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1967-07-14 第55回国会 衆議院 法務委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十四日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 大坪 保雄君    理事 安倍晋太郎君 理事 大竹 太郎君    理事 高橋 英吉君 理事 中垣 國男君    理事 濱野 清吾君 理事 加藤 勘十君    理事 横山 利秋君 理事 岡沢 完治君       千葉 三郎君    中尾 栄一君       神近 市子君    中谷 鉄也君       西宮  弘君    三宅 正一君       沖本 泰幸君    松本 善明君       松野 幸泰君  出席政府委員         警察庁刑事局長 内海  倫君         法務政務次官  井原 岸高君         法務省刑事局長 川井 英良君         法務省入国管理         局長      中川  進君         外務省欧亜局長 北原 秀雄君         自治省選挙局長 降矢 敬義君  委員外出席者         内閣官房内閣調         査室長     大津 英男君         警察庁警備局外         事課長     渡部 正郎君         最高裁判所事務         総局刑事局長  佐藤 千速君         参  考  人         (世界政経調査         会前会長)   廣岡 謙二君         専  門  員 高橋 勝好君     ――――――――――――― 七月十四日  委員下平正一辞任につき、その補欠として中  谷鉄世君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄世辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十三日  高知刑務所移転促進に関する陳情書  (第三四七号)  田川市の裁判所並びに検察庁地区昇格等に関  する陳情書(第三  四八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件  裁判所司法行政に関する件  法務行政に関する件(内河昌富事件)      ――――◇―――――
  2. 大坪保雄

    大坪委員長 これより会議を開きます。
  3. 横山利秋

    横山委員 議事進行について……。  実は、きょう参考人をお願いをすることになっておるわけでありますが、それに関連いたしまして、本委員会で先般いわゆる内河事件のソビエトにおける軍事法廷裁判記録をすみやかに提出されること、並びに内閣調査室世界政経調査会に本年度出しております二億に近い予算算出根拠等提出を要求してから、すでに半月近くになるわけであります。本日その審議に際して、どうしてもその判決記録算出根拠は必要なのであります。にもかかわりませず、内閣調査室及び外務省は、故意か偶然か知りませんけれども、これを提出をしてないことはまことに遺憾千万だと思います。直ちに、ただいまから自由民主党の方の選挙違反に関する質問があるわけでありますが、廣岡参考人出席までに、両資料提出されんことを望みます。
  4. 大坪保雄

    大坪委員長 委員会のほうから両省に督促することにいたします。判決文のごときは着いておるかどうか、着いておればコピーはもちろんすみやかにできると思いますし、予算書説明はどういうことになりますか、これも状況を調べてみることにいたします。  裁判所司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中尾栄一君。
  5. 中尾栄一

    中尾委員 私は今回の総選挙以降の国会、約六カ月の間、少なくとも先般の一月に行なわれました全国的な総選挙を振り返って考えてみますと、必ずしも例年の総選挙と比較いたしまして、きれいな、清潔な選挙が行なわれたとは判断しておらない者の一人でございます。そういう選挙状態の中でありながら、選挙が終わりましたとたんに、その総反省というものを、新聞紙上幹部がありきたりの話をしたにすぎない実態でございまして、その内容に至っては、まことに掘り下げた反省というものがなされておらないのじゃないかという気さえするわけでございます。特に例年のごとく、総選挙たびごとに一番これは反省すべきである。特に法務関係関係当局におきましては、徹頭徹尾この問題を掘り下げていくべきではなかろうかと私ども考えておりますものは、総選挙たびごとに横行いたします怪文書その他でございます。御承知のように怪文書というのは、いまさらここで説明するまでもございませんけれども発行されますると、その発行人名前、住所はみんな偽造したものでございます。一般的にいわれておりますのは、会社あるいは個人名というものはほとんどございません。その会社もみんなつくられた会社でございまして、調べても何の根拠も存在もございません。そういう会社から発行される怪文書なるものは、これは当然その候補に対して危険を抱いておる者、当選されては困るという危惧を抱いておる者、これが当然この怪文書発行するには違いないのでありますが、それは大体において印刷会社、あるいは非常に悪い一般の町のぐれん隊などを使って、こういうものを発行さしておるというのが現実でございます。そういうたぐいがおりますので、これはひとつこの際総選挙の総反省という意味で、少しく質問をさしていただければ幸いだと私は思う次第であります。  全国怪文書告発というものが、この問の総選挙において一体何件くらいあったのか、まずこれを一つ刑事局のほうにも問い合わせいたしまして、そこからまずこの問題について、時間の関係もございますので、掘り下げていくほどの時間の余裕はございませんが、具体的な例を推し進めながら述べていってみたい、このように思います。よろしくお願いいたします。
  6. 川井英良

    川井政府委員 ただいま御指摘の、いわゆる怪文書といわれるものにつきましては、かなりな数が出ていることは事実でございますけれども文書違反というかっこうで統計は取りまとめてございますが、その文書違反の中で、御指摘のようないわゆる怪文書がはたして何件あるかというようなことについては、私どものほうでは正確な統計をとっておりませんので、正確なことは申しかねます。そこで、いわゆる文書違反でございますが、今回の総選挙では、ごく最近までの統計によりますというと、文書違反全部で千二百七十二という数字を受理しております。これは警察から検察庁が受理した数字でございます。それからなおあわせて今回の統一地方選挙では、すべての文書違反が、ごく最近の統計で四百十八を受理いたしております。
  7. 中尾栄一

    中尾委員 文書違反千七百七十二件。私はこのものを突きとめてみますと、二千件はオーバーするんじゃないかと思われるほど、相当数にのぼっております。たとえていうならば私の出身県でございます山梨県におきましても、怪文書件数が私の調査においては相当なされておりまして、一人の代議士あたりに四十二種類という数が出ておりますので、これはまた検察当局並びに刑事局のほうでまだお調べになってない数字ではないかという考えに立つわけでございます。もっと掘り下げていうならば、この選挙違反の中における最も悪質な怪文書というのは、これはやったほうではやり得になって、やられたほうではやられ損になるという可能性が非常に強うございます。考えてみますと、選挙が、もしかりにこの怪文書の影響において負けたということを想定した場合に、負けた人間にとって、この怪文書告発する権限も全くないというくらいに、非常にみじめな状態で放置されるというのが現状でございます。また、選挙に勝った、当選をした方々におきましても、当選したという暁において、自分たちがやられましたこの問題点は、なるべくいやなことであるから思い出に残したくないということから、法務委員会なりあるいはその他の関連委員会において質問するようなこともなく、また追及することもなく、ほんとうにこの問題は荼毘に付されてしまうということが現実の事実ございまして、私は、こういう問題は、もう少し徹底的に刑事局のほうで洗ってもらいたい事実だと思う次第でございます。一体その千七百七十二のうちに、捜査中、解決したもの、特に選挙内において解決した件数は何件あるのか。これをひとつ単刀直入にお聞きしたいと思います。
  8. 川井英良

    川井政府委員 いま私のことばが明瞭でなかったと思いますが、千七百ではございませんで、千二百七十二件ということでございます。これにつきましては、これも選挙中に何件解決したかという点は、正確にまだ統計をとってまいりませんでしたけれども、千二百七十二の中で、今日まで起訴いたしましたのが二百六十二でございます。取り調べの結果、不起訴になりましたのが四百七十五でございます。これは総選挙のほうでございます。それから統一地方選挙のほうでは、四百十八が総数でございまして、今日まで起訴されましたのは二十二、不起訴がきまりましたのが二十七で、あとは目下取り調べ中、こういう状況に相なっております。
  9. 中尾栄一

    中尾委員 私が具体的に皆さま方に例を示しながら、少しく法務委員会委員各位にも、ひとつぜひともこういう問題点は問題にしていっていただきまして、特に公職選挙法というようなものがクローズアップしておる今日、むしろその基礎でございます。民主主義政治というものは、選挙から出発するんだという自覚をあらためて持っていただきまして、そしてこの問題点について、皆さま方の論及をお願い申し上げたいと思う次第でございます。  一番ひどい例としまして、つい最近の山梨県におきまする知事選怪文書の件、あるいはそれをさかのぼりまして、岐阜県で行なわれました、これまた怪文書の件、さらに和歌山県における怪文書の件、あるいはまた静岡県知事選における怪文書の件、あるいは足立代議士怪文書の件、これはもう各地において乱発しております。たとえていうならば、怪文書のみならず、ポスターとしてもこのようなポスターがどんどん配布されておりました現実を、まず皆さま方は直視をしていただきたい。委員長、こういう状態の中で選挙戦というものが行なわれております。「この黒い手に渡すな」「十六年の実績が示す安定県政」というような形で、悪魔の手を描きながら、なおかついまから出馬しようとする人たちに対する誹謗文書を、ここに綿々とうたっております。このようなポスターを堂々と印刷会社で刷る。しかもなお、それが配布される、こういう状態において、選挙中において何らこれに対して打つ手はない。このような意味において選挙が終わってしまう。その公判の結果が、残念ながら二年、三年後において行なわれる、こういう状態であるならば、全くもってこういう卑劣な文書を出す人間がやり得になってしまうという、この現実皆さま方に直視していただきたいと思う次第でございます。特にその怪文書に至っては、さらに悪徳なものは、岐阜県の事実においてもそうでありますけれども、公文書においてすらも——現実怪文書であり、偽造書というものを出されて、しかもそれを刑事局から追及されると、その本人にかわって、言うなればヨタモノのたぐいの人間身がわりとして引っぱられていく、こういう状態を認知し、黙殺して一体いいものであるか。こういう問題をもう少し厳重に取り調べてもらいたいと思う次第でございます。そういう観点から、ひとつ怪文書特徴的事例をこの法務委員会委員各位に配付していただきたいと思う次第であります。さらに和歌山県の知事選挙岐阜県の知事選挙山梨県の知事選挙、あるいはまた今回の総選挙において配布されました怪文書の例、この問題などを調査していただきまして、この次の法務委員会にぜひとも参考資料を配付していただければ幸いだと私は思う次第でございます。  こういう怪文書が横行いたしますけれども、特に悪質だと思われます一例を申し述べますならば、岐阜県の今回代議士になられました松野幸泰代議士に行なわれました怪文書もしかりであります。これは知事選のときでありますが、松野幸泰氏の名前において、こういう文書で出されております。  県庁岐阜市の大接戦は、田中彰治代議士や、自民党幹部の応援のもとに私の勝利となりいよいよ三選知事となりました  今後の陣容を次の如く予定通り決行します   知  事 松野 幸泰  副知事 栗原民之助   県会議長 毛利 三郎  副議長 吉井幸之助   岐阜市長 後藤  清  助 役 松原 喜七  市庁を占領された岐阜市の部課長は全部県庁から異動させ市会議員は全部当方へ降伏しましたこれで私の思うとおりの岐阜市とすることが出来ます  岐阜市を生かすも殺すも私の胸三寸  県庁の前に私の銅像が作ってもらえるのを期待しております                 松野 幸泰 松野幸泰という名前でこのような文書が三万枚くらい出されたそうであります。これは選挙中の事実でありますから、私どもがこの文書を読みます場合には、おそらくこういうつまらない文書怪文書に違いないという形で一笑に付するわけでありますが、一般大衆にとりまして、こういう文書で三万枚近く配られるということは、中には相当に信ずる人間がおるわけであります。事実信じられまして、これは相当大きな戦果を生みまして松野幸泰は落ちたわけであります。現実には松野さんは代議士になっておられますから、おそらく言い分もございましょう。しかし、こういう現実をそのままに黙殺されて、二年、三年後にこういうものの判決があるということ自体は、まことに刑事当局並びに検察庁の一考すべき問題ではないか。また深くこれを考えていただきたい問題であるというように考えますので、自治省選挙局長が来ておられますので、ひとつこの問題点を聞かしていただきたいと思います。御説明をお願い申し上げたいと思う次第であります。
  10. 降矢敬義

    降矢政府委員 御指摘のような怪文書につきましては、その差し出し人その他がすべて本名ではございません。したがいまして、これは取り締まりの上でも非常に困難を来たすことでございますけれども、われわれとして三十九年の法律の改正におきまして、三十八年における総選挙の結果を考えまして、一つは「虚偽事項公表罪」のところに新しく、「当選を得させない目的をもって公職候補者又は公職候補者となろうとする者に関し」従来は「虚偽事項を公にし」というだけでございましたけれども、それにさらに加えまして、「又は事実を歪曲して公にしたとき。」という誹謗文書に対する刑罰取り締まり規定一つ挿入いたしました。また二百三十五条の四という新しい規定を設けまして、いま御指摘のような他人名義を盗用をして、そして当選を得しめない目的をもって郵便あるいは電報、電話等により通信をした者に対するいわいる怪文書対策という意味におきまして、この規定を新しく挿入いたしたわけございます。
  11. 中尾栄一

    中尾委員 私は、怪文書というものは、名誉毀損であるとか、そういう問題ではないと思います。怪文書というのは、あくまでもこれはりっぱな、買収供応以上の、むしろ選挙妨害であるという見解に立つものの一人であります。刑事局担当責任者並び自治省選挙局長にお聞きしたいのでありますが、この問題はりっぱな選挙妨害事件としてその選挙期間中に徹底的に洗って、しかも私に言わせれば、捏造する人間印刷する人間、配布する人間、これはすべて同一責任であるとみなして、徹底的にこれの処分をする、現行犯として逮捕する。しかも逮捕した以上は、これは実刑に処すということをお願い申し上げたい次第でありますけれども、この問題についてどのような見解を持っておられますか。
  12. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま御指摘のような問題は、捜査そのものの問題でございまして、選挙管理委員会といたしましては、当該事件について直ちに捜査に着手をして、選挙期間中に刑に処するというようなことは権限がございませんので、御了承いただきたいと思います。
  13. 川井英良

