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1967-03-24 第55回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十四日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 大坪 保雄君    理事 安倍晋太郎君 理事 大竹 太郎君    理事 高橋 英吉君 理事 中垣 國男君    理事 神近 市子君 理事 松前 重義君    理事 岡沢 完治君       千葉 三郎君    馬場 元治君       橋口  隆君    山下 元利君       三宅 正一君    山口シヅエ君       沖本 泰幸君    松本 善明君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         法務政務次官  井原 岸高君         法務大臣官房経         理部長     辻 辰三郎君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局総務局長  寺田 治郎君         最高裁判所事務         総局経理局長  岩野  徹君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 三月十四日  委員唐津俊樹君が死去された。 同月二十三日  委員藤波孝生君辞任につき、その補欠として重  政誠之君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政及び司法行政に関する件      ————◇—————
  2. 大坪保雄

    大坪委員長 これより会議を開きます。  本日の議事に入るに先立ちまして、この際、御報告を申し上げます。  本委員会委員でありました唐澤俊樹君が、去る十四日急逝せられました。同君は、多年法務委員会審査に尽力されました。ここにつつしんで同君の御冥福を祈り哀悼の意を表するとともに、御報告を申し上げます。      ————◇—————
  3. 大坪保雄

    大坪委員長 法務行政及び裁判所司法行政に関する件について調査を進めます。  この際、法務行政に関し政府の所信を求めます。田中法務大臣
  4. 田中伊三次

    田中国務大臣 私は、昨年の十二月三日、引き続きまして法務省に来ることになりました。  私は、衆議院の議員生活は本年をもって二十四年目を迎えるのでございます。その間、一貫して法務委員の職におったのでございますけれども、何分にも不敏な者でございます。はたしてこの重責にたえ得るやいなやを内心おそれておるのでございます。諸先生の御協力をいただきまして、また御叱正をいただきまして、大過なきを期してまいりたいと考えております。どうぞ格別によろしくお願い申し上げます。(拍手
  5. 大坪保雄

    大坪委員長 次に、井原法務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。井原法務政務次官
  6. 井原岸高

    井原政府委員 御承知のようなふうに、法務関係のことで池田総理御存命中に当委員会にしばらく籍を置いて、いろいろ皆さんの驥尾に付して審議に加わったわけでございます。それ以外はもう全くのしろうとでございますが、佐藤内閣が誕生いたしまして、このしろうとの私が、法務関係のようなたいへんな、こうした仕事の政務次官役として拝命いたしたわけでございます。いろいろその間、皆さんの御鞭撻を賜わりまして、事なく選挙前までこの役をつとめたわけであります。今回また再任されまして、くろうとでございまする田中先生のもとでまた女房役をつとめることになったわけでございますが、引き続きましてまた御指導、御指示等賜わりまして、この大役をつとめられますよう、お導きのほどをお願い申し上げまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  7. 大坪保雄

    大坪委員長 次に、昭和四十二年度法務省関係予算及び裁判所関係予算につきまして、当局から説明を求めることといたします。  まず、法務省関係予算について説明を求めます。辻経理部長
  8. 辻辰三郎

