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1967-06-01 第55回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月一日(木曜日)    午前十一時三分開会     —————————————    委員異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      迫水 久常君     田中 茂穂君      木村 睦男君     森 八三一君  六月一日     辞任         補欠選任      鬼木 勝利君     中尾 辰義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 稲葉 誠一君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 柴田  栄君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 伊藤 顕道君                 中村 英男君                 前川  旦君                 多田 省吾君                 中尾 辰義君                 中沢伊登子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        国 務 大 臣  二階堂 進君    政府委員        総理府人事局長  増子 正宏君        科学技術庁長官        官房長      小林 貞雄君        科学技術庁計画        局長       梅澤 邦臣君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        科学技術庁振興        局長       谷敷  寛君        科学技術庁原子        力局長      村田  浩君        大蔵政務次官   米田 正文君        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        大蔵省主計局給        与課長      津吉 伊定君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  昨日、迫水久常君及び木村睦男君が辞任され、その補欠として田中茂穂君及び森八三一君が、また本日、鬼木勝利君が辞任され、中尾辰義君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、至る三十日衆議院から送付され、付託されました。なお、提案理由説明は、すでに聴取いたしております。  それでは、これより本案質疑に入ります。  関係当局からの出席は、水田大蔵大臣米田政務次官政府委員方々でございます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先般大臣から提案理由説明を承っておりますので、この提案理由説明に基づいて以下、二、三質問をいたしたいと思います。今回の外国旅費引き上げにあたって、日当とかあるいは宿泊料などについては一五%、移転料五〇%引き上げているようですが、この根拠についてまず御説明いただきたいと思います。
  5. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 御説明申し上げます。今回の引き上げポイントでございますが、これは前回改正あとで、外国の消費者物価等調べまして、それから公務員旅行実態を調べまして、特にたとえば移転荷物というようなものの量がふえている。そういうようなところも考えまして、それから民間会社外国旅費がどういうふうになっているか、そういったことも調べました結果、御審議願っておりますような引き上げが必要である。そういう結論を得ました。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大蔵省は、今回の外国旅費引き上げにあたって、外国における物価とかあるいは宿泊料運賃、こういうものの実態調査を行なって、その行なった結果、現行旅費実情に沿わないものであるということが判明したから今度改訂だ、そういう意味提案理由説明があったわけであります。その実態調査はいかなる方法で行なったのか、それからまた、どのような規模で行なわれたのか、それとその調査結果はどのようなものであったか、こういうことについて、それぞれ項目別に具体的に御説明いただきたいと思います。
  7. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) この調査は御承知と思いますけれども出先公館を持っております外務省調査をしていただきまして、一年がかりで調査をいたしました。その結果に基づいて、これだけの改正が必要であるという判断に達したのでございます。なお、調査数字について給与課長からさらに詳細に御説明申し上げます。
  8. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 数字につきまして、まず日当宿泊料につきましては、これは三十七年と四十一年を比較いたしました主要国生計費上昇、これが一八・六%でございます。  それから消費者物価指数、食糧につきまして一四・四%の上昇でございます。約一五%程度と見られます。それから反面、民間会社外国旅費支給実態を見ますと、一三・七%、民間のほうが——これはすでに御承知のように、公務員におきまして六等級以下の職員基準にして、等級によりまして割りました数字を加えて体系をつくっておりますが、公務員等級以下と民間会社係員というのを対応してみますと、一三・七%という格差がございます。それをそれぞれ考慮いたしますと、日当宿泊料につきましては一五%程度引き上げが適当であろうということでございます。  それから移転料の問題でございますが、移転料につきましては、実は貨物の量とそれから運賃という両方の見方がございまして、従来の貨物量につきましては、百立方フィートというものを基準にいたしまして、運賃実態を考慮した移転料ということになっております。今回在外公館が、実績のございました在外公館について移転実態を調べましたところ、移転料増加割合は二八%となっております。で、また、実際の移転料支払い実績を見まするというと、三十八年の四月から四十一年の五月末までの間、支払い実績における不足割合は約五〇%ということになっております。したがいまして、この支払い不足割合、約五〇%というものを解消いたしますために、外務省要求どおりに、移転料運賃梱包費人夫賃というようなほうは二〇%引き上げる。それから移転貨物は、生活水準上昇生活の結果蓄積される家具、家財というようなものの量の増加を考慮いたしまして、先ほど申し上げました現状の基準容積立方フィートというのを百三十立方フィートといたしまして、現在の不足割合五〇%に対応してこれを補てんするという、五〇%の割合によりまして移転料引き上げをするということでございます。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この改正額実情に沿ったものであるかどうかということを判定するものは、結局、実情調査そのものが正確になされたかどうかということ、ことばをかえていうと、外国における物価とか運賃、こういうものが正確に調べ上げられたものであるかどうかという点、こういう点によってきまると思う。その実態調査確信を持てるものでなければ、およそこの改正額を割り出しても意味がないと思うのですね。そこでこの実態調査についてはそういう裏づけとなる十二分な確信を持てるものであるかどうかという点、この点について大蔵省はどのようにとらえているか。
  10. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 御指摘の点でございますが、われわれといたしましては、直接に外国に出かけまして大蔵省が調べるということが理想であろうかとは思いますけれども、これは経費関係もございますし、人の問題もございますので、間接といいますか、外務省在外公館による調査を通じまして実態をチェックするという手段によっておるわけでございます。いま申し上げましたいろいろな旅費の種目によりまして、たとえば北米、中南米、欧州、東欧、アジア中近東、アフリカというような各地域別に所在しております公館において、移転料の例で申しますれば、先ほど申し上げました実績による不足割合がそれぞれの地域別公館において実際にあらわれてまいります。それが正確に申し上げますと、平均では四九%の移転料不足割合支払い実績において発生しておるということでございます。これは移転料の一例でございますが、それを各在外公館を通じて外務省調査をした、その調査に対する疑問というものを基本的に追及いたしますと、どの程度まで外務省がほんとうの調査をやっておるかという点はあるとは思いますけれども、われわれとしては、外務省在外公館による調査によりまして実態を把握しておるという前提でございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは本来なら当然国家公務員旅費法大蔵省が直接責任を持っておる法律であるので、当然大蔵省実態調査をすべきところ、外国地域でもあるし、経費の節約その他の事情から外務省を通じてやったということには一応了解できるわけですけれども、ただ外務省公館によって実態調査さした、それをただ大蔵省外務省を通じてそのままうのみ態度では相ならぬと思うのです。これはやはり正確なものであるかどうかということについては、これは旅費改定根拠になるきわめて本法案の核心ともいうべきものであろうかと思うのです。きわめて重要な点であるわけです。すべてただ外務省のその資料うのみ態度で受けとめたということでもしあるならば、これはどうも了解できないわけです、大事な問題点であるだけに。したがって、その点は可能な範囲内において十分検討されたものでなければならない。そこで真剣に検討した結果、これならこのまま受けとめることができる、そういう確信の持てるものであるかどうかということをいまお伺いしておるわけであります。この点について、大臣としてはどういうふうにお考えですか。
  12. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、去年の四月一日から、内国旅費改正をやりました。このときは三〇%増、移転料が六〇%というふうに引き上げをしましたが、このときに外国旅費については実態が十分につかめていないということで去年見送って、一年間この調査期間をおいて本年度この改正案を提出したということでございまして、日本と外国との事情がこれは相当違いますので、そこで、外国における近年の物価値上がりといろいろなものを大蔵省の立場でできるものなら調査するし、実態調査外務省公館を通じて調査してもらうということで、そういう総合資料のもとに判断しますというと、今回の一五%——移転料の五〇%が、大体この前の内国旅費改定から見て、そのほうが低い率ではございますが、その辺が大体実態に合うところであろう、こういう判定を私どもは下したわけでございます。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 で、この点についてくどいようなお尋ねをするのは、この法案改定のこれが一番大事な点だと思われるわけですね。その実態に沿う改正法でなければならぬわけです。そこでそれをきめるには、実態調査が正確になされたかどうかということによって決定すると、繰り返して申し上げるように……。したがって、その点はきわめて重要なポイントとなるので、了解するまでお尋ねしておるわけです。そういたしますと、外国のことであるので、便宜上外務省を通じて在外公館をして実態調査をせしめた、それを外務省を通じて大蔵省は受けとめて、ただこれをそのままうのみにしたということではなくして、十分あらゆる角度から検討してこれなら確信を持てるという、そういう確信のもとの資料であるかどうかということをいまお伺いをしたわけです。そうしますと、これは十分大蔵省としても確信のもてるものであると断言できる、そういう資料であるわけですね。その点さえわかればいいわけです。
  14. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 一応私ども確信を持てる資料であるというふうに判断しております。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 外国旅費については、三十八年の改正の場合も今回の改正の場合も、これを比較してみますると、増額率はほほ同じくらいになっておるわけです。ある期間をおいて、ある同じ程度改正を行なっておるようにとれるわけですね、結果から見ますと。そういうことになると、機械的な改正に終わっておるように思われるわけです。この点はどうなんですか。前回、三十八年に行なっておって、今回相当年数がたっておるわけですね、その間に相当物価とか運賃とか、外国における物価運賃等相当変動を来たしていると思うのですね。それを、三十八年からもう四年経過しているわけです。 先ほどの大臣の御答弁によりますと、昨年国内旅費改定の際、外国旅費についても改定したかったけれども実態を把握していないので今回やるのだ、そういう御説明があったわけですね。それにしても、これは給与については後ほどお伺いしたいと思うわけですが、年々改定がなされておる。それは物価とか生活費とか、いろいろな観点からきまるわけですが、長い間いわゆるほうっておいたのでは、やはり実情に沿うた旅費支給ができないのではなかろうか、これは当然に考えられるわけです。したがって、そういう角度からいまお伺いをしている。その点はいかがですか。
  16. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 初めのほうの上げる率が大体前と同じようだというお話がございましたが、詳細に御検討願いますと、たとえば、今度は移転料関係でも値上がりという分のほかに、引っ越しの荷物基準になる荷物の量が実際調査してみたらだいぶ多い。そういうところを直す。それから子女加算というものを直す、陸路加算も直す、そこまでもって計算しますと、約七割近くの増加になっております。そのほかに着後手当というものも七日七夜というのを十日十夜にふやす、そういうようなことをいろいろいたしております。  それにしても、この前からだいぶ期間がたって、それで相当上げるならば御質問の趣旨は、もう少しひんぱんに調査をしてもう少しひんぱんに上げたらどうか、実情に近いようにしたらどうかということかと思いますけれども、これからもなるべく、事務的な能力の関係もございますけれども、なるべくよく調査しまして、実情に合わないというようなことになればすみやかに改正をするということでいきたいと考えております。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうもちょっと理解できないのですがね。なるべく実態調査をしてということでは、極力鋭意調査を進めて実情に沿うようにしなければいけない、そうお答えにならぬといかぬと思いますね。ただなるべくなんということばはこれはやはりしごくあいまいなことばで、やったけれどもできなかった、なるべくやろうと思ったけれどもというわけで、いいかげんな答弁の部類に入るわけです。だから鋭意極力実態調査についてはやりますけれどもという御答弁できませんか。
  18. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 極力調査いたします。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはあなたがそう思ったって、大臣方針がそうでなければできないわけですが、大臣の御方針はいかがでしょう。この際基本的な問題であるので、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  20. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは極力私もいたしたいと思いますが、しかし、俸給というようなものは年々勧告によって大きく変化があった場合は直されるということはこれは毎年のこととしてやっておりますが、こういう旅費規程みたようなものは、私は四年がやはり少し長かったとは思いますが、これを毎年ということはやはりむずかしいので、三年なら三年を期として必ず実態調査をし直してこれを変える、その間には不利になる方もあるでしょうが、しかし、旅費規程のごときは毎年変えるというより、やはり私は三年くらいにしてそれ以上長く据え置くということのないように実態調査もその間に完全にして直すというふうに、まあこれは年々というわけにはいかないので、極力はやりますが、私は四年は長過ぎる、三年くらいを期にして直すことは必要じゃないかというふうにも考えております。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私のお伺いしている要旨は、ただの機械的に、いま大臣は三年くらいとおっしゃいましたけれども、たとえ一年であっても、実態調査を鋭意進めた結果相当大きな開きがあったら、たとえ一年でもやるべきだと思う。しかし、また逆に三年たっているけれどもたいした変動がなかったということであるならば、単に三年がきたからということの理由改定する必要はないと思うのですね。そこで機械的にやるのではなくして、日ごろ鋭意実態調査して、たとえ一年であっても大きな変動があったらやる、三年であっても変動がなければやる必要がないわけですから、そう機械的にやるべき筋合いのものではなかろうかと思うのですね。ただ一応のめどとして三年に置くのだということのいい悪いは別問題として、やはり機械的ではいかぬと思うのです。そういう角度からお伺いしているわけです。この点はいかがですか。
  22. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それはもうそのとおり、だと思います。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、日当とか宿泊料について、外国旅行でも内国旅行と同じように甲地乙地区分があるわけです。  そこでお伺いするわけですが、アジア中近東地区とその他の地区との間に実態調査の結果、どの程度格差があったかどうかということをまずお伺いしたいと思います。
  24. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 甲地乙地のこれは、日当宿泊、いろいろなクラスがどういうホテルに泊まるか、どういう日当の使い方をするか、それをいろいろ調べまして、それで、比率でございますので、クラスによって違いますけれども、大体甲地乙地との比率は、宿泊料日当合計で申しますと七割前後の開きがある、こういうことに実態調査の結果なっております。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは、日当宿泊料についてそれぞれ甲地乙地区分があるので、そこでそのことを踏まえてアジア中近東とその他の地区との調査の結果をいまお伺いしておるわけです。だから、これは日当とか宿泊料くるめてですか。
  26. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これは非常にこまかい数字になりますので、いま日当宿泊料平均で申しましたわけですが、たとえば宿泊料だけ見ましても大体七割から八割、そういう違いがある、そういう調査の結果になっております。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはここでいますぐ説明してもらってもなかなか容易じゃないから、あと資料として出してください。私どもこの審査中だけが必要であとは必要ないということでなくて、日ごろも鋭意勉強したいと思いますので、その資料を御提出いただきたいと思います。  なお、このことについてお伺いいたしますが、日当とか宿泊料甲地乙地間の格差は大体五%に現在なっておるわけですね。約五%、金額にいたしますと、日当では百円、それから宿泊料では二百円ないし四百円、この程度の差が現行法であるわけです。そこでお伺いするわけですが、ほんのわずかの差で、ほんのわずかの差でも、僅少な差でも存置しておかなければならない理由が一体那辺にあるのかということをお伺いしたいと思います。
  28. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 先ほどの調査でございますが、もう少し御説明しますと、これ、非常にむずかしくなりますのは、たとえば参事官クラスはどういう地域ではどの程度旅館のどういう部屋に泊まるとか、それから、どういう地域ではどういう程度ホテルに実際泊まる。それから、一等書記官クラスはどういうところでどういうホテルのどのくらいの値段、それをずっと調べまして、そうして見ましたところが、先ほど申しましたような相当格差があるわけでございます、実際泊まっている旅館が。そこで、現在の格差はそれから見ますとそれほど大きくないと考えますけれども、いままである格差をさらに開くということもいかがかと思いますので、大体従来の差をそのまま維持していくということでございます。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではお伺いいたしますが、内閣総理大臣とか各国務大臣等については、等がありますからほかにもありますが、等についてはすでに甲地乙地区分は廃止されておるわけですね、そうでしょう。そうだとするならば、これは一般職員についてだけの甲地乙地区分だということですね。どうもこれは了解しがたいのですが、いかなる理由でこういう区別をつけておるのか。内閣総理大臣、各国務大臣等についてはもう区分は必要ないのだと、廃止しているわけですね、そうでしょう、まあ現行法はそうですね。そうだとするならば、おかしいじゃないですか。一般職員については僅少な格差を現存しておかなければならないという理由はいまお聞きしたわけですけれども、そんならひとつ格差を設ける必要があるなら、たとえ総理大臣、各国務大臣等についても当然残すべきでしょう。総理大臣国務大臣等について廃止するなら、一般職員についても廃止していいではないですか。公務員公平の原則にも反するわけです。この点はおかしいと思うのです。これは基本的な問題でありますので、大臣のお考えをこの際承っておきたいと思います。
  30. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) まず事務的に申し上げますと、これは等級によりましていろいろな考え方があろうかと思いますけれども内閣総理大臣等ランクにつきましては、ある程度国際的水準の待遇というものが当然あるランク以上になりますと特に要求されるということがございますし、こういうクラスの方が甲地方乙地方いずれを問わず、たとえばアジア中近東に行かれましても、いわゆる後進地域においてはかえって適当な体面を保ち得る宿泊施設が少ないというようなこともありますし、また、そういう宿泊施設に泊まりますと、国内生活水準が一般に低いがためにかえって宿泊料等が高くつくというようなことがございますので、甲地乙地一定水準以上は、これは一つの水準として国際的には見られるかっこうになるというふうな考え方でございます。それから指定職以下の等級につきましては、それは民間外国旅費支給実態を見てみましても、たとえば社長、部長、課長課長代理、係長、係員というような等級の差があることはもちろん、地域別甲地乙地というような区分があるということもありますので、甲地乙地区分はある程度水準につきましては、等級につきましては必要であるという考え方でございます。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、国務大臣とか総理大臣等についての甲地乙地区分を廃止するのはけしからぬなどとは一言半句も申し上げていないわけです。先ほども伺う前にもお伺いしたように、その格差はほんの僅少であるから、その格差をなくしたらどうかとまで申し上げたわけです。だから大臣とかそういう方々に対して甲地乙地区分を廃止することに何ら反対しておるわけじゃないわけです。だから一般職員にもこれを適用したらどうかということを伺っておるわけです。  なお、このことについてお伺いいたしますが、沖縄等における旅行に際しては日当宿泊料がこれはまた複雑で、甲地についての定額の十分の八ということになっておるわけですね。このような格差を設ける必要が那辺にあるのかというお伺いが当然出てくるわけです。この点はどうなんですか。もしお尋ねすることに間違いがあったら御訂正いただきたいが、現行法はたしかそうなっていると思います。
  32. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先ほど来申し上げておりますように、今回の旅費法改正に際しましても、外務省在外公館調査結果によりましてチェックをいたしておりますが、その結果によりますと、甲地方乙地方につきまして滞在費、日当宿泊料を加えてみまして、滞在費としますると、この滞在費に差があるという実態でございます。  それから先ほど申し上げましたように、民間会社旅費の支給の態様を見てみましても、これは数字で申し上げますと、調査対象会社百三社のうち八十一社に及ぶ会社地域区分をいたしておりますので、われわれといたしましても、そういう外務省の調べた実態及び民間における旅費支給の態様というものを総合考慮いたしまして、従来どおり甲、乙地区分というものは存置しておる次第でございます。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私がお伺いしておるのは、そういうことをいまお伺いしたのではない。沖縄等旅行する場合、日直、宿直料がこれは乙地の場合にも入っていないわけですね。甲地にはむろん入ってない。甲地でもない、乙地でもない。甲地についての定額の十分の八ということになっておるけれども、これは一体こういう格差を設けなければならぬ理由那辺にあるのかということを伺っておるのです。
  34. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 沖縄に対する出張旅費でございますが、これは法律の附則七項におきまして、「旅行先又は目的地が沖縄その他大蔵省令で定める地域である場合における外国旅行日当宿泊料及び支度料に係る別表第二の定額は、当分の間、同表に定める額」これは日当及び宿泊料については、同表の甲地方について定める額の十分の八相当額ということになっております。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、規定がそうなっておることはこちらも承知しておるわけですが、そこでなおお伺いいたしますが、先ほど来伺いしてきたことを総括いたしますと、甲地乙地——いま出ただけでも甲地定額の十分の八というふうに、まだまだ詳細に言うと非常に複雑になっておるわけですけれども、大括いままで出てきた範囲で申し上げてもこのように複雑になっておるわけですね。そこでもう少しすっきりして、先ほど繰り返し申し上げたように、その甲地乙地格差はほんのわずかで、僅少である。日当について百円、宿泊料について二百円ないし四百円の程度にとどまっておるから、なおかつ総理大臣あるいは国務大臣等についてはもう格差は廃止しておるから、区分を廃止しておる、こういう実情だから、今後もう少しすっきりした旅費を制定するためにも、大蔵省としてはこの点についてもう少しすっきりした法に統一しようとするお考えはあるのかないのか。この点を最後にお伺いしておきたいと思う。
  36. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) いま御質問の点でございますが、確かに非常に簡単ですっきりしておるということもメリットでございますけれども旅費の根本は、実費弁償ということでございますので、なるべく実態に即してきめこまかくやる、それがまた行政上あまり複雑になっても処理が非常に手間どるということがございますので、その調和をどうするかということはむずかしい問題でございますが、私ども現在の法律でこういうふうに差があると、それから実態調査してみてそれの差をなくするのがいいかどうかということでございますが、実態調査したところが、実態そのままということになると差がもう少し大きいと、そういう状況でございますので、現在の程度の差を存置するのが適当であろうということになったわけでございます。それからまた、将来も調査をし、その結果に基づいて改正をいたします際に、実態が差を存置する必要がない、さらに民間でも差をつけていないかどうか、そういう点を考えまして、その際に調査の結果に基づいてこれは処理したい、そう思っております。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの説明で、旅費はその地域実情に沿うものでなければならない、これはもうきわめて大事な原則であって、そのことにわれわれは異論はないわけです。ただ先ほど来申し上げておるように、大臣等にはそういう区分を廃止して、一般職員には依然として残しておくとかいろいろ不合理の点があるわけです。その点については前向きの姿勢で今後検討されるお考えはございますか。現行で、これはもう申し分のない現行法であって、何ら手を打つ必要のないものだと、さようにお考えかどうかということをお伺いしておるのです。あなたがお答えになりますけれども、あなたにそんな権限がございますか。大臣が、もしこれはあっさりした、統一した法律改正しろと言われた場合、あなたの意見とだいぶん相反することになるわけですがね。
  38. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 大臣の御答弁の前に一言だけ。先ほどから申し上げておりますように、私ども実態を調べまして、そうして実情に即するようにやりたい、そう思っております。ですから将来どうするかということは、将来改正を要すると認めて実態調査いたしまして、そのときにその実態に合うようにやりたい、そういうことでございます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それは実態をよく調べて、間違いのない正確な実態に即して検討を行なう、これ以外にもう何ら申し上げることはないわけです。ただ先ほどあなたがお答えになったのは、その実態調査もなるべくというようなまことに熱意がないような実態調査では意味がないと申し上げたわけです。誠意をもって鋭意調査するという、その結果実情に即するように配慮したい、そういうことなら了解できるわけです。  なおお伺いいたしますが、この移転料をきめる場合ですね、移転料はどの程度の家財を輸送するものとして定めておるのか、こういう問題が出てくるわけです。その輸送する家財の量の変動が当然考えられるわけですね。したがって、移転料改正する場合には、このような点を必ず考慮する必要があろうかと思うのですが、この点についてはどういうふうに配慮されておるか。
  40. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 先ほどちょっと申し上げたかと思いますが、三十八年四月以来百立方フィートという家財の容積でございますが、それを今回の改正によりまして百三十立方フィート増加したいということでございます。この家財の内容を一々統制をして生活内容をチェックするというわけにもまいりませんので、基準容積という意味におきまして、従来の百立方フィートを百三十立方フィートに上げます、それから実質的な運賃部分を二〇%上げまして、合わせてトータル移転料は五〇%上がります、こういうことでございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、子女加算、それから陸路加算、これはどのような根拠に基づいて引き上げておるのかということ。それから水路加算については今回改正を行なっていないわけです。その実態はどうなっているか、こういうことについてあわせて御説明いただきたい。
  42. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 子女加算と申しますのは、大体旅費は夫婦だけで赴任するということで単価ができております。その場合に、子女がふえるということになりますと、どうしても荷物がある程度ふえるということで子女加算という制度があるのでございます。子女加算実態を調べてみましたところが、いままでの五%の加算ということでは足りないということで、一〇%ということに上げております。それから陸路加算という制度は、陸上で荷物を運びますときに、水路に比べまして運賃が高い。そこで運賃が高いので、特別に割り増しをつけるわけでございますが、それを実態調査いたしましたところ、従来はこれはキロに応じまして五%から二〇%の加算でございましたが、さらに詳細に調べまして、それと、いろいろな所に在外公館ができまして、それでいままでよりも遠い所にきめこまかく配慮しなければいかぬということになりましたので、その両方合わせまして今度は陸路加算が一五%から三五%、距離に応じて段階を設けて加算をした、そういうことをいたしております。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、民間における外国旅費実情は一体どうなっておるか。先ほど一部一般についての御説明はございましたが、この際まとめてお伺いしておきたいと思うんです。一体大蔵省民間旅費実情について調査されたことがあるかないか。それと、もし調査されておるならば、公務員の場合と比較して種類とか額等についてどのような差異があるか、これはこまかいことは必要ありません、大綱について承りたい。
  44. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) まず民間主要会社におきます日当宿泊料につきましての定額を見てみますと、これはクラスの分け方はいろいろございますが、社長それから取締役、これが二つに区分されております。それからさらに部長という区分がありまして、それから次に課長課長代理、それから次が係長、主任クラス係員クラスということになりまして、日当宿泊料合わせてみますと、係員クラス基準にいたしまして、甲地方では、滞在費といたしましては六千五百三十四円というのが単価でございます。それから上にまいりますと、部長クラスでは八千六百二十二円、これが滞在費単価でございます。社長クラスにまいりますと一万一千四百円程度でございます。  それから子女加算につきましては、これは三十八年四月からわれわれのほうの加算制度ができたわけでございますが、当時も民間とにらみまして五%の子女加算ということでございました。それを今回一〇%にいたしますが、現在の民間子女加算に対応するものは一五%程度ということでございます。  それから前後いたしますが、移転料関係で見ますと、基準荷物の量の見方は、これはまあ民間会社が非常にオーバーホールにやっておるわけではございませんけれども国家公務員の現在の百に対しまして百五十というようなところもありますれば、あるいは百に満たない九十程度、九十立方フィートでございますが、そういう程度のところがございます。  それから運賃、船賃、航空賃、車賃というようなものにつきましては、これは先ほど来御指摘の地域区分をとっておるところ、あるいは等級別の対応でどのようになるかという問題はございますが、これは所要の実費を計算して支給をするということになっております。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、外国旅費の予算について本年度の総額は大体どの程度になっておるのか。もしこの法律が成立すると改正額を計上せにゃならぬわけですが、その改正に伴って必要な増額はどの程度かということを承りたい。
  46. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 四十二年度の予算で大体この改正を予定しておりまして、計上しておりますのが一般会計で申しますと約一億九千万円でございます。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私のお伺いしているのは、総額と、それから前に比較しての増額分。
  48. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 四十二年度分の一般会計の外国旅費の総額は約三十三億でございますそこで前年度は二十八億八千万円でございますので、その差額の約四億二千万円が四十一年と四十二年度との比較の増加でございます。その中で、いま御審議願っております改正関係で、一億九千万円見込んでおります。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いしますが、外国出張者の数は年間どのくらいになっておるか。これはもう古いことは必要ございません。過去三カ年の推移について承りたい。そこで合計だけについて数字をあげていただきたい。いまそこに資料ありませんか。なければあとで……。
  50. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 三十八、九、四十年度につきまして実績が出ておりますので申し上げますと、三十八年度におきましては、四千三十三人でございます。これはもちろん全省庁を通じまして、防衛庁も含めましての件数でございます。三十九年度は五千三百四十八件、四十年度が六千六百十五件ということでございます。
  51. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 外国への留学とか研修等の場合には、どのような旅費が支給されるのか。その旅費についても増額が行なわれているのかどうかという点。
  52. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 日当宿泊料、滞在費は、日額十一ドルでございます。それから支度料は三万円でございます。それからもちろん運賃は通常の運賃でございます。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なおお伺いいたしますが、昨年の旅費法改正に際して衆参両院で附帯決議が行なわれておるわけです。その全文について、参議院の当委員会においては、昨年の三月三十日、こういう附帯決議があげられておるわけです。  国家公務員等旅費については、政府は物価の  上昇等の実情を考慮してその適正を期すべきで  あるが、特に左の事項については速やかに検討  を加え改善を図るべきである。  一、内国旅行における甲乙両地方の区域区分一   ついては、最近の宿泊料金の実情にかんが   み、実態に即するよう措置すること。  二、移転料については、実費弁償を建前として   制度の合理化を図ること。  三、日額旅費については、実費を下回らないよ   う定めること。  同趣旨の附帯決議が同じく、これは衆議院の大蔵委員会でなされておるわけであります。  そこでお伺いするわけでありますが、この附帯決議について、政府はどういう態度をとるのかと言えば、もう申し合わせたように、附帯決議については尊重いたしますと、これはお伺いせぬでも必ずそういう答弁があるわけです。そういたしますと、尊重するということであるならば、その後これらの問題について大蔵省としてはどのような検討を加えられておるのか。そしてどのような、検討を加えた結果は必ず結論を得るわけですから、その結論はどういう点に達しておるのか。この点についてお伺いしたいと思います。
  54. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) まず、昨年の附帯決議の関係で一番当時差し迫っておりました問題は、日額旅費でございます。これをどうするかということがございました。それで、法律が通りましたあと、日額旅費がきまったわけでございますが、それは三三%ないし四五%の引き上げということで、これで実情に即するような附帯決議の趣旨に沿った引き上げをやったと、こう考えております。  それから、その他の点でございますが、甲地乙地区分が適当かどうか。特にこの問題について問題とされましたのは、乙地であの単価でもってやれないところがありゃせぬかということがございました。そこで調査してみましたが、調査の結果は、乙地方であの単価でやれないということはないということを、これは非常に詳しく具体的に調べました。それからもう一つ、甲、乙の差というものが民間でどうなっているかということも調べましたが、やはり民間でも差をつけておる。それから、現在の実情ですと、甲と乙と二割五分程度格差がある、そういうことでございます。  それからもう一つ、移転料につきましては、これは実費弁償のたてまえで、将来制度の合理化をはかるということでございますので、これからも鋭意実態調査いたして、実態に合わないということでありますれば調査の結果に基づいて措置いたしたい、そう考えております。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この附帯決議はね、先ほど申し上げたように、昨年国家公務員旅費法の成立の際、なおこの改定では不十分だという、そういう考え方に立って、当委員会で超党派、全員一致のたてまえからこの附帯決議がなされておるわけです。で、この附帯決議はすみやかな検討を、そうしてすみやかな改善を要望しておるわけですね。これは先ほど私は全文申し上げたからそのとおり。にもかかわらずですね、またいま説明があったように、その後の変化があるわけですね。ところが、今回のこの改正法案見ても、さっぱり改善措置がとられていないわけですね。これはおかしいじゃないですか。——これは数字などについては政府委員から御説明いただいてけっこうなんですが、こういう基本的な問題については、附帯決議のその趣旨をどのように扱うのかとか、そういう基本的な問題については大臣お答えがないと困ると思うのです。
  56. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 大臣のお答えの前に、事務的なことをお答えいたします。  まず、先ほど申しましたように、日額旅費については直ちに私ども措置したと、そう考えております。そこで、先ほど申し上げましたように、相当大幅な引き上げを行ないました。  それから、移転料につきましては、これは内国旅費関係でございますが、移転料につきましては、現在のところ、昨年御審議願いました改正でいいと思っておりますが、これからまた調査の結果であれでは不十分だということになりますれば、そのときに御審議をお願いするつもりでございます。  それから、甲地乙地の負担区分については、最近の宿泊料金の実態調査して、それで再検討しようということでございますので、ただいままでの検討のところでは、直ちに、昨年御改正願いました法律を、内国旅費関係を直ちに改正する必要があるということにはならない、そう思っております。で、将来のことにつきましては、またこれから検討いたしまして、改正する必要があるというときにはまた改正法案を御審議をお願いをすると、こういうことになると思います。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それは、大蔵省の立場から言えばですね、検討の結果現行法でいますぐこれを変えなきゃならぬ理由は、実態調査の結果はない。あると言えばなぜ改善しないかと言われるから、当然そういう答弁が出てくると思うのです。しかしながら、実情大蔵省の言うようなものではなくして、明らかに異常を来たしておるわけです。そこで、そういう実態調査が先ほども申し上げましたように根本になるわけですね。実情を正確に把握しなければ、それをもととして改定というものが行なわれるのだから、事旅費に関する限りは。ということであるならば、この附帯決議がなされたのは昨年の三月三十日、それからもう一年有余たっております。で、附帯決議の精神は、昨年三月三十日に成立した国家公務員旅費法については、その結果まだ不十分だと、十分検討の余地があるという趣旨でこういう附帯決議がなされたわけです。昨年の三月三十日の時点に立って、その法案が十分なものであるか、満足すべきものであったら、何も附帯決議はつかぬわけです。不十分である、遺憾であるという、そういう総意から、当委員会の総意によって附帯決議がなされておるわけです。そこで、大蔵省としては、すみやかに検討を加え、すみやかに改善すべきである、これが附帯決議の要旨です。にもかかわらず、現行法でいいんだと、一口に申し上げると、そういいような意味の御答弁があったことは、きわめて遺憾とするところです。こういうことではならぬと思うのです。昨年の三月三十日の時点に立って、そのとき成立した旅費法については、きわめて遺憾であったと、だから、これじゃだめだと、遺憾だから、ひとつ十分すみやかに検討して、漫然日を送るのじゃなくして、すみやかに検討して、すみやかに改善すべきである、これが附帯決議である。で、政府は、附帯決議を十分に尊重するという誠意があるならば、その精神に基づいて何らかの、一〇〇%までいかないまでも、この精神をもしほんとうに責任持ってとらえておるならば、何分の改定はあってしかるべきだと思うのですね。いまの答弁では、何事ですか、現行法で一向差しつかえない、将来はいざ知らず、現時点に立っては現行法でいいんだ。昨年の時点ですね、昨年の時点ですでに不満であったわけです。昨年の時点でまだこれでは不十分だから、すみやかに検討して改善しなさいと、こういう趣旨であるわけですね。その趣旨を十分とらえていないではないですか。その大蔵省考え方について、ひとつ大臣どうお考えですか、この附帯決議について。いま申し上げておるような附帯決議がなされておるわけですね、昨年の時点で。昨年の成立した法案について、いわゆる国家公務員旅費法についてこういう附帯決議がなされた。そこで、その法案について不満であり、不十分であるから、附帯決議がなされたわけです。それから一年有余たっているのだから、そのままでは相ならぬわけです。
  58. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) まず調査の問題でございますので御説明申し上げますが、昨年の附帯決議で、先ほど来申し上げてまいりましたように、日額旅費については直ちに措置をいたしまして、この点は三三%から四五%、相当大幅な引き上げをいたしました。それから、移転料につきましては、御承知のように、昨年約六割という大幅な値上げをいたしたわけでございます。そこで私どもとしては、六割の値上げをして、それでその実績が出ましたところで、どうだろうかということを調査してみないといかぬ、そう思っております。で、六割の値上げの前に、移転料につきましては、非常に足りないという強い要望がございました。そこで非常に大幅な値上げをいたしましたので、それでその結果がどうかということは、その後の実態をよく調査して措置したいと思っております。  それから宿泊料金につきまして、甲地乙地の問題でございますか、これにつきましては、先ほど簡単に申しましたように、実態調査をいたしまして、このときに特に問題になりましたのは、乙地宿泊料金で、適当な旅館がないんじゃないかということが問題になったと思いますが、それは具体的に調査いたしまして、それでだいじょうぶだという結論に達したわけでございます。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでもう十分だとおっしゃるわけですか。
  60. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 昨年附帯決議をいただきましたあと調査いたしまして、いまの段階ではこれでよろしいと思っております。しかし、こういうものはだんだん上がる傾向にございますので、将来もしこれでは足りないという調査結果になりますれば、そのときに改正をお願いしよう、そう思っております。
  61. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大臣、なかなか御答弁になりませんけれども、何もむずかしいことをお伺いしておるのではなくして、附帯決議に対する大臣の基本的なお考えはどうかと伺っておるわけです。国家公務員旅費に関する限り大蔵大臣の所管でありますから、この際責任者からそういう態度を鮮明にしていただかぬと了承できないと思う。別にむずかしいことをお伺いしておるわけではない。
  62. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 要するに、実費弁償の問題でございますから、実態調査をこれは怠ってはならぬ、それによって改正すべきものはする、旅費というものはそういうものであろうと思いますので、この決議については、私どももこれは十分その趣旨に従ってやろうということは当然でございますが、あの決議以後どういうふうにやったかということを、いまこちらから御説明しているわけでございまして、一応実態調査をやってみた結果、いまのところそれでいいんじゃないかという結論が出ているということでございまして、さらにまた実態調査を怠らないでやっている過程で、これが不合理であるということがわかりましたら、そのときには改正する、こういう態度でいきたいと思います。
  63. 北村暢

