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1967-07-20 第55回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 岡  三郎君                 小酒井義男君     委 員                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 河野 謙三君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 中村 順造君                 吉田忠三郎君                 田代富士男君                 中村 正雄君    国務大臣        運 輸 大 臣  大橋 武夫君    政府委員        行政管理庁行政        管理局長     大国  彰君        運輸省海運局長  堀  武夫君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省海運局次        長        高林 康一君    参考人        東京港湾局長  玉井 正元君        日本運協会会        長        小川 乕三君        日本港湾労働組        合連合会執行委        員長       古賀  勲君        日本船主協会副        会長       米田冨士雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政に関する件) ○外貿埠頭公団法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査議題といたします。  自動車行政に関する件について調査を行ないます。  運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大橋運輸大臣
  3. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 大阪タクシー冷房料金につきましては、実施当初からかなりの混乱を生じたために、物議をかもしてまいりました。いろいろ調整に努力はいたしましたが、この際、世論の動向に照し、タクシー利用関係改善をはかるために、次の措置をとることといたしました。  一、冷房料金は八月一日から九月十五日まで、   乗客の明らかな事前の要求により冷房使用   した場合に限り収受するよう改善させます。  二、右の措置に対応して、業界が十分な準備の   体制を七月一ぱいに整えるよう指導いたしま   す。  なお、今回の認可に際しまして、利用者の心理の機微について必要な洞察を欠いていた点がありましたので、この点は深く反省いたしておるわけであります。新制度の運用につきましては、運転者使用を好まない乗客に対して冷房の押し売りをするとか、乗客の不評を買うことがないよう厳重に措置したいと考えます。  さらに、従来とかくサービス面について論議を呼んでおりましたタクシー業につきましては、監督上一段と改善に留意し、もって国民の期待にそう覚悟でございます。
  4. 岡三郎

    岡三郎君 ただいま、過般より本委員会において問題となっていた冷房料金の問題について、運輸大臣よりその措置が言明されたわけでありまするが、もちろん内容についてはまことに不満であります。しかし、行政当局として委員会のいろんな各論議に対してここに決断されたことについては、一応これに委員会として敬意を表します。ただ問題は、いま大臣が言われたように、今後の運用に問題がかかってくるというように考えます。したがって、いま言明されたとおりに、業界に対して十分な指導をするとともに、そのことが運転手に徹底して乗客との間にトラブルが起こらないように、ひとつ早急に措置をとってもらいたい。  それから第二点は、本委員会としても、八月一日から選択制に入るわけですから、適当な時期に本委員会として委員会調査あるいは独立の行為として大阪冷房料金をめぐる運用について適当な時期に調査をするということを含めて、了承したいというふうに考えております。
  5. 大倉精一

    大倉精一君 私からも一言この際発言したいと思うのですけれども、この措置については、私は全面的に了承というわけにはまいりませんが、ただし免許行政のこの部門に対する軽率の措置に対して反省せられたということでありますから、さらにまたこれによって生ずる混乱に対しては万全の措置をとる、こういう報告でありまするので、一応私はこの報告に基づいて運輸当局として、大阪市民世論もあることでありまするから、今後とも行政措置並びに指導に遺憾のないようにされることを期待し、非常に注意深く今後の情勢等を見守っていきたい、かように思います。
  6. 岡三郎

    岡三郎君 委員長、後段に言ったことについて……。
  7. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいま岡君の御提案にかかる大阪タクシー事情調査については、ひとつ後刻、理事会で打ち合わせをしてきめたいと、こう思います。  本件に関する調査は、本日はこの程度といたします。  ちょっと速記やめて。   〔速記中止
  8. 天坊裕彦

  9. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 外貿埠頭公団法案議題といたします。  本日は、本法律案につきまして四名の参考人方々から御意見を伺います。  参考人皆さんに、一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、本委員会のため御出席くださいまして、ありがとうございました。特に、たいへん長い間お待たせいたしまして恐縮でございました。厚くお礼を申し上げます。  それでは、これから参考人方々に、順次御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上、お一人大体十五分程度でお述べを願い、参考人方々の御意見開陳が全部終わりました後、委員の質疑を行なうことといたしますので、御了承願いたいと思います。  ちょっと速記やめて。   〔速記中止
  10. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記つけて。  それでは、まず東京都の港湾局長玉井正参考人の御意見をお述べ願います。
  11. 玉井正元

    参考人玉井正元君) 私、東京都の港湾局長をいたしております玉井正元でございます。外貿埠頭公団法案の御審議に際しまして、港湾管理者立場からの意見表明機会をお与えいただきましたことを、ありがたくお礼申し上げます。  東京湾におきます外貿定期船貨物現状を見ますと、業務統計によりますと、一応九百十万トンでございますが、外国貿易の伸展に伴いまして、これが昭和五十年には二千五百十万トンくらいになるのではないか、大体、現在の約三倍に達するものと予想をいたしているわけでございます。この貨物は現在ほとんどが横浜港で処理をされておりますが、増大してまいります貨物量に対処いたしまして、東京港においても当然この一部を処理する必要があろう、現状でも大体一五%ないし一七%程度は、すでに東京港において処理をいたしておりますが、昭和五十年には、この取り扱い量が、東京港においても一千万トン近くのものになろうと推定されているわけでございます。したがって、東京港におきましても、昭和五十年を目標にいたしまして、これらの貨物処理に対処いたすために、外貿埠頭の大幅な建設喫緊の要務とされているわけであります。  一方、皆さん案内のとおり、ようやく本格的なコンテナ化の時代を迎えまして、この影響が当然他にも及んでまいりまして、すでに御案内と思いますが、本年九月には、マトソンの初のコンテナ船東京品川埠頭に着岸をするというような状況でございまして、外貿定期航路におけるコンテナ専用船の大幅な就航が、時の経過とともに増大をしてまいることは必至の状況でございます。したがって、これらの専用船を受け入れるコンテナのための専用埠頭も絶対に必要であろう、こういうことでございます。  これらの状況を勘案いたしまして、すでに東京港におきましては、一般外貿埠頭として二十六バース、それからコンテナ専用埠頭として八バース建設を見込んでいるようなわけでございます。  これらの埠頭現行港湾法運用という面から、一部国庫補助方式建設をするということになりますと、東京港の場合で、昭和五十年までに百億円の国庫補助をちょうだいをいたすものといたしましても、なおかつ四百四十三億円の東京都費の必要があるわけでございます。現在の市街地再開発、東京都の公共事業施行促進という各般行政需要、特に公営住宅建設あるいは上下水道の整備拡充あるいはじんかい処理施設等建設あるいは道路の整備中小河川改修等各般の当面喫緊行財政需要から見ますと、現行港湾法中心といたします公共事業施行という面から見るだけであっても、現在の都財政状況では、必ずしもこの施設整備が八年間で五百四十三億円というものは、確実に裏づけができるという期待は非常にむずかしいのではないか、かように考えているわけでございます。これが財政上の一つ理由といたしまして、港湾法の特例の考え方として、今度の外貿埠頭公団法案も、財政的な面からしてやむを得ないのではないかと考えられる一つ理由になっているわけでございます。  次に、外貿埠頭公団法成立をいたしまして、実際に埠頭ができた場合の運営状況を考えてみますと、現在の港湾法は、これも御案内のとおり、非常に公共性の強いものでございまして、いわゆる専用使用ということが無理ではないかと思われるわけでございまして、したがって、現行埠頭方式では必ずしも埠頭の効率的な運営というものは期待ができない、かように考えるわけでございます。この点の行政的な措置を勘案いたしますと、先ほど申し述べました財政的の理由と相まちまして、埠頭建設運営につきまして、ただいま上程をされております埠頭公団方式導入いたしますと、低利、長期の財政投融資資金、あるいは民間資金導入によりまして、地方公共団体としての港湾管理者負担をしなければならない経費の軽減というものがはっきりと目途をされる、同時に埠頭運営にあたりましても、専用貸し方式により、効率的運営期待をできる、この二つのことによりまして将来の建設資金償却等も非常に可能になるのではないかと、かように考えるわけでございます。  以上の行政的な面、財政的な面を合わせまして、私どもとしては一応今回の公団方式中心といたします本法案についてはやむを得ないのではないか、かように考えておるわけでございます。しかしながら、港湾管理立場から見ますと、必ずしも公団方式が一〇〇%適切なものであろうかということは断言をするには、ちょっとはばかるような感じがいたすわけでございます。これも御案内と思いますが、そもそも港湾なるものは、港湾法の精神にありますとおりに、すべての施設港湾管理者一体として管理運営すべきものであるというものが基本であろうかと思います。これらに対しまして、公団港湾管理者の行なう業務のうち、外貿定期船埠頭運営管理をする機関であるということでございます。したがって、この面を見ますと、港湾管理者管理機能と申しますか、管理権の侵害をするおそれが必ずしもないとは言い切れないのではないか。したがって、公団成立のあかつきには、その運営にあたって、港湾管理者管理権を侵害することのないように港湾管理者管理権との調整を十二分に具体化をすることが絶対に必要であろうかと思います。これらの観点から法案を拝見いたしますと、公団業務実施あるいは岸壁貸し付け等について公団事前に常に港湾管理者に協議をしなければならないということが明文をされております。こういうように多くの配慮法案の中に払われております。したがって、これらの配慮に対して私どもは、公団業務は、港湾管理者の総括的な管理行政のもとに、国と公団港湾管理者とが一体となって港湾の効率的な運営期待をしておる、かように理解をしておるようなわけであります。したがって公団成立することも、現行においてはやむを得ないのではないだろうか、かように考えるわけでございます。  最後に、そこで公団管理委員会構成あるいは理事機関構成等人事についてぜひ一言申し上げておきたいと思います。  御案内のように、公団管理委員会構成メンバーは、地方公共団体の推薦する者一人それぞれ必ず入れなければならないということが法案に明記してございます。また、先般の衆議院におきます運輸大臣の御説明の記録の一部を拝見をいたしますと、執行機関理事選任等についても三つ条件を明示されておられますけれども、私ども立場で見ますと、公団意思決定機関である管理委員並びに執行機関でございます理事等につきまして、事業計画あるいは資金計画等のこういう議決に携わる委員その他につきましても、ぜひ港湾管理者の推薦する者をできるだけ多く任命をされるという形で、ぜひ公団運営にあたりましては先ほど私が申し述べました国と公団港湾管理者一体となって円滑な効率的な運営期待をするということで、ぜひ人事運営についてはこういうような配慮が具体的に今後行なわれることを切に期待をいたしておるわけでございます。  以上をもちまして、私のはなはだ簡略な発言ではございますが、要点を三つにしぼりまして意見表明をいたした次第でございます。  どうぞ一日も早く本法案成立いたしますことを念願をいたしまして、私の公述を終わります。ありがとうございました。
  12. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ありがとうございました。  次に、日本運協会会長小川乕三参考人にお願いをいたします。
  13. 小川乕三

    参考人小川乕三君) 私、小川でございます。  私は、社団法人日本港運協会会長としての公職を預からせていただいていますとともに、事業といたしましては小川運輸株式会社経営して、東京周辺すなわち東京横浜、千葉その他の港湾において港湾運送事業を行なっているものでございます。  最近の日本現状は、労務者の絶対的不足傾向にございまして、わが国経済成長が急速に推し進められる中にあって、今後ますますこの傾向は激しくなるであろうことは何人も否定できない事実でございます。現在、各産業があげて労務者確保に頭を悩ましている状態は、皆さまのよく御存じのことですが、わが港湾運送業においては、作業環境が他産業に比較して好ましからざる状態に置かれている等の理由から、特別に労務者不足傾向がはなはだしく、労務者確保については各事業者とも非常に困難を来たしているのが現状でございます。たとえば阪神地区における万博、新幹線の拡張、また京浜地区におきましては空港建設製鉄工場建設工事等々、大量の労務者の投入が必要とされる事業が次々と計画実施されておりまして、これが港湾における労務確保に大きな圧迫を加えていることは申すまでもございません。  右のような情勢の中で、現在行なわれている港湾運送作業実態説明いたしますと、埠頭が絶対的に不足していることから、荷役場所が多くの揚げ場に分散し、これらの小さな岸壁において各事業者が小規模な作業を行なっているのが現状でございます。したがって、このような状態で、荷役場所が非常に広範囲に分散されている関係上、それぞれの場所に分散して労務者を各所に配置せざるを得ないのでございます。このような非能率方法がとられているため、荷役作業が午前中に終わった場合でも、他の作業場労務者を配置転換させることが現実的には不可能という場合が多いのでございます。一方から言えば、労務者には働く意欲があっても働けないという結果を生じまして、港湾労務者不足傾向にますます拍車をかけているような状態となっています。  右のごとく、荷役場所が分散しているために生ずる労務の損失は、労務者個々生産性を低下せしめるとともに、事業経営上においても採算を度外視した作業を行なわざるを得ないという結果となり、企業財政圧迫という状態となっておりますと同時に、労務者個々収人の面から見ても、働く意欲があっても働けないということは、当然に収入の低下を来たす結果となり、生活困窮問題は大きな社会問題にまで発展するのじゃないかと思います。  外貿埠頭公団ができて外貿埠頭の完成を見れば、右に述べたような作業場が分散されることもなくなり、いわゆる作業場が集約されるということになり、労務の配置上作業ロスが非常に少なくなり、同時に労務者個々生産性が大幅に向上するとともに、その収入も安定するわけでございます。また企業の側においても作業上のロスが実質的に排除されることによって大きな利益を生むわけでございます。  以上、説明いたしましたのは、主として岸壁荷役すなわち接岸荷役の場合についてでありますが、船舶荷役にはそれ以外に沖取り荷役、すなわち船を岸壁に接岸せず沖に停泊させて、はしけを使って貨物の積みおろしをする荷役方法がございます。りっぱな岸壁整備されておれば、一部の特殊な事情、たとえば河川の多い港湾、あるいは特定条件のために沖取り荷役を行なうことが有利なこともありましょうが、一般的に船舶荷役本来の姿としては、接岸荷役がオーソドックスなものであると皆さんも認めることと思います。ところが手元の統計によりますと、昭和三十一年には、接岸荷役沖取り荷役比率は五六対四四でございました。この統計は五大港のを用いますことをお断わりしておきます。それが昭和四十年には七一対二九と相なっておりまして、埠頭岸壁施設がだいぶ整備されたことは喜ばしい限りでございますが、まだまだ沖取り荷役の存在は相当な比率を示していると言えます。埠頭岸壁整備して、少しでも能率の悪い沖取り荷役を少なくしたいものと痛感をいたす次第でございます。港湾取り扱い貨物量の増勢を見ますと、昭和三十一年度を一〇〇といたしますと、昭和四十年度は三二一でございまして、貨物を取り扱う岸壁は一八〇の伸びしかございません。現在でも不足をかこっている埠頭岸壁施設が、いよいよますます必要だということはおわかりだと存じます。冒頭から詳細に申し上げたごとく、港湾労働力逼迫は常識であり、港湾労務者になる者はいないとさえ極言されているのでございます。私ども港湾運送業者に課せられた使命は、少しでも早く荷役作業を終了して本船を速発させることであります。このためには、右に述べたような労働事情をあえて無視し、採算を度外視して労働者をかき集めて本船の速発に奉仕しているのが現状であります。その結果は、労働力生産性が低下するとともに、事業経営はますます逼迫を告げつつあるのであります。御承知のごとく私ども料金認可制となっておりまして、かってに上げ下げできるものではありません。したがって、この経営の窮迫を何らか切り開く道を発見しなければ、企業は倒産し、本船はストップすることになりましょう。ただいま国会で御審議中の外貿埠頭公団法成立外貿埠頭が計画的に陸続と整備されて、ここに計画的、合理的な接岸荷役が行なわれることになりますと、実にはかり知れない国家的利益があると存じます。  まず第一に、ますます窮迫する港湾労働力を最も有効に最も合理的に利用できることであります。荷役作業が計画化されるようになると、労働力をむだに使い、労務者に迷惑をかけていた点は改善され、ひいては労働生産力も向上することは当然であります。失われていく港湾労働者港湾につなぎとめて、貿易の振興に、海運の発展のため、その一翼をになわせるには、労働者に働きよい環境条件が大切であります。この意味において、近代的外貿埠頭が一日も早く完成されることを切望するものであります。数年前に起こった未曽有の船込み、すなわち滞船現象は、まだ皆さんの記憶にあると存じます。その折に叫ばれた、一日も早く接岸バースを完成してもらいたいという内外の声を思い出してみたいと存じます。  次に、このような画期的な施設整備をするには、だれが適当であるかということを考えますと、すでに過去の例も示すごとく、港湾管理者がこれを担当するには、あまりにも事業的にも、財政的にも荷が重過ぎて、従来の公共事業方式による建設整備はその限界にきていると思います。それとともにこれらの埠頭が最も効率的に運営をされるためには、埠頭専用使用が望ましく、この意味においても従来の公共事業方式による建設整備では無理と言えましょう。したがって、新たな外貿埠頭公団を設置して、この種の事業を行なわせることは、適切な方策と信じます。ただ、新設のこの公団役所式なものではなく、能率的に運営をされることを希望いたしますとともに、港湾法第十三条第一項にございます、「港務局は、港湾運送業倉庫業その他輸送及び保管に関連する私企業の公正な活動を妨げ、その活動に干渉し、又はこれらの者と競争して事業を営んではならない。」ということが明記してございます。第二項に、「港務局は、何人に対しても施設利用その他港湾管理運営に関し、不平等な取扱をしてはならない。」と述べられており、私企業への不関与ということを厳守して、いやしくも民業を圧迫されることのないように切望して、私の賛成意見を終わらしていただきます。
  14. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ありがとうございました。  次に、日本湾労働組合連合会中央執行委員長古賀勲参考人にお願いいたします。
  15. 古賀勲