    ○辻(辰)政府委員 昭和四十二年度法務省所管予算の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。  昭和四十二年度の予定経費要求額は、六百六十九億二千百八十四万一千円でありまして、これを前年度の当初予算額五百九十四億八千五百六十万二千円に比較しますと、七十四億三千六百二十三万九千円の増額となっております。前年度の補正後予算額六百十億七千七百八十万九千円と比較いたしますと、五十八億四千四百三万二千円の増額となっております。増額分の内訳を大別いたしますと、第一は、人件費の四十九億七千四百四十五万九千円であり、第二は、一般事務費の十一億三千五百九十万八千円、第三は、営繕施設費の十三億二千五百八十七万二千円でありますが、このほかに、法務本省第二新館新営付帯設備費が、前年度に引き続いて建設省所管に五千三百三万三千円計上されましたが、前年度に比して、二億六千百九十六万七千円の減額となっております。  まず、人件費四十九億七千四百四十五万九千円の増加でありますが、これは昨年九月から実施されました人事院勧告公務員給与ベース改定等に伴う所要経費及び昇給原資としての職員俸給等の増額がその大部分でありまして、そのほか、検事、副検事、法務事務官等三百五十名の増員、これはただし欠員より振りかえ充当の分でございます。これに心要な経費の増額等が含まれております。  増員につきましては、法務省としましては最も重点を置いたところでありますが、その内容について申し上げますと、第一に、公判審理の迅速、適正化をはかるため、検事五名が前年度に引き続いて増員となっております。東京ほか主要都市検察庁における公判立ち会い専従体制を確立して、その迅速化に資するためのものであります。  第二に、交通事件処理体制整備対策の一つとして、業務上過失致死傷事件の増加に対処し、事件処理円滑適正化をはかるため、副検事二十二名が増員となっております。なお、検事、副検事については検察事務官の欠員より振りかえ充当することとなっております。  第三に、法務局において事務官二百名が増員となっております。これは、登記事件経済規模の拡大に伴い増加し、処理の能率化をもってしても職員の事務負担量を著しく増大せしめておりますので、登記事務の迅速、適正化をはかる観点から、前年度の百二名の増員に引き続いて行なわれたものであります。  第四に、刑務所において看守七十八名が増員となっております。これは近時、いわゆる暴力団関係収容者の増加に伴い、所内における衆情が凶悪粗暴化する傾向にありますので、保安警備の充実をはかるためのものであります。  第五に、非行青少年対策のため、前年度の少年院教官等二十五名の増員に引き続いて、本年度も二十五名の増員となっております。  その内容は、1、少年院教化活動の充実のための教官十五名。2、少年鑑別所観護活動の充実のための教官七名。3、保護観察所観察機能の充実のための保護観察官三名でありまして、青少年犯罪の防止及び罪を犯した者の健全な社会復帰を強力に推進するためのものであります。  第六に、地方入国管理官署において、舟艇要員として入国警備官三名が増員となっております。  第七に、破壊活動調査機能の充実をはかるため、公安調査官十五名が増員となっております。  第八に、人事管理業務充実のため、法務本省法務事務官一名、翻訳業務充実のため、法務総合研究所国際連合研修協力部法務事務官一名がそれぞれ増員となっております。  なお、以上御説明いたしました増員は、いずれも内部組織凍結欠員の解除の方法により、振りかえ充当することとなっております。  次に、一般事務費十一億三千五百万円の増加の内容について御説明申し上げます。  まず、全般的に申し述べますと、法務行政の充実をはかるための経費のほか職員の執務環境の改善及び保護司人権擁護委員実費弁償金単価是正並び矯正収容者処遇改善等に必要な経費の増加がなされております。  そのうち、おもな事項について申し上げます。  第一は、法務行政の充実をはかるために必要な経費の増額でありますが、そのおもなものについて申し上げますと、1、まず、各組織に共通なものとして、光熱水料の実績に伴う不足分として七千二百七十八万二千円、賃金の単価是正により千三百四十二万二千円、各所修繕坪当たり単価是正により四千七百十七万八千円、職員の配置をより適正ならしめるため赴任旅費二千四十七万八千円等が増額となっております。   2、法務局関係につきましては、登記諸費すなわち、法務局地方法務局において、登記、台帳、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費につきまして、登記登録旅費三百七十万六千円、庁費五千四百五十五万一千円、供託金利子五千万円、合計一億八百二十五万七千円の増額となっております。なお、農地被買収者等に対する給付金の支給に関する法律に基づきまして、法務局地方法務局が所掌する農地等所有関係証明事務が終了しましたことに伴う経費一億四百八十七万円が減額されましたが、不動産登記簿の尺貫法による表示をメートル法表示に書きかえるため必要な経費として職員旅費一千三百二十七万一千円、庁費(賃金等)五千二百十五万円が増額となり、超過勤務手当四千四百五十一万円を含め合計一億九百九十三万四千円が増額となっております。