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1967-04-21 第55回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十一日(金曜日)     午前十時十二分開議  出席分科員    主査 野田 卯一君       仮谷 忠男君    登坂重次郎君       船田  中君    松野 頼三君       加藤 清二君    唐橋  東君       阪上安太郎君    島上善五郎君       池田 禎治君    正木 良明君    兼務 大原  亨君 兼務 門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         厚生省公衆衛生         局長      中原龍之助君         厚生省援護局長 実本 博次君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治大臣官房会         計局長     薄  津芳君         自治省行政局長 長野 士郎君         自治省選挙局長 降矢 敬義君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君         消防庁長官   佐久間 彊君  分科員外出席者         警察庁長官官房         企画審査官   北野筍一郎君         警察庁交通局交         通企画課長   片岡  誠君         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         自治大臣官房参         事官      鎌田 要人君     ――――――――――――― 四月二十一日  分科員横路節雄君、永末英一君及び渡部一郎君  委員辞任につき、その補欠として島上善五郎  君、池田禎治君及び正木良明君が委員長指名  で分科員に選任された。 同日  分科員島上善五郎委員辞任につき、その補欠  として唐橋東君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  分科員唐橋東君及び池田禎治委員辞任につ  き、その補欠として横路節雄君及び永末英一君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  第二分科員大原亨君及び門司亮君が本分科兼務  となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算自治省所管  昭和四十二年度特別会計予算自治省所管      ――――◇―――――
  2. 野田卯一

    野田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び昭和四十二年度特別会計予算自治省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。島上善五郎君。
  3. 島上善五郎

    島上分科員 政治資金規制に関してすでに選挙制度審議会から答申がありまして、もう二週間近くもたっております。大臣は当面されておりますので、念のためもう一ぺん伺っておきますが、答申尊重されることと思いますが、その尊重というのは、この選挙制度審議会設置法がつくられて、その中に特に答申尊重しなければならないという一項が入ったいきさつ御存じだと思いますが、それはかつて選挙制度調査会当時、答申尊重すると称して大事な点は全部骨抜きにしてしまった、さして大事でないところだけ法律化して出したといういきさつがありますので、今後はそうではなく文字どおり尊重する必要がある、尊重してもらわなければならぬというので選挙制度審議会設置法尊重義務政府に課したいきさつをよく御存じだと思いますので、このたびは文字どおり尊重されるということだと思いますが、念のため確認しておきたいと思います。
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 お話のとおり、文字どおり尊重するつもりでございます。
  5. 島上善五郎

    島上分科員 法案化作業がだいぶ進行しておると思いますが、あなたの与党である自民党では党内でいろいろ意見があるそうでございますが、まあ意見があるのはけっこうとしまして、党でどのような決定をいたしましてもそれに動かされることなく、いまの御答弁のように立法化を進めて国会に出されると思いますが、いつごろお出しになるつもりでそういう準備が進んでおりますか。
  6. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 答申内容につきましては、法文化に相当技術的な困難なところもございますことは御承知だと思います。したがいまして、鋭意いま法文化を急いでおるわけでございます。このようなことを申し上げては恐縮でございますが、連休等もございますので、おそらく五月の上旬か中旬くらいになるのじゃないかと考えております。
  7. 島上善五郎

    島上分科員 会期の関係で五月十二日までに政府提案法律は出される、こういうふうに伺っておりますが、少なくともその他の法案が出される最後の締め切り前にはお出しになりますね。
  8. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 大体五月十二日が法案提出期限と一応決定いたしております。これには間に合わせたいと鋭意努力いたしております。
  9. 島上善五郎

    島上分科員 私このことを伺うのは、自民党さんにはなかなかその道の達人がおりまして――私の伺っておるところですから事実と反しておったらこれはお許しいただきたいのですが、あまり大きな修正を加えると世間の非難を浴びるから立法化段階修正などといわずに、法案立法作業に非常に時間がかかるからということで、なるべく提出の時期をおくらせて、今国会成立を事実上はばんで継続審議にしていって、次の国会、その次の国会に持ち込んでいこう、こういう遠謀深慮ではなくて陰謀深慮がある、こういうふうに聞いておりますが、そういうことのないようになるべく早く、もちろん国会では国会独自の立場審議しなければならぬ。その時間を見なければなりませんから、なるべく早く出していただきたいと思いますが、このわれわれの要望にこたえられるようにしていただけますか。
  10. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど申しましたようにいろいろ技術的にむずかしい点もございますけれども、先ほどお答えいたしたように提出期限までには提出ができますように鋭意努力いたしておる最中でございます。
  11. 島上善五郎

    島上分科員 むずかしいむずかしいとひねくればそれはそういうことになるでしょうけれども、そうむずかしく考えないで、たとえば「おおむね」という文字がありますね。そういうところは法律に「おおむね」と書くわけにいきませんでしょうから多少あいまいな点については苦労するでしょうけれども、それもあまり自治省がひねくり回さずに、そういう段階では選挙制度審議会会長なり副会長なりに伺いながらあいまいなところははっきりする、こういうふうにすればそうむずかしいことではないと思うのです。いかがでしょう。
  12. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 おおむねというようなことをいまおっしゃいましたけれども、たとえば「準ずる」というようなこと、なかなかむずかしいこともございます。しかしそれはそれでじんぜん日を送るつもりはございません。成文化はできるだけ急ぐつもりでございます。
  13. 島上善五郎

    島上分科員 しつこいようですが、もう一つ伺っておきます。自民党党内では、きょうたいへんこの答申と違うことを相談される。これはまだやってないのですか。松野さんがここにおりますけれども松野さんに聞かなければわかりませんが、項目をあげて、第一項は、団体寄付を制限することは政党活動を著しく圧迫するものであるから本質的に反対であるということと。第二は個人の善意の寄付を制限することもこれはよろしくない。第三にはそれよりむしろ支出の方面をちゃんとすべきであるというような三項目新聞で報道されておりますが、この三点の第三番目はともかくとして、第一と第二は、選挙制度審議会答申ともう根本的に、その思想からしても違っているんですね。これは新聞に報道された程度ですから、良識ある自民党の皆さんは、調査会の結論としてこのまま出すとは考えませんけれども、かりにこういう要求を自民党がされてまいりましても、いま言ったように、答申と根本の思想が違うんですから、そういうことに動かされることなしに、ちゃんと答申どおりやられますね。
  14. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自由民主党でどういうことをお考えになっておるのか、私も新聞で拝見しているだけでございます。あくまで最初にお答え申し上げましたように、答申尊重して成文化を急ぎたいと考えております。
  15. 島上善五郎

    島上分科員 政党政治ですからね、普通の場合なら政党意見尊重するということでしょうけれども、事これに関しては答申尊重する、こういうお考えのようですから、そうしますと、団体寄付を制限すると政党活動が著しく圧迫される、こういうことに対しては、あなた、大臣としては、そうではないというお考えかと思いますが、私もそう思うのです。これは禁止したんじゃないんですから、私は、ほんとうは禁止すべきものだと思いますけれども、禁止したんじゃないんですから、多少窮屈になる程度であって、そう著しく圧迫されるといって驚くほどのものではないと思うんです。本質的に団体の番付を制限すると政党活動にも非常に圧迫を受けるからけしからぬというものの考え方に対して、大臣はどうお考えですか。
  16. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私は、自由民主党がどういうお考えであるか直接伺ってない、新聞で拝見しただけでございます。その批判はお許しをいただきたいと思います。私の立場といたしましては、答申尊重して成文化するということが私の義務と心得ております。
  17. 島上善五郎

    島上分科員 この答申は、前文があり、それから「第一政治資金規正に関する事項」というところから、これは答申の具体的な内容だと思いますが、そういうふうに大臣考えですか。
  18. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 大体さように心得ております。
  19. 島上善五郎

    島上分科員 そういたしますと、この第一の、政治資金規正に関する事項の中に、おおむね五年を目途として個人献金党費により運営をはかるようにする。要するに、五年後には一切の団体寄付は禁止する、こういう考えが、ここに「おおむね」ということばを使っておりますけれども、盛り込まれておるわけですね。私どもは、ほんとうは第一次審議会答申にありましたように、会社、法人等団体瀞付は禁止する。こういうゆるやかな規制ではなくて禁止すべきものだ。ですから、この答申自体は第一次答申からすると、その点では後退しておるわけです。そういう点で不満があるんですが、しかし、「おおむね」ということばがあるにしても、五年を目途団体寄付は一切やめにする、こういう答申が第一の項にあるわけですから、それも法文化されるわけですね。
  20. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 その辺は先ほど相当技術的にむずかしいと申し上げた一つに入ろうと思います。制度審議会の御審議過程において、そういう「おおむね五箇年」というようなことを出されました趣旨は、各政党がそれに向かって努力すべきであるというような御意見もあったように伺っております。今後成文化過程において、十分検討してまいりたいと思っております。
  21. 島上善五郎

    島上分科員 これはよく読んでいただけばわかりますが、政党組織近代化し、組織化しと政党努力のことも書いてありますけれども政党は、努力すべし、ということを法律に書くわけにもいかぬだろうし、法律に書く際には、要するに、五年後には一切の団体寄付を禁止する、こういうことにならなければ法律としての効果があがらぬわけですから、その点私はやはりはっきりする必要がある。政党努力は、各政党がもう努力すると思いますが、法律に書く際には、五年後には禁止するというように書きませんと、法律としての効果が何もあがらぬわけですから、そこのところを伺いたい。
  22. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 局上さん十分御承知なんですが、「おおむね五箇年を目途として個人献金党費によりその運営を行なうものとし、当審議会は差し当り、次の措置を講ずべきものと考える。」したがいまして、この「差し当り、次の措置を講ずべきもの」、それを法文化することがまず第一じゃないかと考えております。
  23. 島上善五郎

    島上分科員 そうすると、五年後に団体献金を禁止するということは、法律の中には取り上げないということですか、取り上げるということですか。どっちですか。
  24. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この答申文字どおりに読みますと、「差し当り、次の措置を講ずべきもの」とする。この「差し当り、次の措置を講ずべきもの」とするというこの措置法文化することが第一じゃないかと考えております。
  25. 島上善五郎

    島上分科員 「差し当り、」は、もちろん法律ができたらすぐ実行する。しかし、この前にある五年後に禁止するということは、法律で私はできると思うのです。五年後に禁止するという法律はできませんか。私は、ほかの法律でもそういう事例がたくさんありますから、「差し当り、」ということは、直ちにこの法律が施行されたら実行するということです。しかし、団体献金については法律施行後五年後には禁止する、そういう法律は私はできると思うのです。法律技術的に不可能ですか。
  26. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 法律技術的に不可能とは申しませんけれども、こういうこの制度審議会が出されました答申というものは、むしろその審議過程において先ほど申しましたように、各党努力すべきものということでございます。したがいまして、それはやはりこの審議会は、もちろん政府に対しての答申でございますが、各党もこの審議会の御趣旨をくんでいただいて、各党とも御努力をいただくべきもの、そういうふうに考えておる次第でございます。
  27. 島上善五郎

    島上分科員 各党がこのとおり努力されると思いますが、しかし、この答申自体にもたいへん反対の御意見自民党の中に強いということを聞いておりますから、さしあたり実行することにも非常に反対が強いのですね。そうすると、この五年後というものをいま法律でちゃんときめておきませんと、私は、これはなかなか実行不可能になってしまうおそれがあると思うのです、五年後ということ自体がもう著しく後退しているんですから。後退しているということは、実現の可能性とか自民党意向とかいうものも相当そんたくして後退したものだと思うのですね。ですから、この際、五年後をはっきりしておきませんと、これは私は、全く実行されない答申になる、少なくともこの部分に関しては実行がもう非常にむずかしくなる、こう思うのです。そういう点は私どもも非常に心配するわけです。この際、五年後とはっきりしても、五年もあるのですからね。自民党さんとしても、ちっとも困ることはないと思うのです、五年もあるのですから。(発言する者あり)それで、もう一ぺん五年後のことをここできめておきませんと、もう政治資金の問題は一応これで片づいた、さしあたっての問題は片づいたといってしばらく手をつけない、こういうことになりはしないかと思うのですが……。
  28. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 各政党とも、その党の近代化あるいは組織化というものについては非常な御努力をなさっておられると思います。したがいまして、こういう問題は、むしろ各政党近代政党として近代化組織化を進めていく、こういう努力をしていただくことが必要なので、法律で何年後とかいうようなことよりも、もっと早く近代化組織化をしていただくように私どもは希望をいたしておる次第でございます。
  29. 島上善五郎

    島上分科員 各政党努力するということを希望しましても、現に第一次答申が出たのは七年前ですよ。七年前にはもう一切団体献金を禁止すべしという答申が出ているのです。そして七年間たってそういう努力をしたかというと、私は必ずしもその努力あとが見られない。ということになれば、今度またおおむね五年といっても、これはもうおなかの中でせせら笑っている程度ではなかろうか、こう勘ぐるのですよ。いつまでたってもできないということになりますよ。どうもこの際、大臣が入れるとはなかなか言わぬようですが、入れることを強く要求しておきます。  それから、この法律には五年後ということを入れないわけですね。それはもう自民党さんの努力にまつということだけですか。自民党ばかりでなしに各政党も……。
  30. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは単に自由民主党ばかりでなく、そういうことを申し上げては失礼でございますけれども、各政党とも近代化合理化組織化等については御努力をいただきたいと私どもは希望する次第でございます。
  31. 島上善五郎

    島上分科員 これは審議過程をお聞きになったと思いますが、おおむね五年ということは、五年以内という意味なんですよ。二年か三年という意見もあったし、第一次答申のとおり即時という意見もあって、それで調整した結果、こういう文章になりましたけれども、この趣旨は五年以内ということですから、五年以内ということは四年もそうですし、三年もそうですからね。そういうことですよ。そういうふうに大臣は解釈しておりませんか。五年以内ということですよ。なるべく早くやってほしいということです。
  32. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 大体五年ぐらいを目途として近代化をやるべきであるという御意見であると考えております。
  33. 島上善五郎

    島上分科員 それでは大垣は法律に――いまの御答弁政党努力のことをおっしゃっているのでしょう。これは各政党でよろしい、私も各政党でいいと思います。政党努力のことをいっているが、いま言ったように、第一次答申以来七年たってもちっとも前進してない。これからまた五年はずいぶん長い話ですが、法律に、団体寄付を一切禁止するということを規定する必要が全然ないと考えているか。それともそういう必要ありとお考えか。団体寄付を一切禁止するということを、法律できめる必要があると考えているのか。そういう必要はない、それは政党努力すればいいのだ、こういうお考えか。もう一ぺん答弁してください。
  34. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この答申前文の中にもありますように、たとえば「選挙制度全般について検討を加え、すみやかに政党本位選挙制度を確立する必要があり、」というようなこともあります。そういうものとも関連をいたすと思いますが、したがいまして、私は、そういう近代化組織化というようなことは政党努力にまつのがいいので、法律でそれを年限を切るというようなことは、必ずしも妥当でないのではなかろうかと考えております。
  35. 島上善五郎

    島上分科員 それでは、つまり法作でもって規制しないということは、団体寄付を禁止するということをきめる必要はないということと同じなんですよ。かりに百歩千歩譲って、いまは「差し当り、」のことだけを法律にするとしましても、五年以内に禁止するようにという趣旨がちゃんと書かれているのですから、かりに百歩千歩譲って、「差し当り、」を法律化するとしても、五年以内に今度は第二段の措置として、この答申に忠実であるならば、五年以内に一切の団体寄付を禁止するという法律をつくる必要があると思うのです。つくらなければ、政党努力にまつだけでは、これはとうていだめですよ。だから政治資金規制について、あなたの答弁のようなことを言えば、政党組織化近代化、その努力にまつ、あるいは政党がいまの現行の政治資金規正法なら規正法を忠実に守るということにまつということになれば、この答申にあるような法律改正そのものの必要がないという思想に通ずると私は考える。そうじゃありませんか。
  36. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私は、そう思わないのでございまして、やはり一歩前進であると考えます。それでは今後どうするかという問題でございますが、それは制度審議会が、今後選挙あり方等について御審議をいただくわけです。それと関連して、さらに必要ならば、必要な措置をとるようになると思います。
  37. 島上善五郎

    島上分科員 いまの御答弁で思いましたが、この答申は中間第一次答申ですが、この答申趣旨は、さしあたり、少なくともこれだけは大急ぎでやれ、こういうことですね。これはほんとう最初統一地方選挙前にというつもりだったのです。それが事実上こうおくれてきたわけですが、そこで、いまあなたの答弁の中からでもちょっと感じられる節がありますが、松野さんなんかもその腹ではないかと感じられる節がある。この次の答申一緒にして――関係があるから一緒にしてというお考えがあるかどうか、私はこれは、今度の法律はいま言ったようないきさつで、さしあたってこれだけ大急ぎでやりなさいという答申ですから、早く法律として国会出して、今度の国会成立させる。この次の答申がいつ出てくるかわかりませんけれども、それと無関係とは申しませんけれども法律としてはそれにからませて審議するとかというやり方をすべきではない。これはこれとして切り離して、早急に答中の趣旨尊重して法律化する、こういうふうにすべきものだと私は考えますが、いかがでしょうか。
  38. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろんお話のとおりなんでございまして、これはこれとして成文化を急ぎ、御審議をいただく所存でございます。先ほど私が申し上げたのは、これが通っちゃったらあとは何にも手をつけないのかとおっしゃられるから、そうではなくて、この次に出てくるいろいろな選挙制度の問題についての御答申をいただけば、それとにらみ合わせてまた必要な措置はいたしますということを申し上げたので、これをこの次に出てくる答申にからませようという考えは毛頭ございません。
  39. 島上善五郎

    島上分科員 けさの新聞に、資本金の〇・二五を、利益金の二・五に変える、資本金利益金というふうに変えるような自治省意向であるということがちょっと伝えられておりますが、そういう答申内容をかなり大きく変えることになると思いますが、そういうお考えですか。
  40. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いろいろ検討はいたしております。その事態が何か報道されたのかと思いますけれども、私どもは現在のところ答申を忠実に法文化することが大切だと考えております。
  41. 島上善五郎

    島上分科員 さっきもちょっと申しましたけれども法文化段階であいまいであるために、どういうふうにしようかという問題点にかかりました際には、自治省だけの考え政府だけの考え、あるいは自民党だけで相談してやるのではなくて、選挙制度審議会責任者意見を聞いて、これは重んずるとか、準ずるとか、少しあいまいだけれども、どういう意味なのかということを聞いて、明確化するというふうにしてほしいと思うのですが、どうでしょうか。
  42. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 その点は抜かりなくやっておるつもりでございます。
  43. 島上善五郎

    島上分科員 法律国会に出てくればまた審議をいたしますから、いまの大臣答弁がそのとおりであることを――私は先だっても申しましたが、小骨一本たりとも抜かない、小骨どころか背骨、大骨まで抜いてしまうという動きがあるので心配しているのです。小骨一本たりとも抜かない、そして早く出して、今国会成立をはかる、こういう気持ちで作業を進めてもらいたいということを強く要望して、もしただいまの答弁にいささかたりとも反するということになれば、今度は審議段階相当風当たりが強くなるということをひとつ覚悟してもらわなければならぬ。これを強く要望しておきまして、時間がきましたから……。
  44. 野田卯一

