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1967-04-25 第55回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十五日(火曜日)     午前十時十九分開議  出席分科員    主査 鈴木 善幸君       有田 喜一君    植木庚子郎君       周東 英雄君    細田 吉藏君       八木 徹雄君    山崎  巖君       中澤 茂一君    中谷 鉄也君       広沢 賢一君    兼務 川崎 秀二君 兼務 田畑 金光君    兼務 鈴切 康雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田中伊三次君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 福永 健司君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         管理局長    小林  巖君         人事院事務総局         任用局長    岡田 勝二君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府総務副長         官       上村千一郎君         内閣総理大臣官         房広報室長   三井 芳文君         内閣総理大臣官         房臨時在外財産         問題調査室長  栗山 廉平君         総理府賞勲局長 岩倉 規夫君         総理府人事局長 増子 正宏君         総理府恩給局長 矢倉 一郎君         総理府統計局長 野田  章君         総理府特別地域         連絡局長    山野 幸吉君         総理府青少年局         長       安嶋  彌君         警察庁長官   新井  裕君         警察庁長官官房         長       浅沼清太郎君         警察庁長官官房         会計課長    土田 国保君         警察庁刑事局長 内海  倫君         警察庁保安局長 今竹 義一君         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         法務省刑事局長 川井 英良君         厚生省援護局長 実本 博次君         郵政省貯金局長 稲増 久義君         郵政省簡易保険         局長      武田  功君         自治省行政局長 長野 士郎君  分科員外出席者         衆議院事務総長 久保田義麿君         衆議院庶務部長 大久保 孟君         衆議院管理部長 三樹 秀夫君         参議院管理部長 二見 次夫君         裁判官弾劾裁判         所事務局長   内田 喜一君         裁判官訴追委員         会事務局長   中川  衛君         国立国会図書館         長       河野 義克君         国立国会図書館         副館長     岡部 史郎君         国立国会図書館         総務部長    斎藤  毅君         内閣法制局第二         課長      三好  務君         内閣総理大臣官         房会計課長   朝日 邦夫君         内閣総理大臣官         房参事官    森 宏太郎君         日本学術会議事         務局長     鵜飼肥佐男君         警察庁警備局警         備課長     三井  脩君         大蔵省主計局主         計官      渥美 謙二君         厚生省援護局援         護課長     三浦 正夫君         自治省行政局公         務員課長    森   清君     ————————————— 四月二十四日  分科員畑和委員辞任につき、その補欠として  堀昌雄君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員堀昌雄委員辞任につき、その補欠とし  て畑和君が委員長指名分科員に選任された。 同月二十五日  分科員畑和委員辞任につき、その補欠として  中谷鉄也君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  分科員中谷鉄也委員辞任につき、その補欠と  して広沢賢一君が委員長指名分科員に選任  された。 同日  分科員広沢賢一委員辞任につき、その補欠と  して畑和君が委員長指名分科員に選任され  た。 同日  第四分科員川崎秀二君、第二分科員田畑金光君  及び第四分科員鈴切康雄君が本分科兼務となっ  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所、会計検査院、内閣総理府経済企画  庁を除く)、法務省及び大蔵省所管並びに他の  分科会所管以外の事項  昭和四十二年度特別会計予算大蔵省所管及び  他の分科会所管以外の事項  昭和四十二年度政府関係機関予算大蔵省所管  及び他の分科会所管以外の事項      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木主査 これより予算委員会第一分科会を開きます。  昭和四十二年度一般会計予算内閣所管及び防衛庁、経済企画庁を除く総理府所管予算を議題とし、質疑に入ります。  質疑通告がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷分科員 第一分科会において、前回法務大臣のいわゆるお茶の会の問題についてお尋ねをしました。個人的には、そういう質問をすることについてはきわめて遺憾である、こういうことを申し上げて大臣の御答弁をいただいたのですが、本日また同じようなお尋ねをしなければならない。これは全く私としては残念ではありまするけれども、あえてお尋ねをいたします。  各新聞に、とんでもないことだということで大きく報道されたわけですけれども、たとえば四月二十四日の産経新聞によりますと、法務大臣、それから厚生大臣地方選挙応援のために同乗しておった選挙自動車が流し連呼を行ないながら走り回った。そこで再三その問題については、流し連呼が午前、午後にわたったために、警告をしたけれども、それが一向にとまらなかった。しかもその流し連呼をした選挙運動自動車というのはスピード違反さえもやっておる。七十キロから八十キロのスピード違反をやっておる。しかも信号無視までやっておる。こういうことで、これは文字どおり庶民気持ちをあらわしておると思うのですけれども、取り締まり本部はかんかんになっておこっている。しかも同時に、ほかの選挙運動関係者たちは、法務大臣でさえもああいうことをやるのだからというふうな言い方をしておる、そういうふうな気持ちを持っておる、こういうことなんです。法務大臣新聞報道されておりますところの談話によりますと、運転手さんや同乗しておった運動員の方には何回か注意したのだ、しかし聞いてもらえなかった、いずれにしても申しわけない、こういうふうなところの談話と申しますか、話が載っていますけれども、こういうふうに公職選挙法違反が行なわれておる、道交法違反が行なわれておるというふうなことではとんでもないことだと思う。この点について、最初に法務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  4. 田中伊三次

    田中国務大臣 まことに恐縮に存じます。そこで、実は非常に殺気立った運動を展開しております中で、街頭演説会場が十数カ所設けてございました。その街頭演説会場から演説会場に走る途中のできごとでございました。連呼はだめだ、連呼はだめだと、こう何度も注意をいたしますと、はい、はいと言って、そのときはやめるのでありますが、手をあげて応援をしてくれると、ありがとうございますということを言いまする、これは差しつかえないことでございます、連呼じゃありませんので。そのありがとうございます、ありがとうございます、御声援ありがとうございますというついでに、ついその候補者の名前をまた言う、連呼はいかぬじゃないかと私が言うと、はい、はいと言ってやめて、またやるというようなことが十数回重なったという事件でございます。その間、街頭で車をおりまして演説しております間に、警察から事務所のほうにおしかりの連絡がありました。事務所から街頭演説しておるところへ連絡をしてまいりました。いま注意があったということを、私もそのときに間接に聞きました。それおれが言うとおりじゃないか、一切いかぬぞということでそれからは一口もやりません。厳格にやめたわけです。もし、これ以上やるならば、車をおりるから、こう言って、両大臣から注意をいたしまして、それはやめたわけでございます。ただ、おことばのごとくに、警察から動いておる車に注意のしかたがなかったものの様子で、事務所注意がありました。事務所から、街頭演説で車のとまっております場所へ注意を伝達してきたという事情でございますので、警察から事務所連絡があってから、事務所から車に忠告がありますまでの間は連呼が続いておったのではないかというふうに、恐縮しておるわけでございます。  そこで私たち大臣運転をしておったわけでもなく、両大臣がみずからマイクを持っておったわけでもございませんので、法規の上ではおとがめを受ける筋はないのでございますが、いやしくも先生ことばのように、大臣ともあろう者が、ことに法務大臣ともあろう者がその車に同乗しておったということは、もう道義上のりっぱな責任がございます。私はそう反省をいたしますので、まことに申しわけのないことである、今後は十分に注意をしたいと思います。  私、これからの考えでございますが、車に乗りますときには、運動員には最高責任者がそれぞれ事務所におるわけでございますから、その最高責任者によく話をいたしまして、連呼違反は一切いかぬぞ、それをする場合においては車をおりるということをよく事前に言うて聞かして車に乗るよ  うにし、聞かざる場合においては車をおりる以外に道はない、こういうふうに反省をしておるわけでございます。  坊厚生大臣にも今朝十分話をしたわけでございますが、今後は十分注意をしたい。これはおしかりは当然である、こういう心境でおります。まことに申しわけのないことでございます。
  5. 中谷鉄也

    中谷分科員 法務大臣は、前の、事前運動の疑いがあるのではないかということで、新年のお茶の会の延期のはがきのことが問題になったときに、間違って言ったら腹を切るのだ、こういうようなことが新聞談話に出ておる。腹を切ってもらわなくても私いいと思うのですが、腹を切るとまでおっしゃっている。今度またこういうふうな問題があらわれて、またそこで新聞にもいま大臣答弁になったことが報道されている、大臣談話として。まず選挙が殺気立っておった——しかし大臣もこれは、私の、何といっても国会議員としては大先輩ですが、何べんも選挙をおやりになったのだけれども、殺気立っていないような選挙なんというのは私はないと思うのです。選挙が殺気立っておったから連呼したのだというふうなことは、私はこれは御答弁にならないと思うのです。  いま一つは、たまたま厚生大臣坊さんはおいでいただいておりませんけれども、厚生大臣坊さんのお仕事というのは、これはわれわれ一言で言えば、貧乏、貧困、こういうものに対する戦いが坊厚生大臣のお仕事だ、法務大臣のお仕事といえば、犯罪、これをなくする、暴力団、非常に悪質な売春、不良外人の問題、とにかくそういうふうないろいろな犯罪をなくすることだ。それが、同乗しておられて、運転手さんが、暴力団でもあるまいし、運動員が、これはまじめな運動員であるはずなんです。法務大臣注意をしたけれども聞いてくれなかったというふうなことでは、これは一体犯罪取り締まり、世の中からとにかく犯罪をなくしていくというようなことをおまかせしておいていいのかどうか、こんな簡単な連呼行為さえも、ほんとうに真剣になっておとめになったのかどうか、これは私疑わしいと思うのです。これはそういう疑問を持つのは当然だと思うのです。この点についてお答えをいただきたいと思いますが、たまたま警察庁長官においでいただいているので、長官にひとつこの機会に、大臣の御答弁をいただく前に答弁をいただきたいと思います。  これは私あと長官警察官あり方ということでお聞きしたいと思いますけれども、法務大臣厚生大臣が同乗しておった選挙の車のあとには兵庫県警パトカーが追随しておった、こういうことが報道されておる。そのうしろ警察の車が追随している。先ほど大臣答弁では、ごていねいにも選挙事務所——目の前で連呼をされておる、目の前でスピード違反をやっておる、そうですね。その車について直接注意することなしに、なぜ選挙事務所なんかへあれをやめてくださいというふうな通告に行ったのですか。そうだとすると、むしろ法務大臣のそういう御答弁が事実だとすれば、いかにも連呼をおやめください、スピード違反はなるべくしないでくださいというふうなことをお願いに行っているというふうな感じを受ける。これは私はあと警察官職務質問あり方などについても人権擁護という観点からお聞きしますけれども、そういう大臣という権力を持った人についてはいかにも弱い、こういう感じを受けます。もちろん新聞報道によりますと、何かパトカー注意してやめさせたというふうな報道もある。だとすると、いまの大臣の御答弁とは食い違うわけなんです。この点について事実関係をまず——答弁の順序について私、こう言うていいかどうかわかりませんが、先に長官から御答弁いただいて、そのあと大臣から御答弁いただきたい、こういうふうにお願いします。
  6. 新井裕

    新井政府委員 パトカーは警護のために追随をいたしておったわけでありますけれども、運動員に対しまして再三違反だから中止するように警告をして、やめさせるようにしたという報告を受けております。
  7. 田中伊三次

    田中国務大臣 いまそう聞いてみますと、現場においてもやはりパトカーの諸君から御忠告があったものであると私も思います。私に直接に耳打ちがありましたのは、いま事務所がしかられた、事務所から使いが来た、それ見いということを私が言うたことをついここで申し上げたのでありますが、現場パトカーもついておりましたので、ところどころとまってはやりまた走ってはとまるわけでございますから、とまって演説をしておるようなときに、いけぬじゃないかということは言われたもののようにこれは私も存じます。  それから、強く言えばとまったのではないかと仰せになる。ありのままに申し上げますと、とまるのです。私が言うと、はいと言って、それはすぐその場でストップをするのです。ところがまたやる。またいけない。おりるぞというところまで言ってきたのでありますが、そういうことが十数回連続をしておる、こういう事情でございます。
  8. 中谷鉄也

    中谷分科員 警察庁長官に。こういうふうなことが許されていいはずがないのであります。きょうの新聞報道によりますと、兵庫県警統一地方選挙違反取締本部、ここでは、この連呼行為について、普通なら連呼行為というのは警告で済ますのだぞ、だが午前午後にわたるなんというのはとんでもない悪質のことだということで、結局検挙をして、公職選挙法違反として取り調べをする、こういうことが報道されています。あたりまえのことなんです。  ただ長官にこの機会に。どうも警察のお取り締まりというのは、力の強い人については弱いのじゃないかということを私疑問に思っています。それはなぜかと申しますと、こういう制度がいいかどうかは別として、警視庁ではいわゆる交通一一〇番新設——こういう制度を設けましたね。つぶさには私存じませんけれども、どういう制度かというと、目撃者二人以上の通告があればスピード違反を犯している車については速度違反で検挙するんだ、こういうふうな制度なんです。これは私は十分に検討しなければならないと思うけれども、一般交通取り締まり強化という観点から、都民はこの制度について支持していると私は思うのです。ところが、兵庫県警の説明によると、選挙カースピード違反、それだけでなく信号無視まであるが、スピード違反については、パトカースピード計の設備がなく、証拠確認ができなかったので捜査は見送ることにした。こうなっている。しろうとの市民が目撃しているのではないわけなのであります。いわゆる速感ということばがございます。速度感覚、そういうことについて一応訓練を受けているはずの警察官が相当長い時間、新聞報道によれば午前午後、七十キロから八十キロというスピード違反をしておるという事実を目撃している。それをメーターがついておらないからはい見送りますというふうなことは、庶民感覚としておかしいじゃないか、こういうように私思います。この点についてはどうでしょう。私、交通取り締まりに対しての警察庁人たちがお書きになっているいろんなレポートをきょうは読んでまいりましたけれども、何と申しましても交通事故の一番の原因はスピード違反だということを言われている。この点についてはいかがでしょうか。ひとつお答えをいただきたいと思います。
  9. 新井裕

    新井政府委員 ただいま御質問がありましたように、選挙法違反及び交通関係法規違反につきましても取り調べ中と聞いております。
  10. 中谷鉄也

    中谷分科員 それはもうあたりまえのことなんです。そうしたら見送るというふうなことは断じてない、こういうようにお聞きしてよろしいわけですね。——それといま一つ、先ほど法務大臣遺憾きわまりない、こういうようにおっしゃった。そのとおりだと思うのですけれども、問題は、法務大臣でも違反をするのだから——まだ統一地方選挙は終わっておりません。世間では法務大臣でも違反をするのだからと言っている。それから取り締まりする側の人は、連呼行為を取り締まったときに、法務大臣もしているじゃないかと言われたらどうしようかといって頭を悩ましている。何べんも申し上げますけれども、大臣にこれ以上こういうふうにお聞きすることは私はあまり好みませんが、これはやはり遺憾でした、悪かった、残念でしたと言うだけでは済まないと思う。もう一度申し上げますけれども、法務大臣でも違反しているじゃないかと言われたら、そういう世間についてこれを一体どうする。厳正、公正に取り締まりをするという訓示まで大臣は前に出された。取締本部自体が、警察自体が、法務大臣もしているじゃないかと言われたら、これはちょっと取り締まりしにくいと言っておる。この事態を一体どう解決するか、どう対処するか、この点についていま一度御答弁をいただきたいと思います。
  11. 田中伊三次

    田中国務大臣 おことばを返すようですが、法務大臣違反をしたのじゃない、厚生大臣違反をしたのじゃないのです。マイクを持った覚えはないのであります。私が運転をしたわけではないのであります。ただそういう選挙違反の車に私が乗っておったということが、道義的に見て私に重要な責任があると、こういうふうに私は折り目を正して判断をしておるわけでございます。申しわけがございませんという意味はそれを申し上げるのでございまして、大臣立場というものは法律違反をしないだけではいけないので、道義をどうしても守らなければならぬという点からいきますと、まことに残念なことでございます。再三注意をしたけれども、ついにそういう結果になった。しかし、正式の伝達がございまして以後は、これは確かにやっておりません。新聞にも出ておりますとおり、中止をいたしましたわけでございます。それ見たかということで中止をさせたわけで、それ以上やるならばおれはおりると、こう言って中止をしたわけでございます。その間いま言うおしかりをいただくような事柄があった、これはまことに残念でありますが、今後は十分注意をいたしましてそういうことの起こる余地のないようにしたい、こう考える次第でございます。
  12. 中谷鉄也

    中谷分科員 それじゃこの問題についてはこの程度にしまして、たまたま大臣が御出席になっておられるので、この問題が直ちに人権擁護というふうなことに連なるかどうかは別として、これはぜひとも私大臣に御検討いただきたい問題として御答弁をいただきたいと思う。  私も十分にこの問題については法務省実務その他から検討分析はいたしておりませんけれども、これは実務家に聞いてみますと、それはいい制度だ、いいやり方だろう、検討に値するだろうという話なんです。と申しますのは、成立するかどうかは別として、道交法関係でいわゆる反則金制度実施される、といたしますと、軽微ないわゆる交通違反については罰金にかわって反則金を科する、大体そう理解して間違いではないと思うのです。とすると、交通事故が激増してきた今日、交通取り締まりを強化しなければならない今日、そういう罰金にかわって反則金を設ける、非常に政策的だと思うのです。とすると、従前道交法違反ということで罰金の刑に処せられて罰金、これは当然前科になります。若い学生の人が就職をするときに、前科の有無というときには前科と書かなければならぬ。ということになりますと、前科抹消罰金前科のなくなる期間を別として、反則金制度実施に伴って、従前のいわゆる軽微な道交法違反前科については抹消することが、人権立場、公平の原則立場からいいことではないか、またそのことが反則金実施されたときにはつり合い上正しいのではないかと私は思うのです。ただもちろん、いわゆる前科抹消というその実務上の仕事はずいぶんたいへんなことだと思うのです。前科調書なるものを見て、それが当時処罰の対象になるならば、反則金対象になるものであったか、それとも罰金対象になるべきものであったかということの仕分けといいますか検討というか、それはむずかしいと思う。しかし、どう考えても、私は公平の原則から、そういうふうに反則金実施後は従前罰金については前科抹消の規定を越えて抹消するような特例を設けるべきではないか、その点について御検討をいただきたいし、そういうふうなことであるべきじゃないかと思うのですが、この点について……。
  13. 田中伊三次

