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1967-05-30 第55回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十日(火曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————    委員の異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      中津井 真君     木暮武太夫君      横山 フク君     岸田 幸雄君      北條  浩君     辻  武寿君  五月三十日     辞任         補欠選任      木暮武太夫君     金丸 冨夫君      小柳 牧衞君     岡本  悟君      岸田 幸雄君     熊谷太三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         仲原 善一君     理 事                 林田悠紀夫君                 吉武 恵市君                 原田  立君     委 員                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 熊谷太三郎君                 沢田 一精君                 津島 文治君                 中村喜四郎君                 林田 正治君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  藤枝 泉介君    政府委員        警察庁交通局長  鈴木 光一君        自治省税務局長  松島 五郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治大臣官房参        事官       鎌田 要人君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (警察官による交通事故問題に関する件)     —————————————
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  松澤兼人君から、都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、直ちに補欠選を行ないたいと存じます。  前例により、互選方法を省略して、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認め、理事占部秀男君を指名いたします。     —————————————
  5. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 地方税法等の一部を改正する法律案国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案一括議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 原田立

    原田立君 自主財源強化という問題は、多くの人からいわれ、また自治大臣も十分お考えのことと思いますが、過日の委員会で、地方税収地方財政全体の五〇%ぐらいほしいというようなふうの説明がありました。あるいはまた、国税を地方税移譲しなくてはならない、そのための国庫支出金から移譲分を減額するとか、あるいはまた否定的な意味合いでは、現在地方税収財政比率三三%、これを五〇%にすると五、六千億かかるというような意味説明があったのですが、はたして、この自主財源強化ということについて、非常に困難性があるわけですが、自治大臣はこの問題を真剣に取り組む御意思はあるのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  7. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 過般もお答えいたしましたように、現在の地方財政の形というものは必ずしもよくなっていない。それは結局地方財源が乏しいということでございますから、それをやはり国から持っていくということになれば、一面、国の事業をある程度減らさなければならない。それはやはり補助金等を削減いたしまして、その浮いた財源地方へ持っていくという形でなければならないと思います。補助金削減等はなかなか非常に困難を伴うものと思いますけれども地方の自治体を育成するためには、ぜひそういう方向で精力的に取り組まなければならない問題であると考えております。
  8. 原田立

    原田立君 その真剣に取り組まなければならない問題であるといういつもお答えなんですが、あるいはまた、ただいま検討中というようなお答えに終始している。これでは実際に地方のほうでは、自主財源の点について非常に不安定です。それでは地方団体は困るという声がかまびすしいわけであります。ですから、ただ単にその方向だけを打ち出すというのではなしに、具体的な線を一体自治大臣としてどう考えておられるのか、その点、言える範囲のことを仰せいただきたいと思います。
  9. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 先般もお答えいたしたと記憶いたしておりますが、地方制度調査会あるいは税制調査会等があります。それにただその検討に待つということではなくて、自治省としてはこらあってほしいんだという計画をと申しますか、考え方をそらした調査会等提出をいたしまして、そうして御審議をいただきたいというふうに考えております。その具体的な案につきましては、それこそ目下検討中なんでございますが、でき次第そうしたものを地方制度調査会なり税制調査会なりに具体案をもって——具体案と申しますか、自治省考え方を申し上げまして、そうしてそれを御検討願うという方向で進みたいと考えております。
  10. 原田立

    原田立君 その自治省考え方という、いま盛んに検討中だというお話なんですけれども、その自治省考え方という点についてはいかがですか。
  11. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) これもお答え申し上げたかと思いますが、たとえば所得税の一部を住民税のほうに移譲する、これなかなかやり方むずかしいのでございますが、そういうこと、あるいはガソリン税等地方移譲分をふやす、あるいはたばこ消費税税率を上げるというようなことを中心にして考えたいと思います。
  12. 原田立

    原田立君 過日、税務局長は、そういう自主財源強化については、まだ事務段階検討的課題だ、いわゆる事務段階というような点を強調なさったのですけれども事務段階だなんというのではなしに、現実にもうあっぷあっぷしている地方財政なんですから、また、この問題は最近言われたことではなしに、ずっと前から言われている問題なんですから、もうすでに何らか方針はきまったかどうか、事務段階を過ぎて方針がきまったかどうか。ちょっとしつこい質問ですけれども……。
  13. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) まだその方針がきまるというところまではいきませんで、ただいま申し上げたようなことを中心検討をいたしておる段階でございます。
  14. 原田立

    原田立君 それでは別な問題でありますけれども行政事務の再配分前回調査会答申してきたわけでありますけれども、その次のいわゆる財政措置、第十一次調査会検討中ですが、一体政府はいつごろにその答申されるかを期待なさるのか、その点はいかがですか。
  15. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) まあ、われわれとしては、一日も早くという考え方でございますが、おそらく、相当複雑な問題でございますので、私どもとしましては、この秋くらい、そうして何らか来年度の予算編成に、その方針がある程度織り込めるようなそういう時期に御答申をいただきたいという念願をいたしておるわけであります。
  16. 原田立

    原田立君 その答申内容ですけれども財源移譲の問題を含めて答申を期待しておられるだろうと思いますけれども、その点はいかがですか。
  17. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) そのとおりでございます。
  18. 原田立

    原田立君 行政事務の再配分そのものについての答申について、自治省基本的に賛成なんですか、反対なんですか。
  19. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 行政事務配分についての調査会の御方針は、原則的に私ども賛成をいたしておるわけでございます。
  20. 原田立

    原田立君 行政事務の再配分賛成であるということですね。そうすると、ただ単に、したがって、事務移譲ばかりでなしに、そこに仕事がふえれば人間もふえるし、経費もかかることでありますし、そういう税源移譲等も、これはもう早いところ実現していくという、そういうふうにじゃ考えてよろしいでしょうか。
  21. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) まあ要するに、この再配分をやるとすれば、財源の再配分をこれに伴わなければならないわけでございまして、その財源の再配分とあわせて、この調査会答申の実現につとめたいというふうに考えておるわけでございます。
  22. 原田立

    原田立君 また、ちょっと角度を変えてお聞きしたいのですけれども市町村の行なう仕事には、制度的に非常に違うわけですし、また、人口十万以上の都市、それからそれ以下の都市、あるいは指定都市ということによって仕事の量も内容もたいへん違うわけでありますが、こういうような指定都市については、その税源措置について何か具体的な方法等をお持ちですか。
  23. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 指定都市についての税源措置につきましては、御承知のとおり道路関係におきましては、指定都市がその区域内におきます国道、府県道の管理を実施いたしておるというような事務配分の点も考慮をいたしまして、道路譲与税軽油引取税石油ガス譲与税等につきましては、特に指定都市に対して配分をいたしておるわけでございます。そのほかの面において指定都市に特別な税制上の措置を講ずべきかどうかという問題でございますが、私どももいろいろ検討は続けておるのでございますけれども、御承知のとおり税制は、国、府県市町村を通じまして複雑な構成をとっておりますので、なかなか指定都市にだけ特別な税制をしくということもむずかしい面が技術的にもいろいろございます。それらの問題も考えあわせながら、指定都市税源充実に何か適切な方法はないかということで、検討を続けておる段階でございます。
  24. 原田立

    原田立君 何か何かというお話だけれども、過日の衆議院の本委員会会議録もちょっと拝見したし、松島局長答弁もずっと聞いていたけれども、何かやらなければいけないということは答えているけれども、じゃ何をやるかという結論が出ていない。それでは困る問題だと思うのですよ。それ、で特に指定都市のような大きな都市なんかに対しては、たとえば府県に渡すところの道府県たばこ消費税の一定の割合を移管するとか、何か具体的な問題を言わなければならないのじゃないか、こう思うのですよ。その点どう考えますか。
  25. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のような点も検討はいたしておりますけれども指定都市を含めます府県財政という面を、また別途考えてまいらなければならぬ面もございます。御承知のとおり、都市は次第に広域化してまいっておりまして、指定都市という範囲それ自体も大きな都市となっておりますけれども、それを中心にします付近都市というものが、だんだん指定都市区域を越えて発展をし続けつつあるという状態でございます。したがいまして、今日の都市行政が、単にその指定都市行政とだけ——むろん把握しなければならない面もございますけれども、それだけに限局されずに、その付近周辺都市も含めて、行政一体として把握していかなければならぬという要請も出てきておるわけでございます。そういう面において果たしておる府県役割りも非常に大きいものがあろうかと存じます。したがいまして、周辺都市を含みます府県も、そういう意味財政需要増高というものに非常に大きな負担を感じておる現状でございますので、指定都市にだけ財源を、税源移譲するということだけで問題はなかなか解決しにくいのではないか、かように考えておるのでございます。
  26. 原田立

    原田立君 じゃ、どうなさるのですか。
  27. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) やはり、先ほど大臣からお話しがございましたように、国との財源配分ということもあわぜ考えてその問題を解決していかなければならぬのではないか、かように考えておる状況でございます。
  28. 原田立

    原田立君 実現可能なことをやってもらいたいと思うのですよ。いつもこう考えている、こういう方向検討中だということで、具体的なものが、前進が乏しい。それでは大都市ばかりではなしに、中小都市市町村に至るまでも、いま地方財源が困っているのですから、そんなような画一的なお答えはなしに仰せいただきたいと思うのです。先ほどの御説明の中に、軽油引取税とか地方道路譲与税というようなお話がありましたけれども、これは道路財源だけの問題なんです。だけれども地方財政においては一般財源のほうも不足しているのですから、だから道路のほうだけやったから、一般財源のほうはかまわないということは暴論だろうと思う。そっちのほうはどうなさるのですか。
  29. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 道路財源をやっているから一般財源はかまわないということを申し上げているつもりではございません。先ほども申し上げましたように、道路財源については、事務配分の問題も考えて現在対策が講ぜられておるということを申し上げたわけでございます。一般財源につきましては、ただいま具体案がないというおしかりをいただきましたけれども、私どもとしては、やはりそれも必要であるという前提で検討をしておる、こういうことでございます。
  30. 原田立

    原田立君 検討中、検討中という答えばかりで、どうもはなはだ不満足なんですけれども……。それからいまもお話しがあったけれども、異常な人口集中が行なわれて、非常に都市財政が苦しい。あるいは具体的に見て、大都市周辺都市がベッドタウン化して、いろいろと人口もふえているし、学校もつくらなければいけないし、消防施設もつくらなければいけない、環境衛生もやらなければいけない、いろいろこういうふうにあるわけですが、自治省としてのそういう考え方、それはどういうものでしょうか。建設省の考え方も発表されておりますし、自民党の内部にも調査会があって、検討中のように聞いておりますが、自治省都市政策基本方向、これはどういうふうなお考えでしょうか。
  31. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 基本的には私は、大都市への人口産業集中は、もう抑制しなければならない段階にきておる。そうして地方開発拠点都市の育成をはかるということが基本であろうと思います。ただ、そうはいっても、現在の段階におきましての大都市への人口産業集中というこの根強い力がございますから、これをほうっておくわけにはいかないので、やはり大都市の再開発というものも、その限度においてはやっていかなければならない。しかしそれは必要の限度にとどめて、その余力をむしろ地方拠点都市開発に向けるというのが基本的な考え方ではないかと思っております。
  32. 原田立

    原田立君 それではまた次の問題になりますけれども、個人の住民税居住地で払うようになりますし、昼間人口をかかえる都市には、税源として、財源として入ってこない。それでこういう都市財政需要に相応する財源配分、これはお考えのことと思いますけれども、いかがでしょうか。
  33. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 都市区域の広がっていくに従いまして、生活と申しますか、する場所と働く場所とが分離されていくという傾向のありますことは、御指摘のとおりであります。現在の住民税がその住所地において課税をされるというたてまえでございますので、いわば生活をする場所において税金がかかってくる。したがいまして、生活する場所の町村においては住民税を得ることができるけれども、働く場所においては住民税がかかりませんので、住民税税収としてあげることができない、こういう問題のありますことは御指摘のとおりでございます。  で、こういうものに対して、一部の学者の間には、入市税というようなものをとったらどうかというようなお考えもございますが、しかしながら、ある一人の人が働く場所生活する場所が違うからといって、二つの税金を納めなければならぬということも、なかなかこれは実現困難な問題でございます。しかし、まあ一面において、生活をする場所であります、いわゆるベッドタウンといわれますようなところが、それでは住民税があるから財政的に十分償っているかと申しますと、これまた学校であるとか、あるいは道路の建設でありますとか、あるいは下水道の整備でありますとかいうようなことに追われて、むしろ団地というようなものは歓迎しないというような状態にありますことも、御承知のとおりでございます。このような生活をしているところ、すなわち住民税を得るところにおいても、それだけでは財源が足りないと言い、また働いているところでは、住税税が入らないから何ともやっていけないという声があるわけでございます。  これを通じて考えてみますと、要するに静態的な状態においてものが考えられます場合と、動態的な状態においてものが考えられます場合とは違うのではないか。すなわち、今日はもう人間の移動と申しますか、あるいは人口の増加というものが非常な勢いで進行しておりますために、その動いている社会状態、それに伴って起こる財政需要というものも、静態的な財政制度では救い切れないというところに問題がむしろあるのではないかというふうに考えられるのであります。そういう意味では、やはり起債運用というようなものをもっと大幅に活用していくというようなことで、非常に激変する財政需要に一応対応していくというようなこともあわせ考えていかなければ、問題は解決していかないと、かように考えている次第でございます。
  34. 原田立

    原田立君 起債考えていかなければならないという御答弁があったのですけれども起債は御承知のように借金ですからね。そんな——それも運用しかたいかんによっては効果を発揮するかもしれませんけれども公営企業体みたいな、それによって利益を得るような、そういうものの起債地方債の発行ということは考えられるけれども一般財源が現在不足している現状なんですから、起債をもってそれを財源的な需要に充てていくということは不穏当ではないか、こう私は思うのですけれども、それについて、先ほどからずっと続けて質問をしているように、要するに自主財源強化ということにつながるわけなんです。局長大臣も、この点どんなふうにお考えなのか。要するに私の言いたいことは、そういう疲弊している地方市町村について、起債をもってそれを運用していくという局長答弁ですけれども、それは現在の段階においてはとるべき方法ではないのではないか、どういうお考えですか。
  35. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 私が申し上げたのは、起債でもって何もかもやるという意味ではございません。先ほど来御質問のございましたように、自主財源の増強ということを中心考えてまいらなければならないことは、申すまでもないことでございますが、ただ一時的な財政需要というようなものに対応していきますために、起債というものも弾力的にある程度運用する必要がある面もあるのではないか、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  36. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 結局、最初お尋ねのように、国の財源の一部をどうしても地方移譲しなければ、現在の地方財政というものはよくならない。そういう意味でいろいろ検討もし、また、それに対して精力的に取り組んでいかなければならないという考え方でございます。
  37. 原田立

    原田立君 先ほどからの御答弁によりますと、税源の再配分はすでにやるべきときがきたというような仰せのように思うのです。現実にこのことはやらなければならない、ほんとうに現段階だと思うのです。小さなコップの中に入って、そのワクの中だけでがちゃがちゃやったって、これはふえるわけじゃないんですから、その点自治省として、地方自治団体の総元締めなんですから、地方団体の側に立って、税源の再配分、これをもっと有効に、地方団体の側に立っての御活躍を希望する次第です。  それから、これは当委員会においても、あるいはほかの、衆議院のほうでもいろいろと問題になっている、住民税均等割り及び所得割り課税最低限の問題ですけれども課税最低限が現在非常に低過ぎて、低所得者に対する重税というふうな感じを一般国民が持っているわけでありますが、何とか改善すべきだというような意見に対して、自治大臣も、均等割りについては二十六年より据え置かれているから、むしろ税率引き上げたいというような御答弁も前にお伺いしたと思うのです。課税最低限は、来年は若干引き上げるが、その先はわからぬというような御答弁もこの前ありました。で、そういうふうに数年先のことがわからないっていう大臣の御答弁では、はなはだ不穏当ではないか。国家財政を扱うために、長期考え方に立って、いわゆる自治省のビジョンとでも言いますか、そういう点において、もっとはっきりしなければいけない問題ではないかと思うのですが、課税最低限引き上げ、これについて、来年ばかりでなしに、四十四年、四十五年をめどにして、一体どのくらいまで最低限引き上げなさるのか、どういうお考えがあるのか、その点はいかがですか。
  38. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 最初にお断わり申し上げますが、私、均等割りのほうはいろいろ検討したが、むしろ上げないのが現在の状況において妥当であろうということを申し上げたので、均等割り引き上げは目下全然考えておりません。  それから、最低限引き上げの問題でございますが、これは、先ほどお尋ねのありました国と地方との財源の再配分のめどもどの程度になるか、どういうものになるかというようなことのめどを立てませんと、しかも、それがもう再配分すべき時期に来ている——ことばにありましたように来ている。したがって、これのめどを立てませんと、長期といいますか、中期の展望に立って、四十五年度までに最低限をどれくらいに引き上げられるかということが、ちょっと現在の段階においては計算いたしかねるということでございます。
  39. 原田立

    原田立君 そういう考えは、この前たしかお聞きしたと思うのですけれども、こういうことをやっておりますと、国民が、一体政府減税減税といっているけれども、むしろ税金を重くしているのだと、政府不信感の念を非常に強くすると思うのです。これは、ことしは四十二年ですし、あと三年後の話ですからね。それがいまの段階になってわからぬということは、これは、はなはだ不穏当じゃないか、こう私は思うのです。均等割りは廃止なさるお考えはないですか。
  40. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) たびたび同じことをお答え申し上げて恐縮なんですが、こういう地方自治体——地域社会の費用、これはやはりその地域住民が、まあできる人は負担をするという性格のものではないか。そういう意味均等割りというものは、非常にわずかではありますが、それがまた地域社会に対する住民の関心を深め、または地域社会に対していろいろ関連を持つということではないかというふうに考えております。
  41. 原田立

    原田立君 大体想像したようなお答え方なんですけれどもね。実際、間接税税金は、そういう貧乏な人でも払っているのですよ。税外負担は現在非常に山のように多いのですからね。お米にしたっても、貧乏人でも買わなければいけない、もちろん当然のことですけれども。PTAの会費だって払わなければならないし、とにかく貧富の差なんかないのですね。いま負担分任とか応益負担というようなことばは、ちょっとなかったように思うのですけれどもね、そういうふうな御精神だろうと思うのです。だから、そういうふうな人たちに対しては、直接税ははずしていくということのほうが、むしろその地域住民人たちが安心していく点じゃないかと思うのです。まあ現にそういう間接税については応益負担しているわけですよ。負担分任もしておるわけなんです。地方税の中において均等割りは、非常にごく微量なものになってきました、最近は。だから、もうこれは注意を喚起するとか、関心を深めるとか、そんなことを言わないで、貧乏人の味方になって、廃止すべきじゃないですか、ほんとうに。
  42. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 繰り返し申し上げるようですが、やはり、ほんとうにその地域社会の経費というものはみんなで持つという、一種の、ことばは悪いのですが、会費的な性格がある程度ある。もちろん、それが非常に大きいものであってはならぬと思いますが、そういう性格があるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  43. 原田立