    参考人古賀勲君) 外貿埠頭公団法案の御審議に際しまして、労働者側の代表として意見を述べる機会を与えていただきましたことを心から感謝申し上げます。  私は、日本港湾労働組合連合会略称日港労連と申しますが、それを代表いたしまして、外貿埠頭公団法案に反対する立場から意見を申し述べます。  国際海運界が急速にコンテナ船導入計画を進めてきており、わが国としても、これに対処していかなければ、国際競争に立ちおくれてしまうということになってしまう。コンテナ船の建造、コンテナ埠頭整備と、年々増加していく外貿定期船貨物量の増加を見越した埠頭増設整備を早急に行ない、しかも接岸荷役を主とする効率的な埠頭利用をはかっていくことに対しては、私たちとしても何ら異論をさしはさむものではありません。むしろ危険な筋肉超重労働が、安全な、しかも近代的な労働環境のもとで、近代的な労働条件が保障せられるものであるならば、あえて反対するものではありません。しかしながら、本法案は、埠頭公団を設置して、埠頭建設をし、有償で特定の者に専用貸しを行なうことにされております。これがそのまま行なわれることは、長年港湾公共性特殊性に泣かされながら、わが国の今日の経済成長に陰の力となってきた港湾労働者が、港から締め出されてしまうことになって、しかもいろいろの犠牲が押しつけられてくる。したがって、港湾労働者としては、強く本法案の可決には反対せざるを得ません。私は、本法案に対しての反対理由及び納得しかねるおもな点を申し述べます。  まず第一に、政府公団等政府の外郭団体的なものはなるべくつくらないという方針であるように存じています。コンテナ外貿埠頭整備のためには、公団を設置する以外にその方法がないとせられているように受け取れます。これは埠頭整備のためには膨大な経費を必要とするので、従来の公共投資ではまかない切れない、国や地方公共団体負担を経減するための措置をとる必要がある、こういうふうに言われております。一応その点だけを見るならば、なるほどという感じがいたします。したがって、理解できるようでありますけれども、それならば、従来港湾緊急整備計画に基づいて、港湾公共性を強調して、公共投資を行なって、地方公共団体に対して苦しい財政負担をさせてきている。そうして今日急速に国際的な変化に対処していくため、港湾法の特例として、公共の利用方式をとってきたものを、特定の者の利便に供するために、公団を設置して、公団方式導入しようとするところに、大きな矛盾を感ぜざるを得ないわけでございます。したがって、港湾公共性とは一体何であろうかということを疑わざるを得ません。この点につきましては、先ほど東京都の港湾局長も、港湾法の問題に対して、その基本的な精神をお述べになっておられることを見ましても、私の申し上げることが間違いないんではないかというように考える次第でございます。港湾運営管理の総合的な改革の必要について、しかも広域港湾行政の立場からも、ポートオーソリティを設けるべきであるというような意見が高まっている今日において、この体制改革を政府権力の保護によって基本構想も準備も整わない状態にあっててこ入れをされることは、必らず犠牲者を生ずると見なければならないと思います。このことは、流通機構の一大改革であるコスト低減をはかるという合理化が目的であって、私どもから言わしてもらうならば、合理化はいかに利潤を搾取するかということでありまして、しかも国民として、コンテナのメリットによって一体物価が幾ら安くなるのかというように眺めて見ることしか知らない、理解に乏しいせいもございましょうけれども、納得することはできないのでございます。したがって、現行港湾法を軽視すると同時に、特定の船社にのみ恩恵を与えるがごとき公団を設置して専用貸し付けを行なわれることに対しては反対でございます。  第二に、公団埠頭の維持管理を行ない、専用貸し付けの権限を持つことは、港湾支配の中央集権化でありまして、港湾管理者の権限を侵すとともに、港湾管理の多元化となるものでございます。この点につきましても、東京都の港湾局長のお話にもございましたように、お察しいただけるものと存じます。しかも港湾局、港湾管理者並びに公団との利害が対立する場合、港湾管理者の意向が必らず反映されるというようには受け取れないわけでございます。  第三に、公団埠頭専用貸しするということは、その埠頭を借り受けた資本系列ごとに荷役事業者は統廃合せられていく、したがって、零細、中小企業は倒産をする。そこに働く労働者は犠牲となってしまう。このことは、船社が輸送社の一体化を求めており、資力、信用という点から見ても、一貫直営のできるような企業を選定するか、あるいはすでに新たな自己支配の合弁会社を設立しておりますが、こういうものを使用しようとしているということからいたしましても、明らかであるわけでございます。しかるに、これらの危険な要素を含んでおるにもかかわらず補償の裏づけというものは何らお考えになられていない。コンテナ化は急速に行なわれないんだ、一般貨物量も反面どんどん増大をしていくんだ、こういうように言われますけれども、船社中心の大手港運業者のみが生き残るという結果となるということは明らかでございまして、船社、荷主の支配下にある特定の倉庫資本が中心となってしまうということは明らかと思うのでございます。目下行なわれておりますところの港湾運送事業法の一部改正に伴いまして、集約化の行政指導方針の内容を見ますると、免許基準に達しない企業などは協業方式をとるというようにされているのでございます。しかし、小さいものだけが集まった協業体制で一体こういう大きな変化の中で生き残っていかれるかどうかということを眺めてみますと、当然そういう状態の中で生き残っていくということはできないわけでございます。そういう状態に、さらにこの公団法案が不安の追い打ちをかけるということになるのでございます。このことからみますと、日本港運協会として、先ほど意見を述べられまして、賛成であると言われましたけれども、同じ日本港運協会の中でも、大企業方々は賛成でございましょうが、その他の企業は全部反対をして不安におののいているのでございます。その上大企業も、裏面では、専用使用という系列の支配の中に加わろうとする競争が盛んに行なわれて、冷たい戦争というものはすでに労働組合を弾圧するという動きにすら発展してきているのでございます。  第四に、資本系列化及び本法案の第三十条「業務の範囲」の二にあるような倉庫その他の必要な施設の必要性等初め私企業圧迫をする、あるいは差別取り扱いの危険が多分に内包されておるわけです。この点については日本港運協会の小川参考人から述べた点をごらんになりましても、その危険な要素は多分に含まれているというふうに見なければならないのでございます。  第五に、専用船を持っていて外貿専用埠頭での荷役作業は、港湾運送事業法の適用除外となるおそれがある。数年前、埠頭公団法案というものが準備されまして、そうして、もう国会に出される、もう国会に出されるんだという状態があったわけでございます。その際に、これとあわせまして埠頭ターミナル事業法を制定をして、そうして現行港湾運送事業法の適用除外として行なうんだという構想が打ち出されていたわけでございます。このような経過から見ますならば、港湾運送事業法の特例的な措置をとるか、あるいは自家荷役という形に考えていくのか、そういうような変わった動きが濃厚に含まれているということでございます。  第六に、コンテナ埠頭におけるターミナルのコンテナ・ヤードあるいはフレート・ステーションは、港湾運送事業法のワク内ということで既存の港運業者に作業をやらせるたてまえをとるべきであるというように考えるわけでございますが、こういうコンテナ・ヤード、フレート・ステーションの作業は、すでに郵船あるいは三菱倉庫あるいは郵船と日通とのできあがった合弁会社の実態から見ましても、そこが行なってしまう、既存の港湾運送事業者にはやらせないという体制になってしまっているのでございます。したがって、こういうことのないように、既存の事業者はあくまでも既存の過去の実績を持ち得るような考え方をもっていただくべきだと、かように思うわけでございます。またコンテナ化される推定貨物量は、専門家の推計あるいは荷主との関係者同士の策定等からして、なるほどそのとおりの数量になっていくかわかりませんけれども、各コンテナ船運営してコンテナ化に乗り出そうとするところのそれぞれの船社は、営業上の秘密事項でありますから、したがって、自分のところの宣伝のために過大な評価をしておるというような向きもあるかと思うわけでございます。したがって、表面に出されておるその数字がはたして信頼でき得るものであるのか、あくまでも推計の域にとどまるものだという考え方を持たなければならないと思うわけであります。  以上、反対その他おもなる点を申し上げましたが、船主側は、海運界のためでなく日本経済のためだ、この法案が必要である。われわれは今日まで高度経済成長の中で港湾公共性あるいは特殊性などとかってな主張を押しつけられまして、港湾労働の重要性というものは一向に認められていないわけでございます。その上さらに日本経済のためとして犠牲を強いられてきているわけでございます。したがって、法によってこの裏付をすることは困難であるといたしましても、この補償を明確に与えてもらわなければ港湾に大きな混乱が起こることになると思うのでございます。公団設置は現行港湾法を軽視するものであって、港湾管理運営体制が現行港湾法を改めるべき時期に到達しているものであって、根本的な港湾管理運営体制の法的整備の上に立って、本法案の意図する実現化を検討すべきであると思うのでございます。そうでなければ、三十六年海運二法によってとおとい国民の血税を注ぎ込み、さらに再び利益配当の段階に至っている海運会社が、大きな赤字覚悟の経済活動利益のために、犠牲となるものを顧みず、膨大な血税を再び注入することに対しては、国民の一人としても反対せざるを得ないのでございます。  特に最後に、要望いたしたいことは海運貿易等の伸展に伴う港湾運送体制の近代化がはかられつつはございますけれども、本法案に基づいて港湾運送事業法の変化等も今後相当の混乱と、近代的な体制づくり、港湾労働力確保育成という面から深く広く取り上げていくべきだと思うのでございます。ただ労働問題であるから、労働省の所管であるということでなく、運輸行政上から十分この点を考えるべきであると思うのでございます。昨年運輸省設置法の一部改正が行なわれまして、現在運輸大臣の諮問機関であります港湾審議会に時限立法として、港湾運送部会が設けられましたのでございますが、来年で期限切れになってしまうわけでございますので、この部会を常置するように法改正をしていただくことが必要であると存じます。よろしく御審議を賜わりますことをお願い申し上げまして、私の口述を終わらしていただきます。
  16. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ありがとうございました。  次に、日本船主協会会長米田冨士雄参考人にお願いいたします。
  17. 米田冨士雄

    参考人米田冨士雄君) 本日、私は海運業者を代表して、この問題についてお話申し上げたいというふうに存じておりますが、なお、このコンテナ輸送が今日に至りますまでの経緯の中で、運輸省の海運造船合理化審議会におきまして、この問題を真剣に検討したのでありますが、その際、私はその任ではなかったのでありますけれどもコンテナ会長といたしまして、このコンテナ輸送を日本にどう取り入れるかということについて結論を出したわけでございます。そういうものを片方に置きながら、本日は海運業者としてこれをどうか、こういうふうに実は率直にひとつ申し上げまして、あるいは少しことばが過ぎるところがあるかもしれません、そこら辺はひとつ御了承をいただきたいと思います。それから時間の制限もございますので、あまり内容的には詳しく入り得ないと思いますが、それらにつきましては、あとで御質問をいただいた際にひとつお答えさしていただきたい、そういう心がまえで申し上げたいと思います。  外貿埠頭公団法は、海運業界から申しますと、いろいろ意見がございますことは率直に申し上げなくちゃならないと存じますが、しかし、そういういろいろの意見にもかかわらず、最近の世界の海運コンテナ化の趨勢、それから日本海運が外国のコンテナの進出に対応していきますこの緊迫した状態というふうなことからいたしまして、どうしても埠頭公団法はぜひこの議会において成立さしていただきたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。  そういう前提に立ちまして、少し内容に触れさしていただきますと、公団法の中で一つコンテナ埠頭と、それから定期船埠頭という二つのものを公団建設することになっておりますが、まず第一に、コンテナ埠頭というところへ焦点を合わせまして申し上げたいと存じます。  世界の趨勢がどうなっているか、あるいはいま各国がこれとどう取り組みをしているかということにつきまして詳しく申し上げることは省略さしていただきまして、このいただきました参議院の事務局のほうの資料等を拝見しますと、十分にその点を述べられておりまして、全くそのとおりであるというふうに考えております。そこで、そういう大きな波の中で日本海運がこの問題とどういうふうに立ち向かうかということになるのでありますが、率直に申しまして、日本海運業界は全くこの面について無経験であります。無経験であるということは、理論的にはこうなるという一つの結論を持ちながら、片一方ではかなりの不安を持っているということは、これは否定できない。一方、海運界だけでなくて、生産業者、それから貿易業者その他の方面におきましても、やはりこのコンテナ輸送を利用する面においてもあまり経験を持っていないわけであります。したがいまして、日本経済全体といたしましてこの問題と取り組むということについては、経験を持っている向きがあまりない。しかも、そうでありながらなおコンテナ輸送というものをいまやらなくちゃならないというふうなことを海運業者をはじめとして貿易業者その他も同じ結論に達して、できるだけ早くやっていただきたいというふうに念願しているのであります。  そこで、その理由はあとで申し上げますが、ことに未経験であるコンテナを今後どうやってこれをうまく使っていくかということについて非常に苦慮している。それからもう一つ海運は、御承知のとおり再建整備計画のまっただ中でございます。したがいまして、このコンテナ輸送というものは、うまくいきませんと、せっかく集約その他によって再建整備計画が軌道に乗っているものがまたあと戻りをするという危険がやはり感ぜられるわけであります。そこで、その中でわれわれが特にそういうことを申し上げるということは、コンテナの輸送体制というのは非常に巨額な投資を必要とするわけであります。そこで、そういう投資をこの際思い切ってやって、そうしてそれが何とかうまくいかなかったならば、また元へ戻る。一ぱいや二はいの船をつくることが失敗したというものとは全然程度、質を異にする、そういう点でわれわれは非常に真剣な取り組みをやっているということであります。  それからもう一つコンテナ輸送が始まったからといって、すぐ利益があがるという予想はちょっとつきかねております。もちろんすべり出しはある程度の赤字は覚悟せざるを得ないのじゃないかというふうなことを考えております。しかし、それから先へ行けば非常に明るくなるというふうな見通しは持っております。そんならば、なぜそんなものに海運業者がむきになって取り組まなくちゃならないかという問題がございます。それにつきましては、やはり世界の一つの大勢で、これからああいうユニット輸送システムというものはどうしてもだんだんとこう進化、強化されていくという大勢の中へ火をつけたのは、やはりアメリカ海運会社が日本コンテナ船を持って進出してきたということでございます。これが先ほどのお話にありましたように、この九月ごろからそろそろ入ってまいります。これはアメリカでもってコンテナが非常に成功した船会社です。これがその経験とそれからその資力を持って入ってくる場合に、われわれはやはりこれに太刀打ちしていかないと、せっかく対米航路をあれだけ築き上げたということが台なしになるということでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、いろいろの問題はあるにしても、とにかく早急にひとつこれと取り組まざるを得ないということになってきたわけでございます。片一方は、荷主サイドから見ますと、やはりコンテナ輸送によっての輸送経費の節約ということには真剣に考えております。現在、こんなことを私が申しますと非常に大それたことになるかもしれませんが、いまの日本の経済界で資本の自由化以来、いわゆる日本製品の国際競争力をつけていく、輸出をふやしていくという面において輸送費のコストの引き下げということが、これが全般の大きな問題になると思います。私は輸出会議の総合部会とか、いろんなそういう他の産業との会議に参りまして、どの産業からも例外なしに、いわゆる輸出振興のためには輸送コストの引き下げということを考えてくれということを申しております。それと結びつけますと、やはり他の産業界も同じコンテナ輸送というものをもう至急に実現してもらいたいということになります。したがいまして、それによって日本貿易が振興していく、国際収支を改善していくほうへ持っていこうという意欲が非常に強く出てきているわけであります。私がこの問題と取り組みました合理化審議会の席でも、ひとりこれは海運界の問題だけでなくて、日本経済界の全体の問題として取り上げるべきであるということで、経済団体連合会その他に呼びかけて真剣にこれを検討してもらったのでございます。そういうふうなことからいたしまして、非常にこのコンテナ輸送というもの、がわれわれとしていますぐ取り組まなければならない当面の最も緊急な問題である。それならば、コンテナ輸送がそういう効果を発揮するということはどこから出てきているかということになるわけであります。それはもう簡単でありまして、一つコンテナというユニットシステムの箱を使うことによって、戸口から戸口への一貫輸送をしていくということ、その一貫輸送をしたものを船に積むときに非常に機械的に、機械力を極度に使いまして、場合によりますと電子計算機まで使うような場合も考えられるのですが、極度に使いまして、そして船の荷役の時間を極度に節約する。荷役の時間が節約されるということになりますと、船のスピードをよけいにし、船もいまより大型にするということが可能になります。現在タンカーなんかで十万トンの船ができておりますが、一般の定期船は一万トンちょっと以上はあまりできないのは、やはり港における停泊期間と航海している時間というものを合わせますと、どうしても経済性で船型、スピードに頭打ちになる、それが今度こういうことによって打破される。そうしますと、やはりそこで一つの経済性が非常に発揮されて輸送コストが下がる。一面、先ほどからいろいろお話がありましたように、港湾労働力というものは非常にいま逼迫している。これを今後緩和するという見通しがありません。やはりやり方としては、機械荷役によってできるだけ少ない数で港湾労働者生産性を上げるという方法以外にございません。それではさらに、先ほど心配されたように、港湾労働者に失業者その他が出てくるか、私はそういうことはないと思います。これからのコンテナ以外の定期船、この公団を見ましても五十ばかりバースができるわけであります。そういうところはやはりいまと同じような労働力の需要があるわけでありまして、やり方はございますが、私は港湾労働者の方に対してもそれほど心配しておりません。そういう形でできたのでありますが、それでは海運業者はこれとの取り組みをどうするかということになりますと、先ほどのような巨額な投資を必要とする、再建整備計画の途中であるという、この二つのことからいたしまして、やはりここで過当競争は絶対に避けなくちゃいけない。投資を巨額に集めるためには、やはり各会社だけにまかしておくわけにいかない、やはりグループ化によって企業もある程度集約運営していくということが必要なわけであります。これは日本だけじゃなくてイギリスも同じようなやり方をしております。そういう形でまいりまして、日本では二グループに分かれております。一つは郵船とマトソン社、その他は三井、川崎、山下、ジャパンラインというようなことで二つのグループでやっております、という形になるわけであります。これがそれぞれ一グループ四隻ずつ持ってウィークリー・サービス、一週に一回ずつ船が港に着く。着いたらすぐ——おそらく三日とか四日とかかかった荷役が二十時間もかからないで荷役ができて、そのまま出ていくという形になってくる。その形が日本のサイドだけじゃなくて、アメリカでも同じゃり方なんであります。そこでコンテナ輸送というものはある意味において国際的な一つの輸送というふうな、経営というふうな形が出てくるわけでございます。そういうふうなことでまいるわけでございます。  そうしますと、ここで非常に問題になるのは、私は、いままでは海運というものは船をつくってそれに荷物をよけい積んで、そうして運賃をよけいかせぐというだけが海運であった。このいわゆる一貫した輸送という形になりますと、海運経営というものは港の経営になる。港の経営をどういうふうにひとつしていくかということが大きなポイントのわけです。コンテナ船をつくってみたって港がそれに合うような経営ができなければやはり遊んでしまうわけであります。そこでまた、陸運との一貫輸送といいますか陸送でありますけれども、その陸送できたものが港に入って、港にきて船に結びつくというこの関係が非常にスピードが速く有機的に行なわれるということによって、初めてコンテナ輸送というものができるわけであります。  そこで私は、先ほどからのお話にいろいろございましたが、港湾管理者公団との関係、それは今度衆議院の附帯決議等を拝見しておりましてもわかるのでありますが、この両方の権限に矛盾がないようにしよう、これはよくわかります。しかし、そうじゃないのでありまして、港の経営運営精神というものをここで変えてもらわないと、コンテナ輸送というものは非常にむずかしいものがある。その運営精神というものは変わるということは、一貫した輸送、これがずっと流れる、船に直結していく。だから船に来たもの、おろしたものがずっと消費地まで流れていく、この形がぴったりいく、そういう形に港の運営がなってもらわないと、コンテナ輸送はできない。  そこで、そういうコンテナ輸送をやるということになりますと、港湾法のああいう考えではだめなんで、ここで公団というようなことで専用河岸というようなシステムが生まれてきたというふうに私はそういう点をみておるのであります。しかしながら公団運営そのものは、いままでの港湾管理者と同じような頭で、ただ監督するだけだという頭でやってもらっちゃ満足したものができないわけです。やはりそこに一つの、差しさわりはあるかもしれませんが、お役所的な考え方はある程度抜いてみる、能率よくいくためにはどうしたらいいかということをひとつ考えていただくということがコンテナ輸送の最も重要なポイントになるわけであります。それがうまくいくことによって海陸一貫輸送ができる、うまくいくことによってコンテナ船というものがほんとうに活用できるということになるかと思います。そういう意味で今度の公団法を拝見しておったのであります。私は先ほどから港湾管理者の意向が、公団のほうでこういうふうに反映していくとか、あるいはいろいろありましたが、そういう一つ管理者と公団側のそういう矛盾のない体制は必要でありますけれども、やはり運営は船と直結した運営がずっとうまくいっているかということがやはり問題点のポイントになりますから、そこで、私はいつもしつこく言うようなんですけれども、やはり利用者サイドの意向というものがその公団運営にどういうふうに反映していくだろうかということについては、重大な関心を持たなくてはならないという気持ちがしておるわけです。この管理委員会というものはまあそういう形になっていない。なっていなければなっていないでようございますが、それならそれでやっぱりそういうことが十分に運営できるような一つのものが、これはただ気持ちの上じゃなくて、組織的にないとやっぱり困るんじゃないかという気がいたしております。そういう点をひとつこの外貿埠頭公団法運営について十分にお考えいただきたい。  それからもう一つは、この公団法は、先ほどからもお話がありましたように、公共投資が非常に逼迫してきたと、したがって、公団をつくることによって財政資金その他を投入することによって港の設備をよくしていくという考えも片方にあるということでございます。私はやっぱり港湾の近代的な発展ということは、自然にそちらのほうへいくと思います。まあ日本のように公共投資でもって一本でやっているという国は私はあまり知らない。たとえばイギリスなんか見れば、完全な商業ベースでつくっていくというそれに近いものが出てきておる。したがって、その他のものも入れてやっていくということはよくわかりますが、しかし、日本の現在の段階でそういう傾向であるからといって、一足飛びにそこにいっていいかどうかということは、一つ問題がある。しかもその中でたとえば千百億要るということの中で、やはり四なら四割をこの利用者に持たせる。そうすると四百億幾ら持たせるということ、それを持つもののかりに大部分が海運業者だということになりますと、海運業者の立場といたしましては、一つは再建整備計画の中途にある。それからコンテナ輸送によって何年間でどのくらいの利益があがるというふうなものをまだはっきりとつかみ得ない状態にありますが、とにかくよくなるということだけは確かであり、日本の経済もこれの要請にこたえなくちゃならないということはたしかでありますが、それがどうなるかということをはっきり数字的にまだつかみ得ない形であります。片方でやはり最近の日本の経済の発展、輸出貿易の振興その他から見ましてかなり多量の船舶を建造しなくてはならないということがございます。まあ経済企画庁あたりでやっている計画を見ると、三年か四、五年の間に九百万トン以上の船をつくらなくちゃならない。そういう場合の資金の投入と、これに対する資金の投入と、この場合はこちらのほうは三十年間固定されるということになるようにちょっと推測されるのでありますが、そういうことでうまく、両方にこう手を出して、両方踏んまえてうまくいけるかということについては、非常に不安を感じております。しかもこの場合は、いわゆる太平洋航路というものを中心にしていますが、これがニューヨーク航路になり、欧州航路になり、豪州航路になる、これは時間の問題はありますが、当然そっちへいくということになった場合に、やはりこの埠頭整備というのはまた大げさにならざるを得ない。そういうことを考えて、やはりこの段階でそこまでをひとつ海運業者のほうで持つということについては、ちょっと自信を持てない。しかし、私はこの法律を何としても今年度にひとつつくっていただきたいというふうなことでございますので、まあ今年度の予算五十億、建設予算五十億のうちの政府が五億、港湾管理者が五億、財政資金等が二十億、それから利用者が二十億と、こういう一・一・四・四と、こういう一つ比率が出ておりますが、私はその比率を将来に延ばすというふうな考えでなくて、まあ二十億の金はこの法律をいま成立させるためにはどうしても必要であるということであるなら、何とかひとつ工面してみましょう。それを何とか工面してですね、法律をつくることだけはひとつやっていただく。そうして、来年その他によってもう一ぺんこれを改めることあったらひとつ改めていただきたいと、で、これできたらこれでずっといくんだと、こういうふうなお考えでなくて、法律を通すためにはやむを得ないというふうな考えの上に立ってひとつ二十億を何とかして、まあひとり海運業者だけでないかもしれません、ほかの港湾業者とか何とかあるかもしれません。まあそういう方と一緒になってひとつこれをつくることによって、まあ大部分海運業者が引き受けざるを得ないと思いますが、それをやってみましょう。しかもそれがやり方が縁故貸し付けということになっていることに、まあわれわれはほんとうに困ってしまう。貸し付けであるから担保にならないのです。われわれどうせそのとおり金でこっちやって三十年凍結するのだ。その三十年の間、この貸した金は担保になって、またそれで船をつくられるならまたそれもいいですが、どうもそういうふうにこの金が回ることが無理じゃないかということのようでありますので、そこで、いま言ったような貸し付けという制度を額そのものについて、もしできればひとつここで公団債とか、あるいは何とかという、債券という方法をひとつ考えていただくと、またそれによって金融機関との話もある程度楽になるかもしれないというふうに考えておるわけであります。しかし、それも今年度とは申しません。来年度以降においてやはりそういうようなことについてお考えをいただきたいということでございます。港湾管理者のほうの経費負担のためということ、公団によって経費負担のためということがございますが、まあわれわれのほうの試算でよくわかりませんけれども、そうやった場合に、公団が持つからやっぱり固定資産税がかかってまいります。そういうものとのバランスが、公団が出す金と固定資産税その他のものとのバランス、いわゆる港湾管理者が出すこれを一体どういうふうになるかというようなことについても、業者のそろばんではちょっと割り切れないものを感ずるわけであります。  そこで、いま申し上げましたことを、はなはだ取りとめがなくて恐縮でございますが、ひとつこれを結論的にまとめますと、今年度の二十億については、資金的には何とかひとつ努力する。もちろんこれはわれわれのほうだけでできないので、あるいは運輸省御当局のごあっせんをいただくような場合もできるかもしれませんけれども、とにかくやってみると、そうして、来年度からはやり方をひとつ変えていただいて、そうしてむしろ率直に言えば、財政資金をもっとふやすとか何とかという方法は考えられないか。そういうことによって民間の利用者負担を軽減するということはどうであろうかと、それから縁故貸し付けという方法は、やっぱり今年度はやむを得なかったとしても、来年度からは債券とか何とかという形でひとつやっていただくことはどうか。それから、先ほどから申し上げましたように、一貫輸送というものはやはり船との非常に密着した運営というものが必要になりますので、これは利用者の意向が十分反映できるような公団運営の組織というものを何とかお考えいただけないかというふうなことが私のまあ詰めて申し上げることであります。これによって埠頭使用料が約二億円、それ以上になると思います。たとえば貸し付けによって銀行から金を借りて、そうして公団に貸し付けるのですから、その金利ですね。いろいろなことの操作がまあ二億円になる。この二億円という金は外国船もやっぱり同じような形で取る。その点では平等だといいますけれども、外国の港でこのコンテナ埠頭使用料というものは必ずしもこのように高いものではない。そうしますと、これが輸送コンテナで入ってくる。そうすると外国の港の輸出というものは日本の港の輸出より楽になるということになってくるわけでありまして、やはり日本だけを考えてはちょっと狭い問題ではないかというようなことを一つ考えております。  それからあと定期船の埠頭、これは現在非常に定期船が港でもって麻痺している。最近の横浜の例、それから神戸の例、参議院のほうの事務局からいただいた資料その他でもわかりましたが、大体横浜で四十時間以上停船しております。神戸では二十時間以上、こういうものはやはりちょっと無理なんです。できるだけこういうものを整備して停船期間を少なくするというためにこれもぜひ必要だと思います。  はなはだ長い時間でございましたが、何か御質問でもございましたら……。
  18. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ありがとうございました。  以上で、参考人各位の御意見の御開陳を終わりました。  それではこれより参考人に対する質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 他の御質問もあろうと思いますので、一、二点だけ参考のために伺いたいと思います。  いま、米田さん、日本海運界はコンテナ輸送は無経験で非常に不安があるとおっしゃいましたが、われわれも埠頭公団法を審議するにあたって全く無経験どころか、さっぱりわけがわからぬ、見たこともないものを審議しなければならぬので非常に苦慮しております。そこで、私はしろうと並みに非常にふしぎに思うことは、どなたもこれは国家利益のために非常に重大である、しかも世界の趨勢上立ちおくれないように早くやらなければならぬ、こういうような御発言でありましたけれども、世界のコンテナ輸送というものは最近始まったのじゃなくて、もうすでにずっと始まっておったと思うのですね。しかも日本でもコンテナ輸送が必至の情勢であったとするならば、もっと早く万般の準備を整えておかなければならぬと思うのですね。コンテナ輸送に付随するいろいろな問題があると思います。それが昨年急にこの問題が持ち上がって、そうして、いうならばコンテナ輸送に振り回されておるというようなかっこうが日本に出て大騒ぎになっている。でありまするから、いまいろいろ御意見があった場合に、準備が不十分で不安であり、あるいは費用の負担も多い、あれもこれもいろいろな不自由があるが、やむを得ずやるのだ、こういうお話でございますが、やむを得ず準備不十分のままでやるということはこれは万般のしわ寄せが来るということは火を見るよりも明らかであります。  そこで、米田さんに一つお伺いしたいのですけれども、こういう事情がわかっておるならばなぜもっと早く準備をしておかなかったか。なぜ昨年になって急にこの問題が持ち上がったかという、そういう事情についてお話し願いたいということと。  もう一つは、いまベトナムの情勢で、アメリカのベトナム向けの軍需輸送が非常にたくさんある。毎日六ばいくらい船が行っているということを聞いておりますが、あるいは月に二百万トンの荷物が大部分が船で運ばれておるということを聞いておりますが、もしベトナムの情勢が変化して、あそこに平和が来るというようなことになった場合に、アメリカの海運界も非常に大きな変化があるだろうと思うのです。そういう場合に、コンテナ化された日本海運界にどんな影響が来るか、この二点について、参考のためにお伺いしたいと思います。
  20. 米田冨士雄