    川井政府委員 いわいる実質犯だけではなくて、従来形式犯といわれておりました文書違反の中にも、御指摘のように選挙の自由、公正のために全く悪質なものが出てきたというのが、最近の選挙違反特徴だろうと思います。  そこで、今回の二つの選挙を比べてみましても、買収等実質犯は、三十八年当時と比べてあまり違いはありませんが、かなり増加を示したのが御指摘のような文書違反事件でございます。これはことさらに、いままでやらなかったものをやったというわけではありませんで、私どもの回顧によりますれば、やはり先ほどから御指摘になっておりますような悪質な、誹謗的な、あるいは虚偽を表示するような、あるいは選挙の自由をあえて妨害するようなものがふえた。したがって、それに対する違反件数が増加したという結果であろうと思うわけでございます。  なお、あとつけ加えたいのは、いわいる誹謗文書あるいは虚偽表示文書といわれるような怪文書は、普通の文書違反というよりは、二百二十五条の「選挙自由妨害罪」に該当する場合が多いのではないかということを検察当局は早くから主張し、そういう立場に立って事件を処理してまいりましたけれども、ごく最近六月二十九日だったと思いますが、御存じのように「般若苑マダム物語」という典型的な怪文書事件でございますけれども、これは検察官が二百二十五条違反として起訴いたしましたけれども東京地方裁判所はこれは自由妨害にはならないということで無罪にいたしました。検察官は納得できないということで、検事のほうから控訴を申し立てました。東京高裁で争いました結果、六月二十九日、これは検察官主張のとおりこの程度のものは自由妨害罪になるということで破棄されて、積極の判決が出ておることは御存じのとおりだと思いますが、そういうふうな従来の法律上の関係もございまして、いわいる怪文書取り締まり、特にそれを選挙自由妨害罪として重く取り締まることについてはやや難点があったわけでございますけれども、これらの判決を契機といたしまして、今後においては証拠が十分である限り、悪質なものについては重い選挙自由妨害罪として処理する方針を固めているところでございます。
  14. 内海倫

    内海政府委員 ただいま、選挙執行中における取り締まりの御質問がございましたが、ただいま法務省刑事局長からも答弁のありましたように、私どもといたしましては特に今回の総選挙及び地方統一選挙におきましては、怪文書、いわいる選挙自由妨害に当たり、あるいは虚偽事項公表その他に該当すると思われる怪文書というものが相当出回るのではないかということで、事前からもこれについては全国警察本部に対して指示をいたしたところであります。選挙に入りましてから相当数怪文書というふうなものが出た、あるいはこういうものが出ておるというふうな警察官による発見、あるいは選挙民のほうからの警察への資料提供、いろいろございました。ただいま御指摘岐阜県の事件につきましても、知事選挙中、あるいは総選挙中に、そういうふうな怪文書が出回りますと、警察におきましては、ものによりましてはそれが実際に郵送配達される前に、投函された直後を押えて、到達による被害の防止というふうな措置を多くとっておりますし、またこの怪文書の出ましたことについての捜査につきましては、実に半年間のきわめてきびしい捜査を実施いたしまして、全貌を明らかにして、ただいま検察庁のほうに送致を終えておるわけであります。まだ検察庁における処理段階中でございますので、これらの内容について申し上げることをはばかりますが、私ども警察側における捜査という点から申し上げますならば、岐阜県におけるそれを例にとりますなら、私どもはただいまお読み上げになりましたような他人名義を用いた、しかも虚偽事項公表したようなかような悪質なものを含んでいる十一種類文書を突きとめ、これらを配布あるいは郵送配布したというようなものについての容疑者を検挙しておるところでございます。怪文書につきましては、仰せのとおりこのほかにも相当数あります。私どもは同様な決意、同様なきびしい態度をもってその捜査に当たったわけでございます。
  15. 中尾栄一

    中尾委員 怪文書というもの自体が非常に悪質であることは、もうただいまわれわれ自身選挙を経てきた、特にこれに悩まされてきた代議士は感ずるわけでございまして、特に私の例をここで言うのも何かと思いますが、私は無所属で今回当選してまいりました際に、全くあらぬ摸造文を出されまして、徹頭徹尾偽名を使った会社名で何万枚となく配付された苦々しい経験を持っております。これはいまから新しい、若い、しかも根強い力が出てこようというときに、あらゆる角度で抵抗し、それをくじこうという気持ちはわかりますが、しかし、それにしてもこのような悪質な手をもって当選してくる代議士は、はたして天下国家を論じていける代議士になり得る資格があるかどうかということを私、はなはだ疑問に思っております。そういう意味におきましても、むしろ破れていった方々立場をお考えになっても、ぜひとも警察庁、それから刑事局長がただいま申されましたように、選挙中において徹底的に洗っていく面をさらに強化していただきまして、それが半年とか一年とかいうズレをもって判決を下していくというような状況でなく、なるべく警察官を現場へ動員して買収供応以上に告発、告訴して摘発してもらいたい。そして先ほど私が言いましたような印刷をしている会社あるいはまたそれを配布する人間、これを、たとえばこういう状態があるということを投書、あるいは口頭において、電話なりにおいて伝達を受けた場合には、必ずそこに警察官を派遣さしてそれを徹底的に洗ってもらいたいということを願うや切でございます。そういう問題点につきまして、政府当局ではどのような御見解を持っておるか、しかも政府の一員といたしましても、代議士という試練を経てきた諸先生方はどのようにお考えになっておられるか、ひとつ政府当局の御見解をまずお聞き申し上げたいと思います。
  16. 井原岸高

    井原政府委員 私も、選挙自分のことながら、いろいろ地方選挙も数回となく体験を経ておるわけでございますが、ただいま御質問にありましたようなやり方は、法の上からはむろんでございますが、道義の上からいいましてもまことにけしからぬ行為、行動であると、常々そういうことに対しましては非常な激憤をいたしておる一人でございます。しかし、ただいまの選挙中における言論の自由というもの、これはむろん大切でございますが、そのことを一つの理由にいたしまして、ただいまいろいろな実例の御発表ございましたように、そういうことがやられるわけでございますが、その最後の決定というのは比較的に、名誉毀損というようなものでただ何か新聞に小さな謝罪広告を出す程度で済んでしまうというようなことでありまして、そういうことは非常に遺憾といたしておるわけでございます。しかし、でき得る限り検察当局には、それ以前の予防的な、あるいはまたその中間における取り扱い等につきましても、御質問の趣旨に沿うように政府としては十二分に善処いたしたいと存じます。
  17. 中尾栄一

    中尾委員 この問題に対しましては、政府では——いままで買収供応に対しましては、相当にきびしい態度で臨んでおるわけでございますけれども、特に言論の自由というものの背景を持ちましたこの怪文書、ただいま政府当局で言われました言論の自由をむしろ利用した怪文書、これをひとつ徹底的に、さらに買収供応と同等以上に力を入れていただくことを希望申し上げる次第でございます。  さらに私は、言論の自由という問題が出ましたので、ここにおいて総選挙反省と同時に、いままで行なわれております立ち会い演説会個人演説会というものを考えてみますると、どうも候補者の政見を聞くという以前に、各候補がいたずらに各派閥の動員をかけることによって立ち会い演説の中でも相当選挙妨害を行なっておるという点も私は意識せざるを得ないのでございます。県は申しませんし、またいかがなる選挙であったかということはあえて私は申しませんが、その演説会というものが非常に混乱におちいって、何百人かの動員をかけられて、そうして三百人くらいまん中に座して、そしてその目的候補者が出たときには、やじるのでもなければ何でもない。ただウォーという合いことばでもってその選挙の十八分の立ち会い演説中、ウォー、ウォーと騒がした事実もございます。このときに、私は警察当局が、どういう形でこれを処分するかということを見ておりましたら、ただ警察官はシーッ、シーッと言うだけで、ほうり出すわけでもなければ、何をするわけでもない。この咆哮する全く無礼なやからを、何をすることもなく、ただその選挙立ち会い演説を終わってしまったという事実を私は目撃しております。私は、このようなぶざまな立ち会い演説が一体世界のどこの国にあるか。まず聞くことから選挙が始まるのだ、また民主主義が始まるのだということを無視して、こういうやからを言論の自由という美名のもとに大きく利用し、また、なおかつ妨害をするというに至っては、こんな立ち会い演説は全く意味がないと言わざるを得ないのでございます。そういう意味において、私は私見といたしまして申し述べたいのでありますが、これを取り締まる意味ということもさることながら、もう少し立ち会い演説というものを具体的にりっぱなものにしていく方策というものは、現実に当局はお持ちになっておられるのかどうか、あるいはまたそれをカバーする意味におきましても、さらに今日戦後二十二年間テレビがこれだけ普及されておる今日、テレビというものの効用率をお考えになって、テレビの効用を、もっと立ち会い演説に倍旧してお考えになる方式は、選挙管理委員会並びに当局に持っておられないのか、その点をお聞き申し上げたいと思う次第でございます。
  18. 降矢敬義

    降矢政府委員 立ち会い演説会につきましては、ただいま御指摘のような演説会を、いわば妨害をするというと語弊がありますけれども、こういう意図的な行動に出るようなケースも従来しばしばございました。これは選挙管理委員会といたしまして、御案内のとおり、各党とも打ち合わせをし、また選挙民一般にも、立ち会い演説会の趣旨の徹底につとめているわけでございますが、なお一そう私たちとしては、今回の総選挙を前にいたしまして、さらにこの趣旨を徹底した次第でございます。  またテレビの活用の点でございますが、今回の総選挙反省といたしまして、茶の間に演説が入っていくということをもう少し考えるべきではないか。また反面、御案内のとおり立ち会い演説会に参加される選挙民の数というものは、有権者の幾らにもならないわけでございます。したがいまして、われわれといたしましても、あるいは選挙委員会といたしましても、何かそういうものをテレビを通して入ることを考えるべきではなかろうかという検討を始めております。この問題は、選挙制度審議会の選挙運動を審議しておる委員会のほうにも毎々提示いたしまして、昨日実はテレビの民間及びNHKのそれぞれの方々の御意見もお聞きいたすような機会を持ったわけでございます。先生御案内のとおり、山梨とか、信越とか、あるいは鳥取とかという、いわば放送のエリアがその県一円に及ぶようなところにおきましては、報道として自主編成権に基づいてやっておるところもあるわけでございますが、それを全体として考える場合には、特に関東及び大阪地区を中心にいたしまして、このエリアが一円をおおっておる関係と、また候補者の数がきわめて多いという関係におきまして、きのうも編成技術上非常に困難がありはせぬかということと、もう一つ選挙におきます一番大事な問題として、候補者各人にとりまして公平であり、また平等でなければならないわけでございますが、この点をいま特に、関東、近畿を中心にして非常にたくさんの候補者が出る場合におきまして、どういうふうにこれを処置していくかという問題につきましては、なお技術的に相当、テレビを担当する当局といたしましても今後検討しなければいかぬ。しかし、きのうの御意見でも、前向きに検討をしてまいりたい、こういうお話がございました。  また、立ち会い演説会とは別に、政党の政策普及という意味で、いわば政党の立ち会い演説会というと語弊がありますけれども、そういうしかけで選挙民に政策を訴える、そのようなものをテレビなどを通してもう少しやれぬか、こういう考え方もきのう提示されまして、これは政党をどうするかという問題はございますけれども、どの範囲にするかという問題はありますが、技術的には立ち会い演説会をこなすよりもかなり楽だというお話がございました。われわれとしても、できるだけ前向きに検討を進めておるところでございます。
  19. 中尾栄一

    中尾委員 私の持ち時間がどうやらまいりましたので、詳しい内容に至っての質疑は打ち切らしていただきまして、最後に個人としての要望並びに、できるならば、こういう問題点はすみやかに特別立法化しても、ぜひとも皆さま方の中でこれを厳重に処罰していく体系を持っていただきたいと思う次第でございますが、その要望を申し述べたいと思います。  現在怪文書が配布されております件数が約千二百件ということを総選挙件数として申されておりました。私の山梨県という一つの舞台の中でも、すでに私の知り得る範囲で八十何種類という種類が出ております。こういう件数から考えてみますると、全国で至るところに、もう何万件と言っても差しつかえないほどの件数が出ておることと私は考えます。特に私は、天下の代弁者をつくっていこうという総選挙にあたって、このような怪文書がまかれており、しかも、そのような怪文書を陰において出していくことを命じておるような人間が、もしも代議士になるようなことがあった場合、これは天下のゆゆしき問題であるということを考えまして、こういうことは絶対に取り締まってもらいたい。  なおかつ、私はこういう問題点を、いままで買収供応というものだけに刑事局は力を注いできた感がしないでもございませんけれども、この問題点買収供応以上に取り上げ、すみやかに、その選挙中において一刻も早く解決していく、現行犯として解決していくような問題を取り上げてもらいたいと思う次第でございます。なおかつ、その結果が半年、一年、一年半後に発表されますけれども、大体の発表は執行猶予というかっこうでもって措置をとられております。相当事件だと思われましても執行猶予で片づけられておりますが、執行猶予くらいなこんな程度では、この私が引っぱられたって、執行猶予くらいではどうということはないという気持ちになる程度のものでありまして、私は、執行猶予なんという甘いものではなく、人心を傷つけ民心を混乱さす、しかもなお選挙を妨害する、このようなものに対しては執行猶予以上の徹底したものを断行すべきである、体刑に処すべきであるというのが私の所論であります。この点は、政府並びに刑事当局もお考えになっていただきまして、これほど大きく社会問題化しております怪文書の問題を、すみやかに皆さま方の中で十分に御検討いただきますことをお願い申し上げまして、私の四十五分間にわたる持ち時間の結末にさせていただければ幸いでございます。  ありがとうございました。
  20. 大坪保雄

    大坪委員長 次に、法務行政に関する件、いわゆる内河昌富事件に関しまして質疑を行ないますが、本件につきましては、参考人として世界政経調査会前会長廣岡謙二君が出席いたしております。  廣岡参考人には御多用中のところ本委員会調査に御協力をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお願い申し上げます。  なお、御意見は委員からの質疑によりお述べを願いたいと存じます。  それでは、横山利秋君。
  21. 横山利秋

