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1967-05-16 第55回国会 参議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十六日(火曜日)    午前十時三十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         赤間 文三君     理 事                 木内 四郎君                 増原 恵吉君                 森 元治郎君     委 員                 佐藤 一郎君                 笹森 順造君                 杉原 荒太君                 高橋  衛君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 加藤シヅエ君                 羽生 三七君                 大和 与一君                 黒柳  明君    国務大臣        外 務 大 臣  三木 武夫君    政府委員        外務政務次官   田中 榮一君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長       服部 五郎君        電気通信監理官  畠山 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省北米局外        務参事官     中島 信之君     —————————————   本日の会議に付した案件国際電気通信条約及び関係議定書締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避のた  めの日本国ブラジル合衆国との間の条約の締  結について承認を求めるの件(内閣提出) ○所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国とニュー・ジーラン  ドとの間の条約を改正する議定書締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出) ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)     —————————————
  2. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  この際、三木外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) だいぶ外務大臣に就任以来日がたったのですが、初めて参議院の外務委員会に出席いたしましたので、一言あいさつを申し上げます。  いま、世界流動化時代と申しますか、大きく変化を遂げておる時代でありますので、外交の衝に当たる者の責任はきわめて大きいと考えております。微力ではございますが、全力を傾けて日本外交のために尽くしたいと考えておりますので、今後ともよろしく御協力をお願いいたす次第でございます。  一言あいさつを申し上げます。     —————————————
  4. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 国際電気通信条約及び関係議定書締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ブラジル合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件及び  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ニュー・ジーランドとの間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件  以上三つの案件を便宜一括して議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  別に御発言もなければ、三案件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  5. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより国際電気通信条約及び関係議定書締結について承認を求めるの件の討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  6. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  国際電気通信条約及び関係議定書締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件承認することに賛成の方の挙手を願います。
  7. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  8. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ブラジル合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ニュー・ジーランドとの間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件の討論を便宜一括して行ないます。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでございまするので、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
  9. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、所得に対する租税に関する二重課税回避のための日本国ブラジル合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。
  10. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  11. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国ニュー・ジーランドとの間の条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。
  12. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  13. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  14. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 国際情勢等に関する調査議題といたします。  御質議のおありの方は、順次御発言を願います。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 外務大臣三木さんに対する初めての質問であります。問題を一つ伺います。それは、最近ここ数カ月を含んで、国連ウ・タント事務総長北ベトナムに関する事態認識が、たいへんせっぱ詰まっておるような感じを受けます。私たち事務総長という立場アジア人であるということ、現場にも何回も行って、北とも南とも広く接触をし、しかも、米ソとも意見の交換は十分しておられる立場の人が、悲痛な感じすらする表現で、米中の衝突、また第三次の世界戦争への様相が濃くなっておる、こういうことを言っております。これに対して、格別どこも大きな批判は差し控えておるようであるが、アジアに位する日本、沖縄を使わせておる日本という立場日米安保条約の規定はアジア全土、この辺は当然入るというたてまえの日本政府として、一体事態をどう認識されておるかの、その点をまず伺います。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、現在のベトナム状態が直ちに米中戦争に発展するとは見ていないのであります。しかし、これがますます戦線拡大していくということになれば、またそのときの状態によってこれは何とも言えますまいが、現在の段階ではそうは考えていないのでございます。ましてや、世界戦争に発展するとは考えていないのですが、世界平和維持の大きな機構の中の事務総長をされておるウ・タント氏、国連のようなああいう地位についておるウ・タント事務総長とすれば、いま現在の段階ではそういう心配はないにしても、やはり将来もしそういうことになればたいへんだとして、警鐘を人類のために乱打されることはよくわかる気持ちがいたします。