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1967-04-21 第55回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十一日(金曜日)     午前十時十六分開議  出席分科員    主査 野原 正勝君       池田正之輔君    亀岡 高夫君       松浦周太郎君    板川 正吾君       角屋堅次郎君    高田 富之君       芳賀  貢君    堀  昌雄君    兼務 川崎 秀二君 兼務 大原  亨君    兼務 池田 禎治君 兼務 玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         林野庁長官   若林 正武君         水産庁次長   山中 義一君         通商産業大臣官         房長      大慈弥嘉久君         通商産業大臣官         房会計課長   矢島 嗣郎君         通商産業省通商         局長事務代理  原田  明君         通商産業省貿易         振興局長    今村  昇君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         通商産業省鉱山         保安局長    中川理一郎君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君         中小企業庁長官 影山 衛司君         中小企業庁次長 金井多喜男君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      岩瀬 義郎君         通商産業大臣官         房調査課長   小島 英敏君         通商産業省企業         局参事官    橋本 徳男君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         労働省労働基準         局監督課長   藤縄 正勝君         労働省職業安定         局失業対策部長 上原正之輔君     ————————————— 四月二十一日  分科員高田富之君及び斎藤実委員辞任につ  き、その補欠として板川正吾君及び伊藤惣助丸  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員板川正吾君及び伊藤惣助丸君委員辞任に  つき、その補欠として堀昌雄君及び田中昭二君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員堀昌雄委員辞任につき、その補欠とし  て高田富之君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同日  第四分科員川崎秀二君、第二分科員大原亨君、  第四分科員池田禎治君及び第二分科員玉置一徳  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算通商産業省所管  昭和四十二年度特別会計予算通商産業省所管      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十二年度一般会計予算及び特別会計予算中、通商産業省所管を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。川崎秀二君。
  3. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 菅野通産大臣に端的に伺います。  資本自由化というものはもはや議論の時代でもないといわれておりますし、その中核になる産業界、そしてこれを主管しておる通産省態度は非常に注目されておる。私が第一に聞きたいのは、通産省はこれにどう対処しようとしておるのか、基本的な姿勢とこれからのプログラムを聞かしてもらいたい。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 資本自由化に対しての根本的な考え方についてのお尋ねであったと思いますが、資本自由化については、これは通産省じゃない、政府一体としてこれを前向きに考えようという方針で進めております。ことに私、通産省としてはこの資本自由化については取り組むべき最も直接の官署でありますので、したがってこの資本自由化については積極的な態度で進みたいということで、いまやっております。それから私個人の考え方としても、資本自由化ということについては産業人などにも、決しておびえてはいかぬ、むしろ資本自由化を逆用して、と言うと語弊があるかもしれませんが、活用して、第二の日本産業の発展にこれを活用すべきだということで、産業人にはそういうように私から話をしておるわけです。しかし、これは資本自由化によって産業にいろいろ影響を与えますので、いま通産省としてはどういう産業資本自由化によってどういう影響を受けるかという調査をしております。したがって、これが大体五月末までにできればいいかと考えておりますが、それを具体的にいま調査をして、そして今後の善後策を講じたい、こう考えております。
  5. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いまの考え方本心で言われておるとすれば、また本心でしょう、非常にけっこうだと思うのですね。しかし、昨年来の通産省の動きを見ておると、非常に消極的のように私は思う。もっと積極的にというならば、やはり産業界を説得してなるべく自由化の場に引き出す努力をする、説得する立場に立つべきが当然ではないか。過去二カ月ほどは地方選挙あるいは衆議院の総選挙があって、政界ではこの問題があまり深刻に論ぜられなかった。その間通産省は何をしておったか知らぬけれども、百十七と称する業種団体に会っていろいろ実情を聞かれておる。実情を聞かれるのに非常に時間がかかっているように思うし、その間いわゆるAグループBグループあるいはCグループの分け方についても、大蔵省金融界方面一般が非常に積極的なのにかかわらず、通産省はしり込みして、一時は二分類というようなものを出してきた。この間の十八日外資審議会においてようやく三分類を内容とするものにまでに落ち着きつつある。その意味で少し前向きの姿勢も出てきたわけですが、そういう経過についてお聞きしたい。通産省が非常に消極的過ぎやしないか、これをまず伺っておきたい。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 資本自由化日本産業に及ぼす影響というものはこれは非常に重要なものでありますので、また資本自由化というものについての認識国民の間に高めなければならぬということで、実は私は通産省通産局のある場所へは出向きまして、そうしてその地の有力な産業人を集めて貿易自由化のことをいつも私は話をしておるのでありまして、自由化認識とそれから通産省のこれに対する態度をはっきりして、産業人並びに国民の協力を求めておるのであります。私ができるだけ実は全国の各通産局を回って、そういうようにひとつ啓蒙運動をやりたいこう私自身考えております。したがいまして、通産省自体においても決して消極的ではありません。積極的に考えておるのであります。しかし、いま申し上げましたとおり、個々の産業についてはいろいろな影響があるので、したがってどういう影響があるかということをいま調査をして、そして影響のないものはどんどん自由化を認めてもよろしいということでいま調査をいたしておる次第であります。いまお話しのとおり大体分類を二つに分けて、そしてその分類の中でどの産業が入るかということをいま調査をいたしておる次第であります。
  7. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 これはすでに日本がOECDに加盟したときからこの問題は当然避けられないものであって、留保条項なんというものを出しておるのですけれども、もうそういう段階でないように私は思うので、そういう点で国際的な関連としての問題措置としてはどうです。どれぐらい一体——これは本格的には四十六年度末をもって完了する。その段階的なプログラムを私は示してもらいたいし、国際的な関連も聞きたいわけです。
  8. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大体この自由化の問題を五年間以内にひとつ完了したいというつもりで通産省では進めております。そして、いまお話しのとおり、この自由化ということはこれは国際的な事象でありまして、日本としては進んでこれを受け入れてやっていかなければならぬという考え方でおります。また、今日の世界大勢から見ても世界企業時代に入ってきたのでありますからして、したがってすべての資本移動あるいは商品の移動、あるいは企業というものはすべて国際的な性格を持ってきたのであるから、日本もやはり国際の問題については国際的な立場をとって進んでいきたいということでわれわれはやっておる次第であります。順序といたしましては五年問にこの自由化の問題については完了したい、こう考えております。
  9. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 ぜひ伺いたいのは、来週あたり各省が持ち寄って業種のA、B、Cの区分けをするという報道もあります。私はこの予算委員会分科会というのは一つ——来年のいまごろまでの世界情勢の非常に重要な段階でもあるので、できればこの際その業種を公表してもらいたい。全部公表できなければ大体Aグループに属するものはこういうものだ、Bはこれだ、Cはこれだという問題点をやはり出してもらわないと、この予算の成立までには相当問題があると思うのです。
  10. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 これは各産業に対して影響が非常に大きいのでありまして、目下審議中でありますからして審議中のものを公表するということはどうかと思うのであります。審議を終わって審議会が決定すれば直ちに公表します。
  11. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 全部公表せよと言っているのではない。またどういうものは大体一〇〇%自由化することができる、これは五〇%ぐらいできるという程度でよい。どうもいまの通産省に多くの識者が非常に疑いをかけているのは、最初に自由化するものはほんのちょっとであって、そして二五%以下のものを非常に多くしようという考え方もあるのですね。その点を聞いておる。どういう産業が一番問題になると思うか、それぐらい話はできるでしょう。
  12. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 まあ一〇〇%といえば、われわれ常識で見てたとえば造船とかいうようなものはこれはもう世界一の産業でありますからして一〇〇%自由化しても問題ないと思います。鉄鋼の問題なんかもそうだと思います。しかし、そういうこともいずれ審議会にかけて決定したい、こう考えております。また二五%以下のものを多くするとか、そんなけちな考えを持っておりません。自由化ができるものはどんどん自由化すべきだとわれわれ積極的な考えをしておるのであって、私自身はよしや少々この際打撃を受けても、しかしそれによって資本を、アメリカ資本ならアメリカ資本を取り入れ、新しい技術も取り入れ、新しい合理的な経営方法を学んで、それによってその産業を発展さして、将来は東南アジアの方面へまた活動するというぐらいな意気込みでやるべきであって、いま少々目先で打撃を受けて、それでへこたれるようなことではいかぬというように私自身はそういうつもりでおるのです。そういうように産業界の人に私は鞭撻をしております。だからして、世間では自由化を第二の黒船だというけれども、私は黒船であってしかるべきだと思う。日本もあの黒船が来たおかげで明治時代ができたと私は思っておるのでありまして、だからこれを逆用してひとつ日本経済をこの自由化によってもう一度発展させていく一つの動機にしたい、私はこういう考えをもって進んでいきたい、こう思っております。
  13. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いまの考え方は非常にわれわれも同感で、そのくらい張り切ってやればいいが、言うこととやることと一致して部下を引っぱっていく気がまえでなければいかぬと思う。資本自由化はむしろ得をするのだということを石坂さんは今度のエコノミストで言っている。あなたの考えと大体似ておって、経団連最高首脳者がそういう考え方で業界を引っぱろうという気持ちであり、通産大臣——経済総理大臣がそういうつもりならば大体いくだろうと思いますけれども、そこで私は一つ提案ないし質問をしたい点があるのです。  それは、外資審議会というものが大蔵省にある。それからあなたのほうでは産業構造審議会とばらばらでやっておるわけです。このほかに経団連は各専門委員会を置いて、いろいろ総合的にまとめつつある。しかし資本自由化というものを推進されるとそれに伴って法的措置というものが出てきますね。あるいは財政投融資関係もあるでしょう。そうなると、国会は非常に深い関係があるわけです。国会はものを審議するところであって、ただいろんなものに関係することは——近ごろ審議会国会議員が入って政党利害関係を代表してはなはだおもしろくないという意見もあるけれども、資本自由化というものはこれからいよいよ本格的に取り組もうというところですから、こういうばらばらな関係よりも、むしろ内閣資本自由化対策会議というようなものもつくったらどうか。これは総理大臣でなければ答弁はできないかもしらぬけれども、そういう考えを検討してみて推進する気はないか。   〔主査退席亀岡主査代理着席〕 そうして財界、政党代表者というものを入れて十分に練り上げて、そうしてそのあとは具体的に推進するということをしないと、ずいぶん掘り下げての意見は各方面出ておるけれども、それがまとまったものにはまだなっていない。資本自由化世界大勢だ、日本政府がやらなければならぬと言っておるけれども、産業界ではおびえ切っておるものもあるんだし、そういう点で世論が大きくまとまるような方向へ、あなた努力してみてはどうかということを特に提案、かつ質問したいと思うのです。時間がないから資本自由化の問題はこれで終わりますが、明確な答弁を承りたい。
  14. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御趣旨は私も実は同感で、私自身がすでに、この自由化の問題は単なる一経済問題と違う、日本全体の産業の運命にかかわる問題だから、これは決して通産省仕事であるとか、大蔵省仕事であるとか、外務省の仕事だというておるときじゃない、だからして関係閣僚全部含めての閣僚会議を開くべきではないかということを総理に進言をいたしました。しかし私はもう少し事務当局で練って、その上であらためてそういうような自由化問題で、関係閣僚と申しますか、会議を開いて、最高方針をきめていきたいという考えで私自身おるのです。
  15. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 だんだんそういう考え方を推し進めていって、ぜひ内閣最高的にリードするものをつくっていただきたいということを要望してほかの問題に移ります。  だいぶ局長の方々も見えておるので、私がこれから出す質問も十分答弁していただけると思いますが、これから出す質問は、全部ころばぬ先のつえということで出しますから……。共同石油という会社がありますね。これに開銀からどれくらい融資が出ているのですか。
  16. 両角良彦

    両角政府委員 共同石油に対します開銀融資は、昭和四十年度四十億円、四十一年度六十億円、四十二年度につきましては現在八十億のお願いをいたしております。
  17. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 経営状態はどうですか。
  18. 両角良彦

    両角政府委員 共同石油経営につきましては、御承知のように日本鉱業アジア石油及び東亜石油の三社の製品を一括集約販売をいたしておりまして、その販売経費というものにつきましては、現在これら精製三社が分担をいたすというたてまえになっておりますので、共同石油経営といたしましては、収支上はゼロ、つまり赤字も黒字もないという形で現在処理をいたしております。
  19. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 形としてはそうなっている、三者が出資しておるから、こういうことですね。
  20. 両角良彦

    両角政府委員 そうです。
  21. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それから会社成績はどうなんですか。
  22. 両角良彦

    両角政府委員 昨年の六月販売集約を行ないまして以後、かつ財政資金を用いまして各地に油槽所並び給油所建設につとめました結果、共同石油販売実績というものは順調に伸びてきております。
  23. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 この会社相当政治献金をしていますね、それは知っていますか。
  24. 両角良彦

    両角政府委員 共同石油から治政献金が行なわれたという事実は存在しないと確信しております。
  25. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それでは共同出資しておる三社からはどうですか。
  26. 両角良彦

    両角政府委員 私企業でございますので、その点につきましては当省といたしましては関知いたしておりません。
  27. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それがかなり、どういう形であるか知らぬけれども、政治献金が行なわれておる。そして必ずしも成績はよくないという情報もあるわけです。政治献金も非常に片寄ったものをしておる。きょうは自治省がおらぬですが、届け出はしてあると思うのですね。近ごろみんなうまくなってきているから。そこで、これはひとつ通産省としてもよく関知しておいてもらいたいと思う。  この共同石油経理監査というのはどういうことになっているのですか。会社自体で行なっておって、通産省は知らないのですか。
  28. 両角良彦

    両角政府委員 法律上特に政府がこれを行なうというたてまえにはなっておりませんが、通常の株式会社としましての監査は当然行なっております。
  29. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 もう少し知ってはいますけれども、このぐらいにしておきます、与党議員だから。  その次に伺いたいのは、これはむしろ日本の名誉のために心配もしておるのです。本田技研ですな。これはとにかく日本代表的モーターサイクル国際場裏におけるチャンピオンだということがいわれているわけです。しかし近ごろ非常に外国へ出した品物が売れなくて、在庫になっておるものがある。それで日本国内でも非常に株を売っておる会社もある。これは非常に心配されることで、将来どうこうということになれば、そのときはあわてふためいてもいけないわけなんで、一会社のことであって私は全然関係ないけれども、本田技研どうこうということになれば国際的にも不名誉なことになるのですが、これはどうですか。
  30. 高島節男

    高島政府委員 先生指摘のとおり、日本の二輪車の輸出のうちで、本田技研は非常に大きなシェアを占めております。アメリカに対しても七割程度販売をいたしております。世界各国にも三割程度で、この会社はある意味輸出の非常なホープに従来なってまいっております。御指摘の点は、昨年の上期から下期にかけましてアメリカにおける売れ行きが思わしくございませんで、二十三万台でございますかの滞貨を先方にかかえたという状態に秋口ごろなっております。それでその後の滞貨の状況でございますが、需要が若干回復してまいりまして、現在のところ十二万台程度滞貨に相なりまして、これはもう滞貨といえない、大体普通のノーマル在庫ということになってまいっております。それでいよいよ輸出再開の注文が参りまして、これはまだ契約ということではございませんが、この八月ぐらいまでに八万台程度のものが一応向こうから引き合いとして出てまいりまして、ややそこでアメリカ需要の伸びというものが下がっておったのが底打ちになってきたという形で、希望を持ってまいっておるわけでございます。会社自身は、先生承知のように、こういうふうに世界に冠たる事業でありましただけに、内部留保はきわめて手厚うございます。過去において相当留保を持っております。それによって今期までのところの取りくずし等をやりまして、現在までやってまいりましたが、そこでまたアップカーブに転ずるのではないか。さらにこの会社に蓄積されております技術等は、やはりこれは世界に冠たるものなんで、オートバイ事業全体の世界的な動向の中の一つの問題はございますが、これから持ち直していく時期ではないかと見ておりますが、さらによく動向を注意してまいりたいと思います。
  31. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 これはそれを警告申し上げておくだけで終えておきます。  それから公営競技競輪ですね。競輪の寄付を、これは審議会をつくってずいぶんたんねんにやっておるので、大体大筋としては私は適正だと思っておるのです。この間うちからずいぶん調べてみました。ただ少しこまか過ぎて、各県にわたってやっておるけれども、あれはでき得るなら全国的な団体というものに重点を置いて、あまり細分化しないほうがよくはないか。あれならば、陳情してくると大体みんな受け付けなければならぬことになる。社会福祉、スポーツ、それから青年、こういう分野でしょう。大体私が見ておるのでは。さらにこれはまた法律の精神に沿っておるわけですからいいですけれども、非常にこまかいのがあるのですね。そして意外に他方の団体で多額のものを受けておるのもあります。だからあれは少し将来は、中央的ということじゃないですけれども、全国的にわたったものを主にして配分をするということのほうが望ましいのじゃないか。いかがでしょうか。
  32. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまお話しのとおり、あの補助の対象の線については、やはり全国的なものを主としてやるべきだ、こう思うのですが、しかし中には医療、公衆衛生等関係のものは、これはやはり地方的なものがあるものだから、従って地方的にまた分配しなければならぬということもあるのでありまして、大体の本筋は、全国的なものに出すのが本筋だ、こういうように考えております。
  33. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 最後に私は万国博の問題で少し聞きたいのですが、菅野通産大臣は、大臣になったときに、何かあなたやる抱負ありますかと新聞記者団に聞かれたら、言下に万博を大いにやりたい。万博というのは何のことだか私はわからなかった。そして内閣記者団——通産省記者団なら知っているのだけれども、万博って何ですかと聞き直しておったほど、あなたは万国博覧会に熱心だけれども、この万博が万事パクつかれるようなことになってはたいへんだと思うのですね。ことし予算をずいぶんとった。メインタワー建設補助、敷地の造成費道路、人工湖、緑地整備供給処理、電力、ガス、こういうものの補助相当にとって、すでに工事発注をしておるものがある。この工事発注一般公開競争をやっていますか、それとも指名競争入札ですか。
  34. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 工事指名入札でございます。
  35. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それはおかしいじゃないですか。これからこういう大工事をしようというときには、なるべく公開にして、そして後に疑点を残さないようにしなければならぬのに、これはどういう形で随意契約なり指名入札にしたのですか。
  36. 橋本徳男

    橋本説明員 お答えいたします。  随意契約は原則としてやってございません。  それから現在やっております工事は、まだ本格的工事ではございませんので、たとえば植樹とかあるいは工事用道路とか、こういったものでございまして、非常に工事が限定されておる。一般公開入札を全国的にとるという場合には、非常に時間的にも問題がございますので、相当数企業について、それを大企業中小企業というふうな分け方によりまして、中小企業中小企業の中での指名競争入札、それから大企業は大企業の中での指名競争入札というふうな形で、中小企業、大企業漏れなくその契約に参加できるような機会を与えるというふうな方法でやってございます。ただ、本格的な工事になりますれば、先生おっしゃいますように、工事によりましては相当広範な競争入札というふうな考え方はとっていきたいと考えております。
  37. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 将来本格的な工事になれば一般競争でやる、いまは出発早々で、しかも相当時間的に制約もあるというのでやったという答弁がはね返ってくると私は思いつつ言っておるのですが、実は非常に不可解なのは、これは時間的に制約を受けるのだというても、いま出しておる工事は、相当経費になりますね。これは総額どれぐらいのものを発注したのですか。
  38. 橋本徳男

    橋本説明員 現在の段階におきましては、植樹、それから工事用道路ということで、大体五億程度でございます。将来におきましてはおそらく数百億というふうなことになってくるかと考えております。
  39. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 しかし、それはいま発注し終わったのはそうだけれども、すでにことし予算がついた——これは補助予算だけれども相当な額ですね。それもことし中のやつはなかなか一般競争入札にしないのじゃないですか。
  40. 橋本徳男

    橋本説明員 現在のところ、四十二年度の工事につきましては、実のところまだ工事設計が完了しておりませんので、入札の段階までまいらないのでございます。おそらく一番早い入札が五月の初旬ではなかろうかというふうに考えております。そういうことで、そういった面につきましては、入札の性格に応じまして、各企業の競争を十分取り入れるように指導したいと考えております。
  41. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いま万博にどれくらいの事務員がいますか。
  42. 橋本徳男

    橋本説明員 三月三十一日で二百二十名でございます。
  43. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 これは規模にもよりますけれども、まあオリンピック大会などとは違って物を扱うことが多いから、当初から相当の人数が要ることはわかっておりますが、これから五カ年、一九七二年までですからな、少々多過ぎるのじゃないですか。この職員は大体大阪府の職員でしょう、出向か何か知らぬけれども。
  44. 橋本徳男

