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1967-04-25 第55回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十五日(火曜日)     午前十時十五分開議  出席分科員    主査 北澤 直吉君       相川 勝六君    正示啓次郎君       藤波 孝生君    保利  茂君       帆足  計君    山中 吾郎君       谷口善太郎君    兼務 加藤 清二君 兼務 高田 富之君    兼務 永末 英一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 坊  秀男君  出席政府委員         法務省入国管理         局長      中川  進君         厚生大臣官房長 梅本 純正君         厚生大臣官房会         計課長     高木  玄君         厚生省公衆衛生         局長      中原龍之助君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君         厚生省医務局長 若松 栄一君         厚生省社会局長 今村  譲君         厚生省児童家庭         局長      渥美 節夫君         厚生省保険局長 熊崎 正夫君         厚生省年金局長 伊部 英男君         厚生省援護局長 実本 博次君         社会保険庁医療         保険部長    加藤 威二君  分科員外出席者         公安調査庁調査         第二部長    子原 一夫君         外務省アジア局         外務参事官   吉良 秀通君         大蔵省主計局主         計官      辻  敬一君         文部省大学学術         局大学病院課長 篠沢 公平君         通商産業省企業         局産業立地部長 馬場 一也君     ————————————— 四月二十五日  分科員石橋政嗣君委員辞任につき、その補欠と  して帆足計君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員帆足計委員辞任につき、その補欠とし  て石橋政嗣君委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  第四分科員加藤清二君、第三分科員高田富之君  及び第四分科員永末英一君が本分科兼務となっ  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算外務省文部省  厚生省及び労働省所管  昭和四十二年度特別会計予算文部省厚生省  及び労働省所管      ————◇—————
  2. 北澤直吉

    北澤主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算中、厚生省所管を議題とし、質疑を行ないます。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑持ち時間は、一応本務員一時間、兼務員もしくは交代して分科員になられた方々は三十分でありますから、御協力をお願いいたします。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡明に行なうよう、特に御注意申し上げます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。
  3. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 私は、保育所幼稚園関係の問題と、インターン制度の問題、さらに国保の各地方ごとの独自的な給付についての本省の考え方、アルコール中毒矯正施設の問題についてお聞きしたいと思います。  まず第一に、保育所幼稚園関係については、これは古くて新しい問題なので、いま始まった問題ではないのですけれども、制度的にこの問題を検討しなければならぬ段階に来ておるのではないか、これは私の考えなのです。そこでお聞きしておきたいと思うのですが、まず保育所の現在の普及率ですね。できればその内訳で、僻地保育所、それから季節保育所一般保育所の大体の現況を局長のほうからお聞きしたいわけです。
  4. 渥美節夫

    渥美政府委員 保育所については先生指摘のように、普通の正規保育所と、それから農山漁村僻地においてやりまする僻地保育所と、季節保育所と三種類といってよろしいと思います。一般正規保育所普及率といいますか、ただいままでの設置の個所数は約一万一千六百カ所でございます。そこに通園しておりまする児童の数は九十二万名ということになっております。それから僻地保育所につきましては、現在まで千九百五十五カ所できております。四十二年度におきましてはさらに二百四十二カ所を新設いたしたい、かように思っております。僻地保育所に通っている子供の数は、いろいろそのときによりまして、その場所によりまして違いますが、大体一僻地保育所につきまして三十人見当というふうになっておるわけでございます。それから季節保育所でございますが、季節保育所の数は現在のところ約六千カ所ということに相なっております。
  5. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 季節保育所あるいは無認可保育所状況を聞きたいのですが、それはまずあとにして、現在保育所施設も相当普及してきた一方に、文部省幼稚園も普及してきておるので、幼稚園保育所制度的混乱というものを検討する段階にあると思うので、その点、大臣にお聞きしておきたいと思います。  大体満四歳、五歳という二カ年の年齢については、厚生省保育所文部省幼稚園が交錯をしておる。満三歳以前は乳幼児保育ですから、これは厚生省だけなんです。そこで、貧富の差というか、共かせぎの家庭子供保育所に収容する、それから、そうでないものは学校教育法に基づいた教育機関としての幼稚園に収容する。これは憲法の、法のもとに平等という理念からいいますと——能力の差じゃないのですから、その人の家庭環境あるいは貧富状況によって、全然違った目的施設に入るということになって、そして、保育所のほうにおいては保育を主とするもの、一方は教育機関ですから、これは非常に差別的な取り扱いになるので、憲法明記そのものじゃなくて、精神からいって、私は、憲法上思わしくない二元的な制度である、根本的に非常に疑問を持つのですが、その点はいかがですか。
  6. 坊秀男

    坊国務大臣 教育の問題について非常に精通していらっしゃる山中委員の御意見で、そういう御意見も私はあろうと思います。ただしかし、おまえは保育所へ行け、おまえは幼稚園へ行け、どっちかへ行かなければならない、こういうような制度にはなっていない。それぞれの希望によって、保育所へ行く人もあり、それから幼稚園へ行く人もあるということになっておりますので、憲法とか人権とかいったようなことではないのではなかろうか。その生まれた人のあるいは家庭環境によって、それぞれの、これは希望と申しましても、共かせぎでやむを得なくて保育所に行くこともありましょうけれども、とにかくどっちへ行けということを強制ということはしておりませんので、この制度を、山中委員のおっしゃられるように、今後これをどうしていくかという問題は、これは私はあろうかと思いますけれども、今日ただいまの保育所制度幼稚園制度というものが、それぞれその事情に従ってあってもいいんじゃないか、かように思っております。
  7. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 そのとおりだと思うのです。ただし、国のほうで、すでに幼稚園設備補助制度をとって奨励的立場に立ってきている。そこで受けるほうからいいますと、四歳、五歳である子供にとっては、いわゆる教育という、人間形成という目的を明確にした幼稚園に入る。ある者は好むと好まざるとにかかわらず、両親が出かせぎであるとかいうことで、これは実質上保育所に入らざるを得ない。そこへ入れなければ預けるところはない。幼稚園には金がかかる。そこには保育を主とするという法的な性格が違うということは、まあ理屈大臣理屈もそのとおり通りますけれども、実態感覚からいいますと、非常に矛盾がある。そこで現状においては、保育所幼稚園も増設することによって、いわゆる就学前の子供人間形成ということを目的として進めていくという実際的な処理でいいと思うのですが、終着駅はどうしたらいいとお考えになっておるのですか。
  8. 坊秀男

    坊国務大臣 いまの状況、いろいろな社会的な実情におきましては、私は、保育所幼稚園とがあって、保育所においてできるだけ教育の、何と  申しますか、要素と申しますか、幼児保育していくとともに教育をしていく。幼稚園でやっておることと同じような、できるだけそれに近づけていくような教育をやっていくということが、いまの実情に私はふさわしいのではなかろうか、かように思います。
  9. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 内容的に、幼稚園保育所を、教育的な同じ方向に持っていくというお考えということですね。そこで、大体保育所というものも、社会保障政策とか、救貧政策一環として歴史的には発達してきたものなんだから、まず救貧政策という伝統があると思うのです。それを最近、厚生省局長その他の意見にしても、保育に対する指導理念の中に、青少年の不良化の問題が出たときでも、これは三、四歳の性格形成基礎をつくる、このときこそ大事である、名前は保育と使っても、いわゆる人間形成という教育的な機能として、大体厚生省局長諸君考えておるような——そうなってくると、いわゆる幼稚園施設保育所施設というものは、理念は一本にして行なうべき段階である。事実、そういう意思表明をしておられるのです。ところが、現実法律規定は、児童福祉法のほうは第三十九条ですか、日々保護者の委託を受けて乳児または幼児保育するという、それから学校教育法には「幼児保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長」、こういうふうに、保育自体目的が二通り出ておるので、文部省厚生省で、少なくともこれの目的——入所基準は別ですよ。しかし、目的はもう少し法文を検討して、一つ方向に持っていくということはしてしかるべきときではないか。なぜそういうことを申しますかというと、幼稚園のほうでは、教育内容について幼稚園教育要領があって、それについて、大体、健康、社会、自然、言語、音楽リズム絵画製作というようなことを子供に対する保育教育の主たるものにしておる。今度は、児童福祉施設最低基準には、午睡のほか、健康状態の観察、個別検査健康診断自由遊び、こういう出し方をしておる。これもまちまちなんですね。  それから教育機関のほうは、文部省のほうでは、年間二百二十日、一日四時間を原則として、幼児年齢を考慮してきめる。厚生省保育所は、一日八時間を原則とし、保護者労働時間、家庭状況等により所長がきめる。これもまたまちまちである。それから教員定員基準もまちまち、施設設備基準も違う。文部省のほうでは職員室保育室遊戯室保健室便所飲料水施設手洗い場足洗い場、これだけは準備しなければいかぬ。今度は保育所のほうでは、職員室はなくていいことになっておる。保育室または遊戯室どっちかあればいい。屋外遊戯場調理室便所、そのほかの保健室とか飲料水施設手洗い場足洗い場なんて書いていない。少し支離滅裂なので、これは私は文部省、それから厚生省の官僚の名折れと思っていない。そういう気持ちはつくづくないのですが、検討すべき段階であるのに、その点は根本的に法的根拠についての検討がされていないので、これこそ検討すべき時期に爛熟しておるのではないかと思うので申し上げるのですが、教員資格についてもそうです。だから、待遇もまちまちになって困っておる。これはどうです。根本的に学校教育法幼稚園に関する法律関係、それから児童福祉法に基づく施行令、その他の関係について、もう少し統一のとれたものにさるべきで、農村その他に行きますと、実際は幼稚園保育所も同じなんです。それを検討されてはどうですか。
  10. 渥美節夫

    渥美政府委員 御指摘のように、実際の子供なり生徒なりを保育しあるいは教育するといういろいろなこまかい細則につきましては、ずいぶん御指摘のようにばらばらであるということに相なっております。そしてまた先生お話のように、四歳、五歳の幼児教育という意味におきましては、保育所におきましても幼稚園教育要領というものに準じてやれというふうなことになっておりまして、幼児教育という点につきましては、文部省におきましても厚生省におきましても意見は一致しておるわけでございます。ただ、保育所におきまするいろいろな実態は、制度幼稚園とは相異なっておるということでございます。つまり、疾病でありますとか、あるいは労働のために両親子供教育、看護できないというふうな状況にある者を保育所に通わせるわけでございますので、お話のように八時間以上子供を預からなくてはいけませんし、また、三歳未満の乳幼児に至るまで保育所においてはこれを保育してあげなくてはいけないというふうになっております。したがいまして、保育日数幼稚園と違いましてずっと長くなり、保育時間も幼稚園と異なりまして、ずっと、倍以上も長くなるというようなことでございます。これは要するに、保育所におきましては幼児教育という教育機能のほかに、家庭にかわる生活環境を与えるというふうな、家庭生活を与えるという別の機能があるために、いろいろと幼稚園と違った実際上の問題が出てきておるわけでございます。したがいまして、厚生省におきましても文部省とそういった幼児教育という点につきましては同じなんでございますから、そういった点につきましては文部省十分協議をいたしまして、りっぱな幼児教育ができるようなことをやっておるわけでございます。  なお、いままでのお話にありましたいろいろな設備の問題でございますが、その点につきましては、保育園におきましても、幼稚園におきましても、たとえば水飲み場だとか、足洗い場だとか、給食設備とか、こういうものは理論的には変わることはあり得ないと思いますので、そういった設備基準等につきましては、さらに文部省相談をいたしまして、統一のとれたようなことで進みたい、かように思っております。しかしながら、現在、いずれにいたしましても、保育所におきましても、幼稚園におきましても、ともかく地域的に偏在があり、また地域的に不足している、絶対数が足りない。保育所におきましても、あと約四千カ所五年間のうちにつくっていかなくてはいけないという実態があるものでございますから、現在のところ文部省とも相談し、各都道府県あるいは都道府県教育委員会等とも連絡をとるように指示いたしまして、幼稚園保育所がうまく協調して、どんどんふやしていくということに努力をいたしておるというのが現状でございます。
  11. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 保育所の発展の歴史からいえば、これは先ほど言った救貧政策からきているのだが、現在は教育機関だと思う。現在は皆さんのほうの児童館あるいは保育所に対するいろいろの施設は、大体みなそういう思想だし、いま保育所といいますか、保育教育一つでして、だから、しつけあるいは子供たち集団生活の中の話し方、あるいは音楽リズムの中で、就学後のいわゆる教育基礎をつくるという点については、一点も変わりはないと思うのですよ。だから幼稚園の場合にしても、午前中で帰すということは、実際は幼稚園の形態としてはそうでなくて、午後も集団のしつけをするということであってもしかるべきなんで、実際は保育幼稚園といえば、保育所も実は保育幼稚園で、幼稚園も実は保育幼稚園であってしかるべきだ。もうそういうふうに考えていくべき段階に来ているので、歴史的経過はすでに越えちゃって、いわゆる幼児教育一環として四歳、五歳は非常に大事である。共かせぎの家庭の場合においても、これは国が特に手厚く、あるいは児童手当が出れば、そういうふうなことも含んで、国が特別に収容しやすくする、豊かな家庭の子は比較的多く入れなさいということだけであって、施設人間的にすべき段階ではないかと思う。そこで、そういう意味において名法律関係が実にまちまちなんだから、実際がそうだから、法律的なものも手を入れるべきだと私は思うので、これは大臣どうでしょう、検討されてしかるべきじゃないですか。
  12. 坊秀男

    坊国務大臣 私は、現在としては、この両者があるということは、これはもう実情に沿うたことだと思いますけれども、将来の問題としては、いろいろな環境、いまの児童手当とかいろいろな諸制度といったようなものとにらみ合わせまして、検討の価値のある問題だと考えております。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 現在は保育所保育所で増設して、幼稚園幼稚園で進めていって、大体同一年齢人口の三、四歳、五歳は七〇%、八〇%入るようになったときに制度的に統合というふうなのが正しいと思う。現在の考えはそうです。しかし、二つ法律内容について、もう少しそういう方向にやがて終着がなるように、いまのこういりこまかいところが一々違うのだから、それを整理統合をして、別な児童福祉法学校教育法があるけれども、中身についてはもう少し整理されたらどうか。そうして現在の普及率が、さらに高等学校の七〇%くらいいくように、幼児教育施設収容児竜がその辺に来たときに、根本的に検討するということが私は正しいと思うのですよ。いますぐそこまでは普及していない。ただし、法律内容をもう少し近づけたらどうか、二つ法律があってもけっこうだ、それを申し上げているのです。どうですか。
  14. 坊秀男

    坊国務大臣 いまの学校教育法児童福祉法とあまりに違うじゃないか、内容をだんだん近づけていったらどうだ、こういうお話のように承るのだが、設備だとか、あるいは人間だとか、そういったようなものは、これはだんだん近づけていくということが私は非常にいいことだと思いますが、短兵急になかなかそうは、これはそれぞれ厚生省であれ、文部省であれ、両省のいろいろの相談もせねばなりません。しかし、御趣旨のとおり、だんだんといろいろな内容設備といったようなものは近づけていくことが望ましいことだと思います。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 望ましいということですが、現実をもう少し分析されて、具体的に検討されてしかるべきだと思うのです。しかし、最後の二本  の場合、いつかは検討すべきだと思うのです。なお、大臣意見をお聞きしておきたいのだが、まず三歳以下までは、これは乳幼児ですからね、これは厚生省ががっちりしていかなければならぬ。年齢的に満三歳以下は厚生省、四歳、五歳以上は教育省文部省ということばと別に教育省ということばを使いましょう、教育省という年齢で分けるというのは、ソ連のような一つの分け方だ。今度は管轄義務教官までは児童福祉省にするか、あるいは厚生省がもう少し管轄中身検討して、生まれたときから、就学前まで、いわゆる生まれたときから人間形成が始まるのですから、七、八歳あるいは六、七歳までを管轄する省にするかは別にして、同一年齢を違った施設に入れるという制度を廃止して、何歳までのいわゆる保育教育はある省で、何歳以上は、という行き方を終着駅としては考えなければならぬと思うのです。いつかはそういう時期に到達すると思うのですが、その点について、日本厚生大臣として見解を聞いておきたいと思う。
  16. 坊秀男

    坊国務大臣 さすがに教育畑で御勉強され、御精通なすっておる山中先生の非常に貴重なる御意見を拝聴いたしまして、今後いろんな角度からこれを研究していく上において、御意見をより尊重していろんな問題を検討し、きめていきたいと思いますけれども、今日ここでこれこれこういたしますということは、ちょっと日本厚生大臣として申し上げかねるのでございます。
  17. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 識見の高いところをと思って、日本厚生大臣と、わざわざ日本をつけたのですがね。  文部省のほうで六・三制検討調査会予算が計上されたのですが、これは教育制度を満五歳からどうするかということも含んでおるし、それから、わが社会党の第一次草案の場合には、四歳、五歳、六歳、七歳を幼年学校としてほんとうの性格形成、それから読み書き、そろばんの基礎をやるというふうな試案もあるものですから、これは私の案によっておるのですが、あの中に厚生省意見も入らなければいかぬと思う。それを傍観するのでなくて、やはり厚生省のメンバーが入って、日本厚生大臣識見が入るようにしてもらいたいと思うのです。いまのように学校万能思想というのでなくて、出生から墓場まで国民形成の体系がなければいかぬと思う。これは別々でないと思うのです。国民形成保育所義務教育小学校と、いま非常に連絡がついていないのです。一番の問題は、幼稚園保育所の二元的な問題で、統一がとれていない。しかもまた保育所幼稚園制度小学校関係もなかなか一貫性がない。その二つ矛盾は、やはり日本国民形成という立場で重大問題だと思うのです。日本厚生大臣にだれがなっても、私はもっと研究してもら  いたい。医療行政ばかり頭に入って、肝心の人間形成の一番大事な児童に対する対策について勉強が足らぬと思うのですよ。さらに、一年または二年の保育所も、伝統的に救貧政策のようなものがあるから、保母養成について、もっと専門性を帯びた者を養成するということについても真剣に検討していく必要がある。その点については、歴代  の厚生大臣関心が薄いので——医師会その他でいじめられるものですから、関心を持つひまがな  いと思うのですが、しかし、非常に大事なものが抜けておると思いますから、御検討願いたいと思います。  次に、インターンのことについて申し上げます。これは名委員からたびたび出ておるので、私は一言だけ、これも制度的に整備をすべきだと思うのでお聞きしておきたいと思うのです。   〔主査退席、正示主査代理着席〕 いわゆる医学教育領域というものは、医師の免許をとるまでが医学教育領域だと思うのです。とったあとに今度は厚生省関係で、いわゆる医者としての研修期間を持って研修せしめるというのが厚生行政かもしれない。ところが現在の制度は、資格をとるまでにインターンをして、そうしてあと資格をとってから——もしインターンというものが、資格以前のいわゆる臨床練習というならば、医学教育領域じゃないか。ところが戦後、どういうはずみか知らないけれども、資格をとる前にインターンをしてやっている。そのインターン厚生省管轄になっておる。その制度的混乱根本原因ではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  18. 坊秀男

    坊国務大臣 御指摘のとおりだと思います。イ  ンターンというのは教育過程であろう。だから、現行インターン過程におきましては、これは医師ではない。ところが学校は卒業してしまって  いるから学生ではない。学生でもないし医師でもないというものがインターン現行インターン過程において、何やら自分の地位というか資格がはっきりしない、きわめて不安定なものにある。そこで、そういった問題について、現在医学教育懇談会検討していただいておるわけですが、そこで結論はどうなるか、懇談会の結果を得なければわかりませんけれども、とにかく、現行インターン制というものは非常にその性格がおかしなものであるということで、現行インターン制というものをとにかくやめよう。そこで、これにかわるべき何らかの研修制度といったようなものをつくりたい。その研修制度は、医者として研修していくか、そういうようなことに相なるのじゃないか。と申しますことは、学校を卒業すれば医師としての試験を受けて、そうしてその地位なり資格なりというものを得る。これはまだ懇談会の結果はちょうだいしておりませんから、少し私、言い過ぎかもしれませんが、そういう方向にいくんじゃないかと私は考えております。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 私の申し上げるのは、たとえば裁判官とか検事の場合のように、法科を出て、  そうして司法試験を受けて資格をとってある、あと法務省実務研修をやる、これが法務行政だ。同じように、医学教育をして医師の免状をとって、あと厚生省でいわゆる医学行政の必要から、教育ではなくて、いわゆる実務研修というのですか——学位をとらすためではなくてですよ。厚生省のやるのは、あれは資格をとらすためになってしまっておる。厚生省管轄インターンというものは資格をとるためにやっておる結果、  教育行政と厚生行政の非常に混乱があるのじゃないか。それで、やはり大学を卒業することによって、とにかく医師の免状をとり、あと今度は教育行政の立場で、研修義務を負わすとか、それは別です、それはわからない。したがって、あとどうするかということを別にして、医師の免状をとるまでは教育行政だ、あとは研修なら鋭意こっちでやるということで割り切って、あとのことを考えないで、資格をとるまでは文部省の責任というふうに割り切って、それはもう先行したらどうだ。あとは学位の問題で、臨床医学博士にするか基礎医学博士にするかということによって弊害をなくすのはそれは別で、学位の授与は文部行政でしょう。学位をとる、それは医科大学の間に厚生行政がはさまったということですから、割り切って、私は向こうにげたを預けるべきじゃないかと思うのです、あとのことを考えないで。そうすると小学校から高等学校、大学に至るいわゆる文部行政の中で、向こうで始末をするということになると思うのですが、それは間違いないですか。
  20. 坊秀男

    坊国務大臣 学位の問題は、これは文部省管轄ですが、いまおっしゃられたような点を医学教育懇談会検討していただいておる。おそらくそういうふうになることを私は期待をかけておるのでございますが、とにかく検討中のものでございますので、ここでこうなるのだとかどうだということも、これもちょっと申し上げかねることでございます。私はそういうふうになるように期待をいたしております。
  21. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 厚生大臣、人ごとのように言っておるが、厚生大臣のいまの行政の一番の問題だから、期待をしているということではないと思うのですがね。ただ、人の命に関係しておる医者の養成だから、ソ連のように保健省が医学教育全部を引き受ける、これも一つの手ですが、教育計画を立てて、そして現在のように配置も非常に不公  平だから、全部医学教育厚生省が引き受けて一貫をしてやるという手もあるし、日本の戦前の型のように、いわゆる医師について文部省が全部引き受けていくという手もある。戦後はその二つ、両管轄になってしまったというところに私は混乱があると思うので、これをそういう制度の分析をして、戦前のように医師の養成は向こうにまかす、そしてあとの研修はこっちがやるか、全部医学教育厚生省が引き受けるか、どっちかだと思うのです。その点は期待するのじゃなくて、厚生大臣としては積極的な定見を出して、結論を出さしめる必要があるのじゃないか。インターン管轄は向こうにいくとかいかないとかいう問題じゃないと思うのです。そういう段階にきておると思うのですが、もう一度お聞きしておきます。
  22. 坊秀男

    坊国務大臣 医学教育懇談会に私は出ておりませんけれども、担当局長が出ておりますので、担当局長から、一応どういうふうな方向でやっておるかというようなことについて説明させます。
  23. 若松栄一

