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1967-07-18 第55回国会 衆議院 本会議 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十八日(火曜日)     —————————————   昭和四十二年七月十八日    午後二時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  河野密君の故議員清瀬一郎君に対する追悼演説  倉石農林大臣林業基本法に基づく昭和四十一   年度年次報告及び昭和四十二年度林業施策に   ついての発言及び質疑  住民基本台帳法案内閣提出参議院送付)  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  中小企業団体組織に関する法律の一部を改正   する法律案内閣提出)    午後二時十五分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御報告いたすことがあります。  議員清瀬一郎君は、去る六月二十七日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において去る六月三十日贈呈いたしました。これを朗読いたします。   〔総員起立〕  多年憲政のために尽力し特に院議をもつてその功労を表彰された議員従二位勲一等清瀬一郎君はさき国務大臣の重任につきまた再度本院議長要職にあたり終始議会政治確立につとめられましたその功績はまことに偉大であります  衆議院は君が長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます      ————◇—————  故議員清瀬一郎君に対する追悼演説
  4. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) この際、弔意を表するため、河野密君から発言を求められております。これを許します。河野密君。   〔河野密登壇
  5. 河野密

    河野密君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員清瀬一郎先生は、去る六月二十七日、にわかに逝去されました。本院は、最も畏敬すべき先輩の一人を失ったのでありまして、痛恨のきわみであります。  ここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで追悼ことばを申し述べたいと存じます。(拍手)  先生は、明治十七年七月、兵庫県飾磨郡夢前町にお生まれになり、長じて京都帝国大学法科大学を卒業し、司法官試補として研さんを積まれました。やがて大阪市において弁護士の業務に従われましたが、大正二年にヨーロッパ留学への旅に立ち、大正四年まで、英、独、仏の諸国において学ばれたのであります。  ときあたかも、英国においては、新しい議会法のもとで下院の優位が確立されたころであり、国際的には、第一次世界大戦の勃発前後の歴史的な時期でありました。先生にとっては、実地について学ぶまたとない機会であり、精力を傾けて研究に没頭されました。議会制度国際法に関する先生の後年の造詣の素地が、ここにつちかわれ、また、政治への強い関心も、このとき芽ばえたものと存じます。  帰朝後、先生は、「日本広しといえども、理想を立てて政治的行動をなす人は、犬養氏一人である」と深く犬養氏に傾倒し、国民党に入党されました。そして、先生は、政界刷新の希望に燃えて、大正九年、第十四回総選挙大阪第三区から立候補し、みごと本院議席を得られたのであります。  生来の理想主義的な気質と抜群の学識に加えて、犬養木堂氏、尾崎咢堂氏らよき先輩の薫陶を受け、先生活動は、早くも同僚議員の注目するところとなりました。普選運動に奔走し、治安維持法制定反対の先頭に立ち、また、陸軍機密費事件の追及には、身命をかけられました。この間において、既成政党の打破を主張してやまなかった先生は、犬養氏の政友会入りには徹頭徹尾反対し、これと訣別してまでも、革新派の孤塁を守り続けられました。(拍手)  昭和三年、普選第一回の総選挙において、兵庫県第四区から出馬し、三回目の当選を果たされたとき、野党連合の輿望をになって、本院副議長にあげられたのであります。その際の先生に対する祝辞に、「清瀬君ははつらつたる意気をもって新時代に適応する学識をささげて、わが議会のために努力せられたこともまた忘るべからざる憲政上の功績者の一人たることを疑わない」とあります。(拍手)一年十カ月の間、与野党ほとんど相半ばする複雑な勢力分野の中で、よくその重責を全うされました。  先生は、副議長を退かれた後も政界刷新の決意はいよいよ固く、既成政党に拮抗して屈せず、小会派にとどまって奮闘されました。しかし、政党の凋落は急速の度を加え、軍閥の台頭また著しく、国歩いよいよ困難にして、ついには破局に突入していったのであります。事ここに至って、先生の憂慮は祖国そのものの運命に注がれざるを得なかったのであります。  終戦直後の昭和二十年九月に、特に院議をもって、永年在職議員として表彰を受けられました。「国破れて山河あり」と申しまするが、国破れてみずからは栄誉をになう先生の胸中には、ことばに尽くし得ない感慨があったでありましょう。(拍手)  昭和二十七年、第二十五回総選挙において本院に復帰せられますや、改進党の幹事長日本民主党政務調査会長を歴任し、保守合同の後、第三次鳩山内閣において文部大臣に就任されました。また、先生独自の自衛権論を主張し、これがいわゆる清瀬理論として世の注目を集めたのもこのころであります。  昭和三十五年二月及び同年十二月と、先生は前後二回本院議長要職に推挙せられました。かくて、議長重責に任ずること前後三年八カ月に及びましたが、思えば、この期間は与野党の対立する問題が多く、まことに重大な時期でありました。先生は、法律学者として自他ともに許す一家をなしておられた方であります。さらに信念のきわめて強固な人でありました。したがって、国会運営の面において、私ども主張を異にする者にとっては、残念ながら法規を固守し、どうしても対話の通じない相手に見えた場合も少なくありませんでした。