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1967-07-06 第55回国会 参議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月六日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 林田悠紀夫君                 吉武 恵市君                 占部 秀男君                 原田  立君     委 員                 岸田 幸雄君                 小柳 牧衞君                 沢田 一精君                 高橋文五郎君                 中村喜四郎君                 林田 正治君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 市川 房枝君    衆議院議員        修正案提出者   大石 八治君    国務大臣        自 治 大 臣  藤枝 泉介君    政府委員        自治政務次官   伊東 隆治君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省財政局長  細郷 道一君        消防庁長官    佐久間 彊君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治大臣官房参        事官       鎌田 要人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○地方行政の改革に関する調査  (公営企業職員の給与問題に関する件) ○昭和四十二年度における地方公務員等共済組合  法の規定による年金の額の改定等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 松本賢一

    松本賢一君 もう大体質疑も尽きたようでございまするが、この間資料を頂戴しましたので、この資料を読んでみてどうもよくわかりませんので、一応わかりやすく御説明をいただきたいと思うのですが、都市等級に関する資料ですね。これについて、どの点がというよりも、何となく全体を通じてつかみどころがないような気がして困っておるのですね。
  4. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 都市等級という制度でございますが、これは沿革的に申しますと、昭和二十三年に新しい消防制度アメリカ占領軍指導によりましてつくられましたときに、アメリカではこういう制度が広く行なわれておるそうでございまして、その制度を私どもも採用をいたしたものでございます。  それで、プリントの最初に書いてございますように、都市におきまする火災危険性がどのくらいあるかということと、それからそれに対応して消防体制がどの程度備わっておるか、こういうことを客観的に合理的に把握いたしまして、その都市のその後における火災防止のための消防改善資料としていきたいと、こういう趣旨でございます。  そこで十等級等級を分けておるわけでありますが、ごく常識的に申しますと、一級というのは、市街地のいかなる地点に火災が発生いたしましてもほとんど独立火災で、あるいはまた一軒焼かないで、一軒のごく部分的な規模で鎮圧ができると、そういう能力を持つ都市が最上級の一級というふうに考えられます。それから一番最下位の十級というところになりますと、市街地に発生いたしました火災がほとんど延焼火災になってしまうというふうに、火災危険性なり、それに対する消防体制が劣悪なものが十級、こういうことになるわけであります。  そこで一級から十級の等級をどういうふうにつけるかということが、その次にこの等級判定基準ということで書いてあるわけでございますが、この判定項目といたしましては、二ページに書いてございまするように、市街地状況市街地建築物が木造が多いかどうか、建蔽率がどうであるかというようなこと、あるいは道路が広いか狭いかというようなことであります。それから水利状況でございますが、これは自然水利もありますし、それから防火水槽などの消防で整備いたしました水利も含めまして、その水利状況はどうか。それから消防署の配置なり施設なり、人員出動体制がどうなっておるか。通報及び覚知状況がどういうふうになっておるか。また、火災予防という点では、予防査察をどの程度実施をしておるか。こういうふうな五項目につきまして、それぞれ点数を採点をいたしまして、その結果の点数によって、欠点が少ないというものを上のほうの等級に格づけをする、こういうやり方でございます。  それで、その中の市街地状況について申しますと、たとえば市街地状況が千五百点満点ということにいたしまして、一つは危険の地区、これは危険地区と申しますと、市街地の街区面積を分母といたしまして、その中の危険街区の面積を分子といたしまして、一体その市街地の中で危険街区がどの程度あるかということを出す。その危険街区の判定基準といたしましては、建蔽率とか建築物構造というようなことを考えております。それから、危険地区ということでございますが、この建築物規模危険物の分布の状況によって、消火活動がどの程度むずかしいかやさしいかというようなこと、それから道路状況、狭い道路であるとか未舗装道路であるとか、急勾配の道路というようなものは、消防活動動がやりにくいわけでありますから、そういうようなものが道路の総延長の中でどのくらいの割合を占めているかといったようなことをいろいろそれぞれ点数をつけまして、そして千五百点満点で、その都市は何点持っているかというようなことであります。  いま、先ほど申しました水利とか消防署とか、通報及び覚知とかという各項目につきまして、それぞれそんなようなやり方点数をつけまして、それによって一級から十級までを格づけをする。そういたしまして、その点数の悪いところに対しましては、こういう点、こういう点をさらに改善をしてほしいということを私どものほうから勧告をすると、こういうことに一応いたしておるのでございます。
  5. 松本賢一

    松本賢一君 大体わかったようなわからないような気がするんですけれどもね。これはもう根掘り葉掘りお尋ねしていると長くなってしまうのであれですが、たとえばそうすると、市街地状況、まあわれわれちょっとした常識では、大都市のほうが小さいところよりももっとあぶないような気がするんですが、この表で見ると、たとえば横浜なんか四とか三とかというようなことで、小樽とか能代というようなところは九というような数字が出ているわけですね。そういうところのほうがやっぱり市街地状況は、火災危険性が多いということですか。
  6. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは、建築物構造によると思います。大都市でございますると、耐火構造物が多うございますので、そこで危険性が少ないわけです。
  7. 松本賢一

    松本賢一君 それから、その都市構造や何か  の面から相当開きができるのは、これは無理がないと思いますが、一番おしまい予防というと  ころで一級というところがあるかと思うと、七級、八級というところがある。これなどはそんなに金のかかる問題でもないし、単なる心がまえでやれる問題だろうと思うのですが、こんな開きがあるのはどういうわけですか。
  8. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは、予防査察をどのくらいの人員で、どのくらいの回数でやっているかということを尺度にいたしておりますので、大都市でありましても、予防査察をあまりやってないというようなところは点数が悪い。小都市でありましても、予防査察を頻繁に分厚くやっているというところはいいと、こういうことでございます。
  9. 松本賢一

    松本賢一君 そうすると、予防査察をよくやっているところは点数がいい、やっていないところは点数が悪いといってしまえばそれまでですけれども、しかし、それじゃそれが、やらないで放置されていてもいいものか、そういうことは、私簡単に解決がつく問題だと思うので、これはやっぱり非常に大事な問題の一つだと思うのですがね。そういう点、何かやっているから一級だ、何かやってないから七級だといったようなことで済まされないんじゃないかと思うのですがね。
  10. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 予防といたしましては、なおほかの目盛りを入れることも、検討上の問題としては考えられようかと思いますが、現在は、先ほど申しましたように予防査察回数予防査察に専従している人員と、この二つによって考えておるわけでございます。
  11. 松本賢一

    松本賢一君 点数の多いところも、少ないところもあるけれども、しかし一番簡単に解決のつく問題だと思うので、この点はよろしく何というのですか、指導勧告というようなことをおしまいに書いてありますけれども、こういうことはわりあいに簡単に解決のつく問題だろうと思うので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、ほかの問題についても相当差があっちとこっちとでは大きいようですけれども、手近なことから、やりやすいことから、ひとつまあピッチを上げていただいて、だんだんまた火災時期も近づくことですから、できるだけこの点数はどうだから、どうだからというようなことも、あるいは実態に即しているのかいないのかわかりませんけれども、とにかくよろしくお願いしたいと思います。  きょうの質問は、私はこれで終わります。
  12. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ほかに御質疑はございませんか。
  13. 松澤兼人

    松澤兼人君 二、三ちょっとお聞きいたしたい。  救急業務の問題ですけれども救急業務というと、字で書いてみるとすぐわかるわけなんです。本来、法律的な用語として、救急業務は、どういう現場現象といいますか、対象といいますか、そういうもの、法的に考えますと、どういうことをさしているのですか。
  14. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 救急業務ということばでございますが、これにつきましては、消防法で特別な意味を与えております。で、これは消防法の第二条の第九項でございますが、これによりますと、「災害により生じた事故若しくは屋外若しくは公衆の出入する場所において生じた事故又は政令で定める場合における災害による事故等に準ずる事故政令で定めるものによる傷病者医療機関その他の場所へ緊急に搬送する必要があるものを、救急隊によって、医療機関その他の場所に搬送することをいう。」と書いてございまして、救急業務対象になりますものは、災害により生じた事故、もしくはそれに準ずる事故ということが、まずひとつ規定されております。それからそれを、消防のやります救急業務は、医療機関に搬送するということがこの任務になっております。さらにそれを救急隊によって搬送する、この救急隊政令できめてございますが、救急車救急隊員をもって行なうものと、こういうことに規定がなされております。  そこで実際には、これに当てはまる救急業務というよりも、もっと広く私ども救急活動と呼んでおりますが、必ずしも救急車じゃなくて、そこにある所在の自動車でありますとか荷車でありますとか、そういうもので医療機関へ運ぶということもあります。あるいは人がこれを背負って病院へ連れていくというようなこともあるわけでございまして、そういう広い意味では、これらはみな救急活動ということがいえると思いますし、また、そういうものは、公的機関としては、それは消防がそういう活動をやるのであるという任務があると私ども解釈いたしております。ただ法律上、その中で特に救急業務に限定をいたしましたものについては、救急車救急隊員をもって救急隊組織して、それで組織的に行なう、こういうものを救急業務、かようにさしておるわけでございます。
  15. 松澤兼人

