運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-06-20 第55回国会 参議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十日(火曜日)    午前十一時三十一分開会     —————————————    委員の異動  六月九日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     達田 龍彦君  六月十二日     辞任         補欠選任      達田 龍彦君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森中 守義君     理 事                 植竹 春彦君                 寺尾  豊君                 西村 尚治君                 森  勝治君     委 員                 古池 信三君                 郡  祐一君                 新谷寅三郎君                 谷村 貞治君                 鈴木  強君                 光村 甚助君                 横川 正市君                 和泉  覚君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵 政 大 臣  小林 武治君        国 務 大 臣  松平 勇雄君    政府委員        総理府内閣総理        大臣官房広報室        長        三井 芳文君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        通商産業省重工        業局長      高島 節男君        郵政大臣官房長  竹下 一記君        電気通信監理官  畠山 一郎君        電気通信監理官  浦川 親直君        郵政省郵務局長  曾山 克巳君        郵政省簡易保険        局長       武田  功君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    説明員        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (郵政事業運営に関する件)  (電気通信事業運営に関する件) ○簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 森中守義

    委員長森中守義君) これより本日の逓信委員会を開会いたします。  最初に、理事打合会の結果について御報告いたします。  本日の委員会においては、まず郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査について質疑を行なった後、簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する質疑を行なうことになりましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 森中守義

    委員長森中守義君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、公庫公団整理統合の問題についてお尋ねしたいのでございますが、行管長官にはたいへんお忙しいところおいでいただきまして、ありがとうございました。  実は、この公庫公団廃止統合問題は、三年前に臨時行政調査会から意見が出ておるようでありますが、したがって、行管としても、調査会から各省に示達され、意見が出ておるわけですから、それに基づいて、それぞれ検討を進められ、その方向努力されておると思うのでありますが、これがなかなか進まぬわけですね。長官も非常に御苦労なさっておると思います。これは予算委員会等でもかなり詰めた質疑がありましたから、きょうは私は特にこの逓信委員会関係のある郵便募金管理会、これを中心にお尋ねするわけでありますが、まず第一点として、特に十八の公庫公団整理統合すべきであるという臨調答申というか、意見が出て以来、三年間たっておるのですが、これはなかなか進みません。行管としては、この意見に基づいて、具体的にどういうふうな——各省十八の特殊法人廃止ないし統合しなさいという意見が出ておるわけですから、それぞれの省で努力されておると思いますが、行管としては、これに対してプッシュする、それを推進する役目があると思うのですが、そういう具体的な努力をどういうふうにされてきたのですか。その点を最初にお尋ねいたします。
  5. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) 臨調答申がありましてから、その線に沿って鋭意努力をしておるわけでございますが、御指摘のとおり、なかなか実際の仕事は進んでおらないわけでございます。いまお尋ねの十八の法人に対しましては、御承知のとおり、中身を整理統合するもの、あるいはまた、その法人の性格を変えて、民法上の法人にするもの、あるいはまた、民間の会社にするもの、それからまた、それとは別に、全然反対に、もっと強化しろというような、四つの種類に分けられるわけでございますが、それぞれ多少はそれの線に従って処理したものもございまするが、まあ目ぼしいものはないわけでございます。現在私どものほうでやっておりますのは、予算委員会でもたびたび申し上げましたように、百八の法人に対しまして新たな観点から検討いたしまして、そうして整理統合し得るものはするというような考えのもとに、ただいま調査をいたしておりまして、来年度の予算編成が始まる大体八月末までには、その結論を得て、行政監理委員会並びに行政改革本部ともよく打ち合わせの上、適当な処理をいたすというような段取りになっております。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 この十五日に行政監理委員会が開かれましたね。その際に、行政管理庁のほうから、従来までの調査に基づいて第一回の整理案らしきものが提示されたというように聞いているのですが、その第一回の整理案の中に入っておる名前はわかりませんか。
  7. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) 御指摘委員会整理案が、決定されたものが出たような御質問でございますが、実は私のほうで調査をいたしているものの中間報告をやれということで、まだ結論が出ておりませんが、現在やっておる進行状況お話しした程度にとどまったわけでございます。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 中間報告でしょうか。その内容は、ここでは言えないわけですか、中間報告内容は。出したものは言えないでしょうか。
  9. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) 具体的な法人を取り上げてやったわけではないのでございまして、十八の法人に対しましてこういったようなことがいま調査をしておるというような程度でございまして、申し上げるような具体的なものは実はなかったわけでございます。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 その中間報告でいろいろ調査をされた中で、たとえば郵便募金管理会とか、これは自民党の行政調査会でもすでに賛成している愛知用水の問題とか、魚価安定基金畜産事業団日本蚕繭事業団日本てん菜振興会、こういうようなものは大体廃止するとかというような、いま方向にいくのですか。そういうような具体的な名前は出なかったのですか。
  11. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) 郵便募金管理会の問題は、さきに郵政大臣から大体臨調方針に従って廃止する方向にいくというようなお話がございました。しかし、委員会において、さればといってそれを掘り下げて検討するというところにはまだいっていなかったわけでございます。しかし、そういうような郵政大臣からのお申し出があったということだけは報告いたしたわけでございますが、それ以上は進んでおりません。実際問題として、まだ具体的に、それじゃどうするかというようなことまでは郵政省でもまだ御検討中のようでございますので、監理委員会議題にするところまでいっていなかった、議題にならなかったわけでございます。その他、愛知用水公団にいたしましても、話は出ましたが、これもなかなか広範にわたる問題でございまして、愛知用水公団の問題に関連いたしまして、御承知の木曽川の総合開発の問題が出てまいりまして、それやこれや非常に広範にわたって、まだ調査は十分にやってておりません。先般、本庁から調査班が参りましたが、これも短期間の間に、ある程度調査をした程度で、いま現地の中部管区でもって調査をいたしておるような段階で、結論めいたものは一つもなかったわけでございます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。そこで、時間もあまりないようですから、問題点だけ整理しておきますが、長官のおっしゃるように、この調査は目下盛んにやっておると。で、四十三年度予算編成期ですね、八月末までには結論を得たい、そういう方針で進めておるんですが、これは私、思うんですが、あなたのほうでそう思っても、なかなか全体の協力体制がない。そこでまたあとへ戻っていく、そういうことを繰り返していると思うんですね。だから、総理も先般の閣議で、かなり強くあなた方にも指示したようですし、各閣僚協力を要請したようですから、こういう機会に、私は内容については十分に検討していただいて、国民もなるほどそうだというようなやはり協力を得るような調査研究の成果というものを発表していただいて、不必要なものはすみやかに廃止すると、当然なことだと思うんですよ。  そこで、いまあなたのおっしゃったような八月末までには絶対に自信があるという、そういう自信のほどが表明できますか。  それからもう一つは、これは既設行政改革本部というのがありまして、あなたが本部長になっているわけですが、ここではもてあましているわけですね、率直に私が見ていると。だから、もう少し強力な推進、プッシュするようなものがほしいように思うんですね。一説によると、関係閣僚協議会というようなものをあなたが持って、既設行政改革本部とタイアップしていくんだろうと思いますが、そういうふうな強力なやっぱり推進協議会といいますかね、そういうものを設置すべきだというふうな考え方があるんじゃないですか。それで、あなたは、現在そういう構想で内閣官房あたりとも話をされているように聞いているんですがね、あなたの自信を深めていくためには、やはりそういうことも私は一つ方法だと思うんですね。そして最終的には、もう総理がぴちっと裁断してやるというようなことにあなた方は考えておるようだけれども、それはもうおかしな話で、やっぱり皆さんが総力をあげてぴちっとやっていかなければ、何でもかんでも総理の裁断だなんということはみっともないでしょうがね。だから、そういう意味において、強力な推進母体というものをつくってやったらいいじゃないかと思うんですね、その点あわせてお話伺いたいと思います。
  13. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) お話閣僚懇談会とでも申しますか、そういったものをつくったらどうかというような要望のようなものは——要望と申しますか、意見のようなものは監理委員会でも出まして、私といたしましても、一応官房長官——当時まだ官房長官病気でございますので、木村官房長官お話しいたしまして、こういった意見があるがどんなものかということを相談いたしました。官房長官も御病気中でございますので、元気になられたらそれをひとつ検討しようというような程度でございます。しかし、御指摘のとおり、なかなか行政機構改革という問題はたいへんむずかしい問題でございまして、行政管理庁長官としては、勧告という形で出しておりますから、それを受けて各官庁主務大臣が御決定になることは御承知のとおりでございます。したがって、やはり各主務官庁大臣がよく御理解いただいて御協力願わなければできない問題でございますので、私といたしましては、たとえば懇談会というような形がなくても、あるいは別な、そういった名前のあるものでなくても、適宜その関係閣僚方々総理中心としてお集まりいただいて御相談するということも一つ方法じゃないかというふうにいま考えております。要は、やはり総理はじめ各大臣の強力な御支援をいただいて、この行政機構改革上強力に進んでまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 少しわかりましたがね、まだ長官そのもの決意というものがね、ぴんとわれわれに響くようなものがないように思うのですね。ですから、もうあなたも長官になられてたいへん苦しい立場にあると思いますが、少なくとも政府がつくっておりますこの臨時行政調査会なり行政監理委員会なり、そういうところから正式に意見が出、国民もこれを大体支持していると私は思うのですよ。ですから、場合によっては、職を賭しても、これはあなたが国家民族のために勇断——決断をするというような、やはりそういう態度がね、所管の国務大臣として必要じゃないかと私は思うのですよ。まあ、私は尊敬する長官ですから、たいへん失礼なことを言うようで、たいへん申しわけないのですけれども、問題は、そういうき然たる態度決断というものがやはり必要ではないか。それに対して閣僚協力をし、要するに、国民はこれを支持すると思うのですよ。やはりせんだっても、四年つとめて一千万円もらったとか、退職手当の話が出ますと、これはとんでもないことだと、しかも、たらい回しをして、あっちへ行ったりこっちへ行ったりして、天下り官僚がえらい金もうけをしているということについては、これはたいへんに国民は憤激しているわけですから、そういう国民のバックアップの中にやるべきである。予算委員会で聞いていると、あなたがやろうと言ったって、みんな反対じゃないですか。わしも反対だ、わしも反対だというので、あれじゃ前へ進みませんよ。だから、もう少し私はそれに即応するような体制というものをぴちっとつくって前進なさったらどうか、こういうような気持ちで申し上げているわけですがね。ですから、もうちょっと、どうですか、松平さん、あなたもまだここで勇断をふるってですな、国家民族のために殉ずるような気持ちでやれぬものですか。そういう決意をひとつ私は聞きたかった。
  15. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) いま私の答弁が少し足りなかったのかもしれませんけれども、私としては、もう鈴木先生のおっしゃったような決意を持ってやっているつもりであるし、また、やるつもりでもいるわけでございますが、しかし、行管長官の限度というものがあるということをただ申し上げただけで、私自身としては、ぜひ臨調答申方針に従ってやっていくという決意でおります。ただ、臨調答申をそのまま直ちにぴたり実行に移すということは、実際問題としていろいろ困難な点があると思いますが、そこいらはやはり今後、ただいま調査をやっている結果によって、多少また臨調と実際の姿は変わったようなことになるかとも思いますけれども、しかし、方向臨調答申趣旨を尊重して、その方向で強力に推し進めてまいるという考えでございます。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 ひとつさらに勇断決意を持ってやってもらいたいと私は思うのです。  そこで具体的に郵便募金管理会のことで伺いますが、まあ言うならば、郵政大臣はその方針協力をした閣僚の一人でございましょう。予算委員会当時は少しあやしかったんだが、その後、新聞記者の発表など見ると、この廃止に踏み切ったという新聞記事を見ました。きょうは委員会で正式に私は郵政大臣のこの点は所感を承って、廃止するとすれば、一体どういうところが問題があるのか、それらの問題を整理統合して、設置をしたその趣旨等からして、今日までどういう運営をなさっておって臨調から指摘をされたのか、指摘をされるには、やはり運営の中にいろいろ問題点があったと思うわけですね。ですから、そういう問題点を今日克服して、廃止してもその業務そのものは続いていくわけですから、そういうものをどういうふうにしてやっていこうというのか、そういう点も郵政大臣としては十分にお考えの上で、廃止というふうに踏み切られたのではないかと思いますから、そういう点も含めて、ひとつ郵政大臣の御所見を承りたいと思います。
  17. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 郵便募金管理会のことは、臨調勧告があった。その後、また行政管理庁の何とか審議会から、置いてもいいような書面も出ておることは、巷間流布されておりますが、こういうことで私どものほうも行政管理庁態度があいまいだというふうな気持ちを持っております。しかし、何か管理庁が新聞に出すつど、郵便募金管理会というのが載っているのでありまして、私もいろいろ考えまして、大局的にこれはやめたい。やめて、そして善後処置を講じたいと、こういうことで、私もそういうふうなことを郵政省の幹部にも申し伝えておるわけでありますが、いずれにしましても、私は毎々この委員会でもお話がありましたように、郵便寄付金なんかつけることはやめたらいいだろう、こういうふうなお話もありますし、私はもうさしむき、年賀はがき以外はなるべくそういうことはしたくない、こういうことを考えております。したがって、規模もおいおい縮小すると、こういうことにもなりますし、また、従来のやり方が必ずしも私よかったと思わない。たとえば、年賀はがきにしても、七億円もあるのに、そのうちの三億円余はもうラウンドナンバー中央募金管理会に渡しておる、こういうようなこともございます。管理会というのは金の保管をしているだけだ。これらの金の配分についても、審議会等の議を経て郵政大臣がきめると、こういうことになっておりまして、実質的にも私はそういい仕事をしておるとは思わない。こういうことからして、これは廃止して、私ども自分でやろう、募金管理会など関係しないで自分でやろう。地方にもわれわれ郵政局というのがありまして、どこに社会福祉機関があって、どこにどういう必要があるかということはわかり得る。したがって、いまの私ども考えでは、自分でひとつ直接そういう仕事をしたい、そういうことでいま検討してもらっておるということであります。ことに、いままでの募金というものは、中央募金管理会というのは、これは社会福祉事業しかやっておらない。しかし、われわれの仕事は、このごろ御存じのように、ガン問題がある。あるいは精神薄弱児の問題がある。あるいは結核の問題、あるいは成人病の問題、いろいろなほうへ寄付金配分をしておる、こういうこともいたしておりますからして、募金管理会そのもの社会福祉機関に対する配分しかしておらぬ、こういうことから見ましても、私ども郵便募金配分の対象からはずれたものが相当ある、こういうこともありまするからして、いっそ、ひとつ自分郵政省郵政局等出先機関を活用して、自分でひとつそういうことをやっていこうじゃないかと、こういう考え方を持っていま検討しておると、こういう段階でございます。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 この管理会が設置されております法律は「お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書の発売並びに寄附金処理に関する法律」という法律に基づいておるのですが、この法律が二十四年の十一月十四日に施行されましたね。それで、臨調意見書を見ますと、なるほど、管理会が設立をされる直接の動機というものはあったと思うのです、二十四年当時。だからこそ、この管理会をつくったと思うのですが、大臣のおっしゃったように、中央共同募金会業務との関係で、やはりせっかく郵政省はがき寄付金つけて集めた募金が一体どこへどういうふうに配分されてどうなったかということについても、これは郵政省郵政省としてちゃんと知っておきたい、これは当然だと思います。ですから、その当時いろいろ中央共同募金との関係法律をつくらざるを得なかったと思うのでありますが、それからすでに十八年ぐらいたっているわけですね。その運営の中で、この法律に基づく所期の目的を達成してきていると思うのですが、しかし、達成したとしても、現状においてなおかつ廃止しなければならぬという、そういう臨調からの意見が出るような実情にあるということは、やはりそれなりに運営について問題があると思うのですよ。ですから、当初目的を持って設立されたのだが、その目的がまだあるのですから、あるのにこれをなくしたほうがよろしい、そういう意見書について、郵政省としてはやはり反省すべき点がたくさんあったでしょう。
  19. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは現在の組織から見ても、役員が何人で職員がごくわずかなものでやっているということは、反面から申せば、郵政省が大体やっているのだ、こういうことになるのであります。したがって、これは保管とかあるいは配分とかいうふうな現業的な面はやるが、非現業的な面はほとんど郵政省がやっているということであって、これがなくてもいけるのじゃないかというふうなところがおもなお目当てじゃなかったか、こういうふうに私は考えております。いま申すように、私は共同募金管理会に半分近くもただまるい数字でもって渡してしまう、こういうよんなこと自体も、私はあまり、募金管理会がありながら、けっこうな姿ではない。これらも、もし募金管理会が存続するなら、こういうものも私は自分でやったらいいだろう、こういうふうなことまで私は考えておったわけでありますが、たまたま、こういう問題が起きておりまするから、もうそういうところへ渡さないで、自分でやれる、こういうことで、これは問題にならなければやはりここまでは来ませんが、お目当てで、こういうことを何かのつど、募金管理会募金管理会とおやりになりますから、私はあるほうがいいと思うが、十分なくしても自分でやればまたやれるのじゃないか、こういうことからして、そういう世間の声か、行政管理庁の声かわかりませんが、協力するということでございます。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。これは大臣の御意見ですと、廃止するというのだが、名前はなくするけれども現状五名の役員と三名の職員ですか何かでやっておられる仕事というのは、本来郵政省がやってもいい仕事なんだと、それを法律募金会をつくってみたが、いろいろ問題もあるようだから、本来郵政省がやるべき仕事でしょうね、それをそういうふうな特殊法人でやらしたが、ここらで自分の本家に戻していきたいということでしょうか。そうすると、職員役員の人はよく存じませんが、年配の人かどうか知りませんが、職を失うということは困るでしょうから、職員なんかについては、できるだけ郵政省のほうで引き取って、やはり首切りというような、そういうことはしてもらいたくないということを思っておったものですから、そういうことであれば、当然職員として引き取ってもらえる。役員なんかについても、きょう時間がないから、私はせんさくはしませんけれども、もう少し役員の任命なんかについても、省として考えておくべきではなかったのでしょうか。要するに、天下り的に一方的な人事というものがかなり多く行なわれている。こういうことが、臨調の中でも言われているように、高級官僚天下り策として便乗的に利用されたり、政治的な圧力によって乱設されるという傾向を指摘されたことにあると思うのです。ですから、私は、今日まで十八年間の募金会業務執行について、役員人事を含めて、もう少し広範な立場に立って検討しておけばよかったと思うのですが、そういう点が足りなかったと思うのです。  そこで、中央共同募金会というのも、これはたいへん問題を起こしております。いろいろと方々でこれも指摘をされている。私は最後に、行政管理庁長官に伺いたいのは、臨調にもあるように、現行の中央共同募金会運営種々問題点がある。これはいつか東京でも募金をごまかして何かに使ったとかいうようなこともありましたし、それから全国的にも方々にそういう問題が出ておりますが、行管としては、それらの点について、共同募金会が非常に問題があるという指摘を受けて、どういうふうな御調査をなさって、どういう問題点があるか、時間がありませんから、おもなものについて、この際知らせてもらいたい。
  21. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) 監察局長からお答えいたします。
  22. 稲木進