けれども、先生に一点の私心もなかったことは明らかでありまして、この間にあって、先生の御心労はなみなみならぬものがあったと存じます。  また、本議事堂において開催された第四十九回列国議会同盟会議に際して、同盟会議議長として存分の力量を発揮したこと、さらにドイツ連邦共和国をはじめ、欧州、南米の諸国を訪れ、各国との親善友好を深めたことなど、議員外交推進に多大の成果をあげられましたことは、清瀬議長の大いなる功績であります。(拍手)  最近は、自由民主党の綱紀粛正調査会長として、あるいは党紀委員長として、厳正な党紀確立、党の近代化に心魂を傾けておられました。本特別国会の劈頭、石井議長園田議長当選に対し祝辞を述べられた際、あのお年とは思えぬ力強い声で、清新なる政治の実現を要望されました。これが本議場における先生最後の叫びでありました。そうして、これこそ先生が四十七年前、益谷秀次氏らとともに、清新の気にあふれて本院に議席を得られて以来の終生の念願であったのではないでしょうか。  かくて、先生は、本院議員当選すること前後十四回、在職実に三十八年五カ月の長きにわたり、その間に、国政の上にまた議会政治確立のために残された功績は、まことに偉大なるものがあります。  思うに、先生は、政治家として、終始一貫たぐいまれなる独自の道を歩まれました。しかも、該博な学識と周到な研究を背景として、自己の信ずることを直言してはばかりませんでした。まことに孤高の士、気骨の士といわれたゆえんであります。(拍手)  私は、清瀬先生について、特に忘れ得ないことが一つあります。それは、昭和十一年、日独防共協定が締結されたとき、小会派連合をつくってこれに反対したことであります。この運動がきっかけとなって廣田内閣が倒れて林内閣ができ、林内閣のもとに結局国会が解散になりました。そのとき清瀬先生は、郷里から送り届けられた鹿の肉をもってわれわれを招待され、「中原また鹿を逐う」と、意気軒高として杯をあげられました。  清瀬先生は、「選挙もいくさであるから、金も体力も出し切ってしまって、初めて勝つことができるのだ」と口癖のように申されました。私は、清瀬先生のこのことばを人にも語り、みずからも服膺いたしております。  先生は、去る六月二十三日、裁判官訴追委員長に推されました。風邪ぎみではありましたが、その日から未処理事件に関する膨大な書類に取り組み、御自身の見解を取りまとめておられたとのことであります。二十七日、突然苦しみを訴え、その夜にわかに永遠のかなたへ去っていかれたのであります。しかも、最後にあたって側近の者に命じて、本院議員の正装を身につけしめたとのことであります。まことに清瀬先生面目躍如たるものがあると存じます。(拍手)時に御年八十二歳でありました。  常に全力を尽くして事に当たってこられた先生にとっては、過去にいささかの悔いもなかったでありましょうが、晩年特に熱意をもって取り組んでおられた国会正常化政党近代化あるいは世界平和達成のための世界連邦創立問題等の解決を見ないで、志半ばにして倒れられたことは大きな心残りであったに違いありません。痛惜の念ひとしお切なるものがあります。  ここに、先生の生前の功績をたたえ、その風格をしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼ことばといたします。(拍手)      ————◇—————  倉石農林大臣林業基本法に基づく昭和四十一年度年次報告及び昭和四十二年度林業施策についての発言
  6. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 農林大臣から、林業基本法に基づく昭和四十一年度年次報告及び昭和四十二年度林業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣倉石忠雄君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔国務大臣倉石忠雄登壇
  7. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 昭和四十一年度林業動向に関する年次報告及び昭和四十二年度において講じようとする林業施策につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、昭和四十年度を中心とする最近の林業動向について申し上げます。  木材需要は、薪炭需要減少代替財進出等需要構造変化を伴いつつも、趨勢的には拡大基調にありますが、国内における木材生産は依然として停滞傾向を示しており、このため、外材輸入量は逐年増加しております。このような需給状態を反映して、木材価格は四十年の後半から四十一年にかけて上昇いたしました。  一方、国内における森林資源の開発は必ずしも十分でなく、しかも、最近における造林は、減少傾向を示しております。  また、林業経営動向について見ますと、林業生産の過半をになっております私有林経営におきましては、その経営規模は零細なものがきわめて多く、経営基盤が脆弱であり、その生産活動も一般に停滞的であります。林業従事者動向について見ましても、近年山村農民流出が著しく、林業労働力不足とともに質的劣弱化傾向が見られ、その労賃も上昇を見ております。  次に、林業に関して講じた施策でありますが、これは、最近特に四十年度以降において、政府林業振興上実施した主要な施策を述べたものであります。  最後に、昭和四十二年度において講じようとする林業施策概要について申し上げます。  政府といたしましては、ただいま御説明いたしました林業動向を考慮して、計画的施業推進林道の開設、造林推進等生産施策を積極的に進めるとともに、林業構造改善入り会い林野近代化林産物需給の安定及び流通の合理化林業従事者確保林業技術向上等の諸施策を実施するほか、山村振興対策推進国有林野の積極的な活用保安林整備治山事業拡充等につとめることといたしております。  以上、昭和四十一年度林業動向に関する年次報告及び昭和四十二年度において講じようとする林業施策について、その概要を御説明いたした次第であります。(拍手)      ————◇—————  林業基本法に基づく昭和四十一年度年次報告及び昭和四十二年度林業施策についての発言に対する質疑
  8. 園田直

