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1967-07-21 第55回国会 衆議院 法務委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十一日(金曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 大坪 保雄君    理事 安倍晋太郎君 理事 大竹 太郎君    理事 高橋 英吉君 理事 中垣 國男君    理事 濱野 清吾君 理事 加藤 勘十君    理事 横山 利秋君 理事 岡沢 完治君       村上  勇君    神近 市子君       中谷 鉄也君    沖本 泰幸君       松本 善明君    松野 幸泰君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         警察庁刑事局長 内海  倫君         警察庁保安局長 今竹 義一君         警察庁警備局長 川島 広守君         法務政務次官  井原 岸高君         法務省刑事局長 川井 英良君         法務省保護局長 本位田 昇君         法務省人権擁護         局長      堀内 恒雄君  委員外出席者         内閣官房内閣調         査室長     大津 英男君         法務省刑事局青         少年課長    安田 道夫君         文部省大学学術         局学生課長   石川 智亮君         文部省体育局ス         ポーツ課長   松島 茂善君         通商産業省化学         工業局保安課長 矢野俊比古君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君         最高裁判所事務         総局行政局長  菅野 啓蔵君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 七月二十一日  委員神近市子君及び下平正一辞任につき、そ  の補欠として渡辺惣蔵君及び中谷鉄也君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄也君及び渡辺惣蔵辞任につき、そ  の補欠として下平正一君及び神近市子君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件  人権擁護に関する件  裁判所司法行政に関する件      ————◇—————
  2. 大坪保雄

    大坪委員長 これより会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷委員 今次総選挙及び統一地方選挙選挙が、公正に行なわれなければならないという最も国民のそういう願いというものを基本に置きまして、今回の二つ選挙における違反事件件数あるいはその特色等についてお尋ねをいたしたいと思います。  本国会において、当初、国政調査最初委員会におきまして、横山委員のほうから東京都知事選選挙違反実態とその問題点について詳細に指摘されたことがございました。本国会最終日にあたりまして、当委員会におきまして、今度は私のほうからひとつ総括的に、いま申し上げましたように、今度の総選挙統一地方選挙におけるいろいろな問題点反省点、今後の教訓とすべき点、そういう点についてお尋ねをいたしたいと思いますが、最初違反事件件数及びその特色はどういうところにあるだろうかということについて、法務省刑事局長さんのほうから御答弁をいただきたいと思います。
  4. 川井英良

    川井政府委員 最初に、総選挙並びに統一地方選挙における全国検察庁受理いたしました事件数について御説明を申し上げ、続いて、私ども立場から見たこの総選挙違反状況特色について触れることにいたしたいと思います。  総選挙のほうでございますが、五月三十一日現在で、全国検察庁受理いたしましたのは二万七千六百七十八名にのぼっておりますが、これは三十八年の前回の総選挙に比べますと、かなり減少を示しております。前回は、ほぼ同時期の集計でございますが、五万二千八十六名という数字を示しておりますので、総数におきましては半減をしているような状況に相なっております。  それから統一地方選挙のほうでございますが、これは同様五月三十一日現在で四万二千二百六十八名を受理いたしております。前回の三十八年の統一地方選挙の際には、ほぼ同時期の集計でございますが、六万二千二百二十九名ということになっておりますので、これは半減というほどではございませんが、約三三%余りの激減を示しているという状況でございますので、受理件数の面から申しますと、二つ選挙を通じまして相当数減少を示していることが、何と申しましても第一の特徴としてあげることができると思うわけでございます。  このような著しい減少を示しました原因としまして、いろいろのことが考えられると思いまするけれども、当面考えられますのは、違反の態様の内容について検討いたしますと、買収事犯が著しく減少しているということが、やはり全体の件数減少しているということの一番大きな原因になっておりますので、特に取り締まりが手控えられたというような事実は毛頭ございませんので、買収事犯減少したということは、今度の二つ選挙を通じまして、やはり一般の選挙違反に対する感覚ないし特に買収事犯についての自粛、自覚が高揚された結果ではないかというふうにも見受けることができると思うのでございます。これは量的な面からの観察でございます。  ただ、やや質的な面から検討を加えますと、この事件起訴率でございますが、事件起訴率等検討いたしますと、買収事犯なんかにつきましては、むしろ前回よりは今回の起訴率のほうがやや上回っておるという現象も見られますので、その辺のところを検討いたしますと、数においては減少いたしましたけれども内容の質的な点から申しますと、買収事犯につきましては、依然としてやはり悪質な買収が、必ずしもあとを断っていないということが指摘されると思うわけでございます。  それから、その次の特色といたしまして、文書違反が、やや前回より受理件数が増加いたしておりますけれども、この文書違反の中で特に量的に増加したばかりではありませんで、内容が他人の、特に対立候補誹謗にわたるような文書関係かなり増加しているということが、やはり一つ特色として指摘することができるのではないかと、こう思いまするので、そういうふうな面ではいままでの選挙に比べまして対立候補との間に非常に激烈な活動、闘争が展開されまして、その間において、そういうふうな文書違反の中でも、非常に質のよくない文書違反かなり出たというようなことが、一つ特色としてあげることができるのではないかと、こう思うわけでございます。  まだ、その後的確な、より詳細な分析は加える間がございませんけれども受理件数の統計の面から見ました一、二の特色をしいてあげますと、その辺のところが、特色としてあげることができるのでないか、こう思います。
  5. 中谷鉄也

    中谷委員 選挙違反の中で、何と申しましても一番重要な違反事件とされている買収事犯についての減少があったということは、注目すべき事情であろうと思いますが、にもかかわらず、先ほどいわゆる起訴率が増加しているという点についてのお話がございましたので、この点の事実関係だけをさらに明確に御答弁をいただきたいと思います。  どの選挙と比較して、今回の選挙起訴率がどういうことに相なっているか、その点を明確にひとつお答えをいただきたいと思います。
  6. 川井英良

    川井政府委員 いままでたくさんありました選挙の全部につきまして、まだこまかい検討を加えておりませんが、当面三十八年の選挙との比較について、まず御説明を申し上げることにいたしたいと思います。  今度の総選挙の場合には、先ほど申し上げましたような二万七千余り受理人員のうち、五月末現在で八千五百四名を起訴いたしておりますが、この起訴率は三〇%余りにのぼっているのでございますが、三十八年のときには、ほぼ同期の計算でまいりますと、二六%余りということになっておりますので、四%ないし五%の起訴率上昇を示しておるというのが、先ほどちょっと触れました点でございます。  そこで、内容でございますが、その中で買収事犯は二万二千六百六十二名を受理いたしておりますが、その中で起訴されたのが七千六十九名ということになっておりますので、受理件数の中でも買収が圧倒的に多いわけでございますが、また起訴の中でも圧倒的に買収事犯が多いということでございます。  それからこの買収事犯受理件数が約半数に減っているにもかかわらず五%くらいな上昇率でございますけれども起訴率上昇しているということは、私どもの仕事の面では、いままでの選挙に比べましてかなり顕著な特徴として指摘することができると思っておりますので、さらに引き続きまた時間をいただきまして、もう少し詳細な内容分析をして、適当な機会にまた御報告を申し上げることにしたいと思っております。
  7. 中谷鉄也

    中谷委員 全体としての買収事犯減少にもかかわらず、特に今回の選挙が、三十八年度の選挙に比べて五%も起訴率上昇したということは、相当注目すべきできごとである。その点の内容についてはさらに詳細に分析をするという御答弁でございますが、特に今度の選挙取り調べについては厳正かつ適正な取り締まり検察庁が心がけられたという前提でお尋ねをいたします。  そうすると、特に国民期待にこたえて、買収事犯等についてはゆるがせにしないというふうな検察庁一つ態度というのが起訴率上昇につながったのではなかろうか。それも一つ原因じゃないだろうか、こういうような感じがいたしますが、いかがでございましょうか。
  8. 川井英良

    川井政府委員 一がいお答えできません事柄で、十分に総合的な検討が必要だと思いますが、今回の選挙の前には、御承知のように世論公正選挙への高まりもございましたし、またそれを受けまして、私ども取り締まり当局におきましても、世論を背景にいたしまして厳正、公平な態度取り締まりに臨んで、選挙の公正、妥当を期したいというふうなことを、おりに触れて態度を明らかにしてまいりました。また部内に対しましても、大臣はじめ各部局から、それぞれ部内にその趣旨を徹底し、同時にまた各出先機関におきましては、担当するその地域に向かって、同じような趣旨を明確にするというようなことをとってまいりましたので、確かに御指摘のとおり、そのことも悪質事犯減少させる一つ原因にはなっていることと私ども信じております。
  9. 中谷鉄也

    中谷委員 重ねてお尋ねをいたします。  起訴率上昇ということに関連してでございますけれども、いわゆる略式起訴公判請求ということに簡単に分けることができると思うわけですけれども、そういたしますと、公判請求せられた起訴上昇率、これは前回に比べてどういうことになっているのでしょうか。
  10. 川井英良

    川井政府委員 これは五月一日現在の一番新しい表がまだ私のところにまいっておりませんが、担当官のほうでもまだ詳細な集計ができていないようでございますが、概括的に申し上げますと、数の上では圧倒的に略式が多いわけでございますけれども、今回の選挙を通じましては、やはり公判請求かなり多くなったということを申し上げることができると思います。
  11. 中谷鉄也

    中谷委員 ちょっと、私がお尋ねしたのはそういう趣旨ではないわけです。全体の起訴された件数の中で、公判請求をされた部分というのは前回に比べて上昇している。要するに厳正かつ公平という取り締まり、あるいは検察官の態度の中で、国民期待にこたえて、厳正な取り締まりということに重点を置かれたのじゃなかろうか。そうなってまいりますと、従来は略式命令起訴で済んでいたものが、公判請求ということに相なったのではなかろうか。起訴率の全体としての上昇とともに、いわゆる公判請求をされた分の上昇率かなり多いというような結果が出てきているとするならば、取り締まりの厳正ということが数字の上にあらわれたのではなかろうか、こういうことを私はお尋ねしたいと思ってお尋ねをしたわけです。
  12. 川井英良

    川井政府委員 申しわけございませんが、数字はいま確実なものを持っておりませんが、いままでの違反でしたらば、この程度のものは略式請求で済んだと思われるようなものを、今度の選挙に際しまして、特に処理基準を上げて、そういうふうなものをあえて公判請求するというふうなことを部内において協議し、またそういう線に沿って処理をしたということは、今回はございません。しかしながら、いままで五万件あった、その約半分の二万数千件というふうな件数を、同じような陣容でもって、同じような期間に処理するということでありますので、処理の慎重といいますか、捜査の徹底ということでは、前回に比べてはなおその捜査が徹底したということが言えるのではないかと思います。捜査が徹底するということは、勢い事案の真相、ことに情状の面まで目が行き届くということになりますので、公正な処理ができた、こう思いますけれども処理の目が行き届いたということは、結局はその事案の全容が明らかになったということでございますので、その辺のところは一がいには申し上げられませんけれども事案によっては、いままで捜査不十分あるいは情状証拠収集が不完全であったために、重い刑が必ずしも盛れなかったというふうなものが、情状証拠収集適確にできたために、適確な刑を盛ることができた。したがって、公判請求をする率がかなり多くなったというようなことは、傾向としては申し上げることができるのではないかと思います。
  13. 中谷鉄也

    中谷委員 次に、次のような点について、今回の選挙取り締まり実態傾向を明らかにするために、お尋ねをいたします。  選挙違反があり、検挙があった。それについての迅速な処分国民期待していると思うのです。現在受理された件数についての処理状況は、先ほど起訴率等についてお答えがありましたので、おおむね推定はできますけれども、どういうことになっているのでしょうか。要するに、起訴、不起訴にかかわらず、すでに処分が決定したのは全体の何%に及ぶか、なお処分保留のものはどの程度だ。それが例年に比べてどういうふうな処理状況に相なっているか。迅速な処理という観点から、ひとつこの点についてお答えをいただきたいと思います。
  14. 川井英良

    川井政府委員 総選挙のほうでございますが、五月三十一日現在で、先ほど申し上げました数字受理の中で既済の合計が二万六千四百六名でございますので、受理件数からこれを引きますと未済、いわゆるまだ捜査中で未処理の分が千二百七十二名ということに相なりますので、この数字例年に比べて非常によく処理されていると言えると思います。
  15. 中谷鉄也

    中谷委員 迅速な処理ということについてのおおむねの期待が満たされておるということでありますが、次にお尋ねいたしたいと思います。  今次の選挙一つ特色が、先ほど局長が御答弁になりましたように、悪質な文書違反、特にそれが選挙自由妨害に相なると思われるような違反傾向としてかなり数があったという点については、前回横山委員東京都知事選について触れられた点であります。前回委員会においても、同僚委員質疑に対してそのような御答弁がございました。  そこで、この機会に、警察庁刑事局長さんにお尋ねをいたしたいと思いますけれども、いわゆる統一地方選挙の中で、愛媛県の知事選挙、それから和歌山県の知事選挙等において、誹謗文書かなり出回ったということがいわれております。そこで、和歌山県の知事選挙で、誹謗文書が相当件数配布せられたという事件の経過についてひとつお尋ねをしたいと思いますけれども統一地方選挙の行なわれる約半年前くらいに、尾崎忠男という人が特定知事予定候補誹謗する文書配布をした。それに対して名誉毀損として告訴の手続がとられた。ところが和歌山県警において、任意捜査としてその事件について処理せられた。ところがその後知事選挙に突入をいたしましたあと、名古屋の枇杷島局消し印の、きわめて悪質な内容を記載したところの特定候補誹謗文書が全県下に配布せられた、こういう事情がございます。  そこで私が指摘をいたしたい第一点は、和歌山県のきわめて残念な、遺憾な誹謗文書が、その後両候補のそれぞれを非難する文書配布せられたわけでありますけれども、そういう文書配布された当初において、厳正かつ適確取り締まりというものをしておったならば、いわゆる洪水のごとくそのような違反文書が県内にあふれるというふうなできごとを、ある程度防止できたのではなかろうかという点についての反省点が第一点、いま一つは、いわゆる尾崎忠男君が、その後、その枇杷島局消し印特定知事候補を非難する文書の投函、配布をした、そういう責任者であるということで検挙をせられたけれども、その背後関係についてはいまなお明らかでない。尾崎忠男財産等については詳細お調べいただいていると思いますけれども、全然無財産、無資産の人なんです。膨大なはがきを印刷し、それを投函するような資力があるとは思えない。ところが、その背後関係については、捜査の困難はあったでありましょうけれども、いまなお明らかでないと聞いている。このような点について、そういう背後関係が明白にできなかったという点が、さらにいろんなこういう事件というものを誘発し、文書違反というものはやれば得なんだというふうな印象を、県民の一部の者に対して与えたことにならないだろうか。警察庁の、ひとつこのような悪質な文書違反を、初動においてどのようにそれを抑止するかというふうな点に関連いたしまして、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  16. 内海倫

    内海政府委員 文書違反の中でも、先ほど法務省刑事局長からも御答弁がありましたように、人身攻撃にわたるあるいは選挙の自由を妨害するような文書、とりわけ差し出し人がだれであるかわからないという、いわゆる怪文書というふうなものは、文書の中でも最も悪質なものでございますし、またそういうものが配布されることによって、その対象になる候補者の方は、たいへんな被害を受けるわけでありますから、私どもも今回の総選挙あるいは統一地方選挙に際しましては、そういうふうな文書が、あるいは今度の選挙ではばらまかれる可能性も多いのではないかということで、いろいろ事前に対策を検討いたしまして、できるだけ情報を入手して、そういうものが配布される前にこれを阻止する、もしやむを得ず配布された場合においても、それが広範に配布されることになる前に、極力押えていくというふうな態勢をとって臨むべきである、こういう基本方針のもとに臨んだのでございます。  私ども能力の限り努力いたしましたが、中にはかなり広範に配布された場合もございますが、また反面、事前にそういうものがまかれるという情報を得て、事前に阻止をしたものもかなりございますし、さらにまた郵便局受理したところで、受理といいますか投函したところでこれを阻止したというふうな例もございます。  いずれにしましても、こういうふうなものが、しかも広範に配布されるというふうなことにならないことが一番願わしいことでございますので、私どももそういう点に努力を続けてきたわけでございます。  次に、和歌山県の例でございますが、当該御指摘事件に関しましては五千枚ほどが配布されたということを警察では報告をしてまいったわけでありますが、これにつきましては本犯並びにその共犯者を逮捕いたしまして、身柄つき検察庁のほうに送致をいたしておりますが、先ほど申されましたこれらの背後関係があるかないかという問題につきましては、現在私ども和歌山県警察本部から受けておる報告では、先ほど申しましたように二名の被疑者を逮捕した、こういうことでございます。
  17. 中谷鉄也

    中谷委員 事実関係について、と申しますよりも、現地の状況について、しさいに存じておるものの立場からいいますと、背後関係がないなどということはもちろんあり得ない事案なんです。ただ、そう申しましても、すでに本人が釈放され、日時も経過され、非常に残念なことでありますけれども、この種の問題についてはいわゆる呑舟の魚、大きな魚が逃げるということがあっては、正義の公平な原則に反することおびただしいので、今後の捜査もとっくりと、そのような観点から十分に捜査をいただきたい、この点をひとつ要望しておきます。  そこで、再び法務省刑事局長さんにお尋ねをいたしますが、今次選挙における候補者あるいは出納責任者、そういう人たち違反状況はどういうことに相なっているでしょうか、この点いかがでございますか。
  18. 川井英良

    川井政府委員 総選挙における候補者等違反受理並びに処理状況でございますが、同様五月三十一日現在で、候補者につきまして公判請求をしましたのが四名ございます。それから略式命令請求が三名、不起訴が十九名ということになっておりますが、これは三十八年の前回に比べますと、公判請求が二十八名、略式命令請求が四名、不起訴が四十名、こういうことになっておりますので、数の面ではやはり非常に減っております。  同じく総括主宰者でございますが、公判請求が一名、それから略式がなし、それから不起訴が一名、こういうことになっております。前回公判請求が四名、略式請求が一名、不起訴が一名、こういうふうな状況になっております。  出納責任者につきましては、公判請求が八名、略式請求が三名、不起訴が十名、前回公判請求が十四名、略式請求が三名、不起訴が十名、こういうふうなことになっておりますので、全体といたしましてこれらの違反がやはり非常に減っているということが言えると思います。
  19. 横山利秋

