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1967-06-29 第55回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十九日(木曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         天坊 裕彦君     理 事                 岡本  悟君                 谷口 慶吉君                 岡  三郎君                 小酒井義男君     委 員                 江藤  智君                 金丸 冨夫君                 木村 睦男君                 平島 敏夫君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 中村 順造君                 吉田忠三郎君    国務大臣        運 輸 大 臣  大橋 武夫君    政府委員        運輸省船員局長  河毛 一郎君        運輸省自動車局        長        原山 亮三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        運輸省自動車局        業務部長     蜂須賀国雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○船員災害防止協会等に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査  (自動車行政等に関する件)     —————————————
  2. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  船員災害防止協会等に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  3. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 船員災害防止協会等に関する法律案について若干質疑を申し上げます。  いろいろな質問に先立ちまして、大きい問題等につきまして大臣にお伺いしたいのでありまするが、法律案趣旨説明によりますというと、船員災害多発状況にかんがみて、これが防止活動促進する意味において、従来のいわゆる民間団体自主的活動というものを基本にしてこれを促進する、特に船の関係につきましては、陸上ではこの範疇におそらく入らないと思われる疾病の問題をあわせてお取り扱いになるというたてまえで御説明がされておるわけでございますが、この災害防止計画樹立というこの法案中心の問題、さらにまた、船主団体の自主的な活動促進するということ、この二つが主眼となっているように理解いたしますが、すでに民間団体として財団法人船員労働災害防止協会というものが、三十九年五月に設立せられて今日まで運営されているわけであります。運輸大臣におかれましては、在来団体活動では、災害防止促進の上から、今日の状況において、いかなる点に欠陥というか、不満あるいは不徹底を感じておられるのか、また、船主団体自主活動というものに対して、今回の政府防止計画樹立ということ、それから協会法制化ということによって、どれだけの効果を期待せられておりますのか、お伺いしたいと思います。
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) お示しのとおり、現在、民法上の法人として、船員労働災害防止協会が存在し、活動をいたしておるのでございますが、依然として船員災害疾病防止については、現状は遺憾な点が多いのでございます。そこで、政府といたしましては船員法及び船員労働安全衛生規則を十分に適用して災害防止をはかりますと同時に、今後船員災害の減少ということを目標といたしまして、そのための目標を定め、その目標を達成するにあたって諸般の方策を計画的に樹立をするようにしていくことがよろしいのではないか。それでこうした目標を達成するには法規の活用だけでなく、やはり船舶所有者の自主的な活動が相伴うことが大切であるのでございますが、現在の財団法人をそれに当てることも一案でございますが、私ども考えといたしましては、この団体会員を一そう拡充することが目的のために必要ではなかろうか。さらに財政的基礎を確立いたしますことも大切なことではなかろうか。こういうふうに考えておるわけなのでございます。御承知のとおり、すでに陸上労働者につきましては特殊法人として労働災害防止団体等設立されておりまするので、同じような趣旨をもちまして船員災害防止目的といたしました特殊法人をつくり、会員の拡充並びに国庫補助によるところの団体財政の確立をはかっていき、一そうこの団体災害防止のために有効に活躍させたいと、こういう趣旨でございます。
  5. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 ただいまの御趣旨を伺いますというと、結局三十九年の法律百十八号のような、例の陸上関係労働災害防止団体等に関する法律。まあこれも法律自体内容もほとんどかわっていない、趣旨等においては同じであるように思うのでありますので、私はその点は十分に了承できると思います。特に、従来の財団法人協会というようなことになって、その長い運営の上において一番欠陥というのは結局財政的の問題である。それから、もう一つは、これを実施する場合において強制力というものがあまりないというようなことから、いわゆる運輸省における海員災害防止行政上の御方針に合いにくいというのがやはりその意味に入っておるだろうと思うのであります。ただ、ここで陸上海上における船員災害防止協会というものができた場合のことを考えますというと、船員災害の場合におきましては、陸上関係と違って労働者自身がまず船長支配下にある。あるいはまた、船とともに長期間海上勤務というような特殊事情にある。そういうようなことからこの協会の最も主要な勤務内容である訓練教育あるいは技術指導というようなことが陸上の場合とは違って非常に困難な事情にあるのではないか。こういうことを想像されるわけであります。したがいまして、もしこれを同様の形でやるといたしましても、協会自身活動というものはあまり大きな効果を期待せられないではないかという疑念があるわけなんです。この点につきましては。どういう御所見でございましょう。
  6. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま船員災害防止協会が今後この法律に基づきましてでき上がりました場合に、陸上と比べて御指摘のような非常な海上労働特殊性がございます。それを具体的にどのように効果的に実施していくのかという御趣旨お話でございますが、御承知のとおり、この協会そのものの行ないます事業目的は、法律案の第十二条によりまして具体的に明記されております。この点につきましては、陸上と大きな差はないわけでございますが、さらにこれを具体的にどのように実施に移していくか、あるいはまた効果的に行なっていくかという問題につきましては、私どもがいま船主団体といろいろ御相談をしておる最中でございますが、やはり根本的な問題点といたしましては、先ほどお話がございましたように、船員に関しまして一般的な災害防止規程というものをきわめて具体的なものとしてつくり上げていき、これを船主相互間の自主的な規制にするということが根本であろうかと存じております。さらにそのような規程を前提といたしまして、一般的に安全衛生意識を高揚するといろことを、きわめて具体的な形で行なってまいる。これにつきましては現在月間運動その他をもうすでに十年近く行なっておりますが、ざらにその活動を強化してまいるということが一般的には非常に大切であると考えておる次第でございます。  さらに、御承知のとおり、船につきましては、具体的に陸上の場合と違いまして、船が非常に分散し、また移動するということに基づきまして、安全衛生管理につきましては徹底しなきゃならぬという点につきましては、御趣旨のとおりでございます。これにつきましては船員法によりましても各船舶に、大きな船につきましては安全担当者あるいは衛生関係につきましては大きな船につきましては医者あるいはまた一定以上、比較的中級の船につきましては衛生管理者が乗っております。したがいまして、訪船指導その他によりまして、さらにこの協会衛生管理士あるいは安全管理士というもの、あるいはまた支部的な機構を将来増強してまいりまして、現場におきまして、そのような具体的な指導徹底するように考慮してかかる必要があるのではなかろうか、こう考えておる次第でございます。  さらに、安全に関しまして、一般的な安全手帳あるいは衛生手帳あるいは危険物に関するいろいろな資料その他あるいは災害疾病事例集、そういったものを具体的に行なっていくことが非常に大事でございますし、また教育につきましては、できるだけひんぱんに講習会その他を行ないまして、現場への徹底に遺憾なきを期してまいるということでございます。さらに具体的には、災害防止のためのいろんな保護具その他のものがございますが、これの標準化あるいは内容の改善ということもその協会の非常に必要な仕事ではなかろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 いまの御説明はわかりますが、私の申し上げることは、陸上と異なるような勤務態勢にあるところにおいて、実際この防止活動の最も中心をなすこの訓練あるいは技術指導であるとか、あるいは教育というようなことがどういう形で行なわれるか。もしそれがうまく行なわれないというようなことであるならば、協会自身陸上の場合においては大会あるいは週間、月間というようなものを容易にできますけれども、これは海のすべての船がおのおの別の運航によって長期間動いておりまするので、そういうことがなかなかできにくいではないか。そういうことになれば、結局この実際の防止活動業務内容協会がはっきりきわましても、結局船主、さらには船長意思いかんということで非常に左右される部分が多いということになりはしないか、それを憂えてのことであります。特に今回の協会設立して、それを相当いわゆる法制化される、また監督官庁運輸大臣としては、必要に応じていろいろの作業についての要請をするというようなことも法律に出ております。それは要するに、先ほど説明のありました船員災害防止規程というものを新たに設定するということ、これは、最近の陸上においてもそうでありまするが、非常に効果があります。ただ防止思想を普及するとか、あるいはかけ声で事故を何%減らせというようなことよりも、毎日毎日の作業において、その作業自体の中に安全措置というものを必ずその段階の一段階に繰り込む。たとえば、ボートをおろす場合においては、普通の作業はこうやっているが、これに対して安全なように、たとえば踏み台を、これをまず行なうというようなことを個々の作業の手順に織り込んでいくというようなことでなければ本当の効果がない。まあこれを陸上あたりにおきましてはやはり特にこれを強調しておるわけなんです。これが結局規定としてあらわれるのが、やはり船員災害防止規程というものもさような見解に立っておやりになるんだろうと思う。そうするというと、これを協会がきめますが、これは結局船主にこれをやるのか、あるいはまた船長にやるのか、また、やることはそれは船長を通じて行なわせるということで督励するのか。あるいはまた、ある監督官を派してやるとか指導員を使ってやるとか、こういういろいろのことが陸上においては容易にできる。ところが海のほうはこれがなかなかできないというようなことがあるので、これに対して十分のお見込みがあるかということをお伺いしたわけなんです。  では、この問題につきましてさらに進んで、自主活動というものをやる場合において、この船員労働災害防止協会というものが中心になるということになると思いまするが、かりにその困難は克服できるというたてまえからいきまして、この組織変更の形になるわけですから、協会規模その他はどういう程度にお考えになっておるのか、それからまた業務内容である指導教育技術援助、またもう一つ言えば、船員災害防止規程というものを充実させるにおいて、ただ法律ができた、監督官庁が権限を持ってこれをある程度強制できるということだけでは、民間自主活動ということでありまするから目的は達せられないと思います。それに伴ったいわゆる組織と、その防止活動の流れというものをやはりちゃんと順序よく考えなければ私はいけないと思うんですが、この点はどういうぐあいに、たとえば全国的に現在の協会というものをどういうぐあいに組織化するか、あるいはまた、先ほどちょっとお話があったようですが、協会一つかというお話もありましたけれども、これは一つで、下部組織をこしらえるということもあるし、おのおの協会をつくって、その連合会をこしらえるということもできるであろうし、まあ大体陸上におきましては、御案内のように、年間八十五万件の事故数があり、また死者等におきましても最近だいぶ減りましたが、五千六百から六千の死亡者があるというような状況であります。それに引きかえて船員は、この表を見ますというと、大体年間二万二千六百件、死者は九百五十一人、千人近くというようなことになっておりまするから、大体の規模ということからいけばそち大がかりで騒ぐ必要はない。それよりも、実際この事故というものをほんとうに減らすということに適切な組織というものがあればいいというようなぐあいに考えるのですが、この点はどうでございましょう。
  8. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 協会規模並びに今後の具体的な組織の問題でございますが、協会の、現在四十二年度においてさしあたり考えております規模といたしましては、現在幾つかの船主団体がございます。その船主団体に加入しております船主に所属いたしております船員が十七万名でございまして、これに対しまして、これは船員の数は全体で約二十七万名でございます。そのうちさしあたって四十二年度は十七万名を対象といたしまして、この船主協会会員になるということでございます。  そこで財政的な問題でございますが、まず十七万名の船員に対しまして、船員一人当たり百円という会費船主が負担すると同時に、また国も一人当たり百円という補助金を出します。両方合わせまして千七百万円ずつ、三千四百万円になるわけでございます。そのほかに講習会その他の事業収入がございますので、全体では五千万円の規模で出発するということでございます。それからさらに、この協会全国一つ協会になる公算が非常に大きいわけでございます。  それから次に、このような協会活動の具体的なる方針でございますが、ただいまお話がございましたように、災害防止規程中心にいたしまして活動をするわけでございますが、何と申しましても先ほどからお話がございますように、船舶につきましては現場にこれをいかに徹底させるかということが一番大切なことであると、われわれも考えている次第でございます。したがいまして、組織といたしましては今後特に主要な港、あるいはまた漁船につきましては主要な漁業基地というものを中心にいたしまして、協会支部組織を拡充していくということに最重点を置いてまいりたい、こう考える次第でございます。
  9. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 いまの財政的問題につきましては、もう少し後ほど検討させていただきますが、大臣にお伺いしますが、この船員発生事故概数から見、また船の種類等から考えますというと、非常に漁船事故が多い、御案内のとおり、五〇%以上というものが漁船。もっとも漁船といいましても、法律でちゃんと五トン未満の船は含まないとか、あるいは河川、湖上の船は含まないとか、それから漁船については三十トン未満のものは含まないという、あの船員法の範囲でやられるということになっておりまするから、自然、漁船におきましてもいわゆる釣り舟というようなのは私は入らないのではないかと思いまするから、相当大きいと思いまするけれども事故概数、それから隻数等から考えますというと、やはり六〇%、言いかえればこの災害防止活動の非常に重要なポイントが漁労関係、いわゆる漁船の問題にかかっておるように思うのです。これは、私、本協会はこの問題の推進に非常に御苦労をなさるのではないかと思うのです。と申しますのは、何ぶんにも定期船であるとか、そういうものについては相当訓練が行き届いておると思いまするが、やはり漁労関係については、どうしても作業自身も大ざっぱであり、やはり危険性も多いという、安全衛生思想の普及も非常に徹底していないというふうなことがあろうと思いまするので、これは、この法案によっておやりになるのはまことにけっこうであります。けっこうでありまするが、特に漁船に対する、いわゆる漁労関係に対する施策としては、相当にお考えにならなければならない必要があろうかと思うのです。現に、いままでのいわゆる財団法人船員労働災害防止協会というようなもののメンバーを見ましても、水産会は何か一本で入っているんでしょう。そういうことになっておって、結局、船主協会の百八十四事業者というようなものがおそらく運営しておるのではないかと思う。そうするというと、結局、この活動自身も、ほんとうにこの法律目的のようにやるならば、新たにいままでほとんど手をつけなかったような未開発の、それを開拓するというような形になりはしないかということを私はおそれるのであります。これに対して、運輸省はどうお考えになっておるか。特に運輸大臣はどういう御決意であられるか、その点をお伺いしたい。
  10. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 従来、海員疾病あるいは災害発生状況を見まするというと、お話のとおりに、漁船機帆船等が非常に高率でございまして、その原因は、やはり船主はもとより含めまして、被用者すなわち船員に至りますまで、関係者全体が安全衛生意識がきわめて低調であり、災害防止についての観念が希薄であったという点が原因となっておろうと思うのでございます。したがいまして、今後、運輸省船員疾病災害防止ということになりますと、どうしてもこの部分に大半の努力を集中するということでなければ、その目的を達することができないわけでございまして、従来からも、運輸省としては、そうした努力を怠って来たわけではないのでございまするが、このたび、この法案を進めていくにあたりましては、特に、これらの中小零細船主がまずもって船員災害防止協会へ加入してもらうということが大事でございますから、これに全力をあげるようにいたしたいと思うのでございます。  そこで、まず、この新団体設立にあたりましては、準備委員をお願いすることになるわけでございますが、法案成立の暁におきまして、準備委員にお願いする方々としては、大日本水産会代表という方お一人にしぼるということでなく、むしろ、実際、漁業活動において有効な活動をなさっておられます団体代表者、すなわち、日本鮭鱒漁業協同組合連合会でございますとか、あるいは全国鮭鱒延縄漁業組合連合会でありますとか、全国漁業協同組合連合会日本鰹鮪漁業協同組合連合会全国底曳網漁業連合会日本遠洋底曳網漁業協会、こういった水産業で実際の活動をしておる団体代表者にお願いを申し上げ、準備委員として設立にお手伝いいただくばかりでなく、その後もやはり、こうした方々の中から役員として団体事業運営にあたっていただくというような配慮をいたしまして、これらの方々努力によりまして、中小船主の加入の促進また協会事業への協力方を進めていただく、こういう考えを持っておる次第でございます。
  11. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 この点は、新たにいわゆる問題の点に着目されて、発起人等の選定にあたっておられることは、まことにけっこうだと思います。ただ私は従来の情勢から申しますというと、たとえば大日本水産会であるとか、機帆船関係というようなところがどうもわき役どころではなく連れ役連れ役も五番目の連れ役というようなことになって、たとえば、ただいまの財団法人設立の場合でも、船主協会が三十万円の寄付をする、大日本水産会は十万円というようなことで、だいぶウエートが違っておる。これは民間にまかしておけばそういうことになるでありましょう。しかし、今回はいわゆる国が全体の災害防止ということ、国民全体の人命尊重あるいは国の大きい損失というものを防ぐというたてまえでございますから、当然かくあるべしと私は考えておるのでありますが、局長にもう少しお伺いいたしますが、こういう場合において、船主協会の百八十四というのはおそらく各船主であろうと思うのですがね。そういうことになれば、この所属の船員が五万人で、それに倍する九万一千人というのは大日本水産会船員ですね。これはしかも、五トン未満の船とか、あるいは三十トン未満漁船というのは除いておるわけですから、相当のやはり、まとまったいわゆる事業者、そういうことになるであろう。これを漏れなく会員にいれるということに努力をしないというと、財政的にもまた困っていくでありましょうし、困るということは、あるいは妥当ではないかもしれませんが、活動の力というものがだいぶ違ってくるだろうと思うのです。この点は十分にお考えになってやっていかれることと思いますが、そう理解してよろしいでしょうか。
  12. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) ただいま大臣からお話がございました、またただいま御指摘がございましたように、この協会につきまして今後、最もなすべき大きな問題は、これら中小漁船あるいはまた機帆船船主をいかにこの協会会員として加入させるかという点でございます。この点につきましては、私ども今後、協会指導し、また監督するにあたりましては、全力をあげまして御趣旨に沿うように努力してまいりたい、こう考えております。
  13. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 それからもう一つは、何といいましても、結局、いわゆるこの法案効果というか、そういう点は、まっ先に大臣も、また局長も触れましたように、この活動を大いに促進するというその妙薬は、何といってもやはり財政面です。ところが、それにつきましては、先ほどお話もありましたが、大体国庫補助金として千七百万円ですか、こういうものを出されるということを伺ったわけでありまするが、在来船員労働災害防止協会内容等はどういうことになっておるのか、あるいはまた、それを今度拡充強化された場合の、このどういう点がふえていくのか、この点を一応御説明をいただきたいと思うんです。  それからもう一つは、会費の問題であります。会費はかような場合においては、陸上におきましても労働者一人当たり何ぼというような基本がきまります、きめております。それは大体トラック関係等におきましては数が非常に多い、零細でございまするので、労働者一人当たり五十円というような形のところもあるし、建設等においては、あるいは二百円とか、もう少しなっておるところもあろうかと思いまするが、大体百円ということでございまするから、この点はあまり私はけたはずれではない、百円を徴収されるという本法案の運用についてのお見込みはそれでよろしいと思うんですが、何にいたしましても、会員数の増加ということが一番大事でありまするから、先ほども触れたわけでありまするが、そういうことを加えまして、できまする新協会の全体の財政的規模、そういうものをどういうことで御判断なさっているのか教えていただきたい。
  14. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) まず、現在ございます災害防止協会でございますが、これは昭和三十九年に財団法人といたしまして設立されたものでございまして、船主協会タンカー組合あるいは機帆船関係連合会というものが設立者になっておるわけでございますが、財団法人でございますので、船主会員にいたしまして事業活動をするということではございませんで、一定財産基礎にして行なっておるわけでございますが、これもその基本財産が五十万というきわめて少額のものでございまして、また現在までに行なっておる活動も、たとえば非常に具体的な安全手帳を発行するとか、あるいは安全標識というものを頒布するというようなことに限られ、きわめて具体的かつ小規模なものであるわけでございます。したがいまして、船員災害の全体を民間団体として自主的に行なっていくということは、やはりこの新しい法律案によりまして、この法律に基づく船主会員とする性格といたしましては、社団法人的なものにいたしますとともに、船員保険特別会計から補助金を出しまして、これにてこ入れしてまいる、こういうことでございます。  それからさらに、その財政規模につきましては、先ほど申し上げましたように、四十二年度は一人当たり百円ということで、会費並びに補助金を計算いたしまして、五千万円程度でございますが、今後、船主会員加入を、先ほど指摘がございましたように、私どもといたしましてはできるだけ多くいたしまして、全体の財政規模を高めていく。それから、同時にまた、保険特別会計につきましては、厚生省とも御相談いたしまして、そのように会員が非常にふえていく場合には、それに従って当然補助金も増加していくということのお約束を大体いただいておりますので、財政規模につきましては、今後さらに会員の増加と相まって進めてまいりたいと思います。それからまた、そういった強化された財政規模基礎にいたしまして、先ほど申し上げましたようなセーフティーコードを確立いたしまして、さらに船主団体との協力をこの協会が密接に行ないまして、地元組織を強化するということを中心活動を行なってまいりたい。こういうことが私どもの非常に強い気持ちでございます。
  15. 岡本悟