    ○副議長園田直君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。伊賀定盛君。   〔伊賀定盛登壇
  9. 伊賀定盛

    伊賀定盛君 私は、日本社会党を代表して、ただいま農林大臣より説明されました、昭和四十一年度の林業動向に関する年次報告、並びに昭和四十二年度において講じようとする林業施策に関して、総理大臣はじめ関係大臣にお尋ねいたします。  報告書は今回で三回目でありますが、一読して言えることは、形式やていさいは整ったが、中身は従来と変わりばえのない、分析と対策必要性を繰り返しているにすぎないということであります。問題は林政の強力な展開こそが必要であることを、まず冒頭に指摘しておきたいと思います。(拍手)  林業基本法制定以来、森林資源に関する基本計画、重要な林産物需給に関する長期見通し策定、及びこれに基づく全国森林計画の改定、林業構造改善事業実施等、一連の施策が講ぜられているとはいいながら、なお、国民経済における林業地位低下の一途をたどり、外材輸入は急増し、国内自給度はこれまた低下し続けているのであります。  このような事態を解決するためには、日本経済の急激な変化、それに対応して日本経済の将来を見通した上で、もう一度国土総合利用計画を定め直す時期がきているのではないか。いわば日本林業の最終的な防衛線ともいうべきものを的確に決定すべきではないか。過去二回にわたる本会議における総理並びに農林大臣の答弁を速記録によって検討いたしますと、同じようなことばで、同じような内容が繰り返されているにすぎないのであります。(拍手)  およそ山を治め、水を治めることは、古くしてしかも新しい、緊要かつ困難な問題であり、近代政治家をもってしてもなお必要、不可欠の条件であり、要諦といわねばなりません。昨今においては都市過密化による住宅難、水不足交通禍公害等社会問題他方における農山村の過疎現象、特に最近の集中豪雨等に見られる各種災害発生等は、明らかに国土総合利用計画欠除によってもたらされたものであり、治山、治水問題が根本的に解決されていないところからくる自然的帰結といわなければなりません。(拍手)  今日の林業施策がこれら基本的理念を離れ、もって足れりとするがごとき考え方があるとするならば、まさにそれは木を見て森を見ざるのたぐい、本末転倒というべきであります。(拍手)いまこそ国土総合利用計画を勇敢、かつ大胆に打ち出し、思い切った国家的投資が必要ではないか。総理の御見解を承りたいと存じます。  第一は、林業従事者所得について伺います。  国民経済における林業地位低下し、林業所得の伸びは低く、林業就業者の大部分を占める山村農家流出は、その減少率三・三%、出かせぎ率三・四%と急激に減少しております。およそ、林業のにない手がその農山村民にあることは言をまちません。基本法において、国は林業労働に従事する者の就業の促進、雇用の安定、労働条件改善社会保障拡充職業訓練充実等について必要な施策を講ずることを約束しておりながら、さきに指摘したとおり、人口流出、出かせぎ、労働力老齢婦女子化労働災害の高率、その他社会保障施策の不完備は、基本法の趣旨に反するのみならず、今日の農山村民都市に追いやり、農山村の疲弊を招来しているのであります。労働力確保こそ、他の一切の林業施策に優先するはずであるにもかかわらず、これら労働力確保に不可欠の条件である社会保障施策適用は、国が経営する国有林事業に従事する労働者すら、他産業に比べて十分であるとは言えない現状であります。とりわけ民有林労働者に至っては、わずかに労災保険適用されているのみで、他の社会保険適用は皆無にひとしいのであります。  これら国有林労働者通年雇用の方向及びその対策並びに社会保障についても、林業労働者に対する労災保険失業保険健康保険厚生年金等被用者保険制度適用範囲拡大等社会保障制度適用についてどのように考えるか。農林厚生労働大臣の御所見を承りたいと存じます。(拍手)  また、民有林労働者労働組合組織率はかなり低いと白書も指摘しております。