ウ・タント氏の心境はよくわかる気持ちがいたすのでございます。ただ、現実には、そこまでいまの段階で発展するとは思っておりませんが、ウ・タント氏の心境に対しては、非常にわかる気がいたしておるのであります。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 ウ・タント氏の心境はわかるが、現実認識は、平和への念願が非常に強いわりに、現実とは離れているんじゃないか、そんな印象を受けるのですが、いやしくもあの責任ある立場の人が言う場合には、言外に、たとえばジョンソン大統領には胸にこたえるような事情、あるいは北ベトナムにも中共にもこたえるような影響のあるようなものを含んでいると理解するのですが、少しウ・タント心配し過ぎる、あるいは平和ムードをつくる、そういうつもりでやっていると解釈するには事態が深刻だと私は思うのですがね。たとえば新聞でも、ずっと変わってきたような——アメリカ兵力増強をやる、もう五、六十万になっていく。いつの間にか南ベトナム軍というのはどこへ行っちゃったかわからなくなって、戦死者の数を見ても、ほとんど米軍よりも少ないようなことになってくる。平定計画によって、ベトナム軍にかわって米軍南ベトナムの国内の平定に乗り出す。しかも、ベトコンといいますか、北側の戦いのしかたは、十分な武器弾薬の補給を得ているようで、ビエンホアのああいう攻撃、あるいはミサイル基地が一ぺんに破壊された。なかなか活発であります。しかも、アメリカの損害は、北においてもどれだけの効果があったか知りませんけれども、だんだんに出ている。むしろ、北のほうが五分五分、ちょっと地上戦ではなかなかやるというふうに、前より強くなった様子すら感ずる。そうすると、アメリカも、やるまいやるまいと思っても、どんどん手が伸びていくということになるので、もっと大臣、深刻な事態が底にあるのじゃないか。いまの段階では心配がないようにおっしゃるが、心配するとすればどういうところでありますか。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、ますますベトナムにおける戦争拡大して、そうして、そうなってくれば、戦争戦争自体勢いを持っていますから、それだから、ウ・タント氏がそういうことにならないように、やはりこれは戦争当事者に対して警告を発している。だから、ウ・タント氏の願いは平和というものであろう。一日も早く平和を回復するために、こういうことで次々に拡大していけば世界戦争の危険もあるぞということで、そのために一日も早い平和の回復こそ大事だという、アクセントは平和に置いての私は発言だと受け取っておるわけでございます。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 いま大臣おっしゃるように、戦争というものは勢いを持っている。押えようと思っても、なかなか押えられない。これは過去の歴史が証明しておる。そういう場合に、米中がぶつかるかもしれない。中国側に言わせれば、おれのほうのそばに来たのだからということもあるでしょうし、アメリカに言わせれば、徹底的に中国が上から支援していて、これをたたかなければ北ベトナム軍南進がおさまらないのだというような事態もあるいはあるかもしれん。そういう場合に、日本政府は、米中衝突、ひいては東西の対立まで行きそうな情勢までエスカレートする様相がきわめて顕著であるという事態になったとき、従来と違って、アメリカに向かって、やめろ、あるいは、こうして平和を守れという発言をなされるだろうと思うのですがね、いままでどおりアメリカ側報告だけを聞いて了承しているのではなくて、平和という大きな観点世界戦争防止のためには日本も立ち上がるべきときもあると思うのですが、御決心はいかがですか。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、米中戦争というようなことは絶対に避けなければいけない。これはたいへんなことになるわけであります。そういう意味で、これはアメリカ自身としても、この問題に対しては、これはもう当然にベトナム戦争当事者としては、非常な神経を使っておるに違いないですね。これはまさに世界大戦でありますから、そういう点で、日本自身立場としても、このベトナムにおける戦争が次第次第に拡大して、米中の衝突など起こるようなことなどは絶対に避けてもらわなければならぬ。こういう日本立場というものは、戦争拡大にどういうふうな手を打つかというようなことは、そのときの事情にもよりましょうけれども、それはやはり日本は最大の関心事であることは申すまでもないと私は思います。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 近ごろ新聞報道で、アフリカ人ですか、アラブ人ですか、アメリカに帰化したサイモン・マレーという新聞記者が、中国のえらい連中に、周恩来その他に会った結果が出ていますが、非常に明快な態度を示している身分の。アメリカ側が北に上陸する。北とは一体どこを言うか、どういう上陸のしかたか知りませんが、米兵が北に上陸することがあれば、兵を出すと、派兵するという、要するに、国境を越えて出すのでしょう。そういうことを言っております。大臣、このアメリカジュネーブ協定は守るのだということを言っておる。いかに戦争拡大しようと、踏み込まないということは、あの協定を守るという精神からいけば、方針からいけば、そういう事態はあり得ないと思うのですが、どうしても地上軍をもってしなければ解決しないという場合、いやしくも過去の場合を見ても、戦争というものは、最後は地上軍和平への決をとることはもう歴史が示している、戦史が。行きがちなんですよ。非常に危険だと思うのです。北へのアメリカ兵の派兵は、日本賛成しない、兵がランドすること。これはひとつ、大臣がおっしゃってけっこう、おっしゃって悪くないことだと思うのですが、いかがでしょう。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは当然のことでありまして、これはアメリカ自身も、私は、北に地上兵力を投入することは絶対にないと私は信じております。日本もまた、それはしてもらいたくない。それは当然のことでございます。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 それでは第二には、自分の国があぶなくなった場合というのは中国側意向のようです。これは過去の例をまつまでもなく、過去の新聞北京報道などによっても、自分国境脅威された場合、出ると言っておりますから、脅威のしかたにもよる。地上軍でなければいいのか、飛行機だけでも脅威判断するかは受けるほうの感じですから、こういう中国を巻き込むようなことは、いかなる不利があってもしないということだけは確立しておいてもらわなければならぬと思うのですね。いま戦争様相は、南ベトナム北ベトナムとの紛争に、アメリカ南ベトナムから要請をされて助人に来ておるわけです。いつの間にか助太刀がけんかの主役になって、頼んだ人は裏のほうにいる。あのちょうど次郎長のときに神戸の長吉というのを応援に行った、次郎長の森の石松かなんか強いのが逆に死んでしまう。頼んだ長吉はどこかへ隠れてしまった。それがいまの南ベトナムだと思うのです。そういうふうに非常にかっかと乗り出してきておりますから、けじめをつけて、陸兵を揚げることはいけない、中国国境脅威するようなことは厳重に慎んでもらいたいということは、日本は言っていいんだと思うのです。日米協議委員会でだいぶ——二時間半ぐらい、三時間ですか、大臣は英語ができるにしても、半分だな、通訳入れて。うまい人ほど入れるのですよ、通訳を。できないのは、入れないから間違うのです。一時間半やれば十分その辺のお話もあったと思うのだが、これはぜひ言ってもらいたいと思う。どうですか。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは当然で、日本はこれが、アメリカ側が北に対して地上兵力を投入したらこれはたいへんなことになるわけでありますから、これはアメリカとしても、アメリカ自身も、この戦争米中戦争に発展さすということは、これはもうアメリカ自身も全然考えてもいないし、絶対に避けなければならぬと考えておる。アメリカのことを言ったが、私は、中国もそうだと思う。この段階米中戦争というようなことにこのベトナム戦争が発展するということは、中国自身も、この問題に対しては非常に細心の注意を私は払っていると思います。したがって、日本としては、この戦争拡大米中戦争に発展するようなことは絶対に困る。これが常に日本立場でなくてはならぬということは、森さんと私は同感でございます。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 そこで大臣も、北爆やめろということですね、一番ポイントは。アメリカに言わせれば、南進がとまる、弱る、南進をしない何かのあれがなければやめられないと言うが、どうも北爆といっても、どこをたたいているのだか、軍事施設ばかりでもないようだし、たたき方にもよるのですね。