    ○若松政府委員 医学部卒業後における教育研修に関する懇談会は非常にひんぱんに、かつ熱心に討議をしていただいておりますが、まだ最終的な結論にまではいっておりません。ただし、いま先生の御質問になっておりますような点については、およそ先生お話のような方向で話が進んでおります。といいますのは、大学医学部において医師としての必要最小限度の知識、技能はおさめる。したがって、現在の大学医学部における教育内容も、もう少し、いわゆる臨床研修等も充実強化して、一応医師としての最低限度の知識を与える。したがって、大学卒業後において当然もう最小限度の医師としての資格を与え得る。したがって、そこで医学教育修了と同時に医師になり得るようにする。医師になったあとについては、これは医師の職務の特殊性といたしまして、ある意味では一生研修を続けなければなりませんけれども、これは国民医療向上の立場から、厚生省として、医師の研修というものについてはあらゆる方法で援助あるいは必要な講習その他の問題をやっていく、そういうふうに、医学部卒業の時点でははっきり割り切ろうというような方向に話が進んでおります。
  24. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 正論だと思いますね。早く結論を出してやったらどうですか。  それから国保の関係で、きのうの局長の答弁、少し気にかかったものですから……。日本制度としては実現をしていないが、各地方の独自の創造的な政策として、たとえば乳幼児の十割給付あるいは老人の十割給付というようなことをしているものがある。これについてどうかという質問に対して、局長のほうでは、少し困るというふうな、消極的な御意見のようだったです。これは保険制度であるから掛け金も出しておるんだし、国の負担もあるんだから、やはり国の指示に従わないでやると困るというふうな御意見だったのです。それで、岩手の場合については、実は私たちが進言をしたのですが、七割の給付の残りの三割については市町村と県が半分ずつ持つ。その三〇%のうちの半分、一五%は県、一五%は市町村として、三年前に全県的に実施をしたわけです、私らが知事に進言してね。これがほんとうの住民に直結する政策だ、一番いい政策だと思って、プライドを持ってやった。局長のほうでは、それについては、思わしくない。あるいはその当時、県庁の部長が本省に問い合わせもしただろうと思う。あまりいい顔をしなかったというので、そんなことじゃだめだというので、実はけつをたたいた経緯があるのです。これをもう少し理解してもらいたいというのは、たとえば、そういうことをやる場合には、必ずその地域の現実的ななまの要求があるわけです。岩手県のような僻地の多いところ、しかも貧しいところでは、乳幼児の死亡率が多いわけですね。栄養も足らない、親は出かせぎをする、それから偏食がある、あの農山村に行きますとですね。そういう関係乳幼児の死亡率が多い。また、さらにわれわれ分析してみますと、子供は生まれて一年の間に病気をすると、金がかかるという心理的なものがあって、母親は早期診断をしないのですよ。そのために手おくれに  なる。そこで十割給付ということにすれば、ただですし、子供に対する愛情は同じですから、すぐ見せるというので、三カ年の結果、乳幼児の死亡が非常に少なくなった。これはすばらしい制度だと思うのです。ところが、国家財政は全部に対する十割給付はできない、それは財政上の問題だ。ところが、岩手のような場合については乳幼児の死亡率が多い。幾ら貧乏財政でも、他の予算を削ってもこちらで乳幼児の死亡率を少なくしようというのは称賛さるべきものではないか。きのうの御答弁は少し気にかかった。それでは日本の政治の中にヒューマニズムは入っていかない。地方自治という本旨に基づいて、そういう特殊な地方の実態に即した政策というものが開発されないということを私は思うので、これだけは局長からいま一度お聞きしておかないと、どうも心にかすが残って、この分科会を終わりたくない。それでお聞きしているわけです。
  25. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 昨日私が申し上げましたことは、全国的な立場で、特に老人疾患等につきましての問題も含めてのお話でございましたので、そういうことでお答えを申し上げたわけでございますが、いま先生からの御指摘は岩手の場合ということでございます。この岩手の場合につきましては、御指摘のように、県当局で三年にわたりまして半分の補助をいたしております。御承知のように全国の乳幼児の死亡率が三年間で四・七%減っておりますけれども、岩手の場合はそれが七・九というように非常に減少率も高いわけでございます。例を申し上げますと、四十年で岩手の場合二八・〇、全国では一八・〇でございますが、まだ依然として岩手のほうが非常に高い。しかも、国保財政に対しましての圧迫ということも、県のほうで積極的に補助金を——私のほうで調べましても、四十年度で四千二百万以上の補助金を出しておりまして、国保財政の圧迫になっておらないということで、特に農村をかかえております東北地方におきましては、このような施策が行なわれることについては、私どもは十分御援助も申し上げる必要があると思いますし、非常にけっこうな御施策であるというふうに思っております。ただ、国民健康保険につきましては、大体法定の割合といいますものは、これは最低の要件ということになっておりまして、現在七割になっておりますが、これを今後どのように国の施策として給付率を上げ、また対象別に、たとえば乳幼児あるいは老人疾病についてどのような給付割合にしていくかということにつきましては、やはり抜本対策との関係考えていかなければならない問題でありまして、保険のワク内でやるか、あるいは他の公衆衛生、福祉施策との関連で取り上げるかということにつきましては、現在検討中でございます。しかし、当面乳幼児対策につきまして岩手県のやっておりますことにつきましては、私どもは十分首肯でき得る施策だ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  26. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 それでよくわかりました。これを実施をする場合には、岩手県下の小児科のお医者さんが結束をして進言をしてきたのが動機なんです。診療所に医者のいないところがたくさんあるし、自発的に小児科の先生僻地乳幼児の診察に出かけまして、献身的な活動がある。そして、せめて十割給付をというので、小児科の医者から出たのです。私はその小児科のお医者さんを知事に会わしたりして、そして生まれてきたので、実に実態に即してほんとうにまじめに出たものですから、その場合に、全国画一的な中央集権的な感覚でおやりにならずに、ケース・バイ・ケースで助長すべきものはするという方針は、お取り願う必要がある。それは大臣も和歌山のあの山の中を見ておればよくわかると思うのですが、この点については、全国制度と地方自治体のあり方については、ことに厚生行政にあると思うのですが、今後もそういう点で圧迫しないように、ひとつよろしくお願いしたいと思う。
  27. 坊秀男

    坊国務大臣 その点はよく了承いたしました。
  28. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 あとまた何かやるかもしれませんから……。  最後に、アルコール中毒者の矯正施設についてお聞きしたいと思いますが、厚生省として現在何か施設をされておりますか。
  29. 中原龍之助

    ○中原政府委員 アルコール中毒者の治療ということになりますと、一般の医療機関であればこれは治療はできるわけでございます。しかし、アルコールの問題につきましては、最近の傾向としてだんだん濃度の強いアルコールが用いられる傾向があるということから、中毒者の発生の防止ということも考えなければならぬということで、関係の医学者におきましてアルコールの医学というものをつくりまして、その方面の研究をいろいろ開発しております。ただ、アルコールの中毒者の中で精神障害者になっている者につきましては、これは精神衛生法によりまして、これに該当する者は精神病院に措置入院いたしまして治療するという形になっております。そのほかには、国立といたしまして、一般のアルコールの専門病棟というものを国立の久里浜病院に現在設けております。大体四十床ですか、たしか三十八年にできたと思います。そこで専門的に患者の治療を行なっております。現在そこに入っております者は三十数名でございます。  なお、御参考までに申しますと、精神病院に精神障害者として収容されておる者は、全体のほぼ一ないし二%ばかりの患者が大体措置入院として入院しておるという状況でございます。
  30. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 そういう精神病院に入れてやっているのは、それは全部無料ですか。
  31. 中原龍之助

    ○中原政府委員 全部が無料ではございません。これは、精神衛生法による措置入院によるものは、他の措置入院患者と同じような費用の徴収のしかたをしております。
  32. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 東北地域においては欲求不満があって、いなかに行くと、朝からどぶろくというわけでもないのですが、飲んで、アル中になるのが多いのです。素質のいい者がですね。別にレクリエーションもないし、あるいは素質のいい者は、また自分の希望を持たない、山の中ですることがないもんですからね。私もそういう人間を二、三知っているんですが、大島ですか、伊豆の島のどこかに何か矯正施設がありますね、そこへ私、一人紹介して送ってやったことがある。あるでしょう、あれは国が少し補助を出してやっているんですか。
  33. 中原龍之助

    ○中原政府委員 民間の施設で八丈島か何かにあると思いますが、それにつきましては、私、いまちょっと詳しく存じておりませんです。
  34. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 主計官おられますか。去年の酒税は幾らぐらいあったですか。
  35. 辻敬一

    ○辻説明員 私ちょっと担当でございませんで、正確な数字はいま持っておりません。
  36. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 大体三千億ぐらいあると思うのですね。それで、アルコール中毒にかからなくても、自分では酒をやめたいがやめられないというのがずいぶんあるんですね。農村に行ってもあるんです。ところが、そのアルコールを飲んで、国のほうで税金は大体三千億も取っておる。アルコール中毒にかかる者ほど税金を取られておるんだから、その税金だけは還元してやったらどうか。三千億もの税金を取っているんですからね。それで各村に一人か二人必ずあるんです。その一人のために、どれだけまた村に迷惑がかかっているかわからない。御本人も悩んでいるんですね、どうにもならなくて。そういうことで、完全に科学的に治療してくれる設備のところに行きたくておるし、三月か半月ぐらい入るとなおせるという者が、相当あると思うのです。そこで、三千億も税金取っておるんだから、一番飲んだ者に十億ぐらい還元をしてやって、国立アル中矯正院を設置してやれば、これはどれだけ助かるかわからぬと思うのですよ。三千億のうちの十億ぐらい還元してやったらどうか。これについてはあまり理屈を言わないで、完全に科学的に治療できるように、またアル中にならなくても、自発的に自分はそういうところでなおしたいという者には、なおせる施設をしてやるということが私は非常に大事であって、これは各地域の関係あるいは御本人自身の家庭不和というふうな場合をなくするについても、非常に大きな役割りを果たすと私は考えるのです。かつて数年前に、清瀬議長時代にそういう人々の有志が国会に請願をして、国立アル中矯正院設置の請願にたしか私も判こを押したことがある。そのまま立ち消えになっているのですが、これくらいは厚生大臣の問題だと思うのですがね。三千億の税金から十億ぐらい出してやったらどうでしょう。これはどうも厚生関係だと思いますが、実現に努力されたらどうでしょう。
  37. 坊秀男

    坊国務大臣 酒を飲み過ぎて精神、身体障害を来たしたという者に対する措置は、厚生省として何らか考えるべき問題だと思いますが、その財源を酒税の一部を還元してということは、財源の問題は何ともここで申し上げることはできませんし、また三千億か幾らか知りませんが、その中の十億だけさいて、それでこの措置に使うというのは、一部の目的税みたいなものでございますので、これは私は必ずしも適当でない。十億金を入れて措置をするというなら、これはやはり別途に考えるべきものであって、この際酒を飲んだからそうなったんだ、そこで酒税が三千億もあるんだから、そのうちの一部をそれにひもをつけるということは、私は必ずしも適当なことではなかろうと思います。しかし、それはそれといたしまして、アル中患者が自分にも、それから一般大衆にも非常に迷惑を——自分に迷惑をかけるというのはおかしいですけれども、迷惑のかかる存在だということなら、何らかの措置を考えていくということは、これは厚生省としても考えなければならぬことだと思います。
  38. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 税の還元の思想目的税ということを言いましたけれども、そういう意味ではなくて、いわゆるガソリン税のような意味ではなくて、年々三千億くらいの酒税というものが国に入っている。しかし、アル中は一種の被害者なんですよ。それに対して国立アル中矯正院くらいの施設をするということは、これは常識的に考えてしかるべきだ。ヨーロッパあたりについても、酒税というものから——向こうはウイスキーその他きついですから、日本酒を飲むよりはアル中が多い。しかし、向こうでそういう国立矯正院などを設置する思想は、やはり税金還元という一つ思想があって、そういうものに対する対策費、施設費というものは、そういう思想で実現いたしていることは間違いないのです。日本にはそういう思想がないですね。私は、目的税の意味で少しも言っていない。それだけの税金を取っておるその中の犠牲者ということで、少なくとも大蔵省折衝の重要な資料としてやるべきではないか。私は、これは厚生大臣がひとつ自発的に動けばできる問題だと思う。それで地方に行っても、私の知っているのは、精神病院に入っている。何にもならぬですよ。アルコール中毒をなおす専門の施設がない。入っては出、入っては出しているうちに、村八分になる。奥さんと離縁をする。どうにもならなくなる。そういうのは、学生時代はみな優秀です。そういうのは性格破綻者のようなものになる者があって、その一人のためにどれだけ影響しておるかということを考えると、そういう施設をいまのような——理屈を言ったんですが、善用してしかるべき理屈だと思うのです。ぜひひとつそういう方向に努力してもらいたい。科学的な施設をしてやればいい。ずいぶん希望者があるだろうと思いますし、しかも、酒の税金だけは、ほかの税金と違って、五割以上取っているのですから、検討してもらいたいと思います。具体的な検討に値すると思うのですが、いかがですか。
  39. 坊秀男

    坊国務大臣 これはアル中患者に対する措置をするために何らか必要であるということならば、まず私は予算の歳出ということを要求するのが、第一段階だと思います。
  40. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 予算というのは、矯正する施設以外にないと思います。犯罪防止というのは警察関係ですから、そういう意味以外にないでしょう。
  41. 坊秀男

    坊国務大臣 アル中患者、たとえば精神だとか身体だとかにいろいろ障害を受けておって、その人個人は一種の病気みたいになっている。それと、その人が他人に迷惑をかける、そういう人に対する措置を何らかやる。たとえば八丈島のそういったような施設へ連れていくとか、あるいはその人が公費でもってアル中から脱却できるようにする一種の治療と申しますか、医療と申しますか、そういうことをやるのに、国家が何らかの——いずれにしても金でございますから、そういう金を必要とするというような場合には、すぐ酒の税の収入にひもをつけていくということよりも、歳出予算でもって要求するのが定石だ、かように考えるわけです。
  42. 辻敬一

    ○辻説明員 先ほどお尋ねの酒税の額でございますが、昭和四十二年度予算におきまして四千四百九十二億一千四百万円となっております。
  43. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 三千億じゃなくて、四千四百億ですか。だから、もちろん歳出予算ですよ。歳出で、国営の科学的、医学的に矯正できるりっぱな施設をつくってやる。全国から相当集まりますよ。そしてそれでどれだけ救われる者があるかわからない。もちろん予算ですよ。予算を取るについて、いまの四千四百億という膨大なる酒税を取っているんだから、それくらいは——そういう人は一番飲んで一番税金を払っているのですから、その人たちに理屈として善用して、そういう実現に努力をされたい。それは厚生行政の中で一番有効なる国民の税金の使い方になると思うので、検討していただきたい。局長、どうですか。いままで内部で論議したことはありますか。
  44. 中原龍之助

    ○中原政府委員 現在久里浜病院でつくっておりますのは、先ほど先生お話になりました両院の附帯決議、こういうものに基づきまして一まず久里浜病院に専門病棟というものを設置したわけでありまして、今後ともやはりこういう施設がだんだん必要になるということが考えられますので、そのような方向検討していきたいと思います。
  45. 坊秀男

    坊国務大臣 山中委員の御意思は、酒の税にひもをつけなければいけないということではなかろうと思います。とにかく、そこに金を出せばいい、こういう結論だと思います。だから、厚生省といたしましては、こういう事態で非常に必要であるということであるならば、また必要だと私思いますので、大蔵省に対して、いま局長が申し上げましたような施設についてもっと大蔵省も力を入れてもらいたい、こういう要望をすべきだと思っております。
  46. 山中吾郎

    山中(吾)分科員 それでは実現方を切望して、質問を終わります。
  47. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 谷口善太郎君。
  48. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 私は、健康保険の問題について大臣に若干お尋ねしたいと思います。  昨年に引き続いて、政府はことしもまた被保険者あるいは患者にばく大な負担を転嫁するような、そういう改悪案を企図しているようでありますが、それについては、直接お尋ねする気ではないのです。それに関連して健康保険の根本問題に関することを二、三お尋ねしたい、こういうふうに思います。  まず、伺いたいのですけれども、政府の統計によりますと、医者にかかる被保険者及び家族の受診率を見ますと、政府管掌の健康保険の場合、被扶養者の受診率が非常に低い。被保険者に比べて被扶養家族のほうが低い。ところが、組合管掌のほうを見ますと、四十年のもので見ますと、被保険者の場合千人当たり五千四百回余り、家族で五千七百回です。それから、政府管掌の場合も被保険者は五千六百。ところが、政府管掌の家族に限って四千というふうに低いのですね。これは何か要因がありますか。
  49. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 被保険者本人の場合には、現在十割給付ということで、給付の内容が家族の場合と違っておるわけでございまして、家族の場合には、被扶養者の場合五割本人が負担をするという形になっておりますので、その辺の影響もあろうかと存じますし、また被扶養者の場合には、子供とか非常に健康なものもあるというふうなことで、そういった面にいろいろと関連いたしまして、本人の場合と比較して受診率が下がるということは、これは現実の姿としても、そのようなものではないかというふうに思います。
  50. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 われわれが記憶に残しておかなければならない御答弁です。つまり、家族の場合は五割現金負担をしなければならぬ。このことが、医者にかかる率を低くしている。これがおもな理由のように伺ったわけですが、これはずっとあとにも、根本的な問題が続くと思います。つまり、健康保険、特に政府管掌の場合、一般に組合管掌でも、どの場合でも、医療保険でも、つまり働いている者は賃金以外に収入がないのだから、したがって、病気になりましても、金がかかりますと、医者にかかりたくてもかかれない。そういう状態のあることを政府も認められておるわけで、非常に重大な御答弁だと思うのであります。  そこで、次に伺いますが、これも統計によりますと、被保険者も家族も受診率は毎年ふえておるけれども、一件当たりの日数が減っておる。つまり、言いかえれば、俗な言い方をすれば、患者はふえるが、医者にかかる日数は減る。こういうのは何か関係がありますか。
  51. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 一件当たりの日数が減っておりますのは、これは非常に保険制度が普及をいたしまして、しかも、片一方で医学、技術あるいは薬学等が進歩してまいりまして、非常に早期に診察を受け、そうして早期治療ができる。つまり、医者にかかった場合に、早くなおる、医学、薬学の進歩等の影響もある、こういうふうに私どもは考えております。
  52. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 それも私はあると思うのですが、しかし、まだ何かほかに原因があるように思いますね。どうです、ないですか。
  53. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 私どもは、保険制度が非常に普及したために、しかも非常に早く治療効果をあげておるということで日数が減ってきたというふうに解釈いたしております。
  54. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 最初にあなたのお答えの中で、経費の問題、負担の問題を言われましたが、これが根本の問題だと思うのです。やはりこういう影響がある実情が、いまの制度の中にないかどうか。医者にかかることを途中でやめる、あるいはかかれない、そういう原因が、いまおっしゃったような積極面で、非常に保険制度が普及したとか、早期治療をやるとか、あるいは医学の進歩で発展したとかいうことを言っておりますが、それだけではないと私は思うのです。  一つ一つ聞きますが、私どもの考えによりますと、つまり、患者あるいは被保険者の料金が上がっていくというような問題も重大な問題ですが、患者の一部負担が、いまの実情の中では非常にひどくなっておるという問題が介在しておるというふうに考えざるを得ない。私は、そこのところをはっきりさせる必要があるのじゃないかと思うのです。  一つ一つ若干聞きますが、主として入院の問題でありますが、例の差額ベッドの問題ですね。この差額ベッドの問題は、政府はいつか通達かなんかお出しになって、差額ベッドは五〇%以下に押えろということをお出しになっておるようですが、これは一体現在どういうことになっておりますか。これは健康保険の給付の範囲では入れないわけですね。国立、公立その他医療機関の病院では、大体この数年間にどれくらいふえておるか、それをちょっとお示し願いたい。
  55. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 差額ベッドの調査は、実は三十九年に調査をいたしまして、その数字があるわけでございますが、大体全体のベッドで一三・四、五%ということになっております。ただ、厚生省がやっております国立病院の差額ベッドの率は、三十九年の調査に比べまして、最近のほうは率が減ってはおります。しかし、現実に国立の大学病院とか、あるいは民間の病院等で相当多額の差額ベッドを設置し、差額徴収をしておる姿を、私どもは、これは調査をいたさなくても、相当な差額ベッドがあるということは認めざるを得ないわけでございますが、しかし、なぜ差額ベッドが病院の場合にあるのかということになりますと、これは患者側の非常に強い要望もございまして、一般の大部屋じゃなしに、やはり個室で、入院期間中は快適な状態で入院生活を送りたいという患者の強い希望がありまして、この差額ベッドを一がいに病院において全部やめてしまうということは、また一方においてぐあいが悪いことじゃないかというふうに考えております。ただ、公的な病院につきまして差額ベッドが非常に多いということにつきましては、これは非常に問題があるわけでございますので、指導方針としましては、大体二割程度以内、差額ベッドの率はその程度を限度にすべきじゃないかということで、現在指導をいたしておるわけでございます。
  56. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 政府のお出しになった差額ベッドの資料がございます。これは名前を具体的に言えばいいのに、政府は遠慮して言っておりませんが、A国立大学付属病院では、病床数六百三十五、差額徴収のある病床が六十八、一〇・七%ですね。B私立大学付属病院では、これはもうひどいのでありまして五六・七%、F公的病院は二六%、低いのは公的病院のC、これは五%というようなのもありますが、そういう状況になっておる。私立なんかに至りますと、私ども調べたのですが、これは私立だけじゃありませんで、東大の付属病院で二三%、それから都立で七%、慶応で五六%、順天堂で八八%、慈恵大で八三%、癌研究所に至っては五八%。これはわずかのことで、私、たくさん資料を持っておりますが、時間がありませんから読みません。いずれにしましても非常に多いのですね。まあ大体五〇%というのが前のあなた方の指導だったらしいから無理はないと思いますが、それ以上こえるような六〇%から八〇%、そういうのがあるわけです。いま、あなたおっしゃいましたが、患者が要求して、そして個室に入りたいから、差額が要ってもいい、かまわぬからやってくれということでやっているということでありますが、そういう一日何千円とか何万円とかとられるようなブルジョア相手のやつはいいとしまして、一般的にはそうじゃないのです。  ここに一、二の例を示しますが、昨年大阪府会から本院議長あてに出した陳情書がありますが、その中でこういうふうに言っております。「大阪府立病院では差額ベッドはすでに総ベッド中六五%に達している保険給付で入院している普通の患者は、入院希望者が多いので、一定期間を過ぎると、差額ベッドへ行け、そうでなければ退院せよと追い立てられる。」こういうように言っています。これは大阪府議会からの陳情なんです。公式のものですね。これは一つの例です。まだここにたくさん私、書いてきましたけれども、近畿中央病院では特別室一日二千五百円、個室一日七百円、二人部屋一日一人二百円、これは保険で入った患者に別に現金で課しているわけですね。相模原病院では最高一日二千五百円の部屋代を払っている。まず入院希望者は差額ベッドに入りなさい、そのうち安いところがあいたら移してあげるというので入れぬ、こういうことが来ています。だから、大阪のこの陳情書でも非常にはっきりしておりますとおり、入れぬのですな。入院しても、そこへ入らないと出なければならない、こういう問題がやはり重大な問題として介在しているのじゃないですか。何も隠す必要はないのであって、実情をつかんで——大臣も抜本対策をやると言っているのですから、実情をつかまないとはっきりしないですな。こういう実情のあることをやはり認めますか、どうですか。
  57. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 谷口先生がいまお読み上げになりました差額ベッドの資料につきましては、社会保険審議会におきまして提出をいたしました私どもの資料でございまして、特に大学病院、しかもプライベートの私立の大学病院におきまして差額ベッドの占める率が高いという数字は、私どもはつかんでおります。大阪の例につきましては、実は事実を十分つかんでおらないわけでございますが、ただ、大学病院におきましては、来る患者というものが非常に特殊な疾病を持っておられる患者がきわめて多いということと、また、その大学病院の治療を積極的に受けたいということで、全国的に非常に患者が殺到するというふうな事情もございまして、大学当局としては、病院経営その他の立場考えまして、ある程度の差額徴収をやるということは、これは私はある程度はやむを得ないというふうに考えておるわけでございます。ただ、一般の被保険者が利用し得る公的な病院につきましては、なるべく差額ベッドは全体の病床からいえば少なくするような形で処理していくのが望ましいというふうに考えて、その指導の徹底を期したいと思っておるわけでございますけれども、何ぶんにもそれぞれの病院の経営その他の関係でいろいろと特殊事情はあろうかと思います。しかし、公的な病院が半分以上が差額ベッドであるというふうな実態はすみやかに直すということで、私どもはそういう姿勢でこれを逐次是正していくように指導してまいりたいと存じますし、また、現実にそういう指導をやることによって改善をしていったという例もございますので、御指摘の点は今後とも十分監督を徹底してまいりたいと思います。
  58. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 この問題だけにずっと突っ込んでいるわけにいきませんけれども、あなたのおっしゃったことに少し気にかかることが一つありますよ。大阪の病院の実例は、これは単なる一例にすぎませんので、ほとんどどこの病院に行きましてもそういう状況があることを、私、資料を持っておりますが、そういうことが一つございますし、それからもう一つは、大学病院その他総合病院ですね。非常に重患といいますか、複雑な患者がいる。そこでは患者がふくそうして差額ベッドなんかもできるのだというようなおっしゃり方ですな。これはあなた、考え方があべこべですよ。そういう重大な病人、つまり患者が多いから高いものを取っても入ってくる。そこをつけねらって差額ベットができることに問題があるのですからね。これは需要供給と同じで、患者が多いから、取れるという弱点につけ込んで、こういう高額な差額を取るというようなことができること自体がうまくないですな。それはしょうがない、そうあってもやむを得ないというような言い方はうまくない。だから、そういう点ははっきりしておく必要があると思うのです。大体こういう保険制度、国民皆保険ですからね。それはうんと金を持った人は個室に入るとかなんとかあるかもしれませんが、そういう特殊なことを考えないで、国民皆保険をやっている制度のもとでは、保険で入院できるようにすることが何一〇%以内ならいいという指導はうまくない。そこはやはり根本的に考えなければならぬ。しかし私は、ここで言いたいのは、こういう状態があるということが、医者にかかりたくてもかかれない、入院したくてもできないということにかなりのウエートを持って影響を与えているのじゃないかと思うのです、それがもし事実そういう状況があるとしますと重大な問題ですね。そこらをもっと掘り下げて、厚生省としては明らかにされる必要があるというふうに私は思うのです。  それから、入院患者の差額ベッドだけでないので、診療内容全体を見ましても、自己負担の増大というものは、最近ひどい状況にあることは、これはお認めになると思うのですね。大臣、あなたは保険に入っていますか。保険でもってどこかお医者さんに行ったことがありますか。一度病気になって行ってごらんなさい。あなたは元気そうなからだだから行ったことがないかもしれませんが、行ってごらんなさい。ちょっとした病気の場合でも、ちゃんと一回の診療に大体数百円、あるいは場合によっては千円以上は現金で取られますよ。こういうのはやはり非常に問題だと思うのですね。こういう事実は認めますか。
  59. 坊秀男

