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1967-06-15 第55回国会 参議院 商工、農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十五日(木曜日)    午前十時二十分開会     —————————————   委員氏名    商工委員     委員長         鹿島 俊雄君     理 事         井川 伊平君     理 事         近藤英一郎君     理 事         柳田桃太郎君     理 事         阿部 竹松君                 上原 正吉君                 重政 庸徳君                 津島 文治君                 松平 勇雄君                 宮崎 正雄君                 村上 春藏君                 横井 太郎君                 大矢  正君                 小柳  勇君                 近藤 信一君                 竹田 現照君                 椿  繁夫君                 鈴木 一弘君                 矢追 秀彦君                 向井 長年君    農林水産委員     委員長         野知 浩之君     理 事         任田 新治君     理 事         山崎  斉君     理 事         川村 清一君     理 事         中村 波男君     理 事         宮崎 正義君                 青田源太郎君                 岡村文四郎君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 温水 三郎君                 堀本 宜実君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 和田 鶴一君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 鶴園 哲夫君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君     —————————————   出席者は左のとおり。    商工委員     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 井川 伊平君                 近藤英一郎君                 柳田桃太郎君                 阿部 竹松君     委 員                 上原 正吉君                 宮崎 正雄君                 小柳  勇君                 近藤 信一君                 向井 長年君    農林水産委員     委員長         野知 浩之君     理 事                 任田 新治君                 山崎  斉君                 川村 清一君                 中村 波男君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 田村 賢作君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 武内 五郎君                 達田 龍彦君                 村田 秀三君                 矢山 有作君                 渡辺 勘吉君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   菅野和太郎君    政府委員        農林政務次官   久保 勘一君        農林省農林経済        局長       大和田啓気君        農林省園芸局長  八塚 陽介君        通商産業政務次        官        栗原 祐幸君        通商産業省貿易        振興局長事務代        理        高橋 淑郎君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君        常任委員会専門        員        小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出)     —————————————   〔商工委員長鹿島俊雄委員長席に着く〕
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから、商工農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会委員長の職をつとめます。  それでは商品取引所法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 川村清一

    川村清一君 私は農林水産委員として御質問申し上げる次第でございますが、本法律案の改正の趣旨やあるいは問題点、あるいは商品取引所の組織、機構、運営等問題等につきましては、すでに商工委員会において十分審査されておるというふうにお聞きしておりますので、ちょっと時間もございませんので、重複を避けたいと思います。ごく限られた時間内におきまして、農林水産委員立場から、農林省所管商品取引所が扱う商品の二、三の品目を取り上げて若干質問をしたい、かように考えますので、ひとつ御答弁を願いたいと思うわけであります。  まず最初にお聞きいたしますのは、農林水産物商品取引所上場されている商品を、取引所ごとにひとつ上げていただきたい。どういうような品目取引所上場されておるか。これは昭和四十一年度でけっこうでございます。なお、その商品約定金額、出来高、こういうようなものにつきましても資料がございましたならば一応御説明を願いたい、かように思います。
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府委員からお答えいたさせます。
  5. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 商品取引所は、農林通産両省関係を合わせまして、全国で二十でございますが、そのうち農林省所管商品取引所の数は、十三でございます。それを上場商品別に見ますと、農産物が五カ所、砂糖が二カ所、それから農産物砂糖を扱っておりますのが関門でこれが一つ生糸二つ乾繭二つ水産物一つでございます。  それで取引所で扱っております上場商品の内訳でございますが、多少詳細にわたって恐縮でございますが、申し上げますと、穀物関係でも取引所によりまして多少の相違はございます。北海道穀物商品取引所で申し上げますと、大豆アズキ、大午亡バレイショでん粉、それから東京穀物商品取引所で申し上げますと大豆アズキ、大午亡アメリカ大豆バレイショでん粉名古屋で申し上げますと東京で扱う商品に加えてカンショでん粉でございます。それから大阪穀物取引所東京と同様、大豆アズキ、大午亡アメリカ大豆バレイショでん粉、それから神戸穀物商品取引所ではいま申し上げました大阪からバレイショでん粉を引いたもの、大豆アズキ、大午亡アメリカ大豆でございます。それから関門商品取引所アズキ、大午亡アメリカ大豆バレイショでん粉精糖黒糖粗糖もございます。それから東京砂糖取引所では精糖黒糖粗糖ビート糖大阪砂糖取引所でもほぼ同様でございます。それから函館海産物取引所では、するめの上場をいたしております。横浜神戸生糸取引所におきましては生糸、それから豊橋前橋乾繭取引所におきましては、乾繭というのが取り扱いの商品の明細でございます。  なお、商品取引所の概況といたしまして、会員数でございますとか、あるいは売買約定金額について申し上げますと、北海道穀物商品取引所が二十六年の七月に開所いたしまして、会員の数が三十一で、そのうち商品仲買い人が二十三、約定金額昭和四十一年度で申し上げまして五千六百四十四億三千五百万円、以下簡単に売買約定金額だけを申し上げますと、東京穀物が二兆五千七百八十四億二千万、名古屋穀物が一兆九百三十五億四千五百万、大阪穀物取引所が一兆九千百三十九億四千四百万、神戸穀物商品取引所が四千四百九十九億七千百万円、関門商品取引所におきまして、農産物砂糖とを含めまして六千四百九十億一千三百万、東京砂糖取引所が二千九百九十五億六千万、大阪砂糖が一千四百五十二億三千五百万、函館海産物がずっと下がりまして二十八億九百万円、横浜生糸が一兆六千二百七十六億七百万円、神戸生糸が一兆五千四百八十七億七千八百万円、豊橋乾繭が二千百六十七億八千八百万円、前橋乾繭が四百七十八億五千九百万で、これら十三の取引所の総体の売買約定金額を合計いたしますと、十一兆一千三百七十九億七千万円にのぼるわけでございます。
  6. 川村清一

    川村清一君 時間がごくわずかしかございませんので、ただいま御説明を願いました全品目についてお尋ねすることができませんので、私は二、三の品目について御質問を申し上げたいのでありますが、まず第一に水産物について取り上げたいと思うわけであります。水産物ではただいまの御説明によりましても、するめだけが取引所上場されているわけでございます。なぜ、するめだけが海産物の中で取引所上場されているのか。海産物を取り扱っている商品取引所函館海産物取引所だけでございますが、ひとつ函館海産物取引所現況とともに、するめだけを上場している、この理由をひとつ御説明願いたいと思うわけであります。
  7. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 函館海産物取引所現況を申し上げますと、これは私が先ほど申し上げました全国二十の取引所のうちで一番規模が小さく、会員の数で二十一大、そのうち仲買い人は十五人程度でございます。取引所取引はするめだけについて行なわれておりまして、年間の約定金額は、これも先ほど申し上げましたが、二十八億円程度でございます。これは取引は当業者によって行なわれております場合が多く、商いとしてはそれほど活発ではございませんけれども、ここで立てられます相場は、海産物業者ばかりではなくて、魚介等生産者、あるいは、食品の加工業者等実需者によって広く利用されておる状況でございます。これは、するめは生産量相当多いばかりではございませんで、商品としての性格が、保存もききますし、また、大量取引対象になるわけでございます。  それで、なぜ、するめだけが上場されていて、ほかの海産物上場されていないかという御質問でございますが、私ども取引所上場すべき、することが適当であります水産物がございますれば、上場いたすつもりでございますが、水産物の中でするめに次いで最も取引所上場品目として適当ではないかというふうに思われますコンブについて申し上げますと、これは、実際は上場はされて——形式的には上場はされておりますけれども、実際に取引がないということでございますが、コンブは、北海道漁連の手によってほとんど全部といいますか、九割程度集荷が行なわれていて、北海道漁連によって共同集荷、あるいは、共同販売ということが行なわれておりますので、実態として、取引所一定価格を形成して、それを目当てにして関係者が商売をするということが、あまり必要でないものでございます。さらに、その他の水産物として私ども一応考えておりますものは、たとえば魚肥でありますとか、あるいは魚油でありますとか、身欠きニシン等でございます。これらにつきましては、生産量がいずれもそう多くないということ、あるいは、品質が均等を期しがたい。これは、取引所商いをいたしますためには、品質一定であることが、最低の条件でございますから、いま申し上げました魚油とか、あるいは魚肥とか、身欠きニシン等につきましては、品質が均等でございませんので、なかなか取引所上場する品目になしがたい。さらに、これらにつきましては、保存性が十分でないという問題もございます。私ども水産、あるいは北海道水産業の今後の推移を見まして、取引所上場するほうが生産者、あるいは当業者等を含めて、関係者取引の安定に資するものでありますれば、上場品目をふやすことにやぶさかではないつもりでございます。
  8. 川村清一

