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1967-07-12 第55回国会 衆議院 文教委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十二日(水曜日)     午後四時四十五分開議  出席委員    委員長 床次 徳二君    理事 久保田藤麿君 理事 坂田 道太君    理事 中村庸一郎君 理事 西岡 武夫君    理事 八木 徹雄君 理事 小林 信一君    理事 長谷川正三君 理事 鈴木  一君       菊池 義郎君    河野 洋平君       広川シズエ君   三ツ林弥太郎君       渡辺  肇君    唐橋  東君       小松  幹君    斉藤 正男君       山崎 始男君    有島 重武君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君  出席政府委員         文部大臣官房長 岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      天城  勲君  委員外出席者         専  門  員 田中  彰君     ――――――――――――― 七月六日  委員竹下登君、三ツ林弥太郎君及び唐橋東君辞  任につき、その補欠として荒舩清十郎君、上林  山榮吉君及び栗林三郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員上林山榮吉君及び栗林三郎辞任につき、  その補欠として三ツ林弥太郎君及び唐橋東君が  議長指名委員に選任された。 同月十日  委員荒舩清十郎辞任につき、その補欠として  竹下登君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員川村継義辞任につき、その補欠として河  上民雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員河上民雄辞任につき、その補欠として川  村継義君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員河野洋平君及び吉田賢一辞任につき、そ  の補欠として増岡博之君及び吉田泰造君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員増岡博之君及び吉田泰造辞任につき、そ  の補欠として河野洋平君及び吉田賢一君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月六日  学校図書館法の一部改正に関する請願外四件(  井村重雄紹介)(第二四五一号)  同(渡海元三郎紹介)(第二五二五号)  同(河本敏夫紹介)(第二六六三号)  国立電波高等学校高等専門学校昇格に関する  請願内海英男紹介)(第二四五二号)  義務教育における毛筆習字必修に関する請願(  小泉純也君紹介)(第二六六四号)  同(久保田藤麿紹介)(第二六六五号)  戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願(關  谷勝利紹介)(第二七〇二号) 同月十日  学校図書館法の一部改正に関する請願外七件(  小川半次紹介)(第二七六四号)  同外二件(永田亮一紹介)(第二七六五号)  同外五件(竹下登紹介)(第二七六六号)  同(渡海元三郎紹介)(第二七六七号)  同(河本敏夫紹介)(第二八一六号)  同外十四件(小川半次紹介)(第二八五六  号)  同外十四件(久保田円次紹介)(第二八五七  号)  同外一件(床次徳二紹介)(第二八五八号)  同外四件(徳安實藏紹介)(第二八五九号)  義務教育における毛筆習字必修に関する請願(  永田亮一紹介)(第二七六八号)  同(中山榮一紹介)(第二八一七号)  国立大学における助手の名称変更に関する請願  (八木徹雄紹介)(第二七七八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月五日  各種学校制度確立に関する陳情書外五十二件  (第二一五号)  同外一件  (第二六七号)  在日朝鮮人民族教育保障に関する陳情書外七  件  (第二一六号)  同外二百十二件  (第二四四号)  同外三件(  第二六六号)  同  (第三〇四号)  在日朝鮮人民族教育保障等に関する陳情書外  三十七件  (  第二四五号)  人口激増町村義務教育学校建設費に対する  財政援助に関する陳情書  (第二四六号)  私立大学経常費助成に関する陳情書  (第二六五号)  へき地の小規模小中学校教職員定数増員に  関する陳情書  (第三〇一  号)  公立幼稚園教員給与費半額国庫補助に関する  陳情書  (第三〇二号)  義務教育における毛筆習字必修に関する陳情書  (第三〇三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本学術振興会法案内閣提出第九〇号)      ――――◇―――――
  2. 床次徳二

    床次委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本学術振興会法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。鈴木一君。
  3. 鈴木一

    鈴木(一)委員 いままでこの法案審議をじっと聞いておったわけでございますが、何となくふに落ちないところがあるわけでございます。しかし、繰り返しは避けまして、一点にしぼってお伺いしてみたいと思うのであります。  学術研究のために金が足りない、そういうわけで、いままでのこの法人格振興会に対してはこれ以上政府の金を出すというわけにはいかないというので、とやかくいわれているこの特殊法人を新たにここにつくる、したがって、文部省としては積極的に学術振興をこれを通じてやっていこう、こういうことであるが、しかし、法案内容にはあまりにも文部大臣権限が強い、これじゃ学問の自由を侵すのではないか、そういったような心配が出て今日まで審議が繰り返し繰り返し続けられている、こういうふうに私考えるわけでございますが、剱木さんの、文部大臣の顔を見ていますと、決してそんな学問の自由を侵すなんという気は一つもないのだというような、われわれもふに落ちないし、また大臣もまことにふに落ちないというような表情でもおられるわけでありますが、この法案の第一条の目的、それから二十条の業務というふうな内容がまた将来変わるかもしれませんが、当面こういうふうなことをする、よって学問の自由はごうも侵すものではないのだというふうな具体的な立証ができますれば、非常に私は幸いだと思うわけであります。もうここまできておりますので、私としては繰り返し長々お尋ねする気はございません。ただこの一点だけだと思います。これは、私わかって質問するのじゃないのです。自分の意見皆さんのほうに申し上げてこっちに引っぱるとか、そういう質問じゃございません。私わかりませんのでお尋ねするのですから、どうかひとつ小学校の五、六年生にでも言うように、わかりやすく、具体的に、こうなんだから学者心配しておるようなことはないのだということを御説明願えれば、あと私は質問をやめます。
  4. 天城勲

