだ何らの結論も出しておりません。
  190. 前川旦

    ○前川旦君 試験官が足りないということは、この間からいろいろ質問の中にも出ておりましたが、これも定員の問題だろうと思います。試験官が足りないから、それを民間の会社に試験を委任するということは、これは確かに大きな問題があります。あなた方がやるから信頼ができるんです。はっきり言いまして、これはほめているんです。あなた方が試験をなさるから信頼できるんですけれども、民間の試験官試験をしたんでは、これは情実というものは必ず入りますよ、これはたいへん大きな問題だと思います。慎重に討議をしていただきたいと思います。  次に、それじゃ、もう一つ、たとえば機関士の技能証明の受験資格でも要望が出ていますが、これも一つは、一年以上の整備の経験を有しということが要件になっていますが、これも省略するというような要望が出ているはずですが、これはどうですか。
  191. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは機関士だけの問題ではございませんで、現在諸外国ではサードパイロットという制度を、主操縦士、副操縦士のほかにサードパイロット——第三の操縦士というものを乗せている例が非常に多いのでございます。このサードパイロットが、あるいはフライトエンジニア——機関士なり、ナービゲイター、航空士の資格もあわせ持っているという制度を取っている。世界の航空会社には非常に例の多いものでございます。それらの制度も参照しながら、この機関士の経験年数の問題も慎重に検討いたしたいと思います。
  192. 前川旦

    ○前川旦君 エンジンがジェットになりまして非常に機関士の果たす役割りというのは大きいと思います。特に四十年の一月ですか、サンフランシスコで飛行機の事故が起こりましたが、エンジンが離陸してから分解して火災を発生した。そのときの機関士の処理が非常に適切であった。非常に大きな役割りを果たした。日本の機関士は非常に質的に高いのだということが国際的に非常に言われておるわけですね。ですから、そういう機関士を乗せていれば、われわれは乗るときもりっぱな機関士が乗っているから安心だということになるのですけれども、その資格をやはり制限緩和するということになると、これはやはり安全に対して逆行になるというふうに私は思います。そこで、その点についても、私はやはり安全という立場からの慎重な配慮をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  193. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 航空法を改正いたしますときは、航空法の大部分が航空の基本的な安全に関する問題でございますから、もちろん運輸省だけでこの改正案をつくるということではなく、広く航空界の技術者の御意見も聞きまして、そうして案を積み重ねてまいりたいというふうに考えております。どうぞ御安心をいただきたいと思います。
  194. 前川旦

    ○前川旦君 よく機関士を場合によったらおろしてもいいんだと、こういうようなあれがありますね、他の航空従業者が航空機関士の業務を代行することができる、航空局——あなたのところか認定した場合は、航空機関士の搭乗を必要としないと、こういうことにしろというような要望が出ているようですけれども、いままでの航空行政を見ていると、やはり不安が残ります。これはしゃんとしてもらいたいのですが、この問題はどうですか。
  195. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先ほどお答え申し上げましたと同じように、単に航空会社だけの意見ではなしに、実際にそういう技術者の意見も聴取いたしまして、そうしてわれわれの結論を出してまいりたい、このように考えております。
  196. 前川旦

    ○前川旦君 聴取するということは尊重するというふうに解してよろしゅうございますか。聞きおくですか、尊重するという意味に解してよろしゅうございますか。
  197. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 聞きおくということではございませんで、これらの技術者の御意見をも伺いまして、十分に検討の材料にさしていただきたい、こういうことでございます。
  198. 前川旦

    ○前川旦君 次にいきますが、仙台の飛行場で現地の人の話を聞きますと、民間の飛行機が入っており、自衛隊の飛行機が滑走路のすぐ横で離着陸の訓練をやり、その上にさらに日航が訓練をやると、たいへんな混雑であぶなくてしようがないという話を聞きましたが、これはどうなんですか。特に管制塔から見えにくくて、民間等も二つまでくらいだったら何とかこなしていけても、三つもやられるととてもだめだと、こう言われておりますが、これはどうなんですか。
  199. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 仙台の飛行場、実は自衛隊が先住民族でございまして、これを民間飛行場にいたしたわけでございます。それで、現在はもちろん運輸大臣設置管理をいたしておりますが、自衛隊が使用しております、飛行場滑走路じゃなしに、ストリップと申しておりますが、芝生をつくりまして、そこから離着陸の訓練をしておるわけでございます。これが管制塔から見にくい、そういう話がございましたので、私さっそく仙台の飛行場へ参りまして現地を見まして、これは確かに見にくいのでございます。管制塔を移しまして、新設いたしまして、非常に見やすいところに新しく管制塔を移すことにいたしました。これは今年度工事で実施いたしまして、たぶん今年度中には完成すると思います。それからこの管制能力の関係で、自衛隊がやり、それから民間航空がやり、さらに日本航空がやる、それからうちの航空大学校もあそこに将来持っていこうということでございます。あそこに二千メートルの滑走路をもう一本つくりまして、離着陸能力を非常にふやしたいと思っております。それから自衛隊は先住民族でございますが、やはり民航でございますので、管制能力の範囲で相互に調整をしていただくようにということでお願いいたしまして、現地に自衛隊と日本航空、それから運輸省航空保安事務所集まりまして、協議会というものをつくりまして、管制官の立場から見ましても安全な範囲で、相互に飛ぶということにいたしまして、現在その協議会を運営いたしておりますので、先生のおっしゃるような危険はないと思います。また、管制塔が移りましたら、非常に管制がしやすくなると思います。
  200. 前川旦