    横山委員 議事進行について。途中でありますけれども、先ほどの理事会同僚諸君の御同意を得て、先般内閣調査室長に、二億円にわたる世界政経調査会に対する委託費積算単価を出すように要求をいたしておったわけであります。すでに委員長御存じのように、第一回の際にこれを提出することを承諾をし、その後私が電話で連絡をして同意を得て、第二回目に調査室長がここに出席をして、また提出することに同意した。それにもかかわりませず、きょうは国会最後の日でありますが、提出をしない。私は先ほど理事会でも言ったのですけれども、二億円に余る国費を使用して、その使途が不十分である、明らかでないから、この際その内容を出せといって、同意を二回までして、国会最後の日になって知らぬ顔をしておるということは、どうしても私は納得ができない。何かいま委員部に聞きますと、委員長出席させるということを妨害してみえるかのごとき感じがいたす。これは委員部の誤りだろうと思う。言い方の違いだろうと思うが、なぜ一体内閣調査室長をここに出席させることに委員長同意なさらぬのですか、どうでございますか。
  20. 大坪保雄

    大坪委員長 横山君、質問しますか。
  21. 横山利秋

    横山委員 はい。
  22. 大坪保雄

    大坪委員長 先ほど理事会の話し合いでは、中谷松本沖本神近、こういうことになって、あなたが質問するということになってないから、きょうはいいものだと思って、委員部のほうには呼ぶ必要はないと言っておいたのです。あなたがどうしても質問をなさるというのであれば、いまからでも呼びましょう。
  23. 横山利秋

    横山委員 それならば、聡明な委員長として十分な御理解を願ったものだと思ったのですが、内閣調査室長の出頭をお願いしておるということは、とりもなおさず質問をするという意味であったのであります。ことばが足りなかったら御了解を願って、ひとつ出席をお願いします。
  24. 大坪保雄

    大坪委員長 了承しました。
  25. 中谷鉄也

    中谷委員 次に、お尋ねをいたしたいのは、今次選挙において、いわゆる選挙取り調べあるいは選挙に関連をして自殺をしたという人のことが新聞に報道されております。こういう自殺事故というのが、現在判明しているもので何件程度あるのだろうか、この点についてひとつ警察庁あるいは法務省、いずれでもけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思います。
  26. 川井英良

    川井政府委員 選挙処理のたびごとに、被疑者ないし参考人というような方々の中から、自殺というような痛ましい事故が出ることは、たいへん残念なことだと思います。私ども選挙の前に必ず関係の各庁の次席検事ないしは長官会同を開催いたしまして、そのつど今次の選挙における予想される特徴とその取り締まり方針について、厳正公平な態度と、また技術的にも必要なことを指示いたしまして、誤りなきを期しておるわけでございますけれども、今回の選挙におきましても、総選挙関係で二名、統一地方選挙関係で一名、合計三名の自殺の事故が出ていることは、たいへん遺憾なことだと存じております。これら在名の事故は、いずれも身柄を拘束中の事故ではございませんで、いわゆる私どもでいう在宅という、任意捜査事件の途中において起きた事故でございます。  なお、前回に比べてみますと、前回の総選挙のときには、総選挙関係で三名、地方選挙関係で四名の自殺事故が出ておりますので、今回は前回に比べますと、数の面では、前は合計七名が今回は一応三名でとどまったというような状況に相なっております。
  27. 中谷鉄也

    中谷委員 法務省刑事局長さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、いわゆるこの三名の人は、在宅で取り調べを受けていた、ところが自殺された。個々の事案について、どのような点が捜査上の面において反省さるべきか。もちろん死に追いやるというふうなところの拷問、強迫というようなものがあった事案というふうには私は考えておりません。ただ、しかし、何といたしましても、そのような人がみずからの手でみずからの命を奪うなどということは、非常に残念なことだ、これは絶対にそういうことはあってはならないことだと思うのですが、そういう観点から、今後の事故防止、人権尊重という観点において、どのようにこの具体的な三名の事故について監察をしておられるか、重ねてお尋ねをいたしますが、こういう事故防止について一般的にどのような配慮をしておられるか、この点をお尋ねをいたします。
  28. 川井英良

    川井政府委員 今回の三件ともそれぞれ違った特色を持っておりますので、一がいに申し上げるわけにはまいりませんけれども、この三件を通じて考えられますことは、これらの人々がいずれも常識的にいう小心と申しましょうか、普通の人より特にこのような事態を重要視し、またそれについて非常に深い悩みを持たれるというふうな性格、性向の方であるということが、一応通じた特性として申し上げることができると思います。したがいまして、取り締まり当局といたしましては、大ぜいの人を参考人、被疑者として取り調べをするわけでございますけれども、特に選挙違反というふうな、自分の供述で大ぜいの他人に非常な迷惑がかかるというふうな犯罪の類型でございますので、これらの事件処理するにあたりましては、念には念を入れて、その人の性格が、日常どういうふうな性格の人であるかというふうなことを、事前に十分に注意をいたし、配慮をいたしまして、そうして末端の取り調べをする捜査官に至るまで、その配慮を徹底せしめて、慎重な上にも慎重な配慮をするというふうなことが、特にこの種の事件を通じて強調されなければならない点ではなかろうかというふうに考えておりますし、最後の一般的な処置といたしましては、集めて協議をする際、あるいはいろいろの際に、必ず大臣訓示その他にも、自殺事故について絶無を期するように万端の配慮をしろということを、そのつどかんで砕いて徹底をせしめておりますけれども、今後もなおかつ御趣旨を体しまして、このようなことのないように注意をしてまいりたい、こう思っております。
  29. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣にお尋ねをいたします。  なお、大臣が途中で御退席になるようでございますので、松本委員の大臣に対する質疑に私の発言の順序を譲りまして、松本委員質疑あと、またあらためて私の質問を続行させていただきたい、こういうことをあらかじめお願いをしておきます。  そこで、先ほど今次総選挙及び統一地方選挙における違反特徴等について、刑事局長から詳細な御答弁をいただいたわけでございます。そこで、来年の参議院の選挙を控えております。そういうふうな状況の中において、法務大臣のいわゆる今次総選挙及び統一地方選挙を振り返っての公正な選挙、厳正かつ公平な取り締まりというふうな点について、どのように今後一段の配慮をせられるかどうかというふうな点について、ひとつお答えをいただきたい点が一点。  いま一点は、先ほど刑事局長のほうから御答弁のありましたいわゆる選挙取り締まり選挙取り調べにあたって自殺事故を生ずるというふうなことは、まことに残念なことですが、そのような点の防止について、これまた格段の配慮あってしかるべきと思いまするが、この点についての御見解を承りたい、こういうことでございます。
  30. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 第一点の、来年の参議院選挙を控えていかなる対策を講ずべきかという問題でございますが、私はこのたびの衆議院選挙が、前回のそれに比べてまず悪どい買収のみならず、違反案件全体についても五割ちょっとという程度にとどまった。それから地方選挙につきましては幾らかそうでもありませんが、それでも四年前に比べますると六割六、七分ということにとどまっております。この原因がどういう点にあったかを考えてみると、やはり共和製糖その他をめぐる政界の黒い霧、したがって、政界の粛正という綱紀粛正ムードが非常に高かったことが、おそらく最大の原因ではなかろうか、こういうふうに私は考えるのでございます。したがって、来年の選挙に際しましても、来年の選挙が明治百年で恩赦が行なわれるんだとか、恩赦が行なわれる場合においては選挙違反は当然にこれに含まれるべきものであるとかなんとかいうような、いろいろな考え方が出てまいりまして、綱紀弛緩という空気が醸成されてまいりますというと、また悪質の買収犯をめぐるいやな犯罪がふえてくる傾向になるのではなかろうか。これはたいへんおそるべき事柄であるということで、たいへん気にしておるわけでございます。まだ、総理にもお話はしておりませんが、法務省立場といたしましては、警察等、十分にこの関係官庁と連絡をとりまして、綱紀の振粛に全力をあげる、その振粛された綱紀振粛のムードのもとにおいて行なわれる参議院選挙というふうにこれを持ち込んでいきたいというふうに、いまから念願をいたしておるわけでございます。具体的にそういう方途を考えてみたい。  それから第二の点でございますが、これはもちろん取り調べを受けた人が、そういうおのれの命をおのれで縮めるというような結果となったということは、これはまことに残念なことであることは、先生お説のとおりでございます。こういうことのないようにしていかなければなりませんが、どうもわが国の制度のみならず、全世界どの国もこういうことをやっておるわけでございますが、人の犯罪を取り調べるのに拘束をする。拘束の必要のない者まで拘束するという傾向があるのですね。そこで拘束をいたしまして人を取り調べる結果は、もう留置場に入れられて身柄の拘束を受けた瞬間に、人生観が一変する。これは広い意味における拘禁症の一種でございましょう。私ども学生の時分には、ずいぶん留置をせられた。留置をせられたが、心臓が特別張りの心臓でございますから、一向びくともしないわけでございます。しかし、普通の人から申しますというと、この犯罪で拘禁症にかかりまして、人生観が一変する。もう心身は動転の心境になってしまうということになります結果、ついにすきを見て自殺をするに至るようなことがあり、家庭に帰される、あるいは逮捕の寸前に命を断つといったようなことが行なわれておる。そういうことの起こりませんように、これは甘いムードになってはいかぬのでありますが、いやしくも政治犯につきましてはでき得る限り拘束をせずに、現行法規のままでありますが、できるだけ拘束をしないで、公平な、公正な取り調べをやっていくようにしたい。警察においても検察においても、その態度をひとつとりたい。万やむを得ざる場合に関してのみ、身柄の拘束もやむを得ないということにしていくべきものではなかろうか。いやしくも日本の警察、検察の取り扱います事件については、おことばのありましたような自殺事件の起こる余地のないようにひとつ心して、しかし、公正にして厳格な取り締まりをやっていきたい、こういう心持ちでございます。
  31. 中谷鉄也

    中谷委員 いま一点だけ大臣にお尋ねをしておきます。  冒頭に申し上げましたように、法務委員会の本国会における最初横山委員のほうから選挙取り締まりについてのお尋ねをいたしました。最終日の法務委員会に、私のほうから再び選挙取り締まり、公正な選挙の実施という問題についてお尋ねしているわけでございますが、そこで念のためにお尋ねをいたしておきますけれども、大臣の御答弁としてはいわゆる明治百年という時期に来年はぶつかるのだけれども、大臣すでにお話があったと思いまするけれども、明治百年を迎えたからといって、選挙違反についての恩赦、特赦等については考えていないということについて、あらためて御答弁いただけるのかどうか。この点が一点でございます。  いま一つは、先ほど大臣あるいは刑事局長から御答弁がありましたように、今次総選挙及び統一地方選挙は、選挙違反の数が減少した、それは国民の政治意識の向上であり、特に黒い霧などといわれたところの政界を浄化しようとする国民一つの勝利であった、こういうふうに私は考えておるわけであります。ところが、この最終日に、感慨なきを得ませんけれども、政治資金規正法が成立しないという運命に見舞われておる。再び国民の中に、政治に対する不信というものが芽ばえたら、これはたいへんなことになる。松本委員質問を控えておりますので簡単でけっこうですけれども、政治資金規正法が本国会において成立しなかったという点についての、これは直接の御担当ではございませんけれども、ひとつ大臣の御所見を承っておきたい。
  32. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 第一の、恩赦をやるのかやらぬのかという問題につきましては、たいへん影響するところが甚大であると思います。私をとらえて廊下で、恩赦があるのか、どういう状況かといってお聞きになる人の数はおびただしい数でございます。そこで、この際明瞭に申し上げておきますが、明治百年で恩赦をやるのかやらぬのかということは、全く見当がついておらぬ、そういうことでございますので、全くこれは未定の問題である、そういうふうにお聞き取りをいただきたいと思います。  それからさらに、政治資金規正法の問題は、私の閣僚の一人としての希望でございます。政府の方針ではございませんが、私は、この政治資金規正法というものは、政界浄化に多大の効力を持つものである、力のあるものである、こう考えますので、この政府原案は、国会最終日に至りまして、今日これを申し上げるわけでありますから、もし困難な場合においても、ぜひ継続審査の形式をとっていただいて、そして次の臨時国会もしくは通常国会において、引き続き慎重審議をいただきたい、廃案にしてもらいたくはないという切なる希望を持っておるわけでございます。
  33. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣は、今度の国会召集後御出張になったときの記者会見で、選挙違反についての恩赦は明治百年について考えていないんだということを明確に談話発表せられた私、記憶がありますが、そうすると、いまのお話は選挙違反を含めて、明治百年の恩赦については未定であるという趣旨なのか。それとも前回選挙違反については恩赦をしないのだとおっしゃった談話と食い違ってきているのか。もし、食い違ったということになると、これはまた世論の批判を受けざるを得ないと思うのです。いかがでしょうか。
  34. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 どこか旅行先の記者会見で、恩赦をやるのか、やらないのか。やるとすると、選挙違反はどうなるのかということを聞かれたので、私は、一つの人間の癖でありますが、思っておることはみな言うという趣旨になっておる。しかしながら、そうもまいりませんので、そこで、そのことばは取り消しをいたしませんが、いやしくも重大な影響のある恩赦があるかないかということが未定であるのにかかわらず、未定だということをみずから言っておきながら、未確定な仮定の質問に対してお答えをするということで、世間の皆さまに重大な心理的影響を与えるということは慎しまなければならない。こういうふうな反省なのであります。恩赦をやるといたしますならば、政治犯を除いた恩赦ということはちょっと考えられない。恩赦をやるかやらぬかについては、未確定な場合において、いろいろな自分の見解を述べるべきものでない。仮定に立っての見解は述べるべきものでない。恩赦をやるのかやらぬのか、きまっておるのかおらぬのか、見通しはどうかというのは、全く五里霧中でございます。
  35. 中谷鉄也

    中谷委員 前回の記者会見におけるお話しは、恩赦がかりにあったとしても、交通違反選挙違反については恩赦をしないのだという趣旨に報道されていたわけです。私はやはり未定であるということは認めます。ただしかし、国会当初におけるころの——国会における御答弁ではございませんけれども、談話と、国会もいよいよあと何時間かで閉会になるというこの段階におけるお話とが、食い違ってくるということになると、国民の中に、恩赦があるのかなあという期待を持つ人のほうがかなり多いと思う。ことに選挙違反についての——私も非常に微妙な問題だと思いますから、これ以上は申し上げませんけれども、未定なものであるなら、大臣の、選挙違反についてはこういうことでありたいというお気持は、少なくとも前の記者会見と違うような談話というか、御答弁があるということは、私はやはり政界浄化というか、公正な選挙という観点に立って質問をしているわけで、そのことによってそういう質問の中から、何か選挙違反の裁判を受けている人たちが、未定だというのは、あるかもしれないということだ。私は、選挙の公正な取り締まりという点について、影響を与えるところが大きいと思うのです。いまのお答えどおりでよろしいのでしょうか。どうですか。
  36. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 いまの答えどおりでいいです。重大なる影響を与えるものと考えるので、あるともないとも言わない。あるかもしれない。ないかもしれない。すべては未定である。しかし、ある場合においてはどうかということの質問に対する答えを、一応旅行先でいたしましたけれども、そういう軽い答えはすべきものでない。あるかないかわからないのだということ以上の答えはしないということであります。たいへんはっきりしております。
  37. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣、お尋ねしますけれども、私がいま突然そういうことをお聞きしてそういう御答弁であれば、それで私はいいと思うのですが、前の御出張されたときの談話は、選挙違反についての恩赦はしたくないのだ、しないのだという趣旨の談話として報道されたわけです。それが、いよいよあと何時間かで国会が閉会になるというこの機会に、未定なんですするともしないとも、ということになれば、これは一歩の後退なんですね。選挙の公正な取り締まり——選挙などについては恩赦をしないのだ、要するにそういう違反をしたものについては、厳正な処罰があるのだという前提に立った場合には、前の談話と本日の御答弁との間には、食い違いがあるわけです。食い違いを認められた上で、それでいいのだということであれば、それ以上何も申しませんが、そういうことであるとするならば、政治資金規正法の運命ともからんでお考えがお変わりになったのかなあという感じがする、こう申し上げておるわけなんです。
  38. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 考えが変わっておるとかおらないとか、仮定のもとに立った軽い話をなすべきものでない。だんだん参議院選挙も近くなりつつあるから、政府を代表する大臣の発言というものは厳格でなければいかぬ。やるとか、やらぬとか言えば、何か恩赦があるようになる。それはあなた、聞きようなんです。いま仮定のもとにおいての話をいたしますと、聞きようによっては、あるとかないとか、皆さん御自由に御想像できることになる。仮定のもとにおける発言はやらないのだ。あるかもしれない、ないかもしれない。わからないのだ。これは未確定でございます。政府全体が決定をすべき事柄で、こっちは言うべきでない。これははっきりいたしておりますわけで、これ以上のことは今後言わない。廊下でもそのとおり言って歩いておりまして、それ以上は言わないこととなっております。
  39. 中谷鉄也

    中谷委員 法務委員会においても、この問題についての片鱗が出たことは、大臣、御記憶ございますね。ここへすわっておられた高橋委員のほうから、大臣、いまのようなことをおっしゃってよろしいのですかという御発言がございましたね。それは何かというと、大臣は恩赦についてはやりたくないのだという趣旨のお話をされた。私は、大臣の腹まで割ってお聞きしようというのではないのですが、先ほどから、微妙な問題だから、委員会での発言の食い違いというふうなことになってくると、これは会議録から全部調べ直さなければならないという点もありますので、その問題については、私、指摘しなかったのです。大臣、思い出していただけるでしょうか。特に与党の委員の方が立って、大臣、そこまではっきり言われていいのですか、影響が大きいですよ、と言われた。いま、大臣は影響が大きいからとおっしゃったけれども、前にそういう趣旨の発言をしておられる。だから私は、断定的ではないけれども、微妙に変化したことについて国民の批判が起こる可能性は私は十分にありますぞということを申し上げざるを得ないのです。もう一度御整理していただけるなら整理して御答弁いただきたいと思います。
  40. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 食い違いということをいまおっしゃいますが、食い違っておるという対象がないのですね。食い違っているといっても、それは私がいまあらためて前回お話ししたことを否定するとか、反対の表現をするとかいうことなら、おまえの言うことは食い違っておるではないか、速記録を調べて究明をしようじゃないかということになる。いま私の言うておることは、言及をしないのです。未確定だということ以外に言及しない、何と仰せになってもそれは言及しない。大事なことで、いま先生お説のごとく、影響するところが大きいということでありますから、したがって、だんだん参議院選挙も近づいてきておることである、重大なことであるから、一切その点については仮定のことに言及することはしない、政府全体として決定する時期をお待ちを願いたい、こういうことでございます。
  41. 大坪保雄

