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1967-07-21 第55回国会 参議院 運輸委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十一日(金曜日)    午前十一時十六分開会     —————————————    委員の異動  七月二十一日     辞任         補欠選任      井野 碩哉君     高橋文五郎君      岩間 正男君     春日 正一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 岡  三郎君                 小酒井義男君     委 員                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 高橋文五郎君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 中村 順造君                 吉田忠三郎君                 田代富士男君                 中村 正雄君                 春日 正一君    国務大臣        運 輸 大 臣  大橋 武夫君        国 務 大 臣  松平 勇雄君    政府委員        行政管理政務次        官        北畠 教真君        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        運輸政務次官   金丸  信君        運輸大臣官房長  町田  直君        運輸省海運局長  堀  武夫君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省海運局次        長        高林 康一君        運輸省自動車局        業務部長     蜂須賀国雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件) ○外貿埠頭公団法案内閣提出衆議院送付) ○陸運事務所定員の増員に関する請願(第九三号) ○群馬県桐生市内両毛線高架に関する請願(第  三〇五号) ○国鉄古江線・日南線の急行「都井号」存続に関  する請願(第二〇七三号) ○長野県下に気象レーダー設置に関する請願(第  三四四三号)(第三六三二号) ○熊本県高遊原大型空港建設計画反対に関する請  願(第四〇四四号) ○国鉄山手線の大崎駅西口復活に関する請願(第  四〇九七号)(第四〇九八号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  自動車行政に関する件について調査を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  3. 木村美智男

    木村美智男君 きょうは自動車行政についてですね、国会も大体最終段階になってきましたので、多少締めくくりの意味を含めて、前から懸案となっている問題についてお伺いをしたいと思う。  で、まず最初に自動車局長にお伺いをしたいんですが、この前多少これは聞いたことなんですけれども、労働省が今年の二月九日に、いわゆる基発百三十九号「自動車運転者労働時間等の改善基準について」という通達を出しておるわけです。で、これはわれわれの常識からいうと、なるほど労働時間なり、賃金なり、あるいは労働条件というようなものは、これは所管としては労働省のあるいは労働基準局が専門的な立場ではやることかもしれないけれども、この自動車問題に関しては自動車行政監督官庁である運輸行政としてやっぱりそれが行なわれていかなければいかぬのじゃないかというふうに考えておるわけでありますが、どうもいろいろの事情はあるかもしれませんがね、何か労働省から一歩とにかく先んじられたかっこう運輸行政としてはなっているような気がしてならない。そこで、一体自動車局としては、あるいは運輸省としてこの二・九通達というものをどういうふうに考えてこの運輸行政として焼き直して具体的に実行に移していったかということ、これをひとつお聞かせ願います。
  4. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 労働基準の問題につきましては昨年からこの委員会でいろいろ御指摘を受けておりまして、それを受けまして東京陸運局特別監査もするし、一般監査もするということでやってまいったわけでございますが、その結果が非常に悪いということで、強く業界に対しまして、その是正を指導してまいったわけでございます。特に労働時間の二時帰庫の問題が守られていないということで、その関係でひとつ改善を早急にやる必要があるというふうに指示をいたしておったわけでございますけれども、たまたま労働省のほうで、先ほど先生のおっしゃいましたように、二月九日付けでその改善基準というものをきめて通達した。それでこういう労働基準の問題はもちろん基準法関係でございますので、第一次的には労働省のほうでいろいろ見られることでございますけれども、われわれのほうとしましては、もちろん事故防止観点からあるいは事業計画の遂行の面から当然関心を持つべき性格のものでございますし、その通達を、労働省通達後、私のほうからもその労働省通達というものについて当省の所管運行管理車両管理指導を一そう強化するとともに、その労働省通達実施について側面から十二分に協力するという旨を私の名前で各陸運局長通達を出しました。両方が協力してこの実施について万全を期してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 木村美智男

    木村美智男君 いまの自動車局長のお答えによると、二・九通達を受けて立って、そして運輸省としてこれを側面から協力をするようにという通達を出したと言う、実はこの辺が私は問題じゃないかと思うのです。というのは、せっかくこの二・九通達が出されたわけですけれども、監督官が少ないというような事情、それから経営者側がわりあいに水揚げというような問題については熱心だけれども、いわゆる労働条件あるいは事故防止的な意味における勤務時間、そういった関係についてどうも消極的だ、ましてそういうことになりますと、労働基準監督署としてはなかなか業者との関係というと、やはりどちらかというと、指導監督がこれは運輸省に主体があるわけですから、こういう意味事業主に対する徹底というような点で、やはりその欠陥をうずめていくというのが私は運輸省役割りじゃないか、だからこの前の委員会のときも、単に一片の通達を出すだけじゃなくて、やはり乗用車協会というか、経営者の集まる団体があるわけなんですから、それにやはりできれば大臣も御出席いただいて、そして特に事故防止という観点から、最近そういう問題がきびしく取り上げられてきているんだから、ということでやはり通達を出すと同時に、そういう何というか、じかにひざを交えるというか、血の通ったというか、そういう行政をやはりやる必要があるんじゃないか、こういうふうに申し上げて、じゃ、できるだけそういうことも考えてみようということになっておったんですが、そこら辺のことはどうなっていますか
  6. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 労働省のほうの通達についてのうちのほうの協力でございますが、それについては各陸運局でやはりそういう業界に対しまして十分その実施についてやるようにということはやっておりますので、本省が直接そういう業者を全部集めてどうこうということはいたしておりませんが、陸運局のほうはわれわれのほうの通達を受けまして、具体的にその協力の実を上げるようにということでやっているはずでございます。
  7. 木村美智男

    木村美智男君 二・九通達の中で、では多少具体的にお伺いをしたいんですが、この中では割り増し賃金の問題あるいは賃金形態固定給が四割で、歩合給が六割という、引っくり返ったようなところが非常に多いとか、累進歩合率をとってはいけないというようなことが書かれているんですが、きょうは主として労働時間の問題のほうに重点を置いて少し突っ込んでみたいと思うんですけれども、労働時間については、特に隔日勤務で、ハイタクなんかの場合が主としてそれに当たるわけですが、隔日勤務事業場外における労働時間は十八時間をこえてはならないというふうにきめられている。そうして隔日勤務自動車運転者であって、所定の実作業が十一時間をこえるものについては翌日は勤務につかせない、こういうことがこの労働時間の実は筋になっているわけですね。先ほど自動車局長は、特に帰庫時間の二時が守られていない、こう言っているけれども、これも何回か指摘したところです。ところが例の三・三答申あるいは閣議決定における事故防止対策というのは、こういう観点から考えてみれば、私も強く要望をして、それは抜き打ち監査も御苦労願ったわけですけれども、監査の結果は指摘されたとおりだ、こう言っていながら、帰庫時間を守られていない、それをどうするのかということについて、その次の手が打たれていないというところに実は私は問題があると思う。その守られていないのが現在の実情なんですから、それを守らせるようにするには一体どうすればいいかということを考えるのがこれが具体的な運輸行政でなければならぬはずです。ところがその守られていないというところまでは言うけれども、そのあとこれに対する措置というものが続いていないというところに実は二回も、三回も同じようなことを聞く形にいまなっているわけなんです。これは帰庫時間の二時を守らせるということについて一体どういうことを自動車局としては指導しているのか、その点をひとつ聞かしてください。
  8. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 昨年来監査の結果を受けまして、東京陸運局長が先ほど申しましたように、業界経営者を集めまして経営講習会を開催いたしまするし、またタクシー事業適正運営ということについて強力に指導してまいったわけでございます。それを受けまして東京乗用旅客自動車協会のほうで陸運局の警告にこたえるために営業特別委員会というものをつくりまして、その委員会の結論として新らしい勤務体系というものをつくってまいったわけでございます。その勤務体系がはたして労働基準法上適法かどうかということについて東京陸運局長東京基準監督局長のほうに協議いたしました。それで監督局長のほうからこういう新らしい勤務体系労働基準法上適法であるというふうな回答も得ましたので、その線にのっとって協会のほうは今月の十五日からその新らしい勤務体系に移って実施している、こういうふうになっております。
  9. 木村美智男

    木村美智男君 いま私のほうから聞いていこうとすることを多分答えようとしているんじゃないかと思うんですが、これは自動車局長、あれですか乗用旅客自動車協会東京旅客自動車指導委員会の連名でもって、要するに「タクシー利用の皆様へ」ということで、時差出勤ビラがたくさん、これはぼくもタクシーに乗ってもらったのだが、このことを言っているんですか、いまの場合。
  10. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 街頭で配ったビラは私は見たことはございませんけれども、おそらく私の申しております新勤務体系のことであろうと考えております。
  11. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると局長、ますますぼくは聞かなければならぬようになるわけですが、先ほど局長も、監査の結果帰庫時間の二時というものが守られていない、こういうことを言っておるわけです。それをどうしてそこのところを守らしていくかということが運輸省としてむしろ重点を置いて考えるべき事柄でなければならぬのじゃないか。ところが、今度の新しい勤務体系というやつはどういうのかというと、大体三つに勤務が分けられまして、A、B、Cとあるわけです。Aというのは大体普通の勤務で、八時に車庫を出て、そうして営業所に帰る時間は翌日の午前二時、こういうようになっておりますから、これが普通の勤務だろうと思います。これが約七五%、ところがBというやつは、これは十時三十分に車庫を出て、車庫に帰ってくるのは午前二時、そのかわり翌日は午前六時、だから実際には二時に帰ってきて、それから車の整備をしたり片づけをして寝るとなると三時近いでしょう。六時に出るわけですから五時半ごろ起きるということになる。そうなれば夜間の睡眠時間は二時間半、うまくいって三時間だろうと思う。それで六時にはまた出庫して朝八時半交代になる、これがBです、これが一五%。それからC勤務というのがあって、これは十一時に出てくる。そして二時の帰庫時間もへちまもない、夜通しぶっ通しでやって、そうして朝の六時までこれは大臣、やるんですよ。そうすると、一体運輸省帰庫時間の二時というものを厳守をして、でき得る限りそれが四時間を多少欠けるにしても、最低四時間くらいの睡眠時間をとらして、そうしてそういう中で事故を防止していくという、そういう勤務体系というものを指導し、そういうようなものを守らせていくというのがやはり運輸行政としてとるべき立場じゃないですか。しかし、いま自動車局長の言われることを聞くと、営業特別委員会というようなものをつくって新しい勤務体系をつくったからといって、たいへん自慢そうに言っているけれども、いま私が申し上げたような、これとは違うんですか。これは街頭ビラを配っているのじゃなくて、タクシーに乗るとこいつを百枚ぐらい輪っかにしてぶら下げてあって、お客さんと言って一枚ずつ取ってくれる。これは見てください、これが違うのかどうか。局長の言っている営業特別委員会相談をしてきめたやっとこれとは別なのか、別だというんなら、ひとつ別なやつを、この営業特別委員会がきめたというやつを教えてください。
  12. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) このビラに書いてあります内容のものが先ほど申し上げました新勤務体系と同一だと考えております。
  13. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、これと同じだということになると、これは乗用自動車協会なり指導委員会がかってにやったことで、運輸省としては知らないというやつですか、その辺はどうなっていますか
  14. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 東京乗用旅客自動車協会のほうが東京陸運局のほうにこういう勤務体系についていろいろ相談いたしまして、東京陸運局労働基準監督局とよく相談して、基準法上従来のやり方よりも漸進的によくなっていくというふうな考え方でございます。
  15. 木村美智男

    木村美智男君 陸運局相談をしたということになると、これは運輸省のほうは、このことについて要するによろしいと言ったということになるわけですね。そうだとすれば、二時帰庫というものを運輸省としては守らせる方針で今日までやってきているという、その方針をここで変えたということになるわけですか
  16. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) われわれのほうとしましては、先ほど来申しておりますように、二時帰庫というものが非常に守られていない。この前の監査のほとんど全部の会社が守っていないということでもって、その点を強く言ったわけでございます。先生、御指摘の時間以外の問題、給与の問題、給与体系の問題、それぞれいろいろとございますけれども、労働問題としては、しかし、まず労働時間の問題というものが一番重要であるということで、特に二時帰庫の問題に重点を入れて指導してまいったわけでございます。それで新しい勤務体系のA、B、CのうちのA、一般勤務、これが二時帰庫を厳守するということでございまして、その深夜勤務というようなものは、この点については二時帰庫とは関係のない勤務でございまして、こういうものをつくる必要があるかどうかという御議論もあろうかと思いますけれども、深夜にやはり一部そういうふうな需要があるというふうなことで、こういうふうな勤務体系を入れたというふうな話でございますので、全面的にこういうものはやめろというふうなことも、やはり実態に応じた勤務というふうに考えて、やめろということまでは言わなかったわけでございます。
  17. 木村美智男

    木村美智男君 その監査の結果、二時の帰庫が守られていない。守られていないのが実態なんだから、その実態に合うように一部こういう勤務で残した、そういうことだったら、それは指導性もないじゃないですか、そんな。二時に帰庫さして、そうしてできるだけ休養を取って、翌日は新たな気持ちで運転に従事できる、そういう形を通して事故を防止しよう、事故防止が、その中心点なんですから、そういう立場から労働省のほうの二・九通達についても、これは特に最近の自動車事故の云々ということも強く言われて、そこからこの二時帰庫ということがやかましく労働省のほうが通達をした。ところが運輸省は二・九通達を悪用して、経営者側が多少利用者があるからという理由をもって、現実には二時帰庫が守られていないという、そういうことを理由に二五%とにかく二時帰庫ということについてあまり関係のないような勤務態勢をつくってきたということは、これは何といっても私はこれは運輸行政としての事故防止という熱意なり、それに対する姿勢がどうもうまくない、こういうふうに考えるものですから、これはあなた方がやはり直接指導をしないで、経営者指導委員会にこういうものをまかせきりにしておくからこんなことに私はなっているのじゃないかと思う。直接あなた方がこの会合に参加をしてこれをきめたというなら、これは相当責任をあなた方持ってもらわなければならぬけれども、どうもこういうことにしてきまったやつをどうだろうかという陸運局相談を受けて、まあまあそれならいいだろうという程度にいったという話だから、それはまるまる運輸省指示をしてやらしたということとは多少事情が違うと思うんですね、それはそれなりに考えてもいいけれども、とにかく二時帰庫ということをいままでの基本方針にしておきながら、それを現実がそうなっておるからということで現実どおりにするなら、最後にはこれはもう全体の車はみんなこれはあれじゃないですか、野放しにやるような形にだんだんなっていくじゃないですか。やはり監督官庁としては、二時帰庫というものを中心にして、そうしてそこのところを守らせると、それ以外のやつをどうするかを、あるいは二時以降の需要をどういう形で満たすかということをこれは考えるべきなんであって、こういう時差出勤というふうなことでとれははっきりやるべき性質のものではないじゃないかと、ここは筋道としてこれは違うんじゃないかと思うのでね、そこの見解を聞きたい。
  18. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 確かに二時帰庫を厳守させることを重点に考えるべきだということは、御指摘のとおりだと思います。それで従来は二時帰庫ということが守れなくて法律違反ばかりやっていると。ところが今度の体系におきましては、一応労働基準法上適法であるということでございまして、まあ合法化はされたと。ところがそういう深夜勤務については問題があるんじゃないかということでございますけれども、これを設定した意図というものは、いままでも二時以降でもそういう流しタクシーというものについて相当乗る人もあった。で、今度は労働基準法関係で二時帰庫、二時以後についてこの際一挙に全廃するということになりますと、そういう需要者に対してまかなうことができないというふうなことで、漸進的にまあこういうふうな体系をとったものだと考えておるわけでございまして、もちろんこういうふうな体系をとらなくても、二時以降の深夜については別のやり方ということも考えられたと思いますが、そういう点についても今後十分考えてまいりたいと考えております。
  19. 木村美智男

    木村美智男君 その労働時間の問題等は、これは少なくとも労働組合法からいえば団体交渉対象事項でしょうが。だからその一般論として二時以降の需要にどう応ずるかという、そういう形態としてこういうようなことも必要だという意味合いを、全面的に私はいかぬとは言ってないんですよ。だからこういうものがかりに必要だとするならば、当然これは労働時間の問題だから、それぞれの企業の中で交渉をしてきめるか、あるいは労働者代表指導委員会なり旅客自動車協会と談合によって相談をしてきめるか、そういう方法をもってきめていけば、それはそれなりにわかるというんです。ところがそのことがどうもやられないようなので、大体運転手個人個人に聞いてみても、もうこれをもって総すかんですよ。片っ端から。それは総すかんの中には、単に勤務がどうだからというだけじゃなしに、これじゃあもうとにかく手取りが減ってかなわぬという話まで出ているわけです。だから、よっぽどこういうのをやるときには、相当労働者側代表も入れて、そうして相談をして、その上でどういうふうにやるかということをこれは考える必要があるので、私はこれについていま取り消すことを指示しろとか、通達しろとか言おうとしているんじゃない。もう一回これを戻して、これはこれなりにすべらしておいて、この問題について少なくとも労使、それから第三者、指導委員会と、あるいは警察が必要なら警察も入れてもいいですから、とにかく、大体中心労使と、それから陸運局中心になって、これをもう一回話をしてみる気はないかどうか、そういう形でこれがその善後策が講じられるなら、これはそれなりにまた納まりようがあると思うのです。で、最近はあなた、郵便配達だって日曜配達やめようかというのに、運輸省行政見ればうしろ向きだ。二時以後はいかぬというのに、二時からどんどん乗せる。私はむしろこんなものは国民の習慣だから、二時過ぎに動いているというようなのはこれはほんとう話特例なんですよ。官庁で、あるいは一般でも、まじめな相談している人が、夜中の二時以降会議やっていて、それで家へ帰るなんというのはありませんよ。たいてい徹夜で会議やるというようなことですね。大体ね。その二時というような時間というのは、特殊な例でいえば急病人ができたとか、あるいはいまもあるように、ほんとうの話、これは飲んでおくれておるということなんです。そとまで何で二時以降、事故の危険の条件をつくりながらそんなものまで一生懸命サービスせんならぬのかということをこの前も言ったでしょうが。だから私は、二時というのは原則的に守るという基本方針運輸省は確立をしなさい。そうしてそれ以後についてはこれはもう事前に、きょうはおくれるからといってハイヤーを頼むとか何かというかっこうがそれはあるかもしれない。あるいは個人タクシーを前もって予約をしておくとか、そういった特例が多少あることまで一切がっさいいかぬのだということなどは言っていない。もしかりに急病人なら一一九番呼んで救急車呼べばいいんだからね。そうすれば、二時以降わざわざ酔っぱらいのためにあなた重たい頭で意識もうろうとして事故の原因をわざわざつくるような勤務体制を助長していくというのは、ちょっと運輸行政としては間違いじゃないか。こういうふうに申し上げておるわけなんです。だから、これは原則的にそういうことが了解をしてもらえるならば、それはさっき言ったように、労使、それから監督のこの陸運局が入りましてですね、そうしてもう一回これをひとつ話し合ってみる、そうして善処するということをしてほしいと思うのです。この点どう考えますか
  20. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 先生のお話しの点、十分よくわかりましたので、そういう点について今後よく話し合いしてみたいと、こういうふうに考えております。
  21. 木村美智男

    木村美智男君 話し合ってみるということですから、この時差出勤の問題についてはこれだけにしておきたいと思います。  特にこれは、大臣、この間の、六月の二十七日の臨時物価対策閣僚協議会で、例のタクシー料金の値上げ問題を相談をされたときに、少なくともこの第三項で、「交通事故を防止し、自動車運転者を確保するためには、労働条件及び給与体系改善することが必要であると思われるので、ハイヤータクシー業者に対するとの面における指導監督を一層徹底するものとする。」これは閣議了解事項の重要な一項目になっているわけですからね。ですから、こういうことをやっぱり自動車局長としても、ひとつその閣僚協議会の意を体してもらって、そうしてこれからの指導に当たってもらうということで、いまの関係者集まって話し合いをして善処をしますという、そういうことで了解をしたいと思う。  で、次の問題なんですが、去年からの問題でね、これは冷房の問題じゃないですよ。どうも法人タクシーの認可基準がどうも私ははっきりしないように思う。そこで、大体この大都市あるいは中小都市と、二つぐらいに分けてですね、この事業規模というものを、言いかえれば適正台数ということばを使っていると思うのですが、これはまあどのくらいなのか、大体基準を示してもらいたい。
  22. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 東京、大阪、名古屋という大きな都会では最低の台数を三十としまして、それ以外の町につきましてはそれぞれ町の大きさに応じて最低をきめておるところでございます。
  23. 木村美智男

    木村美智男君 東京、大阪、名古屋の三十台はいいのですが、町の大きさによってというやつ、これを多少言ってもらわぬと、町の大きさで一台でも法人タクシーでもやるというような解釈が出てくるからね、多少これ基準らしきものを言ってくれないとわからぬです。
  24. 蜂須賀国雄

    説明員蜂須賀国雄君) これは地方におきましては電話需要と流し需要とございますが、大都市は流しでございますが、東京、大阪、名古屋は郊外に参りますと電話需要の量というものがございますので、したがって、非常に基準がきめにくいということでございます。そういう点で現地の陸運局長のほうでやっておりますので、現在地方の資料は私持っておりません。
  25. 木村美智男

    木村美智男君 基準がないということじゃないでしよう。
  26. 蜂須賀国雄

    説明員蜂須賀国雄君) 現地陸運局長が審査する場合は、内規のようなものでやっておるわけでございます。
  27. 木村美智男

    木村美智男君 そうすると、それは各地方によってまちまちの内規があると、こういうことですか
  28. 蜂須賀国雄

    説明員蜂須賀国雄君) そういうことでございます。
  29. 木村美智男

    木村美智男君 これは大臣どうですかね、各地方実情がまちまちだから、それぞれ、おそらく陸運局が九つでしょう、陸運事務所は五十一くらいあるのかな、それがまちまちな認可基準を、九つの監督局がとにかくまちまちな基準をもってやっている、ぼくはそれはちょっとおかしいと思うのだな。それは札幌だろうが、仙台だろうが、電話申し込みもあれば、多少の流しも許可もするという事情はそれぞれにあると思うのですね。だからそれなりに九つの陸運局に対しては一つのやはり大体標準的な内規というものがなければ、じゃもうこの問題は現地の陸運局長が勝手にやれと、極端にいえば、そういうことでいいのですか
  30. 蜂須賀国雄

    説明員蜂須賀国雄君) それは勝手にやれということではございませんけれども、都市の人口だけではなく、都市の形態がございますので、たとえば最近の都市は、市になっておりますけれども、郊外方面に参りますと、ほとんど町村と変わらないという実態がございますので、そういうところにも免許があるわけでございまして、人口単位だけではむずかしいわけでございます。そのために各陸運局のほうで各都市の形態等に応じまして実際上はやっておるわけでございまして、したがって、中央でたとえば人口何万以上とかつくりにくいものでございますので、それでやっていないわけでございます。
  31. 木村美智男

    木村美智男君 何というか、たとえば人口二十七、八万といったら、そんないなかみたいじゃない、やはりある程度いわゆる中小都市ですね、そこら辺のところで少なくとも三台くらいの法人の新免を許可している、そういう事実があるのですがね、そんなことは何か常識的にちょっと理解できぬのですがね。これは別に地域をどこどことあげないけれども、ただ、それは結果として判断をすると、実は問題なのはそれが純然たる法人タクシーとしてそこが経営をしていく、将来にわたってやっていくということになっておれば問題はないような気もするのですが、そうじゃなくて大きな法人タクシーがなかなか増車を認めてもらえない、だから、増車を認めてもらえないので系列の会社をつくって、そうして増車手段に使ったと見られるような実は許認可の事実があるのだから、それがはたしてそうであるかどうかというやつはもう少し日時を見てみないと断定はできませんよ、しかし、地方には往々にしていま私が申し上げているようなこと、これも具体的に名前はあげませんが、実はそういう関係が歴然としたのが出てきているんですよ。私はこういうことを考えてみると、どうもいま言ったところに問題があると思う。つまり許認可の場合、現地の局長がそれぞれのところでいわばまちまちに内規みたいなものでやっていると、こう言うのだけれども、それを中央がちっともつかんでいない。やはりこれはこの際各陸運局から全部それをとって見て、そうして一わたりこれは検討してみる必要があると思う。そうして大体九つといったって東京、大阪、名古屋といったような大都市と、それ以外のところにおける都市の場合、交通の多少需要のあるところというような三段階に分ける、地方は地方なりのやはり基準を示して、そうして陸運局長がAという人間からBにかわろうがCにかわろうが、大体そこの陸運局の許認可基準というものはそういう一つのものさしによってやられているということが、これをつくることが今日私がこの前から言っている陸運行政というものの少し姿勢をただすという意味での大事なことに関係していると思うので、そうでないもんだからこの前の局長さんはたいへん理解があるとか、今度は少しきびしいとか、今度のはおかしいとか、そういう話がいやになるほど出てくるわけです。これは人間の六感というのはやはりあれなんで、新潟の局長自身もどうこうなんというふうに、陸運事務所自身をどうこうとは思ってなかったのですが、新潟の地域の中のあるところにおける許認可問題を実は多少聞いたときに、これはどうもあやしいなと思ったら実はこの間新潟では汚職問題ができたでしょう。だから、ちょっとあぶないと思ったからこの前の前の委員会のときに多少陸運行政関係では姿勢をたださなければいけませんよというような話を私申し上げた。だけれども、そんなことをこういうところで何か演説をぶつことが大事なんじゃないのですね。問題はそういうことをなくさせることが大事だ。そのために私はこれは多少まだ研究不足だとは思うけれども、いま聞いてみるとどうも許認可の問題で、ものさしがないというどころか、これはやはり重大な欠陥だ。それは各地方のというか、その担当者の恣意的な決定がものをいっていくということ、それじゃいかぬ。やはり運輸省自体が統一的な認可の基準というか標準というか、そこら辺はやはり大まかに大都市と中小とその他くらいに分けて、それを一つのものさしとしてつくっておいて、なお特殊な事情について一々中央がにぎるわけにはいかぬからこれは現地の局長の判断にまかせるというようにしていかないと、全体を現地にまかせるのだ、札幌は札幌で好きなようにやらせる、仙台は仙台の事情でもってやるのだ、こういうばらばらな状態になっているからいろいろ問題が起こってくる。そうでないと、ぼくらこの間まで陸運行政一元化ということで運輸省自動車行政一本化を一生懸命守ってきたけれども、これから態度を変えるかもしれんよ。ほんとうだ。いろいろ言ってみたが、言ったところがちっとも実行していかないというなら、大体行政一本化なんという、運輸行政の一本化なんということはサボタージュすることを助けてやっているようなもんだから、私はそう思うから、ほんとうの気持ちで。だからそういうことにならないように実はしてもらいたいと思うので、いまの問題はどこまでできるかは別ですよ、やった結果、おまえやらなかったとおこりゃせぬ、これまで努力したけれども、こういう問題点があるのだと言われれば、なるほどそうかとぼくは了解しますよ。それを、ちっともやってないから、抽象論で、そんなことはありません、姿勢を正しています、正していたのになぜそれでは新潟は汚職問題が出たのかと、こう言われたら終わりでしょう。だから、やはり具体的にこういう問題を提起したら、それを検討して、そしてこういう問題点があって実はできなかったとか、不十分だけれどもこの程度の基準をつくりましたとか、こういうことにしてもらわないと、二回も三回も同じことを言っていればたいていいやになっちゃうから、じゃあ、まあ運輸行政の一元化というやつは根本から考え直さなきゃならない、こういうことにもなってくるわけだ。そうでなくたって陸運事務所の関係の問題については、それは自治省関係、そちらのほうからうるさく言ってきていますよ。しかし、運輸委員会の先輩の皆さんがそれが正しいと言うから私も一応そのほうに向いていますよ。しかし、向いていますけれども、こういう具体的な問題を言っていって、それがあまり一元化でみんなそうなっているからといって、そこにあぐらをかいているならば、この問題は根本的に異論を出していかなきゃならぬと思うので、別におどかしでも何でもない。そこら辺についてどう考えるのか。これはひとつ、ここはいまの許認可という関係を言っているんじゃなしに、もう少し運輸行政全体のあり方として、もっとやはり下の事情をつかんで、そしてチェックをしながらやはりやっていく態度というものがどうしても必要な気がするので、大臣の所見も少し聞かしてもらいたい。
  32. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) きわめて示唆に富んだ御意見を承りまして傾聴をいたした次第でございます。ただいま聞いておりますると、六大都市等については、中央においてある基準を与えておるが、しかし、その他の都市になると、中央において基準を示してないということでございますが、御承知のとおり、最近都市の合併など、いわゆる市町村合併で、一口に都市、何市と申しましても、中心部はなるほど市街地の形をなしておりまして、ここはやはり相当な自動車に対する需要が予想ができるけれども、都心から五里も六里も離れた県境の山奥までやほり市内だというようなことになりますと、そのまた山奥は山奥なりにきわめて小規模な需要しかないというようなものがございまして、それを同じ市内だからというので同一の基準でもって律することはかえって実情に適しませんし、またそれは無理だと。こういう点でなかなか各地についての基準が示しがたかった事情もあるのではないかと察する次第でございます。しかし、そうした形式的にこの区域が何市であるとか、あるいはここは何町、何村であるとかいうような問題を離れまして、やはり市街地には市街地らしい規模の事業を許すべきであり、また農村部は農村部らしい規模、山間部は山間部らしい規模を認めるべきだという考え方になりますというと、おのずからそこにある程度の基準が生まれてくることもできるのじゃないかと思うのでございます。この辺のことを十分に考えまして、今後できるだけ規模の基準について検討を加え、確たる指導方針を立てて全国各陸運局指導するように心がけることがやはり自動車局としては必要なことだと思います。できるだけそうした考え方ですみやかに進みたい、こう存ずる次第であります。
  33. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 免許に際しまして各陸運局長が恣意的にやるというふうなお話でございますけれども、その点につきましては、法律の免許基準もございまするし、その免許基準を受けて通達というものもこまかく出しておるのでございまして、御指摘の最低両数につきましては、確かに本省のほうでそういう基準は示しておりませんけれども、免許基準の各項目についてこまかく従来から通達でもって統一をはかっておるわけでございまして、各陸運局においてそういう面が区々ばらばらであるというようなことについてはないのでございます。最低両数その他いままで通達でやっておらない部分につきましては、今後、大臣の仰せのとおりすみやかにひとつ御指摘の方向に持ってまいりたいと考えております。
  34. 木村美智男