    横山委員 廣岡さんには、この間国会の都合で失礼をいたしました。  聞くところによりますと、廣岡さんはこのたび世界政経調査会をおやめになったそうでありますが、どういう事情でございましょうか、いつおやめになりましたか。
  22. 廣岡謙二

    廣岡参考人 この六月三十日が任期一ぱいでございましたので、六月をもって退任をいたしました。経過を申しますと、私、最初政経調査会を引き受けましたのは昭和三十六年の七月でございました。その当時、聞きますところによりますと四団体でございまして、それが一本になって世界政経調査会というものをつくる、ついては、当時の役員諸氏がぜひ私に会長を引き受けてくれという話が、当時の内閣室長を通じてあったわけです。私はこれに専任する、常勤になるということでは困るということを申したのでありますが、いや、そういうものではなくて、たまに出て様子を見ていてもらえばいいんだという非常に軽い意味だということでございました。それでいわば名前だけのシャッポになるということだなというようなことで、当時の役員諸氏の懇請もだしがたく就任をいたしたわけでありますが、だんだんと内閣調査室からの委託業務もふえてまいるような現状でございます。したがって、その翌年にとうてい——そういう事情で引き受けましたけれども、やはり私にかわってこの会務を見てもらう者が必要であるということで、三十七年の七月に事務局を設置することにいたしまして、その責任者を求めておったのでありますが、黒川幸雄君というりっぱな方を得ましたので、その方に常勤理事として、そうして私にかわって事務局を引き受けてくれ、会務を見てくれということにしておったのであります。   〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 その翌年私が海外移住事業団の仕事を引き受けることになりましたので、当時から辞意を持っておったのでございまするが、そういう機構も整備されたことでもあるし、決して迷惑をかけないというようなことで、このまま会長に残っておりました。しかし、事業団の仕事が非常に忙しくなったわけですし、これに専念いたしたいということもございまして、四十年でございましたか、前の任期のときに辞意を漏らし、さらに今年の三月に予算審議の役員会を行ないました当時、この任期をもって私は会長を辞したいということの承認を得たわけであります。それでこの六月一ぱいをもって辞任をいたした、こういう次第でございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 いろいろお伺いしたいのでございますから、できますならば簡潔にお願いしたいと思います。  私ども廣岡さんがいまおやめになりますことが、お話によれば偶然かもしれませんが、今回のような、内閣調査室内河事件でフットライトを浴び、そうして世界政経調査会が非常に疑惑の的というては恐縮でありますが、そういうときにこつ然としておやめになることに、何か暗い影を感ずるわけであります。  お伺いしますが、いま世界政経調査会は、何人くらいの職員でございますか。
  24. 廣岡謙二

    廣岡参考人 正確な人数は記憶いたしませんが、たしか六、七十人おると思います。
  25. 横山利秋

    横山委員 六、七十人で二億円近い政府からの委託費をもらわれるのですが、それはどういう方法でお仕事をなさるのでございますか。自分のところで直接使用する予算と、部外へ再委託いたします予算との比率はどんなものでございますか。
  26. 廣岡謙二

    廣岡参考人 大体、詳しいことは私承知いたさないのでありますが、会は大体国内事情、国内の政治、経済等の諸般の事情の調査、それから自由諸国の政治、経済、社会、文化、あるいは共産国の同様のようなものを研究調査する、さらにそれを総合分析、判断するというような部門に大体分かれております。大体、外国の新聞、雑誌……
  27. 横山利秋

    横山委員 パーセントをお伺いしておるのです。
  28. 廣岡謙二

    廣岡参考人 パーセントですか、そのパーセントというのはどういうことですか。
  29. 横山利秋

    横山委員 直接仕事をされる、自分のところで直接使用する予算と、さらに委託をされる予算、そのパーセントを聞いておるのです。——きょう国会へおいでになるのはもう二回目でございますし、お手元に紙袋をお持ちのようでありますから、仕事のやり方とか、予算とか、当然質問があると思ってこられたと思うのでありますが、それらはお持ちでございませんか。
  30. 廣岡謙二

    廣岡参考人 たいした資料は私手元に持ち合わせございませんが……。
  31. 横山利秋

    横山委員 私の質問の焦点は、この調査会自身が仕事をする分と、他にさらに委託をして仕事をする分があるだろう、その比率はどんなものかと聞いておるのです。
  32. 廣岡謙二

    廣岡参考人 内閣調査室から委託を受けて作業をしている面が大部分でございます。
  33. 横山利秋

    横山委員 どうもあなたおかしい。内閣調査室から二億円の金をもらって仕事をする、その仕事をあなたのところの六、七十人の人間ではやれないだろうから、さらにそれを委託することがあるだろうと聞いておるのです。その委託する部面はどのくらいのお金をお使いになるかと聞いておる。
  34. 廣岡謙二

    廣岡参考人 一億、二、三千万くらいだそうです。
  35. 横山利秋

    横山委員 委嘱というのは、どういう方法で委嘱されるのですか。
  36. 廣岡謙二

    廣岡参考人 先ほど申しかかりましたけれども、会自体といたしましては、外国の新聞、雑誌、図書、文献等を翻訳し、これを整理する仕事でございます。また、そういうものから得た資料を、さらにその道の専門家に依頼いたしまして、その分析を頼み、判断を願う、また資料の整備等を委託するという場合がかなりございます。それらに要する費用がかなりの分占めており、こう考えております。
  37. 横山利秋

    横山委員 お間違いないでしょうな。二億円のうち二、三千万円しか委託していないという数字に間違いないでしょうな。あとで訂正されるようなことはないでしょうな。
  38. 廣岡謙二

    廣岡参考人 二、三千万と申したのではなく、一億二、三千万でございます。
  39. 横山利秋

    横山委員 わかりました。その一億二、三千万という数字は、下請ということばが適当かどうかしりませんが、委託する法人、委託する個人、つまり組織及び個人に渡っておるでしょうね。
  40. 廣岡謙二

    廣岡参考人 大部分が個人だそうであります。
  41. 横山利秋

    横山委員 あなたのほうで、内閣調査室をおやめになりました人に、今度は引き続き個人に委嘱をして仕事をしてもらうということはあり得るでしょうね。
  42. 廣岡謙二

    廣岡参考人 理論上は考えられますけれども、事実はないと聞いております。
  43. 横山利秋

    横山委員 この一億二、三千万円という委託をするのが個人であるとするならば、その個人という人はどういう職業の人が多いですか。どういう部面でやるのですか。どういう調査を委託するのですか。
  44. 廣岡謙二

    廣岡参考人 全般的に申しまして、その資料に基づいて判断し得るそういう方面の専門的な研究家という人が多いわけであります。
  45. 横山利秋

    横山委員 たとえばどういう人。二、三列挙してください。
  46. 廣岡謙二

    廣岡参考人 名前を申し述べることは差しひかえさしていただきたいと思いますけれども、ただいま申しましたようなその道のそれぞれの専門家ということになります。
  47. 横山利秋

    横山委員 それではよくわからないのでありますけれども……。あらゆる職業にわたる、あらゆる内外人にわたる、そういう意味でございますか。
  48. 廣岡謙二

    廣岡参考人 外人はございません。
  49. 横山利秋

    横山委員 そうすると、あらゆる職業にわたって一億二、三千万の金を個人に渡して委嘱する、調査報告書をもらう、こういうわけでございますね。
  50. 廣岡謙二

    廣岡参考人 もちろんその金額の中には、その資料に基づいて内閣調査室に報告するような印刷資料購入費というものは含んでおります。
  51. 横山利秋

    横山委員 個人に対します場合には、きちんとした記録を書いてもらうという以外に頭脳を借りるといいますか、知識を借りるわけでありますから、判定がきわめて困難だと思うのですが、つまり謝礼的な意味といいますか、情報提供費という意味、そういうものが多分にあると思いますが、そう解釈してよろしいか。
  52. 廣岡謙二

    廣岡参考人 いろいろそういう資料にわたり、ただいま申しましたような人に依頼いたしましても、相当やはり研究しておるその道の権威の人がおるわけであります。したがって、大部分はそういう人に委託をし、お願いをいたしておるわけでありますが、中には情報を提供するとかいうような人に対して謝礼を出すということはあるだろうと思います。
  53. 横山利秋

    横山委員 内閣調査室と、あなたのほうの世界政経調査会との違いというものは、どういうものでありましょうか。いまあなたの話を聞いておる分には、内閣調査室で直接やっても何ら差しつかえがない仕事のように見える。しかし、二億円というばく大なる予算を、委託を受けてやる調査会であればこそできるということは何でありましょうか。
  54. 廣岡謙二

    廣岡参考人 内閣調査室のことにつきましては、室長から御答弁があったと思いますけれども、私の想像し承知いたしております限りにおきましては、調査室といえども一定の限度がございます。あるいは人員等に束縛される点もございましょう。したがって、その手の届かないところを世界政経調査会などの団体に委託するということは当然あると考えていいのじゃないかと思います。
  55. 横山利秋

    横山委員 おたくの職員の中で、旧軍人は何人くらいおるのか。
  56. 廣岡謙二

    廣岡参考人 私詳しいところ——六、七十名顔と名前がつかない程度の認識しかございませんが、中にかつて軍人であった人も若干おるやに聞いております。
  57. 横山利秋

    横山委員 何人でございますか。
  58. 廣岡謙二

    廣岡参考人 六、七名おるやに聞きます。
  59. 横山利秋

    横山委員 そういう人たちは何を担当していらっしゃいますか。
  60. 廣岡謙二

    廣岡参考人 西欧諸国並びに共産諸国における政治経済、あるいは文化、ただいま申しましたような社会生活等の全般にわたる調査に従事しております。
  61. 横山利秋

    横山委員 二億九百五十万円ですか、あなたのほうへ委託されておる今年度の予算だそうですね。内閣調査室からおたくへ参りますときには、これこれの調査にこれだけの予算というように内訳が詳しく載って委託をされるわけですか。
  62. 廣岡謙二

    廣岡参考人 大体年度にあたりまして、調査室から大まかな予算の指示がございます。それに基づいて予算を組むわけでありますか、毎月定例な報告会を兼ねた調査室との会議を持っておるようでありまして、そのときに指示された委託された問題について常時報告し、また必要があれば適切な指示、指導を調査室から受けるというようなかっこうで業務を実施いたしておるようであります。
  63. 横山利秋

    横山委員 ようでありますというようなことばを使われたのでは困るのですがね。ここは国会で、あなたは参考人として、ずいぶん問題の中からおいでを願ったわけでありますから、人ごとみたいに、ようでありますというようなことばをお使いになっては困るのであります。  私が聞きたいことは、二億九百五十万というばく大な予算を大体大まかにもらって、適当に使っておるような印象を与えるわけであります。つまり私の聞きたいのは、どういう、たとえば本年度は何がしの項目において幾ら、何がしの項目において幾らという本年度の予算の内訳と項目を聞かしてもらいたい。
  64. 廣岡謙二

    廣岡参考人 委託を受けました調査対象に基づく経費がついてくるわけであります。それは、はっきりと来年度予算はこれくらいだ、これだということが指示に相なるわけであります。その後、実際の業務を運営し作業をいたす上につきましては、調査室と先ほど申しましたような定例会議を毎月一回持ちまして、そのときに打ち合わせをし、指示を受ける、そうして作業に従事しておるというようなことになっておる次第であります。
  65. 横山利秋

    横山委員 本年度予算調査項目と、その金額をお示しを願いたい。
  66. 廣岡謙二

    廣岡参考人 二億九百万でございます。
  67. 横山利秋

    横山委員 そんなことはわかっているのですよ。その内訳と調査項目を聞かしてもらいたい、こう言っておるのです。
  68. 廣岡謙二

    廣岡参考人 ただいま私手元に持ち合わせがございません。
  69. 横山利秋

    横山委員 直ちに取り寄せていただきたいと思いますが、いかがでしょう。——国会へ来るのにそんな抽象的な答弁で済ませると思っておることが大間違いですよ。失礼ですよ。
  70. 廣岡謙二

    廣岡参考人 二億九百万という総額についてはございますけれども、その個々につきまして、何々が何ぼというような内容になっておりません。それを実際に施行いたしますにつきましては、月一回の室との連絡会議において打ち合わせつつやっておるというのが実情であります。
  71. 横山利秋

    横山委員 これはふしぎなことを承るものですね。二億九百万というばく大な金額、国会はこれを議決をするわけです。しかし、それは政府の問題、あなたのほうとして、少なくとも年々歳々内閣調査室との折衝があるのですから、本年度は大体このくらいだと思うという内閣調査室との打ち合わせがあるはずですね。何となく二億円のワクをもらう、そして毎月によって、それじゃこいつは幾ら、こいつは幾らという適当なやり方ですか。これは国民の税金ですよ。あなたがお出しになっておる税金じゃありませんか。それがそんなべらぼうないいかげんな——二億円を何の内訳もなしにもらっておるということでは、納得できません。
  72. 廣岡謙二

    廣岡参考人 来年度の予算で二億九百万、それ全部が調査委託の金額でございませんで、その中で、委託調査、研究調査、あるいは資料購入費だとか、あるいは印刷費というものをひっくるめたものが一億二、三千万、それにつきまして、先ほど申しましたような方法で、内閣調査室と常に連携を保ちつつやっておる。そのときどきの経過を報告し、室からも適当な指示を受ける。今日までそれが正常に運営されてまいっておるのでありまして、ただいまも御指摘にありますように、非常にずさんである、やり方が放慢であるというようなことは、実際上の運営においては決してございません。
  73. 横山利秋