  45. 門司亮

    門司分科員 私は簡単に、率直に意見を聞きますので、どうか大臣も率直に答弁願いたいと思います。  いまの島上委員との話を聞いておりますと、何か禅問答みたいで一向にわからないのですが、一方には答申尊重すると言いながら、一方にはその内容にはちっとも触れないという態度、私はこの点は非常に遺憾に考えておる。選挙制度に関します答申案に対する態度というものは、政府が明確にして、そして国民疑惑を解くべき時期だと考えております。それをいつまでも禅問答みたいなことでは、政府自身にとっても、与党にとっても私は非常に不利だと思います。もし政府に誠意があるなら、大胆に、率直にひとつ答弁をしていただいて、そしていいなり悪いなりに国民疑惑を解いてもらいたい、このことを率直に大臣に申し上げて、質問いたしたいと思います。  最初に聞いておきたいと思いますことは、政治に対しまする国民信頼感が非常に薄くなったということの理由はどこにあるのか、大臣、お気づきだったら、その点を明確に御答弁を願いたいと思います。
  46. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これはいろいろあろうかと思います。一部の政治に携わる者が、国民倫理感と申しますか、それに反するような行為をいたしたというような問題もありましょうし、あるいは選挙が必ずしも公明に行なわれていないというような問題もありましょうし、原因はいろいろあろうかと思いますが、結局政治に携わる者が、常に国民倫理感というものを考えながら行動していかなければならないということであろうかと思います。
  47. 門司亮

    門司分科員 いまの大臣答弁は、一応の答弁としてお述べになったと思いますが、現状はそうではないということです。選挙が非常に悪くなっているという原因がどこにあるかということを、大臣はお気づきだったら、さらにその点を指摘していただきたい。
  48. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 選挙が金がかかるとか金をかけるとか言われますが、必ずしもそれは――私の申し上げているのは、選挙運動期間中に金がかかるとかかけるとかいうばかりではなくて、常時の政治活動の中に金がかかるか、かけるか、いろいろございますけれども、そういうことが行なわれていることは事実であろうと考えます。
  49. 門司亮

    門司分科員 いまの大臣答弁ですが、選挙に金がかかる、あるいは政治に金がかかる、こうおっしゃっておりますが、日本の現状は、イギリスや何かと違いまして、政党自身についても非常にたくさんの問題を含んでいる。これを改革することが一つだと思っております。しかし、これは直ちに選挙につながる問題であって、政党自身が、現在の次元でそうきれいになれといっても、私はなかなかなり切れないのじゃないかと思う。そこで問題が起こったのが、この選挙制度審議会で、これをひとつ法によって何とか秩序を立てていこうじゃないか、こういうことだと思います。いま大臣お話は、精神的にこれが解決されれば、私はそれでいいと思います。しかしそれではなかなか解決しない。したがって、法の秩序によってこれを改正していこうというのが私は選挙制度審議会の最大の目的だと考える。したがって、いま出されております答申案は、これをいかにして秩序の保持をすることのために必要な法律をこしらえるかということである。したがって、大臣にこの祭聞いておきたいと思いますことは、答申趣旨について大臣はどういうふうにお考えになっているか、その点をあらかじめ聞いておきたいと思います。
  50. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いま申し上げたように選挙に金がかかる、あるいはかけるということの一つの弊害を直そうという趣旨のもとに、入る金をある程度制限する、また出すほうもある程度規制を加える、そういうことによって一つの秩序を立てていこうというのがこの答申の御趣旨だと考えております。
  51. 門司亮

    門司分科員 そうだとするならば、答申趣旨を全面的に採用されるということを――さっきから大臣は、答弁の中で非常に尊重されるようなことを言われておりますが、問題は、その書いた文章には限度があるのであります。表現には限度があるのであります。したがって、この際われわれが考えなければならないのは、よってきたるいろいろな原因、それからこういう答申をしなければならなかった背景その他が生かされていかなければ、ただ書いた文字だけを直訳した大臣のような御答弁では、これはもう全く骨抜きというよりも、むしろ答申と相反するような、精神的には全く答申と相反するものが出てこようかと思います。したがって、さっきからお話しのように、法の秩序によっていまの選挙が非常に悪くなっている形、それから政治不信を取り戻そうとするならば、その精神をぜひとも生かしていってもらいたい。生かしていくならば、私は答申の文字にこだわらない。五年間をおよそ目途とするというなら五年間という文字をはっきり入れるということのほうが、明快になって国民に納得がいくと思うのです。これは大臣どうですか。非常に五年という字にこだわっておいでになるようですけれども、私は五年でも三年でもいい。大臣、はっきり言われたほうがこの際、国民疑惑を解く一つの大きな政府のかせぎどころと思うのです。別にこれはおだてるわけじゃありませんよ。
  52. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど島上さんにお答えしたように、こういうことはやはり、むしろこの答申そのものは政府に対する答申ではございまするけれども、非常にその道の専門家の方々が出された御意見でございまして、これは政党も拳拳服膺すべきもの、またそういうことであるべきものと私は考えておるわけです。
  53. 門司亮

    門司分科員 いま大臣考え方をもう一つ直してもらいたのだが、答申政府に対する答申であると同時に国民に対する一つの答えだと私は思っておるのですよ。私ども審議会に特別委員として席を置いておりますが、絶えずわれわれが考えるのは、政府に対する答申というよりも、国民に対する、今日の政治不信に対する答案だ、こういう考え方でなければ私はならないと思う。国民が非常に不信感を持っている、それを直していこうとするには、こういう五年なら五年といううちに選挙を正常化していく、政党近代化をはかっていくという、政府にも責任があり政党にも責任がある。これは国民に対してですよ。何も国会政府とがやりとりしている問題ではないと私は思う。われわれの答申、と言うと少し語弊がありますが、今回の答申国民に対する一つの答案だと私は考える。そうだとするならば、政府はすなおにこれを取り入れられることのほうがよろしい。どうもいままでの大臣答弁を聞いておりますと、政府に対する答申だから取捨選択は政府が第一段階考える、その次は国会審議してもらう。国民不在でしょう。私は、国民の意思がこういう答申をせざるを得なかったところまで追い込んできているというように考える。  ついででありますからもう一つ申し上げておきますが、五年ということは、先ほど島上委員が申し上げましたように、三十六年だと思いまするが、あのときの審議会で、全面的に禁ずべきだという意見があったのですね。全面的に禁ずることが私はよろしいと思う。憲法十五条を読んでごらんなさい。国民は公務員を任命、罷免することができる。これは国民の固有の権利だと憲法に書いてある。だとしますならば、選挙自身というものが日本国民の固有の権利の行使として選挙法につながっていなければ、憲法を尊重することにならないと思う。こういうことから考えてまいりますと、当然禁ずべきものではあるがということで、今度の審議会でもその辺ずいぶん議論になりましたがしかし現状において困難な、なかなか実行できないような案を出すことは、どんなに理屈が通っても、いささか答申としては不見識のそしりを免れないじゃないか、それならこれぐらいならよかろうということで大譲歩をした、現状に即したものとしてこの答申が出されているということを、大臣は知っていただきたいと思うのですよ。大臣はその点はどうお考えになりますか。現状に即して答申出したという御感想はございませんか。
  54. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まさにそのとおりであるし、審議過程を拝聴いたしましてもそうであったと思います。で、先ほど来私がこの答申政府に対する答申ではあるがと言うのは、形としては政府に対する答申であるけれども国民にもこたえ、政党にも警告を発しているもの、したがいまして国民は、政党がこの答申を受けてどういう姿勢をとるかということを監視しておると思います。したがって、政党はその国民監視のもとにこの答申の精神を生かすような近代化組織化等をはかっていく、またはからなければ国民の信を失うゆえんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  55. 門司亮

    門司分科員 大臣はある意味においては非常におざなりの答弁であり、ある意味においては非常にていさいのいい御答弁をされているようであります。それなら私は聞きますが、このままの現状で、政党が、五年間なら五年間という一つのポイントといいまするか、区切りをつけないで、そのままで一体近代化すと大臣はお考えですかどうですか。私は大臣が保証されるならそれでよろしいと思うのだが。少なくとも五年間なら五年間という時限を入れて、そうしてその間にぜひ近代化せなければならないという責任感を政党に与えるのか、あるいは政党はただこういうことにしたいのだという理想感だけでこれが始末がされるのかということは、非常に大きな開きがあると私は思うのです。だから、いまのような大臣の御答弁だとするなら、大臣の覚悟とその責任のほどをひとつ明らかにしておいてもらいたい。政党は、五年以内、そういうことは書かなくとも、必ず近代化して国民の要望にこたえることができるということを大臣自身が自信をもって御答弁ができるならひとつやっていただきたい。その答弁ができないなら、五年間という文字を入れることは当然だと考えている。
  56. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま申しましたように、国民はこの答申を見て政党がいかなる反応をするかということを監視しておると思います。したがいまして、各政党ともこの答申の精神に従って党の組織化近代化を急いではかっていくであろうということを私は期待をいたします。もしそういうことをやらない政党は、おそらく国民の信を失うのではないかと考えるわけでございます。
  57. 門司亮

    門司分科員 せっかくの大臣の御答弁でございますが、最近の新聞を見てみますると、この答中にすら、政府、ことに与党は、何か修正をしたいというような御意思があるようなことを新聞に書かれておりますね。そうだとすると、大臣のいまのお話とだいぶ違うですね。大臣は、もしこの答申尊重されないで、各政党が現状のようなままでおるなら、その政党国民の信頼を失うであろう、こういう御答弁ですが、そうすると、政府与党ともに信頼を失うことになるのです。いまから信頼を失うことになるのですよ。私はその点はおかしいと思うのです。だから、ひとつこの辺は大臣は腹をきめて、答申趣旨を十分生かしていただいて――私は押し問答している必要はないと思うのです。大臣がそこにこだわられることが実はおかしいと思っているのです。原文に五年以内にするということを入れておきませんと、おのおのの政党に覚悟ができないでしょう。やってもやらなくてもいいのだ、そうしなければ国民の信頼を失うのだというようなお説教では、これは直りませんぜ。だから国民ほんとうに率直な、いまの意思にこたえるためには、ひとつこの機会に、さっきも申し上げましたように、答申内容についてはこれを全面的に入れる、同時にその趣旨は必ず国民の負託にこたえることのできるような処置をとるということはできませんか。ただ五年でも三年でも――私はやれるなら三年でもいいと思っているのです。この五年という配慮は、実際は、法的にいえば、次の選挙まではこのままでいくという、きわめて大きな配慮があると私は思うのです。われわれの任期は四年でしょう。四年だから、この次の選挙まで現状でよろしい、その次からの選挙にきちんとやれという、きわめて配慮のあるもので、これを三年に詰めると、やや大臣のような意見が出てこようかと私は思う。五年というところにこれは非常に大きな含みがあるのですよ。その辺はひとつ大臣ほんとうにお考えを願わぬと。この次までは惰性があるしなかなか直らぬであろうから。その次の選挙ということが五年という年限になるのですからね。それがやはり法律をつくる場合の一つの大きな考え方として、ひとつ大臣に考慮していただきたい。何もいまある手足をすぐもごうというのではありません。だから何も大臣がそんなに心配されなくても私はよろしいと思うのですよ。どうですか、その辺は。
  58. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 逆に私は、各政党とも、五年後を目ざすどころでなくて、今日からでも近代化組織化に乗り出されておられると思うのでございまして、政党近代化組織化がなかなかできないというような心配は私、してないので、各政党とも懸命に近代化組織化を目ざして努力をされるものと考えておるわけなのです。
  59. 門司亮

    門司分科員 そういう答弁では、これは問題にならぬですね。ひょうたんなまずというけれども、ひょうたんなまずよりもっと悪いですね。政党がいまの大臣のようなお考えなら、何も選挙制度審議会で四時間も五時間も顔を赤くして議論し合う必要はないのですよ。政党は絶えず成長しなければなりませんから。それから近代化するといいますか、本来政党のあるべき姿になるということは、どの政党も同じように心がけておることですから、それをいまのような大臣のお考えなら、わりあいに率直にものを言われる謹厳な大臣にこういうことばはどうかと思いますけれども、まるでおざなりのような、人を少しおちゃらかすような態度は、実際不謹慎だと思うのですよ。  それからもう一つ、私は大臣に聞いておきたいと思うのですが、いまのお話が出ましたから…。しかし、大臣はそうおっしゃいますけれども、いまのままで一体よろしいとお考えですか。おのおのが努力するであろうから、それに期待するというようなことでよろしいのですか。ここまで悪くなった今日の選挙というようなものは、私はショック療法が必要だと考えております。かりに一尺曲がった枝があるなら、それをもとに戻すには、二尺の力で引っぱらなければもとに戻りませんよ。ここまで選挙が悪くなって、国民のひんしゅくを買っております選挙の現状を直そうとするには、やはり思い切ったショック療法でなければなりません。しかし、そのショック療法も、そのために根自体を殺すようなことがあってはならない。したがって、五年間ということを考えられたことはきわめて妥協的なものであって、同時に個人からの寄付に限定すべきであるということが、私は憲法のたてまえからいっても、法律のたてまえからいっても当然だと考えております。選挙はきわめて自由であるべきであって、公正であるべきである。したがって、国民の自由な意思に従って、おのおのが政党を支持する者は支持するということなら、法人が、全部の諸君が何万人おるかわからぬが、それらの諸君が、全部の人が一つの政党を支持するとは私は考えられない。やはり、その中にいろんな意見があるかと思う。これはある意味においては、個人の自由なる意思を束縛するか、あるいは自由なる意思を曲げるという一つの行為であろうと考えられる。こういうものから考えてまいりますと、大体政治資金というものは個人に限るべきものであると考える。しかし、それが現状ではできないから、さっきから申し上げておるように、ショック療法が必要だと考える。一応われわれはぴしゃっとやらなければならぬと思うのです。大臣は、いまお話のようなことですが、それなら大臣のお考えで、五年以内に政党がおのおの自粛して、そしてきれいな選挙をするようになるという保証がつけられますか。法律で五年と書けばそれまでにはいやがおうでもやらなければなりませんが、大臣はこのことを書かぬとおっしゃる、五年以内に選挙が必ずよくなるという大臣の所信だと思いますが、そういう保証はつけられますか。
  60. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 また混同するのか、からませるのかということになりますといけませんので、それだけあらかじめお断わりして申し上げますが、私はやはり政治資金ばかりでなくて、選挙制度そのものも、現在の悪い面を払拭できるような――この答申の中にも政党本位選挙というようなこともありますが、そういう選挙制度の根本的な改正もあわせてやっていけば、理想の方向に向かうことができるのではないかと考えております。
  61. 門司亮

    門司分科員 これは非常に問題が飛躍しておりますが、少なくとも選挙法律が変わって、それで選挙がきれいになるというようなことはなかなか考えられません。なぜならば、現行選挙法でも、そのまま守られれば、私はきれいな選挙ができようかと思います。たまたま同士打ちがあるとかなんとかということで、政党の問題です。選挙法にどこにおかしなものがあるのです。政党自分が公認をするとか、あるいは何とかいうようなときに問題がある。あるいは、選挙のときに味方同士がけんかをするからよけいお金を使うという政党自身の問題です。政党の姿勢の問題です。政党の姿勢の問題を法にからみつけてくるということは、一つの大きな誤りだと私は思う。ところが、この政治資金規正法の問題はそれとは別個の問題であって、いわゆる選挙に金を使うように金が入ってくるところがあれば、人間である限りにおいては金を使うでしょうし、いろんな弊害を生んでくる。したがって、これを制限していこうという一つの考え方です。選挙制度政治資金規正法とからませてお考えになること自身が非常に大きな誤りだと私は思う。これはこれでよろしいと私は思う。政党政党で、お互い同士が政党の中できれいな選挙をすればそれでいいのであって、お互いがやっているいけないことを、何か人のせいのように考えているところに誤りがあるのじゃないですか。その辺はどうなんですか。いまの選挙法でも、政党自身の中でかみ合わけなればいいのですからね。かみ合っているから悪いというのでしょう。だからかみ合わないようにするには小選挙区がいい、こう言うのでしょう。これは考え方によっては、いま大臣のおっしゃったような発想は、元来政党本位選挙であるべきだという考え方とは別個の問題なんですよ。発想自身に非常に大きな誤りがあるということです。選挙が非常に悪くなったのは、同士打ちをしたり、あるいはいろいろな関係があるからということ、だから選挙区を小さくしたらそんなことはなくなるだろうというようなことは非常に大きな誤りでしょう。本来の国民の意思が忠実に政治に反映する、同時にそのことは政策を本位としたものでなければならないという純理論から言えば、大選挙区の比例代表制が一番いいということなんです。小選挙区なんかは問題じゃないということです、個人が立候補さえしなければそれでいいのですから。しかしそれには踏み切れますまい。だからいまの大臣の御答弁では非常にものをごまかす、ぼやかすものであって、政治資金規正法とは全然別個のものとして大臣も言われておりますから、ひとつ考えてもらいたい。そうすれば少なくとも五年という時限をここに、どんなことがあっても入れておかなければ政党近代化しませんよ。だからさっきから申し上げておりますように、大臣ほんとうに三年なら三年、あるいは五年のうちに、必ず全部の政党近代化していって、そうしてこの政治資金規正法に沿うようになるとお考えですか。これはならぬでしょう。やはり禁止しなければやまないでしょう。どうなんです。その辺ほんとうに自信が持てますか。自信が持てたら、ここでひとつ政府の意思というものをはっきりさせていただいて、そうして――たとえば自民党でもよろしゅうございますが、自民党は三年以内に必ずこうやります、と、はっきり言い切れるなら言ってください。
  62. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 最初にお断わりいたしますが、私、区制の問題を申し上げているのじゃないのでございます。選挙制度そのもの、この答申の中にも言われておるように、政党本位選挙制度が確立されることが望ましい。それが確立され、そうして政党努力が実りますならば、理想的な政治形態が出てくるということが期待できるということを申し上げておるわけでございます。  私が自由民主党のことを申すのははばかりますけれども、私は、その党に属しておる一人としまして、自由民主党近代化組織化のために非常な努力をするものと期待もし、また希望もいたしておる次第でございます。
  63. 門司亮

    門司分科員 それなら率直に聞きますが、この種の日にちを切ります時限法律はたくさんあるんですね。四十三年からやるとか四十五年からやるとか、こういうのは法律の中にいままでたくさんあるんですね。これは一体どうしてこういう法律があるかというと、現状ではこうやりたいのだが、しかし現状でやることによって弊害が出てくるとか、あるいは受けるほうの態勢がなかなか整わぬからということで三年先とか、あるいは一年先というような配慮が行なわれておるのです。だから何もこの法律だけが特殊なものじゃないのです。一般の法律でも、こういう二年先、三年先からこれを実行するということはみんなやっているんですかられ。その間に準備をし、その間に態勢を整えて、そうして法の精神を生かしていく、こういうことになっていることは大臣も御承知のとおりだと思う。だからこの法律に限って、ことにこういう国民の非常に要望しているものに対して答えができないということは私はおかしいと思うのですよ、どう考えても。いろいろ党内の事情もありましょうし、閣内の事情もございましょうが、自治大臣個人として、ひとつ最後にはっきりものを言えませんか。
  64. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この答申、何かまた非常にひょうたんなまずとおしかりを受けるかもしれませんが、この答申はある程度政治資金規制をしようという、たとえば会社にあってはおおむね二千万円を限度とするというようなことでございます。したがいましてこの審議会が理想とされておる個人本位とすべきであるという問題は、重ねて申し上げるようですが、政党がこの答申を見、また国民が期待をしているというところを考えて、政党努力によってやっていただくということでございます。普通の時限立法とはやや趣を異にするのではないかというふうな考え方を持っておるわけでございます。
  65. 門司亮