    橋本説明員 現在のところ二百二十名でございますが、ちょうどあのモントリオール博覧会の三年前の時点を見ますと、三百七十七人でございます。ただしかし、この人数につきましては、実のところ、この協会がどの程度の範囲の仕事をやるか、多くのものを外注に出すか、あるいは協会内部においてかなりのプランニングをやるかによりまして、人数の幅にはいろいろ伸縮がございます。したがいまして、現在の段階におきましては、モントリオールの博覧会に比べまして百五十名程度少ないわけでございますが、おそらくモントリオールにおきましては、最盛期において約九百五十名程度でございます。日本の場合は、その運営のしかたにおきまして、先例をならってより合理化しようということで、これから二百名前後の低い数字で押えたいというふうに考えております。
  45. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いまのあなたの答弁相当撞着しているし、ごまかしているよ。それは、モントリオールの三年前というので、われわれのほうからいえば、いま六七年ですよ。それも初頭ですな。これはやっぱり年次計画を立てて、どれくらい要るのだということの見通しを大体立てて、これから進んでもらいたいと思うのです。最初からやや多過ぎると思うのです。オリンピックは最後は四百何人だったが、しかしオリンピックは元来精神的なもののほうが多いので、外郭のほうが多かった。中は競技の運営と各国との連絡ですから。だから、万博のほうが二倍ぐらいになるのは当然だと思うけれども、最初の年は、オリンピックは十人か十五人だった。それからだんだんふやしていった。私が非常に心配しているのは、一番先からいた男は相当発言権が強い。ところが、いまの大阪府の職員というのが——いま私はこの質問の初めに、ころばぬ先のつえと言うたが、まだ汚職は発生しておらぬですよ。けれども、どうもそういう利権臭ふんぷんたるにおいがしておる。最初に随意契約をした、時間的に制約がある。しかし、あなたの責任とは言わないけれども、監督官庁であるものは相当きびしくスタートでしっかりやらないと、とにかく万博というのはかなり利権が周囲に群らがっておるものです。やはり万博の精神というものはもっと崇高なものでなければならぬ。各国が得意の物品を、また産業、科学を出品をして、そして将来の世界のあり方を示す、そういう精神もある。しかしやはり物で象徴されるのですから、オリンピックとはやはり違う点があるけれども、どうかそういう点を注意してやってもらわないと困る。私は大臣に聞きたいけれども、こういう仕事をやるときには一人か二人、ほんとうに正義感のあふれた人物で清潔感のある者が事務局の中枢にすわっておらないと、どえらいことが起こるのです。現に起こっていると言う者もあるし、起こりつつあるという段階だというので、私は与党議員でありながら、やはり警告を発しておかなければならぬというふうに思うのです。どういうものをいままで出したかというと、確かにあなたが言っておるように、植木ですね、それから什器ですね、事務用品、これは自分らの知っておるところばかり出した。大阪府の元の職員ですよ。大阪府で使いものにならなくて出た者もあるし、それはよく調べてごらんなさい。これは警鐘の第一撃と思って、ひとつ菅野通産大臣は、そういう者を事務局の中枢に一人か二人入れれば目がきいてよくなる。むしろ私は助言をしておるのですが、どういうふうに思いますか。
  46. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま川崎委員の御心配になっておることは、私自身も心配しておるのであって、万博について、先ほどの万博のことはわからなかったというお話でありましたが、今日では大体国民全般も万博というものがおわかりになったと思うのです。大体万博というものは、これは国をあげてやるべきことであって、私は九千万国民が全部参加する気持ちでやってほしいということを言うておるのであって、したがいまして、政府も今度思い切った予算も出しましたし、決してこれは大阪府、市などだけでやるべき仕事ではありませんから、政府もみんなひとつ協力してやるということで、各省とも万博については非常な御理解を得て、いろいろ予算を取ってもらっております。それでこれをまず成功させたいということで、会長の石坂さんはあの御老体でありますが、この万博については、これで自分の一生の最後の御奉公をしたいということで石坂さんもやっておられるので、私はあの人の熱意に対して私自身が感激いたしておるのであります。また石坂さんが一生懸命やっておられます。私は、万事は石坂さんを御信頼申し上げてやってもらうつもりでおります。  そこで、万博内部のいろいろのことは、大勢の人を使っておりますし、大阪府や大阪市や通産省からも人が行っておるし、民間からも行っておりますから、そこらはいろいろごたごたが起こるのは、これはまあどこでもありがちのことですが、いまお話しの中心的な人物ということで菅野副会長に来ていただきまして、この人は国鉄に長く関係された人であるし、また民間人としてもアラビア石油にも関係された人で、これは事業家としてもりっぱな人でありますから、いまは菅野副会長が中心でやっておるので、その後菅野副会長が就任してから空気も変わってきたというように私も見受けておりますし、そこで政府としてはできるだけその点においては問題の起こらぬように十分検討してやっていきたい、こう思っております。
  47. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 この万博菅野和太郎という存在も非常に運命的なものが私はあると思っておるのです。大阪から出しておる自民党の代議士のチャンピオンであるというばかりでなくして、あなたは自分でもそう考えているでしょう、四年前か、大阪市長になりたくておったときに病気をされた。あの病気したことがかえって運命を変えたと私は思う。あれは中馬氏とどう争ったか知らぬけれども、大阪市長よりはこうやって万博をリードする責任者の一人として、そうして実際あなたの一番友人の太田垣士郎という人が生きておれば——石坂さんは最大適任者であるけれども、大体は関西財界からその協会長が出ろ、出ればその意味では文句がなかった。それをぐるぐる回って最後に中央の最高責任者——これは年取っています。石坂さんは幾らりっぱな人でも、非常に重荷をかかえておる。非常な仕事をかかえておる。だから事務局長に有能な、しかも正義感のあふれる人を連れてきてやらせなければならぬ。副会長は菅野。同名でりっぱな人かもしらぬけれども、実際に動かす人がりっぱだと、たとえばオリンピックのときに外郭に変な道路汚職が起こったけれども、中心では起こらなかった。それはやはる与謝野とか佐藤とかいう者がりっぱだったからですよ。私はそう思うのです。そういうたぐいの人をぜひ入れてもらわないと、万博変じて万国利権博になる。万国利権博になったらたいへんです。どうかそれだけは考えて、あなたが有終の美を——むしろ政治家としては一番あぶらが乗っておるのです。しかし万博をうまく監視しなかったら、往年のきりん児老いては駑馬にひとしいということになりますから、これはひとつ苦言を呈し、かつ、あなたの最適の仕事をやり遂げてもらいたい。それには万博の事務系統の中に、それはいろいろな連中が集まるので変なのもいるのですから、中枢の席にすわる者に清潔でそうしてこういうことが起こらないよう常に監視しているような人物が必要だということを私は特に申し上げて、きょうはそれだけにしておきます。
  48. 亀岡高夫

    亀岡主査代理 芳賀貢君。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 この際、炭鉱の閉山に伴う政府の責任において措置する問題点についてお尋ねしたいと思います。  北海道の留萌市に本社を有しておる天塩炭鉱鉄道株式会社が、留萌市の隣りの小平の地区内で住吉炭鉱と日新炭鉱を従来長年経営しておったわけでありますが、これが去る四月十五日に閉山ということになったわけであります。閉山に伴って、もちろん炭鉱労働者全員の解雇が発せられると同時に、炭鉱経営に不可欠な石炭輸送部門を担当しておる天塩鉄道も経営廃止という事態になりまして、これも七月十六日に鉄道部門の従業員は全員解雇ということになったわけです。この鉱山の閉山に至るまでの経過等については、経営者である会社態度あるいはその最善の努力というものについては、まことに誠意を欠き、努力を欠く点が多々ありますが、これはただ単に事業従事者である労働者の諸君だけでなくて、地元関係者はひとしく天塩炭鉱鉄道の今回の挙に対して痛烈な批判を社会的に巻き起こしておるわけであります。特に一番大切なことは、もちろん経営不振の結果閉山になったわけでありますからして、炭鉱労働者に対する賃金の未払い、あるいは離職手当等の支給、あるいは鉄道部門の全従業員に対する賃金不払い、あるいは離職に対する手当の支給等が全く講ぜられていないわけです。もう一つの問題は、炭鉱鉄道でありますけれども、自己の持ち山で出炭した石炭の輸送が主たる事業でありますけれども、それに付随して国鉄の留萌駅から小平の達布というところに天塩鉄道の終着駅の駅があるわけですが、その延長が二十六キロに及んでおります。これはもう以前から住民の足として利用されておる、あるいはまた達布の所在に林野庁の達布営林署というのがありまして、これはもう以前から国有林の経営が行なわれて、生産材輸送等も石炭とあわせて行なわれておるわけです。ですからこの炭鉱の閉山と、必然的に鉄道の経営も廃止するこの事態の及ぼす影響というものは、今後関係住民約六千人に対しても重大な影響を与えるわけです。これは社会問題であるということも言えるわけでありまして、この問題に対する政府の講ずべき措置、これはもちろん炭鉱の関係につきましては石炭鉱業合理化臨時措置法に基づく措置、あるいはまた炭鉱離職者臨時措置法に基づく措置等は当然でありますが、この鉄道が廃止されて地域住民に甚大な影響を与えるというケースはあまりないように考えられております。  そこで、まずこれは事務的でけっこうでありますからして、通産省並びに労働省、それから所在の国有林関係で林野庁、あるいはまた私鉄の経営の監督を行なっておる運輸省、それぞれ担当局長から今日までの経過、あるいは実態について一とおり説明をしていただいて、しかる後具体的な質問をいたしたいと思います。
  50. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 ただいま北海道の天塩炭鉱鉄道株式会社の閉山問題についての御質問がありましたが、御指摘にありましたように、この炭鉱は昨年来非常に経営に苦しみまして、私どもにもどうしたら再建ができるか御相談がありました。私ども、その御相談に対しましてあれこれと現地の通産局の石炭の担当官を現地に派遣していろいろその実情調査し、再建についての検討もいろいろいたしましたが、しかし、炭量その他の点からしましてこれを再建することはなかなかむずかしいというような事態になり、経営者のほうでも万策尽きた形で閉山の決意をされたわけでございます。そうなりますと、御指摘がありましたように、石炭関係の労務者が約三百人程度、それからこの会社はさらに鉄道も経営しておられますので、鉄道関係の従業員の方も百人程度おられるわけでございますが、相当程度地域社会に大きな影響を与える結果に相なるわけでございます。  私どもといたしましては、先生の御指摘がありましたように石炭鉱業合理化臨時措置法によりまして、これを合理化事業団が買い上げ、交付金を交付するという措置を決定いたしておるわけでございます。ただ、この交付金につきましては、なお現地の実情調査しませんと、どういう交付金の交付方式にするか、あるいは金額をどうするかというような点については、いま急いで調査をさせているというのが実情でございます。  なお鉄道の問題については、私ども直接所管でもありませんので、これについては私どもも関連いたしますだけに今日苦慮しておるというのが実情でございます。
  51. 山口真弘

    ○山口説明員 ただいま御質問がございました天塩炭鉱鉄道でございますが、この会社昭和十六年ごろの創業以来引き続き国の助成措置を受けまして運営しておる会社でございまして、地方鉄道軌道整備法という法律によりますところの新線補助を受けまして建設をいたしておりまして、今日に及んだ会社でございます。ただいま通産省のほうからお話がございましたように、炭鉱部門が閉山のやむなきに至ったような模様でございまして、鉄道関係につきまして、今後どうするか大きな問題になっているところでございますが、現在の段階ではまだ廃止の申請は出てきておりません。正式な意思表示はないわけでございますが、十分に事情を検討いたしまして対処したい、かように考えております。
  52. 上原正之輔

    ○上原説明員 住吉炭鉱の閉山に伴いまして、先ほど通産省御当局から御説明がございましたように多数の離職者が発生することにきまったわけでございます。労働省といたしましては、現地の職業安定機関を督励いたしまして十八日からさっそく現地におきまして求職者の現地相談を実施しておる状況で、炭鉱離職者臨時措置法の定めるところによりまして手厚い援護措置を今後講じてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  53. 若林正武

    ○若林政府委員 鉄道が廃止されましても物資輸送、木材搬出等の国有林野事業上の直接の影響はございません。  なお、職員の子弟で現在この鉄道を利用いたしまして六名留萌に通学をいたしておる者がございます。かような状態でございます。
  54. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 そこで第一にお尋ねしたい点は、事業団の買い上げ措置の場合ですね。もちろん採鉱権あるいは鉱山施設等は買い上げ対象になることは言うまでもないが、問題になる点は鉄道、これを一体鉱山施設の範疇で買い上げするかどうかということが今回の問題の一番の盲点になると思いますが、この点は通産省としてはどういう理解に立っていますか。
  55. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 御指摘の点はこの会社の鉄道部門の従業員に対しまして合理化法で言っております鉱山労働者の範疇に入るかどうかという問題にからむわけでございます。これは私どもいま検討をいたしておりますけれども、これはこの法律の趣旨からしますとこの鉄道がやはり貨客輸送をやっているという実態もございますし、鉱山労働者と呼ぶには少し問題があるのではないかというふうに考えております。しかしなお実情を私どももう少し調査しないと結論的なことは申せませんので、しばらく検討させていただきたいというふうに考えております。
  56. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 これは鉱山が閉山になっても鉄道だけ残るという場合は、閉山による影響があまりないということの解釈ができると思いますけれども、この閉山と同時に鉄道廃止ということになれば、この鉄道の使用目的というものは当然炭鉱経営に付随した石炭の一定距離の輸送業務というところにあったと思うのですよ。歴史的にいえば、これは北海道炭砿汽船株式会社が当初昭和十六年までは経営しておりまして、いま運輸省でお話のあったように十七年に天塩炭鉱鉄道が北炭の出炭した石炭を輸送するというおもなる目的で鉄道経営を行なったのです。その後昭和二十六年に北炭から今度は炭鉱経営事業も引き受けたわけですね。ですからわれわれは、この会社は北炭の系列であるというふうに——形式はどうなっておるか不明ですが、実質的にはこれは北海道の有数な北炭の系列にあるというふうに判断しておるわけです。この施設ができた由来から見ましても、これは旅客輸送とかあるいは地域の物資輸送というものを主目的にはしておらぬ。たまたま二十六キロ、鉄道を敷設したわけですから、それを効率的に運用するために住民を乗客として扱う、あるいは地域の産物を輸送するということがあわせて行なわれたと思うわけですが、これを厳密に分析した場合においては、やはり主体は炭鉱経営に付随した施設であるというふうに断定することは決して無理な解釈ではないと思うのです。その点をもう少し明確にしてもらいたい。
  57. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 ただいま先生の御指摘になられましたように、この炭鉱、特にこの鉄道につきましては、もと北炭の子会社のような形になっておりました経緯はあるわけでございます。それは事実でございます。事実でございますが、ただしかし石炭鉱業は石炭だけを、すべて石炭の採掘だけを目的にした会社だけでなしに、おっしゃいました北炭にいたしましても北海道炭砿汽船というような——いまは汽船部門は汽船会社として独立しておりますが、しかしかつてはそういう兼業の形でやっておったというような形もありますし、それから石炭会社みずからがセメントをやっておるというような兼業関係もございますし、いろいろ同一会社で鉄道をあわせて経営している企業もあり、セメントをやっておる企業もあり、あるいは他の化学製品をつくるというような兼業もありますしいたしまして、法律でいっております炭鉱鉱山労働者の範囲をどこまでに限定するか、どこまで広め得るかというような問題が関連すると思いますが、鉱山労働者の範疇よりは少し逸脱するのではないかというような感じもいたしますが、ただしかし先生指摘のように、確かに旅客は輸送しておるけれども、この鉄道の主たる設置の目的は石炭輸送ということにあったという事情もありますし、この辺、どの辺まで解釈できるかという点につきまして、ただいま、現地の実情もありましょうから、こういう点もあわせて検討さしていただきたいというふうに考えておるわけであります。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 それでは実例として——旅客の輸送を取り扱わないようなケースはありますね。たとえば私どもの管内ですが、日曹炭鉱というのがあって、これは採炭の山元から国鉄の豊富駅までの問、距離にすると大体十五キロくらいあるわけですが、これは全部鉄道で石炭を輸送しておるわけです。こういうものはまぎれもなく鉱山施設とみなすことができると思うのですが、従来事業団が買い上げ等をした場合、鉄道部門にわたる買い上げの実例があればそれを明示してもらいたい。
  59. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 閉山炭鉱でこういった鉄道を兼業している閉山問題というものは今回が初めてでございます。したがいまして先ほど申し上げましたように、過去のそういったこの法律適用の前例がいまございませんので、単に鉱山労働者の範疇にはなかなかむずかしいのではないかと申しましたけれども、しかし過去の前例もございませんので、そういった意味で現地の事情をもう少し調べさせていただきたいということを申し上げたわけでございます。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 これは速急に簡単な結論を出さないで、前例にもなる場合がありますから、これは慎重に検討してもらいたい。これは大臣に特に申しておきます。  私たちの判断でありますと、とにかく鉄道輸送部門の大体八〇%くらいは自己の経営にかかわる石炭の輸送業務ですから、一〇〇%これは炭鉱施設であるとか、あるいは鉱山労働者であるということはあるいは無理があるかもしれませんし、あるいは会社の業務の中においても、会社全体の経営に当たる、いわゆる本社とみなすべき職員の場合と、それから実務の上で、小さい会社ですから本社の所在の事業所の中で炭鉱関係の事務一切を扱っているわけですね。したがってその輸送業務についても行なっておるということになるわけですから、いままでの経営の実態、事務的な内容等についても十分分析して、それではこの全体のどのくらいの割合というものが、法律の解釈をできるだけ拡大した場合、鉱山労働者の範疇に入るか、あるいは法律でいうところの鉱山施設の範囲に入るかということについては、これはぜひ慎重に検討をしてもらって、結論が出た暁には報告を願いたいと思いますが、これはどうですか、大臣
  61. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま芳賀委員の述べられたことについては、私たちといたしましても非常に御同情にたえない事情があると思います。ただ法律の解釈で、それが炭鉱の離職者であるかどうか、範疇に入るかどうかということは事務当局では問題にしております。しかし実際は炭鉱と密接離るべからざる鉄道でありますので、したがいましてこの点についてはよく事情を調査いたしまして、その上でひとつ善処したい、こう考えております。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 次にお尋ねしたいのは、買い上げ措置に伴って炭鉱労働者の未払い賃金、あるいは離職等に要する賃金は事業団が代位弁済ができるということになっておるわけですね。したがってこれらの点はどういうふうに措置されるのですか。これは相当の未払い賃金があるわけです。これも純然たる炭鉱労働者と解せられる諸君と、一部鉄道部門にまたがっておる労働者もいるわけですから、これを区分してしまって、直接炭鉱で労働しておる諸君に対してはこの措置でいける、しかし鉄道部門については何ら政府としても措置がないということになるとたいへんなことになると思うのですがね。ですからこの点についても石炭局長並びに労働省の職安局長に具体的に——実際ほうり出される離職者となる労働者の諸君に対して今後一体どうするか、どう扱うかということについてお尋ねしたい。
  63. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 離職者の未払い賃金の問題でございますが、これは先生も御承知のように、その山が閉山になりまして合理化事業団に交付金の交付の申請をいたしますと、事業団は現地の調査をいたしましてそうして交付金の価額を決定いたすわけであります。そうしてきまりました交付金のうち、交付金額の総額の五割は、ただいま先生のおっしゃいました未払い賃金とかあるいは退職金あるいは社内預金というようなものに優先的に充当いたしたいというふうに考えております。なお、この炭鉱はおそらく鉱害がないと思いますので、要すれば鉱害がもしあれば、この五割のほかに二割程度は鉱害に充当されるわけです。要すれば、鉱害相当分のほうにまで食い込んで支払い得るような体制になっておりますので、そこから優先的に支払っていただくということになろうと思います。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 そうすると、いわゆる鉄道部門の諸君にはどうするのですか。
  65. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 鉄道部門につきましては、先ほど私お答えいたしましたように、ただいま鉱山労働者と読めるかどうかということについて疑義があるものですから、もし、鉱山労働者と読めないということになれば交付の対象にならぬ、こういうことです。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 ですから、もしならない場合、これはならぬからやむを得ぬといって放任するわけにもいかぬと思うのですが。
  67. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 いま法律の運用のたてまえを申し上げたわけでございまして、確かにそういうお気の毒な事情が場合によると起こるというふうに思いますが、やはり何といっても未払い賃金とか退職金とかいうようなことは、一義的にはやはり経営者が何とかくめんをして、経営者の責任において支払うが本筋だと思います。もし会社資産、土地等あれは——若干土地もあると思いますが、そういうものを処分してでもやはり優先的に離職者の方のめんどうを見てあげるというようなことは当然だと思います。国の措置といたしましては、ただいま申しましたような交付金の中から優先的にお払いするというたてまえになっておるわけでございます。なお、最近閉山問題でいろいろ離職者の方、その他悲惨な事例も非常に多いわけでございますので、政府といたしましては、御承知のことでございますが、昨年度から例の抜本策ができました際に、閉山に伴う交付金の単価は従来トン当たり千二百円程度ということになっておりましたが、昨年から、抜本策実施以来昨年の四月にさかのぼりましてトン当たり倍額の二千四百円支出するというような配慮をいたしましたので、従来に比べますと相当改善はされてきてはおるわけでございます。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 そこで、鉱山施設は今年度買い上げになるわけでありますが、鉄道が施設対象にならぬということになれば、それはまず財産として会社が所有しておるわけですから、それらの処分についてもこれは政府が有権的に権限を発動して適正な処分を行なわせて、特に鉄道部門の労働者に対しては、未払い賃金あるいはまた退職手当、離職手当等についても、直接鉱山部門で働いた労働者諸君と同じ会社企業のもとで働いておるわけですからして、一方は法律適用になる、一方は全然制度的なあたたかい手を差し伸べることができないということでは、当事者の当人たちも納得できないと思うのですね。これは何らかの措置があると思うのです。どうしますということまで言えないとしても、それに準じた措置は講ずるということで、ぜひ政府の責任のある答弁を願いたい。
  69. 上原正之輔

    ○上原説明員 天塩炭鉱の鉄道部門の離職者につきましては、ただいま通産当局からお話がございましたように、私どものほうにおきましても炭鉱離職者臨時措置法でいう炭鉱労働者と見るかどうかという点につきまして、若干問題はございますが、先ほど先生おっしゃいますように、鉄道部門につきましても同じ鉱業権者の経営に属しますし、またその輸送の対象が主として石炭である、こういうような実情もございますので、現地におきまして個別具体的に検討いたしました上、炭鉱離職者として取り扱うほうがいいというようなものがあるといたしますならば、その辺十分検討の上善処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  70. 藤縄正勝

    ○藤縄説明員 ただいま賃金不払いにつきましてお尋ねでございますが、住吉炭鉱のほうは、私ども最近北海道の労働基準局から受けております報告によりますと、現在すでに定期給与で一千万円、賞与等で八百万円、社内預金等で四百万円くらいの不払いがございます。これに退職金等を加えますと、一億三、四千万円の不払い額に達するのではないかというふうに考えておりますが、ただいまも通産省からお答えがございましたように、交付金の単価も上がりますし、またここでは鉱害等の見込みもほとんどないというような実情から、この部門につきましてはある程度カバーできるのではないかと思われておりますが、確かに問題は先生指摘の鉄道部門でございまして、これにつきましては、現在一千八百万円ばかりの賃金の不払いがございます。なお退職金を加えますと、相当額のものに達するかと思います。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 大体どのくらいになるのですか。
  72. 藤縄正勝

