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1967-05-25 第55回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十五日(木曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野上  元君     理 事                 植竹 春彦君                 寺尾  豊君                 西村 尚治君                 森  勝治君     委 員                 古池 信三君                 郡  祐一君                 白井  勇君                 谷村 貞治君                 安井  謙君                 鈴木  強君                 永岡 光治君                 光村 甚助君                 横川 正市君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵 政 大 臣  小林 武治君    政府委員        郵政政務次官   田澤 吉郎君        郵政省電波監理        局長       浅野 賢澄君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    説明員        郵政省電波監理        局放送部長    左藤  恵君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会技        師長専務理事   三熊 文雄君        日本放送協会専        務理事      赤城 正武君        日本放送協会専        務理事      松井 一郎君        日本放送協会専        務理事      野村 達治君        日本放送協会専        務理事      浅沼  博君        日本放送協会理        事        川上 行蔵君        日本放送協会理        事        志賀 正信君        日本放送協会理        事        長沢 泰治君        日本放送協会理        事        佐野 弘吉君        日本放送協会総        合企画室総務   野村 忠夫君        日本放送協会放        送業務局長    藤根井和夫君        日本放送協会職        員局長      川原 正人君        日本放送協会経        理局長      内山 敬三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本放送協会昭和三十九年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第五十一回国会内閣提出)     —————————————
  2. 野上元

    委員長野上元君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、理事会協議事項について御報告申し上げます。  本日の委員会においては、昭和三十九年度NHK決算審査を行なうことになりましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 野上元

    委員長野上元君) これより議事に入ります。  日本放送協会昭和三十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  先回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  4. 横川正市

    横川正市君 初めに、関係いたしておる問題で二、三大臣に質問いたしたいと思います。  臨時放送関係法制調査会答申が三十九年九月八日に出されましてから、それに基づいて、電波法放送法改正については、当局としてはずいぶん努力をされているところだと思いますので、その電波法放送法改正現状がどうなっているかという問題と関連しながらお尋ねをしていきたいと思います。  いま衆議院審議中の登録免許税法、これの施行に伴う関係法令整備等に関する法律案の第八条に、「電波法昭和二十五年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。第百三条第一項に後段として次のように加える。」という条文がありまして、この登録免許税法によりますと、一局につき一万円、電波法第五条第四項の放送をする無線局については、五万円の登録免許税が新設をされることになっているわけです。そこで、臨放調査会答申の中には、「収益の余力は、当該地域と密着した放送のための諸施設の整備及び内容の充実、放送一般の質の向上、難視聴地域の解消や複数の放送サービス実現等による一般聴視者への放送の普及ないし地域的格差の是正に充てるべきであると信ずる。」というふうに、調査会では一応登録税に該当するような電波税というようなものを見解として表明をいたしておるわけなんです。そこで、聞きたいのは、昭和四十二年度の税制改正に関する答申では、「印紙税登録税調整合理化」というところで登録税の問題が出ておりまして、その「新規課税」という中に、電波に対する課税という項目が一項設けられているわけなんですが、この臨放調査会税制調査会答申とを見比べながら、どういう経過をたどってこういう結論になったのか、税の質の問題もあわせて郵政省のお考えをまずひとつ聞いておきたいと思います。  それから、この答申は、実は私は具体的にどんどん新しい形での立法化が進んでいるんだと思うのでありますけれども、部分的にそういうふうに阻却されるような形で答申というものが骨抜きになっていくということになれば、これは郵政省のたてまえとしては、調査会答申に基づいての新しい電波法放送法立法化支障を来たすのではないかというふうに思われますから、その辺との関連で、これはまあ私どもうかつにして、もうすでに衆議院段階で通過するようなそういう時期に事実がわかったものですから、その点ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  5. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私はこまかい経過等につきましては存じておりませんので、電波局長が参りました際にひとつお答え申し上げたいと、かように考えます。
  6. 横川正市

    横川正市君 こまかい経緯よりか、大筋として、税の質から言えば、私は、これはやはり電波税とか、それから私どものほうでも一応前回放送法電波法が出たときの検討の素材には出してあるわけなんです。放送事業者から一定電波使用料を徴収するということについてはどうだろうかという素材というものは一項あげてありました。その素材をあげて検討し、なお調査会答申というものを尊重するというたてまえからすれば、これは前回共同修正をいたしました案で落ちついた経緯があるわけなんです。ですから、その経緯に基づいて、少なくともこれは与野党間で、ある程度論議をして一致したたてまえなんですから、唐突としてこの四十二年度の税制改正に関する答申に基づいて、新しい税としての、いわば電波に対する課税のような形で出されてきたということについては、ちょっと納得しがたい問題なものですから、そういうことがどうかというふうに私ども考えておるわけなんですがね。ことに逓信委員会関係委員会では全然知らないうちに大蔵委員会でずっと論議されている、そうして課税がきまってしまうということは、ちょっとおもしろくない気もするわけなんです。
  7. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 趣旨から申せば、私も、電波というものがだいぶ公共的に利用されておると、こういうことからいって、あまり好ましくないと、こういうふうに思いますが、他との関連もありまして、今度はこういうものができると。しかし、この内容そのものは、これはいままでのものにはかけない、新規に開設されるもの、こういうものが対象になる。それからして、そのほかに、できるだけこれが一般的でないようにということを私ども希望しておるので、いま具体的の内容というものは政令できめる、こういうことになっておりますが、私ども考え方としては、実験局とか、国、地方公共団体公社公団公庫等の開設する無線局には非課税とする。また、これからきめることにつきましても、放送局中継局ですね、あるいは日本放送協会が開設する放送局船舶局あるいは航空局、こういうものは非課税にしたい。規模の大きい無線局だけに課税するようにしたいということで、いま相談をしておる。したがって、できるだけ課税対象になる無線局は限定をしたい、かようなことで相談をいたしております。
  8. 横川正市

    横川正市君 この報道では、郵政省はずいぶん強い反対をしたことになっておるわけなんですよ。反対をしたが、そういう反対趣旨を生かすために、いま大臣説明されたように、国、公社公団地方自治団体、あるいは船舶局航空局等政令で除くもの、あるいは一般無線局アマチュア市民ラジオ等放送局の場合はNHK民放の場合でも微小電力局非課税にしようというような方法がとられているということなんですが、これどうなんですかね、法体系といいますか、あるいは電波法放送法というもののたてまえから、筋という点からいって、一体郵政省は納得されたという点に、ちょっと私は納得しない点があるわけなんですが。ことに電波法放送法が進捗しているんであれば、私はその中で解明するということはあると思うのですが、抜けがけして調査会答申とは逆な点が少しでも出てくるということになりますと、あとから審議する側にすると支障を来たす問題だと思うのですね。ですから、この答申をどういうふうに郵政省考えられて、それから同じように四十二年度の税制改革答申があるわけですが、同じ答申が二つそろって、そして行政面から見ると競合する、相反する状態になった。そういったときには、私はこれは実は、いまの電波法放送法というもののたてまえからすれば、当然これは直さなきゃいけないということを全部が認めているわけなんですし、しかも、前段では、これは与野党間の共同修正ができて、もう議会の中では信義上の問題まで出ているという段階で、お互いに話し尽くした問題なのに、唐突として新税になってあらわれてきたということは、ちょっと私は納得しがたいのですがね。
  9. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはもうお話しのようなことは私もよくわかりますし、ここで内輪話を申し上げて、はなはだ恐縮ですが、郵政省が非常にうかつなところがあったわけです。いま大蔵委員会でどうこうというお話がありましたが、われわれのほうには初めから十分の協議が欠けておった、こういう事実がある。ここで申し上げるのは、はなはだ私ども遺憾に存じますが、事務当局等の連絡も不十分であった。したがって、ある程度これがもう表面に出てから相談というか、協議ということになったということで、そういうふうな手落ちと申しますか、行き違いがあったことはいなめません。私は趣旨としては必ずしも納得できない問題である。したがって、今後まだこれで落ちついたというふうには考えたくないわけであります。
  10. 横川正市

    横川正市君 これはまあ登録税関係は、きょうですか、衆議院通過するんですよ。そうすると、当然参議院に来るわけなんですが、もし参議院逓信委員会大蔵との合同審査等を開いて、この削除方が申し入れられた場合には、大臣としては、そのいまの趣旨を明確にお答えしてくれるでしょうね。
  11. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはいろいろお聞きになるから私は内情をお話し申し上げたが、政府として提案をしておる以上は、われわれも連帯責任があると、しかし、この内容自体は、今後政令に多くゆだねられている、こういうことで、できるだけ差しつかえのないような手だてをとりたいと、かように存じておりまして、私ども政府立場として郵政省はどうだと、こういうことは申し上げられません。したがって、政府立場においては、この際は法律はひとつよろしくお願いしたいと、こういうことを言わざるを得ません。
  12. 横川正市

    横川正市君 私は、これはこの段階へ来ていまどうするこうするということでは、政府も明確に返事はできないと思いますけれども、しかし、一番心配なのは、電波法放送法が当然改正しなければならぬという段階で、一カ所でも二カ所でもすでに先行して何らかの既成事実ができておるということは、私ども関係委員会や何かからすれば、非常に迷惑なことだと思うんですよ。まあ、それがいい意味で先行している場合は問題ないといたしましても、非常に支障になる面で先行されるようなことになりますと、非常に大きな問題になるんじゃないかと思いますので、手おくれなような気もいたしましたが、なおこの善処方大臣に要望いたしておきたいと思いますし、それから政令できめられる場合に、どういうことをお考えになっておるのか、この記事だけでは実は私ども十分わからないわけですね。NHKはかけませんとか、あるいは民放の場合も、微小電力局はこれは除かれるとかというような、そういうことが基準としてはどういうたてまえをとろうとされておるのか。まあ、いわばこの登録税はきめたと、しかし、実質的には、登録税としては有名無実にするために骨抜きにするんだというようなことでやるのか、それとも、理由の正確につく理由があって、この免税点を広げていくのか、これはどうもやっぱり郵政省としてはずいぶんつらいところに立たされるのじゃないかと思うのですね、説明もしにくいし。考え方としてはどちらをとるんでしょうか。筋をちゃんと立てて、そうして、まあ免税点を広げていくのか、それとも、登録税というのは間違いだ、だから実質はこれはかけないに越したことはない、しかし、税としてはやむを得ないから、極力これを骨抜きにしていくというたてまえなのでしょうか、どちらでしょうか。
  13. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは今度の登録税法の中で、御承知のように、いまの許可手数料等はもう取らないと、取ったものは返すと、こういうことで登録税法の中での改正をいたしております。私は全然これはもう全額非課税にすべきものとは必ずしも考えない。したがって、差しつかえないものには課税もやむを得ない、こういうふうに思いまするので、できるだけひとつ非課税範囲を広めて、そうして迷惑をかけないように、ことに船舶局とか、いろいろなまあ人の生命、安全に関する問題なんかのものは、そういうものを課税するのは適当でないと、したがって、これはこれからの民放等親局とか、そういうふうなものについては許可手数料にかわるものとして課税することは必ずしも私は拒否すべきではないと、こういうふうに思いますので、非課税範囲電波の性質に照らしてできるだけ広げる、多くすると、しかし、原則的には、ある部分の課税はやむを得ない、こういうふうな考え方をとっておる次第でございます。
  14. 横川正市

    横川正市君 私は、大臣、これは先ほど私のほうでも言いましたように、放送事業者から一定電波使用料を徴収することがいいか悪いかという問題で、私のほうの電波小委員会、それから自由民主党のほうの電波関係の小委員会人たちとずいぶん突っ込んで話をして、話をした結果として、この調査会答申に基づいた処置をしようということで意見の一致を見た問題なんですよ。だから、そういういまの大臣側意見からすれば、私はこれからの、まあ政令を出す段階で、これをもって一般電波使用料の代替としては最終的なものだとする政令考えられるのか、それとも、これはいわば電波使用料というようなものを、ちょっと口をかけたかっこうになっておりますから、根本的に電波使用料の問題について、これを検討し、放送法電波法改正の時期には、あらためて明確な意思表示をされるのか、私はまあここまで来ると、後段が非常に大切になってくるんじゃないか、そしてまた、その時期にしっかりした結論が出た場合には、この登録税というのは当然廃止されるような結果が出てくるんじゃないかというように思うのですが、その点は当然、これ私の考えとしては、電波法放送法はこの国会ですでにもう出て審議をしてる段階論議をすれば一番いいことなんですが、そのおくれている状態も勘案されながら、ひとつあわせてこれ答弁していただければ、非常に助かると思うのですが。
  15. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまの段階においては、もうこの税法提案されておりまするから、一応これを認めて、そして将来は、横川委員の言うようなことがあらためてあり得ると、放送法改正電波法改正の際に再考する余地がある、こういうふうに私は考えております。
  16. 横川正市

    横川正市君 そこで、これはちょっと内部に入ってから本論に戻るようなことになりますけれども電波法放送法提案ですね、これは前回か、だれか関連してお聞きをいたしましたときには、この国会に出される意向を非常に強く意思表示されておったように思うわけなんですが、ことに一般の世論の中にありますのは、一体この与野党間における共同修正案というのは、これは最善ではなかったかもしれないけれども、当面の問題としては次善の策として相当多くの方々から受け入れられる態勢にあったと私ども理解をいたしております。その後、宇宙通信等の発展もありましたから、私ども、部分的にその点の補強があっても、これはまあやむを得ない、当然のことだと思いますけれども、それらを入れましても、この国会で当然両法案改正が出されなければならぬのではないかというように私どもは思っておるわけなんであります。で、そういうたてまえからいたしますと、大臣現行法によって電波行政というものが、いわばこの電波行政の面での広範な問題をかかえて十分足りるとは考えておられない。そういう態度にあるんではないかというふうに思いますので、そういうたてまえからすれば、これから行なわれる電波行政については、電波法とか放送法とかの改正を急いで、その上に、いまのいろいろな問題をかかえたものを筋道を立てていくという、これはまあ当然の理屈に従って法改正努力をされるのが当然ではないかというように思うわけなんですけれども現行のこの法改正での事務当局事務段階と、提案の時期と、それから、それらにあわせて、ひとつ大臣の所見を伺っておきたいと思うのであります。
  17. 小林武治