    田中国務大臣 おことばまことにごもっとも、先生承知のとおりに、反則金罰金にかわる制度でございます。異議があれば罰金手続になるわけでございます。しかるところ、問題はこの法律が成立をいたしまして、これを実施することになりました場合に、実施前の罰金をどう扱うかという問題があろうと存じます。そこで、罰金先生承知のとおりに、五年間で前科制度として抹消をしております。それでありますから、いまのおことばは、新法律実施をいたしましたら、実施前五年間の前科をどう取り扱うかという問題、そのうちの悪質のものをどうするか、悪質ならざる、たとえばこの反則金制度があったとするならば、これが適用されておれば前科でなかったはずであると思えるものについて、いかに特例をもって扱うかという問題が、なるほど公平の原則であろうかと存じますので、これは警察当局ともよく打ち合わせをいたしまして、この制度をいかに扱うかについては積極的に検討することにいたします。なお詳しくは私のほうの刑事局長が来ておりますので、これに答弁をさせます。
  14. 川井英良

    川井政府委員 公平の原則から言いまして、まさにそういうふうな疑問があるわけでございまして、私どもにおきましても事務的にいろいろ検討はいたしておるわけでございます。ただ理論的に申しまして、まず用の廃止がかりにあったというふうな場合に、いままでもたくさんあったわけでございますけれども、刑の廃止ということを理由にして、それ以前に刑罰を受けた前科抹消したという事例はいままでありませんし、なかった理由といたしましては、刑罰の評価が時代を異にして変わってきた、こういうふうに理解をいたしますので、いまの時点でその刑罰が必要なくなったということが、さかのぼって過去の評価を変えるということは、理屈の面からは非常に困難でありますので、そういうふうなことから、理屈の面ではかりに刑の廃止がありましても、過去の前科を一律に抹消するということは、いままでしていなかったわけでございます。  そこで理屈の面だけではございませんで、今度は実際面から考えてみましても、どういうことになるかと申しますと、いまうちのほうの大臣が申し上げましたように、いままでの過去の事例の中には前科抹消してやってもいいようなものもありましょうし、中には前科抹消することが適当でないような悪質な事犯もたくさんあるわけでございますので、その仕分けをしないで、一律に法律をもって過去の前科をすべて抹殺するということは、これも実際面からいっていかがなものであろうかということが残るわけでございます。  それからさらに、今回はまだ法案が出ておりませんので、詳しくは申し上げかねますけれども、要するに、罰則は全部残しておくわけでございます。罰則は残しておいて、反則金という制度を設けるのであります。刑の廃止をしても、いままで抹殺をしておりませんし、今回は罰則を残しておいての行政的な手続でありますので、かような際にまた法律をもって一律に抹殺するということもたいへん困難な問題があるように思うわけでございます。  そこで問題は、そういうふうな公平の考え方もございますので、いま考えております考え方としましては、恩赦にのっけまして、個別恩赦で消すべきものは消していく、それから消せないものは五年まで待っていただくというような制度にするのが、やむを得ないことではなかろうかというようなところを目下研究中でございますので、もうしばらく検討さしていただきたいと思います。
  15. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 関連して。実は機会があったら田中法務大臣には友人としても申し上げたいと思って今日までおったわけであります。私は与党議員でありますから、いろいろと追及しようという気持ちではない。けれども、法務大臣というものがこういう姿であっていいかということについては多大の疑問を持っているわけです。あなたは非常な法律の勉強家でもあるし、青年時代から苦学力行の士である、法学博士にもなられておるし、非常に敬意を払う面が多々あります。ただ私は、昨年の十二月の十六、七日であったと思うのですが、いよいよこれは選挙だなというので、われわれも選挙に対する準備もしなければならぬし勉強もしなければならぬ。日曜日に国会へ来て議員会館の部屋へ入ろうとすると、うしろから円タクが来たわけです。そうしてその円タクの中からあらわれ出たのが田中法務大臣自身である。幾ら払ったか知らぬけれども、自分のうちから日曜日に円タクの代金を自分で払って、とにかく午後六時以後は公用の車は使わぬということを厳守されておる。あれほど黒い霧、粛党運動というものが盛んになっておったころですから、その後に内閣法務大臣になられる人はりっぱな人に相違ない。田中さんがなったのを非常に喜んでおった。その一週間ほど前に京都へ行くのに側近も連れずに出かけて、そうして駅弁を買ったというような記事も拝見しておって、今度の内閣は非常に形を変えて、えりを正す内閣だなという印象を受けて今日に至った。しかるに、先般来茶会通知の問題、これは私は党内でもっと厳粛に話し合いをしてみなきやならぬ問題だと思っております。と同時に、私はあれが選挙違反であるとか、あるいは違反の容疑があるとかいうことはこの席上追及しませんが、あれはこの次の選挙のときに悪用されるですな。茶会を中止をしたという通知を何万枚も出したものが何にもならぬということになれば、選挙の直前において各候補はいろいろなことをやるだろうと思うですな。自分のうちのめいに赤ん坊が生まれたという通知を何十万枚と出す。いろいろな形になってきて、これは驚くべきことが起こるのではないかと私は先を非常に憂えておるわけです。それから、いまの連呼行為の問題もいろいろ問題点でしょう。しかし、私があなたに質問したいのは、むしろそういうものを追及するよりも、法務大臣とはいかなるものであるか。これは私は佐藤総理大臣に一ぺん進言したいと思うけれども、法務大臣や自治省の大臣選挙期間中は使っちゃならぬ。政党員よりもはるかに重い使命をあなた方は行政官として持っておる。政党よりもさらに重いものをあなた方は持って監督をしておる、国家の中正なる選挙取り締まりの機関として非常に重要な役目ではないか。だから、いまの問題でも、自分が注意したと言われるけれども、それはもう自分がほんとうに悪い行為だと思ったら下車しなければならぬ。いろいろな防御の行為というものはできたはずだと私は思うので、この際あなたに直言をしておきたいけれども——いいほうの例を言いましょう、悪いことを追及するよりは。私は尾崎行雄先年の崇拝者である。あなたもおそらくそうでしょう。尾崎行雄という人が東京市政をあずかっておる間に一件の汚職もなかった。また彼が司法大臣をしておるときに、自分の同僚の大浦兼武という内務大臣選挙違反が出た。大選挙違反。これは、指揮権を発動した者もあるけれども、普通ならかばうのをかばわぬ。内閣が倒れるよりも道を正しくすることのほうがいいと言って、同僚の大浦兼武議員を司法大臣が検察庁に起訴せしめることを首相に進言した。それで内閣は倒れたのです。そういうものが法務大臣でなければならぬ。至公至平の立場に立って厳正に国の政治を守っていく、大道を守るというのが法務大臣でなければならぬと私は思うので、そういう意味で尾崎行雄先生のつめのあかぐらいはぜひかんでほしいと私は思うのです。そういう意味での、私はあなたの感想を聞きたい。つまり、法務大臣というものは独行影に恥じず、ひとり行くわが影にも恥じない。わが影どころでない、これはほうぼうに恥じなければならぬ事件が起こってきておる。そういう点で、私は与党の議員としての限界を守りつつあなたに御忠告を申し上げ、法務大臣とはいかなるものであるか、あなたの信念を聞いておきます。
  16. 田中伊三次

    田中国務大臣 御忠告まことにありがとうございます。法務大臣は単に法律上差しつかえがないのみならず、モラルの問題として、道義の上でもりっぱな態度をとらなければならぬものだと、こういうふうに法務大臣の地位を心得ております。心得ておりますから、法規の上で責任のないこのたびの連呼問題は、どのように憎まれても法規の上では両大臣責任はございません。あやまる筋のものではない。しかし私は法務大臣だ。その法務大臣たるものがその車に乗っておったということはどうだ、こう仰せをいただくときには頭を下げる以外にない。終始一貫、申しわけがないことと言っておわびを申し上げておる。今後は車をおりることを断行する、こうまで申し上げておるのであります。この態度をとっていくこと以外にないと思う。  お茶の会の事件は少し趣が違うのです。これは私がやった行為である。私がやった行為にいやしくも曇りのかかるような誤りがあれば、これは起訴を待たず責任をとる。そして単に大臣をやめるのみならず、議員をやめたい。同時に法学博士の肩書きも返上する、こういうことまで言明をして——笑いごとじゃないですよ。私の身上に関することをお尋ねになられて、私がまじめにお答えをしておる。笑いごとじゃないですよ。そうして私はしっかりそういう心境を持ってやっておる。やっておるのだが、この問題は、先生にお聞きをいただきたいのは、与党の先生として仰せをいただいたことを私はまことに胸一ぱい承るわけでありますから申し上げるのでありますが、二十二年間継続してきておる。二十二年間、毎年毎年。今回も十二月中に数万通のはがきを出そうと準備して、すっかり準備ができたところ、はからずも法務省につとめることになった。これは正月にやれないということで、案内状を断わり状に切り変えたということが真相でございます。そういう事情でございます。そういう事情のもとに、しかもそれは解散決定前である。今度の解散決定は、二十七日の二、三日前でなければ解散が行なわれるということは何びとも知らなかったほどの特殊事情があったことはおわかりのとおりでございます。解散になる前の問題で、二十数年間継続しておったということがあって、今度も準備をしておったという事実がある。こういう条件のもとに出されたものはだれがお出しになってもこれを法律上とがめようがないであろう。とがめられるときには、私の表現は切腹すると言っておりますが、内容は一切の公職を辞して反省をしたい、こういう心持ちでございますので、いまおしかりのことをよく私の胸の中に入れまして、そして反省反省を重ねまして与党の皆さまの御期待に沿える大臣ぶりをつとめていきたい、こう考える次第であります。
  17. 中谷鉄也

    中谷分科員 法務大臣に対する質問は終わって、あと長官に対する質問に移っていくわけですが、ただ刑事局長警察庁長官お尋ねをしておきたいと思いますが、まず法務省刑事局長お尋ねいたします。  お茶の会の問題について、法務大臣の真情は私よくわかりました。そこで法務大臣からただ単に報告書だとか上申書というものを提出してもらうというのではなしに、これはやはり法務大臣という、これは国民が注視しておりますから、そういう立場から京都地検の検察官が法務大臣に直接事情を聴取する、要するに供述調書を作成するというやはり筋目は通すべきだと思う。この点についてと、いま一つは、要するに延期の通知を出したときの客観的な状況と同時に、気持ちの問題の認定をどうするかという事案だと思う。その点について今日なおこの事案についての決着がついていないということも、私はやはりある違味では遺憾だと思う。この点については早急に結論を出すべきだと思う。これが刑事局長に対する私の質問であります。  それから同じく長官に私は御答弁をいただきたいと思いますけれども、何といっても私、先ほど申し上げましたとおり、何か大臣であれば、大臣の同乗しておる単であれば取り締まりがゆるいのかというふうな印象を、この報道を読んだ国民が受けたということは、私はいなめないと思うのです。そのような点でこの問題については——この問題というのはこの連呼行為の問題については、大臣などからも事情の報告あるいはまた事情聴取をされる意思があるかどうか。この点は、先ほど川崎委員の質問に対して大臣の真情を吐露された御答弁があったので、私はやはりそういう御答弁がある以上は、筋を通してその点についての御答弁を求めておきたいと思います。
  18. 川井英良

    川井政府委員 大臣に対する茶会はがきの事件につきましては、警察に告訴がございまして、警察の段階では大臣について事情を聴取したようでございます。それに基づきまして検察庁に事件の送付がございまして、検察庁においてまた独自の立場で捜査を続けております。最近の報告によりますと、ごく近い期間に結論を出す、こういうことでございますので、あまり遠くない機会にこの事件についての検察庁の結論が発表になるものと考えております。  そこで、もう一つの御質問でありますが、検察官が法務大臣について事情を聴取するかどうかという問題でありますが、これは私、本省の立場から、大臣を調べるべきであるとか、調べないほうがいいとかいうふうなことは、刑事局長としては検察庁に対して言わないほうがよろしいと思います。すべて京都地方検察庁の公正な良識にまかせて、その結果を待っていただきたい、かように思います。
  19. 新井裕

    新井政府委員 いま法務省からお話がありましたように、茶会の件につきましては供述調書を作成いたしております。今度の件について、必要があればそういうこともあり得るかもしれませんが、私のいま聞いておる限りでは、そういう必要はあまりないのじゃないかというふうに考えております。
  20. 中谷鉄也

    中谷分科員 法務大臣、けっこうです。  そうすると、官房長官おいでになりましたが、官房長官に対するお尋ねを先にさせていただいて、警察庁長官に対する私の質問はまだ残っておりますが、それはまたあとでということで、官房長官に私御答弁をいただきたいのは、憲法記念日がまた近づいてきたわけです。今度は憲法が施行されて二十年、こういうふうな非常に意義のある年になっているわけでございます。そこで憲法施行十五周年のときにもこの問題は国会質問がされ、答弁があったと私は記憶いたしております。要するに、何と申しましても憲法という一番大事な国の基本法、戦後その憲法を中心として日本の国が発展し、そして今日まで歩み続けてきたその憲法記念日に、政府が盛大に式典をすべきではないか、こういうふうな質問が従来十五周年のときにも十六年、十七年、十八年、ずっとそういうふうなことが国会でも論議され、また政府に対して社会党などのほうから申し入れがあったと、こういうふうに私記憶いたしております。  そこで、特に今度の国会の中でも論議されましたけれども、いよいよ明治百年を記念する記念行事が盛大に祝われるが、私のようなとにかく戦中派と申しますか若い議員の立場からいいますと、明治百年も非常に大事である、明治百年を記念する記念行事というものも、これは若い者としてでも認めたい。しかし、それ以上にわれわれ若い人間の気持ちの中に定着をしているものは何かというと、これは日本国憲法だと思う。その二十周年がきた。その二十周年に、どうも今度の政府は盛大な式典をやろうとはされないようです。この点について式典をおやりになりますかということ、もしおやりにならないというならば、これは一体どんなわけなのか、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  21. 福永健司

    ○福永国務大臣 ただいま御指摘のごとく、親憲法の重要性につきましては私どもも十分認識をいたしておるつもりでございます。これの三十年式典をやるとかどうするとかいうことにつきましては、これは事務的には一応総務長官所管ではございますが、それらのことを総合的に判断する立場において御質問をいただき、よって私がお答え申し上げるべきであると思うのでございますが、総務長官等を中心にこの種のことを検討をしていただいておりました。そしていろいろ考え方はあるのではございますが、ただいまのお話にもございましたるごとく、新しい日本憲法が国民の心の中に定着をいたしまして、いまお話のような次第でもあるわけでございます。そこで特に今年特別の式典をやるかどうかということにつきましては、先刻も申し上げましたように、総務長官等で検討をいただいておったのでございます。ただいままでのところでは、先ほどもお話しになりましたように、特に式典をやるよりも、むしろその定着した状態において静かにこの新憲法の意義深き存在であること等をかみしめつつ、普通のお休みにしておく、その状態がよろしいのではないかというような意見等も私のところへまいっております。そこで私は、官房長官といたしましては、その所管の総務長官が、特にことしは特別の式典をやるという意見でもないようにいまのところ伺っておりますので、大体その意見を尊重いたしまして、政府としてはそういう方針でいくのでよろしいのではないか、こういうように考えておる次第でございます。二十年だからそうではない、百年だからそうと私は強く言うのではございませんが、おそらくこの新憲法百年の記念という将来においては、百という数字はまた二十とは多少違った響きもございましょうから、そのときのことは、これはまたこれで、いまの御主張のような点も将来われわれに続く者がもとより考えるであろうと思うのでございます。二十年記念日にあたりましては、一応いま申し上げたようなことでございます。しかし、この点につきましては、御指摘もございましたように、やはり二十年というその記念すべき年について何ら検討することなくその結論に達したということではございません。いまも申し上げましたように、総務長官等を中心といたしまして検討を願って、その結果、先ほど申し上げたようなことに今年はするのがよろしいのではないかというお話を受けまして、私もそのように了承をいたしまして、新憲法について五月三日の日を心から国民全体が祝うのではありますが、特別に式典をやるということでなくて、静かに心でかみしめつつ休みにしてこの日をお祝いする、こういうようなことに考えておる次第でございます。
  22. 鈴木善幸

    鈴木主査 中谷君に申し上げます。お約束の時間がだいぶ経過しておりますので、結論をお急ぎ願います。
  23. 中谷鉄也

    中谷分科員 官房長官お尋ねしますというよりも、二十年だからといって特別に祝わなくても、という趣旨に聞こえるような御答弁があった。そこで、これは何と申しましても、われわれみたいに成人になってからずっと日本国憲法とともにまいった人間は、記憶があります。昭和二十二年に日本国憲法が施行されてから、私の記憶に間違いがなければ、昭和二十七年までは政府は式典をやったはずなんです。官房長官、ごろ合わせじゃございませんけれども、憲法施行四年目とか六年目なんというのは、あまりごろはよくないですね。そういうときに式典はおやりになっている。二十七年ごろ、すなわち昭和三十年ごろになりまして、憲法調査会発足、調査会の答申などというふうなことと符節を合わすがごとく式典が行なわれない。こういう状態については私は非常に残念に思うということを申し上げておきます。同時に、これ以上私申し上げませんけれども、ことしは、政府と密接な関連を持って運営あるいは行政が行なわれている、行なわれねばならない地方自治体の中では、盛大に憲法の式典が行なわれるところもあるのではないかと私は思うわけです。こういう中で政府が特段に式典はしないということについては、私はいかがなものかと思うので、いま一度御検討いただきたいということでお尋ねをしておきます。
  24. 福永健司

    ○福永国務大臣 御説の点は私もかなり同感でございます。地方でいまお話のような催しがありますことは十分あり得ると思いますし、私どもも多少聞き及んでおるところでございます。これはたいへんけっこうだと考えております。  二十七年までやったが、その後やらないのは、とおっしゃいますのは、私は私なりに、ただいま中谷さんのおっしゃる定着の度合い等から申しまして、必ずしも定着十分でないころに記念日に記念事業をやって、できるだけいま御指摘になりましたような方向へ向ける、これはたいへんけっこうだったと思う次第であり、その意味において二十七年までに行なわれた式典は、私はそれなりに大きな意義があったと思うのでございます。しかし、それだけに、続いてやるということ、これももちろん考えるべきことであったかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、おおむね定着もしてきたというようなことであるので、むしろ静かにというような考え等もかなり大きくなりまして、その後は御指摘のような事情でございます。なお検討してみるようにというお話でございますので、私は、必ずしも私が直接の主管大臣ではございませんが、先ほども申し上げましたような理由によりましてさらに検討いたしたい、かように考えます。
  25. 中谷鉄也