    政府委員(稲木進君) 私からお答えしますが、一昨年、行政管理庁としまして、社会福祉事業に関する行政監察を行ないまして、その際に、いろいろと社会福祉関係の施設を中心として見たわけでございます。お話のように、共同募金のほうの金、特に赤い羽根その他の関係で集まった金が福祉施設に回る、そういう関係もございましたので、共同募金会の、集まった金の配分その他の条件について若干調査をいたしたわけでございます。その結果としまして、私どもが問題として考えましたことは、そういうように集まった金が必ずしも十分に福祉施設に全部回っていないということは、結局、この集まった金のうち相当の部分が社会福祉協議会等の経費に充てられておるということがございます。  それからもう一つの問題としましては、募金の際にいろいろと協力団体といいますか、募金のためのいろいろな協力団体でございますが、そういう団体に、いわば何といいますか、いろいろと御苦労をかけたとか、あるいは世話になったという意味で、ある程度の見返りの、これはどういうことばで申し上げていいんですか、手数料的な経費が戻されておるという点にいろいろ問題があるじゃないかというようなことを感じたわけでございます。そういう点につきましては、やはり国民から福祉施設に回るのだという意味で金が集まっておるということを考えますと、そういう経費というものはもっと詰めるべきではないか、そうして集まった金の大部分が本来の福祉施設のほうに回るようにやっていくべきではないか、こういうことを感じましたので、その旨を厚生省のほうに勧告いたしたわけです。私どもこれを勧告いたしましたのは、昨年の九月でございますが、その後、また昨年の共同募金がありましたので、実は昨年集まった金の配分等について、その後どういうふうになっておるか、もう一度実は見たいというふうに考えておるわけでございます。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 実は私もたしか社会労働委員長をしておったときに、募金会の何か委員に任命されたことがあったんです。私はその当時、運営内容を詳細に見まして、いま局長がおっしゃったような危惧を持ちました。しかし、われわれは具体的なデータについてあれができませんでしたから、抽象的な意見としてそれを出しておいたんですが、とんでもない話なんです。それは苦労されておる方に対する報労といいますか、慰労的なものをやりたいという気持ちはあるのだが、これはやはり貧困な、貧しい人たちを助けてやるという精神でやるわけでしょう。実際に必要な交通費とか、連絡のはがきの費用とか、そういうものは経費としてやむを得ないと思いますけれども、飲んだり食ったりするような、そういうものに、われわれが出した零細な浄財というものが使われるということになれば、本来の募金目的を侵害しておると思います。そういう意味で、この中央共同募金会に問題があると思いますが、これは厚生大臣の所管になると思いますが、そういうわけで、臨調指摘しているように、こういう中央共同募金会運営には種々問題点がある。したがって、これこれこういう点を考えながら廃止しなさいということで四項目があげられているわけですね。ですから、私は郵政大臣のお考えで、少なくとも共同募金会のほうに集めた金をやるという考え方ではなくて、郵政省が独自の立場配分考えよう、こういうことでございますから、その点は了承しました。わかりました。その点で私もひとつやってもらったほうがいいと個人的にも思いますから、そういう意味で、いま行管のほうの監察局長からお話がありましたように、どうしてもこれはある程度監査を定期的にやるようにしておかぬといけない。これは最近あらゆる問題が出ている。立ち入り検査、抜き取り検査をしなかったために、食料品でもずいぶんごまかしをやっておるわけですから、そういう点は、ずいぶんきびしく行管としても監査をやってもらいたいと思うんです。そういうことをつけ加えて、この問題は私は終わります。
  24. 光村甚助

    ○光村甚助君 ちょっと関連。郵便募金管理会廃止して、自分のほうでやりたい、これは非常にけっこうなことですが、それは行管考え方と違うんじゃないですか、長官行管としては、郵便募金管理会廃止したら、あそこで扱っている金を中央募金委員会に渡して、あそこでやらしたいという意向じゃないんですか、どうですか。
  25. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) 臨調答申は、御承知のとおり、中央共同募金会運営を抜本的に再検討して、もっと強力な総合的な機関を設けて、そこでやらせろと、そうして、この郵便募金のほうもそこへ持っていってやれという趣旨意見でございました。しかし、行管といたしまして、いろいろ調査いたしましたが、なかなか総合的な機関というものは簡単にできないわけでございますし、さらにまた、郵便募金のほうは、先ほど郵政大臣からお話がございましたように、その配分が必ずしも厚生関係のものだけに、福祉関係のものだけにいっているわけではなくて、場合によりましては、災害のときの補助金にも出すとか、いろいろ広範にわたって出しておるわけでございまして、厚生省の主管する現在の中央共同募金会に入れるということには、多少無理があるのではないかという考えを私どもは持っておるわけでございます。ですから、具体的に案が提示されてから検討することになると思いますが、私はこの問題に限りましては、郵政大臣のお考え方向で御検討いただいて、行政監理委員会なり、あるいは行政改革本部等に説明して、私はその方向で整理ができるんじゃないかというふうに現在考えております。
  26. 光村甚助

    ○光村甚助君 郵政大臣お聞きになったと思うんですが、松平長官は、はしなくも、これを中央募金委員会のほうに持っていきたいということを——あとは訂正されたけれども、そういう裏があるんです。だから、あなたはきれいな考えで、自分のほうで運用したいとおっしゃいますけれども、あなたは人がいいからだまされます。それで、長官はかわるんですから、私は行管の事務当局に聞いておきたいんです。郵政大臣は、自分のほうで集めた七億何ぼの金は、自分のほうでこれを運用したいと言っておられるんですが、あなた方自身もそれでいいのか。あなた方自身としては、行管なんだから、これを廃止したんだから、中央に統括したいという考えがあるのかどうか。ほんとうの事務当局の腹を私ちょっと聞かしていただきたいと思う。
  27. 大国彰