    大坪委員長 松本善明君。
  42. 松本善明

    松本(善)委員 法務大臣に所見を伺いたいと思います。法務大臣には人権の擁護について重要な職責があることは言うまでもありませんけれども、この点についての一般的な所信をちょっと伺いたいわけです。  法務大臣はもうお忘れになっているかどうかわかりませんが、昭和二十七年ころに「憲法の心」という本を書かれた中で、いまの憲法を非常にほめておられます。それから人権の保障について非常に多くのページをさいて、日本国憲法の人権保障は、他国の憲法には類例を見ないほど詳細であるというふうにたたえておられる。きょう私、法務大臣に聞こうと思いますのは、思想や良心の自由、言論、集会、結社の自由というものについての問題です。これは社会の進歩のためには欠くことのできないものですね。地動説を唱えて罰せられたガリレオの例を引くまでもなく、これは初めは少数であっても、あるいは一人であっても、真理は多数の人の支持を得ていくという歴史上の幾つもの例があると思います。そういう意味で思想、良心、それから言論、集会、結社の自由というのは、非常に大事な人権であると思いますが、法務大臣は、この人権擁護の仕事を法務省として進めていくについて、どういう所信を持っているかということを初めにお聞きしたいと思います。
  43. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 お説の思想、良心、言論、集会、結社の自由というものを守りますためには、最善を尽くして努力いたしまして、全世界に類例を見ない日本の人権擁護趣旨をぜひ徹底していきたい、あらゆる努力をしてみたい、こう考えております。
  44. 松本善明

    松本(善)委員 特にこの法務委員会で私はこのことを問題にいたしますのは、にもかかわらずこの思想あるいは良心、信条に対する自由というのがいろいろな形で侵害をされている事例が幾つもあるわけなんです。そのことを例をあげながら話をして、法務大臣の所見を伺いたいと思いますが、特にそれが労働者の中で非常にひどいわけであります。たとえば近代産業の花形といわれるナショナルの松下電工というところで、橋本邦久君という労働者が首を切られた事件があります。私はこれを六月に大阪へ行って直接調べてもきたわけでありますけれども、それによりますと、この橋本君というのは昭和三十四年以来松下電工の本社照明事業部に働いておったのですけれども、昨年五月ごろ会社の中で休憩時間の間に地域の市民館を無料で開放してほしいという署名を集めたことが、会社の就業規則違反だということで始末書をとられた。その問題と前後をして、この橋本君というのが日本民主青年同盟員であるということを会社のほうの人がつかんで、この民青同盟というのをやめろ、あるいは思想転向しろ、そうでなければ会社をやめるかどっちかなんだ、こういうような圧力をかける、あるいは父母あるいは義兄、こういうふうなところまで、親戚まで圧力をかけて説得する、こういうふうなことが起こりました。  一週間以上にわたった会社のこういう攻撃と、母であるとか義兄を通じての圧力で、とうとう橋本君は思想転向を会社に申し入れるということになった。会社がいうままに始末書を書いて、日付の入っていない退職願いを書くことになりました。会社のほうではこの弱みにつけ込んで、自宅待機中の橋本君に、あさって大阪から九州の営業所に転勤しろ、こういう命令を出した。それで、橋本君はこの仕打ちに憤って、転向を認めたというのは間違いであったといって、転勤命令を拒否をして、本社に毎日出勤をする、そうして撤回を要求する、こういうことになったわけです。  会社は、この転勤命令を拒否したということで懲戒解雇にしましたけれども、これは大阪地裁の仮処分の決定で、解雇が無効だというわけです。これまでの経過や、始末書、誓約書をとったという点で、常識的に見ても思想による差別待遇と見られるということで、仮処分決定が出たのです。  ところが、このあとも橋本君を一室に軟禁して、便所へ行く以外には出さぬ。プレハブの住宅に入れて、ここにおれ、仕事は何にも与えない、便所に行く以外には出さぬ、こういうケースが起こっておるわけです。これは驚くべきことであります。私はそれでこの会社にいろいろ聞きましたら、人事課長もこの事件で、その人の直接上長の大島という人のやった思想的差別であるとか圧迫というものは間違っておるということを、不当なやり方であることを認めざるを得ませんでした、私と直接話をしている中で。  それから、この会社では就業規則で業務外の集会だとか演説だとか放送、各種の印刷物の配布、掲示、署名運動を判限しておる、政治活動も禁止しておる。それだけじゃなくて、会社の外で、社員の自宅やその付近での政治活動や署名活動、これも禁止しておる。これに反する場合には懲戒解雇をする、こういうように実に驚くべきことがナショナルという、松下電工というようなところで行なわれておるわけです。会社は、この就業規則も問題があるということで、検討するということを私に約束せざるを得ませんでしたけれども、こういうようなことが例をあげれば幾つも幾つもあるのですけれども、法務大臣、こういうことを聞かれて、先ほどの所信に従って、この労働者の中での思想や信条の自由を守るというために、法務省としてはどういうことをするか、あるいはいまの事件についての見解を伺いたい思います。
  45. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、思想、良心、言論、集会、結社、出版その他の憲法で規定しております自由というものは、憲法の真精神にのっとって、政治をいたします者は特に最善を尽くして国民の人権を守っていかなければならない、あらゆることを排除していかなければならない、こういう抽象的な答えはいまの御質問に対してできるわけです。そうすると、松下電工云々の事件については、その原則に照らしてどう思うのかということになりますと、いま少し詳細なことを、事件そのものを手に取ってみませんとことばが出てこぬわけです。それは私はいま初めて承ることでありまして、事務当局は詳細を存じておるのかとも存じますが、一応この原則は私の言うことを事務当局はそのまま右へならえをしなければ憲法違反でございます。この大精神はそのとおりといたしまして、さて具体的な松下電工なるものの事件というものについては、その事件内容にのっとってこうである、ああであるという意見を事務当局から一応説明させていただきます。
  46. 堀内恒雄

    ○堀内政府委員 松下電工会社におきます橋本さんという方の事件でありますが、これは現在大阪法務局におきまして調査中でございまして、まだ調査が最後まで終わっておりませんので、結論的なことは申し上げられませんけれども、大阪からの報告によりますと、ただいま御質問のありました橋本さんという方を軟禁しておるかどうかという点でありますが、これは現在会社内のプレハブの一むねを与えられておりまして、社内待機を命ぜられておる。建物の出入りその他の行動は自由でありまして、右の建物の設備の状態等から見まして、現在の状態で軟禁とはいえないのじゃなかろうか、こういうただいまの状態になっております。  なお、思想上の転向を迫ったというような点でありますが、この点はまだ調査が行き届いておりませんで、なお引き続き調査中でございます。
  47. 松本善明

    松本(善)委員 さらに調査をした上で、先ほど言われた趣旨が徹底されるようにしていただきたいと思います。  さらにお聞きしますが、こういう事例が非常に多くあるのでお聞きしたいのです。か、労働者の中で、日本共産党の機関紙であります「アカハタ」を配ったことを理由に解雇をするということが起こっておる。これについて、法務大臣、こういうことを是認されますか。
  48. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 言論、出版、全く自由の国であり、そういう憲法下でございますから、「アカハタ」を配ったから、何々新聞を配ったから、それによって身上に影響するような処置を受けるということはあるべきことではない、こう考えます。
  49. 松本善明

    松本(善)委員 これもやはりありまして、さらに調査をしてしかるべく処置をしてもらいたいと思いますが、興国化学というところで、山田という労働者が「アカハタ」を同僚に配ったことを理由に、はっきり解雇理由の中に入れて解雇されておる。その言い分は、当社はベトナム特需のジャングルシューズをつくっている、ベトナム特需に反対を主張している「アカハタ」を配布すると、会社の従業員の士気にかかわる。こういうことになると、「社会新報」にしても当然に解雇の理由になるかと思います。こういうような解雇が実際に行なわれておるわけです。この点について、こういう関係での人権の擁護のために、いまの話をした上で、法務大臣、どういうふうに今後していかれるか、所信を伺いたいと思います。
  50. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 調査をいたします。そういう明白な人権問題がそこにあるということでありますれば、調査をいたしまして善処をいたします。
  51. 松本善明

    松本(善)委員 さらにもう一つ申し上げますと、これは裁判でも相当出ているのですけれども、共産党員で、昭和三十六年以来、富士通信機というところでありますけれども、県誠而君という労働者が、入社の際に共産党員であったということを隠したという理由で解雇された。これは、憲法十四条、労働基準法三条違反だということで、解雇無効の判決があったわけであります。  いま例を申し上げましたのは三つでありますけれども、労働者が共産党員であるとか、あるいは身分を隠したり、「アカハタ」を配布したり、署名運動をしたりということを理由に、差別あるいは処分というようなことが相当行なわれておる。法務大臣の初めに言われた一般原則、全くそのとおりで賛成でありますが、実際にこれが行なわれていない。特に労働者について申しますならば、もうすでに六〇%近い人が労働者であります。法務大臣の着ておられる服にいたしましても、そこの机にしても、このNHKのマイクにしましても、全部労働者のつくったものです。労働者の中でこういう基本的な人権がほんとうに尊重されるというようなことにならなければならないというふうに、日本の社会の進歩のために心から思うわけですけれども法務省としては、いままでのような状態ではちょっと一掃できないのじゃないかと思います。単に調査をするというだけでなくて、一般的に思想や信条の自由という問題について、啓蒙でありますとか、宣伝であるとか、そういうことについていま一段と努力をしなければならないのじゃないかと思いますけれども、法務大臣、その点についての所見を伺いたい。
  52. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 わが国憲法は、世界で類例のないりっぱな憲法である、局部的ですけれどもね。そこで、いやしくも人権擁護については、世界に類例のないほどりっぱだと私たちは思っておるのでありますが、その意味の思想の自由とはどういう内容を持ったものかというと、あらゆる思想を持つことの自由、それは当然なことです。かつて自分が抱いたことのある思想、現に抱いておる思想、将来考えようとしておる思想、そういう思想を、人に知られないように、自分みずからの心中に深く蔵してこれを伏せておくということの自由も、思想の自由には含まれておるわけであります。いかなる思想を信ずるかは自由であって、その思想を人に言わなければならない義務はない、言わざる自由があるのだ、これは信教の自由というものにも通ずる内容のものでございます。そういう点から申しますと、かりに就職の際に共産党に加入をしておった、あるいは無政府主義者であった、そういう論文を書いたことがあるというようなことをすべて伏せたといたしましても、その会社が採用する目的は労働の価値を認めて採用をしたのでありますから、その人物の労働価値の認定を左右するような重要な要素にならない限りは、それによって首を切るとか、左遷をするとかなんとかいうようなことはすべて許すべきものでない。かりにそれを許すならば、そのこと自体が憲法違反となるわけであります。そういうことは許すべきものでない、こう考えるので、ひとつそういう内容にしっかり立ちまして、この人権擁護というものをやっていきたい、こう考えております。
  53. 松本善明

    松本(善)委員 これはわが国には非常に重要な歴史もあるわけです。たとえば徳川時代にはキリスト教徒が弾圧をされたこともありますし、太平洋戦争前夜には共産主義者がまず弾圧をされ、言論、集会、結社の自由が奪われていった経験もあります。朝鮮戦争のときには、法務大臣を前にして、あるいは多少気にさわるかもしれませんが、あなたの閣僚の、当時の増田官房長官は、松川事件は共産党がやったのだということを事件直後に言われた。しかし、いまではそういうことは全くないということが明らかになっておりますし、反共というのは戦争の前夜である、これはいままでの日本の歴史を見ましても明らかだと思います。それがいまのような形で、法務大臣のここでの言明では、たいへんりっぱな言明でありますけれども、実際には、非常に反共のための差別待遇というものが起こっておるわけです。特に労働者の中でひどい。これをやはりほんとうに戦争を防ぐ、戦争に反対をするという立場から見るならば、こういう思想の自由、言論の自由をもっともっと——いま相当はっきり法務大臣言われましたけれども、実際にそれが保障されるような人権擁護局の事業の拡充、あるいはその行政事務についての特段の改善が必要であるかと思います。最後でありますけれども、法務大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  54. 田中伊三次

    ○田中国務大臣 十分注意いたしまして、憲法の精神にのっとり、人権擁護に最善を尽くしていきたいと思います。
  55. 中谷鉄也

    中谷委員 では、質問を続けます。  いわゆる百日裁判該当事件でございますね。要するに、百日のうちに第一審判決が終わらなければならぬ、でございましたか、その該当事件でございますが、これはどの程度裁判所に係属しておるでございましょうか、お答えをいただきたいと思います。
  56. 川井英良

    川井政府委員 いつかこのことについて御質問を受けて、あとで調べて御報告するというお約束をした案件でございますが、本年の六月一日現在で調べましたところ、現在係属中の事件は合計百六十二件ございます。その内訳でございますが、市区町村議員候補者が六十九名で、一番多いわけでございまして、そのほかは出納責任者十七名、あるいは都道府県議員が十五名、市町村長十四名というふうなものがおもなものでございまして、国会議員の該当者はございません。
  57. 中谷鉄也

    中谷委員 百六十二件のいわゆる百日裁判該当事件が、この法の趣旨に基づいて、現在どのような訴訟の進行状態にあるか。要するに、百日以内に御判決とまではいかなくても、求刑の段階、要するに、弁論終結の段階まで持ち込めるというふうな件数があるのかどうか、いかがでございましょうか。
  58. 川井英良

    川井政府委員 従来の実績によりますと、およそ百日で、ただいま御指摘になったような段階まで持ち込んだものはほとんどございません。これが実情でございます。  ただ、この百日裁判が、今国会が始まる冒頭におきまして、政治資金規正法と並んで、選挙制度審議会あたりで非常に大きく取り上げられ、また一般に認識が喚起されました背景を受けまして、今度の総選挙、主として市町村議会議程度のものでございますけれども、ごく最近、一、二件私の手元に報告が参りました中に、判決まで百日以内、九十何日で済んだという報告が来ているのがございますが、まだ非常にわずかな数でございますので、確定的なことは申し上げられませんけれども、注目される現象だと思います。
  59. 中谷鉄也

    中谷委員 当選無効訴訟の運用状況は、一体どういうことになっておるかということを、最高裁のほうからひとつ簡単にお答えいただきたいと思います。
  60. 菅野啓蔵

    ○菅野最高裁判所長官代理者 実は、選挙無効のものと当選無効のものと両方の統計になっておりますが……。
  61. 中谷鉄也

    中谷委員 それでけっこうです。
  62. 菅野啓蔵

    ○菅野最高裁判所長官代理者 これは刑事事件に比べますと、選挙関係の民事訴訟というものは、ずっと少ないのでございまして、たとえて申しますと、三十五年は三十七件、三十六年が十八件、三十七年が二十件、三十八年は前回選挙のありました年で、六十七件、三十九年が二十四件、四十年が二十四件、四十一年が三十七件というような数になっておるのでございますが、ただいま係属中の事件、すなわち未済事件というものは十一件でございます。  そういうわけでございまして、数の上ではそれほどの事件数ではないわけでございます。ただ、民事の選挙事件につきましては、やはり百日の制限というものがあるわけでございます。  ところで、百日以内にこれらの事件というものが処理されておらないということは、はなはだ残念なことでございます。これを統計の上で見ますと、三十八年から四十一年までの間に、判決が九十六件ございました。そのうち百日以内で一審の判決がありましたものが十二件、一二・五%ということになります。六カ月以内が十三件、一二・六%、一年以内が二十五件、二六%、一年六カ月以内が十九件、一九・八%、一年六カ月をこえるものが二十七件、二八%ということになっておりまして、概してみますと、まあ普通の民事事件というのは十二カ月ないし十三カ月という、平均が出ております。  選挙事件は、ただいまのところ平均してみますと、一年をやや下回るのではないかというふうに見ておりますので、選挙事件はなかなか困難な民事事件でございますけれども裁判所といたしましては、この事件の特殊性、重要性にかんがみまして、非常に努力するとともに、審理の方法を研究いたしまして、法律どおりにできていないのははなはだ残念でありますけれども、せっかく努力いたしておることは申し上げられると思います。
  63. 中谷鉄也

    中谷委員 次は、再質問いたしません、一括してお尋ねいたしますから、お答をいただきたいと思います。  これはお尋ねする問題が変わるわけですけれども、東京地方裁判所が、いわゆる刑事第七部津田裁判長が、東京農大のワンダーフォーゲル事件について次のような判示をしておられるわけです。「「考える愛のあるワンダーフォーゲル」への脱皮が切に望まれるところである。すべての訓練は段階的に行われるのが本則であり、一挙に高きを望むべきではない。」いわゆる東京農大事件では「新人部員の運動歴、体力、健康状態を詳しく知ることなくして一率なる訓練を施し、結果が思わしくない場合には気力を欠くとして暴力を加えたのであるが、上級生部員は特定の新人に終始留意していないので、新人の状態の観察に一貫性が欠けており、又自らは軽いサブザックを携行しているだけである為に新人の疲労を自らの皮膚より感ずるということがない。」云々と、こういうふうな判示で、学生の気持ち、それからあり方、あるいはまたワンダーフォーゲル、スポーツについての理解を非常に示した判示であると私は拝見したわけです。  名前は学生のことですので、御答弁の中でも指摘していただかなくともけっこうでけれども、去る十四日、福岡大学山岳部というのが非常に残念な事故を起こしておるようでございます。要するに、この事故というのは、部員に対してそのからだをけったり、ピッケルで腰の部分をたたいたりしておった。そういうふうな状態を見るに見かねた、常駐している県の遭対協——遭難対策協議会とでも申すのでしょうか、そこの隊員の人がリーダーに注意した。そうしたら、今度は逆に、こんなことは学校のシステムでは当然のことだ、よけいなお世話だというような暴言を吐いて、隊員の三名の人に対してピッケルで欧打する等の暴行を加えたというふうな事実関係のことが報道されておるわけです。  そこで、文部省の方はおいでいただいておると思いますので、ひとつスポーツ課長さんのほうからお答えいただきたいのでございますけれども、要するに、この問題の一つの側面は、スポーツといいますか、そういうふうな訓練、しごきなどといわれているその訓練の限界を一体どこに求めるかというのが第一点でございます。  いま一つは、救助隊員にこういうふうな暴行を加えるというようなことは、私はすべていかぬということば以外に言いようがないことなんですけれども、こういう点について、学生課長さんおいででしたら、学生課長さんのほうからひとつ同じく御答弁いただきたい。  いま一点は、警察庁刑事局長さん、それからもしよろしければ、法務省刑事局長さんからお答えいただきたいと思うのですけれども、この機会人権擁護という観点から、訓練というものについて、いろいろな見方、いろいろな考え方があると思いますけれども、訓練あるいはしごきというふうなものの限界は一体どこに求めるのかという点について、それぞれ御答弁いただけたら幸いと私は思います。ことに夏休みにも入りまして、学生諸君が山岳部に、あるいは水泳部に、あるいは陸上競技部というふうなことで、大いに訓練をしてもらわなければいかぬ。だからといって、訓練の行き過ぎというようなことがあってはいけない。どこに限界を求めるかという点についてお答えをいただきたい。  同時にこの機会に、谷川岳につきましては群馬県谷川岳遭難防止条例というものが施行されております。この条例施行によりまして、実績がどの程度上がっているのだろうかということを、警察庁関係の方おられましたら、ひとつ御答弁をいただきたい。若い青年の人たちが、高い山にいどむということはまことに私けっこうなことだと思うし、山岳部というものは、まさにそのようなものだろうと思うのですけれでも、そのことによって将来ある青年の人たちが、命を失うというようなことがないようにということでこの条例は私は制定されたと思うのです。そういうような点で、このような条例について、今後警察庁としてはこんな条例が各県各県ごとに制定されることをお望みになっておられるかどうか、そういうことを希望しておられるかどうかというような点について、ひとつお答えをいただければ幸いだと思います。同僚委員質疑が残っておりますので、再質問をしないということでまとめてお尋ねしますから、適切な御答弁をいただきたいと思います。
  64. 松島茂善