はなはだ不明朗なたたき方もあるようにも思うが、やはり北爆という、この残酷な北爆を何とかアメリカを押えることができるならば、ウ・タントまつまでもなく、大きな平和への展開が期待されそうな気がするのですが、従来、佐藤総理椎名外務大臣は、北から来る以上はやるほかないようなことを言っているが、強いほうが遠慮してやらなければ片づかないのです。弱い者にはメンツがありますよ。まあ、強いのにもあるけれども、アメリカが強いことはわかっているので、これをやめたってアメリカ弱いと思うことも何もない。その辺を私は北爆停止というくらいの線で、三木さんがなかなか外交戦略家のように拝見するので、はっきりとおっしゃることが大事だと思うのです。これは一つの大きなきっかけですよ。大きなきっかけ。そうでなければ、もう一歩、もう一歩といっているうちに、中ソ友好条約がまだ厳然としてありますから、幾らやわらかそうに見えるソ連でも、一切のメンツがだめになれば、世界共産党自分仲間に向かって顔が立たなくなればたいへんなことになる。これは油断しちゃいけないと思うので、その点をもう一ぺん伺いたい。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) もうウ・タント事務総長最初提案したあれは、一応その場で撃ち方やめということですね。現状を一時的にやはり戦線——もうアメリカ北爆をやらぬ、北も南に浸透せぬという意味でしょう。その場で、現在の時点でやはり戦線は凍結さす。こういうのがウ・タント平和提案の、やっぱり最初提案であったわけですね。こういうことができれば、これはアメリカ自身としても、北爆はやめた、そうして、北のほうからは、やめておるときに、北からの兵力物資増強があって、来るということでは困るという、お互いに信用していないわけですから、相互不信ですから、こちらが北爆とめても、その間に南への兵力やあるいはまた物資増強をしたのでは、何のために北爆やめたかわからぬということで、ウ・タント提案というものは、あれを停戦に持っていくため、一応いまのところでとまれ、撃ち方やめ、そうして話し合いにいこうではないか、こういう形でないと、アメリカ自身としても、一体北爆をとめた場合に、話し合いにいくのかどうか、あとがどうなるかわからぬということでは、北爆がいいか悪いかというのを切り離しての議論ではなしに、この戦争を終わらすという観点から考えてみると、なかなか話がつきにくい点がある。だから、現状においてウ・タント事務総長最初に言ったように、この戦争を、もうそこで一応凍結さして話し合いに入るという解決が、実際の、これが実現し得る可能性を持った提案だと思うておったのですが、ハノイがそれに応じなかったわけでありますから、非常に残念に思っておるのであります。しかし、これは平和への努力というものは、一ぺんしくじったからといって、それであきらめてしまえばどうにもならぬわけです。しくじっても、しくじっても繰り返してベトナム和平ということにこれは努力をすべきものだ。日本へもウ・タントさん来月来ますから、私も面識のあることですから、事務総長でもあるし、いろいろと話し合いを、北爆問題などは話をしてみたいと思います。ウ・タント事務総長の平和に対しての熱心な努力というものは私は高く評価しておるものでございます。
  27. 森元治郎

    森元治郎君 日本外務大臣としては、もうアメリカの言うことだけ。アメリカ情勢判断必ずしも当たっていないことは戦争がどんどん拡大していっておるということを見てもわかる。予備兵も州兵も徴兵制しかなければならないだろう。金も幾らでもかかる。六八年度は二百億ドルからまた五十億をプラスするのですか、とにかく予想以上に要っている。こういうときにあたって、必ずしも大きな国が情報を持ち判断が正しいとばかりは限らないので、日本と極東の平和の安定を第一に感ずるのはわれわれですから、アメリカではないのですから、アメリカは海の向こうですから、三木さんだったらば、この辺でアメリカの間違っていることを大きい声を上げて叫ぶことがほんとうの友好に資する道だと思うのです。そういうふうにもうふんばらないとだめです。ただ私、ちょっと話は飛びますが、核停条約の問題についても、フォスターの話なんか聞くよりは、米ソ対立しているソ連側意向も同時に聞くというようなことが一番安全保障の見地から大事だと思うのです。仲間の話ばかり聞いているのですね。そういうようなことは、向こうに手なづけられるくせがついている。これはだめですから、ここらで抜け出て、アジアの平和はかくあるのだという大きい声でリードするかいしょうがなければいけないと思うのです。しっかりやっていただきたいと思います。
  28. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ちょっと速記をとめてください。
  29. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 速記を始めて。
  30. 羽生三七

    羽生三七君 このベトナム問題については、さきの予算委員会でかなり詳細に承りましたから、こまかいことには触れません。ただ、その後の変化、いま森委員が触れた問題ですが、その後の変化というと、要するに、ウ・タント事務総長が、ベトナム問題について、最近のアメリカのエスカレートと関連をして、いままでの提案はもはや考慮外と、こう述べたことがその後の変化であります。  そこで、これは総理大臣にお尋ねすべきことですが、総理大臣は先日私の質問に答えて、ウ・タント事務総長が来日する機会には、ウ・タント提案関連をして協力もしたいし日本も独自の案を出してみたい、私たち考え方を述べたい。それから衆議院では、ウ・タント提案協力をしたいという表現をとられております。そうなると、その提案そのものが、本人がもはや考慮外ということを言う時点になったわけですから、一般的な情勢判断は別として、そういう時点になって、一体どういう態度で折衝されるのか。いままでは前のウ・タント提案に対する協力ということでしたね。これがもう考慮外ということに変わってしまったのですから、本人がそう言われておるわけでありますから、そうなれば、どういうお考え方ウ・タント事務総長に接触されるか。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も、羽生さん、来たらよく聞いてみたいと思います。これはどうもいまはもう北爆停止無条件停止のような発言を、新聞紙上ですから……、ウ・タントさんというものはあそこの事情というものをよく知っているわけです。また、アジア人として何かやはりアジア人の持っておる感覚もあるわけですから、来たならばよく聞いてみたいと思うのであります。最初ウ・タントさんの提案というものは、私は非常にやはり値打ちのある提案だと思っていたのです。アメリカ自身も、やはり北爆というものがそれは表面に出なくても、また、表面に出る出ないにかかわらず、北爆をやめる、そうしたら何か話し合いの糸口が見つかるという保障アメリカとしてもやっぱり得たいに違いない。そういう点で、ウ・タント提案というものは非常にどちらに対しても何か話に入りやすい提案だったですね、最初のは。それがいまはだいぶ変わっているようでありますから、来たならば、どうしてそういうような変化ウ・タントさんの持っている情勢判断の変更基礎になった情勢判断ですね、それはよく話をしてみたいと考えている点でございます。
  32. 羽生三七

    羽生三七君 それはやはり前に北爆停止で若干やったことがあったけれども、反応がなかった。その後、今春来の北——ハノイ側のかなり従来と違った、つまり基本的な条件そのものは引っ込めたわけではないが、しかし、話し合いに入るには北爆停止が問題の解決に役立つという意味発言を、ファン・バンドン首相あるいはニャンザン紙でも伝えているわけでありますから、あの時点はとにかく、今日では北爆停止ということがかなり有力な話し合いの糸口になることは事実だと思う。事実、ソ連も、これは確報かどうかわかりませんけれども、数週間——数週間ではどうかと私は思うのですが——ある程度の停止があるならば何らかの反応が出てくるのじゃないかと、そういう話をしておるようですね。ですから、そういう意味からいうと、私はそれが非常に大きな話し合いの糸口を開く条件になると思う。それで、もう一度アメリカがその試みをやったらいいと思う。その損害がかりにあっても、侵略者と犠牲者の区別は、理屈は別としても、強大なアメリカのことですから、それほどの影響はないと思うのです。やはり、もう一度私は試みるべきだと思いますが、それは強く言っていただきたいと思います。  それからもう一つ。もう一点だけですが、これも先日時間切れになってしまって、私、遂に外務大臣意見を聞くことができなかったのです。つまり、安保の自動延長かあるいは固定延長かをきめる条件はそもそも何であるかと言ったところが、総理大臣は、終局的には国際情勢だと言われた。