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1967-07-14 第55回国会 衆議院 文教委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十四日(金曜日)     午後零時四十九分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 久保田藤麿君 理事 坂田 道太君    理事 中村庸一郎君 理事 西岡 武夫君    理事 八木 徹雄君 理事 小林 信一君    理事 長谷川正三君 理事 鈴木  一君       稻葉  修君    加藤 六月君       菊池 義郎君    久野 忠治君       河野 洋平君    佐藤 文生君       葉梨 信行君    広川シズエ君      三ツ林弥太郎君    武藤 嘉文君       渡辺  肇君    唐橋  東君       小松  幹君    斉藤 正男君       三木 喜夫君    山崎 始男君       有島 重武君    山田 太郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君  出席政府委員         文部政務次官  谷川 和穗君         文部大臣官房長 岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      天城  勲君         文部省体育局長 赤石 清悦君  委員外出席者         専  門  員 田中  彰君     ――――――――――――― 七月十三日  委員唐橋東君、吉田賢一君及び山田太郎辞任  につき、その補欠として島上善五郎君、西村榮  一君及び矢野絢也君議長指名委員に選任  された。 同日  委員島上善五郎君及び西村榮一辞任につき、  その補欠として唐橋東君及び吉田賢一君が議長  の指名委員に選任された。 同月十四日  委員中村寅太君、南條徳男君、広川シズエ君、  三ツ林弥太郎君及び矢野絢也君辞任につき、そ  の補欠として加藤六月君、佐藤文生君、武藤嘉  文君、齋藤憲三君及び山田太郎君が議長指名  で委員に選任された。 同日  委員加藤六月君、佐藤文生君、齋藤憲三君及び  武藤嘉文辞任につき、その補欠として中村寅  太君、南條徳男君、三ツ林弥太郎君及び広川シ  ズエ君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十四日  公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師  の公務災害補償に関する法律等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一四九号)(参議院送  付) 同月十二日  学校図書館法の一部改正に関する請願渡海元  三郎紹介)(第二九二四号)  同(小川半次紹介)(第二九二五号)  同外三件(亀山孝一紹介)(第二九二六号)  同外五件(八木徹雄紹介)(第二九二七号)  同外五件(床次徳二紹介)(第二九二八号)  同(藤本孝雄紹介)(第二九二九号)  義務教育における毛筆習字必修に関する請願(  丹羽兵助紹介)(第二九三一号) 同月十三日  自閉症児教育施設等整備に関する請願(八  木徹雄紹介)(第三一七三号)  学校図書館法の一部改正に関する請願外七件(  小川半次紹介)(第三一七四号)  同外一件(亀山孝一紹介)(第三一七五号)  同外二件(佐々木秀世紹介)(第三一七六  号)  同外二件(田川誠一紹介)(第三一七七号)  同外二件(徳安實藏紹介)(第三一七八号)  同外十件(中村庸一郎紹介)(第三一七九  号)  同外四件(野原正勝紹介)(第三一八〇号)  同(遠藤三郎紹介)(第三一八一号)  同(岡本茂紹介)(第三一八二号)  同(上村千一郎紹介)(第三一八三号)  同(河本敏夫紹介)(第三一八四号)  同外六件(橋本龍太郎紹介)(第三一八五  号)  同外四件(松浦周太郎紹介)(第三一八六  号)  同外九件(白浜仁吉紹介)(第三三一五号)  戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願(關  谷勝利紹介)(第三一八七号)  義務教育における毛筆習字必修に関する請願(  砂原格紹介)(第三一八八号)  同(田村良平紹介)(第三一八九号)  同(竹内黎一君紹介)(第三一九〇号)  同(福家俊一紹介)(第三一九一号)  同(馬場元治紹介)(第三一九二号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第三一九三号)  同(辻寛一紹介)(第三三五七号)  公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律の一部改正に関する請願  (松浦周太郎紹介)(第三三一六号)  学校教育費財源措置に関する請願井出一太  郎君紹介)(第三三三二号)  同(林百郎君紹介)(第三三三三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十三日  女子教育職員育児休暇法案成立促進に関する  陳情書  (第三五一号)  学校給食費父兄負担軽減に関する陳情書  (第三五二号)  教職員宿日直廃止等勤務条件改善に関する陳  情書(第三五三  号)  在日朝鮮人民族教育保障に関する陳情書  (第三  五四号)  生徒急増に伴う小、中学校施設整備費等国庫  負担基準適正化に関する陳情書  (第三五五号)  中学校設置基準法制化促進等に関する陳情書  (第三五六号)  義務教育学校用地取得費国庫負担に関する陳  情書(第三五七  号)  埼玉古墳群中心とした風土記の丘建設計画に  関する陳情書  (第三五八号)  茨城県において第二十九回国民体育大会開催に  関する陳情書(第  四一七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  日本学術振興会法案内閣提出第九〇号)  公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師  の公務災害補償に関する法律等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一四九号)(参議院送  付)  オリンピック記念青少年総合センター法の一部  を改正する法律案内閣提出第七一号)(参議  院送付)      ――――◇―――――
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本学術振興会法案議題といたします。  本案についての質疑は前会において終了しております。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。斉藤正男君。
