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1967-05-25 第55回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十五日(木曜日)    午前十時四十四分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任      稲葉 誠一君     加瀬  完君      北村  暢君     矢山 有作君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         豊田 雅孝君     理 事                 石原幹市郎君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君     委 員                 船田  譲君                 山本茂一郎君                 北村  暢君                 中村 英男君                 前川  旦君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君        運 輸 大 臣  大橋 武夫君        国 務 大 臣  塚原 俊郎君    政府委員        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        宮内庁次長    瓜生 順良君        外務政務次官   田中 榮一君        外務大臣官房長  齋藤 鎮男君        外務省欧亜局長  北原 秀雄君        運輸大臣官房長  町田  直君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法に規定する共済組合が支給する年金の額  の改定に関する法律案内閣送付予備審査) ○宮内庁法の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) ただいまから内閣委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日稲葉誠一君が辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案議題といたします。本案は、去る四月二十七日、予備審査のため付託されました。  それではまず、本案提案理由説明を聴取いたします。大橋運輸大臣
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま議題となりました昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、旧国家公務員共済組合法及び現行公共企業体職員等共済組合法に基づく既裁定年金の額につきまして、このたび、別途本国会に提案されました恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改正等措置に準じまして、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改正に関する法律案による国家公務員共済年金の額の改定と同様の改正を行ないますとともに、その他所要改正措置を行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、年金額の引き上げであります。  まず、旧国家公務員共済組合法に基づく年金受給者年金につきましては、従前と同様に、今回も、恩給法改正措置にならい、年金額算定基礎となる俸給の額を原則として一〇%、七十歳以上の年金受給者につきましては二八・五彩、六十五歳以上七十歳未満年金受給者及び六十五歳未満遺族年金受給者らち妻、子または孫につきましては二〇彩それぞれ引き上げることといたしております。  また、現行公共企業体職員等共済組合法に基づく年金受給者年金につきましては、その年金額算定基礎となる俸給の額は、現在ではいわゆる二万円ベースの俸給を退職するまで受けていたと仮定した場合の俸給額を二〇%増額した額となっておりますが、今回これを恩給及び国家公務員共済年金改定措置に準じて改め、現行法施行日前の組合員期間に対応する部分につきましては、年全額算定基礎となる俸給の額を原則として一〇%、七十歳以上の年金受給者につきましては、二八・五%、六十五歳以上七十歳未満年金受給者及び六十五歳未満遺族年金受給者らち、妻、子または孫につきましては二〇%それぞれ引き上げるとともに、現行法施行日以後の組合員期間に対応する部分につきましては、年金額算定基礎となる俸給の額を一律に一〇%引き上げることといたしております。  なお、上記により年金額改定した場合に、既裁定年金額のほらが多い場合には、従前年金額を、そのまま支給することといたしております。  第二は、今回の年金額改定に要する費用負担についてであります。  まず、旧国家公務員共済組合法に基づく年金の額の改定に要する費用につきましては、従前と同様に全額公共企業体負担することといたしております。  次に、現行公共企業体職員等共済組合法に基づく年金の額の改定に要する費用につきましては、国家公務員共済年金の場合と同様に、現行法施行日前の組合員期間に対応する部分につきましては公共企業体負担することとし、現行法施行日以後の組合員期間に対応する部分につきましては公共企業体組合員負担することといたしております。  第三は、恩給法等改正に伴う措置であります。  第一点といたしましては、恩給法等改正に伴い新たに軍人普通恩給等を受けることとなる者につきまして、軍人普通恩給等退職年金等とが同じ期間について二重に支給されることのないよら所要調整措置を講ずるものであります。  第二点といたしましては、恩給法等改正に伴い、新たに恩給公務員期間とみなされる期間公共企業体共済組合組合員期間に算入されることにより、更新組合員等であった者またはその遺族で新たに退職年金または遺族年金が支給されることとなる者または既裁定年金額改定されることとなる者について、所要措置を講ずるものであります。  第四は、現行公共企業体職員等共済組合法の一部改正であります。  恩給公務員期間加算年を算入してはじめて退職年金年限に達する者の退職年金及び遺族年金年額は、原則として、加算年年数を除いた期間年数に基づいて計算して得た額とされておりますが、今回の恩給法改正措置に準じ、七十歳以上の年金受給者年額につきましては、最短年金年限に達するまでの加算年を、年金の計算の対象となる年数に準じて取り扱うよう改めるものであります。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  5. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 以上で提案理由説明を終わりました。  本案につきましては、本日はこの程度といたします。しばらく速記をとめて。   〔速記中止
