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1967-06-01 第55回国会 衆議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月一日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十六号   昭和四十二年六月一日    午後二時開議  第一 登録免許税法案内閣提出)  第二 登録免許税法施行に伴う関係法令の整   備等に関する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  水田大蔵大臣昭和四十年度決算概要につい   ての発言及び質疑  日程第一 登録免許税法案内閣提出)  日程第二 登録免許税法施行に伴う関係法令   の整備等に関する法律案内閣提出)    午後二時七分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  水田大蔵大臣昭和四十年度決算概要につ   いての発言
  3. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 大蔵大臣から、昭和四十年度決算概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣水田三喜男君。   〔国務大臣水田三喜男登壇
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) さきの第五十四回国会に提出いたしました昭和四十年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十年度予算は、昭和四十年三月三十一日に成立いたしました本予算と、昭和四十年八月十一日、昭和四十年十二月二十七日及び昭和四十一年二月二十三日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。  昭和四十年度予算は、農林漁業及び中小企業近代化高度化推進社会保障関係施策充実住宅及び生活環境施設建設の促進、文教の刷新充実及び科学技術振興社会資本計画的整備輸出振興対外経済協力推進雇用対策強化等重要施策推進するとともに、国民租税負担軽減合理化並びに企業体質改善及び国際競争力強化のための減税を行なうこととして編成されたものであります。  なお、本予算成立後、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への追加出資給与改善災害復旧食糧管理特別会計への繰り入れ道路整備特別会計への繰り入れ等に必要な経費追加租税及び印紙収入減収見込額を補てんするための公債発行等に関し、所要の予算補正を行なったのであります。  昭和四十年度におけるわが国経済を顧みますと、昭和三十九年末以来の金融緩和策実施にもかかわらず、停滞状態を続けたのでありますが、政府財政金融両面からの積極的な景気対策実施と、生産調整等民間産業界の自主的な不況対応策が進められた結果、停滞状態も次第に底をつき、昭和四十一年度予算における本格的な公債発行による財政支出積極的拡大大幅減税実施が明らかにされたこともあって、昭和四十一年に入るとともに景気回復過程に移行したのであります。  このような経済推移の結果、昭和四十年度国民総生産は三十一兆三千四百四十八億円となり、前年度に対し一〇・三%、実質四・七%の増加となったのであります。また、鉱工業生産は、前年度に比し三・六%の増加となり、国際収支は、輸出の顕著な伸びがあり、さらには、輸入が国内景気停滞を反映して落ちついた推移を示したこと等により、年度間の総合収支で四億二千八百万ドルの黒字となったのであります。  以下、決算内容数字をあげて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入決算額は三兆七千七百三十億円余、歳出決算額は三兆七千二百三十億円余でありまして、差し引き五億円余の剰余を生じました。この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、翌年度、すなわち、昭和四十一年度歳入繰り入れ済みであります。なお、この剰余金のうち、昭和四十年度に新たに生じた純剰余金は二十一億円余であります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額三兆七千四百四十七億円余に比べて二百八十三億円余の増加となるのでありますが、このうちには、昭和三十九年度剰余金受け入れが、予算額に比べて四百七十四億円余増加したものを含んでおりますので、これを差し引きますと、昭和四十年度歳入減少額は百九十億円余となるのであります。これは租税及び印紙収入、雑収入、専売納付金等において四百四十億円余を増加いたしましたが、公債金等において六百三十一億円余を減少いたしましたためであります。  一方、歳出につきましては、予算額三兆七千四百四十七億円余に昭和三十九年度からの繰り越し額四百二十一億円余を加えました予算現額三兆七千八百六十八億円余から、支出済み額三兆七千二百三十億円余を差し引きますと、その差額は六百三十八億円余でありまして、そのうち、昭和四十一年度に繰り越しました額は四百二十六億円余であり、不用額は二百十二億円余となっております。  なお、昭和四十一年度への繰り越し額の内訳を申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ国会議決を経て繰り越しましたもの四百七億円余、財政法第四十二条ただし書きの規定により、避けがたい事故のため繰り越しましたもの十一億円余、財政法第四十三条の二第一項の規定により、継続費年割り額を繰り越しましたもの七億円余であります。  次に、予備費でありますが、昭和四十年度一般会計における予備費予算額は四百五十億円でありまして、その使用総額は四百四十九億円余であります。  次に、一般会計国庫債務負担行為について申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為権能額は千七十九億円余でありますが、このうち実際に負担いたしました債務額は千四十七億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額七百八十四億円余を加え、昭和四十年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額六百三十七億円余を差し引きました金額千百九十四億円余が翌年度以降に繰り越された債務額となります。  財政法第十五条第二項の規定に基づく国庫債務負担行為権能額は三十億円でありますが、実際に負担いたしました債務額はございません。  なお、既往年度からの繰り越し債務額一億円余は、昭和四十年度中に支出その他の理由によって全額が消滅いたしました。  次に、昭和四十年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十三でありまして、これらの特別会計歳入歳出決算額合計額は、歳入決算において七兆二千百六十億円余、歳出決算において六兆四千六十三億円余であります。  次に、昭和四十年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、資金への収納済み額は三兆千九十八億円余でありまして、この資金からの支払い命令済み額及び歳入への組み入れ額は三兆千八億円余でありますので、八十九億円余が昭和四十年度末の資金残額となるのであります。  次に、昭和四十年度政府関係機関決算でありますが、その内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。  以上、昭和四十年度一般会計特別会計国税収納金整理資金及び政府関係機関決算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  昭和四十年度決算概要についての発言に対   する質疑
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。吉川久衛君。   〔吉川久衛登壇
  6. 吉川久衛