  3. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題になっております日本学術振興会法案採決にあたりまして、反対討論を行ないたいと思います。  日本学術振興会法は、文部大臣提案説明によりますと、学術振興をはかるため、特殊法人日本学術振興会を設立し、学術研究の助成、研究者に対する援助、学術に関する国際協力実施促進等業務を行なわせることを目的としております。政府は、本法案により今後振興会を窓口として学術振興行政を積極的に推進すると説明しておりますが、しさいにこれを検討いたしますと、実はわが国学術研究の将来に重要な問題をかかえ、かつ重大な影響のあることを見のがすわけにはまいらないのであります。  その第一は、行政管理庁が強く指摘し、公社、公団、特殊法人の新設はこれを抑制し、整理するという方針の中で、財団法人であった日本学術振興会をこの際特殊法人日本学術振興会に改組することは、時代要求に反すること、はなはだしいといわなければならないと思います。  またその第二は、科学技術振興につきましては、科学技術庁の所管事項もこれあり、特に科学技術基本法の制定が焦眉の急務であり、大前提であるにもかかわらず、今日なおその法制化が進んでいない段階において、本法が文部省の手によって制定されることは、わが国科学技術抜本的振興対策の上からも時期尚早といわざるを得ないのであります。  その第三は、産学協同の推進を明白に打ち出し、無制限に産業界、財界と結び、ビッグサイエンスの調和ある発展にとって大きな障害となることもまた憂慮されるところであります。  その第四は、日米科学協力を強く推進する機関になりかねない点であります。文部省は本法案説明の中で、米国側担当機関である国立科学財団政府機関であり、わが国も均衡することが望ましいと述べておったのであります。この法案が、国家監督強化のもとに日米科学協力軍学協同を一そう推進しても、歯どめの機関は何一つないのであります。  その第五は、法案内容であります。それは、一口に言えば学術研究に対する中央集権化であり、官僚統制強化以外の何ものでもないということであります。すなわち、振興会役員任命解任をはじめとして、文部大臣に膨大な権限が与えられていることであります。振興会役員として、会長理事長、三人以下の理事、二人以下の監事が置かれることになっておりますけれども、これらの役員はすべてが文部大臣任命であります。一方的な任命によって文部大臣がすべての役員人事を支配し得ることは、振興会組織政府が意のままに支配統制するための基礎的前提とも断定できると思うのであります。今日やかましくいわれております官僚天下り組織となることは、また必然であります。さらに、文部大臣役員解任権も持つのであります。しかもこの解任権は、文部大臣が個人の見解により役員たるに適しないと認めたときには、いつでも一方的に発動で奉る仕組みになっておるのであります。これを要するに、文部大臣役員任命権解任権の両者をあわせ持つことにより、振興会人事に対し生殺与奪の実権を握ることになり、きわめて危険であるともいわなければならないと思うのであります。  さらにまた、会長の諮問に応じ重要事項審議する機関として、十五人以内で組織される評議員会評議員もまた同様であります。学術振興会は、学術研究中心とする機関であるからこそ、他の特殊法人と比較して自主的、民主的な運営が確保されなければならないと思うとき、時代錯誤もはなはだしいといわざるを得ないのであります。再三にわたる日本学術会議の要望や申し入れにもかかわらず、学術会議との関係が法文上何ら明記されていない事実は、このことを雄弁に物語っております。  文部大臣は、まず人事及び組織両面振興会を完全に支配下に置いた上で、さらに、その事業及び管理、運用の面で重要な点をすべてその統制下に置こうとしているのであります。すなわち、全文三十九条の短い本法案の中で、文部大臣認可ないし承認を必要とするものが七点もあるのであります。このことは、本法案が、事業及び資金計画両面にわたってこれを全面的に文部大臣認可事項とし、その統制下に置こうとしているものであることを証明するものでありましょう。そもそも、どのような方面、どのような分野の学術振興に重点を置くか、どのような専用的研究者の育成に力を入れるか、どのような国とどのような形で国際交流を積極的に進めるか等々の、学術にとって最も基本的な重大な問題が事業計画資金配分計画内容をなすものである以上、これらすべてを文部大臣認可承認事項とすることが、学術国家統制への道を開くものであることは明らかであろうと思うのであります。  さらに、法案によれば、文部大臣振興会事業実施に対し全面的に監督権を行使し得ることになっているのであります。しかも、どのような場合にどのような命令を出し得るかにつきましては、全く規定をされず、無制限なのであります。このことは、文部大臣に白紙委任したも同然であり、自由裁量にまかせたと同様であります。法律上必要である、ないし監督上必要であるという理由を付すれば、どんな命令でも出すことが可能になるのであります。  しかも、文部大臣は、進んで振興会の事務所へ立ち入り検査をする権限まで持つのであります。その上、この立ち入り検査を拒否したり、求められた報告を出さなかった場合には三万円以下の罰金がかけられ、その他文部大臣命令に違反したときは三万円以下の過料に処せられることになっておるのであります。わが国最高学術研究機関に対し屈辱的罰則規定を設けているが。ときは、まさに言語道断だと思うのであります。  文部省設置法は、その第五条十八号において、大学高等専門学校研究機関に対し、その運営に関し指導助言を与えることを明記いたしておるのであります。したがって、学術振興会に対する文部省権限指導助言範囲にとどまるべきであって、その範囲を越える本法案のような強力な指導監督権を与えることは、文部省設置法趣旨にも違反するものと断ぜざるを得ないと思うのであります。  以上指摘をいたしましたように、本法案は、文部大臣振興会役員評議員人事を一方的に支配し、振興会事業資金計画をその統制下に置き、その事業執行振興会管理運営に対する全面的監督権を持つことを許した法案であり、一言で言えば、振興会及びそれが行なう学術振興事業を徹頭徹尾政府官僚統制下に組み入れ、本来平和と社会進歩のための自由な学問研究を、逆に統制支配しようとするファッショ立法なのであります。それは、学問の自由を保障する日本国憲法第二十三条の精神にも明らかに違反するものといわなければなりません。  したがって、本法案は、単に一法案の問題にとどまらず、学問と政治の関係についての根本的考え方に関連する重要な問題点を数多く含んでいるのであります。もし本法案に盛られたような考え方が認められるならば、自由を保障されることによってのみ発展する真の学術は死滅し、御用学問のみが生き長らえる方向に今後急速に進むでありましょう。  さきに日本科学者会議に結集されている良心的な科学者の皆さんをはじめ、大学研究機関等学者の方々が強く本法案成立反対していることもまた当然だろうと思うのであります。  援助すれども支配せずが学術文部行政民主主義的原則であります。援助するかわりに支配するを原則とするような逆行もはなはだしい本法案の撤回を要求し、反対討論を終わるものであります。(拍手
  4. 床次徳二

