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寺田最高裁判所長官代理者 ただいま
大竹委員から御
指摘のございました
臨時司法制度調査会の
意見書でございますが、これはただいま
大竹委員からも
お話しのございましたように、
昭和三十九年の八月に、
内閣に設けられましたこの
調査会から、
内閣にあてて
答申が出たわけでございます。
御
承知のとおり、この
調査会の構成は、私
ども裁判官、検察官あるいは
弁護士さんの、いわゆる
法曹ばかりではなしに、
学識経験者、さらには
衆参両院の
法務委員の
方々も多数御参加になりまして、しかも大部分の条項については、満場一致の御
議決をされたわけでございます。そして
内閣に
答申がございまして、最高
裁判所に対しましても、この趣旨を尊重して
施策をするようにという御
意見が出たわけでございます。当時私
どもといたしましては、かような権威のある
調査会の
意見でございますので、これを最大限に尊重いたしまして、この線に沿って
施策をやってまいるという
考え方から
予算案も準備し、また
法案についても
法務省といろいろ
お話を進めたわけでございます。
ただ、これまた御
承知のとおり、
意見書の出ました直後におきましては、
弁護士会においても、この方向について、むろん個々的にはいろいろ御反対がございましても、
大筋において御協力をいただいたわけでございますが、そのうちに、次第に
弁護士さん全体の声として、
総会等の御決議によりまして、個々の問題としてでなしに、むしろ全体として、この
意見に必ずしも同調しがたいというような御
意向が強くなってまいったように伺っておるわけでございます。私
どもといたしましては、その中にはある
程度誤解に基づくものではないかというふうに
考えられる問題もございますし、また中にはそういうふうな
お話の出ますのも、ごもっともな面もあるというふうに存ずるような
事項もあるわけでございまして、その間いろいろ問題があるわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、かような重要な
事項は、これは最終的にはこの
国会の御
議決によっておきめいただくことではございますけれ
ども、その
法案を準備しますにつきましても、当然
法曹三者ができる限り足並みをそろえて、多少の異論はあるにいたしましても、
大筋において
意見の一致を見た
事項に基づいて進めてまいるということが、事柄を円滑に進める道であり、また
司法が円滑に運営されるゆえんであることを
考えるわけでございます。
さような
意味において、一応
法務省ともお
話し合いをし、また
日弁連とも数次にわたりお
話し合いを進めてまいっておるわけでございますが、いまだ全面的な、この
意見書の点についてのどういうふうにやってまいるかということについて、一致した
結論が得られるところまでは至っていないわけでございます。
そこで、本来この
意見書の
事項は、全体的に体系的にでき上がっておるものではございますけれ
ども、しかし、必ずしも全部一緒でなければできないというものでもございませんので、先ほど御
指摘のございました
補助機構の面で、
地方裁判所の
調査官の問題、それからさらには
裁判官の給与の問題あるいは
退職金の問題、またいわゆる
宅調廃止と申しておりますが、
研究庁費というものを
予算で計上していただきまして、
裁判官の
執務環境の
整備改善というような問題、かような問題につきましては、各方面におおむね異議を見ないところでございますので、さような
事項を逐次
予算に計上し、また
法案について
法務委員会の御審議をいただき、御決定いただいたような次第でございます。直接いま問題になっております
裁判官の
増員等の
関係でございますが、その点につきましては、この
調査会の
意見書では、先ほど
大竹委員がお読みいただきました、たとえば
裁判所の
配置の
適正化であるとか、あるいは
地方裁判所と
簡易裁判所との間の
裁判権の
分配の再
検討であるとか、かような
事項がきわめて密接に関連する
事項でございます。しかしながら、
裁判所の
配置の
適正化というものは、いわゆる
整理統合の問題でございまして、これは非常に
影響の大きな問題でございます。また、
裁判権の
分配の問題は、きわめて単純な面としては、たとえば物価によるスライドというようなことになるわけでございますが、これをさらに進めまして、
地方裁判所と
簡易裁判所の
権限の調整ということになりますれば、またいろいろ
議論のあるところでございます。さような
意味におきまして、かような問題については私
どもとしては引き続き
検討いたしておりますし、
日弁連ともいろいろお
話し合いをしておる、かような
状況でございます。ただ、いずれにいたしましても、
調査会当時、
裁判官等について
相当大幅な
増員が必要であるというふうに
指摘されました。その大幅か中幅か小幅かということは別といたしまして、とにもかくにも
裁判官の
増員が必要であるということは、これは
調査会でもお認めになったところでございますので、昨
年度も
裁判官二十七人について
増員していただきました。さらに今年もまた、ただいま御審議いただいておりますような人数について
予算に計上していただいておる、かような経過になっておるわけでございます。