    門司分科員 だから、このことはさっきから島上委員も申し上げていますが、私も申し上げたとおりでありまして、いま大臣お話のように政党に期待しておるというところは、まず全面的に禁止したいのだがそれでは困るだろう、だから五年間くらいの間はこの程度認めようじゃないかと、きわめて妥当な――私は、三十六年の答申から非常に後返した案であって、この程度のものが政府でのめないということになれば、おそらく選挙の粛正なんということは望み得ないと申し上げてもあるいは差しつかえないのじゃないかという気がするのです。こういう二千万円という制限を設けたこと自身がすでに自粛をする一つの大きな段階としてこれを設けたのであって、したがって五年後にはこれもなくするぞ、それまでに体制を整備しなさいという、きわめて温情的なものであって、妥当なものであって、何もこれは拒まれる理由は私はどこにもないと思う。もし大臣がどこまでもこれを拒まれるとするならば、政府の意図、与党の意図というものは、これは骨抜きどころじゃなくて、この答申を全然無視するというとおこられるかもしれませんが、国民の期待に反したものを意図されておるという――それは君の邪推だと言われるかもしれないが、そういう想像をせざるを得ないですね。私はそう思いますが、大臣、そうじゃないということをお言いになりますか。
  66. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私は、繰り返して申し上げているように、政党がそういう努力をされる、また国民はそれを監視しておるということなのでございまして、この法律に入れる入れないが選挙制度審議会の御意思を無視するものであるとは考えておらないわけでございます。
  67. 門司亮

    門司分科員 無視するというわけにいかないとおっしゃる。選挙制度審議会のこの答申は幾つかの条項に分かれておりますね。したがって、政府のほうから言わせれば、ここだけは五年と書かないだけであって、あと尊重するならいいんじゃないかというようなお考えも多少はあろうかと思います。しかし問題は、何といっても、いまのこの答申ほんとうの中心であり骨子であるというのは政治資金規正法でありまして、これからくるいろいろな罪悪というものは御存じだと思います。だから私は、この罪悪をどうしても防止することのためにこういう暫定的の処置をとったのであって、これですらのめないということになりますと、政府は全く今回の答申については誠意がないと申し上げても私は差しつかえないのじゃないか。これが一番中心であり骨子なんですね。したがって、それならもう一言だけ。時間も大体ありませんし、また、委員長におこられるかもしれませんから、あまり長くは申し上げませんが、ただ大臣が、いまの話を私がいたしましたのに対して、なにあともう一人、二、三十分で終わるのだからというようなお考えだと困ると思うのです。のらりくらりひょうたんなまずをやってさえいれば時間がたつのだともしお考えだとすれば、全く不誠意であって、何をか言わんやです。大臣もこういう問題については、さっきから私が申し上げておりますように、委員会のあなたと私の取引ではなくて、大臣国民に答えられる一つの大きな課題ですから、その点はひとつ慎重にお考え願っておきませんと困ると思うのです。そうだといたしますと、その他のものの答申内容を、いまから時間もないのでここで一々申し上げませんが、この点を五カ年というようなことをしないでおいて、そうしてその他の答申がそのままかりに立法化されてまいりましても、これは忠実に答申趣旨に沿うようなことができますか。大臣は全体をお読みになっていると思いますが、いろいろな角度からいろいろなことが書かれておりますが、これらの書かれておりますすべての要因は、この政治資金規制していこうとするところに結びついた要因なんですね。その辺はどうなんです。私は、ここがはっきりしていないと、全面的にほかのものが法文化していっても、何か全部しり抜けになりはしないかという気がするのですが、どうなんですか。
  68. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 五年という問題を入れる入れないについての御批判は御批判として承っておきますが、私はこの答申内容を忠実に法文化し、そうしてまた国会においていろいろと御審議をいただき、そのことによって十分――十分と申しますか、審議会の御意思のあるところは十分くみ取れるのじゃないかと考えております。
  69. 門司亮

    門司分科員 そういう大臣のお考え自身に私はやや間違いがあるのじゃないかという気がどうしてもするのですね。だから骨子が骨子であれば、その骨子を生かす。政治資金規正法の中にいろいろずっと書かれておりますけれども、ここを骨抜きにしたのでは、さっきから申し上げておりますように、全体の構想がくずれる危険性が私はあると思う。その点は大臣にひとつ考えていただかぬと、あなたのほうではほかのことは全部入れられても、ここが骨抜きになっておって、そうして二千万円まではよろしいというようなことがずっと永久に続いていくということになれば、どうしても全体がくずれてくる危険性が私は多分にあると思う。だから、骨抜きどころではなくて、ほとんど形ができないようなことになりやしませんか。骨が抜かれたのならまだ形だけが残るかもしれませんが、形もなくなるというようなことになりやしませんか。いままで大臣はいろいろ答弁をされてこられましたので、あるいはいまさら五年でやりましょうというようなことが言いにくいのだというようなお考えであるとすれば、大臣はきわめて不見識だと思うのですよ。お互いに話し合っている中で、やはり大臣の配慮も当然進むべきものだと考えている。それでなければ話し合いの価値はないのでありまして、最初から対立して議論しても、いつまでしても、三年議論してもどうにもならぬ。だから私ども聞いておりますことは、何も悪意で聞いているわけでもなければ、政府を困らせようとかいう意思があって申し上げているわけではありません、最初から申し上げておりますように。  したがって、最後に私はもう一言だけ聞いておきたいと思いますが、さっき私が申し上げました憲法の十五条に規定いたしております、いわゆる公務員の任免権というものが国民固有の権利であるというたてまえを一体どう解釈されるかということです。私は、選挙制度審議会が、したがって政治に対し、選挙を含めた政治資金に対して個人に限るということはそこから出てきたと考えてもたいして差しつかえないのじゃないか、こう考えられるのですね、固有の権利ですからね。したがって、国民政党をどれを支持するか、どれをどうするかということは、これまた固有の権利に基づいておる。その後にできたものとしての選挙法の九条、十条は、ただ単に選挙権、被選挙権の規定をしているだけでありまして、この憲法の十五条の解釈からくれば、少なくとも法人が政党に対して献金をすることは誤りのように私は考えられるのですね。これは単に選挙法の改正というものではなくて、悪法とのつながりをひとつお考えいただきたい、大臣はこの点どうお考えになりますか。
  70. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 断定的なことを私ここで申し上げることはいかがかと思いますが、もちろん憲法の規定からいって、人を選挙するあるいは公務員を選ぶということが個人の固有の権利であるということは憲法で保障しておりますが、それだからといって、社会活動の単位である法人が政党献金してはならないのだという御議論にすぐ結びつくとは私考えません。ただ、そういう会社等が分不相応な政治献金をするというようなことは、これは許されないことであると思いますが、憲法の条章から、直ちに社会活動の単位である法人が政治献金をしてはならぬという結論にはならないのではないかと考えております。
  71. 門司亮

    門司分科員 あと阪上君の関連があるそうですから、これだけでやめますが、いまの御答弁ですが、法人としての解釈からいけば、一個の法人であって、あるいはいまの大臣のようなことが言えないこともないとも考えられるのです。しかし、あまりにもそれからくる罪悪が大き過ぎれば、これは日本の政治のために制約することは私は当然だと考える。これは憲法もそれを認めておるということですね。だから別にこだわる必要も何もないのであって、せひひとつこの問題については――きょうは最初から何か話し合いのような形ができないで、選挙に関する限りは何もイデオロギー的にものを論争する場所でもありませんし、政策的にものを考えて論争する場所でも私はないと考えている。事選挙に関する限りは、あくまでも、与野党というものが、国の基本である政治に対する一つの大きな問題ですから、どこまでも話し合いというたてまえで相談すべきだと考えておりますけれども、どうも大臣はあまりかたくなになり過ぎて、われわれの意図とは大体反したような気がするように私は思う。これ以上私は質問申し上げませんが、阪上君の関連があるそうですから、委員長ひとつお許しを願いたいと思います。
  72. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 門司さんのお話そのとおりでございまして、選挙法であるとか政治資金の問題、これは別にいろいろ国会政府が対立したりすべきでないので、十分多数の御意見がそれに反映するように心がけなければならないことは当然でございます。たまたまきょうは五年の問題で対立したようなかっこうにはなりましたが、貴重な御意見であります。それからは十分われわれも承っておきまして、要するに、十分に各政党とも一致してこういう問題は成文化できるようにいたしたいものと考えております。
  73. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 関連。いまの藤枝さんの最後の答弁で大体よかったわけなんですが、あなたは先ほどからの五カ年の問題で、これはなかなか条文化できないのだ、その理由としては、答申が期待しているものは政党の自粛を大きく期待しているのだ、したがって、それができることを期待している、できれば問題はないのだ、こういうような解釈をしておられますが、今日的な意味において、審議会が、政党に期待はしたいけれども、その実現は非常に困難であるという逆の考え方から五カ年という条項をやはり入れてほしいという、私は大きな期待を持っているのじゃないかと思う。あなたは政党が自粛すればそれでいいのだという審議会考え方だ、こうおっしゃるけれども審議会考え方は逆じゃないか。期待はしたいのだけれども期待はできない、といって三年以内といいたいけれども、次の選挙との関連もあるので、五年という猶予期間を置こうとした。だから私は、その点であなた先ほどから頑強に抵抗しておられるのですけれども答申案の真意というものはやはりそこにあるのじゃないか、このように思うのですが、いま各党とよく話し合いの上成文化努力するとおっしゃったのですが、その点はっきりしてください。
  74. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 こういう種頽の問題は、各方面の御意見を十分承っていくのが当然なことだと考えております。したがいまして、先ほど島上さんの御質問にもありましたが、成文化過程においては、今日お述べをいただいたいろいろな貴重な御意見、あるいはまた制度審議会の委員の方々の御意見、そうしたものを十分拝聴いたしまして、そして御審議をいただくようにしたいと考えております。
  75. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 あまり繰り返したくないのですが、やはり五年間という時限をしなければ改正の意味はない、こういう問題が先刻来繰り返されておるわけなんです。ですから、この段階で、先ほど私があなたに申し上げておるように、政党が自粛すればそれでいいのだという考え方であるならば、むしろこの法案というものは意味はないと思うのです。そうじゃなくして、現在までの状態から考えてみて、政党にも大いに自粛してもらいたいが、自粛する可能性というかそれが非常に薄いということでやはりここで時限的なものを考えてきた、こういうふうに解釈して、答申の精神がそこにあるのだと解釈して、この際五年ということについて、あなたはほかのいろいろな点と関連して、そうおっしゃるけれども、先ほど私が言ったように、あなたの考え方は逆な考え方をしておるということなんですが、この点はどうなんですか。逆じゃないとおっしゃるのですか。
  76. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私は、必ずしもその五年の問題を入れる入れないが制度審議会の御趣旨を無視するようなことにはならないと考え、また政党近代化組織化を期待するということは制度審議会の御趣旨とは逆だというふうには考えておらないわけでございます。
  77. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 やはり同じようなところで繰り返しておることになりますが、それならばさしあたりでいいのじゃないですか。審議会で別に五カ年云々と言わなくたって、さしあたりこれでいくのだ、これだけでいいと思うのですが、特に五カ年という猶予期限を盛ったということは、やはりあなたが解釈しておる解釈ではない、私はこう思う。もう一ぺんそういうことを考え直してください。ここでいつまでやっておったってなかなか議論が果てない。しかし私は、あなたの考え方は間違っておる、こういうふうに思います。  以上です。
  78. 野田卯一

    野田主査 三木良明君。
  79. 正木良明

    正木分科員 いままでの問答で大体政府考え方というものはほぼ浮き彫りにされたような感じがするのであります。私ども公明党では、すでに御承知のように、このたびの答申につきましては非常に不満であるわけです。不満であるというのは、もっときびしい制限をしなければならぬ、しかも個人に限るべきである、しかしこの際、一歩前進という意味で不本意ながら賛成しようというような考え方に立っておるわけです。したがいまして、あくまでも、基本的な考え方は、そういう政治献金個人に限るべきである。これが理想的な姿である。それはやはり答申の中にもその意味のことが述べられているわけであります。いま「おおむね」ということばが入っておりますが、五年という期限が非常に問題になっていますけれども政府のほうではそれを成文化しない、明文としないようなお考えのようであります。しかも答申は、政党に対して近代化組織化を促進していくということを期待している。こうなってまいりますと、私は非常に言いにくいことですが、社会、民社、公明の三党はそれぞれこういう寄付個人に限るということは即時でもいい、こういう考え方があったことはすでに御存じだと思います。したがって、それに対する用意はすでにあるし、わが党といたしましては、すでにそういうことは個人党費でまかなわれておるので、すぐさまそうなっても特に痛痒を感じないわけです。そういうふうに三党はこぞってそのような意志がある。ところが、この制限はきつ過ぎる、きびし過ぎるといっているのはいわゆるあなたの与党である自民党さん。そうすると、あなたがおっしゃっていることはすべて私は自分の与党である自民党に対してそれを指さしておっしゃっているのに違いないというふうにしか感じられない。それでどうなんですか。
  80. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自由民主党の中にいろいろ御意見があることは新聞承知をいたしておりますが、私は別に自由民主党からいろいろな御意見を直接承ったこともございません。この答申は文字通り尊重して成分化するのが私の義務と心得ておるわけでございまして、決して自由民主党を向いてものを申しておるわけでも何でもないことを御了承いただきたいと思います。
  81. 正木良明

    正木分科員 そこで、であるならば、いま三党がそれぞれ大臣に質問を申し上げて、「おおむね五箇年を目途として」というこの答申にあることばは非常に重要である、むしろこの答申の骨格をなすものである、このような考え方であるということは大臣もよくおわかりになったことであろうと思うのです。さて、この三党がそのように、おおむね五年を目途としているということがかほど重要なものであるし、これが成文化にあたってぜひとも明文化されなければならぬという意思がはっきりしたわけでありますが、それでいてなおかつ阪上委員にお答えになったように、できるだけ相談して協調して趣旨に沿いたいというような意味ことばとあわせ考えて、いま現在どのようにお考えになっていますか。はっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  82. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 繰り返すようでございますが、五年というのを法文に入れるか入れないかということで、答申趣旨を全然無視してしまうというようなことにはならないと私は考えておるのでございます。したがいまして、そのような考え方で成文化を進めておるわけでございますが、なお制度審議会の委員の皆さま方の御意見等も十分尊重してまいりたいと考えております。
  83. 正木良明

    正木分科員 ということは、現在はまだそのような考え方には固まっていないが、このことについては成文化にあたっては十分考慮してもよろしい、こういうお考えととってよろしいですか。
  84. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 このことをいままで考えておりませんでした。ただ、はたして立法技術しそういうことができるかどうか、これも検討をしなければならないことだと考えております。
  85. 正木良明

    正木分科員 そうすると、ただこれを入れるか入れないかは立法技術上の問題で、立法技術上の問題が解決さえすればこのことは明文化してもよろしいというわけですか。
  86. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いいえ、入れるか入れないか、それから、それをもし入れるとしても立法技術上どうなるか、それらはあわせて広く考慮してまいりたいと考えております。
  87. 正木良明

    正木分科員 そうすると、全くこの点については今度の成文化にあたっては触れない、考える余地はないというようなきびしいものではないというふうに受け取ってよろしいでしょうね。
  88. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私どもはこれを入れないで成文化してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、なお特にこれを、この答申をおつくりになった選挙制度審議会の皆さま方の御意見もさらに徴しながら進めてまいりたいと思います。
  89. 正木良明

    正木分科員 繰り返すようでありますが、きょう順次、社会党、民社党、公明党の私と、この問題が大臣あなたと質疑応答する非常に中心の論点になっているわけでありますが、こういう点は、各党考えておること、また期待しておること、これを十分に考慮していただかないと、成文化された暁における審議過程において、このことが当然問題になるということは、いまからあらかじめわかっていることであります。そういう点ひとつ十分考慮をして、そして私たちの期待する方向に向けられるように、これさえできれば私たちはこれでもう満足だということではありませんが、せめてこの答申が不満足ながらも一歩前進という立場であるならば、これからもう一歩も後退しないように、半歩も後退しないような忠実な成文化ということは、当然われわれも国民考えているに違いない。また選挙制度審議会の委員の方々もそれを御期待なさっているに違いないと私は思います。そういう観点からそのことをあなたに重ねて申し上げておくわけであります。  なお、この答申の中には、非常にいろいろな点について従来と異なる答申がなされておりますが、たとえば答申の中に政治団体に対する会費を政治資金寄付と同様に取り扱うという一項がございますが、その点はこのまま成文化されるのでしょうか。これと、やはり四の「報告および公表の合理化」とは非常に関連があると思うのでございますが、その点はどうでしょうか。
  90. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 それは答申段階である委員から御質問がありまして、要するに会費名義の寄付というものは寄付と同様に扱う、こういう趣旨でそこに入れたわけでございますから、いまの後段の御質問の取り扱いについても全く同様でございます。
  91. 正木良明

    正木分科員 それともう一つの「匿名の寄付等の禁止」というのがございますが、これにぴったり該当するのかわかりなせんが、私たちがまだ衆議院へ出ます前に、だいぶ新聞雑誌等で拝見したのでありますが、佐藤榮作名義で二千万円の寄付がなされて非常に問題になり、また課税の対象という点からも問題になって、いわゆる滞留理論というような新説が飛び出したりなんかして非常に話題をにぎわしたのでありますが、そのような性質のものと大体同じものと考えてよろしいのでしょうか。
  92. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 その答申には、いまの選挙法にございますように、匿名の寄付と他人名義の寄付を禁止するということで答申が出たわけであります。政治資金に関しては現在その規定がございません。選挙法だけについてありますので、同じ趣旨を同じように盛ったわけでございます。
  93. 正木良明

    正木分科員 それから、今度新しく公職の候補者等の寄付の禁止ということで、いわゆる選挙区内におけるところの公職の候補者が寄付ができないということになっております。これは従来のものとどのような差異があるのか、その点についてちょっと教えていただきたい。
  94. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 現在は御案内のとおり、公職の候補者は、あるいは現職にある者を含んでおりますが、選挙に関しては、当該選挙区内の者に対して寄付をしてはならない、通常一般の社交の程度をこえる寄付は、選挙に関する寄付とみなすという規定がございます。したがって、それをやめまして、おおよそ選挙に関するといなとにかかわらず禁止する、こういう趣旨でございます。
  95. 正木良明