    床次委員長 有島重武君。
  5. 有島重武

    有島委員 私は、公明党を代表して、日本学術振興会法案反対の意を表明するものであります。  以下、反対理由について申し上げます。  わが国学術振興は、多年にわたる大きな課題であり、重大かつ緊急の問題であります。したがって、今日これを強化拡充することはきわめて当然のことであり、国民のひとしく期待するところであります。  しかしながら、このたび政府より提出されました日本学術振興会法案条文を検討いたしますと、事学術振興に関する法案としては納得しかねる点があまりにも多過ぎます。  その第一は、役員評議員等任命解任、また業務計画作成変更等、要所要所についてはすべて文部大臣の権力のもとに一元的に統御されており、従来の評議員互選理事合議による民主的な運営のしかたと比較するときに、はなはだしい官僚統制への片寄りを許しております。  この点に対して、政府は、ただ形式的に他の特殊法人法の慣例にならったまでのことであり、実際の運営は、学問の自由を守り、学者との話し合いを緊密にして適正を期するつもりであると言われるが、いやしくも法律条文審議に際して、口約束による運営上の諸条件前提として事を運ぶということは、本委員会としても国民の信頼にこたえる道ではないと信ずるものであります。  わが国科学技術の将来に大きな影響を与えるべきこの法案が、万が一にもその運営のいかんによっては、本来自由であるべき学術研究に対する異質な統制可能性を多分に含んでいるということは、だれ人もこれを認めざるを得ません。  加うるに、政府は近い将来に対してのわが国学術振興具体的ビジョンを示すことなく、ただこの法案成立学術振興の唯一の道であるがごとき印象を与えつつこの採決を急がれることは、ますます疑いの念を深くするものであります。  国民は、第一に学術振興に関する政府の明確なる構想を期待し、その構想実現のための手段としての法制化をこそ望んでいるのであります。  現在の財団法人学術振興会のじみちな協力に対しては心より敬意を表し、賛意を惜しむものではありませんが、政府としては、当座の経営難に対する応急の援護処置を講じ、職員生活保障をするとともに、国家学術振興基本方策を早く確立し、国民学術関係者の広い認識を得た上で、これにのっとってさらに適切な形態を創意考案して法制化を急ぐべきであります。  以上、反対討論を終わります。(拍手
  6. 床次徳二

    床次委員長 以上をもって討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 床次徳二

    床次委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  9. 床次徳二

  10. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 このたび政府から提出いたしました公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における国家公務員等災害補償制度改正にならって、公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償制度改正を行なおうとするものであります。  すなわち、第一には、公立学校学校医歯科医及び学校薬剤師公称災害補償に関する法律の一部改正でありますが、その内容は、国家公務員等災害補償制度にならって、打ち切り補償を廃止し、負傷または疾病がなおるまで療養補償及び休業補償を継続することとし、また障害補償及び遺族補償にかかる消滅時効については、これを二年から五年に延長することとするものであります。  第二には、厚生年金保険法の一部改正船員保険法の一部改正でありますが、この内容につきましても、国家公務員等災害補償制度にならい、学校医学校歯科医及び学校薬剤師障害補償及び遺族補償厚生年金保険法及び船員保険法による障害年金及び遺族年金との併給に関する制度を改めるものであります。  第三には、国民年金法の一部改正児童扶養手当法の一部改正特別児童扶養手当法の一部改正についてでありますが、この内容も、国家公務員等災害補償制度にならうものであり、学校医学校歯科医及び学校薬剤師災害補償のうち年金たる補償国民年金法による福祉年金児童扶養手当法による児旭扶養手当及び特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当との併給に関する制度を改めるものであります。  この第二及び第三の改正は、学校医学校歯科医及び学校薬剤師障害補償年金範囲の拡大、遺族補償年金化に関連するものであります。すなわち第二の改正については、厚生年金保険法及び船員保険法による年金制度本人保険料を分担しているので本人負担を全く要しないで支給される業務災害補償制度による年金との併給を禁止しないものとされていますが、従来一時金を主としていた学校医等障害補償及び遺族補償年金を主とするものに改めるにあたり、学校医等障害補償及び遺族補償を受ける場合は厚生年金保険法及び船員保険法による障害年金及び遺族年金一定期間支給停止していたのを廃止して直ちに併給することに改めるものであります。第三の改正については、学校医等障害補償及び遺族補償年金を主とするものに改めるにあたり、これを公的年金給付として、公的扶助たる国民年金法による福祉年金児童扶養手当法による児童扶養手当及び特別児童扶養手当法による特別児童扶養手当との一定期間以後の併給を廃止して当初から併給しないことに改めるものであります。  最後に、これらの改正に伴って必要な経過措置を定め、関係条文の整理をいたしました。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及び内容概要であります。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  11. 床次徳二

    床次委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案についての質疑次会に譲ることといたします。      ————◇—————
  12. 床次徳二

    床次委員長 内閣提出オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  本案趣旨説明は、予備審査のため付託された際に聴取いたしております。  質疑の通告がありますので、これを許します。小松幹君。
  13. 小松幹

    小松委員 この法案に関連して、センター運営について二、三質問をいたしたいと思います。  オリンピック記念と、こういう名称がついておりますが、何かスポーツと実際運営関係がございますか。なければないでけっこうです。
  14. 赤石清悦

    赤石政府委員 オリンピック記念と名づけましたのは、御承知のように東京オリンピックにおきまして、オリンピック選手村の一部としてオリンピック選手がここに宿泊した、そういうことをオリンピック全体として記念しようということが一つでございます。同時に、いまお尋ねでございますが、やはりここは青少年宿泊研修施設でございまして、その中にスポーツというものをかなり重く考えていこう、こういうような気持ちも入っておるものでございますので、オリンピック記念という名称とした次第でございます。
  15. 小松幹