    ○前川旦君 お話のムードで危険がないような気がしますがね、非常にじょうずにお話になります。しかし、よく考えてみると、管制塔から見えにくいから管制塔を移します、いまたくさん入っているのでしょう、移ってできるのは先の話でしょう、いますでにできているわけじゃないでしょう、その辺のところが、ことばのあやでいろいろあるけれども、あぶないままに三つ入れているわけでしょう、そうじゃないの。
  201. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) それで管制塔ができますのは、おっしゃるとおり、今年度中に完成いたしますが、使用開始いたしますのは一年ぐらいあとになると思います。それで現在あぶないという話がございますから、また実際現地におきまして、若干相互の連絡が十分でなかった点が見受けられたわけでございます。それで現地に航空保安事務所、自衛隊、それから日本航空、それから全日空があそこに入っておりますが、全日空、これら関係者を集めまして協議会をつくりまして、それでどういうふうに、自衛隊の訓練は毎日何時から何時までどういうふうにやる、それから日本航空の練習機は、たとえば自衛隊の始まるのが何時である、それまでに主として離着陸訓練をやって、それから自衛隊の離着陸訓練が始まりましたら、日航機が飛び立って行って、他の飛行場で訓練をやろう、それから全日空の定期は、これは時間を変えるわけにいきませんから、これは従来どおり、そのような現在の時点におきまして危険のないような管制上の調整をお互いにやって、非常にそれ以来円滑にまいっております。
  202. 前川旦

    ○前川旦君 私いつも言いたいのは、危険が先に発生して、あとで対策が追っかけているということをいつも感ずるのですよ、ですから安全ということを考えれば、先に安全な施設をして安全な話し合いをして、それからあとで実施するというようなたてまえが私はとられるべきだと思う。ところが、いろいろ見ていても、いつも先に事実があって、あとからあとから追っかけて、しかも人間が足りない、施設が足りない、金が足りない、十分なことができない、安全を守る立場から非常に遺憾だというふうに思います。その点は私そういうふうに思いますがね。
  203. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この話は、日本航空の練習機、ビーチの練習機があそこで練習をやりたいという話が起こりまして、それで、それは管制能力を越えるか越えないか、危険があるかないかということが問題になりまして、そうして日航機が全面的な練習を開始する前にそういう調整措置をとったわけでございます。これは事前に調整をとったということでございます。
  204. 前川旦

    ○前川旦君 それでは、それ以上私もデータはないので、次へいきますが、いま訓練飛行場というものは非常に不足してますね。これは非常に大きな問題になってますが、この訓練飛行場はつくるお考えだろうと思うんですが、具体的にどういう見通しを立てていらっしゃるのか、場所等はある程度きまったのか、あるいはどの程度まで進捗していらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  205. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 訓練飛行場をつくるべきであるということは、これはずいぶん前から、航空審議会からも御答申を受けておりまして、航空局のほうでも訓練飛行場をつくるように調査をしてまいったわけでございますが、訓練飛行場滑走路が少なくとも、これはジェットの訓練飛行場でございますので、三千メートルはほしいということと、それから騒音がかなりあるということと、それから日本の空域が非常に狭くなっておりまして、地上で見ればこれは訓練飛行場として適地だと思いましても、空域の関係でできないということで、実はいままででも六カ所ぐらい調査をいたしたのでございますが、いまだにここならば訓練飛行場としてやれるという確信を得ているものはないわけでございます。しかし、この空港整備五カ年計画の中でも訓練飛行場は必ずこれの工事を開始するということになっておりますので、今年度は一そう精力的に訓練飛行場の調査をやりたいと、このように考えております。
  206. 前川旦

    ○前川旦君 それでは具体的にもう候補地が固まったという段階じゃないわけなんですね。というのは、実はせんだって私はあるところへ参りましたら、その地元の農民の方、労働組合、それからまあ社会党、共産党、非常に騒いでおりました、訓練飛行場がここにできると。これは淡路島の話ですがね。訓練飛行場ができて、ジェットやられたらたいへんだというので、はや連絡協議会をつくって、強い陳情を受けたわけです。事実がそこまで進んでないのであれば人騒がせな話で、ほんとうに具体的にどこまでというあれができてるわけじゃないわけなんですね。
  207. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) おっしゃいますように、訓練飛行場はどこも固まってございません。大部分、ここはいいなあと思いますと、ちょっと話が漏れますと、もう地元の猛烈な御反対を受けまして、いまのところ全然固まっておりません。淡路島はむしろ訓練飛行場をつくってくれという御要望は受けております。
  208. 前川旦

    ○前川旦君 その、要望を受けてるというのは耳寄りな話なんですが、地元はずいぶんそれは反対しておりますね。したがって、ここはまだそういう段階じゃないわけですね。そう考えてよろしゅうございますね。——それじゃ、私は関西ですから、よく第二国際空港という問題ありますが、これは万国博覧会までに第二国際空港をつくるというお考えがあるんですか。それまではもういまの伊丹飛行場で広げてやっていくというお考えですか、それはどうなんですか。
  209. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 大阪国際空港は現在、三千メートルの滑走路整備中でございます。これが完了いたしましても、今後の運航回数がふえるという点を考えますというと、昭和五十年ごろには能力の限界に達することに相なろうかと思います。そこで、近畿圏内においてはそのころまでに第二空港国際空港として考えなければならないという状況でございますが、万国博覧会までにそれをつくり上げるという考えはいまのところございません。
  210. 前川旦

