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1967-06-20 第55回国会 参議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 中村 英男君                 前川  旦君                 多田 省吾君    国務大臣        法 務 大 臣  田中伊三次君        運 輸 大 臣  大橋 武夫君    政府委員        宮内庁次長   瓜生 順良君        皇室経済主管  並木 四郎君        法務大臣官房司        法法制調査部長 川島 一郎君        法務省矯正局長 勝尾 鐐三君        運輸大臣官房長 町田  直君        運輸省海運局長 堀  武夫君        運輸省港湾局長 佐藤  肇君        運輸省鉄道監督        局長      増川 遼三君        運輸省航空局長 澤  雄次君        海上保安庁長官 亀山 信郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        運輸省航空局管        制課長      泉  靖二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○宮内庁法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案の質疑を続行いたします。関係当局からの御出席は、大橋運輸大臣、その他政府委員の方々であります。御質疑のある方は、順次御発言願います。  速記をとめて。   〔速記中止
  3. 豊田雅孝

  4. 前川旦

    前川旦君 設置法の問題、この法案に入る前にちょっと最近の問題、大きな問題につきまして大臣一つほどお伺いをしておきますが、最近海運業界でたいへん問題になっておりますのが、例の倒産をいたしましたアメリカ船会社、セイバー・ラインというのがありましたが、そこからいま訴訟を起こしているはずなんです。この訴訟について、日本海運界はこれをどう受けるか非常に苦慮しているようでありますが、どういうふうに運輸省としてはこれを御指導なさるおつもりか、大臣にお伺いしておきます。
  5. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 日本及び香港からアメリカに行っておりまする航路に従事しておりまする日本外航船で構成されております海運同盟は、昭和三十七年から三十八年にかけまして、アメリカ・セーバー・ライン外数社が、海運同盟の定めておる運賃より低い運賃貨物集荷輸送を行ないましたので、これに対抗いたしまして雑貨、綿製品など四品目について運賃引き下げを行なったのでございます。その後、関係者の間に数回の運賃引き下げがございましたが、この間に、セーバー社は三十七年末、日本米国間航路、三十八年中ごろに香港米国間航路配船を停止することになりました。同社は三十七年十一月に同盟運賃引き下げについて、アメリカ連邦海事委員会に異議の申し立てを行ないますとともに、昨年の十月、日本米大西洋岸同盟及び香港米大西洋岸同盟を相手どりまして、アメリカの地方裁判所へ独禁法違反理由として損害賠償請求訴訟を提起いたしたのでございます。この事案の成り行きによりましては、海運同盟存立に重大な影響を及ぼすことも考えられますので、政府といたしましては、本件について重大な関心を持っており、事態推移を注意いたしておるような状況でございます。
  6. 前川旦

    前川旦君 これは大臣でなくてけっこうです。この裁判見通しといいますか、これはこちらが勝つとか負けるとかいうものも含まれましょうけれども裁判見通しについてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  7. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 裁判の勝つか負けるかというのは非常にむずかしいことでありまして、全く予想はできないと思います。ただ原告であるセイバー社の側から、示談をしようじゃないかという、そういう申し出は出ている。で、これに対してどう対処するか。これは、この問題の被告日本船会社だけではございませんで、数カ国にわたっておりまして、アメリカ海運会社自身被告として数社あがっておりますし、イギリス、ノルウェー、ギリシャ、デンマーク、フィリピン等相当数の国が被告としてあがっておりますので、この示談に対してどういう態度をとるかにつきましても、日本だけできめるべきかどうか、これも問題でございまして、やはりこれは関係各国とも十分態度を見た上で対処すべきところがあるのではないかと私どもは見ております。
  8. 前川旦

    前川旦君 国際運賃カルテル、これは運輸省としまして、このカルテルは今後やはり守っていく——これはまあカルテルは最近非常に国内で問題になっておりますが、物価の問題とからみまして、今後ずっとこれを維持していくお考えでしょうか、それともこれ若干崩してもいいというようなお考えがあるのか、その辺伺っておきたいと思います。
  9. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 海運同眼というのは非常に歴史が古うございまして、一八七五年英国がカルカッタ同盟運賃同盟というものを初めてつくったとき以来、非常に歴史的な存在でございます。これはこういう海運同盟というものはどうしてできたかと申しますと、やはり海運定期航路、長期的な安定維持というものをはかるためにこういうものがどうしても必要であるということでできてまいりまして、これは世界各国とも各航路について数多くの海運同盟がございます。言うなれば、国際カルテルとでも申しますか、こういうものの存在につきましては、各国とも非常に深い理解を示しておりまして、認めておるという次第でございます。ただ、アメリカという国は非常に独禁法思想というものを非常に重要視しておる国柄でございまして、このアメリカでも海運同盟そのものは認めておるわけでございます。ただ、いろいろな条件、一定の条件のもとに認めておる、こういうようなことでございます。われわれといたしましても、定期航路の安定ということをはかって、長い目で見て非常に安定した運賃でいいサービスができるという観点から、やはりこういう運賃同盟というものは今後も認めていきたい、かように思っております。それで運賃同盟できめる運賃の問題についてでございますが、これはもちろん不当に高い運賃というようなものがもちろんきめられるべきではないものでございますが、そういうものがあるときは注意をする、あるいはアメリカ関係同盟につきましては、もちろんそういうものは入るときに拒否される、そういうことでもってチェックされていくわけでございますので、われわれといたしましても、この同盟存立理由から見まして、今後ともこの同盟というものを認めていきたいと考えております。
  10. 前川旦

    前川旦君 大臣にお尋ねしておきますが、先ほどの政府委員お答えの中に、他の国にも全部関係がある、六カ国でやっていらっしゃいますから関係がありますね。そこで、各国情勢を見てというお話がありました。私ども、いつもそういう国際問題で政府の方に質問をすると、必ず各国情勢を見てという表現がいつも出てくるわけですね。日本としてはどうするのだ。それから各国協議する場合に、おそらくこれは協議なさるでしょう、その場合に、日本としての立場をどう主張するのだという主体的なものが一向に聞かれないということを非常にいつも不満に思うわけなんです。そこで、大臣どうなんですか。これは六カ国と協議をまずなさいますね。そしてその場合、日本としての意見というものをそこで言う何か試案というものをお持ちですか。
  11. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これはアメリカにおける民事訴訟でございまして、当事者は、日本海運会社、また関係各国海運会社共同被告になっておるわけでございますから、この訴訟進行にあたりましては、当然共同被告が相互に協議をして態度を決定するということは当然であろうと思います。その際においては、訴訟の勝敗ということよりも、やはり訴訟進行全体の利害ということが基礎になっておそらく態度が決定されるものと思います。私どもも大体各日本海運会社ばかりでなく、外国海運会社等もこうした問題については十分その辺を考慮して態度を決定されると思いまするので、会社同士共同被告としての相談がまとまるのを見ておるという態度でいきたいと思います。
  12. 前川旦

    前川旦君 新聞の報道するところによりますと、問題は民間訴訟の問題だけれども日本海運に対して与える影響は非常に大きいということで、業界も苦慮しておるし、運輸省もどう指導していいのか、業界運輸省に強い指導をしてもらいたいという気持ちがあるし、運輸省はどう指導するのか、民間ですからなかなか入れないし、たいへんジレンマにおちいっているということが新聞に出ておりますから、これはそれ以上私も本題とは、ずれますからこれはこれで置いておきます。  そこで、きょうの法案の問題ですが、運輸省設置法の一部を改正する法律案いろいろたくさんありますが、一番最後のところで非常に目立たなく出ている問題があります。一番最後のところに、八十三条の表中、いろいろ数字を変えるという、一万五千五十六人を一万五千二百五十二人にといろいろございます。その中に、一万一千二百三十六人を一万一千百三十四人に変えるという数字が出ております。これは減っておりますね。これは一体どのところがどういう形で減っているのでしょうか。
  13. 町田直

    政府委員町田直君) ただいま御指摘のございましたのは海上保安庁の項でございまして、海上保安庁の分で百二人減員になっているためでございます。
  14. 前川旦

    前川旦君 ほかのところは全部ふえているのに、海上保安庁だけ定員が百二名だけ減っております。そこで、さらにこの問題を少し質問したいと思います。まず第一が、日本港湾いろいろ船が来ますが、最近の荷動き状況、この上昇テンポをどうつかんでおられますか。ちょっと簡単でけっこうでございますが、上昇推移について御説明いただきたいと思います。——なかなか資料が出てこないようですから、お答えがないようですから、それはいいです。結局荷動きが非常に上昇しているというふうに理解してよろしいですか。たいへん大きなテンポ上昇している……。
  15. 町田直

    政府委員町田直君) ただいまここに数字がちょっとございませんのでございますけれども、おっしゃるとおり上昇しております。
  16. 前川旦

    前川旦君 昭和三十六年に港湾整備緊急措置法というものが制定されました。これに基づいて港湾整備五カ年計画というものが策定されたはずなんです。ところが、この五カ年計画が順調にいかなかったというお話を聞いておりますが、どうしてこれは順調にいかなかったのですか。荷動きの問題とからむわけなんですか。
  17. 町田直

    政府委員町田直君) 昭和四十年度を初年度といたしまして、四十四年度に至る五カ年間の港湾整備五カ年計画昭和四十年の八月二十七日に閣議決定いたしております。これはそのとおり現在進んでおりますけれども、おっしゃる御指摘のような、順調にいかなかったということではございませんけれども、その後の荷動き上昇その他がございますので、あるいは来年度あたりにさらに改定をしなければならないのではないかというふうに現在のところ考えております。
  18. 前川旦

    前川旦君 私がお尋ねしましたのは、昭和三十六年に始まった港湾整備五カ年計画のことをお尋ねしたら、あなたは昭和四十年から始まった第二次の五カ年計画お答えになりました。私が申し上げたいのは、第一次の五カ年計画がなぜうまくいかなかったんだ、その原因は何だ、手直ししなければいけなかったのはなぜか、こういうことを聞いているわけです。
  19. 町田直

    政府委員町田直君) 前に決定いたしました五カ年計画改定をしなければならなかったのは、海上荷動き状況が、前の想定よりも増加したということが主でございます。
  20. 前川旦

    前川旦君 これは、このとき、昭和三十六年に始まった第一次の五カ年計画が二年後の昭和三十八年にはもう、はやすでに目標であった最終の四十年度の推定貨物量に達したということなんです。だから手直ししたんですね。そのとおり考えてよろしゅうございますか。
  21. 町田直

    政府委員町田直君) おっしゃるとおりであります。
  22. 前川旦

    前川旦君 これを修正し、再スタートした四十年から、これは第二次といってもいいでしょうが、五カ年計画で早くも目標額を上回っているんじゃありませんか、いますでに荷動き目標が。だから手直しをしなければいけないということになっているんでしょう。ということは、この荷動きに対するあなた方のとらえ方に甘さがあったのではないかということを私は聞いているわけなんです。どうなんですか。
  23. 町田直

    政府委員町田直君) まだ現在のところ、先ほど御説明いたしました現在の五カ年計画改定するということを決定した段階ではございませんが、ただおっしゃるように、荷動き想定が前の予想よりもさらに上回っておるということは事実でございますので、そういう点を今後検討して、あるいは改定しなければならないかもしれないというふうに考えておる次第でございます。
  24. 前川旦

    前川旦君 今後港湾荷動きの量というのは予想以上に急ピッチで増大をしていくんではないか、これは識者はいわれておりますが、そのとおりやはり考えてよろしゅうございますね。
  25. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) お説のとおりでございまして、本年度におきましては、御承知のように、外貿埠頭公団法を提出いたしまして、さらに港湾整備を一そう促進しなければならないような状況に相なっております。
  26. 前川旦

    前川旦君 それではあわせてお尋ねしておきますが、荷動きの量が増大をする。そこから出てくるのは当然往来する船舶の数も多くなる。同時に、船舶一隻当たりトン数も大きくなる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  27. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) お説のとおり、船舶入港量は、四十年におきまして全国の港湾入港船舶が一千百二十万隻、これは三十一年に比べて隻数は丁二倍でございますけれどもトン数は二・二倍ということでございますので、一隻当たり平均トン数がおおむね倍近くになっておる、こういう状況でございます。
  28. 前川旦

    前川旦君 たいへん常識的なことをお尋ねしますが、普通いわれておることですが、タンカーがまた非常に大型化しておる。ついこの間も二十万トンタンカーが進水したことをニュースで見ましたが、ますますタンカー大型化していくという傾向——これは頭打ちだという人もいますが、これはどうなんですか。やはりますます大きくなって巨大化していくというふうに理解してよろしゅうございますか。
  29. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 運輸省としましては、ますます大型化する傾向にあるものと考えております。
  30. 前川旦

    前川旦君 保安庁長官見えておりますので、定員の問題と関係ありますのでお尋ねいたします。  最近の海難推移についてお伺いをしたいのですが、いろいろ言われておりますが、最近の海難汽船海難件数が多くなったというふうにいわれておりますが、それはそのとおりですか。
  31. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 相対的には汽船海難が多くなっております。過去におきましては漁船及び機帆船というものが海難件数としては多うございましたが、最近の一、二年の状況を見ますと、相対的に汽船の占める割合がふえておりますが、この汽船海難は大部分が五百トン前後のいわゆる瀬戸内等に多い小型鋼船遭難が多いのでございます。
  32. 前川旦

    前川旦君 油送船海難事故は大体横ばいのようですけれども、その中で具体的な海難に当てはめてみまして、油送船海難はやはり大型化していく、大型船舶海難が多くなっておる、こういうふうに理解してもよろしゅうございますか。
  33. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 油送船全体から見ますと、やはり小型沿岸タンカー遭難数が多いのでございまして、やはり外航タンカーの数は大体横ばいのようになっております。
  34. 前川旦

    前川旦君 ただいまの長官お答えですが、千トン以上の油送船について見ますと、四十年の七隻の海難に対して四十一年は十五隻、これは倍になっておりますね。しかもそのうちの十一隻は一万トン以上の大型船である。さらにその十一隻のうちの十隻は外国船だ、こういう資料保安庁から出ておりますから、これはやはり大型タンカー海難事故というものはふえていく傾向にあるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  35. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 数からいいますと、小型沿岸タンク船が多いわけでございますが、やはりわれわれが重要視しておりますのは、いま先生御指摘のとおり、一万トン以上の外航用タンカー事故でございまして、これは去年とことしでは、三十九年と四十年では四十年が増加し、四十一年はさらに増加するという傾向にございますので、これはことに十隻が外国船という事態には、われわれとしても非常に注目をし、これらの防止ということについて心を砕いているところでございます。
  36. 前川旦

    前川旦君 それじゃ船の問題でなくして、今度は海難地域の問題についてちょっとお伺いしますが、いま大型汽船海難の問題をお尋ねしようと思いますので、汽船にしぼって、日本近海で一番地域的に見て海難の多い地域は一体どういう地域になっていますか。
  37. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 一般に海難は港内が一番多い。港の中。それに次いで距岸三海里以内。距岸三海里以内と申しましても、私どもが最も注目しておりますのは、いわゆる狭水道といわれる地帯でございまして、東から申しますと、浦賀水道、それから明石海峡、それから瀬戸内来島、釣島両水道関門付近、この地点が最も海難の発生しやすい場所であり、現実に発生しておる。かつまた、先ほど申し上げました大型外国船、ことにタンカー等が出入するケースが非常に多いところでございます。私ども海難防止上の重点港湾内並びに狭水道といわれる、いま言った数カ所の地点を特に注目しておるわけでございます。
  38. 前川旦

    前川旦君 港湾と狭水道での遭難が非常に圧倒的に多いように伺いました。そこで、その海難事故、昨年一年の統計から、海難事故の非常に多かった狭水道、多い順から、大体どういうところがありますか。特に海難事故の多かった狭水道、五つくらいでいいですけれども、ちょっと教えてください。
  39. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 狭水道海難発生件数の多いところを四十一年について順序に申しますと、衝突と乗り上げ、これは狭いから起こるということでございますが、明石海狭は衝突三件、乗り上げ二十九件、これが一番多いのでございます。それから備讃瀬戸東部、これがやはり衝突、乗り上げ合わせて二十三隻、それから備讃瀬戸西部が十三隻というふうでございます。それに次いで浦賀水道の、十九隻と十七隻合わせて三十六隻というのが浦賀水道で、これで見ますと、統計で見ますと一番数が多いのでございますが、したがいまして、浦賀水道明石海狭、備讃瀬戸東部西部、それから来島海狭、こういうところが一番海難の多いところでございます。
  40. 前川旦

    前川旦君 それでは狭水道での海難防止対策として、具体的にお考えになっていらっしゃるのは、どういうことがありますか、これは長い説明でなくてけっこうです。項目別に、要領よくお答えいただきたいのでありますが、狭水道に対する海難予防策
  41. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 簡単に申しますと、狭水道における海難対策といたしましては、まず交通関係整備標識その他の整備でございます。第二点は交通規制強化ということでございます。それと同時に、水路測量精密化海潮流の観測の強化、こういう大きくいいまして四点をわれわれは重点事項としてやっております。
  42. 前川旦

    前川旦君 私一つ落としていることがあると思うのですが、水路そのもの改善はいかがですか。
  43. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 仰せのとおり、水路そのものを広げる、あるいは障害物を除去するという点がございますが、実は先ほど私が申し上げました浦賀水道明石海狭、備讃瀬戸備讃瀬戸は先般来、過去におきまして工事をいたしました。ところが、工事を私が落としましたのはわざと落としたわけではございませんで、この計画は、私ども港湾局でやって、港湾局工事実施者で、保安庁としては特に工事のことは落としたわけでございます。
  44. 前川旦

    前川旦君 それでは港湾局伺いますが、こういった狭水道というものは積極的にやはり拡幅したり増深したりしていく必要があると思うのですね。これは備讃瀬戸やっていらっしゃいますが、これはやはりあと来島海峡とかいろいろ狭水路ありますが、やはり方向としてはそういう方向考えていらっしゃるのですか。
  45. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 狭水道における海難防止の必要は焦眉の急務と心得ておりますので、今年度に入りましても、運輸省といたしましては、東京湾、それから伊勢湾、瀬戸内海、この地域における特に狭水道を対象といたしまして航路整備計画を至急に立案したい、さらに標識等の完備の計画を立てたい、この計画に基づきまして来年度から予算要求をしたい、そういうつもりで来年度の予算要求に間に合うようにこれらの狭水道根本対策をただいま調査中でございます。さらに今後の調査の進捗によりましては単に改善工事を施すだけではなく、航行の規制をやらなければならぬ面もあろうと思いますが、それにつきましては、来年の通常国会を目途として法案を準備したい。こういうことで、今年に入りましてから、運輸省としては調査を進めている段階でございます。
  46. 前川旦