    政府委員(大国彰君) ただいま長官からお答えいたしましたように、この臨調答申にございますような中央共同募金関係の総合的な機関を早急につくることはなかなか困難でございます。一方また、特殊法人整理統合につきましては、これはまあなるべく早くやらなければならないというようなこともございますので、現在、郵政省のほうでお考えになっておられまする方法が、各省のほうとの関係も十分了解がつくようなやり方でありましたら、その方向で私は進みたい、かように思っておるわけでございます。
  28. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは臨調行政管理庁か知りませんが、組織をやめろと、こういうことでありまして、そのほうのことまでわれわれ干渉とか勧告される筋はないのであります。われわれはわれわれの見たところで適当な方法をとる、こういうことで、郵政省が直轄でひとつやりたい、やることにして検討をしておる、そういうことをはっきり申し上げておきます。その点はわれわれがきめることで、別段よそから関与、干渉さるべき事項でない、こういうふうに考えております。
  29. 光村甚助

    ○光村甚助君 これができたときの趣旨は、さっき鈴木さんからお話があったのですが、郵政省でたくさんの金を集めたのだから、ひとつ郵政省のような、外郭団体のないところは外郭団体をつくってやろうという趣旨だったと思うのです、初めは、これは。しかし、これがなくなると——先ほどやはり大臣長官も言われる、ちらちらと出るのですよ——どっかこれを統合したい。あなたのほうで、七億集めた金を全部自分のほうで運用したいとおっしゃるけれども、衣の下からよろいというのですか、そういうことばが二人から、はしなくも出ますね。私はどちらでもいいと思う。国民が出した金を国民的視野に立って使うのだからいいんだが、しかし、郵政省の人は割り切れないものがあると思う。七億も集めたのに、おれのほうへ持ってこい、金の使い方はおまえ関係ない、集めたものはおれのほうでやるから持ってこい、こういうところに不満がある。これは一時、私が議員になった当時には、郵政省職員が一生懸命やって集めたのだから、あの時分で八億、八億の一部は郵政事業の福祉事業のために使おうじゃないかという法案が衆議院を通った。ところが、参議院のお歴々の、内容がわからぬ人が反対して、われわれもあまりそれにむきになって反対できませんから、廃案になったことがある。さっき長官がおっしゃったように、赤い羽根でも緑の羽根でも、手数料だとか、手数料と言っては語弊があるけれども、いろんな費用を取っておられる。飲んだり食ったりした例もある。ところが、郵政省は七億集めた——七億集めたのをぽんとよそへ出して一つも従業員のために使っていない。そういう面で非常に従業員にも不満がある。だから、大臣は、今度これを募金委員会廃止されるのはけっこうですから、ほんとうに郵政省でこれは全部配分先をきめるなり、取った金を全部募金委員会に持っていってそれをまかしっぱなしにするのじゃないということだけは、厳にひとつ腹を締めて協約、協定をしておかないと、ひどい目にあいますから、その点だけは、私は老婆心ながら、ひとつ大臣に、注意と言ったらちょっと失礼ですけれども要望をいたしておきます。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、きょうは総理府のほうからもおいでいただきまして——きょうは三井さんおいでですね。  実は、昨年の十二月二十三日に内閣総理大臣許可で財団法人日本広報センターというのが開設されておりますね。そこで、いま巷間、広報センターに対するいろんな揣摩憶測が行なわれておりまして、たとえば昨年閣議で問題になりましたドキュメンタリー番組「日の丸」問題とか、あるいはNHKの経営問題、放送問題に対する直接介入的な発言だとか、あるいは「政府の窓」をNHKがつくってやるべきではないだろうかというようなことが、いろいろ閣議のほうでも論議がされまして、これは明らかな行き過ぎであり、放送番組の介入じゃないか、こういう意見が強く出ました。私は当時、党の番組改善特別委員長といたしまして、いろいろな調査をしてみました。確かに反省をしてもらわなければならぬ点もありましたので、この点は私は担当の郵政大臣にも直接その申し入れをしておりましたし、政府にもわれわれの考え方を申し伝えておったわけであります。そういうことと前後いたしまして、センターの設立がなされたものですから、一面では、おそらく、政府が直接そういうことをされますと、放送法とか憲法上、番組介入という非難を受けるので、何か一つクッションを置くために、日本広報センターというものを設けたのじゃないだろうか、こういう疑義が実は持たれておるのであります。最近の週刊誌などを見ましても「政府御用日本広報センターの意図」というふうに取り上げておるところもございます。私は確かにそういうふうな一連の言論報道に対するものの見方というものは、国民もなるほどとうなずく節もあると思います。それから、もっと言うと、このセンターというものは政府の御用機関じゃないか、そういうようないろいろの意見がいま出ております。私は非常にこれは重要な問題だと思います。予算委員会でもあなたに、総理府の広報活動費九億七千石三十二万三千円という、ことしの経費の使途について資料を出していただきました。この中にもいろいろと項目をずっと分けてございますが、はたしてこの広報センターというものがいま世間で言われるようなふうになっているのかどうなのかという点、こういう点について、きょうは明らかにしたいと思うのです、私は。そういう意味で、これを取り上げたわけでありますが、そこでまず第一番にお尋ねしたいのは、この定款を、寄付行為を拝見しますと、ここに第一条から第三十三条まで載っておりまして、それぞれの趣旨目的運営等がございますが、私は、三井さんが広報室長としておそらくこういうものについても御相談にあずかっていると思いますし、いろいろと御連絡の任に当たっていると思いますから、ひとつ率直にこの設立の目的ですね、そういうものがどこにあったのだということを、この際はっきりしてもらいたい。まずこの点を伺います。
  31. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) お答えいたします。  この法人は昨年の十二月二十三日に総理府の所管として認可されたものであります。手続といたしましては、東京都を経由いたしまして新たに出てまいりました事業計画その他を見まして、政府並びに公共団体の施策というものを、民間の方々協力して、政府が当面する行政施策の大事なことはもっと——政府の従前やっていることが、その効果がないわけではないけれども、もう少し広く深く浸透することが大事だということで、そういうものを役人の手から民間の専門家のほうへ持ってまいりまして、そこで十分一般の聴視者の立場に立ったテレビ番組なり映画が上映されるというようなことが望ましいということで、財団が設置され、私どももあの過程に至るまでは、御存じのように、テレビにいたしますと、すでに三局毎週十五分の番組を実施しておりまして、ラジオも三局ということで、これは週二回しております。その立場を振り返って見ますと、この十五分の限られた時間内で、政府が従前やりましたものが全部一覧になっておりますから、後ほど御参考に申し上げますけれども、当面の重点施策というものを全国へやりますものですから、農村地帯、都市地帯と、いろいろございまして、そこでどういうものが一番向くかということを考えますが、限られた時間の中で、どうしても政府の一方通行みたいな形になって、この点がいささかもの足りないし、これでは見るほうの側でも十分納得がいかないだろうということを考えているやさきに、何とかもう少し見る方々のため、言ってみれば、国民は知る権利がございますから、その国民の側に立ってもう少し理解しやすいものにいたしませんと、私どもが現在当面しておりますのは、日々人命がそこなわれる交通事故の問題、現在国会において提案されております公害基本法の問題、それから青少年の健全な育成の問題とか、われわれ総理府といたしましても当面する問題等がございますので、その素材をこのセンターを通して提供して、これをセンターと関連するところの関係者の方々の御料理によってもう少し国民に親しめるものをやりたい、こういうことから案が出たわけでございまして、われわれもそのつもりでおり、一応の経過はさようでございます。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 この寄付行為第五条の事業の点を見ましても、たとえば「この法人は、前条の目的を達成するために次の事業を行なう。」「放送番組の制作及び提供」「短編映画の制作及び上映」「講演会及び座談会の開催並びに講演会等の講師の派遣」「広報に係る調査及び資料の作成並びに効果の測定」「その他出版物の刊行等この法人目的達成に必要な事業」と書いてありますね。総理府でいま九億七千万の金を広報活動費として使うことになっておりますが、その内容の中にかなりダブるものがありますね、この中で。ですから、見方によると、本来総理府がやるべきものを、広報センターをつくってそこにその一部を委嘱してやるというならば、募金管理会ではないけれども、そういう本来やらなければならないものを、財団法人をつくって、財団法人日本広報センターという総理大臣が認可した法人格を持ったセンターに肩がわりさせようというようなお話ですか。その点の問題がやはり一番基本になると思うのです。そこのところは室長はどういうふうに考えておられるのですか。
  33. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) 御指摘がございましたように、媒体別に申しますと、ちょっとダブったような形になるわけでございますが、これはいまキー局として考えておりますのはNET、日本テレビ、それからTBS、今年と申しますか、来年度予算ではフジテレビも要求しようと思っておりまして、十五分程度の、政府が何を考えているかという、ずばりそのものをやはり政府でやっていこうということを考えておりまして、その基本になる政府の重点施策で、役人の頭でつくったようなそういう内容では、責任の所在を明らかにするための言い方としては、それをどうしてもやらなければなりませんけれども、そのほかに、テレビで三十分の短編もの、それから一時間のドラマ的なものということで、聴視者に興味を持たせながら、もっと広く深く浸透するような形のものを、これを提供した素材が全部活用されるとは思っておりませんが、その中で、みんなにわかりやすい形に制作委員会なり、最終的にはその放映する局が制作に当たりますから、そこで一般に受け取りやすい形でつくる、こういうことになりますから、両建てでいきたいと、こういうふうに考えております。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 目的と事業というところを見ると、「公共的な事業及び施策の内容を諸団体の協力とその機能の活用によって国の内外に効果的に伝え、」——内だけでなく外にも伝える、「その理解を深めてわが国の民主主義の健全な発展と国際的な評価を高めることに寄与することを目的とする。」、こうあるわけであります。そこで、いま具体的に、第五条にある事業計画その他については、定款によって、もちろん毎会計年度ごとに総理大臣にこれを出して、収支予算を出して、事業計画を出して承認を受けることになっている、定款上は。おそらくそういう手続が行なわれておると思うから、私は伺うのですが、まず第一点としては、この公共的な事業及びその機能の活用によって国の内外に効果的に伝えるということが、いま私が申し上げて、あなたは、はっきり答えてくれなかったのですが、内閣の広報活動の分野を全部センターに委嘱してやってもらうということなのか、そうでなくて、その一部をセンターに委嘱してやってもらうということなのか、あとからこの費用の点なども予算ですね、こういう点もありますが、まずそこのところをもう少し明確にしていただきたい。
  35. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) これは、この団体といたしましては、まだ確定的ではございませんが、すでに私のほうへ出しております事業計画としては、ただいま先生御指摘のような出版物を出すとか、講演会をやるとか、あるいは、いろいろな番組の効果測定などをいたしますような事業を一応の計画としては持っておるようであります。そのほか、政府施策をわかりやすくしたパンフレット等をそれぞれ計画することも考えておるようでございますが、私どもが内々聞いておるところによりますと、やはり来年度のテレビ映画、少なくとも、との番組の効果測定と、ある種の簡単な出版物程度くらいしかできないのじゃなかろうかというふうに予想されるわけであります。総理府としては、いずれにしましても、現在の計画といたしましては、テレビと映画——短編ですね、これだけのものに対して、当面の行政施策の重点となっておるような問題の素材を提供して、これを企画してつくっていただく、こういうことに限定しております。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 その点はわかりました。  そこで、第十一条の事業計画と収支予算、これはすでに出ておりますか、この計画は。
  37. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) これはたいへん申しわけないことでございますが、この予算の成立が今年おくれておりまして、新規のものは暫定中は入りませんが、したがって、中央政府や自治体からどういうふうな委託のあれが入るかということが、ちょっと団体側としても見当がつきませんので、近いうちに評議員会が開かれまして、その御承継を得て私どものほうに出てくる予定でありますが、大体のところ、ただいま私が申し上げた事業計画が基本になろうかと思います。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 これは時間がありませんから、あとで資料として出していただきたいのでありますが、広報センターの役員ですね、定款上の役員の氏名、略歴、それから、この定款によりますと、評議員というのが任命されることになっておりますが、この評議員の氏名というものをひとつ資料としてあとで出していただきたいと思います。  そこで、まだ計画が出ておらないようですから、いずれ、その評議員会等の御承認もあってセンターのほうでおやりになると思いますが、まあ私ども知り得る範囲の資料で質問しますが、これは予算委員会でも、具体的に一億五千万の金を日本広報センターに出すんだという明確な意思表示はなかったんですね、いいですか。私もそのことについては了承していないですよね。ただ、広報活動費のさっき申し上げた九億七千万のうちに、広報映画制作委託費というのが九千三百四十五万四千円あるわけですよ。ですから、こういう金をおそらくこのセンターのほうに委託費といいますか、そういうことで政府がお出しになると思いますが、私も調べてみると、要するに、総理府がいま考え——これはあなたに聞いてもいいんですが、総理府がいま委託をしようとするものは、テレビ放送実施委託費として八千四百五十万円ですね。これは六十分間の番組が年十三回、五千八百五十万円、それから三十分番組のドキュメンタリーものが年二十六回で二千六百万円、合計八千四百五十万円。そのほか、短編映画の制作委託費として、三十五ミリカラーの三巻ものが四本で四千万円。それからプリント料が二千二百五十万円。合計しますと一億五千万円の予算総理府が、まあいわば政府がこのセンターに金を出しておるということになっているんですがね、この点は間違いないですか。