    参考人米田冨士雄君) いま考えられておりまするコンテナ輸送については、全然無経験である、ところが、日本の場合を見ますと、陸上輸送で鉄道、日通その他で小型のコンテナを使っております。それがある程度やはり海上輸送ではニューヨーク航路でコンテナ七トンくらい、コンテナを運んでおります。そういうふうなものがございますが、しかし、やはりニューヨーク航路あたりはコンテナ輸送が非常にいいのだろうというので、数は大体四千個からもう少しふえておるというふうに聞いております。これらは今度の場合のコンテナ輸送と比較してみますと、全然問題にならぬほどの小規模のものであります。そこで、そういうものがないということではないわけで、そういう面では経験が全然ないということではない。それから貿易業者のほうもコンテナ輸送にそういう小さいものには使っておるものも相当ありますが、コンテナ輸送を使うことの訓練はできておりません。そこら辺がまだ問題がある。  それからベトナムの問題で、ベトナムの往復をアメリカ船がやって、そうして日本へ来て、またやって行く、そういうことは考えられるひとつのルートだと思います。ですから、そういう面は、ないとは思いませんし、ある程度横浜あたりにある大きなコンテナなんか、あるいは軍のものを持っておるかもしれません。しかし、じゃベトナムがなくなったらどうかということでありますが、これは私ちょっと名前を失念いたしましたが、イギリスでもってコンテナ輸送を始めたために定期船輸送の会社が廃業をしたというニュースが入ってきました。やはり太刀打ちはできないというものが出てきております。  そこで、私たちは経験がないけれども、とにかく踏み切らなくちゃしようがないのじゃないか。いまほうっておいたら向こうの経験のあるものにみんな押しまくられてしまうということから踏み切ったというのがいまの状態、だと思います。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 もう一点だけお伺いしますが、きのうも、コンテナ輸送が始まった場合、在来船等への影響はどうなるかという質問があり、それぞれ答弁がありました。まあ、ある意見によりますというと、コンテナ化によってコンテナ船もつくらなければならぬ。それから雑貨ライナーの船もつくらなければならぬ、こういうことで、これがコンテナ化されていくというと、在来船のスクラップを考えなければならぬと、こういう意見もあるのですが、あるいはそういう船は南方へ回すのだということでありますけれども、はたして南方へ回すだけの余裕があるかと思うのですけれども、これもしろうとでわかりませんけれどもコンテナ輸送というのが軌道に乗った場合に、在来船等への影響はどうなんですか。
  22. 米田冨士雄

    参考人米田冨士雄君) 先ほどのお話で、なぜいま日本海運がこんなにあわてふためいてやったのかと、これは私の私見としてお聞きいただきたいと思います。  集約の効果が出てきた。もしこれが集約前の日本海運企業の力だったらこれだけの投資というものは、だれにもやれなかっただろう。ところが、集約によってある程度蓄積ができたといいますか、ある程度金融もつき、それが今度コンテナ輸送に踏み切るのを楽にしてきたというようなものがあるのじゃないか。これは一つの、数字的に説明しろといってもなかなかこれこじつけた数字になりますが、そういう面ではあるかというふうにちょっと考えられるのであります。  在来船は、これはコンテナといま取り組んでいるのが六社、私は六社がそれぞれ事情が違うと思います。六社が事情が違いまして、たとえば名前を言っちゃどうかと思いますが、郵船とかその他大きな会社はそれぞれ配船がえができて使うことができる。それから、比較的そうでない航路を、あまりたくさんほかに配船がえする航路を持ってないところは相当困るというふうなことがあると思います。しかし、やはりこれ、すぐスクラップするわけではないのでありますから、その間お互いに融通して使っていく、そのうちにだんだん老齢船が出てきますから、定期船から落ちていくというような形になってまいります。したがいまして、会社ごとに苦労する度合いは違うと思いますが、処理はできるというふうに一応考えております。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 まだたくさんお聞きしたいのですけれども、あとがありますので、玉井さんにお伺いするのですけれども、先ほど港湾管理権の問題でいろいろ御意見がございましたが、われわれこの点について非常に関心を持っておりまして、むしろいま公団についてはいろいろな弊害がありまするので、この際、臨時措置法というようなものをつくりまして、そして、いま公団のやるようなことが港湾管理者がやれるような法律をつくる。これによって金もできるようにしよう、専用貸しもできるようにしよう、あるいはまた港湾管理者としての管理権にも支障がない、こういうことをやったらどうか、こういうことで法律の要綱もつくってみましたが、そういうかっこうでは今度のこういうコンテナバースですね、こういう建設なり運営なりというものは不可能であるかどうか、これもひとつ参考のためにお聞かせ願いたいと思います。
  24. 玉井正元

    参考人玉井正元君) やはり港湾行政運営については多元制は絶対に排除しなければならぬという基本的な考えを持っております。したがいまして、私どもといたしましては現行港湾法の根本的の改正の具体的な方向等が明示をされておらぬ現状においては、やはり実定法秩序の中において私どもは最大の効率性を発揮をするということが、やはり国民経済的な配慮から見ても必要なのではないか、かように思います。今度の外貿埠頭公団法案の中に示されております協議というものを実質的に効果あらしめるような運用によって十分の成果が期待できるのではないか、結論的に申し上げますれば、あくまでやはり現行港湾法がそのままである以上は、港湾管理者の一元的の行政配慮の中にあって、これと一体となって運用していくことが必要でないか、かように考えております。
  25. 木村美智男

    木村美智男君 法案の中身についてはあとで十分これは審議の段階でお聞きをしたいと思っていますが、実はきのうですか開かれた日米太平洋定期航路運賃同盟、この例会で実は今度コンテナ輸送のいわば軸となっておったマトソン会社が、コンテナ輸送のルールを割り安にするといったような点で三つの提案をした。ところがこれが規定の三分の二の票に至らないために否決をされた、したがって、マトソンはこの同盟から脱退を通告をする、こういうことにきのうなったと聞いておるわけです。このことは日本郵船が少なくともマトソンと業務提携をし、これからそれぞれのグループをつくってやろうとしておるわけでありますから、私は相当これは大きな日本の今度のコンテナ投入による問題に重大な影響を持っておる、こういうふうに思っておるわけなんですが、まあ船主協会なり、あるいは港湾協会などでは、これが今度のコンテナ輸送にどういうふうな影響を持ってくるのだろうか、あるいは中身の問題にもこういう点でたいしてさしさわりはないのだというような見解でもあればそれを聞かしていただきたい。運輸省の関係は質疑の段階で明らかにしてみたいと思いますが、その点ひとつ。
  26. 米田冨士雄

    参考人米田冨士雄君) コンテナ輸送を審議する海運造船合理化審議会の場でのマトソンの扱いというのは非常に問題になりまして、前に何回となく検討したわけであります。そのときに、結局コンテナ輸送というものが航路同盟の秩序内で運営していこうという原則を海運造船合理化審議会は立てて、それを運輸大臣に答申したわけであります。そこで運輸省はそれを受けて、それから郵船とマトソンとの提携ということは、やはりマトソンを航路同盟のワク内にかかえ込んでいこうという考え方もあったのでございます。そこで、いまおっしゃるようなことで、マトソンが航路同盟から脱退すると、いままではマトソンもそれを承知してまいったのでありますが、航路同盟の会議というのはごく秘密になっておりまして、われわれにあまりわからないわけであります、この会議のことは。しかし、新聞等その他から聞いているところによりますと、東京を寄港地とすることが航路同盟に入っていない、そこで寄港地をそこまで広げるかどうかということが一つ問題になるわけでございます。その点で、片一方はどうしても東京湾のほうへ持ちたいといって、それからほかのほうもそうであろう——東京のほうですね。それがいまのところ話になって、それでこれは何も最終的な決裂という意味じゃなくて、やはり何カ月かに一ぺんぐらいは会合をやってはいろいろやっておりますが、まあいまはだめでございますけれども、この次には何とか解決するだろうというふうなことをわれわれとしては期待しております。マトソンが脱退したことが決定だということには考えておりません。もう一ぺん機会があるということを期待しております。
  27. 岡本悟

    ○岡本悟君 古賀さんにちょっとお尋ねしたいのですけれども、いま私の受け取り方が間違っておったら御指摘いただきたいと思うのですけれども、先ほど来お話を聞いておりますと、今度の外貿埠頭公団法案は、港湾運送労働者に対する配慮が足りないというふうなお話がございまして、手っとり早い言い方をしますと、港湾荷役というものが、非常に機械化されて、港湾労働者の、まあことばは悪いですけれども、お許しいただきたいと思うのですけれども、首切りにつながるんじゃないかというふうな御心配が根底にあるんじゃないか。そういう点から急激な港湾荷役の機械化には非常な不安を持って反対するというふうなお話のように承りました。また、外貿埠頭公団がつくる埠頭におきましての港湾運送事業というものは港湾運送事業法の特例的な扱いになるんじゃないかとか、あるいは、極端に言うと、自家荷役、こういうことに発展するんじゃないか。したがって、いままでの港湾運送事業者というものは排除されるんじゃないかというふうな心配もあるというふうな御指摘もあったのですが、前段の港湾労働者の首切りということにつきましては、先ほど米田さんからもお話がありましたけれども、私は、この港湾労働者確保はこれは目に見えて急激に減っていって、その確保には非常に苦労する。こういう時代はもうすぐくる、いま現にきている。これは小川さんも指摘されましたけれども。ですから、いかにして早く近代化し機械化して、この港湾労働者の需給の窮迫に対処するかということが非常に大事じゃないかと思うのです。ですから、根本的にお持ちになっている不安は私はないのじゃないか。むしろ小川さんが御指摘になったように、いままでの港湾運送労働者作業環境場所というものはあまりにも悪いのです。これはもう私が申し上げるまでもございません。ですから、もっとこういう専用埠頭あるいは埠頭整備して、そうして、ある程度整備された環境で、労働条件のいい状態において働き得るということを早く実現しないと、ますます確保に困難を来たすという心配があると思うのです。そこらあたりあまり思い過ごしをされているのじゃないか。たとえばコンテナにつきましても、運輸省が提出しました資料あたり見ますと、昭和五十年度におきましても全体の外貿の取り扱い数量の七・七%ですか、わずか。確かにコンテナの場合については、私は特殊の港湾運送事業体制がいると思うのです。であればこそマトソンと郵船グループが提携してやる場合において特殊の関係の会社をつくっておりますけれども、しかし、その他一般の外貿定期貨物につきましてはいままでの体制と違わないというふうに私は考えております。これは後ほど小川さんに聞いてみたいと思うのですけれども、そういう考え方を持っておりますので、私の申し上げたいことは、むしろこれによってより画期的に改善された作業環境が生まれる、首切りにはつながらないということなんですが、思い過ごしじゃないかということを私は申し上げたいのですが、いかがでしょう。
  28. 古賀勲

    参考人古賀勲君) ただ単に思い過ごしであるだけでございますならば、大きな声をはり上げまして諸先生方の前で申し上げることがないわけでございますが、現実の問題としまして、冒頭に申し上げましたように、労働者が犠牲にならない、しかも、現在の超筋肉重労働というものが近代的な労働環境の中で、そして新しい近代的な作業が行なわれるということに対しましては、非常に安全であるし、いい労働環境であるんですから、これを反対するわけじゃございません。したがって、そういう環境が生まれましても、近代的な労働条件というものが必要でございます。したがって、現在は非常に労働力不足しておるから、即首にはならぬじゃないか、こうおっしゃられますけれども企業一つの資本系列ごとに、しかも、一貫直営を行なう体制のところがおおむねやるという形に変わってまいりますと、中小企業、零細企業というものは運送事業の近代化というものが推し進められていて、さらに外貿埠頭公団法という追い打ちをかけられますから、小さいところは経営していくだけの能力というものはなくなってくるわけです。そういたしますと、その小さい企業に雇用されている労働者というものは、全体的から見ますれば労働力不足でございましょうけれども、雇用されている企業を失ってしまうということは現実の問題でございます。したがって、そのような形にならないように港湾の近代化についてはそういう保障をりっぱにやりましょうということがなければならないと思います。御承知かと思いますが、アメリカでは港湾運送事業者というものは、ほんのシップ・サーバント的な管理業務をやっているに過ぎない。したがって、労働者は労働組合を組織して、船主、荷主に直結という状態です。ですから、いろいろ埠頭の近代化が行なわれました際には、近代化基金という形で保障資金をとっておるわけです。そういった何らかのきちっとしたものが、かりに不当な首切りというような形にならなくとも、近代化の犠牲にならない何らかの保障というものがきちっとあるとするならば、私どもは反対はいたしません。そういう意味合いで申し上げているので、決して不当な心配をしておるんで、こうであるからということで、反対のための反対に結びつけようという考えで申し上げておるのでは決してございません。  それからいま一つは、コンテナ化の問題について私どもは全然やってないということではございません。アメリカのAPLのコンテナ専用船も最近二カ月に一度ぐらいは入ってまいっております。したがって、こういう作業状態を見ますと、普通の平常の貨物等、雑貨の場合十五、六名がワン・ギャングということで労働しているわけです。しかし、APLのコンテナ専用船が入ってまいりますと、ワン・ギャングはわずか六名です。そうしますと十名というものは要らないという形になります。したがって、オール・コンテナ船という形になってまいりますならば、相当の数が減ってしまうということになります。その時期はまだほど遠いのだというふうにおっしゃるけれども企業がどうなるかという不安感がある状態の中では、必ずいい労働者のほうから離散をしてしまう、こういう状態でございます。したがって、ウインチマン、デッキマン等の技能免状を持ったものは他の産業の大手にみな転職をしてしまう、こういう傾向が現にあらわれているわけです。そういたしますと、一方で企業のほうに不安を与え、失業の不安を与えて強引に進められるとするなら、労働力不足の上にさらに不足に拍車をかける、こういう形になってまいるわけです。したがって、港湾運送事業法のワク内で既存の港運業者にフレート・ステーションとコンテナ・ヤードもみなやらせるのだ、新しいコンテナ・ステーションあるいはフレート・ステーションを新しい船主や特定のものと合弁会社をでっち上げて、そこだけにやらすのだ、こういうことでなくて、既得権というものをはっきり守る、そうして自家荷役その他を港湾運送事業法のワク外でやらすということではなくて、港湾運送事業法のワク内でやるのだということをはっきりさしておいていただきませんと、経営者も小さいところは先ほど申し上げましたように不安でありますし、それから労働者も不安になるわけです。ですから、決して憶測だけで申し上げているのではございませんので、その点を十分お察し賜わりたいと思うわけです。
  29. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいまの杞憂ではないかという古賀参考人に対する点は、岡本君の質問によって解消いたしました。協業であるとか、あるいはまた集約化、全体の問題は労働者に対しても非常に重要な問題ですから、皆さん方もあえてこのよい環境をつくり、また能率的な仕事をし、そして労働者の安全をはかるということについて反対はないと思います。  一つ玉井参考人にお伺いしたのでございます。先ほど米田参考人もちょっと触れましたが、固定資産税の問題でございます。御案内のように、今回の法案によりますというと、その半額は免除されるというようなたてまえになっているわけであります。半額にいたしましても、公団負担自体から考えますと、全体といたしまして三十年間三百十億円使用料の一部として埠頭利用する海運会社に転嫁される。かつ、額はコンテナ埠頭バース年間千三百万円というようなことで試算されていきますというと、三十年間三百十億ぐらいになってくる。そうするというと、都といたしましては、財政上の点はただいま伺いましたことによって非常に困難な状況にあるということはわかりますけれども、三十年間もこの港湾関係からみた場合に、三百十億円のとにかくあがりがある、収入があるということでありますならば、今回の地方公共団体の百十億円の出資というようなことになるというと、だいぶまだ得をすることになる。東京都、東京港、また、今度できます公団というものについて、どういう分野になりますか、それはわかりませんが、もう少しこの固定資産税というようなものは港の発展あるいはまた一貫輸送に対する経済に対する大きい貢献、また海運コンテナ化という大きい問題に取り組んでおるのでありますし、ただ単にそれは船主だけではなく、海運業者だけではなくて港としての非常に大事なことであろうと思うわけです。これは免除して進むというようなことの考え方はないものかどうか、この点東京都としてはどういうぐあいにお考えになっているか、お漏らしいただければけっこうでございます。
  30. 玉井正元

    参考人玉井正元君) たいへん痛い御質問でございまして、まだ東京都といたしまして、公式にこの法案の中にございます固定資産税の減免の措置、三分の一ないし二分の一というものについての公式の見解は固まっておりませんが、現行地方税制の運用の面から見て、東京港の将来の発展と、それから過密都市東京に対するひとつの大きな背後地を控えておる東京港の役割り、機能、こういう面から見て、この程度はやむを得ないのではないだろうかということで、大体自治省がいままで私どもに示しております見解に、私ども同意をせざるを得ないのではないか、こういうふうに私自身は承知をいたしておりますが、まだ東京都としての公式のこの、固定資産税の減免措置についての意見表明というものは、率直に申し上げまして決定をいたしておりません。まあ国会において十分民主的に御審議をされて、この法案成立をした以上、私どもはこれに従わなければならぬのではないか。要するに外貿埠頭公団成立によって、多額の公共投資がある程度、私どものほうでプラスになり、同時にそれによって何がしかの、やはり税の御負担を願うというところがひとつの調整弁の機能を発揮しているのではないかということで、やむを得ないのではないかと私はかように考えております。
  31. 金丸冨夫

    ○金丸冨夫君 ただいまのお話でございますが、港湾関係玉井参考人御担当のようでございまするから、さらに重ねて申し上げたいのですが、この港自身の重要性と、それからさらにまた東京方面からいたしますれば、横浜との対抗の問題もございましょう。そういうことがありますので、東京都としてはおそらくお考えになっていないというようなことはないと存じまするが、将来についてやはり東京の港というものがいまのところ新体制においては相当大きく負担されるというような荷動きの状況にもなるように想像せられますが、この点について将来についてのあなたのお気持ちがありますれば、その点をひとつお伺いいたしたい。
  32. 玉井正元