    ○藤縄説明員 この点につきましては、詳細な調査をまだ完了しておりませんけれども、一億円近い金額になるのではないかと思っておりますが、いずれにしましても、ただいまもお答えございましたように、問題はこれらの債権につきまして交付金の対象になるかどうかというところがポイントでございまして、それにつきましては通産省の出先あるいは石炭鉱業合理化事業団で実態を調査されておりますので、私どもといたしましても、出先におきまして緊密な連絡をとりまして、ぜひ十分な措置がとれるように努力をいたしていきたいと、目下調査中でございます。
  73. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 この天塩鉄道炭鉱の場合には、合理化法に基づいてこの事業団が債務保証をやっておるのでしょう。そういう場合にはやっぱり担保を提供さして保証するということになっておるのですが、この場合鉄道関係の施設等はどういうことになりますか。
  74. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 合理化事業団が債務保証していると先生おっしゃいました趣旨は、いわゆる中小炭鉱の国鉄運賃や何かに対する補償の意味で御質問があったのでございましょうか。それとも……。
  75. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 この法律にうたってあるじゃないですか。
  76. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 天塩炭鉱株式会社が閉山になりまして、会社全体がつぶれるということになりますと、今度はその債務の問題になるわけですが、合理化事業団が保証しておるというようなことになれば、やはりその際担保をとっておれば担保権は行使するということになろうかと思います。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 その場合、鉄道施設が担保物件になっておれば、これは事業団が債権確保のために権限を行使することになるわけですからして、そうすると、買収ではないが、担保物件を事業団が保有したということになれば、当然それは債権確保をして処分するということになると思うのです。そういう場合には、これは性格は違うが、これは事実上買い上げたと同じようなことになるじゃないですか。施設を事業団の所有にするということになるわけですから。
  78. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 確かに担保権を行使しますと、その当該物件については合理化事業団が担保権を行使した場合には、合理化事業団の所有になるわけでございます。しかし交付金の場合と違いまして、交付金の場合は買い上げではありませんで、これは旧方式——いわゆる旧方式、新方式と申しておりますが、昭和三十七年くらいまでやっておりました、いわゆる合理化事業団が閉山炭鉱を買収するという形で国の金を交付してやるという方式の場合には、お説のようなケースになりますが、今日おそらく住吉炭鉱につきましては新方式で閉山すると思います。新方式と申しますのは、自分がまず鉱業権を消滅登録しておきまして、消滅登録した者に対して交付金を交付するという形になりますので、この交付金方式はいわゆる買収とか事業権の所有になるわけではありません。ただ消滅登録した者に対して交付金を交付するというだけでございます。ちょっと事情が違うかと思います。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 次に離職者対策の問題ですが、これはいま労働省から御説明がありました。結局鉱山労働者と同様の離職者対策の取り扱いにするということは、具体的にはたとえば手帳の交付の場合、これは大体鉱山労働者に準じてあるいはみなして鉄道部門の諸君に対しても手帳の発給はするようにしたということですか。
  80. 上原正之輔

    ○上原説明員 鉄道部門の離職者をいかに取り扱うかということにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。いわゆる炭鉱離職者臨時措置法でいう炭鉱離職者というふうに解することにつきまして若干の問題はあるわけでございますが、同じ鉱業権者の経営に属しますし、また輸送の対象が主として石炭であるというようなことでありますれば、現地におきまして十分実情調査いたしました上で、炭鉱離職者として扱うのが適当であるというふうに判断されるものにつきましては十分善処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 大体わかりました。ですから、具体的には炭鉱離職者に発給している手帳交付の措置に準じた扱いをするというふうに理解していいわけですね。
  82. 上原正之輔

    ○上原説明員 そのとおりでございます。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 それはぜひそうしてもらいたいと思います。  あわせて未払い賃金等の問題ですね。これは施設の対象になるかならぬかということで問題が非常に困難かもしれませんが、鉄道部門の労働者の諸君に対しても未払い賃金あるいは離職者、退職手当等の支給が何らかの形で——これは当然会社の責任であることは言うまでもないが、政府の最善な措置によってそういう賃金あるいは手当が支給されるようにぜひしてもらいたいと思います。この点をもう一度具体的に伺いたい。
  84. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 よく実情調査させていただきまして、法律的な解釈もあわせて検討させていただきたいと思います。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 次にお尋ねしたいのは、鉄道が廃止になった場合です。これは直接事業に従事した労働者の諸君の問題と別に残された地域の問題とかあるいは住民に及ぼす影響というものが非常に甚大なわけです。これはいままでに取り扱った輸送の乗客、貨物の実績等もありますが、おそらくこれは地元の小平町長等から陳情、要請があったと思いますからして、詳しくここで申し上げることは省きますが、こういう私鉄のような経営が行なわれた鉄道が、単に鉱山の閉山によって廃止されるということは、これは地元にとっては忍びがたい点であると思うわけです。ですから、こういう事態になった場合、たとえば運輸省として一体どうするのが一番適当であるか、考えがあれば述べてもらいたい。
  86. 増川遼三

    ○増川政府委員 天塩鉄道の事業廃止につきましては、まだ現在廃止の申請が出ておりませんけれども、いずれにいたしましても現状に対処いたしまして、この鉄道の存廃の当否につきましてはわれわれ慎重に検討しなければならないと考えております。  鉄道の輸送対象であります石炭がほとんどなくなったという場合におきまして、残ります一般輸送、特に沿道住民の輸送あるいは他の物資輸送というようなものにつきましては、これに対する輸送の手段というものは残さざるを得ないわけでございまして、これをもし存続する場合にはその存続後の企業主体をどうするか、現在のままで何らか生き延びる措置を講じ得るかどうか、それから地元の地方公共団体等の、これは単独ではむずかしいかもしれませんが、地方公共団体の組合、こういったものが継承することができるかどうか、あるいは国鉄のほうに買い上げてもらって、これを継承してやるという手段がとり得るかどうか、こういったことも考えてみなければならぬと思います。  またそういうこともなかなか困難であって廃止せざるを得ないという場合におきましてはそのあとの処理、たとえば道路輸送によって、旅客の輸送はバス、あるいは貨物の輸送はトラックということでやれるのかどうか。あるいはそのためには現在における輸送需要の状況、今後の輸送需要の見通し、こういったものを十分把握いたしまして、かつ事業採算と公共の福祉のかね合い等も具体的に精査する必要があると考えます。そういった精査検討が済み次第、はっきりした態度をとって指導し、かつ処理を進めたいと考えております。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 いま局長から、天塩鉄道から廃止の申請がないというお話ですが、これは現実に四月十六日に全員解雇してしまったのです。ただしことしの七月十五日までは、閉山に伴う残務整理等の関係があるので線路の撤収はすぐ行なわないで一日一往復だけ運行させる。この運行に要する要員については、もう全部解雇してしまったわけですから、新たに臨時採用をして、一日一往復の運行だけは行なう、こういうことでやっておるわけなんです。現実そうやっておるのですから、これは事実上の経営は廃止と見て差しつかえないと思うわけです。   〔亀岡主査代理退席、主査着席〕  そこで、いまいろいろな御説がございましたが、結局これを存続して活用するということになれば、方法論としてはまず国鉄がこれを買い上げて経営するという問題おそらく天塩炭鉱鉄道としては、この輸送だけを経営するということは絶対にないと思うのです。そうすれば経営主体を変えるということになっても、このような条件の中で単に私鉄の経営をやるような意思のあるものはほとんど出てこないと思うのです。そうなれば結局地元の自治体である小平町が、これは留萌市にも関係あるわけですから、自治体の公営企業として輸送事業を行なって、それに対して政府として制度に基いた助成をする、具体的にはこの二つの方法しかないと思うのです。国鉄がこれを買い上げてやってくれるか。あるいは地元の自治体がこれを引き受けて、そして住民の利便あるいは地元産業の開発のためにこれを有効に利用するという場合も、自治体だけで独立採算の経営はなかなかできないと思うのです。どうでしょうか、この二つの方法しかないと思うのですが、まず国鉄としてこれを買い上げてやるということについての可能性はいかがですか。
  88. 増川遼三

    ○増川政府委員 国鉄に対しましてはまだこういった意向が正式に伝わっておりませんので、これから早急に国鉄のほうにも話をいたしまして国鉄側の検討もいただくつもりでおりますが、国鉄といたしましては現在の国鉄の財政事情でもございますし、これをただ国有鉄道としてその線を運営することが必要であるかどうか、あるいは妥当であるかどうかということを十分に調査しなければならないと思います。またもし国鉄のほうに買収をして国鉄の線として運営するということになりますれば、鉄道敷設法の関係もございますので、この点は前もって鉄道建設審議会の議を経た上で予定線に編入するといういうような手続も要るわけでございます。その辺につきましては運輸当局といたしまして慎重に検討をさしていただきたいと考えております。  なお地元の地方公共団体等が組合をつくっていただいてやれるかどうかということにつきましても、昨日私地元の市長さん、町長さん等にお会いいたしましてそういう点についても御検討いただきたいという旨は申し上げておきました。  なお、北海道の札幌陸運局長に、とりあえずの対策の指示として、現在の実情を十分把握した上、地元の輸送サービスに万全を期するように必要最小限度の輸送策というものは確保させるように指導することを命じております。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 いまの局長の説明によりますと、たとえば国鉄で買い上げて経営してもらうという場合、まっこうからそういうものは全然取り上げないというわけじゃないですね。十分調査検討した結果、どうしても必要性がある、社会、公共的に必要性があるということになれば可能性というのはあるわけですね。いまここで買うか、買わぬかということを私は追及するわけじゃないが、問題の取り上げ方として、そんなことを言ってきても運輸省としては全然取り上げませんよというような冷淡な態度なのか、やはり実情を十分調査して運輸省としての行政的なあるいは政策的な見地から判断するということかということです。最近は新線建設だってほとんど黒字になる新線というのはないでしょう。最初から永久に赤字覚悟で新線建設をやるわけです。それはやっぱり地域産業の開発とか、地方住民に社会的利益を供与するという大目的のために、最初からある程度赤字が出ても、最後まで赤字であってもやむを得ないということで政策的に新線建設というものはやられるわけですね。いままで何十年と活用されてきたものが、今度は一会社経営不振によって廃止されるままでは、これは相済まぬと思うわけです。その点をもう一度明確にしていただきたい。
  90. 増川遼三

    ○増川政府委員 国鉄自体の気持ちといたしましては、おそらくもうからない線はやりたくなかろうと思います。しかしながら私どもの立場といたしましては、国民の足を確保するということが使命でございます。そういった点は今後十分に調査を進めまして、その上で善処をいたしたいと考えております。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 ぜひそうしてもらいたいと思います。たとえばこれをだれも引き受け手がなくて自治体がやむを得ず住民のために引き受けるということになった場合の指導とか、あるいは政府の助成措置等についても、やはり一応聞いておく必要があると思うわけです。
  92. 増川遼三

    ○増川政府委員 この会社に対する助成は、従来新線補助ということでやっておりましたが、この新線補助も昨年の十二月で補助期間が満了したわけでございまして、閉山になる時期とちょうど一緒になりまして、会社としてははなはだ気の毒な状態になっておるわけですが、なお今後も存続するといたしますれば、同じ地方鉄道軌道整備法によります欠損補助というものもあるわけでございます。したがいまして、経営主体が変わって、たとえば公営に承継されるとすれば、そのほうにもこの法律は適用になりますので、申請さえ出てくれば補助対象として欠損補助という手段はとり得ると考えております。  また、こういう問題に対しましては、他の手段としては国鉄との連絡運輸ということも当然行なわれるわけですから、そういった関係で国鉄からの何らかの助成ということも考えられるのではないかといういうふうに思いますので、この点も十分検討さしていただきます。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 いまの説明は了解しました。  そこで、当面の問題として、四月十六日以降七月十五日までの間は一往復しか運行しないわけですね。それで、主として留萌市の高等学校等に通学する子弟を持っておる者あるいはまた留萌市に職場があって通勤する者等が相当の数に及んでおるわけです。一日にいたしますと、通学、通勤で約二百五十人、それから一般利用者が約五百人。とにかく二十六キロの延長の沿線ですから、いままで利用した関係住民が約六千人に及ぶわけですね。この地区は炭鉱が閉山したから町ぐるみなくなるということでは全然ないわけです。したがって、この通勤、通学あるいは一般の住民が鉄道を一日一往復しかもう利用できないという状態が突如として起きたような場合には、これは非常に地元としても混乱するわけです。いま局長のお話では、そういうことがないようにできるだけ行政的な指導を加えて、これる実情に合致したように運行させる、そういうお話だったですね。これはほんとうにそういう指導をおやりになるのですか。
  94. 増川遼三

    ○増川政府委員 現実に非常に困った状態がございますのですから、陸運局のほうで現地を十分に視察もし、住民の足を必要最小限度は絶対確保させるということにつきまして処置をさせたいと考えておりまして、けさほど私、現地の陸運局のほうへ電話で指示をいたしております。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 次に、石炭局長にお尋ねしますが、この天塩炭鉱鉄道の住吉炭鉱、日新炭鉱の閉山は御承知のとおりですが、この炭鉱のさらに奥に新日本炭業が経営しておる福久鉱山というのがある。これはほとんど出炭したものを天塩鉄道で留萌まで輸送しているわけですね。この天塩鉄道の終点の達布駅までトラックで運んで、それから貨車で留萌の岸壁まで運んでおるわけですが、鉄道が廃止になると必然的に福久鉱山も事実上経営できないということになると思うのです。これもやはり連鎖的に起きる現象でありますが、こういう点から見ても鉄道の廃止ということはゆゆしい問題であると思うので、これも政策的にあわせて事情を十分検討しておいてもらいたいと思います。  最後に、林野庁長官にお尋ねしますが、先ほどのあなたのお話では、達布営林署の職員の子弟で留萌の高校等へ通う者が五、六人しかおらないので、何ら影響はないというお話ですが、この鉄道が廃止された場合、林野庁として何ら痛痒を感じないという、そういう意味だったのですか。
  96. 若林正武

    ○若林政府委員 私、申し上げましたのは、国有林野事業としての直接の影響はあまりないというふうに申し上げたのでありまして、職員なり家族等の生活等を考えますると、やはり影響があるというふうに思います。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 事業上、国有林野事業の正常な運営上、全然これは影響ないと言うのですか。
  98. 若林正武

    ○若林政府委員 現在、国有林野事業そのものといたしましては、この鉄道を直接利用いたしておりませんので、影響はないというふうに考えます。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 たとえば達布営林署の所管は、経営の所在地が非常に奥地なんですよ。したがって、造林作業にしても、あるいは木材の生産事業にしても、全く奥地で条件の悪いところですからね。たとえば、必要な労働力を確保するといっても、達布営林署の周囲だけで所要の労働力を確保するということはできないのですよ。やはり事業所に通うための通勤の問題とかあるいは物資の輸送の問題とか、そういう影響というのはこれは甚大だと思うのです。あなたは達布営林署がどこにあるというのもわからないから、いや鉄道なんかなくなってもどうということはないと考えているのでしょう。これは本来であれば、営林署をそこに所在させるのに全く適合しない場所なんです。この私鉄があったから初めてその山元に営林署を存置させるということができたわけですが、これがなくなった場合、営林署を移転すべきであるという判断あるいはそういう声がおそらく地元の営林署あるいは旭川の営林局から当然出てくると私は心配しておるわけです。長官が全然地元を知らないで言っておられるんならまだきょうはやむを得ぬとしても、実際に現地の事情を熟知してそういう発言をするとするならば、これは問題ですよ。どういうことですか。
  100. 若林正武

    ○若林政府委員 現在バスをチャーターいたしまして従業員その他の輸送をいたしておりますので、直接この鉄道は使っておらないのでございます。ただし先ほど申し上げましたように、留萌から相当離れましたところに営林署が所在いたしておりますし、鉄道が廃止されるということによりましての職員の生活その他の面での影響は出てまいるというふうに考えております。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 バスといっても夏はいいでしょう。しかし冬季間完全にバスが運行できるかどうかという問題ですね。もちろん達布を上流にした小平川という河川がありますですね。この小平川の右岸沿いに天塩鉄道がバス路線を確保して運行しておるわけです。これは運行の回数も非常に少ないし、両岸に部落があるわけですから——左岸、右岸にあるわけですし、鉄道は左岸沿いに留萌に通じておるわけです。ですからいま長官の言われるバスの運行といっても、夏分は支障がないが、冬季間になって二十数キロのバス路線が常時運行しておるかというとそういう状態でないのですよ。はなはだしいときには四日間もバスの運行が中絶するというような事態なわけですから、毎日毎日完全にバスが通っておったり荷物や産物が運ばれておれば、何も住民が大騒ぎするはずないのですよ。もう少し現地の事情を調査して、ほかの局長の諸君は少なくともあなたよりも実態把握をしてまじめな答弁をしておるのですよ。あなたの答弁というのは最初から、いや五、六人しか子供が通ってないからたいしたことないなどと言っているが、これはまことに不謹慎な答弁だと思うのです。すみやかに実態を調査して、きょうは間に合わぬかもしらぬが、その影響がどういうようなところに——事業面にどう及ぶとか、職員や家族の関係がどうなるか、あるいは季節的な定期作業員の確保上どういう影響が起きるか、それから産物、製品の輸送等についてもどういうふうな影響が起きるかということをもう少し明細に調査を行なって、少なくとも今月の末までにこれは提出してもらいたいと思うのです。いいですか。
  102. 若林正武

    ○若林政府委員 細部調査いたしまして御報告いたします。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀分科員 以上でおおよその質問は終わったわけでありますが、総括しまして一番大事なことは、冒頭に申したとおり、鉱山施設として廃止が予定されておるこの鉄道施設、これを対象にして事業団が措置すべきであるという問題と、それから、特に鉄道部門の労働者諸君に対しても、直接鉱山部門で働いておる離職する労働者の諸君と同様に、未払い賃金あるいは離職手当等の問題についても同一の実質条件で問題が解決するようにこれはぜひしてもらいたい。それから、今後の再就職の問題等についても、これは労働省から適切な説明がありましたので心配はないと思いますが、この点についてもぜひ通産、労働両当局においても最大限の配慮をこの際講じてもらいたいという点と、最後に、いま申し上げた天塩鉄道としての鉄道経営はこれで廃止されるとしても、これを存置して、そうして地元の産業開発あるいは住民のいままでの利便を失わせないように、これは関係各省においても十分協議されて、期待に沿うような解決をはかってもらいたい、こういう点に尽きると思いますので、締めくくりの意味で通産大臣はじめ各省の政府委員からこの点についてもう一度明確にしておいてもらいたい。
  104. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 芳賀委員の御趣旨はよくわかりましたので、先ほど来御答弁申し上げているとおり、いろいろ法律的な問題もありますし、そこらはよくわれわれのほうも研究するし、実情調査して善処したい、こういうように思います。
  105. 上原正之輔

    ○上原説明員 炭鉱離職者につきましては、鉄道部門の離職者を含めまして、実情に即しますように十分善処してまいり、再就職につきましては万全の措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。  なお、賃金不払いあるいは退職手当未払い分の確保につきましても、通産当局と十分に連絡をいたしました上、万全の措置を講じたいと考えております。
  106. 増川遼三

    ○増川政府委員 天塩鉄道の存廃の関係あるいはその後における諸措置等につきまして、御趣旨に沿いまして善処いたしたいと考えます。
  107. 野原正勝

  108. 板川正吾

    板川分科員 私は、電気ガス料金問題について、通産当局に若干の質疑をいたしたいと思います。ただし、時間の関係もございますから、本日は主としてガス料金に問題をしぼって質問をいたします。  まず第一に伺いますが、政府は電気事業やガス事業を許可事業としておる。御承知のように許可事業にしておりますが、この許可事業、しておる理由はどういうところにあるのですか。根本問題ですからひとつ……。
  109. 安達次郎

    ○安達政府委員 お答えいたします。  電気事業及びガス事業につきましては、公益事業としてそれぞれ事業法によって各種の規制を受けております。その事業法の目的、これは当然、公益事業としてのその性質上、使用者の側といいますか、需用者の利益の保護ということが当然目的の中に入っておるわけでございます。そういう意味で、料金につきましても、供給規程の一部として認可制がとられております。
  110. 板川正吾

    板川分科員 許可制にしておることは、政府国民にかわってこの事業を調整する。調整する柱としては、需用者の利益を守ることが第一。それから事業の健全な経営を維持するようにすることも一つの柱。危険防止ということもある。この三つの柱を国民にかわって調整するために私は許可事業にしておると思うのです。  そこで、伺いたいのですが、需用者の利益を守る、それから一面において事業の健全な経営を維持する、こういうことはある意味では二者相反した場合がある。こういう場合がありますが、これを調整するのにはいわゆる適正料金ということになるだろうと思うのです。適正料金というのは一体どのような基準できめるのですか。
  111. 安達次郎

    ○安達政府委員 ガスに例をとって御説明申し上げますが、ガス事業法におきまして、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」というようなことが規定されております。これに基づきましてガス料金の算定要領というものがきめてありまして、詳細なるその基準がきめてございます。
  112. 板川正吾

    板川分科員 ガス事業法十七条に、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」、こういう原則に立っておるのですが、また一面、そういう原則によってきめられた料金が、社会的経済的な事情の変更によって著しく適当でない、こういうことになった場合の措置はどういうふうにとっておられのですか。
  113. 安達次郎

    ○安達政府委員 ガス事業法におきましては、十八条で、「ガスの料金その他の供給条件が社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障があると認めるとき」という条件をつけまして、通産大臣は供給規程の変更の認可を申請すべきことを命じ、あるいはその申請がないときには供給規程を通産大臣みずからが直せるというような規定も道が開いてございます。この事情は電気料金についても同種のようでございます。この社会経済的事情の変動によって著しく不適当になったという条項を発動して、いわば力ずくと申しましょうか、この料金なり供給規程なりを直させたという前例は、いままではございません。
  114. 板川正吾

    板川分科員 この規定の趣旨を理解すると、経済的社会的事情の変動によって不適当だと認めた場合には変更を命ずることができる、そしてそれを聞かなかった場合には直せる、こういう権能を通産大臣は持っているのです。しかし、これは、考えてみると、料金を値上げしろという趣旨ではないですね。通産大臣が命令で値上げしろということじゃないのですから、この場合にはもちろん値下げをすることを意味していると思うのです。そうですね。で、この著しく経済的社会的条件が変わってきたというのを常時監視し検討しているのはどこですか。
  115. 安達次郎

    ○安達政府委員 公益事業局の内部において監視いたしております。
  116. 板川正吾

    板川分科員 公益事業局というのは、国民にかわってこういう完全な独占企業体を監視をする、こういう立場に立っておると思うのです。許可事業について国民にかわって。ところが、社会的な経済的な事情が著しく変わっても、これに積極的な検討を加えていないのじゃないですか。この点についてどうなんですか。いままでそういう経済的社会的な事情が変わっておるのにそれを放置しておった。国民にかわってそれを検討して値下げすべき場合があると思ったら値下げするような行政指導を強化すべきじゃないでしょうか。いままでそういう例がないというのはどういう理由でしょう。
  117. 安達次郎

    ○安達政府委員 ガスだけに限って申しますと、規模的に中小のガス事業については全国八つの各通産局長に権限を委任しております。それで本省の公益事業局のほうにおいて直接見ておる会社もある。規模の大きなものは見ておるわけでございます。そして一応それぞれ収支状況なり経理の状況などは常に検討を重ねておりますし、それから経理の監査もいろいろと行なってまいっておるわけであります。規模の小さな、各通産局に権限を委任しておりますもののうちに、あるいはそのような、現実の事情の変化についてつぶさな事情を中央において把握してないというものがあるといたしますと、これは私の怠慢でございます。
  118. 板川正吾