また、登録免許税法案今期国会に提出され、その成立に伴う事務処理の適正、充実化をはかるため、登録税査察等職員旅費一千二百七十八万七千円、登記所窓口設備改善費としての各所修繕費一千二百万円、庁費三千万円、登録税査定のための登記登録旅費八百四万三千円が増額となり、超過勤務手当三千八百八十七万五千円を含め合計一億一百七十万五千円が増額となっております。   3、検察庁関係につきましては、検察費、すなわち、検察庁において処理する一般刑事事件その他各種事件の直接検察活動に要する経費につきまして、検察旅費三千七百五万三千円、庁費三千五百二十七万五千円、精神鑑定依頼謝金三百万円の増額となっております。   4、矯正関係につきましては、最近の被収容者収窓人員の増加に伴い、一日平均収容人員数が、刑務所一千人、少年院百人、少年鑑別所百人計一千二百人増員となっており、それに伴う収容諸経費五千一百二十五万三千円の増額、いわゆる暴力団関係収容者処遇の適正をはかるための分散拘禁護送等旅費七百二十六万五千円、警備用器具等庁費八百九十二万五千円、看護人養成経費百六十二万四千円が増額となっております。   5、犯罪者予防更生法等に基づく補導援護につきましては、保護観察を強化するため、補導援護旅費百三十四万円、庁費四百八十万円が増額となっております。   6、訟務関係につきましては、訟務費、すなわち、訟務局、法務局地方法務局において、国を当事者とする民事、行政事件等訴訟事務を処理するための経費につきまして、諸謝金六十四万円、訟務旅費二百五十二万八千円、庁費三十万六千円計三百四十七万四千円が増額となっております。   7、人権擁護関係につきましては、人権尊重思想の普及及び高揚をはかるため、庁費三百六十万円が増額となっております。   8、入国管理関係につきましては、近時増加する出入国審査事務及び在留資格審査事務適正充実をはかるため、港審査等旅費百四万六千円、出入国審査費三百九十二万九千円が増額となっております。   また、港出張所をいわき市小名浜港外五ヵ所に新設し、迅速適正な処理をはかることとしております。  第二は、刑務所作業費一億四千九百五十三万二千円の増額であります。これは刑務所収容者に対し作業を行なわせるために必要な経費でありまして、原材料費が担当額増額されましたほか、金属、印刷等有用作業を充実するための機械器具更新費作業付帯経費及び静岡刑務所移転に伴う製紙関係機械器具更新費等が増額となっております。  第三は、職員の執務環境の改善及び人権擁護委員保護司実費弁償金単価是正並びに、矯正関係収容者処遇改善等に必要な経費の増額でありますが、そのおもなものについて申し上げますと、   1、職員の執務環境の改善につきましては、各組織を通じまして委員手当単価是正二百三十五万八千円、非常勤職員手当単価是正二百五十四万七千円、法務局出張所(四人庁以下)の渡切費につきまして単価是正二百七十万六千円、矯正関係職員特に保安幹部職員及び初任者職員の研修の充実経費五百六十万七千円、外国人登録事務委託費都道府県市町村吏員給与改善費等)一千十万二千円が増額となっております。   2 矯正関係収容者につきましては、刑務作業賞与金支給計算基準を一〇%引き上げるための四千百九十五万三千円が増額となっております。   次に、被収容者に支給する精神等治療薬品教育資材少年受刑者学習器具寒冷地入浴用等燃料収容者被服費等収容経費一千四百六十一万九千円、精神医等招聘謝金六十八万八千円が増額となっております。   次に、被収容者食糧費でありますが、米価改定等に伴う主食費単価是正(米七・二%、夢四二円)により七千八百七十七万四千円が増額となっており、また、菜代単価を最近の物価の趨勢にかんがみまして昨年に引き続いて是正することとし、被収容者一人一日当たり一円四十一銭ないし一円八十五銭増額するため必要な経費として、四千三百三十六万一千円が増額、なっております。   4、保護関係につきましては、更生保護会の充実をはかり収容者の更生に万全を期するため、更生保護委託費について、食事つき宿泊費の現行一人一日当たり二百十七円二十五銭を一百五十六円六銭に宿泊費の現行七十五円七十八銭を八十七円五十四銭に、また事務費の現行再九円五十二銭を百十六円九銭に、それぞれ単価の是正が行なわれましたが、対象件数が減少いたしましたため結局六百八十五万六千円の増額にとどまっております。   なお、更生保護会補助金事務費につきましても、現行一人一日当たり二十七円三十八銭から二十九円三銭に改定されております。   また、保護司実費弁償金につきましては、補導費現行単価一件一ヵ月当たり最高六百円から最低五百十円を、最高八百円から最低五百下十円に、懸案でありましたケース研究出席実費環境調査調整費につきましても一回市価平均七十円が百五十円に是正され、合計一億三千三百八十二万三千円の増額となっております。   5、人権擁護関係につきましては、人権侵犯事件調査の強化をはかるため、人権擁護委員実費弁償金は年一人当たり三千六百円となり(約一〇%増)総額において二百七十二万三千円が増額となっております。  