  39. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) その点は間違いございませんのです。これは制作委託費として支出いたします。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 それで、そうしますと、とりあえず政府が四十二年度このセンターに委託してつくってもらおうとするものがこれだけである。したがって、そのほか、財団としては定款に掲げているような事業をそれぞれおやりになると思うんですがね、五つの問題を。そうしますと、この金だけでは足りないわけです。そうすると、このセンターの経費というのは一体四十二年度はどういうふうに調達をしていこうとしているのか。
  41. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) これは事業体自体のことでございますから、私ども、あまり内容に立ち入ってあれすることもどうかと存じますけれども、大部分は団体に関係するもので、テレビの場合は電波料を負担していくということでございまして、その電波料以外のものを、あまりたいしたことはできないと思いますが、たとえばパンフレットみたいなものを出す場合に、それを関係者の中から応分の御寄付をいただいて実施するような内容になっております。その事業別のこまかい配分は私はまだ……。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 それで、この寄付行為を見ますと、会長は松方三郎さん、理事長が藤井丙午さんですかね。まあここにずっと理事が五人、監事が一人、五島昇さんですか、載っておりますが、おそらく一億五千万の金でおたくのほうからの委託だけの仕事をするということではないと思う、この寄付行為を見ますとね。当然この幾つかの事業というのはやると思うんですね。そこで、おそらく私の考えるのには、財界からもらうかどこからもらうか知らぬが、この中にもありますように、寄付金というものが受けられるようになっておりますからね。そういうものによって経常費をまかなっていくんではないかと思うんですね。これは私は12チャンネルの問題を思い起こしていただきたいと思うんです。私はこの12チャンネルについてはあらためて御質問したいと思っている。これは会員組織を最初とりましてだいじょうぶだ、おれたちが出してやるということで、あれは純然たる科学放送として始まったんでしょう。ところが、今日どうですか。三十五億の負債をかかえて、しかも、免許した当時の条件から全く違った民間のいわゆる総合放送的な娯楽放送を中心にしたものをやっているわけです。こんなことがあんた許されている、堂々とね。要するに、約束をしたその協力会員があとになって金を納めないんですね。そういうことからして、いまや12チャンネルというのは、あれだけの再建をやり首切りをしてやったんだが、いまになっても風前のともしび、今度時間を延長しておりますけれども、野球の放送をやって、しかも、前とうしろにだけしかCMを出してはいかぬというのに、その間にどんどんCMを流して、全く民間一般の娯楽放送じゃないですか。聞いてみれば、カーブがこうなるから、それを説明するから教育的だと言っておりますが、とんでもない話ですよ。そういう、いま、でたらめな、日本には12チャンネルがある。これに対して何にも手がつけられないじゃないですか。財界にしても、政府にしても、みっともない話ですよ。村木さんですか、今度責任者になられた方だって、非情に悩んでおられました。しかし、この借金三十五億、完全負債は五十一億以上あるんですよね。そういう全く借金だらけのものが、いま借金も払わないで、利息も払わないでやっているわけですからね。私はそういうことをちょっと想起してみて、このセンターというものは三億か四億か、額は非常に少ないかもしらぬが、途中でそういうようなことの二の舞いにでもなったらたいへんではないかと、これは老姿心ながらも心配するわけですね。その点は、認可をした総理大臣の——少なくとも財団法人としての認可をとるわけですから、総理大臣の。ところが、これに対して立ち入り権があるかないかの論もこの前やりましたんですが、これはできるのです、ちゃんと。だから、そういう意味では認可をすれば、これは内閣の責任は非常に重いわけです。だから、絶えずそういう点をこれから指導というか、立ち入らない範囲において許されたものはやりたいと思いますけれども、そのようなやっかいな問題がこれはついておると思う。これは幾ら出すのか、いまここであなたから聞きませんですが、予算が出てないですからね、わからないですが、その辺の御配慮はどうなっておるか、私はわかりませんが、たとえば委託した映画ができますでしょう。そうすると、その映画は総理府の提供した短編映画と、こうしたタイトルをつけて、キー局三局が、あるいはフジテレビですか、やりたいと言っておりますが、そういうふうにしてタイトルをつけて、言うならば、スポンサーを明らかにしてやることになるのですか、それとも、一億五千万の金を出したけれども、つくってしまったものにはそれにスポンサーがついて、あのポッカレモンの名古屋みたいに、ビタミンCが三倍強化されているというような、ああいうかっこうでスポンサーがつくのですか。この点はどうなんですか。
  43. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) 実はこの点はただいまも詳細にわたることはいま審議中でございますけれども政府は委託費を、ある素材を提供して、これを三十分ものにまとめてもらいたいという形で委託して、その委託したものを、向こうと話がついておりますのは、テレビの場合の放映、映画の場合の上映ということを条件にして委託をさせている。そうして委託した後は、この作品をPRセンターに無償貸与いたしまして、センターは評議員会の関係者その他の方に、大体これはどこでひとつ電波にという形でやりますから、日本広報センター、電波料を出すところは、出すところの名前がこれに入る。それから実際の制作はこの放映するテレビ局という形になりまして、その形をとりますことが、いままで私どもやっておりますテレビは、全部出てくるところは総理府提供と、こうなっておりますから、かなりいい番組ですね。総理府提供などというと、何かかたいようなことをやるということで、チャンネルの回り方の率が、教育番組としてのNHKの次くらいにはなっておりますけれども、これは三十分か一時間くらいにしたときに、そういう形のほうがもっといいのじゃないかということを考えて、そういう形式をとろうと考えております。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 すると、もっと具体的に、委託したものをセンターに無料で貸すわけですね。貸してそれを放映するときに、あるいは映画館で上映するときに、これは総理府提供のものであるとかいうような、要するに、一つのスポンサーになるわけですからね。スポンサーの名前はなまに出てくるのですか。それとも、どこかの会社が今度はスポンサーにつくわけですから、キー局の三局、四局にしたって、民間局ですから、そうなれば、またテレビ局のほうはもうけなければならないわけですから、電波料というものを取れば、当然スポンサーというものを入れなければ、あなたスポンサーは金出しませんよ。そこのところはどうなるかということです。
  45. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) その点いま申し上げたつもりなんですが、たとえば制作委託をいたしますけれども、それは委託条件でぴしゃっとこうやりますが、委託したものができ上がった瞬間に、そのものが政府に帰属いたしますね。それをセンターとして無償貸与いたしまして、無償貸与するときに、放映、上映を条件にして無償貸与する。ですから、それから先は政府のほうで金は全然出しませんですね。ですから、実際放映、上映される場合は、企画は日本広報センター、それから制作はそのテレビ局、TBSならTBS、実際最終制作はそこになってしまいます。そこで、現実の制作、具体的な制作をやりますから、そうして、そこへ保険協会なら保険協会というもの、スポンサーですな、それが出てくる、そういう考え方であります。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、企画は総理府、それから制作はTBSならTBS、あるいはNTVとかNET、それからコマーシャル、スポンサーがついてきますね。そうすると、総理府は企画をしたという名前は出ますけれども、消えていくということですな、名前は実際に。そうして広報センターというものはそれを活用して出てくるのだ。だから、委託費というのかな、金を出してやる、要するに協力費ですな、広報センターに対する委託費というからおかしくなるので、委託費なら、今度、あなた方のほうでつくってもらえば、取り上げてきて、それを今度は委託でもってそこの放送局で放送してもらう、そして電波料は幾ら、こうするのがこれは委託だと思うな。要するに、広報センターに一億五千万円やるからこれだけで短編をつくってくれと、そうして、あとはおたくのほうでどうぞ御自由に使ってくれ、こういうことですね、そうじゃないんですか、簡単に言うと。そうなると、これはちょっと一億五千万の金の使い方について、やはり問題が私は出てくると思いますけれども、その点はどうですか。
  47. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) 私どもが実施しております番組から見ますと、どちらも広報の委託費に入っておりますが、従前の委託費と今度の委託費との違うところは、今度の番組委託費については、電波料を含んでいないというところであります。これは単に経費を惜しむということだけではありません。たとえば、いま実施しております十五分番組を、三十分番組に広げても、またさらに一時間番組にふやしたとしても、総理府の提供という形で実施する場合は、一般の視聴者が何か一方的な押しつけというような感じを受ける傾向があります。それに対して、今回の委託制作は、その番組を総理府提供とせずに、これを民間諸団体の協力によって提供する形をとるわけであります。委託費の使用につきましては、会計検査院の監査も受けるわけでありまして、非常に厳密に行なわれることは当然のことでございます。制作された番組は政府に帰属しますが、これをセンターに無償貸与し、センターはこれをできるだけ多くの放送局を通じて国民に視聴してもらうよう努力することになります。その運営に機動性を持たせることによって、一そう広報の効果をあげるようにしたわけであります。放映については、評議員を中心電波料の提供を行なう協力が行なわれるわけでありまして、その協力した方々の提供名で実施されることになります。制作につきましても、たとえば交通問題や公害問題を取り上げても、政府側から見た対策だけでなく、第三者的な国民大衆の側からの立場でこの問題の解決を考えてみるという形で、一そう親しみやすく理解されやすいような番組になるようにしたいと考えております。こうした意図でございますので、従前の委託は、制作費と電波料を含んだものでありますが、今回のものは、委託は制作費だけに限り、放映、提供は民間の諸団体の協力によって広報を実施するということの違いがあるわけでございます。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 それもあなたがお認めになりますしね。もう一つわれわれおそれるのは、センターにまかせます、そうすると、それは一つの商品として放映されていくわけですね。その場合に、スポンサーがつきますね。そうすると、政府がどういう意図を持っておられるかわかりませんが、スポンサーがつくことになると、内容を見て、これは価値がある、自分の会社がスポンサーとして電波料出して放映してもいいということは当然考えますね、商売ですから。そうすると、どうしてもおれは内容が気に食わぬということで、これはスポンサーがつかぬかもしれない。そうすれば、せっかくつくってみても放映できない、宝の持ちぐされになる。今度は逆にこういうふうにしてくれとか、ああいうふうにしてくれということで、むしろスポンサーから注文がついてくる。ですから、あなたが崇高な考え方を持って、国民政府の政策を十分に宣伝する、こういう思想は私も賛成です。もっと私言うならば、あらゆる商品についても、新しいものについては、その内容等を検査して、今度はこういう電気製品が販売されているけれども、これは品定めしたところが、こういう点がいいとか悪いとか、飲料水が出たけれども、これがいいとか悪いとか、こういうことを政府が絶えず、テレビ、ラジオ、新聞、いろいろな出版物でどんどんやってもらう。これは幾ら金を使っても、いまのようにごまかしてうまい汁を吸うというような、そういうことが多いときですから、これは消費者が国民立場から喜びますよ。そうして積極的に、九億使っても十億使ってもいいです、国民は喜びます。こういう品物が出たけれども、なるほど、これは国で検査した結果、こういう長所、短所がある、これを知って消費者が買えるわけですから。これは西ドイツあたり、デンマークあたり、積極的にやっています、相当経費をかけている。私はこれをやってもらうならば、これは大いに賛成ですが、どうも逆になっていく。あなたがそういう構想でやろうとしても、今度はスポンサーが、そんなものはわが社が金を出さない、だから三井さん、こうしてくださいよ、「日の丸」だってこうしてくださいとか言ってスポンサーがいろいろ注文をつけてきて、あなたの言うような政府の正しい行政の政策が国民に伝わらない。スポンサーがつきませんよ、おもしろおかしく何か一つ方法が、企画が出てこないと。そういう心配が出てくるものですから、一億五千万という金を広報センターに委託して出すことによってどうなるか。総理府がつくらして、つくってもらうのだから金を出しますよ。そして、おたくの電波料つけて各放送会社にやらしてもらう、これは話はわかりますけれども、どうなんですか。そこら辺の問題が残ると思う。そこで、きょうは時間も非常に制約されておりますし、だから、事業計画、収支予算がまだ出ておらないようですから、もう一度センターのほうの計画が出てまいりまして、そうすれば、大体の概況がわかると思いますけれども、いまは大体私が推察をして質問するような段階ですから、もう少し煮詰まって聞きたいと思うのですが、そこで、評議員もすでにきまっておるようですね。話によると、日本新聞協会の会長の上田毎日新聞社長だとか、今道東京放送の社長だとか、酒井民放連の専務は評議員を断わったという情報が流れておりますね。これはとにかくとして、ここに十七人の評議員が任命をされる、それぞれテレビの会社の社長さんだとか、いろいろ並べておりますけれども、そういうふうな評議員が任命されて動いていると思いますが、いずれまた、これはそのときやりますが、最後に一つ確認しておきたいのは、広報センターと総理府との連携というものが一体どうなのか、一億五千万国費をつぎ込むわけですから、したがって、総理府の、おたくの広報室とこのセンターとの間にどういう連関をとって今後やっていくのか、あるいは直接あなたが評議員になり、番組制作委員会ですか何なりに——あると思いますからね、そういうものをつくると思いますから、それなりに入っていって、政府の役人がね、そこで政府意見を述べるようにするのか、あるいは、そうすると内部干渉的になって、番組編成権という問題が出てくるから、もう少し弱いものにして、政府としてはこういう考え方でやってもらいたいというので、おおよその計画素案というものを提供をして、あとそこでやってもらうようにするのか、そういう点がこれからの運営の中で問題になってくると思いますから、その点だけきょうは伺っておいて、次の質問に入りたいと思いますから。
  49. 三井芳文