    中谷分科員 では、官房長官に対するお尋ねは終わります。あと十分だけお許しをいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  26. 鈴木善幸

    鈴木主査 どうぞ簡略に願います。
  27. 中谷鉄也

    中谷分科員 警察庁長官に、先ほど中断をいたしましたので、簡単にお尋ねをいたします。  最近新聞報道の中で、警察官の暴行だとか、職務質問に伴うトラブルだとか、そういうことが盛んに報道されていると私は思うのです。また同時に、これは時間があれば一つ一つお尋ねをする予定だったのですけれども、この前南海電車の大事故があったときに、佐藤総理が病院に見舞いに来られた。ところが、警察のほうの交通取り締まりでとにかく病院に見舞いに来る家族が近づけなかった。これは私は警察の二つの顔といいますか、二つの側面をあらわしているようなできごとのように思うのです。  そういうことを前提にしまして一つだけ、私は警察庁長官に今後検討していただいて各県警本部等にも御指示いただきたいことがございます。と申しますのは、いわゆる警察特に刑事さんの使っておられる隠語というか、それとも特別な刑事さん用語というものがあると思うのです。たとえば「ケンパイ」、検事釈放のことを「ケンパイ」という。それから特にひどいときには「ハト二枚」。「ハト」というのは一体何だと聞いたら被疑者なのです。一枚、二枚、要するに釈放指揮書で基準にして言う。こういうようなことばは、われわれのようにとにかく若干警察関係のある者からいたしますと、それほど非常に胸にはこたえないわけですけれども、これは被疑者の立場となった人間あるいはその家族関係者は、ずいぶん非情な、人権じゅうりん的な、人権侵害的な、刑事さんが意識しなくても、そういう印象を受けると私は思うのです。したがいまして、これはそういう隠語を使ったからといって、私は警察のいわゆる科学捜査にしろ、捜査技術にしろ、少しも向上することに役立たないと思うのです。そういうことで、そういうふうな現に、おそらく長官御存じだと思いますけれども、現場第一線の警察官があるときには得意げに、あるときにはあたりまえ、意識をせずに使っておるそういう特殊な用語というようなものは、警察の近代化というふうな観点からもなくしていくという努力をひとついただきたい。ことに現在実情としてそういうことばが使われておるかどうか、こういうような点をひとつお調べをいただきたいと思うのです。この問題については他の委員会におきまして、私はこれは大事な問題だと思いますので、さらに機会をあらためてお聞きしたいと思いますから、そういうことについてひとつ各県警本部等に指示をして、そういう現に使われておる隠語等について改めていく、あるいはその実態を調査するかどうか、この点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  28. 新井裕

    新井政府委員 南海事故のことについて若干お答えを申し上げなければいけないのかもしれませんが、あのときに込みましたのは、佐藤総理大臣の警護というよりも、事故がありましたための一般的な交通規制のためになかなか人が近づけなかったというのが実情のようでございますから、御了承願いたいと思います。  ただいまお尋ねの隠語の問題でございますけれども、これはどこの職場でも職場独特の用語というものはございます。われわれもこのごろは何げなく使っておりますけれども、興行界で子供のお客さんのことをジャリという、そういうことばは初め聞いたときはだれでもいい感じがすることばではございません。私どももそういう仲間うちだけで使うというものを全部やめなさいということはなかなか言えないと思います。問題は、そういうものをいま御指摘のありましたようにたいへん得意げに外に向かって発言するというようなことが一番よくないことでございまして、そういうことにつきましては、機会あるごとに戒めておりますけれども、お互いに常用語を持つということを頭から否定するということは、なかなかできかねるということを御了承をお願いしたいと思います。ただ、われわれの仕事が、そういう人の自由を拘束する仕事でございますから、何げなく使ったことが、相手方にたいへんなショックを与えるということがしばしばございますので、そういう点は今後も繰り返して戒めてまいりたいと思っております。
  29. 中谷鉄也

    中谷分科員 じゃ最後の質問です。自治省の方にお尋ねをいたしたいと思います。  これは私、どうしてもこういうことは納得できない。というのは、自治省のほうですでに御存じだと思いますけれども、和歌山県の知事選挙で、県庁の職員が、特定の候補者応援をするために十人以上の人が一身上の都合だということで退職をした。退職をしたことは、これは私、特定の候補者応援をしたければ退職をして退職金をもらう、これはあり得ることだと思うのです。ところが、選挙が終わったのが、統一地方選挙ですから十五日、その選挙が終わって、そのうちの大部分の八人が二十一日復職、選挙が終わってから一週間たってないわけなんです。しかもやめる前と同じような待遇、地位、資格、そういうことで復職をしている。これはさすがの新聞も、とにかくこれはひど過ぎるということで、「身がって過ぎる選挙人事」これは当然こういうふうに書かれてもしかたがないと思うのです。これはやはり書いた人はおこっていると思うのです。こういうふうなことが一体地方自治団体の中に行なわれていいことなのかどうか、こんな例が全国至るところにあるのかどうか。もう一度申し上げますけれども、公務員の地位利用はいけない、公職選挙法でこういわれているわけですね。ところが、退職をしたら公務員でなくなる。そして大っぴらに選挙運動をやる。選挙が終わったら大手を振って再び戻ってくる。高級公務員の天下りがいけないなんということを最近いわれておりますけれども、これは私、天下り以上だと思うのです。こんなことがはたして許されていいのかどうか、自治省としてはこういう問題についてどういうふうにお考えになるか。これは私は法務大臣がおられたら、むしろ公職選挙法違反の利益誘導みたいな刑事事件にもなりかねない問題ではないかとさえも思うぐらいですけれども、自治省のお立場として、こういう身がって過ぎる選挙人事、県職員ごっそり復職、前副知事派の運動でやめた人が戻ってきた、というふうなことについてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  30. 長野士郎

    ○長野政府委員 ただいまの和歌山県の人事でございますが、私どもも新聞記事で実は昨日承知したようなことでございますけれども、そういう例がほかにあるかということになりますと、私どももこれほど大量に、大量にと言ってはおかしゅうございますが、行なわれたような形のものはいままで聞いておりません。ただ、まあ従来も一、二のケースでそういうことがあったことは聞いております。  こういうことが許されていいかどうかという第二のお尋ねでございますが、お話にもございましたように、公務員が一身上の都合で退職をする。この目的がどうであるかわかりませんが、退職をすること自体はそれ自体差しつかえないことでございます。そうしてその退職した後におきまして特定の候補者選挙運動に従事する。これも事柄から申しますと一貫したものであったかもしれませんけれども、一応公務員の立場を離れまして特定の人に選挙のとき、これは政治行為の自由でございますからある程度事情によってはやむを得ないことであると思います。問題はその後にあるようでございまして、その後に復職と申しますか、一身上の都合でやめた者が何らかの形でお話にございましたように従来と同じような形のところへ復職する。これも、いま調査いたしておる最中でございますけれども、これまでにわかりましたところでは、児の人事委員会規則でございますか、それに、職員に欠員が生じました場合に、従来の職員がやめた者がおりまして、それが適当だという場合には、選考によって従来彼がついておった職と同じかそれ以下の職につけることは可能だという一応人事委員会の規則か基準か、そういう手続があるそうでございます。そういうことによってこれを行なった。したがって、個々の職員については、法律的に、単なる形式的な法律論からいえば合法的に復職をしているということになるのだろうと思います。ただし、その全体を通じて見ました場合に、それが一体どういう形でどうであるかということになりますと、私どもは、これは公務員法のたてまえとしておりますところの本来のたてまえというものから考えまして、まことに遺憾なことだというふうに考えております。なお、詳細は目下調査中でございます。
  31. 中谷鉄也

    中谷分科員 最後に一点だけです。もう全く何と言いますか、非常に残念だというか、こうしてここで質問させていただくことが、自分の県の問題ですから恥ずかしいような気持ちがするのですが、これは局長に御答弁いただきますが、遺憾だ、残念だということで、どうにも手の打ちようがないのかどうか、自治省としては、残念なことだ、遺憾なことだということで、それ以上の措置はお考えになっておられないのかどうか。こんなことは私よその県でもこれは絶対にあり得ないことだと思うのです。選挙が終わって一週間なんです。それで戻ってくるなんというようなことは、こんなばかげたことは私はないと思うのです。こんなことが許されていいとは思いませんが、自治省のお立場としては、残念なことであり遺憾なことだということで、それだけのことなのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  32. 長野士郎

    ○長野政府委員 先ほど申し上げましたように、目下実際の実態を調査中でございまして、先ほど残念だ、遺憾だと申しましたのは、私の受けました印象を率直に申し上げただけでございます。調べまして、その結果に基づきまして、自治省としてとるべき措置が考えられました場合には、適切な措置も考えてとるようにいたしたいと思っております。
  33. 中谷鉄也

    中谷分科員 終わります。
  34. 中澤茂一

    ○中澤分科員 関連。それはいま初耳なんだけれども、それはとても重大な問題なので調査結果を国会に報告してもらいたい。それは第一、退職したとき退職金の支払いをやったのかどうか。それから、退職のときの給与は幾らだったのか、復職したときの給与は幾らだったのか。それから、その八人の人名、それをひとつ調査したら報告書を出してもらいたい。これだけ要求しておきます。主査、この報告書を必ずもらってください。
  35. 鈴木善幸

  36. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 私の今日の質問は青少年問題、それから原子力行政について、この二つにしぼりまして御質問を申し上げたいと思っております。  青少年問題は、先般文部行政の所管の際にもいろいろお尋ねをいたしたのでありますが、青少年を健全に育成する学校や家庭の教育の問題もありましょう、またグループ活動の健全化というような問題もありましょう。しかし、国内的にいえば、やはり青少年を健全に育成するという一つの施策の柱としては、スポーツあるいはレクリエーションの場を大いに与えるということが今日の一つの柱になっておる、私はそう思うのであります。そうして見ると、このごろ各地を旅行しても一番目につくことは、日本のこの小さい面積が次第にいろいろなもので埋められつつある。したがって、青少年のレクリエーションの広場であるとかスポーツ施設というものを拡充するということが、なかなか地面の上で困難になってきておると思うのです、これはきのうも、総理府の統計局というものは、国勢調査その他について法律に定められておるところによって統計を出しておるのですが、日本の面積と道路、農地あるいは宅地、さらには運動施設、スポーツ施設というものの統計はないかと思って調べてみると、そういう勉強をしておるところはないそうです、科学的に研究しておるところはないそうです。はなはだ残念なんで、何かそういうような機関も将来設けてやらなければならぬと思うのですけれども、とりあえず私が総務長官お尋ねしたいのは——お尋ねするというよりは建設的に私の考えておるところを申し上げ、そうしてぜひお考えを聞きたいのは、まず第一点は、どうしたらば青少年の遊び場、児童遊園あるいは青少年のスポーツ施設というものが拡充できるか、これはなかなか難問です。それで私はまた後刻自分の考えを申し述べてみたいと思うのですけれども、たとえば河川敷の利用にしても、一時言われた原始林を切り開いて——これは森林の保護という問題もあるけれども、開いて、大きなキャンプ場などというものをつくるというような構想はありませんか。
  37. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 青少年問題の重要性のあることは言うまでもないことでありますが、総理府に青少年局ができまして、総合調整の立場から大きく青少年問題を取り上げて、いろいろの施策を検討いたしておるのでありますけれども、いま申し上げましたように、さてこれを実施に移す場合、いろいろのネックがあることは言うまでもないことであります。いま川崎委員の申されたのもその一つではなかろうかと考えております。たとえて言うならば、いま児童遊園あるいは公園の問題等が出ましたけれども、これは総理府に青少年局ができましても、そういった施設はいまなお厚生省あるいは建設省の所管ということにも相なっておりますので、実はその問題も関係省と連絡をとりながら、いまその拡充につとめておるところでございます。青少年問題審議会の施設部門の中にもこの問題が諮問事項として出されておりますので、近くこの答申も出るのではなかろうかと考えております。もちろん、手っとり早いのは河川敷の開放、特に最近野球関係の方、またその他のスポーツの方が来て、急いでこれをやってくれんかというような強い御要望もありますし、これも建設省と連絡をとりながら、この点は非常に明るい見通しがあるのではなかろうかと考えております。また、原始林の開放その他を中心としたキャンプ場の問題がいま出ましたけれども、これはやはり文部省の所管——決して他省に押しつけるわけではございませんが、文部省とも緊密な連絡をとっておりますが、これは一応国営としてのキャンプ場をやることは、いまのところまだそう積極的ではないのじゃなかろうか、現在都道府県の段階において、これは非常に真剣に行なわれておる。現に大阪等においては、相当広地域にわたって林野を開放いたしましてりっぱなものができておるやにも聞いておるのでありますが、そういうものから逐次手がけながら林野の開放をしつつ、青少年のレクリエーションの場所また体育の場所をつくるためには積極的な努力を続けていかなければならない、単に計画だけをつくっておったのでは実のあるものができないのでありますから、そういった実行に移す面を強く打ち出していく考えでございます。
  38. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 当てものみたいには聞きませんけれども、ゴルフ場と陸上競技場というのはどっちが多いと思いますか、四百メートルの陸上競技場とゴルフ場の数とどっちが多いでしょうか。——いや、たぶん去年予算委員会の総括質問でも私は聞いたのですよ。その後のスポーツ施設あるいはレクリエーション施設の努力は、地方公共団体、つまり都道府県では相当やっておるのです。けれども、顕著な進みというものは、やはり二十五メートルのプールを文部省が国庫補助を出して各学校につくっておる、これが昨年一年を通しての努力である。昨年私が質問したときには、ゴルフ場は、日本ゴルフ協会の統計で四百、陸上競技場は二百だった。いま文部省の調査を出してみると、地方公共団体がやっておる陸上競技場は二百二十四。このほかに国立競技場があることは、御承知のとおり。これは一つですね。そこで依然としてゴルフ場のほうが多い。しかし、ゴルフ場は去年自然に相当つぶれたのです。あれは、あんなにどんどんどんどん雨後のタケノコのように一時できたのは、少し変態現象でもあったのだろうと思うのです。塚原長官がゴルフをやられることも知っていますがね。しかし、このゴルフというものは、実際問題として日本でどれだけの地面を取っておるか。私はゴルフはきらいじゃないけれども、やらないでおるのは、いまだ庶民のものにあらずという感覚をもって政治家として対処しておるわけですが、考えてみると、ゴルフ場の大きさは、統計をとると、四国の半分だそうです。これはいつか言わなければいかぬと思っておったのですが、四国の半分、最近ではもう少し大きくなっておる。第一こんな国はないですよ。ヨーロッパへ行けば、どんな小さな都市でも、やはり陸上競技場——大体は周囲三百メートルですがね。三百メートルのほうがほんとうは中学生、高校生にはいいのですよ。それと、それからサッカー競技場というものは、人口五、六千のところなら持っておる。ドイツ、ベルギー、オランダ、フランス。イギリスはもとより。まるであべこべのような現象が出ておって残念なんですが、この現象についての感想をまず聞きたいのと、ゴルフ場が閉鎖をされていくという最近の傾向について、そのあとを児童遊園地に切りかえるならば切りかえるということの努力を、青少年局は関係当局と連絡をとって強力に推進してもらいたいというのが、私の建設的な考え方なのです。それから、これからのものは許可はどこでやるのでしょう。自治省の関係ですか。なるべくこれからはふやさぬというようなことを、青少年局の立場から発言されたらどうか、こう思うのです。
  39. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 お答えをいたします。  ただいま陸上競技場の数とゴルフ場の数についてのお尋ねがあったわけでございますが、陸上競技場につきましては、御指摘のとおり、昭和三十九年の文部省調査によりますと、二百二十四カ所でございます。ゴルフ場につきましては、同じ調査におきまして、ゴルフ練習場が五百十六カ所、ゴルフ場が三百五十七カ所でございます。面積等も相当な面積にのぼっておるようでございますが、先ほど総務長官から御答弁申し上げましたように、青少年の健全育成のための施設、これはいろいろあるわけでございまして、御承知のとおり、青年の家、あるいはユースホステル、あるいは児童館、そのほかに体育の施設といたしましては、プール、運動場等がございます。また、御指摘の都市公園の一部といたしましての児童公園、児童遊園、こういったものがあるわけでございまして、現在青少年問題審議会の施設部会におきまして、長期的総合的な計画を検討中でございます。おそらく六月ごろまとまった答申があるものと考えております。私どもはそういう方向で青少年のための各種の施設を全面的に計画的に整備していきたいというふうに考えておりますが、具体の問題といたしまして、廃止されたゴルフ場を利用するということも非常にいい御着想かと思いますが、それぞれ所有者もあることでございますから、事柄がなかなか困難な面も多かろうと思いますが、そういった部分も含めまして、青少年のための施設に利用できる土地は極力利用するような方向で今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  40. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 こちらが建設的にお尋ねをしているわけですけれども、残念なのは、近来都市等では、ミーハー族、特に東京でいえば原宿族とか代々木族とかいうものが一つの名物みたいなものになりかかっている。だんだん移動はしておりますがね。横浜でもそうでしょう。ことに港湾を控えたところは、一番青少年の非行というものが激しいところである。しかし、彼らといえども、やり方によってはだんだん善導されるわけです。それは、やはり若さというものはスピードとエネルギーの発散を求めておる。われわれはだんだん年をとってそういうことからだんだん去っております。あなた方もそうですが、彼らはとにかくスピードに熱狂する。それから、自分のエネルギーを発散させる場所があれば、それはいいものに変わるわけですから、これをやるためには、河川敷というのは非常に手っとり早い話ですけれども、それだけでなしに、ひとつあるだけの知恵を出して——なくなった河野さんが考え出したことですが、とにかく森林は保証しなければならぬが、原始林の中に大きな広場をこしらえて、それに道路を通じて、週末には青少年が伸び伸びと手足を伸ばせる場所をこしらえたらどうか。これはぜひ総務長官がそういう構想を生かしてもらいたいと私は思うのですが、いかがでしょう。
  41. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 川崎委員の御意見まことにごもっともでございまして、われわれの若いころの体験から考えましても、やはり欲求不満の解消をスポーツに求める、体育に求めるということは、これは当然のことでございまするし、われわれも体験いたしたところでございます。最近、青少年の補導とか、いろいろの施設も充実されておりまするが、要は、あり余るエネルギーの発散の場所を体育に求めていく、スポーツに求めていくということは、私全く同感でございまして、そういった面で、そういうものをなし得る場所の提供ということについては、政府としても全力をあげていく考えでございます。
  42. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 具体的な質問を二つばかりします。  東京オリンピック大会のときに、同時に並行して世界青少年キャンプというものが、世田谷の学藝大学を借りて開催された。これはオリンピックのはなばなしさに隠れて、じみなことではあったですけれども、二十四カ国の青少年が派遣されてきて、相当に親善の効果もあげるとともに、今後いわゆる各国の青少年代表というものがじかに集まるという機会はなかなかない、やはり四年に一ぺんのオリンピックがいいだろうというようなことから、メキシコでもオリンピックと並行して行なわれようとしておる。これはまだ組織委員会もメキシコにできておりませんけれども、たびたび問い合わせもある。これはオリンピックのことであるから、元来は文部省の体育局に予算をつけるべきだったが、あの当時そこまで回り切らなくて、そして総理府についたのであります。今度日本の青少年団体もぜひメキシコのキャンプには参加したい。ドイツもフランスも出かけるような予定もしております。アメリカも、前には参加してなかったが、今度は隣の国でもある、ぜひというので準備も進めておるわけです。これは再来年度の予算になりますが、そういう希望が出てきて引き続き行なわれるということになった際には、総理府ではこれを計上する気持ちがあるか、準備をする気持ちがあるかということをこの際聞いておきたいと思います。
  43. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 オリンピックの青少年キャンプの問題でございますが、お話のとおり、東京大会の場合は当時の中青協の事務局でお世話を申し上げたわけでございます。メキシコ大会が四十三年でございますが、これにわが国の青少年を派遣するということになりますと、予算といたしましてはもうすぐその準備にかからなければならないわけでございます。私どもは、東京大会の場所に総理府でお世話を申し上げた関係もございますので、私のほうが中心になりまして文部省等と十分御相談を申し上げたいと思います。私のほうが中心となりましてと申し上げましたのは、これは必ずしも総理府において予算を要求するということをきめてかかって申し上げているわけではございません。御指摘のように文部行と非常に深い関係がございますので、その辺とよく打ち合わせをいたしまして、どこの省で扱うかといったようなことも含めて検討をしてまいりたい。概算要求も間もなく始まるわけでございますが、各省連絡をとりまして、七月中くらいにはその取り扱いをきめるような運びにしたいというふうに考えております。
  44. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 もう一つの問題は、これは新しい提案でもあるわけですけれども、夏、非常に青少年のキャンプが盛んですね。それで、山中湖とか、あるいは各地にキャンプ場が設けられておりますね。ところが、外国などへ行きますと、いろいろキャンプ場はあるけれども、やはり国が相当バックして、国立青年キャンプ場とまでは言えないけれども、その国の代表的なキャンプ地というのはあるわけです。日本では、まあ富士山の周辺もそうなんでしょうが、私の一つの考え方ですが、多摩の「こどもの国」につながっておる米軍の弾薬倉庫のあと、一時これが鈴木主査厚生大臣をやっておられたときに重症心身障害者の施設の候補地になった。ところが、あれはいまは遊んでいるわけだ。ああいうものをひとつ将来国立青年キャンプ場とするか、国が指定して——ドイツでいえば、ライン河畔、ボンのそばに何とかという町があるでしょう。そこはもう一万人くらいキャンプができる。それからハンガリーでも、ブタペストの郊外にバラトン湖というのがあるが、これは一万人くらいのキャンプができる。そういうものがみんなあるわけです。ボーイスカウトの次の世界ジャンボリーはたぶん日本にとれる。けれども、世界的なジャンボリーをやるだけの場所はなかなかない。軽井沢なんかでもやっていましたけれども、あまり適当でないというようなことで、何かそういう意味で国が青少年のキャンプ地のうちで最も顕著にシンボライズされたようなところを見つけて世話をするという考えはありませんか。考えはあるかというよりも、すべきだと私は思うのですが……。
  45. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 国立キャンプ場についての基本的な考え方は、先ほど総務長官からお答えしたとおりでございます。  なお、ただいま具体的に御指摘の多摩動物園に隣接した土地の扱いの問題でございますが、私は先般全く偶然の機会に国立競技場の関係者からそういう話を伺いましたが、総務長官の御答弁の中にもございましたように、主管といたしましてはこれは文部省の問題かとも思いますので、文部省におきまして御指摘の問題も十分検討していただきたいというふうに考えております。
  46. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それは別にしても、国立青年キャンプ場とか、あるいは国がここが一番青少年のキャンプ場として国際的にも通用する場所だというようなものを将来つくり上げる気持ちはないですか。私はつくるべきだと言っているのです。
  47. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御構想といたしましては私全く同感でございますが、具体的な施策の進め方といたしましては、これは総務長官答弁のとおり、文部省において御検討いただくべきことかと思います。
  48. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 論題が変わりまして、私は、原子力行政につきまして、予算の使い方あるいはこれからの進め方について、しろうとながら非常な疑点を持っておるわけです。そこで、きょうは大臣が所用でおいでにならないので、政務次官に伺いたいと思うのですが、日本原子力研究所ですね、これはいままでにどのくらいの予算を使っておりますか。私の持っておる数字と同じかどうか知らぬが、三十八年から始めて昨年度までに五百億をこえておると思うのですね。予算だけでなく、事業ベースのものも入れて……。
  49. 村田浩