これは所得低下原因一つ考えるのでありますが、その対策についてもあわせて農林大臣にお伺いいたします。  なお、林業労働力不足に対応して政府推進しておる造林作業機械化について伺っておきたいと思います。わが国のごとき急峻な山形地帯においては、限界があるはずでありまするが、これをどう打開しようとするのか、その対策を伺います。  次に、わが国林業形態の特質ともいうべき六八%に及ぶ小規模林家の存在でありますが、これらの生産所得向上をはかるためには、白書もいうとおり、生産森林組合の協業化を促進するとともに、あるいは入り会い林野整備が必要であることは当然であります。生産森林組合育成具体策並びに入り会い林野整備特定個人への林野集中を来たさないよう配慮すべきであり、これについて農林大臣の御所見を承りたいと存じます。  第二は、基盤整備について伺います。  およそわが国林業生産振興を阻害しておる要因については、土地、資金、技術等の諸条件わが国社会経済進展に適合していないところにあると思うのでありますが、特に林業生産基盤整備、たとえば農業における土地改良と同様、林業においては林道整備拡充こそ最も重要な問題ともいうべきであります。  そこで私はこの質問原稿を練るにあたり、一体林業林道治山等いわゆる社会資本がどの程度投下されているかを調査したのであります。ところが他産業に関しては詳細な統計資料があるのでありますが、林業に関しては的確にこれを把握することができなかったのであります。この一事を見ても、現時点における政府施策においては林業は独立した政策対象ではなく、片手間か、ないしは政策不在と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  けだし、施策策定は、まず現状をつぶさに認識し、これを分析し、しかる上に初めて適切な施策政策が形成されなければならないからであります。林業社会資本をどの程度投下したのか不明、何ら社会資本を投下することなく、ただ天然自然の原野からあるがままの生産財貨を得ようとするがごときは、まさに往時における遊牧の民の山野にさまよえる姿を想起せざるを得ないのであります。(拍手)わけても、林業生産基盤となるべき林道網整備にいかに取り組もうとしておるのか、特に林道法等単独立法の意思なきや、御見解をお尋ねいたします。  第三は、林業構造改善政策についてお伺いいたします。  林業が、わが国産業中最もおくれた産業一つであることは、前段で申し上げてきたところであります。私ども社会党は、全国土土地利用区分を実施し、林地とすべき土地については、大山林地主土地を解放し、林業共同経営国有林民主的管理推進し、山村民大山林地主資本の重圧から守ることを提唱してまいったのであります。政府は、開放経済体制に即応するため、産業近代化政策の一環として、林業近代化林業基本法に基づく構造改善事業によって達成しようとしておるのであります。その結果を見ますと、わずか一〇%に当たる五ヘクタール以上の山林を保有する上層農家と、林業だけで自立できる二十ヘクタール以上の山林を保有する林家がその政策の恩恵に浴するのみで、わが国山林所有の特徴たる五ヘクタール以下の林家戸数九〇%、面積約四〇%の零細小規模山村農家の大多数は、政策対象もち外にあるといって過言でないのであります。  政府構造改善事業進展に伴って階層分化が助長されるのみならず、いまや山村婦女子と老人のおば捨て山と化し、激しい人口流出がこれを端的に物語っているのであります。国内生産は減退し、格差は縮小するどころか、拡大基調にある国民経済の中で林業はその相対的地位を一そう低下させ、なかんずく小規模林家所得低下して、農家経済は破綻、農民生活窮乏化が進行しておるのであります。このような事の本質と逆行するがごとき構造改善政策を根本的に再検討する必要があると思いますが、農林大臣の御所見をお伺いいたします。(拍手)  第四は、国内材外材輸入について伺います。  