    川村清一君 どうもいまの局長の御答弁を伺っても、私が、たくさんの海産物がある中でするめだけが特に取り上げられて、この商品取引所扱い品目に入れられて、上場されておるその理由が納得できないわけであります。局長は、そのほかにまだ上場することにふさわしい品目があれば上場して差しつかえない、やぶさかでないというような、そういう御答弁や、あるいはまた、ほかの品物数量が少ないとか、保存にどうも耐えないとか、あるいは品質が均等でないとかといったようなことを理由にあげられておりますが、どうも局長はあまりよく御存じないのではないかと、こう思うわけであります。するめは、もちろん北海道が日本の主産地でございます。したがって、函館海産物取引所で取り扱っているのだと思いますけれども北海道を主産地にしている海産物には、するめ以外に、まだたくさんあるわけです。するめ以上に生産額の多い品物もあるわけであります。いまお話もございましたが、全北海道の海岸から生産されておるものもあります。いまお話のありましたコンブなんというものはそれであります。さらに身欠きニシンもあります。スキミもございます。スケコのようなものもあります。あるいはまた、その他いろいろなものがあるわけでありますが、その数量にしても、コンブのようなものは、これはするめよりも何倍も多いわけです。  それから、品質が均等でないとおっしゃいますけれども、もちろん、コンブには銘柄もありますし、一等検、二等検、三等検とあるわけであります。同じようにするめだって全部これは北海道検査によって一等検、二等検、三等検、やはり、検査機関によって検査しておるわけであります。したがって、そういうするめと同じような条件品目がまだたくさんあるのに、このするめだけを特に取引所上場しておるその理由がわからないのであります。で、局長はまだ上場しても差しつかえない品物があるならば、入れてもかまわないと言いますけれども、そういうことを私は聞いておるのじゃなくて、一体、なぜするめだけを取り上げて上掲しておるのかということを聞いておるわけであります。で、申すまでもなく商品取引所機能というものは、公正な価格を形成する機関でございます。したがって、ここで上場されて形成されるするめの価格は公正である。そうすると、ここに、取引所上場されないで価格が形成されておるところのコンブであるとか魚かすであるとか、身欠きであるとかスキミであるとか、こういうようなものの価格一体公正でないのかどうか、これは逆論になりますが、ということにもなると思うのであります。取引所は公正な価格を形成する、そういう機能を持つ機関であります。したがって、ここできめられるするめの価格は公正である、こういう機関を通さないで形成されるその他の海産物価格一体、公正でないのか、こういう疑問もおのずから生じてくると思うのでありますが、これらの御見解はどうでございましょうか。
  9. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私、先ほど申し上げましたように、取引所上場いたします品目は、その商品性格からいって、上場品目として適当であるということと同時に、取引実態からいって、取引所に乗せる必要がある、あるいは関係業者から要望があるということだろうと思います。私ども別にするめだけに特別の執着を持っているわけでは毛頭ございません。それで、コンブにつきまして先ほど申し上げましたけれどもコンブは私は、性格的にいって取引所上場して差しつかえない品目だろうと思います。商品性格から申し上げまして。しかし、するめは北海道生産量の、年によって違いますけれども、それほど高くない割合の量しか北海道漁連が取り扱っておりませんで、業者の手による集荷が非常に大きいわけでございます。これに対しましてコンブは、先ほども申し上げましたが、九割程度北海道漁連が自分のコントロールの中に置いておるわけでございますから、北海道漁連が当業者価格の交渉をしてきめるわけでございますから、するめと違って、コンブ商品性格として上場して差しつかえないものでございますけれども取引の必要からいってコンブ上場してほしい、あるいは上場したほうがいいという御意見は実は、あまりないわけでございます。役所の立場で申し上げますれば、あくまで取引所上場される品目というのは、別に限定して、これだけでなくてはいかぬというふうには思っておらないわけで、商品としての性格が適当であるとともに、当業者取引所上場する希望を持っておるものでないと、これは上場品として認める意味もまた必要もないわけでございますから、この辺は私ども現在のところ、商品性格からいっても、あるいは取引実態からいっても、上場商品になっているものはするめであって、コンブは残念ながら上場はされておりましても、実際、取引対象になっておらない、取引実態がそれを必要としないということであろうと思います。
  10. 川村清一

    川村清一君 お話を聞いておりますと、コンブはその品物実態から言うと、上場をすべき商品ではあると、しかしながら上場してくれという要請がない、するめのほうはそういう要望があるのでと、こういうふうに受け取れるのでありますが、その辺がちょっと納得できませんので、さらにお尋ねしますが、するめはこういうことなんですよ、局長。するめはイカから生産される、イカから製造する——御存じですね。イカをとるのはこれは漁師ですよ。その原料であるイカをとるのは漁師である、生産者漁師であります。この漁師自家加工をしてするめをつくる、そういう地域もあるわけであります。特にイカに一番依存しておる函館を中心とする道南——渡島、桧山の地帯は、これは漁師の家族のいわゆる自家加工によってこのするめを製造するわけです。そうしてそのするめが単協を通じて、やはり北海道漁業協同組合連合会である漁連にこれが集荷されるわけであります。大体北海道の生産されるするめの六〇%はこの漁連集荷されるわけであります。それからもう一つは、場所によっては漁師イカをとってきても、その漁師自家加工によってするめの生産できない地帯があります。それはたとえば太平洋地域の釧路、根室あるいは日高のあたりは、夏イカのときには非常に霧がかかるわけです。したがって乾燥がよくできない、夏イカはするめにならない、こういう問題が一つあります。それから労働力の問題があります。コストがかかる、こういったようなことで、夏イカ等はこれはもうなま送りをするか、冷蔵庫に入れてしまう。それを買い込むのは、これは加工業者です。加工業者がこのイカを買って、加工業者がするめをつくるわけであります。そうするとするめを取り扱っているもの、するめを製造したものは一つには漁連かあり、一つには加工業者ですね——これは加工業者連合会があります。加工連というのがありますが、これは漁連はこの商社——これは漁連生産者代表となり、商社は必ずしもその消費者代表ではございませんけれども需要者代表です。これと話し合いをして、そうして売買取引の中において価格が形成されていくわけであります。それからこの加工業者の製造したするめの価格というものは、その加工業者商社との間で売買取引をして価格が形成されていっているのであります。これで別段不都合は感じておらないのであります。ところが局長お話を聞いておるというと、その取引所上場して価格を形成してくれという強い要請がある、そこで取り上げておるんだというようなお話なんでありますが、一体取引所にその品物上場してくれという要請生産者からきているのか、加工業者からきておるのか、商人からきておるのか、どういうほうからそういう要請があるのか。  それからコンブの話が出ましたから、コンブについて申し上げますが、コンブ局長が申されましたように、これは北海道沿岸全部コンブをつくります。これはまあ生産者漁師コンブをつくります。これは完全に漁連に一元集荷されます。そして一元集荷した漁連は、生産者代表となりまして、そうして商社話し合いをいたしまして、そうして価格を形成していく。これは全然取引所上場しておらないのであります。それで別段不都合を感じておらないわけであります。ですからコンブのほうについては、何も取引所上場してくれという要求はないと思うわけであります。一体このスルメを上場してくれという要求は、どの方面からあるのですか。それをひとつ聞かしていただきたい。
  11. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) するめは現実に上場されておりまして、また相当商いがあるわけでございますが、このするめの上場を現在やめてくれというふうな話は、私ども実は聞いてないわけでございます。当初、上場希望は、もちろん現物を扱う当業者人たちがおもでありましたことは、当然でございますけれども、私ども聞いております限りは、当業者ばかりではなしに、生産者のほうもするめの上場について、大きな反対なりあるいは不満の念を持たれたというふうには伺っておりません。現在もコンブお話いたしましたように、ほぼ全量漁連等の手によってコントロールされるような事態になりますと、これはするめの取引所における商いというのは、おそらく経済的にも無意味になるのでございましょうから、漁連力がかりに伸びて、過半と申しますよりもむしろほぼ全量を押えて、漁連の手によって共同集荷共同販売という形に行なわれますれば、それもするめもまたコンブと同じようなふうになるのではないかというふうに思います。ただいまのところ、当然要望というのは当業者でございますけれども、それをめぐって生産者のほうから、取引所上場されておるために非常にわれわれとしては困るという話は、伺っておらないわけでございます。
  12. 川村清一