    坊国務大臣 差額徴収が行なわれておるという事実は私も承知しております。
  60. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 そうなんです。これは非常に普遍的なんですな。いろいろな事情があると思いますけれども、しかし私どもは、やはりこういうところに根本問題があるように思うのです。医者にかかっても、保険の薬だけでは、あるいは保険の処置だけではできない。いまの制度の給付がやはり非常に制限があるわけですな。ところが、熊崎さんがおっしゃるとおりに、医術、医学はどんどん発展する、いい薬もできるわけですね。医者とすればやはり科学者だから、保険給付の上で制限がありましても、この病気にはこの薬を飲ましたほうがよいとか、あるいはこの処置をやったほうがいいという点で、科学者ですから、良心に従って治療に全力を尽くします。そして、この保険の制限を突破しているという事実は実際上あると思う。これは非常にいいことで、特に京都なんかで、皆さん問題にされていると思うのですが、ここに資料を持ってきておりますから、皆さん京都のことをおっしゃるなら私は資料で大いにやり合うつもりできておりますが、京都の先生なんか、特にそのことを研究しているわけです。ですから、京都のお医者さんの場合は、保険給付の範囲内で最高のということで研究しておりますけれども、しかし、場合によっては、給付を突破して一部負担してもらっても、自己負担させてもやりたいという、そういう態度をとるのは科学者だから当然だと思う。こういう点が実は相当患者の現金負担ということになっている。ところが、これは逆に言いますと、さきにはっきりしましたとおりに、金がかかるということは、やはりいい治療をしてもらいたいが、現金負担をしなければならぬということは困るという矛盾があるわけですな。ということは、医学の進歩や医術の向上という問題が、かえって低所得者、労働者と言ってもよろしいが、それに対しては大きな矛盾に突き当たらしておるというのがいまの実情ではないか。これはやはりかなり金を取られますので、医者にかかりたいがかからぬでおこうという人がかなりあるのじゃないか。あるいは、かかっておっても続かなくて途中でやめるというような問題がある。そこらをもう少しはっきりさせたいと思いますが、こういう点も、いま大臣お認めになったようなものだけれども、しかし、こうなりますと、現行制度そのものの内部から破壊的な作用をするという問題が起きてくると思うのです。その点どうですか、お考えになったことはありますか。
  61. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 御承知のように、健康保険で差額徴収を認めておりますのは、入院の場合と歯科の補綴の場合に限って差額徴収を認めておるわけでございまして、診療報酬、たとえば薬などにつきましては、薬価基準に登載されていないものにつきましては、これは差額徴収を認めるということは禁止されておるわけでございます。しかし、先生指摘のように、各保険医療機関で差額徴収をやむを得ずやっておるという事実は、私どもは実際にあるのではないかという考え方はとらざるを得ないわけでございますが、これは、私どもとしては、指導として是正をするという形で、現在の保険医療自体は、非常に新薬の収載も比較的円満に登載されるようになっておりますし、伝えられるような制限診療という中身も逐次是正されていく方向で現在運営されておりますので、差額徴収の実態はなるべく少なくしていくというのが保険のたてまえであるというふうに考えております。ただ、この場合に、差額徴収という問題と、それから先生指摘のような、たとえば患者の一部負担という問題とは、これは別の問題でございまして、患者の一部負担につきまして、たとえば健康保険の被保険者の場合、家族の場合に五割負担がある。あるいは国民健康保険においては三割の負担がある。これをどのように将来改善していくかということにつきましては、現在焦眉の急に迫られております。医療保険の抜本改正の問題として給付水準をどこまで持っていくかということにつきましては、今後とも真剣に検討してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  62. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 一部負担であろうと、差額負担であろうと、現金負担は困るのです。その点はここで、これはやはり政府の資料ですが、大臣これはよく御承知でしょう。十二巻ですから四十年ですか、四十年の「厚生の指標」の中に書いてありますが、出しておりますね。患者が自己負担をする直接治療費は、国民一人一年間二千三百四十九円と推計される。国民一人は年間二・六八回傷病にかかるから、一回の傷病で約九百円を取られて、一世帯一年間大体九千円の負担になる、こう書いてあります。これはまことに内輪に見積もった統計調査でありますが、もっと高くなる。これはあとにまた他の資料と突き合わして触れようと思いますが、非常に膨大な自己負担があるわけですね。やはり最初に、政府管掌の家族が医者にかかる率が低いのは、金は五割出さなければならぬというところに問題があるという点をはっきりさせましたのは、それに引っかけてあなた方をああしよう、こうしようというのではないのです。そうでなくて、現金負担をやらなければならないということになりますと、医者にかかる問題も、とても重大問題になっておるという生活をしている労働者が非常に多い。そうなりますと、一部負担にしろ、差額徴収で何するにしろ、とにかく自己負担がつきまとうということになって、それがさらにひどくなっていく。こういうことになりますと、国民の健康を保持するという見地からいいましても、健康保険のたてまえからいいましても、その本来の目的が阻害されるような要因になってくる。この要因が強まってくるということになりますと、保険制度そのものが破壊になるわけです。そういう要因に目を向けないと、根本問題の解決にならぬ。赤字ができて、これは国庫が出してくれればそれで済むとうことになりますけれども、赤字は続きますよ。ことしあなた方は何か改正しますけれども、あれをやりましても、来年あたりはまたなりますよ。去年改正したときには、大体いけるだろうということだったけれども、やっぱり同じことだった。その原因は、あとでまた追及しますが、そういう点で、自己負担が多くなりつつあるというこの実情が、やっぱり労働者に対しましては大きな障害になっているという問題、この点をはっきりさせて、そうしてこの健康保険問題に取り組みませんと、根本的な解決にならぬという点を、私はここで強調しておきたいと思います。  ところで、今度のいわゆる一部負担ですが、これは初診料を二百円にするとか、あるいは入院した場合に、入院料をどうするとか、あるいは薬代を一日十五円まで取るというやつです。こういうことになると、一体どういうふうになると思いますか。その点、何かどこかで具体的に調査したことがありますか。
  63. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 どういうふうになるかという御指摘中身がよくわからないわけでございますが、私どもが今度審議をお願いしたいということで考えております法律案の中身は、七百四十五億の単年度の赤字を、一時的には国が相当な国庫負担をするということで、昨年の五割増しの二百二十五億を国庫負担にいたしまして、残りにつきましては、保険料率でカバーをしていく。しかし、それでも足らない分につきまして、初診並びに入院、あるいは本人の外来投薬時の少額の負担をお願いするという形で、当面の危機を突破したいということでございまして、これによりまして医療費の節減をはかるとか、受診の抑制をするというふうな考え方は持っておらないわけでございます。
  64. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 患者及び被保険者の負担、特に患者の一部負担、もしくは——さっきの超過負担その他の問題は別にしまして、この一部負担ですね、これはやはりどえらいことになるのですよ。これは私どもの代々木病院に資料をこしらえてもらったのですけれども、たとえば、かぜをひきますと、一日一剤三日分、この場合に、現行では百円の初診料を払えばいいのですね。ところが、今度初診料が二百円になりますし、それから薬代が十五円ずつ取られますから、二百四十五円現金負担をしなければならない。それから、腰痛になりますと、大体六百二十円、それから、胃障害になりますと六百六十五円、かっけだとか、慢性肝炎だとか、そういうものは全部そういう条件になっております。それから、結核なんかに至りましては千百三十円、高血圧などになると、これもやっぱり千百三十円、心臓疾患になりますと二千円をこえるのです。こういうふうに負担が非常に多くなる。いま言ってきましたように、実際は医学の進歩のおかげで、超過負担や、つまり差額負担ですね、そういうものがどんどんかけられるような必然的な状態の中にある上に、今度の改悪でまたこのように自己負担がふえるわけですね。これは一体どうするつもりですか。大臣、この間私はあなたの選挙区へ行っていろいろ聞いてきましたが、あなた方は、ほんとうは、百円の金をどういうふうに有効に使おうかというような生活は知らぬ。ちょっと病気になって、二、三百円とか、五百円とか、七百とか、千円とか要るというような場合に、おいそれというわけにはいかないような生活をやっている人が無数にいるのです。そういう状態から考えて、保険制度というものはできたと思うのです。ところが、赤字があるといって、どんどんどんどん患者あるいは被保険者に負担をかけていくということになれば、これは簡単な話ですよ。こんなことを言うならば、これは政治でも何でもない。そういうことをあなた方はやろうとしている、これで解決すると思うのですか。そういうことをやって黙っていると思うのですか。その点、どうですか。
  65. 坊秀男

    坊国務大臣 今度の措置でもって、医療保険の制度はもうこれでいいのだ、能事終われりというようなことは決して考えておりません。各方面で赤字を処理していくために負担がふえていくということは、たとえ軽微ではあっても、これでもってもういいのだということは考えておりませんで、ともかくも、今度は、四十二年度の急場をしのぐためにひとつ御審議を願いたい、四十三年度からは根本的な立て直しをやろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  66. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 その四十三年度から根本的に抜本対策というものをやるという場合に、先ほどから申しましたような問題をあなた方はいま考えているかどうかということです。つまり、現金負担があまりふえると、もう医者にもかかれぬという、そういう人間を対象にしている制度なんだ。そういう点を、根本対策をやるときに考えておられるかどうかということです。赤字対策ならば簡単ですよ。これは赤字があって、政府が出せばいいのですからね。あなた方からいえば、人民から取ってくるということですが、そんなことでは政治ではありませんからね。根本的に、現金負担がふえると医者にもかかれぬという、そういう人たちを対象にやっているのが保険制度だから、その問題を根本の問題として考慮しての抜本対策を考えているかどうかということです。来年になったらやるとか、再来年になったらやるとかと言うけれども、一年でも二年でも、おくれてもいいですよ。この根本の問題に立ち向かう態度があるかどうかということを私は聞いているのです。
  67. 坊秀男

    坊国務大臣 抜本対策の内容については、まだ決定も何もしておりませんけれども、いろいろな負担の面からも、給付の面からも、あるいは財政の面からも、各方面、各角度から、できるだけ妥当な案をつくってまいりたい、かように考えております。
  68. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 それでは、この問題については、あとでまた私の意見がありますから申し上げます。  それでは、もう一つ次に、これも政府の統計で見ますと、ここ数年来政管健保の受診率は年々ふえている。つまり、被保険者千人当たり、三十三年には四千二百十九回、これだけ医者にかかっておる。四十年度ではこれが五千六百三十回にふえている。つまり、八年前には、一人の被保険者が年間四・二回医者にかかったのが、現在では五・六回かかることになって、それだけふえている。三三%ぐらいの増になりますが、これは、言いかえれば、医者にかかった人たちのことではありますけれども、それの基礎には病人がふえたということですね。病人がどんどんふえている。病人が非常に多いということも私びっくりしているのですけれども、このふえ方ですね、七、八年の間に三〇%もよけいふえている。一体この病人がふえるという原因は何ですか。
  69. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 やはり社会、経済の発展に伴いまして、従来少しくらいのからだの変調に対しましてはある程度医者にかからずに済ませるという、いわば、われわれの用語でいえば潜在的疾病といいますか、こういう形のものが、社会、経済並びに文化の発展、それから国民皆保険の普及というふうなことの原因もありまして、潜在需要が顕在化したということで患者数がふえておる、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。それ以外に、やはり社会的な原因によります疾病の増加といったものがいろいろと指摘されるわけでございまして、そういう意味で疾病の多様化というものにも関連があるというふうに考えております。
  70. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 健康保険制度ができましてから四十何年かたつわけですね、私ども若いときに政府に要求して血を流して戦い取ったのでありますから。その制度では、もちろん若干の変遷はありますけれども、保険料で医者にかかれるということでありますからね。だから、少しのからだの変調でも医者にかかるというようなことは、それは保険制度ができた昔からあることでありまして、いまさら始まったことじゃないです。だから、あなたのそういう言い方は一般論でありまして何にもならぬ。保険制度それ自身当然そうなるし、保険制度がなくたって、こんなに社会が進歩してくれば当然そうなります。また、ずっと以前からある現象なんです。だから私は、あなたがおっしゃっ第二の、社会的な変遷といいますか、そういうこたとに原因があるということですが、どういうことですか、そこが大事だと思うのです。
  71. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 これは、たとえば非常に交通機関が発達をいたしまして、交通災害等がふえるとか、あるいは企業の発展に伴いまして、公害によりますいろいろな社会的な疾病がふえてくるとか、原因は必ずしも明確ではございませんけれども、やはり十年、二十年前には見られなかったような新しい疾病の態様といったものも出てきますので、そういう意味では疾病の種類が非常にふえ、また、それに罹患する患者の数もふえておるということは、一般的に言えるのじゃないかというふうに考えて申し上げたわけでございます。
  72. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 やっとまともな返事をあなたはしました。そこのところに問題がありますよ。さっきあなたは非常に抽象的に言っています。単に高齢者がふえたというような問題だとかなんとかというようなことで言う人もありますけれども、そういうところに問題はほとんどない。その証拠には、働き盛りの人であっても、どんどん罹病率がふえているということが政府の統計に出ております。ですから、問題はやはり社会的ないろいろな、あなたのさっきおっしゃるような、いままで十年前、二十年前にはなかったような状況が生まれてきたというところに問題があると思うのですが、それについて、時間がありませんから、私のほうから言います。  まず残酷な長時間労働ですね。これがやはり非常に重大な問題だと思うのです。経済企画庁の資料を見ましても、労働者の残業状態は、現在の基準関係で八時間労働といっていましても、残業をやらしていますから、残業状態は毎年ここ数年来ふえてきまして、三十九年度では全産業平均十七・四時間、それから製造業では十八・三時間、これだけ残業をやっています。これで企画庁なんかはわずかの時間だというような言い方をしておりますけれども、しかし、この統計は非常にインチキだと私はいわざるを得ぬと思うのです。全産業一カ月十七時間残業ということになりますと、この場合、残業を必要としない。いわゆる日の当たる産業の労働者も含めた全産業の統計でありますから、したがって、残業の少なさを示すものではなくて、残業をせざるを得ない、それを余儀なくされているような多くの労働者、特に劣悪な労働条件下の中小企業の労働者が、いかに長い期間残業をやっているかということの証拠だと思うのです。ここに私はずいぶんたくさん資料を持ってきておりますが、資料をなにするのはめんどうですから、書いておるのを読んでみます。鉄鋼労連の関西地協の関係産業の実態調査があります。これを読みますと、一カ月平均五十時間ないし百時間の残業をやっておる。平均五十時間とか、あるいは百時間ということは、八時間労働のほかに毎日二時間、三時間あるいは四時間以上残業する、こういうことです。それから、看護婦の問題、これは一例でありますが、看護婦の問題では、二年前に人事院が提訴を受けて、いかにひどい残忍な残業や深夜作業をやっておるかを認めておる。これも現在変わっておりません。むしろますます深刻になっておる。それから、たくさん資料がありますが、川口の鋳物工場の状態、神戸のゴム工場群の状態、これらも大体みんな一日三時間、四時間。八幡製鉄の下請工場の工場群の資料もあります。これはみんなそういう残業をやっておる。しかも大臣労働者が残業するというのは夕飯食わずにやる。八時間勤務をやったあとに夕飯を食わずに三時間も四時間も残業する。長時間労働の問題は重大な問題だと思う。労働者の健康破壊の一番大きな要因になっておる。めし食わずに夜の八時なり九時までやりましたら、健康は破壊されます。破壊されなかったら、テレビにスーパーマンというものがありますね、あれみたいだ。こういう実態をあなた方は知っていますか、どうですか。
  73. 坊秀男

    坊国務大臣 疾病にかかる原因には、個人的な原因もありましょうし、それから、御指摘のような社会的な原因、さらにまた、最近の公害、そういったようないろいろな要因があると思います。その一つが作用することもありましょうし、その幾つもが複合して作用するということもあろうと思います。
  74. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 そんなことを大臣聞いておるのではないのです。問題をそらしてはいかぬ。そんなことはあたりまえのことです。個人的に不養生したりして病気になるとか、いろいろな原因がある、そんなことを聞いておるのではない。こういう長時間労働現実に行なわれておる。これは一ぺん資料を見せます。私はでたらめを言っておるのではない。現実に資料を持ってきて言っておる。工場の名前もみんな書いてある。こういうめしも食わずに長時間労働せざるを得ない、超過勤務をやるということは、賃金が安いからせざるを得ぬ。また、そこにつけ込んでやらせる。そういう状態にほとんどの労働者が置かれておる。これが健康破壊の重大な問題になっておる。そういうことについて考えたことがあるかというのです。一般論を聞いておるのではないのです。労働者を対象の健康保険制度でしょう、一般論で片づかぬ。こういう問題をあなたは考えなかったらしようがないじゃないですか。どうなんです。
  75. 坊秀男

    坊国務大臣 そういう事実があることをおまえは知っておるか、こういう御質問でございましたので、私は、先ほどの答弁を申し上げたのでございまして、御指摘のような事態から健康を害するということも、もちろん私はそれがないというようなことは考えておりません、そういうことをお答え申し上げたのであります。
  76. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 ないのじゃなくて、重要問題だということを私は主張しているのです。  それからさっき熊崎さんがおっしゃいましたが、いまの企業の近代化あるいは労働過程の機械化、オートメ化というような状態の中で、あるいは化学薬品を使うという、いろいろな状態の中で、新しい労働災害、それから職業病——職業病と名づけてなくても、職業上からくる健康破壊、職業病的な災害、そういうような非常に普遍的なものになっている点をあなた方は考えたことがありますか。あなたはいまそう触れておりますけれども抽象的に言ったのではだめなんです。これはひどいものです。  私は、ここに政府の資料を持ってきておりますが、政府の資料によりますと、こういうことを言っております。重量激務による運動器管の疾患、高熱ガス光線による目の疾患、灼熱、冷凍による健康破壊、じん肺症、製糸等における手及び皮膚炎、騒音による耳の疾患、電信手、タイピスト、キーパンチャー等の筋肉疾患、各種の激薬による中毒疾患、各種の油による皮膚疾患、単調で、緻密で一秒のすきも許さぬ労働過程からくる精神、神経疾患、これはほとんど近代的な産業には普遍的なんですね。皆さんのこのあれにもこの点問題を出しています。ここに、あなた方の資料にもちゃんと書いてあります。現代のように非常に近代化され、合理化され、機械化されたそういう産業における職業病的な災害といってもいいような、そういう疾患が非常に多い。ここに実例をあげて、どこの工場はどうだということをあなた方は書いてある、こういう状態ですな。  それから、これはきのうでしたか、あなた方のほうの課長さんが来まして、私、例を言ったのです。最近私ある弱電気メーカーを見ました。これはトランジスタラジオを組み立てておるところです。若い十八歳ぐらいの女工員です。それがちょうどこれくらいの幅五十センチほどの台ですが、それを七十センチほどの間の囲いをやりまして、下がコンベアになっておる。そこのところへ首を突っ込みまして、そうして電灯の光で拡大鏡をつけて、次々に半製品が来るのに、何とも言えぬ小さいものをピンセットで次々につけていく、秒を数えた作業ですな。そして次々と送られる。これは頭を突っ込こで、そうして拡大鏡をかけてやっているんですが、便所に行きたくても、しゃべりますとじんあいが飛びますから、しゃべることができない。どうするかといいますと、足でどこかを踏むと赤ランプがつくようになっている。そしてうしろで五、六人の監督が労働作業を見ていて、その赤ランプがついた場合、あわててそこにやってきて交代してくれる。そうして便所に行く。便所の時間は三分間です。席を立ったあとから、ストップウォッチと計算機でやっておる。だから三分じゃ、おしっこはおそらく途中で帰ってくるんでしょう。そうして帰ってきてまたやる。そういう作業を一日八時間、来る日も来る日もやるんです。毎月やる。毎年やるんですよ。大体三年ぐらいでばかになりますな。それを見てきました。そういう作業です。中小零細企業に至っては——大臣、これも一ぺん見に行ってください。私どもの京都から出ておられた水谷君は、炭鉱に裸で見に行ったことがあるので、裸大臣といわれた。皆さんも知っておるでしょう。あなたも一ぺん中小企業を見に行ってごらんなさい。危険で、不衛生で、そういうところでさっき言いましたように八時間働いて、なお何時間もめしも食わずに作業をやっておる。これが全国的なんです。あなた近いから神戸のゴム工場を見に行ってごらんなさい。鋳物工場、これなんかも見てごらんなさい。そういう中におるんだから、熊崎さん、健康を破壊するはずでしょう。だから抜本対策をやる場合には、こういう問題に触れなかったらできぬでしょう。だから、労働関係労働行政の問題も一緒に突き合わせてやらないと、いままで基準法でいろいろのことを言っておるけれども、あれでは足りません。キイパンチャーなんて五時間を過ぎた労働なんてだめですな。五時間以下の労働時間でなければだめです。そういう面について健康保険の問題を取り上げませんと、ほんとうの問題にならぬということを私はここで非常に強く主張したいと思うのです。  だから、ここのところの結論を言いますと、私はこういうように思うのです。労働者が実際に病気になりましたら、労働者の罪ではなくて、いまの自民党政府で、いわゆる国家独占資本主義で、予算から一切の財政金融の問題の面から、大資本を助けるやり方、合理化、近代化をやって、それでこういう状態に労働者を追い込んでいる。だから政府と資本家のやり方、資本家はそういう中で搾取、収集をやって大もうけしているわけです。ここに労働者の病気になる根本の原因がある。そういう政府の政策なり資本家の搾取、収奪の結果だ。このことは私どもは本質の問題だと思う。あなたは盛んに首を振っておるだけでありますけれども、おまえ、言いたいだけ言っておけというようなかっこうをしておるが、それではいかんですよ。ここに本質の問題がある。やはりここをはっきりしませんと、単に医学が進歩したから、病院の日数が減ったとか何とかいうことを言っているんじゃなくて、ここのところにメスを入れませんとだめだ。病人がどんどんふえるような状況であれば、これは熊崎さん、赤字が出るのがあたりまえでしょう。どんなに医学が進歩して高い金がかかるといいましても、病人が出なかったら金はかかりません。極論かもしれませんが、理屈はそうでしょう。病人ができる状態をほうっておいて、健康保険に赤字が出たからといって、今度は病人に金を出せということを言うのだったら、一体何をしているのかということを私どもは言いたいんですが、この点どうです。私はそう思うのです。健康を破壊しているのは政府と資本家、そうしておいて、赤字が出たといって被害者に金を出せ、そういうことじゃ何にもならぬと思うのですが、その根本問題についての所見を伺いたい。
  77. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 いま谷口先生指摘の各工場等におきまするいろいろな業務上の疾病の取り扱いにつきましては、これは審議会の段階でも非常に問題になりまして、実は先生の御指摘のように、労災保険とそれから現在の私病である、私の病気が原因であります健康保険の取り扱いとは、必ずしも明確になっておらないわけでございます。したがいまして、主として労働者側の御意見といたしまして、やはり職務上の疾病につきましての労災保険の取り扱いをこの際明確にする必要があるという御意見もございまして、社会保険審議会の答申の中には、職務上と職務外の区分を明確にするということで表現をされておるわけでございます。といいますその中身は、いわばその辺の疾病の区分が必ずしも明確でないために、本来からいえば、労災にいくべきものが健康保険のほうに全部なだれ込んできておる。そのためにやはり赤字がふえておる。これは抜本対策を立てるときに、真剣にその辺のことは検討すべきじゃないかという御意見でございました。私どもは、まさにそのとおりだと思います。労働省におきましても業務災害につきましてのいろいろな調査等も現在進めておるような段階でもございますので、そういった問題が全部明るみに出た際に十分検討してまいりたい。先生のおっしゃるとおりだと思います。
  78. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 時間が来ましたそうで急ぎますが、いまあなたのおっしゃたのは、四十年十月二日の社会保険審議会からの答申の中に書いてある。本来、労災その他の範囲であるものが健康保険にまぎれ込んできている、そういうものが原因だと、こう言っておる。だから、いまさら労働委員が言ったとか、感銘深いとか、これはおかしな話で、こんなことは三年前に出ているのですから問題にならぬ。これもごまかしですよ。もちろん労働災害に対しては労災保険でやる、これはあたりまえのことであります。当然であります。やり方は、何かはねていって、それで一般健康保険へみんな追い込むというやり方をまだ資本家側はやっていますからね。そこらは取り締まる必要があると思いますが、それは当然です。私どもが主張したいのは、たとえば百人の労働災害者が出る、労災保険どやられる、手当てを受ける、この百人の労働災害者が出る背後には、たくさんの労働者が、そういう災害をいつ受けるかわからぬというような状態で働いておるという問題がある。それから労働災害を受けた人間として手当てを受けるとか、あるいは給与を受けるとかいうことになる一歩手前の人がたくさんおるということ、そういう状態にあるということが問題だというのです。これは労働災害が起きたときには労災だ、交通災害を受けた人間は、何かの保障だなんとかいって、八百屋は八百屋、魚屋は魚屋へ行けといとて済むものじゃないのであって、そういう環境におる者は労働者階級でしょう。そういう環境の問題をやっぱり根本的にやりませんと、それはうまくないということを私どもは主張したい。特に低賃金労働者になるほどひどいところにおるとみえまして、単に労働災害だけの問題じゃないので、栄養失調、その他の問題も含まれますが、これは政府の資料です。「政管健保標準報酬等級別被保険者一カ月一人当たり診療費、」私はこれを見てびっくりしました。一級から八級まで、これは一人当たりの診療費でありますから、総数を平均すると、大体入院で四百二十三円、外来で七百八円、これは平均です。ところが平均数を越えて千六百円とか千四百円とか千三百円とか、あるいは千円以上、七百円とか八百円というのは、これはみんな低所得者です。標準報酬でいえば等級の、つまり高いというのは1、2、3、4、5、6、7、8くらいのものですな、これは平均数以上です。これは単に労働災害だけじゃなくて、低賃金で食うものも食えぬというやつ、長時間労働をやる、ひどいところで働く、しかも危険なところにおる。それは直接災害を受けるだけではなくて、健康を破壊して病気になるということの証明だと私は思う。こういう点をやっぱり根本的にやらぬとだめだ。ところが政府の言っておりますのは、今度はこういう連中に金を出させようということでしょう。保険料も上げる、初診料も上げる、入院のときに取られる現金負担も上げる、その上薬を出した場合にその金を取るというのでしょう。これは一体どういうことです。それでしかも総理大臣はいわく、厚生大臣はそんなことを言っていないが、受益者負担だと言っている。受益者負担、なぜそんなばかなことがあるか、そんなことは、受益者であるなら、あなたのところへどろぼうが入って、あなたのところから財産を盗んでいって、それで警察はおまえの盗品を返してやるから、金を持ってこいと言ったら、あなたはどう言います。健康を破壊しているのはあなた方ですよ。労働者は被害者ですよ。それから金を取ろうというのです。こんなものは何の政治です。それで解決できるわけではないです。だから、もしこれは当座のことであって抜本的にこの問題をやりますということなら、大臣ここでおっしゃい。ひどい労働をやっているのは労働時間を引き上げる、最低賃金はいまの業者間協定のようなあんなごまかしでなくて、根本的に賃金水準を引き下げるやつをやる、機械や薬品で、あるいは交通その他の非常に危険なところで働いておる者にはこういうふうにやる、こうやって労働者が病気にかかる環境をなくする、生活をよくする、これが健康保険対策の根本だという態度をここで表明なさい。そうでなしに、赤字ができた、被害者から取る、そんなことだったらだれでもやりまっせ。そんなものは政治でないです。その根本的態度を聞きます。
  79. 坊秀男