    ○村田政府委員 原子力研究所の使いました全体の予算は、政府出資ベースで四十一年度までに五百三十四億円、他に民間出資分が二十四億円ございます。
  50. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 そしてことしの予算は九十億三千八百が円ですね。そうすると、これはとにかく六百億近い経費を計上しておるわけですが、職員が千九百九十八人、役員が十一名。それで一体何ほどの効果がいままであがったのですか。ひとつ業績があがった事例を堂々と言ってもらいたい。
  51. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまの、使いました予算はどういうような分野に使いましたかということをちょっと申し上げてみますと、五百五十億余りの資金のうち、約百四十数億を原子炉関係の建設等に使っております。これは御承知のとおり、研究用原子炉としましてただいま東海研究所にJRR1から4までございます。さらに、動力試験用のJPDR、並びに現在大洗において材料試験炉を建設中でございますが、こういうもののすべてを含めまして今日まで約百四十数億円を使いました。原子炉の数としては、完成いたしましたものが五つ、建設中のものが一つでございます。これらのうち、研究用原子炉の四つのうち1、2は完全な輸入でございますが、第3号、第4号は完全な国産でつくれるようになったわけであります。それから動力試験炉は、これはアメリカからの輸入でございますが、これに匹敵するぐらいの規模のございます材料試験炉は、これまた完全に国産でできるところまでまいって、今年度末までに完成いたす予定でございます。  そのほか、原子力関係一般的な研究施設といたしまして約百億余りを使っておりますが、その中のおもなものを申し上げてみますと、高崎におきまして放射線化学関係の施設を整備いたしておりますが、これがこのほど第一期の五カ年計画が一応終わりまして、放射線関係で中間規模試験が相当の規模で行なわれるようになっております。たとえば、現在やっておりますものでは、繊維のグラフト重合あるいは一連の気相重合、トリオキサンの気相重合あるいはプラスチックの放射線改質等のいわゆるプロジェクト研究をやってきておりますが、ここにあります約三十万キュリーのコバルト六〇照射装置は、わが国最大のものでございます。これによりまして、たとえば一連の気相重合あたりでは諸外国からも非常な注目を浴びて、アメリカの大きな化学会社あたりから、その情報の提供等につきまして折衝もきておる、こういうふうに聞いております。そのほか、東海研究所のほうにも、基礎的な研究に必要な種々の施設、たとえばバンデグラーフ装置であるとか、リニアアクセレレーターとか、そういった施設がいまようやく完備してきました。  これは施設面で申し上げましたが、これら施設を運用しまして必要な研究を進めるにあたりましては、研究者が必要でございますが、ただいま先生の御指摘のとおり、現在約二千人の職員がおりますが、これらの人件費あるいは研究費を含めまして、経費が合計二百億余りになっております。  こういったような内容で今日まできておるわけでございます。
  52. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 研究用の原子炉というものはできた、第3号、第4号は国産でもできるようになった、研究の面では相当成果をと言われたようですが、国産の原子炉というものの実用は、いつを目標にして始められたものですか。原子力発電……。
  53. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまの御質問は動力用の原子炉のことと拝察いたしますが、動力用の原子炉の国産化につきましては、二つの方向で開発を進めております。一つは、先ほど申し上げましたJPDR、原研にございます動力試験炉、これは電気出力一万二千五百キロワットの、発電炉として非常に小さいものでございますが、これを一応輸入しまして、これをもとにしましていま改良研究を原研がやっております。その趣旨は、実用の大きな軽水型の動力炉の国産化に資するようにいたしたい。特に国産化の中で問題になりますのが材料及び燃料でございます。こういった材料及び燃料の試験は、放射線を大量に浴びます状況、つまり原子炉の中でないとその完全な試験ができませんので、このJPDRを使いまして現在燃料及び材料の照射試験というのを進めております。これによって、技術を本来アメリカで発展しましたものを導入したもの、これを国内の原子炉メーカーが国産化していく上に役立てる、こういう仕事を進めております。それから第二が、これは海外の導入技術でございませんで、わが国で自前で動力炉を設計いたし、その設計したものを国内技術で完成していくという仕事でございます。  これを動力炉開発計画と申しておりますが、この分野におきましては、現在二つの型の動力炉を開発の目標に掲げております。その一つは、将来必ず実現をさせねばならないという、原子炉の本命でございます高速増殖炉でありまして、他の一つは、それに至りますまでに、国産の技術をもって現在アメリカ等から導入しております動力炉よりもより効率の高い原子炉、これを新型転換炉とわれわれ呼んでおりますが、この動力炉を開発していく、こういう計画を持っておりまして、これら二つの新しい動力炉の開発につきましては、御案内のとおり、本年度から原研とは別に動力炉・核燃料開発事業団を設立しまして、この新しい機関が中枢機関となって、これに原研あるいは民間企業等が協力して、総力を結集して進めよう、こういう体制でございます。
  54. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 端的に聞きますが、最初にこういう原子力研究所というものができたときに、研究だけではなしに、やはり動力用のものまでやるということで、それには年次計画があってやったのではないですか。何年くらいでやる、当初そういうことはなかったのですか。
  55. 村田浩

    ○村田政府委員 原子力研究所を設立いたしました当初は、研究用原子炉あるいは動力用原子炉を含めまして、原子炉全般を通じましてこの原子力研究所がセンターという役割りで進めてまいろう、こういう考え方でございました。その観点から、ただいまの高速増殖炉についてはもとよりでございますが、それ以外の原子炉、たとえば半均質型の原子炉とか、あるいは水均質型の原子炉とかいうようなものの概念研究をいたしまして、そういった点での基礎研究は相当いたされました。ただ、いずれも、大きく発展させて実用化するのについてはそれぞれむずかしい技術上安全上の問題点があるということから、それらはおきまして、ただいま申しましたように、高速増殖炉と、それから重水を使います原子炉とをこれからの日本の動力炉開発の中心に据えようということが、過去約十年の原研をはじめ関係各界の検討の結果出てまいったわけであります。
  56. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 この原子力研究所が、五百億という巨費を使ってとにかく研究用の原子炉をようやくいまごろつくった。これはそれだけかかるものかどうかは知らないですが、聞けば、原子力研究所は千九百九十八名の職員がこのごろストライキばかりやっておる。それにはまたそれだけの理由もあるようにも聞いておるけれども、しかしながら、せっかく大研究を進めておって、年じゅうストライキをしておって実際に成果は上がらぬ。だんだん研究の結果、動力炉・核燃料開発事業団を本年から新設することになったのだ、いまあなたはいろいろ専門語を言うて陳弁これつとめたけれども、どうもわれわれにはよくわからない。もっとスピードも上がるだろうし、また、イギリスその他で行なわれておる実用の原子力発電というものがスタートされてもいい時期でなかったか。こういうことになった責任というか、いま原子力研究所というものはほんとうに業務がスムーズに行なわれておるのかどうか、私は非常に疑問に思うのですが、御答弁願いたい。
  57. 村田浩

    ○村田政府委員 わが国は昭和三十年ごろから原子力の研究開発に着手いたしまして、三十一年に原研ができたわけでございますが、当時何も見るべきものがないところからスタートいたしたわけでございます。そこで、当初の数年間といいますものは、もっぱら人の養成と、それから研究のために必要な施設の整備ということが中心となったわけでございまして、現在ようやく原研としては約二千人からの職員を擁する研究所に発展いたしましたが、これを諸外国の原子力研究所に比較してみますと、たとえばイギリスの代表的な研究所でありますハーウエルは、職員約六千名を持っております。また、アメリカの代表的研究所でありますアルゴンヌの研究所、あるいはオークリッジの研究所等は、いずれもこれまた三千名余りの職員を擁しております。そういった点からいたしまして、過去約十年近い期間というものは、もちろんいろいろ御批判はございましょうが、やはりわが国といたしましては基礎から積み上げていくために必要な研究の期間であったと思うのであります。いまようやくそういった研究の検討の結果が実りまして、そうしてわが国としての大目標がここに設定されるに至った、こういうことであろうかと思います。
  58. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 ストライキはどうですか。
  59. 村田浩

    ○村田政府委員 これまでの間原研におきましてたびたびストライキがございまして世間をお騒がせしたということは、そのとおりでございますが、これが非常にひんぱんに行なわれましたのは昭和三十七、八年でございまして、昭和三十九年以降今日までは、少なくとも数の点では非常に減っております。この原因等いろいろございましょうが、一つの要素としましては、やはり当初研究開発の目標というものが、ある意味では必ずしも明確になっていなかったということもあろうかと思いますが、その後、今回の事業団設立を見るに至りましたように、原研のこれまで蓄積された力を中心に、いろいろ関係各界の御協力を得まして、こういった国としての目標を検討してきた、こういうことで方向が漸次明確になってきております。そういうことから、研究者のほうにおきましてもそれなりの自覚というものが出てきておるのではないか、こう考えております。
  60. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 始関さん、いまの問題について、あなたは政務次官で、きょうは大臣の代理で来られておるわけですが、一つは、事務当局と政治の責任者というものがだいぶ乖離している。年じゅう大臣がかわり、政務次官もかわるわけです。こういうストライキはだんだん減ってきてはいる。減ってきてはいるけれども、その原因には、単に賃金の問題だけじゃなしに、原研の将来のあり方の問題というようなものもからんでいるというふうにいわれておるのですが、あなたはどう思いますか。
  61. 始関伊平

    始関政府委員 原子力研究所につきましては、いわゆる労働三法が適用されておるわけでございまして、労使関係の正常化をわれわれは希望し、また指導しておるわけでございますが、現在の丹羽理事長が就任いたしましてから、労使関係につきましてもだいぶん改善を見ておるというふうに承知をいたしております。最近におきまして世間の話題になりましたのは、昨年夏ごろの原研の十周年記念当時のいろいろのトラブルでございますが、それを除きましては概して正常化の傾向をたどっておる、このように存じておるのでございますが、特殊法人でございますから、そのほうにつまきしても十分に監督をいたしまして、今後一そう遺憾なきを期してまいりたい、このように存じております。
  62. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 もう一問だけ聞いて原子力船の問題に入りたいと思うのです。これは私がきょう質問しようとしておった山です。  実は今度動力炉・核燃料開発事業団を新設する、いま言われたあなたの研究過程のその上の実績には、こういうものをつくらなければだめだという御説明はわかったけれども、しかし、世の中には、これはむしろ原研を通じてやらしたらどうか、原研がこういう騒動ばかり起こしたり、予算を効率的に今日まで使っておらなかったという指摘が相当あるわけです。そこでそんなものが出てきたのじゃないかと思うんだが、御存じのように、東電や関西電力、まあ中部電力は三重県の用地の問題でまだほんとうに軌道には乗っておらぬけれども、他の二社は相当乗っておる。電力会社に、民間経営のほうにやらしたほうが実際はいいんだ、議論ばかりしておって、年がら年じゅうストライキばかりしておるようなところよりも、こういう実用的なものはやったらいいんだという議論もあるのですが、そういう点でどうですか。あなたはどういうふうに反省しておられるか、伺いたい。
  63. 始関伊平

    始関政府委員 原子力研究所と今回つくります動力炉・核燃料開発事業団の関係についてのお尋ねでございますが、先ほど原子力局長お答えを申し上げましたように、原子力の開発利用を進めてまいりますためには、相当広範な、かつ複雑な基礎研究を進めてまいる必要があるわけでございまして、こういった分野を担当いたしておりますのが原子力研究所でございます。それで、その基礎研究がある程度進みまして、今度はいよいよ本格的な開発利用を進める、しかも在来の動力炉、発電炉ではございませんで、全く新しい型の高速増殖炉などというものをやるわけでございますが、これにつきましては、いまお話もございましたが、たとえば、ユーザーとしての東電その他がこれに自分のところで開発した技術を採用しようということでなければならないわけでございまして、そういったユーザー、それから原子力研究所も含めまして、政府の各試験研究機関、大学、いわゆる学界、こういったものが総力を結集することが必要でございますので、在来の基礎的な部門を担当する原子力研究所では——この総合的な、かつ中心になって推進してまいる役割りを持った責任機関ですね、そういうものとしては原子力研究所では不適当だということで、新しい構想ができたわけでございます。それから東電や関電にやらしたらどうかということでございますが、ここで原型炉まででき上がりますと、本格的な高速増殖炉を使いました発電所はもちろん、東電や関電、いわゆる九電力がやることになるわけでございますが、その前段階としまして、これでやっていけるという基礎のところまではここでやる必要がある、こう考えておるわけであります。
  64. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 これから私が質問することは、今度の予算の中で一番納得のできない原子力商船の問題です。これは、まず伺いたいのですが、当初の計画と非常に変更されてきていますね。第一船、つまり原子力商船は、初めの計画は、第一船の所要資金はほぼ六十億ぐらいではなかったのですか。
  65. 村田浩