    川村清一君 どうもまだ納得できないわけです。まあこれはコンブ一つの例なんですが、コンブだけではないのです。海産物魚かすもあるわけです。身欠きもあるわけです。スキミもあるわけです。スケコもあるわけです。まだたくさんあるわけです。それが取引されているのです。現に。ところが何も取引所上場されておらないのです。別段不都合を感じないで、きちっと売るほうと買うほうの話し合いでもって売買されて、取引されて価格が形成されて、それは決して不公正な価格であるとは言われておらないわけであります。その中からするめだけをなぜ上場しなければならないのか、するめだけはそうしなければ公正な価格が形成されない、こういう理由が私にのみ込めないわけであります。先ほど局長は、やめてくれという要請一つもないという、こういうお話でございました。それはまあそれを上げてくれという要請もないかわりに、やめてくれという要請もないのかもしれません。まあこれは関係者でない私が、むしろここでやめたほうがいいのではないかと、こう申し上げたい。なぜかならば、いままで言った理由で、ほかのものは全部ないわけですから、しかもいま最初の御説明によりますれば、この農林省所管取引所は十取引所あります。十取引所のうち水産物を取り扱っておるのは函館一つであります。しかもするめの出来高というものはわずか二十八億九百万円、ほかのほうは一兆という単位です。ところがここは二十八億九百万円、わずかこれだけなんですあります。したがって私に結論を言わしていただくならば、不必要でないかもしれないが、たいして必要なものでもないのではないか。人間のからだの器管にたとえてみれば盲腸のようなものでないか、これは。あってもなくてもたいしたものではないか。だとすれば、函館の、これもいただいた資料でございますが、海産物取引所には仲買人が十五、営業所を含めると三十九、商品外務員もわずか二十四と、こんなような状態でございます。むしろまぎらわしいからやめられたほうがよろしいのではないかと思いますが、その点、農林大臣の御所見をひとつお伺いしたい、こう思うわけです。
  13. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 各地の取引所は、御存じのようにいろいろ沿革もございまするし、取引は非常に小さいですけれども函館もかなり前からございます。そこで円滑に取引が行なわれておるから、いまお話しのように多くのものが漁連集荷されておりながら取引が円満に行なわれておるのであると思いますが、ただいまのようなお話もございますので、なおわれわれのほうでは、当該関係者と相談をいたしてみたいと考えております。
  14. 川村清一

    川村清一君 次に、問題を前に進めてお尋ねしますが、農産物価格安定法の対象品目であるバレイショでん粉またはカンショでん粉、それから大臣なたね交付金暫定措置法の対象品目である大豆、糖価安定法の対象品目である砂糖、これらの品目商品取引所上場しておる理由は何であるのか。これはやはりここも疑問があるわけであります。と申しますのは、これはもういろいろ制度的に価格というものが、これは生産者価格でございますが、基準価格あるいは保証価格といったようなものである程度保証されておりますし、そういうものを基礎にしてまた市場価格も形成されておる、こういうふうにも考えておりますので、特に先ほどおっしゃった資料に基づきますというと、膨大な数量が取り扱われまして、膨大な約定金額があげられておるわけでございますが、こういうところにも問題があるじゃないか。これは農林委員の立場からいえばそう考えられるわけでありますが、この点ひとつ納得のいくように御説明願いたいと思います。
  15. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) いま御指摘になりました大豆でございますとか、あるいは砂糖でありますとか、食管制度における米とか麦とかとは違いますけれども、いろいろな形で行政庁が価格についてある程度のコントロールをしておる価格でありましたり、あるいは農家の所縁水準でありましたり、形としてはいろいろございますけれども、たとえばアズキのように完全な自由な品物でないことは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、国が何ほどかの行政的な措置を講じておりますから、価格の幅というのはそれほど大幅に動くということは、これもまた完全な自由商品に比べて少なかろうと思います。しかし、大豆あるいは砂糖にいたしましても、価格をぴっちり一つの線できめるということではございません。大豆等で申し上げますれば、いまお話にございましたように、政府は市価と基準価格との差を交付金の形で農家の所得を補給するということでございますから、そこにおいても、取引所というような機構を通じて適正な価格の実現にプラスになるならば、私は取引所取引の意味はあるというふうに思います。ただ、完全に自由な商品に比べれば、取引所機能というものはそれだけ少なくなっておるというのが、実情でございます。
  16. 川村清一

    川村清一君 時間がございませんので、それをまた長くやっていると時間がなくなりますので、次のアズキにひとつ移さしていただきます。  きのう農林省から実は資料をいただいたわけでありますが、この資料は、昭和二十七年から昭和四十一年までのアズキ、大手亡、豆、こういう雑穀類の作付面積、収穫高、これを北海道北海道を除く都府県、全国、というふうに数量をあげた一覧表をいただきました。それからあわせて取引所における出来高をずっと記入していただきました。そうして実際の収穫高とその出来高をこう比較いたしまして、取引所における出来高というものは、実際の収穫高の何倍くらいになっておるのか、その倍率を調べてみたわけであります。ところがこれは三十五年から申し上げますが、三十五年は、これは全国集計でございますが、収穫高は十六万九千七百トン、これに対し出来高は四百二十万九千八百九十七トンで、二十六倍であります。こういう勘定で、ずっと倍率をやってきますというと、三十六年が五十二倍、三十七年が三十二倍、三十八年になっていきなり百十四倍とはね上がり、三十九年が九十九倍、四十年が八十一倍、四十一は収穫高が九万二千八百トンに対しまして取引高の出来高は千四百六十八万二千五百七十四トンで実に百三十六倍という、こういう、ちょっと常識的に考えられないような異常な増加であります。大手亡も同じであります。  そこで、私がお尋ね申し上げたいのは、これらにつきましては、商工委員会でも相当深く堀り下げられたようでございますのでこれは触れませんが、私がお聞きしたいのは、三十七年を境にして三十八年から何でこんなに一ぺんに飛び上がったのか。三十七年は三十二倍、三十八年になって一ぺんに百十四倍、それから九十九倍、八十一倍、百三十六倍、こういうふうになってきた。このひとつ理由を明らかにしていただきたいと思います。
  17. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 最近になりまして、アズキ取引所における取引高が非常にふえました理由としては、いろいろあるわけでございますが、一つは作柄の豊凶によって、現実に現物の相場が動いたということもございましょうし、それからある時点において株式市場が沈静をいたしまして、いわば投機に使われる資金が商品市場に乗り込んできたという事情もあろうかと思います。あるいは、今度の法律改正でお願いいたしておるわけでございますが、商品仲買い人なりあるいは外務員が、アズキを買えば必ずもうかる、絶対御損はさせませんというような形で不当に勧誘をして、全然商品市場についての知識のない人を大量に誘い込んだということも私はあろうかと思います。
  18. 川村清一