    小松委員 スポーツの考えが入っておるというけれども、実際面では何もスポーツは入っていない。野外運動場スペースはない。野外で運動しようにも何もできぬ。ただ泊まるだけの宿屋みたいな形式で、体育関係があって体育局所管というのはおかしいです。実際体育関係がない運営をやっているのですが、これでもやはり体育にこじつけられるのですか。
  16. 赤石清悦

    赤石政府委員 出発当初におきましてどの局が所管すべきかということが多少話題になったのでございますが、ただいま申し上げましたようにオリンピック記念ということがございましたし、それからいま先生御指摘でございますが、確かに地域的な条件その他からいたしまして、いろいろまだほしい諸施設がございますけれども、単に宿泊施設中心だという印象を与えがちになっておりますが、幸いに昨年度予算におきましてスポーツ研修館が誕生いたしました。お手元にまだお配りしてございませんが、そういったようなことで、スポーツ研修ということにつきましても、上施設その他の面において将来大いに努力するような体制ができておる次第でございます。
  17. 小松幹

    小松委員 オリンピック記念的な展示などもやる用意があるかどうかということ、それから、いまスポーツ研修と言うが、内では少しスペースをとったかもしれないが、野外運動場がないでスポーツといえば、一体何のスポーツか。柔道場剣道場弓道場か、そういうものがあって、青少年をそういう面から導いているかといえば、そうでもないでしょう。そうすると、研修といったって実際問題としてレクリエーションの場もないじゃないですか。座禅でも組ませなければ何もすることがないような施設で、名前だけは体育というふうに銘を打ってあるけれども、体育らしいものは、幾ら内の体育館が何ぽかできたといっても、それはたいした体育にはならない。体育研修なんておこがましい、こう言わなければならぬ。それかといって、研修だと言うから、図書館でもあって何か研修するのかといえば、図書館もないでしょう。一体研修ということばを使って何を研修させるのか、青少年を集めて、あるいは泊まらせて、スポーツとどういうような関係があって研修をさせるのか、その辺のところちょっと伺いたい。
  18. 赤石清悦

    赤石政府委員 これは一昨年、昭和四十年にこの法律ができますとき、いろいろ御議論いただいた点かと存じますが、私どもは、戦後のいろいろな青少年関係施設につきまして、一般的にこういうふうな考え方をいたしております。一定の、非常に狭い意味の特定目的を持った研修というよりも、そこに宿泊する各種の青少年団体それぞれが、それぞれの目的に照らして自己の研修目的を持ってやる、そういう研修の場を提供するということを最高の使命と考えてまいりたい。ここのセンターとしてこれこれのものを主催事業としてやるということは、むしろ遠慮と申しますか、予算上の措置その他もございません関係もございますが、むしろ各種の青少年団体がそこに泊まりまして、そこで自己に適した研修をやっていただく、こういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 小松幹

    小松委員 泊まって自己に適した場を提供してと言うけれども、その場がないと言っているのです。一体どういう場を与えているのか。結局、場のない研修をさせるということになる。それだったら、宿泊してどういう場があるのですか。座禅をする場があるのか、図書館の場があるのか、柔道をする場があるのか、運動をする場があるのかというと、ピンポンするぐらいしか場がないでしょう。その場がないでそれぞれに従って研修をする、それじゃあとはおまえらかってにやれということじゃないですか。そんな研修センターなんておかしくて、一体どういうつもりなのか。
  20. 赤石清悦

    赤石政府委員 現在でも、御指摘のように不十分な点はございますが、それぞれ研修棟がございまして、研修施設がございます。それから、昨年度の予算で、ただいま申しましたようにスポーツ研修棟ができて、四つほど体育室が設けられ、五つほど大きな研修室が設けられております。ただ、野外活動の場がないじゃないか、こうおっしゃいますが、何ぶん東京のどまん中でございまして、確かにそういうグラウンド、運動場、そういうものの必要を私どもも感じております。しかし、いろいろな制約がございまして、いまのところまださような運動場もしくは野外活動に適した場所がございませんことを、残念に思っておる次第でございます。
  21. 小松幹

    小松委員 私も行ってみたが、オリンピック選手村だったから、かなりの宿泊設備はあると思う。しかし、研修設備がありますとおっしゃったが、あることは、無存在ではないかもしれない。しかし、研修設備がありますと言うのには、日本が法律をもって研修センターをこしらえたものからすれば、むしろない、お粗末だと言うほうが正直じゃないですか。どうですか。
  22. 赤石清悦

    赤石政府委員 確かに、従来の宿泊棟を改装いたしまして研修施設といたしました点については十分生かしてはおるつもりでございますが、見方によりましては、お粗末であるという印象をあるいは与えておるかもしれません。そこで、今度スポーツ研修館をつくりまして、そこに五つほどの大きな研修室を付加いたしました。さらに、まだまだこれでは不十分なので、将来計画といたしましては、さような研修関係施設については整備してまいりたい、かように考えております。
  23. 小松幹

    小松委員 昨年、四十一年の実際宿泊を見ますと、研修というのが、青少年センター——名前はそう言うけれども、十五万人泊まった、そのうち七万人は会社の職員とか社員の宿泊をやって、二万人はおとなが宿泊している。十五万人のうち半分以上はそうなんです。実際やっているのは、スポーツ関係はわずかに一万一千、青少年関係が、高校、中学合わせてわずかに一万九千でございます。こういう実態から考えてみて、研修センターとか、題目だけはいろいろ御託宣を並べてあるけれども、実際運営は、これは簡易ホテル経営ですか。そうでしょう。実際問題として簡易ホテルを経営している。名前はそんなことを言うが、野外施設もなければ、内部の施設もない。十五万人泊まったうちで八万人はおとなが泊まっておる。これをもって研修センターだとか、えらいむずかしいことを言わぬほうがいい。簡易ホテルに変えたほうがいいじゃないですか。
  24. 赤石清悦

