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1967-06-22 第55回国会 参議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十二日(木曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 中村 英男君                 前川  旦君                 鬼未 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        法 務 大 臣  田中伊三次君        国 務 大 臣  塚原 俊郎君    政府委員        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   並木 四郎君        法務大臣官房司        法法制調査部長  川島 一郎君        法務省民事局長  新谷 正夫君        法務省矯正局長  勝尾 鐐三君        法務省入国管理        局長       中川  進君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        宮内庁長官官房        秘書課長     野本 松彦君        法務大臣官房人        事課長      羽山 忠弘君        法務省入国管理        局参事官     辰巳 信夫君        運輸省航空局監        理部長      手塚 良成君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○宮内庁法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き本案の質疑を続行いたします。  関係当局からの出席は、田中法務大臣外政府委員の方々でございます。  それでは、御質疑のある方は、順次御発言願います。
  3. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務省設置法の中で、入管のいろいろな問題があるわけですけれども、それに入ります前に、二、三の問題をお聞きしておきたい、こういうふうに考えます。  最初に、簡単にお尋ねいたしたいのは、この前からこれは法務委員会で取り上げて問題になり、いろいろ御配慮を願っておりますベトナムからの留学生のブー・タト・タン君の退去の問題でございますが、この問題に関連をして、その後の経過をちょっとお話を願いたいと思います。
  4. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) ブー君の問題でございますが、これはいつかの機会にも申し上げましたように、ベトナム側旅券期限が切れておる。これを、延長と申しますか、新たなる形式で旅券を出すということになるのでありましょうが、南ベトナム側がこの延長を認めてくれないことには、わが国としては手の打ちようがないのでございます。ないのでございますが、かねてより各方面から熱心な御要望があわ、本人が引き続き在留したいとの、本人の念願といたしますその理由も承りまして、さらに日本国において学問をしたい、また学問をしたいというについては、かりに、日本国の学者が学問をさすに足るだけのたいへん優秀な頭脳を持った青年でもあるというようなことを、かれこれ顧慮に入れまして、日本国法務大臣たる私が、南ベトナムの国家が発給するという旅券について、それをやれとか、やるなとか、いろいろなことを、干渉がましいことを申し出るということは差し控えているのでありますけれども南ベトナム出方をひとつよく観察をいたしまして、腹の中では好意を持って善処したい。日本国だけではどうにもいたしようがない事件でございます。好意を持って善処をしたいとは考えておりますが、現在のところ、南ベトナム当局出方を期待して待っている。こういう情勢がいまの段階でございます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この前の五月十六日の参議院の法務委員会での私の質問に対する田中法務大臣答えの中に、大体いまおっしゃったようなことが中心ですけれども、「これは積極的に好意を持ってこれに対して何とでもしようという誠意を持った腹はできておるわけです。」こういう答弁と、また同じようですけれども、「結果が出ますまでの間は、現状のままで好意を持った措置を続けたい、こういうふうに考えております。」こういう二つの答弁があるわけですが、この答弁というものは、今後の中でも続けられるおつもりかどうかという点ですね。いま大体答弁がございましたけれども、その点についてあらためてといいますか、もう少しはっきりお答えを願いたい、こう思うわけです。
  6. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 好意を持ってといいます意味は、また日本国政府の行なえる限度といたしましては、切りかえを行なっていく、具体的にはそういうことでございます。ちょうど、これは六月の二十九日が期限となっております。そういうことでございます。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君  「結果が出ますまでの間は、現状のままで好意を持った措置を続けたい、」こういうふうなこの前の御答弁ですが、この内容については、私としても、これはこうなんだろう、こうなんだろうとあまりこまかいことをお聞きするのはかえってと思いまして、これはまあ大臣を、いままでの答弁を信頼するわけですが、そうすると、現状のままで好意を持った措置を続けたい、このことはいまもお変わりがない、ずっと続けてまいりたい、こういうことでございますね。
  8. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) そのとおりでございます。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これに対して、私はまあ、差しさわりがございまするので、いろいろな資料が私の手元にはありますけれども、その資料を明らかにしてお尋ねをすることは私は差し控えたいと思います。差し控えたいと思うのですけれども、まあいろいろな方面からといいまするか、いま大臣が言われたようなとは違った形のものを一部の者が、何かこう要請をしておるというふうなことも仄聞をしておるわけですね。そういうようなことにかかわらずに、いまおっしゃったようなことを貫きたいと、こういうふうに私としては承るのですけれども、そういうふうに考えておってよろしいでしょうか。いろいろな雑音などが入ってまいりますようですけれども、そういうようなものとは関係なしにいま言った態度というものは続けていきたい、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
  10. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 反対の方向動きがあることも事実でございます。何ぶん、この民主主義的な行政をやっておることでありますから、取りとめのない、たよりない話になるのでありますが、各方面から熱心な御要望があると、これを受ける私の立場では、たいへん頭の痛いことでございます。どの方面から来た書類は無視するのだ、どの方面からの御要望に沿うて好意を持つのだということがたいへん申し上げにくいのでございます。しかしながら、やはり一番大事なことは、本人のよって立っておる立場というものをよく理解をしてやるということが、私は一番よいとるべき道であろうかと考えております。どの方面意見は知らぬ顔なんだということを申し上げるわけにはいかぬのでございますけれども、どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その問題については、いま言った大臣答弁を信頼をして、私は、質問はきょうはこの程度で終わります。いろいろなことを考えまして、そしてこの程度で終わらしていただきます。ぜひその大臣の、この前、きょうの答弁というものを、何といいますか、実現といいますか、ぜひほんとうに効力あらしめるようにしていただきたい、こういうふうに考えるわけです。  そこで、いま入管の問題が出てまいりましたのですが、これは前々から入管令改正ということは言われておったわけですね。私の聞いておる範囲では、これは、いまの韓国へ行っている池上君が参事官をやっておるころからこれは問題になっているわけですね。いま辰巳参事官中心になってやっているようですけれども入管令改正の問題というのがこのところまた伝えられてきたわけですが、その現在の進捗状況と、現在どういう点を改正ようと考えておるのか。この点をひとつ御説明願いたい。
  12. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 出入国管理令は、御承知のとおりに占領中の遺物として今日残っているのです。こういう大事な法律が、いまだ独立の法律にならないで令として残っておる、管理令として残っておるなどということは、まことに不合理なものでございます。でその後における国際情勢大変化というものもあるわけで、最近は非常に、旅券発給をめぐりましての情勢を一口に申し上げますと、非常に旅行者がふえてまいった。しかもふえてまいりました中で、その大部分は短期旅行者でございます。短期旅行者に、今日のごときしちめんどうくさい手続を踏まなければ旅券が出せないなどということは、まあ時代の逆行でございます。日本の持っております国際的な地位から申しましても、全世界各地で、各国で行なっておりますよう情勢に応じて、もっと簡略、簡素な手続によって旅券は出さなければならない、そういうふうなことも考えてみまして、こういう古い占領時代遺物とも考えるべき管理令などというものはすみやかに改正すべきものである、こう考えまして、去る六月九日に私からこの省内に命じまして、中川入国管理局長を会長といたします出入国管理令改正準備会を機構的に組織をいたしまして、それでその中川局長中心となりまして、いかなる方向に、いかなる項目について改正を行なうべきか。これは言うまでもなく、いまおことばのありましたように、令をやめて出入国管理法に改めていこうということでございます。その準備会でございます。そこで、その当面に当たっております中川局長から、まだ改正方向が具体的にさだかにきまったわけではございませんけれども改正に際して取り扱う重要な問題点というものは大体において明らかになっておりますので、この問題点を具体的に説明さすことにいたします。
  13. 中川進

    政府委員中川進君) 命によりまして、ただいまの御質問の点をやや詳細にわたって御説明させていただきたいと思いますが、まずただいま大臣から御説明がございましたごとく、この出入国管理令は申し上げるまでもなく、昭和二十七年の法律一二六号によりまして、ただいま法律扱いになっているわけでございますが、しかし、元来がポッ勅であることは御承知のとおりでございます。そういう名前ないしポッ勅というものに対する国民感情というような点からも、とにかくこれを正式の法律にしたいということはかねがね法務当局特に入国管理局におきまして、私の相当前の前任者から考えられ、かつまた、その方向に沿って準備せられてまいったのでございます。しかしながら、何ぶんにもこの出入国管理行政というものの及ぼす影響と申しますか、これに関連のあるお役所と申しますか、これがはなはだ多岐にわたっておるのでございまして、したがいまして、私どもといたしましては、こういう関係諸官庁及び学識経験者の御意見御意向というものの聴取調査、あるいは諸外国における諸立法令研究というようなこと、これをまず十分にいたしたいのでございますが、何ぶんにもいま申しましたように、非常に問題が大きいものでございまして、昭和三十六年に初めてこの出入国管理令改正に関する調査研究のわずかの費用がつきまして以来すでに六年になるのでございますが、その間に残念ながら、これならもう自信を持ってどこへ出してもだいじょうぶだというような確固とした成案を得ておらないのでございます。それが、ただいまに至りますまで出入国管理令改正法案というものを国会に御提出いたしまして議員各位の御審議を願うというところまで至らない理由でございます。  しかしながら、まあ幾ら関係方面が多い、幾ら問題が広範である、重要であると申しましても、とにかくある程度で、ある程度の成果をもって、とにかく前進する必要がある。またそうすべきであると、私どももまあ考えております。たまたま六月九日の国会におきまして……。  そこでいまの問題点でございますが、——経緯はまあ省略させていただきます。私どもがさしあたり問題にしておりますのは、ごく簡単なことでございますが、まず名称でございまして、出入国管理と言ったのがいいのか、入国管理と言ったのがいいのか、一つ名称の問題がございます。  それからただいま大臣から申されましたが、今日の旅行の趨勢は短期旅行者がふえてきたということから、この短期旅行者に対する便宜をもう少し供与できないかどうかということ。それから従来は日本へ入ってまいります資格に十六あるのでございますが、その資格によりまして日本におれる期間、すなわち在留期間というものが非常に形式的にきまっております。したがいまして、これをもう少し形式的にきめないで何と申しますか、もう少し伸縮自在な方向にきめられないかというような問題。それから、ただいま非常に実態において数の多い寄港地上陸というのがございます。おもに船の乗り組み員、さらに近ごろは航空機の乗り組み員、こういう人が寄港地に上がりまして、そしてまた自分の乗ってきた船なり飛行機に乗って次の旅を続けていくという、こういう場合には、現在におきましても簡易手続によりまして、その入国ないし出国を処理しておるわけでございます。しかしながら、これが御承知のごとく、滞在期間七十二時間である。それから行動範囲が非常に狭いということで、いろいろ御希望ないし苦情が出ておりますので、この滞在期間をもっと長くする、あるいはその行動範囲をもっと広くするというような問題がございます。それに関連いたしましてこのうらはらの問題といたしましては、行動範囲を広くする、滞在期間を長くする割りには、今度はそういう各人の、一人一人の行動に対して責任を持っていただくというよう意味から、運送業者船会社でありますとか航空会社でありますとか、そういうものに対してある程度責任を持ってもらう、万が一とんでもないこと起こった場合に、監視でございますが、そういうような点からわれわれの法務省がこういうような人に対する監督権と申しますか、指示権と申しますか、そういうようなものをどういうふうにすべきであろうかというような問題がございます。そのほか近ごろたいへん問題になっておりますところの政治亡命というようなものを、こういうよう規定をはたして設けるべきか、べきでないかというような点もございますわけででございます。  その他ございますが、大体おもだった点はそういうような点でございます。
  14. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはいろいろ問題があっていまやっているところですから、あまり詳しく聞いてもあなたのほうとしての答えもいまの段階で一〇〇%出てくるわけにはいかないと思いますけれども一つの問題として、たとえば池上君の書いたものですね、池上参事官が実際立法作業をやってたわけですね。参事官はいままで入管なかったでしょう、池上君になってから初めて参事官になったのじゃないですか、確かに。池上君の書いた「法的地200の質問」というこの本、いろいろ内容問題ありますよ、いろいろぼくも知っておりますけれども、書いた経緯なんかもわかりますけれども、それは抜きにして、出入国管理令改正される動きがあるがどうかという問いを自分で出して自分答えているのですが、池上君がその中でいろいろ言っておりますけれども、特に今日の国際情勢の激しい変化も織り込まなければならないので、一そうそれがむずかしくなっているようだ、立法できないのがね。こう言っているのですが、池上君は入管令改正ということと、国際情勢の激しい変化を織り込むということとはどういう関係があるのですか、これはそこのところはどうなんですか。
  15. 中川進