  6. 豊田雅孝

  7. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 次に、去る四月十日、予備審査のため付託されました宮内庁法の一部を改正する法律案及び今月十六日、予備審査のため付託されました恩給法等の一部を改正する法律案の二法案一括議題とし、順次提案理由説明を聴取いたします。塚原総務長官
  8. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) ただいま議題となりました宮内庁法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  宮内庁職員定員につきまして、現行宮内庁法第十一条は、長官宮内庁長官秘書官侍従長侍従次長東宮大夫及び式部官長定員を除き、特別職職員二十二人及び一般職職員千百九十四人の計千二百十六人と表により規定しておりますが、特にこの二十二人の特別職職員につきましては、天皇及び皇族の御活動状況の変化や、皇族の御誕生、御成長などの身分的変動に伴い、これらの実態に即応するよう、その人員を合理的に配置いたす必要があります。また、これらの職員の職を特別職として指定しますことは、国家公務員法第二条第三項第十号により人事院規則に委任されております関係上、宮内庁法においては特別職職員一般職職員とに区分せず、その合計数千二百十六人のみを法律上の定員として規定し、その範囲内においては、特別職一般職との間の人員の振りかえが臨機に行なえるものといたしまして、宮内庁定員管理円滑化をはかるものであります。  以上が、この法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。     ―――――――――――――  次に、恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額増額であります。  現在、文官及び旧軍人並びにこれらの者の遺族年金恩給は、昭和四十年法律第八十二号によって同年十月に改定され現在に及んでいるのでありますが、この恩給年額につきましては、昨年十一月恩給審議会から当面恩給増額は、緊急に措置するのが適当であるとの中間答申がなされました。政府といたしましては、この答申の御趣旨を尊重するとともに、六十五歳以上の老齢者、妻子である遺族傷病者の置かれております立場を考慮いたしまして、次のような改善措置を講じようとするものであります。  まず、普通恩給及び扶助料年額を、その受給者の年齢に応じ、七十歳以上の者については二八・五%、六十五歳以上七十歳未満の者並びに六十五歳未満の妻及び子については二〇%、六十五歳未満の者については、妻及び子を除き一〇%の増額を行なうこととし、また、公務傷病者にかかる恩給につきましては、増加恩給及び七十歳以上の者が受ける傷病年金については二八・五%、七十歳未満の者が受ける傷病年金については二〇%の増額を行なうこととし、昭和四十二年十月から実施いたそうとするものであります。  その第二点は、老齢者に給する加算恩給改善であります。  現行法におきましては、戦地事変地等に勤務した公務員には加算年を認め、これを算入して普通恩給最短年限に達する場合にはこれに普通恩給または扶助料を給することとしておりますが、その年額につきましては、妻及び子に給するものを除き、普通恩給最短年限に達しているものの算出率百五十分の五十から、普通恩給最短年限と実在職年との差の一年につき一定の率を減じて計算することとしているのであります。今回の措置は、七十歳以上の老齢者に給する普通恩給または扶助料につきましても、妻及び子に給するものと同様に普通恩給最短年限の場合の恩給年額に相当するものを支給しようとするものであります。  その第三点は、増加恩給特別加給の額の増額であります。  不具廃疾者に給する増加恩給のうち第二項症以上の重症者に給するものにつきましては増加恩給年額に、年額二万四千円の加給を行なっておりますが、この年額を三万六千円に増額いたそうとするものであります。  第四点は、旧外地関係官公署職員であった者が、琉球島民政府職員として在職した場合の当該職員期間の通算に関する措置であります。  終戦時において、台湾、朝鮮、樺太等の旧外地関係官公署に勤務していた恩給公務員で戦後琉球諸島に引き揚げ、恩給公務員に相当する琉球島民政府職員となった場合には、当該琉球島民政府職員となる前の恩給公務員としての在職年普通恩給最短年限に達している者の場合を除き、琉球島民政府職員としての在職期間恩給公務員期間に通算いたそうとするものであります。  第五点は、旧軍人等遺族に対する特例扶助料等支給条件の緩和であります。  旧軍人等遺族に対する恩給等特例に関する法律によりますと、旧軍人、旧準軍人内地等で職務に関連して負傷し、または疾病にかかり、在職期間内に死亡し、あるいは在職期間経過後、厚生大臣の指定する結核等にあっては六年以内、その他の傷病にあっては二年以内に死亡した場合には、その遺族に対しまして特例扶助料または特例遺族年金が給されることとされております。今回の措置は、この支給要件である六年を十二年に、二年を四年に延長することにより、特例扶助料または特例遺族年金支給範囲を広げようとするものであります。  第六点は、在職年十二年以上十三年未満准士官以上の旧軍人に対して普通恩給を支給しようとすることであります。  終戦により准士官等として退職した旧軍人で、その在職年が下士官としては十二年未満准士官等としては十三年未満であった者について、准士官等となる直前の階級による旧軍人としての普通恩給または扶助料を支給しようとするものであります。  右の措置のほか、一の増額措置に伴いまして普通恩給についての多額所得者に対する恩給停止基準を改めますとともに、その他所要改正をいたすこととしております。  なお、以上述べました措置は、昭和四十二年十月一日から実施することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  9. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 以上で両案の説明は終わりました。両案につきましては、本日はこの程度といたします。  それでは、午後一時再開することといたしまして、暫時休憩いたします。   午前十一時六分休憩      ―――――・―――――   午後一時四十分開会