    正木分科員 大体答申の中で私がお聞きしたいことは二、三お聞きしておいて、また成文化された後にいろいろ御質問申し上げたいと思いますが、私が聞きたいと思ったことは全部いままで聞いてしまいましたので、私は聞くところがなくなってしまったようなかっこうであります。ただ、総理も、答申尊重し、また勇断をもってそれを成文化していくことに進んでいくというような言明もあったようであります。そういう趣旨にのっとってやっていただきたいと思いますが、ただ、最後に重ねて申し上げておきたいことは、私たちの少なくとも野党三党の意思というものは、機会あるごとに申し上げておるとおりのものであります。特にまた、きょう明らかになった、おおむね五年間に限るという時限につきましても、大いなる関心を持っておるし、それが成文化されないことには、私たちとしては、この答申が十分生かされたものではないと思う。これは大臣意見の対立するところでありますが、しかしそういう点も、先ほど阪上委員並びに門司委員にお答えになったときに、こういう問題についてはよく協議を重ねて、いたずらに対立するというようなかっこうで進んでいきたくはない、そういうことばを御信頼申し上げて、今後この成文化にあたっては、野党三党の意思というものを十分尊重し、また、その期待を満足させるような結果に導いていただきたい。私どもとしましては、ほんとうは五年間も待てない、即時にも個人本位の寄付に制限すべきであるというふうに考えておったわけでありますが、その点ひとつわれわれの意思のあるところを十分尊重せられて今後進んでいただくようにお願いしたいと思います。  それじゃ、委員長、けっこうです。
  96. 野田卯一

    野田主査 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      ――――◇―――――    午後一時十分開議
  97. 野田卯一

    野田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  自治省所管について質疑を続行いたします。唐橋東君。
  98. 唐橋東

    唐橋分科員 第一に大臣にお伺いしたいことは、現在の地方自治体の状況を見てみますと、非常に自治能力というものが縮小されてきておる。こういう状態は、率直に党派を越えて認めなければならない状況だと考えるのですが、自治省の任務、特に自治大臣の任務としては、こういうような方向に対してどう考えているのか。というと多少紋切り型になるかとも考えますけれども、どうしてもやはり私のような自治体の中で多少経験を深めてきた場合に、いつでも中央の現在の政治姿勢に対して大きな疑問も出てくるわけでございます。したがいまして、紋切り型の質問とお考えにならないで、自治大臣としての、現在の地方自治体の中における現在の政治の方向が地方自治体を弱体化しているというこの現実に対してどのように考えていられるかということを、ひとつ率直に第一にお伺いしたいと思うのであります。
  99. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かに御指摘にありましたように、地方自治体が特に中央政府の公共事業その他の裏づけというものに追われて、その自治体の実態に即した特色のある地方行政、主として単独事業等が圧迫されておることは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、四十二年度の地方財政計画におきましては、できるだけこうした地方の実情に即した特色のある行政ができまするように、単独事業の費用等を確保するにつとめたわけでございますが、根本的にはやはり各種の審議会調査会等で御指摘がありますように、中央、地方の行政事務を再配分し、しかもそれの裏づけになるような財源の再配分をいたすことが適当だと考えておりますので、その方向に向かって今後も努力してまいりたいと考えております。
  100. 唐橋東

    唐橋分科員 基本的な考え方としては了承できるのでございますが、現実の問題としていろいろ審議会等のいま大臣がおっしゃいました答申等は、あとにも御質問申し上げますが、なかなか実施できていない、こういうような状態であるというのが私たちの見方なんですけれども、それに対してやはり二割自治、三割自治、いわゆる地方自治の危機、こういうような大きな叫びが、特に財政力の少ない地方自治体においては大きな声として出ておるわけでございます。したがいまして、いまのような考え方の中で、やはり四年、五年あるいは十年の長い間に、担当大臣としてこの二割自治、三割自治というものを解消できるという見通しなのかどうか。こういうことにやはり自治体のいわば首長あるいは議員というものが非常に大きな関心を持っておると思うのでございますが一応基本的な考え方の上に立って、いまのお答えの上に立ってのさら突っ込んだ見通しをひとつお伺いしたいと思います。
  101. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 よく三割自治とかいわれるわけでございます。これは一面においては自主財源が少なくて国の補助金、負担金等が非常に大きなウエートを占めているという事実、あるいはまた先ほどもちょっと申し上げましたが、国の公共事業のおつき合いが多くて、単独事業が思うように伸びないというようなことをいわれておるのだろうと思います。したがいまして、四十二年度は景気の回復もありまして、地方税の伸び、地方交付税の伸び等が相当ございまして、国の公共事業のおつき合いをしたほかに相当の単独事業ができるような財政計画を組んだわけでございますが、今後、先ほども申しましたように、行政事務の再配分と財源の再配分とを精力的に努力をしてまいりますならば、地方自治本来の姿にだんだん直ってくるものと私は考えております。
  102. 唐橋東

    唐橋分科員 その方向に対しては私たちも極力やっていただきたい、こういう希望をつけながら、いわば行政事務の配分と財政力の問題のほかに、もう一つ人事があるのじゃないか、こういうことを私は考えておるわけでございます。たとえば新聞等において――事例をあけなくとも大臣おわかりだと思うのですが、中央官庁から府県に天下りということば等が新聞等に出ておるわけでございます。天下りかどうかということは別としましても、地方自治体、府県に出ていく、そして二、三年過ぎればまた本庁に帰る、こういうケースが近時目立って出ておるのではないか。こういう点を自治大臣としてはどういうようにとらえておるのか。しかもその派遣された人たちは、いわば住民のほうに顔を向けないで、とかくエリート意識の中に、口でこそ地方自治を尊重すると言いながら、中央のほうへウエートを非常に大きく置きながら行政を持っていくということが、政治姿勢として地方においては種々問題が生ずる場合があるわけでございます。こういう場合に、戦前の内務行政的なものが何か復活してくるのじゃないか、こういうような心配がまたそれに伴って出てくるわけでございます。このような人事は各省の人事であるかと思うのですが、しかし、自治体の総元締めである大臣としては、やはりそういうような状態を的確に把握しながら、いまの政治のあり方、いわば行政事務あるいは財政力という以外に、いまの人事の面についてどうしても考慮しなければならないのじゃないか、こう考えるわけでございますが、中央と地方の人事異動についてはどのように考えているか、これをお伺いしたいと思います。
  103. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは唐橋さん先刻御承知のことと存じますが、都辺府県などに中央の公務員が行っております。これは地方からの御要望によりまして行っておる人事交流でございまして、こちらから押しつけがましいことは一切やっておりません。しかし、いまお話のように、その交流しました者がその自治体に溶け込めないようではいけないことでございまして、真に行きました勤務先の自治体に十分溶け込んで、そして地方自治の発展のために努力するような心がけを持つようにということにつきましては、今後も十分指導してまいりたいと考えております。
  104. 唐橋東

    唐橋分科員 技術関係、こういうものの交流は当然だと思います。あるいはまたいろいろな特殊専門的なもの、こういうものの交流も私たちは否定いたしません。あるいはまた原則として、地方公務員の中から優勝な者を国家公務員に持ってくる、あるいは国家公務員の中から優秀な者が地方自治体強化のために行くという、この原則を否定するものではないのです。しかし、何か地方から非常に要望があったとか、中央から来ていれば、予算をいただくにたいへん便利だ、こういうような自治体弱化の方向の目的の中で、いまのような行政事務の中で行なわれている人事というものは、やはり注目をしながら、各省間におけるものは自治大臣のもとではっきりとつかむべきじゃないのか、こういう考え方を持っておるのですが、現在そういう実態を自治省としてつかんでいるのか、あるいはまた内閣関係のほうで、あるいは人事院関係のほうでそういうものをつかんでいるのか、そういう専門的な、どこか統合されたものを持っているのかどうか、これをひとつお伺いしたい。
  105. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 ただいまの国と地方との人事交流でございますが、自治省自身と地方団体との交流は、自治大臣の責任においてやっておりますことは御承知のとおりであります。各省の問題は、御承知のように、戦前の内務省でございますと内務省が一括して責任を持ってやっていた。現在は各省がそれぞれの立場で、都道府県でございますと都道府県知事との話し合いで人事交流をいたしておるというのが実情でございます。
  106. 唐橋東

    唐橋分科員 そうしますと、いま私がお聞きしたような、何か各省間におまかせしておいて、そういう人事の交流については、自治大臣ならば自治大臣、あるいは総理府のそういう関係の機関、異動の結果だけでも年間はこれだというようにつかんでいる機関、あるいはそういう場所は、現在の情勢の中でないのですか。
  107. 宮澤弘

    ○宮澤(弘)政府委員 省によりましては、自治省と事実上連絡をとってやっているところもなくはございませんけれども、ただいまお示しのように一元的に国と地方との間のすべての人事交流をつかんでいるという機関は、現在のところございません。
  108. 唐橋東

    唐橋分科員 今度は私の意見になってくるわけですが、多少やはりそういう傾向が世論的にも出ておるということは、私が申し上げるまでもなく、もうはっきりおつかみになっておると思うのです。そうとするならば、やはり各省間の自主性の中で結果としてはどのようなものであるかということはつかんでいただきたい。こういうことをいまのようないわば事務あるいは財政のほかに、今後の人事交流という中において当然行政的にそういう傾向をつかむ場所、それは多少結果論からであったとしても、やはりその結果が三年、五年のうちにははっきりした一つの数字としてあらわれてくるのがこういう場合の性格じゃないか、こう考えますときに、今後ひとつそういう点をつかんでいただきたいということを特に大臣のほうに要望して、この人事の問題を終わります。  次には、やはり地方自治体において一番頭が痛いものは、先ほども出ましたように、財政問題だと思うのです。しかし、その財政上の問題で明白に法違反と思われるものが横行している。横行というのは多少語弊があるかもしれませんけれども、やはり見のがされておる。これに対してはやはりはっきりとした行政指導が必要だ、こういう見解のもとに事例をひとつ出してみたいのでございます。それは何かと申し上げますならば、地方財政法二十七条の三の中で、都道府県立の高等学校に対する建築関係の負担は、直接であると間接であるとを問わず住民に転嫁してはならない、こういうことが明文として出ておるわけです、その場合に、相当財政の豊な県は別として、一府県くらいではなくて、やはり全国的にこれが空文化されておる。それをまた自治省のほうでは見のがしておるのではないか、こういうことなんです。体育館を建てる、そうすれば半額地元から寄付を仰ぐ、それは自主的だからやむを得ない、財源が足りないから、こういうことになる。しかし、自主的だという中にはいろいろなケースがあって、そのケース一つ一つは事例としてあげませんけれども、やはり間接的なものに大きく意味されるものがそのまま各府県に行われておる場合、まず第一にこの実態をどのようにつかんでおいでになるかをお伺いしたい。
  109. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 おことばにありましたように、いわゆる強制的ではないけれども、自発的だというようなことでそういう事例があることは、私ども承知をいたしておるわけでございます。しかし、かりに自発的だといたしましても、そういうことは地方自治体間の負担区分を乱るものでございます。地方財政法本来の趣旨にかんがみまして、一方において地方自治体の財源の確保をはかりつつ、こうした事例のないように今後さらにつとめてまいりたいと考えております。
  110. 唐橋東

    唐橋分科員 いまの問題でございますが、各都道府県は四十二年度予算がほとんど決定されて、そして実施段階に入っているわけでございます。したがってそういう実態について自治省としてはつかんでおりますか、おりませんか。
  111. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 四十二年度の予算につきましては、御案内のとおりことしは地方選挙がございまして、かなりの選挙を控えました県では骨格予算を組んでおります。したがいましてこれに肉づけをいたしますのが早くて六月県会、おそらく六月県会から九月県会になるだろうと思います。そういう状態でございますので、現在まだ正確なところの把握はできておりません。
  112. 唐橋東

    唐橋分科員 いま大臣が申されましたように、法の精神に逸脱しておるというものがあるならば、予算編成のまだ肉づけしない都道府県に対して、いまのような趣旨のものを徹底していく指示を当然すべきだ、こういうふうに考えますが、指示をする御意思ありや否やを伺います。
  113. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 税外負担の解消については毎年度、二月でございますが、私どものほうから、地方団体の予算の編成期前に予算の編成についての基本的な方針を示しております。それに、税外負担の解消につとめるということを毎年度予算編成当初には口をすっぱくして指示をいたしております。
  114. 唐橋東

    唐橋分科員 また、予算が通ってしまった府県、そういうものの中には、現実いまのようなことが行なわれておる事例があったことを承知しておるわけでございますが、これは自治省としては早急に集めて、そしていまのような指導をなす意思があるかいなかを明確にお伺いしたいと思います。
  115. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 今年度の問題につきましては、後ほどお尋ねがございましたらお答えしようと思っておったわけでございますが、百五億の税外負担の解消を、財政計画並びに交付税において組み込んでおります。本日、実はただいま全国の財政、地方両課長を集めて、その点も含めまして説明と指示をいたしておるわけでございます。当然こういうことを背景としながら税外負担の解消をするように、ただいま指示をいたしておる最中でございます。
  116. 唐橋東

    唐橋分科員 ちょっとその中に自主負担、そういうもののこういう規制はむずかしいと思うのですが、いま御答弁いただいたような指示の中で、こういう点もひとつ確かめて御指示願いたい、こういうことでございますけれども、それは公立の高等学校の生徒から入学時に、入学金あるいは寄付金、いろいろな名目がございますが、明らかに建築を寄付する目的を持って集めている、こういう事例がやはり多くあると思います。それは県直接あるいは府直接はそれを集めないわけです。条例外のものです。ですから、それは同窓会なら同窓会、あるいはPTAならPTAの名前で集めるわけですが、しかしここも非常に大きな矛盾があると思うのです。具体的には、PTAならPTAの総会というものは入学時には開かれておりません。早くて五月、六月にPTAの総会が開かれる。そのときに決定し、それならばそういうものを出そうという、何か使途を明確にした金を決定し、そのあとに集めるならば、これは多少意味も通ると思います。ですが自分が入学する、こういう入学の時点ですから、自分はその会議にあるいはその件の決議の機関に入ってないわけです。その決議の機関に入ってないにかかわらず、会員にならないうちにもう予約金的にそれを徴収されておる、こういうことが間々放置されておる。そしてそれが明らかに建築の財源に充てられる、こういうことがあり、さらにまた在校ならば在校の生徒のうちから月に二百円、三百円あるいは五百円という積み立て金を積み立てておいて、これをいわゆる建築充当金にするということが行なわれております。この点についての実態調査なり、あるいはいまのような明確なる指導というものをすべきだと考えるのですが、それに対してひとつお答え願いたいと思います。
  117. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいまの点につきましては、実は地方財政法の二十七条の三の規定が挿入されましたのが、三十八年改正でありますが、三十八年改正の際も法改正の趣旨というのは十分に周知徹底さしてございます。御指摘になりました、入学時に寄付金をとっておるという点につきましても、たしか当時、地方行政委員会でございましたか、奈良県の例を引きながらやはり国会質疑がかわされたことがございます。そのときも私どものほうでそういう事実の経過を明らかにいたしまして、そして是正すべきものは是正するよう指導いたしておるところでございます。今後またそういう趣旨を一貫いたしまして適切な指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  118. 唐橋東

    唐橋分科員 いま大臣局長からの答弁で、いまの税外負担の解消、しかもいまの二十七条の三にある、直接であると間接であるとを問わず転嫁してはならない、こういう趣旨自治省としては明確に指導をする、こういう御答弁と理解してこの質問は一応終わらせていただきたいのでございますが、問題は御承知のように、この四十一年十二月八日に内閣総理大臣に対して「地方税財政に関する当面の措置についての答申」が出ておる。その中で指摘されている事項として、質問するわけでございます。その中で一番問題点は、第四の「超過負担の解消と零細補助金の整理」ということで、問題にしたいのは、国の委任事務を持ちながら、その委任事務を持つことによって地方自治体が負担をしなければならない。こういう問題はやはり国の行政だから通ずるのであって、一般社会ではこれは通じないと思いますよ。ほかの人の仕事をしたならば、むしろ逆に金がよけいに来なければならないというのが社会通念だと思うのですが、こういう国の事務を受けたために自分の身銭を切らせておいて、それを責任ある国家行政の中で見のがしておくという、こういう点がやはり大きく取り上げられているように見えるのでありますが、このような点でこの答申は総括として、あとで一々聞きますが、総括として、この答申に沿うた中でこういう考え方でこれを解消しているという、まず全体的な方向、先ほどちょっと意見が出ましたけれども、それをさらにふえんした方向をお答え願いたい。
  119. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いまの御指摘の地方制度調査会の御意見の中にも、たとえば国民年金の事務取り扱い交付金であるとか、国保の事務費の補助金であるとか、元来地方の負担のあるべからざるものを負担しておるのは解消すべきであるということが述べられておるわけでございます。ただ現実には、それが補助単価であるとか補助対象の数量であるとか、そういうものが実態と離れておりまして、現実に地方が負担をしておるという事実は見のがすわけにいかないと思うのでございます。超過負担の解消については年々努力をしてまいりましたが、昨年は約三百二十億、本年は約二百六十六億ぐらいの解消にはなっておりますが、なお相当、数百億の超過負担があると存じます。したがいましてこれにつきましては、昭和四十三年度の予算編成を目途といたしまして、各省が共同で実態調査をいたしまして、そして解消につとめたいということを決定をいたしておるような次第でございます。
  120. 唐橋東

    唐橋分科員 およそ基本的な方向は了解いたします。ただその中でやはり超過負担解消の(3)の中と、いまのお答えの中にありましたように、補助単価といわゆる実施単価の問題がある。この性格の問題、それから先ほど私申しましたようにどうしても国の委任事務、そういう性格、あるいは法的にこういうものは国で全部やらなければならないのだ、こういう二つあると思うのですよ。その中で、やはり指摘されていましたように、いまお答えのありましたように、国民年金事務取り扱いの交付金、国民健康保険事務費の補助金、農業委員会補助金、統計調査事務職員の委託費については、その性格上本来地方団体の負担はあり得ないものだ、こういうもので、その完全な解消がはかられるべきである、こういう指摘があるとするならば、いまのような方向の中で年次的に、来年すぐということはなかなかあれだと思うのですけれども、やはり三年計画なら三年計画でこれはやはり完全にするのだ、あるいはそのあとで、予算的な実施単価と補助単価の違いだ、こういうものは年次年次の中で解消しなければならない。この二つのものがあると思うのですが、さきのほうの、これはどうしてもあり得べからざるものがあるという場合の解消は、いまの御答弁の中で方向だけは出ていますが、それを年次的に解消するというような基本方針を出してこそ、初めて地方自治体の中の事務の人たちも非常に明るい計画的なものが出されると思うのですが、いまの答弁の中では、努力はわかる、しかしこれは解消できないんじゃないか、こういう自治体の不安というものはやはり残ると思いますけれども、この解消についていまのお考えの上に、さらに年次的な解消計画というものをお持ちですか、どうですか、ひとつお伺いしたい。
  121. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど大臣からお答えいたしました中の、補助金の内容等を順次調査をして整理をしたいわけでございますが、たくさんございますものですから、その中でどういうものをまず取り上げるか、これも非常に重要な問題だと考えております。したがいまして、いまお話のありましたような、国が全額を打つべきもの、そういったようなものをわれわれはできるだけ早い機会に取り上げることによって、その解消か実現するように努力していきたい、かように考えております。
  122. 唐橋東