    天城政府委員 最初に、この学術振興会学術研究機関でない、学術援助団体であるという性格を、われわれも御説明申し上げておるわけでございますが、それでは、一体学術助成したり奨励したりする団体としていろいろな事業をする場合に、どうやっていくのかという具体的な点を説明しろというお話でございますので、例を申し上げます。  たとえば、流動研究員制度というのがございます。これにつきましては、現時点におきましては一つ方法が学振の中できめられております。これは三十四年度にこの流動研究員制度が発足しましたときに、専門分野別から委員を選出して、学術振興会に、世話人会という名前でございますけれども世話人会というのを設置いたしております。世話人会が、この制度募集方法、申請の方法採用審査方法について決定をいたしまして、どういう形で具体的にやるかということを世話人会がきめております。世話人会というのは、学術会議の方も入っておりますし、全部が学者でございます。そして選考基準を定めまして、公募いたしましてそれに基づいて選考するというやり方を定めております。この奨励研究員流動研究員、みな同じような方法をとって、実際の研究員の選定その他は、学術振興会制度と申しますか、理事者がみずからやるのではなくて、学者専門委員会を設けて行なっております。  それから日米科学の例で申し上げますと、日米科学協力事業委員会というのを学術振興会の中に設けまして、それに専門部会を設けております。専門部会は現在のところ八つございますが、それはみなそれぞれの分野の学君を委嘱いたしまして、たとえば太平洋地球科学部会ということになりますれば、地球科学関係学者が集まりまして、アメリカの側における対応の委員会と、学者同士が具体的な研究の進め方を相談し合う。そこで両方が合意したものについて、日米科学委員会では取り上げていく、こういうようなやり方をいたしておるわけでございます。  そのほか、産学協同の問題にいたしましても、産業界からこういう研究学者との間で共同研究したいのだけれどもという申し込みがありますと、学振はいわば一種の世話団体になりまして、それではそれに最も適した学者と業者の委員会を構成するお世話をいたしますという形で、そういう委員会をつくります。これが現在三十ぐらいあるわけでございますが、この委員会専門家が集まって、具体的にはどういう研究プロジェクトをどういうふうに進めるかという相談をしているわけでございます。学振が直接中身をどうするというわけではございませんので、そういうようなやり方で、いわば学術奨励ないしは学術振興お世話をし、助成をするといり機関でございます。
  5. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そうしますと、この法案が通ったあとでもいまと同じような運営がなされるものか、そういう点をもっと詳しくお伺いしたいと思います。  もう一つお尋ねしたいことは、この前参考人を呼んでいろいろ御意見を伺ったわけでございますが、その際朝永学術会議会長から、非常に期待はしておるが、また非常に不安がある、こういうふうなことを言われたわけであります。その直後、吉田委員質問に対しまして文部大臣は、学術会議とも十分了解を得ておる、こういうふうな御答弁があったように私、記憶しておるわけでありますが、その点もひとつ重ねてあわせてお伺いしたいと思います。
  6. 天城勲

    天城政府委員 ただいま申し上げたのが現在の財団法人やり方でございますが、先ほどのことも若干補足しながら、今後のことを申し上げたいと思います。先ほどちょっと落としましたけれども審査にあたりましては世話人会が中心になり座して、学術会議、それから学会から、専門別にわたってこの審査委員を選びます。現在の名簿は、私ども手元にございますが、学術会議の方がたくさん入っておられます。そして奨励研究員あるいは流動研究員にいたしましても、大学とか研究機関説明会を開いて毎年募集をしておるというやり方をいたしております。今後もこのやり方は——いまでも関係者の間で非常にオープンでいい方法だと言われておりまして、特にこれを改めるという御意見もございませんし、今後もこの方法は続けられると思います。  ただいま世話人会その他について申し上げました内部規定がございますが、これも今後新しい特殊法人として発足いたします段階に至りますれば、これらのことも、新しい学術振興会内部規定として制度化されていくことになろうということを期待しておるわけでございます。
  7. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そういう御答弁だとすれば、研究内容については一切干渉はしない。世話人というか、そういう専門化におまかせして、そこできまったものに対してお金を出すとかいう、そういう事務的な役割りだけをするのだ、したがって学問の自由を侵すとか、そういう大それたことは考えていない、こういうことなんですね。
  8. 天城勲