  10. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) これより委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、北村暢君が辞任され、その補欠として矢山有作君が選任されました。     ―――――――――――――
  11. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) 外務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、去る二十三日衆議院から送付され、付託されました。なお、提案理由説明は、すでに聴取いたしております。  それでは、これより本案質疑に入ります。  関係当局からの出席は、三木外務大臣田中外務政務次官齋藤官房長北原欧亜局長内田外務参事官高島外務参事官大河原人事課長等でございます。  御質疑のある方は、順次御発言願います。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法案に関連して大臣を中心に二、三お伺いいたしたいと思います。  まず、提案理由説明を前回拝聴いたしましたので、順序としてその順を追って二、三お伺いしたいと思います。  まず最初に、外務審議官を一名この際増員しようと、こういうことですが、このことについての提案理由については、きわめて抽象的ではありますけれども、前回承ったわけでございますが、いま少し具体的に御説明いただきたいということと、いま一つは、この外務審議官を一名増という提案をなさる今日までの経緯について、その概要をまずもってお伺いしたい。
  13. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ伊藤君御存じのように、このごろは外交事務が複雑になりまして、したがって、外務省においても大臣補佐するのに次官はおりますけれども、外国からいろいろ人が来ますし、交渉事があるということで、実際は外務省には次官なども何人かおることは必要でしょう。よその国はたくさんおるのですね。しかし、日本の場合は、次官を何人も置くようなたてまえになっておりませんから、そういうことで審議官を一人ふやして、一方は全体の基本的な政策、一方はそのときそのときの問題がありますから、そういうことで処理する必要が起こってきたのが、これを置くようなことを御提案する理由になったわけでございます。  官房長が来ておりますから、もう少し審議官役割りについて説明をいたすようにいたしてもよろしゅうございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 役割りはまたあとでお伺いいたします。  新聞の報道によりますと、たしか一昨年の九月であったと思いますが、そのときの自民党の副総裁の川島さんがこういうことをおっしゃっておるわけですね。諸外国では、いま大臣が指摘されたように、外務大臣については二人制をとっているところもある。私は日本でも、外相のほかにいわゆる外交担当国務大臣を置いて、動きの激しい国際情勢に対処することが必要ではなかろうか、こういう意味の提言があったわけですね。それ以来、これを受けて自民党外交調査会がいろいろの角度から検討されたようでありますが、その結果、外交調査会長川島さんからいわゆる外相複数制ということについて私案が示されたと思うんです。  そこでお伺いするのですが、今回のこの法案提案については、こういう外相複数制、こういう構想ですね、一つ構想を受けてできたものではなかろうかと、こういうふうにも意味がとれるわけです。そこで、もしそうだとすると、そういうことでできたとすると、少々問題があると思うわけですね。今回の法案では、あくまで外相事務的な補佐官だと思うのです、外務審議官については。もちろん事務的補佐官も必要でありましょうけれども、いわゆる政務的補佐官も当然に必要になってくるのではなかろうかと思うのです。そういうことからすると、いま私が申し上げましたが、川島さんの構想については、これはいま直ちに実現するとかしないとかいう問題はさて置いて、結局問題は、外務政務次官をたとえば二名にするとか、あるいは外相複数制、こういう問題も含めて、外相政務担当を強化する、こういうことも今後検討に値する問題ではなかろうかと一応考えられると思う。こういう問題については大臣としてはどのように考えるか、お伺いしたい。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今日では外務大臣が海外に出ていかなければならぬ会議が多いのですね、定期外相会議などというのも続々とやっておりますから。そしてまた、国内においても外交問題というのは重要ですから、なかなか一人の外務大臣ではいろいろ仕事が多過ぎると私思いますね。川島さんの言うように、二人説ということも出てくるのには、二人置いたらどうかという意見が出てくるということにも理由があることだと思います。ただ、しかし、二人おると責任体制が乱れるのではないか、これは二人おって責任を一人で持っておる場合は別だけれども、二人もおると何か責任が乱れるのではないかということで、理由のある提案だけれども、なかなか実現していないのですね。だから一長一短ということもあるわけです。しかし、やっぱりこれは検討すべき問題だと私は思います。少し一人ではもう忙し過ぎるという感じを私も持っております。そういうことで、これは将来とも検討すべき課題ではあると思います。  政務次官を二人置いたらどうかということは、これは田中政務次官も、非常に大臣負担の重いところを分担して、非常にまた政務次官もお忙しいわけですから、これは将来の問題として、行政調査会行政管理庁などともいろいろ相談もしなければなりませんが、この点は将来検討をすることにいたしたいと思います。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今度の外務審議官一名増によって計二名となるわけですが、そこで、この際お伺いしておきたいのは、この二名のそれぞれの任務分担ですね。そういうものの内容についてこの際伺っておきたい。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 官房長からお答えいたさせます。