    参考人玉井正元君) 率直に結論を申し上げますと、決して東京横浜とは港湾行政についてけんかをするつもりはございません。むしろ東京港が昭和十六年に開港いたしますまでのいきさつから考えてみますと、いろいろの論議がございましたことは御承知だと思いますが、むしろそういう度量の狭いような考え方ではなくて、東京湾全体の機能的な面というものとヒンターランドのあり方というものから見て、横浜横浜なりに、東京東京なりに、それぞれの自然的な役割りがあろうかと思います。したがって、その役割りにおいてお互いに協調をして、それぞれの国民生活に少しでもプラスになるという方向で港湾行政というものも当然いくべきではないか、むしろマクロ的な見地から東京湾全体の有機的な発展、東京湾自体を一つのポートというような考え方で、十分調整をはかって行政が行なわれるべきであろう、かように考えております。
  33. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 十二時過ぎていますので、ごく簡単に参考人の方に伺っておきます。  一つは、米田さんに伺いますが、先ほど来一貫性についてたいへん力説されておったわけであります。確かに私もそうだと思うんです。たとえば先日政府の映画を通して宣伝がございまして、私それを見ておったわけですが、まさに米田さんおっしゃられるように、一貫性というものがなければ、これは成功しない気が私どもします。そこで、しろうとですからとっぴもないことを聞くようで恐縮でございますが、既存の現在の倉庫を含めた陸上の輸送機関というものはどういうふうに扱うべきかということ、それからその位置づけをどうとるかという問題が一つあると思うわけです。特にアメリカと日本は違います、立地条件が全然違っておりますから、ですからそういうことと、それからもう一つは、既存の港湾運送事業関係をどうとらまえるか、その位置づけをどう評価するのか、このとらえ方いかんによっては、私は古賀さんが先ほど強調した非常にやはり大きな心配があるんじゃないか、こう思うんです。ただいままでの政府説明では、日本郵船とそれから日通の合弁会社をつくりまして、その新たな面で仕事をすることになると、そうなりますと既存の関係のものとはどうなるか、おそらくこの会社が直接やることになると思いますね。しかも埠頭は専用ですから。ここにやはり私は古賀さんの心配の最大限は出てくるような気がするわけですね。ですからこういう関係ですね。  それから先ほど米田さんも申されましたように、ただいまわが国海運の再建整備計画に基づきまして、ただいま立ち直りつつある、こういうものとの関係、これはあえて聞く意味は、政府説明では膨大な財政資金が必要であって、しかも先ほどおっしゃられたように、これはかなり関係者が負担を余儀なくされるという政府の計画ですから、これはあとあと審議する場合にその辺はわれわれ聞きますが、そういう事情に直面して一体この関係はどうであるのか。先ほど来の供述にもその点ではまだまだはっきりしていない、しかし、将来はよくなるであろうというおことばがあったものですから、もうちょっとこの辺をこまかく教えていただきたいと、こう思うわけです。  それと財政関係でございますが、今年度は、二十億は法律を通すためにやむを得ないであろう、しかし、来年度はと、こういうお話がございました。私どももこの点非常に危惧の念を持っているわけです。ですから具体的に来年度は縁故債などというものをやめて、財投あるいは債券などというお話がございますが、これは先ほどの再建整備計画等々とも関係してまいりますが、ただいま私どものほうの具体的に提示いたしておりますものをちょっと試算してみますと、皆さんのほうの負担が約四百億から五百億に近い膨大なものをこの計画の中には含まれているわけです。含まれていますね。ですから、そういう財政資金負担能力が一体あるのかないのかという問題、端的な言い方ですけれども、こういう問題ですね。  それと、かりに負担能力があるとする米田さんのおっしゃるように、債券なら債券を確保する、そういう制度を新たに設けてもらうならば、かりに財政負担能力がある、こういうことになったとしますか、その場合に、先ほど岡本委員が申されたように、たしかこの間の説明では昭和六十年ごろ、五十年でしたかな、を推理推測して、なおかつ扱い数はわが国の全体の貨物輸送量のたしかわずか一七%程度ですわね、そんな程度に私は記憶いたしておりますが、そうしたものを扱っていく場合に一体これは企業性としてどうなのか、こういうことが私はやっぱり心配になりますね。ですから、この関係をひとつお聞かせを願いたい。  それからもう一つは、玉井さんにお伺いいたしますが、これは私は新聞紙上でだけ拝見したわけですから詳細知っておりませんが、港湾管理の民主化と、それからそのためには市と共同管理が望ましいという、港湾都市協議会とか何とかいうのがございますが、そこで決議をしたようなことをちょっと私は新聞で拝見をいたしたわけであります。ですから、もし差しつかえなければ私はこの委員会でひとつお聞かせを願っておきたい。  同時に、先ほど来それぞれ四人の方々の供述を私拝聴いたしておりますと、やはり何とはなしに積極的に勇断をふるってこれに賛成するというような御意見に残念なことにはなっていないわけです。政府のほうはもうまことに弁舌さわやかで、理路整然にやらなければならぬという、この間来——あそこで港湾局長なり、あるいは海運局長がにやにやしておるようでございますが、そういうお話があったもので、私はきょう供述をなされました人々の御意見を聞きまして、意外な感じを実はするわけです。ですから、そういう点でこの港湾都市協議会なるものの決議の中にも第一番先に管理の民主化ということがうたわれていますが、そのためには市と共同管理をしなければ、この法律がかりに通ってもその実をあげることはできないということをいまの新聞で私は拝見したわけであります。取りとめのない質問でございますが、お聞かせ願えれば幸いでございます。
  34. 米田冨士雄

    参考人米田冨士雄君) いまの吉田先生からのお話、これは私が海運界を代表してとか何とかでなくて、この問題を研究して、それから海運業者の意向をいろいろ聞いてまいりました、そこら辺のところをあわせてひとつ率直に申し上げたいと思います。  いま先生のおっしゃることは、実に非常にポイントをついていられるわけであります。私は、いま港湾労働者が今後どうなっていくかということですね、それは最近のこういうふうに埠頭が非常にたくさんふえていったり、それから船がどんどんふえていくということからいって、片方からいうと港湾労働者の集まり方がどうもうまくいかない。だから、いま労働省は内閣で港湾調整審議会なんかやっておりますが、私はそこへ出ておりまして、非常な苦心をされているわけです。だから、こういう傾向からいきますと、やっぱりもう機械化へ進まざるを得ないのだということになるので、その点は何とかいくのではないだろうか。ただ問題は、いまおっしゃった、一体既存の経営者、倉庫業者とか港湾運送事業者とか、こういうものがどういう方向にいくかということがこれは一つの問題だろうと思います。で、いまおっしゃったように、たとえば郵船が三菱倉庫とか、その他、一つ会社をつくって一貫運営をせざるを得ないというふうなことになってまいりますと、そうすると、それから漏れた港湾運送業者やなんかは一体どうなるかという問題が出てくるわけでございます。倉庫のほうは多少趣を異にしておりまして、あれは場所がものをいいますから、そうあちこち動かないのですけれども港湾運送業者のほうは、そういう点でコンテナ輸送と一緒になっていく者と、そうでない者と、こういうふうなものがある程度出てくるというふうにこれは考えるわけであります。  そこで、それじゃそれは一体業界のほうはどうしているかと言うと、小川さんのほうの非常に御苦心のところだと思うのですが、やはりこのコンテナ輸送というものが、これからのひとつの大勢であるということであれば、それに乗っていく方法を、ひとつ業界のほうも苦心していただかないと、ただ、おれがいままでやっているんだからというようなことでは、なかなかむずかしい問題が出てくるのじゃないかと。だから、やっぱり乗ることの一つの苦心というものがなければならない。  それからもう一つ、いま先生のおっしゃったようになるかどうか、少し問題があるのは、たとえば一つ港湾で一貫輸送でもってそういう一つ港湾運営会社ができる。運営会社が全部をやるか、あるいはその自分の支配下にさらにそういうものの全体、使えるものは使って、そうしてそれを自分の意思どおり動かしていく。そういうやり方をやっていくかということは、やっぱり今後一つの問題なんであって、すべて、お前たちは死んじゃえ、おれだけでやるんだとこう言ってみても、実際はなかなかそう動かぬと思うのです、人の面から言いましても。やっぱりそこら辺は全体の総力をひとつあげるような方向が、苦心がああいう一つの会社のほうにも出てくるだろう。両方が相まっていくものが出てくるのじゃないだろうかというふうに考えております。それは私がじゃあそうなるだろうというようなことを申し上げたら非常にいいのですが、まあ冒頭に申し上げましたように、とにかく未経験のものをこれから開拓していこうということでありますから、いろんな問題にぶつかりながら、それをうまく何とかひとつ解決したい、こういうことで、非常に表面的には心配があるかもしれないけれども、今度はいろいろそれぞれの立場の人が、それぞれの努力によって適当な解決の方向へはある程度いくんじゃないだろうかというふうな見通しを一つ持っております。  ただ、ああいう会社ができることがけしからぬということになりますと、やっぱり一貫運営からいうと、ああいうものはやっぱり必要あるのだろうというふうな考え方を私どもは持っておりますが、郵船と三菱倉庫のああいうものは、それは必要ではないかというふうに。ただ、それをみんなが総力を集めるような動き方をしていくか、そこに問題があると思います。  それから整備計画の問題は、先ほどもちょっと大倉先生のときに私は私見だとして申し上げまして、最近力がついてまいりましたから、こういうことがある程度踏み切れるようになったということでございますが、私はこの際に、四百億なら四百億という金を公団に貸し付けるということが、それは三十年なら三十年の期間貸すのですけれども、実は船会社は金を持っていないわけなんですね、御承知のようにほかから借りてきまして、借りた金をこちらへ回しているというふうな形でいくわけだろうと思いますが、そうすると今度は、貸した金は三十年ここで凍結されてしまう。それから借りるほうは何年間の短い期間で借りていって、借りかえ、借りかえでやっていくというふうな形が出てくるのじゃないだろうか。そこで、借りる力はいまのところある程度出てきたわけです、あの企業、ある程度出てきました。しかし、それはいまでも船をつくるほうへどんどん借りかえ、借りかえでいっているわけです。こちらのほうにそういうふうに投資して、じゃ公団に貸した金を担保にしてまた借りてくるということができれば、それならそれでまた融資の方法がありますけれども、そういうことがどうもできそうもない。貸した金を、ひとつ公団のものを担保にして、それでこれは債券なら債券という一つ公団債とかなんとかということになりますと、今度はそれを持って銀行その他へ行きまして、それを材料にして金を借りられるというふうな面が出てくるのじゃないか。そこでわれわれが——額そのものも非常に困るのですが、一番やっぱり困るのは全部貸し付けというああいうやり方が、どうもそれだけ資金を寝かしてしまう、固定さしてしまうということはどうにもならない。それから今年度の二十億というのはそれじゃどうかということなんですけれども、これはいま言ったように、多少力がついてきたことと、何とかこのくらいのものならば——あるいはこれを申し上げますと開銀にしかられるのですけれども、開銀のほうの金をある程度操作したりなんかして、どうせ借りることですけれども、それは操作できる。しかし、これも海運業者自身がそういうことをやっても、かりに開銀なんかにお世話願うとすれば運輸当局あたりに中へ入っていただいてやっていくという道もまたあるのじゃないだろうか。そこでとにかくこの予算が——予算にもう組まれておるし、それからそれをいまどうこう言っていたのではこの法律もあぶなくなるしするのでまあしょうがないというところがその腹を割ってのことなんです。そこで先生が、どうも海運業者はちっとも熱が上がらないじゃないか、この法律について政府が一生懸命やっているのだけれども海運業者はあまり熱が上がらないじゃないか、こういう……。
  35. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 宣伝だけしている。
  36. 米田冨士雄

    参考人米田冨士雄君) そうでなくて、やっぱり何とかつくってもらわなくちゃ困るということは、ことしおくれますと、来年になりましてまたやりますとそれだけやっぱり立ちおくれというものが出てきてしまうということで、やっぱりどうせやるのならいまやっていただいたら一番いいのじゃないか、これでもおくれておるのだから、こういう感じがします。だからその辺のところはまだ盛り上がっていないのじゃなくて、何とかしていただきたいということがあるわけです。それからだんだん、だんだん荷物がふえてまいりますから、これはわれわれのほうもそれに対応してはやはり片っ方で、公団あたりで定期船の埠頭をどんどん——五〇何%ですかつくっていただくというようなこと、これは定期船がいま麻痺状態にあります。そういうようなこともあります。それからタンカーなんかも油の関係で、これは計画造船で相当金が要ると思います、それはそれなりに。これは本業ですから、それでやっていきたい、大体そんなことであります。
  37. 玉井正元

    参考人玉井正元君) 共同管理ということで決議をしたということでございますが、これはおそらく港湾都市協議会と申しまして、神戸の市長さんが会長をやっておられます港湾を有する都市の市長会のようなものでございまして東京はこれには入っておりません。この港湾管理は市だけの単独負担では財政的に非常に将来困難であるということで、将来は県と市で共同管理をすることが望ましいということを決議したということは聞いております。おそらくそのことではないかと思います。東京はちょうど地方制度が御存じのような状況で、東京都という府県の性格と市の性格一本でいっております。したがって、東京は一本でいっているということで、決してこれは港湾管理者公団の共同管理ということではなくて、県と市の共同管理が将来財政的な面から見て望ましい、こういう決議のことであろうかと思います。
  38. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あとたくさんございますけれども、この委員会がまだありますから委員会で本来のことは聞きますから省略しますがね。  古賀さんにちょっと伺いますが、私この港湾労働の実態などというものはてんで存じ上げていないものですから非常に的はずれになるかと思うのですけれども、先ほどのこの公述の中にもちょっと出てまいりましたけれども、どうもわれわれしろうとが考えておりまして、この間も映画を見て感じたのですが、船内荷役というものは全くもう必要ないようですね、あの映画で見ますると。そうすると、やっぱり古賀さんも申されておりましたけれども、沖取りの関係では全然人が要らなくなる、こういうことが出てまいりますね。しかも今度の場合、大倉先生じゃないけれども、おくれてきているからおくれているついでに全部完全に準備してやったらいいじゃないかという御意見もあるようですが、それはそれとして、言ってみればわが国海運輸送の革命だと私は思います。これは米田先生は変革だとおっしゃいましたが、革命だ、私流に言えば。こういう一つのものの見方、考え方に立ってみますと、すべての産業、これは世界的にこういう段階では弱いものにしわ寄せがいく、犠牲がいくのですね。一番最初に労働者にいくのですね。それから中小企業、零細企業にいくのですね。ですから、そのことは、古賀参考人の申されたことはまさにそのとおりじゃないかと、こう私は感ずるのですがね。で、具体的に米田さんは、それはそれなりに一般船もあるからそちらのほうに労働市場というものは新たに開拓していくのだからそういう心配がないというお話でございましたが、それはお答えする必要ございませんですが、古賀さん、これが完全に完成をいたしまして使用開始ということになりますれば、私はそういう歴史的な背景を見ても起きてくるのじゃないかという気がするのですね。それから、専用貸し付けですから、米田さんもただいま答えられたようなことでいろいろ各会社が努力をする、協力をしてやるということであれば、これはその中からまた活路というものは見出されると思うのですね。しかし、これは皆さんには釈迦に説法のようでございますけれども、資本主義経済の原則、資本主義経済は、私流にいえば矛盾があるのですね。ですから必ずしも米田さんがいまおっしゃったように、先ほどの輸送の一貫性と同じようにスムーズになかなか流れないと思うのです。当然そこに起きてくるのは集約化、機械化、近代化、合理化というやつが出てまいりますね。そうして一面においては今度一つ、もう現実に出ておる問題として、日本郵船と日通の合併会社ですね、つまり陸揚げされたものについての作業事業というものが行なわれようとしているわけですね。それからターミナルならターミナルに集約された荷物を、これまたコンテナ化をするわけでしょう。これをしていく場合にも私はおそらくやそういう合弁会社のような新たなるものをやってみる、言ってみれば独占的にやるということになれば、これは古賀さんどうでしょうかね、この沖取り関係で余ってきた労働者の市場というものは全くなくなるのじゃないかという私は心配があるのですが、そこのところは——私は港湾労働事情というものは冒頭申し上げたように全く存じ上げでいないしろうとですから、もうちょっと聞かしていただきたい。
  39. 古賀勲

    参考人古賀勲君) おっしゃられますように、コンテナシステムが取り入れられるということになりますと船内作業、船外作業という区別はまるっきりなくなります。現状からいたしますれば、船内作業港湾運送事業の中では主になっているわけです。ところが今度は、コンテナシステムが取り入れられるということになりますと、コンテナ・ターミナル、が中心になるわけです。したがって、ターミナルの中のコンテナ・ヤード、フレート・ステーション、ここが主たる労働の場になるわけです。また船積みの場になっていくわけでございます。そういたしますと、現在は船内労働が主体でございますけれども、逆にコンテナ・ターミナルが主体になって船内は補助労働の形に変わってしまうわけです。そういたしますと、世界的にも港湾運送事業法という法律があるのは日本だけといわれるぐらい珍しいそうでございますけれども、この法律ができた際の経過というものは、それぞれ理由があって、その経過が生かされてきているでしょうけれども、各業種別に分かれてきている性格というものはなくなります。それから、港湾運送事業法の第一条の「目的」のところで「港湾運送に関する秩序を確立し、港湾運送事業の健全な発達」ということが目的になっております。ところが、そういうことで業種別は全然かまわない、大きいところだけが残るという仕組みになりますと、港湾運送事業そのものがじゃまになるという形になってくるわけでございまして、目的に沿わなくなってくるわけです。ですから、そこまで大きく変わろうとするなら、今年の三月三日の港湾審議会の答申の中にもございますが、コンテナシステムが取り入れられるということは、港湾運送の大きな変革を迎えるということがはっきり答申の中に出されております。だとすれば、港湾運送事業というビジョンはどうあるべきかということを、法律を中心にして考えていかなきゃならないということが一つだと思います。  それからいま一つは、先ほども申し上げましたように、いままで港湾というものは公共性である、公共性中心になって港湾法というものがつくられているわけです。港湾法をそのままにしておいて、そして当面は貨物の四〇%と、こう言われますけれども、専門家が計算をいたしておりますところでは、全貨物量の七〇%はコンテナ化ができると、こういう数字があがっているわけです。そういたしますと、一般貨物がふえていくにいたしましても、全貨物の七〇%まではコンテナ化ができるとするなら、港湾法をそのままにして、公共を無視した形でもって特別の公団方式導入するということがはたしていいかどうかということが問題になります。そういたしますと、港湾管理体制、運営体制というものをここで根本的に検討して、その上に立って、広域港湾行政というものからこういう性格のポートオーソリティというものが必要であるんだという形で見なければならないと思います。先ほど米田参考人はいわゆる一貫した形でということをおっしゃられておるわけです。そういたしますと一貫してということであって、港湾経営体制の形に移行するわけでございますから、これを単に港湾利用する側からだけ見て、港湾経営体制に移行するということが、一体ほんとうなのかどうか。総合的な見地に立って、港湾一つ経営体制になるという方向を考えなければならないと思います。そういたしますと、将来、大きく労働力確保するめどはないので、機械化していくのだ、こういうふうに言われますけれども労働力確保していく、その労働力というものは。近代的な技能労働者であるわけです。そうすると、コンテナシステムのほうで働く労働者は技能労働者であって、一般雑貨に働く人たちは、質がどうしても低下していく、こういう形にならざるを得ないわけです。そういたしますと、やはり港湾の総合的な運営の中で近代的な労働をなし得る技能港湾労働者というものを育成、確保していくという見地に立たなければいけない、かように思うわけです。したがって、私は港湾調整審議会の委員もいたしておりますし、それから、港湾審議会の港湾運送部会の委員もいたしております。その中でも、そういうような発言をいたしてまいっておりますけれども、なかなかそこまでの審議の段階まで至っていない、特に、港湾審議会の港湾運送部会では、当初から港湾運送事業というものは、客観的な情勢の中で法律をちょっぴりちょっぴりいじっていくというようなことじゃなくて、こういうように貿易海運情勢というものは変わっていくのだから、それに対応する総合的な中における港湾運送体制というものはかくあるべきだというビジョンを立てるべきだ、そのビジョンはコンテナ化を含めて審議をしていくべきである、こういうふうに港湾運送部会の構成の当初から私は発言をいたしてまいっておりますが、いままでの港湾運送部会の中でコンテナ問題に対する資料を一つも出していただけません。それから、私と同様に、貿易会から出ていらっしゃる委員の方も、やはり私の申すようにそこから検討していくべきだという御主張を持っていらっしゃいますけれどもコンテナ問題について、あるいは外貿埠頭公団法関係の問題について、一度も審議がなされていない、説明も行なわれていない、こういう状況でございますので、私どもははなはだそういう点に対しまして運輸省当局のおとりになっておる態度に不満を持っているわけです。
  40. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) これにて参考人に対する質疑を終わります。  参考人の皆さまに申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見を賜わりましてまことにありがとうございました。本委員会といたしましては皆さん方の御意見審議に十分役立たせたいと存じております。本日はどうもありがとうございました。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十六分休憩      —————・—————    午後二時二十四分開会
  41. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  外貿埠頭公団法案について、政府側に対する質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  42. 中村順造

    中村順造君 行政管理庁、だれが来ているのですか。
  43. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 大国行政管理局長
  44. 中村順造

    中村順造君 お尋ねしますが、この外貿埠頭公団の法律に関連をして、運輸省関係公団というのは、いま幾つあるのですか。
  45. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 現在百八の特殊法人の中には八つ、運輸省関係が入っております。
  46. 中村順造

    中村順造君 八つ、ちょっと読み上げてくれぬかね。
  47. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 日本国有鉄道、それから船舶整備公団、それから日本鉄道建設公団、それから新東京国際空港公団——これが入りまして実は九つになります。それから帝都高速度交通営団、それから特殊会社の中で、日本航空株式会社、それから日本自動車ターミナル株式会社、それから国際観光振興会、日本船舶振興会、全部で九つでございます。
  48. 中村順造

    中村順造君 行政管理庁にお尋ねしますが、たしか三年くらい前だったと思いますがね、この公社公団の設置について、私は予算委員会でいろいろこの内容について質問した。その直後一年間ぐらいは公社公団というものが設けられるということが見合わされたわけですよね。ところが最近になってでき始めたわけですよね。この外貿埠頭公団について、この設置については行政管理庁はどういうふうな設置についてのまあ内容について相談を受けられたのか、その点はどうなんですか。
  49. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 公社公団等が非常にたくさんでき始めましたので、三十八年の法律によりまして行政管理庁が審査をするということになりまして、実際には三十九年度からこれの審査に当たったわけでございます。御承知のように、昨年度は公社公団、特殊法人の設立が非常に少なかったわけでございます。本年は約二十余りの要求がございまして、それを結局七つにしぼったわけでございますが、お話の外貿埠頭公団につきましても、私どものほうに特殊法人としての設置の話がございまして、私どものほうといたしましても、できるだけ特殊法人の数をふやさないという方向でいろいろ内容につきまして検討したわけでございますけれども、現在の外貿埠頭建設の緊要性ということその他にかんがみまして、この公団設置はやむを得ないものと認めまして、承認したわけでございます。
  50. 中村順造

    中村順造君 まあことしできるのは七つと言われたんですがね、全部私はその名前をあげてもらわなくても法律で出ているからわかっているのですが、外貿埠頭公団については運輸省と行政管理庁の間で、二つできるわけですよね、その点については別に意見は何もなかったわけですか。
  51. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 別に意見の相違はございませんでした。
  52. 中村順造

    中村順造君 いや、意見の相違でなしに、二つできるわけですね、これ内容知っていますか。
  53. 大国彰

    政府委員(大国彰君) ええ、知っております。
  54. 中村順造

    中村順造君 二つできるのだが、それは初めそういう相談があったときに、これは二つそのまま認めていいということで、何にもそこでは議論はなかったんですか。
  55. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 最初は一本で出てまいったのではないかと思いますが、途中でいろいろ検討されました結果、阪神と京浜と両方に分けるという話になったわけでございます。私どもその内容からいいまして、二つに分けるのが適当である、こういうふうに判定したわけでございます。
  56. 中村順造

