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1967-04-25 第55回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十五日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席分科員    主査 野原 正勝君       亀岡 高夫君    河野 洋平君       唐橋  東君    北山 愛郎君       高田 富之君    広瀬 秀吉君       沖本 泰幸君    兼務 加藤 清二君 兼務 阪上安太郎君    兼務 竹本 孫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省証券局長 加治木俊道君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         食糧庁長官   大口 駿一君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業大臣官         房会計課長   矢島 嗣郎君         通商産業省通商         局長事務代理  原田  明君         通商産業省貿易         振興局長    今村  昇君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         通商産業省繊維         雑貨局長    乙竹 虔三君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         通商産業省鉱山         保安局長    中川理一郎君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君         工業技術院長  馬場 有政君         特許庁長官   川出 千速君         中小企業庁長官 影山 衛司君         中小企業庁次長 金井多喜男君         自治省財政局長 細郷 道一君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      岩瀬 義郎君         通商産業省企業         局参事官    橋本 徳男君     ————————————— 四月二十五日  分科員愛知揆一君角屋堅次郎君及び岡本富夫  君委員辞任につき、その補欠として河野洋平君、  広瀬秀吉君及び沖本泰幸君が委員長指名で分  科員に選任された。 同日  分科員河野洋平君及び広瀬秀吉委員辞任につ  き、その補欠として愛知揆一君及び唐橋東君が  委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員唐橋東委員辞任につき、その補欠とし  て角屋堅次郎君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  第四分科員加藤清二君、阪上安太郎君及び竹本  孫一君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算中経済企画庁、農  林省及び通商産業省所管  昭和四十二年度特別会計予算中農林省及び通商  産業省所管      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原主査 これより予算委員会第三分科会開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び特別会計予算中、通商産業省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 液化石油ガス保安問題、取引適正化問題等について質疑をいたしたいわけでありますが、その前に、開会時間を大臣の都合で三十分以上延ばしたことに対して、一体これはどういうわけなのか、ひとつ大臣考えをこの際承っておきたいと思うのです。これは国会軽視ではないか。聞くと、記者会見をやっておられたそうでありますが、記者会見はどういう重要な内容か知りませんけれども国会開会中に、それも三十分も食い込んでおるということを承知しながら、これは昼休みでもやれたのではないか。この点について一体大臣がどうお考えなのか、この点をまず明らかにしてからでないと質問できないと思うのです。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 出席の時間がおくれたことはまことに申しわけありません。きょうの分科会に出るについては閣議で打ち合わせなければならない事項がありましたので、したがいまして実はおくれのであって、ちょっとそのあとで、恒例によって新聞記者会見は必ずやることになっておりますので、新聞記者諸君も待っておりましたから、閣議の結果を一応新聞記者報告しなければならぬという慣例になっておりますので、それをやったわけであります。そういう関係でおくれましたことはまことに申しわけない、こう存じております。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 限られた時間でありますから、これ以上言いませんけれども、そういう慣例があるにしても、そういう場合にはもっと閣議の時間を早めるなり何なりというような方法で、やはりきめられた時間にはちゃんと来てもらいたいと思います。このことだけ申し上げておきます。  質問に入りますが、今日液化石油ガス保安取引適正化ということで法律案が準備されている段階でありまして、第三次案まで出ておる、こういうことであります。一般消費者保護ということを中心にしてそういうことをお考えのようでございます。一々液化石油ガスと言うのはめんどうだからLPGと申しますが、今日のLPG普及状態、こういうものについていろいろ統計数字がありますが、大体私の一番新しいと思われる数字を見ますと、四十一年度でもう千二百九十七万戸に普及しておる、四十二年度は千三百六十万戸に普及するというようなことを聞いておりますが、大体数字においてはそういうような非常にたいへんな普及を示しておる。こういう数字についてまず確かめておきたいと思いますが、いかがでしょう。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 数字の問題ですから、政府委員から答弁させます。
  7. 吉光久

    吉光政府委員 現在何万世帯に使われておるという正確な数字はちょっとわかりかねるのでございますけれども、おおよその見当で申し上げますと、四十年度におきまして千百五十万戸程度でございまして、毎年百万戸程度ずつ増加いたしておるのが現状でございます。
  8. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 このように非常に急速にLPG需要が、そしてまた供給が伸びてきたこの理由は一体どういうところにございますか。どういういうふうにとらえられておりますか。
  9. 吉光久

    吉光政府委員 LPGそれ自身一つ可燃性の物質でございまして、燃料としまして非常にたやすく手に入るというようなことが原因であろうかと思います。
  10. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 非常に手軽に便利に供給される、家庭燃料のいまや王さまにのし上がっておるといわれておるわけでありますが、需要家庭数については、若干の誤差はありますが、いずれにしても、通産省でも大体千二百三十万戸くらいは昭和四十一年度で達しておるだろこういうこともいわれておるわけであります。先ほど局長が言われたのは若干——これは四十年度ですか、四十一年度ですか。
  11. 吉光久

    吉光政府委員 四十年度の数字でございます。
  12. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 そういうことで、現在ではもう千三百万をこす情勢にあることは、おおよそ百万ずつ増加するわけですから、そういう状態になっておる。したがって若干災害もふえておる、こういうことでございますが、手軽なだけに災害も若干多い、こういう点はある程度認められる数字もあるわけであります。しかし、今度こういう法律案を出さなければならない——高圧ガス取締法というようなものもございますが、こういうものを出さなければならない主たる理由というものをひとつあげていただきたいと思います。
  13. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 最近のLPガス普及状況から考えまして、また、事故発生もいたしておりますので、そういうようなことで、今日何とかして取り締まらなければならぬし、それから、一方は消費者のためも考えて、この際LPガス法律を出すべきではないかということで、目下検討をいたしております。
  14. 吉光久

    吉光政府委員 趣旨は大臣が御答弁になったところでありますけれども、先ほど御質問の、高圧ガス取締法で現在取り締まられておるのに、どうして別の法律をつくるかというふうな御質問であったかと思うわけでございますが、高圧ガス取締法は、すでに御存じのとおり、一般的に、酸素でございますとか、水素でございますとか、アセチレンというふうな、事業所の中で使われる形態のものを取り締まることを中心にいたしておりまして、現実LPガスのように、事業所の中で使われると申しますよりか、現在のように非常に家庭消費のほうで使われる率が多くなっておるというふうな状況で判断いたしますと、現行の高圧ガス取締法の体系で規制いたします分に、はみ出した分が相当たくさん出てまいっておるんじゃないであろうかというふうなことから、現実一般消費先で起こりました事故を分析いたしまして、その事故原因別に何らかの対策が必要であろうという意味で、新法律案検討を急いでおるというのが現状でございます。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 通産省から出した最近十年間における高圧ガス災害件数という数字があるわけでありますが、LPガスが、これは昭和四十年の一番最近のやつでありますが、事業所で十一件、消費先で四十六件、運搬中七件、合計六十四件、一般ガス、これが十七件、十件、一件、二十八件、こういう数字になっておるわけであります。そうしますと、なるほど数字では大きい状況がこれでうかがえるわけでありますが、事故原因別にということで見ますと、いま集合配管供給導管供給といいますか、そういうものによって起きた事故というのは、おたく統計では一年間に二件しか出ていないわけです。それで、供給世帯といいますか、使用戸数、こういうものが千二百何十万になる。そういう中で六十四件でございますか、こういうものが出ておるわけであります。四十一年度の統計も出ておりますが、百二十三件出ておる。  そうしますと、かりに千二百三十万、これはおたくの某課長から聞いた最近の数字でございますが、それから見まして、万が一にも事故がということをよくわれわれ言うわけでありますが、ちょうど十万分の一にしか当たらないわけですね。大体、一般ガスのほうでは、六百五十万世帯ぐらいが都市ガスを使用しておる。その比率から言いますと、そう特段——これは、事故はより少ないほうがもちろんいいわけでありますが、新法まで用意するほどのことはないのではないかというような気もいたすわけでありますが、問題は、しかし、そういうところにあるのではない。いま局長が答弁されたように、事故原因別にやったというようなことから見れば、それが今度の新法消費者保安、それから取引適正化ということでありまして、これは二つの内容あるいは三つぐらいになるだろうと思うのですが、新法はなぜ必要なのかということについては、まだほんとうのねらいというものを——単に消費者事故というような面からだけじゃないものがあるわけであります。そういうものについて、はっきりひとつ、こういうこととこういうことのために、事故の問題を含めてこういう問題があるのだということをはっきり言っていただきたいと思うのです。ねらいはこういうことなんだということを……。
  16. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどの事故災害件数数字が、一般的に消費世帯数に比べれば総体的に低い、こういうふうなお話があったわけでございます。先ほど先生御発言になりました資料は、昨年の十二月三日で締め切りました資料でございまして、その後十二月三十一日で締め切った数字がございますので、先にちょっとそれを御紹介申し上げまして、お答えいたしたいと思います。  昨年一月から十二月までの一年間におきます高圧ガス取締法関係災害事件件数でございますが、全体で百八十一件でございます。そのうち、いま御指摘LPガス関係災害件数は百五十一件でございます。すなわち、高圧ガス関係事故のうち約八〇%強のものがLPガス関係事故でございます。それから、その百五十一件のうち、いま御指摘になりました一般家庭等消費先で起こりました事故が百二十五件でございます。これもLPガス関係事故のうちの八〇%強というふうなことになっております。  歴年的に見ますと、この災害件数はだんだんとふえておりまして、LPガスだけに限定して申し上げますと、昭和三十九年に事故件数として三十二件、それが四十年になりますと八十三件、四十一年が百五十一件でございます。ただし、このいま申し上げました数字は、都道府県のほうから私どものほうに報告のあった数字でございまして、おそらく、一般的な火災、要するに小さな火災事件等については報告は出ていない。どちらかと申しますと、人が死んだりあるいは傷ついたり、あるいは大きな火災事件を起こしておるとかいうふうな報告中心ではないかと思うわけでございまして、消防庁のほうで別途調べました、これは東京消防庁調べでございますけれども、四十年の七月現在で東京都内に、消防庁管内と申し上げてよろしいのでありますが、LPガス需用家が七十一万五千戸あったわけでございます。これは東京都の性格上周辺地区中心だと思います。それから、都市ガス世帯が二百二十三万五千戸。そういうことがありまして、火災の起こりました件数火災のほうから調べた件数でございますが、都市ガスにつきましては六十五件、LPガスにつきましては七十六件というふうな数字になっておりまして、いわゆる火事の発生率という点からながめますと、LPガスは一万戸当たりの発生件数が一・〇六、こうなっております。それから、都市ガスのほうは〇・二九というふうな数字が出ておりまして、こういう火災発生比率等から見ますと、LPガス火災発生比率は相当高いということがうかがわれるわけでございます。  そういうふうな観点から、一般的に私のほうで持っておりますLPガス事故累増傾向にある現状と、それから東京消防庁調べによります火災発生件数は、いわゆる私のほうの報告に出ておりません面でカバーされているものがあると思うわけでございますけれども火災発生件数で調べました発生率と申しますか、これが相当に高いというふうな現状にかんがみまして、やはりLPガスにつきまして何らかの形で一般消費者保護するための規制措置が必要ではないであろうか、こういうふうに観念いたしたわけでございます。これが一番最初の理由でございます。  同時に、だんだんと需用戸数がふえてますと同時に、販売形態も千差万別にわたっております。したがいまして、このLPガス自身需用というものが相当継続的なものであるということを前提に置きまして、やはり販売店自身につきましても、そういう旺盛な需用に対応し得るような企業形態と申しますか、そういうふうなものであってほしい。要するに、販売業者事業安定性と申しますか、それを確保することも必要であろうというふうな両面から考えて、現在法案を準備中である、こういう次第でございます。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 いま局長がたいへん懇切に微に入り細にわたる説明をされた。そういうことは私どもわかるわけです。ただ、これが結局ガス事業所との競合関係と申しますか、分野調整と申しますか、そういうものにまで発展せざるを得なかった理由として、保安の問題からまず出発したとするならば、最近LP業者導管供給をやったりして急速に事故が、災害発生してきたんだ、こういう実態的な、したがってそういう導管供給はいまの高圧ガス取り締まりだけでは不十分なんだ、こういうストレートな結びつきというのがありますか。数字でぴしゃっとそこのところを示してください。
  18. 吉光久

    吉光政府委員 いま御質問のように、導管供給がふえたから災害がふえたというふうな因果関係はございません。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 その点は確認をしておきます。  それで、都市ガスの伸びるテンポが、三十七年から四十年までの間においても、わずか供給が一%ぐらいしかふえない。一方において、三十七年から四十年までのLPガスのほうの伸びは九%も伸びている。大体この都市ガスは独占的な供給区域を持っている。そういう保護を受けながら、そういうおそいテンポでしか伸びていない。しかも、一方都市ガス業者の中には、プロパンガスの供給に乗り出して、別会社をどんどんつくっているというような例も見られる。こういうようなところに、やはり安くて簡便で、しかも最近の需用者のマインドといいますか、そういうようなものにぴったりくるものが伸びるのはあたりまえのことだと思うのです。  そういうことで、あまり伸びたので、今度は都市ガス事業者のほうの、なかんずく大手のほうは、自分のほうで伸ばす努力というようなものはきわめて足りない。しかも、都市ガスを引くということになれば、工事費の負担とかなんとかたいへん問題もある。ところが、一方はボンベ供給ですから、手軽にすっとそこへ持っていけるというような、消費者にとってはむしろ非常に便利なこのLPGのほうに、どんどん使用家庭がふえてくるというのはもうあたりまえだと思うのです。そういうようなことで、いわばガス事業供給区域の中にどんどんLPガスが入り込んでくる、そういうものに脅威を抱いたガス業者からの圧力によって通産省が屈服したのではないか、こういう見方もできるわけなんですが、通産大臣、そういう点についてどうお考えですか。
  20. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 都市ガス圧力によるのじゃないかという御質問でありまするが、そういうことは私のほうでは全然考えておりませんから、さよう御了承を願いたいと思います。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 消費者の側から見れば、どんどん都市ガスを引こうと思っても、これは大体高い、しかも工事費もかなり多額に取られる、こういうようなことですから、どうしても簡便で手軽で、熱量においてもそれほどたいして違いのない便利なものに飛びついてくるのはあたりまえです。それに対して、たとえば、最近都市郊外地帯住宅集団化がどんどん進められて、国の住宅政策、県、市町村のそういうようなこと、あるいは公団住宅、そういうようなものがどんどんふえて、百戸とか二百戸とかいうような住宅地が造成され、そこに世帯数が新しくつくられているわけですが、そういうところなんかに早く都市ガスを引いてもらいたいという要求があっても、距離が相当離れているということになりますと、導管をそこまで延ばしていくことはなかなかたいへんなことだということで、そういう点については非常に都市ガス業者というのも消極的になっているわけです。そういうところで、できるだけ便利にやろうというような需用というものは、きわめて旺盛である。LPGのある程度導管供給というようなことも、必要に迫られてそういうものが出てきたわけですね。だから、先ほども局長が答弁したように、直接その導管供給をやったから事故がふえたということではない。一般的な消費者が激増する中でふえてきたのだろうと思います。そこを確認をしたわけでありますけれども、そういう場合に、この導管供給新法で禁止をするか、あるいは非常に制限をするかというようなことに対しては、消費者選択の自由をまさに新法自体が奪うんじゃないか。実態的にそういう新興住宅地のようなものがどんどんできている。そういうところにどうしても必要だ。生活上の必要に基づいてそういう需要が起こる場合に、それにこたえない。これはガス事業に反するからというようなことを言っている立場と、それから、そういうところへいまのままでLP業者集団供給をやったら事故が起こるからということが当然予想されるんだ、そのことは関連がないとさつき局長は言ったわけでありますが、なぜそれならば押える必要があるのか。そういうところについて、やはり高圧ガス取締法でも導管によるものをちゃんと認めて許可しているわけです。取締法の中では予定をしているわけですから、それでいいんじゃないですか。特段に目に余るような、保安上もゆゆしい問題が起きないように若干の規制をするという程度ならばいいと思うんですが、そういう消費者選択というものについてどうお考えでしょうか。
  22. 吉光久

    吉光政府委員 まさに御指摘のとおり、LPガスによるか都市ガスによるか、消費者保護観点からどちらの形態によるべきであるかということは、当然検討されなければならないことであると思います。災害だけの観点から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、導管供給による形態事故件数がふえておるというふうなことはないわけでございますけれども、ただ、現実の問題といたしまして、都市ガス供給区域内において集団的な供給が行なわれます場合に、ともすれば都市ガス業界との間にいろいろな現実のトラブルを起こすわけでございます。したがいまして、この際この新法を提案いたしますのを契機にいたしまして、都市ガス業者のやる分野と、それからLP関係業界のやる分野というものを、ある程度明確にしておいたらどうであろうかというふうなことから、その考え方について現在意見を取りまとめ中である、こういう状況なのでございます。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 つい最近、二十日ごろからでありますか、三局長の間にその問題をめぐっての意思統一をはかっておりますね。二十五日ごろまでにはその結論が出るだろうという予想も聞いておったわけですが、まだその間の調整というものはついておりませんか。もう時間がございませんので、まとめて質問をいたしますが、そのことが一つ。  それから、全国で小売り業者も五万もいる、それで、中でも保安を向上させること、これは私ども基本的に賛成であります。しかしながら、その保安の向上の中に、販売主任者代行ということになりますと、これはなるほど、人間なま身のからだでありますから、三百六十五日全部販売主任者がいなければならぬということにはなりませんけれども、しかし、小さな小売り業人たちなんかは、ほとんども年じゅう無休くらいでやっているわけです。そこに代行者ということになりますと、大体栃木県あたりの業者全体をいろいろ調べてみたんですが、販売主任者一人しかいないというのが五〇%をこえております。そうしますと、そういう業者の数だけ、今度そこでは新しい代行者を雇わなければならぬ。そういうことになれば、これはコストアップしたり消費者にその分が転嫁されたりということにもなりますし、これは非常にたいへんな問題になるのではないか。そういうことで協業化の問題ということも当然出てくるだろうと思いますが、協業化をさせるならばさせるように、どういう協業に対するメリット、誘導政策というものを、税制上において、金融において、あるいはその他指導の面において、それから組織についてのこまかい指導というものを用意されておるか、こういうような問題点があります。  それから、導管という概念等についても必ずしも明確ではありませんし、いままで導管による集団供給を予想して高圧ガス取り締まり法もできているわけです。それを一体——これは無制限にとも申しませんけれども、それについて、業者団体といいますか、これは死活の問題だということで、現にたいへんな反対運動も起きているわけです。そういうものに対してどういうようにこの間を調整していくか。私どもとしては、少なくともこれだけ大きくふくれ上がったものを、頭から押えてかかるということはいけないだろうと思うのです。その点について、それらの全協連あるいは全商連というような人たち十分意見調整をはかって、その結論が出ないうちは法案を出さない、こういうような立場でおられるかどうか、こういう点についてこの際伺っておきたいと思います。  特に、いま小売り業者は、非常にこの新法に対して脅威を感じていると申しますか、若干の保安についての規制を受けることはやむを得ない、しかしながら、われわれももう十分に取り締まり法によって注意をしているということも言っておりますし、それから、問題は、分野調整ということをほんとうにやるのならば、これはガス事業一本ではなくして、どうしてもLPガス自体ももうそこまでシェアを持って、しかも旺盛な消費君の需用にささえられてきたのですから、ほんとうに必要であって、それに裏づけられて今日の発展した状況が出ているわけでありますから、そういうものに対して、やっぱりそれ自体の事業法をつくって、はっきりした事業分野というものを設定すべきではないか。私ども、中小企業政策全般の中でも、この際、そのまま当てはまるとは思いません  けれども、大企業と中小企業、零細企業との間の事業分野等もはっきりしろということをよく言うわけでありますが、そういう意味も含めまして、LPガスの単独の事業法、ガス事業法と対応するそういうものを制定して、この問題の抜本的な、根本的な解決を総合的にはかっていく、こういう立場に立てないかどうか。  以上、幾つかの点を申し上げましたけれども質問の時間がないので、答弁は御自由に長くやってくれてけっこうですから、どうぞひとつ。
  24. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いろいろ御質問がありましたが、そのうち根本の問題だけ私からお答えしたいと思います。  このLPガス普及がだんだんと拡大されてきて、したがって、これに対して保安とかいうような関係新法を設けなければならぬというようなことに相なったと思うのでありますが、御承知のとおり、ガス事業法というのができたときには、LPガスというものは全然予測していなかったことでありますから、新しいこういうLPガスというものが発展してくれば、当然そこで、従来からある法律というものについての多少の検討をしなければならぬという立場に今日なっておると思います。そういう意味で、いま通産省内において検討中でありまして、したがいまして、新法を出すにしても、やはり業者意見はできるだけ尊重してやりたいという考えでおります。業者意見を無視してやるという考えは全然ありませんから、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 十分尊重するように——もう一ぺんそこのところを言ってください。
  26. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 十分尊重してやりますから、その点を御了承願いたいと思います。
  27. 吉光久

    吉光政府委員 ただいま、販売主任者代行制度は少し酷ではないか、こういうふうな御指摘であったと思います。まさに御指摘のように、代理制度を全般的に採用するということにつきましてどうするか、まだ検討中ではございますけれども、私ども考え方といたしましては、現実の問題として、代理者の資格というものにつきまして、これを本来の販売主任者ほど厳格なものではなくて、いわゆる経験年数でございますとか、あるいは講習会を受けておるとかいうふうな、もう少し程度の低い資格と申しますか、そういうことで考えてみたらどうであろうか。現実事故の起こっておる形態を見ましても、販売主任者がどこかに出かけておったがために応急措置がとれなかったというふうな事例等もございますので、できるだけ制度を簡素化いたしまして、その中で代行者というふうなものを考えてみたらどうであろうかというふうな意味で、検討を加えておる段階でございます。  それから、協業化問題についてお話がございました。これは鉱山局長のほうから説明いたします。
  28. 両角良彦

    ○両角政府委員 零細な独立業者の強化措置につきまして協業化が必要ではないかという御指摘は、まことに御指摘のとおりでございます。私どもとしましては、今後とも、零細なLPG業者の共同設備の拡充というような方向では、中小企業の振興事業団を通じまして、高度化資金というようなものを積極的に活用して推進をしてまいりたいと考えております。  なお、あわせまして、LPG小売り業者の、近代化促進法によります近代化計画というものを検討いたしまして、これを通じまして、中小公庫等からの資金的な援助あるいは税制上の優遇措置というようなものも検討をいたしたいと考えております。
  29. 安達次郎

    ○安達政府委員 ガス事業法にいっております導管による供給の「導管」ということばの定義といたしましては、管状の物体という意味での物理的な意味で使っております。導管の所有権がガス事業者にあるとかないとか、あるいは地上であるとかないとか、地中管であるとかいうことは問いません。要するに管状の物体をいうということでございます。
  30. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)分科員 時間がないので、またいずれ……。  以上で終わります。
  31. 野原正勝

  32. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 私、きょうは万博について質問いたしたいと思います。  新聞その他の報ずるところによりますと、万博  準備の進捗度が非常におくれておる、こういうことになっておりますので、これはぜひ促進しなければならぬ重大な問題だ、かように思います。  そこで、まず最初にお伺いをいたしますが、会場建設、これは基本計画に基づいてプログラムが組まれておるはずでありますが、いまそのプログラムはどの辺のところへいっているか。これは大臣じゃなくて企業局長
  33. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 具体的な問題ですから、政府委員からお答えします。
  34. 橋本徳男

    ○橋本説明員 お答えいたします。  会場計画につきましては、昨年以来、丹下グループあるいは西山グループ、こういったところから基本的な計画の提出を求めまして、それが昨年の十月に出たわけでございます。しかし、そのときの計画はあくまでも平面的な計画でございまして、これにいろいろな設備等の立体的な内容を加味いたしまして計画を充実するわけでございます。それが先般作業委員会のほうから協会に提出をされた。それをもとにいたしまして、協会といたしましては、あくまでその内応等を検討し、それから資金等の効率的な利用というふうな面を考慮いたしまして、近く丹下グループに対しまして再度の検討をお願いするというふうなことになっております。それができますれば、それをもとにいたしまして、いろいろの工事の建設の設計を今度具体的にやっていくというふうなことでありまして、現在の段階といたしましては、そう大きなおくれはないというふうに考えております。
  35. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 プログラムによると、一九六六年、これは済んだのですが、測量、地質・地盤調査、基本設計、実施設計、それから工事用道路建設、これだけ見ても、いまごろそんなことをやつ  ているのはおくれているじゃありませんか。それから、一九六七年には敷地の造成工事が行なわれなければならない。それから、一九六八年、この前半において、道路、緑地、それから例のエネルギー等の供給施設、これの基礎工事をやっていく、それから、後半においては、国内、国外の出展参加の決定をする、展示館、賞業施設等の設計開始、こういうことになっているのでしょう。やはりおくれておりますね。私はおくれたものを取り戻してもらいたいと思いますが、そこで、まず第一番に、肝心かなめの用地買収、これは一切大阪府にまかしているということでありますが、そのこと自体に問題があろうと私は思うのでありますけれども、それは別といたしまして、いまどの程度まで進んでおりますか。
  36. 橋本徳男