  18. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) これは先ほどちょっと御質問がございましたように、一昨年から問題になりまして、昨年度は一名ついたわけでございます。これはただいま大臣から申し上げましたように、ほとんどあらゆる問題について大臣次官補佐をしてまいったのでございますが、問題がいろいろ多く、特に外国との交渉並びにいろいろの分野にまたがった問題が多く派生するようになりましたので、とても一人では大臣次官代理ができないということで、過去二名増員を考えたのでございます。しかし、予算その他の理由のために、今般一名増置されておるわけでございまして、この一名と従来おりました一名との関係は、一名はただいま大臣の御説明にもありましたように、長期にわたっての企画立案、言いかえますと、たとえば核問題、安全保障問題、沖縄問題のように、長期にわたる問題についての企画立案ということを主として分担いたします。他の一名の外務審議官は、外務政務次官の特別の命を受けた個々の重要問題についての実施総括整理ということに当たるわけでございまして、たとえばこの間行なわれましたケネディ・ラウンドの交渉とか、そういう個々の問題の重要問題について担当するわけでございます。これは事務次官とは異なりまして、大臣次官の特別の命を受けた仕事をするのでございますので、いわゆる行政の系統で次官局長の間にあってすべての仕事をするという性格を持ったものではございません。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それで、この際伺っておきたいのは、おもな外国の例についてですね、たとえば次官とか次官補とか、あるいはいろいろ代理次官とか、それぞれ国によって職名が違っておるわけですね。これは時間の関係もございますから、ごく代表的な国の二、三について、どういう方法で、しかもどういう人員を配置しておるか、こういうこともこの際参考までに承っておきたい。
  20. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) おもな国について申し上げますと、たとえばアメリカには次官が二名、及びそのほかに次官代理というものがございまして、さらにそのほかに次官補というものがございます。これを総計いたしますと十三名になります。   〔委員長退席理事八田一朗君着席〕 英国もおおむね同じような形でございますが、英国の場合には次官補といいましても、アメリカの場合の国務次官補佐ということでなくして、次官補佐ということであります。これらを総計しますと十三名おられます。それからカナダが五名、インドが二名、それからソ連次官複数制になっております。これは具体的には第一次官、以下次官が六名おるというのがソ連体制でございます。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このいま問題になっておる外務審議官それ自体の名称についてもいろいろ検討の要があるのではなかろうかと思うのであります。外国の、いま御説明の、たとえば次官補ですね、こういうことにとらわれる必要は毛頭ないわけですけれども、この審議官というのは日本のこの職制であちこち非常に多いわけですね。たとえば外務省の例をとってみると、政令職のただの審議官の方が六名もおるわけですね。それから外務参事官、調査官、こういう方がおる。そこで外務審議官の方々は、まあ今度は複数になるわけですが、次官級であって、給与の点についても指定職甲給与を受けておると思うのですが、こういうような問題については、外務省としてはどのようにお考えか、この際承っておきたい。
  22. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) お答えいたします。外務審議官の場合には、外務省設置法の第六条におきまして、「外務審議官は、命を受け、重要な外交政策企画立案及びその実施に関する事務総括整理する。」ということになっております。従来ございました一般官房審議官は、これは各省にもございますが、単に重要問題について審議するというのでございまして、これとは質的に異なっているわけでございます。言いかえますと、単に問題を審議するだけではなくして、企画立案並びに実施事務総括整理するという重要性が加わっているわけでございます。ただし、ただいま御指摘のありました事務次官との関係になりますと、事務次官国家行政組織法の第十七条の二号というところで、「事務次官は、その機関の長たる大臣を助け、省務又は庁務を整理し、各部局及び機関事務を監督する。」ということになっております。言いかえますと、事務次官の場合には、省務全体を整理すると同時に次官の下におります行政各部門の事務を総括的に監督するということでございまして、外務審議官が特別の命を受けて重要外交政策の立案、実施に関する事項を総括整理するというのと、仕事がやはり質的に違うわけでございます。したがいまして、外務事務次官外務審議官、それから官房におります一般審議官というものは性格が異なるということが申し上げられると思います。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たしか三十五年であったと思いますが、新たに外務審議官が置かれたとき、外務省提案理由説明については以下申し上げるようであったわけです。この内容を申し上げると、戦後国際連合をはじめ国際機関の数の増加あるいは新興独立国の増加、これらの事情によって国際機関の会合の開催が非常に多くなった。それから在京公館長の接受、応待あるいは儀礼的な意味があって、これらをおもな理由として置くという説明をされたわけです。今回の審議官一名の増というのは、先ほど一部御説明がございましたが、前回に比べてどういう、何か変わりがあるのか、そのとおりなのか、こういうことをひとつ承っておきたい。