    天城政府委員 研究されるのはあくまでも研究者でございますし、いろいろな御要望がたくさん集まってまいりますれば、いま申しましたようなシステムをつくって、そこでもちろん選考いたします。ですから、現在も、奨励研究員につきましても御希望の方全部が選択されないということがございますが、そういうことをやるところでありまして、個々の研究内容を、こういう研究をしろ、右左にどうしろというようなことは、学術振興会は毛頭考えている機関ではありません。
  9. 鈴木一

    鈴木(一)委員 それではここに五つか六つ要望が出てきて、三つしか金はつけられない。対象になり得ない場合には、その三つを選ぶのは、文部大臣じゃなくて、こうした学者専門家の集まった世話人会みたいなもので選択する、こういうことですか。そこをはっきりしてください。
  10. 天城勲

    天城政府委員 世話人会基本方針を定めまして、それがいまの制度でいきますと理事長に具申されておるわけであります。それで機関決定をしまして、それに基づいて部門別審査委員というのが任命されております。たとえば、奨励研究生で申しますと、人文社会系数物系工学系農学系というふうにいま七つの専門委員会がございまして、そこに学者を委託いたしまして、具体的な選考はこの専門委員会で行ないまして、その決定に従って最終的な採用という処置をして奨励として出す、こういりシステムであります。
  11. 鈴木一

    鈴木(一)委員 いままでそのような連帯のしかたをして、学術会議として、あるいは学者から、運営がはなはだ学問の自由を侵すとか、そういう批判はなかったのかどうか。
  12. 天城勲

    天城政府委員 先ほど申しましたように、みなが集まってこういう方法がいいだろうということでやりましたし、やり方も先ほど申したように公募方式オープンでやっておりますので、現在これに対して、これを改めるべきだというふうな御意見もございませんし、この運営で非常にまずかった、この運営がけしからぬことが起きたということも、一度も開いておりません。
  13. 鈴木一

    鈴木(一)委員 まことにけっこうなことだと思いますが、重ねてお伺いしますが、そのような運営を、この特殊法人ができたあとも間違いなく続けるわけですね。その点、大臣からお伺いします。
  14. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 いままでのやり方を変えていくなんということは、全然考えておりません。  それから、先ほどちょっとお尋ねがございましたけれども、実は会計経理関係で、条文上は非常に文部大臣権限が強いようになっておりますけれども、実際の業務の上におきましては、いま申しましたように文部省学者を集めてやるというのでなしに、振興会学者の方の御協力をいただきまして、学者意見業務を運行していく、こういうものでありまして、実は学術会議が一番心配いたしておりますのは、その業務の、そういう人を選んだり何かいたします場合に、この学術会議意見を全然無視してやるのではないかということが非常に心配の点であったと思います。そこで、そういう業務をやるにつきまして、そういう人を選ぶとか、そういう問題について学術会議と常時連絡を持っておりまして、事実上こういう委員会にこういう人を選ぶということを相談してまいることが学術会議と密接な関係を持つゆえんでありまして、法規上そういうものを規定しておくとかいうよりも、事実において学者の選び方一切について学術会議とはよく連絡していこう、こういうことでありますから、その内容につきましては、私ども学術会議のほうで十分手を打っていくという杉にしていただいておるというふうに確信いたしておるのでございます。
  15. 鈴木一

    鈴木(一)委員 文部大臣が何回もふに落ちない顔をしているのも少しはわかってきたような気がするわけでございますが、先ほどお尋ねいたしました学術会議会長朝永さんが、何となく不安だということを言っておられました。そういうことも、十分連絡がとれておればあのような発言は私はないだろうと思うのでありますけれども、そうした連絡が十分とれていなかったものが、大臣十分連絡をして了解を求めているという話ですが、学術会議のほうではあのような発言があったわけであります。その点、ふに落ちませんので、もう一回詳しくお答え願いたいと思います。
  16. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 私どもとしましても、学術会議内部のいろんな関係につきましては、なかなかいろんな問題について意見がまとまらない面が現在あるように思います。それで、私ども朝永会長立場を擁護するという意味ではございませんけれども、やはり朝永会長といたしましては、そういう不安があるという一つ不満についての申し出がございましたから、そういう点はどういう点でしょうかということになりまして、こういうものを設けてもらえば不満は解消するということでございまして、それならば私どもは誠意を持ってそういう組織をつくるようにいたしましょう、こういう約束を申し上げたわけですが、しかし、学術会議内部におきましては、会長が一部そういうことを取りきめたということに対する御不満もあるように聞いております。ただしかし、私は、実際上はそれをやることによりまして十分学術会議との連絡はとれると思いますし、今後もいろいろ、でき越したら具体的な方法を講じてまいりますれば、学術会議も必ず御了承をいただける、こう考えているわけでございます。
  17. 鈴木一