    前川旦君 これは保安庁長官お答えいただきたいのですが、狭水道はいろいろありますが、先ほど言われましたいろいろな狭水道はまあ大体狭いから狭水道ですよね、これは当然でしょうけれども。比較的広いのは明石海峡なんです、幅の広いのは。ところが、先ほどあなた狭いから衝突事故がいろいろあるのだということをおっしゃいましたが、比較的広いですね、備讃瀬戸とか来島水道に比べて。明石海峡は広いのに一番海難が多いというのはこれはどういうふうに理解すればよろしゅうございますか。
  47. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 明石海峡は広いのでございますが、まず第一に交通量が一番多い。交通量の多さと事故はやはり比例するということが第一でございます。第二は、あすこは潮流が非常に激しい、変化の多いむずかしいところでございます。これが第二点でございます。それからややあの水道も湾曲をしておるというところ。この交通量の多いこと、潮流変化水道がやや湾曲している、この三点で明石海峡事故が多いわけでございます。
  48. 前川旦

    前川旦君 明石海峡は、これは潮流が引き潮、満ち潮ともにまっすぐ走らず、蛇行する。こういなずま型に蛇行するということを現地の漁船なり漁民なり、あるいはあそこを通った船長さんなり、みんな言ってるわけです。それともう一つ、あそこは急に切り立っておりますから、渦巻きが非常に発生する。それが非常に危険だということをあそこを通った人が言っておりますが、そのとおりですか。
  49. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) そのとおりでございます。
  50. 前川旦

    前川旦君 小型船はあそこで渦巻きに巻き込まれて乗り上げ事故が多い。ことに渦巻きの多いところはセメント瀬付近です。一番渦巻きの多いところですね。だから、大型船の船長であそこを通った人がこういう経験があります、私聞いてみましたら、かじの自由を一瞬失う、それはやはり渦巻き関係渦巻きが平等に発生しないで、大きな船体の一部に非常に強い影響を与える、そこで一瞬かじの自由を失う、四分か五分すればまた戻ってくる、それまで非常に首を振るんだと、あそこは非常にあぶないんですよと、そういう経験を持った人がたくさん船長の中にいるという話を聞きましたけれども、実際そういうふうに理解していらっしゃいますか。御存じですか。
  51. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 御承知のとおり、明石海峡における潮流の最強速力が七ノット、非常に強い潮流でございます。したがって、船舶それ自体の速力と潮流との関係で、速力が比較的低い場合にそのような支障も起こり得ると、私も船舶の航海のほうはしろうとでございますが、そういうふうに聞いております。
  52. 前川旦

    前川旦君 それでは長官、ついでに一つだけお伺いしておきますが、あそこでボーリングタワー、この数年建っておりますが、あのボーリングタワーが十数回も船に引っかけられて倒れている。ボーリングタワーというのはきわめて細い。海峡の中で、最近では十万トン以上のタンカーです、大井川丸。いま審判中のタンカーでしょう。これ、突っかけましたね。そういう事実、御存じですか。
  53. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 聞いております。
  54. 前川旦

    前川旦君 私は、問題を感じるのはですね、非常に危険だと言っている狭水道、たとえば浦賀、明石、備讃、それから来島、これがみんなですね、いま最近非常にジャーナリズムなり政府の中で問題になっているでしょう、いわゆる架橋ですね、本土と、あるいは東京湾架橋と。それが全部いまの地点に合致しているということですね。これは一番私は重大な問題であろうというふうに実は思います。  そこで、関門海峡の場合、これはことしからもう着工、あそこ、関門架橋は着工の予定になっていますが、この関門架橋、これはやれば建設省が主管になってやるんでしょうけれども、海上交通という立場から、もうすでにことしから着工でしょうから、現実の問題です。どういう一体御指導なり、それから規制なり、意見具申なりをなさいましたか。
  55. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 関門架橋につきましては、建設省から運輸省港湾局に意見を求められておりました。港湾局のほうで、正式には審議会を開いて架橋の工事についての意見を建設省にお答えをする予定になっておりますけれども、それ以前、現在も、この計画につきましては海上保安庁港湾当局の間では事務的にいろいろ検討をいたしております。ただいま御質問の点につきましては、われわれとしては、航路幅五百メーターにわたって一番潮位の高いところから橋の高さを六十一メートルにしてくれということでございます。これは大体この高さをとることは十分可能であるということでございます。で、現在計画されております橋脚は、陸岸に近い岩礁の上に立てられますが、この一番おもなものの間の距離が七百十二メートルでございます。五百メートルの可航水路でございますから、十分である、こういうことでございます。  なお、そのほかに、船舶の安全性をより高めるために、潮流の早い関門海峡に橋脚を立てる場合には、潮流がその脚の部分にぶつかって潮の流れが著しく撹乱されることがないように、その導流、うまく潮を導くという設計を考えてもらいたいということが第一点。  それから橋脚の表示をはっきり、昼間も夜もはっきりわかるような表示をしてもらいたい。橋げたにはっきりした航路の中央線と、一番外側と、ここから外へ出るとあぶないぞというものを、たまたま航路の上に橋脚が、橋がかかるわけでございますから、絶好のチャンスでございますので、その表示をつけてもらいたい。あるいは橋梁上に、行き会い船の通報をしたり、潮流の信号、つまり、東から流れておる、あるいは西から流れておるということの潮流信号を、橋げたの端のところへつくらしてもらいたい、これは非常に見やすくなるわけでございますから。  それから架橋にいろいろなあかりなぞをつける場合には、いま言った船舶航行上必要なあかりあるいは船舶それ自体の、法で定められたあかりとまぎらわしくないようなあかりにしてもらいたいというような、こまかい点につきましても港湾局に言うておりまして、港湾局としては、大体これを取りまとめまして、近く港湾審議会にかけた上で建設省に申し入れをする、かような手順になっております。
  56. 前川旦

    前川旦君 建設省のほうからちょっと私お伺いしましたところが、当初は航路の中へ橋げたを立てるというようなプランを持っていたらしいのですけれども運輸省なり、保安庁なりが、非常に航路の安全ということを強く主張されて、そのために変更して、橋げたをうんと陸のほうへ広げまして、そのかわりスパンを長くして航海に差しつかえないところまで後退をさせた、橋げたを後退させた、こういうふうに聞いておりますが、そのように強い御指導をなさったわけですね。そのとおりでございますか。
  57. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 交渉の経緯は私よく存じませんけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、現在あすこも港湾局の手で五百メートルの幅に掘っております、もう大型船の通行ができるように。だからこの五百メートルの間隔を十分維持してもらいたい。で、その五百メートルについては、大型船の通行場所でございますから、先ほど申し上げましたように、高さを、マストが引っかからないようにしてもらいたい。で、現在の計画では、両方とも沿岸近くの岩礁の上へ、船の通行にじゃまにならないようなところに橋脚を立てるというようなふうに聞いておりますので、この点は非常に喜んでおるような次第でございます。
  58. 前川旦

    前川旦君 これは大臣にお伺いしますが、狭水道対策としては、非常に運輸省じゃ頭を悩ましていらっしゃるというか、非常に慎重にいろいろ考えていらっしゃる。それはこの架橋の予定地点、いろいろの架橋の運動をする——これは予定というのは、運動をしている予定地点、そしてこれはいろいろな激しい陳情合戦をやっている、あるいは経済効果だとか、あるいは観光開発だとか。で、これは航路の安全という面から言うと、非常に苦々しい感じがすることもあるわけですね。非常にうわついた、うわずった議論じゃないかというふうに思うことがあるわけです。  そこで、大臣にお聞きしておきたいのは、これは原則論ですけれども、狭水道、たださえ危険で、みんな一生懸命規制をしたりなんかして、海難を予防しようとしている狭水道に、橋げたをやたらに立てるということ——これは原則論です。海中構造物を、人工のものをいろいろつくるという、これはいろいろ海流を変化させることでしょうけれども、好ましいことじゃないというふうに思いますが、どうでしょうか。
  59. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この架橋の問題は、プラスの面とマイナスの面が航海について考えられると思うのです。それは一つは、この狭水道に沿う交通と、それから狭水道に対角線に行く船の交通とがあるわけでございます。橋ができますというと狭水道を横断する交通というものはだいぶ自動車輸送に切りかわるという意味で、ある程度小型船の交通整理ができる場合もあり得ると思うのです。ただ、しかし、それよりもやはり問題になりますのは、御指摘になりました橋脚によって、水路の新しい障害物が設けられるという点でございまして、この点につきましては、今後の海運傾向としてのますます大型化、大型化になりますというと自然操舵もむずかしくなりまするので、できるだけ航路については安全率の大きな航路をつくらなければならない。そういう意味でますます航路の幅を拡大し、そうしてまたできるだけ海底の状況も良好にしなければならぬ。その場合に、それと逆行するような工作物ができてくるということになりますと、これは海上安全という点から慎重に検討を要する事項と思います。
  60. 前川旦

    前川旦君 保安庁が出している保安庁の白書、これは正式の名前は「海上保安の現況」、一番新しいのですが、これにはっきり書いてあるわけですが、九三ページです。「特に横断架橋等については、狭い水道内に橋脚をたてる等航行の安全に支障を及ぼすおそれがある」ということが文章になっています。これはこのとおりですから、ちゃんと出ている文章ですから。原則論として大臣にお伺いしたのは、しかも潮流の速い狭水道に人工構造物をつくるというのは、運航上望ましくないということを、原則論として、しているのじゃないか、こう思いましてお伺いしたわけです。原則論としてどうですか。
  61. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ほど申し上げましたとおり好ましくないのでございますから、これに対して、もしそういう計画があればわれわれとしての立場からは慎重に検討しなければならぬ、こうお答えいたしたいと思います。
  62. 前川旦

    前川旦君 この問題ももう一つだけであれしておきますが、架橋のルートをこれから決定をするためにいろいろ会議が開かれるでしょうと思います。その場合に、これは国家百年の計ですから、一つは、いま言われているのは土木、何と言うのですか、土木工学というのでしょうか、技術上可能だ、不可能だという問題、これが一つの柱。もう一つは、経済効果が二つの柱。二つだけが論ぜられておる。これはうわずった議論だと思います。私はもう一つの柱、航行の安全ということも一つの柱としてやはり考慮すべき問題じゃないか、そういうふうに思いますが、大臣、そういう態度でお臨みになりますか。
  63. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは私どもの立場からいうと一番大切な問題だと思います。
  64. 前川旦

    前川旦君 これを決定するには当然運輸省が参画なさるのでしょうけれども、たいへん重大な問題だとおっしゃいましたが、航路安全という面からその点の立場に立つ、航路安全の立場に立っての強い意見具申というものをなさるおつもりですか、念のためにもう一度お伺いしておきます。
  65. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私どもは当然そうすべきだと思っております。
  66. 前川旦

    前川旦君 それでは大型油送船事故の対策、これについてどういうふうに運輸省では対処しておられますか。一つは、事故防止という面が一つ、まずこれからお伺いします。事故防止の面からの大型油送船、特に狭水道を中心としての。それからお答えいただきたいと思います。
  67. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 事故防止の対策のうち狭水道における問題でございますが、狭水道全般について、先ほど申し上げましたように、基本的には航路幅、河口幅を広くする、障害物を除去する、大型タンカーの通行ができるようにする、標識整備する、これが第一点。第二点としましては、交通規制強化するということでございますが、大型タンカーにつきましては、航行経路をあらかじめ指定をして、かってなところを通らないようにする。あるいは航路を、狭水道につきましても一定の幅と長さを持った航路を必ず通れというふうに、航路、これは一定の幅と長さを持った水面でございます。これをつくりまして、その地域を必ず通行するようにする。右側通行を励行するように標識を置く、あるいは追い越し航海を制限する、あるいはさらに、その狭水道通行の速力制限を実施する。それから特に大型のものにつきましてはむしろ通行時刻を制限する。一番の交通ラッシュの時刻を狭水道においては避けていくということ、あるいは航路内においては、狭水道においては自力航行を禁止することも可能である。つまり大型タンカーは急にブレーキをかけましてもとまりませんから、引き船による航行を強制する。あるいはわれわれといたしましては、大型タンカーの通行地点における前路警戒を行なう。さらに将来の計画といたしまして、陸岸から航路の管制を実施する、管制と申しますか、援助を実施する。狭水道につきましてはそのようなことを考えておりますが、このうちで早くできることと時間のかかることとございまするが、やれるものから実行していくという態勢で臨んでおります。
  68. 前川旦

    前川旦君 先ほどから出ておりますが、航法の規制強化するということをいまも言われましがが、先ほども言われましたが、航法の規制強化するということは法を改正するということだけでしょうか。それともほかに何か考えていらっしゃいますか。
  69. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 狭水道にはある程度現在法的規制がある個所とない個所とございますが、私のほうは法制的な整備ももちろんやりたいというふうなことで準備を進めておりますが、法制的な問題以外には、やはりこの航路標識整備等により航海者に便利なように仕組むと同時に、行政指導によりまして、行政指導は各通行船の船長その他にいろいろな航法の、こういう航法が一統安全であるということの指導をいたしますと同時に、現場に警戒船、巡視船艇を派遣いたしまして、一般の海上衝突予防法に違反するような船のないように取り締まりを実施すると同時に、小型船等に対して大型船の通行を知らせる、こういうふうに行政指導の面では現在実行しておりますし、また今後ますます強化していくつもりでございます。
  70. 前川旦

    前川旦君 ただいまの答弁の中に、巡視船等を派遣するということばがありましたが、そういうことも強化していくという方向でしょうか。
  71. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 現在、浦賀水道は常時一隻行動をしております。それから瀬戸内海の水島地区に入ります大型タンカーにつきましては、当方の巡視艇で前路警戒戒交通指導を行なっております。今後も交通船が大型化し、かつ数がふえてまいりますので、この方面を強化してまいりたい。ただ、海上保安庁の巡視艇は数が限られておりますので、いろいろな方法をもってこういう新しい事態に対処するように苦労しておりますが、今後とも巡視船艇の増強あるいは乗り組み員の訓練強化というふうなことによりまして、交通規制に対する施設、人員の強化につとめたいと、かように考えております。
  72. 前川旦

    前川旦君 それじゃいろいろ航路規制をやって船に、航行する船にそれを守らせるように努力をするとおっしゃいましたが、かつて関門でたいへんな努力をなさってこの航路の指導をなさいましたね。これは瀬戸内海というのはたいへん法規を守らないで通る船が圧倒的に多いわけです。普通いわれていることは、ずいぶん保安庁は力を入れてやったけれども、何一つとして効果があがらなかった。こういわれていますけれども、それはどうなんですか。一生懸命規制をやるとおっしゃるけれども、その見通しは。
  73. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 効果があがらないということは私ないと思っておりますが、ただところによりましては、こういうことを申し上げては取り締まり指導に当たる者として、現場の声といたしましては罰則規定のない海上衝突予防法なり特定水域航行令でございますので、違反船を刑事捜査の対象として引っぱるということはあまり好ましいことではございませんけれども、やはりある程度は罰則強制と自覚にまつのみでは足りませんので、罰則強制ということが必要なんではないかと考えておりまして、実は港内の航行規制につきましては、前々国会で港則法の改正をしていただきまして、相当程度の罰則の俗化がございます。まだ港の外、狭水道についてはそのような罰則を強制をするという段階に至っておりませんので、現在のところは強力なる行政指導という範囲内にとどまらざるを得ないわけでございますが、将来の問題としては、やはり最小限必要な航法規制については罰則を設けて、一罰百戒という態勢で効果をあげたいと、かように考えております。
  74. 前川旦

    前川旦君 いま保安庁はやはりその法規に触れて違反して航行している船に対して指導をやはりずいぶんやっていらっしゃるはずなんですね。集めて講習会をやったりと、いろいろと出ていますがね、努力しているわけなんでしょう。ところが、あなたうなづかれたから、努力しているんでしょう。それ一体違反船の数はふえていますか、減っていますか。  いや、いいです、委員長。いますぐ資料ないんでしょう。これ、あなた方の出した白書の二〇ページにちゃんと書いてあるじゃありませんか。「啓もう・指導にもかかわらず減少せず、再三、再四の違反を行なうものも少なくなく、法令違反は慢性化している。」お手上げだということが書いてある。一体こういうことを書いていますけれども航路規制をうんとやって指導やりゃあ減るんだという結論が出ますか。あなた方みずからお手上げだと書いていらっしゃる。
  75. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 実は問題私ちょっと取り違えまして、航法規制のことについて申し上げたんですが、ここに白書に述べてございますのは、海事法令、つまり船舶安全法、船舶職員法、船員法という法規に対する違反件数が減っていないと、こういうことでございまして、この中にはいずれもこれらの法規は最終的には一般刑法と違いまして、海上の安全を守ると、海難予防という見地からできている法律でございます。で、これらについての違反件数がどこへ行っても、どの地区でも減っていないということでございますが、これは小型船漁船等においてそういう事象があるわけでございますが、これも検挙件数というのは常に違反件数とは同じでないわけでございます。検挙がじょうずになりますと件数がどんどん上がってくる。実際に違反している数と検挙とは必ずしも合っていない。われわれの検挙件数がこの統計に上がっておりますのがふえておりますのは、違反そのものがふえておるというよりは、検挙率が高まったという面もあるのではないか。苦しい答弁でございますが、そういう面のあることもお考えいただきたいと、かように思っております。
  76. 前川旦