    ○松島説明員 いまお話がございましたように、訓練の原則は、本人の体力や能力に即して適切なトレーニングがなされなければいけないと思います。登山活動は、学校のいわば課外教育活動でございまして、学生の自主的な活動を尊重しなければならないと思いますが、従来、ややもすればその面の指導が徹底しないうらみがあったのではないかと思います。学生の自主性を尊重するあまり、若干放任されたものもあったのではないかと思いますので、今度一そうこの点に対する指導を強化するように指導してまいりたいと思います。
  65. 石川智亮

    ○石川説明員 四十年の五月に、例のワンダーフォーゲル事件が起こりまして、四十年六月三日付で文部事務次官名で国公私立全部の大学あてに、課外活動について不祥事件が起きないように指導の徹底をはかってもらいたいという趣旨の通達を出しました。いま御指摘がございましたような工科大学の事件が出まして、学生の仕事をしております者といたしまして非常に残念でなりません。申すまでもなく、学生の課外活動と申しますと、どうありましても大学の教育の一環として、人間形成に資するということが基本的な問題でございまして、学生を指導する大学側のいわゆる指導の体制の強化と、それから自発的に活動する学生の自覚の問題が、非常に大きい問題でございますので、今後とも私たちそういった形のものを、何かの機会をとらえてもさらに一そう強めてまいりたいというふうに考えております。
  66. 内海倫

    内海政府委員 警察なり法務省なりの立場は、これは犯罪という観点で見ますので、こういうふうなものも、私どもから言わせれば、刑法に規定する肉体あるいは精神に対して、危害その他が与えられるというふうなものは、もはや当然犯罪になるわけでございます。しかし、それを限界とするところまでということでは、これはいささか妥当ではないと思います。いま文部省の課長の皆さんが答えられましたように、やはり学生らしいスポーツの範囲内、これはやはり一方においては良識において判断しなければならないと考えますし、他方において、学校当局のそういうことについての指導基準というものの限界ということではなかろうか、かように考えます。
  67. 今竹義一

    ○今竹政府委員 お説のとおり、この登山の規制につきまして、富山県と群馬県にそれぞれ条例があるわけでございますけれども、私ども登山というスポーツのようなことにつきましては、やはりそういう県の民生といいますか、スポーツ所管の場面の行政の問題で、警察としましては遭難があった場合の救助、こういうふうな問題を考えておるわけでございますが、それもこういうスポーツのようなことについての規制というものは、万やむを得ない場合にのみ行なうべきものであって、通常こういう条例のようなものをもって規制すべきことではなくて、いろいろ広報活動等によって登山者の自覚、自省によって規制すべきものである、かように考えておりまして、必ずしもこの種条例をほかの県でもつくったらどうかというようなふうに指導する考えは持っておりません。
  68. 大坪保雄

    大坪委員長 沖本泰幸君。
  69. 沖本泰幸

    沖本委員 きのう報道されましたのですが、房総西線の爆破事件について、いろいろな点についてお伺いいたしたいと思います。昨日の質問では、時間があまりありませんでしたので、こちらがお伺いしたいという点に触れられなかったものですから、あらためて御質問いたします。  警察庁の方にお伺いしたいのですが、現在までわかりました事件内容、きのうの新聞からきょうに至るまでは、新たにパチンコ店にダイナマイトをしかけたということが一部報道されたわけですけれども、その後新しい事実がありますか。またこういう事件では、犯人の逮捕が一番の予防になる、こういう点にあるわけですけれども、そういう点に関しまして、お調べになりました内容でわかります点について御説明いただきたいと思います。
  70. 内海倫

    内海政府委員 房総西線の爆破事件につきましては、すでに新聞などで千葉の警察から発表しました程度かなり詳細に出ております。したがって、御存じの点が多いと思いますが、かいつまんで御説明を申し上げておきたいと思います。  事件の概要はこれを省略いたしますが、これを行ないました犯人の状態、それからどういう動機でこういうことをやったのかというような点を申し上げたいと思います。犯人二人を検挙いたしました。二人とも十七歳の少年でございまして、高知県の生まれの少年でございます。当時千葉県のさる建設会社に、何といいますか、日雇いのような形で勤務をしておった土工でございます。たまたま一カ月ほど勤務をしましたが、もうくにに帰ろうということで、まとまった金を、前借りじゃなくて給料の支払いを受けまして、それを待って出たわけです。一晩宿屋に泊っております。そうして、これは本人たちの自供の中から取り上げて申し上げるわけですが、金もうけをしたい、あわせてびっくりするようなことをしたいということで、列車爆破を決意したようでございます。たまたまそういう建設会社につとめておりましたので、爆薬の使用も若干は見知っておる。またそれを保管しておる倉庫も知っておるということで、その倉庫に参りましてカーリット、それから雷管あるいはその他の爆発に要するものを盗み、それを持ち出して事件当日の深夜十三日の十一時過ぎに線路の下に二カ所にしかけまして、本人たちはちょうど列車が通るときに爆発するつもりで点火したようですが、幸いに列車通過後に爆発した、こういうことで事故は免れたわけです。本人たちがこういう犯罪を犯そうとした動機は、先ほど申しましたようなことで、汽車がひっくり返れば、あるいはその乗っておるお客から金などを盗むことができるかもしれないと、いささか狂った、また子供らしい考え方だと思います。  なおこのほかに、爆発はしなかったようでありますが、ある建物にこれをしかけ、やはり同様に金を取ろうとする意図があったようでございます。  この犯人の逮捕は、一人のほうはトランジスタラジオを盗みまして、それを捜査警察官が逮捕したものであり、それを調べておる間に爆破の事実を自供するに至りました。もう一人のほうは逃げておりましたが、高知県で逮捕いたしました。現在さらに詳細に取り調べ中でございますが、いままで公表いたしております点は、以上申し上げたようなことでございます。
  71. 沖本泰幸

    沖本委員 この少年たちは、山陽電鉄の爆破のことに関して、何ら心の動きに関連性というものは見当たらなかったのでしょうか。
  72. 内海倫

    内海政府委員 目下取り調べ中でありますので、まだそういう点、どういうふうな自供をいたしておりますか、私、報告を聞いておりません。
  73. 沖本泰幸

    沖本委員 まだ通産省の方が見えておりませんので、少年の非行の問題に関してお伺いしたいわけですが、新聞を読みますと二十七、八日間この工事場で働いておって、その後つまらなくなったからというので二人のうちの一人がいなかへ帰ろう、こういうことから始まったわけですけれども、同じような動機で、つまらなくなった、仕事がおもしろくないということでいろいろな事件が起きております。  たとえて言うならば、六月二十八日の記事に、スナックバーを根城にして非行少年のグループが八十件の犯罪を犯した。その中で、三十九人の中で、二十六人の子供が職を持っておった、こういうことがあります。これもまじめに、働いても幾らにもならず、ばからしいということから始まっておりますし、五月二十一日のサンデー毎日によりますと、これは投書なんですが、「警視庁で上野、東京、新宿の三つの駅で家出少年の保護と補導を行なったところ、十日間の補導期間中に、家出して保護された者が百五十人余もあった。そのなかに、集団就職でこの春地方から上京して就職した少年で、職場を離脱して家出した者が、実に六十二人もいたという。これらの少年たちは、いずれも大きな夢と希望を持って集団就職したが、実際の雇用条件が就職前の話と、あまりにも差があったため、幻滅を感じて、職場を離脱したという。少年の受けた衝撃を思うと、私は悪質な雇用主に激しい憤りを覚える。それにしても、なぜ地元の職安や学校は紹介する前に、一度係員が上京し、実地にその紹介先を詳細に調査し、提示された条件どおりかいなかを、その目で確かめ」ないのか。こういう点、最近おとなの、ずるさが子供たちをこういう非行に持っていくような場合が非常に多い、こういうことなんですが、集団就職で子供が非行化していっているというような内容について、法務省のほうではどういう資料をお持ちなんでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。
  74. 安田道夫

    ○安田説明員 勤労少年による非行ないし犯罪の状況につきまして簡単に申し上げますと、最初統計的に申し上げたいと思いますが、最近は学生生徒による非行の増加ということがきわめて強く指摘されております。確かに職を持っております少年による犯罪の率は、前に比べまして下がっております。刑法犯を犯した少年の中で職を持っております少年の占める率は、十年前の昭和三十一年当時は約四〇%くらいでございましたが、昭和四十一年におきましてはそれが三七%ということでやや減少しておるわけでございます。しかし、これはいま申しましたように、学生生徒の占める率が増加したことによる相対的な現象でございまして、その絶対数から見ますと、やはりこれは大きく増加しておるわけでございます。すなわち、昭和三十一年にはいわゆる職を持っておる少年で刑法犯を犯した者は約五万人でございましたけれども、それが昭和四十一年におきましては約七割増の八万六千名という数字になっておるわけでございます。一応、勤労少年による犯罪の状況はそのようなことでございますが、なおこの勤労少年のうち、いわゆる集団就職というもので問題になっております少年が何ほど占めておるかということについては、現在のところデータがございませんので、目下そういう面についての調査が行なわれておる段階でございます。
  75. 沖本泰幸

    沖本委員 この犯罪を見ますと、動機は全くいま御説明があったとおりに非常に簡単な動機で、少年らしいとおっしゃるわけなんですが、やることはとんでもないことになっているわけで、ちょうど子供が台所のマッチを持って、そこらの紙に火をつけて火事になってもわからない、現在だけを見て将来に起きる問題に対して全然思考力がない、こういう点にあるわけですが、考えますと、現在の非行少年とか少年犯罪のほとんどが、現時点だけのことを考えた衝動的な犯罪であるということがいろいろ言えるわけなんですけれども、現在の少年の非行化でわれわれが一番考えなければならない問題点はどこにあるんだろうか、こういうことについて関係筋から御説明いただきたいと思います。
  76. 安田道夫

    ○安田説明員 確かに最近の少年による犯罪の状況を見てみますと、先ほどから先生も御指摘になっておられますようにいわゆる従前と異なりまして、物質的な貧困というものが原因になっておるというよりも、むしろ精神的な貧困に基づく非行が多いように、一口に申しますと、そのような感じを受けるわけでございます。ただいま問題になっております勤労少年あるいは集団就職などをした少年によります犯罪の状況を見ましても、たとえば今回の房総西線の爆破事件を起こした少年についてもいえることでございますけれども、日給などもかなりの金額を受け取っておるわけでございまして、経済的な貧困ということではないわけでございます。そういう勤労少年が、なぜ都会に流入してまいって非行化、いわゆる転落していくのかというようなことを見てみますと、その原因としては大きく分けて、私ども三つほど理由があるんじゃないかと思われるわけでございます。  その一つは、まず都市というもの、都会というものが、農村に比較して一般的に犯罪や非行を犯しやすい、発生しやすい地域であるということは、これは一般的にまずいえるんじゃないかと思います。すなわち都会におきましては、人口の移動なども激しゅうございますし、それからまた人間的な関係や結びつきというものも希薄でございますし、片方、その環境はきわめて不健全な娯楽機関その他がございまして、そういう道徳的な混乱とかあるいは逸脱行為を誘発しやすいような、いわゆる環境面の問題があるわけでございます。これについては多くを申し上げる必要はないと思います。  第二の理由としましては、やはり農村から、あるいは地方から出てまいった少年は、都会に来ることによりまして生活環境が急激に変化いたします。それに十分に適応していけない、あるいはそういう条件にあるにかかわらず、これらの少年に対するいわゆる雇用者その他周囲の、先ほど先生の御指摘になりましたような、いわゆるおとながこれらの少年に対しての日常生活の監督保護というものにおいて欠ける点がありはしないかという点が、第二の問題として指摘されます。  それから第三の理由としては、これは少年の側にも問題があるのではないか。すなわち、都会へ出てまいります際に、少年が都会生活の甘い夢というようなものを追いかけておりまして、いわゆる職場における勤労のきびしさというようなものについての心がまえが、十分できていないというようなことも問題ではなかろうかと思います。すなわち、言いかえますならば、これらの心がまえを養成しておかなければならないという事前の社会教育あるいは学校、家庭における教育の問題が、やはり大きな理由として考えられるのではないかと思うわけでございます。  これらの少年は、いずれも転落していきます過程は、そのいきさつは、先生も先ほど御指摘になりましたように、いわゆる転職、離職をしていく過程において、没落あるいは非行化していくわけでございまして、なぜ転職あるいは離職をするのかということを考えますと、結局、大会社などでは福利厚生施設は十分でございますけれども、きわめて仕事が単調であるとか、あるいは人間関係が希薄であるというようなことで、いわゆる少年はいろいろな不満を持ちやすい。それからまた中小企業などでは、年少労働力が最近御承知のように不足しておりますので、雇用主のほうが少年を甘やかすと申し博すか、十分な監督、保護ということをあまり行なわないで差し控えるというような傾向がある反面、また福利施設とかその他雇用条件において少年の不満を買う面があるということ、こういうようなことで、いろいろ少年が不満を持って転職、離職していくわけでございます。この転職、離職する際には、必ず零細企業のほうへ落ちていくわけでございまして、たとえばサービス業とか、あるいは風俗営業関係、あるいは飲食店関係というようなところへ落ちていくわけでございます。そういうところではおのずから、いわゆる不良少年やその他との接触も多くなってまいりまして、そして結局非行化していくというようなのが、いわゆるおきまりのコースになっておるわけでございまして、こういうような転離職を食いとめるためにどうすればいいか、職場に安定し、定着させるためにはどうしたらいいかということがその対策として考えられなくちゃならぬのではないかと思います。  そのためには、まず第一に就職前に十分その少年の職業の適性というものを調べて、そしていわゆるその性質やあるいは能力に応じた職場を選んでやるという配慮が必要であるということ、それからまた、先生御指摘のように、事前に十分労働条件その他について調査し、少年が出てきてから条件が違うというようなことで、期待が裏切られることのないようにしなくちゃならないというようなこと、それからまた、より大事なことは、どんな職場にでもやはり不満があるわけでございますから、そういう不満が出た場合に、この少年に対して十分相談に応じてやるような、そういう機関が整備されることが必要じゃないか。そしてその素質に応じて職場に安定させる、またあるいは転職、離職するにあたっても、適当な職場をあっせんするというようなことが行なわれるならば、これらの非行化が阻止できるのではないかと思います。  それやこれや、いろいろございますけれども、やはりこういう施策というものは、いずれも相対的なものでございまして、やはり最も重要なことと申しますと、先ほど申しましたように、最近の非行の現況にかんがみまして、やはり社会教育あるいは道徳教育というような面での、精神的な面でのいわゆるしつけというようなものがより強く、教育面がより強く望まれるのではないかということ、それからそれに対応しまして、また雇用主その他のおとなの世界におけるこの少年たちに対する保健監督の重要性ということが考えさせられるのではないかと思っております。
  77. 沖本泰幸

    沖本委員 この問題になってくると、将棋の千口手みたいにきまり手がなくて、あっちからこっちからお互いに好き好きの意見が出てきてまとまらないわけです。ですから、全部総合するとたいへんな問題になってくると思うのですけれども、ちなみにあるところでオリンピッグゲームというものがあるのです。何のことかと思ってよく見ますと、スロットマシンのことなんですね。あれはアメリカでは現金が出るわけです。ところがこちらは外国製品の品物とかえる。表のほうには十八歳未満の入場はいけない。パチンコ屋もそういうふうになっているのですけれども、そこに対しておとなのほうも見て知らん顔であるし、行ってみると、従業員も何ら注意もしていないわけです。ですから、こういうふうな内容については、結局少年の非行化というものは、社会自体が非行化させていっているということになってくるのではないか、こうも思えるわけです。こういう問題になってくると、それだけでたいへんなことになりますから、いま御意見を伺っただけにとどめておきたいと思いますし、また労働省のほうからこの集団就職の件について担当の方が来られれば質問したいと思いますけれども、しかし一つ内容から考えてみますと、全く社会が非行化を進めておるということと同じように、この爆発事件に対しましても、非常にわれわれ国民自体が残酷ものになれてきているということが一つの大きな欠陥でもあるわけじゃないかと思うのです。テレビでも、映画でも、すさまじい残酷場面が、次から次から変わってくるわけです。そういうふうにだんだんなれてきておりますから、ですから、爆発事件が起きてもたいへんだということはないのですね。たとえばクイナマイトの自殺男か出たということになると、いまから二十年前くらいですと大事件になって、とうぶん警察庁の記録の中に有名な事件として残ると思うのですけれども、このごろはダイナマイトで自殺したというのはあまり興味を持たないわけです。ですから、列車にしかけたということになると、大事件になってくる。だんだん事件が大きいものに移行しておりますけれども、いまのところ、まだまだ大きな事件になってこないだけの問題で、内容そのものは、いつでも大きい事件が起きる内容は十分に持っておるということがいえます。そこで、いま労働省の保科業務指導課長さんが見えましたので、そちらに同じことで質問いたしますが、この爆破事件の少年が、記事の中にありますのは、仕事がいやになった。最近の青少年の意向として、転々としていくという傾向はあるわけで、おとなにも同じことはいえるわけですけれども、そういう中にあって、先ほどサンデー毎日の記事を読みましたけれども、視庁が十日間で補導、保護した百五十人の青少年の家出人の中で、集団就職でその職場を離脱して家出したというのが六十二人もいた、こういう投書があるわけです。これはいわゆる前もって職安なりあるいは学校の担当者の人が、十分子供の行く先を調べていなかったという点に責任がある。初め描いた夢と、行ってみた内容とは、ずいぶん違っておる、こういう点は、東京なり大阪なりの集団就職に対する指導内容とか、あるいは誘致する内容とかというものと、また来てからの方向転換がいろいろあるわけでしょう。そういう点について、現在までどの程度就職が完了していっているか。また来てからどういうふうに夢を破られておるかという点についてお答え願いたいと思います。
  78. 保科真一

