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1967-05-18 第55回国会 衆議院 本会議 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十一号   昭和四十二年五月十八日    午後二時開議  第一 農業共済基金法の一部を改正する法律案     (内閣提出)  第二 沖繩居住者等に対する失業保険に関する     特別措置法案内閣提出)  第三 日本鉄道建設公団法の一部を改正する法     律案内閣提出)  第四 関税定率法等の一部を改正する法律案     (内閣提出)  第五 税制簡素化のための国税通則法酒税法     等の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  石油開発公団法案内閣提出)の趣旨説明及び質   疑  動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提出)の趣   旨説明及び質疑  日程第一 農業共済基金法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第二 沖繩居住者等に対する失業保険に関   する特別措置法案内閣提出)  日程第三 日本鉄道建設公団法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第四 関税定率法等の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第五 税制簡素化のための国税通則法、酒   税法等の一部を改正する法律案内閣提出)  石炭対策特別会計法案内閣提出)  理化学研究所法の一部を改正する法律案内閣   提出)  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内   閣提出)    午後二時八分開議
  2. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  石油開発公団法案内閣提出)の趣旨説明
  3. 石井光次郎

  4. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 石油開発公団法案について、その趣旨を御説明申し上げます。  エネルギー革命の進展と経済の著しい発展に伴い、石油重要性が近年とみに高まりつつあることにつきましては、御高承のとおりであります。すなわち、石油は、現在すでに全エネルギー供給の大宗を占めるに至っておりますが、さき総合エネルギー調査会での検討によりますれば、昭和六十年度には、その比重は七五%程度まで高まることが推定されております。したがいまして、今後この重要な石油供給をいかに確保していくかは、わが国エネルギー政策の最も重要な課題一つであると申しても過言ではないと存ずる次第であります。  ひるがえって、わが国石油供給現状を見ますと、資源的な制約などもあって自主的な供給源がきわめて乏しく、その必要量のほとんどを外国に依存している状況にあります。このため供給源が中近東に相当に偏在するなど、種々の問題を内包しており、低廉かつ安定的な石油供給確保見地から、あるいは自主的なエネルギー政策遂行の上から、きわめて大きな問題があると申さざるを得ません。  かかる現状にかんがみますと、長期的な観点から事態の好転をはかるため、わが国自身の手による石油開発を強力に推進し、自主性のある石油供給源確保することが喫緊の要務であります。加えて、特に海外石油開発推進は、将来の膨大な石油輸入に伴う外貨の節約にも資し、かつ、発展途上国経済協力にも寄与するところ大なるものがあると考えます。  政府といたしましては、このような見地から、これまで、国策会社石油資源開発株式会社に対し探鉱資金供給するなど、石油開発推進につとめ、民間努力と相まって、相当の成果をあげてまいっております。しかしながら、近年におけるわが国石油需要の急激な増大と、最近における産油地域での諸外国活動活発化を考えますと、この際、わが国として、計画的かつ一元的な石油開発体制を確立し、国の総力をあげて従来にも増して強力に石油開発推進することがきわめて必要であると痛感されます。このためには、いわば石油開発推進母体ともいうべき機関設置し、総合的な視野のもとに、石油開発企業に対する投融資などの業務を行なわせることが最も適切なる方策であろうと存じます。  かかる趣旨にかんがみ、この法律案は、石油探鉱に必要な資金供給その他石油資源開発に必要な資金の融通を円滑にするなどのために必要な業務を行なう石油開発公団を設立し、これに対し国が出資を行なうなど、所要措置を講ずるとともに、必要な監督を行なおうとするものであります。  次に、この法律案内容につきまして、その概要を御説明いたします。  第一に、石油開発公団は、前述いたしました観点に立ち、石油資源開発株式会社機構、機能を大幅に改組して発足するものであり、計画的かつ総合的に海外石油探鉱事業に対する出資及び資金の貸し付け、海外石油開発事業にかかる資金についての債務保証石油探鉱機械貸与石油天然ガスに関する基礎的な調査などの業務を行なうことといたしております。  第二に、昭和四十二年度におきましては、これらの業務に対しまして産業投資特別会計から四十億円の出資を行なうことを予定いたしております。  第三に、役職員など公団組織に関すること、予算、決算その他の財務及び会計に関すること、公団業務についての通商産業大臣監督等について規定しております。  第四に、石油資源開発株式会社石油開発公団への移行に伴い、その移行円滑化などにつきまして必要な規定を設けております。  以上が石油開発公団法案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  石油開発公団法案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  5. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。岡田利春君。   〔岡田利春登壇
  6. 岡田利春