私が国際と国内に分けた理由は、安保騒動のようなことを繰り返したくないから、平和にいけるならとにかくですね、ごたごたが起こるなら自動延長ということで、何もなければそれは固定延長を希望しておるかもわかりません。だが、そういう国内的な安保騒動のようなことが起こったら困るからというようなことについては、政府は何も関心を持っておらぬ。自動か固定かを決定する条件は国際情勢だと、こう総理は答えられたわけです。そこで、おそらく外相としても同じことだろうと思いますが、その場合に、それでは、安保の固定か自動延長かを決定する国際的条件とは一体そもそも何を意味するのだろうか、実はそこまで来て、この間、時間が終わってしまって質問できなかったのですが、この点についてひとつ。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あれは羽生さんもお読みになったらおわかりでしょうが、安保条約というのは期限があるという考え方が私は誤りだと思う。だから自動延長というのもちょっとおかしいのです。延長ということは、何か期限が切れて延長になる。自動延長というのもちょっとおかしい。また、固定ということになったらどういうことか。やはり改正しようということでしょうから、一年したならばやっぱり破棄通告ができるというものをできないようにしようということなのか知りませんが、これは日があることですから、政府としても自民党でも、一九七〇年以後というものはどういうふうに考えるかということは検討したらいい。これは野党の各位にも御検討願っていいと思う、重要な問題ですから。ただしかし、私はこれは羽生さんと意見の違うところだが、いまの国際情勢から見て、日本がやはり何らかの安全保障、一つの安全保障体制というものが要るということは、国民の大多数の意見じゃないかと思うのですね。いま、何か不安ですわね、国際情勢が。ことに極東情勢が不安で、これを、日本安全保障に対しては何か中立のような立場をとっておれば安全だというふうには、それは、そうだそうだという人もおりますよ、しかし、大多数の国民は何か心配ではないかというのが実感じゃないでしょうか。だから、自民党もこれはやはり国民に対して安全保障の問題というものはやはりもっとPRをせにゃいかんと思うのです、国民の納得を求めなきゃ。納得を求めれば、国民の多数が安全保障というものに対して安保条約も何も要らないんだとは、この段階でですよ、将来はともかく、要らぬと考える国民が多数だとは私は絶対に思わない。だから、国内で、一九七〇年の危機危機と、こう言いますけれども、そんな私は危機という——これが、国民が要らんと思っておるのを政府が要るということをするならば危機になりますよ。国民の多数がやはり必要だと考えておるのに、どうして一九七〇年が危機になるのか私にはよくわからない。私は危機と思っていない。危機危機と言うなら、やはり自民党ももっと国民に対して日本安全保障に対して国民を説得しなけりゃいかん。その努力をするならば、それは危機にならん。危機は政府と国民多数の意見が違ったときに政治の危機が来るので、多数の意見の上に乗っておって、政府のやることに危機が来るとは思わない。だから、国内的な配慮ではないという総理のことばは、私も同感なんですよ。ただ、国際ということは、おそらく総理の頭にあったのは、国連なんかの、安保条約の十条にあるようなことに関連して言ったんじゃないでしょうか、それは。国際情勢と言っても、これはばく然としていますからね。だから、安保というものを考える場合に、国際連合における安全保障の有効な措置ができるかどうか、そういうような動きが国連の中で具体化するかどうかというようなことが頭にあったんじゃないでしょうか。私も、国内に対して、一九七〇年危機説というものに対して非常なそれにウェートを置いて考える考え方は持たないということは総理と同感でございます。
  34. 羽生三七

    羽生三七君 ほかに御質問の方もあるから簡単にいたしますが、私も安全保障ということについて基本的な一つの考え方を持っております。それはやはりソ連と不可侵条約を結ぶとか、あるいは中国を少なくともすみやかな機会に国際社会に復帰させるとか、そういう条件を通じながらの安全保障でないと、ただ防衛とか軍事力一点ばりのいまの安全保障に対して私は批判をしておるだけで、保障がなくていいという議論じゃもちろんないわけです。ただ、私の言っておるのは、それはそれとして、こういうことなんですよ。たとえばベトナム問題を早く片づけるとか、あるいは中国問題を適切に処理するとか、そういう条件と、安保の固定と自動とかいう問題と何も関係がないのかどうか。ただこれは、国連による安全保障が、有効な措置ができるまで続くという、そういう一般論で片づけておるからちょっと明快さを欠くわけで、私はそういうことを言っておるのじゃない。それはわかっておるのです。立場は違っても、そのことの意味はわかっています。だから問題は、いま言うように、日本を取り巻くこのアジア周辺の現実について、いろいろ諸情勢が片づいていったような場合、それでもなおかつ、そういうことが自動とか固定とかいうことに関係があるのじゃないか。あらためて一定の期限を付して再取りきめをするとか、そのままの姿にしておくとか、そういうこともそういう国際情勢関連があるのじゃないかということを言っておるのです。それを言っておるのですから、どうか誤解のないように。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、全くその点は羽生さんと同感です。安保条約、安保条約と言っても、そのことではなくして、やはり国際情勢を改善していくという努力、それが大前提です。できるだけ改善していって、しかし、最後のよりどころとしてやはり安全保障の体制——日米安保条約ですね、この場合、これは必要である。しかし、その前提には、やはり国際的な環境を改善する努力というものは当然にしなければならぬ。ただ、ところが一九七〇年にすぐにこの極東の情勢が改善できるかということは、なかなかやはり困難ですからね、いまの見通しとして。そういうことで、一九七〇年というものを考える場合に、国際情勢の非常な激変というものを前提にしなくては考えられないのではないかと私は思っています。もうすぐですからね。しかし、その前提には、安保条約の前提になるものは、国際的な友好な関係、これを打ち立てるための絶えざる努力がなければならぬということは全く同感でございます。
  36. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私は、去る十日に沖縄の漁船がインドネシアでもって拿捕されましたですね、この問題について十二日の沖縄問題等特別委員会で質疑が行なわれました、その際に総務長官も、これはまあとにかく外へ出れば日本の国籍を持っておる人なんで、さっそく外務省と折衝して、そして事情を調べて釈放の努力をするという話があったのです。それを外務省としてインドネシア政府に対してされておるかどうか、それをまず一つ。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 岡田さんのいま御指摘になるのは、五月十二日に、何か、第八南琉丸というのですか、これがインドネシアに拿捕された。ところが、沖縄船舶については、船舶の管理権は、やはり船籍が沖縄にありますから、アメリカ政府が持っておるわけであります。しかし、乗っておる人間は、国籍が日本にあるわけですから、そういう意味で第一義的な保護というものに対しては日本政府の責任だと考えておるわけです。しかし、船は向こうのあれにあるわけですから、日米協力しなければならぬ面もありますが、直ちに日本政府は、インドネシア政府に対して日本人の漁夫の釈放方を申し入れてございます。アメリカもまあ一緒になってきて、船のほうもあるものですから、協力して、インドネシア政府に対して、船舶あるいは乗り組み員の釈放の交渉を直ちに開始しておるのが現在の段階でございます。