    ○橋本説明員 御指摘のように、用地買収につきましては、当初の計画に比べまして若干おくれてございます。用地買収は、先般来大阪府といろいろ協議はしておりますが、大阪府といたしましては、あくまでも大阪府の責任においてこれが完結するというふうなことを明言しておりまして、また、現に大阪府でやっていただくことをわれわれは期待しておるわけでございます。現在のところは、三月末現在で八七・三%の買収が実は終わったわけでございまして、あとの一三%程度のものにつきましては、一つは殖産会社のものと、もう一つは、大体百四軒程度ございまする山田上部落というのが残ってございます。この両者ともにそれぞれかえ地等を必要といたしておりまして、そのかえ地を現在大阪府において用意をしてございます。ただ、殖産の用地につきましては、話し合いは完全にはついてございませんけれども、すでに工事をやることには差しつかえはないという了解が双方でとられておりますので、工事は先行し、追ってかえ地を見つけるというふうなことにしたい。それから、他の百四軒の部落についてでございますが、これにつきましては、実は値段の交渉が若干長引いておること、それから、その百四軒の部落が、従来千里ニュータウンの居住者でありまして、千里ニュータウンからこの土地へ安住の地として移った。そういったいわゆる精神的な面の問題が若干ございまして、こういった点は、大阪府といたしましても極力説得をし、かえ地を見つけていくように現在努力をしておりますので、そう遠からずこの問題も解決するのではなかろうか。ただ、この百四戸の用地につきましては、どちらかといいますと会場の端のほうにございますので、実際に工事を行なう上におきましては、さしたる支障は現段階ではないと思っております。ただ、われわれとしましては、いずれにいたしましても、極力早期に解決するように大阪府にいろいろお話を進めておりますし、大阪府も、現在こういう工事の段階でございますので、一日も早くこれを解決すべく、府をあげて全力を注いでおるという状況でございます。
  37. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 これは、あなた方も御承知のとおり、用地買収に取りかかったのは四十年の九月、大阪府が、計画としては四十一年の三月までに全部完了したい、こういう考え方で進めてきたのでありますが、用地買収それ自体は、いずれの場合によらずたいへん困難な問題でありますので、おくれがちになった、こういうことだと思うのであります。しかしながら、八七・三%、これは竹やぶと田だけで、比較的簡単にいった。ところが、いま残っておる問題は、大口地主であるところの殖産住宅の十万九千平方メートルがなかなか話がつかない。そこへ持ってきて、先ほどおっしゃった山田上団地が百四戸、これは何か聞くところによると、どうしても渡したくないという理由でもって、きわめて高額な賠償を要求しておる、一戸当たり二千万円程度のものを要求しておるというふうに私は聞いておる。それは別にごね得をねらったものでもない。要するに、ああいった閑静な土地を求めてきたのに、いまこれを立ちのけということは酷であるというふうな点で非常にがんばっておる、こういうことなんですね。そこへ個人農家が八世帯ほどある、こういうことだと思うのであります。  そこで、理屈を言っておってもしかたがないが、あなた大いに期待しておるとおっしゃるけれども、見通しはどうなんですか。ここまで煮詰めてきて、これが現段階のようなところへ入ってくると、なかなか解決しにくいと思う。  そこで、率直に聞きますが、見通しなんと言ったって、大いに期待しておるなんということを言っておったってしようがないのだから、これは例の強制収用というものが台頭してきておる。こういった住民の感情を全然殺してしまって、万博万能の見地に立って、そして強制収用をここでやろうとする動きがあるというふうに私は聞いておるのですが、そういうことによって見通しをつけなければしかたがない段階にきておるのかどうか、この点について……。
  38. 橋本徳男

    ○橋本説明員 ただいまの問題でございますが、殖産住宅の用地につきましては、これは将来単に住宅地に売ろうとするための土地でございまして、これについてのかえ地問題というふうなことをめぐって現在いろいろ問題を生じておりますが、これがかえ地をやる場合には、それぞれ適正に、その評価等もございますので、あるいは土地収用によりましてその辺をはっきりさせるという問題は、大阪府としても考えておるやに聞いております。しかし、でき得るならば、これも収用によらないで、話し合いでいきたいというふうに言っております。  ただ、ただいま申し上げました、それ以外の部落でございますが、これにつきましては、先ほどのように百四戸残っております。しかし、百四戸以外に、つい最近まではちょうどその周辺にございました千里ニュータウンからやはり移住した十六戸の部落がございました。これが全く百四戸と同じような条件でございますが、この十六戸の部落はごく最近話がついたわけでございます。したがいまして、逐次そういう形で話がついております。  また、個人農家につきましての八戸でございますが、この八戸の周辺に、小さな部落といいますか、四戸ばかりございましたが、この四戸はすでに話がついたというふうな形で、こういう部落につきましては、大阪府といたしましても、収用法にかけようという考え方は現在のところは持っていないように聞しております。  あくまでもこういったぐあいに根気よく、いろいろ双方の考え方を披瀝し合って話をすることによって十分解決がつく、逐次、先ほどのように、十六戸話がつき、また、それ以外の個人農家もすでに四戸話がついたというふうに、時間をかけ、かつまた、双方の誠意あるところを見せることによりまして十分話がつくものだ、ただ、若干それによって時間はかかるといたしましても、こういう土地柄でございますので、収用法にはかけないというふうな考え方を大阪府で持っておるようでございます。
  39. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 時間がございません。したがって、少し端的な質問になりますが、この問題をめぐって吹田市と大阪府とが責任のなすり合いをやっておる、これに対する住民の不満というものは非常に大きい、こういうことで、何かそこに行政上の欠陥があるのじゃないか、こういうふうに私は感ずる。  それから、これは本質問題ですが、そこまでさかのぼっていま質問するのはどうかと思いますけれども、なぜこれを国が買い上げなかったかという考え方が非常に強い。大阪府に自由にまかしてあります。土地は、買い上げる大阪府がこれを所有する、そして万博協会にこれを貸与する。万博協会はこれを使って所定の建設に入っていく。これはあと地利用とも関連があるのですが、終わったならば、そのあと地の利用、使用、一切がっさいこれはもう白紙でもって大阪府が全部を処理していく、そうなると、その中から住民が非常に不安に思うのは、再び住宅建設その他に使われていくんじゃなかろうか、一体、われわれが万博のために犠牲を払って土地を放してみたものの、あと地の利用計画というものは全然なっていないので、何に使っていくのかわからない、どういうふうに転用されるかわからぬというような不安もそこに加わってきておる。したがって、私は、こういったものについては、国がなぜもう少しこんなものについて全額補助してやらなかったかという疑問をいまだに持っているのです。しかし、こんなことをいまさら言ってみてもしかたがないので、こういった何か行政措置としての欠陥があるんじゃないかと思うのですが、主管大臣、この点についてどうあなたは御指導なさっていくか、この点をひとつ明らかにしてもらいたい。これを解決しないと、これは工事も何も進みませんよ。
  40. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お説のとおり、この土地の問題が解決しないとその他のいろいろな建設工事などが進捗しないということは、私どもとしては非常に心配をいたしておりますが、最初大阪府に買収  ということを一切お願いしたので、万事大阪府の善処をお願いしたわけです。  そこで、問題は、あと地の問題に関連して現在の地主が売らぬのじゃないかというお話があったようでありますが、あと地は、これは大阪府がかってに処置するという考えは大阪府も持っておりません。これは国のほうで何とかしてくれというような希望も持っております。政府としても、これは政府としてこのあと地を利用したいということで、いろいろあと地の問題を考えております。また、そうすることが、国家的にこのあと地を利用することが、現在土地を手放しておる地主さんのまた希望にも沿うゆえんじゃないか、こう思っておりますので、あと地の問題については国家的にこれを処置したい、こう考えております。
  41. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 二十世紀の世界の文化をあそこへ集中するわけなんであります。あと地利用、これはきわめて私はそういう面からも大切だ。また、  手放しがたい土地を手放そうとする者の側から言っても、この問題がやはり先決でなかったか、このように考えるわけであります。ましてや、国がこれに対して関与することも私は当然だと思う。しかし、それにしても、全額フリーで買わしておいて、一文の利子補給も何もしてやらぬで、権力だけかさにして、中央官庁がああせいこうせいというような思い切った指図もできないんではなかろうか、私はこのように考えるのでありますが、しかしながら、ここまできた事態でありますし、先が急がれておりますので、ぜひひとつ、多少無理があってもそういう点で十二分な指導をしてもらいたい、私はこのように思うわけであります。  そこで、このあと地利用——現在、先ほど局長の答弁によりますと、いよいよ設計の段階に入ってきた。これまた計画が変更されたようでありますけれども、それは別としまして、一体どうなんですか。あと地利用計画と無関係に設計が行なわれている。これはどうなんですか。一ぺん大臣から答弁してもらいたいと思うのです。
  42. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 あと地の問題、先ほど土地買収の利息の問題がありましたが、これは今日利息の補給をしないことにしましたけれども、あと地を政府がこれを買い上げると申しますか、そのときは利息は当然考えてなにするということで、これは大阪府にはそういうことで伝達してあります。  それから、あと地の問題ですが、これはもういろいろ案があるのでありまして、また私も、できるだけひとつ各方面の知識を動員して永久的に残る利用法を考えたい、こういうように考えておりますので、したがいまして、いま現在あと地をどうするかということはまだ決定しがたいのであります。いろいろ案が出ております。いずれも私はぜひ実現したいという考えを持っておりますが、われわれといたしましては、あの広い土地を全部活用していくあと地の利用ということは考えていきたいというように考えております。したがいまして、このあと地の問題も早晩にきめたい。それによって、たとえば建築物などでも、永久的な建築物をつくるということがここに当然起こってくる問題と思いますから、それらを追って決定したい、永久的な建造物にするかどうかということを決定したい、こう考えております。
  43. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 これは諸外国の万博開催の例から  言っても、初めにあと地あり、これはもうスローガンであります。どんどんといままで進められてきた日本は、初めにあと地がない、こういうことなのであります。しかも、設計が行なわれ、また設計変更も行なわれている。私は、このやり方は少し野方図過ぎるのではないかと思うのですよ。それで、いよいよ設計が決定するという段階にきておるときに、まだあと地利用がない。学者諸君はまかされたのだから、白紙で委任されて自由な構想でもってどんどんやっていく、私はけっこうだと思うのだ。しかし、あと地利用と全然無関係に設計が行なわれておるということは、何といっても大きな欠点ですよ。私は、こういったことについて、通産省がそれに対してもう少し強いアドバイスをする必要があるのではないか、何をやっているのだと言いたいところなのです。  この間新聞を見ておったら、石坂会長が、とにかくつくればいいのだ、あとのことはおれの知ったことではない、こういう言い方をしているのです。あれは、ああいうものの言い方をする人だと私は思うのです。悪気で言ったのではないと思うのだけれども、そういった考え方でこのようなことをやっておられたらたいへんなことだ。で、あなたのほうで権限があるとするならば、強くやはりこの点を要求される必要があるのではないかと思う。これが一点。  それから、あと地の利用については、いま大臣から大阪府がオールマイティーできめるものではないということが明確になったので、私はこれで一応満足します。  それから、そのあと地利用について、では大阪府と政府でやるのかという問題が一つある。私はそれだけではいかぬと思う。この場合、所在地と関係市町村等々がやはりあと地利用計画等に参画できる、そういう機構になっているかどうか、そういうことに機構がなくてもできるのかどうか、この点について、まだ未決定の問題でありますから、むしろ大臣の所見を聞いておいたほうがいいかもしれない。どうですか、大臣
  44. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 あと地の問題につきましては、これは即刻政府がきめるべき問題だと考えております。そういうことで、先ほどから申し上げましたとおり、いろいろ案がありますので、その案についてもう少し研究したい、こう考えております。  なお、そのあと地をいかに利用するかということについて、関係市町村との関係ですが、これはもちろん、あと地、あそこを利用するのは関係市町村の人が最も多く利用されることになると思うのでありますが、その点につきまして、大阪府を通じて関係の市町村の意見も聞きたい、こう考えております。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 先ごろから、私ども、自民、民社、社会が国会でこの問題を提案しまして、ぜひ日本へ持ってこいということで、きわめて熱意を持ってこれを促進している問題なのです。  そこで、いま大臣がおっしゃいました、政府が決定する、非常に私はけっこうだと思う。そして、関係の市町村等ともよく連携してきめていくんだ、こういうことですが、くどいようですが、先ほど言いました、その場合には必ず所要の土地は国が買い上げる、これは間違いありませんね。
  46. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 間違いないかと言われるとちょっと返答に困るのですが、そういう方針でいきたいと思って、実は万博の問題につきましては閣僚会議も近く開きたいと思って、そこで大体決定したい、こう思っておるので、したがいまして、決定する前に私がそうするということは、これは断言できないことであります。  なお、この万博の問題につきましては、阪上委員が非常に心配されて御質問になっておられると思うので、その点は私たちも非常にありがたく感ずるのであって、この万博の問題は、何も自民党政府でやる問題ではなくて、これは国民全部が協力してやるべき問題であるし、政党を超越して各  党協力してやってもらいたい、こう考えておりますので、いずれ各党の万博の委員の方にはまたあらためていろいろ御相談も申し上げて、そして皆さん方の御意見もよく聞いて、最後的な決定をしたいという考えを持っておりますので、とにかく各党派を超越して御協力を特に私からお願いしたいし、また、これは全国民が協力すべき問題でありますので、私自身としては、いま各地へ参って、国として全国民が協力すべき大きな問題だ、日本にとっては、戦争をやったという大きな問題がありますが、それ以外としては、おそらくこれほど大きな事業はないのでありますから、これは日本としては初めての大きな事業だから、国民全部が協力してほしいということ、そういうことを訴えておるのでありますからして、したがいまして、国会におきましても、皆さんの御協力を得て、そうして皆さんの御意見もわれわれは尊重していきたいという考えで進みたい、こう存じております。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 ひとつそういう決意でやってもらいたいと思います。  次に、万博協の全体資金計画、これは局長に伺いますけれども、その内容は、会場運営費と会場建設費、こうなっておると思うのです。これによりますと、出展の費用とか展示館かいったものを全部除外しまして、総額七百二十三億円必要だ。その収入を見ますと、百六十八億四千九百万円、これが運営収入、それから、特定事業から入ってくる収入、これが三十七億九千七百万円、残余の五百十六億六千七百万円、これが補助金等、こういうことになっております。そこで、今回の予算を見ますと、これは数字が違っておりますればあなたのほうで教えていただきたいと思うけれども、万国博覧会の開催準備に必要なる経費、四十二年度五十三億六千九百二十八万一千円、内訳を見ますと、四十八億八千四百万円、これが補助金になっております。そこで、残余の部門については、おそらく地方公共団体その他からのものになってくると思うのでありますが、いま伺いたいのは、この総額に対して大体国が三分の二補助だということになっておると思うのでありますが、残余の部門についての国、地方を通ずる負担区分は、やはり三分の二でいかれるかどうか。  それから、もう一つは、自治省に伺いますが、地方の負担、すなわち府、市、それから吹田市等も含めて地方都市、この負担区分は一体どうなっておるか、それから、自治省にはそれが地財計画でどういうふうに表現されておるか、把握されておるか。ないとすればどうするか。地方自治体があらゆる財源に非常に困っておるという段階において、自治省がこれをほおかむりしているわけは私はなかろうと思うのでありますが、それは地方財政計画ではどうなっておるか。これらの点をそれぞれお答え願いたい。
  48. 橋本徳男

    ○橋本説明員 全体資金計画から御説明いたします。  全体資金計画につきましては、一応、こういった長期の建設計画を立てる場合に、どの程度の資金が必要であるかというふうなめどは当然立てなければならないというふうなことで、昨年の秋に、全体資金計画としましては、建設関係で五百四十六億、運営関係で百六十八億という一応のめどは立ててございます。しかし、博覧会の事業そのものはきわめて流動的でございまして、今後、計画等におきましても、事業内容が確実にきまったわけでもございませんので、まだこういった面について事業内容についても若干の変更はあるだろうと思います。それからまた、この資金計画の算出の単価等につきましても、今後いろいろまだ検討を要する点があるだろう。それから、さらには、一般の民間からの施設の参加、これがたとえばモントリオールの博覧会等ではかなりの量の施設参加が見込まれておりますので、そういった施設参加をどの程度見込み得るかといったような問題も実はまだ残っております。そういった点から見まして、事業としてのおおよその見当は、先ほどのように五百四十六億程度のいわゆる施設規模は考えたいと思っておりますが、この中身につきましては、まだきわめて流動的でございますので、毎年毎分これをさらに詳細にきめてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、補助額につきましては、本年度の予算をきめます際に三分の二というふうなことがきまってまいりまして、今後も、博覧会終了までの国と地方の分担は、国が三分の二、地元が三分の一というふうなことになると考えております。
  49. 細郷道一

    細郷政府委員 お答え申し上げます。  会場建設費の地元負担につきましては、この事業の性格にかんがみまして、大阪府、市を中心として、関係地方団体の協力を得たいと考えております。通産省とも具体的には協議を進めてまいりたい、かように考えます。  それから、地元負担につきましては、地方財政計画におきまして一般行政経費の中に算入をいたしております。
  50. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 一般行政費の中でどの程度見ておりますか。額を言ってください。
  51. 細郷道一

    細郷政府委員 会場建設費にかかります分は二十五億。端数は私いま覚えておりません。それから、関連公共事業につきましては、公共事業にかかりますものは投資的経費の中の公共事業費、単独事業にかかりますものはその単独事業費に、それぞれ計上いたしております。
  52. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 次に、いま少しく時間をちょうだいしまして、関連公共事業につきまして質問いたします。  これは大臣御案内のように、なかなか、大阪府、市、桃色のムードをまき散らしまして、本来の万博から考え方によれば逸脱するのじゃないかという程度まで関連公共事業がどんどんと行なわれて、そして、所在地市町村あるいは関係市町村をはじめとして、関西全般に都市施設その他がどんどん拡充されていく、こういうようなイメージを与えてしまっておる。これは、東京オリンピックの例もあるために、また東京と大阪との間で公共施設の格差がひどいために、私は人情としてはそこまで考えるのは当然だと思う。しかし、そういうイメージを与えておるのでありますが、そうなれば、関連公共事業というものがかなり大幅に推し進められない限り、その夢を満たしてやることはできない。いまちょうど地方都市の選挙のまっただ中でありますが、私もこの間行ってみたところが、盛んに関連公共施設に大きな期待をかけてそれぞれ候補者がしゃべっておる、こういうことであります。大きな責任があると私は思うのであります。  そこで、この関連公共事業の総ワクは一体どうか。もう時間がありませんから私から言いますけれども、おそらく近畿圏整備法あるいは整備計画、これと連帯して、その中から万博に欠くべからざるところの事業を引っぱり出してきたのじゃないかと思うのであります。それをどこでだれがどうきめておるか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。その総ワクは幾らか。
  53. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 関係公共事業は、万博を成功させるために必要な公共事業というたてまえでおるのであります。したがいまして、たとえば入場者が一日に五十万も入ってくるというのであれば、そういう五十万の人が十分入れるような交通設備、たとえば道路とか地下鉄とかいうようなことがそこで起こってくるわけであります。そういうことで、この関連の公共事業というものは、万博を成功させるための公共事業とお考えくださったらよいのであって、したがって、おのずから万博の建設地の付近にそういう公共事業たくさん行なわれるということになると思いますが、しかし、先ほどから申し上げましたとおり、万博というものは全国的なものでありますからして、この万博を成功させるために全国民でひとつ協力してもらいたいというようにわれわれ考えております、ただ万博によって付近の公共事業がよくなるからというような、あまりにも自分的な考え方をせずに、万博を成功させるための公共事業だというようにひとつ考えていただいて、そして全国民の御協力を仰ぎたい、こう考えておる次第です。
  54. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 そのとおりであります。どさくさにまぎれて、何か日本全体の都市対策の均衡を破ってしまうというようなものの考え方で要求すべきでは断じてない。しかしながら、あそこへ会場だけをつくって、陸の孤島にしてしまって、道路もなければ、鉄道もなければ、地下鉄も入ってこないという状態であっては、これはいけないことは明らかなんです。そういった意味の関連公共施設というものが必要である。同時に、環境衛生の問題ということも私は出てくると思うのであります。たとえば、一例をあげますると、いま向こうで問題になっておりますのは、じんあい焼却の問題。これは吹田市が処理能力がないというので、新たに拡張工事をいたしまして、別のところにつくっておるのでありますが、万博協会のこれらに対する配慮を聞いておりますると、全然配慮がない。そして、周辺の衛星都市等に処理能力があるので、したがってそれに期待をしていると、こういうばかげたことを言っておるのです。いまどき、じんあい焼却の処理能力のある衛生都市は日本国じゅうさがしたってどこにもない。それをそういうようなものの考え方で処理していく。そこで、問題になったのが、あのそばにあるニュータウンの中にじんあい焼却場といったものを設置しなければならぬという羽目に入ってきておる。それを使っていこう、こういうことであります。一つの例ですよ。きょうはその問題に強く触れませんけれども。また、大阪の計画も、十五万の都市をつくってじんあい焼却の処理を考えていなかったという間抜けたやり方もやっておりますけれども、それは別といたしまして、そういった問題、たとえば道路、鉄道、軌道、これは一番問題になっておりますが、空港、港湾、公園、観光施設、環境整備、市街地整備、通信、こういったふうに関連事業が必要なのは山ほどある。ところが、これに対して、日本万国博覧会関連事業推進地方協議会が、少なくともこれだけは必要であるというその総額が二兆二千六百五十九億円、こうなっておりますね。全部それが必要欠くべからざる関連事業であるかどうかということについては、いろいろ問題がありましょう。そこで、関連事業について、そういう要求をしてきたからといって通産としてはこれは受け取れないのだ、しからばわれわれはどう考えているのだという案をお持ちですか。
  55. 橋本徳男

    ○橋本説明員 関連事業につきましては、四十二年度が初年度でございます。したがいまして、本年度におきましてそういった範囲等を明確化させなければならないと考えております。ただ、先ほどの地方関連公共事業推進協議会のほうから提出されました要求に対しましては、会場の周辺関係に主力を置いて、関係各省でそれぞれ予算要求をしてほしいというふうなことを要望し、たとえば道路でいきますと、六兆六千億という全体のワクがきまって、今日それを各路線ごとに割り振りをやっておる段階でございます。したがいまして、その路線ごとの割り振りが関係各省間で話がつきました段階で、関連公共事業はこれとこれにするのだというふうなことを明らかにし、かつまた、その他鉄道、港湾等につきましても、全体の予算の配分の過程におきまして、関連公共事業をどこまで取り上げ、どこまでの範囲にし、どういう形で取り上げていくかというふうなことを確定して、これを四十二、四十三、四十四という形でやっていきたいというふうに現在関係各省間で話を進めておる段階でございます。したがいまして、話が詰まりますれば、これを関係閣僚協議会に提出いたしまして、これを関連公共事業の範囲であり事業であると確定したいというふうに考えております。
  56. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 運び方はよくわかります。しかし、もうやらなければならない。四十五年までですから、中三年です。これはことしから出発しなければどうするのですか。これをいまごろ相談するなんというようなことでは困るですね。二兆二千六百五十九億円というものが妥当であるかどうか別として、それを基礎にして考えていっても、四十二年度に少なくとも五千億か六千億のものは計上しなければならぬ、こういうことになっておるのに、それをいま、ひとつよく御相談いたしましてというようなことを言っておったって、これはどうにもならぬじゃないですか。怠慢だな、通産省は。現在四十二年度の予算の中で関連事業と目されるようなもの、これは代がえできますから、その集計はできておりますか。
  57. 橋本徳男

    ○橋本説明員 たとえば、道路でいきますと建設省、それから鉄道でいきますれば運輸省といったように、関係の各省にお願いして、現在、先ほど言いましたように、会場を中心とする主要な施設についての予算のこまかい配分をお願いしております。したがいまして、各省でそれができまれば、全体の関連公共事業の範囲は確定してくるというふうなことになっておるわけでございます。
  58. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 それはいつできますか。
  59. 野原正勝

    野原主査 阪上君に申し上げます。質疑時間が過ぎておりますので、結論をお願いいたします。
  60. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 答弁が長いので……。要点だけ答えてくれれば十分に終わっておったのです。
  61. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおり、この問題は早くきめたいということで、私どもでも督促をいたしておるのでありますが、各省でやはり全般的な関係でいろいろと研究しておることと思います。しかし、各大臣ともみなこの万博に関する事業は先にやるということについては意見が一致しておりますから、したがいまして、おそらく万博の関係の建設工事は先にやってもらえる、予算に計上してもらえるというように私は期待いたしております。
  62. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 いまからなかなか簡単にはそういかぬだろうと思います。これはできるだけ早く、ほんとうに早くもうやっていただかなければいかぬ。そのためには、ぼくは通産省だけの責任じゃないと思うのです。これはあとで意見を申し上げてみたいと思います。とてもじゃないが、こういう状態では、私は、準備は十分に行なわれないという不安をやはり依然として持つわけであります。  そこで、この際自治省に伺っておきたいのですが、例の地方開発事業団債、これは適債事業としてこれの対象にすることができますか。
  63. 細郷道一

    細郷政府委員 地方開発事業団は、自治法によりましてその行なう事業が法定されております。現在法定されております事業は、おおむね地方財政法五条の適債事業に該当するものでございます。特殊なものが出てまいりますれば別でありますが、現実にはほとんど処理できますし、現に地方開発事業団の中で起債の許可をいたしたものもございます。
  64. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 したがってこの万博関係の周辺の都市が開発事業団として出発する場合において、いまいわれた適債事業として、五条の範囲内のものであれば、これは対象になり得る。それから同時に、その総額はいま幾らになっておりますか。七百億ですか、六百億ですか、ちょっと私、記憶にないのですが。
  65. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げたようなことで、開発事業団の行なう事業内容によりますが、現在地方自治法二百九十八条に開発事業団の行なう事業がきめられております。それは先ほど申し上げたように適債事業に当たりますので許可をいたします。  なお、金額につきましては、御承知のように、一般の地方開発事業団は特別地方公共団体の扱いで自治法の適用を受けておりますので、一般の地方債計画の中で処理いたすことになっておりますから、事業団債としてのワクを特別に設けておりません。
  66. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 地方債計画にワクは上がっておるでしょう。
  67. 細郷道一