    岡田利春君 私は、ただいま趣旨説明のありました石油開発公団法案について、日本社会党を代表し、総理及び関係大臣質問を行なうものであります。  産業のかてであり、国民生活上密接な関係を持つエネルギー政策について、総合エネルギー調査会は、去る二月二十日に一カ年半に及ぶ検討を終えて答申を行ないましたが、その内容は、昭和四十年から昭和六十年までの二十年間にわたる長期需要目標と、そのとるべき政策について述べ、そしてエネルギー低廉性安定供給の二つの原則を同時に解決しようといたしておるのであります。  すなわち、わが国エネルギー需要は、昭和四十年度を起点に、五十年度には二・一倍、六十年度には三・八倍に増大し、その供給中心石油として位置づけられ、これに長期的展望に立って原子力積極開発がつけ加えられておるのであります。昭和六十年度における最終需要の一次エネルギーに占める石油構成比は七四・八%と爆発的に急増する反面、国内炭は五・三%に惨落し、エネルギー海外依存度は実に九〇%に達するものと推計されておるのであります。しかし、エネルギーの二大原則である安いエネルギー安定供給は、世界的にも常に矛盾し合い対立してきた問題であり、かつまた、国際収支及び産炭産油地域経済と雇用問題、石油大量使用による大気汚染等社会的側面をもまた同時に重要視しなければならないのであります。  私は、わが国総合エネルギー政策は、最低十年以上先進諸国家に比べて今日立ちおくれを来たしていると思うのであります。政府はこの際、総合エネルギー答申を基礎としてその政策展開のためにエネルギー基本法を制定し、石油開発公団もその一環として位置づけられ、そしてまた、政府はこの公団エネルギー基本法との関係を十分勘案して、すみやかにエネルギー基本法を近く定めるべきであると存ずるのであります。私は、特にエネルギー基本法を制定する意思があるかどうか、この際総理見解を承りたいのであります。(拍手)  今日、石油安定供給確保には、第一には、産油国政治経済情勢の不安定、第二には、国際石油資本に左右される危険があり、現にわが国輸入原油のその七五%がひもつき原油であり、イタリアよりも一六%の割り高原油を買わされておるのであります。そのために、六十年度には所要原油中三〇%を海外開発原油で満たし、自主性確保により、原油価格の引き下げをも期待いたしておるのであります。しかし、産油国分配率の引き上げの要求、過大な利権料日本の進出に対する国際石油資本の抵抗、相手国との友好関係の問題、片貿易問題是正等々、数多くの問題が山積いたしております。エネルギー安定確保のためには、経済外交の積極的な展開を必要といたしておりますが、私は、以上の立場から総理大臣所信を承りたいと思うのであります。  昭和六十年度において海外開発原油所要原油の三〇%を確保するということは、現在のアラビア石油株式会社生産規模の約十倍の原油生産規模開発を達成しなければならないのであります。これに要する開発資金は、ばく大な利権料を除き、また、開発上のリスクを最小限に見積もっても優に一兆円を軽くこえるものと見込まれるのでありますが、この資金確保について、いかなる具体的政策をお持ちになっておられますか。また、ひもつき原油に対する自主性回復のために、政府は積極的な改善対策をどのように進められようといたしておるのか、各担当大臣のそれぞれの見解をお示し願いたいのであります。(拍手)  今日、アラビア石油株式会社の今年度カフジ原油引き取りにあたって、キロリットル当たり五セントの値引きの要求が出されておりますが、クウェートサウジアラビア側の反撃もあり、交渉は難航いたしておるとお聞きいたしておるのであります。私は、この際、その交渉見通しについて伺っておきたいのであります。  私は、これからの海外石油資源開発を積極的に進めるにあたって、石油業法成立にあたり附帯決議として本院を通過いたしました石油の一手買い取り機関設置は、すみやかに検討され、政府は、原油引き取り円滑化をはかるため、いまからその準備を進めなければならないと思いますが、その見解を承りたいのであります。  政府は今年度予算案策定にあたって、公社公団等特殊法人の新設は、当初、認めないとの方針を示してきましたが、結果的に完全に圧力団体に屈したものまでも含めて、新たに五つの公団等特殊法人設置を認めたのであります。さき臨時行政調査会答申もあり、公社公団等特殊法人積極的統合廃止推進を言明しておるのにかかわらず、これをめぐる種々なる諸問題をも派生させ、本公団についても、石油資源開発株式会社の改組という名目で糊塗しようといたしておるのであります。この公団法案も、生まれながらにして奇形児としての宿命を背負って提案されていることを、私は率直に指摘しなければなりません。(拍手)  政府は、天下り、横すべり、トンネル機構、なわ張り争い放漫経営の病根をこの際えぐり出して、公社公団等特殊法人については、勇断をもって、廃止するものは廃止をし、統合するものは積極的に統合を断行し、新しい産業経済体制の中で国策上絶対必要なものは、十分その目的達成のために、機能的にも資金的にも充実したものを設置すべきであると思うのであります。政治姿勢として、風格ある社会建設と、勇断をもって事に臨むと言明された佐藤総理大臣の明確なる決意と、担当大臣所信を承りたいのであります。(拍手)  私は、この公団法案の持つ欠陥は、第一に、国内石油資源開発については撤退作戦とも見られる大きな後退についてであります。第二には、公団は、石油資源開発株式会社業務を引き継いで発足し、しかも三年後には探鉱採掘部門を切り離した新しい組織を別途に設立させるというその奇形性にあると思うのであります。国内石油資源開発にあたっては、機械貸与、技術の指導地質調査に限っており、海外石油資源開発については、債務保証探鉱出資及び成功払いを前提とした資金貸与等を行なうことになっておるのであります。西欧諸国政策にも見られるように、いまや、海外資源開発と同様に、むしろそれ以上に、国内石油資源開発を積極的に進めている現状にかんがみ、内外の石油資源開発については、同時並行的にその開発を進めるべきが至当であります。  また、三年後に設立される探鉱採掘組織はいかなる性格を持つものであるか、どのような形態のものを考えられておられるのか、その構想をこの際お示し願いたいのであります。  私は、エネルギー供給多様化分散化ということは、単にことばや中途はんぱな政策では解決できるものではなくして、エネルギー産業体制もまたその構造変動に合わせて、海外における核燃料資源及び低揮発の強粘結原料炭資源開発とその確保をも含めて、独立国家にふさわしいエネルギー独自性自主性を最大限に確保するために、政府は不断の積極的な努力展開しなければならないと思うのであります。そのために、エネルギー産業体制強化エネルギー政策統一的推進をはかるためにも、膨大な機構の通商産業省からエネルギー部門を分離して他の機関との統合をはかり、動力省をこの際設置すべき時期にきていると判断されます。政府にその意思があるかどうかをこの際承りたいのであります。(拍手)  私は、エネルギー政策を進めるにあたって、西ドイツ、フランス、イギリス、イタリア西欧諸国の一貫したその政策と、積極的かつ大胆な政策展開については、多く学ぶべきものがあると思うのであります。わが国国民一人当たりエネルギー消費量も、五十年度には現在の西ドイツ水準に到達し、六十年度にはアメリカの水準に到達することが推計されておるのでありまして、特に天然ガスを含む国内エネルギー資源開発については、画期的なくふうと惜しみなき努力を払わなければなりません。政府は、エネルギー政策展開のためには、偏狭な自由主義経済のワクにだけ閉じこもることなく、世界の趨勢でもある国営もしくは国の強い管理に基づく強力な混合経済体制の確立は、私はもはや不可欠の問題であると思いますので、この際、古いイデオロギーのからを打ち破って、生き生きとした政策展開すべきであると存ずるのであります。  エネルギー政策展開は、あすではおそ過ぎるのであります。産業のかてであり、高い成長を遂げつつある産業活動の血液でもあるエネルギーは、わが国民族独立とその尊厳性を高めるものとして確保され、わが国産業経済発展のために、それこそ全国民エネルギーが結集されるよう、その政策展開のための重大なる決意を心より政府に促して、私の質問を終わるものであります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  7. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいまもお話がありましたように、総合エネルギー調査会政府答申したこと、これはもう御承知のとおりであります。私は、この総合エネルギー調査会答申は、わが国エネルギー政策の方向を示すものだ、かように思っておりますので、この線に沿いまして、長期的また総合的観点に立ってのエネルギー政策を遂行していくつもりでございます。  その点から、あるいは、この際動力省設置したらどうかというようなお話も出ておりますし、あるいは、基本法をつくったらどうかというようなお話もございますが、私は、ただいまのところは、この調査会答申の線に沿って政策を進めていく、これで足りるように思っております。もちろん、エネルギー基本法は、ただいまのところはその必要はないように思いますけれども、今後とも十分研究してまいるつもりでありますし、また、動力省設置につきましては、私は現状においては必ずしも賛成いたしません。  また、ただいまお尋ねがありましたように、わが国のように石油資源のない国、これは一体どういうようにするのか、海外に全部依存する、こういうことはたいへん心配ではないか、こういうことでございます。そこで、この問題は、多分にわが国経済外交とも関連のある問題であります。ただいまのお尋ねもそういう点に触れておると思います。私は、海外油田開発をいたしまして、自主的な供給源を確立するということ、これはわが国エネルギー政策根本一つである、かように思っております。したがいまして、そういう立場に立って海外油田開発協力するつもりであります。ことに石油資源は国際的な商品の性格を持っておりますし、また、最近の産油国の国のあり方等にかんがみまして、私は、石油問題をめぐる国際協力、これには積極的に私どもも協力すべきだ、かように思っております。そして、石油供給強化安定供給、そういう点についても特別な努力を払う、また同時に、開発途上にある国の経済発展協力もするということで進めたい、かように思っております。  次に、公社公団等についての基本的な考え方をお尋ねになりました。岡田君がお話しになりますように、この際は、廃止あるいは統合等について政府は積極的に取り組むべきだ、また、必要なものは思い切ってその強化、つくれ、こういうようなお話でございます。私もそのとおりだと思っております。昨年は私は一切つくらないことにいたしましたが、ことしは要請もございますので、行政需要に応じて、今回公団公社等特殊法人をつくりました。しかし、在来の法人等の整理もいたしたのでございますので、七つ、これは実質的にはさような意味に数はふえておりません。また、基本的に、これを廃止する、統合するということは、ただいま行政管理庁で調査をいたしておりますから、調査の結果、政府の態度を決定するつもりでございます。(拍手)   〔国務大臣菅野和太郎登壇
  8. 菅野和太郎