    板川分科員 これは具体的に言いますと、埼玉県春日部市に関東ガスという会社がございます。   〔主査退席亀岡主査代理着席〕 これは三十六年に会社ができて、四十年までは大体千四百世帯ぐらいのガスの需用戸数しかなかった。ところがそこへ日本で有数な武里団地というのができまして、四十一年に三千戸でき、ことし四十二年にさらに三千戸をこえて、六千何がしの住宅団地ができる。こういうように社会的な情勢が大きく変わっておる。しかもまた一面において、この供給ガスの原料であるブタンの値段が非常に変わってきておるのですね。安くなっておるのです。原料のブタンが、認可申請したときのおそらく半分になっておるのじゃないでしょうか。原料のブタンが半値になっておって、この需用者が千四百戸しかなかったのが、三千戸、三千戸七千五百戸くらいに、ことしじゅうになる。こういうように大きく変化しておるのに、これに対して通産省が料金値下げに対する行政指導を従来怠っておったと思うのです。  実はこの問題を私は昨年の秋に通産大臣三木さんに商工委員会で話しましたら、それは早急に値下げをするようにしましょう、こういう話なんです。ところが、この関東ガスについていまだその値下げの申請を要請もしてない、こういうことじゃないかと思うのです。一体関東ガスの経営状況というのはどういうふうに変わっておりますか。これを説明してください。
  119. 安達次郎

    ○安達政府委員 関東ガスは、仰せのとおり、昭和三十六年に操業を始めまして、四十一年、四十二年にそれぞれおおむね三千戸程度ずつの需用戸数の増加が見込まれ、すでにその四十一年度の分はまるまる実現いたしております。四十二年も部分的に需用増加が行なわれつつあるというふうに承知しております。それを反映いたしまして、この経理状況は、実は昨年私のほうで試算をいたさせましたのに比べて、その試算以上に好転いたしております。たとえば、従来からの繰り越し欠損などの消えるのは二年くらいかかるのではないかという予想でありましたのが、今年、四十二年度でもうまるまる消えるというようなことになっております。要するに、従来の予想よりもはるかに状況は好転してきていることは事実でございます。
  120. 板川正吾

    板川分科員 大臣、ちょっと聞いてもらいたいのですが、このガス会社の料金が七千カロリーで一立米当たり四十七円九十五銭。この四十七円九十五銭というのは、この周辺で一番高い料金です。この料金をきめるときには、原料であるブタンの価格が三十円をこえておったと思う。ところが、現在このブタンの単価は十五円十九銭なのです。半値以下になっておると思いますね。そして需用者も三千戸というふうにふえておる。確かに、いままでは、操業以来四年間というものは赤字であったことは事実です。しかし、四十年には二百万円の黒字が出、四十一年には三百三十万円の黒字が出ておる。おそらく、ことしは、私が概算したところは八百万円の黒字になるのではないでしょうか。そうすると、累積赤字が二百四十万円しかありませんから、おそらく五百万円近い完全な黒字でしょう。資本金三千万円の会社ですから、これは五百万円ならば一割七、八分の利益率にもなりますね。こういうことが実は前から予想されておったのです。予想されておったから、早く値下げをさせなさい、ガス事業法によって大臣は勧告もできるし、場合によっては供給規程を直すこともできるのですから、早く値下げをしなさいと私は再三言っておったのですが、今日なおこの値下げをちゅうちょしておるわけです。公益事業局というものは、国民立場でこういう独占企業体を監督指導するものであるのに、こういう企業体を守っておる。こういうような企業を守る公益事業局というのはないでしょう。こういう点がまことにけしからぬと思うので、私は、一体関東ガスの料金値下げについてどういうような指導をし、今後どういうふうな値下げをさせる方針なのか、伺っておきたい。
  121. 安達次郎

    ○安達政府委員 昨年の商工委員会における先生の御指摘もございまして、その後東京通産局を通じまして会社側に検討方を指示したわけでございます。それで会社側でも一応の原案をつくりまして、最近東京通産局のほうにその草案などについての下打ち合わせにまいってきているようでございます。今後、確かにそれは早いにこしたことはないのでございまして、ただ手続がいろいろかかりますので、なるべく急がせるように、そしてなるべく早い時期にこの料金の認可ができますように急いで処理していきたい、こう考えております。
  122. 板川正吾

    板川分科員 善は急げというが、去年から私言っておるのです。まだ、いつから値下げさせるかわからない。どこの会社でも毎月試算を出していますから、去年三百万円前後の黒字になるというのは去年の秋にはわかっておったのです。それは会社の経理上わかるのですよ。ですから、ことしさらに三千世帯がふえればさらにその膨大な利益があり、累積赤字の二百四十万円を解消しても大きな黒字になることはわかるのですね。これは繊維なんかと違って相場が上がったり下がったりするわけではないのです。一番高い料金で取っておるのですから、早く値下げをさせればいいのですが、なかなかさせない。いま、いつ値下げするかわからない、手続を要請しているというのですが、これは手続は早く大臣命令でも出して、値下げしないなら、値下げさしたらいいのではないかと思うのです。一体、これはいま早急にやるにしましても、いつ値下げできますか。
  123. 安達次郎

    ○安達政府委員 いまのところの事務の進みぐあいから見ますと、おそくも七月一ぱいには認可できるのではないかと見通しております。
  124. 板川正吾

    板川分科員 七月一ぱいというのは、去年私が言ったときには来年の八月ごろと言っておったのですよ。それで私がこの会社はずいぶんもうかっているじゃないかと言ったら、それは見込みが違いましてたいへんもうかるようになりました、こうさっきも言っている。それならその実施時期をことし八月からと、去年から言っているが、見込みが違ったら、もっと早くさしたらいいじゃないですか。なぜ早くしないのですか。
  125. 安達次郎

    ○安達政府委員 御趣旨のようにできるだけの急ぎをやるつもりでございます。ただ、七月一ぱいと申し上げましたのは、これはいわゆる公聴会にかけなければならないというような手続がございますし、公聴会の開催のためには、たしかその三十日、一カ月前だかに告示をしなければならないというような手続がございます。そのような期間も念頭に置いて、七月一ぱいくらいまでにはできるのではないか、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  126. 板川正吾

    板川分科員 これは大臣、公益事業局の怠慢だな。  それから関東ガスの最低料金が、これは幾らですか。安い最低料金がありますが……。
  127. 安達次郎

    ○安達政府委員 関東ガスの最低料金は立米当たり二百八十六円二十三銭ということになっております。
  128. 板川正吾

    板川分科員 この最低料金をこの近県と比較いたしますと、これまた一番高いです。団地のあるところのガス会社は最低料金というのをたいへんに安くしているのですね。大東ガスというのをこの表で見ますと、流山の一部には最低料金が五十五円、東朝霞団地には五十七円、志木団地六十円、鶴瀬五十八円、狭山六十円、高幡団地の六十円、こういうふうに大体五十七、八円から六十円、今度関東ガスの需用家は団地が六千二、三百、一般の町の人が千五百見当ですね、圧倒的に団地供給という形になりますね。この場合に、最低料金を少なくとも団地流に五十八円か六十円にとまでは言いませんが、これに見合う最低料金をきめる必要があるのじゃないでしょうか。この点どうお考えですか。
  129. 安達次郎

    ○安達政府委員 この最低料金といいますのは、ちょっと御説明しますと、ガス料金をきめます場合の料金算定で総括原価がきまって、それぞれのガスの使用態様といいますか、これは最低料金はゼロから十立米までを最低料金のクラスにしております。幾つかの使用区分によっての個別原価の配分の問題になるわけでございます。したがって、その会社としての需用層のその使用態様の実情に沿った査定が行なわれてしかるべきであります。  したがって、今度の場合のように、従来千四百戸がほとんどみな市街地のしもたやであった、それが団地のスタイルで三千戸、三千戸とふえるというようなことになれば、当然その下の需用層の区分が変わってきておるわけでございます。需用層の構成の内容が変わってきておりますので、当然そういう事情はこの料金の査定において審査の対象となる事項でございます。ただいまどの程度になるであろうかということはちょっと申し上げる用意はございません。
  130. 板川正吾

    板川分科員 場合によっては二段方式をとってもいいのだね。団地だけは六十円——電気料金に二段方式があるでしょう。それは一つ提案だけれども、とにかく団地の六千世帯に対して最低料金を一般並みに、ほか並み二百何十円というのは高いのじゃないですか。これはいわゆる団地供給の形式を他でやっているので、そういうことも考慮して最低料金をひとつきめてほしいと思うのです。  いまの見通しではどのくらい料金を値下げできると思いますか。
  131. 安達次郎

    ○安達政府委員 先ほど申し上げましたように、この料金の査定は通産局に権限を委任しております。そして、通産局が決定いたします前に一応本省のほうに相談があるという形になっております。  それで、ただいままでのところ、通産局のほうでの査定の作業の結果をまだ私どもは示してもらっておりませんので、まだどのくらいと申し上げるのは時期尚早かと思いますので、遠慮さしていただきます。
  132. 板川正吾

    板川分科員 通産局に権限を委任しているからわからないというのなら、通産局を監督する通産大臣に聞いてもいいですよ。最近の料金の認可をした状況を見ますると、最近きめたものほど料金が安いのですね。そして古いところほど大体高い。それはなぜかというと、たとえば、関東ガスは昭和三十五年にできた。それから、最近認可料金がきまりました伊勢崎のガス、これは三十八円七十一銭ですね。三十五年程度から最近までの通産省が認可した料金を見ますと、大体最近ほど安くて、古いほど高いのです。それはなぜかというと、原料のブタンが大きく変わっておる。通産省が査定をする場合にこういうところに原因があるのだろうと私は思うのです。  この関東ガスの例を見ましても、三十六年のときには二十八円七十九銭、三十七年には二十三円十九銭、三十八年には十八円六十銭、三十九年には十九円九十四銭、四十年には二十一円、四十一年には十五円十九銭、こういうようにだんだん下がってきましたから、だから認可料金も最近の傾向として安くなってきておる。今度ガス料金を変更する場合は、関東ガスの場合には昨年が三千世帯入っただけで三百三十万円黒字になった。ことしはさらに三千戸ふえる。そして累積赤字は二百四十万円しかない。そうしますと、大体四月か五月で累積赤字というのは実質的には私は消えておると思うのです。五月以降か六月以降か、この見当からほとんど黒字、もうけになってくる。そうすると、この期が大体累積赤字を解消して、五百万円ぐらいのもうけになるじゃないかと私は推定しています。資本金三千万円ですから、三百万円でも一割配当です。ですから、この場合適正なる利潤というのは一体どういう基準になっておるのですか。たとえば配当の場合、一割程度を適正なりと公益事業局として認めておるのかどうか。私は限度として一割ぐらいだと思うのですが……。
  133. 安達次郎

    ○安達政府委員 料金算定の上では、この配当と借り入れ金の金利等はこれは積み上げて、これだけの原価が要するから原価はこれだけになりますという計算は、ただいま電気とガスはいたしておりません。というのは、その配当なり金利なりは適正報酬という形で、特にフェアリターンの制度と言っておりますが、これは現在現実にある有効真実なる資産を基準として、それに対してガス事業の場合には社債発行会社とそうでない場合との違いがございますが、八・二二%あるいは八・六二%というフェアリターンのレートが別途きまっております。その範囲内で、たとえば、企業努力により収益が上がれば、その中で今度は幾ら配当するかという問題は、利益金の処分の問題となるわけでございます。それで、利益金処分につきましては、電気についてもガスについても、ただいま法令上の認可制度はとっておりません。したがってこの場合は、事実上の、かりにやるといたしますと、何らかの行政指導ということになろうかとも思います。当然その会社経営責任者の立場では、社会良識にかんがみて批判を受けることのないような利益処分をいたすであろうと私は信じております。
  134. 板川正吾

    板川分科員 私がそれをなぜ聞くかというと、伝えられるところによると、料金はごくわずかしか値下げをしない。そうすると、これはもうだんだんもうかっちゃって、何割配当ということになるのではないかな、こう思うのです。あとはごまかすだけになっちゃいますから。そういうふうになってしまうから、私はこの料金をきめる場合、特に最近はずっと安くなっておるのですから、いままで四十七円九十五銭だからといって、その一割下げればいいということでなくて、新しい料金を認可するときの条件と同じようにひとつ適正な料金値下げを指導してもらいたいと思うのです。国会がうるさいからちょっぴり下げればそんでいいんだというようなことでは、またこの問題をぶり返していくよりほかない、こう思うのですが、どうですか。
  135. 安達次郎

    ○安達政府委員 仰せのように、先ほど御指摘のありましたガス事業法の目的に沿いまして、使用者の利益の保護と同時に、このガス事業を営む事業の健全なる発達、この二つの目的ともに達成できるような適正な査定を通産局にいたさせ、私のほうでも見るつもりでございます。
  136. 板川正吾

    板川分科員 大臣,いままでのやりとりで、ひとつ大臣の最後の所見を伺いたいのですが……。
  137. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおり、公益事業ですからして、これはできるだけに公共料金を安くするというのが公共事業の目的であると思いますから、いまの関東ガスのように、もし相当な利益、利潤をあげておるというところであれば、やはり料金を下げるような指導をせなければならぬ、こう思っておりますので、いま公益事業局長が申しましたとおり、ひとつこの際適正な料金をきめるように指導したい、こう思っております。
  138. 板川正吾

    板川分科員 早急にやってください。八月一日じゃだめですよ。それより前に早急にやってください。  それから、時間がもう終わりかけましたから、最後に、この間、文京区の湯島で東京瓦斯の導管爆発事故がありまして、たいへんな死傷者が出たわけですが、その原因が、明治、大正時代の導管の腐食によるのじゃないかと言われております。これはその後商工委員会で問題になりましたが、ガス導管の取りかえ計画、保安計画というか、それがその後どうなっておりますか、最後に一つ。と同時に、これは東京瓦斯ばかりでなくて、大阪瓦斯と名古屋の東邦瓦斯も同じように明治、大正時代の導管があると思うのです。たまたま東京で事故が起こったのですが、大阪、名古屋ではどういうふうに保安対策上の新しい計画を持とうとしておるのか、その点だけ伺っておきたい。
  139. 安達次郎

    ○安達政府委員 先般の湯島の爆発事故につきましては、これは大正年代に布設された中圧管でございます。ただいまその原因はいろいろと警察当局でも調べておりますが、まだはっきりいたしません。  それで、ただいままでの明治、大正時代に埋設した導管がどのくらいあるか調べてみましたところ、東京瓦斯では大体明治時代のものが全導管の延長の一%、大正時代のものが二・一%ございます。同じ数字で、大阪瓦斯は明治時代のものが〇・七%、大正時代のものが一・七%、東邦瓦斯につきましては、明治時代のものが〇・四五%、大正時代のものが一・一四%となっております。  それで、まずこの事故を起こしました当の東京瓦斯におきましては、従来から古い導管ばかりではなくて、それぞれの、たとえば交通事情とか地形とか、あるいは近所に腐食性の化学工場があるとか、そのようないろいろなそういう地点地点の特殊事情に応じたいわゆる安全化の保安対策として従来から導管取りかえ計画というものはやっておったわけでございます。これはもちろんガス事業法による保安基準などに準拠する以上のよけいの回数をもってやっておった状態でございますが、さらにそれが今度の事故——これは実は原因がまだわからないのでございますけれども、いずれにしても古い導管でああいう事故が起こったということで、従来やっております導管の取りかえ計画を、もっと頻度を高め、精度を高めるという具体的な計画をただいま立てつつございます。  それで、この事故がございましてから、通産省といたしましては、まず東京瓦斯に対しまして、もちろん今度のこのような爆発の再発防止のための必要な措置を講じ、特に導管の維持管理についての抜本的な対策を講じて古い導管の取りかえについての具体的な計画を至急出すような指示をしてございます。同時に、日本瓦斯協会及び各通産局長、またそれぞれのガス会社に対し、このような一般的なこういう事故防止のための注意を喚起する通達を出すと同時に、特に通産局に対しましては、導管の埋設場所、材質経過年数等について十二分なる把握をするよう、そうしてその上に導管の取りかえを計画的に行なうよう指導するように通産局長に指示してございます。それぞれ、この東京瓦斯からも具体的なその取りかえ計画の日程なり何なりについては、まだ手元に届いておりません。
  140. 板川正吾

    板川分科員 時間が来ましたから、以上をもって終わります。
  141. 亀岡高夫

    亀岡主査代理 以上をもちまして午前の質疑を終了いたしました。  午後一時半から再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ————◇—————    午後一時四十分開議
  142. 野原正勝

    野原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十二年度一般会計予算及び特別会計予算中、通産省所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  143. 堀昌雄

    ○堀分科員 通産大臣にお伺いをいたしますが、実は私は、ここ数年来この分科会で鉄鋼に関する問題を随時取り上げてまいったわけでありますが、まず最初に、昨年私は当分科会で、当時の粗鋼減産について三木通産大臣に、四月から六月までの粗鋼減産はやむを得ないけれども、少なくとも粗鋼減産は四−六で終わるべきであって、七−九以降は正常な状態に戻さなければ、これは生産調整があまり長きに失して市況に影響を与えることになるだろう、こういう議論をしたわけですが、現実には七−九が継続をされることになりました。その間、私、二回ばかり大蔵委員会その他においてこの問題を取り上げて、結局この粗鋼調整は八月で終わりになるという事態になったわけですが、大臣は、昨年のこの問題についてどんなふうにお考えになっていますか。まず、その通産省側としての反省があれば、多少ちょっと最初にそれを承りたいと思うのです。
  144. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 昨年の粗鋼生産の調整の問題については、なるほど、お話のとおり七−九についてはあまりやらなかったほうがよかったか、こう私も思っております。御存じのとおり、その後非常に鉄鋼の需要が増してきて、あるものについては非常な値上がりをしたということであって、そういう意味においては七−九はやらずにやったほうがよかったのではないか、こう考えております。
  145. 堀昌雄

    ○堀分科員 今日考えると、私が主張したほうが正しかったようでありますが、そういう七−九を継続したためにああいうことが起きた最大の欠陥は一体どこにあったのか。いろいろな需要測定なり在庫状態なり、そういうようなものの通産省としての現状把握が不十分であったということが私は最大の原因ではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  146. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お説のとおり、問題は需要がにわかにふえたということです。そこにああいう問題が起こってきたと思うのです。そこで、この需要の測定ということは、これはなかなか困難なことで、たとえば、われわれこの需要供給のはっきりした見通しができさえすればすべて問題ないのでありますが、商品というものは需要供給というものがなかなか見通しが困難なのであって、そこにまた商売のおもしろ味もあると私は思うのです。そこで、去年はそれほど需要がないと考えておったのが、たとえば三十九年度から四十年度にかけて粗鋼生産量としてわずか八十万トン弱しか増加していなかったのが、四十年度から四十一年度にかけて一千万トン以上に増加をするというようなことで、見通上が悪かったということが言えると思います。まあ、その点が——間違いなく需要供給を見通すということは非常に困難なことでありますが、しかし、通産省としては、いままでの推移、経過などから判断して大体需要供給を推定して、そして生産額をきめるという方針をきめておるわけです。
  147. 高島節男

    高島政府委員 大臣御就任前の推移でございますので、反省という意味から、私から若干補足させていただきます。  堀委員御指摘のとおり、需要が非常に予測を越えたということでございますが、昨年度の経済の成長が、たしか当初は八%の鉱工業生産アップを予定いたしておりまして、経済成長を考えておりました。ところが、現実には一六%をこえるような事態になりました。すべての生産活動の倍増に伴って、鉄鋼もその一環としてその徴候を如実にあらわしたということが、全体として一つ大きくあろうかと思います。ただ、鉄だけで考えてみました場合、私ども見ておりまして、どうもフラクチュエーションが非常に短期的に激し過ぎるところに、いろいろ御指摘のような問題がありそうに思います。これは、一つ需要家の段階在庫、それから流通段階におきましても末端の問屋の次の特約店あたりの在庫、これの把握が非常に不備でございます。これは非常に困難な調査をいたさないとわからないような面がございまして、多分に短期的にそのあたりの要因の捕促ができなかった。やっております生産者あるいは商社というような商売人自身でもこの見通しを非常に誤っておりましたために、現在は逆に相場が下がってきておるという状態にもなっております。非常に短期的に変動が激しいのはそのあたりにもありますが、われわれとしても少しそこいらはきめこまかく、むずかしい作業ではございますが、全体の需給バランスの正確な把握を、いま鉄連等とも協力して努力をいたしてまいりたいと思っております。
  148. 堀昌雄

    ○堀分科員 いま局長のお答えになったように、私はやはり在庫の把握は非常にむずかしいと思いますが、むずかしいからといって避けていたのでは、たとえば昨年からこの一、二月にかけての棒鋼をはじめとするような異常な高値が出てみたりするいろいろな原因の中に、そういう需要在庫あるいは末端の流通在庫というようなものの把握が不十分なために、通産側としても指導ができない。もしそこがある程度わかっていれば、通産側として、先行きそんなに高くならないから、そんなに急いで買うなと言えると思うのですが、これがわからないから過熱化する。少なくとも昨年の場合は、七−九に入るときは、もうすでに七月中に実は情勢は非常に変革をしてきておったというのが昨年の実情であります。やはりそこらを含めて、私は、まずこれは景気のすべての問題に在庫の状況がつかめるということが非常に大事でありますから、ひとつ通産省としては、まず在庫も十分把握をしていただきたい。  そこで、先へまいりまして、今度はいま問題になっておるのが、昨年までとさま変わって、この三月は年率とうとう六千万トン−ベースの粗鋼生産というような画期的な生産が伸びるところに来ておりますけれども、これを控えて、御承知のようにいま高炉各社が、本年度中に着工する高炉の問題について非常に話がまとまらない状態にあるようです。本日も新聞の伝えるところでは、大手五社の社長会が行なわれて調整をされるようでありますけれども、この状態についてまず最初にお伺いをしておきたいのは、四十六年度大体七千二百万トンという需要見通しが大体この問題の基本にあるようでありますから、最初にこの四十六年度七千二百万トンの推定の基礎をまず出していただきたい。その場合に、私ちょっと申し上げておきたいことは、とかくこういう推計をされておる土台が、マクロの推計だけがどうも中心になって、要するにミクロを積み上げたかっこうでそれを点検するというようなやり方が、私は十分なされていない感じがするわけです。ということは、まあ、これは先のことになるのだから非常にむずかしいとは思いますけれども、やはり業種別に、過去の分析をとってみても、産業連関表を使いながら過去における鉄鋼の生産が伸びてきた——まあ成長率というようなものは何によってこう変わってきたかというようなものは、一応過去についての統計はあるわけですから、そういうようなものを基礎にしながら、将来についても、ただそのマクロで全体としての成長率が幾らだから、だからこれにぽんとかけ合わせて幾らというのは、一つその推定の方法としてありますけれども、しかし、同時に、その誤差を考える場合には、もう少しミクロ的に積み上げて推定をしてみて、その両面からするところの一つの推定というもののほうがより科学的ではないのか、こう感じるわけです。今度はどうなっておるかわかりませんが、ひとつそれの推定の状態をちょっとお述べいただきたい。
  149. 高島節男