    木村美智男君 いまの問題は大臣並びに局長の答弁でけっこうだと思うのですが、個人タクシー関係で、閣僚協議会のほうでは、要するに非常に評判が一般利用者によろしいというようなことで、その新風と希望を注ぎ込むというようなことも考えて、これから個人タクシーの一そうの育成につとめる、こういうふうにきめられた。同時に、この前からの話で、全国では個人タクシーの認可申請が六千件もある、東京だけでも四千件を上回っている、こういうことを聞いておるわけです。この前委員会のときに、何か、個人タクシー事故がないから申請のあったものは片っ端から認めろという意見があったけれども、私は反対。それはうそで、個人タクシー事故が少ないというのは、十年以上の経験を持っているとかちゃんときびしい基準があるから事故が少ないのであって、何でもかんでも入れていけばそれは事故率は一般と同じようになってしまうから、そういう全部入れろなんということは言わないけれども、しかし、六千件も、東京だけで四千件もたまっているというこの問題については、これはやはり考えなければいかぬじゃないかと思う。これは、自動車局長が衆議院のほうで何かそういうふうに答弁をしたというふうに新聞か何かでちらっと見たのですが、三千ぐらいの許可をするという話があったのですけれども、これは数字のことはどっちでもいいのですが、とにかく全国で六千とか、東京四千とかといったこの申請事項については、どういう処理方針をきめているのか。閣僚協議会の決定もあるわけですからね。そういう数字が具体化の方向に現状どうなっているのかということをひとつ聞かしてもらいたい。
  35. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 個人タクシーの処理件数が特に東京において多うございまして、御指摘のように四千件を突破いたしておりますので、この問題につきまして、東京陸運局に対して一カ月以内にこの処理計画というものを立てるように指示いたしまして、その指示を受けまして東京陸運局のほうから中間報告といたしまして、おおむね本年度内に三千件を処理したいと、それの計画の細目についてはまた追って報告する、こういうような連絡があったのでございますが、この前に衆議院の運輸委員会で御質問の際に、そういうふうにお答えしたような次第でございます。
  36. 木村美智男

    木村美智男君 三千件を処理したいと言ったわけですか。それはそれで処理したいという趣旨はわかりましたが、ただ、局長、ぼくは自動車局長の仕事の中身までどうこうくちばしいれようとは思わぬけれども、どうも陸運局のいまの機構と人員という中では、現実の仕事自体がものすごく過重負担で飽和状態になっているということについては、どういうふうに局長考えていますか。これは実はあとでダンプの話やら何やらもいろいろあるので、局長、おこられたら何でもかんでもああそうですがというのが能じゃないから、少しあなたも元気を出してもらわなければいかぬから言うのですが、大体陸運局という中だって、東京、大阪、名古屋とかというのはこれは別として、一般は七名ぐらいしかいない。ましてや陸運事務所に至っては、旅客、貨物と分けて係長以下一名ずつ、課長や何かを入れて五名くらいだ。こういう人員でやっているという話を聞いているわけですが、そこら辺の関係と三千件を処理したいというようなこと、みんなからじゃんじゃん言われたから、せめて六千あるうちの三千ぐらい、半分くらいはやらなくては申しわけないと思ったかもしれないけれども、ほんとうに何といいますか陸運局の内部の人員なり能力の問題とあわして、そしてこれは天下に三千ぐらいやれるという公約をほんとうに自信を持ってそういうこと言えるのですか
  37. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 確かに陸運局及び陸運事務所の定員が少なくて、非常に業務量の増加に比較して人員がふえないという点については、現場の職員非常に苦労していることは御指摘のとおりでございます。そこで、今回の個人タクシーの処理の促進の問題でございますが、かつてオリンピックのときにもそういうふうな事態がございまして、当時東京陸運局では、そういう人員の問題で非常にやりくりをいたしまして、やっとこさ二千七百件程度の処理をいたしたように記憶いたしておりますが、今回もこういうふうな要望にこたえまして、オリンピック当時と同じように人員のやりくりをして何とかひとつこなしていこうというふうに、陸運局のほうで計画を立てておるところでございます。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、自動車局長、少し伺いたいのですが、いま産業公害、それから交通対策特別委員会、ここへ衆議院からダンプ規制の法律が回ってきているのです。あの法案を見ますと、何といいますか、一匹オオカミを重点にしてとにかく取り締まっていく。私は、それはいまの交通事故の中で、特にダンプが相当焦点になっておる、その十四万台からのダンプの九一%はそれは一匹オオカミだというようなことから、その必要だということの趣旨はわかるけれども、あれを読んでみると、たとえばそれに対して全部表示ナンバーをくっつけるということやら、それから、ナンバー・プレートの領置執行の問題やら、あるいはかりに事故を起こして処分するとなれば、財産権侵害といったようなむずかしい問題もあるから聴聞会も開かなければならぬ。さらに協業化を指導するという問題もあるし、ここら辺を考えると、現在の陸運局の機構の中で、一体これはどの程度やれるのかということをひとつ教えてもらいたいわけです。これはちょっと私らわからぬので、この辺の関係を、いまでも毎日一件ぐらいの人身事故が起こっているというと、大体そこへ一人ぐらいはとられてしまう。そういうようなことをいろいろ考えてみると、まるきりいまの人員でこういう仕事ができるかどうか、そういうことも少し話がわかってないと、国会のほうは法律つくるだけが能ではないので、やはりその法律が生きて、ほんとうにそれが結果として国民の福祉なりしあわせにつながっていくという実効をあげなければ意味はなくなるのだから、そういう意味でざっくばらんに陸運局として、あるいは自動車局としてのこういうものを受けて立つ場合に現状どうなのか、もしそれを実行するとすれば、たとえば要員拡充をどの程度やっていかなければいかぬのかというようなことを、これはひとつざっくばらんに聞かしてもらいたい。
  39. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) その問題につきましては、衆議院の当該委員会においても御質問がございました。その際、政府側の見解といたしまして、陸運局の現在の機構をもっていたしましては、あの法律の実施はとうてい困難である。最小限度百名の増員を要する、こういうふうに申し上げたでございます。
  40. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、せっかくの御答弁だが、陸運事務所が大体五十一かそこらあるでしょう。陸運局九つだから六十だ。百名というと、まず東京、大阪、名古屋あたりは三名から五名ぐらい配らなければならぬから、実情として大体そうなるのだ。そうしたら、陸運事務所は一人ぐらいしか回らぬですよ。大臣簡単に——佐藤内閣は要員不増方針に立っているから、だから百名でもたいへんだ。だけれども、この百名ぐらいふやしてこの法律の実効があがるようにある程度やっていけるという自信はどこから出てくるのかわからぬが、ぼくはたいへんなことだと思っています。それもバナナのたたき売りじゃないが、大体百名ぐらいふやして、全国に百名だからこれではとうてい私はこの法律をあれするということになると、中身についても多少文句はあるのだが、これはきょうの主題ではないから別にして、とにかくこのままですべり出させると、要員の裏づけは百名だということになると、どうかするとこれは羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいになるよ。新聞は五段抜きで、ダンプ追放なんというようなことでたいへん安心さしておいて、しかし、依然としてダンプは突っ走っているという事態が出ってきますよ。百名じゃどうにもならない。(「能力の範囲内でやる」と呼ぶ者あり)それは無責任だ。能力の範囲内でやるというなら無責任だ。むしろこれは私はこの中で含まれている、たとえば協業化というようなものを先行さして、そうして多少整理をして、その整理の上にやはり法律として取り締まる法律をすべらしていくということに、人間の裏づけを考えてしていかなければならぬので、いまのままで洗いざらいやりながら取り締まりも含めて百名の増員ということでは、これは私はそう思うので、それは自動車局なり運輸省で責任もてるというなら、それはあなたらが責任をもつんだからいいけれども、ほんとうに百名でいいかね。
  41. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) このダンプ対策につきましては、われわれも対策が必要だということを痛感いたしておりますけれども、運輸省のほうでこういうふうな仕事をやるということについては、われわれとしても非常に党のほうからの、四党共同提案でわれわれのほうにやれというふうな御指定でございますのでやるということになったわけでございますけれども、人員につきましては、現在の人員ではとうていできませんので、一応ラフな計算をいたしますと百二十名ぐらい必要であるというふうなことでございますが、これでも現在陸運事務所の関係で現在員が二百九十名程度ございますので、比率から申しますと相当大幅な増加ということで、一般会計の定員の増ということは先生御承知のように非常に困難でございますけれども、その中でもこの程度あれば何とかやれる、運輸省としてやっていけるのじゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  42. 木村美智男

    木村美智男君 自動車局長、だからさっき冒頭に、できないものはできないといって、議員が言おうが何しようと突っぱらなければだめだといっているのに、あなたはそこまで激励しているのに、ちっともまだ根性が入らぬ。それでその四党提案でというが、ほんとうはこれは四党提案じゃないんだよ、政府がほんとうは提案しなければならぬものだ、根本的には。ところが何かどうも間に合わないらしくて、世の中のほうもどうもダンプの問題がうるさいし、何とかしなければなるまいというので、苦肉の策でこれは議員提案という形をとっているけれども、私は本来これも実は議員提案なんという、そういうことについては私はむしろ異議を述べたい。で、これは自動車局長、四党提案だからおれのほうはおっつけられているんでなんていうことはそれは許されないんですよ。これは本来運輸省関係各省ととにかく相談をして出すか、取り締まりの本拠である警察が出すかは別にして、これは政府提案が本質的には正しいんですよ、この種の問題は。だからそれは四党提案だからわしのほうは十分な準備がないが受けて立ったんで、しようがないんだという答え方は、これはよろしくない。いずれにしても大臣が百名といったら、百二十名とこま切れに二十を足したんじゃ、これはほんとうに笑いもので、次官がここにいて雑音を発したけれども二百五十と言うのだよ、大体二百五十になれば何とかなるだろうと次官は言われたけれども、私も大体二百五十ぐらいやはりいないと、最低でも。この仕事はちょっとこれはおっつけられて運輸省が悪者になるだけですよ、おまえらの監督不十分じゃないかと。法律にきまっているのになぜやらないんだというふうにやられるにきまっている。議員提案だろうが何だろうが法律としてでき上がっちゃったら、すぐ今度はその仕事を受け持つところが不十分だのヘチマだのと言っておこられるのだから、だから私はあなたがよく陸運局のことも、実情をちゃんとつかんで、そしていまの人間で絶対足りないというなら足りる人間をどうしてもこれは必要だということでやっぱり二百五十なら二百五十を要求をする、とういう基本的な態度がやはり自動車局、主管局として必要だということを私申し上げているわけなんで、大臣、これはあれですか関係の大蔵大臣なり何なり等とも、そういうことで大臣は了解したんですか
  43. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 事務的には話いたしておりますが、まだ閣議で相談することまではいたしておりません。なお私どもこういう新しい法律を実施する際に、一体どのくらい人が要るかという計算はなかなかむずかしいのでございまして、ことに今度の法律は非常に簡明直截な法律でございまするので、その点比較的人手の計算は容易ではございますけれども、まず問題はこの事故を起こしたときの処分のことでございまして、これは十分に手を尽くして一週間もかけて調査をする、それから聴聞会も二回も三回もかけてやるというようなことになれば、これはもう手は幾らあっても足らないのでございますが、しかし、こういうことばかり国家の人件費をつぎ込むわけにもまいりません。ある程度の人員でがまんしなければならぬと思うのでして、その際にはその際でこの人員でどうやればやれるかということを考えなきゃならぬと思うのでございまして、いま自動車局でもいろいろこの法律が成立して実施の際のことを考えておりまするが、もう限られた人員でこの法律を実施する際には、しゃくし定木でここを押せばすぐに答えが出るというような方式をとるほかはないだろう。たとえば交通違反の事故を起こして、そして人を殺した場合、傷つけた場合には六カ月以内の使用禁止をする、こうなっておりまするが、私ども考えておりますのは、まず人を殺した場合には一切の事情は無視して、どれも全部六カ月、後遺症の残るような、身体障害の結果を残すような重傷を起こした場合は、人数にかかわらず一人でも起こしたならば、もうこれは五カ月、それから重傷は四カ月あるいは軽傷は三カ月。二カ月、一カ月などというのは効果もございませんからこれは認めないと、こういうようなしゃくし定木にきちんとやればある程度少数精鋭でもってやってやれないこともないだろう、こういうことで実は法案が立案されました以上は、おれのほうはやれるだけやればいいんだというようなことは毛頭考えません。限られた人員でも最大の、目的だけは必ず達し得るよう、実は今後ともくふうを加えるわけでございますが、それにしても、先ほど申し上げましたように百名以上の人員は増員をしてもらわなければなりませんので、この点はまた御支援をいただきたいと思います。(岡本悟君「警察協力さしたらどうだ」と述ぶ)
  44. 木村美智男

    木村美智男君 岡本委員が、いま警察協力さしてと言ったけれども、警察ができないものだから、できないというか、やるのがいやなのかもわからぬけれども、ただ、ここでだれが言ったとは言わないけれども、大体これはあまりいい仕事じゃないんですよ。だからさっき、根性を持たなければならぬとおれが言っているんだけれども、運輸省はおっつけられたんだから、この仕事を、早い話が。そういうことに大体傾向としてはあるんですよ。そういう仕事だからこそなおのこと、大臣、それは百名以上必要だという意味は、まあ言ってみれば二百五十というようなところも、やった経過を考えて次には予算要求もしていくということもたぶん含まれているだろうと思うので、今日の時点の中でとにかく百名じゃ足らぬということだけ言っておきますよ。だからその結果、不十分だの何だのという話があまり出ておこられないように、大臣これは大蔵省その他との折衝に当たってやっぱりやってもらう、あるいは次の増員の裏づけをするとか、ここら辺まで大臣これはやってやらないと部下がかわいそうだからね、ここはひとつ大臣に心得ておいてもらいたい。それから、大臣は何か限られた人員の中でやるには、しゃくし定木みたいにぴたっぴたっと即決方針でやっていくようなことをちらっと言われた。これは処分となったらやっぱり私有財産の侵害になる問題もあるからそう簡単にいかないですよ。聴聞会その他のやつは、一週間かけるか三日で上げるか、あるいは二日で上げるかは別にしてだよ、相手の意向も何もかまわずに、これは文句なしに切り捨てごめんというわけにはいかない。そういう事情もありますから、だからなかなか実際の運営に当たっていきますと、たとえばナンバー、十四万台もつくるとすれば、登録台帳だってちゃんとこしらえなければならぬでしょう。これだってたいへんですよ。ナンバー領置執行をやるといったって、これだってそれは相当の手数ですよ、これは一々預かるわけでしょう。だからそういうことを考えていったら、ぼくらみたいなしろうとでもまずまず百名ではこれはもうとにかく決定的に足りないということは言えるんで、さっき私要員不増と言ったけれども、要員不増というのは必要のないところはぶつ切っても必要なところにはこれをふやすというのがほんとう意味の要員不増なんですからね。だからたとえばそういうことで、あまり何でもむやみやたらと——午後また審議をする公団なんというものをむやみやたらなんでつくるんだと、こう言いたくなるでしょう。だからやっぱりそこら辺のことを考えて、事は交通事故の絶滅あるいは事故による人命をやっぱりそこなうことを防止していくと、こういう観点に立つならば、こういうところのやっぱり現業に携わる人員の補充というやつは、これは出し惜しみを、必要以上によけい出すことはないけれども、やっぱりその仕事が十分やれるだけの人員は確保するという基本方針で、これは大臣、特に言い方を最低百名以上はと、こういうふうに言いかえたから、それをもって今日の時点としてはこれは一応了承しておきますが、やっぱりこの仕事をやっていく過程で、経過を見ながら来たるべき時期には万全を期していくという意味では、これはもう足らないことは目に見えていますから、ひとつその要員確保について特段の大臣の骨折りをしてもらいたい。もちろん私たちもその意味では議員の立場として努力をいたしますけれども、それを強く要望をしておきます。  そこで、さっき局長ね、何か個人タクシー関係でいま三千くらい洗うという話がありましたが、全国の中じゃ一車も認可をしていないという県が二つ三つあるように聞いているんですけれどもね、それはどこで、それでどういう理由で一車もないのか。申請がまるっきりなければこれは認めようないから別だけれども、そのことをひとつ実情を聞かしていただきたい。
  45. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 個人タクシーのないところは、いまのところ和歌山じゃないかと思っておりますが、従来個人タクシーを認めるにつきましては、その当該地域が流しタクシーに適しているかどうかというふうな点でもって認めてきたような次第でございまして、個人タクシーは原則として流しでございますので、そういうふうな営業として適する地域かどうかということによって認めてまいったので、和歌山についていままでそういう点に適さないのではないかというふうに思われておったのだと思います。和歌山につきましては、そういう申請はございましたけれども、その内容を審査しましたところ、個人タクシーの基準としていろいろあがってきますが、年齢なり事故歴なり、そういうふうな個人タクシーとしての適格性を持っていないということでもって却下したということだそうでございます。
  46. 木村美智男

    木村美智男君 まあ一車もないから、だからどうだこうだということを言おうとしているわけじゃないんです。ただ、申請があって、おっしゃるようにその内容が認可するに適当でなかったので却下をされているということだけならいいけれども、それが多分に地方ではこれはいわゆる認可の基準そのものに合わないというよりも、既存の業者が新しく個人タクシーができ上がることを反対するという立場で猛烈に陸運事務所なり陸運局を突き上げるという形で認められないという事情をぼちぼち聞いているんですよ。だから、これは私はやっぱり和歌山県全体で何件くらいあって、どういう事情で却下したかということを、とにかく一車もないんだから、和歌山には。だから、それについて、これはあとで、いまじゃなくてもいいですから資料を出してもらいたい。その他の県でもまだほんとうに微々たる十両台ぐらいのところ、県全体でですよ、あるわけですからね。そこら辺について、申請が一つもないんならいいですけれども、申請があって、しかも却下されている、こういう関係について資料出してもらう。業者の反対でとにかくつぶれているところをあちこち聞いているからね。だから、私はそれはいま、きょうのところは申請の内容が合致をしなかったということで却下をされておるというふうに了解をしておきますが、いまの点については資料出していただきたい。いいですか、資料のほうは……。  そこで大臣、私は個人タクシー関係はやはり最近のいろいろタクシー業界事情見てみますと、結論的に言えば、この辺で一回、法人タクシーについての認可なり、増車というものをこれはストップをしてみたらどうかと、それも長期にわたって三年とか五年とかと言っているわけじゃないんですがね、それは。これは一つの考え方だから、別に何か強くあれしているということじゃないんですが、閣僚協議会の了解事項にもあるように、とにかくひとつの反省と、それから新風を吹き込むという意味で、そういう私は閣僚協議会の申し合わせというものは、これは趣旨は賛成なんです。だからと言って、個人タクシーが、需給のバランスがくずれて成り立っていかぬということになっていくとこれまた問題ですから、もちろんその需給の関係を十分見ながら、しかし、この際ひとつできるだけ免許基準に合ったものを——さっき片づけるという、三千件ぐらいいじってみたいというふうな、一体能力的に可能かということを言ったら、何とかやろうというお話ですから、その中ででき得る限りその基準に合ったものをまずふやしていく。その間心づもりとしては法人タクシーの認可をとにかく押えていくというぐらいのことがなければこれはなかなか洗ってみたところで、実際にその六千件からの問題をこれは処理するということは不可能だと思う。こういうふうに考えるものですから、そこら辺について大臣、考え方としていかがなものでしょうか。三年も五年もストップしろということは言わぬけれども、心づもりは多少法人タクシーを押えても、この個人タクシーの優秀なもの、あるいは申請事項に合致をしてよろしいと思うものについては、やっぱり新風を吹き込む、希望を与えるという意味で、この際一回そういうことをやってみたらどうだと、それがやっぱりひとつの刺激になって、これは法人タクシー全体にもいい影響を与えていくことは間違いない、こう見てるんですよ。これは時間があれば乗車拒否の問題も触れたいと思うのだけれども、いろいろのことを考えてみた結果、やっぱり個人タクシーを、この時点では、基本方針はあくまで基準に合致した、そうして優秀なものをやっぱり認可をするという、このたてまえをくずさないでそれはけっこうなんですから、その方向としてはひとつ、絶対いかぬとも言わぬけれども、法人タクシーのほうはしばらくたな上げしたかっこうの中でひとつやってみるという、こういう考えはないかどうか。
  47. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど来局長からも申し上げましたとおり、今年度内に約三千件を処理したいというのは、これは都内だけの問題でございます。そのほかに各地は別に計画を立てさせますが、東京陸運局といたしましては、手不足の中から三千件を処理するためには特別な班をこしらえまして、そうして計画的にやっていかなければなりません。その処理の計画を立てておるわけでございます。この中から相当数の新しい個人タクシーの免許が出ることは当然予想いたしておるのでございますが、しかし、その期間だけでも法人の新しい増車あるいは新免はやめてはどうかという御意見でございますが、それも確かに一つの考え方とは存じますが、それがはたして法人タクシー改善の唯一の道であるかどうか、この点はなお検討の必要があるのじゃないだろうか。私どもは事実上は三千件の処理に追われまして、新免あるいは法人のほうまで手を伸ばすということはなかなかむずかしいことではございますが、しかし、やはり優秀なる会社に対しましてはできるだけ審査をしてそれはそれなりにやはり処理をしていきたい、それがかえってよろしいのじゃないか、相並行していくつもりで一応今年度内個人タクシーの処理に力を注ぎたい、こういう考えでございます。
  48. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  49. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  50. 木村美智男

    木村美智男君 じゃ、いまの大臣の、実際問題としてはそれはまあ公式にもう法人タクシーのほうはたな上げだということは実際はなかなか一声えないでしょうね。そういう事情もあると思いますが、要するに三千を目標にして重点的に個人タクシーの審査の処理に当たるのだというこの答弁で、私としてはこれは了解をしたいと思います。できる限りこの結果がいい結果をもたらすようにひとつ要望をして、次に移ります。  ワンマンカーの問題で、これは先輩の吉田委員がだいぶ前にやった問題ですけれども、こまかい問題は別にして、運輸省としてはワンマンカーについては、基本的にあまりこれは奨励をしないという態度できたように聞いておるのですよ。ところが最近のワンマンカーというのはもうものすごくふえていますね、都内でも。私、通勤には大体電車とバスを使っているのですが、もうほとんどワンマンカーです。そういう状況ですから、いまのワンマンカーについて奨励しないという態度にかかわらず今日まで過ぎてきているのだが、このことについて一体どういうふうに考えているのか、それから実態が一体最近どういう傾向にあるのかということ、これはまあできればその資料がほしいと思うのです。で、問題は、私考えるのに、この基準が弱いのじゃないかということが一つ考えられるので、札幌自協から答申もあったので、言ってみればもう少しワンマンカーについては規制を強化してもらいたいという気持ちがあるわけなんです。その筋は何かといったら、私もまあ相当運転台の近くに乗ってちょいちょい見ているわけですが、やっぱり事故防止という観点から考えると、そう野方図にこのワンマンカー問題をほっぽっておいてはいかぬのじゃないかという気持ちがするものですから、この点についてひとつどう考えておるかということと、基準を少し洗ってみる、検討をしてみる気持ちはないかどうか、この点をひとつ伺いたい。
  51. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) ワンマンバスにつきましては、事業者のサイドとしましては、労働力の不足という問題が、経営の合理化等というふうなことでできるだけ人件費を節約したい、そういう事業者の気持ちもございますが、一方労働組合のほうとしてはそういう面についていろいろと労働条件の問題として議論をされるわけでございます。それでわれわれのほうとしましても会社のほうで原則的に労使間の話し合いがつくということが前提であるというふうに指導をいたしておりまして、労使間の話し合いのついたものであり、かつ法律上定められておりますワンマンの条件に合致したものということでいままでかなりやってまいりました。それで本省としましては、そういう労働条件の問題に関連しましては全交運ともこういうワンマンバスの問題につきましては常時会見をいたしまして、向こうのほうの言い分等も十分聞いて、そして基準の作成等についてはそれを十分参考にしてもらいたいというふうなことでございますので、その点原則的には労使間の話し合いということによって処理してまいっておることを御了承賜わりたいと思います。
  52. 木村美智男