    細郷政府委員 地方債計画で、住宅でありますれば住宅事業のワク、単独事業でありますれば、今回は昨年よりも百二十億ほど増額をいたしております。そういったようなことで処理いたしたいと思います。
  68. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 これで終わりたいと思いますが、最後に、万博の所管省、これは通産大臣が所管大臣ということになっておりますので、何か常識的には通産省が所管省のような感じがするのでありますが、その点はどうなっておるかということと、先ほどからずっとまいりまして、関連事業等につきましても、どこでどうなっておるかちっともわからないという状態であります。東京オリンピック大会の場合におきましては、たしかこれは総理府で所管した、このように思っております、所管大臣はどこから出られようと。何かそういう点でひとつ機構をいま少しく拡充されて、統一されてはどうかという感じが非常に強いわけなんでありますが、この点についての意見を承っておきたいと思います。  それから、万博協の仕事ぶりが非常に非能率的だというようなことが一部にいわれております。この間川崎君が何か御質問なさっておったように私思うのですが、もしそういうことがあるなら、これは国民的な支持を受けようとしたってなかなか受けられるものではない。私、ここに新聞等で出ております資料も持っておりますけれども、何か、たとえば海外出張費、旅費などはもう多分にふんだんに組まれておるというようなこともいわれておりますし、それからまた、それと違ったケースで、東と西との間でどうも疎通がよくない。あれは大阪へ無理やり持っていったのだから大阪にまかしておけばいいのではないかと東京は言うし、大阪のほうでは、そんなこと言っても、これは国の事業じゃないか、何を言うのだというようなことで、東西なかなか意思の疎通が十分でない。また、機構から見ましても、何かこちらのほうに出張所が置かれているということでありますが、人員その他につきましても非常に手薄であるというふうなことになっておるというようなことでありますが、そういったもの一切を含めて、何か機構上もう少しくしっかりしたものにしていかなければいけないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。万博協の理事会も毎月大体開くべきであるといわれておるのでありますが、なかなか開けないというようなことも実は聞いておるわけであります。そういった問題をひとつぜひ明朗なものにしていただきたい、このように考えるわけであります。  また、通産省の中で、万国博覧会開催準備外国旅費だと思うのですが、六百九十六万四千円計上されておるのですが、これは一体何に使われるのか。外国に旅行されるのでしょうが、こういったものも含めて、何か万博の経費の乱費といったような感じがぽつぽつ出てきたのでありますが、この点間違いありませんか、だいじょうぶですか。  こういったことをひとつ最後に伺っておきたいと思います。
  69. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 万博は、これは国全体がやるべき仕事であるし、政府全体がやるべき仕事でありますので、万博関係閣僚協議会というものを設けておりまして、そこで全部きめるということでやっております。御承知のように、これが国会の解散その他地方選挙や何かでそういう会議を開く機会が比較的少なかったことは、われわれも非常に残念に思っておるのですが、その推進役をするのが通産省であります。したがいまして、これからこの万博の閣僚協議会はひんぴんとして開いて、そして次々と決定していきたいという考えをしております。  万博に関して事務的な組織も、今度は職員を増すことにいたしまして、そして各省との連絡を密にしてやるということでおりますし、各省大臣ともこれは各省が協力してやるべきだという気持ちをみな持っていただいておりますので、私は、わりあい円滑に仕事が運んでいくのではないか、こう考えております。  それから、協会自体についてのお話がありましたが、理事会は毎月やっておるようでありますが、協会は大阪に本部があって、東京に支所がありますけれども東京のほうでは主として対外的なことをやっておるわけでありまして、やはり本体は大阪であります。それは開催地が大阪でありますから、建設その他のことについてやはり大阪に本部を設けたほうが便利がいいということで設けておるのでありますが、しかし、組織については、これは全国的なものであるということで、会長には石坂さんをお願いするし、副会長には名古屋の人をお願いするとか東京の人をお願いするとかいうようなことをやっておりまして、これは全国的な協力のもとでやろうという考えをしております。また、各府県ともに協力してもらいたいということで、私も知事会議や市長会議、町村長会議などにも出たりしてお願いしておるのですが、先般来地方を回ってみますと、各知事もできるだけ協力したいということで、非常に万博のムードが全国的に盛り上がってきておると思うのでありまして、これはまことにけっこうだと思っておるので、また、産業界もこの万博にはできるだけ応援をしたいということで、各産業界でもいろいろみな案を練っておるようですし、各大会社は万博の準備委員会か委員部というようなものを設けてそれぞれ準備をしておりますので、したがいまして、私は、四十五年までには円滑に仕事がはかどっていって、そしてひとつこれを成功せしめたいという考えをいまいたしておるのであります。それにはやはり、先ほどもお願いしたとおり、全国民が協力するという気持ちを持って、ひとつ世界に誇る博覧会を国民全部こぞってやるというムードをつくっていきたいという考えを持っておるわけでありますから、その点においても、国会議員の各位にもまた特別の御尽力をお願い申し上げたいと思うし、私の気持ちとしても、できるだけ、ことしはカナダで博覧会を開いておりますから、国会議員の方も、ほかに海外へ出張されるときには、博覧会をぜひひとつ見ていただきたいというようなことで、いろいろの方法でひとつムードを高めていきたいというように考えておりますから、この上とも皆さん方の御協力を特にお願い申し上げたいと思います。
  70. 阪上安太郎

    ○阪上分科員 私は、やはりオリンピックのときと同じように総理府等で統一すればいいと思いますけれども、敵前で馬を乗りかえるわけにもいきますまい。したがって、いま大臣がおっしゃいましたように、ぜひひとつ運営面でその欠点を補っていただいて、万博成功に万遺憾なきを期していただきたい、このように思います。  どうも時間を超過して申しわけありません。
  71. 野原正勝

    野原主査 北山愛郎君。
  72. 北山愛郎

    ○北山分科員 私は、資本自由化の問題についてお尋ねをしたいのですが、なるべく簡潔に申し上げまして、そして私の持ち時間内でもできるだけ早く済まして、皆さんの生理的な要求にも協力したいと思います。   〔主査退席、亀岡主査代理着席〕  資本自由化については、もうすでに各方面で積極的な推進論であるとかあるいは慎重論、いろいろ出ておりますが、私は、そういうふうな議論の問題ではなしに、むしろ事務的な問題点だけにしぼってお尋ねをしたいと思うのであります。  そこで、最初に、例のOECDの勧告が近く出るというふうにいわれておるわけです。やはり日本の資本自由化条項に対する留保を十八項目、これに対する解除なりあるいは制限の緩和ということに関する勧告が出る、それがいつごろになるのか。それからまた、予想される勧告の内容等でもおわかりになっておれば、その範囲でお答えを願いたいのであります。
  73. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 いつごろ勧告がくるかという問題、確たることは申し上げられませんが、いまの情勢では五月中にくるのではなかろうか、かように考えております。  勧告の内容につきましては、日本の実情をるる説明いたしました結果、次のような点が勧告される模様であります。一つは、日本でも自由化に対抗できる業種があるだろうから、そういう面から自由化を進めたらどうかという点が一つであります。それから、手続等をも少し簡素化できないか、手続の簡素化、迅速化、これが第二点でございます。それから、第三点につきましては、対内のいわゆる証券投資、既存会社の株を持てる率につきまして、もう少し引き上げられないか、こういう点が中心のように聞いております。その他、こまかい問題は多少あるようでございますが、実体問題としてはそんなように想像いたしております。
  74. 北山愛郎

    ○北山分科員 次に、OECDからのそのような勧告ということの以外に、例のアメリカとの間の友好通商航海条約、これによるところのアメリカの要請というものがいままであったというふうに伝えられておるわけであります。相当強く、この日本の資本自由化をもっともっと促進を迫ってきておる、昨年の日米貿易経済合同委員会においてもこのことが強く主張された、このようにいわれておりますが、このアメリカ側の主張が、OECDの留保事項という問題じゃなくて、自由化規約じゃなくて、むしろ日米通商航海条約というものをたてにとって要求している。要するに、第一条の相互主義であるとか、相互対等にやるという主義であるとか、あるいは第七条ですか、内国民の待遇を与えろとか、そういうことをたてにして自由化を迫ってきておるというふうに伝えられておるのですが、これに対して日本側、日本政府としては、いままでどういうふうな態度でもってこれに応じてきたか、対抗してきたか、この点を明らかにしていただきたい。
  75. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの日米友好通商航海条約をたてにしてこの自由化を日本に求めてはおりません。日米合同会議でそういうことの話し合いをしておるのですけれども、条約をたてにして要求しておるとかいうことはありません。
  76. 北山愛郎

    ○北山分科員 実は私、「金融財政事情」の中の「経済資料」として、「資本取引の自由化について」という資料、これは通商産業省からことしの一月の二十三日に出ておるのですが、その中にそのことが書いてあるわけなんです。「アメリカ側の主張の骨子は次の三点にある。」として、「一、日本企業による対米投資が活発化しており、米政府はこれを歓迎しているが、日本政府においては、米国企業に対する相互主義的取扱いがなされていない。これは、日米通商航海条約、日本のIMF八条国としての地位等からみて問題である。」、こういうことを向こうが主張しておるというふうに、通商産業省のあなたのほうの資料が発表しておるのですよ。だから、大臣の答弁はちょっと違うのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  77. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その相互主義ということは言っておるのですが、条約によって、それでなどという要求をしておるということはないと思います。お互いに相互主義でいこうじゃないか、こういうことで取り扱いたいと考えております。
  78. 北山愛郎

    ○北山分科員 これは、相互主義というのは、いわゆる日米通商航海条約の、私もよく読んではおりませんが、第一条にあるはずなんですよ。だから、彼らが相互主義を主張するのは、通商航海条約に規定されている相互主義の規定に基づいて、ここにも通産省が言っておるように、「日米通商航海条約、日本のIMF八条国としての地位等からみて問題である。」という主張をアメリカがしているんだ、こう通産省資料として出しているんですから、この点はおかしいじゃないですか。
  79. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御指摘のように、アメリカも自由にしておるのだから、日本もできるだけ自由にせよということは、向こうの一つの主張として言っております。日米条約上外資を規制しておることが問題になります点は、私の解釈によりますと、議定書の六項によりまして、外貨準備のために必要がある場合は外資を規制してもいいということになっておるわけでございます。その解釈の問題でございますが、私どもとしては、この外貨準備のために必要だというのは、一つは、短期だけじゃなしに、長期的にやはり国際収支を見ていくんだということが一つと、それから、現在の国際収支は必ずしも世界の水準から見ますと高いとは言えない。そういう意味で、われわれとしては、日米条約の関係から見ても外資の規制はやれる、もちろんこれを前向きに、できるだけ日本経済のために必要がある場合は全面的に自由化をしていかなければいかぬが、条約の観点からこれを進むべき問題ではない、かように考えておるわけであります。
  80. 北山愛郎

    ○北山分科員 そこで、大臣、先ほどの答弁がちょっと違うと思うので、この点は訂正なさったほうがいい、こう思うのであります。要するに、日米通商航海条約をたてにしてアメリカ側は主張しておらないのだ、こういうお話であったのですが、これは主張しておるのです。通産省資料でもそう言っておるし、いまの局長の答弁でもそのことを肯定しておるのですから、その点は率直に訂正なさったらどうですか。
  81. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 向こうは、条約に違反しておるじゃないかということは言うてないのです。条約違反だということは言うてないので、相互主義でお互いにやろうじゃないかということを言うておるのです。いま北山委員の御発言は、条約違反ではないかというように私は解釈したから、それは条約違反ではない。そういうことで向こうは言うていないので、お互い相互主義でやろうじゃないかということでやっておるわけです。
  82. 北山愛郎

    ○北山分科員 私の質問は、条約違反なんということを言っていないのです。条約をたてにとって、そこに規定されている相互主義にしても、それをたてにとって、それを基礎にして言っているのであって、アメリカさんが何と言ったか、ぼくは見ても聞いてもおりませんけれども、違反だとは言っていないですよ。だから、その点は、やはりアメリカ側としては日米通商航海条約というものを基礎にして、根拠にして主張しているということは明らかなわけです。  そこで、いま局長がお答えになったように、日本側としては、議定書の第六項ですか、まだ通貨準備が不十分だということを理由にして、まだその段階ではないというか、その部分が保留されてもよろしいのだという解釈でございますが、そういうことでもってこっちは対抗しているのですか、アメリカさんが言ってきたときに。それとも、いまの考え方は通産省内の考えであり、また政府全体としてのまとまった考えなのですか。ということは、将来民間なりあるいはアメリカの政府側から正式に通商航海条約の違反ではないかと言ってきたときに、政府としてはこれに対して、これは議定書の第六項からしてそうではないのだというふうに対抗するという方針なり解釈が最終的にきまっているかどうかという問題なんです。ただこの場所における局長の答弁だというのではなくて、もしもそうなってきた場合には、これは議定書の第六項によって、日本側としては自由化が留保されておっても何も通商航海条約の違反ではないという解釈で見解が統一されているかどうかということなんです。
  83. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 前内閣で、違反ではないということで意見が統一いたしております。
  84. 北山愛郎

    ○北山分科員 それでは、その外貨準備がまだ足りないのだ、通貨準備が足りないのだ、あるいは国際収支もまだ不十分だといったような理由なんですが、そうなりますと、一体外貨準備はどの程度が適切だと通産省はお考えになっているのか。幸か不幸か、日本の外貨準備は二十億ドル台に、長いこと貿易がふえましてもその程度でおるから、いまお話があったような主張ができるわけなんです。しかし、一体どの程度がいいのか。低いとかなんとかというのは、どういうことを基準にして言うのですか。
  85. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 外貨準備をどのくらいしたらいいかということは、そのときの経済状態にもよりますし、それで、日本は前から二十億ドルと言っておるのですが、御承知のとおり、貿易額もふえてきておるし、日本の経済もその後発展しておりますから、私自身としては、決して二十億ドルで甘んずべきではないということをいままであちこちで演説をしておるのです。そしてなお、この二十億ドルが、前の二十億ドルといまの二十億ドルの内容が違っておるということだけはひとつ申し上げておきたいと思います。いままでは外資を持ってきて二十億ドルと言っておったのが、近ごろは自己資本、と言うと語弊があるかもしれませんが、その二十億ドルということになってきておるのですから、内容が違っておるということだけはわれわれ申し上げていいんじゃないか、こう思っております。
  86. 北山愛郎

    ○北山分科員 その日米通商航海条約の関係では、皮肉に考えれば、この通商航海条約という、非常にきびしい、ちょっとほかにも類がないような日本に不利な条約があるために、日本が外貨準備をふやせないのじゃないかというふうにも思えるような、それほどちょっと困った、日本にとって非常に不利な通商航海条約というふうに考えるのです。この問題は別の問題でありますから、またいずれ私どもとしては、このように非常に不利な、アメリカに全面的な内国民の待遇を与えるといったような内容を含んだ条約は改定すべきである、こういうふうに考えますが、これはこれでもって終わります。  次に、政府が自由化をする内容についての問題でありますが、四月十八日に、外資審議会では例の自由化の内容としてのいろいろな分類をきめたわけです。一つは、既存企業の株式取得の場合の限度をゆるめるということ、それから、あとは、外資が企業新設なりあるいは合弁会社をつくるというような場合の自動承認の場合と、それから個別審査の場合というふうに分けて、大体意見がまとまったようでもあり、また、まとまらないようにも見えるのですが、その四月十八日の外資審議会できまった内容というものをここで明らかにしていただきたいのです。
  87. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 ただいま御指摘のように、既存企業の問題と新設会社の問題を別に討議をいたしました。既存会社につきましては、株式取得限度をある程度引き上げる、これは最終決定ではございませんが、大体二〇%程度が適当ではなかろうかというような感じの議論が出て大勢を占めた、こういうことになっております。それから、新設の問題につきましては、自由化措置として、ただいまお話がございましたように、個別審査の部類と、それから自動認可の部類、二つに分けるということは、大体の感じは各省とも合っておるわけであります。ただ、自動承認の中でどういう資本比率にするか、一〇〇%のものというものをつくるか、それができるか、それから五〇%というものを一つの原則にするか、そこら辺はいろいろ議論がございます。その結果、ともかく抽象論でなくて具体的に、そういう力のある業種というものがあるだろうか、今後自由化を進める場合にどういう問題点があるだろうかというのをもう少し検討した上で最終的な結論を出そう、こういうことになっておるわけでございます。
  88. 北山愛郎

    ○北山分科員 その第一点の既存企業の株式取得の限度の問題について、一般業種としては二〇%程度ということは大体了解した、そうすると、特殊な電力、銀行等がいま一〇%という限度が一五%となる、あるいは個人の外国人が一人五%が七%に上がるということについては、まだ何も了解されておらないということですか。
  89. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 簡単に申し上げまして恐縮でございましたが、ただいまお話がございましたその三点については、大体その程度が適当ではなかろうかという御意見でございました。
  90. 北山愛郎

    ○北山分科員 その十八日の外資審議会の模様を大体伺ったのですが、伝え聞くところによりますと、通産省と大蔵省と外務省とで意見が若干違っておる、通産省考えは、いわゆる三分類方式で、原則として第一類は外資比率が五〇%以下、これは条件つき自動承認である、第二類は個別審査だ、こういうふうにいわゆる二分類方式、それから、ほかのほうは、この二つのほかに、やはり一〇〇%までのものを一つの分類として、やはり三分類とするというふうに、二分類対三分類ということで、若干食い違いがあるというふうに聞いておるのですが、その点の調整はつかなかったということですか。
  91. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先ほども申し上げましたように、自由化措置として、もし一〇〇%の外資を入れていいというものがございますれば、これは一つ考え方ではないかという考え方があるのは事実でございます。それからまた、外資を入れる場合に、共存共栄という意味で五〇%でいいではないかという議論があるのは事実でございますが、その関係は、御指摘のように、考え方の調整がまだついておりません。問題は、そういう一〇〇%いって差しつかえない業種があるかどうかという点が一つのポイントになろうかと思います。そういう意味で、そういうものをよく調査し、検討した上で結論を出そうということでございますので、その点は未定、こういうことでございます。
  92. 北山愛郎

    ○北山分科員 その外資比率を、大部分のものを五〇%以下にしたい、そういう通産省考えなわけです。この点は、実は先般の公聴会で宮崎義一公述人が、日本だけじゃなしに国際的に、世界的に資本が外国に進出する場合の外資比率、これが五〇%以下という一つの原則をひとつ日本として主張したらどうか、こういうような考え方、意見を述べられたわけです。これは非常に興味のあるというか、注目すべき意見だと思うので、この宮崎義一さんの意見については通産省としてはどのようにお考えですか。日本の資本が外国に進出する場合、東南アジア等に進出する場合においても、やはり向こうにおける日本の資本の割合を五〇%以下にするのだ、お互いにみんなそうするのだ、こういうことなんですが、そういう原則を世界的に推し広めていく、日本が国際的にこれを主張していく。たとえば国連の中で主張するとか、そういうふうな方向へ行くような、そういう宮崎さんの御意見なんですけれども、これについてはどのようにお考えですか。
  93. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 宮崎義一さんの御意見は、一つ意見として私は大いに尊重していいと思っております。そういうことを世界的にきめるということがよいかどうかということ自体は——日本あたりは、将来東南アジア等へ進出する場合に、おそらく五〇%以上でも来てくれというところもまた出てくるのではないかという考えを私たちはしておる。また、そうしてあげるほうが東南アジアの諸国の産業開発のためにいいのではないかという考えもしておりますので、世界的にそれをきめるということがいいか悪いかということ自体は、もう少し検討させてもらいたい、こういうふうに思います。
  94. 北山愛郎

    ○北山分科員 大体わかりましたが、そこで、実はきょうの新聞を見ると、通産省その他の各省が業種ごとに外資比率についてのいろいろな資料を、持ち寄るのだ、しかも二十五日、きょうまでに外資審議会のほうに出すのだということになっておったようですが、通産省としては間に合わない、こういうふうに局長が何かお話しになっておるように新聞で拝見するわけですが、その際に、理由として、省内の意見が固まらない、それから産業構造審議会にもかけなければならぬ、こういうふうな理由のようですが、そのとおりですか。
  95. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 まだまとまらないとか、産業構造審議会にかけなければならぬという問題でございますが、現在通産省としては、非常にたくさんの物資をかかえておりますので、どの程度の業種について五〇%あるいは一〇〇%の自由化ができるかということを鋭意検討中でございます。まとまらないという意味は、まだ検討が終わっていない、こういうことでございます。  それから、産業構造審議会との関係でございますが、実は、この自由化をやります場合は、考え方をまとめますと同時に、外資問題について通産省としては相当のものをやらなければいかぬ、こういうように考えております。したがって、その審議をお願いしておるわけでございますが、先般来、産業構造審議会でも、通産省考え方がある程度まとまったら自分たちにも出して検討の場を与えてもらいたい、こういう議論がございますので、通産省といたしましては、最終的にこういうものは五〇%できるという業種を選びます場合には、従来のいきさつから見てそうせざるを得ない、またそれが今後の対策を進める上において得策である、私はそういうように考えております。  なお、われわれのほうといたしましては、二十五日までにそういう資料を出すということになっておりますので、外資審議会のほうには、この程度の物資ならば自由化できますという業種は、先ほど申し上げましたように出せませんが、どういう個々の業種について問題点があって、今後どういう面についての対策を考えていかなければならぬかということは、八月から実態調査を各業種についてやっておりますので、それをわかりやすくまとめまして、本日中に提出するつもりでございます。  そういう意味におきまして、われわれは外資審議会にも協力し、と同時に、この物資の自由化をどの程度やるかということは、慎重にあらゆる機関にはかった上できめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  96. 北山愛郎

    ○北山分科員 実は私ちょっと疑問に思ったのですが、自由化対策という問題ですね。これは自由化に対する国内対策等も含めて非常に広範にわたるわけです。ですから、大蔵省なり通産省のそれぞれの省庁だけではきめられないような問題だと思うので、政府としては、一体どこが主管の省庁になってどのように進めておるのか、私も実はよくわからぬものですから、これがどうなっておるのか、伺いたいと思います。
  97. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 これは、大蔵省に外資審議会があり、通産省には産業構造審議会があるのでございますが、それぞれでいま検討いたしておりますが、この自由化の問題は、日本の産業に非常な影響を及ぼす問題でありますので、これはひとつ内閣でこの問題を取り上げて、関係閣僚が寄って決定すべきではないかという意見を私持っておりますので、いまは事務的ベースでやっておりますから、事務的ベースで大体進捗いたしますれば、そういうような方法で内閣全体としてこれを決定したい、こう考えております。
  98. 北山愛郎

    ○北山分科員 それは当然だと思うのです。いろいろな資料を見ましても、単にどの程度の範囲で自由化条項を緩和するとか、それだけの問題ではなくて、これに関連したいろいろな国内法規の問題あり、産業政策ありということになると、これは広範な全体としての総合対策を持たなければ進められないということですから、大臣のお考えもあることですから、ひとつ内閣の中に自由化対策閣僚協議会とか、そういうものを持って進めていただくということが適当だ、私もそう思っております。  そこで、時間もあまりありませんから先へ進めますが、この国内対策のほうの問題で二、三お尋ねをしたいのです。  国内対策はたくさん問題点があるようでありますが、一つは独禁法の関係ですね。この独禁法についても、独禁法を緩和して、そして国内企業の合併・大型化を促進するように独禁法の制限をゆるめたほうがいいのだという意見もあるし、また逆に、たとえば特許権なんかの不当独占を押えるために、むしろ独禁法を強化したほうがいいのだというふうな意見もあるし、通産省としてはその辺はどのようにお考えですか。独禁法の関係、それからもう一つは持ち株会社を認めるかどうかという問題です。
  99. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 独禁法問題に関係しまして、通産省としましては、ただいま御指摘のように、両面確かにあると思います。今後産業構造を進めていく上において、いまの独禁法の運営でいけないかという問題があるわけでありますが、いまの私ども考え方といたしましては、一般的にはいまの独禁法の運営で経済の実態を見ながらやっていけば十分じゃないか、かように考えております。  それから、特に特許独占等に伴う弊害防止の問題につきましては、独禁法の問題と同時に特許法の問題も実はあるわけでございますが、そういう面につきましては、今後の情勢を見て、独禁法まで含めて弊害防止については検討しなくてはいかぬじゃないか、かように考えております。  なお、持ち株会社の問題につきましては、これがいたずらに少数の株で多数の会社を支配するということはあくまでも避くべきである。ただ、これが構造改善のために非常になりやすい、あるいはもう一つ観点は、外資に既存会社が乗っ取られそうなときにそれを防止する措置にならないかという問題があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、そういうものができた場合に有効に働けるかどうか、弊害は出ないかどうかということを慎重にやはり考えなくちゃいかぬ、かように考えております。慎重に考えた上で、こういう目的のためならば弊害はない、非常に効果があるということになれば、この面についてはいまの独禁法というのはほかの面と違いまして非常に形式的な規定になっておりますので検討の余地があろうかと思いますが、現在のところではまだその段階にまいっておりません。そういう状況でございます。
  100. 北山愛郎

    ○北山分科員 持ち株会社については、これを認める考えはないということですね。私もそう思うのです。日本の会社だけ持ち株会社を認めましても、外資の持ち株会社が出てくるおそれも相当あるわけですから、外資による持ち株会社は認めないというふうな制限はできないのじゃないかというような気がするので、その点は、持ち株会社についてはこの自由化対策としてそういうものを認めることは私もどうかというような考えがいたします。  それからなお、その他商法だとか割賦販売法だとか、いろいろあると思うのですが、その自由化対策としての立法関係、立法事項としては通産省はどの範囲のものをお考えになっておるか。項目だけでもいいですから、もし整理をされているとすれば、ここで明らかにしていただきたい。
  101. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 この持ち株会社の問題につきましては、御指摘のように、これはよほど考えていかないと、かえって外資に利用されるという問題があろうかと思います。そういう意味で、これはやらないという意味ではございません。必要があれば検討いたしますが、そういう両面、弊害面と有用面の両面を考えていかなければならぬ、こういうように考えておるわけであります。  なお、そのほかの立法措置でございますが、現在のところ、通産省も今後の問題を控えましていろいろな研究はいたしております。ただ、まだ研究を始めた段階でございまして、どういう法律をどういうように改正するかというのは煮詰まっておりません。ただ、御指摘のように、この問題を考えていきます場合は、商法問題あり、特許の問題あり、また、通産省の立法で言いますと割賦販売法の問題ありというように、非常に範囲が広くなってくると思います。しかし、私は、この研究は相当慎重に、しかも衆知を集めて今後やらなくちゃいかぬ、かように考えております。そういう意味合いにおきまして、現在通産省としてこういう法律を改正するというところまで煮詰まってはおりません。そういう状況でございます。
  102. 北山愛郎