    中村順造君 最初に一つというのはいつごろ話があったんですか、最初の一つが二つになったというのは。その経緯というものはやはりあるんでしょう、最初に一つであったのが、だんだん話が進むにつれて二つになったというのは。私がなぜそういうことを聞くかというと、たてまえとしては政府は公社、公団は整理統合あるいは強化拡充、いろいろと今日問題になっているわけですね。しかも二、三年前には一切つくらぬという年もあったのですね。それがこれは七つとあなた言うておられるが、七つこの国会でできるとするならば、外貿埠頭公団については同じ性格のものが二つできるわけですよね、そこでいま話を聞いておるんです。初めは一つであったといえば、それが二つになるという、その経過というものがあるでしょう。その経過は、初めは外貿埠頭公団をつくるという話が運輸省からあって行政管理庁と連絡をされて、そのことは了解してそれが二つになったというか、その一つから二つになった経過というものはあるでしょう、説明の経過というものは。それはどうなっているんですか。
  57. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 当初は一つ外貿埠頭公団をつくりまして、事業のほうが二カ所に分かれるというような案であったかと思っております。これは去年の十一月ごろからそういう話がございましたが、だんだん詰めてまいりました上におきまして、やはり地方公共団体との関係、そういった関係もございまして、同じ性格のものを二つつくるというふうに途中で変わってきたわけでございます。
  58. 中村順造

    中村順造君 これは表現は悪いかもしらぬけれども、そういう経過がある中で、あなた方のほうは抵抗は感じなかったですか、何も。一つが二つになって何とも感じなかったですか。
  59. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 私どものほうといたしましては、先ほど申しましたように特殊法人はできる限り認めたくないという考えでおわったけでございます。その関係もございまして、既存の機構でやれるんではないかというようなことを十分に検討したわけでございます。しかし、いろんな情勢からみまして、どうしてもこういう形式でなければ目的を達しないということになったわけでございますので、この二つを承認したわけでございます。
  60. 中村順造

    中村順造君 一つをつくるのにさえ、七つことしはできるのだが、一つをつくるのにさえ、やはりいままでの、私もこの前本院の議院運営委員会に出て、同僚議員がいろいろ長官と議論をしておる、私もその議論の中に加わったのですが、まああの議論を聞いておりますと、やはり拡充強化するものはする、それから整理なり統合するものはするというふうな基本的な意見がいろいろ言われているわけですよね。そういう情勢の中で、少なくとも公団をつくるということになれば、それはその必要があるからそういう議論になったんだろうけれども一つつくるのにさえ十分議論がされなければならないわけです。その長官のいままでの意見を聞いたり、あるいは最近の議院運営委員会における長官の発言などを聞いてみると、やはり一つつくるのにも十分意を尽くした議論がされなければならないわけですよね。それが二つになって、そうしてそれがまことにやむを得ざるものであるじゃ、そういうことじゃ私も納得できないわけですよ。一体一つをつくるのにどういう説明があったんですか、運輸省からあなたのほうに。外貿埠頭公団をつくるというときにどういう説明がされたんですか。
  61. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 最初の案といたしましては東京に本社と申しますか、主たる事務所を置き、そうして事業する市に支社を置くというような形であったわけでございますが、この埠頭、いわゆる港湾管理者との関係が非常に密接なものでございます。所在の地方公共団体とも密接な関係を持たなければ公団としての目的を達し得ないということで、これを二つに分けました。私どものほうも、そのほうが公団の使命を達成するのにより適切であるというふうに判定いたしたわけでございます。
  62. 中村順造

    中村順造君 運輸省のほうで答えてもらいたいのだが、いま行政管理庁の局長の言われたのは、初め一つだったと言っているわけです。途中で変わったのですか。そんないいかげんなものなんですか。少なくともこの公団をつくるということで、いいかげんなものじゃないとあなたは言われるだろうけれども、構想が途中で変わるようなものですか、その点はどうですか。
  63. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 実はこの公団につきましては私どもが行政監理庁に説明申し上げたのも、港湾管理体制というものが現在の姿では先に進んだ港湾には不適当になってきつつある。この問題については港湾審議会にかけて審議をしていただいておるわけでございますが、外航貨物量が非常にふえてきた、コンテナ導入されるというようなことから、緊急に何かの措置をしなければならない。したがって、そういう将来の港湾管理体制というものを頭に置きながら、企業的に港湾経営していくという意味公団をつくらしてほしいのだ、こういう御説明を申し上げたわけであります。したがいまして、私どもは当初から京浜とか阪神とかいうものは広域的に一つ港湾であるべきであるという考えを持って、できれば二つの公団に分けたかったわけでございますが、先ほど先生からお話がございましたように、公団、公社というものは極力抑制すべきであるという御意見がございましたので実は当初は一本で出し、予算も要求いたしましたし、行政監理庁にも説明を申し上げておったわけでございます。しかし、現実にこの問題を港湾管理者なり利用者なりと公団の話を進めてまいりますときに、公団東京に本社というものがあって、その支社が大阪にあって、しかも意思決定は一々東京の本社でするというようなことであれば、本来この公団は現業的な機関でございますので、非常に不便ではないか、まあ一部にはそういう役人的な管理をしていたのでは港の管理はよくならぬというような批判もございまして、私ども当初から考えているように、将来の港湾の姿とすれば、阪神なり京浜なりに広域的な港湾管理者というものは生まれるべきであるという考えでおりましたから、予算の途中で、たいへん公団、公社というものは抑制されている中でまずいと思いましたが、どうせつくっていただくならばすっきりした形で利用者港湾管理者との間がうまくいくようにということで、途中で二つにいたしました。したがいまして、その理由としては、現業機関であるので、二つにしたほうが、意思の疎通というものが早くいきますし、利用者並びに管理者との調整もうまくいく、こういうことで事実を申し上げて、二つにするようにお願いしたというのが経緯でございます。
  64. 中村順造

    中村順造君 もっともらしく説明しておるんですが、初め一つでやれると思ったんでしょう、で、予算もそのとおりに組んだ。初めの考え方が役所的な考え方で一つでよろしいと、ところが、途中で考え直してみたら、現業機関的なものだから二つあったほうがいいと、そういう性格のものですか、それは。それでは、初めのこの埠頭公団そのものの性格について、やっぱり議論しなきゃいかぬのじゃないですか。役所的な考え方のものなら一つでよろしい、現業機関的なものなら二つ必要だというんなら、そもそもこの埠頭公団というものは役所的なもので構想をして、議論してみよったらそれが現業機関的なものになったというのはおかしいじゃないですか、その議論成り立ちますか。
  65. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 当初から公団、公社が抑制されるという強い線がなければ、当然私どもは二つで出したと思います。しかし、そういう制約がございましたので、一つ公団で支社を置いてやっていきたいという案を出したわけでございますが、その途中におきまして大臣がかわられたというようなこともございまして、また利用者等の意見も入れまして、予算の成立するまでにできるだけいいものにしていきたいということで、いろいろ相談の結果、よりよいものという意味で二つにしたわけでございます。
  66. 中村順造

    中村順造君 港湾局長、答弁おかしいと自分で思わぬですか、ぼくが聞いているとおかしいと思う。初め公団、公社というものは強い規制を受けているから一つでやると、ところが、だんだん行政管理庁と交渉してみよったら、どうらやこれは、二つできてもよかりそうだというような情勢になったから二つにしたとあなたは言っているが、初めは強い規制があるから一つでやろうと、東京に本社を設けて支社でやろうと考えて予算を組んだというんでしょう、それでやってみたところが——どうももともと二つあったほうがいいと思ったが、やってみて二つにしたといういまの答弁。ところが、初めの答弁は、役所的なもので構想したけれども、それは現業機関的なものでなければいかぬということで二つに直したと、どっちがほんとうですか。
  67. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) いろいろないきさつがありますので、御理解いただきにくい点がございまして、ただいまのような重ねての御質問になったと思いますが、実は、私、昨年の十二月に運輸大臣に就任いたしまして、当時、予算がすでに前大臣の手によって要求されておりました。それらをいろいろ検討いたしてまいったのでございますが、この外貿埠頭公園については、その必要性が私にもよくわかりましたし、また、これを実施するということになりますと、できれば二つつくるべきだという港湾当局の希望もよくわかりました。そこで私といたしましては、この問題をみずからの手で処理するとすれば、外貿埠頭公団は分割するべきものである、かように存じましたので、従来の方針がきまってはおりましたけれども、私新しく就任をいたしました立場で、自分の責任で処理するとすれば、ぜひこれは二つにすべきものだと、こういうことで省のいままでの考え方を変えてもらったわけでございます。
  68. 中村順造

    中村順造君 そうすると、この公団というものは、大橋大臣の前の大臣が、一つで大体、計画を考えられた、で、大臣がかわられて、やはり二つあったほうがいいということで、大臣がかわられたために二つになった、こういうふうに理解していいんですか。
  69. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは全く私の責任で二つに分割いたしました。
  70. 中村順造

    中村順造君 行政管理庁の局長、そういうこと考えられますか。きょう長官が忙しくて来られないと言うから、局長に立ち入って伺うんですが、私と議論したことのない人と議論をして恐縮なんですが、大体、政府公団、公社の設置については、今度は何か関係閣僚協議会を設けられるか設けられたとか聞いておるのだが、大臣がかわられたら、いきなりそれが二つになる。また、大臣がかわられたら、同じものが二つも三つもできるということになる、そういう議論をしていったら。行政管理庁の意向というのは、一体どういうことになっているんですか。いままで長官がわれわれに対して約束したことを、どういうふうに理解しているんですか。
  71. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 行政管理庁といたしましては、特殊法人につきましてはできるだけ抑制するという立場をとっておりますが、行政事情の進展その他社会情勢の変化によりまして、どうしても必要やむを得ざるものにつきましてはこれを認めざるを得ない。ただし、すでに使命を達したものとか、あるいはまた、現在その能力を十分に発揮していないもの等につきましては、これはまた別個に整理をすべきだというふうなたてまえをとりております。この点から、今度の外貿埠頭公団につきましても新設をしたわけでございます。
  72. 中村順造

    中村順造君 いや、先ほどの大臣の答弁を含めてですね、港湾局長は、もともと一つに考えたのは、その性格からして、初めは役所的なものでいいということでやったけれども、交渉の過程でこれは現業機関的なものだと判断をして、一つを二つにした。大臣の答弁は、前の大臣のときには一つだったけれども、今度、大臣がおかわりになりて、やはり二つのほうが便宜がいいということで、大臣の政治力で二つになった。そういうふうな三つのいきさつがあるわけだ、いま話を聞いておりますとね。行政管理庁は全然自主制がないじゃないですか。初め一つであったものを、相談を受けて、今度二つになった。もともとは規制してつくらないたてまえだけれども。行政管理庁というのは、それじゃ運輸省の言ったとおりになっている。しかも、大臣がおかわりになったら、いきなり二つになった。今度、大臣がかわられたら、三つということも考えられる。この点はどう考えますか。
  73. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 私どもとしては、やむを得ずつくらなければならない公団につきましては、できる限りその機能を十分に発揮し得るような体制で認めたいと、かように思っております。運営上あるいはその性格上、どうしてもその地方ときわめて密接な関連があるということで二つに分けてもらいましたことを承認したわけでございます。
  74. 中村順造

    中村順造君 それじゃ角度を変えてお尋ねしますが、こういうケースはほかにもありますか、公団、公社百八の中で。
  75. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 御質問に対する適切なお答えではないかとも思いますが、高速道路公団におきまして、阪神とそれから首都と、同じような性格のものが二つございます。
  76. 中村順造

    中村順造君 それから愛知用水と、水資源というのは大体似たようなものだね、性格からいえば。ほかにもありますか。
  77. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 中小企業投資育成株式会社と申します特殊法人が、東京と名古屋と大阪に、それぞれ一つずつ設けられております。
  78. 中村順造

    中村順造君 そこでまあ話がさかのぼるわけですが、そういうときに、さっきぼくは、抵抗を感じなかったかという表現を使ったわけですがね、この埠頭公団ができるときに、初め一つだったものが二つになるというような経過の中で、そういう申し出があったときに、それではよろしゅうございましょうということで、言いなりになるわけですか、大体交渉の過程というものは。
  79. 大国彰

    政府委員(大国彰君) いや、そのまますぐ承認したわけではないのでございまして、私どものほうといたしましては、できるだけ数は少なくしたいと思ったのでございますが、いろいろ事情調査研究した結果、これはもうこれでいかなければ十分な目的は達しないという判断になりましたので、やむを得ずまあ承認したわけでございます。
  80. 中村順造

    中村順造君 これはまあ私の考え方だから無理に理解してもらわなくてもいいけれども、要するに公団、公社というものは数を少なくして、減らしていくということ、しかも内容のあるものにしていくという政府の方針でしょう。そういういま、これはうそでなかったら、いままで長官が言ったのがうそでなかったら、実際に総理もそのことに取り組んで、政府の方針としてそれが確認をされて、中にはぼくがこの前に話したように、からだを張っても抵抗するという大臣もおったようでありますが、しかし、それはそれとして、やはり総理以下全部この問題については真剣に取り組んで、その実績をあげるという表明もされておるし、また事実その作業に入っておると思うのです。それは成功するしないは知りません、政府の方針だから。われわれの別に関知しないことだけれども、そういう中で、もともと初めいわゆる二つつくるという相談があって、まず第一に公団が必要かどうかという議論から始まるわけでしょう、政府の方針がある限りにおいては。そしてどうしても公団が必要だということであなたのほうがそれを了承した。しかし、それはあくまでも対象は埠頭公団という一つ公団外貿埠頭公団という一つ公団であった。ところが、それが考えてみたら二つ必要だったのか。あるいは交渉の過程であなたのほうがそれに何ら抵抗の気配も示さず何でもかんでもそれにみな無原則に応ずると、そういう経過があったから、これはやってみたら二つできるのではないかということで、ちょうど大臣もおかわりになったし、それで二つやってしまおうということになったのではないか。まあ聞いているとそういうふうに聞こえるわけです。しかも大臣がおかわりになって二つになったという説が一つあるし、それから初めは一つだったけれども公団の性格から見て、やはり二つにすべきだというその経過、港湾局長説明を聞いてみるとそういうこともあった。だから私がいま、いままでの質疑を通じてあなたに言いたいのは、行政管理庁として何回か意思が表明されておるわけですよね。しかもそれが新聞にもその方針というものがもう何回も出ておるわけです。総理を先頭としてこの問題と取り組む、そういう政府の姿勢とあなた方がやられたこととは違うじゃないですか。あまりにも無原則過ぎるじゃないかという質問をしているわけです。
  81. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 先ほども申し上げましたように、必要やむを得ざるものはこれはもう認めざるを得ない。しかし、必要性の薄れたもの等につきましては、現在いろいろ調査いたしまして整理、統合、合理化という面を推進しようということでやっております。決して私どもは矛盾はしていないというふうに感じます。
  82. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あのね、関連ですから一点だけ、管理局長に伺っておきますが、どうもこのいままでの中村先生が伺っておったこと、この背景は、その政府の公社、公団についてのいろいろなそれぞれの委員会あるいは本会議なり、あるいは何かで総理大臣あるいは行政管理庁長官が答えられてきたこととは、およそ違うような答えになっているのですよね。で、数たくさんございますけれども、同一事業で同一種類の、性格が同じようなものについて、二つも三つもというのはあまりないですよ。ないですね。いまあなたは認めちゃったものですから、あなた方のほうは認めたものですから、認めた立場に立ってあなたは理論展開しているような気がしてならない。なぜかというと、鉄道建設公団にしても同じことですね。それがたとえば、北海道の場合は北海道に支社を、あるいは全国的に幾つか支社を置いていますね。これと比較をしてみると、仕事の内容あるいは性格など一切見てもそんなに変わりませんよ。この場合には京浜と阪神と二つ公団を認めましたね。これはなぜ鉄道建設公団方式のように支社なら支社、支店なら支店といいますか、これはどういうものになるかわかりませんが、そういうことでその管理運営をやっていけないのか。私もわからないですね。政府の方針というのは、公社、公団をできるだけ不必要なものは取り除いて、どうしても、あなたがいま答えられたように、やむを得ないものは質的に高めて、行政的に、つまりよりよい国民にサービスをする必要がある。それが私は根本精神だと思うのです。それとあわせて国費のむだをなくしていくということ、公団が二つできれば当然これは総裁というのは一人余分にできる。二人になりますわね。したがって、人事配置だって機構だって二つできるわけですから、これまたかなりの経費がそこに伴ってまいることははっきりしています。国費のむだということ、むだということばはあれですが、多くかかるですね。こういう面から考えてどうも私は納得できない。  それではひとつ、今度はあなたにもう一つ伺っておきますが、コンテナ輸送というものは、この間から政府運輸当局の話を聞いておりますと、国際的な趨勢としてより大きなものになっていく。わが国においてもその傾向、その趨勢というものはある。これはそれぞれ出された資料でもそうなっているのです。午前中もそのことで参考人をお願いしましていろいろここで伺っていたのです。当面はいま京浜と阪神ですけれども、やがて名古屋を中心といたします伊勢湾の関係が必ず近い将来出てくるのです。その場合どうですか。そうするとまた伊勢湾公団とかなんとかいうようなことに、あなた方の理論を黙って聞いているとそういうことになりかねないのです。これはどうなんですか。私別な意見を持っていますが、私の意見は言いませんけれども、行管としてこういうものはどうなんですか。
  83. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 最初の、二つにすれば役員関係その他いわゆる管理面でロスが多いではないかというお話でございます。ほかの公団と違いまして、この公団におきましては、港湾埠頭建設並びにその後の管理も入っておりまして、これにつきましては当該港湾管理者との関係がきわめて密接になるわけでございます。また、おのおのの公団に対します地方公共団体の出資もあるわけでございまして、そういうような面から考えてみますと、東京一つある場合にはいろいろとかえって不便が生ずるのではないかという点を考慮したわけでございます。  それから第二のさらに三つ、四つと地域的に分けるのではないかというお話でございますが、現在のところ、京浜と阪神の両方で非常に大きな部分の貨物の輸出入が行なわれております関係上、これに匹敵するまでにほかの地域が上がってくるのはまだまだ当分先のことではないかというふうに考えておりまして、当分は阪神と京浜で十分いくんではないかというふうに考えられておるわけでございます。
  84. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連ですから、あなたとここで議論する、そういう気がないんですが、あなたはいま行管の立場ですから、そういうまあ分析のしかたをしているんですよ。運輸当局はそういう分析をしていないわけです。これはわれわれにも出されておりますグラフにも出て、パーセンテージも出ている。荷物の動きの状態ども、そうすると、あなたの言うのはかなり遠い先のほうではないのです。伊勢湾の場合は必ずやこれはすぐ関係公団というのは必要だということになってくるんですよ。だから、そこで私はひとつ聞いていたわけです。それからもう一つ、他の公団と違いますと言っていますけれども、私はたったひとつこの鉄道建設公団を例をあげて比較いたしますと、違わないんですよ、それは。片一方は陸のほうで鉄道を建設していくほうですから、その面では違いがありますけれども、性格的には私は違わないと思うんです。それから現業だとするならば、全部たとえば隧道の建設などは、現場に現業をそれぞれ持っているのと同じですよ。それなのに公団だけは二つにするというのはどうも理論的には私は解明できないと思うんです。それに加えまして、この港の建設というのがあなたのことばを使えば、だとするならば、一般重要港湾港湾五カ年整備計画でどんどんやっておりますね。金もこんなものでないですよ。こんな一千億単位のものじゃないんですよ。八年間で一千億なんというこんな単位ではない。これも全部同じような建設をやっておる。そうすると、あなたの理論を私は肯定したら全部それぞれの各重要港湾公団をつくらなければならぬという理屈になるんですか。この関係はどうなんですか。まあぼくは関連ですからこれでやめますがね。
  85. 大国彰

    政府委員(大国彰君) 外貿埠頭をつくりました上で、さらにまたその管理公団で引き受けておるわけでございます。そういう点で港湾管理と申しますか、埠頭管理という面でほかの道路や鉄道とだいぶ違う性質がある。地元の産業その他と非常に密接な関係が特に深いというふうに申し上げたわけでございます。
  86. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あなたその港湾管理の話をして、特に密接が深いという、いまの重要港湾で扱う何と言いますかね、仕事の管理がよりウエートが高いんですよ、現状はね。ですから、この港湾管理について公団におまかせをしているから、よりその関係が深いなどという理論展開成り立ちませんよ。一般港湾だってより以上港湾管理についてはあるんですよ。これはもう港湾法によって明らかになっておりますから、それは。ですから、そういう理屈はあなた認めた段階でこじつけている段階であって、そんな理屈通らんですよ。その管理との関係が密接だからより二つにしなければならぬという理屈にならぬ。ぼくは関連ですからこれでやめますがね。これはあとであんたのところの長官に来てもらって質問します。
  87. 中村順造

    中村順造君 まあこれは運輸省も聞いてもらいたいんですが、ぼくの考え方は、経過だけの考え方を話すと、初めからやはり阪神にも必要だ、あるいは京浜にも必要だと、この性格からいって、埠頭公団という性格からいって必要だということならば私はわかると思うんですよね。ところが最初は一つでよろしい。なかなかその二つが実際はいいかもしれないけれども、二つじゃやっていけないだろうから、一つにしようということで、一つで予算を組んだといわれるが、そしてまあ行政管理庁のほうも初めは一つだという理解をしておった。ところが、だんだんまあ大臣がかわられたというけれども、これは大臣かわられたって、大臣というものはそれぞれの持ち味はあるだろうけれども、やはり前任者の方針なり経過というものは引き継がれてやっておられると思うのだ。それは大臣がおかわりになって、すぐそれが一つが二つになり、二つが三つになるというようなことは考えられないんだけれども、局長のところで、そういう考え方でたまたま大臣もかわられたと、大臣のほうから二つのほうがいいぞといわれるものだから二つを今度は申し込んだところが、二つがそれがそのまま認められた、こういう経過だと思うのですよ。最初から二つちゃんとして、それがもし政府の方針が、公団、公社というものはあくまでぜひ必要な絶対的なものでなければつくらないという一貫した方針が貫かれれば、二つを要求したけれども一つになったということは、これは常識的に考えられるが、だけれどもこの場合は逆だから、私は一応質問してみなければ、なぜそれがそういう政府の方針と逆な形で実現されたか。それに話をさかのぼって、長官が一番いいんだけれども、おらないけれども、聞いてみなければならんのは、どうしてもつくらなければならんという理由に、公団でなければならんという理由に、どういう説明がされたのか、その点の理解をわれわれはしていないわけです、知らないわけです。運輸省から行政管理庁にこの際公団をつくらなければならんと、石油資源の開発でもこれは商工委員会でやると、なぜ公団でなければいけないのかという説明がされたはずなんだ。それはどういう説明がされたんですか。
  88. 大国彰