    前川旦君 苦しそうですからもう次いきます。それが起こる前にいろいろの対策をいろいろお考えになっていろいろ出てきました。起こったあとは一体どういう対策をとられますか。たとえばタンカーが橋げたなら橋げたにぶつかり、あるいは乗り上げをする。いまタンカーの強度というのは昔に比べて下がっているでしょう。特に外板の強度、これは強度の基準が下がったわけです、船体が大きくなるからというので下げたはずです。となると、橋げたにちょっと横腹こすっただけで、一ブロック大きいから二万トンぐらい油入っているでしょう、それで一挙に噴流のように出てくることが考えられますね。起こったあとの対策はどのように考えておりますか。
  77. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 海難が起こりました場合、特に大型タンカー海難が起こった場合の応急救難が当庁のまず職務でございますから、当然これが乗り組み員の救助をやる、これはごくあたりまえのことでございますが、その次やるべきことは、海難を起こしたタンカーの油の流出を初期において食いとめる、局限するという措置にまず力を入れる。それから火災の発生防止をする。火災が一たん発生しますと、非常に大きくなる。また、火災が発生いたしましたら初期防火ということに全力をあげる、こういうことでございますが、先般英国の海岸付近で起こりました事故の教訓にかんがみまして、現在あらゆる角度から事故の起こった場合の応急救難の措置というものについて研究演練を重ねておるところでございますが、重点は流出油の拡散防止、火災発生の防止という点に重点を置いておる次第でございます。
  78. 前川旦

    前川旦君 これはだれでも返事できますよね、そういう…。この前、あれは三十七年の十一月の京浜運河で起こった事件ですか、死亡者三十六人出た、これは第一宗像丸というのですか、あのときでしたか、これは横を通りかかった船のこんろか何かに引火して大事件になりました。いま狭水道で一日一千隻以上通っておるとあなたおっしゃった。タンカー事故起こったときに偶然そのあたり通っている船がたくさんある。これに引火する可能性が大いにある。これは火事をどうやって防ぎますか。
  79. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 狭水道、港内等で事故が起こった場合には、直ちに付近航行船舶の航行停止ということを行ないますが、裸火を一般的に小型船等が使用する場合が多いわけでございます。港内におきましてはタンカーの荷役中、停泊中に裸火を置くような船は近づけないというような措置を港則法によって現実にとっております。しかし、港則法の適用のない地域におきましてはそういう措置が現在とられていないわけでございますが、私どもは、今後そういう事故発生船の、ことにタンカーの場合には、港内におけると同様、裸火を持った船舶は一定区域内に近づけないというふうな法制も準備しなければならない、かように考えております。
  80. 前川旦

    前川旦君 事故が起こって油が出ているときに、それはそこに保安庁の船がいるかどうかわからないのですよ。その狭水道に油が流れている。そしてそこら辺にたくさん船がいるのです。一千隻以上からいる。近づけないといっても油の中に何百隻かいるわけですね。これは非常に火災発生の危険が多い。火災予防にどういう具体策おありですか、火を近づけない、火を持ったほかの船に近づけないと言ったって、それはだいぶ長い間たってからならできるけれども、実際に二万トンもの油が一ブロック入っておるのでしょう。いまの油送船はブロック大きいですからね。流れたときにどういう、とりあえず何をやるか、あした、何ですか、演習をやるのでしょう。二十一日に、東京湾で。具体的にどういうことをやるのですか、その予防策は。
  81. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 流出油が起こった場合に、直ちに拡散防止の措置をとるという、拡散防止が急速にどの程度できるかということがあしたの演習の一つの実験と申しますか、実験の重点に置いております。  ただいまの小型船が裸火を持って近づくという問題でございますが、これもタンカー自体の消火設備によってこれを防ぐというのがまず第一。それから巡視船艇に消火設備を持たせまして、火災が発生したら初期においてこれを消しとめるということでございます。ただ他船の裸火による事故というのは、先ほど御指摘の第一宗像丸の場合には、海難審判の結果も、どうもそれらしい、付近を航行した小型船のしちりんの、こんろの火が引火したのではないかということでございますので、私ども基本的には、狭水道において大型船小型船の航行帯を分離したい。大型船の通る、ちょうど道路に筋をつけて引っぱり、低速車と高速車と分けるように、航路帯の分離ということによって、いま先生御指摘のようなことも防げるのではないかというふうに考えております。現状において火災が起こったり、起こりそうだがどうするか、とっさの場合、ということでございましたが、私どもはその場合、あらかじめそういうことが絶対起こらないように措置をしろとおっしゃいましても、現状はそこまでまいりませんので、あらゆる方法を講じてタンカー事故を起こさせないことがまず第一である、起こった場合には火災を局限する、こういうことで研究、対策を進めておる次第でございます。
  82. 前川旦

    前川旦君 じゃ、起こった場合には、火災を局限するといまおっしゃいましたが、ひとつそれじゃそれに見合う大型消防艇は何台ありますか、大型化学消防艇。
  83. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 専門の化学消防艇現在七隻でございますが、他の巡視船艇はそれぞれ化学消防能力を持った船が、いまちょっと数を思い出せませんが、ございます。それから大型ということばの問題でございますが、現在、本年度予算で、四十二年度において設計をしようと思っておるのは、その大型ということでありまして、これは大体十万トン以上のタンカーの消火ということを目ざす船は現在設計段階にございます。
  84. 前川旦

    前川旦君 十万トン以上のタンカーの火災に対応できる大型化学消防艇はいまゼロなんですね、現状は。
  85. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) いま設計をしております大型化学消防艇は十万トン以上のタンカーの上から——上からと申しますのは、タンクの上部から甲板上に直接消火をするということの可能な背の高いやぐらを持った船ということでありまして、大型船の火災が起こった場合、もちろんその船だけで消すわけではございません。他の消防艇も全力をあげてその付近海面の消火に当たるわけでございまして、ただ、いままでの消防艇ですと、舷側が非常に高い船で、そうして甲板上に火点、つまり火を発生する源があります。そこを直接ねらい打ちができない。遠くのほうから見当をつけて泡沫剤をかけておるわけであります。いま設計しておりますのは、それを見ながら直接その火点に泡沫剤を集中できるという特別な目的を持ったものでございまして、十万トン以上のタンカーに対処する消防艇がゼロということではございません。
  86. 前川旦

    前川旦君 油が流れ出した場合にそれを防ぐとおっしゃいましたね、先ほど。防ぐのは何か外側から浮いた壁みたいなものでしか防げないだろうと思うのですが、そういう方法ですか。
  87. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 拡散防止のために専門的にできておるオイル・フェンスというものがございます。そのほかに、材木その他をつないで防ぐという方法と二通りございます。
  88. 前川旦

    前川旦君 そのオイル・フェンスというのですか、一体何メートルぐらいあるのです。
  89. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 今度、明日行ないます演者では、オイル・フェンスは二千八百メートルの展張をいたしますが、三千六百メートルほどこの東京湾付近に動員できるものがございます。
  90. 前川旦

    前川旦君 もし引火をした場合にこれはたいへんなことになると思うのですね。特に先ほど言いましたように、二万トンぐらいの油があふれ出るわけですからたいへんなことになる。そこで東京水道、これは観音崎ですか、東京水道なり明石海峡なり、これは事故の多いところです。もし油送船事故でも起こしてこれは引火する可能性が非常に強い、非常に揮発性ですから非常に急速に海面に広がりますから、引火する可能性が非常に強いでしょう。その場合、住宅密集地帯あるいは工業地帯、あるいは途中航行している船舶、あるいはまた、漁業権侵害と、非常にこれは大きな影響を及ぼすと思うのです、そういう被害が。先ほど貨物のことでも下目下目に皆さん方見ていらっしゃって失敗なさっているようですけれども、大き目大き目に見て間違いない、安全のためには。そういう被害を一体どのくらい予想していらっしゃいますか、もし最悪の場合の被害。
  91. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先般英・仏海峡におきまして大型タンカー事故がございまして、その被害がすこぶる大きいということが現実に痛感されたわけでございますが、こうしたタンカー事故に伴う損害補償のあり方に関しまして、このトーリー・キャニオン号事件を契機として政府間海事協議機関すなわちIMCOなどの国際機関においてこれを検討することになりました。わが国といたしましても、この問題はきわめて重要でございまするので、事故責任に関する国際会議の動向には十分留意して、それに即応した措置を検討してまいりたいと思っております。
  92. 前川旦

    前川旦君 タンカー事故を起こしまして大きな火災になった、沿岸に大きな火災を与えた、被害を与えた。それは地上の延焼ということもあります。また航行中の船舶もありましょう。それから漁業権の侵害という問題もありましょう。こういう場合に、一体損害賠償、非常に、何千億という大きな被害が出た場合、損害賠償、の責任はだれが負っておりますか。
  93. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これはやっぱり船舶の船主または船長の雇用主というのが一般に責任者になっておるのが現在の海事法規でございます。
  94. 前川旦

    前川旦君 日本の商法六百九十条でしたか、海商法に免責委付という制度がありますね。これは御承知のように、船が事故を起こして周辺に被害を与えても、その船主なり、荷主なりが船それから海産、つまり船に載っている荷物、その権利を放棄すればそれ以上損害賠償できないというたてまえになっていると思いますが、それはどうですか。
  95. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) こういう場合の責任の問題でございますが、各国とも過失責任という原則を大体とっております。したがいまして、船主側あるいは船長、そういうものに過失があって、そういう事故が起こった場合には、わが国におきましては、ただいまおっしゃいましたような民法の七百九条に基づいて、不法行為の規定でございますが、まずこれによって過失責任を問われるわけであります。その場合に、さらに商法六百九十条にただいまおっしゃいましたような免責委付の規定がございまして、加害船側がこの制度を援用する場合には航海の終わりにおける船舶それから運送賃及び船舶所有者がその船舶について有するところの損害賠償または報酬の請求権すなわちいわゆる海産といっておりますが、その範囲に賠償責任が限定されるということになります。しかし、この免責委付の規定というものは、いままであまり援用されたことはなさそうであります。それで船主側もこういうことでは済まないということを大体観念いたしておりまして、PI保険というものがございます。船主総合保険、こういうものに加入をしておるのが実情でございます。したがいまして、第三者損害というような場合、このPI保険によってカバーされることになります。もちろん、いま先生がおっしゃいましたような、東京湾でタンカーが数万トンの油を流したというような場合に、非常に大きな被害が発生すると思われます。そういうような被害が全部PI保険でカバーできるかどうか、これはもちろん問題でございます。ちなみに現在日本に五千重量トン以上のタンカーが何ばいあるかということを見ますと、これはことしの五月十五日現在の資料でございますが、百六十ばい、五千重量トン以上のタンカーがございます。これだけのタンカーのうち、全然保険をかけていないというものが七隻でございます。あとは全部PIの保険をかけております。PIの保険というのにもその保険額の低いもの、大きいもの、いろいろございます。基本契約、これはトン当たり五百五十円の保険額でございますが、それ以上の損害が起きた場合のことを考慮いたしまして、超過保険とでも申しますか、そういう契約のしかたがございます。それには現在四段階ございまして、四段階の保険額は四千五百万ドルまで、それから三段階は三千万ドルまで、三千万ドルと申しますと約百八億でございます。さらにこの上に無制限に保険をするという制度もPI保険にございます。これはもちろん英国のUKクラブというものに再保険をいたしておりますが、無制限に保険をするという方法もございます。それで、いまこの百六十ばいのうち、どのような保険のかけ方をしておるかと見ますと、第三超過保険、すなわち三千万ドルまで、いわゆる百八億までの保険をかけておる船舶の数は百六十ばいのうち百十七はいでございますが、かけております。そういうような状態でございまして、まあ船主の責任としては非常に気を配って、いろいろな措置を講じておるという状況でございます。われわれといたしましても計画造船等でタンカーをつくる場合、これは建造の条件といたしまして、こういうような船主責任保険というものを必ずかけるように、そういうことを条件にしてやっておりますし、また、すでに現在できておる船につきましても、できるだけさらに加入をするように指導をしておるという次第でございます。
  96. 前川旦

    前川旦君 この免責委付の問題ですが、この日本の商法の海商法で結局、船体と積み荷を船主が放棄すれば、一応その損害賠償の責任はないのだ、それ以上は。それは非常に問題だと思うのですよ。これは一体このままになさるのですか、それとも何かお変えになるのですか、その辺のお考えはどうですか。
  97. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御承知のとおり、両法の中にありますので、運輸省として現在どうこうという考えはございません。法務省においてもただいまのところ、この条項についてどうこうということは私どもとしては聞いておりません。
  98. 前川旦

    前川旦君 先ほどPI保険、これは限度額百六十億ですか、PI保険の支払いの限度額。日本円に直して幾らですか。
  99. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) いろいろな保険額がある。そうしていま申しました第三イクセスというのが三千万ドルまで。三千万ドルというのは百八億である。その上に最近これはできたでありますが、第四イクセス保険というものがございますが、これは四千五百万ドルまでということでございます。
  100. 前川旦

    前川旦君 あなたは、タンカーをつくるときにその保険に入らすように指導するというように言われましたね。それじゃ、それは日本の船でしょう。外国の船はどうですか。たとえば去年のタンカー事故のうち、大型タンカーのうちの、さっき十一隻と十隻でしたか、これは外国の船ですよね。特にリベリア船籍などというのは、これはこういうことを言ってはなんですが、アメリカの一ばい船主でしょう。リベリアの国なんて籍を借りているだけなんです。こういう外国の船が来て、PI保険かけているかどうかわかりません。よく規制できません。それでこういうことをやらかしたらどうなんですか。やはり免責委付という国内の商法の規定を適用して……被害が起きてもどこに持っていくのですか。
  101. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) ごもっともでございまして、外国の船までに保険をかけるということを日本政府として言うわけにまいりません。その場合、いま先生の御心配になるようなことになります。そこでこれは国際的に何か措置しなければならぬ。船は動きますから、日本の船も外国に行って事故を起こすかもしれない。外国の船も日本に来て事故を起こすかもしれぬ。そういう観点からどうしてもやはり国際的な話し合いによりまして、大体どの国も同じような方法をとるというようなことにすべきではないかということで、いまロンドンにおいてIMCOという機関においてそれの相談が行なわれているという状況でございます。
  102. 前川旦

    前川旦君 たいへんな被害を及ぼす可能性がある。これは何千億の被害を及ぼす可能性がありますよね。その場合に、損害賠償を払わなければいけない義務者というのは、船主または雇用主、または積み荷の荷主だと大臣お答えがありましたが、これは支払い能力がなかったら、これは支払い能力をはるかにこえるような非常な損害があると思うのですね。たいへんな被害があった場合に、これは一体どうなんですか。これは泣き寝入りですか。たとえば交通事故を起こして、これは民事裁判で損害賠償幾らだと判定が出ても、本人に支払い能力がなかったらどうもならない。同じことじゃないですか。船主なり荷主にも連帯責任があるようになるかもしれませんが、その範囲をこえた被害だったら、そのこえた部分についてはだれが責任を持つのですか。
  103. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 日本の国内で起きましたそういう異常災害につきましては、やはりケース・バイ・ケースでそのとき政府で十分考えるべき事柄じゃないか、こういうふうに思います。法制的な問題というより政治的な問題になる場合が多いのじゃないかと思います。
  104. 前川旦

    前川旦君 大臣、政治的に解決するとおっしゃいましたが、その前にやはり法律論争というので非常に問題になると思うのですがね。国の無過失責任、こういう場合の無過失責任ですね。これは一体あるのかどうか。無過失責任というのがあるのかどうか。たとえば原子力船の場合には、これは原子炉の問題で国に無過失責任があるわけですね。原子力損害賠償法で規定してあるはずです。となると、これはタンカーの場合はたいへんな被害で、これは法的に支払わなければいけないが、支払い能力の範囲をこえているという場合に、一体国の無過失責任というのはお考えがあるのかどうか。これはあくまでケース・バイ・ケースで、その場になってみなければわからぬということなのか。その辺をちょっとお答え願いたい。
  105. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ごもっともな御質問でございますが、こういう場合には損害の補償をどうすべきかという問題だと思うのでございますが、ただいまIMCOのほうで専門委員が集まりまして、国際的に解決しようというので、その点を検討中でございまして、わが国からもこれには関係官を派遣いたて討議に参画させております。いずれ結論が出てくると思うのでございますが、やはり国際的な問題でありますから、そういう国際的な決定を参考にして将来法制的な整備をはかっていきたい。こう思っております。
  106. 前川旦

    前川旦君 これは無過失責任の問題ですが、国に過失があるとすればこれは当然問題になると思う。たとえば最近道路が非常に穴ぼこだらけで、それに落ちてけがしたと地方自治体を相手取って損害賠償の請求をして、第一審で請求者が勝って自治体は負けた。その判決どおり支払っている自治体もあるというふうに出ておりますね。そういう例が出てくると、もしその国に過失があるというふうに認定された場合には、これは当然法的には国に損害賠償を請求するということもあり得るわけですね。どうですか。さっきの無過失の問題ですが、国の側に過失があると認められた場合、どうでしょう、裁判の問題ですが、その場合は当然責任があるでしょう。
  107. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 国に過失がある場合というような場合を想定してみますと、たとえば港湾施設、国が設置しておりますところの営造物ですね。それに瑕疵があるとか、あるいは航行援助施設であるところの灯台、電波標識等に瑕疵があったために船がどこかの暗礁に乗り上げたというような場合ですね。たとえば航路標識の無線標識が正確な電波を出していなかったために方向を誤ってぶつかったというような船があるかと思いますが、そういうような場合には、これは当然国の責任という問題が起こってくると思います。
  108. 前川旦

    前川旦君 それじゃ最初に申し上げました定員の問題に返りますが、海上保安庁定員減っていますね。一体これはどうして海上保安庁定員減りましたか。これは官房長ですね。
  109. 町田直

    政府委員町田直君) 海上保安庁は実質的——実質的と申しますか、増員がございましたけれども、凍結定員が百六十二人あったわけでございます。これらを総合いたしまして運輸省全体といたしまして増員がございましたが、まあ政府の方針といたしまして増員はできるだけ凍結定員でまかなう、なお不足分については定員の増をする、こういう方針でございましたので、運輸省全体として今度の増員の中で、まず凍結定員でまかなうという方針で策定されましたので、実質的には海上保安庁定員が減になったと、こういう実情になっております。
  110. 前川旦