    ○岡本悟君 いま金丸先生御指摘のように、会員をふやすということが財政的規模の問題に関連するのみならず、災害防止そのものの目的達成につきましても非常に必要なわけなんですが、先ほど船員局長説明によりますとですね、全国で二十七万。そうして団体所属の船主の使っておる船員というものは十七万、パーセンテージにしてみますと六三%ですね。そこで、これから大いに加入については積極的に指導すると、特に中小船主については。こういうお話なんですが、一体この十七万人という数が少しでも毎年ふえていっている徴候があるのかどうか。つまり十七万人というのがここ数年ずっと続いておって、六三%どまりで、それ以上はもう壁が厚くてとてもどうにもこうにもならんという状態なのか。積極的にこれからやるんだとはおっしゃるけれども、これは非常に壁が厚いとすれば、特段の措置を講ぜられんと、問題はお話にならんと思うのですね、ですから、傾向をちょっとわかっておればお知らせを願いたい。
  16. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) いまの点でございますが、実はこの二十七万名という船員数が、ごく最近私どもの資料に基づきまして、船員法の適用船員全体を把握した数字でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、現在、民間団体で行なっております船員災害防止活動につきましては、実は非常に具体的あるいは部分的でありますと同時に、たとえばコンサルタント業務というような具体的な船主を対象とする活動はあまり行なっておりませんで、月間運動というきわめて一般的なもの、あるいは安全手帳を配るとか、あるいはまた安全標識を売るというようなことを行なっておりますので、必ずしも十七万というものをめどにいたしまして従来行なっておったわけではございません。ただ今度この法案ができるにあたりまして、いろいろな事業計画を立てます場合には、大体船主が負担いたします金額と、それから国の補助金の額というものが五〇、五〇になるように考えるという原則を立てておりますので、まあそういった関係で、私ども事業計画をこの法律に基づく協会についてつくり上げます場合に、大体四十二年度、まず間違いなく会員として入ってもらうであろうという船主の数を実は初めて十七万名と想定したわけでございます。したがいまして、今後これをさらにふやしていくということは、私どもといたしましては十分可能性があるというふうに考えております。  それから、御参考までに陸上関係を申し上げますと、陸上関係につきましても、設立後数年間でやはり会員が逐次ふえておりますので、そういった実例に徴しても可能性が十分あるのではないか。このように考えます。
  17. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 そこで、いまお話しの、いま運輸当局がもくろんでおられるというもののうちに、いまのコンサルタントの関係をお考えになっておりますね。最近の、この法案にもありますように、実際これを徹底させるということは、民間活動によるということでございまするから、非常に効果的ではございまするけれども、同時に大事なことは、指導を十分にするということに尽きるわけでございます。その点において、陸上でありまするような同様の安全管理士それから衛生管理士の問題を十三条で規定しておられまするが、この員数等はどういう程度にいまお考えになっているんでしょうか。陸上では御案内のように、協会におきましてはただいま相当の数を増加してやっておる、その経費も相当に見込んでおる。あなたのほうの目論見書だと思いますが、これによるとコンサルタント活動費というのはたった四十万円しか計上してないようですね、そういうことでよろしいんですか。
  18. 河毛一郎