    ○北山分科員 この資本自由化によって、特にアメリカの資本の西ヨーロッパに対する進出等がいろいろ伝えられておるのですが、欧州の各国、フランスとかイタリア、イギリス等の状況を私も詳しいことは知りませんですが、国内の企業が国有化部門が多いとか、あるいはイギリスのように産業再編成の公社をつくるとか、そういうふうに、国が出ていって、そうして、国が持ち株会社といいますか、イタリアなんか前からあるわけですけれども、あるいはフランスにしても相当な産業部門が国有化されておるというふうに、日本とちょっと事情が違うわけなんです。そこで、ヨーロッパのまねをしろというわけじゃございませんが、国内産業のある部門、特に主要な部門が国有化なり公有化をしている姿が自由化対策としては一つの方法ではないだろうかというような感じもするのですが、その辺の御研究はどういうようになっておりますか。
  103. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御指摘のように、西欧におきましてもイタリアがそういう国有化があるということはいわれております。そういう意味で自由化が非常にできやすい。また、アメリカ資本が欧州に入りました結果、やはり業界の体制を整えなければいかぬ、業界の質的向上をはからなければいかぬというので、イギリスの再編成の公社なり——それだけの目的ではございませんが、あるいはフランスの経済五カ年計画が実施中であるということは事実でございます。日本にそれを当てはめて考えてみます場合に、私どもとしては、今後自由化を控えて企業の体質改善をはからなければいかぬということは事実でございますが、御承知のように、日本の企業にはまだ相当のバイタリティーがあるのです。そういう意味合いから言いますと、やはり今後の体質改善あるいは体制整備というのは業界中心にして自主的にやっていただきたい、政府はそれの環境づくりなりあるいは助成措置なりを講じましてそれを促進をしていく、こういうことが基本であっていい、そういう段階の日本である、かように考えております。  なお、中小企業につきましては、これは先生御承知のように、いろいろな面でやはり政府の施策が厚くなければならぬ、こういうことは必要でございますので、この面におきましては、従来の資金の拡充、さらに今回提案しておりますような事業団、これは自由化対策という意味ではございませんが、中小企業を強くするという意味におきまして振興事業団というようなものも提出しておるわけでございます。基本的には、やはり業界自体でやっていただく、こういうことを考えておるわけでございます。
  104. 北山愛郎

    ○北山分科員 確かに、お話のように、日本の産業というものはバイタリティーは相当ものすごいものがあると思うのです。しかし、その反面では非常なウイークポイントもあるわけです。いまの中小企業、いわゆる産業全体の構造として非常に弱さがあるわけです。だから、資本の自由化が進んでこなくても、すでに弱肉強食で、弱いものは整理されていくという状態であります。景気が非常に上昇した、過熱化という心配すらあるときに、多数の中小企業や零細企業がどんどんつぶれていくという姿ですね。そういう点は十分に考慮していただきたいと私は思うのです。ただ中小企業の施策によって救うという考え方には、私は賛成できないのです。やはり業種を指定する場合にその考慮を払っていただかなければいけない。そういう弱点を持っておる中小企業に非常に影響のある業種を自由化して、そして政府がこれに対する対策をいろいろ講ずる——金融、税制、いろいろな面で講ずるということは、私は実は信用できないのです、いままでの中小企業施策から言って。もしも業種を指定する場合には慎重にしてもらいたい。特に農林水産関係とか食品の関係とか、あるいは流通部門、要するに、中小企業が多数占めている業種については、選定について初めからこれをはずす、思い切ってそういう措置をとらないと、やってしまってから対策を講ずるのでは不十分です。こう言ってはなんですけれども、どうも政府の施策というのは有効にいままで働いていないので、その点、十分事前に慎重な配慮を願いたいと思うのであります。  私、いろいろな業種についてのことをお伺いしたかったのでありますけれども、時間の関係もありますし、また問題が非常に広いので、それは省略いたしますが、最後に、今後の自由化対策の、何といいますか、スケジュールといいますか、その見通しをお伺いしたいのです。  この国会では具体的な自由化対策というものは出てこない。たとえば法律にしても、もちろん予算もそうだろうと思います。そうすると、いつどういう順序でこれをやるのか。私から言うなら、やはり、自由化の国内対策なんかは、事前に国内対策をやって、そしてこれからその業種をきめるとか、そういうことでなければならぬと思うのです。業種をきめて、あとで対策を講ずるのでは対策がおくれてしまうので、どういうふうにこの対策を進めるお考えであるのか、今後の見通しというか、お考えを聞いておきたい。
  105. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 自由化を認めていい業種につきましては漸次自由化を認めていきたい、こう考えております。  また、それについての対策ですが、対策をしなくてもいい業種があれば、もちろんそのままで容認しますが、それに対して対策をしなければならない業種は、あらかじめ対策をちゃんと考慮して、それで自由化を認めるという方針でいきたい、こう考えております。ことに、御心配になっている中小企業ども、これは十分に対策を講じて、そしてこれなら自由化をしてだいじょうぶだという見当をつけてやりたい、こう考えておりますので、対策ができ次第、次の国会あるいはまたその次の国会というように、順次皆さんの御審議をお願いしたい、こう存じております。
  106. 北山愛郎

    ○北山分科員 最後に、私ども考え方でありますが、社会党としてはまだ検討中でございまして最終の結論は持っておりませんですが、ただ、やはりいままで外資が相当入ってきて外資の企業が活動しているわけですが、そのような情勢、あるいは西ヨーロッパ等の情勢などを考えてまいりますと、特にアメリカ資本というのは相当なバイタリティーを持って、そうして産業支配というような意図を持ってやってくる、これが現実ではないかというような気持ちがしますので、私どもは、やはり資本の自由化そのものについては消極的な考え方で、技術にしても何にしても、日本の経済を自衛するというような立場でもってそれを進めていかなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。そういう点からすれば、われわれと完全に意見が一致するというわけではありませんけれども通産省立場はわりに国内産業を保護するというきわめて慎重な態度のようであります。たとえば外資の比率の問題にしても五〇%以下にとめたいとか、そういうような考え方、政府の部内においてもそういう役割りを果たしているというように考えます。ことに、だれが見ても明らかな、外資が入ってきた場合には最も脆弱な部門、こういうものについての影響については慎重に考えて、これをやはり守っていく、保証していくというような態度でもって今後対策をやってもらいたいということを希望を申し上げて、私の質問を終わります。
  107. 亀岡高夫

    ○亀岡主査代理 以上をもちまして午前中の質疑を終了し、午後一時五十分から再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後二時開議
  108. 野原正勝

    野原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十二年度一般会計予算及び特別会計予算中、通商産業省所管について質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますから、これを許します。加藤清二君。
  109. 加藤清二

    加藤(清)分科員 まず、大臣に承りたい。  あなたは旅先において車中談を御発表になったようでございます。ところが、その発表が新聞に大きく取り上げられたようでございますが、それを見ますと、第一番に、あなたが石橋君にお答えになりました内容と違っているようでございます。同時に、過ぐる日、決算委員会におきまして総理が答えました内容は、あなたが総括質問において石橋君にお答えになったことともまた違うようでございます。一体、いずれが是であり、いずれが否であるのか迷うわけでございます。本日この席において、はっきりと、統一見解と申しましょうか、まずあなた自体の統一見解をお示し願いたい。
  110. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 過日、岡山において新聞記者との会見で、当時新聞紙上に発表されておったことでありますが、総理の答弁と私の答弁とが違っておるということが新聞紙上に発表になっておりましたので、総理の答弁と大臣の答弁とは違うじゃないかという質問を受けたわけです。それに対して私が答えたのでありまして、統一見解を原文のままちょっと読み上げます。私の答弁は、石橋委員の三次防についての御質問であったから、それに関連して私がお答えしたのでありまして、そういうことは岡山でも私言ったのであります。総理は一般武器の輸出の問題について答えられたので、質問内容も違うし、したがって答えも違うのであるというようなことを私は言ったのでありますが、誤解があったらいけませんから、統一した答弁をここで読み上げます。  三次防において兵器を国産する場合、コストダウンの手段としてその輸出をはかるという方策を認めるかという趣旨の石橋委員の質疑に対して、若干ことばが足りなかったかとも考えられるが、三次防において国産する武器は自衛隊用のものであり、コストダウンのために計画的に輸出をはかるような方策はとらないという趣旨を私は答えたつもりであります。がしかし、その点でもう少し私がことばを足して言えば誤解がなかったかと思いますが、しかし、私も帰ってまいりまして、念のために速記録を見まして、石橋委員が、三次防についてコストダウンのために輸出をやろうという計画があるそうだが、それは大臣知っておるかというお尋ねがありましたので、それは私全然聞いておりません——そのときコストダウンということばを使ったほうがよかったのでありますが、そういうような輸出の武器の製造は認めない方針であります、こう私は言ったのであります。  でありますからして、あの前後をお読みくだされば、石橋委員が、コストダウンのための輸出をはかっておるということであるが、それは事実かどうかというようなお尋ねがあったのでそういうことを答えたわけでありまして、私の答弁と総理の答弁とは、その質問の趣旨が違っておるので、そこで私が、武器の製造を許さないということを言ったそのことばだけでとらえると、(加藤(清)分科員「製造じゃない、輸出でしょう」と呼ぶ)——輸出を認めないと言うたことばと、それから佐藤総理が、こういう条件のもとにおいては武器の輸出は認めていると言うたことばと、そのことばだけをとらえますと、それはだいぶ食い違いがあるように思われるので、その点を私ははっきりさしたような次第でございます。
  111. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなた、統一見解を出すと言いながら、いまのあなたの表現を聞いておっても、これは受け取り違いをしますよ。製造と輸出とを混同してみたり……。したがって、もう一度順序よくお尋ねしますから、われわれ頭の悪い人間でもはっきりわかるようにお答え願いたいのです。  第一番、武器の製造は許すか許さないか。
  112. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 武器の製造は許しております。
  113. 加藤清二

    加藤(清)分科員 何法によるか。
  114. 高島節男

    ○高島政府委員 武器自体の製造を禁止しているというたてまえの法律はございませんが、武器等製造法で許可制をとりまして、これの許可を受けねばならぬというたてまえでしております。許可制に相なっておりますが、その趣旨は、いわば出血受注法と申しますか、過当競争防止的な見地からの制度がございます。
  115. 加藤清二

    加藤(清)分科員 武器の製造は、わが国においてはすでに国法によって許されている、したがって、許可制度をとってはいるが製造は行なわれている、これでよろしゅうございますか。
  116. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そのとおりです。
  117. 加藤清二

    加藤(清)分科員 しからば、輸出についてはどうなのか。
  118. 高島節男

    ○高島政府委員 制度でございますから、私からお答え申し上げます。  輸出につきましての制度は、輸出貿易管理令がございまして、それの中に過当競争物資とかココム物資とかいろいろございますが、武器的なものも、ココム等の関連もございまして要許可品目に相なっております。そして、輸出をいたします際には貿易管理令によるところの許可を要するというたてまえになっております。ただ、特需につきましては、これは国内取引でございますから貿易管理令とは関係がない、こういうたてまえに相なっております。
  119. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大臣にお尋ねします。
  120. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま局長が答弁したとおりであります。
  121. 加藤清二

    加藤(清)分科員 局長が答弁したとおりですね。輸出は、したがってするかしないか。
  122. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 輸出はいたします。無条件ではありませんけれども、許可をして輸出を許します。
  123. 加藤清二

    加藤(清)分科員 管理令による要許可制度であると局長が答えている。そのとおりでございますか。
  124. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そのとおりです。
  125. 加藤清二

    加藤(清)分科員 輸出は、しからばするんですね。もう一度念を押します。
  126. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いたします。
  127. 加藤清二

    加藤(清)分科員 するんですね。  しからば、許可の基準をお示し願いたい。
  128. 高島節男

    ○高島政府委員 通産省で従来から武器に関しましての輸出許可をいたします際には、個別のケースに応じて慎重な判断をいたしておりますが、一通りの思想統一をいたしております原則がございます。これはあくまでも一つの原則でございまして、めどでございます。  そのめどといたしておりますものは、一つは、共産圏向けのようなココム物資とからんでまいりますような場合、これは非常に簡単なケースでございますが、物によっての問題でございます。これは物により行き先によりまして禁止をいたすたてまえで臨んでおります。  それから、国連の決議がある場合がございます。たとえば南アとか南ローデシアというようなところで、国連の決議で、武器的なもの、これは必ずしも概念的に武器に限らないものもございますが、そういうところへ輸出をしていかぬということが決定されました場合、これを受けまして輸出の許可をいたさないということがございます。  それから、第三に、輸出の対象地域と申しますか、それを中心にいたしまして国際紛争等がある場合でございます。この点は、非常に国際紛争というものが流動的でもございますので一がいにはまいりませんが、私のほうの内部では、貿易通商担当の方面の意見をよく聞き、外務省とも相談をいたしました上で個々の判断をいたしておる次第でございます。
  129. 加藤清二

    加藤(清)分科員 輸出貿易管理令で禁止している三条件をいま述べられたようですが、一つは共産圏、一つは国連決議に基づく禁止相手国、三つ目が国際紛争国ないしは紛争していると認められる国、それには輸出をしない、こういうことなんですね。大臣、どうです。
  130. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そのとおりです。
  131. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのとおりですか。  お尋ねします。それ以外の国へはどうなんです。
  132. 高島節男

    ○高島政府委員 それ以外の国に対しましては、事例は少のうございますが、許可をする方針で臨んでおります。ただ、三番目の、紛争を中心にしました問題は、非常に流動的でございますので、具体的な個々のケースの判断はそのときそのときにやっていく面が非常に多かろうかと思います。
  133. 加藤清二

    加藤(清)分科員 紛争をしている国についてはケース・バイ・ケースでそれを判定する、こういうことですか。紛争しているかいないかをケース・バイ・ケースできめる、こういうことですか。
  134. 高島節男

    ○高島政府委員 ケース・バイ・ケースに当たりませんとそこの影響度合い等の判断がつきませんので、個別に当たってやっておるという趣旨でございます。
  135. 加藤清二

    加藤(清)分科員 したがって、そのケース・バイ・ケースは状況によって変動をする、こういうことですね。
  136. 高島節男

    ○高島政府委員 そのとおりでございます。
  137. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大臣、どうです。
  138. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま局長が答弁したとおりです。
  139. 加藤清二

    加藤(清)分科員 局長の答弁どおりでございますね。——お答えがないから、もう一度お尋ねいたします。それ以外の国ならば、輸出は認めますか認めませんか。
  140. 高島節男

    ○高島政府委員 武器につきましても、一般の商品としての通商政策上の問題も起こることがあるかと思います。しかし、いわゆる武器であるということに伴っての基準といたしましては、この三点の問題で難点がございませんでしたら認めていこう、こういう姿勢でおります。
  141. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、石橋君にお答えになったときの答弁とただいまの答弁と内容が違っているのかいないのか、大臣からお答え願いたい。
  142. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 石橋君の御質問は三次防のことでお尋ねになったのでございますから、三次防でコストをダウンするために輸出を認めるのかということであったから、それで、三次防は三次防の注文範囲内においての武器の製造は認めるけれども、それ以外にそれをコストダウンするという計画的な意味で輸出するという場合は、これは認めるわけにはいかない、こういうことを私はお答えしたのです。
  143. 加藤清二

    加藤(清)分科員 どうも大臣の答えは語尾がごにょごにょするのです。だから受け取り違いをするのです。だから、もう一度明瞭にお答え願いたい。石橋君の質問はコストダウンが目的で輸出をするかとお尋ねであったから、さような輸出はいたしませんと答えたが、その他の場合は、いまの三条件を除く以外は輸出する、こうなんですか。はっきりしてもらいたい。
  144. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 コストダウンのために計画的な輸出をはかろうというのかというような御質問であったと思いましたので、したがいまして、そういう場合には輸出は認めませんということをお答えしたわけです。
  145. 加藤清二

    加藤(清)分科員 総理は、通産大臣の答えたとおりであると石橋君に答えているのです。この点はいかがでございますか。そのときに、総理とあなたは打ち合わせの上において答弁なさったのか、打ち合わせも何にもせずに、とらの巻によらずにお答えになったのか、どっちなんですか。
  146. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 打ち合わせいたしておりません。また、その質問自体が私として初めて聞いた御質問でありますから、私は、その石橋委員の御質問に対して、そういうことは全然聞いておりません、しかし、その場合には輸出を認めませんということを申し上げたのは、コストダウンのために輸出をする場合が——するような計画をしたのじゃないかというようなお話があったから、それで私は、そういう場合は輸出を認めませんというお答えをいたしたので、総理も同感であった、こう思うのです。
  147. 加藤清二

    加藤(清)分科員 総理とあなたとは同じ国会で同じところに同席しておりながら、本件については打ち合わせせずに答えた、こうおっしゃるのですね。そうですね。  しからば、総理が決算委員会において前言をくつがえすがごとき印象を受ける発言がございました。そこで、あなたは旅先においてそれに同調するがごとき答弁がございました。これは打ち合わせ済みであるのかないのか。
  148. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 全然打ち合わせ済みでありません。
  149. 加藤清二

    加藤(清)分科員 旅先の答弁は総理と打ち合わせしてない。——じゃ、今日の段階において総理と打ち合わせをなさったかなされないか。
  150. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 まだ総理とこの問題については打ち合わせしておりません。明日おそらく総理に対して御質問がおありかと思いますので、それまでには総理と打ち合わせしたい、こう考えております。
  151. 加藤清二

    加藤(清)分科員 総理と打ち合わせをしてないとなりますと、またいつ何どき朝令暮改になるかわかりませんね。したがって、これは総理にお尋ねをせんければならぬということになりますね。したがって、ここから先の問題は、あす、あさってに行なわれまする総理の出席の委員会においてお尋ねする予定でございまするが、この際、あなたにだけでも答えられる質問を続けます。  第一番、武器の製造は何法によるか。その製造許可並びに輸出許可は、この主務大臣は総理大臣であるのか通産大臣であるのか。この二つ。
  152. 高島節男

    ○高島政府委員 武器の概念によりまして若干の幅がございます。差がございますが、先ほど申し上げました武器等製造法は通産大臣の所管になっておりまして、これは、武器の製造業を開始いたしますときの許可あるいは設備の免許というものが、過当競争を防止いたしてまいりまして、同時に安全取り締まりの見地も含めて立法いたされておりまして、これは通産省の権限というたてまえに相なっております。ただ、法律の運用上は、いろいろ関係各省との間で密接な関係のある問題もございます。たとえば防衛庁でございますとかいうようなところにいろいろと関係がありまして、防衛庁の注文を受けてやっている業界が過当競争等におちいらないようなたてまえでやっていこうという法律でございますから、実質的にはいろいろと相談をいたしてまいっておる状況でございます。  それから、第二の、輸出の点につきましては、先ほど申し上げました輸出貿易管理令、すなわち為替管理法の輸出面を取り扱っております法律によりまして要許可品目に相なっておる。そして、その運用は、相当これは全面的に国際情勢とか需給状況とかいうものが弾力的でございますので、貿管令全体の運用は情勢によってきわめて変化をいたしてくることが多い性格でございますが、この許可は通産大臣の許可ということに相なっております。ただ、対外関係がこれは非常に密接にいろいろと影響いたしてまいりますし、ただいま申し上げましたような外の情勢とのからみ合いの判断ということが非常にむずかしゅうございますので、これは実質的に外務省のほうと事務的な打ち合わせを私のほうの通商局あるいは貿易振興局との間で行ないまして判断をしていく、こういう組織に相なっております。
  153. 加藤清二

    加藤(清)分科員 武器等製造法並びに航空機工業振興法、この二法律によってわが国の武器とみなされるものは製造されている、その主管は通産大臣である、これに間違いないかどうか。通産大臣にお尋ねする。
  154. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま局長が答弁したとおり、通産大臣です。
  155. 加藤清二

    加藤(清)分科員 しからば、本件に関しては、総理の指示並びに指令、命令、ことばは何でもいいですが、そういうものを通産大臣が受けなければならないのか、受けなくてもよろしいのか、どうなんです。
  156. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大体、先ほどお答えしたとおり、製造、輸出については通産大臣に責任があります。しかし、国際情勢等のことなども勘案しなければならない場合がある場合は、総理とも相談して決定したい、こう思っております。
  157. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、総括的ではなかなか答弁ができにくいようでございますから、個々に尋ねてみます。  共産圏と規定する、そのことは通産大臣がきめるのか、それとも国際的にきまるのか、それともチンコム、ココムの法律によるのか、いずれであるか。——大臣、そんなことがわかっていなければだめじゃないかね。除外の第一規定ですよ。第一規定の内容がわからぬようでは困るじゃないですか。
  158. 原田明

    ○原田政府委員 お尋ねの共産圏向けの輸出の問題をどうするかというようなことを法形式的にきめるのは通産大臣の権限でございます。ただ、そういう範囲にすることが妥当であるかどうかという政策的判断をいたします場合に、もし国際情勢その他、通産省として広く考慮に入れるべき問題があるというような場合には、そういう判断を各種の方法で仰ぎました上で通産大臣がおきめいただくというかっこうになっております。
  159. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の質問はそうじゃないのです。質問に答えてもらいたい。共産圏とはだれがきめるかということです。共産圏とは何で、だれがどのようにきめるか聞いておるのであって、通産大臣がきめるのか、それとも国連のきめたことに従うのか、それともチンコム、ココム——これは貿易禁止ですから、チンコム、ココムできめるのかと聞いておる。大臣に聞く。
  160. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 共産圏をきめるのは、通産大臣ではございません。また、そんな権限はないと私は思っております。
  161. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の質問に答えなければ時間がかかるだけですよ。これは禁止の第一項目ですよ。その内容を聞いておるのです。通産大臣でないといったって、通産大臣が禁止をせなければならぬじゃないか。内容がわからぬで、どうしてそんなことができるか。大臣に聞きます。
  162. 高島節男

    ○高島政府委員 制度の問題でございますから、私からお答えいたします。  チンコム、ココムあるいは国連決議、これは通産省の外で、外交上の問題としてその範囲が確定いたされてまいります。それで、それを受けまして、通産大臣が輸出許可をいたす際にそういう情勢を判断の中に入れていくことになりますから、最後の形式的な決定権は通産大臣でございます。しかし、チンコム、ココムの範囲、国連の決議等の解釈、実質的内容、その点につきましては、ほとんど通産省としては自由裁量の余地がない判断になるのが実質であろうかと思っております。
  163. 加藤清二

    加藤(清)分科員 だから、だれがきめるかと聞いておるのだ。どこの決定に従うかと聞いておる。
  164. 高島節男

    ○高島政府委員 貿易管理令の運用といたしましては、通産大臣がきめます。ただ、前提条件がございますから、その実質の範囲をきめていきますのは、外交上の問題等がありまして、これは外務大臣なり外務省なりの御意見、あるいは、場合によっては総合判断をしてきめていくということでございます。しかし、輸出についての許可の基準をきめていくのは、あくまでも通産大臣の権限でございます。
  165. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうするとこれは、共産圏であるかないか、ここへ共産圏なるがゆえに輸出してはいけない、こういうことをきめる、その共産圏の範疇は、いまのお答えですと、外務大臣並びに外務省にある、こういうお答えでございますが、大臣はそれをどう思いますか。
  166. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 実質的にはやはり外務省がきめることだと思っております。
  167. 加藤清二

    加藤(清)分科員 外務省のきめたとおりをうのみにする。そうですね。
  168. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 外務省が決定した場合には、おそらくそういう問題については重要な問題ですから閣議にもはかると思います。したがいまして、閣議で決定されたことは、通産省はそれに従うということになると思います。
  169. 加藤清二

    加藤(清)分科員 しからば、チンコム、ココムは関係あるのかないのか。
  170. 高島節男

    ○高島政府委員 チンコム、ココムとの関係で共産圏に向けての武器の輸出というものを抑制する実質的な必要がございますので、いずれも関係がございます。
  171. 加藤清二

    加藤(清)分科員 チンコム、ココムで禁止する国には輸出するかしないか。
  172. 高島節男

    ○高島政府委員 チンコム、ココムに関係いたします国には輸出を許可しない方針であります。
  173. 加藤清二

    加藤(清)分科員 次に、二番目の条件であります国連決議でございますが、読み上げていただきたい。
  174. 原田明

    ○原田政府委員 国連の決議は、たとえばローデシアの問題が起こりましたときとか、そのつど国連において行なわれております。たいへん恐縮でございますが、いま手元にその国連決議文を持ってきておりませんが、そのつど国連において行なわれた決議をもとにいたしております。
  175. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのつど国連において行なわれた決議に従うといま原田次長が答えた。大臣、どうでしょう。
  176. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そのとおりであると思います。
  177. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ところで、その内容があなたにわかっているのかいないのか。
  178. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私にはわかっておりません。
  179. 加藤清二

    加藤(清)分科員 おりませんでは、あすの委員会、あさっての委員会は通過いたしませんぞ。あすの委員会までに至急提出願いたい。できればきょうこの委員会で私の質問が終わるまでに提出願いたい。  次に、第三番目、国際紛争という考え方。これは範疇が確定せずに流動的であると先ほどお答えになりました。たとえば今日紛争国と思われる国があるかないか。通産大臣、答えられなければあしたまでに答えていただきましょう。きょうはいいけれどもね。これがあしただったらたいへんですよ。そんなことじゃ予算は通りませんぞ。
  180. 高島節男

    ○高島政府委員 ちょっと、重工業局の所管の範囲外でございますが、私からお答えいたしますと、武器輸出の場合には、紛争当事国、あるいはそういった心配のある国等を相手にいたす、輸出先にいたします際には、慎重な配慮をいたしておりますが、現在それがあるかどうかということになりますと、これはやはりごく常識的に考えてみまして、いろいろと紛争が現実に起こっております。ただ、これは外交上のいろいろなセンスもございまして、一般的な公表は、国としていたすことは差し控えております。しかし、判断をわれわれがさせられております窓口では、貿易を通じまして外務省等といつも連絡をしておりまして、ここはどうであろうかということはよく出てくるケースでございますが、一般的な影響もございまして、おそらく貿易関係のほうではこの点はお答えにくいのではないかと推察いたします。
  181. 加藤清二

    加藤(清)分科員 お答えにくければ、これもあす・あさっての一般質問並びに総括質問、それまでに、また答弁が精神分裂を来たさないように、しっかりと解答ができるように用意してもらいたい。  そこで、通産大臣にお尋ねするが、今日この地球上に国際的に紛争が行なわれている国があると思うのか、ないと思うのか、大臣の答弁を要求する。
  182. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それはあります。
  183. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あると言われる以上は、固有名詞があげられますね。たとえばどこです。
  184. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 まあそれは常識的にはベトナム戦争、ベトナムだと思います。
  185. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そのベトナムの領域は、ベトナム国だけですか、それともほかにございますか。
  186. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私の考えではベトナム国だけだと思っております。
  187. 加藤清二