  24. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) ただいま御指摘のような外交交渉が多くなったとか、国際機関出席が多くなった、あるいは個々のいろいろの問題の処理が多くなったために外務審議官が置かれたのでございますが、その後、これを法律的に整理する段階におきましては、ただいま御説明申し上げましたような「外交政策企画立案及びその実施に関する事務総括整理する」ということになりました。今度設置します外務審議官につきましては、これらの仕事の中で長期的な問題についての企画立案を行なうということでございまして、ただいま御質問のありました三十五年のときに説明を申し上げました事項の中で、長期的な問題を取り扱うようにしたいというのが今般の趣旨でございます。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま経済外交とかあるいは民間外交が強調をされておるおりから、こういうことと関連して、この外務審議官一人は職業上の外交官で当然あるべきですが、いま一人の外務審議官については民間人から新たに起用してはどういうものか。こういうことも経済外交とか民間外交が強調されておるおりからだけに一応考えられるのですが、このことについて、大臣としてはどのようにお考えですか。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大使などは特別職ですから、役所へ入ってくることはできぬことではないのですが、いろいろな困難性はありますが、結局は伊藤さん、人なんですね。民間でやはり相当役所へ来ても大いに経済外交をやるだけの力のある人は、そういう人は遊ばせておきませんからね、世間が。世間でもそういう有能な人は会社などで重要な地位にあるということで、あまり世間で遊んでおるような人は来てもらっても困るわけですから、いろいろな困難はあってもできぬということじゃないけれども、結局人の問題で実現が不可能になってくる。社会でもあまり重宝がられぬような人がそう来ても困るし、重宝がられる人はまた社会においても非常に、いまさら役人になってそうして審議官になるというふうなことは希望しないですから、そこに実際問題としてむずかしさがある。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、大臣衆議院のほうへお急ぎのようでありますので、一つだけしぼってお伺いしますが、たとえば領事事務、旅券事務大臣官房へ移管しようということがこの提案理由にあるわけであります。そこで、この問題に関連してお伺いしますが、本年度外務省は予算要求した際に、領事移住局の新設を要求せられたけれども、いわゆる行管の査定で落とされたように漏れ承っておるのです。この所掌事務の改編もいわゆる領事移住局の構想へのいわゆる足がかりとして理解していいのかどうか、この点だけをまずお伺いしておきたいと思います。
  28. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 現在旅券の問題は中南米・移住局で取り扱っており、個々の領事事務は各地域局において行なっておりますが、これらはいずれもいまございます関係局の本来の事務とは性格が異なっておりますので、これを本来の局の仕事とし、しかも総合的な施策ができるようにということで、この領事事務と旅券事務というものを一体として取り扱うために新機構の設置を考えたのでございますが、御指摘のような事情で局はできませんでした。しかし、依然としていまあります局の仕事との関係はむしろなくて、これはほかに移すべきものであるという前提がございますので、これを通しまして、今般は一応官房に移し、そうして将来これをできれば局に持っていきたいというのがわれわれの考えでございます。
  29. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  30. 八田一朗

    ○理事(八田一朗君) 速記を起こして。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いまお伺いした問題ですが、領事事務あるいは旅券事務、これの大臣官房への移管ですね、この問題については、いま官房長からおよその説明があったわけですが、そこで現在六百六十六人が大臣官房の構成になっておるわけですが、これはそれに新たに二課を増設することになろうかと思うのですが、そういうことになるとちょっと理解に苦しむわけですが、先ほどお伺いしたことに関連してどうも理解しがたいわけです。そこで大臣官房だけで一元的にすべて処理し得るということであっても、ゆくゆくは結局領事移住局として将来独立させようとする意図がその中にあるのではないかと一応考えられるわけです。そのための措置ではないのですか。いますぐではなくして、先ほども申し上げたように、領事移住局の新設については外務省は現在要望しておるわけです。にもかかわらず、行管のほうのいわゆる査定で落とされた、こういうことが事実だとすれば、やはり落とされたからといってすぐあきらめるということでなく、そういう構想外務省は現在も持っておられると思うのですが、そうだとすると、将来領事移住局への発展的な面を前提に考えながらこういう措置をやるのだ、そういうことであろうかと思うのですが、その点はどうですか。
  32. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) ただいま御指摘の、二点問題があると考えますが、第一点の定員につきましては、旅券課は現在の中南米・移住局から大臣官房に移すだけでございまして、定員増はございません。それから領事課の設置につきましては、領事課長一名は増員になりますが、その他の人員は現在すべて地域局にある当該職務を行なっているものを配置転換するだけでございまして、定員の増加はございません。  それから第二点の問題につきましては、まさに御指摘のとおりに、領事移住局というものはできませんでしたが、ただいま申し上げましたように、本来別のものであるべき事務でございますので、やはりまとめて一つの単位として運営したいという考え方には依然として変化ございません。したがいまして、これは官房に入りましても官房本来の事務とは異なりますので、官房の中でもこの二つのものは一体的に動きますように、特別の責任者を官房の中に任命をしてこれを統括させていきたいというように考えております。さらにこれが将来、領事移住局に発展すべきものかどうかにつきましては、今年度の予算要求にあたって通りませんでした経過もございますので、なおいろいろ諸般の事情を勘案してから具体的な計画は立てたいと考えております。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 海外における日本人の生命、身体、財産、こういうものの保護、こういうことについては、結局そういう外務事務関係ですね、そういう面の外務事務関係仕事については、従来どおり各地域の局に管掌させるということのようでありますが、この区別がはたしてうまくいくものかどうか、こういうことが一応懸念されるわけです。そこでお伺いするわけですが、結局うまくいかないということであればかえって不明確であるし、逆行するような点も出てくる一わけです。この点が憂慮されるわけですが、その点はどうです、か。