    鈴木(一)委員 私は、行政整理というような観点から、特殊法人を何もかも全部否定するというふうな公式的な考え方は、今日までしてないつもりでございます。やはり経済が高度に発達してくれば、政府みずからがやれないこともあると思うのです。また、業界が集まって自主的にコントロールする、調整するということもできない問題もありますから、やはりそうしたような特殊法人をつくって、特殊な役割りを果たさせるということは必要だと私思います。何もかもみんなだめだとは言わない。ただ、今日までせっかくそういうふうなことで特殊法人ができたにもかかわらず、高級官僚というか、そういう方の第二の人生を楽しく送るための機関になる。ことばは悪いかもしれませんが、なってしまって、本来の機能を発揮し得ないようなものが非常にあるのではないか。沈滞しておって、せっかくのそういう積極的な調整的な役割りを果たし得ないものがある、そこが私は問題じゃないかと思うわけでありますが、しかし、経済関係特殊法人はそういうふうにあると思いますけれども、やはり文部省特殊法人をつくるとすれば、道路公団とかそういったものとはおのずと性質も違いますし、この前の委員会での局長の御答弁で、定款も別につくらない、この法文そのものが即定款みたいなものだというふうな答弁があったと思いますけれども文部行政はこうした学問の自由とか、非常にむずかしい問題にからんでくるわけですから、やはり定款をつくるとか、あるいはまたつくらないとすれば、もう少しこの法案を親切に、いまわれわれが繰り返し質問したようなことの誤解の起こらないような法案であってしかるべきじゃないか。何かその辺にたくさんある特殊法人をそのまま持ってきて、これなんだ、しかし内容はこうなんだ、こういうふうなことでは、国会審議に際しましてわれわれとしても非常に時間をかけざるを得ないし、不親切なやり方じゃないか、こういうふうな感じもいたします。その点どうですか。
  18. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 国会におきましていろいろ御論議をいただきましたのでございますが、私ども条文の上から申しますと、他の特殊法人と全く同じような形式でこれを規定するということにとらわれまして、やはり自由な学問研究の場であるべきものを、いかにも文部大臣統制を強化するというように見えるような節があることは、私も否定できない問題だと思います。私どもとしましては、これは一般特殊法人性格上、こういう法文の書き方になったと思いますけれども、いろいろそういう実施の面におきまして不都合が生じましたり、なお疑問が実質上起こるような場合がございますれば、将来の運営については十分再検討してもけっこうじゃないかと思いますが、ただ、私どもとしましては、先ほどから申しましたように、条文ていさいはいかにも他の特殊法人と同じようでございますけれども、実質的な取り扱い方につきまして、いままでの財団法人がやっておりましたときにおけるがごとく、今後も学振の行なう事業については、その内容面につきまして文部大臣統制をしていこうというような考えでつくったわけではないものですから、私どもは、これで十分そういう満足のいけるような事業ができるものと、現段階におきましては確信をいたしておるわけでございます。
  19. 鈴木一

    鈴木(一)委員 こうした話を聞いてみればわかってくる面もあるわけでありますが、やはりほかの特殊法人とは違うということがわかるような気がします。皆さん方の腹の中に入っておることも、条文からにじみ出てくるような気がする。法案についての御答弁も、きょう私は初めて聞いたような気がするのです。いままでは何となく学問の自由を侵すためにできたような感じを受けたのですが、きょう初めてそういうようなことを聞いて、だいぶ考えさせられるものがあるわけであります。  なお、もう一つお伺いしますが、文部省設置法五条の一項十八号ですか、「大学高等専門学校研究機関その他の教育学術又は文化に関する機関に対し、その運営に関して指導と助言を与えること。」文部省はそういう立場に立っておりますが、この法人に対してもこの文部省設置法は生きておるわけですね。このとおり運営するわけですね。
  20. 天城勲

    天城政府委員 五条規定は、先生おっしゃるとおりの規定でございますが、五条の二項に、「文部省は、その権限行使に当つて、」——その権限行使はずっと書いてあるとおりでございますが、「法律(これに基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除いては、行政上及び運営上の監督を行わないものとする。」ということになっております。一般文部省指導行政を行なう官庁であるといわれておるのもそのためでございます。したがいまして、特別な監督をしなければならない場合は必ず法律規定するということで、このたびも特殊法人として特別な法律をつくって、学術振興会に対する監督規定を明らかにしたわけでございまして、原則はおっしゃるとおりでございます。
  21. 鈴木一

    鈴木(一)委員 これで終わります。
  22. 床次徳二

  23. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私は、過日来問題にされており、今日なお十分理解がいっておりません二、三の問題について、お尋ねをいたしたいと思います。  そのまず第一は、日本学術会議との関係であります。午前中の石川委員質問の中にもありましたけれども、過日参考人意見を徴した際の参考人の陳述、あるいは当局の答弁等関連をいたしまして、石川委員お尋ねした内容が私の考えた点とまるきり違いますので、まずこれはどちらがほんとうであるかを伺っておきたいと思うのであります。すなわち、昭和四十二年四月二十四日付で内閣総理大臣あてに、日本学術会議会長である朝永さんから日本学術振興会法案についての申し入れがありまして、この申し入れ内容を当時の日本学術会議の総会にはかった。ところが、これに対して修正案が出されて、その原案修正案について採決が行なわれ、修正案のほうが八十八対七十三で否決をされて、原案のほうがほぼ満場一致で採択をされた。そのうち、ここに載っているのが原案であり、修正案のほうは過日参考人が読み上げられましたけれども、そういう手続であったように聞いておりました。石川委員質問は、これを逆にお尋ねになったように承ったのでありますけれども、この点、その経緯はどういうようになっておりますか、もう一度確認をしておきたいと思います。
  24. 天城勲