    唐橋分科員 答弁趣旨は了解できるのですが、何か私たちは非常に理解できないのですよ。といいますのは、これだけ二割自治、三割自治という危機が叫ばれてきた中で、自治省が今度庁から省になった、こういう一つの情勢の進展の中で、しかも戦後初めて民主主義の基礎である地方自治というものが、新しい憲法のもとに置かれた中で、いまこれからやるんだ、こういうかまえというものは、実は地方自治体をいままで非常に軽視された結果ではないかということも、私いまの御答弁の中からまず得た一つです。それにしても、これからやるんだ、これからやるんだと、こんな簡単なかまえの中では、この問題はほとんど解消し得るものではないのではないか。もっと強力な一つの自治体擁護の――そして当然行政上からも、あるいは行政理論の中からも、出すべきものでないものを出させておる、こういうものの解消というもの――いままでのことをいろいろ申し上げたってしかたがないので、これからいまのような方向の中である程度の、審議会なら審議会というものを持ちながら、年次的に解消していくんだ、こういうかまえならば理解できるのですが、どうもいままでの自治体軽視、さらにそれに対するかまえが何か形式的、通り一ぺん的なものとしか受け取れないのですが、私の受け取り方が実は悪いのですか。それともまた――私は当然私の考え方が正しいものではないだろうかという考え方に立ちながら、もう少し強力な指導というものの中で、この解消をはかる方途を大臣として出してこられないものですか、どうでしょうか。
  123. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 こういう事態が起こりますのは、地方自治体が現実に支払っている実態と国の予算とのズレがあるためにそういうことになるわけでございますので、その実態をまず各省共同で調査をいたしまして、その実態把握の上に立って四十三年度以降年次的にこういうものを解消していく、こういう方向を定めているわけでございます。
  124. 唐橋東

    唐橋分科員 ではその方向を了解することにして、この質問を一応終わらしていただいて、次には、この前、東京都知事の選挙の際に、佐藤総理が、協力をしない、こういうような発言があったというので、新聞等に報ぜられ、そういう情勢に対していろいろ議論を呼んだということは御承知と思うのですが、それと同じような問題で、しかもそれよりももっと深刻な問題は、いま市町村長の選挙の中で、中央直結を叫ばない候補者はどうしてもめんどう見てもらえない。中には、補助金や交付金などについて、あるいは国からの交付金が非常に困難になるのだというような、ちょっと専門家が考えたならば笑い話的な性格のものさえ堂々と論じられているというこの実情は無視できないと思うのですよ。ここにやはり中央集権強化の大きなものがあると私たちは把握しなければならないのでございますけれども、やはり自治体は自治で、その住民の意思でどのような市長が出ようが、町村長が出ようが、出た限りは、国として当然国の事務の中できめられたもの、そういうものは区別なしに明確に出さなければならない、こういう考え方を私たちはあたりまえに持っているのでございます。いま地方選挙がたけなわな最中に、いまのようなことが各地において大きく叫ばれているときに、明確にこの点を自治大臣の責任において国民に表明していただきたい。いまの、中央直結でなければ補助金が減らされるのだというような、こういう問題についてお答えを願いたいし思います。
  125. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 国は法令に従って地方自治体に対する各種の補助金その他をやるわけでございまして、その首長がどのような人がなったかということでそれに厚薄がつくはずばないわけでございます。まあ、選挙のときに激しいやりとりなどはあろうと思いますが、あくまで国の姿勢としてはただいま申し上げたような姿勢でございます。
  126. 野田卯一

    野田主査 大原亨君。
  127. 大原亨

    大原分科員 私は、昭和十九年から二十年にかけまして、本土決戦――大体外地で戦争に負けまして、本土決戦の段階における民間防空体制、そういうものから出ております当時のいろいろな権利義務関係につきまして、時間のあるだけひとつ質疑応答を進めまして認識を深めてまいりたい、こう思うのです。  というのは、本土決戦の段階で――その当時自治大臣は何しておられたかわからぬのですが、防空総本部を内務大臣が中心で設けたのでありますが、内務大臣が防空総本部長になりまして、次官その他が副本部長で、当時内務省でしたから、自民党の参議院の会長の斉藤君等も局長でやっておられたのであります。そして陸海空が中心で、第一線は警察署でありました。警察署長が軍と一緒になりまして、各官庁や住民の住民組織、隣組に至るまで指揮をいたしました。そういう関係があるわけですが、しかし大まかにいうと、敗戦になりましてから大体防空総本部の関係は、これは戦争犯罪者として追及になる、戦犯として追及になるという情報が入ってまいりまして、関係者は、防空総本部を解体すると一緒に資料を全部焼き捨てた。第一線に至るまで焼却せよ、こういう命令が出たのであります。したがって、当時は非常にきびしい刑罰規定やあるいはそういう権利義務関係があったわけですが、それらの問題が放任をされたままになりまして今日に至っておる。一方では、軍人や軍属や準軍属、これにつきまして援護措置を逐次拡大いたしてまいりました。あるいは公務員等についてもやってきたわけですが、残っておるのはいわゆる防空法、民間防空関係の被害者の問題であります。したがって、この問題は、私は、法律上の議論は一応しなければなりませんが、いたしますと、これは弁解の余地がないところでありますが、しかし何にいたしましても、相当、二十何年も過ぎてからの議論でございまして原爆被害者の援護、特に終戦のまぎわになりまして、八月六日あいるは八月九日、引き続いて八月十五日というふうに、この敗戦のどたんばにおける事件が非常に被害も多くて、しかも当時政府としてもほおかむりしてずっとそのあともやってきておる、こういう経緯等がございますから、それらに焦点を合わせながら、今日まで私はいろいろな資料を集めまして、いろいろと議論をしてきたんです。しかし大臣もおかわりになりまして、大臣がかわるとまた初めから議論せねばならぬということになりまして、非常に不経済な内閣であると思うのですが、それはともかくといたしまして、ともかくも理解を深めてもらわなければならぬ。これに関係するこの国会における法律としては、当然、在外資産の問題で戦争処理の問題が出てまいります。あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法という改正案も厚生省では出してまいります。したがって、やはり圧力をかけたところが法律ができるというのではなしに、やはり国民立場に立ってみれば、道理の上から納得できない、こういうことがないように、やはり政治は公平を期する、こういう意味においてであります。  そこで、どなたからでもいいのですが、当時防空総本部を形成いたしておりました、そういう母体でありました内務省、内務大臣、それの所管の事務は一体どことどことどこへ分割されておるのかという点について、これは総理府もお見えになっておりますが、だれでもよろしいが、ひとつ学識のあるところを御答弁願いたい。
  128. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 あまり学識がございませんので、多少違うかもしれませんが、内務省の地方局が所管をいたしておりましたものが大体自治省に残っておると思います。それから、社会局関係が厚生省、一部労働者、それから土木局関係が建設省、警保局関係が警察庁、大体大まかにはそう言えると思います。消防は、戦前は警察の所管でございましたのを自治省に持ってまいっております。
  129. 大原亨

    大原分科員 大体民間防空というのは、空襲を受けて火事になったのを消すということから出ているから、消防という仕事があるかもしれないですね。警察と消防、こういうことで、警察も消防もみなきょう来てもらっているわけですが、そういうことで自治省にも、私は自治大臣は深い関係があると思うのです。特に私がお尋ねしてわからなければさらに究明してもらいたいという点は、旧防空法の十二条による防空従事者扶助令、これは勅令ですが、つまり、警察署長その他の防空総本部の命令に従わなければ一年以下の懲役、一千円以上の罰金、一千円以下ですから、いまでいえば、四百倍といたしまして四十万円ですが、かなりの罰金です。そう罰金に処するということと同様に、扶助規定を設けて、そういう防空従事者の犠牲に対しましては扶助令を設けたのでありますが、その扶助令は、戦後、防空法が廃止されましても、これは存続することになっておったわけであります。この事務の性質上、自治大臣はいま大まかに分れて継承の官庁を言われたわけでありますけれども、事務の継承――扶助令は法律上残っておる。防空法が廃止されました昭和二十一年一月三十日以降も扶助に関する事務は、この問題については廃止しないんだという付則がありまして、残っているのですが、これは事の性質上からいうならば、どこが受け継ぐべきものであるか。こういう点についていろいろ皆さん方も今日まで議論をされていると思うのですが、一体どこが受け継ぐものであるか、こういう点についてひとつ御意見があればお答えをいただきたいのです。
  130. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 防空法の廃止の法律の付則におきまして、ただいま先生の御指摘になりましたように、なおこの効力を有するということにされておりますのでございます。ただ、それをどこの役所が引き継いでいるかということでございまするが、内務省が廃止になりましてから内事局ができまして、その内事局の第一局、第二局というのがございましたが、その第一局がおそらくこの関係を当時としては引き継いだものであろうというふうに推測されるのでございます。推測と申しましたのは、防空そのものの仕事はもう終戦と同時になくなっておりまするので、その仕事そのものを正面から継いでいるわけじゃございませんが、いまのような残務といたしましてはそこが継いだものであろう、かように存じます。しかし内事局も、これは暫定的な機関でございまして、二十三年の何月でしたか、これも廃止になっております。その後警察の関係は国家公安委員会になりましたし、そのほかの仕事もそれぞれの役所にまいりまして、特にこの防空関係について所掌事務として明示をいたしてこれを引き継いだ役所は見当たらないというのが実情でございます。したがいまして、私の一個の考えでございまするが、現在この所管する役所がどこか、はっきり申し上げることはむずかしいのじゃなかろうかと思っておるのでございます。  なお、御参考までに申しますと、私は消防庁でございまするが、この防空従事者扶助令の中で警防団員も対象になっておりまするが、警防団員は消防団員の前身でございますから、そういう意味におきましては、警防団員の問題が何かございますれば、法律に基づく基づかぬということは別といたしまして、私どものところでお世話をしていかなければいかぬのじゃなかろうかというような感じは持っておる次第でございます。
  131. 大原亨

    大原分科員 お話があったように、戦後の昭和二十一年一月三十一日、法律第二号の防空法廃止法律によりますると、その附則に「本法施行前ニ發生シタル事由ニ因ル扶助金」「ノ辨償ニ關シテハ舊法ハ本法施行後と雖モ仍共ノ効力ヲ有ス」と、法律によって勅令は残っている。こういうことで、防空法関係の事務は、内務省が解体になって内事局らしい。そこまでは前の総理府の安井長官も予算委員会答弁をしたことがあるのですが、しかしそれからが行くえ不明だ。内事局は解体になっておるが、その事務は法律が廃止になっておっても残っておる。勅令を残しておきながら、しかもそれを受け継ぐ官庁がいまのところないか、あるいは行くえ不明だ。しからば私が尋ねておるのは、事の性質上どこが受け継ぐべきであるか。勅令は残っておるのです。だから扶助規定ですから、遺族を含めて犠牲者が扶助規定の適用を要求すべき権利が残っておるのに窓口がないということになっておるわけであります。官庁はそういう法律に残っておる義務を履行する窓口を置かなかったということになる。その法律論についてはまた別にいたしまして、そういうことに相なっておることは確実です。しからば内事局からどこへ行ったかと言えば、これは内事局は廃止になって、そういうものを事の性質上どこが受け継ぐべきであったか、こういうことです。たとえば厚生省が受け継ぐべきではなかったか。そういうことになると戦時災害保護法という法律が別にあって、たき出しその他をやっておった。困った人に対する当座の救済をやっておった。それは法律で生活保護法に受け継いでおるのであるから、救護法という特別の法律ができれば別であるけれども、いま大臣お話しのように、内務省の社会局が厚生省というのですから、そうすると生活保護的な一般的な問題を受け継ぐということはあるが、扶助規定というのは厚生省が受け継いだというふうにも思えない。新しく法律をつくれば別です。どこが実施するかということになれば別ですけれども、しかし社会局の残りの事務は厚生省が受け継いだとするならば、これは社会局が受け継ぐべきだということも、戦時災害保護法との関係もこれはないのではないと思うわけです。大体どこが受け継いで、残っておる法律についてあと始末をすべきなのか、こういう点について、どなたでもいいからいい知恵がある人、私が納得できるような答弁ができる人があったら答弁してください。みなおられるのですから。
  132. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先生に御納得いただくようないい答弁ができるわけではございませんけれども、私の一個の私見を申し上げますと、防空従事者扶助令は確かに法令といたしましては廃止の措置がなされておりませんので、現在なお存在するのではなかろうか。ただその第十条の規定を見ますと、「扶助金ヲ受クベキ者ガ扶助金ヲ受クベキ事由ノ生ジタル日ヨリ起算シ二年以内ニ精求ヲ為サザルトキハ當該扶助金ハ之ヲ給セズ」こういう規定がございますので、実際問題といたしますとこの勅令の適用を受くるべき者が今日請求をするという方法はもう法律上ないのではなかろうか、かように思うのでございます。そういたしますと、今日この勅令の所管がどこであるかということはいろいろせんさくいたしましてもあまり実益がないのではなかろうか。問題はむしろこの勅令の対象といたしておりました者で、しかも請求をせずにそのままに放置されました者が今日あるかどうか。もしあるとするならば、それに対して今日の段階におきまして政府としてどういう救済の措置を講ずる必要があるかどうか、こういうような観点から問題を考えていくのが事の性質上筋道ではなかろうか、かようなふうに私見としては持っておる次第でございます。
  133. 大原亨

    大原分科員 それじゃ佐久間消防庁長官、あなたが責任を持って消防庁としては処理する、この扶助を受ける権利があった者についてその権利が行使できなかった、そういう人について実態がよくわかったならば、やはり公平の原則に基づいてこれは政府として処理すべきである、こういう見解ですね。  それからもう一つは、防空法の十二条による扶助規定の十条によって時効か二カ年ということに相なっておる。これは短いほうの時効である。長い分が五年か幾らですが、そうするにいたしましても、昭和二十年八月十五日が終戦ですが、昭和二十年八月六日と八月九日が広島、長崎の原爆が投下されたときですから、事故が発生したときから二カ年ということになりますと、昭和二十二年八月六日と八月九日ということになるでしょう。しかしながら昭和二十一年の一月三十一日に防空法が廃止になっておるわけでしょう。廃止になりましてからその後もずっとその仕事をどこがやっておるかということもわからないのに、ゆまり請求できるような状態に置かないでおいて、これは時効にかかってその権利は当然にないのだ、こういうふうな議論は、他の問題からの議論もありますが、法律的に見てみましてもおかしいのではないか。むしろ法律の保護を受くべきそういう人々に対しましては、その趣旨を十分徹底させて万遺漏なきを期してその事務を処理すべきことを当然政府としてはやるべきではなかったのか。時効だけの問題でこの議論をするのはおかしいのではないか。  もう一つおかしいと思われる点、不公平であると思う点は、刑罰までちゃんと科して防空体制に動員したわけです。ですが、戦後軍人恩給は制度上廃止されたのですね。しかし廃止されたにもかかわらず、扶助金の請求権は存置されたのですね。しかしこれは廃止されていないのです。事の性質上存続すべきであるということになった。防空法にも規定してあるし、扶助令にもあるように、防空監視員、警防団員、救護員、この救護員は医師、看護婦、助産婦、保健婦、それから学校報国隊、応急防火班、隣組、職場防火、メンバーを全部出して、六歳以下はよろしい、六十五歳以上はよろしい、こういうように権利義務を明確にしながら、子供は疎開しなさい、残りは全部やりなさい、やらなかったら刑罰をもって強制しますよ、しかし犠牲を負うたならばこれは扶助規定を適用いたしましょう、こういうふうに書きまして、そうして外では負けて手を上げてしまった、一億総動員で本土決戦に備えるのだということで軍人がしりをひっぱたいて、警察が第一線に立って督励した。扶助規定については存続したけれども、そういう点で、時効という観点から見ても軍人恩給その他公平という観点から見ても、これは放置されておるのはおかしいのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。これはそういう議論をするのであれば、もちろん時効の中断とかそういう問題について法律論争もいたします。私もいろいろ調べてみましたけれども法律論争をやりますと、きょうは時間がないからこれは別に法制局との対論でやりますが、これは法律論争はあるがおかしいではないか。これは何らかの形で処理すべきである。こんなことはきわめて明確なことだ。特に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の第一条には――見つからないから、第一条を援護局長、読んでください。これは、軍人軍属、準軍属の遺族に対する扶助の規定ですが、第一条の趣旨からいって、これは考えてみたいのですが……。
  134. 実本博次

    ○実本政府委員 いま大原先生のお話の戦傷病者戦没者遺族等援護法第一条は、「この法律は、軍人軍属等の公務上の負傷若しくは疾病又は死亡に関し、国家補償の精神に基き、軍人軍属等であった者又はこれらの者の遺族を援護することを目的とする。」こういう条文になっております。
  135. 大原亨

    大原分科員 それで大臣、この公務上の傷害、疾病云々とあるけれども、これは公務でないかといいましたら、隣組も戦争の末期においては市制、町村制を改正しまして、市長や町村長の補助機関になったのです。法律上補助機関というふうになっておるのです。これは他の民間人で関係ないということはないのです。補助機関ということになっておる。ましてや警防団員とか医者とか、そういうものは任地を離れてはならぬ、指定地を離れてはならぬ、こういうことで、とにかく空襲があったならば自分の財産を使ってやっておけ、とにかく財産というものは、医薬品その他を使ってやっておけ、あとで何とかしてやるということになったわけです。広島でも長崎でもみんなそうです。であるのに、しかもこれは医者にいたしましても、警防団員にいたしましても、これは県の知事、県の本郷長の知事が個人個人に命令書を出している。これは「防空業務従事令書 赤木ヨシ 何月何日生 住所廣島縣広島市平塚町二二〇番地 右防空法第六條ノ規定ニ依リ左記ノ通防空救護業務ニ従事スヘシ 縣知事松村光麿 昭和二〇年二月二八日 防空業務ニ從事スヘキ場所、廣島市 従事スヘキ期間、自昭和二〇年三月一日至昭和二〇年八月三一日」というように、何月何日まで広島市を離れてはいかぬという「防空業務従事令書」を個人個人出している。警防団員から医者から看護婦、助産婦に至るまで、あと隣組にいたしましても末端機構といたしまして、これは市町村の補助機関だというふうに規定しておる。法律上補助機関であるから、これは明らかに死んだ人は公務上の犠牲者である。こういうことは法律上まぎれもないと思う、私が申し上げたのは、時効の点から考えてみても、時効が発生した八月六日から二カ年間扶助金を請求し得べき伏況になかったか。戦後、軍人恩給のように廃止されたものであっても、復活してもらっておるのに――これは私も悪いと言っているのではないのです。もらっておるのに、国との権力関係がなかったということだけで法律上残っておる防空業務従事者について、ないというのは、おかしいではないか。  第三の問題としては、いま言ったように、戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定で明らかに公務上であるということの否定は、本土決戦の段階ではできないではないか。つまり民間のそういう犠牲者について放任をするということは、これは私は政治の公平さからいうて、声が小さいからといって、おかしいではないか。その前に、昭和二十年の五月、六月、七月ごろの空襲にあった人たちの中には扶助規定の適用を受けた人もあります。当時は扶助規定を受け得るような状況にあった。しかし、八月六日、九日、十五日が終戦というふうなときに、広島、長崎のような場合においては、これはほとんど不可能です。どさくさの応急対策をやるだけでありまして、その後内務省は解体して、もうみんな算を乱して逃げた。そういうことですから、この三つの点からいっても、私は専門の法律論争はまた別の機会にするとしまして、時効中断の問題は別にいたしまして、これはおかしいではないか、こう思うわけです。大臣、いかがですか。
  136. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かにいまおっしゃったようないろいろな観点から見て、そのままにすべきではないと私も考えます。ただ、大原さん御承知のように、消防庁におきまして実態調査をいたしたのでございますが、扶助金の支給を受けたものが七件、六十三人、未支給のものが十七件、八百三十二人、その他の府県では調査不能ということに一応なっておるわけでございますが、これらをさらに実態を調査いたしまして善処したいと考えております。
  137. 大原亨