    横山委員 決してあるかないかは——あなたのいまのお話では、おそらく聞いておる人は納得しないですよ。だから、この二億九百万というものを本年度——本年度ができなければ去年度でもいいのですが、その内訳を話してくれというのにどうしてそうためらうのですか。廣岡さんが知らないでためらっておるのか、わざとためらっておるのか、私どもは疑問に感ずるのです。知らなかったらよけいおかしい。知っておってためらっておるならごまかそうとしておる。失礼な話でありますが、そう考える。なぜもっと率直に二億九百万の内訳を説明ができないのですか。あなたのお話によると、二億九百万のうち一億二、三千万円は外部の個人に委託をして、再下請というかそうさせる、——これも私はたいへんなことだと思っておる。一億二、三千万円というものを個人に、謝礼、頭脳提供費というものを含めて個人に渡るとすると、何人くらいか知らないが、べらぼうな金が個人に渡っておる。数百人とか数千人とかいうことはないでしょう。あとの差額が印刷費とか、人件費だ、本部で使う、調査会で使うようでありますが、まるで皆目雲をつかむような御答弁ばかりである。ですから先ほど申し上げたように、きょうおいでを願うについて、もちろん内河のことが一つ問題点である。問題点であるけれども調査会の仕事のあり方について疑惑があるからそれでおいでを願っておるわけです。したがって、それについて何らかの資料もお持ちにならずに、一言一言隣で話を聞いて御答弁をなさるということは、どうもほんとうにあなたはこの調査会の実務を全然御存じないのか、あるいは知っておっても、何らかの事情でまあそらとぼけようとしておるのか、どちらかと私は疑わざるを得ないのであります。どうでございます。
  74. 廣岡謙二

    廣岡参考人 私自身省みまして、決して予算——先ほどお話にありますようにすべてが税金から出ておるということは非常に認識いたしております。またこの会の運営にあたりましても、そういうずさんのないように適切にその目的が達せられるように、その点についても細心の指導なりをやってまいっておるのであります。内閣調査室に対しまして報告件数は、私の記憶いたしておるところによりましても年に五千件以上の報告件数を出しております。またその成果を集積いたしまして室に報告いたしております定時、随時の報告書は、七、八十種もあるやに記憶いたしております。そういうことにおいて、いろいろわれわれがやっておりますことが、結果的には集積をされて室に提出をいたしておるのでありまして、決してその間に漫然と、放漫に、いいかげんにやっておるというようには私考えておりません。
  75. 横山利秋

    横山委員 ほんとうにあなたが放漫でない、間違いないとおっしゃるなら、もっとあなたは知っておるべきだ、予算内容を、もっと正確に、隣に聞かぬでも自分で答えられるはずである。それが答えられずに、予算内容が答えられずに、どうしてあなたは正確だとがんばれるのですか。何も御存じないあなたが、正確だと言える資格はないじゃありませんか。  私は、あなたとそんなことを言い合っておるよりも、本年の二億九百万円の内訳が、もっと同僚諸君にも納得のできるような手段を講じていただくことが必要なんです、ここまできたのですから。ですから二億九百五十万ですか、その内訳がどういう状況であるか、手元に資料がなければ即刻取り寄せていただきたい。きょうだめだったら本委員会提出してください。お約束できますか。
  76. 廣岡謙二

    廣岡参考人 資料予算内容でありまするが、この点につきましては、私限りにおいてこれをここで提出する、しないということを申し上げるわけにまいりません。内閣調査室の意見もございましょうから、打ち合わせの上でしかるべく善処ということを申し上げます。
  77. 横山利秋

    横山委員 失礼しました。あなたがいま調査会の会長でないということを私はうっかりしておりまして、また、だからあなたには相談して出すということの権限が、一体いまおありになるかどうか、あなたもどうかしているのだ。内閣調査室に聞きます。  それでは、その次に問題の内河氏、もうこれはいろいろお伺いする前に、あなたから御報告願ったほうがいいと思いますから、時間の節約上、内河さんのこの調査会における勤務の状況、退職の状況、そして今回のスパイ事件についての調査会の考え方、それを簡潔にひとつ明らかにしてください。
  78. 廣岡謙二

    廣岡参考人 内河君は、確かに三十六年三月に世界政経調査会に入っております。そして自分の都合という名義をもって、八月一ぱいをもって退職いたしておることも事実でございます。  彼の在職中の勤務を聞きますると、もっぱら外国の新聞、雑誌、文献等の翻訳に当たっておったそうでありまして、その限りにおきましては、命ぜられた仕事はきちんとやっておった、こういうように聞いております。ただ、昨年の七月ころから休む日が多くなってまいった。黒川常務理事に聞きますと、七月ころにはやめさせてくれということを申し出ておったというようなことで、一身上の都合という彼の願いによりまして、先ほど申しましたように、八月一ぱいで退職いたしたというように聞いております。
  79. 横山利秋

    横山委員 内河氏の今度のスパイ事件についての調査会の関係、並びに感想をお伺いします。
  80. 廣岡謙二

    廣岡参考人 いわゆる今回のスパイ事件という、これはわれわれにとってはまことにいやなことでありますが、私がこのニュースを聞きましたのは六月の下旬、二十二、三日のことであったと思いますけれども、外出先から夜帰ってまいりましたときに、数社の新聞記者の襲撃を受けました。そのときに初めて、こういう事実があるのを知っているか。——私は全然寝耳に水のような話であって、全然そういうことは知らないし、もちろん考えられもしない、信ずることもできないというようなことを申したのでありまするが、私が内河君のこの問題を聞いたのはそのとき初めてでございます。  それで、翌日黒川常務理事に、こういう話を聞いたんだが、一体どういうことなんだということを聞きますると、実はただいま申しましたような経緯でもって、八月一ぱいでやめた男である。その後そういうことを自分も聞いたのであるが、どうも信用できない、信ぜられない、もちろん会自体には絶対に関係もないし、関知せざるところであるが、そんなことはとうてい考えることはできないというような気持ちを黒川君も言っておりました。私もこんなことは絶対にあり得ることでもないし、調査会といたしましてもそういう必要はさらにないことである、こういうように私は考えておる次第でございます。
  81. 横山利秋

    横山委員 内河さんは、ソビエトの軍事法廷において、調査会及び内閣調査室の委託を受けてやった、五百万円ですか金をもらうことになっておる、もらったかもしれませんけれども、この点を自供しておるわけであります。判決文はあとで見るわけでありますけれども、少なくともスパイであるということを自供すれば、罪は重くなることは当然であります。スパイでないとすれば罪は軽くなる。にもかかわらず、スパイであると本人が自供しておるわけですね。あなたはそういうことは、事実はないというのですけれども、こういうことはあり得ないのでありましょうか。つまり、個人として一億二、三千万円にわたる委嘱をして下請をさせる、その下請を受けた人たちが、情報入手のためにいろいろ海外へ行って活動する、あるいは国内において活動する、その過程におけるスパイ活動ないしはそれにまぎらわしいことをするという可能性を、あなたはお考えありませんか。こういうことの可能性をあなたは考えませんか。
  82. 廣岡謙二

    廣岡参考人 いわゆるスパイというようなそういうまぎらわしいような行為を私どもは、いままでやっております世界政経調査会においては、決して必要ないのであります。先ほど申しましたようなじみちな外国の翻訳、整理、その他ニュース提供者からいろいろな事情なりというものを教えていただくこと、これをじみちにフォローすることによって何らかの情報の把握なり情報の判断なり、これは十分にできることであります。   〔大竹委員長代理退席、安倍委員長代理着席〕 いわんや伝えられるような軍事的なスパイ、しかも、ああいう方法によって、前時代的なああいう方法によってやるという必要は、現在の状況下において決して必要じゃない、そういう可能性について御質問ありまするけれども、そういう可能性をさらに必要としないというように私は考えております。
  83. 横山利秋

    横山委員 念を押しますけれども、あなたはそうお考えであるとかりに仮定しても、一億二、三千万円の金をもらう特定個人の人たちは、いかにして情報を収集するかということを考えたことございましょうか。内閣調査室はおれのほうは知らぬ、調査会が集めてくれた資料を買うだけだ、調査会は特定個人の多くの人たちからそういう情報を買うだけだ、情報をつかもうとする人がどういう手段、方法によるかは関知したことではない、こういうことをあなた方は言うんじゃありませんか。あなたは、その必要がなくたって、情報を持ってこようとする人は、あらゆる手殺を尽くすということについて、自分には責任はないけれども、情報なら買うということがあり得るんじゃありませんか。
  84. 廣岡謙二

    廣岡参考人 理屈の上から申しますと、ただいまおっしゃられることは考えられます。しかし、現実の問題としては、私の知る限りまた世界政経調査会がやっておる現状においては、そういう無理をしてやるという必要はさらに感じておりません。またやらしておりません。
  85. 横山利秋

    横山委員 特定個人の人たちに、やってはいけないそういうスパイ活動、ないしはそれにまぎらわしい方法をもって収集してはならないということを、言うてあるんですか。
  86. 廣岡謙二

    廣岡参考人 私は、かつてそういうことはやる必要ないということを申したことはございます。またいままで何かそういうような問題があるとすれば、内閣調査室からも私に対して注意もございましたでしょう。しかし、今日までそういう注意を受けたこともございませんし、また無理をして情報を収集してきたという話も聞いたことございません。
  87. 横山利秋

    横山委員 あなたのほうは、情報収集のために、大使館ないしはCIAと接触をすることはございましょうか。
  88. 廣岡謙二

    廣岡参考人 ございません。
  89. 横山利秋

    横山委員 あなたのほうの職員で、調査のために海外へ御出張なさる場合、あるいは委託を受ける特定個人の人たちが海外へ出張する場合ということは、容易に想像されますね。
  90. 廣岡謙二

    廣岡参考人 かつて香港等にも研究員の身分のままで出張いたしたことがあると聞いております。また黒川常務理事の話によりますと、昨年におきましてもヨーロッパに一人行ったというようなことを聞いております。
  91. 横山利秋

    横山委員 そこで、内閣調査室長にお伺いするのですけれども、どうしてあなたは、この間から要求した二億九百五十万の算出根拠を、もう二週間もたつのに本委員会提出しませんか。
  92. 大津英男

    ○大津説明員 たいへん申しわけなく思っておりますが、私は事務上、これを処理するように申しつけておきましたのでございますが、進んでおらなかったというのが実情でございまして、この点おわびを申し上げたいと思います。それでこの点は、資料をつくりまして、上司の決裁を得ましてから提出するようにしたいと考えております。
  93. 横山利秋

    横山委員 忘れておったとか言ったけれども、部下がやらなかったというのは説明になりませんぞ。私は、かくのこともあろうかと思って、もうすでに十日も前に直接あなたに電話して、いいだろうなと確かめたことを、あなたよもやお忘れじゃございますまい。サボっておるのですか。法務委員会をなめておるのですか。なぜ二週間もたつのに出しませんか。本委員会廣岡さんにさっきからしちくどく聞いているのも、あなたのほうの資料が出れば時間の節約ができるじゃありませんか。しかも、あなたのいまの御説明によると、上司の許可を得て、こうおっしゃる。それじゃあなたは、部下に命じたときに、上司の許可を得てないのですか。これからも、上司の許可が得られなかったからといって出さぬ場合があり得るのですか。
  94. 大津英男

    ○大津説明員 たいへんおしかりを受けて恐縮に存じます。先ほどから申し上げておりますように、お話の趣旨の資料をつくりまして、それで上司の許可を得るように私がやりたいと思っております。
  95. 横山利秋

    横山委員 上司の許可がないということはあり得るのですか。
  96. 大津英男

    ○大津説明員 上司に御相談をいたしますけれども、私はあるかないかということは断言できませんけれども、たぶん出せるのではないだろうかと思います。
  97. 横山利秋

    横山委員 それでは、あなたはもう十分熟知のことでございますから、二億九百五十万円の内容をここで一応言ってください。
  98. 大津英男

    ○大津説明員 大蔵省のほうとの折衝で申しますと、先ほど廣岡前会長が申された中にもありましたが、大体前年に五千何件ですか報告件数がございます。そういう報告件数を基礎にいたしまして、人件費とか、あるいは事務所費とか、そういうふうなもの以外の経費の報告件数に要した一件当たりの単価と申しますか、そういうものを出しまして、それに、本年度は特にこういうことをやってもらいたいというような面を件数としてさらにつけ加えまして積算をする、こういうようなことで大蔵省のほうの御了解を得る、それに人件費とか事務費とかそういうものが加わったものが二億幾らになる、こういうことでございます。
  99. 横山利秋

    横山委員 外務省は、判決録届きましたか。
  100. 北原秀雄

    ○北原政府委員 いまだに入手できません。
  101. 横山利秋

    横山委員 これもまた先般来同僚委員からもくどく追及があるところですが、なぜ入手ができないのですか。弁護士や本人の手元へ渡っておる、——中谷君からこの間言われましたように、ソビエトの裁判の仕組みからいっても、当然弁護士や本人に渡っておるはずなんだ。それをいまもって入手ができないというのはどういうわけです。
  102. 北原秀雄

    ○北原政府委員 現地で、ソ連の外務省を通じまして強硬に要求しております。先方は、軍事裁判の判決文とその正文を発表するということは、ソ連の司法機関においてはそういう前例がないのだということを主張しております。それに対しましてソ連の外務省は、いや日本側においてはやはりいろいろな考慮からしてそれがどうしても必要だということで、司法当局に対して強くかけ合ってくれております。先般も再三催促しておりますが、もう渡せるだろうという外務省関係局長の言がありましたが、不幸にしていまだに入手できません。
  103. 横山利秋