    国務大臣菅野和太郎君) 石油公団のことにつきましては、総理からもただいまお話がありましたが、なお、先ほども私が申し上げましたとおり、石油公団を設けました根本の理由、目的は、安定した低廉な石油確保するというところにあるのであります。そこで、海外でそういう原油採掘する可能性があるかどうかというような意味お尋ねもあったようでありますが、幸い、海外におきましてはいま採油が盛んに行なわれておりまして、日本協力して石油採掘したいと申し出られておるところもありますので、したがいまして、私は、海外石油採掘することは可能であり、また、わが国にとってそれが安定した低廉な石油供給することになるのではないかと考えておりますし、また、その石油資源を持っておる国が低開発国でありますので、同時にそこで日本投資して石油採掘すれば、低開発国経済発展せしめ、また、ひいては日本貿易発展にもなるじゃないかという意味において、この石油開発公団というものが大いに存在の意義がある、私はこう考えておるのであります。  なお、アラビア石油のことについてお尋ねがあったようでありますが、これは目下クウェートサウジアラビア政府との間に交渉が行なわれておりまして、近いうちに解決する見込みでありまして、これはそれほど御心配になる結果にはならないと大体考えておる次第でございます。  それから、石油海外でそれほど採掘していくについては、日本一定買い取り機関を設けてはどうかというような意味お話がありましたが、これもいまのところでは私はその必要を感じておりませんが、先ほど岡田議員お話がありましたとおり、将来の石油輸入額というものは相当な額になりますので、したがいまして、これらの石油を輸入するについてあるいは一定買い取り機関を設けるというようなことも、将来においては考えなければならない問題ではないかと考えておりますが、いまのところではその必要はないと考えておるのであります。  それから、石油資源開発株式会社について三年間という、これは御承知のとおり、石油開発公団石油資源開発株式会社事業を引き継ぐのでありますが、石油資源開発株式会社は、これは直接業務をやっておりますので、たとえば石油天然ガスの採取あるいは販売等をやっておりますので、これらの業務を一応ピリオドを打つがためには大体三年ほどかかるのではないかということで、大体三年間で石油資源開発株式会社業務を全部こちらへ引き取ってしまいたいという意味で、三年という期限をつけておるのであります。  それから、エネルギー省、動力省というようなものを設けたらどうかというようなこともお話がありましたが、総理からお答えになりましたとおりでありまして、いまのところはその必要はないと考えております。  また、こういうエネルギー資源開発というようなものは、むしろ国が進んでやるべきじゃないかというような御意見もおありのようでありますが、私は、やはりこれは民営でやるほうが能率的ではないか、こう考えておりますので、私は、現在、石油開発公団でやらして、民間人の才能を十分に発揮してやってもらいたい、こう考えておる次第であります。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  9. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) お答えいたします。  海外原油開発についての資金お尋ねでございましたが、これはやり方いかんによっては巨額の資金を要し、財政資金上の問題となるものと思われますので、まず有効な投資を行なおうとするためには、すでに開発されている地点を中心として開発するということと、調査の上で最も有望と思われる地域を厳選してやるというふうに、開発調査のしかた、計画のしかた、これいかんによって非常に開発資金計画が違いますので、そこに慎重を期してやるならば、民間資金協力もあることでございますので、財政負担上の心配はなく開発できるものと考えております。(拍手)   〔国務大臣松平勇雄登壇
  10. 松平勇雄

    国務大臣松平勇雄君) 公社公団の新設問題に関するお尋ねでございますが、ただいま総理から申し上げましたとおり、四十二年度におきましては新しく七つ特殊法人を新設することになりましたのでございますが、そのうち、お話がありましたように、原子燃料公社並びに石油資源開発株式会社日本中小企業指導センター、この三つを改組統合いたしまして、純増四つということになっておるわけでございますが、これは新しく生じた行政需要に必要なものとして認めた次第でございます。  しかしながら、臨調答申にもございますとおり、こういったものをなるべく抑制するというような方針に基づきまして、去る三月七日の閣議におきまして、行政簡素化に一そう力を入れるようにという申し合わせがございました。それにのっとりまして、臨調で指摘いたしました十八の特殊法人を含めまして、百八の特殊法人に対しましてただいま調査を進めておりまして、この調査は来年度の予算の編成に間に合うように鋭意その作業を進めておるわけでございます。この結果を待ちまして、行政改革本部並びに行政監理委員会等にはかりまして適当な処置をいたす考えでございます。(拍手
  11. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提出)の趣旨説明
  12. 石井光次郎

  13. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) 動力炉・核燃料開発事業団法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  原子力発電は、経済性向上見通し外貨負担有利性及び供給安定性等の面から、今後、わが国経済成長をささえる大量のエネルギー供給の有力なにない手となるものとして、その開発の促進が強く要請されています。  わが国における原子力発電は、ここ当分の間は、現在すでに経済的、技術的に実証されている軽水炉がその主流を占めるものと考えられますが、資源の乏しいわが国といたしましては、今後予想される核燃料所要量増大傾向にもかんがみ、核燃料安定供給有効利用をはかるため、より効率的な動力炉を自主的に開発することが、エネルギー政策上の重要課題となっているのであります。また、この新しい動力炉を自主的に開発することは、産業基盤強化及び科学技術水準の向上にも多大の貢献をすることが期待されているものであります。  このような観点から、新しい動力炉として高速増殖炉及び新型転換炉の開発を国のプロジェクトとして強力に推進することとしているのであります。しかも、この開発は、わが国にとりまして、かつて経験したことのない新しい分野における大規模な事業であり、これを成功させるためには、政府はもちろん、学界、産業界等をはじめとする国の総力を結集してこれを推進することが必要であります。  このため、関係各方面の総力を結集する中核機関として、新たに動力炉核燃料開発事業団を設立し、これを積極的に推進しようとするものであります。  さらに、この新しい事業団の設立に伴いまして、原子燃料公社業務の主体をなしております核燃料開発関係事業は、この新しい動力炉の研究開発と密接な関連を有するものであり、一つ事業主体が総合的に実施することが、研究開発の効率的な遂行を確保するゆえんであると考えましたので、ここに原子燃料公社を解散することとし、その業務を全面的に新しい事業団が承継していくことにいたしたのであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、この事業団は、すでに申し上げましたように、高速増殖炉及び新型転換炉という新しい動力炉開発並びに核原料物質及び核燃料物質の探鉱、生産、再処理等を計画的かつ効率的に行ない、もって原子力開発及び利用の促進をはかることを目的として設立されるものであります。  第二に、事業団の資本金でありますが、設立に際しまして政府出資する二億円と、従来政府から原子燃料公社に対し出資されておりました金額及び民間からの出資との合計額を資本金としてこの事業団は発足するものであります。このほか、将来、必要に応じまして資本金を増加することができるようにいたしております。  第三に、事業団の業務といたしましては、高速増殖炉及び新型転換炉に関する開発及びこれに必要な研究を行なうとともに、これに関する核燃料物質の開発及びこれに必要な研究、核燃料物質の生産、保有及び再処理、核原料物質の探鉱、採鉱及び選鉱を行なうこととしております。  なお、事業団は、その業務を行なうにあたりましては、政府関係機関及び民間と密接に協力し、それらを活用していくことが必要でありますので、内閣総理大臣の認可を受けて定める基準に従いましてその業務の一部をこれらのものに委託することができることとしております。  第四に、事業団の機構におきましては、役員として、理事長一人、副理事長二人、理事八人以内及び監事二人以内を置くとともに、非常勤理事及び顧問の制度を設けまして、関係各界との円滑な協力関係を保って国の総力を結集することとしております。  なお、事業団の業務の運営につきましては、特に、動力炉開発業務長期にわたる大規模な事業でありますので、内閣総理大臣が定める基本方針及び基本計画に従って計画的にその業務を行なうことにいたしております。  第五に、動力炉開発関係業務と再処理関係業務に関しましては、その性格の特異性にかんがみ、それぞれその他の業務と区分して経理を行なうこととしております。  第六に、事業団の監督は、内閣総理大臣がこれを行なうこととなっておりますが、この法律に基づいて認可または承認等をする場合におきまして関係ある場合には大蔵大臣に、動力炉開発業務等については通商産業大臣にあらかじめ協議することとなっております。  第七に、この事業団の設立と同時に現在の原子燃料公社は解散し、その一切の権利義務は事業団が承継することにいたしまして、所要の経過措置を講ずることといたしました。  その他、出資証券、財務及び会計等につきましては、他の特殊法人とほぼ同様の規定を設けております。  以上が動力炉・核燃料開発事業団法案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  14. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これは許します。石野久男君。   〔石野久男君登壇
  15. 石野久男