    前川旦君 わかったようなわからぬような感じですけれども、官房長続けてお尋ねしますが、減ったのは百二名ですね。
  111. 町田直

    政府委員町田直君) さようでございます。
  112. 前川旦

    前川旦君 その百二名の減ったのは、これは保安庁内部のどこを結局削りましたか。どこで減りましたか、どこの部分で。
  113. 町田直

    政府委員町田直君) 凍結定員としてでございますので、保安庁全体としてということでございます。
  114. 前川旦

    前川旦君 ちょっと聞こえなかったのですが、最後のところをもう一ぺん教えてください。
  115. 町田直

    政府委員町田直君) 保安庁全体としてでございまして、どこというふうに別に区別しているわけではございません。
  116. 前川旦

    前川旦君 官房庁、いいかげんなことをおっしゃってはだめですよ。内部でどこをどういうふうに定員を減らしたかということをお尋ねしているのですから、どこということはございませんという御返事はだめですよ。これはどこの部分の定員を減らしましたか。
  117. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 海上保安庁の中の凍結定員状況を申し上げますと、まず大口は海上保安庁の大学校、海上保安学校、両方合わせて八十一名、それから地方の中で大口といたしましては船員の六十四名、これが大口でございまして、したがいまして、凍結定員のうち百六十二名ございましたのが百二名減されたということは、重点は海上保安教育機関と船員でございます。
  118. 前川旦

    前川旦君 先ほどから私長々と質問してきましたのは、このことをお尋ねしたかったわけなんですが、このことをおやりになったのは海上保安庁長官ではありません。官房長でしょう。減らしたのは船員、巡視艇、巡視船その他船に乗って現場で働いている船員ですね。船員六十四名減らした。もう一つは学校でしょう。保安大学と保安学校でしょう。これは主として船員の養成ですね。もちろんこれは灯台その他ありますけれども、おもな内容は船員の養成ですね。船員にしわ寄せしているというのは、これはどういうことなんですか。どういうお考えでこういうことをおやりになりましたか。
  119. 町田直

    政府委員町田直君) 先生御承知のとおりでございますけれども、凍結定員の制度は、御承知のように、定員、実員が減りますと、その職種によりまするけれども、何%以上はふやさない、こういう制度になっております。それによって凍結定員というものが出てくるわけでございます。これは各局、各庁、それぞれにそういうことで凍結の欠員が出てくるわけでございまして、それがずうっと凍結される。大体いまのところ、全部の省の定員の五%になるまで凍結される、こういう形でやられておるわけでございます。したがいまして、その現実に出てまいりました凍結定員がそのまま凍結されております。これが増員の際にまず凍結定員を充てるということになっております。特に先生御指摘のように、船員にしわ寄せをして、船員の定員を食ったという意識的なものではございません。凍結定員をそのまま増員に回したということでございます。
  120. 前川旦

    前川旦君 官房長、うそおっしゃい。あなたね、これ、中でやりくりするのに、ほかの部へ持っていったり、なま首切らなきゃいけない。ことばは悪いけれども、ぼくらよく使うことばで、なま首切るわけにいかないから、船員とか学校の予備員を持っていかざるを得なくなったというのが実情でしょう。どうですか。
  121. 町田直

    政府委員町田直君) 凍結定員の制度は、先ほど申しましたように、実際には埋められない、あいている定員ということでございます。したがいまして、いまお話しございましたように、なま首の問題ではないのじゃないかと思います。
  122. 前川旦

    前川旦君 まあいろいろお答えになりますけれども、結局一番大きなしわ寄せは船員の六十四名定員減、それから学校八十一名ですか。一番大きな定員の減がきている事実に間違いありませんね。
  123. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 仰せのとおり、船員六十四名、学校関係八十一名、これが大口でございまして、百六十二名のうちの大口でございます。海上保安庁といたしましては、その他にデッカ局の建設とか航空要員、自動方探局等の自分自身の増員が五十五名ございまして、その他の局へ回したものが九名でございます。ただいま御指摘船舶定員の六十四名、これは実は御指摘のとおり、海上保安庁としては一番大事な船艇乗り組み員の定員でございます。これは従来、船艇乗り組み員の定員五千二百八十六名から見ますと一・二%、これを十分充足していなかったということがやはりこういうときにねらわれた、と言っちゃ何でございますけれども、ずうっと凍結なり欠員、実際乗っていないんだから、非常に必要なところへ回すという財源に使われたということで、従来充実ができなかったという点が、今日のいろいろ先生御指摘のような事態を生じたわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、この少ない人員で非常に激しい困難な仕事をさせるわけでございますから、もちろん来年度の定員につきましては、先ほど来いろいろ各般の、特に海上交通が危険がふえつつあるということに対処するための航法規制、あるいは指導を行なうための船艇の増強、したがって、乗り組み員の増ということは、来年度の予算でぜひとも強力に推進したいと考えております。とりあえず現在の問題は、保安庁の船艇の近代化によりまして、少ない人間で能率的に働けるというような、設備をよくしていくということで、われわれとしては、第一線の船員がこのために労働強化にならないようにということに心をくだいております。今後とも、来年度、四十三年度でございますが——における増員の要求と同時に、船艇の合理化、近代化による居住環境あるいは性能の向上ということで、人数は少なくてもその職務をまかなえるようにすると、こういうふうな線で努力をしたいと、かように考えております。
  124. 前川旦

    前川旦君 長官、たいへん御正直ですけれどもね。その来年度とかなんとかというのはあとで大臣に聞きたいと思いますが、それで、船員にしわ寄せをして、船員の定員を減らして、学校の、これは船員の養成所が主ですが、この定員を減らしている。ますます船員のほうに何もかもしわ寄せということになります。一体いま保安庁の、船員が実際どれほどの労働強化になっているかということは、皆さん方つかんでいらっしゃると思いますが、その一つの例として、大体有給休暇はどれくらい消化しているか、つかんでいらっしゃいますか。つかんでいたらおっしゃってください。
  125. 亀山信郎

    政府委員亀山信郎君) 最近調査したところによりますと、現実にとっておりますのは、一年間にわずか五・四日ということでございます。
  126. 前川旦

    前川旦君 長官、いまわずか五・四と言いましたがね。私ちょっと現場へ行って調べてきました。その現場は、場所は言いませんけれども、いわゆる何といいますか、海上保安部——部ですから、かなり人数のいるところです。保安所となるともっとひどいでしょうけれども、海上保安部でちょっと申し上げますよ。たとえば乗り組みの士官ですね、士官の場合、航海士官が平均二・五日、それから通信がわりあい多い、四・三日。それから機関の士官ですね、わずかに一・五です。これは去年の一年間の平均です。普通海員はどうかというと、航海が三・一日、機関が二・八日です。これは異常に少ない。で、いろいろ聞いてみますと、本人の結婚だとかあるいは家族が死んだとか、そういう場合以外は休暇はとらないというか、とれない。いま言ったのは私が調べた結果です。  もう一つ申し上げますと、今度は病欠はどうか。これは人間だから病気になりますわね。病欠はどうかというと、私の調べた保安部では、士官の場合は、昨年病欠ゼロ、病気になっても出ているのですよ。これは予備がいないから休めないと、こう言っている。普通海員の場合が、航海が一人平均〇・八日。機関の場合わずか〇・六日です。これはあまりにも人権を無視した——異常にこれは低い休暇の消化率というのは、予備がいないから、交代がいないから休めない。それから日曜日は休みかというと、日曜日も、緊急出動のかかるときがありますから、家にいても、いつその出動がかかるかもしれないから、外に子供と遊びにも行かれない。これは私が調べた現状です。大体これは全く人権無視の労働です。あなたは五・四日は異常に少ないとおっしゃったが、現実にはこれはもっと少ない、ひどいですね。こういう状態を放置しておいて、しかも欠員を補充しないで、そのまま、現状のままを定員化してしまう。 つまり、定員を減らしてしまう。どうしてもぼくは解せないのですが、まあこれは大臣から私答弁してもらいたいと思う。
  127. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) このたび海上保安庁の船員の定員が非常に減少しておるが、このために労働強化が極端に目立っておるではないかという御指摘でございますが、お話伺いますと、なるほどそのとおりの結果になったことを否定するわけにもいかないようでございます。まことに申しわけない次第でございまして、この点につきましては、できるだけ早い機会に善処いたしたいと存じます。
  128. 前川旦

    前川旦君 四十一年十一月二十四日に、運輸省は「タンカー大型化に伴う災害対策要綱」というのを出していらっしゃいますね。これはいま生きているはずですね。非常にタンカー大型化になるから、これは非常に何とかしなければいけないと、せっぱ詰まったことが一ぱい書いてありますけれども、このうちにどうでしょうね、「なお、狭水道及び港湾における航法規制並びに管制の強化のため人員、巡視船艇等の増強を図るものとする。」といわれているでしょう。これは生きているんでしょう。それといまの保安庁の実際船員を減らしたということはどういうことでしょうか。人員増強というのがありますが、どういう関係がありますか、死んだんですか、生きているんですか、この両方。
  129. 町田直

    政府委員町田直君) 生きております。
  130. 前川旦

    前川旦君 その矛盾はどういうふうになっていますか。増強するといって減らしたのは、この点は矛盾する。どういうことですか。
  131. 町田直

    政府委員町田直君) ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございます。ただ、私一つ申し上げたいことは、先ほどから私が申し上げておりますように、凍結定員というのは、少なくとも現在の制度では増員できない定員でございます。そこで新しく毎年毎年必要に応じて定員の増加を要求して、予算並びに行政管理庁と折衝いたしましてきめておるわけでございますが、このきめるに際しまして、現在の制度では使うことができなくなっているこの凍結定員を新しくふやす定員に充当すると、こういう制度は運輸省ではございませんで、政府としてとっておるわけであります。それに従いまして、運輸省全体として、海上保安庁並びにもちろん本省もございますけれども、本省と海上保安庁の凍結定員を四十二年度の増員にまず組みまして、それでさらに不足したものを定員としてふやしていく、こういうことでございます。したがいまして、確かに定員上は減ったわけでございますけれども、いまの凍結の現状では使えない人を減らした、こういうふうに考えていいんじゃないかというふうに考えます。
  132. 前川旦

    前川旦君 使えない人ということはあり得ない。いまそういうお答えがありましたけれども、これは船員の凍結人員六十四名あったわけです。これは解除になってどうしたかというと、六十四名のうち九名は解除になって、六十四名一応埋めるでしょうけれども、そのうちの九名は他の部局に振りかえましたね。それから残り五十五名はどうしたかというと、たとえば航空機のYS11とかビーチクラフト、通信整備に回したり、デッカ要員三十名。そうして陸に上がってこの人員が減っているわけでしょう。結局そこにしわ寄せしているのだから、あなたそうおっしゃるけれども、やはり船員のところに、やむを得ないというけれども、そういう操作をしているのですから、これは船員の予備を食っちまったということですよ、そうじゃありませんか。
  133. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実は私ふなれなためにかような結果を招いたような気がいたしまして、まことに申しわけないように存ずるのであります。一体船員のごときものをやめたからといって、あとの欠員を凍結するという制度、それ自体にそもそも問題があるんじゃないかと思いますので、しばらく御猶予いただきまして、こういう点を十分根本的に掘り下げまして、来年度は何とかこれを是正するように努力いたしたいと存じます。
  134. 前川旦

    前川旦君 努力する、来年度努力するとおっしゃいましたが、これ定員がこのままでいて、そうして欠員があれば凍結するのであればこれは折衝でまたやれることでありますが、欠員があるままで定員にしてしまって、そうしてこれを設置法の法律にしてしまったら、来年定員をふやすといってもこれは設置法の改正という問題になりますね。これはそのまま生かして欠員は凍結だというふうになれば、法律の改正をしなくてもまだそれは話し合いでまたやれることもあるかと思います。わざわざ定員に縛って減らして、定員ということを法律で、設置法でこういうふうにしたというのは一体どういうわけですか。
  135. 町田直

    政府委員町田直君) おっしゃるとおりでございます。いまの凍結の制度が一応制度として政府として固まっておるわけでございまして、たとえばどういう職種があれば、何人やめた場合には何%増加できる、こういうふうにきまっておるわけでございます。その結果としてこの凍結定員というのは出てきたわけでございます。したがいまして、政府としてそういう制度が変わったら、あるいは凍結定員は今後埋めてもよろしいというような制度になりました場合には、先生の御指摘のような事態が生ずると思います。しかし、現在私どもは、政府の方針としてきまっておる先ほど申し上げました五%に達するまでは凍結定員を残しておく、そのままにしておくという制度を維持しておりますので、その制度が変わらない限りにおいては、先ほど申し上げましたように、定員上どうしてもやむを得ないことになるんじゃないかというふうに考えております。
  136. 前川旦

    前川旦君 この問題は保留します。保留して、先ほどから石原さんずいぶんこわい顔をされるから、もう時間が来ましたから、最後にお伺いいたしますが、先ほどタンカー事故で、大きな事故があれば国の責任云々というお話がありました。いまこうやって運輸省内部の問題ですけれども、先ほどからタンカー事故防止するためには、あるいは火災が起きたときにそれを消すためには何といっても巡視船なり人員が必要だということをはっきり言っておるわけです。航法規制強化して、狭水道海難防止するといっても、これは巡視船が要るでしょう。人員が要るでしょう。船が要る。何もかもこういう状態にしておいて、いま現実に人員を減らしているのです。こういう形の中でもしいまのタンカー事故が起きて、大きな災害を与えた場合に国に過失がないと言い切れますか。もちろん国に過失があるという論議が成り立つでしょう。
  137. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 損害賠償の問題ですから、国が過失がないということを証明するのではなくて、国に過失があったということを証明するのが一般のたてまえだと思いますが、人員が減らしてある、しかし、船はきちんと動いたという場合において、国に過失があるということを証明することはこれはなかなかむずかしいじゃないかと思います。訴訟技術としてはいろいろむずかしい問題があるだろうと思います。しかし、先ほど来申し上げましたとおり、現在の制度においては国の法的な責任というものよりも、やはりそうした場合においては、国の政治的な立場というものが土台になって処理されていくべきものだと思いますので、そうした場合においては、いまのような問題も一つの材料に十分なり得ると思います。
  138. 前川旦

    前川旦君 これだけでは過失云々ということにはなりがたいというふうに聞きましたが、それではもう一つ具体的な問題を最後一つだけ、これでやめますが、お尋ねしておきますが、たとえば先ほど問題にしておりました明石海峡、これは海峡に橋げたを立てたり、アンカーを入れたり、人工構造物をあの中に入れて架橋するということは航海安全上非常に危険があるということが実は多くの人から言われております。たとえばこれは一ぱい例があります。ちょっと資料がないようですが、たとえば海難防止研究会、あるいは海難防止協会、あるいは内海区水先人会、それから日本船主協会、日本船長協会、こういうようなところから非常に危険があると指摘されております。そして要望書が運輸省に出ておるはずですね。そういうふうに、たとえば船主なら船主協会、船主の立場にある人、これは損害賠償の責任を負う人ですけれども、船主ですから、そういう人たちがあそこに、狭水道に橋げたを立てられるのは航海上危険だ、危険だということを絶えず言っておるわけです。新聞にもどんどん載っています。ここにもありますけれども。そういう状況の中で危険がないとして架橋した場合に、そうしてあそこで大事故が起きた場合に、その責任はどうなるかというと、たとえば船主なり、海難防止協会はこう言っておる。これは一応船主に責任があるかもしれないけれども、しかし、危険があるぞということをたびたび運輸省に行き陳情していっているにもかかわらず、あるいは国の機関が危険がないと判断をして架橋をした、あるいは決定をした、あるいは施工をしたものは公団になるかもしれませんが、決定をした、施工をしたもの、許したもの、これは国の機関です。これはそういうものに対して損害賠償の責任を追及する権利を保留しておかなければいけないぞということをしきりに言っております。危険だぞということを言って、実際起きたという場合に、それ見ろ、政府はこれだけ予告しておるのに危険がないといってやったのだから、それは政府に責任があるのじゃないかと言ってその権利を保留しておこうというふうに言われておるわけですね。こういう場合に、先ほどあなたは、過失、無過失の問題いろいろむずかしくおっしゃいましたけれども、かなりこれは具体性を帯びてきます。これは、政府に過失があるのではないか。あるいは施工した者、決定した者、許した者に過失があるのじゃないか。やはりたいへん災害が起きた場合に責任問題が出てくると思うのですが、これは一体どういうふうにお考えになりますか。
  139. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 政府も完ぺきとは言えませんから、たまたま誤った断定のもとに危険な工作物を認めるような場合もあるかもしれません。そうした場合にはお話のような問題が起こると思うのでございますが、その場合においても、船舶の航行にはたして過失がなかったかどうかというような点は、やはり過失相殺の一つの問題点として考慮に入ると思うのであります。しかし、その場合は別といたしまして、運輸省といたしましては、先ほど来御質問でも御指摘になりましたように、明石海峡というものは日本の狭水道のうちでも最も交通量が多くかつ水路が湾曲しておったり、ことに極端な点では、水流の速さが非常に速いものがございますから、この航路の安全には運輸省としても最も注意をして万全を期せなければならぬ場所柄だと存じます。したがって、ここに対する工作物の設置ということは、いま申しましたような点から、専門家の意見も十分に聞き、まあ日本の最高の知能をあげてその安全を確保するという担保がなければ、みだりにこれを認めるというわけにはまいらないと存じます。
  140. 前川旦

    前川旦君 まだ質問がありますけれども、きょうは保留して、私の持ち時間がきたようですから、この次の機会にします。
  141. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止
  142. 豊田雅孝

  143. 北村暢

    ○北村暢君 資料要求。  先ほどの前川君が海上保安庁の減員について質問を保留されましたがね、私もこれは非常に大きな問題だと思う。ということは、海上保安庁というところは、職員は非常に一生懸命やっておるのでしょう。そしてまた、その欠員ができた原因がね、私は問題だと思うのです。業務量が減ったり何だりして欠員が出てきたんなら、それは凍結定員も一般の原則でいいと思うのだけれども、どうも労働条件、給与その他一切比較してみて、なかなか欠員が出ても簡単に埋まりそうな条件にないのじゃないかと思う。それで欠員がどんどんふえていくということのように思われますのでね。しかも海上保安庁というのはこれは労働組合をつくれないのですか、あるのですかないのですか、つくれないのだと思うのだけれども——つくれない。そういうようなことで、だれか見てやらなければならない。それで悪いままにほうっておかれておるのじゃないか。こういう感じがしまするので、ぜひひとつ資料として出していただきたいのは、海上保安庁の、特に船員、船に乗っておる人等の勤務の状態、これ自体が、何か船員法なり何なりが適用になるかどうか知りませんけれども、かりになるとすれば、違反するような事項が起こっているのではないか、適正な乗り組み員というものが配置されていないのではないかと、こう思うのですがね。そういう実態についてわかる資料をひとつ出してください。それから給与等についても、船舶関係の一般の給与というものと比較のできるものがあったならばひとつ出していただきたい。そういう点の資料をひとつ整備して出してください。これはもうゆゆしき大問題だと思いますから、こういう資料をひとつ要求しておきます。出せますかどうですか。
  144. 町田直