    ○北村暢君 ちょっと関連。たとえば移転料の問題について、これはみんな等級に差がついているのですよね。これは六等級の人と一等級の人との荷物を運ぶのまで差をつけるというのはおかしいじゃないですか。一等級から六等級、これはだいぶ差がありますよね。六等級の人は半額輸送でもしてくれるというのなら、トラックをまけてくれるというなら話はわかるけれども。したがって、いま言っていることは、実態を調べられたとおっしゃるのだけれども移転料については、実費支給そのもので、この定額によってでなしに、制度そのものをひとつ再検討すべきでないかというのが趣旨だと思うのです。いままでは移転料というのは、等級によって距離に応じて定額制、この表に応じて実施しているわけでしょう。それが実費支給という原則からいって、実態に合っているのかどうかというのについては、だれが見たって、こんなものは実態に合っているなんというふうに見てないですよ。だから、制度そのものを検討すべきでないかということ、附帯決議の趣旨はそこにあると思うのです。
  64. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) その十等の区分の問題でございますが、この移転料は、実情調査しますと、等級の差とか、俸給水準の差とか、そういうことで実態は違っておりますが、そこで先ほどお話がありましたように、しかし、十に分けるのは少しこかま過ぎやしないか、もう少しくくったらどうかという御議論がございました。この点につきましては、理屈で申しますと、実態調査が出ましたところで、くくって、そうしますと、高いところだけとるというわけにはいきませんから、平均のところをとるということになりますと、くくられた上のほうはもし将来改正する場合に上がり方が少ない、下のほうは多いということで、そこに問題があるだろうと思います。そこで、なおこの問題はこれからも検討はいたしますけれども、現在のところではこういうふうに等級の差、俸給の差でもって差が出るということはやむを得ないし、実態調査した結果大体そうなっております。個人の差はございます。十段階がいいかどうかということについては、私どもそう思っておりますけれども、これはこれから将来実態調査しまして、それが実情に合わないということになればまたそのときに改正したい、こう思っております。
  65. 北村暢