    ○石野久男君 私は、ただいま趣旨説明のありました動力炉・核燃料開発事業団法案について、日本社会党を代表して、佐藤総理並びに関係閣僚に対して若干の質問をいたしたいと思います。  質問の第一点は、この事業団法案は、原子力基本法の精神、思想を踏みにじって変更しているということであります。  基本法は、原子力の平和利用を自主、民主、公開の三つの原則で進めることを規定しておるのであります。そのために、原子力委員会を設け、原子力研究所と原子燃料公社に研究と開発の仕事を行なわせてきたのであります。ところが、この事業団法案によると、まず原子燃料公社は解散され、事業団に吸収されるのでありますが、核燃料、原料の開発、生産、管理を総合的に国家管理で行なってきた精神は完全にくずれ去り、核燃料の民有化の方向が明らかになろうとしておるのであります。また、原研は、原子力開発と研究のほとんどが事業団の下請作業化されて、自主開発の機能の過半を失うことになることは明らかであります。なお、原子力委員会の権限は、この事業団の役職員の任免規定でも明らかなように、完全に従前よりは権威を失っております。加うるに、核燃料民有化に呼応して、機密保持のための規制がたくらまれているとするならば、原子力基本法の精神は完全に失われたといっても過言ではありません。  佐藤総理は、このような事実を承知でこの事業団法案を提案したのであるか。この事業団法案が原子力基本法の精神をじゅうりんしているという事実をどのように考えるかを承りたい。そしてまた、基本法の考え方を根本的に変える方針を持っておるのかどうかも承りたいのであります。  質問の第二は、この事業団の役職員及び役職員であった者には機密保持の義務が政令によって課せられるとうわさされているが、そのような意図があるのかどうか、総理、科学技術庁長官に承りたい。そのようなことがあれば、公開の原則に対する挑戦であります。  質問の第三は、事業団は、大資本、特に電力資本に奉仕して、わが国の科学技術政策を弱体化させるのではないかということであります。  事業団をつくろうとした当初、この事業団は原子力開発の参謀本部的性格を予定されておりました。ところが、現状は燃料公社をつぶして実施部隊になったのであります。では、電力開発の参謀本部は、事業団を指揮するのはだれなのかといえば、これはおそらく原子力委員会ではなくて電力業界であろうかと思うのであります。  事業団の資本構成は政府民間が出し合うものでありますが、国はこの法案ではほとんど権利を主張してはおりません。ところが、電力資本の要求は非常に強いのであります。すでに二階堂長官のところには、公社の鉱山部門は採算が合わないから事業団から切り離せという強い申し出があると聞いております。また、国内のウラン鉱山は低品位で採算が合わないのに、これに事業団へ出資した民間資本の分がつぎ込まれるようではかなわないと電力業者が言っているというふうに、二月二十二日の読売新聞は伝えております。まことに露骨な意思表示であります。山を開いて核原料や燃料を自主開発しようという精神は、この事業団に出資する電力産業資本家たちは毛頭持ち合わせていない。国家統制をきらう電力資本は、公社をつぶして事業団をつくろうとしておる。十年間の燃料公社や原研の努力と成果を大資本がただ取りしようとしているのだと思われるのであります。炉と燃料をこの事業団に一まとめにしたことにもまた意味深長なものがあります。核燃料に対する国費が電力資本だけに限られる結果になるからであります。事業団に魂が入るにはかなりの曲折は免れぬと、読売新聞はかつて批評しておりますが、この事業団には、魂が入るどころか、大きなトンネルができてしまう。国家資金がストレートで電力資本に落ち込むようなトンネル会社になる危険があるのではないかと憂えられます。事業団には指導性もなければ開発の熱意もない。事業団は電力産業資本の利益本位に運営されて、国の原子力開発政策が全く弱体化されるのではないかという危険を感じます。  総理はどのように考えるか、大蔵大臣はこのような弊害をどのように取り除こうとしておるか、科学技術庁長官はこれをどのように規制しようとしておるか、お尋ねしたいのであります。  質問の第四は、政府原子力政策に自主開発の一貫した政策があるのか、事業団の設立は、原子力産業を対米従属に急傾斜させるのではないかという点であります。  事業団法案によると、その業務として、第二十三条には、高速増殖炉及び新型転換炉の開発、研究をうたっております。また、原子力委員会の兼重部会でも、長期計画で、国のプロジェクトとしてそれを示しております。そして、原子力発電長期計画では、五十年代で六百万キロワット、六十年代に至って三千万ないし四千万キロワットの電力を出そうとしておるのであります。この四千万キロワットは、今後二十年間、アメリカの軽水炉を導入することにたよろうとしているのも事由であります。電力業界は、事業団や兼重部会がどう言おうと、実用炉は拘束されないと宣言しております。電力中研はフェルミ炉計画推進しておりまするし、原発は転換炉の輸入を積極的に考えております。重電機メーカーは軽水炉導入体制でアメリカ独占資本と結託して受け入れに狂奔しておるのが実情であります。  このように見てまいりますると、わが国原子力開発の能力は、ほとんど米国の軽水炉導入のためにその受け入れ体制に組み込まれるといっても過言ではありません。事業団がどのように自主開発を強調しても、客観的にはアメリカの炉に従属するということになります。これはまさにアメリカの第五十一番目の星という形で原子力開発が行なわれるのではないか。新しい実用炉を受け入れるための技術を準備するということになるのじゃないかと憂えられます。  わが国の炉の開発は、アメリカの濃縮ウランが安いから軽水炉でいこうという電力資本の考えに押しまくられているのではないだろうか。カナダのCANDU型天然炉がアメリカの軽水炉よりも安いといわれておる。それが事実だとすると、わが国の原子電力はアメリカを向いたりカナダを向いたりで、ちっとも定まらないことになるのじゃないか。事業団は、はたして炉や核原料、核燃料物質の自主開発に取り組んでいけるかどうか、非常に危ぶまれるのであります。  政府は確固とした自主開発に対する考え方をどのようにお持ちであるか、この際承りたいのであります。  自主開発のための原研の立場は、さきにも申しましたように、まさに事業団の下請的性格になっておりまして、原研の労組の皆さんがこのことを心配して丹羽理事長に会見したときに、「原研が事業団の下請機関になってしまうがどうか」という質問をしたら、「それでもいいのだ」こういうふうに答えたそうです。高速増殖炉の開発のために原研に研究体制を置いてその成果を期待したとしても、原研のこうした状態のもとでは、軽水炉中心開発体制のもとでは、その期待にこたえることができないのじゃないか、私はそのように心配します。科学技術庁長官はどのようにお考えになるか。また、総理はこれについてどのようにお考えになるか、お尋ねしたい。  なお、この炉の開発にあたって、大蔵省は、炉の開発について三年目ごとに再検討するということをいわれておるそうでありまするが、これでは一貫した方針が出てこないのじゃないか。大蔵大臣はなぜ炉の開発について三年ごとにそういう検討を加えようとしておるのか、その趣旨をお聞かせ願いたい。  質問の第五点は、この事業団をつくることによって、原子力開発と研究のための人材を自主開発のために集結することができるかどうかという点についてであります。非常にそれは困難だと思います。  事業団は、民間資本の発言権が非常に強い、国の管理監督が非常にむずかしいのであります。もうけ主義、営利第一主義に動くことは言うまでもありません。したがって、炉の自主開発よりも導入炉に圧倒されることは、もうさきに見たところでございます。加うるに、原子力委員会の弱体化、原研の下請化等によって、自主開発に熱意を持っている人材はどんどん原研から出ていく、大学とかあるいは海外に出ていくということが憂えられます。事業団の営利第一主義を政府が完全にチェックしない限り、自主開発のための人材はとても残らないのじゃないかというふうに私は心配しますが、総理はどのようにお考えになるか、科学技術庁長官はそれに対してどのように自主開発の人材の養成、蓄積をする方針であるか、承りたい。  質問の第六は、核原料及び核燃料物質の民有化、特にプルトニウムの民有化方針についてであります。  事業団法案で炉の自主開発をどのようにうたっておりましょうとも、現在のわが国の電力資本の方向は、アメリカの軽水炉によって早急に四千万キロワットの原子力発電を行なおうとしているのでありますから、アメリカが昭和三十九年八月特殊核物質の民有化を決定して以来、政府は日米原子力協定の改定を考えておる。そして全面的に民有化することを閣議で決定している模様でございます。もしそれが事実であるとするならば、原子力平和利用をうたい、自主、民主、公開の三原則を信じておる日本国民は、政府によって原子力開発では全くほんろうされているといわなければなりません。政府は全面的に核原料物質、核燃料物質の民有化を決定しているのかどうか、総理のお答えを願いたいのであります。  特にプルトニウムの民有化についてでありますが、発電用燃料としてプルトニウムを必要とする段階は、高速増殖炉が稼働するときであるといわれております。高速増殖炉は昭和五十年代に試運転を行なう計画でありますから、昭和四十三年十一月の段階で民有化を行なうというのは、かりに民有化の方向にあるとしても、早過ぎるのではないか、私はそのように思います。この年代で民有化が行なわれた場合、民間会社はプルトニウムをどういうふうに使おうとするのか。プルトニウムによって民間会社はどのようにしてもうけを出そうとするのか。これはきわめて危険であります。国はこれを管理し、監督することはできないのであります。民間電力産業は、現在国際的な課題になっておる核拡散防止協定の査察に反対しております。また、国際原子力機関IAEAの民間査察をいやがっております。国の管理、査察もいやがっております。このような事情を承知の上で、政府はなぜプルトニウムの民有化を、原子力基本法の精神を踏みにじり、平和利用の三原則をみずから無視してきめておるのか。本事業団法案は、プルトニウム民有化への地ならし法案として提出されたのではないかとさえ私は思いますが、総理はその間の事情をどのように見ておるのか、ひとつ御説明願いたい。あわせて、原子力基本法の精神をこの際変えて、基本法を変えようとしておるのかどうかも御所見を承りたいのであります。  質問の第七は、安全性の確保についてであります。  事業団は、好むと好まざるとにかかわらず、これは自主開発といいましても、導入炉を中心とした開発業務が多いと思います。輸入炉については、たとえば東海発電所におきますコールダーホールにおきまして、燃料破損検出装置の動きがとまってしまって大騒ぎをした経験がございます。安全性の規制はきわめて重要であると考えます。事業団が営利本位の民間電力資本と合弁であるだけに、安全性の規制については特に注意を要すると思いますが、二階堂長官はそれに対してどのような考えをしておるか、御所見を承りたい。  質問の第八は、原子力委員会の権威についてであります。  原子力委員会の権限はいままでも政府によってしばしば軽視されてきておりますが、本事業団法案によれば、明らかにその権限は縮小され、無力化されていると言えます。法案の第十三条並びに第十六条に規定されておる役員の任免でありますが、燃料公社法第十条、第十三条においては、役員の任免は、原子力委員会の同意を得なくては総理大臣はこれは行なうことができなかったのであります。事業団法案によりますと、単に意見を聞けばよろしいということになっております。政府原子力委員会の権限を縮小し、事業団に対する原子力委員会の権威を削減しようとしているとしか思えません。本事業団法案によると、原子力委員会は事業団の運営に対しては全く有名無実の存在になっていると受け取れます。  政府原子力委員会の権威についてどのようにお考えであるか、また、それを縮小しようとしているのか、総理並びに長官の所見を承りたいのであります。  質問の第九は、原子燃料公社の解散に伴う従業員の処遇についてであります。  本法が実施されれば公社は解散されるのであります。従業員のすべてはその際従前と同様の処遇をされ、その給与、労働条件、既得権益がことさらにゆがめられることがあってはなりません。この際、長官のお考えを承っておきたいのであります。  最後に、私は法案の文言について二点ほど政府の所見を聞いておきたい。  その一つは、第一条の目的において、「核燃料物質の保有」ということが書かれております。この保有ということばの意義が、きわめて抽象的で、明確でありません。保有の意義と、事業団の目的として特にこの保有を明記した理由について御説明を願いたい。  その第二は、第二十条の「顧問」についてであります。学識経験者の中から、理事長が総理の認可を得て任命するのでありますが、その任務は「業務の運営に関する重要事項に参画させる」となっております。何名くらい置くのか、主として大学の先生なのか、あるいは事業界の大物なのか、どのような人が適当だと考えておるのか、どのような人が不適当と見ておるのか、政府の考え方をお聞きしたいのであります。それは、私どもは、理事の諸君の力よりも、この顧問団の権限がこの事業団にあっては強くなる危険性があると感じているからであります。政府の考え方をただしておきたいのであります。  私の質問は以上であります。誠意ある御答弁をお願いいたします。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作登壇
  16. 佐藤榮作