    政府委員中川進君) 池上参事官がどういうつもりで、ただいま稲葉先生読まれました文章書いたかについても詳細に存じません。私どもとしましては、国際情勢云々ということをしいてこの入管令改正に考慮しましたら、ただいま一番最後に申しました、たとえば政治亡命というようなこと、はたして設けるべきか設けざるべきか、こういうことになってくると思います。政治的な意味において国際情勢出入国管理令でそれほど問題にならない、むしろ事実上の交通関係が非常にひんぱんです、しかも容易になるという点が私どもとしましては、そういう技術的な問題のほうが大きな要素たと、かように考えております。
  16. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこら辺はちょっと問題のあるところで、池上君はとにかく立法をやっていたわけですからね、とにかくこの法の改正のためにあそこに参事官制度を設けられて、あそこでやっていたわけですから……。どうも言っていることがこの本を読んでみますと、ときどきおかしなことが出てくるわけですよ。「とくに、今日の国際情勢の激しい変化も織り込まなければならないので、」立法が非常にむずかしくなっているのだと、こう言っているんですね。これは資料とか先例がないということも事実です、そういう点からむずかしくなっているということも一つ意見だと思いますけれども、単に政治亡命の問題もあるのです。政治亡命扱いということはそうなってくると問題になってきますね、日本としては基本的にどういう扱いをしていくかということです。そこら辺はいままで統一して研究したことはないのですか、どこがこれを中心になってやるのか、ただ根本的に言えば、とにかく亡命ということから概念が明確でないのですよ。政治的亡命というのは一体何かということもはっきりしないし、そこら辺のところは……、その場合はケース・バイ・ケースかもしれませんけれども、そこら辺のところがはっきりしないわけですね。これは入管令改正の中に織り込まないとすると、亡命というものに関するいろいろな条約難民地位に関する条約——これは政治亡命に関する条約かどうか、ちょっと違いますけれども、異論があるし、ぼくはちょっと違うように思いますけれども、いずれにしても政治亡命に対する取り扱いというものは、法的なものとして政府としては確立しないで、事実上の問題として処理していく、こういう行き方をとろうとしているわけですか。そこはどうなんですか、大体そこのところは。
  17. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) おことばように、政治亡命については、大体の大まかな国際慣例はできております。それは政治的な犯罪によって国を離れた場合に本人の意思をできるだけ尊重していこうという程度中身でありますか、そういう原則は諸外国とも国際慣例として尊重しておるところでございます。ところがもう一つの、政治亡命とは言えぬけれども政治難民と称せられるものが一つございますね、その政治難民などの取り扱いにつきましては、これは列国とも一向どうも慣例が一本になっていない、日本政府でも、そう言うと妙な言い方でありますが、ものによって取り扱いが幾らか違っておるものがわが国政府自体扱いの中にもあるのではないか、これは私が就任する以前からのものを見てみるというと、どうも一貫性を欠くものもあるのではなかろうか、こう考えるので、そこで出入国管理令改正関連せしめての所見を申し上げますと、できなければ大まかなところでよろしいから政治難民はどう扱うのか、政治亡命はどう扱うかということを法制の上でワクを明らかに定めておくということも一つ方法であろうと思う、方法であろうと存じますが、世界的に国際慣例として確立しておるものとは考えられないという中身が多いのでございます。そういうものを一国の法制の上でこれを取り上げていく、法律の明文としてこれを確立していくということはやりたくとも事実上はなかなか困難なものではなかろうか、こういうふうに考えますので、どうしても、考えてみて、立法の技術的な困難なものであるならばこれはやむを得ず、いたし方ありませんから、いま先生仰せのごとくに、事実上の問題として、政治的に取り扱っていくという方法をとる以外になかろう、法律によってある程度ワク規定をするとか、それとも規定をしないで、従前のとおり、これを国際政治なり日本の国の行政慣例なりというものによってこれを取り扱っていくのがよいか、どうすべきかということでいま頭を痛めておるというのが現段階でございます。確たる、この点に関しましてはこういう方針でいくつもりでございますということを申し上げかねる段階になっております。
  18. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの政治亡命なり政治難民なりというものを、いま大臣おっしゃったのですが、そうすると、その違いはどこにあるかということが一つある。それと、そういうもの全体を通じての各国取り扱い方ですね。それがいまどういうふうになっているのだか、これは政府委員のほうでわかっている範囲で、ひとつお答えを願いたいと思います。
  19. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 大事な点でありますから、私から一言前段についての……。政治亡命、これも世界各国がみなはっきりした国際上の見解を一致しておるというわけではないのでありますが、政治亡命といいます場合には、自国政治犯罪を犯す——一般犯罪でなしに、強盗をやったとか、殺人をやったとかということでなしに、政治犯罪を犯す。たとえば政府の転覆をはかった、あるいは内憂外患という意味外患罪を犯した、外敵を手引きしようとした、政府の転を覆はかろうとしたというような、そういう意味政治的犯罪を犯しまして、自国を離れて他国におる、こういう場合を言うものであると存じます。それから政治難民と申しますのは、必ずしもそういう犯罪を犯した者でないけれども政治的圧迫を受けて、あるいは社会的圧迫を受けて自国におれないので外に出てきた。犯罪を犯しておるわけではございませんから、国に帰ろうと思えば帰れるのだけれども、どうしても帰りたくない。自国政府の保護などは受けたくない、帰りたくない。こういう意味外国滞在をしておるという場合には、これを難民として扱う。前者は政治的犯罪を犯した者である。後者はそういう犯罪を犯した者ではないというふうに、区別がありそうに、いろいろなことを調べまして、そういうふうに区別をしようと思えば区別ができそうに、私は思うのでございます。
  20. 中川進

    政府委員中川進君) ただいま政治亡命に関する各国立法令の御質問でございます。政治亡命はもちろん、入管令改正に関しましては大きな問題でございますから、検討しておるわけでございますが、これのみを必ずしもやっておるわけでございませんので、非常に簡単でございます。ここにお手元にあります資料によりますというと、まず中南米——メキシコ、これは政治犯罪の引き渡しにかかる条約を締結することは許されないという憲法規定がございます。それから国は小そうございますが、コスタ・リカ、これはやはり政治的理由によって迫害されている人に対してはアサイラムを提供する。すなわち亡命を許可するという憲法規定がございます。そのほかエル・サルヴァドル、ニカラグァ、グァテマラ、ハイテイ、キューバ、ブラジルは似たり寄ったりの規定がございます。もし必要がございますれば、第何条というのがみんなございますから、いつでも出します。それから一方西欧諸国はどうかと申しますと、フランスフランスはたとえばこれは自由の本家本元であると言われております。すべて自由のためになした活動のゆえに迫害を受ける者は共和国の領土内で庇護される権利を有する。やはりそのアサイラムを認めております。それからドイツ連邦、これも同様の規定を設けております。イタリアも先ほどのメキシコと同様に、政治犯罪に基づく外国人の引き渡しは許さないという規定がございます。それからソビエト連邦、これも民族解放闘争のゆえに追及を受ける外国の市民に対し、避難の権利を与える。やはりアサイラムを与えております。中華人民共和国、これも同様なことに、外国人に対しましては居留の権利を与える、こういうふうなことに一応なっております。
  21. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで一つお聞きしたいのは、入管令改正ですね。これは前の八木さんのころは、最初に出したいと言っていたけれども、途中でほかの法案の関係で出せなくなったので、あまり何といいますか、いいかげんなことを言っちゃいけないからというので——非常にまじめな人ですから、去年のときの話では、いまから、来年の通常国会ですね、今度は間に合いませんから、この次の通常国会には出したいというふうなことを言っておられたんですよ。六月九日に、あなた会長ですか、委員長かになって、そういう改正準備会をつくろうとしておるのは、これは大臣どうなんです。来年の通常国会ですか。四十三年というか、ことしの暮れからの通常国会ですね。それには何とか間に合わしたい、こういうことで進めておるわけですか。
  22. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) これはそんなにむずかしい内容を持ったものでもございませんので、急いで九日にそういう機構を、内部機構でございますが、そういうものをつくらせましたねらいは、おことばように、まあどんなに少なくとも来年の一月、休会明けまでには立案をさせたい、幾らか諸外国との関係もありますので時間のかかるところもございますが、来通常国会の休会明け劈頭にはこの改正法を出すようにしたい、こう考えております。
  23. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで前に戻って政治亡命なり、政治難民というものがいま日本にどの程度いるというふうに把握しているわけですか。これはなかなかわかったようなわからないようなことですけれどもね。
  24. 中川進

    政府委員中川進君) これは正直なところ不明でございます。
  25. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 政治難民というものの内容にもよるのだけれども政治亡命というものが密入国の中にどの程度いるかということがなかなかわかりにくいと、これは確かにわかりにくいと思いますが、そうすると、在留外国人の実態をつかむためには、入管としてはどういうふうなことをやっておられるわけですか、現在。
  26. 中川進

    政府委員中川進君) 在留外国人の実態をつかむ一番基礎になるのは、御承知外国人登録でございます。それからこれに関しまして疑義のあるもの、すなわち、御承知ように、密入国その他で何かいわゆる事件が起こってまいりましたものに関しましては、いろいろな方法でその実態の究明につとめております。
  27. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 今度の改正の中に、在留外国人の実態をつかむために入管職員に事実調査権を持たせる、こういうようなことが伝えられているわけですね。これはどういうことなんですか。
  28. 中川進

    政府委員中川進君) 先ほど問題点の中で実はこの在留管理の問題もお話しすればよかったのでございますが、ただいまの在留管理状態と申しますのは、何ぶんにも入管の予算、定員というよう関係もございまして、隔靴掻痒の感のあることがかなり多いのでございます。たとえばほかの国からAという学校へ入れてやるというということで甲という青年が来ておる。しかし、Aの学校で勉強しているのかと思って、半年かそこら調べてみると、実はどこかのパチンコ屋でパチンコの店員をしておるというような場合が絶無ではございません。私どもとしましては、それが不法滞在であるとか、あるいはもっと大きな刑事犯罪を犯したとかいうようなことで、いわゆる事件になってまいりますと、ずっと洗っていってそういうことがわかるのでございますが、いまのところではなかなかわからない。御承知ように、在日外国人六十六万おるわけでございまして、私ども入管職員は地方に千二、三百人おるわけでございますから、とてもその一人一人を追っかけていって、お前は何しておるということをトレースする能力がないわけでございます。したがいまして、できましたら、私どもの次の管理法の改正の案にこういうことはできないかということを考えておるわけでございます。それは外国人が入ってきてこれを使う人、たとえば会社なら会社で使う人、あるいは学生でございますと、それを教える学校当局と、そういうようなものから積極的に自分のところにあずかっている外国人はこうこうこういうことである。たとえば学校の校長から半年なり一年、学期末ごとに入管当局に、私のところにいる外国人の学生のA校の甲は、ただいま学校の出席状況はこうであり、成績はこうであるということですね。そういうことを申告させる義務のようなものをかりに負わしたらいかがなものかと、これは案がきまったわけではございませんが、そういうふうにかりにしてもらえますと、あの甲という青年はたとえば何々大学に入学して何々学科の勉強を修めるはずであったのに、学校当局の報告によると、学校には一つも来ておらぬ、それじゃこいつは入国目的に反するから退去させようとか、あるいは資格外活動をしておるからそれ相当の処分しようということがわかるわけでありまして、そういうことを考えておる次第でございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それを事実調査権ということばで言うわけですか。
  30. 中川進

    政府委員中川進君) それとうらはらをなすわけでございまして、そういう何と申しますか、一般の外国人に直接関係あるほうの御報告というものをたよりにいたしまして——何しろ私どもは定員が少のうございますから、そういうものをよりどころにしてみずからもそれに間違いないかどうかということを調査したい、こういうことを考えておるわけでございます。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この立ち入り調査といいますか、そういう権限を持とうというわけですか。いまでも入管職員の警備官、そういうものは立ち入り調査の権限があるのですか、どういうふうになっているのですか。特別の司法警察官としての職務を全部持っているわけですか、どういうふうになっているのですか。
  32. 中川進

    政府委員中川進君) これは司法警察事務に関しましては、私はよく存じませんので辰巳参事官からひとつ。
  33. 辰巳信夫

    説明員辰巳信夫君) 御説明申し上げます。  入管の、たとえば退去強制手続というものがございますが、これはあくまで行政処分でございまして、司法処分ではございません。したがいまして、退去強制手続の、まず最初の段階におきまして入国警備官が押収捜索権、また身柄を収容する権利を持っておりますが、これはあくまで行政処分でございます。身柄の場合には入管の主任審査官というものが令状によって収容いたす、ただ第三者の財産、自由等に関係がございます押収捜索につきましては、裁判官の令状というものでやらなければならないということになっております。いま話に出ております、まだ固まったわけではございませんが、入管職員の行政調査権と申しますのは、そうした退去強制の手続といったような強力ないわゆる強制処分を伴う権利を言っているのではございませんで、たとえば麻薬取締官といったような強力なものではなくて、いろいろの行政がございまして、行政で条件をつけたその条件が守られているかどうか、かような任意の行政調査権といったようなことを考えているわけでございます。そのうちの一部に強制的ではございませんが、行政的な立ち入りというものがある分野において認められる必要があるのではないかといったようなことを含めまして行政調査権の問題を検討しておるわけでございます。
  34. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 現在あれですか、入管関係では司法警察の職務を行なうというのはないのですか。
  35. 辰巳信夫

    説明員辰巳信夫君) ございません。ただ警察職員と同じ身分が保障されるといいますか、争議行為ができないという意味におきまして公安(一)の俸給を受けておるわけでございまして、司法警察権は麻薬取締官のようにございません。
  36. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこで今度の改正は、結局の中で、一つの問題として、局長が前言われた中でちょっと聞き漏らしたわけなんですけれども、退去強制手段の簡素化ということが当然入っているわけでしょう。この改正の中に考えられているんじゃないですか。
  37. 中川進

    政府委員中川進君) 退去強制の簡素化という御質問でございますが、これは退去強制というのは何と申しましても、受ける本人に関しましては人権に関する問題でございますから、私どもとしましてはむしろ非常に慎重にやりたいと思っておりまして、簡素化という意味の内容でございますが、私どもとしましてはむしろこれはできるだけ慎重にやりたい、こう考えております。
  38. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 じゃ簡素化ということばが悪かったならば、簡素化じゃなくても、退去強制手段に対しての法改正も当然今度の改正の中に含まれるのですかと、こういうふうに聞き直します。なぜぼくは簡素化といったかというと、池上君の書いたものの中にはっきりそういうことが書いてあるのです。「退去強制手段の簡素化というのは、行政能率の向上と、その手続を受ける外国人にとって繁瑣な手段の繰り返しを避けさせるという利便、の両面の狙いを持っているものと思われる」これは「改正の狙いは何か、主な改正点は。」という質問事項のお答えの中にそう書いてあるものですから、簡素化かどうかは別として、退去強制手段の現在のものと法的に変えようということは考えておるわけですか。
  39. 中川進

    政府委員中川進君) 退去強制の段階のあらゆるものについて一々まだ検討したわけではございませんが、大筋といたしましては、私どものただいまの考え方は、退去強制のほうは別にたいして現行条例で不都合はないんじゃないかと、こう考えておるわけでございます。
  40. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それじゃ入管の取り扱った、ここ近来の例で、あるいは通告をしておらないので、その点は、何か資料はあなたのほうにないかもわかりませんけれども、近来退去強制令書が出て、それが裁判所で執行停止になるのが相当あるのですよ、どの程度あるか、どういうものが裁判所によって執行停止になっておるか、執行停止の中であれでしょう、大村なら大村に入っているものから釈放まで含むような執行停止もあると思うのですけれども、いずれにいたしましても退去強制をとめる執行停止ですね、これはどの程度行なわれていますか、裁判所が認めていますか、資料があればなければこの次でもいいんですが……。
  41. 中川進

    政府委員中川進君) 私の承知しておりますので一、二件あるわけでございます。ちょっといま資料がここに見つかりませんが、ただそうたくさんはないと思います。ここに一つ出てきました。三十八年五月九日東京地裁民事三部というので一つ判例がございますが、これは原告人訴えの理由が薄弱だとして被告から却下を求めたというのがございます。その点に関しましていずれ資料を整えまして後刻提出いたします。
  42. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっと私の言うの十分のみ込めなかったんじゃないかと思いますが、退去強制令書が出て、たとえば大村なら大村へ収容されるでしょう、それに対して、されない場合もあります。大村に入らないで横浜に入った場合とか、東京に入った場合とかありますね、近来それに対して執行停止申請をして執行停止が出ているのが相当あるわけですよ。ここのところ急にふえてきておるわけですよ、去年あたりからずいぶん私聞いている範囲でも相当ふえていると思うのです。ぼくのほうでもいま集めているのですけれども、ああいうことは強制退去を本来しなくてもいいようなものにまで強制退去の令書を出しているというのがどうも非常にきびしくなってきているでしょう、そういう傾向が強まってきている。それでこれはだれが見ても強制退去は無理だということで執行停止を申請して執行停止してもらっているというのが私の感じというか、調べた範囲では、ここのところどうも去年あたりからふえてきておると思うのですね。そういうのを逆に裏返しをして言うと、強制退去令書がふえてきている、無理な強制退去がふえてきているというふうにも感じられる。だから私はそういう点をお聞きしているわけなんです。本訴はこれはおくれますからね。本訴がはっきり出たのはあまりないんじゃないかと思いますが、執行停止の段階で相当出ているのではないかと思うものですからお聞きしておるわけなんです。これはいまわからなければあとで概略の点、調べて出していただきたいというふうに思います。
  43. 中川進