    横山委員 もし入手ができなかった場合、この間の中谷君の質問の続きになるわけでありますが、この状況をもってしたならば、入手ができない場合が、最悪の場合が予想される、こう考えざるを得ない。そこで政府態度でありますが、いま廣岡さんも、内河とは全然関係がないとおっしゃる。内閣調査室も、関係がないと言う。外務省も、関係がないと言う。本委員会の、先般来の質疑応答で言われたことであります。そうすると、一体政府として、この内河氏に対する処置はどういうことになるのですか。もしもほんとうに関係がないならば、政府は公式な文書をもって、かかる事実はないということをソビエト政府に言って、証拠をあげて、そして本人の身柄釈放を要求すべきではないか。今日までのところ、政府はそれに対して、ソビエトに対して口を緘して言おうとしない。ただ何となく減刑をしてもらいたい、何となく早く釈放してもらいたい、こういうことを言っておるにすぎないのであります。その点について政府は、この問は、判決記録ができたらそれを入手をして、詳細に検討して対策を立てると言っておるのでありますが、もはやスパイとしてソビエトの軍事法廷判決したことはまぎれもないことであります。それに対して、すべての関係者は関係がないと言っておるなら、堂々と日本人の生命財産の保護、身柄の保護という立場からいっても、日本政府は立証をしてソビエトに交渉すべきであると思いますが、いかがですか。
  104. 北原秀雄

    ○北原政府委員 内河被告は、上告の手続をとりまして、近く上告いたしました結果による最高裁の裁判が開かれる予定でございます。われわれといたしましては、上告の審理が行なわれます前に、ぜひとも判決文の全文をよく検討いたしまして、そして上告に際しての弁護人に対する対策をもきめたいと思っております。上告の日もそう遠くはございませんので、実はこの点ほとんど連日催促しておる次第でございます。
  105. 横山利秋

    横山委員 時間の関係上同類の事件に移ります。  この間、いわゆる旭洋丸事件でありますが、出入国管理令違反被告事件について裁判所判決をしております。    被告人両名は、いずれも無罪     理 由   本件公訴事実は「被告人両名はいずれも日本人であるが、乗員でない渡辺清茂、川口治男、大野広美、鼎富勝、 雅夫、岩崎辰巳及び尾崎清次郎こと張永晋と共謀の上有効な旅券に出国の証印を受けないで昭和三十五年十二月二十四日右渡辺清茂を除く川口治男外五名と共に島根県志摩郡温泉津港より漁船旭洋丸(一九八九噸)に乗船し、朝鮮民主主義人民共和国新浦港に向け出航し、もつて不法に本邦を出国した」というのである。   右事実については、被告人等はいずれもこれを認めているのみならず、証拠上も極めて明白である。   弁護人は、被告人等の右出国は治安当局(特に島根、鳥取両県警察本部)が渡辺清茂と協力して朝鮮民主主義人民共和国(以下北鮮という)に対するスパイ行為として行われたものであつて、治安当局自ら物質的援助乃至協力をなした公認行為であるから正当な行為として違法性を阻却する。かりに然らずとするも被告人等は右出国につき治安当局の承認があるものと信じ、且つそのように信ずべき正当な理由があるから犯意がない。従つて無罪であると主張する。   当裁判所見解は、証拠を検討した結果治安当局の援助、協力、承認があつた事実は確認できないが、被告人等は本件出国について治安当局(特に鳥取県境港警察署)の承認があるものと信じ、且つそのように信ずべき正当な理由があるから罪を犯す意思がない。また、かりに被告人等が浜田港に来て初めて本件出国についての違法の認識を持つようになつたとの検察官に対する供述(検察官調書)が真実であるとしても、当時の客観的情勢の下においては、もはや被告人等に右出国を思い止まることを期待することは不可能であつたから、いずれにしても本件所為は無罪であるというに帰着する。 という判決の理由書であります。この点については、先般もちょっと同僚委員が触れたわけでありますが、いま高等裁判所に移行をしております。  そこで、問題になりますのは、ここに、「被告人両名が治安当局の承認があると信じた理由」中、   三十五年十二月十二日付渡辺より境港警察署汐留警備係長宛(広留の誤記)封書(渡辺の依頼で洲崎が出したもの)及び同年十二月十七日付洲崎より同署警備係景山部長宛封書がそれぞれ同警察署に送達され、渡辺が境港を基地として漁船による北鮮との漁業合作を実施する計画であり、これに要する資金が景山部長宛に送金されるかもしれないことは同署警備係長山下警部並びに景山部長において知つていたこと、同部長並びに山下係長は昭光丸、天神丸事件を通じ渡辺が漁業合作と称して北鮮えの出国計画を実行しようとしたことを知つていたこと、同年十二月二十一日洲崎は境港市港屋旅館に投宿中の渡辺と会い、同所に景山部長を呼び渡辺より同部長に対し旭洋丸が冷凍機の積込みを中止して浜田港より北鮮新浦港に出港することを告げたが同部長は何等右計画の中止を勧告しなかつたのみならず渡辺、洲崎と酒を飲み交したこと、更に翌日頃同部長は渡辺、洲崎が境港を発つに当り洲崎が昭光丸事件の際の寝具を引取るについてその保管料の値引をあつせんした上駅頭で渡辺にウイスキー一瓶を贈つたこと、同署警備係員等が渡辺のスパイ行為を察知し、これを利用しょうとしたかどうか明らかでないが、右のような警察の好意的態度よりすれば洲崎、江籠平等をして本件出国を承認しているものと誤信されても止むを得ないことが認められる。   旭洋丸が浜田港に停泊中の同月二十三日頃迄の浜田警察署の被告人等船員に対する職務質問は密出国容疑としての取調べでなく何等突込んだ質問はなく暗に被告人等をかばうような状態であり、被告人両名に書かせた上申書も至つて形式的であること、渡辺の北鮮出国計画は鳥取、島根両県警察本部を通じ浜田警察署に連絡があつたのに同警察署においては何等未然に右出国を阻止しようとする形跡も見当らないことが明らかである。 あと、省略いたしますが、これは実に奇々怪々なことだと思うのであります。しかも、これは判決の記録であります。裁判所が公正な判断をした無罪の理由書であります。私はかくのごとき状況が今日の日本の警察にありとするならば、内閣調査室やこの廣岡さんの調査会においても、これまたかくのごとき状況が暗々裏に行なわれておるとすら考えざるを得ないと思われるわけであります。この点について政府側の御答弁を望みます。
  106. 渡部正郎

    ○渡部説明員 ただいまお述べになりました判決文に関連する事件につきましては、国会におきましても、過去において何度か検討された事件でございますが、その際に申し上げましたように、この事件は、警察が北鮮の情報を入手しようということで違法な出国を黙認したという疑いがあるわけですが、そういう事実はございません。いろいろお読みになりました判決文の中にも書いてありますように「治安当局の援助、協力、承認があつた事実は確認できない」というふうに言っておりますし、それからまた同じくお読みになりました中にあったのでございますけれども、「この際警察庁当局が、出国に関する前記渡辺等の真意を推察していたかどうか、渡辺等の北鮮に対するスパイ行為を利用しようとしていたかどうかは明らかでない」と言っておるわけでありまして、この事件は、現在高裁に係属中でございますが、この判決文自体は、この点については確認をしておる形にはなっていないのでそれはともかくといたしまして、警察庁として冒頭に書いてありますような弁護人側の主張に該当する事実はございません。
  107. 横山利秋

    横山委員 事実はないで、それで済まされますか。いま私が判決文を読み上げましたけれども警察署の行為が適法である、適当であるとお考えになっておるのですか。
  108. 渡部正郎

    ○渡部説明員 お読みいただきました中に、いろんなたくさんの事実が出ておるわけでありますけれども、一々お答えするのもただいまのところ時間の都合があると思いますので、ここにあげられておりますいろんな事実関係は、警察庁、それから現地の島根、鳥取両警察本部、それから熊本の県警察本部等におきましても、この種の北鮮に出かけて行くという情報をキャッチしておりまして、これは正規の手続によらずに出国いたしますと、当然犯罪を構成するわけでありますので、その状況を十分承知して、違法な点があればしかるべき処置をとるということで、警察庁並びにいま申し上げた各県の警察本部でも、所轄の警察署にそれぞれ指示を出しておりまして、その指示に基づいて現場の関係警察が情報収集のためにいろいろなことをやっておる。それに関連した事実でございまして、いま申し上げましたように、当時捜査の一環として行なわれた行動でございまして、弁護人側の主張しておるようなそういう関係ではございません。
  109. 横山利秋

    横山委員 すでに第二審に入っておるわけですが、第二審の公判で、渡辺がアメリカ大使館に出した手紙、アメリカ大使館から内閣調査室への照会状、また内閣調査室からアメリカ大使館への回答書などが出されておるというわけで、内閣調査室がこれに関連をしてまいります。内閣調査室からアメリカ大使館へ出された回答書は、どういう内容のものでございますか。   〔安倍委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 大津英男

    ○大津説明員 そういう書類があることは存じません。
  111. 横山利秋

    横山委員 存じませんと言ったって、あなた内閣調査室長じゃございませんか。そういう事実があるかないか、部下のやったことがあるかないか知らないのか、ほんとうにアメリカ大使館へ出した書類がないのか、そういう事実がないのか、どちらですか。
  112. 大津英男

    ○大津説明員 私も、旭洋丸事件について別の機会に御質問がございましたので、その後調査室のほうで調べてみたのですが、そういう書類が出たということはない。それから被告が自分の出国ですか、そういう点について、自分立場を有利にするためにいろいろ治安機関のあれを受けたというようなことを言っておることとか、そういう事実はなかったということを私は聞いておるわけでございます。
  113. 横山利秋

    横山委員 本件に関連をしまして、二審の公判で、アメリカ大使館から内閣調査室への照会状、内閣調査室からアメリカ大使館への回答書が出たというのに、あなたは出ないというのですか。間違いないでしょうね。
  114. 大津英男

    ○大津説明員 私は、とにかくそういうことはないと聞いております。もう一度よく調査してみますけれども、いままで聞いたところでは、そういうことはないということでございます。
  115. 横山利秋

    横山委員 それでは、次回おいでを願うかどうかわかりませんが、公式にお調べの上、印刷物でもけっこうでございますから、そのような事実をお確かめの上、本委員会に回報されるように希望します。  警察庁は、この種の問題の中で、どういうことをお考えでございましょうか。少なくとも北鮮へ行くという事実を知っておるにかかわらず、情報収集のために知らぬ顔してウイスキーを贈り、激励をし、百歩下がっても、本人に、警察が黙認をしてくれる、ないしは承諾をしておる、政府がこれに対して、暗黙の了解を与えておるということを誤認をさせる行為をとった。そういうことを今後も続けるということでございましょうか。本件の事案にかんがみ、いかなる措置を今後しようとするのでありますか。
  116. 渡部正郎

    ○渡部説明員 いまお話のございましたようなことは、毛頭考えておりません。
  117. 横山利秋

    横山委員 考えておらないということは、今回旭洋丸事件でとったような措置は正しくない、今後かくのごとき誤解を与えることはやめさせる、こういう意味でございますか。
  118. 渡部正郎

    ○渡部説明員 とった措置とおっしゃいましたけれども、どういう意味で申されたか、私よくわからない点もございますが、先ほどから申し上げておりますように、その事実を知って黙認したということでは旭洋丸事件はございません。そういう誤認を与えたかどうかということになりますと、これは非常に技術的な問題でございますので、私、当時外事課長ではございませんでしたし、直接タッチしておりませんけれども、誤解を与えるという意味で、技術的な反省はしなければならないという点はあるようにも思いますけれども警察考え方として、そういうものを黙認するとか、それを利用して情報を収集するということは、旭洋丸事件についても考えておりませんし、今後もやる考えは毛頭ございません。
  119. 横山利秋

    横山委員 たいへん時間をとりまして同僚委員に御迷惑をかけますので、この辺で終わりたいと思いますが、きょうは、実は内閣調査室から資料が出、廣岡参考人からは具体的な調査会の御説明があり、そして、国民の疑惑を晴らすところに私の焦点があったのでありますが、御両所とも審議に御協力くださったと残念ながら言いがたいと思われるのであります。したがいまして、内閣調査室から資料が出、あるいは急いでおります軍事法廷判決記録を入手した以後にまた譲らざるを得ませんので、私の質問はこの辺で一たん打ち切ります。
  120. 大坪保雄

    大坪委員長 加藤勘十君。
  121. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 私も相当いろいろな点において廣岡さんにお伺いしたいと思いましたが、時間もあまりありませんし、いま同僚の委員からもいろいろお尋ねしたけれども、あなたの返事は要するに何らの要領を得ない。そうしてわれわれが持っておる疑惑は、深くなっても決して解明はされていない。あなたは、お伺いすると、海外移住事業団の理事長もしていらっしゃる。実際において、そういう面で南方方面に出かけられる時間も多いと思いますが、それならば、一体世界政経調査会の実際の仕事をやっておる人は何という人ですか。
  122. 廣岡謙二

    廣岡参考人 先ほどからその事情を申し上げましたとおりでありますが、私にかわって代行してくださっている人は、ここにおられる黒川常勤理事でございます。
  123. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 黒川さんは、この政経調査会の全責任を実際上しょっておられる方ですか。
  124. 廣岡謙二

    廣岡参考人 会長をやっておりまする以上、事のいかんにかかわらず、最終の責任は私にございます。
  125. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 会長である廣岡さんは、すでに六月三十日に会長をやめられた。会長をやめてから今日まで約二十日近い時間がたっておりますが、その半月からたっておるそういうあなたの後の会長は、一体予定としては、あなたが再任されるのか、それともだれかほかの人がやる予定になっていますか。大体人事のことについては予定されておると思うのですが、どうですか。
  126. 廣岡謙二

    廣岡参考人 六月三十日に、最終のといいますか、特に役員の私の辞任に関する件を付議いたしたのであります。私はちょうどこの当時、沖繩に出張中でございまして、不在でございましたが、私の辞任の意思はすでに三月にも申し述べておりましたので、そのときの模様を聞きますと、会長がいずれ正式にきまるまでは、この黒川君が会長の事務を代行するということにきまったそうであります。
  127. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 私のお尋ねしているのは、あなたが会長をおやめになってあと、あなたが再任されるのか、それとも別な人事が予定されておるのか、あるいは黒川さんが実際の責任も形式上の責任も一切を負ってあとを継がれるのか、そういう点を明確にしておいてもらいたい。
  128. 廣岡謙二