    内閣総理大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  この事業団を設立することは、いまある原子力基本法の精神を乱すものではないか、また、これを変更するものではないかというお話から、いろいろ御意見が述べられました。御承知のように、この事業団は、私が申し上げるまでもなく、原子力基本法によって設立されました原子燃料公社、この燃料公社業務を全部そのまま引き継ぐのであります。そうして今後、核燃料関係事業を実施していく場合において、この事業団がその主体になるのであります。したがいまして、原子力基本法を変えるというようなことは全然考えておりません。むしろ、核燃料の研究は、この原子力基本法の精神によりまして一そう拡充され、また効率的になるものだ、かように私は信じておるのであります。  また、いろいろ御指摘がありましたが、ただいまも、この事業団自身が基本法にもとるものではなく、また、基本法をただいま変えるような考え方はもちろん持っておりません。また、基本法の三原則、いわゆる自主、民主、公開、この三原則は必ず守り抜くのでございまして、ただいま御指摘になりましたように、秘密保持の規定をこの事業団の中の規定にするような考えはございません。いずれこの点は十分御審議をいただくのでありますから、かような規定があるかないか十分おわかりだと思いますが、かような考えはございません。  次に、わが国原子力発電の実情は、ただいまお話のありましたように、当分の間は米国の軽水炉が中心であります。この軽水炉に関する技術導入をいたしました上でわが国の国産を進めるというのでございますが、しかし、ただいま世界的な開発途上にある新型転換炉あるいは高速増殖炉、これを一貫して自主開発していこう、こういうのがこの事業団の目的であります。この場合に、御指摘になりましたが、各方面の学者、技術、これを結集して、そしてただいま申し上げるような目的を達していこうというのでありますので、これは御心配になるようなことは絶対にございません。  次に、原子力発電をはじめ、原子力開発利用を進めるにあたりましては、今後民間企業の創意くふうを活用することが必要であります。そこで核燃料の民有化ということをきめたのであります。私が申し上げるまでもなく、原子力の平和利用を確保するための規制措置、これは原子炉規制法等がございますので、これで十分だと私は考えております。  御指摘になりましたように、特にプルトニウム、これだけを国有するような考えは、この際は必要はない、かように私は考えておるのであります。  また、今回のこの処置で原子力委員会の権限が縮小されたり、あるいは権威を失うのではないかという御心配のようでありますが、私ども政府といたしましては、原子力委員会の権限を縮小あるいはその権威を特に傷つけるような考えはございません。(拍手)   〔国務大臣二階堂進登壇
  17. 二階堂進