    政府委員(三井芳文君) センターの内容としましては、会長、理事長、専務理事、常務理事、これに事務局長、下に総務部と企画制作部、事業部、業務部というようなものを設けます。そのほかに、企画審議会を設けまして、企画審議会は各テレビ局の報道局長編成局長、そのクラスの方、これは各局ともみんな同意を得ておりますから、その方々。それから、その下に制作委員会がありまして、制作委員会のほうはそれぞれの、ただいま申し上げた報道局次長、編成局次長、このクラスの方がそれぞれの委員会を構成しまして、総理府から提供されます素材を、上の審議会のほうではどういう角度からこれを取り上げていくかというふうなことを審議し、その方針がきまりますと、この制作委員会のほうでは具体的にどういう形でどんな俳優を登場させてやるとかいうふうなことを考えて、大体こういう範囲でやってくれというおおよそのできたやつで、それぞれテレビ局へ具体的な制作をお願いしようという形になりますので、初めは、せめて私が企画審議会か制作委員会のほうへ何らかの形で実質上参加させていただいてやることも考えておりましたが、いろんなことを考えまして、やはり誤解もあるといけませんから、せめて素材を向こうのほうで、国民の側のほうでやっぱり納得いくように、第三者的な立場でよっていただいて、私のほうでは、素材を提供する立場としては、変なふうに曲げられても困りますから、曲げないようにセンターと私のほうの連絡は常時緊密にいたしまして、この中身のほうは全部ノータッチでまいりますように、総務長官ともこの間お話もして、御了承を得ておりますから、その方針でいくように考えております。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 その方針が、私は、全体としてまだ私の気持ちは整理してませんから、ここでこのセンターを支持するとは、かりそめにも言えませんけれども、その点だけはやはり私はそのほうがいいと思いますね。やっぱり自分で入っていくなんということはちょっとまずいですよ。ただ連絡的な立場に立って政府考え方を言うのはいいとしても、直接、組織機構の中に入っていくのは、これはまずい。この点は総理府の塚原さんも了承をしたとすれば、それはけっこうだと思います。いずれ、予算と事業計画が明確になりましたら、もう一度、三井さんすいませんがおいでいただきたいと思います。きょうはありがとうございました。  それから最後に、日本情報処理センターの問題について……。通産省からもおいでいただきまして、ありがとうございました。きょうは郵政省、電電公社にもおいでいただいているのでありますが、最近私ども新聞とか、あるいは雑誌、週刊誌等を拝見しておりまして、これからの非常に大事な情報処理システムについて、通産省なり、あるいは郵政省なり、それぞれのお立場で勉強されて研究されているように伺うのでありますが、ただその中で心配されるのは、これはこれだけの問題ではなくて、いつも各省庁間のなわ張り争い的な問題も多少からみまして意見の相違も出てくる、そういうところをまた雑誌とか、その他の業界紙とか、そういうものが取り上げて報道しているのだと思います。私はこの際、非常に第三の通信ともいわれております情報処理のセンターというものについては、センターというか情報処理システムですね、これについては、スタートが非常に大事でございますからね、われわれ国会としても非常に関心を持っているわけであります。そこで、きょうは、これらの基本についての考え方を明確にして、その上で、ひとつこれからの体制に取っ組んでもらいたい、私はそう願っておりますので、そういう角度からこの問題を伺いたいと思います。  最初に、郵政大臣にお尋ねしたいのですが、すでにこのデータ通信といわれる加入電信ですね、テレックスあるいはテレタイプ、こういったサービスは、電電公社が提供をして、全国のかなりすみずみまでこの事業を拡充してまいりました。しかし、なおこれを促進しようとして努力をされていることはまことにけっこうであります。やはりこの加入電信サービスということは、私は一つのデータ通信だと、こう判断をして、もう長い前からこの委員会でも意見を述べてきました。そこで、ことしの予算を審議するときに、新しく地銀協を——これは大阪にある、大阪に中央の電子計算機というものを置いて、これを地方銀行協会加盟の約六十銀行との間にデータ回線で結んでいく、そうして為替処理業務というものを公社が直接経営するサービスとして提供したい、こういう内容であります。私は予算委員会でもこの点は公社に確かめているわけでありますが、こういう新しい加入電信からもう一歩前進した、いわゆる電子計算機——コンピュータを使ってのデータ通信というものが一歩前に出てきた。これも私は双手をあげて賛成いたします。したがって、これは予算審議の際に明らかになったのでありますが、電電公社の試行サービスとして郵政大臣が許可されたのですね。これは許可されております。これについては、コンピュータを導入することが、公衆電気通信役務として、これは法律上いいのかどうなのかという私は論もあったと思うのです、これは予算に計上する際にですね。これは閣議で論議したかどうかは別としても、少なくとも所管大臣である郵政大臣なり、あるいは大蔵大臣なり、あるいは関連をする皆さんは、電電公社がこういう地銀協を中心としたデータ施設というものをサービス提供していこうということについては、意識統一をされて予算を計上されたと、こう思うわけでありますが、そういうものが新しく出てまいりました。これは正式に認められました。そこでですね、今度問題になっておりますコンピュータ、要するに、中央情報処理センターというものは、これは何か万国博覧会を目途におつくりになるようで、かなり詳細にこの内容も報道されておりますが、この新しい電子計算機を算入した情報処理センターというものが、不特定多数のたくさんの人々を対象にして日本にこれから動き出していこうという、そういう段階であります。したがって、私はこの新しいシステムにどう対処していくかということは、通産省としては、通産省の電子計算機等の開発のためにいろいろ指導育成をされていくわけですから、そういう観点からお考えがあるかとも思います。また、郵政省としては、これが第三のいわゆる通信、すなわち、公衆電気通信を主体とする現在の公衆電気通信法上の施設としてこれを認めていきたいというそれは当然考え方があるでしょう。どっちにしても、これはオンライン——いわゆる電電公社の回線を使わぬことにはどうにもならぬのでありまして、そういう意味からいうと、やはり地銀協と同じようなシステムですね、オンライン・システムということになりますと、公衆電気通信事業の一環としての情報処理システムということが明らかになってくると思う。そういう意味からして、郵政大臣としては、この情報処理センターというものが、自分の所管の通信行政の一環として今後これをとらえていくべきであるというふうに明確にお考えになっているのかどうなのか、これはひとつ最初大臣から伺いたいと思うのです。
  51. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいまのお尋ねでありますが、要するに、電気通信回線に電子計算機を直結して行なう情報処理あるいはデータ通信と称するものは、電気通信サービスの範疇に当然属する。したがって、いまの法律のたてまえ等からいたしましても、これは電電公社が行なうべきものである、こういうふうに理解しておりまするし、ただ、法律そのものは、こういうことは、あまり予定しておらぬから、きわめて不完全なものであるが、必要なら、法律の改正もいたしてよろしい、要するに、電気通信サービスの一つとして公社が行なうべきものである、こういう解釈をしておることを申し上げておきます。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、私もちょっとよくわからないのですけれども、電気通信業務としてとらえていくというその考え方は、少なくとも電電公社の通信回線というものを使用していくわけですからね。ですから、そういう意味からいうと、地銀協がその一つのはしりだと思いますけれどもね、コンピュータを入れるわけですから。もっとこれは規模は大きいとしても、そういう意味において、郵政大臣は、公社の電気通信回線に電子計算機というものを入れる、そして入出力装置というか、いま言ったように装置して、直結してやるようなものは、それはやっぱり本来の電電公社のサービスとして提供すべきものだ、こういうふうにはっきり言えるわけですね。その点、もう一回、すみませんが。
  53. 小林武治

    国務大臣小林武治君) そのとおりであります。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、これは通産省にも伺いたいのですけれども、承りますと、通産省では、おそらく基本的には電子計算機のメーカーをどういうふうに育成していくか、そういう立場で基本的には私は御指導になられていると思うのですがね。そこで、いま伝わっております日本情報処理センター、これは仮称ですが、七月の中旬を目途に設立をしていこうというような話を私たち聞いているのですが、この万国博覧会における電子計算機の利用計画というものを目的とした日本情報処理センターといいますか、そういうものは、一体通産省として、いままでどういうふうな考え方でとらえてきたのか、ただ単に電子計算機のメーカーというものを育成するという立場から、このものを論じてきたのか、それとも、もっとこれは電気通信という分野でなくして、新たな観点から、情報システムとして問題をとらえてきたのか、その辺の判断によっては、少し通産省として——これは聞いてみなければわからないのだが、本来のあなた方の使命から見まして、多少そういう観点を変えて、これは公衆電気通信役務ということじゃないのだ、これは端的に言えば、おれのほうでひとつ問題をとらえて通産省の所管業務としてやっていくほうがいいんだという前提に立ってこれは話をしてきたものか、その辺が私はやっぱり問題だと思うのです。いま顧みて、有線放送電話の問題にしましても、いま問題を起こしているのは、郵政省と農林省との通信というものに対する考え方がずれておりますね。ここへ来て聞いてみると、全くわれわれ専門的立場から見ると、ピンボケの答弁をするわけですな、五年も六年もたったあとで。やはり緊密な連絡といいますか、こういう問題はもし、あなた方がこれは通信の分野に属せずという観点に立ったとするならば、これはたいへんな誤りをおかしておるのであって、通信の分野にあらずと、そういう観点に立ってやったとすれば。私はそう思います。その点を最初に承りたいと思いますが。
  55. 高島節男