    ○保科説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、安定所では中卒、高卒の求人を受け付けます場合に、求人条件の確認ということにまず第一の重点を置いてやっております。東京で集団就職される少年少女の場合には、東京の事業所の管轄の安定所が求人を受け付けるわけでございますが、求人条件の確認に十分つとめまして、事業所にも念を押しております。それで実際に就職いたしまして条件が違うような場合には、安定所のほうから出向いて相談にあたっておるというようにやっておるわけでございますので、先生御指摘のその少年の補導の問題につきましては、先ほど法務省から御答弁がございましたが、求人を的確に把握いたしまして、その本人の適性に応じた職業を紹介するということをまず第一につとめておるわけでございます。就職してからの指導につきましては、本年の四月から、従来やっておりました就職後の指導をさらに強化いたしまして、関係の行政機関と連絡会議を設けまして、地域ぐるみの受け入れ態勢を整える。それから県外離職者あるいは従来から離職率の高い事業所につきまして重点的に指導をしてまいる。それから従来半年間を指導期間としておりましたけれども、これを一年に延長する。それからさらに安定所のほうに、相談をしやすくするように、年少就職者相談室を設けまして、安定所のほうに気軽に相談に来られるような態勢を整えるというような考え方で進めております。それからさらに条件等が違いまして、事業所側に話しましても、事業所の側のほうがなかなか応じないとか、あるいはこの事業所にそのまま定着させるのがどうも思わしくないというような場合には、その就職した少年少女と相談いたしまして、さらによりよい職場へあっせんするというようなことも考えてやってまいりたい、そういうような対策を講じております。
  79. 沖本泰幸

    沖本委員 これはいつまでやってもあまり話が長過ぎるのですが、その面に関しまして、いわゆる最近よくいわれる縦割り行政ということで、職安のほうは職安のほう、あるいは文部関係は文部関係のほう、あるいは厚生省のほうは厚生省のほうと、別々に対策を立てておるのですね。ここに警察からいただいた膨大な、離職、家出少年の一覧表があるのです。これをごらんになったことはありますか。
  80. 保科真一

    ○保科説明員 見ました。
  81. 沖本泰幸

    沖本委員 この表を基礎にして、職安なりあるいは青少年補導なり、あるいは文部省の担当者なり、あらゆる方の合同的な打ち合わせをやって、原因あるいは対策、今後どういうふうにするかという方針とか、そういうものを分析なさったことはおありですか。
  82. 保科真一

    ○保科説明員 その資料を私ども拝見しまして、個人別には職安の紹介というような場合には、どういうケースでそういうふうになったかということを調査いたしまして、そのことによりまして、合同の連絡会議というものは特にまだ催しておりません。
  83. 沖本泰幸

    沖本委員 問題はそこにあるのです。青少年対策といっても、自分のほうでデータをおつくりになって、いろいろお調べになって発表なさるのですけれども、自分のところなりの発表なんです。ですから十分のことができないわけです。何かと社会環境もよくしてあげなければならないし、たとえていうならば、文部省のほうは働く少年の家とか、ユースセンターであるとか、あるいはキャンプができるとか、いろいろなものをつくってあるのです。職場の少年に呼びかけておるわけです。それは一般にやっておるわけですけれども、そういう内容は、あなたのほうにも関係があるわけです。あるいは法務省のほうにも関係があるわけです。ただ結果的な内容だけをお調べになるよりも、結論は、どういうふうにしてなくするかということが大事なんですから、そういうふうなお互いの横の連絡をとって、少しでもよくしていこうというような方向がなされて、だんだんと施設が改善されていく。それぞれのところに適切な指導が行なわれていけば、幾ぶんかでもこういう問題は少なくなっていくわけです。集団就職はさしてあげるけれども、そこまでの段階、第一次の段階だけで、今度第二次になったら、ずっと少なくなっておる。どういうわけかといったら、予算の関係と人員の関係だ、こんなことになるわけです。  この話はこの程度にとどめまして、保護局長さんもお見えになっておられますのでお伺いしておきますが、保護司の問題なんですけれども、最近保護司さんの年齢がだんだん高年齢層になっていきまして、どうしてもお年寄りの考えと、現代の青少年の社会的環境の中に置かれる思想とか、ものの考え方というものとがあまりマッチしないという点が非常にあるわけです。そこへ加えて保護司さんは、全然退職するときにも何の恩典もないし、ただ無料奉仕に近いようなあり方である、こういうことになるわけですけれども、青少年の非行化という点から考えると、保護司さんだって重要な役割りを持っていらっしゃるわけです。犯罪を犯した、それから更生一できるであろうかできないだろうか、絶えず監視していただいたり、めんどう見ていただかなければならない立場におありなんですが、現在の保護司さんのあり方としてどういうことが大系なんでしょうか。
  84. 本位田昇

    ○本位田政府委員 いまお尋ねの保護司の問題でございますが、その前提として、いわゆる保護観察というものになっておる。これが常時成人を含めまして大体十一万件くらいございます。その中で、少年が約六割強保護観察を受けておる。これに対しまして、保護司は、現在法律で定められております定員が五万二千五百名でざごいます。これは保護司に適当な人はかくかくの条件を備えた方という法律上のいろいろな規定もございますし、常時定員が埋まっておるということではございません。数は常に動いておりますけれども、大体四万八千人くらい委嘱されて働いていただいておるわけでございます。  ところで、そういうことになりますと、十一万件で保護司が約四万八千、一人当たりにしますと、算術平均いたしますれば、一人の保護司に二人強お持ちいただいておるということになるかと思うのです。しかし、現実にはやはり人口の都市集中に伴いまして、都会のほうにおける犯罪が多い。したがいまして、都会地では一人の保護司さんで五、六人受け持っていただいておるということも現実にはございます。この手当てといたしまして、地方の比較的事件の少ないところに委嘱されておられます保証司の方の定数と配置転換、つまり定数の配置がえをいたしまして、若干その地ならしはやっておるわけでございます。しかしながら、やはり何と申しましても保護司の方々は自分のお仕事をお持ちになった上、社会奉仕的な気持ちで保護司もお引き受けいただいておるということでございます。  仕事の中身から申しますと、保護観察というのは指導、監督する面と、補導、援護と申しますか、いわば立ち直りを助けてやるための手助けをする、そういう面とがございます。現実の仕事のやり方は、保護観察所の保健観察官が主として指導、監督面に力を入れる、保護司さん方には大体補導、援護という形の方向で御協力いただいておるということでございます。  ただいまお話しの現在高年齢化しておるという問題でございますが、私どもも、その点につきましては常に頭に置いておるわけでございますが、平均年齢は大体五十九歳ということだろうと思います。これも常時動いておりますので的確には申されませんけれども、最近はこれをなるべく引き下げようという方向の努力をやっております。あるいは最近の仕訳をいたしますれば、四十八歳まではいっておらないけれども、それに近い平均年齢になっておるのではないかというふうに思われます。  ところで、成人の場合は別といたしまして、少年事件を担当いたしますと、御指摘のございましたように、やはり年代のズレということが出てまいります。最近は年齢を引き下げるということとあわせまして、婦人の保護司をなるべくふやす方向で考える。いわゆる母性的な配慮で補導、援護の仕事をしていただこうということとも考えあわせまして、婦人の方の占める率がだんだん多くなっておる。それからさらに、外部に、これは全然法的なあれはございませんけれども、BBS運動というのがございます。これはことしで満二十年になりますけれども、全国で約一万二千くらいの学生あるいは学生から就職したまだ間がないそういう若い方たちでございますが、こういう人たちの協力をいただきまして、保護司が担当しておる事件について、必要があります場合には、観察所のほうとも打ち合わせまして、BBS会員の協力を得て、平素いわゆる人間阻害的な感情を持っておる少年がおるものですから、そういう者に対して、お友だちとしてつき合って、人間阻害的な感情を緩和していくということもやっておるわけでございます。  保護司につきましては、日本の現在の制度は、外国に比べましても、考え方としては非常にいいのではないか、犯罪者予防更生法が定めております考え方は、保護観察官が主として専門的な役割りあるいは科学的な勉強をしたり、そういう役割りを引き受けて、指導、監督に当たる一方、保護司の方は、その地域について非常に密着した有利な点もございますので、その地域に密着した長所を発揮していただく、あるいは民間人としての特徴を発揮していただく、そうして補導、援護の面で協力をしていただく、こういう考え方でございます。この考え方を十分に生かす方向につとめていくというのがいいのではないか。保護司の数といたしますと、冒頭に申しましたように、いまのところ、うまく地ならしいたしますれば、決してそう負担過重ではない。問題は保護観察官が非常に少のうございまして、保護観察官がやるべきところを保護司に肩がわりしてやっていただいているという点がございます。これは私ども非常に重要に考えておるわけでございますが、保護観察官の増員は非常に困難な状態でございます。この上とも努力して、なるべくいい姿にし、保護司の方には過重な負担はかけないで仕事の成果があがりますよう、そういう方向で努力してまいりたいと考えております。
  85. 沖本泰幸

    沖本委員 大体わかりましたけれども、これまた先ほど言いましたとおりに、いろいろな計画はお立てになっているが、内容について横の連絡をとってお互いに話し合ってすべてを立体的に解決していこうとなさらないところに大きな原因もあるわけです。それと同時に、これも投書の中にあったのですが、働く内容と、それに対して報われるものが非常に少ない。全然縁の下の力持ちばかりやらされて、定年まできて、無事につとめを終えてやめるにしても、年金すらない、こういうふうなのがいまの保護司の状態だというわけですけれども、年金制度をつくってあげたらどうなんでしょうか。
  86. 本位田昇

    ○本位田政府委員 いま御指摘ございましたように、保護司に対する国としての考え方は、現在無給の国家公務員という立場でございます。したがって、給与はありません。費用の全部または一部を国が支払うという形の規定になっております。いわゆる実費弁償と申しまして、一件受け持って月にどれだけとか、あるいはケース研究などに出席するための実費としての費用ということで得られておるわけであります。まだ十分ではございませんけれども、年々このほうは増額されてまいっております。昭和四十一年度に比べまして四十二年度では、総額におきまして一億三千万円ばかり増額されました。したがいまして、保護司としての単価は、前年は月最高が六百円でございましたが、四十二年には八百円に引き上げられたが、なおもちろん十分ではございません。このほうも努力いたしたいと思いますけれども、、実は私の考え方をちょっと申し上げますと、国の責任で保護観察という仕事はされておる。これに対しまして仕事の性質上何らかの形の民間協力が必要な性質の仕事であり、社会の中で改善させるということでございまして、民間の協力は、形は変われ、何らかの御協力が必要だということになりますと、国としては、民間で協力していただいている方に対して、私は三つの方向で配慮すべきであると思っております。一つは、いま申しました給料は支払わなくても実費、いわゆる自腹にならないようにということの配慮、それからもう一つは、研修をやはりしなければいけない。しろうとの方にいろいろな犯罪を犯した者の保護に御協力をいただくわけですが、いろいろな手続面のことはもちろん、考え方にしても、世の中の犯罪の情勢、そういったことに対してもいろいろ研修をする、これも必要であろうと思います。それからもう一つは、御指摘の栄誉、表彰、こういう問題だと思います。民間の協力を得て国の仕事をする。そうすると、国としては、いい仕事をしていただいた方には、それを栄誉し、表彰するということを考えなければいかぬ。そこで、いま保護司の団体におきまして、共済制度を昨年からつくりまして、これをいま動かしながら実績を見ております。これがいい形に育っていくようでございますれば、また、この面において、その実績をもとにいたしまして、国のほうで配慮していただくという方向で進みたいと思っております。
  87. 沖本泰幸

    沖本委員 では、爆発物の内容について警察庁の方にお伺いいたします。  この新聞によりますと、爆発物——カーリットですか、これを容易に入手したということに対して、警察庁は非常なショックを受けている、こういうような記事が出ておるのですが、それ以上にわれわれもショックを受けるわけですけれども、入手経路について御説明いただけませんか。
  88. 今竹義一

    ○今竹政府委員 先刻刑事局長から説明がありましたように、まだ調べの途中でございまして、詳細のことはわかっておりませんが、ともかく、つとめておった現場がその工事のためにカーリットを使用しておりまして、その現場で何らかの方法で入手したものである、こういうふうにいまのところ認められております。
  89. 沖本泰幸

    沖本委員 このカーリットというのが一本爆発したらどれくらいの威力があるのですか。
  90. 今竹義一

    ○今竹政府委員 どのくらいと申しましても、非常に説明しにくいのでございますが、その一本の量にもよると思います。今度の場合、一本百五十グラムのカーリット、こう私承知しておりますが、その一本の中の火薬の量にもよりますが、ダイナマイトほどではございませんが、ともかく相当の威力があるものでございます。
  91. 沖本泰幸

    沖本委員 それで、非常に知能指数の低い子供であるという点は、先ほどの説明でわかるのですけれども、それが見よう見まねで一これはきのうの捜査一課長さんのお話だったのですが、本人がそういう仕事に携わらされてはいなかった、ただはたで仕事をしているのを見よう見まねで覚えてやったことなんだ、こういうお話だったのですが、これは容易に見よう見まねでできるものなんですか。
  92. 今竹義一

    ○今竹政府委員 少年の一人は、相当知能指数の低い少年でございますが、もう一人のほうは、知能指数は通常の少年でございます。どうも事件内容をまだ捜査中でよくわかりませんが、その知能指数の普通のほうの少年がいろいろしたのじゃないかと思いますが、いままでの調べでは、見よう見まねで覚えた、こういうことでございます。ただ、その見よう見まねが具体的にどういうものであるかについては、目下捜査中でございまして、いまのところ具体的に、見よう見まねがどうであったかということについては、まだ詳細には判明いたしておりません。
  93. 沖本泰幸

    沖本委員 この三月か四月に一連の爆発事故、いろいろなのが起こるので、警察庁としては全国に立ち入り検査をした、こういうようなことが載っておりますけれども、その中で、非常に多数の違反件数があった、こういうことなんですが、その内容について詳細にお聞かせ願えませんか。
  94. 今竹義一

    ○今竹政府委員 この四月中に全国一斉に、爆薬等を消費しております現場等でございますが、これは消費場所が一万七千五百七十、ほかいろいろと火薬庫その他を含めまして、全国で二万六千余あるわけでございます。これにつきまして一斉に立ち入り検査をいたしたわけでございますが、その際、いろいろな違反でございますが、全体で五千六百十八件の違反内容がございました。最も多いのは消費場所における四千三百四十八件。これにもいろいろなものがございまして、焦点を消費場所にしぼりまして申し上げたほうが御理解がいいと思いますが、無許可の譲り受け消費というのが九十五件、それから、法定帳簿を備えつけていないものが八十三件、帳簿と現品との一致しないものが六百八十三件、その他盗難予防措置の不備なものが百八十二件、それから、警戒さく等の不備なものが八百六十三件、その他というような状況でございます。  そういう状況でございまして、その後さらに私どものほうで、この当時成績の悪かったものにつきまして、もう一ぺん現在指導を兼ねまして立ち入り検査を実施いたしておるところでございます。
  95. 沖本泰幸

    沖本委員 無許可が九十五件であった。このこまかにお示しになった消費場所の四千三百四十八件について、違反しておるものというのは、結局火薬類取締法に違反しておるわけじゃないのですか。
  96. 今竹義一

    ○今竹政府委員 さようでございます。
  97. 沖本泰幸

    沖本委員 そうすると、違反しておる場合には罰則があるはずなんですけれども、また、これはやはり刑事事件になるのじゃないですか。
  98. 今竹義一

    ○今竹政府委員 そういう違反が発見されましたので、刑事事件としまして、検挙送致いたしたものが、消費場所だけについて申し上げますと四百十六件、その他の違反につきましては、現場の警告措置をいたしました。
  99. 沖本泰幸

    沖本委員 現場の警告というのはどの程度ですか。
  100. 今竹義一

    ○今竹政府委員 これは、いろいろな違反のうち、軽微なものにつきまして、そういう法律をよく教えまして、こういうふうに法規どおりやりなさいというように指導するわけでございます。
  101. 沖本泰幸

    沖本委員 たとえば、今度の事件のように、ただ工事現場にトタンぶきの小屋があって、無番であり、だれでも入れるようにかぎがかかっていなかった、こういうような内容はどちらに属するわけですか。
  102. 今竹義一

    ○今竹政府委員 具体的な現場の状況等にもよりますが、かぎがかかっていないというようなことは、これは検挙して送致すべきもの、かように考えております。
  103. 沖本泰幸

    沖本委員 じゃ、ここの現場は、やはりそれに属するのでしょうか。無許可になっているのでしょうか。
  104. 今竹義一

    ○今竹政府委員 現場は許可を受けて火薬類を購入しておりまして、それぞれ所定の手続はその面ではとっておる状況でございます。
  105. 沖本泰幸

    沖本委員 そうしますと、この火薬類の取り扱いにつきまして、通産省と警察庁の区分がいろいろあるわけなんですが、その権限というのですか、保管管理に関する区分というのは、どの程度のものが通産省の権限区分であり、警察庁のほうで管理、監督し、あるいは取り調べをしたり、立ち入り検査ができるような内容については、どの程度なんでしょうか。
  106. 今竹義一

    ○今竹政府委員 火薬の取り締まりにつきましては、火薬類取締法がございまして、この火薬類取締法を所管いたしまして、法律に基づいて行政をし、取り締まりをする責任官庁は、第一次的に通産省でございます。地方では通産大臣の指揮を受けまして、いろいろ都道府県知事がその衝に当たっておる、こういうことでございます。ただこの法の四十三条に「都道府県公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、警察職員に、」いま申しました消費場所等に「立ち入り、その者の帳簿書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。」という規定が、昭和三十五年に法改正されまして、新たに設けられまして、それ以後、警察官もこの火薬類の行政について立ち入り検査をし、そして取り締まりに当たる、こういうことになっておるわけでございます。
  107. 沖本泰幸

    沖本委員 通産省も立ち入り検査するわけなんですね。
  108. 今竹義一

    ○今竹政府委員 通産省の者及び都道府県の者、関係の者が立ち入り検査するのが第一のたてまえでございます。
  109. 沖本泰幸

    沖本委員 昨日、これは通産省からお見えにならないとわからないのですが、警察庁のほうの立ち入り検査の結果をいろいろ聞きまして、その後警察庁のほうにお願いして調べてもらったとか、今後はまた警察庁のほうにお願いして調べていただくとかいうような御発言があったわけなんですが、従来からそういうふうになっておるのでしょうか。立ち入り検査のほうは警察庁のほうに第一におまかせして、ただ、許可とかなんとか、いわゆるこまかな面の責任だけを通産省がお持ちなんでしょうか。
  110. 今竹義一