    原田立君 お伺いしますけれども府県住民税のほうの手直しはなさるのですか。
  44. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御質問の御趣旨はよくわかりませんが、住民税全体について、たとえば課税最低限引き上げというようなことを行ないます場合は、府県民税についても同様な措置を講ずる、こういうことに考えております。
  45. 原田立

    原田立君 市町村のほうの手直しはどんどんやっていって、県のほうはノー・タッチである。実際府県住民税のほうはあまり減税の方向に向かってないじゃないですか。市町村とのバランスを、住民税という性格からいっても、もう少し検討の要があるのじゃないか、こう私は思うのですが、いかがですか。
  46. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 前回も鈴木委員お答えを申し上げましたように、市町村民税につきましては、課税方法が幾つもございましたものを統一をしてまいりました。さらに、準拠税率でございましたものを、標準税率、制限税率というような制度にしてまいりました。こういうように市町村民税につきましては、御指摘のとおりいろいろ手を加えてきておりますが、これは要するに、市町村民税が地域間に非常に不均衡があったのを、何とか是正をし、均衡をとっていこう、こういう配慮からでございまして、府県民税につきましては、当初からそういう形の税金でございませんでしたので、手直し  御指摘のような意味の手直しはしておりません。いわば現在の市町村民税が次第に府県民税に近づきつつあるような形で改正が行なわれてきたと、こういうふうに考えておるものでございます。
  47. 原田立

    原田立君 いまの御答弁中、市町村民税が府県民税のほうに近寄っていったということは、どういうことですか。
  48. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 府県税の課税方式には、御承知のように、市町村民税のようにいろいろな方法をとっておりませんでしたので、いわば市町村民税の課税方法をだんだん規制をすると申しますか、市町村が自由に課税する方法をある程度調整をすると、こういう方向でまいってきたと、こういう意味府県民税に近づいたと、こう申し上げたわけでございます。
  49. 原田立

    原田立君 それはちょっと意味がよくわからないんですけれどもね。四、五年前のときには、府県税は四七・八%、市町村税は五二・三%、これは現在逆転して、現在府県税は五二%、市町村税は四八%、取れ高においては現在府県税のほうが多くなっているんですよ。四、五年前と変わってきているわけですよ。これはどういうふうに説明なさるんですか。
  50. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) ただいま御指摘のありましたのは、府県民税、市町村民税のみならず、府県税全体、市町村税全体についての構成比の移り変わりの御指摘であろうと存じます。御指摘のとおり、最近地方税全体の中に占めます府県税の割合のほうが多くなってきております。これはどういう理由かというお話でございますが、これにつきましては、いろいろな理由が考えられると思いますが、まず市町村税の側から申しますと、市町村民税につきましては、ただいま申し上げましたように、いろいろな形で減税が行なわれてきている。すなわち課税方式の統一というような形で、いわば超過課税を押えてきている。こういうようなことから市町村民税全体の税収入が総体的に減ってきているものと考えるのでございます。また市町村税のうちの大きな割合を占めております固定資産税につきましては、御承知のとおり、土地に対する固定資産税について、その上昇割合が非常に低く押えられてきたという事実もございます。こういうようなことから、市町村税については比較的伸びが少なかったと、これが地方税全体の中に占めます市町村税の比率を低下させる一つの原因であったと思います。  一方、府県税の側について見ますと、最近は景気の上昇に伴いまして、府県税のうちで事業税、特に法人事業税の割合が非常に高くなってきております。このように府県税の中に法人関係の税収入の伸びが大きかったということが、府県税を大きく伸ばしてきた一つの原因であろうと思います。そういうことから、全体としまして、府県税の割合が市町村税の割合に比べて、最近は若干高くなってきておる、こういうことであろうと考えております。
  51. 原田立

    原田立君 いまのお話の中にもあったように、市町村のほうの手直し、減税はやってきたんですね。府県のほうはやってこなかったんですね。だから逆転してきたわけですよ。だけれども仕事の量でいけば、確かに府県税も大事だとは思いますけれども、いまとにかく困っておるのは市町村なんですね。ですから、市町村のほうの財政の健全化という面についても、もっと府県のほうの手直しをやって、市町村財政のほうの健全化の方向に向けていくことが最も大事じゃないかと、こう私は思うんです。そういうお考えはございませんか。
  52. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のとおり、市町村財政強化をはかっていきますことの必要なことは、私どもも十分考えておるつもりでございます。ただ、その方法として、府県税を減らして市町村へ持っていくのが妥当であるか、あるいは先ほど大臣からも申し上げておりますように、国税と地方税との間における財源配分を行なつて、市町村税を強化するのが妥当であるかという点については、なお検討を要すべき問題があろうと思うのでございまして、私どもといたしましては、府県地方団体税収入のやりとりでなくて、できるだけ国と地方団体との間の税源の再配分という形で市町村財源強化をはかっていきたい、かように考えておるのでございます。
  53. 原田立

    原田立君 府県税の税目は、景気変動によって左右される、そういう税目が多いし、市町村の税目は固定したものと、こうなっておるわけでありますけれども、これはやっぱり、まあ政府自身がですね、府県重点の税政策のあらわれではないか。基本的に態度をもっと、府県ももちろん大事だろうと思いますが、市町村にももっと手厚くしていくという、そういう方向でなければいけないのじゃないか。
  54. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 市町村について、これはシャウプ勧告にも言っておりますように、地方自治の基本的な団体でございますから、私どもといたしましては、市町村財源充実ということについては十分考慮をしておるつもりでございます。ただ、実際問題といたしまして、経済の活動のないところに税金がないと申しますか、市町村と申しましても三千有余にわたっておりますので、その市町村全部に行きわたった税収入が得られるような税制を組み立てるということは、非常にむずかしい面がございます。そういう面では、なるべく普遍的な税収入ということで、現在住民税及び固定資産税が中心になっておるわけでございます。それと、もう一つは、市町村は、何と申しましても規模の小さい団体が多いわけでございますので、税収入に安定性のあるということが必要でございまして、財政規模の小さいところで大きな収入に変動が生じますと、財政運営が計画的に行なわれがたいという面もございます。そういう面で、固定資産税のような税は、市町村税としては最も適当な税であろうと思います。  ところが、安定した税収入というのは、とかく伸びが少ないという問題がございます。景気が上昇しても、その割合で税収入が上がっていかないという欠点がございます。で、それらの点も考え合わせまして、今後市町村税はどういう税目でもって構成すべきかということを考えていかなければならないと思いますけれども、御指摘のとおり、市町村中心にやはり考えていかなけりゃならぬということは十分心得ておるつもりでございます。
  55. 原田立

    原田立君 市町村中心考えていかなきゃならないと、十分承知しておるというお話ですから、この問題はこのぐらいにしたいと思うのですが、じゃあその方向でひとつお考え願いたい。  去年の十二月八日に、地方税財政に関する答申が出ておりますけれども、それは今回の、四十二年度のですね、処置について尊重なさったかどうか、その点はいかがですか。
  56. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 私どもといたしましては、力が足りないために、結果的には十分でなかった点もあろうかと思いますが、気持ちの上におきましては、最大限の尊重をいたしたつもりでございます。
  57. 原田立

    原田立君 まあそういう精神論になると、たいへん御苦労さんと言う以外にないと思うのだけれども、それだけではね、地方財政困っちゃうんですよね。これはやっぱり自治省と大蔵省との根本的なものの考え方、これをもっと推進、是正していかなきゃならないことだろうと思うのです。それでね、こういう答申は、尊重なさるのがぼくは至当だと思うのですよ。ただ、大蔵省がこう言ったからだめだったんだということではですね、地方財政は困ります。ほんとうに困る。  で、いろいろと答申しておりますけれども、どういう方向で今後推進なさっていくのか。大蔵省にはこういうふうな点についてもっと納得してもらって、こういくのだと、具体的な問題をお教えいただきたいと思う。
  58. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) この答申のうちで、地方税に関します部分で一番大きな点は、何と申しましても、道路目的財源の充実の問題であろうと思います。で、この点につきましては、いろいろ努力をいたしましたが、結果的には二十五億円という臨時交付金が交付されるにとどまったことは、まことに遺憾でございます。しかし、道路整備五カ年計画に関します財源措置は、別途関係各省庁間で協議をすることとなっておりますので、その際には、できるだけ答申の趣旨に沿って努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  次に、所得税からの住民税への税源移譲につきましては、答申に入れられておりますが、この点につきましては、先ほど大臣からもお答え申しておりますように、国税、地方税を通ずる一つの税源配分の問題として、引き続き検討をしてまいりたいと思います。そのほか市町村、特に大都市に対する税源充実の問題につきましては、先ほど指摘がありましたが、特にこの中で、調査会で問題になりました大規模固定資産税の市町村府県課税限度の問題につきましては、ただいま御提案申し上げております地方税法等の一部改正案で、答申の趣旨も考えまして改正をはかっておる次第でございます。なお、そのほか、消防施設の問題でございますとか、たばこ消費税課税標準の算定方法の問題でございますとか、取り上げられておりますけれども、これらにつきましても、関係方面と今後とも折衝を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
  59. 原田立

    原田立君 どうもはっきりしませんね。答申は尊重するということは、総理大臣以下自治大臣も、いつもどんな答申でも尊重するという答弁をしておるけれども、この答申は努力不足でだめだったんだということでは、どうも納得しがたいです。現に道路財源でも六兆六千億円のものに対して、自治省としては、一番最初三千億くらいの考え方があったんじゃないですか。それが六百億に下がって、百四十億に下がって、二十五億に下がって、もう下がりようがないですよ、二十五億以下に。これでは、せっかく御努力なさっただろうと思うけれども、納得し得ない点ですよ。その計画がまだ中途はんぱだから、もっとすっきりしてからつけるという何か建設省のお考えのようなことも聞きましたが、そんな来年のこと、再来年のこと、そこら辺のところがお先まっ暗では、地方財政はできはしませんよ。道路財源の問題については、特に地方公共団体は、大きな声をそろえて財源の確保について強い要請をしておりますから、もう少し具体的な面でお答え願いたいと思います。
  60. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 道路財源の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、道路整備五カ年計画の財源措置について、この秋ごろまでにはおそらく関係各省庁間で協議がなされるというふうに聞いておりますので、その際には、ぜひただいま御指摘のございましたように、竜頭蛇尾に終わることなく、努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  61. 原田立

    原田立君 どうも税務局長、さっきの御答弁の中で、国税プラス国債イコールその合計金額についての二三%は地方に回してやれという答申もたしかあったはずです。このことについてお答えがないんですが、どうですか。
  62. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 地方税答申の部分についてだけお答え申し上げましたが、地方財政全般の問題につきましては、鎌田参事官のほうからお答えさしていただきたいと思います。
  63. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 答申の中におきまして、税以外の部分についてお答えをいたします。  まず、第一は、特別事業債の問題でございますが、これは答申は、特別事業債は昭和四十二年度以降は継続すべきでない、昭和四十一年度分につきましては、適正な財源措置を講ずべきだ、こういうことを申しておるわけでございます。前者の特別事業債の廃止は、これを答申どおり昭和四十二年度以降は発行しない。それから四十一年度分、既発行分でございますが、これにつきましては、御案内のとおり、交付団体分の五十三億、第一種特例交付金の中の五十三億というのがこれに相当するわけでございまして、昭和四十二年度分の利払い分というものは、財源措置をいたしたわけでございます。なお、四十三年度以降の措置につきましては、予算編成の最終段階におきまして、国庫当局と自治省との間で地方団体に迷惑をかけない、こういう申し合わせが行なわれておるわけでございまして、この線に沿いまして、明年度以降措置をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、先ほど仰せになりました例の二三%方式論でございます。これが実は一番議論があったわけでございまして、大蔵省のほうは、一つは国債というのはテンポラリーのものである。恒久的な税にプラスして臨時的な国債というものを分母に含めるというのは、性格上おかしいのではないか。第二点といたしましては、国が将来の税金を前借りをして地方団体に与えてやって、一定の時期がまいりますと、国のほうは元利を償還しなければならぬわけでございますが、その間に地方団体だけが元利の償還を免れるということは、これはあまりにも地方団体が有利ではないか、これはちょっとみみっちい話でございますが。それから第三点といたしましては、二三%というこの率自身について、やはり過去十年間の平均値といっても、それぞれの年度をとると、ぶれがあるではないか。こういったようなことが反対論の内容であったわけでございますが、一番強かった内容は、国債と国税というものを同一視することはおかしいのじゃないだろうか、こういう意見であったわけでございます。  これに対しまして、自治省といたしましては、税の収入不足に伴って国債というものが発行された以上は、従来の国税に相当する機能というものを税と国債というものがあわせて果たしておるのではないだろうか。それを一定の量といたしまして、それに対する二三%をかける。結局地方団体財源不足というものを、積み上げ計算によらないで、そういう総額のめどによって、上からいわば下におろしていく、こういうやり方があっていいのではないだろうか、こういうことで、予算編成のぎりぎりまで詰め合ったわけでございますが、結局話し合いがつきませんで、来年度の予算編成まで持ち越しということに相なったわけでございまして、先ほど税務局長のほうから、力不足というおことばがございましたが、そういったような点におきましては、私どもも力不足ということを非常に痛感いたしておるわけでございますが、来年度以降、ひとつこの点についてはなお詰めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  64. 原田立

    原田立君 やはり力不足という御説明だけれど、それじゃ困るんですね、実際問題。それで二三%の配分計画からいうと、約千百億ぐらい不足するわけですけれども、これはどうなさるんですか。
  65. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 二三%計算でまいりました場合の不足は、差し引き七百億だったと思います。正確な数字を申し上げますと、七百十八億程度が措置不足という形になるわけでございます。ただ、この点につきましては、本年度の財政計画の策定にあたりまして、国税の自然増収がかなり見込めたわけでございます。したがいまして、交付税の自然増収というものがかなりございまして、また、この地方税の増収も国税とやはり比例するものにつきましては、若干伸びを示しています。そういう関係で、一般財源の伸びというものがかなり見込まれたものでございますので、その点につきまして、今年度の地方財政の全体的な運営といたしましては、支障がないという見通しに立っておる次第でございます。
  66. 原田立

    原田立君 七百十八億円ぐらいの差については必要ないと、そのくらいのものは十分あると、こういうふうなお話ですが、それは今年は確かにプラスしましたよ。だけれども、過去数年の間、いつもいつも不足して困って、みんな単年度、臨時的措置として単年度と、こればかりやってきたではないですか。だから七百十八億ぐらいは、今年は税収がたくさんあるからやらなくていいのだなんというのは、ちょっと地方財政考えが足らないではないか。  それからもう一つ、調査会答申というのは、これは私は世論の代表としての意見である、国民全体の意見である、こういうふうに受け取るべきではないかと思うのです。まあ言ってみるならば、国民の声を代弁して、調査会等でその考えをまとめたと、こう自治省は受け取るべきではないかと思うのです。それに対して、先ほどから努力不足であったということを自認なさって、それだけの弁解でそれを切り抜けようとなさるのは、ちょっと不穏当ではないか。もっと誠意ある対策と言いますか、考えというか、それを持たなければならないのではないかと思うのですが。
  67. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 各年度の地方財源の不足というものを、どういう形で推定をしていくかということについては従来から、いわゆる従来におきましては歳入の増加要因、あるいは歳出の増加要因、逆にそれぞれに減少要因もあるわけでございますが、そういうものを積み上げまして、財源不足額というものをはじき出す。その財源不足額に対しまして、あるいは交付税率引き上げで埋めていく、あるいは昨年度の場合でございますというと、臨時交付金でございますとか、あるいは起債で埋めてまいる、こういうことを行なってまいっておるわけであります。そういう形で毎年度、毎年度の地方団体財源不足というものを積み上げ計算で査定をしていく、いわば大蔵省が各省、各庁の予算というものを査定をしてまいります、それと同じような平面で、同じような考え方で、地方財政全体の財源不足というものを査定をするという行き方がいいものであろうか、こういう反省が、私はこの地方制度調査会答申の底にあるのだろうと思います。むしろそういう形でございませんで、国と地方団体との間で、財源配分の総額というものをはなからきめていく、あらかじめきめていく、あらかじめきめてまいりまして、その中で地方団体は、自分に与えられた固有の財源プラス、いまの財源配分による増加額というものによりまして、いわば世帯をまかなっていく、こういうことをこの地方制度調査会答申の基礎として置いておかれたのではないだろうかというふうに推測をするわけであります。  ただ、地方財源の不足というものを考えてまいります場合に、どういうものをもって目安と置くか。現実地方団体のやっておる仕事というものを積み上げてまいりまして、財源を積み上げて、その差額というものを出すという従来のやり方というものも、十分根拠があるわけであります。また、新しく打ち出そうとしておられる、いわゆるめど方式というものも十分根拠があるわけであります。ただ問題は、この両者というものが一致すればいいわけでありますけれども、一致しない場合はどちらが優先するかという点につきましては、この調査会の全体的な空気といたしましては、やはり積み上げ計算というものが第一に出てくるのだけれども、これにあわせてめど方式、あらかじめめどをつけておくということも適切だ。その場合、国の財政事情、地方財政事情、その他特別の事情がない場合は、ある場合は別といたしまして、いわゆる二三%だ、こういう考え方でございまして、積み上げ方式自身を頭から否定をしておる、こういうことではないわけでございます。その上にさらにめど方式というものを加えることがベターであろう、こういう考え方があるわけでございまして、ことしの財源措置として私ども措置をいたしましたのは、従来のいわゆる積み上げ方式による財源不足額というものは十分確保しておる。しかしその二三%方式というめどづけ論までは背伸びができなかった。ここのところを私ども先ほどからいろいろと申し上げているわけでございまして、地方団体財政運営という面から申しますというと、この積み上げ方式による財源不足額というものはぴっちり財源措置をしておると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  68. 原田立

    原田立君 ぴっちりとやっておるというようなことだけれども先ほどの二三%の答申にしても、その面からいって七百十八億円の財源不足、こういう問題が出ているわけですね。それでぴっちりとやっているというのはどういうことですか。
  69. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 繰り返しになって恐縮でございますが、この財源措置額といたしましては、いわゆる歳入歳出の増加要因を差っ引きいたしましての財源不足額というのが、一般財源ベースで七百五十一億という数字が出てまいったわけでございます。この七百五十一億という財源不足、これは積み上げ計算によりまする財源不足額でございますが、これにつきましては財源措置というものを完全に行なっておる、こういうことでございます。ただ二三%方式論という、いわゆる積み上げ計算ではございませんで、国と地方との間で、国税プラス国債かける二三%というものを地方団体財源として与える、こういういわゆるめどづけといいますか、これに対しては七百十八億の措置不足ということになっているけれども、これはいわゆる地方団体財源不足額の積み上げ額の不足額ではない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  70. 原田立