    高島政府委員 堀先生指摘のとおり、方法論としましてはマクロ的な方法とミクロ的な方法とございます。ただ、長期にわたりましてやりますときのミクロというものは非常にたよりないといいますか、結局はそれぞれの需要者の間を聞いて歩くようなことになりますと、頭の中が統一しておりませんものですから、非常にでこぼこ、ばらばらなものが出てきて、あとで説明いたしてみますと非常に答弁に窮するようなことが多いもので、どうしてもそちらは突き合わせ材料になりまして、やはり将来の経済発展計画が一応出ておりますと、その線に沿って、荒っぽくはなりますが、マクロ的行き方が中心になる。それを反省してみる材料に前者を使うというような、大体方法論をとっておるわけであります。  それで、大まかな計算方法を申し上げますと、現在の四十一年度の粗鋼生産の見込み、ほとんど確定いたしてまいりますが、五千二百万トンという非常に高い水準まで上がってまいっております。それで、あとの推定のやり方といたしましては、製造工業の生産指数、これが現在の企画庁の五カ年計画によって一応出ております。大体一〇%見当のところ、四十年度を基準にして出ておりますから、それとの相関値をとりまして、鉄鋼の数字もおおむねこれに並行して動いていく感じが強うございます。絶対的にこれに合うかどうかということになりますといろいろございますが、一応そういうことになります。そういたしますと、四十六年度が七千二百万トン、これは何も幅をつけません。その数値ずばりのものが、四十六年度で七千二百万トンということになります。それで、問題はその中間にあるところの段階でございますが、ちょうど四十二年くらいで設備をいたしますと、四十四年度あたりが問題の年になってまいります。それを推定いたしてまいりまして六千五百万トン、これはまあ一律に伸ばしたというよりは、四十二年度あたりの強い実勢は一応そのままにとりまして、四十三年から四十四年にかけては比較的低い三百五十万トン台のアップというくらいの形で計数をきめて、それから二年で七千二百万トンとする、大体こういう形で調整をいたしまして、それを一度振り返ってみて、先生のおっしゃるミクロで見てみたのでありますが、これは十分自信があるというわけにはいきません。しかし、そう見当は違っていないように見まして、大方の納得は、鉄鋼部会でもこの辺が相場かというような印象は受けております。
  150. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、鉄鋼各社は、やはりこれを土台にして高炉の建設の問題を言っておるようですが、ともかくもわれわれこの前、新聞で承知をしておるところでは、通産側としては四十二年度は二・五基ですか、何基くらいが適当ではないかというふうな意見が出されておったようであります。現在は、四基一斉に着工したいということがどうも話の中心のようです。もっと建てることになるかわかりません、希望はもっと出ておるようです。そこで、現在のところでの、通産省としてかくあるのが一番望ましいというのは、高炉の着工の問題についてはどの社がと言う必要はありませんが、要するに何基、いつごろというのが一番適切だ、こう考えているか、ちょっと明らかにしていただきたい。
  151. 高島節男

    高島政府委員 現在作業をいたしまして、鉄鋼部会に対して出しました数字は、先ほど御説明いたしましたものに沿ってまいりますと、全然アローアンスをつけず、四月の初めからやっていって着工期を、それぞれの計画がございますから、それに即して完工期を見てみまして計算いたしますと、四月初めから二・五基というところが一つの線であろうか。ただそれに、全般の計画といたしまして、四十六年度の需給につきましても四十四年度の需給につきましても、若干のアローアンスを見ておく必要があるだろうという意見もございまして、五%程度アローアンスをつけますと四基程度という数字も出てまいります。ただ、通産省といたしまして一応希望を申し述べましたのは、こういったデリケートな時期である、設備投資、国際収支等ともからみ合った時期であるから、鉄鋼業としても、何も年度の初めから五%余裕を見たところまでいかないほうがいいんではなかろうか、しかし、これはいろいろ調整の都合もあるだろうから、そういう余裕をつけておかぬと逆に間に合わぬという説も出てまいりますから、そこは一つの幅として指示をいたしましたが、しかし、二・五というところがスタートであり、そのあたりが中心点になっている、こういう指示をいたしておる次第でございます。
  152. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまのところの様子では、なかなかその二・五には私は落ちつかないだろうと思います。事実はわかりません。  そこで、ちょっとここで詰めたことを伺っておきたいのは、通産省としては全体の設備投資の関係があるでしょうから、やはりこれは、全体の設備投資を考える場合には、鉄鋼の設備投資の本年度の状態もきまらずに、全体の日本の設備投資を考えるわけに私はいかないと思うんですよ。ですから、どうしてもその全体の設備投資を産構審の資金部会で議論をする前には、やはり一応鉄鋼の結論が出ていなければ産構審としては作業にかかれれないのではないか、こう思うんです。そうすると、産構審の資金部会に間に合わせるために、産構審の鉄鋼部会としてそこへ結論が出せる時期というのは、一番うしろでいつですか、ぎりぎり。ちょっと大臣からお答えいただきたい。
  153. 高島節男

    高島政府委員 手順の進め方でございますので、私からお答えいたしますが、現在鉄銅の設備調整は、大臣のこの前の御言明ですと、四月のうちに片をつけなさい、こういうことで各社に指示してございます。したがって、きょう社長会をやりまして、非常な激論があると思いますから、結果がどういうことになるかまだきまっていない。その様子を見まして、それを受けて鉄鋼部会を開催いたすことになると思います。これは月末までのうちに開催をいたしたい。そこで状況を聞きまして問題を処理してまいりたい、こう思っておりますが、一方資金部会のほうは、企業局長が見えましたけれども、一応私の頭にございますところでは、五月一ぱいぐらいのところでは片がついていくところをねらっておられるのではないかと思います。絶対に鉄鋼がきまらないと全体がいかぬということは、これは論理的にはございませんが、現在の段階では鉄鋼としても早くきめていかないといけない、そういう情勢にございますので、各社間の議論というのも、いつまでも続いているということは、かえって調整のためのみぞが深くなる感じもなきにしもあらずのように見受けられます。したがって、これは独自にやはり早くケリをつけていきたいという気持ちでおりまして、現在いつまでという日取りを申しますと、また安心してそれだけ延びてしまう感じもございます。四月中にケリをつけろとおっしゃった大臣のことばを体して、この二つの会合の結果を見て、できるだけ早くきめるというのが現実の段取りではなかろうかと感じております。
  154. 堀昌雄

    ○堀分科員 大臣、四月中にきめてくれと言われたというのだが、どうですか。やっぱりきまらなかったら、鉄鋼基本問題小委員会の答申が出ているわけですね。いいですか。要するに、自主調整をやります、自主調整がうまくいかないときにはそちらでやっていただきますということになっているわけですからね。だから、あなたがそれじゃ四月中と言った以上、これは四月中ということをもう一ぺんそこで再確認をしておきたいのです。四月を越えたらもう鉄鋼部会でひとつ処理しますということをはっきりしておけば、おそくも四月中には自主調整は終わらなければならない。
  155. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 四月中にとこっちの希望を申し出たのでありますから、もしきまらないということであっても、やっぱり鉄鋼部会で最後はきめてほしい、こう私は思っておるのです。私のほうから決定はいたしません。
  156. 堀昌雄

    ○堀分科員 私が言っているのも、あなたがいきなりここで裁定するということを言っているのじゃないのです。要するに、もう社長会なんかにまかしておいてもきまらなければ鉄鋼部会に上げますよ、ここの問題で処置しますということについては、社長会や常務会や、要するに各社にまかしてある自主調整の期限の最終時点は四月一ぱいなんだ、そこからあとは今度は鉄鋼部会ですと、ここだけはもう一ぺんはっきり確認してください。
  157. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおり、鉄鋼部会できめてもらうつもりであります。
  158. 堀昌雄

    ○堀分科員 私は、日本の基幹産業が自分のほうで自主調整ということを基本問題小委員会の中であそこまで入れてきた以上は、やはりその人たちが責任を持って自主調整をやるのが筋だろうと思うのですが、なかなかうまくいかない。これは私は結論的に言いますと、この前にもちょっと大蔵委員会で申したかと思うのですが、この問題は二つの側面があると思うのです。それはどういうことかと言いますと、要するに、いまは資本主義社会ですから自由にひとつおやりください、何も通産省が設備投資についてあれこれ言う必要はないことなんです、本来なら。だから言う必要はないのだけれども、どうもかってにきまらないということは、結局あとで問題が起こるときにまた通産省に泣き込もという問題があるから、みなが踏み切らないだけのことなんですからね。そこで、要するに、この前も私はちょっとあなたに申し上げましたけれども、ひとつ自己責任で、今度は皆さんでどうぞおやりください、何基お建てになってもけっこうですからおやりください、しかし、過剰になっても、法律の定めるところの品種別の不況カルテルは、それは法律の定めるところでやっていただきますけれども、二度と粗鋼減産のようなことをして緊急避難はいたしません、だから、そういうものがないという前提で自己責任でひとつ設備投資をおやりくださいと言うのが、やはり私は一つ資本主義的行き方だと思うですよ。菅野さん、どうですか、それは。
  159. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 資本主義時代といいましても、いまは昔のような資本主義時代とはまた変わってきておりますから、自由放任にまかすということについては私はどうかと思う。日本全体の産業の安定というような立場から、やはり通産省がおって指示するとかいうことが必要だと思うのです。それだからして、おまえらかってにやれ、それで結果は知らぬぞと言うわけにはいかぬと思うのです。私ども、鉄鋼業界の混乱から、ひいて日本全体の産業に混乱を来たすようなおそれがあるときには、それはまた私のほうからも何か指示をするという必要はある、こう思っております。
  160. 堀昌雄

    ○堀分科員 しかし、ほんとうを言いますと、いまの法律で、あなた、こことここの会社は高炉をつくりなさい、あとはやめなさいと実は言えないのです。現在の法律上根拠ないでしょう。言えるはずはない。だから、ほんとうは、それならやっぱり業法をきちんとつくって、言えるようにして言うべきだ。中途はんぱですよ、いまは。あなた方は、いまは何ら権限もないくせにいろいろものを言う。去年の暮れに、当時の佐橋君、だいぶん問題を起こしたけれども、あんないやがらせでもやらなければできないようなことになっている。それでいまは、いろいろとまことにどうもフェアでないことをやるから、どうも通産省、みんなあまり感心しないということになったわけだ。いまあなたの気持ちを私もわからぬではないですよ。やはり日本の国家的利益あるいは企業の効率性という問題は、今度の経済発展計画の一番の中心の柱でしょう。だれもいま資本自由化を前にして考えなければならないことである。しかし、なおかつ資本主義社会でそうはいってないということになるならば、それじゃ一本こちらに業法という柱を立てましょう。使うか使わないかは別問題です。業法という柱を立てる。自主調整がうまくいっている限りは何も業法の柱は使いません。しかし、どうしても自主調整がうまくいかないときには法律に基づいてあなた方が言える立場でものを言うというなら話は別ですけれども、いま、はっきり言って、言える立場じゃないわけでしょう。法律的根拠も何もない。言える立場としての何かありますか。
  161. 高島節男

    高島政府委員 言える立場といいますと少し形式上の問題になりますので、私ちょっと御説明させていただきます。  実は、先生指摘のとおり、通産省は鉄鋼の問題について正面からの権限というもの、法的規制をやる権限は現在ございませんが、現在のところできますことは、そういう状態を前にいたしまして、設置法上行政指導が一般的にできるということのほかに、鉄鋼部会の前身でございます鉄鋼小委員会におきまして、各社の社長も中に入ってもらって、いかにして設備投資を中心にしました将来の問題を解決するかということを議論をしていただいた。そして、各メンバーが中に入ったままで、決定までいろいろもめましたけれども、結論に到達いたしましたことは、自主調整を大いにやっていく、それを尊重するし、とことんまでやる、しかし、うまくいかなかったときは、最後は行政庁の側の指示に従う、もちろんそれは、鉄鋼部会の学識経験者の意見を十分聞きまして、その鉄鋼部会を中心にした指導に最後は従うという同意をととのえたという形になって、一つの約束ごとができておるという立場にございます。したがって、私どもも、これは自主調整でぜひまとまってほしいと思いながら、毎日はらはらいたしておる状態で現在ございますが、いよいよいけなかった場合の最後はそこへいく、そういうきわめてデリケートな状態でございますので、先ほど大臣が四月中に上げるとおっしゃったのも、これは一つの訓示でございまして、それをはずれたら直ちに鉄鋼部会できめてしまうぞということではなく、四月三十日を一応のめどとして、それからあとの扱い方を一日も早く解決するように、鉄鋼部会自身でその辺の議論をしてもらわなければいかぬ段階一つ手続として要るのではなかろうか、こういうように考えます。
  162. 堀昌雄

    ○堀分科員 私もその程度のことは承知していますからこの話をしているのですけれども、ものの考え方の基本としては、いまのいろんな取り扱い自体が非常に中途はんぱになっていることは間違いがないのですよ。だから、その中途はんぱになっていることは、いろんなところをもう少しはっきりさせたほうがいいのではないのか。ただ、私は、業法をつくったらすぐ統制しなさいと言っているのではなくて、業法があろうと政府のほうで二・五基、こういうふうにやってくれという要望が出たら、自主調整をして皆さんがそれでやればいいので、何も業法があったら一々通産省が出向かなければならぬ理由はないのだけれども、どうもいたずらに時間が空費されている。その空費をしていろいろやることが、産業界にプラスになるとか国家的利益があるというならいい。いま国家的利益が多少あるのは、混乱してもめているから、うしろにずれて時間がかせげている。まことにおかしな国家的利益が副産物として生じている。そういうことはあまり賢明な策ではない、こう私は思うものですから、やはり考え方としては通産省としてもある程度明らかにしておくべきではないのか。同時に、やはり自己責任をもちょっとはっきりあなた方も言うべきではないのか。自己責任であなた方ができなければこうせざるを得ませんよというぐらいのことを、通産大臣、やっぱり鉄鋼の社長会に出て一ぺんあなたは言う必要があると思うのですよ。それをひとつ特に要望しておきます。  企業局長が入ったそうですから、ちょっと企業局長に伺いたいのですけれども、これは企画庁の資料でありますからあれですが、昭和四十年の十月から四十一年の九月の最終需要の主要産業への影響を、産業連関表をもとにして分析をした資料があるのですが、それの鉄鋼のところをちょっと調べてみますと、こういうことになっているのですよ。要するに、鉄鋼のことしの伸びの寄与率の一番大きいのは輸出で四三%、その次は在庫投資が三二・四%、それから政府支出が二八・二%、民間の固定資本形成はマイナス九%、個人消費が四・五%。これはもちろん鉄鋼の伸びの一番悪いときの状態ですが、しかし、四十一年の九月までというと、もうかなり上向きかけたところまでは実は入っているわけですね。そこでは民間設備投資はまだマイナス要因なのです。その後非常に、異常に伸びてきているわけですから、今後の日本の設備投資の伸びが鉄鋼需要に今度はどういうふうにはね返ってくるのかという点は、いまちょっと企業局長からお答えをいただいて——四十四年の話をいまここで少し承っておったわけですけれども、今年度は一体あなた方企業局としては、いまの企画庁が出しておる設備投資の水準六兆二千億、これに対して最近の実情——最近の実情といっても、いまわかっているのは四十一年の七−九がはっきりしているだけですね、四十一年の七−九が五兆四千五百億ベースぐらいになっているわけですよ。しかし、これはもう当然それからずっと伸びていると思うので、あなた方のほうではこういう場合に、たとえばことしの一−三なり四−六なりの民間設備投資水準の推定、これは着工ベースだから、私は調べようと思えば調べられるのじゃないかという気がするのです。それは正確にはいかぬでしょうけれども、統計としての腰だめの見通しとしてはいけるのではないかと思うのですが、そういうものをあなた方はお持ちですか、現在。そこをちょっとひとつ……。
  163. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先ほど話が出ましたように、現在、五月末を目標にいたしまして資金調整の作業を進めております。例年のことではございますが、これの資料といたしまして、大体二月現在を中心にいたしまして、企画庁は工事ベースでございますが、通産省のほうは支払いベースで資料を集計いたしております。現在のところ集計が完了いたしておりませんが、今月中には大体それの集計ができる、こういうように見ております。したがいまして、やっておるわけでございまして、もう少し時間をかしていただきたい、こういうように考えております。  なお、どういう状況かということでございますが、数字のことは集計中でございますので申し上げられませんが、御指摘のように四十一年の九月ごろから非常に、設備投資意欲といいますか、そういうものの動意が見られるようになった。したがって、最近の情勢は操業率も相当上がりまして、今後を見ますと、設備が相当足らなくなるのじゃないかというような感じもございます。また、合理化投資の必要もございまして、相当やはり設備意欲は強い、こういうように見ております。
  164. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまの話のように、これは私はあしたの企画庁のところで少しやるのですけれども、民間設備投資六兆二千億円という四十二年度計画は低過ぎると思っています。これはどう見ても私は低過ぎると思う。大体もう現在がすでに六兆円ベースになっているのじゃないか。そこへ、いまの鉄鋼のように、設備投資をはじめとしてこれから出てくるものがこうなるわけですから、一般的には上期のほうが上がる率が高くて下期のほうが低いということですが、実質的には上期にすでに着工しているものもあるけれども、思うようにいかなくて下期にもかなりずれ込むという感じからすると、私はことしの設備投資というのは、どっちにしても六兆二千億ではおさまらない、かなり上回るであろう、こう思うのです。あなたのほうでどういうふうに調整するか。その調整効果がどうなるか、これはまた別問題ですけれども、私は、自然の形ならそういうことになるのじゃないかと思う。そうすると、ここで問題になるのが、今度はやはり国際収支ですよ。四−六の国際収支は、どうやら総合収支では少し赤が立つようですね。これは、通商局長がいないかもしれないが、どうですか、答えられる方、ちょっと答えてください。
  165. 小島英敏

    ○小島説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように、四−六という時期は、どうもやはりIMFベースの国際収支は赤が出るのではないかとわれわれも思っております。ただ、季節性というものがございまして、輸出のほうはどういう時期に一番伸びるかと申しますと、第一四半期、第二四半期、第三四半期というふうにずっとふえてまいりまして、第四四半期、うまり一−三月にがたっと落ちる性格がございます。それから輸入のほうは、第三四半期、第四四半期、第一四半期というふうにふえてまいりまして、第二四半期、つまり四−六月に落ちるという性格がございます。両方かみ合わせて考えますと、やはり四−六月というのは、輸出のほうはあまり伸びない、輸入のほうがかなり伸びる時期でございます。七−九月になりますと、これがまた状況が変わってまいるわけでございますが、そういう点を考慮いたしますと、一応四−六月というのは、季節的に考えましても相当赤のふえる時期であることは一つ申せます。  それから、もう一つは、今度はそういう季節性を抜きにいたしまして、趨勢的な、もう少し長期的な動きを考えてみますと、やはり最近輸出は、アメリカをはじめとしましてどうも景気があまりよくないという事情がございます。世界的に需要が停滞しているということもございますし、それからもう一つ、先ほど話の出ておりますように、国内の設備投資が最近一、二年停滞してまいりまして、去年の秋以降むしろ供給不足の面がかなり出ておりまして、鉄なんかでも、最近は海外からの引き合いの中で条件のいい、値段のいいものだけをとりまして、条件の悪いものは断わらざるを得ないという状況になっておりまして、そういう海外事情との国内の供給不足、玉不足という面、両面から、やはり四十二年度の上半期くらいまでは輸出はかなり停滞せざるを得ない、伸び率は低くならざるを得ない状況があると思いますが、下期以降は、先生も御指摘のようにかなり設備能力が動いてきておりますので、かなりの供給余力が出てまいる。したがって、海外の景気につきましては、これは外国のことでいろいろな説がございますけれども、アメリカあたりにしましても、だんだん下期にいくほど景気が上向いてまいるという見通しが一般的でもございますので、下期のほうは、かなり輸出は取り戻すというふうに考えております。
  166. 野原正勝

    野原主査 堀君に申し上げますが、時間が経過しましたので、結論をお急ぎ願います。
  167. 堀昌雄

    ○堀分科員 通産大臣に申し上げたいことは、要するに、いままでやってきたことは一連の関係のあることを申し上げているわけです。輸出は、国内の景気がよくなれば停滞するのはきまっているわけですね。この前までは、出血輸出でも国内不況のときにはいっておるけれども、これからはそうはいかないということで、輸出が停滞するのは当然の結果だ。ところが今度は、国内景気が上がってくると輸入がふえるというのは、これまた当然のことなんですね。だから構造的にいって、今度は、ともかく国際収支の方向は現在経常勘定で一億六千万ドルくらい、要するに、クォーター一億六千万ドルくらいの黒字を出していかない限りは、これは赤になるように貿易外とそれから資本収支で出ておるわけですから、そういうのをにらみ合わせると、やはり今後の産構審における設備投資の質的な——量的な問題は一つありますけれども、量的と同時にかなり、さっきの話の効率的、質的な投資に重点を置いて、しかし、トータルのワクは、やはりできるだけ、ある程度押えていくということになって実はちょうどいいくらいになるのではないか。これをほうっておいて、ともかくいまのように手をあげたやつがみんないくというようになってしまうと、これは肥料にしてもそうだろうし、石油精製にしてもそうだろうし、手をあげているのはたくさんあるわけです。自動車だって、おそらくいまのような調子でいってうまくいくとは私は思わない。すべてがそうなっている場合には、やはり効率的、質的な調整をある程度、これは資金部会を通じてやることにならなければならぬのではないか。その場合には、いまの一環としての鉄鋼の高炉の問題一つとりましても、新立地へ持ってきてこれから一々建ててやるというもののほうが効率的なのか、すでに既設の部分のところに、一本建てているところへもう一本建てて効率化をするほうが大事なのかということは、これは非常に明らかな問題だろうと思うのです。だから、鉄鋼各社は、おのおの自分のところのそろばんだけで考えているでしょうけれども、通産省としては、ともかくいま私が申し上げたような国家経済としての効率性の問題と質的な問題、それは長期的な問題も一つはあるでしょう。あるけれども、しかし、短期的にも、やはり現在の景気の過熱の問題の中からできるだけ効率的でなければならぬことは間違いがないわけですから、どうかひとつそういう点を十分勘案して、これは産構審としてもそういうかまえで、全体——たまたま鉄鋼がわりに私は詳しいから鉄鋼を取り上げているけれども、これは自動車だって、石油精製だって、石油化学だって、肥料だって、みんな問題の考え方は同じですから、その点についての通産大臣のお考えを承っておきたい。
  168. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 効率的に、質的に設備するという問題は、それはお説のとおりであって、また通産省としてはそういうふうに指導していきたい、こう考えております。  そこで、いま一例として鉄鋼の問題、高炉の問題が出ましたが、ただ生産率のいいというだけでも考えられないので、あるいは販売ということも考えていかなければならぬということになりますので、お話しのいまの生産能率の点は、それはやはり考慮の一材料でありますが、販売その他のことを考えた上できめるべきじゃないか、こう思うのであります。いずれにいたしましても、全体を見てやはり効率的なもの、質的ないいものの設備を奨励するという方針でいきたい、こう思っております。
  169. 堀昌雄