    廣岡参考人 私は再任に応ずる意思はございません。したがって、あとどうなりますか、あとの役員会の意向によります。
  129. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 廣岡さん本人は再任される御意思を持っていらっしゃらぬ。その点は明白になったのでありますが、後任会長の人事について、前会長である廣岡さんが全然関与されないということも、これまた常識的に考えられないことなんですが、その点はどうですか。
  130. 廣岡謙二

    廣岡参考人 辞任いたしました後は、私は世界政経調査会には関与いたしません。
  131. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 それでは、もうこれ以上廣岡さんについて政経調査会のことをお尋ねしても、結局責任がないということであるし、あとも再任する意思がないということであるならば、これ以上お尋ねすることは意味をなさぬと思いますから、この点はもう質問をしません。しかし、実際の問題として、黒川さんが会長不在中はその責任をしょって仕事をやられる、こういうことだけは間違いないですね。
  132. 廣岡謙二

    廣岡参考人 さようでございます。
  133. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 それと、きょうは黒川さんにお尋ねすることになっておりませんから、いずれまたこの問題は判決文が回ってきてから、判決文についてさらに検討した上でお尋ねすることにします。  調査室長、先般官房長官が来て、官房長官から予算の問題について私はいろいろ聞いたのです。けれども、これも時間切れで、結局しり切れトンボみたいになってしまって、明確を欠いておる。しかし、官房長官自体が、まだ新任して何日問しかたっていない。これはわからないのは当然だと思うのです。室長であるあなたが知らないはずはない。知っておるに違いないから、私は官房長官に予算の事務の末端の文房具が幾らとかなんとか、そんなこまかいことまで一々聞こうとしているのじゃない。政経調査会に渡される場合に、この前も聞いたけれども、概括払いをされるのか、報告を受けたそのものに対する報酬として与えられておるのか、こういうようなことをすべて項目別に報告をしてくれ、こう官房長官にも言うてあるわけなんです。だから、あなたは上司の命令といって——上司というのは官房長官が上司ですから、官房長官がいやというはずはないと思います。木村さんはそんな人じゃないと思う。だからこれは至急に予算内容、さらに言えば内閣調査室関係のあるのは世界政経調査会ばかりでない。ほかにもたくさんある。十一の団体がある。そのうちたとえば放送の聴取をして、それを翻訳してもらうというようなNHKの問題なんかはこれはもう明白ですけれども、そんなものは必要ないけれども、同じような種類のたとえば民主主義調査会とか何かわけのわからぬものがある。そこへ何千万円かの金が出ておる。そういうものについても、同時に合わせて項目別な予算を報告してもらいたい。これをはっきり私申し上げておきます。  それから欧亜局長にですが、ソ連あたりでは軍事法廷判決文は出さぬという方針だと言われましたが、新聞によると、ソ連のほうではこれは明らかにしてもよろしい、公判のときに新聞記者の入廷を差しつかえない、入ってよろしい、こういっておるということが新聞に出ておるわけなんです。もうすでに新聞記者が入廷して、報道の担当をしておるものがいいということであるならば、当然その判決文公表されないはずはない。ことに日本政府が、公式に日本の国会において問題になっておる。だからソ連においてもそういう便宜を与えて至急に判決文を渡してもらいたい。その正本はもちろん出ないでしょうけれども、副本は出るはずです。写しが出るはずです、これが出ないなんということはない。でありますから、この点も私は外務省が怠慢であると思うのです。いろいろ忙しい仕事があろうけれども、これは重要な問題です。スパイ事件なんというものは、国の恥辱だと思うのです。こんなことがあっていいはずのものじゃない。やるならば堂々と在外公館の職責においてやるべき性質のものだと思う。ことに、日本のような国において、なぜスパイを使わなければならぬか、そういうような疑いを受けるだけでも日本の恥辱であるから、そういう点は明白にしておきたいと思うのです。だからぜひ判決文を至急に取り寄せてこの委員会に報告してもらいたい。
  134. 北原秀雄

    ○北原政府委員 いま加藤委員の御指摘のとおりであります。ただし、先方の申しますのは、軍事裁判を公開にしたいということと、それから判決の正文をソ連の司法機関から正式に日本政府に渡すということは別だということを主張いたすわけでございます。もちろん公判の席上、出ておりました新聞記者の聞きましたことを間接にこれをまとめるということになれば、これは可能でございましょうが、それではわれわれとしてはやはり困るというのがたてまえでございます。
  135. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 私はもうこれ以上質問をするつもりはありません。これで打ち切りますが、いまの欧亜局長の御答弁のように、ぜひこれは、何でも日本の国会において問題になったのだからということで正式にソ連政府に交渉して、至急に写しをもらうように取り計らってもらいたいということを希望して、私の質問は終わります。
  136. 大坪保雄

    大坪委員長 中谷鉄也君。
  137. 中谷鉄也

    中谷委員 私の質問も非常に簡単なんですが、欧亜局長にお尋ねいたします。  外務省資料でございますね。それは「内河は日本の内閣調査室及び世界政経調査会の指令を受け、ソ連の国家的軍事的機密に属する情報、日本の関係機関に提供されることによりソ連の利益を害するよう使用されうる性格の秘密情報を蒐集しょうとし、また、実際に写真撮影、肉眼観察及びソ連市民との会話によつて蒐集した。これはスパイ的活動であってロシア共和国刑法第六十五条に規定された罪を犯したものと認められる。但し被告が正直に全てを供述したことは情状酌量に価いする。八年の自由はく奪」というふうな、そういう資料を手元にいただいているわけでございます。そこで、ロシアの刑事訴訟法というのは私詳しくは存じませんけれども外務省が入手できないというのは非常にふしぎに思われるのです。と申しますのは、まず、こういうことをお尋ねいたします。何か刑事訴訟法の三百十八条によりますと、被告人の通暁してない言語によって判決文が記述されているときにはそれを全部読みなさいという規定があるようでございますね。そうすると、法廷でお立ち会いといいますか傍聴しておられた外務省の方は、少なくともそのものはこういうふうな簡単な参考資料じゃなしに、要領筆記なども相当詳しいものができているのじゃないか、この点いかがでございましょう。
  138. 北原秀雄

    ○北原政府委員 その刑事訴訟法の規定は、私どもも存じておりますが、実際に裁判が行なわれましたときに、判決文はソ連語で読み上げたわけであります。そこで、勝間田はそこに傍聴者として出ておりましたところが、判決の正文の読まれるときに実は彼は傍聴を許されなかったのでございます。これはまことにふしぎなんですが、現地大使館からの勝間田の報告ではそういうことになっております。そこで、その判決文の、これは弁護人から聞いたところでございますが、弁護人は判決文をそこで日本語で読む必要があるからということを裁判長へ言ったそうでございますが、その日本文のほうは前もって被告が読んでおるから必要なしということで日本文はその席で読まない、こういう経緯によりまして判決文そのものは、——いまお手元にございますのは弁護人から入手したものでございますが、そのあとの細部についてわれわれは入手したいというのが現状でございます。
  139. 中谷鉄也

    中谷委員 法廷のあり方についてやはり大事な点だし、この点は外務省の役人の人が傍聴を許されなかったということについては私関心を持ちますのでお尋ねをいたしますが、それはその法廷に在廷をしておった書記官の人が退廷を命ぜられたということなのか、それとも最初から判決言い渡しの日法廷に入ることができなかった、だれからそういうふうな傍聴禁止の措置を受けたのか、要するに傍聴禁止の措置というのは裁判長がそういう措置をとったのかどうか。何か傍聴禁止、退廷、傍聴を許されなかったら、はいさようでございますかといって、少なくとも私が外務省の職員だったらそんなことは私は困ると言うつもりですが、それは一体どういう経過なんですか。
  140. 北原秀雄

    ○北原政府委員 現地の傍聴しました勝間田からの報告では、そのところにおいて傍聴を許されなかったということを書いてまいっておるわけでございます。それはなぜか、これは抗議を申し込めというところにはまだいっておりませんが、しかし、いずれにせよ、日本政府としては判決文の正文が必要なんだということをあくまでも主張しておるわけであります。
  141. 中谷鉄也

    中谷委員 傍聴を許すというよりも、軍事法廷というものについての若干問題はあるでしょうが、公開原則というのは基本的な原則だと思います。そこで、外務省としては、なぜ、どんな経過で、だれの措置によって、どの時間、どういうふうな交渉をしたけれども傍聴が許されなかったということについて、勝間田書記官から詳細な報告を求められていないようでございますね。お話だとすると、だれによって、どういう理由で、なぜ、どの時間というふうなことについて、これはいかがですか。
  142. 北原秀雄

    ○北原政府委員 来ている報告からどこまで詳細にそれが出ておりますか、私ここで確答いたしかねますが、それを調べまして、もしもその点においてはっきり出ていないのならば確認いたします。
  143. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうふうなことは、外務省としても私は非常に承服しがたいことだろうと思うわけなんです。  もうちょっとお尋ねいたしますけれども、そうすると、傍聴を許されなかったというのは、勝間田さんという人が傍聴を許されなくて、ほかの市民は傍聴を許されたというふうな、非常におかしな取り扱いを受けたことになるのか。そのときだれもかも傍聴を許されなかったのかなんということは、傍聴の問題というのは裁判の基本的な性格に関する問題ですから、私はその点非常に関心を持つわけですが、いかがでしょうか。
  144. 北原秀雄

    ○北原政府委員 御指摘の点、当然だと思います。報告にはただしその場合ほかの人がどうなったかということは、確かに明記してなかったように記憶いたしております。
  145. 中谷鉄也

    中谷委員 要するに、加藤委員からのお尋ねは、外務省判決文の入手について熱意がないじゃないか。熱意がないと思われるという一つ指摘でございます。だから傍聴の問題にしても、傍聴を許されませんでしたというふうな御答弁といいますか、お話を伺って、はいそうですかと言って引き下がれないというのは、何が何でも、とにかく日本の国民、内河さんという人が、どんな理由でという、真実発見の努力というものが、外務省においてされようという姿勢が欠けているのじゃないか。要するに、傍聴を許されなかったというその理由は一体何なのか、どういう状態だったのかということは、普通であれば私はもっと関心をお持ちになっていただける問題だと思うのです。いまのような御答弁が、同時に判決文が入手されていないという状況につながっていく私は一つの事実だというふうに指摘せざるを得ないのです。  そこで、同じくこの問題についてはいかがでございましょうか。刑訴の三百二十条によりますと、有罪の宣告を受けた者は三日以内にその写しが交付されなきやならぬ。もし三日以内に交付されないときには判決文の写し、この条文によると全文の写しのようでございますね、が交付されてから、そのあと七日間の間に上告手続がとれるのだということで、どうしても、判決文を内河という人に渡すことについては、法廷の要件になっておるようでございます。そこで、外務省としては、こういうふうに内河という人に判決文が渡った。そこで内河という人と弁護人との間においては、文書の授受は自由なはずなんです。だから、結局内河さんの判決文を写してみようかということに考えが及ばないのでしょうか。何か聞くところによると、外務省のとにかく役人の方——最近子供の使いということばがはやっておりますけれども、何か内河さんに面会をした、元気ですか、寒いですか、あたたかいですかというふうな話だけで、あと何か話ししようとしたらとめられたので、話できませんでしたというふうなことを、この委員会以外のところで聞きました。そんな、とにかく外務省の書記官ともあろう者が面会に行って、内河さんの顔を見て、元気ですか、達者ですかというふうなことで引き下がってくるというふうなことじゃ、大体日本国民の一体いわゆる安全というのは守れるのかどうか。だから私は、そういうことも非常にふしぎに思うのです。そういうふうな入手の方法についてはお考えになっていないのですか。
  146. 北原秀雄

    ○北原政府委員 事実関係を申し上げます。三日以内に判決文を渡すという規定がございますが、この勝間田が、裁判が終わりまして判決の終わりましたあと、被告に会いましたときには、被告はまだそれを入手してないということをはっきり申しました。弁護人と相談いたしましたところ、上告のためには必要であるから、自分が入手するようにいたしましょうということで、それから勝間田は報告のためすぐモスクワのほうへ帰りました。そこで判決文を、被告から大使館員がはたして写しをとれるやいなや私は非常に疑問に思います。しかしながら、事実関係はそういうことでございます。
  147. 中谷鉄也

    中谷委員 この前参事官の方にお尋ねしたのです。被告人の内河さんに、その判決文がとにかく交付されているかどうか、交付されていると思いますというふうな御答弁だったのです。局長にお尋ねしますけれども、内河さんには判決文は交付されているのですね。
  148. 北原秀雄

    ○北原政府委員 勝間田がモスクワに立ちまして、その後判決文が交付されまして、それで上告の手続をとりました。
  149. 中谷鉄也

    中谷委員 なぜそうしたら、さっきも、同じことの繰り返しになって恐縮ですけれども、内河さんのところへ判決文が行っている。ソビエトの弁護人制度というのは、非常に日本などと違うということは、私はよくわかっているわけです。いずれにしても、検事じゃないわけですよ、弁護人なんだから。その被告人と弁護人との間の文書授受が許されるというのは、これは基本的な、近代的な刑訴の原則でしょう。なぜ、そういう努力をされなかったのでしょうか。何か、ことに向こうの判決文というのは、日本と違って非常に詳しいのですよ。向こうの判決文というのは、ずいぶんいろいろなことが書いてありますよ。何かそういうものをおとりになることについて、むしろ努力しているのじゃなしに、努力の程度が足らないのじゃなしに、非常に失礼だけれども、むしろ努力を放棄しておられるのじゃないですか。そういう方法についてはいかがですか、もう一度お答えください。
  150. 北原秀雄