    松澤兼人君 具体的な問題というと、高層建築火事が起こった、どうしても人命救助といいますか、救護、そういうことで消防活動がある、それは本来の消防活動で、いわゆる救急業務でないと考えてもいいわけですか、それと同時に、水害なんかでけがをしているかどうかということは別としまして、中州に取り残されている人を消防隊員ですか、あるいはまたは救護隊員ですか、その性格は明確でないですけれども人命を救助するという場合、あるいはその人が負傷しているとか、けがをしているとかいう人を救助して、病院へ連れていくというような場合、そういう場合は、法的な意味における救急業務であるのか、あるいはあなたが言うように、一般の救急活動であるのか、それは消防本来の救助作業であるのか、どこでそういうけじめをつけていらっしゃるのか、きちっとけじめはつきますか。
  16. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点は、法文上非常に明確だとも言えませんけれども、私どもの解釈いたしておりますところは、いま先生がおあげになりましたような、いろいろな態様の人命救助——まあ広く見て救急活動ということができると思いますが、これはだれがやってもいい問題であると思います。一番近くにおる便利な立場におる者が、これは人道上やるべき問題だと思うのであります。しかし、法的な機関として、それを任務として行なうというのは、これは消防任務であろう、かように考えております。  その救急活動の中で、救急隊をもって行なうという消防法規定しておりますような一つやり方、これはだれでもできるというわけじゃありませんので、これについては同じ消防でも、特にそれをやるだけの能力を持ったものを指定をいたしまして、そこにだけやらせておるというのが現在のたてまえでございます。
  17. 松澤兼人

    松澤兼人君 先ほども例にあげましたけれども、風水害中州に取り残されている、それを救助する場合には、救助隊が救助できない、物理的というか、そこへ救急車救急隊員、それから器材を載せていくわけにいかないですね。そうするとその行動がいわゆる救急作業救急活動であっても、いわゆる救急業務とは言えない、自動車もないし、隊も組織ができないということですから。その仕事自身救急業務であっても、これを救急隊による救急業務ということはできないわけですね。それはどうです。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) まあお話しのような状、況のもとにおける救助活動は、法律でいう救急業務ということにはならないと思います。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 この消防法救急業務及び救急隊という規定は、ちょっとこれは法文ていさいから言うとおかしいじゃないですか。救急隊というものがここに突然出てきて、そしてその救急隊というものはどういうものかということは、これは政令にゆだねてある。本来救急隊というものがどういうものであって、どういう業務をやるということを、この中にはっきり書いておかなければ、法律ていさいとしておかしいのじゃないですか。この場合は救急隊というものがどういうふうにするか、あるいは消防法の何条でしたか、そういう規定を、救助隊に適用することができるように書いてありますが、突然ここに出てきて、しかもその救助隊性格なり任務なりというものが全然出てこないで、施行令の四十四条ですか、そこにもう一切がっさいみんな委任しておるというような、読んでみてちょっとおかしいように思うのですけれども、そういうことないですか。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 立法のやり方といたしましては、あるいは先生のおっしゃいますように、政令に書いてございますることを法律規定をいたしたほうがよろしいかとも思いまするけれども法律的に申しますと、三十五条の八で、「救急隊編成及び装備の基準」ということについて、「必要な事項は、政令で定める。」ということで、政令に委任をされておりまするので、法律上は差しつかえない、かように思っております。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 どうも私納得できないのですけれども、第七章の二ですか、救急業務で、消防本部を置かなければならない市町村では、救急業務を行なわなければならない、これはまあいいのです。それから一つ飛びまして、三十五条の六、ここで突然「救急隊員は、」というふうに出てきておる。それより前に、救急業務を行なう場合には救急隊員によって行なうとか、あるいは救急業務をやる消防本部では救急隊員によってこれを行なうというものがあって、それから救急隊員行動する場合にはこういうふうにやる、こういうふうにやると、最後にその救急隊員編成というものは政令にゆだねるというふうに書けば、かっこうがいいと思うのですけれども、ちょっと私はどうしてもおかしいと思う、あなた方はもうなれておるから何ともないと思うのだけれども
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいま先生のおっしゃいましたことに該当いたします規定は、おそらくこの第二条の第九項の規定であろうと思うのですけれども
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 それじゃ、ここでは主として、いわゆる本来の救急業務というのは、その負傷者なりあるいはその対象を見つけた、あるいは依頼された、搬送だけということに普通解釈されるのですよ。しかしあなた方から考えれば、やはり火災における人命救助とか、あるいはまたは水害における人命救助とか、それから、それを最初はどういう方法かでとにかく車に連れてくる、車で搬送して、それで救急病院へ連れていくということ、それをいわゆる救急業務とおっしゃるのだろうと思うのですけれども、そもそもの人命救助とか、あるいは現場から救急車まで持ってくるという、それが出てないのですね。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) それは消防組織法の第一条あるいは消防法の第一条で大体同趣旨のことが書いてございますが、火災から国民の生命身体を保護するということがございまするし、それから、火災または地震等災害による被害を軽減するということが書いてございまして、この両方の文言からいたしまして、先生のおっしゃいますような救急業務に入る前の救助活動と申しますか、救急活動と申しますか、そういうものは消防任務として考えられるというふうに解釈をいたしております。
  25. 松澤兼人

    松澤兼人君 そうおっしゃるならば、それでいいけれども、ただかっこうからいって、ここで突然みたいに出てきている。どうもわれわれ法律のしろうとから見ますというと、どうもあまりここで突拍子もないところに救急隊員というものが出てきて、それが道を通していくとか、行動に関するものだけをここに書いて、編成はこちら側の政令にゆだねている、そういうかっこうがおかしいと思うのです。まあ将来考えてもらいたいと思います。  それからもう一つは、地下街火災予防あるいは消火という問題ですけれども、これは新しいやはり社会現象といいますか、都市の特徴だと思いますが、いままでは高層高層ということが非常にやかましくこういう委員会で取り上げられましたけれども地下街も、渋谷にしましても、あるいは新宿はどうか知りませんけれども、池袋にしましても、どこの都市におきましても、地下街というものは非常に発達して、何百軒という店が入り込んでいますし、中にはその中でやはり危険なものを取り扱っているところもある。あるいは薬品を取り扱っているところもある。通行人が一日に数万人とか、もっとたくさん出入りする。こういうものに対する抜本的な予防、あるいは火災に対する応急消防活動というもので、何か非常に画期的なことを考えていらっしゃるんですか。
  26. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地下街に関する現行法規制につきましては、完全とは言いがたい状況でございます。しかも次々に相当規模の大きい地下街が出てきてまいっておりまするので、私どもといたしましても、これに対する対策を十分練っていかなければならぬと考えておるわけでございます。  その対策といたしましては、一つは、建築上あるいは消防用設備などに対する規制でございます。この建築上の規制につきましては、建設省にもいろいろ意見を申し入れいたしており、両方でいま共同して検討をいたしております。それから消防用設備の問題につきましては、私どもだけの問題でございますので、これも十分検討をいたしております。これはできるだけ各方面の学識経験者の御意見も伺った上で結論を出すことがよかろうと思いまして、消防審議会に諮問をいたしております。消防審議会の中で特殊災害部会という部会をお設けになられまして、現在この点について鋭意審議をいただいておりますので、そう遠からず答申がいただけるものと思っております。その答申をいただきましたならば、それに基づいて建築上のことにつきましては建設省と連絡をし、消防用設備につきましては私どものほうの法令の改正ということをいたしたいと思っております。  なおもう一つは、そういう規制の面じゃなくて、火災が起こりました場合、これに対する消防上の措置でございますが、これは地上の場合と違いまして、地下街の場合におきましてはいろいろと困難な点がございます。特に一番むずかしい問題は煙に対する措置でございまして、どうしてこの地下街排煙をするかということにつきまして、消防研究所でかねてからいろいろ研究をしてもらっております。ある程度排煙方法につきましては、技術的にも開発が進んできておりますが、なお、そういう点につきましては、なるべく早く実用に適するものを開発をいたしまして、万全を期したいと思っておりますが、以上申しましたような法への改正の面と、実際の消火の技術の面と、両方につきまして検討をいたしている状況でございます。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 この問題は緊急に研究していただいて、どっかの地下街火事が起こった場合に、出入口が煙突みたいな状態になっておりますから、中で蒸し焼きになるというような悲惨な事故が起こらないようにお願いしたいと思います。  それから最後財源の問題ですけれども大臣から伺いたいと思います。前にもちょっと私触れたんですが、消防施設税というようなものがちらほら議にのぼっております。このことに対する御意見、それから全国消防長会議なんかで要請しております消防事業債を別ワク自治省として認めてほしい、あるいは道交法反則金の問題を、救急業務をやっている消防のほうに回してもらいたい、財源的な問題としては三つぐらい議題にのっていると思うんですが、その三つの問題につきまして御親切な御答弁をいただきたい。
  28. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 第一の消防施設税につきましては、かねてからいろいろ研究をいたしているわけでございますが、従来言われているような消防施設税が、はたしていいか悪いか、いろいろ議論のあるところでございます。もちろん消防財源を確保するという面からいきまして、何か考えなければいけないんではないかということを思っているわけでございますが、まだ従来言われているような消防施設税が、はたして適当なものかどうかという点では結論を得ていないわけでございますが、これも含めまして、消防財源確保につきましては、今後も努力してまいりたいと思います。  それから、起債の別ワクの問題でございますが、本年もある程度ワクをとりましたのでございますが、まだまだ少額でありまして、別ワクにするまでに至っておりませんが、これは今後ひとつ額をふやすと同時に、別ワクも考えてまいりたいと思います。御承知のように、本年度は単独債の中に七億だけ消防起債を含めているわけでございます。  それから例の道路交通法改正による反則金の問題でございますが、これをどういうところにやるか、使わせるか、いろいろ研究中でございますが、いずれにしても、交通安全施設にやるわけでございますが、その中に救急車というようなものも含ませたという気持ちで、いま検討いたしている次第でございます。
  29. 原田立