白書は、全体として木材需要は、昭和六十年度には現状の二倍近くになると見通されるほど旺盛だが、国内生産停滞に反し、外材輸入は年々急増すると述べているのであります。外材輸入は、現状でも総需要量の三〇%に近いのでありますから、容易ならぬ問題であるといわねばなりません。従来から外材問題については、総理並びに農林大臣は、国内生産補完的役割りを持たせ、秩序ある輸入を促進すると繰り返して述べておられます。確かに、外材輸入専用船は年々増加して船腹百三十九隻、八十七万二千総トンに及び、木材指定港は六十港、この港湾整備費は、昭和三十六年から四十一年まで五年間に実に百八十五億に及び、ばく大な投資が行なわれている反面、国内産業累年停滞と混迷を続けているのであります。  このような政策のアンバランスを総理並びに農林大臣はどうお考えでありましょうか、お伺いいたします。(拍手)  次に、林産物価格外材輸入業者価格操作によって左右されるおそれがあるといわれておりますが、このような見通しのもとでは、林産物価格の安定は期待できないといわねばなりません。政府は、すみやかに外材輸入に対する国の規制措置を講じ、林産物価格安定に対する国の責任を果たすべきではないか。総理並びに農林大臣の御見解を承りたいと存じます。  また、林産物長期需給見通し策定には当然代替財の推移も重要な関係を持つと思うのであります。白書はこれに全く触れていないのはいかなる理由によるのか。代替財産業林業関係をどのように位置づけようとしておるのか、あわせて総理並びに農林大臣にお伺いいたします。  第五は、国有林についてお伺いいたします。  白書によれば、販売努力による収入の確保事業経営による経費の節減等企業ベースでの合理化が強調されるのみで、基本法に示す林産物の供給及び価格の安定、地域産業振興住民福祉向上にどのように結びついているのか明らかでないのであります。そこでまず、農山村と国有林をいかに結びつけていくのか、この際明らかにしていただきたいのであります。  また、その国有林払い下げ状況でありますが、国有林材木材需給の安定に寄与すべきものと考えますが、現状では大資本によるパルプ会社等はその需要量の多くを国有林材で満たしており、中小製材業者のその比率は半分にも足らないといわれております。一体、国有林材の売り払い方針はどのような基準で行なわれているのか、あわせてお伺いいたします。  また、国有林野事業特別会計では、四十一年度末累積剰余金二百十三億、特別積立金六十九億にのぼるものがあるが、これが運用の状況並びにその処理方針についてお伺いいたします。  次に、政府国有林活用法案を今国会に提案されております。わが党としても、土地高度利用立場から、地域住民の要求に基づき、真にそれが地域住民福祉生活向上につながるものなら別として、いわゆる黒い霧といわれた国有林交換問題にまつわるがごとき国有林活用法案に対しては、絶対賛意を表することができないのであります。(拍手総理並びに農林大臣の御所見をお伺いいたします。  最後に、造林公社についてお伺いいたします。  白書は、造林面積減少、特に民有林における減少を指摘しており、これは資源保護の見地のみならず、国土保全立場からもきわめて重大であります。その原因は、特に小規模林家造林の後退であり、小規模林家にとって造林事業が引き合わない点にあることは明らかであります。これに対し白書は、各県の造林公社による公社造林を高く評価しているのでありますが、はたして零細な林家造林国土保全上必要な条件の悪い地域造林まで可能かどうか、むしろ国責任で行なうべきではないのか、このためには官行造林の復活を考えるべきではないかと思うのでありますが、お考えを承りたいのであります。  また、各県の造林公社事業については、各県それぞれの特質を生かし、自主性を尊重すべきであると思うが、その指導方針並びにこれら公社に対する法制の整備、融資ワクの拡大、助成措置の強化等について、農林大臣の御所見を承りたいと存じます。  これをもって私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  10. 佐藤榮作