    川村清一君 ですから、三十七年を境にして三十八年に至って急に三十二倍から百十四倍と四倍、三十二倍の四倍ですね、こういうふうにはね上がった理由は何か。何かこの三十七年から三十八年には、突然異変でも起きなければこういうことにならないわけだと私は思うわけです。いま局長の言われた御答弁は一般論であって、こういうことはどこにでも当てはまるように聞こえるわけです。この年に、三十七年を境にして三十八年でこういうふうにはね上がったのは、何か特別な理由があったんですかということをお尋ねしておる。
  19. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私が申し上げましたのは、必ずしも一般的な議論ではございませんで、その当時のアズキ市場の大勢から申し上げて、私の申し上げましたように、株式市場の鎮静でございますとかあるいは仲買い、外務員が猛烈に活動を開始した年にもほぼ当たっておりますし、また相場が相当変動して実際もうけた者もいて、それに引きずられて商品市場に入ってきたという者も多い。そういういろんな事情が重なり合って、いま御指摘になりましたようなそういう事態が出てきたというふうに考えております。
  20. 川村清一

    川村清一君 それではこういうことですか。一時非常に株式ブームがあったわけですね。ネコもしゃくしもみんな株々といって株に飛びついて株をやった、いわゆる大衆投資が株に向けられた時代があります。株がもうだめになった、株が衰微した。そこで株にいっておったその大衆投資というものが、これがそのままの形でそっくりいわゆる赤いダイヤということでアズキに飛びついてきた、こういうことと、もう一つ仲買い人や外交員がいま言われたようなうまいことを言ってそうして勧誘をした、そういうことによってこういう傾向になったんだ、こういう意味でございますか。
  21. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども不当な投機が取引所で行なわれることは避くべきであるというたてまえから、この改正法案で相当きびしく取引の規制をいたすつもりでおるわけでございますけれども、実際の問題といたしまして、投機に使われる金が株式市場から相当商品市場に移った、あるいはこれはただ商品市場ばかりではございませんで、人によっては競馬、競輪等々にいく場合もあるわけでございますから、直に株式市場が衰微すればそのまま商品市場が栄えるということでもございませんが、私はこのころの商品市場、特にアズキ取引が異常にふえました背景には、私の申し上げたような事情があったというふうに考えております。
  22. 川村清一

    川村清一君 通産大臣にお尋ねしますが、商品取引所というものは、この取引所法に明示されておりますように、その機能というものは公正ないわゆる価格を形成するためにそういう仕事、任務を果たすために存在しておるものである、こういうふうに解釈してよろしいのですね。
  23. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) おっしゃるとおりであります。
  24. 川村清一

    川村清一君 これはまことに素朴なものの考え方、経済学の全く一年生であるかもしれませんけれども価格というものは、原則的には需要と供給の関係で形成されるものである、これが原則である、かように私は考えておるわけであります。したがって、アズキ価格というものは、アズキをつくった生産農民とこれを必要とする需要者との間で売買取引されるその過程で価格が形成されることが最もよいものだ、またそれが原則であろうと私はそう考えておるのであります。しかしながら、一カ所においてアズキが生産されるものでもございませんし、日本の相当広い地域の中でアズキというものが生産されますし、それをほしい業者も一相当広い地域の中に存在しておるわけです。そしてまた、アズキそのものの作物の性質といたしまして、天候の関係で豊凶の波が非常に激しい。それに価格の変動もきわめて大きい。したがって、多数の利用者をその価格形成の間に参加させることによって、より公正な価格を形成させるということの必要も、私は理解ができないこともないわけであります。また先物取引をするものでございますから、その中においてヘッジすることによって、危険を少なくしていく、こういうことの必要も私は理解できないこともないわけであります。しかしながら、それが理解できるとしても、この商品取引に何らの関係もないただ単に投機のみが目的なそういう大衆をかり立てることは、一体健全な行き方なのかどうか。いわゆる商品取引所というものの本来の趣旨からいって、これは正しいのかどうか。いま申し上げましたように生産量の百十四倍の出来高、これは何も品物のほしいものが買っているものでも何でもないわけです。品物に全然関係のないただ売った買ったのそういう投機市場で、そのことによってさやをもうけようというそういう取引、これは一体取引所法の本来の趣旨に合っているのかどうか、はなはだこれは疑問なんでございますが、これは通産大臣の明確な御見解を私はこの際聞いておきたい。
  25. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) お話しのとおり、そういうケースは、決して取引所の設立の本来の趣旨に沿っておるものではございません。そこに投機性が私はあったと思うのでありますが、問題は多少取引所取引には投機性を含んでおりますが、それが少し過度になる場合には、これは取引所法でいろいろ証拠金を増徴するとか、あるいは取引所を停止するとか、これを抑制しておりますが、過度にならぬ程度においては、投機性というものはやむを得ないと、こう私も考えております。
  26. 川村清一

    川村清一君 これは資本主義の経済機構の中でやることですから、私どもが反対だとかりにぶち上げたところでこれはやめられないんですが、その点は認めざるを得ないでしょう。ですが、そういう行き過ぎたばかげたことは、これは行政的に規制していただかなければ、私は非常に困るんです。そのことがいわゆる生産農民に大きな影響を与えておると私は考える。  こういう立場からこれから農林省にお伺いいたしますが、この品目の中ではアズキが一番こういうことが顕著なんですが、そこでアズキはその作付面積におきましても収獲高にいたしましても、北海道は他の府県に比べて圧倒的に多いわけであります。すなわち北海道アズキの主産地であります。北海道でもその中の十勝地方という一つの地方が、北海道の中におけるまた主産地でございます。ところが御承知のように、一方北海道は四年間に三年冷害を受けておるというような地域でもございます。冷害から解放される農民を確立するということが、北海道農政の最大のこれが柱でなければならないわけであります。ところが、豆類は冷害にきわめて弱い作物であることは、御承知のとおりでございます。こういう北海道では、冷害に弱い作物はできるだけやめるような方向に指導していかなければならない、こういう方向に思考しておるわけでありますが、一体農林省といたしましては、このアズキというものを、北海道における奨励作物として考えられておるのか、それともあまり好ましくない作物と考えられておるのか、この点はどうなんですか。園芸局長いらっしゃいますね、ひとつ御答弁願います。
  27. 八塚陽介

    政府委員(八塚陽介君) ただいまお話にありましたとおり、アズキ、特に菜豆のほうはもっと北海道のウエートが大きいのでありますが、単に作付面積の比率以上に商品化という点から申し上げますと、北海道のウエートはきわめて国内産のアズキに占める地位は大きい、むしろ大部分であるといっていいわけでございます。かつ一方、アズキそのものの需要は、やはりかなり年々着実にふえておりまして、昨今はお話にありましたとおり、三年の冷害で、かなりな程度国外から輸入をしてその需要を満たしておるという状況でございますから、アズキ作そのものは、やはり日本においてはまだ需要のある作物である。ただ、価格その他の関係もございます。ただ、たとえばやはりお話がございましたとおり、十勝地方においては、約五〇%程度の作物比率になっております。そうしまして、もちろんそういう比率になりました理由といたしましては、やはりあの地帯におけるある意味で適作物である。比較的経営面積が広く、かつアズキのほうは一方手のかからない作物であるというようなことで、また土壌その他の関係からいいましても、それなりの理由はあるわけでございますが、やはり冷害に弱い作物であるという点から言いますと、バレイショであるとかあるいはビートであるとか、あるいはその他の、同じアズキの中でもむしろ菜豆のほうがやや冷害に強いというふうな観点から言いますと、現在のような豆類について五〇%程度の比率になっておるのは、私どもとしては好ましくないというふうに考えておりますし、北海道庁においても、もちろんそういう線で考えておられるわけでございます。したがいまして、奨励するのかしないのかという点から言えば、国全体としては、外国産品との価格の問題がございますが、まだほしい。しかし、北海道のあの地帯において作付をいま程度の五割にしておくという意味から言いますと、もっとふやせと言うべき筋合いの作物ではないというふうに考えております。
  28. 川村清一