    原田立君 先ほども申し上げましたように、答申は世論の代弁であるということを申し上げたわけですけれども、二三%の答申そのものを、それでは自治省は否定なさるのですね。
  71. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 財源不足額の措置としましては、繰り返して申し上げておりますようなことで措置をいたしております。積み上げ計算による財源不足というものに対しては、措置をいたしておるわけでございますけれども、いまのそういう条件を、いわば積み上げ方式というものでございませんで、総額をはなからあらかじめ地方団体財源を付与するという、現在の積み上げ方式というものを越えた新しい提案というものに対しましては、四十二年度の地方財政対策としては措置ができなかったという点については、先ほどから私どもの力不足ということを盛んに申し上げているわけでございまして、との点につきましては、もちろんそういう積み上げ計算ではございませんで、地方団体にあらかじめ財源の総額というものをきめておく、こういう非常に従来にない新しい構想というものを持っているわけでございますし、そういう形で地方団体というのが、いわゆるぴっちりと歳入と歳出の不足というものを補ってもらうというだけの財源措置でございませんで、ある程度いわゆる生々はつらつの自治活動というものを、各団体の実情に応じて行なう、こういった意味においての財源というものを付与するという意味から申しますと、この二三%方式論というものは、当然私ども答申の趣旨によるところを尊重して、これが実現のためにたゆみない努力をいたしてまいりたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  72. 原田立

    原田立君 私はせっかく御努力願いたいと思う。同じ鎌田参事官は、来年度は答申の実現に努力したいと、衆議院で御答弁なさっておられるけれども、それこそそのほうのめどはどうですか。
  73. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) ただいまの段階でございますというと、これは自治省といたしまして、全力をあげて努力するということを申し上げるよりほかにないところでございます。
  74. 原田立

    原田立君 全力をあげて努力して、またことしと同じであったというのでは困るわけなんです。努力不足であったというのでは困るわけなんです。なお、ことしよりももっといい成果が得られるものではないかと、こう期待するわけですが、あなたに聞くのはちょっと見当違いだろうと思うけれども、大蔵省の秋吉某という方は、二三%についてはどうしても納得しかねるというような答弁をやっぱり衆議院でやっておりますけれども、片一方では一生懸命推進努力すると言っている、金主元は納得しないと言っている。この点の調整はどうなるんですか。
  75. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 先ほどもちょっと大蔵省の意見というものを申し上げたわけでございますが、これは地方制度調査会の起草委員会から小委員会にかけまして、その大蔵省の事務次官が地方制度調査会委員になっておるわけでございますが、委員の意見として、やはり大蔵省としての反対意見というものを文書で出されたことがございます。これについては、そういう意見があったということで、速記録にとどめるという処理で地方制度調査会としては終わったわけでございますけれども、大蔵省といたしましては、先ほども申しましたような国債についての考え方、あるいは将来において国は元利を払うけれども地方団体は払わぬでもいいということの片手落ちという問題、それから二三%というものの根拠の問題、こういった点につきまして、なお異論を唱えておるわけでございますし、私どもは、この答申の趣旨に沿ってこれを実現するという責務を持っておるわけでございますので、この点はなお議論を詰めてまいらなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  76. 原田立

    原田立君 この議論を詰めていくというようなお話ですけれども先ほども言ったように、また努力不足であったでは困る。詰めていって、それが実現できるような確信はおありなんだろうと思うのですけれども、国債の発行は今後まだ数年はずっと続くと思うのですよね。異常な状態に置かれていることは、これはもう間違いないことなんですから、確信はおありだろうと思うけれども、実現方は来年はだいじょうぶでしょうか。
  77. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この二三%方式論というものの前提といたしましては、先ほど申し上げましたように、この国、地方を通じまする税収の動向あるいは国債の発行の形、こういったようなもろもろの要素が基礎にあるわけでございます。で、たとえば昭和四十一年度の財政状態考えてみますというと、国税も地方税も非常な収入不足がございました。その中で国債を発行して公共事業を広げたものでございますから、地方負担というものはダブルパンチを食ったわけでございます。税はふえない、地方交付税もふえない、地方負担はふえるという形で、臨時特例交付金なり、あるいは特別事業債なりというものを発行いたしまして、これを交付税、譲与税に加えたものが国税プラス国債の二三%、こういう率になっておるわけでございます。やはりそういった経済情勢あるいは財政状況というものもからみ合わせながら、この答申の趣旨の実現というものにつきましては、まだ予算編成時期前でございますので、私どもといたしましては、繰り返し全力をあげて努力をするということをお約束申し上げたいというふうに考えるものでございます。
  78. 原田立

    原田立君 じゃ、期してその成果を待つということだと思います。ひとつ努力不足であったなんという弁解は、この次の当委員会では発言なさらぬように御努力を願いたい。  それから、ちょっと話は別になりますけれども、新道路五カ年計画が決定して、六兆六千億円の計画ができたというふうに聞いておりますが、地方団体負担分は大体幾らぐらいなんですか。
  79. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 道路整備五カ年計画の改定につきましては、現在この作業の細目を建設省において取り進められておる最中でございます。で、六兆六千億という総ワクがきまりましたのは、いわゆるこの四十二年の三月二十二日でございますが、閣議了解におきまして、この六兆六千億というものを、一般道路三兆五千五百億、有料道路一兆八千億、地方単独事業一兆一千億と予備費千五百億、合計六兆六千億、それと、 「本計画は、今後の経済情勢および国、地方における特定財源の確保等を含めて財源の事情を勘案しつつ弾力的にその実施を図るものとする。」、こういういわゆる基本方針と申しますか、大まかなものを閣議了解できめまして、この計画に基づきます国、地方ごとのこまかい積み上げというものは、これからの作業に相なっておるわけでございます。  で、したがいまして、地方団体負担というものが、はたしてどれくらいになるかということにつきましては、現在の段階では、まだこれ正確な推計がすぐできないわけでございますが、現在改定前におきまする四兆一千億の時代の地方費が一兆一千四百億でございます。で、これに対しまして、たとえば単独事業だけで八千億が一兆一千億、三千億ふえるわけでございますので、やはり二兆円前後の地方負担に相なるのではないだろうかと、私も考えておる次第でございます。
  80. 原田立

    原田立君 それの地方財源はどうなるんですか。
  81. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 結局、先ほども議論になっておりまする道路目的財源の充実という問題に相なるわけでございますが、この現在の第四次計画のもとにおきましても、国の場合の特定の財源比率は八六%、地方団体の特定の財源比率は四八%、こういう非常なちんばに相なっておるわけでございます。で、せめて国、地方ともに、それぞれの負担額に対しまする特定財源比率というものを同じにしたい、まあ同じにしたいというのが例の三千億移譲論であったわけでございますが、私ども考え方といたしましては、やはりこの国から地方団体、特に市町村に対しまして道路目的財源、端的に言いますと、譲与税、地方道路譲与税でございまするが、これの増額というものをはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  82. 原田立

    原田立君 先ほど一兆四千億くらいというふうに言われましたけれども、その道路譲与税関係の特定財源の確保は、これはじゃできますね。
  83. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) これも私どものたいへんな努力を今後必要とするだろうと思うわけでございます。ガソリン税の地方移譲の問題になるわけでございますけれども、国のほうは、やはり自分たちが一ぺん押え込んでいる財源というものは、なかなか出したがらないでありましょうし、私どものほうといたしましては、少なくとも特定財源比率を国と地方と同じにしたい、こういうことで、今後やはりかなりの努力というものを必要とするだろうと思います。
  84. 原田立

    原田立君 新規財源の確保の意味でいろいろお考えだろうと思いますが、ガソリン税値上げというような一部の声がありまして、これについては非常に値上げ反対という声が多く出ております。まさかガソリン税値上げをして、そうしてその新道路財源を生み出そうだなんていう考えはないんだと思いますが、その点いかがですか。
  85. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 事は高度に政治的な問題でございますし、大蔵省所管でございますので、ちょっと私からお答えするのは適当でないと思います。
  86. 原田立

    原田立君 適当でないだろうと思うけれども地方財政には多分に影響する問題なんですから、そんなそっけない返事でなしに、もう少し何とかなりませんか。
  87. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この道路整備五カ年計画だけでございませんで、下水道でございますとか、あるいは環境衛生関係の長期計画というものが次々にあるわけでございます。私どもは、こういう長期計画に伴ないまする地方負担というものにつきましては、常に私ども自身が厳密な計算をしなければなりませんし、また、そのための財源の確保ということについては十二分に配慮してまいっておるつもりでございます。特にこの道路整備五カ年計画の改定は、地方負担に非常に大きな影響がございますので、私どもといたしましては、ただいまちょっとお述べになりました税率引き上げのいかんにかかわらず、地方移譲してほしい、こういう気持ちで今年も努力してまいったわけでございます。
  88. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 暫時休憩し、午後一時から再開の予定でございます。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会   〔理事吉武恵市君委員長席に着く〕
  89. 吉武恵市

    理事(吉武恵市君) それでは地方行政委員会を再開いたします。  地方行政の改革に関する調査といたしまして、警察官による交通事故問題に関する件を議題といたします。  まず、鈴木交通局長より発言を求められておりますので、これを許します。鈴木交通局長
  90. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 前回の当委員会におきまして、去る五月の十七日に起きました千葉県機動隊員による交通事故の状況につきまして、図面をもって詳細に説明をせよとの御要求がありましたので、ただいまから御説明申し上げたいと思います。  この事故の発生いたしましたのは、前回に申し上げましたように、五月の十七日の午前八時五十八分ごろでございます。事故の発生場所につきましては、千葉県の千葉市轟町にございます千葉県警察本部警備部機動隊の庁舎前でございます。  図面で御説明申し上げますと、この区域一帯が国有地でございまして、この中に、ここに機動隊の本館がございまして、隊員の待機寮がここに四つある。道場がその前にあります。それから機動隊の車庫と倉庫がこの付近にございます。そのほかこの敷地内に、千葉県の警察職員の四階建ての待機宿舎が二棟建ててございます。  当日の状況を申し上げますと、当日ちょうど、千葉県の機動隊員十七名は、午前九時から交通取り締まりに出動することになっておりましたために、同隊所属の輸送車の指定運転者であります巡査植田安玄が、同輸送車を車庫前に置きまして、仕業点検を行なった後に、約四十メートルございますが、この機動隊の本館の前まで参りまして、ここで机やいすをこの輸送車に積みまして、再びもとの車庫の前に戻りまして、サイドブレーキを引きまして、エンジンを始動したまま下車いたしまして、隊員数名の協力を得まして、この車庫内に保管中のロードメーター——積載の取り締まりを行なう器材でございますが、ロードメーターの積載作業を開始したのでございます。このとき、たまたま出動のために三々五々集まっておった隊員の中で、菅原巡査がこの付近におりまして、練習のためにこの車を運転しようということで、運転席に乗りました。作業が終わったという声を聞いたので、練習するからだれか教えてくれと、同僚警察官に呼びかけましたところ、たまたま居合わせました普通免許を持っております芳賀巡査が助手席に乗りまして、続いて第二種原付免許を持っております藤川巡査という者も続いて乗車したのでございます。そこで菅原巡査は、運転免許を持っております芳賀巡査にギヤーをローに入れてもらいまして、発進いたしまして、約十五メートルこういう方向で行ったわけでございますが、約十五メートル前進後、さらにセコンドに入れてもらいまして、約十キロメートル毎時の速力で、機動隊の庁舎玄関前を経て機動隊の敷地と道路の境界にありますところの、ここでございますが、この付近はずっと、ここからここまでいけがきになっておりまして、この場所に高さ一メートル、幅一・六メートル、重量二十二キログラムの鉄パイプ製の防護さくがございますが、その一メートル前まで前進の上後退しようとしたわけでございます。あとで取り調べますと、この巡査は、こういう経路をとりまして、ここで一たんストップして、バックの練習をしようということを考えておったようでございますが、その際、そういうことで後退しようとしましたが、運転が未熟のために、ブレーキを先に踏むべきところをクラッチを先に踏んだという過失のために、ブレーキが直ちに作動いたしませんで、そのまま、ここに二個連結しておりました防護さくを、約三・六メートル道路上に押し出したために、折からちょうどこちらからこの横断歩道を渡って、幼稚園がこちらのほうにございますが、幼稚園に通園しょうとしておりました園児二十六名の後列の部分を押しつけまして、よって園児を転倒さして傷害を与えたという経過になっておるのでございます。  前回も申し上げましたように、事故の発生によりまして、機動隊の小隊長ほか十名と、同隊所属の車両二台及び千葉市消防救急車一台の応援を得まして、負傷を受けました園児を千葉市の千葉国立病院に収容いたしまして、救護に当たったわけでございますが、被害を受けました園児は六名でございまして、いずれも、そのうちの地挽一元君、五歳、この園児を除きましては、他の五名は、幸いなことに五日ないし六日程度の打撲傷あるいは擦過傷ということで、現在は全治しておる状況でございますが、地挽一元君だけが、頭部を打っておりますので、詳細に頭部の検査をするということで、いまだに通院をしておる状況でございます。  なお関係者の処分につきましては、千葉県警では、翌日の十八日に懲戒審査委員会を開きまして、関係者に対する処分を決定したのでありますが、加害者の菅原巡査につきましては懲戒免職、それから一緒に乗りまして運転を援助いたしました芳賀巡査につきましては減給百分の十、一カ月、それから機動隊長の鈴木警視につきましては戒告、副隊長の若井警部につきましても同様戒告、小隊長の岸岡警部補、それから分隊長近藤巡査部長の両名につきましては、所属長訓戒ということにいたしたわけでございます。  なお事件の捜査につきましては、この捜査に当たりました千葉中央署では、五月十九日に菅原巡査を重過失傷害罪並びに道路交通法違反、無免許でございますが、道路交通法違反といたしまして、また同乗しておりました芳賀巡査につきましては道交法違反、無免許運転の幇助ということで、それぞれ千葉地検に書類を送致してございます。  この事件が起きまして、今後の対策につきましては、千葉県警におきましては、今後事故の絶滅を期するために、それぞれ所要の措置を講じておりますが、警察庁といたしましても、千葉県だけの問題にとどめませんで、全国に次長通達を出しまして、従来の諸対策を再検討の上、部下職員の服務規律の振粛、公用車両の運転管理、免許取得のための指導、その他一連の指導を強力に推し進めるよう指示いたした次第でございます。  以上、概況について御説明申し上げた次第でございます。
  91. 吉武恵市

    理事(吉武恵市君) それでは御質疑のある方は順次御発言を願います。
  92. 原田立

    原田立君 いま概要お伺いしたわけですが、それに関連して二、三お伺いしたいと思うんですが、交通違反の取り締まりをする警察の側でこういう事故を起こしたということは、たいへん残念な次第でありますが、特に機動隊員がですね、専門的に扱う機動隊員がこういう事故というのは、非常に残念に思うわけです。で、数多くの機動隊員がおいでになるのだろうと思いますけれども、それらの人たちは交通に、運転規則について熟達者ですね、非常にうまい人、熟達者という人がかなり大半なんだろうと思いますけれども、そうでないような人たち、それはおいでになるんですか。
  93. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 大体全国の警察官で運転免許を持っておる者は六割ぐらいございます。で、機動隊につきましては、特別な指導をいたしまして、大部分の者は運転免許を持っておるようでございますが、たまたまこの千葉県警の機動隊員の中に、私の聞いた範囲では二、三名、この当該菅原巡査を含めて二、三名程度が原付の免許程度で、普通自動車以上の免許を持っておらないという状況でございましたので、そういうことから、まあこういう事故が起きたのではなかろうかというふうに考えております。
  94. 原田立

    原田立君 特殊な訓練というようなお話ですけれども、それは何か特別に制度化しておやりになっているのですか。
  95. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 警察官の運転免許取得につきましては、管区学校におきまして運転免許の正科を設けておりまして、各府県から管区学校の教養課程を経て取るというのが原則でございます。それ以外に、各県におきまして、自動車教習所に通学させまして、運転免許を取得させるという、この二種類で警察官の運転免許を取得させる手段といたしておる次第でございます。
  96. 原田立

    原田立君 前回鈴木交通局長より遺憾の意が表明されたわけでありますし、その後新聞等で拝見しますと、通達を全国へ出されたと、通達だけではもの足りないので、実地視察をすることになっておるとか、なさったとかというような新聞記事を拝見しましたけれども、それはいかがでございますか。
  97. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) たまたま六月に入りまして交通取り締まりの、各県における交通取り締まりの技術とか方法とか、そういった問題、あるいは交通取り締まりについての指導、教養をどんなふうに行なっておるかということを、実は監察することになっておりましたところ、たまたまこの事故が起きましたので、さらに警察官による、交通事故という監察項目を加えまして、来月の五日からそれぞれ関係係官を、現在のところ九府県予定しておりますが、それに派遣をいたしまして、監察をすることにしております。  なお、そのほかに定期の監察がございまして、監察を行なう各府県が十県程度ございますが、それにつきましても、それは定員問題についての監察を行なうことになっておりましたが、それにつきましても同様、警察官による交通事故の頻発の状況にかんがみまして、これらに関連する監察を実施したいと思っておる次第でございますが、なお六月の二日の日に、その監察のために、各警察管区の交通担当の部長を参集しておりますので、その際に厳重にそれらのことについて協議いたしまして、さらに具体的な交通事故防止の対策を協議すると同時に、監察をいかに行なうかということもあわせて検討したいという予定を組んでおります。
  98. 原田立

    原田立君 この事件が新聞に報道されて、非常に残念に思ったんでありますが、その後また数度、新聞に報道されている警察官の交通事故等がありました。ただ遺憾の意の表明だけでは、この事故の絶滅は果たせないのじゃないか。従来やっているやり方よりか、むしろ何かここで抜本的な、ぜひこういうふうに新しくやっていきたいというふうな方向等はお考えになっている点がございますか。
  99. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 千葉県の事故が起きましてから、その後、静岡県におきます酒酔い運転の事故、それから北海道におきます同様の酒酔い運転並びにひき逃げの事故を警察官が起こしましたことにつきましては、まことに申しわけなくて、われわれも苦慮いたしておるわけでございますが、そういうこともございまして、たまたま、先ほど申し上げましたように、六月の二日の日に、交通担当部長を招集しておりますので、その際に十分協議を遂げて、六月に入りましてからの一連の監察の中で、十分対策を講じてまいりたいと思っておるわけでございますが、従来からもたびたびの通達を出しまして、いろいろ交通事故防止に対する具体的な指示をわれわれはしておるのでございますが、なおさらに掘り下げた対策を講じなければならぬと思っております。たとえば酔っぱらい運転が二件続出いたしましたけれども、酒飲みの問題につきましては、従来からも心がけておりましたけれども、やはり職場ぐるみで、お互いにこういうものを防止していくという体制でなければならないわけであります。それをさらに徹底させる。それから家族ぐるみと申しますか、そういう対策も家族に呼びかけるというふうにいたしまして、その他、事故の種別等に応じていろいろ対策があろうかと思いますが、そういうこまかい点にまで配慮をいたしまして指導してまいりたいというふうに考えております。   〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
  100. 原田立