    ○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 伊賀君にお答えいたします。  林業現状についての認識は、私も伊賀君が見るところと意見が一致するものが非常に多いのでございます。  そこで、御指摘になりましたように、過疎対策としても、同時にまた、防災の見地からも、国土総合利用計画策定すべきではないかというお考えには、私もその必要を痛感するものであります。できるだけ早目に総合的な検討を施して、この総合利用計画を立てるべきだと、かように思っております。しかし、各産業部門に対する適正な土地の配分であるとか、なかなかむずかしい問題もございます。今日までそれができ上がっておりません。今後一そう努力するつもりであります。  次に、林業に対する投資の問題でありますが、投資の問題については、昨年の四月に決定いたしました森林資源に関する基本計画、これに基づきまして、政府は、諸施策の充実とともに、これと取り組んでおる次第でございます。  次に、外材との関係についてでございますが、まず、国内森林資源の増強確保について、これまで同様一そう力をいたす、それは造林推進、さらにまた林道網整備でございますが、そういう点を行なって増強整備をはかりましても、最近の木材需需の増加に伴いまして、国内での供給は十分でございません。そういう意味から、不足分は外材による、こういうことで処理するわけであります。ところで、価格がたいへん一部の者に壟断されておるじゃないか、こういうような御指摘でありますが、御承知のように、四十一年の下期にはいわゆるヒノキ材その他の高級材の値段が上がりましたけれども、その後におきましては価格は大体横ばいの状況をたどっております。そのうちでも外材価格が安定しておるのでありますので、ただいま御提案になりましたような、政府がこれを統制するとか規制するとか、こういうような必要はないように私は考えております。  次に、国有林活用法案についてお尋ねがございました。この国有林活用法案では、政府の基本的な国有林活用方針を明示したものであります。申すまでもなく、農林業の構造改善のためにこれはぜひ必要だ。御承知のように、国有林野は、地域、地方によりましては非常に多いのでありますから、そういう点から見ましても、農林業の構造改善にはこれを活用することが必要であります。  また、ただいま御指摘になりましたいわゆる不正払い下げその他についての御批判でありますが、各方面から強い御批判もありましたし、また政府自身も、ただいまの活用法案を提案して御審議をいただくと同時に、国有林野の適正なる運用をはかるべきだ、かように考えておりますので、処分方法について改善を加えまして、ただいまその適正化に努力しておる最中でございます。今後の実際の処理等について十分御検討いただきたいと思います。  その他の点については、それぞれ関係大臣からお答えいたします。(拍手)   〔国務大臣倉石忠雄登壇
  11. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 国有林野事業に従事する作業員の通年雇用制につきましては、今後はなるべくその業務量の拡大等につとめまして、通年化に努力してまいるつもりであります。  林業労働者に対する保険のことにつきましては、他の閣僚がお答えなさると思いますから、省略いたします。  それから、林業労働力不足に対すべき造林等につきまして、そのことは政府におきましても非常に注意をいたしておるわけでありますが、これにつきましては、改良、開発につとめてまいるために、やはりなるべくこれを近代化することにつとめなければなりません。御承知のように、林野庁においてはそういう方面に四十二年度予算をはじめ全力をあげておる最中であります。  それから民有林労働者の組合組織率、これもあるいは他の閣僚からお話があるかもしれませんが、林業労働者の賃金は、同種の屋外労働者に比べまして低賃金であることは、私どもよく承知いたしておりますが、これはおおむね他の周辺の労働賃金とは均衡を保っておるわけでありますが、全体として上昇いたしてまいるように、これは林業を盛んにすることによってその所得をふやすことにわれわれはっとめてまいらなければならないと思っております。  それから、小規模林家生産所得向上のための生産森林組合の育成、御承知のように、この国会に出しております法律の説明にも林野庁当局から申し上げておりますように、この生産森林組合につきましては、従来から林業構造改善事業における機械導入等に対する補助、それから農林漁業金融公庫からの長期低利資金の融資等をいたしまして、この生産力を高め、そして経営の健全化をはかることに力を入れておるわけであります。これからもそういう方向でつとめてまいりたいと存じます。  それから、基盤整備の中核たる林道整備につきましてお話がございました。林道整備につきましては、林業施策の重点事項といたしまして、その積極的推進をはかることといたしまして、昭和四十二年度予算におきましては、補助体系の整備等をいたし、補助率、補助事業拡充、それから林道資金の貸し付け条件の緩和等をいたしておることは御承知のとおりでありますが、この林道に関する特別の法律制定につきましては、なお慎重に現状に即して検討してまいりたいと思っております。  現在の林業構造改善のことにつきましてお話がございました。ただいま総理大臣からもお話がございましたが、林業構造改善事業は、林業が重要な地位を占めておる農山村において、小規模林業経営者を主たる対象として、その経営規模の拡大、その他山林保有の合理化並びに協業を中心とする林業経営近代化推進することを目的として実施いたしておるのであります。御承知のように、着々これの成果のあがっておるところも各地に出ておるわけでございます。  それから、外材のお話がございました。これも総理大臣からもお話がございましたが、私どもは、国内産材を主たるものといたしまして、その補完的に外材をもって補うようにいたしておるのでありますが、そういう意味におきまして、お話しのように、日本木材の利用を外材に重点を置いておるような一部の説は、これは誤りでございまして、補完的にいたしておるのはよく皆さんも御存じのとおりでございます。これらはわが国の経済全体から見て判断をすべきものでございますが、大事な問題でありますから、政府におきましても十分慎重に対処いたしてまいりたいと思います。したがって、林産物価格のことにつきましても、ただいまお話し申し上げましたとおりでございます。  あと、国有林のあり方について、国有林の利用に関する法律のお話がありました。これも総理大臣からきわめて明快にその趣旨をお述べになりましたが、私どもは、農業、林業その他一般に考えまして、あの活用法というものは、との法律を巧みに活用することによって農業関係に大きな裨益をいたすものであると存じまして提出をいたしておる次第であります。(拍手)   〔国務大臣早川崇君登壇
  12. 早川崇