    ○堀分科員 お考えでけっこうです。  それで、お願いをしておきたいのは、いまなぜ鉄鋼があれほどごたごたするかというと、そういう調整をするためのルールがないということなんですね。私は業界の皆さんに、自主的にルールをつくりなさいと言ったけれども、あの業界というものは自主的にルールができないわけだ。ひとつ大臣、これは要求というと大げさになるけれども、通産省として、試案でいいから一ぺん鉄鋼設備投資についてのルールを、要するに財務比率はどうだとか、いまあなたの言うような販売関係はどうだとか、生産の効率性はどうだとか、そういうファクター別にいろいろ問題を重ねてみて、それが大体、このくらいのウエートでこうなってこうなるのだというようなことがひとつのルールになれば、ものさしではかっていくならけんかは出ないのですよ。そのものさしなしでものをはかろうとするところに、いま話がちっとも進まない原因があるのでしょう。私は、通産省は少なくともそのくらいのものはつくる責任があると思うのですが、これはおそらく鉄鋼部会で結論を出すにしても、ものさしなしでやろうとしたら、また政治献金の多いところをやったとか、役人がたくさん天下りしているところが一番有利だったとか、そういうことにならざるを得ない。そうでしょう。人間というものはそういうものですよ。だから、第三者の批判に耐える客観的なものさしをつくるという約束を、ここで菅野さんしてください。
  170. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおり、そういうような標準ができれば非常にわれわれのほうも楽なんです。しかし、なかなか標準というとむずかしいし、これを政府がこういう標準を立ててこのとおりやれということになってくると、私から言うと、私はもう民間人の知識、体験というものがとうといのであって、民間人の自主的な考え方をまず尊重していくということでいきたい、こう思っております。
  171. 堀昌雄

    ○堀分科員 できないじゃないか。幾ら言ったってできないじゃないか。
  172. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私は、できないといっても良識のある人ばかりですから、そこは気長く、われわれはやはり民間人にひとつまずお願いして、そうして政府としては、最後の最後に指導していくという立場でいくべきじゃないか。初めから政府が乗り出すということは、私としては好まないのであります。
  173. 堀昌雄

    ○堀分科員 これは仮定の事実ですからあれですが、もし調整がまとまらない、鉄鋼部会に話が来る。鉄鋼部会ではいろいろやって結論が出るかもしれない、あるいは大臣裁定になるかもしれない。しかし、鉄鋼部会で何かきめるときに、やはり私は、ものさしなしできめたら、これは問題が残ると思うのですよ。いいですか。私がいま言ったようないろいろなことが現実にはあるわけですから、だから私が言っているのは、鉄鋼部会でものをきめるときには、やはり鉄鋼部会としてわれわれが見ても、なるほど鉄鋼部会のものさしは、これはだれが見ても、第三者が見ても適当ではないかというものさしがそこになかったら、恣意的にあなた方がきめるということになったら、これはやはり政治的に問題が残るし、同時に、業界はますます、通産省がそういうことをやるならおれたちはこうなんだということになりかねませんよ。だから、私がいま言いたいことは、第三者が見てなるほどと納得のできるルールを通産省はつくらなければならぬところに来ているわけです。あなたのように、それは業界がつくられたらいいでしょう。つくれと私らもどんどん言っても、ちっともできないでしょう。しかし、あなたたちはさっき約束したように、ともかく月末までに鉄鋼部会へ問題が移る。そこからまさか半年も一年も問題をほうっておくわけにはいかないのですから、鉄鋼部会で結論を出すか大臣で裁定しなければならぬ。そのときに、ものさしなしにやるということは絶対反対だから、要するに、恣意的な判断で問題を処理されない、ガラス張りの中で国民が納得するようなものさしをつくって、そのものさしの批判を受けるのはいいですけれども、しかし、恣意的判断の処置はいけませんよということを、いまだめを押しておるわけです。その点はいいですね。
  174. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 決して恣意的な判断はいたしません。
  175. 堀昌雄

    ○堀分科員 ものさしをつくるのですか。
  176. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ものさしというのは、あなたがいま言われた生産の効率とか販売とか、そういうものがものさしであります。もちろん鉄鋼部会には第三者の人が入っておるのですから、そういうことをみな考慮してきめられることだということを私は確信いたしております。
  177. 堀昌雄

    ○堀分科員 終わります。
  178. 野原正勝

  179. 池田禎治

    池田(禎)分科員 今度の石炭鉱業審議会の答申に基づきまする予算化につきましては、これは見る人によってはずいぶん不平もあり、不満もあります。しかし、たいへん努力を願っておるということにつきましては、私は深く敬意を表しておるものであります。大体答申案にも出ておりますが、石炭の今日におきます立場というものは、いわゆるエネルギー革命の襲来によりましてたいへん悲惨な状態におちいっておる。こういう状態になっていることは、私が申すまでもなくすでに大臣も御承知のことと思いますが、大体これから先、石炭の位置づけといいますか、石炭の位といいますか、そういうものをどういうふうに指導し、かつ育成しようとしておるのか。このことは幾たびか承ったこともございますが、きょうまたあらためてひとつ大臣から、石炭の位置づけというようなもの、ひいては大体五千万トン程度というような抽象的な表現であらわされておりますが、こういうものについても御所見のほどを承りたい。
  180. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 まあ五千万トンという具体的なトン数が答申案の中に出ておりますが、その答申案を尊重してそういうふうにきめております。日本のいままでの石炭産業の今日までのあり方、あるいは企業に対する、産業に対する功労、その他今後の日本のエネルギー資源を国内において多少なりとも保有しなければならぬというような問題等々考えまして、五千万トンという数字が出てきたと思うのであります。これは絶対にこれだけは確保しなければならぬ。これが今後の日本の総合エネルギー政策の基本じゃないか、私はこう思っておる次第であります。
  181. 池田禎治

    池田(禎)分科員 その方針を今後施策の上において推進されていくと思いまするが、今度石炭の特別会計もおつくりになりまして、そしてこれは五百二十一億ですか、というような予算の裏づけを出してもらっておりますが、これについて先般福岡で全国の中小炭鉱代表者会議というものがありまして、われわれも、議員みな呼ばれました。これは、そのまま受け継ぎで言いますると、その配分について大きな不満がある。いわゆる大手と中小というものの格づけがたいへんはなはだしい差別じゃないか、こういうことが盛んに数字もあげて論議されておりましたけれども、これはどうなんですか。将来これを手直しする必要があると思っておりまするか。その席上での人の片言隻句をとらえて言うことはどうかと思いますが、政府・与党のほうでも、やはり予算の操作の上においてはある程度の操作上の手心も加えられるんだ、こういうような話もあったので、ある程度胸をなでおろしているんだというような言い方もされておりました。これは特に政府の通産大臣をさしておりませんが、いわゆる政局を担当される方方の言だと言っていました。私、それをあえて取り上げて何か因縁つけるような意味じゃないが、そういうものは今後といえども操作上において行なわれ得るものであるかどうか、こういうことをひとつ承っておきたいと思いますし、同時にまた、中小と大手の配分について、大臣なり石炭局長はこれを妥当と思ってお出しになったんだろうが、しかし、石炭というものは、政策があるといえばある、ないといえばない。ないということはどういうことかといえば、総額の中においていろいろと操作すれば、技術的には全然不可能なことでも、壁が厚くても破れない問題じゃなかろうという石炭の位置づけである、石炭の今後推進していく上の創造力を持ったものである、こういうことも言えば言えなくもないと私は思っております。したがって、そういう点につきましては操作のできるものがあるだろうかどうだろうか、そういうことをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  182. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大手と中小炭鉱との差別的な考え方は全然持っておりません。山の条件が違ったり、あるいは経営の条件が違ったりしますと、したがいましてそれに対する助成の問題も多少違ってまいりますけれども、大手、中小というようなことでわれわれ差別的には考えておりません。  なお、予算の使用の問題については政府委員から答えさせていただきます。
  183. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 先生のいまのお尋ねは、助成策を実施するにあたりまして、これをどのようにするかというような点にあるかと思いますが、御承知のように、今度政府といたしましては石炭鉱業審議会の答申を受けまして、閣議決定もその後いたしまして、四十二年度の予算案に抜本策の全貌を一応実施するという決意のもとに予算を編成したわけでございますが、助成策のおもなものとしましては、御承知のように、元利金等の補給制度とか、あるいは安定補給金制度とか、あるいは坑道掘進等、いろいろなものにつきましての国の助成政策が盛られておるわけでございますが、これらの石炭鉱業に対する助成に際しましては、大臣もただいまお答えになりましたように、私ども、大手だからどうだ、中小だからどうだというような考え方は、事務的にもいささかも考えておりません。そうではなくて、ただこの助成策の必要になりました実態とか、あるいは山の今後の石炭政策をやっていく上にやはり大きな柱であります石炭産業、石炭資源というものを、エネルギー政策の中でどのようにしていくかというような立場から、数年後には閉山のやむなき事情にある炭量のきわめて少ない山とか、あるいは老朽しておりまして一年後に閉山のやむなきに至るような山とか、あるいは今後数十年にわたって豊富な炭量を持っている山、これをどのように維持していくかというような見地から、それぞれの助成策についてニュアンスがあることは、これは差別ではなくて政策上必要なことではないかというふうに考えておりまして、そういうような趣旨から、今後助成策につきましては、基本的には、何ら経営の規模が大きいから、小さいからということでなしに善処してまいりたい、そういうように考えております。
  184. 池田禎治

    池田(禎)分科員 それでは石炭局長にお尋ねいたしますが、今度の助成策の中に坑道掘進費の補助金あるいは安定補給金、これが大きな柱になっておると思うのでありますが、これは坑道掘進費をもらったところには補給金を出さないというふうになるか、あるいはまた、補給金をもらったところには坑道掘進費補助金というものは出ないものであるか、こういうふうに画一的にされるものであるか。それは事実、山の実態に応じて案分なり、あるいは場合によれば、有望な山であるが、現実的にこういう苦痛がある場合には、これは両方併用してもやらなければならぬというお考えにあるものであるか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  185. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 安定補給金につきましては、これは本年度の予算におきましては、主として中小炭鉱と再建企業に限りまして出したいというふうに考えておりますが、安定補給金につきましては、特に中小炭鉱や再建企業の最近の経営事情にかんがみまして支出しようとするものでございますので、特に炭量等の、炭量はどの程度なければいかぬというような条件は必ずしも必要がないことではないか。数年後に閉山する山であっても、今日石炭の生産をしており、とにかく苦難を承知で石炭を採掘しておるという企業には一応出したいというふうに考えております。ただ、先生のもう一つおっしゃいました坑道掘進の補助につきましては、やはり坑道掘進の補助をするというからには、この坑道掘進は数年後の安定出炭のための坑道掘進でございますので、やはり数年後に閉山のやむなきに至るような山の条件の企業に対しましてこれを出しますことは、坑道掘進が完成しましたころに炭量がなくなっておるというようなことでは、何のために補助金を出しておるかわかりませんので、坑道掘進補助をいたしますためには、やはり相当量の炭量がある、しかも今後苦難はありましょうけれども、安定出炭が可能であるというような条件を付しまして、そういう山については坑道掘進補助をするということにいたしたいと思っております。  なお、安定補給金をもらいました山につきましても、ただいまのような条件が合致します場合には、当然に坑道掘進補助もあわせて出し得るというふうに考えております。
  186. 池田禎治

    池田(禎)分科員 たいへんありがたい御答弁でございます。  さらにその次に、私はこういうことをお尋ねしたいんですが、今度の石炭の特別会計では、安定補給金、坑道掘進費の補助助成策、あるいは鉱害対策費、あるいは産炭地振興対策、こういうものが多くの柱になっておるものと思うのでありますが、閉山に伴いまして多くの離職者と、多くのそれに伴うところの産炭地の貧困を来たしておる。市町村の財政もまたしかり。こういうので、これは数年前よりも早くから産炭地振興対策ということの助成も願っておるわけですが、率直に申しまして、大企業ということは少し無理でございましょうが、中核となるべき産業というものが産炭地に、何らないと言い過ぎかもしれませんが、私から言わせればはなはだまれである。ないと言ってもいいのではないか。言うなれば手工業的なものが、いささかそれにかわるべき方法として誘致されておるとか、あるいは施策の一端としては行なわれておる、こう思うんですが、この点につきましては、産炭地域振興助成金も相当にあることでございますし、中核的な産業を誘致する、移行するというようなことについて積極的な行政指導をおやりになる考えがあるだろうかどうか、こういうことをお尋ねしたい。
  187. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの中核産業という問題については、まあ大規模な産業、そして製造産業というような意味に解釈されたらよいと思いますが、しかし、こういう大規模な工場を設けるということについて、やはり立地条件というのが非常に問題になりますので、それには交通の便とかいうようなこともいろいろ考えなければならぬというようなこととなりますので、そう簡単にはいかないと私は思っています。しかしながら、産炭地の振興はどうしてもやらなければいかぬので、いま五カ年計画を各省といろいろ相談して考えておりますので、それによってひとつ産炭地の振興をはかりたい、こういうように考えております。
  188. 池田禎治

    池田(禎)分科員 これは石炭局長にお尋ねしますが、産炭地域振興費というものは余っていると言うとおこられるかもしれませんが、案外そしゃくされていないのじゃないかと思うところもあるのですが、これは必ずしも役所だけに文句を言うわけにもいかぬと思います。自治体もあることだし、県単位のこともありましょうが、それは十分に活用されておらないといううらみもあるように思われますが、その点は過去においてはどうでしょうか。
  189. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 産炭地振興予算につきましては、年々いろいろな新規の事業も加えまして、充実さしておるわけでございます。金が余っておるというようなお話がありましたが、それはおそらく昭和四十一年度——昨年度の後半はまた違ってまいりましたが、前半におきましては、日本経済界全般が少し不況でございまして、そのために、産炭地への企業誘致に際しましても、誘致企業がなかなか来ないというような経緯もありまして、産炭地振興事業団からの融資業務が少し停滞しておった時期があるわけでございます。そういうようなことを反映いたしまして、若干産炭地振興事業団の業務の中で、融資に充てておりました資金に余裕があったという時期があるわけでございますが、しかし先生の御承知のように、昨年下期以来今日まで、日本経済も比較的好調、経済界もわりあいに活発になってきておりまして、最近は資金需要相当ふえてまいってきておりますので、今日の現状におきまして、そうだぶついておるというような事情はございません。
  190. 池田禎治

    池田(禎)分科員 この点につきましては、特にいまひとつ行政指導で——各省にもまたがることでございますが、やはり炭鉱地の人間というものは、これはなかなかおかしなものでして、普通の人間では理解しがたい居住感といいますか、山に対する愛着というか、そういうものがあって、なかなか離れがたいものです。いわんや、それは若い人なら別でありますが、中高年層になりますと、なかなか出ていかないのです。おっても、たいした食う道がなくても、何だか長い間の習慣で出ていけない。その心境というものは、これは一般の人になかなか理解しがたいものがありまして、いまそんなことまで申し上げてもせんないことでありますが、その点では特に行政指導をお願いしたい、こう思っております。  その次には、いま相次ぐ炭鉱の休閉山によりまして、残存しておる鉱区は、そういう休閉山による他鉱から浸入する坑内の出水で非常に大きな被害を受けておるのです。またこれからも、統計的に見ますると、排水費というものが、ところによりましては十倍もかかる、こういうようなものが出ております。私はここに実は詳しいデータを持ってきておりませんが、これは石炭局のほうでは十分御理解いただいておるものと思っております。これはまあ正直に申しますると、その山自体の発生したものでなくて、石炭合理化法に基づく休閉山による他の炭鉱からの被害でございます。これをみずからでもってまかなえということになりますと、せっかく坑道掘進費とか安定補給金だとかいうものをもらっても、これはもうたいへんな単価の高いものになりまして、肝心の石炭を救済するというか、位置づけをするという、こういう大きな保護政策の上から見ると、実はたいへんな結果を生じてくる。これは言うならば、炭鉱の人々はこれを公害、公の被害と言っているくらいで、こういう点についてはずいぶんいろいろと要望してまいりましたけれども、今回の予算措置の中においては、こういう問題は特に款項目をつくって設けられておりませんが、こういう点についてはこれからどういうふうに対処されるお考えでありましょうか。その点は石炭局長でけっこうですがひとつ……。
  191. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 先生の御指摘がありましたように、筑豊地域にもありますが、常磐地域にも同じような例がありまして、周辺の山が閉山しましたために、現に生き残っている山に坑内水が流れ込みまして、そのために生き残っている山の揚水費、電力費等が非常にかさんできておるというような例が各地にあるわけであります。これは私ども前々からこの問題を指摘されておりまして、何か対策はないかということで検討してまいっておるわけですが、これをいま先生は公害とおっしゃいましたが、一がいに鉱業の害ということも言い切れない面もありますしいたしまして、いわゆる鉱害に基づくいろいろな国の助成策の中に必ずしも入れがたい点がございます。それから、そのことだけをとらえましての助成策ということも、いろいろ検討してまいったわけですが、これも、国の助成策をいたしますに際しましては、特に具体的な問題につきましては、やはり一つはっきりした大義名分が必要だというようなこともございまして、実情は非常に気の毒であるということは十分認識しておるわけでありますが、なかなかきめ手になる対策がとれないままに今日まで来ておるわけでございますが、しかし私ども、そういう筑豊地域や常磐地域の休閉山の多い地域について、特に周辺のそういった閉山に伴う生き残り山の費用の増大というような点もありますので、端的な助成はなかなかむずかしいといたしましても、安定補給金制度というような、比較的ばく然たる、しかしこれは石炭鉱業の不況を何とか救済していかなければならぬというような趣旨もあるわけでありまして、そういった助成政策の中でこういった問題もあわせて解決したいというような意味合いから、安定補給金制度をやっていくことも配慮いたしてみたわけでございます。しかし、先生御要望のような端的な助成策というところまでは今日至っていない。その問題については、実情は十分わかっておりますので、なお今後検討させていただきたいというふうに考えております。
  192. 池田禎治

    池田(禎)分科員 これは予算の流用ということは、なかなかやかましい、むずかしい規定がございましょうが、いまのもろもろの助成金の中から、そういうものに流用するということはできるものですか、できないものですか。いまあなたの言うのは、補給金その他においてまかなえということだろうと思うのですが、その他のものをいずれもひっくるめて、その中からこれを充当するという方法はできるものでしょうか、できないものでしょうか。
  193. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 たとえば筑豊におきまして、周辺の炭鉱の閉山のために特に揚水費等がかさんで苦しんでおるというようなことになりますと、その当該炭鉱の経理の悪化という姿で出てまいります。これは常磐地区においても同様でございますが、先ほど来いろいろ議論のありました政府の助成策は、そういった経理の悪化ということに対して、石炭鉱業を今日のままで放置すれば全面的な崩壊の危険もあるというような経理の苦しい事情にございますので、それに対処して、坑道掘進補助とか、あるいは安定補助金制度というものをつくったわけでございますので、経理の悪い面に着目してそういう助成策をやったわけでございまして、坑内水等の費用負担の増大というようなことも、その経営の中にあらわれておりますので、そのものずばりの助成策ではございませんが、経営全体として見ての助成策として配慮していきたい、それが今日の私どものとっておる立場でございます。
  194. 池田禎治

    池田(禎)分科員 来年のことを言うと鬼が笑いますが、これは特に本年度の後半からは顕著なものが数字的にも具体的にもあらわれてくる。しかも、それは相当な金額になってくるので、したがいまして、それが今日の助成金だけでまかなえないということになれば、これはやはり休閉山をするということになれば、おそらく常磐でも同じと思いますが、今日残存しておる山がそれによって倒れるとするなら、全部の山は、これは閉山をせざるを得ぬ。一鉱も残らず、特にその中心部の数鉱が倒れたということになりますならば、あとのもっと小さいところ、残ったものも全滅、これはいかに力んでも、その周辺の炭山というものはことごとくやめざるを得ない、こういうことになる。私はこれは決して誇張でなくそう思っておりますので、このことは、今日の補助政策とまた別個に通産省としても大きな考慮を払わなければならぬじゃないかと私は思っておりますが、そういう先のことを言うと、さっき申しましたように鬼が笑うか知りませんが、そういう将来の展望について、ひとつ局長のお考えを伺いたいと思います。
  195. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 先生のおっしゃいますように、特に閉山の多い地域におきまして、残っております山が、先生のおっしゃいますような排水というようなものが年々増大していく傾向にあることは事実でございまして、私どもそういった点も十分実情を把握しておるつもりでございますので、しかし、本年度から石炭鉱業に対しましては相当大きな助成策を講ずることにいたしましたので、そういった点等もにらみ合わせまして——先生のおっしゃる今後の趨勢、これは事実だと思いますので、そういった点ともにらみ合わせて検討してまいりたいというふうに考えております。
  196. 池田禎治

    池田(禎)分科員 最後に、私は鉱害問題でお尋ねしたいのですが、いま全国で石炭の鉱害によるところの被害というものを大体大づかみにして、どの程度予算を必要とするものであるか、こういうことで数字がおわかりになっておるのでしょうか。大まかでけっこうです。
  197. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 昨年、全国鉱害量調査をいたしたわけでございますが、全国の残存鉱害といたしましては、これは今日の段階で、未安定の鉱害も含めまして大体六百億余りというふうに考えております。
  198. 池田禎治