    ○村田政府委員 当初の計画は、原子力船の船価三十六億円を含めまして、総事業費は約六十億円  と見込まれております。
  66. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いまはどういうふうに書いてあるんですか。
  67. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまの新しい見積もりによりますと、原子力船船価が約六十億円、さらに事業費等を合わせまして総事業費百八億円と見込んでおります。
  68. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 問題はそこなんだ。これはえらい問題ですぞ。これは今度の予算の中で一番私が問題にしなければならぬ点だと思っておる。もちろん、自民党の議員ですから、出したときにすべての予算というものは了承しておるが、ここまでみなこまかにわれわれ知っておるわけではない。大蔵省の主計局長ではない。主計局にも非常な不満がある。そこで、私はこういう材料を入手したわけですが、いま船価が六十億と言われたが、大体五十六億、あなたのところの事務当局で出しておる数字です。サービスサイトが十八億、その他三十四億で百八億。これを当初に比べると、船価は、当初が三十六億で、五十六億ですから、当初の計画を二十億上回っておる。それからサービスサイトは五億七千万が十八億になっておる。その他は、十八億三千万が三十四億になって、六十億が百八億、つまり二倍をちょっと切っておるというだけで一・八五倍ぐらいになるということになると、この原子力船というものの今日までの予算の使い方、あるいは民間ベースによる資金の集め方、そうしてその効率的使用というものに対して私は非常に疑惑がある。この問題は、きょうがおそらく予算委員会で取り上げられた最初です。もっと科学技術委員会などで詳細に言ってもらわなければならぬが、どうも問題点が非常に多いように思う。時間も少ないので、むしろ私は、この計画が非常に膨大になった——大蔵筋の中でも、当初計画をこんなに上回ったというものはいままでにない、大べらぼうだということを極論しておる者もある。しかし、国の方策としてこれが取り上げられ、佐藤総理大臣もすでに、原子力商船をやるんだ——ところが、それに反して、アメリカでは、原子力商船、先般寄港しようとしたサバンナ号というものはもはや退役に近い。これは新聞紙上まだ出ておらぬ。私が持っておるニュースです。そして原子力商船というものは、もう将来アメリカはやらないのだという。まあこれは極端ですがね。しかし、もうつくらないのだという考え方も出ておる。やっぱりこんなものはペイしないから。われわれは原子力の平和利用ということについては何でも賛成ですが、日本が商船のろくなものを持っておらぬ今日、原子力商船などというものをつくるということをきめた意気込みはいいけれども、どうも当初計画をこんなに上回ってきたこと、そして一体これはいつできるのですか。これこそ動力用の原子炉とは違って、船というものは形ができてこなければならぬが、すでに三十八年からこれだけやっておって何にもできなければ、これはまぼろしの船じゃないですか。まぼろしの船に百八億、倍もまた命を使う。そして、アメリカのほうではこれをやめる。これは一体どういうことですか。
  69. 始関伊平

    始関政府委員 ただいま御指摘の三十六億の計画は、実行にまだ着手しておらないわけでございます。つまり当時船価の見積もりについての情報の入手が不十分でございまして、それも初めてやるわけでございますから、不正確な見積もりをしたということと、その後の物価の値上がりということで若干——当初は海洋観測船ということでやりましたのですが、今度は運搬船ということでございまして、船の大きさも多少大きくなりましたが、そういうようなことで変わってまいりました。  それから、採算がとれるかどうかという問題ですが、これは超大型の三十万トンとか四十万トンとか、そういう大きな船になれば優に採算がとれるということでございまして、外国では原子力潜水艦というものである程度商船の基礎ができておりますからよろしいのですけれども、日本も造船国ですから、やはりこの際、こういう段階において一応そういったような将来の発展に備えてこういうものをつくっておく必要がある、こういう考え方でございます。  なお、四十二年に着工いたしまして、四十六年に完成する、こういうことでございます。  ちょっと繰り返して申し上げますが、三十六億の計画で着工いたしまして、それが途中ふくれ上がったというのじゃなしに、元の計画が一応おじゃんになりまして、新しくスタートし直すということでございますから、御了承願います。
  70. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 たいへん低姿勢の御答弁ですが、若干とか多少とかいうことばはこういう場合には当てはまらぬですね。若干とか多少とかいうのは、三十六億が三十八億五千万になったとか四十億になったというのが多少なんです。これはほんとうにまじめにお考えいただきたい。あなたはむしろ実際ここでつじつまを合わせなければならぬから答弁されておるのだと思いますが、これは相当問題だと思う。現に業界でもこれに協力するということに対してあまりいさぎよしとしないという面も相当出てきておるので、いまは船は非常に重要な段階で、資本自由化と相まって大いに競争しなければならぬというときですから、こういうものにまで手を出して実際にいいのだろうかという議論はかなり出てきておると私は思うのです。全くまぼろしの船です。そうしてだんだん予算ばかりふくらます。ほかにまだ東海村の問題もあるけれども、私はこの問題については非常に疑懼を持っておる。  アメリカは一体その後原子力商船というものをどのくらいつくろうとしておるのですか。
  71. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまアメリカでは一九七〇年代の初めを目標にしまして、高速コンテナ船を原子力船でつくるという計画を持っております。これは一隻は二万ないし三万トンでございますが、高速コンテナ船としての使用上の要件等から、つくるといたしますと、同時に三隻または四隻をつくりまして、それをピストン輸送に使いたい。私どもの得ておる情報では、これが実現いたしますならば、極東方面の貨物輸送に使いたい、こういう計画を持っておるようでございまして、現在その計画につきましては、すでに大統領の手元まで出されておる。ただ予算等の関係でまだ具体化がはかられていない、こういうふうに聞いております。
  72. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 いまいい話が出てきたわけですが、それに対してやはり国会の歳出委員会あたりから非常な反対がある。はたして効率的であるかどうかということについては条件が整わない。ですから、原子力商船というものは相当に大きな問題を世界的にもかかえておるので、そういう見地から非常に慎重に今後対処してもらって、計画が違ったからまたどんどん予算を出すというようなことでなしに、中には第一船ができれば第二船、第三船——第一船はここまでやったのだから中止しろとも言わないけれども、相当な問題をかかえておる。その使途についてもやはり相当な情報が私はあるけれども、きょうはその点は触れないでおきます。この原子力商船というものは、第一には効率の問題、それから予定を変えた問題、その費用が非常にばく大にのぼっておるという問題、人があまり今日まで注目しなかった関係で、予算の使用についても非常な疑いがあるということだけを私は指摘をしておきまして、質問を終わらしていただきます。
  73. 鈴木善幸

    鈴木主査 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ————◇—————    午後一時三十四分開議
  74. 鈴木善幸

    鈴木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田畑金光君。
  75. 田畑金光

    田畑分科員 総務長官に農地被買収者等に対する給付金の支給に関する法律の農地報償金の実施状況についてまずお尋ねいたします。  申すまでもなく、昭和四十年の六月からこの法律は施行されて、本年の三月で期限が切れる、こういうことになっておるわけでありますが、実施状況がどうなっておるのか、これをまず承りたいと思います。
  76. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 お答えいたします。  本年三月三十一日の期限末における市町村の受理件数については、約百二十万件前後と推定されます。それに見合う金額は約千三百二十億円にのぼるものと推定されます。
  77. 田畑金光

    田畑分科員 これは三月末で期限が切れたわけで、期限の延長ということにはなっていないわけですね。
  78. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 期限延長にはなっておりませんが、残った方々のために、三月末までの間にはできるだけの御便宜をはかる措置はとって、こういう推定される数字が出たものであります。
  79. 田畑金光

    田畑分科員 予算を見ますと、ことしもまた相当額の予算——といっても一億未満でございまするが、計上されておりますが、これは今後どのような事務費に予定されておるのか、これをひとつ御説明いただきましょう。
  80. 森宏太郎

    ○森説明員 担当の参事官でございます。農地被買収者の給付金に関します予算の主要なものといたしましては、県に対する交付金並びに市町村に対する交付金でございまして、県に対する交付金が約四千百万円余りでございまして、一県当たり約九十万円でございます。市町村に対する交付金はほぼ同額の四千六百万円余りでございまして、一市町村当たり大体一万三千円余りでございます。主たる予算の経費は以上でございます。
  81. 田畑金光

    田畑分科員 この法律は、申すまでもなく、国会においてもいろいろ与野党激突を繰り返してようやく成立を見た法律案であることは御承知のとおりであります。特に政府は旧地主に対する措置として、農地改革に対する貢献度、あるいはまた、心理的な影響を顧慮してというような目的のもとにこの法律を強行制定されたわけでありまするが、その当時国会において、政府は、一体どれぐらいの見通しなのかという見通しなどについては、請求件数についてもあるいは有資格者数についても相当大きなものを見通しておられたわけであります。たとえば有資格者百六十七万件、あるいは当該農地の面積百八十万ヘクタール、支給総額は千四百五十六億、こういう見込みで実施に入ったわけでありまするが、先ほどの総務長官の御答弁でございますると百二十万件、千三百二十億円ということで相当大幅な見込み違いが出ておるわけであります。これはどういう事情によってこうなっておるのか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  82. 森宏太郎

    ○森説明員 最終的な請求件数につきましては、先ほど総務長官のほうから御答弁がございましたが、現在鋭意集計整理中でございまして、確定数字はまだ出ておりません。先ほど総務長官が仰せられたように、推定として百二十万件でございます。当初見込みました百六十七万件に対しましてほぼ七割程度でございます。それから金額的には、先ほど総務長官の御答弁のございましたように、  ほぼ千三百二十億程度と見込まれるわけでございまして、当初見通しました千四百五十六億に対して約九割程度ということになっております。  ただいま先生のほうから御質問がございました当初の件数なり金額との開きの問題につきましては、現在いろいろ分析、検討しておる段階でございますが、考えられますことは二点ございまして、件数につきまして申し上げますと、一つは請求をしなかった方が、当初一〇%という不請求率の予定でございましたが、これに対しましてほぼその倍程度にのぼるのではないかということが一つの理由でございますし、またもう一つの理由といたしましては、農地改革で農地を政府に買収された方の中で一定の方だけに給付金を差し上げる。したがって、一定資格を持たない方が農地改革で買収された方の中でもございますが、この方の数につきましては、当初は農地改革当時の農林省が調査いたしました実績確定調査という調査によりまして推計をしたわけでございますが、その後、総理府におきまして昨年末に農地報償の対象者を対象といたしまして実施いたしました調査結果によりますと、資格を有しない方が当初の見通しよりも相当ふえておそらく倍以上になるのではないか、かような推定から、先ほどの件数によります約四十七万件余りの開きが出てまいるのではないか、かように考えられるわけでございます。  なお、金額につきましては千四百五十六億の当初見込みに対しまして九割程度に見込まれるわけでございますが、この金額につきましては、九割程度に見込まれるという点につきまして、件数との相違と申しますか、件数では七割程度、金額については九割程度と申しますのは、結局一件当たりの金額が当初の見通しの一件当たりの金額よりも、実際に実施した結果によりますとある程度高くなっておるということによりまして、件数による予定との開き、それから金額による予定との開きの相違点が出てまいったのではないか、かように考えるわけでございます。
  83. 田畑金光

    田畑分科員 百六十七万件と予想していろいろ見積もりを立てられたのが、百二十万件でおさまったということですね。約三割予定件数よりも結果は少なかったわけですね。少ないのが望ましいかどうかという問題は別にしまして、そのような粗漏な試算の上に立ってこの問題の処理が進められ、千四百五十六億の予算が一応予定されたということですね。これは私は非常に大きな粗漏があったと思うのです。この点大臣としてはどのようにお考えになるか。あまりにもお粗末な調査や資料に基づいてこの予算が組み立てられてきたということをお認めになりますか。
  84. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 実際の数字の上でこういった一〇〇%のものがあらわれていないで、あるいは七〇%あるいは九〇%という数字が現実にあらわれておるのでありますから、いかに推定とはいいながら、これはやはり完全な実施ができなかったということについては、仰せられるような点も認めざるを得ないと思うのであります。  なお私が聞いているところでは、これは都会地周辺における方々の申し込みが非常に少なかったというようにも聞いておりますので、われわれとしてはできるだけのPRを試みて、おいでを願いたい、申し込まれたいということをやったのでありますが、一〇〇%の数字が出なかったということについては、その満足でなかった点は認めざるを得ないと考えております。
  85. 田畑金光

    田畑分科員 これと性質は異にしておりますけれども、昭和三十二年に例の引揚者給付金等支給法というのが制定されて、当時の引き揚げ者に対して見舞い金として五百億のワク内において国債の交付措置がなされたわけでありますが、その昭和三十二年から今日までもう十年も経過をいたしておりますが、この法律に基づいて幾らの引き揚げ者に対してどの程度の国債が交付されておるのか、これをひとつ、先ほど厚生省のしかるべき責任者を呼んでいただくということでありましたが、出席しておりますか。
  86. 栗山廉平

    ○栗山政府委員 それでは私から、かわりまして厚生省の件数を御報告申し上げます。  昭和四十一年十二月末現在の数字でございます。引揚者給付金等支給法による国債の発行状況としまして、発行高は、人員が三百四十五万二千七百人の予定のところ、実績が三百十六万九千八百三十二人でございます。金額につきましては、先ほどお話がございましたように、五百億の予定のところ四百六十億六千七百五十三万二千円の国債の発行実績でございます。
  87. 田畑金光

    田畑分科員 いまの答弁を聞きましても、引揚者給付金等支給法の経過を振り返ってみましても、予定人員を三百四十五万余に見たにかかわらず、実際に請求したのは三百十六万になっておる。五百億の予定に対して四百六十億にしかなっていない。いずれも、さっきの事例と今回の事例を見ましても、政府がこの種の政策的な措置をやる場合には、常に想定された予想と実際の実績というのに非常な開きがあるわけですね、あまりにも開きが大き過ぎるという問題です。引揚者給付金等支給法の経過を振り返ってみますと、昭和三十二年にこの法律ができましたが、五百億に対しまして請求金額が意外に少なく、そこで政府としては法律の内容などについても改正をして支給の対象を広げたということは御承知だと思います。また、この法律実施についても何度か法律の延期も——何度かでありません、一回ないし二回だったと記憶しますが、この法律を延長しているわけですね。その点ひとつ、どういう経過を経ているか、もう少しく法律の内容などの改正その他についても説明を願いたい、こう思うのです。   〔主査退席、細田主査代理着席〕
  88. 三浦正夫

    ○三浦説明員 確かな点をいま確かめておりますけれども、法律は、私の記憶では二回ほど延長いたしておりまして、現在の時効期間は法律上六年というふうにきまっております。当初たしか私の記憶では三年であったと思いますが、この点につきましては、なおちょっと現在確かめたいと思います。
  89. 田畑金光

    田畑分科員 とにかく私は一例として引揚者給付金等支給法を取り上げてみたわけですが、五百億の当初の想定に対しまして、その後、実際法律に基づく請求事務などをやってみた結果が、意外に政府の当初見込んだ予想件数よりも少なく、したがってまた金額にも相当余裕ができて、それがために法律を二回も延長し、また法律の内容についても支給の対象を広げておるわけです。それが昭和四十一年の十二月末現在において、当初の三百四十五万の想定に対して三百十六万人、金額については五百億が四百六十億、こういうことになっておるわけですね。さきの旧地主補償と似たり寄ったりの実態です。私は、こういうようなことについて、政府の統計資料なりあるいは調査の結果の実情などについてあまりにも権威がなさ過ぎる、こういう感じを強く持つのです。  そこで、私さらに関連して、今後この国会で大きな政治問題にもなるであろう在外財産補償問題についてお尋ねいたします。総務長官から在外財産補償問題の処理に関連して、前提となる引き揚げ者の人員の把握と引き揚げ者の世帯数の把握についてはおおよそ資料が整って、これこれの数であろうという実数の把握が報告されましたが、ひとつもう一度あらためて総務長官からそれを承りたいと思います。
  90. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 資料を求めるのに非常に困難な状況にあるのがこの引き揚げ者の問題でございまして、今日まであらゆる努力をして大体推定される数字は、世帯数で九十五万世帯、人の数にいたしますと三百六十一万六千人でございます。もっと詳しく言いますと、世帯数は九十五万四千世帯、それから引き揚げ者の総数はこれは見込みでございますが三百六十一万六千人、どちらもそういうふうに推定されるわけでございます。
  91. 田畑金光

    田畑分科員 援護課長、例のさきの法律実施に伴う引き揚げ者の数は三百十六万という説明でしたが、世帯数は幾らでしたか。
  92. 実本博次

    ○実本政府委員 三十二年に制定いたされました引揚者給付金法の対象は個人別単価になっておりまして世帯単位でやっておりませんので、世帯としての実数は何ら実施上出てまいっておらないわけでございます。
  93. 田畑金光

    田畑分科員 これは総務長官お尋ねしますが、九十五万世帯とか三百六十一万六千人というこのよってきた資料の根拠、どういうような方法でどんな点からこれを割り出してきたのか、おそらくまたこれも相当水ぶくれがありはせぬかという感じで私は見るわけです。そうして皆さん方がそれにかける何ぼだという形で総額をこれから決定されることだと思うのです。あるいは、総額をきめて、世帯別にするとこう、人の割り振りにするとこうだという形になると思いますが、いずれにいたしましても、心配することは、非常にずさんな統計資料に基づいて一応の想定を立てて相当額の金額を出して、そうしてまたそれがいろんな物議をかもすような結果を招く場合が従前しばしばあったし、また今度も同じようなことになりはせぬかということをおそれるわけですが、どうでしょうか。
  94. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 先ほども触れましたように、この人数をキャッチするのに資料が乏しいので非常に困難を来たしていることは、田畑委員もおわかりいただけると思います。今度の三百六十一万六千人、また九十五万世帯というのは、厚生省を中心とし、また関係各省と御相談してやっとそこまで推定の数を出したのでありまして、決して水ぶくれとか山をかけるというような意図は毛頭ございませんから、どうぞそのように御了承願いたいと思います。
  95. 田畑金光

    田畑分科員 了承しろと言っても了承できないのです。いつの場合も、結果から見ると、あまりにも実態と政府の立てた予想とに大きな開きがありますので、借用しろと言ってもなかなか信用できないわけです。特に私おそれておるのは、相当水増し人員と申しますか、実態よりもかけ離れた人員を基準として総額を出して、いかにも財政面から不当な支出であるというような印象を国民に与えることによって、正当な問題の処理が曲げられる危険はないかということを私はおそれているわけであります。この点は私の杞憂であればけっこうでありますけれども、この点について総務長官の見解をもう一度承っておきたい、こう考えるわけなんです。
  96. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 再度申し上げますが、決して数をふやして、そして総額をふやそうなどという意図は毛頭ございません。その数を割り出す基礎となる資料に乏しいので、非常に苦慮いたしておるわけでございまして、必ず田畑委員の杞憂であるということに間違いないと私は考えております。
  97. 田畑金光