    原田立君 今度の法律改正の第一条のうち、第九条の二、圧縮アセチレンガス液化石油ガス、その他の物質で政令の定めるもの、こうありますけれども、「その他」というのは、この圧縮アセチレンガス液化石油ガス、それ以外のものはどういうのが入るのですか。
  30. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これはまあたとえば火薬類でございますとか、あるいは核燃料物質でありますとか、まあそういうようなものを考えております。
  31. 原田立

    原田立君 消防法では別表でこうやってきちんといろいろ表示されておりますけれども、そういうふうな表示をなさるんですか。
  32. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは政令規定をいたしたいと思います。
  33. 原田立

    原田立君 そうすると、その内容は消防庁長官の答えでは非常にごく簡単なんですけれども、いまの爆薬と、それから核燃料と、その二つだけが加わると、「その他」の部類に入るのですか。
  34. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) いまおもな例として申し上げたわけでございまして、そのほかいろいろいま検討をいたしております。
  35. 原田立

    原田立君 火薬類、爆発物という話がありましたので、ある程度了解するのですが、これは現在通産省の化学工業局で管理しておりますし、ところが実際に保管状況などの現場を点検しているのは都道府県であり、しかも数少ない人員で年間四回程度の立ち入り検査をしている。これは官庁の監督、指導やり方に問題があるんじゃないか、こういうような考えから、これらの仕事は危険物の取り扱いと同じく消防法の中で行なうべきであると、こう考えていたわけです。その点はいかがですか。
  36. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 九条の二で規定対象と考えておりますものは、現在消防法危険物として取り上げておりますものを除きましたそれ以外のもので、消防として把握をして、これに対する予防施策等をやったほうがいいと思われるものを考えておるわけでございます。それらのものにつきましても、消防法危険物と同様な規制をしたほうがいいじゃないかと、こういうお説でございますが、私どもも、それらのものの中で消防法危険物と同様な規制をいたしたほうがよかろうと思うものもないわけではございません。しかし、これはそれぞれの物質の化学的な性質等も専門家によく検討していただいた上で結論を出すべきじゃなかろうかと、かように考えまして、現在消防審議会の中に危険物部会というものを設けていただきまして、そこで専門の学者の方にも参加をしていただきまして、消防法の別表の改正の問題を審議をしていただいております。その結果も得ました上で、ただいま先生のおっしゃいましたようなことも、さらに将来の問題としては検討してまいりたいと、かように考えております。
  37. 原田立

    原田立君 これは別な問題で、火災防御と人命救助のほうでお尋ねするのですが、大都市では、今後の防火上の大きな課題として、超高層化するビルの火災人命救助についてどう対処するかという問題でありますが、本年一月、川崎のビル火災で、六階にいた人たちを救助しようとしたけれども、はしご車が届かなかった。十二人も焼死するという事件がありましたが、このような危険は大都市には幾らでもころがっているし、現在のはしご車の充当率も非常に悪いし、また、その全長も三十三メートルまでで、九階のビルがやっとである。ところが建築基準法の改正で、大都市のビルはどんどん高層化し、国会のすぐ目の前にも三十六階というビルが建設されつつあります。現在のままの消防力では、ビルの十階以上の火災に対しては全く無防備であります。それで、各ビル自体の消防や避難設備に対しては、当然法律改正して、火災防御、人命救助に関して義務化する必要があると思うんですが、どですか。
  38. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいますとおりに私どもも考えております。で、この問題につきましても、先ほど御質問のございました地下街の防災対策と同様に、現在消防審議会検討していただいております。しかも、これはできるだけ早く答申をいただきたいということでお願いをいたしておりますので、ここ数カ月のうちには答申がいただけるものと思っております。  で、それによりまして、御指摘の超高層部分の規制につきまして、ある部分は建築基準法の改正になりましょうし、ある部分は消防法改正になるわけでございますが、これらの規定改正をいたしたいと思っております。なお、現に東京でも超高層建築物ができつつありますが、これらのものにつきましては、法の規制はございませんでも、東京消防庁が事前にいろいろ相談にのりまして、このようにしたならば安全であろうという意見を申しまして、大体東京消防庁の意見どおりに建築が進められておる実情でございます。
  39. 原田立

    原田立君 石油コンビナート関係の事故が今後も大きな課題になるわけですが、三十九年の新潟地震による昭和石油の火災、京浜運河におけるタンカーの火災、四十年五月の室蘭港の大型タンカーの火災、これらに対する防御体制と、特に羽田空港に隣接する川崎地区の石油コンビナート地帯で、ひんぱんに発着する東京空港の近辺で、もし航空機の墜落事故でもあったら大惨事になると思います。この危険にさらされている現状をどう対処していくのか、また、その火災に対する救急手段は現在全く完ぺきな状態になっているのかどうか、その点はどうですか。
  40. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 石油コンビナート地帯の災害に対する対策につきましても、お説のとおりに緊急に検討をいたさなければならない問題と存じております。この点につきましては、これも消防審議会で御検討いただきまして、先ごろ答申をいただきました。この答申をもとといたしまして、今後措置を講じてまいりたいと思っておりまするが、石油コンビナート地帯の災害対策といたしましては、実は関係省庁いろいろ多うございまするので、それぞれとよく連絡をとりまして、結論が得られたものから実行に移す、かようなふうに考えてまいりたいと思っております。  で、実情は万全かという趣旨の御質問でございますが、決して万全ではなくて、今後コンビナート地帯がいよいよ発展をいたしまするし、あるいは港湾におきまして大型タンカー等が航行するというようなことが多くなるということになりますると、いよいよ危険が多くなってまいりまするので、これらに対しては関係方面と協力して、十分な努力をしていかなければならぬ問題であると思っております。
  41. 原田立

    原田立君 いまそれぞれ、現在問題となっている大きな点を二つあげたわけです。それから松澤先生が御質問の地下街の問題、これは消防体制ができていないというのは、消防の三大悪みたいなものじゃないかと思う。こんなことではたいへん残念に思うんです。ただ審議会の答申待ちだなんてね、もちろんそうしなければならぬと思いますけれども、非常におくれている。その対策がおくれているのは、国の消防に対する姿勢があまりにも後退しているんじゃないか、責任問題みたいになるのじゃないかと、こう思うのですけれども、長官並びに大臣、いまの三つの課題について、今後強力なお考えでおやりになるだろうと思いますけれども、その御決意のほどを……。
  42. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) おあげになりました超高層ビル、地下街並びに石油コンビナート地帯の防災の問題でございますが、これはまさにいま消防が取り組まなければならない、一番最重点に取り組まなければならない問題だと思います。先ほど来長官からお答え申し上げたようなことでございますが、至急にそうした結論を出しまして、法改正を必要とするものは改正もお願いし、あるいは事実上やらなければならない問題につきましては、事実上の指導をいたしまして、そうして防災につとめたいと考えております。
  43. 原田立

    原田立君 きのう消防関係の充当率のことを、消防力の基準に関してお伺いしたのですが、実際問題ですね。現場に出るところの消防員ですね、消防本部並びに消防署に所属している消防隊員、これの充当率はどうですか。やっぱり六割にもなっていますか。
  44. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 消防職員は四二%でございます。それから消防団員が八三%でございます。
  45. 原田立

    原田立君 実際現場へ行ってやる消防の要員はどうなんですか。
  46. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいま申しましたものは、いずれも現場に出る要員でございます。
  47. 原田立

    原田立君 消防要員は八三%いますか、実際問題として。
  48. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 八三%と申しましたのは団員でございます。団員は、数はその程度おります。
  49. 原田立

    原田立君 消防本部並びに消防署、その専門の消防要員はどうですか。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 専門のと申しますと、常勤の消防職員のことと思いますが、これは四二%、昭和四十年の五月の調査でございますが。
  51. 原田立

    原田立君 これはある市で聞いた話なんですが、現場では実際に現状の人数の五割ないし六割くらいの人員増をどうしてもしてほしいのだ。こういう声を聞きました。いまのお話ですと、四二%くらいなことで、たいへん残念な話だと思うのです。今後もっと消防力を増強する意味においても、その点は格段の努力を払わなければならないのじゃないかと、こう思うのですが、どうですか。
  52. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほど申しましたのは二年前の数字でございまするので、その後も逐年努力をいたしておりまするので、現在はさらに多くなっておると思いますが、それにいたしましても、御指摘のとおり、なお不十分でございまするので、今後格段の努力をいたしたいと思います。
  53. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ほかに御質疑はありませんか。——別に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認め、これより討論を行ないます。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  54. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、林田悠紀夫君から、各派共同提出による附帯決議案が提出されました。よって本決議案を議題といたします。  林田君の説明を願います。
  55. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 私は、この際消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案に対し、各派共同による附帯決議案を御提案申し上げたいと思います。  まず、案文を朗読いたします。   政府は、左の事項を検討し、速かに善処すべきである。  一、都道府県が救急業務を行なうのは異例の措置であるから、市町村消防の建前を充分尊重し、当該救急業務の実施については、区間の指定は止むを得ない場合に限定すること。  一、人命救護の徹底を期するため、救急業務を行なわなければならない市町村の範囲を一層拡充するとともに、任意に救急業務を実施するものについても国において必要な財政措置を講ずること。  一、プロパン等液化石油ガスの保安確保については、更に、関係法令の整備をはかり、市民生活の安全をまもるための責任体制の確立に万全の措置を講ずること。    右決議する。  今回の改正法案は、交通事故の激増等社会事情の変化に対応して救急業務の実施を促進し、また、液化石油ガス等による災害予防のため必要な措置を講じようとするものでありまして、さしあたっての対策としては適当な措置であることは言うまでもありません。しかしながら、本法の施行にあたっては、市町村消防を基本とする現行消防制度を尊重し、運用上遺憾ないよう期せられる必要がありますし、また、救急業務の充実、液化石油ガス等に対する保安行政の整備につきましては、今後とも政府において積極的に取り組んで、すみやかに善処していただかなくてはならない情勢にあります。  これが本附帯決議案を提案した趣旨でございます。何とぞ御賛同を願います。
  56. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまの林田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  57. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致であります。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、藤枝自治大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。藤枝自治大臣
  58. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、善処する覚悟でございます。
  59. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 審査報告書の作成につきましては、先例によりまして、委員長に御一任を願います。午後一時三十分まで休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  60. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 地方行政委員会を再開いたします。  公営企業職員の給与問題に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  61. 占部秀男