    政府委員中川進君) 残念ながらその資料を持ってまいりませんので、後刻調べた上で……。
  44. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは私のほうもそういうところまでちょっと通知しなかったですから、これは無理もないことなんですからあれですが、近ごろ非常にそれが強まっていますね、強まっているというのは執行停止ということではなくて、強制退去が非常にふえてきている。  それから、戦前からずっといる人は一二六の在留資格でいるわけですね。それが戦後のいろいろなことがあって自分の家財整理だとか、親戚のことだとか、葬式だとか、いろんなことで一時、ちょっと南へ帰る人あるわけですね。結局十年くらい前か、十五年くらい前のものまで、わかっているものを引っぱり出してきて、それで在留資格の取り消しをしており、特在のほうに切りかえるというのが相当目立ってきているように考えられるわけですよ。これは相当資料もありますけれどもね。これは日韓会談の妥結以後の顕著な一つ動きかもしれませんが、そういうふうな中でこの入管令改正が行なわれてきて、それでですよ、強制退去の簡素化と、こう書いてあるからね、池上君の本にも。そいつを非常に簡素化して、しかもなおかつ、そういうものをいろんな角度からこれは広げていこうというか、強めていこうというときにこの入管令改正が使われるんじゃないかと、現実にね。ということが一つの大きな問題になっているわけですね。それは杞憂だと、そんなことまで考える必要はないんだといえば、それはそうかもわかりませんがね。それに使われるんじゃないかと、現実にね。締めつけが強固になってきたというふうに考えるんですね、この強制退去のことに関連して入管令改正が。そこはどういうふうになるんですか。一応大臣から基本的な点、入管令改正に伴って強制退去が簡素化されるなり何なりして、そしてそれが非常に強くなってくるということがあるんじゃないかと、それがこの改正とからむんじゃないかということを心配されているわけですね。その点はどうなんですか。一応大臣からお答え願ったあと事務当局からお答え願えばいいと思います。
  45. 中川進

    政府委員中川進君) 私どもとしましては、法令の改正を考える理由としましては、先ほど申し上げましたような点におもにございますので、これを改正して退去強制を強化する、あるいは池上君の書かれた意味において簡素化するというつもりは、いまのところは考えておりません。ただし、いろいろ研究しました結果、そういうものになるかどうかということに関しましては、これはやってみませんとわかりませんが、私どものただいまの所感といたしましては、先ほど私が申し上げましたように、退去強制——退去に関する問題におきましては、ただいまの管理令でそうたいして不都合がないと考えている次第でございます。
  46. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この前、私、大村の収容所へ法務委員会で見に行ったんですけれども、そうしていろいろ話を聞いて、中を見ましたけれどもね。そうしたら、何か漁網かな、何か網をやってるんですね、あそこでね。あんた何年入ってんだと聞いたら、お正月三つ迎えたとか、お正月四つ迎えたと言ってましたけれどもね。これは台湾人というか、その系統のようでしたね。それで、あれ、どうなんですか、台湾人の場合には法的地位協定というふうなものを、これはきめようとする動きがあるんですか。ちょっとこの前何か出てましたね、そのことが。外務省ですか、台湾人の法的地位をどういう形でするかは別として、きめようという動きがあると出てましたね。それが一つと、何で三年も四年も大村へ入ってんですか。一番長いので何年くらいいますか。わかりませんか。
  47. 中川進

    政府委員中川進君) 大村あるいは横浜に収容所がございますが、ここに中国籍、まあ台湾を含みますが——の方で非常に長くいる人は事実でございます。これは要するに、引き取り交渉がうまくいかないのでございまして、その点でいつまでもおるわけでございます。  それから、ただいまの台湾人の法的地位に関する交渉云々のお話でございますが、これはまあ私どものあれじゃなくて、外務省の主管かと思いますが、そういう申し入れを日本政府が受けておることは事実でございます。しかし、私ども承知しております限り——これは先ほどから申し上げますように、法務省のみの必ずしもあれじゃございませんので、外務省の関係の事項がたくさんございますから、私が有権的なことでお答えを申し上げるわけにはとてもまいりませんが、私ども承知しております限りにおきましては、さしあたって台湾人の法的地位に関する協定というようなものをつくろうということはないというふうに承知しております。
  48. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、あそこへ入っている一番長いのは何年くらいになりますか。ぼくの聞いたんでは三年以上でしょう。四年近いの、いますか。
  49. 中川進

    政府委員中川進君) ちょっと最長何年何カ月になるかということを私ここに記憶しておりませんが、おっしゃるとおり、長い人は三年こしておる人があると思います。
  50. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 どうして三年もあの大村の収容所に入っているのですかね。まあ引き取り交渉ですか、それが難航しているというのでしょう。なぜ難航しているのかということも、これは法務省の仕事じゃない、外務省の仕事かもわかりませんですけれどもね。すると、向こうは引き取り義務はないの。
  51. 中川進

    政府委員中川進君) その義務があるかないかに関して必ずしも意見が一致しないから、まあ長くおるということになったのでございます。
  52. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 すると、この大村収容所に一番長くいる人は何年ぐらいいるか、あとで調べてごらんなさい。私が聞いたのでは三年から四年——四年まではいないかな。ずいぶん長いですよね。するといつまでも入れっぱなしですか。どうするのです。
  53. 中川進

    政府委員中川進君) 一番長くいる人は、大村にすでにいます年月に関しましては、ただいま資料手元にございませんから、後刻調べた上で御報告申し上げます。  それから、将来どうするかという御質問でございますが、これはやはり私どもといたしましては、執拗に引き取り交渉を続けていきたいと思います。
  54. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは私の質問も誤解を受けるといけないので、ちょっと注意して質問しているつもりなんですけれどもね。まあ池上君の書いたものをとやかく言うわけじゃありませんけれども、変なことを書いてあるのですね。「台湾向けはどうしているのか。」——台湾向けということばは悪いけれども、そういう質問を出して、いろいろ答えている中で、「色々困難があって円滑には行っていない。それは、一つには日韓会談で在日韓国人の法的地位が決ってから日中間でも同様の取り極めをして在日中国人の法的地位を決めよう、としていることに理由があるが、最も大きい理由は、台湾が目下非常に厳しい臨戦体制をしいており、」——これは昭和四十年の十一月の本ですがね。「台湾が目下非常に厳しい臨戦体制をしいており、自国民といえども、帰国にさいしては厳重な審査をしてその許否を決める(国際原則から見ると非常に奇妙なやり方であるが)。特に国内の身元保証人二人を必要としている、といった全く特殊な事情によるものである。そのため、在日台湾系中国人の送還も事実上はなかなかうまく行っていないということはいえる。」と、こういうふうに書いてあるのですね。これは実はぼく見まして、変なこと書くなあと思ったのですよ。だけれども、これはいま池上さん韓国に行っていますから、あなたのほうの参事官じゃないから、私もこれ以上のことは質問しませんけれどもね。ちょっとこんなことを書いてある。入管参事官がこれは現職時代に書いた本ですよね、たしかね。こんなことを書いて出しているのはちょっと困りますがね。ぼくの質問も、台湾人で大村に入っている人を向こうへ送還しろというふうに聞かれちゃ困りますがね。そんな意味で言っているのじゃないから、誤解されると困るから、私もこの程度にしておきますがね。いずれにしても、そうすると外務省もあれですか、というか、向こうの中華民国のほうでは、地位協定を結んでほしいということを日本に対して言っているのですか。
  55. 中川進

    政府委員中川進君) さようでございます。
  56. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 すると、日本のほうではそれは必要ないと言っているのですか。
  57. 中川進

    政府委員中川進君) それは必要であるとかないとかということは言っておらないと思います。とにかく研究はするが、さしあたりその意図はないという——まあこれはしかし、先ほどから申し上げますとおり、私どもの主管じゃございませんので、間違えますと困りますから、法務省の了承する限りでは大体そういうラインの回答が行なわれているのじゃないかと思います。これは思うだけでございます。
  58. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そこのところはね、いわゆるこれは在日外国人の問題だし、法務省の管轄になっているわけですよね。そこのところがぼくはよくわからないのですね、率直に言ってね。なぜ日本政府もそういうふうなものを研究中、研究中と言ってあれしておるのか、そこに何か特別に問題点があるんじゃないかということをぼく考えるのですが、ちょっとそこのところを私もまだわからないのですが、これは研究さしてもらいたいと思います。いいかげんなことを言ってあとで問題になってもいけませんから、あなたのほうとしてもちょっと困りますし、外務省の方が来てからまた聞くようにしたいと思います。  そこで、今度の法案の中での入管の、これは何でしたっけ。
  59. 中川進

    政府委員中川進君) 出張所。
  60. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 出張所をつくるということですか。
  61. 中川進

    政府委員中川進君) はい。
  62. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは特にこれらの、六つですね。
  63. 中川進

    政府委員中川進君) はい。
  64. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 六つについてあれですか、出張所を必要とする理由は何か特別にあるのですか。
  65. 中川進

    政府委員中川進君) これは、出張所六つは、御承知のとおり、小名浜、秋田、七尾、小松島、大分、細島、この六カ所でございますが、これはいずれも、ただいま仙台、酒田、高岡、高松、津久見、鹿児島というところが管轄しているのでございます。そこから非常に遠いのでございまして、しかも、この親元になるところが、仙台はとにかくといたしまして、あとのところは二人ぐらいしかいない。そういうところから一人が三時間も五時間も、遠いところは五時間。一番近いところで一時間ばかりかかりまして出かけて一々審査をするということは不便でしかたがない。だから私どもが不便なのはこれは忍ぶといたしましても、入ってきて審査を受ける船の乗員の不便がたいへんだ。そこでこの諸港に事務所を設けたいと思うのでございます。船は、たとえば小名浜二百八十二隻、秋田百四十四隻、七尾九十隻、小松島百六十四隻、大分六十四隻、細島百三十四隻、これは船が年間入るわけであります。その乗員に対する入国等、先ほどの上陸事務でございますが、これを迅速にしてやりたいというのが一つの目的。それからその次には、おのおの近傍に外人が相当おるわけでございまして、これは数はここに書いてありますが省きます、時間の関係で。これは数千名おります。そういう在留管理の問題、これが先ほども申しました、現在の親元になる小さな役所から行くのには遠過ぎて不便であるし、それからどうも思うようにいかないということで、その在留管理の面と、それからそこに出入りする外国人、おもに船の乗員でございますが、それの出入国事務の管理、この二つの点から六つの港に出張所を設けたいと、こういうことでございます。
  66. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは現実には出張所はもう設けてあるのですか。
  67. 中川進

    政府委員中川進君) 出張所というほど大げさなものでございませんが、現実には一人だけ行って、そういうような事務を事実上行なっておるところがございます。
  68. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そんなら別に法律改正しなくてもいいんじゃないですか。
  69. 中川進

    政府委員中川進君) これはやはり法律で認めていただきませんというと、看板が上がらない。
  70. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 看板、あれじゃないの、上げているんじゃないですか、そうじゃない。何か大きな看板かどうかは別として、小さな看板は上げているんじゃないかな。
  71. 中川進

    政府委員中川進君) それはやはり何と申しますか、正式に法律でオーソライズされて店を開くのと、こそこそと近くから行ってやっているのと非常に違うのでございますから、ぜひひとつ認めていただきたいと思います。
  72. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは出張所つくるのに一々法律であれですか、設置法の改正しなくちゃいけないの、それは正式かもしれませんけれども、ほかでもみんなそういうふうにやっていますか。たとえば裁判所の場合は、もちろん簡易裁判所なんかをつくる場合はこれは法律改正が要りますけれども、地裁の支部の場合なんかも要ると思いますが、高裁の支部なんかは要りませんね、ルールでやっていますから。一々出張所をつくるのに法務省の設置法で、これは別表の表ですけれども法律の中で入れてやらなくちゃいけないのかな。ほかの省なんかどういうふうにやっているのですかな。
  73. 中川進

    政府委員中川進君) 御承知ように、地方自治法にございまして、ちょっといま条文は忘れましたが、二百三条でしたか、あれにあるので、法律の要するのと要しないのとございまして、私どものほうは要しないほう、たとえば税関、郵便局、警察署、そういうほうに右へならえしたいのでございますが、何か役所ができましたときの従来の経緯で、国会の御審議を一々願うほうに入っておるわけでございます。したがって、その手続に従いまして御審議を願った次第でございます。
  74. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは国会の審議を願ったほうが、願ったというか、願ったほうがいろんな問題で国会としてはいいと思いますけれども、ほかのところは何かこういう出張所なんかをつくるときに、国会の審議が要るものと要らないものとの間が、何かはっきりした理論的な区別ができていないような感じをぼくは受けるんですよね。これは法務省に聞いてもあれなんで、どこへ聞いたら一番いいのか。自治省でもないでしょう。行管かな、内閣か、どこへ聞いたらいいのか、ちょっとぼくもあれですが、そこの区別があまり理論的な区別はないような感じを受けるのですよ。最高裁なんかはルールで行なうのが相当あるのですよ。ルールで置くのもあるし、法務局の出張所を設けるのもやはり一々法律ですか、そこはどうなっておるの、民事局長もおるけれども……。
  75. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 法務局の出張所につきましては、省令で定められております。
  76. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはどういうわけなんですか。そういう規定がないからあれですけれども入管の場合には、法律の別表になって、法律改正を必要とする、法務局の出張所は省令でいいと、こういうことはどういうところから出てくるのですか。権限が違うからいろいろあると思いますが。
  77. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 法務局の出張所を省令で定めることは、法務省設置法の委任の規定がございまして、これは形式的な理由でございます。実質的に管轄区域がひんぱんに動いておりまして、町村合併その他の事情、字の変更その他の理由、いろいろの理由によりまして、管轄区域が年じゅう動いておるものがございまして、訴訟管轄がそれによって定まらない場合には困ります。臨機応変に省令でやれるようにしてあるというふうに理解しております。
  78. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 拘置所関係はどうなんですか。拘置所のあれはどういうふうになっておるの。拘置所の場合は出張所というのがあるのですか。
  79. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 省令でございます。
  80. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 拘置所というのはずいぶん大きいですね。一つのところで二十人ぐらいいるのかな。いるところもあるのですね。そんなにいないか……。
  81. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 拘置所は大きいところは五百、六百というところがございます。収容者でございますが……。
  82. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いや、職員。
  83. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) 平均いたしますと、大体十五名から二十五名ぐらいでございます。
  84. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは大臣、いまいろいろ聞いておると、入管と法務局、それから矯正関係いろいろ違うわけですね。違うわけで、入管の事務所の出張所までを特別にあれしなければならないほどの必要性も何かないようにも感じられるのですけれども、そこら辺は法務省内部の問題で、各省と折衝の問題ですから、私どもはかれこれ言いませんけれども大臣のほうで適当にお考えを願いたいと思います。別にこれは答弁は要りませんけれども、お考えを願いたいと思います。これはもうあれですか、市町村の間で仮契約というものは結んでおるのですか。
  85. 中川進

    政府委員中川進君) そのとおりでございます。
  86. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 予算なんか、これほんとうに少ないですね。これだけで全部で百二十三万円ぐらいですか。これでやっていけるんですか。借料と備品費と光熱水道代というんですか、全部で、六つで百二十三万一千円かな。
  87. 中川進