    政府委員町田直君) ただいまの資料提出いたします。
  145. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 一時までちょっと十五分ぐらい、一般的なことを質問させていただきたいと思います。  いまの運輸省設置法においては、前川委員の質問がこれは保留になっていますし、来週一ぱい続くと思いますので、もっと続くかもわかりませんけれども、一応そのつもりでやってくださいね。  それで、私は一般的なことをちょっとお聞きして、それから午後からは航空関係のことこまかくお聞きしたいと思いますが、一つは成田の国際空港の問題ですね。地主の人たちが反対をして訴訟を起こしている段階になってきているわけですが、運輸大臣としてはこれに対する何といいますか。見通しというか、あるいは対処する方法というか、こういうようなことについて、いまの段階でどういうふうにお考えになっているかという点をまず最初ちょっとお聞きしたいと思いますが。全体についてですね。
  146. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御承知のとおり、国際新空港の設置ということは、これは時間を限られた非常な緊急な仕事に相なっておるわけでございまして、政府としては、国有地、県有地等に相当部分を依存できるという意味において成田を選定したわけでございまして、成田以外には期限までに入手できる土地は皆無であったという認識に立っております。したがって、ぜひともこれは地元の方々と話し合いの限りを尽くして土地の確保につとめなければならないと、こう思っておるのでございますが、いままでどちらかと申しますと、われわれの努力の足りなかった点が十分反省されておりますので、今後精力的に話し合いを進めることによって、土地の確保が一応努力のいかんによっては不可能ではない、こういう考えで進めております。
  147. 稲葉誠一