    木村美智男君 この労使間の話し合いでこれからも進めていくということはいいのですね、それじゃ、いまの点は十分全交運とも相談をして……。私はどうも基準が甘いというか弱い結果が少し、経営合理化の面だけが浮き彫りになって安全の面が軽視される傾向にきているから、ここら辺でちょっとチェックしてみる必要があるじゃないかという意味で申し上げたのですから、これはひとつ今後全交運との間でというか、労使の間で十分協議をする、そういう過程を通して運輸省としてひとつ手抜かりのないようにしていただきたい。  で、あと二つですが、自重計の問題でちょっと聞きたいのです。ゆうべ通過しました道交法改正の場合の附帯決議にも載っかっておるわけですが、要するに自重計を義務化するということで早急に検討をしなさいということが附帯決議にもなっていますね。で、これについては砂利トラの関係等もあり、警察のほうは、大臣、非常にこれは積極的なんですよ、自重計つけることに。ところが聞くところでは、実は運輸省は反対は言っていないけれどもきわめて消極的だ、こう聞いているので、なぜそんなに自重計をつけることについて消極的なのかわからないので、機械がもし悪いとかあまり信頼おけぬとかいう問題ならば積極的に私は別なものを開発をすべきだと思いますし、いずれにしても自重計といったような問題について、たとえば一つ一つできぬとすればターミナルに備えつけるとかいうような関係をも考えて、これはやっぱり、はなはだしいのは五トン積みに十二トンも積んでおってつかまったというやつがあるのですね。大体五トンに二トン上積みしたらハンドル取られるというのがもう常識になっているわけですからね、そういう意味からいうと事故防止観点から自重計というのはきわめて大事な意味を持っているので、そこら辺もあるから基本的な態度としてやはり消極的であるということはどうかと思うのです。で、もしあるいは機械が悪いとかいうことならば、それは新たに信頼のおけるものを積極的に開発をすべきだと思うし、そういう点でひとつこの問題は、今日の時点はもし変わっているのなら変わっている態度をこの際聞かしていただきたい。
  53. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 自重計につきましては私どもはりっぱな機械ができたならば、これは取り締まり上非常に有効でございまするから、ぜひつけさせたいというふうに考えておるのでありますけれども、ただ、現在の段階では、まだ試作中と聞いておりまして、その成績もどうだかわかりません。あまり成績のよくないものを無理に、強制的に備えさせるのはどうかと思います。一日も早く完全な機械がそろうということを私は心から希望をいたしております。
  54. 木村美智男

    木村美智男君 大臣、いまのたとえばターミナルなんかの関係というものは、どういうふうに考えておりますか
  55. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) トラックのターミナル、特に最近できました特殊会社で日本自動車ターミナル会社に対しましては、現在われわれのほうの意向としましては、そういう自重計をターミナルに設置するという方向で指導したいと思っております。それから、自重計の問題で、先ほどのお話の、ダンプの法律の中にも、第六条に、自重計の取りつけを規定いたしておるわけです。
  56. 木村美智男

    木村美智男君 それから次に、この問、自賠責の関係で百五十万を三百万に上げたということ、この上げるという点はいいんですが、例の仮払いの問題です。いま、いろいろ苦情を聞いてみますと、十万円を実は限度にしているわけですが、これでは被害者の治療費にも足らぬとか、あるいは、そのために本人が負担をせなきゃならぬと、こういう事情にあるので、何とかならぬかという実情にあるわけですが、そこら辺について、実際そうだとすれば、これはやっぱり法改正を伴うのかどうか、そこら辺のこともありますが、何とかいまの仮払い十万円の限度をもう少し引き上げて、現実に出てきている困った状態をひとつ救済をしていくと、そういう考えについてはどうでしょうか。
  57. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 現在、自動車損害賠償保障法施行令の第五条で、仮払い金の金額が規定されておりますが、死亡の場合には五十万円ということになっております。傷害の場合が十万円、五万円、一万円、こういう三種類に分かれておるのでございます。現在のところ、仮払い金の額を変更するという計画は持っておりません。
  58. 木村美智男

    木村美智男君 局長、その死亡のときの五十万円の話をしているんじゃないですよ。要するに、傷害のときの十万円のやつは、実際問題として、傷害といっても相当ひどい関係になりますと、十万円の仮払いでは、とりあえず被害者の治療の関係について、どうしてもその本人が負担せなきやめんどう見てやれぬという状況が出てきているということ、これは相当数多く、私も苦情として聞いているわけだから、だから法律改正となるとややっこしいけれども、政令ならば、実際、実情を見た結果、もっともだということになれば、そうむずかしい問題じゃないんだから、これはひとつ実情調査をして、そして、なるほどということになれば改正をする、あるいは十万円を十五万か二十万に引き上げるということについて検討をするということはいいが……。
  59. 原山亮三

    政府委員原山亮三君) 御指摘のとおり十分検討いたしたいと考えます。実情をよく調査いたしたいと思います。
  60. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣もいることですから一つだけ聞いておきますが、大阪のクーラーのことは、大臣以下それぞれ関係者の、当然のことかもわかりませんが、御努力によりまして解決して、けっこうなことだと思いますが、東京の乗車拒否の点をどう見ていますか
  61. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 東京の乗車拒否が、いまや最もしょうけつしておるということを聞きまして、私もこれは何とか処置しなきゃならぬと思いまして、いま事務当局といろいろ相談をいたしておる次第でございます。まだ具体的に方法を講ずるということはつかないわけでございますが、このたび個人タクシーを新しく認めていくという際には、いずれ業界のほうからも困るということも言ってくるだろうと思いますが、そういう際には、幾ら困っても現在の乗車拒否のような状態では、できるだけ個人タクシーを認めるようにしなきゃならぬというふうな態度で進むことが必要だと思うのでありまするし、また、乗車拒否というのは、その場所のその時刻になると、個人タクシーがほとんどそちらへ営業に行ってない、法人車ばっかりだというところが多いようでございまして、将来は個人タクシーについても、特に営業の時間、場所等について注文を出すというようなことも必要かもしれません。とにかく、取り締まりは、何としても、最も重点的にやるべきだと思いますので、ただいま、ダンプカーの例もございまするが、これにあわせて乗車拒否に対する業務監督、禁止、制限、こういうようなことも強化する必要があるだろうし、また、その他何とかこれを摘発する方法も考えなければならぬというふうに各方面から検討はいたしておりますが、しかし、まだ具体策について、これという、思い当たった程度までいっておりませんが、何ぶんこれは急速を要しまするので、国会でも済みましたらば、本格的にこの問題に取り組もう、かように事務当局をいま督励しておる次第でございます。
  62. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣のせっかくの御答弁がありましたし、もうお昼の時間ですから、あまり多く言いませんが、参考にしていただきたいんですよ。いま、大臣も申されたように、取り締まりも必要であるし、それから、業者に対していろいろ行政指導の面で監督を行なう、あるいは勧告ですか、警告、こういったことも必要であろうと思うけれども、大臣、根本はそこにあるんじゃないんです。ですから、根っこのほうをさらわないと、どうしても問題は解決しないというふうな私は気がするんです。その根本的な原因は何かというと、日雇い運転手なんです。二種免許の不足にかこつけて、日雇い運転手というのが、かなり大規模の企業でもこれを採用しているところに問題があると思う。常雇じゃないんです。大臣、これは労働省がまとめました昭和四十年度の失業保険受給者は二万三千三百人、金額にして四億円にも達しているということ、ですからたいへんなものですよ。ところが、この不正受給者は、かなりの比重を占めているのは日雇い運転手です。片や失業保険をもらいながらアルバイトでやる。この問題をやはり整理しないと根本的に私は解決しないと思うのです。確かに東京陸運局などは業界に日雇いの制度は好ましくないということで業界の姿勢を正すように警告したり、あるいは日雇い制度をやめるように注意をしたりなんかしておりますが、一面は大臣も答えられたようにそういうものが発見された場合に処分をいたしますと、こういうことを言ってみましても、木村委員が申されたように、今日の陸運局の用員措置の中では、現行犯を見なければわかりませんけれども、チェックしていくような手がないのですよ、ないものですからやっぱりそれも必要でありますけれども、根本の要因を断ち切っていくようにしなければならないと思います。ですか監査も必要であろうが、とにかく全運転手を東京などは日雇い制度でやっているというものもあるというふうに聞いているのです。なぜかというと片や失業保険をもらっておりますから、日雇いにいきますと歩合給だけにしますから非常に安上がりになるわけでしょう、経営者は。したがってこの連中は経営者との関係できわめてある程度低い賃金になるでしょう。片方、不正失業保険を受けているから、そうなるとどうなるかというと、やはり深夜などになってまいりますと、ロングでなければ走らぬ。大臣こういう経験ありませんか。私たびたび経験ありますが、私はいなかですから、東京のことばよくわかりませんが、めんどうみてくれますかと、こうきますよ。あなた笑っていますがそうですよ。どういうめんどうみればいいのかと聞くと、すうっと行ってしまう。目にあまるものがありますよ。私は直訴を受けたものたくさんありますが、そのつど自動車局のほうにもナンバーと会社名を知らしてやっていますよ。どういう注意をしているか、これは時間ありませんから聞く必要ありませんが、そのつど的確にやっていると思いますが、問題は、日雇い運転手を締め出さない限りにおいては解決しないのですよ。十分これから諸般の対策を立てるようでありますから参考にしていただきたいと思います。
  63. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ただいま日雇い追放のお話を伺いましたが、日雇い運転手が乗車拒否の非常に大きな部分にあることは私もいろいろ様子を聞いて知っております。けさも、実はこの委員会が始まります前に、いろいろ自動車局の諸君と日雇い絶滅の方法について話し合ったのでございますが、そのときの研究によりますと、現在の取り締まり規則では、どうも日雇い労働者の追放ということはしり抜けになっておるのでございまして、陸運局で厳重に取り締まるということをいっておりましても、はたして法の適用において取り締まれるかどうか疑問だということを聞いたわけです。それはどういうことであるかというと、日雇い関係の条項は、まずタクシー業者は自分の持っておる乗用車の相当台数を運転するだけの常用運転手を雇っておかなければならない。この常用運転手の中には日雇いは数えてはいけない、こういう条文があるだけでございます。だから日雇いを雇っておりましても、いやこれはきょうだけの臨時のものでございます、このとおり常用運転手は別におりますということになりますから、これは処分しようにもできない。そこで、私どもは、もういやしくも営業用の車を運転させる場合は、どういう場合でも日雇い運転手は一切頼んじゃならぬのだということに思い切って踏み込みまするならば、日雇いの追放というものが有効にできることになるわけです。それがはたして適当かどうか。この点のいま最後の詰めをこれからしようじゃないか。そこで結論が出ましたならば思い切ってやりまして、そうして有効な方法を講じたい。また一面、運転協会というようなあやしげなる紹介機関がございますが、これが労働省の認可を受けておるそうでございます。これについても何とかする方法も考えなければならない。こういうようなことも話し合っておりました。まだ、未決の事項でございますので、具体的には申し上げませんでしたが、なお研究を進めたいと思います。
  64. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、答えられたとおりなんですよ。それが一面なんです。ただ、ここで考えなけりゃならぬのは、とうとい人命輸送を扱っていく企業の中で、日雇いでやっておるというのはハイタクよりないと思うのですよ。ここに特色があるといえば言えるのかもわかりませんが、いま大臣が答えられたようなことを、積極的に取り組んでいくということと、もう一つは、日雇い運転手をあっせんしていく場所があるのです。あっせんしていく場所ですね、これをなくしちまえばいいわけです、問題は。そこで、いま大臣がちょっと触れましたが、この場合は、労働省の認可を受けてあっせんをしておるところがある。組合のかっこうで、労働組合のかっこうになっているところもあるし、あるいは協同組合のようなことになっているところもあるのです。ですから、ここのところが若干法律的に慎重な検討をしてもらわなきゃならぬかもわかりませんが、とかく世の中の批判と誹謗の的になっておりまするこの乗車拒否、これは悪いのですから、悪は私は断固追放すべきだと思うのです。そういう意味で、ぜひ検討の段階に、先ほど言ったように参考にしてけっこうですから、労働省とも運輸省は積極的にあっせん所の問題と、それから業者に対していま大臣のおっしゃられたように、日雇いを雇ってはいかんというようなことを諸般の角度から検討していただきたいと思うのです。
  65. 木村美智男

    木村美智男君 これで終わります。いまの乗車拒否の問題、吉田委員からも出ましたが、大臣、これは実情を見ますと、お客さんの悪い点もあるのです。それから昼間、交通混雑のために走れなという事情が、三百六十五キロの範囲の中で、水揚げを強要されるという事情がある。こういう関係があるものだから、いま言った自動車協会だけでなしに、これは私、さっきも言ったのですが、やっぱり労使とそれから一般利用者も含めて、そうして、ゆるやかな、あんまりかっこうつけんでもいいのですが、対策会議みたいなものをもって、そうして経営者側のほうとしても、あるいは客も悪い点があるし、それから、その運転手自体も多少あれですから、だから、そういう意味労使、第三者を入れたひとつ対策会議を持ってみるといろいろの問題が出てきますから、大臣の言うそのあやしげなものもこの認可取り消しの問題もあるでしょうから、そういうものを含めてひとつやってみてもらいたい。特に地域指定をして乗車地点というか、乗車場をやはり指定をして、並ぶ指導をするということは最後の私はきめ手のような気がする。それであと広報関係——テレビ等で、おかしなのがあったらどんどん通報してくださいというようなことを少しテレビその他を通してやるということを、広報関係を含めて総合的に乗車拒否問題はここでちょっと腰を入れてやってほしい。  それから、したがっていまの日雇いにも関係するのですが、抜き打ち検査を実はこの前やってもらって、局長、あとで資料を出してもらうことになっておったが、まだ出ないが、これから見ると、いろいろの実態がよくわかるのです。それはいいのですが、聞いてみましたら、いろいろのことを私らここで勝手に言っているのじゃない。必要と思って言っているのだけれども、実際は予算がないのでどうも超過勤務も満足に払わないで、握りで終わりと、こういう関係もあるようですから、正式に国会、委員会指摘をされた、要請をされた仕事については、超過勤務手当くらいはきちっとして出していただくように。そうしないと、どうもぼくらもあまり無理なことを頼んでいるとは思わぬのですが、必要以上にやっぱり酷使をするような関係になってはいかぬので、特に陸運局等については、欠陥があれば欠陥として指摘はしますが、そういう面はひとつ十分配慮していただきたいということを申し添えまして質問を終わらせていただきます。
  66. 小酒井義男

    小酒井義男君 これ突然で、大臣にいまここで御答弁をしていただくことは無理だと思うのですが、先ほど木村委員のほうから、ワンマンカーの話が出まして、それを認可する場合には、労働組合のほうのやはり意向をも聞いた上で認可をしておるという、とういう話があったわけなんで、それに関連をして実は御検討願いたいと思うのですが、この地方の鉄道ですね、地方鉄道、これはいろいろ問題が多いのですが、まあとりあえずワンマンカーが最近ふえている。で、それに対してバスの場合は、労働組合の意向というものは尊重されているのですが、ワンマンカーの場合、電車の場合は、そういう方法がとられておらぬように聞いているのです。同じようにやはり従業員の意向というものを尊重するという上に立って認可をすべきじゃないかというふうに思うのですが、これは自動車局所管ではありませんから、鉄監や民鉄の関係になると思いますが、実はそういう問題について一度委員会で中小私鉄の全体の問題について少し御質問をしたいと思っておったんですが、なかなかその機会がないようでございますから、突然この機会に木に竹をついだようなことを申し上げるわけですけれども、そのバスと違うのだということならば、その理由関係の方からまた聞かせていただきたいのですが、同じような取り扱いをすべき性質のものであるということであれば、電車の場合もそういう方法をとるようにひとつ方針をおきめ願いたいと思うのです。  これは御要望を申し上げておきます。
  67. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) パスの場合のワンマンカーについて、労働組合との話し合いを尊重した上で認可するかどうかをきめるということは、これはバスというものの特殊な構造からきているわけではございませんので、やはり労使関係という立場からそういう扱いをしているのだと思います。したがって、そういう観点から見ました場合には、電車の場合も取り扱いを異にすべきではないように思いますから、いまの御趣旨はよく事務当局に伝えまして検討させます。
  68. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本件の調査については、本日はこの程度といたします。  午後二時まで休憩いたします。    午後一時十四分休憩      —————・—————    午後二時十八分開会
  69. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  委員の異動について報告いたします。  本日、岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として春日正一君が選任されました。     —————————————
  70. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 外貿埠頭公団法案を議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 時間がありませんので、ひとつ要点をわれわれしろうとにわかるように御説明を願いたいと思います。  今度の埠頭公団法の問題点は、公団そのものの問題と、それから、これによってきたるところの海上コンテナ輸送に対する二つの問題かと思うのですね。それで、公団については、昨日中村君のほうから相当詳しく質問があったようでありますから、きょうは省略をしまするが、私がまず聞きたいことは、非常に膨大な投資をし、設備をして、そうしてコンテナ輸送に対応する設備投資をするのですけれども、そこで、海運業者の専門家の間でも、はたして、この海上コンテナというものは海上輸送の最終手段であるかどうか、こういう疑問を持っておいでになる方もおありになるやに聞いております。現にオスロのオルセンという会社の副社長さんも、ある会議では、やはりコンテナ輸送ということもさることながら、遠距離、近距離にかかわらず、パレット輸送方式のほうが費用が安くて能率があがると、こういうような趣旨の発表をしておったと思うのです。で、これを先般、海運業者に聞きましたところが、パレット輸送というのは近距離輸送には向かないのだ、欧州間の輸送には向くのだというお話がありましたが、現にこのオルセン会社の副社長は、遠距離、近距離ともこのほうがいいんだ、特に背後地関係におきましても、あるいはまた、そのコンテナ基地においても、アメリカと違って、付近に大工場があるというわけでもなし、あるいはまた、背後地もアメリカのようにはないという場合においては、やはりパレット輸送というものも考えなければならぬ、こういう趣旨のことを言っておりました。さらにまた、コンテナ船であれば、ばく大な費用をかけて、二十億あるいは二十五億かけてコンテナ船をつくらなければならぬ、あるいはコンテナそのものをつくらなければならぬ、ヤードもつくらなければならぬ、こうなると、パレット輸送においては、舷側を改造するだけで済むのだ、現に六時間で二千トンの荷役ができるということがカナダにおいても証明された、こういうことも発表しておったと思うのです。と同時に、いま横浜に来ているPTLにおいては、千トンはしけ方式というものを考えておる、こういう話も聞いておるのですけれども、そういうことをいろいろ聞いておりまするというと、しろうとの私が、こういう膨大な費用をかけて、はたして、コンテナ輸送というものは、最終輸送手段であると言うことができるのかどうか。もしこの建設途上において、あるいは将来において、コンテナ輸送にまさる輸送方式が考案され、考えられ、その輸送方式が実行されるという場合には、つくった設備というものが、半ば価値を半減するという、こういうことになってはたいへんだ、こういう心配がありまするので、これをまず一つ聞かしてもらいたいと思う。
  72. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) コンテナ化がもう最終的に一番いいんだということであるかどうかということでございますが、これにつきましては、イギリスのPOラインの社長であるアンダースンが昨年四月に株主総会で話していることばが、私は一番適切でないかと思いますが、コンテナ化というものは万能ではないと言っております。コンテナ化というものが進むか進まないかというのは、やはり商業ベースの問題である、しかし、現在においてコンテナ化が有利であるというのは、港湾の荷役費を節減することができるということであるということが一つでございます。したがいまして、POの社長の意見としては、そういう一つの輸送の革命期にあたって、おのおのの会社が個々にそういうものに投資をするのでなくて、グループをつくって危険を分散しつつ、こういう新しい輸送の変革期に対応していく、そういう意味でOCLという船会社のグループの会社をつくった、もう一つは、輸送というものはユニット化というほうに進んでいるということは確かであるけれども、それがどういうような速さで、どういう形で行なわれていくかということは、自分たちがそれを見守っていなければならないということを言っておりますが、私どももコンテナが最終的なものであるかどうかということはわからないわけでございます。しかし、コンテナの有利性というものは多々ありまして、現実に、アメリカにおいてはこれが非常に普及して、さらに欧州との間の貿易にだんだんとその力をあらわしてきて、新聞紙上によれば、そのために、四十数年でございますかの長きにわたって大西洋航路をやっておったノルウエーの会社が定期航路を廃止するというはめに至ったということも聞いておりますし、私どもとすれば、コンテナのメリットというものを生かすためにコンテナの船もつくるし埠頭もつくっていかなければならないと思います。  ただ、コンテナが将来変わったらどういうことになるかということで、一つの例としてパレッティゼーションのお話がございましたが、パレット化は確かに北欧において、イギリスと欧州との貿易に非常に用いられておりまして、その経済性についてもいろいろ提唱されているところがあります。したがいまして、パレット化ということも当然行なわれると思います。私ども、こういうことを全般を見て、埠頭の立場から申し上げますと、最近のこういう技術革新に対応する埠頭というのは、やはり面積が広いということが一つの基本的な性格になると思います。面積が広いということは、機械の振り回しがきくということで、人力を機械にかえていき得るからでございます。しかも、コンテナの場合で申しますと、土地はあるわけでございますが、従来の埠頭でございますと、大きな上屋があり、さらにその背後に固定的な大きな倉庫が建っていたということでございますが、それにかわるものとして、バンを操作するヤードと、そのうしろにバンに貨物を詰めたり出したりするパレットステーションと、これもきわめて簡単な設備でございますが、そういうのと、あとはそれらを操作する機械だけで済むわけでございまして、今後コンテナにかわるさらにもっとすぐれた輸送手段が出てまいるといたしましても、現在われわれが計画しております埠頭は、十分そういう技術革新に対応し得る弾力的な埠頭であると考えるわけでございます。
  73. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあその内容はよくわかりませんけれども、もしかりに、ノルウェーの副社長が言っておるように、六時間で二千トンの荷役能力がある、コンテナに何ら遜色はない、こういうことが事実であるとするならば、コンテナと、いわゆる大型コンテナとそうしてパレットとの総合した利害関係なり、そういうものを海運会社等あるいは政府等において検討なすったことがあるかどうか。これはカナダで証明しておりますし、これからオルセン会社でつくる二隻の新造船は全部パレット輸送方式にすると言っておりまするから、そうなりますると、確かに、いま最近の新聞で、日経新聞でありましたが、いま言われましたように、大西洋航路で定期航路が廃止になったということを聞きました。聞きましたが、そういう反面において、こういう動きがあるということは、これは見のがせない一つの事実ではないか、こう思うのですけれども、ですから、日本の場合、アメリカはこういうコンテナ輸送をやっていますけれども、日本がこれと同じようにそういうことをやっていくという必然性というものはあるのかないのか、これがどうも私は不安になるのですね。ですから、お伺いしておるのは、六時間二千トン荷役能力のあるそのパレット輸送方式というものと、そうしてコンテナというものを比較して検討されたことがあるかどうか、そういうことですね。
  74. 高林康一

    説明員(高林康一君) 御指摘のように、現在いろいろ定期航路の面におきまして、いろいろの輸送技術革新というものが検討されておるわけでございます。たとえばOECDにおきましても、ユニット・ロード・システムというものをいろいろな面で考えております。そのユニット・ロードのやり方といたしまして、コンテナ、あるいはまた、いま御指摘のパレット、あるいはまた、今後の問題といたしましてラッシュボート、こういうようないろいろな従来の技術革新というものが各方面で検討されておることは事実でございます。コンテナの場合とパレットの場合、今後コンテナを進めます場合、どれが絶対的に有利であるかということは、まだいろいろ経験を積まないとわからないわけでございますが、パレットの場合におきましては、確かに設備投資というものがコンテナに比較いたしまして少なくて済む、しかしながら、逆に人手の節約というような面においては、コンテナのほうが非常にまさっておる、あるいはまた、大量輸送需要というものが相当見込まれます場合は、むしろ、コンテナのほうが妥当であるというような、いろいろな見地があるわけでございます。また、ラッシュボートにつきましても、いま日本の海運会社においてもいろいろ検討はしておりますけれども、これはいろいろ危険性その他の問題がまだございまして、具体的な日程にはなかなか入らないということでございます。いずれにいたしましても、確かに、どの方式、それぞれ航路あるいは距離その他の関係もありまして、それぞれの利用方法というものが今後各航路について出てくるかと思います。日本の場合、北米太平洋岸、大西洋岸、あるいは欧州、あるいは豪州と、比較的長距離で、かつ日本の輸出貿易というものの大体四割ないし五割というようなものが、大量の貨物というものがこの航路において占められておりますので、いまの段階におきましては、コンテナというものが最も妥当ではないかと考えておりますけれども、もちろん、こういうようなことにつきまして、各海運会社も真剣にどういう方策をとるか、あるいはまた、コンテナ船といいましても、そこに若干他のハレットを加味したような方式をとると、いろいろ船型その他でも検討を進めておるという段階でございます。また、今後の輸送需要の状況によりまして、逐次また検討が進んでいくだろうというふうに考えております。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ私の聞いておるのは、まあこれはやってみなければわからぬというかっこうのような答弁ですけれども、きのうも吉田君が言いましたが、海上輸送革命だ、こういうものをやる場合に、あらゆる施設とか、あらゆる過去におけるところの体験というものを比較検討されて、そして日本に合うようにしなければならぬのじゃないかと思うんですね。それで私は、いまそのことは、日本船主協会で発行しておる「船協月報」をちらっと見たんですけれども、ノルウェーの副社長は、非常に自信のあることだ。「多くの輸送サービスにおいて、大型コンテナの利用は、船主にとっても荷主にとっても、経済的でないことが立証されている。」と断言されておるのですね。しかも、「現在の大型コンテナは高速道路の発達と港湾における各種制約事項を回避するために、主として米国で発展してきたものである。」、なるほど、あそこは港湾労働者は陸上よりも賃金が倍高いですよ。逼迫しておる。背後地の状況というものは比較的良好な状況にあるという、かようなところがら発展してきた。さらにまた、これに加えてアメリカのベトナムのあの軍事輸送の合理化という面もあるでしょう。そういうところから発達してきたんですけれども、ここで、この船会社の副社長は、「欧州およびその他世界の大部分では、狭い道路と労働事情が比較的逼迫していないため、コンテナ輸送の緊要性は低く、パレットによるユニット・ロード・システムに最も経済性があることがOlsen社の分析で立証されている。」、ですから、私はこういうものと比較検討されたかということですね。確かに背後の道路事情あたりはアメリカと全然違います。あるいは労働事情の逼迫もあるでしょうけれども、これもまたアメリカと違う要素を持っている。ですから、そういうものと比較検討されたかということをお尋ねしたんですけれども、どうもそうでもないらしい。きのうもちょっと言ったように、まあ参考人の諸君も口をそろえて、これは国益のために大事だ、早くやらなければいけないんだ、こういうことを言っておられましたが、そういう早くやらなければいけなかったら、もっと早くなぜとの問題を準備しなかったか、こういうことを言いたいのです。急にアメリカでぎゃあぎゃあ言われて、これはえらいこっちゃということで、むしろ、業界がやると言ったのじゃなくて、政府のあんた方のほうからつついたんじゃないですか業界を。そういうような事情であると思うんですけれども、そういう事情でありますから、こういう万般の諸外国の先例なり実態を比較検討されるという余裕はなかったかもしれぬが、ここに私は非常に危険を感ずるんです。ですから、冒頭言ったように、海上輸送というのは、コンテナというのが最終手段であるかどうか、これを見きわめなければたいへんだと思うんです。しかも、コンテナよりもこのパレットシステムのほうが経済的である、船主にとっても有利である、こういったことを言っておるのですね。で、こういう点についてひとつもう一回、その比較検討から来るところの、さらにまた、かような日本の事情はこういう事情であるからコンテナのほうが有利だ、こういうことをひとつ聞かせてもらいたい。
  76. 高林康一