    加藤(清)分科員 その他の関係国はあるかないか。
  188. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そのほかにもあると思いますが、その点については、よく外務省と打ち合わせしてお答えしたいと思います。
  189. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、その点をあす・あさってはよく答えられるように御準備願いたい。それから、先ほどの国連決議、これは簡単ですからすぐ提出できますね。  この問題について最後に通産大臣にお尋ねする。その紛争国とみなされる国は、それはあなた個人が決定するのか、外務省が決定するのか、あるいは国連決議ないしは国連で決定したことをそのとおりと是認するのか、いずれであるか。
  190. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 紛争国と決定するのは、国連決議に基づきまして内閣全体としてきめるわけでございます。
  191. 加藤清二

    加藤(清)分科員 しからば、その法的根拠、国際法的な根拠もついでにお示し願いたい。これはあしたの宿題にしておきましょう。  それでは、武器輸出の質問の残余の問題はあすに移すとして、次に、このほうがたいへんですけれども通産大臣に全然別な問題でお尋ねいたします。  まず大蔵省にお尋ねいたしまするが、今度環境衛生、この問題について予算編成が行なわれたようであります。特に環境衛生に対する金融特別措置がとられるようでございます。これに対する予算について大蔵省に聞きたい。
  192. 澄田智

    ○澄田政府委員 今回の予算におきまして環境衛生公庫が設立されることになっております。それに対しまして政府出資といたしまして十億円の出資が行なわれ、そうして環境衛生公庫に対する財投からの融資としては二百三十七億円の融資が行なわれます。その結果、環境衛生公庫は年間三百億円の貸し付けのワクを持っておりますが、ただ、国会で法律が通りました場合には八月以降に設立される、こういう予定になっておりますので、それまでの間は従来どおり国民金融公庫におきまして環境衛生業種に対する特別貸し付けを行なう、こういうことになっております。その部分を合わせて三百億円、こういうような内容になっております。
  193. 加藤清二

    加藤(清)分科員 すでに環境衛生関係については四十一年度において特別融資措置がとられているはずでございます。それは一体幾らあるか。
  194. 澄田智

    ○澄田政府委員 四十一年度は、国民金融公庫を通じまして環境衛生関係業種に対しまして特別貸し付けというものが行なわれることになっております。このために、その貸し付けのワクといたしまして二百億円のワクが認められております。
  195. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ことしの出資が十億円、財投が二百三十七億円、合わせてこれは二百四十七億円になりますね。去年の二百億円、これはことしの資金にはね返ってくるのかこないのか。
  196. 澄田智

    ○澄田政府委員 先ほど申し上げましたように、出資十億円と、それから二百三十七億円の融資ということになりますと、三百億円に若干不足いたします。この分は、四十一年度資金の繰り越しというような形でその資金が使われるという部分がありますので、その意味から申しますと、四十一年度のものがそちらに回るという分がある、こういうことになるわけでございます。
  197. 加藤清二

    加藤(清)分科員 実質三百億円ちょっと下回るでしょう。ほんとうにその五十三億円ばかりはね返ってきますか。
  198. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいま申し上げましたように、四十一年度の繰り越し分を持ってまいる、こういう形になっております。したがって、その分を入れますと三百億円。ただ、その三百億円は、先ほど申しましたように、必ずしも全部環境衛生公庫から出るのではなくて、設立までの間に国民金融公庫から出る分も含まれる、こういうことになります。
  199. 加藤清二

    加藤(清)分科員 去年用意された二百億円、これは去年度で全部貸し出しが完了したのか、余ったのか、足りなかったのか。
  200. 澄田智

    ○澄田政府委員 その点は、これはちょっと去年の事情を申し上げますと、去年もやはりこの特別貸し付けは実質的には八月から始まっておるわけでございます。八月以降の分といたしましては、二百億円まで貸し出しが出ておりません、この特別貸し付けの条件に該当するものといたしましては。ただ、その八月までの間におきましても、環境衛生業種に対しまして、これは従来の国民金融公庫の普通貸し付けの一部といたしまして貸し出しが行なわれております。その分を合わせますと二百億円になる、そういうような状況でございます。
  201. 加藤清二

    加藤(清)分科員 時間がないから、私の質問に答えていただけばいい。余ったか、足らなんだか、こう聞いたのだから、余ったら幾ら余った、足らなんだら幾ら足らなかった、こう答えてもらえばいい。それでないと進んでいかないのです。  国民金融公庫並びに環境衛生の特別措置、これがあわせて行なわれた、こうなんですね、四十一年度は。
  202. 澄田智

    ○澄田政府委員 そのとおりでございます。
  203. 加藤清二

    加藤(清)分科員 中小企業金融公庫からは貸し出しされているのかいないのか。
  204. 澄田智

    ○澄田政府委員 中小企業金融公庫の融資の対象中に同様なものが、実質において環境衛生業種であってしかも指定施設に当たるようなものも含まれております。その意味では、貸し出しが行なわれておる、こう申し上げたほうがよろしいかと思います。
  205. 加藤清二

    加藤(清)分科員 長官にお尋ねするが、中小企業金融公庫が環境衛生の関係の業種に対していままで融資を行なっていたのかいないのか。いたとすれば、どの程度行なっていたのか。
  206. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業金融公庫は環衛業種に対して従来貸し付けを行なっております。その業種は、クリーニング業、それから物品販売業に属するもの、旅館業、理容業、美容業、公衆浴場業、それから映画興業業ということになっておりまして、四十年度の実績が二十六億七千五百万円でございます。
  207. 加藤清二

    加藤(清)分科員 四十年度で二十六億七千五百万円だけですか。
  208. 影山衛司

    ○影山政府委員 統計上十分に把握できてない点もございますので、二十六億七千五百万円というのは最低限の数字になっておると思います。
  209. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それで需要が満ちていたのかいないのか。
  210. 影山衛司

    ○影山政府委員 国民金融公庫の融資と合わせまして、ほぼ需要は確保できておったものと考えます。
  211. 加藤清二

    加藤(清)分科員 としますと、国民金融公庫、中小企業金融公庫合わせて二百二十六億何がし、こういうことになりますね。銀行局長、それでよろしいですね。国民金融公庫が四十一年は二百億円とおっしゃったでしょう。したがって、中小企業金融公庫と合わせると二百二十六億七千五百万円、こういう勘定になりますね。
  212. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまの中小企業金融公庫の数字は、これは四十年の数字でございます。国民金融公庫のほうは四十一年でございますので、そこでちょっとぐあいが悪いわけでございます。  それから、先ほど私二百億円と申しましたが、これは八月以前が普通貸し付けでございますので数字が必ずしもはっきりしていない。概数で申し上げたのでございまして、おおむね二百十億円見当になるだろう。いま一応の手元の数字ではそうなっております。それは四十一年度でございます。
  213. 加藤清二

    加藤(清)分科員 四十一年の貸し出し残二百十億円ですか。これは想定でいいです。
  214. 澄田智

    ○澄田政府委員 最低二百十億円でございます。と申しますのは、八月以前は、これは環衛業種に対するすべての貸し出しを含んでおります。それから、八月以降の分は、これは特別ワクでございまして、いろいろの対象を指定しておりまして、冷蔵庫であるとか、あるいはいろいろな消毒施設であるとか、厨房施設の一部であるとか、いろいろそこで制限が行なわれております。したがいまして、それ以外の、たとえば店舗の改造とか、一般の需要がございまして、その分を入れますとこの二百十億円という数字を上回ることは確実でございますが、最低二百十億円、そういうふうな内容になるわけでございます。
  215. 野原正勝

    野原主査 加藤君に申し上げますが……。
  216. 加藤清二

    加藤(清)分科員 時間を急ぐから、質問内容をずばりと答えていただければいい。みんな知っておって聞いておるのだから。
  217. 野原正勝

    野原主査 結論をお願いします。
  218. 加藤清二

    加藤(清)分科員 はい。結論に入りたいが、これでは結論に至らぬですね。  そこでお尋ねしますが、通産大臣、いま局長が答えたとおりでございまして、今度の環境衛生金融公庫がかりにできたとしても、たいして資金量がふえるわけじゃない。いままでの資金量とそうたいして変わりはないですね。  ところで、問題は、この公庫の予算はつくけれども、一体だれが主管大臣——生まれた子をだれが守してだれが育てるのやらわけがわからぬのだが、これは通産大臣としてはどう思っておられるか。これからが大事なところなんです。これが終ったらこれでおしまいにします。
  219. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 これは、もともとの案は厚生省が出した案であります。しかし、通産省関係の中小企業金融公庫並びに商工中金もこれに貸し出しをすることになっておりますから、したがいまして、これの今後の運営については通産省関係を持たなければならぬ、こう考えておりまして、目下その間の事情をどうするかということを各省で事務的に折衝いたしております。
  220. 加藤清二

    加藤(清)分科員 事務的の問題じゃないですよ。もう予算が出ちゃっているんですよ。あさってはこの予算を通そうという段階ですよ。にもかかわらず親元がわからないのです。そうでしょう。あさっては通してもらいたいというやさきに、主管大臣、主務庁がわからぬようなことでどうするのです。通産大臣としてはどう思うのです。
  221. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この所管は、大蔵省と厚生省とが所管であるということははっきりしております。ただ、ここで通産省が一枚加わるかどうかということがまだ未定なのであります。
  222. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ばかなことを言っておる。あなた何を言っておるのだ。中小企業金融公庫法施行令を読んでごらんなさい。何を言っておるんです。
  223. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その施行令があるがゆえに、通産省としてはこれに関係を持たなければならぬということを主張しておるわけです。
  224. 野原正勝

    野原主査 結論を急いでください。
  225. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなたたちの部下のなわ張り根性はようわかっておるんだ。なわ張り根性のゆえに、中小企業に対する指導育成強化の業務が統一されぬでばらばらになっているがゆえに、中小企業はいままでずいぶん困って、そのおかげで倒産しているものがたくさんあるんだ。そんなことで主管大臣としての責任が遂行できますか。
  226. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業という立場からすれば、もちろん私のほうの所管でありますが、環境衛生という立場からすれば、これは厚生省所管ということになりますので、したがいまして、これは双方ともに協議して運営すべきだという立場をわれわれとっております。
  227. 加藤清二

    加藤(清)分科員 たとえば、クリーニング業は何業です。第一に大蔵省に聞くが、これは何業と認めておりますか。
  228. 澄田智

    ○澄田政府委員 経済的な定義で申し上げれば、広い範囲のサービス業ということになると思いますが、中小企業金融公庫法の施行令の定義で申すと、これは物品加工業という範囲に属します。
  229. 加藤清二

    加藤(清)分科員 人にかこつけておってはいかぬです。税金は何業で取っておるか。
  230. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 税金は、私どもはサービス業の範疇に入れておりますが、業種によって国税はそんなにあるわけではございませんので、先生の言われるほど業種の区分が課税上問題になるとは私どもは思わないのです。
  231. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の質問に答えてもらいたいんだ。これは加工業で取っておったんです。調べ直してごらんなさい。
  232. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 私の申し上げるのは、おそらく特別償却とかなんとかという場合の範疇に入った場合のことではないかと思いますが、それ以外、国税で加工業という特殊な業種が税法上は見つからないということを申し上げておる次第です。
  233. 加藤清二

    加藤(清)分科員 サービス業と加工業とでは税の取り方に相違があったんです。こういう答弁をするから時間を食ってしまうのです。  大体、中小企業金融公庫法をつくるときに、その施行令に業種指定をする場合、これはすでに論議が尽くされ済みの問題なんです。そのとき、このクリーニング業をなぜここへ入れなければならないのかと言うたときに、世間一般はサービス業と認めておりますが、実は加工業として税金を取られている、なぜかならば、クリーニングの場合は染め加工をするからです、整理をするからです、こう言っている。これは糸へんの最終段階の仕事なんです。繊維で申ますと、染め加工、整理、次にはえりが破れた、ボタンがちぎれた、そのときにもサービスとしてつけるんだけれども、業種としては縫製業になるんだ。したがって、今後の協業化企業化等々の設備の減価償却は何業でとりますか。
  234. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 業種は無数にございますが、省令の内容をちょっと見ます。——非常にこまかい分類によっておりますので、現在資料を持ち合わせておりませんから、後ほどお答え申し上げます。
  235. 加藤清二

    加藤(清)分科員 立ち往生して時間をかけさせるのが目的ではございませんから、あとでよくお調べの上、報告していただけばけっこうです。  そういうことがわかっていないと、主管大臣をだれにしていいかということがきまってこないわけなんです。知らずにきめておる。だれの子であるか、だれがつくった子であるかを知らずに親をきめようとしている。冗談じゃないですよ。  そこで、あなたにもう一つ承りますが、この業態の将来は、アメリカにおいてもそうでございますが、企業が非常に集約されつつある。大きくなりつつある。近代化、合理化、協業化が行なわれつつある。これは厚生省で指導できますか。  もう一つ、時間を急げ急げとの注文ですから急いで申し上げまするが、これが指導育成強化は一体どこがやるのですか。近代化をしたいから金を貸してくれ、こういうことになる。そうでしょう。協業化をしたいから金を貸してくれ、こういうことになってくるわけだ。人手が足りなくなったから機械化するから金を貸してくれ、こういうことになってくるわけだ。そのときに業種の指導育成の関係外で衛生を管理する人間が金貸し業までやってこの近代化、協業化がうまくいくと思いますか。
  236. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 加藤委員のお話のとおり、そういう問題につきましては、衛生行政の人ではあるいは不向きではないかと思いますので、したがいまして、私のほうで、この環境衛生の公庫については通産省もこれに参加したいということを申し出ておるわけであります。
  237. 加藤清二

    加藤(清)分科員 衛生上の研究施設であったら、これは厚生省でしょう。当然そうあってしかるべきだ。しかし、これは金融ですよ。金融は何のために行なうのです。主として設備改善じゃないですか。しかも事業内容をより高度化しようというのでしょう。より経済ベースにのせよう、こういうわけでしょう。そのおりに、その指導育成強化の専門担当であるところの通産大臣が、参画をさせてもらいますの何のというばかげたことを言っておってどうなるか。それだからこそ中小企業が倒産続出してくるのです。景気過熱で大企業が繁栄の一途をたどっておるやさきに、中小企業の倒産の数は続々ふえつつあるんですぞ。責任を痛感しませんか。そういうやさきに、ここで切ってどこかに持っていく、ここでまた切ってどこやらに持っていく、そんなことで一元化ができますか。われわれの言うように、中小企業庁では足らないのだから中小企業省を設置しなさい。このことについては、保守党のあなたのほうも賛成が三百人あるはずですよ。それは中小企業の大会においてあなたのほうの代表がはっきり述べているところだ。あなた、それでいいのですか。
  238. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 加藤委員の言われたことは全く私ども同感でありますから、したがって、これが今日まで決定しないというのは、通産省が当然これには参画すべきだという意見をこちらはかたく主張しておるがゆえに、これが最後的な決定はまだ見ないということになっておるわけであります。
  239. 加藤清二

    加藤(清)分科員 参画ではなくて、主管しなさい。  追って、あとの質問は総括で行ないます。終わります。
  240. 野原正勝

  241. 唐橋東

    唐橋分科員 減電補償についてお伺いいたします。  まず、簡単に御理解をいただくために、概況をちょっと申し上げておきたいと思います。  発電県はほとんど関係しておると思いますが、福島県の例を申し上げますと、只見川水系、日橋川水系、阿賀野川水系は、水利権が東北電力、東京電力に属しているわけでございます。そして、いま御承知のように大型機械化されたために、あの水系の流域には小規模のもの、大規模のもの、相当土地基盤の整備が行なわれまして、いわば開田という事業が行なわれておるわけでございます。その場合に、かんがい用水をその水系から揚げて使用するわけでございますけれども、水利権がいま申し上げましたように電力会社に属しているために、揚水した地点の下流の発電所は揚水分だけやはり減電をする、したがって、これに対して補償を出しなさい、こういうことが契約の当初に行なわれて、そして、いままで契約が完了したもの、現在契約が交渉中のもの、今後このような問題が起こるものという形によって出ているわけでございます。  それで、現在の状況を簡単に申し上げてみますと、いままでのものはちょっと省略いたしまして、いま契約を交渉中のもので、福島県の耶麻郡の山都町で小布瀬原というところが、端数を約しまして三十三ヘクタールで、これは阿賀野川水系、同じく山都町で舟岡というところが、端数を約しまして二十六ヘクタール、それから、同じく福島県の南会津郡の伊南村の大桃という地点でございますが、これが二十五ヘクタール、喜多方市の小田高原、これが端数を約して五十五ヘクタール、これがいま交渉中であるわけでございますが、その交渉の状況を見てみますといろいろ問題が出てまいりました。  それは、一口に申しますと、その減電補償料を一括払ってくれ、将来減電が予想されるので一括払ってくれ、しかも、その一括の内容が、下流の発電所が六十五年もつと予想する、既設のものがいま十年たったからあと五十年ほど残っておる、二十年たったのは四十五年残っておる、その分は全部計算して一括払ってもらいたい、そうしないと契約を結びません、揚水契約をいたしません、こういう状態が出ていて、そして開田計画のほかにいま申しました補償金が要求されますので、開田計画もできない、それだけの資金が出てこない、こういう状態のために非常なそごを来たしておる、こういう現在の状況でございます。  なお、一例をあげますと、いま申し上げました中で、山都町の舟岡というところの二十六・八一、先ほどは端数は抜かしましたが、二十六・八一ヘクタールで阿賀野川水系から揚水する、それに対して四百七十一万五千円の減電補償料が要求される。二十六ヘクタールでこれだけの金額でございますので、今後あの地区において計画されているもの等をあげてみますと非常にばく大なものが出てくるわけでございます。  今後計画がされているのには、同じく福島県の耶麻郡の高郷村の大田賀地区というところで、端数を約して八十五ヘクタール、それから喜多方、会津北部開発といって国営開拓パイロット計画がされておりますが、それは非常に大きく一万四千四十四ヘクタール、それから南会津郡の伊南村の二軒在家という地名のところで二十八ヘクタール、同じく伊南村で内川というところ、これは小さいのですが二・六ヘクタール、前にあげました高郷村の三津合というところで九十ヘクタール、その他喜多方市で雄国山ろくというところで二百六十八ヘクタール、これは国営開拓パイロット計画です。  二十六ヘクタールに対して四百七十一万五千円の減電補償料を取られるのですから、いま申し上げました一万四千四十四ヘクタールというようなところは、もちろんこの地域は既存の水利を使うのもずいぶんございますけれども、やはりそれだけの計画になってくると今後相当量の水利料というものが計算される。それに対する減電補償は、まだ計算されておりませんが、相当なものだということは予想されます。伊南川水系の伊南村の二軒在家が二十八・七ヘクタールですから、これは下流の発電所がふえるので、やはり同じ四百七十一万円以上にこれは考えざるを得ない、こういうような状態でございます。  したがって、これに対してひとつ基礎的な考え方からまず簡単に整理しながら御質問したいと思います。  第一番には、この減電補償は、性格として、その本質として、実質被害があって、その被害に対応して払うものか、何か水利権を持っているから、そこから出すからということで、いわゆる権利金的な、そういう性格のものか、まずこれからお伺いしたい。
  242. 安達次郎

    ○安達政府委員 発電用の水をかんがい用にくみ揚げるということで、これに対して電力会社が補償を要求したという問題でございますが、この補償は、実質被害に対応するものか、権利金的なものかという二つに分けて考えれば、実質被害に対応して払うべきものに近い性質のものではないかと私は考えます。
  243. 唐橋東

    唐橋分科員 近いという意味は、どういう意味ですか。
  244. 安達次郎

    ○安達政府委員 と申しますのは、いわゆる普通の、明らかに全部時期が経過して、各一年間に起こった発電の減った分、その分を換算して幾ら要求するということはやっていないわけでございまして、ただいまその具体的な福島県の例で調べましたところでは、その計算は、一応十年間のいわば見込みといいますか、統計的な数字で、いわゆるかんがい日数何日中水をくみ揚げる日にちが何日というようなことは、十年間なら十年間の数字で一応計算に算入されておったり、あるいは現実にくみ揚げる水の量のうちで、いわば再び川に戻ってこない水の量などを、おおむね六〇%程度見ておるわけでございます。そのような一応の数字に、そういうある程度過去の統計なり何なりから出てくる推定が入っております。ということで、個々の発電所ごとの過去における発電量の減少分を一々精査した結果の単価をかけて出したものでは要求していないという意味で、それを大体推定しているという意味で、おおむねと申し上げたわけでございます。
  245. 唐橋東

    唐橋分科員 私は実例を聞いているのじゃない。実例はあとからあげて質問いたします。いわゆる減電補償を出すというこの場合に、基本的に実質損害になったものに出すのか、いま申しましたように、予想されているものに出すのかということを非常に疑問に思っているわけです。したがって、あなたたち責任者は、これは実例が近いからこうだというのじゃなくて、減電補償というものが成立するのには実質補償にすべきなのか、こういうことを聞いているわけです。基本的な考え方、これをはっきりしていただかなければ、いろいろな問題が出るわけです。あくまでも減電の補償なんですよ。補償だから、実害があって払うべきだと私は考えております。実害が予想されて払っているということについてあとで議論いたしますが、少なくとも全国的な九電力会社がそういう状態をとっているときに、やはり常識的に言えば、社会通念的に言えば、被害があるから補償を出すんでしょう。そういう性格のものかどうかということでしょう。まず一番最初の出発を聞いている。あとのほうの説明は要りません。
  246. 安達次郎

    ○安達政府委員 いま御指摘のような表現で申せば、これからある損害について補償をしていただくというふうに考えてよろしいと思います。
  247. 唐橋東

    唐橋分科員 そうしますと、予想されたものに対して補償費を取り得るということなんですね。損害が予想されたものについて取り得るんだ、ここが非常に大切なところだと思うのです。たとえば、例をあげますが、私のうちの裏が山だ、それは他人の山だ、毎年少しずつがけくずれがある、二十年間になる、どうもあの山のがけくずれで三十年間に全部くずれそうだと予想して補償を要求する。補償というのは、たてまえとしては、あくまでも実質損害が基礎になって初めて補償というものが出てくると私は理解している。そうすると、前の、近いのですというのと、あとの答弁とだいぶ差がある。この点ひとつ明確にしていただきたい。
  248. 安達次郎

    ○安達政府委員 やはりこれは本質は実害補償というふうに理解します。
  249. 唐橋東

    唐橋分科員 実害補償ということで了解いたします。  そうしますと、現状を見てみると、被害を受けた側だけが資料を出して、被害を加えた側、水を揚げたほうは資料を出し得ないのです。しかも、それはほんとうの力関係になってきますが、片方は膨大な組織を持っている発量所、片方は十人、二十人、あるいは三百戸の土地改良区、そういう場合に、一方的な要求だけを出されて、そしてそれをいつでものまなければならない、こういう状態になっているんですね。いわゆる実害という場合には、こちらに力があるかというと、これは現実にない。そういうときには、判断を下す行政力か関係機関がやはり実害の査定に当たるべきだと思うが、この点についてはどうですか。
  250. 安達次郎

    ○安達政府委員 従来、こういう電力会社がいわゆる農民から補償をとるというケースは、実は私自身も初めてでございまして、そういう意味でいきますと、そういう補償の算定なり要求なりの内容について争いが起こって、行政官庁がいわゆる裁定的なそういうようなことをやるような事態が起こってきたことは、従来私たち耳にしていないわけでございます。
  251. 唐橋東

    唐橋分科員 耳にしていないことは、これは事実だと思います。それは片方の農民のほうは争いのしようがないのです。現実それを承認しなければ当初に揚水の契約を結ばない、こういう問題になっているというほんとうの基本的な性格の上に立って、これはひとつ新しく取り上げていただかなければならない問題である、行政指導として取り上げていただかなければならない問題と思うが、それについてはどうですか。
  252. 安達次郎

    ○安達政府委員 その質問については、行政指導の面で検討しなければいけないと思います。
  253. 唐橋東

    唐橋分科員 じゃ、行政指導しなければいけないということで……。  さきの、実害に対してということなので、私の資料で見てみますと、この発電所は今後三十五年で六十五年になり、この発電所は四十年で六十五年になる、それで、いま行なわれている、予想されたものの今後何年間もを全部一つずつトータルを出して、そうして平均して何ぼなので、それが基礎になるという資料になっているわけです。そうすると、発電所が全部なくなるまでは、無効になるまでは、予想して取っている。こういう場合に、行政指導をしなければならないというたてまえになって、しかも実害というたてまえが出ましたときに、この点についてはどう考えますか。
  254. 安達次郎

    ○安達政府委員 実際上損害が起こって初めて補償してもらうというたてまえであると思いますし、そういう意味でいけば、実害が起こってから毎年毎年その実害に応じた形で補償してもらうのが筋かと思います。むしろ、まとめて現実に要求したということは、そういう意味では、お互いの便宜なり何なりを考えた便宜論の方法だろうと思います。
  255. 唐橋東

    唐橋分科員 そういう便宜的なことが行なわれて、これはあとでも申し上げますが、非常に開田計画の進行の障害になっている。これは農林省関係状態だと思うので、あとで別の場で議論してみたいと思いますので、その点は省略いたしますが、もう一つ聞いておきたい。  水利権というものは期限が更新されるわけですね。多いところで三十年ですが、三十年ごとに水利権は新しく申請をし、そして許可される。こういうのに対して、現実は確かに、その水系に発電所を持っているものが水利権を再延長願えば、そのまま許可になって継続されると思うのです。しかし、法的に考えれば、その時点で一たんは切れるわけですよ。そうでしょう。切れるでしょう。こういうときに、他方においては六十五年もこれは許しておく計算上でやっていくということは、私は行政上の監督の不十分さだと思いますが、この点についてはどうですか。水利権の期限と、いまの契約の条項で算定基礎となっておる六十五年という期限の関係はどういうふうになっておるか。
  256. 安達次郎

    ○安達政府委員 確かに水利権の期限は大体三十年というふうに承知いたしております。したがって、これは期限が来れば、その限りにおいては再び更新の申請が許可されなければ水利権は切れることとしてございます。現実の問題として、御指摘のように、そういう耐用年数が六、七十年もの施設がつくられて発電事業が行なわれているわけでございますし、河川法から言っても、何か特殊の、たとえば河川法違反の行為があったとか、そういうような特殊の原因がなければ、一応事業者としてはその水利権の更新についてある程度の期待を持つということも、これまた現実に従来行なわれていると思います。しかし、あくまで、形の上では、期限が来れば、その限りで更新がなければ水利権はなくなる。形式的にはそのとおりでございます。
  257. 唐橋東