    坊国務大臣 国民の健康を保持していくというための健康保険というものは一つ制度でありますが、その国民健康保険といま谷口委員指摘労働関係その他公衆衛生関係、そういったようなものも、これを労働行政あるいは公衆衛生行政、あるいは、その他のいろいろな各般の国民の健康を保持していくための政策を整備していくことによって、私はその効果を達成することができるのだと思う。健康保険、医療保障制度としては、これはもう十分医療保障の制度を整備充実していくとともに、その周辺にある諸問題というものを、これも並行的に改善をしていくということであろうと思います。
  80. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 谷口君に申し上げますが、質疑時間もだいぶ経過いたしましたし、また次の質疑者も待っておられますから、議事進行に御協力願います。
  81. 谷口善太郎

    ○谷口分科員 まことに恐縮です。結論を申します。  私どもは、やっぱり、政府がほんとうに抜本的な対策をやりたいというのであれば、とるべき道は一つだと思う。それはつまりさきの例でいえば、どろぼうがとっていったのですから、健康を破壊しているのは政府と資本家なんだから、だから政府と資本家は、すべて国民の健康保持の責任をとるべきだと思うということです。だから、現在の保険制度、医療保険制度、これをやっぱり医療保障制度社会保障のそういう方向へ持っていくために、政府、資本家全額負担という線を目途にすべきだ。これは私どもの根本的な要求であるし、労働者の要求でもあると思う。たとえば政管健保にしろ、日雇い健保にしろ、あるいは国民健保にしろ、これは赤字があることは事実だから、これについては当然保険料を上げるとか、一部負担をさすとかということをやらないで、資本家と政府が全額負担する。そしてこの赤字を解消するというやり方をやるべきだろう。そうでないと、あまりひど過ぎますよ。社会保障の制度という名前が泣く。健康破壊を受けているのは労働者なんだ。その労働者の犠牲の上に今日の大資本の隆盛がある。人の命まで脅かしておいてもうけているものが、赤字ができたからといって犠牲者に転嫁するというやり方は、政治じゃない。ここのところを私どもは強調したい。だから保険制度を医療保障制度社会保障制度、つまり政府、資本家が全額負担するというやり方、当面の赤字はやはり政府がみんなお出しなさい、こういうことを私どもは要求しておるわけだ。大臣は、もしお答えいただければけっこうでありますが、お答えいただかなくてもけっこうです。  以上で終わります。
  82. 正示啓次郎

    ○正示主査代理 永末英一君。
  83. 永末英一

    永末分科員 昨年の三月一日に、健康保険問題の中で特に歯科診療の保険問題について、厚生省の意向をただしたのでございますが、それぞれの問題点について検討する、努力をする、善処をする、こういう答弁がございました。しかし、これらの問題点は急に起こった問題ではなくて、実にあるものは十年以前の長い歴史を持った問題で、これは早急に解決をしなければならぬ問題だ、こういうことでございましたが、一体この一年間、これらの問題点について措置されたことが厚生省としてあるとお考えなら、それをひとつ承りたい。
  84. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 これは中医協で、一昨年十月二日の、当面の薬価基準の値下がりによります医療費への振りかえの答申並びに意見をいただきまして、あと直ちに中央医療協議会におきまして、今後の問題として、ただいま永末先生の言われたような歯科の問題につきましても、これを審議をするということで、これはもっぱら中央医療協議会の仕事でございますので、中医協の懇談会段階でどのような進め方をするかということについて、公益委員を中心にして診療担当者側と、それからいわゆる支払い側の懇談を続けまして、ようやく昨年の半ば以降におきまして、総会の議題としてこれを取り上げることになったわけでございます。ところが、その間におきましていろいろと事情がございまして、中医協は中断せざるを得ないということになりまして、それでことしに入りまして、やっと再び軌道に乗るということになったわけでございます。したがいまして、歯科の部面で問題になっております歯科材料の値上げに伴う合理化をどのように進めるか、あるいは制限診療といわれておる現在の中身をどのように緩和していくか、あるいは歯槽膿漏の治療指針等を改正する問題につきましても、中医協の現在の議題事項にはあがっておりますけれども、中央医療協議会自体は、歯科のほうの問題も含めまして、これを全部総合的に、少しずつ解決をしていきながらも、それは同時解決をする。一つずつの解決で片づけるという形でなしに、全部を総合的に同時解決をするというのが中医協の東畑会長の御意見でございまして、現在診療報酬部会、それから調査部会という二つに分けてそこで審議中でございまして、明日もその部会が開かれる。なるべく早く結論をいただくように私どもお願いをいたしておりますけれども、いままでの経過は以上のような次第でございまして、なかなか私どもが考えておるように客観情勢も順調には進まなかったというふうな事情もございまして、現在に至っておるというふうな状況でございます。
  85. 永末英一

    永末分科員 中医協にかかる問題はいろいろございまして、中医協の会長の御方針が、一括まとまったところでひとつ厚生大臣に建議をするとか、あるいは諮問を要請するか知りませんが、それで解決したい。これは会長の御意見つまり中医協の御意見、ところで、それらの問題の中で、厚生省として経緯を考えられて、早急に実施しなければならぬとお考えの問題もわれわれはあろうかと思う。そこで問題は、いまの御答弁ですと、中医協の結論が出るまではやらぬと、こういうお考えですか。
  86. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 御承知のように、現在の中央医療協議会といいますのは、支払い側と、それから医療側の間に立ちまして、公益委員四人の方で調整をとりながらやっておるわけでございます。これは厚生大臣のやらなければならない仕事につきまして、法律的にも中医協の議を経てきめるということになっておりまして、いかに厚生省がこういうことをやりたいというふうな方針をきめても、これは必ず中央医療協議会にかけなければいけないということになっておるわけでございます。厚生大臣の独走は許されないというのが現在の取り扱いになっておるので、これはやむを得ないことではないかと思います。ただ事務的に片づけられるものというものは、これは別にあるわけでございまして、その点は御承知かと思いますけれども、歯科医師会のほうから強く事務の簡素化ということで、現在の請求方法等について簡素化をお願いしたいという幾つかの項目が出ております。これにつきましては、歯科医師会のほうと十分連絡をとりながら、おおむね歯科医師会の御要望に沿うような線で簡素化は一応終えておるというような状況になっておることを申し添えたいと思います。
  87. 永末英一

    永末分科員 厚生大臣法律的には中医協の議を経なければ独走はできぬ、こういうたてまえだと承ったのですが、ところが中医協のほうが自主的に議題をまとめ、やっと昨年の十一月の十一日に診療報酬部会、もう一つ部会をつくって、特にそれらの問題は診療報酬部会でやりましょう、こういう進め方をしておるわけです。ところでいまのところ、厚生大臣としては、大体いつごろこれが結着がつく、あるいはついてほしいと期待しておられるか、お答えを願いたい。
  88. 坊秀男

    坊国務大臣 先ほど来熊崎局長から御答弁を申し上げたように、われわれとしては、全くはからざるいろいろな中医協の問題がございまして、おくれておることは、非常に申しわけないことだと思っておるのでありますけれども、現在は再開されておる、そこで審議を促進をしていただきまして、できるだけすみやかにその結論をちょうだいをいたしたいと考えております。
  89. 永末英一

    永末分科員 急を要する問題の一つとして、昨年も材料基準設定の問題があるではないかということを伺いましたところが、そのとおりだ、そういう答弁がございました。ところでそのときの答弁では、昨年の三月ごろにひとつ調査を完了して、それに基づいて考え方をまとめたいという趣旨の御答弁があったと私は記憶をいたしております。そこでこの材料基準設定に関する調査というものは完了いたしましたか。
  90. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 四十年の材料調査は、十一月に実施をいたしまして、調査を完了いたしております。引き続き四十一年の材料調査を現在やっておるわけでございまして、これも四十一年の十一月の時点におきましての調査をやって、現在集計中でございます。   〔正示主査代理退席、主査着席〕 しかし、この調査をやりまして、それをどのように材料と技術を分離していくかということにつきましては、これは歯科学会のほうの御意見も聞きながら、点数の分離作業をやるということで、基礎が必要なわけでございますが、その基礎を一応固めました上で、中央医療協議会にかけなければならないという形になるわけでございまして、これは中央医療協議会の診療報酬部会の議題として取り上げるということになっておるわけでございます。
  91. 永末英一

    永末分科員 四十年一月に総ワク九・五%のアップがございました。そのときの考え方として、三十九年十月までの材料に関する値上がり部分は、厚生省としては含まれておるかのような御感覚であったと思うのです。ところがいまの御答弁によりますと、それ以後の四十年度のやつは調査は完了した。四十一年度は調査は完了したが、いま整理中だ、こういうお話でございました。そこで、いまのあなたの持っておられる資料で、材料は上がっておるのですか、上がっておらぬのですか。
  92. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 歯科材料では値上がりの相当大きなものと、全然そうでないものと分かれておるわけでございまして、たとえば金あたりにつきましても、全然変わってないものがございます。たとえば三十九年十月で五グラム三千七百円といったものが、四十年調査では同じく三千七百円、指数一〇〇というものがございますが、中には、たとえば水銀等につきましては、これは三十九年十月に比べまして、四十年の十一月の調査では一四〇といったものもあるわけでございまして、この指数自体も、大体購入価格の九〇%バルクラインの価格によって調べた調査でございますので、全般的にはやはり多少上がっておるということは言えるんじゃないかと思います。
  93. 永末英一

    永末分科員 上がらぬほうを先に言われましたが、問題点は、一番よく使うものについて、歯科医師が経営上比重が多くかかってくるわけでございます。一番多く使うものについては相当上がっているような、私どもの調査では受け取り方をしておるわけです。だといたしますと、あまり上がっておらぬという結論ですが、たくさん使うものについて上がっておる。たとえ単価は少ししか上がっておらなくても、たくさん使えばそれだけ分量として上がっておるわけでございますが、その辺の御認識はいかがですか。
  94. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 最も多く使われるものは、私、専門家じゃないのでよくわかりませんが、ニッケル・クローム合金等につきましては、九〇%バルクラインの価格は大体一二五という数字になっておりますし、またアマルガム合金等につきましても、これは一〇五、やはりニッケル・クローム合金の上がり方が非常に多いというふうに考えております。
  95. 永末英一

    永末分科員 いま局長が答弁いたしましたように、多く使うものについて値上がりが認められる。そうしますと、厚生大臣、待っておるという話ですけれども、たとえば薬価基準は去年下げられたわけですね。材料については、まだその分離がいまの段階では行なわれていない。しかし、そのことと無関係に上がっておることは、調査を実施されてお認めになっておる。だといたしますと、この分だけ分離をして厚生大臣が諮問をし、急速に中医協の結論を得て処置をする、こういうお考えはございませんか。
  96. 坊秀男

    坊国務大臣 分離をいたすということが、やはり点数表の改定、こういうことになりますので、それだけを分離してということはちょっと困難のように思います。
  97. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 ちょっと補足を……。  現在の歯科点数表は、医科のほうの薬価基準の点数表と違いまして、医科のほうは、薬剤材料費は薬価基準ということで、厚生大臣の告示でやれるようになっております。これは中央医療協議会の議を経ず、厚生大臣プロパーの仕事になっております。  私どもの考え方としては、昨年も明らかにしたところでございますが、歯科材料について薬価基準と同じような形にしたいということになりますと、材料の値上がり、値下がりによって、薬価基準の場合と同じように、歯科材料について厚生大臣限りで中央医療協議会と分離して告示ができる、こういうことになるわけでございますが、ただいま大臣がおっしゃられたように、歯科の点数表は材料が込みに入っております。したがいまして、材料を分離するということになると、現在の点数表を変えなければならぬということになって、これは、その段階において中央医療協議会の議を経なければならぬということになりますので、厚生大臣限りでやることができないわけでございます。しかし、私どもとしましては、材料を分離した場合にどのような点数になるか、歯科の点数はどのように変化するかということについては素案を持っております。しかし、それは診療報酬部会の中で検討しようということで、現在検討過程にあるわけでございまして、何も厚生大臣がきめてやれる性質のものではない、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  98. 永末英一

    永末分科員 この問題が中医協の各委員の全員一致の意見で議題に供せられた、ということは、大体内容について言い分まことに妥当である、こういうことが裏に含まれておると思うのです。だからこそ、あなたのほうでも材料費を分離する方式というものを、厚生省事務局の中では検討されておるんだと思うのです。だといたしますと、これは厚生大臣の決心ですけれども、歯科については薬価がそのままになっておる、同種類の問題を、その他の医療保険全体の問題と一括して回答が出なければできないんだ、それまで待つんだという問題と本質的にかかわりのない問題だと思われるわけであります。しかも、これを待っておるために、たとえば一括点数でございますから、点数を上げなくては収入がふえぬというので、それによって歯科診療というものが粗雑になったり、点数を上げるためのものになれば、これは国民の健康のためにはなはだふさわしくない結果が出てくる。で、厚生大臣の決心としては、厚生省としてひとつこれを分離して、そうして一般医科の場合の薬価と同じような取り扱いにする、こういう御意向はございませんか。
  99. 坊秀男

    坊国務大臣 永末委員おっしゃるように、その趣旨につきましては、大体中医協の皆さんの意見がそういう方向に向いておりますから、私もまたそういうふうに考えておりますけれども、それだけ分離して先にやるということについては、中医協でも、そういう趣旨はいいけれども、分けてやるということは賛成をしていない、こういうような状況にあるわけであります。
  100. 永末英一

    永末分科員 それと関連をしてでございますが、歯科の場合一番問題となっておるもう一つの点として、いわゆる制限診療の撤廃の問題がございます。これをまた中医協としては議題に供して一括してやる、こういうかまえでいま臨んでおられるわけでございますけれども、それならば、その制限診療が出てくる一番の根源は、療養担当規則というのが制限列記をしてあるというところに問題がある。療養担当規則なるものは、これは厚生省の命令ではございますが、しきたり上中医協にはかられたのか、はかられぬのか、この辺ははっきりわかりませんけれども、これはもう中医協がうんと言わなければ一切手は触れない、こういう御方針ですか。
  101. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 療養担当規則の改正につきましては、中医協の議を経なければ、厚生大臣限りでやれないわけでございます。それで、歯科の制限診療の緩和の問題につきましても、すでに中央医療協議会におきまして、歯科医師会の側から改正の原案、つまり、療養担当規則の歯科部面の改正の原案がすでに議題として提出されております。それにつきまして、厚生省側も事務的にはこれを検討いたしております。したがいまして、中医協が一括同時解決と言った場合には、その案で一括解決されるという見通しがあるわけでございますが、これは全部の問題が終わったときに解決される、こういうふうにならざるを得ないのが実情であるわけでございます。
  102. 永末英一

    永末分科員 この審議会というのはなかなか妙なものでございまして、行政府は行政の責任を持っておる。ところが自分の都合で諮問機関として審議会をつくる、その審議会がやらなければ、行政府は実は責任はないのだ、こういうかまえでやっておられますと、審議会そのものは、審議会のまた別の事由によって、その中のある単項目につきましては全員が一致しておっても、いまのお話のように全部の問題が一応結論に達するまでは出さぬのだ、こういうことになって、事務的に行政府がやるべしとお考えになってもできない、こういうことになってくるわけでございますね。だといたしますと、たとえば制限診療が続いている間に材料費が上がるし、制限診療もそのまま続いてくる。ところが医術は進歩をするわけであって、医術の進歩と、前につくった療養担当規則とははなはだ食い違いがある。患者のほうは、これは保険だと思っているから、保険でやってくれ。ところが医術の進歩は、その患者の保険でやれという要求に合致しない、差が出てくるわけですね。そこで、もし患者のほうが、それならひとつこうこういう内容の治療をやってくれ、こういう要求をした場合に、保険で払いますけれども、その差額について患者の自費負担を認める、こういうことを片一方で考えていかなければ、最終的な中医協の結論が出るまでは、これらの問題については一切行政府は手を触れない、こうなると思うのです。その点については一体おやりになれますか、なれませんか。
  103. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 先ほど大臣もおっしゃられましたように、私どもとしては、何も審議を延ばすというつもりじゃなしに、両側並びに公益側の方々にも、結論をなるべく早くいただきたいということをお願いいたしておるわけでございます。これは審議会の席におきましても、歯科医師会の代表の委員の方から、ほかと切り離してでもうちのほうはひとつやってもらえないかというような強い要望もございます。しかし東畑会長としては、やはり同時解決をするということで各委員が全部きめたことだから、それまで待ったらどうだ、こういうことをおっしゃっておられるわけでございます。ところがいまおっしゃられたように、それならこの分が解決するまでの間は保険のほうで一部は見て、それ以上のものについては差額徴収を認めるというような方向で転換するということは、やはり本質的な問題があるわけでございまして、歯科につきましては、一部歯科補綴等につきましても差額徴収は認めておりますけれども、その他一切の行為につきまして差額徴収を認めるということになりますと、これは歯科医師会全体がおっしゃっておられる制限診療の緩和ないしは撤廃の問題とも抵触する問題でございますし、保険診療全体について、医科を含めましてすべてに影響のあるものでございますので、直ちにそのような形に方向転換するということは私どもは適当じゃない、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。
  104. 永末英一

    永末分科員 どういう角度から質問しましても、厚生大臣、結局中医協待ちでしょう。ところがこれらのいま申し上げた問題は昔からの問題であって、急を要するということでやってきた問題だ。そうなりますと、中医協の扱い方自体についてやはりいま問題があると思うのですね。たとえば幼少年の歯科診療につきましても、昨年質問いたしましたところ、その給付率の引き上げの問題、点数加算の問題について抜本的に検討してもらうよう中医協にはかるんだという御答弁でした。子供の歯は毎日毎日悪くなるわけです。それを中医協がきめるまではほっておくのだ、これでは、中医協もやはり国民の健康には責任がございますが、第一の責任は厚生大臣にあるわけでございますからね。何か、その分は一括してというのは中医協の御方針です。それはそうでしょう。いろいろ考えられて一括して解決するのだ。ただしかし、厚生省としては、急を要していま国民の健康のために必要だとお考えになる問題は、逆に厚生大臣から、この問題については中医協は早く結論を出してくれぬか、こういうことで諮問なされる御意向はございませんか。
  105. 坊秀男

    坊国務大臣 これは永末委員に対するお答えになるかどうかわかりませんけれども、各種の審議会、協議会といったようなものがありますことは、学識経験者あるいはその利害関係者といったような方々の衆知を集めて、そうしてできるだけ妥当なる結論を出していこうというのが審議会のあり方だと思いますが、そういうように慎重に妥当なる線を打ち出していこうということと、いま永末委員指摘のように、病気だあるいは医術だといったようなものがだんだん日にこれ新たというふうに進んでいっておるというときに、一つは早く措置をしろということと、一つは慎重にやっていけという二つの要請、これは相矛盾した二つの要請だと思いますが、その要請が両方からありまして、それをどういうふうに調整していくかというようなことが、いろいろな審議会と行政との間にはあると私は思うのでございますが、できるだけその慎重性と迅速性といったようなものは調和をしていかなければならないということで、私もひとつでき得る限り、慎重も非常にけっこうでございますけれども、事態に即応するように迅速にやっていってもらいたいということを、絶えず中医協等に申し入れておるような次第でございます。
  106. 永末英一

    永末分科員 患者のほうは毎日起こっておるわけですよね。そうして、それに当たる診療従事者も、いまの経済状態の中でいろいろ不便を感じておるわけです。それで、一括というのは形式的にははなはだいいことです。いいことでありますが、その中で全員が異論がなければ、その事情を察して厚生大臣のほうが、この件とこの件はひとつ諮問として早くやってくれろ、こういうことは、あっちが異論があったら別ですが、中医協側に異論がなければできることだと私は思います。もう一ぺん答えてください。
  107. 坊秀男

    坊国務大臣 どうも一括してやろうというのが会長はじめ公益委員の全体の御意見のようでございますので、それは私のほうからそういう要請をいたしましても、会長としては中医協の結論についての責任を持つというような立場からなかなか困難であろうと私は思います。
  108. 永末英一

    永末分科員 これは一ぺんよく研究してください。研究というのは、なるほど中医協ではいよいよ議題に供されました。で、診療報酬部会も検討するでしょう。しかし、何ぴともいつこれがきまるかわからぬのであって、厚生大臣もおそらく予測はおつきにならぬのじゃないかと思うのであります。これはまたずっと続いてやっておる。しかし事態は進行しておるわけであります。この辺はひとつ時間を見計らって、やはり行政の責任だけはあなたのほうは持っておられるのだから、あなたのほうがその気にならなければ動かない。この辺のところは、もちろん日本人の健康管理の意味合いで、全般を見て中医協はやっておられるのでありますけれども、その中で緊急を要し、しかも何年も続いてきた問題で、全員に異議がないということなら、ずっと続くというのであるならば、やはり時期を見て適当なときは結論をされてやっていただきたいと、強く要望しておきます。  先ほど保険局長は、やれたことは事務の簡素化ぐらいだ、こういうふうなことを言われましたが、なるほど事務は少し簡素化されました。ただ生活保護関係の人々については、きわめてどうも手間がかかっているわけですね。生活保護関係の者は、御承知のように最初に福祉事務所に行く、そして意見書か見積もり書かを求めて歯科医師なら歯科医師に、医師も同じことでしょうが、行く。そしてもう一ぺん帰ってきて、そして医療券をもらってまた行く。歯が痛いときにはぱっと行くのですが、何もなしで行くと、もう一ぺん役所へ行ってこいと——生活保護なり医療扶助なりは、何か券があればそれで処理をするというわけにいかぬものでしょうか。そうやってうろうろしている間にたいして痛くなくなったり売薬で済ませる。それにしてもやはり疾病は進行していくわけでしょう。官庁機構としては書類は必要でしょう。必要でしょうが、痛いというのを即刻とめてやるのも、これは一つの政治でございますから、その辺の事務は一体どうすれば簡素化できるか、この辺のことをお考えがあれば伺いたい。
  109. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 生活保護関係社会局の所管になっておりまして、私が答弁するのはちょっとぐあいが悪いわけですけれども、ただ御承知のように、生活保護の医療扶助の適用については、福祉事務所でケースワーカーが間に立ってこれをやっておるわけでございますが、保険の場合と違いまして、国が八割、都道府県が二割ということで、全部税金でやっております金でございますし、やはり生活保護の医療保険につきましては、特にそういうことで本人負担がほとんどないということでございます。そういう点でやはり受診券の発行なり、いわゆるミーンズテストというものは必ずつきまとう、絶対に必要なことでございますので、その点は保険の場合とちょっと事情を異にするというふうに私どもは考えております。
  110. 永末英一

    永末分科員 生活保護なり医療扶助というのは、やはりその階層に属する人々のためにあるのであって、それがいまのような保険にかかってくる場合に、できるだけその人々の苦痛というものを早く解決をしてやるということがぼくはあたりまえだと思うのです。官庁は官庁の都合で、いろいろな書類がそろわなければその判断がしにくいということはあろうと思います。思いますが、ものの考え方としては、やはりその人々の苦痛を早く直すためには、いまある手続を簡素化していく、これは保険局だけでできる問題ではございませんが、厚生省全体としてこの方向へいくことが必要だと思いますが、厚生大臣の御意向はいかがでございますか。
  111. 坊秀男

    坊国務大臣 さような場合に、できるだけ早く痛みをとめてやることが非常に大事なことだと思います。しかしそれだけに走りますと、先ほどから担当局長が言いますように、全部が公費負担ということで、かりにもこれが乱に流れるということが生じますと、これもまた国民の税金でありますので、注意しなければならないことであります。やはりいずれにいたしましてもこの健康保険というものはすみやかに痛みを治療することが目的でございますので、そこいらの間を私はできるだけの努力をいたしまして、そしてその手続の問題はありますが、患者に早く治療もできるし、そして乱に流れないように持っていくべく努力をいたしたいと思います。
  112. 永末英一