    政府委員河毛一郎君) 四十二年度の事業計画との関連におきまして、ただいま御指摘のあった衛生管理士安全管理士につきましては、私ども事業計画を規定いたします場合の考え方はきわめて弱いところがございます。私ども事業計画を立てます場合の重点といたしましては、初年度さしあたってやはり協会基礎を築き上げるということが重点にあるわけでございまして、今後さらに御指摘のようなコンサルタント、つまり安全管理士衛生管理士の数をふやすとともに、その活動費を増していくということにつきましては最も努力をしなければならないところであると考えておりますが、現在の事業計画におきましては、四十二年度の問題といたしましては安全管理士衛生管理士をさしあたり一名ずつ置いていくという、きわめて小規模のものになっておる次第でございます。
  19. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 そういうことで、結局中央にたった二人ぐらいしかおらぬということでは、これは実際まことに心細い次第で、もっともこの経費自体、これは運輸大臣は厚生方面のオーソリティーであるからよく御存じだと思いますが、陸上におきましても今度この道を開きましたけれども、やはり協会だけでは経費自体が結局フィフテイ・フィフティの意味において、こちらの活動しただけのものを国が補助するというたてまえはおそらく現在つくれないだろうと思うんです。だから、そういうことになるだろうと思いまするが、ただ、そういうことになると、たった四十万円ということになる。そこで、陸上でいま労働省がやっておられる指導員制度、これをひとつ始められる意思はないのか。指導員というのは、ただいまこれは労働省が協会関係なく防止活動推進のため、また、その監視のために、ただいまでも前年度千十七名配置していますね。だから、そういうものをやはりお考えになって、両々相まってやらなければ、協会ができた、そしてフィフティ・フィフティの五〇をやるから、おまえたちはもう全部やれということでは、これはせっかく大きい災害防止のスタートをするわけですから、法制化してですね、そういう仏つくって魂入れずというような形になってくると、やはりこれが会員がたくさんふえて、特に漁業関係のごときはまだ十分に余地があるのですから、これをひとつ率先して会員に持っていくということを協会自身も、また監督関係運輸省の各機関も努力せられれば私は相当ふえる、そういうことになれば協会に全部をまかせるということもこれはいいと思います、自立的活動というたてまえでありまするから。しかしながら、さしむきは特に私はやはりこの指導員制度というようなものを持って、そうして別の角度からも運輸省御自身がやはりこの推進に当たる方途を講ずるということは、もう現に例があるのですから、これはそうむずかしい、海のほうはいかない、陸のほうはよろしいというような何も理由はないのですから、これはもしおやりになるというお考えがあるならばいいのですが、ないということであればちょっとこれからお考えになってもおそくはないのじゃないか、こういう感じがいたすわけですが、これはどうでしょう。
  20. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私どもは労働災害防止につきましていい方法があれば何でもやりたい、こう思っておるわけでございまして、すでに労働省においてある程度の指導員制度をやっておられるのでございますから、私どもも十分それに見ならいましてやってまいりたいと思います。ことに先ほど指摘にもなりましたとおり、船員をつかまえるということは船の関係上困難がございますので、やはりいろいろな方面から人手をふやしてこれをつかまえていくということが大事なことだと思いますので、ぜひこのお述べになりました指導員制度を検討し、実施するようにいたしたいと思います。
  21. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 時間もなかなか、お向うさんがやかましいようですから、やめますが、この防止規定を特に十分徹底させるということについて一番大事なことは、私が申すまでもないことでありまするが、つまり船主がその気になるということが一番大事だと思う。船主ほんとうにその気になれば船長もその気になる。そういうことで全体がほんとうに生きた効果的な災害防止活動ができると思うのでありまするが、とかく経営者というのは、収支採算に非常にいつも頭がいっておりますので、安全活動というと一会社でも係長かせいぜい課長のところにまかしておいて、ああ安全か、安全なら何々課長に、何々係長にというような傾向が従来あったのであります。最近はそれがすっかり変わってきております。これはまあ皆さん方も御了承と思いまするので、今回もやはり船主に対してほんとう教育の面においても船主、各船会社の相当幹部級に対して防止活動の大事なことをよく教育する必要がある、かように考えるわけです。特に人命尊重思想とかいうこと、まことにこれもけっこうでありまするが、とかくいまのような採算に先走りをするという、経営者としての上層部はとかくこれを等閑視してしまうというきらいがありまするので、私はこれは陸上でも大いに主張しましたのでありまするが、船主自身が熱意を持つという方法は、結局災害防止それ自身が事業の一端としても、ぼくはいわゆる採算が取れるのであるということをよく教え込むことだろうと思う。私の見ましたこの表によりますと、具体的には名前は申し上げませんが、在籍船員三千九百、四千人ぐらい、七十五、六隻の船を持っておられるある会社、これのいろいろな経費をちょっと見てみますというと、法定費それから労働協約あるいは内部規程によって補償せられる費用、あるいはまた災害に伴っての休業の損害あるいは船舶の損害、それから運航費の損害、さらに営業上の損失というものをずっと計算いたしますというと、一会社でもすでに一億五千万程度の経費の損失をこうむっておる。それをもし災害防止活動によって三割災害防止できたということになれば四千五百万円、約五千万円が事業採算の上に浮いてくることになれば、このことにどうもみな目が向いていないという、私そういう感じがするので、陸上におきまして特にこの点を言っておるのでありまするが、ちょっと私まだよく読みませんので、この点をお伺いしたいのですが、船員保険の場合においては、船員保険の掛け金は事故の発生件数のいかんによってメリット方式は採用しておりますかおりませんか、その点を。これがもししておれば、一億五千万円がこれまた、この上に事故がなくなればそれだけその会社なり、その地区なりの事業自身に利益が残るわけで、一回のベースアップぐらいこれで済むということになる。金鉱はほかにあるのではなくて、アラスカにあるのではなくて、わが足元にあるのだということをよく知らせる必要がある。どうでしょう。
  22. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 実は話が船員保険のほうにまいりましたわけでございまして、御承知のとおり、船員保険につきましては、これは船員保険特別会計、厚生省の担当になっております。ただ私どもといたしましてもいまのような点から重大な関心をもっておりまして、いろいろ厚生省と御相談し、また御連絡をいたしておるわけでございますが、ただいま御指摘のございましたメリット制度でございますが、これにつきましては、いまの船員保険では採用していないわけでございます。これを採用すべきであるかどうかということについては、いろいろ意見がございまして、特に漁船関係機帆船関係、まあ全体的に保険のロスレシオの非常に大きな格差がございます。その辺も考えながらメリット制度というものをどういうふうに今後取り扱っていくかということは、船員保険につきましてはむしろ一つの課題になって、将来の問題になるのではないか。そういう現状でございます。
  23. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 これは、こういうことをやられるのは運輸省、言いかえれば、陸上であれば労働省ですね。現に労災法においてそういうことが行なわれておる。そうして非常に事故発生率、強度率というものが減った場合においては、メリット方式があるとすれば、現に三十三年には私民間で経験したのですが、年間三億円、私の会社で得をした。そうすると、その当時のベースアップが一ぺん息がつけたと、こういうことになる。これは数字をはじかなければわかりませんけれども。だからメリット制はなるほど厚生省の担当かもしれないけれども、ただ厚生省が扱っておるからわれわれは知りませんではいけないので、むしろ皆さま方のほうから責任の運輸当局が大いにこれを推進すると、そうしてこの壁を突き破っていくというところに船員の幸福も、また事業者の有利な採算というようなことも生まれてくるだろうと思うのですが、これはひとつよく御研究になって、はたして陸上のようにトラック関係、バス関係、あるいはまた、その他の一般車ということに分かれてやるということはできないかもしれませんが、私それはわかりませんが、とにかく大いにこの点を御研究になって、いわゆる船主にひとつ気合いを入れるという意味において、非常に私は効果的だと、かように考えるわけです。社会主義におきましても、なるほど純正社会主義は自然に修正社会主義にかわっておる。それは人間の利己心をやるにあらざれば生産がふえないという現実の主義です、それがある。だから、やはりその方面でもそういうところに着眼して、わずかであってもそれをやるということが、これは私は行政において最も意を用いにゃならぬところではないか。かように私は理解しておるわけです。私、この点についてのお考えを最後に伺いまして、だいぶ雑問がありまするけれども、なかなか向こうさんがやかましいようですから、この辺でこの質問はやめます。その御回答をひとつ願っておきます。
  24. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御承知のように、船員につきましては一般の陸上労働者の保険と制度が異なりまして、一般労働者の場合には健康保険と災害保険が分れておりますが、現在の船員の制度ではそれが一つ船員保険というのでまとまっております。しかし、その内部の計算において労災的な部分と健康保険的な部分と分けることは十分に考え得ることでございますから、したがって、船員の労災保険の部分において陸上同様の制度を取り入れていくということは、やり方によっては十分可能であると存じます。ことに陸上労働者の労災の減少に非常に効果がある保険料の算定方法があったといたしましたならば、海上におきましてもやはりそうした制度を移してくるということによって同様の成果を期待することも十分でき得ると存じますので、今後前向きに検討をいたしてまいるようにします。
  25. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 これでやめます。ところで、いまのお話の点で御方針もわからしていただきましたが、先ほどからお話しのように、この制度自身を行なう上において、私の見るところではいわゆる漁船関係、大きい穴があるので、せっかくその発起人は、大臣は、六、七名おあげになりましたが、ひとつこれは六、七名と限らずに、どうせ入って、会費を納めるのだから、多々ますます弁ずるというようなことで、あまりいろいろされずに、たくさん入れられて、そうしてあれを抱き込んでしまうということによるにあらざれば、この協会活動も非常に規模が小さくなりますし、また、それだけ事故防止自身についての今後の活動もよく徹底する原因になると思いますので、発足にあたっては、どうぞひとつ発起人だけというようなことでなしに、会員の、なるべくよけいに入るようなことを頭に置かれて、発起人関係の御選定等もひとつ大いにやっていただく。そうして、成功するようにひとつ希望いたしまして、私の質問は終わります。答弁要りません。
  26. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。     —————————————
  27. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  自動車行政に関する件について調査を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  28. 岡三郎