    政府委員中川進君) 御指摘のとおり、予算ははなはだ少ないので、私どもとしましても心からハッピーなわけでは必ずしもないのでございますが、いかんせんあまり取れません。ただ、土地建物借料というのは五十九万五千円というのが入っております。
  88. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 じゃあ、まあ入管の問題については一応この程度で、またあとで聞くことにしてあれしますが、今度の設置法に直接あらわれてはいないんですが、この内部のやりくりであれですね、凍結の定員の解除が行なわれているわけですね。その解除を、ある部門で解除したものをそのままそこでふやすという形をとらないで、いろんなやりくりが行なわれているわけでしょう。それはどういうふうになっているんですか。概略説明を願って、それから法務局関係の問題に移りたいと、こう思うんです。
  89. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) ただいまお尋ねの点でございますが、内部のやりくりで増員を必要とする組織の要求をいたす、すなわち御承知ように、凍結定員と申しますものは、事実上使用が不可能になっておりますので、もし所管内に増員を必要とする組織がありますれば、まずその事実上使用不可能となっておる凍結を解除して、それで需要を満たして公務員の数の増加を極力抑制するというのが、ここ数年来の予算編成方針でありますことは御承知のとおりでございます。で、本年度におきましては、やはり同じことが行なわれたのでございまして、凍結定員が予算編成当時三百五十解除になりまして、そのうち二百人が法務局、それから刑務所関係に七十八、少年院十五、少年鑑別所七、検察庁二十七、その他本省の内部部局に一、法務総合研究所一という小さな数字がございますが、そういうふうに振りかえられたということでございます。
  90. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これはどうして今度の場合に、設置法の中での定員増ということが、大臣法務省の場合は行なわれなかったんですか。これはずいぶん努力はしたわけなんでしょう。したんだけれども内部の操作でやっているのであって、設置法そのものでの定員増はないですね、これ。ほかの省ではあるのがありますよね。それはどういうわけなんですかね。
  91. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 予算折衝でたいへん苦労をした一つでございますが、やはり定員増そのものをやります前提として凍結中のものについて、それの解除をすると、現状からいいますと事実上の増員となりますので、それを先にやって、それでまだ足らないものがある場合において定員そのものの増に持ち込むべき筋のものであろう、こういう了解で、大蔵省のほうも私のほうもそういう了解で苦労をしたわけでございます。
  92. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、現在法務省がいろんな仕事に関連しまするけれども、いわゆる臨時職員というものを相当かかえているわけですね、この臨時職員というものの実態がどういうふうになっているのかということですね。そこら辺から始めたいと思うんですが、これは法務局が一番多いですか。いろんな仕事やっていますね。人数はどの程度いるとか、平均年令とか賃金単価とか勤続年数とか、いろいろあると思うのですが、そういうようなことを法務省自体として調べたことはありますか。
  93. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 臨時職員をたくさん採用いたしておりますのは法務局でございますので、法務局関係の実情について御説明申し上げます。臨時職員は予算の変動によりましてこれは当然動いてまいるのでございまして、おおむね千名前後の者が臨時職員として法務局で仕事をいたしております。そのつどの人員を的確に把握することはなかなか困難でございますけれども、本年の五月一日現在で実態を調べてみましたところでは、全国で八百八十五人の臨時職員が在職いたしておりまして、これが登記簿台帳の一元化の作業とかあるいは粗悪用紙の遺棄とか、その他の業務に臨時の仕事のために従事いたしておるわけであります。この八百八十五名の中で、在職期間について申しますと、五百五十五名が一年未満ということになっております。一年以上二年未満の者が百八十五名、二年以上の者が百二十七名。それ以上になりますとぐっと数が落ちてまいるのでございます。男女別に比較いたしてみますと、男子が百九十一名で、女子が六百九十四名ということになっております。なお、給与の額につきましては、これもいろいろございますけれども、一番多いのが五百五十円から五百九十九円の間、これが三百四十四名でございまして全体の三八・九%がその給与を受けています。平均いたしますと大体五百六十五円というくらいでございます。これは前年度からの予算の執行を引き続いてやっておるという関係でこのようになっているのであろうというふうに考えております。
  94. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その法務省で調べた臨時職員の実態調査ですね、これはどの程度調べたのか、あとで資料として委員会に出していただきたい、こう思うのですが、これは法務局だけですか。
  95. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 五月一日現在で調査をいたしましたのは本省にございます。本省以外は法務局だけでございます。本省では司法法制調査部に戦犯資料係というものがございまして、ここはたとえば副検事を退職いたした者が二名とかというように、老人を主といたしまして、五名。それから入国管理局関係におきまして、十六名臨時職員がおるようでございます。
  96. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それはいまの法務局だけでいいですよ、あとで資料を出していただきたいと思うのですが、入管でどうして臨時職員が要るのですか。
  97. 中川進

    政府委員中川進君) 入国管理局では外国人登録事務の雑用に使っております。それからもう一つは、協定永住に関する事務に使っております。
  98. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いまの臨時職員の問題ですね、一元化に使っていると言いますが、一元化は最初の計画では当然終わっておるのじゃないですか。途中改定されましたね。何回かずいぶんおくれていますね。おくれているために非常に困る場合が現実に国民の権利関係に出てくるのじゃないですか。ということは、なぜかというと、あれでしょう、台帳から登記簿に載っけて、いわゆる表示登記という形になるわけですね、あれは。表示登記は法律上の効力を持つというふうに考えているわけでしょう、これは。建物保護法による登記の場合にも、建物表示登記でも含むという解釈なんでしょう、これは。そうなってくると、その一元化がおくれたということによって、それで非常に不利益をこうむる国民というものができてくるのじゃないですか。そこはどういうふうになっておるのですか。
  99. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 一元化は昭和三十六年から十年計面で実施いたしております。現在その作業のきなかにあるわけであります。大半は終了したことになるわけであります。お説のように、長期間にわたって一元化を実施いたしますと、完了しておるところと完了していないところができるわけでございます。その辺の不均衡はないかということでございます。実施いたします際には、個々の登記所を法務大臣の指定によりまして定めまして、その庁については一元化を実施し、完了した場合に、さらにこれを告示いたしまして、登記を新しい帳簿に載せていくという仕組みになっておるわけであります。現行法と申しますか、従来の台帳法と不動産登記法二本立てになっております場合には、登記といえばもちろん不動産登記法に基づく登記を言うものでございます。すべて登記法上の登記がなされなければ、登記ということは言えないわけであります。一元化いたしますと、台帳法上の処理も登記法上の処理に転化いたします。したがいまして、そういう意味では登記の分野が広まってくるということになるわけでありますが、実際の扱いといたしましては、保存登記がなされますれば、いま建物保護法のほうも十分カバーできますから、実質的には御心配になるような事態は起きてないというふうに思います。ただそれが十年かかるということは、何と申しましてもかなりの何でございますので、なるべく早く一元化を完了して、登記所の事務が能率的に運用できるようにということを考えるのでありますが、そのほかにもいろいろ現在差しかかってやっておる仕事がございますから、当初の十年計画はそのまま維持していくというのが実情でございます。
  100. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 初めは十年計画ですけれども、四十六年に終わるのですか、四十五年に終わるのか。そういう計画じゃなかったでしょう。初め五年計画じゃなかったですか。最初はたしか四十一年ごろに終わる計画だったのじゃないですか。それが延びちゃったのじゃないですか。最初の計画はどうでしたか。
  101. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 実施いたしました当時のことは実は私は詳細存じませんが、確かに当初の案は五年くらいでやろうということであったと思います。ただ予算の都合等でこれは十年計画になりまして、現在のような状態になっておるわけであります。
  102. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それをやるならもっと早くやるよう方法をとれないものですかね。これは大臣に考えていただきたいのですけれどもね。たしかこれは最初五年計画でしたよ。五年計画で終わりだったものが、何か予算要求のときにうまくいかなかったか何かで延びちゃって、それで十年計画になっちゃったというふうに私は記憶しているのですけれども、それが一つ。それから、なるほど建物にしろ何にしろ保存登記をしなきゃならぬことはないので、それはした人が保護を受けるわけですから、しない人はしないのが悪いわけなんですけれども、それはもうそのとおりなんですけれども、たとえば建物保護法という場合の建物の登記というのは、建物の表示の登記でもいいという解釈を法務省ではとっているように聞いているのですよ。平賀さんが民事局長のときはっきり答弁している。ぼくは法律的に疑問だと思いますが、はっきりそれで答弁していて、それでいいのかと言ったら、それでいいのだというわけですよ。そうなってくると、地主が建物の未登記の場合、新しいかわってきた地主から建物土地明け渡しの訴えを起こすでしょう。起こした場合に、建物の登記の一元化が済んでいるときは表示の登記ができているということでそれに対抗できて助かるけれども、それでないところは負けちゃったことになるという変なことになるわけですよね。それは保存登記しないのが悪いのですから理屈としておかしいと言えばおかしいのですけれども、そういう結論が出てくるようにぼくは感じられるのですよね。そうすると、一元化がおくれていることと進んでいることとによってハンディキャップみたいなものが出てきちゃって変じゃないかという考え方を、あの話を聞いたときにぼくは感じたものですからね。そういうことを聞いているわけなんですよ。それはあれですか、一元化によって登記というのは表示登記が行なわれるわけなんでしょう、そうなんでしょう。ところが、その表示の登記の効力というものと普通の保存登記の効力というものとどういうふうに形として違った登記として考えているのですか。表示の登記というのは、これは本来登記じゃないんだ、一種の登録なんだという考え方もあると思うのですがね。そこが平賀さんがこの前言ったこととだいぶ違うんじゃないかとぼくは考えるのですが、そこのところはどうなのか。
  103. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) たいへんむずかしい問題でございますが、現在の表示の登記と言っておりますのは、台帳法と不動産登記法が二本立てになっていました当時の台帳の登録に該当するのが表示の登記でございます。したがいまして、厳格に理論的に考えてまいりますならば、あるいは稲葉委員のおっしゃるように、表示の登記は本来の権利の登記ではないというふうに割り切れるものではあるまいかという考えが確かにあるわけでございます。ただ、一元化いたしますと、従来の二元的な立て方になっていました場合とは違いまして、表示の登記の場合にもやはりこれは従来ともそうでございますけれども、所有者を確認いたします、所有者の登記と申しますか、表示の登記としての所有者を確認をいたしております。その所有者であればいつでも保存登記ができるわけであります。そういう意味で、いまの表示の登記が保存登記に非常に近いものである。ただ、あとの保存登記を簡単にできるものをしているかしていないかというだけの違いでございまして、そういう意味で平賀局長は、これは保存登記と同視していいというふうに考えられたものではないかと思います。その辺の実情、私ももう少し研究してみたいと思いますけれども、従来の台帳の登録と不動産登記上の表示の登記というものがどう違うかということに結局帰着する問題でございます。仰せのように、確かに従来の沿革をたどってまいりますと、若干そこに問題になるようなところもあるように考えられるのでございます。
  104. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 私の問題に思いますのは、表示の登記の法律的の効力ですね、効力が一体どういうものなのかということの確定的な解釈がぼくはないように思うのですよ。平賀さんが民事局長のときはそういう答弁をしたわけですよ。ぼくは実は驚いたのです。驚いて、最高裁の人に会って聞いてみたんだが、実際そういう解釈なのかと言ったら、いや、あの人は独自の解釈をするから、とかなんとか言っていて、どうも違うようなことを言いますし、非常に困るのですね。建物保護法にいう登記だけの問題じゃなくて、ほかにも広くあらわれてくると思うのです。一般のしろうとの人はそんなことはわかりませんから、登記簿を閲覧してみて、表示の登記があれば保存登記がしてあるんだ、こういうふうに思う人もいるわけですよ。そういうつもりでいるかもわかりませんね。その登記の効力が一体どういう法律的な効力があるのかが確定的でないような感じがしてならぬものですからお尋ねしているのですけれども、これはなかなかむずかしいというか、登録と登記の違いから始まっていかないといけないし、ぼくもなかなかよくわかりませんけれもど、これは研究していただきたい、こう思うところなんですが、何か私の頭の中にあるのはそれがおくれているところと済んでしまったところとの間で、現実に国民の権利に及ぼす影響があるのじゃないかという感じがしてならないのですよ。それは保存登記しない国民が悪いといえば悪いのです。それはそうですけれども、どうもそこのところが割り切れないような感じがするものですからお尋ねしているわけです。  それから表示の登記の法律的な効力というのがどうもはっきりしないような感じがするものですからお聞きしているわけです。  いずれにいたしましても、そこで、臨時職員がそうやってたくさんいて、これは何か前に閣議決定か何かで定員外職員の定員繰り入れという閣議決定があったのですか、これは三十七年の一月十九日だったか……。
  105. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 前に定員外職員の定員化という問題が、これは法務省だけではございませんで、各行政機関共通の問題として政府として検討されまして、そういう措置がとられたと思います。このときには、その当時臨時職員として勤務しておりました職員を、法律的の措置をとりまして、定員職員に組みかえるという措置をとったと記憶いたしております。ただいま仰せの、昭和三十七年の措置というのはおそらくそのことではないかと思います。
  106. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その閣議決定があってから法務省としてはどういうように臨時職員を定員化していったのか。これはいまでなくていいですが、資料として出してもらいたいのと、それからその前に昭和三十六年の二月二十八日に、同じ閣議決定で、定員外職員の常勤化の防止に関する閣議決定というのがたしかあるわけですね。それは定員外職員というのは非常に長く使ってはいけないんだ、これは臨時ですから、という閣議決定があったと思うのですね、閣議決定だからどの程度の拘束力があるかは問題として。ところが法務省だけですか、こういうふうに非常に長い臨時職員がいるのは。一番長いのは何年ぐらいいますか、七、八年の人もいるでしょう。
  107. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、勤続年数別に申し上げますと、一年未満の者が八百八十五名のうち五百五十五名でございます。一年以上二年未満の者が百八十五、二年以上五年未満でございますが、これが百二十七、五年以上七年未満が十四でございます。七年以上が四名ということになっております。
  108. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 今後も臨時職員を法務省としては採用せざるを得ないわけでしょう。この前、水戸の法務局か何かの採用の新聞広告が出ていたのです、最近。そうしたら、臨時職員ということは書いてないのです、募集の新聞広告には。ちょっと忘れましたが、将来法務事務官に昇進の道ありと書いてある。だから法務事務官になれると思って一ぱい来るわけです。ところが、入ってみたら、さっぱりなれないわけです。法務局は看板に偽りありと、人権擁護だといって人権擁護の申し立てをしたかどうかは知りませんが、話が違うじゃないかという話が出てきたわけです。ですから臨時職員はほかの省でも、建設省とか現場の、農林省とか、いると思いますが、法務省でも臨時職員を一体どうしようとするのですか、今後。こんなにたくさんかかえておって。今後いろいろ、たとえばメートル法の問題もありますし、土地改良の問題もありますし、農地補償の問題も出てくるでしょう。そんな関係で仕事がふえていくと思うのです。だから今後ふえていくその処遇をどうするのか。それからそれの定員化ということを一体どういうふうにしようとするのか。このプログラムといっても大ざっぱになると思いますが、一体具体的にどうしようとするのか、この心がまえだけでも大臣、どうするのですか。大臣、この前新聞を見たら、臨時職員を定員化するように努力するとか善処するというふうに答えられたように新聞で見たのですが、どうなんですか。
  109. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 具体的な扱いでございますが、まずやはりできるだけ国家試験をこれらの臨時職員は受けてもらいたい。むずかしいものでありますけれども、相当率の合格ができるわけでありますから、できるだけひとつ国家試験を受けていただきたい。まずその国家試験を受けてもらった人については優先的に採用をしていく。しかし、成績のよい、一定の基準がございますが、長期にわたり勤勉につとめてくれました人については、選考の方法でこれをやっていくというやり方をしておるので、将来は本採用になる見込みがあるという記事が出ておったのかと思います。全くうそではないのでありますけれども、新聞記事を読んで応募する人の心に映じたように、そういう機会はごくわずかあるということで、そういう意味でうそではないということになるのでありましょうが、十分な機会があるとはいえない現状でございます。しかしながら、いま申し上げましたように、定員の関係もございますので、極力と申しましても極力に限度はあるのでありますけれども、できるだけ試験を受けさそう、受けられない人については、成績のいい者については選考の道も講じていく、こういう考え方で、ただこれは人事院の承認を受けないといけない。人事院の承認という法務省だけではやり切れないということもございますけれども、そういう方面にも努力をいたしまして、そういう方針で努力をしていきたいと考えております。
  110. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それは人事院という制度もあり、国家公務員法という法律もあり、また試験の制度もあるわけですから、一応の限界があることはわかりますけれども、これだけ臨時職員がいて、しかも長いのですね、しかも給与は非常に悪いですね。こういう人たちのことも当然定員化の問題もあるし、いろんな形があると思うんですよ。そういう形の中で十分生活なり何なりが立っていけるように考えていただきたいと思うのですね。法務省には人権擁護局があるんだから、人権擁護の仕事は法務省の仕事なんだから、こういう人たちの人権もしっかり守っていただくように、法の許す範囲で弾力的な運用はできると思いますから、そういう範囲の中でぜひ——ある場合には範囲を越える場合がありましても、こういう人たちのことも十分考えていただきたいということを、これは再度お願いし、大臣から簡単にお答え願って、午前中は一応終わらしていただきます。
  111. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) お説のとおり、多量の人員を使っておることでもございます。それから仕事の中身をよく調べてみますというと、名は臨時で手当は安いのでありますけれども、これは国家公務員として正規の試験を受けて採用しております者と仕事の中身はちっとも変わらぬ、そのちっとも変わらぬことをおことばように長期にわたって仕事をしておるということでありますので、この給与の問題、これは交通費も出ないという事情のものでございます。交通費の問題、給与を引き上げる問題というような問題につきましては、十分ひとつ積極的な姿勢で努力をしてまいりたい。
  112. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大臣がそういうふうに言われまして、民事局長それを受けられて、民事局の中でも十分それに対して対策を練ってもらいたいと、こう思うのです。実際やるのは一課なんですか、民事局の場合は一課が中心になると思うけれども、一課なら一課を中心として、そしていま言ったことを、ここだけの話としてでなくて、実際に移すような形で努力をしていただきたいと、こういうふうに思うんです。それで民事局長のほうから、これは。
  113. 新谷正夫