以上が一般事務費の増額となったおもなものでありますが、このほか、四十二年度予算におきまして、本年四月に実施されます地方選挙に対する適正な検察を行なうための経費七千百七十四万二千円が新規に計上されております。  次に、営繕施設費でありますが、検察庁法務同等庁舎の新営費、特に登記所の施設の整備を前年度に引き続いて充実するための経費を含めて四億三十三万九千円、刑務所少年院等収容施設の新営整備等施設費一億七千九十六万一千円、工事量増加に伴う付帯事務費その他二百五十七万二千円、不動産購入費一千万円、静岡刑務所特別取得費七億四千二百万円が増額となっております。  以上、来年度予算の増額の内容について概略申し上げました。  次いで、法務省におきましては、昭和四十二年度予算において、治安対策充実強化非行青少年対策登記事務処理適正化主要事項として取りまとめておりますので、前述いたしましたところと多少重複いたしますが、これについて簡単にその内容を申し上げたいと思います。  第一の、治安対策の充実につきましては、前述の検事等九十八名の増員及び従事職員人件費を含めて七十四億五千三百五十四万円を計上し、前年度に比して六億三千三百四十三万九千円の増額となっております。これにより、組織暴力公安事犯等に対処して適切な検察権を行使し、矯正施設収容者の衆情の安定並びに精神障害者の治療をはかり、不法出入国者取り締まり体制や、破壊活動調査機能を充実して法秩序の確立に万全を期したい考えであります。  その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係として十二億四千八百七十五万五千円を計上しておりますが、公判審理迅速化をはかるための検事五名の増員のほか、直接検察活動に必要な検察費一千三百一万九千円の増額分が含まれております。  次に、矯正関係として三十二億四千六百五十三万円を計上しておりますが、刑務所保安警備の充実をはかるための看守七十八名の増員のほか、暴力団関係収容者分散拘禁旅費警備用器具整備経費刑務所保安看守の自庁研修経費等一千五百一万二千円、精神障害収容者の治療、収容経費四千五百五十七万八千円等が増額となっております。  次に、入国管理関係として、八千八百六十五万八千円を計上しておりますが、調査活動費五十万円、護送収容送還経費百二万七千円が増額となっております。  次に、公安調査庁関係として、二十八億六千九百五十九万七千円を計上しておりますが、公安調査官十五名の増員のほか、調査活動費四千二百万円の増額分が含まれております。  第二に、非行青少年対策でありますが、前述の少年院教官等二十五名の増員及び従事職員人件費並びに収容総経費を含めて、百億千六百三十三万二千円を計上し、前年度に比して十一億三百二十五万円の増額となっております。これにより、粗暴化、低年齢化している青少年犯罪に対処する検察体制の充実をはかり、少年院少年鑑別所の機能を人的、物的に整備し、同時に青少年に対する保護観察機能を強化して罪を犯した者の更生、再犯の防止をはかりたい所存であります。  その増額分について申し上げますと、まず、検察庁関係として、四十二億四千二百九万一千円を計上しておりますが、検察取り締まり経費検察費)二千四百四十八万五千円の増額分が含まれております。  次に、少年院関係として、二十六億二千百二十八万六千円を計上しておりますが、少年院教官十五名の増員のほか、収容少年教育方策適正充実をはかるための図書購入等経費百六十九万一千円、医療薬品寒冷地燃料菜代等収容経費三千五十三万五千円の増額分が含まれております。  次に、少年鑑別所関係として、十一億三千七百八十万五千円を計上しておりますが、観護教官七名の増員のほか、審判少年護送旅費食糧費等収容経費一千百五十五万九千円の増額分が含まれております。  次に、保護関係として、二十億一千五百十五万円を計上しておりますが、保護観察官三名の増員のほか、前述の補導援護経費すなわち、更生保護会委託費保護司実費弁償金等についてそれぞれ単価の是正等が行なわれたことに伴う一億一千二百七十四万三千円の増額分が含まれております。  第三に、登記事務処理適正化でありますが、前述の事務官二百名の増員及び従事職員人件費を含めて六十七億八千六百三十八万六千円を計上し、前年度に比して八億七千六百三十二万五千円の増額となっております。これにより、経済規模の拡大、公共事業活発化に伴う登記事件の増加に対処して、処理の適正、迅速化に一そうの改善をはかりたい所存であります。その増額のおもなものは、増員を含む人件費のほか、前述の登記事務処理経費登記諸費)、メートル法書きかえ、登録税徴収事務処理経費等二億八千八十九万四千円であります。  以上で法務省所管歳出予算について御説明いたしました。  終わりに、当省主管歳入予算について、一言御説明いたします。  昭和四十二年度法務省主管歳入予算額は、三百十五億八千百六十九万四千円でありまして、前年度当初予算額三百七億五千八百五十八万三千円と比較しますと、八億二千三百十一万一千円の増額となっております。  これは、過去の実績等を基礎として算出されたものでありまして、その増額のおもなものは、罰金及び科料と、刑務作業収入であります。  以上をもって、法務省関係昭和四十二年度予算についての説明を終わります。
  9. 大坪保雄