    赤石政府委員 だいぶ手きびしいお尋ねでございますが、一応私どもはこういうふうに理解いたしておりますので、申し上げさしていただきます。  おとなが多いじゃないかという点でございますが、年齢別の利用者を、いま御指摘の十五万人を分析させていただきたいと存じます。一番多いのは、五歳刻みにいたしておりますが、二十一歳から二十五歳——これは文部省考え方でいたしまして、一応二十五歳程度までは青少年と考えております。それが最も多く六万二千人でございます。それから十六歳から二十歳までが約四万、そして二十六歳から三十歳までが約二万。いわゆる常識的に考えますおとな、三十歳以上は二万七千人となっております。大体社会教育課で考えます青少年の範疇に入りますパーセンテージは、私どもといたしましては、いま申し上げましたものを寄せますと、七、八割程度は青少年の範疇に入ると考えております。ただ御指摘の、会社の社員が多いのではないかという点は、これは発足まだ三年目でございまして、やはりどうしてもいろいろな事情がございまして、社員の利用率が多いことは認めざるを得ません。と申しますことは、これはいささかセンター運営の一つの性格上の問題として残っておるわけでございますが、青年の家は、御承知のように無料で泊めます。ここはやはりどうしても青年の家と違います。特殊法人でございますから、ある程度の独立採算を保たねばなりません。そこで宿泊料を、われわれ非常に安いと考えておりますけれども、ある程度の宿泊料を取らしていただいております。さようないろいろな点がございますことと、都内にあるといったようなことと、PRが行き届いていなかったというようなことで、現在までのところ社員研修が比較的多いということは、これは認めざるを得ませんけれども、三年目の本年度になりまして相当広く知れ渡ってまいりまして、もっともっと広い青少年の団体、青少年の利用に供されつつあることを御報告できると思います。
  25. 小松幹

    小松委員 何やら客集めのために旅行あっせん業者に依頼して客を集める、あるいは修学旅行会にあっせんを依頼して、修学旅行の宿泊を勧誘して回るというようなことも聞いております。あるいは社員の研修には酒が出るとも聞いているのですが、そんなところはどうなんですか。出ないのですか。こういう研修もあるのですか。
  26. 赤石清悦

    赤石政府委員 研修施設か簡易ホテルかというお尋ねに関連して、先ほど落としましたので、ちょうどまたお尋ねでございますから……。あの構内においては絶対に酒は飲んではいかぬ、こういうきついきめ方をいたしております。  それから、ついでで申しますが、何も研修していないじゃないかというお尋ねでございますが、先ほど来申しますように、それぞれの団体の目的に応じた団体の自己研修をいたすというたてまえなので、差し出がましいセンター研修はないのでございますけれども、しかし、およそ国費を投じてできましたこのセンターでございますので、最小限度の規律は守っていただこう。たとえて申しますと、生活規律は、一応六時起床、それから六時三十分、朝のつどいといたしまして、宿泊生全部が集まりまして体操をやり、一応の相互の交歓をするとか、朝のつどいをいたします。それから食事。研修時間も八時から五時まで、五時になりますと夕べのつどい、それから就寝時間は十時半、こういうふうに大体の規律をきめております。こうした最低限度の規律で、やや日本の青少年にございます多少ルーズなと申しますか、自由な生活態度が、ここに入ることによってかなりしっかりしたものになる、こういうふうに一般に見られておりす。この生活規律は、青年の家とほぼ最小限度同じように考えて実行いたしております。
  27. 小松幹

    小松委員 青少年センターと言うから、文部省でいう青年の家を全国でまとめて、その中央のセンターだろうというような、日本のことばの上、文字の上からくる想像があるのですけれども、実際はお月さまとスッポンぐらい違うので、青年の家はそれなりに社会教育なりあるいは生活教育の分野の指導をしておるようでございます。ところがこのセンターは、まああなたの言いわけを聞けば、青年の家は宿泊料が要らないからそういうことができるのだ、こっちのほうは宿泊料が要るからできないのだというが、それは最初から、特殊法人にした以上は、独立採算制を大蔵省から強要されておるのです。あまりむずかしい、オリンピック記念何とか研修センターというような大ぎょうな名前をつけるから、名前と実態とがちぐはぐになる。世間から見たら、これはもうたいへんなりっぱな運営をして、そして青年の家で鍛えられた人がさらに中央センターに集まって研修をするのかと思うが、旅行あっせん業者に頼んでシーズンオフには泊めるようにするとか、修学旅行会にお願いして学生を泊めるということは、熱海の旅館と何ら変わっていないじゃないですか。そんなものを、大きな金を費やして一体どうしてこういうことをやるのか。第一、体育局というのは一体どういう研修をやらすのですか。社会教育課の研修体育局研修というのは、研修のしようが違うのですか。座禅を組ませるような修養とか、道義的な講話とか、朝ラジオ体操をしたり、起きて床を上げたりするような指導体育局でやるのですか、それともこれは社会教育課でやるのですか。その辺のところが、体育局所管をしてやらすのなら、スポーツ関係のある一つのセンターにしたらどうなんですか。野外運動場もなければ、遊ぶところもない、レクリエーションの施設もなければ、体育施設もない。雨の降るときみたいに内輪ばっかりにおってむずむずして、何百人も泊めておって、それで研修センターだなんと言っても話にならぬと思うのですが、どうなんですか。
  28. 赤石清悦