    吉川久衛君 ただいま大蔵大臣から報告のありました昭和四十年度一般会計歳入歳出決算外二件につきまして、自由民主党を代表して、総理大臣並びに大蔵大臣に対し、二、三の質問をいたしたいと存じます。  申し上げるまでもなく、大蔵大臣からこのような形で本会議において国の決算報告されるようになりましたことは、昨、昭和三十九年度決算説明が初めてであり、これは明治、大正、昭和を通じていまだかつてない新たな前例をなしたものでありまして、政府及び国会決算を重視することのあらわれとして、まことに喜ばしい次第でございます。  そこで、私は、四十年度決算そのものについては、今後十分に審議を尽くし、是は是、非は非として、国の予算がいかに正しく効率的に使われたか、使われなかったかなどを検討し、政府責任を追及したいと存じておりますが、本日のこの席におきましては、総論と申しますか、前提と申しますか、とにかく、そういった総括的な決算審議前提ともいうべきことにつきまして、御見解を承っておきたいと存じます。  御承知のとおり、決算委員会といたしましては、予算効率的に使用されたかどうか、予算意図が実現されたかどうか、予算そのものが妥当なものであったかどうかなどを知ることが、決算審査の重要な前提となるのでありますが、毎年国会報告される決算書及び大蔵省主計局から出される決算説明は、きわめて膨大な、かつまた、多大な労力を要したものとは思われますが、しかし、これらはいずれも予算執行実績科目別に計数として表示しているにすぎません。これでは事業等実績はわからないのでありまして、予算によって計画化された内容実績としていかにあらわれてきたか、予算実績を比較検討するといかなる評価を与えることができるかという点については何ら触れるところがないのであります。  そこで、私は、すでに臨時行政調査会答申にも指摘されておりますように、少なくとも今後委員会に提出される決算説明は、予算によって示された計画内容は、その実績がわかるように、両者相対比するという形に改め、さらに、過去数年間をも並記することによって、予算執行実績推移が明らかになるようなものにしていただきたいというのでございます。  たとえば、住宅対策費について見まするならば、歳出予算額支出済み歳出額繰り越し額不用額予算額に対する支出済み歳出額の割合というように、数字を横書きに並べてあるだけで、建設資材の値上がりによって予定された住宅戸数変更はなかったのか、あるいは、戸数変更がなかった場合に、住宅の質の低下はなかったのかというような点は、今日までの決算説明ではこれをつまびらかにすることはできないのでございまして、これでは決算審査資料としては不十分であります。  会計検査院検査報告書は、決算審査にきわめてよい資料となっておりますが、政府提出決算書は、あまり深く知られたくないような意図をもってつくられたのではないでしょうが、何らかのくふうあってしかるべきであると考えるのでございます。このことは、決算審議を意義のある、実のあるものにするためにもぜひ必要なことであります。  次に、第二点といたしましてお尋ねしたいのは、臨時行政調査会答申についてであります。  臨時行政調査会といえば、わが国行政制度及び行政運営全般について調査審議を重ね、三十九年九月答申がなされたものでありますが、その内容は、行政全般にわたりまことに重要な指摘をされております。この答申について、政府態度は、一応尊重するという立場をとりつつも、消極的であることは、まことに遺憾でございます。  行政改革国家的要請であり、国民の声であります。能率のよい政府をつくることは政治責任であります。これが実施のためには強い決意指導力を必要といたします。これこそ佐藤総理の重大な責務であります。私は総理から具体的実施への決意を承りたいと思います。  次に、第三点といたしましてお尋ねをいたしたいのは、決算委員会における審議の結果に対する政府態度なのであります。  と申しますのは、毎年の議決において、「本院は、毎年度決算審議に際し、予算効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていないのは、まことに遺憾である。」として強く政府反省を求めているのでありますが、一向にその実績があがらないのであります。このような内容の警告は、毎年同じなのでございます。  もとより、それにはいろいろ理由もあろうかと存じますが、その大きな原因は、各省庁が予算の獲得にはきわめて多くの精力を集中いたしているにもかかわらず、一たび予算をとってしまうと、事後執行決算については責任を感じていないかのごとく、効率的な執行に対する配慮に欠けておるところに最大の原因があるものと思われるのであります。会計検査院から不正不当事項指摘されても、おざなりに済まされ、数年間放置され、責任者はいつの間にかえらくなっております。大臣官僚に使われるだけで、使いこなすころには交代しており、官僚王国不正者の天国とさえいわれております。(拍手)せめて各大臣決算に重大な関心を持っていただきたいと思うのでありますが、今日までのところ、何らの改善がなされていないがごとき状態でありますことは、残念しごくでございます。(拍手会計検査院の不正不当の指摘事項あるいは是正改善意見や、決算委員会議決事項については、その責任の所在を明確にするとともに、積極的に是正改善意見を求めるなど、予算執行の適正、経済効果行政的成果についても検討を行ない、それを予算編成予算執行に反映させ、行政運営の姿勢を正さなくてはならないと思います。(拍手)  この点、総理はどのように考えておられますか、また、どうしたらよいと思われますか、これらの点について明確な御答弁をお願いいたしたいと存ずるものであります。  時間の関係もありますので、以上三点をもちまして私の質問を終わることといたします。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  7. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  決算重要性、これはただいま仰せになりましたとおりでございまして、私ども政府もさように考えております。そこで、決算を重視する、そういう態度でありますのは、決算重要性からきておるのであります。  ただいまるるお話しになりましたが、その立場に立ちまして、決算に出されます説明、これが十分用を足さない、こういうような御指摘であります。私が申し上げるまでもなく、決算は、予算執行にあたりまして十分その目的を達しておるか、あるいは効率的な運用が行なわれたか、こういうようなことを事後になりまして調べるのでありますが、これは、申すまでもなく、計数的な記録やあるいは報告でございます。もちろん、それ自体を見て、そうして全般がわかるようでなければなりません。これも吉川君の御指摘のとおりであります。そこで、政府は、毎年同じような記録を出しておるようでございますが、諸君の御意向も十分伺いまして、この説明がより効率的であるように、その目的を果たすように努力するつもりでございます。そういう意味で、決算委員会等の御意見は十分尊重してまいる考えでございます。  次に、臨調答申についてお触れになりました。臨時行政調査会答申、これは、私が申し上げるまでもなく、広範多岐にわたり、また根本的なものでございます。これが答申を得てから今日までほとんど手がついていないじゃないかというおしかりでありますが、必ずしもそうではございません。今日まで順次実施に移しております。しかし、事柄の性質上、さらに慎重に基本的な検討を要するような問題も多分にあるのでございます。ただいま公社、公団等については政府が積極的に整理統合等に乗り出すべく、さらに行管におきまして調査することを命じております。また、この臨調から答申のありました予算編成に関する項目等の問題につきましても、いままでの財政の基礎に関するような問題でありますから、これを直ちに結論的に賛成するわけにもまいりません。十分調査いたしまして、そうして行政効率的な運用のできるようにいたすつもりでございます。  さらにまた、毎年同じような注意事項批難事項を受けていながら、政府は何ら正しておらないじゃないかというようなおしかりでございますが、私はよほど改善はされつつあると思います。しかし、この行政自身がたいへん広範なものでございますし、また、一部の指摘事項だけでもないのであります。さらに私どもが綱紀を正して、そして忠実にこの会計検査院意見も取り入れ、また、決算委員会における審議経過等も尊弔いたしまして、一そう行政の成績をあげるようにいたさなければならぬ、かように思っておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  8. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 会計検査院の御指摘決算委員会の御意向というものを十分に生かすために、いま私どものとっております処置を申し上げますと、予算編成の前に、大蔵省主計官主計主査会計検査院との協議会連絡会を持ちまして、そこで会計検査をされた結果のいろいろの御指導を受ける、そうして指摘事項に対する御意見もよく聞くということをまずやりまして、予算編成のどこにこれからの問題があるかということ、それからこれを各官庁にどう連絡して、再びこういうことがないようにするかということは、十分予算編成前にこの協議会を持って研究する、連絡会を持って研究するということをいたしまして、各官庁との連絡をとっておるのでございますが、毎年御指摘を受けるようなことがあとを断たないということは非常に遺憾でございますが、今後さらに一そうこういう連絡、それから各職員の研修というようなものを強くいたしまして、こういう指摘事項をなくするようにつとめたいと考えます。(拍手)     —————————————
  9. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 中村重光君。   〔中村重光登壇
  10. 中村重光