    ○今竹政府委員 いま申しましたように、全国で消費場所が一万七千五百七十、その他いろいろな火薬の取り扱い場所合わせて二万六千ある、こういう状況であります。これに対しまして、通産省及びその職員が立ち入りをしまして、いろいろ指導取り締まりに当たるわけでございますが、私どものほうも、法律によりましてその権限と義務とを与えられておるわけでございます。その点は相互に協力いたしまして、私どものほうの第一線にいわゆる駐在所の外勤警察官等もおりますので、そういう警察官をも使って所要の立ち入り検査をし、その結果を通産当局にいろいろ連絡して、また通産当局の行政指導その他改善してもらうというような、両方協力しまして火薬の取り締まり行政に当たっておる、こういう関係でございます。
  111. 沖本泰幸

    沖本委員 新聞記事から見ますと、お調べになった結果では、盗難しておっても届けがなかった、帳簿の面、無許可の点、いろいろな点おっしゃったとおりのことがあったのですが、いままででもダイナマイトを使った事件では、これだけではなくて、東京駅の場合でも工員から入手しておる。こういう実例がはっきりあるわけですね。あるいは工事場の土工さんが、女の問題でダイナマイトを抱いて心中をやったとか、こういうようなのが過去にもいろいろあるわけです。  そういう点で爆発物が非常に持ち出しやすいということになるわけですけれども、現在もだんだんといわゆる公共土木や一般の土木工事というものが機械化されていって、大がかりになってきているということになると、したがって、こういう爆発物を扱う量が多くなるし、場所も多くなっていく、こういうことになっていくわけなんですが、ここの列車爆破事件のところも非常にずさんな、トタンぶきのところに置いておった、こういうことになるわけなんですが、四月に御調査になったのと現在この段階で起きている事件とを比較していって、まだこの業者は何らそういうお調べ、警告なんか受けていなかったんじゃないか、こういうふうに考えられるわけですけれども、こういうふうな土木工事現場における内容について、一応立ち入り検査をやったと、こういうことなんですが、実態はどうだったのですか。
  112. 今竹義一

    ○今竹政府委員 いまその実態についていろいろと捜査しているところでございまして、まだ十分なお答えができないのが残念でございますが、どういう方法によってその少年が手に入れたかという問題、いままでは、新聞に報道されておるところでは、盗んだというようなことになっております。まだはっきりと、どういう方法によって手に入れたかということを確認できておりませんので、まことに残念でございますが、明確にお答えできません。
  113. 沖本泰幸

    沖本委員 それは過去のお調べの例でも割り出しができるんじゃないでしょうか。このことだけからでなくて、この事件が起きた段階において、あとは結果を調べるだけのことで結論が出るわけです。ところが、われわれが一番気にしているのは、類似事件が起きてはならないということですね。同じ事件が起きる可能性は十分ある。これよりもっと知能の低い方が容易に火薬を使うことができる、見よう見まねで。そして、たまたま線路にしかけたのが偶然にうまく一致して列車の通過と同時に爆発したということになると、問題は大きいわけです。その点をわれわれは心配して申し上げているわけなんですね。  そうすると、ここの段階からいっても、かぎをかけていない無番の、無防備のところに、こういう危険物、火薬とかあるいは爆発の早いものを置いてある。それがだれでも入って持って出てくる、そういうことになってくると、これは単に場所を知っておった者だけでなくて、ほかの者も出入りができるということになるわけです。ですが、これはいままで厳重だったけれども、たまたまここにこういうことが起きました、こういうことではなくて、このことは、自然とほかのほうでも同じことが言えるわけなんです。ですから、ほかの工事場でも、土木工事をやっているときに同じ条件があると思うのです。もっとひどいのになると、トラックの中にでも置いているかもわからない、そういうことが想像されるわけなんですけれども、そういう点について、ほかの工事現場では、はなはだひどくて事件として送致したというものの中には、どういうようなものがありましたか。
  114. 今竹義一

    ○今竹政府委員 過去の例で申しますと、火薬を不法に入手した例としましては、そういう火薬類の貯蔵所から盗んできた、こういう例がございます。その例は、いまお話のありましたように、火薬の貯蔵所の構造上、実は爆発事件を起こしましたときの被害を軽くしますために、火薬の貯蔵所は大体屋根が吹き抜けるようにつくられることになっておりまして、そういう屋根をはがして入っていって火薬をとってきた、こういう事件一つのものである。しかし、そのほかに、実は火薬の扱い者が、たとえば、きょうは三十発ハッパに使うというので火薬庫から出してきまして、そして二十五発くらいハッパに使って、あと五発くらいはポケットに入れて持って帰る。こういう火薬庫を破ってとったというようなことでなくて火薬を入手する。火薬の不正入手のやり方は大体その二つでございます。これに対しまして、前者の火薬庫を破ってとっていく者に対しましては、火薬庫の盗難防止措置を厳重にするということで、このたびも通産省といろいろ打ち合わせまして、盗難防止措置の強化ということについて通達を出しております。
  115. 沖本泰幸

    沖本委員 そうしますと、帳簿と合わなかったとか、無届けであったとか、あるいは盗難の届け出が出ていなかった、こういうのは内容はどうなんでしょう。これも盗まれたのでしょうか。あるいは、無許可というのは、工事をするために無許可でよそから火薬をもらっておったのでしょうか。内容は御存じありませんですか。
  116. 今竹義一

    ○今竹政府委員 無許可と申しますのは、当然許可を得なければ譲渡、譲り受けはできないというものでございますが、それを全く無許可で譲り受けたり、譲り渡したりしておる、こういう事例であります。帳簿が合わなかった、あるいは帳簿へ記載していなかったという理由につきましては、いろいろ理由はございますが、要は帳簿の記載義務を怠っておったという例が大部分でございます。
  117. 沖本泰幸

    沖本委員 帳簿の記載を怠っておるというのは、いつごろどれくらいの期間怠っておったのですか。帳簿に関しては、監督官庁に持っていっていろいろ検査をしてもらうようになっておるのでしょうか。あるいは、そこが自然に備えておかなければならない帳簿であるような規定になっているのですか。どういうことですか。
  118. 今竹義一

    ○今竹政府委員 規定によりますと、帳簿は毎日記載する、そして、毎日幾ら使って幾ら残っておるという状況を記載する、こういうことになっておりまして、立ち入り検査の際、そういう義務を怠っておった、こういうことでございます。
  119. 沖本泰幸

    沖本委員 立ち入り検査はこの四月におやりになって、それ以前はいつおやりになりましたか。
  120. 今竹義一

    ○今竹政府委員 四月に私どものほうから連絡しまして、全国一斉にやったのでございまして、それまでも各府県ごとに大体年に四回以上、そういう立ち入り検査をやる、こういうことになっております。
  121. 沖本泰幸

    沖本委員 それは、四回とも実施されておったのでしょうか。年に四回立ち入り検査をやることになると、その前の回にこういうことがあった、その前にもこういうことがあった、今回だけ初めて二万六千カ所の中から五千数百カ所出てくるというような、びっくりしたような形で出てくるのではなくて、四回ですから、その間に自然に是正されてこなければならない。または、年に四回、一回ごとにこういう違反件数が三割にも及ぶような内容であったというのならば、これはもう、ますますもって大問題になりますけれども、その点はいかがですか。
  122. 今竹義一

    ○今竹政府委員 従来の立ち入り検査の際にも、必ずしも成績がよくなくて、そこで私どもとしても、この火薬類の取り扱いについての法秩序、法どおりの取り扱いの励行ということについて、どうすべきかということを常に通産当局と協議しておったということでございます。
  123. 沖本泰幸

    沖本委員 これは違う話ですが、ある映画の監督さんか俳優さんの話ですけれども、外国で学生のエキストラを雇っておもちゃの拳銃を持たした。ところが、その人たちは全部銃口は必ず自分のほうに向けておった。日本人の場合は、正規の訓練を受けた者ですら、本物を持って、銃口を相手方のほうに向けている場合が多い。こういうような銃器類とかあるいは危険物に対するものの考え方、モラルというものが、日本人は非常に低いのじゃないだろうか。先ほど申し上げたとおり、残酷ものになれているということもいえるわけです。そうしますと、従来からもあったものが、現段階でこれだけでも出たということになると大問題なんです。けれども、その間において問題にならなかったわけですか。以前にも多少あったが、今度だけこういうふうに多かったわけですか。四月になさったとき特別に多かったのでしょうか。
  124. 今竹義一

    ○今竹政府委員 ただいまも申し上げましたように、四月はもちろん厳重に実施しましたので、そういう面のあれはございますが、従来から火薬類の扱いについて火薬類取締法の各種規定が必ずしも正確に順守されておらないという事実がございまして、そういう点については、法秩序の確立ということについて、私ども通産当局といろいろ相談いたしまして、そして今度、通産次官と私どもの次長の連名通達を出してこの取り締まりを強化しよう、こういうことにいたしておる次第でございます。
  125. 沖本泰幸

    沖本委員 保管がいいかげんであったという場合は、盗難のおそれもあるわけですからね。その場合には、保管不適格だというので没収して、そういう管理面が十分にできるまで火薬をほかに保管してしまう、そういう非常処置があってしかるべきだと思うのですけれども、そういう処置ではなくて、ただ悪いものだけ事件として送検した、あるいはそこまでいかないものは、注意勧告をしたにとどまったのでしょうか。年四回立ち入り検査をおやりになっているのは、警察庁だけでおやりになっていたわけですか。
  126. 今竹義一

    ○今竹政府委員 いま御指摘のございましたような悪質な法令違反に対して、単にそれを検察庁に送るだけか、そのほかに行政処分等をやるべきではないかということでございますが、先生御指摘のとおり、行政処分を厳正にしまして、そういうものについては火薬の許可を取り消す、こういうことにいたしております。
  127. 沖本泰幸

    沖本委員 そうすると、過去にそういうあれがあったのですから、それをどんどんおやりになっていれば、だんだん少なくなって、これは全くずさんだ、管理が悪いというふうな、びっくりするような内容の新聞記事が出るわけはないのです。きのう通産省の矢野課長さんのほうも、今度また警察庁のほうにお願いして、いろいろと立ち入り検査をしていただきました、今後もいろいろお願いしてという発言があったのですが、いままで全国で二百三十人しか担当者がいないというような点からも、あなたのほうの爆発物に対する考え方が甘過ぎる。また、人員の配置が少ない。こういうふうな取り締まりに関しては、警察庁一本にまかしてしまって、おれのところは行政機関で調べるだけのことで、ただ通達だけ出せばいいような、許可さえ与えればいいような感じしか受けないのです。そういう点が、両方が離れておるような感じを受けるのですが、その点はどうですか。
  128. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 昨日御答弁いたしました際に、警察庁の御協力をお願いしておると申し上げたことも事実でございますが、もちろん私どもは、警察の立ち入り検査だけで足れりとしてはおりません。昨年度も、私どものほうの府県の報告を申し上げますと、立ち入り検査の件数は全国で一万二千七百五十五件というふうな数字が、実はつい最近にまとめました数字でございます。そういうような形で、府県の担当官も決して立ち入り検査をおろそかにしておりませんが、いわゆる販売店あるいは煙火工場、こういうものを含めました関係では、確かに、御指摘のとおり、人員の不足の結果、この立ち入り検査の数字から推しましても、二年ないし三年に一ぺんしか実際には行けないというような実情でございます。したがいまして、私どもは昨年の九月二十六日に、各府県の標準取り締まり体制というものを考えまして、少なくとも年に一ぺんは立ち入り検査ができるようないわゆる人員配置を要請するというようなことから、事務量を算定いたしますと、昨日報告いたしましたように、現在二百二十二名の担当官でございますが、その計算によりますと三百四名必要であるという数字が出たわけでございます。したがいまして、八十二名の不足というものは、これは県のそういう定員の確保ということでございますので、私ども局長名をもちまして、府県知事に対して人員の充足を今年度にはぜひお願いをするということで、府県別に指示をいたしました。実はその結果はまだ最終的には出ておりませんけれども、高圧ガスと火薬との両方を私どもは持っておりますが、その辺の集計は、少なくともそれに対して、まず、残念ではございましたが、一割くらいの増加ははかられているような見通しでございます。ただしかし、なお九割は不足だというような実態では、こういった検査は十分といえませんので、私どもはまた本年度もこういう努力をさらに重ねてまいりたい。そういうような形で、決して私ども自身は警察にすべてをお願いしているということではございません。いわゆる相協力して、警察官の非常な御努力というものも当然私どもとしてはお願いせざるを得ないわけでございます。各府県の担当官の検査、これと有機的に結びつけて、警察の協力による立ち入り検査もお願いしたい、こういう趣旨でございます。
  129. 沖本泰幸

    沖本委員 まとめたいのですけれども、先ほどのお話なんですが、帳簿の記載を検査する、こういうのですが、毎月のように都道府県のほうから検査に行っているのですか。あるいは帳簿を持って検査を受けにきているのですか。あるいは年四回行ったときだけ検査をやっているのですか。どっちなんですか。
  130. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 帳簿につきましては、先ほど警察庁の保安局長が御説明申し上げましたように、毎日のいわゆる消費量というようなものが記載されまして、その帳簿につきましては、これは翌々月の二十日に、まとめてその一つの企業体から県のほうに報告をもらうということになっております。したがいまして、そういう点では常にチェックされる体制ではございません。いわゆる検査の場合、立ち入り検査をするときに、初めてそのときにおける帳簿の状況を把握するというようなシステムでございます。
  131. 沖本泰幸

    沖本委員 そうしますと、警察庁のほうの立ち入り検査の結果は、通産省のほうに一々御通知なさるわけですね。そうすると、それはやはり通産省のほうでも警察庁のほうでも全国に通達を出して、こういう点は取り締まらなければいけない、改善しなければいけないということになるわけなんですね。ところが、過去から年四回、こうきめてやってきておるけれども、何度も言うようですけれども、さらにまだ三割にも達する事件があった。そこへ加えて今度の事件、こういうことになるわけです。いままで、東京駅の爆発から、火薬の事故は一ぱいあるのですよ。ところが、課長さんのお話ですと、意地悪を言うようですけれども、たんたんとして名調子で答弁なさるわけです。こういうものがあったんだ、たいへんなんです。大事件です。私のほうにも手落ちがあります。早急に何とかしなければいけないので、大臣とも早急に話し合って、人員を増加するとか、各都道府県に厳重なあれをやって、今後一切ないようにするとかいうような、緊迫したものがあなたから出てこなければいけない。ところが、あなたのいままでの、こういう点は少し不備でありました、それをこれから徐々に改善していきましょうというのと、私が質問している内容は——これはいつでもどこにでも条件は備わっているというのです。ライフル魔ですと、一発撃ってたかが一人ですよ。ところがこれは、ボンといったらたいへんなことになるのです。それでやかましく言っているのです。おまけに、内容は、普通の爆発物でなくて、山陽電鉄の場合は、薬局から買ってきた薬を調合してできるというのです。これは別な面になってくるわけです。そういう面について、私はあなたのおっしゃっていることがどうしても腹の中にぴんとこないのです。ですから、帳簿の不備がありました、これは直ちに改善します。厳重にこの点はやりましょう、あるいは、盗難についてこうこうこういう内容があったというように、その点すらっと一ぺん答えてみてくださいよ。
  132. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 たいへんどうも、私の態度が非常に緊迫感がないというおしかりでございますが、しかし、私自身も、実はこういった問題、特に保安という課をおあずかりしておりますので、決して、先生のおっしゃいますように、何と申しますか、いわばこういうものがこの程度でというつもりはございませんので、常にそういう点についての改善の考え方というものを持っているわけでございます。いまおっしゃいましたように、きのうも御説明したと思いますが、今回の場合は盗難防止、盗難防止という場合にはやはり見張り人を置くということを考えなければならぬ。そういった局長による指導通牒も出しております。それからまた、今後はそういう点に対する赤外線による見張りの代行装置も考えなければならぬ。実は、いままでもそういった形をいろいろと今後どういうように改善するか、予算当局とも実は相談をしてきておるわけでございます。あるいは立ち入り検査の励行の問題につきましても、何らかの予算措置を通じて、そういう人員の確保がしやすいような体制をつくりたいと考えておるのであります。  それからまた、いまの爆発性物質の取り扱い方とか、これのいわゆる行政的な把握のしかたにつきましても、現在警察庁と御相談をして、これもあるいは必要によっては法的措置を講ずるということも考えております。そういう点は、いきなりいますぐということではございませんが、いずれそういう成案ができれば、問題によっては国会の御批判を受けるという体制で進めてまいりたいということで努力しておりますので、その点の気持ちを了としていただきたいと思います。
  133. 沖本泰幸

    沖本委員 この銃刀法の取り締まりと火薬類との罰則の高低があべこべになっておるようで、これは警察庁のほうも考えなければならない、こういうふうなことを聞いたわけですけれども、その点に関して、こういう問題は累を他に及ぼしますから、厳罰に付するというような内容にしなければいけないと思うのですが、警察庁のほうはどういうお考えですか。
  134. 今竹義一

    ○今竹政府委員 火薬類につきましては、それが使われれば爆発物取締罰則によって非常に厳重に処罰されることになっておりますが、その使われる前の単なる不法所持の段階では、銃刀法に比べまして罰則が軽いということは、御指摘のとおりでございますが、私どもとしましては、その罰則の強化についても検討してもらいたいということを通産省にも申し入れてございます。
  135. 沖本泰幸

    沖本委員 もう一点通産省に伺いますが、また警察庁にお伺いしますけれども、ただ無防備に保管場所をつくって、そこに持っていってやっているわけです。ずっと奥地に入ったへんぴな工事場では、火薬庫から出すにしましても、火薬庫までは厳重なんです。だから、小さな業態のところでは、その事業体を見て——取り扱い者の内容とかあるいは工事人夫の人数とか、そういうものを見て、おまえさんのほうはもう火薬類は自分のところで保管するのはいけない、だからこういうところから入手しなさい、ただし、それは必要な分だけ許可をとってやっていきなさい、こういうような方法にできないものですか。何かその辺がずさんのような気がするのですがね。
  136. 矢野俊比古

