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1967-07-21 第55回国会 参議院 沖縄問題等に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十一日(金曜日)    午前十一時五分開会     —————————————    委員異動  七月二十一日     辞任         補欠選任      向井 長年君     瓜生  清君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山本 利壽君     理 事                 内田 芳郎君                 小柳 牧衞君                 岡田 宗司君                 佐多 忠隆君                 黒柳  明君     委 員                 大谷 贇雄君                 源田  実君                 谷口 慶吉君                 長谷川 仁君                 林田悠紀夫君                 増原 恵吉君                 森 元治郎君                 瓜生  清君    国務大臣        国 務 大 臣  塚原 俊郎君    政府委員        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        外務政務次官   田中 榮一君        郵政省貯金局長  稲増 久義君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        瓜生 復男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩返還に関する請願(第三七四一号) ○沖繩その他の固有領土に関しての対策樹立に関  する調査沖繩その他の固有領土に関する件)     —————————————
  2. 山本利壽

    委員長山本利壽君) ただいまから沖繩問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。本日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。     —————————————
  3. 山本利壽

    委員長山本利壽君) これより請願の審査を行ないます。  第三七四一号、沖繩返還に関する請願議題といたします。  速記とめて。   〔速設中止〕
  4. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記始めてください。  それでは、本請願は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、報告書の作成につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 沖繩その他の固有領土に関しての対策樹立に関する調査中、沖繩その他の固有領土に関する件を議題といたします。  この際、おはかりをいたします。沖繩返還につきましては、各党委員の方々非常に御熱心な御討議をいただいたわけでございますが、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党の四派共同提案として決議案を出したらいかがかという提案がございましたが、その案文委員長において作成いたしましてお手元のほうへお配りしてございますが、この決議案を朗読いたしますが、決議案提案することに御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山本利壽

    委員長山本利壽君) それでは、その案文を朗読いたします。    沖繩小笠原及び北方領土返還等に関す    る決議(案)   沖繩小笠原及び北方領土のすみやかな返還  が、これら地域住民、元住民ならびに国民す  べての多年にわたる願望であるので、その早期  実現のため、政府は次の諸事項を強力に推進す  るよう要請する。  一 沖繩及び小笠原諸島早期復帰実現のた   めに、外交交渉等を通じてあらゆる可能性を   求め、最善の努力をすること。  二 沖繩と本土との社会的文化的一体化を促進   するため、日米協議委員会、その他の対米折   衝の場を通じて、次の諸事項について特別の   配慮をすること。   (1) 教育、文化社会福祉産業経済等の各   分野における沖繩・本土間の格差を是正す   るため、日本政府は、さらに積極的に沖繩   援助を推進すると同時にこれらの計画の策   定、実施に当り、日本側の意向が尊重さ   れ、反映されるよう努力すること。   (2) 琉球政府の権限を強化、確立し、さらに    その自台権の拡充につとめること。   (3) 沖繩住民に対し、日本国憲法に定められ    ていると同様の基本的人権が保障されるよ    う努力すること。   (4) 沖繩・本土間渡航制限に関する諸問題    の早期解決につとめること。   (5) 基地に関する諸問題の処理解決につい    ては、住民の意思が尊重され、その福祉が    充分に配慮されるようにすること。   (6) 沖繩遠洋漁業安全操業確保について    適切な措置を講ずること。  