    ○北村暢君 この問題ね、実態調査したらそうなっておりますといったって、これだけしか払っていないからこれに合うようにやらざるを得ない。したがって、個人の負担があるのかないのかというところまで調べないというとわからないことでしょう。それはいろいろと実態を調べたと、こうおっしゃるだろうけれども外国旅費においても移転料の場合五〇%というものはあなた方が実績を調べたら五〇%上回っておったと、こう言うのでしょう。五〇%上回っていたものをあなた方は払っているのですか払っていないのですか。
  66. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) まず初めのほうでございますが、実態調査のときには旅費区分で幾ら出したかということはこれは調べる必要がないわけですから、実際に本人がどのくらい払っているのかということを調べるわけです。そうしますと、どのくらい政府から支給された以上に個人が払って旅費関係で赤字が出ているかということが出てまいります。そういう調査をいたしております。  そこで国内におきましても同じでございまして、実態調査のときにはどういうものにどれだけ実際払ったかということを調査いたしております。それでその結果、実情が規則よりもだいぶよけい支払っているということが明らかになりまして改正をお願いする、そういうことになっております。
  67. 北村暢

    ○北村暢君 この問題、大臣お聞きのようにね、払っていないわけなんです。ただし、実費支給というたてまえでしょう、旅費というのはね。実際個人で払っているわけなんだ。外国移転料についても五〇%以上払っていて、あなた、個人負担しているわけでしょう。改正されればいいけれども、去年の人とことし改正された人とだいぶ差がついてしまう、これは、実際問題として。そういうことを、実態調査をやったやったと、ここでそういうふうに言い張るけれども、一体どの程度実態調査をやっているかということについて私どもは非常に疑問を持たざるを得ない。したがって、給与改定だって何だってこんな紙っぺら一枚で、こんな提案理由説明だけで審議せいというのはこれはむちゃですよ。何であなた方、法案を審議するときに資料を——その実態調査をやったならやったという資料をなぜ出さないのですか。これ検討できないでしょう慎重に。あなたが先ほど来言っているのは、よく検討していただければわかるのですがと言っておるのですが、検討する材料がなくてどうやって検討するのです。国会軽視もはなはだしいじゃないですか。だめだ、こんなものじゃ……。休憩して午後資料を提出してから審議をやろう。だめだ、審議できるような態勢になっていない。資料提出しなさい。実態調査をやった資料を提出してもらう。そうでなければ審議できない。いいかげんだよ。——全部資料を提出するように委員長取り計らいをやってください。それは、だめだ。
  68. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  69. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  北村委員からの要求資料は提出することに取り計らいます。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの附帯決議に関連して旅費についての調査審議を進めたいと思うわけですけれども、せっかく大蔵省で後刻資料を出されるようでありますし、また、かねがね大蔵大臣にぜひお伺いしたいという問題があるわけです。と申しますものは、ここの新聞にも出ておりますが、人事院の公務員給与引き上げの勧告が近く出るわけですが、当委員会で公務員給与に関する審議をいたします際に、大蔵大臣としては財源を握っておるという点、あるいはまた、給与関係の六人委員のしかも最重要な立場にある大蔵大臣が、ここ数年来熱心に要請してもほとんど出席を見られなかったわけです。これはまことに残念なことでありますが、事実ほとんど大臣は出られない。これは水田大蔵大臣だけでなくて、前任者もほとんど出ておられないわけです。したがって、いま申し上げたように、公務員給与に関する限り、きわめて重要な地位にある大蔵大臣のお考えをそのつどお聞きすることができなかったわけです。いまたまたまそういう資料関係もございますし、また、旅費法に関連してさすがに大蔵大臣もきょうはお見えになっておるので、これこそ絶好の機会でありまして、うっかりこの機会をのがすとまた給与に関する限り大臣のお考えをお聞きする機会がなかなか得がたいわけです。そういうわけで問題をしぼって二、三この問題だけをお伺いしたいと思いますので、明快にお答えいただきたいと思います。  まずお伺いしたいのは、給与に関する人事院の勧告は、御承知のように、昭和二十三年十一月九日のいわゆる六千三百七円ベースに関する勧告以来、二十三年以来、二十九年にいわゆる経済情勢の悪化を理由にして勧告を実施しなかった、保留した年がございましたけれども、この例外を除いては毎年行なわれてきておるわけです。したがって、所要財源は年によってもちろん多少違いますけれども、既定経費としての性格を持っておることは何人も否定できないところであるわけです。これは大臣もお認めになると思うのです。そこで改定を必要とする根源をたどれば、これは戦後の経済政策の不手ぎわのために物価はどんどん上がって、その結果の給与改定というふうにも考えられるわけです。  そこでこの問題についてお伺いするわけですが、政府のこれに対する態度は、三十五年度から三十八年度までは十月一日実施として五カ月分カットしているわけです。昭和三十九年から昨年まではいわゆる九月実施として四カ月分をいわゆる値切っているわけです。これはもう全く情け容赦もなく一方的に切り捨てておるわけです。その累計は私の計算によると、三十二カ月分になるわけです。公務員一人当たりの平均損失は約十三万八千円になる。公務員全体としては約三千億という巨額になるわけです。これで勧告の改善率の内容の低下を来たさないか、そういうことはあり得ないか、こういうことでございますが、いわゆる勧告率そのものが全く意味がないと思うんですね。これは大蔵省と違って人事院が専門的に給与改定を担当しておりますから、これは精密な実態調査、もちろん私どもの目から見ると不十分不満の点は多いわけですけれども、そういう点はたなに上げてそれが正しいものという前提で見ても、人事院の勧告が苦心の末出されるということだけは事実だと思う。その改善率がはるかに低下されてしまうわけですね、人事院の五月実施にさかのぼらない場合は。ところが、政府にこの人事院の勧告をどうするのかと言いますと、人事院勧告の内容はそのまま実施すると、そう言い続けてきておるわけです。これは各大臣にお伺いすれば、必ず人事院勧告は尊重、内容はそのまま実施するけれども、財源の関係で実施の時期だけについてはなかなか五月には実施できない、こういう意味のことを言い続けてきておるわけです。これはいまお伺いしても大臣はまたそうお答えになろうかと思うんです。そこで実際の数字をあげて比較してみますると、政府は勧告の時期を値切ったために、これはごく最近の例、一昨年度の場合は勧告は七・二%であったわけです。それが実質的には四・五%とはるかに低下しておるわけですね。それから昨年度の場合は、人事院は六・九%の改善率を勧告した。それに対して実質は四・三%に低下しているわけです。ということは、人事院の勧告の内容はそのまま実施するけれども、時期については云々ということは当たらぬと思うんですね。そうでしょう。そこで昨年六人委員会が開かれた際も、また閣議でも、勧告の内容はそのまま実施する、けれども財源がない、財源が苦しい、そこで、実施の時期については勧告どおりの五月実施はできない、九月実施だ、こういう不可解千万な結論を出しておるわけです。繰り返し申し上げるように、いつどなたにお伺いしても、人事院勧告に関する限りは、繰り返し申し上げるようですけれども、結局財源がない。で、これは同じ公務員である公社、現業については、三十二年以降昨年まで、また、本年も、情勢から見れば仲裁裁定がおそらく九分九厘、むしろ一〇〇%政府によって実施されると思うんです。だとすると、今年もいわゆる仲裁裁定については完全実施されるわけです。同じ公務員である国家公務員に関する人事院勧告、これについては尊重されない。こういう公平の原則にも根本的に反する問題が出てくるわけです。そこで、私の調べによれば、これは公社、現業に対しては、政府は、実力行使できる、そういう背景もありますから、そういうことも勘案して、結局強い公社、現業については仲裁裁定どおり四月——しかも四月ですよ、五月じゃない、四月にさかのぼって完全実施しておる。同じ公務員である一般職についての人事院勧告は、毎年毎年、先ほど申し上げたように値切られておる。これはもうどなたが聞いても了解できぬところだ。ところが、その公社、現業といえども、実は財源はあり余ってやっているわけじゃない。これは大臣は一番よく知っておるわけだ。大蔵大臣が許可しなければ、いわゆる予算の移用流用とか、建築費の翌年度繰り越しなどは、大蔵大臣が認めなけりゃできないわけです。同じ苦しいんです、公社、現業においては。苦しいけれども、実力行使ができるというような背景もあって、実際には三十二年四月から実施されておる。アルコール専売のごときは実に三十年の四月にさかのぼって実施されておるという事実。それから、その間長い間、アルコール専売から見ると、ことしは四十二年ですからもう十二年間、一般職の公務員については実施の時期が値切られておるという、これは現実の姿。そこで、大蔵大臣は、この六人委員会のただ単なる六人委員中の一メンバーというだけではなくして、いわゆる財源がないとか苦しいとかというのは大蔵省から出ておる。それで、給与担当大臣がいかに実施しようとしても、大蔵大臣がだめだ、財源がないと一言言えばそれでおしまい、そういうことが毎年繰り返されて、昨年までの時点においては、十月、それから引き続いて九月ということで依然として値切られておる。これはもうきわめて遺憾なことであって、これはどうにも了解できない。公社、現業に対する仲裁裁定を完全実施しておる日本の政府が、同じ日本の公務員である一般職公務員に対してなぜ完全実施ができないのか、これはどうにも納得できないわけです。この点をよくわかるようにひとつ御説明いただきたいと思う。
  71. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、会計年度は日本では四月から翌年の三月までと、これが会計年度になっておりますので、したがって、人事院勧告にしましても五月にさかのぼれという意味が私にはわからない。さかのぼるんなら四月にさかのぼっていいことだと思います。したがって、四月から人事院の勧告をどう実施して民間との給与の差をなくしていくかというこの勧告のしかた、そのほかについてここに改善の余地が十分あるということはもう一般から言われておるところでございまして、私どもは、これについて始終政府の部内でも検討しております。今年度も関係各省が集まって相談をしましたが、いい知恵がなかった、名案がないために、ことしもいままでどおりに一応やろう、また来年のやり方についてもっと真剣に検討しようということで、ことしはいままでどおりの勧告により、また政府の勧告に対する応じ方も、この勧告を見て誠意をもってやるという以外には本年度は方法ないと思いますが、そこで問題は、私が前に大蔵大臣になる前は、途中で勧告が出ましたが、これは来年度の四月から実施するということでやってきました。しかし、あのときは高度成長時代で非常に物価変動もあったときでございますので、初めて来年の四月を待たずして八月の勧告を十月から実施するという例をあそこで開いて、私は従来と比べたら繰り上げをやったつもりでございますが、その後九月からまた一カ月繰り上げられていまやっておりますが、そうしますというと、四月から上がってもいいものが九月からいって順繰りに五カ月ずつずれていま支給されていると、したがって、そういう意味からいいますと、給与に関することからいいますと、会計年度が九月から翌年の八月になるというような、実質的にはそういう形で、ただ五カ月のズレがあるということでございます、現在。で、そのズレもなくしようとするためにはどうしたらいいかといいますと、いろいろなやり方がここにあると思います。せっかく三月三十一日に国会がこれだけの慎重審議をしてきめた予算、その予算の中にそう余分ないろいろなものがあるはずがない。厳粛にきめた予算は、執行の過程において、八月になったらもとに戻って四月からこれだけの何百億の金を出せという勧告によってすぐその中から出せるような仕組みをこの予算の中に残しておくということは、これは予算審議がずさんであり、そういうことをやることは、これは将来国家財政を乱すもとになる。これにならって地方財政もみなそういうことをやるようになったら、これはもう財政というものは乱れるということになりますので、私どもは、そこに合理的なやり方を求めようといろいろ腐心しております。で、途中で勧告されるからこの財源がないとかいうようなものが起こりますが、もし三月の予算編成のときにこれを一定額もう予想して見ておくというようなことができたら、これはあるいはいいかもしれませんが、このやり方というものは予算編成では非常にむずかしい問題でございます。どういう勧告があるかわからないし、物価変動が大きいときにこの勧告があることになっておるのですが、政府がそう大きい物価変動というものを予想したような経済政策というものは立てられませんし、いろいろな問題から、そういうものを予想したものを予算の中に盛らせられるということは、これは予算の編成としてはむずかしい問題がございますので、もし必要なら勧告があったあとから実施する、その差額は来年度の新予算で不足分だけまとめて一括支給すると、私は利子というふうなことを言ったのですが、そこまでのことを言わなくても、公務員に不利なことをさせないやり方というものはほかにあるのじゃないかというようなことで、私ども公務員を不当に不利にしようとか、これをどうしようということを考えているわけじゃございませんが、厳粛な国家の予算編成というものとからんで国民のほんとうに信頼のあるやり方というものをどういうふうにしたらいいか。これはもうどうしても私はこれから研究しなければならぬ問題だと思っています。したがって、五月にさかのぼるということも意味なくて、四月にさかのぼって公共企業体と歩調をとることが私はいいと思います。しかし、公共企業体と国家公務員とは給与のしかたがこれは違いますので、これはいまのような仲裁制度というものを活用して四月からの実施ができることが私は好ましいと思いますし、国家公務員のほうはそうでなくて、八月に勧告ということをやって、これがいい悪いはとにかくとして、これが現実ですから、その現実を基礎にして、どう合理的にこの公務員給与を損をさせないか、ということを私は制度の上に考えなければ、この問題は解決しないのじゃないか、特にわざわざ四月から九月の間を値切るとかどうとかという問題ではございません。それだけ実施がずれて、公務員給与に関しては、会計年度が九月から翌年の八月というようなことに事実上なっているのを、これを戻して、合理的にどう四月から出発させることができるかということになりますというと、公務員の勧告のしかたについてもまだ考え方がありましょうし、私は昨年は二回勧告をしてくれということを人事院に求めました。一回すると、すぐ追って新しい勧告があったら、そのあと追っかけてもう一回やったら、いまよりは違ってきて、一回、二回勧告してくれるというと、やり方が、こちらが楽になるということも考えられますので、人事院とこういう相談をしましたが、二回の勧告はなかなか技術的にむずかしいということで去年はできませんでしたが、今後こういう問題については、もう少し政府部内でも私どもは真剣に検討をしたいというふうに考えております。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それは大臣のおっしゃる意味はわかりますが、どうもまだ一般職の公務員に対するいわゆる完全実施をしようとする誠意の問題ではないかと思うのです。財源ではないと思う。と申しますのは、昭和三十七年、八年、特に三十八年の場合は、これは池田内閣のときであったわけですが、いわゆる税の増収によって三十八年のごときはまことに余裕のある年であったわけです。にもかかわらず、従来からいってきた政府の態度を変えるわけにいかないのです。また一般職に対しては完全実施しようとする考えが大体ないわけです。誠意がないわけです。したがって、どうも税の増収で余裕があるからといって、一回実施してしまうと、今後もやらなければならないという考えもあったでしょう、実質的には、結局、三十八年あのような余裕のある年であっても、財源がないから、財源が苦しいからということで、実施の時期については値切られておるわけですね。また、公社、現業については三十二年四月から実施になっておりますけれども、最初から公社、現業についても実施になったわけではない、その以前やはり公社、現業についても実施の時期については値切られておる、しかし、先ほども言うように、熱心な交渉の結果、三十二年以来今日まで完全実施されてき続けてきておるわけです。財源ではないです。そこでまた大臣が国家予算一たんきまったものを途中で変えることは権威がないというような意味もございましたけれども、方法は幾らでもあろうかと思う、これは財政等の専門家の大蔵大臣にしろうとのわれわれが言うてもおこがましいことになりますけれども、しろうと考えとしては幾らでも方法はある。たとえば公社、現業の実情を見てもわかるわけです。最近の公社、現業は、一体財源に余裕があってやったのかどうか、苦しい中をどのような措置をしてやったのか、こういうことを見れば明確なんです。そういうことがなぜ一般職公務員についても行なわれないかということを中心にお伺いしているわけです。たとえば、昭和三十六年度は公社、現業については補正予算で行なっておる、三十七年度については電電公社は四十六億以上にのぼる建設事業費とかの繰り延べを含む経費の移用、流用によって実施しておるわけですね。それから三十八年度について調べますと、国鉄は五十一億、電電は四十五億、郵政は七億円の建設事業費繰り延べを含む経費、これも移用、流用です。それから三十九年度から四十一年度までは、ともに経費の移用、流用によって四百十八億から五百八十億の幅で年々の給与改定が今日まで完全に実施されてきておるのです。そういうことで、移用、流用等については大蔵大臣の認可が必要なわけです。こまかい資料はここにございますが、一々ここであけることは避けたいと思います。そこで、一般職公務員給与の場合には、先ほども申し上げましたように、もうほとんど年々勧告がなされるであろう既定予算ということの性格は明確になっておるわけですから、問題は、順序としては、公社、現業に対して行なっておるように、一般職公務員に対しても、人事院勧告をまず完全実施するかしないかの問題が当初の問題だと思うのです。いままで長い間政府は、一般職公務員に対しては完全実施をしようとする少なくとも考えは毛頭なかった、財源なんか問題はないと思う、財源は問題でないということは、先ほども数をあげて申し上げたわけです。財源ではないです。一般職公務員に対して完全実施しようかしまいかということでわかる、したがって、まず政府として、一般職公務員にも、公務員の公平の原則に基づいて、公社、現業同様、ひとっことしこそ完全実施をしようという、そういう方針をきめることが先決だと思う、その方針がきまれば、あと財源はどうする、これは先ほど大臣もちょっとおっしゃったように、年度当初に給与改定相当額を計上しとけばいい、それで足りない場合は、次年度の当初予算に不足分を計上する、いわゆるあと払い形式をとればこと足りるわけです。あるいはまた、災害対策費のごときは、どの程度災害対策費がかかるか、あらかじめ額をきめかねるので、これは予備費から経費を支出しておろうかと思うのです。こういうふうにわれわれしろうとが考えても、ほんとうに政府が実施しようという誠意があるならば、考えがあるならば必ず実施できる問題だ、何もむずかしい問題はないわけです。にもかかわらず、先ほども申し上げたように、三十八年のごときは、余裕が相当あったにもかかわらず、一度そういうことを、実施すると、将来もやらなければいかぬということもあって、あの年ですら財源がない、財源が苦しいということを言い続けてきた、そこで、過去のことをとやかく言うのではなくして、ひとつことしこそ、こういう方法はあるわけですから、こういう点を検討していただいて、もちろん勧告の時期とか、これは民間等の給与は大体四月、五月ごろきまるわけですから、その民間との給与の較差、生計費物価上昇、こういうものを勘案して、人事院は勧告するのですから、たとえ八月の勧告であっても、問題は、政府に、一般職公務員に公社、現業同様ひとつ完全実施してやろうという大方針がきめられれば、財源は第二義的な問題になってくるのです。どうでしょう、いまのように幾つかの方法があるわけです。しろうとが考えても、こういう方法はあるんだから、財政通の大蔵大臣でしょう、頭をしぼれば幾らでもある、ただ問題は、出してやろうという考えがないから、なかなかそこまでいかぬのです。こういうふうに私ども解釈せざるを得ないです。だから、政府に言えば、お伺いすれば、検討を要する問題だから検討する、検討検討で、長い間検討を続けてこられた、十数年も検討検討、こういうことではわれわれは納得できぬと思うのです。これは本法案に直接関係の分野ではございませんから、これ以上多くのことをお伺いいたしません。ただ、根本的にその点だけは、大蔵大臣なかなか給与法が出ても出てくれませんから、水田大蔵大臣はそういうことはないと思うが、過去の歴代内閣の大蔵大臣は、ほとんど給与改定の審議になると出ていないわけです。御多忙はわかりますけれども、ほとんど出てないです。そこで、きょうは絶好の機会だと思って、うっかりこの機会をのがせぬと思って待ちかまえておったわけです。そういうことで、この際ひとつ明確に基本的な大臣のお考え、先ほどおっしゃったことも意味はわかるわけですが、どうもあの答弁を通してうかがえることは、政府に一般職公務員に対して完全実施しようとする大方針がまだまだない。まだ誠意がないということだけはわれわれに感知できたわけです。遺憾ながらそういうふうに受けとめられたわけです。だから財源を第二義として、佐藤内閣は人命尊重という大方針を具体的に繰り広げる政策の中で、一般職公務員だけに、公社、現業にあるものが一般職公務員になぜできないかと、そこを十分お考えいただいて、ひとつ大方針をきめていただきたい。財源は第二義です。財源はどのようにしても出るわけです、こうやって。国家予算の当初に組んでもいいし、いわゆるあと払い形式でもいいし、予備費でもいいし、方法は幾らでもある。この点いかがですか。ひとつ、明快なしかも前向きの御答弁をいただきたいと思う。
  73. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、参議院の予算委員会でも申しましたが、この前向きという意味が問題で、さかのぼるのが前向きか、そうでなくて、あとからでも不利なことをさせないという解決策をとるのが前向きか、この前向きかあと向きかということになりますというと、八月に勧告して五月、四月にさかのぼれというその勧告のほうへ沿っていくことは、どうも私は国家財政の処理とか、それからこれに関連してすぐ地方財政の問題が起こります。国へ右へならえということになっていますので、地方はこれによって、地方財政というものはもうどうでもあとから政府に追随していろいろにやりくりするんだからといって、もう最初から地方財政が相当放漫になって最近いろいろな問題を起こしていますが、こういう傾向は何が助長しているかといいますと、私は地方議会がせっかく予算というものをはっきりきめたと思っておるのですが、そうじゃなくて、どうせくずれるもので、こうだからというのでもう予算の厳粛性というようなものも相当こわれてきておる、この傾向を私はおそれますので、やはり国民の前で審議する予算ですからかってにこれを、国会がきめたものを流用したり、事業費を切ったり何かして、最初きめたものと違ってしまった予算の執行になるというようなことを国民の前に私はやっぱり見せたくない。ちゃんとこういう形でぴしっとしていますよという形を整えることが私は前向きのことのような気がしまして、本年何とかこの問題を解決したいと思いましたが、うまくいきませんので、ことしは従来の例にならって誠意を持ってこれはやるつもりでございますが、いまのような形でこれが一月ぐらいずつとか二月とかあとへ遡及することが、私はこういう問題の解決の前向きの姿勢とは言えないんじゃないかということを、予算委員会でも私の疑問を提起したのでございますが、これはひとつ御批判を願いたいと思います。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま大臣のおっしゃるような意味で、一般職公務員に迷惑をかけないような方法がそれから割り出せますか。先ほども数をあげて言ったように、政府が十月実施ないし九月実施のために三十二カ月分も、削られた分を合計するとそういうことになるわけです。一人平均で十三万四千円。それと公務員全体で約三千億にのぼる損害、そういうものが現実に出てくるわけですね。ところが、完全実施しなければ人事院の勧告の改定率は意味がないでしょう。先ほど数をあげたから繰り返しませんが、はるかに下がってしまうのですね。ただ政府のごまかしがあると思うのですよ。勧告の内容はそのまま実施する、ただ実施の時期だけは財源がないから九月と、こういうことになると、五月にさかのぼって実施すべきそういう条件つきの勧告率を、結局九月ないし十月に実施すればそれだけ改善率も低下するわけでしょう。だから勧告の内容はそのまま実施するということにはならぬわけです。ぼんやり聞いておると、勧告の内容はそのまま実施するからいいじゃないか、あとは実施の時期だけだ。そうじゃない。勧告の改善率ははるかに質が下がっておる。それから国家予算については途中で変えるなら、あと払い形式とかあるいは移用、流用なんか認めるのは、これは前向きの姿勢ではない、大臣、そういう意味のことをおっしゃった。ところが、公社、現業について現実にあと払い形式とかあるいは移用、流用を大蔵大臣が認めておるじゃありませんか、大蔵大臣がそういうことを認めなければできないんじゃ、ないですか。国家一般予算と公社、現業の予算についてはそういう見方に相違があるわけですか、これはどちらも大事な予算でしょう。しかも公社、現業は財源に余裕があってやっているわけじゃないですね。先ほど来申し上げておるからこのことも繰り返しませんが、相当苦しい。苦しいから予算の移用、流用、建築費までいわゆるあと払い形式で次年度予算に組んでおるわけですね。で、給与は、大体先ほども申し上げたような事実からして毎年行なわれるであろういわゆる既定経費になることはもう何人も疑わないです。だから当初予算を組むなら、そういう方法あるいは額がどうしてもきまらぬというなら、災害対策費だってそうでしょう。ことし台風が多かろう、しかし、大体このくらいだろうということは何人も的確には把握できない。だから災害対策費などは予備費から払っておるわけですね。そういう方法もあるじゃないですか。一つだけとってぐあいが悪いなら、いろいろな点を加味して、それこそ財政通の、大蔵省の中心になっている大蔵大臣がちょっと頭をひねれば当然出てくるわけです。  繰り返し申し上げて恐縮ですが、結局問題は一つなんです。一般職公務員に対してもことしこそ完全実施しようという姿勢の問題ですよ。財源なんか関係ない。ただ、それではなかなかごまかしがきかぬから、財源が苦しい、こういう表面上の理由でいままで実施されてきていないわけです。だから、姿勢の問題です。よしことしこそ一般職公務員にもひとつ完全実施しようというこの大方針がきまれば、これをきめることですよ。きまれば、財源の道はおのずから開かれてくる。公社、現業と同様ですね。ひとつそういう方向で御検討すべきであると思うのですが、先ほど申し上げたように、大蔵大臣はいわゆる給与の担当大臣ではございませんけれども、六人委員の中の重要な地位にある、しかも財源を握っておる大蔵大臣という立場から、最後にこのことについてひとつ明快にお答えいただきたいと思います。
  75. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 何度も言うようでございますが、私は実際においてほんとうに金は惜しみません。このやり方が合理的であればいいという立場でいろいろ今後検討しようと思っております。  それから先ほどのおことばの中に何十カ月で何千億円のということでございましたが、さっきこれは申しましたように、間が切れるのじゃなくて、いわば会計年度がこの点については変わっているというようなことでございますから、順繰りに寄せ寄せでずっと数カ月がおくれてきておるということでございまして、この間の損失が三千億であるとか何とかいう計算にはならぬだろうと思いますことが一つと、もう一つは、私が心配しておりますことは、国の財政においてはこれはあなたがおっしゃられるように無理してもこうせいと、ほかのものを犠牲にしても、もう削ってもこれはやれといえばやる方法があるじゃないかと言われますと、これはやれといえばやれる余地はあるかもしれません。いいことではございませんが、そういうことをやれといえばやる余地があるかもしれませんが、問題は地方財政にほとんどその余裕がない。もし国が実施して地方がそれに追随できなくて、中央地方の官吏の待遇というものに大きい差ができるということもまた政治としては一つの大きな問題でございますので、一カ月や二カ月とおっしゃられるかもしれませんが、全体として考えるとまずその点で行き詰まってしまいますので、事実上は、誠意の問題だけじゃなくて、やはり財源問題というものがこの背後にはある。そうしますというと、この財源の出し方ですが、これはたとえば前年度の不足分を翌年度の予算編成のときに予算をとって払うとかなんとかいうようなことだというのでしたら、当初からそういう財源はつくって計上すべきものだということでございましたらどういう措置でもとれるのですが、一ぺんきまった予算の中から、何百億というものを簡単にいつでもひねり出せという立場の勧告というものは、私はその勧告自身にやはり相当考えなければならぬ余地があるのではないかというふうに考えます。もっといい合理的なやり方があるのじゃないかと私は考えるのですが、十分検討いたします。
  76. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記を起こして。  二時に再開することとして、暫時休憩いたします。   午後一時三分休憩      —————・—————   午後二時十六分開会
  78. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) これより委員会を再開いたします。  午前に続き、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  79. 多田省吾