  38. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 過日予算委員会で私、外務大臣に、潜在主権というものについて日本側の解釈をお伺いしたのです。その際に、日本の国籍があるということを伺ったのです。それからまた条約局長のほうからも、後にアメリカ側においても、リューキューアンというものではなくして、日本の国籍を持っておるのだということをはっきりさしておる。証明になるようなものがあることを示された。だから私はこれをしつこくお聞きしたのは、そういうことを明らかにしておくということが、今後まあいまのようなことが起こった場合に、日本の外務省としてすっと手続がとれることと、それからまた、それが沖縄の人々に一つのやはり安心を与えることになると思って、その点をはっきりさせたかったのです。まあ、国籍がありますしいたしますから、すぐにそういう措置がとられたことは、私は当然でもあるし、またいいことだと思っておりますが、船舶の場合、もちろん施政権は向こうにある、したがいまして、船舶の管理はアメリカ側でやっておるわけです。管轄はアメリカ側にあるわけです。そういう場合に、一体どういう措置がとられるのか。たとえば、つかまった琉球船がまず米民政府にそのことを話し、また、米民政府が今度はこれは国防省ですか、国防省から国務省に、そうして国務省からアメリカの在外機関に、それと同時に日本側に連絡をするということで、たいへんにぐるぐる回ってめんどうな手続が行なわれているんじゃないかと思うんです。そういうことでは困るので、やはりつかまった人の乗っている船は、たとえアメリカの管轄権のもとにあろうと、やはり一体としてつかまったんですから、したがって、直ちに日本側でこれは何らかの措置がとれるようにすべきではないかと思うんですが、これは別に施政権に食い込むとか食い込まないとかということよりも、もう少し手前の問題、その前の問題じゃないかと思うんですが、その辺はどうお考えになっておりますか。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 実際問題として、ごもっともなことですが、船はアメリカで人間は日本という、一緒になって交渉せざるを得ない。事実、そんなに複雑な手続をアメリカ側としてとらなければならぬ、そういうふうにも考えないわけですが、中島参事官もおりますから、事実問題の説明を求めることにいたします。
  40. 中島信之

    説明員(中島信之君) 事実問題について御説明申し上げます。今度の場合を例にとりますと、現地で十三日の朝でございますか、アメリカ大使館からわがほうの大使館に、向こうのほうから連絡をとってまいりまして、現地のアメリカ大使館が沖縄の米民政府から通報を受けておる、そして、それに基づいてすぐインドネシア政府に対して釈放方の申し入れをしたけれども、日本大使館も一緒にやってもらいたいということをアメリカ側からもわがほうの現地の大使館に連絡してまいっております。それを見ますと、現地の米民政府は沖縄現地でそういう事件が起こったという情報を入手いたしますと同時に、現地のアメリカ大使館に措置方を連絡をとっておる。もちろん私ども推測でございますが、ワシントンに対してももちろん報告をいたしておると思いますけれども、ワシントンを経由して現地に手続をとるということでなくて、同時に現地に対してもすぐ手続をとっておる。それから、その際、アメリカ側といたしまして、わがほうが措置をとることを当然に予想して、むしろ先方から積極的に協力方を申し入れてきたという実情でございます。
  41. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうすると、従来とは少し変わったわけですね。
  42. 中島信之

    説明員(中島信之君) 従来数件例がございますが、昨年の五月、日米の沖縄に関します協議委員会の席におきまして、在外沖縄人に対する日本側の外交保護権の行使と申しますか、これをもっと積極的にやる。これは沖縄から移住いたしました移住者の保護なんかについて特に問題になったことでございますが、このときにそういう話がございまして、同時に、船舶旗の問題なんかもその際若干議せられたわけでございますが、それ以後は、特にアメリカ側のほうでわがほうへの協力方に関して従来以上に積極的になってきておるということは、あるいは言えるかと思います。
  43. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 実はその変わったというところに私は問題があると思う。もちろん、いいほうへ変わっているんですからそれでいいんですけれども、従来、潜在主権の解釈等から、一体、沖縄住民が日本の国籍を持っておるかどうかということが両方にあいまいであった。あるいはまた、そういうような点について日本側にくちばしを入れさせないというような態度アメリカ側にあったわけですね。そういうことについていろいろやかましくいわれて、外務省で、日米協議委員会等でそういう問題を持ち出して変わってきたと私どもは見ている。だから、もっと沖縄問題については、あらゆる面について私は言うべきことがあるのじゃないか。それによって改善されるべきことがあるのじゃないか。もちろん、アメリカ側の施政権に食い込むような事態があるいは起こってくるかもしれない。しかし、その施政権に食い込むような事態というのも、これはときと場合によってはやむを得ざる事柄でもあるし、アメリカ側としても、その問題について形式的に法理論を振りまわしてこだわってばかりいることもできないような状態もできてくると思うのです。ですから、こういうような問題について私はもっと日本政府が積極的な態度をとり、つまり、自分のほうでもっていろいろな問題について積極的に、たとえば、こういう場合にはこうするのだということで、アメリカ側に交渉をして、潜在主権のある国、土地における日本人というものに対する日本側の積極的な保護といいますか、そういうものをもっと進めてもらいたい。というのは、何か遠慮しがちな面がありまして、私どもがやいやい言うと、それがまあ直接、間接響いて、話を持ち出す。それから沖縄側でいろいろな運動が起こって、それからになって初めてそういう問題が取り上げられるということでは、私は外務省として少し怠慢ではないかと思うのです。まあ、そういうことで、今度の例なんか、私、やはりあるいは施政権の問題に触れてくるような事態も起こり得る場合もあるかと思いますけれども、しかし、何といったって、日本の領土、主権のあるところ、日本人に関することですから、そう自然人と、それからその人たちの乗ってきた船なんという財産とを分離して考えないで扱えるようなふうに持っていくように今後努力すべきだと思うのですが、どうでしょう。
  44. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、お話しのとおり、できることは、それがやはり何らかの状況の改善になるならば、何でもしていいと思っておるのです。こまかいことであっても、何でもそのことが施政権返還という、施政権自体と取り組むということは困難ですけれども、いまの沖縄の状態を改善することに役立つならばどういうことでもしたい、こういう考えで、いままででも、旅券の問題とか、外交保護権の問題とか、移住の問題とか、船舶旗の問題とか、一つ一つ何か前に進んだ面もありますね。そういうことを、こまかいことであっても、今後努力していきたい。それはおっしゃるとおりだと思います。
  45. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そこでもう一つ、これは具体的な問題なんですが、今度つかまった船の乗り組み員は旅券は持っていないと思いますね。あれは船員手帳でしょう。船員手帳には国籍は日本人になっているのですか、それともリューキューアンになっているのですか。
  46. 中島信之

    説明員(中島信之君) 船員手帳の記載がどういうふうになっておりますか、よくつまびらかにしておりません。
  47. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 リューキューアンになっているというと、またこれは問題があると思うのです。やはり、はっきり外へ出るのですから、外でつかまる場合もありますから、上陸するような場合もあるのですから、リューキューアンでは困ると思う。これもやはり旅券が日本国籍となるならば、その船員手帳も、はっきり日本国籍ということを書かして、これはもう至急にやってもらうほうがいろいろな点で日本の出先機関にも都合がいい。どうでしょう。
  48. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、そういうふうに遠方に出るわけですから、漁船のとき。そういう場合には、言われるようなことのほうが、その人間の保護のために非常に便利かと思いますから、これは研究をいたすことにいたします。
  49. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次に、核拡散防止条約の問題で一点お伺いいたします。これについていろいろお伺いしたい点もあるのですが、従来、米ソの間の核拡散防止条約締結の問題で一番難関になっていたのは、西ドイツの問題です。もちろん、西ドイツが自分で核兵器を開発して持つということは、この間の共同声明でもある程度公式的に否定をしておるようですが、つまり、いままで問題になっておりましたのは、NATOの核兵器保有の問題、そして西ドイツが引き金に指をかけるということで、ソ連がたいへんに反対をしており、最近それで西ドイツ側でもこの点については、かなりアデナウアー、それからエアハルト内閣の間には積極的な考え方を持っておった。今度のキージンガー内閣になってから表向きにそういう強い主張はなされなくなっていますが、この核拡散防止条約締結の障害になっておったこの問題は、公式的にもう西ドイツは主張しなくなったのかどうか。この間のブラント外相との話し合いの点で、この問題についてはどういうふうな話があったのか。この点お伺いいたしたい。