    大坪委員長 次に、裁判所関係予算について説明を求めます。岩野経理局長
  10. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 昭和四十二年度裁判所所管予定経費要求額について、御説明申し上げます。  昭和四十二年度裁判所所管予定経費要求額総額は、三百四十八億四千五百四十六万三千円でありまして、これを前年度予算額三百十九億五千四十三万六千円に比較いたしますと、差し引き二十八億九千五百二万七千円の増加になっております。  この増加額内訳を大別して申し上げますと、人件費が十六億九千三百七十一万三千円、営繕費が九億三千六十二万一千円、裁判費が一億三千二百九十四万五千円、その他司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等が一億三千七百七十四万八千円となっております。  次に、昭和四十二年度予定経費要求額のうちおもな事項について、御説明申し上げます。  訴訟迅速適正化に必要な経費でありますが、借地法等の一部を改正する法律昭和四十二年六月一日から施行されるが、これにより、多数の新たな事件の起きることが予想されるところであり、これを適正に処理するため、判事四人、簡易裁判所判事三人、裁判所書記官十二人、裁判所事務官六人の増員に要する人件費として一千七百五十五万四千円、地方裁判所における工業所有権関係事件租税事件を迅速に処理するため、地方裁判所調査官四人の増員に要する人件費として三百七十三万二千円、合計二千百二十八万六千円が計上されました。  次が強制執行機構確立に必要な経費でありますが、新執行官法の趣旨に即した強制執行機構確立するに必要な経費として、歳入歳出外現金出納官吏補助職員たる裁判所事務官二十人の増員に要する人件費四百九十三万八千円、執行官研修に要する経費七十四万七千円、合計五百六十八万五千円が計上されました。  家庭裁判所充実強化に必要な経費でございますが、家庭裁判所充実強化するに必要な経費として、所長専任庁の増設に要する経費百二万円、家庭裁判所調査官五人の増員に要する人件費二百七十四万六千円、合計三百七十六万六千円が計上されました。  次は、人事管理体制確立に必要な経費でありますが、人事管理体制確立するため、家裁首席書記官三十六人、地家裁事務局次長十二人、課長補佐四十一人の組みかえをすることとなり、司法行政管理研究会に要する経費として九十九万四千円が計上されました。  次が営繕に必要な経費裁判所庁舎継続工事十七庁舎新規工事十七庁舎の新営工事費として二十五億六千六百八十四万三千円、執務体制確立宅調廃止)に伴う施設整備に要する経費として二億五千四百十六万九千円、その他、庁舎増築補修等施設整備に要する経費として二億六千二百八十六万六千円、最高裁判所庁舎新営に伴う敷地買収のための不動産購入費等及び換地清算金として八億四千五百二十九万円、最高裁判所営庁舎設計の公募に要する経費を含む営繕事務費として八千三百三十三万八千円、合計四十億一千二百五十万六千円が計上されました。  また、このほかに、最高裁判所庁舎敷地取得のため、七億円を限り、昭和四十三年度において、国庫の負担となる契約を、昭和四十二年度に結ぶこととされております。  次は、裁判に必要な経費であります。  これは、裁判に直接必要な経費でありまして、国選弁護人報酬証人調停委員等日当、その他裁判に直接必要な旅費庁費等として二十三億四千四百十七万七千円が計上されました。  なお、この経費には、国選弁護人報酬を約一〇パーセント増額するに必要な経費として二千九一百七十四万円、調停委員等日当を、現行九百円から千円に増額するに必要な経費として三千五百一七十一万六千円、証人等日当を、現行予算上の積算単価五百円を五百五十円に増額するに必要な経費として三百三十五万二千円、計六千八百八十万八千円が含まれております。  以上が昭和四十二年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。  なお、お手元に差し上げておると思いますが、昭和四十二年度の裁判所所管使途別分類表と、四十二年度の裁判所重要事項重点事項についての予算内訳と、第三表としまして営繕関係経費の一覧表と、庁舎新営関係、執務体制確立関係の新規、継続庁の名をそれぞれ掲げておきましたので、ごらん願えれば幸いと存じます。
  11. 大坪保雄

