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政府委員(
鈴木光一君) 前回の当
委員会におきまして、去る五月の十七日に起きました千葉県機動隊員による交通事故の
状況につきまして、図面をもって詳細に
説明をせよとの御要求がありましたので、ただいまから御
説明申し上げたいと思います。
この事故の発生いたしましたのは、前回に申し上げましたように、五月の十七日の午前八時五十八分ごろでございます。事故の発生
場所につきましては、千葉県の千葉市轟町にございます千葉県警察本部警備部機動隊の庁舎前でございます。
図面で御
説明申し上げますと、この
区域一帯が国有地でございまして、この中に、ここに機動隊の本館がございまして、隊員の待機寮がここに四つある。道場がその前にあります。それから機動隊の車庫と倉庫がこの
付近にございます。そのほかこの敷地内に、千葉県の警察職員の四階建ての待機宿舎が二棟建ててございます。
当日の
状況を申し上げますと、当日ちょうど、千葉県の機動隊員十七名は、午前九時から交通取り締まりに出動することになっておりましたために、同隊所属の輸送車の指定運転者であります巡査植田安玄が、同輸送車を車庫前に置きまして、仕業点検を行なった後に、約四十メートルございますが、この機動隊の本館の前まで参りまして、ここで机やいすをこの輸送車に積みまして、再びもとの車庫の前に戻りまして、サイドブレーキを引きまして、エンジンを始動したまま下車いたしまして、隊員数名の協力を得まして、この車庫内に保管中のロードメーター
——積載の取り締まりを行なう器材でございますが、ロードメーターの積載作業を開始したのでございます。このとき、たまたま出動のために三々五々集まっておった隊員の中で、菅原巡査がこの
付近におりまして、練習のためにこの車を運転しようということで、運転席に乗りました。作業が終わったという声を聞いたので、練習するからだれか教えてくれと、同僚警察官に呼びかけましたところ、たまたま居合わせました普通免許を持っております芳賀巡査が助手席に乗りまして、続いて第二種原付免許を持っております藤川巡査という者も続いて乗車したのでございます。そこで菅原巡査は、運転免許を持っております芳賀巡査にギヤーをローに入れてもらいまして、発進いたしまして、約十五メートルこういう
方向で行ったわけでございますが、約十五メートル前進後、さらにセコンドに入れてもらいまして、約十キロメートル毎時の速力で、機動隊の庁舎玄関前を経て機動隊の敷地と
道路の境界にありますところの、ここでございますが、この
付近はずっと、ここからここまでいけがきになっておりまして、この
場所に高さ一メートル、幅一・六メートル、重量二十二キログラムの鉄パイプ製の防護さくがございますが、その一メートル前まで前進の上後退しようとしたわけでございます。あとで取り調べますと、この巡査は、こういう経路をとりまして、ここで一たんストップして、バックの練習をしようということを
考えておったようでございますが、その際、そういうことで後退しようとしましたが、運転が未熟のために、ブレーキを先に踏むべきところをクラッチを先に踏んだという過失のために、ブレーキが直ちに作動いたしませんで、そのまま、ここに二個連結しておりました防護さくを、約三・六メートル
道路上に押し出したために、折からちょうどこちらからこの横断歩道を渡って、幼稚園がこちらのほうにございますが、幼稚園に通園しょうとしておりました園児二十六名の後列の部分を押しつけまして、よって園児を転倒さして傷害を与えたという経過になっておるのでございます。
前回も申し上げましたように、事故の発生によりまして、機動隊の小隊長ほか十名と、同隊所属の車両二台及び千葉市消防救急車一台の応援を得まして、負傷を受けました園児を千葉市の千葉国立病院に収容いたしまして、救護に当たったわけでございますが、被害を受けました園児は六名でございまして、いずれも、そのうちの地挽一元君、五歳、この園児を除きましては、他の五名は、幸いなことに五日ないし六日程度の打撲傷あるいは擦過傷ということで、現在は全治しておる
状況でございますが、地挽一元君だけが、頭部を打っておりますので、詳細に頭部の検査をするということで、いまだに通院をしておる
状況でございます。
なお関係者の処分につきましては、千葉県警では、翌日の十八日に懲戒審査
委員会を開きまして、関係者に対する処分を決定したのでありますが、加害者の菅原巡査につきましては懲戒免職、それから一緒に乗りまして運転を援助いたしました芳賀巡査につきましては減給百分の十、一カ月、それから機動隊長の
鈴木警視につきましては戒告、副隊長の若井警部につきましても同様戒告、小隊長の岸岡警部補、それから分隊長近藤巡査部長の両名につきましては、所属長訓戒ということにいたしたわけでございます。
なお事件の捜査につきましては、この捜査に当たりました千葉中央署では、五月十九日に菅原巡査を重過失傷害罪並びに
道路交通法違反、無免許でございますが、
道路交通法違反といたしまして、また同乗しておりました芳賀巡査につきましては道交法違反、無免許運転の幇助ということで、それぞれ千葉地検に書類を送致してございます。
この事件が起きまして、今後の対策につきましては、千葉県警におきましては、今後事故の絶滅を期するために、それぞれ所要の
措置を講じておりますが、警察庁といたしましても、千葉県だけの問題にとどめませんで、全国に次長通達を出しまして、従来の諸対策を再
検討の上、部下職員の服務規律の振粛、公用車両の運転管理、免許取得のための指導、その他一連の指導を強力に推し進めるよう指示いたした次第でございます。
以上、概況について御
説明申し上げた次第でございます。