    ○多田省吾君 午前中の質疑を通じましておよそのところ大体納得できましたけれども、二、三質問さしていただきます。  第一点は、今度、最高裁判所判事、検事総長、会計検査院長、人事院総裁等が、国務大臣相当旅費を受けることに改正される。前のお話を聞きますと、国務大臣も初めは下にあったわけでありますが、何だか河野前大臣がソ連に行かれたとかで、そのあとから国務大臣が特命全権大使並みになって格上げされたということも聞いております。その後、また特に司法部からの要望もあって、三権分立の立場も考慮して、このように国務大臣相当に格上げになるということでございますが、何ですか、各分野から要望、突き上げがあると改正するような、そういう行き当たりばったり主義のような気がしてならないのですけれども、初めから確固たるそういう姿勢があるのかないのか、そしてどうしてもこれは変えなくちゃいけないのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  80. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) お答え申します。まず、御質問の点は、「内閣総理大臣等」のところでございます。この「内閣総理大臣等」は、いまお話がございましたように、この前の改正以前は二つのクラスに分かれておりました。この前の改正のときに、その一番上のほうに入っておりました特命全権大使、それを少し下げまして、それから国務大臣を下のランクから上げまして中二階というような形のものをつくりまして、それで二段階のが三段階になったのでございます。で、国務大臣と特命全権大使をどうしてそういうふうに同じにしたかということでございますが、これは御承知のように、国務大臣も外交交渉をすることが相当多い。したがいまして、特命全権大使と同じ扱いでいいだろう、そういうことで国務大臣と特命全権大使、そういう上と下との間の段階を一つつくりました。  それから、ただいまお話がございましたように、次に今度最高裁判所の判事と検事総長と会計検査院長と人事院総裁と、これがこの三つの段階のその他のもののところから国務大臣クラスのところへ今度格上げになっております。それはどういうことかと申しますと、三権分立のたてまえから、これは国会の関係はこの法律とは関係ございませんので、行政府と司法とその二つだけが出ておるわけでございますが、一番上のところに内閣総理大臣と最高裁判所の長官が入っております。行政府としては、二番目のところへ国務大臣が入っております。そこで、三権分立というたてまえからいって、最高裁判所長官の次に位する最高裁判所の判事をこの国務大臣と並べてほしいという要望がございまして、外国の例等もいろいろ調査いたしまして、そうすることが適当だろうということになりました。なお、その際、同じように認証官で、給与も同じですし、それから独立的な地位を持っております会計検査院長と人事院総裁と一緒にこの中二階のところに上げました。それから、これも御承知と思いますが、いろいろな点で最高裁判所の判事と検事総長ということは、この二つが同格に扱っておりますものですから、それで結局最高裁判所の判事と検事総長と会計検査院長と人事院総裁、これが中二階の国務大臣と肩を並べる、そういうところへ上がっております。そういうことでございます。
  81. 多田省吾

    ○多田省吾君 いまの答えは、ただ説明だけであって、私が行き当たりばったりじゃないかということを言ったことに対する答弁じゃないと思うのですよ。そういう三権分立の立場を考慮するんでしたら、四年前から考慮して、初めから引き上げておいたほうがいいわけです。それで、要望されるたびにこのように二回も三回も手直ししなければいけないような姿というものは、非常に不明確な点がある。はっきりしない点がある。行き当たりばったりと言われてもやむを得ないのじゃないか。それとも何か国際情勢の変化でもあったのか。それから外国の例も調べましてとおっしゃいますけれども、それじゃ、アメリカ、イギリスあたりはみなこういったいわゆる内閣総理大臣といわれるような区分の人たちは全部同じ支給料のような姿になっているようにも承りますけれども、どうなんですか。
  82. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 外国の例も調べたのでございますが、いろいろと外国の、たとえば最高裁判所というものの地位というのは国によって違うようでございます。そういう関係で、憲法もいろいろ違いますし、なかなか単純には申せません。そう単純に外国と比較することはできませんが、一応調べてみますと、やはり最高裁の判事は相当優遇されているということは事実のようでございますので、そこで一つの議論でもってこの問題すぱっと割り切ってやりますと、説明は非常に簡単にまいるのでございますが、なかなかそういかないというのが実情だと思います。たとえば、この前の改正のときには、外交的機能ということで中二階のようなものを新しくつくった。それですと、話が中二階のほうは一元的に説明できるわけでございますけれども、しかしまた三権分立というたてまえからいうと、最高裁判所の判事は国務大臣と並べてほしい、これもまたもっともだということでございますので、そういうことで今度新しく最高裁判所判事その他が入ることになったと、そういうことでございます。重ねて申し上げますが、確かに一つの議論ですばっと一刀両断に割り切れますと非常にいいのでございますが、なかなか実情は、相当多角的に検討しないと問題が適当なところに落ち着かないというのが実情だと思います。
  83. 多田省吾

    ○多田省吾君 アメリカ、イギリス並みに、これは全部平等にするわけにいかないのですか。
  84. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これはなかなかむずかしい問題だと思います。国によって、外国の例を見ますと、あまり差がないところもございますし、相当差があるところもございます。いずれに割り切るかということはなかなかむずかしいことでございますけれども、いまのところは私どもは、現在の制度に対して特にここはぐあいが悪いだろうというところだけを手直しするという漸進的な態度でこの案を考えたわけでございます。
  85. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすると、外国旅行なんかに行く場合に、内閣総理大臣国務大臣とその他のもの三人行く場合に、これは実際問題としては別々の部屋に泊まるようになる、それが原則だという考えがあるわけですか。
  86. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) それはなかなかむずかしい問題でございますが、この国によりましてそう——実際申しますと、総理大臣が泊まる部屋も国務大臣が泊まる部屋もこの辺だということで差がないということもあるだろうと思います。しかし、まあ大体から申しますと、総理大臣の泊まる部屋と国務大臣の泊まる部屋と多少差があってしかるべきである、そういうふうに考えております。
  87. 多田省吾

    ○多田省吾君 第二の問題としまして、今回は、内閣総理大臣、最高裁判所長官、国務大臣及び特命全権大使については引き上げが行なわれていないわけでございますが、その理由はどうなんでしょうか。
  88. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) この一番上の総理大臣、最高裁長官のところを上げておりません。それから国務大臣のところも上げておりません。これは外国の例を調べてみますと、これも先ほど申しましたように、はっきりしておるところそうでないところとございますけれども、はっきりしているところを調べてみますと、総理大臣については現在の滞在費として日当宿泊合わせまして約四十八ドルでございますが、これは相当高いところになる。したがって、この際これを引き上げるのは適当でない、そういう判断に達しましたので、改定をいたしておらぬわけでございます。
  89. 多田省吾

    ○多田省吾君 去年ですね、松野前農林大臣がアメリカに参りまして、農林調査官というのは名目で知人を一緒に連れていった、はなはだ不見識であったというので、松野前農林大臣もそのお金を返すということを明言されたわけでありますけれども、そのお金は返っているのでしょうか。
  90. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これは農林省に聞いてみないとはっきりいたしませんが、たぶん返っておるのだろうと思っておりますが、事実を調べておりません。
  91. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほど、午前中の質疑を通じまして、三十八年度、三十九年度、四十年度における旅行者の人数は、一応総数は聞きましたけれども、四十年度だけでもけっこうですから、どの省、どの庁が一番多いのか、省別庁別にずっと人数をお知らせ願いたい。
  92. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 四十年度につきまして各省庁別に見ました場合の出張件数の多いところを申し上げますと、まず総理府でございますが、四十年度総計で六千六百十五件の出張がございます。その中で総理府が四千六百七十件、そのうち防衛庁が三千八百二十七件、これが大口でございますが、これに次ぎまして外務省の五百七十二件、文部省の三百九十二件というようなところでございます。
  93. 多田省吾