    政府委員(高島節男君) 御質問の情報処理産業というものと、ただいま設立準備中でございます情報処理のセンターというもの、こういうものが登場してまいります背景のとらえ方でございます。私の率直な個人的な感じを申しますと、単純にこれは機械としてとらえていくものでもなく、さらに単なる通信としてとらえていくという考え方でもない。これは法律論は別といたしまして、問題の所在点を握った気持ちからいいますと、もう少し高い、近代社会の非常な発展に応じまして、経済その他の問題を中心にして、いろいろな情報が、たとえば金の流れ、あるいは物の流れ等々に応じて出てくるわけです。それが最近では人間の頭ではこなし切れない、逆に機械を主役にしまして、これでこなしていくという世の中に大きく移っておるようでございます。そういう情勢に即応して、かたがた電子計算機というものが非常に発達をしてまいりまして、近代社会の要請に応ずるようなコンビネーションができてきた。そういたしますと、そこに出てまいりますいろいろの各分野の情報というものの総合的な処理をしていく機能が、電子計算機を中心にして、これを主役にして可能ということになりつつあるわけでございます。日本の技術等は、いろいろの面において諸外国に比べてまだ遜色のある面がございます。機械それ自身はまずといたしましても、その周囲にありますいろいろなデータの処理とか、あるいは知識産業的な、ソフトウェアと専門的なことばで申しておりますが、そういった面とかにいろいろの問題がございます。これを総合的にまとめまして、情報の処理という一つの産業が、将来大きく芽ばえていく時期が差し迫りつつありますので、私ども気持ちとしては、それが法制上どこでどう該当するかということは第一段といたしまして、まずこういった実態ができつつある現実をとらえて、それに応じた国内の研究開発と、さらに、それを若干実験をいたしてみると申しますか、事実上の試みをしてみることによって、この大きな将来への波を受けとめていこうではないか、こういう気持ちでございます。  それで、業界等からも識見を仰ぎ、かたがた電電公社のほうにも、そういう方面については非常に御造詣が深いわけであります。それから御指摘のように、通信ということを離れてこれは成り立ちません問題であることは確かであります。それとからめて、この際、非常に相手がわからないで、ぼうばくといたしておりまして、むずかしい問題でございますが、ひとつそこに揺籃期に応じた組織というものをつくりまして、極端に言えば、国の総力といいますか、各方面に散っているいろいろの頭脳、技術、そういうものを結集して、一本にしてやっていこう、こういう気持ちが、今度の呼びかけのきっかけになっておるわけでございます。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 一応あなたの考え方はわかりましたが、ただ問題になるのは、お話のように、日本の情報処理産業として新しい分野としてこれがとらえられているようですね。それと、いま万国博覧会を期して博覧会場における情報処理ですね、こういうものをおたくのほうで考えているようですね、このあれを見ますと。この中にあなたのいま言われるような考え方のものが基本的にあるとしても、少し頭を早く出してきている。要するに、情報処理センターというものは、どこで行政的にどうするかということを離れて研究をするとか、国家立場に立ってやっていくんだ、それはそうだと思いますね、それは産業の発展のために。ただ、そういうことを言っておきながら、一面におきましては、情報処理センターというものが具体的に出て、これを見ますと、これは私いろいろ週刊誌等の——おたくでもごらんになったと思いますが、「和製コンピュートピア物語」というので、「潮流ジャーナル」ですか、出ておりましたが、「「日本の情報処理産業を、国家的な統制のもとに育成し、発展させていこう」という威勢のいい合言葉のもとに、通産省と電々公社との間に基本的な了解が成立し、これに、大資本の電子計算機メーカー六社(日立、東芝、日本電気、三菱電機、富士通信機、沖電気)」と、こういうものが加わって、日本情報処理センターというものを設立するようにいま報道されているわけですね、そうでしょう。そうすると、一体いま万国博覧会でやろうとする資本金十億ですか、これによりますとね、「賛助会員(需要者層、官民を問わず)からの会費徴収」とか、この中に「各種情報処理方式の開発普及」「各種プログラムの開発普及」「情報処理要員の養成」「情報処理に関する調査、研究、」、そのほか、いろいろと具体的には、入場券がどうとか、宿屋がどうだとか、そういうようなところまで含めた広範な情報処理センターというものをいわば万国博の中でやろうとしているわけですね。そういうものがはたして公衆電気通信の領域に入るのかどうかということは、すぐここで論争になってくる。それは局長の言われるような考え方は、一つ考え方として私たちわかります。行政的にどうなるかということは別として、研究しておられるということは、これは通産省としていいことでしょう。しかし、もうそのときにすでにそういう具体的なものが示されてくるということになりますと、公衆電気通信の役務であるかないかという、オンライン・システムというものとして公社の線を使わなければ、何ぼ通産省がいばってみても、これはできません。あなたのほうでたいへんな通信網を全国に張りめぐらさなければできないんだから、それは既設の公社の施設の線を使うということになる。いま地銀協の問題もあるだけに、こういう問題が必ず出てくるわけですよ。それが早く頭を上げてきたものだから、そこで、基本路線というものと中間における万国博というものをとらえての施策というものが衝突しているんじゃないかと私は思うのです。ですから、そういうことはちょっと局長さんのおっしゃる考え方から見ると、先ばしったものが頭を上げてきておりはせぬかと思うのです。これはどうでしょう。
  57. 高島節男

    政府委員(高島節男君) 私どもの現在の仕事の進め方から申しますと、まず、こういった情報処理産業といいますか、そういうものに取り組み得る基本的な基礎固めがまず第一歩であろうかと思います。それが情報処理センターの一番の構想の中心になる、本質はそこにございます。ただ、たまたま万国博覧会の予定がございまして、ここにおいても電子計算機が、人類の進歩と調和でございましたか、そういうスローガンの角度から情報処理等ともつながって、一つのテーマになってくる可能性が出てまいっております。したがって、今後いかようにこれを具体的にやっていくかということについては、まだ掘り下げをきかしておりません。こういったセンターで電電公社あるいは業界というものの一致体制ができ上がっていくということがまず先決問題でございまして、それを受けまして、万博の利用等についての中身に入っていきたい、こういう段取りになっておりますので、したがって、万博の運営の中身として、ホテルの何か具体的な情報の処理をどうするとかいうようなあたりは、これはまず体制が固まってからあとで掘り下げていくべき一つの問題でございまして、そこまでは何もきめているわけじゃございません。  それから、いま一点の地銀協のビジネス等々との関連も若干ございますが、地銀協のビジネスをわれわれのほうのとらえ方から見てみますと、非常に何といいますか、情報を処理したり、加工したり、電子計算機というものは非常に大きな性能を持っております。人間以上の頭の働きをするだけの機構があるわけですから、そこで処理、加工するということは、非常に技術の進歩である、第三の産業革命であるということが言われているポイントではないかと思います。その主役になってまいります電子計算機のその働き、これを基礎にした情報処理というものが今後大きく動いていくかと思いますが、現在出てまいりました地銀協のケースは、加盟銀行間の為替交換を対象といたしておりまして、それぞれのデータをお互いに交換していくという感触のきわめて強いものでございます。  それから電電公社といたしましては、まずこれに対して試行の役務としておやりになっていくということも、これは一つのケーススタディーとしての経験を蓄積していかれることでございますので、私の感じでは、非常に実質的に有意義だと、こういうふうに判断をいたしているわけでございます。  さらに、郵政省と私たちとの間では、将来のこういった問題について、目下いろいろと御懇談をいたしている段階にございます。それは御指摘のような点についての問題もこれはございましょう。私ども、まだしろうとでございますから、いろいろな角度からの通信というものの検討は十分詰めておりません。そこらはわれわれもそういった実質的な、頭の中に描いているイメージ、それから今後やろうとする事柄等とのすり合わせというものは、今後両方でざっくばらんにまじめに意見交換して結論を出していきたい、こういう心境におる次第でございます。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 これは私も少し——少しというか、多少関心を持っているものの一人ですから、いろいろなものを見て研究しているわけですがね。おたくのほうで三月三十日に日本情報処理センター構想試案というものをつくっておりますね。それから電気通信学会が電子計算機による万国博覧会情報管理システムというものを一応まとめたものがありますね。そういうものは資料としていただけますか。
  59. 高島節男

    政府委員(高島節男君) きょう手元にはございませんが、まとめて差し上げることにいたしたいと思います。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 これを見ますとね、私は業界の諸君とも仲よしがいるんで、これはあなたのほうで説明したのかどうか知りませんが、資料をもらっております、借りているんですが、率直に言って、その内容を見ますと、非常に問題がある。これはおたくのほうで仮称構想試案というものの中に、電気通信回線に電子計算機を接続するということを非常にぼかしまして、各種情報処理方式の開発普及、そういう面から問題をとらえておるような面があるし、それから開発の面、情報処理センターの資金の面についても、これは競輪の金をこっちへ回してやるとか、われわれから見ると常識で考えられない点があるものですから、これはいずれ、私は内容を詳細に、正式に資料を出していただいて、その中で、もう少し私の意見も申し上げたいし、また、通産省の意見も伺いたいのでありますが、局長の言われる、やはり通信をどうするということは考えていないんだ、まだ。しかし、郵政省のほうにも、そういうことについてこれはお知恵を拝借してとおっしゃっている、それはそうでしょう。やはりこれはオンライン・システムでやるということよりしかないんですから、どう考えてみても。そうなれば、電電公社の線を使わなければならない、これは郵政省が監督権があるわけですから、そういう意味で、郵政省とも緊密な連絡がなくして、この問題をただ単に情報処理産業をどうするかということでとらえていくことは、けっこうなんだが、少なくとも一つの手段として、これを実際どう運用するかということになりますと、これはやっぱりあなた方だけが思い過ごしで前に進んでみたってこれはだめですよ。だめです。ですから、そういう意味で私は論じているわけです。だから、現にこれらの電気通信学会のあれなんか見ても、駐車場の管理、会場周辺の交通管制あるいは場内案内、情報とか、そのほか、入場者の統計、清算管理業務、収支計算業務とか、こういうのはどう考えてみても、公社のほうで一つの通信としてやらなきゃならぬような問題が幾つか出てきますね。だから、これが流れますと、やっぱりわれわれが見たって、これはおかしいぞと、すぐ直感しますね。ですから、電気通信学会というのはどういう権威のものか私よく知りませんけれども、通産省と直接関係あるのかないのかは別として、こういうのが出てくると、すぐやはりこれに対して疑義をはさむ。  それから、こういう情報処理センターの資金の問題等についても、競輪競技の金が五十億ないし六十億あるから、これは機械振興資金で補助等に使う、これは使うことは許されておることですからいいとしても、やっぱりそういった新しくできる第三のいわゆる情報処理産業に対する金の使い方としては、もう少し国として考えていいじゃないかというような点も非常に問題になってくるわけですから、きょうは私はそういう意味において、郵政省考え方と通産省の考え方と、これから伺う電電公社の考え方がはっきりしておりませんので、これが何かからみ合っちゃって、前へ進んでいくようなかっこうになると、これは非常に困るわけですから、そういう意味で、私はこの問題を伺ったわけです。  そこで、通産省としては、メーカーの育成といいますか、助成といいますか、そういう点はあれですか、どういうところを中心にしていままでやられておるのですか。
  61. 高島節男

    政府委員(高島節男君) 現在電子計算機は、技術的に、御承知のように、日本は後進性といいますか、取りついてはおりますが、外国からの技術導入が中心になっておりまして、一歩おくれておることは御承知のとおりでございます。外国と申しましても、主としてアメリカ、特にIBMというところが非常な強敵でございます。これの強さというものは、単に機械あるいはその部品等についての性能あるいはコストという面だけでなく、そのほうは非常な努力で日本側のほうも追い迫っておりますが、むしろ、ソフトウェアと申しますか、この機械をいかに使いこなして一つのプランを成熟、成就させていくかというところに相当の遜色があるのが一つ、それからさらに、販売の段階におきまして、相手は非常な大きな企業でございますから、販売条件がきわめて外国側のほうは延べ払いで——延べ払いと申しますか、むしろ、レンタル制度と申しまして、貸してやってまたもとに取り返す、こういう形の所有をさせる、リスクをカバーした方法をとっておるわけでございます。そのほか、日進月歩、技術の蓄積が向こうにございますから、一つの型がいくとまた大きな型が出てくる。将来の情報処理等を頭に描いた電子計算機というものは非常に高性能なものになってくる、こういった三つの条件があるかと思います。  したがって、第一のソフトウェア等、機械を使いこなしていく、利用等につきましての技術、この面については、各社が、ソフトウェアの会社をつくりまして共同出資でやっておりますが、それと第三に申し上げました技術のおくれを取り返すための政府の援助という形といたしまして、非常に超高性能の電子計算機を開発するについては、私どものほうの工業技術院から全面的丸がかえでこれをやっていく方法をとっておる。それをソフトウェア会社に現実に下請させて、各社の総力を結集して技術面の発展を期しておるということになっております。  それから第二の柱として申し上げました販売上の問題といたしましては、現在、日本電子計算機株式会社というものが設立されております。これが開発銀行から金融を受けて、それが本年度から特に七分五厘の低利のものをもらうことといたしまして、アメリカのIBM等が行なうレンタル方式に対して、日本側の販売力の弱いのを、そこに一手に一応電子計算機を買い取りまして、そこからユーザーに対してレンタルしていくという形において、販売条件の振り分けをしていくという形をとっております。  要するに、技術においての後進的な面を政府の力において必死にカバーしようという技術の振興の面と、さらに、これを金融の面、販売の面でおくれをとらないような制度、この二つが中心と相なっております。  さらに、こういった分野につきましては、いろいろな面で体制の整備等も必要でございますので、電子工業振興法に基づきまして、そういった部品の生産等について、産業界の規格あるいはその体制等を整備しつつ、こういった補助金あるいは融資と結びつけながら運用しているというのが現状でございます。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 ポイントは、これからの技術開発をする場合に、アメリカのIBMなり、それからイギリスのパワーサーマスなり、いろいろあると思う、外国の会社では。しかし、国内産業というのは、どういうふうにとらえて——技術提携をやっているところもあると思うが、そういうところをどういうふうに考えてやっているか、これは資本の自由化もありますし、貿易の自由化もやられている段階ですから、私は率直に言って、こういう部門に外資がどんどん入ってくる。名実ともに資本攻勢、外国の人たちに、ことばは悪いけれども、占領されていく、占有されていく。私はかつてカナダに行って見ましたけれども、カナダに対するアメリカの産業資本というものは、ものすごいものです。ほとんど全額持っている、八割持っている。形式的に社長はカナダ人ですけれども、この重役のポストは全部アメリカ人で固めている。こういう状態を見てまいりましたが、その資本の自由化の激しい中で、一体既存の日本の国内のメーカーというのはどういうふうに育成していくかということが、残念ながらあなたの答弁の中に聞けなかった。IBM、IBMとおっしゃるけれども、IBMは、これは世界的に有名な技術の会社ですけれども、生産能力もある会社ですから、どうせ日本の電子計算機というものは、IBMの世話になっていることも間違いないでしょう。そういう意味においては、深く感謝いたしますけれども、日本の固有の産業の中で、すでに電子計算機の開発能力というものは十分にあると私は見ている。ですから、そういうものに対して、一体通産省としては、具体的にどういう指導援助をしていくか、これは非常に問題のあるところです。私はむしろ、そういう点を重点にあなたの考えを聞きたかったわけですが、どうですか。
  63. 高島節男