    唐橋分科員 あとの議論で、これはちょっと議論のための議論になると思うのですが、やはり大きな問題ですから明白にしておきたいと思います。自分が持っている水利権の期限が、たとえ延ばしたとしても、東北電力日橋水系は何年までになっておるか。あるいは東北電力阿賀野川水系は何年までになっておるか。私はまだその資料はないのですけれども、あなたたちはわかりますね。いつ出て何年までになっているか。そうすれば、いま契約しようとするものは、さっきの答弁では、そうし得ないのに現実にはしているということですが、少なくとも最大延ばしたってその水利権の切れる期限まで、そうして、一たん切って今度継続したらまたあらためて継続するというものでなければならないと思うのだけれども、それに対してはどうなんですか。
  258. 安達次郎

    ○安達政府委員 大体、水利権の期限との関係においては、御指摘のような考え方が適当かと思われます。
  259. 唐橋東

    唐橋分科員 それから、今度は水利使用料の算定基準ですけれども、水利使用料の関係、さっき例としてあげた四百七十一万の算定基準の問題なんですが、一番最初に明白になりました実被害というのは、水利使用料を計算して出されている量——水利使用料の算定方式は、御承知のとおりで、私も方程式として持っていますが、この水利使用料の算定の方式に合わせた水利使用料になっている。そうすれば、その分については、これはほんとうに発電量であり何であるという、実質の発電量とみなされておりますね。ですから、私が非常に疑問に思ってお聞きするのは、減電したという場合には、この水利使用料の算定で出ている水量、発電量、それが基準になって、それから下がった場合には被害であって、それよりも下がらないで、いわばうわ水をどんどん揚げていっても、これは被害はない、こう思うのですが、あの水利使用料の算定と、それから、もう一つは、いまのように、実質揚げた分だけ減電になるのだという、こういう単に揚げた量だけを下流発電所の有効水量の減少として計算する方式との誤差があると思うのですよ。現実に私はある発電所水系に住んでいますから、しろうとなりにも大きな誤差を直感しているわけです。数字としてはなかなかつかめない。しかし、あなたたちは専門的な指導官なんですから、少なくとも水利使用料分の水量というものは当然権利として与えてある。それ以上にうわ水があれば、実質はそのうわ水から揚水されている。その揚水をしてみたときに、その水  利使用料で算定する水量よりも、五分下がったならば五分の被害であり、一割下がったら一割の被害と考えるのですが、さきの答弁で実被害だという場合の実被害の算定の考え方の基礎になるものは何ですか。
  260. 安達次郎

    ○安達政府委員 水利使用料を計算する基礎は、水利権許可のときの最大使用水量がベースになっておるわけでございまして、したがって、仰せのとおり、それよりも電力が減ったりするということで損失補償をいただいておるわけでございます。それで、現実の計算はまた後ほど御説明いたします。
  261. 唐橋東

    唐橋分科員 水利使用料の算定の方式というものはわかっているのですけれども、実はどこから疑問を持ってきたかといいますと、こういう具体的例があるのです。  これはあなたたちのほうでもあれだと思うのですが、あの只見川水系は、上流に田子倉、奥只見という巨大なる貯水ダムができました。そのダムで洪水期に全部水を入れたわけですね。そうして常時渇水時には平均して流していく。ですが、この上流のダムは下流の発電所よりもあとにできました。だから、田子倉、奥只見ができたあとには、下流の発電所が、このような水利使用料の算定をしたときよりも、もっと現実に大きな発電量になっているわけです。それは、あなたたちも御承知のように、下流増というふうになったと思うのです。この下流増に対してはいろいろ算定がむずかしいということで、私の聞いたところですが、新潟県側はまだきまっていないのですが、ようやく福島県側だけは一応妥結した、こういうことなんですけれども、下流増について、その前十年間も妥結していないのです。田子倉ができてからもう十年近くもきまっていない。そういうような、うんと水量が大きくなってきて発電量がふえてきたのにかかわらず、既設の発電所はもとの水利使用料の算定基準でやって、下流増については放置している。しかも、そこから揚水するときには、一トン当たり幾らでございます、揚げた分の六〇%はもらいます、それが今度何段階になりますから何キロワットアワーでございます、これは電気料に換算すると五円何がしに相当します、こういうような実態が実はあったんですよ。  だから、この水利使用料の算定というものの場合の基準というものは、ここに実害の基準というものがある。各発電所の水利使用料ついては、実際に今度はその上流に何カ所かの揚水ができたならば、その実害に対してその揚水の量で案分していく、こういう形態がとられていなければならないのじゃないかと思う。私の言いたいことは、そうしていくと、ほとんど実害がなくなるのではないか。これは常識論ですよ。だから、実害の基準をどこに置くかということを検討する。その検討する場合に、私は意見として申し上げて、その基準をどこに置くかという二とをまずお聞きして、そうしてほんとうの実態調査に入ってもらいたいのですけれども、この基準というものを、片一方は水利使用料では下げておいて、少し出しておる。それから、今度取るほうは、もう一滴も余すなということで取っておる。こういうのが、やはり農民やその他流域の人たち現実に見ているので、どうしても納得できない。こういうのが実は現状なんですよ。だから、これに対して、もう少し基準をどこに置くかということ、そしてその実質被害はやはり案分的に——減電補償が多少一年くらいおくれたって、東北電力、東京電力もそうたいしたことありませんよ。そして、ことしの減電補償は、今度・来年あなたの行政指導の中に入れて算定して、そして出すという理屈ならばわかるのですけれども、そういうような方式が今後望ましいと思うのですが、それらに対してひとつ所見をお伺いいたしたい。
  262. 安達次郎

    ○安達政府委員 確かに、只見川上流にダムができまして下流増が出る、それに基づいて支払うべき水利使用料が増加した、これの支払いが相当期間経過しておったということは事実のようでございます。それについての事情はまだ私は詳細に承知しておりませんが、いずれにいたしましても、ただいま御指摘のような御趣旨で、補償の問題を全部まとめていろいろ検討してみたいと考えております。
  263. 唐橋東

    唐橋分科員 相当明白になってきましたですね。だんだん質問も終わりたいと思いますが、集約して申し上げたいと思います。  一括支払いは、いままでの議論の中で非常に疑問があるということがはっきりしましたので、一括支払いをやめるように行政指導できますか。
  264. 安達次郎

    ○安達政府委員 相手方のある話でございますので、間違いなく一括支払いをここでやめますという約束は、私からはちょっといたしかねますが、そういう相談、指導をいたしたいと考えております。
  265. 唐橋東

    唐橋分科員 そこで、注意していただきたいのは、そういう問題になってくると、とかく一番しわ寄せがくるのは末端の農民です。契約ができないからまた揚水がだめになる。そしてあなたたちのほうの官庁と電力会社が話し合う。そうすると、現場のほうはその基本がきまらないので、契約はとてもできない。そうすると、いま開田して田植えやその他に間に合わせなければならない。こういう事態が末端というのはよく起こるものですよ。ですから、この場合はよく農林当局あたりと話し合って、そのためにこの事業がおくれる——二週間おくれたら田植えはだめですからね。農業用水というのはそういう性格を持っているわけです。そういうことで、その辺の考慮を十分していただいて、末端にしわ寄せがいかないようにしていただくことを特に念を押しておきたいと思うわけでございます。これはいいですね。  それから、二番目。いまのように、相手のある仕事だということはわかります。しかも、相手は何かいろいろ専門的な資料を持っていらっしゃるし、やはり会社は会社なりに、あくまでも営利会社ですから、そういう資料を出してくるだろうと思いますけれども、それに対して、私も先ほど申し上げましたように、一つのめどがほしいと思うのです。努力しますということだけでなしに、あなたたちが指導して、めどを出していただきたい。一応私たちのほうに報告いただきたいのは、たとえば東京電力と東北電力。その他の電力は別ですね。東京電力と東北電力に当たってみて、一応交渉中だがこのくらいのめどはできました、こういうように報告してもらいたい。特に一番大きな問題になっているのは、先ほど出ました一括六十年分ももらってしまう、こういうことだけは、一応話し合ってみてそのめどを出していただきたい。なお、こういうことですから、何か私も発言した責任上、これから二年も三年もではしかたがないのですが、努力していくめどだけをひとつお話し願いたい。
  266. 安達次郎

    ○安達政府委員 ただいまの一括支払いに関する行政指導は至急いたします。
  267. 唐橋東

    唐橋分科員 その状態は御報告いただけますね。
  268. 安達次郎

    ○安達政府委員 その結果は御報告申し上げます。
  269. 唐橋東

    唐橋分科員 最後に大臣から率直な御意見をいただきたいわけですが、先ほどから申し上げましたように、実は水は農民の生命なんですよ。水を押えられている農民は、昔から水げんかというほどでございまして、やはり精神的にも最大の問題であるわけです。それで、いままでに申し上げましたように、この水に対して、いまはほとんど工業用水なりあるいは発電というふうに使われていて、そうしていまのようなケースが出てくる場合に、やはり農民本位に考えてやらなければならない。特に、水利権は与えてしまえば財産権と同じだ、それが少しでも減ればというような場合に、それこそ、何百年もの間自分たちが暮らしていた目の前の水を一滴揚げても金を取られるということは、農民としては耐え得ないものになってきているわけです。ですから、結論として申し上げるならば、いまこれだけ機械化して、大型で土地基盤を整備しているときに、いままでのこの水利行政というものはやはり農民本位ではなかった、こういうような一つ考え方を私は申し上げるのですが、そういう考え方がもし所管大臣として了承できるとすれば、やはり、水利権、減電補償等の問題についても、あるいはまた、先ほど申し上げましたように、算定の基準等についても、農民側が相当納得のできるように再検討していただけるかどうか、これを最後にお聞きしたいわけなんです。
  270. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私はこの問題については全然知識を持っておりませんが、先ほどからの唐橋委員のお話を聞いておりますと、非常に合理的なお話をいろいろ承ったのであります。したがいまして、この問題についてはやはり合理的な解決をすべきだというように考えておりますから、事務当局にもこの問題について検討をするように私から言っておきます。
  271. 唐橋東

    唐橋分科員 できるだけ早く検討に着手していただきたいということを要望しまして、質問を終わります。
  272. 野原正勝

  273. 竹本孫一

    竹本分科員 最近値下げ競争が非常に深刻になっておりますし、また、自由化を前にして大企業のシェアの拡大競争が非常に深刻になってまいりました。そのしわ寄せと犠牲を受けるのが中小企業であるという立場から、私は、そういう大企業の巻き添えを食って中小企業が非常に苦しい立場に立っておるが、いかにこれを守っていくのかということに焦点をしぼって、きょうはその対策をお聞きしたいと思います。  せんだっての朝日新聞にこういうのが出ておりました。合成洗剤の業界は値下げ騒ぎで大ゆれである、乱売戦を始める気配で中小業者は大手の進出に反発をしておるということが見出しで出ております。その中にこういったことばが一つ入っておるのです。中小企業は外国資本よりも前に大手の攻勢からわが身を守らなければならない、それなのに通産省の資本自由化対策は大手中心で、自由化を目前にした大手のやみくもなシェア拡大を黙認しておるという不満がぶちまけられておるといったような記事も出ております。  いずれにいたしましても、今日は自由化問題がある。シェア獲得競争が大企業において行なわれておる。一方で消費者は、値下げが行なわれて安いほど得である。そうした中で板ばさみにはさまれておる中小企業はどういうことになっていくのか。その中小企業を守るということと、消費者の利害を調整するということと、自由化のあらしの前に大企業立場を強めていくという必要と、三つのからみ合いの中で、通産大臣は中小企業をこれからどういう形で守っていこうとしておられるのか、まず第一に大臣の基本的なお考えを伺っておきたいと思います。   〔主査退席、亀岡主査代理着席〕
  274. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業の問題はかねてから重要な問題として政府も取り上げておる問題でありますが、私も、就任以来、中小企業の対策ということについては重点を置くということで今日までまいっておるのであります。そこで、今度の予算並びに法律案におきまして、中小企業振興事業団というものをつくることに決定いたしまして、御審議をお願いするわけでございますが、中小企業に対して、いままでは、安い金を使ってもらうとか、あるいは税金の上でこれを安くするとかいうような方法をとってきたのでありますが、この際はもう少し積極的に中小企業が生きていく道を考えてあげる必要があるのじゃないかということで、たとえば、中小企業は単独では大企業にとうてい対立できませんから、協業あるいは合同、共同というような方法をとって大企業に対抗するというような方法をとるように指導していきたいということを考えております。そういう場合には、協業する場合にあるいは資金が要るというようなときには、特に金融の便をはかってあげるとかいうようなことを考えていきたいということで、この中小企業の問題を今後の通産省の政策として根本的に解決していく方針で進んでいきたいというのがただいまの方針であります。
  275. 竹本孫一

    竹本分科員 かつて、ある通産大臣がこういうことを申しました。通産省というところは中小企業の利益を大いに代弁しておるつもりで入ってみたけれども、実際はほとんど何もやっていない。これは打ち明け話ですから公にするのもどうかと思いますが、話の内容だけ申し上げますと、自分が就任したときに五%だけ中小企業のために努力をしてみたいと思ったけれども、なかなかその五%ということもむずかしいという感想を私に直接漏らされたことがあります。なるほど、考えてみれば、予算の面から考えても、あるいは税制の面から見ても、あるいは金融のシェアの面から見ても、なかなか中小企業の数、悩みの深刻さに比べると問題になりません。大臣の感想も承りますが、大臣は御努力の何%くらいを中小企業に向けるつもりでいらっしゃいますか。また、何%くらいは向け得ておるとお考えになりますか。
  276. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私の努力の何%ということは、ちょっと私自身も計算しにくいのですが、私といたしましては、全力をあげて中小企業の問題を解決したいという考えをいたしております。
  277. 竹本孫一

    竹本分科員 団体法の第一条にこういうことばがあります。中小企業者その他の者が協同して経済事業をやる、調整事業をやる、その結果、「これらの者の公正な経済活動の機会を確保し並びにその経常の安定及び合理化を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と書いてある。この文章についてかれこれ言うわけではありませんが、最近において、先ほど申しましたように、大企業のシェア獲得競争なり、あるいは大企業の非常な進出のあおりを食って中小企業は痛めつけられておると思いますが、政府のほうで最近そういう例——いま読み上げましたのは、合成洗剤業界の話を朝日新聞のを読んだわけでありますけれども、一体どういう業界が特にそういうふうに苦しめられておるという判断を持っておられるか、政府として、この業界とこの業界は大資本があばれ込んできて困っておるのだという点について、どの程度の認識をお持ちであるか、どの業界が特に大企業に押しつぶされそうになっておるのか、その辺についてのお考え、認識を伺いたいと思います。
  278. 影山衛司

    ○影山政府委員 どの業界というわけにはいかないわけでございますが、具体的な問題といたしまして、現在までに問題が起こりまして当事行間の自主的な交渉あるいは主務官庁のほうの行政指導によりましてほぼ円満に解決がはかられておるというような事例を申し上げますと、一つはちり紙の業界、それから、第二にはフォームポリスチレン、それから第三は鏡の業界が最近問題が起こっております。それから、あと陶磁器でございますとか、先ほど例をあげました合成洗剤の業界というようなものについて問題が起こった、あるいは起こっておるのでございます。
  279. 竹本孫一

    竹本分科員 現在円満に解決されたというお話にも疑問が若干ありますが、いま問題になっておる業界としてはどういうものを見ておられますか。
  280. 影山衛司

    ○影山政府委員 先ほど例をあげました中でいま問題になっております業界は、鏡、陶磁器、それから合成洗剤でございます。
  281. 竹本孫一

    竹本分科員 陶磁器も合成洗剤も確かに大きな問題でございますが、私はこれから、パン業界にひとつ問題をしぼって、二、三の例をあげ、いろいろ聞いてみたいと思います。  パンの工場は、聞くところによると八千工場ある。その中で大きなものは大体三十程度である。九割までは一日の処理が五十袋以下の小さなものである。こういうことで、大きな製パン業者が圧倒的な力を持っておる。そこに最近AとかBとかいういろいろの大手が企業の進出と発展のために非常な力を入れてきましたので、私、聞いておるところによりますと、あらゆる地域でこのA、Bの会社の進出にふるえ上がっておるというのが実情であるようでありますが、製パン業界は近代化促進法によって指定業種になっておるはずですが、それ以来、一体どのくらいのものが、先ほど来お話しになった共同化や合併等の努力をしておるのか。それからまた、それに対して資金面からどの程度の援助が行なわれたのか。製パン業界に限って例をひとつ承りたいと思います。
  282. 大口駿一

    ○大口政府委員 パン製造業が近代化促進法の指定を受けましたのが三十九年でございます。四十年度に融資実績六億三千四百万円、四十一年度五億六千五百二十万円でございます。それから、合併の件数は、四十年度が六件、参加企業数二十二、四十一年度五件、参加企業数二十。それから、協業化をいたしました実例は、四十年度に四件、参加企業数二十七、四十一年度一件、参加企業七。こういう数字を把握しております。
  283. 竹本孫一

    竹本分科員 四十年度六億三千万円、四十一年度五億六千万円、大体十二億円ばかりのものが金にして出ておりますが、これらのものが、先ほど御指摘の合併をしたり協業化をしたり、またそれに応じて近代化資金等が出されたというのであるけれども、はたしてそれが効果をあげておるかどうかということについては、どういうふうに見ておられますか。
  284. 大口駿一

    ○大口政府委員 パン製造業全体の中で、大企業と中小企業との問題は、先生の御指摘のような問題があるわけでありますけれども、いま私が申しましたようなことで非常に効果があったということは、あるいは言いにくいかもしれませんが、しかし、その限りにおいては少しずつ前進をしておるというふうに申せるのではないかと思います。
  285. 竹本孫一

    竹本分科員 ただいま長官の御説明のように、ある程度の成果を私もあげておると思いますし、またそれを期待するわけでありますが、最近には、先ほど申しましたAやBの会社の進出であおりを受けて、やってみても工場がしまいには遊んでしまうことになる。シェアの問題ですね。それで、せっかく借りたけれども、パンをつくっても売れなくなってしまう。パン販売店のほうは、大企業の進出でみんな取られてしまう。そういうことで、借りたけれども何の役にも立たなかったという話を私は一、二聞いておる。そこで、その人たちの話によると、もはや金を借りるという意欲は失った、現実に返す金にも困っているのだという話も聞いておる。  そこで、お伺いをいたしたいことは、そういう意味で返済がうまくいかないような面が現に出てきておるかどうか。また、いままでのように借りたい借りたいという近代化促進法の金は、希望者が多いのか、あるいはぐっと減ってきたのか、その辺のあらわれ方はどんなものでございますか。
  286. 大口駿一

    ○大口政府委員 この近促法に基づいて貸し出されております資金の返済期限が七年ということになっておりますが、まだ貸し出されてからやっと据え置き期間が過ぎたくらいのところでありますので、返済ができるとかできないとかいう問題を直接まだ私どものほうでは聞いておりません。
  287. 竹本孫一

    竹本分科員 借りるほうが減ったという傾向はありませんか。
  288. 大口駿一

    ○大口政府委員 特にそういう傾向は読み取れないと思います。
  289. 竹本孫一

    竹本分科員 まだわれわれが業者に直接訴えられるという程度の問題でありますから、政府あるいは統計の上にそれが出てくるのは少し早いかと思いますから、そういう傾向はありますということだけを私は申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほど申しました洗剤業界も、陶磁器も鏡も、あるいはパンも、大手企業が乗り出してきますと、みな中小企業の連中は押しつぶされるというか、踏みつぶされるというか、そういう形になっておりますが、これを守るという立場に立ってこれから具体的な問題をいろいろ聞いてまいりたいと思います。  まず第一は、いわゆる団体法ができまして、中小企業を守るということについて相当の成果をあげたのであるかどうであるか、まずお考えを伺いたいと思います。
  290. 影山衛司

    ○影山政府委員 大企業の進出に対しまして中小企業団体法の制度が効果をあげたかどうかという御質問でございますが、中小企業団体法に規定してございますそういう制度は特殊契約の制度でございまして、中小企業者の商工組合が、進出せんとする大企業との間に話し合いをする、その話し合いができない場合には、中小企業調停審議会に付議をして通産大臣が調停をすることができるという制度があるわけでございますが、この制度に乗ったものは従来の実績としてはまだ一件もございません。しかしながら、伝家の宝刀としてこういう制度があるわけでございまして、その前に自主的な当事者間の話し合い、あるいは行政官庁が間に立ちまして実際上の調停を行なうというようなことで実績をあげてきておりますので、先ほど申し上げましたように、中小企業団体法の制度は伝家の宝刀的な意味を持ちまして非常な効果を持っているというふうに考えております。
  291. 竹本孫一

    竹本分科員 伝家の宝刀についてこれからお伺いをいたしますが、例をパンなどの場合に限って申し上げます。  たとえば、これは幾らでもいいのですけれども、ここにパン業者の八千なら八千の工場がある。これはしかしパンだけに限るわけではありません。他の分野みな同じであります。そこで、たとえば山崎パンなら山崎パンが進出してくるといった場合に、愛知県なら愛知県、私は静岡ですから、静岡県なら静岡県でもいいが、そこの業者がこれを防ぐという方法が一体あるのか。いま特殊契約の場合を御指摘になりましたけれども、団体法を見るといろいろあります。加入命令とか、事業活動の規制命令だとか、設備新設の制限命令とか、いろいろありますが、これらは一応役に立ちませんね、大きな業者が出てくる場合。それは役に立ちますかどうであるか。
  292. 影山衛司

    ○影山政府委員 組合をつくること自体につきましては役に立つわけでございますが、いわゆる大企業が進出してくることについては、加入命令等は役に立たないと思います。
  293. 竹本孫一

    竹本分科員 そうしますと、いわゆる伝家の宝刀の団体法も、そこに書いてあるいろいろな調停規定というものも、あるいは調整規程に関するようなものも、あるいは加入命令といったようなものも、直接的には、大企業の進出で踏みつぶされる危険におそわれている中小企業を守るためには役に立たない。役に立てようと思えば、その団体をつくって特殊契約をしていく以外にない、こういうことになりますね。
  294. 影山衛司

    ○影山政府委員 静岡県なら静岡県下のパンの業者が商工組合をつくりまして、そこで大企業と話し合いをするということでございます。
  295. 竹本孫一

    竹本分科員 そうすると、伝家の宝刀のまた一番のエッセンスということになりますが、特殊契約を結ぶということ自体がはたして簡単にできることであるかどうかということについてはどうですか。
  296. 影山衛司

    ○影山政府委員 実際問題としましてなかなかむずかしい点もあるかとも思いますけれども、やはり中小企業者というものは団結の力によりまして自分たちの地位の向上をはかっていかなければいけないということが中小企業団体法等の精神でもございます。私どもといたしましては、そういう商工組合の団結の力によって大企業と話し合いをつけるようにという方向で指導をいたしておるような次第でございます。
  297. 竹本孫一

    竹本分科員 中小企業の団結をしなければならぬこと、しかも団結がまたなかなか業界の中の実態としてはむずかしいこと、これはよくわかりますが、しかし、その特殊契約が利用されるということについて特にむずかしい面というのはどういう点にあるとお考えになりますか。
  298. 影山衛司

    ○影山政府委員 話し合いに大企業のほうが絶対に応じてくれなければ問題でございますけれども、話し合いに応じてくれる場合には話は進行していくだろうというふうに考えております。
  299. 竹本孫一

    竹本分科員 しかし、現実には商工組合をつくるという条件自体がむずかしくはないか。それから、大企業がなかなか応じてくれないのではないか。そういう点についてはどうですか。
  300. 影山衛司

    ○影山政府委員 特別にそういう点は私どもは聞いておりません。
  301. 竹本孫一

    竹本分科員 そうしますと、商工組合ができない、——まあつくって特殊契約でいけばいいじゃないかという政府はお考えのようだけれども業界の者がそれをつくらない、それは、認識不足か、なまけ者であるか、いろいろ理由はあるでしょうけれども、結局責任は中小企業の団結心が少し足りないんだという、まあ中小企業自体の責任に帰せられるべき問題である、こういうことになりますか。
  302. 影山衛司

    ○影山政府委員 必ずしもそういうことは考えておりませんので、たてまえといたしまして、商工組合をつくり、その団結の力によって解決をはかるわけでございますが、その力の足りない場合におきましては、そういう交渉を待ちませんで、先ほど申し上げましたように、行政官庁が間に立って、実際上の解決を、その調停をはかっていくということを実際問題として行なっておるような次第でございます。
  303. 竹本孫一

    竹本分科員 行政官庁が中に立ってどういうことをどういうふうにしようとおっしゃるのですか。それをちょっと伺いたいと思います。
  304. 影山衛司

    ○影山政府委員 例をもって申し上げますと、たとえばちり紙の例で申し上げますと、十条キンバリーという会社が、本年初頭におきまして、在来の中小企業者がつくっておりますところのちり紙と品質的に非常に近いポピーという製品を発売いたしまして、これに対しまして中小企業者が反対をいたしたわけでございますが、これにつきましては、通産省があっせんをいたしまして、ポピーの生産量を制限するということで、中小企業者には実際上あまり影響がない、ただし消費者行政の立場からもある程度の両立ができるようにという観点から調停をいたして、それを守らしておるような次第でございます。
  305. 竹本孫一

    竹本分科員 いまの場合は、特に法的な根拠があるわけでもないけれども通産省として行政指導でそういうふうに持っていった、こういうことでございますか。
  306. 影山衛司

    ○影山政府委員 この場合はさようでございます。
  307. 竹本孫一

    竹本分科員 そうしますと、今後もいろいろな業界で次々に大企業が荒らしにくるといった場合に、それを一方ではもちろん商工組合をつくるように指導もされるでしょうけれども、それが間に合わないといった場合には、一番最初に申し上げたとおり、いまの消費者保証の問題もありますが、そういうことも考えながら、通産省では、あるいは中小企業庁長官のほうでは、いつでもその中に立ってまとめていくだけの熱意をお持ちだ、かように解釈してよろしゅうございますか。
  308. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
  309. 竹本孫一

    竹本分科員 そうしますと、それでだいぶ安心をいたしました。これから困った業界が出ましたら、長官のところにひとつ頼みに行きます。実はパンだけではなくて、最近における大企業がいなかを荒らして回るのには、ほんとうに驚くようなのがたくさんあるのです。これは全く向きが違いますけれども、先般私の選挙区の近くで、農協の二百万円くらいな倉庫を東京の大手が落としてしまったんですね。こういうことをやられると、もう地元の業界なんというものはつぶれてしまいます。さあ一体これをどうしてくれるかと言われてもなかなか対策がない。そういう問題が頭にありますから、詳しくお伺いをしておるわけなんです。  先ほどの問題に返りますが、特殊契約を結べばいいのだといっても、特殊契約というのは、それをパン業界あたりでも出してきたというんだけれども、途中で握りつぶされているという話も聞きますが、その点はいかがですか。
  310. 大口駿一