    ○北原政府委員 いま御指摘の、弁護人が内河に対して渡された判決文の正文を、弁護人を通じて大使館が入手するという可能性につきましては、これは私は困難ではないかと思います。弁護人はおそらく法廷の許可なくしては、それを大使館に渡そうとはしないと思います。  それから第二点の、はっきり申しまして、外務省が十分努力していないのじゃないかという点でございますが、これは、私は責任を持って申し上げますが、これは何回も催促しております。そこで先ほどほかの委員の方にお答えいたしましたが、日本としてはどうしてもこれを入手する必要があるのだ、入手してはっきりしたところを知らなければ、日本政府としても措置をできないし、疑心暗鬼を生むゆえんであるから、ぜひともくれということは強く申しております。先方は、先ほど御説明いたしました公開という原則と、それから判決正文を出すということはこれは別のことなんだというほかに、先方も、やはり日本政府が、なぜかくほど強く判決正文を要求するのかという点につきまして、これはいろいろ向こうも頭をひねっておるようでございます。  御参考までに申し上げます。
  151. 中谷鉄也

    中谷委員 少ししつこくなりましたけれども、お尋ねします。  なぜ困難なんでしょうか、その弁護人から受け取ることが困難なのですか。少なくともこの訳は正しいのだそうです、非常に正確なんだそうですか、ロシヤ共和国刑事訴訟法典の中には、そういうことが困難だというようなことは、私は書いておらないと思うのです。正確によその国の刑訴を調べたわけではありませんけれども、書いていないと思います。そこでそういうふうな交渉はおやりになったのでしょうか。困難だと思うということで努力を放棄しておられる。私が申しました、内河という人、それから弁護人、そうしてその入手という手続、方法について努力をされたのか、困難だという前提のもとにすでに放棄をしておられるのか。その点要するに、またお尋ねをいたしたいけれども、そういう点について何か困難だと思われる理由ですね、それは一体どういうことなのか、特に裁判所の許可が要るというようなことですけれども、こういうふうなことが、何か法の規定の中から出てくるでしょうか。その点、いかがですか。
  152. 北原秀雄

    ○北原政府委員 私、この訴訟法との関係、確信ございませんが、この内河の裁判において使いました弁護人は上告の手続をとりまして、それから夏休みをぜひともとりたいというので、彼は、休暇に出ております。これはわれわれも非常に驚いたことでございますが、それは困るということを非常に強硬に言ったのでございますが、休暇をぜひともとらしてくれということで、それで現在ほかの弁護人をまた雇わざるを得ないという実情にございます。すでに雇って、これを通じていろいろやっております。そういう状態でございましたので、事実問題としてもその弁護人にこれをとるようなことは可能かというようなことをいろいろ折衝する時間はございませんでした。
  153. 中谷鉄也

    中谷委員 まことに不満です。そして私らが普通に考えている努力を、おやりになっていないということを言わざるを得ないと私は思うのです。ただもう時間がないようですから、その点についておせっかいのようでしたけれども、そんな方法だってあるじゃないですかというようなことを私のほうからお尋ねしているわけだから、これは何としても入手してもらわなければいかぬと思います。  そこで最後に、一つだけ事実関係をお尋しておきますけれども、この内河という人の上告裁判はどういうことになっておるのでしょうか。いつ開かれるのでしょうか。
  154. 北原秀雄

    ○北原政府委員 上告裁判につきましては、現在までのところ、私どもの承知しておりますのは、連邦最高裁軍事委員会という名前で来ておりますが、その委員長に確かめましたところ、七月十日に最高裁判所は上告を受理いたしております。発送した日付は、ハバロフスク六日、ちなみに軍事委員会はモスクワでございます。それから受理後二十日以内に上告審を行なうというのが原則でございます。ですから七月三十日で二十日になります。
  155. 中谷鉄也

    中谷委員 期日の指定があるかないかということをお尋ねしているのですよ。いつ開かれるのですかということをお聞きしているのです。
  156. 北原秀雄

    ○北原政府委員 それは現在のところ確定しておりません。新しい弁護人の言うところでは、先方は、正当と認められる理由に基づき要請すれば十日間程度の延期は可能である、弁護人はいろいろ準備する必要があるので、おそらく延期を要請するつもりだろうというのが現状でございます。
  157. 中谷鉄也

    中谷委員 最後に一点だけですが、そうすると、どうも内河問題というか、内河事件というのは、いろいろな立場、いろいろな角度から分析しなければいかぬわけですが、そのことだけお尋ねしておきます。  この判決文の要旨の中には、内閣調査室世界政経調査会の指令があったということが前提になっているし、そのことが法六十五条の構成要件でもあるわけですね。そういう中で、これは私、プラスマイナスということばで、アリバイの主張みたいなことになるわけですけれども外務省としては、何かそういうことについて自信を持って立証ができる、またそのようなことについての努力をする、具体的にこんな努力をいたしますというようなことについて、一体お答えいただけるのですか。要するに国会の答弁の中ではそういう事実はありませんという答弁は出たけれども、内河さんの経歴その他からいたしまして非常は疑惑があるのです。そういう中で、そういうふうなことはない、そういうことについての努力はどのようなかっこうでされるのかということについてお答えいただきたい。
  158. 北原秀雄

    ○北原政府委員 外務省といたしましては、この内河氏の行動及び背景について、事実上の調査ということを自分でやる能力もなし、その立場にないと思います。彼の行動の、よってもってきたるゆえんにつきましては、政府の当該官庁と連絡いたしまして、その政府の当該官庁の確言されるところを信ずるというのが私ども立場でございます。
  159. 中谷鉄也

    中谷委員 内閣調査室の室長さんいかがでしょうか。要するに指令を出したのはお宅のところだということは、判決要旨にも相なっておりますね。内閣調査室の指令を受ける、こういうことになっている。内閣調査室としては、そういう事実がないとおっしゃるなら、それは国会において、そういう事実がありませんということを御答弁になるだけでなしに、そのことについての努力をしなければいかぬと思いますが、この点いかがですか。
  160. 大津英男

    ○大津説明員 私どもとしては、国会で申し上げておるところと何ら変わりありませんけれども外務省のほうにそういう事実をまたお伝えしてお願いをしておるということでございます。
  161. 中谷鉄也

    中谷委員 具体的には……。
  162. 大津英男

    ○大津説明員 私どもとしては、世界政経調査会の元職員でおった者が、伝えられるような判決で、伝えられるようなことがあったということについて、逮捕せられ、刑の宣告を受けておるということでございますが、これについては、前歴をもって誤解を受けておるのではないだろうかということで、外務省のほうにはそういうことを申し上げて、お願いをしておるわけでございます。
  163. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  164. 大坪保雄

    大坪委員長 松本善明君。
  165. 松本善明

    ○松本(善)委員 廣岡さんに伺いたいのですが、今年度の委託費は二億九百万ということですが、昨年度委託費として受け取られたのはどのくらいですか。
  166. 廣岡謙二

    廣岡参考人 一億八千万でございます。
  167. 松本善明

    ○松本(善)委員 この一億八千万がどういうような調査に使われたかということの内訳は、明らかにすることができますか。
  168. 廣岡謙二

    廣岡参考人 一億八千万のうち人件費事務費が五、六千万だと思います。したがって、あとの一億二、三千万くらいですか、これが研究調査費、それから資料の購入費、印刷費というものに充てられると思います。
  169. 松本善明

    ○松本(善)委員 どういう調査に、どういうところに、幾らで出したかということを明らかにできるかということを聞いているのです。
  170. 廣岡謙二

    廣岡参考人 私、ただいま資料の持ち合わせがございません。先ほど申し上げましたような方法によりまして研究調査いたしまして、それに要する費用がそれになる。かつそれを内閣調査室に報告いたす立場としましては、定時、あるいは随時の出版物により、またその当時は、たしか一千件近い報告件数になる資料調査室に提出いたしておりますので、そういうものが一億二、三千万のうちに入っているということくらいしか私は申し上げることができません。
  171. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、いま資料がないけれども調査内訳、調査項目と、調査を委嘱した人と、調査金額、政経調査会から出された金額については、あとから報告することができる、こういう答弁に伺っていいですか。
  172. 廣岡謙二

    廣岡参考人 先ほども申しましたように、私六月一ぱいで会長の職をやめております。したがって、今後そういう処置をとるかどうか、会のほうとしましても、内閣調査室の意向もございましょうから、調査室と打ち合わせの上でこの問題を考えていくべきじゃないか、こう思います。
  173. 松本善明

    ○松本(善)委員 どこと打ち合わせてですか。
  174. 廣岡謙二

  175. 松本善明

    ○松本(善)委員 大津室長に聞きますが、その点いま聞きますと、昨年度の調査世界政経調査会に対してどういうことを調査をしてほしいということで言ってきた内容と、それからそれについての金額、調査を依頼した人、これは明らかにすることができますか。
  176. 大津英男

    ○大津説明員 調査項目は、もう御存じのように各部門に分かれまして、内外の政治、経済、文化、社会生活、その他、各国にわたりましての調査をやっておりますし、その内容というものは報告書に出てきておりますような事項になっております。そういうことで、そういうものであるということは——一々個々に具体的にどの件についてだれが調査をして、幾ら払ったということはとても出てまいりませんけれども、いま申し上げましたような概括的なものはおそらく出てくるのではないかと思います。
  177. 松本善明

    ○松本(善)委員 内閣調査室と打ち合わせをすると言っているから、それで聞いているわけですけれども、私の要求しているのは、個々の調査項目の一つ一つについてだれにどういうことで調査を依頼をし、それについてどれだけの金を払っているかということを、いま廣岡さんにお願いをしたわけです。それについて内閣調査室と相談をするというから、あなたのほうではそれは相談を受ければ出していいということになるか、こういう話を聞いているわけです。
  178. 大津英男

    ○大津説明員 調査をした人あるいはそれについてのいろいろ協力をしてくだすった人の氏名が明らかになるということによって、今後そういう調査に支障がないというふうに調査会のほうで判断されるのであればいいと思いますけれども、もしもそういう支障があるということでありますれば、提出はできないのじゃないかと思うのです。
  179. 松本善明

    ○松本(善)委員 国会にも、そういうことを報告するとぐあいの悪いような調査をやっておるのですか。
  180. 大津英男

    ○大津説明員 いろいろ内外の事情についての調査ということでございますので、その内容につきましては重要なものもございますしいろいろございますから、すべてを明らかにしなければならないかどうかということでございますが、中にはやはり情報を提供した人の関係、いろんな関係からいいまして、そういうことを明らかにできないものもあると思います。
  181. 松本善明

    ○松本(善)委員 いわばスパイ活動というふうに言っていいでしょうか、その情報提供者というのは。
  182. 大津英男

    ○大津説明員 スパイ活動というものでなくても、そういうものがあるわけです。
  183. 松本善明

    ○松本(善)委員 国会に報告しなくてもいいというような何か根拠がありますか。
  184. 大津英男

    ○大津説明員 今後の調査に支障があるというふうに認められるものについては、そうではないかと申しておるわけであります。
  185. 松本善明

    ○松本(善)委員 私の聞きますのは、何か法令上のそういう根拠があるかと聞いているのです。秘密にしなければならないというようなことについての法令上の根拠があるかと言っているのです。
  186. 大津英男

    ○大津説明員 法令上の根拠と申しますのは、調査会の調査について、別段法令上の根拠というものを私は知りません。
  187. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは、昨年度の先ほど申しました個々の調査項目、調査を依頼した人、それからそれに支払った金額、礼金がどういうふうに使われているかということを知りたいために、これの報告を資料として、先ほど横山委員が要求されましたそれと一緒に報告されたい、こう思います。  あと、もう少し廣岡さんに聞きたいのですが、内河という人は、昨年の四月から八月までの間に世界政経調査会に籍を置いておりながら、水産庁の北洋サケ・マス船の東光丸というのに乗り込んでおりますが、こういう事実はありますか。
  188. 廣岡謙二

    廣岡参考人 その当時、彼は調査会に出てまいっておりませんでした。休みたいということでもって、彼にあとから聞きますと、そういうことをやっておったというようになっておるようであります。
  189. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、この内河という人は、いつこの世界政経調査会に入ったのですか。
  190. 廣岡謙二

    廣岡参考人 三十六年三月、天理大学を卒業いたしまして、直ちに調査会に入ったようであります。
  191. 松本善明

    ○松本(善)委員 昨年四月から八月までは世界政経調査会に籍はあったのですか。
  192. 廣岡謙二

    廣岡参考人 籍はございました。
  193. 松本善明

    ○松本(善)委員 月給はもちろん払っておったわけでしょうね。
  194. 廣岡謙二

    廣岡参考人 当然、籍がありましたから、払っておりました。
  195. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、このサケ・マス船の東光丸に乗ったのは、かってにやったことですか。
  196. 廣岡謙二

    廣岡参考人 本人が休暇をとりまして、あとでわかったということであります。
  197. 松本善明

    ○松本(善)委員 それではさらに聞きますが、三十九年中に水産庁の北洋向け漁船に乗り込んで、ソ連領内に入ったことがありますか。
  198. 廣岡謙二

    廣岡参考人 そのときは、本人の希望もありまして認めましたが、それ以後のことにつきましては彼が自由な、かってな行動に出たということでございます。
  199. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、これは本人の希望があったので認めたというのは、政経調査会の仕事として行ったということですか。
  200. 廣岡謙二

    廣岡参考人 内河君は、天理大学でロシア語を専攻しておったそうでありまして、したがって、その船に乗ることによって、自分の語学の研修になるということが主目的であったように聞いております。
  201. 松本善明

    ○松本(善)委員 語学の研修のためにサケ・マス漁船に乗ってソ連領内に入る、そういうたいへん気楽な金の使い方をこの政経調査会というのはしておるのですか。
  202. 廣岡謙二

    廣岡参考人 先ほどから申しますように、彼は外国語——ロシア語の雑誌、文献、そういうものの翻訳、整理に当たっておりまして、したがって、そういう船に乗ることによって、おそらく通訳の役割りも果たしたいというような念願もあったのだろうと思います。
  203. 松本善明