    川村清一君 いただいた資科を見ますと、これは昭和二十七年から昭和四十一年までなんですが、この資料のうち、北海道の冷害というのは、私の記憶では昭和二十八年が冷害、二十九年が冷害、昭和三十一年が大冷害、昭和三十九年が冷害、昭和四十一年は未曽有の大冷害、こういうことになっております。したがって、昭和二十八年には収穫荷はずっと減っております。二十九年もずっと減っております。こういう年は——三十年は作付面積も若干減るわけであります。で、三十一年にはまた大冷害でもって、収穫高が前年の半分以下に減りました。そうしたところが、三十二年には作付面積はうんと減ったわけであります。ところが三十三年、三十四年と、これはもう人間の弱さで、のど元過ぎれば熱さを忘れるで、また三十五、三十六、三十七あたりから大体、さっき言ったあれに、三十七年あたりからまたあおられて、ずっと多くなっている。三十九年は冷害でもって今度は収穫高は前年の三十八年の半分以下にぐっと減っておる。そうしたら四十年は作付面積がこれもまたずっと減りました。そして四十一年の大冷害でもって、収穫高が今度は大減収になりましたので、おそらく四十二年、ことしはまた作付面積が減っていると思う。四十二年の資料がございませんから、これは的確に申し上げられませんが。この数字によって判断しますというと、農民の方もそれは危険作物である、なるべくはこれはやめたほうがいいというように、これはやはり反省して考えておられるのではないかと、私はそう考えている。特殊な人は別として、一般にはそう考えられているのではないか。そうしてまた、北海道庁あたりの行政指導も、そういう方向に指導されていると私は考えているわけであります。ところが、なかなかそういかないところに問題があるわけであります。ただいまのお話もありますが、需要があることも確かであります。ですから全然やめろということはできないわけであります。しかしながら、北海道の農業の確立はやはりこの適地適作主義によって寒地農業の確立でなければならないと思うわけであります。米をつくって危険な地域は、なるべく米づくりはやめるとか、畑作においてもなるべく危険度の高い作物の耕作はやめる、そうしてやはり酪農、ビート、バレイショをつくっていく、こういったような方向に農業経営を指向していかなければならないと思うわけであります。このことは、農民自身も理屈としては知っていると思うのであります。しかし実際はこれはできない。なぜ一体できないのかというと、農林大臣よくひとつこの点をお聞きしておいていただきたいと思うのでありますが、あるたんぼで冷害のために米が一つもとれない。こういうことは絶対ありませんけれども、これはたとえばの例ですが、ところがここに畑がある。この畑はビートやそれからバレイショは平年作であった。こっちは収穫皆無、こっちは平年作であった。ところがこっちのほうには、お米のほうには農業共済がある、農業共済で救済される。そこでお金をもらう。こっちのビート、バレイショの平年作で入ってくる収入と、農業共済から入ってくるそのお金の収入で、これがとんとんだというのです。大体同じだというのです。こういう私どもには理解のできないような農政が行なわれているところに、危険であると知りながらも、これは米をやめるわけにもいかないと思うわけでありますし、それから豆はあぶないと思いましても、もしも凶作で三分作になれば、価格が前年度の四千円が一万円にはね上がる、倍以上になるというようなことで、むしろ凶作を予想しながら豆をつくる、こういうようなことも実際に行なわれている。でありますから、酪農はやっても、それは牛乳の価格の問題やビートやバレイショの価格、あるいは農作物の共済、こういうものが非常に不徹底、あるいは全然考えられておらない。こういうところに北海道の農業、いわゆる寒地農業を確立しようとして幾らこの行政指導をしても、農民自身も理屈としてはわかっておっても、実際にできないところがあると思うのであります。こういうのが北海道の農業の実態であると思うのでありますが、一体こういう点につきまして、農林大臣どうお考えになられますか。農林大臣の御見解をひとつお尋ねしたい。アズキの問題と関連して。
  29. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 北海道は、いまお示しのように冷害をしばしば受けております。まあいろいろな学者たちが申しますには、やはり冷害というものがたまに来るというよりも、恒常的に来るという考え方のもとに、それに対応できる耐冷作物をつくっていかなければいけない。したがって、川村さん御承知のように、稲作等におきましても、それに対する種子の改良について、農林省も非常に努力をいたしておることは、御存じのとおりでございますが、ただいま園芸局長からも申し上げましたように、私どもは道庁を通じまして、耐冷作物になるべく置きかえてまいるようにということで、指導をいたしておるわけでありますが、やはり北海道のような地域については、今後ともそういう耐冷作物の確保ということに力を入れてまいる、こういう考え方でおります。
  30. 川村清一

    川村清一君 結局アズキというものが取引所においていわゆる投機熱にあおられておることが、この耕作農民もアズキから脱却できない状態である、これが一点。もう一つ、私といたしましては非常に憂慮にたえないのは、耕作しておる農民自身が、この投機に手を出している。アズキをつくるだけではない、アズキ生産者であってそうしてこれは投資家である。投機をやっておる、こういう問題。それからも一つアズキをつくっておる農家にも、もちろん零細な農家があるわけであります。ところが、この辺がどういうことなのか、私には農協の仕事をしておらないのでよくわからないのでありますが、わりとビートをやったり、酪農をやっておる農家で金持ちの農家というものは、あまりいないですね。ところが豆をやっている農家には金持ちがいるのです。こういう危険な作物をつくっている、豆をやっている農家には、農協あたりに相当な貯金をしておる農家がおるわけですね。そうしてこの力のある農家が豆を買い集めるわけです。自分が売るだけではない、そういう零細な力のない農家から豆を買うんですよ。そういうこともあるということを、私は聞いておるのです。(「たまにはある」と呼ぶ者あり)ここに専門家がおりますが、たまにはあると言うんですよ。こういうことがあるということは、私は非常に憂慮にたえないとこう思うわけです。こういうような傾向が出るということは、たいへんなことだと思うのでありますが、こういう事実がもしあるとするならば、農政の責任者としての農林大臣として、一体どういうお考えを持っておりますか、御見解を承りたい。
  31. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は出身は長野県でございます。私どものほうでも、つまり、養蚕や製糸をいたします者の中には、いまお話しのように、農業として養蚕、製糸に関係するだけでなくて、現物を持って取引所に出動する場合は、非常に力強いわけでございますが、単に証拠金だけで、いまおっしゃっておられるような投機をやっている場合には、がたが来たときに参ってしまうわけであります。力を持って現物をかかえておれば、そのときに参らないで済むわけでございます。したがって、私はそういうようなことがいまの社会にある程度行なわれるということは、どうも現実のことでございまして、やむを得ないことではないかと思いますが、そこで今般の取引所改正案のような制度の考えが出てまいるわけであります。私はやはりいまの社会で、先ほど経済局長も申し上げましたように、ひところの株式ブームが、現在は、こういう商品取引のほうに向かってまいる。しかも、取引所の話を聞きますというと、家庭の主婦たちがわずかな金をもって出動しておられるのは、ちょうど株式投資ブーム時代をほうふつさせるものがあるようであります。そういうものに目をつけて、とかく多くの善良な人人に迷惑をかけるような仲買い屋が出てまいりますので、これをひとつそういうことのないようにやってまいりたいというのが、今般の法改正のねらいでありまして、米穀は昔はあってもいまはなくなりましたが、私はやはり農作物等について過度の投機が行なわれるということは、さような意味において弊害がございますので、やはり先ほど通産大臣のお話にもございましたが、証拠金を上げるとか、いろいろな規制をいたしまして、正常な取引が行なわれるようにつとめてまいらなければならぬ。なかんずく私ども農林省といたしましては、農作物を目当ての過度の取引が行なわれないように警戒をしてまいるつもりであります。
  32. 川村清一