    国務大臣(早川崇君) 民有林労働者に対する労災保険失業保険適用拡大についての御質問でございます。  労災保険につきましては、原則として強制適用になっておるわけでございまするが、ただ例外的に、年間延べ三百人未満の事業所に対しましては強制適用になっておりません。したがって、今回国会に提案いたしました失業保険労災保険の一部改正法案の中に、これを強制適用するという改正をいたそうといたしておる次第でございます。  失業保険につきましては、林業は、他産業と違いまして、事業自体に季節性がございまして、定期的に季節的に失業するという性格がございます。また、雇用関係、賃金支払い関係等につきまして非常に不明確な点がございます。したがって、強制適用ということは無理がございまするので、任意適用の制度を十分活用して、雇用関係の明確な林業労務者に対しましては失業保険を任意適用していく、こういうことをもってこの問題にこたえていきたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣坊秀男君登壇
  13. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 私に対する御質問、すなわち、健康保険厚生年金との関連事項につきましてお答え申し上げます。  健康保険厚生年金では、一定の事業を行なうもので、常時五人以上の労働者を使用するものを強制適用事業所として、その従業員を被保険者としておりますが、適用業種以外の事業を行なうものや五人未満の事業所についても、任意適用業種であるので、任意適用と相なりますが、林業が比較的短期間の季節的事業であること、また、林業労働者雇用形態は、請負的なものが多く、事業所との使用関係が不明確であること等から、被用者保険に完全適用をはかることは技術的にも困難な面がございますが、医療保険につきましては、来年度を目途に、制度全般に関する抜本対策を検討することとされており、また、年金保険については、昭和四十四年に厚生年金の再計算期を迎えるので、その際、これらの問題についてもあわせ検討をはかってまいる所存でございます。(拍手
  14. 園田直