    政府委員(大国彰君) この公団設立の理由といたしましては、まず外貿定期埠頭の絶対量の不足、これを早急に整備しなければいけないわけでございますが、現在の港湾管理者財政がきわめて悪化しておりまして、現在のような公共事業形式では早急な整備ができない。それから公共事業方式でやりました場合に、いわゆる埠頭の専用という問題がありまして、やはり公共事業形式でなしに、公団形式でやらなければ所期の目的を達し得ないという点が、主たる理由でございます。
  89. 中村順造

    中村順造君 それに対して一つ意見なり反論というものは行政管理庁はないのですか。そういう説明がされたとき、ああよろしゅうございますということになったんですか。その点どうなんです。
  90. 大国彰

    政府委員(大国彰君) その点に関しましては、相当長時間にわたりまして、その実情なり、また理由、原因そういった面を十分聞きまして、私どものほうからいろいろ代案を出してみたわけなんでございますが、結局公団方式が最もいいという結論になったわけでございます。
  91. 中村順造

    中村順造君 あなたのほうで出した代案というのはどういう案ですか。
  92. 大国彰

    政府委員(大国彰君) それには現在の港湾管理者に対する財政的な援助でやれないかという問題と、それからさらにまた現在の港湾法の改正等も考えまして、専用というものを新しく認めるということも考えられないではないかというような点を申したわけでございます。
  93. 中村順造

    中村順造君 それから公団をつくるときに、なぜ公団でなければいけないのか、行政管理庁と運輸省との間のやりとりといったら表現が悪いけれども、折衝の過程でそういう議論がされたと思うのですね。しかもあなた、港湾法を改正するとか、あるいは港湾管理者資金的な援助をして整備をさせるとかいう代案を出した、こう言っておられるわけですね。その行政管理庁の代案と運輸省の公団方式という二つの意見の中で公団方式にきまったということですね。それは行政管理庁が最終的に納得したということでしょう。運輸省港湾局長にお尋ねしますが、行政管理庁が一口、二口しか言わないから、詳しいことはよくわからないが、それはとても長時間かけてやったというからいま言ったような単純なものじゃないと思うが、行政管理庁の方式ではどういう不都合な面があるのですか。
  94. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 行政管理庁との間には相当時間をかけて、いま行管からお話がございましたようにいろいろ検討し合ったわけでございます。私どももこういう公団、公社がきわめて抑制されておる中で、この方式以外の方式が考え得るならば、何も公団方式によらなくてもよかったわけでございますが、先ほど行管から御説明があったように、管理財政というものがこれ以上港湾建設のスピードを上げていけないということと、もう一つは、専用使用という、港湾法にはない新しい方式をとるということをどういうふうにこなすかということがおもな検討の要点だったわけでございますが、一つの専用方式というものを現行港湾法の改正でいくかという点につきましては、日本の港の中でこういう専用方式をとらなければならないような港というのは京浜とか阪神とかいうきわめて外国貿易取り扱い量の多い、また外航定期船の寄港数の多い港だけでございます。その他の港につきましては、非常に開発の過程にある港でございますから、従来の公共事業方式でいって国の補助した埠頭につきましては一般の利用者に無差別に使わせるという方式、しかもそれによって手数料的な使用量で安く使わせるということが一番望ましかったわけでございますが、したがいまして、港湾法の原則をこういう特定の港だけで変えるということの是非ということが一番大きな問題でございました。私どもとしましてはやはりこういう特に進んだ港、しかも数の少ない港については、これだけは特例的に公団なら公団という形でいきたいということが一つございます。しからばその公団以外に、公団というのは国の機関になるわけでございますが、そうでなくて港湾管理者が同じようなことがやれないかどうかということが、先ほど行管からお話しになった地方自治団体に相当金を貸してやったらやれるじゃないかというお話でございました。で、この場合に資金を融通するということ以外に、やはり出資をするということで全体の使用料が安くなるという利益があるわけでございますが、地方自治法に言われております公営企業なり、また開発事業団なんというものは、やはり自治体自身の固有のそういう企業をやる組織でございまして、これに国が出資しているという例はないわけでございます。したがいまして、国が出資するということになればどうしても公団以外に方法がないと、こういうことになったわけでございます。
  95. 中村順造

    中村順造君 前段の専用埠頭の問題からしてその特定埠頭については、港については港湾法でそれを指定するということは何か立法技術の問題だから大した問題じゃないのじゃないですか。もっともらしくあなた言っておられるけれども、そんな問題はいままでたくさんそういう例はあると思うのですよ。港湾法に限らず、よその法律でもね。特定の地域についてはどういうようにする、専用埠頭をつくるということは立法技術の問題だから、あなたがものものしく言うほど大した問題じゃないわけです。われわれが言っているのは、公団以外に方法はないとあなたは断定しているから、その断定が間違いじゃないかということが言いたいわけなんです。これは先ほどからぼくが言っているように百八の公団、公庫、事業団、それらの問題が国民の批判の対象になっておるのだ、いま。それは何か一つ一つあげてぼくはやってもいいけれども、時間がないから言わないけれども、そういう中で一番安易な方法ですよ、われわれから言わせるならば、公団を設けてやるということは。まあ、あと本論に入ってから話しますけれども、それは公団以外にないと断定をするけれども、私から言わせれば公団でやることが一番安易な方法だと思うのですよ。中身だってそうでしょう。資金運用資金の金を使って船主協会から金を集めて、そうして政府出資が五億、地方公共団体が五億、これ一番見やすいことなんですよ。法律の改正も別にやらなくてもいいとか悪いとか言っておるけれども、私は絶対これでなければならぬという結論にはならぬのじゃないかということを言いたいのです。同じ政府機関の中で行政管理庁は管理庁としての代案を持っておったはずですからね。その港湾局長のきめつけ方にぼくは問題があると思うのです。あと内容、具体的に入ればやりますけれども、なぜ公団でなければいけないのか。しかも世をあげてもう公社、公団、公庫というものはあげて批判の対象になっておるこのさなかに、しかも当初一つを考えついたものが今度は二つになり、その面をひとつだけ取り上げても、東京に本社をつくって、そうして京浜と阪神が支社だ、二つの支社を持つことも可能じゃないか、むしろ総裁か理事長か知らないけれども、そこまで議論を進めていくならきょう私が冒頭聞いた運輸関係のこの九つの公団、公社というもの、この前参議院の議運でやった中ではおおむね役員、職員を問わず運輸省の出身が多いということが指摘をされておるわけです。そこまで議論を発展さす必要はないけれども、私はそういうほんとうに素朴に国民の批判にこたえるというなら多少の不便はあっても、もともと一つで構想を練ったものならば一つで、しかも二つの支社でも私は運用できないことはないと思う。それを断じて二つでなければいかぬと断定をするところにそれだけのやはり理由づけがされなければならぬ。たとえば二つの公団をつくれば役員にしたって二組の役員が必要じゃないですか。そういう点はどうなるんですかね。
  96. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 二つ御質問があったと思いますが、最初の、港湾法の特例で専用使用を認められるということは簡単でないかという御指摘だと思いますが、それは私どもとすれば港湾法にとってはきわめて本質的な問題だと思うわけでございます。ただ専用使用だけを認めるということは問題ではないわけでございます。専用使用したものに国が補助をすると、そういうことでございます。と申しますのは、道路にしろ河川にしろ、一般公衆の利便に供するということで国の補助というものがなされておるわけでございます。特定のものに専用貸しをするのに補助を認めている例はないわけでございます。それがもしそういうことが可能であるならば現在の補助体系というものと全然違った観念が入ってくるということが私どもが一番心配した点でございます。  それからもう一つ公団が二つであることについてのお話でございますが、これはもう少し順を追って御説明申し上げたほうがいいと思いますが、実はこの公団はことし要求してことし通ったものではないわけでございまして、三年ごしの問題であったわけでございます。当初われわれはどういうように考えたかと申しますと、やはり阪神と京浜にこういう公団をつくって管理財政の窮迫を防ぐと同時に、専用使用方式で早くバースを充足したいということを考えておったわけでございます。  ところが、この問題につきまして港湾管理者意見といたしましては、公団埠頭経営するということは管理の二元化ということになるおそれがあるので建設公団がやってほしい。しかし、できたものは港湾管理者がそれを借りて運営すべきであるという強い意見があったわけでございます。したがいまして、建設公団ということになるわけでございますが、建設公団なら何も二つに分けなくても、先ほどお話がございましたように、東京に本社があって鉄建公団のように建設をしていけばいいのじゃないかということで一本にしたわけでございます。ところが、これは非常に公団、公社が押えられたということもございますし、もう一つは、公団が国の財政投融資なり民間資金なりを借金をしてものをつくって、自分が直接その管理の責に任じないで、港湾管理者にそれをまかせて、港湾管理者から金を返してもらうことによって償還していくという、そういう責任のはっきりしないような公団というものは、公団として認めがたいということで、昨年度予算においては公団が通らなかったわけでございます。そこで私どもは、昭和四十二年度の予算におきましては、建設運営とを一体としてやる公団でなければならないということで、管理者ともこの点について、昨年問題になった点を対象にして話し合った結果、運営も一貫してやる公団にしたわけでございますが、そのときに私どもが当初に返って初めから二本の公団で要求しておればこういう問題にはならなかったわけでございますが、私どもの非常に臆病と申しますか、少しくらい形が悪くてもぜひこれを早急に通さなければならぬということで、公団については実は非常にあせったわけで、一本にしたわけでございます。ところが、その一本の公団について予算要求の過程においてもいろいろ批判がありまして、で、私どもももとに戻って、この際はっきりした形で、通る通らぬは別として、通ったからには、いい形で運営されるようにしたいということで、大臣の御裁断を仰いで二つにして要求したと、こういうのが事実の経緯でございます。
  97. 中村順造

    中村順造君 この議論というものは何回かやっておると、やはり原則に返らなきゃいかぬ場合がしばしばあるわけですね。その専用埠頭があるから国の補助ができないと、こういうことを言っておられるわけですね。いまの港湾整備計画に莫大な費用を使っているわけですね。いまそれぞれ港湾ではバース料金を取っているわけでしょう。それは地方公共団体が取っているわけでしょう。それを専用にするか、しないか——これは、ぼくは不勉強な面があるかもしれないけれども、しばらく運輸委員会を離れておったので。だけれども、いまの膨大な港湾整備計画に莫大な国の費用をつぎ込む、そうして港湾整備をやる。そうしてその船がついて荷役をすれば、埠頭使用料金は取るわけでしょう。ただそれを専用にするかしないかだけでしょう。国の補助をやることは同じですよ。言うならば、それは国力の関係があるからだけれども、国力は、これは膨大な力を国が持っておるとするなら、港湾は全部整備して、これは無理に料金を取らなくてもいいわけですね。かりに国に財政力があるとするならですよ。それをただ専用にして料金を取るのと、専用にせずして料金を取るのと、料金を取ることは同じじゃないですか。その点はどうですか。
  98. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 料金の問題の前に、補助体系の問題でございますが、道路につきましてもやはり一般の道路は国道、地方道によりまして補助率の違いはありますけれども、補助をしている道路でございまして、これについては無料で使わしておるけれども、高速道路、それからいまの道路公団がつくっている道路につきましては、これは補助でなくて出資という形でもって、そのかわり有料という制度をとっておるわけでございます。同じように港湾の場合につきましても、手数料的な使用料は取っておりますけれども、これをもって借金の償還をしていくという制度ではないわけでございます。したがいまして、港湾管理者財政が非常に苦しくなり、そこで利用するものからいいますと、公団専用埠頭を借りるということは非常に高い。まあ一番高い使用料を取っている神戸に比べても四倍以上の使用料を払わなければならないわけでございます。そのかわりに、船の回転率は非常によくなるわけでございます。と申しますのは、一般の埠頭でございますと、最近は非常にバースの数が、入ってくる船に比べて少ないわけでございますから、滞船ということが起こってまいります。一日、大体神戸の例で申し上げますと、昭和四十年には入ってくる外航定期船のうち二割はすぐ埠頭につけないわけでございます。そこでそれらの船が平均二十二時間待つわけでございますが、これを全体で一年間に通算いたしますと、三万三千時間、そういう船待ち、バース待ちと申しますか、岸壁につけないで沖に待っている時間になるわけでございます。これを会社の損失という点で見ますと、八億九千万円になるわけでございます。それが船が、直接自分が寄港する日にちに埠頭があいておってつけ得るということは、船会社にとっては非常な利益でございまするので、相当高い使用料も払える。しかもその場合には、保安管理者の負担も軽くなりますし、国自身におきましても、そう大きな出資をしなくても借金によって埠頭をつくっていけるということで、いま申し上げましたような滞船の多い港の混乱を解消することができるという、こういうような意味で全然別の公団方式というものを考えたわけでございます。
  99. 中村順造

    中村順造君 沖で荷役待ちということ、私も横浜の港に何年か前に実際に見に行ったのですが、そういうことでなくて、私の言っているのは、専用埠頭にしたら国の補助金を出せないと、こういうふうに言ったでしょう。その間をもう少し説明してみなさい。いまこれについて道路を例に出したけれども、道路は道路公団がやっている。それと似たようなことで、この一番見やすいのは、それはこの公団方式をとれば一番見やすい。それはそれでいいです。われわれは何も道路公団そのものに反対しているわけではないので、その運営なり構成なり一まあ運営がうまくいっていないところに問題があるのだから、社会党として公団、公社そのものを頭からいけないという考え方ではない。私は河川の問題を出しましたが、一級河川をどんどん改修して金をどんどんつぎ込んでいる。しかし金はあがらない、これは道路なら金はあがりますけれども。だから港だってその方式を……。もしこれがいま言ったように、国の財政力が豊富であれば何も料金を取る必要はないのです、実際に。だけれども建設費に膨大な費用を要するのを、それだけで取り返そうとするところに国の財政力が問題になるし、あるいは専用埠頭ということばを使わなければならない。何も専用埠頭ということを言わなくてもいいわけです。専用埠頭が先なのか、公団が先なのか、その点はどうですか。
  100. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) どちらが先というわけではないのですが、やはり戦後非常に埠頭建設が立ちおくれております。それはいま先生がおっしゃられましたように、予算が少ないということが端的に言えば原因でございますが、これを早く解消しなければならないということがございます。そのときに、国費だけに依存してバース整備ができるか、しかも一般公衆の利便に供するということで初めて補助が出るわけでございますから、一般公衆の利便に供するということは、先着順ということで、入った船は、あいてたところにいつでも着くという形でございます。ですから船のほうもあいているか、あいていないかわからないで入ってきて、たまたまあいておれば、そこに着く、それからあいていなければ、二日も、三日も待たなければならないという、非常に不確定な要素がある運用をしなければならないわけでございます。それを解消するには、いまの予算の十倍くらいの金をつぎ込まなければできないわけでございます。むしろそれよりも私どもは専用と申し上げましたのは、そういう先着順ではなくて、高い金を出すけれども、いつでも座席のあいているところを確保するようにしたほうがいいというふうに考えまして、高い金の使用料を払ってもらえるならば、借り入れ金で、早く埠頭整備ができる、こういうことから専用埠頭方式を考えたわけでございまして、そういういつでも座席があいているところというのは、これは公共事業でやる、いわゆる一般公衆の利用に供する施設でないために、現在の補助体系でやると補助の対象にはならない。こういうことを申し上げているわけでございます。
  101. 中村順造

    中村順造君 原則を繰り返しておってもしかたがないけれども、港ですから、いまあなたの言われるようにこれは受益者があるわけだから、一般の河川なんかと違って、道路とか、港とかというのは、受益者があるのだから、これはぼくは必ずしもいまの日本の国力で全部無料で船をつけろというようなことは、そんな飛躍したことは考えていないわけです。ただ国の港湾に対するいわゆる港湾の改修をやる、バースの数をふやして、いつでも、あなたの言うように港に入ればすぐ荷役ができるという体制に置くことが望ましいわけですね。それは地方公共団体がものすごい、たとえば東京都なら東京都が金を持っておって、そして自分の港をそういう状態に置けばこれは問題ないわけですよ、そして受益者から料金を取るということは。大阪でもそのことは言えることですよ。ただし、地方公共団体にはそれだけの力はない。いわゆる港湾管理者に力がないというところに国の補助をするという問題が出てくるわけですよ。その議論をずっと展開していくと、何も公団でなければならぬということはないじゃないですか。私が言うように、大阪市なら市、東京都なら都が十分港湾整備能力を持っていると、じゃ、これがないと、現状はないからということを理由にするならば、国がこれに補助して港湾整備計画に基づいてりっぱな埠頭をたくさんつくる、そしてあなたの言ったように、船の回転をよくするつもりで船会社から料金をどんどん取るということなら、別にその原則から話を進めていく上においては公団でなければならぬという理論は成り立たないじゃないですか。その点はどうなんですか。
  102. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) おっしゃるとおりでございます。港湾管理者が独自の財源で施設をつくって、それを専用使用させて高い料金を取るということであれば、公団の必要はございません。
  103. 中村順造

    中村順造君 先ほど東京都の港湾局長の話を聞いておりますと、私は途中で来たのですけれども、二元的な運用は困るということを言っておられるわけです、あの供述の中でね。ということはどういうことか。詳しく説明を、ぼくも質問しなかったけれども、結局、その港湾管理者の、現在の管理者の立場からすれば、やはり東京港については東京都に国が、東京都がそれだけの力がないとするならば、国が東京都に補助金を出すなりしてその港を整備してやるということなら、別に公団を中へ入れて、しかも、私はまだ質問していませんけれども、この図面で見ると、大阪にしろ神戸にしろ横浜にしろ、あるいは東京都にしろ、公団というものが使用するいまの専用埠頭というものはその一部でしょう。その港の中の一部でしょう。いわゆるこれは、どっちがおもやだかひさしだかわからないけれども、要するに、おもやの中に一角を占めて、それを公団にして国が補助して使用者から料金を取ると、それではほかの埠頭使用したものはただかというと無料ではないわけです。やはり料金を取るわけです。ただ、料金を徴収する人が違うだけである。しかもその埠頭公団というのは、いずれの港もその中の一部を借りて、借りるというか利用して、公団という名前のもとにこれを経営していこう。いろいろさっきも一番こっちの米田参考人意見を聞いても、あの人はベテランだけれども、もっともらしいことを言っているわけですよ。だけれども、いやコンテナだなんて言っているけれどもコンテナは時代の趨勢、これは率直に認めますよ。しかし、一般の埠頭バースの持ち量というものが数から見ても東京都の場合でも圧倒的に多いわけですよ。コンテナはその一部でしょう。それをもっともらしく理由にして、将来アメリカはこうなりますと、こういっても現実の日本の場合でやる場合には、神戸の港はこうなる、横浜の港はこうなると、その港の一部を利用して、いわゆる公団という名をつけてそこを整備して料金を取ると、こういうことでしょう。これは運輸省の港湾局長としてはできるなら全部の施設を、このたとえば公団と名づけて内容を充実するような形に港全体をするほうが望ましいのですよ。港湾局長としてはそうでしょう、運輸省としては。何も一部だけ借りてそこを整備するよりか全体がよくなることがいいでしょう。
  104. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 先ほどのお話で、東京都が自分でやれるんではないかということでございますが、先ほどここで東京都の港湾局長参考人として話したのを聞きますと、もしこれを東京都が従来の公共事業方式でやるとすれば国は百億出してもらえばいい、しかし、港湾管理者としては四百四十三億の負担をしなければならない、これらの金は裏づけはいま期待するかしないかということは別として、東京都とすれば、下水であるとか、道路であるとか、その他住宅であるとか、いろいろやらなければならないことがあるので、こういう公団方式のようなことで自分の負担が少なくなることが望ましいということを言ったのが一つでございます。  もう一つは、この二元化が、管理権の二元化は困るということを言ったわけでございますが、この法案ではそういう二元化にならないように十分調整されていると思うということもつけ加えて言っております。  それからもう一つ、しからば全部公団でやったほうがいいと思わないかということでございますが、私は、やはりこういう公団でやるということは、いま早急に外国貿易埠頭整備しなければ国際貿易を伸ばす上で支障があると、ことにコンテナのようなものをどういうふうに着けるかということで支障があるのでこういう措置をやったのでございますが、港湾管理というのは外国貿易埠頭をつくるだけではなくて、さらに工業のために工業港というようなものもつくらなければならぬでしょうし、自分たちの必要な食糧あるいはセメントとか、石材のようなものもそこでまかなうようにしなければならぬでしょうし、非常に都市行政と密接しているわけでございまして、すべてを国がやるのがいいのかどうかということは私は非常に疑問であって、やはりこれは将来の港湾管理のあり方というものを一方においてはもっと近代的な合理的なものにしていくということをやっていくと同時に、とりあえず足らないバースはどうやってやっていくかと、それは非常に一番安易な方法と言われるかもしれませんが、現在の段階においてはやはりこういう公団方式ということで進めていかざるを得ないのではないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
  105. 中村順造