    ○大口政府委員 出してきておるという話を聞いておりません。
  311. 竹本孫一

    竹本分科員 いや、途中で握りつぶされているから出てきてないんでしょう。あなたは途中で押えられておるという事実をお聞きであるかどうかということを伺っておるわけです。
  312. 大口駿一

    ○大口政府委員 どこでどういうふうな握りつぶしがあったのか、ちょっと私も存じませんが、中小製パン業が中心となってつくっております全日本パン協同組合連合会が、この特殊契約を締結し得るように最近の総会において定款を改正するという予定になっておることを聞いておりますので、その定款が改正されたあとで所要の手続が踏まれるものというふうに私どもは予想をいたしております。
  313. 竹本孫一

    竹本分科員 ちょっと聞き漏らしましたが、定款をどういうふうにするのですか。
  314. 大口駿一

    ○大口政府委員 特殊契約を締結し得るように定款の内容を改正をする、その定款を改正をするための総会が近く開かれる予定であるということを聞いております。したがって、その定款の改正があったあとで特殊契約の手続が進められるというふうに、私は期待をいたしております。
  315. 竹本孫一

    竹本分科員 パンの問題を離れて、今度は一般的に、法ができてからまだ年月の経過が短いといえば短いのだけれども、特殊契約がそういうふうな形で結ばれたこと、あるいは問題になったこと、あるいはその問題が通産省に持ち込まれたこと等ありますか、どうでございますか。
  316. 影山衛司

    ○影山政府委員 特殊契約の形では持ち込まれた例がございません。先ほど申し上げましたように、それに至る前にいろいろな方法で問題の解決を行なっておるわけでございます。
  317. 竹本孫一

    竹本分科員 これは大臣にむしろ希望として申し上げておくのですけれども、これほど中小企業が困っておる。追いまくられておる。もちろん、中小企業法律の知識が足りないとか、あるいは団結が足りないとかいう問題はありますが、私の見るところでは、それだけでなくして、特殊契約でいこうという場合にいろいろな面でなかなかむずかしい面があるのじゃないか。もう少し、これについて知識の普及ももちろんでございましょうが、特殊契約、先ほどお話しのように、伝家の宝刀は、中小企業を守るには、いまのところ、これしかないでしょう。しかも、それがこれだけ困っておるのに一ぺんも活用されていないというところに、私は問題があると思うのです。だれだって困り果てておるわけですから、非常に不安なんです。私の聞いたパンの話を申し上げますと、パン業界は、ある大手がやってきて東京から持ってくる、あるいは大阪から持ってくる、峠を越えてくるので入り口で襲撃をしようかなんていう話をしたこともあるんです。それほど困っておるのに、おまえたちが無知であるから方法を知らないのだというような国会答弁だけでは、話が済まされない。もっと深刻な事態があるのです。しかもそれを救うたった一つの特殊契約という伝家の宝刀が一度も抜かれないでおるというところに私は問題があると思うが、大臣の政治判断を伺いたい。
  318. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 特殊契約を結ぶまでに大体話がまとまったのが多いのであります。なお、この問題につきましては、中小企業者自身が協業するという精神を持ってもらう。みんなが心を合わせて大企業に対立するという気持ちを持ってもらわぬとうまくいかない。ところが、中小企業の中には、そういう団体行動、協業行動をとりたくない人が相当おるので、今後中小企業の問題については、そういう協業、協同行動をとるようにできるだけ指導員を置いてやっていこう、そうして団体行動でやらなければもう中小企業が浮かぶことができないんじゃないかという考え方をわれわれしておりますから、むしろそういうことについては積極的にやる。そしていまの特殊契約のことも十分教え込んで、団体行動をとらすという指導をしたい、こう考えております。
  319. 竹本孫一

    竹本分科員 時間がありませんから、特殊契約の問題から次に進みます。  そこで、一つの産業分野の確立に関する法律というようなものがよく議論になりますし、わが党もたびたび言うわけでございますが、実現しておりませんので、行政指導内容として一、二伺いたい。  一つは、たとえば食パンは大きな業者がおやりなさい、しかし菓子パンは、輸送の面から見ても、需要と直結したいろいろな必要から見ても、愛知県なり静岡県なりで一つ一つやりなさい、こういうような一つ分野を分けた行政指導をなさる御意思があるかどうか、お伺いしたい。
  320. 大口駿一

    ○大口政府委員 いまのパン製造業は食パンと菓子パンと両方やっておりまするので、ただいまのような、食パンだけは大企業、菓子パンだけは小さなほうという分野調整をするということは、実際問題としてなかなかむずかしいと思います。しかし、一つの御意見として拝聴させていただきます。
  321. 竹本孫一

    竹本分科員 確かに、おっしゃるように行政技術的にはむずかしい面がありますが、政治的なものの考え方としては、大体交通整理はその辺でやるということが、当面中小のパン業者の危機を救ってやる一つの方法だと思うのです。ぜひこれは真剣に分野調整——法律をつくるとかつくらぬとか、これもなかなかむずかしい問題ですから、そういう根本論はやめて、当面緊急の問題としてはそういうシェアを考え指導されることも一つの具体的な方法ではないかと思いますので、特にこれは慎重に御検討を願いたい。  それから、次に、まあそれとも関連をいたしますが、原料小麦粉の配給の面から、一つ企業が幾らでも大きくなるというような問題について若干の規制を加えるということは考えられませんか。
  322. 大口駿一

    ○大口政府委員 現在、外国から輸入する小麦そのものは食糧庁で一括管理をいたしておりますが、それを製粉業者に売ったあとの粉の流通は、一応全部たてまえは自由にいたしております。その面から規制をするということはなかなか実際問題としてむずかしいかと思います。  それから、先ほど来、大型のパン業者と中小の問題で御質問になっておりますので、食糧庁としていまこの問題にどういう態度でおるかという点をちょっとついでに申し上げておきます。  食糧庁といたしましては、やはり既存の中小企業のパン製造業の存立という問題も当然考えなければいかぬ問題だと思いまするが、同時にまた、消費者行政の立場から、品質向上並びに価格の安定ということもやはり考えていかなければならぬと思っておりまするので、公正な手段によって競争が行なわれるということは、一がいに好ましくないとは言い切れないと思っております。しかし、手段が非常に悪質な手段と申しますか、公正を欠くような手段で大企業が進出するというような場合には、行政指導面でそのようなことが起きないように指導していくということを当面の基本的な方針といたしております。
  323. 竹本孫一

    竹本分科員 流通は自由であるというお話、確かにそのとおりでありますが、行政指導の面でそれは全然できないのであるかどうかということが一つの問題だと思うのです。やはり、中小企業を守ってやるという立場に立って、しかも、伝家の宝刀である特殊契約ではなかなかひまが要って、あるいは業界の意識や団結が低くてうまくいかないといった場合には、行政指導一つの方法として、そういう原料面からのコントロールを加えるということも、これは戦時統制経済の話とごっちゃになっては困りますが、やはり戦争中にもそういうことをやったわけですから、ある分野をきめて一定の業界を守ってやろうというときに、一つの方法として今後も取り上げ得ないものであるかどうかということを私はお尋ねしておるわけです。ミルク等につきましては、そういう面で若干の統制といいますか、割り当てといいますか、そういう考え方があるのではないですか。
  324. 大口駿一

    ○大口政府委員 ミルクというのは粉ミルクのことでございますか。——外貨割り当て制度をとっておるものは比較的そういうことがやりやすいと思いますが、小麦の場合は、小麦そのものが管理になっております。小麦粉が自由ということで先ほどお答え申し上げましたのは、あくまで制度のたてまえを申し上げたわけでございますが、食糧庁が所管をしておる業種でございまするので、行政指導をいたしまする場合に、全く食糧庁の発言力がゼロであるという趣旨で申し上げたわけではございませんので、時と場合によっては十分話し合いをするという余地はあるとは思いまするけれども、しかし、一応たてまえとしては自由であるということで申し上げたのでございます。
  325. 竹本孫一

    竹本分科員 私が申し上げたのは、少しの余地でもあるならば、この際中小企業を守るためによほど積極的にこれを活用されることが当然あってしかるべき方法ではないかという点を、希望をまじえて申し上げておるわけでありますから、ひとつ前向きに取り上げていただきたいと思います。  それから、いま、公正なる手段でやってくるならば、消費者を守るという立場からも、当然これは安いにこしたことはないのだから、どうにもならぬではないか、こういうようなお話がございました。確かにそのとおりであります。われわれも、消費者基本法をつくれと言っているくらいでありますから、むちゃは申しません。ところが、大企業が中小企業の市場を荒らしてくるというときには、必ずしも公正でないのです。これはひとつ大臣にも、また中小企業庁長官にもお願いをしておきたいのでございますが、私が聞いている範囲によれば、これは見本だということで何千個も市場獲得のためにばらまいちゃった、そういう例を聞いておる。それで、おかしいじゃないかと言ったら、あとで見本と言って説明をしただけなんで、ほんとうはただで配って市場進出の謀略に使っているわけです。言われてから見本だと言う。そういうような例があると私は聞いておるけれども、一体政府はそれを聞いておられるのかどうか。それから、もう一つ、景品をつける。三十円のものに三十円以上のものを景品につけて、やはり市場開拓をやった例も私は聞いておるが、それは公正なる競争ではありません。そういう意味で、中小企業を守るという立場から考え、中小商工業を守るという立場から考える場合に、これは独禁法で公取の御努力も大いに願わなければならぬと思うが、そういう点についてはまたどういうふうにお考えになっておるか、伺っておきたいと思います。
  326. 影山衛司

    ○影山政府委員 公正取引委員会が所管いたしておりますところの独占禁止法あるいは不当景品類及び不当表示防止法というようなところで法律的に規制をするというたてまえになっておりますけれども、中小企業庁といたしましても、あるいは通産省といたしましても、中小企業者の利益を擁護してあげるという点から関心を持っておるわけでございます。
  327. 竹本孫一

    竹本分科員 時間がありませんからもう一つだけ。  最後に、中小企業というのはみな地域にあるわけですから、中小企業を守るという行政の面では、通産省並びに中小企業庁だけでなくて、地方の県当局ともよほど連絡をとっていただかなければならぬと思うのです。それは一体どういうふうな連絡をいまとっておられるか、今後どういうものをとられようとしておるか、その辺をちょっと伺いたい。
  328. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業行政は、ほとんど県とタイアップをし、あるいは県を通ずる行政ということになっております。特に指導面におきましては、県に総合指導所その他の指導所を設けておりまして、そこへ通産省からも補助金を出しておるというような情勢でございます。それから、近代化資金等助成法に基づきますところの設備近代化資金、あるいは協業化、共同化を進めますところの高度化資金というような助成措置も、県を通じて、県の金をあわせて中小企業者に貸し付けるというような制度になっておりまして、県と十分連絡をとりながら中小企業行政を進めておるわけでございます。
  329. 竹本孫一

    竹本分科員 ただいまの御答弁もちろん当然のことでございますし、御努力を願いたいと思いますが、私が特に申し上げたいのは、これも私が聞いておる例でありますけれども、隣の県から大企業というか、大手がこちらへ攻めてくる。いまのパンの場合なんかで見ると、徹夜でつくるというのですね。結局これは労働基準法違反なんです。あるいは、ある場合には保健上の問題になるような条件のものもあったらしい。いろいろそういうものも、もともと無理をして、ただ自然に公正な競争で押し倒していくというのではなくて、シェア獲得のために強引に出ていくのであります。でありますから、出ていくについては、基準法違反もやれば、保健の上からいろいろ遺憾な点もやるということは当然考えられるわけです。そこで、県の条例でそういうものをきびしくやるということによって防いだ例もあるらしい。でありますから、これは単に中小企業指導、啓蒙あるいは組織化という協業化の面だけで言うのでなくて、いま言ったように、守るという緊急防衛の立場に立って、県当局とやはり一体になって業界を守ってやらなければならぬ場合もあるだろう。その守り方の一つの方法として、県条例をつくり、それで防いだという例も私ども聞いておりますから、十分御検討を願いたいと思うのです。  それから、私は戦争中に内閣におりまして出版の行政をやっておりましたので、出版の例で言いますと、たとえば岩波文庫みたいなものができ始めて、本気で岩波が書物をつくり始めたら、日本の書物印刷は、ことにそういう単行本は、全部岩波が引き受けたってできるのです。それかといって、そういうふうに大きく事業が公正な競争を通じて発展をするのを押えることは、これまた資本主義の原則に反しますが、しかし、いま申しましたシェアの問題もやはり考え、中小企業の存続、維持、育成といったようなものを考えると、一つ企業が不当に大きくなるということをやはり何らかの意味でチェックしなければならぬ、こういうふうにぼくは思いますが、そういうお考えがあるのか。あるいは、資本主義、自由の原則で、どんなに大きくなろうが、どんなに地方に進出しようが、それは経済の原則上やむを得ないというたてまえに立たれるのかどうか。また、一つ企業が設備を拡張する場合、たとえばいまの特殊契約ですが、団体法の十七条の終わりのほうに、「中小企業者以外の者とその者が資格事業の開始若しくは拡大を停止し又はその計画を変更すべき旨の契約」云々というのがあります。そういう意味も含めて資金面から調整をするというようなことも、これは程度がありますからなかなかむずかしいと思いますが、場合によってはそういう問題も考えられたらどうかと思いますが、大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  330. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ある企業が公正な経営でだんだんと事業を拡大していくということは、われわれのほうではチェックはできないと思います。一例を申し上げれば、松下電器なども中小企業であったのでありますが、松下社長の努力によってあそこまで大きくしていったのであって、そこにまた企業目的があり、企業の努力目標があると思うのです。中小企業の方も、どうしても自分のところの商売を発展さしたいという希望をみんな持っておられるのだから、それをこれ以上はおまえのところは発展してはいかぬぞというようにチェックはできないと思います。それが不正なることで事業を拡大するというような場合には、それはそれでまた取り締まっていかなければならないというように考えております。  それから、中小企業では金融面で非常にお困りだと思うのですが、これはできるだけ今度も中小企業の資金量を増しましたから、これから中小企業が大いに発展しようと思うときに資金が必要な場合には、その企業者が公正に合理的な経営をしておるのであれば、どんどん融通して、そして発展してもらいたいというように考えておる次第であります。
  331. 竹本孫一

    竹本分科員 団体法は、御承知のように、できるときにもいろいろ議論がありました。これは自民党と社会党との間にもいろいろ妥協がありました。そこで、結局いまの段階に応じてこれを再検討してみる。先ほどお話しのように、特殊契約という伝家の宝刀があるけれども、これもなかなか現実に使えない。   〔亀岡主査代理退席、主査着席〕 しかたがないからと言っててはことばが悪いかもしれませんが、事実行政指導でこれをカバーしていこうというお考えの面もあるようですが、それは、行政指導といっても、法的な根拠のないものがそのまま延びていくばかりが能ではありません。やはり、できるときにも、各協同組合の名前を並べただけで、本格的にできたのは商工組合だけなんです。そういう点で、成立のときの経緯から見ても、やはり一ぺんは本格的な組織化の法律にしなければならぬ。さらに、今日のように、大企業の進出と攻勢に対して中小企業を守るという意味からも、時代に即応した新たな段階に新たなくふうがあってしかるべきだ。その二つをあわせて団体法を検討する用意があるかどうかをお尋ねしたいと思います。
  332. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおり、この組合法ができて相当年数もたちましたので、世の中はまた経済事情もだんだんと変わっておりますから、一応そういう問題についてはあらためて検討する必要があるのじゃないか、こう考えております。
  333. 竹本孫一

    竹本分科員 すみやかに御検討をお願いいたしまして、終わります。
  334. 野原正勝

  335. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、万国博覧会について御質問するようにしておりましたが、午前中阪上分科員が御質問になりまして、重複するところも出てまいりますので、いろいろ変えてみたわけですが、順序が狂ってくるかもわかりません。その点だけ御承知おき願いたいと思います。  午前中に阪上分科員は、自民、社会、民社三党がこの万国博を熱意を持って成功させようと努力している、こうおっしゃっておられたのですが、公明党を抜いておられるわけです。公明党こそ今度の特別国会で政策として明らかにこの問題を取り上げておるわけです。真剣に成功させようと取り組んでおることだけを冒頭に申し上げておきます。  まず、会場の建設計画についてですが、けさほどの答弁では、丹下グループ、西山グループで基本的な平面的計画で立体的計画の肉づけをしていって、近々万国博協会で修正されたものを検討して出してくる、工事はそのことによってそんなにおくれはしない、こういうふうにお答えになったと思うのですけれども、新聞記事等の解説で見ますと、丹下教授の会場設置計画は、通産省も建設省も大きく不満を持っておる、政府館を装置道路かあるいはシンボルゾーンに接した会場の中央部に設置すべきである、こういうふうに出ております。答弁では、万国博協会から出される最終的な計画を待っている、こういうふうに私はとったわけなんですが、実施計画ができるのはまた八月ごろになるのじゃないか、こういう予想も出ておりますけれども、それでは先ほどの、工事はそんなにおくれない、こう言われた答弁とはずいぶん食い違うような感じを受けるのです。また、この丹下案について政府自体はどういうお考えを持っておるのか、まずそれについて御答弁いただきたいと思います。
  336. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 沖本委員から、さっき阪上委員が言われたことについてのお話がありましたが、私はそのときには超党派的にやっていただきたいということを申し上げたのでありますからして、公明党もひとつ大いに御協力をお願いしたいと思います。
  337. 橋本徳男

    ○橋本説明員 建設工事がそれほどおくれないと申し上げましたのは、実は近々に造成工事に着工しなければならない、その造成工事に着工するために丹下案が支障になるようであっては困るというふうなことで、その点につきましては速急に意見調整いたしまして、造成工事の着工は異状ないように、丹下案との調整は現にはかられております。ただ、それ以後の、いわゆる会場に建てるいろいろな構築物につきましては、まだ今後それのほんとうの設計をやる段階でございまして、その設計の基礎になります丹下案につきまして、いろいろ協会で調整案をさらに検討しておるというふうなことでございます。  それから、丹下案に対する不満という御質問でございますが、特に丹下案に対する不満という意味ではございません。要するに、それぞれの専門家が専門の立場においていろいろなアイデアを含めた案を出していただくことは、非常にありがたいと思っておりますが、ただ、全体からながめ、かつまた、いわゆる万国博覧会を運営する協会の機能として、それをどこまで取り入れるべきかということは、おのずからまた違ったサイドで取捨選択を行なうべきであり、かつまた資金量にも当然限界がございますので、こういった点を考えてそれを調整するというふうなことでございまして、必ずしも丹下案に対して不満だとか何だとかという意味ではございません。
  338. 沖本泰幸

    沖本分科員 造成工事の着工には異状はない、こうおっしゃいますけれども、すでに現在一年近くおくれておる。この工事は単年度にやってしまわなければならない。だんだん押していくと、しまいにしわ寄せがおしまいのほうに来てしまいます。モントリオールでも、一部変更して、来ていられる方に工事の進行状況を見せて済まそうというような不手ぎわが起きておるわけですけれども、そういうことは起きないだけの確信がおありなんですか。また、その最終的な時期に向かって逆算していって詰めていかなければならないはずなんですけれども、そういうものの計画について、ただ丹下案がどうであるとか、あるいは部分的なお話ばかり出てくるわけですけれども、総合的な最終的なそういう問題が全然出ないわけなんです。その点についてお答え願いたいと思います。
  339. 橋本徳男

    ○橋本説明員 計画の全体といたしましては、まず四十二年度におきまして土地の造成工事を完了するというのが第一段階でございます。それから、四十二年度の半ばくらいから、その上に建てますいろいろな施設の設計に着手いたしまして、四十三年度から建築を開始する、そうしまして、四十四年におきまして内装を完了するというふうなたてまえで進んでおりまして、いまのところ、実は四月一日から土地の造成に移るはずでございましたが、実施設計の段階におきまして若干の調整を必要とするという面が起きまして、おおむね一カ月おくれておるわけでございます。この面は、十分土地造成を今年度中に完了するということには、まず支障はなかろうというふうに考えてはおりますが、われわれは一そう協会を督励して工事を短縮するよう指導したいというふうに考えております。
  340. 沖本泰幸

    沖本分科員 それから、四十二年度の会場建設費は五百四十七億、こうなっておりますけれども、この丹下案からいきますと、ランドマークが初め百五十メートルの計画だったのが、それではいけないというので、四百メートルにしなければならない、こういうふうな案が出ておるわけです。そうすると、全体で大体二十八億ふやさなければならない、こういうことになってくるのですが、こういうことを合わせていくと、現在の丹下案ですと約六百億をこすのではないかということになってきますけれども、この五百四十七億との差額について、もしそれを取り入れたとした場合に、財源はどうするのですか。また、この問題についてどういうふうにお考えでしょうか。
  341. 橋本徳男

    ○橋本説明員 実は、丹下案の数字は、正式には丹下教授のほうから提出はございませんでした。といいますのも、丹下グループも、細部にわたってのコストから見た資金計画が非常に困難である、したがって非常にマクロ的な計算をやりましたというふうなことでございますので、これはあくまで参考にという程度の話でございます。しかし、常識的に考えまして、あのままの形でしたら、先生の御指摘のとおり、かなり資金的にはふえるのではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし、協会の現在のこれの取り扱い、並びにわれわれといたしましては、やはり昨年度におきまして全体の資金計画につきましておおよそのめどを立てておりますので、極力その範囲内で資金の効率的な活用をはかりながらできるだけりっぱな会場の建設につとめたいというふうなことで、そういったサイドからも十分これは今後調整をしていきたいというふうに考えております。
  342. 沖本泰幸

    沖本分科員 この五百四十七億そのものは最低の建設費であるというふうに聞いておるわけなのですが、先ほどの御答弁ですと、計画にも流動性のあるものだから、しばしば変動があるだろうということだったのですが、もしどうしても出さなければならなくなった場合どうするか。あるいはそれについて増額分に対する地元負担はどういうふうになるのでしょうか。お考えをお聞きしたいのです。
  343. 橋本徳男

    ○橋本説明員 現在のところ、これはあくまでもわれわれといたしましては当初から考えておりまするめどでございます。したがいまして、博覧会のこういったものでございますから流動性はあると思いますが、極力この範囲にとどめたい。しかし、それ以外にいろいろ施設関係のものもございますので、そういった面も考慮しながら極力この範囲でとどめたいというふうな考えで進んでおります。
  344. 沖本泰幸

    沖本分科員 次に、地元負担区分についてですが、今度の地方選挙で、左藤大阪府知事も中馬市長も、相提携してこの万国博を成功させるために、知事にしていただく、市長にしていただくというような話があったわけなんですが、その話の中に、地元負担区分は国の合理的な基準の内示を期待しておる、去年の分については一応府と市とが折半して負担していったけれども、大阪市域外の問題でもあるし、そうはいかないから、それぞれに合った合理的な面でやってもらいたいというような意見を述べていらっしゃるわけなんですが、それでは一体、地元負担、こういいますけれども、地元とはどことどこが地元になるのでしょう。
  345. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 地元負担と申しますと、主としてやはり大阪府、市でありますが、そのほか、この万博によって利益を均てんするような地域、たとえば京都、奈良というようなところも負担してもらいたいということで、いま通産省と自治省の間で各府県、市の財政能力などをいろいろ研究いたしておりますから、財政能力に応じて負担してもらいたい、こういう考えであります。
  346. 沖本泰幸

    沖本分科員 この前、負担区分については地元のほうで話し合うように、こういうようなことを政府のほうから指示をなさったわけですが、今後もそういうふうなことが起きてきますと、地元としては利害が反しますから、とうてい話し合いはつかないはずです。そうすると、どうしても政府が出ていってこの問題は解決しなければならないわけですけれども、まず話し合ってから、それからぼつぼつ出ていくということになると、こういう問題がからんできて、また問題が長引いていくということになるのですが、こういう際、国自体がはっきり指導していって、区分を初めからきめて、話し合いをしていきながら同時に進めていく、こういうふうなお考えはあるのでしょうか、  ないのでしょうか。
  347. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、財政能力あるいは公共投資の関係というようなものをいろいろ勘案して、一定の標準はこちらできめたいと考えております。その上で地元で話し合ってきめてもらったほうが一番円滑にいくんじゃないか、こう考えております。
  348. 沖本泰幸

    沖本分科員 次に、どうしても万博で必要なのは輸送の計画なんですが、いまのところ全然輸送計画は明らかにされておりません。いろいろと建設計画の中には、入場者が一日ピークで四十二万になるだろう、平均して十七万ぐらいであろう、全会期を通じて三千万人と予想される、そうするとどうしてもこの輸送計画の中には鉄軌道を敷かなければならないということになっておりますが、こういう問題で、大阪府、市あるいは阪急、こういうところが寄って、利害が異なってくるので話し合いがつかないわけなんですけれども、これに対して運輸省あたりからはっきりした輸送計画も発表されていない、あるいは全体としてのはっきりしためどもついていないわけなんですが、この点について万国博大臣はどういうふうに解決なさるおつもりなんでしょうか。
  349. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおり、天気のいい日曜などには四十二万とわれわれ計算しておりますけれども、あるいは五十万入場者があるかもしれない。そこで、せっかく来ていただいた人が混雑して困るようなことになってはお気の毒だと存じますので、そういうことで、いろいろの万端のことを考えて鉄軌道の問題も解決したいと思っておりますが、まだ政府の決定のようにはなっておりませんけれども、会場へ地下鉄を入れるという大体の方針でいきたい、こう考えております。そこで、これをどういう形態でやるかということはまだきまっておりません。私どものほうでは、どういう形態でやるということの大体のめどはつけておりますが、まだ最後的な話はしておりません。
  350. 沖本泰幸

    沖本分科員 それぞれ予算計画もいろいろあるわけですし、早くきめてあげなければ地元としても非常に困るわけです。事業主体がどこになるのか、あるいは建設費をどういうふうな配分にしてきめていくか、こういうような点が全然わからないわけですが、この点はまだ明らかにはされないわけなんでしょうか。
  351. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 できるだけ地元負担ということにせずに、資金面で何か考えてあげようということを考えておるのであって、そういう点でいろいろ政府としてもまた研究しなければならぬ問題がありますが、まあひとつ資金面で何とかしてあげようという大体の方針でおります。
  352. 沖本泰幸