    大坪委員長 この際、岡沢完治君より発言を求められておりますので、これを許します。岡沢君。
  12. 岡沢完治

    ○岡沢委員 きのうの予算委員会等を私、傍聴しておったのでございますが、それに関連しまして、当法務委員会の主管大臣の法務大臣に関連した選挙違反のはがきの問題がございますが、そういう問題、それからもう一つ、共和製糖の事件捜査に関連いたしまして、主として新聞報道等によりましても、社会党の相澤議員の事件を中心とした捜査が中心になっておるようでございますけれども、むしろ本質はそうでなく、糖価安定法に関連した相当多額な金銭の動き等が捜査の対象になるべきであるというふうに考えます。本質が逸脱されて、枝葉のほうが検察の捜査の中心になっているという感じがいたします。これは法務省としても、そういう方向での捜査について、捜査までの意見も聞かしてもらい、われわれとしてはそれについての発言をする機会を与えてもらいたい。  それから、あわせまして、昨日の法務大臣の発言で、共和製糖関係の事件の捜査が、早ければ今月の末、おそくとも来月の初旬には終わるということを大臣みずから言明をされておりますけれども、事件の性質、時効の関係、特にこの事件の重大性を考えました場合に、いやしくもいまの捜査の段階で、現時点で、捜査を終わるめどを大臣みずから発言されることについては、相当問題があろうかと思いますが、そういう点についてもぜひ法務大臣に見解をただしたいと思います。そういう点につきまして、できるだけ早く当委員会で、いま申し上げました問題を中心にした質疑ができるような機会を与えていただきたいと思います。
  13. 大坪保雄

    大坪委員長 関連して、松本善明君。
  14. 松本善明

    ○松本(善)委員 いまの岡沢委員が発言をされたことでありますけれども、法務大臣のはがきの問題にいたしましても、共和製糖の問題にいたしましても、汚職あるいは腐敗政治の一掃という問題は非常に大きな課題になっている。この問題はやはりできるだけ早く質疑をして、国会の審議の中で明らかにしなければいかぬと思います。  それから、当委員会が扱います人権擁護に関する問題、国政の根本に触れる重要な問題等、予算委員会が開かれているときではありますけれども、万障繰り合わせて、できるだけ早い機会にこの質疑を法務大臣に十分できるような機会をつくらなければならないと思いますので、そのようにされたいと思います。
  15. 大坪保雄

    大坪委員長 御両君の御要望の事項は、なるべく早い機会に理事会を開きまして、理事会で御相談して取り計らっていくことにいたしたいと思います。御了承願います。
  16. 神近市子

    ○神近委員 ちょっと事務上のことで一点だけ、いまの予算に関係した……。これはつまらないことかもしれないけれども、国選弁護人の費用のことですけれども、これがいま九百円から千円になると書いてありますね。それで、いつも国選弁護人がお金のない、そして弱い人の裁判につけられる。ほかの弁護料というものは相当高額になっていることは事実であります。それで、たった九百円から千円くらいの報酬で、国選弁護人がほんとうにその被疑者の弁護を十分にしてあげるという熱意がわくかどうか、私はもっと三倍か四倍くらい出すのがあたりまえだと考えるのですが、その点、いままでずっとこれでやっていらしたのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  17. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 ただいまの九百円、千円は調停委員日当でございまして、国選弁護の点は、その前に、約一〇%の増額ということで申し上げております。具体的に申し上げますと最高裁判所の場合、国選弁護料が現行一万円でございますのを改定いたしまして一万一千円、それから高等裁判所の国選弁護料が一件九千三百円を一万二百円、地方裁判所八千六百円を九千四百円に、家庭裁判所関係八千四百円を、九千二百円、簡易裁判所六千二百円を六千八百円、それぞれ引き上げるわけでございますので、国選弁護の関係では、これでもまだ十分とは思いませんけれども、毎年努力して引き上げてまいっておる状況でございます。で、ただいまの九百円、千円の関係は、調停委員が出てこられたときの日当の問題でございますので、ちょっと違っておるものでございます。
  18. 大坪保雄

    大坪委員長 次会は公報をもってお知らせすることとして、本日は、これにて散会いたします。    午前十一時十七分散会。