    ○岡三郎君 きょうは運輸大臣もおりまするので、料金の値上げと運輸行政について質問したいと思います。特に運賃の値上げは国民生活に及ぼす影響は非常に大きい。この点慎重に運輸省が取り扱っておられるという点は十分了承しておりまするが、先般運輸大臣が、業者に交通安全対策を守らせる、これをやらせるためにはある程度の料金の値上げもやむを得ないだろうというふうな新聞情報がありまするが、この点について、料金の値上げと運輸行政についての運輸大臣のひとつ態度をお聞きしたいと思います。
  29. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 御承知のとおり、料金というものは国民の日常生活に伴うものでございまするので、物価政策という点から考えましても、これにつきましてはできるだけ安い状態を維持していきたいというのは当然でございます。ただしかし、安いだけでサービスが悪くなるというようなことでは意味がないわけでございまして、やはりいいサービスをできるだけ安く提供させる、これが料金の根本的な考え方でなければならぬと思うのでございます。かねてこうした考えのもとに料金の認可をいたしておるわけでございますが、最近になりまして、全国中小私鉄、またバス事業、またハイヤー、タクシー等につきましては、いろいろな業種によって事情等必ずしも同一でございませんが、経営のコストは高くなっております。そのためにどうしても料金の値上げをしていかなければ従来のような経営が維持できなくなったというような理由で、たくさん運賃の改定の申請が出されておるのでございます。で、ハイヤー、タクシーなどの事情もいろいろ聞いてみますというと、最近二、三年の間に相当収支の悪化しておるものがあって、そのために、従来は新しい車を購入いたして後、これを事業に使用いたしまして、一年半ぐらいに使ったならば買い直すというようなことをやっていたけれども、このごろはそれがだんだん二年ぐらいに延びていっているというようなことも聞いておるわけでございまして、とにかく経営が相当苦しくなってきており、しかもこれを救済する方法としての経営の合理化という努力もある程度その企業としては限界に来ておるというようなものもございますので、そういうものはやむを得ずこの際ある程度引き上げを認めていきたい。ただ、これを一斉に引き上げさせるというようなことになりますと、引き上げること自体はいずれも中小の企業であり、大して影響はない、あるいは全国的なものでなく、ごく一地方一地方のものであるといたしましても、まあ、ここの料金も上がった、あそこの料金も上がったというようなことが一時に起こりますというと、そのことによって一般物価に与える影響もございまするし、また、政府の物価対策全体を進める上からいっても考慮しなければならない問題だと存じまするので、そうした値上げやむを得ざるものにつきましても、時期等についてはできるだけ慎重にして、一般物価の引き上げに影響を与えるような懸念のないように運びたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  30. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあバス、タクシー、私鉄等の値上げをある程度認めるという方針のようですが、いろいろと問題点があるわけですが、その中で、二十七日の朝の臨時物価対策閣僚協議会ですか、そこできめられた点はどういうことなんですか。
  31. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 二十七日の閣僚協議会で交通関係の問題について決定いたしましたことは二点でございます。第一点は、ハイヤー、タクシー事業の運賃について今後引き上げを認めるといたしましても、できるだけ自由競争の原理を導入するというような方法によって運用面で留意していこうということ、それから個人タクシーについては今後とも一そう育成につとめるようにしようということ、それから事業者に対しては労働条件、給与体系の監督指導徹底して、この料金の引き上げによる経営の改善ということが、やがては労働条件、給与条件の改善につながるというようなことをやはり頭に置いて、そうした方向に指導していこう、これが一点でございます。それから第二点は、昨年以来全国的に中小私鉄、また地方のバス、それからハイヤー、タクシー等につきまして値上げの申請がまいっておりまして、運輸省でもいろいろ個々の案件について調査をいたし、経済企画庁とも相談をいたしまして、値上げはやむを得ないだろうというふうに認めたものが相当たまっておりましたので、それを運輸省の裁量によって、ある程度引き上げてもよろしいという閣僚会議の了解を取りつけたわけでございます。この二点が決定されたわけでございます。
  32. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこで、この閣僚協議会の以前に、経済企画庁が、タクシー、ハイヤー業について許認可制を廃止して、一定の資格条件があるものについてはこれを認めるというふうな線を打ち出したという新聞報道があったわけですが、それを受けて、運輸省のほうとして、いま許認可制の問題を廃止する時期ではない、あるいはそういうことを考えてはいないというふうな情報があったのですがね、この点について少し詳細にその経緯を説明願いたい。
  33. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私は、経済企画庁長官からは閣議におきましても、また閣議外におきましてもそういう話は聞いたことはございません。なお事務当局がどういう事情であったか、つけ加えさしていただきます。
  34. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシー営業を自由化せよという問題につきましては、事務的にも正式にそういう意見を聞いたことございません。また先週、物価対策特別委員会でその問題の御質疑木村先生のほうからございましたけれども、そのときに宮澤長官も御出席ございまして、そういうことまで言っているつもりはない、こういうふうにはっきりおっしゃっておられました。
  35. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、新聞情報というものが不的確であったという点がわかったわけですが、しかし、われわれが知るところでは、大体この営業の自由化という面について、二年目ごとくらいにぽっぽっと問題点が投げかけられてきているような印象を持っているわけです。いまから二年くらい前においても、これはたしか行政管理庁から、タクシーの、あるいはハイヤーの営業の自由化という点について問題が提起されたというふうに聞いておりますが、その点はどうですか。
  36. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) いまから五年ほど前ですか、ちょうど東京都内のタクシーで非常に乗車拒否が多くて、一般の批判が相当強かった時期がございますが、そのときに、行政管理庁のほうでタクシー行政という問題を取り上げまして、そういうタクシーの行政についての免許制の存廃という問題について検討すべきじゃないかというふうなお話はございました。それを受けまして、運輸省のほうとしてもいろいろと検討を行ないましたが、東京都内におきますそういう乗車拒否が多いというのは、結局、供給力が不足しているという、需給のバランスがとれていないというふうなことが主たる原因であろうということでもって、その際、大量の増車を実行いたしまして、それでもってその乗車拒否も、当時と比べますと、非常に少なくなったというふうな効果をあげまして、その後も増車の際におきまして、従来は自動車運送協議会でもって一定の、何百両なら何百両というワクをもらって、そのワクをもらってからでないと増車はしないというふうなことをやっておったわけでございますけれども、そういうことをやっておりますと、需給の均衡という問題について時期を失するというふうなことになりますので、自動車運送協議会に一々割り当てをしてもらってやるということをやめまして、陸運局長が需給の関係をにらんでおって、その適当な時期に供給量をふやすというふうな方法に改めるというふうなこともやりまして、そういうふうな措置を講じてまいったわけでございまして、行政管理庁のほうも、その後は、そういうふうなわれわれの措置に対しまして免許制の撤廃という問題については話はいたしてまいりません。  以上でございます。
  37. 岡三郎

    ○岡三郎君 それでは、端的に言って、乗車拒否がないかというと、これは、われわれが聞くところによれば、雨が降ったときとか、あるいは夜間というときに、かなり高額運賃の請求というものがある。大体、銀座あたりからいうと、新宿なり、川崎なり、あるいは六本木あたりにまでとばすというと、大体、普通、認可料金の倍額くらい請求しているのがある。これは、夜間だから監督が行き届かないのかもわからぬけれども、そういうふうな点がかなり見受けられるということを聞いているわけですが、これは別にして、運輸省として、先般、許認可について廃止するというと、かなりお客に迷惑がこうむっていくんではないかというふうに言っておりますが、諸外国においては、これはかなり自由化というものが進んでいるというふうにも聞いておりますが、こういう点について、運輸省自体として、こういうふうないろいろな業界の動きという問題と関連して、個人タクシーという問題が登場して来ておるわけですが、それはそれとして、ここで明確に、なぜ、許認可の制度を続けていかなければならぬかということを、もう一ぺんはっきり運輸省として言ってもらいたいと思う。
  38. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシー事業と申しますのは、現在では、相当一般国民の利用の回数もふえておりますが、公共性というものも相当高い事業でございます。そして、人命を預かっておるというふうな面で、事故防止をする必要もございますし、それから、そういう不特定多数の方々がお乗りになるのでございますので、一定の水準以上のサービスを確保するという必要もございますので、そういうふうな事故防止の面なり、あるいはサービスの確保というふうな面から十分監督規制を行なっていく必要がある。したがいまして、免許制というものを撤廃いたしました場合におきましては、いわゆる過当競争というものが起こってまいりまして、劣悪な労働条件で行なう、あるいはまた、車両の整備というようなものも十分しないような車が横行するのじゃなかろうかというふうなこと、あるいはまた、差別待遇、現在では不当な取り扱い、差別待遇はいけないというふうに言っておりますけれども、地方によっては同じ場所へ行く場合においても、運賃を変えるとか、同じ人でもその日によって運賃を変えるとかというような取り扱い等も相当出てくるのじゃなかろうかというふうなことでございますので、免許制を廃止するということは、そういうふうな危険が非常に多いというふうにわれわれは考えておりますので、この免許制を撤廃するという考えはございません。
  39. 岡三郎