    説明員(高林康一君) 御指摘のように、パレットが非常に有利な場合が、荷物の性質その他によってあり得ると存じます。そして、いまコンテナが最終的なものであるかどうかは、まあ今後の技術革新の程度の問題でございますが、コンテナ化ということは、パレットを排斥して、パレットをやらないで、コンテナー本でやるという考え方を日本海運界として持っておるわけではないわけです。で、現実の問題といたしまして、在来定期船につきまして、たとえば二十二次でつくりましたところの「フランス丸」という船がございます。こういうような船につきましては、船体の横にサイドポートをつくりまして、パレット荷役ができるような構造をつくっておるわけであります。もちろん、コンテナ化につきまして、そういうようなコンテナ専用船と同時に、在来定期船につきましても、そういうようなパレットシステムが可能なようなものを同時に整備していくということを、現実にはとっておるわけであります。ただ、コンテナ船体が絶対に有利であるというようなことは、計算上は、先ほど申しましたような人手の問題、あるいは将来におけるコストダウンの問題というようなものから見まして、かなりそのほうが大きいウエートを持つであろう。しかしながら、在来定期船との関連を考えていきます場合に、パレットを併用していくことが、また、ある部分においては有利であるというようなこともございますので、そういうようなものを併用しながら、しかしながら、コンテナ化の体制というものを逐次築き上げていくというふうに、私どもとしては考えておるわけであります。いま御指摘のございましたように、急に騒ぎだしたということは事実でございます。しかしながら、これを見定めてから後に、コンテナ化に着手するということ、御存じのように、国際海運界の競争というものは日ごとに激化しております。そして、そういうようなものの荷物シェアというものがすでにきまってきました場合、後発企業というものは非常におくれをとってくる。日本の全体のシェアというものにも非常にそとでおくれをとってくるであろうというふうに考えまして、この際、大いにこれを進展せしめる必要があると考えた次第でございます。
  77. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはあまりやっておっても時間がありませんけれども、まあおくれをとるとおっしゃるけれども、それなら、なぜ去年もっと早くやらなかったかということ。きのうの船主協会の話では、いや前はみなとやったができなかった、今度はみな一緒になって、金ができたから力がついたのだと、こういうことを言っておられました。これはうそだと思うのです。あなた方に遠慮して言っておるのだと思うのです。ですから、これはいまから言っても始まりませんけれども、本来ならばもっとパレットあるいはAPLのはしけ方式、そういうものと比較して、そうして日本の場合はどうだ、こうならなければならない。ですから、在来船とか、あるいはコンテナ船、あるいはそういうものもパレット輸送にも使えるようにすると、こうおっしゃるけれども、パレット輸送にも使えるようにする。パレット輸送に使って、パレット輸送をやって有利に海運界が運営できるなら、初めから経費の安いパレットにすべきだ。そういうところに何かしらすっきりしないものがあるというところに、私は海運コンテナ輸送に対して大きな疑問と不安を持つわけです。それで始まったわけですから、この成功のかぎは、やはり荷主の協力を得られるかどうか、これは一番大きな問題だと思う。大きな金をかけてコンテナヤードをつくって船をつくったが、荷主はどうも一般でやったほうが得だからということでいったんでは、パースも死んでしまう、あるいはコンテナ船も死んでしまうことになって、どうにもならなくなるんですけれども、荷主の協力については、これはひとつ十分検討しなければならぬと思いますね。それで、いま、たとえば英国の荷主協会の総会か何かにおきまして、いろいろ論議もされたらしいですけれども、その場においては、英国の荷主さんは直ちに飛びついてこなかった。パレット、コンテナに対してわれわれは協力し得るのは、より安くてより便利でより早く、こういうことで、われわれの利益のある限りにおいてはこれに協力するのだという態度をとっておりますが、日本の荷主もそうだと思いますね。高い金をかけて、そうして海運界も、きのうの話じゃないけれども、たいへんな費用を使い、そしてまた船をつくり、コンテナをつくり、あるいはまた雑貨ライナーもつくるということになれば、どうしても老朽船といいますか、余ったものの廃棄といいますか、をやる。そういうことになると、相当の費用がかかりますね、経費が。ですから、おそらく荷主さんも直ちに恩恵を受けるというわけにまいらない。そういった場合に、一体荷主さんはこれに協力してくれるかどうか。しかも、BLなり、税関なり、保険なりというものはすっかり変わってくるでしょう、従来と。しかも、背後地の関係もある。こういうところでもって荷主さんがはたしてこれに飛びついてくるかどうか。そして包装に経費がかからないとおっしゃるけれども——かからぬだろうけれども、そこにも疑問がある。たとえば日本でいえば、あんな大きなコンテナを戸口から戸口までというわけにはいきませんが、これはフレート・ステーションかどっかで出して運ばなければならぬ。そこで運ぶときは裸のままですよ。これはコンテナに入っておれば安全ですけれども、出して運ぶときはまことに困る。手直しをしなくてもいいのか。こういうところに不安がある。これに対して保険は一体どうなる、万般のものが不安があるのです。さらにまた、日本の外国貿易の商習慣というものがあるでしょう、いわゆる月末集船というのがありますけれども、そして、はたして荷主が無条件で飛びついてくるかどうか。よほどの努力と、そうして方策を講じなければむずかしいと思うのです。しかし、これは荷主が荷を出してくれなければしょうがない。そういう点について政府のほうではどういうような指導をやっていこうとしておられるのか、また、船会社ではどうしておるのか、そういう点を少し伺いたい。
  78. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 非常にごもっともなことだと思いますが、コンテナ輸送は荷主にとって何か利益にならなければ使う人が出てこない、これはもう当然な話でございます。それで、ただいま先生おっしゃったように、コンテナ輸送は運賃が安いから、あるいは梱包費等を節約できるから、あるいは早く着くから、あるいは荷痛みが少ない、船の荷物の着く時期が非常にはっきりしてくる、まあいろいろなメリットがあるわけでございますが、そういうメリットがはっきりと荷主のそろばんにのるということでなければ荷物がなかなか出てこない、これはもう当然な話だと思います。それで、ただいまも梱包費が非常に節約されるという——ドア・ツー・ドアということであれば、まあそのようなメリットはあがるけれども、必ずしも全部の荷物がそうはいかない、これはもうお説のとおりでございますが、われわれもすべての荷物、コンテナ荷物が全部ドア・ツー・ドアにいくとは予想しておりません、最初は。当初は二〇%ぐらいしかドア・ツー・ドアの荷物がないのじゃないかというふうにわれわれも予想をいたしております。で、要するに、当初はそういうようないろいろな要素があります。ですから、われわれとしても、最初からコンテナ船が満船になるということは非常に困難であるということで、その積載率を非常に低目に考えざるを得ない。それで、そういうようなことから、いろいろコスト計算をいたしますと、当初の採算というものは非常にとりにくいだろう、おそらく四、五年というものは積載率その他のことから考えて、おそらく赤字である、しかし、だんだんにこれが荷主方面にいろいろのメリットというものが理解され、そして、いろいろな障害というものが取り除かれていくに従って、その普及率というものが高まってくるであろう、そういうことを考えれば、長期的に見れば必ずこれは採算にのるのではないか、もちろん、当初から甘い考えを持ってはいけませんが、いろいろな障害を取り除いてさえいけば、かなり長期的には、これは採算に合うし、荷主もこれを利用することになるということを確信をしておりますし、船主側もそういうことを楽しみにして計画を立てておる。しかし、最初の四、五年というものはイバラの道だということは一様に覚悟しておるということでございます。
  79. 大倉精一

    ○大倉精一君 ですから、非常にこまかいという前提であったのですけれども、新しくやるのですから、ね。そういう起こり得べきことを想定をして、そうして、これに検討を加えて見通しをつけないと非常に冒険だと言わなければなりません。ですから、船会社のほうも将来必ず利用してくれるのだろうというけれども、しかし、当面運賃が安くなければ、安心ができなければ、信頼度がなければ、みなさん客貨船のほうにいってしまいます。まあコンテナでなければ運送ができないということになれば話は別ですけれども、両方できまずから、そうすれば、いつまでたっても荷主が来ないということになる。コンテナのほうがやりにくい、そういうことになりますね。ですから、そういう点がどうなるか、さらにまた、きのうもおとといもお話がありましたけれども、ことしはとりあえず法律を制定するために二十億を出すけれども、来年度以降縁故債ということになると、それに対して荷主が協力するかどうかですね。それをこちらのほうから自分かってに荷主が来るのだときめ込んでしまうのは非常に危険じゃないかと思うのです。ですから、私はさっきパレット輸送と言いましたけれども、これは六時間で二千トンの荷役ができる。コンテナと同じ効果がある。こうなれば、そういう点で非常に比較しなければならぬと思いますね。ですから、これは荷主に対する問題は、これはマスターベーションじゃなくて、ほんとうに荷主がこれはコンテナがいい、こういうぐあいになるように指導してくれないと、マスターベーションになりかねないですね。しかも、税関はどうするか、あるいはBLはだれがどう発行するか、あるいは保険はどうするか、海上の危険を避けるために海へ投げると思うのです。そういう場面も出てくるのですね。そういうときにはどうするか、たいへんこまかいことがたくさんあると思うのですよ、初めてのことだから。そういう点は大いに遺憾のないようにしてもらいたいと思います。  時間がないから先に進みます。  もう一つ心配になるのは、きのうもちょっとベトナムの話が出ましたけれども、あすこに五十トンぐらいの船が六ぱいどんどん毎日行っておる。毎月二百万トン行っておる。そのうち、大部分が船だ、こういうことである。さらにコンテナ輸送が始まったということになると、いわゆるベトナムの軍事輸送合理化のために船足を速くする、こういうために始まったと思うのです。これは私、将来はわかりませんけれども、あるいは来年の大統領選挙までに何とか船の目鼻がついた、こうなった場合に、必然的に予想されるのは、アメリカの船腹量の向上です。こうなった場合に、日本になぐり込んできやしないか、こういう心配があるかないか。いまはコンテナ船で船足を速くしなければなりませんので、沖縄へ行ったもので日本に寄らずに直接往復しておりますけれども、これはそういう情勢が変わってきますと、今度は沖縄に行って帰りに荷物がない、日本に来てかっさらっていく、これも出てきますね。船腹量が余るようになってくれば、これが大統領選挙前にそういう状態が起こったならば、これは非常に大きな変化が出てくる。これはもう海上輸送あるいはコンテナ輸送の現実についても検討をしなければならぬというような、そんな場面が出てきやしないか。これは想像かもしれませんけれども、大いに検討してかからなければならぬと思うのですが、そういう点はどういうことに想定できますかね。
  80. 高林康一

    説明員(高林康一君) 御指摘のような問題が当然出てくるのではないかと私ども考えております。現在南ベトナムへ日本船が配船しておりますのは、四十一年実績では十一万トン程度でございます。したがって、邦船の輸送力の全体の一%程度、したがって、南ベトナムの紛争が終結いたしました場合でも、直接邦船の輸送シェアというものに対する影響はあまりないかと思います。ただ、いま御指摘のございましたように、こういう南ベトナムへの輸送は、現在米国の船で非常に多くの部分が運ばれておるということも実態だろうと思います。したがって、そういうようなものが、いわば軍需資材というようなものが輸送がとまりました場合、そういうような米国の余剰船腹というものが生ずる。しかも、現在世界的には、やはり船腹供給圧力のほうが需要よりも大きいという面が多分にございます。そういうような面から見まして、多分に今後の世界海運市況というものは、必ずしも新しい好況を物語る要素はないように私どもも考えております。そういうようなことも予定に入れまして、場合によっては、先生指摘のような、その帰り船で日本積みというようなものを考えるというような場合も出てくるかと思います。そういうようなことはまあ実は仮定の問題でございますので、どういうふうな見通しになるかということは、率直に申し上げて、わからないわけでございますけれども、全般にそういうふうな供給圧力というものがふえ、日本のいわば国際競争及び国際海運界におきますところの日本のシェアというものにとりましては、相当きつい条件になってくるだろうというふうなことを一応私どもとして予想し、また、そういうようなことのために、十分各種の競争に耐え得るような体力と、それから、それに必要な船体というものを早急に整備しておくという方針で、現在コンテナの問題、あるいはまた、在来定期船の問題、あるいはその他一般不定期船の整備というようなことを進めておる次第でございます。
  81. 大倉精一

    ○大倉精一君 こればね、まあ将来の想定だからというお話でありますけれども、これは単なる国際情勢の想定じゃないんです。ですから、これはあなたのほうで、いまアメリカからベトナムへ送っている船積みの荷物が一体どのくらい軍需物資があるのか。これがなくなれば、復興資材物資の輸送になって、これがどのくらいの量になるのか。そうなれば、アメリカの船腹事情はどうなるんだということを、やっぱり数字でもって想定されなければならぬと思うのですね。ですから、そういう想定のもとに、その場合における日本の海運界に及ぼす影響はどうだと、こういうことも的確に把握をして、数字をもってですね、そうして指導しないといけないと思うのです。いまでも邦船の積み取り率は非常に少ないんですね。これは最近出たあれじゃなくて、前に大体想定した数字らしいんですけれども、四十一年度大体邦船の積み取り比率が、輸出では三九・八%、輸入では四〇・三%、こういう積み取り比率よりない。こういうような状況のもとに、いま申し上げたような、そういう状況になれば、さらにこれは深刻な状態になりゃしないか。その場合に、少なくとも来年それが起こるとするならば、コンテナ方式を始めた、ほんの短い期間に、そういう重大な変化が起こる。これはひとつあなたのほうも想定しなきゃいけませんよ。想定しなければ、そのときになってあわてる、コンテナ船のときのように大騒ぎしたんでは、今度の大騒ぎとだいぶ違った大騒ぎになるから、これはひとつ、確固たる方策を立ててもらわなきゃならぬと思いますけれども、そういう統計は、統計といいますか、参考数字というものをお持ちになっておるかどうか、なっていなければ、早急におつくりになって、そして、そういう場合の想定をされて、そういう資料をひとつつくってごらんになるつもりはないか、それをひとつお伺いいたします。
  82. 高林康一

    説明員(高林康一君) 米国船によりましてベトナムへどの程度どのようなものが運ばれておるかという数字につきましては、残念ながら私どものほうにはございません。ただ、いま先生おっしゃいましたように かなりの船腹というものが動いておるということでございます。かつまた、日本の積み取り比率というものが逐年下がっておる。四十一年実績におきましても、ついに三七%というふうに輸出積み取り実績が下がっております。しかし、これは本質的には、やはり定期船の整備というものが非常におくれて、輸出貿易量の伸びに対応いたしまして非常に船腹が不足であるというようなことが一番大きい原因になっておると思います。私どもといたしましては、当然世界のマーケットというものはいろいろの変動があると思います。現在たとえば北米に対しまして、日本船は大体五七、八%の積み取り比率を持っております。こういうようなものは、もちろん北米重点にいろいろ船腹を整備いたしましたこともございます。今後そういうような環境の変化によりましてかなり苦しい要因は出てまいるかと思いますけれども、こういうような面につきましては、やはり船体の競争力さえ整備しておくならば、必ずや相当程度は競争できるであろう。もちろん、米国の補助政策がどの程度進展するかということにもよってまいるかと思いますけれども、現在の日本の補助体系というものを前提として進めていくならば、現在の積み取り比率、米船に対する競争力というようなものは十分存在し得るであろうと私どもは考えておるわけでございます。また、そういう路線に沿いまして現在も船腹拡充を進めておるという状況でございます。
  83. 大倉精一

    ○大倉精一君 数字はわからぬと言われますけれども、これは軍需だからわからぬかもしれぬが、しかし、ちょいちょい方々に書いてありますね。毎日六ぱいずつアメリカから船が出るということもどっかで見ました。それから毎月二百万トンずつ送っておるが、その大部分は船だ、こういうことも聞いておりますので、大体のものはもうつかめるわけですね。ですから、こういう状態で、しかも、高い運賃をもらえる荷物というものは、大半が二年も連続して六〇%以上も外国にとられておると聞いております。こういうことは、いま開銀の融資あるいは契約用船について、いろいろ議論もありますけれども、きょうはこれは抜きにしまして、そういう現在の実態から、そういう実態で戦争が終わるという非常に大きな変動があった場合のことは、これは想定しておかなければならぬと思う。そういう点について遺憾のないようにしてもらいたいと思う。  それから、先ほどちょっと質問を漏らしましたので、逆戻りするようですけれども、荷主の協力について、先ほども申し上げた英国の荷主協会におきましても、戸口から戸口への一貫契約でなくて、いわゆる輸送の各段階ごとの自由選択契約をしたい、こういう意向もあるようですけれども、日本の場合は、やっぱりこっちの戸口から外国の戸口まで一貫した契約でいくのか、あるいは、ここからここまではこの輸送機関、ここからここまではこの輸送機関、ここからここまではこの輸送機関と、段階に応じて自由選択でいくと、そういう指導をしていかれるのか、これはついでにひとつ聞いておきたいと思う。
  84. 高林康一