    田畑分科員 去る十九日の社会労働委員会でも、私、塚原総務長官お尋ねしたわけですが、去る十七日に、塚原長官並びに与党の西村政調会長、あるいはまた与党の植木在外資産懇談会の会長、この三者の間では、四月二十五日を限度として在外財産処理の総額についても結論を出そう、こういうことの申し合わせになっていたわけです。そこで、私は、十九日の社会労働委員会において、塚原長官に、今度は間違いございませんか、二十五日までにはだいじょうぶ結論を出されるのですね、そういうお尋ねをしたところが、長官としては、法案を作成しなくちゃならぬので、二十五日でもおそ過ぎるのだ、できるだけこれは早くきめなくちゃならぬと思う、こういうような御答弁であったわけでありまするが、二十五日というと、ちょうどきょうなんですね。おきめになられたわけですか。
  98. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 前にもお答えいたしましたように、私としては、この在外資産補償問題は非常に重要な法案の一つであると考えておりまするし、そういう重要な法案が会期末に出ることについては、従来から私は反対しておった一人でありまするので、どうしてもできるだけ早い機会にこれを提案したいというので、党の方と御相談を願い、二十五日という日を申し上げたのは、それを私から強く要請したような次第でございます。実際において、党側との調整が、今日いまの時限においてはまだとれておりませんので、何とも申し上げかねる点があるわけでございます。
  99. 田畑金光

    田畑分科員 与党と政府との間に、どこにそのように調整に難航を見ているのか。そうなってきますと、まあおおよそ二十八日で予算が上がるかどうかはわかりませんが、とにかく二十九日以降は連休に入るわけです。そしてまた、聞くところによれば、というよりも、これは議運委員会などでも、政府は五月十二日までに、この国会に出す法律案についてはすべて閣議決定をして準備をするのだ、こういうようなことなども明確になっているわけです。連休明けというと、もうすぐ五月の十二日、こういうことになってまいりまするが、一体政府としては、この問題の処理についてこれからどうなされようとするのか。特に担当の国務大臣である塚原長官、明確にひとつお答え願いたい、こう思うのです。  常に、この問題についての取り扱いは、いつごろまでだ、そしてそれが延びる、またこの次はいつまでだ、そして最後は、ぎりぎり四月二十五日は、法案の準備の点から見ても、もうこれ以上延ばすわけにはまいらぬ、こういうわけで、先ほど申し上げた三者会談では、四月二十五日をぎりぎりの日にきめておられるわけでありますが、それがきょうになっているのです。なおかつ、これができない。いまのお話でいきますると、この国会には間に合わぬということになるのじゃありませんか。ことに総理大臣が施政方針演説の中で、在外財産問題については、審議会の答申もあるので、これに基づいてこの国会で処理する、こういうことを明確に本会議の所信表明演説の中に、異例なことでありますが、入れておられるわけです。そしてまた、二日後の本会議における質問戦においては、与党の西村政調会長がわざわざこの問題を取り上げて、総理に質問する形で質問なされ、それに対する総理の明確な答弁も出ておるわけです。にもかかわらず、だんだんだんだんこれがずれて延びていっておるということは、非常な怠慢のそしりを免れない、こう思いますが、これからどうなされようとするのか、それを明らかにしていただきたい。
  100. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 この問題を所管いたしておりまする私としては、前にも申し上げましたように、この国会で法的措置をとり、御審議を願うということでありまするので、一日も早く法案を国会に提出すべく努力を続ける考えでございます。
  101. 田畑金光

    田畑分科員 私はそういうことをお尋ねしておるわけじゃないのですよ。いままで長官もまた政府も、また与党の皆さんも、引き揚げ者団体等に対して、いつごろをめどにしてこの結論を出しましょう、出します、こういうことをしばしば約束して、今日まできておるわけです。特に私がお尋ねしたいのは、内閣の閣議決定として、五月十二日までに、この国会に出す法律案はすべて閣議決定を見て締めくくりをつけるのだということをおっしゃっておるわけですね。ましてや、このように重大な政治的な問題として取り上げられておる在外資産補償の問題が、連休に入ってくるこの時点においてもなおかつきめ切れない。そうなってくれば、事実上五月十二日という日限には間に合わない結果になりはしませんか。この点はどういうことになるわけですか。それを明確に答えていただきたい。このことを申し上げているわけです。
  102. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 その目標に向かってできるだけの努力を続け、間に合わせたいと考えております。
  103. 田畑金光

    田畑分科員 そうしますと、法案の準備は進めておられるわけですか。
  104. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 進めております。
  105. 田畑金光

    田畑分科員 総額がきまれば法案はいつでも出せるというような準備はすでに進行中である、したがって、五月十二日までには法案も出せるし、当然総額もきまるので、その時点では法案の閣議決定も見られるのだ、このように理解してよろしいわけですか。
  106. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 総額はもとよりのこと、やはり基準となるべき事項がございまするので、そういった問題の決定もいたさなければなりません。もちろん、これはいま作業を進めておりますから、その条件となるべきこと、それから総額、これは法案作成に並行して当たらなければならないと考えております。先ほど申しましたように、五月十二日の閣議決定というものをこの国会ではきめておりまするので、それまでに間に合わせるよう、作業はどんどんどんどん進めていきたいと考えております。
  107. 田畑金光

    田畑分科員 総額の決定は、結局、連休明けになるわけですね。
  108. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 連休までにはまだ時間がありまするので、私は捨ててはおりません。毎日私としてはできるだけの努力をいたしておるつもりでございます。
  109. 田畑金光

    田畑分科員 特にこれは、まだ法案も出ていないし、したがって総額もきまっていないこの段階で、かれこれ議論するということもどうかという感じはいたしますが、ただ一言ここで触れておきたいことは、総額がかりにある額がきまったという前提でいろいろ基準についての作業が進められておる、こういうことを聞いているわけです。また、特に私が遺憾に思うのは、この間、政府と与党との最高の政治スタッフで責任ある立場の人方がまだ大事な問題について煮詰まっていないこの時期において、大蔵省はこう考えておる。たとえば三百五十億とか五百億とか、あるいは一世帯十万円、だから九百五十二億であるとか、いろいろこのように伝えられておるわけでありまするが、こういうことについて長官はどのように感じておられるか。政府の最高方針がきまらぬ、こういう段階において、大蔵官僚がああだこうだと言って、いろいろそれがまことしやかに新聞を通じ報道されておるということは、遺憾なことだと私は思うのであります。行政の筋から見てもこれは行き過ぎた、ましてや政治の姿勢から見ても間違っておる、こういう感じでおりまするが、長官はどのようにお考えになっておるか、これをひとつ承っておきたい、こう思うのです。
  110. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私も、いま田畑委員が仰せられたような数字は新聞で拝見しただけでありまして、大蔵省からそういう数字というものが、私に正式にきたことは全然ございません。どういう形で出たのか私は存じておりません。おそらくそれが正式の見解であるとは私は考えておりません。
  111. 田畑金光

    田畑分科員 お尋ねしているのは、長官としてはああいうようなことについてはどうお考えになりますかと、こう質問しているので、質問そのものにひとつお答えください。質問していないところをお答えになったのでは、時間がたつばかりじゃございませんか。
  112. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 ああいうようなとは何ですか。
  113. 田畑金光

    田畑分科員 質問したことにずばり答えてください、こういうことですよ。いまのようなお答えでは、私は知らぬ存ぜぬ、それを聞いているのじゃありません。私が聞いておるのは、あなたがその責任者でしょう。そしてあなたが中心となられて、政府を代表されて与党のしかるべき責任ある人といま話を進めておる段階でしょう。にもかかわらず、大蔵省が事務段階においてああだこうだと金額についてまでとかく数字を出しておるということは行き過ぎじゃありませんか、これは行政の筋としても問題がありはしませんか、こう私は聞いておるのですが、この点について長官の所感いかん、こうお尋ねしているわけです。
  114. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 そのニュースソースが私はっきりいたしませんので、あれが必ずしも大蔵省がほんとうに出した数字かどうか、その点はわからないということを申し上げたのです。もしあれが大蔵省の正式見解であるといって、われわれが正式な折衝を開始しないうちに出るということは、これはよいことではないと考えております。
  115. 田畑金光

    田畑分科員 次に、私は沖繩問題について若干お尋ねしたいと思いますが、この問題は、私、あすの予算委員会一般質問で掘り下げてお尋ねしたいと思いますが、きょうお尋ねしたいのは、特に予算の面から見た質問を若干してみたいと、こう思います。  佐藤総理が昭和四十年八月沖繩を訪問されてから援助額の大幅な増額がなされてきた、これは非常に喜ばしいことだと、こう思います。昭和四十年度の援助額は二十八億余、昭和四十一年度の援助額は五十八億をこえて、倍額以上になっているわけです。ことに義務教育教職員給与について、半額国庫負担ということが四十一年から実施されたということも画期的なことであるだけに、また当然のこととは思いますが、いままでそれがなされていなかったということは遺憾なことだと常に思っておりましたが、実現を見たということは喜ばしいと思うのです。ことしは百三億余と、こういうことになっておりますが、ただ、ここで私が特にお尋ねしておきたいのは、だんだん日本の援助額はふえていっておるけれども、アメリカの援助額というのは、例のプライス法に押えられて横ばいという形でこの二、三年来きておるわけですね。私が特に強調したいのは、施政権者であり、当面の沖繩統治のすべての排他的な権限を持っておるアメリカが、プライス法に頭打ちをされて、すなわち千二百万ドルでずっとここで横ばいにきておるということですね。これはどうも納得ができないと思うのですが、この点長官、どのようにお考えになっておりましょうか。
  116. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 プライス法の改正により、アメリカの沖繩に対する援助の増額をわれわれも強く希望いたしておりまするので、日米協議委員会その他の外交折衝を通じまして、われわれの要望を強くアメリカ側に伝えておるような状況でございます。
  117. 田畑金光

    田畑分科員 それでどうなんですか、プライス法の改正というのがアメリカのいまの国会でもいろいろ審議をされておるようですが、審議の経過と今後の見通しはどういうことですか。
  118. 山野幸吉

    ○山野政府委員 ただいま総務長官からお答えがございましたように、現在米下院におきましては、プライス議員が二月の六日に限度額改定の改正案を出されまして、四月の十三日には軍事委員会の小委員会で聴聞会がございまして、全会一致で改正案を承認して、軍事委員会の全体会議のほうへ送られております。それから上院におきましては、四月の四日にフォング議員からプライス法の改正案が出されまして、軍事委員会に付託になっております。なお、さきに訪米されて帰られました松岡主席のお話等を伺いますと、大統領はじめ関係議員等も、この改正に積極的に対処していきたいという意向のように私ども承っております。
  119. 田畑金光

    田畑分科員 四十二年度の援助額は百三億ということになっておりますが、これは四十三年度の支出まで含んで百三億でしょう。したがって、厳密の意味において日本政府の昭和四十二年度の援助額というのは百三億じゃなくして、この予算書を見ますと、八十四億二千三百九十五万となっておりまするが、八十四億が正確じゃないのですか。どうなんです。
  120. 山野幸吉

    ○山野政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、明年度の沖繩援助費は、昭和四十三年度に支出する分を含めまして百三億円といたしておりまして、これは御案内のとおり琉球政府の会計年度が三カ月ズレがありまして、琉球政府の会計年度は今年の七月から明年の六月まででございます。したがいまして、百三億円のうち今年度の予算に計上する援助費としましては八十二億円を予定しまして、残額は明年度の予算に計上いたしましても、琉球政府の会計年度の収入する時期には何ら支障はない、そして工事の施行についても何ら支障がないわけでございまして、米側等とも十分協議いたしまして、そういう分割して支出することにいたしたわけでございます。
  121. 田畑金光

    田畑分科員 いや、その会計年度が向こうとこっちと違うことはよくわかりますが、要するに四十三年度の四月から六月までの分のお話でしょう。そういうことでしょう。琉球政府に援助する四十三年度の三カ月分もこの百三億の中に入っておる、こういうことをおっしゃったわけでしょう。だから私のお尋ねしたいのは、そういうことでありまするから、結局四十二年度の援助額は百三億じゃなくして八十二億——八十四億と、こう予算書にはなっておりますがね。あるいはことばをかえて申しますと、四十三年度の予算の中で処刑しても処理できるのじゃありませんか、こう言っているわけですが、これはどうなんです。
  122. 山野幸吉

    ○山野政府委員 いま御説明申し上げましたように、日本政府の会計年度から御指摘になりますれば、まさに八十二億円でございます。しかし琉球政府の会計年度の援助費として私どもは考えますから、したがいまして、琉球政府の会計年度は明年の六月一ぱいで終わるわけでございますから、四十三年度の日本政府の会計年度に計上する部分も含めまして百三億円の援助額、こういうぐあいに私どもは日米間で合意を見ておる次第でございます。
  123. 田畑金光

    田畑分科員 その点はその程度でわかりましたが、そこでお尋ねしたいのは、今後沖繩に対する援助額というのはだんだんふえていくであろうと、こう思うわけです。と申しますのは、このように日本政府が相当額の援助をしておるにかかわらず、アメリカの援助というのは、先ほど申し上げたようにプライス法で頭打ちだ。したがって、日本の同じ人口、同じ規模の県と沖繩の財政状況と比較してみますと、なお行政水準その他においても大きな開きがあるし、また生活水準においても格差が残っているわけですね。したがって、日本政府としては今後さらに沖繩援助ということをふやしていくということになってこようと思っております。  そこで考えたいのは、これだけむしろアメリカよりも多くの援助額をつぎ込んでいくわけでありまするから、したがって、援助の実施にあたっては、日本政府の主体的な意思に基づいて援助していくということが当然のことじゃないかと思うのです。いまの援助の手続あるいは形式というのは、あくまでもアメリカの民政府からの申し出に基づいて日本政府が検討し、さらに日米協議委員会で相談し、その結果まとまって初めて日本政府は国会法律を出す、予算を出す、こういう形でしょう。だから私は、もうそろそろそういう面などについても、この際日本政府の主体的な意思に基づいて処理を進めるということが、これは当然のことじゃないか、こう思うのですが、長官はどのようにお考えでしょうか。
  124. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 十分に日本側が主体性を持ってこの問題の処理に当たるよう、私も指示もいたしておりまするし、また、今後ともその方向で進んでまいる所存でございます。
  125. 田畑金光

    田畑分科員 郵政省のだれか関係者おいでになっておりますか。
  126. 細田吉藏

    ○細田主査代理 貯金局長と保険局長がおります。
  127. 田畑金光

    田畑分科員 そこで私一つだけお尋ねしたいのは、これは長い間の懸案のようでありまするが、戦争前の沖繩県の郵便貯金は凍結され、今日まで未払いのままになっておるわけです。御承知のようにその数は十七万四千八百七十二件、総額八千四百八十三万七千六百十三円となっているわけです。沖繩現地においては、関係者が集まって郵便貯金獲得期成会をつくって、戦前の一円を現在の一ドルに換算して日本政府に払ってくれ、このようにずっと長い間運動を続けてきておるわけでありまするが、これが今日なお未解決の状況にあるわけですね。これはどうなっているのか、これをさらに今後どうしようとするのか、それをお尋ねしておきます。
  128. 稲増久義

    ○稲増政府委員 まことに仰せのとおりの状況でございまして、われわれといたしましては昭和三十五年の五月に日米間の合意が成立して支払いを開始いたしたい、かように考えて申し入れたのでありますが、仰せのとおり琉球政府から一円を一ドルに換算してもらいたいというふうな希望がありまして、いろいろ検討いたしました結果、郵便貯金特別会計の範囲におきましては、一応そのままの利子をつけてお払いするのが筋でございますが、要望等を勘案いたしまして、奄美大島の施政権が日本に復帰いたしました二十八年の十二月以降、年五分で計算しました金額から貯金利子を差し引きました額を見舞い金として支払う、こういうふうな考え方をとって、この案を先方に総理府を通じまして提示したのであります。なお郵政省からも関係官を派遣いたしまして、いろいろ預金者に当たってみましたが、貨幣価値の変動を考慮してもらいたいというふうなことで、現在、予算案に盛られておりますこの年五分で、二十八年十二月以降の分にこういう特別の利子計算をするという方法でも御了解を得られない状態になっております。  昨年沖繩の議員団の方がおいでになりまして、一円一ドルにこだわらないというふうな御意見もありましたので、総理府、私たち郵政省、大蔵省、法制局等事務当局者の間で事務的に考えられる案を練り直しました結果、一案といたしまして現在ございますのは、この二十八年十二月以降ということを終戦時にさかのぼらしたのでございます。なお利子につきましても、終戦後、たとえ通常預金にいたしましても支払い得ないような状態が続いておりますので、それをこの当時から定額貯金に預けたというふうな擬制をいたしまして、現行の予算案に盛られております案よりも有利な案を事務当局の一案として現在考えておるという程度で、これはまだ先方に提示したわけでも何でもございませんが、以上のような経過の次第でございます。
  129. 細田吉藏

    ○細田主査代理 田畑君に申し上げますが、お約束の時間が過ぎましたので、結論をお急ぎ願います。
  130. 田畑金光

    田畑分科員 いまの御答弁の中でも、一円一ドルということには現地も拘泥しない、こういう変化があったということのお話でありますが、私もそのように聞いておるわけです。また同様に、いまのあなたの説明で、終戦時にさかのぼって年五分の利息を計算して云々というようなことで話し合ってみようというようなお話でありますが、それでまとまる自信があるのですか。おそらくむずかしいのじゃないかなという感じを、私は聞いておるわけでありますが、そこで政府としてもこの種問題の取り扱いについては、郵便貯金の支払いという観念にとらわれないで、これに見合う見舞い金的な形で支給する、そういうような方法を講じられたらどうであろうか、こういうことを私は提案したいわけなんです。と申しますことは、沖繩において沖繩軍用地委員会連合会を設けて、軍用地の問題についての補償の処理をはかってまいっておりますが、あるいは講和発行前の補償問題については、講和発効前損失補償獲得期成会というようなものをつくって、こういう一つの委員会というものが、受任者というような形で利害関係者が委任する、こういうような受任者が利害関係者にかわってこの問題の処理に当たるという形をとってきているわけです。いま問題になっておる郵便貯金の問題などについても、何かそのような方法を講じて解決する以外にないのじゃなかろうか、こういう感じでおるわけであります。   〔細田主査代理退席、主査着席〕 これは郵便貯金の問題でありますけれども、特に総務長官は担当大臣でもありまするし、この問題は総務長官が中心となって解決に当たるということが、私はより実際的じゃないかという感じを持つわけなんです。この点どうでしょうか。いままで大臣関係していらっしゃらないのですか。
  131. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 従来もこの問題について連絡はとっておりまするが、よくまた関係方面と連絡して、前向きの施策として検討を続けるべき問題であると考えております。
  132. 田畑金光