    ○多田省吾君 私どものしろうと考えでは、もう外務省あたりが一番多いのじゃないかと思ったのですが、案外総理府が多くて、防衛庁が六千六百十五件のうちのほとんど六割近くを占めていると、これは防衛庁に聞いてもいいのですけれども、大体アメリカとか、沖縄とか、いろいろあるんでしょうけれども、詳しい人数はわからないでしょうけれども、大体どっちの方向が多いのでしょう。なぜそんなに多く出張しなければならないのか。
  94. 津吉伊定

    説明員津吉伊定君) 直接主務省でございませんので、間接的にしかわかりませんのですけれども、留学とか、研修とか、そういうことで、御指摘のように、アメリカ方面というのが多いのではないかと思います。
  95. 中尾辰義

    中尾辰義君 四十年度の海外旅行者六千六百十五人、この中でいま各省別に聞いたわけですが、それで松野前農林大臣のああいったような国民のひんしゅくを買うような事態も起こったわけですけれども、こういう法案を出して、先ほどから社会党の諸君も質問をされておるのです。値上げの問題はどこにあるのか、資料を出せとか、えてしてまた外国旅行をしていろいろな問題が起こったのもありますし、かつまた不正な事件も出ておりますもんで、われわれはこういうふうに聞くわけです。この法案それ自体は、そうそんなにむずかしい法案じゃないですからね。ですから、あなたのほうに聞くのはどうかと思う。これは会計検査院のほうに聞かなければわからないかもしれませんけれども、こういったような出張旅行、そういうことに対していわゆる不正不当事件、そういったものはあなたのほうでどうですか、主計局のほうでわからぬかしれませんが、大ざっぱにつかんでおるようなことありませんか、いわゆるごまかしというやつね。
  96. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 旅費につきまして、率直に申しますと、終戦直後は、これは国内旅費の問題ですけれども、乱に流れていたという面がなきにしもあらずでございました。いま御質問いただきました外国旅費については、いままで特に移転料について非常に不足するという声は強かったのでございますが、そのほかこの旅費でもって乱に流れていくというようなことはあまりないだろう、そう承知いたしております。
  97. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、この日当宿泊料、食卓料——これは実費弁償になっていますが、午前中も質問がありましたけれども、この表で足らなかったのもあるし、また余ったのもあるんじゃないかと、こう思うのです。足らなかった場合はどういうふうになっているのか、また余った場合はどうなっているのか、その辺のところをひとつ聞かしてください。
  98. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) この旅費のやり方につきまして、いまの日本のやり方とは別に、実費弁償というほうを徹底しましてやるやり方もございます。たとえば、そういうふうにやっている国ですと、ホテル代は本人に払わせない、そこできまった限度内でそのホテルから請求があったときに官が払う、そういうことをする制度もございます。日本の制度ですと、限度を切りまして、その限度内で本人がやる。したがいまして、宿泊料は安いところへ泊まって食事はよけい食べても、それは問わない、そういう形になっております。いずれのやり方がいいか。これは、ほかの国で、前に申しましたような、日本と違ったようなやり方でやっている国もあるわけですから、それはそれでいいところもあると思います。ですが、私どもは、なかなかそのやり方にもいろいろ弊害があるので、いままでやっておりましたこういうやり方でいいんじゃないかと思っております。そこで、いまの日本のやり方でございますと、たとえば宿泊料がこれだけということになりまして、ホテルでもう少し高いところへ泊まったといっても、それは個人があるいはその日当のほうからそちらへ回わすということになるだろうと思います。それから今度は逆に、もっと安いところへ泊まったというところで、宿泊料が浮いたというときも、別にその分は返納させない、そういうやり方でやっております。
  99. 多田省吾

    ○多田省吾君 予定時間が来ましたので、けっこうです。
  100. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  101. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  議事の都合により、本案の審査を一応中断いたします。     —————————————
  102. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る二十六日衆議院から送付され、付託されました。  なお、提案理由説明はすでに聴取いたしております。  それでは、これより本案質疑に入ります。  速記とめて。   〔速記中止〕
  103. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  関係当局からの出席は、二階堂科学技術庁長官、小林官房長、その他政府委員方々でございます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  104. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 伊藤委員がおいでになって質問するのですけれども、その前にちょっと一般的なことをお聞きしておきたいと思うのですけれども、いま大臣、科学技術政策というか、そういうような中で日本の現状はどういうようになっているかという点と、どこにどういう問題点があるか、こういう点を、これは事務当局ではなくて、大臣としてのひとつ抱負経綸というものをまぜて二、三十分ちょっとお話を願いたいと思うのですがね。
  105. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 抱負経綸をしゃべろということでございますが、私どもまだ就任してそう長くたっているわけでもありません。ありませんが、御承知のとおり、科学技術の進歩発展というものは目ざましいものがありまして、この科学技術のまた経済発展、成長に及ぼす影響というものははかり知れないものがあるわけでございまして、そういう観点から考え、また広く今日の世界の科学技術の開発等を考えてみますときに、技術を制する者は経済を制するということが非常にやかましく今日論議されております。また、先進諸国、特にアメリカ、ヨーロッパ等の国における政治経済の大きな問題の一つは、技術格差というものをどうしてなくすか。これは、特にアメリカにおける技術の進歩は目ざましいものがあります。そういうものに対する脅威をヨーロッパ諸国は非常に最近感じている。そういうところから、OECDにおきましても、技術の格差という問題を特に取り上げて、専門部会を設けて検討し始めているというような状況であるように承っております。こういうもろもろのことを考えてみますときに、私非常に痛感いたしまするのは、国が——国と申しますか、政府がもう少し科学技術というものの開発に力をいたすべきではないかということが一点であります。このことは、今日まで国の投資、あるいは学園、あるいは産業界、政府等が出しております研究投資等を考えてみますときに、欧米先進諸国の研究投資の国民所得に対する割合が、アメリカは筆頭でありまするが、約四%程度、あるいはイギリス、ソ連、西ドイツ等におきましても三%をこえるという研究投資を示しておるのでありますが、これに比較しますと、わが国におけるこの研究投資というものは国民所得の中に占める割合が約一・七%ぐらいだと言われております。この国の力の入れ方というものを私はもう少しウエイトを置いていかなければ、先ほど申し上げましたような技術革新の時代におくれをとるという心配を非常にいたしております。この研究投資の割合をふやしていかなければならないという問題が一つであります。それと同時にもう一つは、頭脳の養成であります——人材の養成、特に、一般に科学技術者と言われる人口が今日約九十四、五万人だと言われておりますが、その中でも大学を出たものが約三十四、五万人だと言われておりますし、また研究者と呼ばれる純粋の人口がその中で十三万人程度だと言われておりますが、この人材養成は最近文部省におかれましても、非常に熱意を入れていただきまして、相当大学の学生の比率、文科系より理科系の比率をふやしておるということも御承知のとおりでありますが、また民間におきましても、いろんな研究所を設け、基礎研究、応用研究を行ないまして、それに必要な人材の養成を積極的にいたしておる、こういう状況ではございますが、何といたしましても、新しい分野の研究開発が非常に進められてきております。特に原子力エネルギーの平和利用の開発、あるいはまた宇宙開発、あるいはエレクトロニクスの関係の開発、こういう新しい、言うならばビッグ・プロジェクトいう、ビッグ・サイエンスというものが相当進められてきております。こういう新しい分野というものは、もとより基礎的な研究も必要であるし、また計画も立てていかなければならないが、研究しながら開発していくという大きなプロジェクトでございますので、したがって、こういう新しい分野に関与する研究者、科学者というものの人材が目立って不足いたしてきておる。この人材養成の問題にひとつ力を入れていかなければならない、こういうようなことが一つあると思っております。  それと同時に、もう一つは、こういう技術革新の今日におきまして、やはり国民全体の科学技術に対する関心というものが非常に薄い。私は率直に申し上げますが、これは国会の議論などにおきましても、科学技術とか、そういう面に対する議論はあまり見られない、これは、きょうここに引き出されまして、いろいろ質問受けておりますが、非常に心強く思っておりますが、私は率直に言って、国会の議論を通じてみましても、政治、経済、外交もとより大事な問題でありますが、しかしながら——科学技術なんというものに対する関心というものは少ないわけじゃありますまい、しかし、議論がこれはあまり少ないんじゃないか。私は、参議院におかれましても科学技術特別委員会をなくせられたということは、大臣として非常に遺憾に感じております。衆議院においてはあって、そして参議院においてはないということは、私は担当大臣として非常にさびしく思っております。そのことについては、非常に私は文句を国対の委員長等にも申し上げましたけれども、国会においておきめになったことでありまするから、そういうような、国会内におきましてもそういうことでありますから、国民全体が私はもう少し関心を持ってもらいたい。みんな、世の中はよくなった、生活はよくなったと、こういうことで、これは高度成長のおかげだとか、あるいは勤労者諸君の協力のおかげだと言って楽しんでおる。しかし、その生活のよくなったということの裏には、やはりこれは科学技術というものの進歩に負うところが多い。端的に申しまして、国民自体が、科学技術というものが国民生活に根をおろしているという、その関心が非常に薄い。だから、私はこういうことが一つある。日本の科学技術、特に技術面がおくれてきた要因ではなかろうかと思っております。したがって、そういうことに対して、官民一体となって総力を結集していかなければならない。原子力エネルギー開発、宇宙開発、こういう面が、ただ私は口だけで言われたっていけないのであって、これは政府も産業界も国民も一体となって進んでいかなければならないと、そういうことから考えますと、いま申し上げましたように、もう少し国民もひとつ関心を持って、そして協力していく、こういう態勢が望ましいのではないかと考えております。  いろいろな面がありますが、いまかいつまんで申し上げますと、私が痛切に感じておりまする点は、以上三、四点ではなかろうかと思っております。
  106. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 たいへんいい御意見を聞かしていただいてありがたいのですが、問題になりまする、いま最初に言われました、もう少し政府が力を入れられるべきではないかというお話ですね。これは国民所得の中の割合だけで問題が解決するわけでもないとは思いますけれども、そのポイントは、じゃどうしていままで日本の政府などがこういう方面にあまり力を入れなかったのでしょうかね。これはどこに原因があるのでしょうかね。
  107. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) これは一口に言って、政府のほうの科学技術に対する取り組み方の態度にもやはりあったと思います。ことしの予算は相当伸びました。伸びましたが、これでもって私は満足すべきではないと思っております。この予算折衝を通じて見ましても、非常に——大蔵省の立場を別に悪口を言うわけではありませんけれども、財政当局から申しますと、たとえば原子力関係の新しい動力炉をつくるための予算、これは十年間に二千億とこう言うと、そんなにたいへんな金を一体どうなるかわからないようなものにつぎ込む必要があるのかという議論から始めて、そうして長時間かけて議論をして、ようやく御理解を願って予算がつけられる。これはまあ財政当局から言うと、あれもこれもでたくさんの金が要るわけですから、また国民各層からいろいろな要望もあるわけですから、これだけというわけにはまいらないかもしれませんが、私はやはりそういうことにも取り組み方の姿勢が——私は率直に言って、政府の一員ですけれども、しかしそういうことも一つやはりあげられていいんじゃないかと思っております。同時に、やはり産業界も、国民も、先ほど申し上げましたように、一口で言えば、技術者なんかは片すみに置けばいいといったような考えでございますけれども、政治の上の、行政の上の、あるいは国民の間から盛り上がってくる力の迫力においても、やはり大きな一つの原因をなしていると思うのですよ。そういうことから申し上げまして、先ほど失礼なことを申し上げましたが、国会あたりの議論でも、英国あたりの選挙のスローガンを見ましても、第一に科学政策ですよ。それから科学担当大臣もおるし、それから科学技術者の養成を担当する国務大臣もおることは、ひいては衰退していく英国の経済を挽回しなければならぬためのようであります。そういうことから申しますと、政府の態度にも私は必ずしもいいことばかりではなかった、国民のほうにおきましてももう少し協力や理解が足りなかった、こういうこともあるのではないかと思っておりまして、それこそいま一口で申し上げますと、総力を結集しておくれを取り戻し、進んだものをさらに進めたい、こういう考えになると思っております。
  108. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは大蔵大臣のいるところでお話をしていただいたほうがいいんじゃないかというふうに思うのですけれども、四時半ごろに大蔵大臣来ますけれども、そこでいま言われたわけですが、ほかの国では、科学技術省という形で、科学技術大臣というか、多少内容は違うんじゃないかと思いますけれども、ほかはどういうふうになっているんでしょうか。社会主義国なんかは特別な国で力を入れますからね、ちょっと違うかもわかりませんけれども、そこはどうなってんでしょうね。
  109. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 私は、こまかいことは、事務当局も来ておりますから……。たとえばアメリカあたりは、大統領直属の科学技術顧問団というものを大きなスタッフを持って推進している。特にアメリカは進んでおるというのは、ソ連もそうでしょうが、軍事目的にこういうものを非常につぎ込んでおるということ。だから、軍関係の予算が、民間の研究団体とか研究施設ですね、あるいは大学とかいうのにつぎ込まれていく。だから、これは非常に私は進むんじゃないかと思っております。また、英国においては、先ほども申し上げましたような、担当の大臣がおる。そういうような機構がいろいろ日本とは違っておると思います。なお、詳しいことは、事務当局も来ておりますから、答弁させます。
  110. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 海外におきましては、先ほど大臣が言われました英国、それからアメリカは大体国務省にそういうものを置きまして、それから英国は技術大臣を置きまして、その下に科学アカデミーあるいは技術アカデミーという審議官式のものを置いて、そこで決定しながら持っていくという形をとっております。それからフランスにおきましては、研究総務庁というようなものを置きまして、フランスは全部総合計画でございまして、そして第五次計画という、フランス国内経済全部含めました計画の中に一章設けまして、その中に五次計画で科学技術関係の計画を織り込んで五年計画というものを出しまして、その大綱を法律にしておりまして、それを各省が守るようにという形をとっております。それからドイツにおきましては、いまだ州のほうの権限が強うございまして、教育関係につきましては比較的国がやっておりますが、いまだ科学技術関係のほうは州のほうが強うございます。しかし、現在の傾向といたしましては、やっぱり国としても国民所得の三・五%ぐらいには将来持っていきたい、そういうような関係から、各州と一緒になりまして盛り上げ体制を考えて、まずそれには基本計画をつくっていくべきじゃないかという国の動き方がございます。  おもに大体そういう関係で動いております。
  111. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 伊藤さんがおいでになったので、私の質問はあまりしないわけですけれども、いまのお話をお聞きしていまして感ずるのは、たとえばアメリカのように大統領の顧問というような形で科学技術団があると、いま大臣のお話の中にあった。それが非常に盛んだということは、アメリカの軍事目的と結びついて科学の発達というか、技術の発達が相当程度行なわれているというところに非常に発達してくる原因があるんじゃないかと、こう思うんですがね。原因が結果になり、結果が原因になるんでしょうけれども、どうもそういうふうに考えられるんですよね。そうすると、日本の科学技術が発達しないというのは、やっぱり日本の場合には、平和憲法というものがあって、そこで目的なり何なりというものがチェックされていると、こういうことが日本の科学技術の発展というものに、何か影響というか、関係を持っているんですかね。そこらはどうなんでしょうかね。
  112. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 私は、戦争目的のために科学技術とか科学の振興をやるからそれが進むんだというふうには、一がいには言えないと思います。ただ、国費、予算の関係から申しますと、膨大な予算を使っておる。したがって、また人材登用についても、民間で払う給料よりも何倍も高い給料を払っている。したがって、いい頭脳が集まってくる。世界各国からいい頭脳をアメリカなんか吸収してしまっている、そこで開発をしているということですから、一がいに私は軍事目的のために科学に力を入れているからアメリカは進んでいるんだと——日本はこれはもう平和利用に限られておる、たとえば原子力の開発にしましても、宇宙開発にしましても。ですから、これはある程度そういう、たとえば昔のように陸軍、海軍があって、そこが主力になってやるというのならば、まだ幾らかそれは進んだかもしれませんけれども、しかし、現在の日本は憲法下においては平和利用に限られる、原子力にしましても、宇宙開発にしましても。それですから、その平和利用の面については、やはりそれなりに、原子力にしましても原子力研究所をつくり、あるいは放射線関係におきましてもそういう研究所をつくり、大学においては平和利用目的のために基礎研究をやっている、こういうことですから、まあ軍事目的がないからおくれておるというわけにはいかないかとも思いますけれども、しかし、国の力の入れ方というものは、国費においても、あるいは研究者の登用においても、やはり相当差があるということは、これは事実じゃないかと思っております。
  113. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、大臣としては、科学技術庁というようなものでなくて、これは広い見地から考えても、当然科学技術者というようなものを、将来というか、近い将来というか、つくったほうが日本の科学技術の振興に役に立つのじゃないか、だからそういうものをつくる方向に進みたい、こういうふうなことにお伺いしてよろしいのでしょうか。
  114. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 私は率直に言って、いまそういう御議論に賛成なんです。ただ、いま科学技術庁というのがありまして、総理府の外庁としてそういうものがあって、そして担当の大臣を置いてやっている。これで十分でないとは私は申しません。申しませんが、非常に中に入ってみますと、これから開発しなきゃならないビッグ・サイエンス、大きなプロジェクトというものに取り組んでいかなきゃならぬ。そこで、現在も庁といったような形でいろいろな機構をつくってやっておりますが、やはり私は将来は科学技術省というようなものを設けて、そしてやはり官民一体となって総力を結集して科学技術のおくれを取り戻すような体制をつくる必要が将来必ず出てくるのじゃないか、またそうあるべきだと私は考えております。
  115. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先般長官からこの法案について提案理由説明を聞いておるわけですから、まず順序として、せっかく提案理由説明を承りましたから、この説明の内容について順を追うて二、三お伺いしたいと思います。  まずお伺いしたいのは、振興局及び研究調整局のいわゆる所掌事務を改正したいということでありますので、その点についてお伺いしますが、科学技術庁の直属機関である航空宇宙技術研究所に関する事務を今度は振興局から研究調整局の所掌に移すことになっておるようですが、従来の振興局の所掌のままでは不都合があるのか。もし不都合があるとすれば、理由はどの辺にあるのか、こういう点をまず順序としてお伺いいたします。
  116. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 官房長にお答えいたさせます。
  117. 小林貞雄