  50. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ドイツは核武装する意思はない、核兵器の開発はやらぬ、こういう方針だということをブラント氏は述べております。まあ、ただ問題は、ドイツがこの問題を解決したかどうかは、まだつまびらかにしない点もあるのですが、将来ヨーロッパの政治統合ができたような場合に、そういうときに、その政治統合ができたものが核武装するという場合における問題というものが、まだこれがいろいろ問題が残っているようですが、私とブラント外相との会談では、ブラント氏は、ドイツは核兵器を開発する意思はないことを明白に言っております。
  51. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 というのは、この問題が米ソの合意に達する上でいまだに障害になっている点だと思われるのですが、日本側としては、アメリカ側意向は大いに確かめて、アメリカ側に対してもいろいろものを申しておる。先ほど御指摘のありましたように、ソ連側が一体この問題に対してどういう態度をとっておるのかということについて確かめておられますか。
  52. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはいろいろないままでの連絡が、アメリカとの連絡ですから、ソ連は連絡してくれるわけじゃないですから、日本意向を反映するためには、やはりアメリカというものを通じてわれわれの意向を反映さすことが一番実際的だということで、フォスター長官などともやるし、アメリカへ大野特使を派遣したりしたわけです。しかし、ソ連に対しても、米ソの妥協というものが草案ができる前提になりますから、外務省に大使に来てもらいまして、日本立場というものに対して詳細に説明をしまして、こういう日本意向がこの条約の中に反映されることを希望するということをソ連の大使に伝えた、この間も。今度は、ソ連の大使——そのときは代理大使でしたが、新任の大使が来たので、日本の政府が先般も申し述べたことに対してモスクワ政府から何らかの意思表示があったかということを私は尋ねたわけであります。まだ何も——いま検討を加えておるので、何も来てないが、来れば日本政府にお伝えするということでございまして、まあ、ソ連にもこの条約に対する日本の基本的立場は伝えることはいたしたわけでございます。
  53. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 米ソの間の合意に達してない点について、おそらく、アメリカ側のほうからのいろいろな意見は聞いておられると思うのですけれども、やはり日本としてはこれに参加するとするならば、いまその過程において、ソ連側が一体この条約の合意に達しない点についてどう考えておるのかということは、やはり確かめておく必要がある。それが日本側の主張とどういう関係になるかということもやっぱり日本側としては、これに参加をするという決意で進む以上、はっきりさせなきゃならぬ問題だと思うのです。そういう場合、さっきあげた問題も一つの大きな点だろうと思ってお伺いをしたわけなんですけれども、ソ連側のほうからは、そういうソ連としてこの条約をつくるまでにどういう問題があるかという点の説明は一ぺんもないのですか。
  54. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ソ連側からは、こういう点が米ソ間のいろいろ問題点だという説明は一回もございません。しかし、おそらく、やはり平和利用の面における査察問題がなかなかやっぱり米ソ間で意見の対立する点だと私は見ておるのでございます。
  55. 黒柳明

    ○黒柳明君 私も予算委員会外務大臣に、安保の協議会のときに安保の問題はどうされるのですかと、こうお尋ねしましたら、まだ時期が早いと、このような御答弁があったんですが、けさの新聞報道ですと、何らかの形での話ですから、行きがかり上、そういう話が出たのだと思うのですけれども、新聞報道で伝えられる範囲での話し合いだと思うのですが、さらに具体的にどんな話があったのかお伺いをしたいのです。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 安保——黒柳さんの質問は、一九七〇年、これ一体どうするのかというような御質問だったと思うのです。これはまだ時間もあるものですから、政府としても、自民党としても、いろいろ検討をしなければならぬので、そういう結論的な話し合いが、あの場でするというような場でもございませんし、そういうことで答えたわけでありますが、日米の安全保障についてのいろいろ話し合いをする会議でありますから、安保という問題も当然に出たわけです。まあ私から、安保条約、これに対する各方面の、公式的に表面に出ておりますね。公明党は公明党として出している。社会党も社会党として出している。こういう各方面の日米安保体制に対する世論というものを紹介をしたのでありまして、結論的にどう日本の政府はする、こういうふうに考えているということは、きのうの会談の内容の中には出てきていないと思います。適当な時期だとは私は思わないわけです。
  57. 黒柳明

    ○黒柳明君 私は予算委員会のときは、協議会の席上で安保の問題は論議になるのですか、こういうような質問をしたのですが、そうしたら外務大臣は、討論には入らない、そういう予定はない、こうおっしゃった。それはいいとして、この新聞報道の範囲の話し合いだと思うのですが、先ほども、自民党のPRが足らないのじゃないか、こういうような話がありましたけれども、私も確かにそう思うのです。やはり、こういう外交問題というものは、国民の方々には非常にわかっているようでもなかなかわかりませんし、一部の人だけしか理解しにくい問題です。国内問題は、物価の値上がりとか毎日毎日の生活の中に反映するものですから。この外交問題なんかについては、やはり一部の人だけが右なら右、左なら左とリードする、こういうようなムードで片づけられる問題じゃないのです。ほんとうに国民の中に是か非かということを論議し、討論し、検討されたものが日本の進むべき方向として打ち出されなければならない、こう思うのですけれども、いま外務大臣が、自動延長でも長期固定でもない、そういう期限がない。これは条約を見ればはっきりしているのです。ところが、いままでの積み重ねというものは、これはどうしても、昨年の総理の発言も含んで、長期固定とか、自動延長とか、それから一九七〇年の危機とか、こういうイメージがあることは、これはぬぐい去れないと思うのです。これからはやはり三年ございますから、その間、外務大臣が新しく三木ムード、ソフト外交といいますか、そういうイメージを日本の人たちにPRしていかなければならない、こういうふうに私は思うのですけれども、いかがでしょう。そういう面について。
  58. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 実際言われるように、いまは外交といっても国民の納得を得られないと外交というものは宙に浮いてしまうわけですから、だから、国際情勢あるいは外交の実態、こういったものをできるだけ国民に知らし、国民はまた、しろうとと言っても、外交の感覚を持っておりますから、また願望もあるでしょうし、こうしてもらいたい、こういうことを外交と国民のそういう感覚、願望というものを結びつけなければ外交にならぬと思うのです。私は国民の納得しないような異常な外交をやろうといっても、それは外交政策の限界を越えると思います。だから、きのうも各県から総務部長会議を開いて、外交問題の報告会というものを開いている、外務省で。私も話をしたわけです。そうして、その席上でも言ったのですが、外務省には待機中の大使なんか一ぱいいるわけです。これはいつでも派遣するから、少し外交と国民とを結びつけるような努力をしてくれないか、そうしたら、いつでも幹部でもだれでも派遣をして、そして、外交と国民とをもっと身近な関係に置くように努力したいという希望を持っているので協力してくれということを、昨日でしたか、頼んだのでございます。これは黒柳さん、公明党で呼んでくれたら行きますよ、話をしたいと思います。
  59. 黒柳明