    ○占部秀男君 大臣は本会議へ二十分ですね。
  62. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 二十分に出していただきたい。
  63. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうしてその問に、実は私は公営企業の問題が、行政局関係よりは財政局関係に問題が移っているようなので、したがって財政局長に来てもらって、こまかい点を質疑をして、最後にまあ大臣のひとつ御意見を伺いたい。その問でも二、三伺う点はあるのですけれども最後的にはそういう形でいきたいと思ったんですが、財政局長も……。自治省の作戦にひっかかっちゃって。  それでは、そういうわけなら、大臣のほうは本会議ですから了承して、ただ一つ希望だけというか、御意見だけ聞いておきたいと思うんですが、あとで細郷さんにはよく聞きたいと思っているのですけれども都市交通の中で、いまだに去年の給与改定が決着がついてないというところが相当あるようなんですね。そういうところは、おそらく金の問題があるのでそうなんだろうと思うのですが、したがって今度の財政再建に関係のあるものではないかというふうにわれわれ考えるのです。ところが財政再建の問題は、もちろん再建計画の中で給与関係の問題等もありますんで、関連がないとは私は言わないですけれども、問題がこれからの給与の引き上げの問題じゃなくて、去年きめた一般国家公務員、それから一般職の地方公務員、この去年きめた給与の引き上げの問題なんですね。それがもう今度新しい勧告が出ようというのに、公営企業だけは押えられているというか、決着がついていない。これはもう非常に私は問題だと思うんですよ。これがほかの問題ならともかく、問題が給与の問題ですからね。したがってこれは何らかの措置をとって、至急にひとつ決着をつけていただくように、自治省のほうでも行政指導を私は願いたいと思うんです。  特に、これはあとでまた細郷局長にひとつ内容の点についても明らかにしてもらいたいと思っているのですが、去年の十二月の三十一日限りで再建の申請をさしているわけですね。したがってそれ以降というものは、申請した分については、これは噂に当該各市の公営企業だけの問題でなくて、自治省としても積極的にこの問題の解決に当たってもらわなければならぬ性格のものじゃないかと私は考えるのですが、まあ聞くところによりますと逆に押えられている、というのは、行政指導といいますか、そういうところも二、三あるというふうに聞いておるんですが、まあいずれにしても給与の問題ですからね。物価は一方では上がっているんだし、ほかの公務員はみんな上がっている、それに交通関係だけは押えられている。しかもこれからの問題の扱いは、これは再建計画の中でいろいろあると思うのですけれども、少なくとも申請の締め切りの期日以前にもう給与が上がるという、国家公務員の決定、一般の地方公務員の決定のあった問題ですから、どうしても解決をつけてもらわなくちゃならぬと思うんですが、こういう点について大臣、何とかひとつ大臣として協力を願うお考えはないものですかね。その点を端的に一つだけお伺いしておきます。
  64. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 非常にそっけない返事をいたしますと、公営企業の職員の給与というものは、もちろんその企業の経営の内容等からきまるわけでございまして、したがって、企業努力と申しますか、そういうものがあって、初めてべースアップ等もやれるという、これはそういうたてまえでございますが、ことにいま御指摘になりましたような昭和四十一年度の給与改定の解決がしてない問題は、おそらく再建計画をしなければならない団体にあると私は思います。したがいまして、その再建計画の樹立とにらみ合わせてこの問題も解決しなきゃならぬわけでございますが、少なくとも再建団体の指定をいたしました以上、これは国としてもやはりその再建計画がうまくいくように、あらゆる援助と申しますか、協力をしなければならないわけでございます。そういう観点からいたしまして、具体の問題につきまして、ただいまおあげになりましたようなベースアップの問題についても、個々の公営企業体の企業の内容その他につきまして十分検討をいたし、そうして、その中において解決できるものは解決していくということをやってまいりたいと考えておるわけでございます。
  65. 占部秀男

    ○占部秀男君 大臣の御答弁はある程度わかるんですがね、ひっかかるものがあるんですよ。それは公営企業体の職員の給与の問題については、もちろん独算制ですし、経営の経済性といいますか、企業の経営の現実とにらみ合わすということはあるんですけれども、その前に、一般の公務員、民間の各賃金、そういうものの見合いという条件も入っておるんですね。あの賃金決定の条項を大臣とやり合うと、これはまたわれわれのほうはわれわれのほうにウエートを置くし、大臣のほうは大臣の解釈に——独算制のほうに強くウエートを置くというので、相当水かけ論になるんですけれども、しかし、いまの大臣の仰せですと、独算制のワクに縛られておるので、その限りだけで金が、率直に言えば余裕があればやるんだけれども、余裕がないときはやらないんだという考え方にとられやすいんで、そういう点はちょっと大臣の考え方は、私は行き過ぎじゃないかと、こういうように思うんですがね。その点だけはどうもひっかかるんですけれども、もちろん自治省のほうとして、経済性の問題を重く見られる政府の考え方——これはわれわれは反対ですけれども、しかし、政府の方針としてはそういうようなことが考えられるかもしれませんが、しかしオールそれではないわけですからね。大臣のいまの御答弁ではオールそれであるような御答弁なので、それではちょっと法の解釈としては、これは少し曲がり過ぎてやしないかと、率直に思えば思うんですけれども、そういう点はどうなんですか。
  66. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 御承知のように、国家公務員のベースアップに伴いまして、大体地方公務員のベースアップがそれに右へならえをするわけでございます。そうしてそれについては、やはり政府といたしましても、地方公共団体の財政の問題を考えまして、政府としての財政的な手当て等もいたすわけでございますが、公営企業については、そういう政府が財政的な措置をするというようなことはいたしてないことは、もちろん御承知のとおりでございます。そういう意味で、独算制をあまり強く出すなというお話でございました。われわれは、まあ、独立採算制というものをたてまえにして——これには御議論があることは承知しておりますが、まあたてまえとしてやっているわけです。が、この先ほど御指摘になりましたその再建をしなければならないような団体でのベースアップの問題につきましては、やはりその具体的な一方においては再建計画とのにらみ合わせにおきまして、そうして具体的に何らかの方法を見出していくというだけだと考えているわけでございます。
  67. 占部秀男

    ○占部秀男君 大臣、どうぞけっこうですから、どうぞ行ってください。  いまの大臣の御答弁だけでは承服できませんがね。ひとつこまかくお伺いしたいのですが、この公共企業体で特にいま問題になっているのは交通関係の問題ですけれども、全国の公営企業の中で、この再建の申請をいま出しておるのはどのくらいの数にのぼりますか、今日現在といいますか、ただいまの状態で。
  68. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 再建の指定を受けております団体が百六十三団体でございます。その中で現在再建計画をすでに議会の議決を経まして、自治大臣の承認を受けております団体が百三十四団体、こういうことでございます。
  69. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうするとこの指定を受けている百六十三団体以外の団体は、一応どうにかいっていると、こういう情勢にあると考えていいわけですか。
  70. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) そのとおりでございます。
  71. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこでですね、指定を受けている百六十一の団体の中にですね、この昨年の給与引き上げの問題がいまだに決着のついてないというところがあるというのですが、どのくらいあるのでございますか。
  72. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 私どもの承知いたしておりますところでは、東京、大阪、横浜、京都、神戸でございますか、この五市でございます。
  73. 占部秀男