    国務大臣小林武治君) この趣旨としては、お話のようにあるべきだと、そういうふうに私も考えております。したがって、さような意向で私も出発したのでありまするが、昨年この法案が通らなかったということは、あの修正自体について与党の中に非常な強い反対があった。このためにああいう結末になった、こういうふうに思うのでありますから、したがいまして、われわれ提案者としては、与党との調整を十分にしなければならぬ。むろん、その宇宙通信等のための追加条項は相当にありますが、そのほかにつきましても、いまのような調整の必要があるものがあった、こういうことで、さような配慮をいたしたのでありますが、今日となりましては、もう会期も残り少なくなりましたし、私ども、まだ調整も十分にいかないということで、きょう私はこの席で申し上げたいことは、おそらく、この特別国会法案を出すことは困難である、こういうふうにひとつ御了解を願っておきたいのでありまして、普通のあり方としては、当然お話のようにあるべきであったが、その運びに遺憾ながらならなかった、こういうことでございます。したがって、もう申し上げられることは、次の通常国会にこれを譲らざるを得ない段階であると思うのでありまして、私は最近の閣議におきましても、今回の提出はきわめて困難である、こういうひとつ了解を得たいと、かように考えておるのでございます。したがって、今後の電波行政というものは、ああいう広範な根本的な改正をしてからやるのが普通の姿でありまするが、しかし、現在テレビの行政において、それならまたこれから一年そのままじんぜんと過ごすべきかどうか、そのほうが適当かどうかということを行政的に考えなければならぬのでありまして、私どもは必ずしも適当とは思わない。特に長年の懸案であった事項等については、このままに放置することはよろしくない、こういうふうな考え方を持っておりまするので、まあ極端なことばでいえば、例外的にでも現行法で、ある程度措置するのが私はしかるべき道ではないか、かように考えておるのでございます。
  18. 横川正市

    横川正市君 非常に、大臣説明なんですが、私どまはそういう説明では少し理解ができない点があるわけですね。たとえば第一点は、徳島でUHFの実験をやりまして、その実験は、あとでお聞きしたいと思うのでありますけれども、非常に好成績であった、こういうふうに言われているものに対して、Uの使用、いわゆる下免許が非常に急がれているという、そういう事態もあるようですし、それならば、FMのように、すでに十年実験を続けてこられて、混信その他の問題からすれば、これはもう結果としては非常に有効だと判断されておりますのに、このことについては、一向に進捗をしていかない。それから県域放送についても、たとえば免許基準は、一つは乗り入れ方式については一体どうするのか、それから免許については、新しい申請者免許を与えるのか、それとも、既設のものにこれをやるのか、さらに、マスコミの独占問題については一体どうするのか、今日の電波行政の面からすれば、いわば、もう一歩何らかの形で足を踏み出せば踏み出すほど、行政そのものは混乱をしそうなものが非常にあるわけですね。そういうたくさんあるのに、法はいろいろ問題があるから出すことができない。しかし、現状はどうだろうかという場合に、現状、たとえば県域放送の場合に、乗り入れ方式にするのか、それとも、もう一チャンネルUをやることによって放送公共性というものを高めるのか、あるいは地域の要望にこたえるのかということを比べてみると、私はやはり電波法放送法がきめられた上に、筋道の立った行政というものがいかないと、ますます混乱するような気がするわけです。私どもちょっと、いろいろ新聞その他電波関係のやつを読んでみますと、ちょっとどこのあれかわかりませんけれども、もう大臣出身地静岡あたりでは、Uの許可をもらうことにして建物を建て始めたというようなうわさまでが出て、そういううわさが出るということになると、一体郵政大臣はまた利権と結びついたんじゃないかというような、そういうあらぬうわさが出てくる。大臣は自民党の中で一番清廉潔白で、曲がったことは大きらいだからそういうことはやらぬと、こういうふうに、知っている者は信じていても、あらぬうわさが出てまいりますと、S社は今度静岡に、静岡はもうかってしようがないから、あすこに一チャンネルU免許してやるんだなどといううわさが出てくる、今度は、北九州北九州で、読売と毎日のいままでの勢力均衡を打破するということでどうするのだということで、既設の業者が競合するというような問題が出てくる、そういういろんなものが私どもの耳に入ってくるわけですが、いま電波法放送法改正できない根本的な原因は何かというと、公正な電波行政をしようとするものに利権その他が結びついて、それを阻害しているということのほうが、今日、電波法放送法をいまのますに適合されるように改正できない根本原因だと、これは巷間伝えられているわけですね、それに拍車をかけるようなことを放任しておいていいかどうか、この点が問題じゃないかと思うんですよ。これは大臣とすれば、電波行政の中では一番重要な免許問題、十一月に既設のものを控えておりますし、これにあとからうしろ指をさされないような結論を出すとすれば、無理をしても法改正をすべきじゃないか、これは筋論になりますが、どうでしょうかね。
  19. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いろいろのうわさは何にでも出ますから、われわれが関知したことじゃない、そういううわさがあることは遺憾には思いますけれども、とめようがないということでございます。これは、要するに、いまの徳島実験局が成功であった、したがって、Uの利用性がはっきりしてきたと、こういうふうなことからいろんなことが言われておるんでありまして、われわれの言動から出ておるものじゃないということは御承知願えると思いますし、また、放送法が、いまのような事情もあるにはあるでありましょう。しかし、実際問題として、これが提案の運びにならぬかと、こういうことになりますると、これは、要するに、どっちがよいかということで、このまま、また一年、いわゆるテレビ行政としてはほおかぶりしていくほうがいいのかどうかと、こういう問題が起きてきて、私はこれがいいことだとは思わないが、どちらがよいかということを全体として考えていくべきである。ことに、私はいまの地方局のことはよく存じませんが、とにかく、北九州その他においては、長年の争いというのですか、競合と申しますか、非常な無用な、いろんな面において力が浪費されておると、こういうこともありまして、ものごとを公正に考えれば、私は何か処置したほうがよろしいんじゃないか。これから処置するにつきましても、たとえば、これはこう薬ばりでものを考えていくということでなくて、ある程度やっぱりものごとを基本的に考えて、そして基本計画に従って将来の方向づけというものをある程度きめておくと、それでやっていくということにならないと、全く、でき心で、どこにどういう運動があったからどうこうと、こういうことであっては、ますます電波行政が乱れる。したがって、私どもは、もしこれから何か考えるにしても、思いつきでやるようなことはいたしたくない。できるだけ将来を見通して、そうして、それぞれの機関にはかって、ある程度世間の納得のいくような計画に従ってやるべきであるし、また、やるにしても、私は、いま申すように、これは電波法放送法が変わってからやるのがほんとうであるから、当面放置することが世間ではどうかと思われるようなことを、この全体計画に従ってやっていったらどうか、かような考え方であります。これらにつきましても、いま具体的にどこをどうというものは全然ありません。すべてこれから技術審議会なり電波審議会なり、いろんな方面の議にかけ、また、国会方面の御意見も聞いて考えていくわけでありまして、いま、これはこうだというふうなことに全然なっておらぬ、こういうことを申し上げたいと思います。
  20. 横川正市

    横川正市君 たとえば徳島実験の状況は成功だったというけれどもどうかとか、それから、もしUの許可が急がれるとするならば、オールチャンネルの、これは通産省との関係も出てきますが、実際に見越しての業者とのいろんな話の問題とか、あるいは、これは利用者の利便の問題に関連するわけです。そういう手配であるとか、それから地域的な選択の場合に、いま言ったような既設のものをやるのか、それとも、乗り入れでやるのか、それとも、新設でいくのかというような、そういう点とか、実はこまかくお聞きしたいと思っておったのですが、当然、これは審議会その他で相当論議をされるだろうと思いますから、こまかな問題はひとつできるだけ私どもは——何かこう、アンテナにかかったからすぐ質問するのでなしに、あらかじめやはりある程度のものは公開しておいていただいて、意見も十分聞いていただくようにすれば、私はきょうは質問はやめて後日にこれは譲りたいと思いますが、どうでしょうか、これは。
  21. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまお話しになったことはすべて配慮をして考えなければならないのでありまして、従来、いろいろうわさがなかったとは私は思っておりません。したがって、テレビ行政などは、できるだけ、ほんとうにそれこそガラス張りの中でやることがいいということで、ものごとを隠してどうこうなどということはあまり考えておりませんし、できるだけひとつ皆さんの御意見も聞いてやりたいと、こういうふうに考えております。これは何も郵政大臣だけの考えで私がやろうというふうなことでありませんで、広く意見を聞いて世論の反映としての行政をやりたいと、かように考えておりますから、その辺はひとつ御了解を願っておきます。
  22. 横川正市

    横川正市君 大臣の答弁で私は満足してきょうやめるわけじゃないのですが、私ども考え方は、この前の与野党が一致修正いたしました案でも、なお、幾つか私たちなりに問題を持っております。しかし、あれはあの時期においてはやむを得ざる段階として了承したので、もっと各般について意見を持っているわけですから、そういうものと、それを尺度にしながら、これからのいろんな作業を見ていきたいと思っておりますので、できるだけひとつ私ども意見が述べられるように配意していただきたいと、こう思います。  それから、NHKの、ほんとうは決算の質問をするあれですが、大臣が他の委員会に呼ばれているようですから、私はきょうは協会側へは質問はあとの問題にいたしまして、これでやめます。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 大臣がいま御出席でございませんので、あとから大臣に——大臣としてNHKに対する、監督権もあるわけですが、特に放送番組に対する最近の政府の不当介入的な動きもございますし、特に協会のラジオ受信料については全廃をする法律改正を今国会に出す、しかも、今月中に出すということが、昨日の予算分科会で明らかになりました。したがって、私はきょうは時間がありませんでしたから、これらの問題については、きょう実はNHKの経営全体に対する大臣考え方とあわせてお聞きしたかったのですが、おいでになっておりませんから、これはまた後ほどお尋ねすることにいたします。  それで、この意見書を拝見いたしますと、学校教育放送番組の利用について、小学校のほうは利用率が七八%、比較的良好な結果を示しているのでありますが、中学の場合は二五%、全日制の高校の場合には九%、定時制の場合が六%と、いずれも低率になっておるわけでありますが、これに対して郵政省が、もちろん、小学校の場合と中、高校の場合では、授業の内容とか、専任する先生の配置の問題だとか、いろいろの条件があって、確かにむずかしいことはわかるが、しかし、今後協会においては、さらに関係者へ周知を十分にして学校放送の目的を達成するように促進しなさい、こういう趣旨意見書が出ておりますね、これに対してNHKとしては、この意見書に対してどういう措置をおとりになりましたか。
  24. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) おっしゃいますとおり、確かに小学校、中学校に比べまして高校の学校放送利用率は若干低下しております。これは歴史的に申しまして、高校向けの番組の創設というものが、小学校、中学校向けよりも若干おそかったということと、それから意見書にもしるしてございますとおり、高校の教科担任制という問題と、それから進学準備に忙しいあまり、ついつい視聴覚教育のほうに目が行き届かないというような理由がございますが、そうばかりは言っておられませんし、私どももできるだけ高校向けの番組を増設して、さらにその質をよくして、そうして、できるだけの利用率を高めたいというふうに考えまして、昭和三十九年度以降、特にテレビの高校向け番組を新たに週間二本増設いたしました。それから四十二年度におきましては、ラジオの高校向け番組として「世界の歴史」とか、あるいは「古典講座」といったようなものを新しく設けましたほかに、それから「青年期の探究」「人間とは何か」、それから「名曲ライブラリー」「リッスン・トゥー・ミー」というような好評の番組の再放送を新しく設けまして、利用の促進をはかっております。今後さらに番組の質の向上をはかりますとともに、それから番組制作と利用者側との話し合いをさらに強化いたしまして、できるだけ利用率の向上に努力していきたいと存じております。なお、通信高校の番組は非常な好評をもって、たいへん利用されております。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 この放送法四十四条に、番組の編集の問題が規定されておりますが、この中で、教養番組あるいは教育番組、報道番組、娯楽番組は、その間の調和をとるようにということがきめてありますね、調和をとらなければならない。したがって、私は、いまお話しのように、小学校向けの放送番組、中学校向けの放送番組、高校向けの放送番組、その中には昼間夜間とあるわけですから、そういうような配慮を十分にされておって、なおかつ、利用者が少ないということであればいいわけですが、少なくとも一その辺の、法律に定める調和ということですね、番組の調和ということがもし欠けていたとすれば、これはNHK側の責任ですから、非常に問題があると思うのですね。大体どうですか、教育放送、教養放送番組と申しましても概念的なことですから、具体的にいま私が申し上げますようなバランスというものがかなりとれていると、自信が持てるのですか。
  26. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 鈴木先生もおっしゃるとおり、教育テレビジョンの番組につきましては、大体教育、教養合わせて九〇%以上の番組を編成することになっております。したがいまして、私のただいま申し上げました学校放送番組、あるいは通信教育放送番組その他若干の教養番組も含めたものでありますが、大体これのメディアは教育テレビジョンということになっております。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 まあいろいろ見ていただくほうの側におけるいろいろな条件が整わなければならないわけですから、そういう意味では、にわかに協会が態勢をつくりましても、相手側の態勢がなければ効果を発揮することができないわけですから、どうか、ひとつ、この意見書にもありますように、十分に関係者に相談していただいて、できるだけその趣旨に沿うように早急にやってもらいたい、こう思います。これは私、希望しておきます。  それから、これは放送部長、UHF帯に対するテレビジョン中継局開設におけるUHF受信者の普及状況というものは、協会の調査によると、四十年三月末現在において、受信可能世帯数の一二%にすぎないのですね。あと八八%というのはUHFを受信できない受像機を持っているのだと思うのです。そのあとに、(3)のところに、「地区によっては、一般放送事業者放送が併存していないため受信者のコンバーター購入意欲が低いこと等であって、」と、こう書いてあるのですが、これはNHKだけがあって、そして民間放送がない、そういう場合に、Uの受像機というのが非常に少ないのですね。コンバーターは少なくていいと、こういう考え方が受信者にあるのだという、こういうことだと思うのですが、ちょっと私はこれが理解できないのですが、具体的に説明してくれませんか。
  28. 左藤恵