    ○矢野説明員 火薬類の消費の場所につきましては、火薬類取り扱い所というものを設けることになっておりまして、それに応じます基準ができております。ただ、先生のおっしゃいますのは、そういうようなことでも、事業場によって、あるいは扱う者によって、非常に問題があるというふうな判断のものには置くのを認めないようにしろ、こういう御趣旨だと思います。この点は、いわゆる法律の運用の問題としまして、公共の安全の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められるものには許可をするなという規定もございますし、先生の御意見も私ども十分受けまして、いまのような広い意味での解釈論ではなくて、具体的に、いまおっしゃったような批判も含めた、いわゆる基準の取り扱い方、これを早急に通牒で固めたいというふうに考えております。  なお、今回の事故でございますが、この場合、実は当初申請されたのが非常に零細企業であったということで、これに扱わしてはいかぬということから、実は新聞にも出ております国土開発というものに対してむしろ消費許可を与えた。県はその点で、最初出てきた企業に対してはこれはだめであるということで、実はそれを押えたわけでございます。ところが残念ながら、それを新たに、これならだいじょうぶだろうというところに与えたところでむしろこういった盗難事故が起こったということは非常に遺憾に考えておりますが、運用としてはそういう運用を現にしております。
  137. 沖本泰幸

    沖本委員 ありがとうございました。
  138. 大坪保雄

    大坪委員長 横山利秋君。
  139. 横山利秋

    横山委員 大津さん、きょうは特別国会の最後だということを御存じでございますね。あなたに一番最後においで願ったということもおわかりでございますね。実は十二時まで時間があるので、これから委員長のお許しを得て、ひとつもうだれがいなくなってもあなたと話し合いたい、こう思っているくらいなんです。  もう私の言わんとすることはおわかりになっておると思うのでありますけれども、きょうが国会の最後で、あれほど言われながら国会に資料を出さない。資料を出さない理由を私個人にすら何にも通知をしない。何たることですか。どういうつもりですか。あなたは一体お幾つで、学校はどこを出られましたか。国会をどう思っているのですか。私の言いたいのはそれだけですけれども、きょうは納得するまで質問を続けますから。
  140. 大津英男

    ○大津説明員 先日お話のございました資料につきましては、先般申し上げましたように、上司の決裁を得まして提出をするようにしたいということでございまして、なかなかまだ決裁がとれておらない段階でございましたけれども、いまもらえるかどうか回っておるのじゃないか、私はそう考えておりますので、決裁が済みますれば、資料そのものは簡単でございますので、至急提出するようにできる、かように考えております。
  141. 横山利秋

    横山委員 あなたは、国会がきょう終わる、その終わる時間を待っておるのじゃないのですか。資料といってもどんな資料だか知りませんが、いまあなたのお話を聞けば、きわめて簡単な資料らしい。紙一枚に二億円と書いてもそれでしまいでしょうね。少なくともあれだけ議論があったのですから、資料を提出されれば、その資料に続いて質問があるということは予期していらっしゃると思うのです。それを、国会の終わるのを待ってどこへお出しになるのですか。国会が終了したらどこへ出すつもりですか。国会法をあなたは知っているのですか。
  142. 大津英男

    ○大津説明員 決裁が終われば、委員部のほうへ手続をいたしたい、かように考えております。
  143. 横山利秋

    横山委員 国会が終わってあなたの資料が出たら、国会を召集して資料を審議してもらうつもりですか。あなた、国会が終わるまでにこれは出さなければならぬ、出したらば若干の質問を受けなければならぬということは予期してないのですか。
  144. 大津英男

    ○大津説明員 もちろん御質問もあると思いますが、決裁を得た上で提出するということになっておりますので、そのような手続を踏んでおるわけでございます。
  145. 横山利秋

    横山委員 私が一番最初に資料を要求したのは何月何日ですか。
  146. 大津英男

    ○大津説明員 ちょっと失念をいたしました。
  147. 横山利秋

    横山委員 知らぬ。そうすると、いままで何日くらいたっておるか知りませんか。
  148. 大津英男

    ○大津説明員 三週間くらいにはなっておるかもしれません。
  149. 横山利秋

    横山委員 決裁を得るのに三週間かかりますか。
  150. 大津英男

    ○大津説明員 一々そういう資料について御説明をしていかなければならないということで、それからもう一つは、この前も申し上げましたように、事務担当者のほうがたいへん——私の言い方が徹底しなかったせいでございますけれども、事務のほうに欠落がございまして申しわけない状況になっておりまして、その点はおわび申し上げる次第でございます。
  151. 横山利秋

    横山委員 あなたはこれで就任以来国会へ何回くらい来ましたか。
  152. 大津英男

    ○大津説明員 ちょっと何回と申されましてもわかりませんけれども、私も一々何回出席したかという記録を自分自身でとっておりませんので…。
  153. 横山利秋

    横山委員 何回くらいかと聞いていますよ。
  154. 大津英男

    ○大津説明員 それは相当な回数になっております。
  155. 横山利秋

    横山委員 そうしたら、国会事情は御存じでしょう。国会で資料提出を要求された。しかも新聞やラジオやテレビで大騒ぎになっている問題について資料提出を要求された。それであなたは部下に命じた、こう言う。そして一週間くらいたってからぼくから督促の電話があったときも、あなたも、はいわかりました、こう言っておる。ここへ来たら、今度は、失念しておった、こう言うのですね。部下に言ってそれを督促するのを失念しておった、こう言うのですね。その次に言ったのは、今度は、上司の許可を得て、こう言っておる。一番最初はあなたはそういうことを言わなかったですよね。そしていよいよ国会最後の日になって、言わなければ来ない。そして、来たら、もうじき回ってくるだろうと思う。それであなた、まともに国会の審議に応じようとする態度ですか。内閣調査室というところだから、政府の特別な配慮のある特別な仕事であり、国会を適当に通り抜けようという気持ちがあるのではありませんか。
  156. 大津英男

    ○大津説明員 別にそのようなつもりは持っておりません。
  157. 横山利秋

    横山委員 それならなぜ実行しないのですか。なぜ失念するのですか。なぜサボる。理由を聞いているのです。なぜ忘れなぜ督促をしない、なぜ国会会期中に出さなかったかということを聞いている。
  158. 大津英男

    ○大津説明員 先ほどから申し上げておりますように、特におくらそうとかそういうことではなくして、おわび申し上げたような点もございますけれども、決裁を得次第提出するようにするということで、担当者が決裁を得るために回っておるということだと思います。得次第、委員部のほうへ提出したい、かように思っておるわけであります。
  159. 横山利秋

    横山委員 そこに原案があるでしょうから、御説明してください。
  160. 大津英男

    ○大津説明員 原案はここにございません。  ただ、この前の委員会の席上で申し上げましたように、大蔵省の査定を受けましたときは、世界政経調査会のいままでの報告件数というものに、一件当たりの従来の報告に要する人件費と事務関係経費、事務管理費を除いた経費で一件当たり平均が出ておりまして、それに新しく必要とすると思われる件数を乗じ、それに人件費と事務管理費をプラスするというようなことで、この前申し上げましたように二億というような数字が出てくるということを申し上げたわけでございます。
  161. 横山利秋

    横山委員 そのうしろにいらっしゃる人、内閣調査室の人ですか。——それじゃ、あなたから命じて、いますぐ、どうなっておるか、いつ何時ころ出せるか、電話で聞かしてください。すぐ聞いてください。——いまのお話、あなた電話でちょっと聞いてください。電話はここにありますから。——聞かないのですか。  いまのお話の資料だと何ページくらいのものですか。
  162. 大津英男

    ○大津説明員 非常に簡単なものでございます。
  163. 横山利秋

    横山委員 一ページ……。
  164. 大津英男

    ○大津説明員 ええ、もう簡単です。
  165. 横山利秋

    横山委員 あなたのほうが大蔵省に予算要求として出される細目は、そんな簡単なもので大蔵省が通るのですか。
  166. 大津英男

    ○大津説明員 従来の実績というものに、新しくこういうふうな事項についてさらに調査を委託したいというようなことで、たとえば本年度で申しますれば、中共の文化大革命関係とか、いろいろな問題について調査件数をふやしていきたい、こういうようなことで、従来の実績にそういうものをプラスしたもので大蔵省のほうの査定を受けていく、こういうことでございます。
  167. 横山利秋

    横山委員 従来の実績といっても、大蔵省には予算要求を毎年なさるときに一少なくとも二億円の金が紙一枚で、いまあなたのここにお出しになるような紙一枚で二億円の予算の要求が承認されるとは思われぬ。私は百歩譲って、内閣調査室が情報業務として、他の家をつくる、都市を舗装するというようなことと多少違うということは知っていますよ。知っていますけれども、あなたのおっしゃるような、ここへいまお出しになろうとするそんな紙一枚のようなもので、大蔵省が承認をしておるとは思いません。少なくとも私は、あなたのほうが大蔵省のほうへ予算の要求をなさる内容というものを知りたい。国民の税金ですから、だから二億円の税金というものがどういうふうに使用されたかという点について詳細を聞きたい、こう言っているのです。けれども、詳細とはどの程度のことかということになるから、内閣調査室が大蔵省に要求をされる二億円算出の根拠を知りたい、査定の根拠を知りたい、そこまで譲っている。それは今回お出しになるでしょうね。
  168. 大津英男

    ○大津説明員 先ほど申し上げましたように、査定の数字そのものはたいへん簡単なものでございまして、それのたとえばどういう事項についてどういうふうなことが調査されるかということにつきましては、いろいろ資料に基づいて大蔵省にもちろん御説明を申し上げておるのでございますが、それを一々国会で御要求がありましたというので、これをすべて提出するということは、ちょっと私ども差し控えなければならないというようなこともございまして、その点は御容赦いただきたいと考えております。
  169. 横山利秋

    横山委員 しかし、今回は事情が違うのです。あなた方内閣調査室がまず第一にスパイ活動を直接ないしは間接にさせておるのではあるまいかと  いうのが第一の課題です。第二番目の課題は、大蔵省査定、税金の支出にずさんな点があるのではあるまいかという点が第二です。二億というお金が団体ないしは個人に渡されるときに、その業務量に匹敵しない金が渡っておるのではあるまいか。そういう点が第二点にある。つまり国民の血税に対してあなたのほうの使い方に疑惑がある。したがってこの際、あなたのほうの予算の支出について少し明細に国民の疑惑を晴らしたいというのがわれわれの願いなんですから、何かあなた方が行動において、ないし資料の提出において、一生懸命に国会質問を、ないしは国会へ資料を提出するのを避けよう、避けようとしておるのはまぎれもない事実です。これは業務の立場から避けようとしているばかりと思われない。国会というところを何とか通れば、これで国会は終了になるものだと思い上がっている感じが見えてならないのです。その点はあなた、もっと誠実になるべきだ、われわれのそういう気持ちに対してどう考えます。
  170. 大津英男

    ○大津説明員 たいへん私のいままでの態度が至らないためにそういうお疑いを抱かれたということは、たいへん私自身も残念なことに思いますし、その点はおわびをしなければならないと思います。ただ私ども、やはり巨額の、億という数字のつくとにかく委託調査というものを世界政経調査会に委託をしておるのでございますから、それだけにその成果というものを十分にあげてもらうというためには、これは全力をあげなければならない。その意味におきまして、ここでも申し上げたと思いまするが、いろいろな資料をとにかくまとめ上げておるわけであります。そういう資料につきまして全部これを公表いたしますれば、なるほどこうであろうかという点について御納得もいただけると思いますけれども、そういかないというようなものもございますので、横山委員の御指摘のようなおしかりを受けるのではないか、その点、私は非常に残念に存じますけれども、私自身、この委託業務というものがほんとうに大事な問題について成果をあげるように、もちろん私だけではできませんので、調査室の者がみな一生懸命になりまして、そういう成果をあげるように、また御疑念のないように、できるだけ内容についても差しつかえないものについてはこれをお示しするというようにしなければならぬのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  171. 横山利秋

    横山委員 それでは念のために伺いますが、この間あなたも廣岡さんも、とにかく自分たちの支出に何ら問題はない、とにかくスパイ活動を指導しないしは間接的にさせておるというよう気持ちもない、そういうことは必要ないのだということを、特に廣岡さんは言明せられた。しかし、その廣岡さんは、どういうふうに予算が使われ、どういうふうに仕事をしておるのか、全然と言っていいほど内容を御存じない人です。私もあきれ果てた話だと思った。幾ら給料をもらっておるか知りませんけれども、直接責任も何ら持って仕事をしておる人ではないと私は考えざるを得ない。そうでなければ、非常に国会をだましておる。そのどっちかだと思わざるを得ない。そこであなたにお伺いしたいのは、もしそういうようなことが、お二人の申されたのが事実であるとするならば、内閣調査室の仕事がどこに出しても恥ずかしくない仕事であるならば、ないしはどこへ出しても問題のない仕事であるならば、なぜそういうことがわれわれの前にもっと詳細な話ができないのかということです。われわれの前に、国会にいろいろとざっくばらんに話すことができない仕事というのはどういう仕事ですか。
  172. 大津英男

    ○大津説明員 それが、私申し上げますように、内閣調査室の仕事というものにつきましては、情報収集あるいは資科の収集、そういう仕事でございます。したがいまして、その中にはもちろん資科として発表して差しつかえないものもございますけれども、やはり発表することがいろいろな意味で支障がある、こういうものがあるのも、これは業務の性質上やむを得ないことではないかと私自身も考えておるわけでございまするが、そういう意味で、お気持ちはわかるのでございますけれども、やはり全部を明らかにするということはこれはできないということでございますので、御了承いただきたい、かように考えるわけでございます。
  173. 横山利秋

    横山委員 いろいろな意味で公表できないという、そのいろいろな意味というのはどういうことかといって聞いておる。
  174. 大津英男

    ○大津説明員 やはりいろいろ機密にわたることもございます。
  175. 横山利秋

    横山委員 何の秘密ですか。
  176. 大津英男

    ○大津説明員 やはり国の秘密に関するような問題も出てくる。あるいはそれを発表することがはたしてどうかというようなものもございますので、御了承願いたいと思います。
  177. 横山利秋

    横山委員 国の秘密というのは、まず第一に日本国政府の秘密ということでしょうね。ところが日本国政府の秘密というものは、あなた方中枢におられるのだから、調査する必要がないでしょう。それとも日本国政府の各省の秘密にわたる問題は、あなた方自身も調べていらっしゃるのですか。
  178. 大津英男

    ○大津説明員 治安問題その他につきまして、やはり秘密にわたる問題もございますので、このように申し上げておるわけでございます。
  179. 横山利秋

    横山委員 治安問題といいますと、国の秘密とあなたはおっしゃった。そうすると、政府の秘密でなくして、つまり院外における諸団体の情報調査における秘密、こういうふうに解してよろしいんですね。
  180. 大津英男

    ○大津説明員 調査室の仕事は非常に広いのでございますから、いろいろな面の仕事がございますけれども、先ほど申し上げましたように、治安関係情報その他の資料で発表することが、非常にやはり国の立場として差しつかえるということがある、こういう意味でございます。
  181. 横山利秋

    横山委員 そうすると、治安関係というのは、たとえば日本共産党だとか、あるいは右翼だとか、そういう情報というものは諸団体及び個人の秘密であるけれども、国の秘密ではありませんね。
  182. 大津英男

    ○大津説明員 発表することに支障がある、こういうものを私は機密にわたると申し上げたわけでございます。
  183. 横山利秋

    横山委員 第二番目に国の秘密というものは何も日本ばかりではありませんから、外国における秘密も同じことでしょうね。
  184. 大津英男

    ○大津説明員 内閣調査室の仕事の中に国の重要政策に関することがございますし、世界政経調査会に委託しておることの中にも、もちろん国内外にわたります問題もございます。
  185. 横山利秋

    横山委員 外国の秘密を入手して発表することが差しつかえるというのが第二の問題だと思う。外国の秘密というものはどういう方法で入手するのですか。
  186. 大津英男

    ○大津説明員 外国の秘密を探るということよりも、外国の事情調査するということでございまして、その事情というものはいろいろな資料から入手する。あるいは情報として入手されましたものを整理するということによって、外国の情勢というものを正しく把握する、こういうことになっておるわけでございます。
  187. 横山利秋

    横山委員 外国の事情調査すると言ったって、調査が奥深くなれば秘密なんですから、あなたの言うことばをオーム返しに聞いておるだけです。だから、事情即秘密にわたる事情調査される場合には、いままであなたの言っているのを聞くと、新聞やラジオやテレビや雑誌や外国に関する本や、あるいは外国に行ってきた人の話を聞くくらいであるならば、何も秘密はないではないか。外国の秘密というのは、どんなところからどんな方法で入手するのですか。
  188. 大津英男

    ○大津説明員 それを外国が秘密としているかどうかについては私は一々わかりませんけれども、それがやはり外国のことでございまして、その国自身で発表しておることではなくして、むしろほかの国からその外国のことがいろいろ入ってくるということもございます。たとえば、西ベルリンあたりで入手できるもの、こういうものを翻訳調査することによりまして、東ヨーロッパのいろいろな事情というものはわかる。これも必ずしも私秘密かどうか存じませんけれども、いろいろなその国々の情勢というものを把握する上において有益な資料であるということを申し上げるわけでございます。
  189. 横山利秋

    横山委員 どうもあなたのおっしゃるのは常識的で、そんなことぐらいで何が一体秘密かと言いたい。にもかかわらず、原則的に秘密という立場を内閣調査室がとろうとしておるところに私は疑念を抱く。どういう方法でその情報を入手するかと聞けば、きわめて公式的なお話なんだから、公式的以外に非公式な方法があり得るかということです。私が申し上げておるのは、公式的にとったけれども、それを集約をすれば秘密にわたるのですか。どこでも売っておるような本や、どこでも印刷されておるようなものを入手して、それを組み立ててみると秘密にわたる、こういう意味ですか。初めから出どころが秘密にわたるものですか。
  190. 大津英男

    ○大津説明員 いま申し上げておりまするように、それは世界政経調査会のほうにおきまして委託された仕事としていろいろなやり方を、先ほど申し上げておるよう資料の入手、情報の入手、いろいろなことをやっておるということでございまして、その方法はあくまでも合法的な、無理なことを伴わないという方法でやっておる、かように承知をいたしておるわけでございます。
  191. 横山利秋

    横山委員 合法的な、無理でないやり方をしておるのに、何が秘密かと私は聞いておるのです。そこのところがどうもあなたとかみ合わないのです。私の疑問はわかるでしょう。きわめて常識的に私は聞いておるのです。何が一体それで秘密かということを聞いておるのです。なぜそれが秘密かという点が私はどうも納得できませんから、もっとわかるように言ってください。
  192. 大津英男

    ○大津説明員 先ほど来申し上げておりますように、その中で必要なものは、私ども資料としてそれを世界政経調査会から入手をいたしております。こういうものについてお読みいただきますれば、これはおわかりいただけるものと思うのでございますけれども、その中には、その国であるいは発表しておらないことがあるかもしれません。そういう意味で、そういうことを全部発表するということがはたしてどうか、こういうものも中にはあるかもしれないのでございます。
  193. 横山利秋