    中村重光君 ただいま大蔵大臣から報告のありました昭和四十年度歳入歳出決算外二件につきまして、日本社会党を代表して、総理大臣並びに大蔵大臣に若干の質問をいたします。  第一は、決算に対する国会取り扱い審議あり方についてであります。  国の収入支出等に対する国会取り扱いについては、明治二十七年第六回帝国議会決算審議されたとき以来、議会決算報告に対する権能をいかに取り扱うべきかについて論議のあったところであります。  当時は、この決算報告に対し、議会行政百般について監督権を有するとの立場から、国の収支について最終的な裁判権を有するとし、これが承認事項となすべきであり、衆議院の決算報告について院議を決し、貴族院に送付すべき旨決議案決算委員長が提出したのでありますが、成立を見なかったのであります。  以来、この論議を繰り返しながら戦後に至ったわけでありますが、かつての帝国憲法時代と、主権在民を旨とする戦後の新憲法時代とでは、決算に対する考え方は当然異なってしかるべきだと思うのであります。つまり、政府は、毎年憲法第九十条及び財政法第四十条によって、国の収入支出決算会計検査報告とともに国会に提出することになっておりますが、この提出された決算について、学説上は、単なる報告と解するものもあり、また、議案と解すべきであるとの説もあります。  一方、国会における取り扱いを見ますと、議院の先例集に見るごとく、決算について、「これを是認すべきかいなかを審査し、是認すべきでないものについては、不法または不当と議決する」となっておりますが、実体は決算そのものを議題としながら、その決算及び会計検査院報告についての審議結果を決議形式で取りまとめ、これが委員長報告として本会議で賛否を決する形式をとっており、その取り扱いについてはきわめてあいまいな点があると思うのであります。  地方公共団体については、地方自治法第二百三十三条において、決算監査委員意見を付して議会の認定を得ることになっており、地方公共団体の長の責任を明確にいたしております。  また、諸外国の例としましては、フランス、ベルギーでは、決算法律案として議会に提出し、議会政府責任を解除することとしているのであります。  いずれにしましても、わが国国会では、決算取り扱いが前述のごとく旧帝国憲法時代からの慣習を踏襲していることは、財政民主主義を旨とする民主憲法下国会においては一考を要するのではないかと考えるのであります。すなわち、決算審議につき慎重を期し、決算取り扱いを明確ならしめるため、これを議案として取り扱うことを考慮すべきであると考えるのであります。  憲法は、第八十三条により、国の財政処理について国会中心主義を認めております。このことは、国民租税収入等でまかなわれる国の収支について、国民代表機関である国会が、その予算執行について監督立場にあることを明示しているのであり、決算についても、国会が、同じ精神をもって、財政処理の結果につき重大な関心を持つべきことは当然だと思うのであります。  しかるに、現実は、決算予算に劣らず重要であるにもかかわらず、十分かつ慎重な審議がなされずして承認され、決算軽視の弊すら生んできたのであります。  この点にかんがみて、現在の決算委員会制度を改め、予算とともに決算をあわせて、その内容実質審議を行なう財政委員会あるいは歳入歳出委員会のような機関の設置を検討すべき時期にきていると考えるのでありますが、総理見解を伺いたいのであります。  第二に、右の問題と関連して、予算科目の組み方並びに説明書の作成であります。  毎年度予算審議に際しては、大蔵省より主要経費別及び各省所管別予算書説明書が出され、並行して前年度決算見込み、前々年度決算報告書が出されるわけであります。ところで、予算説明書を見ますと、その年度予算の主容な内容について要点の説明がついておりますが、予算を広く国民に知らせるという財政法上の原則に基づいて、もっとくふうする必要があろうと存じます。  たとえば、今日の国民生活上非常に問題となっている交通公害等の問題については、問題ごと予算の実態が明らかになるよう配慮すべきであると思うのであります。かつてはそれほど大きな社会的関心事ではなかった交通公害等の問題も、この数年の急速な都市化の中で、きわめて緊急な解決を要する政治上の課題になってまいっております。  臨時行政調査会答申は、主として事業効果という観点から、事業別予算の方式を提案いたしておることは、周知のとおりでありますが、社会経済の発展に即応して、重要問題ごとに整理した形で予算を編成し、執行し、国民に公開するという行政態度こそ当然あってしかるべしと思うのでありますが、大蔵大臣はこの点いかに考えられるか、所見を伺いたいのであります。(拍手)次に、このような問題ごとの取りまとめと説明には、前々年度決算関係部分報告をあわせ記載することが必要であります。国民血税がはたしてどれだけの意欲と効率をもって使われているか、また、どのような形式予算執行されたかを知るためには、ばらばらでつかみにくい予算吉説明書ではなく、一元的に整理されたわかりやすい予算書説明書が必要であるにもかかわらず、これを改めようとしない態度は、先ほど吉川議員指摘のとおり、決算をわかりにくいものにしようとする意識以外の何ものでもありますまい。決算報告あり方に対する臨時行政調査会答申に目を向けようとしない態度とあわせて政府反省を促すものであります。この点に対する総理並びに大蔵大臣所見を伺いたい。  第三に、会計検査院昭和四十年度検査報告において、東京大学宇宙航空研究所観測ロケット関係経費請負契約について、留意事項として指摘した問題であります。  新しいロケットの製作は、開発途上という理由をもって、特定の業者とのみ長期にわたり概算契約形式をもって随意契約を継続しておりますが、これは当局の言うごとき法の根拠、すなわち、契約性質または目的競争を許さない場合等の、会計法予算決算及び会計令規定する条件に合致するとは考えられません。加えて、随意契約のやり方においても、幾つもの会社から参考見積もりをとって見積もり合わせをするという、契約上の常識的な扱いすら行なっていないのであります。昭和三十九年と四十年のロケット本体支払い経費だけでも約四億数千万円にのぼる国民のばく大な血税が、こういうずさんな契約でむざむざ使われていることを、われわれは黙って見過ごすわけにはまいりません。  また、本年度から始まる東大の素粒子研究のためのビッグサイエンスの開発建設は、五カ年計画で約二百九十億円にのぼるといわれております。これについても、ロケットと同様、ずさんな随意契約を認めるのか、明確な答弁を承りたいのであります。  会計検査院は、この種の研究開発を促進するため、概算契約から清算契約への方法を提案し、会計法規上これを禁止する規定はないと言っておりますが、このようなことが許されるならば、国費の有効な使用の制度としての競争入札の制度は、事実上崩壊してしまうと思うのであります。政府見解を伺いたいのであります。  さらに、第三次防による武器等の製造に関しては、武器製造費が一兆円になんなんとするといわれるだけに、問題はきわめて重大であります。すでに兵器国産化が進むにつれ、特定メーカーと政府が長期契約を結び、両者の結合が強固になりつつある傾向は顕著であります。ロケット等の従来の経緯、並びに経団連の防衛生産委員会の提言を見るならば、メーカーは一度製造委託、開発委託を受ければ、随意契約により半永久的に利益を独占するに至ることは、火を見るよりも明らかであります。  われわれは、このようなばく大な国費をもって死の商人を育成するような非常識は断じて許せないのであります。(拍手政府は、このような武器製造による死の商人の成長は避けがたいものであり、会計法規上も問題なしとして容認するのか、それともこれを否定するのか、否定するならば、武器生産における独占的利益の壟断を防止するいかなる具体案を持っておるのか、所信を明らかにされたいのであります。(拍手)  最後に、公社、公団、事業団等政府関係機関の新設、運営、監査について質問いたします。  言うまでもなく、臨時行政調査会政府関係機関の無責任な運営体制の整理を答申して以来、この問題は、世間の批判、関心を集めてまいっておりますが、政府は、今年度においてさらにまた七つの機関を新設しようとしているのであります。  現在、公社、公団等特殊法人の数は百八の多きにのぼっており、国の予算の半分に近い財政投融資からばく大な資金がふんだんにつぎ込まれておるのであります。もともと、これらの機関の設立の趣旨は、民間の有為の人材を登用し、お役所仕事の非能率を改めて、行政効率的な運営をはかるにあったと考えますが、事実は全く逆で、非能率なお役所主義に堕しているのみならず、高級官僚の天下り機関と化し、古手役人の安住の地となっているのであります。官僚王国日本はいまや官僚亡国となりつつあるといっても決して言い過ぎではありますまい。臨時行政調査会が十八の機関をやり玉に上げて改革を迫ったにもかかわらず、いまだに実質的に手がつけられていないのであります。  さらにまた、公団、公社、事業団等特殊法人の定義について、私の決算委員会における質問に対し、行政管理庁は、はっきりした特殊法人に対する定義がないという答弁であります。何という不見識な答弁でございましょう。  総理は、関係閣僚に対し、公団、公社、事業団等の整理を進めるよう指示されたようであります。しかし、笛吹けど踊らずであります。日本最高の頭脳を集め、戦後わが国における画期的な行政プログラミングとして提出された臨時行政調査会答申が出るや、当時の行政管理局は、この改革意見に逆行する内部通達を出すがごとき行政規律無視のふるまいなどに見られるごとく、この特殊法人問題に対しては、佐藤総理官僚に対する統制力の限界を示しているのだと批判する者すらあるのであります。