    ○黒柳明君 その点について、安保の問題について致命的なことは、自民党内で、固定あるいは自動延長というようなまだ両論があるわけですね。これは意見があることは、これは当然なことだと思いますし、各党間にまた相違があることは、これはあたりまえなことですが、やはり政府与党の中にはいまもってそういうはっきりとした、これはムードじゃなくて、はっきりした主張の対立がある。こういうようなことが、はたして外務大臣が言われるような国民全体の意見を基盤にした外交、こういうものをやるためには、何といっても政府与党、自民党内の統一が必要だと思うのです。ここらあたり、一はだ外務大臣に脱いでいただいて、まずそこらあたりから出発をしなければならない。特に安保の問題は、いま言いましたように、長期固定、自動延長ということが、非常に国民はそういうイメージを、ごく一部だと思いますが、全体的にはっきり知っておるかどうかわかりませんけれども、こういうイメージが強いわけでありますね。ますますこれからマスコミを通じてこういう思想が流されていくわけでありますから、そのためにも、自民党内の意見の調節、それについて強力なる、総理、総裁を中心にして、外務大臣先頭に立っての、いま外務大臣が言われたような、条約に期限が本来はないのだ、こういうことを納得させるような方向に行かなければならないと思うのですけれども、どうでしょうか。
  60. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろ自民党内部のことを御心配いただいたわけでありますが、自民党は、安保条約というものは必要だという点では一致しておるのです。これは必要ないのだ、破棄してしまえというならば、これはもうたいへんな、調整といってもなかなかしにくいのですが、安保の体制は必要であるというような自民党のこれは全体の党の方針ですからね。内部でいろいろ意見があるということは、これは当然だと思うのですよ、政党の内部で。重大な問題ですから、安全保障の問題は。しかし、根本においては、安保というものが今日、日本安全保障の上において果たしておる役割りというものは、われわれは評価せざるを得ない。だから、安保というものが必要である、安保体制が必要であるということはきまっておりますから、これはあまりみっともない形でなしに、自民党の意見の調整というものは、私はできると思っております。いろいろこの間から委員会を——何委員会といいましたか、安全保障調査会というのか、これを開いて、そうしてこれからこの問題を検討しようというわけですから、これはあまり黒柳さんの御心配願わないで、やはり自民党の中の調整は可能だと考えております。
  61. 黒柳明

    ○黒柳明君 それからもう一点、期限の問題ですけれども、これは発言ですから、その場、その場においていろいろなことが出てくるのはしようがないのですが、私もこれを予算でまた質問したのですが、総理は、安保時期尚早だ、まだ早いと、こういうようなことをおっしゃっておったのですけれども、ニュアンスとしては、事務レベルでやはり検討を始めておるのじゃないか、しかも、ここらあたりで真剣に政府がこの問題と取り組むときが来たのか、こういうふうな質問をした。総理は、一九六九年あたりというようなこともちょっと発言されましたが、いま外務大臣は確かに時間があるというおことばの中に、先ほどのことばのあげ足をとるわけじゃないのですが、もう一九七 ○年といったってすぐそばだと、そのようなことも発言になったわけです。ですから、そこらあたり、結局一九七〇年の先ほど言いましたような危機、三年といったって決して長い将来じゃないわけです。いまあたりからある程度の話し合い、国会討論、それを通じ、マスコミを通じて、さらに国民が徐々に納得していくわけですから、そういう段階、討議する、検討し合う、話し合う時期としては決して早くないのじゃないかと思うのです。そこらあたり、ですから、一九七〇年段階で云々ということになると、時期が早いとかなんとかということになるが、条約に期限はないのだ、これはいいと思うのですけれども、話し合う時期、どういうふうにしたらいいか、論議し合う時期、その時期としては決して早いものではない、むしろおそいくらいのものじゃないかと思いますが、その時期あたりに対しても総理は、まだ早い、まだ早いと、こうおっしゃっておるような感覚を受けるのですが、その辺いかがでしょう。
  62. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 総理大臣は総裁でもあるわけです。総裁は、自民党の中でこれは検討を始めたのですから、要するに、法律的に言えば、一年前に、安保条約の規定によって一年前に破棄通告をするならば、一年前にやらなければならぬわけですから、そういうふうな時間の制約があるわけですけれども、自民党は必要であると考えておるのですから、破棄通告をする意思は全然ないわけですから、これは必要だということで、そういう意味での時間というものは、それは安保条約から来る制約はないですけれども、しかし、この問題がどういう方針で、一九七〇年以後どういうことで行くかということは、これはいろいろな角度から検討することは必要なんで、いまもう始めているわけですから、そんなに早い早いといっても、あまり日にちを切ると黒柳さんに責められますからね、だから、時間があると、こう言っておるんですけれども、いま現に自民党はこの問題について検討を始めておるんですから、できるだけ早くそういうことが、自民党の方針がきまることが好ましいことは言うまでもないと思います。
  63. 黒柳明

    ○黒柳明君 最後の一点。核拡散も、わがほうも、大臣、いろいろ誠意を尽くして、あるいはドイツとも話し合いを終わって、それから西ドイツもインドも特派のいろいろ意見も調節し終わった。草案ができる段階にあるわけですけれども、また、これからどのぐらいの時点において今度外務大臣が各党と、第二回目の——超党派外交と言えるかどうか、その話し合いをする段階はどのぐらいの時点と見ているでしょうか。
  64. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはまた近いうちにやろうと思っているんですよ。これはやはりこの間寄っていろいろ御意見を聞いたわけですが、いろんな報告もあるし、もう一ぺん近いうちにやらなきゃならんなと考えておりますので、草案もいま十八日に一体出されるかどうか、そういうことともにらみ合わせておるんですが、これはやはり必要があったら御足労でもお集まりを願って、政府の持っておるできるだけの情報は提供して、いろいろ御相談をしたいと思っております。
  65. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 簡単に一点だけお伺いいたします。  ベトナム戦争を解決の方向に導くための一つの方法として、この間、カナダがジュネーブ条約による軍事境界線休線ラインの南北若干キロの線のところまで双方の軍隊を引き揚げさすという案を提案をしておりますね。あれについて外務省ないし外務大臣はどういうふうに見ておられますか。
  66. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は杉原さん、こういうふうに思っておるんですよ。いま暫定的にはジュネーブ協定の、あの暫定的と言っておるでしょうが、十七度線でこれはやはり北と南とにまあ一応分かれて、将来どういうふうにするかということは、もっと安定した基礎の上でベトナム人が考えるべきでしょうけれども、この戦争を終わらすためには、これはどうしてもやはり十七度線というものを暫定的な休戦のラインにする以外に方法はないと思うのですね、解決の。だから、カナダがあそこへ休戦ラインというようなものをつくって、そうして一応ベトナム和平というものをもたらしたらどうかということは非常にやはり価値のある提案だと思っております。しかし、一番問題は、こういうふうな提案が、やはりアメリカもあるいは南ベトナムも、それからハノイもこれは受諾できるということでないと、なかなか話し合いがつかない。ですから、そういう点で戦争当事者がみな、両者がやはり納得するような案ということが必要であって、カナダの提案も一つのやはり価値のある提案だと思いますが、これに対する反応がまだやはりそういうことで、和平がもたらされるというような反応はまだ起こっていないわけでありますから、しかし、その提案自体は価値のある提案の一つだというふうに見ておるわけでございます。
  67. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 私の質問の趣旨を明らかにする意味から、ほんのわずか私のオブザーベーションを申し上げたほうがいいと思うのですが、これは私はかねてからこう見ておるのですよ。よくジュネーブ、ジュネーブということを言われますが、あれはあのときの解決の方式としては確かに一つの方法であったが、あの場合と現実の条件というものは現在は違ってきておる。そこでカナダの提案は、北のほうを本拠にする北ベトナム軍アメリカ軍ないし南ベトナム軍との間の問題に対する方法としては確かに価値のある提案だと思うのです。しかし問題は、ベトナム戦場の特色というものは、現実には戦線が非常に入り乱れておって、現実の線を明確に引けないということが大きな特色だと思う。ことに具体的には、南ベトナムの地域を本拠にしておるベトコンがおるということ、ここに大きな特色があるので、これが、朝鮮戦争や何かと違って解決の方法がむずかしい大きな私は原因だと見ているのです。そこでいまのカナダの提案というのは、確かにそれも実際的なヴァリューなんですが、いまのベトナムというものに対する関係ですね、そこを見ると、これは現実的でないと私は見ておる。そこにあれの非常に実際的な欠陥があると、私はこう見ておるのですがね。それはいまの、両方が聞く聞かぬの問題に入る前に、それ自身の実際的なヴァリューがあるのです。そこに欠陥があると、こう見ているのですが、どうなんです。