    横山委員 かもしれないと言ったって、あなた、無理のない、合法的なやり方で集めたのを、こっちがかってにこれはかもしれない、かもしれないといって秘密に扱うということが、あなたの説明を聞いて皆さんが納得すると思いますか。あなた、情報を集収するにあたって、先ほど西ベルリンであったものを入手して翻訳したりとか何とか言いますけれども、各国におけるそういう印刷物を入手したり、それから情報を人に聞いたり、そういうことを内閣調査室自身でもやるわけですか。
  194. 大津英男

    ○大津説明員 それは内閣調査室自身もやりますけれども、なにせ非常に人数も少ないということでございますので、外郭団体にそのものを委託をするという措置をとらざるを得ないのでございます。
  195. 横山利秋

    横山委員 外郭団体が直接に行動するときに、たとえば今度はこの国のこういう軍事情勢なら軍情事勢を調査をしてもらいたい。ついてはよろしくたのむということをあなたのほうから注文をしますね。そういうときの経費は、どうやって算出するのですか。その方法については、全然白紙で、できるだけのことをやってくれ、こういうことになるわけですか。その金額の算出の方法とそれからやり方についての注文は、どういうことになるのですか。
  196. 大津英男

    ○大津説明員 外郭団体と申しますか、その委託を受けました団体がどういう方法で情報、資料を入手するかということでございますが、これは先ほど申しましたように協力をしてくださる方、そういう方からいろいろ情報、資料を入手する、あるいは世界政経調査会の職員みずからがそういう情報、資料を入手する、そういういろいろな方法があると思います。そういうことでございますので、その情報、資料そのものをだれから入手したかということを一々これを見まして、それを幾ら必要としたかということは、個々にもちろん調査をいたしますればわかることでございますけれども、ただそれがどういう人にどういう調査をどういう金額で依頼しておったかというようなことを申し上げますると、これは今後の調査というものに支障を来たす、そういう意味もございまして差し控えたい、かように考えておるわけでございます。
  197. 横山利秋

    横山委員 私の聞いておるのは、この国のこの問題を調査してもらいたいということをいうときに、また調査ができたときに、どうやって払うのか、あなたの話を聞いていると、調査料が高いか安いか全然わからず、ずさんな感じがしてならぬということが第一なんです。  それから第二番目に、調査の方法については、どうもあなたの言うことをそのまま聞いておると、まるっきりどういうふうでもいいからというように言っておるように見える。あなたは、合理的に、無理のないやり方でと言っているんだけれども世界政経調査会がそれでは外国へ行ってきます。あるいは特別にこういう人がいるから、少し報酬を高くせんならぬということについても、方法についてもまるっきり一任ですか。そうすると、たったこの紙切れ一枚で数万円だあるいは数十万円だ、数千万円だといわれても、ああそうかといって税金を払っておるわけですか。世界政経調査会は七十人くらいでしたか、それで二億円ですね。どのくらいの仕事をしておるか知らぬけれども、実にずさんなお金の支払い方ではないかというふうにわれわれは考えるのですが、どうなんです。
  198. 大津英男

    ○大津説明員 もちろん世界政経調査会におきまして調査をする場合において、これを不当に高く支払いをするというようなことがあってはならないのはもちろんのことであります。そういうことで、調査の事項についてどの程度が妥当であるかということは、やはり過去の実績というものの積み重ねということ、これと見比べまして、担当の者が十分にその点についてあやまちのないように見ていく、こういうやり方をとっておるわけであります。
  199. 横山利秋

    横山委員 自分で言っていることが常に相手を納得させておるとあなたは信じてものを言っておるのですか。こういうことを調査してもらいたい、ああそうですか、日本ではそれはわからぬから西ベルリンへ行ってみます。それはヨーロッパを回ってやってまいりますと言われて、ああそうですか、それは報酬が高そうだということになって漫遊してきて、適当に向こうで印刷物一冊買って帰ってきて、観光旅行して、それで国民の血税を払うことをあなた方は認めておるのです。どういう方法で念査をし、どういう方法で計算をするということがわからぬじゃないですか、あなたの言っていることはみんなを納得させられないじゃないですか。私は一つのことを執拗に根掘り葉掘り、あなたが言いにくいことをとことんまで必ずしも聞こうと思っておらぬ。しかしながら、この国民の疑惑だけは解いてもらわなければ困る。算出の根拠が明白でない、支払いの方法が明白でない、調査の方法については一任である、こういうことについてもっとわかるように、説得力があるようにものを申してもらいたい。
  200. 大津英男

    ○大津説明員 大体、委託事項につきまして、毎月調査室のほうの係官とそれから委託団体のほうの者との打ち合わせ会というようなこともやりまして、具体的な計画というものでも、大事な点につきましてはもちろん協議を受けるというやり方でございまして、その間におきまして、たとえば外国へ行かなければならぬというような問題があれば、そういう点についても話が出るわけでございまして、何もかも委託団体がかってに出向しておる、こういうことではございません。
  201. 横山利秋

    横山委員 そうするとかなり話が前進するのですが、政経調査会なり委託団体と毎月一回調査の方法について検討会をなさるというわけですね。そうすると、委託団体の行動なりやり方については相当知悉をしておらなければ金が払えぬわけですね。そうでしょう。そうでなければあなたの言うことがおかしいのです。すると、少なくとも一括して、はいこれはまかせた、はい五万円、はい一千万円ということをやっていないということをあなたはおっしゃる。であるとすれば、委託団体の調査の方法なり、だれがいつ行って、どういうふうに計画して、どういう調査をだれがやっているかということを相当あなたのほうは知っているということですね。
  202. 大津英男

    ○大津説明員 おっしゃるようなとおりでございます。
  203. 横山利秋

    横山委員 そうだとすれば、あなた方がこの前おっしゃったように、何かこの前印象を受けましたことは、調査はまかしてありますから、どういう方法でやられるか知りませんというようなことをおっしゃったことは、あれはうそですか。
  204. 大津英男

    ○大津説明員 私はそういうことを申した覚えはないのでございますけれども、大体は委託団体におきまして、こちらで示しました調査項目というものについて、どういうことを調査しなければならないかというもくろみを委託団体としてもちろん立てなければならない。調査室のほうでもこういうことをやってもらいたいということはもちろんございますので、そういう点について完全に意思の食い違ったままですべてのことが行なわれて、一任しておるというふうなことは前から聞いておらないのであります。
  205. 横山利秋

    横山委員 あなたは、委託団体から、これは非常に問題があると思うから、私のほうでこういう調査をしたいという話を聞いたときに、それは困る、そういうやり方をしては困るといって、とめたことはありませんか。
  206. 大津英男

    ○大津説明員 私の聞いておるところでは、まだそういうことはございません。
  207. 横山利秋

    横山委員 委託団体が、それでは内閣調査室に迷惑がかかるから自分のほうで調査をする、そうしてその調査の方法はまかしてもらいたいと言われたことはありませんか。
  208. 大津英男

    ○大津説明員 そういうことも私は聞いたことございません。
  209. 横山利秋

    横山委員 そこで、「私は」ということばが出てくるのですが、必ずしも委託団体すべてと毎月あなた自身が会っておるわけではないのです。そういうことがあり得るじゃありませんか。かくのごとき国際情勢や国内の各種団体の調査をする、そうして調査が秘密にわたる場合がある。そういう調査をするということがしかく容易なことではないということは、あなたも私もわかるはずですね。相当容易なことではない。容易でないからこそ報酬もかなり高くなる。しかるべきところで会わなければならぬ、会ったらそれに対してお礼もしなければならぬ、その方法についてかなりむずかしい状態になるということはあなたもおわかりのとおりです。だからこそこの前あなたは、内容というよりも、報酬ということについてはそれぞれ払っておる、法務大臣だって払わざるを得ぬことがある、こうおっしゃった。報酬というものは、ただありがとうという交通費だけではなくて、情報入手料として払うわけでしょうでそういう払わなければならぬ人が右翼であれ左翼であれ、場合によっては話したくない人に頼むから話してくれといって話してもらう、だからお礼をたくさん出すということは、本来、通常であるならば会えない人、話してくれない人、部外にわかっては困る人、そういう人と会ったり話したりするということではありませんか、違いますか。
  210. 大津英男

    ○大津説明員 もちろんそういう場合もございます。
  211. 横山利秋

    横山委員 そういう場合にいろいろな方法があり得るという意味において、そこであなた流にいえば、秘密というものが生まれるのではないですか。あさに、そのためには内閣調査室員であっては困る、世界政経調査会員でも困るという場合があるのではないですか。全然別の名前、肩書きでやらなければならぬということがあるのではないですか。
  212. 大津英男

    ○大津説明員 世界政経調査会の職員自身がもちろん調査をする、あるいは内閣調査室の者が調査をするということもございまするし、また調査室の職員が、協力を得て民間のしかるべきおっしゃるような方から情報、資料の入手をする、また世界政経調査会においてもそういうことがあるということは、御指摘のようなことでございますけれども、それが特に先般御指摘がありました事件も、そのようなやり方をしておるのではないかということでございますれば、そうではないということを申し上げたいと思うわけであります。
  213. 横山利秋

    横山委員 そこで、私はそんなことを聞いておらぬのに、あなたがそうではあるけれども、内河は違うということをわざわざ何でおっしゃるのですか。わざわざあなたがそういうことをおっしゃると、やはり内河もそうか、世界政経調査会という肩書きではどうもぐあいが悪いから、やめて、そして五百万円をもらってソビエトへ入っていってスパイ活動をする、それがうまくいったならば、また帰ってきてそして世界政経調査会に就職する、そういうことがあり得るのじゃないですか。それが証拠に、同僚委員がこの間聞いたように、世界政経調査会の勤務中に、休暇だと称して、二カ月も行って、あちらこちらの情報を、漁船に乗ったり何かして調査しておったじゃありませんか。あれを聞いてだれだっておかしいと思うのですよ。ということは、要するにやっておったけれども、どうもおかしくなったからやはりおまえやめてもらおうか、そしてソビエトへ行って情報入手したら、それに金を払うから、五百万円ぐらいは予定しているから、万一のことを考えたら、世界政経調査会をやめたと言え、内閣調査室は関係ないと言え、そういう昔流の——いまでもそうでありますが、そういうやり方をやったんじゃありませんか。それでなければ、内河氏は何でソビエトで、軍事法廷で自白をしますか、ああいう自白をするということは、御存じのようにかえって罪が重くなるのですよ。罪が重くなることを、わざわざ虚偽の自白をなぜしたとあなたはお思いになりますか。虚偽の自白をすれば、日本政府やあるいは内閣調査室や世界政経調査会があれはうそだというてくれて、そしてそれで無罪になるということをもう一回り裏を返してものを言ったというふうにあなたは想像しますか。どうなんですか。  第一の質問は、内河氏の問題は、あなたは聞きもせぬのに、あれだけは違うというのですが、何でそんなことを言わなければならぬ。かえってそれを裏書きしたようなものだということと、もう一つは内河氏が自白したあれは、内閣調査室と世界政経調査会に頼まれたということを言うた心理は、あなたはどうお考えですか。
  214. 大津英男

    ○大津説明員 お話の点につきましては、前々から申し上げておりますように、内河自身が昨年の八月の末に退職をして、個人的に旅行に出かけたということでございまして、その前に休暇をとって何とか丸という船に乗船をしておったというようなことも出ておりましたけれども、そういうような状況であっただけに、勤務も正しくないということで、本人もやめたいということで退職をして、本人が自分のかねて願望しておったところへ旅行に出かけたのである、こういうふうなことでございますので、私ども何らその旅行について関知しておりません。したがって、本人がどういうことを自供したかということにつきましても、私どもは、外務省のほうから判決の骨子ということについてこの席でも前に発表がございましたけれども、何か世界政経調査会に勤務したことがあったという、そういう前歴ということから、その団体が内閣調査室の委託団体であったということと関連づけまして、内河のとった行動そのものを、そういうものの依頼によってやったというようなことに誤解を受けたのではないか、私どもはそう思っておるわけでございます。御指摘のようなことで、本人が自供したということについては、どういうふうな事情で自供したのであるか、私ども全然それも存じません。まことに心外なことであるというふうに思っておるわけでございます。
  215. 大坪保雄

    大坪委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  216. 大坪保雄

    大坪委員長 速記を始めてよろしい。
  217. 横山利秋

    横山委員 資料はどうなりましたか、説明してください。
  218. 大津英男

    ○大津説明員 資料につきましては、副長官のところで、ちょっととまっておるということでございます。
  219. 横山利秋

    横山委員 副長官のところでとまっておるというのは、副長官はどなたですか。
  220. 大津英男

    ○大津説明員 亀岡副長官のところで、決裁書類がまだとまっておるということでございます。
  221. 横山利秋

    横山委員 それではいま委員長からちょっと御注意があったのですけれども、私はとにかく委員会として要望をし、あなたのほうは出しますということを言うたのですから、あくまでこれは委員会に提出を要求をしたいと思う。もし提出ができなければ、副長官なり官房長官に御出席を願って、不日やらざるを得ない。  それからもう一つ委員長の御注意である直接呼んで話を聞いたらどうかという点につきましては、それはそのようにいたしたい。しかし根本的には、国会として資料の提出を要求して、それを万一拒否でもなさるものならば、官房長官なり副長官に、その真意をただすという機会を後日与えていただきたい、こういう希望をいたしまして私の質問を終わります。
  222. 大坪保雄

    大坪委員長 ただいまの御希望の点については了承いたしました。  関連して松本善明君。
  223. 松本善明

    松本(善)委員 先ほど横山委員に答えられた中で治安関係のことで日本共産党の調査もしておるという答弁をされましたが、そのとおりですか。
  224. 大津英男

    ○大津説明員 治安関係情報として、そういうものも入ってくることがございます。
  225. 松本善明

    松本(善)委員 それから、そのほかの諸団体の調査もしているということを言われました。そのとおりですか。
  226. 大津英男

    ○大津説明員 左右いろいろございます。
  227. 松本善明

    松本(善)委員 御存じのように、日本の国の憲法では結社の自由というのが保障されている。どういう法令上の根拠で日本共産党であるとか、あるいはそのほかの諸団体の調査をしているのですか。
  228. 大津英男

    ○大津説明員 私ども調査と申しますのは、国の重要政策に関する必要な情報ということで、内閣法あるいは内閣官房組織令というようなもので、私どものやるべき調査ということは根拠づけられておると思うのでございまして、その範囲に該当する調査につきましては、法令上別段疑義はない。しかもそれの調査につきまして特に特別な何か不法な手段をもって入手するということもございませんので、私どもは何らやましいことのない調査をいたしておるわけでございますけれども申し上げますように、その情報内容の一々につきまして申し上げることは差し控えたい、こういうことでございます。
  229. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、思想調査のようなこともやっておるのですか。
  230. 大津英男

    ○大津説明員 思想調査というようなことはいたしておりません。
  231. 松本善明

    松本(善)委員 日本共産党の調査というのは、どういうようなことをやっておりますか。
  232. 大津英男

    ○大津説明員 治安関係の面から見まして、必要な情報というものでございます。
  233. 松本善明

    松本(善)委員 警察が、場合によっては犯罪の捜査というようなことで捜査をすることもあります。またそのほかの機関がそれぞれの法令の根拠をもってやる場合がありますが、内閣調査室がやるのは警察のやるような犯罪捜査というようなものと同じですか。
  234. 大津英男

    ○大津説明員 もちろん警察機関からも私ども情報の連絡を受ける、入手をするというようなこともございます。
  235. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、面接やるのじゃなくて、警察でありますとか、そのほかの機関からのそういうような情報を集約している、こういうようなことをやっているということですか。
  236. 大津英男

    ○大津説明員 一番最初申し上げましたようなことでございまして、警察あるいは公安調査庁その他の関係の機関から私ども情報、資料をいただくということ、それから自分みずからの調査をするということでございます。
  237. 松本善明

    松本(善)委員 別に不当不法なことでもない調査のやり方、不法、不当なことでもない普通に調べているということであれば、それは明らかにできるはずです。なぜ明らかにできないのですか。
  238. 大津英男

    ○大津説明員 明らかにできるものもあると思います。しかし明らかにできないものも入っておるということでございます。
  239. 松本善明

    松本(善)委員 どういうものが明らかにできて、どういうものが明らかにできないのですか。
  240. 大津英男

    ○大津説明員 それは具体的に個々の場合に検討しなければならない、かように考えます。
  241. 松本善明

    松本(善)委員 あなたは長くやっておられるのでしょうから、明らかにできるものはどういうものかということを言えるはずでしょう。個々のものを言っておるのじゃない。一般的に明らかにできる、日本共産党の調査として明らかにできることはどんなことをやっているか、どういうことをやっているけれども明らかにできない、それを答えてもらいたい。
  242. 大津英男

    ○大津説明員 一般的に新聞にも出るような部面、こういうようなものはもちろん言えると思います。
  243. 松本善明

    松本(善)委員 新聞に出るようなことを調査するのに予算を使ってやっておるのですか。そんなふまじめなことをやっておるのですか。
  244. 大津英男

    ○大津説明員 新聞に出るようなことと申しましたのは、新聞に出てからということではございません。
  245. 松本善明

    松本(善)委員 新聞に出るようなというのは出てからということではないのだというならば、それはどういうことなのです。出てからならばわかりますよ。どういうことだということはわかります。出ない前に新聞に出るようなことを調査する、それではどういうような内容調査をしていくか全然わからないでしょう。あなた方は共産党の調査で明らかにできないということはどういう内容なのです。それは全然わからないでしょう。どういう基準でやっているのです。どういう基準が明らかにできるのか。
  246. 大津英男

    ○大津説明員 先ほど来申しますように、新聞に出ておるようなことは もちろんこれは新聞に出る前に私どもそういう情報を入手するということにつとめておるわけでございますが、それが出てしまったあと調査をするというようなことでございますれば、これは御指摘のようにそういうむだなことをしておるかというようなお話になるかもしれませんけれども、その辺で御了解いただけるのではないかと思います。
  247. 松本善明

    松本(善)委員 新聞に出ないようなことでどういう種類のことか。全部こまかくいま言えということではありませんけれども、どういう種類のことは言えない内容ですか。方法は不法なことはしていないという、どういうことが言えないのです。
  248. 大津英男

    ○大津説明員 それについては発言を遠慮させていただきたいと思います。
  249. 松本善明

    松本(善)委員 そういうことがあり得ていいことでは決してないと思います。結社の自由を侵害をし、そうしてあなた方の活動を国会の前にも明らかにすることができない。国会の前に明らかにすることができないというのは、国民に対して秘容を持っているということです。秘密の機関があるということです。そういうようなものの存在が日本の国を誤ったのだ、太平洋戦争のときを見てごらんなさい、必ずそういうようなやり方が徹底的に糾弾されるだろうということを言って終わります。
  250. 大坪保雄

    大坪委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十六分散会