    ○占部秀男君 東京、大阪、横浜、京都、神戸というと、都市交通でも一番大きいところがこういうことになっているわけです。そうするとこれ以外のところはもう同じこの指定団体の中でもベースアップというものは終わっていると、かように了承していいわけですか。
  74. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) それぞれの団体につきまして、私ども給与改定の実施状況をつまびらかに承知いたしているわけではございませんが、このそれ以外の団体におきましては、ほぼ給与改定を終わっているものだというように考えている次第であります。
  75. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこでですね、五つというと、まあ百六十三のうち、数としては五つなんですけれども、経営規模からいけば、おそらく何割かを占める大きなものになってくると思うのですよ、総体のね。で、この五つが未解決だということは、この都市の公営企業の交通労働者の問題としては、相当な数がまだ給与改定としては未解決だと、こういうように私どもには考えられるわけなんですね。これは非常に再建計画がようやく軌道といいますか、事務的に進んでいるおりから、大きな問題じゃないかと思うのです。中でも、たとえばこの間横浜でストライキが起こったというような問題もあるわけですから、そこでひとつ、五つですから、私は個々に聞きたいと思うのですが、一体その神戸の場合には、どんな経過でこの賃金が引き上げることができないのか、また、その一番大きな原因はどこにあるのか、そういう点をひとつ簡潔に知らしてもらいたい。
  76. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) これらの市は、いずれも財政再建計画がいまだ立っておらないわけでございます。再建計画を立てるということに相なりますというと、昭和四十年度末の不良債務を年次計画をもって解消する、こういうことが前提になるわけでございます。この不良債務額を解消するということになりますというと、当然のことでございますが、歳入をふやすか、支出を減らすか、両方を一緒にやるか、この方法よりほかに、もうだれが考えてもないわけでございます。そこで歳入をふやすということになりますというと、結局料金の改定の問題がございます。それから支出を減らすという問題になりますと、企業経営の合理化、こういう問題になりますと、たとえば路面電車の撤去、赤字の原因になっております路面電車を撤去することによって赤字を解消していく、あるいはまた職員の給与自身につきましても手を触れざるを得ない事態になってまいると思うわけでございます。そういう事態の中でこの給与改定の問題、こういう問題は、全体の再建計画の中で、給与改定ができるかどうかという見通しをつけてやらなければ、とうていそれだけ切り離してやるということができないという状況にあるものでございますから、給与改定の問題が未解決になっておる、こういうことでございます。  それからもう一つは、これはそれぞれの団体の自主的な判断に基づくものでございますが、この給与の水準自身という問題が、はたしてそんなに給与改定を必要とするほどの低い給与であろうかという問題もございましょうし、あるいはまた、東京の都電の場合、横浜の市電の場合もそうでございますが、料金収入だけですでに給与費全体をまかなうに足りない、こういう異常な状態になっておる。そういった諸般の情勢というものを見通しをつけた上でないと給与改定ができない、こういう実情であろうと思うわけであります。
  77. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうすると、いまの参事官が御説明になった、再建計画ができ上がっていない、こういうことと、内容的には給与水準の問題や料金収入等の問題点は、個々には具体的にはあるわけですけれども、いずれにしても、急所は再建計画がまだ確定してないというところが、この五つの都あるいは市が共通して給与の引き上げができないという主たる原因になると、かように了解していいわけですか。
  78. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 大事な点を私一つ落としてしまっておりまして、申しわけないわけでございますが、この五つの市の中で横浜は、昨年十一月にすでに再建計画を議決をいたしまして、自治大臣の承認を受けておるわけであります。それにおきましては、当然当時すでにいわゆる七賃というのははっきりしておったわけでございますが、これを見込んでございません。これを見込んでございません状態で収支のバランスを合わしておるものでございますから、これにつきましては、再建計画の変更という問題があるわけでございます。この再建計画の変更の見通しが立っておらないということでございまして、あとの四市につきましては、再建計画自身がまだ確定を見ておらない、こういうことでございます。
  79. 占部秀男

    ○占部秀男君 いずれにしても、再建計画の確定してないか、あるいは計画変更をしなければならぬ、それができているかどうかという、再建計画自体の問題になってくるわけですね。そういうことですね。そこで私はこの問題を、これからの新しいベースの問題は、これはまた別ですけれども、少なくとも四十一年の給与改定の問題も、やはり再建計画のワクの中だけで縛ろうというところに私は非常に無理があるんじゃないか、こういうふうに考えるんですが、というのは、もちろん今度のこの再建計画の対象としておる不良債務の額というものは、四十年の三月三十一日ですか、これが基礎になっておるわけですね、債権債務の対象には。しかし、その後の赤字というものは、やはり再建計画の中で、四十年三月三十一日まで以前のやつと一緒に処理しなければならぬ問題になるわけですね。ところで、そういうような性格のものを再建計画だけのワクで縛るということに問題があるのであって、少なくともこれから再建計画をつくろうというときに、この給与の引き上げがあった、つまり今度新らしく人事院勧告がありますね。こういうようなものは、やはりその中で決着をつける性格になるけれども、少なくとも去年のやつについては、何か新らしい地方再建計画のワクの中に過去のものを入れ込もうというところに問題があるのじゃないか、こう私は考えるんです。  たとえばこの問題だけでも一般会計の繰り入れができるか、できないかわかりませんけれども、何かそういうふうな方式の、あるいはまた特別債でもやらして、結局この再建計画によれば、退職債なども赤字、不良債務の中に入るわけでしょう、将来の。そういうような扱いがあるんですから、そういう扱いをやはり拡張さして、この問題だけは決着をつけるというようにしなければ、問題自体が私は解決がなかなかつかぬのじゃないか。この八月の人事院勧告以降の問題は、これは別ですがね。再建計画は、御存じのように、個々の市の場合もそうだと思うんですが、横浜市を除いた五市は、おそらく今年の元日、一月一日に、年度の中でつくれという指定をあなたのほうはしていると思うんですよ。ところがその一月一日以降でつくるべき計画であるけれども、その一月以前のことが問題なんですからね。今後の予想されるものについては再建計画の中でやはり処理してもいいけれども、これは公共企業体や市にとっては過去の債務なんですから、したがって別扱いしてもらわなければこの問題は解決せぬと思うんですが、その点はいかがですか。
  80. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この財政再建の仕組みと申しますか、というものが、御案内のとおり、四十一年三月末日の、四十年度の末でございますけれども、これの不良債務というものを押えるという形になっているものでありますから、計画といたしましては、その時点の不良債務というものを解消する、したがいまして四十一年度がどうしても初年度にならざるを得ないわけでございます。したがいまして、計画といたしましては、四十一年度からたとえば四十八年度で再建をはかる、こういうかっこうになります。したがいまして、いまから立てるところは、四十一年度は、結局こういう形ですでに決算が出てまいりました数字がそのまま入る、それも含めて結局解消するという形になるわけでございますが、これは法律の仕組みがそういう形でなっておりますので、これはいたしかたがないという気がするわけでございますが、ただおことばを返すようでございますが、この指定期以前のものの給与改定は、債務を負っているという点については、ちょっと私ども異論があるわけでございます。と申しますのは、この給与改定は、これは議論になるところだと思いますけれども、一般職の職員についての給与改定でございますので、企業職員について当然やらなければならぬのだというふうには私ども考えておりませんことと、やはり先ほど申しました、したがいまして、企業の経営の実態というものと給与水準というもの等をにらみ合わせて、やはり現在の不良債務を解消していくという過程の中で、給与改定の問題をどう考えるかということは、これはやはりこれから任命権者と申しますか、管理者というものが自主的に判断をしていくべきものだと考えるものでございまして、過去の債務だというふうにはちょっと考えにくいのではないかという意見を持っているわけでございます。
  81. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこが非常に重大なところなんですね。まあ過去の債務だというぼくの言い方も、ちょっとその場合のやや形容詞的なものが入っているから、法律的な意味の債務となるかならないか、それはまた別なんですが、いま参事官の御説明だと、一般職の分についてはこれは当然なんだが、しかし企業体は独立採算なんだから、したがってやるかやらないかは、これは企業体の経済状況に見合ってかつてなんだというようなおことばのように私はとれたのですが、それは少し無責任じゃないかと思うのだな。というのは、企業体の職員であっても地方公務員でしょう、企業体の職員は。地方公務員のワクの外に出ている問題なら、それはまた別ですよ。同じ地方公務員であって、しかも給与なんていま問題になっておるのは、この一般の地方公務員の給与にプラスアルファをつけるとか、よけい出すとか、そのよけい出す分、プラスアルファの分が問題になっているのじゃなくて、一般公務員の給与ベースの引き上げのその部分がいま未解決になっておるということでしょう。これはもう当然あなた、雇えば雇う者は、これは給料は払わなくちゃならないのですよ。物価が上がればそれに見合う給料の引き上げも一般公務員と同じようにしてやらなければならぬ。これが公営企業体だから地方公務員の外なんだと言えば、これはまた別ですけれども、やはり同じ地方公務員なんだから、したがって公営企業体だけは上げなくて済むのだという論理には私はどうも納得できないのですがね。その点はどうですか。
  82. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) ちょっと表現が不十分でございましたが、一般会計の職員についての給与改定の人事院からの勧告であろうと思うわけでございます。それにつきましても、これは当該地方公共団体の首長というのは、給与改定を行なうか行なわないかということは、やはりこれは当該任命権者と申しますか、首長の自主的な判断にねだねられておるところだろうと思うわけでございます。公営企業の場合におきましては、この一般職についてスライドアップしたから、当然公営企業についてもスライドアップをするのだ、あるいはしなければならないのだ、こういうことはないのではなかろうか、こういうことを申し上げたわけでございます。  さらにまた一歩譲りまして、かりにそういう形で給与改定を公営企業の職員についてもやるということで、その管理者が判断を立てました場合には、やはりそれに見合う財源というものは、企業内の努力で生み出すべきだ、そういう点をひっくるめまして、いまの再建計画の問題を私ども考えておるわけでございます。給与改定をやるという場合に、それに必要な原資というものは、当然企業内の努力で生み出されるということでないとおかしいのではないか、こういう意見ももう一つども持っておるわけでございます。
  83. 占部秀男