(拍手)  佐藤総理、あなたはほんとうに官僚や圧力団体の抵抗を排除して、勇断をもって臨時行政調査会答申を実行に移す決意をお持ちかどうか、この際明確にお答え願いたいのであります。  以上数点にわたってお尋ねをしたのでありますが、政治の姿勢を正す立場から、決算がいかに重要であるかということに対しましては、重ねて申し上げるまで毛ありません。総理は、国民政治に対する不信感をなくするために、いかに対処されようとするのか、答弁を通じて国民にその所信を明らかにされんことを要求して、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  11. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  先ほども申しましたように、決算はまことに重要な役割りを果たしておりますから、政府はこの決算を重視する、こういう立場でございますが、しかしお話にもありましたように、憲法は、決算の場合はこれを「提出」、こういうことばを使い、予算の場合は「議決」、かように申しておるわけであります。したがいまして、この決算予算と同じような議案ではない、このことはもうすでに憲法も示しておる。中村君もただいまお読み上げになったとおりであります。ただ、これは議案ではない、かようには申しましても、十分この審議を通じまして、予算がその目的どおり使われたか、あるいは効率的に使われたか等の審議の経過において国民にこれを知らす、こういう意味で十分その説明資料その他が完全を期さなければならない、これは先ほど吉川君が指摘したとおりであります。私どもは、そういう意味で皆さん方の御意見も十分尊重いたしまして、今後とも効率化、あるいは説明が十分できるような、そういう資料を整えることについて、十分準備してまいるつもりでございます。  次に、決算委員会を特別のものにして、財政委員会あるいは歳入歳出委員会、こういうものにしたらどうかという御提案でございますが、私はただいまの現行制度でも十分目的を達しておる、かように考えておりますので、これは国会のことではございますが、私ども政府としては、ただいま決算委員会を変えるような考え方はございません。  次に、予算の分類の問題でございますが、これは臨調答申もありますけれども、いかにも一元的に整理される非常にわかりいいようなお話でございます。しかし、ただいままでの予算の方式、これは基礎的な考え方で今日予算編成がなされておりますし、それを変えるということはただ形式だけの問題ではないように思いますので、十分慎重に研究し、検討して結論を出すべきものだ、私はかように考えております。  次に、今度御審議を得ました素粒子研究の巨大加速器の建設の問題であります。この巨大加速器の建設の問題は、きわめて高度な専門的な知識を必要とするように私は考えております。ただいまどういうようにこれを発注するか、まだ方針はきめておりません。十分これらの点については、御指摘もございましたので、検討いたしまして、万遺漏なきを期していきたい、かように考えておるわけであります。  三次防の武器の開発委託あるいはその調達等についても、いろいろ御指摘がございました。今後私どもがこれらの問題を処理するにあたりましては、申すまでもなく、会計法規に従ってこれらの開発委託あるいは調達、これにかかるのでございますが、そういう際に、最も大事なことは、公正でありまた厳正である、そして疑惑を受けるようなことがあってはならない、かように思いますので、特に関係の当局につきましては注意するつもりでございます。  最後に、公社、公団等の整理についてのお尋ねであります。ただいま、ただ単に臨調が例示いたしました十八ばかりではございません、百八の全部について行政管理庁でひとつ再検討して、これらの特殊法人、この整理統合等をする考えでございます。そういう際に、御指摘がございましたが、官僚に牛耳られるとか、あるいは圧力団体に振り回される、こういうようなことはないつもりでございます。どうか実績をごらんになって、しかる上で御批判を願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣水田三喜兄君登壇
  12. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 現在の予算制度では、組織別、目的別、使途別という分数を行なっておりますが、その分類の中で、この目的別の区分というところでは、すでに事業別分数の方式を相当取り入れているというのがいまの実情でございます。しかし、これを全部事業別の分類に編成しろということになりますと、いまの予算制度、会計制度の根本に触れる問題でございますので、これは財政制度審議会の手にかけて検討しようというふうに私どもは考えております。しかし、その間におきましても、御指摘のような改善というものは逐次くふうしてまいりたいというふうに考えます。(拍手)     —————————————
  13. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 吉田賢一君。   〔吉田賢一君登壇
  14. 吉田賢一

    ○吉田賢一君 私は、民主社会党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十年度決算等に関し、以下数項目について政府の所信を伺います。  第一、臨時行政調査会答申について。  行政改革の声は久しい。しかし、戦後五たびの行政改革を目ざす審議会の答申も、失敗の歴史でありました。なぜか。わが国は、政治行政の腐敗のあとを絶たず、現状維持とエゴイズムと権限の拡大は官僚の本能で、これが改革をはばんだ要因であった。政治姿勢を正し、均衡ある社会建設のため、行政改革実現の要請は急であります。臨時行政調査会は、この国民的要請にこたえた。行政改革の主眼点は、次の六つの柱であります。  一は、内閣及び各省間の行政の総合調整の必要と、その機能の強化であります。すなわち、内閣の指導性の確立、行政の総合企画力、運営の統一性の確保、中央のトップマネージメント体制の整備などです。  二は、行政の民主化であります。すなわち、行政は、国民に便利な、身近に国民の批判も受けつつ、国民のため実情に合った行政、できるだけ国民負担を軽くし、官僚主義を排除して、広く国民とともに行く行政であらねばなりません。  三は、行政の過度の膨張の抑制と、中央集権の排除であります。現状は、逆に、機構は膨張の一途をたどり、権限は中央に集中し、陳情政治の弊害目をおおうものがあります。この実態を改めて、中央は企画、管理、統制の機能を実現し、事務は極力地方にまかすべきであります。  四は、行政運営の合理化、能率化です。行政は、民間企業に比して非能率、低生産の標木のごとく、特に原価意識に乏しく、画一的、形式主義で、責任体制は不明確であります。行政の具体的目標が欠如しております。これら行政運営の抜本的改革が急務でなければなりません。  五は、新しい行政需要の対策であります。特に科学技術、青少年、消費者行政、公害並びに交通対策などの新需要の行政には、特段の対策を必要といたします。  六は、公務員制度の改革です。すなわち、行政運営は結局人です。公務員によります。公務員は、政策の実行者でもあり、かつまた社会的価値開発の公共管理者でもあります。かかる見地から、公務員に、その任務と使命について自覚と情熱を求め、名実ともに魅力ある地位と処遇を確保し、不当な政治介入を排除し、政治中立、合理的人事管理等への改革であります。  以上六項目が行政改革の骨子、大要であります。これらに対し、佐藤総理の具体的、明確な御所信を伺いたい。(拍手)  池田首相は、生前、情熱を傾けてその実現方を約し、また、佐藤総理も、しばしば施政演説で、答申の尊重を約されたが、現実は、答申後すでに二年八カ月、行革の実績はあがらず、見るべきものなく、わずかに定員膨張の抑制等、消極的成果にすぎません。積極的な、内閣機構以下十六項目にわたる広範な行政改革には、政府内部に熱意がありません。佐藤内閣とその政治責任を一にする与党にも、積極性が乏しい。臨時行政調査会会長だった佐藤喜一郎氏は、この行政改革を実現するならば一兆円の節約になると、昨年二月国会発言しました。ちまたには、切実な財政需要が無限に存在する今日、この佐藤発言こそ、国民には大きな魅力でなければなりません。歴史的なこの臨調行政改革への勧告は、内閣の首班がそのリーダーシップを発揮して、勇断をもって全面的実現に邁進する以外に道はありません。佐藤総理の基本方針を伺いまして、また松平長官より具体的な実現のプログラムを伺ってみたいのであります。  第二は、事業別予算制度についてです。  膨大な国の予算はすべて国民血税である。この血税は百円たりとも有効、有益に使われねばなりません。年々繰り返される膨大な予算の浪費、不正、財政汚職の根絶のため、また、経済と社会開発の均衡のとれた国づくり実現のためにも、いまや現行の予算制度を根本的に再検討すべき段階まできております。  現行予算制度の内包する基本的欠陥は、予算編成に客観性を欠き、予算会計の総計予算主義、単年度制度などの原則が画一的であります。