    大原分科員 いま私がお尋ねしようと思ったのですが、消防庁が中心で警防団――いまのは警防団だけですか。私の言うのは、警防団以上の場合でございましても、たとえば防空監視員のように、軍人や警察官とともにやぐらの上に立って防空監視をする役割りの人があったわけです。これは防空ごうなんかなしで防空監視の役に当たったのです。その他医療従事者もあるわけです。これは非常にきびしい。家族は疎開させても任地を離れるな、こういうことであったわけです。それで死んでいる人もたくさんあります。警防団員に至りましては、制服をもらいまして、給与や手当をちょっともらったくらいでしょうが、ほとんどこれは無報酬でしたけれども、民防空の中心になってやったわけですね。そのほかも、それぞれ権利義務関係があって、かってに命令、言うことを聞かなければ刑罰、罰金を科するようになっていて、一番少なくても五百円の罰金ですから、二十万円に相当する罰金ということであります。ですから任地を離れるな、そういう拘束を受けながら原爆を受けるということであるならば、私どもは、政府がそういう原爆被爆者の援護について相当積極的な態度を示すというならば別だけれども、示さぬというならば、あらゆる点を検討してやらなければならぬという立場に立って、一部解決したものもあるわけでありますが、とにかくやらなければならぬ、医者の場合にはだれがやるかということになりますると、だれが一体やっていったらよろしいか、医者や看護婦や助産婦、保健婦はだれがやったらいいか、実態調査をやったらよろしい。その実態調査をしようと思えばできるのです。当時の医師会長、医師会長が警防団長をやっておる場合も多いし、医者が警防団員をやっておる場合もある。その他いろいろな人を探っていって、当時の状況を調べまして、それらから集めていくならばできないことはないのです。これは単に文書を流してやるだけでは、二十年前のことだからだれがというようなことで、なかなかこのように調査ははかどりません。しかし、調査のしかたによれば、これはできる。その警防団以外は、やはり内務省の警察署長が第一線におって、オールマイティーの力、権限を背景といたしまして、消防団その他を動員する、そうして民間人から何から、医者から看護婦から、そういう救護要員を全部動員してやったような形になっている。だから自治省が中心になってやるべきではないか。医者は厚生省というよりも、やはり自治省が中心になって、消防庁などが一つの中心になる、あるいは警察庁が――警察庁見えていますね、警察庁がやるとか、そういうように警察庁、消防庁が中心になるか、あるいは自治省が都道庁県との関係があるのだから、それらを督励してやるか、そういうことが私は一番現実的ではないかと思って、きょうは自治省分科会に出てきて議論しているわけです。私は、警防団だけでなしに、自治省はひとつこの点は可能な限り責任を持って調査してもらいたいと思うのだが、自治大臣いかがですか。
  138. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 戦前から戦後へのいきさつは別といたしまして、警防団だけは消防庁で調べたわけでございますが、それもなかなか不可能であります。それで、私の聞きましたところによると、大原さんからの御注意もあって、医者とかそういうものに個別に当たってみたらどうだというようなことで、それらも実施をいたしたようでございますが、なかなか調査がはかどらないというのが現在の実態でございます。しかし、こういうものをほうっておいていいものではございませんので、関係各省と連絡をとりながら調査をさらに進めてまいりたいと思います。
  139. 大原亨

    大原分科員 それで、この問題も私が質問したかしないかわからないのですが、これは大蔵省のほうに聞けばいいのですか。金を出したほうですよ。いわゆる扶助令によって政府が金を出したほうですね。幾ら払ったか。当時出したほうについてわかりますか。大蔵省がわからなかったら、厚生省か……。
  140. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 はなはだ申しわけないのですが、勉強しておりませんし、資料があるかどうか後刻調べたいと思います。
  141. 実本博次

    ○実本政府委員 昨年この問題で先生のお尋ねのありましたときに、昭和十七年、十八年、十九年、二十年の決算面から総額だけを資料として整えておったものがございますが、それによりますと防空従事者扶助令による扶助金の支出といたしまして、昭和十七年に二万一千二百四十七円という支出額が載っております。それから十八年は防空実施緒費ということで計上されておりまして、防空従事者扶助令によるものだけの額というものは不明確であります。それから昭和十九年におきましては十一万六千二百四円というものが計上されておりました。それから昭和二十年におきましては百九十三万五千三百四十円というものが計上されております。
  142. 大原亨

    大原分科員 それは予算ですか決算ですか。
  143. 実本博次

    ○実本政府委員 決算面での金額でございます。
  144. 大原亨

    大原分科員 ですから、昭和二十年のは二十一年の決算に出るわけですから、二十一年の決算がなかったということになるわけであります。二十一年の決算がなかったということになると、二十年にはもう戦争がまっ最中になって、最盛期においては事務処理その他も含めてそれどころではなかったということになるのではないかということがいまの御答弁からも想定できるわけです。何はともあれ法律上の議論をいたしますけれども、ともかくも国民に対しましては防空体制の中で約束しておりながら、扶助規定も設けておきながら、扶助料も制定しておきながら、そして防空従事者に対しましては何らの措置をとらないという状況で、今日なお二十年たっても放任されて、その実態がわからぬ、こういうまことに遺憾な状況だと思います。私はこのことは建設的な提案なんですが、昨年の六月二十一日の衆議院の社会労働委員会における決議もあるのですが、その決議はどういう決議かといいますと、これは参議院でも同様にやっております。戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、「一、政府は、わが国が世界唯一の原爆被爆国である事実にかんがみ、原爆被爆地において、旧防空法等による国家要請により、防空等の業務に従事中死亡又は身体に障害をこうむった者に対し、昭和四十二年度を目途として具体的な援護措置を講ずること。なお、被爆地以外の地域についても必要な措置につき検討すること。」こういうのがあるわけです。ですから、このことについては別の機会にいろいろと私どもが申し上げたように、在外資産の問題についても法律が出ることを約束いたしておりますし、それから戦傷病者戦没者遺族等の援護法の改正法律がまた出るのですから、われわれもこの点について十分真相をただしていくつもりですが、しかしそれにいたしましても、原爆被爆者等についての実態調査をいま厚生省がやっておるわけです。そこで私は被爆者だけに限定することはできないと思う。被爆者を中心として、防空法による被害者について、今日の時点において、公平の原則に立って何らかの措置をすべきである。こういう点でたくさんの問題が関係各省に、またがっております。前の鈴木厚生大臣は、私がこれから申し上げる提案については賛成いたしたのです。それは当然だ、いい案だということだった。しかし坊さんは、何ぶんにも新しい人で、健康保険法で追い回わされて、何ら考える余裕がないということでございますから、私も時間のむだですから言わぬわけですが、これは時期をあらためて質問するつもりですが、私が提案しておるのは、原爆被害者等を中心に防空法関係その他の犠牲者について実態を調査なさって、援護について国としては公平の意思が通ずるような何らかの措置をするために、実態調査は自治省その他でやるにいたしましても、総理府等に審議会を設けまして、いろいろ関係各省の資料を集めて、それについての事実の究明と対策を立てるべきではないか。前の鈴木さんは、それについては非常に建設的な案である、こういうことでございました。私はその問題について自治大臣がひとつこれを推進してもらいたいと思う。せっかくの機会ですから自治大臣の御答弁をお伺いしたい。
  145. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 何ぶんにも先ほど来申し上げておるように実態の把握が不十分でございます。再調査いたしまして、できるだけ実態を把握しつつ、関係各省と十分な連絡をとりまして、この問題の解決に当たりたいと存じます。
  146. 大原亨

    大原分科員 私は、鈴木さんが前言われておったけれども、原爆被害者等に対する審議会の構想についても――きょうは総理府見えておりますか。――総務長官お見えになっておらぬので、私は答弁を聞いておらぬのだが、そういう提案について前の鈴木さんは了承され、与党の方も選挙のときには、原則的に賛成だ、こういう回答をなされておるようでありますが、私はそのことは当然だと思う。これは圧力はないけれども、やはり見のがしてはならぬ小さな声である。そういう点では、私はそういう被爆者援護等の審議会を設置して、そういう問題をひとつ納得できるように解決する、こういう方向で御努力いただきたいと思いますが、いかがですか。
  147. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 原爆被爆者の援護に関する問題は私の直接の所管ではございませんが、なお鈴木前厚生大臣答弁、いまの大原さんの御意見等は十分政府部内に伝えたいと存じます。
  148. 大原亨

    大原分科員 もう一つ。辺地債の問題について簡単に質問いたします。  辺地債というのは、これからの計画に対して借金をさせる、借金のワクを与える、こういうことだというふうに、私は勉強が足りませんが理解しておるわけです。そうなんですか。
  149. 細郷道一

    細郷政府委員 今後建設するものに要する資金として地方債を発行するわけであります。
  150. 大原亨

    大原分科員 簡単に私は端的な例で質問いたしたいのは、広島県の山県郡の戸河内町の横川という協同組合がだいぶ前に自家発電をしたのであります。小水力自家発電をしたのでありますが、それを各方面から借金をいたしましてやったのが、借金がたまっておるというだけでなしに、当時二十六人横川の部落には農協の組合員がおったわけです。それが最近は八人になって、生活力がないのが残っておる。ですから、債務の負担ができないものですから、保証しておりました町が、財政上これを年次償還しているわけであります。純粋の町の持ち出しになるわけであります。そういうふうな場合も、これはやむを得ない経済構造変化に伴う措置ですから、たとえば辺地債等で低利の金が借りられるという、そういう方法等であと始末をやっていくことはできないだろうか、こういう議論があるわけなんです、端的な話ですが。これは本人たちがずぼらをこいて払わなかったという形でもないし、あるいは電気のないそういう地域に小水力の発電をやった、小水力の発電の資源に恵まれてやったという話ですし、しかも十八人が出ていったが、この十八人について責任を追及するわけにもいかない。二十六人おったのが、十八人出ていった。あと八人残っている。しかしその責任を追及するというわけにもいかない。この部落は滅びていくばかりであって、八人ほど生活力のない人たちが残っている、そのために町村の財政の負担になっておるわけですか、この問題について、純粋の町費をもってこのあと始末をするというふうなことは、これは気の毒ではないかと思うわけです。辺地債をこれに適用するというようなことはできないか、あるいは他にいい方法があるかどうか。これは不可抗力というか、やむを得ないものだと思いますが、こういう点についていかがですか。
  151. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと突然で、私も実情がわかりませんが、お話を承った範囲では、非常に同情すべきものがあるように思います。ただ地方債の性質上、すでにできたもののあと始末に地方債を使うということは、現行法上許されておりません。例外としても許されておりませんので、辺地債でこれを救済することは困難であろうと思います。しかし町当局がその問題を肩がわりをしていく、その場合にどの程度の財政力があるか。町自体がそういったことによって特に財政的な影響を受けなければ、それによって解決するのも一つだろうと思いますし、町自体がすでにもう赤字で、なかなかそれができないのだというようなことでありますれば、場合によっては財政再建の計画を立てて準用団体になって、町全体が再建計画を実施していくというような方途もあろうかと思います。いずれにいたしましても、お話しの点でございますから、具体的な問題として私どももよく事情を承って、よき方向に処置いたしたいと思います。
  152. 大原亨

    大原分科員 準再建団体とか、再建団体とか、そういうおそろしいことは言わぬで、おどかすようなことは言わぬで……。当地は人口がどんどん減っていって、学校でもどんどん統廃合されていっております。それでこの借金の補てんをしなければならないということですから、そんな大げさな、人をおどかすようなことは言わないで、特別交付税の制度もありますから、特別交付税で見ることができぬでしょうか。そんなことは前の永山自治大臣のときだって、人口がどんどん減っていって、そういう条件ばかりで、交付税をやれないようなところは特別交付税その他で見るというようなことで措置して、僻地における行政水準を維持しようということを言ったことがあると思うのです。新聞か議事録か何かで見たことがあると思いますが、そういう点で、特別交付税の制度があることですから、考えてもらうことはできないのですか。
  153. 細郷道一

    細郷政府委員 別に再建団体というのは、こわいことではございませんで、自治体として非常に正しい姿のものであろうと私は思います。ただ、いまおっしゃるお話ですと、それほど町が困ってもいないようにも見受けられますし、その辺はよく実際を聞いた上で適当な処置をとりたいと思います。ただ辺地に限りませんが、あちこちに起こっている問題の一つとして、電気事業を町村あるいはある一部落でやっていた場合、そういったものをすぐ地方団体がそれにかわって処置していくのがいいのかどうか、別途電力会社等がそれらに対してどういうふうに対処していくかといった問題も実はあろうかと思います。したがいまして、よく個別の問題として考えたいと思います。
  154. 大原亨

    大原分科員 つまり無点灯部落なんですよ、それに対して町が見て、電力会社との関係もつけたけれども、それをもってしても、これはなお赤字になるから、保証している町がほうっておくわけにはいかぬから、農林中金その他の金を返しているわけです。ですから、その借金に追われている。しかも二十六人が電灯料を払っておれば、まだ若干の使用料か入ってくるのですが、たった八人しかおらない。その八人も生活力がない、こういうのですから、これは一つの構造的な変化に伴う犠牲としてやはり特別交付税その他で見ていくというのが、私は常識的な筋じゃないだろうかと思う。また辺地債をやってもらいたいということがあれば、安い利子の金でやっていただく、それができぬということであれば特別交付税等も考えていただきたいという話なんですが、大臣、これはもっともな話でしょう。
  155. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 個別の実態をよくつかみまして、適当な処置で地方団体の困難を救済することはいたしてまいりたいと思います。
  156. 大原亨

    大原分科員 終わります。
  157. 野田卯一

  158. 正木良明

    正木分科員 この前予算委員会の一般質問のときに、相当こまかな問題を大臣にお聞きいたしたわけでありますが、きょうは、そのときに聞き漏らした問題の二、三をお聞きしたいと思っております。  一つは、いま非常に問題になっております道交法の一部改正案によるところの反則金の帰属の問題ですが、やはりここへ大蔵大臣が出ていただかないと話は煮詰まらないかもしれませんが、一応自治大臣としてこの反則金の帰属の問題をどのようにお考えになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  159. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 反則金の帰属につきましては、御承知のように両論ございます。いま実は政府部内で極力意思を統一すべく検討いたしている段階でございまして、私がここで側人的な見解を申し述べるよりも、もう少し政府部内で煮詰めさせていただきたいと思います。
  160. 正木良明

    正木分科員 その両論があるというのも、いわゆる仄聞する程度で、明確なこういう意見の対立点がある、またそれにはかくかくの事情があるというようなこともあまりよく承知していないのですが、その点――きょう警察庁はお見えになっておりますか。あなたは両方の中間に立って、ここでむしろこの問題が解決しないと、道交法の一部改正案も上程されないでしょうし、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  161. 片岡誠

    ○片岡説明員 仰せのとおり、私どもはこの反則金の通告制度を一日も早く正式原案としてつくりまして、国会に提案して御審議を願いたいと思っております。先ほど大臣が申されましたように、政府部内で両論がございまして、一日も早くその結論が出ることを私どもは期待をしております。
  162. 正木良明

    正木分科員 ですから、すんなりきまるならもうきまっておるが、すんなりきまらないのには何ものかがあろうかと思いますので、そういうのはどういうものがあるのかということをお聞きしておるのです。
  163. 片岡誠

    ○片岡説明員 つまり、現在両論と申しますのは、反則金の収入を国庫に帰属すべきであるという説と、それから都道府県に帰属すべきであるという説と両論があるわけでございます。理論的には両説おのおの相当理屈があり、必ずしも理論的にいずれかに直ちに決定するというわけにはいかない問題であって、むしろ国と地方を通じての財政政策の問題ではないか。  それからもう一つの問題としては、この反則金通告制度が公正に運営されるためにはいずれに帰属したらいいのであろうかという角度からの問題もあろうかと思います。そういう点で現在政府部内、関係省庁で議論を尽くしておるというのが現状でございます。
  164. 正木良明

    正木分科員 交通違反を取り締まるということは、その交通違反によって交通事故が起こるおそれがあるから交通違反を取り締まるのでしょう。どれだけ突っ走ろうが、どれだけ信号を無視しようが事故が起こらないというなら、野放しにしていい。たとえば新幹線があんな速さで走っておりますが、あれはスピード違反にならない。しかし普通の道路上におけるところのああいう自動車等の交通機関は、適正な秩序といいますか、それが保たれないと事故が起こる。それが直ちにまた人身に及ぼすような大きな事故になる場合がある。いわゆる交通安全を保障するために道路交通法もあるんだし、またそれに規定した違反を取り締まるということなんです。この交通安全ということが主たる目的でなければならぬ。ところで、これはかねがね私が地方議会に席を置いておるときから問題になっていたんですが、反則金というのは今度新しくできる制度です。それ以前の罰金ですね。この罰金を還元しろという論議が非常に強かったわけです。というのは、交通安全施設というものがいま非常におくれておる。手薄である。しかも国のほうでは、最近ようやくあの三カ年計画等を立てて、交通安全施設の整備ということに乗り出してきたようでありますが、それ以前はなかなかそのほうには手が回らなかった、スポットが当てられていなかったという点があります。そういう意味で、特に大阪なんかは非常に交通事故の多いところですし、罰金だけで年に二十四億くらいあがる。あがるということははよくないかもしれませんが、、だからそれを何とか交通安全施設をつくるというほうへ回してもらえないか、こういう希望が非常に強かったわけです。だから交通違反の罰金を回してほしいという意味ではなくて、もっと金を回してほしいという意味ですが、回す余地がないとかなんとかでいつも断わられているものだから、何か財源を見つけてこいよ、じゃこの罰金じゃどうだという形でできてきたんだと思いますが、そういう声が非常に高かった。そういう点で、いままでの罰金がいわゆる国の一般財源の中にまぎれ込んで、しかもそれがまた抽出されて、一応潤沢とまではいかなくても、ほぼ希望を満たせる程度の予算が地方のほうへ回ってくるというならば、それで文句は言わなかったのですが、それがなかなか回らなかった。こういうことで非常に希望が強かったわけでありますが、それがたまたま今度反則金という制度ができまして、これならばなおのこと地方団体がちょうだいするのには前の罰金よりも論拠が強いということで非常に大きな声になっているわけなんです。そこで、これは国に帰属するか、また地方のほうに帰属するか、それをいま煮詰めるという話でありますが、しかしかりに、これが大蔵省の言っておる意見が勝って国に帰属するといった場合、はたしてそれに見合うような予算が交通安全施設の整備のために回されるかどうか、その自信があるかどうかということですね。大臣どうでしょうか、それは。
  165. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 交通安全対策につきましては、いまおことばにもありましたように、三カ年計画をつくりまして、総額六百数億の金を使うことにいたして、まあ国といたしましても相当な費用を使っておるわけでございます。しかしまた地方自治体でも、交通安全のための施薬をいろいろ独自にやっておられて、そうして相当金も使っておるわけでございます。したがいまして、私どもは、この反則金の帰属がどうであろうとも、こういったものがさらに交通安全施策、特に地方団体のなす交通安全施策に使用されるようなことが望ましいというふうに考えておるわけであります。
  166. 正木良明