    ○占部秀男君 ますますわれわれ納得できないのですがね。いまあなたの言われたのには二つの問題点がある。一つは、企業の給与の引き上げは各知事、市町村長の自主的判断でやってもいいのだ、やらなくてもいいのだとうい点が一つ。それからもう一つは、その企業内努力だけで特に企業の管理者の場合は判断すればいいのだ。これは、財政局は金の面を扱っておるので、自分の金の面の上に立ってだけ言えることばであって、これは行政局長がそのまま言ったら、私たちはがまんはできませんよ、行政局長そこにおられるけれども。  というのは、それじゃぼくは反論するわけだけれども、東京なら東京で、国家公務員の給与よりも高い、だんちの給与引き上げをやるといったときに、自治省は、これは都知事の自主的判断だからまかせると言いますか、言いやしませんよ。やはり国家公務員のベースになってやってくれ、これがあなた自治省の行政指導、同時に国家公務員法上の人事院勧告というものは、直接は国家公務員の給与の引き上げであるけれども、そのこと自体は一般地方公務員の給与引き上げに準ずるということになっていままでやられてきておる。だから首長や知事だけの自主的判断でものごとが解決するようなやり方でいままでやっていないじゃありませんか。自治省のほうで都合のいいときだけは、これは国家公務員に準ずるのだからと押えておいて、それで今度は自分の手に負えないというときは、首長や知事の自主的判断でやるのだという、そういう給与の扱いでは、これはとんでもない話になると思うのだ。  特にこの管理者の判断が、先ほどの企業内努力だけで生み出せという、そういうことを言えば、いまの再建計画、今度の昇給未決着の問題なんかはとうてい解決できませんよ。できるわけがない。そういうことを言うと、じゃ一体給与の、去年の給与勧告が実施できなくなっている、財源のないということの原因はどこにあるかという問題まで追及していかなければならない。これは単に一つの企業の企業努力だけの問題ではないということは、あなたも御存じでしょう。たとえば東京の都電、バスの場合を例にとっても、東京の都電、バスだけの企業努力、そして企業の構成、この範囲以外の施設、民間バス、国鉄その他の全体の都市交通のいろいろのいまのこのあり方の中から生まれた赤字あるいは財源の不足、こういうものが相当あるのですよ。それを一つの企業内だけの努力で完全にやれと言ってもできもしないことをあなた押しつけることになるじゃないですか。それだけでは私はこの問題は解決できないと思う。  ぼくの言うのは、そういうような点について国から金を出せとかなんとか言うのじゃなくて、少なくともこの去年の給与改定の分については、何らかの便宜的な措置をはかって、将来再建計画の中で処理をするにしても、当面何らかの便宜をはかって、去年の給与引き上げができない連中に一応給与の引き上げだけをやってやる、その上に立って今度は八月の人事院の給与勧告の問題点については、これは将来の再建計画の中に含めて考えていく、こういう便宜的な措置をはかってやるのが、自治省としてのとるべき態度ではないか、こういうことを私は言っておるのですよ。そういう点はいかがですか。
  84. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この公営企業の場合に給与改定ができないという原因は、再々申し上げましたように、やはり企業の経営、収支が苦しいということであろうと思うわけでございます。またたとえば車キロ当たりの原価構成費あるいは収支対比を見ましても、公営企業の場合は、同種の民間私鉄——民営私鉄というものに比べまして、人件費並びに構成費をひっくるめましての比重が非常に高い。やはりこれは何と申しましても、私は経営を苦しくしておる最大の原因の一つだと思うわけでございます。それを全然手をつけませんで、その上に、たとえば国家公務員の場合に六%ベースアップがあったからということで、現在の高い水準の上へさらにまた六%スライドアップしていく、こういうことで、はたして企業の再建というものができるものであろうか。私どもはそういう意味におきまして、ほかのことは——経営健全化の努力というものにつきまして、たとえば路面電車を撤去する、一般市民に迷惑をかけるわけであります。あるいはまた、金繰りの苦しい場合には一般会計から出資をさせる、あるいは長期貸し付けを行なう、やはりこれも一般の住民の納税義務者の負担でございます。そういう中で職員の給与改定だけは、諸般の情勢におかまいなしにベースアップだけは確実にやれ、こういうことでは、やはりほんとうの企業の再建というものはできないのではなかろうかという気持ちがそこにあるものでございますから、こういうお答えになるわけでございますが、やはり基本はそこに置いて給与改定の問題というものは考えていただきたいという気持ちを持っておるわけでございます。
  85. 占部秀男

    ○占部秀男君 ぼくはそういう考え方自体が非常に間違いじゃないかと思うのですよ。というのは、この都市交通の給与水準というものが、一般の給与水準から幾らか高い、一般地方公務員より。それは確かに計数的には高い部面もあります。しかしその中には超過勤務のこと、業態の違いの問題であるとか、年齢構成の高さの問題であるとか、特殊な勤務に対する補償の問題であるとか、そういういろいろな問題が入っているわけです。これが高いなら高いで、高いだけの原因があるわけです。しかし、その問題は将来の再建計画の中で処理されていく問題でしょう。だからその問題は解決がつかないというわけじゃないですよ。いま、去年の給与アップをいまのレベルでかりにやったら、将来の再建計画の中で、給与水準なら給与水準の高いことで解決がつかないんだ、こういう問題にはならないんですよ。だからぼくは、今後の問題は今後の問題として再建計画の中でやれ。しかし、いままでの問題は、去年の給与引き上げの問題じゃないか、それを去年にバック・アップして、それを再建計画の中に入れるから、結局一年近くもほうりっぱなしになっている、こういうことが一体労務管理の上から許されるかどうか。そういうことが許されないから、横浜でも飛鳥田さんの社会党の市長のところでもストライキが起こる、東京の場合だってストライキが起こりかかったことは御承知のとおりです。ただ、組合が現在美濃部支持をとっているから、一回だけはがまんすると、こういっておるが、二回、三回はがまんしませんよ。ほかの各都市でもそういう情勢です。  だからぼくは、この点についてはどうもあなたの言っておることを聞くと、給料というもの、人件費というもの、人の生活の基礎となるところの給料というものを、他の電車やバスの施設といいますか、公共の器物というか、そういうものの扱いとまるっきり一緒にしているんですよ。これは財政的な考えとしては一緒になるだろうけれども、労務管理としては一緒になりませんよ。したがって、こういう器物や電車なんかの場合には、少しくらい補修の時間を延ばしても問題にならないんです。ところが、給与費の問題は、人間が食っていく問題ですから、私は問題の性格が違うと思うんです。だから給与費の問題だけを特別に、といって将来続けて特別扱いをするわけじゃないですから、あとは再建計画の中でずっと扱うのですから、今度の分だけを特別扱いをしても、市民が何ら文句を言うような問題じゃない、かえって一年間もおくれたのはかわいそうだと思いませんか。そういう扱い方は、ぼくはどうも人間に対する管理の扱いと公共の物資というか、器物というか、物的施設に対する管理の扱い方と、基礎としては同じに考えていると考えられる。その考え方は改めてもらわないと、今後の公営企業の場合なんか、とうてい生きた再建なんかできないと思うんですが、そういう点はいかがでしょうか。
  86. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 四十一年のいわゆる七賃は別扱いだという点について、私ども繰り返して申し上げておりますのは、四十一年度から再建計画というものが始まっているのだ、こういうことで、やはり再建計画のワクの中でこれは処理すべきだということが、まず第一の基本的な考え方でございます。  それから第二の問題といたしまして、先ほど申し上げました繰り返しになるわけでございますが、給与改定を行なうか行わないかということは、やはりこれは地方公営企業法第三十八条の給与決定の原則の規定も勘案しながら、管理者が自主的に判断されるべき問題であろう、その自主的判断の結果、かりに給与改定を行なうということになった場合においては、やはり企業内の努力でその原資というものを生み出すべきであろう。現にある市におきましては、この原資を生み出すために、いわゆる四十八時間・四十四時間の時間差手当というものを解消することによって原資を生み出す、あるいは給料表も通し号俸の給料でございましたものを、給料表の分離を行ないまして、いわゆる労働の能率というものに対応するように給料表の構成を変えるということによって原資を生み出す。こういう努力をしておる都市が現にあるわけでございます。そういう自己努力によって給与改定の原資というものは生み出すべきだ、こういう基本的な考え方を持っておるわけでございます。
  87. 占部秀男

    ○占部秀男君 第一の問題ですが、参事官は、いま四十一年度から始まっておるという考え方に立っておる自治省の考え方に立っておれば、それでいいんですけれども、しかし再建計画をつくらせようとしておるのは、あなたのほうで指定した、その指定の内容は、ことしの一月元日から十二月までの問につくれというんでしょう、四つの市については、横浜は別ですけれども。本年つくるべき計画の問題じゃないですか。
  88. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) これは御案内のとおり、法律のたてまえが再建規定の適用を受けるということで、再建団体の指定の申請を行なうわけでございます。これがたとえば横浜市でございますと、八月に再建団体の指定を受けまして、それで十一月にはすでに再建計画をつくって、実施に移した、こういう形でございます。で、東京都の場合でございますと、十二月の都議会で再建計画の申し出を議決いたしまして、一月一日が指定日、指定日、といいますのは、一月一日現在の財政の現況というものをもとに置きまして、四十年三月末日現在の不良債務を、四十一年度を初年度として解消する計画を立てる、こういう再建計画を立てることになっておるわけでございます。
  89. 占部秀男