    川村清一君 それでは、最後に通産大臣にお尋ねいたしますが、本法の改正案は、あくまでも委託者保護と仲買い人の経営を改善し、取引を健全化するのがねらいである。こう言っておりますが、このお客さんと接する第一線は、仲買い店の外務員だ、その外務員の給料は固定給が少なく、ほとんどが歩合制である。こう聞いておるのでありますが、もしそうであるとするならば、どうしても注文を多く取ろうとするのは当然であります。ですから、ぜひもうかるから買いなさい、ぜひもうかるから私にまかせてください、こういう甘いことばで誘う結果になるだろうと思うわけであります。これが最大の紛議を起こす種をつくるもとであろうと、こう私は考えておるのであります。そこで、仲買い店における外務員の給与体系の合理化につきまして、適切な指導をなさる御用意があるのか、何か方策があるならば、それをひとつお聞かせいただきたい、こう考えます。
  33. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) お話しのとおり、勧誘員がいろいろうまいことを言うて無知の大衆を勧誘しておることは、事実であります。それは給与関係にも原因しておると思いますが、そこで今度の法律改正によりまして、結局取引所というものの権威を高めるということが目的で、それは要するに仲買い取引人の資格を厳重にして、免許制にするとか、あるいはそういう外務員に対するこれをいろいろ取り締まるとかいうふうなことによって、人々が安心して取り引きのできるというようにすることが眼目でありますので、そこでいまお話しのとおり勧誘員などの給与の制度によって、そこにいろいろ不正な取引が行なわれるというようなことがあるという危険も考えられますので、今後取引員、仲買い人に対してそういうような勧誘員に対するそういう給与制度というものについては、これはひとつわれわれのほうでもよく行政指導して、そうしてそういうような不正行為の起こらぬように、できるだけ強く行政指導いたしたい、こう考えております。
  34. 川村清一

    川村清一君 まだいろいろお聞きしたいこともありますけれども、私に与えられた時間が終わりましたので、これで質問を終わります。
  35. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を始めて。
  37. 北條雋八

    北條雋八君 私は時間も四十分でございますから、散発的にこの問題につきましてしぼって伺いたいと思いますが、まず取引所の構成員につきまして伺いたいと思うのですが、取引所会員の中には全然取引をしていない、売買をしていないものがおります。仲買い人とただの会員の割合がどのくらいになっておるものですか、まずその点から伺いたい。
  38. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 会員仲買い人との比率の御質問だと思いますが、仲買い人というのは会員資格を——会員であるものが特別の今回の改正によりましては許可を受けて仲買い人になる、こういうことになっております。現状は会員のうち三分の二が仲買い人、こういう実情でございます。
  39. 北條雋八

    北條雋八君 売買の業務をしていない会員がいるわけですね。何かこれは定員がありまして、その定員の中でそういうあるいは味の素とかああいうような会社が会員になっておって中へ入り込んでおります。そういう定員がきまっておって、そうしてそういうものと仲買い人との割合がどういうふうになっているのですか。私しろうとでわかりませんが、そういうことを聞きましたので伺いたい。
  40. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 御質問の趣旨は、取引をしていないという御趣旨の意味は、現物取引をしていない業者、こういう意味だと思いますが、現在の会員の中には、いわゆる委託を受けまして、それで現物取引でなしに先物の売買取引をやっておる人が会員になっております。これがいわゆる専業仲買い人という部類でございます。現在の会員の中にはおりますが、もちろんこれは委託を受けて現物取引はいたしておりませんが、取引所における売買取引はいたしておるわけでございます。全然そういうものをしないという会員は現在のところおりません。そういうようになっております。それからなお先ほど申し上げましたように、会員仲買い人の比率は、会員のうち三分の二が仲買い人の資格を持っておる、こういうことでございます。
  41. 北條雋八

    北條雋八君 そうしますと、売買を全然しないものが会員になっているということはないですか。
  42. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 現物取引はいたしませんが、取引所取引、いわゆる先物取引、こういうものはすべての人がやっております。そういうことを全然やっていないというものはございません。そういうものは会員から脱落していく、やめていく、こういう形になっております。
  43. 北條雋八

    北條雋八君 それならよろしいのですが、ただそういう売買取引しないものが相当たくさんおるということは、どういうふうな意味かわかりませんが、そういうものは無用の存在だから、ほんとうに役割りを果たす会員と置きかえていくほうがいいのではないかと思ったので伺ったわけです。それはそれじゃその程度にしておきます。  次に、取引所の公正な維持についての問題を伺いたいと思いますが、取引所の維持資金、これはどういう資金によって維持されておるか、その点を伺いたいと思います。
  44. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 会員は御承知のように、定額あるいは定率の会費を納めなくてはならない仕組みになっております。それと取引所のいろいろな面の利子収入、そういうもの、主としていまの定率、定額の会費収入でございます。そういうもので取引所の経費をまかなっております。
  45. 北條雋八

    北條雋八君 会費に定額の会費とそれから定率の会費とあるということを聞きましたが、そのことを伺ったのですが、その使い方によって、その率によってたくさん使うものはよけい会費を出す、使わないものはつけないという定率の会費と、それから定額の二通りあるのでしょう、その点、どのくらいの割合ですか。
  46. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 現在取引所の経費を一〇といたしますと、定率収入によりましてそのうちの八をまかなっております。定額収入によりまして残りの一割それからさらに利子収入によって残りの一割、こういうことになっております。
  47. 北條雋八

    北條雋八君 この八割が定率会費で、定額会費は二割というわけですか。
  48. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 定額は一割でございます。
  49. 北條雋八

    北條雋八君 ほとんどの大部分が定率会費によってまかなわれているということになるわけですが、そこで伺いたいのは、この定率会費が圧倒的に多いということは、これで公正な維持管理ができると思っておられるかどうか、その点をお伺いしたい。
  50. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 取引所の経営が定率の会費に依存するという形は、これは過当な勧誘を誘発したり、いろいろな面で問題があろうかと思います。それと同時に、取引所の経営といたしましてもやはり不安定でございます。そういう意味合いにおきまして、現在はそうなっておりますが、私どもとしてはこの定額収入、そういうものをふやす方向で今後指導してまいりたい、かように考えております。
  51. 北條雋八

    北條雋八君 その点で、私はその定率によりますと、ある特定のものがほとんど独占的に使うといいますか、そういう弊害がありまして、そうなっていきますと、何といいますか、その店の人気があるためによけい使うとは考えられない場合があるので、この例といたしまして、前橋である事件が起こったことがあります。それは一業者取引量の全体の八割くらいを占めておりまして、そうして非常に独占的に商売をしている。それは、先ほども言いましたとおり、非常によくて、信用度が高くてその店が繁盛したのではなしに、不当な勧誘をしたり、あるいは過当な競争といいますか、そういう弊害を巻き起こしまして非常に混乱をさせて、一般のものが取引所を公正に利用するという道をふさいでしまうという弊害がありますので、そういう点について、政府として今後会費制度の、特に定率会費というものを改めて、定額なら定額一本にしたほうがいいのじゃないか、こういうふうに思いますが、その点大臣のお考えいかがですか。
  52. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) いまのお話しのとおりそういう弊害も起こり得ると思いますが、そこで一個人が取引所取引をじゅうりんするという危険も、そこに起こり得ると思います。そこで、これからはやはり定額会費をふやすということでいくべきだと思うのでありますが、お話しのとおりひとつせいぜいそういうふうに今後指導していきたい、こういうふうに思っております。
  53. 北條雋八

    北條雋八君 次に、今度、法案がそういう点も非常に心配されて改正になったと思いますけれども、現行のもとにおいても取引所の存在意義といいますか、そういう点につきまして、これも聞いたことでありますが、最近神戸生糸大阪の繊維を扱っておる業者東京に店を出したということを聞いて、問題になっておるようでありますが、この点につきましては、監督官庁として認可を与えたわけですが、これは前の法律においても監督不行き届きというそしりは免れないと思うのです。全然東京には関係のない営業者東京に店を出したということは、どういうふうに思われますか。
  54. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 御承知のように、従来の支店の設置あるいは従たる営業所の設置等は届け出制でございまして、今回の改正におきましては、御指摘のような問題もございますので、これを許可制にするわけでございますが、いまだ届け出制でございますので、そういうケースがあったということは認めざるを得ないと思います。今後はそういうことは、必要以外の支店が設置されるということはなくなる。それで、今後許可制にあたって、どういう運用をしてまいるかということでございますが、大阪仲買い人が、東京にも仲買い人がおるわけでございますから、東京に支店を設けてさらにいま以上の過当競争をする、あるいは委託者の勧誘をやるというようなことは、これは規制していくべきだ、かように考えておりますので、今後は許可制の運用によりまして、そういう弊害がないようにつとめてまいりたい、かように考えております。
  55. 北條雋八