    国務大臣二階堂進君) お答えいたします。  総理からいろいろお答えになりましたので、大体御了承願ったと思いますが、事業団ができることによって、原子力基本法の精神が曲げられるのではないかということでございますが、先ほど総理から御答弁がありましたとおり、燃料公社のすべての業務は、新しい事業団が原子力基本法の精神にのっとったすべての事業を継承するわけでございますので、新しい事業団ができても、この原子力基本法の精神が変わるものでないと私どもは考えております。  それから、今後の自主的開発はどうしていくのかというようなこともございましたが、現在は、アメリカの軽水炉型を中心にしてここ数年は原子力発電事業を進めてまいりますが、ただ、将来わが国といたしましては、燃料の自主的な開発、また動力炉の自主的な開発というものに積極的に取り組んでまいりますので、そういう計画を進めていくために、新型転換炉あるいは高速増殖炉という、燃料が長くもつ、効率的に燃料が使えるというような構想の新しい炉を積極的に進めて、エネルギー、電力の開発に積極的に取り組む、そのために責任体制を明確にして、積極体制をつくるということで今回の事業団法案を提案いたしたような次第でございます。  それから、燃料公社が現在行なっている鉱山の部門はどうなるのかということでございますが、この業務は、先ほど申し上げましたとおり、全部新しい事業団が継承いたすわけでございますので、鉱山関係についても、探鉱、採鉱等、すべていまやっておりまする事業以上に拡大して事業を行なうということになるわけでございます。  それから、原子力研究所との関係はどうなるのかということでございますが、原子力研究所は、過去十カ年の長きにわたりまして基礎的な一般的な研究を担当してまいった機関でございまして、今度事業団ができまして、新しい新型転換炉あるいは高速増殖炉の開発を行なう際におきましても、従来研究開発し七まいりましたものを取り入れ、また、人材の交流あるいは研究の成果等をばさらにこの事業団も引き継いで研究開発に利用するということでございまして、決してこの原子力研究所を新しい事業団の下請的事業になるという性格のものではございません。一そう積極的に、並立して原子力研究所は基礎的な一般研究をさらに進めてもらう、そうして事業団は新しい開発事業に積極的に取り組んでいくという、この相対的な関係に立つものでございまして、決して原子力研究所が下請的性格になるものでないというふうに考えております。  それから、事業団はトンネル会社的な性格になるのではないか、こういうことでございますが、先ほどから申し上げまするとおり、この新しい事業団が取り組む仕事は大規模なものであります。したがいまして、官民一体総力をあげて開発に当たらなければならないものでありまして、また、この事業団が、先ほど申し上げまするとおり、新しい動力炉開発に自主的に計画を立てて取り組む、そうして設計をし、また実験、試験運転等もみずからやっていく機関でございますので、決してトンネル的性格を持つ公社あるいは事業団ではないということをここに明確にいたしておきたいと思います。  それから、原子力委員会との関係は、先ほど総理のお答えのありましたとおり、この原子炉の開発の中枢機関として事業団の運営が自主的になされるわけでございますが、動力炉開発の基本的な方向とか計画というものは、あくまでもこの原子力委員会の意見を聞き、それを尊重して総理大臣が最終的にきめるということでございますので、このことによって私はごうもこの原子力委員会の権限が弱体化されるとは考えておりません。  それから、安全性の確保の問題についても、先ほど総理からお話がございましたが、今回提案をいたしておりますこの事業団法は、これは組織法でございまして、したがって、この安全等に関する規制は、石野さんも御承知のとおり、原子炉等規制法等によって十分な安全措置がとられることになっておりますので、私はこれで十分であろうと考えております。  なお、プルトニウムの民有化についての御質問でございますが、昨年の十月の閣議決定におきまして、プルトニウムを含む核燃料の民有化を方針として決定をいたしておりますので、この中にプルトニウム燃料の民有化も当然含まれておりますので、プルトニウム燃料だけを国有にしておくという理由は私はないと考えております。  また、自主開発等についての原子力人口と申しますか、関係研究者の不足が出てくるのではないかということでございますが、これは御承知のとおり、現在原子力研究所におきましても約二千名ぐらいの研究者、従業員が働いておりますが、民間を含めまして、大体現在三千人程度の専門家がおるのではないかと考えておりまするが、あと十年ぐらいしますと、やはり七千名ぐらいの専門家、研究家が必要ではなかろうかと思っております。いま当面は、民間あるいは大学等における優秀な人材を広く登用することによって、私はこの開発が支障を来たすとは考えておりません。将来はどうしてもこういう技術者が必要になってまいりますので、原研等の研究機関を通じて広く人材の養成につとめてまいりたい、かように考えております。  以上で大体と思いますが……。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男登壇
  18. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 研究を三年目ごとにチェックする理由は何かという御質問でございましたが、事業団が開発しようとする新型転換炉、高速増殖炉、この二つはすでに海外諸国で開発が進められておるものでございますので、したがって、海外での開発の成果を直接取り入れるほうが効果的であるというようなことも、研究の過程においては起こり得る問題だと考えます。したがって、長期間にわたる計画を初期の段階で固定化してしまうということは、私は不適当だと考えております。したがって、二年とか三年というふうに、適当な期間ごとに研究開発を一ぺん見直す、そしてその成果を評価し、検討して、そうして次の段階の研究開発の具体化をはかるということが、長期であり、また巨額な資金を要するこういう動力炉開発計画というようなものについては、私は適当な進め方じゃないかというふうに考えて、一定の期間ごとにこの成果を見直すということが必要であるということを主張したわけでございます。(拍手
  19. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 農業共済基金法の一部を改正する   法律案内閣提出
  20. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第一、農業共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————     —————————————
  21. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長本名武君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔本名武君登壇
  22. 本名武