    赤石政府委員 幾つかの点を御指摘いただいたと思いますが、総合センターといたしましたのは、単に狭い意味の社会教育のみならず、体育とか、またやや問題があるかもしれませんが、修学旅行の御指摘がございましたが、そういったいろいろな収容施設が多うございますので、とにかくこの設立目的に合う限りにおいて、ここの最小限度のきまりを守っていただく限りにおいては、できるだけ日本人の多くの青少年に使っていただこう、こういうのができた趣意でございます。いま修学旅行のお話が出ましたが、決していわゆる旅館業者のような気持ちで修学旅行生を集めるということではございません。また、修半旅行を優先的に泊めるかどうかというのは大議論いたしまして、むしろ一般の勤労青少年がこういう研修施設がなくて困っておる、そういう者を優先すべきである。ただ、非常に収容施設が多うございますし、季節的にはかなり余裕のある時期がございます。せっかくあいている時期に、たまたまたとえば修学旅行等でしかもオリンピック施設を勉強して回るとか、かなりここに泊まることとセンターの設立目的とが結びつくような場合におきましては、修半旅行の単なる泊まりということではなく、ほんとうの意味の生きた修学旅行が真にここではできるのではなかろうか、かような積極的な意味、価値を見出しまして、さような見地から、そういう方面にも手を伸ばすべきではないかと、現在検討中なわけでございます。  それから体育局がしつけをするとかなんとか、いろいろ御指摘がございましたが、まあ昔もそうでなかったと思いますが、戦後は、特に局がそういうしつけとかなんとかということを直接指導というよりも、一般の国民の納得するいろいろなことでもって最小限度こういうことをやっていただく、こういうことをこの評議員会等で十分検討した上できめているわけでございまして、そう私どもが一々出向いて指導するということはないのでございます。
  29. 小松幹

    小松委員 修学旅行をそういうような研修旅行に変えるということはまことに名案でありますが、一体初等中等教育局で全国の修学旅行を、現在のような修学旅行の体系ではないような方向に、修学旅行に泊まった旅館で研修をするような方向にしむけておるのかどうか、どうなんですか。初等中等教育局にお尋ねしますが、そういう方向にだんだん変わってきておるのですか。
  30. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 修学旅行は、やはり私どもとしましては広い意味の学習活動の一部でございまして、単に物見遊山的な修学旅行ということについては、いままでその傾向もありましたけれども、やはり修学旅行を学習活動の延長としていままでのあり方につきまして十分考慮をいたしまして、いま申されますように、修学旅行が学生の修養の場、学習の場として行なわれるように文部省といたしましては地方の教育委員会等を指導いたしまして、特にオリンピック青少年総合センターに宿泊いたします場合には、修学旅行が宿泊する限りにおいて、同時に研修を伴う宿泊ということに重点を置いて収容いたしておるわけでございます。修学旅行のやり方の一部の改善に資するという意味合いにおきまして、これを利用してもらうということにいたしておるわけでございます。
  31. 小松幹

    小松委員 教育の目的的な点を言えばそういうことでありましょうが、そういうようなことをこのセンター関係している者がかってに都合のいい解釈をして、しかも修学旅行をあっせん業者に頼むとか、あるいは修学旅行会に何とか泣きつくというようなことで、そういう目的が達せられようと思っているところにたいへんなあやまちがある。そういう考え方を起こすということは、旅館業をやれば、シーズンオフとシーズンとがはっきり分かれておることは間違いない事実なんだ。どこの旅館だって、シーズンのときにはお断わりをするけれども、シーズンオフのときには閑散たるものなんだ。だから、このセンターに旅館的な要素があるから、シーズンのときにお断わりするようなこともあるかもしれないが、オフのときにはかんこ鳥が鳴くというような、だからその間をあっせん業者に宿泊を頼んで赤字を埋めていこうという観念、そういう考え方研修センターということは意味がない。そういう考え方研修をやるということは、それは何のことかわからぬ、実際問題として。理想は、法律的に見ても「青少年の心身の発達を図り、もって健全な青少年の育成」なんというえらい目的があるけれども、これは実際は目的倒れで、ほんとうは客観的に見れば、センターという名、オリンピックという名をかたって簡易ホテルを経営しておる。名前だけちょっとオリンピックと出してあるからだましいいのか何か知らぬけれども、全く簡易ホテルの経営をやっておる。そしてみみっちい考え、シーズンオフにあっせん業者に頼んで客募集をやる、客引きを使うという考え方はもってのほかだと思うのです。そういう観念があるということで研修と一体にならない、そういうことでこの研修を考えておったら話にならぬ。徐々に体育施設というものを拡大していくという考えがあるかもしれぬ。しかし、オリンピック記念だというならば、問題は、体育に関する研修の場として拡大すること、そうして体育青少年指導育成の場は、東京のオリンピックセンターに行けばその道も修養ができるというならば話はわかるけれども、野外運動場もなくて、屋内のわずかな研修設備くらいで大きな命題を掲げてもやりづらいのじゃないかと私は思う。やりづらいならば思い切って、オリンピック記念東京宿泊施設とかなんとかいう名前にしたほうがはっきりしていい。赤字が出たらこうだ、埋め合わせもあるいはおとなを泊めてもいいかもしれぬ。しかし、十五万人のうちに社員の研修が大半で、あとはおとなでというような経営実態で、青少年センターなどとは、これはおこがましくて言いにくい。発足一年目だから実情はそうだというならば、だがこの経営の実態から見て、私は将来も同じことが言えるのじゃないかと思う。それならば、文部省は本格的に前向きに取り組むべきだ。旅館賃を取って研修をさせるという考え方を竿頭一歩を進めて、ここに選抜されてくる研修者は国費をもって研修の場を与える、それならば話が前向きに進むと思う。銭を取って研修し、むずかしい理屈だけ並べたって意味がない。やはり前向きにやるべきだ。文部省は今度冷房設備をする。これは学生オリンピックをするから、外人が来るからということなのでしょうが、それもいいでしょう。三億円もかける。しかし、それよりも、これは全国一つしかないセンターでしょう。オリンピックという名を冠しておるセンターなのですから、ただで宿泊さして、地方の青年の家から選抜された者がここに集まって、お互いに切磋琢磨する道場であってもいい、座禅を組んでもいいでしょう、そうしてそれは全部無料で国がやるのだ、そして国でセンターに入れたというお墨つきをつけてやるぐらいにやれば、全国青年の家も、ここで研修を半月したら選抜されて東京のセンター研修をやるのだというような方式になる。いまは、地方の青年の家とこのセンターは、名前だけは似ているけれども、およそ似ても似つかない中央簡易ホテルにしかなっておらぬ。この辺、文部省はこのままの運営を続けようと考えておるのか。竿頭一歩を進めて、大蔵省から予算をとって、前向きに青少年をほんとうに研修センターで導こうというならば、それぐらいの前向きの考え方がなくて一体何としてこれを乗り切れますか。結局、あっせん業者に頼んでとにかく穴埋めをするような経営になる。これは落ちつくところはそうなんですよ。その辺の考え方はどうなのですか。
  32. 赤石清悦