    ○占部秀男君 いずれにしてもあなたのほうの考え方と、われわれのほうの考え方と真正面に対立しておるので、これはいつまでたっても果てしないことになる。それで私はもう一度大臣に一ぺんそういう点についてお聞きをしたいと思うんですが、それではとりあえずの措置として、給与の問題なんですから、何らか金を貸すとか何とかして、当面給与の引き上げだけはできるようにしてやれぬもんですか。それはあとで再建計画の中でいずれにしてもこの決着をつけていかなければならぬ問題と、前提してですよ。たとえば再建計画、まああっちこっちでいまもんでいますわな、この計画が本年一ぱいかかったというような場合に、東京都は今度やりますけれども、ほかのほうはおそらく九月からあとの市議会等になるんでしょう。といった場合に、それまでは給与の引き上げができないということになる。それじゃやっぱし交通労働者は働きませんよ、ばかばかしくて。しかも、あとあと給与が減っていくことは目に見えている。せめて何らかの特別措置——特別措置といったって国が応援するというのではなくて、金繰りの問題であるとか、いろいろ問題があると思う。そういうような便宜の措置を何らかはかってやって、給与改定だけはやはりある程度解決をつけるというような、こういうような取り扱いはできないもんですか、その点はいかがですか。
  90. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) そういうことがございますものでございますから、私どもは早く再建計画を立てていただきたい、こういうことで関係自治体にもやかましく行政指導をいたしてまいったところでございます。私どもは、やはり給与改定の問題、いわゆる七賃の問題は、やはり再建計画の中で解決していく問題だ、こういう前提でおりますがゆえに、再建計画を早く立てていただく、早く立てることによって、私どもはおのずからこの給与改定の問題というのは解決の道があるんじゃなかろうか、そういうふうに考えて、再建計画を早く立てられる、早く出してほしいということを申し上げまして、東京都は今次議会に御掲案になられたようでございますし、大阪市のほうも近くやはり成案を得て、この臨時議会を招集されるなりの形でやはり解決をしたい。あるいは京都、神戸も同様の傾向にあるように私ども伺っておるところでございます。やはり早く再建計画を立てていただいて、その中でこの問題は、合理的なと申しますか、妥当な解決というものを生み出していくべきものではなかろうかというように考えておる次第でございます。
  91. 占部秀男

    ○占部秀男君 これはどこまでいっても平行線ですが、いま参事官のお話を聞くと、これはもう二つに尽きるのであって、一つは給与、たとえ給与であっても、金がなかったら払わなくたっていいんだ、こういう考え方が一つ。それからもう一つは、あくまで行政指導は実はあなたのほうでしておきながら、あくまで責任は市長だけの問題だ、こういう形、市長というか管理者というか、こういう形しか出てこないのですね。おそらくいまのような姿でいけばこれは、東京のように、やまるところはいいですよ、ところが、なかなかそうはいかぬところがあります、この中には。おそらくストライキ問題であるとか、いろいろな問題が起こると思うのですよ、このままいけば。その責任はやはり財政局で負ってもらうよりしょうがない、こういうことでけんか別れのような形になるわけですが、一度ひとつ大臣や局長と相談をして、ともかく給与引き上げ分について金繰りぐらいはしてやるぐらいに、何とかここまできているのですから、一日も早く現なまが手に入るようにしてやる措置を一ぺん検討してください。
  92. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 金繰りの問題でございますが、これはやはりがんこなことを申し上げるようでございますが、おかしいんじゃないかという気がいたします。給与改定ということを前提にして金繰りをするということになりますと、やはりこれはおかしいんじゃないだろうか、給与改定をやるかやらないか、この問題は、いま再建計画をお立てになっている最中ですから、その中でこういう努力をし、こういう努力をすることによって、給与改定の原資というものはこれだけ出てくる、その中でおやりになる、こういうことが基本でございまして、やはり給与改定のための資金の手当てをするということは、私どもとしては考えておらないところでございます。
  93. 占部秀男

    ○占部秀男君 ぼくの言うのはそうじゃなくて、給与改定で確定する分があるでしょう、再建計画の中で、去年のベースアップの確定する分がありますね。それと見合ったものを出せという意味じゃないのです。それと見合ったものを出せと言ったって、あなたのほうは再建計画を基準にしているのだから出しっこないわけですね、率直に言って。それだけの金を出せと言うのじゃない。金繰りをしろと言うのじゃない。そういう意味じゃないんです。当面金が上がらなくて困っている人たちがいるのですから、実除は。そういうものがあとで確定したときに清算するという形で、給与の分をたとえば一般会計から貸し付けるとか、何らかの形で当面の金繰りをしてやれと、こういうことなんですよ。そういう点でもいけないのですか。
  94. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) その点になりますというと、それぞれの団体のおのずから判断の問題になるだろうと思うわけでございますが、私どもとして強く希望いたしたいことは、やはりそういうことをやる、かりにいま先生がおっしゃいますような措置をとる場合におきましても、やはり給与改定をやるやらぬという方針を、再建計画とのからみ合いで早く議会に提案されて、その全体的の中でどうするという、当面の資金手当ての問題という形での処置をなされることが望ましいというふうに考える次第でございます。
  95. 占部秀男

    ○占部秀男君 個々の判断といいますが、個々の管理者の判断あるいは首長の判断といいますが、自治省の考え方が、再建計画を基礎にしていなければ、そういう点についてのいわば清算的な問題は一切触れちゃならぬ、こういう考え方から、そこまで及ぶという余裕がないわけですよ。あとで清算するものは清算するのだという考え方で、一時、金を回して払ってやる、これが自治省の考え方なら、どこの市でもみなやるんです。そしてあと再建計画の中で、あなた方の思うとおり締めればいい。  私が言うのは、いま金が困っているのだから、いまお金の困っている、一年近く上がらないのだから、何らか部分的にしろ使えるような金を職員に、従業員に渡せるような金繰りの道を講じてやれということなんですよ。一般会計からのたとえば貸し出しができるかどうかわからぬけれども、かりに自治省として、特別の措置として、そういうことをやれと言えばやりますよ、みんな。
  96. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) これは私が御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんが、給与改定をやるかやらないかという基本方針をきめないで、とりあえず金を一般会計から貸し付ける、そういう方法——合理的にどういう方法があるかどうかわかりませんけれども、そういうことをやることを認めろという御趣旨でございますというと、私どもは、これはとうてい認めるわけにはいかないということになるわけでございます。
  97. 占部秀男

    ○占部秀男君 その場合には、去年の給与アップの分も再建計画の中できちっとそれが組まれるわけですね。そこで清算される問題でもやはりそうですが。
  98. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 再建計画を立てる中で、四十一年度の問題はおのずから解決をされていくのだろうと思うわけでございます。これにつきましても、実は非常に私どもの内部でも議論があるところでございます。すでに四十一年度は経過しておるじゃないか、いまになってさかのぼって給与改定をして払うということは、理屈としておかしいではないかという議論も中にはございます。そういう中でこの給与改定の問題、かりに四十一年度にさかのぼって、九月にさかのぼって給与改定を行なわれるという場合でございましても、その方針の決定というのは、私どもがこれから議会の議決を経て、拝見さしていただく再建計画の中で一緒に解決されるということでないとおかしいであろう。いまとりあえず、とにかくお金を貸し付けてやろう、その貸し付けたものを追認せよという御趣旨でございますと、とうてい私どもは認めるわけにはいかないということを繰り返し申し上げたい次第でございます。
  99. 占部秀男

    ○占部秀男君 ますますおかしい。過去のものだから払わなくてもいいのだという議論、そういう議論は、どういうところから出てきておるのですか、私は聞きたい。給与というものは生活の基準でしょう。生活で使うものである。その給与を基準にして雇われておる。過去のベースアップの問題だから払わなくていいなんというのは、じゃあなた、かりにベース勧告の場合でもそうでしょう。実際に決定するのは、あとで遡及してみんなもらっておるわけですよ。過去の給与ですよ。これはもう生活しちゃったあとの給与ですよ。ところが生活しちゃった中には、借金して生活している人もあるだろうし、あるいは余っておる人もあるかもしれない。しかし、生活の実態に対して給与がくるのであって、それは過去の生活の実態から、もう過ぎちゃったのだからそれはいいのだ、そういう乱暴な議論が給与問題でありますか。その点だけは取り消してください。とてもだめだ。
  100. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 財政技術の問題といたしまして、過年度支出というものがそういう形で許されるかどうか、議論があるということを申し上げておるわけであります。
  101. 占部秀男

    ○占部秀男君 過年度支出がそういうことで許されるかどうか、そういうような財政技術の問題だと言うけれども、事はあなた、人が生きるか死ぬかの問題であって、財政技術の問題じゃないですよ。私はさっきもあなたに言ったように、財政局はいつも金の血を基準にして、金だけでものごとを割り切ろうという考え方に立っておるからそうなんだ。これが行政局だったら、それだけで割り切りませんよ。労務管理という生きた管理をする場合に、金の計算だけで割り切れないのですからね。人間の生活実態というものは、実態としてあるのですからね。金の計算だけじゃない。過年度支出だからこれができるかどうか、そういうようなことだけで問題は解決できないのですよ。  かりに、そういうような過年度支出だから、給与問題については過去に遡及ができないというような場合には、そういうような点について直せばいいのであって、積極的に直すのがあたりまえです。直す考え方を持つのがあたりまえじゃないですか、事給与の問題について。ほかの問題は知りません。事給与の問題について生活の基礎の問題については、そういうような財政的な、法律の技術的な、何といいますか、難関というか、そういう点があるけれども、そういう点を直すのがあなたの役目じゃないですか。人の生活を否定するような、金の面だけで、あるいは法律技術の面だけで否定するような、それをあくまで押しつけるようなそういう考え方は、われわれは納得ができない。そういう点については局長の御意見はどうですか。
  102. 細郷道一