三 小笠原については、人道上の問題として   も、元住民の帰島の即時実現に全力を尽すと   ともに、帰島問題の解決に備えて、元住民の   帰島後の経済活動の保証、生活の安定のため   に必要な措置をとること。  四 択捉島、国後島及び歯舞、色丹等わが国固有   の北方領土返還実現し、日・ソ平和条約締   結のため、一層の努力を尽すとともに北方水   域における安全操業確保につとめること。   右決議する。  ただいまの決議案を本特別委員会決議とすることに御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  9. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 総員挙手全会一致でございます。よってただいまの決議案は、全会一致をもって本特別委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。
  10. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 政府といたしましては、ただいまの御決議の御趣旨にしたがいまして、これをよく検討し、努力いたす考えでございます。
  11. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記をとめて。   〔速記中止
  12. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は、沖繩における戦前郵便貯金の取り扱いの問題について、政府の御見解を承りたいと思います。  この戦前郵便貯金支払いについて、沖繩のほうでは前々から要求が出ております。また、これについて当然支払わなければならないものと私は考えます。二十二年も延び延びになっておるということは、これはどうも解しかねることなんでございますけれども、過日新聞によりますというと、小林郵政大臣がこの沖繩における戦前郵便貯金を払うということを閣議に報告されたように受け取ったわけでございますが、政府としては、いよいよ沖繩における戦前郵便貯金を払う、そういうふうに態度をきめられたのかどうか、まずそれをお伺いをしたい。
  14. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) ただいまの問題につきましては、私も就任以来事務当局からこの話をよく承っておりまするし、一週間ほど前には、沖繩の方が十名くらいおいでくださいまして、るる御説明を承ったわけであります。そのときに、小林郵政大臣も私の前にお目にかかったというふうに私は承知いたしておりまするが、それから二日後の閣議でございましたか、小林郵政大臣発言されまして、こういう問題があるから関係各省で相談すべきではなかろうかというような御発言があり、私も沖繩を担当している関係で、私にも何とかしなければいけないのじゃないかというようなお話があったわけでございまして、これを解決するというような文字は、ことばは使っていなかったと思います。解決するための努力関係省間において相談すべきではないか。塚原のところでそのあっせんの労をとるべきではないか、こういう意味の御発言がありました。ひとつ詳細は小林さんから聞いていただければいいと思いますが、私の聞いておる範囲はその程度であります。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは早急に解決されなければならないものだと思うのですけれども、本来なら、沖繩における戦前郵便貯金というものは、これは沖繩郵便貯金をしておった人々請求権があると思う。それに対して郵政省ですか、とにかく請求権があると思います。たとえ沖繩がいまのところ事実上日本統治下から離れておりましても、個人としての請求権というものは消滅しているわけではない。当然私はいままでにその請求権に基づいて払うべきものが延びておる。一体なぜいままで延びておったか。請求権が消滅しているわけでもない。これは政治的な要求でもないわけなんですけれども、それがなぜいままで延びておったのか、まずその点に、これは山野さん、御承知だと思うので、山野さんから延びておった理由を伺いたい。
  16. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) ただいま御指摘になりましたように、敗戦によりまして沖繩が占領されまして行政分離になりまして、戦前の預金を日本政府から払う機会が失われておったのでありまして、したがいまして、郵便貯金基本契約がまあいわば凍結されてきたといったほうがいいと思うのでありまして、したがいまして、基本契約は生きておりまして、権利は消滅していない。そこで昭和三十年に奄美大島返還のときに、これは御案内のことと思いますが、それに関連しまして沖繩郵便貯金日米合意のもとに支払うべきであるという合意が成立いたしまして、それから具体的に一体どういう方法払い戻しをするかという話し合いが具体的になりましたのは、昭和三十五年前後に相当具体的になりまして、調査団等も参っていろいろ話し合いを進めてまいりましたが、沖繩側が当時一円対一ドルというような考え方で、それに対して日本政府の側が、ほかの地域とも同じように一円一円で決済したいというようなことから、当時は話し合い沖繩側とつかなかったわけでございます。その後、数回にわたっていろいろ折衝が行なわれてまいりましたが、現在のところ、そういう合意が成立していないで未払いのまま今日に至っておる、こういう事情でございます。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、アメリカ側においては、郵便貯金支払いについては文句はないということになったわけですね。それから、いま沖繩側との話で、つまり一円一円のまま払うかどうかという問題が問題になって、そのことの合意に達していないというのは、沖繩側というのはどこをさすのですか。これはたとえばアメリカ民政府のほうをさすのか、それとも琉球政府をさすのか、その合意に達しないというのはどこをさすのですか。どことの合意に達していないのですか。