    説明員左藤恵君) お答え申し上げます。  ただいまの地区によりまして一般放送業者の放送が併存していないというのは、たとえば東京のような非常に広い範囲放送いたしております地域におきまして、その県境のような地域で共同聴視するアンテナを立てて聴視いたしました場合には、東京の四つのチャンネルあるいは五つのチャンネルの民間放送の番組が見えるというようなことになりました場合に、NHKがその周辺地区にUHF帯のバンドを使いました中継局を設置いたしましても実際には共同聴視で民間放送のほうを見るということでございます。これがまあ主たる問題だろうと思います。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常にこれからUを本格的に取り入れていこうということが大体大臣の腹なんですね。放送法電波法はこの国会に出せぬと、したがって、当面免許基準については旧法によってやる。その場合にUを基本にして親局に使うということが、この委員会ではっきりしたのですね。したがって、私は、すでに高萩、日立なりに親局をつくっていますね。それから今度NHK徳島が大電力としてのUの実験放送に成功したようです。いま電波技術審議会のほうで審議しておりますけれども、おそらく間違いはないでしょう。したがって、これからUの時代に入ってくるわけですが、そうしますと、このUHF帯の中継局を第二次チャンネルプランの修正で協会はかなり大幅に認められましたね。それで難視地域の解消その他を含めて、いまやっている、各地でどんどん。ところが、そうでなくて、UHFの中継局をつくっても、受像機を持たない人が多いということになりますと、これは何のためにUHF中継局をつくったかということがわからないわけですね。もしVで見えるならこれは必要ないわけです。したがって、私はこのコンバーターをつけて見させる、見てもらうという、そういう行政的な指導というものを、法律がない限りはやらなければいかぬと思うのですね。ところが、一方ではVで見ている。U受像機でなければ見れないものはV受像機では見えないから、コンバーターをつける。ところが、U中継局の管内でも、U受像機でなくV受像機でも見えるところがある。そういうところは依然としてコンバーターはつけません。このようなことでは、UV混在が本格化している今日、実情に合わなくなってくるのです。私はもっとUをつくった場合に、受信者は受像機をUにかえていくか、コンバーターをつけていくかというふうになっていかねばならぬと思います。したがって、UV混在のためのオールチャンネル受像機を早く開発すべきです。聞くところによると、いまの受像機より三、四千円高くすれば、オールチャンネル受像機が買えるというのですから、むしろ、コンバーターを買うより安いのです。更改期に来た人は、そういう方法を指導すればそれに乗ると思うのですよ。その努力というものはやはりやることが必要だと思うのですよ。だから、ここに「協会においては今後さらに積極的に普及のための諸施策を推進する必要がある」と、こういうふうに意見書が出ておりますから、だから、これらについて、いまのところわかりました、郵政省側の言い方は。協会はどうでしょうか。いま私が申し上げましたような矛盾が出ていると思うのですが、これについてオールチャンネルの開発もかなり進んでいるようですが、どういうふうな具体的な指導をなさっておられるのでしょうか。
  30. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 御承知のとおり、コンバーターが非常に値段が高いので、われわれといたしましては、できるだけ安いコンバーターをつくるように製造業者にいろいろ話しかけております。と同時に、研究所におきまして、いかにすれば安いコンバーターができるかという研究もいたしまして、それを業者にも公開する、こういう方法をとれば、いままでより、より安いものができますよということで十分説明して、それを取り入れるように十分慫慂する。しかしながら、それを御承知のとおり、先ほどもお話しのとおり、購買意欲が非常に少ないという点もありまして、業者としましては、量産の過程に乗らないという点で、なかなかはかばかしくいかないという点がありますと同時に、それだけでは困るので、NHKといたしましては、先ほどの共同聴視の部分につきましては、できるだけ技術指導をしまして、場合によりましては、コンバーターをそこへ取りつける、そうしてコンバーターによって、よりいいUHFの電波を見てもらうというような方向に進めまして、同時に一方、業者に対しまして、非常に少ない率ですが補助しまして、アンテナその他に対する、一般の人がコンバーターをつける場合の援助に、できるだけ安くしようという、個人に補助するわけにいかないものですから、業者に対しまして、ほんの少しの補助をしまして、そうして、できるだけ慫慂していくというようないろいろなあらゆる面を使って、同時にまた、いろいろな文書によるPRもいたしまして、努力はいたしております。したがって、現在は、前に三十九年で非常に少なかったのが、大体昨年度ぐらいまでに五十万程度にまで上がっております。しかしながら、いまお話しのように、コンバーターよりも先生のおっしゃるとおり、オールチャンネルの受像機が普及するというのがやはりわれわれとしても本命かと、こう考えております。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常にむずかしい問題ですから、慎重を期さなければなりませんし、この相手方に対する負担がかかるわけですから、いずれこのUを本格的に取り入れました場合のUV混在に対する対策というのはどういう方法か、郵政のほうでも抜本的に考えてもらわなければならぬと思うのですが、ひとつNHKでもオールチャンネルについて、研究所のほうではもう成功して、いまお話しのように努力をされているわけですので、Uに入っていっても、絶対態勢はNHKでも持てる。業界にもその方針が出てくれば、量産するだけの力というものは業界にあると判断してよろしゅうございましょうか。
  32. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) ただいまおっしゃるとおり、われわれといたしましては、できる限りの努力をいたしまして、オールチャンネルの受信機の性能につきましても、十分検討しておりますので、したがって、普及の方向へ向けたいと、こう考えております。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 それから会長に二、三お尋ねしますが、きのうあなたの御出席の委員会で、ラジオ料の廃止をするというまあ大臣法律改正ですね、態度を明らかにされたのですが、私はもう少し経営の内容を見てみないとわからないんですが、実はあなたが昭和四十年の一月に、これは朝日新聞の記事ですと、一月十四日付の記事ですが、年頭の記者会見をなさいまして、その際に、「ことしは視聴者へのサービスをいっそう強化するとともに、現行受信料は、少なくとも四十二年度までは値上げしない」と、こういう趣旨の御発言をなされたことが新聞に載っているわけですね。そこで、一体当時、私は思うのに、いろいろわれわれも国会の中でNHKの経営状態を聞いておりましたとき、オリンピックもありましたし、宇宙通信の開発その他、かなり設備投資をしなければならないような状況があったと思うのですね。ですから、当時の状況としては、その料金収入の限界というものが、ある程度、二千万なら二千万の受信者が出てまいりますと限界が来るだろう。したがって、そういう面から見ると、受信料金というものの収入がそう期待できないだろうという御判断で実はこういう御発言をされたのじゃないだろうか。したがって、足りない部分は受信料値上げによってカバーしなければならないだろうと、こういうふうにお考えになっているのだと思いますがね。これはしかし、二年前のことですから、四十一年、四十二年と年は二年たっておりますので、その後、カーラジオをはじめ、できるだけ受信者の開拓、不正受信者の摘発といいますか、そういうふうな努力をしていただいて、いま四十二年度のわれわれ予算を審議した直後でございますから、まあ経営の健全性ということについては期待できると思うのですね。したがって、そういうときにラジオ受信料を全廃するという問題が出てまいりましてね。私は、理解としては、前回の総理御発言から始まって、郵政大臣法律を知らなくて、あとになって、これはしまったというので法律改正をするとしても、これはもう四十三年以降の値下げしかできない。したがって、四十二年度中は、七十二万世帯ですかの減免の基準を拡大して、つじつまを合わせて、これで総理のメンツが立つだろうということにして先般出てきたと私は思うのですね。ですから、一応総理が言ったことですから、政府としてもメンツがある。そこで、何としても受信料全免をやりたい、こういうことだと思うのですね。しかし、われわれは、実際の姿を、ラジオを見ると、カーラジオの場合にもそうですし、あるいは喫茶店だとかキャバレーだとか、そういう層の、ラジオだけ——テレビよりもラジオがいいので、ラジオしか持っていないという、そういうお客さんですね、利用者もあるわけですから、そういうところまで一がいに全部廃止するということについては、やっぱり問題がある。したがって、そういう全体的な経営の中でNHKが料金をたとえ一部分でも下げてもいいという御判断があるならば、私は、甲契約、乙契約と二つ分かれておりますが、それをある程度全体的に調整して、三百三十円の甲契約をたとえ五円でも下げていくという、そういう方向のほうがむしろ国民は喜ぶと思うのですね。それだけの余裕があるかどうか、これは聞いてみなければわかりませんけれども、そういうむずかしい問題があると思うのです、私は。ですから、ただ単に、ラジオの料金を廃止すればよろしい——これはわれわれ賛成ですよ、できるならば。ただ、一面、協会の経営というものが、受信者を基盤にしておる。その受信者によって払っていただく料金で経営が成り立っておるわけであります。その根底がくずれてきたら困るわけですよ。そういう意味において、われわれは慎重論をしている。できれば、してもらいたい。いまの甲料金の場合、その場合には全体的に下げてもらったほうがいいという私は意見を持っているわけです。ですから、あなたが二年前に言われた、値上げをしようという意図のもとだったと思うのですが、何とかしてもらいたいという意図のもとで考えておった経営というものが、いま逆に、ラジオだけでも全廃してもいいような、健全経営にきたのだというふうに理解をしておいていいんですか。
  34. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 受信料の問題は、NHKの性格を実際上に規定する裏の柱になっていると私は考えております。で、放送法は壁頭に、一般的な原則をきめると同時に、特にNHKの性格と、その任務と責任と義務について明記しており、その裏づけとして、三十二条が存在しているというのが、私ども考え方であります。したがって、受信料制度というものは、NHKにとっては、表現がデリケートかと思いますが、この制度の確立と安定なくしてNHKの存在はあり得ないというのが、この放送法の精神である、また規定でもあるというように私は解釈いたしております。したがいまして、放送法は甲料金とか乙料金ということは言っていないのであります。NHK放送は、それを聞き得る施設を持っているものはNHKと契約すべきであるという考え方でございます。現段階で問題になっているのは、その放送料の格づけと申しますか、中身の分類でございまして、この点についても、従来の実情からいって、やはり私どもも聴視者の立場考えれば、安いほうがいいということには、私どもも全く同感であり、NHK放送法上の責任と義務が果たされ得て、しかも、なおかつ、値下げができるということであれば、これに越した理想的な、何といいますか、考え方は、これ以上のものはあり得ないと思っております。ただ、私がただいまNHKの存在は受信料によるという点から申しますと、ただ、ものの高い安いとか、あるいは、どうも外から見るとNHKは豪勢に見えるというようなことだけで、この問題を解決すべきでない。したがって、私といたしましては、そういう気持ちもあって、御指摘の昭和四十年には、当時物価上昇の傾向も非常に強かったわけでございまして、したがいまして、私どもとしては、受信料の制度を安定させるとともに、聴視者に対してNHKは最後まで聴視者の利益を考えてやっていくのだという気持ちを含めてあの発言をしているわけでございます。  そこで、先生の御質問の次の点は、要するに、郵政大臣としては、近く国会に、乙料金、すなわちラジオ聴取、放送と申しますか、その施設だけしか持っていない人との契約を、契約の対象から除外するというようなお考えでお出しになるかに承っておりますが、その点について、先生の御質問の要点は、要するに、NHKの経営状態は、その程度のものは切り捨てても別にゆるがないという見通しがあるのかという点と、今度は具体的な事実としての問題点として御質問をいただいたとして理解しております。この点においては、私どもとしては、放送法の根本的精神と、そのNHK存在の財政的基礎となる三十二条の実態が、同時にNHK運営の実態と表裏一体になることが、最高の理想であるということはいま申し上げたとおりでございますが、私といたしましては、数年来、おそらく第一次五カ年計画、第二次六カ年計画、また、今年度の予算審議に際しましても、私は聴視者の利益とNHKの存在の安定と、両方から考え、また、国民的利益と、それからまた技術の発展という関連をとらえながら、私としては、できるだけ長期、第三次のできるだけ長い、可能な限りの長い構想、目標を立てながら、昭和四十三年度の予算編成にあたっては、過渡的に存在していたいわゆる放送料の区分、甲とか乙とかの問題を、衆知を集めて研究し、これを明年度予算編成の基礎となる長期構想の中で処理したいというお答えを申し上げたと記憶しております。で、このことは、必ずしも技術的に甲を残し、乙を切るのだという意味でもございませんし、それからまた、甲というものが実際は三十二条の実体をあらわしている放送料金でございまして、その中身には、各種の放送がございましょうが、波により、また施設によって。しかし、放送料金という意味での、またそれからのNHK放送を聞き得る施設との関係では、この原則は放棄する考え方は持っておりません。  その場合に、それならばどういうときに、いわゆる過渡的、経過的呼称としての乙は解消できるかという、その次の問題になるかと思いますが、これは簡単にいって、従来からもしばしば私が関係方面及び国会審議を通じて御説明申し上げておりますように、きわめて世俗的な表現をとりますと、ラジオのカバレージとテレビのカバレージが理想的にいえば完全に一致したときに、当然にそれは放送料金の考え方の中で過渡的形態はすべて吸収されるという考え方であります。ただ、ここで、まあその段階は、ある意味では、第一次五カ年計画ないしは第二次六カ年計画の完成と申しますか、これは当委員会においても申し上げておりますが、第二次六カ年計画の置局計画等につきましては、その間、オリンピックその他の関係もございましたが、大体予定の約五〇%強の置局を実施しております。したがいまして、今年度末のテレビジョンのカバレージは九五%をこえることになる。技術上の問題としては、さらに四・数%が残るわけでありますが、これは聴視者の要望にこたえてやる、その面については、置局を促進するとともに、共同聴視の助成その他あらゆる方法を使いながら、できるだけそのカバレージの差異を狭めていくという考え方を私どもは持っているわけでございます。そういう意味では、私は法律が出るとか出ないとかいうのではなく、NHK放送法の原則に従って、NHKの存在をたてまえとして、存在の基礎となる問題を自主的に解決をしていくことが当然私どもに与えられた責任と考えております。  それで、私がどのような法律案として審議されるかについては、まだ最終案というものは承っておりませんし、何とも申し上げられませんが、私ども立場から見ますと、時期は、形においては異なるけれども、かなり両面から考えますと、私どもが過渡的に決定した乙という考え方は、三十二条の表現そのもののうちで、過去八年間の置局計画の推進によっておおむね吸収し得べき段階に達しつつあるというのが、私ども考え方であります。ただし、このように申し上げましても、繰り返すようでございますが、NHKの存在は、日本国民及び国家が必要とするというたてまえから、放送法は特にNHKの性格とその責任を明記しており、その存立の可能性を確保するために、三十二条は受信料制度を明記しておるのでありますから、私どもとしては、その意味でも、受信料制度というものについては、これを確保する必要があると、このように考えているわけでございます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 これはいずれ法律改正がなされると思いますから、その際に私はさらに突っ込んだ御意見を承りたいと思いますが、いろいろ経過の中には、われわれの納得しがたいものがある。そういう点はまた私あとに譲りますが、問題はいま言われたように、経営上全廃することが差しつかえないということであれば、これはもう国民も大賛成でありますから、私は非常にけっこうだと思う。それはまたあとに譲ります。  それで、次官にちょっとお尋ねしますが、NHKのこの経営委員のうち、任期の切れた人がおりますね。これは法律十七条の三項で引き続いて在任することが定められておりますから、いま直ちに仕事には何も影響はないと思いますが、いずれ、国会も開かれておるわけですし、早く承認をしなければいかぬと思うのですが、これらについてはいまどうなっているのですか。
  36. 田澤吉郎