    沖本分科員 まだ時期的にはいつごろはっきりするかわからないでしょうか。
  353. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 できれば近く決定したいと考えております。
  354. 沖本泰幸

    沖本分科員 次に、あと地利用の問題についてお伺いいたしますが、大臣は、あと地利用は国家的見地で永久的な建築物を建てたい、また各方面の知識を得てこの問題を実施していこう、大阪府にもいろいろ言ってある、こういうふうな意味の答弁をされたように思うのですが、その大阪府にいろいろ言ってあるということはどういうことなんでしょうか。先ほどそういうふうにおっしゃいましたが……。
  355. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いや、大阪府だけであと地を処分してもらっては困るということを言うたわけです。これは全国的なものにしたいというのがわれわれの考え方であるから、大阪府がかってにあの土地を分配したり住宅を建てたりしてもらっては困るということを言うたわけです。
  356. 沖本泰幸

    沖本分科員 初め土地は借地の条件で進めておったのですが、結局会場誘致の条件が出てきまして、そのために、どうしても土地を買い上げる方式、こういうことについては通産省から以前に相当な突き上げがあって、大阪府のほうが全くこの問題で孤立しそうになってしまった、そこで、買い上げ方式を取り上げていって、いわゆる土地を買って提供する、そうしてそのあと地は地元の人たちが利用できるように残していただけるというふうな話し合いがあったのだ、こう聞いておるわけなんです。ただ、心配しておるのは、あと地は土地を買って提供した政府がそのままそれを取り上げて、政府のほうでやってしまうのだ、こういうわけでやってしまうと、二百五十億からの多額の土地代がそのまま寝てしまう、そういうことであったのでは、いっそその金を使ったほうが国のためにいい、万国博を開いていただいて大阪府や市が貧乏してしまう、こういうことになっては困る、こういうことが地元の心配なんですけれども、そのあと地について、単に一般的な公園のようなものにしてしまわれたりして、いわゆる利用価値が全然なくなってくる、また財政的な裏打ちがないようなことであっては困るので、そういうことのないようにしてほしいというのが地元の考えです。ところが、先ほどの阪上委員の質問された中に、政府が買い上げるのかどうか、こういう点があったのですが、その点の答弁が少しあいまいな気がするのですけれども、もう一度、買い上げられるかどうかという点について御答弁いただきたいと思います。
  357. 橋本徳男

    ○橋本説明員 あと地の問題につきましては、地主である大阪府とわれわれのほうでいろいろ検討をやっております。検討の基本的な考え方は大体三つあるのじゃないかと思います。第一点は、あれだけの土地を将来経済、社会の発展の基本的な基盤として活用していく方法があると思うのでございます。それから、第二点の問題は、やはり万国博というものを将来のモニュメントとして残していく一つの方法があると思うのでございます。それから、もう一つは、やはり大阪府が利子を含めて二百五十億を投資したわけでございますので、そういった面の何らか回収する方法、こういう大体三つの考え方があると思いますが、こういった三つの考え方のどれにウエートを置き、どういうふうな組み合わせによってこの土地を処理していくかというふうな点につきまして、地主と現在いろいろ話をしておりまして、成案が出ますれば関係各省と話をつけてやっていきたいというふうな考え方を持っておりまして、あの土地を国が全部買い上げるとかいうことは、現在の段階ではきまっていないわけでございます。
  358. 沖本泰幸

    沖本分科員 ただ、そういう問題が明らかにならないのに、政府が全面的にあと地を利用するのである、そうして国家的見地からやっていく、こういう方向づけはいいとは思いますけれども、あとのそういう犠牲に対してどういう補償を払って  いって、この問題のあと地利用を進めていくか、  こういうものが両方一緒に進んでいかなければ、地元のほうとしては全く困った問題になってくるわけです。これでは片手落ちになってしまうわけで、現在地元のほうで一番心配しているのは、こういうことによって住民の民生の安定が傷つけられはしないかという点に一番心を使っているわけなんですけれども、両方ともそろえてお進めになるのか、あるいは政府だけがその問題を取り上げて進めていってしまうのか、こういう点についてもう一度お答え願いたいと思います。
  359. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 あと地の問題で、大阪府が相当な金を出して敷地を買収しておるということについては、それだけ大阪府民の負担になっておることは事実であると思います。しかし、ただ、この万国博覧会の利益だとか効果だとかいうようなことは目先のことで計算してもらっては困るのであって、万国博というものは日本の百年の大計、われわれ長い立場で万国博というものを考えておるのであって、これによってことに恩恵を受けるのは大阪府民です。であるから、その金は二百億や三百億円くらいな小さい金ではないと思っておるのであって、だから、大阪府民は喜んで要るべき金は出すべきじゃないか。これは目先はあるいは支出になるかもしれませんが、それによって、子孫など、あるいはまた現在の人も、受ける恩恵というものは非常なものだと私は考えております。でありますから、そういう点で、目先のことで得や損やということを大阪人としては言わぬほうが賢いのじゃないか、こういうことを私は言っておるのであって、そこで、このあと地の問題は、われわれとしてはできるだけやはり国家的に使うということを考えておりますから、国家的に使う場合は、大阪府に全部負担さす、土地の買収費を負担させるということは、それはやはり気の毒だということを考えておりますから、それに対しては、政府としてまたとるべき処置があるというふうに考えております。でありますから、一部の人のように、一時大阪府民が負担するから、じゃ損だとかなんとかいうような、そういうことじゃなくして、有形無形の利益ということを考えてもらいたい、こう私たちは思っておるのです。そういう意味で、ひとつ大阪府民はこの万博に協力してもらえないか、こう私は考えております。
  360. 沖本泰幸

    沖本分科員 まるで私がおこられているみたいで……。(笑声)私も大阪人ですから、目先のことで申し上げたのではなくて、多額な金が地方自治体から出る場合には、どうしてもいろいろな点から財政的なものを考えなければならない。また、それだけ出すには議会の議決も経なければならない。いろいろな問題が出されてきて、疑心暗鬼で非常に紛争するわけです。ですから、そういう問題のないようにして、青んで協力していけるように、やはり上に立つところの政府が道を明らかにしてあげて、方向づけをしてあげるということが親のほうのやることであって、親の腹芸をちょっと見ておけ、こういうふうなおっしゃり方は、私はなかなか受け取れないと思います。そういう点はもう少し親切にしてやっていただきたいわけです。  ついでに、大臣は、国家的見地であり、各府県知事にもそのことを言ったし、財界にも呼びかけておる、町村長にも話しかけておる、あらゆるところで私は話をして言っている、こういうことなんですが、この間あるところで、EXPO′70という題で学生にテストしたのです、東のほうで。そうすると、答えた人は一人もなかったのです。万国博大臣さんは一生懸命運動はしていらっしゃるのですけれども、またそれぞれのところでは一生懸命工事を進めようとしていらっしゃるのですけれども、何か一人相撲をとっていらっしゃるような感じがするのです。政府自体が、これは国民的な運動である、また国民的な行事である、こういう点についてもっと国民がよくわかるような、もう少しはっきりしたPRがどんどん行なわれなければならないのじゃないだろうか。一部の新聞とか何かで少しずつは出てきておりますけれども、まだまだ国民の認識は薄い形になっております。こういう点は御参考の程度に申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど午前中にも問題が出ましたけれども、関連公共事業の点について、大体各省からのいろいろなものを集めて早くしたい、こういうふうに各省にも頼んである、こういう大臣の御答弁だったのですけれども、結局この関連公共事業の性格や範囲についての方針がまだ発表されていない、これはもう明らかなんです。そのために、各府県の要望する関連公共事業に対する認定の範囲、こういうものもまだはっきりしておりませんし、事務レベルにこういう問題もあらわれていない、こういう点が各地方団体のほうで一番困った問題になるわけです。また、会場建設費の負担率も相関関係が出てくるわけなんです。こういう点についても全然まだはっきりしたものはないわけです。こういう点は、先ほどのお話もありましたけれども、ずいぶんおくれておって、全くこれは、あらゆるところがこの問題で困っておるわけです。この点については、けさほどの御答弁では、閣僚会議で近々にきめていく、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、閣僚会議を開いておきめになって、それから発表されたりしていくと、工事はおくれないか。先ほどからよくおっしゃっておられますけれども、こういうことによってあとから関連公共事業の発表なんかが起きてきますと、いろんなことから支障を来たしてくるのではないでしょうか。こういう点を考えて、絶対に工事はおくれませんでしょうか。またこういう点についての発表はいつごろなさるのでしょうか。また、認定とかなんとかの点に関してはどういうふうにおやりになるつもりでしょうか。
  361. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 万博の関連公共事業は、大体のアウトラインはできておりますが、しかし、いま予算の審議中でありますから、この予算が通らなければ確定はできないのであります。でありますから、われわれといたしましては、早く予算をお通しいただいて、それによってひとつ具体的に計画案をつくりたい、こう考えておる次第でございます。
  362. 沖本泰幸

    沖本分科員 七月から九月にかけて明年度の予算をいろいろ練られるわけですから、おそらくその時分になって出てくるのではないでしょうか。その点いかがですか。
  363. 橋本徳男

    ○橋本説明員 関連公共事業につきましては、地理的な範囲としてこの辺だということをきめることは非常にむずかしゅうございます。しかし、従来から関係各省間でいろいろ話をしておる姿としましては、やはり会場の周辺を中心にしてのものの考え方というふうなことでやっております。しかし、関連公共事業というものが、その範囲が明確化されない現段階におきましても、その会場周辺の主要な、たとえば道路のようなもの、たとえて言いますと、御堂筋線とか、あるいは大阪中央環状線とか、あるいは阪神高速道路の大阪一号線、こういったような、いわゆる会場の周辺にございまして万博の際にはきわめて重要な役割りを果たすであろうといった種類のものにつきましては、すでに四十一年度から相当量の工事を継続してやっております。したがって、これはあとでそういう万博関連の道路であるというふうな格づけをすることにはなると思いますが、そういった工事が、その格づけをするしないでおくれるということは、まずないと思うのでございます。しかし、むしろ問題は、どの地域までその範囲をとるかというところで、具体的な各路線なり市街地の整備計画なりといったようなものを、現在各省間で総予算の配分をやっておりますので、その過程におきまして各省間でいま話を進めておるということで、近いうちにはそれが決定するのではなかろうかというふうに考えております。
  364. 沖本泰幸

    沖本分科員 会場計画あるいは関連工事自体が、こういうふうにだんだん煮詰まって押し詰められてくるわけですが、そうなってくると、関連公共事業を完成していく点についても、この工事自体がいわゆる四十三年ごろから急ピッチに上がってくる。そして四十四年中には完成しなければならない、こういうことになってきますと、付近の地方公共団体は、民生安定関係事業をほうってこのことに集中しなければ、とてもじゃないが完成できないことは事実であります。そうなってくると、地元の住民の生活とかいろいろな問題について圧迫されていくことになるわけですが、そういう点をまた一番おそれる者なんですけれども、そういう点についての不安はないのでしょうか。
  365. 橋本徳男

    ○橋本説明員 すべてのこういった経済・社会の行政は、終局的にはその住民なり国民の福祉のためにやるものでございます。したがいまして、こういう万博のいろいろな工事によって住民の福祉が阻害されるというふうなことになりますのは、こういう事業の非常なマイナスでございまして、そういう点がないように、十分自治省とも相談の上でこの関連公共事業の範囲等もきめてまいりたい。また、地方の負担能力等につきましても、十分その点は考慮していきたいというふうに現在各省で話を進めております。
  366. 沖本泰幸

    沖本分科員 そこのところを申し上げるわけで、結局、発表がおくれていって、計画発表がおくれたり決定がおくれたりするためにだんだんと押し詰められていくわけです。ですから、そういうことのないように考慮するとはおっしゃっておりますけれども、結果的にはだんだんしわ寄せが起きてきまして、完成時期はきまっておるわけですから、しゃにむにそこに押し込んでくるようになってくるわけです。これは火を見るよりも明らかであるということになるわけです。  それでは、もう少し小さい問題について伺いますけれども、こういうような万国博の成功、不成功は、道路とかまた輸送能力の解決にかかっているといわれているぐらいであります。そうすると、機材の搬入路というようなものが一番問題になるわけです。道路をつくって、その道をはっきりしておいてどんどん進めていかなければならないわけですけれども、現在工事に対する搬入路というのはできておるのでしょうか。また、いつごろできるのでしょうか。また、外国から大きな機材を運んでくる場合に、どこへつけてどういうような計画で会場まで運ぶのでしょうか。
  367. 橋本徳男

    ○橋本説明員 現在のところ、まだそうしたいわゆる機材、資材の輸送道路というものははっきりと確定はいたしてございませんが、おおよその会場の計画と合わせまして、会場に所要な資材等の計算も現在しつつございますので、それが完成次第、これをどういうふうな形において会場に搬入するかというふうなことを、万博協会で専門的に調査さしてございます。これができ次第、これも観客と同様いわゆる資材の輸送道路というふうな形で、関連公共事業の一部になるかと考えております。
  368. 沖本泰幸

    沖本分科員 はなはだいいかげんな御答弁じゃないかと思うのです。ことばの上のことばに終わっているみたいで、ただ単に、まだ確定はしていないけれども協会のほうでそのことをやらしているのだ、こういうお話ですけれども、いま搬入路ができていなくて、できるものじゃありませんよ。まして、いま交通麻痺でふくそうしている大阪市内とか阪神の各府県を考えてみましても、こういうものが一番先に解決されなければどうにもならないことなんです。ただブルドーザー一台か二台持っていって土地造成をやっているようなことでは、とうていこの大きな問題ができ上がるわけではないのですけれども、いまのあなたの御答弁は、ずいぶん軽く見たような答弁なんですよ。ほんとうに外国の船が入ってきてどんどん重量物を揚げだしたときにどうするかということです。土地造成よりもまず道路を先につくって、何でもかんでも行けるようにしなければならないわけです。ところが、先ほどの話は、御堂筋線とかあるいは大阪の一号線であるとか、こういうものはいわゆるこの関連公共事業とは関係なしにどんどん進めてきておる、こういうふうにおっしゃっておるのですけれども、これはあながちこの万博に関してこういう問題が進められてきたのではなくて、大阪府や近畿の府県は、現在の交通状況からどうしてもまかない切れなくなって、必要の点からそういう問題が起きてきておるわけです。ですが、実際に現地においてはそういう道路自体がまだ完成には至っていないわけです。ずたずたな状態で迎えるわけですが、そう急速にわずかの間に道路ができるというものではありません。ほかの産業全部ストップさせて搬入路をつくるか、こういうことになってくるわけですけれども、こういう点についてお答えが非常にあいまいです。ここらがちゃんとしなければ、全く万国博計画というものは夢物語にしかすぎないわけです。モントリオールよりもっとひどいことになると私は考えるわけですけれども、この点についてもっとはっきりした答弁をしていただきたいと思います。
  369. 橋本徳男

    ○橋本説明員 おっしゃるとおり、確かにそういった点につきましては若干計画がおくれているとは思います。しかし、先ほどの件につきましては、協会におきまして専門的な部署を今度つくることになったわけでございます。仮の名前でございますが、たとえば交通課といったように、そこで人の輸送、資材の輸送といったものを一括計画的にやるための組織並びにそれを今日の段階で解決するための方法はどうかといったような問題を専門的に扱うところが今度できることになりまして、そこでこういった資材輸送等につきましても早急に検討するということを申し上げたわけでございます。
  370. 沖本泰幸

    沖本分科員 ですから、この重要な問題が、ただ単に、万国博協会のほうで計画を練られておる、そこにまかしてある、そのうちできるだろう、こういうふうなお答えとしかとれないわけです。こういう問題こそ、国家的事業なんですから、政府のほうが真剣に進めていかなければならないのであって、しろうとの私たちでさえここいらあたりに疑問を持つわけです。国をあげてこの問題を解決しなければならない立場に立っておりながら、こういう一番肝心な問題が解決してない。そのままなおざりになっておって、かつ、まだ、協会のほうにもうじきそれができるような段取りになっておりますということになりますと、あなたの答弁はただ委員会で机上的な答弁をおやりになっているにすぎない、こうとしか受け取れないわけです。具体的なものがどんどん進んでおるとは言えませんです。こういう点は、もっと責任を明らかにして進めていただきたいと思います。
  371. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま橋本参事官が答弁されたことは、会場の中の建設は、これは協会がやるのでありまして、会場までの道路、鉄道、軌道というものは政府や地方団体がやるわけです。そこで、いまさしあたり会場内において土地の造成をやっておりますが、造成に必要な道路は先につくりたいということで、それはもう先につくりなさいということは私のほうでも指令しております。そしてトラックや何かの輸送が自由にできるようにしております。  そこで、問題は、いまお尋ねの件は、外国から資材が来たらそれをどういうように運ぶかという問題ですが、私は、この問題はおそらく来年、再来年の問題だと思うのでありまして、そこで、それまでに公共事業というものを完成して、そして、船は一体どこにつけるとか、神戸なら神戸につけるとかというような計画で、そこからどのようにして運ぶとかということはこれからまたやることでありますから、大体いまの見通しでは、私は会期に間に合うように事業が進捗するだろうという見通しをしております。ことに、皆さんも御承知のとおり、私はその点は非常に楽観論者ですが、大体日本人というものはまぎわにならぬと動かぬ国民でありまして、外国人とちょっとそこが、たちが違うのですが、外国人は博覧会をやるときには十年計画です。日本人は五年計画でやっておるのですが、私は初めから五年計画はちょっと短か過ぎるという意見を持っておったのであります。皆さんの御意見昭和四十五年ということになったのでありますが、大体、われわれは、子供のときから、試験勉強ということで、まぎわになって一生懸命働くという日本人の特性を持っておりますから、そういう点私は楽観論者で、日本人であれば会期に間に合うように大体いろいろ万端の設備ができるのじゃないかという楽観論を私は持っております。
  372. 野原正勝

    野原主査 できるだけ結論を急いでください。
  373. 沖本泰幸

    沖本分科員 もう少しで終わります。  大臣のせっかくのお答えでございますけれども、私は楽観論者である、日本のほうでは五カ年計画でやっておる、あまり気にしたことじゃない、こうおっしゃるわけですけれども、ところが、例によって例のごとく、玉砕戦法で突貫工事にならざるを得なくなってきた。そこのところを心配するわけです。そうなってくると、全部あっちこっちにひびが入ってきて、どこかに困らなければならない問題が起きてくる。そういうことをしないでいただきたいということが、さっきからの一貫したお願いなんです。そういう点が十分にとられていないので、今後この点には十分お力を注いでいただいて、早急にこういうふうな盲点を片づけていただきたい。そして、むしろ万国博の建設工事計画、その辺からが万国博じゃないかと思うのです。できたものだけが万国博と言えないのであって、いかに計画的にうまく進めていってりっぱなものに仕上げたか、そして仕上げた暁にみんなに見ていただく、こういうように、つくるところから国家的・国民的な計画であり何でありとして進めていかなければならないと思うのですけれども、その辺がどうも責任のなすり合いというようなことで終わっておるような感じがするわけです。こういう点についてはいち早く解決していただきたいわけです。四十二年度も、もう半ばなんです。そうすると、四十三年度はもう一斉に工事にかかってきます。そして、あと四十四年度は早く完成しなければ、四十五年の三月にはというよりも、四十四年の暮れにはもうできていなければならないわけなんですから、そういう点を考えてみますと、まだまだ全く大臣のおっしゃるとおり関係者はのんきであるといわざるを得ないわけであります。こういう点は真剣に取り組んでいただきたいと思うわけです。  さらに、こういうことになって一時に問題が集中してきますと、人的資源がどうなるか、こういうことになってまいります。これは近畿の労務者の資源ではとうてい間に合わない。ある建設業界のほうでは、北海道や東北のほうまでいろいろ検討してみたけれども現状ではどうにもならないから、海外にまで求人広告を出して、そして海外から労務者を得ていこう、こういうような計画もあるように聞いておるわけなんです。韓国のほうでは、いつでも応ずるから、こういうふうなお答えもあったかと聞くわけなんですが、こういう労働資源についてどういうふうな計画をお持ちなんですか。どういうふうに解決していかれるのでしょうか。
  374. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま沖本委員が心配されておることは、まさしく私も心配しておることであって、工事が最後に集まらぬようにしたいということで、したがいまして、公共事業の予算も四十二年度でたくさんつけるように、建設省あたりも考えていただいておるのであります。そして最後に四十四年に集中しないようにしてもらうということで、いまからどんどん工事を始めるというように考えておりますから、お話の点は、私もそれをいつも心配しておって、土建業者などの意見も聞いて、こんなことじゃいかぬじゃないかということもよく聞いておりますから、これはひとつ各方面の御協力を得てそういう不手ぎわのないようにしたい、こういうように大体考えておる次第でございます。大体四十四年までにこれを完成したい、仕上げたいというわれわれは考えをいたしておりますので、そういう点において、鉄軌道の問題にしても、はたしていつから着手したらいつ完成するかというようなことも心配して内々聞いてもおりますし、また、ことしの秋ごろから着手しても鉄軌道を完成できるというようなことを業者からも聞いておりますし、また、そのほか各業者からも、そういうことを心配して私個人でいろいろ聞いておりますので、これは政府としても各省ともにできるだけ協力してやっていきたい、こういうことで、沖本さんの御心配になっておることもまさしく私が心配しておることでありまして、全く同じ憂いを持っておるわけでありますので、ひとつこの点については最善の努力をしたい、こう考えております。
  375. 沖本泰幸

    沖本分科員 もう少しお時間をいただきたいと思います。もう一、二問で終わりますから。
  376. 野原正勝

    野原主査 結論を急いでください。
  377. 沖本泰幸

    沖本分科員 もう少し心配していただきたいのですが、一日平均十七万、ピークは四十二万、こういわれますけれども、この人たちの食事はどうするのでしょう。大きな一つ都市が食べるだけの食糧を要求しますけれども、そういう計画はどうなっておるのでしょう。
  378. 橋本徳男

    ○橋本説明員 四十二万の食事そのものにつきましての計画は現在ございませんが、いずれにいたしましても、一時点に一定の場所に相当な人が集中いたしますので、特に生鮮食品関係とか日用品関係といったような物資の不足、あるいはそれによる値上がりというふうなものが当然予想されるので、そういった問題については今日関係各省にお願いしております。それで、たとえば農林省におきましては、今度の関連公共事業ということで、食肉市場の増設を四十二年度からやりまして、四十四年ぐらいの完成だろうと思いますが、食肉市場の拡充をやるというふうなことで計画を進めております。したがいまして、今後もさらに生鮮食品とかあるいはその他流通問題ということにつきまして十分措置を講ずる必要があるのではないかというふうに考えております。
  379. 沖本泰幸

    沖本分科員 もう二問で終わりますが、いまの続きなんですけれども、流通問題あるいはそういう問題についての措置を考慮しておる、こういうことなんですが、もう計画が出ていなければならないのじゃないでしょうか。むしろこういうものこそ、コールドチェーンの方式であるとか新しい方式をこの中につくっていっても、そのことだけで国民にいろいろな問題で十分に参考になってくる、こういうことになるのですが、こういう計画は全然出ていない。  さらに御質問しますけれども、急激なこの工事によって、建設資材の単価の高騰とかあるいは運賃の高騰とか、こういう問題を来たしてまいります。また、いまの問題ですけれども、物価に対するはね返りというものがどういう程度で起きてくるか。これは統計数字で出てくるのじゃないかと思うのですけれども、こういう問題が全く先ほどから明らかにされていない。心配しておる心配しておるだけで終わっております。あとの問題についても御答弁は同じようなことじゃないかと思うのですが、この点は全くずさんだといわざるを得ません。  主査結論とおっしゃいますので、締めくくって申し上げますけれども、締めくくってみれば、何もやっていらっしゃらないのじゃないですか。ただ、会場を千里丘陵にしました、総理大臣が押しボタンを押して起工式をやりまして、そして会場建設費を三分の二にきめました、これだけがわれわれ国民が受け取る面でははっきりしておるだけで、そのほかは、もやもやとしてさっぱりわからないわけであります。これでは全く、どうなっていくのか、国民は見当もつきませんし、あらゆる方面もこのために迷っておるということが言えるのじゃないでしょうか。先ほどからの御答弁を聞いておりますと、橋本参事官がお一人でお話しになっておるわけなんですが、このことは、以前に、いわゆる用地買収とかあるいは分担金の問題で通産省の係官の方が放言をなさって、そのために協会あるいは大阪府あるいは地元が大騒動したということがあるわけです。とうとう三木通産大臣がはっきりしたお答えを出して解決したという事実が前にもあるわけなんですが、こういう点、何かあなたはお一人でひとり芝居をしていらっしゃっておるようにしか聞こえないのです。あなたが一人でいろいろなところに口を入れて、相談して、通産省の中であなただけの計画ができていっている、こういうふうにしかとれないわけなんですけれども大臣はまたそこにおまかせきりであるというふうにしかいまの御答弁ではとれませんです。もっとはっきりした責任体制をとっていただいて、総合計画というようなものをはっきり早急に出していただきたいわけです。大臣も、国家的行事である、国の責任でと盛んに私にもきめつけられるようなお話もありましたですけれども、ちょうど私と大臣とは選挙区が同じで、選挙運動中に、大臣から二十数回にわたって、私はこの万博を成功さすためにと、こういう話は毎日伺ったのですが、これじゃ不成功に終わらざるを得ないというふうな考えを持たざるを得ないわけです。早急に総合計画なり責任体制をおきめになっていただきたいことをお願いしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  380. 野原正勝

    野原主査 以上をもちまして、経済企画庁所管、農林省所管及び通商産業省所管に関する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  381. 野原正勝

    野原主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十二年度一般会計予算中、経済企画庁所管、農林省所管及び通商産業省所管、並びに昭和四十二年度特別会計予算中、農林省所管及び通商産業省所管に関する本分科会の討論採決は、先例により予算委員会に譲ることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  382. 野原正勝

    野原主査 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  分科員各位の御協力によりまして円満裏に本分科会の議事を終了することができましたことを、ここに深く感謝いたします。ありがとうございました。  これにて第三分科会を散会いたします。    午後五時二十二分散会