    政府委員(新谷正夫君) 臨時職員の待遇問題につきましては、法規上の制約がたくさんございますことは御承知のとおりでございます。しかし、そういったワクの中で、できるだけ臨時職員の待遇をよくしていくということも考えられないではないと思います。民事局の中におきましては、一課が所管いたしてこの仕事をやっておりますから、積極的にできるだけ臨時職員の待遇をよくするという方向で現にやっておるわけであります。事柄によりましては、あるいはそういう措置がとれないことはないというふうなものもございます。なお一そう検討いたしまして、御趣旨のよう方向で努力するつもりでございます。
  114. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  115. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  午後は一時半に再開することといたし、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      —————・—————    午後一時四十七分開会
  116. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君)委員会を再開いたします。  宮内庁法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に続き、本案の質疑を続行いたします。関係当局からの出席は、瓜生宮内庁次長、並木経済主管、以上の方々でございます。それでは御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  117. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 宮内庁法案に関連して、二、三お伺いをいたしますが、まず順序としてお伺いをいたしたいのは、現在人事院規則で特別職に指定されている宮内庁の職員については、侍従が六人、女官長が一人、女官五人、東宮侍従長が一人、東宮侍従五人、東宮女官長一人、東宮女官三人、計二十二名となっておるわけですね。そこでこのことに関連してお伺いをしたいわけですが、ここに特に特別職としておる理由は、これらの職員の方々を特別職に指定するその理由は、一体どういうことなのか。その辺の御説明をいただきたいと思います。
  118. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 侍従とか、女官は、両陛下あるいは皇太子殿下などの身近でお世話をいたすまあ秘書的な仕事をしている人でありますので、そういう人についてはそういう仕事に向く人を選ばなくてはいけないわけであります。で、普通の事務のほうの公務員と違う点がございます。一般職にいたしますと、一般職については国家公務員法、それにまた基づく人事院規則のいろいろ規定がございます。採用する場合には、学校を出て、それから人事院関係の試験を通ってとか、いろいろ制限がございまして、そういうようなことによって普通の事務のほうの人は、そうして採って一般職職員として働くのでありますが、ほんとうに身近で秘書的に身の回りのお世話をする、こういう人についてはもちろん学識等は必要でございまするが、人柄の点をよく選ばなくてはいけないのでありまして、そういう関係でいわゆる一般職の採用資格よりも、もっと広く一般社会からそういう仕事に向く人を採用するという必要がございまして、そういう関係上、この一般職でなく特別職にしておいたほうが広い範囲からその適任者を選べるというような点がございます。その点が一番おもな点でございます。
  119. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、宮内庁職員の定員については、ここにもございますが、長官とか長官秘書官、侍従長、侍従次長、東宮大夫、式部官長、これらの職を除いて、特別職は二十二名、一般職は千百九十四、計千二百十六人と、こういうことになっておるようですが、そこでこのことに関連してお伺いいたしますが、現在凍結欠員はどのくらいあるのか。それとその職名別の欠員もわかっておったら承りたい。
  120. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 一般職職員で凍結職員は十二名ございます。これは職務別のはちょっと手元にございませんが、これは全体で十二人というので、各職務別というようなむずかしい区分けになっていないそうでございます。
  121. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案が成立いたしますと、人事院規則によって一般職から特別職に切りかえられる、そういう職員の数は一体どのくらいで、どういう役職の人がなるのか、このことについてお伺いしたい。
  122. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この振りかえまする人員は三名でありまして、それは女官が一名、東宮侍従が一名、それから東宮女官が一名、三名でありますが、その振りかえのほかに十二名凍結がありまするし、その人員でまかなえるのでありますが、具体的に申しますと、あるいは管理部あたりの職員で余っているものとか、それから東宮職でも一般職のほうで余っている人々、そういう人々を回すということで、人そのものを回すということでなくて、定員そのものを回すということになります。
  123. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今度の改正はこういう事情に即応させるために、従来、表によって特別職と一般職に区分されていたのを今度は取りやめて、合計数を法律上の定員にしよう、そういう規定にしよう、そういうことのようですが、これは結局定員管理の円滑化をはかるのがねらいだと説明にあるわけですが、この一般職から特別職にいくと何か都合がいいから、何かプラスになることがあるから、ということでこういう区別をなくそうと、何かねらいがなければならぬと思うのです。その辺の事情をひとつ御説明いただきたい。
  124. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは先ほども申しましたように、特別職ですと、一般職のように採用の場合むずかしい条件がなく、広い範囲からどんどんそういうような人を採りたいという場合に、普通の一般職として採るのじゃなくて特別職として採るということでございますから、そういうことで一般職のほうの、現在ある程度欠員もございますけれども、そういう定員で特別職の人を採ろうというわけで、一般職の人よりも特別職のほうになったほうが特に何かいい点があるからこの一般職の定員を一部特別職に回そうという、そういうことと違って、特別職——採る際のいろいろ条件がありますが、そういう人を採るためにまた別の条件で採る必要がありますから、一般職のほうとの定員の関係で、無理なく削れる点を削って配置転換をはかるというようなことでございます。
  125. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでお伺いするわけですが、一般職と特別職の合計数のみを定員として規定すると、このことについて提案理由では定員管理の合理化ですか、こういうなかなかむずかしいことばで表現しておりますけれども、これをさらに突っ込んで、ほんとうのところは配置転換に都合のいいようにということがほんとうのねらいではなかろうかと思いますが、配置転換に非常に都合がいい、しかし、これの提案理由では定員管理の合理化というまことにむずかしいことばで表現していますけれども、実際は配置転換する場合には確かに都合がいいわけですね。一般職と特別職で定員のワクがないわけですから、全体の定員のワク内で操作ができる、そこにほんとうのねらいがあるのだと思うのですけれども、その辺はどうですか。
  126. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いま先生がおっしゃるようなことでございます。定員管理の合理化というのは、定員は一つワクがあるわけでございますけれども、同じワクの中でそれをできるだけ宮内庁なら宮内庁の仕事の能率があがるように管理していくということを考えますと、幾らかひまなところがあれば忙がしいところにその定員を回していくということが定員管理の合理化になるわけです。これは一般職の範囲内でしたら法律改正を待たないでその範囲内ですからできますが、特別職と別になっておりますと、そういう全体の総員の中でそれを合理的に運用するということができませんものですから、特に法律改正をお願いする。法律改正をお願いするとなりますと、やはり手続上相当期間がかかりますので、必要が生じましても法律がきまるまでは待っていなくてはいけない、そういう点がございまして、円滑にまいらない点がありますので、側近のことについてなるべく御不便を与えないようにということも考えますと、やはり法律のほうでは特別職の定員は幾ら、一般職の定員は幾らとはっきり分けていただかないで、全体をしぼっていただくと円滑にやりやすい。役人がむやみにふえるということも、総員は押えておりますから、防げるということもございますから、そういうことでお願いしたわけであります。
  127. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでさらにお伺いいたしますが、合計数のみを法律上の定員として規定することになるわけですね。そういう官庁は、私不勉強でよく知らないのですが、日本の官庁には——省庁にはないように思うのですが、その点はどうなんですか。参考までに承りたい。
  128. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 他の官庁で一般職と特別職の職員の数を分けて持っておるのは、官内庁以外ですと、防衛庁と外務省。そのほかのたとえば農林省とか通産省とか文部省とか、いろいろな役所がありますけれども、そういうところのほうのは法律には一般職のほうしかないものですから、その総員だけが書いてあるわけでございます。そういう役所でありますると、一般職だけですから、その範囲内だけの定員の合理化といいますか、配置転換を円滑にやっていくということは法律改正を特にお願いしないでもできるということでございますが、官内庁の場合はこういうふうに分かれておりますから、先ほど申し上げましたようなことでございます。しかも防衛庁とか外務省はだいぶ事情も違うかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  129. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま防衛庁と外務省の例を言われましたが、防衛庁は特別職だけじゃないですか。むろん施設庁はありますから、その中に一部一般職はあると思いますが、これは直接宮内庁に関係のあることでなく、参考に承ったわけですから、その程度でけっこうです。  そこでさらにお伺いしたいのは、臨調の行政改革に関する答申の中で、ここでは直接関係ございませんから、必要な関係のある面だけをお伺いいたしますと、行政事務のいわゆる簡素化、効率化、民主化、こういう柱を打ち立てて、各省庁に勧告しておるわけです。そこで、宮内庁としては、こういう臨調の答申の趣旨ですね、根本的なこういう方針に対して、一体どのような配慮をなされてきておるかということについて、承りたいと思います。
  130. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この臨時行政制度調査会の勧告の、簡素化とか合理化というもの、それはその線に沿って、部内の事務につきましても、いろいろある程度のことは改革をいたしました。たとえば、簡単な事項でありますと、もう課長限りでやれるとか、それから一番上まで来たのも部長限りでいいとか、定例的なことは少し早くものが進むとかいうことをやりましたり、その精神に沿って、小さいながらも実行をいたしているわけであります。
  131. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、いまのは行政事務の簡素化、合理化、民主化ということであって、これからお伺いするのはそれとは全然別個の、皇室の民主化、これは全然問題が別ですけれども、その点に集約して、皇室の民主化ということが国民の間からも強く叫ばれておる。まあ、皇室と国民との親近感を増そうということで、われわれもそういう考え方を持っているわけです。そこでお伺いするわけですが、国民と皇室の親近感をさらに増大するために、いわゆる皇室の民主化ということが、宮内庁でも相当検討され、考慮されておると思うのですが、そういう点についてはどのような配慮がなされておるのか。たとえば具体的には、どういう面にそういう点があらわれておるか。こういう一連の問題について御説明いただきたいと思います。
  132. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この新しい時代に即応して皇室が国民とともにあられ、国民との親愛感を深めていかれるということの大切なことは常に考え、その線に沿って、従来やっていることについても常に反省しながら、改められる点は改めるように、というふうにして進んでいるわけでありますが、その一例としますと、両陛下あるいは皇太子殿下、皇族方あたりがいろいろお出かけになる。いろいろな会合がございますけれども、会合についても、以前から見るとお出かけの機会が多くなっていると思います。もちろん会合の性質もよく考えないでどこにでもお出かけになるわけにはいきませんけれども、比較的多く、ふえてきております。  それから一般の国民にお会いになる数、そういうのも、以前から見ると幾らかふえてきておると思います。普通のむずかしい拝謁とかいうのじゃなくて、以前は御会釈といっていましたが、いまは賜謁——謁を賜わるということで、むずかしい拝謁と違う、賜謁というようことばで、相当各界の功労のあったような方たちには広くお会いになっております。特に、最近のいろいろな、勲章のことを言ってはどうかと思いますけれども、勲章などをいただかれた方も、上下を問わず褒章を受けられた方とか、あるいは大臣褒賞を受けられた方とか、そういうような人には大体、お願いがあれば例外なく、賜謁ということでお会いになっております。ですから、賜謁ということで、相当忙しくいろいろな方に接しておられるわけであります。  それからなお、警衛の関係でありますけれども、これも警衛が厳重だと、皇室と国民の間にかきをつくっていかぬのじゃないかというような御意見がよくございます。これは、警視庁とも常によく連絡協議をする機会がありますけれども、そういう機会には、つとめてその警衛の簡素化、必要な面は必要な面でこれはやるべきであるということは十分わかりますけれども、それほどでない面についてはできるだけ簡素化をして、一般の国民の方が皇室に直接接する、親愛感を抱かれるようにはかっていただくようにやっております。特に皇太子殿下の場合などで、最近も、非公式のお出かけの場合の警視庁の警衛の要員なんかはぐっと減らしていただくというようなこともつとめてやっているわけであります。徐々にそういう面について改善していくというふうにわれわれも心がけいてるつもりでございます。
  133. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、当委員会でもしばしば過去において論議された問題ですが、どうも宮内庁には他の省庁にあまり見られない独特な、職名をも含めて、名称が多いわけです。これは長い間の歴史、伝統から来ていると思うのです。たとえば東宮大夫ですか、これはおそらく東宮職の長官の意味ではなかろうかと思うのですが、そうだとすれば国民には、東宮職の長官、東宮職長官、たとえばですよ、これが一番いいという意味でなく、たとえば東宮職長官の意味なら、それでもいいのじゃないかと思うのですが、国民は東宮大夫といってもぴんとこないわけです。そこで、いますぐということではなくして、また宮内庁も検討されていると思うのですが、やはり国民にすぐ理解できるような職名に順次、職名に限らず、いま東宮大夫が職名だから職名と申しましたが、すべて独特な名称を、だんだんと国民に親しまれやすいような、すぐ理解できるような、そういう名称に漸次検討を加えられていくことが必要ではないかと思うのですが、こういう点についての宮内庁としてのお考えをお聞かせいただきたい。
  134. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いまおっしゃる点がございますのは事実でございまして、東宮大夫というのはどうもわかりにくいというような御意見もときどき聞くわけです。いまおっしゃるように、東宮大夫というのは東宮職の一番の長官で、責任を持ってやる人が東宮大夫なんですが、これはずっと大宝令の昔からそんな名前があって、ずっとそのまま来ているわけです。これについてもいろいろ検討しながら、かわるべきいい名前が、なかなか名案がないままに今日に至っております。ただ、戦後むずかしいのをわかりやすく直している面が相当ございます。いま管理部といっておりますけれども、管理部が昔は主馬寮、それから工務をやる工務課は内匠寮、それから主計課は内蔵寮といったり、昔の名前が終戦のあとまでちょっと残っておったのでありますが、そういうのは普通の役所にあるような名前に直しているわけであります。なお幾らか残っているのに東宮大夫などがあるわけでありますが、これはそのままになっているわけでありますけれども、なおその他検討はして、適当な名案があればまた変えることも必要かと思いますけれども、いまのところ名案がないままにそのままになっているわけであります。
  135. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはいい意味での皇室の近代化ということになりますと、まずもって宮内庁の内部組織から始めるのが順序だと思うのです。そういうことについて、宮内庁としてどのようなお考えをお持ちですか。
  136. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 内部組織を、一般の方に接するのにあまり変な感じを与えないような組織にするということをおっしゃっているかと思いますが、そういう点はそういうつもりでおりますが、特にいまそれじゃどうということもちょっと思いつきませんが、どういうような点ですか、ちょっとはっきりわかりかねましてお尋ねするのですが……。
  137. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まあいずれにしても、皇室の近代化ということは、万般について今後検討を要する問題だと思うので、それには、まず宮内庁からその気持ちにならぬと、なかなかよい意味での近代化は実現されないと思うのですね。そういう点で、十分今後も引き続き検討することを望みたいと思うのです。そういう意味でお伺いしたわけです。  そこで次の問題お伺いいたしますが、本年の五月九日に皇太子御夫妻が天皇の御名代として南米三国を訪問されて、十二分にその責務を果たされてお帰りになったという報道があったわけですが、そこでこのことに関してお伺いするわけですが、この御訪問の計画はどのようにしてきまったのかという点、したがって、その経緯について承りたいということ。それと、これはまあ参考までに承っておきたいのですが、どのような職名の方々が随行されたのか。こういう点について御説明いただきたいと思います。
  138. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 南米三国を天皇陛下の御名代として皇太子殿下が御訪問になりました易の経過でありますが、だいぶ前からペルー、ブラジル、アルゼンチンは、皇太子殿下においでいただきたいという意向を示しておられるわけでありまするが、でこの昭和三十九年だったかと思います、メキシコへ皇太子殿下がおいでのときにも、メキシコまでおいでになるのだったら、足を伸ばして南米まで来ていただきたいというのが、このペルー、アルゼンチンからはちょっとそういうことがありましたようです。それからブラジルは、かねて、あそこは日系人も多いものですから、そういうような意向が伝えられておりました。これは正式の申し入れということではなくて内々のそういう意向が伝えられておりました。でなお、たしか昨年でしたか、アルゼンチンから、外務大日でしたか、何か政府首脳部が見えたときにも、特においでいただきたいという話がありました。それからペルーの関係は、その前からありました。それからブラジルのほうも、先日このブラジルの次期大統領——現在のいま大統領になっておられる方が日本に訪問されましたけれども、その訪問される前から、そのやはり、自分も訪問すると、で日本からもやはりおいでいただいたらというような意向を漏れ聞いておったわけです。なお、次期大統領の方——現在の大統領が日本に見えたときには、はっきりそのことをまた直接にお話もありました。そういうよう経緯からきて、それじゃこの三国を御訪問になろうと、三国のうちでペルーとアルゼンチンは以前にその大統領が日本に訪問になっているわけであります。ブラジルについては、次期大統領が見えているわけであります。そういう関係でありますので、あるいは御答礼というよう意味でおいでになるというようなこともありましたが、相手国のほうのいろいろな国の事情で、御答礼と言っていただかなくていいので、天皇陛下の御名代としての皇太子殿下ということで来ていただくという話がありました。そこで皇太子殿下がそれじゃあ御訪問になろうということで御訪問になったわけでありまして、三カ国とも非常に手厚い歓迎を受けられて、いままでその地元の新聞送ってきておりますけれども、いままでほかの国の大統領とか皇室の方が見えた以上の御歓迎だったということを各新聞書いておられます。国交改善には大いに寄与されたものとわれわれも喜んでいる次第であります。  なお、その随員ですが、随員は首席の随員としては久保田貫一郎さん、前メキシコの大使をしておられて、現在国際文化振興会の理事長をしておられます。その方を首席随員として、その下へ東宮大夫鈴木菊男がつき、なお外務省、それから東宮侍従などがその下へつきました。そして行かれたということであります。
  139. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、昭和三十九年五月に、国事行為の臨時代行に関する法律が当委員会で成立したわけです。この法律の成立によって、天皇が海外旅行にお出かけになる場合は、まあ一定の定められた皇族が天皇にかわって国事行為を行ない、代行することができるようになったわけであります。そこで現在、その点からは天皇の海外旅行については何ら支障がないわけですね。そこでお伺いしたいと思うのですが、宮内庁は天皇の海外旅行について、いま何かそういう計画案でもお持ちになっているかどうか。この法律は成立してからすでに三年経過しておるわけですが、宮内庁としては天皇の海外旅行についてはいまのところ何も考えていないのか。計画があればその計画について。まあせっかく法律ができて三年も経過しておるけれども、何らそういう計画は考えられていないということもいかがだと思うのです。その点をひとつ御説明いただきたい。
  140. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この国事行為の臨時代行法ができましたので、天皇陛下が外国に御旅行にお出かけになるということは、以前よりむずかしい点はなくなったということはあるわけです。あの法律が施行後、われわれといたしましても、適当な機会があって、天皇陛下がお出かけになるのにふさわしいというようなことであれば、御旅行になることを考えてもいいという気持ちは持ちながら検討はしておるわけでありますが、しかし、まあいままでのところ、特に天皇陛下がお出かけになるのに最もふさわしいというようないい事例にまだめぐり合わせないものですから、それで実現をしておらないので、現在具体的にこういう計画というものはないわけであります。しかし、将来においてそういうことがあっていいというふうには考えております。
  141. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 天皇陛下が適当な機会があれば海外旅行に喜んで出かけたいというそういうお考えのように聞いておるわけです。それは昨年那須で、那須の御用邸で記者会見があった際に陛下がおっしゃったそのことをさして言われておるのか、これをそういうふうに理解していいのか、また、別の機会にそういう意思の御表示があったのかどうか、このことについて伺いたいのです。