    説明員(高林康一君) 戸口から戸口への輸送の場合におきましての輸送の責任主体といいますか、引き受け主体、それについては、おそらく戸口から戸口まで全部を一人の運送人が引き受けるという形態、それから個別に各運送区間を区切って引き受けるという形態、おおまかに言ってこの二つに分けられると思います。で、現実の例といたしましては、アメリカからヨーロッパへコンテナを配船をしておりますシーランドの場合におきましては、ヨーロッパの中におきましては、ヨーロッパの陸上運送業、それで、それからあと米国の港まではシーランドがBLを発行して引き受ける。それから以後の米国内の輸送につきましては、シーランドの系列会社の陸上運送人がそれを引き受けるというようなことになっておりまして、実態的には、シーランドの場合は、ほとんど米国内の陸上輸送と、それから海上輸送は一元的に引き受けるというような実態になっておるかと思います。また、シーランドに引き続きましてやりました、やはり米国−欧州をやりましたアメックスの場合におきましても、完全に陸、海、陸というふうに分割責任の型でやっております。で、わが国の場合、この九月から配船を開始いたしますマトソンの場合につきましては、大体今後さらに変化はあると思いますけれども、やはりアメックスと大体同じ型で、陸、それから海、それから陸というような分割の輸送引き受けという形式をさしあたりとることを考えておるようでございます。ただ、やはり問題といたしましては、今後の運送責任、海上運送と陸上運送が責任の内容が違いますので、これを一元化するというようなことが望ましいわけでございます。まあそういうような点につきましても、現実には万国海法会その他におきまして、必要な条約案その他を現在検討しておると。逐次またそういうような一元的な輸送責任方式というものも考えられるかと思います。ただ、実際問題といたしましては、やはり当面は責任分割型というものが多くなってくるのではないかと予想しておる状況でございます。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ初めてのことでありますので、ずっと答弁聞いておりましても、がちっと一つ確信を持ったところまではいっておらぬようですけれども、やはりそういう点について思わぬことが出てくると思いますよ。その思わぬことをできるだけ多く把握をして、先手先手と指導をしていかないというと、せっかくのこのコンテナ輸送という革命が挫折をするという心配がある。挫折しないという保証はないんですから。ですから、そういう点はひとつ十分に検討して、抜かりないようにしていただきたいと思います。  それから特にコンテナ輸送の重要な点は、背後の施設関係だろうと思うんですね。これは戸口から戸口へ行くというんですが、なかなか日本ではすぐにはいきますまいけれども、それが迅速にいかなければ、このメリットがだいぶ減ってくると思うんです。それで、この九月から始まるんですけれども、コンテナ埠頭建設に伴って背後地の背後輸送といいますか、支線サービスといいますか、そういう点に関する輸送機関なり輸送方法なりというものについての構想があったら、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  86. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) とりあえずは、東京の品川埠頭と摩耶埠頭が使われると思うのでございますが、東京につきましては、東京都がコンテナ化に対してどのように道路と連絡をつけるかということを検討いたしました結果、東京都におきましては、品川埠頭から環状七号線を利用する。大体東京における中小の輸出貨物を出す給源は環状七号線に沿うておるようでございまして、これを利用することによって背後地とコンテナ埠頭との連絡は可能になると、こういう見通しでございます。なお、それから先西に行くものにつきましては、第三京浜を使って国道一号線へ出ていくというルートが考えられております。  それから神戸でございますが、これは摩耶埠頭でございまして、摩耶埠頭から第二阪神国道に乗りまして、さらにそれが名神に乗るわけでございます。また、西に行くものにつきましては、国道二号線、さらに現在建設が行なわれております阪神高速道路、これを利用することによって、東西の連絡というものは確保されるというふうに考えております。  また、横浜、さらには大阪が、公団の埠頭ができましたときにつきましては、羽田を通ります一号高速道路につきましては、四十六年にならなければ本牧埠頭までいかないようでございますが、それまでの間は、従来の路線を通りまして、やはり第三京浜国道と連絡すること、もしくは鶴見まで行きまして高速道路に乗ることによって、東京との連絡をはかっていきたい。  それから、大阪につきましては、内環状線、中央環状線に連絡する道路が昭和四十三年末には完成するわけでございまして、この内環状線、中央環状線につきましても、同じ時点にこれが開通することになりますので、内環状線もしくは中央環状線を通ることによって名神高速に連絡することができるということで、一応道路についての見通しは持っておるわけでございます。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあいま道路だけのお話がありましたが、やはり支線ということになれば、鉄道、道路、船ということが考えられるのですね。いま鉄道輸送については、八・八・二〇がいまのままでやれるということを聞いておりますが、道路になるというと、これは車両の高さの制限が要りますね。そうして五十トンというのをブウブウ走らせるということになれば——将来ですよ、これは道の構造も変えなきゃならない。いまでは二十トンですが、将来は大型になるでしょう。ですから、こういうことに備えての道路構造というものを変えなければならぬ。こういう点があるのですが、これもあわせてコンテナ埠頭、コンテナヤードともに綿密な計画を立てて実施をしていかないというと、これはこの効果は半減されると思うのですね。ですから、これは、時間がありませんから、如才ないと思いますけれども、十分ひとつ考えてやってもらいたいと思います。  同時に、これまた時間がありませんから、要望をしておきますけれども、名古屋にはいま埠頭ができません、今度は。今度はコンテナバースができませんけれども、名古屋の荷主はどういうぐあいなかっこうになるのか、こういう点についても、現地では非常に心配をしておるわけです。  と同時に、私は時間がないから一括して言いますけれども、とりあえず東京湾と大阪湾につくるのですけれども、これまた人によっては、この狭い日本に二つもつくらぬでもいいじゃないか、三つもつくらぬでもいいじゃないか、適当な位置に一つどんと完全なものをつくって、そこから集散地にやってもいいじゃないかということも聞きます。で、こういう点もあわせてですね、新しい問題でありまするから、設備でありますから、大いにひとつ総合して検討をしてもらいたいと思う。  最後に、きのうもいろいろ問題がありましたが、何といっても労働問題ですよね。そうして港運会社の問題なんですけれども、これはこの書いたものを見ておりましても、アメリカでもやっぱり海上コンテナ輸送のネック、焦点の一つに労働問題が取り上げられております。ここでは、政府がある程度近代化の保証もしておるのでありますけれども、各国ともにこの海上輸送の変革に伴って労働問題は深刻なものになっておると思うのですが、大体各国の、これに伴う労働問題の事情と、各国政府ないしはその他の機関のこれに対する対策、どんなことをやっておるか、参考のために聞かしてください。
  88. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) アメリカにおいてこの在来船を改造いたしましたセミコンテナ船と申しますか、そういうものが本格的に動きだしたのは一九五七年でございます。それからフルコンテナ船が建造されたのも同じく一九五七年でございますが、一九五九年にはニューヨークの港湾労働組合がストライキをやりまして、これは仲裁裁定にかかったわけでございますが、そのときに、一九六 ○年の末に裁定された案によりますと、コンテナ協力基金というような共同管理基金を積み立てるということになったわけでございまして、それは大体この在来船がコンテナを積んだ場合には、重量トン一トン当たり三十五セント、それから二つの船倉までをコンテナを積むように改造をした船については七十セント、それから、それ以上にコンテナを積むように改良した船につきましては、トン当たり一ドルという金を積むと、それはこの老齢年金といいますか、年金、さらには、この最低の労働時間を保障するということで、そういうまあ取りきめ、裁定ができまして、で、東岸におきましては、逐次、コンテナが入っていく港ごとに、それに従ったような協定ができておるというふうに聞いております。また、太平洋側は、これも一九六〇年でございますが、これはコンテナだけでございませんで、要するに、機械化、近代化協定というようなものができまして、これも太平洋側の場合には、労働組合が西岸全部のユニオンでございまして、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、これらの諸州の港の労働者が全部入っておるわけでございます。この場合は、基金といたしまして年間に当初五百万ドル、それが昨年の七月以降は、三カ年の協定でございますが、六百九十万ドルという金を積むわけでございまして、これも同じように、早期の退職、それから死亡給付金などに充てるわけでございます。それと同時に、やはり州の最低の労働時間と収入を確保するということをその中でやっているわけでございます。アメリカは当初コンテナ化をやるにつきましては、いまのような協約ができまして、スムーズに、特に太平洋岸においてはギャングの定員であるとか、あるいはスリング下の重量であるとか、そういうものを制限なしに協力するということで、コンテナ化も進むし、機械化も非常にうまくいっているという実情のようでございます。また、欧州、豪州につきましては、まだ本格的なコンテナ化が進んでいないと思うのでありますが、こういうような協約の話は聞いておりませんが、実は、この間国際港湾協会の総会が東京で行なわれまして、そのときにコンテナの問題だけにつきましての討議の場があったわけでございますが、そこで豪州のメルボルンのスワンソンという、これは港湾局長に該当する人だと思いますが、この人が、豪州のコンテナ化による労働者との間のトラブルについて質問を受けたのに答えておりますところでは、豪州においてはコンテナ化によって労働需要がそれほど減っていない、しかも、一般に産業界全体として労働者が不足であるので、この問題についてトラブルが起きていない、こう言っておりました。しかし、ロンドンのポート・オーソリティーのゼネラルマネージャーの説明では、コンテナ化についての労働者の縮小については真剣に取り組まなければならないということと同時に、コンテナ化によって有能な労働者をのがすことがないように、相当待遇をよくしてこれを確保すべきであるということを言っておりました。オランダにつきましては、非常に労働者が不足であるということと、もう一つは、待遇が改善されるということによって非常に定着性もいいわけでございますので、あまり労働者の問題がないように見受けられました。以上、各国の私が知っている限りの情勢でございます。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは時間がありませんから残念ですけれども、労働問題は港湾労働者ばかりじゃなくて、船員労働者も相当大きな変化を受けるのです。船足が速いので、休養時間、労働条件というものは変わってこなければならぬのです。そして、いま報告されたように、外国では、機械化なり、あるいは合理化に伴って当然受けるところの船員なり港湾労働者に対して、何らかの保障措置をしておる、こういう実例でありますが、日本においても、きのうも古賀君が非常に心配しておりましたように、不安がないという保証はどこにもないのです。確かに数は同じような数になるかもしれませんけれども、在来のものはオミットされて、新しいものが入ってくるという現象が出てきますので、労働問題が出てくる。同時に、この問題は港湾労働者にも出てまいります。したがって、この問題について、またあとで同僚議員から質問があると思いますが、きょうは要望しますけれども、今後遺憾ないようにしてもらいたい。  同時に、最後に、一体これをやってもうけるのはだれだ、こうなってくるのですけれども、これも答弁要りません。要りませんが、私は、船会社も四苦八苦で、はたしてもうかるかどうかわからない。荷主さんもわからない。もうけるのは、まず建築、機械、アルミニウム及び造船等、これはべらぼうなものでしょう。そうして、こういうべらぼうなもうけであるのですけれども、運用いかんによっては、やはり海上コンテナ輸送あるいはこの運営の好転というものは必ずしも保証されていない。私は残念ながら、コンテナ輸送は必然的なものであるとしても、現段階においては準備きわめて不十分である、こういうことで、本来ならばもっとしっかりした見通しを立て、準備をし、そうして、それに即応した措置をやりながら、コンテナ輸送並びにコンテナ埠頭建設というものを進めていくべきである、こう思っております。同時にまた、きのう中村君が言ったように、公団によらなければこれができぬということは私はないと思います。現に私ども、一つの法案をつくっておりますけれども、同じような措置を港湾管理者にしてやればできるのです。港湾管理権の問題も改善されるのです。ですから、きのうから、また、これからも質問があるだろうと思いますけれども、数々の不安がこれに付随しておりますから、そういう不安につきましては、遺憾のないようにひとつ措置してもらいたい、こういうことを強く要望しまして、遺憾ながら、現段階においては時期尚早である、公団方式というものは好ましくない、こういうことで、にわかに賛成することができないということを残念に思っております。きょうは産業公害のほうに総理もおいでになったので、中途はんぱですけれどもこれでやめますけれども、意のあるところは十分くんでいただきたいと思います。
  90. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 行政管理庁長官おいでですから、一つだけ聞いておきます。きのうも管理局長から、公団を認めるという考え方と政府の方針について——これは行管御承知のように、ただいま埠頭公団法をここで審議しているわけでございますが、きのうの局長のお答えでは、どうも、京浜と阪神二つに公団を認めたことについては、私どもとしてはなかなか理解しようとしてもできなかったし、また、釈然としない面があるのです。この際、政府の考え方を長官から明らかにしていただきたいとともに、なぜ、この公団だけ一挙に二つ認めたのか、その経緯を御説明願いたいと思います。  それから、あまり時間がありませんから、立ったついでに申し上げますけれども、私ども、いま公団法を審議をいたしているわけでございますが、いろいろ初めてやるものですから、政府のほうの説明も、昭和五十年とかないしは六十年というような荷物の動向を推定し推理をして、それぞれ資料が作成されているわけです。したがって、ただいま京浜あるいは阪神地区の二公団でありますけれども、やがて資料等の推移を見ても、名古屋を中心とする伊勢湾だってこういうものが必要になってくるということは、そんなに私は時間がかからないと思うのであります。そうした場合に、またそこにも公団を認めるのかどうか、こういうような問題が起きてきます。この関係ですね。私の意見を申し上げますれば、百幾つかの現在公社、公団、あるいは特殊法人がございますけれども、同一の性格を持って、それから同種の内容を持っているものについては、二つも三つも公団があるということはそんなに数がないわけです。したがって、今回は、聞いた後でなければわかりませんけれども、やむを得ないとしても、将来そうした問題が日本の産業経済の動向、世界の経済の動向等によって変遷ができてきて必要だということになれば、私は、やがて、公団というものは必要があって認めたということになれば、この埠頭公団についても集約統合して、たとえば京浜の支社であるとか、あるいは阪神の支社であるとか、新たに予測される伊勢湾のほうの支社というようなことで、機構を整備拡充して運営するのが正しいのじゃないか、こう思うので、何か長官、聞きますと、二十分しかないという話ですから、私も一瀉千里にここまで聞いたわけです。
  91. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 公社、公団に対する行管の態度は、ただいま吉田委員からお話があったとおり、百八の公団のうち、特殊法人のうち、要らないものは整理統合する、また、類似なものは統合して簡素化するというふうな方針でやっておるわけでございます。同時にまた、この世の中の進運に従って必要な公団は最小限度につくろうというような、臨調の答申もそういった意味を言っておりますので、その方針に従ってやっておるわけでございますが、この御指摘の外貿埠頭公団に関しましては、当初の予定は、京浜及び阪神に支社を置いてそうして設置する案でございました。それが、それぞれ公団を設けるように改められたわけでございまして、私から申し上げる必要もないと思うのですが、御承知のとおり、いま外貿定期船の貿易量は非常にふえてまいりまして、コンテナの埠頭とか、あるいは外貿定期埠頭の整備というものが非常に緊急な問題であるということは、私どもよく承知いたしておるわけでございまして、そういった埠頭が必要だということは十分承知いたしておるわけでございますが、しかし、いまお話しのように、そういった埠頭をつくるのに必ずしも特殊法人の方式でやる必要があるかどうかということは、私どもといたしましては一応検討いたしまして、ただいま現行のこの港湾法の一部を改正して、そして港湾管理者にやらせるような方法はないかというようなことも検討してみたわけでございますが、しかし、まあ港湾管理者の財政の悪化の現状から、公共事業による埠頭の整備には限界がある、埠頭の効率的使用のためには専用の使用が望ましいが、しかし、それを直ちに法改正をしたりなんかしてやるということはなかなか困難があるというような観点から、特殊法人の方式でやるのがよろしいというような結論が出たわけでございます。しからば、一つだけつくって両方を支社というような形でやったらいいじゃないかというようなお話でございますが、これも一応検討いたしましたが、まあ私から申し上げるまでもなく御承知と思いますが、この公団埠頭の円滑な建設とか管理を行なうには、公団の埠頭所在港の港湾管理者、あるいはまた背後の産業界、あるいは港湾関係行政機関とが常に緊密な連絡をとり、協調して実情に即した運営を行なうことが好ましいので、東京湾地区、大阪湾地区をそれぞれ広域的に一体としてとらえまして公団を設置することにいたしたわけでございます。せっかく新設されても十分な機能を発揮しなければ、これまた行政の姿としては好ましくないわけでございまして、そういった関係から、両地区に二公団を設置することにいたしたわけでございます。  最後の、京浜、阪神両地区のほかに外貿定期貨物の取り扱いをやっておるところに同じようなものをつくるかというようなお話でございましたが、現在では、わが国のこういったコンテナあるいは外航定期船の貨物の取り扱い量というのはこの二区に大部分占められておりますので、伊勢湾については当面考慮する必要はないのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  92. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも長官もまた、やはり海運局長からいろいろ書きものを借りたり、入れ知恵をさせられてきたものですから、すかっとしたものの言い方をしていないような気がするのですね。あまり時間がないからということで、実はむしろ、あなたに協力する意味で一瀉千里にやっておったのですが、どうもぼくはそれだけでは釈然としませんわ、この外貿の扱いはね。しかも、この伊勢湾関係についてはまださっぱりそういう緊急性あるいは必要性がないような意味のことを言っておりますが、私どもはこういうような資料をもらってやっておるのです、いろいろ何かりっぱな。この中では、長官が考えているようなものじゃないですよ。やがて、そんなに遠い将来でないときに、これはそういうことになるのですよ。だから私聞いているのですよ。どうもあなたの話を聞いていますとね、資金の関係とか管理監督関係がつまりスムーズにいくからという意味のことを言っておりますがね、これは長官、いろいろ行管所管の事項いろいろ扱って、たいへんそれについても総理以下力を入れて、けさの新聞でも、その動向について期待するというようなことを書かれておりますね。扱ってみて十分承知だと思いますけれども、管理監督あるいはこの機能を十分発揮するということは、数分散するより一つにしたほうがいいのですよ。現に政府のこの仕事を見ても、各省ばらばらにもたとえば一つの仕事を持っておられまするから、一種のなわ張り争いになってみたりなんかして、その機能あるいは行政の実効をあげていないというのが、あなたが常に仕事の上で指摘をしているところじゃないですか。要は、この公団をつくる場合、いつの場合でもそうしたことが言われるわけですが、問題は、資金、財政上この始末がつけばこれは何も公団でやる必要のものでもない、端的にいえば、政府でやったっていいと思うのですよ。ところが、国家財政に限度があるということで、いつもの例でございますけれども、公団にすると資金調達が容易である、場合によっては債券も発行することができるなどという意見が出される。これは鉄建公団をつくった場合でもそうである、あるいは新国際空港公団をつくったときもそういうことが言われた。同じことなんですよ、これはね。ですから、そういう面から見れば一つでやるのがぼくは筋だと思うのですよ、一つでやるのが。まさか長官、東京に一つつくったから、これは相撲の本場所を東京でやったら大阪場所、大阪でやったら名古屋場所というたぐいのものじゃないでしょうね。これはどうなんですか
  93. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 決してそんな考えでやったわけではございません。
  94. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そういう考えでないということですから、あれですが、将来どうするのですか。長官、まじめな話なんです。必ずこれは起きてくるのですよ、将来。その場合にそういうものを認めるかどうかということですよ。いまの経済社会発展計画の中で示されている面をよく見てください。これは伊勢湾ばかりじゃないのですよ。必ずやこれは瀬戸内海のほうでもそういう問題も起きてくるであろうし、あるいは、われわれのほうの北海道だって苫小牧、室蘭を中心としてそういうことが起きてくると思うのですよ。同時に、これは外貿だけじゃないのですから、内貿としてコンテナを輸送していくという面が必ず出てきます。これはね、日本はまだそれは整備されていないから、いまあなたのようなのんびりしたような返事になってくるのですがね。起きてくるのだ、目先に。そういう場合どうするかというのです。現在二つにしたということについてですね。
  95. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) さしあたってのところは、この二つで運営していくという方針でございますが、その先の問題に関しましては、今後よく検討いたしまして、適切なる処置をいたしたいと存じております。
  96. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 さしあたって二つと言ったって、長官、あなたがいま冒頭言われたように、一つの申請を途中で、どういうことか知りませんけれども、二つにしたわけでしょう。何らかの理由があるわけです。将来のことは検討してと、またまたあなたも検討のくせがついてきて、最近は検討のくせがついてきた。ぼくは具体的に言っているのですから、そう遠くありませんよ、趨勢はね。ですから、さしあたって二つだってそれは理由があったはずですから、そういうものが出てきたらどうするかということを聞いているのです。そんないいかげんなものでないでしょう。
  97. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 現在のところでは、御承知のとおり、京浜、阪神地区でこの貨物を扱っておりますのは、七五%を扱っているわけでございまして、残りがその他の地区になっておるわけでございまして、まあ運輸省のほうのお考えといたしましては、五カ年計画をもってやっておられるわけでございまして、私のほうはそれに従ってこの公団の設置に関しましても考慮をいたしたわけでございますが、将来、私どもが考えておるよりもっと早く、そういった他の港にもこういった設備が必要であるというような吉田委員のお話でございますので、これらに対しましていかなる処置をするかという問題に関しましては、運輸省の意見も十分拝聴いたしまして、今後検討をいたしてまいりたいと、かように考えております。
  98. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あのね、長官、あまりそうあなた緊張しなくてもいいわ。もともとの古巣ですから、ゆっくりあなたくつろいでやってくださいよ。あなたの言っている七五%というものは、この資料の中に書いてあるのですよ。ここに書いてある。書いてあることをぼくは聞いているわけじゃないのですよ。いまはそうですけれども、こういうものがつくられている。これは見たことがありますか。われわれも説明を聞いたんです。こんなにあるのです。こんなにあってこの場合も、いままでのそれぞれの委員の質問で明らかになったように、運輸省当局としては、あなたのような考え方ではないわけです。これはわが党は——長官は、吉田委員はそのほかにも必要だと言うんですけれども、ぼくは必要だと思っておらない、公団形式というものは。ですけれども、運輸省から当初一つより申請のなかったものを、どういう過程か知らないけれども、何か理由があって二つになったわけでしょう。その理由を聞いたら、資金的な問題もあるし、あるいは管理者との関係監督、統制、指導の面がある。だからそういう点で必要だから二つにしました——かりにこの理屈を肯定したとする場合に、目先——いまいろいろいままでの説明を聞いておりますると、とりあえずは、それは伊勢湾にもそういう問題が起きてくるであろう、その場合どうするのであるか、いまのあなたの理屈というのは、そのときにまた理屈が変わるのですが、それまでおれは行管長官をやっておらないから、そういうことは知ったことじゃない、こういうことですか。そういうわけにいかないでしょう。
  99. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 吉田委員のおっしゃっていることもよくわかっているのですけれども、実は私ども相当先の問題だというふうに考えておったものですから、準備もできておりませんで、いまのお話では、もう近々のうちにそういった事態が起きるであろうということでございますので、私どもといたしましては、仰せのとおり、いま二つあるのを統合して一つにして支社とするか、あるいはまた、その付近の港を両者のうちの中に支社として入れるとか、いろいろ考え方もあると思います。そういった面に関しまして今後十分検討いたしまして、行政のむだのないような考え方で処理してまいりたいと思います。
  100. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもあなた予算委員会で喋々喃々四十分も行政機構改革についての演説をしたことから見ると、何か歯切れが悪いですね。これは将来やらないならやらないでいいのです。この点については、ぼくはかりにいまのような、あなたのような理論を展開していくと、認めざるを得ないのです。これは長官、認めざるを得ないのです。だから、そういう段階に来た場合に——私は意見として申し上げましたが、本来の本質的なあり方というのは一つです。そうして、それぞれそういうものが必要ができたら、支社というかっこうで、鉄道建設公団のような運用をしていけばいいのです。だから、こういうことについてはどうかと聞いたが、この答えも出てこないのです。
  101. 松平勇雄

    ○国務大臣(松平勇雄君) 同じようなことを繰り返すようになりますけれども、将来そういった事態が起きた場合には、新しくもう一つつくる、さらに必要な場合はもう一つつくるというふうに、あるいはまた、いまの二つの公団を一緒にして一つのものにして、そうして必要なところに支社を置くというような形にするか、こういう二つの考え方があると思います。そういった事態が起こったときには、私はそういった問題を十分考慮に入れまして検討いたしてまいりたいと思っているわけでございます。
  102. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも何回聞いても検討検討で、さっぱり見当がつかなくなっちゃった。きのうも、局長も全くあなたと同じようなことだった。そこで、局長ではわからぬから長官に来てもらったのだが、またまた同じことを言っておる。大体大臣答弁というのはのらりくらりオウム返しにやっていると、いいかげん質問者があきちまうものだから、これでよかろうというような考え方でおったら、それはだめですよ。だから、まああなたのほうは内閣委員会のほうでお待ちのようですから、これ以上言いませんが、これは松平長官、やはりこの際——いまは私はこの公団法に反対ですからね、反対の態度を表明すればいいわけですからね、とやかく言いませんが、やがてそういう必要性が随所に起きてくると思うのです。その場合には、やはりあなた方の本来の行政管理庁が考えておりまするように、やはり数たくさん置くということよりも、整理統合して、この場合はまあ統合と、同じ公団ですから、名前が一つですから、ですから統合なんです。いま二つあるいは三つになろうとするのを一つにするということですからね。ですから、そういうことで機構を拡充をして機能を十分発揮させてやるような——問題は運営なんです。問題は運営ですから、そういう方向を私はとるべきだと思うのですよ、思うので、十分これに意を用いて、あまりむやみやたらにいまのようなあいまいな答弁をしなければならぬような公団をつくることについては厳に慎んでいただきたいことを申し添えまして、長官に対する私は質問を終わります、向こうで待っているようですから。  それから本論に入るわけですが、海運局長ね、きのうの参考人の公述の中にもいろいろ私どもとしては参考になる点があったわけでございますが、いまこの海運は再建整備計画に基づきましていろいろ事業を進めているわけでございますね。そこで、いままでに外貿関係に対する利子補給をどのくらいしておるか、それから、これからこの整備計画に基づいて利子補給をしなければならない金額はどのくらいあるか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  103. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 利子補給をした額の今日までの総計は約二百五十億でございます。
  104. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これからのやつは……。
  105. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) それから、これからの利子補給額は一年平均百二、三十億ぐらいのベースになりはせぬかと思います。それは大量建造になってきます。ことしは八十八億でございます。来年度はさらにこれができてきまずから、百千億ですか、百十億から二十億ぐらいに来年度はなっていくと思います。
  106. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これを全部終わる段階で、全部概算で……。
  107. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 計画造船が終わるまでといいましても、計画造船は、いつまで計画造船ということは、まだいつで打ち切るというふうなことはきまっておりませんので……。
  108. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 かなり長期だね。
  109. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 毎年毎年計算をしていくという勘定になると思います。
  110. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 おおむね概算で推定が出ませんか。
  111. 高林康一