    ○本名武君 ただいま議題となりました内閣提出農業共済基金法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  農業共済基金は、昭和二十七年に設立されて以来、農業災害補償制度の円滑な運営に資してまいりましたが、昭和三十八年に行なわれた農作物共済にかかる制度改正と関連して、農業共済組合連合会に対する農業共済基金からの貸し付け金の一部を無利息、長期の融資に切りかえる措置が講ぜられたことに伴い、農業共済基金の収支状況に余裕がなくなり、このままの状態で推移すると、今後農業共済組合連合会の所要資金増大した場合に、適切、円滑な融資措置を講ずることが困難な状態となります。そこで、このような情勢に対処するための措置として、昭和四十二年度に政府及び会員がそれぞれ三億円、合計六億円の出資をすることとし、それに必要な予算措置を講ずるとともに、法制的には、農業共済基金の資本金の増加、政府及び会員の追加出資、農業共済基金に対する会員の持ち分の譲渡禁止の緩和などについて所要の規定を整備するため本案が提案されたのであります。  本案は、三月二十三日提出され、同日付託になりました。農林水産委員会におきましては、四月十九日政府から提案理由の説明を聴取した後、五月十日と十一日の両日にわたり慎重審査を行ない、五月十一日質疑を終了、五月十六日全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  23. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  24. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 沖繩居住者等に対する失業保険に   関する特別措置法案内閣提出
  25. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第二、沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案を議題といたします。     —————————————     —————————————
  26. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。沖繩問題等に関する特別委員長臼井莊一君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔臼井莊一君登壇
  27. 臼井莊一

    ○臼井莊一君 ただいま議題となりました沖繩居住者等に対する失業保険に関する特別措置法案につきまして、沖繩問題等に関する特別委員会における審査の経過及び結果について卸報告申し上げます。  近年、沖繩から本邦に就職するため、移転する者及び沖繩に帰郷する者が増加しておりますが、本邦の失業保険法または船員保険法による失業保険金の受給資格を得て沖繩に帰郷する者が、沖繩地域ではその受給資格に基づく失業保険給付を受けることができず、また、沖繩地域に施行されている失業保険法による失業保険金の受給資格を得て本邦に移転してくる者についても、失業保険給付を受けることができない状態に置かれていることにかんがみ、本邦及び沖繩においてそれぞれ特別の立法措置を講じ、それぞれの政府失業保険給付に相当する給付を行なうこととし、当該給付及び給付事務の執行に要する費用は、給付を行なった相手方政府にそれぞれ交付することとしております。  本案のおもな内容は次のとおりであります。  第一は、沖繩の政府が、本邦の失業保険法の規定による失業保険金の受給資格者で沖繩地域において失業している者に対し、その者が本邦において受けることができるものと同内容の給付を行なうときは、政府は、その給付に要する費用及び給付事務の執行に要する費用を沖繩の政府に交付することとしております。  第二は、船員保険法の規定による失業保険金の受給資格者が沖繩地域で失業している場合にも、失業保険法の規定による失業保険金の受給資格者と同様の取り扱いをすることとしております。  第三は、沖繩の失業保険法においては、船員をも含めて取り扱っておりますが、同法の規定による失業保険金の受給資格者が本邦において失業している場合には、政府は、その者が沖繩地域において受けることができるものと同内容の給付を支給することとし、その支給に要する費用及び給付事務の執行に要する費用は、沖繩の政府からの受け入れ金をもって充てることとしております。  第四は、この法律の制定に伴い、失業保険特別会計法その他の関係法律について、所要の改正を行なうこととしております。  なお、この法律は、政令で定める日から施行することといたしております。  本案は、去る三月二十三日本特別委員会に付託され、四月四日早川労働大臣より提案理由の説明を聴取し、同月二十六日より質疑に入り、慎重に審議を行なってまいりましたが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  かくて、五月十六日、質疑を終了し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党からそれぞれ賛成の討論があり、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  28. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 日本鉄道建設公団法の一部を改正   する法律案内閣提出
  30. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 日程第三、日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————     —————————————
  31. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長内藤隆君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔内藤隆君登壇
  32. 内藤隆

    ○内藤隆君 ただいま議題となりました日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本案の趣旨を簡単に申し上げますと、  日本鉄道建設公団は、昭和三十九年発足以来、鉄道の建設により交通網の整備をはかり、もって経済基盤の強化地域格差の是正に寄与することにつとめてまいったのでありますが、御承知のとおり、鉄道新線の建設には巨額の資金を必要といたしますので、国及び日本国有鉄道からの資金のほか、民間資金の導入をはかってまいったのであります。  この民間資金の導入は、公団が鉄道建設債券を発行し、これを関係者が引き受けるという形で行なってまいりましたが、この債券の元利の支払いについて政府による保証措置がとられていないため、事業規模の拡大につれ、債券の発行による資金の調達が困難となってまいったのであります。  このような見地から、同公団が発行する鉄道建設債券にかかる債務について政府保証することができるよう改め、資金調達の円滑化をはかり、今後一そうの鉄道新線の建設推進しようとするものであります。  本法案は、去る三月二十三日本委員会に付託され、次いで、四月五日政府より提案理由の説明を聴取し、同月十日、十七日質疑を行なうとともに、同公団総裁綾部健太郎君及び副総裁篠原武司君を参考人として招致する等、慎重に審議をいたしましたが、その内容会議録によって御承知願います。  かくて、十七日、質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、本法案は全会一致をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  33. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  34. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第四 関税定率法等の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第五 税制簡素化のための国税通則法、   酒税法等の一部を改正する法律案内閣提   出)  石炭対策特別会計法案内閣提出
  35. 亀岡高夫

    ○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、日程第四及び第五とともに、内閣提出石炭対策特別会計法案を追加して三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  36. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第四、関税定率法等の一部を改正する法律案日程第五、税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一部を改正する法律案石炭対策特別会計法案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————
  38. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長内田常雄君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔内田常雄君登壇
  39. 内田常雄