    田畑分科員 委員長、これで終わります。
  133. 鈴木善幸

    鈴木主査 鈴切康雄君。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 行政をささえるものは、究極においては人であります。公務員のあり方については、今日までいろいろ問題視されておるわけでありますが、一つは国民大衆の側に立った場合、また二つには管理者の立場に立った場合の公務員の見方、また公務員自体の側から見たところの、その三者三様の考え方があると思うわけであります。そこで公務員としてどのようにあるべきか、その基本的な問題について簡明に所信をお聞きしたいと思うのであります。
  135. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 非常にむずかしい御質問でありまするが、十分の責任感じ、おのれの職責を全うするよう努力していただく、そういうことであろうと考えております。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そこで私は、公務員が公務に専念できる基盤の整備と社会的地位の向上をはかるとともに、服務規律を厳正に維持し、国民の信頼にこたえる公務員制度の確立をはからねばならないと思います。そこで、今日一般に公務員は非能率の標本というようにいわれておるし、またその反面、給与においては低いほうの標準のようにされているわけであります。この悪循環を断ち切るために、職場規律の確立、信賞必罰の励行とともに、その処遇についての改善が必要であると私は思います。その観点から出すものは出し、そしてやるべきはやるという観点から、公務員給与について少々お伺いしたいと思います。  今日まで政府は、職員の勤務条件をみずから改善する積極性に欠け、その給与は財政事情、給与法定主義、国民感情などに左右されることが非常に多かったわけであります。したがって能率増進、責任体制の自覚を推進する上においても、人事院勧告の完全実施に対する給与担当大臣としての所信をお伺いしたいと思います。
  137. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 人事院勧告制度の趣旨にかんがみまして、その実施の時期を含め、これが完全なる実施のために努力していかなければならないと考えております。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 昨年の八月二十六日に、森総理府総務長官が委員会席上において、給与担当大臣としての責任において、人事院勧告についてこれを尊重し、完全実絶するための最善の努力を尽くす旨の答弁が行なわれたわけであります。その際、六人委員会を九月中旬に予定しているので、そのころになれば具体的内容のある答弁ができると言明されていたが、その後塚原総務長官に引き継がれて今日まで、六人委員会における協議の内容とその結論について、具体的かつ詳細に承りたいのであります。
  139. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 人事院勧告が完全に実施されていないことについての批判が非常に多いことは、私もよく承知いたしておりまするし、森前総務長官からも、重要なる事務の引き継ぎ事項の一つとしてこの旨を承っております。就任以来、至らない者ではありまするけれども、この問題について関係六人委員会の会合をたびたび持ちました。さらにまた、その事務的な会合というものも持ったのであります。両院における決議等の趣旨もございまするし、何とか従来のマンネリズムを一歩でも前進する、これを打破していくという気持ちでいろいろな案を持ち寄りまして、いまそれを検討いたしておりまするが、いまその案の内容について、ここで公表することはひとつ差し控えたい、このように考えております。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 給与改定に関する人事院勧告は、昭和二十三年以来、二十九年に経済事情が悪化したそのとき勧告を保留した以外は、毎年行なわれているわけであります。したがって、その所要財源は、年によって多少の差はあれ、既定経費としての性格を持っているわけであります。それにもかかわらず何らこれに手を打とうとせず、昭和三十五年から三十八年まで十月一日実施として五カ月分、昭和三十九年からは九月一日実施として四カ月分、それぞれ容赦なく一方的に切り捨てて、その累計が約三十二カ月分にも及んでいるわけであります。一人平均俸給分において、最低見積もって、一般公務員のみでも一人当たり約八万四千円、四十八万六千人として四百八億円以上となっております。これで人事院勧告の改善率の内容低下を来たし、勧告率そのものが全然意義がなくなってしまっている。たとえば昭和四十年単年度においては、勧告六・四%に対して実質は四・〇七%の改善率、四十一年度においては勧告率六%に対して三・八二%という内容低下になっております。人事院が行なう公務員の保障あるいは人事施策、給与改善などについての政府への勧告は、全く拘束力がなくなってしまう。少なくとも人事院勧告は労働三権の外償としても尊重すべきではないかと思うわけでありますが、その答弁をお願いいたします。
  141. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 鈴切委員のおっしゃるとおりであろう、そのように私は考えております。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 スト権のない公務員が完全実施をされないことにより値切り倒されているというような、何かそういう考え方、一つは個人の貸借関係のような、そういうふうなことで、要するに払えないというような感じ、年々同じことを繰り返してきているわけでありますが、これは道義的にも許される問題ではない。人事院勧告が完全に実施されないという理由、そのことについてお伺いします。
  143. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 従来の状況につきましては、当時の国家の財政状況とにらみ合わせて完全実施ができなかったことと考えておりまするが、なお四月調査、その後における勧告という、この時期的な問題というものも再検討を要する問題であろうと私は考えております。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 給与の改善をいつから実施するかは、いま総務長官が財源及び社会的状況というふうに言われておりますが、その社会的状況により判断ということについて、その判断というのはどういう基準をもって言っているのであるかどうか。財源のほかに種々の要素を含めて実施時期を決定するのか、人事院勧告では不満、不足があるのであるかどうか、そういうことについてお伺いいたします。
  145. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 人事院勧告は、もちろん用意周到な、また精密な調査に基づいて行なうものでありまするから、これについて不満があるというようなことはございません。先ほど申しましたように、やはり財政状況というものが一番関連がある。それによって完全実施ができなかったものと考えております。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 それは確かに財政ということもあるでありましょうが、三公社五現業の職員については、一般職公務員と同様の国家公務員であるにもかかわらず、例年四月一日をもって給与改定の完全実施が行なわれているわけであります。補正予算あるいは経費の移流用、または建設事業の繰り延べ及び資産充当等によって公企体も完全実施がなされている。大蔵大臣は仲裁裁定実施のための承認を年々与えられている。何ゆえ一般職公務員の場合には、財源等を理由に完全実施ができないのであるか。その御答弁……。
  147. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私といたしましても、三公社五現業の場合と国家公務員の場合を比較いたしました場合に、率直に申し上げまして非常に頭痛の種になっておるわけでございます。しかし三公社五現業の場合には、企業経済としての弾力性というものがあるためにそういった形になったのではなかろうか。だからといって国家公務員の場合、このままでいいということは考えておりません。非常に似通ったこの両者を比較した場合、そこに差をなからしめるという措置をとらなければならないと強く考えております。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 私は、考えておるということだけで済まされない問題ではないか。要は完全実施のための、やはり誠意の有無にあるのではないかと思うのです。昭和二十三年度以来給与改善の必要は例年のごとくであり、既定経費化されているにもかかわらず、当初予算に計上することもなく、経済動向の流動する現在、租税の自然増収あるいは既定経費の節減などにその財源を求めていること自体が見識がないのではないか、完全実施をする意欲に欠けているのではないかという、その総務長官の誠意を疑いたくなるわけでありますが、その点について……。
  149. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 考えておるということばが、非常に消極的に取られましてまことに申しわけございません。私が申し上げたかったことは、誠意をもって努力いたすということであります。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 誠意をもって努力をするということについて、どれだけそれじゃ努力をし、どれだけの結果をもたらすかということについての、結論に近いおことばを承りたい。
  151. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 六人委員会を中心としてこの問題の解決への努力をはかっており、また、もちろんその下部機構においても、私はいろいろな案を提示させまして検討を迫っておりまするが、先のことでありまするから、それじゃあこういうことがはっきりできたということを、いまこの席で言うことは、ちょっとむずかしいと考えておりますが、できるだけ、あまり大ぶろしきを広げないで、実をもって示していきたい、このように思います。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 六人委員会のことについては新聞にも各種書き立てられているわけでありますがゆえに、私は何もこの場所で総務長官が極秘にする必要はないと思うわけです。六人委員会に持ち出された問題、そして前向きにどれだけ進んでおるかということについてお伺いしたいと思います。
  153. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 決して隠そうという意図ではございません。ちょっと微妙な点があるから申し上げにくいということで、ここに出して、せっかくのものがうまくいかなかったというようなことになりましてはという懸念から申し上げておるのでございまして、決して秘密を保とうというようなわけではございません。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 それでは、総務長官ことばをお借りすると、うまくいくということについて前向きの結果が出ると、そのように判断してよろしゅうございますか。
  155. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 そのようにできるだけの努力をいたします。
  156. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 その誠意あるおことばをお聞きしたわけでありますが、何かしら中途はんぱな誠意あるおことばでありますが、給与改善費の約半額、すなわち昇給財源と同程度の四ないし五を給与費中に計上しておき、残りの半額近くを補正予算でまかなうという案ならば、給与法定主義にさしたる支障もなく、また既定経費化されているので計上できるし、また勧告の改善アップ率にも影響しないと思うのですが、その点について……。
  157. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいま御提案の内容は、給与費の予算を計上いたします際に、従来のいわゆる既定の給与費と、それから昇給に要する経費、そのほかにさらに四%くらいですか、そのくらいのいわゆる給与改善のための経費を計上してはどうかということのように拝承いたしたわけでございますが、給与法定主義といいますのをどういうふうに解釈するかにもよるのでございますが、私ども考えておりますのは、国会に給与費として予算を計上いたします際には、それに見合った法律が一方でなくてはならない。つまり、現在の給与をそれぞれ四%程度改善した案としての予算を組む以上は、それを内容とした給与法の改正案が国会に提出されていなくてはならぬのではないかというふうに考えているわけでございます。したがいまして、仰せのような案をもし提出いたすとしますと、その予算のほかに、現在の俸給表等につきまして四%程度改善する法律案を出さねばならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。さようにいたしますと、その四%程度というものが一体どんなふうに使われるのかということをきめなければならぬわけでございますが、そこまでまいりますと、御提案の内容を実際に提出することは非常に困難ではないかというふうに考えるわけでございます。つまりその内容をいかにするか、俸給表をそのまま改善するのであるか、あるいはその他の諸手当等を改善するのであるか、そういった点をまずきめなければ改正案も出ない、こういうことになるわけでございます。逆に言いますと、大ざっぱに四%程度給与を改善するというだけでは、予算の総額は計上できますけれども、その内訳も計算できないということになるわけでございます。
  158. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いま改善アップを予測して計上すること云々についてのお話がありましたが、各省の設置法の改正及び公社、公団、事業団の設置などは、法律案の成立を予測して予算に計上しているわけであります。しかし実際には廃案となる例もかなりあるわけです。これに比べれば給与改定のほうがはるかに確率度が高いし、当然当初予算に半額程度は計上すべきではないか、そのように思うわけですが、その点について……。
  159. 増子正宏

    ○増子政府委員 当該年度で給与がどの程度改善されるかということが一応推定できますれば、あるいは予定できますれば、予算の計上も可能であるわけでございますが、その点を実はきめることが非常に問題なわけでございます。現在は、御承知のように、人事院の非常に詳細なる調査に基づく勧告が出まして、しかもその勧告は大ざっぱに、たとえば六%アップというようなことになっておりますけれども、その六%アップという内容は、事詳細に各俸給表の改善その他こまかな計算がなされておるわけでございます。したがいまして、そういう内容を人事院の勧告を待たずに政府みずからが簡単につくり上げるというわけにはまいらないのでございます。したがいまして、俸給の改善案を見越しまして、その半額程度計上してはというお話でございますけれども、これが実は非常にむずかしい問題であるということを申し上げたいと存じます。
  160. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 次年度当初予算に不足分を計上するようあと払い形式を採用して、完全実施するということも可能ではないかと思うのですが、その点について……。
  161. 増子正宏

    ○増子政府委員 お説のように、いわゆる人事院の勧告が出まして、何%かの改善をいたしますのに、それを完全に実施するにはいわゆる財源が不足するという場合に、その不足分を翌年度に計上するということは、方法としては不可能ではございません。ただし、その額が相当の額に及びます場合には、実はこれは来年度の財政需要といいますか、支出の要因ということになるわけでございまして、それを前年度であらかじめ確約的なものに考えることができるかということが、一つ問題がございます。  それからもう一つは、いわゆる会計の単年度主義といいますか、その年のうちに支出の義務が発生しております事項についての支払いはその年度内の予算でやるというのが、一応現在の予算の編成の一つの原則になっておるわけでございます。そういう面からいいますと、前年度において支払うべきものを翌年の予算に計上して支払うということは、いわば好ましくない措置、こういうことになるわけでございます。  そういった点から、次年度払いという方法も、私どもいろいろいままでにおきまして検討いたしてはおるのでございますが、現在のところ、これも具体的な実施ということについては非常に難点が多いという状況でございます。
  162. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 さらに、何%改善アップ率を予測計上することはどうしてもできないというならば、予備費で処置をしたらいいんではないか、そのように思うわけですが、その点について……。
  163. 増子正宏

    ○増子政府委員 それももちろん一つの案であると思うわけでございます。ただし、予備費と申しますのは、全く予測できない事態に対処いたすものでございますから、かりに給与の改善費であるということを含みとしまして予備費を計上いたしました場合にも、ほかに重要な事態が生じますと、それにその経費を充てなければならぬということになるのは申すまでもないことでございまして、したがいまして予備費の性格からあらかじめ特定の内容にいわばひもつきという形にしてしまうことは、困難というよりか不可能ではないかという問題が一つございます。それからもう一つは、何といいましても、予備費に組みますといたしましても、それが幾らであれはいいのかということが実は非常にむずかしい問題でございます、予備費にこれこれの分が給与改善費として組まれておりますという説明すら実はむずかしいのでございます。その上、それがどういう根拠で算出されているかということも、これまた非常にむずかしい問題でございます。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 元来予備費は年度当初に予測、掌握できないものに充当するものであるということはいま人事局長が言われたのですが、予測できないが所要不可欠なものに充てるために計上されるならばどうか、その点についての所見をお伺いしたいのですが……。
  165. 増子正宏

    ○増子政府委員 予備費の計上の問題ということになりますれば、実は私、いままで私の承知している限りでお答えいたしたわけでございますけれども、これはいわゆる財政当局としての問題でございますので、あまり私、深入りすることは避けたいと存じます。いずれにしましても、予備費というものを計上いたしまして、そこから現実に給与改善の経費が支出されるということはもちろん可能でございますし、従来も実はそういう形を一部とっておったわけでございます。
  166. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 いよいよ春闘の民間の給与もきまり、四月調査、八月勧告という事態になるわけであります。そこで、先ほど塚原総務長官から、前向きの姿勢でこの問題は取り組んでいきたいという御答弁がありましたから、私は給与改善の人事院勧告の完全実施を主張する反面、当然公務員は全体の奉仕者または公僕としてその地位と責任を十分認識すべきである、そのように思うわけであります。そこでその指導のほうについてもやはりなされなければならないではないか、出すものは出して、そしてしかもやってもらうことは当然やってもらわなくちゃならない、そういう観点から私はいま申し上げたようなわけであります。どうかそういうことで、今度の人事院勧告の給与の完全実施については、ぜひとも公務員の福利増進のために善処されたいことを希望して、私の質問を終わります。
  167. 鈴木善幸

    鈴木主査 内閣及び総理府所管予算質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  168. 鈴木善幸