    説明員(高林康一君) 現在計画造船といたしまして、はっきり国の計画が策定されておりますのは、経済社会発展計画によりますところのものでございます。その経済社会発展計画におきましては、四十二年——四十五年の間に、大体計画造船といたしまして八百万トン、したがって、四年間でございますので、年間二百万トンということになるわけでございます。したがって、それに伴いますところの利子補給を、今後もちろん船型、船価その他によって考えなければならないと思いますけれども、利子補給は御承知のとおり、昭和二十八年からこれを実施しております。四十二年度までの予算の総額が約三百四十一億でございます。それで、来年度以降は大体年百億ないし百十億ベースになってくるかと思います。そういうことで、来年度以降におきましては、大体やはり三百ないし三百五十億程度がそこに加わってくる、したがって、現在の経済社会発展計画の終了時期までを想定いたしますれば、大体新規にはやはり三百ないし三百五十億程度が予想されるのではないかと、二百万トンベースを前提にしてのことでございます。
  112. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから、これはかなりの利子補給という形で政府が財政援助をいたしておることになるし、これからも相当なものですね。で、きのうでしたかね、「日本海運の現状」という白書が新聞に出ておりましたが、これが出されておりますが、この冒頭のまえがきに、「わが国経済の景気回復と世界経済の成長とともに日本海運の自立への足固めは、さらに一段と促進された。」と、こうまあ分析といいますか、文章になっておりますよね、確かに一面、あなた方が答えられたような財政援助の政策をとっておりますから、これが実ってきたと思うのですよ、実って。実ってきたが、さて一面から見ると、必ずしもまえがきで書かれたようなことになっていないのじゃないか。なぜかというと、去年の海運の国際収支は、日本の歴史始まって以来の最高の赤字です。どのくらい赤字であるか、お教えいただきたい。
  113. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 五億九千万ドルの赤字でございます。
  114. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、これは白書では、自立への足固めができて、見通しとしては非常に明るい材料のような印象を受けるものになっております。この点では私は非常に喜んでいいと思うのですが、しかし、五億九千万ドルなんという赤字は、邦貨に換算するとばく大もないものですね。ですから、必ずしも内容は、私はそれほどではないのじゃないか。むしろ、わが国の海運業は一種の危機を脱したという程度のものじゃないだろうか、こう私は見るのですが、この点どうでしょうか。そして、その上に立って、今度の埠頭公団でさらに四百億から五百億ですか、負担をしていかなければならぬということになりますれば、たいへんだと思うのです。参考人の米田さんでしたか、確かにそうであるけれども、実際、金を借りるということの力はどうやらついたというような意味のことを言っていましたが、何か、したがって、縁故債などというようなものではなくて、今度は債券というようなことを言っていましたな。ですから、これは借金政策でしょう。国鉄も借金政策でやっているようですが、それはそれとして、こういう実態の中で、その負担能力ありやいなやということについては、非常に私は不安を持っているわけです。不安があるかないか、ばくはしろうとですからおまえはかってに不安を持っているのだということであれば、これはまた別ですが、どうも不安がある。この不安が現実のものとすれば、やはりここで何らかの手を打たなければならぬというふうに、結論的に申し上げればなるのじゃないかと思うのですが、こういう関係はどうでしょう。
  115. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 日本海運は自立体制への途中にあるわけでございまして、これをたとえ話でいうならば、五年間病院に入っているというかっこうでございます。まだ入院中という、いわばそういうことでございます。この整備計画期間の五年たてば、ほぼ自立体制が達成できるという見込みを持っております。しかしながら、その五年の整備期間が過ぎた後において、もう飛んでもはねてもだいじょうぶかというと、必ずしもそうはいかない。いうなれば、まだ体力としては非常にまだ足りない。まだやせ細ってあばら骨が見えているというような状態でないかと思うわけでございます。それで、そのように日本海運に対して四〇%を、特別調達の金を船主に持たせるということは酷ではないか、あるいは、できないのじゃないかというお説でございますが、われわれも、その点につきましては非常に心配をいたしておるわけでございます。そこで、この外貿埠頭をつくってもらうということは、どうしても日本海運界にとっては必要なことでありまして、その受益者は船主であるということも、これも間違いないところでございまして、受益者が協力するということは、これは当然なことである。したがって、日本の船主も協力という姿勢はくずしてない。ところが、今後八年間にわたって四〇%といいますと、四百四十億でございますが、これを必ず引き受けられるということをいま言えということは、船会社としても、いまそういう約束をするということはそれは困難である。それはことしだけの分については、目の前でございますから、これはできるかできないかということは、これはわかるわけです。したがって、ことしの二十億はこれはできます。しかし、それ以後、四十三年以降につきましては、協力はいたしますが、それをできる限度において、体力の限度において協力をいたします、こう言っておるわけでございます。また、国の財政資金の状況につきましても、その年その年によって、これからいろいろ需給状況といいますか、そういうものはしょっちゅう変わるはずでございますので、いまから八年間にわたって固定的に考えるべきかどうか、これも問題はございます。しかし、いずれにしても、公団設立の際には一応のめどというものは立てなければならぬ、そういう意味から、二〇%、四〇%、四〇%という分担率と申しますか、そういうものが一応立った。しかしながら、これは四十三年以降、予算時期には当然レビューされるべきものでございまして、一応のめどは立っておりますけれども、その時点時点でのレビューというものは当然行なわれるものとわれわれは考えております。したがって、海運市況がどう変わっていくか、あるいはコンテナ船自体の採算がどのように変わっていくかというようなことを十分考慮した上で、船主側の体力の許す範囲において検討していきたい、こういう態度でございます。
  116. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 たいへんわかりやすい説明をいただいているのだけれども、心配が解消したということには私はならないのですよ。しかも、これは局長、体力の限度内において協力するということになりますると、非常に動く危険性があります。これは経済の動向あるいは他動的なものによって動く場合もあるのですけれども、すでにもう体質的に、これは白書で書かれておるような景気のいいものじゃないと私は思うのですよ。あなたは病人にたとえて言いましたが、入院した者が出てきてまだ保養中、アフターケアの施設に入っておるようなものですね。あなたは病人にたとえて言ったから私も言うのですが、そういうやはり姿勢では、千百十四億に対するそのうち四百四十億というものを負担させるということになるのですから、なかなかぼくは負担能力に応じ切れない部面が出てくるのじゃないか。そうすると、その段階で国家が、国家財政の中から財政援助をやってやるというような措置を——これはあとで運輸大臣に聞こうと思いますが、そういうものがとられるということであれば、ある程度計画は計画どおり着実に実行されるわけでございますけれども、途中で私はその財政資金運用上あるいは調達の関係から、この計画が計画どおりいかぬのじゃないかというような心配があるわけですよ。こういう点ひとつ率直に、その心配ないのだ、これはもう計画どおりちゃんと、そういうたとえば船主側に弱点なりあるいは弱い面があるとしても、それは国家としてカバーしていくのだ。   〔委員長退席、理事谷口慶吉君着席〕 そういうものがあるのかないのか。あるというなら、これは何も心配ないのですよ。これはどうでしょうかね。
  117. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) われわれとしては、埠頭自体は計画どおりにどうしてもつくっていただかなければならぬと思っております。ただ、その場合の資金計画と申しますか、そういうものが計画どおりの二〇%、四〇%、四〇%という持ち方で最後までいけるかどうかということについては、それは必ずそのとおりにいくだろうということは、ちょっと断言はできないのじゃないかと思うのでございます。しかしながら、この埠頭だけはつくらなければどうしてもいけませんのですから、いろいろくふう、努力をいたして、その資金というものをショートしないようにしなければいかぬ。これは昨日来大臣も、そういう事態になれば財政当局とも相談をしてこの埠頭が必ずできるように努力いたしますと、こう大臣も言明をしておられるのでございます。私もそういう趣旨から、必ずこのとおり全部ゆきますと、そういうような断言というものは言いにくいのではないかと思います。
  118. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そのやはり断言できないということは、心配があるということですよね。だけれども、公団はつくらなければならない、こういうことですから、この公団法が国会を通って、とりあえず当面予算がつきましたから、だから、当初公団ができて、予算がついて、機構ができて発足したら何とかなるだろうというたぐいの考えですね、これは。やはり公団ができて埠頭だけはつくらなければならない。至上命令だ。しかし、中身の金はどうかというと、いま言ったようなことで、しかし、あなた表現がうまいから、努力とか創意くふうしなければならないという意味のことを言っておりますが、創意くふうしてみたって、ないものはないということになりますからね。どこかから金を出さなければこれだけの計画は完全に達成できるということにはならないのではないですかね。しかし、これは岡さんもあとで理事という立場でまとめの質問をしますから、あまり私長くやっていると、どうも岡本さんあたり、心臓のあたりをびくらびくらしているようですから、この問題はここらあたりで——お互いのことで私ども真剣に考えていかなければならないことですから、しますがね、もう一つ、これと関連するわけですが、この白書、なかなか白書は景気のいいことばかり書いていますね。で、たとえば最近この整備法に基づいてまあ三十九年の四月に集約化が行なわれてきてから三年間もたっていることは、何人も否定できないのですね。減価償却不足額も、元本約手延滞額もかなり改善された。かなりなんという表現じゃないです、この表現は、こちらの白書では。そして前者のほうは不足額の九三%、後者のほうは延滞額の八五%が解消して復配を出している会社が八つあるということが書いてあります、ここに。こういうふうに書いてある。だけれども、これは海運局長、どうですかね。外国のこの海運企業と比較をしてみたり、あるいは、わが国の産業と比較をしてみて、自己資本の比率というものは、まことにこれは、この白書では、四十四年の五月末までにはほとんど船会社の自立計画が達成できると、非常に明るい分析をしているのです。だけれども、資本の比率から見たら、いま言ったように、わが国全産業は二四%を自己資本として保有していますわね。ところが、外航関係について一三%、これは統計見れば明らかですよ。いわんや、主要海運国の諸外国と比較すると、これは問題にならないのですね。問題になりませんね。ですから、こういう点をしさいに分析をしていくと、これは大臣たいへんだと思うのですよ。これは当然専用が主になりますから、利用者は負担をしてまいらなければならぬということは当然でありますけれども、堀局長じゃないけれども、病人に、病院から出てきたとたんに重い荷物を背負わせたら、これまた病院に入らなければならぬ、こういうことになりませんか。それからもう一つは、登録業者の八四%はいつも問題になる内航なんですね。一ぱい船主でしょう。この一ぱい船主の自己資金の保有なんというものは一〇%以内でしょう。私の記憶では、たしか八・五、六%じゃないかと思うのですね。ですから、そういうものがこの白書の中では隠れているのですよ。だから、これは白書がいいとか悪いとか言っているのではなくて、今日日本の海運業界というのはそんな程度のところよりないのであるという考え方を私は持っているものですから、いま白書を例にとっただけのことですが、非常にこれは問題があると思うのですよ。ここで審議をいたしているこの埠頭公団法ですね、コンテナ輸送というものは、きのうも言ったように、私のほうから言ったことばではありますが、画期的なこれは変革ですね。一つのものの流通革命ですよ、大臣。したがって、海運局のほうは、世界の趨勢に立ちおくれてはいかぬと、立ちおくれを盛んに主張しているわけでございますが、それはそれとして私もやや理解できたとしても、立ちおくれてはいかぬというものの、こうした病人にいまのこの計画では多額の資金負担をやはりしいることを余儀ないような計画になっている。はたしてやれるかどうかですね。ここのところなんですね。  それから大臣に、立ったついでにずらずら申し上げていきますが、この白書の一六ページに——きのうから私読ませてもらっているのですが、主要諸外国ではかなりの財政援助をしているわけなんです。税制の面、あるいは補助金の関係とか、あるいは、わが国でもやっておりますような利子補給の関係とか、いたしております。その比率はわが国なんて問題にならないくらい諸外国の場合は積極的に船舶の改造までも範囲にとらえてやっていますね。ですから、私は公団法そのものはまだ時期が早いということで反対の立場でありますけれども、立ちおくれてはいけないということにのみ限定して考えてみた場合、この際、抜本的な政府の財政援助政策というものがなければならぬのじゃないか、こう思うので、この辺はどうでしょうか。私のこのものの見方といいますか、考え方といいますか、この白書を中心とした私流の、吉田流の分析というものは一体どんなものでしょうかね、これは。
  119. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 日本の海運界は完全に自立、堂々と外国との競争にうちかてるだけの力を持っているとは決して言えないのでございまして、先ほど局長から申し上げましたように、いわば入院中の病人であると言うこともできるかと思うのであります。しかし、何と申しましても、この外貿埠頭というものは、今日の海運界にとりましては、今後日本の海運を発展させるための大切な土台でございますから、いわば病人である海運界にとりましては、必要欠くべからざる栄養であるということも言えるわけでございますから、体力を消耗しない範囲において栄養をしっかりとる努力をしてもらうということは、これは海運界に対しても、できる程度において要望することは当然だと思います。
  120. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まあ大臣の答えられる程度と思うのですがね。私は別に——もう理事が時間ないからやめれ、こういう話です、休憩後やれと言っているが、休憩あるのかないのかわかりませんけれども、一人だけ私が言うわけにもいきませんからなんですが、大臣、この社会開発発展計画の中に、約九百万トンの船腹増加策が打ち出されていますよ。そうしてそのことによってつまり邦船の積み取り比率を画期的に向上させて、先ほどちょっと触れました、海運の国際収支を埋めていきたい、この計画では、昨年より一億五千万ドルくらい減ると計算されているのです、試算されているのですね。それからまあ大臣もこれは御承知のように、去年の五月に閣議決定して、内航海運対策というものを考えましたね。その具体的なものは何かというと、代替建造による近代化、そうして経済船を整備をしていくのだ、それで企業の規模というものを適正にはかっていくというような具体的なのが出ておったのであります。私は、こうした政策は、当面置かれておりますわが国の海軍事情から見れば、積極的にしかも責任をもって行政的な執行を望むものです。また期待もしますが、先ほど来多少申し上げておったような、たとえば当面の外貿埠頭関係についても心配がありまするように、海運全体についてやはり心配、不安というものはいまだなおかつ存在をしているような気がするのであります。それはどうしてそういう、君はどうも心配症なやつだ、いつもこの問題になると、不安だとか心配しているが、その心配している理由は何であるのかというと、これは大臣、失礼な話でありますけれども、わが国の政府に——政府にですよ、海運、陸運ですね、あるいは空も含めてでございますけれども、きょうはまあこの埠頭公団やっておりますから海運だけについて申し上げますけれども、総合的な政策の樹立というものが欠けていると思うのです。ぼく流に言うと、もうないと言ってもひとしいのではないか、こう思いますね。たとえば——これは一つだけでやめることになっているわけでございまするが、今度扱っておりますこの外貿埠頭公団法に例をとってみても、せっかく——かりにこれが吉田忠三郎が反対しようが、岡さんが反対しようが、これはおそらくあなた方強引に通すという腹がまえになっているわけでしょう。幸か不幸かこれが通ったとします。そして公団の手によって外貿埠頭というものが整備されていくのでありましょう。されたとしても、今日のわが国の陸上輸送は一体どうなっているのかという問題が欠けているわけですね。  それから、この間からの説明では、コンテナの規格というのはやや統一されておりますね、諸外国では。したがって、これに対応するものがわが国になければ、せっかくわが国の外貿埠頭が建設されて港に来ても、そこで積みかえをしなければならぬというものがあるわけでしょう。これに対する具体的な体制があるかないかというと、ないでしょう、ないですね。  それから大臣、やがてそういうものがだんだん増大をされてまいりますれば、内航においても私はコンテナ輸送というものが考えられる時期が来ると思うのです。しからば、それに対する具体案があるか、この点運輸省として、これに対する具体案をきめているかというとないでしょう。あったらお示し願いたいと思いますが、ないのですね、ないのです、これは。  さらには、若干こう聞いておりましたように、巨額の資金が調達をされなければならぬ。計画はあったとしても、その計画はただ単なる計画で、いまも堀さんも答弁したように、断言できないということは、策がないということですよ。こういうやはり欠陥がある。だから私は心配するのですね。  それから、きのうの参考人とのわれわれの質問の段階においてありましたように、既存の運送企業というものをどう見るか、必ずや多様化してまいるでありましょう。これに対するつまり対策というものがやはりなければならないと思うけれども、これが具体的にない、ないと言わなければならないと私は思うのです。ですから、このいまの外貿埠頭の問題をとらえてみても、非常に総合政策に欠けている面があるので、私は、これを契機にすみやかに総合政策の確立が肝要であり、また急務じゃないか、こう思っているのですけれども、運輸大臣、どうですか
  121. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ただいま吉田委員の仰せられましたことは、海運に対して政策が欠けておる、これが日本の海運界の不安の原因だと、こうおっしゃるのでございますが、私は政府に海運界に対する政策がないとは考えておりません。たとえば、御指摘になりました計画増船であるとか、あるいは利子補給制度であるとか、あるいはまた今回の外貿埠頭整備計画にいたしましても、いずれもこれは海運界のための政府の大きな政策であると思うわけでございます。  なるほど外貿埠頭公団の政策はわかるが、これに連なるところの、陸上の輸送対策について計画があるか、こういう御質問でございますが、ただいまの段階では、とにかく外貿埠頭の計画を確定し、そして外貿埠頭の工事を進めるということが大切でございまして、これに対しまして陸上における輸送をどうするかということは、この埠頭の工事とにらみ合って計画を立て実施に移していく、こういう考えでございます。  さらに、内航についてもコンテナの対策が必要である、この点もまことにそのとおりに存ずるのでございますが、現在のところ日本の海運の実勢から見まして、コンテナ時代の到来は、外貿埠頭に対する緊急性に比べますというと幾らかゆるやかなものだと思っております。内航コンテナ対策にいたしましても、相当な多額の資金を用意しなければならぬことはもちろんでございますが、ただいまさしあたりまして、外貿埠頭について主力を注ぎたい。  それから資金計画について計画がないじゃないかと仰せられますが、ないわけではないのでございまして、一応、先般来説明いたしたような方針がきまっております。ただしかし、私どもといたしましては、できるだけ政府の出資あるいは公共団体の出資割合をふやすことによって船主等の貸し付けの金額を減らし、また負担を軽からしめるということは、今後計画を進めるにあたって考えておるところなのでございますが、それにつきましては、まだ確定的な段階ではございませんので、一応いまのような計画をお示ししてあるわけでございますが、御承知のように、わが国の財政には、長期の財政計画というものが、特に継続費的な制度がございませんので、年々にそのとしの支出をきめていくというやり方でございますから、さしあたり本年の計画だけを載せてはありますが、来年度以降につきましても、もちろん引き続き誤りなく計上することにして、そしてすみやかに具体化いたしてまいりたいと、こういうわけでございまして、計画はないわけではないということを御承知置きいただきたいと思います。
  122. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも大臣誤解をして聞いておったんじゃないかと思うんですがね。ぼくは全く政策がないとか何かということを言っているんじゃないのですよ。総合的なものがないということです。だからそれがあっても、たとえば一つの計画で、今度の例をただとってみたんだけれども、結局資金計画はあるけれども、資金の調達の面が容易でないとすれば、それはただ単なる懸案ということで策がないということじゃないかと、こう言ったんですがね。だから確かにいま大臣が言ったように、船腹量の不足については、再建整備計画に基づいて経済社会発展計画には九百万トンふやすということになっておりますから、それは計画でしょう、政策でしょう、これはある意味では。そういうものがあることは私ども知っている。それをやるために具体的に今度どうするかというと、その効果というものは何かということを考えて、それが具体的にその施策として出てきた場合の効果というのは、邦船の積み取り率を高めていく、それからさらに発展していって、国際収支をつまりバランスをとるとかということを書かれているのです、一連として。そういう個々のものはあるというのです。ありまするけれども、むしろ私は叱咤激励の意味で言っているんですがね。この例をたった一つとったんだけれども、陸上の関係の輸送というものがやはり並行して政策、施策というものを施さなければならぬですね。それがないじゃないか、依然として。そういうこととか、あるいは既存の運送業者との関係がどうなるかということも、いろいろわれわれは参考人から質問して聞いてみると、やはり私ども心配なしとしない面があるのですね。ですからこういう関係であるとか、ただいま申し上げたような資金の関係とか、そういうものを総合的に、つまりこの政策を踏まえて施策を施していく時期がもう来ているんじゃないかと、そのことがやはり急務じゃないでしょうかと、こういう意味のことを申し上げて、むしろ私は政府を叱咤激励したにもかかわらず、大臣は誤解をして答弁しているわけだ。
  123. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) どうも御質問の趣旨をはき違えていたかと思います。仰せのとおり、ただいまの段階におきましては、外貿埠頭に関しまする限り、外貿埠頭の建設ということをまず強力に推進するあまり、これに引き続く陸上の体制あるいは資金面の体制等が多少立ちおくれになっておるということは事実でございますが、この点につきましては、やはり総合性を考えまして、御督励に従いましてできるだけすみやかに残余の計画を具体化して、そしてあわせて一体性のある総合計画を樹立するようにつとめたいと思います。
  124. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がだいぶ迫ってきておるので簡潔に言いますので、簡単にお答え願いたいと思います。  だいぶ質問がなされたので、重複する部面が多いのでその辺を別にして質問します。  第一番に、埠頭ができてターミナルをつくる、そうしていろいろと計画を進めるわけですが、この前、神戸に行ったときにも、日本の港は、港とレール、つまりどこの港でも大体鉄道が入っている。しかし、いまやコンテナのターミナルが建設されるということになるというと、鉄道との関係、それから道路との関係、つまり輸送関係のことですね、これがだいぶ変わってくるのではないか。その場合に、現在港関係に対する道路の建設というものを考えていった場合に、とれが国道であるならば大幅な補助金がつく。これが市の道路なり、あるいは県の道路となるというと、これは補助率が全然違ってくる。ところが、いままでの港湾関係の常識でいうと、鉄道が中心になってきているが、この関係が道路を中心としたものになるのではないか、輸送関係が。そういう点を考えていった場合に、埠頭をつくることと同時に、ターミナルの建設とあわせて道路計画というものを一体どういうふうにするのか。道路の計画というものができて、それに伴って、結局やはり公共負担という形で自治体がその道路建設というものを引き受けた場合においては、港には金がかからぬようになるけれども、他のいわゆる施設というものに金がかかってくるのじゃないかというふうな関係で、そういうことの総合的な問題ですね、いま吉田さんから出ましたが、それをどういうふうにお考えになっているのか。これはやっぱり一体として考えていかないと、埠頭ができて道路があとでおくれてくるということでは私は相ならぬと思うのです。やはり埠頭とターミナルと、それに伴うところの道路計画というものが一体となって、責任の分担の中でこれを処置していかぬと、港はできたが陸上運送のほうは詰まってしまって何ともならぬ。これはやっぱり一体計画がどうしても必要じゃないか。この点について、ひとつ大臣の見解を聞きたいんです。
  125. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 御指摘の点は全くそのとおりでございまして、陸上における後方連絡ということは、港については生命線と言わなければなりません。このたびの外貿埠頭の新設につきましても同様でございますが、ただいま候補地といたしておりまするところは、幸いなことに道路については、国道へ連絡する道路がすでに途中はできておるというようなところが多いのでございますので、さしあたりこの港ができたためにどういう道路をどういうふうにしてくれという問題は具体的にはないようでございます。  なお、鉄道につきましては今後の問題でございます。これもやはり建設することは当然必要だと思います。
  126. 岡三郎

    ○岡三郎君 この前、神戸港へ行ったときに、神戸の市長が、やはりこの港と道路の関係についてずいぶん悩みを言っておりましたよ。現在において差しつかえないといっても、これから多くのバースができて、そうしてコンテナ・ヤードもみんな整理されてくるという形になってきた場合に、その道路自体が自治体の負担でやるのかどうか。いわゆる一貫してそのところを国道としてこれをやってもらえるのかどうか。自治体の負担はたいへんなものだというふうなことを言っておりましたがね。いまのところはできるにしても、かりに横浜に本牧埠頭ができるということになって、これに通ずる道に非常に苦労しているわけです。そういう点で、いま本牧に米軍の宿舎がある。そういう問題についてここ三年来、四年来苦労してきているわけです。なかなか自治体だけではいかぬ。で、大蔵省と交渉して住宅を移転する、それに伴うところの費用をどうするのか、そういうふうな点で接収地の多いような場所については非常に問題点が出てくると思うんですよ。  それでもう一つは、たとえばコンテナが八・八・二〇ですか、の形の大きなものが出てくるということになると、輸送関係でガードにひっかかるとは思わないけれども、今後、いままでの状態のままの道路では、いま国道に通ずるといっても、いまの国道の状態では、なかなかもってあのでかいコンテナがのこのこ行くというわけにまいらぬのじゃないかということになってくるというと、やはり港に通ずる新しい道路建設というか、計画をしてそれに伴う建設というものをかなり抜本的にやらぬというといけぬのじゃないか。まあ幸いにして東名道ができて、東海道についてはかなりよくなってくると思うけれども、しかし、それにしてもそれに通ずる道が非常にふくそうを告げ、狭隘を告げているわけであります。そうするというと、そういうふうな大きな道路に通ずる道路について、これを港からそこへ連携させるために自治体にやれと言っても、これはやっぱりたいへんな負担になってくると思うんです。ですから、これはやっぱり建設省と非常に近い問題になってくると思いますが、そういう問題について、さしあたってまだたいしたことはないとしても、四十九年ぐらいまでには、やはり抜本的な構想の中で相ともに伴っていかなければならぬというふうなことを考えていかなければならぬと思うんですがね、ひとつこの点については十分御検討願いたいと思うんです。いまここでどうこう言うわけじゃない。それで、いま言ったようなことで、補助の比率についても、港だから市でやれという関係になってくると、かなり港に通ずる道路についての建設工事費がかかる、そういう点について自治体の負担を大きくしないような一つの御検討をしてもらうという必要があるんじゃないか。これは直接の自治体の問題として検討してもらいたいと思う。それが一点です。  それからもう一つは、まあコンテナ・ヤードをつくって専用貸しするわけですから滞船というものはかなり減少してくるだろうと言われておりますけれども、依然として年末や月末に船が集中する、月末船込み、それから月初めに船がかなり船込みする、こういう傾向は依然として多いわけですけれども、コンテナ。ヤードができた場合に、その回転をよくするという、船の使用回転をよくするということを考えた場合には、荷主というものがこれに協力しなければ私は十分な効率があがらぬと思うんです、船込みについて。これはまあ結局荷主のほうの信用上の条件というような問題があるとか、いろんな理由によってなかなか回転ができない。そうすると、平均して利用というものがなかなかむずかしい、こういうものについてやはり何とか解決策というものを埠頭の建設とともにやっていかぬといかぬと思うんですが、これに対してどういうふうに考えておりますか
  127. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) ただいまおっしゃいますように、依然として滞船はあるわけでございまして、その一つの大きな原因に、月末、月初に貨物が集中するということもございます。それで、これは利用者協力を得なければどうしてもできないものでございまして、この間、港湾審議会の港湾運送部会においてもこの問題が議題として出たわけでございます。それで新しく埠頭の効率的使用という問題についての答申の中にも、これについて利用者協力がほしいということが述べられてございますが、具体的な問題とすれば、港湾運送部会でやるよりも、むしろ内閣に置かれております港湾調整審議会で取り上げていただいたほうが私どもとしてはいいと思いまして、実は港湾調整審議会のほうは、ごく最近まで、港湾労働法による定員の確定のために非常にひんぱんにその会議を開いて、やっとそれがまとまったわけでありますから、この次の問題としてはぜひこの問題を取り上げていただいて、あそこで利用者の御協力を得るようにしていきたいと考えておるのであります。
  128. 岡三郎

    ○岡三郎君 やはりこれは大臣に聞いたほうがいいな。いまの滞船の問題、いわゆる船込みの問題ですね。これとコンテナ・ヤードの利用というものは不離一体のものとなっていかなければならぬ。したがってこの点について、ひとつ心配のないように、やはり当初の法律の期待ができるような、いまから取り組むといいますか、それをやってもらうということは、コンテナ・ヤードに伴うことだけでなくして、わが国の海運業界としても、港としても、とても大きな問題だと思うのです。これをひとつ責任をもってうんとさばいてもらいたいと思うのですが、その点はよろしゅうございますな。
  129. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 港湾利用の上から申しまして最も困った問題は、月末の集中的な船込みでございますので、これは特にわが国において著しい問題でございます。今後コンテナ・ヤードができますると、やはりそういう新しい態勢を活用するような運行というものを考えていかなければならぬと思いますので、この点につきましては、十分研究して間に合うように進みたいと思います。
  130. 岡三郎

    ○岡三郎君 次に、外国のシーランドにしても、コンテナの会社というやつは陸上輸送から海に出てきたと言われております。日本の場合には、逆にこれから海運業者が専用埠頭という形で陸上にくるというふうな傾向が強いわけですね。そういった場合に、海運会社の陸上進出ということを考えた場合に、既存の陸運業者との関係、一体免許をするのかどうか、つまりいまでも過当競争が非常に行なわれておる。それが専用埠頭という形で船会社が荷さばきから何から、整備やら、こういう形になってくると、これはどうしても陸上というもの、先ほど言った戸口から戸口までの一貫態勢というふうなことからいえば、この仕事というものはおれのほうでやるのだということで、陸上に進出ということになるのではないか、当然なると思う。といった場合に、既存業者との競合関係とか、そういう問題が大きくなるのではないか。これはひいては港湾における新しい問題をここに提起してくるのではないかと思うのです。これはどういうふうになっておりますか
  131. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) これは陸運業者に対する免許の問題でありますので、むしろ自動車局長に聞いていただくといいですが……。
  132. 岡三郎

    ○岡三郎君 そのほうがいいのだけれども……。
  133. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ちょうど自動車局長が来ておりませんので、私がかわってお答えいたします。
  134. 岡三郎

    ○岡三郎君 概括でいいです。
  135. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ただいまのこの陸運業者に対する指導方針といたしましては、既存の慣熟した業者はできるだけこれを温存してまいりたい、そういう方針でございまするので、この新しい事態に対しましても、できるだけ既存業者をこれに適合するように指導いたし、海運業者との関係をでき得れば密切にいたしまして、新しく貨物輸送の利用に対応するようにしていきたい。そのために場合によりましては、融資その他金融面のほうも、こういった面におきましても、いろいろ援助の方策が必要でございましょうし、あるいはまた施設の新設が必要だという場合におきましては、それに対する融資のみならず、場合によりましては免税等の特典も考える必要があろうと思いますけれども、まだ具体的にそこまで研究が進んでおりませんので、これも先ほど申し上げました陸上連絡等とあわせまして急速に検討の上、現在の陸運業者の活動分野を混乱させないように、しこうして新たな時代に対応できるように、そういうふうな方針で措置してまいりたいと思います。
  136. 岡三郎

    ○岡三郎君 特にその場合に、大臣、これは要望ですが、やはり中小企業者ですね、中小業者というものについても十分な配慮をしてもらいたい。それはやはり港で生活しているわけですから、国のためにいろいろと犠牲をしょうにしても、やはり大きいところである程度コントロールして、大きいところというと、海運業者がこれをどういうふうに使うか、これは大きな問題になってくると思うのですが、そういう加減でその点を十分配慮してもらいたいということをここでつけ加えておきます。  次に、この法律は、公布の日から施行すると、本日これが成立するという場合においては、埠頭公団というのはいつから発足させる予定になっておりますか、仮定の問題ですが……。
  137. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 十月初旬と考えております。
  138. 岡三郎

    ○岡三郎君 その場合に、管理委員会あるいは役職員ですね、管理委員については港湾管理者からは一名推薦して入れることになっておりますが、大体の構想はお持ちなんでしょう。
  139. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 管理者から推薦する方はもちろん入っていただきます。そのほかの心理委員の適格者と考えておりますのは、港湾の管理によく通じたお方、また経済についてあるいは輸送問題についてよく通暁された方、こういうふうに考えております。
  140. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは役職について理事長以下任命されるわけですが、その待遇はどうなるわけですか
  141. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 理事長以下につきましては、この法案が成立した暁に、大蔵省と折衝してきめるわけでございますが、大体公団の規模によって従来の例にならうこととなると思います。
  142. 岡三郎

    ○岡三郎君 次に、埠頭ができるというといろいろ設備するわけですね。そういった場合に、京浜と阪神と、こうできますね、しかし機械の設備は似たり寄ったりなものだと私は思うのです。そしてそういうふうな施設をつくる場合において、それぞれの公団がそれぞれの構想ということもけっこうですが、たとえばいろいろな機械の設備をする、そういった場合に共同発注とか、そういう形の中でやはりいい品物を低廉に買うというふうな形の中で、ある程度合理化をはかってもらわないというと、むだがかなりできるんじゃないかという心配がある。これはやはり先ほど言ったように、一つの公団のほうがそういう意味においてはいいわけですが、必要から二つ置くとするならば、できるだけ共同連絡をして、連携してそして企画なら企画を立てて、そしてそれをどうするかということについては、当然運輸省のほうとして調整されると思うし、運輸大臣としてもそういう指導をされると思うのですが、やはりこれから新しいものをつくるわけですから、将来を展望して、外国の実態あるいは日本の独特なものとか、いろいろなことを考えていかれると思うのですが、そういう点について、かなり設備、建造計画、いろんな問題については、これらの公団がそれぞれまちまちな形ではなくて、共同連携していくような指導が私は必要だと思うのです。そういう点でそれをぜひともやってもらいたいと思うのですが、どうですか
  143. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 実はいままでその問題については、私といたしましては考えが及んでおりませんでした。承りますと、なるほどこれは最も大切な事柄のように思います。ことに京浜にいたしましても、阪神にいたしましても、同じ船が使うものでございますから、設備等は最も能率のいいものを選ぶということになれば、同じ品が適当だという場合が大部分だろうと思います。せっかく御注意をいただきまして、大事な点でございますので、十分服膺して御趣旨に沿いたいと思います。
  144. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは二つ注文するよりか四つ注文するほうが、いい物が安く得られるし、やはり出発当初にあたってはかなり資金調達におきましても無理をするわけだし、これからもこれをうまく使っていかなければならぬという点で、その点は十分ひとつ配慮を払ってください。  それから、先ほど大倉さんが言ったように、労働者の問題ですがね、やはり船内荷役なんかほとんどなくなっちゃうというようなことになってきた場合に、機械化がかなり進む、そういった場合に港湾労働者の再教育という問題がかなり重要な役割りになってくると思うんです。これは労働省のほうでやられるとしても、しかし、地元自治体の港湾管理者のほうとしても、やはり港の近代化というふうな問題とあわせて、いまもぼつぼつやっておりますが、なかなか思うようにいかない。何か問題になってこないというとやらないというような形で、これにはいろいろと問題があると思うんですが、運輸省は率先して労働省のほうへも行って、そうして港湾労働者の再教育の点について、やはり港の計画という問題を提示し、そうしてその中においてどうするのか。横浜等には船員教育のための専門の学校でもつくってもらったらどうかという話があるんですが、やはり恒久的に見て待遇とか、施設とかいうものとあわせてそういうふうな再教育機関というものを、新らしい輸送時代に入ってきたわけですから、抜本的にひとつ検討してもらいたいと思うんですがね、再教育計画。
  145. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私どもといたしましては、この法律が通りましたならば、労働問題につきましては、特に運輸省からアメリカあたりに人を勉強にやりまして、実地を十分に見た上で労働省とも相談をし、しかるべき措置をすみやかに立てたいと、こう思います。
  146. 岡三郎