    正木分科員 結論が出てないので、おそらく大臣としてもそんな答え方しかできないのかもわかりませんが、いまのお答えを聞いておると、ちょっと半分あきらめられたような感じのように聞こえるのです。私の意見を申し上げれば、いまほんとうに実情としては、たとえばいま警察のほうから話がありましたが、地方のほうへ帰属するということになると、具体的には地方では検挙競争が起こる、何でもかんでも検挙するという、こういうことを何かおそれているようでありますが、そういうことは考えられないことはないと思います。考えられることであると思うが、しかし実際には、私たちもしょっちゅう日常車に乗っている人とつき合っておりますが、そういう人たちの感じでは、ほんとうは罰金よりもあの都道府県の公安委員会がやる行政処分というやつがあるでしょう。いわゆる運転停止処分、このほうがよほどこわい。いわゆる罰としての価値というのが、罰金よりも行政処分というほうがよほど強く感じています。したがって、いま交通違反に対する犯罪意識といいますか、悪いことをしているんだという考え方が非常に薄れているという一つの大きな問題があるものですから、この問題を――帰属の問題とはまた離れてしまいますが、この問題は一見離れているようだが、まだ底ではつながってくる問題です。  いまこういう考え方があるのです。私は必ずしも全面的に賛成じゃありませんが、違反しないと交通停滞が起こる、こんな考え方がある。その人たちの言う話では、その証拠に、交通警察官が出て整理をしますと必ず交通停滞が起こるというんです。手を振り出すと、どっとたまってくるわけです。ところが交通警察官がいないとややスムーズにいく、それはある程度の信号無視をやっておるということです。そのような関係があるということは、一つは、交通違反をやる人たちにとって非常に悪いことをしているという意識が低くなっている一つの敗因になっているわけですね。したがって、どうしてもやはり違反をしなければ交通停滞が起こるのだから、違反をしなければそんな自動車なんかに乗れないのだという考え方を根本的に改めていかなければならないし、同時にまた、ああいう非常にふくそうするいまの交通事情というものを改善しない限り、そうしてまた一つには精神的な問題も含めてやっていかなければ、悪いことをしないでおこう、交通違反はやらないでおこうという考え方は起こってこない。そのために道路を広げたり、交通安全施設をつくったり、そういうことがぜひとも必要なんです。無制限に自動車をふやして、そうして違反しなければ自動車を走らせられないような状態をつくって、違反をしたらびしびし取り締まるということはけしからぬという考え方もあるのですよ。そういう考え方からいったって、交通安全施設を十分に、またそういう自動車の激増に適応するような道路の拡幅や道路の整備等の関係考えていかなければならないと思うのです。そういうふうな考え方からすれば、相当大幅な予算が交通安全施設等にさかれていかなければならぬ。それが実情としてはさかれていない。さかれていないから、何らかの財源をこちらのほうへ向けて、それをこちらのほうへもらってやらしてもらいたいとか、これを目的財源として交通安全施設の整備に回してもらいたいという声が起こってくるのは当然のことなんです。  そこで、大臣はいま煮詰まっていないから私も個人的な意見は言えないと言うけれども自治省としてのこの問題に対する主張はやはりあるわけでしょう。それは新聞紙上に散見いたしますが、そういう主張というものはどこから出て、あくまでもこういうふうにしてもらいたいという考え方があれば明らかにしていただきたいのです。私はあなたをやっつけようという気持ちじゃなくて、むしろ自治体のほうへ持っていったほうがいいという考え方のほうが強いわけです。どうなんですか、その点は。
  167. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まあ今回の反則金制度、これを実施いたしますのは府県の警察でございます。したがいましてそういう意味からは府県の収入になるべきであるという意見のあることは当然だと思うのでございます。一方また国が交通安全施設のために、先ほど申しましたように三カ年六百億という計画を立てておりますが、それ以上になお府県が自分で持ち出していろいろ交通安全の対策を立てておるところもございますので、それらに見合う財源は確保していかなければならないということでございます。ただ私が先ほど申し上げましたのは、決してあきらめたとかあきらめないとかいうことじゃなくて、どこに帰属しようとこの種のものは交通安全施策に使わるべきであるというふうに私は考えておるわけでございます。
  168. 正木良明

    正木分科員 伝え聞くところによると、警察庁のほうはできるだけ早くこの改正案を出したいというようなお考えのようでありますが、そのためには事前にこの問題を煮詰めておかないと、法制局あたりは道交法ではっきりしろ、明文化しろというような考え方もあるようでありますが、さすればその帰属の問題を決定しておかないと、改正案としては出せないのではないかというふうな考え方が起こるのですが、これはいつごろくらいまでにやろうという考え方ですか。少なくとも今国会にはこの問題を出そうという考え方ですか。
  169. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 当然この国会で御審議をいただきたいと思っております。政府といたしましては、この国会へ出す法案は五月十二日までにすべて決定するような方針を立てておりますが、もちろんそれを目途といたしまして、できるだけ早く決定したいと思っております。
  170. 正木良明

    正木分科員 私の手元にある資料だと、細郷さんが交通対策の目的財源としてぜひほしいということをおっしゃっているのですが、こういうことをおっしゃったことがありますか。
  171. 細郷道一

    細郷政府委員 どこの資料か知りませんが、政府部内で議論をするにあたって私は、地方に帰属させて交通安全対策の財源としてこれを使用させるべきであるという主張をいたしております。
  172. 正木良明

    正木分科員 次に、大規模住宅団地の関連公共施設の問題ですが、これは非常に大きな問題でして、大阪では、大阪府が千里ニュータウンというのをやりました。今度泉北ニュータウンというのを手がけているわけですが、非常に大きな住宅団地でありまして、その住宅団地の所在する地元の地方公共団体――千里の場合は吹田でございます。また、現在開発されつつある泉北ニュータウンは堺市が地元でございますけれども、学校をはじめとする施設を相当つくらなければならぬ。学校もあるし、公園もあるし、道路もあるし、上下水道、それからじんかい、し尿の処理、それに河川改修を相当やらなければいけません。そういうことで、その財政需要というものは非常に巨額にのぼるわけなんです。これに対して直接的な手当てというのは、はっきりいって、そのためにはなされていないように思うわけです。たとえば用地の確保のためには、たとえば学校の用地なんかは、事業主体がもし住宅公団で開発するところであるなら住宅公団が、安く分けてやれとか割賦にしてやれとか、そういうこと等の指導というか示唆はなされているようでありますけれども、実際財政的な裏づけということについては、あまり目立ったものはないわけなんです。これは今後どんどん住宅開発が進んでくるに従って起こってくるのでありますが、これの基本的な考え方、今後どのようにしていこうとしていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  173. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 御指摘のように、大規模住宅団地所在の市町村の財政状態というものは、たいへんなものでございます。私どものほうで、戸数二千戸以上の大規模団地の所在する市につきまして、財政調査をいたしました結果は、やはりただいま御指摘になりました、学校、上下水道、道路、河川、こういったものでばく大な財政負担を要するわけでございます。  そこで、直接の問題といたしましては、大規模団地の所在する市町村に住宅公団なりあるいは住宅供給公社なりが大規模な団地をつくる、こういう場合におきましては、その地元の団体の財政状況に応じまして、その公共施設並びに利便施設につきまして立てかえ施行をやる。立てかえ施行をやりまして、その地元の市町村が割賦でこれを返していく。こういう基本方針を立てまして、ちょうど一年ほど関係各省の間で相談をいたしておったのでありますが、ほぼ成案を得まして、近く、建設、大蔵、文部、厚生、自治の五省でありますが、五省の事務次官の間でそれを書きものにしよう、こういうことに相なっておる段階でございます。  具体的な内容といたしましては、対象施設になりますものが、小中学校、幼稚園、保育所、それから道路、都市公園、下水道、河川、水道、こういうものを対象にいたしまして、かつ、ものといたしましては、日本住宅公団が行なう大規模な、というのは大体戸数で千戸、土地で十万坪以上、こういうものを考えておるわけでありますが、そういう宅地開発なりあるいは住宅建設なり、あるいは住宅金融公庫の宅造融資を受けたものが行なう大規模な宅地開発、と申しますのは、いま申しました住宅供給公社でございますね、こういうものが建てるものでございますが、そういうものにつきまして、地元の財政力が乏しいというところは、いま申しましたところで立てかえをしてつくりまして、それを、大体ものによりまして償還年限といいますか割賦の期間が違うわけでございますが、原則として三年、財政状態から見て苦しいというものにつきましては建設後十年ということで割賦で返していく、こういうことにしようと思っておるわけでございます。  それから全体的な財政問題といたしましては、交付税で人口急増補正というものを行なっております。これは全国の平均率を越えた人口の急増があるものにつきましては、それぞれの特殊な財政事情があるわけでございますので、交付税の算定で人口急増補正というものをやっております。  それから起債につきましても、自力でやるものにつきましては起債をどんどんつけていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  174. 正木良明

    正木分科員 わかりました。  そこで問題は、割賦にしていただくことはありがたいのですが、これは毎年毎年払っていくというだけのことで、安くなったわけでも何でもない。私のほうの調査がちょっと行き届いてないのですが、割賦していく年間の金額とその住宅団地からあがってくる税収入を対照したものが何かお手元にありませんか。
  175. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょっと資料は、役所にあるのでございますが、ここに持ってきておりません。
  176. 正木良明

    正木分科員 正確な数字じゃなくてけっこうですが、大体見合うものであるのか、税収入のほうが低いものであるのかということです。
  177. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 これは間違いなく税のほうが少のうございます。出ていくほうが多いわけでございます。でございますから、財政的に苦しいということでこういう措置をやろうというわけであります。
  178. 正木良明

    正木分科員 そうなりますと非常に問題が起こるわけなんです。一つは財政的な問題と、もう一つは住民感情というのが非常に強うございまして、やはりそういう大規模住宅団地が開発されたところに整備されるところの道路にしろ、公園にしろ、上下水道にしろ、また学校にしろ、非常に行き届いたものができるわけです。ところが旧市街地におけるそれらの施設というのは非常に貧弱である。おれたちは先祖伝来この町に住んで、営営として税金を納めてこの町を繁栄させるために努力してきた。ところがにわかに団地ができて、たくさん新しい人が入ってきた。その人たちは実にデラックスな学校に子供を通わせて、非常に快適な環境に住んでおる。しかしそれは、そこからあがってきた税金だけでまかなわれているのではない。旧市街地の税金がそこに吸い上げられている。住宅…地と旧市街地の格差が非常に強くあらわれている。したがって、旧市街地における住民から、その格差を縮めるために、開発された住宅団地の水準にまでその市街地の水準を上げろという非常に強い要求が市当局になされる。したがってそれの財政需要もまたばかにならない。こういう関係が起こってくるわけであります。それの手出ての方法ですね、この点についてお答え願いたいと思います。  もう一つは、たとえば千里のデータを見てみますと、年齢構成が非常に特異な姿を示しておるわけです。たとえば二十五歳から三十歳をこえたくらいの層が非常に大きくて、その人たちがつくったというとおかしいですが、零歳から一、二歳の層がまた広がっているわけです。したがって、いま学齢期にある六歳から十二歳、小学校なら小学校の層というのは非常に少ないわけです。少ないが、これはこのままおるのではなくて、もう三、四年もしますと、その下の零歳、一歳、二歳という層がどんどん学齢期に達するわけです。したがって、現在の時点においてつくられた学校というものは、現在の学齢期の子供たちを対象にした教室数しかつくられておりません。それについては、その事業施行主体がつくってくれる。割賦で払っていくわけなんです。ところが、これはもう増築に次ぐ増築を重ねなければならないことは、だれが考えてもわかることですね。その場合の財政措置はどうなるのか、これはだれがやるのか、この二つの問題です。
  179. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいま御指摘になりました問題は、単に財政だけの問題ではございませんで、そういう大規模団地のある市町村の、いわゆる自治体としての――かたかなを交えて恐縮でございますが、コミュニティーの問題である、こういう感じがするわけでございます。そういう意味合いからいたしまして、これは自治省といたしましても、単に財政だけでございませんで、行財政、税あるいは政府各省、みなそれぞれの立場で一体的、総合的な地域づくりというものをやっていかなければならない、こういう感じがするわけでございます。いまのように一種の疎開化するという形でございますと、やはり住民の負担の面でもおもしろくない点が出てまいりましょうし、あるいはまた施設の面でもそういうアンバランスに対する反発というものが出てくる、こういう感じがするわけでございまして、これは基本的に非常に大きなむずかしい問題を含んでおると思うわけでございます。当面の財政措置の問題といたしましては、先ほどもちょっとつけ加えて申し上げましたけれども、そういう地域は全体として人口の急増の度合いが非常に多いわけでございます。そういうことから急増補正というものを交付税の基準財政需要の算定の項目の一つとして立てまして、今年度におきましても、交付不交付ひっくるめまして百二十億くらいの基準財政需要額をこれに充てておるわけでございますが、そういうものでございますとか、あるいは起債措置でございますとか、そういうもので財政的な裏打ちというのはしていかなければならないだろう、こういう方向で問題を考えておるわけでございます。  それから第二の点でございますが、これはいまおっしゃいましたように、ちょうど生徒急増期の問題が地域的に再現するというかっこうになるわけでございますので、これにつきましては、義務教育でございますと、当然文部省の国庫補助の問題もございましょうし、私どものほうで所管いたしております起債なり、あるいは交付税なり、こういう面でやはり急増期に準じたような考え方で措置をせざるを得ないだろう、こういうように考えております。
  180. 正木良明

    正木分科員 いや、そんなことはわかっています。たとえば最初は、非常に財政負担が大きいから割賦にしてくれるのですよ。してくれたってありがたくはないけれども、しかしないよりましなんです。ところが増築のほうはそうはいかないでしょう。それば補助金があって、起債があるのは当然のことですよ。それはないといったらおかしいので、あるのがあたりまえです。そういう問題についても自治省のほうで何らかの考え方があり、また文部省等にそういう交渉も重ねられているのかどうかということですね。たとえば校地の獲得――学校の用地でありますが、それについては、文部省は今年度たった十億しか起債のワクを組んでない。そうでしょう。これはもう焼け石に水というのか、スズメの涙というのか、お話にならない。いかにも形式的に、そういうものに起債のワクがございますよと言う。玄関をちょっぴり一センチほどあけたような感じなんですがね。そういう形で、そういうものに対する手当てというものが非常におくれておる。しかも、ここへまた例の超過負担の問題が出てくるのですよ。あなたのほうで幾ら補助金を文部省から取るのだ、起債をつけてやるのだといったところで、この超過負担の問題は地元がかぶらなければならない問題です。こういうことで、非常に錯綜した財政的な負担というものは、もう頭が痛くなるほど大きいわけてす。しかも、その吹田の――ここに阪上先生いらっしゃいますが、吹田のことを出して申しわけないのですけれども、水道料だって格差がある。あれはいま大阪府が開発したところですけれども、大阪の府営水道でやっております。旧市街地におけるところの水道料金を千里ニュータウンにおけるところの水道料金に大きな格差がある。これはいつまでも格差をつけたままで置くわけにいかぬでしょう。これはプールしなければならない。下がったほうの団地は喜ぶが、それにプールされて上がっていく旧市街地はおそらくおこるでしょう。ついていかないです。こういう非常に多角的ないろいろな面を含んで、いまこの大規模住宅団地の開発に関して、地方財政というものについては、よほど真剣にメスを入れて考えていただかないと、このために地方財政が押しつぶされるという憂いは十分にあるのです。そういう点について、今後どういうふうなお考えで進まれていくのか、もう少し具体的かつ明確にお示しを願いたいと思うのです。
  181. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 根本的には、そういう大規模団地を受け入れるほうの市町村、その市町村独自の町づくりにあまり背反するような団地は、地元の市町村に非常に迷惑なわけでございますから、まず選ぶときに、その地元の市町村と十分な打ち合わせを施行者のほうがいたしまして、そうして地元市町村の町づくりに背反しないような点をやらなければならぬわけですが、それが従来あまり行なわれていないで、いま御指摘のような事態が起こってまいったと思うのです。財政ばかりでなく、先ほどお話のありました共同社会的な生活もできないというようなことでは非常に困るのでありまして、各省次官が取りきめをしようというふうなものも、根本的にはそういう地元の市町村の町づくりと背反しないような範囲で住宅団地をつくっていくということを考えなければならない。その連絡が、従来確かに不十分な点がありましたので、今後そういうことのないようにいたしたいと考えておるわけであります。
  182. 正木良明

    正木分科員 いや、せっかくのおことばですが、そんなことは十分やっているのですよ。地元との打ち合わせなんか全然やらないで、大規模な団地がそこまでいったりなどしないのですよ。しかし、いま大臣がおっしゃったような形で今後住宅計画が進められていかないと、住宅計画は進みません、そんなものは来てもらいたくないのだから。その間そういうふうな住宅団地の事業主体と、受け入れの地元との話し合いをもっと十分にすればいいのだということで解決する問題ではないから私は申し上げているのであって、その点について、国のほうから、これについて特別な相当の何らかの形での手当てというものがなされていかなければ、この問題は解決しない間題なんですよ。地元と意思が疎通しないのでこの問題が起きてくるわけではない。また、いま大臣のおっしゃることをそのままこちらが受け取れば、あとでそんなに財政的な負担で困って悲鳴を上げて文句を言うならば、そんな大団地は受け入れなければいいじゃないかというふうに、私は人が悪いかもしれませんが、聞こえるのですが、そんなことでは、住宅計画はできない。また今後大きな需要がある住宅を建てていくということはできなくなってしまう。そうではなくて、せっかく次官会議等においていろいろ検討を重ねているのでありましょうが、しかし実情は、これはもう相当前からこういう問題がずうっと起こっている。自民党の中にも、このために小委員会をつくられたという話を聞いておりますが、それくらい真剣に取り組んで、すでにこれに対する特別な手当てを受けるための要綱等もつくられているようでありますが、そういう点での大規模住宅団地に対する少なくとも財政援助については、今後各省間の連絡を密にされて、大幅な手を打っていただきたい。やはり中心になっていただくのは自治省よりほかに道がない、私はこう思いますので、その点ひとつ――決してオーバーな言い方ではありません、実情であります。そういう意味で、今後ひとついまのおことばどおり十分御検討も願い、それを実現していただきたいと思います。  次に事務の合理化。機械化の問題です。これは非常に大きな間題なんですよ。特に非常に増高する人件費をどのように処理していくかという問題については、いわゆる人員整理というような犠牲がない状態においてしていこうとすれば、よほど合理化というか、事務の簡素化等を含めて簡素化、機械化、共通の事務の集中化とか、いろいろ考えられるわけでありますが、そういう問題でいわゆる首切りという意味ではない合理化が進められていかなければならないと私は思うのです。これについて各府県や市町村は担当真剣に取り組み出しているようでありますが、これまた国のほうはもう一つはっきりしたやり方がないように私は思うのですが、この点どうでしょうか。
  183. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 国の官庁の能率も必ずしもいま万全だとは言えない。そうしていろいろ各省でくふうをいたしておるわけでございます。  それから地方団体につきましては、それぞれ実態に即して合理化、機械化をはかって、相当成功しておる自治体もございます。それについては今後自治省といたしましては、そうした実例などもかんがみて、さらに機械化、合理化が進んで、いわゆる安い政府が実現できるような方向で指導をしてまいりたいと思います。
  184. 正木良明