    ○前川旦君 それ聞いて、それでいいんですが、実はこれまた地元新聞、地域の新聞では、あすにでも自分のところに第二国際空港ができるんだというような大々的な記事を出して大騒ぎしてる地域もあるようですから、いまのお話を聞いて安心いたしました。  それじゃ次にいきますが、国内の幹線はこれはジェット、それから支線はYS11を中心としたターボプロップというのですか、これで大体今後やっていくという、いまもそうなのでしょうが、こういうように伺っておりますが、この方針は今後もくずしませんか。
  211. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) その方針を強化してまいりたいと思います。
  212. 前川旦

    ○前川旦君 一時宮崎に、これは二種空港ですが、727が入っているという話を聞いたことがありますが、いまこれはどうなっておりますか。
  213. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 冬場に727が大阪から参っておりましたが、現在は727は入っておりません。将来は宮崎は二千メートルに拡張いたしまして、ジェットを入れてまいりたいと考えております。
  214. 前川旦

    ○前川旦君 宮崎は支線です、いまは。幹線というか、支線、ローカル線だろうと思いますがね。いま宮崎だけがそうすると例外になって、727を入れるというわけですか。
  215. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 国内の幹線と申しますのは、幹線にジェットを飛ばすと申しましたが、この幹線の意味がだんだんと変わってまいりまして、東京大阪‐福岡、あるいは東京‐札幌というものだけが必ずしも幹線ではなくて、将来は地方の主要空港、たとえば宮崎でありますとか松山でありますとか、これらの空港も五カ年計画で拡充してまいりまして、これらのところにもジェットを入れていきたい、そういう意味におきまして、遠距離の航空路というものはこれをジェット化していきたい、こういう考えでございます。
  216. 前川旦

    ○前川旦君 五カ年計画で二種空港滑走路を延長するということですが、各飛行場によって千五百メートルに延長するという場合、千八百メートル、二千メートル、まちまちなんですが、これはどういう基準なんですか。
  217. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 空港整備五カ年計画におきまして二種空港、国が設置、管理いたします地方の主要空港につきましては、これは運航上の必要性、あるいはその地方の経済性、それから飛行場設置拡充の容易性、地元の御協力、あるいは反対というようなことも勘案いたしまして、二種空港の中の約半数近くのものはこれを二千メートルに五カ年計画のうちに拡充していきまして、これにはもちろん将来ジェット機を入れていきます。それから残りのものはこれを現在千二百メートルのものを千五百メートルに延ばしまして、先ほど先生のおっしゃいましたYS11、フレンドシップというようなものを安全に、現在でも安全でございますが、より安全に着陸できるようにしていきたいというのが考え方でございます。ただ二千にしたいけれども、どうしても二千に延びないというところはございます。たとえば広島空港のように二千にしたいけれども、海に出ている関係、あるいは付近の山の関係で、千八百しか延ばせないというようなところでは、やむを得ずこれを千八百にしているわけでございます。
  218. 前川旦

    ○前川旦君 いまの二種空港の千二百メートル、これは昔のダクラスDC3、これを基準にしてお考えになったわけですね。そうですね。——ところで、YS11は今度千二百メートルの滑走路で離着陸できるような、そういう要求で設計されたわけですね。二千メートルという基準はこれは727の基準ですか。
  219. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 特に727の基準ということではございませんが、727、あるいは将来、現在もフライトテストをいたしておりますが、国内用のジェット機としての737、このようなジェット機が計器着陸によりまして安全に着陸できる、全天候方式の着陸ができるということを目途といたしまして、それの最小の安全度をとって二千メートルということにしたわけでございます。
  220. 前川旦

    ○前川旦君 千二百メートルでYS11が十分離着陸できるはずであったのに、松山でああいうことになりましたね。やはり千二百メートルではYS11は狭いということだろうと思うのです、危険のことを考えれば。
  221. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) YS11は千二百メートルの滑走路で安全に離着陸できるようにということで設計された航空機でございまして、千二百メートルあれば完全に安全でございます。それで、それをじゃあなぜ千五百にし、二千にするかと申しますと、これを計器着陸方式によっても着陸できる——これはILSをつけましたり、GCAをつけましたりしまして、計器着陸により全天候、ウエザーにかかわらず離着陸しても停止線を確保する。そういうことによりまして航空運送事業も発達する。そのためには二千メートルをとったほうがよろしい、千五百ないし二千メートルをとったほうがよろしいということで、五カ年計画でこの滑走路の延長をやっているわけでございます。でございますから、計器着陸をやらずにVFRでやっている限り千二百でYS11は絶対安全だと思います。
  222. 前川旦