    ○稲葉誠君 その問題に対しての私の考え方もありますけれども、これはまた別な機会にいたします。  それからその次には、過日伝えられました国鉄の共済組合の人たちといいまするか、それがですね、新駅予定地の土地の買い占め、分譲をしていた、こういうようなことが一応伝えられたわけですね。これはやはり事実関係がはっきりしておらないと、私もかれこれ言えないと思いますが、運輸委員会のほうできょう午後国鉄総裁を呼んでやるということですから、内容についてお聞きするわけじゃございませんが、そこでこの問題に関連をしての運輸大臣としての考え方ですね、どういうふうにしていきたいとか、いろいろあると思いますがね、その点だけをお聞かせ願いたいと思います。
  148. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 国鉄共済組合は、その共済事業の一つといたしまして、従来から組合員のために宅地の供給、あるいは住宅の供給というような仕事をやってまいったのでございます。そしてこの宅地の需要といたしましては、組合員の大半が希望をいたしておるわけでございまして、全員になかなか行き渡ることができませんので、一応国鉄としては組合員の中でも十年以上の勤続者ということに資格を限定いたしまして分譲をするというような方法をとっておるわけでございます。で、私はこの組合の性質上こうした事業を行なうこと、そのことはたいへんけっこうなことだと思っておるのでございます。そこで、組合は、その事業に必要な土地を取得いたしまするために従来からこの鉄道沿線あるいは郊外等に土地をまとめて買うようなことをいたしておるのでございますが、   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕 その方法といたしましては、直接組合が買ったり、あるいは地方の公共団体のあっせんで買い受けたり、あるいはまた、専門の業者の手を通じて買い受けたり、こういうような方法がありますが、いずれの場合におきましても組合員に分譲するものでございますから、まあできるだけ安くていい土地を貫いたい、まあこういうつもりでやってきておるわけでございます。で、今度問題になりました点は、その土地を買うのはいいとして、土地を買う、それもいい土地を安く買うということに熱心のあまり、公務員としての道義を逸脱した点はないかという点が問題になるんだろうと思うんでございまして、すなわちたまたま鉄道の新線の建設あるいは新駅の設置等について、比較的職務上情報を得やすい立場にある。そこで、一般の人たちがまだ知らないうちに先回りをして駅の近辺の土地を安く買い取ったというようなことがございまするというと、これは公務員の道義上の立場からいって批判されなければならぬと思うのでございまして、そういう問題につきましては、今後事実があれば厳重に戒めるべき事柄だと、こう私としては考えておるわけでございます。今日までのところでは買い入れた時期が非常に古いもので、駅の設置はごく最近になってきまったというようなのが多いのでございまして、ただいま申し上げましたような駅の位置がきまったことを早耳で聞きつけて、近辺の土地所有者が知らない間に、まあいわばだまして買うような、そういうあくどい買い方をしておるという例は幸いにしてないようでございますので、なおあれだけ新聞の記事にもなりましたから、この上ともいろいろな過去の土地買収の実例を調べて、その辺の事情をつまびらかにしたいと思って調査をいたしております。
  149. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この問題については、きょうはほかの委員会で質問があるそうですから私はこれ以上聞かないんですけれども、その調査のしかたが、運輸省としてやるわけですか。それでなければほんとうの事実は発見できないんじゃないですかね、国鉄にまかしておいたんでは。そこはどういうふうにやるんですか。
  150. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) いまのところは、国鉄で過去の駅付近あるいは鉄道線路沿いの用地の買い入れの実例を出してこいと、こういって資料を要求しておる段階でございまして、それの一応説明を聞きました上で不審の点があれば、運輸省として調査をいたしたいと思います。
  151. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは佐藤総理からもあなたに指示というか、何かあったというようなことが伝えられていますね。そういうふうな国民が関心を持っておることですから、まあ情に流されないで調べることはちゃんと調べて、事実は事実として明らかにするという方法をとっていただきたいと、こういうふうに思うんですが、この点はいかがですか。
  152. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) おことばのとおり考えまして、そのとおりにいたしたいと思います。
  153. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 もう一つお聞きしたいのは、別のことですけれども、航空機による墜落や何かによって事故が起きて、そしてその補償金が日本の場合は非常に少ないということが論じられていますね。で、ハーグ条約ですか、これに加入するとかいろんな話がありまして、いまこれどういうようになっているんですか、この点は。
  154. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 政府としては、これにできるだけ早く加入したいという考えで、この国会に条約案をお願いいたしております。
  155. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 提案してあるわけですか。
  156. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) すでに提案いたしております。
  157. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私もそう聞いていたものですから、いまちょっと調べてみたら、何か提案されてないようなことを言っていたものですから。私は提案されておるように問いていたのですが。これで最低六百万になるわけですか、大ざっぱに言って。
  158. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 最高六百万でございます。
  159. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 最高六百万。それも少ないくらいですね。だけど、このハーグ条約というのはだいぶ前の条約でしょう。いまここで論議するわけじゃありませんから、またあらためてこれいたしますけれども、そこで、全日空の松山の事故等においても、これはまだ未解決でございますが、それが一つと、これは私の友人の六川という非常に優秀な弁護士もなくなられたのですが、未解決のものがあるかどうかということと、それに関連して、全日空の考課表、ああいう事故が起きて未解決のものがあるようにぼくは聞いておるのですが、その点どうですか。未解決のものありますか。
  160. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 松山の事故につきましては、ただいま解決いたしましたのが五名でございます。あのときの乗員は全体で五十名で、そのうち五名は会社でございますので、四十五名の乗客のうちの五名でございます。
  161. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の言うのは、そうやって全日空の場合事故が未解決でしょう。それでいながら——全日空の考課表をぼくは運輸省からとってもらいたいと思うんですけどね、一体株主の配当を出しておるのか。役員に対して、取締役なんかに対する賞与なんかも出しておるようですね、その点どうしているかということですよ。ぼくは非常にけしからぬと思うのです。何か五島昇さんが非常勤の重役をやっておって報酬をやろうとしたけれども、株主の反対があって五島さんが要らないと言ったことが出ていますね。そういう事実関係もどうかということです。ぼくは全日空のあの事故が起きて、その解決もしないで、かりに重役の賞与を出すとか、しかも非常勤の者にまで出すとか、そういうようなことを全日空で考えているとすればけしからぬと思うのですよ。ですから、あなたのところに考課表とってあるでしょう。監督しているからとってあるから。その説明は時間があれですからいまでなくてもいいですけれども、してもらいたいということと、それから事故が未解決でありながら重役なんかに対して報酬か何か払っているんですか。
  162. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 全日空の松山事故の賠償は未解決のものが大部分でございますが、これは会社側が数回にわたりまして遺族の方と話し合い、話し合いと申しますか、賠償の話し合いをいたしておりまして、これが従来遺族会というような団体の結成がおくれておりましたために、会社側では個々の遺族の方とずっとお話し合いをしておりましたのです。そういう関係もございましてなかなか進まず、また、遺族のほうでも合同葬儀をしてからこの賠償の問題を解決したいというような御希望の方もございました。いままで解決しなかったものが多いのでございますが、大体お盆の時期までには解決しようということで、会社のほうとそれから遺族の大部分の方がいま精力的にこの交渉をやっておられます。社長みずから遺族との折衝に当たっておるわけです。
  163. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それで、全日空では取締役なんかに対して報酬を、月々の報酬以外に決算期における報酬とか、そういうようなもの払っているのですか。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  164. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 全日空はこの事故、その他の関係もございまして、昭和四十一年度の決算におきましては十七億円の赤字を計上いたしました。したがいまして、利益金処分によります役員報酬はこれは一文も出ておりません。ただ、これはどこの会社でも、最近の会社はそうでございますが、これは月給と見るべきかあるいは手当と見るべきかわかりませんが、毎月の月給のほかに年末なり、あるいはお盆に何カ月分という一般サラリーマンと同じような、いわゆる経費で落とす金から賞与と申しますのか、あるいは毎月分の月給のうちから金をためておいて、それをお盆と暮れに渡すというのがこれは最近の会社、日本じゅうの会社、どこでもそうでございますが、経費で落とす手当というものを重役には払っております。
  165. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはあなたのほうで調べてください、全日空がどういうふうな手当を重役に対して払っているのか、事故が起きてからそれから五島昇氏が何かそれを提案しようとしたときに、株主総会で株主の一部に反対が出て五島さんが何か辞退したとか言われておりますね。
  166. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 退職金……。
  167. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 退職金ですね。その経過も明らかにしてください。いますぐじゃなくていいですから、午後に間に合えばと思うので、そうしてください。
  168. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) では、午後は二時に再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時十二分開会   〔理事八田一朗君委員長席に着く〕
  169. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、本案の質疑を続行いたします。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  170. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 運輸省で空港整備五カ年計画というのを立てているわけですが、その具体的内容ですね、それと予算の関係、人員関係ですね、どういうふうになっておりますか。
  171. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 航空局長から詳しく御説明いたします。
  172. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 空港整備五カ年計画は、今年度を初年度といたしまして、五カ年間に千百五十億円のワクで日本の空港を整備する、こういうことで閣議の了承を得まして、これを八月ごろにその詳細につきましては閣議決定をすることになっておりますが、この空港整備五カ年計画には新空港関係のものは含んでおりません。新空港を除きまして、除いた一種、二種、三種の空港の整備計画でございます。
  173. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 どのくらい金がかかるんですか。
  174. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 総体のワクは五年間で千百五十億円でございます。
  175. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 人数はどういうことですか。
  176. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この間の定員の増加につきましては、閣議了解にはなっておりませんが、私のほうでこの間に、航空安全関係の職員として、この空港整備五カ年計画に伴いまして、千五百名の要員を増加することが必要だということで、ただいま計画を立てております。
  177. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 増員についてしっかりした目安がなくて、お金だけかけて整備計画はできるんですか。
  178. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは定員までぴちっと五カ年計画で何名という定員をきめることは一般の公共事業でも通例ございませんで、航空の場合にはこの五カ年計画を毎年毎年の予算で実施していくわけでございますが、その予算でつきました施設につきまして、必ず定員がつくと、こういう従来の関係になっております。
  179. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまのは千五百名ふやすんですか。
  180. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 五年間に千五百名をふやすという、これは運輸省計画でございます。
  181. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 千五百名ふやすというのは、新しく定員を改正して千五百名ふやすと、こういう意味なんですか。凍結解除も含んでいるんですか。
  182. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 航空局には凍結定員がほとんどございません。全部新規でございます。
  183. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、その千五百名を具体的にどこへどうやってどういうふうにふやすのか、これの資料出してくれませんか、それから質問しますから。きょうはこれで終わります。
  184. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは運輸省のほうの計画でございますので、私どものほうの計画に基づきます資料は後日提出いたします。
  185. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それがないと質問続かないですね。これはいつから始まるんですか。
  186. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは昭和四十二年度を第一年度といたしますので、今年度から始まるものでございます。今年度には御審議いただいております設置法にもございますように、航空局関係定員は、四十二年度に地方航空局の設置を含めまして二百五名いただいておるわけでございます。
  187. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ことし二百五名でしょう。二百五名とは凍結解除も含んでいるのじゃないですか。実際には二百五名にならなかったのじゃないですか。
  188. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 凍結は航空局の場合三名でございまして……。
  189. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、五年計画でかりに二百五名として、千五百名にするにはだんだんだんだんこうふえていくわけです。これは具体的にどういうふうに、どこをどうやってふやすという大まかな、あんまりこまかい点まではまだ計画であるから無理だと思いますけれどもね、そういう目標的なものはあるわけでしょう。それとの関連で今度の定員の問題も当然考えられてくるわけですわね。質問の要点は、そうやって千百五十億というばく大なお金がつくわけですね。ついてもそれは計画だからあとのほうのことはどうなっていくかわかりませんが、ことしは幾らふえるんですか、予算、その関係では。
  190. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ことしは、国費といたしましては七十七億の予算がついております。
  191. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ことし七十七億で、五年間で千百五十億になるにはあとのほうがばく大にふえていかなければなりませんね。それに伴って人数の二百五名というのは、ことし二百五名だから、あとになってどんどんふえるわけです。こういうふえ方をするような計画になっているんでしょうか。
  192. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 千百五十億のうち、地方が分担する分その他がございまして、国費として約これは千二十億になります。千百五十億は総事業量でございます。それで七十七億は本年度分の国費でございます。これを五年間にいたしますと年率約五〇・五%ぐらいの伸びでございます。定員の増もそういうその五カ年計画の事業量に従いまして来年分を決定しましたときにそれに見合う定員は必ず確保するということでもって考えております。
  193. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや、だから五年計画で五〇・五%は、金額がふえる見込みだと、こう言うのですね。まあこれは見込みですよね。そうすると、人員はどういうふうにふえていって、いま言う千五百名になるのか、どういうふうになっているのですか。来年はどうだとかこうだとかあるでしょう、それはどうなんですか。
  194. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは五カ年計画の全体の総事業量が閣議了解なったまででございまして、その詳細は、毎年分をどうする、どの空港をどうするということは八月までにきめようということになっております。われわれのほうの定員の増加の具体的計画が八月の閣議決定の際には、これは大蔵省は人員までは関係がございません。私のほうのあれとしては、そのときまでには確定しておきたい、こう思います。
  195. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 金額のほうは、五〇・五%でずっと上がっていくというんでしょう、いまあなたのお話は。七十七億を五〇・五%積み上げていくと千二十億になるのですか。ちょっとその計算をしてみてくれませんか。
  196. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 年率五〇・五%で千二十億になります。
  197. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 小学校の試験みたいで悪いけれども言ってください。
  198. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは千二十億から、七十七億と五年間の総事業量の千二十億とを、単純に五年間に千二十億になるように伸ばしたらそのような比率になるということでございまして、毎年度事業計画を具体的にどれだけにするかということは、これから大蔵省と詰めるわけでございます。たとえば空港の整備でございましても、四十二年度、初年度でございます、四十四年に非常な山が来る。これは羽田の拡張あるいは大阪の滑走路を方陣に間に合わして整備するというようなことから、ある年度に山が来るという非常なでこぼこがございます。それを大蔵省の全体の財政計画とにらみ合わせながら八月までに詰めよう、こういうふうに思っております。総事業量だけが閣議で了承されております。このような次第でございます。
  199. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 総事業量はきまっているわけでしょう。それでことしのものは七十七億で五〇・五%ずつ伸びていくというんでしょう。七十七億に五〇・五%足すと百二十億ぐらいになるんですね、目の子算で。そのものの五〇・五%はその次に伸びていくという形でしょう、大ざっぱに言って。そうなれば計算してみて千二十億になる。四十二、三、四、五年と出てくる、その数字をあげてくださいと言っているんです。別にだからあなたのほうでまだ閣議決定、正式にこまかい点は前なんだ、前なんだからそこまではかんべんしてくれ、いろいろな影響があるから。そう言うのならぼくはそれでけっこうですよ。それならばそこまでいろいろな影響があるからということならいいけれども、最終が出て、五〇・五%ずつ、何というか、複利計算みたいに上がっていくというのだから、それならこまかい計算があるのじゃないかと聞いておるわけです。
  200. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これはまだ年度割りをどうするということはきまっておりませんで、大体大いに航空施設の拡充をしなければならぬというので、これもしなければならぬ、あれもしなければならぬ、五年間にはこの程度のことをしなければならぬということで、大蔵省と交渉した結果、運輸省の要求全部というわけにもいかない。財政上の都合もあるから一応事業費の千百五十億という程度を了解されたわけでございまして、その点を一応念のために閣議決定で確認してあるということでございます。今後は、先ほど局長からも申し上げましたとおり、その年その年によりまして緊急を要する工事、また設備、それからいつまでにぜひとも完成しなければならぬ飛行場、まあこういうことを考えながら、その千百五十億の事業をだんだんと五年間に食っていこうと、こういう考え方でございます。したがって、毎年五〇・五%ずつ上がるというわけでもないのでございまして、局長の申し上げましたのは、かりに毎年一定の割合をもって上げていって十百五十億までにするには五〇・五%ずつ上げなきゃならぬというような意味じゃなかったかと思います。
  201. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 大臣がなかったかと思いますと言ったってそれははっきりしなければだめですよ。じゃなかったと思いますというのならわかるけれども、なかったかと思いますというのは、何だかわかったようなわからないようなことで困りますね。五〇・五%というのは何なんです、それじゃ。
  202. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 初年度を七十七億といたしまして五年間に千百五十億を使う、その単純な線を引きますと、上昇率が五〇・五%になる、こういうことでございまして、実際は各年度の予算は必ずしもある年度には非常にたくさんあるという年度がございますが、たとえば大阪の万博に間に合わせるために、四十四年度中にどうしても三千メーターの滑走路をつくらなければならないというようなことになりますと、そのときには非常に多額の金を要します。その辺は、千百五十億というのは非常にばく大な額でございますが、現在私のほうでいろいろ検討しております事業を盛り込みますと、これでも毎年盛り込めなくて苦慮いたしております次第でございます。その実施計画につきましては、各空港の整備、保安のための施設というものを緩急順序をつけて具体的に毎年度に当てはめて押えていく、こういう作業をいまやっている段階でございます。まだ毎年幾らか、こういう具体的な数字はまだちょっとお出しできるようなりっぱな計画はないわけでございます。
  203. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたの言うのは、五〇・五%を伸ばして単純計算でいくと千百五十億になるというのでしょう。それなら単純計算を一年ごとに出してください、こう言っているのですよ。前からそう言っているので、そのことを別にどうこういうわけじゃないのですよ。それはピークもあるのだし、いろいろなものがあるからそれを修正しなければならぬことはあるわけですよ。それが一つと、五〇・五%というのはどこからどういうふうに出てきたのかということですね。それは一つはその基礎があるわけでしょう。
  204. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これはただいま申し上げましたように、単純な線で伸ばしたということでございますが、七十七億、百十七億、百七十四億、二百六十二億、三百九十二億ということで千二十二億になるわけでございます。
  205. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それならそれでいいわけですよ、千二十二億でも、端数は別として。その五〇・五%というのはどこから出てきたのですか。
  206. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは別に出てきたことではございませんで、総事業量を千百五十億、五年間にやりましょうということを大蔵省と私のほうで約束したわけでございます。それで、ただし、四十二年度は一般の財政事情も苦しいことであるし、五年間には必ず千百五十億の工事をすることに同意するが、昭和四十二年度は七十七億でかんべんしてくれという政府間の予算折衝がきまりまして、それで四十二年度を了承したものですから非常に急なカーブになった、こういうことで年率のパーセンテージには合理的な根拠があるわけではございません。
  207. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 最終は千二十億と押えたわけですね。初め七十七億と押えるわけでしょう。それを五年間にやっていくためには算術的な換算をやってみると五〇・五%ふやしていくとそういうことになる、こういうわけでしょう。それはまあそれでいいんですが、そうすると、人数のほうはどうするのですか、千五百名というのはどうやってなるのですか。
  208. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 人数のほうの千五百名は、その千百五十億の総工事量を実施いたしましたら、これは滑走路はどれだけに延長する、それから各飛行場につきまして無線関係の保安施設はどういうものをつける、どの空港には計器着陸装置のILSをつける、どの空港にはILSはつかないがGCIはつけるというような、こういう具体的な計画はまだ国としてきまっているわけでございませんが、私のほうでこの千百五十億の内容を分析いたしまして、それに人員をはりつけていった最後のでき上がりの姿が、現在よりも千五百名の人数がふえる、こういうことでございます。単純に年次別の割り当てを別にやっているわけではございません。
  209. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、五年間かかって五年目にそれだけのお金をかけ、人数をふやしてでき上がったそのときには、日本の航空安全というものは初めて確保されるのだ、パーセントでいうと一〇〇%、そういうことになるわけですね。
  210. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 一〇〇%そのときになって初めて安全であるかと、こういうお話でございますが、これは現在でもわれわれは安全であると確信いたしております。たとえば例をとりますと、千二百メーターの松山の滑走路で問題が起きたわけでございます。あれはYS11で起きたわけでございます。元来YS11というのは、千二百メーターの滑走路に合わせてつくられた飛行機でございます。ただ、かりにあれが千二百メーターが、千五百あるいは二千であればより安全度が確保される、もっと確実に確保されるということ。それから、さらに優秀な飛行機を入れることができるというようなことで、安全度の向上及び航空輸送をもっとより便利にしていくというようなことから、この五カ年計画を策定した次第でございます。
  211. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、あなたのお話だと、いま航空機の事故が起きたら、それは政府の責任ではないということですね。
  212. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 政府の責任ではないと申し上げているのではございませんで、航空機の事故が起きましたら、それは政府の責任で起こるものもございましょう。たとえばビーコンが切れたということで航空機の事故が起こったということであれば、これは政府の責任であったかどうかという問題も起こると思います。それからエアラインの過失で事故が起こる場合もあると思います。これは、いま事故が起きれば、それは政府の責任であるないというよりも、個々のケースによって違ってくるものであろうと思うわけです。
  213. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃいろいろこまかくお聞きしてまいりますが、一つ一つ聞きますよ。航空機が異常接近をして空中衝突寸前の危険をもたらした例、これは衝突まで至らなかったのでしょう。至らなかったけれども、それに近いような状態を起こしたという例が去年ごろからあるのですか、ないのですか。
  214. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 航空機の異常接近——ニアミスの例は、これはございます。
  215. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ございますといって、すぐすわらないで、ございますと言ったら、こういう例、こういう例がありますと、こういう説明しないといけませんよ。これでは法案上がりませんよ、飛行機は上がるけれども
  216. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) いまニアミスの件数をちょっと資料持ってきておりませんが、後日資料で御提出申し上げたいと思いますが、このニアミスの判定の基準が非常にむずかしいのでございます。VFRで、目で飛んでおります場合には、相手方の飛行機にとっては、あれはニアミスであるという判断をかりにされたとしましても、このVFRで飛んでいるパイロットのほうは、自分は目で見て確実に飛んでいたのだから、これはニアミスではないという場合がございます。それから、両方が計器飛行、ILSで両方が飛んでいました場合に、どこまで行けば非常に危険であるかということは、これは航空局のほうにいろいろな、パイロットなりあるいは管制官から報告が来まして、これを航空局が詳細に分析しまして、これはまことにニアミスであった、あぶなかったという判定をする場合をニアミスというふうに概念いたしております。件数ちょっといま覚えておりませんが、後ほど資料で提出させていただきたいと思います。
  217. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そのニアミスをぼくが問題にしているのは、そういうことがなぜ起きたかということを問題にしているわけですよ。そこに定員法との関係で、問題があるわけですからね。ただ空論を言っているわけでは決してないわけです。そこら辺のところはお考え願いたいと、こう思うのですが、相当あるのですよ。ぼくらの調べでは、四国方面が非常に多いですね。高松近くが非常に多いですね。これは高松の前川委員からあとでいろいろ質問があると思いますけれども、ほんとうに多いですね。どういうわけで高松近辺に多いのか、これまた問題がありますけれども、これはいずれにいたしましても、資料をもらって、検討します。その原因がどこにあるかということを重点に私は質問しているつもりです。  そこでいろいろ質問しますけれども、たとえば航空局の人員の中で、いま本省では無線課というのがありますか、これは全部で二十八名ですか。定員関係に入っているから官房長のほうがいいでしょう。
  218. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 無線課の定員はおっしゃるとおり二十一名でございます。
  219. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 二十八名じゃないですか。
  220. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 二十一名でございます。
  221. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そのうちに、会社や何かから納入された機械なんかの検査をしたり監督したりするのは何というのですか。
  222. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 施設係でございます。各係ごとの定員は聞いておりませんが、たしか三名であったと思います。
  223. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それを今度は一名減らして二名にするのですか。
  224. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先日の前川先生の御質問にもございましたように、ただいま運輸省の中に、今度の地方航空局を設置するための準備委員会を開いておりまして、それで地方航空局に具体的にどれだけの仕事を落とすか、それによりまして、本省の定員をどういうふうに変えるかということを具体的にいま詰めている段階でございます。まだ個々の係まで決定はいたしておりません。
  225. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 すでに三名を二名に減少するということで決定しているのじゃないですか、内部では。そういうことをちゃんと言っているのじゃないですか。
  226. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) まだ決定いたしておりません。局内にそういう委員会をつくりまして慎重に検討している段階でございます。
  227. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これはどういう仕事をするのですか。
  228. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 無線関係の機器の設計、それからその工事監督、それからできました場合の完成検査、これらのことを分担いたしております。
  229. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その人たちは実際には忙しいのですか、あまり忙しくないのですか。
  230. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 非常に多忙でございます。
  231. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 今度空港整備五カ年計画という形の中で予算がどんどんふえていくわけでしょう。この人たちの仕事は非常にふえるのじゃないですか。
  232. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ただいま地方航空局の設置をお願いいたしておりますのは、現在、全国の飛行場、全国の航空保安施設、ただいまおっしゃいました無線施設を含めましていろいろな安全施設を全部本省が取り上げて、取り上げてと申しますか、本省で事務をやっておるわけでございます。そのために本省事務が非常に多忙でございまして、職員も本省に勤務いたしております者は毎日八時あるいは九時まで帰れないという状態で、いわゆる企画事務をやる時間というものは非常に少ないわけでございます。これはどの省どの局におきましても、本省は本来は企画事務あるいは制度的なものを実施するというのが任務かと思いますが、それが個々の施設の設計、それから監督、完成いたしましたときに現場にまで行ってそれを検査するというようなことに追われているわけでございます。これは航空の行政組織を根本的に何とか変えなければいけないということで、ただいま設置法でお願いいたしておりますように、本省がやっておりますうちの現場的な監督事務と申しますか、それを地方航空局にでき得る限り落とせるものを落としまして、そこへ運輸大臣の権限を委任いたしまして、そうして本省のほうはでき得る限り制度的な事務あるいは政質的な事務がやれるように持っていきたい、こういうことで、ただいまこの設置法によりまして地方航空局の設置ということをお願いしている次第でございます。
  233. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは提案理由でわかりますが、そこで航空局関係でいままで欠員——欠員というか、定員が完全に充足されたことはないんですか、どうなんですか、本局だけでなくて。
  234. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは保安施設につきましては三直四交代である、あるいは四直五交代であるということで定員が自然的に出てくるわけでございます。実務的な仕事につきましてはどれだけの事務にどれだけの定員がつくということの基準がございませんし、航空局の事務、これは技術関係の事務ももちろん含めるわけでございますが、事務的な仕事に対する予算定員というものは非常にわれわれの考えでは採り不足であった、そのためにこのように非常に職員が多忙になっているんだ、このように考えております。
  235. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 お聞きしているのは、航空局の定員があるでしょう。定員が完全に充足されたことはいままであるんですかということを聞いておるんですよ。
  236. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 定員はいつでもほとんど一ぱいになっております。
  237. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ちょっと私の聞いておるのと違うんですけれども、これはまたよく調べましょう。  たとえば乗員課というのがあるわけですね。これは航空局にあるんですか。これはパイロット養成をやるんですか、何をやるんですか。
  238. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 乗員課はパイロットの養成関係、いわゆるそういう制度的なものあるいは予算的なもの、それから乗員試験をする者がこの乗員課に配置されております。
  239. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それが今度どうなんです。何名になるのですか。
  240. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 乗員課の実施しておりますパイロットの養成の計画あるいは予算的なものは、本省に残しますが、乗員試験を実施する試験官は、地方航空局の定員に配属がえをいたしたい、このように考えております。
  241. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そのパイロット養成の試験官というのは現在九名で、これが十二名にふえる計画じゃないですか。
  242. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 従来の定員九名に新しく三名の定員がつきますので、おっしゃるとおり十二名でございます。
  243. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは何をやるんですか。試験問題やなんかをつくったり、あるいは実地訓練をやったりするんですか。どういうことをやるんですか。
  244. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) パイロットのライセンスの試験をするものでございます。それから、実地試験もいたしますし、それから、学科試験もあるわけでございます。
  245. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 四十一年の八月二十六日に羽田に何か事故があったんですか。これはどんな事故ですか。
  246. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは日航の乗り組み員に上級資格を与えるための試験を航空局の検査官がやっておりましたときに、羽田で炎上いたしまして、全員死亡いたしました。
  247. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この原因はどこなんですか。
  248. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 事故調査の結果は、まだ正確な結果が出ておりません。
  249. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは十二名にふえて、そうして、本省と、それから、東京、大阪とかの局へ分散するんですか。
  250. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 人数が少なくて、これをどういうふうに運用するかということは、現在、先ほど申しました局内の委員会で慎重に検討いたしております。東京なら東京の航空局に全部置いて、それで全国を見るか、あるいはこれは全部、地方局の定員に移っておりますので、実際の通用につきましては、これから実際と支障のないように詰めてまいりたいと考えております。
  251. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは試験をする者にはどういうふうにしてやるのですか。全国一カ所でやるんですか。あっちこっちでやるんですか。パイロットのどういう試験をやるのですか。
  252. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これはあちこちでやります。
  253. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それで、試験問題なんかどうしてつくるのですか。
  254. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 非常に専門的なことになりますので、お許しを得まして、管制課長から御説明申し上げたい。
  255. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) 試験を二つに分けて実施しております。筆記試験のほうは一括して航空局でつくりまして、それを主要な都市に分けまして、そこに航空局の事務官が持っていって、そこで必要な受験者を集めて試験をいたします。それから実地試験のほうはそのつど申し込みのありましたときに、会社別あるいは場所別に分かれまして、その土地に参りまして、希望の機種によりまして、その飛行機に乗りまして、自家用、事業用、上級事業用、あるいは定期運送用、あるいは機種に分かれて、それぞれこまかい試験を実施いたしております。
  256. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その試験は非常に科目があるのですね。百四科目あるというのですが、ほんとうかな。多少の違いはあるかもしれぬね。
  257. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) 科目の数は確実に記憶いたしておりませんが、それくらいあると思います。非常にたくさんございます。
  258. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そういうふうなたくさんの試験問題をつくるのに、非常に労力を使うそうですね。そこで、それは分散をしておったのでは弊害があるので、ある程度まとめておいたほうがいいんじゃないかという意見のほうが相当強いのではないですか。
  259. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) そういう意見もございます。ございますが、実際の試験、あるいは検査も同じことでございますが、これはどの省におきましても、どの局におきましても、実際地方局において実施するというのがたてまえでございますが、実際の運用において一番便利な方法はどういうことかということをいま検討いたしておりますので、一カ所にまとめたほうがいい、こういう意見も十分参照しながら、いま案を詰めておる次第でございます。
  260. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたのほうの航空局から官房へ出した予算要求に伴ういろいろな資料があるのでしょう。そのときにはこのパイロット養成の試験官、これは何人くらい必要だというふうに出したのですか。
  261. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 申しわけありませんが、ただいま資料を持っておりませんので、後ほどまた御報告させていただきます。
  262. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたの局から官房へ出すでしょう。官房でまたいろいろ整理して削るわけですね。削って省議かなんかにかけて、大蔵省に要求するわけですね。官房へ出すまでの資料があるわけだ。これは運輸省としてのまとまった資料をもらいましたがね、これのもう一つ前の資料があるのですね、厚いやつ。これに詳しく書いてある。これはあなたのほうでいいかげんに書いたのじゃないでしょう。これだけの根拠があって、必要だというふうに書いたのでしょう。
  263. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) もちろん必要であるから、官房に要求したわけでございます。ただ、やはり官房といたしましても、省全体のことを考えて最終的に詰め、それにつきましては、航空局も了承して大蔵省に要求したわけでございます。
  264. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 あなたは官房のことは考えなくてもいいのですよ。航空局の人員はどうしてもこれだけ必要だ、これがなければあぶない、事故が起きる、そうなったらたいへんだということを考えてやられればいいんで、あとは大臣のほうかなんかが適当に——適当にというと何だが、削るのは別なんですよ。あなたのほうは、これだけ最小限度どうしても必要だという資料を官房に出しているでしょう。それはあなたのほうのは根拠がないんだ、どうせ削られるのだから何か水増しして出したのだというならば別ですよ。あれかな、どうせ削られるから適当に水増ししてふやしておけということで出したのでしょうか。
  265. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先ほどもお答え申し上げましたように、必要であるということで官房のほうにお願いしたわけでございます。
  266. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それでは、あなたのほうで必要があるからといって出した資料、あなたのほうで良心に誓ってこれだけはどうしても必要だ、それがないと事故が起きてあぶないというのでしょう、その資料を委員会に提出してください。それに基づいて今度は一つ一つ質問していきますから。
  267. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) まことに申しわけございませんが、官房に提出いたしました資料は、これはやはり省内の事務的な打ち合わせの段階のものでございまして、省として委員会に御提出できますのは省で決定した資料ではないかと思います。
  268. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ぼくの聞いているのは、だから、あなたが官房に出した資料はいいかげんなものかと聞いたら、いや、そうではない、どうしてもこれだけは必要だといって出したのです、こうおっしゃるでしょう。それでなくちゃおかしいですからね。だから、その資料を出してほしいと言ったのですよ。まあ内部の問題だからこれは出せないというなら、それも一つの理屈だと思う、ぼくは。あなたの立場から言えば、ほんとうは出して検討してもらわなければならないのだ。それだけはやはり最小限度必要なことなんですよ。必要なことなんだけれども、官房あたりで削ってしまうのですよ。それから大蔵省へいってまた削られたりなんかしているのだ。それじゃ日本の航空事業というものはあぶないですよ。だからぼくらは心配するわけですよ。事故が起きたときには、もうさっき聞いたら、政府は原則として責任はない、これなら万全だ、いや万全だというわけではないが、万全に近いようなことを言う。それで事故が起きたとき、運輸大臣は、聞かれると、いや申しわけない、あのときもっとこういうことをやっておけばよかった、こういうように答えられる。しばらくするとまた元に戻ってしまう。実に、何というか、適当というと語弊があるけれども、それじゃいかぬと思うのです。しかし、まあぼくもまじめに聞きましょう。  そこで聞きますが、東京管制部というのがありますね。管制部というのは札幌、東京、福岡にあるのですか。——そういうわけですね。ここで地区別に一日当たり洋上、海の上の飛行機取り扱い機数というのは、これはわかっておりますね。これを資料として出してほしいのです。それが一つ。  それからその説明を概略してください。
  269. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 全部の資料をいま手元に持ってきてございませんが、東京航空交通管制部、これが一番取り扱い機数が多いのでございます。これが昭和四十一年に二十一万三千機の機数をこの管制部で扱っております。これを管制官の取り扱い機数に直しますと、一日十二ないし十二機でございます。年間、これは管制官によっても違いますが、大体二千機から二千三百機の間でございます。
  270. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その数字もちょっと議論があると思うのですが、あなたのほうで資料をつくっておりますね。そうすると、あれですか、二千機ないし二千三百機というのは全部を通じて、一年間。
  271. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 管制官によって違いますが、一年間に換算いたしまして二千機ないし二千三百、それで一日に十二機から十三機を扱っております。
  272. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは一人当たりですね、一人当たりでなく、東京管制部が扱うのはどのくらいなんですか。
  273. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先ほど申し上げましたように、四十一年で年間二十一万三千機でございます。
  274. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それの三十七、三十八、三十九、四十、四十一、四十二と、こういう年度の変化をグラフにしたものがあなたのほうにあるでしょう、ありますね、それを出してほしいことが一つと、その内訳ですよ、内訳というのは、米軍機がどのくらいかということ、これはわかるわけですよ、民間機はどのくらいか、米軍がチャーターしている民間機、これはどのくらいか、これはあなたのほうでわかっているわけですよ。
  275. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) これは管制をいたしておりますときは、これが米軍機であるかどうかということはわかるわけでございますが、そういうものを統計に残しておりませんので、いまから各年度に管制を実施した飛行機がどれだけか、米軍機であるか、あるいはどれだけがマップチャーター機であるかということをプレスすることはほとんど不可能でございます。ただ、ある最近におきまして、ある近い月なら月に取り扱いました管制部の飛行機のうち、どれだけが米軍機である、どれだけがマップ機であるかということなら、それはいまから資料を作成することが可能でございますが、三十七、三十八、三十九といわれますと、これはもう全管制官をあげて資料作成をやらせましてもちょっとできないのじゃないかと思います。
  276. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、それはあなたのほうの可能な限度で、いま言ったこれからのものでもいいですね、いいですよ。それはできると思うのですね。ぼくの聞いているのは、大ざっぱにいって、米軍機は五割、米軍のチャーター機が大体二割五分くらい、民間機が二割五分くらいの割合で飛んでいると、こういうことを聞いているのです。非常に米軍機の飛ぶのがふえてきているのです、去年、ことしになって。これは事実ですね。これはあなたのほうで、ある時期を限って、調べて出してください、これはどうですか。
  277. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 非常に近い時期で、資料がまだ完全に残っておるものにつきましては、二週間分ぐらいの統計をつくることは可能でございます。それをつくりまして御提出申し上げます。
  278. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 非常にふえてきているわけですね、米軍機が。それは米軍機がふえてきていることは、この委員会の直接の問題ではありませんから、それに関連しての問題がいろいろあるので、ぼくは前に聞いた、いわゆるニアミスの問題を聞いているのですが、そこでもまた問題が引っかかってくるのです。それからもう一つの問題は、茨城県の大子に航空標識所というのがあるのですが、これはどういうもので、どういう働きをしているのですか、いわゆる航空灯台とかいうものですか、空灯台というものですか、どういうものですか。
  279. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 管制課長から技術的に詳細御報告いたします。
  280. 泉靖二