    政府委員(田澤吉郎君) 経営委員の問題に関しましては、ただいま衆議院の議院運営委員会提出をいたしまして、その審議を尽くしてもらっている段階でございます。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 いつ出したのですか。
  38. 田澤吉郎

    政府委員(田澤吉郎君) たしか、はっきりしたことはわかりませんが、二十日くらい前じゃなかろうかと思っております。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 これは普通の場合ですと、三十日前に出せば、本会議も開かれているし、とっくに国会は承認をすべきなんですが、いろいろ政府のほうの御都合もあると思いますが、やはり協会の健全経営を運営するという意味におきましては、やはり法律に基づいて、すみやかに措置をすることが必要と思いますから、どんな条件があるか私よくわかりませんが、東京都知事などであまり自民党さんのほうで無理なことをやるからじゃないかな、多少そういう影響もあるかもしれぬが、人事なんですから、名前などはここで申し上げませんが、ひとつすでに提案されているとすれば、あらゆる困難を除いて、すみやかに議決できるように推進してもらいたいと思います。
  40. 田澤吉郎

    政府委員(田澤吉郎君) できるだけ早く結論を出すようにいたしたいと思います。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 それから、これは三十九年度の予算とも関係しますが、NHKの健康保険組合がございますが、これは千分の七十七の掛け金のうち、千分の六十二は協会側が負担していると思うのですが、この内容について、現況、運営はどうなっておりますか、ひとつ概略だけ先に説明してもらいたいと思います。
  42. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) NHKの健康保険組合は、協会側と、それから被使用人側、両方が同数の委員を、理事を出しまして、なお、経営者側から委員長あるいは理事長を推薦いたしまして、両者が協議の上、その運営に当たっております。三十九年度の決算におきましては、およそ事業収入七億四千二百万のうちNHKの負担は、健康保険料関係で総額経費約六億一千万のうちで四億六千八百万を協会が負担いたしております。それから、いわゆるレクリエーション的な健康対策費として、総額三千万のうちで、およそ一千三百万を協会が負担いたしております。それで、三十九年度の決算はと申し上げますと、およそまだ、御承知のように、健康保険その他につきましては、四十年度に非常に大きな社会問題になっておりますけれども、医療費の値上げの問題、あるいは負担金の限界の問題その他ございますが、三十九年度の決算におきましては、多少苦しい傾向を見せておりますが、ほぼ赤字なしで決算をいたしておる、そういう形になっております。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 多少苦しいが赤字なしにやっておられる、これはたいへん御苦労さんです。ただ、もう少し私聞きたいのは、給付の内容ですね、病院もないわけでしょう。いま何か診療所ですか、そういうふうなものが医療設備としてはお持ちになっていると思うのですが、やはりNHKのような場合は、正月も盆も昼も夜もなく働いておる人たちがおるのですから、かなり労働も過激だと思うのです。したがって、この診療所というか、療養所というか、そういうところの利用率もかなり多いと思いますが、そういう問題について、支障なく給付の条件をよくしつつやれるものかどうか。千分の七十七のうち千分の六十二が協会側、千分の十五ですか、これが組合員の負担になっておるわけですから、いま非常に問題になっておりますように、全体の掛け金を少し上げなければ給付の内要がうまくいかぬというふうな、そういうふうな問題を具体的にもう少し私聞きたかった。ですから、その運営資金というものは、大体常時どの程度あって、しかも、運営について、これは日放労と協会側から委員が出て運営に当たっているわけでしょう。そういうふうなことですから、おそらく心配はないと思いますけれども、ちょうど一方では健康保険等の改正が論じられているおりですから、私はちょっと内容をもう少し聞きたかったのです、どうでしょう。
  44. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 健康保険組合につきましては、常時準備金を用意するようにいたしまして、法定積み立て金その他もかなり用意いたしておりますが、それで、いま申し上げましたような形で、三十九年度までは約一低三千三百万ほど用意をいたしておりますが、四十二年度に入りましてから、医療費の引き上げその他がございましたので急に減ってまいっておりますが、それでも、四十年度なお六千四百万の準備金を残しております。この準備金というものはできるだけ用意をいたしまして、先ほどお話がありましたような診療その他に万全を期するという形を備えております。診療その他につきましては、東京及び大阪その他各中央局には、それぞれ局内に診療所を設けまして、十分用意いたしております。東京の場合におきましては、内幸町あるいは渋谷のセンターのほう、あるいは技術研究所のあります砧町、そういう方面に用意をいたしまして、それぞれ専任の医師がおりましてやっております。それから地方の県庁所在地にあるような局におきましては、それぞれ地元の赤十字その他に契約をいたしまして、それぞれ週に数回来てもらうというような形、あるいは、そこに優先的に診療をしてもらうという契約もいたしております。また、病院につきましては、直接病院を経営するということはいろいろ問題があると思いますが、これはまだ研究途中でございますが、ある特定の病院にベッドを委託して、優先的にできるとか、あるいは人間ドックとか、あるいは胃の集団検診とか、そういうふうな形で、ここ数年来職員の健康対策についてはかなり十分手を尽くしておるようなわけであります。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 この二十三カ所にある保養所ですね、それから、あと診療所が東京、大阪、それに各局に医務室的なものがあると思うのですが、いずれにしても、内容について多少二、三年前ですか、上げたようですね。それはそうなるでしょう、なるでしょうが、特に私の言いたいのは、保健関係ですね、医療関係について言いたかったのですが、これはかなり利用率は高いと見ていいですか、一般的な診療所から比べると。
  46. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 幸い、よそに比べまして、ちょっと数字を用意いたしておりませんが、高いと見ていいと思います。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 この職員の健康ということは非常に大事なことだと思いますね。職員のまず健康、ですから、健康管理ということは非常に大事だと思いますが、これは一般的に各企業が病院をつくることについて、また反対意見もございまして、すでに既設の病院についてもこれを縮小せよとかなんとかという文句も出ておるのです。なかなかむずかしいと思うのですが、できるならば、この独自の医療機関というものをお持ちになり、もう少し内容を充実して職員の健康管理、これはビフォー、アフターとあわせましてたえず管理をしていくという、そういう構想を持つことは、全職員のひとしく望んでいることと思いますね。ですから、何かそういう構想を考えているような話も担当の方からございますがね。あなたとしては、思い切った医療機関というものを協会の中にもつくっていこうというような、そういう気持ちはあるのですか。
  48. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 端的に申しますと、ございます。したがいまして、過去八年間あるいは第一次五カ年計画の中で、あるいは第二次六カ年計画の中でこの問題を解決したいという意欲がございましたが、社会的環境の中でそれの成案を得ることが困難でございまして、まだ実現に至っておりませんけれども、私どもとしては、この問題は継続して研究しながら、できれば実現いたしたいという熱意を持っております。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 私どももぜひその方向に進んでいったほうがいいと思いますね。ですから、できるだけいろいろな条件を克服されて推進されることを私は希望しておきます。  それから三十九年度予算決算対照表を拝見しました。この中でわかりにくいところがありますからお尋ねしますが、特にこの予備費四億ですね、四億の予備費については、総則六条によって支出をする、これは予算審議の際にわれわれの承認を与えておりますから、おそらくこれ経営委員会の承認を得て——これは違いました、それは必要ない。総則六条で認めておりますから、その六条に従って使っておられると思いますね。そこでここに六条による予備金の振り当て額二億一千五十五万七千円ですね、それと、その次に、総則第七条による増収額の振り当て額三億四千三百二十九万九千円、こういうふうにございます。それで結局、増減が一億三千二百七十四万二千円でありまして、結局、決算はゼロ、こういうふうになっているのですが、この予備金の支出ということは六条によって承認を与えておりますから、これは執行部が独自の立場に立ってこれは実行できる、こう理解していいわけですか。
  50. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 予備金につきましては、三十九年度は四億の予算でございましたが、これについては、年度首に二億一千万円を支出いたしております。いずれも、それぞれの時点におきまして、項目別に経営委員会の議決を経てその上で実施をいたしております。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 これは普通の会社でも、あるいは予備金の支出については、かなりうるさいワクをはめていると思いますね。それはいいです。内容をまたあとで伺いますが、それで、この給与ですね、給与にわれわれはできるだけ回してもらいたい、待遇改善に。なお余ったものについては、債務償還のほうに回してもらいたい、こういう意見をわれわれ出しているのですが、給与に回ったのが七条による二億三千五百二十一万、ここに予備金に三億四千三百二十九万入っておりますが、もう少しこれを給与のほうに回し得なかったのですか。
  52. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 予備金から給与に回しましたものは、天災地変等におきまして職員を緊急に動員いたしました、そういう際の……
  53. 鈴木強

    鈴木強君 違うよ、これは振り当てたんだよ。
  54. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) たいへん失礼いたしました。増収の中から、当時十一億の増収がございましたが、その中から、一億七千四百万円を七条の二項によって給与に回しております。これは増収総額の一五・六%に当たりますが、当時、年度末手当としてこれを支給したものであります。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 そうでなくてね、よく聞いてくださいよ。増収があった場合に、これは予算総則六条、七条によってそれぞれ使えるわけです、振り当てができるわけです。私の言っているのは、せっかく増収があったら、従業員の待遇改善等に充て、なお余裕があれば、これをひとつ債務償還にできるだけ振り向けて借金を払うようにしたほうが、利子も早くかからなくていいじゃないか、こういう意見を私は前から出しているわけです。したがって、ことしの場合に、わざわざ三億四千三百二十九万というものを予算総則七条による増収額の振り当てとして予備金に入れたわけだから、こんな必要ないでしょう。もし二億三千と一億二千、これは年末手当の増額でしょう、六条のほうは。七条のほうは、待遇改善の基本給なら基本給のベースアップに乗せたというなら、もう少し、三億も予備費なんかに入れなくて、待遇改善にどうして回せなかったのかと聞いておる。予備費四億あるのだから、二億使ったって二億残るじゃないですか。
  56. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) なるほど、御指摘のとおり、増収の額を全部使い切らないで予備費の中に入れ、予備費の中に入れれば、それは次年度への剰余金として翌年度の財源になるわけでございます。待遇改善につきましては、これは非常に重要な事項と存じまして、総則の条項に照らして、できるだけこの面については善処をいたしてまいっております。特に毎年度の予算の御承認につきましては、待遇改善について云々の非常に御要望の強い附帯決議までいただいております。そういう意味でやっておりますが、何しろ、財政全般から申しますと、テレビの普及もかつての状況から見ますと、非常に鈍化してまいっておりますし、財源自体につきましては、他方において新規にいろいろな計画事項を乗せなければならない。主要な財源をまかないますためには、やはり受信料収入の増のみをもって期待し得るような状況には次第になくなってまいっております。そういう意味合いから、翌年度以降における財政の安定というような面から、残し得るものなら残して、次年度以降の財源の補充の一環にいたしたいというようなつもりでございますが、このことは、必ずしも待遇改善を軽視しておるわけではございません。三十九年度におきます増収の関係も、御指摘のとおり、残して翌年度に回しておりますけれども、待遇改善の面につきましては、増収額のおよその見込みを念頭に置きまして、そういう数字は極秘にもいたしておりません、組合とも十分話し合いの上で、納得の上で措置をいたしておるわけでございますので、何ぶん、その辺のところはよろしく御了承いただきたいと思います。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 それは納得しているとは私は思いませんね。ですから、われわれは予算を審議する際に、繰り越し剰余金というものはゼロに見ておったわけです。それが十六億七千四百三十八万というものが少なくとも繰り越しているわけです。それは、団体交渉ここで私はやるわけじゃないですから、副会長が両者納得したというふうに公の席で言われれば、私はそれに介入するというのはどうかと思うのですが、必ずしも満足をしてはいないと思うんですよ。ですから、十六億七千四百——約十七億の剰余金があったのですから、もう少し何か配慮できなかったかという私は気がするのですよ。しかも、予備金のほうにわざわざ増収分を七条によって振り当てるというようなことは少しおかしいのでね。そんなような経理のしかたはおかしいですよ、ほんとうを言って。だから、ちょっと見て疑問が起こるようなやり方をするのはよくない。待遇改善の面はもっとこれはやるべきだと思うんですよ。こんな残っているのなら、もう少しやったっていいですよ。まだほかの同種の協会の諸君の給与については私もデータを持っておりますが、協会のほうが低いですよ。こういう私は個人の意見を持っておりますが、この点もうちょっと配慮してもらいたかったわけです。増収というのは、みんなが一生懸命やって出てきた増収ですから、それに対して労に報いるということは、それは程度の差ですから、それを組合が了承したというなら、私はとやかく言いませんけれども、私の希望としては、副会長の言っておるように心から納得しているとは思わぬですよ。まあこれはいいですよ、その点はわかりました。  それから、この財産目録貸借対照表、これも拝見してまいりますと、会計検査院からの指摘というものはなかったようです。非常にけっこうでございます。そこで、交際費等の使い方については、これは放送法によって経営委員会の一切承認を得る。ただし、ある程度のものはよろしいがね。こういうことは忠実に守っていると思いますが、少なくとも三十九年度においては、この法律に基づく経営委員会の承認を全部受けていると、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  58. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 仰せのとおりでございます。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 それから三十九年に、コロンボ計画と中南米技術援助計画に基づいて、パキスタンとタイ、マレーシア、エルサルバドル、この国々に協会から放送及び技術指導者というものを派遣しておられますね。そうして放送事業等について、いろいろと日本のすぐれた立場に立つ指導をされていると思うのですが、これらの、いうならば後進地域という国々の放送事業に対して、この出ていきました指導団といいますか、派遣団といいますか、こういうものが果たした役割りですね、その評価、そうして、その後それによって、これらの国におきましては、どのような、放送というものが前進しておられるのかという点をひとつ伺いたい、せっかく金を使って派遣されたのですから。
  60. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) 技術のほうを申し上げます。ただいまお話のありましたとおり、コロンボプランと中南米技術援助計画、この二つによりまして、三十九年度は総員十八名出ています。そのうち、一例をあげますと、シンガポールにおきましては、このシンガポールのテレビジョン放送局の建設のためのいろいろの施策につきまして出ていったわけです。それの機材その他についてのアドバイスをいたしまして、現在それが運用されています。同時にその後、そこの放送局要員の指導のために、現在も一名ずっと続けて出ています。その他、マレーシア連邦におきましては、これは直接放送関係ではなしに、学校関係でありまして、テレビジョン、ラジオの学校の教師という面で二名出したわけですが、これも引き続いて現在二名出ています。それによりまして、マレーシア連邦のテレビ、ラジオの技術者の向上並びに知識の増進といいますか、知識がずっと上がったというような点に非常に寄与しております。これも現在二名まだ引き続いて出ています。その他、パキスタンにおきましては、これも現在出ているのですが、当時はパキスタンの放送局の建設のいろいろの資料を提供するというような状態で、それから中南米におきましてはエルサルバドル、これは学校、いわゆるテレビ、ラジオの学校の教師として招聘されておりまして、現在これも一名行っております。同時に、向こう自体が教育テレビジョンの計画がありまして、それらのいろいろな問題を同時に計画しておるという現状であります。以上であります。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 後進国の放送事業発展のために寄与するという目的でいらっしゃる場合は私は賛成ですが、ただ、国内におきましても、まだまだなすべきことがたくさんあると思います。特にいまお話しの学校教師として招聘を受けたということになりますと、これはやはり学校教師がどういう教師なのかよくわかりませんから、おそらく放送専門の教師か何かわかりませんが、一般的に教師であれば、これは文部省の関係になるし、また、コロンボ計画なり中南米技術援助計画というものに基づいてやられるわけですから、これは協会として、できるだけの支援をするということは当然でしょう。ただ、旅費その他の経費、こういうものは私はどうなっているかわかりませんが、協会で、もし、かなりしょい込むようなことになりますれば、やはりこれはみんなの受信料から払うわけですから、やはり問題があると思いますので、そういう場合には、どこかでおそらくこの成果について御発表になっていると思いますが、私ちょっと不勉強で、書物もできるだけ拝見しておりますけれども、読んでおらないかもしれません、私の不勉強かもしれませんが、そういった成果等については、できるだけ一般にも周知していくというふうなことをやって、利用者の理解を得るような積極的なPRも必要じゃないかと思うのですが、その金の点だけ、ちょっと伺っておきたいと思います。
  62. 三熊文雄