    ○前川旦君 絶対安全だとおっしゃったが、VFRで千二百メートルの松山でああいうふうになりましたね。松山の事故を起こしました。あのときに、滑走路がもうあと二、三百メートル長ければああいう飛行ということもせずにぎりぎりでいけたのじゃないかということをよく批判されました。ということは、計算上千二百メートルであればYS11は絶対安全なんだと計算上は出るけれども、実際運航上から松山の例のとおりで、やはり広ければ広いほどいいので、長ければ長いのがいいんで、千二百メートルではやはりYS11なりフレンドシップでもやはり絶対安全だと私は言えないのじゃないかと思うのです。そして、二千というのは727、これはジェット機の基準です、二千というのは。二千というのはおそらくぎりぎりの数字じゃないか。最低の数字じゃないか。安全度十分な数字じゃなく、最小の安全度の数字じゃないか。これはジェットを入れたらまた滑走路を拡張しなければいかぬ。松山と同じような危険性というものが出てくるのではないか、こういうふうに考えるわけです。二千メートルという数字は、これはどうなんですか。
  223. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 727につきましては、727の離陸距離は相当余裕をとりまして、源田先生がおられますが、余裕をとりまして、千五百メートルあれば十分でございます。それで、これはもちろん重量にもよりますし、そのときの温度にもよりますが、千五百あればできるわけでございます。これを計器着陸によって誘導着陸させるというための安全の滑走路の長さを二千メートルということにこれは航空審議会で技術的に検討いたしまして決定いたしたわけでございます。そのYS11の千二百メートルがもう六百長ければ松山の事故は起こらなかったであろうということは事実かと思います。しかし、これをそれだから千二百ではあぶないということは言えないのじゃないか。これはどんなに、たとえば二千メートルの滑走路でも、もしそれが千メートルのところに着陸したとすればそれはやはりあぶないのでございまして、そのときにまた五百長ければよかった、こういうことは言えないのじゃないかと思います。それは、長ければ長いほど安全とは思いますが、やはり飛行機、航空機のいろんな諸元というものから考えまして、技術的に非常に詰めた上に常識的な安全のゆとりというものを持てばそれで十分ではないか、このように考えるわけでございます。
  224. 前川旦

    ○前川旦君 安全というものはあとからあとから追っかけておるということをしきりに私は言っているのですけれども、これはジェットを入れるということは会社側の要望ですよね、当然採算の問題がありますから、人をよけい乗せますし、飛行機の回転もありますし、企業としての要請で、これはジェットを使いたいのだけれども、あとからあとから安全対策はいって、いま二千メートル以上は地元反対、いろいろあってなかなかむずかしい。そこで何とかこれはこじつけたと言うと技術屋さんに失礼かもしれぬが、十分なたっぷりした安全度をとらないで、ほんとうにぎりぎりの、きちきちのものでやっていくという傾向が私は非常に強いのじゃないかというふうに思うわけですね。その辺を私しつこく聞いているわけです。一体二千で727なりあるいは何とかおっしゃいましたね、国内用のジェットですね。これはほんとうにあぶなくないのだ、安全を守る立場から確信をもって言えますか。
  225. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) それは先ほど申し上げましたように、長ければ長いほど安全ではございますが、この二千メートルを決定いたしますにつきましては、計器着陸ということを前提として、かりに727がここを使用するといたしましても、安全かどうかということにつきましては、専門家の御意見を十分に詰めていただきまして、そうして決定いたしたものでございます。これは私責任を持って安全ということをお答えできると思います。
  226. 前川旦

    ○前川旦君 そこまで言い切られましたので、はっきりおっしゃったので、それじゃ、飛行場についてちょっとお伺いいたしますが、現在、YSなりフレンドシップなり、あるいは双発の旅客機が離着陸できるような飛行場を持っていない県というのもやはり若干あるのですね。どれくらいありますか。幾つかありますか。——いいです。それじゃけっこうです。  先ほど伊藤委員の質問にもありましたが、新しい飛行場をいま持っていない県が、つくると言ってもこれからお認めにならないのですか、飛行場の新設は。
  227. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 現在の航空整備五カ年計画では新しい特別のものは別でありますが、小型機のための飛行場、警備救難のための飛行場、こういうものは別でございますが、いわゆる公共用飛行場を新しく設置するということは、現在のところ、訓練飛行場と第二国際空港——大阪の第二国際空港のほかは目下のところ考えておりません。
  228. 前川旦

    ○前川旦君 第二種の空港はずっと飛行機が入っていると思いますが、三種空港で定期路線が入っていない飛行場、これは一体どれくらいありますか、概算でけっこうです。三種、二十七ありますね、これで定期路線が入っていない飛行場、約幾らくらいでけっこうです。大体どれくらいでけっこうです。
  229. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 約五つか六つあると思います。
  230. 前川旦

    ○前川旦君 同じ三種で、いま定期路線が最初ちょっと飛んだけれども、いま運転休止になっている、事実上は使っていないというのはこれは一体どれくらいありますか。両方合わせて幾らくらいありますか。
  231. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま調べておりますので、後刻……。
  232. 前川旦

    ○前川旦君 それじゃ、あとで……。これは実はかなりあるはずです。各県で飛行場をつくってこれは補助金を出しますね。三種空港でもずいぶん予算をつけて飛行場をつくっている。わずかな金ではできません。補助金を出して、そうして飛行場をつくったまま使われていない飛行場がたくさんあるし、あるいは初めごあいそうに二、三べん飛行機が来ても、そのまま運航休止になった飛行場はたくさんありますがね、これは要員全部配置してあるんでしょうか。運輸省としては必要な要員は。
  233. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 二種空港につきましては、これは二種空港でそういう飛行場はこれは国の財産でございますから、管理要員が派遣してございます。全部三種空港も派遣してございます。
  234. 前川旦