  34. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 領事事務の中にも幾つかカテゴリーが分かれると思いますが、相当の部分につきましては、各地域共通の問題がございます。たとえば在外職員の子弟教育の問題とか、あるいは国籍の処理あるいは国家援護法の適用の問題とか、こういう問題は各地域には起こりますけれども、問題の性格が相似しておりますので、これは領事課でかなり容易に処理できるというように考えております。その他の部門につきましては、たとえば漁船の拿捕のような問題はこれは領事課で行なうまでにはなお外交交渉その他かなり政務的な処理を必要とする段階がございますので、そういう段階が過ぎるまでの間は各地域局において従来どおり処理する。そうして一般の領事事務的なものに落ちついた際に領事局に移すということでございまして、したがいまして、今度の法改正にあたりましても政策的な政務的なものは原局に残すという余地を残しております。この点につきましては、まさに先生御指摘のとおりに、スムーズな円滑な所管の移動ということがあるいはむずかしいこともあろうかとは思いますが、しかし、一体的に処理するという領事事務の本来の性格から言って、たとえ困難性がありましても、この根本的な考え方は貫くべきであるという考え方をしておる次第でございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この領事事務とか旅券事務の量ですね、こういうものは海外における邦人の活躍が非常に伸びてきたということに伴って、非常に最近急増してきたということの説明ではありまするが、そこでお伺いするわけですが、この事務量の伸びに従って即応されたいわゆる人員の配置が適正に行なわれておるのかどうか、これがもし適正でなければ事務の渋滞を来たしておるということが当然考えられるわけでございます。そこでお伺いしたい点は、事務量はどのように急増してきたのか、その具体的に、概要だけを御説明いただきたいということと、いまの人員の配置の問題についてもあわせて御説明いただきたいと思います。
  36. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 具体的には数字を調べてから御報告したいと思いますが、たとえば旅券のみをとりましても、この数年来約六倍にふえております。それから渡航者の数は、これは正確には把握しておりませんが、在外公館の便宜供与の状況を報告さしておりますが、これを見ますと、数年、これは具体的には四、五年前と思いますが、それの十倍ぐらいになっております。したがいまして、事務量というものは非常に多いのでございますが、定員がこれに伴って増加することは現状において非常に困難がございます。われわれもできるだけ増員にはつとめておりますが、増員できない面は何とか機構の改革によってこれを補いたいというので、このたび、各地域局にまたがっておって、そのためにかなり事務が重複しているという点がございますので、それを一課にまとめることによって、その事務の渋滞をできるだけ防止したいというのが趣旨でございます。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、職員定員増の問題に関連して二、三お伺いしますが、まずお伺いしたいのは、現在日本外交関係を樹立しておる国は、いま正確にどの程度になっておるのかということと、それから在外公館の大体の状況ですね、それを大観した概況でけっこうです。そのことについてお伺いいたします。
  38. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 第一点は。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは外交関係の樹立しておる国は数で一体どのくらいあるのかということです。
  40. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 第一点の、目下日本外交関係を設定して在外公館を設置しているところを数で御紹介しますと、大使館合計百八、そのうち実館が八十一、実館は実際に大使以下職員を置いているところでございます。それが八十一。兼館が二十七でございます。今度の公館の増置につきましても、この兼館がかなりございます。それから公使館につきましては総計が二、実館は一つもございません。兼館が二でございます。  そのほか御参考に申し上げますと、総領事館は三十六、実館が三十二、兼館が四、三十六のうち三十二と四でございます。それから領事館が総計九、実館が八、兼館が一でございます。それから総領事館分館が総計一で、実館が一つでございます。それから代表部、これは御承知のように、ニューヨークとジュネーブとパリにございますが、総計三、うち実館が三で兼館が零でございます。これは四十二年三月現在のものでございます。その後少し異動がございます。  それからこれに配置しております職員の数につきましては、もし御必要ならば表を差し上げてもよろしゅうございますが、多いところは三十名内外、少ないところは三名でございます。この点につきましては、いわゆる大きな公館につきましてはかなり満足せらるべき状況がございますが、小さい館につきましてはなおこれを増員しないと一館としてのまとまった仕事ができないという状況でございますので、鋭意増員に努力中でございます。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでさらにお伺いしますが、今後公使館は全面的になくなるように聞いておるわけですが、いまの説明で兼館が二つと、そうだとすると、現在一人もいないわけですね。そういうことで、今後公使はなくなっても、これはあの外務公務員法でいう、いわゆる特命全権公使ではなくして、外務省職員の公のいわゆる名称に関する省令できめてある公使ということは、実館ならば言えるわけですが、兼館ならば外国人を任命しておる場合もあり得るわけでしょう。そういう事情について御説明いただきたいということと、   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 それから今後全部が公使をなくして大使館だけになるということになっても、その名前は非常に表現はいいわけですけれども、たとえ大使館になっても館員は大使以下二ないし三名程度の公館も相当あるようで、諸外国を回ってみてそういう感を非常に深くしたわけですが、そういう二名ないし三名程度の公館で十二分な外交事務を管掌していけるのかどうか、そういうことが一応憂慮されるわけですけれども こういう実情について御説明いただきたい。