  68. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) おそらくこれは、北のほうがああいうことで一つの休戦ラインのようなものを、十七度線を境にして引くことによって和平がもたらされるというなら一つの方法だと思いますが、いま言われたように、ベトコンというものもいるわけです。そこでもう境界をはっきりして、それが南と北とが遮断されるということになれば、実際問題として、ハノイとしてもそういうものをやはり受けにくいでしょうね。だから考え方としては、事情が違う、杉原さんの言われたように、事情は違いますよ、一九五四年とは。しかし、それだから私は精神である、こう言っておるわけです。ジュネーブ協定の精神に、まあ振り出しに戻るよりほかはないだろう。というのは、あの十七度線で一応の休戦をもたらす以外にいまのところ方法はないのではないか。そういうことで、カナダの提案もそういう意味において一つの価値のある提案かもしれぬが、実際的に考えたら、北と南と、そうやってちゃんと、国境をきちんとして、そしてある距離の境界線を置くということになれば、北と南との関係というものが遮断をされるわけですから、ハノイはなかなか承知をしないというところに実際的ではないというような——実際的ではないのじゃないかという杉原さんのオブザーベーションはそのとおりだと思うのです。それは北からすれば、ベトナムは一つだと考えておるわけですよね。だから、なかなか浸透ということも、あまり北のほうはコミットしてないですよね。浸透しているということは、それがもうちゃんと境界ができて、ある距離をつくって境界がはっきりするということになれば、ハノイとしてはなかなか現実的には受諾しにくいことになる。現実的にはこれはなかなか解決案にはなるまい。しかし、ものの考え方として、十七度線を境にして暫定的なベトナムのこの和平をもたらすというカナダの考え方は、結局、そういうところに国境線をどうするとかいうことの技術的な問題は別として、それよりほかにあるまいと私は思っておるのです。北が南のほうを共産化するといったって、それはできませんよ。南はまた、アメリカ自身に対しても、北の政権を転覆させるということはできるものではないわけです。一応現在の状態というものをお互いに尊重し合って、その上で将来のベトナムをどうするかということは、もっと安定した基礎の上において考えるよりほかにないのではないか。だから、カナダの言うような、十七度線を境にして何か和平をもたらせという考え方は、まあ、技術的な問題を別にして、まあ、そこへ行く以外には解決はなかろうと私も思っておるわけです。その限りにおいては一つの示唆を与えるものだけれども、現実的には、その案はなかなか現実には適用できぬということは、杉原さんと私とは同じ考えです。
  69. 赤間文三

    委員長赤間文三君) 杉原さん、もうよろしゅうございますか。
  70. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 要するにね、むずかしいことであるけれども、北ベトナムと南とのなにという、これも非常に重要なファクターに違いないが、ベトコン処理の対策ね、これがなにせにゃあだめだということを、私はそれが解決案考えるときも、そこに触れない案は完ぺきでないということを言いたいんですよ。
  71. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ちょっと、それじゃあ一つ。  きのう予算委員会でも触れた問題ですけれども、またLSTの乗り組み員が負傷しましたね。それについてアメリカ側でもっとそういうことの起こらないように注意をするということなんだけれども、何といっても、戦場へ出かけていく問題なんですね。普通の場合ですと、まあ、どうも日本の国民が戦場へどんどん出かけていくということは、やはり巻き込まれることにもなるし、おそらく外務省でも好まないことだろうと思うんですよ。しかし、今度の場合は、別に日米安保条約に基づいてやっておるとも思えないんですけれども、おそらくやっている本人たちはそういうことを意識しないでやっているだろうと思うが、何といったって大量の、相当量の人が戦地へ乗り込んでいった。それで保護を受けるといったって、相手はやはり武器を持っているんですし、それから事実上戦争やっていることですから、どんどん撃ってくる。一体、どういう保護が行なわれるのか。それからまた、保護は行なわれないけれども、負傷したり死んだ場合に十分に補償するということは、どうもこれは保護とは私違うと思うんですがね。こういう問題が、またこれからも激しくなってくるとしばしば起こるんじゃないか。特にアメリカ軍は南のほうへの作戦の展開を考えておるようですし、それから、ことにこれからもっともっと物資をたくさん輸送するということになって、LSTの活躍もだんだんふえてくると、危険がさらに増大するわけですよ。そういう場合のことは外務省としては考えておらぬのですか。ただ負傷したり死んだ場合に補償を十分にしてさえくれればいいんだと、それで事足りるんだというお考えなんでしょうかね。
  72. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは日本人の生命に関係するわけですから、今後の状態というものは、注意深くこの問題のどういう状態になるかということは、われわれとして関心を持ち続けていかなければならぬと思っています。きのうもこの問題でシャープ太平洋司令長官と私とでいろいろと話が出たわけでございます。いま言われるように、まあ、われわれとして日本人の生命の保護に対して遺憾なきを期されたいということを言うわけです。向こうからすれば、それはもう非常に不可抗力の場合もありますからね、まあ、できるだけのことはわれわれとしてもそれは生命は大事だから考えていると言う以上に、相手がこうおるわけですからね、非常にまあむずかしい問題を含んでおるわけでありますが、これに対してはわれわれとしても注意は喚起しておいたわけでありますが、一体このベトナム紛争の今後の推移とこういうLSTなんかの船員の被害というものは、今後とも十分注意をして見守ってまいりたいと思っております。
  73. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 第一、LSTに乗り組んでいる日本人がどういう状況にあるのか、一体何をしているのか、そういうことの第一把握ができてないと思うのですよ。その把握をすることが大事なわけです。それから、いま言ったように、危険な場所へどんどん出ていく。そうすると問題が起こるのですから、したがって、日本側としてもときにはそういう者に対して行ってはいけないということにして、そういうトラブルを起こさせないようにする必要もあろうかと思うのです。おそらくアメリカベトナムで行なっておる行為でなくて、どこかの国が戦争をしている場合に、日本人がそういう戦場へちょこちょこ出かけるということになりますれば、出先の大使館だってそういう人たちの行動を押えたり、あるいはまた本国へ帰ってもらったりするような措置をとるだろうと思うのです。南ベトナムの場合だけはまあ放任の状態ということは、どうも私はおかしいと思うので、こういう問題が起こってきたら、むしろそういうようなところに介入させるのは、はさまるのはやめさせるという方向をこれは日本政府としてとるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  74. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはなかなかむずかしい問題で、まあ、個人の契約によっておるわけですからね、そういう点でどの程度まで自由を制限できるかというむずかしい問題も含んでいます。いまのところはこれをとめる意思はないのですよ。しかし、今後非常に被害が増大してくるということになれば、よく考えにゃならぬ場合も起こり得るとは思いますが、これは、したがって、今後の推移というものをわれわれは注意深く見守っていきたいと考えております。
  75. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ、私どもとしては、それはもうこれから一そうあぶなくなるのだから、やめる方向に持っていくことがいいんじゃないかと、こう考えますがね。  これでおしまいです。
  76. 赤間文三

    委員長赤間文三君) ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会