    ○内田常雄君 ただいま議題となりました法律案三件につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、最近における経済情勢の変化に対応するため、関税に関する次の諸点について相当広範囲な改正を行なおうとするものであります。  すなわち、第一は、関税率について必要な調整を行なうことでありまして、関税定率法及び関税暫定措置法を通じて四十八品目の実行税率を変更するとともに、暫定税率の適用期限が本年五月三十一日とされている九十四品目の適用期限をおおむね本年度末まで延長することといたしております。バナナに対する関税率の問題もこれに含まれております。  第二は、本年五月三十一日に適用期限が到来する重要機械類の免税、肥料製造用揮発油にかかる関税の還付等十四項目にわたる暫定措置についての適用期限を本年度末まで延長することであります。  また、電力、鉄鋼業等に対する重油関税の一般還付及び特別還付のこれまでの制度は、石炭対策特別会計設置に伴って、同会計からの交付金制度に吸収されますので、この際削除することといたしております。  第三は、簡易税率の新設で断りまして、通関の迅速化をはかるため、入国者の携帯品について関税及び内国消費税を統合した簡易な税率を設けることであります。  第四は、万国博覧会の開催に備え、わが国で開催される国際博覧会、国際見本市等のため一時輸入される外国貨物について、保税展示場の制度を新たに設けること。また、博覧会の観覧者に無償で配布される見本品、記念品、あるいは博覧会の建設資材等について免税規定を設けることなどであります。  第五は、開港の追加指定でありまして、新たに岩手県の大船渡港、宮城県の石巻港、茨城県の日立港、大阪府の阪南港及び佐賀県の伊万里港を開港に追加することなどであります。  第六は、関税罰則の合理化その他関税制度の簡素合理化等のための規定の整備でありますが、詳細は省略いたします。  この法律案につきましては、審査の結果、昨十七日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して平林剛君より、本案に対し、大筋において反対するものではないが、ただ、バナナの暫定関税率引き下げについては、国内果樹振興に十分な措置がとられていないこと等を理由として本案に反対の旨を述べられました。次いで、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決されました。  なお、本案に対しましては、全会一致の附帯決議が行なわれましたが、その要旨は、バナナ関税引き下げの実施にあたっては、政府は、国産果実生産者及び消費者の立場を十分考慮して、その引き下げの時期、バナナの輸入とその国内流通秩序について十分な配慮と改善の措置を講ずるとともに、国産果実の生産流通の合理化、輸出振興、国内市場の拡大につとむべきであるというものであります。  次に、税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、今次税制改正の一環として、納税者の負担の軽減と手続の簡素化をはかるため、国税通則法、国税徴収法及び酒税法その他の間接税諸法について各般の改正を行なうものであります。  改正の内容は、主として簡素化のための手続的、技術的な事項でありまして、たとえば、国税の端数計算基準の切り上げ、延滞税についての計算の合理化、振替納税制度の確立、滞納処分における公売保証金の要件の緩和、酒税法等に規定する製造場への戻し入れ、または移入に伴う手続の簡略化等、諸般の規定の整備をはかることといたすものであります。  本案につきましては、審査の結果、昨十七日、質疑を終了し、採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決となりました。  なお、本案に対しましても全会一致の附帯決議が行なわれましたが、その要旨は、政府は、各般にわたり、真に納税者の利便を優先的に考慮して、税法及び税務行政簡素化の方途をさらに引き続き徹底的に検討、実施すべきであるというものであります。  最後に、石炭対策特別会計法案について申し上げます。  この法律案は、昨年七月の石炭鉱業審議会の石炭鉱業の抜本的安定対策についての答申趣旨に沿いまして、昭和四十二年度以降における石炭対策に関する政府の経理を明確にするため、特別会計を新設し、一般会計と区分して経理することとしようとするものであります。  この会計におけるおもな歳入は、石炭対策の財源に充てられる原重油関税収入でありますが、なお当分の間は、この会計の歳入不足を埋めるため、一般会計から必要な金額を繰り入れることができることとなっております。  この会計の歳出とされるのは、石炭対策に要する各般の費用でありますが、その一は、石炭鉱業の生産の合理化、経営経理の改善及び安定、並びに石炭の需要確保、または流通の合理化をはかるための事業にかかる補助金または出資金であり、その二は、炭鉱離職者援護のための事業にかかる補助金、または炭鉱離職者に対する就職促進手当であり、その三は、産炭地域の振興のための事業にかかる補助金または出資金、その四は、鉱害復旧工事にかかる補助金等とされております。  この会計は、石炭鉱業合理化基本計画の目標年度が、現行の昭和四十二年度から昭和四十五年度に改定する措置が講ぜられておることに対応しまして、その終期を昭和四十五年度末とされていますが、本年度の本会計予算規模は、御承知のとおり、原重油関税収入約四百七十五億円のほか、一般会計から約四十六億円を受け入れることとして、歳入歳出とも約五百二十二億円となっております。  本法律案につきましては、石炭対策特別委員会と連合審査会を開く等、慎重に審査を行ないました結果、本日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたるところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  40. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第四、関税定率法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  41. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第五及び石炭対策特別会計法案の両案を一括して採決いたします。  両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  42. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  理化学研究所法の一部を改正する法律案(内   閣提出
  43. 亀岡高夫

    ○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出理化学研究所法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  44. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  理化学研究所法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  46. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長矢野絢也君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔矢野絢也君登壇
  47. 矢野絢也

    ○矢野絢也君 ただいま議題となりました理化学研究所法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、理化学研究所の埼玉県への移転に伴い、同研究所の主たる事務所の所在地を埼玉県に改めるとともに、監事の権限及び役員の欠格事由等に関する規定を整備しようとするものでありまして、去る四月三日本委員会に付託され、同月五日二階堂国務大臣より提案理由の説明を聴取し、以来慎重に審査を行なったのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  かくて、昨十七日質疑を終了し、本日採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  48. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  49. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律   案(内閣提出
  50. 亀岡高夫

    ○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  51. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  53. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めすす。石炭対策特別委員会理事八木昇君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔八木昇君登壇
  54. 八木昇

    ○八木昇君 ただいま議題となりました炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について、石炭対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  御承知のとおり、産炭地域の実情は、依然として炭鉱離職者及び生活保護者が滞留し、まことに悲惨な様相を呈しているのであります。かかる状況にかんがみ、本案は炭鉱離職者対策についてなお一そうの充実をはかろうとするものでありまして、その内容は、  第一に、雇用促進事業団の援護業務を拡充して、自営業を希望する炭鉱離職者に対し、新たに日常支度金を支給すること、及び炭鉱離職者の開業資金の借入れに際し、債務保証を行なうこと  第二に、就職促進手当の最高日額及び扶養加算額を諸般の状況の推移に即応して改定できるよう政令で定めること  第三に、炭鉱離職者臨時措置法廃止期限を三年間延長して、昭和四十六年三月三十一日までとすること等であります。  本案は、去る三月二十三日本委員会に付託され、四月十九日早川労働大臣より提案理由の説明を聴取した後、慎重審議を行ない、本日の委員会において質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し、炭鉱離職者求職手帳の期間が終了した炭鉱離職者の再就職の促進に関する附帯決議を付したことを申し添えます。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  55. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  57. 亀岡高夫

    ○亀岡高夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  58. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 亀岡高夫君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  60. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員長大坪保雄君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔大坪保雄君登壇
  61. 大坪保雄

    ○大坪保雄君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案の趣旨は、裁判所職員の員数を増加しようとするものであり、その内容は、第一に、借地法等の一部を改正する法律の施行によって、新たに地方裁判所及び簡易裁判所で取り扱うことになった借地条件の変更等に関する申し立て事件を適正迅速に処理するため、判事四名、簡易裁判所判事三名を増員し、第二に、地方裁判所における工業所有権及び租税に関する事件を適正迅速に処理する等のため、裁判官以外の裁判所職員を四十七名増員しようとするものであります。  法務委員会におきましては、四月六日提案理由の説明を聴取した後、慎重な審議を行ない、本日、質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党四党共同提案にかかる、政府は、裁判官その他裁判所職員の増員並びに施設の整備等に関し、必要な予算の増額措置を講ずるよう格段の努力とくふうをいたすべきである旨の附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  62. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  63. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  64. 石井光次郎

    議長石井光次郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 田中伊三次君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  菅野和太郎君         運 輸 大 臣 大橋 武夫君         労 働 大 臣 早川   崇君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君      ————◇—————