    ○前川旦君 一時、一県一空港主義というので、非常に熱に浮かされたように三十五、六年ごろですか、議員の皆さん方ずいぶんなったことがありましたね。これはどうなんですか。いま一県一空港主義は、大体これも出るところは出尽くしたかと思うのですけれども、いまとなってみて一県一空港主義というのはどう評価されますか。いまとなって失敗だったのですか、正しかったのですか、どうなのですか。一時は非常に皆さん力をお入れになりましたけれども、結果としてはどうなのですか、結果論としては。
  235. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは一県一空港主義という主義は必ずしもなかったのでございますが、各地方で非常に飛行場設置の御要望が強かった一方、その当時、航空会社のほうも現在のように統制と申しますか、合併が進んでいなかったということから、県庁で空港をつくると言えば、航空会社は自分のところはそれでは飛びますということを言う航空会社が非常に多かったということで、こういう飛行場ができてきたという経過は先生のおっしゃるとおりでございます。それでこれは間違いであったかどうかということは、これは必ずしもいま言えないと思います。こういう飛行場も、定期は飛んでいなくても、いわゆるチャーター機がときどき飛んでおりますし、それから地方地方で事業用航空機と申しまして、種まきであるとかそれから——種まきはあまりありませんが、農薬をまくとか、そういうことに使っております。それからまた飛行場のようなものは、これはつくりたいといってもすぐつくれるものではございませんので、そういう地域地域の先行投資という意味もあると思います。それでいまこの飛行場が間違っていたか、間違っていなかったかということを言うのはまだ時期尚早ではないかというふうに感じております。
  236. 前川旦

    ○前川旦君 行管の航空行政監察(第二次)、これは皆さん方御存じだろうと思います。行管の第二次の監察、これに非常にきびしくその問題を書いてあるのですね。「最近新設または建設中の第三種空港のなかには、」云々ときて、「その緊急度の疑わしいものもあり、」、それから「航空需要や採算の点から期待できない」、「四〇‐四一年度完成予定の松本、三宅、紋別、福井などは、今のところ定期便乗入れの予定は全くない。このようなことは、空港新設に際して、採択基準をもたないままその設置が決定されていることによるものと思われる。」と、非常にきびしい勧告が行管から出ていますね、四十年六月十八日でしょうか、第二次ですから、出されていますね。これについて一体どう取り組まれたか。それとどんどん三種空航を認可していったのとちょっと矛盾しますが、この行管の勧告をこれはどういうふうにお取り上げになりましたか。
  237. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) その監察の御注意をいただきましたあとには新規の飛行場はやっていないと思います。なお調査いたします。
  238. 前川旦

    ○前川旦君 それでは飛行場はこれは一県一空港主義というのは結局失敗だったということはいま識者の間で実は言われていますし、これはいろいろ問題のあるところですけれども、これはいいですから、定期路線のことでちょっと一つ二つお尋ねしておきます。定期路線はこれは運輸省が免許するのですね。この免許は一体何に基づいて、何を基準としてこれをおやりになりますか。
  239. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 航空法の百一条に定期航路の免許基準がございまして、これに基づいております。これを若干申し上げてみますと、事業の開始が公衆の利用に適応するものであること、事業の開始によって需要供給がバランスがとれるものであること、それから経営上及び航空保安上適切なものであること、それから事業者が適確に遂行するに足る能力を持っていること、そういうことが基準でございます。
  240. 前川旦

    ○前川旦君 澤さんだんだん声が小さくなりましたが、第二号に、「当該事業の開始によって当該路線における航空輸送力が航空輸送需要に対し、著しく供給過剰にならないこと。」、つまりこれはあれですね、お客さんに対して飛行機が余分になってはいけない、需要供給の関係のバランスをとりなさいということなんでしょう。これが一つですね。もう一つは、「事業計画が経営上」——これは会社の経営、飛行機会社ですね。「及び航空保安上適切なものであること。」ということですね。これをもっと平たく言えば、飛行機を飛ばしてもまず採算がとれる。会社としては採算がとれる。保安上も心配がない。それから人があまり乗らぬのに、やたらに飛行機を飛ばすということもない。こういうことを十分な基準にして認可しなさい。こういうことでしょうね。そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  241. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) おっしゃるとおりでございます。
  242. 前川旦

    ○前川旦君 それではここでお伺いしておきますが、先ほどの第二次の航空行政監察、昭和四十年六月十八日の分ですが、この監察でも、路線免許については実に強い勧告が行なわれています。たとえば、この勧告の第三のところに、「なかには、競合路線となっているために採算がとれず運航を休止しているものも含まれているが、このように運航休止線の多いことは、路線免許の際の審査が、必ずしも適切でなかったことによるものではないかと思われる。」と、たいへんきびしいきめつけ方をしていますね。そのあと少し飛ばして、「路線の免許にあたっては、とくに事業遂行能力について慎重な検討を加えるなど、免許審査事務の改善をはかる要がある。」、こういうきびしい行管から勧告が出ていますね。これは一体どのようにお考えになりましたか。この勧告に対してどう処理なさいましたか。
  243. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この航空法第百一条の免許基準は、これは運輸大臣自身が審査すべきものでございますが、一応この勧告にもございますように、いわゆるこの申請をいたします業界におきまして、これは絶対に経営上採算がとれるのだということを申し、また、需要供給の関係、バランスが必ずとれるのだということを事業所のほうで確信をもって言ってきた場合に、航空保安上の安全さえこれは確保されればそういうものを免許したという事例は、この行政管理庁からの勧告どおりにあった、若干あったことはおっしゃるとおりでございます。それでその後、航空界の事業経営に対する役所の監督が非常に厳重になりまして、これは安全上の基準からも厳重になりまして、航空会社の経営は、航空会社の運営は単に安全を強化するだけでなしに、やはり経営の基礎も確立していかなければ終局的には安全は確保できないということで、運輸省におきましても非常な、許可のときには業者が採算がとれるとこう申しましても、許可を、免許をいたしました路線についても休止あるいは廃止というものを順次勧告いたしてまいりまして、それで先ほど先生のおっしゃいましたように、現在休止線あるいは廃止線というものは非常に多くなっているというのが実情でございます。
  244. 前川旦