    永末分科員 この問題につきましても、たとえば福祉事務所でそれらの見積もり書を見るというような人が歯科医師関係にはあまりいないわけであります、いるところもありますが。大体日本の歯科行政というのは、戦前は医の中の一部門であった。それは肛門科であろうと性病科であろうと、一部門であった。戦前は医科、医学科がございましたが、戦後は歯科大学ができて、一つの部門として独立をしてまいっておる。それにもかかわらず、健康保険の問題は健康保険として同一の意味合いだというので、医科、歯科というものが一緒くたになっている。ところが事態が発展をしてまいりますと、先ほどから申し上げたように、歯科は歯科だけの問題で、そのほかのところに関係のない問題はあるわけである。ところが、あなたのほうの、たとえば保険関係でまいりますと、医療課の中に全部含まれておる。つまり厚生省のこの問題に対する対処のしかたが、医が全般であって、このうちの一部門、こういう考え方ですね。そういう考え方が歯科だけの問題についてなかなか独自の解決を不可能ならしめている。もちろん健康保険の問題は、歯科だけが独走する、そんなことはありはしません。しかし歯科医師の数が三万をこえる。そして歯科疾患は御承知のようにどんどん出ておるわけであります。ただし総医療費の中で占める部分は少のうございます。それはそのとおりであります。しかし学制として歯科大学ができて、そして歯科医学の進歩というものは別途の角度で進歩しておるとすれば、行政機関というものは、やはり動いている現実に即応した形をとるべきものだと思います。人間には歯が三十六本ありまして、いろいろ複雑なる疾患状態を呈するわけでございます。その意味合いで、行政機関としても歯科診療についてもう少し責任のとれる体制が必要だと思いますが、厚生大臣はいかがお考えか、伺いたい。
  113. 坊秀男

    坊国務大臣 私も、御意見は非常に尊重すべきものだ、かように考えております。
  114. 永末英一

    永末分科員 時間がまいりましたので、これで終わります。ただ最後に、もう一度重ねて御希望申し上げておきますけれども、健康保険の中で歯科の問題はおくれておるわけですね。二ラウンドも三ラウンドもうしろのほうにある問題が、全部の健康保険問題を解決するという一つの大前提があるためになかなか解決されない。しかし、その差の被害をこうむっておるのはだれかといえば、日本の患者じゃないか。その意味合いで、前の鈴木厚生大臣も相当積極的な態度でこれに臨んでおられましたが、願わくは坊厚生大臣も積極的な態度でぜひこれに臨んでいただきたい。信頼をしておりますので、やってください。終わります。
  115. 北澤直吉

    北澤主査 午後は二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後二時八分開議
  116. 北澤直吉

    北澤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生省所管についての質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、順次これを許します。高田富之君。
  117. 高田富之

    高田分科員 私は、今日の医師を養成する教育制度の問題を中心にいたしまして、専門家の立場ではなしに、一般の国民が非常に不安に思っております問題点を率直にお尋ねいたしますので、ひとつ大臣もそのつもりで、気軽に、率直に御答弁を願いたいと思います。  この間うち、これはおそらく前の山中さんやその他大原さんの質問にもあったかとは思いますけれども、重複するかとは思いますが、国家試験をボイコットしておるというような重大な事件が実は起こっておるのであります。これは現在どうなっておるか。それからこれの解決の見通しでございますね。どういう手を打とうとされておるのか、これをひとつ御説明願いたいと思います。
  118. 坊秀男

    坊国務大臣 御指摘のとおり、先般の医師国家試験に際しまして、三千百名のトンターンの中で、試験を受けた者は四百四名ということになりまして、事態は非常に憂うべき事態であると思います。  そこで、厚生省といたしましては、この秋の国家試験にできるだけ大勢参加をしてもらう、残らず参加をしてもらうというようなことで、鋭意努力をしておるのですが、ただ単に試験を受けてくれというようなことだけでは、効果もそれほど期待できないと私は思う。そこで現在インターン生が非常に不満に思っておる現在のインターン制度というものをやめまして——やめるということについては、すでに医学教育懇談会から中間答申を厚生大臣がいただいておりまして、その中間答申の中で、現行インターン制度はやめるべきであるという御答申がありましたので、私もその御趣旨に沿いまして、厚生省としては現行インターン制度は廃止するということを言明いたしております。ただ、現行インターン制度を、今日ただいまこれを廃止してしまうということになりますと、これはまたまるでヘビのしっぽを切ったようになってしまいまして、いずれにいたしましても医師が研修をせねばならぬということだけは、これはもうぜひとも必要なことでありますので、現行インターン制度にかわる、医学校を卒業した人たちが進んでその研修を受けてもらうというような制度を打ち立てていきたい、こういうことで、そういったような新しい制度を今日引き続いて医学教育懇談会検討をしていただいおる。これをできるだけ早く結論をつけていただきまして、そしてでき得べくんば今国会において法制化をしていくといったようなことをやりまして、そして研修制度がこういうふうになったのだから、ボイコットなんかせずに試験を受けるというふうに指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  119. 高田富之

    高田分科員 そういたしますと、基本的な方向としては、答申の趣旨に沿って現行インターン制度は廃止される、こういうことでございますが、何らかの形で、形を変えたインターン制度のようなものが——いまのおことばの中の、いわゆる研修が必要だ。もちろんそれは必要だと思うのですけれども、インターン制度のようなものが、多少形を変えた形で存続するというようなことでは、おそらく解決しないと思うのです。ですから、これは廃止して、ということは要するに無給の、無償労働みたいな形で、教育的な意味よりも、むしろ無償でお医者さんの手伝いをさせられるといったようなことの意味のほうが大きいと見られておるいまのインターン制度、これはやはり廃止されるということ、いかなる形においても、形を変えてでも存続しないのだということ、そしてこれと関連しておると思うのですが、医局制度ですね。長い期間、五年、六年というものを無償で働いて、そうして最後に博士号をもらわなければ、開業が事実上いまはできないといってもいいというような状態にある。この制度全体をひっくるめまして何か納得のいく解決がない限り、最終的にはこの問題はおさまらないのではないのでしょうか。どうなんでしょうか。
  120. 坊秀男

    坊国務大臣 まだ医学教育懇談会から、体系的にこうやるのだという答申をちょうだいしておりませんので、その全貌について私がここで申し上げるわけにはまいらないのでございますけれども、御承知のとおり現在のインターン生というものは、大学は卒業しておる。そこで一年間のインターンをやって、そして医師国家試験を受けるというようなことで、その医師国家試験を受けるまでは、これは医者でもなければ学生でもないといったような、きわめてばく然とした地位にある。したがいまして、医者でない限りは、正式には医療行為ができない。それなら学生かといえば、学校は卒業してしまっておるといったようなことに相なっておる。そこで、おそらくは今度の医学教育懇談会では、学校を卒業いたしますとすぐ国家試験を受けさせまして、そこで医師ということになります。そして、とにかく人間の生命を扱う職業でありますから、たとえ医師になりましても——むろん医師でございますから、それはアルバイトや何かで医療行為はできるわけでございますけれども、しかし研修をしてもらうということで、その研修の間に、一年間の新しい制度のもとにおける研修に際しましては、私は進んでいろいろの研修を受けてもらうというためには、各方面の角度から、あるいはそれに対する報酬——これは予算関係もございますから、それに対する報酬とか何とかいったことについては、私はここではっきりと申し上げるわけにもまいりませんけれども、各角度からこれを考えまして、そして進んで喜んで研修をしてもらうといったような制度を何とかして打ち立てていきたい、かように考えております。
  121. 高田富之

    高田分科員 そういたしますと、ただ試験を卒業してすぐ受けるか、一年インターンをやってから受けるかという違いだけのようになりまして、事実上、実際問題としてはやはり形を変えたインターン制度のようなものが残るような感じが実はするわけですね。それでは根本解決にならないのではないでしょうか。それで、いまのそういうたくさん出ておる意見を見ますと、これとの関連において、これはいまの医局制度とも一体のものとして考えられておる。どうもわが国の医局制度は非常に不合理だ。そこで何年も何年も、インターンを終わったあとも、五年も、あるいは六年くらいやるのでしょう、博士号をとるまで……。  ちょっとお聞きしておきますが、博士でない開業医は、開業医全体の中でどのくらいおるのですか。博士の開業医はどのくらいおるのですか。およそでいいです。(山中(吾)分科員「博士号を持っていない開業医は、戦前のものが残っておるだけだ、戦後はないのだ」と呼ぶ)——だいぶ手間どっているようですから、時間がもったいないですから……。  いま山中先生お話ですと、戦前のが残っているだけだそうでございます。そうなりますと、これは私も非常にふしぎに思うのですが、実際問題としては、現在開業するのに博士にならなければ開業できないようなものです。そうすると、卒業してインターンと医局にいるのを全部通算しますと、ずいぶん長い時間、五年も六年も七年もの長い期間、無償労働みたいなことをしまして、それで非常に金もかかる。出費もある。聞くところによりますと、博士号をとるためには、ずいぶんたくさん寄付もしなければならぬらしいのですね。要するに、実質的には博士号を買うみたいなことになっているのだそうです。事実そうらしいですがね。これを含めて解決しなければ、これは解決しないのじゃないですか。第一諸外国にこういう制度、わが国のような制度が文明国、一流の、わが国と同等以上のアメリカとか、そういった国々でそういう制度は現在ないそうですね。こういう制度日本だけじゃないですか、いかがなんです。
  122. 若松栄一

    ○若松政府委員 医局というような制度は、これは医局という形のものは各国にはございますけれども、日本風、最も日本的な医局制度というようなものは、かなり日本独自のものと思いますが、若干似ているものは、ドイツあたりはちょうど日本がお手本にした国でございますので、かなり似た点もございます。またアメリカあたりにも医局、いわゆる日本の医局とは多少異なりますが、レジデンシーあるいはインターンという形のものがございますが、アメリカではこのレジデンシーあるいはインターンというものは、だんだん有給化の傾向をたどっておりますので、その点、日本とはかなり違っております。
  123. 高田富之

    高田分科員 ですから、無給で長い期間平たく言えばただ働きをして、相当の献金をして博士号をとらなければ開業できない、こういう制度なんです。こういうのは、実は博士号というもの、これは教育制度としてもおかしいのではないかと思うのですがね。医者を養成するために、教育制度としてそういうことをして、博士号をとるということで初めて事実上開業できるということ、これは文部省の方も来ておるのでありますが、いまの博士号、学位というものを与える根拠はどういうところにあるのですか。
  124. 篠沢公平

    ○篠沢説明員 戦前の学制が変わりまして、新しい、新制大学になりましたときに、学校教育法に基づきまして学位規則というものを定めております。その中に、各科の専攻について、大学院を終えた者につきましては課程博士、あるいは大学院に進まなかった者について論文を出させるという制度をとっておるわけであります。
  125. 高田富之

    高田分科員 医学の場合、お医者さんが医学博士をもらうのに、論文を書いて、これを教授会で認めて博士号をくれるというようなことを諸外国でやっておる国がございますか。
  126. 篠沢公平

    ○篠沢説明員 ちょっとつまびらかにしておりません。
  127. 高田富之

    高田分科員 厚生省のほうでいかがですか。そういう例は外国にありますか。
  128. 若松栄一

    ○若松政府委員 外国でいわゆる臨床家のタイトルといいますか、名誉といいますか、称号というか、こういう種類のもので、日本の学位に相当するようなものはあまり見受けられないのであります。むしろ臨床家としては、いわゆる専門医の制度が発達しておりまして、アメリカその他ヨーロッパの国でも、専門医制度あるいは医師のランクというものがございますが、日本のごとき学位というものとはかなり違ったものでございます。
  129. 高田富之

    高田分科員 ですから、どうも論文を書いて、それで長い期間ただ働きをして、その指導教授なり学校なりに相当の献金をして論文をパスして、それで博士になって開業するということは、文明国ではないというふうに——ただいまの御答弁でもあまり例はないようですが、事実ないと思うのであります。それでおかしいと思うのですが、いま国民が一番求めておりますのは、お医者さんがどこへ行っても、相当の信頼のおける——開業医というものが信頼できるという状態でなければいけないと思うのです。ところが、自分のかかりつけのお医者さんだけは信用するけれども、旅先なんかで知らないお医者さんなんかにかかるのは、とてもあぶなくてかかれないというような、開業医がそれぞれお得意さんを持っているわけですが、そういうような形での人的関係、個人的信頼関係というものはあるかもしれませんが、一般的に開業医全体に対する国民の信頼感がどれだけあるかというと、私はこれは相当問題だと思うのですよ。そういうことのために、博士号というものが、結局ある種の、博士なんだからだいじょうぶなんだという形のもので全部が博士になっちゃうことになると、今度博士といってもちっとも信用できなくなる、こういうことなんですね、全部が博士なんですから。だから、そこで私はもっと内容検討してみる必要があるのではないかと思うのです、お医者さんを仕立て上げる教育課程というものの中にこれを含めて。それがやはり私はガンをなしているのではないかと思うのです。ですから、外国ではいろいろな酷評があるそうです。日本の博士論文というものは、紙くずかごへ入れてしまうものだというような酷評もあるそうですが、博士号をとるための論文、そのための研究といったごく狭い特殊な、大して実際のお医者さんとしては役に立たないようなことをほじくり出すようなことを研究して、それもしかも指導教官がオーケーすればいいというような性質のものなんです。これは全く私は意味がないと思うのです。これは古い封建的な遺物じゃないかと思うのです。そもそも、明治時代以来のお医者さんの、大先生を中心にした医局員一家というものができておる。そこへ弟子入りをする。弟子入りをしてある一定の年限を奉公すれば免許皆伝を与えるというような、いけ花や茶の湯みたいな、ああいった封建的な制度が医局制度じゃないかと思うのです。それをささえているものは、結局博士論文をとらなければならないから、一人の先生が五十人も百人も医局員を集める。そして医局員からのそういう収入によって、またそういう先生の研究費なり、私立の大学の場合であれば学校の運営費なりが出てくる。こういうすこぶる不合理な封建的なものが残っておる。これが根本的にメスを入れられない限り、少なくとも文明国並みの、あるいはそれに近いものに思い切って制度の改革がなされない限り、根本的には解決しないのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  130. 若松栄一

    ○若松政府委員 ただいまお話がございましたように、明治以来日本医学教育、特に臨床教育のあり方については、かなりひずみといいますか、不合理な方向へ走っておると思います。御指摘のように医学博士という学位が、あたかも臨床技術を評価するがごとく錯覚せられてきたようなことがございまして、したがって、多くの医師が医学博士を獲得したい、そのために相当期間いわゆる医局に無給のままで残って、そうしてかなりむだのある勉強もしなければならぬというような形になっている、こういうようなものを解決するためには、どうしても学位というものを根本的に検討しなければいかぬ。学位というものは、どこまでも学問研究の成果に対する称号でございまして、臨床技術に対する称号ではないわけであります。そこで現在の段階におきまして、そういう学問研究に対する学位というものと、臨床技術を評価づけるものとを別建てにしたい、そういう意味で、もちろん医学の研究がございますから学位というものは当然あってしかるべきでございますけれども、その学位というものは、ただいまお話もありましたように、臨床の教室においてさえも学位というものはしばしば非常に基礎的な研究に対して与えられております。したがって、必ずしも臨床技術の高さというものには比例してない。そこで学位というものは、当然学問に対する、学問の業績に対する評価として与えられることは当然でございますが、臨床技術を評価するものは別建てにしたい。そういう意味から専門医制度というような考え方が出てまいりまして、専門医というものは、いわゆる医学の基礎的な研究というような、動物をいじったりあるいは器械をいじくり回したりするというような形で行なわれる基礎的な研究というものとは別に、臨床技術を研さんしたということをもって専門医というものを評価していこうということで、学位というものと専門医というものを別建てにしていこうという考え方が強まってまいりまして、現在日本医師会、内科学会、外科学会、婦人科学会、精神学会というようなところで、専門医制度の試案がすでにつくられております。したがって、将来は学位というものは、そういうふうに臨床技術をあらわすものではないという方向にだんだん進みつつある。こういうことと並行いたしまして、臨床技術をある程度修めた者に、何らかの評価を与える、いわゆる昔の学位とは切り離した臨床技術の評価制度を設けたいということが、現在医学教育懇談会で最も中核的な論議の行なわれておる問題でございます。
  131. 高田富之

    高田分科員 そうしますと、制度を改革する場合に、いまの医局制度というものに根本的なメスを入れまして、そのかわりに、これにかわるものとして専門医を養成する、臨床の経験を得るため数年間の医科大学卒業後におけるコースというものをつくってやる、あなたのおっしゃるのはそういう意見だと思いますが、そういう意見がいろいろ出ていることだろうと思います。そういう専門専門の臨床実験をしながら勉強していく、そして、それが済んだときに卒業試験か何か——卒業試験と言わないかもしれませんが、そこで専門医としての称号を与えてやる。そして信用の置ける一人前のお医者さんとして、だれもが見てもらえるんだ、こういうような制度にすれば、いまのような医局制度は要らなくなるし、博士論文というものも要らなくなります。もちろん、そのためには、その期間におけるある程度の手当てもしなければならぬだろう、国家財政の上でめんどうを見なければならぬだろうと思います。しかし、案としては、私もある先生から聞いたのですが、現在の大きな病院や何かを活用いたしまして、その院長さんに委嘱する、そこに数名くらいつけてやらせるというような方法をやれば、新たに学校を建てたりすることもない、それほど膨大な研究費をやらなくても済むというような方法もあるのではないかというような意見も聞いておるのでありますが、そういうことなんかで、政府としても、答申が出てないといえばそれきりなんでしょうけれども、ある程度やはり政府自体の考え方の方向くらいは固まっておるのじゃないかと思うのですが、その点、どんなふうな医局制度にかわる——あるいはいまおっしゃった博士論文を書かせる、いまの医局制度にかわる制度というものについて、どの程度までお考えが固まっておるのか、伺いたい。
  132. 若松栄一

    ○若松政府委員 ただいまは、学位の問題に関しまして、それにかわって登場する専門医というような考え方を申し上げたわけでございますが、現在、私どもが懇談会で論議しております中心点は、インターン問題をどうするかということでございます。現在のインターンというものが、医学部卒業後一カ年間修めまして、これを条件にして、国家試験を受けまして医師になれるというような形になっておりますが、この一年のインターンというものをどうするかという、さしあたりこの一年をどうするかということが、一番緊急の問題でございます。そういう意味で、この一年間を義務として残すということはやめよう、そういう意味で、現行インターンを廃止するというふうに申し上げたわけでございます。しかし、修練というものが必要であるということは、もういずれの方面においても一致した意見でございますので、卒業後、直ちに医師の国家試験を受けまして、医師になった上で修練をやる。この修練は、もちろん最も長く行なわれれば専門医制度までつながるわけでありますが、すべての人が専門医にならなければならないということでもございません。しかし、少なくともある程度の修練を行なって、安心してかかれる医師になれるということが、国民医療の水準確保という面から申しまして緊急の問題でございますので、卒業後の修練をいかに合理的に、能率的に行ない得るようにするかということが、現在の緊急課題でございます。そのためには、ただいま先生お話にありましたように、大学病院だけでこれを行なうことは、とうていその能力からいって適当ではない。したがって、大学病院に匹敵すると言わないまでも、それに近いようなハイレベルの施設を持ち、指導能力を持つような医師のおる病院をかりに教育病院ということにいたしまして、大学付属病院のほかに相当数の、しかも厳選された教育病院というものを設けまして、そういうところで、大学病院並びに教育病院で医師の免許を獲得した後に医師が研修を行ない得るようにしたい。それも、もちろん義務として行なうのではなしに、それぞれの免許を取得した医師が自発的、自主的に行なうようにするというたてまえでございますけれども、自発的、自主的というふうに申しましても、何らかやはりできるだけすべての医師が研修を行なえるようにしていきたい。そのためには、国もある程度そういう環境、条件を整備するための助成をしていかなければならない。したがって、研修生を引き受ける施設に対しましては、研修生に必要な経費であるとか、あるいは指導員に必要な経費であるとかいうようなものは、国が助成していきたい。そういう考え方で、大学付属病院並びに教育病院の研修体制の整備、その運営等について、現在検討しておるわけでございます
  133. 高田富之

    高田分科員 現在検討しておる方向がさようなものであるとすれば、はっきり申し上げて、いまの学位論文を、博士論文を、悪いことばでいえば、えさにしてといいますか、それで医局員を集めて、また、医局員になるほうからいえば、博士にならなければならないということのために、ある先生のところへ入っていって、そうして数年間ただ働きをして、そうしていま言ったように実際とはあまりにかけ離れたような、重箱のすみをほじくったような研究論文みたいなものを認めてもらって免許皆伝するという、あの制度はなくなるのだという方向検討されておるわけですね。
  134. 若松栄一

    ○若松政府委員 そのような医師の修練の制度、さらに専門技術を評価するような専門医制度というようなものを検討いたしまして、これが着々成果をあげていきますれば、従来のような学位というものに対する考え方は、これを検討し、改めていくという考え方でございます。
  135. 高田富之

    高田分科員 そうすると、とりあえず、できれば今国会中に、さっき大臣がおっしゃったように、インターン制度の廃止というか、それにかわるべき代案を御提案になるわけですね。そうして、そのあと言いました学位論文を中心とした医局なんかの問題については、第二段に、方向としてあなたはいまお考えをといいますか、検討されておる内容の大まかなものをお話しになったのだ、こういうことですか。それとも、全部一緒にした根本的改革案が近く出るのですか。
  136. 若松栄一

    ○若松政府委員 お話のように、第一段階としては、現行インターン制度を廃止するという医師法上の手当てをいたしまして、さらに、そのあと教育病院等の整備をどうやっていくか、あるいはその運営に対する助成をどうやっていくかというようなことは、これは予算に相当関係してまいりますので、この部面につきましては、予算編成を通じて四十三年度からこれを実施に移したいという考えでございまして、そのほか、専門医制度というものはいま直ちになかなか決定できませんし、学位の問題についても同じように、現在の大学におきます大学院という制度、それから専門医制度とそれぞれ非常に密接にからんでまいりますので、大学院並びに学位に対しては文部省、そうして専門医制度というようなものについては、これは日本医学会が各部会ごとに認定という制度、方法をとりたいというのが、大体の方向でございまして、この専門医の認定に関しては役所はタッチしないというのが、現在の進み方でございます。こういうことで、これらのあと制度につきましては、まだ相当検討の期間が要るんではないかと思っております。
  137. 高田富之

    高田分科員 時間がまいりましたから、もう一つだけお伺いしてやめますが、そこで、アメリカあたりでやっている、いわゆる卒業後入る学校というのがあるのですね。それに似たような制度で、三年なら三年くらいの課程で、これは医師資格のある者が入るわけですから、卒業後入るわけです。ある程度の手当てをしたりいたしまして、無給働きでなくやるというような、いわゆる卒業後の学校というような制度があるそうでございます。よく私は知りませんが、そういうのがあるんだそうですが、そういうようなものを検討しておられるかどうかということ。  それから開業医になってからの問題なんですが、どうも最近は薬もどんどん新しい薬が出てくる。また薬のきき目についても非常に疑問が出てきて、一時は相当きくとされていたものがきかないんだというようなことになったり、非常に激しい変化があります。また、診療の技術の面でも、ものすごく進歩があるようですね。ですから、私どもいなかのお医者さんにかかっておりまして、どうしても古い治療方法しか知らない、古い薬しか知らない先生にかかっておって、どうにもならない。ところが、ちょっと日赤あたりのそういう公立の病院なんかに行って、大学を出てきてまだ一生懸命勉強している若い公立病院の先生のところに行くと、いや何のことはないのですね、新しい薬でぴしゃっとなおってしまうというような例が非常にあるわけですよ。現在何かアメリカのほうで聞きますと、薬でもってきかないんだと判定がついた薬が相当最近ふえているんで、製薬会社に全部の薬について再検討を命じている、そういうようなこともだいぶ耳にするのでありますが、日本の場合でも、この前もちょっとお伺いしたのでありますが、ビタミンのようなものはほとんどきかない。活性持続性ビタミンと称するものはきかないというのが、日本の学会の間でも専門医の間でも御承知のとおり出ておるようですね。ところが、それが大量に販売され、大量に大衆保健薬として飲まれておるわけなんですけれども、これは全然きかないという議論もいま相当の勢力を持っておるわけでございます。そういう時代でございますから、もう時間がないのでそのことについては聞きませんが、一体、開業医に対して訓練をしていく、どんどん新しいそういう技術、新しい薬、そういう療法というようなものをひとつ教えこんでやって、絶えず日進月歩している医学の進歩、治療方法の進歩、薬学の進歩というものに追いついていかせるような制度というものが、諸外国と比べて、先進国と比べて、日本の場合はほとんどなきにひとしいのではないか、こういう不安があるわけです。この点いかがですか。
  138. 若松栄一