    天城政府委員 これは学術会議内部の問題でございますが、私が学術会議から承っておりますところでは、会長原案に対しまして修正案が出ておりますが、その修正案につきまして投票した結果、修正案は七十三票が賛成で、反対が八十八票、要するに修正案が否決された。したがって、会長原案が多数で可決された、こういうふうに聞いております。
  25. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私も過日そのように承っておったわけであります。しかしながら、その原案が採決されるにあたって、私ども手元にも過日参考人からその資料が交付をされたのでありますけれども、いろいろ述べてまいりまして、「同会と密接な関連をもつことは当然であると考える。政府はこの点についての措置に遺憾のないよう取り計らわれることを第四十八回総会の議に基づき、強く要望する。」ということで、その措置に遺憾のない——その措置ということは、法制上にも、さらに運営上にもという意味のことが含まれておったのです。こういう参考人意見があったわけであります。そのとき野村参考人から、その修正案の案文も実は披露をされました。若干違うかもしれませんけれども、その修正案内容は、「今国会に提出が準備されている日本学術振興会法案に、日本学術会議との関係について何等の規定を見ないことはまことに遺憾であると考えるので、同法案に次の趣旨の条項が挿入されることを希望する。日本学術振興会はその業務の執行にあたり、日本学術会議と常に密接な連携を保つものとする。」この「同法案に次の趣旨の条項が挿入されることを希望する。」ということは、このことを言っていて、先ほど言いましたような数で否決のような形になったのでありますけれども、それにつきましては、原案の「措置」というわずか一言でありますけれども、それをめぐり執行部がいろいろ説明をされた。それでは修正するまでもないじゃないかということが理解をされた上での採決であったというように聞いておるわけです。これは、文部省がどの程度までここら辺の実情について関知しているかどうかということについては、私どもの関知しなければならないことであるかどうかということにつきましては問題のあるところといたしましても、この修正案が提出をされ、それが僅少の差で否決をされ、執行部の原案が圧倒的多数、ほとんど大部分の皆さん方で了承をされたという、そのいきさつは、やはり「措置」ということばの解釈をめぐって、総会の会員が理解をしたというように聞いておるわけです。したがって、過日の参考人の参考意見の中にも、先ほど鈴木委員からもお話がありましたけれども、期待と不安があるということを言ったと思うのです。期待のほうは期待のほうで、日本学術振興会を改組し、強力なものにしてほしいという要望があったのですから、それに対しては非常に期待をしている。しかし、日本学術会議との関係において法文上何も規定がないということについて不安だ、こう言ったと思うのでありますけれども、先ほど鈴木委員質問に答えられて、内部規定なり運用上は従来の学振と違いなくやるのであって、心配をすることはない、こういうように言われておるわけであります。これは、ことばどおり承れば、まさに心配はないはずだとも受け取れるのでありますけれども、少なくも朝永会長以下副会長、さらに部長の一人である参考人が、こぞって不安だということをこの委員会の席上述べたということは、なお今日、日本学術会議との関係において危惧を持っているというように私どもは解釈をせざるを得ないのであります。したがって、過日大臣は、日本学術会議はけしからぬと言わんばかりに、私と会ったときにはそれならばいい、それならば理解をいたしましたというように言っておきながら、参考人で呼ばれた文教委員会で、そのようなことを言われたとはまことに心外だというような意味のことを申しておりますけれども、しかし、われわれここで承ったことについては、やはり間違いはないのであります。先ほど鈴木さんの質問に答えられて、若干わかったような気もいたしますけれども、なおひとつこの点、学術会議との関係につき朝永会長以下参考人がああいう一致した参考意見を述べられたことにもかんがみまして、もう一度大臣の見解を承りたい。
  26. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 私も、そういう学術会議の採決につきましてのいろいろないきさつを聞いておるのでございますが、その要望書を持って会長がお見えになりましたとき、この法文上の修正意見も出たのであるが、しかし、こういう問題を学術会議として政府に対して、必ず条文的にその処置をすべしというような意味合いの要望を出すのはいかがかということで、要望書はこういうことになってまいりましたという話でございました。  それで、その措置につきましては、要望書を持ってお見えになりましたときには、直ちにどうするかということを話したわけではございませんが、その後学術会議会長、副会長のほうで私どものほうの関係者をお呼びしていただいたわけでございますが、行きまして十分お話し合いをしようということで、参りました。そこで、私のほうから、この要望書に沿うためにいかなる処置をしたらいいでしょうかということを申し上げましたら、いわゆる常時に学術会議連絡をしてまいるというような一つ連絡機関でございますね、これをつくってもらったらどうか、こういう話がごさいました。