    池田(禎)分科員 これはずばり申しまして、今日の石炭鉱業の鉱業権者には、鉱害を全面的に支払うところの能力は私はないと思うのです。しかも、これは言うならば、へ理屈でなくて、国の要請に基づいて石炭を掘ってまいった、そういうものに伴う被害、これもまた当然見なければならない。極端なことを言いますると、私は、全額国が負担して、そうして原形に復旧さすべきだ、そう言ってもたいして乱暴な言い方じゃないとさえ思っております。今度の鉱害対策費におきましても、ずいぶん率は上がっておりまして、はなはだけっこうなことだと思っておりますが、それは将来、これはあなた方がお考えになっても、大蔵省が金を出さなければしょうがありませんが、大蔵省のほうでもそのくらいのことは見なければいかぬのじゃないか。全国で六百億程度ならば、そうたいして国がひっくり返るような問題でもありませんし、そういう方向に進むというふうには進まぬものですか。それは大体どういうふうな状態でございましょうか。
  199. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 先生は非常に現地の実情に明るい方でございますので、私から申し上げるまでもありませんが、たとえば農地の鉱害につきましては、国は昨年までは八三%の補助、これは無資力につきまして。有資力につきましても相当高い国の負担を負って鉱害復旧に当たっておるわけでございますので、本年度からさらにこの無資力につきましては国の補助率を高めるというような措置もやったわけでございます。国は相当高率の負担をいたしておりますので、特に有資力者の場合は、先生も御指摘のように、経営状態は、先ほど私申しましたように、非常にいま苦境にありますが、したがいまして、鉱害の負担というものが大きな圧迫になっておることは事実でございます。事実でございますが、だからといって、鉱害賠償理論からいたしましても、ある程度持たぬというわけにもいきません。そういった意味合いで今日一部負担をしておるわけでございますが、私ども石炭行政をやっておる立場から、特に石炭鉱業の今日の経営の現状という点から見ますれば、先生のおっしゃるとおりのことを要望したいというふうに考えますけれども、これは広く国全体の立場から見ますと、これも簡単にはそうも言い切れない面もございますので、さらにこの抜本策の実施を機会に、石炭鉱業の今後の経営内容、状態等もにらみ合わせて、そういった点についても十分対処してまいりたいというふうに考えております。
  200. 池田禎治

    池田(禎)分科員 無資力鉱害、いわゆる無権者鉱害というものについては、大体全体の比率から見ればどの程度あると見ていいものですか。
  201. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 私、先ほど、まだ安定しない鉱害も含めて残存鉱害は約六百億と申しましたが、安定鉱害をかりに約五百億程度というふうに見ました場合に、約百億余りというのが今日の無資力鉱害の現状でございます。
  202. 池田禎治

    池田(禎)分科員 もう私時間が来ましたので、打ち切りますが、最後に、通産大臣にちょっとこういうことを申し上げて、あなたのお考えを伺いたいと思います。  昨日、私は、隣の第四分科で、建設の中におきまして、関門架橋の建設の見通しとその予算化、そういう計画を承りました。これは言うならば世紀の事業でございます。しかもこれは本州と九州にまたがるものでありまして、特にその地帯におきましては、炭鉱の休閉山による離職者というものが非常に多いわけです。あるいはまた一面、先ほど申し上げました産炭地振興に基づくところのいろいろの産業というものを誘致して、それらの失業者を救済し、かつ吸収して、そしてやっておるわけです。そういうものについて、労働力なりあるいはそういうものの生産しておる製品を使う意思があるかどうか、国の大事業であるから、そういうこともひとつ国の保護政策の中で考えてもらえるかと言ったら、建設大臣は、それは喜んで、そういうものにどういうものがあるか知らぬけれども、使えるものがあればいたしましょう、こういうことでした。私も大いにお願いしておきましたが、通産省においても、そういう点について私も、実は何と何が製品であるか、そういうこともつまびらかにしておりませんが、労働力にしても、橋をかけるという問題ですから、簡単に炭鉱の離職者を使うということも無理だということもわかりますが、両面をあわせて、その労働力なり産炭地振興による生産製品というものが、そういう国家的事業に使われるということは、きわめて私は望ましいことである、こういうふうに思っておりますが、このことは要望であると同時に、通産省におきましても当然そういう問題については万般の御配慮をお願いしたいと思います。大臣のお考えをひとつこの際承っておきたいと思います。
  203. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御趣旨の点は、私も全く同感でございまして、できるだけそういうような方針をとって、それに従って炭鉱問題の対策の一助にしたいと考えております。
  204. 池田禎治

    池田(禎)分科員 どうも委員長、ありがとうございました。
  205. 野原正勝

    野原主査 大原亨君。
  206. 大原亨

    大原分科員 物価の問題に関係をいたしまして、これから二、三具体的な問題を質問いたします。  第一は再販制度の問題であります。公取の人見えてますか。——それでは水産庁。というのは、これは水産物の輸入に関係いたしておりますから。カズノコのことです。  まず、水産庁にお尋ねをしたいのですが、昨年、私は、農林水産の関係で、分科会で、いろいろカズノコの生産量と輸入量との関係を議論をしながら、ニシンの捕獲をする漁民の保護と、それから国民の消費者の立場と、そして貿易、特に沿岸貿易、シベリア貿易等、当時の情勢を例に引きながら、貿易拡大、輸出入拡大という観点からの国の利益の問題、そういう貿易の問題の三つから考えてみて、やはり当時の、昨年、昭和四十一年の正月ごろまでは、少なくともカズノコというのは、戦前その他戦後は非常に国民になじんでおったけれども、だんだん非常に貴重品になって、食料品売場にはなくなった。あるいは吹原産業の問題があったときも、吹原弘宣という人が有力者に百貨店から五十万円のカズノコを贈ったということが雑誌に出たりいたしまして、非常に貴重品であって、カズノコは貴金属である、こういうふうにいわれた。宝石商のところに行かないとカズノコはない、こういうことがいわれておった時代があったわけです。その当時、その議論をいたしまして、そしていろんな点を考えながら、カズノコの値段を下げるように措置をするということを農林省はお約束になったわけでありますが、昭和四十年から昨年四十一年にかけまして、生産量と輸入量の関係についてひとつお答えいただきたい。
  207. 山中義一

    ○山中政府委員 ただいま先生からいろいろお話しございましたように、昨年、生産と輸入の点につきまして前長官がお答えいたしたのでございますが、そのときの答えにもございましたように、御案内のとおり、ニシンは戦前は非常に多くとれましたが、戦後は、これはいろいろ議論はございますけれども、一応水産庁としては自然環境の変化というふうに考えておりますが、漁獲量が激減いたしまして、八分の一から十分の一くらいに減ってまいったのでございます。したがいまして、カズノコの生産数量も非常に少なくなった。それを今度は輸入をするという点になりまして、いままで北海道の非常に多くの沿岸漁民がニシン漁業に従事いたしておりましたが、これらもいろいろ沿岸振興あるいは構造改善というような点でかなり他の漁業にも転換いたしましたが、なお零細なものでなかなか転換し切らぬものもまだ若干残っております。また一方、ニシンの系統群と申しますか、群れがいろいろおもしろい動きをいたしまして、現在は北海道の厚岸湾、あの付近がかなり局部的な豊漁に恵まれております。なお、北海道の道庁あるいは関係漁業者といたしましても、ニシンの値段あるいはカズノコの値段が相当高くなってまいりましたので、さらに積極的に沖のほうへ出かけていってニシンをとるという考え方相当強く打ち出し、ことしあたりは北海道庁といたしましても、樺太の北のほうのあたりまでもニシンをとりに行く、これは刺し網でとるわけでありますけれども、それの船を百二十隻余りも新たに許可して出そうというふうに考えております。  それから、いまの輸入の点でございますが、これは二つの方法と申しますか、種類がございまして、卵を持っておるニシンをそのままニシンとして、なまニシンあるいは一塩ニシンというような形で輸入いたしまして、その中からカズノコを取り出すという方式、それからもう一つは、ずばりそのもののカズノコを輸入する、こういう行き方とがございます。しかし、卵を抱いておるニシンをそのまま輸入するという点の問題では、北海道の零細な沿岸漁民との競合もありますので、その辺で輸入数量はごくわずかしかふやすわけにはまいりません。今年あたりも四千五百トンという数量を割り当ていたしております。  それから、いまのカズノコそのものを輸入する方式でございますが、これはかなりの程度弾力的に考えまして、四十年、四十一年の割り当て数量、これは通産省と相談してやるわけでございますけれども、この割り当て数量等も、四百トンまでも入れるようにワクは割り当ててあるわけでありますけれども、現物はなかなか——御案内のとおり、諸外国におきましてはカズノコというようなものをほとんど利用をいたしておりませんので、その製法その他も十分でなく、局部的にはかなりいいのもあるのでございますけれども、現在ソビエトから最も多く、ソビエトも四十年から初めて輸入いたしたわけでありますが、去年は百トンをこえて百十数トン輸入をいたしております。そのほか、アメリカあるいはノルウエー等から入れておりますけれども、これらの数量はソビエトに比べてきわめてわずかでございます。  数量的に申し上げますと、いまの輸入のものと、それからニシンから取り出したものを加えまして、これは若干推定も入っておりますが、四十年が千百十トン、四十一年が千三百五十トン、四十二年が約千六百トン前後というふうになっております。
  208. 大原亨

    大原分科員 昭和三十九年に、私どもが成田書記長なんかと一緒にハバロフスクに行ったときに、カズノコを捨てておるという話を聞いたものですから、日本はカズノコが非常に高いから、カズノコをつくって日本輸出して、日本からものを買ってくれてはどうかという議論をしたことがあって、日本へ帰っていろいろ聞き、また向こうでいろいろ聞いたところでは、日本政府が輸入してくれれば、カズノコはどうせ捨てておるのですからつくりますよ、こういう話でした。そこで、輸入のワクをふやしたけれども、四百トンのワクをふやしたが、それまでいっていない、四百トンのワクがあるけれども、そこまでいっていない、昭和四十一年は。そういうお話があるのですが、カズノコだけの場合どのくらいいっておるのですか。
  209. 山中義一

    ○山中政府委員 四十年は数量、トン数で申し上げますと、二百八十一トンでございます。
  210. 大原亨

    大原分科員 ことしの生産量の見込みはどのくらいですか、国内生産は。わからぬですか。
  211. 山中義一

    ○山中政府委員 本年は、幸いいまの厚岸ニシンが相当豊漁でございましたのでふえるわけでございますけれども、まだはっきりした数量を申し上げるほどの資料を持ち合わせておりません。
  212. 大原亨

    大原分科員 カズノコの値段は、昭和四十から四十一年にかけてどのくらい下がっておるのですか。
  213. 山中義一

    ○山中政府委員 値段のことを申し上げますと、これは一例でございますが、東京都の中央卸売り市場の価格でございますが、これで申し上げますと、三十八年、三十九年あたりが二千三百九十二円、二千三百七円と、三十八年三十九年にかけまして幾らか下がったのでございますが、先生指摘の四十年は、一番高くて三千百七十五円でした。しかし、昨年度は二千百三十七円と、一挙に千円以上も下がってしまって、一部輸入した者の中には痛手を受けたというようなことも聞いております。
  214. 大原亨

    大原分科員 それで、生産者、国内の漁民の立場考える必要がある。それから国民の消費者の立場考える必要がある。あるいは貿易を考える、国の利益を考えるという立場考えながら、総合的な対策を立てる必要があると思うのですが、しかし、生産漁民としても少ないものを売るとたくさんもうかるからというだけでは理由にならない。しかも、それに便乗して取引業者が暴利をむさぼる。これはいろいろ高く売りつける材料にしておるのですから、そういう点からいくと、かなり供給量をふやしていくならまだまだ下がるのではないか。ことし、昭和四十二年の正月にはやや安いカズノコを食べたわけであります。私はあんまり好きでないから食べないけれども、値段は下がった。まだもう少し下がってもよろしいのじゃないか。そういう下げるような政策を私はやはりとることはできると思うのですが、その点に対するお考えをひとつお聞かせいただきたい。
  215. 山中義一

    ○山中政府委員 確かに先生のお説のとおり、われわれ水産庁といたしましても、生産者漁民の立場はもちろん重要視しなければなりませんが、一方消費者の立場考えまして、輸入ワクの割り当てその他については、通産省とも打ち合わせの上、遺憾のないようにしてまいりたい。なるべく下げていくようにしてまいりたい。特にこれは、品薄となっておりますカズノコそのものについては、ワクは弾力的に割り当てしてまいりたい、このように考えております。
  216. 大原亨

    大原分科員 次に、公取の関係をひとつ……。  昨年来国会におきまして非常に議論となっておりました再販制度の問題ですが、再販の問題は、常識的に今日国民立場考えた場合には、メーカーが薬局や小売り店あるいは洗剤、化粧品の小売り店の値段をきめ、そして消費者に対しても一方的に押しつける、こういうことなんかは不届きしごくな話であります。これは全く独禁法の精神からいいましておかしいと思うのです。それにつきましては、経済企画庁を中心とする物価懇談会その他各方面の議論もあり、国会でも議論したところでありますが、公取の取り扱いによりまして、再販で削除した品目あるいは再販から除外した品目、あるいは残っておる品目について、ひとつ概略をお答えいただきたい。   〔主査退席亀岡主査代理着席
  217. 北島武雄

    ○北島政府委員 再販売価格維持契約制度というのは、御承知のとおり、昭和二十八年の独禁法の改正で認められたものであります。一定の場合に、メーカーが小売り値を指定して、そうしてそれを言う値段で売らせる、そうしてもしそれを守らなければ荷どめなどを認めるというような制度でございます。これはもちろん独禁法的考え方から申しますと、いわゆる縦のカルテル、競争制限行為には間違いないわけです。独禁法の本来の立場からいえば、確かに異質なものがあるわけでございますが、一方再販売価格維持契約ということは、各国におきましても昔から行なわれており、それはいろいろ考え方はあるわけでございます。いわゆる商標品につきましては、えてしてそれがおとり廉売などに使われやすい。そうすると、それがメーカーの信用を棄損するだけでなく、末端の小さな小売り業者の正常な事業活動を阻害するおそれがある、こういう二つの理由がありまして、各国でも制限をつけてある程度認めておるという現状でございます。昭和二十八年にわが国でも独禁法を改正して認めたのでございますが、最近物価問題にからみまして、消費者側から言えば非常にぐあいの悪い制度であるというので大きく浮かび上がってまいりました。この再販売価格維持制度のメリット、デメリットというのは、なかなかはかりにかけるのがむずかしいわけでございます。私どもとしては、独禁法の本来の精神から言って、そういうのはできるだけ認めないほうがいいのではないか。ただ、いままで公正取引委員会は非常に手がございませんでしたので、たいへん申しわけない事態ではございますが、一昨年あたりまではたった二人の人間でもってこの仕事を取り扱っておった。したがって、規制も十分でないということで、昨年から規制を心がけまして、昨年の二月でございますが、従来九品目認めておりましたのを三品目削除いたしまして、一品目につきましては範囲をきわめて限定して今日に至っております。現在認めております商品は、著作物は別格といたしまして、公正取引委員会の指定する商品といたしましては、化粧品、染毛料、それから家庭用石けん——これは洗剤も入るわけです。歯みがき、それと医薬品、もう一つ海外旅行者向け免税用の写真機、この六品目になっております。昨年来実はいろいろ問題がありまして、当初九品目ございましたうち三品目削除し、一品目の写真機につきましては、一般的に全面的に認めておりましたのを海外旅行者向けのものに限る、こういたしたわけでございます。現在の品目はただいま申しましたように六品目、こういうふうになっております。
  218. 大原亨

    大原分科員 三品目を削除された。その三品目は、いま写真機についてはあったわけですが、全面的でありませんけれども、三品目を削除された品目と理由について……。
  219. 北島武雄

    ○北島政府委員 削除いたしましたのは、雑酒、キャラメル、それと既製えりつきワイシャツ、この三品目を去年の二月十四日の告示でもって削除いたしました。これは施行以来事実上あまり行なわれておらないということで、ただ、こういう問題になってまいりましたときに残しておきますと、それを再販売価格維持契約を実施するおそれが多分に出てまいりましたので、とりあえず従来あまり行なわれておらなかったこの三品目については削除したということでございます。
  220. 大原亨

    大原分科員 それでは、昨今新聞などにも若干出ておりますが、今度残っておる六品目についてだけに限定されるわけではございませんけれども、再販売価格維持制度について、特に今度改正する改正点につきまして、ひとつその考え方のおもな骨子だけをお話し願いたい。
  221. 北島武雄

    ○北島政府委員 最近公正取引委員会といたしまして大体の構想がまとまって、ただいま各省と折衝しておる段階でございますが、ただいままでの考え方を申しますと、まず第一段階といたしまして、再販売価格維持行為というものの範囲を明確にしたということであります。それを全面的に取り上げて原則として禁止する。現在は独禁法で、いわゆる再販売価格維持契約は、不公正な取引方法の不当拘束条件つき取引に当てはまると私とは解釈しております。その再販売価格維持契約以外に実際上の再販売維持行為というものが行なわれておる。これは現在の独禁法ではどうもそっくりそのまま入らない疑いが多分にございますので、一応再販売価格維持行為を列挙いたしまして、それをともかく原則として禁止するということが第一点。ただし、例外として、著作物と公正取引委員会の指定した商品についてはこれを認める。しかし、公正取引委員会の指定した商品についても、現在におきましては契約が成立したら届け出さえすればよかったわけですが、これを登録の要件を書きまして、公正取引委員会の登録簿に登録しなければ再販売価格維持契約ができない。再販売価格維持契約をするためには登録簿に登録することが必要である。その登録要件といたしまして、再販売価格維持のために必要な限度を越えないとか、あるいは一般消費者の利益を不当に害することがあってはならないとか、こういった要件を考えまして、それに当てはまるものでなければ登録しないということが要件になっておるわけであります。そして登録いたしましたものについては、再販売価格維持契約の内容を登録簿に載せまして、これを一般の閲覧に供するという点が一つの骨子でございます。これによって、消費者の監視、それからメーカーの自粛、こういった面のねらいがあるわけでございます。  それから、この再販売価格維持契約法律的に認めた、ただいまの著作物なり指定した商品で登録したものなり、こういったものについては、法的に認めた再販維持であるということを表示させる、それから、その小売り定価も表示させる、こういったことも考えております。  それから、なお、実施の過程におきましても、必要な資料を徴収して、はたしていま言ったような登録の要件に当てはまっておるかどうかということを随時監視して、もし登録の要件に当てはまらなくなった場合には登録の取り消しを行なう、こういった考えです。  それからまた、消費生活協同組合等、これは適用除外になっておりますが、これらの十四団体に対しては従来どおり再販売価格維持契約を結べないということを通告するとともに、この十四団体が再販売価格維持契約に応じないということを理由として取引を拒絶するということは違反行為である、まあこういうふうなことをはっきりさした、こういうふうなことが大体の考え方です。
  222. 大原亨

    大原分科員 これについては、なまぬるいとか、あるいはきびし過ぎるとか、いろいろな議論があるでしょう。あとで時間があれば問題点を申し上げるのですが、これは相当妨害もあると思うのです。これは国会にはいつごろ出るのですか。
  223. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま各省と調整をはかっておりまして、今月の末から来月にかけまして法制局のほうを経まして、五月の半ばごろには国会で御審議いただけるようにいたしたい、こう考えております。   〔亀岡主査代理退席、主査着席〕
  224. 大原亨

    大原分科員 通産大臣はどう思われるのですか、いまの改正の議案について。
  225. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私もいま初めて公取委員長から承ったのですが、いまのお話であれば、大体私、賛成です。
  226. 大原亨

    大原分科員 経済企画庁は物価政策を進める官庁ですが、これに対してはどうお考えになっておるか。
  227. 中西一郎

    ○中西政府委員 一昨日事務的な御連絡を受けまして、その後検討を進めております。検討の視点としましては、現行法で運用上どういうふうな問題点があるか。それと、かねていろいろな議論が出ておる点から、新しい法案がそれと比べましてどういうふうに機能するか。現行法の運用面を詰めることが一つと、新しい法案の新しい観点というものとを比較検討してみたい。まだ結論までには至っておりません。
  228. 大原亨

    大原分科員 そんな大臣答弁するようなことを言って、あなたは菅野さんが答弁するよりもまだ悪いじゃないですか。あなたの言うことは具体性がない。これは物価問題懇談会の答申があるじゃないですか。これを尊重しますとおたくの前の藤山経済企画庁長官が言っておるでしょう。その中にはまだひどいのがある。これは北島さんがはっきりお話しになったやつをだめだというのがあるのです。いいところと悪いところを検討してから態度をきめますという、そんなどろぼうをつかまえてなわをなうみたいなことでなく、こういう点はこうだというぴしゃっとした意見を出してください。ようございますか。
  229. 中西一郎

    ○中西政府委員 物懇提案のいろいろな諸項目で、現在の法律でも実行できる面が相当あるんじゃないかということが一つです。新しい法案が、これからいろいろ動くとは思うのですけれども、出た場合に、物懇提案のものと照らし合わせてみてはたして十分であるかどうかという点を詰めてみませんと、現段階ではちょっと何とも申し上げかねます。
  230. 大原亨

    大原分科員 それじゃ経済企画庁に問うてみますが、いままでの再販制度の一番大きな欠陥は、たとえば薬の場合を例にとってみてもそうです。化粧品の場合もそうですが、つまりコストと関係なしに届け出だけでいまきまっておるということなんです。消費者の立場、薬局の立場考えられない。そこからいろいろな弊害が出ているのです。リベートの問題も出ているのです。誇大広告の問題も出ているのです。それから抱き合わせの問題も出ているのです。そういう一切の弊害が出ているのです。それは消費者の立場に立ってみると、全く競争されていない形、そういうかっこうで競争がよそへそれているのです。その負担を消費者にだけかけて、これが物価の形ではね返ってきているのです。一つの問題をとってみればそうです。その点は物懇も指摘しているのです。適当なコスト、マージンの問題、これを事前においても事後においても審査をして、国民立場に立ってチェックするような方向がないところに、リベート、抱き合わせ、ノルマ、いろいろな弊害が出ているのです。このことははっきりしているのです。そのことについて、あなたは経済企画庁として、国民生活局として、これについて十分検討していないということになる。それを改めるにはどうしたらいいかということであって、自由な競争の中において消費者にもサービスできるようにするにはどうしたらいいか、こういうことじゃないのですか、全く逆のことで、市場占拠のシェア競争をなされておるところに再販制度はさか立ちしておった、こういうことがあった。菅野通産大臣はうなずいておられるが、一応北島さんの話に了承されたような御答弁だったが、あなたのほうはまだ海のものとも山のものともわからぬということだけれども、再販制度は物価の問題に関係してどのようなところに問題があるか。でなかったら、宮澤経済企画庁長官を連れてきなさい。いかがですか。
  231. 中西一郎

    ○中西政府委員 物懇提案の中で、今度の法案に十分盛り込まれておるものと盛り込まれてないものがあるんじゃないか、その辺の仕分けをいまいたしております。で、その仕分けの上で現在用意されておるものが十分であるかどうかということを検討いたしておるわけで、再販制度が現状のままでいいというふうには考えておりません。消費者の利益をより確保するという視点で検討をいたしております。
  232. 大原亨

    大原分科員 北島さんのほうから、改正案の骨子といたしまして価格の表示という問題があるのです。数項目の中で登録公開とか価格の表示とか十四団体除外とかということをいまお話しになりましたが、価格の表示の場合には、新聞論調その他にもちょいちょい出ておりますが、対象品目にした場合は、国民立場に立った相当きびしい事前、事後の審査が要る。手が足りなかったという理由もあるでしょうが、いまその一つとして製造原価は——私はやはり製造原価そのものずばりというわけにはいかぬと思うが、製造原価その他経営上必要な原価について、これを公表すべきではないか。少なくとも再販によって保護を受けるという場合においては、国民立場に立てば製造原価を公表すべきではないか。この点いかがですか。
  233. 北島武雄