  18. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これは直接は債権者日本政府の問題だと思いますが、債権者団体でございます戦前郵便貯金等払い戻し獲得期成会というのがございまして、この会長に当間重剛さんがなっておられますが、この団体を通じまして、いろいろ話し合いを進めてきた、こういうことになっておるわけでございます。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、これには民政府または琉球政府というものは全然関与しておらないのですか。
  20. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 琉球政府のほうは、側面的に、ひとつこの解決早期にしてもらいたいというお話はございます。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、アメリカ側最初これの払い戻しについて合意したが、その後のこまかい具体的な内容については全然関与しておらない、こういうことですか。
  22. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) そのとおりであります。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 戦前一円と今日の一円と非常に違うわけなんですね。それで、これが沖繩つまり請求権者のほうの過失かあるいは何とかでもって支払いがとまっておったとかなんとかということじゃないんですね。戦争という問題、そしてその後……戦争だって終われば、すぐ本来なら支払うべきものが、沖繩がああいう事態になったためにずっとおくれている。そうすると、これは日本政府のほうでもこの二十二年間ほうっておかれたという問題については責任があると思うのですよね。これは私はやはり政府として相当政治責任のある問題だと思うんですがね。塚原長官、それはどうお考えになりますか。
  24. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) いま山野局長からお答えしたような経過をたどっておるわけでありますが、現地の方が要望しておる、いわゆる貨幣価値変動に伴う、この問題について、なかなか御要望に沿うような結論を得られなかったというのが今日までの経過であったと私は考えております。その責任がどこにあるかということでありますが、いずれにいたしましても、非常に要望の強いことも私もじかに体験いたしておりまするし、やはり歩み寄りということも必要であろうと思いますので、ひとつ関係省で、特に郵政省、あるいは大蔵省も入るのでしょうけれども、そういうところと御相談いたしまして、できるだけ早い解決をはかる、その努力を続ける考えでございます。
  25. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、その努力をされて、歩み寄りということを言われたわけですけれども、その歩み寄りというのは、一円幾らで払うか。つまり一円を今度は何円にして、あるいは何セントですか、何セントにして払うかという問題ですか。
  26. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) まあ、この問題の解決はやはり貨幣価値変動に伴う問題が中心をなしておりましょうけれども郵便貯金法ワク内において処置すべき問題も入っておると思いますし、あるいはそのものずばり、一円対云々というお答えは私はいまいたしかねますが、話し合いを続けまして、ひとつ解決の方向に進んでいきたいと、こう申し上げる以外に、具体的にどれくらいという御返事は私はいま差し控えたいと思います。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はいま、一円に対して何セント払えということをお聞きしておるのじゃないのです。つまり金額での歩み寄りというお考え解決をつけようとされるのかということです。
  28. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) まあ、金額の問題が中心になることは、これは当然でございましょうが、こういう問題の解決では、これは私個人考えになるかもしれませんが、あるいは抽象的という御批判をいただくかもしれませんが、ひとつ前向きの一例をとるならば、厚生施設とかいうような問題も打ち出しまして、そうして話し合いができれば幸いであるというふうに考えております。
  29. 岡田宗司

    岡田宗司君 厚生施設ということになりますと、これは戦前の、円の郵便貯金に対して日本側で何円、あるいはそれを沖繩通貨であるドルに換算して何セント払うという問題ではないわけなんです。何か現物給与といいますか、の形になる。しかも、それは単に戦前郵便貯金をしていた人に対する現物給与個人に対する現物給与ではなくて、集合的な現物給与あるいはまたもっと一般的に、単に戦前郵便貯金請求権を持っている人だけじゃなくて、もっと一般的なものに対する何か福利施設といいましょうか、そういうものを与える、こういうことでしょうか。