    原田立君 結局、綱紀の粛正というような問題につながるんではないかと思いますが、幸い国家公安委員長がおいでなんですから、その点について、今後のことにつきお話し願いたいと思います。
  101. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 国をあげて交通単故対策に取り組んでいるときに、その指導あるいは取り締まりに当たらなければならない警察職員が交通事故を起こすというようなことは、これはほんとうにまことに申しわけないことでございまして、ただいま局長からお答え申し上げたように、通達も出し、監察もいたすというようなことも考、えております。で、従来とも、技術面あるいは心がまえの面におきまして訓練を積んでまいったわけでございますが、そういうことがややもすればマンネリ化しているんではないかというような面もありまして、さらに再検討をせよという次長通達も出した次第でございます。  たとえば北海道におきましては、あの酔っぱらい運転の事故が起こって以来、いま道本部としては、運転免許者すべての適性検査をもう一度やり直す。そして過去において酔っぱらい運転あるいは重大な事故を起こしたような者はもう運転をさせない。それからいま局長お答え申し上げたように、職場同士でお互いに気をつけるというような、また家族までそれにやってもらうという、そういう具体的な再検討をいたさせたいと思っておりますが、結局は、要するに警察官の綱紀と申しますか、心がまえ、精神の問題でございます。そういう点につきましては、さらにきびしく綱紀を守るように、あるいは警察官としてのその使命に徹した心がまえをつくりまするように、さらに教育訓練の上で努力をしてまいりたいと存じます。
  102. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 関連して、ちょっとお尋ねしたいと思うんですが、いまの、署内で事故を起こしたときに、助手席におった免許状を持ったおまわりさんが、緊急の措置をとれるだけの時間的余裕がなかったわけですか。時速十キロのスピードで走っていって、そうして一メーターくらい手前で、そうしてバックにチェンジしてバック行動を起こそうとしたんだと、それがブレーキを踏まずに、クラッチを先に踏んで、そうして前に飛び出してしまったのだというわけですが、その助手席におったおまわりさん、免許状を持った人は、ギヤーを脇から入れかえをするか、あるいはブレーキを踏む余裕がなかったのですか、それはどうですか局長さん。
  103. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) 助手席におりました免許を保有している警察官は、それを指導するだけの余裕があったのではないかという御質問でございますが、これにつきましては、おそらく指導をする余裕が全くなかったとは言えないと思いますけれども、その脚位等、短時間の瞬時における判断等によって、おそらくその指導ができなかったのではなかろうかと思います。
  104. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 最初にロー・ギヤーに入れることを指導し、そうして十五メーターほど走ってからセコンドに入れたんだと、その入れる動作も指導したということなんですから、そのスピードは出てないということはわかっているわけですから、しかも、さくの手前でとまる状況になったというのですから、私はそこで当然、まだ全然乗ったことのない、運転経験のない人が運転しているんだから、助手席におった者はそれだけの余裕と動作はあったはずと思うんですが、いまさらこれは取り返しのつかないことですけれども。  そこで私は、いまの原田さんの質問に関連しまして、将来の問題ですが、いまの答弁の中で、取り締まりに当たる警察官が六〇%免許状を持っておって、そうして警察官の自動車運転免許教養のために、管区学校に入れたり、教習所に入れて特殊技能を習わせていると、こういう御答弁ですが、現実には第一線に立つおまわりさんは、常に交通取り締まりというのを適時適所においてやらなければならないことが多いと思うんです。それなのに、免許状を持っていない者が取り締まっている状況も当然起きるわけです。極端に言うと、自動車教習所における法令指導員の人は、交通行政に三年以上経験のあった者でなければ法令指導員の資格を持たないわけです。その法令指導員が免許状を持っていない方が相当私はあると想像できるわけなんです。法令指導員が免許状持たずに法令指導しているという現実は、やはり全体の教育上からいってもこれはまずいことだと。第二点には、全部の人が免許状を持てるような体制に持っていかなければ、綱紀粛正ばかりでない、やはり技術的な問題もあるわけですから、全員に免許状を持たせるような教養組織というものをつくり出さなければならないのではなかろうかと。特に今度の道路交通法改正等を見ると、警察官の人が現場で現認をして、その場であんたはこれくらいの反則金ですよ、スピード違反はこれくらいだ、クラクション鳴らしはこれくらいだ、あるいは割り込みをやったと、現場で認定するために、免許状持って、自動車のある程度の技術を持たなければ現認できない体制になるのではなかろうか。そういうことからいうと、第一線に立つ警察官には全部免許状を持たせるような教育制度を取り上げるべきではなかろうかと思うのですが、これは交通局長なり公安委員長なりから、ひとつお答えいただきたい。
  105. 鈴木光一

    政府委員鈴木光一君) まことに御指摘のとおりでございまして、現在のところ、交通取り締まりに当たる警察官につきましては、全員運転免許を持った者が当たるということで実施しておるわけでございまして、それ以外の警察官にも、全員持たせることが理想だと思いますけれども、また、そういうことで犯罪捜査に当たる者もやはり必要だということがありますので、全員運転免許を持たせるというような方向に向かって、先ほど申しましたように、管区学校での教養その他を実施しておりますが、現状では六割程度でございますが、少なくとも交通取り締まりに当たる警察官につきましては、全員運転免許を持った者ということで処置しておる次第でございます。
  106. 中村喜四郎

    中村喜四郎君 交通取り締まりに当たる警察官というけれども、これは地方においても都市部においても、ほとんど駐在の人、派出所の人が交通整理に当たらなくちゃならないわけですから、これもやはり交通取り締まりですよ。そうして見ると、やはり一〇〇%持たせるだけの考え方基本に置いて、しかもそれは、持てといってもなかなか現在の警察官にはそれだけの経済的な余裕はないはずですから、私は警察官の指導訓練については、公安委員会で特別の予算措置をやって、そして教習所に委託するなり何なりの方法をとるべきだと思うのです。これは公安委員長どうですか。
  107. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) まさに御指摘のとおりでございまして、今後、警察官に全員運転免許を持てるように、しかも、それが本人の大きな負担にならないような方向においてやってまいりたいと存じます。
  108. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。     —————————————
  109. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 地方税法等の一部を改正する法律案国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  110. 原田立

    原田立君 事業税のことについて局長にお伺いしたいのですが、事業税については所得税の二重課税といわれております。ところで所得税のかからなくなったような人、つまり国税でいう欠格者に対しては、府県の事業税もかけないというように考えてよいのではないでしょうか。その点はいかがでしょうか。
  111. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 事業税は所得に対する課税と申しますか、ただいまのところは課税標準に所得をとっておりますので、そういうことになるわけでございますが、そもそも事業税の趣旨は、事業をやっておられる方に、その事業というものそのものに課税をするのだという考え方で出発したものでございます。ただ現実には所得を課税標準にいたしておりますから、二重課税であるというような御議論もあるわけでございます。ところでお尋ね所得税の控除失格者に対しまして事業税をかけないようにしてはどうかという問題でございますが、事業税と所得税とはいま申し上げましたようなことから考え方が異なりますので、課税の対象も必ずしも同一ではないわけでございます。控除のしかたも異なっておりますので、御指摘のように所得税の控除失格者に対しても事業税が課せられるものもございますが、逆に事業税のかからない人に所得税がかかるという場合もあり得るのでございまして、その意味においては、事業税と所得税の立て方が違いますので、全部これを一致させるということは困難かと考えます。ただ、これも問題になっております所得税について、事業専従者についての完全給与制というような問題が出てまいっております。それらの問題を今後事業税の上においてどう処理をしていくかという問題が実は残されておりますが、それらの問題も考えあわせまして、検討してまいりたいと思います。
  112. 原田立

    原田立君 税の立て方が違うからこういう欠格者、資格のないような人についてもとってかまわないんだ、また、そうでない逆の場合もあるんだ、そういうようなお話ですが、逆の場合というのは特例であって、ほんのわずかであろうと思うんです。それよりか、そういう特例のことを引っぱり出して言うのではなくて、やはり収入が少ない人等に対しては、もっとあたたかい思いやり等があってしかるべきではないか。大臣も、新たに個人の事業税については十分な検討を加えなければならない、こういうふうに仰せになっておりますし、そういう面でのいわゆる青写真はもうおできになっておるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  113. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) たとえば個人の事業税における事業主控除というような制度は所得税にはないわけでございます。事業税の性格として、こういうような事業主控除というような制度も入れて、できるだけ小企業者の負担を軽減しようとしておるわけでございます。私が、個人の事業税について検討を要する時期に来ておると申し上げましたのは、この事業主控除というようなものも、本年も二万円上げましたが、おそらく方向としては上げていかなければならない方向だと思います。その上、国税において専従者控除の完全給与制というようなものがとられるといたしますれば、これについても、ただいま局長お答え申し上げたように、必ずそれにならえということではございませんけれども、そういう方向で進むだろうと思います。そういたしますと、非常に小さな事業主、事業所というようなものは、もう税がかからない限度が相当高くなるというようなこともあります。また一面、税制調査会などでいわゆる外形標準、付加価値等の外形標準を事業税に持ち込んだらどうだというような御意見もあります。しかし、外形標準を持ち込みますと、個々の納税者に税額の激変がある場合もございますので、これらも慎重に考えなければなりませんが、そういう他方の要請というか意見もございます。それらをあわせて、個人事業税について検討を加える時期であろうというふうに申し上げたわけでございます。
  114. 原田立

    原田立君 四十三年度においては、そういう点は十分加味されるんだというふうに考えていいのでしょうか。
  115. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) いま直ちに具体的にどうということを申し上げる段階ではございませんけれども、やはり事業主の控除であるとか、専従者の控除などというものは引き上げ方向考えなければならないではないかと考えております。
  116. 原田立

    原田立君 給与所得者に対する課税が、他の所得に対する課税に比して重い、こういうふうにいわれております。何といっても給与所得の把握は確実であるし、どうしても給与所得に依存しやすくなって、思い切った減税に踏み切れないのではないか、こう思うわけでありますが、所得税のほうは来年から青色専従者控除による完全給与制、いまも大臣説明されたように行なわれるように、また認められるようになっております。これは専従者の給与を契機として踏み切るということになるんですか。
  117. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 先ほど税務局長からお答えしましたように性格の違う税でございますから、そのままということばかりとは言えませんけれども、しかし専従者の給与の見方というものを、国が一定の方向で見ることになるわけでございますから、やはり国の方針というものは考慮しなければならないのじゃないか。ただ、しばしばお答えしておりますが、事業税は前年度課税でございますから、四十三年から完全給与制が始まりましても、事業税として考えなければならないのは四十四年以降ということになるわけでございます。
  118. 原田立

    原田立君 住民税等について、いろいろな事由で三年も四年も取れない。実際取りに行ってみると、病人がいたり、非常に泣きつかれたり、あるいは収入が非常に少なくて困っている、そういう人もあります。ところが、欠損処分をやっていないものだから、係員が何度も何度も、わずかの金額でありながら、徴収に行くわけでありますけれども、三年とか四年とかたったようなものは、早目に欠損処分をしてやったほうがいいんじゃないのか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  119. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 資力のない方についての税の取り扱いの問題であろうかと存じますが、現在の住民税の規定にも、その他の税の規定にも、資力がないために税金を納めることがむずかしい方には減免をするというような規定もございます。したがいまして、ただいま御指摘のような税金を納める負担力がないという方については、減免をするというような問題によって処理するということも一つの行き方であろうと思います。また、現在地方税の中には滞納処分の執行停止という規定がございまして、滞納処分する財産がないときとか、あるいは滞納処分をすることによってその生活を著しく圧迫させるおそれがあるときとか、また、その人の所在なり、あるいは財産がともに不明であるときというようなときには、滞納処分の執行を停止するということになっておりまして、三年間の執行停止をいたしますと、納税義務は消滅をするということになっております。したがいまして、事務的な手続の面ではそういうことを励行することによって処理をしていくべきものと考えるのでございます。
  120. 原田立

    原田立君 ちょっと午前中に引き続いての話になるのでありますけれども均等割りの問題なんですが、均等割り府県百円、大都市は六百円、標準世帯で、その家族構成によって違いはありますけれども、七百円から二千円前後の負担であります。これをたいした負担ではないという議論もありますけれども、実際今度の政府措置で、教科書の無償配付も学童一人当たり八百円から千円ぐらいなものをやっております。千円というお金は金とも思わないような人もおるし、その半面、また二百円、三百円の筆箱一つ子供に買ってやれないというような人もおります。これらの人からも負担分任のたてまえから税金を取らなければいけないというようなことに、御説明によるとなるのですが、非常に理解に苦しむわけであります。  税制調査会が個人の均等割りについて、国民所得の上昇等に伴い、税率を調整すべきだと言っているのは、単に税率を上げよという意味ではなくて、均等割りは取らないとか、あるいは何とかくふうしろとか、そういう意味合いの調整ということばであろうと思うのです。そういうふうに答申が出ているわけでありますけれども均等割りについてもう少し前向きの施策は講じられないものかどうか、その点はいかがでしょうか。
  121. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 均等割りについてのお尋ねでございますけれども、標準世帯で云々というお話がございましたが、標準世帯の場合には、納税義務者が、御主人なら御主人が納税義務者で、家族なり配偶者がそれぞれ控除の適用を受けるような場合には、これは納税義務者になりませんので、均等割りはかからないと考えるのでございます。したがいまして、一家で二千円というようなことは、標準世帯の場合にはないのではないかと思います。ただ、一家のうちに所得割りを納められるような方がたくさんおられます場合には、それぞれ独立の納税義務者として課税をされますので、その場合には均等割りをそれぞれ別々に納めていただく、こういうことになろうと思います。  なお、現在の市町村民税についての地方税法三百十一条の規定では、「均等割を納付する義務がある控除対象配偶者又は扶養親族」があります場合には、「条例の定めるところによって、軽減することができる。」という規定もございますし、そういうようなことで配慮をいたしておりますので、一家で均等割りが非常な額になるというようなことはないのではないかと考えております。
  122. 原田立

    原田立君 ちょっと話の要点がまた変わりますけれども先ほども少し申し上げたのでありますが、衆議院の附帯決議等により、四十三年には十万円ほどの課税最低限が引き上になるにと聞いております。そうすると約六百億ぐらいの不足というふうにも聞くわけでありますけれども、それに対してどういうふうな手当てをなさるのか、お考えをお伺いしたい。
  123. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 課税最低限引き上げの問題は、しばしば論議をされているところでございますが、衆議院の附帯決議にも、明年度おおむね一万円程度引き上げることを目途に検討しろということでございます。で、かりに一万円ずっと申しますと、基礎控除、配偶者控除、扶養控除ということに相なりますが、引き上げということにいたしますと、おおむね本年所得税で給与所得控除が引き上げられますが、明年から住民税の計算に及んでまいりますので、それらを合わせまして、課税最低限は約十万円上がる見込みでございます。それによる減収は、ただいま御指摘のございましたように、基礎控除、配偶者控除、扶養控除の引き上げによる分が約三百十億円、それから給与所得控除の引き上げによります分が、平年度計算で大体三百三十億円ぐらいでございます。合わせますと、六百億をこえる金額になろうかと思います。  で、その財源措置についてどうかというお話でございますが、この引き上げの問題につきましては、そういった財源措置も含めまして、明年度地方財政にどの程度の影響が及ぶか、あるいは影響を及ぼさないでこの問題をどう処理すべきかということを、あわせて検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  124. 原田立

    原田立君 その検討待ちということになるのでありますけれども、さたきだに地方財政の圧迫されていることは、すでに大臣もよく御承知のとおりであります。検討いたしますではなしに、何かともう方法等はお考えではないのかと思うのですが、その点腹蔵なくお話し願いたいと思います。
  125. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) いま具体的に、それではこの住民税課税最低限引き上げに見合うこれこれの財源があるということではございませんが、これは国全体として、すなわち国の財政及び地方財政を含めて、そうしてその中で処理すべきものでございまして、午前中に申し上げました財源の再配分等ともからんで、しかし、地方財源が圧迫されないような形で処理してまいりたいと思います。
  126. 原田立

    原田立君 よくわかりませんが、次の問題に入りたいと思うのです。  水田蔵相はきのうの委員会ですか、電気ガス税を漸次軽減していきたいと、こういうふうに言っております。前々から当委員会でもいろいろ問題になっているのでありますが、この税率を五%ぐらいまで引き下げたいと自治大臣はさきに言っておりましたけれども、現行七%ぐらいでとまってしまいましたけれども一体どうして五%までのめど考えておられたのが、七%にとまってしまったのか、その点はいかがでしょう。また、電気ガス税は廃止するというお話もありましたけれども一体どういうふうな順序で廃止の方向に向いていくのか、お伺いしたい。
  127. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私は、私の記憶に誤りがなければ、五%にしたいと申し上げたことはないと思うのでございますが、ただ、この電気ガス税について総理が参議院の予算委員会において、これはできるだけ早くやめたいというお答えをしておるわけでございます。したがいまして、私どもとしましてもそういう方向考えなければならぬと思っております。ただ、御承知のように、六百億をこす市町村税の中での相当基礎的な税金でございますから、ただ廃止するというわけにもまいらないわけで、総理のお答えがありました際に私申し上げたのは、よき他の財源考えつつ処置しなければならないと思います、と申し上げておるわけでございまして、住民税課税最低限引き上げ、あるいはこの電気ガス税の軽減、さらには廃止等につきましては、やはり根本的に、国の財政の中でいかなるものがこれの引き当てに考えられるかということを検討しませんと、地方財政に非常な影響を与えることになるわけでございまして、そういう方向考えておるということを申し上げておるわけでございます。
  128. 原田立

    原田立君 総理も悪税であるというふうな意味合いのお話もなさっておられるし、実施の庁であるところの自治省のほうで、ただ検討中でございます、まだこれに見合った税源がないので、何ともはや明快な答弁はできないというようなことでは困る話であります。予算委員会での首相の発言というのも、これは国民に対する宣言であるというふうに受け取っていいのであろうと思うのでありますが、実施の庁であるところの自治省として、もうちょっと掘り下げた内容のものがなければいけないんじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょう。
  129. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま申しましたように、これを軽減あるいは廃止しっぱなしでは、地方財政にたいへんな影響を与えるわけでございます。したがいまして、これは明年度の国の財政との見合いを考えなきゃならぬわけで、そういう意味で、来年度の国の財政がどのような形になるのか、その中でどれだけがさけるのか、そういうことをあわせ考えなければ、いま、それではこういう財源でこれの埋め合わせをいたしますというようなまでに至っていないということを申し上げておる次第でございます。
  130. 原田立