    ○岡三郎君 再言しますがね。日本の職場という中においてやはり港が一番おくれているのではないかというふうに言われているわけです。それはやはりなしくずしにきているというところで、これは実態としてなかなかむずかしい問題だとは思います。しかし、ちょうどこれがいい幸いですから、労働組合で心配していることを解消するためにも、一体港の労務関係というものはどうなるんだ、それに対処して収入とか、待遇ですね、それから配置転換とか、あるいは港において働いている人々のそういう会社というものがどうなるのか、そういうふうな点については積極的にここで指導して、新しい体制をつくっていくというふうな指導がほしいと思うわけです、意気込みが。つまりずいぶんこれは近代化するわけですからね。そうすると、その中においていろいろな矛盾が出てくると思うんですが、矛盾を積極的にこの際解消していくというふうな姿勢の中で港湾労働者というものに対する施策をひとつ積極的に進めてほしい。これはいま大臣が言われたように、運輸省の人を外国にやって、そうして勉強さしてということであります。それもけっこうだと思います。この点については労働省自体のほうとしても、港湾労働者というものはなかなかむずかしいものだというふうに言っておりますけれども、いいチャンスなのでひとつその点を積極的にやってもらいたい。そして明るい港にして、それこそ効率的に仕事を進めてもらって、先ほど言われたように、国際収支の問題あるいは港の改善、そういうものとあわせて積極的に発展できるような施策がほしいと思うのです。これを私お願いするわけです。
  147. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 港の近代化に伴いまして、港に働く人もやはり近代化した人でなければならぬと思うのでございまして、そうした近代化した労働者というものは、やはり労働条件におきましても、また生活様式におきましても、したがってまた待遇におきましても、それだけのものを与えられなければならぬと思うのでございまして、そういう意味で港の近代化とあわせて港における労働の近代化ということには今後も努力をいたしたいと思います。
  148. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一つで終わります。コンテナ化に伴ってやはり倉庫業者がかなり打撃を受けるんじゃないかといわれておりますが、倉庫業者がいち早く陸運業者の免許を買い取って兼業するということの中でいろいろと苦慮しておるようです。まあ倉庫業者がどういうふうにこれから変貌していくのか。従来の形でいえば、荷をそこへ持ってきて置いておくということがなくなって、生産工場からコンテナで直通にコンテナ・ターミナルに持ってくるというような形がかなり出てくるのではないか。そういうことになるというと、かなり変貌してくるような形が出てくるのではないか。そういう点で、積極的に倉庫業者に対する指導といいますか、こういうふうな点についてはどう考えておりますか
  149. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) コンテナ化する貨物というのは、日本においては大体輸出貨物でございますが、倉庫に入るのは大体輸入貨物でして、輸出貨物は公共の上屋に入るか、乙仲の手倉に入るということで、主として上屋を利用しておるので、あまり影響はないようでございますが、むしろ倉庫自体の問題は、こういうコンテナ化が起こるというような輸送の変革においては、保管倉庫から流通倉庫に変わるべきだと、流通倉庫とはどういうことかと申しますと、在庫管理をして預け主の要望に応じて次々と消費者なり問屋に運び込むという操作を円滑にやっていくということになると思うのです。そういう面において欠けておりますので、コンテナと同じような輸送革命の問題ということで、私どもは流通倉庫化のための措置と行政指導、さらに、中小企業がそういう流通倉庫としていくためには、何か中央にセンターを設けて、そこが司令部のようなことになって指導していくという方法を考えまして、来年度予算においてはそういうような指導のための行政部費を要求するのと同時に、ここ数年についてのそういう流通倉庫に変わり得る全体計画をつくりたいと思っております。
  150. 岡三郎

    ○岡三郎君 以上で終わります。
  151. 田代富士男

    田代富士男君 委員長、私からひとつお願いがあるのです。最初に、昼からずっと大臣もおすわりになっていらっしゃって……。
  152. 谷口慶吉

    ○理事(谷口慶吉君) ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕  〔理事谷口慶吉君退席、委員長着席〕
  153. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記つけて。
  154. 田代富士男

    田代富士男君 いま問題になっています外貿埠頭公団の問題につきまして、いろいろな角度から意見を出されております。この問題につきましては、私もさまざまな意見がありますが、立場立場においてこれは考え方が違うんじゃないかと思うのです。  この構想を見ますと、ここに出ておりますとおりに、まず一番最初に、東京港の大井の百三十三号地埠頭計画、それから横浜港の計画、それから大阪の南港の計画、神戸の計画、このような四つのターミナルの計画がここに出されております。そこで、私が一番この問題について心配するのは、海運業界というものには、一面には近代性というものがいわれておりますけれども、なわ張り争いがこれくらい強い業界はないんじゃないかと思うのです。そういう点から考えていきますと、今回のこの問題に対しましては、名古屋もあるいは清水港も、このように立候補を述べているそうでございますが、それは主としてやはりこのようなコンテナ・ターミナルができますれば、商工都市とすれば今後も発展してまいりますけれども、こういうものがないとすれば、また商工都市として産業の命脈を断ち切られるというようなことも考え合わされるわけなんです。今回は四つのターミナルになっておりますけれども、なわ張り争いの強い業界であるという点を引き出していきますと、いま言うような観点からも地方的な利益代表の主張というものも多分に出てくると思うわけなんです。しかし私は、このような地方代表の主張というものだけに当局が引きずられていたならば、大所高所からの思い切った国家百年の大計はできないんじゃないかと思うわけなんです。そこで、そういうものとあわして、国家的立場から、あるいはそういう地方的利益代表者の意見も聞いた上に今後も施策をしていくべきじゃないか、まずこれが根本じゃないかと思うわけなんです。その点について最初に、幸い大臣が出席していらっしゃいますから、一番いま申しました根本的な問題の姿勢をお聞かせを願いたいと思うのであります。
  155. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 私は全く同感に存じます。いろいろ日本では港々で自分の港中心的な考えがいままではございましたが、この外貿埠頭というものは日本全体の港であり、太平洋を往来いたしまする船を日本全体に着けるという場合に、どの港とどの港に着けるのがいいかという問題でございまして、これは地方の問題ではなく国家全体の問題であると思います。したがって、国家全体の交通のあり方というものを眼目にして今後の埠頭の整備というものをはからなければならない。これが一般の港湾の埠頭ならば、あちらにもつくるこちらにもつくるということはできますが、元来が、コンテナ輸送そのものができるだけ短期間に数多く往復して輸送をするというのが眼目でできておりますので、日本へ着く船は日本の港にたくさん寄るのでなく、できるだけ少数の港に短期間寄ってそこへ大量の貨物を揚げ下げしてそうして航行を続ける、こういうことでございます。国家的見地から考えるべきものと思います。
  156. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いま大臣も国家的見地から考えるべきである、この問題は日本全体の立場で考えていかなくちゃならないとおっしゃる点は、私もいま申したとおり同感でありますが、いま船会社自身の考えでは、いまもお話しありましたけれども、たくさんつくるべきではない、聞くところによれば、最低京浜地区に一カ所と阪神に一カ所で、あとの名古屋あるいは関門関係は内航をもって主要ターミナルに連絡していこうというような方針で進んでいるということも聞いているわけなんです。私は、まあその問題はそれとしまして、ここでもう一つ大事なことは、そういう主要ターミナルでございますから、全国どこでもということはないと思いますが、一番大事な点は、技術的な面からいきましても立地条件じゃないかと思うのです。すなわち、ここで左右される問題は、特殊な気象情勢ですね。台風であるとかあるいは高潮の影響であるとか、そういう面を考え合わせた上にこれをやらなかったならば、つくってだめだからこれを中止しようというわけにはまいりません。先日の冷房料金のように、わいわい言ってこういうことになるというわけにはまいらないわけなんです。そこでいま申すとおりに、多分にこれは地域からの主張というものに左右されがちですけれども、そういう立地条件、そういう点に対しては、どのようにお考えになられた上に、いま申すとおりに四つの問題、四つのターミナルがつくられておりますけれども、どういうふうに対処していらっしゃるのか。特に一例をあげますと、御承知のとおりに、ターミナルにはコンテナが集結してまいります。その他、コンテナに限らずそれに付随したものがいっぱい集結してまいります。そうしますと、それをば高潮が来た、台風が来た、そのようにしてその品物が台なしになったとすれば、おもに輸出品でありますし、そういうことで商品を傷つけるものであるならば、これは日本の国としてもこのような恥さらしをすべきでないと思うのです。ところが、神戸の摩耶埠頭におきましては、この前の台風で御承知のとおりに埠頭がやられてしまいました。そういう点におきましていまいろいろ考えていらっしゃると思いますが、そういう立地条件、そういう点に技術的にどういうふうに対処していらっしゃるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  157. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) ただいまお話がございました立地条件でございますが、これは自然的な条件と経済的な条件とあると思います。私どもが京浜、阪神を選びましたのは、この両地区とも大体輸出する品物の航路別によって違うわけでございますが、六〇%ないし八〇%というものが、京浜でいうと東京都、神奈川県、阪神で申しますと大阪府、兵庫県から出ているわけでございまして、やはりここが経済的条件からいえば一番適地ではないかということになります。  その次に自然的条件でございますが、御指摘のように、大阪湾というのは間々台風の災害を受けるわけでございまして、先ほどお話がございましたのは、摩耶埠頭は、この工事中にうしろの上屋があるところと前の桟橋との間に波を避けるために渡り橋をかけているわけでございます。これが全部、昨年でございますか一昨年でございますか、台風で飛ばされまして、しばらく使用ができなかったということがございます。それからもう一つは、その前の台風でございましたが、古くつくられました新港埠頭の、第一、第二突堤といっておりますが、第一突堤じゃなかったかと思います。そこの上屋が浸水をいたしまして、そのために中に入っておった輸出品に相当な損害を与えたわけでございます。で、そのときには損保協会からも強力な申し入れがございまして、損保協会のお金を借りまして上屋の高さを上げるのと同時に波が入らないような装置をしたわけでございます。その原因はどういうことかと申しますと、地盤沈下がございまして、この古くつくられた突堤の高さが下がっておったために高潮にぬれたということでございます。で、その後摩耶埠頭にしろ、今回神戸市につくります、新埠頭と申しておりますが、防波堤の外につくる埠頭地帯、それから大阪の南港につくります埠頭地帯、いずれも地盤高を高潮の高さで浸水しない高さにするということが一つと、神戸におきましては、防波護岸というものを第一線に設けまして、この高さで波が越えてこないように防ぐということを考えておりますし、大阪の南港地帯は、同じように前面の護岸、さらにこれは将来の計画として外側に港をつくるために防波堤をつくることになりまして、いよいよ陰になりますので、地盤高を高潮以上にしておけば、高潮の場合も安全であるということがいえると思います。東京につきましては、現在の大井埠頭として建設しておるところは、これも高さが十分であれば波によって被害を受けるということは考えられませんし、横浜の本牧埠頭にいたしましても、防波堤によって十分その災害を防ぎ得るように考えております。
  158. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、一たびそういう立場になっても、緊急事態が発生しても、起きてから対策を講じるのでは何にもなりませんし、備えあれば憂いなしということもありますから、最初からそういうことを考慮に入れて技術面において万全を期していただきたいと思います。  それから今回、いまも言われておりますとおりに、コンテナ・ターミナルができますれば、沖仲仕あるいは荷役従業者が失業するのじゃなかろうかというようなことがいまいろいろいわれております。事実御承知のとおりに、そういうことは考えられないわけではないと思うのです。まあそういう心配ないとおっしゃいますけれども、現実に日本郵船と昭和海運がマトソンと組みましてオペレーションをやろうとしておるわけなんです。御承知のとおりに、また三菱倉庫と日本郵船が組みまして日本コンテナターミナル株式会社、これも合併しまして、このようにつくっていっております。そうしますと、中小企業の荷役関係業者が切り捨てられていくことはこれは考えられないとか、そういう心配はないとはいいますけれども、心配があるのじゃないかと思うのです。まして大阪商船、三井船舶、山下新日本が一グループになっております。また、御承知のとおりに、川崎汽船とジャパンラインが一グループになっております。そうして一グループと申しましても、このような大手のグループがコンテナ・ターミナルを利用してまいりますれば、このような船会社の系列に入っておる中小業者というのはその恩恵を受けるかわかりません。しかし、さっきからいろいろ申しますとおりに、海運業界というのはなわ張りの激しいところなんです、御承知のとおりに。そうしますと、その系列に入れない、いろいろな資本の問題あるいはその会社の内容または実績、そういう面から取り残されていく人々があります。これは今回の各四つの地点だけでなく、大いに地元においては問題になっていることであります。で、神戸の例を取り上げますれば、神戸市の商工会議所におきまして、すでにコンテナ輸送の研究会を持たれまして、このように大手業者がコンテナ。ターミナルを運営していくとなった場合に、中小業者に対する対策はどうするか、商工会議所においても将来の問題等について検討がされておるわけなんです。そういう点から考えまして、そういう心配はないとおっしゃいますけれども、こういうところまで、それぞれの地元において、あるいは商工会議所やそれぞれの地方議会におきましては、この問題は大きな問題として議会においても取り上げられております。だから通り一ぺんのただ単なる理由だけでなく、そういうことを知った上での説明であるのか、私は、もしそういう声が地元にあるということを知った上で検討すべき点があるならば、検討していかなくちゃならないと思うんですけれども、この点はいかがでございましょうか。
  159. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) このコンテナ輸送の開始によりまして港運業者の業態が変わってくるであろうということは、当然予想しなければなりません。それに備えまして海運業者の系列による業界の再編成ということも私は避けることはできないかと思うのでございますが、御承知のとおり、港運業につきましてはこれは免許事業になっておりまするので、新系列会社の免許にあたりましては、特に既存の中小業者が泣くことのないように、できるだけその系列化に他の中小業者も包括できるような、そういう指導の余地はないかと思っておりますが、いままでのところは、まだ法案が成立いたしておりませんので早急のことでございませんが、いよいよ法案が成立し、工事に着手するとなると、一斉にそういう問題が起こってくるものと思いますので、運輸省としましては十分事態に備えまして調査をし、検討を加え、再編成に備える体制、ことに再編成に際して中小業者に活路を温存していく、そういう方向に努力をいたしたいと思います。
  160. 田代富士男

    田代富士男君 いま再編成に対する体制を整えると同時に、まあ中小の業者を温存していくという大臣のお話でございますが、御承知のとおりに運輸当局は、港湾審議会の方針に基づきまして、港運業者の業種別の集約、元請業者による下請業者の系列化によって在来の港運業者を半減して、現在の規模ぐらいにレベルアップする意向である、そういう審議会の答申に基づいてやっていらっしゃるわけです。いまの大臣の御答弁も、それを含んでの上だと思いますけれども、それはそれとして、そのようにしてレベルアップということを言われておりますけれども、まあそれは美名でありまして、現実には在来の弱小港運業者を圧迫することになるんではないかと思うんです。いま大臣は温存していくとおっしゃいましたから、重ねて聞く必要はないかと思いますけれども、あらためて聞くならば、どうでございましょうか。
  161. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 温存ということは、結局集約ということでございますが、要は、その集約化に際してはみ出るもののないようにということだと心得ております。
  162. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、お手元に資料があるかどうかわかりませんが、現在京浜及び阪神地区の港湾に就労しておる港湾労働者はどのくらいであるか、おわかりであったら、お知らせを願いたいと思います。
  163. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 昭和四十年における常用労働者の数でございますが、横浜港におきましては一万三千八百七十人、それから神戸港におきましては一万三千九十六名でございます。
  164. 田代富士男

    田代富士男君 これだけの人々が現在従事しているわけなんです。そうしますと、再編成に伴いましていろいろな問題が起きてくると思うんです。これに対してどういうことをやっていくか、成立した上でいまもやっていくとおっしゃいましたけれども、これをアメリカの例で申し上げますと、御承知のとおりに、アメリカにおきましても、このコンテナ・ターミナルができるときには、労使間におきましていろいろな争議が起こっております、御承知のとおりだと思います。しかし、現在ニューヨークにおきましては、もうすでに五年前よりこれは行なわれている。そのニューヨークの実態を調べてみますと、海運に従事していた人々がコンテナ輸送を陸上においてもやらなくちゃならない、これはいままでにない新しい仕事でありますから、そちら等へ配置転換をした、そのようにしてある一面の成果があがっているということも、私もいろいろ調べてみましたら、そういうことが出てきているわけなんです。そうすれば、いろいろ問題になりましたそこから考えてみるならば、あくまでも個人のしあわせと社会の繁栄というものは一致していかなくちゃならない。近代化において社会の繁栄はなされても個人のしあわせがつかめない、こういう不合理なことであってはならないと思うわけなんです。そこで私は、すべての人々が生きていけるような、そういう配置転換というようなものをお考えになっていらっしゃるのかどうか、また、そういうことをお考えであったならば、具体的にお聞かせを願いたいと思うんです。
  165. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 日本の港湾労働者の数でございますが、これは御承知のように、昨年から港湾労働法が施行されたわけでございますが、当時予定した定数に対しまして、常用労働者は定数以上にふえておりますが、日雇い労働者は大体定数に比べまして、実際に就労した者が半分ということで、労働者が減るわけでございます。これを数字で申し上げますと、貨物の量は、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、昭和四十年が一四四ということで四四%伸びておるわけでございますが、労働者の数、これは常用労働者と日雇いの一日平均の数でございますが、それを足したもので申し上げますと、昭和三十五年の一〇〇に対しまして、昭和四十年は一〇七でございます。ですから、一面沿岸荷役等につきましては、機械化によって生産性を高めている点があるわけでございますが、船内荷役等におきましては、むしろ終夜荷役その他によって労働が過重になっているというのが実態であると思います。先ほどお話がありました港湾運送事業者の集約の問題も、そのもとは労働者を常用化して、安定した生活を営めるようにするためには、小さい規模の企業ではやり得ないということが一つの大きな原因になっておるわけでございまして、私どもは、 コンテナ化によって、いま申し上げた数字から、それが直接失業の原因であるとは思いませんが、港湾全般から考えまして、現在の港湾における労働者のあり方、また企業の弱小化ということは別な大きな問題でございまして、それはやはり集約によって企業の力を強めるということと、安定した生活ができる労働ということで、今後魅力ある労働であるということで労働者をそこに定着させなければ、今後の港は、施設があっても人がいないためにうまく運営ができないということになりやせぬかということで、その問題に対しましては、一つは、港湾運送部会というものが港湾審議会の中にあるわけでございますが、ここで集約の問題をやる、同時に、内閣に港湾調整審議会というのがございますが、ここは港湾労働法の施行に伴いまして定数を決定すると同時に、全般的に労働の問題なり、船込み対策の月末・月初の集中をどのように排除するか、こういう問題と取り組んでいただきたい。両方合わせてこの問題をここ数年のうちに軌道に乗せなければならないと考えているわけでございます。
  166. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろ御説明なさったんですが、その一環として、いまニューヨークにおいてそれだけの実績も示しておりますから、そういうことも参考として考えてもらうわけにはいかないんですか
  167. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 国々によって情勢は違うと思うわけでございますが、ニューヨークの労働組合というのは非常に強い労働組合でございますし、それからまた高賃金であるということから非常に魅力があるんだと思うのでございますが、むしろあの協約によりますと、年金をふやしたり、最低の労働時間を保障したりしておると同時に、日雇いは雇わないようにせい、それから老齢者は早期に退職するようにせい、そのかわりそれには年金を与えるということで、むしろ労働者を少なくしようというそういう動きの中の問題でございます。日本においては、先ほど申し上げましたように、むしろ労働者が足りない、これをどうやって機械化によって仕事をやっていくかという問題の場合でございますので、おのずから取り扱いのしかたは違うと思います。  それから、先ほど申し上げたんですが、オーストラリアにおきましては、コンテナ化によって労働需要が縮小した面は非常に少ない。しかも一方、他産業界においても労働者が全般的に不足であったために、コンテナ化が問題なく行なわれている例もございますので、いろいろ各国の例を参照いたしますが、要は、やはり労働者が福祉的な生活を営めるということでその職に定着するようにわれわれが今後指導していくべきではないかと思います。
  168. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、いまお話を承りまして、そのようにやっていただきたいと思いますが、私の時間もありませんからこれ以上あまり申しませんけれども、いままでは港湾関係だけで、海を中心とした仕事でありましたが、今度は陸との関係が出てまいりますから、その面をあわせての私の質問をしたわけなんですけれども、いまの説明でもわかりましたから、これはあえて申しませんけれども、その点をあわせた上で私お聞きしたがったわけなんです。いま話しますとおりに、今回は海陸とのつながりというものが一番焦点になってくるのじゃないかと思うのです。ところが御承知のとおりに、国鉄もコンテナをやっております。今度は海上におきましてもコンテナ輸送がなされる。いまわが国の現況といたしまして、はたしてこれがりっぱに運営されていくかということは将来のことにもなりますけれども、まだまだ残された問題点は多いと思うのです。どういう点に私は残されているかと申しますと、海運業界にもなわ張り争いがあるということを申しましたが、いまの国鉄なら国鉄、あるいは今度は陸上の陸運業者なら陸運業者、また海運業者、このようにセクショナリズムな面が非常に強いわけなんです。これは全部を一本化されてこそこの外貿埠頭公団の趣旨という点が発揮できるのじゃ、ないかと思うわけなんです。ところが、そういう点の統一がなされていない。だからいま申されておりますコンテナ輸送の問題でございますが、八・八・二〇のコンテナを普通トレーラーで運ぶとすれば、三・五メートルの車両制限令の高さに触れることになるわけなので、そういう問題もこれはまたひっかかってまいりますし、また重量制限最高二十トンに触れることとこれは考えられるわけなんです。こういう問題がなされております。これは車両制限令、道交法等にも関係してくる問題なんです。そういうところで現在はすんなりといかない点が多々あるわけなんです。そこで私は思うのですが、いま申しますとおりに、このような海上コンテナの場合に、車両制限令あるいは道交法との関係についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点まず第一点、それと同時に、いま言うとおりに全部を統一して初めてこれは趣旨を発揮できる。だからこのことはしいて言うならば、国土開発という点においても結びつけていかなくちゃならない大事な問題じゃないかと思うのです。それでなかったならばこれはどうすることもできない。そういう点からいきますと、御承知のとおりに、これは道路という問題が密接な関係になってまいりまして、道路五カ年計画におきまして、いま道路計画がなされております。その道路計画五カ年の予算のうちに、予備費としてこのようなコンテナ輸送の使用目的のために、計画のために予備費が残されております。それに対する運輸省当局としてのそのような計画というものがあったならばここで示してもらいたいのです。これが第二点の問題でございますが、いまの点についてお答えを願いたいと思うのです。
  169. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) コンテナ、現在外航船に考えておりますのは八・八・二〇という型でございまして、やはり国際貿易という意味からすれば、アメリカに輸出するときは、アメリカの輸送にかなうような形でなければならないということで、これが答申されたのだと思います。したがいまして、高さにおきましては、現在の車両制限令から申しますと三・五メートルでございますが、コンテナを自動車で運ぶ場合にシャーシーを入れると三・八メートル程度になりますので、古いガードのようなものは通れないところがあるわけであります。しかし新らしい道路は四メートル五十の空間をとってございますので支障はない。したがって、一部については支障がありますが、東京都等で調べたところでも、おおむね環状七号線を利用すれば、コンテナがまあ戸口から戸口まで運ばれる。しかし場所によっては、いま申し上げましたように、私鉄、国鉄の下のガードを通るときにそれが通り得ないところがある。こういうものについては、板橋等にできる内陸の流通センターでございますか、そういうところを利用したい、こういうような計画を立てておるわけでございます。もう一つ、重量でございますが、これは二十トンでございます。容積トンで申しまして二十トンになるわけでございます、この八・八・二〇というのは。しかし、実際中に積まれる雑貨の目方から見ますと、日本で輸出するものを調べたところでは、内容が十二トン以内である。したがいまして、車両を含めても十六トンという程度であって、重量の制限にはまあ大体ひっかからないものが多いようでございます。しかしいずれにしても、日本の道路がアメリカ等の輸出に使うコンテナ等について全面的にはいいわけではございませんし、先ほどお話がありましたように、この日本の道路政策と申しますか、これは県庁所在地と県庁所在地を結ぶというような行政的な意味の国道でございまして、産業に直結しないと申しますか、そういうような意味で港と港とを結ぶとか、港と背景の重要な産業とか消費の中心地を結ぶのが国道ということになっておりませんので、道路を建設する場合に、街路として町の中につくっていかなければならない、これらの負担が非常に大きくなることが自治体にとって困るという問題が、先ほど岡先生からお話があったわけでございます。私どもといたしましては、このコンテナの問題が起こりましたときに、一つは、コンテナに合うように港と国道なり高速道路とを結ぶ道路を早急に、いまの先生が御指摘になりました五カ年計画に入れてほしいということが一つと、それからもう一つは、これは早急にできるかどうかわかりませんが、国道の起終点というものを港湾都市においては港湾地帯にしてほしいという、これは神戸市長が強く要望しているわけでございますが、この二点を建設省に申し入れてあるわけでございます。で、計画自体として盛り込んでいただけることは可能と思うのでございますが、いまの道路でございますか、街路を国道として、国道の起終点というものを港湾まで持ってくるかどうかということは、今後私どもが建設省と強力に折衝しなければならない問題だと思うわけでございます。
  170. 田代富士男

    田代富士男君 いまの道路五カ年計画の中に対しての計画をお聞きしましたけれども、率直な御意見ですけれども、いまの計画程度ではちょっと弱いのではないかと思うのです。もっと積極的な——そういう弱気ではいつまでたっても大蔵省でうんと言ってくれませんよ。だからもっとそのようにしてもらいたいというならば、具体的に——私が大蔵省の役人でしたら、そのくらいだったらまだなんですねと、簡単にあしらいますね、こう言っては申しわけありませんけれども。もっとせっかくそれまでのことが出ておりますから、ひとつ鋭意研究なさっていただいて、何としてでもそのようにさせずにはおくものかという、このぐらいのひとつ一念をもって事業に当たっていただきたいと思います。これは要望でございます。よろしゅうございましょうか。そのようにやっていただきたいと思います。  そこで、いま申しますとおりに、いろいろ海陸とのつながりがありますし、いまも一、二出ておりましたけれども、今度は海だけではなくして陸上の問題になってくると思うのです。まあそうしますと、陸上の国内輸送との関連も十二分に考えていかなければならない問題が多いと思うのです。まあここで一番問題になってくるのが、これは今度自動車の、きょうは幸い大臣がいらっしゃいますか大臣にかわって御答弁願いたいと思いますが、トラック業界の現況等を考え合わしてこのコンテナ輸送がなされた場合はどうなのかと言えば、御承知のように、私がトラック業界のことを言うより、あそこに委員長がいらっしゃいますから、委員長から言っていただくほうがよほど実情おわかりかと思いますが、大手の業者は利潤をあげておりますけれども、中小業者というものは、従業員であります運転手の給料を犠牲にいたしまして——こういうことばで言えば強く聞こえるかもしれませんが、運転手が犠牲となって何とかやり繰りをしているというような状態です。そこへですよ、海上コンテナのこの輸送が入ってくる。もう一つは、いま自由化によりまして、これはトラック業界と言わずあらゆる日本の産業に、外国と提携という、そういうことばのもとに、トラック業界であろうと、どんどん外資が入ってきて、そうしてそのような前時代的な仕事をやっている日本の産業界は荒される。そのように内においてはそういうコンテナ輸送の問題、外においては提携という、外国との提携という美名のもとにそのように脅かされていく、こういうようなことをいろいろ考えていきますれば、私はこれは日本人の島国根性を捨てまして、コンテナ輸送がどうの、あるいはトラック業界がどうのということも、身近な問題ですから大事な問題点ではありますけれども、それよりもこのような外国の技術提携によりまして、自由化によってどんどんアメリカからも、あるいはいろいろその他の国からも入ってくるでしょうけれども、そういうものに対しまして来るなら来いという、そういう体制を確立していく、そういう一人一人が小さな低い境涯ではなくして、一段高い境涯からそういう日本全体の産業を伸ばしていく、産業を守り伸ばしていくという観点に立った上において、そうしてこの問題を解決していった場合の解決方法と、ただ単に、そういう境涯に立たずして、現在の目先の問題だけにおいて、利害関係のみによって解決した場合とにおいては、私は価値が違うと思うのです。将来性も違うと思うのです。こういう点につきまして、大臣運輸行政の責任者として、どのように将来のことについてお考えになっていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思うのでございます。
  171. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) トラック業界も、日本のいろいろな業界のごたぶんに漏れず、多数の企業が乱立して過当競争におちいっているのでございまして、現に運輸省の示しております標準料金というようなものもなかなかこれを維持することができないような状況であります。その原因はおっしゃるとおり過当競争でございます。どうしても今後日本の輸送業を健全化いたしまして、今後の経済発展のにない手としての地位をつけてやりますためには、トラック業界においてもやはり大同団結の機運を養い、そうして企業の適正規模というものを実現し、これによって過当競争を避けて、お互いに手を取り合って繁栄をしながら使命を達成する、そういう方向に指導していくほかはない、この点は全くお説と同意見でございます。
  172. 田代富士男