    政府委員(小林貞雄君) 御案内のように、研究調整局におきましては、現在宇宙開発の仕事、それから航空技術の問題等を所管しておるわけでございます。したがって、宇宙開発の問題が御案内のようにたいへん重要になってまいりましたので、従来振興局が所管しておりました航空宇宙技術研究所を調整局に移すというゆえんのものは、宇宙開発の行政をより強力に、一元的に推進してまいりたい、こういうことでございます。従来からも、振興局のほうと研究調整局のほうで緊密な連絡をとりまして、航空宇宙技術研究所の業務は宇宙開発の業務の中でそれぞれ果たすべき役割りを果たすように指導してまいっておったのでございますが、情勢の進展に即応いたしまして、研究調整局でこれを所管することによって、開発と研究と両方一体になって進める、そういう体制をとりたいというのが今回の改正の趣旨でございます。
  118. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 所掌事務の移転に伴って、実際に事務を担当するいわゆる研究調整局の航空宇宙課には増員が一体あるのかないのか。ないとすると現在の陣容で宇宙開発及び航空技術の一そうの能率的な推進を期待することは無理ではないかということが当然出てくるはずです。この点はどうなんですか。
  119. 小林貞雄

    政府委員(小林貞雄君) 御案内のように、なかなか人員の増加というものは非常にむずかしいのでございまして、さような意味で、御指摘のような問題もあるのでございますが、ただ私ども考え方といたしましては、宇宙開発は相当強力にやらなければいかぬ、こういう観点から、内部のやりくりとでもいいましょうか、いろいろわれわれのほうの中の局相互間の流用を考えたり、あるいは各省庁の人にも協力をしてもらう、こういうような形で宇宙開発の仕事を強化していく、かように考えております。
  120. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 研究調整局の所掌事務に関連して、五月一日から航空宇宙課に宇宙開発計画室を設置して、政府部内の宇宙開発の一元化を推進しようとしておるようでありますが、この計画室の構成とか人員あるいは具体的な方針についてまず説明をいただきたいということと、なおこの計画室には東大の宇宙航空研究所は参加しないとのことのようですが、それが一体どういうわけか、こういうことをあわせてお答えいただきたい。
  121. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) お答え申し上げます。  第一に、計画室の所掌の業務でございますが、先生のお知りおきのとおり、昨年の八月に宇宙開発審議会から答申を得まして、今後、昭和四十五年度を目標といたしまして、実用実験衛星を打ち上げるという使命を私どもはになっておるわけでございます。この際に、審議会の答申にお示しがございましたように、四十五年度の打ち上げの目標をお示しになり、これを具体的に実施いたしますための長期的な計画は今後役所において策定するようにというようなお示しがあるわけでございます。このお示しに従いまして計画を実施いたすわけでございますけれども、お知りおきのとおり、各省庁で現在、通信衛星、あるいは航空衛星、測地衛星その他いろいろな計画がございますけれども、これらの衛星と、これを打ち上げますロケットというものは、技術的に十分調整がとれておりませんと開発に支障を来たします。そのために、当然各省庁間の連絡調整をいたしますが、さらに私どものほうで特にロケットの部分を受け持つことが多くなると思いますけれども、そういう点におきまして、各省庁から技術者の出向を求めまして、これを計画室のスタッフに加えまして、いま申し上げた長期計画をいたしまして、今後に行ないますところの実用実験衛星計画の際にどのような実験項目を行なうか、あるいは搭載機器をどのようなものを用いるか、あるいは衛星を打ち上げるためにはどういうようなロケットが一番最適であるか、そういうようなことの十分な連絡をとりながら計画を進めていくということが目標でございます。  構成につきましては、室長を一名と、それから専門職の八名、計九名をもちまして構成をいたしております。先ほど申し上げましたように、関係省庁の協力を得ますために、その中には郵政省、海上保安庁、建設省、通産省、気象庁というような衛星の開発に直接関係のあります省庁から御出向を仰いでおります。  なお、後段の御質問の、東大の宇宙航空研究所のスタッフが入っておりませんけれども、一応、先ほど申し上げましたように、この計画自体は実用実験衛星のほうの計画でございまして、いわゆる東大側の御計画でございますところの科学衛星計画は、これは独自で東大ですでにある程度の骨子はおできになっております。ただし、当然、たとえば私のほうで予想いたしておりますロケットの一、二段目は、東大のミューロケットのさらに大型性能化をはかりましたものを使用いたす所存でございますので、ただいま、そういう意味におきまして、文部省側から併任者を求めるべく事務当局を通して折衝いたしておりますので、将来そのような形に相なると思います。
  122. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、金属材料技術研究所の所掌事務を今回改めたい、そういうことのようでありますが、この金属材料技術研究所の所掌事務に、従来から行なっている研究のほかに、「必要な試験を行なうとともに、委託に応じ研究及び試験を行なうこと」を加えているようでありますが、そうだとすれば、今度の改正によって、同研究所は金属材料等の品質改善に必要な試験を行なうことになるわけですが、従来はこれらの研究のみで、試験は行なわなかったのかどうかということですね、その点はどうなんです。
  123. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 金属材料技術研究所におきましては、従来は金属材料その他これに類する材料の品質の改善を行なう機関といたしまして種種研究をやっておったわけでございますが、その研究に関連いたしまして、研究材料の試験あるいは研究成果の確認の試験等、研究に必然的に付属する試験はやっておったわけでございます。ところが、そういうような試験を付属的にやっておりますうちに、関係省あるいは関係業界から、金属材料試験それ自体をひとつやってほしいという要望が非常に強くなってきたわけでございます。金属材料の試験につきましては、これは素材の信用にかかわる問題でございますので、業界等でやったのではなかなか世界の信用は得られない、やはり国のしっかりした試験所で国がやるということで信用が得られるという点が一つと、それから、これをやりますには、非常に長時間にわたりまして試験をやらなければなりませんので、なかなか民間の採算ベースには乗りにくいといったような事情がございまして、昨年あたりからそういうことを金属材料技術研究所として取り上げなければいかぬのじゃないかというような情勢になってまいりましたので、逐次必要な器材を充実しつつあるわけでありますが、大体本年度あたりからある程度本格的な試験が開始できるのじゃないかというような見通しになりましたので、この際、研究に随伴する試験とは別に、試験そのもののための試験も行なえるようにしたいということで、改正をお願いしているわけでございます。
  124. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、金属材料等の品質改善のために、あるいは試験、あるいは研究委託、こういう点を行なうために、同研究所内にたしか昭和四十年度から材料試験部を設置していると思うのですが、目下整備中ということのように聞いていますが、同試験部の人員とか予算あるいは試験等、クリープ試験機械、こういうことの具体的な面は一体どうなっているか。要は、その整備状況はどういう状態かということをお聞きしたい。
  125. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 金属材料技術研究所自体につきましては、昭和三十一年に設置されましたが、毎年拡充整備を行なってまいりまして、昭和四十二年度には、定員四百七十四名、予算が大体十一億七、八千万円という規模になっております。  ただいま御質問の材料試験関係につきましては、大体昭和四十一年度に試験庁舎ができ上がりまして、そのための特別の庁舎ができたわけでございます。それで、四十一年度じゆうには、材料試験部としましては、業務課及び試験課の二課、人員が二十五名、それからクリープ試験機が四百二十三台整備をしたわけであります。  四十二年度におきましては、組織を業務課及びクリープ第一試験室、クリープ第二試験室ということで、一課二試験室というふうに改組拡充いたしまして、定員も二十名ふえまして四十五名、クリープ試験機も三百八十七台設置いたしまして、累計八百十台の試験機が備わるわけでございます。予算総額は三億九千六百九十四万円ということで、相当整備されてきたわけでございますが、最終的には、もう一年ぐらいかけまして、昭和四十三年ぐらいには大体千台くらいの試験機を運転して試験をやるということになると思います。
  126. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前の提案理由説明によりますと、この金属材料等の強度に関する受託研究試験、これをやってもらいたいという要望が多いとのことでありますが、どのような業界からこのような委託試験研究は多くなるものと予想しておられるのか、現在はどういう方向が多いのか、どういう業界が多いのか、今後の見通しもあわせて御説明いただきたい。
  127. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 従来は、大体普通鋼あるいは特殊鋼というような鉄鋼業界が相当多うございまして、なおこれを原料として利用いたします重電機——発電機のような業界でございます。重電機あるいは化学工業用の機械を製造する業界ということで、簡単に申しますと鉄鋼機械業界というもの、かその重要なものでございます。これは、今後におきましても鉄鋼の素材としての重要性はますます増加するわけでございますし、また機械は、御承知のように、わが国の産業が非常に重化学工業が進んでおりますので、機械業界というものはますます大きくなっていく関係にございますので、特に重機械関係については委託試験が多くなっていくのではないかというふうに考えられます。
  128. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますのは、国公立とかあるいは民間で金属材料等のいわゆる研究機関としてどのようなものがあるのか。たとえば東北の東北大学ですね、あるいは金属材料研究所、これらは言うまでもないのですが、具体的にこういうような機関にどういうものがあるか、この際伺っておきたいと思います。
  129. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 金属材料研究所というような名前を冠しました専門の研究所といたしましては、ただいま御指摘がございました東北大学の金属材料研究所と当庁の金属材料技術研究所、この二つがいわば国立の研究機関で金属材料技術研究という名前を冠しておる機関でございます。そのほかには、国公立の試験研究機関はたくさんございますけれども、金属材料の研究自体を専門にやっておる研究所としては別にないのではないかと思います。ただ、金属材料技術の研究を関連的に行なっておる機関としましては、通産省の工業技術院の機械試験所であるとか、あるいは資源技術試験所であるとか、あるいは名古屋工業技術試験所、こういうようなところでは部門的にあるいは関連して一部金属材料の研究を行なっておるのでございますが、専門的にやっておるところはないと思います。  なお、民間の各企業、特に大きな製鉄会社、機械会社等はそれぞれ中央研究所を持っておりますが、これは非常に会社の営業なり実際の事業に密着した研究でございまして、基礎的な研究というと、やはり先ほど申し上げました当庁の研究所、東北大学の金研の二つが中心だと思います。
  130. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に問題を変えてお伺いをいたしますが、宇宙開発推進本部関係の分野で、まず人工衛星の追跡業務について、先般提案理由説明がございましたので、この点についてお伺いいたしますが、同本部の所掌事務を改正して、委託に応じ人工衛星の追跡業務を行なうこととし、そのため沖縄電波追跡所を設置するようにしておりますが、昨年八月の宇宙開発審議会の建議によりますと、「人工衛星の打ち上げ及びその利用に関する長期計画について」という建議があるわけです。これによりますと、人工衛星追跡業務については同本部が一元的に行なうこととし、施設として、軌道計算センターのほか、少なくとも三カ所の追跡所を必要としておるとのことでありますが、本部に新設される人工衛星追跡部は東京に一つですね。これは調布の本部内ですか、とにかく東京に一つ、沖縄に二カ所というふうになっておりますが、この電波追跡所を置くのみで追跡等の円滑な業務の遂行はできるものかどうか、危惧の念を持たざるを得ないわけです。この点を説明いただきたい。
  131. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) ただいま伊藤先生の御指摘のございましたように、昨年の宇宙開発審議会の建議におきましては、三カ所の追跡所を置くということに相なっております。技術的な点から申しまして、打ち上げ軌道に対しましてできるだけ観測の可能な場所を選ぶ必要があるわけでございますが、さらにこれに用いますところの測定方法の技術的な問題点から、この三カ所は少なくともそ、の間の距離が約五百キロぐらい離れておるということが必要なわけでございます。それで東京とそれからもう一つは沖縄、さらにできるだけ既設の施設を活用いたしまして、さらにマイクロ回線でデータを電送いたします関係もございますので、既設の施設の中では一カ所といたしましては打ち上げ地点であるところの内之浦を選びました。したがいまして、予算的な措置といたしましては、主局でございますところの東京とそれから従局の沖縄が計上してございますが、支局でありますところの内之浦の追跡所につきましては、東京大学のほうでは同様の内容によりまして四十二年度予算で一億六千一百万ほどの予算的措置がとられております。なお、すべてこれらの追跡所におきまして衛星からとりましたところのものは、回線によりまして科学技術庁の計算室に送られまして、そこで計算をされまして次の予想軌道を出すということでございますので、全体的に一元的な遂行が可能であると思っております。  以上であります。
  132. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 同じく宇宙開発審議会の建議によりますと、今度東大が打ち上げる予定をしているいわゆる科学衛星の追跡については、打ち上げ担当の東大宇宙研究所、それと追跡担当の本部との間に連絡組織を設けることとしておるわけですか、さて実際にその両者の間の協力関係は緊密にいっておるのかどうか。どうもあぶなっかしい点が推測されるわけですが、この点は一体具体的にはどういうことになっておるのか、この点をひとつ率直にお答えいただきたい。
  133. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 東大と科学技術庁の宇宙開発全体の問題といたしまして、一昨年来技術的な提携を種々密接にいたすように十分に組んでおりますが、特にこの衛星の追跡に関しましては、審議会の御建議のお示しのとおり、全部科学技術庁のほうで一元的にやるという態度は確定いたしております。すでに四十一年度におきましても、この電波追跡の予備的な実験を当庁の試験研究費で行ないまして、その際にも東大側の技術者の方と共同研究ということで十分な連絡をいたしております。今後の追跡につきましても、先ほど申し上げましたとおり、三カ所の追跡所のうち一カ所は打ち上げの施設でございますところの東京大学自体に設置されますけれども、それの中にその業務に従事せられます方々は、科学技術庁の追跡業務を行ないます君たちと十分な連絡協調をとりまして、しかもその追跡所で得られましたところのデータは、先ほど申し上げましたとおり、全部通信回線をもちまして科学技術庁の計界室に入ってくる。したがいまして、その計算あるいは次の軌道の予想等は、科学技術庁において全部一元的にやるということに相なっております。
  134. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 両者の協力関係が非常にスムーズにしかも協力的に行なわれておるということであれば何ら問題ないわけですが、両者の協力関係はどうですかと聞けば、それはちょっといままずい、今後よくなるでしょうとは言わぬで、非常に目下うまくいっている、そういう意味の御答弁は伺わぬでもわかっておるわけです。実際に問題ございませんか。確信持って円滑にしかも緊密に協力関係がとれておるかどうか、確信が持てるものかどうか、そういうものであればけっこうですが、ひとつ重ねてお伺いしておきたいと思います。
  135. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 四十二年度の予算につきましては、東大と私どものほうで、宇宙開発審議会の建議の基本的な精神に立ちまして、十分に調整をいたし、重複をなくなしておりますということが第一点。それから具体的には、たとえば私どものほうで考えております実用実験衛星の打ち上げ用のロケットにつきましての第一、第二段は東大のミューロケットの大型性能化するものを使うということに相なっておりますので、具体的には四十二年度には私どものほうでは予算的な措置はとつておりませんけれども、四十三年度以降は、東大のミューロケットの開発技術をそのまま受け継ぎましてさらに大型性能化していくわけでございます。具体的には、すでに宇宙開発推進本部の中に技術委員会というものを設けまして、ここに東京大学から五名の教授の先生に委員としてお加わりいただきまして、科学技術庁の行ないますところの宇宙開発の技術的な問題につきましては十分に東京大学と連携をとっておりますので、現時点におきましては両者の間に相克あるいは重複というようなものはないものと確信いたしております。
  136. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今年度から本部に設置される例の人工衛星追跡部については、人員は十六人で発足するようでありますが、東京、沖縄及び軌道計算機室、これらの人員の配分は一体どうなっておるのか、それと将来どのような増員計画があるのか、こういうことをあわせてお答えいただきたい。
  137. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) ただいま想定いたしておりますのは、本年度の観測関係は、本部の追跡部長一名のほか、計算機室に七名、それから第一——これは東京でございますが——及び第二沖縄の各観測所の四名ずつ、計十六名を考えております。将来、常時観測体制というようなものをとる必要があるようになりました場合におきましては、当然この人員の増員の必要があると思われます。
  138. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま指摘のありました沖縄電波追跡所の職員に対しては、総理府の南方連絡事務所に勤務する職員に準じて在勤手当の支給を行なうということでありますが、具体的に今度沖縄に勤務する四人の職員について、どの程度の在勤手当が支給されるのか、この際承っておきたいと思います。
  139. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) ただいま外務省を通じまして米国政府等と連絡をいたしておりまして、実現が可能と思われます沖縄の電波追跡所は、沖縄の恩納という大体中部にございますところの地区でございます。そこに在勤いたします先ほど申し上げました四名の職員につきましては、現地におきまするところの物価でございますとか、あるいは為替相場、生活水準というようなものを勘案いたしまして、政令でこの額を定めることに相なる予定でございます。したがいまして、現在考えておりますのは、たとえて申し上げますれば、所長にはこれは行(一)の四等級——まあ四号俸以下の者だろうと思いますけれど、月額にいたしまして七万四千百円、これはただし扶養親族を同伴しない場合には六万千八百円ということに相なるわけであります。一般の他の職員につきましては、行(一)の七等級四号以下を考えました場合には三万五千八百円、扶養親族を同伴いたさない場合におきましては二万九千八百円ということに相なっております。なお、昭和四十二年度の予算につきましては、このような想定のもとに総額四十六万八千円の予算を計上いたしております。
  140. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、これも提案理由説明にございました支所の設置についてですね、今度ロケットの発射実験場と並びに人工衛星打ち上げのためのいわゆる施設等を必要な個所に設けるために支所を置くことができる、そういうふうに説明しておりましたが、まず種子島を選定して昨年より整備にかかっておるようでありますが、しかし東大の内之浦ロケット発射場はあるわけですね。これをなぜしょうとしないのか、独自に発射場を設置するのは一体どういうわけなのかということと、特に種子島を選んだ理由、何か根拠があろうと思われます、そういうことについてあわせて御説明いただきたい。
  141. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 科学技術庁におきましては、昭和四十年度まではこれは防衛庁の射場を経済的理由から使っておったわけでございますけれども、当然実用衛星の打ち上げを想定いたします場合におきましては大きな射場が要るわけでございます。種子島と内之浦との関係がそこで生ずるわけでございますけれども、御承知のとおり、内之浦は現在六十七ヘクタール、あの山岳地帯を切り開きまして、それぞれのロケットの発射台地をつくっておるわけでございますけれども、山岳地帯であるという一つの物理的な限界からいたしまして、あれ以上の広い支所を得るということは物理的に不可能でございます。現在、東大のほうにおきましては、直径が一・四メートルのミューロケットを開発いたしておるわけでありますけれども、私どもが実用実験衛星を打ち上げますために必要なロケットは直径が二メートル三十もしくは二メートル五十というような大型性能化になることが予想がされます。その場合におきまして、ロケットの打ち上げに際しましては、いわゆる危険を防止いたしますために保安区域を十分にとる必要があるわけでございますが、調査によりますると、内之浦におきましては、現在東大は保安区域を一・七キロメートル程度おとりになることが物理的に精一ぱいのようでございます。そういたしますると、現在種子島におきましても二キロメートル程度をとっているわけでございますが、将来大型化いたしました場合に一・七キロメートル程度の保安区域におきましては十分の保安上の効果が期し得ない、これが一つ大きな理由でございます。なお、種子島を選びました理由につきましては、いろいろな技術的な問題、特に赤道にできるだけ近い南方であるということでありますとか、あるいは地形が平たんであるということ、あるいは航空路、船舶その他の交通につきましての被害を加えるということが少ないこと、その他交通事情、道路事情というような一般的なロケット射場といたしまして必要な要件を調査いたしました。特に東大におきまして、従来内之浦を開発されます前に、種子島等につきましてもかなり詳しい調査資料などがおありでございましたので、そのような点から判断いたしまして種子島に選定いたしました次第でございます。
  142. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この種子島については、昨年五月に宇宙センターとすることに決定して以来その整備に目下努力しておるということでありますが、現在の施設の整備状況並びに将来の計画についてもこの際承っておきたいと思います。
  143. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 四十一年度におきましては、ロケットの組み立て調整地でございますとか、あるいは実験施設等防爆作業場というような、最小限度ロケットの実験を行ないますために必要な施設を設備いたしました。これに要しましたところの費用は六千六百万程度でございます。本年度は、ロケットの径が六十センチメートルぐらいのものまでを打ち上げます実験を行なうのに必要な施設をいたします研究設備関係が一億三千万、営繕関係が九千七百万、さらに運営費といたしまして四百七十万円程度を予算化いたしております。なお、今後の計画につきましては、現在、先ほど申し上げました計画地におきまして人工衛星の打ち上げ開発用の開発のための長期計画を定めておりますので、その長期計画が決定いたしました暁におきましては、将来の構想が明らかになるものと心得ております。
  144. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その種子島のロケット打ち上げについては、本年三月の発射計画が結局宮崎漁民の強い反対にあって中止されておるわけです。したがって、この実用衛星計画はかなりの打撃を受けたと考えられるわけですが、このような結果となったのは、結局ロケット打ち上げについて事前に地元等——地元だけでなく地元等というのは、いわゆる宮崎漁民と、いわゆる漁業に重大な関係のあるそういう漁民等をも含めて十分事前の話し合いが尽くされていなかったと見る以外にないわけです。話し合いが十分できておったら、その計画は途中で中止せざるを得ないというようなことはあり得ないと思うんです。この点は率直に言ってきわめて遺憾だと思うんですが、この点はどうなんです。いま今後の見通しについてはどういうふうになっておるかということと、一時この計画が中止されたわけですが、実用衛星開発計画にそういうことでは重大な影響があるのではなかろうかと当然に予測されるわけです。この点についてはっきりしたお答えをいただきたい。
  145. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) いま伊藤先生からお話がありましたとおり、今年の三月に打ち上げ予定の計画が中止のやむなきに至ったわけでありますが、これはやはり地元の人たちの協力を得ることができなかった、中でもこの宮崎県の漁民の方々の理解、協力を得られなかったということにあるわけでありまして、私は、こういう計画をやはり進めるためには、一方においては国策に協力してもらうという理解を求めていかなければなりませんが、また国策という名のもとに地元の人の利害とかあるいは協力を無視してやっていいものではないと思っております。まあ中止に至ったその経過につきましては、宮崎県漁民との事前の話し合い、了解がつけられずに進められておったのではないかということでございますが、まあ率直に申しまして、そういう遺憾な点もあったと申さなければなりません。私は就任以来、鹿児島県の漁民あるいは県当局、あるいは宮崎県の漁民の方あるいは宮崎県の県当局の方々と、いろいろ、事務当局に出かけたり、あるいは東京に上京された機会にお会いしたりいたしまして、まあ打ち上げの計画に対する協力方を要請してまいりましたし、また私自身も、三月でありましたか、宮崎県に出向きまして、そうして漁連の代表の方十人ばかりと、なおほかに一般関係漁民二百数十人の方とも親しく懇談をしてまいりました。その際率直に受けた印象は、いま申されますとおりに、事前に打ち合わせがなかった、宮崎県漁民を無視して何でもやっていいのか、宮崎県漁民については、実験に打ち上げるロケットが落下する地域、海洋の地域が漁民にとっては大事な漁場である、そこに漁労することができない日数が相当ある、百日程度は年間操業ができないというようなことになっておる、このことは宮崎県漁民にとってはたいへんな問題なんだ、極端に言うならば生活権に関係する問題だ、そういう重要なところに落下するというような打ち上げをやることは何としても認めがたい、国の政策はどうあろうとも、これはもうわれわれは絶対に反対だ、したがって話し合いにも入らない、こういうことでございました。私も約三時間半にわたって御懇談申し上げてきたわけでございますが、そのときには了解に至らなかった。一方、鹿児島県のほうは、いろいろ地元でも——基地が地元鹿児島にあるわけでございますから、漁民の方々も最初はいろいろ反対がありましたが、話し合いをしているうちに県当局あるいは漁連の方々のあっせん等によりまして了解ができて、そうして、この打ち上げを認めるかわりに、漁業振興に対する政府の施策あるいは漁民の要望というものが約九カ条にわたって出されました。これを詳細に検討いたしまして、また県とも連絡いたしまして、具体的な進め方について水産庁当局とも打ち合わせをいたしまして、そうして回答をいたしたわけであります。その中には、具体的に本年度予算にも追加して、水産庁に予算の追加計上をしてもらったこともあります。そういうこと等で、一応私と漁連の会長との間に覚え書きを交換いたしまして、協力しようということになったわけでございますが、遺憾ながら、先ほど来申し上げますとおり、宮崎県の漁民の方々が非常に強い反対をしておられます。引き続き私はこの協力を求めるために鋭意努力を続けてまいっております。  一方、政府全体として、国の大きな施策を進めてまいるわけでございますから、漁民の立場、漁民の利益というものを守っていかなければならない、また漁業の振興等も行なっていかなければなりませんから、これらの施策を進めるために政府全体が責任を持つという体制をつくらなければならぬと考えまして、政府部内におきまして関係各省の連絡会というものをつくりまして、そして政府全体の責任において、今後宇宙開発の施策を進めるに関連する漁業振興の対策、あるいは実害が出るならばその実害に対する補償費用、協力費用と申しますか、協力することについて政府全体が責任を持とうということで、一つの窓口をつくって、そして今回まで何回となく関係各省寄りまして、そしてぜひこの対策を検討したいというわけでございます。なおまた、漁民の立場を考えますときに、漁業振興に関する施策はもとより、諸般の施策を進めていくことは同様大切でございますが、同時にまた、文部省が打ち上げております、内之浦から打ち上げます試験、あるいは一部は私の科学技術庁が今後開発をして研究をしていかなければならぬ、そのために打ち上げる機数、この機数も、私はできるだけ制限すると申しますか、研究開発に非常な支障を来たさない限りにおいて制限もしていく、また打ち上げる日数もできるだけ漁閑期を選びたい、そして、まあ百日か百二、三十日ということは想定されておりますが、できるだけ期間も短くしていきたい。そういうもろもろのことをば打ち合わせをしたしまして、つい最近関係各省間の打ち合わせを一応終わったわけでございます。しかし、これにしても、私の自民党の中にも関係の部会をつくっていただいておりますから、それらの関係議員の方々の了解もつけなければなりませんし、これを地元に示すにいたしましても、地元のやはり了解を得なければ、この計画をそのままもって進めるというわけにもまいりません。そういうことで、政府も党も一体となりましてこの大事な計画を進めなければならないが、進めるためには地元の協力を得なければならない、その協力をいかにして得るかということについては、具体的にいろんな施策を考えて検討をいたしておるという階段でございますが、私は、こうした宇宙開発が世界の先進諸国において進められ、しかも衛星が実用化の段階に入っておりますので、日本もこれだけの技術を持っておる国でありますから、この世界のロケットの開発におくれを来たしたのでは、大きな国民の立場から申しまして損になる、こういう観点に立っておりますから、政府といたしましては、長期の計画——四十二年度には科学衛星を打ち上げる、四十五年度までには実用実験衛星を打ち上げる、こういう国の計画を一応明確にいたしまして、同時にいま申し上げるような地元の漁民の方々の協力を得るという体制を政府全体の責任において取りまとめていこう、こういうことで、両面相まって、地元の方々とも県の当局を通じあるいは漁連の責任者を通じまして折衝を今後重ねてまいりたい、そうして理解を得て、ぜひともことし、もうすでに打ち上げる予定ができなかったわけでございますから、このことも考えますと、相当詳細なこまかい実験を重ねて研究開発を進めていかなければ、四十五年度には実用実験衛星を打ち上げるということが必ずしも可能ではないという事態も優慮されますので、誠心誠意ひとつ地元の漁民の方々の理解を求めつつ、この衛星計画がおくれをとらないようにいたしたいと思って、鋭意私は誠心誠意この方面の努力を重ねておるような現状でございます。
  146. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この経緯についてはよくわかりましたが、問題は、種子島はいろいろ条件がいいので種子島に決定したと先ほど御説明をいただきましたが、そのときにはもちろん種子島も含めて鹿児島県との了解はついた、その際に宮崎県の漁民がその周辺で一緒に漁業上重大な利害関係を持っておるということはもちろんおわかりであったと思うのですが、その際重大な関心のある宮崎漁民との間の了解がその時点ではなかったのではなかろうかと思います。それがあといよいよ実験となると、こういう問題が起きる。その際、当然その危険は、ロケット発射ということになれば宮崎漁民に重大な関係がある、関係があるということは重大な利害関係があるということでありますから、宮崎漁民にも十分納得のいく工作が必要ではなかったか、その点話し合いで不十分の点があったのではなかろうか、その点はどうなんですか。
  147. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 伊藤先生御指摘のとおりということに相なると思いますが、もちろん私どもといたしましては、農林省の農林水産統計、あるいは県におきますところの統計、そういうものにつきまして必要の調査並びに水産庁等の意向というようなものは確かめておりますが、六月の六日に大体庁議で決定いたしまして、そのあとで宮崎県のほうの漁連の方々につきまして私どものほうで建設計画をお知らせを申し上げて御了解を得るというような逆の段階になっております。その後の交渉につきましては誠心誠意やっておりますけれども、最初のきっかけと申しますか、交渉の開始時点におきますところの情勢は、先生の御指摘のとおりであろうと思っております。
  148. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、この問題については、先ほど大臣からもるる御説明があったわけで、その点については了解するわけですが、結局問題は、この決定の時点で種子島周辺に利害関係を持つ沖縄漁民との話し合いが不十分であったということをいま反省しておるわけですから、今後はひとつ宮崎の漁民についても十分——先ほどの御説明では話し合いをしてきたということですが、そういうことを重ねて今後ひんぱんに十分重ねて、いやしくも宮崎の漁民の利益を抑圧することのないよう、その点は心得ておると思いますが、十分話し合いの機会を持って、納得のいく上で早期解決を期する、そういう方向でなお懸命に努力を続けられるよう強く要望申し上げておきたいと思います。  なお、この種子島の人については、職員四名で発足するとのことでありますが、わずか四人の管理要員で十分なのか、その業務の遂行に支障はないものかどうか、この点を詳細承っておきたいと思います。
  149. 高橋正春