    ○岡三郎君 運輸大臣に聞きますが、業界の動きといいますか、これが非常に、こういう許認可の問題が起こるというと、かなり動きが激しくなるというふうな声を聞くわけですが、大体、この業者といいますか、大手の業者、いろいろと安全の問題とか、あるいは労働条件の問題というふうな点について、運輸省指導のもとにやってきているとはいっても、かなり業界自体の内容を見るというと、基本給などは依然として全般的に見るというと、大手のほうはやや改善されている傾向があるにしても、全体的にはまだまだ相当劣悪であるというふうな情勢を見るわけですが、いま言った業者の安全とか、そういうものを考えて自由化にしないのだというふうに言っても、結局、国民全体からいうと、どうも自動車の営業というものは、一例を言えば、ナンバー権というものが非常について回っていて、これは一つの利権化されているのじゃないかというふうな話を聞くわけです。したがって、自由化になるというと一番こわいのは、いま言ったような利権とも称されるナンバー権というものの値が飛んでいってしまう。いまのタクシーの財産といえば車じゃなくて、ナンバー権なんです。車などというものは頭金払えばいつでも何十台でもそろえられる。そういうふうな一つの許認可の陰に隠されて——いや、ことばが当たるかどうかわかりませんが、許認可事業という問題にあぐらをかいて——このごろはタクシーの運転手もかなり不足がちですから、そうあまりひどい待遇では集まらないから、やむを得ず、かなり改善されてきているというふうに見えますけれども、そういうふうないわゆる、ナンバー権というような問題をめぐって、どうしても不徹底状況にあるのじゃないか、だから、いっそのこと、これを一ぺん洗いざらいきちっとやって、そうしてそれから全体的にひとつ許認可制にするなら、情勢を見て、あらためてそういう点について基本給はこれこれというような形で、やはり、安全を幾ら言っても、運転手の待遇が浮動的であるならば、これは安全ということを求めても、非常にむずかしいと思うのですよ。というのは、一日に大体一万円見当の水揚げがなければうまく運転していけないというふうなことになると、この点についてはさまざま都市によって違うと思いまするけれども、かなりノルマ的な傾向が強い。そういう中において、何かあるというと料金の値上げという形につながってくるわけですが、それは最近においては、まあプロパンなんかの燃料の値上げとか強制保険の問題で掛け金の値上げも問題で、非常に業者にとってもつらい面がかなりあることはよくわかるわけですが、まず実態として、この許認可というものの上にいろいろと運営されている現在の業界の実態というものをどういうふうに大臣考えておりますか。
  40. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 何ぶん公共的な色彩をかなり濃厚に持った仕事でございますので、利用者の保護ということも当然官庁としては考えなければならないと同時に、やはりよいサービスというものの基礎には従業員の生活の安定というものを考えなければならないわけでございます。最近そういう意味において自動車運転者の労働条件等につきましても、労働省からあらためて通達が出たと聞いております。まあこれらの通達を実施するためには、事業者としてもかなりの負担になるというようなことを申し、またそれを理由にして賃金の値上げを言ってくるものはありませんけれども、しかし、それが経営を苦しくする原因になっておるんだというような説明をいたすことが私も聞いたことがございます。しかし、私どもといたしましては、労働条件の改善というものは、これはやはりよいサービスと並んでこれをやはり推進していくことが交通安全の根本であるという考えを持っておるのでございまして、そういう意味におきまして、今後運輸省といたしましても労働条件の問題等について、特に労働省ばかりにまかせることなく、大いに積極的にこれを研究し、また標準的なものを考え、そうしたものに基づいて今後厳重に指導していく、また監督もするというふうにいたすべきものではなかろうかと思っておる次第でございます。まあこうした事柄を考えてまいりますというと、指導、監督ということがどうしても必要に相なるわけでございまして、そういう意味においても現在の免許制というものをやめるということは時期ではないと考えます。
  41. 岡三郎

    ○岡三郎君 私の言った点はですね、まあ現状においてはナンバー権というものが、私たちがこの前質問したときには、そういうものはないのだというけれども、われわれが聞くというと、現実にある。これはどうなんですか、あるんですかないんですか、実際問題として。それはたてまえとしてはないのだけれども、現実としてあるのかないのか。
  42. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) ナンバー権の問題につきましては、しばしばそういうふうな値段が非常に高いというふうな声を聞きます。この問題につきましては、やはり需要に対して供給が非常に少ないというために起こることじゃなかろうかと思いますので、各地方局では需給のバランスということについて十分よく考えて、そういうふうなナンバー権が非常に高いというふうな声の起こらないように処置すべきであるということで、各地方局にはそういう点は絶えず注意をいたしておる次第でございます。
  43. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは、それだからナンバー権が高いということは常識的に見てですね、営業的に見てまだまだ余地があるというふうに見られると思うんですが、だから営業的に見て、どうしてももう苦しくて、商売をやっていたんでは損をするということでは、これはまあ危険この上もないという点も言われるけれども、逆に言って高いということになれば、まだ値上げをしなくてもですよ、やり得る余地があるんではないかというふうな、その解釈も成り立つと思うのですがね。これは一時、この五年前だか二年前だか知らぬけれども、許認可の問題がぽっと出るというと、ナンバー権が安くなる。一時は、聞くところによれば五十万円。いまは百五十万円をこしておるとか、さまざまな話ですから、実際自分で買ったわけではないから、幾ら幾らということは、ここでできないけれども、聞くところによればそういうふうな話なんです。ということになり得るのですね。それほどのものならば、これはだれも経済的な観念がない者はないわけです。それだけの金を出しても買おうという者がいるということはですね、営業的にいってうまみがあるということの証拠ではないかというふうに考えるわけですが、その点どういうふうにとらえていますかね。
  44. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) ナンバー権の問題が出ておりますのは、主として東京地方でございまして、東京地方ではしばしばそういう話を聞くわけでございます。東京地域につきましては、別に現在運賃を値上げするということを、われわれとして、経営内容を審査した結果言っているわけでございませんので、東京地方につきましては、そういう経営内容については十分検討した上で値上げの可否というものをきめてまいりたい。かように考えております。
  45. 岡三郎

    ○岡三郎君 東京だけではなく、六大都市というふうに言えるかもわからんが、その地方の中小都市の業者は苦しいから、今回は苫小牧を含めた四地区で値上げを七月にしようということになっておるわけですが、私は考えれば考えるほど、このタクシー業界を含めて問題点は非常にあると思うのですが、ほかのほうの交通事業との関係から言うと、いまのタクシーは、それは国民的な実感から言えば、それほど高いものとは印象づけられていないわけですがね、これはなぜかというと、これからバスなんかが三十円になる、ということになるというと、その比較からそう考えられておるけれども、依然としてそういうふうにナンバー権にうまみがあるということは、企業の実態が労働条件というものをある程度無視して、これは業者と働く人双方かもわからんが、ともかくある程度基本料金を上げて、そうして水揚げについての比率から、それに加算するということが少なくなっていけば、かなり営業実態としてはノーマルな状態になる。しかし、そうなってくるというと、営業的に言うとうまみがないということになってくるのだが、しかし、依然として交通事故の問題の中で、いろいろな人身事故というものが多く出ている現況から見るというと、労働条件は非常に悪い。そういうふうな面で、一方から言うと一万円くらいかせがなければいい顔をしないし、といってそのナンバー権が高い。さまざまなそういうふうな要素の中において、この許認可の問題、廃止論というものも出てきていると思うのですが、私はいまここでもう少しこの問題に触れたいのですがね。東京で、いまナンバー権、どのくらいしていますか、自動車局長
  46. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 私も正確にそういうことをつかんだわけではございませんのですが、うわさはときどき聞きますが、そのうわさによりますと、百五十万から二百万ぐらいするんじゃなかろうかというふうなことを、これはうわさで聞いております。実際そういうことを確認したことはございません。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは自動車局長ではわからぬが、陸運局長あたりに聞くというと、詳細わかっていますかな。これは自動車局長ね、早急にひとつ陸運局長、陸運事務所のそういう人たちにただして、現行における六大都市並びにその周辺の相場は幾らかという点について、至急調査相なりたいと思う。これは、六大都市並びにその周辺において、それは買う人と売る人によって相場が出てくるのだから、一がいに幾らとは言えぬと思うのですが、こういう問題と合わせて、いま原山自動車局長が言ったように、料金の問題というものもやっぱりある程度、それだけでは判断しにくいと思うけれども、出てくるのではないかというふうに考えて、その点をお尋ねしたわけですね。  そこで、そうするというと、六大都市以外のタクシー料金の値上げについては、経済企画庁のほうが、ある程度運輸省にまかせるというふうな形の中で、地方の料金の値上げについて、苦しいところを何とかしてやろうというふうな措置がいま動きつつあるわけですが、六大都市のほうからも、料金値上げという問題については動いているわけでしょう。聞くところによれば、八十一地区八千業者が、いま運賃の値上げを申請しているというふうに新聞で報道されておるわけですがね。その中に六大都市は含まれておりませんか。
  48. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 現在、各陸運局に提出いたしております申請は、八十五地区、八千八百九十四事業者、これは個人も含めてでございまして、六大都市も含んでおります。
  49. 岡三郎

    ○岡三郎君 すると、六大都市は、どのくらいの値幅の値上がりをいま申請してきているわけですか。
  50. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 東京でございますが、申請は大型二キロまで百四十円、自後四百メートルごとに二十円というような申請が出ております。それから横浜でございますが、横浜におきましては、二キロまで百五十円、自後四百メートルごとに三十円という申請が出ております。それから名古屋でございますが、一・八キロまでが大型につきましては百四十円、それから中型が百二十円、こういうふうなことで、自後三百十メートルごとに二十円という申請でございます。それから大阪でございますが、基本が大型一・八キロまでが百四十円、自後二百四十メートルごとに二十円。中型基本一・八キロまで百二十円、自後三百二十メートルごとに二十円ということでございます。それから京都でございますが、京都、神戸は大阪と一緒でございます。以上のような申請でございます。
  51. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体六大都市の平均の値上げの幅の率はどのくらいになりますか。
  52. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) まだ六大都市につきましては、全然審査の段階にも至っておりませんので、陸運局のほうでも全然手をつけておりません。したがいまして、値上げ実収増収率というようなものは、まだ計算をいたしておりません。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは運輸大臣にお伺いいたしますが、六大都市のタクシー、ハイヤーの値上げという問題は、本年度中は考えない、こういうふうにとっていいわけですか。いま原山自動車局長の言うことには、全然いま検討していない。年の半ばで検討していないというのだから、大体今年は値上げしないというふうに考えてもいいんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  54. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 基本料金の引き上げを言ってきておりまして、いま申し上げたとおりでございますが、大阪におきましては、基本料金の値上げと別に、夏季、クーラーを使用する場合に、その料金を付加することを許してほしいということでございまして、この冷房料というものを、基本料金に対して二〇%七月一日から九月の十五日まで認めることにいたしております。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 その答弁は答弁としてわかりましたが、方針として六大都市は一体どういうふうに考えるのかという点をお尋ねしているわけです。こちらの質問していることは、六大都市のタクシー、ハイヤーは非常に物価にはね返ってくる率が多い、そういう点で一般国民もいよいよ値上げの動きが激しくなってきたというような印象を受けておるわけです。したがって、私は端的に、六大都市のタクシー、ハイヤーの料金値上げは本年はしないのかどうかということを聞いている。
  56. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) いままだ地方の陸運局で調査をいたしておる段階でございまして、それについてまだ本省まで出てきておりませんので、いまこの段階で今年度やるかやらぬかというととを決定的に申し上げることは困難でございますが、ただ私自身のばく然たる気持ちといたしましては、まず本年度はちょっと六大都市の基本料金に手をつけるということは、これは周囲の情勢から見て問題にならないだろうという気がいたします。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 それ以上大臣に言わせても無理だと思います。運輸大臣の気持ちとしては、本年は無理だろうというところで一応とめておきますが、いまの大阪周辺の冷房割り増し料金ですね。二割というものは、一体どういう計算からこれを認めようとしているのですか。
  58. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) この冷房料金は、基本料金とは別の付帯料金でございまして、こまかい数字は現地の地方局でもって計算いたしておるのでございますが、その計算の基礎は、やはり設備費と、それに伴う一般の運転経費、こういうようなもの、それからそれに伴うメーカーの改良費というようなものを合わせたものでもって運賃の二割値上げするというふうに報告を受けております。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 その問題またあとでやりますが、私はこの際、大臣に要望しておきたいのですが、それは、敵は本能寺ということばがありますが、六大部市の値上げをする前には外堀から埋めてくるという感じがするわけです。つまり地方のほうは経営が苦しいというのでぼつぼつ値上げをしていって、そしてそれの既成事実の上に立って、どうしてもやはり均衡上上げざるを得ないという形にいくんではないかという、これは邪推と言われると困りますが、そういうふうになっては困るというところで質問を申し上げているわけですが、従来見るというとどうもそういうふうな形が非常に強い。日本人はわりあいにあきらめやすいから、初めは激しく抵抗するけれども、そのうちに既成事実がぽつぽつ出てくるというと、まあしかたがないというふうに考えてしまう、そういう傾向が強いので、この物価の問題について国民もかなり苦しんでいるわけですが、やはりこういう点について、もちろん私は、無理な料金で安全を確保し、労働条件を上げろといっても無理なわけです。しかし、いま世評に言われているようなナンバー権の高額価値というか、そういうふうな相場を呼んでいるというふうなことから考えるというと、これはしろうと判断になるかとも思うけれども、やはり慎重に、国民が納得するようにしてもらわにゃ困ると思うのです。そういうふうな点で、まあこの点については御質問申し上げたわけで、そういう傾向は大臣ないですか。
  60. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 敵は運輸省に対して外堀を埋めたというつもりかもしれませんが、私どもは全くそういうふうには考えておりません。
  61. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) ちょっと速記とめて。  〔速記中止〕
  62. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記つけて。
  63. 大倉精一