    中村順造君 これは見解の相違だから幾らやったって時間がかかるばかりだからね。あなたは公団でやるほうが一番手っとり早いと言う。しかし、それについては問題がたくさんあるわけですよ。さっき参考人が話されたことでも、一つ一つがみんなもっともなことに思われるわけですよ。だから、ぼくが言っているのは、必ずしも公団でなくてもいいじゃないか。しかし、あなたはあくまでも公団がいいとこう言っているから、それは行政管理庁をここに出したのも、非常に公団が問題があるので、公団でやりたくないという意見があったはずだといったら、それは代案まで出したけれども、その議論の過程では運輸省のほうの意見が通った、こういうことですよね。だから、私としては、公団そのものが悪いのじゃないけれども公団運営その他については、どんどん公団でつくって、何でもかんでも公団でやるということには問題がありますよと言っておるわけですね。それから専用バースがあるからとか、専用埠頭を設けるから公団でなければならぬという議論にはぼくらはならぬと思う。その点はあなたも認めておるわけです。専用の埠頭をつくるためにはどうしても公団でなければならぬという議論にはならないわけです。だから、ほかに方法はいろいろあるけれども、要するに手っとり早くやるということなら、これは公団のほうが手っとり早い。ぼくに言わせれば公団方式が一番安易な方法だと、こう言っておるわけです。まあ当初、一番最初この問題の質疑がかわされた中では、ちょうど私が入って来たときには資金の問題が出ておりまして、あなたのほうで答弁しておったのですけれども資金の求め方にも非常に問題がある。きょうの参考人意見においても、実に困る、こう言っておるわけです。けれどもそれを役所だから押し通すといえばそれは無理が通るでしょう、道理が引っ込んで。きょうの参考人も実際は二十億という負担は困るのだ、まあ運輸省から口添えをしてもらって勧業銀行から借りてきて、そうして法律を通すためには二十億出しますという表現をしておるわけです。そういう問題点がたくさんあるわけですね。それをあえて公団でなければいけぬというきめつけ方をするから私は質問をして、公団でなくてもできるのじゃないかという議論をしておる中で、なぜ公団でなければいかぬかという疑いが出てくるわけです。一番最初にさかのぼれば公団そのものにも問題があるし、このことはこの公団だけではなくて、公団全体に問題があるし、また数を減らそう、整理統合という中で行政管理庁も安易に認めたというところに問題がある、こう言っているわけです。  中身に入りますが、これは東京あるいは横浜、神戸、さっき言ったように、一部を使うわけでしょう。そうしますと、ほかのいわゆる埠頭使用料というようなものはどうなんですか、四千万と二億ですか、出ておりますけれども、この数字というものはこれは間違いないですか。
  106. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) ここに書いてございますのは、公団がつくった埠頭使用料でございまして、三十年で返していくということ、それからもう一つは、出資が国と港湾管理者が一割ずつ出して二割である。半分は財政投融資で金利は七分一厘でございますが、来年以降は七分三厘である。残りを船会社等から長期の借り入れをするわけでございますが、一応その金利が八分二厘であるということを想定すれば、コンテナバースについては約二億円、それから一般の外国貿易の定期船については四千万円ということでございます。
  107. 中村順造

    中村順造君 この利子の話も出たのですが、利子がえらく高いようだが、二億円というのはどういう根拠ですか、二億円の内容は。四千万円じゃなくて二億円の内容は。
  108. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) これは三十年で、出資は別でございますが、借入金を償還していく、こういうことから計算された一年の使用料でございます。
  109. 中村順造

    中村順造君 それは逆算してとにかく年間二億円あげればいいということですか、そういうことになるのですか。
  110. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 公団としては別に利益をあげるということを考えておりませんで、償還ができればいいということで逆算したあれでございます。
  111. 中村順造

    中村順造君 ぼくはその点は専門家でないからわからぬけれどもコンテナ埠頭というものは、一バース当たり年間の使用料が二億円、こう書いてあるから、それは三十年間二億でいくわけじゃないだろうけれども、一バース当たりコンテナ埠頭で二億あげれば償還ができるということなのか、いまそういう答弁だけれども、しかし、現実にはそれではそれだけの二億円の金があがるのかどうかということなんです。
  112. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 一バース当たり二億あがらないと公団は借金私返せないことになるわけでございますが、二億円あてがあるかどうかということでございますが、これは十一バース昭和五十年までにつくるわけでございます。大体八バース昭和四十七年までにつくるわけでございますが、北米、太平洋についてはコンテナを運航するグループが三つございます。北米、大西洋間についても同じように三つございまして六つでございます。それに豪州、欧州が一グループずつと考えると八になるわけでございます。その八つについては一応めどがついている。それからあとの三つについては、その後のコンテナ化の進みぐあいによって借り手があるということを想定して、いま計画に乗っけている、こういうものでございます。
  113. 中村順造

    中村順造君 それではあなたの説明ではビルを建てるのと同じことなんですね。結局、ビルを建ててその部屋が何十%一ぱいになるかどうかということと同じで、二億あれば、たとえばビル建てて毎月家賃が一千万あがれば何年間には償却できるということなのか。私はもう少し言えば、ビルの一部屋が幾らで、そして何%の一ぱいになる計算をして、そして二億円なのか、その点はどうなんですか。私の言うことはわからないかもしれないけれども、ビル建てるときにはそういう計算をするわけですね。これは埠頭つくるときもそういう計算ですか。かりにあなたの見込んだようにコンテナの船が入ってこなかったら、二億円にならないということもあり得るわけですね。
  114. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) この金の借金で仕事をして借金を返していくということは、ビルの場合も公団の場合も変わりはないと思います。ただ、公団におきましては、これをつくらなければコンテナ化に支障がある。国際貿易が伸びないという、国際貿易日本が不利な立場に立つから、それをカバーするためにつくらなければならないという一つの国家的要請があるということが、ビルをつくるのと違うところでございます。
  115. 中村順造

    中村順造君 それはビルだって同じですよ、必要があるから建てるのでありまして、ビルの議論は別だけれども、要するに、ものの考え方は、金丸先生は専門家だからそのとおりだと言われるが、コンテナは一バース当たり二億円というものを、少なくともこれだけはあげなければ償却ができないということは、私は専門家でないという前提で質問しているのは、その二億円あがる根拠ですね。根拠があるのかということを聞いているのですよ。
  116. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 大体二億円という金は非常に高いようでありますが、はっきりした数字はこれは商業上の秘密ですから出てこないわけです。ニューヨークでシーランドという船会社がニューヨーク・ポートオーソリティの埠頭を借りているのは二億円以上であります。それからここに書いてあります四千万円という一般定期船埠頭使用料については、日本の船会社がニューヨーク・ポートオーソリティから埠頭を借りているのが七千六百万円くらいになっていると思います。二億円で若干高いのじゃないかというのは、当初私どもの計画は、民間からの借り入れ金というものがなくて、全部財投だったために一億五千万円程度でありましたが、これについては船会社も了承しておりましたが、五千万円ばかり高くなったのが、いささか御不満のようであります。
  117. 中村順造

    中村順造君 これはビルでも道路でも同じですよ。道路公団の考え方でも同じですが、これは十年間にどの程度交通量が増し、十年間でこの道路は償却できるかどうかという議論をするわけです。それは秘密だから内容はわからぬとおっしゃるが、要するに、何年かすればこの一バース当たり一年間二億円の使用料でこれは採算が取れるということで、きょうの参考人意見では、それは三十年も先の話では困るというような意見もあったが、それを押し通すというわけでしょう。押し通すという表現が悪いが、役所のほうが計画を立てて、船主協会のほうは弱いものですから、御無理ごもっとも、協力しましょう、やむを得ません、そういうような言い方をしているわけですよ。この船主協会が船会社から借り入れというのは、これを計算すると、これは数字が書いてないわけです。二十億と書いてあるわけです。これは四十二年度二十億円を借りるわけでしょう、船会社から。これを計算していくと阪神のほうは十二億二千万円、それから京浜のほうは七億八千万円、数字が入れてないから、もし入れるとすると、そういう数字を入れるのですか。
  118. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) そのとおりでございます。
  119. 中村順造

    中村順造君 そのとおりとあなた簡単に言うけれども、船会社というのは東京にも阪神にもあるわけでございますが、やはり政府の総事業費が二十九、二十一という、この京浜と阪神との差があるわけですよ。二十一、二十九という、その差の根拠というのは何ですか、それは。
  120. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) コンテナ化が進んでまいりますと、大体船会社の計画は、日本においては京浜と阪神と一個ずつ要るわけでありますから、同時に両方のバースができていなければならないわけでありまして、そのためには阪神のほうが当初よけいに工事をやらなければできる時が同じにならないということで、阪神のほうに本年度は予算をよけいつけてあるわけであります。
  121. 中村順造

    中村順造君 そうしますと、私は港の規模によって、すなわち港の規模というのは取り扱いトン数、そういうものを考慮してこの数字がきめられたと理解しておったが、そうじゃないわけですね。たとえば京浜の外貿埠頭公団と阪神の外貿埠頭公団というものはおのずから規模が違う、したがって、資金の予算も違ってくるというふうに理解しておったのですが、そうじゃないのですか。
  122. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) お手元に「外貿埠頭公団の構想」というのを差し上げてございまして、これをごらんになっていただくとわかると思いますが、両方ともつくる量は同じでございます。すなわちコンテナバースで両方に十一ずつ、それから一般外貿バースで二十六ずつつくるわけでございます。ただ、うしろの図面のほうでごらんになっていただくとわかりますが、神戸の新埠頭というのは実は防波堤の外でございまして、全然新しい所にこれから手をつけていく。したがって、完成する時期を合わすためには当初神戸の仕事にはよけい金をつけなければならないということから、ことしの両公団の予算額の差がついておる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  123. 中村順造

    中村順造君 その点はわかりました。  それでは「3−2」の「全体計画」というのの合計が三十七、どっちも三十七になっておるということで、でき上がった規模は同じだということですね。そうすると、この船会社の出す金というものが差ができているわけですね、四十二年度は。これは終局的にどうなるかしらぬけれども、ここでちょっと概算で見ると、七億八千万と十二億二千万というように阪神と京浜との差が出ているわけですね。差がついているという根拠はどうなんですか。でき上がった三十七バースというのは規模が同じで、四十二年度だけ差をつけておるということなんですが、その根拠は何ですか。
  124. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 先ほど申し上げましたように、両公団ででき上がる完成時期を同じにするという意味で初年度の事業量は違うので、二十一億と二十九億という差がついて、これの四割を船会社が負担するという——負担すると申しますか、船会社から長期借り入れするわけでございますからおのおのの公団の長期借り入れの額が違っている、こういうことでございます。
  125. 中村順造

    中村順造君 その船会社の借り入れですがね、船会社というのは船主協会ですか。協会を通じて借りるのですか。それとも、個々の船会社から会社の規模に応じて借り入れをするのか、それはどうなっているのですか。
  126. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 具体的には詰めておりませんが、六社でございます。六社としてはどういう持ち方をするかということは自分たちで相談をしておるわけでございます。
  127. 中村順造

    中村順造君 話が非常に具体的なんですがね、その具体的に詰めておらないということはどういうことなんですか。個々の数字が書いてないから——これは港湾局で出した資料でしょう、「外貿埠頭公団の構想」というやつは。五月に出して、われわれの手元にあるわけですが、数字を空欄でおくということはどういうことなんですか。
  128. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) あまり他意はないのでございますが、その空欄外のところにつきましては予算書並びに付属書類に載っておる数字でございまして、空欄のところは予算書並びに付属書類に載ってないので空欄にしておいたということだけでございます。
  129. 中村順造

    中村順造君 だから、これは構想はあくまでも構想であって、これは構想だから構想でいいんだけれども、具体的に質問すると——やっぱり具体的なものを出してもらわなければいかぬ。具体的なものが出てないから質問するわけだから……。  ここでいわゆる私が聞きたいのは、京浜は七億八千万、阪神は十二億二千万、これは協会かなんかが一括して二十億出すなら別ですよ。しかし、船会社個々——六社とあなた言っておられるが、船会社六社の中で全部が同じ、だというわけにいかないわけでしょう、実情は。そうすれば、そこで借り入れ——金のことですから、やはりきみのところとぼくのところと一緒じゃ困るという意見もあるかもしらぬけれども、あるいは一緒でもいいという意見もあるかもしらぬけれども、そういう点はどうなっているのですか。
  130. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 先ほど参考人からも話がありましたように、ことしの二十億については、お引き受けいたしますということを六社が共同で申しておりますので、その中の各社がどのような持ち方をするかということは、むしろ船主協会としてきめていただくべきではないかと思います。
  131. 中村順造

    中村順造君 そうすると、その七億八千万と十二億二千万というのは全然港湾局としては関係ない、そんなものは船会社がかってに出すことだからということですか。とにかく二十億出せ、いわゆる公団は二つに分かれるのです。分かれるのだが、最終的に船会社が出す金は、初年度、四十二年度は二十億。どんどん出していくわけでしょう。それはあとで質問しますけれども、ここで七億八千万と十二億二千万なんていう、これは別の人格でしょう、これはそれぞれ阪神と京浜というものは。それを大体初年度京浜のほうは、でき上がりを同じ時期にするために七億八千万とこっちは十二億二千万という割り振りになっておる。私の聞きたかったのは、そういうことじゃなくして、いわゆる京浜の埠頭使用する船会社あるいは阪神の埠頭を主として使用する船会社、そういうことに関連しているかどうかということを聞いておるわけです。
  132. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) これは海運局長からお答えするほうがいいのかもしれませんが、六社がグループをつくりましてコンテナ船を運航するわけでございますが、そのおのおのが両方の港に寄港するわけです。したがいまして、どちらの公団にいたしましても対象は六社になるわけでございます。
  133. 中村順造

    中村順造君 コンテナ船に限らぬでしょう。しかもこのバースというのは、一般のあれもあるのでしょう。資料を見ますと、これは私の資料の見違いかもしれないけれども、一般コンテナというのは三十七のうちわずかに十一でしょう。一般二十六でしょう。だからコンテナに限って議論するとこれはおかしくなるのですね。六社がそれぞれ平等にコンテナ船運営するといっても、コンテナのための埠頭だけだったらその議論は成り立つけれども、一般外貿というものも扱って、しかもその数のほうが倍以上あるのですから、その議論はおかしい。
  134. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) この構想の一一ページに、年次別の供用開始バース数というのがございますが、四十四年度においてはコンテナバースをおのおのの地区で二バースずつ供用したいということでございます。したがいまして、四十二年度はコンテナバースだけに着工するわけでございます。
  135. 中村順造

    中村順造君 そうすると、一般のこの外貿と書いてある二十六の内訳はどうなんですか、年度別は。
  136. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 二十六につきましては、ここに書いてありますように、四十五年度以降逐次供用を開始していくわけでございまして、これは四十三年度予算から着工していく、こういうことになるわけでございます。で、これはだれが借りるかということはまだ確定はいたしておりません。
  137. 中村順造

    中村順造君 そういうとまたおかしくなってもとへ戻らなければいかぬのだけれども、ぼくはさっき言ったように、コンテナの議論だけすれば、コンテナ埠頭だけがこれがこの埠頭公団になるというのならそれでいいのですよ。ところがこれを見ますと、一般外貿埠頭というのがあるわけですよ。これはコンテナとは関係ないわけでしょう。これが大体でき上がった全体計画というものは、それぞれの公団で二十六と十一という割合になっておるわけなんです。まあそれは単位当たりの使用料は二億出して四千万だから安いけれども、それにしても二十六と十一といういわゆる埠頭ができるわけですよ。コンテナが十一で一般が二十六というのをそれ、それの公団で持つわけですよ。で、四十二年度それぞれ一ずつつくる、こう言っておるけれども、じゃ一般の外貿というものはあくまでも対象内に入れなければおかしいのじゃないですか。
  138. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 全体計画としては当然対象になっておるわけでございます。先ほどお話がございました四十二年度においては、コンテナ分だけを着工する、したがって、一般外貿埠頭についてどういうように持ち合うかということについては、四十三年度以降の問題であるということを申し上げておるわけでございます。
  139. 中村順造

    中村順造君 それは資料に出ていないですね。四十四年度開始バースの数だから、四十四年度でしょう、この資料に出ているのは。
  140. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 一一ページの表は、この年度の当初において使用開始ができるという計画でございまして、四十四年度に使用開始ができるためには四十二年度から仕事をやっていくわけでございます。それから全体計画と予算は、全体計画は昭和四十九年度までの事業量でございますし、四十二年度は予算がきまりましたのでここにあげてあるわけでございまして、四十三、四十四年度というのは予算できまる問題でございますので、ここには想定をしてあげていない、こういうことでございます。
  141. 中村順造

    中村順造君 いまの、海運局長の答弁のほうが適当であるかともと言っておったが、海運局長、どうなんですか。京浜と阪神と、利用度というか、いわゆる扱いトン数というか、その見通しはどうなっているのですか。
  142. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) これは具体的には公団とこの船会社との間に埠頭専用使用契約というものを結ぶことになっております。そうしますと、船会社が定期船を年に会社別に何航海やっているという数字はあるわけでございます。そのうちこの専用埠頭を使うのはどの便とどの便というふうに具体的におそらく契約することになると思います。そうしますと、会社別に利用する頻度と申しますか、そういうものが出てくるだろうと思います。それによって全体のたとえば四十二年度二十億というものを案分してつくる、こういうことに具体的になろうかと思います。
  143. 中村順造

    中村順造君 その四十二年度の見通しの数字というのはあるわけでしょう、京浜と阪神と別々に。
  144. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) まだそこまで、どういうような契約をするかというところまでまだ実は話は詰めていないわけでございます。
  145. 中村順造

    中村順造君 公団ができてからというけれども公団は無理につくろうとしているのだから、これは遠からずできるのだと思うけれども、それのまた見通し、四十二年度の実績はどうですか、前の実績は、前のいわゆる公団埠頭専用埠頭でなしに、前の実績はどうなんですか。四十年度、四十一年度全く同じですか、阪神と京浜というのは。
  146. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 会社別に阪神並びに京浜という定期航路の数というのはいましばらく時間をかしていただければ……。
  147. 中村順造

    中村順造君 そんなものは表になっていないのかね。それではたとえば阪神と京浜と船会社の所在というか、これもぼくら実態はわからないのだが、阪神と京浜とは船会社、どちらが多いのですか。六社というのをちょっと言ってみてください、内容を。
  148. 高林康一

    説明員(高林康一君) 六社は、日本郵船、大阪商船三井、それから川崎汽船、山下新日本汽船、ジャパンライン、昭和海運、この六社でございます。日本の定期航路、バンコック以遠の定期航路、これはこの六社のみで大体経営されているということでございます。本社はいま、川崎汽船を除きましては大部分東京であると覚えております。  それから先ほど御質問のございました横浜等の各港におきますところの利用度と申しますか、その点につきましては、これを輸出貨物でございますが、横浜につきましては約五百万トン、それから神戸につきましては六百八十万トンというのがこれは四十年度の実績でございます。
  149. 中村順造

    中村順造君 まだいま公団できていないのだが、同じ規模のいわゆる公団をつくって同じバースの数を持たせるわけですよね。それはいいですよね。それは、そういう考え方でつくることはいいとして、実際にさっき頻度と言ったけれども、取り扱いトン数というものは差があるわけでしょう、全く同じということはないでしょう。いまあげた数字、何年の数字か知らぬけれども、五百万トンに六百八十万トンというからかなりの開きがあるわけでしょう、京浜と阪神は。それを同じ構想のものをつくるというのはどういうわけですか。
  150. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 手元にある数字は昭和四十年度の実績でございますが、しかもこれは輸出貨物だけについての実績でございますが、全体の輸出貨物が二千九百九十五万トン、その中の定期船貨物は千九百四十六万トン、そのうちでコンテナ化可能な貨物と申しますか、コンテナ化に適する貨物というものを拾い出して計算しますと九百六十三万トン、そのうち、さらに北米航路だけを拾っていきますと三百二十八万トン、さらに大西洋岸の五大港方面に行く荷物を見ますと二百八十五万トン、この二百八十五万トンを神戸、横浜、それから名古屋というふうに分けて見ますと、横浜港、これは東京も含めて申しますと九十六万トン、神戸が百五万トン、大阪の一万トンは別にありますが、それから名古屋が八十三万トンというような、こういうようなぐあいになっております。
  151. 中村順造

    中村順造君 それはいまの説明では輸出だけという前提だけれども、これはわれわれ、しろうとにおける埠頭という印象は、これは輸出も輸入も当然入らなければいかぬわけでしょう。同じ構想の中で同じ規模のものを京浜に一つ阪神に一つつくるということと、これはでき上がれば同じものでしょう。まさに形のあるものだから。同じものだけれども実体の内容は京浜も阪神も全く同じだということは考えられない。輸出入を見て、これは輸出の多い、輸入の多いということは別にして、取り扱いトン数が、規模は同じだけれども全然二〇%も三〇%も違うというなら、同じ規模のものをつくるということはこれは間違いじゃないですか、議論していけば。その見通しはどうなっているんですか。その取り扱いトン数、大ざっぱに昭和五十年にはこうなるという全体的なものは書いてあるけれども、京浜と阪神との実際的な見通しはどうなっているのか。
  152. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 貨物というのは定期船が大部分だと思いますが、定期船というものは輸出貨物を積むパーセントというのが非常に多いわけでございますが、大体京浜に寄る定期船はほとんど阪神にも寄っておる、定期船としては。そういう意味ではいわゆる接岸の回数というのはほとんど同じと言えるのではないか。ただ貨物の積み取り量と申しますか、そういうものは若干は違いがあるかもしれませんが、先ほどちょっと実績で申し上げましたように、少しは差がございますけれども貨物取り扱い量から見てもほぼ同じくらいに考えていいのじゃないかというふうに考えております。
  153. 中村順造

    中村順造君 それはまたおかしくなるのだけれども、そうういことや聞くとまた疑問が出てくるけれども昭和五十年度には七千万トン、三十九年には二千九百万トンという表現を使って、これこれの貨物の取り扱いトン数がふえる。そうしたら取り扱いトン数は、それぞれの港でどうなるかという質問をすると、今度は頻度、接岸の回数でいくんだということを答弁をする。しろうとにはわからなくなるのじゃないですか。取り扱いトン数が昭和五十年度には七千万トンですから、これに書いてあるのはこれこれの荷物がふえるのだと、七千万トン、昭和三十九年度には二千九百万トンだ、二・四倍に達すると予想されるという表現を使って説明をしておいて、今度見通しの利用度、頻度を聞くと、今度は接岸の回数と、こう言っておる。外国の船はどうなるのですか。
  154. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) おそれいりますが、お手元の資料の二二ページをごらんになっていただきます。参考の2でございますが、東京湾大阪湾における外貿定期貨物の実績と見通しというのがございまして、定期船貨物だけに限っておるわけでございますが、東京湾大阪湾に分けて昭和三十九年と五十年の数字をあげてございます。下段に施設別取扱量というものがございまして、コンテナについては若干の差がありますが、東京湾が五百八十万トン、大阪湾が五百六十万トン、バース数としては大体五十万トンについて一バースというわけでございますから、あまり違わないバース数であるということになるわけでございます。その次に一般外貿埠頭ということで公団をつくる分の貨物量といたしましては双方とも五百二十万トンになっておるわけでございますが、そのほかに公共用の埠頭、在来バースとそれ以外の港湾管理者がつくっていかなければならない外貿バースがございまして、それらで扱う貨物東京湾で千四百十万トン、大阪で千八百万トンと、こういうことで全体の整備がされていくと、しからばなぜ公団のやつを同じにしたかということでございますが、これは専用化によってなるべく効率的な使用をさしていこう、しかし、先ほどもお話がございましたように、はたして借りてくれるか借りてくれないかという問題がございます。そこでコンテナにつきましては、先ほど御説明したわけでございますが、一般外貿埠頭につきましては月に十隻以上の船を寄港させる船会社は、少なくとも一バースは借りるであろうということを想定して二十六というバースの数をきめたわけでございます。
  155. 中村順造