    正木分科員 私のほうから申し上げますが、私が調べた範囲では、職員の研修だとか事務の合理化指導とかいうのに国のほうでお組みになっている予算はたった二百二十八万円なんですよ。これはどうでしょう、私の調査に間違いありませんか。――申し上げますと、府県職員の研修が年一回、市町村長の研修が年一回、それで二百二十八万円、これ以外に何にも事務の合理化、機械化ということについては予算もなければ、口は出すんでしょうけれども、銭は出しておらぬですね。
  185. 長野士郎

    ○長野政府委員 いま御指摘になりました市町村長やそういう職員の研修は、これはもちろん合理化といいますか、運営の改善ということについてはそういう趣旨も入っておるわけでございますが、御指摘のとおり地方団体の事務の合理化や機械化について、自治省が直接の経費をほとんど組んでいないというお話でございますが、そのとおりでございます。ただ府県が中心になりまして、私ども一緒に加わりまして、現在事務の改善、合理化に関する研究組織を実は持っておりまして、これによりまして毎年各部会に分かれておりまして、機械化の間題とかあるいは事務処理の能率化の問題とかいうものを取り上げまして、それぞれいろいろなケースを参考にいたしまして、事務能率の改善というものについての研究をいたしておる状況でございます。
  186. 正木良明

    正木分科員 あなたの著書なんかしょっちゅう拝見しておりますけれども、おっしゃることに間違いないと思いますけれども、やはりこの問題はもう時代の趨勢といいますか、時代の要請といいますか、これはぜひとも徹底的に推進していかなければならない問題であろうと思うのです。おそらくおよそ役所仕事ということばに代弁される非能率、不合理性というものは、各省で口やかましく指摘されているところでありますが、新しいいまの時代にいつまでもそうであってはならないと思うのです。そういう意味で、これは相当本気で自治省のほうもこの問題について取り組んでいただけないでしょうか。金を出すから仕事が進んで、金を出さないから仕事をしていないというふうな単純な考え方を私はしておりませんが、しかしこのような問題についても、やはり積極的な姿勢を示していくということが大事だと思うのです。金の面だけから見ると、いま申し上げたように、このような府県の職員の研修、市町村長の研修が年一回ずつ行なわれてお茶を濁している程度にしかすぎぬのですが、これだってほんとう合理化、機械化の中に入るかどうかわかりませんが、この予算から、そういうにおいがするのをさがしてきたらこういうものがあったというわけで、これも今後考えていただけるのかどうかひとつお尋ねしたいと思います。
  187. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 こういうものは補助金を出すとかなんとかいう性格のものではございません。自治省全体として常にそれを心がけて指導いたさなければならないわけでございまして、十分それらの点は、地方団体自体も時代の趨勢あるいは地域住民の要望から能率化、合理化等をはかっておりますが、自治省自体としましても、地方団体のそうした方向に対しまして、さらに強力に指導してまいりたいと考えます。
  188. 正木良明

    正木分科員 最後に一点、やはりこの答申の中に出てまいりますが、外郭団体の設置による地方財政負担金の排除、たくさんあるように私は思うのでありますが、これはそういう関係団体はいかほどあって、各地方団体はいかほどの負担金を負担しているのでしょうか、わかりませんか。
  189. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょっと資料を持ち合わせておりませんのですが・・・・・。
  190. 正木良明

    正木分科員 おそらく何々協会何々協会というものに強制加入をさせられて、市町村がそれに対して負担金を払っている。中にひどいのは、補助金の何%というような会費の取り方をしているというのがあるらしいのですが、これについてやはり地方制度調査会が真剣に取り上げて、この問題を答申の中に入れているわけですが、この整理も考えてもらわなければならぬと思うのです。これは自治省だけのお声がかりでできるかどうかわかりませんが、知事会や市長会や町村会に聞いてみますと、あまり言わないのです。これをあばくと何かよほど大きな圧力がかかると見えて、あまりよくわかりませんと、あまり言わないのですが、しかし実際私どもの地元等の市町村で調べてまいりますと、やはり相当大きな負担になっているということであります。  では恐縮ですが.この資料と、先ほどお願いいたしました税と割賦の対比でございますか、それ等につきまして私たち資料をいただきたいと思います。後ほどでけっこうでございます。  いろいろ申し上げましたが、いずれ予算委員会並びに本日を通じていろいろお約束もいただきましたし、この点をひとつ注意深く見守りながら、またいずれ機会をあらためて、地方行財政全般に関しまして、別の機会に御質問を申し上げてみたいと思います。
  191. 野田卯一

  192. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 いま正木君から御質問がありましたが、私も大規模住宅団地、これの建設造成、それと関連する公共施設、こういったことについて若干質問しておきたいと思います。  まず第一番に、先ほど話がありました千里のニュータウンあるいは大阪府がさらに堺で大規模団地を造成しようとしておる。一体こういった団地造成を、御承知のようにこれは事業としては公益事業だと思いますが、こういった行き方を、これは何回も私質問申し上げておるのですが、都道府県がやる必要があるのかどうか。時間の関係から言いますと、ああいう形でもって行なうなら、むしろ日本住宅公団にまかせればいい。あるいはすでにやっておりますように、住宅金融公庫の集団というものを考えたらいい。それを府県がああいった仕事に手出しをする。この間も言っておりますように、公営住宅というのを軽視いたしております。公営住宅には持ち出し分がありますから、あるいはまた超過負担を伴っておりますので、なかなか手をつけない。しかしながらそればかりでなく、そういった公営企業の方向に進んでいくという、これにはいろいろな私は理由があると思います。知事公選の問題もあるいはからんでいるかもしれません。こういうように思いますけれども、こういったものを府県あるいは市町村がやるということについて、自治省として――建設省はどう考えているか、これは別としまして、自治省として、地方自治のたてまえから考えて、そんなものにこめかみに力を入れてやって――私はやるなというのじゃなくして、そのためにこそ日本住宅公団その他がある。そういったものにやらすべきであるにかかわらず、十二分に受け入れ態勢もつくらないし、また受け入れ態勢をつくるためにも非常に金がかかりますので、なかなかこれも手薄になっているというような状態のもとではたしてこういうことを府県がやるべきものであるかどうか。この点について自治大臣の見解を伺ってみたいと思います。
  193. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 元来は府県あるいは市町村等は公営住宅をやるのが本来だと思います。そういう秩序であるべきだと私も考えます。ただ住宅に対する非常な需要の増大というようなところで、そういう社会的需要を満たすために現在やっておられるような方式がとられております。住宅に対する社会需要の非常な膨大さというものを考えると、やむを得ないと申しますか、両々相またざるを得ない現状ではあろうと思いますが、姿としてはやはり地方自治体は公営住宅というようなものに重点を置かるべきものだと私も考えます。
  194. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 住宅需要が非常に急増している。しかしそれだからといって、都道府県があの形でもってやるべきかどうか、依然として私はやはり問題が残っていると思う。それならば政府施策住宅の中の日本住宅公団のワクをもっとふやせばいいのであって、何がためにああいうことをやるか、私ははなはだ疑問を実は感じているわけなんです。やはりそれはいま大臣がおっしゃったように、公営住宅主義に徹すべきではないか。私は長い間地方自治を検討してまいりましてしみじみ考えるわけなんです。  そこで実は端的に言いまして、地元の話をするのもどうかと思うので控えておったのですけれども、千里ニュータウンのごときは人口十五万の都市を建設すると言いながら、じんかい焼却場、処理場一つ頭に置いてなかった、計画に入ってなかった。屎尿処理場も同じであろうと私は思うのであります。そうしてそれが当該所在地の市町村、たとえば吹田とか豊中、こういったところへ一切依存しておる。どう考えてみても十五万の都市をつくるのにじんかい焼却を考えてないというばかげた起業計画はないと実は私は思うのです。これがやはり災いを呼びまして、そして吹田市長などはこの問題を中心として、ついに今度はいま行なわれている選挙にも立候補できない、あるいは立候補する意欲がもうなくなったというような問題まで起こしておる。実に私は驚くべき現象だ、状態だと思うのです。地元にとっては、ニュータウンの住民はもともとじんかい焼却場等はつくらないのだ、緑地帯として指定し、住宅地区として指定されておる、したがって全然予期しなかった。ところが最近になりましてから、所在地の市町村である吹田市がじんかい焼却の処理能力がないという問題が一つ。そこで分譲住宅、宅地等は、そういうものをつくらないといういわゆる緑地でありあるいは住宅地区であるという指定があるので、それに喜んで応募したところが、一方における吹田市においてはその処理能力がないというので、これでは困る。また旧地区の住民感情からいってもこれは困るというので、ニュータウンのじんかいはニュータウンで処理しようというような問題が起こって、いまそれが行き詰まりを来たしておる、こういう状態になっておる。一体こういうばかげた計画というものが――もちろん建設省はこれに対して相当相談にも乗っているだろうと思うし、また自治省としても、地方債の関係等もあって、私は計画というものに対してあなた方のほうで目を通してないと言えないと思うのです。それに先ほど言ったように、たてまえとしては公営住宅主義をとるべきだということを考えておられながら、しかも計画そのものを考えてみれば、きわめて基礎的な環境衛生施設というような公共施設を全然度外視してやっておる。このほかにいろいろと災害対策上の問題もあるでしょう。それがために、開拓されたために、いわゆる鉄砲水が出て、最近ではそこから流れ出しておるところの中小河川がはんらんしているというようなことで、下流のほうでも迷惑を受けておるというような問題もあります。いま申し上げたような基礎的な問題を全然無視してしまうというような計画がどんどんと進められて、しかもそれに対して自治省は大きな財源として起債をつけておる、地方債をつけておるということだと思うのでありますが、一体、こういうものは、建設省なりあるいは厚生省なり、もちろん自治省が中に入って、何か関係各省で合議して、こういった問題に対してやはり認可するかしないかというようなことについて、あなた方のほうで何か協議をする、そういうことをやっておられるのかどうか、それをやっていないとすれば今後どうするか、こういったところをひとつ御答弁願いたいと思います。
  195. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私不敏にして、千里のときにどういうことになっておったか、経過は存じませんけれども、いまおあげになりましたようなことを考えましても、将来こうしたような規模の住宅団地ができるというようなときには、関係各省並びに地元の市町村と十分話し合って、しかも、計画にいまのような基本的は環境づくりもできていないというようなちぐはぐなことのないようにつとめなければならないと考えております。
  196. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 これはぜひひとつ実態を見ていただきたい。もう一ぺん再検討してもらいたいと思います。ああいうことをほんとうにどんどんやっていくということになれば、私は本来の地方自治の姿というものは消えてしまうというような心配もありますし、それから、かりに何らかの事情でつくらなければならぬとしても、いま言ったような点を、ただ単に建設省所管だとか厚生省所管だとかいうような縦割りで処理していかないで、やはりこれは横割りで協議を進めていく、適切な指導を各省がしてやる。またそれに応じないというようなことであるならば、必要な財源措置もしないというぐらいの態度があっていいのじゃないか、私はこのように思うわけであります。  いま申し上げたじんかい処理ばかりでなく、その他の公共施設がやはり問題があると思います。ことに最近では、幼児教育を非常にやかましく要求されております。幼稚園のごときも義務教育にしてはどうかというような考え方まで実は出ておる。ことに人口と産業の急増に伴うところの大規模団地の必要性なんでありますから、当然児童がふえていく、幼児がふえていく。学校の問題は先ほど正木君が質問されておりましたから除外いたしますが、幼稚園、ことに保育所が非常に欠けておる。あれはほとんど若い世代の一代世帯が入っている。ほとんど大部分がそうじゃないか。そこで問題になってくるのは、やはり保育所あたりが問題になってくる。こういった保育所、幼稚園、これは日本住宅公団の団地であろうと、いま言ったような変則的な大阪府営の団地であろうと、私は同じ事情になろうと思うのです。ことに、そういった基礎的な問題を処理しなければならぬ地方公共団体がみずから建てたそういった団地が、いま言ったような施設が非常に不十分である。そうして大騒ぎして民間の経営による幼稚園等が出てきている。これがやっと不平、不満をある程度押えている。しかし、これらの幼稚園も、本年の予算において若干の予算が出たけれども、あんなもので間尺に合うものじゃございません。この場合、幼稚園、保育所といったようなものについていま少しく配慮してやる必要があるのではないか、このようにわれわれは考えます。ただ、建てるということそれ自体はたいして問題ではないと私は思います。保育所を住宅公団がある程度建てろといっても、これはすぐ建てるであろう。問題はあとの経営の問題なんであります。経常費の問題であります。長年続く経常費の問題を一体どう見てやるか、これが一つの大きなポイントだと私は思います。所在地の市町村長はこのことのために非常に苦労しております。吹田市にしても豊中市にしても、大規模団地をかかえたところはそのために苦労している。これに対して私十二分に検討していないのでありますけれども、何かこれを財政的に見てやるという方途はないものかどうか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
  197. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいまの保育所なり幼稚園なりの建設の問題につきましては、先ほど五省協定を申し上げたわけでございますが、これの経営に要する経費ということになりますと、結局税、交付税といったような一般財源によるほかはないわけでございます。先ほど申しました人口急増補正のというので人口を代置する補正がございますが、それでこういった急増に伴う経費というのは形としては見る仕組みになっておるわけでございますけれども、これは限られた財源のワクの中の問題でございますので、はたして十分にこれが使われるかどうかという点につきましては、私どもももう少し実態をよく調べまして措置考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
  198. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 非常にけっこうであります。着想としてはその方向へ進めてもらいたいと思いますが、ただそこで考えなくちゃいけないのは、御承知のように三十五年の国勢調査、四十年十月一日の国勢調査、五年の間にあの人口の急増を伴っております。世帯数は細分化されているこの問題、しかもそれらが東海道メガロポリスに集中している、これは皆さん御承知のとおりであります。そしてその中でも、ことに大都市の中心部よりはむしろ大都市の周辺とそれに近接するいわゆる衛生都市、ここでこれが爆発的な姿で集中されている。こういったところに対しまして、財政分析等をおやりになりましても、ある程度の財政があって、赤字団体その他でなくても、とてものことにこの問題を処理するだけの財源はない。いま申し上げたような幼稚園一つにしても、保育所を急増設しなければならぬ問題にしても、これはやはりそういった人口集中に伴うところの一種の都市問題である。これは明らかに問題があるのであります。その場合、筋としてはいま鎌田参事官が言いましたようなことでいいのでありますけれども、思い切った傾斜配分をしてやらぬとこれはだめなんじゃありませんか。後手後手に回っているのではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  199. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 御指摘のとおりだと思います。実は私どものほうで、近在におきまして、草加市、春日部市それからいまの吹田、こういったところの人口急増の著しい団体を選んでみますと、吹田あたりはある程度既設の施設があるわけでございますが、たとえば草加のように――あそこにはマンモス団地がある。そういったところの財政状態は、現在のところは事業はほとんど起債でやっておるわけです。公債費が将来非常に多額にのぼるという事態が考えられるわけでございます。これに対しまして、入ってまいります税金は住民税でございますし、先ほどございましたように一代世帯でございますので、若い人たちが多い。したがって税収としても多くを見込めない。結局差し引きは全部バランスが狂ってしまうわけでございます。そういう団体に対する財政措置のあり方ということになりますと、実は現在の与えられた地方財政、財政制度のワク内で処理をするということになりますと、おのずから制約がございます。そういうものを越えて、どういう財源措置というもの、財政制度というものを考えていくかということにつきましては、正直に申しまして私どもも知恵がない段階でございまして、現在の第十一次地方制度調査会におきましても、こういった問題を新しく取り上げてお知恵を拝借してまいらなければならぬだろうと思っておる次第でございます。
  200. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 これは私から申し上げるまでもないと思いますが、やはり人口が激減している三十五県に対しては、当然これは財源の傾斜配分をしてやらなければならぬ。ことに辺地などの問題は、これは私から行うまでもないと思います。むしろ辺地なんかに対しては、社会保障制度と同じようなものの考え方で、孤立した辺地というものに対して対策を講じてやらなければならぬ点がある。しかしそういう減ったところばかりでなく、急増でもってことに住宅等のスプロール現象を起こしてどうにもならぬところに対して、いま言ったような公共施設に対する財源としてかなり傾斜配分をしてやってもいいのじゃないか。ふえているからという考え方だけで、何かふえたことによって財源が豊かになったという単純な考え、いわゆる税論でものを考えてはいけない問題がある。これはひとつさらに御検討願いたいと思います。  それから最後に、いま言ったように都道府県が大規模団地等を造成する場合に、所在地市町村との間の公共施設の、何といいますか公共負担区分といいますか、これを一体どう見るか。いままでの理屈でいきますと、やはり所在地市町村が第一義的には公共施設をやらなければいかぬという感じ方になってくると思うのですが、たまたま幸か不幸か中間団体である府県がそういったものをやる場合に、この負担区分は一体どうなるのか、これをやはりおきめ願う必要があるのじゃないか。これは日本住宅公団その他のものとの関連とちょっと違うのじゃないかという気がします。先ほど住宅公団の場合等においては、立てかえ施工といいますか、そういった問題が出ましたが、おそらくこの問題については私は立てかえ施工の問題じゃないと思う。この場合一体どうするか、これもやはりもうきめておいてやらぬと、どうにもならぬ混乱を起こすのじゃないかと思いますが、これはどうでしょうか。
  201. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 確かに問題があるわけでございますが、現在の私ども考え方は、たとえば学校でございますとか保育所でございますとかそのほかの公共施設につきましては、現在の市町村が、いわゆる地域的なもの、住民に密着する利便施設なり公共施設なりについてはやるというたてまえで、そのたてまえを前提にいたしまして、ただいまの千里のニュータウンのような場合の大阪府も当然これに入るわけでございますけれども、そういうところでとりあえず立てかえ施工をやる、こういうたてまえで通しておるわけでございます。でありますから、その中で府県の場合は、ひとつ同じ公共団体同士であるから学校も府県でやれ、あるいはいまの水道等につきましても府県でやれ、こういうことを打ち出すかどうか、ちょっといままでのそういうたてまえがありますので、私いまここで即答を申し上げるのには少し研究不足でございますので、引き続いて研究さしていただきたいと思うのです。
  202. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 それから同じ公共事業をやる場合にも、府県で施行する場合と、同じたとえば下水道事業を千里のニュータウンでやる場合、それから当該所在地の市町村が主体となってやる場合と、補助金その他で非常なアンバランスが出ておるわけですが、この問題もひとつ御研究願って、公共負担を一体どうするのだというところをきめていただきたいと思います。これはもう御答弁要りません。  以上で終わります。
  203. 野田卯一

    野田主査 次会は、明二十二日午前十時より開会し、郵政省所管について審査を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会