    政府委員(高橋正春君) 御指摘のとおり、室長以下四名、うち二名は守衛でございます。現時点におきましては、私どものロケット実験は、たとえば年間に四週間といたしますると、その四周間の期間、その前に約半月くらい準備と申しまするか、そのために期間が要るわけでございますけれども、そうなりますと六週間程度は具体的に年間におきましてその射場を利用いたします。その場合につきましては、もちろん打ち上げに要しますところの各種の陣容というものは、東京から——本部から参ります。したがいまして、その間におきますところの管理運営はすべて円滑に行なわれると思いますので、四名の人々はいわゆる実験を行なっておりません期間につきまして管理保守と申しますか、そういうような業務に携わるわけでございますので、現在の四名をもちまして最小限の妥当なはずだというふうに心得ております。
  150. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、定員の増について二、三お伺いいたしますが、科学技術庁職員の定員は、九十八人増員が出ており、二千三人に改めようとしておるわけですが、そのことについてお伺いいたします。科学技術庁の職員法律定員は九十八人ということはよくわかりますが、法律案に出てこない凍結欠員の補充業務は一体どうなっておるのか。これは三十九年の閣議決定以来欠員不補充の原則はいまでも生きておると思うのですが、この凍結欠員の補充状況は一体どうなっておるのか。それをあわせ考えないと、ただ法律定員だけでは実態がつかめないわけですね。そこで、この際承っておきたいと思います。
  151. 小林貞雄

    政府委員(小林貞雄君) 凍結欠員の減の分を解除いたしましてわれわれのほうにふやしてもらいます人間は、内部部局のほうで一名、それから研究所のほうで七名、合計八名が凍結解除、こういう数字になるわけでございます。したがって、定員増をお願いしております九十八名を足していただきました百六名という数字が、われわれのほうとしまして実質的にふえた人間、こういうふうに御了承願います。
  152. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 科学技術庁の研究所関係で、定員増と欠員の凍結の補充、こういうことで百三人の増員を行なっておるようでありますけれども、これは従来どうも補充が困難だと言われておった研究員の補充状況は一体現在どうなのか、このこともこの際承っておきたいと思うのです。
  153. 小林貞雄

    政府委員(小林貞雄君) この定員のふえました大部分は、いわゆる研究所の研究者が中心でございます。実数的に考えてみますと、こういう研究者をふやしますことは、なかなか現在の情勢からいいますと、民間のほうが待遇がいいというような関係がございまして、採りにくい面も情勢によってはございます。つまり、民間の景気が非常によくて、民間が大ぜい人を採るようなときには、当方は採りにくい。逆に少し不況になったようなときには、当庁としては採用しやすい、こんなような状況でございます。しかし、最近の情勢は、非常に優秀な人間が出てきておりまして、本年度についての採用状況を申し上げますと、四月一日の採用が上級職で三十名——これは先ほど申し上げました、研究者中心でございます。それから中級、初級の者が十一名、合計四十一名を四月一日に採用しておる、こういうことに相なります。ただし、定員等の関係がございまして、いきなり当庁の正規の職員として採れない人数もこの中にはあるわけでございますけれども、当庁の採りたい職員として考えてまいりました者は四十一名で、優秀な人間が集まっておる、かように考えております。
  154. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨年の科学技術庁設置法改正によって設置された無機材質研究所、これについて見ますると、これは研究所の中でも最も多数の三十二名を増員しておるわけですが、この研究所設置後一年を経ておるわけですね。そこで、この定員とか設備等の整備状況は一体どうなっておるか、計画どおり進んでおるのかどうか、こういう点。それと、研究所は一、二年後にはいわゆる例の筑波研究学園都市に本庁舎が建設される予定だと聞いておったわけですが、その後この計画はどのように進んでおるのか、この点をあわせて御説明いただきたい。
  155. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) 無機材質研究所は、御指摘のように、昨年新設された研究所でございまして、昨年度の予算では、定員二十一名、予算額が六千六百万円で発足したわけでございます。研究内容としましては、この研究所は研究グループ別に研究を進めるということで、計画といたしましては、十五グループをつくりまして研究を進める。十五グループの研究につきましては、規模は大体四百人くらいの規模のグループになる予定でございます。ところが、初年度は一応その研究グループは一つということで、あといろいろな付属のあれがございまして、定員二十一名ということで発足したわけでございます。本年度は第二年度になるわけでございまして、先ほど御指摘のように、比較的多数の三十二名という増員を得たわけでございますが、これはその研究内容から見ますと、研究グループが三つ追加されたわけでございまして、四十一年度の分を合わせますと四グループの研究をいまやれるという予定でございます。四十二年度の予算は、定員を三十二名ふやしまして五十三名の定員で、予算額が一億六千七百万円くらいの予算になります。そういたしますと、結局十五グループ四百人という目標に対しまして、ただいまは四グループ五十名ということで、まだ相当先があるわけでございまして、私どもの当初の計画どおりには少しおくれているのじゃないかというふうに考えます。まあなるべく早く完成に持っていきたいと考えております。  なお、筑波の研究学園都市への移転の問題につきましては、学園都市の移転が可能な状況になりさえすれば、まっ先にこの無機材質研究所をここに移転をしようということで、四十二年度におきましてもいろいろ連絡をいたしておったわけでございますが、四十二年度におきましてはまだ移転の現地の状況が整いませんために、現在駒込の理科学研究所がございますところの隣と申しますか、中に仮住まいをしておるわけでございまして、四十三年度に学園都市筑波のほうの受け入れ態勢が整いますならば、三年度の予算では筑波に新設をするというような予算要求を出したい、かように考えております。
  156. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、学園都市に本庁舎を建設するというこの計画は、当初予定よりは計画どおりにいかないで多少おくれる、そういう見通しなんですか。
  157. 梅澤邦臣

    政府委員(梅澤邦臣君) 学園都市の進行状況について申し上げます。三十九年に閣議決定いたしまして、その後二十億円の土地の買い上げに予算がついたのでございますが、なかなかその予算の値段の問題その他がございまして、今年度中に八十九億円の予算がつきまして、やっと今年度中には土地が全部買い上げられるという状態になります。それで、買い上げましてから、今度は区画整理ということがございますから、そういう関係からいささかおくれております。しかし、無機材研のように、いますでに建物のないところは、そういう排水設備あるいは道路の関係がある程度少し進んでいなくても早く向こうに行ったほうがいいんじゃないかという御意見もございまして、来年からできるだけ早くそれを進めていきたい、なお大体三十九ほどの各研究所が向こうに参りますが、その研究所については本年中に移転計画をはっきりさせまして、来年には移転にそれぞれ着手するという計画を立てております。
  158. 小林貞雄