  30. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) まあ、問題の解決が今日までできなかった、長引いておるというところにこの問題の困難性は認めざるを得ないと思うのであります。いま私が、たとえばということで提示いたしましたことについても、岡田委員からかなりきつい御批判のおことばがあったようでありますが、問題の解決にはやはり双方がいろいろな案を出し合って歩み寄りということが私は必要ではなかろうか。そういったことについて多少の批判はあっても、両者が合意に達するならばこういう問題にはピリオドを打っていきたい。両方が満足するという形はなかなか困難だと思いますが、とにかく長年の問題でありますからひとつ……私はつまらない一つの案を提示したかもしれません。そのほかにも考えなければならぬ問題はたくさんある。岡田委員のおっしゃったようなことも含めまして、ひとつ前向きでこの問題に取り組んでいく、検討さしていただきたいと思うのであります。
  31. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記をとめて。   〔速記中止
  32. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 速記を始めて。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 それで、いまのお話ですと、両方にいろいろな案があるというのですが、それじゃ沖繩から出しておる案というのはどんな案があるのですか。
  34. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) あの要望事項がありますが、私持っておりませんから、山野君から説明させます。
  35. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) この間沖繩側から持ってこられました案によりますと、一円対六十七セント、大体二百四十倍ぐらいになる計算の資料を私どもに説明されました。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 それ以外の案というのはないのですか。
  37. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 現地ではいろいろ考えておられるようでございますが、公式にはまだ表に出す時期ではないというぐあいにお考えのように私どもは聞いております。
  38. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、最初折衝といいますか、折衝一円に対して幾ら払うかということから始まるわけですが、政府のほうでは一円に対して幾ら払うという問題はもう全然問題にしないのだと、他の方法で政治的に解決をする、こういうことでしょうか。
  39. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) 政府のほうでは、元金については一円一円であるけれども利息をできるだけ有利に計算いたしまして、通常利息との差額を見舞い金として差し上げるという案は考えております。
  40. 岡田宗司

    岡田宗司君 利息はなんでしょう、複利にする、二十二年間でもって何倍になりますか、元金の。
  41. 山野幸吉

    政府委員山野幸吉君) これはまだ確定した数字でございませんのではっきりは申し上げられませんが、大体終戦当時は四千万としまして三倍程度のものに、元利合計しまして。
  42. 岡田宗司

    岡田宗司君 それと一円対六十七セントの計算ではたいへんな違いなんですね。これは金額上の歩み寄りということになると非常にむずかしい問題であると思うのです。大野伴睦さん流に両案を取って中を取るというようなことをやれるような差じゃないと思います。そこで、もう少しやはり私どもはこの金額についても単に複利計算でもって三倍程度払うということでなくて、もう少し何かくふうがあってしかるべきだと思うのです。やはり貨幣価値変動というものが現実にあったとすれば、その問題も考えなければならぬだろうし、もしその方式をとらないとすれば、塚原さんはたいへん在外財産の補償でもってあんまり理由のないところにもお金を払うような方法を講じられたのだから、そういう点ではもう練達の士なんですからね、どうか政治的なひとつ解決でもって金額の問題も解決されたらどうかと思うのですが、どうですか。