予算執行決算が軽視せられ、財政の統一性が著しくそこなわれ、また、会計事務は複雑化しております。この欠陥を根本的に改善して、予算の獲得には血道を上げて、決算にはほおかぶりして通るというこの陋習を一掃し、予算本位から決算本位、業績と効率重視の予算制度に移行せしむるため、臨調もこれを勧告し、また、先年アメリカのフーバー委員会の勧告以来、アメリカ、フィリピン、国連等におきまして実施せられておりますいわゆる事業別予算制度の積極的導入をしてはどうです。申すまでもなく、この制度は、予算はだれが使うのかというのが主ではありません。何の目的に使うのかというのが、この予算制度の中心であります。  現行制度は、所管、組織を区分して、経費行政権限の結びを示しております。議決事項の項で目的別を示し、目を行政科目としておる。予算の事業計画、予定業績、前年度実績などは、現在は一覧してわかるものがありません。歳入歳出予算書予算参照書、各省所管予算説明書予算各日明細書、決算書などをかれこれ総合せねば理解ができません。  事業計画を基本に予算を編成して、行政目的の達成を予算の主眼とする。この機能は、予算内容国民に知らしめて、国会審議のためにも予算の計画する情報を提供し、実績検討によって国会予算統制、行政管理をする。この機能は、予算の編成、国会審議執行統制、検査、決算の段階において発揮せられましょう。そして現在の予算制度に対して、特に経済的合理性と能率性を強調します。予算の早期化、弾力化を求めるものであります。特に予算編成の段階における猛烈な陳情合戦の弊害と、執行段階におきましては大臣の任期が戦後平均九カ月、うち五カ月は国会に局長らと締めつけになり、事務官は予算通過前に執行準備ができず、八月の次年度予算要求準備等に忙殺されておる現状は、また国会にも反省の要はありますまいか。  事業別予算制度は、業績を数量的に把握可能なもの、困難なもの、またこの制度を一部取り入れたものなどを区別いたしまして、予算制度全般にわたってすみやかに検討を加え、可能なものより逐次実施に移してはどうでしょう。なお、この制度につきましては、財政制度審議会にすみやかに諮問せられてはいかん。  以上、事業別予算制度導入に関して、基本施策については佐藤総理所見を、具体的な導入問題については水田大蔵大臣の所信を伺います。  第三は、補助金について。  補助金、負担金、交付金等国の地方公共団体または公社公団等に対する財源、資金の交付は逐年増加しています。一般会計特別会計政府関係機関の補助金の総計は、昭和四十年度におきまして二兆三千六十九億円、四十一年度には二兆六千五百七十一億円、四十二年度におきましては二兆九千八百八十九億円にのぼり、国の一般会計の約六〇%に相当します。その目数も、四十年度には一千七十四月、四十一年度には一千百十七日、四十二年度には千百四十九日にのぼり、地方財政に占める比率は、その総収入の約三〇%に相当します。  補助金等合理化審議会は、昭和三十八年十二月、総理大臣に対して、国と地方行財政全般の見地から、改善、合理化の方策につき、問題の所在と合理化対策を答申しました。そしてその実態の指摘と対策は、いまもなお適切であり、生きています。  この補助金の膨張は、行政需要に必要な財源の確保であっても、地方団体にも深刻な種々の弊害が生じてきました。新しい行政事務につき、国と地方の行政責任の分担関係の混乱、あるいは補助金の複雑多様化と細分化を生み、行政は非効率化していき、結局、地方財政の自主性を失い、いみじくも全国知事会は、昨年十二月、その実態を明らかにして、補助金等合理化につき政府に要望しました。それは、さきの合理化審議会の答申と符節を合わしたものでありました。  すなわち、政府はこの際、国と地方団体間の行政事務の再配分を明確にすること、国と地方団体間に租税等、根本的に財源の再配分につきまして積極的に検討を加え、また、客観的基準もなく漫然と増大していく多種多様な補助金制度をすみやかに根本的に合理化し、財政効率的秩序を回復してはどうでしょう。全国の地方団体、公社、公団等は、補助金を得んがために、年がら年じゅう予算編成期には中央に向かって陳情に殺到する、この、憂うべき、人と財貨の膨大な浪費、これをめぐって不当な政治勢力の介入が政治、行財政の腐敗の原因となる、これはまことに重大であります。  佐藤総理は、右補助金合理化の重要性と根本対策につき、いかに考えられましょう。水田大蔵大臣は、その具体的実施方針について所信を明らかにせられたいのであります。  最後に、公社、公団等について。  わが国に、現在、公社、公団、公庫、事業団等特殊法人は百八つあります。これら法人は、明確な定義も、設立の統一的基準も見当たりませんが、政府実施事務をより能率的に行なうために設立せられ、行政の補完的性格を持ち、また、自活能力が設立の前提になっております。その能力を与える限り、自主性を尊重し、不要の統制の排除を要請するとともに、経営結果の責任を負うていますが、他面、過度の監督、統制、または天下り人事、親方日の丸意識による予算の浪費、便乗的乱設、こういった弊害が表面化してきました。ことに四十二年度、公社、公団への国庫補助金は八億にのぼっています。政府は、この段階におきまして、公社、公団の本質につき根本的に検討する用意はありませんか。また、これら法人は、すべて国会を通じ、その行政責任を明確にされなければならぬと思うが、いかん、松平長官の所見を伺います。  臨調は、公社、公団の整理統廃合につき全面的に検討し、その改革の実施を早期に実現することを強く勧告していますが、その基準として、一、設立の目的機能を果したものは廃止、二、同種業務のあるものは統合、三、財務的に自営能力のないものは本省の附属機関に改組、または地方公共団体に委譲、四、その他の特殊事情、と分類しましたが、該当する公社、公団は、次に例示したところの十八公社、公団のほかにあるのかどうか、松平長官に伺います。  かくて、改組、再編成すべきものとして十八公社、公団を例示しました。すなわち、愛知用水公団、鉄道建設公団、水資源開発公団等十八法人について、理由を付して勧告しました。解散、業務の再検討、他の特殊法人への吸収、行政機構を強化再編成、統合して新研究機関へ改組すること、民法法人化、管理機構の強化政府出資増による財源強化、あるいは他の事業団へ開放の検討等、多岐に分かれています。この勧告の後、改組、再編成の作業はどうです。  また、最近、内閣の不統一、特に主管大臣のうちには、勧告の趣旨に反対し、もしくは批判的な国会発言があったと聞きますが、これはどうです。また、伝えられる去る三月七日の行政組織簡素化の閣議の申し合わせ、その趣旨はどうです。  公社、公団のあり方、その整理統合の基本方針につきまして、佐藤総理の所信を伺い、閣内不統一の事実のあるなしをあわせて伺いたい。  具体的な改組、再編成への推進につきましては、松平長官の懇切な所信を伺います。  以上、これをもって質問を終了いたします。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  15. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) 吉田君にお答えいたします。  臨調答申、その骨子をなすものとして、行政機構の改革の問題がございます。ただいま六項目に分けて御指摘になりましたが、これらの項目は、いずれも行政改革する場合に特に注意すべき方向だ、かように私も考えております。同感でございます。  そこで、政府行政改革に乗り出すということ、そのことがいかにむずかしいかということはよくおわかりであります。政府に対して多分に御同情を賜わっておるようであります。しかし、私は、これがいかにむずかしかろうが、政府といたしましては、意を決してこの問題と真剣に取り組もう、かように考えておるのであります。また、すでにそういう意味の指図もいたしております。この点では、行政機構の改革並びに公社、公団等の整理、統廃合等につきましても、閣内に意見が不一致、かようなことはございませんから、どうか御心配のないように、その点は政府におまかせを願いたいと思います。  ただ、この問題はそう簡単に結論は出ておりませんので、ただいま私が指示いたしまして、各省においてこの方針に協力するように実は申しておるのであります。これは特に私が申しましたのは、佐藤内閣の一つの基本的な政策なんだ、そういう意味で、各大臣の協力を求めておるような次第であります。(「何もやってないじゃないか」と呼ぶ者あり)何もやらぬことはございません。そのうちに出てまいります。私がしばしば申しますように、との臨調答申というものは、根本的なものもあり、そうして多種多様で、広範多岐にわたっております。したがいまして、もうすでに二年たっておる、その間に何もしない、かようなじれったさも皆さん方感じていらっしゃるだろうと思いますけれども、ただいま申すように、根本的な問題でありますから、真剣に取り組んで、そうしてできるだけ早くその結論を出すようにいたしたいと思っております。  次に、臨調の勧告のうちに、予算制度に関するものがございます。その詳細は大蔵大臣からお答えするといたしまして、先ほども中村君にお答えいたしましたように、私は、この問題をさらに検討する必要がある。かように思いますが、ただいま直ちに臨調の勧告の線で全部を片づける、かような考えにはまだなっておりません。