    参考人(三熊文雄君) このコロンボ計画及び中南米技術援助計画は、全部海外技術協力事業団の助成がありまして、NHKとしましては、そちらの外務省の関係を通じまして要請があって、そちらのほうの金で参っております。したがって、ただいまお話のありましたものにつきましては、事業団に逐一報告しているという現状であります。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。事業団に報告すると同時に、そういう一翼をになって協会がおやりになっておる場合には、コロンボ計画にわが社はこう協力しておるという趣旨のPRというものは、協会自身もおやりになったらどうですか。もしやっていれば、失礼ですから私撤回しますけれども、そういう点も御注意いただきたいと思います。  それから、いろいろありますが、何か時間が非常に少ないようですから、大臣衆議院逓信委員会との関係、予算委員会との関係でおそらくお忙しいと思いますから、一つだけ大臣に伺いたいんですが、ほんとうは、最初に御見解を承ってこの審議に入りたかったんですが、いらっしゃいませんでしたから、あとにいたしました。  郵政大臣としては、郵政省設置法あるいは放送法に基づいて日本放送協会を監督する権限を持っております。権限を持っておりますが、一面、放送法にきびしく規定をしております放送番組の編成基準等については、これはなかなかむずかしい面があるのでありまして、先般民間放送に対する視察をしたということでありますが、これが非常な誤解を受けまして、われわれ社会党におきましても、放送番組不当介入だということで取り上げました。そして、いろいろといきさつを調査し、大臣にも申し入れをした経過があるのでございますが、なかなかこの放送事業の監督ということは、大臣としても苦心があるところだと思います。われわれも放送が何でもやってよろしいなどということは断じて思っておりません。放送法あるいは憲法に基づいて公正、中立、妥当な、国民の教養を高めるために、知識を高めるためにやるという、その精神というものを自覚しなければいかぬと思いますから、そういう立場に立って見ておる。一時は一億総白痴化になるんじゃないかというような意見まで、民間放送等の番組に対する批判もあったわけでありますが、だんだん年がたつにしたがいまして切磋琢磨しつつ、民放もあるいはNHKも前進をしていると思うんです。大臣として就任されて以来日が浅いわけでありますから、そう全般的な詳しい私は御意見を承ろうとは思いませんが、少なくとも、日本におけるNHKがすでに四十一年の歴史を持っております。そして終戦直後までは、昭和二十五年、民放が取り入れられるまでは、独占事業としてやってこられた長い伝統を持っている。政府のほうでは、きのうも私、予算委員会で質問しました。まあ、NHKは、総理府の何かですか、広報調査室ですか、そういうところと連携をとりつつ政府の御方針というものについて協力をしているようでございますが、民放についても約六億でしたかの予算を使って、政府は周知宣伝をしようというので、私ちょっと資料をここへ持ってきておりませんが、各放送局別に金額と、それから一カ月にどういうふうな放送をするかということを、全部私は総理府から資料をもらいました。NHKに対しては、ある連絡的な窓口がありまして、そこでいろいろと相談をしつつ、政府の方針についてNHKが協力できる立場におけるものはやってもらうという方針をとっておるようであります。過般光村委員がこの委員会で指摘をされましたように、調査費というか、資料費というか、そういうものが一部国からNHKのほうに交付されておるというような話もあるわけですね。ですから、なかなかむずかしいと思う、そういうふうな政府NHKの間における問題というものは。だから日韓条約において、あの戦いには政府もかなり介入をして、日韓条約反対というような記事はできるだけ押えたとかいうような、いろいろなうわさが流布されておったのでありますが、絶えず放送番組に対する時の権力が介入するという、そういう心配は国民は持っておる。ですから、その扱いについて非常に慎重を期していただかなければならぬと思うのでありますが、私が聞きたいのは、大臣として、いまのNHK、協会の放送番組に対するやり方、編成の方針、これは番組基準等についても公表して、これは国民に明らかにする、法律によって定められておりますから、そういう一つの基準に基づいて協会はやっておると思いますが、何かもの足りないような点があるのではないか。それからもう一つは、きのうも、電波法はおそらく今国会に出ないでしょう、ですから、放送法一部改正をしてラジオの受信料を廃止する、こういう御所見を聞きました。したがって、そういう面からして、現在の協会の経営というものは、私がきのうちょっと意見を述べましたような実態の調査、いまのラジオの廃止をする場合に、どういう人たちがラジオを聞いているのかということと、経営基盤がこれによって問題があるかないかについては、特段の配慮をしてもらいたいということで、大臣も了承されておりますが、この点を含んで、ラジオの受信料というものは一切なくするかどうか。カーラジオを含む、あるいはキャバレーやバーあたりのそういうものも含めまして、ラジオに関する限り一切そういうものをなくしようというふうに法律改正なさるのかどうか、お差しつかえがあっていま言えなければ、これはどうせ法律改正が出てきますから、そこで私は伺いますが、そういうふうなこともありますので、協会の経営に対して率直にあなたがいまどういうふうに考えておられるのか、この二つを伺いたい。
  64. 小林武治

    国務大臣小林武治君) NHKに対する政府の態度、こういうものは放送法等にも規定されておりまするし、御意見のとおりであるべきだと、かように考えております。NHKそのものが、これは国の政策として料金、まあ料金と称するものによって経営されておる、また、今後も経営される、こういうふうに思いまするから、その根本をくずすという考えは、むろん私たちにもありません。したがって、今後もいわゆる放送料、受信料と称するか、とにかく加入者の負担においてこれを維持していくという問題は、何ら変更のあるべきはずもありません。ただ、NHKそのものは、いま申すように、経営する費用があればいい、必要な歳出に見合う料金収入があればいいと、こういうことになるから、これをどこから取るか、ラジオから取るか、テレビから取るか、こういうことは一つのきめ方の問題でありまして、私どもは今日においては、ラジオの単独施設から料金を取らぬでも、テレビのいまの聴視料でまかなえると、こういうふうな考え方を持っておるのでありまして、したがって、ラジオにつきましては、たとえば自動車が三百万台あるけれども、まだ五十万台しか取っておらないとか、とにかく、ものがああいうふうに小さくなってきて捕捉が非常に困難だ、また、契約をとるにも非常に苦労しておる。しかも、たとえば、極端に言えば、収入の半分はもう契約のための費用にかかってしまう、こういうような非常に能率の悪い料金と認めざるを得ないのです。したがって、テレビの聴視料でまかなえるということになれば、さような困難は排して、そして能率的なテレビの聴視料でまかなったらよかろう、こういうふうに思うのでありまして、さような意味からして、いろいろ、いまの世帯の免除をしても、ステレオを楽しむとか、あるいは自動車を持つものとか、バーやレストランなどは取ったらいいじゃないかというふうに言われますが、これは私は負担能力の問題でなくて、全体としてひとつそういうラジオ単独施設者の料金はやめたらどうかと、こういうふうな考え方から出ておるのでございまして、もしお話の質問に対して率直にお答えするなら、ひとつすべてのラジオの単独施設者からは契約をしなくてもよいようにしょう、こういう考え方をいたしております。  番組は、これも法律に書いてあって政府が介入すべき問題でもない。それから、一般の広報室は依頼者の立場において民放等にも対しておる、こういうことでありますし、NHKに対してもむろん権力が介入する、あるいは圧力によってこれを特別のものをやってもらう、こういうふうなことは考えるべきない、当然のことであります。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 これはちょっと私、法律との関係で困るのですけれども、はたして全部のラジオをなくした場合、協会のこれからの宇宙開発、いうならば日の丸衛星の打ち上げまで考えているわけでしょう。そういう場合に、はたして今後協会の体質というものがそれにこたえていけるのかどうか、そういう点がちょっと心配があるわけです。しかし、法律案は今月中に出すというのですから、いずれ閣議できまるのではないですか。そうすると、いまの大臣のおことばは私聞き捨てておくわけにはいきませんが、具体的に私、要望を出したのですが、そういう要望を十分尊重してやりたいというきのうの第三分科会でのお話ですが、もう何かこうきまってしまって、電波法放送法はこの国会には絶対出さぬ、したがって、放送法の一部改正法案だけの料金の点に対して、ラジオ料金だけなくすということに政府の態度はきまっちゃったのですね。そして、その手続をいまやっている、こういうふうになるんでしょう。
  66. 小林武治