    原田立君 固定資産税については、新評価額に近づくため、昨年はいろいろ調整措置がとられたわけでありますが、当委員会でも附帯決議等をつけて、当時はいろいろな大きな議論を呼んだわけでありますが、ことしはこの問題についてさっぱり影をひそめているので、一体どうなっているのか、国民自身がわからなくて困っているんじゃないか、こう思うのであります。附帯決議に対し政府はどのような措置検討しているか、その状況と、来年度の税制改正にあたってどのような方針で臨むのか、この二点についてお願いしたい。
  131. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 附帯決議がございましたこともありまして、私ども、この問題について、税制調査会長期税制の審議にあたっての問題点の一つとして御審議をいただいてまいったのでございます。で、それにつきましては、先生も御承知のとおり、税制調査会では、「固定資産税については、昭和四十一年度から新たな土地に対する負担調整措置が講ぜられたことでもあり、当面この調整措置による税負担の均衡化を進めることが適当である。しかし、将来の問題としては、土地価格の推移、負担調整に伴う税負担国民経済や国民所得の動向との関連、国税と地方税を通ずる税体系中に占める固定資産税の地位等を勘案して、税率、免税点等についても検討すべきである。」という答申をされているのでございます。すなわち、いまさしあたっては負担調整措置が始まったばかりだから、しばらくその推移を見て、その結果を基礎にして、将来税率なり、あるいはその他の措置検討すべきである、かような結論をいただいているのでございます。で、私どもといたしましても、そういったことから、この線に沿って今後検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  132. 原田立

    原田立君 国有鉄道の資産に対する評価の手続が、法律の定める手続と異なることが本委員会指摘されたわけでありますが、その後自治省としてはどういう検討をなさっておられますか。
  133. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 固定資産の評価基準によって評価するという問題でございますけれども、実際問題といたしまして、膨大な資産で、その所在も全国にわたっております関係上、やはり手続の面から申しましても、台帳価格を中心にしていかざるを得ないのではないかという考え方が一方にあるわけでございます。また、市町村に対します交付金につきましては、個々の資産の価格の評価の適正化ももちろん重要なことではございますが、全体としての評価がどうあるかということもまた忘れてはならないことであろうと思います。そういう意味合いでは、御承知のとおり、国鉄の資産につきましては、国会へ財務諸表の報告というような形で提出されておるいわば公認されたものでもございますので、これによって現在評価を進めているわけでございます。  なお、昨年鈴木先生から御指摘のございました点につきましては、それでは法律を改正して、国鉄の評価、あるいは専売公社なり電電公社の資産の評価は、財産台帳に登録されたものをそのままとるというふうにするということも一つの行き方であろうかと考えるのでございます。しかし、やはり評価基準というものが一方にあります以上は、かりに具体的な問題として適正を欠くものがあったならば、やはり評価基準に戻って問題を処理していくほうが適当だという考えもございますので、ただいまのところは従来の方向に従ってやると、かような現状でございます。
  134. 原田立

    原田立君 最後にもう一つ。住民税は過年度徴収というんですか、前年度徴収というんですか、そういうふうなことで、現実の問題として、前の年に非常に高額の所得があった、ところが社長をやめたと、その収入に非常に急激な変動があったと、こういう場合、前年度の額によって徴収するとなると、現在の収入と非常にバランスが狂ってくるわけですね。こういう例は非常に多くあるんじゃないかと思うんですが、これについて、現年度徴収ですか、そういうふうなこともいろいろ議論されているやに聞いておりますけれども、いかがなさるのですか、今後の方針をお伺いしたい。
  135. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 税はその支払いの財源と申しますか、いわゆる所得の発生した時期に最も近い時期に納めていただくことが、納税者にとっても納めやすいという意味で、また税の負担が実態に即するという意味でも適当であることは御指摘のとおりでございます。そういう点から、所得税のようにそのとし、そのとし、あるいはそのとき、そのときに発生した所得を直ちに課税の対象にしていくほうが、税そのものとしては、納税者のためにも合理的であろうと考えるのでございます。ただ、これは技術的な問題となりますけれども、現在の住民税市町村税として、あるいは府県税、特に市町村税の部分は標準税率の制度をとっておりまして、この前鈴木先生からも制限税率が高過ぎるという御指摘がございましたけれども、いずれにいたしましても、標準税率、制限税率というものがございまして、税率をある程度動かすことが市町村の意思によって可能な制度になっております。そこで源泉徴収というような場合を考えますと、一つの会社なり事業所につとめております人が、その住んでおります町なり村なりによって、同じ所得に対しても税率がそれぞれ違うという場合があり得ますので、実際問題として、徴収事務を取り扱います会社なり事業所の負担というものは、たいへんなものになる場合も予想されるわけでございます。また、給与所得者以外の方につきましては、申告納税の制度をとってまいらなければならないというふうなことにもなるわけでございますけれども、申告納税の時期が、ちょうど所得税と同じような時期に集中するということになりますと、はたしてそれが円滑に進み得るかどうか、所得税のほうの申告と住民税の申告が違っているとか、違っていないとかいうような問題がいろいろ出てくるというような場合も予想されるわけでございます。そういう点で、技術的にかなりむずかしい点がございますので、私どもも、御指摘のとおり、なるべく所得が発生した時期に近いところで税金を納めていただくのが合理的であると考えて、いろいろ検討はしておりますけれども、これはそういう技術的な問題を幾つか解決をいたしませんと、直ちに現年課税のほうが前年課税より合理的であるということで踏み切るということは、また市町村の税務行政の上にも大きな混乱を起こすことともなりますので、私どもは、ただいま御指摘になりましたような問題を念頭に置きながら、検討を続けている次第でございます。
  136. 原田立

    原田立君 では具体的に、いまのお話ですと、非常に処置、方法がむずかしい、むずかしいからあまりうまくいかないだろうというようなことなんですが、現にそういうふうな給与の所得の変動が非常に激しかったような人に対する減免措置というものはあるのですか。
  137. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 前年中に非常に大きな所得を持っておられて、今年度に全く無収入になった、あるいはそれに近い状態になったということで納税が困難になれば、それは減免の対象になるものと考えております。
  138. 原田立

    原田立君 きょう午前中からいろいろお伺いしているわけでありますが、地方財政が非常にきびしい状況にあることは、すでに大臣も御承知のはずであります。いろいろと審議している中に、検討中であるとか、あるいは努力不足であったとか、こういうふうな、お伺いしてもよくわからないような問題が多々ありました。地域住民の福祉の向上というふうな意味も含めて、今後の地方財政について、あるいは地域住民の福祉の向上のために、自治省としては、その二つの面をあわせて、今後どういう方針で臨まれるのか、最後にお尋ねいたしておきます。
  139. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 午前中にも申し上げましたが、やはり中央、地方を通じて事務の再配分、あるいはそれに伴う財源の再配分、これをやらなければ根本的な解決になってこないと思います。そうして、そういうことによりまして、地方自治体がその特性に応じた行政ができるような、そういう財源配分ができますように今後持っていきたい、また持っていかねばならないというふうに考えておるのでございます。
  140. 鈴木壽

    鈴木壽君 関連して。さっきの原田さんのお尋ねと、それから局長答弁に関連してちょっとお伺いをしたいのであります、が、これはあとで交納付金法律改正案の際にも触れたいと思っておったのでありますが、いま申し上げましたように、原田さんからも指摘がありましたし、お答えの中に私の名前まで出てきておることでありますから、ちょっとお尋ねいたします。関連という意味で簡単にお聞きしたいと思います。  国鉄の資産についての課税ですが、これは国鉄だけでなしに、三公社の資産の評価にあたっても、局長お答えになったように、いわゆる自治大臣が示す評価基準というものによって一々評価がえをしておるのじゃなくて、従来からのいわば台帳価格でやっておるのだ、こういうことだと思いますが、そのとおりですね、局長いかがですか。
  141. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 台帳の価格を基礎にしてやっております。
  142. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話の中にありましたように、私も去年この点について、当時の細郷局長には若干お尋をしておるのでありますけれども、また意見も述べておったのでありますが、明らかに法律にきめられておる、これとは大体違った扱いを従来からずっとおやりになっておるということなんでありますから、これはやはりここで問題にするというような意味はなしに、ほんとうにこれは検討してみなければならぬのじゃないだろうか。交納付金法の第七条、第八条、特に第十一条の公社の固定資産の価格の配分についてはこうするのだということがちゃんと書かれてある。それが従来一回も行なわれていない。それが実態からして、どうしても膨大な資産といいますか、しかも全国にまたがっている資産、種類においてもいろいろあるという、こういう場合、なかなか新たな基準によって評価し直すということはたいへんなことであるということは、私はわかります。しかも、そうしてやった評価と、それから台帳価格によってやったものと、どういう差異が出るかということについても、いまにわかにはっきりした結論は私は出せないのだと思いますが、いずれにしてもそういう問題がある。もうどうにもならぬというならば、やはりそれならそれなりのことをやっておかないと、だから法律の条文の第十一条をすぐ変えなくても、附則か何かでうたって、当分の聞こうするよりしかたがないということでやるようなことを何かやらないと、もう税のことについては、こまいことまで法律がこうだ、解釈がこうだといってやっていながら、こういう問題になるときわめてルーズだということは、私は許されないことだと思うのだな。何も評価がえをしてよけいとれとか、他の公社からもよけいとれというようなことは、そんなことを言うつもりは毛頭ありません。けれども、しかしたてまえとして私は、こういうふうにあるからには、そのとおりやるべきが筋であろうと思うし、また、それが、さっきも言いましたように、実際、問題としてやれないのだ、やってもまたこういうマイナスが出てくるのだというようなことがあったり、じゃあ、いまやっておるような方法で当分やっていくのだということを、どこかやはり逃げ道をつくっておかないで、このままにしておくということは私はおかしいと思う。そこら辺どうですか、大臣、これは私大事な問題だと思うのですよ。
  143. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 先ほども申し上げましたように、実はこの問題、昨年御指摘をいただきましてから、私ども内部でもいろいろ検討を続けてまいりました。現実の問題はもう先生御承知のとおりでございます。そこで、法律なり手続なりを現実に合わせるという以外にほかないのかどうか。すなわち、実際問題として、公社等が申告します台帳価格をとる以外に、ものによって一つ一つ評価していくことが可能かどうか、まずこの検討から始めたわけであります。しかし、実際にやってみますと、全国に散らばっている財産について一つ一つ自治省がやる、あるいは市町村がやっても、言うべくして実現しがたい。そうなりますと、むしろ法律なり、それらの現実と合わせることがどうかということを、次の段階検討いたしました。法律に合わせるということになりますと、現在の評価基準に従って評価するという規定を削除するなり改めるなりして、台帳価格によって評価をするという法律の改正がひとつ考えられます。もう一つの改正、考え方としては、評価基準によってと書いてあるから、評価基準の中に、国鉄の資産なり、あるいは電電公社の資産は台帳価格をもって評価額とするという、評価の仕方を評価基準の中に書いたらどうかという問題もあります。しかし公社は、いかにも評価基準というものをごまかしているような感じがいたしまして、それはまあ何ら問題の解決にはならぬじゃないか。そうなりますと残される問題は、法律を改正して、公社等の資産については台帳価格に、あるいは申告された台帳価格によってやるのだ、こういう書き方をするのが一番適当かと考えるのであります。そうなりますと、それではなぜ公社の資産だけそれが許されるかという問題が次に起こってまいります。現実がそうだからしようがないじゃないかというだけで、私どもとしてもなかなか法律を改正するというところまで踏み切れないままに今日に及んだわけでございまして、ただいま御指摘のように、当分の聞こうするのだという書き方もあるいはあろうかと思いますので、引き続き検討いたしたいと思います。
  144. 鈴木壽

    鈴木壽君 他とのバランス、あるいはこの交納付金のたてまえからしますと、これを簡単に、また、いまの十一条を書き改めて、台帳価格にするのだということも、私もいやです。いやですばかりでなしに、やはりバランスの上から言っておかしいと思うのですよ。ですから、それはそれとして、したがって、将来やっぱりたてまえとしてはこういくのだ、そういう意味で、この法律十一条はそのままにしておいて、そうしてしかし、実態は何といったって一々やっておれませんし、やれないし、当分の間やむを得ざる一つの措置として、現実と少し妥協することになるけれども、当分の聞こうこういうようにするのだということで何かあればいいと思うのですよね。それを全然なしに、法律はこうだ、しかし実態はこのほうがいい、この前の細郷さんなんか、いまのほうがいいのだというようなことも言っておった。それは別としても、いまの実際やっておることもいいのだということもおっしゃっていましたが、しかし、それは問題にするつもりはありませんが、それはそれとして、いずれにしても、何かあまりに法律にきめられておるそれと、実際のやり方が違っておって、それでしかたないのだというようなことは、やはり許しておけないだろうと思うから、私はそういうことはあえて一つの私案みたいなことを言って、はたしてそれが附則にうまく書けるかどうか、これ私しろうとですからわかりませんが、その程度のことなら附則につけてもいいじゃないかと思うのですがね。当分の間云々ということで、どの程度続くか問題ですが、いずれ何かないとこれおかしいと思うのですよね。そういうつもりで、いま御検討いただくということですから、ひとつ大臣、これ私、あまりあらわにして何だかんだと言って、けしからんとか何とかという気持ちで申し上げているのではありませんから、そこひとつほんとうに十分御検討願って、何かもっとうまい方法があるのじゃないだろうかと思うから、それについての措置をやっていただけるようにしていただきたいということだけにしておきます。
  145. 林虎雄

    ○林虎雄君 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正に関連をして、若干質問いたしたいと思います。  この法律の対象となるのは、一般的ではないと思いますが、国有資産等の対象となる内容をまずお聞きいたしたいと思います。
  146. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) この市町村交付金と納付金と二つに分かれておりまして、交付金は、国の財産あるいは地方公共団体の財産について納めていただくものでございますが、それがさらに貸し付け財産、国が有料でもって他に貸し付けている財産等について納めてもらう。それから空港用の資産、それから国有林野、発電所、変電所及び送電施設用資産、それから今回提案を申し上げております水道施設用の土地、こういうのが交付金でございます。その貸し付け資産、まず第一番目の貸し付け資産につきましては、国の財産で貸し付け資産になっておりますものが国有貸し付け資産ということでございますが、これが交付金の収入にいたしまして、昭和四十二年度で十四億四百万円でございます。それから同じく貸し付け資産で公有の貸し付け資産、つまり地方団体が所有しておりますものの貸し付け資産は四十二年度で六億七千七百万円であります。  第二の分類であります空港用の資産が、昭和四十二年度で二億三千九百万円でございます。それから国有林野の土地につきましての交付金が昭和四十二年度九億三千六百万円でございます。それから発電所、変電所、送電施設等の資産が、昭和四十二年度で四億三千四百万円でございます。それから水道用施設の土地の今回新たに入りますものが一億四千万円でございます。それから三公社の分につきましては、納付金ということで納めていただくわけでありますが、日本専売公社の分が五億四千八百万円、日本国有鉄道の分が百二十一億八千万円、それから日本電電公社の分が九十三億五千四百万円でございます。これら市町村納付金のうち、市町村交付金総額が、合計いたしまして三十八億三千万円で、納付金の合計額が二百二十億八千二百万円、全体を通じまして二百五十九億一千二百万円の見込みでございます。
  147. 林虎雄

    ○林虎雄君 この対象となる市町村数というのは、どの程度になりますか。
  148. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 一つ一つ、まあ数をいまとっておりませんが、国有鉄道などございますので、ほとんど全市町村に及んでおると思います。
  149. 林虎雄

    ○林虎雄君 三公社の関係はわかりましたが、国有資産ですが、国有資産の関係する省というものはどこどこです、おもなるものは。
  150. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 一般会計では、国会、裁判所、内閣、総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林省、通産省、運輸省、郵政省、労働省、建設省、自治省、会計検査院、ほとんどの各省に及んでおりまして、これは主として宿舎の関係の交付金でございます。そのうちで一番大きなのは、総理府の一億五千四百万円、大蔵省所管の六億五千万円がおもなものでございます。それから特別会計でも造幣局、印刷局以下、国立病院、国民年金、食管特別会計、国有林野特別会計、アルコール専売特別会計等、非常に数多くにわたっておりまして、特別会計所管の分が、国有林野を含めまして十三億二百万円になっておりますが、国有林野を除きますと、特別会計分では三億二千万円でございまして、これも大体宿舎関係でございます。
  151. 林虎雄

    ○林虎雄君 この国有林野の問題ですが、これはむしろ林野の宿舎というほうでなくて、国有林そのものが市町村に所在している資産としてあるわけですね。これがまあ全国的に見て相当大きなものであろうと思いますが、これらの交付金ですね。交付金の算定にあたって、何か三年ごとに経済情勢とにらみ合わせをして改定するというようなことを聞きましたが、そうなっておりますか。
  152. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 一般会計に所属いたしております資産につきましては、国有財産法に基づきまして五年ごとに評価がえをいたすことになっておりまして、最近の評価がえは、四十一年の三月三十一日に行なっております。本年度の交付金算定は、それを基礎にいたしまして算定いたしております。国有林野等の特別会計に所属しますものにつきましては、それぞれの特別会計の判断によって評価がえを行なうことになっておりまして、国有林野につきましては、実際現在台帳に登載されました価格は、昭和二十九年の価格でございまして、その価格は三百五十億ばかりでございます。しかしこれはまあ実態に即しませんので、交付金法の規定によって、その価格が実態に即さないときは各省、各庁の長は別に価格を当該関係市町村に通知することができるという規定によって、実は交付金そのものを増額いたしまして交付をしてもらうということに現在までいたしておるわけでございます。で、大体ここ数年間、毎年幾らかずつ上げてまいりまして、本年度も昨年度に比べまして約二割程度の増額をはかっております。
  153. 林虎雄

    ○林虎雄君 国有林野の所在市町村ですけれども、おおむね貧弱町村であることは想像にかたくないわけですが、まあ、ある町村などは八割が国有林野であるというような町村があるわけです。そこで、その交付金の算定の基準といいますか、評価といいますか、五年ごとに評価がえをするようですけれども、もともと低過ぎはしないかというふうな感じをいたすわけです。これを他の税ですね、国税なりその他の税と比較いたして、交付税の延び率といいますか、その比較はどうなっております。かなり低いんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  154. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 現在国有林野では昨年、低いという問題もございまして、全面的に評価がえをしようということで、一応の調査をいたしました。評価がえは現実まだ行なっておりませんけれども、一応調査をいたしまして、その結果では、大体反当たり二千円、千九百五十二円くらいになるという見込みでございます。ただ現在は、そこまで台帳を直しておりませんで、毎年少しずつ交付金額を増額しながら、その増額したのをもって価格の修正という形でやっておりますので、そこまでいっておりませんで、本年度の交付金額を基礎にして計算をいたしますと、反当たり九百円の評価になるという見込みでございます。それに対しまして、一般の民有林の評価額は三千四円でございます。大体そういうことでございます。
  155. 林虎雄