    北條雋八君 それは、いままでは登録制だから責任はないのだと言われますけれども、しかしまあ、結局認可はするわけなんでありますから、ともかく監督不十分のそしりは免れないと思うのです。全然東京関係のない神戸生糸大阪の繊維を扱っているものが東京に店を出すということは、これはもう全く取引所の存在の意義が無視されていることになりますから、そういう点は十分監督していただきたいと思います。  なお、それに関連しまして伺いたいのは、大阪取引所とそれから神戸取引所と、同一経済圏の中に二つ取引所がありますが、これは大阪神戸は、その当時と現在とは多少事情も違いましょうけれども、これを許可されたのはいつごろでありますか。またほとんど時期は同じなんですか、伺います。
  56. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 大阪穀物取引所は、二十七年十月に設立をいたしたわけでございます。神戸穀物商品取引所も、同じ時期の二十七年十月でございます。これは、神戸穀物商品取引所商いは比較的少なくて、経営状態が率直に申し上げましてそうよくございません、大阪のほうに比べまして。それで、神戸については大阪穀物商品取引所と合併してはどうかという御意見も、実はあるわけでございますけれども神戸は昔から伝統がございまして、古くから雑穀の輸入港で、現物の業者も多く集まっておりまして、現物の取引が現在でも相当活発に行なわれておるわけでございます。  神戸穀物商品取引所はこれを地盤にしてつくられたものでございますので、現地としては経営は決してよくはございませんし、また取引高においても多くはございませんけれども、何とかして伝統のある取引所を守ろうという意見が、会員なり仲買い人の間に非常に強いわけでございます。私ども取引所取引が適正に行なわれますためには、取引所の経営が健全であることが一つの重要な要件でございますから、方向といたしましては経営が必ずしも健全でない商いが、また活発でない取引所は、他のものと合併さすことができれば、それは望ましいことであろうというふうに思っております。方向としてはそういう方向で考えることがよかろうと思いますけれども、いま申し上げましたように、神戸にそれなりの伝統がございますので、お役所としていきなり二つを一緒にするというふうに強く働きかけるわけにもまいりません。取引所は自主的な会員の組織でございますので、しばらく様子を見ようというつもりでおります。方向としては二つを合わせることも一つのいいことではないだろうかというふうに思っておるわけでございます。
  57. 北條雋八

    北條雋八君 神戸大阪で相場が違うということは、何だか複雑にますますなってきますし、将来はこれは一緒にするというお考えがあるかないか。この点もうちょっとはっきり伺いたいと思います。  それからもう一つ何か神戸ができたときには、特殊の事情があったように聞いておりますが、そういう点はないのでしょうか。何か雑豆の輸入かなんかと関係があったように聞いておりますが。
  58. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 神戸大阪の合併の問題は、私が申し上げましたように、方向としては私は望ましい方向だと思います。将来の問題として、しばらく取引所——これに役所が別に合併すべきであるとか、合併しなさいと言うわけにもまいらない組織でございますから、しばらく事情の推移を見きわめたいという考えでございます。  それから神戸大阪取引所で値段が違うということは、これは実際問題としてほとんどございません。さらに神戸穀物取引所ができますときに何か特殊な事情があったかというお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、地元の現物業者が非常に熱心に取引所の設立を希望したという以外、特別な事情はございません。ただここに設立を認めましたといいますか、ここに設立がなされましたことの一つ理由といたしましては、戦前に神戸穀物穀肥取引所穀物と肥料の取引所が開設されておりましたということも一つ理由ということは、つけ加えて申し上げます。
  59. 北條雋八

    北條雋八君 次に、この取引所の監督の問題について、ちょっとお伺いしたいと思います。が、これはあちこちいろいろ事故がありますが、神戸の仲買い店で倒産したときに清算したところが、八億もの赤字が出たということを聞いております。監督官庁としましてはこれはそんなばく大な赤字があるまで全然気がつかなかったのか。これは報告はとっておることと思いますが、その原因といいますか、それについて説明をしていただきたいと思います。
  60. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) おそらくソーワという店であろうかと思います。これにつきましては、私ども実は検査をいたしまして、検査をいたしましたところ、経営あるいは取引の内容について相当遺憾な点がございましたので、営業停止処分にいたしたことがございます。その後経営の再建について、相当会社としても努力いたしたようでございますけれども、残念ながら倒産をいたしたわけでございます。それで、たしか債権者に対する迷惑は六億ないし七億ぐらいであったかと思いますが、実は役所も相当仲に入りまして迷惑を受けた人たちと、東京及び神戸穀物取引所との間でいろいろ話し合いをいたしまして、相当な金額を東京及び神戸取引所から見舞金として出すことにいたしまして、大体落ちつきかけておる状況でございます。
  61. 北條雋八

    北條雋八君 この監督につきましては百二十条で立ち入り検査のできることになっておりますし、この事件に対してふしぎに思うのは、検査何回ぐらいやったのですか。全然立ち入り検査というものはしなかったのでありますか。
  62. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども検査いたします場合は、当然店へ乗り込んで、帳簿その他の書類を検査いたすわけでございます。その検査の結果、先ほど申し上げましたように取引所法上遺憾な点がございましたので、営業停止処分にいたして、その改善につとめさしたわけでございますけれども、ついにいままでの無理が重なって倒産することになった次第でございます。
  63. 北條雋八

    北條雋八君 もう検査したときはすでに手おくれだということでありますか。この純資産額の報告というものは、これはちょいちょいやらなければならないことになっておりますが、その点は全然しなかったわけですね。
  64. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 純資産額に関する報告は、私ども三カ月ごとに仲買い人からとっております。ただ報告でございますから、相手が欠損その他を隠そうとすれば、隠す方法もございますので、私ども、その報告を詳細に検討いたしますと同時に、いろいろうわさがあるというと語弊がありますけれども、経営上多少不安に思えるところの仲買い人を抜き打ち的に検査をいたしまして、その検査結果に基づきまして、違法な行為がありますれば、営業停止なりあるいは厳重な戒告ということを現にやっておるわけでございます。
  65. 北條雋八

    北條雋八君 いずれにしても非常な監督が不十分だという結論になりますが、今度は、この法案ができましたら、そうその点を注意してやっていただきたいと思います。  次に外務員について、先ほど川村委員からもお話がありましたが、この外務員というのは、非常にこれは委託者からすれば重大な責任を持っているものでありますが、特にこのごろは無知な女、こういう一つの流行で主婦などがやはり売買をするというような、無知な者相手に折衝する外務員でありますから、外務員に対する教育というものは、非常に必要だと思うのです。それで、現在の外務員は、わずか三日か四日講習を受けるという程度のものでありますから、この教育をしっかり受けさせる。そうしてこの外務員の質の向上に力を注ぐ必要が、この際非常に重大だと思います。この点に対して、先ほどお話がありましたけれども、何か具体的に外務員に対して、特に力を入れて今後は教育をしていくという所信があるなら伺いたいと思います。
  66. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 外務員問題につきましては、外務員が必要以上に過当な勧誘行為をやるということは、はっきり規制する必要がございます。と同時に、片一方でいま御指摘の外務員の質を向上させるということが、非常に大事な問題だと思います。そういう観点から、われわれといたしましては、今回外務員は仲買い人取引所に登録した者でないと外務員になれないという制度がございますが、その資格要件といいますか、それを強化してまいりたいと考えております。それで、強化の内容は、できるだけ従来やっております講習会というようなものを強化いたします。それが一つと、それからもう一つは、そういう知識と同時に、経験というものが私は必要だろうと思います。したがって、そういう外務員に登録されるとすぐ外に出るというのじゃなしに、店に入りましてから一年くらいはやはり研修的に店で働いて、その上で外に出るというようなことも考えてみたい、かように考えております。なお、先ほど御議論がございましたように、根本的にはやはり外務員の給与の問題があろうと思います。そういう給与をやはり定額制にするというようなことも、根本的には仲買人協会等と十分連絡をとりながら指導してまいりたい、かように考えております。
  67. 北條雋八