しかし、すでにこの臨調の勧告が指示しておりますように、事務の効率化をはかるとか、あるいは予算執行にあたっては早期化をはかる、あるいは執行は弾力的でなければならないとか、あるいは補助金の合理化だとか、事業別予算制度、これは別といたしまして、ただいまのような点につきましては私は勧告どおりの方向で努力しておること、これはもうすでにおわかりだと思います。  次に、補助金の整理の問題でありますが、これは、御指摘になりましたように、財政効率的な運用をする、こういう意味から、ことしは零細補助金の整理に積極的に取り組んだのでございます。これらの点は、御審議をいただきましたので、おわかりだと思います。  以上、お答えいたします。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  16. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 予算制度の全面改革についての御質問でございましたが、事業別分類に徹した編成がえをしようとすることは、さっき申し上げましたように、現行制度の根本に触れる問題でございますので、これはやはり財政制度審議会の手にかかって検討する必要があると存じます。そこで、昨年この問題を財政制度審議会に御説明いたしましたが、昨年は公債発行を中心とする問題、特に減債制度の問題を中心として、いろいろ検討すべき事項が多かったために、審議会はとうとうこの問題に触れずに昨年は終わっている、これが実情でございますので、今後あらためてこの問題の検討をお願いしようというふうにいま考えておるところでございます。  それから、補助金の整理でございますが、昭和四十二年度予算で見ますと、一般会計特別会計政府関係機関、この三つの中における補助金等は約三兆円に及ぶ膨大なものでございますが、大部分は公共事業関係の補助金、生活保護費、社会保障関係の補助金、文教関係の補助金とか、あるいは地方交付税交付金というようなもので、どうしても必要不可欠なもののようにいま思われます。しかし、国の財政効率化というようなことから考えますと、これはまだまだ合理化すべき部門があるという答申でございますので、この線に沿ってできるだけ合理化の努力はいたしたいと思いますが、もしそれをしようとしますと、やはり中央、地方の事務の再配分、中央、地方の財源の再配分、この問題についてもう一歩根本的な検討を加えなければ、補助金問題の合理化はできないというふうに考えられますので、今後この問題とあわせて、やはり中央、地方の税の再配分というところまで問題を進めて、その過程においてこの合理化をはかりたいと考えます。  本年度におきましては、先ほど総理からお話がございましたように、零細補助金だけに限って、百七十一項目について改廃統合をいたしましたが、来年度から大きい問題のほうの合理化に私どもは入っていきたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣松平勇雄君登壇
  17. 松平勇雄

    国務大臣(松平勇雄君) 私へのお尋ねは、答申があってから相当期間がたっておるが、行革の実績は見るべきものがない、なお、今後どんなプログラムで准行するかというようなお尋ねのように拝聴いたしました。  御承知のように、臨調答申は、先ほど総理からお話がございましたように、非常に広範にわたっておりますし、同時に、行政の基本的問題に関係する問題でございますので、その実現には非常に時間がかかるわけでございますが、政府において、これまでもできるものから逐次実施することとし、すでに次のようにその一部について実現をはかっておるのでございます。すなわち、消費者行政の改革、次に、青少年行政の改革、審議会等の整理、再編成、また機構の統廃合、それから許認可等の整理、事務運営の改等等、政府内部の措置で各省庁に行政相談担当者の設置をいたし、そしてまた、さらに通関関係連絡行政改善、そういうものもやってまいりました。そのほか、内閣機能の強化のための内閣補佐官の設置については、慎重検討の結果、結論を得て、今国会関係法案の御審議をわずらわしているところでございます。  今後の政府の方針としては、これまでも委員会等の席上で申し述べましたとおり、本年度は部局並びに特殊法人等の組織の整理、再編成を重点的に推進をはかることといたしまして、特殊法人等については、その全部について、すなわち百八の特殊法人について、目下行政管理庁においてその実態調査実施中でございます。この調査は本年の八月末までに完了いたす考えでございまして、その調査結果を待って、本質的なあり方を含め基本的な検討を行なって、来年度予算編成に間に合うよう結論を得たいと思っております。  次に、公社、公団の特殊法人の本質並びに国公への行政責任はどうなっているかというようなお尋ねと拝聴いたしました。行政管理庁が審査の対象としております法人は、行政管理庁設置法第二条の四の二にございますとおり、法律によって直接に設立されるか、または特別の法律によって政府が設立委員を任命して設立されるものでありまして、その目的は公共性の商いものであり、主たる役員は政府によって任命され、政府の特別の監督に服し、また、財政的には出資その他の方法で国より特別の配慮がなされているものでありまして、法律上の人格こそ国とは別のものとされておりますが、その機能の実質において国の行政機関に準ずる性質のものでございます。国会との関係につきましては、三公社、公庫、銀行の予決算国会に提出されることになっておりますが、その他については、主務大臣、内閣を通じて責任を負うものでございます。  なお第三に、再編成の必要なものは、臨調答申指摘しておる十八公社以外にあるかというようなお尋ねでございますが、これは先ほども申し上げましたように、百八の全部の特殊法人につきましてただいま調査を行なっておりまして、その結論を得てからこの対象を決定することになっております。(拍手)     —————————————
  18. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 中野明君。   〔中野明君登壇
  19. 中野明

    ○中野明君 私は、公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十年度一般会計歳入歳出決算外三件について、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。  総理は、先ほども予算重要性についてはお述べになりましたが、常に予算決算はうらはらの関係にあると、絶えず事の重要性を示しておられるようであります。そこで総理にお伺いしたいのでありますが、四十年度決算におきまして、会計検査院は、総数三百七十二件、十六億二千万円に及ぶ不当事項指摘しているのであります。しかもこれは検査のあり方がいわゆる抜き取り検査であり、つぶさに検討するときには膨大なる不正不当支出になるであろうと危惧する向きもきわめて多いのであります。このような事実について、行政上の責任者である総理はどうお考えになっておるか、承りたいのでございます。  また、そのうち、農林、建設、大蔵、厚生関係の公共事業関係の国庫補助事業並びに保険料、租税徴収等は、例年、不当事項として指摘を受けているのであります。もちろん、関係省庁においては、当該問題について一応の措置をし、かつ報告はされているようでございますが、このように毎年同じ誤りを繰り返すことは、全く行政の不手ぎわといわざるを得ないものであります。(拍手)当該問題だけの措置ではなく、抜本的対策を確立すべきであると思うものでございますが、さきに申し述べた事項につきまして、農林、大蔵、建設、厚生各大臣の答弁を伺いたいので奉ります。  さて、先ほども質疑がありましたように、四十年度は自民党内閣のいわゆる高度成長のひずみが、消費者物価の上昇、低生産部門の立ちおくれとなり、国民生活に重大な影響を引き起こしたのであります。したがって、政府予算編成の方針をこれら物価対策あるいは低生産部門の近代化などを重点に施策を掲げたようであります。しかし、そのようなせっかくの施策も、決算から立ち戻って見たときに、その効果があがっておらないということを指摘せざるを得ないのであります。  すなわち、全般的にただでさえ少ない、このように不満一ぱいの予算でありながら、不用額及び繰り越し額において、それぞれ二百十二億円と四百二十六億円余、これだけのものを出しております。このこと自体がすでに問題であると私は思います。  その不用額の一例といたしまして、中小企業対策費の中で近代化促進補助金、これらを中心に不用額三十八億二千万円を出しております。対策費全額の約三六%に当たる不用でございます。しかも三十九年度にはこれまた不用額二十一億円を出しております。四十一年度も二十億円に及ぶ不用額を出すと聞いております。このことは、確かに政府中小企業対策の見通しの誤りであり、予算編成執行が全く当初の目的を果たしていないことを物語るものでございます。ただ予算をつけただけで対策は終わった、このような程度にしか思っていないのではないかとの感じを深くするものでございます。政府は、四十二年度予算において、事業団を設立して、その責任の転嫁をはかられているようでありますが、受け入れ地方公共団体との関係がはっきりしなくては、しょせん、事業団をつくろうとも同じような結果におちいることは必定であります。