  43. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 非常にお気の毒な状況、私も身につまされた一人でございまするし、それだけに、なるべく早い機会解決して御納得をいただけるようなことができればよいということを考えているわけです。そこで小林郵政大臣ともこの間御相談いたし、これは郵政省中心になると思いまするが、あるいは財政当局が入ることもあるでしょう。そういった面で解決をはかるつもりでおりますが、何しろやはり郵便貯金法一つワクもあることでありまするから、そこに独特の政治性を発揮しろと言いましても、一つのしきたりというものもあるのですから、その辺を勘案しながら在外で言う政策措置みたいなことができればよいとも考えておりまするが、はたしてそれが可能であるか、十分ひとつ検討さしていただきたいと思っております。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 いまのお話ですとね、郵便貯金法に縛られている。しかし、縛られておれば、特例法を設けることもできるので、ずいぶん特例法という形も出てきているのですから、在外財産でああいうふうに非常に柔軟性のある、われわれが見ると、どうも納得のしかねるようなものまで実現できるのですから、ひとつ特例法でも考えていただいて要望に応じる形をとったらどうだ。いずれこの問題は何らかの法律をつくらなければ解決できない問題だと思うので、そこで特例法考えられたらどうかと、こういうことなんです。どうです。
  45. 塚原俊郎

    国務大臣塚原俊郎君) 十分検討さしていただきたいと存じます。
  46. 山本利壽

    委員長山本利壽君) いま郵政省貯金局長が見えました。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 大臣がお見えにならないので、大臣にお伺いしたいことがあったのですけれども、まずこまかい点についてお伺いしたいと思います。  それは、まず第一に戦争前の郵便貯金ですね、これがいまも支払われずに凍結されている形になっていると思いますが、沖繩のやつは総額は幾らになっていますか。
  48. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 郵便貯金に限って申しますれば、終戦時の現在高は約四千九十万円でございます。それが今日まで利子が四千四百八十万円ほどついておりますので、四十二年度の三月末では元利合計八千五百八十万円余りになります。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 その利子は、複利ではなく単利でしよう。
  50. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) これは通常貯金がほとんどでございますので、その時期時期におきます通常貯金の利率をかけました、いわゆる郵便貯金法にそのままのっとりました利子つけ方での金利でございます。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは何人ですか。
  52. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 口数にいたしまして十七万四千八百口くらいでございます。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 一口平均幾らになります。
  54. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 四百円ほどでございます。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 最高幾ら最低幾らですか。
  56. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 最低一円くらいから最高一万円くらいでございますが、百円以下がこの全口数の七〇%強というような状態でございます。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 当時は、とにかく百円以下が七〇%を占める。百円以下といっても、百円というのは零細貯金ではありまするけれども、かなりの額だったと思うのです。しかし、いま利息を付して約倍払って二百円くらいになりますか、そうすると、これを沖繩の現在の通貨ドルにいたしますと何セントになりますか。二百円の支払いを受けるとして何セントになりますか。
  58. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 約六十セントくらいじゃないかと思います。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 十七万の人の七割が向こうの金で六十セントずつ払ってもらうということは一体どういう意味ですか。これは郵便貯金法があって一円一円しか払えないということかもしれませんけれどもね。そういうことを常識で考えてどうお考えになりますか。これは郵政大臣にお伺いすべきことで、あなたにお伺いすべきことではないのだけれども、どうお考えになりますか。
  60. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 郵政大臣も先日、沖繩郵便貯金陳情団の方々にも、お気の毒であるという表現を数回使われておりました次第で、われわれもお気の毒だと思います。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかく沖繩人々は、日本政府を、日本政府のやっておる事業である郵便貯金、あるいは簡易保険もそうかもしれませんが、それに対して信頼を置いて、そうして将来のことを考え貯金をされた。この口数のうちには、沖繩でなくなっている人も私たくさんあると思うのですよ。ですから、そういうことを考えたときに、まあ貯金法に基づいてかどうか、貯金法に基づけばあるいはそれだけしか払えないかもしれないけれども、とにかく日本政府事業信頼をして、営々としてためた金を預けて、そうして二十二年据え置きにされて、返ってきた金が平均ドルにも足りないのじゃ、これは日本政府としてのやり方は血も涙もないと言われたって、これは私は一言も返すことばもなかろうと思うのですが、どうですか。これはあなたに聞くことじゃない、小林さんか塚原さんに聞かなければならないことだけれども