  142. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この外部の人にはっきりおっしゃったのは、去年の夏の那須での記者会見なんであります。しかし、その際も、いろいろの事情があってそう簡単にはいかないと思うが、ということをつけておられます。まあしかし、そのお気持ちはやはり正直な点をおっしゃったと思います。したがって、内部の者としても、そういうお気持ちのことと思っておるのでありますが、しかし、どうもこれならばというような適当な機会がないままに現在に至っておるということでございます。
  143. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまおっしゃったわけですが、適当な機会があればということですが、この適当な機会とは、宮内庁としてはどういう機会を考えておられるのですか。
  144. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは普通皇太子殿下、外国から元首が見えた場合に御答礼ということでよくお出になっております。南米の場合御答礼と言いませんが、それに似た形のものですが、しかし、御答礼というような形でお出になるような場合ですと、ある国は皇太子殿下、ある国は天皇陛下という差別になってもいけないので、そこらあたりはむずかしい点がある。だからそういう意味ではなくて、ほかの国と違った特別の行事とか何かであるとかなんかいうようなことがあればというふうに考えておるわけで、まあこれは具体的にこういうことはなかなか言いにくい点はございますけれども、そういう機会があればいいというので、じっと情勢を見ているということでございます。
  145. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは次に国内に返りまして、皇居造営の概況について、特に現在どういうところにまで進展しておるのか、こういう点を中心に二、三お伺いしたいと思います。これは昭和三十四年に皇居造営審議会が設立されたわけですが、総理大臣から皇居造営の大綱についての諮問があって、同年の十月八日に答申がなされた。この答申に基づいて三十五年一月二十九日に次のような閣議決定があったわけですね。宮殿は旧西の丸地区の旧宮殿あとに造営することとし、昭和三十五年度からその実施準備を始めること。それから二つとして、お住まいは昭和三十五年度から吹上御苑内に造営を実施すること。三つとして、皇居造営の資に充てるための寄付は、宮内庁長官の定めるところにより国が受けること。四つとして、皇居東側地区は皇居付属庭園として整備し、宮中行事に支障のない限り原則として公開すること。大体こういう意味の閣議決定があったと思うんです。そこでそのことについて順を追うて一、二お伺いするわけですが、新宮殿工事の着工は三十九年から始まって四十二年度に完成する、そういう計画であったと聞いておるわけです。現在の進捗状況はどうなのか、この辺まず伺いたいと思います。
  146. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 三十九年に起工しまして、現在はすでに主体工事は全部終わり、屋根をふき、なおこういう窓のワクをずっと入れるということをいまやっているわけであります。屋根の銅板がふき終わるのは今月の終わりか来月の初めくらいにふき終わると思います。それからなお、こういうずっとガラス戸のさくをずっと入れまして、で、ガラスの全部入るのが八月一ぱいになると思います。で、九月からは、今度は内装工事——天井をずっと張りましたり、それから床を張りましたり、壁のところを張ったりそういうような内装工事にかかるというようなことになっております。そしてでき上がりますのは四十二年度一ぱい、つまり四十三年三月ではどうしても無理な点がございます。それででき上がりますのは四十三年の秋になると思います。予算もそういうふうにこの四十二年度で終わるのじゃなくて、四十三年度にわたるように組まれておるわけでありまして、四十三年の秋には工事が一応完了するという見込みになっております。
  147. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年二月宮内庁から提出いただいた資料によりますと、新宮殿の総予算額は百二十一億二千八百万円とあるわけですが、その予算額で完成する見込みなんですか。
  148. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 昨年に考えておりましたよりはさらに十二億ぐらい足らないということでございます。で、建築費として全体が百三十億くらいでこれはいろいろこまかい理由がございますが、それぞれの理由があってそういうことになるわけでございます。
  149. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この新宮殿造営工事については、当初計画どおり造営が進められてきておるのか、それとも一部に変更があったのか、もし変更があったとすればその変更個所はどういうところか、並びにその理由は一体どういうところなのか、こういうことについてお伺いします。
  150. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 当初三十九年に出発するころに考えました点から変わってきておる点でございますが、まあその部屋の形とか大きさとか位置とか、そういうものはほとんど変わっておりませんが、部分的に申しますると、鉄筋コンクリートでできますそういう柱とか、はりのところで鉄筋コンクリートがまる出しになっておったのでは不粋で感じが悪いものですから、それに最初の案はウルシを塗るというような案でございました。しかし、それがどうもウルシを塗るというのは、実際試験をしてみますと、やはりひびがいったりうまくいかないのです。そこで専門家の検討の結果、やはり銅板を張ったほうがいい、全部銅板を張るように変更になりました。現在すでにある程度張っております。ちょうどこの部屋のああいう色になります。ですからちょっと見ますと、木にこういう染料を塗ったような感じで、銅という感じはいたしません。そういうようになりまして、それで相当金額ふえてまいりました。特に銅が不足して値上がりしたので、それがだいぶふえた点がございます。それから幾らか、こまかい点ですが、銅をふく屋根の厚さとか形、そういうものをこの安全度というのをいろいろ大学の研究所とか、その他の研究所で研究しながら進めてまいりましたが、安全度で幾らか不安の点があるというので、その厚さを厚くしたり、その形を少し屈曲をするのを多くしたり、まあそういうようなふうに変えてきた点がございます。それから照明なんかのやり方も、最初の考え方は、天井から簡単に照明できるような案だったのです、それをやってみますとどうも光のぐあいがよくないものですから、したがって、それを変えるために少しくぼみをつけて、そこに照明器具を入れるとか、そういうように変えたり、最初に考えたよりは改善されたわけでございますが、改善された反面、経費が幾らか高くなってきたということであります。
  151. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この新宮殿が完成された後の宮内庁の扱いについてお伺いしたいのですが、これはある一定の条件を付して、特定の範囲内までは公開されるお考えなのか、それとも全面的に非公開の態度をおとりになるのか、こういうことに対する宮内庁としてのお考えをお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  152. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮殿につきましては、できました後一般に公開するというようなことはいまは考えていないわけであります。この皇居東側地区の庭園化ができれば公開化するという問題はございますけれども、宮殿そのものの公開は、中まで日をきめて公開するということはございません。しかしながら、外回りをごらんになれるように、そういう参観の便宜をはかる、したがって、中に行事のないような時間を見はからって外回りから見ていただくというような、参観はしていただくようにしようと思います。
  153. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、新宮殿については、内部については非公開、しかしながら、その周辺については外観が見られるように、周辺からの面については公開の態度をとると、大体そういうふうに理解していいわけですか。
  154. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) さようでございます。
  155. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでなおお伺いいたしますが、外国の宮殿の例をおも立ったものについて宮内庁はよく存じておろうかと思うので、関連ございますから参考までに御説明いただきたい。
  156. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 外国の宮殿はいろいろありますが、英国あたりが一審日本に似ているわけでありますが、英国の公式の行事のあるバッキンガム宮殿、あそこは特に公開ありませんよう——中のほうは。しかしあれは市内でありますから、すぐ回りまで行ける。その他の、地方にあります離宮的な宮殿については、ものによりますると、さしつかえない場合においては庭先まで入って見れるようになっているように聞いております。これはまあどちらかというと、東側地区の公開がそれにちょっと似たような形になるわけでございます。そのほかいろいろ宮殿というので、ほんとの公開されてるのがあります。フランスとかイタリア、これは現在あそこは王室はないわけであります。元の宮殿であります。それについては観光的に見せてるところはございますが、それはちょっと事情が違うかと思います。で、日本としても近代の、国民とともにあられる皇室ということを考えて、いたずらに国民を遠ざけるというような考えはございませんのですが、ただ、宮殿の中になりますと、じゅうたん敷いたりしたところを一々入られてもよごれまするし、いろんな行事もございまするし、それは避ける。ただ、この宮殿ができますと、いま赤坂御用地で、あそこは御苑で園遊会なんかやっておりますが、まあ園遊会にかわる宮殿内でのレセプションというようなものを考えたらどうだろうと。そうしますと、普通のむずかしい儀式だけでないので、相当各界の功績者とかいうような方も、地方からも多数参列されるわけですから、そういうような方も宮殿の中のレセプション、茶会のようなことをすれば中まで入ってごらんにもなれるし、宮殿の中でもそういうもてなしをやられたらいいんじゃないかと、そういうようなことを考えております。
  157. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、宮内庁から提出していただいた資料によりますと、お住まいについては、昭和三十五年七月の起工で、鉄筋コンクリートづくり、洋風二階建て、延べ千三百五十八平方メートル、簡素ながら近代的設備を備えた快適な建物で、昭和三十六年十一月に完成し、吹上御所と命名された、こういう説明がついておるわけですが、どうもこれだけでは全貌を理解しがたいので、この機会にいま少し具体的に補足説明を願いたい。
  158. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮殿のことでございますね。——宮殿のほうの関係の一番中心になるのが正殿でございまするけれども、正殿のところがちょうど全体のまん中あたりになります。それから二重橋のほうから入ってこられるそのあたり、ずっとありますのが休所、つまり控え室、並びに大広間、その先のほうには大きな宴会ができる大食堂があります。大食堂の先には小食賞ができます。その横に、正殿の裏のほうになりますところに、両陛下が公のお仕事をなさるためにお出ましになるお部屋がございます。時によって謁見なんかもなさる、そういうようなかっこうになるわけであります。建物全体としますと、外国宮殿のようにいろんな装飾がごてごてついているというようなのではなくて、さっぱりした清楚な感じのものというか、そのほうが明るくて親しみやすいというような構想でいっております。したがって、この大きな、時によると、各部屋には全部壁画のようなものが張られるのかというようなことを聞かれまするけれども、この壁につづれ織りが張られるのは大食堂であります。そのほかの部屋で額のかかるところが、ロビーの、入ったところに大きな絵を置くというところはございます。しかしながら、普通の各部屋は何も飾りがないのでございます。さっぱりした部屋というようなつくりで考えられているわけでございまして、どちらかというと、明治宮殿というよりも、古い京都御所のあの感じに似ております。かっこうは違いますけれども、飾りがない。昔の宮殿というのはあまり飾りがなかったものですから、昔のそういう宮殿の基調で、清楚な感じにでき上がる。しかしながら、建物自体としますと、各部屋とも天井も相当高うございますし、お入りになれば、のんびりしたお気持ちになれる、窮屈でないという感じで、ゆったりした部屋をそれぞれかまえるというような考え方でやられております。まあそういうようなことでございます。
  159. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、皇居造営の資に充てるための器付についてお伺いしたいと思いますが、宮内庁長官の定めるところによって国がそれを受ける。これは閣議決定でそうなっているわけですが、この寄付金はいかなる部門に充てられるのか、また、最近の総計額はどの程度になっているのか。この前御説明いただいたのは、四十一年二月二十八日現在で、六千四百三十二万円、延べ人員で十五万百十人、こういう御説明を昨年いただいたわけですが、現在はどのくらいになっているのか。それから寄付受付については締め切りの期限があるのではなかろうかと思います。もしあるとすればそれはいつなのか。それからこの寄付については金銭のほか品物もあろうかと思うのでありますが、その辺の事情について、これは昭和四十一年二月二十八日現在七件の物品の帯付があった。それはどういうようなものでどういうところにお使いになったのか、こういう一連の各項目別に、あわせてお答えいただきたい。
  160. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この番付は五月三十一日現在のが一番新しいところで手元にありますが、金額で七千九百三十七万三百四十一円というような端数までついております。人員は十六万四千七十五人ということでございます。この寄付につきましては、いつまで受けるかということでありますが、これは宮内庁長官の定めるときまでというのですが、四十三年のある時期には締め切ったほうがいいと思います。使うことができないようになるといけませんから。なお、この金額をどういうふうに充てるかといいますと、これはすぐ宮内庁のほうに充てるというよう——これは宮内庁が保管しているのじゃございませんので、一応はこれは国庫債務、雑収入で、大蔵省の管理のほうへ入っておるわけであります。で、やはりこれは予算を通して使うという形になります。そこで、四十三年度、最後の年度で、ちょうどこれに見合うようなものを考えたらどうかということで、現在、これは確定とお考えになるとちょっと困る点がございまするけれども、単に話題になっておるのを申し上げますると、宮殿の前に照明塔のようなきれいな飾りのようなものを置く、そういうようなものにするとか、それから、二重橋から宮殿へ入る前に、普通の門とは違いまするが、ちょっと形をつけるための門のようなものをつくるとか、そういうような経費、あるいはそのほか、中庭に照明の、かがり火とも違いまするけれども、そういうようなものを置くのにするんだとか、いろいろそういうような、これは確定でありませんからそうなるとお約束するわけじゃございませんが、そういうようなことを話題に出しては討議をしておりまして、これは最終年度にきめるわけでございます。まあそういうことでございます。なお、物のほうの関係は、そこに何件かございまするのは、これは吹上御所の、陛下のお住まいをつくる際に寄付があったものであります。宮殿については、物として寄付を受けている分はまだございません。しかしながら、こういうものを寄付したいが、という申し出のある向きがございます。一つの例を申しますと、全国知事会で、御殿の中へつくる飾りのつい立てのようなものがございますが、そういう物で寄付したいというようなことを言っておられるとか、そのほか二、三ありますが、これはいま一応のお話がありますけれども、最終年度で納められることになるかと思います。
  161. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、皇居東側地区について、これは皇居付属庭園として整備して、宮中行事に支障のない限り原則として公開すると、これは閣議決定になっておるわけです。そこで、お伺いしたいのは、この宮中行事に支障のない限りと、これをいま少し具体的に御説明いただきたいと思うんです。それと、付属庭園としての整備状況は現時点でどの程度進んでおられるのか、こういうこともあわせて御説明いただきたいと思います。
  162. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この宮中行事に支障ない限りという宮中行事の関係は、一番はっきり考えられまするのは、将来この付属庭園の、旧本丸あとのところ、広い芝生を中心とした庭がありますけれども、そこで園遊会を行なったらどうかということがございます。そういう場合は公開はできないわけであります。なお、そのほか、宮殿に大きな行事がある場合に、宮殿の前に地下の駐車場もございまするけれども、そこだけで収容し切れないような場合には東側のほうへずっと車を回してそこで待っておってもらうというようなこともあるかと思います。それがやっぱり支障のある日になるかと思います。あるいはそのほか、特に両陛下のほうで東側の地域で何か催しものをされるとかいうようなことがありますと、そのことも支障があるわけですが、特にどうというようなことも具体的にははっきり申し上げる段階ではございませんけれども、そういうこともあるんではないかということ、園遊会以外の何かあるんじゃないかということも考えられるわけであります。そういうような支障のあるとき以外は一般に公開する。これは昼だけであります。夕方までにはみんな出ていただくということになります。で、その東側地区の庭園化の進行状況でありますが、現在のところは、そこへいろいろ植える木などは全部植え終わっておる、おもなところは全部植え終わっております。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 それから、庭園化の中心になるところとして、旧本丸あと、江戸城の本丸のあったあと、これはずっと地ならしから木の植栽から終わって、あとは芝を張るだけになっております。それから、その下の二の丸のところ、二の丸庭園、これは江戸城時代にここに小堀氏が何かつくったとかという庭園があったのが、明治ごろにはもうこわれておりました。それを今度の東側整備の機会に、江戸城時代の昔の古い図面があったものですから、そういう図面を基礎にいたしまして復元をいたしました。その復元はもう昨年にもできております。それからその周囲ができております。周囲でその後まだできていないのは、以前馬場だったところですが、馬場のところは、宮殿の工事をするための材料置き場に使っております。そういう材料置き場としてどこか必要だということで、その材料置き場になっておる関係上、周囲のところはあまりきれいじゃないんですけれども、その材料置き場になっておるところも、この夏ぐらいには材料置き場にしなくてもよくなるかと思います。そうしますと、今度、秋ぐらいからその周囲の整備されていないところも整備されていく。それで、本丸と二の丸は四十二年度一ぱいでおおむね庭園化ができるということで、四十三年度には、その庭園の中にいろいろ施設をする必要があります。休憩所ですとか、いすを置くとか、そういうようないろいろこまごました施設を四十三年に入ったらばつくる。そうしますと、これも四十三年の秋には、本丸、二の丸を区域とした部分の庭園は一応完了いたします。そうしますと、秋には一般に公開ができるようになるだろう。一応完了ということばを申しましたのは、最初の計画ですと、そのほかに、三の丸の地区、現在恩給局の分室ですとか、内閣文庫ですとか、それから皇宮警察の済寧館だとか、あそこも庭園化する計画であったのでありますけれども、しかしながら、恩給局にしても、内閣文庫にしても、なかなかそう簡単に移転がはかどらないものですから、それが全部できるまで公開を待つというのもこれもどうかというので、おもな点、本丸と二の丸のあと、おもな点ができたところで、それだけで一応できたものとして一般に公開する、それが来年の秋という考えであります。
  163. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、東側地区については、皇居の付属庭園として、宮中行事に支障のない限り——その宮中行事の面についてはいま御説明がありました。そういうワク内では、一般国民に対して連日、もちろん一定の時間の制限等は設けられるでありましょうけれども、そういうことで一般に公開することを原則とすると、そういうふうに理解していいわけですね。
  164. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) そのとおりであります。したがって、一年のうち大部分はもう公開をされているということになると思います。
  165. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、時間の制約もございますから最後に一点だけお伺いいたします。宮内庁長官については、まあいろいろお伺いしたいことがあるわけですが、これは一点だけお伺いしておきたいと思うんですが、長官は、国会出席されるとき、政府委員ではなくして説明員ということになっておるわけですね。このことをお伺いしたいわけですが、次長は政府委員として出席されておると、その他の方も。なのに、長官がいわゆる説明員でということはどうもおかしいと思うんですが、もとより、長官は陛下の側近として常時陛下のおそばについておられる、そういう特殊使命のあることは私どもよく理解しておるわけです。そこで、長官が常時陛下の側近におられることはわかりますが、だが、しかし、国会でどうしても長官の出席を欠くことができない、そういう強い要請があり、かつ長官自身にも時間の都合がついたときには国会出席されるわけで過去にも当委員会に何回か出席されたこともあるわけですね。そういうたてまえから言えば、どうでもいいようなことですが、どうもおかしいので、この際お伺いしておくわけですが、やはり政府委員としておいて、長官の使命は陛下の側近としての特殊な使命を持っておられる、そういうことはだれも了解しておるわけですから、ことさら説明員としないでも政府委員として一向差しつかえないと思うのですが、この辺のことについて、こういう機会にお伺いしておかぬと、なかなか機会がないので一言だけお伺いしておきたいと思います。
  166. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) その点はいま先生もある程度おわかりになっている点をお話しになっておりましたが、宮内庁長官は陛下のお仕事のお手伝いの関係、いろいろの関係でいつなんどき御用があるかもしれないというので控えているわけです。陛下に呼ばれて毎日行かれることもあるわけであります。そういうようなことで、国会のほうの関係政府委員になっておりますというと、用があるときには万障繰り合わせて出てくる義務も伴うようなふうにも考えられたりしまして、一応政府委員にはならないということで、しかし、いまおっしゃったように、宮内庁長官で出てこなくちゃいけないような場合には、しかも陛下のほうの御都合等も差しつかえない場合においては、出席をしていろいろお話を申すというような、一応現在そういうたてまえになっているわけです。このたてまえを変えるかどうかという問題については、他の委員会でもお話が出たりしまして、内閣のほうとも御相談したりしたことがございますが、しかし、やはり現状どおりでいいんじゃないか、ぜひ必要な場合で、都合がつくときには出るというんだからそれでいいじゃないかということで、そのままになっております。
  167. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  168. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を起こして。
  169. 北村暢

