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吉武恵市君 ちょとど大臣がお見えになっておりまするので、私ごく簡単に御要望を申し上げておきたいと思います。
実はこのたび御
提案になりましたこの法案に関連して、午前中、
消防庁長官並びに
関係官に
お尋ねをしたのでありますが、先ほど原田委員からも御
指摘になりましたように、今回のこの
プロパンガスの
取り締まりに関して
消防庁が関与されることは、私非常にけっこうだと思うのですけれ
ども、それに対して、ただ
届け出をさせるということで、これはだれがごらんになりましても非常に消極的と申しまするか、関与されておるにすぎないと思うのです。そこで、私は
権限争議とか
役所の争いというものはきらいでありますから、どこがどうということを申し上げるわけじゃございませんけれ
ども、今日、
人命尊重ということが非常に叫ばれて、特に交通につきましては非常にやかましくなりまして、ようやく歩道橋その他を
政府でおやりになるようになったわけです。この最近の社会生活に伴いまして、
危険物というものが非常に多く町にはんらんをしております。
その一番大きい問題が
プロパンでございまして、午前中も申し上げたのでありますが、広島市の横川では、ある飲食店でありますけれ
ども、
プロパンが爆発いたしまして
相当の重傷、それからまた付近の家屋が
相当全壊、半壊をしておる。先般また川崎市におきましては、ある民家でありますが、
プロパンが爆発いたしまして、その近所の産院の赤ん坊にまでけがをさせるという事例があるわけであります。したがいまして、市民生活をしておるものから見まするというと、今日、
まき、炭を使うわけにいきませんから、
都市ガスを使うことができない場合には便利な
プロパンガスを使うということは、これは自然な要請でありますので、やむを得ないことでありますけれ
ども、これをただ放置いたしまするというと、ますます私はこの危険度は高まってくるのじゃないか、かように思うわけであります。
そこで、大臣は、
プロパンガスについて、今回
消防が関与したことは、ごくわずかな点であるけれ
ども、まあ
産業の
関係と関連のあることだからやむを得ないとおっしゃっておりますが、これも私にはわからぬことではございません。わからぬことではございませんが、今日
消防庁でやっておりまする仕事というものは、ただ火を消す仕事だけじゃない。私は今日
消防庁及び下級の
市町村の
消防がやっておる仕事は、火を消す仕事と同時に、この
危険物に対して取っ組んで、いかにして
住民の生命安全を
確保するかということに取っ組んでおるのであります。これは私は当然のことであるし、また大いにやっていただかなきゃならぬのでありますが、
消防法の中には、
危険物の指定をいたしまして、これに対して
相当詳細な
基準なり
取り締まりを設けられています。しかしこれは
石油類、
スタンド類を中心にいたしましていろいろやられておりますが、
プロパンは、先ほど御
指摘になりましたように、
通産省が
基準を設けやっておりますが、ところが午前中私は
指摘したのでありまするが、
府県ではこの
プロパンガスについてどれだけの陣容でやっているかというと、
府県に大体二人くらいであります。もっとも、
東京とか大阪とかという大
都市におきましては二、三十人あるいは四、五十人の陣容をもってやっております。しかしそれで一体県下全体の——この
プロパンの
販売店というのは今日たくさんございます。そしてその
貯蔵所もたくさんあります。これをわずか県の二、三人の人でもって
取り締まりの万全を期するということがはたしてできるか、私はこれは無理だと思います。
許可の申請が出たとき、その
許可が
基準に合っているかいないかということをいろいろ調査して
許可するだけでも仕事は一ぱい。いわんやその
施設について回ってみて、それが
規定どおり行なわれているかどうか、あるいはまた危険度はどんなふうであるかということに、私はおそらく目が届いていないと思うのです。それから
府県でやっている仕事も、実は
通産省がおやりになっているために、
府県では
産業部でやっております。ある県は
観光課がやっている。まあ
観光課がやったらいかぬということを私申し上げるわけじゃありませんけれ
ども、
観光を主管するところの
課長のもとに、この
人命の
危害を除去するところの大事な仕事をやれる、やれぬことはございませんが、まあ片手間というか、二、三人の人でやられるという結果になるわけであります。
それから私、この
石油関係の仕事を
消防が取っ組んでいる。どの程度取っ組んでいられるかと思って、
東京都の
消防署にも私は行って調べましたんですが、
相当多数の陣容をもってこれに取っ組んでおります。毎年
相当優秀な技術者を入れてそうしてやる、
石油スタンドの
許可、設置
基準あるいは実際の
取り締まり等もやっておられるのであります。ところが
東京都のほうで、
プロパンガスの
取り締まりを
東京都はある程度の陣容でやっているようであります。これはどこがやっているかといえば、
東京都のいわゆる整備局、建築
関係のほうがやっているのですね。そこにもまた専門の——
プロパンと
石油とは多少違いますけれ
ども、同じ系統、同じ技術の人がやっているわけでありますが、それが
東京の都内だけでも、
東京都の整備局の中に二十人、三十人の陣容をもって
プロパンをやっている。それから
東京都の
消防のほうは
消防のほうで、
石油スタンドについて何十人かの人間でやっている。しかも
府県はどうかというと、わずか二、三人の人でこれをやっているにすぎません。それから
消防のほうはどうかといえば、これも午前中私は
指摘したわけでありますが、
消防庁では
相当優秀な陣容をおそろえになって、
石油スタンド、その他についての
基準を設け、
取り締まりの指示をされておりますけれ
ども、その
末端はどうかというと、
府県はほとんど使わないで、
消防署だけを使う。
いなかの
消防署は、先ほど来
お話しがありましたが、やはり火を消すことが本来の仕事でありまするから、そのほうに主力を注がれる。そうしてこの
スタンドの
許可なんかになりますというと、一人かなんかの主任がおりまして、そうしてあなた方がお示しになった
基準に従って、法規を正直に適用するということに一生懸命になってやられておるという
状況であります。私はどこがやったらいいということではございませんが、
住民の保護の側から見ますというと、
役所のそうしたばらばらのことよりも、一貫をしてこういう
危険物に対する
国民の安全を
確保するということに、もうちょっと
政府は一貫をした政策があっていいんじゃないか、そうして
府県もお
使いになってけっこうです。
府県もまたこれに大いに協力すべきであります、県民の安全
確保のことですから。
市町村もまた
市町村の
住民の安全
確保のことですからお
使いになっていいんですが、
消防は
消防で
市町村だけをお
使いになって、そうして
石油スタンドその他のほうに取っ組んでいる。
プロパンは
プロパンで、
通産省が
府県の二人か三人の人間を使ってやっておる。
私はこういうことで済むかどうか、もう
石油関係の
需要というものは年々非常な勢いで伸びてきております。したがって、町には
危険物がはんらんをしておる。こういうときでありますから、私はここで大臣から結論を聞くというつもりはございませんけれ
ども、まあ国務大臣としてひとつお
考え置きをいただき、今回の
改正は、これ一歩前進をされたことですから、非常にけっこうだと思いますが、こういうふうな消極的な
届け出をさせるだけで
消防が関与するというのではなくて、もうちょっと積極的に取っ組んで、そうしていかにして
国民の生命安全を
確保するかという点に私は取っ組んでいただきたい、かように存じまして、せっかく御出席でありますから、要望を申し上げまして私の発言を終わりたいと思います。