    政府委員(高島節男君) ただいまの御指摘の資本自由化あるいは商品自由化、これは事態がもう進行してしまった分野かもしれませんが、その両面にわたりまして、電子計算機については、極力日本の固有の技術をこれから育てていく、最初段階においては、先方の技術を入れましてこれをこなしていくという形でスタートせざるを得なかったのでありますが、今後は、できるだけ——これは非常な企業格差があり、技術蓄積に格差がございますので、なかなかたいへんなことでございますけれども、日本固有のものを育てていく、こういう観点から、実は商品の自由化につきましても、一部の部門を除きまして、まだ電子計算機については、輸入制限が継続されております。部品もIC等につきましても、依然としてこれを継続しております。これはそういった形の日本国内における技術開発の発展を期するというためのやむを得ざる一つの防壁でございます。工業品の中でも、特に通産省はその点について重点を置いて守っていく形になっております。資本の自由化になりますと、企業自身が入ってまいるわけでございますから、この力は技術力、経営力の差がもろにぶつかってくることになりますので、非常にこの点は慎重にかまえなければいかぬと思います。資本、技術両者の差がこれだけある分野というのは、電子計算機が典型的な例であります。同時にまた、開発されれば伸びていくという可能性があるという点において、非常に特徴がある分野であるかと思います。現在の格差を極力縮めるために、資本自由化、それから商品自由化ともに慎重な態度を、対外的にはいろいろ問題がございますが、極力とっていく、また、いかざるを得ない立場にあります。それと同時に、先ほど申し上げました大型プロジェクト等によって、技術開発に、他に見られない思い切った政府の施策を講じていく、また、部分的には、鉱工業技術資金等も、補助金等で技術的な援助を民間に対してやって、現在の超高性能の電子計算機開発を、官民一体となって、工業技術院が中心になって、一〇〇%政府まるがかえの形で去年から実行に着手しておるという点が、非常に注目する点であるかと思います。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 まだ非常に私も疑念に思い、また申し上げたい点もございますが、時間を制約されて、いまでもおそくなったと思って申しわけなく思っているのですが、そこで、結論的に質問していきます、またあらためてひとつ伺います。  電電公社の総裁にもきょうおいでいただきましたが、たいへんお待たせいたしました。何と申しましても、いま郵政大臣なり、重工業局長からもお話しのように、電電公社の回線を使用しなければこれは不可能である、これは両者とも一致しておるわけですから、そういう第三の通信といわれて、公社としてもいろいろ今日まで開発研究等については、みずからの試験所もあるでしょうし、そこにおいて研究を重ね、今日に来ていると思いますが、この公衆電気通信役務としてやるべき筋合いであるという、そういう見解が郵政省から発表されておるのですが、電電公社としては、その点については、まず総裁がどういうふうにこれを考えておられるか、まずこれから伺いたいですね。
  65. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 先ほどこのデータ通信につきまして郵政大臣からお答えがございました。公社といたしまして、この法律解釈の有権解釈は政府にありますし、先ほどの郵政大臣お話のように解釈していきたいと思います。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 それで、データ産業ですね、これについて電電公社では、電電公社の電気通信研究所というのがあるわけですから、そこでいろいろと開発、研究されていると思いますが、そのほか、私がちょっと拾ってみても、日立とか、あるいは東芝、三菱、日電、富士通信機、そのほか、前の沖電気とか新興とか、そういった従来データ通信に対して非常に貢献をし、協力をし、今日かなりの技術を保有している会社があると思うのですね、この電気通信関係メーカーの中にも。ですから、そういうふうな一連の各メーカーの皆さんとも、通産省は通産省として、それぞれこれらの会社に対してもいろいろな指導育成上の御配慮をいただいていると思いますが、将来い、ずれ情報処理というものが、データ通信の積み重ねといいますか、拡充発展といいますか、そういう意味において、加入電信から今度の地銀連のデータ通信に進んできているわけですから、こういう意味において、公社としても安閑としておれない。それぞれの立場でそういう御配意をされているかわかりませんけれども、公社としていま判断されて、従来電気通信関係のメーカーの皆さんが、こういう電子計算機というものを十分に開発をして、日本の需要に応じられるような体制にあると判断されているか、この点をひとつ伺いたい。
  67. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 電電公社といたしましては、ここ十年間特に電子交換機の研究を電気通信研究所で進めております。実は昨年、郵政大臣あるいは通産大臣の認可を得まして、アメリカのベルシステムと対等で技術協力契約をつくった、この趣旨も、やはり電子交換方式を将来のために研究開発しようということにあったわけでございますが、このコンピュータそのものは、ソフトウェアあるいはハードウェアを含めて、私は電子交換機と非常に関係が深いものであるというふうに考えております。また、公社としては、いままで事務近代化ということを進めておりまして、そのために、コンピュータを各通信局に入れたり、あるいはまた、料金の計算には前々から電子計算機を使っておるわけです。しかし、先ほどいろいろお話が出ましたが、通産省が特にコンピュータの国産開発に力を入れられたということに対しまして、非常に敬意を表するわけでありますが、電電公社といたしまして、特に工業技術院等でコンピュータ、大型コンピュータの国産、国産技術という、国産化と言ったほうがいいかと思いますが、国産化に力を入れられて、その成果が生まれてくるという結果につきまして、公社としてその成果を十分取り入れていきたいと思っております。もともと、電電公社といたしまして、国産技術——国産化ではありません、国産技術の育成には非常に力を入れてまいりまして、マイクロウエーブでも一つの顕著な例でございます。電子交換機もそういうことを考えながらやっております。  メーカーについての御質問がありましたが、われわれとして、日本の技術を開発し、あるいは、いろいろ新しい技術を生み出す積極的なメーカーというものがどんどん生まれてくるし、また、過去のメーカーにおきまして、すでに公社に納入しておるメーカーにおいても、そういう面において成果のあがることを期待しておる次第であります。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 期待してということですが、ちょっと私の知る範囲でも、やはりこれはそれぞれの会社が、それぞれの外国の先輩会社と相提携をやっておりますね、日立はRCA。東芝、三菱はGE。富士電機がハネウエル。富士通信機はいまのところやっておりません。沖電気がミントン、その他IBM、さっき申したバロース、パワーサーマス、CDCと提携をやっております。問題は、総裁言われた国産技術の開発、そういう立場に立って、いまコンピュータ産業の開発を電電公社としてもかなり重要視してやってきておるのでありますが、いまの段階で、はっきりしたことは言えないと思いますが、私の端的に聞きたいのは、これらの、おもに電気通信機器メーカーを中心にした産業ですね、これはデータ通信という立場に立てば、まだほかにもあると思います。いままでの加入電信なんか、沖電気、新興製作所とかあります。そういうような関係の業界のチームワークというか、そういうものとの相連携の中で、将来コンピュータ産業というものをどういうふうに持っていくか、各社ばらばらに提携をして、ばらばらにやれば、これは困ると思うのです。ですから、せっかく今日まで協力をしてくれた各メーカーの皆さん方が、理解と納得の上で、やはり一つ方向を見出していくということなれば、共同研究的な立場に立ってものを考えたほうがいいと思うのです。こういうふうにばらばらでやりますと、やはりなわ張り根性が出てきて、われ先にと、そういう気持ちになりますと、メーカー同士の中でもいろんな感情が残るし、そうなると、勢い国のためにならぬと思うのです。そういう意味において、私は、データ通信——加入電信からもうデータ通信なんですから、そういうものを踏まえた上に立って、日本の産業はどうあるべきかということをよく考えてもらわぬといけないと思うのです。これは郵政大臣にそういう権限があるかどうか私知りませんが、言うならば、電電公社は電電公社としての立場でいままでこういう研究をされてきたのですから、そういう立場で、総裁あたりがそれらの、何というか、考え方を述べて、一つ方向の中でやってもらうということはやってけっこうだと思うし、通産はそこまで手が伸びていけばこれは非常にけっこうだと思うが、そこまで手が伸びないのかどうか、よくわかりませんが、そういう意味で、私はもう少しデータ通信、加入電信というものを踏まえた上でのこの産業の育成ということを公社として考えてもらいたい。それについて、はっきり自信が持てるかどうかと、こういうことを少しくどいようですけれども、総裁に聞いているのです。
  69. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 公社といたしまして、特に今後十年間に対しまして技術の研究開発計画をことしの四月につくりまして、その中で、このデータ通信の問題、コンピュータを含めた問題を四つの柱の一つにしておるのです。そのほか、御質問があればお答えいたしますけれども、いろいろ基礎研究等もありますし、あるいは公社自体の経営合理化に役立つ研究等、四つの柱をつくりまして、その一つの柱に、このデータ通信、コンピュータを含めたものをやっているわけでございます。したがって、われわれといたしましては、将来の情報革新というものの重要さを十分考えて、その研究体制を進めておる次第でございます。  それからメーカーに対する協力問題でありますけれども、電子交換機のような問題は、私はシステムを完全に統一したい。しかし、このコンピュータにつきましては、いまの時点においてこれを完全に統一するということはなかなかむずかしいのじゃないか。そこで、少し先の時点を考えて国産技術をつくり、そして、どの辺まで統一したほうが日本の経済のために役立つかという、いろんな問題があると思いますけれども、先の時点におきまして、大きな開発プロジェクトの中でこの問題を処理すればいいんじゃないか、そういうふうに考えております。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 これはいろいろ——私もこれはあまり詳しくないのですけれども一つのコンピュータを使った新しいデータシステムというものが出てきますね。その場合に、それぞれのメーカーがそれぞれの立場に立って、それぞれやっぱり果たすべき使命というものが出てくると思うのです。一社が独占をして、ずっと上から下まで全部やっちゃうということもあるかもしらぬが、そうでなくて、全体の協力の中でやれるということも一つ考え方として出てくるでしょう。そういう総合的な判断の中で、将来の需要はどうなって、その需要に応ずるにはどういうふうな業界の体制というものにしていくかということを、やっぱりひとつ科学的に分析してやっておかないと、問題が起きると思うのです。電電公社で、十年後の電信電話というものを発表されましたね。これは予算委員会でもあなたに質問しましたけれども、その中にもいろいろ問題がありますよ。こういう、外に出ておっても、こたつのスイッチを忘れてきたら、それを消せるとか、いろいろ新しいサービスを考えているようだけれども、そうなれば、それに即応するやはり業界の体制というものを科学的にやっぱり分析しておかないといけないのだ。日本の場合には、何か三年、五年後の先だけを考えて、こそく的な施策の中でやっているのだけれども、せめて十年や二十年、三十年や四十年——これはスウェーデンなんかに行くと、四十年後の人口はどうなるんだ、エネルギーはどうなるんだということをいまから分析して、原子力発電をやろうとか、いろんなことをやっていますね。日本でもスケールの大きい、先を見通した構想を立ててやるべきだと思うのです。そういう意味においては、十年後の電電の事業というのは先が狭いので、もっと先を想像してやってみるといいと思うのです。そうして全員が協力していく、こういうのが私はいいと思うのですが、そのためには、日本はデータがないのです、率直に言って。われわれが予算委員会等において非常に困るのは、具体的なデータが日本にはない、もっと情報省というか、データ省をつくって、そういういろいろな産業、いろいろな分野における資料というものができることをわれわれは希望するのですが、総理府の統計局が三カ月や四ヵ月あるいは一年もおくれたのを出したのでは、時代の趨勢に間に合わない。私は長期展望の上に立ってものごとを判断して、それぞれの分野でやってもらいたい、こう思っておったのですが、話が大き過ぎたかもしれない。そういう意味で、まるっきり一つの会社が独占していくということは許されないと思う。業界の人々がそれぞれの立場に立ってなし得る仕事というものに努力してやってもらうという協力体制をしがなければならない、そういう御配意をしてもらえるかどうかということなんですね、私の聞きたいのは。
  71. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 業界の実情を十分調べて、そういう総合的な努力を発揮し、また、各メーカーそれぞれの特徴を十分生かすような方法によって進めていきたいと思うのでございます。
  72. 高島節男