    北條雋八君 次に、危険の軽減をはかる意味で、今度はこの法案で受託保証金というものを設けました。そうして委託者のために危険のないようにする。非常にこれはけっこうなことでありますけれども、その場合取引所に当面五〇%の預託をするということになりました。三年後にはそれを七〇%まで高めていくという法案になっております。この零細な業者にとっては一気に五〇%というのは、かなり苦しいことだと思うのですが、そういうような場合に、政府としては何らかの金融措置は考えておられるのかどうか、その点を伺いたい。
  68. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 証拠委託保証金の分離保管の措置につきましては、ただいま御指摘がございましたように、五〇%を今後の目標として取引所に積み立てる、こういう措置をとったわけです。御指摘のように、一気に五〇%ということになりますと、中小関係では非常に苦しい。これはできるだけ多いほうが好ましいわけでございますが、そういう問題があるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、五〇%にいくのに三カ年間の猶予期間を置く、こういう形にいたしたわけでございます。初年度二〇%、それから二年度三〇%、三年度は四〇%、次の年に五〇%、こういう措置を設けたわけでございます。なおどれだけ分離保管ができるかという問題は、仲買人の資力に御指摘のように関係いたします。そういう問題もございますので、仲買い人の資力の向上をはかる措置を講ずるということにもいたしております。そういう場合には、やはり金融の問題も出ようかと思います。現在御承知のように仲買い人なり会員が中心になりまして、そういう金融措置を仰ぐ代行会社が、全国で十九ばかりできております。われわれといたしましては、その代行会社による金融措置がスムースにいくような指導もし、援助もしてまいりたいと、かように考えておる次第であります。
  69. 北條雋八

    北條雋八君 私お尋ねしようと思ったことは、先ほど川村委員のほうからもお話がありましたが、この生産者農民が、取引所をどのくらい利用しておるかという点ですね。農民といいましても、たとえて言うとアズキをつくっている農民が、取引所を実際使っていると思うのですが、そういう点はおわかりにならないですか。
  70. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども実は四十一年にアンケートで、農家のアズキ相場の利用度の調査をいたしたことがございますけれども取引所価格によりましてその年の作付計画を立てる、あるいは売る場合は取引所の値段を見ながら売るという農家を合わせますと、半分をこえる相当の多くの農家が、取引所の相場を利用しているというふうに承知いたしたわけでございます。
  71. 北條雋八

    北條雋八君 これは先ほどいろいろお話がありましたが、私もこのアズキをつくっている農民にとりまして、投機的に流れて、そうして投機心を起こさせるというようなことは、非常に好ましくないと思います。できるだけこの相場の値幅は縮めて、投機をできるだけ押えて、安定した生産の維持に配慮を配っていかなければいけないと思います。先ほど大臣からも大体の御意向を伺いましたので、これ以上伺いませんが、どうかそういう点には、一そう心を配っていっていただきたいと思います。現在生糸砂糖は、価格の安定帯というものが設けられておりまして、その範囲内で価格が安定するように措置されておりますけれども、糸の場合のごときは、安定帯をこえて高くなっております。取引所価格と、何というか全然かけ離れておるわけであります。そういう点におきまして、価格の競合という面で、ずれがだんだん起こってくるのじゃないか。ですから将来、いろいろな物価の安定帯というものが設けられてきますと、取引所というものの意義がだんだん薄くなってくるというふうに考えるわけでありますが、そういう点についてどう考えられておるか、所見をお伺いいたしたい。
  72. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農産物におきまして、国がいろいろな形で価格支持あるいは所得補償をやっておりますものが増大してまいりまして、大体、農家の生産額で三分の二程度のものは、何らかの形で国が直接に介入し、あるいは間接に価格支持をし、また所得の補償をするということでございます。で、一般的に申し上げますれば、私は国の介入の程度がだんだんきつくなるに従って、商品取引所のその商品に対する機能は低下するといいますか、その意味が失われていくだろうと思います。ただ、その過程でといいますか、米のように直接国が統制しているものは別といたしまして、先ほども問題になりましたが、生糸砂糖大豆等々、国がいろいろな形で価格なりあるいは農家の所得なりに介入いたしておりますもののある価格の幅の中で物が動くという場合に、適正な価格を市場において現出するためにその取引所が活用されるという意味は、私はあるというふうに思います。現に、そういうことで生糸その他が動かされておるわけでございますが、ただ一般的な御議論として、国の介入の程度が増すに従って取引所の意味がなくなるということは、私はそうであろうというふうに考えております。
  73. 北條雋八

    北條雋八君 いまのお話しのように、将来、価格の安定ということがますます叫ばれてまいりましょうし、特に自由化というものがだんだん進んできますと、現在、農産物の九三%が自由化され、残りの七%というものは自由化されていないわけでありますが、そういうようなものも、将来の自由化を考えますと、ますます取引所の存在の意義が薄くなってくるような気もするわけでございます。いま自由化されないものは、たやすくこれは自由化されちゃたいへんで、米、麦その他のものでありますけれども、この価格安定のいろいろ措置が、この取引所の存在をだんだん薄めていくというふうなことはやむを得ないかと思いますが、その取引所の将来の価格の安定を維持するという点で、なお一そうそごのないように運営をしていただきたいと思います。  なお、時間がありませんから略しますけれども、今度、この法案によりまして、商品取引員とそれから商品仲買い人と二とおりができるわけであります。三年間以内には全部取引員になりますけれども、その間両方ができるわけでありますが、その点非常に混乱するのじゃないかというふうに思います。その点については、どういうふうに考えておられますか。
  74. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 御指摘のように仲買い人あるいは取引員、今後取引員ということになるわでありますが、経過措置を設けました関係上、二が併存していくという形になろうと思います。名前の点ではそういうことになろうと思います。しかし、これはできるだけ早い機会にこれを統一したほうがいいということも、当然考えられてくることでございますので、現在これは法律的には三カ年間ということになっておりますが、できるだけ早い機会に業界でも申請をいたしまして、それで取引員の許可を受けて取引員に統一したいという空気がございます。われわれといたしましても、できるだけ早い機会にそういたしたいとかように考えておる次第でございます。
  75. 北條雋八

    北條雋八君 それは単に名前が変わるだけでなしに、今度いろいろ規制を設けられて、取引員になるには財産的の基礎、あるいはまたいろいろその他の信用、いろいろその条件がありますけれども、この取引員になれば信用程度といいますか、これが非常に格段の差がつくわけでありますが、ですから、資力のある者はすぐこの手続をとって取引員になれると思う。さもないのはなれませんから、いままでずっとやって一緒にきても、取引員になればいわゆるそこで信用度がたいへんに違いますから、どんどんお客がついてくる。それで取引員になれないいままでの仲買い人は、お客がとられてしまうということで、非常にそこで格差がついてくるわけです。ですから、名前を変えるのは三年後に一どきにみんな一緒に名前を変えたほうがいいんじゃないかというふうなことも聞きますが、そういう点はどういうふうに考えておられますか。
  76. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 先ほどことば足らずでございましたが、今後の規制とかあるいは純資産とかそういうものにつきましては、従来の仲買い人でございましょうと取引員でございましょうと、大体同じ方向でやっていくつもりでございます。ただ、一般の人はわかりませんので、御指摘のように仲買い人という名前と取引員という名前によって何か違うのじゃないか、こういう点が出てまいろうかと思います。われわれのほうとしましては、気持ちといたしましては、仲買い人の現在の地位をそのままで三年間は認めていくという意味で経過措置をとったわけでございます。そういうことで混乱が起こりますならば、できるだけ早い機会に、仲買い人のほうのこれは御意向によるわけでありますが、できるだけ早い機会に許可を受けていただいて取引員にするという措置も、これはできるわけでございます。これは仲買人協会等と十分に相談いたしまして、そういう無用の混乱を起こさないようにできるだけ善処してまいりたい、かように考えております。
  77. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 他に御質疑はございませんか。——御質疑もなければ、本連合審査会は、これにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会は終了することに決定いたします。  これにて散会いたします。   午後零時二十分散会