  62. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 先ほど申しましたとおり、大臣も、お気の毒だとは申されておりますが、事務的にはそういう同種の貯金につきましては一円一円処理してまいりましたので、事務的にはやはりそういうような処理しかできない、かように考えます。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 それは貯金局長の立場はそうでしょう。しかし、そこで、ぼくがさっきから言っているのは、政治的な解決ということなんです。そしてまた、郵便貯金法に基づけばそういう解決方法しかないかもしれませんが、そこで、特例法という問題も出てくるだろうと思うのですよ。この特例法をつくって何とか解決するということを郵政省じゃ考えておりませんか。これはもちろん郵政省だけの考えできまる問題じゃない。総務長官とも大蔵大臣とも相談しなければならない問題だと思いますが、どうでしょう、その点。
  64. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) ただいま申しましたとおり、同種の貯金につきまして一円一円で払いましたし、今後もなおこれと同種の郵便貯金が残っておりまして、それらも、いまのところは、一円一円で払うという方針でおります。これに特例を認めますと、過去のものにつきまして、不平が出ますし、今後の問題に非常に大きな影響があろうかと思います。しかし、大臣陳情団に仰せられましたとおり、お気の毒であるというようなこと、あるいは預金者の意思に反しまして凍結されてまいりましたというようなことを考えますと、現在予算化いたしております考え方は、先ほど申しました元利合計のほかに、見舞い金といたしまして若干のものをお支払いするというような考え方でございます。一応昭和二十八年の十二月に奄美大島が復帰いたしました際の日米協定によりまして、法律的には沖繩の預金も払っていいような事態になりましたので、その時点からほんとうは払うべきであったのが払わなかったというようなことで、その見舞い金の算定根拠といたしまして、民法の遅延利子の五分と通常の預金利子との差額だけを見舞い金としてお支払いするというような観点から、千四百二十五万円ほど見舞い金をこの元利合計のほかにおつけ申すという案はすでに予算化されております。  この見舞い金の根拠でございますが、この程度金額であれば特別立法の措置は要せず、予算上の措置としてけっこうじゃないかという政府関係機関の御意見によりましてかような措置をとっております。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、十七万のうちの七割を占める百円以下ですか、その人たちが最終に受け取る金は一体どのくらいになるのですか。その見舞い金を含めて幾らくらいになりますか。
  66. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 約二倍くらいになると思います。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはさっき言った勘定からいくとやっぱり沖繩の現在通貨に直してみると一円が一ドルにも足りない。一円が一ドルどころの騒ぎじゃない。もっとずっと低いことになりますね。一円がせいぜい幾らですか。三円ぐらいになるのですか。
  68. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 一円が二円ぐらいになります。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 二円ぐらいですか。ずいぶん、なんですね、情けないですね。私はとにかくさっき言ったように、本来なら沖繩郵便貯金は、個々人にしてみれば、たとえアメリカの施政権下にあっても、日本政府に対して請求権持っているのでしょう。それがずっと凍結されてきておる。しかも、その原因になっているのがやはり戦争と占領軍。これは日本政府の政治責任ですよ。だから、そういうことを考えたら、ただ郵便貯金をいじって——いじってじゃない——郵便貯金法にのっとって、その範囲でもって一円が二十二年間たって二円になった程度のやり方で一体済ませるものかどうか。日本の国家として済ませるものかどうか。私はそれを考えると、もっと別な方法考えるべきじゃないかと思うのですがね。あなた、局長として事務しかやらないのだからそこまでお考えになる必要もないのだけれども、私はそんなものじゃないと思うのですがね。だから、やはりここらで別の角度からやらなければならぬ。  それからそれについて一つお伺いしたいのは、いまこの種の貯金なり何なりは、前に一円一円で払っていた、今後ももしここでもって別な方法がとられると今後にも影響を及ぼすと、こういうことですけれども、前に一円一円で片づけていた例ですね。それから今後もあるいは起こり得るかもしれない例ですが、それはどういうものでしょうか。