    ○林虎雄君 いまのような御説明でありますので、当該市町村とすれば、引き上げ方を妥当に持っていくような要望が強いのでありますので、御検討していただかなければならないと思います。  そこで、今度の改正案を見ますると、一つは、地方公共団体が所有する水道施設または工業用水道施設の用に供する土地を新たに市町村交付金の対象としようというのが一点と、他は、国有鉄道の納付金の減額といいますか、算定標準額を低くすることのようでございますが、改正の第一の地方公共団体というのは、おおむね県あるいはこれに類似する、何といいますか、組合的なものを意味していると思いますが、そう解釈していいですか。
  156. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 地方公共団体は文字どおり地方公共団体でございますから、ことばの上では全部含まれるわけでございますが、交付金の対象と申しますか、交付金を支払う団体としておもなものは、工業用水道関係ではほとんど県でございます。それから、水道関係でも大部分が東京都で占められておりますので、一般の市町村では、もちろん多少はございますけれども、まあ十万円とか十五万円とかごくわずかな額のものが多いという状況でございます。
  157. 林虎雄

    ○林虎雄君 このほうはわずかでありますけれども、一億四千万円ですか、程度の増収というか、ふえるわけですが、逆に改正の第二点であります日本国有鉄道にかかる納付金は、その価格の三分の一の額をもって五年間は納付する標準額とするということになっております。その結果、三億五千万円というものは、国有鉄道がいろいろ理由があって、他の地方鉄道との関連もあって、これを低くするということの内容のようでありますが、結局は、これに関係しております市町村は、三億五千万円程度のものが収入が減るわけですね。したがって、これに対する国としての何か対策というか、措置考えておられるわけですか。
  158. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) もちろん地方団体の収入が減るわけでございますので、これは考えなければならぬ問題だと思いますけれども、一つには、この法律は、今後できます新しいものについて軽減をしようということでございますので、いわば一方において資産がふえることによって収入がふえる、そのうちの一部分を軽減に充していきたいと、こういうことでございますから、あるものがなくなっていくという意味の減収とは多少性質が異なるかと思います。しかし、それにしましても、当然得られるものが得られないということでございますので、何らかの措置考えなければならぬところではございますけれども、金額も御指摘のとおり三億五千万円程度でございますので、地方財政全体の問題として処理いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  159. 林虎雄

    ○林虎雄君 前にちょっと戻りますけれども、国有林野、それに類似したものもあろうと思いますけれども、そういうものの評価がえといいますか、反当たりの評価について一応の調査されたようでありますけれども、この引き上げといいますか、改定については、自治省だけでこれができるわけでなくして、やはり関係の省、たとえば国有林野とすれば農林省でありますか、そういうところと折衝が必要だと思いますが、そういうことやりますか。
  160. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) これは国有林野特別会計から実際には支払われておりまするので、毎年林野庁にはこの増額について要請をいたしておりまして、昭和三十九年では一億八百万円、昭和四十年には五千万円、昭和四十一年度には一億四千六百万円、今年度は一億五千万というように、毎年林野庁にも努力はお願いしているわけでございます。
  161. 林虎雄

    ○林虎雄君 いまのお答えのように年々交付金がふえていくようですが、もともと低いので、ふえ方が小出しにふやしているのではないかというようにも推測されるわけであります。前に申し上げたように、国有林野等の所在の町村財政は非常に貧弱でありますから、財源難で、これがひとつの弾力のある財源として考えておる町村も相当あろうと思いますので、この上とも適正な評価を、評価の実現をお願いいたしたいと思っております。
  162. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの交付金のことですが、一つは国有林野にかかるものについての、いま林先生からいろいろとお尋ねやら御意見がありましたのですが、長いこと評価がえをしないでおって、そして昨年の三月でようやく評価がえをしたと、こういうことのようでありますが、この問題はいまさら私が申し上げるまでもないと思いますが、長いこと、いつでも交納付金の問題がこういう議題になるたびごとに出ておった問題で、何のかんの言ってやらなかったものが昨年行なわれたと、こういうことでありますから、まあそれはそれとして、今後他の固定資産税の際の山林の評価、こういうものが三年ごとに行なわれなければいけませんから、かりに三年の時点がぴちっと一緒にならなくても、そういう機会と大体歩調を合わせて評価がえをやはりやってもらって、納めるべきものは納めるし、交付すべきものは交付すると、こういうふうにやはりきちっとやってもらわないと、実はきょう林野庁に来てもらえばよかったのですけれども、ひとつ大臣も十分心得て、この点について今後の問題として、厳重に林野当局にお話ししていただきたいと私思うわけであります。おそらく四十一年にやった、またこれから五年、七年たっても一向変わらない、こういうことが起こるのではないかと私、変なことでありますけれども心配するのです。現に二十九年にやって、その後の評価がえをしておらないと、こういう十年以上そういうことをやっておりますから、多少手心を加えて交付金を多くしたとか何とかいうようなことがありましても、それはほんとうにこそくな手段であって、ほんとうの意味のこの法にあるような評価のしかたをして、それによって交付金を出すと、こういうことでなかったのでありますから、どうかひとつ、くどいようでありますけれども、その点について大臣の善処方をお願いしたいと思います。  それから国有鉄道の今度のいわば軽減措置ですね。これも私無理もないと思いますが、ただ今回地方鉄道に対しての固定資産税の負担の軽減措置をとられたのは、いわばいま問題となっておる交通安全対策の一環としてとられる交通安全のための施設、跨線橋とか、あるいは隧道とか、そういうことですね。そういうことに対して、地方鉄道に対しては軽減措置をとっていますね。法改正のこれを見ての了解ではそうだと思うのですが、ところが国鉄のやつは、もっと何というか、新設された線路設備にかかると、こうなりますから、必ずしも私鉄に対して行なわれた安全施設等に対するそれとは範囲が一致しないで、もっと広がったものにまで負担の軽減措置が行なわれているというふうに見たのですが、そこら辺どうです。
  163. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のとおりでございます。私鉄につきまして今回取り上げましたものは、跨線道路橋でございますとか、地下道でありますとか、そういうものと、あるいは自動列車停止装置というような交通安全対策上ぜひ必要なものについて、固定資産税の軽減をはかっていきたい、こういう考え方で改正をお願いしておるわけでございます。  一方、国鉄につきましては、新設の国鉄の資産について課税標準の特例を設けていこう、こういうことでございます。  それじゃ国鉄だけなぜ全体に減税をするのか、こういう問題でございますが、私鉄につきましては、御承知のとおり、新線建設につきましては五年間三分の一、あとの五年間三分の二にするというすでに軽減措置が講ぜられておるわけでございます。国鉄のほうから申しますと、国鉄が公共的機関として、輸送力増強という国家的な要請にこたえていかなければならないのに、私鉄については少なくとも五年間三分の一にしているのに、国鉄がその恩典がないのが不均衡である、こういうような御主張もございました。それらの事情も考えまして、せめて最初の五年間は私鉄並みにして軽減をはかるというのが今回の改正の趣旨でございます。
  164. 鈴木壽

    鈴木壽君 この安全施設等に対しては私はもっと徹底して、これはいつまでもということでもないのですけれども、ここしばらくの間は、何といっても私鉄なり国鉄なり、一生懸命こういう安全施設に対してのそれをやってもらわなければいけませんし、そうした場合、ですから私は、むしろここしばらくの間は、全然納付金なんかの対象にしないというような措置でもいいと思うのですが、まあいずれにしても、地方鉄道についてはそうだけれども、国鉄の場合はそれ以外のものにもというようなところで、ちょっと私奇異に感じたわけなんですが、これは今回の改正案それにならうというよりも、むしろ、それもありますけれども、すでに行なわれておる私鉄に対するそういうことにそろえようと、まあこういうことだというふうに理解していいですね。
  165. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) そのとおりでございます。
  166. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはあとでもけっこうでございますけれども局長のほうへお願いしたいのですが、さっきの国有林野の交付金のここ数年間、三十五年あたりからの推移を簡単に総額だけでいいですから、あとでお示しをいただきたいと思いますが、いかがですか。
  167. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 資料として提出をいたします。
  168. 鈴木壽

    鈴木壽君 また戻って恐縮ですが、国鉄ではこの納付金に対して大きな不満を持っておりますね。百億以上ものこの納付金のために、さなきだに苦しい経営がたいへんだ。こういう性質のものに納付金を納めさせるとは何事だということが、毎年のように一般PR用のああいうものにまで書かれておるのですが、どうですか、大臣政府部内でこの扱いについて、いま申しましたような国鉄の不満といったら変になりますが、そういうような声をもとに何か検討なさったことありますか。
  169. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 私運輸大臣のときにその主張をした者の一人でございますが、しかし、それはほとんど全国の市町村にわたって納付されておるものでございますから、地方財政に急激な変化を及ぼすわけにまいりませんために、国鉄側とすれば、そういうものを負担することによって、非常に苦しい財政の中で相当の金額になるということで、これを何とかしてくれないかという主張をいたしておるわけでございます。したがって、これを解決するのは、やはり市町村のそうした期待をいたしておる納付金財政をくずさないでやるということになれば、何かこれは国鉄に対する例の国の出資の問題等ともからんで、やはり国鉄に国の財政が何らかの援助をいたさなければ解決をしないのじゃないか。そういうことで、この国鉄の財源の問題ともからんでいろいろ論議をいたしておるところでございます。
  170. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ論議なさっておる、それはそれでしょうが、こういう形の公社等の納付金として、やはりあくまでも存置すべきだという前提に立つのか、やはりどうもこれはぐあいが悪い、総理の悪税論じゃないけれども、どうもぐあいが悪いが、しかし、かわり財源がないから、どうもちょっと困るのだ、こういうふうであるのか。私はやはりいまの段階で国鉄からそういう声が出ておるところからしますと、単に国鉄が赤字であるとか赤字でないとかいうことを別にして、公社あるいは国の資産等に対するこういう交付金、納付金の制度そのものについて考えるべき段階でないかというふうに思うのですか、やはりそれは考えた結果、いや、このままでいいのだ、たてまえはこれでいいのだ、こういくかもしれませんし、何といいますか、初めから国鉄の言うのはもっともだから、何とかかわり財源を見つけたらはずしたいということで検討するのか、そこら辺の出発が私はやはり大事だと思うのですがね。そこら辺はどうですか。
  171. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) やはりこれは国鉄が鉄道を敷いておる、もしそれがなければ町村は固定資産税が入るというものでございますから、この納付金の制度というものそのものは存続さるべきじゃないか。ただ国鉄がいろいろその金額が非常に多くて、財政上にも問題があるとすれば、国鉄に対して国の財政が何らか見ていくというたてまえではないかと思っております。
  172. 鈴木壽

    鈴木壽君 同じような、同じようなといっても全く同じということではないでしょうけれども、今回新しくできました水道施設用の土地、こういうのに交付金を出すというのに対して、いわば水道の業者、公営企業の側でだいぶ反対いたしましたね。ちょっとこれは似たケースだと思うんですね。結局やむを得ないということでおさまったようでありますけれども、だいぶ反対があった。ですから、当然何かの形でそこに資産があった場合に固定資産税が加わるんだ、それがたまたま公社のもの、あるいは国有のその他の資産、あるいは特に水道の公営企業のそういうものだということで、交付金なり納付金なりというものを——一応私はたてまえとしてはそれでいいと思ってきたけれども、しかし、やっぱりここでもっと根本的に考えてみなければならないんじゃないだろうか、こんな感じです。だから、ちょっと私自身も、やめるのか、あるいはやめないのか、そこら辺まだきちっと気持ちは固まっておりませんけれども、従来のままでこれなんだと言っていいのかどうかということについては、多少検討を要する問題があるというふうに考えるものですから、そういうことをお聞きしておるわけなんでございます。ですからその点はよろしゅうございます。
  173. 松本賢一

    ○松本賢一君 この法律の沿革というか、できたときのことから言うと、これは地方財政を援助するという意味が非常に強かったと思うんですね。その意味で、これと前後してできた、いわゆる基地交付金というものと性格はやや似ておると思うんです。ところが、この税金は基準財政収入額に加えられるんですね。基地交付金のほうは基準財政収入額に加えられない。一方は加えられるが一方は加えられない。そうすると地方自治体から申しますと、その違いは大きいんですね。ありがたみが非常に少ないわけです。しかも、さっき林さんの御指摘がありましたように、大きな国有林なんかがべらぼうに安い評価のままで置かれておって、そうしてせっかく入ったばかりの税金も基準財政収入に加えられるというようなことがあるわけなんです。そういうことで、私は非常に中途はんぱな存在だと思うんですね。そこらのところ、どうですか。もう一つの基地交付金とどうしてこういうふうに扱いが違ってきたのか、その根拠はどこにあるのか、ちょっと御説明いただきたい。
  174. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のとおり、この法律ができましたのは昭和三十一年、基地交付金ができましたのは三十二年、地方財政が非常に窮迫した当時でございますから、できるだけ地方財源強化するという意味も含めまして、こういう制度ができたのだと考えるわけでございます。片っ方が、すなわち交納付金のほうが基準財政収入額に算入されるにもかかわらず、いわゆる基地交付金のほうは基準財政収入額に算入されないのはどういうわけかというお尋ねでございますが、この交納付金のほうは、一般的に全国の市町村に及んでおりまして、一般的な収入としての地位を強く持っている、そういう意味で、基準財政収入額に含められるということは、別の面からいえば、基準財政需要額がそれだけ増額されていくということになるわけであります。その辺の調整が可能である。ところが基地交付金のほうは、特殊な市町村、特殊な財政需要に対応するものでございますから、交付金の計算上、御承知のように、単位費用に一定の数値を掛けていくという機械的計算では、なかなかそういう特殊な事情にあります市町村の特殊な財政需要を捕促するということは困難である、そういうこともあって、基準財政需要額そのものをそういう意味で増額するということが困難でありますために、基準財政収入の中に入れてない、こういうことになっていると考えております。
  175. 松本賢一

    ○松本賢一君 これをやっていると議論になってしまうのでやめますけれども、要するに中途はんぱだと思うのですね、この交納付金というのは。だからもう少しその評価を適正にやるということにするか、それとも助成金的な思想になるか、どっちかにひとつ決定していただかないと、おかしなものじゃないかと思うのですが、そういう点ひとつ、また研究ということになるかもしれませんが、とくと早急に検討していただいて、何とかもうちょっとちゃんとしたものにしてもらいたいと思うわけなんですが、それだけ。
  176. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 結局、先ほど来御質問のありました、御意見もありました国有林の評価などを徹底的にしていくということだと思います。基地交付金のほうは、やや迷惑料といいますか、そういう性格が相当入っているのじゃ……。
  177. 松本賢一

    ○松本賢一君 国有林だって迷惑料ですよ。
  178. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) だろうと思いますが、単に存在するということじゃなくて、それが存在することによって騒音がある、あるいは爆音があるという、そういうものもあって、多少ほんとうの税見合いの収入とばかりいえない面があるという点も、基準財政収入額に入れない一つだと思うわけでございます。いずれにしましても、その特に国有林等の評価を適正にして、そうして特に御指摘もありましたように、山村地帯が多いのでございますから、そうした面からの充実もはかってまいりたいと思います。
  179. 松本賢一

    ○松本賢一君 そういう評価を適正にするということをほんとうにやっていただけばそれでいいと思います。それは国有林のみならず、全般にどうも評価が低過ぎるのじゃないか、それによってこうむる、出すほうの損害というか、いまの国鉄の問題等出ておりましたが、それはそれでまた別に考えるべきものでいいのじゃないかと思うわけなんで、その点ひとつよろしくお願いいたします。
  180. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから大臣ね、やはり固定資産税に見合うものだということに徹すればどうかということです。もしそうだとすれば、お話しのように、また松本さんからお話があったようにやはり適正な評価、他の固定資産税において行なわれる評価、かりに三年ごとにやるなら三年、それは国鉄の場合だって、むずかしいといったって、これは一つ一つについて値段をきめるということは、なかなかむずかしいかもしれないけれども、ある程度の、償却の度合いなり、そういうものから評価はできてくると思うのです。比例的に何かやれば、そういうことでもやって、ぴしっと評価をするんだと、こういうことでないと、何か役所というか、国のものには何かおまけがついていっているみたいで、そうでないものは、ぴしぴし取るんだというような感じを与えますし、そこら辺、くどいようでありますけれども、もう少し検討して、ぴしっとするならすると、さっきの御検討願いたいということは、そういうことも含めて、この交納付金というもののあり方、性格というものをぴしっとすべきではないだろうかということを含めて申し上げているつもりでございます。大臣ひとつ答弁
  181. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 確かにこれは固定資産税見合いの収入でありますから、その意味においてのそういう性格ということを念頭に置いて、評価の適正化をはかってまいりたいと思います。
  182. 松澤兼人

    松澤兼人君 地方財政の問題で二、三お尋ねしたいと思います。  いろいろ各委員から質問がありまして、明らかになったところは明らかになったようでありますが、明らかにならないところは、やはりそのままで、全く見当がつかないという状態であります。たびたびこの委員会としても、あるいは衆議院地方行政委員会としましても、国と地方の税の再配分とか、あるいはまた、特に大都市に対して税源あるいは財源措置を講ずるように要望をしているわけでありますが、決議をする場合には、いつも大臣は、決議の趣旨を尊重して十分検討しますと言った切りで、それが少しも実際にあらわれてこないということで、もう今回もこの税法を通す場合におきましては、厳重な附帯決議をつけようかと思っているんですけれども、これは皆さんの御同意を得なければなりませんが、幾らつけても、あなた方何も考えないということであれば、委員会軽視ということもありますし、特に大都市に対する問題は、午前中原田君の質問に答えられまして、大都市といったところで、このごろはだんだんと周辺の都市も大きくなってきて、大都市だけめんどうを見るわけにいかぬというような税務局長お話でもありました。しかし大都市と、それから周辺の都市、お互いに広域的な行政をしなければならないということはありますけれども大都市にはまた大都市としての、国の施策に応じて、ある面では非常に高い行政水準というものを維持していかなければならないし、向上させていかなければならないという、こういう特殊性があるわけでありますから、今後どのような方向に向かって大都市の税財源検討をするか、重ねてお答えをいただきたいと思います。
  183. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 基本的にはやはり大都市財源をふやすといいますか、大都市らしい税を考えるとすれば、経済の伸びに対応して伸びるような税金、すなわち所得税的な、あるいは法人税的なもの、これの一部を地方移譲を受けるということだと思います。現在交付税の算定方法等で過密補正等もやっておりますが、それだけでは現在の激変する人口動態に追いつかないわけでございまして、やはりそういう経済の伸びに応じて伸びる税というものを都市の税として考えていかなければならないのじゃないか。もちろん、そのことによりまして、過疎地帯においては、そういうものをもらっても何にもならないという問題がありますから、その辺はまた交付税の配分方法等考えなければなりませんが、方向としてはそういう方向ではないかと考えております。
  184. 松澤兼人