    ○前川旦君 実情はあとで伺いますが、この法律は運輸省が審査するということになっていますね。これは登記所の窓口と違うのですよ。持ってきたやつはそのまま受け付けるのではないのですから、審査するからにはやはりその責任があるはずですね。そこでこの行管の勧告に対して、どう回答をあなた方なさったか。調べてみたら回答なしです。行管の勧告は四十年六月十八日、運輸省の回答は十月六日。そのほかのことにはたくさん回答しておりますが、この路線免許のきびしくいわれたことについてだけは、その部分だけ回答を全然空白にしてあります。これはどういうわけなんですか。
  245. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 回答本文をいま所持しおりませんが、その概要を摘記したもので申し上げますと、四十年の十月六日に、定期運送事業に関する免許業務改善ということで、健全な業務運営をはかるよう指導するとともに、新規事業免許申請事業に対しては特に慎重に取り扱いたいというような回答をいたしております。その後、実際上の指導でございますが、不採算路線は漸次これを休廃止に持っていくように指導をいたしておるけでございます。
  246. 前川旦

    ○前川旦君 この間新聞に出ておりましたが、鳥取の飛行場への全日空の乗り入れがいま問題になっているようですけれども、ついそばに米子の飛行場がある。これは島根と鳥取に近いんですがね。新聞には、これはずいぶん全日空は渋っている、それを運輸省がけったたいているというふうなことが書いてありますけれども、まあこういう事実はないだろうと思いますけれども、鳥取は定期路線を入れるようになさるおつもりですか。
  247. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 鳥取の飛行場は、もちろん定期航空路線を入れることを前提として県で建設し、国がこれを補助してまいったわけであります。それで、会社から申請があればこれを許可するつもりでございます。ただ、先ほど申されました免許基準等の関係もございますから、非常に不採算になるという場合はこれは免許できませんが、たとえば、東京から米子に行きます線を鳥取にちょっと寄せていくということであれば、特にそのための経費が増加するというようなこともないということであれば、これを免許してまいりたい、このように考えております。まだ具体的な申請は出ておりません。
  248. 前川旦

    ○前川旦君 東京——米子間の利用率をちょっと調べてみましたところが、四十年、これは年間を通じて四五・六%、四十一年の最後をちょっと見ましたら、十月が五一・六、十一月が三四・四、十二月が二五・九ということで、だいぶこれ低いんですね。いま、通常どれぐらいのパーセントがあれば採算がとれるのか。これはなかなか会社は言わないと思いますが、つかんでいらしたら、その大体のパーセントをおっしゃってください。
  249. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは航路・使用機種によりましてももちろん違うわけでございますが、幹線——幹線と申しますのは従来の幹線でございます。東京——福岡とか東京——札幌等では、五〇%が採算路線でございます。それから地方路線の場合には、東京——米子のような場合は、やっぱり六〇%が採算路線でございます。
  250. 前川旦

    ○前川旦君 いまずいぶんローカル路線は休止していますね。ずいぶん休止した数は多いんです。たとえば、全日空の場合だったら九本休止、国内航空は十一本、東亜航空が八本、ずいぶん休止していますね。これは一体、免許基準であなた方が考えられたときには採算がとれるということで免許したんでしょう。それがどうしてこれだけ休止しなきゃいかぬのですか。この免許基準とどういう関係あるんですか、これだけ休止しているというのは。
  251. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは、航空会社が採算がとれるという計画書を出してまいりまして、それで、その当時の事情として、運輸省といたしましてもこれは妥当であるということで免許したわけでございますが、一般的に国内航空の伸びというものが、四十年に一般の不景気で非常に横ばいになりまして、さらに四十一年には国内航空の乗客数が非常な減少を見たわけでございます。これは、不況のあおりと、それから四十一年に連続して起きました航空事故の影響、あるいは東京——大阪間に新幹線が出たということ、これは四十年からあらわれております。そういうような諸般の情勢で国内航空の旅客というものが非常に落ちてきた。そのために不採算になったという路線が非常に多いのではないかと推測されるわけでございます。
  252. 前川旦