  42. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 第一点の問題でございますが、すなわち大使館と公使館の関係でございますが、最近低開発国との外交関係がますますふえてまいりましたが、こういう国は体面の関係もございまして、公使館にすることを好まず、すべて大使館を要望しております。それから従来公使館でありましたところにつきましても、その後両者の関係が増進しますに従いまして、大使館に昇格してくれという希望が強くなりまして、日本といたしましても、その国だけを特に公使館にしておくという必要もございませんので、先方の希望とわがほうの希望とが合致した場合には、これは大使館にしてまいりました。世界の大きな流れとしましては、公使館は事実上なくなって大使館だけになるという状況でございます。  それから現在兼館しております二つの公使館につきましては、これは公使館ではございますが、近傍の特命全権大使がその公使館の特命全権公使を兼任しておるのでございまして、本職は特命全権大使としてほかの国の大使をやっているわけでございます。したがいまして、御指摘の外務省の省令によるいわゆる公の名称としての公使というものとは関係ございません。  それから、第二点の小さな館につきましては、まさに伊藤先生の御同情のある御指摘のとおりに、二名-三名というところは、かりに一人でも病気いたしますと館が運営できないような状況でございます。具体的に申し上げますと、三名のところは、たとえば領事が一名ないしは大使が一名、文書、会計その他の庶務をやる者が一名、残りの一名が政務、経済、文化、あらゆるものをやっている次第でございまして、たとえば文化関係の担当官会議をやるとその者が出ていく、経済担当官会議にもその者が出ていくと、そういうことでその中間にいる一名というものは非常に過重な任務をしょっているわけでございまして、そういう場合に一名でも病気になるということになりますと、館全体に影響するということは、まさに御指摘のとおりでございますので、今後、特に来年度におきましては、かような公館の質的な拡充ということに重点を置いて関係各省の御理解をいただきたいというように考えております。
  43. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、新年度の在外公館への増員についてお伺いしたいわけです。この凍結欠員の解除をも含めて大体七十一人のようでありますが、こういう増員は、どういう職種がどのように増員されるのか、そういう点と、それから、特に在外公館では、電信とか庶務、こういうほうの要員が不足しておるやに聞いておるわけですが、今度の増員でこの特に不足しておる電信、庶務の方向へはどのような手が打たれておるのか、こういうような点について一括御説明いただきたいと思います。
  44. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 今般増員になります数は、ただいま御指摘のありました欠員凍結分を含めまして七十六名でございます。そのうち本省が一名、これは先ほど御説明申し上げました領事課長でございまして、その他すべて在外公館に振り当てるわけでございます。すなわち、七十五名のうち、新設公館に十九名、それから既設公館の増強として五十六名を予定しております。この館員の詳細な状況については、ちょっと複雑になりますので、お答えを差し控えたいと思いますが、御指摘のように、この庶務要員というものが不足しているということは、特に一名で会計、人事から庶務から一般の人の世話もやっておりますので、これは増員したいのでございますが、たとえば貿易とか経済協力の事務が非常に多くなりましたので、どうしてもそういうほうへもかなり振り向けざるを得ないということで、庶務関係にはたいした数は送れないと思います。したがいまして、その質を向上させるということで、今後は、海外に庶務要員を派遣する際には、庶務関係の講習を特に厳格にいたしまして、たとえば文書、電信、会計の講習を行ないまして、それに合格した者でなければ出さないということで、数の不足を質で補うということを庶務関係においてはやっておる次第でございます。
  45. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 在外公館への他省庁からの出向者、この点についてお伺いしたいと思います。現在、この他省庁からの出向者はどの程度あるか、省庁別にこの際承っておきたいと思います。  それから、この出向者の数は、外務省のいわゆるキャリアの数に対してどの程度の割合となっておるか、こういうことと、各省庁から盛んに出向者を送る傾向は、将来一体どうなるのか。各省庁としてはたいへん都合がいいわけですね。外務省の官吏として在外公館に勤務さして帰ってきたら、またもとの省庁へ戻るわけでしょう。そういうことになると、各省庁としては非常に都合がいいのでこれを既得権化していって、ますますその数もふえていくんじゃなかろうかと、こういうことが考えられるわけです。この点についても検討の要があるのではなかろうか、だんだんふえる傾向にあることはどうも認められるので、この点についても伺っておきたいと思うのです。
  46. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 本年度は御承知のとおりに、各省から外務省に出向する予定の者の数は九名でございます。そういたしますと、従来のすでに出向している者を含めますと百七十三名ということに相なります。一方、在外公館におります在外職員の総計は一千五十二名、現員が一千五十二名でございます。したがいまして、一千五十二名のうちの百七十三名というものが、他省からの出向者でございまして、約一割七分というものが外からの者でございます。これは各省の出向者の数がございますが、大蔵省、通産省、農林省、労働省、運輸省、郵政省、文部省、法務省、建設省、防衛庁、警察庁、科学技術庁、経済企画庁、厚生省、自治省、国鉄、十五省一国鉄ということでございます。この傾向は、いま御指摘のとおりに増加の一途をたどっております。これは、東京において行なわれますいろいろの各省関係事務が、非常に国際的なものが多くなりましたために、各省のそういう御要望、言いかえれば人の国際的な訓練という意味で、在外公館への派遣を希望されている結果と思いますが、実は正直なところ、従来、各省からの要求をかなりそのまま受けてきた傾向がございますので、ちょうど一割七分、約二割近くなった現状において、現在の体制がはたして望ましいかどうかということを再検討することになりまして、従来の派遣されている形あるいは今後派遣せらるべき形というものを一応理想像をつくりまして、それを中心に今後配置転換あるいは増員、減員を行なっていきたいというように考えております。