    ○若松政府委員 第一点の卒業後の人たちの学校ということでございますが、これはアメリカでもグラデュエートスクールということばがございます。しかし、これはそういうことばでございまして、ほんとうの意味学校ではございません。そういう意味では、先ほど申しましたような、いわゆる教育病院というようなことで、系統的な教育訓練をやっているというのが、ある意味では通俗的に用いられているグラデュエートスクールに相当するものではないかと存じております。  それから第二番目の医師の研修の問題でございますが、確かに医薬、技術はきわめて進歩がはなはだしいために、年をとった方、あるいは不勉強な方がおくれていることは事実だろうと思います。そういう意味で、医師はその職業柄、どうしても一生研修を続けなければならないという宿命にある職業であると思います。そういう観点からも、研修というものを組織的に行なっていくということは必要でございまして、現在一番専門の団体である日本医師会として、医師の研修教育、研修再教育ということを考え、そして年に何回かは日本医師会自体の研修を行なう。また、地方の都道府県医師会でやはり計画的な研修を行なっております。また、その下の段階で市医師会というようなものも、何らかの形で研修というものを行なっておりまして、そういうような下部の段階におきましては、国立病院その他の公的病院は積極的に協力するように私ども指導いたしております。もちろん、そういう教育研修のほかに、医師はすべて新しい技術を雑誌その他を通じて勉強しておるのが通常でございます。当然、一そうそれらの制度がうまくいくように、これは役所だけではとうていできませんが、役所もできるだけそういう方向で努力すべきものと考えます。また、そのほかに、たとえば特殊なガンの診療技術、あるいは救急医療問題、あるいは最近のリハビリテーションというような特殊な部門につきましては、役所といたしましても特殊な目的のために教育研修制度を設けて、これを実施しております。  第三点の薬物に対する問題につきましては、アメリカあたりでは、医師会自体が薬の目録といいますか、特定の本をつくりまして、この本に登録された薬は効果が確認された薬であるというぐあいにやっております。本の名前はいまちょっと忘れましたが、そういうことで、医師会がいい薬と必ずしも効果の確定していない薬とを識別することをやっておりますが、日本では残念ながら、まだそのような制度は確立しておりません。これも、必ずしも確立しておりませんでも、日本では保険の治療に使い得る薬を保険薬として指定しております関係上、一部そのような効果が若干あるかと思いますが、これはアメリカにおけるそのような制度ほど厳格なものではございません。こういう点は、将来の問題として相当関心を抱かせる問題だろうと思います。
  139. 高田富之

    高田分科員 それでは時間がきましたので、希望だけ申し上げて、これで終わりますが、先ほど来申し上げましたように、いけ花や茶の湯のような、ああいう式の医局制度意味のない博土論文、博土論文を売るという営業みたいなもの、こういうものは思い切って、封建的なものでございますので、この際近代科学の先頭を行く医学の分野にそういうものが残っておることははなはだ不可解な話なのですが、すみやかにやめてもらいたい。博土号というものは国民は信用していませんから、これをすみやかにやめること。それからインターンにかわるべき制度といたしましては、あなたのおっしゃったように、何らかの有給でもって二、三年間勉強できるような、諸外国の進んだ国でやっておる制度のようなものをすみやかに取り入れること。それから開業医に信頼感が持てるようにするためには、相当思い切ったこれに対する助成でも何でもし、指導もし、そしてどんどん進歩する薬学や医学のあれに開業医が追いついていけるような施策を強力に講じていただくこと。この三点を特に強く要望いたしておきまして、きょうは質問を終わります。
  140. 北澤直吉

  141. 帆足計

    帆足分科員 時間が限られておりますが、ただいま高田富之分科員の要望されましたインターンに対する質疑応答を拝聴いたしまして、私も全く同感でございますから、関連いたしましてその問題から問いただし、また要望したいと思います。  インターンにつきまして、いま一般の世論もこの問題の再検討を強く要望しておりますが、聞くところによりますと、予算の裏づけば昨年の二倍程度で二億七千万円前後と聞いております。そのうち六〇%は教材費と資材費と聞いておりますが、そうしますと、インターン制について一年間の研修生たちの生活保障というものがほとんどない。学生なら学生で親のすねをかじればいいわけですが、学校を卒業して、「ホタルの光」を歌ってそのあとにまた親のすねをかじるというのでは、親孝行むすことしては相済まぬというので、みなルンペンアルバイトに出かけていく。そのほかに無給医局員というものがある。私は、このような状況がチフス菌事件を生んだような青年医師の心の退廃を生む原因の一つであるまいかと思うのです。先日の分科会でも申しましたが、いわば日本の文化、政治、経済の士官候補生たちたる各大学の学生諸君が、三等重役のお子さんたちに至るまでアルバイトをしなければ昼めしも食えないし、学費も出ない。こういう状況で、学生層というものが、社会の大数法則としては一種のルンペンプロレタリアのような心理というか、心境になって、学生時代は共産党、就職口がきまれば社会党、係長になれば与党粛党派、そして部長になれば与党がんこ派、こういうことになっている。経済的根拠を思うならば、文部大臣はみずから顧みて、自分らが学生をどのように待遇しておるかを思うべきだと思うのです。同じように、医師の間に多少道徳的退廃の徴候が見えるとすれば、このようなめちゃくちゃな奴隷制度、奈良朝の奴隷制度にもあるまじき奴隷制度が、インターン及び無給医局員の名において行なわれておる。まことに厚生省ともいう生を厚くするものが、薄情で、薄生省と私は名前を変えなければならぬと思う。これは現代の所得倍増政策のしわ寄せが、すべて厚生省にきておる。したがって、私は厚生省に対して満腔の御同情と御支援を惜しまない意味で質問しておるのです。スウェーデンに行ってスウェーデンの厚生大臣に聞きますと、とにかく五千八百万トンの鉄をつくる日本で、かくも国民福祉が薄いということは心がけの問題であるという。先に厚生省予算を取ってしまって、残りは適当に防衛庁と経済省にやればいい。防衛庁の諸君が鬼の涙を流して陳情に来るべきである。しかし、あたたかい涙の皆さんが涙を流して、最後に、落ちたジェット機の翼の一つでも恵んでくれないかといって、サリドマイドの子をかかえたおかあさんが陳情に来る、まことに主客転倒もはなはだしいと思うのです。昔ならば、厚生省は宮中席次がビリっけつでよかったかもしれませんが、いまは宮中席次第一次が坊厚生大臣であらねばならぬ。そういう観点から申し上げるのですが、インターン生に対しての人件費について、無給医局員に対しての人件費について、御準備があるかどうか。結局この問題ですから、予算の裏づけのない御説法は、承っても何の役にも立ちません。
  142. 坊秀男

    坊国務大臣 四十二年度の予算におきましては御指摘のとおりの金額でございますが、その中にはインターン生に対する手当とかそういったようなものは組んでおりません。
  143. 帆足計

    帆足分科員 それでは、いま御議論になって至急結論が出るとしますと、予備費か追加予算をお出しになるつもりですか。
  144. 坊秀男

    坊国務大臣 予備費を出すということは——これは予備費は予備費でございますので、予備費を出すということで、いまそういうことであるならば、これは予算に組むべきものでございましょう。もしもインターン制度というものを本年度のうちにこれが改正されるというようなことで、どうしてもこれに対して経費が要るということであるならば、これは筋の問題としては追加予算でも何でも組むべきものだと思います。
  145. 帆足計

    帆足分科員 衆議院議員一人としてこの追加予算を出すことに不賛成の者はないことを、私は断言してはばかりません。むしろ万雷の拍手をもって厚生省の労を多とするでしょう。税金を出しておるのは国民ですから、その国民を代表しておる私たち、その私たちの中で相当保守的な恐竜類に近いくらいの尊敬する友人ですら、この問題に対してはやはり全くそのとおりだとだれしも申しております。大臣にはしかとお心得え願って、経費の裏づけのない議論は何にもなりません。そのために指導医、指導教授が必要です。設備が必要です。宿直の設備もまた必要です。大きな病院でしたら、食堂の問題もあるでしょう。したがいまして、その指導医師に対する若干の手当も必要でしょう。私の長男もやはりやがて来年からインターンになる立場ですから、いつまでもすねをかじられたのでは、御同様とてもかないません。現在、しかも医学という非常に重要なものが、奴隷制度のもとで行なわれておるというのは驚くべきことであって、文部大臣は一体おるのかおらぬのか、きのうの分科会では剱木さんにそう質問しました。剣を持っておっても、厚生省と談判する力がなければ、剣じゃなくて、たきぎ文部大臣と言わざるを得ない。ひとつせっかく、坊厚生大臣は私の高等学校の先輩ですから、別に封建性を因縁にして申すわけではありませんけれども、お人柄もよく知っておりますから、あなたの御在任中に、本年の上半期にこれを絶対に解決していただきたい。もう見るに忍びないのです。こういうことをほうっておけば、子供たちがアナーキストになります。マルキストならば、私は賛成です。しかし、アナーキストになる。医者のアナーキストというものはほんとうにやっかいなもので、行きつく先は毒まんじゅうということになって、やがてその毒まんじゅうで坊厚生大臣はあえない最期を遂げる、こういうことにならないようにしかと申しておきます。関係の皆さん、いかがですか。大蔵省の主計官、来ておりますか。来るように言うておいたのです。来なかったら、すぐ電報で呼んでください。大蔵省の主計官がよく聞いておけということを私は何度も言うておるのです。予算の裏づけのない厚生省というものは、薄生省です。もっと言えば薄情省です。どうかひとつ御奮発のほどをお願いします。よく御理解できたかどうか、念のために御答弁を……。
  146. 坊秀男

    坊国務大臣 帆足先輩の御意見、よく頭にとどめておきます。
  147. 帆足計

    帆足分科員 いまのお口ぶりから誠意あふれるものと理解いたしまして、切に未来の「蘭学事始」杉田玄白の弟子たちのために、日本の国民の健康を守る勇士たちのために、厚生大臣の御奮闘をお祈りいたします。  さて、その次は、申し上げたいことはたくさんありますが、時間がございませんから急いで申し上げますが、まず厚生大臣にお尋ねしたいのです。これは厳粛に各閣僚の気持ちも代表して、委員会における質疑応答並びに政府の答弁というものは茶番劇でありますか、まじめなものでありますか、念のためちょっと伺っておきます。
  148. 坊秀男

    坊国務大臣 国会は国権の最高機関でございまして、委員会における論議というものは、きわめて厳粛なものでなければならないと心得ております。
  149. 帆足計

    帆足分科員 それならば、先ほどのわれわれの要望もよく心にとめていただいたものと理解いたしまして論旨を進めますが、朝鮮人帰国協定打ち切りが突如として発表せられました。これは御承知のように、日朝両国赤十字並びに国際赤十字の理解のもとに、すでに八万数千人の朝鮮の友がふるさとに安住の地を見出して、内外からも国際美談といわれておる問題でありまして、この問題につきましては、公安調査庁からも、当初多少のいざこざもあったけれども、おおむね円滑に行っているという証言がございました。また外務省アジア局長、入国管理局長等からも同じ御答弁がありました。なお、それだけでは不十分でありまして、椎名外務大臣からも、さらに締めくくりとしましては、ここにおられる正示前外務次官からも厳粛な御答弁がありました。いま、その速記録を朗読いたします。朝鮮人帰国問題に対しまして、いろいろ御助言たいへん感謝いたしております。帆足委員にはたいへんな御尽力をいたされましたことを特に感謝いたしますというようなことがあって、「先ほど椎名外務大臣もこの問題についてはっきりと言明いたしましたように、われわれは部内一致いたしまして、将来ともこの大切な事業が円滑に進みますように、十分配慮してまいりたい、かように考えておることを繰り返して申し述べます。」これは正示政府委員です。それに対しまして「帆足委員 ただいまの外務次官の御答弁はすばらしく満足でございました。」こういう問答がかわされまして、この間に厚生省局長からも、泣く子も黙るといわれる公安調査庁の部長さんからも、また保守をもって世界に勇名をとどろかせておる日本外務省の下田次官の下におるアジア局長さんからも、全部同感の旨の意思表示をしておるのでございます。しかるに、一言もわれわれ外務委員会に対するその後の御解明もなく、また代案を示されたこともなく、あたら五十八万の朝鮮公民諸君が路頭に迷うようなことを突如として発表されました。これは合理的でしょうか。せめてこれを打ち切るというならば、打ち切ったあとはどうするかということを発表することが、朝鮮の公民諸君に対する礼儀であると同時に、私ども外務委員に対する礼儀でもあり、また国際赤十字の諸君が助けてくれておりますので、その方々に対する礼儀でもあると思います。政府は、まず第一に、長年、五年にわたって世話になっておるスイスの国際赤十字代表——ただいま二人か三人こちらへずっと滞在ですが、その国際赤十字代表に対して、丁重なあいさつをいたして、了解を得ておりますかどうか。都合のいいときだけは口説いて、都合が悪くなると、ぽとん捨ててしまう。そういうことならば、あやまちを改むるにはばかることなかれ。国際赤十字に連絡してあるかどうか、また常識的にわれわれにこたえ得るような人道的、代案が常時準備されておるかどうか。実は数カ月前、時の官房長官に対しまして、この質問をしましたら、一カ月待ってください、必ず御満足いくのと実質的に変わりのない代案を示しますという約束であります。これは、党の代表として、私のみならず、国際局長も一緒に官房長官にお目にかかったのでございます。しかるに、何ごとぞや、今日突如としてこのようなことになってしまいました。前に多少ごたごたがありましたときは、その震源地がおおむねどこのゲンゴロウ虫であろうかということがわかっておりましたから、この虫はDDTで退治してしまいましたが、今度の策謀は多分にウイルス的策謀でございまして、どこに正体があるかよくわかりません。抵抗性ウイルスがどこかに蔓延しているという徴候があるのでございまして、そのウイルスが、ただいまの厚生大臣の御答弁を根底からひっくり返してしまった。まさにこの速記録は四月、七月と二回にわたって茶番劇にすぎない結果に終わっているのに対して、単に私一人に対してでなく、外務委員全員に対する侮辱であると思います。これに対して、敬愛する坊厚生大臣でありますけれども、同時に国務大臣資格において、ひとつ深くお考えを願いたい。御答弁をお願いする次第でございます。
  150. 坊秀男

    坊国務大臣 帆足委員から北朝鮮帰還協定を卒然に打ち切ったというお話でございますが、卒然ということではなく、昭和四十一年、去年の八月二十三日付で、閣議了解事項をもちまして、在日朝鮮人北朝鮮帰還希望者の取り扱いについてということでやりました。ことしの十一月十二日をもって一応打ち切りということをきめておった。それに基づきましてやったことでございます。
  151. 帆足計

    帆足分科員 ただいま私が朗読いたしましたのは、昨年の四月二十七日並びに七月二十日の速記録でございます。七月二十日にそういうような答弁を政府はしておいて、私はすばらしく満足でございますと、万雷の拍手のうちにこれが終わって、卒然として、それから八月十二日ですから、まだ一月もたたない、三週間しかたたないときに、突如としてこういう不当な閣議決定をしておるのでございます。そのとき閣僚を歴訪しましたところが、ほとんど知りません。そして現在の帰国船が朝鮮の側の用船によって行なわれておることすら知らない大臣が全部でございまして、帆足さん、あんな巨額な費用はかけられないよと言いますから、私が何ですと言ったら、わざわざ朝鮮まで連れていくというような丁重なことはできないよという、何もそういうことはしておりません。それは全部朝鮮側の費用で用船して、ソ連の赤十字が加勢して行なわれておることでございます。したがいまして、私が突如と言いましたのは、七月二十日にこういう問答が行なわれて、七月二十日といえばもう暑いときでございますから、われわれもちょっと山登りをしておりました。山から下ったら、突如として八月十二日にこういう発表。そのときに正示さんはやはり山へ行っておったんでしょうね。そうすると、事情を知らない次官会議が突如としてあった。大体事務次官という諸君は、国会に出席しないでいいものですから、多少最近増長いたしまして、下克上のきらいがございます。彼らいわく、政務次官は、あれは風船玉のようなものだ。だれが言ったかはいずれ発表してもけっこうです。そういうことを、正示さん、言っているんですよ。政務次官が答えたというけれども、それは風船玉が答えたのである。そうしてその事務次官がかってに案をつくって、何も知らない閣僚会議でこれを通してしまった。坊厚生大臣はそこまで事情を御存じなかったのですから、私はそこまで言って大臣を責めることは過酷でございます。これは過去のことです。  しかし、このことを申し上げまして、同僚議員諸君にも私はひとつ訴えたいのでございます。国会の審議というものがかくも軽々しく扱われるものか。また公安調査庁の部長さんにも申したいのでございますが、そのときの速記録を読んでもけっこうでございますが、問題は公安上ほとんどないと言いながら、ひそかにうしろに回って、やはり船をこいでおる。まあウイルス性の疾患にかかっていると言わざるを得ない。ウイルスは、電子顕微鏡で見れば、大体の輪郭はわかりますから、いずれ電子顕微鏡で私は調べてみたいと思っております。国会はそのくらいの権威を持たなければならぬ。国の歩みがあぶのうございますから、そこでとりあえず万人の納得のいく代案、骨子があったらお聞かせ願いたいと思います。これは別に党派の争いではありません。最初から藤山さんの始めた仕事であって、そうして人道と友情の仕事でございますから、政党政派によってこれはごたごたすべきものでないのでございまして、帰国協力会の大事業も元副議長、自民党の岩本氏が当たっておりました。私は女房役としてその幹事長をつとめていただけのことでございます。したがいまして、現在のところ、どういう代案があるか。ナホトカ航路などという夢物語りを聞きましたけれども、先日の委員会では、ナホトカはどこにあるかと聞きますと、地図を見なければわからない。どうも地理の点数はよくなかっという事務官の答えでございました。新潟から清津に行けば、ほんのわずかの時間で行けるものを、ナホトカに横浜から回って、そしてナホトカから清津に行くとなると、これは地球の半分を回るぐらいの大旅行です。どうしてそういう悪知恵が生まれたか。よほどおっかさんのしつけが悪かったかどうか、そこまでは調査いたしておりませんし、厚生大臣も援護局長から事情を聞いて、うすうす御存じでしょうけれども、どうかこれが政争に巻き込まれないように、ひとつ公正合理に解決の糸口を発見していただきたい。官房副長官も、厚生省意見をできるだけ尊重して、人道と友情の仕事というその性格はせめて失なわれないように、自分も側面から努力するからという木村副長官からのお話もありました。この問題の主管官庁は、私は大体厚生省であってしかるべきものと思います。あとは雑音でございます。したがいまして、厚生大臣のお気持ちを伺って、それを中心として人道的にこの問題の善後策を考えていただきたい。そして、結局韓国の妨害があったり、雑音があったりするからこそ、赤十字社が意思を確認し、国際赤十字がこれを助けておるのですから、これは原則的に赤十字の民間協定でございます。その性格は生かされたほうがよかろうと私は思います。悪いウイルスに悩まされずに、ひとつ公正合理な善後策について、厚生大臣から積極的なお考えを伺いたい、こういうことです。
  152. 坊秀男

    坊国務大臣 このあとの措置につきましては、いろいろと関係各省でよく相談をしております。担当の局長からお答えさせます。
  153. 実本博次

    ○実本政府委員 この問題につきまして、先週の法務委員会におきましても、横山先生から法務大臣に対しまして、同じような御質問がございました。そのとき法務大臣からもお考えが述べられましたが、自後の措置につきましては、至急次の法務委員会までに代案を、関係各省寄りまして策定いたしたい、こういうふうな返事も申し上げております。いま関係各省でよりより協議いたしておるところでございます。
  154. 帆足計

    帆足分科員 昨年の四月並びに七月、速記録にこういう懇篤な御答弁がありながら——これは正示さんもいらっしゃるのですが、その舌の根もかわかない二週間後に、突如、閣議で、一年後に打ち切ると発表した。そこで、あわてて私どもが参りましたら、せめて一月か一月半以内に代案を出して、不安のないようにするという約束でした。それからもはや半年たってしまいました。そして、なおかつまた発表して、そして、きょうこの厳粛な委員会で代案の御発表がない。これは何ということか。私は、これをもってこの事件はウイルス性の病毒を含んでおると言わざるを得ないのでございます。また、厚生大臣に、速記録に載っておることは茶番劇かと申したのも、こういう事情でございますから、厚生大臣も、なるほどそうであったか、そのように議員が憤慨するのもそれは当然であろうとお気づきになったことであろうと思います。  そこで私は、あえて議員の資格において政府に要求いたしますが、こういうかつて植民地政策を実行し、いま轗軻流離の旅にある朝鮮の国民諸君に対して、彼らが、前途の代案も示されずに打ち切りとなれば、今後五年後に帰る人や、大きくなったら母国の大学に入るのを楽しみにしている息子をかかてそいる家やら、孫が生まれて、もう孫も三つになったから、やがて二年後に家屋敷を整理して帰ろうという心づもりをしているおばあちゃんや、また姉は先に帰ったけれども、妹は恋人がいるために、しばらく朝鮮語も勉強して帰りたいというような計画を立てている家庭や、種々さまざまでございます。そういう人たちに不安を与えておるとすれば、その朝鮮人の諸君がデモンストレーションをし、外務省や総理大臣官邸のまわりを取り巻いて、そして陳情し嘆願することは、私は自然の情であろうと思います。それに対して互いに感情に走ってけが人が出たり、身柄拘束者が現在出ているような状況でございまして、責任はあげて対策を怠って——対策は立てないくせに、まず政治的マヌーバーとして打ち切りを先に声明してしまう。一週間、二週間、対策を立てた後に発表すればよいものを、なぜそのように急ぐか。これはウィルスのせいであることは間違いありません。目に見えるアブラムシならば踏みつぶしてやりますけれども、ウィルスが策動するような政界の現状を、私はいやらしいと思うものでございます。公安調査庁の部長さんもよく聞いてください。ここは日本の国会です。そして敷島の大和の国です。その気宇濶達な記紀万葉の精神を継ぐ日本が、植民地政策のあと始末をできるだけ寛大にして、朝鮮の友よお元気で、さよなら、また会う日まで、こう言って新潟から朝鮮の人たちが、石をもて追わるるごとくというあの啄木の歌のようにならないように、私たちは気をつけて、国際美談とまでなっているこの運動に対して、なぜことさらひびを入れようとするのか。どうしても打ち切らねばならぬ事情にあるならば、懇切な代案を準備して、そしてその準備の案を野党にも示し、公明党の皆さんにも、民社党の皆さんにも示して、大体その辺のところでよかろうということで発表なさるならば、それは理解し得ることです。しかし、代案もなく、主管官庁もはっきりせず、そして今日のように、いまだに援護局長さんが御答弁しようにも御答弁のしようがなく、その隣には入国管理局長さんがすわっておるけれども、互いに見合わす顔と顔、答弁は何もできない。私は、世にもふしぎな物語りだと思うのです。委員長もお聞きになって、こういうことをどう思いますか。こういうことではいけないと思うのです。したがいまして、厚生大臣、何日以内に代案をお示しになりますか。
  155. 坊秀男

    坊国務大臣 できるだけすみやかにやりたいと思っております。
  156. 帆足計

    帆足分科員 厚生大臣、他にまだ朗読すればもっと痛切なことばがたくさん出てきます。公安調査庁も色を失うくらいちゃんとそれぞれ御答弁がありますが、読むことを差し控えます。ただいま行なわれている事実と、この速記録を照らし合わせて、これが茶番劇といえないでしょうか。厚生大臣の御答弁を求めておきたいと思います。正示さんは同僚委員ですが、謝りたい気持ちで一ぱいだと思います。しかし、いま政務次官でありませんから、厚生大臣、ひとつお答え願います。たった二週間の違いです。
  157. 坊秀男