    ○大倉精一君 たまたまこの問題出ましたから、私はいま答弁ずっと承っておりますというと、筋がないですな、筋が。さっぱり……。それで当面どうするかという岡君の質問に対しまして、ことしじゅうは無理だろうというお話があった。それから五月九日の予算委員会におきましては、総理大臣が四十二年度中には鉄道、電気、電話、バスは上げませんと、こう言っておられる。総理大臣は予算委員会で四十二年度中上げないと言っている。これとの関連どうなりますか。
  64. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 総理大臣がハイ・タクについて料金を上げる、上げないの御答弁をなさったということ、私気がついておりません。
  65. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはハイ・タクも同じなんですが、物価の問題に関連して言われたのですが、バスは大体もうみんな上がっていますというような答弁もありました。それは別にしまして、一体運賃料金に対して基本的にどういう政策を持っておいでになるか。運賃を上げるとか上げないとかいう問題についてひとつ筋がなければいけない。上げると言ってみたり、上げないと言ってみたり、上げなければいかぬだろうと言ったら物価懇談会から文句を言ってきた、経済企画庁から文句を言ってきた、やめろとか……。運賃料金というのは国民生活に非常に重大な影響があり、公共性があり、公益性があるのですが、どういう基準で一体これをおきめになるのですか。
  66. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 劈頭に申し上げましたとおり、交通機関は安全にしてよいサービスをできるだけ安価で大衆に供給するということが根本だと思います。それをどこまでも維持していくという見地から料金も決定してまいりたいと思っております。
  67. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこで、時間がないので端的に伺いますが、閣僚協議会で二点をきめた。その中で、料金の問題について自由競争制にするということばがあるわけです。私は、この中でやはり画一料金ではなくて、東京都においてもそういうふうな指導ということがなされるんではないかと、ことばの裏から考えたわけですが、それはそれとして、料金を統一しないという形の決定がなされたというわけですが、このことはどういうことをいっているわけですか。
  68. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 閣僚協議会では、一律に機械的に行なわれないというふうになっておりまして、これは、申請を提出する場合、それを受理する場合という問題と、それから、その申請書を受理してから審査する段階の問題と二つございますけれども、申請段階におきまして、従来とかく申請者の側におきまして、ある一定地域において運賃改定の申請を行なわんとする者が、それを行なう意思が比較的少ないような人たちに対して申請を行なうことを強要するというふうなことで、全県全体の事業者がそういう意思をあまり持たない者にまで強要するというような例があったやに聞いておりますし、そういうふうなことは、やはり物価抑制の見地からでも上げたくない者は上げたくないという意味でございますので、申請したい者が申請をするというふうなことにすべきじゃなかろうかということが事業者間においていわれている。それから役所側としても、こういうことは当然そうでございますけれども、ある県におきまして大部分事業者から申請があった、残り一割なら一割残っているものを、一割出ておらないからそういう問題は困ると、したがって、その残りのものも至急出せというふうな指導は、当然でございますけれども、そういうことはやらないということが申請段階の問題でございます。  それから申請後の問題といたしましては、やはり内容を能率的経営のもとにおける原価というものを十分計算するわけでございますが、その計算をいたしまして、もしも、能率的な経営のもとにおける原価というものでもって賃率をはじくわけでございますけれども、そういう賃率なり制度なりがサービスに対応する合理的な根拠があって別な運賃制度というものを考え得るとすれば、そういうものをしいて拒否する必要もないのじゃないか。こういうふうな考えを一律に機械的に行なわないというふうに表現したゆえんでございます。
  69. 岡三郎

    ○岡三郎君 具体的に言って、一地域一料金制については一定額にそろえない、一定額にそろえることをやめると。つまり端的に言うと、料金の自由化、ところがいま聞いてみるというと、具体的にどういうふうになるんですか。具体的に言うて、たとえば理髪とか、あるいはクリーニングとか、いろいろな環境衛生関係の問題について、たとえばある安い床屋さんが幾ら幾らにするというと、そうするとこれがいつの間にか業界のほうでしぼっていってしまって、ある程度までそれを画一的なものにしてしまう。実際的に、料金を自由競争させるということ、実際問題として運輸省のほうとしては料金認可するのでしょう。認可するときに幅をもって、これからこれの間はいい、こういうふうにやるのですかどうですかと聞いているのです。たとえば苦小牧でも、今度値上げする長野でも一三%から一八%値上げするというふうにいっておりますが、料金というものはある程度の幅をもったそういうふうな認可をするのですか。その点どうなんですか具体的に。
  70. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 料金に幅を持たした認可ということは考えておらないわけです。先ほど申し上げましたように、ある地域におきまして九〇%の人たちが申請をした、一〇%の人は申請をしない。原価の内容を十分審査したところまあその申請は理由があるというふうに判断をいたしました場合においてその認可をいたします。そういたしますと、一部で旧運賃のものが残るし、それから大部分が新運賃のものになるというふうなこともあり得るということでございます。
  71. 岡三郎

    ○岡三郎君 それではっきりしました。やっぱり幅が出てくるわけですね、具体的には。一つの認可をするとき、これとこれとの幅というものではなくて、旧運賃と新運賃というものが出てきて、値上げしなくていいものはもとの料金でやれという形になるわけですね、具体的に。そうすると、埼玉県のタクシーの例が出ておりましたが、基本料金を百二十円に値上げするときに、一社が旧料金でいくといったときに、陸運局の圧力でついに値上げに追い込まれたというふうな記事の書き方だね。これは一体どういう事実なんですか、これを説明してください。
  72. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) その記事はだいぶ事実と相違しておるように思うわでありますが、その原因は、埼玉県の地域では基本が百二十円になっているわけです。東京の地域は基本が百円ということになっておるわけでございます。それで当該会社の所在地は埼玉でございまして、事業区域も埼玉、ところが埼玉で百二十円の認可を得て、地元会社の百両なら百両あるといたしますと、そのうち半分、まあ六割程度百二十円の運賃にメーターを変えます。残りを百円そのままにしておいたわけです。そして百円の車は埼玉で動かずに区域をはずれた事業区域外でもって、東京は百円でございますので、東京でもって事業区域外の輸送、これは違法でございますが、それをやっているわけです。それで志村警察署から陸運局のほうにこういう違法行為が頻発しておる。したがって、陸運局から厳重措置してほしいという書面がしばしばまいりまして、それでもって当該会社を呼んで、そういう区域外の輸送をするのはいかぬじゃないかということを注意を与えて、やっぱり君のほうは埼玉の区域で百二十円の事業区域内において営業をやるべきである。こういう注意を与えたのが真相でございます。
  73. 岡三郎

    ○岡三郎君 いまの内容わかりましたが、いままでだというと、百二十円に料金を値上げしたというときに百円で埼玉の中で動き回るということはできるわけですか、現状においては。
  74. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 現在各地域から申請が出ておりますけれども、これは大体全県で同一の申請をやっておりますので、申請者側でそういうことをしたくないというふうなところはあまり現在の申請の中では見当らないようでございます。ただ、現在やっております全県一料金というものがはたして県庁所在地の相当な都市といなかのほうの地域とがどうしても両立しなければならないというふうな問題は今後残ろうかと思います。
  75. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体内容はわかりました。そうするというと、値上げということと、今後いま言ったような業界の何というか、競争というか、実際問題として、たとえば東京の百円を百二十円にした場合、百円で動くということになりますかね、実際に。やっぱり運賃修正していないものも百二十円の料金が認可されれば百二十円になってしまうのじゃないですか、結局は。その点どういうよううにお考えになりますか。
  76. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) こういうふうな考え方の根本は、やはり物価抑制という見地だと思うのでございます。といいますのは、申請したくないものまで無理にやらすということをしないという方針、これは結局心理的申請抑制効果があるのじゃないかというようなことでございますので、そういう面でも物価抑制の面から寄与するであろうという考えでございますが、いま御指摘の九割方百二十円に上がり、一割が百円に残っておった場合においては、おそらく百円のほうがまた百二十円に変わるということも当然考えられるわけでございますが、たとえば五〇%しか申請しない、そうして、五〇%がそのままにしたいというふうな場合におきましては、おそらく原価の計算をいたしまして、能率的な経営のもとにおける原価というものを計算した場合においては、おそらく値上げの必要というものがなかなか出てこないのじゃなかろうかというふうなわれわれは予想をしておるわけでございます。
  77. 岡三郎

    ○岡三郎君 端的に答えてください、時間がないから。  そうするというと、値上げの申請をしていないものでも、百二十円ならば百二十円になったとしたときには料金値上げがもちろんできるわけですね。
  78. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 申請をして、認可を得ていないものはそういうことはできないわけです。
  79. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、百二十円の認可が出てから、あとから値上げ申請してくれば、それは許すわけですか。
  80. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) そういう場合においては必要が、当然原価上出てくるのじゃなかろうかと思いますので、そういう場合は認可することになろうと思います。
  81. 岡三郎