それじゃ、私のほうはそれをつくることに何らの異論はございませんから、できましたら誠意を持って必ずつくるようにいたしましょうということで、条文的にやる問題を常時にこの学術会議連絡をいたしまして、密接な連絡を事実上とってまいれば学術会議のこの要望にも沿う意味でございますと、こう存じまして、私どもは、そこで学術会議も御了承いただいておるといまもなお思っておるわけでございます。  そこで、先般この委員会におきまして、そういう了解点に達していないというようなお答えがあったように開いておりますけれども、これはおそらく、会長のお立場としまして全体の会議にかけていない関係でございますからそういう話をした、決定したということはこの国会の場においては言えなかったのではないかと、私としましては思います。しかし、私は、学術会議のほうでそういうお話をしたことは事実でございますし、学術会議のお立場といたしまして、なおこれは全体の会議にかけて了承を得るというようなことが行なわれますれば、それをお待ちしてもいいと実は思っておるのでございますが、具体的には、私はその方法によって十分連絡がとれるといまでも考えておるわけでございます。
  27. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 それは大臣が直接正、副会長に会ったのではなくて、向こうから、文部省のしかるべき人に来てほしい、新しく生まれる学振について学術会議要望も聞いてほしいということで行かれて、しかるべき方が聞いてきたのを大臣は報告を受けている、こういうように理解してよろしいですか。
  28. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 学術会議会長、副会長と私自身お会いしてきたのでございます。それは間違いございません。
  29. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 直接大臣が出かけてお三方と話をしてきめたことだ、こういうことですね。
  30. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 さようでございます。
  31. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうしますと、やはりいま大臣から言われたような、朝永会長学術会議全体へはかってないために、遠慮をされて参考人としての意見陳述になったのではないかという憶測、想像にもなるわけでありますけれども、この点が私はやはり一番問題であろうというように思うわけでありますが、ひるがえって日本学術会議法を調べてみますと、政府日本学術会議に諮問ができる内容につき数点が記載をされておるわけであります。過日の本委員会におきまして、大臣日本学術会議に諮問したかのごとき発言をされて、私も実ははっといたしたのでありますけれども、まだ議事録が出ておりませんのでこの点は明らかでありませんけれども、この財団法人日本学術振興会を改組するにあたって、大臣はあるいは文部省は、日本学術会議に事前にどういう諮問なり、あるいは諮問でなければ相談なりをされたのか。過日の答弁によりますと、諮問というようなことばすら使ったように記憶をしておるのですが、それは私の記憶違いかもしれません。いずれにいたしましても、事前に日本学術会議法に基づく相談をされたのか、あるいは会議法には基づかないけれども十分な連絡をとったと言われるのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
  32. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 私は法案成立過程のときには実は当たっておりませんでしたから、詳しくは存じませんけれども、しかし、法律案作成過程におきましては、正式の諮問というものはいたしておらぬのでございますが、事務的には局長もしばしば参りまして向こうと打ち合わせをして、この法案作成に御協力を願ったわけでございます。
  33. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 日本学術会議法の正式な条文にある諮問という形での相談ではないけれども、内内相談をされた、こういうように理解してよろしいですね。
  34. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 さようでございます。
  35. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうしてまいりますと、私はやはり問題が残ってくるというように思うわけでございます。午前中の石川委員質問に答えられて、局長は、昭和三十八年の例の日本学術会議第二百二十四回運営審議会の学術振興会についての文部省に伝達をされた内容を取り上げて申されておりました。このことは、当時の日本学術振興会の改組充実にあたっての要望であった、こういうように答弁をされ、日本学術会議要望に従って当時の日本学術振興会は改組充実したのですというように答弁をけさされたと思うのですが、これはそのとおり解釈してよろしいですか。
  36. 天城勲