    ○松本(善)委員 それから先ほどのことで聞きますが、昨年の四月から八月までは休暇扱いですか。
  204. 廣岡謙二

    廣岡参考人 休暇扱いになっておりまして、それでは困るということで八月に退職扱いにした、本人の申し出もあってやめてもらったということであります。
  205. 松本善明

    ○松本(善)委員 この四カ月もの問、世界政経調査会というのは、本人が何をやっておるのかわからぬというようなことでも平気なところなのですか。
  206. 廣岡謙二

    廣岡参考人 本人がそういう希望でありましたし、またその間船にも乗っておりましたので、自然、会に出てくるということがおろそかになり、実情がわかったということだろうと思います。
  207. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、世界政経調査会では六、七十人の人がこういう形で、数カ月の間も、あなた方が知らぬうちに、あとから問題になれば知らぬということで方々で活動しておる、こういうふうに伺ってよろしいですか。普通のところではそういうことはないですよ、四カ月もの間そういうことが許されるというところは。
  208. 廣岡謙二

    廣岡参考人 そういうことがありましたのでやめてもらったのでありまするが、一般の職員はそういうことはなくまじめに勤務しております。
  209. 松本善明

    ○松本(善)委員 とうてい了解できる答えではないけれども、さらに先刻来要求しております資料がきた上で質問をすることにします。  私の質問は、ここで終わります。
  210. 大坪保雄

    大坪委員長 廣岡参考人には、御多用中のところ御協力をくださいましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、ここにあつく御礼を申し上げます。どうぞ御退席ください。  質疑を続行いたします。神近市子君。
  211. 神近市子

    ○神近委員 私は、例の大逆事件の再審拒否について多少お尋ねしてみたいと思います。  この坂本清馬という人の特別抗告がこの間また拒否された事件についてであります。あなた方お若いから、大逆事件が起こったときの世相というものは御存じないのじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  212. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 仰せのとおり、私はまだ生まれておりませんでして、実は詳しく存じません。
  213. 神近市子

    ○神近委員 それで、お聞きになったくらいのことはあるでしょう。そのときの世相では、軍事裁判でああいうことになって、世間では、社会主義者の弾圧だというようなことが一般考えられていて、世相はそれを軍のやったことだというふうに考えていたのです。それは頭に入れておいてください。そしてこの坂本清馬が、終戦後四、五年、特例というような名前で放免されたということは、それの反映だろうと思うのです。そういうふうにお考えになっていますか。  もう一つ、つけ加えます。何だか新聞によりますと、原敬の日記だの、それからもう一つは平沼騏一郎の回顧録、そういうものには、そのときに自分たちは彼ら大逆事件の連中を殺さなければならなかったという事情が書いてあるそうです。私それは見たことがないのですけれども新聞にははっきり原敬と平沼騏一郎の名前が出ています。それは軍の要請あるいは強制によって、死刑ということを決定したということが考えられる。二十三年にこれを放免されたということは、それが無罪であったという証拠あるいはその反省で行なわれたのだと思うのですけれども、あなた方はそういうことには何もお感じになっていないかどうか。
  214. 川井英良

    川井政府委員 ただいま仰せになりました平沼さんその他の言動というものが、そのほかにもございますけれども、今度の再審の事由ないしは理由として主張されておるようでございまして、この最高裁の特別抗告に対する決定の前の原決定といわれております東京高等裁判所の決定文の中には、これをよく熟読してみますと、ただいま仰せになったような事柄についての主張があり、これについての判断がなされているようでございます。この決定の判断によりますと、そういう主張は主張としてはあるけれども、証拠に基づいては必ずしもその主張を認めることができない、こういうふうな東京高裁の判断が示されているようでございます。  それから、戦後になりまして釈放されたという件でございますが、その釈放された事由につきまして、行刑当局に私直接確実に確かめた上ではございませんけれども、私どもいままで承知しているところでは、全くとがのない、罪のない関係の人を拘禁しておったのであるから、それを理由として身柄を釈放したのだというふうには私どもは聞いておらないわけでございます。
  215. 神近市子

    ○神近委員 おそらく無実の人を二十何年も拘禁していたということは、それは役人として言えないでしょう。だけれど、歴史的な常識としては無実であったということ、田中何とかというのが火薬をつくっていたということでつかまって、そうしてああいうものをでっち上げた、軍がそれを利用してでっち上げた。あなた方が、そういうことはなかったとおっしゃるけれども、事実はそうなんです。これはもう法務の役人だけが知らないことで、世間一般にこれは知られていることなんです。それで今度この坂本清馬と、森近運平の妹が、この名誉回復、人間として——私はどうせ死ぬ人生だから、どうだっていいんじゃないかというふうに考えるのです。だけれど、この人たち人間として正しい生き方をしたという名誉を持って死にたいというので、いまの再審の問題が出ているのです。その点は、あなた方は、よけいなことをするものだ、ばかなものだというふうにお考えになりますか。人間としての名誉回復ということを彼らが一生懸命考えていることを、ばかなことだというふうにお考えになりますか。いかがです。
  216. 川井英良

    川井政府委員 私もそのようには考えません。
  217. 神近市子

    ○神近委員 これが訴追にかかっているということも御存じですか。訴追に訴えられているということも御存じですか。
  218. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 承知いたしております。
  219. 神近市子

    ○神近委員 おととい訴追委員会があったのですけれども、その前の委員会では、私は同じことを主張して、これは絶対に調査をすべきだというふうに言って、この調査から落とすのを食いとめておいたのですけれども、一昨日はからだの調子が悪くて出られなかったのですけれども、何か決定が出ましたか。
  220. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 私、存じませんのでございますが……。
  221. 神近市子

    ○神近委員 憲法の条文で訴追にはかけられていると思うのです。「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。」そういう点で訴追にかけてあると思うのですけれども、この間の決定が何か非常に私どもには納得のいかない決定。これは十五人で許可するというようなことが書いてあるんですけれども、最高裁で十五人の決定というのはどういうときに行なわれますか。
  222. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 大法廷と申しまして、憲法判断をいたします場合にここでやっております。
  223. 神近市子

    ○神近委員 その中で、この大法廷の決定があってこれが出ただろうと思うんですけれども、その中に一人だけ署名しない人があるんです。坂本何とかいう人です。これは十五人という人数がちゃんとあって、この判決が正しいと思うなら、十五人が全部署名すべきなんです。そのうち坂本さんだけが署名しなかったというのはどういうふうに……。新聞はこれを拒否したと書いてある。そうすれば、この裁判の決定に対して、非常に自分たちの常識で——常識というよりは、法務官としての良識に沿わなかったというようなことは考えられませんか。
  224. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 仰せの裁判官は、下村裁判官でございまするが、実はこの原決定の裁判長でございます長谷川判事が、東京高裁で本件の原決定の審理をいたしておりまする際に、東京高等裁判所長官でございました。そして長谷川判事が浦和地方裁判所所長として発令になりました当時の長官であったわけでございます。そこで、この事件が発令の効力ということが問題になっているケースでもございましたので、当時の長官でございました下村裁判官はかかわりがある、そういう意味でこれには加わらなかったと、こういうふうに聞いている次第でございます。
  225. 神近市子

    ○神近委員 これからその問題に入ろうと思ったときに、その一人の判事が署名しなかったということは、これはたった一人ですけれども、十五人のうちのたった一人ですけれども、最高裁の中には十五人に一人くらいしか——常識的にものを考えることのできない人があるんだというようなことを示していると思うのです。私どももその点をいま入ろうと思ったんです。この裁判長は、長谷川ですね、これが発令をされた翌日に調査決定をしているそうです。前の日に浦和の裁判長になって、そして翌日高裁で同じような仕事をしている。こういうことで訴追に持ってきたというのは、これが違法だということで、これを弾効裁判にかけたいというのできたんですけれども、あなた方は、その点を平然と見過ごしていらっしゃるわけですか。
  226. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 決してさようなわけではございません。この最高裁判所大法廷の決定では、簡単に申しますというと、当該事件の裁判におきまして、最も本質的な問題であるところの評議というものが、裁判官の評議が行なわれたという事実をまず明らかにいたしまして、ただ、その発令の通知の方法において、——これは具体的に通知いたしましたのが東京高等裁判所の事務局長でございまするが、通知する側と、受け取る側、すなわち長谷川裁判官との間に、ややそこに何と申しますか、発令の趣旨の伝達におきまして明確を欠くものがございましたので、法律上の発令の効力としましては一月の三十日に発令の効力があった。しかしながら、この最終的な評議をいたしました日が日曜日をはさみました二月一日月曜日である、かように認定いたしておるわけでございまして、実質的な、裁判の本質的な事項でございますところの評議が行なわれていると、かように認定しているものと思います。
  227. 神近市子

    ○神近委員 何かもたもたとおっしゃるので、はっきり私は言ってもらいたいのですけれど、発令は一月三十日、それから日曜日をはさんで二月一日にこの合議が行なわれた、それに、浦和の裁判長になっていく人がこれを主宰した、こういうことになるんですね。
  228. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 仰せのとおりでございます。
  229. 神近市子

    ○神近委員 これはたとえば学校とかそのほかの役所では、権限がもうなくなった人がこれをやるということは許されないことなんです。裁判所だけはそれでいいんですか。法務省は全体として、そういうことはいつも平気で行なわれているのですか。
  230. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 この大法廷の決定では、かように申しております。これは小林事務局長が一月三十日に長谷川裁判官に通知をした。ところが長谷川判事は、その小林事務局長の通知を正式なものではないと考えたのである。その考えたについて同判事に他意はなく、かつ同判事はいつでも東京高等裁判所の判事の職務の代行を命ぜられ得る資格のあるものであるから、たまたま形式上職務代行の発令がなくても、本件のような事情のもとでは、長谷川判事が評議に関与したことをもって憲法違反のおそれあるものと言うことはできない。また評議に関与する資格のない者が裁判所を構成したものと言うこともできない、かように判断をいたしております。
  231. 神近市子

    ○神委員 それはおかしいですね。その長谷川裁判長が委託されるものと考えたというんでしょう。ところが委託は来ていないんでしょう。それからやったことが通るということは、これは私は納得できないことだと思う。これが訴追にかかっている最大の理由になっていますけれども、ともかく考え違いしたことと、実際のあなた方の裁判所というのは一あなた方はこの点では、とてもやかましいんですよ。国民に対してやかましくやるのに、裁判する人の側に立つと、これは委託されるものと思った。何も委託費なんか受け取っていないのに考えてやった。これはあなた方はどういうふうに考えるか。それなら、いろいろな裁判で、委託費をもらったと思ってこうしましたというときに、通りますか。
  232. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 これは大法廷の決定がさように判断したということを申し上げておるわけでございます。それ以下は、私のこれについての考えということになるわけでございまするが、この意味は、私自身はかように考えております。すなわち、確かに発令後におきまして関与したという事実はあるわけでございます。しかしながら、長谷川判事が裁判官であるという実態は失っていない。したがいまして、その意味において、憲法上公平な裁判ではないといえないということ、それから、全然裁判官でない人が加わっていたというような場合とは事情が違うのである、こういう考えが根底にあった、かように私自身は考えておるわけでございます。
  233. 神近市子

    ○神近委員 おっしゃるとおりに、実態はそうでしょう。だけれど、実態がこうであったといったって、あなた方は、いままで裁判の場合は絶対にそれは許さないんですよ。法規でこうでございますといって、法規にとらわれて、絶対に許さない。それが自分たちの場合だけ、法規はそうでございますが、実態はこうでございます。私は、それは通らないと思うのです。これはずいぶん考えなければならないあなた方の問題ではないかと思うのですけれど、いかがですか。
  234. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 もちろん、仰せのごとく、これでいいだろう、何も悪いのではないんだと思っているわけでは私もないのでございまして、さような浦和の所長というようなポストに発令されるにつきまして、事務局長電話で長谷川判事にそれを伝えたというような措置は、はたして妥当であったかどうかということ、及びそれを受け取りました長谷川判事のほうで十分にそれが正式な発令であるかどうかということを確かめる措置が好ましかった、かように思うわけでございまするが、長谷川判事は長いことずっと東京の裁判所におられました方で、この転任の場合の発令の問題、辞令の交付がなくても、それにかわる方法といたしましての通知によりまして、効力が生ずるというような手続的な面におきまして、よく承知をしていなかったというような事情もあるようでございまするが、それらの点につきましては、妥当でなかった点があるのではなかろうか、これは私自身の考えでございます。
  235. 神近市子

    ○神近委員 妥当でなかったということをお認めになれば、あのときの判決というものは妥当でなかったということにはならないのですか。あのときに、もう一人上野さんという人は出張中でしたね。小諸に行った。それから三十日には長野裁判所にいた。その写真もちゃんととってあるんですよ。そうしてこの判決を、一日に浦和に行かなければならないというので、あわてて出した、こういうところに私どもは訴追に取り上げるべき理由があると思うのです。あなたはどういうふうにお考えになりますか。
  236. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 仰せのごとく、それが訴追の理由になっておることは承知しておるわけでございまするが、訴追委員会におきまするところの御判断というものにもちろん従うべき問題であろうと思います。  ただ、この件決定が、憲法に違反するかどうかという問題についての判断といたしましては、先ほど申し上げましたように、この大法廷の決定はそのように判断いたしておるわけでございます。
  237. 神近市子

    ○神近委員 それだけの事実があっても、これを取り消すことはできないとおっしゃるんですか。
  238. 佐藤千速

    ○佐藤最高裁判所長官代理者 これは御承知のごとく、裁判でございます。私の立場からこれをどうこうするということはもちろんあり得ないわけでございまして、先ほどから申し上げておりまするのは、この裁判がこういうふうに判断している、なお、引き続きまして、それについての私の考えというものを申し上げたわけでございます。
  239. 神近市子

    ○神近委員 ともかくあなたが裁判のあり方について妥当でなかったということをお認めになったということを確認して、私は訴追の場合に、この問題をもう少し論難しようと思います。  きょうは、時間もありませんから、これでやめることにいたします。
  240. 大坪保雄

    大坪委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会