  47. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 在外公館の勤務者が、一公館にどの程度勤務しておるものか、特に平均、大体、一公館にどの程度の年月をそこで勤務しておるか、いわゆる勤務期間ということと、特に諸外国公館を回って館員の皆さんから強い要望のあるのは、いわゆる住居もさることながら、子弟の教育の問題が盛んに陳情されておるのは、どの公館でも同じことで、子供の教育ということについて一番悩まされておるということが実情のようであります。そこでお伺いするわけですが、こういう点も、宿年、外務省としても十分配慮をされておろうかと思いますが、現状は一体どうなっておるのかという問題、それとあわせて在勤家屋等の問題、こういう点についても配慮がなされておるのか、こういう概要について承っておきたいと思います。
  48. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 御質問の第一点でございますが、在外勤務の期間につきましては、特に定められた規定はございません。現実にそのときの状況及び派遣された人の都合その他並びにそのときの外務省のその人に対する要求といいますか、そういったものを考慮してきめておりますが、外務省出身者が大体健康地不健康地を通じて四年から五年一カ所に行っております。平均しますと大体四年六カ月くらいになります。他省からの方々は平均しますと三年十一カ月くらいでございます。これを合計して平均を申し上げますと、大体四年五カ月くらいというようになります。ただ、これにつきましては、逐次人員も増強してまいりましてかなり計画的に人が動かせるようになりましたので、不健康地についてはもっと早い時期に交代をさせたい、三年内外というものを考えております。  第二点の子弟教育につきましては、まさに御指摘のように、きわめて重要な問題がございまして、子弟教育のあり方いかんによっては在外勤務者の士気に影響するということで、数年来外務省としてもこれに力を入れてまいりまして、昨年度は在外の学校をふやしまして、全部でかなりな数になっております。そのうちで特に大きいのはバンコクの学校でございまして、三年ほど前には百数名であったものが現在三百名近くになっております。こういう学校に対して外務省として従来努力してまいりましたことは、一つは校舎その他の建物についてこれを補助する、教科書を送る、それから教師、講師の派遣を行なう、あるいはそのための旅費を出すというようなことであります。さらに現地の教育と東京における教育との格差をできるだけ少なくする。ことばをかえて申し上げますと、現地で小学校の二年を卒業した者は東京で小学校の三年に入学できるということが実現するように努力してまいりました。大きな学校につきましては、東京からかなりりっぱな教師が行っております。その結果、現地で教育を受けた者は決して東京で教育を受けた者に一般的に劣らない。ごく一部、たとえば実験等の分野においては劣るものがあるが、全体としては劣らないという傾向にまでなっております。これは在外の子弟教育の状況でございますが、国内に残していく子弟につきましては、現在これは外務省関係の在外勤務者だけについてでございますが、学寮を今年度の予算では新しく建てかえることを認められたのでございますが、寮をつくってしかるべき教育者たる寮監、寮母を置いて監督をするということで、国内国外両面にわたって子弟教育の強化を行なっております。さらに来年度におきましては、これをさらに強化するために、何か一つのそういうものを世話する団体をつくったらどうかということを目下検討中でございます。
  49. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 バンコクの学校については私も三年前現場を見学してまいりましたが、先ほど在外学校の数がたいへん多くなっている、これは数がわからなければ後ほどでけっこうですが、ただ多いではわかりませんので、大体どの程度の学校数になっているか、これをもう一度伺いたいと思います。  それから時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いしておきたいと思いますが、この国会に外務省設置法とは別に、国家公務員の旅費法の改正案が出されているわけです。そこでこのことに関連してお伺いするわけですが、外務省職員がいわゆる在外公館等に赴任される場合支給される宿泊料とかあるいは移転料、着後手当、こういういわゆる旅費ですね。旅費が今回の旅費法の改正によって実態に即した支給となるかどうか。それはもちろん一部は改正でよくなるんですから、改善されることは事実ですが、これで十分なのかどうか。いわゆる実費を支給するに値するのかどうか、こういう実情について承っておきたいと思います。  なお残りについては大臣自体にお伺いしたい問題が多いので、次の機会に御質問することを保留しておきます。
  50. 齋藤鎮男

    政府委員齋藤鎮男君) 旅費の点につきましてはお答えするのを落としましたが、御指摘のとおりに、今般は、われわれの大体予想した程度の旅費の増額が認められました。これは御指摘のように、満足すべきものとは申し上げられませんが、従来忘れておりました分野でございまして、この旅費の増額という仁とは数の上では満足すべきものではございませんが、旅費に大蔵省当局が目を向けられたということについては非常に大きな意義が認められる次第でございます。現在そういう意味でほぼ満足しているという状況でございますが、来年度はさらに実情に合うように努力したいと考えております。  なお、この際、大使の旅費につきましては今般はいじらない、大使以下の職員の旅費の増額にとめたということをつけ加えておきます。
  51. 豊田雅孝

    委員長豊田雅孝君) それでは本案につきまして、本日はこの程度といたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後二時三十八分散会      ―――――・―――――