    天城政府委員 私は先ほどもお話ししましたように、三十八年一月十四日の提案というものについてそう申し上げたのですが、二百二十四回運営審議会の決定につきということで会長学術振興会に行かれたわけであります。並びに文部省にそのことが口頭で伝達されたということでございます。
  37. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうしますと、当時の日本学術振興会の改組充実について要望が出され、日本学術振興会はその要望に沿い、文部省もまたその方向で努力をされた、こういうように理解してよろしいですか。
  38. 天城勲

    天城政府委員 さようであります。
  39. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうしますと、この昭和三十八年——やや古い要望でありますけれども、これと四十二年四月二十四日の日本学術会議の総会の決定に基づく申し入れというようなものはやはり相関連をしている。したがって、抜本的な日本学術振興会特殊法人化につきましても、この精神は日本学術会議を一貫して流れている思想だというように解釈してしかるべきだというように思い、その思想がやはり過日の参考人の陳述になっているというように解釈をしておるわけでありますけれども、十分な連絡機関を常置をし、絶えず緊密な連絡をとることによって日本学術会議も納得をしているのだというきめつけ方とは、やはり日本学術会議全体を流れている思想とのギャップが相変わらず埋まっていないというように解釈をするのでありますけれども、それは行き過ぎだ、決してさようなことはない、法文上そういう規定はなくても運営面で十分理解がいっていると同時に、円滑な運営ができるのだと断言できるのかどうか、もう一度大臣の御見解を伺いたい。
  40. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 これはしばしば私申し上げますけれども文部省学術会議との関係につきましてでも、この法文上は、政府機関としまして学術会議は勧告機関となっておるのでございますが、科学研究費の配分につきましては、この研究費の配分の基本的な方針を、学術会議意見を尋ねましてきめますし、また配分の人的構成につきましても、学術会議から推薦を受けました者を中心にいたしまして、科学研究費の配分をやっておるわけでございます。文部省としましては、学術会議の勧告の線に沿いまして、学術行政というものをずっと遂行いたしてまいっておるのでございまして、学術振興会につきましても、やはり今日事業をいろいろやっておるわけでございますが、このほとんど全部につきまして、学術会議の勧告に基づいてこの事業を行なっておるのが実情でございます。でございますから、実質上学術会議と何らの関係なしに振興会事業が行なわれるとは毛頭考えておらないのでございまして、ただ条文上いかにもこれに対しまして学術会議が、そういう事情について私はもう少し御検討いただければその御不満はないはずだと存じますけれども、この表面上、いままでたとえば評議員会に半数は学術会議から出るとか、そういうような条文が取り除かれたことによって、これは学術会議と縁を断つのではないかというような御不満なり御不安があったことは、私どもごもっともだと思います。でございますので、実際上におきましては、学術会議とそういう密接な関係を続けるために連絡機関を常時置きまして、そして一切の常務につきましても十分御連絡を申し上げてまいりましょうということで話し合いをいたしておるのでございまして、実際できました場合におきましては、私どもは、学術会議との間にそんなつながりが断たれるとか、そういうことは毛頭考えていないのでございます。
  41. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣の言わんとするところはわかるわけであります。その点はわかったわけではありませんけれども、その辺にとどめておきます。  次に伺っておきたい点は、過日も川村委員から資料の提出が求められ、われわれのところに、文部省関係のある特殊法人のいろいろな内容につき御提示があったわけであります。七つ、八つの特殊法人文部省関係にあるわけでありますけれども、先ほどから大臣がるる答弁されておりますように、いずれも大同小異の内容になっております。ただ、私がけげんに思う点は、日本育英会に対しましては立ち入り検査の規定がないように思うのであります。私立学校振興会法にしても、日本育英会法にしても、あるいは国立競技場法にしても、日本学校安全会あるいは給食会、国立教育会館等々、いずれを見ましても、今度審議をされておりますこの学術振興会法なるものは、きわめて次元の高い、日本の学術、文化を奨励する上においては最高の機関であろうというように思うわけですが、日本育英会と物理的に対比するとかどうとかいうことはむずかしいと思いますけれども、もし立ち入り検査の条項がない法人でもあるということならば、私は、この次元の高い学振につきましてもそういう点は採択されたほうがいいんじゃないかというようにも思うわけでありますけれども、私の間違いであれば御指摘いただきたい。
  42. 天城勲