    田代富士男君 そこで私は、いま大臣がこのような日本の輸送業界の健全化をして、そうして経済発展のにない手になるべき地位を与え、大同団結して企業の適正指導もやって、いま申し上げたようなことを実現していきたいということでございますから、私はもう一歩ここにおいて考えていきたいことは、いまいろいろとトラックの問題、あるいは港湾事業関係していらっしゃるいろいろな問題点をいま申し上げましたけれども、私は、このような業界に対しまして、さらにどういう国とでも——アメリカでも、イギリスでも、ドイツでも、どのような国とでも平和的海運競争をすべきである。日本として、平和的海運競争をやっていくために、そういういま大臣が申されたような姿勢をもって、これはただ単に委員会だけの場でなくて、委員会においての発言だけでなくして、そういう事業に従事している一人の責任者、あるいはどういう立場にあろうとも労働者の一人に至るまで、そのような海運競争に勝たずにはおくものかという、そうして日本の企業を発展さしていこうという、そのような各イデオロギーの違い等はありますけれども、そういうものを超越した立場において盛り上げていこうというような理念の確立というものが私はなくてはならないのではないかと思うのです。これがまず第一点でございます。  それと同時に、理念の確立だけではなくして、理念の確立だけであったならば、理屈だけで、机上の空論に終わってしまいます。青写真で終わってしまいます。だから、それのみならず、それに対応するだけの、いま大臣が申されましたとおりに、輸送業界の健全化をはかるべく、適正指導を実現し、あるいは経済発展のにない手としての地位を与えつつ、すなわち、その業界自身に働いていることに対する誇りを持たして、張り合いを持たしていくべく、そのようにしまして、近代化のための体制の整備というものをはかっていくべきじゃないかと思うのです。こういう理念の確立と体制の整備と、私はこの点が必要ではないかと思います。  このことから考えまして、先日、御承知かと思いますが、神戸のオリエンタルホテルにおきまして、ニューヨークあるいはシアトル、オランダ——世界各国の代表者の方が集まりまして、こういう海上輸送の問題に対するディスカッツョンがなされたということも聞いております。その話の内容を私は詳しくは聞きませんでしたけれども、アウトラインは聞きましたが、私の日ごろから思っておる意見と大体同じような意見が出ておりましたが、いま私がここで申し上げるそれをばだれがやるか。いまはだれもやっていない。しかし、そのことをだれかがやっていかなくちゃならない。スタートしなければならないが、そういうお互いに同じ立場で過当競争をやっていては繁栄はありません。大きい目標のもとに向かって、そのように平和的な海運競争をやってこそ、そこに発展もあるし、建設もあります。そこに仕事に対する張り合いも出てくると思うのです。しかし、同じような立場で、お互いの利害関係だけを主張するのではだめだと思うのです。そこにおいて、そういうすべての業界に対しまして指導し、適切な意見をはさみ、それを育成していくような大きな機関です、すなわち、そういうものをすべてを含むところの総合本部と申しますか、経済総合本部というべきものをつくって、そのようにどこの国とでも、国際競争において平和的海運競争に勝ち抜いていくような、そういう日本にしていくためには、まず運輸当局が立ち上がっていかなくちゃならないと思うのです。そういう意味における理念の確立と体制の整備が私は必要ではないかと、そのように思うのですけれども、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
  173. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 今後の世界の発展に対処する日本の体制づくりということから考えますると、ただいま仰せられました業界人がイデオロギーをこえて、業界人としての理念を確立していく、また、誇りを持っていくような体制の整備、これがどうしても必要なことだと思うのでございます。こういうものを組織する者はだれか、という御質問でございますが、これにつきましては、業界先覚者にその人がありまするならば最もふさわしいと存じますが、しかし、それがいないということでありましたならば、国のこの方面の行政について責任を持っておる運輸省といたしましては、当然乗り出していって、そのとうとい使命を遂行するということは考えなければならぬ事柄だと存じます。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 いま申されました体制づくりはよろしいと思うのですが、理念の確立の問題点については、いかがでございましょうか。
  175. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) その点につきましても、私どもは、業界の人がまず自覚して、そういう理念の確立に邁進されることが最も望ましいのですが、そういう機運をつくるために、必要とあれば運輸省といたしまして、その間に乗り出すということは、これも当然だと考えております。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 そこでいま大臣からも、世界の発展に対応する体制づくりをしていかねばならない、全体的な立場に立っていかなければならないということですが、その一つの問題点の例をあげますれば、いまお話ししたのは、海陸の接続だけの問題点をいま取り上げて言った訳なんです。で、当委員会におきまして、現時点においては海と陸との関係性だけを接点にして考えておりますが、御承知のとおりに、私は、これだけの範疇での考えであったならば、ここで計画ができたと思ってもすぐ行き詰まりがくると思うのです。なぜなれば、もう御承知のとおりに、航空界におきましてはSSTの時代でございます。そうしますれば、二十ないし四十フィートのコンテナが輸送される時代になってまいります、SST時代になりますと。そうしますと、陸と海との関係は解決して、やっと長い期間を費やしてできた時点においては、もう次の時代にはこれすらも役に立たないという事態にきております。そのように現在のあらゆる行政というものは、目的が達成されたときにはもうそれは崩壊しなくちゃならない。そこに私は、当委員会におきましても、一つ一つの案件の場合にも、いつも大所高所から、高い見地からこれを見ていかなくちゃならない。この前の船舶公団のときにおきましても、私は内航海運の問題等につきましても申し上げました。現在だけの問題で解決したならば、それは解決したうちに入らない。だから今回のこのようなコンテナ輸送の問題につきましても、海・陸・空路を結びつける時代に入ったのだから、この飛行場との関係、港湾との関係、それからいま申しました国土開発との関係、そういうような大所高所から考えた上に、いま申すような諸条件の接点となるべきところにターミナルを設けたならば、これが国家百年の大計の上から、いかにりっぱな足跡を残していくか、より経済発展の基盤になるのじゃないかと思うわけなんです。そういう点につきまして、海陸だけでなしに、空の問題、海・陸・空輸送をも含めました上に対処していくべく考えていくのが、総合本部を設置しなくちゃならぬ一つの意義があるのじゃないかと思うのです。そういう意味におきまして、いまの大臣の御答弁では、わかりましたけれども、総合本部という、そういう点の答弁がちょっと私には強く受け取れませんでしたから、この一つの例をあげるならば、そこまで考えていくべきじゃなかろうか、そこまで手を打ってこそ、将来の経済発展というようなことも考えられるのじゃないかと思うのですが、この点に対して大臣の考えはいかがでございましょうか。
  177. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 東京におきましても、成田新空港というものが建設の緒につこうといたしておりまするが、これがだんだんに具体化いたしてまいりますると、この新空港と羽田、東京港、また東京の都心、こういうものを結びつけるところの接続関係というものが大切になってまいりまするし、また港ができますると、これらを他の施設に結ぶということが大切でございまして、その間、仰せのとおり海ばかりでなく陸もあり、空もあり、これらを総合するということは当然必要なことでございまして、現在のところといたしましては、おそらく経済企画庁あたりがそうした役割りを引き受けていかなければならぬものとは思いまするが、しかし経済企画庁ばかりにまかしておいていいというものでもございませんので、ことに運輸省といたしましては、陸海空の輸送関係を統括いたしておりまするので、そういう立場から総合本部的な機能をできるだけ発揮しなければならぬと思っております。  実は外貿埠頭公団というものがさつそくこういう総合本部を必要とするものなのでございまするので、ただいままでの運輸省の仕事の運びといたしましては、まず外貿埠頭公団法の成立によって、この外貿埠頭建設の足がかりをつくろう、ここにいままでの努力の重点を置いております。この法案が成立いたしましたならば、外貿埠頭公団の実現というものは初めて現実の問題に相なるのでございまするから、私どもは運輸省部内におきまして陸海空の各部局を総合いたしまして、その連絡接続等についての必要な検討をいたすばかりでなく、さらに道路を所管する建設省に対しましても連絡の手を伸ばすように、そういった機構を何らかの形で設けなければならぬ、かような気がいたしております。すやみかにそういう日の来ることを期待いたしております。
  178. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  179. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  180. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣のおっしゃるとおりに、いよいよ海陸空の、三軍じゃありませんけれども、三つをば連絡接続していく、大所高所から、あるいは道路の所管である建設省にも働きかけて総合的に総合本部の体制という、仮称総合本部でございますね、働いていく日を待ちたいと期待したい、そのようなお考えでございますが、私も期待したいと思います。ところが、現在そこまでの理念を持った人々が非常に少ないことを私も嘆いている一人なんです。少なくとも当委員会に御出席の皆さん方一人一人がこの理念をば唱え、理念のために日常の生活に結びつけていくならば、私は必ずや近い将来に実現できないわけはないと思います。そのときに個人のしあわせと社会の繁栄が一致できるような、まことにわれわれが期待するような時代が来ることは間違いないじゃないかと思うのですね。そういう意味におきまして、現在これは大臣が、企画庁においてそういうことを吟味しているというのは、流通近代化会議の話じゃないかと思うわけです。これは企画庁だったのですかね——運輸省ですね、流通近代化会議、これは運輸省の課長クラスのお方がお集まりになりましていろいろ御検討なさっているということを私は聞きました。今度、まあ国会はきょうで終わりですけれども、そのような問題に取り組んでいらっしゃる、課長さんクラスがやっていらっしゃるならば、私はその人とじかに会って胸襟を開いてどんどんと意見を交換し合いまして、これを私はやっていくならば、これが実現できないわけはないと思います。このような運輸当局の課長さんが、そういう流通近代化会議のもとにレポート等をつくっていらっしゃるということは運輸行政の中にありまして目立ちませんけれども、これは将来の一歩前進の姿じゃないかと私は尊敬しております。今後そういう皆さん方と私は検討をしていきたいと思いますが、そういう一面におきまして、流通革命というものは、これは海運業界にかかわらず、いろいろな面においてなし遂げていかなくちゃならないし、物価問題におけるところの流通革命もなさねばならない。あらゆる業界に通ずるわけなんですけれども、いま申すとおりに、空陸海の三つの連絡をとっていくと申されましたから、こういう流通革命に対する大臣の考え方はいかがでございますか
  181. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 流通革命というものは、これは好むと好まざるにかかわらず経済の発展に従って進んでいくものと思うのでございまして、この流通革命におくれる国がありましたならば、それは世界の競争に脱落することを覚悟しなければなりません。したがいまして、私どもはこの新しい体制に乗りおくれないように常に努力をしなければならぬのであります。しかしながら、こういう新しい体制に移るに伴いまして、従来の体制下に安定しておった人々が、新しい環境の変化によって生活の根拠を脅かされるということは、これは少なくないのでございまして、われわれは流通革命の光ある面に目を奪われることなく、その背後にあるこういう面にも常に心を用いまして、いかにして最小の犠牲において最大の使命を遂げるかというような心がまえが必要ではなかろうかと思います。
  182. 田代富士男

    田代富士男君 委員長から、できるだけ終わるようにということでございますから、もうあと一、二問で終わりますが、それで、本題のものに対しましては一つも——関係がありますけれども、一、二聞きたいことはありましたけれども、時間がありませんから一、二点を聞きたいと思いますが、この四ページに管理委員会のことにつきまして項目が載せてあります。私が一番心配をしますことは、ここに出されております管理権の問題であります。一つの一番身近な問題をあげますと、神戸市会におきましては、いまさっき話したとおりに、この問題を具体的に検討しております。その神戸市会におけるところの問題点になっているのは何かといえば、いま申すこの管理権の問題でございます。というのは、一つは、公団が設置されたことにおいて——公団設置のことについては意見がありますが、公団設置のことにつきましては、きょうは時間がありませんからこれは省きますが、公団設置につきまして中央からそういう官僚が来る可能性が強い。また、今度地元におきまして、ここにもありますとおりに、「委員は、公団に出資した地方公共団体の長がそれぞれ推薦した者のうちからそれぞれ一人を任命しなければならないこと。」と、このようにいってありますとおりに、地方団体代表者が立たれることはこれは間違いないわけなんです。そこで、神戸で一番心配されるのは、いまさっきから申し上げますとおりに、なわ張り争いと申しますか、企業体でありながら、まあことばをつけ加えれば、純然たる企業体であらざる企業体なるものがあります。そういう人々がこの公団の中に入り込んでしまったならば、この管理権の問題はどうなるかという問題がいま神戸市議会においても問題になっているわけなんです。この管理権のことにつきまして、いかにお考えであるか、お願いしたいと思います。
  183. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) この法案におきまして、公団の業務運営のために管理委員会というものをつくっておりますのは、埠頭所在の公共団体とこの公団とが常に表裏一体の関係となって、人格としては個々別々でございますが、しかし、一心同体、常に協力、矛盾しないと、こういう関係を常に確立したいという趣旨でこの委員会をつくったわけでございまして、そしてその意思を実行いたしまするためには、執行機関にも、必ず役員のうちにその公共団体代表者を入れていくと、こういうことになっております。まあ理想はそうでございますが、運営はまた別かもしれませんが、私どもといたしましては、常にその点については十分な監督指導を行ない、公団の機関と公共団体の機関が一体不可分という厳密な関係を実現してもらいたいと思います。
  184. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣の御答弁のとおりだと思うのですけれども、神戸市の現地におきましては、いま申す問題以外にまた神戸市の、これはオーバーかわかりませんけれども、自治権も犯されはしないかと、そのように一面では心配されているものもあります。この人事の問題というものが現在神戸における焦点になっているわけなんです。こういう点も現地のお声は御存じかと思いますけれども、こういう声があることも知った上に人事等の人選においては参考にしていただきたいと思います。これは要望でございます。  それと神戸市におきますれば、この神戸の地図がここに概略出ておりますが、これは計画図でありまして、御承知のとおりに、これは人工島じゃないかと思うのです。これは神戸港の中に人工島をつくるわけなんです。ところが、現在のこの工事状態というものは、外郭にくいを打った程度じゃないかと思うのです。この人工島をつくるために、今回神戸におきましては、外貿埠頭公団を設置しなくちゃならないというところで現在作業を進められております。まだこういうものは現在でき上がってないわけなんです。外ワクは打たれている、人工島ですから。そこで一番問題になっているのは、私がここに何回も申していることは、神戸の港湾業者の中には特殊な業者があります。そういう特殊な会社とその公団がいろいろないままでの行きがかり上ですか、こういう新埠頭ができますれば、そういう特殊な関係にありますそういう会社によけい契約してしまうというようなことも考えられるということが、まだできない先から心配されている。というのは、何回もことばを特殊な状態にあるということで表現しておりますけれども、一番最初に申しましたとおりに、なわ張り争いというものがいかに醜いものであるか、あるいはまた権力というものにおいて、いかに中小の港湾業者がいじめられておるかということを私もさまざま聞きました。そうした場合、今回はこれができてももうきまったようなものだ、そのようにその港湾業者の圧力に屈するようなことがあったら、これは何のための公団設置だろうかと私は思いたい。ですからそういう契約をする場合の方法、あるいはそのような前提についてどういうお考えであるか、ひとつお聞かせ願いたいと思う。
  185. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 公団の埠頭を船舶運航業者、すなわち船会社でございます。それから貸す対象としては、一般港湾運送事業者と両方あるわけでございますが、だれに貸すかということにつきましては、公団はきめる前にあらかじめ港湾管理者と協議をして、話がついたところでそれに貸していくということにいたしておりますので、港湾管理者との間に、ただいまお話がございましたような、何か特殊な因縁で正しい貸し付けのしかたが行なわれないということは起こり得ないと思います。
  186. 田代富士男

    田代富士男君 時間がありませんから、この問題については多くは語りませんけれども、特殊な事情にありますから、そういうことのないようにこれも要望しておきます。  以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
  187. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認めます。  本案の審査はただいまのところはこの程度とし、これより請願の審査を行ないます。  第九十三号、陸運事務所定員の増員に関する請願外七件の請願を議題といたします。  まず、専門員から請願の趣旨について説明を聴取いたします。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  189. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。  請願第九三号、第二〇七三号、第三四四三号及び第三六三二号の四件の請願は、いずれも願意おおむね妥当と認め、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  192. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 継続調査要求についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 天坊裕彦

    ○婆員長(天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  195. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長・理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出すべき委員派遣承認要求書の作成等も、便宜これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後六時十九分休憩      —————・—————    午後九時二十九分開会
  199. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  委員の異動について報告いたします。  本日、井野碩哉君委員を辞任され、その補欠として高橋文五郎君が選任されました。     —————————————
  200. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 外貿埠頭公団法案について、休憩前に質疑は終局しておりますので、これより直ちに討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  201. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は、日本社会党を代表しまして、本案に反対いたします。  反対の第一番の理由は、まず、公団方式であります。この方式は、いま内外非常に問題になっておる方式でありまして、この方式でなければできぬという、こういう根拠はないのでありまして、これは特別法案をつくって、そうして公団方式と同じように、いわゆる資金の面あるいは専用埠頭の面、こういうことを港湾管理者にできるように、立法府とすれば十分にこれはできるのであります。したがって、この公団方式というものは、賛成することができません。  第二の理由といたしましては、この海上コンテナ輸送というのは、いわゆる画期的な、言うならば海上輸送の革命とも言うべき重大な問題でありまするが、今日のずっと政府答弁を聞いておりまするというと、準備がきわめて不十分である、しかも、海上輸送に対するコンテナ輸送並びにその他の輸送方式に対する将来の展望についても、きわめて不十分であります。本来こういうものは、あらゆる問題を想定をして、それに対する対策を綿密に、周到に検討した上に立って計画を実施すべきものでありまするけれども、現段階におきましては、政府のこれに対する展望なり、あるいは自信なり確信なりというものが、ほとんど見られないという状態であるということを私ども認めまして、この点についても賛成することができないのであります。  その次には、これは各国共通の問題であろうかと思っておりますけれども、労働不安の問題であります。これはきょうも局長が報告されましたように、アメリカはじめ各国ともこの労働問題に対しましては、それぞれ応分の手当てをしておりますけれども、日本の国におきましては、今度の措置によって生ずべき労働不安に対して、何ら措置をしていない、こういうところにこの法案のきわめて重大な問題がひそんでおるのであります。同時に、中小企業、港運業者に対しましても同じ不安があるのでありまして、いわゆる近代化のために国民が、あるいはある部分が、こういう犠牲をこうむっていくことに対しまして、ほとんど対策を講じていないということは、これまた重大な問題でありまして、こういう点につきましても、賛成しがたい面があるわけであります。  その次には、再建途上にあるわが海運業界の現状でありまするが、この点につきましても、昨日も参考人が申しましたように、本年はとりあえず法案を通すために二十億円を出すが、来年からこれは責任を持てないという意思表示に端的に表現されておりますように、再建途上にある海運業界にとっても、非常に不安な点があるわけでありま、すけれども、こういう点につきましても、政府としては確たる対策というものが見られません。したがって、こういう点につきましても、私はどうも疑問を持っておりますので、賛成することができませんし、同時に、地方公共団体につきましても、この負担がはたして地方自治体として楽々といけるものかどうか、これまた非常に問題であろうと思っております。要は、昨年アメリカのいろいろの事情によって、にわかに持ち上がってまいりましたこの海上コンテナ輸送に対しまして、日本の海運界並びに政府が振り回されておるというような状態になっておりますし、さらにまた外国の海運会社が日本に進出してくるというこの事態につきましても、将来どうなるか、これも非常に不安とするところであり、さらにまた、午前中申し上げましたように、このアメリカのコンテナ輸送というものが、アメリカのベトナムに対する軍事輸送の合理化から起こった問題である、こういうところに思い当たりますというと、アメリカの情勢の変化によって、どういう日本の海運界に影響を及ぼすか、これに対しましても、政府といたしまして、確たる見通しがないようであります。その他、要するにこの海上コンテナ輸送の実施が、九月から実施をされまするが、準備不十分のままという、こういう事実をわれわれはこの審議を通じて認識したわけであります。さらに、この海上輸送に対しまして、商取引慣習なり、背後の状態なり、日本国内の関係する各業界なり、そういうものに対する影響につきましても、確たる政策がない、こういうことを私はこの質疑によって読み取ることができたのであります。  したがって、以上の数点をもちまして、この法案に対しましては、遺憾ながら反対せざるを得ません。  討論を終わります。
  202. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 私は、自由民主党を代表して、外貿埠頭公団法案に賛成するものであります。  本法案は、最近の外貿定期船貨物量の増大及び国際海上貨物輸送のコンテナ化の進展に対処して、東京湾及び大阪湾地区における外貿埠頭の整備を推進するとともに、整備された埠頭の効率的使用を確保し、もって外国貿易の増進に寄与するため、外貿埠頭公団を設立しようとするものでありまして、現下の国際海運の情勢からいたしまして、きわめて適切な措置と思われるのであります。しかしながら、本法の施行に際しましては、幾多の問題が残されており、次の諸点を要望するものであります。  その一点は、再建整備中の海運会社からの借り入れ金調達については、将来の大幅な財政資金の確保または債券の引き受け等に特段の配慮を払うべきである。  その二点は、コンテナの海陸一貫輸送体制を整備するため、その諸施策を完全に実施するよう配慮すること。  その三点は、公団の業務運営にあたっては、中小港湾運送事業者の健全な育成を考慮するとともに、港湾管理者との調整をはかり、民主的、効率的な運営につとめること。  以上三点を要望いたしまして、賛成するものであります。
  203. 春日正一

    春日正一君 私は、日本共産党を代表して、外貿埠頭公団法案に反対するものであります。  第一に、海上物資輸送のコンテナ化をされるその当初から貿易・為替、資本取引の自由化を背景としたアメリカの日本海運に対する強い要請によって始められたものであります。したがって、本公団の設立は、この要請を全面的に受け入れ、最近急速にその体制を固めつつある日本と北米、欧州、豪州各航路のコンテナ化に対し、国家独占資本主義の機能を最大限に動員しようとするものであります。  第二に、海上輸送のコンテナ化は、日本郵船とアメリカ海運独占資本、またその会社との従属的な業務提携、またその他関連産業におけるアメリカ資本の進出などにも見られるように、ひとり海運のみならず、運輸、流通部門に至るまで、アメリカ独占資本の直接投資を含む対日進出と、日本経済の対米従属を一そう促進させる重要な契機をなすものであります。また、これらの状況のもとで政府、自民党と独占資本は昨年、中核の六社の二グループ化を形成し、このグループを頂点とする日本海運業界の急激な集約、再編を進行させ、なお一そうの独占支配体制確立を急いでいるのであります。同時に、港湾運送や倉庫、陸上運輸事業等における大企業への系列、従属化、合理化、スクラップ化、さらには海員及び港湾運送労働者、関連産業労働者に対する大量首切りなど、全面的かつ過酷な合理化攻撃も必至のものとなっています。  第三に、政府がいかに苦しい弁明をしようとも、本法案は、従来の港湾管理者による港湾の建設、管理、平等貸し付けなど、港の自治権とその公共性を根本から踏みにじるものであります。それは何よりも総事業費一千百十四億円を投じて東京、横浜、大阪神戸の四港に建設されようとしているコンテナと、一般外貿の定期船埠頭が実質的に港湾管理者の管理権の及ばない米日海運独占資本の専用埠頭とされることを見れば明白であります。これは港湾の自治、公共性への重大な侵害であるばかりでなく、自治体負担軽減を口実に、政府みずから港湾の企業的経営を公言することによって、これら重要港湾をアメリカと日本独占資本の専用地としてその支配下に置とうとするものであります。  第四に、海上コンテナによる軍事物資の輸送が、アメリカのベトナム侵略にとって欠かせないものになっている現在、本公団によって建設されたこれらの埠頭が、あるいは安保条約による施設提供義務規定をたてに、公然と軍事利用され、日本のベトナム侵略基地化が一そう促進されるであろうことはあまりにも明白であり、現にこのことは、本委員会に参考人として出席した船主協会代表が考えられる一つのルートであると公述されたところでもあります。  以上わが党は、海上輸送のコンテナ化に伴い、これらの反労働者的、反人民的政策を遂行する上で中心役割りを果たす外貿埠頭公団の新設を絶対に認めることはできません。  最後に、私は、港湾管理者による港の自主的、一元的管理と民主的、平和的運営の厳守、また海運、港湾運送事業及び関連産業に働く労働者の生活と権利の十分なる保障を強く要求して討論を終わります。
  204. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  外貿埠頭公団法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  206. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  207. 小酒井義男

    小酒井義男君 外貿埠頭公団法案は、ただいま多数の賛成によって議決されたのでありますが、この法案が審議される過程において質問されました内容や参考人の公述を通じて、将来施行されるにあたり政府の注意を促したい点がありますので、自民、社会、公明、民社四党共同の附帯決議案を提出いたします。    外貿埠頭公団法案に対する附帯決議案  政府は、この法律施行にあたって、つぎの事項について努力すべきである。  一、公団が設けられることにより、いやしくも港湾労働者の雇傭の安定がそこなわれることのないよう特段の配慮をすること。  二、公団の運営にあたっては、中小港湾運送事業者の実状を考慮してその育成について万全の措置を行なうこと。  三、公団の運営にあたっては、港湾管理者との調整に遺憾なきを期するとともに、民主的、効率的な運営に努めること。  右決議する。  以上であります。
  208. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいま小酒井君から提出されました付帯決議案を議題として採決いたします。  小酒井君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  209. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 全会一致と認めます。よって、小酒井君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、運輸大臣から発言を求められておりますのでこの際これを許します。大橋運輸大臣
  210. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、政府当局といたしましては、その趣旨を尊重し、十分決議の趣旨の実現に努力いたします。
  211. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時四十七分散会