    ○岡三郎君 物価抑制ということから考えてみて、たとえば旧料金と新料金との関係で新しく料金の値上げの申請をしたところで、いち早く百二十円ならば百二十円になるということになると、物価を抑制するとは言っても、結局運輸省の腹一つになってくると思うのです。だから、いま言うように、放っておけば業界は値上げをしてもらいたいのですから、そうすると、その比率が五〇%、フィフティ・フィフティというような場合はほとんどないと私は思うのだし、特に大手がそろって申請するということになれば、車の台数が多いわけですから、だから実質的に言って、これはごまかしじゃないですか。
  82. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは申請すれば許すということを言っておるのじゃございませんので、いままでは一斉に申請しないと、一地域一料金主義というもののたてまえからいって許さなかったのだが、しかし、今後はそれにとらわれずに、申請者のみについて別な料金を審査の上許す場合もあるという程度に理解をしておるわけでございます。
  83. 岡三郎

    ○岡三郎君 この問題は、やっていると、時間がないから次にいきますが、個人タクシーについてなるべくふやすという指導方針を決定したようですが、この点において現在どのくらい免許申請が残っておるのか。それをいつごろまでに許可するのか。その点ひとつ明快にお答え願いたいと思います。
  84. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 個人タクシーの現在の未処理件数でございますが、これは東京が一番多うございまして、四千三百件ほどございます。それから横浜では三百四十三件、名古屋で四十四件、京都五十九件、大阪九十四件、神戸十三件ということで、問題は東京でございますが、この四千件残っております理由は、オリンピックの三十九年のときに非常に多くの申請がございまして、オリンピックのために処置するための数はその際免許いたしたのでございますが、その後、自動車運送協議会でもってきめられました基準がございまして、その基準に従って増車をしていくということで、その後も逐次やっておりまして、オリンピック後でございますが、四十一年の四月から四十二年の四月の約一年間ではやはり千件の処理をいたしておりまして、そういうふうに逐次増強いたしておりますが、現在たまっておりますこの四千件については、昨日も東京陸運局におきましてこれをできるだけ早くくずしていくように指示をしておる次第でございます。
  85. 岡三郎

    ○岡三郎君 そのときに陸運局長はどういうふうに言っておりましたか、それを伺いたいのですが、結局従来の形でいえば、かなり時間が経過して、免許申請する者自体もかなり財産を寝かして、いつ認可になるかわからぬと、こういうことで非常に困っている、こういうことも聞くわけですよ。したがって、具体的に指導方針としてなるべくすみやかにこれを許可するというふうにきめた以上、やらなきゃならぬと思うのですが、しかし、実際の場になるというと、はい、そういうふうにいたしますといっておっても、具体的にこれは裁判と同じように進捗しないものです、具体的にこれはどういうふうに言っていましたか、どんどん解決するというふうに言っておりましたか。
  86. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) この問題は自動車運送協議会でもそういう方針にきまりましたので、東陸局長のほうでこの四千件の処理について計画をつくってひとつ相談したい、こういうふうに言っておりました。
  87. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは計画はいつごろまでに出てくるのですか。
  88. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 大体一カ月以内には計画が出てまいると思います。
  89. 岡三郎

    ○岡三郎君 その計画が出てきたらひとつこちらのほうに提示願いたいと思いますが、時間がありませんので、きょうは次の一点を今度は伺いますが、結局料金の値上げをめぐっていろいろと動きがあるわけですが、タクシー、私鉄、バスの業界がかなり政治献金をしている。相当多額な政治献金をしておる。自治省の公表分でも、それが顕著に出ているのじゃないかというふうに言われておるわけですが、その点どういうふうに運輸省ではこれを把握しておりますか。自治省のほうのそういうものを見ておりませんか、おりますか。どのくらい献金になっているか、それをひとつ言ってもらいたい。
  90. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) その問題については、まだ正確に把握いたしておりませんので、後刻調べてお答えしたいと思います。
  91. 岡三郎

    ○岡三郎君 やはり運輸省として料金の値上げをするということになるというと、やはりそういうふうな問題点についても、やはり与論がかまびすしいわけですから、一体余裕があるのかないのかという問題点がここに出てくると思うのですよ。きょうの朝日の社説についても、こういう問題についてはやはり十分検討してみる必要があるのじゃないか、いま現在、ここに資料の持ち合わせがないというので、これ以上言ってもしかたがありませんが、早急にひとつ、どのくらい献金をしておるのか、資料として御提出願いたい、委員長どうですか。
  92. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 資料を出してください。
  93. 岡三郎

    ○岡三郎君 自治省に届け出ている分でいいです。
  94. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 自治省と相談しまして……。
  95. 岡三郎

    ○岡三郎君 自治省と相談することはないのだよ、公表してあるのだから。われわれが調べればいいのだけれども、あなたのほうが専門家だから、すぐあなたの関係で連絡とって、どれだけ業界から政治献金があるのかという点について、端的に言ってもらえばいいと思う。これはやはり値上げという問題と不即不離の関係が私はあると思うので、その点についてよろしゅうございますか、相談してなんていうことは言えないと思う。
  96. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 自治省で公表いたしているものを写して提出いたします。
  97. 小酒井義男

    小酒井義男君 一点だけお尋ねしておきますが、タクシーの料金の値上げを申請を出している地域ですね、その地域。協会が出しているのだと思うのですが、個人タクシーの場合にはどうなっているかということなんです。そうして個人タクシーの場合に料金値上げの申請をするのは個人個人がやるのか、どういうふうな取り扱いになるのですか。
  98. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 個人タクシーの申請状況は、先ほど申し上げました全国事業者数八千八百九十四のうち、個人タクシー関係は三千六百五十六でございます。
  99. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると料金の引き上げを申請をしている地域で、個人タクシーとしては料金の値上げを申請をしていないところが相当ある、こういうことですか。
  100. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 大部分の地域は、法人も個人も一緒に中請いたしておるわけであります。東京地域は個人タクシーは値上げの申請をしておらない、こういうことでございます。
  101. 大倉精一

    ○大倉精一君 もう時間がありませんから……。ただ、さっきちょっと質問しかけたから、あのままではいきませんので、問題提起ということになるかもしれませんけれども考え方をお伺いしたい。いま運賃料金の問題が、物価と関連して議論をされておりますけれども運輸省としてはどういう方針で運賃料金の問題を取り扱っておられるか、この方針がないものですから、どうも議論がてれんぼれんになってしまう、どういう方針でいっておられるか。
  102. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 陸運局に申請をいたしましたものにつきましては、各陸運局に原価計算のこまかい検討方式というものを指示しておりますので、その線に沿って各利用者から……。
  103. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういう手続きを聞いているのじゃないのですよ、つまり運賃料金というのは非常に重大な問題ですよ、運輸大臣というのは免許する権限があり、しかも営業の自由をチェックする重大な権限を持っているわけですね。したがって、免許した経営については、運賃料金というものは経営の骨になるのですね、これも運輸大臣が認可される権限を持っておられます。したがって、との運賃料金認可という運輸大臣の権限というものは非常に大きなものだと思う。それを一体どういう方針で取り扱っておられるのか、これがはっきりしないから。
  104. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 道路運送法第八条に、運賃及び運輸料金の認可というのがございまして、この規定の趣旨に従って処理しております。
  105. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうです、道路運送法第八条、通運事業法第二十条に書いてある。書いてあるけれども、いまではその方針によっていないでしょう、物価と関連しながら、経済企画庁と相談をして、経済企画庁のオーケーがとれなければ運賃料金は上げられないでしょう。物価の問題と法律の問題——一体法律のどこに、第何条に、物価の問題を勘案して運賃料金をきめろと書いてありますか。
  106. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この法律の示してありまする方針で認可するのは当然でございますが、その範囲内におきまして、やはり政府の諸般の政策等とバランスをとって運用をしていくということが必要だと思いますので、法律の規定の範囲内におきまして物価抑制という考え方をできるだけ生かして運用していく、これがいまの方針でございます。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは、法律の範囲というのは、何ごとも範囲内と思うのです。この法律の範囲内には関係ないと思う。そこで、政治でありまするから、法律でこう書いてあっても物価政策に非常に重大であるというのであればこれは抑制しなければなりません。その方針でおやりになっておるだろうと思うのですね。そうしますと、いまの運賃料金というものは経済原則から離れた政治運賃なんです。政策運賃、政策料金になっております。そうならなければならぬ。いまの物価問題は、政策運賃、政策料金というのであれば、これに対応する対応策がなければならぬ。たとえばふろ代を上げちゃいかん、水道料金を上げろ、これでは何をやっているのかわからないです。運賃料金をストップする、ガソリン税を上げる、何とかを上げる、あれも上げると、そこに一貫した方針がないじゃありませんか。したがって、いまの運賃料金というのは、私は政策運賃、政策料金であると思うのですけれども大橋運輸大臣、その辺はいかがでしょうか。
  108. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 厳密に申しますと、おっしゃったようなことになろうかと思います。
  109. 大倉精一

    ○大倉精一君 この物価に与える影響にしましても、そのときどきで違う。国鉄運賃を上げるときには、これは何%上げますから国民生活、物価には影響しませんと、こうくる。こういうふうな問題につきましては、今度は運輸大臣は上げようと考えられたのだが、経済企画庁や物価問題懇談会でストップかかってきた、運輸大臣の非常な責任と任務がチェックされると、こういうことですね。そうすると、運輸大臣の許認可にかかわる責任というものが非常にあいまいになってくる。ここが私は政治の重大な問題であると思う。したがって、閣内において運輸大臣が責任を持ってストップをする、そのかわり佐藤内閣としてもそれに対応する対策を講ずる、こういうものが並行しないというと政策にはなりませんよ。政府がかってに権力を乱用するといいますか、ストップさして、そのかわりガソリン税も上げる、あれも上げる、これも上げるぞ、これじゃ政治じゃありませんね。われわれの言うのは、いまそういう運賃料金というものはこの法律の範囲内と言われますけれども、この法律をしゃくし定木に適用してやっておったのでは、いまの物価問題等に影響がある、したがって、これは抑制しなければならない、したがって、当然要求されるものはこれに対する対策ですね、これをどうお考えになっておるか。
  110. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシーにつきましては……。
  111. 大倉精一

    ○大倉精一君 タクシーじゃないのだよ、一般の料金。
  112. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) バスなり私鉄なり、タクシーの交通事業の運賃を抑えるような場合においては、その他の税制面の関係とか、あるいは助成措置、補助金の問題とか、そういうようなことをあわせて考える必要がございますので、特にいま先生のおっしゃったように企業外要因でもっていろいろなコストをアップする場合におきましては、それに対してそれに対応できるような措置を講ずる必要があろうと思いますので、そういう点についても考えておる次第でございます。
  113. 大倉精一