    国務大臣小林武治君) きまったわけではありません。きめようと思っておるわけです。最近の時点においてそういうふうにきめたいと考えております。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 大臣はいつも私のあらゆる質問に対してそう言って逃げているわけだけれども、われわれも耳持っているのです、アンテナを。だから、いろいろな角度からわかりますよ。だから、それはもう出せないでしょう、電波法放送法を今度の国会には。だから、一部改正法案を出すのでしょう。その場合に、もうきまったとすれば、ちょっと私の意見もおそいのですよね。したがって、NHKがそのことによって経営的な問題について、あるいは放送内容の充実について、難視聴地域の解消について、あるいは宇宙通信について金が要りますけれども、そういうものは、かりにそれによってタウンする——との程度タウンするか、これも質疑ができませんからきょうは聞きませんけれども、ラジオ受信料がどれだけ減っていく、その減ったことは一体何によってカバーするのか。放送債券も法律によって発行限度がきまっておりますし、一時借り入れするにもたいへん至難だと思いますが、そういう資金的な今後の問題について、これは協会まかせだ、それはどうなったって知らぬ、こういうことじゃないと思いますから、少なくともラジオを廃止しようという、従来の放送法のたてまえというものは踏襲しているわけですからね、一部。ですから、そういう意味からいうと、この法律を出す場合には、それをやっても絶対だいじょうぶだ、国民の期待に沿えるNHK経営をやっていけるのだという太鼓判を押して大臣答弁なさったんでしょう。
  68. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは昨日からお答え申し上げたように、この国会にはいわゆる昨年出したような放送法電波法改正案は出すことをいたさないと、こういうふうな決定を近くいたします。それと同時に、いまのラジオ受信料に関する放送法の条文を改正すると、こういうことにいたしたいと思っております。この問題につきましては、いま実は急に起きた問題でありません。ラジオ受信料をやめることにしたいということは、NHK当局でも御了解くださっておることと存じますし、しかも、これは四十二年度の予算には影響させないということをかねがねここで言明しておりますから、これを実施するにしましても、来年四月一日から、こういうことになりますから、そのことは、来年度の予算編成の際にNHKとしても考慮し、私どもも御相談にあずかる、こういうことになると思います。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それで、時間がありませんから、最後に一つだけ伺いますが、いま、たとえば放送文化賞というのを出しておりますね、この放送文化賞を出す場合に、資金はどういうふうになっているんですか。失礼にならないように出しているんですか。額いろいろあるんですか。  それからもう一つ聞きたいのですが、たとえば「私たちのことば」というのがありますね。これには採用の分には謝礼を差し上げますと、こう放送しているんですが、この謝礼というのはどのくらい出すんですか。  それから、「スタジオ102」ですね、これはなかなか評判がいいんですけれども、せんだっても原爆被爆者の問題を取り上げておりまして、非常にこれ要領よくわかりやすく放送してくれたものですから、政府なんかも答弁する人はなかなかうまいですね。いい資料になるんです。これなんかも出演料というものを出していると思いますが、どういうふうなあれをしているのか。それから、その出演料を払う場合、一々スタジオに持っていって払っているでしょう、そのつど。いま違いますか。だから、かなり事務が繁雑化する。だから、私は、出演料すぐによこせということもないわけですけれども、後ほどお送りしますとか、失礼にならないように事前にそういうことをおっしゃれば、いま持ってこなければおかしいというようなことは言わぬと思うんです。これは昔の薄謝時代は、そういうふうな協会としては、出演者に対して礼を尽くしておったのでありますから、そういうなごりがいまもあるのだと思いますが、これらの点はすみやかに改善して、事務の能率化ということを考えませんと、そのために人一人が待っていなければならぬということも、これも一つの不経済じゃないですか。そういうこともありますものですから、その辺もひとつあわせて承りたい。
  70. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 放送文化賞についてお答えさせていただき、それから後段の御質問に対しは、責任者である浅沼総局長から答えさせていただきたいと思います。  放送文化賞の賞金と申しますか、これは創設されたのが昭和二十五年でして、したがって、その間三回改定されております。二十五年から三十四年までは、十万円でございました。三十五年、三十六年は二十万円でございます。三十七年以降三十万円になって今日に至っております。
  71. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 放送料の件についてお答え申し上げます。  ラジオの「私たちのことば」は、採用された分は放送料が一千円でございまして、現金を郵送しております。それから「スタジオ102」の場合には、非常に出演者の方が各界にわたりまして一定しておりませんが、現金あるいは記念品を差し上げることにいたしております。現金の範囲は大体四、五千円といったところでございます。  「スタジオ102」の編集についてちょっとお尋ねがございましたけれども、大体「スタジオ1O2」は、NHKのネットワークと、それから海外の総支局を動員いたしまして、機動的にいろいろな話題を放送するものでございまして、なるべく日常生活に密着した報道番組を気やすくごらんになれるようにというふうな気持ちで放送しております。この時間は御承知のように、一般家庭では出勤前の非常にあわただしい一ときでございます。できたら、その一日の話題となるようなテーマを選びまして、できるだけニュースに密着した町の話題、町の声といったようなものを、このスタジオに迎えたゲストあるいは放送記者の解説を中心として、あるいはまた、現地からの中継放送によって放送するといったような考え方でやっております。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 私はね、時間が許せば、人事管理についてもぜひ会長から承りたいことがございました。ですけれども、これはまた別の機会に譲りますが、ただ私はさっきもちょっと申し上げましたように、かなりこのNHK放送局を中心にして正月の元日から働き、祭日も休む間もなく働いておる人たちの労働条件というのは楽なものではないと思うのですよ。したがって、もう少し職場環境の整備——仕事をしやすくしてやる。従来のように、放送センターができない前は、あっちに間借りをし、こっちに間借りをしておるのですね。たとえば資料部だって方々に散らばっておるでしょう。それを何かどこか一つにして、そうして、どこの部の人たちでもそこへ行けば見れるような図書館式なものをどこかにつくるとかなんかしてもらわぬと、これはとても複雑な仕事で困ると思うのですね。あっちのほうの放送センターもやがて完成するでしょう。全部もう完成したのですか。いずれにしても、そういう意味があってつくったのですからね。ですから、ひとつ——日比谷のほうに新館、旧館があり、代々木に放送センターがあって、三つに分かれておりますから仕事もしにくいと思うのです。これはやっぱりスタジオのことですからやむを得ないでしょう、こういうふうにするのも。しかし、そういう点もくふうしていただいて、仕事のしやすいような方法にしてもらいたいということが一つ。  それから職場環境についても、ぜひひとつ思い切ってこれは改善してもらいたいと思うのですよ。私はまたひとつ具体的に近く見せてもらいたい点があるです。そういうふうな点も含めて、ぜひ職場環境の整備等については、日放労さんもおいでになることですから、これは団交でおやりになることだと思いますが、ひとつそういう点は下から言われたとか言われないとかいうことは抜きにして、これは先手先手を打ってやってもらいたい。たとえば女子職員が二千人もおると思いますが、生理休暇——生理の際における女子職員の手当て等がうまくいっているのかどうなのか。非常に苦しい場合に、たとえ一時間でもそこへ横になって休めるような設備があるのかどうか、私はそういうことは知りませんけれども、そういう女子は女子としての、しかも、労働基準法の中で時間の規則はあるとしても、朝早くから夜おそくまでやっておる人たちがおるのですね。ですから、そういう人たちに対して、やはり女子は女子としてのいろいろな特性があるわけですから、それにこたえるようなやっぱり施設をしてもらいたい、こういうことを私は強く希望をしておきたいと思うのです。  それから、これは資料のことですけれども、おたくのほうの総合放送文化研究所に放送世論調査所というのがありましてね、これは放送法に基づいて世論の調査をしなければならない、こういうことになっておりますから、それでやっておると思うのです。私は時間があればこれらの、協会との関係、援助資金、交付金が出ているのかどうなのか、これも聞きたかったのですが、これは時間がないようですから——これは非常に大事な問題でしてね。  最近の「五月の文研月報」というのを拝見しましたけれども、これには「日本の未来像」というので幅広い調査結果が書かれているのです。たとえば「日本の安全と独立」、それから「国際社会における日本の地位と役割」、「政党支持の状況」「政治的関心度」、「政治的参与の形態」、こういうふうな問題がここに収録されておりますけれども、しかも、内容を見ましても——このプリントが小さくて、これは虫めがねでも持ってこなければわからぬですよ。「日本の安全と独立」とかいうのが、いろいろ書いてありますけれども、これはよくわからぬですよ。私さっきからかなり見ておりましても、どういうことをこれは言っておるかよくわからぬですね。しかも、この「政党支持」とか「日本の安全と独立」とかいうようなことになりますと、これはかなり問題のあるところですし、しかも、非武装中立に関する——NHKの世論調査所としては、これは私はちょっとどうかと思うようなこともあるのですね、この中には。ですから、調査の内容等についても、もう少し私は会長ね、再検討してもらいたいと思うのです、やり方をですね。それから、せっかく放送法に基づいてやるわけですが、その世論調査ということが非武装中立に関するところまでNHKはやらなければならぬのかどうなのかということは私は疑問ですね。少なくとも放送に関する世論じゃないかと思うのですがね。ですから、これは多分に問題のあるところだと思いますけれども、これはここでもう少しぼくは勉強しなければいけませんから、勉強してから質問しますけれどもね。  さっきの資料ですね、こんな薄っぺらなものでなくて、ほかにもっとこんなりっぱな紙を使って書物を発行しているじゃないですか、ほかにたくさん、出版協会ですか。ですから——これだけこういう悪い紙でやっている、これは経営が苦しいのかもしれませんけれども、せっかくおやりになるのならば、もう少しわかりやすく——これはほんとうにわかりにくいですよ。私はこういうふうな世論調査のやり方にも異議があるし、それから、この発表の、PRのしかたについても、まずいですよ、これは確かに。ですから、もう少し——私読んでもわかりませんから、だれか専門家をよこしてくれませんか。時間があれば、ここで聞きたいのだけれども、ないから別途機会を見て説明を承りたいと思うんです。よくわからぬ。この非武装中立に関するというやつなんか、よくわかりませんから、そういうことをひとつお願いしてこれで終わります。この調査の方法については、会長からもちょっと意見を伺いたい。
  73. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 調査の方法、それから調査の原則その他については、まだ未熟なところがあると思います。それから、そういう発表の紙については、私も、私どもの年齢になるとなかなか見にくいという気もいたしますから、御趣旨の点はよく理解できますので、その点を再検討いたしたいと、このように考えます。
  74. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 時間の関係もありまするので、問題は一点にしぼってだけお尋ねしたいと思います。  もし満足なお答えが得られるならば五分で解決いたしますが、そうでなければ、これはかなりひとつ突っ込んで議論をしなければならない点まで含まれているのじゃないかと思いますが、実はこのNHKには管弦楽団、劇団、合唱団などのメンバーでつくられておる日本放送協会芸能員労働組合略称「日芸労」という労働組合がありますが、会長これは御存じでしょうか。
  75. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 存じております。
  76. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 協会側といたしましては、ここ数年来、この労働組合から団体交渉の申し入れを何回もしておりますけれども、拒否しておるのですね、ずっと拒否しっぱなしで。その理由が、世上伝えられるところから見ましても全く納得がいかない。どうして会長も知っておられるようなこの日芸労という労働組合との団体交渉を、協会側が拒否しなければならないのか、この理由はどういうところにあるのですか。
  77. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 日芸労はいまお話しのように、日本放送協会芸能員労働組合と称しておりますけれども、協会としましては、日芸労とは、回数出演契約を結んでいる出演者のうちの一部の方の集まりであるというふうに考えております。したがいまして、一般の番組出演者と全く同じように考えておりまして、自由な立場の自由契約というたてまえをとっておりますので、これについては、そういった契約のつど契約の当事者がお互いに話し合うということにきめております。
  78. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それはいまのことばを一口で言ったら、労働組合と協会側は認めていないということですね。そういうことですね、一口に言えば。
  79. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 労働法上の労働組合であるかどうかということは、協会としましては、そういうことを判断する立場にはないので、ちょっとお答えできません。
  80. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 いや、その労働法上でいう場合の解釈を聞いておるのじゃない。NHKが現にこの労働組合に対しては、労働組合として認めていない、認めるわけにはいかない、認める理由はないという立場で接しておられるのですねと聞いておるのです。
  81. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) さようでございます。
  82. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 だから、それは一体どういう理由に基づくのですか。労働組合がつくられて、しかも、この労働組合が団体交渉を申し入れているにもかかわらず、おまえのところは労働組合じゃないのだと言って、数年にわたって団体交渉を拒否し続けているということは、一体どういう理由に基づくのですか。あなたのさっきのお説によれば、それは自由契約なんだから、個々人との契約なんだから、こう言っておりますけれども、しかし、そういう自由契約、個々人との話し合いというものの、その個々人が任意で労働組合をつくって、その労働組合が団体交渉を申し入れた場合に、これを拒否するということは不当労働行為になりませんか。
  83. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 協会とそれから演劇、管弦楽、合唱等のタレントの間において締結された出演契約の一種であるというふうに理解しております。そして、この出演契約はその地元の局の当事者とその問題について話し合えばよろしいというふうに考えております。
  84. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 昭和四十一年の十月二十一日です。時間的にもそう遠いことじゃないのですが、この労働組合の委員長である花木さんという方から文書でもって正式な申し入れがありましたが、昭和四十一年十月十五日付団体交渉申し入れ書なる文書の配達を受けましたが、私としてはこの申し入れに応ずることはいたしかねますので、この旨御返事いたします、こういう返事を出しているわけですね。これはどなたがお出しになった返事ですか。
  85. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 一般出演者関係は、大体各局、芸能とか教育とか報道でやっておりますが、この三団体の場合には、放送業務局というところで大体所管をしております。したがって、放送業務局長の名前で出したものと存じます。協会としましては、この回数出演契約という問題について中央で話し合いをする要素というものは何にもないというふうに考えております。
  86. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 つまり、この労働組合は昭和三十二年につくられまして、そうして昭和三十六年には総評の全国一般労働組合に加盟をしているわけです。四十年には、NHK労働組合協議会としてNHK内の各労働組合と共同の立場に立っておるわけです。また、昭和三十六年には、広島地方労働委員会に問題が提訴されまして、ここでも労働組合である、団体交渉を行なえという勧告を出しております。それから三十七年の広島地方裁判所においても、これはやはり出演回数契約という名による一種の雇用契約である、すみやかにやはり労働組合として正常な労使関係を結べという意味の地裁の判決も行なわれているわけです。四十一年には、大阪地労委へまた提訴いたしまして、ここでもほぼ同様の方向が出された。四十二年、ことしになって中央労働委員会があっせんに乗り出すやに聞いておるわけです。各地方の地労委、そこでも労働組合としての労使関係の正常な関係を打ち立てるようにという勧告があり、これが実際に実行に移されていないために、中央労働委員会の非公式ながらあっせんがいま行なわれようとしている。この段階で、日本放送協会として、この労働組合を労働組合として認めないで団体交渉を拒否し続けて、それで世間の常識をごまかして通り抜けることが一体できるかどうか。私は、NHKというものはもっとやっぱり憲法に忠実で、前田会長のことばをかりて言うならば、平和に徹し民主主義を尊重するたてまえにある協会が、この日芸労という労働組合に対して不当に取り扱うということは許されることじゃないですよ。たとえ、あなた方が表面どうつくろってみても、あなた方の行なうところの事業に出演をして、それを生活の中心のかてにしている人たちが自発的につくった労働組合との団体交渉を拒否して、しかも、地労委、地裁の判決が出ている今日において、なおかつ、これを中央としては認めるわけにはいかないと突っぱねているやり方というものは、私は全く近代的な労使関係の慣行を無視するやり方だと思いますから、この点に対しては、ひとつ前田会長のほうからお答えを願いたいと思うんです。
  87. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 日芸労の側から申して、これが法律上の労働組合であるということを私は否定いたません。労働組合だと私も考えております。それでは、NHKとこの組合の関係はどうかという問題になるかと思いますが、この場合、先ほどの浅沼さんの説明は簡潔に過ぎたかと思いますが、これは御承知のように、大阪においては、大阪の中央局長がその契約の代表者になっております。広島においては、広島の中央局長、東京においては、放送業務局長という地域的な契約の実態になっておりまして、したがって、その地域的実態に応じて交渉に応じておるわけでございまして、その全体的なものを東京で交渉するという仕組みにNHKにおいてはなっていないわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘のとおり、広島においては広島で交渉があって、この問題についての労働委員会ないし裁判所というものがこれに介入した事実は私も承知しておりますし、大阪においても同様のことが行なわれておるということも承知いたしております。そういう意味でのいわゆる交渉に応じないというのではなくて、それぞれの地域において交渉に応じておるという点の説明が多少足りなかったかと考えております。
  88. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、地方の放送局ではこれを労働組合と認めて団体交渉に応じていると、こういうふうな実情だというふうに承知してよろしゅうございますか。違いありませんか、それに。
  89. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 一般出演者との話し合いということで交渉しているということでございます。
  90. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは労働組合関係に所属していない者にはちょっとすぐにのみ込めないいまの答弁だと思いますが、一般の出演者として交渉しておりますということは、労働組合としての団体交渉を認めていないということなんです。前田会長のさっき言ったのは、地方ではそれぞれの地方の状況に応じて交渉に応じていると、こう言っておる。答弁の食い違いがはっきりしておるじゃないですか。
  91. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 会長の答弁と私、食い違っているとは思っておりません。
  92. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これ押し問答を繰り返しているという感じがするのですよ。つまり、労働組合として認めないということは、さっきの話では、中央段階での団体交渉に応ずる性質のものではないということが一つの理由になっていた。私はその理由はけしからぬと思うけれども、ともかく、あなた方はそれを一つの理由にしておった。その次に突っ込んでみると、地方では労働組合として交渉しておりますと言っておる。ところが、ただいま聞いておると、中央でもしかり、地方でもしかり、この日芸労なる労働組合とは、労働組合という立場では団体交渉には応じていないと言っておるのですね。はっきりそう言っておる。自由契約に基づくこの交渉には交渉はいたしておりますと言うのだから、それは労働組合としての団体交渉は認めないということです。そうすると、中央と地方でも全国的にNHKはこの日芸労との団体交渉は応じていない、認めていない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  93. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) いままでの地方別の交渉につきましては、いま申し上げましたとおり、出演者集団との話し合いというふうに了解しておりまして、組合の団交であるかどうかということは必要がなかったので検討いたしませんでした。
  94. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それがつまり、どこの地労委でも裁判所でも、あなたたちの態度が間違っているんだと言われる理由なんです。これはどこの地労委でもそう言っているじゃないですか。私は、中央委のあっせんのもとで出される解釈だって、あなたたちのいまの態度は認めるわけにはいきませんよ。これは日本の憲法がはっきりきめているのだ。それをどうしてこういうわかり切ったことに対して、あなたたちががんこに労働組合として認めない、団体交渉を持たないというふうに突っぱねているのか、実際ふしぎでならない。どういう理由があるのですか。自由契約だから云々というのではないんでしょう。何かほかに特別これを労働組合として認めることによってNHKとしては重大な支障を来たす何ものかがあるのですか。
  95. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 少なくとも雇用関係にある労働組合であるというふうには理解しておりません。これはあくまで回数出演契約に基づく出演者の方々でございます。そういうふうな了解でございます。
  96. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 だから、その雇用契約には、たとえば日放労の組合員のような、そういう形の雇用契約もあれば、優先契約といったような雇用契約もあるのですよ。だから、雇用契約に基づく労働組合でないということは言いのがれで、通りませんよ、そんなことは。いまあんた、実際問題として、労働省は日雇い労働者でさえも、これをちゃんと労働協約として労働協約を結ぶ対象にしていますよ、労働省の通達を見てみると。日雇いですよ、それでもちゃんとそういうふうに見ている。それは当然のことですよ、人権を尊重するという立場から考えたら。だから、回数出演になったのだ、いままでの専属とは違うのだ、これは雇用契約に基づく労働組合じゃないのだという見方は通りませんよ。どこから出てくる議論です。労働法のどこに出てくる議論です。
  97. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 出演契約につきましては、私どもは労働契約ではないということに了解しております。
  98. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 声が小さくて、おそらく全員に徹底しないと思うのですよ。もう一度いまの言ったこと言ってください。はっきり聞こえないのです。
  99. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 出演契約については、雇用契約でないという解釈であります。
  100. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 ところが、その出演契約が年間にわたって、たとえば百回とか二百回とか、ほとんどその出演の契約で、一年の大半はNHKとの契約によって生計を営む以外に生きる道がない者に対するその出演契約も、雇用契約と言えないかどうか。
  101. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) この合唱、演劇、音楽各部門にわたりまして、各個人と年度の初めにおいて個人別のいろいろな条件をしるした契約書を取りかわし、それに相互が調印をいたしてこの契約は成り立っておるわけでございます。したがって、これは雇用ではないというふうに思います。
  102. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 だからこそ、労働組合がそこで必要になるわけです。つまり、個人個人で契約をしたのでは、いろいろな意味でどうしたってこの人たちは弱い立場にいる人たちですから、そう言うとことばが過ぎるかもしれませんけれども、あなた方の持っている力の前に抗し得ないのだから、したがって、個人個人の契約になっていけば、どうしたって有利な契約の方向に行き得ないので、そこで必然的に同じような立場にある人たちが労働組合をつくって団体交渉を申し入れていく、これが世の多くの労働組合が出発のときの基本的な姿勢なんです。それを回数出演の契約は雇用契約とは違うのだということをたてにとって、実に数年間にわたって団体交渉なるものを拒否して、労働組合という立場を認めていない。これはもう全くいまの日本の憲法下でこれだけとにかく労働運動が行なわれているときに、NHKといわれるような、こういうつまり公共的な団体の中で、こんな、とにかく全く、あんた封建的なやり方が依然として残っているということ、一体この委員会許していいかどうかということなんです。われわれ憲法の立場からいっても、とってもどうも納得ができないね、そういうことを強引に言い張るということは。しかも、そのあなた方の解釈がどこかで正しいと言われているようなところがあるかというと、一つもない。どこの地方労働委員会へいっても、NHKの態度に同調しているところはない。地裁でもない。それにもかかわらずごり押しをするというその精神は一体どういうわけなんだ。不偏公正なNHKというものの立場からして、これは十分に再考すべきものだと私は考えるが、前田会長はどうです。
  103. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私ども立場は、ただいま浅沼専務から申し上げたとおりでございますが、伺っておりますと、その間の相互理解が非常に足りない点もあると考えますので、やはり当事者間で話し合いを続けていくことが必要ではないかというような印象を持って伺いました。
  104. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 いまの前田会長の答弁は一歩前進ですよ。当事者間で話し合いを進めていきたい、私はこれが確認されるならば、この質問を打ち切ってもいいです。ほんとうにやってくれますか。
  105. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) いま会長が申し上げた話し合いをするということは、先ほど会長の話にありましたとおり、各地でお話し合いをするという意味でございます。
  106. 森勝治