    鈴木主査 次に、昭和四十二年度一般会計予算中、国会所管予算を議題といたします。  広沢賢一君より先般の保留分について質疑の申し出がありますので、この際これを許します。広次賢一君。
  169. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 まず、この間残しておきました国会図書館の問題についてお聞きしたいと思います。  国会図書館というのは立法府である国会の十分な機能を果たすために非常に重要な頭脳の役割りをしていると思うのでございますが、それについて、今回国会図書館が、新館が完成する、第二期工事が終わるという重要な段階でございますから、この際しっかり国会図書館の権威を確立しておかないと、いろいろ人員その他についてもしっかりした基礎をつくっておかないと、あと機会がないと思うのです。そういう意味で、まず人員の問題について聞きますが、今年度の予算要求のうち、人員の新規増員要求が三十四名削られたそうですが、それはほんとうですか。
  170. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 国立国会図書館の第二期工事は、昨年度を第一年度といたしまして、本年度が第二年度、明年度が第三年度、明年度をもって終わるのでございます。したがいまして、第二期工事の完成、つまり本格的な図書館建築が完成をする時期は明年度でございますから、第二期工事の完成に伴う予算の増員ということは明年から行なわれることでございます。本年度においては、第二期工事という観点では必ずしもなく、図書館の業務遂行上の所要の人員ということで要求をいたしたわけでございますが、現実には常任職員は増員になっておらないということはお説のとおりでございます。
  171. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 第二期工事の新規要求がこれから非常に大切なときに、ことし新規増のわずかな——ほとんどこれは業務量の増大で、新規のことは入ってないわけですが、それも三十四名削られているわけですが、それでやっていけるのかどうか。現在の臨時職員は全部で何人ぐらいいるのですか、それをお聞きしたいと思います。
  172. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 現在の臨時形態の職員は非常勤職員あるいはいわゆる賃金形態の職員等ございますが、その合計は、いわゆる司書部門におきましては三十一名になっております。そのほか、医師であるとか、あるいは調査関係の職務を行なっている臨時等ございます。  先ほどお話しのとおり、相当数の人員を定員化することを要求して、それで国会図書館の職務が遂行できるかというお話でございますが、私ども要求をいたしましたとおり、定員をさらに増して充実した図書館業務を遂行したい念願に燃えております。しかし、財政事情その他で思うにまかせませんでしたけれども、与えられた人員のもとにベストを尽くしてまいりたいと思っております。
  173. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 これは、大蔵省の方が来ていると思いますが、大蔵省に十分聞いていただきたい問題だと思うのです。私どもが聞いたところでは、五十五名程度の臨時職員が働いているそうですが、かつて国会図書館は百二十名ぐらい臨時職員がいて、その方々を正職員化する、定員化することに非常に苦労した。ちびちび、ちびちび、毎年毎年、そうやって苦労しているのですね。したがって、今度、来年の新規増加というときに、きちっと全部を定員化するということが大事だと思うのです。  もう一つお聞きしたいことは、この新館完成期でもってやる仕事というのはどういう——たとえば閲覧席をうんと増加するとかその他の事業があると思いますが、その事業にどのくらいの定員増を要するか、いろいろお考えになっていると思いますが、それについてお答え願いたいと思います。
  174. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 現在の国立国会図書館の建築の坪数は約八千数百坪でございます。第二期工事が完了いたしますと、これが一万五千坪になります。書庫の層も十七層、このうち二層は書庫用に使いませんで、書庫に現実に使うのは十五層になりますが、層の数では十七層にまで及びます。  そういうふうに、書庫の層におきましても、閲覧席におきましても、あるいは事務のスペースにおきましても、相当に拡張をせられるわけでございますから、これに応じまして、たとえば書庫の出納関係の職員とか、あるいは監視要員とか、その他そういう建坪の増加に伴いまして当然ふえなければならない分野に属するものがまずあると存じます。  それ以外にも、私どもといたしましては、この国立国会図書館の第二期工事を完了するということは、当初からの計画の一環の中に入っておったことでございまして、多年にわたる強い願望が達成せられるわけでありますから、それを機会といたしまして、意を新たにして、いよいよ図書館業務をりっぱに行なっていくように、充実するようにつとめたいと思います。  そういう観点からいたしますと、単にスペースが増したことに伴うだけのものではなくて、業務を充実するためにも、相当の人員を予算に要求しなければならないと考えております。その具体的な数字についてはこれから検討をするわけでございますが、現在そういう気持ちでおるわけでございます。
  175. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 国会図書館の問題についてはまだ相当いろいろと不満なり要望なりが出ております。たとえば、閲覧席がふえればサービスの拡充になるというだけではなくて、もっと基本的な点で、たとえば最近国会図書館では、目録カードにあっても現物がないものが多いという苦情を聞いています。現に、職員組合の資料によると、約一割が出納不能本とされています。二百万冊の蔵冊とすれば二十万冊が死んでいることになるわけですが、二期工事前後に抜本的な蔵書点検を行なって新しく再出発する、こういうことですね。現在の月末整理日を二日間にふやして、長期計画でやる方法もあると思います。それについていろいろと苦心はされていると思いますが、大蔵省がなかなか予算を出さないからそうなるのだと思いますが、その点についての抱負、いろいろな考え方をお聞きしたいと思います。
  176. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 ただいまの御指摘の点は、図書館業務の上で図書の出納の不能率という問題であろうと思います。出納しようとしても現物の図書が出てまいらないということでございます。私どもの昭和四十一年度、昨年度一年間における調査によりましても、広義の出納不能のパーセンテージは九・六%になっております。ただ、その中には、図書が、他の図書館に貸出しをしているもの、それから一般閲覧室じゃなくて他の閲覧室で排架されているもの、それから現に先客があって一般閲覧室でそれを閲覧中のもの、それから図書が棄損をいたしまして製本に出しておる製本中のもの、そういうものがございまして、そういう本来の出納不能という範疇には入らないものが約半分ございます。これに反しまして、出納のミスで出ないもの、あるいは書架上にその現物がないために出せないもの、こういった狭義のと申しますか、ほんとうの出納不能のものが約半分でございます。したがって、九・六%の約半分、五%弱が出納ができない。現在図書の蔵書は二百三十万冊でございますが、その場合、五%ぐらいがそういうことになっておる、こういうことになっております。それで私どもといたしましては常にこのことに努力を傾注いたしまして、出納不能の率が低減をするようにつとめなければならないことは当然でございます。各国とも、巨大な図書館においては数字的にはこういうような出納の不能率を見せているところが多いようでございますが、私どもの気持ちといたしましては、これはあくまで低減をしてまいりたいと存じます。そういうことで、御指摘がございましたように、第二期工事の竣工あるいは建築に伴いまして、実は相当本格的な蔵書点検と申しますか、曝書と申しますか、いたしたいと思っております。と申しますのは、明年の四月から六月にかけまして約二カ月半くらいの間、図書を出納する、あるいは図書を運搬する用具であるところのバーチカルコンベア、あるいはブックリフトというようなものや、あるいは書庫の間を人が往来するエレベーター、こういうものを書庫層を十七層まで上げます関係で、大々的に改造しなければならなくなります。したがいまして、その間図書の出納ができなくなりますから、一般に御迷惑をかけることではございまするけれども、図書館業務をその間は停止しなくてはならなくなるのでございます。そういうことでございますから、その時期を利用いたしまして一斉に点検をいたしたいと存じます。ただ、二百数十万冊に及ぶ蔵書を二カ月半でやり得るかどうか、これはよほどむずかしいことで、利用件数の多い、いわば需要の頻度の高い図書を中心に考えるとか、何らかの実際的な方法を考察しなければならないかと思っております。いずれにいたしましても、その時期にはそういうことにつとめたいと思っております。それから、その時期を過ぎて第二期工事が完了してまた業務を再開した後の問題といたしましては、常時点検と申しますか、点検班によるふだんの点検を充実いたしまして、そういう出納不能率が下がるようにつとめたいと思います。ただいま月末の整理日を二日にしてはどうかという御意見のようでもございましたが、現在は御承知のとおり毎月末一日を閲覧を休止をいたしまして書架の整備等整理に当たっております。これでも一般の利用者には相当の御迷惑をかけておると思いますので、相なるべくはそういう毎月定例の整理日は一日にとどめて、他の方法によって点検を充実してまいりたい、かように考えております。
  177. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 次に、外国図書の購入の問題についてお聞きします。  国立国会図書館は広く海外の主要な文献を収集して利用することは、これはあたりまえのことであろうと思いますが、昨年一年間の外国図書購入費、外国の月刊物を含みますが、それはどのくらいですか。
  178. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 昭和四十一年度で申しますと、外国資料の合計は一億二千三百八十二万三千円となると存じます。
  179. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そのうち科学技術関係が主だと聞いていますが、どのくらいですか。
  180. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 科学技術関係の予算の額は一億三十九万円でございます。それで、その大部分は外国から購入をするもの、しかも科学技術関係においては、逐次刊行物と言っておりますが、雑誌形態のものが非常に多いのでございます。ただ、それは国内の科学雑誌関係の古書その他も含んでおるわけでございまするから、ただいま申し上げました昨年度の外国資料の一億二千三百八十二万三千円というものから科学技術関係の予算の総額一億三十九万円を引いたものが直ちにそういうことになるというふうには必ずしもいかないと思いますが、現在手持ちの資料がちょっとございませんので、その程度にお答えを申し上げたいと思います。
  181. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、人文・社会科学関係が圧倒的に少ないということがはっきりすると思いますが、これは非常に問題だと思うのです。国立国会図書館の蔵書構成審議会が昨年七月に行なった昭和四十二年度の図書収集の重点に関する答申という文書では、「現在の当館の図書購入費を概観するに、社会・人文科学関係資料費の著しく僅少であることが目立つ。」中略いたしまして「社会科学関係各分野の資料費は、調査・レファレンス用のアップ・ツー・デイトの資料の購入にも事欠き、諸外国の古典的著作物、スタンダードな学術研究書、とくにその比較的高価なものにはまったく手がまわらない状況である。」だから「当審議会は調査の結果、資料購入費については、科学技術関係資料を除き、昭和四十二年度において、一億円程度の資料購入費を必要とするという結論に達した。」こう書いてありますが、大体そのとおり予算要求をしましたか。
  182. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 ただいまの御質問お答えする前に、先ほどやや不正確でございましたので、科学技術関係資料費の外国資料の昨年度の予算額は九千九百六十四万円でございますから、申し上げます。  それから、ただいまのお尋ねの蔵書構成審議会の答申に関するものでございますが、御承知のとおり国立国会図書館には、その蔵書を充実し、蔵書の構成を適正ならしめるために蔵書構成審議会というものを置いて十分検討をいたしております。その蔵書構成審議会の答申の中に、いまお読み上げになったようなことが答申の一部をなしておることはおっしゃるとおりでございます。御指摘のとおり、また答申にもありまするとおり、本年度で申し上げますると、当館の図書購入に関する予算の総額と申しますのは、さらに細分いたしますと、これが図書購入費であるとか、立法資料購入費とか、あるいは科学技術関係資料費とか、それから国内で出されたものは全部国立国会図書館法によって図書館に納入する義務を負いますので、そういう納入出版物に対して代償金を払う、そういった代償金の額全部を合わせまして、広義の図書購入費で言いますと一億五千六百八十五万円でございますが、そのうち約三分の二を占める一億三十九万円というものは、御指摘のとおり科学技術関係の資料の購入でございます。また、納入物代償交付金の中にも若干は科学技術関係の資料はございます。そういうような関係から、科学技術関係の資料に比しまして、社会科学あるいは人文科学関係の図書の購入が手薄であることは御指摘のとおりでございます。私どもはまことにこれを残念といたしまして、毎年、一つにはその絶対額を大いに高める、もう一つには科学技術関係の絶対額も高めたいのですが、社会科学、人文科学の絶対額をさらに高めて、両方の均衡をとる、こういうことを努力しなければならないと思っております。そういう趣旨によりまして、今回も予算におきまして約三億四千万くらいの図書購入費を要求いたしました。そのうち一億三、四千万が科学技術関係の予算の要求でございまして、残りは社会科学、人文科学関係等の予算の要求が約一億になっておったと存じます。
  183. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 時間がないので十分詳細には申し上げませんが、これはよその大学に比較すると、国会図書館の予算としては非常に少ない。したがって、大蔵省にいろいろと努力を願って、日本でただ一つしかないのですから、今度の新館を設立しての新しい出発にあたって、多くの予算を要求どおりなるべく出していただきたい。こういうことは与野党あげて要求すべきであろうと思います。  次は、国会職員の待遇問題で、この前お話しましたが、その後私どもいろいろと聞いている範囲では、さらに重要な問題が生まれておりますので、その点についてお聞きしたいと思います。  賄雑費と国会手当については、この間、衆議院、参議院と国会図書館とは非常に格差がある。しかも国会図書館の職員の中で二つに分けて格差をつくっている。これは非常に不都合ではないかという問題が出ました。その後聞いてみますと、賄雑費について、国会図書館の職員の方々の中で、非常に差別がつけられていて受け取れないということで受け取っておらない、そういう空気があるそうですが、どうでございますか。
  184. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 ひとしく国会職員でありながら、衆参両院と国立国会図書館との関係におきましては、従来の沿革等からいたしまして国会手当あるいは賄雑費等について若干の差等があることは、前回の分科会で申し上げたとおりでございます。そういうような事情、あるいは現在のその根拠規定になっている給与規程の規定のしかた、あるいは予算の立て方等が、そういった賄雑費等については、国会活動あるいは議員の活動、こういう活動に直接奉仕する、あるいは奉仕の態様が濃いか薄いか、そういうことによってそういう賄雑費が出されているような表現をしており、かつ予算の立て方もそういうことによって区別をされておりますので、そういう筋に沿うて支給をいたしたいと存じておったわけでありまするが、元来私も、前回申し上げたような、そもそも国立国会図書館の職員も衆参両院と平等であるべきだ、また、国立国会図書館の内部においては、いかなる職務内容であれ、議員に奉仕していることが濃い分野であれ薄い分野であれ、同一の賄雑費を受けるべきだという考え方があり、そういう向きから私どもの支給しようとしたまかない雑費に対して不満を持って、御指摘のような事態が生じておることは事実でございます。
  185. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 そうすると、前のときには賄雑費は同一に、差別をつけないで支払われたこともあると聞いています。したがって、いまの御答弁からしますと、差別をつけるのはよろしくないのだ、やはり一つにまとめて支給したほうが円満な人事、みんなが喜んで働けるという。これは議院運営委員会の小委員会でも問題にされているわけですから、やはりいまの御答弁どおり、差別をつけないでやるように御努力願いたいと思うわけです。  その次に、今度は全般の問題ですが、国会手当について〇・〇五の増加が計上されていますが、一カ月分に達成するように、たとえば国会の開会中は仕事がかさんで有給休暇もとれない国会職員の忙しさがあるわけですから、一カ月に達成するように努力した方がいいと思うのですが、どうですか。いまのところの状況、大蔵省との交渉の状況はいかがですか。
  186. 河野義克

    ○河野国立国会図書館長 国会特別手当を一カ月にするというお話につきましては、衆議院、参議院、国立国会図書館全般に関することであり、衆議院の事務総長が次に答えられるはずでございます。  ただ、先ほどお話がありましたので、私の答弁があるいは意を尽くしておりませんために誤解を与えるといけないと思いますので、この際もう一ぺん私の気持ちを申し上げておきますが、私は考え方、あるべき姿といたしまして、衆参両院、国立国会図書館すべて絶対額においても率においても平等であるべきだ、また国立国会図書館の内部においても、賄雑費については同様に扱われるのが好ましいということを申し上げておるのでございまして、現実のある年度の賄雑費をどうするかということにつきましては、現実に予算上積算されたいろいろな基礎、あるいは給与規程の規定とか、いろいろなことを尊重してやらざるを得ないわけでございます。したがいまして、私は今後とも努力をしてぜひともそうしたいという私のかねての宿意を申し上げたわけで、本年それじゃそれを行ない得るかといえば、必ずしもそうではないということは御了承いただきたいと思います。  それから昨年、年度でいえば一昨年度でございますが、同額を支給したことがあるのじゃないかという御指摘がございましたが、おっしゃるとおりでございます。ただ、その際は八百八名の図書館の職員に対しまして二百九十七名だけに認められた、また予算の額も数十万というわずかな額でございまして、その間にさらに差等を設けるというようなことはいかにも好ましくないということで、一人当たり五百数十円というものを一律に支給したことがございます。しかしながら、四十一年度におきましては、初めて全職員を対象に予算が計上されることになりまして、いわば本格的に計上されるようになったのでございます。したがいまして、本格的に計上されるようになった以上は、予算の積算の基礎等も尊重して考察しなければならないと判断をいたしまして、先ほど申し上げたようなことになっておるのでございます。  国会手当のことについては事務総長にお願いいたします。
  187. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 お答えいたします。  国会手当を一カ月要求し、その実現の見込みはどうかということでございますが、この国会手当につきましては、私どもも、国会職員の年々繁忙になってまいりますその実態から考えまして、一カ月分ぐらいを出すべきが至当でないかというふうに考えておりまして、そういう意味から大蔵省にも強く折衝いたしておるわけでございますが、いろいろな点から、今年も〇・〇五増しまして、現在のところ〇・六という程度でございますが、これについてはなお私も実現に努力したい、こういう考えでございます。
  188. 鈴木善幸

    鈴木主査 広沢君に申し上げますが、お約束の時間もだいぶ経過しておりますので、結論をお急ぎ願います。
  189. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 それでは、もう時間がないそうですから、あとは要望にわたります。したがって御答弁しなくてもけっこうです。  まず第一番目に、先ほどの国会図書館長さんの言われた問題ですが、やはり館長さんは、大体一率支給やりたいという、そういう前向きの方向をとっておられる。そのほかに、なかなかそこにいくのにむずかしいいろいろな障害物があるそうですが、来年といわずに、ことしじゅうにひとつ、人事を円満にする、みんなが喜んで働けるためには、なるべく努力をしてやっていただきたいと、こういうふうに思います。  それからあと国会手当のほかに、この間も触れたと思いますが、国会がやむを得ず政党のいろいろの問題から深夜国会になることもございますから、そういう場合の宿泊設備が、いま見ていると、十畳二間しかない。議員体育室にふとんを持ち込むとか、その他で苦労しているそうです。それから、国会周辺の整備事業が進んでいくと、いま職員のスポーツ施設とかその他をやらないと、こんなにだだっ広い、道路や何か一ぱいつくったのですから、やはりそういうものをいま計画に盛り込まないと盛り込む時期がないと思いますから、そういう点についてもいろいろ御配慮願いたい。  最後にひとつ、この間言われました行(一)と行(二)の問題で、行(二)を撤廃して新給与体系をつくるということについて、大蔵省の給与課長さんと人事局長さんがそれぞれきわめて前向きの答弁をされました。これは国会職員ばかりでなくて、日本の公務員全体に非常に明るい展望をもたらすと私は確信しております。特に国会は、御答弁にあるとおり、国会の権威確立のためにはこれは早急に独自でやれる法律的根拠があるわけですから、その点についてもう一回重ねてお伺いしますが、やはりだれが見たって、これは国会ばかりでなくて、行(一)と行(二)を分けるというのは不届きだし——不届きというか、非近代的であるし、京都の蜷川さんをはじめ、もうみんな事実上はそういうものをなくする給与体系に、自治省が幾らワクをかけてもどんどん実際上は進んでおると思います。それがほんとうなんで、そういう点からいきまして、この間の御答弁にあったとおり、大体新給与体系をつくるもくろみは、ことしどういうふうにやって、来年はこのように実現するという点について、若干なりともいろいろ抱負の一端をお示しになっていただくと、非常に私どもは次への展望が開けて仕事がやりやすくなると思いますから、その点について、行(二)を撤廃したあとで全部含めて、行(二)撤廃しなくても同じような給与体系にならぬように、この間答弁にあったたった一千万円ですから、したがって、それについてのお考えをお聞かせいただきたいということと、もう一つは、兵役期間の年数加算の問題が、この間のときは、ほかの前歴年数加算の問題でなくて、兵役については十分お答えがなかったと思うのです。  この二点について最後にお伺いしまして終わります。
  190. 久保田義麿

    ○久保田事務総長 お答えいたします。  行(二)の撤廃は、前にもお答えいたしましたように、一刻も早く私はこの問題を解決したいと努力をいたしております。ただ、その見通しとして、非常に困難を伴う面も多々ございますので、来年度直ちにできるかどうかという点は、私のほうのいわゆる作業の問題も伴いまして、来年必ずできるというような点は明言いたしかねます。  それから兵役の関係の問題でございますが、これは三十五年の通達の問題について私のほうでも一応検討をしてみましたが、私のほうには三十五年以降その点に該当する者がございません。
  191. 広沢賢一

    広沢(賢)分科員 けっこうです。終わります。
  192. 鈴木善幸

    鈴木主査 以上をもちまして、本分科会における質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  193. 鈴木善幸

    鈴木主査 この際おはかりいたします。  昭和四十二年度一般会計予算中、皇室費国会、裁判所、会計検査院、内閣経済企画庁を除く総理府法務省及び大蔵省所管昭和四十二年度特別会計予算大蔵省所管昭和四十二年度政府関係機関予算中大蔵省関係並びに他の分科会所管以外の事項に対する討論、採決は、先例により、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 鈴木善幸

    鈴木主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の格段の御協力によりまして本分科会の議事が無事に終了することができましたことを、ここに深く感謝いたします。  これにて散会いたします。    午後三時三十八分散会