    松澤兼人君 大体、方向はそういうことだと私ども考えますが、具体的にどういうところでどういう論議が行なわれているか、あるいは方向として、そういうことが次の段階にのぼってくるのかどうかということについては、いかがでございますか。たとえば地方制度調査会答申では、所得税から住民税への税源移譲というようなことがあるし、あるいは住民税均等割り税率の調整ということがあるわけでありまして、片方で、地方制度調査会では、どちらかというともらうほうでありますから、そういう言い方をしておりますけれども、それじゃ税制調査会のほうではどうかということになると、あまり税制調査会のほうでは、国税をやろうというような答申なり、あるいは決定なりというものをなされていないわけです。国全体としてやはりそういうものを検討して、大都市あるいは地方団体行政水準を高めていく場合に、ぜひとも必要である最低限度の国税なり、あるいは国税的な税制制度というものを地方団体移譲するという、そういう形をとるべきではないかと思いますけれども、この点いかがですか。
  185. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 四十二年の二月の長期税制のあり方についての中間答申、これは税制調査会でございますが、それにも所得税住民税とを通ずる総合負担を考慮して、適切な税の配分検討することが必要であるというようなことがありまして、税制調査会のほうでも所得税住民税との配分を変えていくということについて、その必要性を認めておるわけでございます。ただ、いっかこの席でお答えいたしたと思いますが、所得税から住民税への移譲というものが、よほどくふうをいたしませんと、ある部分においては、全体としては安くなったが、住民税が高くなったというようなもの、あるいは場合によっては、所得税がかからないところで、住民税がかかっている人には住民税だけが高くなるというような場合もございますから、その配分方法については、よほどそういう点を考慮して、うまい方法考えないといけないと思いますけれども、しかし、やはり地方制度調査会でも税制調査会でも、こういうことをいわれておるのでございますので、そういう方向で、しかも、いま申し上げたような弊害のないような方法考えていかなければならないと思っております。
  186. 松澤兼人

    松澤兼人君 自治大臣はそういう方向でもちろんけつこうだと思うのですけれども、大蔵大臣といいますか、国の側、歳入を預かっているほうとすれば、なかなかそうはいかないと思うのですが、その大蔵省なり、あるいは自治省の実際上の折衝ですね、どの程度までそういう折衝が行なわれているかということは、どんなふうでございますか、税務局長からでも……。
  187. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 税制調査会の御意見もこういうことでございますので、私どもも、大蔵省とはしばしばこの問題について話し合いをしてきているわけでございます。昨年の税制改正の際には、国税で三百億円ばかり、所得税住民税移譲するために、最初予定しておりました所得税自体の減税のほかに三百億円程度の減税をして、住民税に二百四十億円程度を移そうということで、一応事務当局間の話はまとまりまして、税制調査会のほうからもそういう御意見、御答申をいただいたわけであります。ただ、現実の問題になりまして、いま大臣からお話がありましたように、税源配分と申しましても、住民税は増税になり、国税、地方税を通すれば減税になるけれども住民税としては増税になるということは、やはり住民税が重い重いと言われておるのに、さらに重くなるのじゃないかという、こういう印象を国民に与えることは適当ではないというようないろいろな御意見もございまして、実現を見るに至らなかったのでございます。しかし基本的な考え方においては、大蔵省もそういう方向に同調した経緯もございますので、今後もそういう線で話し合いを進めてまいりたいと思っております。
  188. 松澤兼人

    松澤兼人君 国と地方との税財源の再配分といいますか、同時にまた、同じ地方であっても、府県と市といいますか、大都市の税の再配分ということも考えられるのじゃないかと思いますけれども、たとえば料理飲食等消費税、そういうものであるとか、あるいは娯楽施設利用税といったようなものは、市にあれば市に徴収をさせて、市がそういうものを取れるようにしたほうがいいのではないかと思いますけれども、その点についてはいかがですか。
  189. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 料理飲食等消費税についても市町村移譲という問題についてどう考えるか。さらには娯楽施設利用税はどう考えるかというお尋ねでございます。私どもも、府県市町村との問に財源配分という問題が起こり、かつそれが大都市中心にして問題を考えるということになれば、当然考えられる一つの項目であろうと思います。ただ、私ども検討したところを申し上げますと、料理飲食等消費税という税は、御承知のとおり、非常に徴収しにくい税でございます。そこでこれを大都市等にかりに税源を、府県税収が減るとか減らないとかいうことは別にいたしまして、かりに移した場合に、それが技術的にどうなるかという問題についても検討いたしているのでございますけれども、これはかなり税収確保の上において問題があるのではないか。そういうことから、市町村の中には、県で取って市町村に一部移譲してもらいたいという要望もございます。そういうようになりますと、一種の県から市町村への交付税的なものになりますので、これはわざわざ県で取ったものを市町村に渡さなくても、別途交付税なり何なりの配分という問題で解決するということもあり得るわけでございまして、そういう点から、これも私ども検討しておりますけれども、県の財源を減らして市町村財源をふやすことの是非の問題は別といたしましても、技術的にはかなりむずかしい問題がございます。  娯楽施設利用税につきましても、このうちの大部分はゴルフ場の税で最近ございまして、ゴルフ場の税につきましては、一部市町村のほうに交付金を交付されておりますし、これは市町村移譲しましても、大都市には、少しはその周辺にはございますけれども大都市そのものにはゴルフ場がほとんどないという実態でございまして、これも大都市財源対策としてどれほどの効果を持つかということについては、なお疑問の点もございます。しかし、私どももそういった問題が当然問題になるとして、いろいろ検討はいたしている段階でございます。
  190. 松澤兼人

    松澤兼人君 料飲税といいますか、消費税、これは零細なところでは、県が網をかぶせて、何ぼ出してくれ、ことしは何ぼにしてくれというようなことを、団体交渉みたいなことをやっているのですし、また旅館なんかでは、きちっと何%といってとっているのですし、そう取りにくい税ではないと思うのです。この点は、私はそう特に大都市にこれが移管された場合でもむずかしいことはないと思います。その点どうですか。
  191. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) この料飲税につきましては、いろいろな料理店の営業上の取り締まりというような問題も関連がございまして、やはりそういう点を総合的に把握したところが、税を納めていかれるというほうが、徴収上は適当なのではないかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  192. 松澤兼人

    松澤兼人君 あまり大都市のことを言うと同僚の方に笑われますけれども、しかし、料理飲食等消費税などでは、大都市では保健所は市でやっているわけでしょう。それから水道だとか、じんあいとか、し尿だとかいうふうなものは、みんな市でやっているわけですから、たくさんお客さんがあれば、それだけ市であと始末しなければならぬこともあるわけですね。そういうところからいけば、保健所を持っているようなととろでは、当然県にかわってこういうものをいただいても差しつかえないのじゃないかと思いますけれども、その点はいかがですか。
  193. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) まあ県と市町村税源配分をどうするかという問題でございますが、いまお話しのように、保健所というものを中心にして考えれば、大都市はいずれも保健所を持っておりますので、その面だけからは、料理飲食等消費税大都市移譲するというようなことも考えられるというお話でございますが、問題は、やはりそういうことになりますと、たとえば温泉地でございますとか、熱海のようなところは、私のところにもぜひ料理飲食等消費税をそういうことなら移譲してもらいたい、こういう要望が当然起こってまいると思います。そうなりますと、熱海がよければ、なぜ伊東市がいかぬのかという問題になりますので、そうするとほかの市町村もそれじゃ同じだと、こういうふうになりまして、なかなか大都市だけというふうに限って問題を考えることがむずかしいという面もございますので、いませっかくのお話でございますけれども大都市に料理飲食等消費税をすぐに移譲するということをお答えすることはちょっと困難でございます。
  194. 松澤兼人

    松澤兼人君 これは市町村税として取れば、所在するところの全部市町村で取ればいいわけです。私も大都市ことばかりやっておると、どうもいけませんから、これは市町村税として切りかえていただけば、それだけ府県税が少なくなるわけで、そっちはそっちで何とかしなければならぬわけで、しかし所在しているところのものが税をもらうということは、私は妥当じゃないかと思いますが、この点はいろいろ意見がおありと思いますけれども、まあ希望しておきます。  それから、私どもいつも言っておることなんですけれども消防施設税、これは考えられないかどうか。損害保険なんかに対して消防施設税というものを、保険会社を特別徴収義務者、そういうものにして、掛け金の中から地方団体消防施設に対する目的税的に徴収できないか、この問題はいかがですか。
  195. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) この問題も長い間の検討してきている問題でございます。これは消防施設税というものをどういうふうに徴税するかという問題とも関連してまいると思います。ただいま先生からお話のありましたように、保険会社に対して課税をしてまいるということは、消防施設税を考えますと、保険会社の側からいわせますと、保険会社は火災の損害が少なければできるだけ保険料を安くしていくというのがたてまえである。にもかかわらず、保険会社がこの税を納めるということになれば、その分だけ保険料は高くなる、あるいは安くできるところを安くできないという問題になる。とすれば、それは結局火災保険に加入している人だけが消防施設税を負担するということになるのではないか、そういうことは不合理である。消防施設の恩恵を受けるのは、火災保険に入っている者も入っていない者もひとしく受けるのであるから、それならばむしろ家屋そのものに課税をする。いわば固定資産税の家屋部分に課税することのほうが妥当ではないか、こういう反論がございます。一方、そうは言っても、保険会社から保険加入者に転嫁されるといっても、消防施設が整備されることによって火災の危険が少なくなる。発生が少なくなれば、少なくとも保険料が下げられるまでの間は、その分だけ保険会社がもうけになるのだから、それは何も転嫁をするということを当然の前提とせずして、納めても差しつかえないのではないか、こういう議論もございます。まあいままで何年間か議論されてまいりました問題は、結局突き詰めるところはこの二つの議論をめぐってどちらが正しいかということでございまして、いまだになかなか結論が出ないという状況でございますが、いずれにいたしましても、市町村消防施設の維持ということは必要でございますので、私どもといたしましては、調査会答申にもございますので、引き続き検討してまいりたいと思っております。
  196. 松澤兼人

    松澤兼人君 消防業務ということも、非常に最近は科学消防から大規模の火災に対する仕事、あるいは災害救急の仕事まで入ってきまして、これはなかなか消防業務だけを運営していくにも相当お金がかかることでもあるし、また消火せんを設置しなければならないといいましても、建設及び維持に対して、これも自治団体にとりましては大きな負担になるわけです。何かこれを税の中から見てやるというような方法考えていただきたいと思うのですけれども、しかし、私たちの立場じゃ、先ほど前段のお話がありますように、家屋税に付加して消防目的税というものを取ったらいいという議論には反対ですけれども、むしろもうかっていると思われる損害保険会社のほうから特別に金を出してもらって、そして消防施設の拡充のためにやっていただけるような、そういうことを考えていただきたいと思います。
  197. 鈴木壽

    鈴木壽君 あまり触れられないようなところを改正部分について幾つか伺います。それでは簡単に笑われないようにやりますから。  住民税並びに個人事業税における専従者控除につきまして、今回それぞれ引き上げられて、二万円ずつ引き上げられておりますが、一体専従者控除を認めるという点に立って考えてみた場合に、青色申告なるがゆえに十万円、あれは今度十二万円になりますね。白色申告なるがゆえに八万円、改正して八万円になったんですが、この差というものを一体当然のこととしていいのかどうかという問題、これは所得税等におきましても差がありますけれども、私前から、この住民税の専従者控除の制度を導入したのは、たしか参議院のここの委員会での修正でやったんですけれども、そのときから実はこういうふうに青色と白色との間に差をつけることはおかしいということでやりましたけれども所得税もそうなっているからということで、やがてそのうちに直しましょうというような、これは記録に載らない話ですけれどもね、そういうことできておるのでありますけれども、依然としてそれが直っていない。いま言ったように、所得税のほうの控除のしかたもそうなっておりますけれども、これはしたがって、所得税はどうあっても、地方税だけというわけにもいかないから、これは当然一緒のものとして検討してもらわなければならぬと思いますけれども、差を直すべきだ、こう思うのです。特にさっきも大臣から、国税における完全給与制ということがいま問題になっておりますね。そういうことからいっても、これはこのような青色と白色との間に差をつける控除額というものは、どう考えても不合理だと思うんです。御検討なり、あるいは将来一緒に差をつけないようなことを考えるというようなことについては、いかがでございますか。
  198. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 御指摘のとおり、青色申告と白色申告につきまして、専従者控除の限度額が違っております。これはもう先生御承知のとおり、最初は、青色申告者については帳簿も備えつけられており、給与としての支払いも明確であるからということと、また、青色申告奨励の意味もおそらくあったのだと思いますが、そういう趣旨から設けられたものでありますが、その後白色についても適用されることになりましたが、その間に差が設けられてきたということは、やはり青色申告をできるだけ推し進めていこういう趣旨もあったのだと考えております。地方税といたしましても、国税と同じように差は設けられておりますが、たとえば、本年度の改正おきましては、従来でございますと、大体控除を、青色二万円引き上げるときには白色一万円というようなやり方をやってまいりましたけれども、今度は青色、白色ともに二万円を引き上げるというようなことをいたしておりますので、その意味では一歩近づいてきたのだと思うのであります。  将来の問題としてどうするかという問題でございますが、所得税のほうは、青色申告者について完全給与制をとるけれども、白色申告者については依然として所得控除といいますか、白色控除の制度をとるというような、定額控除の制度をとるというような考え方のようであります。これが所得税のほうでそうであります場合においては、やはり全く同じ取り扱いにしていくということも、地方税としても困難ではないかというふうに考えております。
  199. 鈴木壽

    鈴木壽君 これができたいきさつについては、いまあなたがおっしゃったようなことであります。ですから、むしろ青色申告をすることについての奨励といいますか、あるいは褒賞と言っちゃ悪いかもしれませんが、むしろそれが非常に強いものであった。しかし、これがだんだんやっている間に、必要経費としてやはり当然認めるべきだという立場に立って、こういうものがはっきり確立されたような形になってきているわけです。いまになると、青色申告の奨励的な意味あるいは褒賞的な意味というものは、他の必要経費その他のところにおいて十分見られているのだから、こういう面で見るべきじゃないと思うのですよ。ですから私は、見るべきじゃないというと、少しあるいは言い過ぎかもしらぬけれども、その目的は十分達成されていると思うのです。また他のものによって代がえされていると思います。ですからそれを当然必要経費として認めるべきものとしての専従者控除でございますから、申告した者はたっぷり控除を見てやるし、申告しない者といっても白色でありますから、白色のものは差をつけてもいいのだということは、何と考えても私はおかしいと思うのですよ。やはり青色について十二万円なら、白色申告だって同じように扱うべきだと思うんです。ただお話しのように、完全給与制というものをやった場合に、一体それを白色申告に認めるかどうかということには、多少問題があると思うのですが、しかし私は、完全給与制をやった場合に、青色のみならず、白色の場合だって、それぐらい信頼してやるべきだと思うのですよ。実際は何もやっていないんじゃないかというような思想があるのです、この中には。だから私は、しかもわずか、何十万じゃなくて、ぜいぜい十万か十五万の控除、月に一万か一万ちょっとぐらいの控除ですから、それはもう信頼してやるべきだと思うのだが、いずれそういうことについて、やはりこれはもう少し真剣に考えてもらわなければいけないと思うのです。大臣いかがですか、これは。
  200. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) まあ申告納税制度というものが、戦後のわが国においてはまだまだなじんでいない時代に、できるだけそういう形をとらせる、そういう意味が確かにあったと思います。しかし、だんだんちゃんとした、正しい申告をして納税するという思想が普及してまいりますれば、お説のとおりだと思います。それで、ですから、方向としてはそういうことだと思いますが、ただこれは国税との関係もございますので、国税で依然として差別をしておるのに、地方税だけ差別を撤廃するというわけにはなかなかむずかしいわけでございまして、国税との取り扱い等ともにらみ合わせて考えてまいりたいと思います。
  201. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣、これは確かにお話しのように地方税だけやれというわけにはいかぬと思うんです。ここで国税、地方税を通ずるこの控除制度というものについてやらなければ、これだけぴょこんと切り離してやるということには当然いかないことであります。その点わかりますから、国税、地方税を通ずる場合には、国として、政府部内でひとつ検討してもらいたいと思うんです。これをないがしろにして、ただ完全給与制といううまいことをやったようなことを言ってもおかしなことになると私は思うんですから、そういうものとあわせ考えながら、さっき私が申し上げたような意味で、そういうことが実現できるようにひとつ御検討をいただきたいということを申し上げておきます。  それから障害者、老年者、寡婦、学生等に対する税額控除が、今度は所得控除になりましたね。これについての改正の趣旨なりをひとつもう少し説明してください。
  202. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) これは税制簡素化という観点から行なわれたものでございまして、所得税についても同様の改正を行なっているわけです。と申しますのは、一定の税額を軽減をいたします場合に、所得で引いて軽減する方法と、一応一定の計算をいたしまして出ました結果から税額で引いて減税をします方法と、二通りあるわけでございますけれども、一つの税法の中のあるものは所得控除であり、あるものは税額控除であるということは、非常にまぎらわしいので、同じ減税を目的とするものであるならば、所得控除なら所得控除一本にまとめたほうが、税制を明確にするゆえんではないか、かようなことから、税制調査会答申もございましたので、住民税所得税を通じまして税額控除を所得控除に改めたものでございます。
  203. 鈴木壽

    鈴木壽君 この改める際に、税額控除をきめる際に、当時の一人について千円となりましたのは、やはり所得の面で大体五万円ということの想定でやったわけですね。今回割りかえしたかっこうで、その五万円を生かしてきた、こういうことで、考え方としては、まずそれはそれとして、当時のこの制度を設けたときの千円、すなわちそれに対応する所得の額として五万円、これの引き上げについては考えなかったんですか。
  204. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 税制簡素化という趣旨から行なったものでございまして、特にこのことによって大幅な減税を行なうとか、行なわないとかいうことを中心にいたしたわけでございませんで、一応現段階においては、先生いま御指摘のございましたように、現在の税額を税率において割り返したところでもって所得控除にしたわけでございます。
  205. 鈴木壽