    ○森勝治君 関連。ただいまの会長と浅沼さんの問題について、関連で質問したいのですが、今後話し合いを進めてまいるということは、私どもの解釈からいいますと、正規の団体交渉を推し進めていく、両輪が食い違う、両方の歯車の食い違いを話し合うという、おたくのほうでは団交でない、話し合いと言うかもしれませんが、そういう場で解決をしていく、こういうふうに理解するならば、NHKの態度は、この席上であらたまって、労働組合としての存在だけを認める、その意味を発見したから、労使相互対等の立場で話し合いを進めていく、こういう理解の上に立っての会長の御答弁とわれわれは承るのですが、それでいいですか。
  107. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 団体交渉という意味ではございません。あくまで労使の話し合いという意味でございます。
  108. 森勝治

    ○森勝治君 なれば、その話し合いの当事者はだれです、個人個人ですか、それらの団体でしょう。
  109. 野上元

    委員長野上元君) 向こう側のですよ、向こう側の個人ですか、団体の代表かというのです。
  110. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) 個人別に契約をしておりますので、個人別にお話し合いを続けたいと思います。
  111. 森勝治

    ○森勝治君 どうもわからなくなってくるんですよ、大阪や広島のほうでは、団体別の話をしているわけでしょう。あなたがどう言おうが、東京の本局ではどうか知らぬが、地方ではやっているでしょう。会長の趣旨は、そういう団体とNHKが、たとえば大阪なら大阪の出先の長と、大阪当該NHKに所属する労働団体の代表の方々と話し合いを進める、こういうふうに会長は御答弁願ったというふうに私は理解しておるのですよ。全然違うのですか。どうもあなたの話は、失礼ですがだんだん後退して、労働法なんていう存在は遠くはるかかなたの遠い国のできごとのような、ベトナムの空の向こうにあるような、まことに失礼な発言だが、私はそういうような印象をぬぐい切れない。その点を簡明に説明してくれませんか。私どもわからない。
  112. 野上元

    委員長野上元君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  113. 野上元

    委員長野上元君) 速記を始めて。
  114. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 食い違いはないかと思いますが、説明のしかたが食い違っていると思います。先ほど申し上げましたように、非常に要約してみますと、これらの出演契約の問題は、NHKとしては一種の事業部制をとっておりますので、大阪における契約は、大阪の必要性と予算に基づいて、大阪の局長が最高責任者、同時に、東京は放送業務局長、また、広島なら広島中央局長ということになっております。そうして、たてまえとしては、われわれの考え方は、これらの芸能者は私どもと個人契約をしているというたてまえでございます、それぞれの当事者との間に。しかしながら、もちろん、仰せのように、これらの人々が労働法の諸法に基づいて組合をおつくりになることを私どもが阻止しようという考え方は持っていないわけです。したがいまして、従来もこれら当事者間の交渉の方法としては、個別の話し合いもあり、またグループの代表者の話し合いもあり得るわけでありまして、その意味において、何を申しますか、相手側からいえば、それは組合の代表者と、いわゆる一種の団交であるということは、私どもとしても、理解ができるわけでありまして、したがいまして、私たちもその立場に立って、話し合いを全く拒否するという考え方は持っていないわけです。各地区において、それぞれの当事者間に話し合いを今後も続けていきたいと思っているわけでありまして、その方法が一対一であるか、あるいはグループの代表者であるか、われわれのほうとしては、その地区の局の最高責任者もしくはその代理者、必要あればこれも複数になることはあり得るという意味でございます。
  115. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは、この場所でこう言って、とにかく言われて、その場限りの答弁としては通るかもしれませんけれども、生きた事実は、そのことは許されない。ちゃんとなっている。労働組合法の第七条第二号は、正当な理由がなくて団体交渉を拒否すること自体が不当労働行為であるという明文があるのです。それから、あなたのさっきおっしゃられたように、それぞれの地方でやると言っておりますが、昭和三十九年の一月二十一日におけるこの日芸労の団体交渉の申し入れに対して、大阪地方労働委員会、これは地方労働委員会に提訴されたんです。そのときに、大阪中央放送局長島浦精二氏に対して、大阪地方労働委員会はこういう条件を提起した、回数の契約者の一部を代表する者と、協会の出演条件についての話し合いである、そして雇用関係の有無については話し合いの対象にしよう、こういうふうなことをあげているんだけれども、それを島浦さんは、どういう理由か、やはり依然としてこういう和解の条件というか、こういうものについても、態度としてはほおかぶりをしている、やってない、こういう事実があるのです。各地方地方でも、労働組合代表との話し合いというのは、それぞれの地方でもやっていない、実績が示しているのです。ですから、これは、おそらくNHK全体の考え方から出てくるので、やはりそれぞれの地方でも、本部の中央の意向をそうであろうかというふうに思って、団体交渉に応じていないというのが実情だと思う。ですから、地方でおやりになるにせよ、これから話し合いをしていくにせよ、中央でひとつ統一された見解、いまの日本の労働法に基づいて統一された見解をお示しになることが、この問題を解決するかぎではないかというふうに私たちは考えているわけです。事、芸能員の生活の基本的人権に関する問題ですから、これでいいと、いまのままの状態でいいと突っぱねるのは、いささか私は近代的な労使関係にもとる意見ではないかというように思うのです。具体的な例をあげてみますと、この労働組合に関する限りは、実に五年間、つまり、契約の料金というのは、びた一文も上がっていない、いま、どこの労働組合でも、春闘春闘で、年間少なくとも一〇%以上の賃上げをしている今日、五年間びた一文も上がっていないというんですよ。驚くべきことじゃないですか。しかも、この人たちに対しては健康保険もない、失業保険もない、つまり、一切の社会保険の恩恵からも、社会保険の適用からも除外されている。実に無権利の状態において、しかも、個人個人のの契約でやっていくんだと。労働組合ができない以前はいざ知らず、こうした労働組合がある以上、やはりこれらの社会保険の権利、それから契約賃金の増額などの問題について、これらの労働組合が一致した立場で要求を出してくるのは、これは当然のことですよ。近代労使関係はそのことを正当なものだという認識の上に立って組み立てられているんですから、あなた方は一体なぜ、これにあたかも挑戦するかのごとく、がんこな態度を固執しておられるのか、どうしてもわからない。私は改めていただきたいという強い希望を持っております。もう一度ひとつ統一された見解をお聞きしたいと思うんです。
  116. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) いま五年間賃金が上がっていないというお話でございましたけれども、出演料が上がっていないということでございましたが、これはこの四年間に約八〇%の人が出演料の増額を受けております。それで、現在ラジオの基本出演料といたしまして、三十分単位で、管弦楽の人は二千五百七十九円、合唱が二千五百二十七円、それから演劇が三千百六十四円、全国平均で二千六百六十六円というのがラジオの三十分間の基本出演料でございまして、これにテスト料とか時間超過料とかいうものがつきまして、この相場というものは、これは他の最高の軽音楽団の場合でも一人頭二千五百円、他の合唱団の場合でも一人当たり二千円でございますから、決して安いということはございません。
  117. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 つまり、あなたの言っている八〇%というものの中には、この日芸労に入っている人を含んでそうなんですか。
  118. 浅沼博