    ○北島政府委員 私どものただいまの考え方は、大体物価問題懇談会の提案の線に沿って考えております。現段階のマージンなどを審査して、これを公開するということでございます。各段階のマージンは、これは登録事項に入っております。ただそこで、各段階のマージンを審査して登録する場合に、一般消費者の利益を不当に害することとなるとか、あるいは再販売価格のその付帯条件として、再販売価格の維持のために必要な限度を越えておる、こういったことがありますれば、これは登録拒否の事由になるわけであります。  ただ、お話しの原価計算、コストの点につきましては、この点は実にむずかしい点があると私ども考えておりまして、個別の原価計算については、はたしてそれが適正なものがとれるかどうか、かえって個別の原価計算をとることによって誤認させられるおそれも多分にありそうな感じもいたします。総合的原価計算、損益計算、これは楽なわけでありますが、個別原価計算のときには、これは登録すること自体がはたして適正なものが得られるかどうか、これは私どもたいへん疑問に思っております。ただいまのところ原価計算の登録ということは、これは期も違うわけでございますので、登録は必ずしも適当ではない、こういうふうに考えております。
  234. 大原亨

    大原分科員 それから、いまの十四団体の除外というのがありましたが、値引きの販売を一般小売り商がしょうと思った際にメーカーがチェックするわけです。この値引きの販売については、私は、小売り店の企業努力によってできる場合には、認めることが原則でなければならぬと思いますが、いかがですか。
  235. 北島武雄

    ○北島政府委員 たとえばメーカーが定価をきめますね。これは別に指示価格でない。これで売らないと荷どめをするとかそんな問題ではないけれども、希望価格、推奨価格という問題があるわけであります。たとえ希望価格であるにしろ、それ以下の値段で売ったら荷どめするということになると、これは再販売価格維持行為というふうに考えまして、規制の対象にいたします。禁止行為にいたします。
  236. 大原亨

    大原分科員 いままでいろいろ議論になりましたが、特に薬局や小売り店の立場で、薬品や洗剤やその他一般に議論になっている化粧品もそうですが、薬については抱き合わせ販売、目玉の薬品を中心として抱き合わせて販売をさせてノルマを課する。そうすると、利用者、消費者の立場に立ってこれはいいというふうな薬でなくても、ノルマを果たすために抱き合わせの品物を売りつける、こうして消費者の利益を害するということで、小売り店からも、消費者からも、薬局からも文句が出ておったわけであります。そういう抱き合わせ販売や、あるいはノルマを課するということや、あるいは一千錠売ったら一千錠のリベートをやろうとか、あるいは金銭でリベートをやろう、しかしノルマを課しておるから、ノルマ全部を消化しないとリベートをくれないということで、馬の鼻先にニンジンをぶら下げてやっていくのと同じで、とにかくそれで小売り店を釣っていく、そして販売高を高めていく、こういう逆立ちをした販売競争、そういう抱き合わせやノルマやリベートの問題については解消できる措置をとるか、こういうことですね。
  237. 北島武雄

    ○北島政府委員 これは、たとえば現在再販売価格維持契約に伴いまして、お話しのような、抱き合わせとかノルマ強制とかいうようなことが行なわれている例がございます。こういったものは、再販売価格維持契約の付帯契約ということにいたしまして、登録申請の際にそれを徴求いたします。徴求いたしまして、それがはたして再販売価格維持行為のための必要限度の行為であるかどうかということを審査いたします。それがもし必要な限度を越えておれば登録を拒否する、こういうふうに考えております。
  238. 大原亨

    大原分科員 それから指定品目の指定ですね。公取が指定品目を指定するにあたっては、いままでのように届け出をしたというだけのことにはならぬけれども、これはやはりもう少し厳重にやるというたてまえでやるべきじゃないですか。たとえば化粧品にいたしましても、洗剤にいたしましても、石けんにいたしましても、このために消費者が保護されるとか、品質が保証されるということはない。たとえば薬の場合にいたしましても、ドリンク用というものは、いまは、駅頭にいたしましても何にいたしましても、みな同じようなものが一ぱいある。片一方は物品税を払っておるが、片一方は医薬品ということで物品税を払っていない。百ccのドリンク用というものは、ハチみつを入れて、それから目ざましのカフェインか何か入れている。わずかの価格のものをほんとうに宣伝で売るというようなものは、これはアメリカなんかでは非常にやかましくなっている。あれをがぶがぶ飲んだからといって、からだがよくなるということはありはせぬ。そういうドリンク用なんというのは、薬品として保護するというたてまえからいえば私は除外すべきだと思う。これは日本的な特殊な例ですよ。私は、できるだけ対象品目はしぼっていって、これだけは消費者の立場考え、コストも考え、そしてメーカーだけの利益ではなく、消費者の利益にもなるようにということを考えながら、厳選主義で臨むべきではないかと思う。同じ薬品にいたしましても、十ぱ一からげでやるべきではないんじゃないか。薬務局からも見えておるはずですが、これはいままでの行きがかりもあるでしょう、いろいろなことがあるでしょうが、それにいたしましても、私は、そういうものについては厳選主義で臨むべきじゃないか、こう思いますが、いままでの経験に基づいて、指定品目についてのいまのお考えはいかがですか。
  239. 北島武雄

    ○北島政府委員 私も、公正取引委員会が商品を指定する場合には、きわめて厳格でなければならぬ、こういうふうに考えております。したがいまして、この一年来ずっと指定品目の申請がありますけれども、現在全然そういうものは指定するつもりはございません。現在指定しておるものをいかにしぼっていくかというのが目下の段階である、こういうふうに考えております。したがいまして、新法に移行する前におきましても、現行法によってはたして現在の指定がいいかどうかというのは、やはり十分見なければいかぬと思います。
  240. 大原亨

    大原分科員 経過の期間はたしかに必要だと思うのですよ。現行法から新法に移っていく経過期間は必要だと思うのです。しかしその経過の期間を越えて新しい法律を適用する際には、新たな角度で、現在残っておる六品目についても、十分いままでのいろいろな欠陥その他を指摘をしながら厳重にやってもらいたいと私は思いますが、いかがですか。
  241. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま申しましたように、現在指定する商品につきましても、はたしてそれが適当であるかどうか、十分検討いたしたいと思います。
  242. 大原亨

    大原分科員 それから通産大臣、このことに関連してあともう一つあったのです。それは電気料金の問題。電気は下げられるという話を私はしようと思ったのですが、きょうは時間がないから別に譲りまして、これに関連して洗剤ですね。ぼくは前にも言ったことがあるのだが、三木通産大臣は、洗剤をハード型からソフト型に切りかえていく、こういうことを答弁されたのです。ハード型からソフト型に切りかえていく。ソフト型でもいろいろ議論があるのです。これは北島委員長も御迷惑ですが、わずかで済みますから聞いてもらいたいと思うのですが、ドイツなどでは中性洗剤の中のABSは禁止しているのです。これは最近も衛生局の関係で、薬務局ではないのですが、広島県はかまぼこの業者がおるわけですが、かまぼこの中にABSが入っていたというので、生産を中止したことがあるのです。出荷停止をしたことがある。ABSの害に対する見解が非常にまちまちなんです。これはまた私は厚生省の関係その他でABSについてやりますけれども、これは非常に議論がありまして、科学技術庁が研究委員会を設けましてやったわけです。しかし、業者の抵抗が非常にひどくて、資料なんかにいたしましても、私はいろいろな納得できない資料があるわけですけれども、結論は私は持っているわけではありませんが、そういうことがあるのです。それらいろいろな議論の中で、ハード型をソフト型に切りかえていく。ハードというのは分解しがたいという意味です。ソフトというのは分解しやすいという意味です。分解しがたいハード型のほうは、これは赤痢や腸チフスその他の細菌をかかえまして、たとえば流れてきますと、不純物とともに地中に入って、井戸水へ入って、それが赤痢の原因になるということ等でやったわけです。私はそういう点について、つくって売ればいいという観点ではなしに、これは日本においても相当検討すべき段階であると思うのです。ハード型よりもソフト型が分解しやすいのですから、土地をろ過する、その他の浄化方法をもちましては、これは早く分解をするけれども、これについても議論はある。しかし、ソフトのほうがよりよいということは言える。しかし、ソフトでも最近では禁止しているところがある。ABS自体の問題ですから、これは外国でもそういう例がある。そういうことで、いままで三木通産大臣はハード型をソフト型に切りかえていくのだというふうに言われたのですが、これは政府委員でよろしいが、私はこれはまだ抜本的な、根本的な対策の議論があるわけですけれども、それにいたしましても、その傾向はどうなっておるか、最近の生産状況はどうなっておるか、伺いたい。
  243. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいま御指摘のございましたように、ハード型からソフト型へということを、実は私のほうの軽工業生産技術審議会というのがございまして、そこで専門の方にお集まりいただきまして、分解度等の関係について検討いただきまして、やはり先ほどお話ございましたように、ハードからソフトへということはぜひやるべきである、こういう御意見をいただきまして、大体五カ年間で現在の総洗剤量の八割程度のものをハードからソフトへ転換しよう、こういうふうな実行計画になっておるわけでございます。
  244. 大原亨

    大原分科員 五カ年間というと、いつからいつまでやるのですか。
  245. 吉光久

    ○吉光政府委員 四十五年でございます。四十五年までに八割程度のものは——これは洗剤といいましても、食器等に用います衛生関係の中性洗剤は別でございますけれども、洗たく等に用います洗剤につきましては約八割をソフトのほうに転換しよう、こういうことで現在実行計画を組んでおる段階でございます。
  246. 大原亨

    大原分科員 食器やくだもの、野菜に用いるのは別だということは、どういうのですか。
  247. 吉光久

    ○吉光政府委員 実は、食器等の洗剤につきましては、私どもの所管ではなくて、厚生省のほうで所管いたしておるものでございますので、これは別途厚生省のほうで御検討中であろうかと思います。
  248. 大原亨

    大原分科員 それは生産については通産省でしょう。そうじゃないですか。洗剤工業の生産についてはやはり厚生省が指導しているのですか。おたくのほうがやらないと、これは変えることはできないでしょう。
  249. 吉光久

    ○吉光政府委員 生産を含めまして厚生省でやっております。
  250. 大原亨

    大原分科員 それはおかしい。ちょっと納得できない。  それはそうといたしまして、これは私は別に問題を持っているのです。外国の例等を見まして、これは非常にきびしい問題を持っております。それはそれといたしまして、とにかくABS等にいたしましても非常に大量生産できるようになったわけです。それで採算を考えながら通産省はやっているのだと思うのですが、しかし、国民の健康とか、いわゆる公害というようなことからいえば、非常に大きな問題があるわけです。しかし、これは再販の制度の問題とは直接関係ありませんけれども、しかし、ソフトあるいはハードというようないろいろな問題がございまして、一律には価格においてはいけない。ソフトのほうが有機物を使っているからコストが若干高くつくのだろうと私ども思うのです。  そういう問題等ございますけれども、私は再販の制度については慎重におやりいただきたい。幸いに、通産大臣も公取の考えについては原則的に了承だ、こういうことですから、他の業界その他の一方的な圧力を排除して十分やってもらいたいと私は思います。この点は、業界の代表ではないけれども、指導に当たられる通産大臣からもう一回最後に御答弁いただきまして、私の質問を終わります。
  251. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 消費者の利益をはかるということですが、通産省といたしましては、安いものを安く、また需要に応ずる量をつくるということが通産省の指導精神ですから、したがいまして、いまの問題もやはり、できるだけ消費者には安く売るような方法について公取がお考えになっておられることについては原則的に賛成であります。
  252. 野原正勝

  253. 玉置一徳

    玉置分科員 電気の所管省として、原子力の問題について御質問申し上げたいのですが、急でありましたので科学技術庁その他を招致しておりませんので、ごく簡単に骨材のこれからの需給の見通しと、その対策並びに公害の除去について御質問申し上げたいと思います。  まず最初に、骨材の見通しについてでありますが、公共事業その他の膨大なこれからの伸びを見ましても、骨材がその需要に追いつけずに逼迫しつつあることは御承知のとおりでありまして、産業構造審議会の骨材小委員会の推定を見ましても、昭和四十年度に三億五千四百万トンの骨材の需要昭和四十五年度には四億七千七百万トンの推定をくだされているわけであります。こういう需給の見通しに対して、すでに河川その他には乱掘による公害が出ております。その他いろいろなところで骨材の供給が非常にむずかしくなってきておりますが、通産省当局として、これの膨大な需要に対してどういうような手を打って、供給を円滑に、しかも低廉安定的な供給をしようと思っておるのかどうか、見通し、対策を当局からお伺いしたい。
  254. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいまお話のございましたように、産業構造審議会の骨材小委員会におきまして骨材の将来の需給関係について検討を加えたわけでございますけれども、河川砂利を中心にいたしますところの砂利の供給はだんだん逼迫してまいるということになりまして、先ほど御指摘のございました数字のように、需要全体としてはさらに四十年度の三億五千四百万トンから四十五年度に四億七千七百万トンにふえるわけでございます。  そこで、四十年度におきます供給の大宗といいますか、約七五・五%は砂利が中心だったわけでございまして、残りの約二五%が岩石の砕石等による供給というようなことになっておりましたけれども、四十五年度におきましては河川砂利等を中心といたします砂利の供給がおおむね全供給の半分、五一・二%、あとその他の部分を岩石砕石、人工の骨材等に依存するというふうなことにならざるを得ないのではないだろうか、このように考えております。
  255. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、非常にむずかしいことは、安定的な供給ということになりますと、いまのような小規模業者がほとんどであるような山砂利、陸砂利あるいは石材の採掘というのはこれだけ飛躍的に伸びていく、ことに一番安定的にいままで多量に供給していた河川砂利が乱掘その他でこれから伸ばしていくことが不可能であるということになれば、相当思い切った山砂利あるいは砕石の指導の手を打たなければ、ほんとうは無理ではないだろうか。きょうまでのところは何やかや言いましても、自然発生的なやり方に放任されておったのではないか。これについてどういう対策をお講じになりますか。
  256. 吉光久

    ○吉光政府委員 砂利業界は非常に中小業者が多うございまして、概数にいたしまして約七千事業程度のものが現在あるわけでございますけれども、そのうちの九九・数%までは中小企業者であり、また生産量におきましても、九五%は中小企業者の生産量であるというふうに、非常に中小企業者に依存しておる率が高いわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘ございましたように、砂利それ自身の供給源がだんだん窮屈になってまいりましたと同時に、他方、岩石のほうの砕石の関係でカバーしてまいらなければならないというふうなことになるわけでございますけれども、岩石の砕石につきましては、実は昨年度中小企業関係の近代化促進法の指定業種に指定いたしまして、そこで近代化の五カ年計画をつくりまして、砕石業界のもう少し合理化、近代化をはかってまいりたいということが、砕石関係の中心的な事業になるわけでございます。同時に、砂利のほうの関係につきましては、これもやはり協同組合、あるいは新しく現在中小企業庁のほうで考えておりますところの協業化の事業というふうなものをだんだんと浸透いたしまして、そういう制度を採用することによって、さらに近代化、合理化を進めてまいりたい、このように考えております。
  257. 玉置一徳

    玉置分科員 ことに制限をしなければいかぬ河川砂利の採取、その山砂利その他への転換についてはどういう手を打っていますか。
  258. 吉光久

    ○吉光政府委員 現在、具体的な手そのものはまだ打っておらないわけでございますけれども、これも実は先ほど御説明申し上げました骨材小委員会におきまして、こういう手段方法等についてあわせ検討いたしたわけでございます。  結局、現にある砂利業者等がむしろ全体として強くなるための手段と申しますか、そういうふうなことを現在検討いたしておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような協業化構想というものは、現にある者の力を強くするという方向で処理いたしておるわけでございますけれども、同時に、他面また砂利業界自身が現在相当の、先ほど申し上げましたような非常にたくさんの数で成っておりますので、できるならば、現在持っております機械設備等につきまして、スクラップ税制の対象としてそれらの統合化を進めてまいるという方向で、大蔵省とそこらの点につきまして現在折衝を重ねておる、そういうような状況でございます。
  259. 玉置一徳

    玉置分科員 そこで、一番重要なことは、先ほど申し上げたように、公共事業の伸びに対してついていけないような現在の骨材の供給の非常に窮屈なこと、これはどういうようにして資源を開発して、低位かつ安定的に供給するかということが一番大事でありますので冒頭に御質問申し上げたわけでありますが、問題は、実はこれから入ります公害の問題であります。  こういう必要さに基づいてであろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、中小企業の零細企業がほとんどであるというような点から見まして、ことに山砂利の採取におきまして公害問題がそちらこちらに起こりまして、一般の方々の非常な非難を浴びておるわけであります。   〔主査退席亀岡主査代理着席〕  そこで、この公害問題の除去と申しますか、公害をなくしていくようにやっていくために、現在の砂利採取法並びに採石法のどういう点を直していかなければいかぬか、こういうことになってくると思うのですが、まず第一に、現在の砂利採取法の事後届け出制をどういうようにしようとお考えになっていますか。
  260. 吉光久

    ○吉光政府委員 御指摘ございましたように、だんだんと砂利の掘採が、河川砂利から山砂利、陸砂利のほうに移るにつれまして、いままで考えられておりましたと違った形での公害形態が出てまいったわけでございます。御承知のように、従来は堤防でございますとか、あるいは橋梁の足が下がりますとかというふうな形で、河川を中心にした公害というものが一番多かったわけでございますけれども、最近はだんだんといわゆる汚濁水によりますところの汚濁の問題あるいはまた、要するに水を一ぱい含んだ砂利を輸送いたしますために、よって起こってくる道路被害と申しますか、そういうふうなもの、あるいは水田に対して乾田化してまいるというふうなこと、あるいは陸地自身に大きな穴を掘りますこととによって起こってまいります損害と申しますか、そういう形にだんだん公害の態様が変わってまいっております。  いま御質問は第四条の事前届け出制についての御質問であったわけでございますけれども、実は、この第四条の事前届け出制を含めまして、さらに第九条の公益事業関係の命令の問題、公益確保命令と申しますか、そういうものを全体を含めまして先ほどのような公害態様の変化に伴う規制方法について検討を加えてまいっておる、こういう状況でございます。
  261. 玉置一徳

    玉置分科員 おっしゃるとおりに、この法律ができました当時と全く様相が変わってまいりましたから、公害の態様もすっかり変わってきたわけです。  そこで、事前届け出制あるいはいまの罰則ではこれはお話にならないのであって、事後の届け出制あるいは登録制、でき得れば許可制、そういうなにで公害の発生せないような設備を確保できるような形で操業させていくということにならなければならないわけですが、このうち、大体どれにやろうとお思いになっているのですか。
  262. 吉光久

    ○吉光政府委員 現在の事後届け出制というのは一番手ぬるい手段でございますので、それに次いで事前届け出制、これは実は先ほどちょっとお話し申し上げました採石のほうの関係でございますが、これは実は事前届け出制になっておるわけでございます。したがいまして、一番最低規制をするとしても事前届け出制、ただし、事前届け出制をとります場合には、ある特定の地域で掘採いたします場合には、ちょうど鉱業の施業案のような掘採計画と申しますか、そういうものを事前に取りまして、そうして、それが付近に公害を起こさないかどうかという点について審査をした上で承認を与えるというふうな事前承認制をとった上でいまのような制度を組み合わせるというふうなことも一つ考え方だと思うわけでございます。  それから許可制の問題につきましては、これは事業許可という形でつかまえるのは非常にむずかしいのではないだろうかというふうに考えますので、むしろ許可制を採用いたしますとすれば、採掘それ自身についての許可制、ちょうど河川の砂利を採掘いたしますときに、その採掘が許可にかかっておりますと同じようなそういう取り締まり体系で取り締まるということも一つ方法であろうかと思っておりますが、その他の公益保護命令との関係ともあわせ考えながら研究してまいりたいと思っております。
  263. 玉置一徳

    玉置分科員 自宅で自分の用に供するようなことも含まれますから、目的が事業なのかあるいは自家用なのか、あるいはまた量がどれ以上なのかというようなことで事前届け出制もしくは許可制を併用するということもいいと思うのですが、すみやかにこの法改正をとっていただきたいのですが、それでもその法改正を待つ問行政的な指導もしくは確保命令を出すことによって相当な効果をあげ得ると思うのです。現在中央ではもちろん建設省その他でいろいろ協議がなされておると思いますが、地方において地方の通産局を中心に各府県の土木もしくは商工、こういうものの行政指導の常置機関というものが欠除しておるのじゃないだろうか、こう思われるので、今後これについて相当思い切った行政指導をするような機構を常置していただきたいと思いますが、いかがですか。
  264. 吉光久

    ○吉光政府委員 まことにご指摘のとおり、現状におきましては、通産局長が法律上は単独で処理をいたしておる、こういう状況になっております。したがって、現状のままにおきましても、そういう、たとえば届け出制等がございました場合に、直ちにその写しを——業者から直接通産局長のほうに届け出るようになっておりますので、写しを府県なりあるいは関係市町村等に連絡する等、常に密接な連絡態勢をとりながら現実の行政をやってまいりたい、かように考えております。
  265. 玉置一徳

    玉置分科員 実際問題としては、通産局に直接届け出を事後にされましても、公害が起こるまでの問、それだけ見に回る職員もおらなければ、そういうひまも予算もないわけです。だから、できれば、そこの所在市町村長、知事等を経由して持ってこさすという手も、事態の大きくなるまでにものができ、公害の防止について配慮できるんじゃないかと思いますが、そういうふうにひとつ考え方法はございませんか。
  266. 吉光久

    ○吉光政府委員 現在そういう公害対策を中心にいたしまして、砂利採取法の改正につき検討を加えておりますので、その検討を加えます過程におきまして、いまの御趣旨をできるだけ、どういう形で反映さしたらいいか、考えさしていただきたいと思います。
  267. 玉置一徳

    玉置分科員 京都もそうですし、大阪、兵庫、これは土の採掘でしょうが、たくさん問題が起こっておりまして、どこへ持っていったらこの話ができるのか、被害者が弱っておる事態が間々あります。そういうような意味では、きめ手を早くさがすにいたしましても、行政指導としてやるだけのことを府県知事、市町村長等々と協議をして、問題がなるべく少なくなるように、ひとつ今後とも十分な措置を講じていただきたい、こう思います。  以上で私の質問を終わります。
  268. 亀岡高夫

    亀岡主査代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十二日午前十時から開会し、経済企画庁所管について質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会