    ○前川旦君 これは初めから採算とれるかどうかわからないのに——これはやっぱり政治路線でしょう。はっきり言って政治路線なんでしょう。これは大臣、どうなんですか。航空路ぐらい政治路線に食いものにされているものはないというふうにいわれていますね。これは、採算がとれないところを無理やりに飛行場をつくって、そして運輸省に圧力かけて定期航空を入れさす、入れさしたら利用率が少なくて採算とれないから会社は休止する、あるいは赤字しながらやっていくと。そういうことを繰り返しておったら、これはやっぱり航空会社の採算はますますとれなくなるし、航空保安上これまた問題がずっと出てくると思うんですけれども、一体これはどういうふうに処理されるんですか。こんなに多く運休が出た。初めの審査だったら採算とれるはずだったのに、どういう見通しだったのですか、これは。これからどうなさいますか。
  253. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 交通機関によくあることでございますけれども、運航を開始して第一年目から採算がとれるというものはかりではないようでございまして、数年間不採算をがまんしていけばそのうちに採算がとれるようになる。やがては累積赤字を償却して利益を生むようになる。これは交通機関の性格から見まして、そういう種類のものがいままでは多かったのでございます。ところが、御承知のように、近ごろは地方の人口が減ってきて、利用者も少なくなるというようなこともありまするし、また、先ほど局長の申し上げましたような不測の事態どもございまして、なかなか当初予定したような伸びが実際経理面においてあらわれてこない。そこへもってきて、事故対策といたしまして、いろいろ会社としても安全のために運航の条件が変わってきますから、採算点も違ってくる。そうなると、いよいよ将来を楽しみにして経営してきた路線も、これを続けていくだけの力がないというようなものが相当あらわれてきたと思うのでございます。ことに国内航空のごときは、非常な累積赤字のために経営の根本的な改善が必要となったというような事情もございまして、この会社の持っておる航路は最も運航休止が多いようでございます。まあ、そういった事態でございまして、いろいろ当初の予想どおりいかなかった面もあろうかと思いますが、一面におきまして、前川委員の御指摘になりましたような、地方の政治力によって不採算でありながらやむなく航路を開設しなければならないような事情になったというような航路もあるわけでございまして、こういった点からも、不採算を長く続けさしていくことは航空界の安全、将来の発展のために好ましくないという傾向で、当局といたしましても、不採算を理由にする運航の休止というものにつきましては、積極的にこれを認めるような態度にいま変わってきておるわけでございます。そういう点で従来の許可基準がまずかったんじゃないかという批評があれば、いまとなっては甘んじてこれを受けざるを得ない点もあるやに考える次第でございますが、今後におきましては、臨調の指摘もございまするし、また、大事故以後の国内の情勢というものは、航空界はそう昔のような甘い気分でやっていけるものでございませんので、こうしたきびしい気分のもとに今後は十分慎重に航路の開設というものを取り扱うべきだと、かように思っております。
  254. 前川旦

    ○前川旦君 時間がもうないようなんで、最後一つだけ、これは大臣に申し上げたいのですが、政治路線で飛行場を強引につくる。そこへ強引に採算を度外視して、たださえ赤字の航空会社に無理やりに路線を入れさす。赤字が出る。そのしわ寄せはどこにいくかというと、今度はその会社が合理化、人減らしという方向にいく。そうすると、これは整備基準とか、整備の手抜きとか、いろんな問題が起こりますね。これは安全に対する一つの非常な危険になるかと思います。その苦しまぎれに、もうかるところの線にはできるだけ飛行機の回数をふやす。飛行場の運用時間を広げろと、広げなければ回数を入れられませんと。そうすると、保安設備が追いついていけない。堂々めぐりをして非常な悪循環をしていると思うのです。そこで、運輸省というのは国民の安全に対する責任を持つ省なんですから、この悪循環をどこかで断ち切ってもらわなければ困ると思うのです。断ち切ってその安全第一の立場から企業にもそれを命ずる、あるいは妙な政治力に対してはき然たる態度をとる。そういう強い態度を私は安全という立場からとってもらいたいと思うのです、ほんとうの話が。真剣に考えているのですよ。ですから、大臣はいま、それを真剣に考えるとおっしゃったけれども、どうやって悪循環を断ち切ってき然たる態度でやっていくのか、私はもう一度大臣の強い決意を伺いたいと思います。
  255. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 従来の実情から考えまして、政治力によって不採算路線が開設されたということは私は絶無のことではないのであって、この点が非常に将来の安全航空の上からいって重大な問題であるということを考える次第でございまして、今後の航空行政の行き方といたしましては、二度とさようなあやまちを繰り返すべきではないということを痛感いたします。
  256. 前川旦

    ○前川旦君 きょうの私の質問はこれでやめます。これで次の方にかわります。
  257. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  258. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 速記を起こして。  本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  259. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 速記を起こして。     —————————————
  260. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 次に、建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る二日衆議院から送付され、本委員会に付託されました。なお、本案衆議院におきまして修正議決されております。その修正点は、お手元にお配り申し上げましたように、附則の「昭和四十二年六月一日から施行する。」を「公布の日から施行する。」ということでございます。  それでは、これより本案質疑に入ります。関係当局からの御出席は西村建設大臣そのほか政府委員方々でございます。それでは御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  261. 北村暢

    ○北村暢君 今度の設置法の改正で、日本道路公団の監理官の定数を二名から一名に減らすことになっておるようでありますが、その理由は一体何なのか、この点をまずお伺いいたします。
  262. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 有料道路に関します行政につきましては、一つは道路公団等の監督行政という姿でございますし、もう一つは道路整備特別措置法によりまして、道路法の特別法の運用ということで行なっております。この二つの制度につきまして、従来からその合理化という問題があったわけでございますが、道路整備特別措置法の有料道路関係行政につきましては、今回、課の充実が認められたわけでございます。と申しますのは、従来高速道路課という課でその仕事をやっておりましたが、次第に高速自動車国道等の仕事が出てまいりましたので、高速国道課と有料道路課という二つの課に分けて仕事をするということに相なったわけでございます。  そういう機会におきまして、従来の監理官制度につきまして、その合理化につきまして検討をいたしました結果、仕事の配分等がありまして、監理官は一名にしてやっていけるという結論に相なったわけでございます。
  263. 北村暢

    ○北村暢君 その高速国道課というのと有料道路課という二つをつくるようでございますが、高速国道課というのをつくるに至った高速自動車国道法というものが新しく制定されるようですが、これに関する日本道路公団との関係はどうなるのか。この点について、御説明いただきたい。
  264. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 高速自動車国道につきましては、別途、法律で予定路線がきまっておりまして、逐次、事業化してまいることになっておりますが、現在、事業化を考えております高速自動車国道につきましては、これはすべて道路公団をして有料道路として行なわしめるという方針でやっております。
  265. 北村暢