    ○副議長園田直君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  住民基本台帳法案内閣提出参議院送付
  15. 竹内黎一

    ○竹内黎一君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出参議院送付住民基本台帳法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  16. 園田直

    ○副議長園田直君) 竹内黎一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 園田直

    ○副議長園田直君) 御異議なしと認めます。  住民基本台帳法案を議題といたします。     —————————————
  18. 園田直

    ○副議長園田直君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長亀山孝一君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔亀山孝一君登壇
  19. 亀山孝一

    ○亀山孝一君 ただいま議題となりました住民基本台帳法案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、市町村における住民の届け出に関する制度及びその住民たる地位を記録する各種の台帳に関する制度を一元化し、もって住民の利便を増進するとともに、行政の近代化に対処するため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行なう住民基本台帳の制度を設けようとするものであります。  本案は、参議院先議でありまして、六月十六日当委員会に付託せられ、六月二十三日藤枝自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、熱心に審査を行なったのであります。七月十七日質疑を終了し、本日、討論の通告もなく、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  20. 園田直

    ○副議長園田直君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  21. 園田直

    ○副議長園田直君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  小規模企業共済法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  中小企業団体組織に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出
  22. 竹内黎一

    ○竹内黎一君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  23. 園田直

    ○副議長園田直君) 竹内黎一君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 園田直

    ○副議長園田直君) 御異議なしと認めます。  小規模企業共済法の一部を改正する法律案中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  25. 園田直

    ○副議長園田直君) 委員長の報告を求めます。商工委員長島村一郎君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔島村一郎君登壇
  26. 島村一郎

    ○島村一郎君 ただいま議題となりました小規模企業共済法の一部を改正する法律案外一件につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、小規模企業共済法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、小規模企業者の福祉の増進と小規模企業の振興に寄与するため、従来の共済制度に比べて有利な第一種共済制度を新設しようとするものであります。  改正の第一は、現行の共済契約を第二種共済契約とすること  第二は、やむを得ない事由による事業の廃止の場合は、従来の共済制度に比べて一割多額となる第一種共済制度を新設し、その掛け金は全額所得控除とすること  第三は、個人事業者に対する共済契約の実質的な承継を認めること等であります。  次に、中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、中小企業の経営の規模の適正化による生産性の向上等を効率的に推進するため、中小企業団体一つとして新たに協業組合制度を設け、中小企業者の生産、販売その他の事業活動についての協業を推進しようとするものでありまして、  その内容の第一は、協業組合は、組合員となる中小企業者等が加入前に営んでいた事業の全部または一部を統合した事業を行なうこととし、組合員は、協業組合の行なう事業とせり合うような事業を行なってはならないこと。  第二は、組合員に原則として中小企業者であることとし、定款で定めた場合は中小企業者以外の者を加入させることができること。  第三は、組合員一人の出資限度を総口数の二分の一以内とし、組合員の責任は、その出資額を限度とすること。  第四は、組合員の加入及び脱退について、ある程度の制限を付し得ることとし、そのほか、協業組合設立の認可、協業組合に対する課税の特例等について規定しております。  両案は、去る四月二十七日及び五月十七日にそれぞれ当委員会に付託され、四月二十八日及び五月十九日に政府よりそれぞれ提案理由の説明を聴取し、七月十二日より両案を一括して審議に入り、慎重審議を重ね、本日に至り、質疑を終了、引き続き採決いたしましたところ、両案はそれぞれ全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、小規模企業共済法の一部を改正する法律案につきまして、附帯決議が付されたことを申し添え、以上、御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  27. 園田直

    ○副議長園田直君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  28. 園田直

    ○副議長園田直君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  29. 園田直

    ○副議長園田直君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時十一分散会