    中村順造君 これ二二ページの資料、七千万トンというのはどこから出るのですか、これは。
  156. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) この1のものでございますか、これの二二ページの参考の一と2がございまして、私が説明いたしましたのは参考の2でございますが、参考の1のものでございますか、いまの七千万トンと言われますのは。
  157. 中村順造

    中村順造君 ぼくは2のほうを言っている。
  158. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 2のほうは、いま御説明申し上げましたように、三十九年、東京湾でいいますと九百十万トン、昭和五十年が二千五百十万トンでございます。大阪湾が三十九年が千二百四十万トンで、昭和五十年が二千八百八十万トンでございますから、いまの七千万トンというのは、この一ページに書いてございます貨物量のカッコの中に書いてある数字でございますか。
  159. 中村順造

    中村順造君 この昭和五十年には七千万トンというのは、この二二ページの資料にはないじゃないかというのです。
  160. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) この一ページに書いてございます昭和三十九年が二千九百万トン、昭和五十年が七千万トンというのは全国の外国貿易の量でございます。
  161. 中村順造

    中村順造君 また話はあとへ戻るのだけれども、船会社の借り入れ金だよね、船会社の。これは貸すほうの人は、意見をさっき昼まで言って帰ったが、最近出た白書、運輸省から出た白書がきょう配られたわけでしょう。海運白書。あれから見て、これはことしは二十億円でしょう、来年はどうなるのですか。白書とは関係なしにいま質問しているのは、ことし二十億円、来年は、船会社の借り入れ金。
  162. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) 四〇%を船会社その他の受益者から金を出してもらうということになっております。ですから、全体の事業費が千百四十億でございますから、四〇%ですから四百四十億という勘定になると思います。それで、そのうち最初の年は二十億ということでございますから、あと残りの四百二十億を、あと四十九年まで七年間で均等に負担するという勘定をいたしますと、一年に六十億と、四十二年度は二十億だけれども、四十三年度以降六十億ずつ船会社等が縁故調達に応じなければならぬという、計算しますとそういう勘定になります。
  163. 中村順造

    中村順造君 船会社というのはそんなにもうかっているのですか、いま。
  164. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) まあもうかっておるかと聞かれますと、いま御承知のとおり再建整備期間中でございまして、まあ左前になっておったのを、この五年間で持ち直そうと、こういう途上にあるわけです。それでいわゆる償却不足あるいは延滞というものが相当あったわけでございますが、いまそれをどんどん返していっておるという段階でございます。もちろんこれのために利子たな上げ等の助成措置が講じられておるために、いまこういうふうに再建途上にあるわけでございます。それで幸いにして、この再建期間は定期船市況等が順調であったために、償却不足も中核体六社に関する限りは償却不足はすでに解消いたしております。全体としてはまだ四十二億ばかり残っておりますが、いまここにコンテナ輸送もやろうとする中核体六社につきましては償却不足はゼロになっておりますし、延滞もゼロになっておるという状況でございます。そうして、この再建整備法で定められておる償却範囲額以上に償却はいまのところできておるという状況でございます。しかしながら、これは、このコンテナ輸送自体が今後どのように採算がとれるか、それから、今後の世界の海運市況がどうなるか、あるいは再建整備期間後の政府の助成政策がどうなるかということによっていろいろと変わった情勢になるとも思われます。要するに、この二十億については本年度予算できまったことでありますし、船会社としてもそれを覚悟しておりますし、大体目の前のことでございますから、めども立つわけでございますが、四十三年度以後ずっと毎年六十億というペースで金が出せるかどうかということについては、けさあたりの米田参考人からお話がありましたように、非常に見通しが立たない、こういうことを船会社は言っておるわけでございます。
  165. 中村順造

    中村順造君 いま外航船舶の利子補給というものをやっていますか。幾らやっていますか。
  166. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) やっております。ことしの四十二年度の予算は八十八億の利子補給でございます。
  167. 中村順造

    中村順造君 六、七年前だったですか利子補給の制度というものが提案されて、本委員会でわが党は反対だということで反対をしたのを記憶しておるんですが、その一方では、再建途上にあるからというので利子補給をする、六十何億ですか八十何億ですか出ているわけでしょう。そうして政府が船会社の借金の利子を払ってやらなければならぬ筋合いになっているような現状、当初は非常にわずかな額だったけれども八十何億ということ、一方では公団つくってそういう情勢の船会社の、これは全体だから六社とは限らないだろうけれども、年間六十億の借り入れをしていく、これは矛盾していませんかね。大臣その点はどうですか。利子補給をしなければならぬという中で、船会社全体として考えた場合、片一方では政府が八十数億円の利子の補給をしてやって、片一方では六十数億公団に借り入れるというのはちょっとそれはおかしいんじゃないですか。
  168. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 一方では利子補給をしておることは事実でございますが、また外貿埠頭公団のために借り入れ金をいたすことも事実でございますが、借り入れ金は要するに船会社の信用によって得た金を公団が借りて、そうしてその元利は確実に返済していく、こういうものでございまするので、一方でやって一方で取り上げるというようなものでなくて、船会社の信用によって獲得できる融資を公団のために用立ててもらうというにすぎないと思います。
  169. 中村順造

    中村順造君 それはちょっと六社ということを前提に考えるとぼくの意見はそのままにならぬかもしれないけれども、外航船舶として全体のことを考えるとこれはおかしいじゃないですかね。返すからいいと大臣はおっしゃっておるけれども、私は借金をして利子さえ払えない、国に利子を払ってください、一応利子は、それはなるほどいままでの事情があるから、戦時中非常に大きな損害をこうむったから政府が利子を払ってやろう。しかし、払ってやるが、おまえもまた六十億ちょっと金を貸してくれというのはおかしいじゃないですか。それは借りる金だから返すのは当然ですよ、献金じゃないんだから。しかし、利子さえこっちが補給をしてやらなければならぬ。政府と船会社の関係は、船会社に対して利子さえ補給してやらなければならないように弱いんですよ。いわゆるこれは表現は悪いかもしれませんけれども、世の中にたとえて言うなら貧乏人なんですよ。利子が払えないから払ってくれ、それは現状はそうでないかもわからないけれども、当時からずっとそういうことが長年続いているわけでしょう。ところがその利子さえ払えない人から今度来年六十億借り入れをする、これは矛盾しておりますよ、政策として。
  170. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 利子補給の問題はこれは船会社の年間収支の過不足の問題だと思います。つまり赤字に対する補給といったような意味だと思います。ところが、この外貿埠頭公団の借り入れ金は借り入れでございまして、収支のバランスには関係ないことだと思うのでございます。したがって、矛盾ということは必ずしも言えないことではないかと思います。
  171. 小酒井義男

    小酒井義男君 ちょっと関連してお尋ねしますが、利子補給の総額の中で、六社が受けているのはどのくらいになるのですか。概算でけっこうです。
  172. 堀武夫

    政府委員(堀武夫君) ちょっと時間をいただきまして、すぐ調べます。
  173. 小酒井義男

    小酒井義男君 あとでいいですよ。
  174. 中村順造

    中村順造君 いま大臣の言われる、先ほど言われた船会社の信用でというわけで、それは大会社ですから銀行の信用はあるでしょうから、だからお前の信用を貸せ、それで公団に金を貸せ、こういうことでしょう。いまさしあたってそういうお考えのように承ったのですがね。その船会社の信用を悪く言えば利用する、借りるわけですから。さっき参考人が言ったのは銀行の名前まで指定して、勧業銀行で借りてきます。運輸省はひとつそれを口添え願いますとまで言っているわけですから、船主協会のほうはそういう実情の中で、船会社の金を出せばバランスに影響しますけれども、金を出さない、信用でよそから借りてきて、公団に貸すのだからバランスには影響ないと大臣おっしゃるわけでしょう。それはわかりますよ。わかりますが、一般論としては、利子さえ払えないから政府が払ってやろうという法律ができているわけですよ。それは戦時中二千数百億の損害をこうむったからとかいろんな理由がありましたけれども、船会社が大きな打撃を受けて再起が不可能だということで利子補給というものは始まったわけでしょう。それは順調にいっていま再建途上にあるわけです。なおかつ、しかし、まだ完全にその再建はしておらないから、いまもって八十数億の利子補給がなされているような状態なんです。再建したものに利子補給ということになるとおかしくなるのですがね。だからそれがやられている現状の中で、そういうものに対しておまえの信用で、よその銀行から金を借りて、公団に出せというのはちょっと矛盾してはおらないかとぼくは言っているわけです。
  175. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 考え方の問題かもしれませんが、私は矛盾は必ずしもしていないのじゃないかというふうに感じております。
  176. 中村順造

    中村順造君 それは受益者で利用者だから結局そのくらいのことはやってもいいじゃないかという役所の考え方ですね、と思います。それは当然のことじゃないか。お前のほうはりっぱな港ができて、いつでも船が横づけできるようなバースができるのだから資金的な協力をしてもいいじゃないか、しかもおまえのところのバランスには影響ない、信用で顔で銀行から借りてくる。しかし、参考人の言ったのは、私の信用だけでは金は借りられませんぞということを言っているわけですよ。運輸省当局にごあっせんを願って、ということを再三言っているわけですよ、あの参考人は。そういう実情にあるのにもっていって年間六十億という、ことしは二十億だから法律を通すためには何とかします、こう言っていますよ。来年六十億割り当てたときに問、題はありませんか。
  177. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 来年の予算はまだきまっておりませんが、考え方としてはやはり工事費の四割ということですから、大体六十億を調達しなければなりませんが、しかし、現実に船会社がどうしても信用が不足で出せないというような事情にある場合は、これをしも船会社に強制するということは私ども考えておりません。やはりそれは他の関係の金融機関あるいは金融能力のある団体等にお願いをいたしまして調達をしていくということにしなければならぬと思います。
  178. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっと関連して。資金の問題でいま話があるわけですが、外貿埠頭債券を出した場合に、先ほど船主協会のほうから言われているように、これが担保になって金繰りができるならばいいが、これが三十年間凍結されるような形になったのでは困るというふうなことを資金運用上言っておったわけですが、鉄建公団等も初めは別にして、順次公団債にしていくような形になった。政府保証、この点については、いま明年の六十億の問題についてやはり資金繰りができるような形という要望について、運輸当局のほうはどういうふうに考えておられますか。つまり来年六十億、業者から出させるということになった場合に、とりあえず二十億は何とかやりくりするとしても、将来は担保にならぬ、いわゆる資金繰り上非常に困るというふうな発言が船主協会からあったわけです。そういった場合について、裏を返せば、資金繰りができる、担保にできるようなものならば、ある程度信用で金の融通がつくのではないかというふうにも私思うわけなんです。そういう点についてどう考えるのですか。
  179. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) ことしの予算におきましては、船会社等からの借り入れということになっておりますが、この借り入れが、先ほどの船会社の話では、借り入れでなくて債券であるならば協力しやすいというようなお話がございましたが、これはいずれにしても資金ソースは同じでございますが、借り入れば船会社から望ましいけれども財政全体から見て借り入れがいいのか債券がいいのかということはあると思います。私どもはなるべく弾力的に大蔵省に考えていただきまして、金の集めやすい、また船会社が協力しやすいような形を取り入れることが望ましいと思います。
  180. 岡三郎

    岡三郎君 話は別なんですけれども、ちょっと私の質問はいま入りまじったような感じがするのですが、この債券というのは大体利子はどれくらいつけるのですか。
  181. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) これは政府保証債とその他の債券等は差がついておるわけでございまして、政保債の場合は七分三厘でございますが、それ以上であることは間違いありませんが、はっきりした数字はいま覚えておりません。
  182. 中村順造

    中村順造君 大臣、ことしは二十億を法律を通すためには出すと言っておりますが、来年から、計算すればまさに八年間に四百億幾らということになれば、来年は六十億という計算になるわけですが、いま大臣の答弁の中でことし二十億出すというが、来年はむずかしいかもわからぬから、そのときにはそのときでまた考える、それではちょっと大臣ぐあいが悪いんじゃありませんか。せっかく公団を二つ発足させて、新しく来年から必要な金だということの、資金の見通しすらないということ、そこでいまの私はことばじりじゃないのですが、現実にどうも来年はあの参考人意見ではとても六十億出せそうにないのですよ。ことし二十億、法律を通すためにはやむを得ない、銀行から借りてきて出そう、運輸省も口添えしてくださいと言っているのだから、来年六十億割り当てたってそれは困りますということは、これははっきりしているわけです。大臣、そのことを、いま利子補給と関係なしに切り離して、来年それじゃどうしますかといったら、来年は今度は別のことを考えますと答弁している。ところが、外貿埠頭公団が二つも発足して、もう来年からの資金すら何とかするということじゃ、これはちょっと計画に問題があるんじゃないですか。
  183. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) ことしの分につきましては、船会社が、先ほどお話がございましたようにこれくらいのものなら引き受けるということでございますが、来年以降については約束ができがたい、しかし、できるだけ協力するという話でございます。大蔵当局の見解でも、必ずしも船会社だけでなくて、コンテナ化によって利益を受ける荷主あるいは船会社等、そういうような貿易によって利益を受ける者から広く借り入れをしたらどうかということでございますので、そういう点については、私どもは努力をすれば金は借り得るものと思います。と申しますのは、先ほどもお話がございましたように、来年度以降の資金について非常に不安定でないかというお話でございますが、じゃ政保債であったならばこれは確実につくかというと、政保債のワクが窮屈だからこういう措置がとられないわけでございまして、住宅公団の場合でも、やはりことしの事業計画は二千億円程度でなかったかと思いますが、そのうち九百億円程度は保険会社等からの長期の借り入れということで政保債以外のものでございます。したがいまして、私どもはこれから仕事をやっていく上に、どういうようにして金を集めたらいいかということは、大蔵当局といろいろ相談して固めていかなければならないわけでございますが、船会社等からの長期の借り入れであるからすぐ資金に詰まるというようには了解してないわけでございます。
  184. 中村順造

    中村順造君 それはあなたは大蔵省じゃないからかってなことを言っているわけだから、公団をつくれば八年間に四百二十億出すのを船主協会から借り入れるということをはっきり言っているわけですよ。そのことだけをとらえてみても、それじゃ来年六十億出ないという見通しがあるところに持っていって、四百二十億借り入れるというのは一体どういうことですか。全く計算違いじゃないですか。
  185. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 計算違いということでございますが、船会社等でございまして、船会社のみではないわけでございます。それからもう一つは、大蔵当局のこれは見解でございますが、大体船会社は一社当たり、先ほど申し上げました六社で言うと平均百五十億ないし百六十億の借り入れをやっている。したがって、六十億だと一社当たり十億でございますが、その程度の追加の借り入れができないとは考えられないという、一つの大蔵省としてのものの見方があるわけでございます。したがいまして、二十億以上びた一文出ないかということは、これはそのときにならぬとわからないわけでございますが、さらにわれわれとしては受益する荷主なり貿易業者なり保険会社、そういうものを広く当たって、政保債で持てるものはなるべくよけい持ってもらうにしても、政保債だけでいくよりももっと幅の広い資金集めをしたほうが、かえって弾力的に仕事ができるのじゃないかということで申し上げたわけでございます。
  186. 中村順造

    中村順造君 船会社などと、等とあるから船会社には限らぬ、こう言っているけれども、主体は船会社でしょう。私はさっきから言っているように、船会社そのものの実態は借金しなければ払われないから政府が補給をしなければならぬというふうな実態の中で、さらに来年六十億というのは、それは船会社はじゃ来年は諦めます、それは保険会社なりその他のコンテナ業界から集める、こう言っているのですが、そういう議論をここでしなければならぬということ自体が、やはり資金計画に無理があるのじゃないかということを言っているわけです。それから大蔵省は来年のことだからきょう論議をする必要はない、それから社会党が心配しなくても資本主義体制の中では政府と資本家とそれだけ密接な結びつきがあって、いつでも金が借りられるというならば別ですよ。だけれども、計画として出す限りにおいては、ここ数字さえ入れてないんだから、それをだんだん問い詰めていくと、何とかなる何とかなるじゃ計画がずさんじゃないかということを言われるんじゃないんですか、一般論としては。その点はどうなんですか。
  187. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 決して安易に金が集まるということで申し上げたわけじゃございません。それから先ほども船主協会の米田さんが申しておられたのは、この公団はぜひつくってもらわなければならないということでございます。それからもう一つは、この法律を通すためにとおっしゃいましたが、法律を通しても来年の見通しの立たないような法律なら、おそらくああいう表現は私はしなかったんではないかと思うのでございます。ただ無制限に船会社に全部しわ寄せさせて、金を全部船会社に期待されては困りますということでああいう表現をとられたと思うわけでございます。したがいまして、私の聞いておるところでは、もしこれができなければ、コンテナについては全部船会社が持ってもやらなければならないものですと言っております。したがいまして、この公団はぜひつくってもらって、半分でも財投に仰ぐということはわれわれとしては非常に望ましい。しかし、それ以上できるだけ条件を緩和してほしいという要望であって、絶対そうでなければ協力できないということではないということをはっきり申しております。
  188. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をとめて。   〔速記中止
  189. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  190. 中村順造

    中村順造君 それは船主協会のいま参考人がああ言うた、こう言うたじゃないんですよ。それはちゃんと議事録になって載っているから。それは大臣はおられなかったけれども、われわれの聞いたのもあんたの聞いたのも同じことを言っている。それはコンテナ会社が出せば、ほかから金が出なければ全部でも出しますなんて一言でも言っていないんですよ。きょうは、ただ私が質問しておるのは、きょうの参考人の、船会社の代表意見だと言って述べた参考人意見は、あの意見を聞いた者は少なくとも来年の二十億すら無理だ。ただし方法を変えて債券にしていただければということは再三繰り返していた。これはわかりますよ。それは保証債にしろ、あるいはこの公団の債券にしても、よその公団もみな発足当時はそれをやっております。二年目、三年目から債券を出して、そしてその債券を買う。そのかわり債券を持てば船会社は造船会社へ行けば船をつくってくれますよ。ひとつもそれは死んだ金にはなりませんね。そのことは確かですよ。ただ、きょうの参考人の話を聞けば、ことしどおりにはいきませんぞと、二十億はいきませんよ。それをいま六十億とかいう計画になっておる。それはコンテナ会社、保険会社と言うけれども、あくまでも主体は船会社ですよ。きょうの意見は、無理だと、もう来年は船会社に金を二十億以上出させるのは。その二十億すら債券またはそれらの財産に肩がわりできるものでなければ困ると、こう言っているんだから、そこで来年の資金繰りはどうなりますかというと、大蔵省が何とかしてくれるとか保険会社から借りられるとか、そういうことを答弁をなさるが、それではこの公団のいわゆる設立の審議では私は無理じゃないかと、こう言っているわけですよ。
  191. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まことにごもっともでございます。私どももこの公団を発足いたしました以上は、ことしだけは何とかなる、来年はどうともいかぬというようなことにはとうていするわけにはまいりませんので、来年はまた来年の情勢に応じまして、どうしても本年と同じ方式でいけないということになりまするならば、また大蔵当局とよく相談もいたしまして、来年度の予算の編成にあたりましては、債券等の問題についても十分検討をいたすべきものだろう、こう思います。
  192. 中村順造

    中村順造君 時間もないから、それではやめますが、要するに、結論的に私はきょう午後質問した過程の中でですよ、私どもは考え方は違うわけです。これはいまの情勢の中では、無理に公団でなくてもいいという考え方があるわけですよ。いずれその最後の段階では、その意見を集約した討論がなされるから、私は申し上げる必要ないと思います。  質問の中では私はそういう前提の自分の気持ちの上に立って質問したわけですが、いろいろな面から見て、やはり一つ公団で済むものを、公団そのものはまあいいとしても、一つのものを二つつくるということにも無理があるし、それからこの計画そのものがずさんだとはぼくは言っておりませんがね。きょうの参考人意見など聞くと、ことし並みのいわゆる資金の計画では来年はいかないということははっきりしたということは言えると思うのです。で、まあせっかくりっぱな構想のもとにつくられる公団ですから、できるならそれはほかの公団も百八もあるわけですから、その翌年からもう赤字でどうしようもない公団ですから、破産するようなことはないですけれども、りっぱな運営がやられるということが、これは発案された人の期待である。そのことに私はこたえるためには、やはりいまの質問なんかを見ますと、私は表現の中では一番安易な方法をとられたという表現をしましたけれども、これは港湾局長とは見解の相違で、安易な方法であるかどうかということは見解の相違ですから、この点は別にして、質問の過程ではやはり若干の問題がある、この埠頭公団そのものについては。そのことを私は言えると思うのです。大臣は、それは来年は来年でりっぱな資金計画を立てると言うけれども公団ができるこの法律を論議する過程においては、若干の問題があったということは、私は認めざるを得ないと思う。大臣、やめますがね、そういう点はどうなんですか。必ずしも完ぺきではないというふうな感じがするわけです。
  193. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実はこの最初の予算要求の際には、もっと財投のワクも多く、また政府公共団体の出資金額も率を多目に予想いたしておりましたが、結局それらが査定の結果、切り詰められまして、しかし計画を縮小することは困難でございますので、そこでさしあたり今年度においては二十億でございまするので、十分船会社の負担をお願いできると、こういう見込みで立てたのでございまするが、来年度以降におきまして船会社がその負担能力以上であるということでございまするならば、われわれといたしましてはまた大蔵省とその点は十分に相談をして、来年度の予算は事業を圧縮することは不可能でございますので、財源の面におきましてあらゆる知恵をしぼってでも、つじつまを合わせて、必ず期限までに計画を実行するようにいたしたいと思います。
  194. 中村順造

    中村順造君 じゃあやめますが、結局、利子補給の話まで飛躍しましたけれども、船会社が無制限にこの公団、非常にそれはいいことですよね、船会社としては、船主としてはですね。いつでも港に帰ればバースがあいておって、すぐ荷役ができるという、沖待ちをしないということはいいことですが、それは会社としては喜ぶでしょう。けれども、これを無制限に協力資金がどんどん出るということになれば、わが党は当初反対をした利子補給の問題なども再検討しなければならんと思うのです。きょうはせっかく白書が配られましたから、これまた内容を読ませてもらわなければ、そのことがいいか悪いか言えないですが、まあその程度申し上げて、私はもうやめます。約束がきましたから。
  195. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をとめて。   〔速記中止
  196. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記つけて。  暫時休憩いたします。    午後四時五十三分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————