    ○北村暢君 それでは稲葉君が来られるまで私が。  私は職員の待遇問題について昨年から予算委員会、決算委員会等で質問してまいりましたが、それの待遇の改善策について御質問いたしますが、まず第一番目に、宮内庁は特殊な役所であるために、非常に一般の国家公務員等から比べるというと、職員の平均年齢が非常に高い。特に五等級、六等級のところでは頭打ち傾向が非常に強くなっているのでありますが、これは人事院でも特に配慮をしてその改善のために努力するということを言われておりましたが、この点についてどのように改善がされてきているか、この点、第一点としてお伺いいたします。
  170. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) ただいまの御質問お答えいたします。  ただいま仰せになりましたように、人員について年齢構成が一般の官庁とだいぶ違っておりまして、年配者が多いということは確かでありまして、そのために給与が頭打ちになっている者が多いということで、その待遇改善に苦心しているわけでございますが、毎年逐次人事院に等級別定数の格上げを要求いたしまして、逐次改善はされてきておる状態でございます。本年度も昨年度に比べては改善してきております。
  171. 北村暢

    ○北村暢君 改善されていると言うが、一体どの程度改善されているのか、それはこまかい数字でなくていいですから、大体のところでいいですから、どのくらい要求されて、どのくらい解決されているのか、そこら辺をひとつ御説明いただきたいと思います。
  172. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) ちょっといま手元に等級別定数の増加分がございませんのではっきりわかりませんが、後ほど調べまして。
  173. 北村暢

    ○北村暢君 それでは前の四十一年の七月一日現在のは私は持っておりますから、その後のほうは資料として出してください。  それから次にお伺いしたいのは、宿日直と超過勤務手当の予算の問題でお伺いしますが、宿日直は職員の数からいたすというと非常に多いのですが、この問題について宿日直の関係の改善をひとつやったらどうかという意見を出しておったのでございますが、この点についてどういうふうに措置されているか、ということは、超勤で処理すべき筋合いのものが、宿日直というような形でやられておる。正常の業務であって超過勤務で当然支払われるべきでないかと思われるものが宿日直の中でやられておるという点ですね。この点については、人事院でも検討するということになっておったのですが、これは一体どのよう措置されたか。  それからもう一つ、超勤予算はどうも他官庁と比較してよくないようですが、特に自動車関係の勤務者については、超過勤務手当は七〇%程度しか支給されていないということを聞いておるわけですが、こういう面の超過勤務の予算はどういうふうに改善されておるかお聞きいたします。
  174. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この宿日直の超過勤務の関係の点でございますが、宿日直をしながら平常の勤務もするということは、宿日直の性質じゃなくて、超過勤務じゃないかという点、この点は人事院のほうともいろいろ打ち合わせをしまして、そういう場合には宿日直のほかに、その働いたその時間については超過勤務をつけるということになって、四十二年度、今年度からはそういうふうに改善をいたしました。それから超過勤務手当の不十分な点、これは昨年までは本庁の一人当たりが月十五時間となっておりましたのを、四十二年からは十八時間、平均で三時間、つまり二割ふやしてもらいました。それによっていま仰せになったような超過勤務したにかかわらず、超勤手当等がもらえないということのないようにつとめることになったわけであります。その金額としては、昨年より約一千万ばかり超勤手当の予算がふえました。
  175. 北村暢