    参考人(浅沼博君) もちろんでございます。
  119. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 日芸労がこの問題に対して各労働組合に支援方をお願いをするということで送った文書の中では、賃上げということばで言っていますが、賃上げ連続五年間ゼロ回答だと、協会五度目の賃上げゼロ回答ということを言って出してきております。で、この人たちの生活の大半が何にかかっているかということの一人一人の、まことに一人一人の具体的な内容が載っているわけですね。それを見ましても、いまあなたがおっしゃったようなぐあいに必ずしもなっていない。これを一つ一つ読み上げるというのは、非常にこれはたいへんなことでありますけれども昭和四十二年二月現在、東京、大阪から広島に至るまでのいま言われたような人たちの年収の月割りが全部出ております。こういう人たちの実態を見てみますと、ほとんど二百回から二百五十回にわたって、多い人は二百八十回にわたってNHKと出演の契約をしておるという状況から見て、これはもうほとんどNHKで生活をしている、NHKの出演契約料によって生活をしていると見てもほとんどいいくらいずっと出ているわけです。そうしてみて、一体これがいかに安いか、いかに零細なものであるか、私たちはNHKのテレビを見ながら、こういう人たちが下積みの中で苦労をして、そうして、ああいうふうな管弦楽団だとか合唱だとか、いろんな劇団が出ているということを初めて知ったんですよ。だから、決してあなたのおっしゃっているようなぐあいにはいっていない。これは全部読み上げるのはたいへんですから、もし必要ならば私は委員会の資料としてひとつぜひ取り上げていただきたいというふうに思う性質のものです。そういう明細書が来ていますから、ぞひひとつ見ていただきたい。この際、私は、細部にわたっての問題をここであれこれ言おうとしているわけじゃないんです。これは明らかに前近代的な労使関係の感覚に立つものであるから、これを一日も早くやはり近代的な労使関係の軌道に乗せるように、協会側としても御努力を願いたい。そうして、これはILOの八十七号条約が今日批准をされているという現実をよく見ていただきたいと思うんですよ。あれほど、この八十七号条約に対して抵抗のあった日本の一部世論も、結局、あの条約を批准せざるを得なかったという日本及び世界の趨勢を見ていただいて、NHKの内部にこのような前近代的な労使関係が、労使関係とも言えないような状態のものが今日依然として残っているということは、これはNHKの恥だとは思いませんか。NHKの恥部だとは思いませんか。
  120. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私ども立場は先ほど来から申し上げておりますように、出演者約契と、雇用にあらずと、繰り返すようですが、そういうたてまえをとっております。したがいまして、出演者というものは技能を提供してくださるわけでありますから、技能の向上する方と向上しない方について評価が変わってくるのはやむを得ないと思います。したがいまして、私どもは、従来もこれらの方々に技能の検定——自主的であろうと、あるいは客観的であろうと、そのことも強く要請いたしているわけでございます。で、そういう方々が労働法規に基づいて組合をおつくりになることを、今度は客観的な立場で阻止しようという気持ちは毛頭ございません。ただ、私ども立場から言えば、これは一般職員のような雇用とは全く異なる。なぜかといいますと、NHKの仕事の大部分は、おそらく、自主的に番組を制作し得る部分を除いては、すべて出演者との関係において成り立っているわけでございます。したがいまして、そういう意味で、技能が向上すれば当然契約料は改定されるということになるわけでありまして、そういう意味では、私どもは、いわゆる日芸労に所属する方々を差別待遇するという考え方は持っていないわけであります。そして、その上、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、事業部制によって、その予算を持ち、雇う権限、あるいは出演を要請する権限を持つ方々に、私どもとしては、その話し合いの権限を持たしているわけでありまして、したがって、問題は、要するに、雇用か雇用でないのかという点で、過去五カ年間にわたって、それぞれの地区において、それぞれの手続を経て争いが今日まで継続しているというのが実情でございます。したがいまして、こういう考え方はILOの問題を考えるまでもなく、全世界の放送事業者と出演者の関係でありまして、このことのみが、その意味で、私どもが、これは出演者関係であって、雇用関係でないということが、世界的一般良識の原則に反するとは私ども考えていないわけであります。しかし、出演料の改善はただいま申し上げましたように、技能と関連があるという点では、いつでも、それぞれの責任者がお話し合いに応ずることは当然であり、そういう意味で、私は先ほど来申し上げており、そうして、これがNHKの原則的解釈であるということを申し上げたいと思います。
  121. 横川正市

    横川正市君 私は結局、こういう解釈をして、そして両者でもって円満に解決をしていくことが必要なんじゃないかと思う。一つは、たとえば日光とか、あるいは国宝なんかの修理をしている修理組合というのがあるのです。これは特殊な技能を持った人たちが国と、いわゆる文化財保護委員会との間に契約を結んでいるわけじゃありませんで、下請企業の企業が、文化財を保護しようとする請け負った人との契約で、もう三百六十五日休みなしに仕事をして賃金を得ている。これが相当前に労働組合をつくりまして、どこを相手にして話をしようかという問題が起こったときに、請負者と話をしょう、そのあっせんを文化財保護委員会が行なって円満に解決したという事例があるわけなんです。いま私ども聞いておりまして、労働組合をつくられたということについては、これは職能別組合ないしは産業別組合でありまして、それをだれもが否定するわけではありませんから、ただその組合の代表者と賃金ではない出演料の話し合いをする場所を、これをNHKとしては制作費その他の必要度合いに従って、たとえば長期にあれば年次契約、あるいは短ければ月契約ないしは日契約ということで契約されるでしょうが、その契約をされる場合には、当然相手側が加盟をしております労働組合の代表者と話し合いをする、その場合に一つのこの制作費の中で占めております人件費あるいは出演料、こういったものが、一部ではたとえば演技が非常に高い評価をされているから高いではないか、こういうふうに私ども言った場合もありますが、しかし、そういう場合に低いということは、これは一般社会常識上からいっても、これはやはり責められることですから、低いか高いかについての最終的な話し合いは、これはやはり協会の東京での話し合いの場所で、たとえば最低、主演者について、あるいは助演者について、あるいは音楽について、あるいはまあいわばその他多数での出演者について、そういったことでの出演料といいますか、それらの協議については、話し合いの相手として応ずることがあり得るということで、個々の場所での話し合いは話し合いを行ない、それで解決しない場合には、中央で話し合いをする、こういうことがあり得るということを了解すれば、私は、この場で何も雇用関係を結んでいるから団体交渉だとかなんとかいうことでなしに解決をするのではないだろうか、こう思うわけですが、その程度までNHK側として理解できるかどうか、私はそれが解決の方法だと思います。
  122. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どももそういう方向を完全に拒否するものではありません。ただ、従来五年間にわたる係争は、出演者であるか、雇われた人たちであるか、いわゆる私ども考え方というのは御理解いただきにくい点があるかもしれませんが、私どもの雇用と申しますのは、日放労の基礎となる職員を考えるわけです。で、放送事業の性格からいって、その他の技能をいただきたいという方々に対しては、出演者という考え方、これは日本だけでなくて一般的な常識でございますが、そういう意味で、この根本問題についてあまり、何と申しますか、根本問題が明らかになれば、もちろん、私どもは、この問題で前時代的な出演料でがまんしておれというようなことは申し上げる気持ちは毛頭ございません。要するに、この問題が非常に複雑になって、鈴木先生の御発言までこの委員会でいただくようになった根本問題は、要するに、国内的感覚における雇用であるか、一般良識として国際的に許容されている出演者であるかという問題にかかるわけでありまして、その点についての相互理解が成り立てば、もちろん、私どもとしては、その出演料の改善、それがそのときの社会水準プラス芸能の濃度というものと関連して話し合うことは当然であろうと私は考えております。
  123. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 同僚議員のいろいろな御援助もあって、話がだんだん煮詰まってきましたので、私、非常に喜んでいるわけです。私は決してこの問題を取り上げて事を荒立てるという気持ちはちっともないので、こういう関係はできるだけやっぱり軌道に乗せるということが必要なんです。それで、しかし、それにもかかわらず、NHKの首脳部の中には、きわめてこういう問題についてがんこな、保守的な、封建的な考え方をしている人たちがいるので、問題がこじれていくというふうに思うのです。たとえば広島地裁がこの問題について言っていることなんか、全く地裁でさえもと、こう言いたくなるくらい、実に疑問の余地なく言っておりますよ。言っておりますから読んでみます。「放送出演契約はその契約形態の変遷にかかわらず、被申請人が放送事業遂行上必要とする芸術的労働力を確保する手段であって、芸能員は放送事業の組織の一部を組成するものであり、その意味においてその提供する芸術的労働は一般職員のそれと異なるところはなく、被申請人と芸能員間にはいわゆる使用従属関係を認めることができるというべく、申請人は労働組合法にいう労働者と認めるのが相当である。」と広島地裁の判決文です、これは。
  124. 横川正市

    横川正市君 労働者として認めているんだよ。ただ雇用関係か出演かという問題で、だから出演料の問題は、労働組合によって労務の提供を断わって、そうして出演料を値上げするという場合もあるわけだ。その代表者と話し合うかどうかという問題だけだ。話し合うということでいいじゃないか。
  125. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 要するに、労働組合の代表者と話し合うことがはっきりすれば、まことにいいのですよ、それが質問の趣旨ですから。はっきりそういうふうにいま言いましたか。どうもそうでないらしいよ。
  126. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもは、雇用関係にはない、しかし、出演者であって芸術的労力を提供してくださるその意味における労働者であるという点を否認するものではありません。ただ、NHKとの直接の関係においては雇用関係はないというたてまえで、実は五カ年間もめているわけです。ですから、出演者の方々の側におかれても、この点を御理解いただけるならば、もちろん、社会的水準もございますし、それから芸能技術の点をも勘案しながら、常にお話し合いに応ずる気持ちはあるということを申し上げているわけであります。
  127. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それから、さっき総局長が言いました問題について、ここに出ていますから、ちょっと誤解があるといけませんから言っておきますが、つまり、昭和三十七年四月六日以来、基本出演料、労働組合のことばで言えば賃上げですよ、この基本賃金が一銭も上がっていない、過去五年間一銭も上がっていないという事実がここにはっきり出ています。これは昭和四十二年二月二十五日に前田会長あてに日本放送協会芸能員労働組合の執行委員長の名前で出された要求書の中に書いてあります。それを見ますと、技能度が超特ABからずっと十号まであるのですが、十号が一千円なのです。ラジオ基本出演料が一千円、これをせめて一千五百円にしてくれという要求を出している。五年間、実にささやかな要求じゃありませんか。いま総局長が答えたのは、この基本出演料の値上がりを言っているかのような印象を与えたのですけれども、これはびた一文上がっていない、上がったのは何かと言えば、技能試験をして技能が上がったということを言っているだけなのです。だから、これは誤解のないように、上げた上げたと言っているが、基本料なるものは五年間一千円という、十号の基本料金は変わっていない。これをせめて千五百円にしてくれという要求を五年間続けていってゼロ回答をしておる。こういう事実を残しておくことは、実際会長これは恥な話だ、この人たちと話し合いをしてください、ほんとうに。
  128. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 幸いに、鈴木先生のごあっせんによって、雇用関係にあらずという……
  129. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私そんなこと言っていませんよ。
  130. 野上元

    委員長野上元君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  131. 野上元

    委員長野上元君) 速記を起こしてください。
  132. 森勝治

    ○森勝治君 議事進行でちょっとお伺いしたいのですが、いまの問題は出演料か雇用か、雇用でも不完全雇用、完全雇用と千差万別ですが、労働者側はこれを雇用と称し、広島の裁判所の判定でも、労働者としての基本的云々ということをいま読み上げられたわけであります。そうなりますと、問題は、いわゆる労働組合の存在を認めるか認めないか、ことばをかえますと、団体交渉という用語を用いるか用いないかという問題になるわけであります。いまある程度まで話が出ましたが、議事進行上、私はこの問題はこうしたらいいと思うのであります。もちろん、これは形態は違いますけれども、よその労使間でやはりこういう争いがあります。相手の立場上、いや団体交渉はいやだが話し合いならやる、広い意味における話し合いは労働組合から言えば、それは団体交渉の一つだと広義に解釈すれば言えます。したがって、そういうことばさておいて、問題は、紛糾自体が現実にあるわけですから、五カ年間紛糾が継続されているのですから、この紛糾の度合いを薄めていかなければなりません。したがって、両者間の話し合いを、ここで直ちに五年間の懸案事項を一挙に解決することは不可能でしょうけれども、前向きという形で話し合いを進めたらどうか。この話し合いの形態とは何ぞということになりますと、やはりさっきの出演云々、雇用云々という問題になりますから、会長は先ほど、必要とあらば個々人の、個々の契約者と話し合ってよろしい、あるいはグループの代表と話し合ってもよろしいと言われました。グループの代表というグループという表現の中には、労働組合という意味もあるいは含まれているでしょう。私はそういうふうに理解をしたわけです。したがって、組合側とNHKと話し合いをする場合には、あるいは組合側はこれを団体交渉と理解することもあるでしょう。あるいは今度は出演だから、雇用ではないから、NHKの側では、いや団体交渉ではない、話し合いだというふうに、自分たちみずから理解するかもしれません。したがって、そうなれば、NHK側は話し合い、組合側は団体交渉という形で、前向きなことで今後話し合いを若干進めたらどうか、私はこう思うのでありますが、このことは、何もNHKといまの演劇部の皆さんと話し合うのではなくて、過去に幾多そういう例があるのであります。そうでなければ、会長の言われた、必要に応じて話し合いを進めるというこのことばは、せっかく前向きで生かされてこないのですから、そうやればいいじゃないですか。だから、あるいは出演契約した個々の方々の必要に応じて話し合いをする場合もあるでしょう。これは当然毎年やってきたわけです。ところが、今度は、大ぜいのグループが集まれば、グループの意見が出るでしょう。それはそれで話し合いということですから、そういうことで、あまりいきなり法理論をお互いに展開されても、これは相当見解も隔たりがありますから、なかなか折り合いがつきませんから、そういうことで双方話し合い、団交という形、それは相互のおのがじし適当に現段階理解されて、これは必ずしもよい話し合いの進め方ではないと思うけれども、事態収拾の段階では、そういう理解のもとに話し合いを進められれば、私は、過去の幾多の労働問題の紛争の事例から徴しましても、案外すらすらいくような気がするのです。要は、相互信頼に立つか立たぬかという基本的な問題であるわけですから、そういう点をひとつ相互信頼の場に戻っていただいて、その辺から話し合いを進められたらどうかと思うのです。
  133. 野上元

    委員長野上元君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  134. 野上元

    委員長野上元君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認て御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和三十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきまして、御異議ないと決定することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  137. 野上元

    委員長野上元君) 多数と認めます。よって本件は、多数をもって異議がないものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は追って公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会