    説明員(泉靖二君) 大子にあります標識所は、電波を発射いたしまして、その電波を航空機のほうから受けまして、標識所に対する相対的な方位、位置を知る、そういう簡単な標識所でございます。
  281. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その近所のところを通るわけですね、羽田や横田から飛んだものが通るのでしょう、上のところを。そうすると、何かそこでいろいろ問題が出ているのですが、これはあとで聞くことにして、アンカレッジから飛行機が上に来るのが多くなっているのです。これは事実でしょう、どうですか。
  282. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) アンカレッジから来る飛行機が多くなっていることは事実です。
  283. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これはちょっと別のことになるかもしれないですが、聞くのですが、国連の機構としてICAOというのありますね、これはどういうようなものですか。
  284. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) ILO・WHOなどと同じように、国連の下部機関として、民間航空の安全と、その事業の発達をはかるための国際機関でございます。
  285. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはどうなの、日本もそれに拘束されるのですか。
  286. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 日本の航空法の諸規定、あるいは実際の航空行政は、ICAOでつくられました基準なり、あるいはICAOで出しました勧告を尊重して実施いたしております。
  287. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君  ここの上空のところの、一つの、何といいますか、ゾーンというか、エアウェイというか、そういうものが現実には米軍の専用ルートみたいになっているのではないですか、約百マイルにわたってか、そこのところどうなの。
  288. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 米軍の専用ルートのようなものを、航空路はつくっておりません。
  289. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 米軍の専用ルートのようなものを、航空路はつくれないわけでしょう、ICAOにも入っているから。ところが、現実には、この上のところは、米軍のC141輸送機ですかの専用みたいになっているのではないの、なぜなっているかということの質問はこれからしますが、そこらのところを、米軍の輸送機C141がうんと飛んでいることは間違いないでしょう。
  290. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 先ほど先生おっしゃいましたように、アンカレッジから航空機の飛来が非常にふえていることは事実でございます。このために、航空の安全を確保いたしますために、アンカレッジと日本との間に、まん中に、ややスピードの低い航空機のための航空路を専用につくりまして、そして、それより一定のものよりスピードの高いものにつきましては、それぞれの約百マイル右左に分かれたところを通るというような管制を実施しているわけです。
  291. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 結局、米軍輸送機の専用路と公式にはいえないかもしれないけれども、事実上米軍輸送機の専用ルートになっているのではないですか。
  292. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) スピードのおそい米軍輸送機はそのルートを通る、通らなければならないわけでございますが、スピードの速い米軍機は、それぞれ、それから百マイル離れたところを飛んでいるわけでございます。
  293. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、米軍の輸送機というのは、いまのところはどのくらい、スピードは。
  294. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) スピードのおそい航空路と申し上げましたのは、マッハ〇・七八以下のものでございます。
  295. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 わかりやすく言うと、一時間四百三十五ノットのものでしょう、それが米軍C141ですね、非常にのろいわけです。非常にのろいので、普通の民間機は四百八十ノットでしょう、、だからその上を飛んでいったら追い越しちゃうのです。日本民間機なんかあぶなくてしょうがないというのです。日本民間機は飛べなくて、実際には五十マイル、五十マイルですか、そのゾーンというか、エアウエイというのですか、これはアメリカの輸送機の専用空路になっているでしょう。
  296. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この制度を実施いたしましてから、管制官といたしましても、この空路の取り扱いが、非常に容易になりました。それから飛んでおります各飛行機も、従来以上に安全に飛べるということで、関係エアラインを含めて非常に喜んでおります。
  297. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 喜んでおるかおらないかはこれは開いているわけではないですよ。聞いておるわけではなくても、あなたのほうで答えるのは自由ですから、答えてくださってけっこうですよ。遠慮しなくてもいいんです。あなたのほうで言いたいことをうんと言っていいですよ。ほんとですよ。遠慮することは何もございませんよ。ただ問題になっているのが、それが具体的に管制官にどういう影響を及ぼしているかということが問題になってくるんですよ。そこですよ問題は。そこで今度は管制官の定員の問題になってくるんです。これはICAOの違反だという考え方もあるのですけれども、まあこれはしばらくおくようにいたしたいと思いますが、この制度がしかれたのは去年からでしょう、ことしか、ことしの五月十二日からかな。
  298. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この航空路を分離いたしましたのは、ことしの五月十二日から実施いたしまして、ICAOのこれに参加して一緒にやったわけでございます。それでこの航空路を分離いたしましたことによって、非常に航空の、安全が確保されたということで、関係園とも喜んでおる次第でございます。
  299. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そこで問題になってきますのは、大子の航空標識所にある無線機というのは、何か非常に故障が多いというのじゃないですか、これは気流の関係でうまく入らないのですか、ここのところは。
  300. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 大子のビーコンは非常に故障が多いということは聞いておりません。
  301. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ここでは人数はどの程度いるのですか、それで一人の管制官が四波も五波も受けなければならないということで、非常に疲労度が強くて、そして危険といいますか、あぶないことが起きるかもわからないということが言われておるのじゃないですか。いまあなたの言う、五月十二日からは、それが解消したというのですか、前はそういう状態があったのですか。
  302. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 大子のビーコンは御承知のように、電波を出しっぱなしでございまして、これは五人の定員を張りつけてございますが、ビーコンの電波が切れないように保守をしているだけでございまして、いわゆる航空標識でございます。ここで管制をしているわけではございませんで、この大子のビーコンの上を通る飛行機の数がふえて、それを東京管制部で、管制センターで管制をしているわけでございます。その飛行機がふえた、こういうことではないかと思います。五月十二日以降ふえたということではございませんで、昨年からずっと日本に飛来する飛行機の数はどんどん増加しておるわけでございます。
  303. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 アンカレッジから来るというのは、どういうことでこれは来るのがふえたのですか。
  304. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) この管制は、来る目的その他まで、飛行機の目的その他まではわからないのでございますが、想像するところ、米軍の軍用機がふえているためであろう、このように推定いたします。
  305. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これはベトナムへ行くのでしょう。そこまではわからないですか。あなたのほうは米軍の飛行機が何でふえたか。ベトナム戦争の結果に伴って非常にこうふえてきたわけですね。いま東京管制部ですか、あそこでもキャッチしておるように、非常に急速にふえておるわけですよ。それに伴っての管制官の仕事というものは非常に激しさを加えておるのですね。これはもうさっき言った資料を出していただくとわかるのですね。それが一つと、それから、もうさっき言ったニアミスの問題、あれはたいへんですよ。ずいぶんあちこちにあるようですね。あれを資料をもらってからまた質問していきたいと、こういうふうに思います。きょうはきわめてまあ入り口までしか行かないのです。プロローグのプロあたりだ。それからゆっくりやりますからね。
  306. 澤雄次

    政府委員(澤雄次君) 御要求の資料は提出さしていただきます。ただ、ちょっと御説明さしていただきたいと思うのですが、ニアミスが非常に多くなってあぶないというお話でございますが、非常に日本の航空が危険なような印象を受けますが、このニアミスというものはどういうふうにしてどうしてニアミスというものの情報が入ってきたか、それから情報の取り方でございますが、これは機長が、自分のニアミスであるならばニアミスという報告をどんどんするわけでございます。それからこちらの機長がニアミスでないと思っても、向こうの機長がニアミスであると思えば、それを報告します。それから、各管制塔の管制官からニアミスという報告も来るわけでございます。ただニアミスの、どこまで接近すればニアミスだという定義はないわけでありまして、まず目で見る飛行機の遭遇の場合、VFRとIFR——目で見るものと計器でやっておるものとの遭遇の場合、計器同士、そういうことで、ニアミス情報が本省に入ってくると、詳細に分析いたしまして、これはニアミスであった、その原因はどうであった、これはこういう対処をするという措置をとっておりまして、ほんとうに危険に近いというニアミスの数は非常に少ないわけでございまして、われわれのほうで最終的にニアミスと断定しておるケースというものは、巷間言われているように、数は決して多くないわけでございます。どうぞ御安心を願いたいと思います。
  307. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは安心しておるから飛行機に乗っておるので、それはそうなんですけれども、あなたの言われるように飛行機は、ぼくは近代人だから汽車よりも飛行機のほうが安全度が高いというのを信じておるから飛行機に乗るのですよ。だけれども、いま言っているようなニアミスがあることはあるでしょう。だけれども、ニアミスをどこまでほんとうにニアミスと言って、そのうちほんとうに危険だったものはどういう程度のものか、どういう原因によって発生したか、それはなかなかむずかしいですよ。率直に言って、むずかしいから、あなたのほうで、これはニアミスなんだ。ニアミスであるけれども危険度はどの程度のものであったのだと、いろいろ場合によって違うと思うのですよ。だからそれをいただいてからそれについて質問していって、それが現在の航空局のあり方というか、人の問題なり何なり、そういう問題とどう関連するか、こういうことをお聞きしようと、こういうことなんです。ぼくは、飛行機があぶないものなんて決してあれしておるのじゃない。これはだいじょうぶだと思います。だけれども、飛行機に乗っていると、着くまで心配なことは心配なんです。じゃ、きょうはプロローグのプロのところで終わらしておきます。
  308. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 速記をとめて。   〔速記中止〕   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕
  309. 豊田雅孝

  310. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは次に、宮内庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る二日、衆議院から送付され、付託されました。なお、提案理由説明はすでに聴取いたしております。  それではこれより本案の質疑に入ります。関係当局からの御出席は、瓜生宮内庁次長、並木皇室経済主管の方々でございます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  311. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 今度の法案の提案をした趣旨といいますか、それは概略どういうところにあるのですか、わかっておりますけれども
  312. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この趣旨は、先日の説明で概略は申し上げられていますが、この宮内庁の職員のうちで、天皇陛下その他皇族の方の側近に奉仕をされる侍従、女官、そういう方は特別職になっていますが、天皇陛下はじめ皇族の方のいろいろ御活動の状況もだんだんいろいろと多くなってまいっております。また、新しい親王さんがお生まれになるとか、そういう方がまた成長なさるとか、そういうことに伴いまして側近の仕事がふえてきておるわけでございまして、そのためにこの侍従、女官の手もなかなか回りかねるような点もありまして、そういう数をやはりふやさなくちゃいけないというように感ぜられ、実は四十二年度の予算編成の際に女官を一名、東宮侍従を一名、東宮女官を一名ふやしてもらいたいということで、予算はそういうふうに一応組んでいただいたわけでございます。しかし、この宮内庁法の規定によりますと、宮内庁の定員につきまして一般職の職員千百九十四人、特別職の職員二十二人、合計千二百十六人というふうに、特別職と一般職とそれぞれ別に書いてあります。で、実際この三名をふやしていただくという場合も、全体の人員はふやさないで一般職の職員千百九十四人を千百九十一人にして、特別職の職員二十二人を二十五人に直していただく、この総員は変わらないというふうに実は予算も編成されておるわけであります。しかし、こうして特別職、一般職別々に法律上規定されておりますと、全体の数が動かなくてもやはり法律の改正をお願いしなければいけないわけであります。ほかの普通の役所ですと、特別職というのはありませんで、一般職だけであります。特別職のあるのは宮内庁と外務省と防衛庁と三つのようでありますけれども、一般の役所ですと、その役所の中でここのところが非常に忙しいという場合に、この定員の配置転換をその定員総体の範囲内で転換する場合には法律の改正が要らなくてスムーズにできるわけですけれども、宮内庁の場合に、一般職の中だけでやる場合にはこれは簡単ですが、特別職のほうへ一般職の定員を回そうという場合には法律の改正が要ります。で、そうなりますと、やりたいと思いましてもあるいは半年なり一年なり実行に移るまでにはいろいろ手続上おくれてまいりますので、特に御不便を忍んでいただくというようなことも場合によってはあり縛るわけで、そういうこともありまするので、総体の人員がふえないでいく場合において、この特別職のほうの関係を実情に応じて幾らかふやすというような場合には、一般職のほうをそれだけ減らすということでやってまいります場合には、法律の改正を要らないようにしていただきますると、まあ円滑にまいりますし、御不便をかける程度も少なくて済むというようなことでこれをお願いしようということになったわけでございます。
  313. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、最初のお話で、予算で玉名の増員というのは、現在の定員プラス三名ということではなかったんですか。
  314. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 予算の説明のところに、特別職のほうは玉名ふえておりますが、一般職のほうでは三名減っておるわけでございます。総員は変わっていないわけでございます。
  315. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 大体お話はわかるんですけれども、そうするとどういうわけで特別職にするんですか。その辺のところはどうなっておりますか。
  316. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) こういう側近の奉仕の仕事といいますものは、あるいは場合によりますと皆さんたちの秘書官というような感じの仕事であります。やはり個人的に接触しながらいろいろ世話をする。そういうような場合に、普通の一般職の職員でありますると、国家公務員法によりまして、まあ人事院規則というものがあり、それを採用する場合には、学校を出てこういう試験を通ってというようないろいろ条件がございます。特別職ですと、そういうむずかしい条件はないわけであります。で、侍従とか女官の者の場合は、まあそういう学識の点ももちろん必要ですけれども、もっと広く一般的に見てそれに適当な人柄というものを選んでいく必要があると思うので、そういう意味でもっと広い範囲でそういう人柄の侍従なり女官につくような人を採用するということが必要であるということで、従来とも一般職でなくて特別職というふうになっておるわけで、そのことはやはり意義があると存ずる次第であります。
  317. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 宮内庁のことは私もよくわからないのですが、そういうふうな方を採用するのにはどういうふうにして採用するのですか。
  318. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは一般に募集するというようなそういう方法に別によるわけではありません。一般職ですとまた人事院のほうでずっと募集してやりますけれども、この侍従、女官の場合ですと、一般に募集して応募者を募るといっても、なかなか適当でありませんので、結局いろいろの、まあたとえば学習院の関係とか、あるいは東大の関係だとか、あるいはそれらの学校の関係なんかの同窓の名簿なんかも調べたり、また宮内庁に現在つとめいるいろいろな人の知っている範囲をいろいろ調べたり、結局人柄もわかっておるような人で適当な人で、しかもその人もそれじゃいたしましょうという方を採用するということになっておるわけであります。
  319. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だから、この特別職になると、これはあれですか、政治活動は自由にできるの、これは。
  320. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは、一般職ですと国家公務員法、人事院規則の制限がありますが、特別職ですとその制限は実はまあありません。しかしながら、職務の性質上、陛下の側近にある、皇太子殿下の側近にある方は、その職務の性質上それにふさわしくないようなことをなされると、やはり侍従なり女官に適当じゃないということになりますので、法律上のむずかしい制限はありませんけれども、実質上は慎重にやっておられるわけであります。
  321. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いま、ちょっと話は別になりますけれども、天皇の、天皇というか、天皇個人のあれですか、財産というものもあるのですか。皇室財産というもののほかに天皇個人の財産というものはあるのですか。そこはどういうふうになっておるのですか。
  322. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 憲法で皇室財産はすべて国有とすという条文がありまして、憲法発布の際に、皇室の御所有の財産のうち、土地とか、建物ですとか、それから株、現金とか、そういうようなものについて、土地とか建物は全部でありますし、それから現金とか預金に当たる分につきましては、日常の必要な経費と認められるということで、あるいは不時に備えるためということで、その当時千五百万です、それだけを残して、あとは全部国庫に入ったわけであります。その後、皇室の予算——内廷費というのが、両陛下、皇太子殿下などの内廷の方の必要な経費として毎年国庫から出ます。それがいまは年六千八百万円になっておりますが、それでいろいろまかなわれて、幾らか余裕があれば、それをわれわれの言う貯金のようにしてたくわえておられる。で、不時の必要の場合にそれを引き出して使われるというようにしておられるわけで、いわゆる現金、預金とか、そういうものは幾らかあります。そのほか、御自身の研究上必要なものですとか、身の回りのものとか、これは御私有でありますけれども、その他のものは、皇室用財産といっておるのはこれは国有でありまして、国有のものを皇室の御用に供するというわけで、これは皇室の財産ではないわけであります。よくその点が世間で誤解をされるわけで、皇室用財産といっておるのはこれは全部国有財産であります。国有財産として皇室の用に供するというもの、現在の皇居にしましても、御用邸にしましても、御料牧場にしても、みんな国有であって皇室の用に供するというもので、陛下の御私有の分はごくわずかであります。
  323. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、終戦後GHQの指令か何かで変わってきたんですね。そのときに、いま言う、旧来の天皇家というんですか、それが持っていた財産というのは相当あったわけでしょう。それが、GHQによって、どういうふうなことになったんですか。
  324. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) たしか、いま記憶によりますと、司令部が調べたときは三十三億ぐらい、あの当時のことで。その大部分はやはり不動産で、御料林とか、いろいろなものが相当ありましたですから、それを最初は財産税ということで八割かを国に納められたわけです。残った二割の部分は、憲法の公布の際に、皇室財産はすべて国有とすという条文によって国有になったわけであります。ただ、日常のごく必要なもの、手回りのものは残されたということになっておるわけであります。
  325. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その中のいろいろ問題になっているものとして、一つ御料牧場がいま問題になっている。問題という意味は、三里塚ですか、三里塚の御料牧場を、あなたのほうとしては空港に譲渡するわけですか、譲渡か何か。そういうふうな、いわゆる御料牧場というんですか、あれは。そういうふうなものは全国でどの程度あるんですか。で、どういうふうな目的にこの御料牧場というふうなものは従来使われていたんですか。
  326. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 御料牧場としては、現在三里塚にあります下総御料牧場だけであります。これはずっと明治のころから古い沿革がありまして、ずっとあるわけでありますが、あそこの維持の目的は、皇室でお使いになる馬ですとか、それからなお、いろいろ皇室の公的な部分、また、私的なものもございます。その公的あるいは私的の皇室の用に供せられるいろんな牛乳なり、その他の乳製品でありますとか、それから肉類でありますとか、あるいは卵のようなものですとか、それから野菜も一部あります。そういうものを御料牧場でつくってそれを皇室の用に供される。なおそのほかに、御料牧場が皇室の国際親善の場にも使われています。毎年三日間、外国の大公使館の幹部を御料牧場に招いて、それで一日の歓を尽くして親善を深めてもらうというようなこともやっております。その他、最近そういうような総合の牧場というのはこういう都会地の付近なんかにありませんので、最近は東京とかそういう方面からの見学者が相当多いのですが、そういうような教育上の効果があり、そこをごらんになることによってまた皇室との親近感を深めていただくというような効用もあるわけで、中心は皇室の必要なものを生産するという点でありますが、なお付随して先ほど申したようなこともあるわけであります。
  327. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この御料牧場の移転の問題がいま起きているわけですね、高根沢への。この問題については、買収の問題とかいろいろあるわけで、新国際空港の公団の関係がいろいろあるわけですね。これについてはこの次質問いたします。  それから、私疑問に思うのは、これとは別な話で、それじゃ初めから、今度のような法案を出すということなら、特別職と一般職を区別する必要が初めからなかったんじゃないかと、こういうふうにも考えられるんですけれどもね。宮内庁法ができたころはどうだったんですか。
  328. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮内庁法ができましたころは、この特別職、一般職といううちの一般職の部分だけが法律できめられておったわけです。特別職のほうは法律に全然載っていなかったわけであります。昭和三十六年に行政組織法か何かの改正によって、今後特別職もやはり法律に載せたほうがいい、そうしないと役人の数がむやみにふえていってもいかぬから——宮内庁あたりは少ないですけれども、ほかの役所もあるものですから、防衛庁とか外務省の関係ですけれども——で、載せるようなふうになったわけであります。それから、昭和三十六年の改正以来、特別職の職員に二十二名の者がずっと並んで入ってきたというような経緯にあるわけでございます。
  329. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 きょうは短い時間でちょっと概略をお聞きしたわけなんで、今度はもう少しいろいろこまかい点についてお聞きもしたい、これはこの次になりますが、お聞きしたいというふうに考えています。
  330. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止
  331. 豊田雅孝