    赤石政府委員 いろいろ重要な問題にお触れいただいているわけですが、このセンターはすでに使ってございます。それを取りこわしたりなくすることが非常にもったいない、それを何とか生かそう、こういうことが発想の一群最初でございました。したがって、他の青年の家と同じように初めから計画的に建物を建て、人員も擁し、そうして所轄機関として国費でもっていろいろな主催事業等に経費が投ぜられる、こういう方式をとれるものではなくして出発いたしておりますので、いろいろの面で、他の青年の家等と比べまして、運営上非常にやりにくい点のあることは御指摘のとおりでございます。しかし、私どもは、これは特殊法人であり、かなり独立採算の性格が強うございますけれども、広く日本の青少年を見回してみますと、東京におきましていろんな研修が行なわれております。その場合、宿泊施設がない、あっても非常に高い。まず第一は、さような要望にこたえる場とすべきではなかろうか。しかしまた、ここの中で研修をしたいというものに対しては、この中でいろんな研修施設を設けまして、その研修の場を提供しよう。この中には運動場がない、いろいろないということは御指摘のとおりでございますが、ここになくとも、ここに泊まり、ここに合宿することによって、他の近隣の諸施設を利用して、その研修とここの宿泊とが相マッチしまして全体の研修計画が効果をあげるようにもできる、こういうふうないろいろなくふうをこらしておる次第でございます。何と申しましても、東京に存在しておるという点がこのセンターの一つの大きな強みであろうかと思います。また、ここの宿泊収容人員は、今度この法案を通させていただきますと、さらに二千人をこすことになります。最も多い青年の家でも五百人でございます。収容力からいたしまして四倍でございます。こういう収容力の点からいたしましても非常に強みであると同時に、それが非常に弱みである、こういう点をどうやって克服してまいるかという点が将来の課題でございます。いろいろ御指摘がございますが、ここのセンターとして、発足当初からのいろいろな問題、悩みを持っておりますし、これを何とかして解決してまいりたい、こういうことは、センター関係者はもちろんでございますが、私どもとして非常に苦慮いたしておるところでございます。そういう点をもう少し長い目で見て御指導を賜わりたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 小松幹

    小松委員 私は、いままで幾らも長い目でものを見てきたからそういう結論が出る。たとえば全国の共済組合の保養施設、あれも保養所という名の旅館経営をやっている、ホテル経営をやっている。だんだん単価が高うならなければ——昔は三百円くらいで泊めておったのが、八百円になり、千円になり、千二百円になって、単価を上げなければ経営が成り立たなくなってきておる。だから、私は所在は別府ですが、別府の一般の民宿の旅館に泊まったほうが、そういう保養施設に泊まったよりもサービスがよくて、安いといわれるくらいになっている。あるいは全国青年会館、こういうものもほとんどがホテル業に変わってきてしまっている。ということは、赤字が毎年——一ぺんの赤字ならばいいでしょう。去年も赤字が出たでしょう。おととしも、三カ月ですけれども出たでしょう。毎年千万円くらい、あるいはもっと大きく二千万円も出るでしょう。いま累積赤字が二千万円くらい出ているでしょう。この二千万円の赤字を克服してさらに来年黒字を出していくのには、いまのような、あなたがここでおっしゃるような抽象論でおっしゃったとしても、赤字は解消できませんよ。そんなこと幾ら言っても、いわゆるお役人商売というのがもうかるはずがない。赤字が出るのがあたりまえなんです。それで文句を言われている。それだったら、もう一問最初の振り出しに戻るべきなんです。戻らなければ、これはよほどうまい経営をして、チンドン屋を雇うてでも客集めをしなければためですよ。東京にあるから便利がいい、たいへん都合がいい。裏を返せば、東京にあるから研修ができない。あの裏に大きな森林公園みたいなところがありますけれども、森林公園だって鉄線を張って入れてはならぬというような、森林公園さえも入れぬような研修の場を、一体だれが好むかといえば、東京都内の中小企業のおっさんが、自分方の社員を何とか修養させるために、何でもあそこに行けば安く研修ができるというようなことで、社員の研修道場にはいいかもしれぬ。しかし、青少年指導センターは——オリンピックという名にだまされれば別ですよ、オリンピック記念なんというからそれにだまされれば別ですけれども、それ以外に何の取り柄がありますか。実際問題、レクリエーションの場もたいした場はない、運動場もない、それにオリンピックという名前をかぶせてあるだけ。こういうような、いわゆる悪口のようになるけれども、口で言えば簡易ホテルですよ、何といったって。言いようがないから、私は簡易旅館と言うのもあまりひどいから簡易ホテルと言うだけで、ほんとうは旅館と言ったほうがいいくらいです。そういうものを、あまり理屈を言うて言いのがれをして——赤字を毎年毎年出していくじゃありませんか。実際、昭和四十二年度は絶対赤字が出ないようにしておりますという確約ができますか、どうなんです。
  34. 赤石清悦