    ○北村暢君 建設は道路公団が行なう。で、現在、高速自動車道路を、有料道路を、国道にして無料にするという国道がだんだんふえてきているということなんですが、いまのところでは、私の知っている範囲ではそう簡単に、高速自動車道の国道としての無料道路に切りかえていくという点が、それほど進んでいるようには承知していないのですが、まあ中にはあると思いますけれども、その課を一つ設けてやっていかなければならないほど事業が多くなるのか。先ほどの質問で、この道路の建設公団がやるということのようですが、初めから高速自動車道路で、国道で有料道路でないものが、今後、できる可能性があるのかどうか。これは現在の有料道路ですらなかなか採算がとれないということで、いまの料率ではレジャー用の有料道路で、実際に産業用道路としてトラックが乗ってこない。こういうようなことで、なるべく早い機会に、これは国道にして、無料になるということが望ましい。こういうことなんですが、名神高速度道路でもそういう実態であるから、考え方としては、中央道、その他の辺地を通る高速度道路は、なかなか——名神高速度道路ですら、なかなかトラックが乗らないのですから、したがって、辺地の高速度道路というのは、有料では、とても、実際問題として自動車の走らない高速度道路ができてしまう。こういうことから、今後の高速度道路というものを有料でなしに、国道でやっていく、こういう考え方をお持ちになるのかどうなのか。この点をお伺いしておきます。  これはひとつ大臣答弁してもらいましょう。これは大きな施策ですから。大臣、どうですか、眠っていたらだめだ。
  266. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 眠っているんじゃない考えておった。  局長が先に答えてから、私はあとからします。
  267. 蓑輪健二郎

    政府委員蓑輪健二郎君) 高速道路につきましては、御承知のように、昨年、国立開発幹線自動車道建設法ができまして、全国に七千六百キロの予定路線がきまったわけでございます。名神高速はその一部でございますが、これについて、将来、無料でこういうものができないかという点でございます。私たちも、やはり、道路は無料を原則としていままでやってきて、また、今後もそういう考えでおりますが、いまの財政の状況、その他から言いますと、なかなか無料では、とても、高速道路が促進できないということで、有料でやらざるを得ないというふうに考えております。ただ、これが、将来、いまも大体七千六百キロの幹線を大体昭和六十年、約二十年後に考えております。二十年後の経済情勢というのは、とてもいまわれわれが想像する以上のものがあろうかと思います。そういう時期になるべく早くそういうものを無料にしていくということをわれわれは今後考えていきたいというふうに考えておりますが、現在のところは有料でやりたいというふうに考えております。また、トラックが乗らないということでございますが、この七千六百キロを、やはり国土開発ということがまず一つの主眼になりまして、高速道路だけでは国土開発はできない。やはり、高速度道路は御承知のように、インターチェンジから入ってインターチェンジにおりるという形になりますので、やはり、インターチェンジを中心としたその他の道路網の整備をはかっていかないと、せっかくの高速道路が役に立たない。そういうことで今後、高速道路を推進するにあたりましては、その他の道路、高速道路を何と申しますか、培養するような道路、こういうものの建設をあわせ考えていきたいと思います。そういう培養する高速道路その他の道路につきましても、これは当然、一般の道路として施行するわけでございますが、そういう考えで、いまのところは、高速道路は財源の関係もございますし、有料でやりたい、その他の道路、無料の道路を非常にふやして整備をしていきたいという考えでございます。  なお、有料道路課をつくりまして、逐次、一般の有料道路と、採算のそうとれるところばかりでもない、仕事が少なくなるのじゃないかということでございますが、われわれは、高速国道課はいまの七千六百キロの国道に関する技術的な調査から実施の設計までを担当さしていきたい。有料道路課においては、公団でやります一般の有料道路と阪神、首都の道路、こういうものの調査、それから技術的な審査を担当をさしていきたいということで考えておりますので、一般に有料道路課の仕事も相当今後ふえるというふうに考えておる次第でございます。
  268. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) いま局長もいろいろ述べましたが、大体、現在の有料道路の制度は、建設費を払ったら、それは無料にするというたてまえになっております。しかしながら、いままでの有料道路——有料道路といいましても、民間の有料道路もいろいろありますけれども、総じて申しますと、やはり、小規模なものでございます。しかし、今後、いわゆる法律に基づきましてやるところの五道、あるいはその他の縦貫道等の大規模なものになりますと、いまの制度でいって、はたして建設費を払うペイラインに乗るか乗らぬかということが非常に疑問になろうと思うのであります。したがいまして、いまやっております小規模の有料道路というものと、これから五道をはじめ建設にかかり、それを共用に供するようになりまするというと、またこの料金制度の立て方といたしましては、これはひとつ考えを別にしてやらなければならぬのではないかと、こう思っておるわけであります。したがいまして、この間には、もう少したってみないとわかりませんが、五道に着手して、そうしてでき上がるというころになりますと、今度は、この料金制度というものにつきまして、さらに検討を要すると、私はかように考えておるのでございます。
  269. 北村暢

    ○北村暢君 きょうは質問はまああと一問で終わりまして、次回に譲りたいと思うのですが、その前に、日本道路公団の共用線の、共用路線並びに駐車場別の道路計画と実績、これの資料、それから同様に首都高速道路公団並びに阪神高速道路公団の同様の資料をひとつ出していただきたい。
  270. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 承知いたしました。
  271. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃこの資料を出していただいたら、またゆっくり質問をいたします。きょうはこの程度にとどめます。
  272. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 速記とめて。    〔速記中止〕
  273. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 速記起こしてください。  それでは、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会      —————・—————