    ○北村暢君 宿日直と超過勤務の関係についてはそのように改善されたんでありますから、これは非常にけっこうだと思うのですが、旅費予算ですか、旅費予算もこれはあの決算委員会の当時質問したときには、どうも実態がはっきりわからないようでございましたが、たとえば営繕関係ですね、こういうようなことで出張をされて、設計その他について業務で出張せられる場合にも、そういう面の出張旅費というのは非常に切り詰められているというふうに言われているんですが、そしてそれが宿泊した場合の旅館の宿泊料の領収書までもらってこなけりゃなかなか実費支給してもらえない、こういう実態があったようですね。ところが、その説明の際に、そういうのはないんであって、いわゆるお供をしていかれる場合に、高級な旅館へ泊まって宿泊料が非常に高かった、一般の旅費でまかなえないものについてはこの領収書をもらってきて払うんだ、そういうふうに言われておったんですが、答えられておりましたが、そうではなしに、一般の場合であっても領収書等もらってこなければ支給をしない、こういう点があるように私は聞いておるのですがね。そういうことが実際ないのかどうかということ、この点をひとつお伺いいたしておきます。それはなぜかというと、お供の方の、供奉の旅費等は、これはどうしてもかかるので、そういう一般的な出張というものについてはとかく切り詰められているというふうに聞いておるのです。そういう事実はあるのかないのか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  176. 野本松彦

    説明員(野本松彦君) ただいまの、一般の仕事の場合に旅館に宿泊した場合に、証明書がなければ旅費を支給しないというのは、ちょっと私もどういう場合かはかりかねるのでございますけれども、とにかく京都等に行きまして、宮内庁の施設に泊まるような場合には、特定の旅費を支給いたしておりますが、原則はそういう施設のあるところに行く場合にはそこに泊まるということで、ただし理由があってそこに泊まれないという場合には、一般の旅館に泊まるという場合もあるわけでございますが、その場合のことをさすのではないかとも考えられますが、普通の場合に、何でもかんでも出張して泊まった場合に、領収書を出さなきゃいかぬということはないはずでございます。
  177. 北村暢

    ○北村暢君 なければけっこうなんですが、私はあるように聞いておるわけです。一般業務の旅費というのがはなはだしく不十分であるということ、先ほど言った営繕でね、どこどこの——那須なら那須の御用邸の修理をするために設計に行くと、見に行かなければならぬというような、そういう面の旅費というのは非常に制限されておる、こういうふうに聞いておる。これはひとつあれば改善するよう要望しておきます。  それからいまの特別旅費というのは、私はあることを知っておるわけです。特別旅費というのは御用邸にお供に行ったときの施設に泊まる旅費ですね。あれは制限されておるわけですね。あの旅費が非常にまたこれは不十分なんですね。やはり避暑に行かれているときに行っているのは、これはわりあい長期にわたって一緒のところへ行くのですが、あのときに行かれた人は自炊生活をやらなければならない、そういう事態、まあ葉山なら葉山の御用邸に行かれた際におつきで行く者は全くの自炊生活をやるくらいしか旅費を与えられないのですね。そういう実情を御存じなのかどうなのか。非常に、行っても炊事をやってくれる人もいないところへ泊まらなければならない、建物だけはちゃんとあってという事態ね、こういうのがあるのです。そして特別旅費ですから非常に安くて、一般の旅館に泊まるなんということはもちろんできるような旅費じゃない。そういう点は特別の旅費で制限しておるということがあると言われるのですが、これは制限し過ぎてまた非常に迷惑なんですね。そういう事態があるのですが、これはやはり非常に不満がございますね。まあ言えない不満なんだろうと思うのですけれども、非常に不満があるようでございます。したがって、これは特別旅費ということで極端に制限しておるということについては私はやはりもう少し改善する必要がある。一週間くらい別居——男だけで行くわけですからね、それはもうたいへんなんですよ。行かれた殿下のほうは、それは避暑に行かれるのですけれども、職員は苦労しに行くような結果になるのですね。あれはまことにぐあい悪いと思いますから、これはひとつ改善をしていただきたいと思いますがね、どうでしょうか。
  178. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) こまかい数字の点はまたあとから必要があれば担当者から申し上げますが、以前いまおっしゃったようなことに近いようなことがありました。私なんかもやはりときによると御用邸のほうへ行って泊まることもございます。そういう場合も自分でも体験するわけですが、旅費が非常に窮屈で、自炊といいますか、以前いつもそういうときには、だれか人を雇ってつくってもらったりしておったこともございます。そういうよう関係で相当窮屈で、ほかの役所あたりから見ると相当窮屈なこともございましたが、それはだんだん改善し、特にたしか昨年度からは金額も、総理府のほうで一応基準があります、総理府の他の職員とその基準の線に合わせて上げましたわけです。そうしましてからは、いまおっしゃるようなことはなくなってきておるはずであります。これは特別の旅費というのはなかなかむずかしいので、一応旅費は、実費弁償という性質のものですから、実際に要った経費を弁償するという性質のものですから、御用邸の施設に泊まりますれば、結局実費であればいいということで、宿泊の方に実費分の程度のものは出るようになっております。そのほかに日当が出る、それは普通の日当じゃなくて、日当の半額だと思いますが、以前は、その日当も非常に少なくて、いわゆるタバコ代になるかならないかというようなことだったんですが、それは昨年の四月からは改善をされております。
  179. 北村暢

    ○北村暢君 この点も私要望しておったんですが、改善せられればけっこうですが、総理府の旅費と一緒にしたということは、日額旅費にしたということですか。
  180. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) まあ総理府のほうの人の日額旅費というのがありますが、それと同じなんですが、なお私が言いましたのをちょっと訂正しておきますが、日当は半額じゃなくて、全額に直したということです。
  181. 北村暢

    ○北村暢君 そういうふうに改善せられればけっこうなんですが、どうも宮内庁にふさわしくない実態がやはりあったようですね。これはやはり改善をしていただく。  それから陵墓の巡回旅費、これも実態があまり把握されておらなかったようでありますが、説明によれば、そういう遠いところには、管理ができないようなところには置いてないのだというようなことでございましたが、実際にはだいぶ陵墓のことをやっておられる方の仕事というのはなかなかたいへんなようです。ということは、施設が非常に荒れているというのですか、荒廃しているために、その維持のために非常に個人的な負担までして努力しなければならないという問題があるようであります。ですからこれはひとつ陵墓の人の日額旅費、これが普通制限されているようなことがあれば、これはないようにしてもらいたいのですが、日額旅費というのは、大体やはり巡回する際においても、しばしばになりますというと、だいぶん制限されるようなことがどこの役所でも出てきている。これは一体どのように改善されているかどうかということですね、この点をお伺いいたしますが、総体的にいって、旅費、予算というのが、だいぶん改善されたようですが、予算的には一体四十一年度と比較して四十二年度どのくらい改善されておるか、この点ひとつお伺いしておきたい。
  182. 並木四郎

    政府委員(並木四郎君) 巡回旅費についてまずお答え申し上げますが、陵墓の巡回旅費は、昨年の四月一日から総理府の規定に全く同じでございます。宮内庁の特別のものはございません。予算の総額につきましては、昭和四十二年度の予算は、四十一年度の予算に比較いたしまして約百万ふえております。この中には調査旅費、管理旅費、地方連絡旅費、供奉旅費、国際親善旅費、全部含めまして、総体で百万ふえております。
  183. 北村暢

    ○北村暢君 改善されて百万ふえたんじゃたいしたことないようですね。これはいずれにしても旅費は実費というたてまえだということですが、たてまえはそうなっておりますけれども、やはり規定のとおりに払うというのはあたりまえのことですから、結局予算の範囲内でしか旅費——出張命令を出さないということになるんですよね。したがって、仕事に熱心なあまり、命令以外に一日延びたりして出てくるというようなことまでやらなければならないくらい実は非常に切り詰められた旅費予算になっているということは実際のようですね。ですからこれは、いま総体的に言って連絡旅費から国際旅費まで入れて百万ふえたというのではたいしたことないんで、実際にはこれはやはりだいぶ旅費というのは苦情の多い点ですね。したがって、これは、まあ実費のたてまえだけれども、ひとつ規定に基づいて払えるように努力されるということ、これはひとつ要望をしておきたいと思います。検討をしていただきたいと思います。
  184. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  185. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。
  186. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 三里塚の牧場が栃木県の高根沢町のほうに移転するというような、移転ということばは別として、その話があって、空港公団のほうで買収に当たっているわけですが、その間のいろんな問題が何か難航しているということもちょっと伝えられているようですが、その点は、いま実情はどういうふうになっているんですか。
  187. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 三里塚の御料牧場というのは、あそこに新東京国際空港ができますので、あの牧場を一応廃止して他に新しいものを設けなくちゃいけないということで、その新しい土地をどこにするかというので、第一候補として栃木県の高根沢、芳賀町にちょっとわたりますけれども、これを第一候補地としているわけであります。すでにその第一候補地の高根沢あたりの方に対しては、空港公団がその買収の話を進めているはずであります。で、その高根沢方面では、そこへ御料牧場を置くということについての反対はないようであります。最初のころにごくわずかですが、何か十数名か反対の方があって、反対同盟というものができたそうでありますけれども、いよいよ具体的に、私も視察に参りましたけれども、視察に行きまして、第一候補地にするというふうに内定をした際には反対同盟は解消になりまして反対はない、あとは幾らで買ってもらえるかという交渉の問題になるということで、いま幾らでその土地を買収できるかという問題は、これは空港公団がやることになっておりまして、空港公団がいま当たっております。その中へ栃木県の横川知事も入っていろいろあっせんもしておられまして、価格の点でだんだん歩み寄ってきておられるということで、特別にむずかしそうな点はなさそうですけれども、歩み寄りはまずできるのじゃないかと私は見ておりますが、これはわかりませんですけれども、それを期待し、そうあってほしいと思って見ているわけでございます。
  188. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは空港公団が買収するんですか、空港公団の予算でやるわけですか。それを宮内庁のほうにどういう形で移管というか、何というかするんですか。
  189. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは空港公団が一応買収して新しい牧場をつくるわけであります。そのできたところを今度宮内庁というか、国のほうがそれを買い上げる形になるわけでございます。一方三里塚のほうの御料牧場の用地でどれぐらいがかかるか、幾らかの部分が、大部分ですけれども、空港敷地になりますから、空港公団のほうが国のほうから買うわけであります。空港公団は三里塚のほうを買い、それから今度それを新しく牧場をつくった分を国へ売るということですけれども、実際は要するに現物交換になってくるんですが、売買の形式を一応とるわけです。形式は売買ですけれども、一方三里塚のほうを買って、新しくつくったところを国へ売る。しかし、交換という形でいく。その間に差金がありますと、その差金が国のほうの分が多ければ国がもらう。公団のほうが多ければ公団へ払う。公団から国のほうへ幾らか払われることになるかと思います、差金を。そういう形でいくんで、国のほうの予算としますと、本年度の四十二年度の予算が債務負担行為ということで、二十二億円というのが新御料牧場の買収の経費として載っておるわけでございます。これは債務負担行為で現実の支払いは四十三年度または四十四年度、完成したときですから、ということになって予算書に載っている、こういう形でございます。
  190. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その二十二億で御料牧場というのは、よくわかりませんけれども、三里塚は昔行ったことがあるんです、見学に。行ったことがありますけれども、三里塚のほうと今度のところは規模が違うんですか、今度のほうが小さいんですか。
  191. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 三里塚のほうですと、四百三十九ヘクタールあるわけです。今度のほうは約三百ヘクタール、面積は狭くなりますが、いろいろ合理化をしていけばそれだけの狭い面積でもやれるということでございます。ただし、その三里塚の三百四十九ヘクタールの全部が空港用地になるわけではないのでありまして、空港用地になりますのはそのうち三百十九ヘクタール、約三百二十ヘクタール、残った分はどうなるか、残った三里塚の御料牧場のほうの土地は、土地を買収されたので代替地がほしいと言っておる農民の方もおられます。そういう代替地のための用地などになる。
  192. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、三里塚のほうは一たん国といいますか、そこへ返還するという形はとるわけじゃないんですね。
  193. 手塚良成

    説明員(手塚良成君) 三里塚の現状は宮内庁の行政財産でございます。そこで公団がそれを譲り受けますについては、そのままでは譲り受けができませんので、一応財務局のほうへ普通財産で宮内庁からお出しになるわけでございます。財務局のほうからこの普通財産を公団が払い下げを受ける、こういう形式をとると思います。
  194. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、高根沢のほうの新しい御料牧場が完成するまでの法律的な手続というか、それはどういうふうになるんですか。特別な法律手続は要らないんですか。でき上がって、そうして空港公団が買収するので、それを宮内庁の行政財産にするんですか、それまでの手続が要るわけなんですか、それはどういう手続をとるのかということが一つと、その場合には国会の議決とかなんとかいうことは要らないわけですか。
  195. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この新しい牧場ができますと、それを一応国、特に予算の面で載っておりました宮廷費で買うかっこうになるわけですね。宮廷費のほうの予算が四十三年か、四十四年に載ってくるわけです。それで買うという一応形式をとりますから、その予算の面で国会のほうの一応審議にかかります。しかしながら、その土地を皇室用財産として取得をするということにつきましては、予算で議決を経ているものについては、またあらためて皇室用財産として取得の国会の議決は要らないわけであります。
  196. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、大体の見通しはあれですか、高根沢の買収価格が空港公団のほうの予算と、それから地元の地主が言っている価格の間に開きがいまあるわけですね。知事が中に入ってまとめようというような話はありますけれども、これは歩み寄って何とかまとまりそうな見通しだというふうに宮内庁は見ているわけですか。あるいは宮内庁は直接タッチしないから、空港公団でも、運輸省のほうからでもいいですが、そこはどうなっているんですか。
  197. 手塚良成

    説明員(手塚良成君) ただいま高根沢の実情につきましては、先ほど次長のほうからお話のございましたとおりの現状でございまして、公団が実は直接買いに出ておりますが、問題はいま申されましたような価格になっております。大勢といたしましては、格別な反対というものはないように聞いておりまして、価格におきまして、先生おっしゃるように、地元においてはできるだけ高く売りたいし、公団もある一定の予算内で買いたいということでございます。現在のところでは若干の開きがあるわけでございます。ただ、この開きにつきましては、それほどたいした開きとはわれわれは考えておりません。この買収にあたりまして地元の知事あるいは町長の地元の御関係の方々も間に入っていただいておりまして、皆さんとのお話もこうした協力体制のもとにまず一応公団の立場あるいは地元の皆さんの立場という形で調整のとれた価格で契約ができるのではないかというふうな見通しを立てております。
  198. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 そうすると、今度のところはだいぶ横へ入っていますね、東北線の沿線から。道や何かだいぶ悪いでしょう。舗装なんかもしていないようなところもあるように思いますがね。そういう道路の関係なんかはどこがどういうふうにやる計画なんですか。
  199. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この牧場へ行くまでの道路の関係のことについては、栃木県の知事の言っておられるところは、県が大いに協力するというふうに言っておられます。
  200. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  201. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  宮内庁法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  202. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三十一分散会      —————・—————