    赤石政府委員 御指摘のように、残念ながら昭和四十一年度において一千万円の赤字が出ました。私どもの計算といたしましては、この赤字が出ないように、独立採算とは言い条、何といっても勤労青少年研修センターでございますから、やはりある程度運営費に対しても国費でもって助成をいたしまして、できるだけ赤字が出ないようにするような考え方を持っておるのでございますが、結局予算でございますので、最終的にはなかなか私どもの考えどおりにまいらないというふうな点がございます。  それともう一つは、先ほど来御指摘のように、やはり宿泊施設だけが多いという点で研修に不十分ではないか。そこで、研修できるような施設、設備も整備していかなければなりません。したがいまして、センターに投じます国費も、年間を通じますればかなりの金額になっております。施設整備費、そうした予算をちょうだいしなければできない半面と、そういうものをちょうだいしますと、どうしてももっと収容者がふえるはずではないかという、こういう論理が片方にある、こういったようなこととで、しかし、現実にはなかなか予定どおりの収容率、利用率——非常に多いのでございますが、やはり先ほど来御指摘のようにシーズンにむらがございまして、年間を通じますれば予定どおり利用されていないといったようないろいろな事情がございまして、最終的には昨年度一千万円の赤字が出た次第でございます。将来私どもはこの赤字をどうして解消するか、やはり国が建てた施設でございますし、国費を年々助成金でもってやっておる以上は、しかも特殊法人でございます以上は、国がかなりの責任を感じてやらなければなりません。したがって、将来センターだけの責任において、御指摘のような簡易ホテルには私どもはなっていないと思いますが、もしさような誤解を与えるようなことがあれば、さような点を払拭するためにも、将来そういう点を十分検討、改善を加えていかなければならない、こういうふうに考えておるところでございます。
  35. 小松幹

    小松委員 シーズンオフに客は——客と言っては悪いですが、青少年は少ない。これは意外だという面持ちかもしれませんけれども、意外でも何でもない、あたりまえなんです。シーズンには人が動けば多いし、シーズンオフは泊まり客が少ないということはあたりまえなんです。そういうことを最初から勘定に入れれば、あたりまえの研修的なものをすれば赤字になるのです。そこで、うんとおとなをときどき泊めて、どんちゃん騒ぎをして、そのビール代でもぽんとあおれば黒字になるが、そうでない、研修という名のついたものであるならば、わざわざ高い金を出して研修に行って、そして座禅まで組むよりも、もっとおもしろいところに行ったほうがいいということになる。そこまでしむけるしむけないで——ほんとうの研修を全国の総合センターという名のもとにやらせるならば、私がさっき言ったように、もっと本格的に前向きに取り組め、それでなくてはこれは名前に恥ずかしいですよ。これはオリンピック記念というから、体育関係があるのかというと何も関係ありません。青少年といいながら社員をよけい集め、おとなを入れ、総合センターといいながらセンターでも何でもないということになれば、ほんとうにこの名前のとおりに、額面どおりにやるためには、ほんとうに青少年を、代表選抜したものでもいいから入れるためには、宿泊料は全部国費で見る、こういうようにやれば、少なかろうが多かろうが、みっちり研修もできるでしょう。そういうふうにやらなければ、名前だけは青年の家みたいなことで、しろうとが質問すると、青年の家とどう違いますかなんということを必ず聞くでしょう。そういうことで内容を聞くとまた青年の家とはさっぱり違う。こういうことで青少年の育成をはかろうという考え方は、ちょっとおこがましいと思います。どうか、私は口数多くは言いませんが、こういう命題を高く掲げて青少年指導しようという研修の場をつくった以上、しかもオリンピックの名前を冠している以上、簡易ホテル的な経営を考えてはこれは冒涜だ、考えてはならぬ、考えることがおかしいのであって、しかもシーズンオフに客集めをするためにあっせん業者に頼まなければなるまいかというようなことでは、これは何のことかわからぬじゃありませんか。どうかそういう意味で、今度はこれはもうこれでいいでしょう、財産、固定資産を入れるというのだからいいが、運営そのものは本格的に考え直さなければ、オリンピック記念青少年総合センターなどと、われわれ中身を知っている者からすれば恥ずかしくて言えませんよ。それと、国の力でできるかどうか知らぬが、あの近くに森林公園があるのに、鉄さくをもって入れぬというようなところで研修なんといったって、実際は、それは雨降りの研修だけしかできぬようなことじゃないですか。外へ出たって、前畑さんの何か記念運動場が、二千坪か千五百坪くらいなのがあるだけでしょうが。その程度で、一体どうして何百人という収容した者に、本格的な練成の場というか、研修の場を与えることができるでしょうか。これは文部省の勇み足でしょう。何ぼあなたたちが理屈を、御託宣を並べたって、経営を見ればわかるのです。いま従業員は何人ですか。——それじゃいいです。大臣、私の言うことは、少しセンター運営をけなしましたけれども、それはけなされるゆえんが私はあると思っている。だから、けなしっぱなしにしないで、本式に前向きに取り組めということはいかがでございますか。
  36. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 これは御意見のとおり、全く私もさように考えます。これはオリンピック宿泊施設を改造しまして、青少年の総合センターに転換をしつつ今日あるわけでございますが、文部省におきまして、総合センターとして青少年研修の場にいたしますためには、なお今後、運営におきましても、また施設におきましても、相当改善を必要とする点があると思います。そういう意味におきまして、あっせん業者に頼んでおるというようなことは、私、どうも信じられませんけれども、もしそういうことがありますれば厳に慎しみまして、特にまた会社等におきまして、社員というだけでなしに、会社等におきまして働いております勤労青少年の団体が、自発的研修の場として、宿泊しながらその勤労青少年の団体がこれを喜んで使い得るように、ぜひひとつ名実ともに青少年研修の場にいたしたい。今後の私どもの大きな努力目標でございます。  現段階におきまして御批判を受ける点は多々あると存じますが、なお将来に向かいまして、私どもはまだ建設途上でございますので、御指導を十分受けまして、この名にふさわしいものにぜひ持ってまいりたいと考えておる次第でございます。      ————◇—————
  37. 床次徳二

    床次委員長 この際、おはかりいたします。  文化財保護に関する小委員会において、文化財保護に関する件の調査のため、参考人から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、日時、人選及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 床次徳二

    床次委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は、来たる十九日、水曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会