通産大臣見解を伺いたいのであります。  同じく不用額の一例として、給食用脱脂乳補助金において不用額四千百万円を出しておりますが、これは品物がなかったわけでもなく、要望がないわけでもございません。児童を持つ保護者の切実な願いでございます。それにもかかわらず、牛乳に直せば約四百万本近くに当たる不用額を出しているということは、まことにかわいそうなことだと思うのであります。人間尊重、青少年育成を特に叫ばれる総理としていかがお考えになるか、お伺いしたいのでございます。  文部大臣も、地方財政を考慮に入れないで予算を組むという行政の不手ぎわの責任は免れないと考えるものであります。これではせっかくの予算が何にもなっておりません。文部大臣の答弁を求めるものであります。  次に、国営かんがい排水工事において、昭和十九年、事業費八億八千万円、工期十一年で着工した秋田県の雄物川筋工事は、完成予定が、何と十四年も延びる事態となり、事業費は当初の約七倍、五十六億円も必要となっているのを筆頭にしまして、全国四十三カ所で八百五十億円の当初事業費の計画が、工事遅延等の理由で六倍以上の五千四百億円が完成までに必要と発表されております。全く無責任、無計画、無監督のこの状況は、とうてい納税者の納得いかないところでございます。しかも三分の一の十一カ所が、現在まで二百二十二億円の国費を投じながら、増産効果ゼロという、まことに不経済きわまるものであります。政治のこのような失敗と矛盾を総理は一体どう考えられるのか、指導監督責任をどうするのか、農林大臣にもお伺いするものでございます。  同じく、国営干拓事業においても、貴重な農林予算の中からでき上がった農地、あるいは土地改良、牧野開発、用排水工事に膨大な経費を投入しながら、その効果もあらわれないうちに、工場用地に、住宅団地に、あるいは観光施設等に転用が平気で行なわれている事実であります。このような行政当局の一貫性のない、計画性のない無責任な姿勢が不当不正支出を誘発させているとも言えるのであります。この種の問題について今後どのような改善措置をとられるのか、重ねて総理並びに農林大臣見解をお伺いしたいのであります。  すでに御承知でありましょうが、欧米先進国、たとえばアメリカでは、会計検査院より指摘を受けたものは、その支出責任のある官吏は支出金額を国庫に返済することになっております。イギリスにおいても、決算審査の結果なされた決議、勧告は、行政庁が将来において措置することを強制できる等、きびしい制度をもって臨んでいるのであります。これらは民主主義国家にあっては当然の処置であると考えるものであります。  また、わが国においても、先ほどお話がございましたように、地方自治体の決算は認定を規定し、もし認定されない場合には、首長並びに出納長、収入役等の政治責任が問われるのであります。これは、いわゆる予算執行、すなわち決算の意義を重大視し、もって主権者たる国民ないし地域住民に対する責任の所在を明確にしたものであります。すなわち、われわれの納めている税金が実際にどのように使われているのかということは、だれもが抱く疑問であります。この疑問に答えるのが、民主主義国家にあっては当然の責任であり、また義務であると思うものであります。  ところが、国会においての現実は、はなやかな予算審議とはまるで別の問題のように、決算審議が驚くほど安易に行なわれていることにあ然とするものであります。しかし、近年公明党が提起してより端を発した国有財産払い下げ等にまつわる黒い霧問題以来、決算審議が脚光を浴びてくるにつけ、決算重要性があらためて国民の間に認識されてきたことは、まことに喜ばしいことであります。(拍手)われわれは、国権の最高機関である国会が、国民血税の使途を監視することは、民主主義の精神の当然の要請であると確信するものであります。(拍手)  そこで、最後に、総理にお伺いしたいのであります。  その第一は、決算というものは単なる報告事項だから、決算そのものについての国会の評価や決算についての認否の意思を求める必要はないというお考えなのかどうか、お尋ねいたします。  第二点は、決算取り扱いに関して、明治の欽定憲法下での予算に対する考え方、すなわち、予算は国のお金あるいは天皇の金だという当時の認識をそのまま踏襲することは、主権在民議会民主主義のもと、国の予算国民血税であるという今日では、とうていそぐわないものと思うのでありますが、この点どうお考えか、お尋ねいたします。  その第三は、国会が独自に決算を承認すべき議案として取り扱うことを決定した場合、政府はその提出にあたって、承認を求める議案として提出し、説明すべきものと考えますが、この点いかにお考えか、お尋ねいたします。  以上三点に要約いたしましたが、具体的に御返事を願います。  予算とともに、決算こそ、血税の行くえを監視する最も大切なる審議であるがゆえに、政府並びに総理決算に対する姿勢は、国政全般に及ぼす影響まことに大なることはいなめない事実であります。ゆえに、堂々と国会審議の洗礼を受け、ガラス張りであらゆる証拠と資料を提供して審議を行ない、非は非として認め、今後の具体的な改善策を明らかにし、次の予算に生かすことこそ、前進への反省であり、国民のひとしく期待しているところであります。国民全体に根ざした政治不信を晴らすことこそ、現在の政治家に課せられた最大の責任であることを銘記されて、総理は勇断をもって政府が国の決算に関しすっきりした一歩前進の姿勢を打ち立てられることこそ、国家財政を正す基本であるがゆえに、重ねて強く要望をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  20. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  会計検査院という制度があり、そうして行政予算執行を通じまして検査しておること、これはもうすでに御承知のとおりであります。いまなお多数の不当事項その他注意事項等受けておる、これは確かに行政の不手ぎわでもございます。私は、こういう点につきまして、決算重要性から、行政を担当する者として十分注意しなければならない。まずそのために姿勢を正す、また綱紀を粛正する、また、事務にふなれな者につきましては、さらに教養を積むようにするとか、いろいろの処置をとりまして、会計検査院を受けましても不当事項として指摘されることがないようにいたしたい。特に政府注意し、留意しておるところでございます。  この具体的な案件について御指摘がございました。私は、これらの点については、それぞれの担当所管大臣から説明をお聞き取りいただきたいと思います。  また、最後にお話のありました問題ですが、決算予算との取り扱い方の相違、これについていろいろの御注文をおつけになりました。しかし、ただいまの憲法は、先ほどから御説明申し上げておりますように、予算では議決、また、決算の場合は提出、かようになっておりますので、私ども憲法を忠実に守っておるつもりであります。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  21. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大蔵省関係不当事項のおもなるものは、徴税の過不足ということでございます。最近の都市集中化に伴って、全国的に見まして税務の繁閑がございますので、税務署の新設、廃止をいたし、また、税務機構を改善し、部内監査の充実とか税務指導強化というようなことによって、その再発を防ぐことにいま非常に苦心しておりますが、毎年、なかなか根絶しないで、常に税を中心にする不当事項指摘を受けておることは、申しわけないと存じます。さらに一そう部内に注意を喚起するようにいたしまして、こういうことのないようにいたしたいと思います。(拍手)   〔国務大臣倉石忠雄君登壇
  22. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。  国営雄物川地区は、当初用水改良のみを行なう目的で着手いたしたものでありますが、事業の進捗に伴いまして、地元から強い要望がございまして、排水改良もあわせて行なうことといたしましたので、事業の完成はおくれておるわけであります。昭和三十九年度に四排水路の新設改修を事業計画に組み入れることといたしました。このため排水路は四十年度から着手することとなりまして、自来今日まで鋭意工事を続けておるわけでありますが、この地区の全事業は昭和四十五年度には完了する予定でございます。おくれておりますのは、当初事業着手のときの目的と、さらにその目的が地元の熱烈なる要望によって増加されておる結果であるということを御了承願います。  国営干拓事業の用地転用につきましては、干拓工事というものは、着工後その完了までには、御承知のようにきわめて長時間を要するものでございますけれども、その間に近年の著しい経済成長に伴う立地条件の急激な変化によりまして、これもやはり当該地区の農用地として初め利用することが目的であったのが、その目的だけでその干拓を活用するということについて非常な困難を生ずるような事態が各地に起こっておることは、よく御承知のとおりであります。したがって、これらの地元の強い要望及びその地方における経済上の変化等によりまして、やむを得ずほかの用途に転用いたしたものでありまして、その場合にも極力その用途は公共用途に充てるように配慮することはもちろんでありますが、あわせて、投下いたしました国費を用途以外に使用する場合には、明白にこれを国家が回収いたしております。  もう一つ、農林省に対しての会計検査院指摘事項の処理についてお尋ねでございますが、農林省関係の直轄事業及び補助事業等実施にあたりましては、その会計経理の厳正な執行を期するよう不断に努力をいたしておるわけでありますが、昭和四十年度における会計検査院決算検査報告におきまして、御存じのように、不当事項として百五十六件の指摘を見ましたことは、まことに遺憾千万でありますが、前年の三百六十一件に比べますと、ちょうど半減いたしております。当省といたしましては、指摘を受けました事項については、それぞれ手直し工事やその補助金相当額の返還等の措置をとりましたことはもちろんでありますが、地方部局及び都道府県等を通ずる指導監督制の整備をいたしまして、担当職員に対する指導研修、業者の選定等の適正化をはかりまして、この事業が国民の期待に沿うような適正化を期してまいることにさらに一段の努力を進めてまいりたいと思っております。(拍手)   〔国務大臣菅野和太郎君登壇