    坊国務大臣 いまお読みになった速記録と今日の措置、私は必ずしも茶番劇とは考えておりません。
  158. 帆足計

    帆足分科員 茶番劇でなければ、別なことばを教えましょうか。落語家、浪花節家、都々逸家、そういうことばです。厚生大臣は、茶番劇ということは言いにくいことはよくわかります。つらい気持ちはよく察します。それで、どうかあと人道の仕事は人道の仕事として急いでいただくように、厚生大臣に切にお願い申し上げる次第であります。  こういうことのために時間がとられましたから、だからといって私は、持ち時間をずっと延ばしてくださいとは言いませんが、項目だけ並べてお許しを願います。  急いで申し上げますが、身体障害者の全国の数を聞きました。私は驚きました。そして、それに対する対策の手おくれはまた実に驚くべきものでございます。精神薄弱児の数を聞いて、さらに私は驚きを大きくして、もう外務委員などでおるのが恥ずかしいくらいの思いで、もう平和でさえあれば早く社労委員に移していただきたいという気持ちになりました。その全国の数、東京の数及びこれの教育機関、収容機関の数、残されて放置されております方々の数、それをひとつお知らせ願います。  それから第二。身体障害者雇用促進法によりまして、どこの会社も一定率の身体障害者を雇う義務を生じましたことは御同慶の至りです。そこで私は、文部省厚生省は現在の率の三倍を、官庁及び公社、地方行政機関等は現在の雇用率の二倍を強制する必要があると思います。営利機関に多くの率を強要することは、それは不可能です。しかし、官庁ならばそれは可能ですから、官庁、公社等は現在の率の二倍を、それから厚生省文部省はその三倍を雇用していただきたい。厚生省へ行くと、至るところに口のきけない人、目の見えない人、足の悪い人で充満しておる、その人たちを適材適所にお使いになっている、こういうふうであってこそ、厚生省の名に値するものと思います。このことはいま御即答していただくことは無理でしょう。まじめに研究していただくことを厚生大臣にお願いいたします。  先ほどの帰国問題の善後策が円滑に公正にいき、また、この問題に対して御実績をお立てになったならば、厚生大臣の名は不朽のものとして残り、わが母校六高の名誉として残るであろうことは、これは間違いありません。  それからその次。救急病院の現状は実に惨たんたるものです。私の子供が自動車にひかれましたときの例を先日申し上げました。とにかく、一刻を争うときに、血圧をはかろうともしないのです。また、ある私の友達は、留守中に奥さんが脳溢血で倒れまして、三時間後に八百屋の小僧さんが発見して救急病院に送りました。二人でかけつけてみますと、ベッドの上からころがり落ちております。家庭のベッドと違って、病院のベッドは高さが高いものですから、それこそ致命傷というべきものでしょう。これが私どもが救急病院で経験した二つのことです。その救急病院は設備も荒廃し貧乏で、アルバイト学生がいて、人の心も荒廃しているかのごとくに見えまして、院長さんはほとんど一日どこか花見に行っているということでございました。一つあることは十あるということわざのように、救急病院について至急監査し、そうして、救急病院は夜も寝られない仕事ですから、看護婦さんへの手当とかお医者さんへの手当とか、どんな欠陥があるか、私はこの次にお尋ねしますから、十分御検討のほどをお願いいたします。  投書欄にもしばしば出ておりますが、こういうことを強く指摘して皆さんの御注意を促し、改善しなければ国会議員というものの用はなさないのでございますから、どうかその点をよろしく御検討願います。  それから、ガンの研究に対しまして、「国際情報」を見ますと、ガン・ウイルス説がいよいよ強くなってまいりました。物理学、量子学、電子工学等の見地からガンに対する対策も進められておりますから、単に治療の面だけでなくて、電子工学等の立場から、また量子学の立場等からもガンの検討をしていただく。そういう系統の学者にも少し補助を与えていただきたいということを申し上げておきます。  それから、国際赤十字に対する先ほどの帰国協力の問題は事前了解を得たかどうか。これは政府を責める意味でなくて、私は、ほとんど一月に一ぺんくらい会っておりますから、政府がそれだけの礼節を尽しておるかどうか、念のために伺っておきませんと、向こうから聞かれましたときに、政府に恥をかかす結果になりますから、それをお答え願います。  東京における児童の事故死の数を先日文部大臣に伺いました。五歳から九歳までの疫痢、乳児肺炎等を征服したわれわれですが、四五%、死因の中の最高の率になっております。いまやお医者さんは何のためにあるか。母たるものは、子供を事故死のために殺さないように気をつけなければならぬという状況になっております。これに対して文部省の注意も十分でなく、厚生省の御努力も十分に徹底しておらず、いわんや、大蔵省においては、厚生省を一番ばかにしておって、そして通産省ばかりひいきしているのが大蔵省でありますから、主計官殿参りましたか、私はまず大蔵省の厚生省係の主計官殿の体温をはかって、三十六度七、八分に達しているかどうか、それをはかってから聞いていただくほうが適当でないかという思いすらするのであります。三十八度では高過ぎます。三十五度ぐらいの御体温ではあるまいかと心配いたします。いや、体温は普通であるけれども、力が足りないということならば、スタミナの不足ということでございましょう。  そこで、最後に、薬の広告費の割合は薬に対して典型的に何割ぐらいになっておるかお尋ねしたい。私がイギリスに参りましてビタミンの広告を見ますと、これは医者の指導を得て、足らないというときに飲めばいいが、通常ならば普通の食べものに十分入っている、適時に飲まないと、かえって骨をもろくしたり余病が併発するから、ビタミンの使用はお医者さんに相談すること、こう書いてあります。しかるに、わが国では、この前も申し上げましたが、悲劇ハムレットの演劇の最中に「ぐぐっと元気」、「ぐぐっと元気」というような薬がありますが、そういうような種類の広告のしかたを許している厚生省というものは、一体どういう大脳皮質の持ち主であろうか。薬の広告、すべての広告は啓豪的役割りを果たすべきものであって、「ぐぐっと元気」で薬を飲ませるようなやり方は、私はまっぴらごめんこうむりたいと思います。厚生省はこの問題に対してどうお考えですか。また、薬九層倍と申しまして、誇大広告があまりにも多過ぎると思います。薬の広告は、人間の衛生の進歩と歩調を合わせて啓蒙し指導する役割りを持ってしかるべきであると思います。したがいまして、最近の化学療法の進歩によりまして、平均寿命が女子は七十三歳にもなり、われら罪深き男性も六十八歳ぐらいにまで平均寿命がなったのですから、むしろ薬の進歩と科学者の努力とお医者さんの労をねぎらう日、健康を祝する祝日、そのほうが紀元節で、雲にそびゆる高千穂のというような荒唐無稽な、落下傘がそのころなかったから、ニニギノミコトも天からおりたのではこっぱみじんになるでしょうが、そういう日よりも、お医者さんに感謝し、互いに健康をことほぐ日、私はそういう日が一日あったらよかったものであると思わざるを得ません。そこで、薬の広告について、これは新聞も薬に弱いし、ラジオも弱いですし、議会で声を大にして言う以外に方法はないでしょう。私がこういう御質問を申し上げたところで、ちょっとこれは新聞も取り上げにくいと思うのです。したがいまして、薬の広告費というものは一体どういう割合になっておるか。それに対して厚生省当局はどうようにこの問題を今後改善し指導していこうとしておるか。最後にこれを伺いたいと思います。  以上をもって、時間をはるかに超過いたしましたからもう申し上げません。お許しを願いまして、御答弁を願います。
  159. 今村譲

    ○今村(譲)政府委員 最初に身体障害者関係の御質問にお答えいたします。  身体障害者は、四十年八月の調査でありますが、十八歳以上が百四万八千、それから児童が九万八千、合計百十四万六千、こういう数字になっております。  それから、それに対する施設はどうかということでございますが、現在、国、都道府県、市町村、民間、全部ひっくるめまして、収容系統の施設が約百三十、収容力は約七千名ということでございまして、仰せのように、施設に入れて、リハビリテーションをしたら、より効果があがるんだがというふうなものが約その四、五倍、三万人から三万四、五千人くらいいるのではないか、こういうふうに考えております。  それから、東京都の身体障害者は、十八歳以上だけをとりますと、約五万八千名という数字になっております。  それから、第二点の職業の開拓の問題でございますが、身体障害者雇用促進法、これは労働省の所管でございますが、例の非現業ならば一・五、現業ならば一・四という比率を直すべきではないかというふうな疑問がございまして、労働省や関係各省いろいろ寄って、いま議論をしておるという段階でございます。
  160. 帆足計

    帆足分科員 これは最後ですから、いまの答弁と一緒に。  不良少年が、一万人について百二十名くらい現在発生している。これは狭い意味のものです。この数字を聞いて私は驚きましたから、これについての御説明と、それから盲ろうの諸君が、上級学校に入りたくても、はいれないで困っているので、文部省に対して、奨学金を出す、そういう便宜をできるだけ与えるように、その例として、モスクワの身体障害者に対する上級進学の制度はすばらしいものでありまして、上の学校に入ったら、学友五人くらいをつけるのです。学友制度というものがあるのです。これも参考になりますから、この問題を研究していただきたい。そうして、盲ろうの中で、向学の心を持っている青年が上級学校にいけるようにひとつ予算を取っていただきたい。もうほかに申し上げませんから、それをつけ加えて、そうして先ほどの残りの問題を御答弁だけお願いいたします。
  161. 渥美節夫

    渥美政府委員 精神薄弱児、あるいは精神薄弱者の対策につきましての現状についての御質問でございましたので、お答えを申し上げます。  精神薄弱者、これは児を含みますが、その数は、全体として国民の二・八%というふうにいままでいわれております。そういたしますると、全国で、子供につきましては約九十万、成人につきまして、十八歳以上のものにつきましては約百八十万人というふうに推定はされております。しかしながら、私ども厚生省におきまして、これらの方々のうち、施設に収容して保護すべきものであるし、また家族等もそれを望んでいらっしゃるという方々の数字を持っておるわけでございますが、その数字を申し上げますと、精神薄弱児の施設に収容して保護を与えねばならないであろうという方が約四万八千人。それから、精神薄弱児の通園施設というのがございまして、施設に二十四時間収容することは必要なくて、家庭施設とが互いに連携をいたしまして、子供の福祉をはかりたい、こういう通園施設でございますが、これに入れる必要があろうと思われる子供の数が一万八千七百名ということになっております。なお、十八歳以上の精神薄弱者が施設に入って、福祉厚生を受ける必要があろうと思われる方々の数字が五万八千人というふうに相なっております。これに対しまして、現状におきまして、昨年の暮れ現在でございますけれども、精神薄弱児の施設は全国で二百四十一カ所、定員といたしまして一万六千六百名、それから精神薄弱児の通園施設の定員が二千六百二十五名、精神薄弱者の、つまり十八歳以上の方々の援護施設の定員が六千四十八名、そのほかに、会社等におきまして、精神薄弱者を職業訓練のために親がわりに育成しているという職親という制度がございます。ここに委託されておりまする人たちが約八百人ということに相なっておりまして、御指摘のように、精神薄弱児対策はなおまだ非常におくれているわけでございます。私どもといたしましては、こういった施設の拡充ももちろんでございますが、さらに、家庭におき  ますところの指導でありますとか、あるいはこういった方々に対するいろいろな相談事業、こういった点につきまして、児童福祉法なり、あるいは精神薄弱者福祉法の法律によりまするおのおのの行政施策をさらに拡大していかなくてはならない、かように考えておるわけでございます。  なお、一番最後に御質問いただきました青少年の非行対策の問題でございますが、一般的に申し上げますれば、やはり青少年の非行化ということは社会的の影響もございますが、りっぱな家庭においてりっぱに育てられるというようなことがまず基本になろうかと、かように思いまして、家庭におきまする子供たちの健全育成の事業ということを重点的に考えております。  なお、したがいまして、そういった不良化傾向にあります子供をお持ちになっておりますおかあさん方に対する指導なり、相談なり、こういった問題につきましては、家庭あるいは児童相談所のそういった点の機能の拡充をさらにはかってまいらなくてはいけないと思いますし、なお、非行が現実化された子供たちに対しましては、全国に五十八カ所ございまする教護院におきまして十分な指導をいたしまして、世の中に送り出すというふうなこととか、いろいろな手段を講じまして、非行化対策を進めてまいりたい、かように思っております。
  162. 帆足計

    帆足分科員 上級学校への身体障害者の進学に  ついて……。
  163. 渥美節夫

    渥美政府委員 盲児、ろう児の施設も、福止施設といたしまして、ございます。ただ、教育の問題につきましては、文部省でやっておりまして、文部省の盲学校あるいはろう学校等の増設につきましても、厚生省におきまして、文部省と共同いたしまして、その設置あるいは学校の学級の増加なり、あるいは訓練の科目につきましての指導を徹底するようにお願いをしておるわけでございます。
  164. 帆足計

    帆足分科員 以上で終わります。ただ、私は、いまの数字を見まして、いずれも極端な数字で、不良少年のごときは一万人について百二十人、広義の不良少年予備軍はもっと多い。それから、精神障害者、身体障害者、この膨大な数字に対して、どの施策も九牛の一毛にすぎない。大蔵省当局においても、よく御勘案くださって、上司に伝えてください。その数字をもって速記録に残し、皆さんの注意を促したいと思って御質問申し上げたわけですから、各位の御検討をお願いする次第であります。
  165. 北澤直吉

  166. 加藤清二

    加藤(清)分科員 物価高のおりから、政府みずからが計画してつくるところの水道料金、これが非常に高い、そういう声が至るところで出ているわけなんです。水道料金が非常に高過ぎる。そこで私は、厚生省からデーターをとってみた。案の定、その裏づけをするところの数字が出てまいりました。そこで、この問題について一体大臣はどう考え、これを今後どうするか、こういうことについてお尋ねをいたします。  まず第一番、政府みずからがっくり出すところの水道、これの予算はことし幾らですか。
  167. 坊秀男

    坊国務大臣 水道事業に対する政府の補助は七億円でございます。
  168. 加藤清二

    加藤(清)分科員 とんでもない答弁をしておるわ。気をつけて答弁してくださいよ。七億円ばかりの補助で一億の人口の水道——今日では農村までが生活改善のために水道化されつつあるんだ。それで一体どけだけの水が出てくるのです。そうしてその結果は、一立米幾らになりますか。
  169. 坊秀男

    坊国務大臣 政府の、事業に対する補助が七億円でございます。そのほかに起債が千三百二十億円、こういうことになっております。
  170. 加藤清二

    加藤(清)分科員 一立米幾らになりますかと尋ねておる。
  171. 坊秀男

    坊国務大臣 担当局長からお答えいたさせます。
  172. 舘林宣夫

    舘林政府委員 本年度の水道の全事業は、おおむね千四百億円近いものと見通しておりまして、これに対しまする国の手当てといたしましては、一般上水道に対して七億円、簡易水道に対して十六億九千万円、起債の手当てが千三百二十億円、かような予定をいたしております。これによりまして……。
  173. 加藤清二

    加藤(清)分科員 よい、わかった。質問に答えてください。余分なことを言う必要はない、時間がないんだから。いいですか、七億円の手当ては全体の予算の何%ですか。
  174. 舘林宣夫

    舘林政府委員 五%程度です。
  175. 加藤清二

    加藤(清)分科員 委員長もよく聞いておいてくださいよ。補助金は五%しかないんだ。あとは起債、起債というけれども、これは全部自己負担になるのです。そこで、そこから発生するところの水道料は一立米幾らになりますか。
  176. 舘林宣夫

    舘林政府委員 全国平均の水道料金は、今日約二百三十円前後でございます。
  177. 加藤清二

    加藤(清)分科員 一立米二百三十円、あほなこと言うなよ。
  178. 舘林宣夫

    舘林政府委員 十立方メートルです。したがいまして一立米は二十三円ないし二十四円でござい  ます。
  179. 加藤清二

    加藤(清)分科員 一番低い水道料金、一番高い水道料金、それはデータがそこに出ておるのですよ。
  180. 舘林宣夫

    舘林政府委員 最も安いものは、十立方メートル五十円程度のものもございます。最高に高いものは……。
  181. 加藤清二

    加藤(清)分科員 一立米でやりなさい、そのほうがいいから。
  182. 舘林宣夫

    舘林政府委員 五円程度のものがございます。それから最も高いものは、百円に達するものがございます。
  183. 加藤清二

    加藤(清)分科員 五円はどこで、百円はどこですか。
  184. 舘林宣夫

    舘林政府委員 調査の上お答え申し上げますが、最も高いものは、簡易水道の山間僻地の分でございます。
  185. 加藤清二

    加藤(清)分科員 どこかと聞いておるのです。何県何町何村……。
  186. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま資料を持ち合わせておりませんので、調査の上、お答え申し上げます。
  187. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう一度大臣にお尋ねする。ことしの予算、政府援助はわずか五%、それで一体水の料金は幾らになる予定です。一立米幾らになるか。大臣、それを知らぬで予算編成しているんですか。それでもって水道料金を安うしますなんということが言えますか。
  188. 坊秀男

    坊国務大臣 この補助金交付でもって、そこで水道料金が幾らになるか、こういうことではなくて、非常に料金の高いところ、また現在の施設、五〇%以上の施設をするところ、そういったようなところへ割り当てていく、こういうわけでございますから……。
  189. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかった。時間の関係上、私の質問に答えてください。  物価を上げてもろうては困る。下げてもらいたい。政府みずからも物価は下げると言っておる。しかも、三党協定におけるところの五つの項目の筆頭なんです。物価を上げないようにする。下げるようにする。特に公共料金は下げるようにする。日本じゅう何ぴとといえども関係のあるものは物価のうちで水なんです。空気と水なんです。それで、水のことについて聞いておる。ことしの予算の七億円補助で、一体一立米幾らの水を飲ませるつもりであるかと聞いておる。それがわからぬで、どうして上げますの、下げますのということが言えますか。
  190. 坊秀男

    坊国務大臣 今度の予算計画では、水道水源の開発、それから広域水道のための補助金ということでございますので、七億円でもって結局はそういったような設備に補助をしていくということによりまして、料金の引き下げということも考えておりますが、直ちにこれでもって幾ら下げていく、こういうことではないのであります。
  191. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなたのほうに、水道料金が高過ぎる、だから下げなければならぬ、その計画がないという、それが証拠なんです。それじゃ、なぜ一立米百円もする水が出来するか。その原因をまず承りましょう。そこからいくとようわかるから……。
  192. 坊秀男

    坊国務大臣 ともかく、水道料金の高いということは、その施設設備等に金がかかるということが原因して、水道料金にはね返ってきておる。
  193. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのとおりです。それだけわかっておれば、一千億もかかる建設費に七億ばかりでどうして安くなるか。つまり水は天から降ってくる、地からわいてくる、これは材料代がかかっておるのじゃないのです。水道料金の原価計算をやってみれば全部が施設費である。管理費であり減価償却費なんです。なぜ百円もするかといえば、その設備費を全部水道料金のコストに割り込んでいることと、もう一つは、減価償却を非常に短かくしておるというところにある。それでは、その資金源を政府が持たなければ、政府みずからが水道料金を安くしますとは言えないでしょう。それとも工事費を安くさせられるかといったら、それはできないでしょう。厚生省ででき得ることは、政府の補助金をよけいつけるということです。それ以外に手はないはずです。あったら言ってください。
  194. 坊秀男

    坊国務大臣 今日まで水道に対しては補助政策はとっていなかった。そこで今度四十二年度におきまして補助政策をとる、こういうことをやったわけでございまして、もちろん、今度四十二年度が皮切りと申しますか、そういうようなことで、私も七億円という予算はほんのわずかなものだと思っておりますけれども、漸次これを拡張していく、こういう考えでございます。
  195. 加藤清二

    加藤(清)分科員 来年のことを聞いているのじゃないのです。来年あなたが大臣をやっているのか、やってないのかわからない。再来年あなたが厚生大臣であるのやら、ないのやらわからないのです。そんなことを聞いているのじゃなくて、わずか七億円ばかりの政府予算でもって一千何百億円という工事費、これで幾ら安うなるか、そこから生まれてくる水は一体幾らなのかと先ほどから何回も聞いておるが、答えがない。ということは、試算がしてないのか、あるいはこの予算七億円をとるときに、すでに一立米に対する単価試算が行なわれていない証拠なんです。あったら出してもらおう。
  196. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今回の七億円の補助金は、特に先行投資的なダムの建設、水源の開発事業並びにそのダム工事費が非常に高い、特段に高くつくというものの水源に対する補助をいたしまして、それによって単価が非常に高くなることを防ぐという趣旨と、水道の広域化を助成するという意味合いで主要幹線水道に補助をする、この二種類でございまして、この補助対象になりました地域に対しましては相当額の単価の引き下げに影響してまいる、かように思いますけれども、お尋ねのように、全国的には、七億円でございまして、現に高いところの水道料金を引き下げるという働きを持つものではございませんので、これで直ちにどの程度下がるというお尋ねにはお答えできないわけでございます。ただ……。
  197. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかった。私の質問に答えてもらいたい。私は抽象論やうたい文句を聞いているのじゃないのです。そんなことでは水道料金の値下げは永久にできませんわ。医療費を上げなければならぬが、その中に含まれる薬代が高過ぎる、この場合は相手がいるのです、業者が。だから、これはむずかしいでしょう。しかし、この水道料金の場合は、相手は天か地なんです。あなたたちの意思だけでできるはずなんです。問題は主計局長とあなたたちが渡り合うときの問題だけなんです。主計局長と渡り合う、大蔵大臣大臣が折衝する、そのときに、一体水道料金はいかほどにしたならばよろしいかという基準があってものを言っていたのか、そうでなかったのかということを聞いておるのである。いま予算審議ですよ。文学論をやっておるのではないのです。幾らかということが問題なんです。物価においては安うするか高うするかということが問題なんです。文学論や、そんな言いのがれ論や、抽象論を聞いておるのではない。幾らにしようとしていたのです  か。
  198. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今回の水道の水源開発費並びに広域化水道の補助金を計画いたしますについては、特に幾らが水道料金のあるべき姿かという目標を設けたわけではございませんが、おおむね私どもの考え方の底にございますものは、全国平均からあまり高いものは適当でない、かような考えで、今回の水源開発費に対する補助金も、格段に水道料金が全国平均を上回るようなものに対して補助をして引き下げの措置を講じよう、かような考えでやったものでございます。
  199. 加藤清二

    加藤(清)分科員 水道料金のあるべき姿が幾らであったらよろしいかということの基準がなしで交渉しておった。はしなくも、いいことばを聞きました。そうなりますと、厚生省においては、たび重なる予算において水道料金が高過ぎるといわれておっても、それに対する答えはなかったということなんです。あるべき姿が幾らであったらよろしいかという基準考えずにやっておった。ただ平均より高過ぎるところを下げてやろうと思っておっただけだ。こんなことは子供の算術ですよ。そんなことでよろしいですか。こういう調子だからどえらい格差ができる。工業用水は幾らになっておるか、厚生大臣。そんな村役場の役人みたいなことを言っておってはいかぬです、基準なしで。
  200. 坊秀男

    坊国務大臣 工業用水は四大工業地帯では一トン当たり六円、その他一トン当たり四円五十銭、こういうことになっております。
  201. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう一度お尋ねする。四大都市で六円ですか。うそ言うたらだめですよ。——どこで調べてきたのですか。それをだれに聞いてきたのですか。通産省の企業局長を呼びなさい。——どこで調べてだれに聞いたかと聞いておる。
  202. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま大臣が申し上げましたように、四大工業地帯は工業用水はトン当たり六円でございますが、地盤沈下対策水道は特に五円五十銭、その他の地域はトン当たり四円五十銭でございますが、地盤沈下対策水道は四円、かようになっておるということを私どもは通産省の担当課から伺っております。
  203. 加藤清二

    加藤(清)分科員 四大工業都市とはどことどこのことを言うておるのですか。
  204. 坊秀男

    坊国務大臣 京浜、中京名古屋、大阪、北九州だと思います。
  205. 加藤清二

    加藤(清)分科員 名古屋の水道料金、工業用水は六円ですね。
  206. 坊秀男

    坊国務大臣 いまの調べによりますれば、四大工業都市は六円。
  207. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう一度お尋ねいたします。六円ですね。
  208. 坊秀男

    坊国務大臣 ただいまの私どもの調べによりますれば六円です。
  209. 加藤清二

    加藤(清)分科員 だから、それはだれに聞いてどこで調べてきたかと聞いておる、そんなうその報告を。だから企業局長を呼んだ。——こういう比較対象がわからぬから、高いところを安くすると口で言いながら全然できていない。
  210. 北澤直吉

    北澤主査 加藤君に申し上げますが、通産省の局長が来られるまで、ひとつほかのほうの問題に移ったらどうですか。
  211. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これを言わないと次に続かぬ。ここだからいいが、あしたの総括だったらどうするんですか。
  212. 北澤直吉

    北澤主査 もうすぐ来ますから、どうぞ質疑を続行してもらいます。
  213. 加藤清二

    加藤(清)分科員 はい、続行いたします。答弁を要求いたします。どこで調べて、だれから聞いてきたかと聞いておるのです。つまりそのデータの出所を聞いておるのです。
  214. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま申し上げましたように、通産省の担当の課でございまして、工業用水課でございます。
  215. 加藤清二

    加藤(清)分科員 しからばお尋ねする。京浜工業地帯、千葉の川鉄の水道料金は幾らであるか。名古屋の海岸にできておる東海製鉄、この水道料金は幾らであるか。あなたの言うた六円とはみんな違っておる。
  216. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま申しました工業用水道の値段は、これ以下が基準でございますので、私のほうで詳細はわかりませんけれども、それ以下のものもあろうかと思います。
  217. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そんなだろうぐらいな感覚でどうして比較対照ができますか。あなたはさっきこういうことをおっしゃったのですよ。高い水道料金と安い水道料金と比較して、めどはこれという数字は持っていないけれども、安いところと比較して、それでめどをきめるとおっしゃった。安いほうの実態をつかむのに、だろうぐらいの材料でもって推定されておってはたまったものじゃない。こんなものはいままで国会の予算審議のときに何回か行なわれたことなんです。四円以上の工業用水は昭和三十年以前にはほとんどございません。ただ、それ以後地盤沈下が激しくなって、やむなく遠いところから水を引かなければならぬ場合においても、なお五円六十銭以上では工業が成り立たないから、それ以下に押えてもらいたいという工業のほうの希望が政府でいれられて、それをめどに水道が引かれるがゆえにそれ以上になっていないんだ。五円六十銭以上のところがあったら調べてもらいたい。六円とおっしゃいましたね。あなた、前言をくつがえす意思はありませんか。——それじゃ、どこが六円ですか。何会社が六円ですか。
  218. 坊秀男

    坊国務大臣 こまかいことで、どこがということにつきましては……。
  219. 加藤清二

    加藤(清)分科員 六円と言うた以上は、あるはずでしょう。
  220. 坊秀男

    坊国務大臣 私どものただいまの調べによりますれば六円ということです。
  221. 加藤清二

    加藤(清)分科員 六円と言う以上は、どこで六円で売っているかという証拠がなければ六円と言えないでしょう。証拠なしで言っているのですか。
  222. 坊秀男

    坊国務大臣 工業用水のことでございますから、それぞれの個所について調べたものではないのでございまして、通産省から調べをいただきましてのお答えであります。
  223. 北澤直吉