    政府委員細郷道一君) 途中からでございますので、お話の経緯は十分承知してないかもしれません。やはり公営企業は、御承知のように独立採算のたてまえをとっておるものであるということになりますと、いろいろ支出をするのにはそれだけの見合うお金がなければいけない。したがいまして、一つ一つの支出につきましては、たとえば電車の修理をいたすにいたしましても、やはりそのためのお金がなければならない。給与の問題にいたしましても、人件費一般の問題にいたしましても、やっぱりそういう制約を一方で受けざるを得ないと思うのでございます。  したがいまして、いろいろ具体的都市の交通再建、あるいは交通の企業会計の状況というものは、いろいろ違いますので、一がいには私申し上げかねると思います。しかしながら、一般的には、やはりそれだけに見合うお金がないと、いろいろな支出が十分できない。そういう点をいろいろ時間的なズレその他で、私どもとしては、先ほど来応答申し上げているようなことを申し上げているわけでございます。
  103. 占部秀男

    ○占部秀男君 いまの局長のお話の中で、再建計画というものは法できまって、各企業体がそれの申請をしたわけですから、再建計画の中で事を処理する——私たちは初め、この再建計画のワクの外じゃないか、去年の給与の引き上げは、そういう議論をしたのですが、かりに一歩譲って、そういうワクの中で決着をつけるという、かりにそういうことを前提としても、いま実は給与の引き上げがなくて困ってる職員があるわけですから、その再建計画の中で、将来清算もできる問題だから、金繰りの面だけ措置をしてやって——措置といったって国から措置するだけの話じゃないのですよ。一般会計からの貸し付けもあるでしょう。当面の給与の引き上げを何割にするかそういった点はわからないが、そういう金繰りの面を許してやってはどうか、こういうふうに非常にへりくだった私は質問をしているわけなんですよ。そういう金繰りの面も、やはり再建計画ができなければ許すというわけにはいかぬというわけですか。
  104. 細郷道一

    政府委員細郷道一君) 具体的な個別の再建の問題でございますと、また具体的なお答えの方法があろうかと思いますが、一般的には、金を貸す場合には、それは当然返す当てのない金を貸すということは、そのこと自体に私は財政的に非常に不適当であろう、こういうふうに考えます。したがいまして、とりあえず、といって、まだ当てのないものに対して金を貸すような方法について、私ども指導はいたしたくない、これが一般論としてお答えできるかと思います。
  105. 占部秀男

    ○占部秀男君 いまの答弁の中にも、何か局長は当てのないというけれども、全部首になるわけでないから、全部当てがあるわけですね。あなたは一般論というから、ぼくはそのままにしておきますが、これはどうも水かけ論だから、大臣が来てからもう一度お聞きをすることとしまして、私の質問はこれで打ち切ります。
  106. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。   速記をとめて。   〔速記中止〕
  107. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を始めて。  昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律案議題といたします。  本案につきましては衆議院において修正議決され、本院に送付されていますので、議事の都合上補足説明を聴取した後、修正部分の説明を願うことにいたします。  それではまず補足説明をいただきます。長野行政局長。
  108. 長野士郎

    政府委員(長野士郎君) お手元に配付しております「昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律案関係資料」というのがございます。その資料の中には法律案要綱がございますので、要綱に便宜基づきまして、要綱の項目を追いながら補足説明をしたいと思います。  第一は、ここに書いておりますように、地方公務員共済組合の退職年金等の額の改定に関する措置でございます。(一)にございますように、地方公務員共済組合が支給いたします地方公務員等共済組合が支給いたします地方公務員等共済組合法の規定による退職年金等の年額につきまして、その年額を、いわゆる二万円ベースの給料により算定をいたしました額の三二%増額した額に引き上げることといたしております。そのうち、地方公務員等共済組合法の施行前の期間を基礎として算出する部分につきましては、七十歳以上の者につきましては五四・二%、六十五歳以上七十歳未満の者並びに六十五歳未満の妻、子及び孫は四四%、それぞれ増額した額に引き上げるものとしております。これらの関係は、恩給法の改正に伴いますところの恩給法の額の改定に伴いまして行なわれる措置の基本的なものでございます。  なお、年金の額の改定に要する費用は、口に入っておりますように、そのうちの地方公務員等共済組合法の施行前の組合員期間を基礎として算出する部分につきましては、全額を国または地方公共団体が負担することといたしております。共済組合法の施行後の組合員期間を基礎として算出する部分につきましては、公務による給付として国または地方公共団体が全額負担いたしますものを除きましては、国または地方公共団体及び組合員が負担するいわゆる三者負担ということになっておるのであります。  第二番目は、二ページのまん中に参りまして、恩給法の改正に伴う措置でございますが、その一は、市町村職員共済組合が支給する旧市町村職員共済組合法の規定による退職年金等の年額の改定についてであります。その年額を国家公務員共済組合が支給する旧国家公務員共済組合法の規定によりますところの退職年金等の額の改定措置に準じまして、改定をすることにいたしておるのであります。  なお、地方職員共済組合等が支給する国家公務員共済組合法の規定による退職年金等の年額及び市町村職員共済組合が支給する旧恩給組合条例の規定によりますところの退隠料等の年額につきましては、地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法の規定により、特に法的措置を要しないで改定が行なわれることとなります。また、都道府県及び市の退職年金条例に基づく退隠料等につきましては、従来どおり条例準則を示す等の行政指導によりまして、年額改定の措置を講ずるようにいたしたいと考えております。  その二は、退職年金の支給について、高額所得者につきまして、高額所得停止基準というものがありますが、停止が行なわれているわけであります。その停止基準の是正についてでありまして、この改定でありますが、今回の恩給法の改正におきましても、高額所得の停止基準でありますところの普通恩給年額十五万円、恩給外所得年額七十五万円の額が、それぞれ十五万円が二十万円に、七十五万円が九十万円に引き上げられたことに伴いまして、所要の措置をいたすようにいたしております。  その三は、新たに旧軍人の恩給を受けることとなりました者等の取り扱いについてであります。最短年金年限未満で退職いたしました者が、今回の恩給法の改正によりまして、新たに旧軍人の恩給を受けることとなる場合は、その者またはその遺族に退職年金または遺族年金を支給する措置を講ずることとしております。その他、旧外地官公署職員でありました期間を有する組合員につきまして、その者の琉球政府職員期間が新たに恩給公務員期間へ算入されることによりまして、普通恩給を受けることとなる場合も同様に退職年金を支給することとし、また、増加恩給の増額に伴いまして、公務による廃疾年金の最低保障額を増額する等の措置を講ずることといたしております。  第三は、三ページのまん中のところの「その他の事項」についてでございますが、その(一)は、地方公務員等共済組合法の施行前に地方公共団体に臨時に雇用されておりまして、かつ、この厚生年金保険法の適用を受けておりました期間につきましては、旧市町村職員共済組合法の適用を受けていた期間といたしまして、そういうものにつきましては、組合員期間に算入することにこの際いたしたいということでございます。それからその次は、二番目は、増加退隠料等を受ける権利を放棄した組合員につきましては、国共法の取り扱いに準じまして、地方公務員等共済組合法の施行後に公務による廃疾となった者と同様に、その廃疾の程度に応じ、公務による廃疾年金を支給することにいたしております。  それからその最後のページでございますが、その日は、地方議会の議員の共済会の退職年金を受ける者が五十五歳未満でありましても、その者が公務に関連する傷病によりまして公務傷病年金を受給できる程度の廃疾の状態にありますときには、その状態にあります間、退職年金の支給の停止は行なわないということにいたしておるのであります。  以上申し述べました改正措置のうち、退職年金等の年額改定に関する措置及び恩給法の改正に伴う措置につきましては、昭和四十二年の十月一日から、その他の事項に関する措置につきましては公布の日から実施することにいたしております。  以上が今回の法案の概略の御説明であります。
  109. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、修正部分の説明を願います。衆議院議員大石八治君。
  110. 大石八治

    衆議院議員(大石八治君) ただいま議題に供せられております昭和四十二年度における地方公務員等共済組合法の規定による年金の額の改定等に関する法律案に対しまして、衆議院における修正の内容及び趣旨の概要を御説明申し上げます。  修正の第一点は、男子である組合員の退職一時金の額から通算退職年金の原資を控除しないことの選択ができる期限は、現在、昭和四十一年十月三十一日までとなっておりますが、女子である組合員の取り扱いにつきましては、昭和四十六年五月三十一日までとなっていることにかんがみ、これとの均衡を考慮して、昭和四十四年十月三十一日まで延長するものとしたことであります。  第二点は、政府案では、増加退隠料等を受ける権利を放棄した組合員については、その廃疾の程度に応じ公務による廃疾年金を支給することとし、現に増加退隠料等を受ける権利を有している組合員の受給権の放棄の申し出は、改正法の公布の日から六十日以内としておりますが、これらの受給者の在職中の生活を考慮し、その放棄の申し出は退職の日から六十日以内に行なうことができるようにしようとするものであります。  第三点は、公務員としての在職期間を資格期間に加えることにより支給する団体共済組合の特例年金は、恩給、退隠料、または共済年金の受給権を有している者には認められていないのでありますが、低額の恩給受給者等の実態を考慮し、普通恩給等の受給者に対しても、その制限を一部緩和するものとしたことであります。  以上が修正の趣旨の大要であります。  何とぞ御賛成を賜わりますよう御願いいたします。
  111. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会      —————・—————