    天城政府委員 法文ていさいから申しますと御質問の点ごもっともでございますが、育英会法は御存じのとおり昭和十九年の立法でございまして、御理解いただきますようにまだかな文の文語体の法律でございます。そういう意味でその後の法律と若干ていさいは違っているわけでございまして、平仄が合ってないことは事実でございます。なお、実際問題といたしましては、現在補助金適正化の法律がございまして、補助金を受ける対象に対しましては、事務所などに立ち入って帳簿書類その他の物件を検査できるということが補助金適正化の法律にございますものですから、現在育英会との関係におきましては事務費の補助金がいっておりますので、実質的には同じような関係に立たされている、われわれはそう理解します。
  43. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 まあ苦しい答弁のようで、古い立法だからないのだ、その後のやつは新しいからていさいはみな整えたのだ、こういう答弁で、別にその規定のあるなしにかかわらず、補助金適正化の法律に従って立ち入り検査もできるのだから、日本育英会といえども立ち入り検査をしようと思えばできる、こういう答弁であります。しかし、私はやはり、古い立法であって当時はそういうていさいではなかったというならばそれまででありますけれども、だから育英会法を改悪して立ち入り検査の条項を入れよと言うのではないのです。私は、学振のごとききわめてレベルの高い、次元の高い、格調の高い、日本の学術研究の総元締めというようなこの機関に対しては、やはり育英会法どころの騒ぎではない、立ち入り検査などのごときはとらないほうがいいのではないか。以下、罰則等につきましては、ほかの特殊法人と大同小異でございますからあれこれ言うわけではありませんけれども、この点につきまして、やはり大臣が責任を持ち、信頼をし、任命した会長であり、理事長であり、理事であり、監事であり、評議員だ、その皆さんに対して立ち入り検査までをする、あるいは罰則規定を設けるというようなことにつきましては、いかに他の法律との均衡上という言いわけはありましても、非常に何かさびしいものだというように思うわけでありまして、このようなものが多くの法人規定されておりますが、実際いままで罰則規定を適用されたことがあるのか、あるいは立ち入り検査をやったことがあるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  44. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 実は育英会法を昭和十九年に国会に提案いたしました、いわゆる法案作成をいたしましたのは、私が主としてやりました関係でございますので、その関係をちょっと御了解を得たいと思います。  それは、あの当時、育英会の事業を国の直接の事業としてやるべきかどうかといういろいろ論議がございまして、結局国に代行しまして、零細な貸し付け金でございますので、国の代行機関としてそこで特殊法人たる育英会を設くべきだ、こういう意見になりましてあれを特殊法人にしたわけでございますが、実はその経理の内容は国にかわりまして行なうようなものでございますので、現在におきまして立ち入り検査はございませんけれども、この監査は現職の文部省の会計課長がやっておりまして、その経理に間違いのないように、やはり文部省が責任を持てるような状況でやっておるのでございます。  それから、立ち入り検査の事実があるかどうかということでございますが、これは文部省に関する限りにおきましては、いま左でいずれの法人に対しましても、立ち入り検査並びに罰則の適用もいたしたことはございません。
  45. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これは法体系上類似の法人については、習慣上とかあるいは法制上の考え方から、いずれもこうなっているんだというならばまた別ですよ。しかし、私はやはり、この特殊法人学術振興会のごときは全くそういうことがあってはならぬし、ないはずだ。ほんとうに大臣がもし任命をし、指導し、監督をしているこの法人にこのようなことがあるとするならば、これは大臣の責任なんです。天に向かってつばをするようなものだ。ただ法体系上こうしているんだというならばそれまででありますけれども、ここら辺、本法に限ってこれは削除してもいい、そんなものではないのだという自信がおありになると思うのです。その自信のほどを伺ってみたい。
  46. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 これは特殊法人にいたします場合に、最近の立法例として、こういう条項を必ず入れるようになっているためにこういうのを入れたのだと存じます。もちろん、そういう立ち入り検査をしなければならぬような状況ができました場合におきましては、おっしゃるとおり文部大臣の責任の問題でございまして、そういう問題は起こり得るとは考えられませんけれども、ただ形式的に申しますと、万一そういうような場合が起こったときの規定として、これをいままでの法体系として、おっしゃいますとおりにずっと特殊法人にはみなこういう規定を設けておる、こう考えるのでございますが、そういう実際上の問題が起こるということはほとんど想像できないのでございますが、法体系上そういう形をとっておると申し上げるよりしようがないと思います。
  47. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 委員会運営の御都合もあるようですから、あと一つ質問を打ち切りますけれども、先ほど、文部省設置法の中から特に第五条の一項の十八号をあげられまして鈴木委員お尋ねをされました。これに対して同じく第五条の第二項を引用されて、「文部省は、その権限行使に当つて、法律に別段の定がある場合を除いては、行政上及び運営上の監督を行わないものとする。」これに該当するのだから、例外的な措置としてこういうような罰則とかあるいは監督だとかいうこともあり得るんだ、あるんだ、したがってこの条項を適用している、こういうふうに申しておるわけであります。これは他の特殊法人に関しましても、文部省所管に関するものはいずれも同じ見解であろうと思うわけでありますが、この二項というのは、これは文部省が異例の措置をとる場合に使われるものであって、やはり私は、第十七号なり第十八号が優先して生きるものだというように考えますがゆえに、この二項につきましては乱用すべきでないというように考えるわけでありますけれども、いや、五条二項に書いてあるんだから、何ら差しつかえないんだと大みえが切れるのかどうか、見解を承りたい。
  48. 剱木亨弘

    剱木国務大臣 私の解釈では、むしろ二項を援用するということでなしに、こういう法律に定めがない限りは監督しないと申しますのは、文部省の所管でございますたとえば大学等に対しまして、行政監督を避けまして、大学の自主性を非常に尊重するという条項であろうと思います。したがいまして、たとえば特殊法人ができました場合に、これだけは監督するということを規定しないとその面における監督はできないので、こういう監督規定を設けた、その監督規定を設けましたのは、本質的には学問の自由だとかそういった自生性を重んずる、本質的に二項で規定されておりますので、この監督できる範囲の限界を定めまして、たとえばこの振興会業務の遂行につきましてはあくまでも振興会の自主性を尊重してやる、こういうことになると考えるのでございます。
  49. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 まだ十分理解がいったわけではありませんけれども、なお逐条若干お尋ねしたい点もありますが、もしまた後刻機会があったらやらせていただくことにいたしまして、本日の質問はこれで終わります。
  50. 床次徳二

    床次委員長 本案についての質疑はこれにて終了いたしました。  次回は、明後十四日、金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十六分散会