    北澤主査 加藤君に申し上げます。  御要求の企業局長はただいま第三分科会に出席中でございまして、かわりに産業立地部長が十分以内にこちらに出席するそうです。
  224. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、あえて工業用水を何会社が幾らで買っておるかなんていうことは聞きたくない。そんなことを初めから厚生大臣に聞こうとは思っていない。私が聞きたいのは、厚生省は国民の飲む水道料金についてどのくらいの目標額をもって予算編成に臨んでおるかということを聞きたいにもかかわらず、そのお答えがない。次に何とお答えになったかというと、高いところと比較してみて——比較してみるということは、安いところと比較するということだ。だから、高いところと安いところを比較してみて、高いところを削ろうとしておる。こういう状況で削るための予算をつけようとしておる。こういう話だから、あなたたちのぺースに乗って動いておるんですよ。したがって、高値百円、低値は一体幾らであるかと聞いたら五円とおっしゃったけれども、工業用水はと聞いたら、六円とあなたはおっしゃった。そうでしょう。それに乗って聞いておるんですよ。私は原稿をつくってきて読み上げておるのではない。あなたは六円とおっしゃったでしょう。しからば、どこが六円ですかと聞いておる。さっきも聞いた。水道料金百円はどこで、低値は五円だとおっしゃったから、それはどこですかと聞いたら、それもわかってないじゃないか。自分のところの所管である水道料金の高値はどこで低値はどこかと言ったら、それもわかってないじゃないか。工業用水は知らぬと言っておるが、じゃ、もう一度お尋ねする。高値百円、低値五円とおっしゃったが、それはどこであるか。同時に、五円は全体の何%ぐらいあって、百円は全体の何%ぐらいあるか。そういう積算なしにどうして予算が組めますか。あえて工業用水を聞こうと思っていないから呼んではいない。ここだけで話を片づけようとしておるのだ。気の毒だから工業用水はシャットアウトして、あなたのところを聞いておるんです。本日はもう分科会の最終日です。分科会が終わる時間が秒読みになってきておる。したがって、秒は皆さんに迷惑をかけてはいけないから、次に進めます。  それで、主査にお願いするが、私の質問を主査がお聞きになって、きわめて不当である、ないしは不可能であるという質問であったならば、質問を打ち切ってください。同時に、妥当だ、当然予算編成上そのぐらいの積算の基礎はなければならぬとお考えになったならば、あすの一般質問並びにあさっての総括質問までに、私の質問に対する答えができるようにしてもらいたい。わかりましたか。では、それを一度言ってください。
  225. 北澤直吉

    北澤主査 先ほど来加藤君からいろいろ資料の要求がありますが、できれば明日の一般質問のときまで、明後日の総括質問のときに加藤君が立ちますから、できればそれまでにできるだけ提出できるように御努力願います。
  226. 坊秀男

    坊国務大臣 しばしば申し上げておりますとおり、今度の水道水源開発、広域水道化という予算は、水道料金の単価を幾らにするというところから出発したのではなくして、とにかく設備施設等に建設費が非常にかかっておりますので、それをできるだけ引き下げていく、これを引き下げることによって水道料金というものを引き下げていこうということで出発したのでございます。
  227. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかりました。引き下げるにあたって、目標と基準を聞いたわけだ。基準と目標、それがわかっていないということなんです。引き下げる、引き下げると口でばかり言っておって、それでは何を基準にどれだけ引き下げるんです。そんな抽象論じゃないですよ。さっき帆足さんが言うておったけれども、帆足節とは違うんだ。そんな文学論じゃないんだ。ここは予算論なんだ。そうでしょう。やるかやらないか、下げるか上げるか、これですよ。値段だったら上げるか下げるか、これで妥当なのかいなか、そういうことなんですよ。それであなたは下げたいとおっしゃるならば、それなら何を基準にどれだけ下げなさるかと聞いて何が悪いんですか。それについてどうやってやるというのですか。
  228. 坊秀男

    坊国務大臣 その水道料金というものが、おっしゃるとおり安くない、高い。高いから、高いのは何がために高いかというと、建設費が高い、そういうことで、少なくとも建設費を国が幾ぶんなりとも出していくことによって建設費を下げていく、そういうことで料金を下げることに資したいということでございます。
  229. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかりました。では、実例を申し上げましょう。  国家が最近つくりました水道です。その水道の料金が、同じ水道から同じ水を引いておって、工場の中でこれを使うと四円、へいの外で使うと四十四円、なぜそう違うか。外の場合は幹線工事から支線工事まで、全部原価コストに建設費を割り込んでいるのです。ところが工場のへいの中でこれを使った場合には、建設費はほとんど国家持ちで、管理費だけなんです。なぜそうなるか。片や工業の場合は、工業用水道法によって頭打ちがきめられている。四円以下、五円六十銭以下、それ以上に伸びる場合は全部国家持ちなんです。したがって、某水道の工業用水に対する国家補助は、ため池をつくるだけで第一回が十六億七千万、次は四十六億、予算審議においてこういうふうに出ておるんです。ところが、お宅のほうが所管なさるところの飲料用水については、国全体でいまお話しの七億しか出ていないわけです。そんなことで水道ができますか。いま私が申し上げました十六億七千万、四十六億、これは一つの水道ですよ。だから片方においては四円前後でできるし、同じ水を飲みながら、同じ水道の水ですよ、片方は四十四円。しかし、その水の最高は五十五円です。なぜこうなるか。言わずもがな、建設費の問題ではあるけれども、片や建設費はよけい出て、片や建設費が出ていない。しかし、同じ水道でございますから、これをつくるときに、ここからこっちが飲料用水、ここからこっちが工業用水というわけではないですよ。つまり国民一般が飲む場合には、建設費を全部国民の料金にひっかけてくる。片やひっかけないから、それだけの違いなんです。これで、あなたはさっき高いところを低うするとおっしゃったが、そういうことができますか、どうなんです。こんなことはきょう始まったことじゃないですよ。長年続いてきているんですよ。
  230. 舘林宣夫

    舘林政府委員 御指摘のように、水道料金は、水道の工事費が大きくのしかかっておるということで、非常に価格が高くなってきておる。最近の工事費は、特に上昇傾向にございまして、水道料金はますます高くなるわけでございます。したがいまして、特に水道料金が高くなるおそれのある工事費が非常にかさむというものと、いま一つは、先行投資性が非常に強い、御承知のように水道料金は、現在の住民に全部かかってまいりますので、将来増加すべき住民を予測した水道の拡張の経費が、全部のしかかってくるということで、非常に先行投資性の強いもの、並びに水源開発費の高いものに対しまして、本年度から特に補助金を出したいということで、三分の一の補助を出すことにいたしたわけでございます。それによりまして、その補助対象になりました水道におきましては相当程度の料金の引き下げに役立つと思われますが、今日の総額から申しまして、七億でございますので、それによって全国的にこれが働くということもまだなかなかでございますし、既存の相当すでに高い水道がございますが、それらに対してはこの措置では救済できないということで、お尋ねのような全国的に水道料金を引き下げるというのには必ずしも寄与するわけではございませんけれども、補助金ばかりでなくて、起債の面でも、できるだけ有利な起債条件でやりたいということで努力をいたしておる次第でございます。
  231. 加藤清二

    加藤(清)分科員 努力している、努力しているというけれども、あなたの努力を否定しているわけではない。こうなると、何べんでも同じことを繰り返さなければならぬ。一体、水道料金を妥当と思っているのかいないのか。妥当とすれば、何が基準であるか、高いというならば、どのくらい引き下げようとしておるのか、それを予算上どのくらい組んでいるのか、こういうことを聞いておるのです。文学論じゃないのです。形式論でもない。形式論で大体言いのがれだけすればこれでよろしいなんという、そんな考え方で予算は審議してもらっては困るのです。工業用水は基準が四円、飲料用水は新しくつくったところはみんな四十円以上、これでよろしいと思いますか。
  232. 舘林宣夫

    舘林政府委員 最近建設費……(加藤(清)分科員「思いますか、思いませんかと聞いているんです。そのものずばり答えたらいいでしょう。」と呼ぶ)工業用水に比べて、一般住民の水道は割り高であるということで、本年度補助政策をとってまいろうといたしておるわけでございます。
  233. 加藤清二

    加藤(清)分科員 補助政策をとるとおっしゃいましたね。何年計画でどのように引き下げますか。
  234. 舘林宣夫

    舘林政府委員 いまの段階で、直ちに急激な、料金の目標を置いて、そこまで下げるということでなくて、当面特に高い水源開発費を要するものに目標を置いて補助をしていこう、かような考え方でおるわけでございます。
  235. 加藤清二

    加藤(清)分科員 高いということだけはわかったようです。しかし、それじゃ、その高いのを引き下げるにあたって、どれだけ引き下げるか、何年計画でそれを実行するかという、それはないようでございます。そうなりますと、希望はあるけれども計画はないということなんです。理想はあるけれども予算の裏づけはないということなんです。それでもって政府自体は、国民に向かって水道料金を引き下げますということが言えますか。これがいなかの山奥のじいさん、ばあさんのところへ行って、選挙の宣伝だけならよろしゅうございます。こういうことが繰り返されておるから、公約は全部うそであると国民が認識するようになる。そうでないとおっしゃるならば、あなたはここで計画を出してみてください。物価引き下げは三党共同の申し入れ事項である。
  236. 坊秀男

    坊国務大臣 水道の整備計画は、これは五カ年計画でもってやっておりますが、その料金を幾らにしていく、こういったことについては、計画的な年次的なものはございません。
  237. 加藤清二

    加藤(清)分科員 きのう、おとといの朝日新聞をごらんになるとようわかる。整備されても高過ぎるから返納が出ておるのです。もう要りませんと言っておる。やっぱりうちで井戸を掘ったほうが安い、安上がりだ、こういうところが次から次へ出てきておる。特に地盤沈下地帯においては、自由意思で掘るところの井戸も掘ってはいけないということになっておる。そうでしょう。政府が命令をもって井戸を掘ってはいけない、こういうのだったら、よそから引っぱってくる水くらいは、それに見合うだけ安うしたらどうなんですか。当然の義務なんです。それが計画もなければ——理想がないとは言いません。理想はあるようだが、計画はない。そこで大臣、それでよろしいとお考えですか、いなとお考えですか。もう一度尋ねる。理想はあるけれども、計画がない。整備計画じゃないですよ、コスト引き下げの計画ですよ、それがない。そのコスト引き下げの計画なしに、整備だけして、値段は上がりっぱなしで、それでいいとお考えか、悪いとお考えか、どっちですか。
  238. 坊秀男

    坊国務大臣 水道を整備していくというこの計画は、やがて水道料金に影響してくる……(加藤(清)分科員「ますます高くなる」と呼ぶ)いや、いや、それで水道を整備していく計画に、できるだけ料金も安くしていくというために、まあ、非常に七億という金はわずかなものではございましょうけれども、これが頭を出して、そうしてこれをだんだんとふやしていくという計画になっております。
  239. 加藤清二

    加藤(清)分科員 何年計画で、何年後にはいかほどになさる御予定でございますか。
  240. 坊秀男

    坊国務大臣 料金を何年目に幾らにするという計画は持っておりません。
  241. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それなくてよろしいとお考えですか。住宅のほうにはちゃんとありますよ、建設省には。
  242. 坊秀男

    坊国務大臣 整備をだんだん進めていくことによって、そして引き下げていくということであります。
  243. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の質問に答えていただきたい。整備、整備といって、整備計画のあることはようわかったから、整備されても値段が高うなると言っている。新しくつくれば建設費が高いから、あなたもおっしゃたとおりだが、引き下げ計画がなければ、返納が出てきておると言っておる。井戸を掘ったほうがよろしいと言っている。同じ堂々めぐりの答弁なんかしなさんな、なければないでいいです、いまつくれとは言わないから。整備計画はある、理想はあるようだが、水道料金を引き下げる計画はないようである。それでいいとお考えですかと聞いておる。
  244. 舘林宣夫

    舘林政府委員 水道料金は、電気料金、米等と並んで、国民生活の基本的な物価でございますので、政府としましても、一応の目標を持って進む必要があるということで、私どもとしては、将来ともに検討してまいりたい、かように考えております。
  245. 加藤清二

    加藤(清)分科員 検討でなしに、私の質問は、水道料金はほっておけば上がりっぱなしに上がっていく、建設費が高いから。で、下げる計画、料金の理想、これなくていいか悪いかと聞いているのです。いいか悪いかの問題なんです。
  246. 舘林宣夫

    舘林政府委員 水道料金の急激に上がることを避けるために、政府としては水道料金の目標をできるだけ持って、それに近づける、あるいはそれをあまり逸脱しないような方向で水道料金のあり方を定めるという方向に努力をする必要がある、かように思います。
  247. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ここは予算審議なんです。抽象論を聞くところじゃないのです。物価が高くて困っているのだから、このままほっておいたら水道料金も上がりっぱなしに上がる、それを引き下げる計画があったほうがいいのか、なくてよろしいのかと聞いている。そうしたら、検討するということなんです。検討だったら、お尋ねしましょう。いつまでに検討した結果が出ます。
  248. 舘林宣夫

    舘林政府委員 引き下げる意味で、本年度特に高くなるものに対しまして、補助金の制度を設けるわけでございます。
  249. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなたの理想があることはようわかったのだが、ないというのなら、もうあなたは私の質問に答えられなければ答えぬでもいいのです、総括質問でやるから。水道料金を下げる計画、これはないようでございます。それでもって生活必需物資、物価値上がり等々を計算するところの経企庁の積算はどうかと、経企庁へ私は聞きますよ。なしでやったのか、データあってやったのかと。そのときに、あなたどう答えます。ここだけ言いのがれたら、それで事は足りるという問題じゃないのです。  大臣に聞く。値下げ計画はありやいなや。
  250. 坊秀男

    坊国務大臣 いまも再々申し上げましたとおり、幾らにということはいまございません。
  251. 加藤清二

    加藤(清)分科員 理想がないことはわかった。引き下げる計画はありやいなや。
  252. 坊秀男

    坊国務大臣 だから、引き下げるために整備計画をやっている、こういうわけでございます。
  253. 加藤清二

    加藤(清)分科員 整備をされただけでは値上がりがくると言っているのだ。いままでの大臣の答弁でもそうなんだ。河野氏もそう答えたのだ。整備すれば安うなると言ったけれども、整備してつくってみたら、とたんに十倍なんですよね。この問題は、経企庁において水系指定をして多目的ダムをつくるというときに、もうすでに論議済みの問題なんです。いまだに計画がない。そこで、こんな押し問答をしていても、どうせないにきまっているのだから、あったら総括質問までに出していただきましょう。なければどうなる。値段を引き下げるという目標も、努力も行なわれないということになる。それだけのことなんです。ありましたら、出してもらいましょう。なければないでやむを得ません。  次へ進みます。こんな状態じゃどうも——抽象論やことばだけで予算審議が終わるなんと思っておられたら、たいへんなことだ。もう一つだけお尋ねする。環境衛生について、本年度は環境衛生業界に対して、予算に特別措置がとられているようでございます。これは一体予算は幾らでございますか、坊大臣
  254. 坊秀男

    坊国務大臣 お答えいたします。  政府出資金が十億、資金運用部資金借り入れ金が二百三十七億、回収金等で五十三億、仰せのとおり三百億でございます。
  255. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そんなことは、予算審議だから、暗唱しておかなければね。  さて、それは去年のこの業界に対して行なわれた融資とどれだけの違いがございますか。
  256. 坊秀男

    坊国務大臣 去年は二百億でございます。
  257. 加藤清二

    加藤(清)分科員 二百億だけですか。
  258. 坊秀男

    坊国務大臣 二百億だけでございます。
  259. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう一度お尋ねする。この業界に対して行なわれた融資は、二百億ですか。
  260. 舘林宣夫

    舘林政府委員 環境衛生関係営業の近代化、合理化に対しまして、国民金融公庫の中の別ワクとしてきめられたものは二百億でございますが、そのほかに一般貸し付けとして国民金融公庫の中で相当額貸し出されておりますし、また、一部は中小企業金融公庫の中でも融資が行なわれております。
  261. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それは幾らでございますか。
  262. 舘林宣夫

    舘林政府委員 国民金融公庫の他のワクの中から貸し出されております額は約百三十億でございまして、中小企業のほうはちょっと手元に数字がございません。
  263. 加藤清二

    加藤(清)分科員 環境衛生の関係業種、それに対して中小企業金融公庫から幾らか、国民金融公庫から幾ら貸し出されているか。その二百億とは別ですね。それを聞いておるのです。
  264. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま百三十億とお答え申し上げましたのは、その二百億のほかに、国民金融公庫の中で環境衛生関係営業に対して貸しておる額であります。そのほかに、中小企業金融公庫でも、環境衛生関係営業に貸し出しが行なわれておりますが、ここにはその数字を持ち合わせておりません。
  265. 加藤清二

    加藤(清)分科員 二百億のほかに百三十億とおっしゃいましたね。それでいいですか。それは昭和何年の話なんですか。
  266. 舘林宣夫

    舘林政府委員 少し申し間違えました。二百億貸す予定でおったものが百三十億で、そのほかに別ワクとして約二百億程度——別ワクと申しますか、特別ワク以外に約二百億貸し出されております。
  267. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大臣、よう覚えてくださいよ。前段に申された局長の数字が間違いで、後段におっしゃられたのが正しいのです。環境衛生に特ワクが去年二百億設けられた。しかし、実質貸し出されたのは百三十億から四十億程度です。別口として中小企業金融公庫から二十七億ばかり出ておるのです。これが実態なんです。ところで、二百億のほかに百三十億あるとおっしゃった。二百億のほかに百三十億というと、三百三十億あったはずだ。三百三十億あったものが、ことし三百億になったら減ったではないか、どうなんだ、大臣
  268. 坊秀男

    坊国務大臣 最初に環境衛生局長から申し上げたのは間違いでございましたが、その二百億のワクの中から百三十億を貸し付けたのでございますから、今度は三百億というものは、去年よりは相当上回っております。
  269. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それではあなたにお尋ねします。では、ことしの貸し出し金額は大体どれだけになりますか。
  270. 坊秀男

    坊国務大臣 四十二年度でございますか。その三百億のうちで幾らになるか、こういうお話ですか。
  271. 加藤清二

    加藤(清)分科員 四十二年度環衛に関する貸し出し金額は、幾らになりますかと聞いておる。
  272. 坊秀男

    坊国務大臣 だから、ワクが三百億でございます。
  273. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ワクを聞いておるのではない。幾らになりますかと聞いておるのです。
  274. 坊秀男

    坊国務大臣 それはいまのところ三百億というのが一応のワクでございますから、その三百億に近いものだと思います。
  275. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そういう計算をしておって、よく金融がやれますね。去年の残はどうするのです。
  276. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ことしの三百億の計画の中には、回収金等五十三億になっておりまして、その中に去年の残を含めてやっております。
  277. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それは金融論をやっていない者にこんなことを聞いたって気の毒だ。これは問題になっておるから聞いておる。それでは、大臣でわかる点だけにしぼって申し上げて結論にしましょう。  この公庫ができた場合に、主管主務大臣はどこにするとよろしゅうございますか。
  278. 坊秀男

    坊国務大臣 こういうような金庫は、この環衛公庫だけではありませんが、大蔵省とその業を主管しておる役所との共管ということになると思います。
  279. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう一度お尋ねします。はっきりと名前を言うていただきたい。
  280. 坊秀男

    坊国務大臣 環衛営業は厚生省が主管しておりますので、厚生省と大蔵省との共管ということになると思います。
  281. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それはあなたの、いまの厚生大臣坊氏の——坊とは某ではなしにあなたの坊ですよ。坊氏の意見なのか、それとも閣議決定の意見なのか、それとも、自民党の政調会の意見なのか、それとも総理大臣意見なのか、いずれでございますか。
  282. 坊秀男

    坊国務大臣 私の意見とかだれの意見とかいうことでなくして、これはこういう筋合いのものだと思います。
  283. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それではこう尋ねましょう。おたくの自民党の政調会では決定いたしましたか。
  284. 坊秀男

    坊国務大臣 決定しておるようにはまだ承っておりません。
  285. 加藤清二

    加藤(清)分科員 けさの閣議では決定いたしましたか。
  286. 坊秀男

    坊国務大臣 けさの閣議では触れておりません。
  287. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その後、政調会長と相談されたはずでございますが、それはどうなりましたか。
  288. 坊秀男

    坊国務大臣 その後、政調会長と相談いたしておりません。
  289. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのことはけさの閣議後の話ですね。
  290. 坊秀男

    坊国務大臣 そうです。
  291. 加藤清二

    加藤(清)分科員 相談はあなたがしていないだけだ、そうですか。
  292. 坊秀男

    坊国務大臣 その後、政調会長とは会ってもおりません。
  293. 加藤清二

    加藤(清)分科員 この分科会を行なうにあたって、本件はどこに所属をされたのでございますか。
  294. 坊秀男

    坊国務大臣 ちょっと御質問の趣旨が……。
  295. 加藤清二

    加藤(清)分科員 分科会を行なうにあたって、本件、すなわち環衛金融公庫はどこに所属をされたのですか。——こういうずさんな予算を組んでいるのですよ。
  296. 坊秀男

    坊国務大臣 予算厚生省から要求申しておるということでございますから、本分科会厚生省の事項を所管する分科会でございますので、厚生省予算として御審議を願っております。
  297. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ここの分科会にかかっておるのですか。
  298. 坊秀男

    坊国務大臣 第一分科会の所管でございます。
  299. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなたはいま、厚生省に所属して審議を願っていると、前段においておっしゃられましたね。それは当てずっぽうなんですか。どうも当てずっぽうの答弁が多いね。
  300. 坊秀男

    坊国務大臣 厚生省予算でありますので、非常にこれは関連……。
  301. 加藤清二

    加藤(清)分科員 余分なことを言わぬでもいいです。
  302. 坊秀男

    坊国務大臣 本分科会に非常に密接な関連がある事項として、そこで本分科会で御質問にお答え申し上げておるわけであります。
  303. 加藤清二

    加藤(清)分科員 御質問にお答えは、現実だからようわかっておるんだ。そうじゃなくて、さきにあなたは、この環衛金融公庫法はこの分科会にゆだねられたとおっしゃった。ところが後段においては、それは大蔵省にゆだねられたとおっしゃった。いまの瞬間にもう間違っているでしょう。それじゃ、自信もなければ何もないはずなんです。もう一度お尋ねします。こういうことになると、総括でもめるからです。もう一度あなたにお尋ねします。どこへかかったのですか。
  304. 坊秀男

    坊国務大臣 最初に申し上げましたことは間違いです。取り消します。
  305. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかりました。それはそれでけっこうです。なぜ大蔵省にかかったでしょう。
  306. 坊秀男

    坊国務大臣 こういうような政府関係の金融機関の予算というものは、大蔵省の所属する分科会にかかるわけでございます。
  307. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そういうあほうなことを言うもんじゃないです。そんなことは百も承知です。それじゃ、農林金融公庫が大蔵省にかかりますか。これはあなたのほうからの意思表示がないために、理事会においてやむなくそう始末をつけたんだ。政調会からも意思表示がない、閣議からも意思表示がない、さてどこにするか。そこで、主査に聞いてごらんなさい。それはやむを得ぬから大蔵大臣のほうへ置いておきましょう。しかし、そのことは与党の理事からあなたのところへよく通告して、私がこのことで質問するから、よう準備しておかなければいけませんぞと予告してあるのです。冗談じゃないです。  それでは、以後の問題については総括質問においてお尋ねします。それまでによく腹をくくって出てきていただきたい。こういうずさんな予算審議、本人がどこへ所属しておるかわからぬような者が答弁しておる。そんなことで予算が通るとお考えですか。とんでもない話なんだ。こんな予算審議なんというものは、生まれて初めてです。私は毎年予算審議に参加しているのですけれども、生まれて初めてなんです。こんなずさんなことで——どこに所属しておるかわからぬ。ことしの総体のワクが、いまあなたのお答えになっておるのと違うんですよ。三百億は正しいですけれども、去年の残が残ってきて、ことし加わるじゃないですか。そんなことがわからぬようで金融が行なえますか。しかも、この相手は料理屋あり、キャバレーあり、コーヒー屋あり。しかし、キャバレーその他は抜くとしても、不渡り手形、融手、この書き合い、金融では最も難渋している対象なんです。そんなずさんなことで国家の金を、三百億なんというたいへんなお金をかってにされては、たまったものじゃない。よくよく検討していただきたい。私どもは野党でございますから、いずれが妥当であるなどということは思っておっても、それは言う必要もなければ、おたくのほうの政府に対する内政干渉もしなければ、与党に対する内政干渉もいたしません。しかし、自分の担当しているものがどこに所属しておるかわからぬような、そういう審議は許されません。それは正示さんが大蔵出身だからようわかるはずであります。よくよく御検討の上、確答が直ちにできるように御準備をして御出席を願いたい。以上でございます。
  308. 北澤直吉

    北澤主査 これにて厚生省所管に対する質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算中、外務省所管、文部省所管、厚生省所管及び労働省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  309. 北澤直吉

    北澤主査 この際、あはかりいたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算中、外務省所管、文部省所管、厚生省所管及び労働省所管に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることとして御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  310. 北澤直吉

    北澤主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて第二分科会の議事はすべて終了いたしました。  分科員各位の御協力を心から感謝いたします。  これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会