  23. 菅野和太郎

    国務大臣(菅野和太郎君) 中小企業資金が不用になった金額が多いじゃないかということは、お説のとおりであります。そこで、せっかく皆さん方の御協賛を得て計上した予算がどうしてそれほど多額の不用額を出したかということにつきましては、皆さん御承知のとおり、昭和三十九年から四十年度の上半期にわたっての不景気経済界の不況ということが原因しておりまして、それによって民間の設備が縮小されたということと、もう一つは、せっかく高度化の計画をいたしておりましたけれども、その不況のためにその計画を繰り延べなければならないということが原因だと思うのであります。それからもう一つは、やはり指導がよろしきを得なかったのではないかと思うのでありまして、高度化資金は、これを運用するためには、やはり第一線にある府県の職員あるいは通産局あたりがもう少し指導しなければならなかったのではないか、こう存ずるのであります。  したがいまして、今後の対策といたしましては、この高度化資金の貸し付けの条件を大幅に改善するし、また、指導と助成とをもう少し効果的にやりたいということで、たとえば府県の職員の研修をやったりなどしまするし、それらをあわせて、今回中小企業振興事業団を設けまして、そうしてこれらの高度化資金あるいは近代化資金をひとつ完全に運用したい、こう存じておる次第であります。(拍手)   〔国務大臣剱木亨弘君登壇
  24. 剱木亨弘

    国務大臣(剱木亨弘君) 御指摘のとおり、四十年の学校給食用脱脂粉乳の購入費補助金二十三億五千八百万の予算のうち、御指摘のような不用額ができましたことは、まことに申しわけないと存じます。ただ、四十年におきましては、財政上の要求から、年度中途におきましてある費目におきまして一〇%の節約を要求されました。すなわち、学校給食施設費の補助金につきまして年度中途から一〇%の削減をいたしたのでございまして、その結果、計画どおり実施ができませんで、学校給食を予定いたしておりましたのが途中で延期せざるを得なかったのでございます。その関係で約三%弱の不用額を出したのでございますが、私どももできるだけ計画の線に沿いまして完全に実施するように努力をしてまいりたいと存じますし、ちなみに四十一年におきましては、予算額二十億六千八百万でございますが、この不用額は五百万円足らずでございまして、ほぼ計画どおりに実施をいたしておるということが言えると思うのでございます。今後とも予算を完全に実施いたしますように努力をいたす考えでございます。(拍手)   〔国務大臣西村英一君登壇
  25. 西村英一

    国務大臣(西村英一君) 建設省所管の公共事業の施行にあたりましては、国費の適正かつ効率的な使用ができまするように指導改善をいたしてまいったのでございます。したがいまして多少指摘事項は減ったのでございますが、なお指摘事項がありますことに対しては遺憾の次第でございます。今後とも工事の施行体制の改善あるいは地方公共団体指導監督強化してまいりまして、指摘事項がないようにつとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣坊秀男君登壇
  26. 坊秀男

    国務大臣(坊秀男君) 会計検査院から、保険料の徴収不足など、毎年同じような問題で指摘を受けておりますことは、まことに遺憾にたえません。指摘を受けた点につきましては、そのつど是正改善の措置をとらせておりますが、今後は、施行途中の調査強化し、あるいは業務監査を随時行なうなど、さらに一そう指導監督の徹底をはかり、経理の適正を期する所存でございます。(拍手
  27. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 登録免許税法案内閣提出)  日程第二 登録免許税法施行に伴う関係法   令の整備等に関する法律案内閣提出
  28. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第一、登録免許税法案日程第二、登録免許税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  29. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事藤井勝志君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔藤井勝志君登壇
  30. 藤井勝志

    ○藤井勝志君 ただいま議題となりました法律案二件につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、登録免許税法案は、登録税の税率、課税範囲、納付方法等制度全般にわたって整備合理化をはかるため、現行の登録税法の全文を改正し、その名称を登録免許税法に改めようとするものであります。  すなわち、税率につきましては、所得及び物価水準の推移等を考慮して、定額税率の調整をはかるとともに、最低税額を五百円とし、また、不動産等の取得にかかる仮登記の税率を、現行の定額税率から定率税率に改め、本登記の際はこれを控除することといたしております。  さらに、現行の課税対象とのバランスを考慮し、個人の資格または事業の開始等の場合の登録、特許、免許等を新たに課税対象に加える一方、建物の床面積の増加による表示の変更登記、船籍の登録、弁護士の登録がえ等につきましては、これを課税対象から除いております。  また、制度全般的に合理化し、抵当権等の設定登記の場合の課税標準を担保される債権金額に統一するとともに、これによる負掛増を調整するため、税率について若干の軽減をはかる等のほか、借地権等の登記についての税率、登録税の納付方法、還付の手続、納税地等の規定について所要の整備合理化をはかっております。  なお、この法律案は、公布の日から二カ月以内で政令で定める日から施行し、原則として八月一日以後に受ける登記について適用することといたしております。  また、この改正により、結果として、本年度において約八十三億円、平年度において約百九十六億円の増収が見込まれております。  次に、登録免許税法施行に伴う関係法令整備等に関する法律案は、ただいま申し上げました登録免許税法施行されることに伴い、これに関連する他の法律において引用している登録税等の名称の整理等を行なおうとするものでありますが、なお、新たに登録免許税を課せられることとなる登録、免許についての手数料は、調査、選考等に相当の実費を要するものを除いて、これを廃止することといたしております。  両案につきましては、昨五月三十一日、質疑を終了し、一括して討論を行ないましたところ、日本社会党を代表して平林剛君、民主社会党を代表して竹本孫一君、公明党を代表して田中昭二君は、本改正が増税となること、課程範囲、税率に適正を欠く点があること等を理由として、それぞれ両案に反対である旨の意見を述べられましたが、詳細は会議録に譲ります。  次いで、採決の結果、両案はいずれも多数をもって原案のとおり可決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  31. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  32. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  33. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 剱木 亨弘君         厚 生 大 臣 坊  秀男君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  菅野和太郎君         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      関  道雄君         中小企業庁次長 金井多喜男君      ————◇—————