    鈴木壽君 こういう控除額、税額であれ、所得控除であれ、これ設定されたのはずっと前ですよね。これ前の時点でこの程度ということなんであって、その後同じように、たとえばその他の専従者控除であれ、あるいはいろいろな諸控除が底上げされてきていますね。この人たちはいつまでたっても所得控除が五万円なら五万円でいいのか、十年も前に——十年じゃない、できたのはもっとあとでございますけれども、五年たっても七年たってもこれでいいのだということでは、ちょっと私気の毒だと思うから、こういうふうにするやり方について、税額控除が所得控除になった、それはそれとして、しかし、こういう機会にもっと引き上げて、二万円でも三万円でも引き上げてやることが親切なやり方ではなかったかと思うのですが、その配慮はなされなかったのですか。
  206. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) そういう意味の配慮は特別にいたしておりません。
  207. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは何も大げさに減税とか何とかいう性質のものじゃないのですよ、ほんとうをいえば。かりにこの障害者とか老人を二万円くらい引き上げたにしても、これはたいしたことじゃないです、全体としていわゆる減税になる分は。ですから、やはり減税とか何とかいう大げさなことでなくとも、しかしこういう人に対する、あるいはこういう人の入っておる家庭に対する配慮としては、私、当然控除額を引き上げてやるべきじゃなかろうかと、こういうふうに思っておったものですから。今後考慮する余地ございませんか。
  208. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) たとえば障害者等につきましての非課税範囲につきましては、毎年若干ずつ引き上げてきております。そういうことから申しまして、この点についても、ただいまお話しのございました点は、十分考慮の念頭に置きまして、検討してまいりたいと思います。
  209. 鈴木壽

    鈴木壽君 それではずっと飛びまして、たばこ消費税税率が県分、市町村分、それぞれ引き上げられておりますが、繰り返させるようで恐縮でございますけれども、昨年の地方財政の臨時措置等との関連で、これについてもう少し説明をいただきたいと思います。
  210. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 昨年の住民税の減税に伴います減収補てんとして第一種臨時特例交付金が交付されたわけでございますが、それが県分といたしまして七十億円、市町村分として百七十億円交付されたのでございます。今年度はその二百四十億円を、昨年度のたばこ専売売り上げ金でたばこ消費税としたら幾らかという率を出しますと、四・四%に相当することに相なります。その四・四%に相当するものを百七十億円と七十億円で案分をいたしますと、百分の一・三と三・一というふうになります。それをそれぞれたばこ消費税税率に上積みをしたものでございます。
  211. 鈴木壽

    鈴木壽君 昨年の臨時的な措置と、それから、それがたばこ消費税に移行するというようなことについては一応話がついておったんですが、なお今年度の地方財政対策の中で、たばこ消費税引き上げということについては、別段論議なり、あるいは自治省としての主張なり、そういうことございませんでしたか。
  212. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) そのほかに特別の引き上げということは論議されておりません。ただ、このたばこ消費税の問題につきましては、二百四十億円をそのまま本年度にスライドをさせてと申しますか、そのまま移して、ことしの売り上げでもって税率を出すか、あるいは去年の売り上げでもって税率を出すかということが非常に議論になりました。御承知のとおり、売り上げが少しずつふえております。去年の売り上げで二百四十億円を割りますと率は高くなるわけであります。ことしのほうでやりますと分母が大きくなりますので率が低くなる、こういうことがございまして、その点が論点になっておりましたけれども、これは先ほど申し上げましたように、去年の売り上げでもって割り返したものを率として四・四%という高い率で話がついております。
  213. 鈴木壽

    鈴木壽君 電気ガス税についてでありますが、これは大臣、電気ガス税については、やはり毎年の税法改正の際に、当委員会あるいは衆議院段階でもこれは問題になるところでございます。前の方々からもいろいろお話がありましたが、私ひとつ電気ガス税の非課税品目の問題でお聞きをしたいと思います。この非課税品目が非常に、何といいますか、だんだん拡大されてきまして、そういう意味から、この電気ガス税が悪税だということをいわれておるわけです。総理の言うことと多少違うかもしれません。今回の改正では、免税点の引き上げをやって、あるいは紙の製造の用に供する電気ガス税の税率を当分百分の五に据え置くということ、非課税期間が満了するもの、私どもはこういうものは、法律には三年間は電気ガス税を課税しないと、とうあるのですから、終わったら今度は、いわゆる非課税扱いじゃなしに課税されるものだろうと思ったら、今度まるまる初めから非課税というものに入れられてしまいますね、三年間云々というようなことはとれてしまって、本格的な非課税品目になってしまうと、こういうことですね。こういう問題については、私どもさっき言ったように、この委員会なりで毎年のように論議されておったり、それぞれの見解が述べられておったりするだけでなしに、税調においても、三年あたり前には、これの整理ということをはっきり打ち出してやりなさい。どうしてもできないものは、三年なり五年なりというものの期限をつけてやって、それが終わったらもうぴしっと課税するようにしなさいということが、強い口調で述べられておるのですね。ですから私はさっきも言ったように、今回期限が切れるこういうものは、そのままに期限が切れてあと課税される対象になってもいいのじゃないかと思っておったら、そうでなくなるということは、どうも考えてみるとわからない。どういう事情でしょう、これは。
  214. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) これは申し上げるまでもなく、基幹産業で、しかも単価の中に占められる電気料金が五%以上という基準をつくって非課税品目にしておるわけでございます。したがって、私の理解するところでは、この三年等の期限をつけたものも、そのときにさらに洗い直してみて、その基準に合わなくなったものは落とすし、基準に入ったものは入れるということであろうかと思います。税の特別措置そのもの全般についての検討を要することは申すまでもないわけでございますが、税制調査会で電気ガス税についていわれているところは、そういった非課税にする基準をはっきりしろということではなかったかと存じておるわけでございまして、そういう意味で今回の改正をやった次第でございます。もっとも、今後、電気料金の推移とか、あるいは経営の内容とか、そういうものにつきまして事情の変更がありました場合に、再検討することにやぶさかではございません。
  215. 鈴木壽

    鈴木壽君 大臣、いつも政府はそういう答弁でずっとやってきているわけですね。しかし、私、いま税調の答申そのものをここに持ってきておりませんから、ちょっと——私の理解では、あなたのおっしゃるように、検討して、また適当なものは非課税にしなさいということではなかったと思うんですが、それはそれとして、かりに税調で、どうあっても、どうあってもといっては言い過ぎであると思いますが、税調税調とばかりも言っておられないと思うんですが、いずれにしてもこれらのものは、非課税措置をやっているそのものについても、基本的な問題があると思うんですよ。したがって、そういう問題に照らしながら、やっぱりあくまでも、ふやすよりも整理をしていくということのほうが、考え方としては私は正しいと思うし、そしてまた、いままでの政府の、あなた方の答弁では、そういう方向に行くべきだということも認めておられる。もし基本的に基幹産業であって、電気、ガスの料金の占めるそれが五%以上というようなこと、これによって厳密にやっていくというならば、一体ここに非課税範囲としてあげられている企業の中で、どれがほんとうの意味の基幹産業であるのか、重要産業であるのかというと、問題はたくさんありますよ。これは、やっちゃってあとから、しかたなしにみなこの中に押し込めていくだけであって、一からずっと書いてあるこれを見て、これが日本における基幹産業であるのかどうかということになりますと、問題になるのがたくさんあるんですよ。それから、コストに占める五%以上ということになると、あるいはこれらのものも五%以上の電気、ガスを使っているかもしれません。しかし、一体、国がほんとうにねらったそういう製品の価格、国民経済に及ぼす影響あるいは国民生活に及ぼす影響、こういうものを見ていった場合に、それでいいのかどうかという問題があると思う。非課税の効果が十分発揮されておるのかどうかということ、製品等の価格に対してですね、そういう問題も実はあるのです。しかし、いろいろこれはめんどうな問題ではありますけれども、いずれにしても、こういうものをどんどんふやしていくというよりは、何べんも申し上げますように、できるだけ整理をしていくことが私は必要だと思うし、それは私だけでなしに、各方面からも主張されておるのですね。そういうときに、ポリプロピレン云々、少し口が回りませんけれども、こういうものが三年であといいのだと思っておったら、本格的な非課税品目に追加される。これらの四つのポリプロピレンあるいはその系のものが、日本産業の基幹的なもの、重要産業としてこれは適格でしょうかね。アセチレンとかなんとかいうものも全部、確かに電力とかガス、そういうものは食いますよ。しかし、それが日本の基幹産業として扱わなければならないものであるのかどうか。  これは通産省あたり、できるだけ企業に非課税を適用したいという従来からの熾烈な要望をやっておるのですが、しょっちゅうあなた方それに負けちまっているのじゃないですか。私はこれを、日本のいろいろな税制——国税、地方税を通じて最も悪いものがここに一つ出ていると思うんだ、考え方の間違っているものが。これは他の租税特別措置の中にもありますが、同じような、それよりもたちの悪い、それが地方税のほうにもぐり込んできていると私は思っているのですが、ひとつ大臣、通産に負けないで、いわゆる税の公正あるいは税の負担の公平という点から見て、そういう面からひとつはっきりした非課税品目の整理ということに踏み切っていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  216. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) いま例にあげられたPPなどは、これは化学繊維の日本の産業界における重要性ということを、どう評価するかという問題はあろうかと思います。私どもはやはり、日本の化学繊維というものは相当高く評価されていいのじゃないかというふうに考えております。そういう意味で、今回洗い直して、基幹産業であり、また五%以上の電力量を使っておるということで非課税品目にいたしましたが、いたずらに私ども産業界の要望に負けてこういう非課税品目をふやしていくというような気持ちはないわけでございます。先ほど申しましたように、第一、日本産業の中における、いま非課税になっているものの重要性、重要度というようなものも、常に検討していかなければならないと思います。  それからまた、はたして五%がいいのか、あるいはさらにもっと上、六%、七%でもいいのじゃないかというような議論も考えられるわけでございます。それらの日本産業の推移、あるいは電力を非常にたくさん使う産業においての電力量の位置づけ、そういうものを常に検討いたしまして、むしろ税の公平の方向でやっていかなければならないものと考えております。
  217. 鈴木壽

    鈴木壽君 これらのポリプロピレンとか、あるいは前から非課税品目になっておるポリエステル系のものだとか、化学繊維だとか、こういうもの、あるいは石油・ガス化学によってできてくる最近の新しい製品をつくる、こういうもの、これはいわゆる重要産業、基幹産業というよりは、新しい分野の産業だと、こういうことに対する配慮であったはずなんだ、初めは。したがって、三年とか五年とか適当な期間だけやって、見守るといいますか、あるいは助成といいますか、そういうような意味でこれはつけられたはずなんですよ、たしかこういうものが追加になったのは。そういうこともありますよ。当時は私どもにそういう説明をしておった。しかし、それが今度、いつの間にやら、そもそものいわゆる基幹産業、重要産業、その仲間入りをしてしまうということですね。一たんこれは減税なんかやっているのだから、今度税金を課するんだぞというのは、なかなかむずかしいということもわかりますけれども、さればといって、こんなかっこうでまた新たな四つの項目が入ると——改正案では一つの項目になっていますけれども、実際はここにある四つ、三年間という期限を切ったものの四つですね。どうも私はこういうことはおかしいと思うんですがね。前にあるのだって、たとえばアルコール産業がアルコール製造、ヤシ油を原料として製造するアルコール製造業、これが日本における重要基幹産業だというような評価のしかたというのは、これは何と考えたって私は納得できませんね。ことに今回入るアセチレンだってそうですよ。確かにアセチレンは最近、溶接とか何とかたくさん使いますよ。それがまた一つの原料となっていろいろなものになってくる。しかし、日本における重要基幹産業、鉄鋼とか石炭とかというものと同列にこうやって税の面で大きな恩典を与えなければならぬというのは私は——まあしかし、私、ほんとうに正直に言って何か変な気持ちでなしに、この税そのものについて、やはり大臣、勇断をふるってやらなければ、国民の信頼を失いますよ、政府は。これはひとりこれだけの問題ではありませんけれども、特に地方税においてはこれは目立つ点ですからね。これだけをいま問題にして申し上げますけれども、やはり勇断をふるって整理すべきだ、こういうふうに思うのですが、決意のほどございませんか。これできようは終わります。
  218. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) 基幹産業ということばでございますが、たとえば化学繊維の原料になるものというようなものも含まれていると思います。ただ、先ほどお答え申し上げましたように、これらにあがっている企業というものが、産業というものが、日本の変転する産業の中でどういう位置にあるかというようなこと、要するに従来相当重要な産業であり、あるいは輸出産業であって、税の面からも奨励をしなければならないという産業であっても、産業構造の変化によりまして、場合によったら、それはもうそれを国家が優遇をしなくてもいいんだというような産業になるものもあろうと思います。また、先ほども申しましたように、はたしてその電力料金が五%をこえるものが非常につらいかどうかというような問題もございますから、それらをあわせて常に検討をいたしてまいりたいと思います。
  219. 仲原善一

    委員長仲原善一君) じゃ速記をとめて。   〔速記中止〕
  220. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記起こして。  ほかに御質疑はありませんか。 ——別に発言もなければ、両案に対する質疑は終了したものと認めます。     —————————————
  221. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、委員の異動についてお知らせいたします。  本日、木暮武太夫君、小柳牧衛君及び岸田幸雄君が辞任され、その補欠として金丸冨夫君、岡本悟君及び熊谷太三郎君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  222. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それでは、まず、地方税法等の一部を改正する法律案に対する討論を行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。
  223. 原田立

    原田立君 私は、公明党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の意を表明するものであります。  地方自治は、戦後民主主義のもと認められたところの制度であり、地方住民の福祉と向上に処するための大事な制度であります。自来二十年の歩みを進めてきたのでありますが、およそ自主財源の不足により、その財政は疲弊し、あらゆる面で赤字をかかえているのが現状であります。今日ほど地方自治確立のため、自主財源強化を叫ばれるときはないのであります。しかるに、政府の熱意は薄く、見るべきものがありません。国税の一部を地方移譲せよという議論も古くからありますが、この実現も遅々として進みません。大都市においても、中小都市においても、その対策を望む声は大きい。だが、政府は真剣な態度をもって取り組もうとしないことは、まことに遺憾のきわみであります。  現在の地方税制には改革すべきたくさんの問題点があるにもかかわらず、政府は必要な改革も行なわない。低所得者に対する重税を改めない。住民税均等割りに至っては、生活困窮者に対して、負担分任という美名に隠れて課税するという態度であります。市町村道路財源についても手厚い施策が必要なのに、わずかな処置のみであります。私は、これらの点を指摘したのでありますが、それに対し、政府は責任を持ってこれを是正するというはつきりした計画も目標も示さぬことは、はなはだ不満といたすものであります。  これが本法案に対し反対する理由であります。
  224. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、社会党を代表しまして、本案に対する反対の意見を申し上げます。  今回の地方税法の改正は、現在の地方財政のこういう行政の中において最も大事な税制、これを基本的に一体どういう方向に持っていくかということが中心にならなければならないのに、単なる一部の手直し程度に終わっておること、これが私どもどうしても納得のいかない点でございます。一方、私どもは、現在の住民税の重いことにつきまして、かねてからこの課税最低限引き上げ等によって、住民税の軽減をはかるべきであるということを主張いたしておったわけでございまするが、今回は住民税課税最低限引き上げには何ら手を加えることなしに、単に専従者控除その他を多少引き上げている、こういう程度にとどまっておりまして、住民負担を軽減するという、そういう大きな点については全く触れられておらないのであります。私どもは、所得税の減税が年々行なわれる。それにつれて、やはり住民税負担の軽減というものもぜひとも行なわなければならぬというふうに考えて、そのためには課税最低限の大幅な引き上げを主張いたすものでございますけれども、いま申しましたように、こういう点については、今回の改正には全然触れておらないことを、まことに遺憾とするものであります。  さらに、事業税の問題につきましても、これは従来から、事業税は所得税あるいは所得に対する課税、こういうものと重複する点もあるというふうな点から、この軽減につきましては大きく取り上げられておった問題であります。今回多少事業主の控除が引き上げられ、あるいはまた、専従者控除が若干引き上げられておりますけれども、しかし事業税の軽減というからにはもっと大幅な、少なくとも、今回行なわれました引き上げの額二十七万円というものは、低きに失するものと思うのでありまして、この点から言っても、私ども賛成のできない点でございます。  さらに、先ほどお尋ねをしました電気ガス税の非課税品目の問題、あるいは租税特別措置地方税へのはね返りの問題、こういう問題を、私冒頭申し上げましたように、今回の地方税改正の際に、税の根本的な立て直しという意味検討されなければならなかったと思うのでありますけれども、そういうことには一向手を加えられていないばかりか、電気ガス税の非課税品目はかえってその数を増すという状態になってきたことは、まことに私どもは遺憾に考える次第でございます。  現在の地方税におきましては、繰り返して申し上げますように、住民負担を軽減しながら、なおかつ地方税源の充実ということを考えなければならぬ、こういう大きな問題があるのでございまして、そういう意味で、今回の改正のこの機会を、そういう意味での税制の根本的な立て直し、それに私どもは期待をいたしておったにもかかわらず、全然そういうことが考慮されないということは、まことに私どもは残念であり、賛成のいたしかねるところでございます。そういう意味におきまして、この法案に対しては反対であるということを申し上げます。
  225. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ほかに御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  地方税法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  226. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、林田悠紀夫君から、各派共同提出による附帯決議案が提出されました。  林田悠紀夫君に御説明を願います。
  227. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 私は、ただいま可決すべきものと決定いたしました地方税法等の一部を改正する法律案に対しまして、各派共同提案にかかる附帯決議を付したいと思います。  今回の地方税法等の一部改正案は、地方財政の現況を考慮し、改正内容といたしまして、住民負担の合理化等について、必要最小限度のものにとどめたものでありまして、審議の過程を通じ指摘されましたように、近い将来ぜひとも改正を考慮してもらいたい点も少なくないのであります。附帯決議案は、これらの問題点のうち、さしあたり必要と思われる二、三の点について、政府の考慮を求めようとするものであります。  案文を朗読いたします。  政府は、住民負担を軽減し、地方財政の健全な発展の確保をはかるため、特に左の諸点について必要な措置を講ずべきである。  一、住民税課税最低限については、住民負担の軽減を図るため、各種控除の大幅な引き上げを計画的に行なうよう努めること。  一、地方公共団体の税財源の充実をはかるため、国、地方公共団体の税源配分措置をつよく推進し、非課税規定の整理等についても検討すること。  一、都市特に指定都市財政需要増高税制等の現況を考慮し、税源の充実その他必要な財政措置をすること。  右決議する。  何とぞ御賛同いただきたいと思います。
  228. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまの林田悠紀夫君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  229. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、藤枝自治大臣より発言を求められております。これを許します。
  230. 藤枝泉介

    国務大臣藤枝泉介君) ただいま御決議になりました附帯決議、いずれも重要な事項でありますので、御趣旨を尊重いたしまして、善処いたしたいと存じます。
  231. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 審査報告書の作成につきましては、先例によりまして、委員長に御一任を願いたいと存じます。     —————————————
  232. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案に対する討論を行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。−別に御発言もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  233. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  審査報告書の作成につきましては、先例により、委員長に御一任を願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時四十分散会