  332. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案は、去る九日、衆議院から送付され、付託されました。なお、衆議院におきましては、修正議決されております。その修正点は、お手元にお配りいたしましたように、附則の施行期日の、「この法律は、昭和四十二年六月一日から施行する。ただし、別表三の改正規定並びに別表五河内少年院の項及び人吉農芸学院の項の改正規定は、公布の日から施行する。」を「この法律は、公布の日から施行する。」と修正されております。  本案の提案理由説明はすでに聴取いたしております。それではこれより本案の質疑に入ります。関係当局からの御出席は、田中法務大臣政府委員の方々でございます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  333. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 設置法の質問に入るんですけれども、きょうは時間の関係もありまして、ちょっと最初に一般的なことを聞いて、それでちょっと法案の中へ入って終わりにしたいと思いますが、その一般的なことというのは、過日六月十五日に、最高裁判所の長官が、高裁の長官、地裁、家裁の所長の会同の中でいろいろ訓示をされているわけですね。これは最高裁の訓示ではありますけれども、これに関連をして法務省に関係することもあるわけですが、その中の一つとしてあげられておるのが、いわゆる法曹人口の問題に関連する司法修習生の数と、その受け入れ態勢の問題ということをあげているわけですね。最高裁の長官は、その中で、「すでに、昭和三十六年における司法試験制度の改正は、優秀な人材をより多く法曹に吸収することにより、その需要に応じようとしたものであり、われわれもまた、司法修習生の研修に絶大な努力を払ってまいったのでありますが、遺憾ながら、年々増大する社会の需要に応ずるに足る法曹を数多く確保し得ているものとは思われません。われわれは、ここに、法務省および弁護士会ともはかり、わが国社会が将来必要とする法曹人口についての見通しを立て、それに基づく司法修習生の採用計画を樹立するとともに、これに応ずる効果的な教育方法の確立につき、再検討する必要があると考えます。」これが最高裁長官の訓示になっているわけですが、そこでお尋ねをしておきたいのは、法務省ともはかりということにある。将来必要とする法曹人口についての見通しを立てて、それに基づく司法修習生の採用計画を樹立すると、こういうことですね。これは司法試験が最高裁の所管ではなくて、法務省の所官にいまなっているわけですね。そういう関係からも、法務省に非常に重要な関係があるところだと思うのですが、で、どうなんですか、法曹人口の確保という問題なり、修習生の採用計画といいますか、これに関連をしていろいろな問題があると思いますが、それに対しての法務大臣のひとつお考えをお聞かせ願いたい、こう思うのですがね。そこら辺のところをまずお聞かせ願っておきたいと思いますが……。
  334. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 法曹人口の問題について御心配をいただきまして、たいへんありがとうございました。これは結論を先に申し上げますと、横田長官の仰せになりましたことは、あまり、ありていに申しますと、具体的ではございませんけれども、仰せになっておる、見当をつけていらっしゃるところの問題については、大体において賛成をして、そのつもりでこれを拝聴しておるのでございます。法曹人口は日本の場合はあまりにも少な過ぎる。非常に極端に多いのはアメリカでございますが、日本は御承知のとおり、一万人の人口当たり法曹はただ一人という割合となっております。アメリカあたりは一万人当たり十五、六人もの法曹がおる。こういう状態になっておりまして、日本の場合は列国に比べまして、少ない少ないといわれるフランスでさえ二人もおるということでございますので、非常にこの点は少ないのでございます。しかしながら、これをふやしていきますためには、司法修習制度と申しますよりは、試験制度というものに検討を加える以外にない。つまり、合格者を多く出すように努力していく以外にないわけでございますが、合格者を多くいたしますと、裁判の事務、検察の事務、人権擁護の事務に従事いたします法曹の質が低下せざるを得ない結果になるというようなことがたいへん頭の痛いところでございます。現在は御承知のごとく、修習制度は大体において一カ月に二万円程度の給与を与えまして修習をさせておりますが、これをひとつでき得る限り最高裁長官の仰せになる改善方向に向かってその修習の施設をよくしていきますとか、修習に当たってくれる教官の質を向上させていくとか、いろいろな方向に苦心を払いまして、臨時司法制度調査会等の答申のこともございますので、苦心をいたしまして、頭数がふえていきますように努力していきたい。そういう意味から長官の仰せになっていることには大体において賛意を表しておる事情でございます。
  335. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 最高裁長官の言うのも具体性がないわけですね。こういう訓示の中であまり具体性を出すわけにいかないかと思いますが、大臣の言われるところもあまり目六体性がない。いまの段階ではあまり具体性を明らかにすることは、かえっていろいろな波紋を投げかけるというか、不安を助長するようなかっこうになってもいけないと思うので非常にむずかしいと思うのですが、現実問題としては、いま大体五百名ちょっとくらい試験に合格していますね、これはふえてきましたけれども、これをある程度ふやすということは別に…一割、二割ふやすということはできるでしょう、毎年五十名くらいずつですか、大蔵省が難色を示しているのですか、試験の結果なんか一点違いくらいの人が四、五十人並んでいますよ、一点の違いというのは、短答式なら別ですけれども、面接、論文の場合はなかなか微妙なところがありまして、もう少しふやそうと思えばふやせるんじゃないかと思うのですが、大蔵省は、修習生になっても、弁護士になるのが三分の二くらいですか、だからそういうのに金を使うのは筋が違うと言ってあまり賛成しない、修習生をふやす、司法試験の合格者をふやすことを。司法試験というのは採用試験じゃない、資格試験でしょう、だからふやしてもかまわない、筋から言えば。事実上採用試験みたいになっておりますけれども、そういう点は大蔵省と何か話し合いがあるのでしょうけれども、いまの段階でももっとふやそうと思えばふやせるんじゃないですか、そこはどういうふうにお考えですか。
  336. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) 数をふやしますことに、法務省的な考え方でございますが、大蔵省関係としては、予算に制約があるということも一つ理由でございます。でございますが、どうも粗製乱造というふうに考えるのでありましょうね。試験のできがよければいかに数多く合格せしめても実際に間違いはない。こう考えられるのですが、やはり試験を落とすとか、あるいは成績を落とすということで数をとれば、大事な法曹の質が落ちるということが一つの心配のもとになってくるだろう。しかし、私は一つの、これはまた法務省の立場とすればそれもそうだろうが、別個の考えがありますのは、修習を真剣にみなよくやっております。非常に真剣に熱心に修習制度を活用してやってくれているわけですが、さらに一段と修習に力を入れると、やはり成績は採用試験の、資格試験のときに幾らか下の者でありましても、よく役に立つ訓練ができるのじゃないか。  私自身のことを考えてみても、当時は修習制度のないときで、私は事実上の大先輩について修習した時代に、私はたいへんに変わった男でございまして、合格したという官報を持ってまいりまして、その日から弁護士になって、その翌日から恩師の法服を借りて出た、当時は法服制度がございましたので。それで法廷ですわる所も何にも知らぬのに弁護をしたという変わった男でございます。それで私はあちこちで頭を打たれまして、たいへん苦労いたしました。その経験いたしましたことから考えると、修習をしっかりとやってくれれば、そんなに試験は成績をやかましく言わなくても、ある程度まで法曹人口をふやすことは可能ではなかろうか。非常に熱意を持って司法試験を受けてくれる青年が多いのですから、修習をしっかりやって、あまり落ちるというようなことを心配しないで、合格者をふやす。大蔵省方面にも私みずから、私がもし大臣が続くとすれば、しっかりこの点についてはいろいろ説明をして当たってみたい、こういうふうに考えております。
  337. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 司法修習のほうはこれは最高裁の管轄になるわけですし、司法試験は法務省の管轄というのはどうなんですか。この間ごたごたがありました結果、ごたごたというか、権限争いみたいなことがあって片方ずつ分けたのか、これはどうなんですか。
  338. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) これは私は詳しくいきさつを存じませんし、これは間違えましても何ですから、事務のほうからお答えさせます。
  339. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはまあいいですよ。それは両方とも最高裁にするか、両方とも法務省にするかということで、権限争いは別として、いろいろあったんでしょう、結局両方に分けたのですよ。そのとおりなんですが、修習をしっかりやってくれればという話なんですが、現実にたとえばこれは裁判所の修習は別として、検察庁での修習は具体的にどういうふうに行なわれているか、大きなところは専属のあれがついてやっているわけでありますが、そうでないところに行ったら、雑な話をすれば、やはり一種のお荷物みたいなものですよ。お荷物というとことばが何ですが、あれで忙しいのです。忙しいところに一つの検察庁に平均して修習生が八人くらいおりますが、とうていやっていけるものではない。だから少年係の検事のところにくっつけているでしょう、これは一番ひまだというので、少年係の検事のところで修習をやっているようなかっこうになっているが、東京とか大阪とか大きいところは別にして、実際はそういうところに根本的な問題があるわけです。  いまは法務省設置法の場であまり何ですから、元に戻すのですが、そうすると、大臣のそういうことについての個人的な考えがいろいろあるとすれば、そういうものをいま公式の席でお聞きして、かえって波紋が大きくなってもいけないからお聞きしないことにいたします。  それで今度の法案の中の問題に入るのですが、ぼくは大臣にお願いしたいのは、法務省関係でも労働組合がつくれないところがありますね。矯正関係つくれないですね。それから入管もつくれないですね。そういうところの職員の勤務条件、給与の問題、待遇の問題ですね、これらの問題についてひとついろんな角度からお考えを願いたいというのが私はいま一番大きなポイントになってくると、こう思うのですね。そこで、矯正関係、ことにいま少年法の問題がここで出ているわけですから、少年院の職員の問題とか、それから刑務所の職員の問題、いろいろありますね。そこで、資料としてひとついますぐでなくてもいいですが、お願いをしておきたいのは、少年院の設置がいまここで出ているのですけれども、少年院の、いま法律的にいうとあれなんですか、拘禁というか、入所というか、収容というのですか、その状況定員との関係ですね。施設の定員と少年院の少年の入っている状況はどういうふうになっているかということと、それから職員の定員と、それから欠員関係がどういうふうになっているかということですね。これらのことをこれから聞いていきたいと、こう思うのです。  それからもう一つは、それは少年院の職員と刑務所の職員との関係で、給与とか、勤務条件やらいろいろの関係があるのですね。これは雑というか、ラフに言いますと、刑務所関係と少年院関係とはあまり仲よくないのですよ、これはまあ事実問題としてね。刑務所のほうは何といっても作業収入がうんと入るものですから大きいですしね、人員も多いものだから、矯正の中では一番ウエートを占めているわけで、少年院との間があまりうまくいかないのですね。そういう点もあるのですが、そこで、いろんな資料等をいただいて、そしてこの次、あさってから本格的な質問というか、入りたいとこう思うのですが、その主眼とするところは、いま言った点ですね。ですから、労働組合をつくれないところの職員の問題ですわね。これは大臣としてもしっかり考え方をやっていただきたいと、矯正局長もかわられましたし、新しい角度で取り組んでもらいたいことが一つと、それから少年院法と関連して監獄法の改正問題が出ているわけですね。これはいままでは刑法の一部改正、刑法の全面改正、いま法制審議会で進んでおるわけですね。刑の一本化の問題が結論が出ないうちにはこの監獄法の改正というものは行なわれないようなことをいっていたわけですね。ところが、刑の一本化ということが大体結論が出たようで、懲役と禁錮の二本立てでいくというような結論が出たようですから、そうすると、当然監獄法の改正というものに取り組んでいただかなければならぬ、こういう点などずっとこれから聞いていきたいと思うのです。きょうのところは最後の監獄法の改正問題、これに対して大臣としてはどういうふうにお考えになっておるかということだけをお聞きして、きょうの質問を終わります。
  340. 田中伊三次

    国務大臣田中伊三次君) いまおことばのありましたとおりに、どうも刑法の全面改正を先にやって、しかる後に監獄法の改正をやるほうがよかろうということに一たん落ちつきかけたのが、私の就任前の段階でございます。私はそういうふうには実は思わない。監獄法はもうすでに六十年も前にできましたちょんまげ時代のもので、そんなものを今日じっと見ている手はない。刑法の全面改正の方針はおことばのように、大体の方針もきまったことでもあり、刑法の全面改正よりももっと早くわが国における最も旧式なこの法律を一刻も早く改正をする必要があるということで、落ちつきかけておるやつに実は活を一つ入れまして、最近矯正局長を会長とする監獄法審議会という名称のものを、この監獄法という準備会の名前にしてもどうも気にいらぬのでありますけれども、一応わかりやすかろうということで準備会というものを省内につくらせまして局長に会長に就任させました。そして目下資料も、いろいろなたいへんたくさんな資料が第三次、第四次というふうに改正の準備をいたしましてはつくり、いたしましてはつくりいたしましたものが資料として手元にありますので、これを収集せしめまして出発をしようと、具体的にはこの国会が大体において来月一ぱいで終わりますような場合には直ちにひとつ手をつけて、具体的な作業にかかりたい。そしてできれば全面改正の結論が出ます前に結論を出して改正準備をして国会に提出をしたいと、こういう考えで、ただその場合には死刑の執行なら死刑の執行ということにいたしましても、刑の執行の手段、方法のやり方にいたしましても、刑法の方針が変わりますれば幾らかまた変えなければならぬ点が出てこようかと思いますが、そういう場合は改正をいたしました新しく生まれてくる新刑務所法をさらに改正する手段があるわけでございますから、その点は気にせぬでいいと、そのつもりでやれという方針をとりまして、現在やらしておるという段階でございます。
  341. 北村暢

    ○北村暢君 ちょっと資料要求をしておきますが、法務局関係の最近五カ年間の定員推移並びにこの登記事務の滞貨がどういうに変わってきたか、五年間の状況、だいぶたまっているのですがね、それが一体どういう形で整理がついてきているのか、いい方向に向かっているのか、悪いほうに向かっているのか、それを知りたいので、最近五カ年間のその状況がわかる資料をひとつ出していただきたい。
  342. 勝尾鐐三

    政府委員(勝尾鐐三君) それは連絡いたしまして提出することにいたします。
  343. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止
  344. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  本日はこの程度にいたし、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時七分散会      —————・—————