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説明員(
磯崎叡君) 全般的に物価の上昇の傾向という一つの客観的な事実を踏まえて、それに対して各企業の人件費をどう見るべきか。ことに
国鉄のように、
予算制度という厳重なワクがあるときに、どう見るべきかということについては、これは根本問題になると思いますが、たとえば公務員の場合で申しましても、御
承知のように、人事院勧告による公務員の
ベースアップによる人件費の増というのはみない。人事院勧告が出た
あとでみる。こういうたてまえになっているのは御
承知のとおりです。ただ、
予算技術的に申しますと、
春闘の
仲裁裁定の出る時期が非常に
予算制度と食い違っているということが一つの問題点だと思います。これはむしろ人事院
——これは全く個人的な
意見で、
国鉄としては問題でないということを御了解願って、もし人事院勧告のように、
予算編成の前に出ますれば、むしろ
実施時期だけの問題が問題である。しかし、いまのように
予算が、ことにことしのように
予算成立前に、
予算編成が済んで衆議院を通った
あとで、しかもここで
仲裁が出るということになりますと、非常に
予算制度とのからみ合いがおかしいので、その点はむしろ私
どもでなしに、
大蔵省の責任者から
答弁するようなことで、申し上げるべきじゃございませんが、私
どもから申しましても、いま
先生がおっしゃったとおり、非常に率直に申しまして矛盾があると思うのです。いま御審議中の、まだ成立していない
予算の中の相当大きな部分を占める人件費を数日中に上げろ、こういう
仲裁裁定が出るわけでございますから、
予算制度との関係は非常に筋が通っていないような気がいたします。したがいまして、いま申しましたとおり、いろいろ節約だとか、流用だとか、あるいは
増収だとかということで理屈をつけて捻出するわけでございますが、結局捻出できなくなればある時期に補正をしてもらう、
予算措置をしてもらう、こういうことになるわけです。したがって、それならば初めからかちっと
予算措置で、年度当初から、
予算編成のときからその問題を踏まえてやったほうがこういう
予算とのからみ合いというごたごたした問題なしにやれるのじゃないか。事柄からいえば、ずっと昔のように、
予算編成前にこういう問題が起きたほうが筋が通っていると思います。承
承知のとおり、
昭和三十年以前はそうだったわけでございますが、三十一年か二年か、
あとに
春闘ということになりまして、時期がずれてきたわけであります。その意味で
予算編成の
大蔵省当局もずい
ぶんその問題には頭を悩ましたようでございますが、
ベースアップがあるであろうということを予見して
予算を組むということもこれまたおかしな話だという見方もあるように聞いておりますが、やはりいまの四月から三月までという
予算の時期と、
仲裁裁定なり人事院勧告の出る時期というものがもう少し調和がとれなければ本質的にいけないのじゃないか。これは技術的な問題でございますが、そういうふうに思います。
それから、いま
先生のお尋ねの根本問題といたしましてはまさにそのとおりで、たとえば第三次
計画をうんと延ばすということになれば若干の利子も減ってまいりますし、あるいは借
金額そのものも減ってくる。しかしながら、一方、いま三次
計画でやっておりますことは、御
承知のとおり、保安対策にしましても通勤輸送にいたしましても、あるいは幹線の輸送力増強にしましても、いずれも先行投資どころではない。ほんとうに肩に振りかかる火の粉を払う。極端にいえばすぐ人命にでも関しないとはいえないぐらいの工事をいまやっておるわけでございまして、これを延ばすということは私
どもとしてはどうしてもできない、こういうふうに考えるわけでございます。したがって、そこでいまおっしゃったように、じゃ、経営の問題と、ことに労働問題を含めた経営の問題と、それからいま言った
国鉄の輸送力増強の問題、いわゆる公共性の問題との調和をどうはかるかということは、結局もう空理空論をやってもしようがないということで、根本問題はいま
主計局の事務
当局と
数字を突き合わせて、一体
国鉄をどうするかということについて本質的な
数字的な
検討をやっておる次第でございますので、やはりずい
ぶんその
会議も
議論が百出いたしまして、まあ、しかし何とか七月一ぱいまでに
結論を出したい。四十三年度
予算は八月から組み始めますから、四十三年度
予算には、そういう矛盾を、一挙にはできないでも、少しずつでもあるいは何年か
計画でもその矛盾を取りくずすという方向で進む以外にないというふうに考えておりますが、いま
先生のおっしゃったことは私
どもは実は一番頭にある問題でございまして、その問題を中心にして今後
国鉄経営の問題を発展さしていく以外に将来の問題はない、こういうふうに考えております。