    ○大倉精一君 局長さんがお考えになっておっても、これは重大な政治問題ですから、佐藤内閣全体の責任なんですよ、これはね。ですから、局長さんの考えはけっこうですけれども、しかし、局長さんではできないことだと思うのです、失礼ですけれどもね。で、ここら辺が運輸大臣、これは非常に重大な問題で、もう何年来の議論なんですよ。ですから、これはもう一ぺん突っ込んだ議論をする機会を持ちますから、きょうは問題提起にとどめますけれども、十分内閣で相談をしてはっきりしたひとつ御答弁を願いたい。そうでないと、いつまでたってもこの公共料金の問題と物価問題はあいまいもこたるものです。地方のほうはいいんだ、東京はいけないのだ、そんなことになってくるのですよ。クーラーの料金は物価に影響はたいとか、全然筋の通らない話で、クーラー料金にしたって、私は、言いたくはないけれども、業者はクーラーをやれば客が乗るだろうと思っていろいろとやるのですね。別にあれは特別料金をとる必要はない。お客がそれだけよけい乗ってくればペイするわけですから。ですから、これは別といたしまして、いまの運賃料金の政府としての基本的な態度、基本方針というものをこの次の機会にお願いしたいと思います。  それからもう一点、この免許問題は非常に重要な問題だといまおっしゃったのだが、いま相当免許申請がたまっておるというのですね。この重要な問題を取り扱うのに一体人間は足りるのですか。足りないでしょう、人間が。しかもいま、前にも一ぺん問題になりましたけれども、業者が陸運事務所に手伝いに行っておるのですね。陸運事務所の中に業者の机があるのです。役人のする仕事を業者にやらせておる。これは楢橋運輸大臣のときでしたか、これはいけないから絶対にやめさせる、こう言われましたが、依然としてこれはやめていない。これもきょうは運輸大臣、問題提起にとどめますからこれでやめますが、これは実情をよく運輸当局からお聞きになって、この重要な問題を取り扱うのにこのままにしておいていいのかどうか、これもひとつあわせてこの次の機会に答弁願いたいと思います。きょうは問題の提起だけにしておきます。
  114. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記ちょっとやめて。   〔速記中止〕
  115. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 速記をつけて。
  116. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 最初に、運輸大臣せっかくいまおりますからね。あなたのこの談話の内容をぼくいますが、全部または一部を旅客に転嫁するということになったわけでございます。
  117. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ですからね、大臣が飛行機に乗ろうとぼくが乗ろうと、この五%アップの分は会社が一部持つといいますけれども、その一部を利用客に転嫁するといま大臣言いましたからね、どなたさんが乗ってもそれは平等に扱われるものであろうということを聞いているのです。
  118. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは、料金でございますから、そのとおりでございます。
  119. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そのとおりですね。そうしますと、具体的にここに出ていますが、東京−大阪間ね、これはそのまま据え置きですな。
  120. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これは、新幹線の料金とのつり合い上、上げることは困難だという理由で据え置きになっております。
  121. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますとね、新幹線との関係の、競争の関係だけで、これはいってみればいわゆる経営政策上の問題だけでしょう。税金を上げたものを負担するということは、それはあなた、常識的にだれが乗ろうと同じ、東京−大阪間を飛ぶ飛行機に乗ったって同じじゃないですか。
  122. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) そのとおりでございます。
  123. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そのとおりであって、新幹線と競争するためにそこの部分の人々は税を負担しないということになると、これは法律上どういうことになりますか。
  124. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 税は負担するのですけれども、税の上がった分だけ会社の取り分の運賃が減ったわけでございます。
  125. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 会社の分が減ったと。それはそれでいいでしょう。しかし、新幹線と競争云々という話が出ましたからね、現在そこまでやらなければこれはならないものですかね。大臣、日本航空にしても全日空にしても、ものすごい業者が過当競争のようなかっこうになって増便をどんどんやりましてね。もとよりあなた方の認可を受けてやったことですがね。客はどうですか、どのくらい効率をあげているのですか。搭乗率ですか。ぼくのほうで言いますけれども、三〇%満たないのですよ。飛べば赤字になる。そういう関係で、この五%というものを会社負担になるようにして、料金を逆に値下げをしているのです。そういうことでしょう、値下げをしたかっこうになっている。他の東京−札幌間は値上げになっている。新聞に出ているとおり値上げになっている。それが東京−大阪据え置きという状態になると、値下げしたことになるわけです。結果的にはそういうことになります。そうして、大臣承知のように、三十分ないし一時間置きぐらいに三〇%ぐらいの客しか乗っていない飛行機をどんどんと飛ばすのですよ。これは日本の将来の航空事業のいわゆる輸送分野のたてまえ上あなたに聞くのですけれどもね、やはり客がなければないように便を減らすべきですよ、やり方としては。それは依然として野放しにしておいて、つまり赤字が出るからといって、今度の税金が上がった分は逆に据え置いて、なおかつ便数は野放しにしておいて、新幹線と競争のためだと、競争けっこうですがね。新幹線のほうは、もしかりに赤字が出ていた場合どういうことになるの、大臣運輸大臣としては、これはどちらもあなた、運輸大臣の所管事項ですがね。問題はやっぱりいわゆる鉄道というものの輸送分野と、航空の輸送分野というものを、明確にしてやるというのは、大臣の仕事じゃないかと思うのですよ。だから三〇%ぐらいより乗らないジェット機を飛ばす必要は、私はないと思うのだ。同時に、便数もそんなに多くする必要はないのです。便数を減らして、常に企業が成り立つように収支が償えるようなことを、あなた方指導なり監督してやるというのがたてまえじゃないのでしょうかね。
  126. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) ただいま吉田委員の仰せられたことは私も全くそのとおりでございます。つきましては、東京−大阪間の便数整理というような問題につきましては、まことにごもっともな御意見でございますので、近く関係業者を呼んで、よく相談をいたしていきたいと思います。
  127. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣からいま誠意ある答えが出ましたからこれ以上申し上げませんが、特にジェットのガソリンの消費量というのはばく大なものでしょう。これはわが国で生産される資源じゃないですからね。ですから外貨のこと等も考えてみれば、いま大臣答えられたように、この料金は認可しちゃったんですからね、このことについては私とやかく言いませんけれども、いま大臣の答えられたような点については、十分それはお互いに企業で、企業努力して、競争もけっこうでしょうけれども、限度があると思いますから、その辺はやはりこういう契機に、便数の調整をできるだけ企業採算が成り立つような形にして、税は税として、これはあまねく何人も同じ条件で、その法律の適用を受けなければならぬわけですから、そういう形にやっぱり十分指導をしてもらいたい。このことを申し上げておきます。  それから大臣、向こうに行くということですから、あまり多く時間をとりませんけれどもね、安全対策を守らせるために、ある程度の値上げはやむを得ないと大臣おっしゃっていますがね、安全対策もたいへん大事なことですよ。けれども、それと同時に、料金値上げをしていくというやつは、たいへん物価の問題と、国民生活経済と関係ありますからね。その際やっぱり先ほど来の答弁を聞いておってもはっきりしないのですけれども、業界の実態というものを正確に把握をしなければ私はいけないと思うのですがね。これをどう一体把握をしたのか、時間がありませんから多くを言いませんがね。ゴルフ場をやっているやつもあるし、土地会社をやっているやつもいるし、商事会社を持っているやつもいるし、それから自動車学校を経営し、あるいはその他の整備工場等を含めてこのハイヤー自動車会社が一社で十数軒関連企業を持ってですよ、それでこの自動車で利潤を追求したものをそちらに全部こう再投資していっておる。こういう現状を一体どう把握しているんですかね。
  128. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 御指摘のゴルフ場のことについては、私はちょっと存じないんでございますが、そういうふうな関連企業をやっていることにつきましては、十分今後調査してまいりたいと考えております。
  129. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 今後十分調査してまいりますと……そういう調査ができないで値上げするなんというのは、出てきた申請をすぐ認めていくなんという、そんなあんたでたらめな話がありますか。企業内容は決して悪くないんですよ。自動車本来のものは——本来のものはこれは大臣。認可されて一年なり二年で当時この投資した二千万、少なくとも地方の場合は二十社にしてみますか、大体常識的には二千万かかりますよ。二千万ですね。その二千万をわずか一年か二年で償却できるんですよ。これは私の親友も札幌でやっておりますよ、一人、二人。どうだい景気は、と聞いたら、いや、おかげでことしはぐんぐんよくてですね、この二千万償却を終わりましたよ、なんというのがざらにいますから。ざらにいますから。今度値上げする苫小牧だってぼくの友人がやっておりますよ。最近非常に、工業港が完成されて人口もどんどんふえてきて需要が伸びてきたからよくなってきて、もうかって、おかげさんでと、こういっておる。車庫も今度近代的な鉄筋のものを建てるなんて言っている。この苫小牧だって値上げすることになっているんじゃないですか。業界の実態をつかんでいないんじゃないですか、運輸省の自動車局が。
  130. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) タクシーの運賃審査につきましては、当該タクシー事業につきまして詳細な資料をとりまして、それを検討して、真にやむを得ないものについてその率を認めるという考えでございまして、まあ関連企業との経理の分割、そういうようなものについては十分そういう面では考えていっているはずでございます。
  131. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まあ時間がありませんから、これはこの次にやりますが、一体キロ当たりの利益率をどのくらいに見ているんですか。
  132. 蜂須賀国雄

    説明員蜂須賀国雄君) 地区によってまちまちでございまして、都市といなかとは違っておりまして、需要の実態も電話需要と流しがございまして違っております。なお、ここに資料持っておりませんが、あとで提出いたします。
  133. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 ですから、大臣聞いているとおり、このとおりさっぱり内容がないのだよ。それをあなた、役人の言うとおり、申請されてきた。しばらくとめておったから値上げしてやろう。ぽんと判を押すからこういうことになるんですから、もうちょっとこういう業者の具体的な内容をつかみ、そしてもう一つは、最も悪名高い乗車拒否が全国いたるところに蔓延しておりますよ。なかんずく東京が多いんですが、こういうものについても大臣、やはり適切な運輸省として指導しなければ、これは国民感情許しませんよ、国民感情が。ですからこれはきょう時間がありませんから、次回にゆっくりやりますが、答えられる資料をちゃんとつかんで、それぞれおもだった、全部というわけにいかんでしょうが、少なくとも東京を初めとして全国の中都市以上の業者の実態を把握したものを出してくださいよ。このことを申し上げて、きょうは終わります。時間がないから。
  134. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 実態といいましても、東京の場合におきましては……。
  135. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 たとえば大和交通は何々企業をやっているとか、たとえば大和自動車は自動車学校をやっておりますよ。商事会社を持っておりますよ。そういうものをたとえば日本交通、国際交通はどういうものを持っておるか。そういうものは全部わかりますか。
  136. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 関連企業をどのように経営しているか。それは東京地域……全国でございますか。
  137. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 だからさっき言ったように、東京を中心として全国の中都市くらいのやつを調べてください。
  138. 天坊裕彦

    委員長天坊裕彦君) 本件の調査については、本日はこの程度といたします。本日はこれにて散会いたします。   午後一時二十五分散会      —————・—————