    政府委員(高島節男君) ただいまの総裁の御答弁に関連いたしまして、現在、電子工業振興臨時措置法という法律がございます。これが、ちょうど経済社会発展計画が終わる四十六年度をめどといたしております。その中でねらっておりますことは、共同行為などは独禁法の例外といたしましてできるような体制にいたしております。現在これを活用していく一番のねらいどころは、入出力装置と申しまして、私もしろうとでございますが、機械のほうの部分というよりは、その前の段階のこのあたりで、各社の間で出てくるものがばらばらでございますと、非常に生産コストが高くなってまいります。また、先ほど申しましたソフトウエアと申しますか、その利用方法内容、これが大型の超高性能の電子計算機ができたときに、それを受けていく体制が、この機械の共同研究で各メーカー同一のものをつくり上げていくという方向を目下ねらいまして、ソフトウエア会社を中心にして、ただいま研究に入っております。そういった電子工業振興臨時措置法等を中心にしました業界の共同協力体制というものをこの法律に基づいて運用いたしてまいりまして、極力、過当競争と申しますか、各社の間のばらばらというものを調整してまいりたい、こういうことに非常に努力いたしておるわけでございます。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 これで終わりますが、最後に私、時間があればもう少しデータ通信サービスの問題について公社総裁にぜひただしたかったのですが、しかし、時間が予定よりもだいぶおくれておりますから、この点は次回に回すことにいたしまして、これで質問を終わります。たいへんすみませんでした。
  74. 森中守義

    委員長森中守義君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にいたします。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  75. 森中守義

    委員長森中守義君) 速記を起こして。     —————————————
  76. 森中守義

    委員長森中守義君) 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、本案に対する衆議院における修正点について、便宜上、政府委員から説明を聴取いたします。武田簡易保険局長
  77. 武田功

    政府委員(武田功君) ただいま御指名がありましたので、衆議院の修正案につきまして、私の承知しておりますところを御説明申し上げます。  原案では、特別養老保険の被保険者について、最高制限額を百五十万円に引き上げる案でございましたが、これを修正いたしまして、保険の金額の最高制限額を、全種類を通じて百五十万円にするというものでございます。  それは、それによりまして、国民に対する保険的保護を手厚くし、ひいては、事業の発展にも好影響をもたらすからであるということでございまして、なお、当年度におきましては、諸般の事情を考慮して、経過的に原案によってやることといたしまして、修正点は来年の四月から実施をする、こういう内容でございます。
  78. 森中守義

    委員長森中守義君) 本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  79. 西村尚治

    ○西村尚治君 すでに昼食時間をだいぶ過ぎておりますし、時間がありませんので、ごくかいつまんで簡単に二、三御質問いたしたいと思います。簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。  この間、保険局長から送付してもらいました資料によりますと、簡易保険の契約高がこの六月に五兆円の大台にのせた。これは省の関係者の方々の非常な御努力の結果であると敬意を表する次第でございます。ただ、民間保険に比較いたしますと、民保の中でも特に日本生命ですか、あれなどは一社で昨年度すでに六兆数千億円の契約高を持っておる。日本生命はまあ別としましても、民保全体としまして、ぐんぐん伸びてきておる。さらに農協生命共済しかり、それらに比べますと、五兆円の大台にはのせましたけれども、この伸び率というものが簡保は少し見劣りがするのではないかというふうに考えるのですが、もし、そうだとすれば、なぜそういうふうに伸び率がおくれておるのか、その辺の原因を簡単に御説明願いたいと思います。
  80. 武田功

    政府委員(武田功君) 昨年度、四十一年度の簡保の伸びでございますが、大体一七%程度の伸びでございます。  なお、御指摘のような民間保険におきましては、保険契約高で申しますと、ほぼ三〇%程度伸びております。簡易保険におきましては、これは大体目標額あるいは事業計画からまいりますと、ほぼ事業計画を上回るものでございまして、簡保としては順調な伸びと承知しておりますけれども、その御指摘のような民間保険との伸びという問題は、いろいろと保険の種類あるいは制限額の問題、それからまた、簡易保険が現在課せられておりますところの運用上の諸制約、あるいは定員の問題、給与体系の問題いろいろとございまして、それで、特に保険契約高の比較をいたしますと、こういったような差になるかと思います。
  81. 西村尚治

    ○西村尚治君 いろいろ原因をおあげになったわけですけれども、その中で、やはり最高制限額の問題、運用利回りの問題、これがハンディキャップになっておる大きな原因ではないかというふうに私は考えるわけです。それにつきまして、今回制限額の引き上げを企図せられた。これはたいへんけっこうだと思います。さらに、衆議院段階で特養だけでなく、ほかの種類も来年度は一斉に上げるということになった。これはさらに前進だと思います。私自身の考えとしましては、どうせ修正するのなら、同時実施というところまでいったらどうかと考えるわけですけれども、きょうは時間がありませんから、その問題ははしょります。制限額の問題はとにかく一歩前進だと思うわけですが、ただ、運用の問題ですね、資金の運用の問題、この関係にいろいろ制約がありまするために、どうも民保と比べまして運用利率が下回っておる。従来から、戦前からそうだったわけですけれども、最近、省当局もいろいろ苦心努力をせられまして、利回りは上がってきてはおると思いますけれども、やはり長保に比較すると、相当開きがあるのではないかというふうに考えるのです。民保と比較した運用利回り、これはどういう状況に最近なっておりますか、概略御説明願いたいと思います。
  82. 武田功

    政府委員(武田功君) 昭和四十年度をとりますと、簡保の運用利回りは六分五厘でございます。民保は八分四厘六毛となっておりました。最近のいろいろと経済情勢も反映いたしまして、四十一年度では簡保が六分五厘三毛、民保が大体七分七厘九毛程度に相なっております。
  83. 西村尚治

    ○西村尚治君 まあ努力せられたあと、だいぶ顕著だと思いましてけっこうですが、ただ、これで見ましても、やはり一分何厘の開き、格差があるわけですね。どうしてもこういった点を少しでも解消しなければ、加入者の利益擁護という点で十分だとは言えないと思うわけであります。最高制限額は上がることになるわけですけれども、運用利回りの面をもっとよくして、正味保険料の関係でも見劣りのしないようにする。簡保の一そうの普及をはかる上におきまして、このことは急務だと思うのでありまして、つきましては、いまの運用投資対象のほかに、さらに一般の事業債だとか、あるいは株式などは何でもかんでもというわけにはいきませんけれども、国営である簡保の運用対象として適当と思われるような安全な有利なものに、もっと範囲を広げていくという御意思はありませんか、どうですか。その辺ちょっと説明を、その線で努力いただきたいと思うわけですけれども、一応御計画をお聞きしたいと思います。
  84. 武田功

    政府委員(武田功君) 現在の運用法のたてまえから申しまして、長期に回しますものとして、あるいは金融債、電力債が昭和三十八年に拡大されておりますが、私どもといたしましては、御指摘のように、さらにこれを有利、確実な一般社債、あるいは、ひいては株式等にまで運用範囲を拡大いたしたいということで、例年関係の向きといろいろ折衝いたしております。ただ、昨今の財政事情等からいたしまして、いろいろと困難な問題がございまして、まだその実現を見るに至っておらない次第でございます。
  85. 西村尚治

    ○西村尚治君 年々御努力願っておるそうですけれども、ぜひひとつこの点引き続き御尽力願いたいと思いますが、いまお話しの三十八年に改正をせられましたそのときは、あれは電力債でしたか、その前三十六年でしたか、金融債にまで範囲を広げられたわけですね。これでだいぶ有利になったと思うのですけれども、その金融債、電力債については、資金総額の百分の十なり、あるいは百分の五といったような制限額を設けられておるはずですが、それが最高限までまるまる運用されておりまするか、おそらくそうじゃないのじゃないかと思いまするけれども、そこの現状をちょっと簡単に御説明願いたいと思います。
  86. 武田功

    政府委員(武田功君) 御指摘のように、法律から申しますと、長期の運用もできるわけでございますが、私どものほうは、この運用計画を立てますときに、資金運用審議会の議を経なければなりません。その際に、その審議会の決議によりまして、短期融資に限ると、これはいろいろと昨今の金融情勢その他にかんがみまして、短期融資に限ってやってくれと、こういうことでございまして、現在のところ、金融債は長短合わせまして、ほぼ五百数十億、それから電力債は約二百億運用しておるわけでございます。
  87. 西村尚治

    ○西村尚治君 長短合わせて金融債が五百億、電力債が二百億ですか、これは最高限までフルに投資するとなると、額がもっと大きい額になるわけです。それに比較しました場合、どうですか、これは非常に少な過ぎるような感じがいたしますが。
  88. 武田功

    政府委員(武田功君) 御指摘のように、法律のたてまえ上は、最高額制限が金融債につきましては積み立て金の百分の十でございます。現在積み立て金が一兆四千億ございますので、それに比べますと、非常に少ない額でございますが、電力社債あるいは金融債の市場の状況とか、またあるいは財政投融資計画の要請とか、いろいろございまして、現在のところにとどまっておりますが、私どもといたしましては、これをできるだけ広めていきたい、こういうことで努力しておる次第でございます。
  89. 西村尚治

    ○西村尚治君 法律を新たに改正して範囲を広げるということになりますと、なかなか障壁が高くて容易でないと思いますけれども、少なくとも法律で認められておるこの分野につきましては、何とか関係省方面を説得して、フルに投融資できるように御努力を願いたいと思うわけですが、ついでにと言ったらちょっとこれは問題が大き過ぎますけれども、せっかく大臣もいらっしゃいますので、ぜひお願いをしたいと思うんですが、それは余裕金の問題。これもおそらく事務当局はいろいろ御努力を願っておると思いまするけれども、簡保年金の余裕金、これはほかの特別会計の余裕金と同じように資金運用部に預託するしか方法がないわけですね。しかし、私が申し上げるまでもないわけですけれども、この簡保年金の余裕金というものは、ほかの特別会計の余裕金とは性質が本質的に違う。それは契約者のための責任準備というための資金だということで、本質的に違うわけです。だから、これを一括してほかの特別会計の余裕金と同じだというようなことで向こうに預託するということでなく、少なくとも責任準備金に相当する金額ぐらいは自主的にこちらが運用投資できるという道をぜひ開いていただきたいと思うのであります。特に小林大臣は厚生大臣時代に、厚生年金の資金の自主運用ということで非常にがんばっていただいて、頼もしい大臣だという評判になったことは私も聞いておりまするし、この事業については非常に深い理解者であります。この簡保年金の余裕金を自主的に運用するという点につきましても、大いにひとつ実績をあげていただけるものと期待しておるわけですが、これはなかなか事務段階で話しましても、壁が厚うございまして、打破するのが容易でないと思います。ちょうど有力な小林大臣がせっかく郵政大臣としてすわっていらっしゃるわけですから、ぜひこの機会に、ひとつ陣頭指揮で関係当局を説得して打開していただきまするように、御尽力を特にお願いいたしたいと要望する次第ですが、いかがですか。
  90. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまの点は十分にひとつ検討、協議をいたしたいと、かように思っております。
  91. 西村尚治

    ○西村尚治君 ぜひひとつ御検討、御尽力をお願い申し上げます。  それから時間がございませんから、もう全部はしょります。  最後に、民間保険では、いろいろと新種保険を売り出しておるようです。最近でも住宅保険というようなものが二社か三社で売り出されておるようですが、この住宅問題は、政府としても最重要問題として取っ組んでおる大事な問題であります。国営事業である簡易保険というものが住宅保険というようなものを売り出して住宅の建設というものに協力するということは、私は非常に意義があることだと思うのですけれども、いろいろ国営でやることについては問題があろうかと思いますけれども、その点につきましてのひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  92. 武田功

    政府委員(武田功君) 民間保険におきましては、いろいろと保険の種類を組み合わせて、新種保険といいますか、新しい名称のものをつくっております。いまお尋ねの住宅保険でございますが、これにもいろいろとやり方がございまして、私どものほうといたしましても、さっそくこういう問題も検討いたしております。ただ、かような種類の場合に、やはり直接貸し付けをいたしますような形になりますと、かなり貸し付け利率の問題とか、またあるいは、その審査に要します手間とか、いろいろと問題がございまして、現在、融資の形で住宅公団なり住宅金融公庫に融資しております場合におきますところの住宅の建設費などと比較いたしますと、いろいろと問題が出てまいりまして、私どもも、御説のような新しいもの、あるいはまた、一部喧伝されておりますように変額保険、これあたりも、その可能性につきまして、いろいろ事務当局といたしましては検討いたしております。いろいろとむずかしい問題がございますが、これは今後も引き続いて検討したいと、こう考えております。
  93. 西村尚治

    ○西村尚治君 時間がありませんので、私の質問はこの程度にいたしたいと思いますけれども、先ほど申し上げました資金運用についての改善、それから、できれば普及上役立つような新種保険の研究等はぜひひとつ御検討、御努力をお願いしたい。この点を要望いたしまして、私の質問を終わります。
  94. 森中守義

    委員長森中守義君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑は、この程度といたします。  次回は六月二十二日木曜日を予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三分散会      —————・—————