    政府委員(小林貞雄君) 先ほどちょっと私が申し上げました数字で一名落ちておりましたので訂正さしていただきます。地方支分部局の凍結解除について一名分申し落としておりましたが、その分を申し上げます。
  159. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは大蔵大臣もお見えになりましたし、あと一間だけお伺いして私のほうも区切りがいいのでこの法案に対する質問は、本日のところ打ち切っておきたいと思いますが、最後に、科学技術庁にお伺いしたいのは、V・STOL機の開発の問題で、これは四十年九月航空技術審議会の答申においても指摘されておると思うのでありますが、今度航空宇宙技術研究所に新設されるいわゆるV・STOL機のこの部は定員何名で発足し、そして研究室はどの程度あるのか。V・STOL機の開発については四十年度に角田支所を設けるなど、いろいろ鋭意努力中のように聞いておるわけですが、現在までのV・STOL機開発のいわゆる進捗状況とか、今後の見通しについても御説明をいただきたい。さらに民間の三菱重工においても国庫補助を受けて開発中であり、試作まであと一息だというふうに聞いておるわけですが、これらとの関係についてもこの際あわせて御説明いただきたい。
  160. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) V・STOL機に関する研究につきましては、昭和四十二年度に航空宇宙技術研究所の中に新型航空機部という部を設置いたしまして、これは定員十六名、第一、第二、第三という三つの研究室で発足するわけでございます。これに関する予算は大体三億八千三百万円くらいの予算を見込んでおります。このV・STOL機の開発の状況につきましては、まずSTOL機、これは短距離離着陸機でございますが、ST ○L機につきましては、ただいま単発の実験機を購入いたしまして、この実験機にいかに短距離離着陸する特性を持たせるかというような研究を進めておりまして、あるいは主翼を改善するとか、あるいは操縦性をどういうふうによくするかというような研究を進めておるわけでございます。また、V・STOL機、これは垂直離着陸機でございますが、これはジェット・エンジンの開発が中心でございまして、非常に軽量で推力の大きなエンジンの開発をすることが一番重要な問題でございまして、そのエンジンの開発がいま進んでおるわけでございます。もう一つはエンジンの開発とあわせて高度制御あるいは操縦性の問題が非常に重要でございますので、先ほどお話がございました角田の支所におきましてフライング、テスト・ベッドという大きな設備をつくりまして、そこでエンジンの状況、それからエンジンの制御、高度制御、こういう研究を進めております。  なお、民間との関係でございますが、御承知のように、航空宇宙技術研究所におきましては、民間ではっくりにくいような大きな風洞を四個備えているわけでありまして、こういう風洞を利用するような研究につきましては、民間会社からの委託研究あるいは協同研究ということで協力をいたしております。したがいまして、そういう面につきまして三菱重工とも協力はいたしておりますが、具体的な三菱自体の航空機の開発そのものにつきましては、これは会社の機密にも関係いたしますし、基本的な設備の利用等については協力いたしておりますが、具体的な問題につきましては、これは主として会社でまかなっているという状況でございます。
  161. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまの三菱重工の試作はあと一息だと聞いておりますが、その点どうですか、そこまで進んでおりますか。
  162. 谷敷寛

    政府委員谷敷寛君) その点につきましては、はなはだ遺憾でございますが、あまり詳しい状況は聞いておりません。
  163. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 こんなに緊密な連携をとる必要があるとすれば、三菱重工と関係の深いところ、V・STOL機についての関係が、とにかくその程度のことは科学技術庁が把握していないということはあまり熱心でないということが言えるかと思います。やはりその程度のことは勉強しておかなければならないと思います。大蔵大臣が見えましたので、あとは後日に譲ります。
  164. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは議事の都合により、本案の審査を一時中断いたします。     —————————————
  165. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 再び国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、本案質疑を続行いたします。御質疑のある方は、順次御発言願います。
  166. 北村暢

    ○北村暢君 私が先ほど要求いたしました資料がいま届きましたので、これを検討するひまがちょっとないようですが、この資料をちょっと見ましても、外務公務員移転料不足割合というのが各地域について調査されておるようでありますが、これもどういう要領で外務省在外公館調査を依頼したのかつまびらかでございません。したがって、調査の要領によっても変わってくるのでありましょうし、しかし、これだけ見ましてもはっきりいたしませんが、きょうはその詳しいことを質問することは省略いたします。  ただ私はここで一つだけお伺いしておきたいことは、公務員等の旅費の規定が大蔵省所管になっておるわけなんですけれども、どうもその他の給与と非常に似かよったものであるわけであります。ただ旅費は実費支給という行政運営に必要な事業費であるので、そういう点においては違うのでありますが、しかし、旅費に対する公務員の不満なり要望というものは非常にこれは広範にあるわけであります。したがって、給与そのものではないのでありますけれども、従来大蔵省所管でやってきておるのでありますが、内閣に人事局ができ、しかも事務分掌というようなものについても変わってきておるので、将来とも旅費俸給というものは大蔵省所管であったほうがいいのかどうなのかということに若干疑問を持っておるわけです。そういう点について、率直にそういうことが検討されたことがあるのかどうなのか、私は疑問だと思いますので、これは検討する価値があるのじゃないかと思いますが、大臣の所見を伺っておきたい。
  167. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 御質問でございますが、これ、人事局と大蔵省給与課とどういうふうに仕事を分けたらいいかという問題があると思いますが、旅費関係は要するに、経済的な、各国の生計費がどうなっているとか、ホテル代がどうなっているとか、そういう計数を調べ、もう一つは、外務省を使って、外務省にお願いして、そして実態がどうなっているかという計数を調べて、そしてその計数に基づいて、必要があれば法律改正するというだけのことでございますので、引き続き大蔵省の主計局の給与課が担当して差しつかえないだろう、そう思っております。
  168. 北村暢

    ○北村暢君 大蔵省のエリート意識で、そういうふうに思うのは自由でしょうけれども、私はこれは外国旅費だけでない、内国旅費についても事業の運営上各省庁でだいぶんこれは紛争もあり、問題も大いにある問題なんです。ですから、まあ給与関係でないから、紛争事項でないとかなんとかいうことでいままで処理されてきているけれども、これはやはり強制的に棄権されているものもありますし、いろいろなわけですよ。ですから予算とも関係あるのですが、いまの答弁では私は満足いたしませんので、今後まあこの問題は行政機構そのものの問題でもありますから、これはいまの答弁で満足はいたしませんけれども、聞いてだけおきます。  それから一つ、支給区分改正についてでありますが、先ほど多田委員からも質問があったのでございますが、この支給区分を今度「国務大臣等」ということで、従来「国務大臣及び特命全権大使」ということになっておったところに対して、最高裁の判事、検事総長、会計検査院の院長、人事院総裁等が入ることになった、改正されたようでございますが、これは人事局長にお伺いいたしますが、特別職の給与関係ですね、これは一体裁判所のほうは人事局長の権限でないようでございますが、こういうものとの比較でどのように、この特別職の給与と、給与行政を行なっている面と、この旅費法改正との問題について、バランスがとれているかどうかということについて、検討されたことがあるかどうか、これをまずお伺いしておきたいと思います。
  169. 増子正宏

    政府委員(増子正宏君) いまお尋ねの件につきましては、私、検討をしておるというふうには申し上げかねるわけでございます。端的に申し上げまして、旅費関係につきまして、人事局としていろいろ検討したということはございません。
  170. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ、大蔵省はこの旅費の支給区分改正するにあたって、独自でやられたのか、それとも人事局等と協議されてやられているのか、この点ひとつお伺いをしたいと思います。
  171. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) この旅費関係、原則で申しますと給与のほうはきまっておりまして、その秩序を与えられたものというので検討いたしました。  そこで、その次にどういうバランスが適当かという問題でございますが、先ほどもちょっと御説明申しましたが、従前、この前の改正までは、「内閣総理大臣等」というところが二つに分れておりました。ところが、その後外交機能ということに着目いたしまして、特命全権大使と国務大臣という中二階をつくりました。そこで、それはそれでこの中二階というものは、表示としては外交機能に着目した特別な分類である、そういうふうに考えております。ところが、また別な角度から申しますと、三権分立というたてまえから、ここでごらんになりますように、内閣総理大臣と最高裁判所の長官というものは同じグループに入っております。ところが、その次に、国務大臣は入っておりますけれども、最高裁判所の判事は「その他の者」のグループに入っている、ここがおかしいという議論がございまして、それでいろいろ検討いたしました結果、最高裁の判事はここへ入れたほうがよかろう、いろいろな点で同じように扱われております。検事総長もそこに入れたほうがいいだろう。それから、多少ほかの行政機関とは違った性質を持っている会計検査院長と人事院総裁、その認証官のうちそういうものをしぼりまして、それはこのところに入れたほうがよかろう、そういう判断でこの案をつくったわけでございます。
  172. 北村暢

    ○北村暢君 大体そういう比較とか何とかというのは、それは給与とかあなたの自主的判断でしょうけれどもね、これは。やはり特別職におけるそういうものの比較、バランスといもようなものについては、やはりもっと、大蔵省の主計局とか給与課長あたりがこれとこれとが適当だろうなんという判断でやるということも、そもそも私はおかしいのじゃないかと思うのですよ。ですからね、この旅費法のそういう判断にしても、これはやはりそういう比較をする場合にはそれ相応のところに協議をして、その結論に基づいてやるというのが私はいいのだろうと思うのです。ただ大蔵省の判断でやられるというところに大蔵省のエリート意識が、おれのやっているのは何も間違いないのだという、そういうのはどうかと思うのですよね。だから私は、こういう大臣とか最高裁の判事とかいうものの比較をする場合に、もう少し見識ある態度でやってもらわないというと、うまくないのじゃないかと思うのですよね。かりに同じ結論が出るにしても、主計局の一存でもってこういう改正をやるということについて、私はどうかと思う。
  173. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 先ほど説明が足りませんで申しわけありませんが、実はこういうものをつくりますについては、裁判所も含めましていろいろ意見を聞きまして、それでその結果が、こういうところが妥当であろうという、裁判所、それから各省のそういうところの御意見を聞きまして、こういうところに落ちついたわけでございます。
  174. 北村暢

    ○北村暢君 そこでお伺いいたしますが、ここの国務大臣と特命全権大使ですね、特命全権大使というのは特別職ですね、そうしてこれは特別職の給与に関する法律でもって特命全権大使の俸給表というものがきめられておりますな。それを見ますというと、これ、特命全権大使というのは、いわゆる大使ということでいっておりますが、給与からいきますと、これは一等級から何等級かまでありますが、だいぶ差がありますね、これ。五号俸ですか、五号俸がこれは改正になっておるのかもしれませんけれども、私の持っておる給与六法では二十五万円、それから一号俸が十六万円ですね。これは特命全権大使というのは全部含んでいるわけでしょう。そうすると、大体この大臣と同じクラスというのは、給与においても、先ほどそれで私は給与との均衡がとれているかということを聞いたのはそこなんです。特命全権大使は十六万円で、大臣と同じ旅費クラスになっているわけです。そして、「その他の者」というところにはどうなるのかわかりませんが、これは公使は一体どこに入るのか、公使は。そしてまた「その他の者」という者と、それから一号俸の十六万円の大使と、「その他の者」との給与ではあまりにも差があり過ぎる。それで、その給与とのバランスをどう考えるかということを私は質問したいのです。ということは、一般職の公務員の場合は、等級別にこまかく分かれて俸給においたようにあれができていますでしょう。だから、特命全権大使はどんな小さな国であろうと日本の国民というものを代表するという意味において特にしたのだという理屈になっておるのじゃないかとは思うのですが、それにしても給与とのバランスは全然とれていないですよ。そういう点は、私はどうもその説明がどういうふうに説明されるのかわからないけれども、そこら辺のところが非常に疑問に思う。で、公使も特別職ですね、その特別職の公使というのは、一体特命全権大使ですか、この公使というのは、一体どこに入るのか、どこを見ても該当するようなところがないようですがね。どういうふうになっておるのか。ちょっと説明してください。
  175. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これは従来からそうでございますが、特命全権大使というのだけが上に入っておりまして、公使は「その他の者」に入っております。したがいまして、先ほどお話がございましたように、給与から見ますと、高い公使でも「その他の者」に入ります。  それから特命全権大使であれば、給与は低くとも二番目のグループに入っております。でございますから、お話のように、給与とのバランスということでございますと、その点はおっしゃるとおりでございます。ただ、そこの考え方でございますが、これは主として外務省の判断でございまして、私どもはそれを尊重するわけですが、やはり大使と公使と給与が上下ということで区別するのがいいのか、大使と公使ということで区別するのがいいのかということにつきましては、外務省がやはり特命全権大使というのは、特別に待遇されて、給与はかりに低くとも特命全権大使は同じようにして扱ってほしい。おそらく国際的な慣例でも、たとえば御承知かと思いますが、外交官がいろいろ並ぶときに、特命全権大使はずっと、新任でもずらっと先に並びまして、それが終わってからまた古参でも公使が並ぶというようなこともございますので、そういうこともあって、外務省考えではこういう分類が適当だと、そう考えているようでございますので、私どもはそれをそのまま踏襲していると、そういうことでございます。
  176. 北村暢

    ○北村暢君 まあ外務省の意見をいれてそうなっているというようなことですが、それにしても公使がそれじゃ全部入っていましょう、「その他」に。このバランスはどうなりますか、「その他」というところの給与と特別職の給与はだいぶこまかく分かれておりますね。それがこれには一本化されて「その他」ということになっている。
  177. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) これは御承知のように、「内閣総理大臣等」のところを内国旅費で申しますと二つになっております。ただ、この前の改正のときに、特に日本の代表と外交的機能ということを考えまして、中二階をつくりました。こちらは三本になっております。そこでその三本の間にどこを入れるかということでございますが、先生おっしゃられたように、これが国内のあれですと大体給与に合わせて旅費のほうも区分ができる、それはおっしゃるとおりであります。ただそういうよそに出ましたときに、日本の国の代表という形で、特に外交機能に注目するということでこれが設けられたわけでございますが、そのときにどういうふうに線を引くのがいいかということで、外務省のほうは大使とそうでない公使と二線を引くのが適当だと、もう一つの線の引き方は、先生おっしゃられたように、給与のところで線を引くと、内国旅費の場合はそういうようになると思います。外国旅費の場合は、大使と公使とそこに線を引くのが適当であろうと、私どもはそれを尊重いたしまして、ここのところは国内旅費外国旅費と違っているところでございますが、こういう分類にいたしております。
  178. 北村暢

    ○北村暢君 まあそういう理屈はあるでしょうけれども、「その他の者」の給与からいけば、内閣法制局長官以下二十五万ですわね。この方とそれから十六万の公使と一緒ということになるのですね。それから大使に至っては十六万の大使がこれはまあ特別だというので国務大臣と同じ、まあ大使の場合は、私も国を代表するという意味であれでしょうけれどもね、公使というのはそういう意味はないわけですわね。そういう意味はないのに、なおわかつ二十五万の者と、各種委員でも十九万ですよね、最低がね。それが公使だけは十六万で「その他の者」に入る。これは私はいいんですよ。なるべく高いところに持っていってもらうというのはね。何も反対はしていない。反対はしていないけれども給与とのバランスを考えると、下のほうはもうごくこまかく等級ごとに分けているでしょう。上のほうにいくというと大ざっぱになつちゃって、この特別職の問題についてもいろいろ一般職の次官クラスのところの特別職の問題も出ている、意見としては。これは検討しようということで意見相当出ているところなんですがね。いわゆる指定職だの何だのという形で適当にやるのですよ、よくなるように。ところが、同じ外国旅費でもこれは相当段階設けてやっているわけですね。ですからそういう面でバランスが私はとれてないのじゃないかと思う。したがって、これは外務省の意見、あるいは協議したというけれども、私はやはり総体的に人事局なり何なりと協議をしてこの調整をしてバランスのとれた旅費であるということが望ましいと思う。そういう点でなるべく高いところへ持っていくことは賛成だけれども、あまりバランスのとれないやり方では私はまずいんじゃないかと思う。したがって、この旅費にもやはり御都合主義でなしに、やはりこの理屈というか筋を通して私はやってもらいたいと思うんだね。下のほうだけは筋を通してこまかくなるべく安くなるようにやっておってだね、上のほうはあんた大ざっぱになるべく多くなるようにというんじゃ、これは私は取り扱い上不公平だと思う。そういう点でひとつこれは十分納得いくような関係給与なり何なりのところと打ち合わせをされて、納得いくようなやはり検討をしていただきたいと思いますがね、今後。まあきょうのところこれ修正するわけにもいかぬからあれですが、そういう意味大蔵省の独善にならないように、ひとつ十分連絡をとってもらいたい。私はこれをちょっと見ただけでだいぶん疑問に思う点が相当ありますから、その疑問の点がなるほどこれで理屈が通っておるんだというふうに私どもが納得いくような解明ができれば、私ども納得しますけれども、どうもいまの説明だけでは納得いきませんわ。ですから、まあ今後この改正法、出てくるんでしょうから、改正の問題ももちろん出てくるんでしょうから、そういう意味ではひとつせめて人事局くらいには協議しないと、人事局ではまだ検討しておりません、知りませんでしょう、これじゃ何のためにこの総理府に人事局ができたのか私はちょっとおかしいと思うね。そうでしょう。人事局というのは何かそういうためにできたんじゃないんですか。あってもなくてもいい人事局なんですか、それじゃ。どうも私には理解できないんだが。そういう点十分協議してやってもらうことが望ましいと思います。ひとつ大臣においても所見を承っておきたいと思います。
  179. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今後十分これは連絡をとって慎重にやりたいと思いますが、実は先ほどからだいぶ大蔵省がかってに自分の判断でやったようなお話でございましたが、そうじゃございませんで、各省にまたがる問題でございますし、この権衡をとる、各省との折衝が非常に長引きまして、いままで一番私どもとしては時間を費やしてここまでまとめたというようないきさつもございます。今後さらに十分の連絡をとってやりたいと思いますが、これも簡単にできたんじゃないので、十分最後にここの御審議を仰ぐためには、権衡問題を私どもとしては各部面とできるだけの折衝を重ねてきたつもりでございます。
  180. 北村暢

    ○北村暢君 まあ十分そういうことをやられたんでしょうけれども、なお疑問がありますので、検討していただくということの答弁ですから、私それで納得いたしますから、きょうのところは質問はこれで終わります。
  181. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  182. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) では速記再開。  他に御発言もないようですから、本案質疑は尽きたものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  183. 八田一朗

    ○八田一朗君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案について、修正案を提出いたします。  修正案はお手元にお配りいたしてございますので、それにて御承知願いたいと存じます。  修正の趣旨は、本法律案の施行期日は六月一日となっておりますが、同日までに本法律案が成立する見込みがなくなりましたから、これを公布の日としようとするものであります。  右修正部分を除く原案に賛成いたしまして、私の討論を終わります。
  184. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより、国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、討論中にありました八田君提出の修正案を問題に供します、八田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  185. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって八田君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  186. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 総員挙手と認めます。よって修正部分を除いた原案は、全会一致をもって可決されました。  以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  188. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 速記再開。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時四十六分散会      —————・—————