  70. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 過去に支払いましたのは、いわゆる軍事郵便貯金、あるいは外地貯金日本に持ち帰った方々の分をお支払い申し上げまして、その分につきましても支払いましたのは二十億くらいかと思いますが、なお、支払ってないものが十五億ぐらいございまして、そのほか台湾、南洋群島、関東州、樺太、千島、それから韓国は終わりましたが、北朝鮮等の郵便貯金が残っております。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 その軍事郵便等でもってなお支払ってない部分は、これは実際上死んだり、あるいは通帳が焼けたり、そのほかの理由でもって請求がなされないで残っているということなんですか。
  72. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) さようでございます。ただいま厚生省その他にお願いいたしまして、できるだけ預金者をさがすようにつとめておる次第でございます。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういうものは支払いがずっとおくれているために、まあ、あなた方のほうでは相当な運用の利益もあるわけなんですね。そういうほうはどんどんもうけておる。おそらく死んだり通帳が焼けてしまったりして請求がない。もう何年かたったら自然に請求権は消滅みたいになっちまうんでしょう。何年たつと消滅するんですか。
  74. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 一応十年でございますが、十年の後に催告をいたしまして、催告に対しまして三月の猶予をおきまして消滅するということになります。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 いままで相当消滅しちゃっているんですか。
  76. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 軍事郵便あるいは外地郵便だけを抜き出した資料はちょっといま手元にありませんが、全体といたしまして、さようなケースに入ります郵便貯金関係は年々八億円前後郵貯金会計に入ってきます。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 やらずぶったくりですな。どうですか。それは法律に基づいているのかもしれぬけれども、やらずぶったくりだな。請求権があるやつは一円を二十二年たって二円にして支払う、取り上げるほうは年々八億づつさっさとふところへ入れちまう。ずいぶん貯金局というのは虫のいい商売ですな。どうですか。
  78. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) できるだけそういう金が出ないようにつとめておりますが、先ほど申し上げましたような、十年出し入れがなく、催告いたしましても、なお三月何らのあれがない場合には、さようなことで処理せざるを得ないということでありますが、できるだけこういう金は預金者に還元すべきであるという国会の御意見もございまして、昨年国会の御支援を得まして郵便貯金会館等をつくりましたのも、いまの先生のおっしゃるぶったくりですか、ふんだくりに対する報いの一つだと思っております。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 郵便貯金会館つくったのは、郵便貯金をしている人全体のサービスになりますか。一部の人へのサービスでしょう。そういうことを考えると、そういうやらずぶったくりやって利用できる金があるなら、沖繩の場合一円一円で返すとしても、そのほかに何らかの方法がとれるはずだと思うんですよ。どうです。そのやらずぶったくりの金というのは、どこの収入になるのです。
  80. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) 郵便貯金会計の雑収入になります。
  81. 岡田宗司

    岡田宗司君 雑収入がそんなにあるなら何か方法あるんじゃないですか、財源の問題じゃ別に問題がないんじゃないですか。だから、何らかの方法考えるということになれば、その財源を充てることによって、これは郵便貯金者に対して還元する道にもなると私は思うのですが、どうでしょう。
  82. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) ちょっと事務的にはお答えできないのであります。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこで私はさっきから郵政大臣においでを願っていたことなんですよ。これは委員長郵政大臣が来なければこの問題の解決についての前進ははかれないのですよ。だから、きょうはこられないからやむを得ませんけれども、しかし、この問題は、もし臨時国会が開かれて、沖繩問題等特別委員会がまた設置されましたら、早急にこの問題について郵政大臣のお考えを聞きたいと思うのです。そこで貯金局長、きょうの私の質問、それを郵政大臣にお伝え願って、そして郵政大臣がこの問題について、もし臨時国会開かれた場合に、十分に具体策を持って答弁のできるようにあなたから話しておいてください。
  84. 稲増久義

    政府委員稲増久義君) そのようにいたします。
  85. 山本利壽

    委員長山本利壽君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑は、この程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会      —————・—————