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1967-05-17 第55回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十七日(水曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 戸叶 里子君    理事 小笠 公韶君 理事 砂田 重民君    理事 橋本龍太郎君 理事 武部  文君    理事 平岡忠次郎君 理事 和田 耕作君       青木 正久君    大野 市郎君       岡本  茂君    木野 晴夫君       佐藤 文生君    竹内 黎一君       中山 マサ君    井上 普方君       唐橋  東君    木原  実君       武藤 山治君    有島 重武君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         科学技術庁資源         局長      佐々木 即君  委員外出席者         経済企画庁調整         局参事官    竹内 直一君         農林大臣官房企         画室長     小沼  勇君         農林省農林経済         局肥料課長   中村健次郎君         農林省農林経済         局消費経済課長 森実 孝郎君         農林省農政局参         事官      加賀山國雄君         農林省農政局農         業機械課長   小島 和義君         農林省畜産局参         事官      立川  基君         農林省園芸局経         済課長     小笠原正男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。武部文君。
  3. 武部文

    武部委員 この委員会は、今日まで七回の委員会を開催しておるわけですが、農林大臣もすでに御承知のように、この委員会で取り上げた一番大きな問題は、当面する牛乳の問題であります。そのことについてはおそらく大臣も、政府委員のほうから詳しくこの間の経過について報告を受けておられると思うわけです。しかるに今日まで六回の委員会が開催され、私どもとしてはぜひ農林大臣出席を求めてきたわけでありますが、遺憾ながらいろいろな理由をもってなかなか大臣出席が得られない、こういうことでございましたが、このことは私どもとしてはまことに遺憾であると思います。少なくとも今日牛乳戦争ということばが流行しておるという事実を見ても、いかにこの牛乳問題が国民の中できわめて重要視されておるかということは、これはよく御承知であると思うのです。  そこで私は、きょうは時間がないので端的に質問をいたしますが、前回農林省皆さんに、ぜひ大臣にその旨を伝えて次会答弁をしてほしい、こういう点を申し上げたのであります。その一つは、あなたが四月の十一日記者会見を行なって、小売り乳価についてあなたの見解を述べられておることが新聞報道されました。それによると、小売り牛乳値上げの幅は一本二円程度がこれは常識的な線だ、こういう発言をされておるわけでありますが、いつでもあなたはそういうふうにお考えになっておるか、この点をまず最初にお伺いしたい。
  4. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 乳価のことにつきましては、もう皆さま御存じだと思いますけれども、いままで農林省指導価格制をとってまいりましたけれども国民生活審議会等から、そういうことに行政府は関与すべきではない、こういう意見もありましたし、それから消費者婦人団体などからも、指導価格というようなものがあることが、かえって乳価を高くする原因になっているのだというようなことを言われる方もあり、いろいろ検討いたした結果、指導価格制は今回やめたわけであります。  元来が、こういうものは統制品でも何でもありませんから、それぞれの関係者の間で話し合って、自然に価格形成がなさるべきものでありますけれども、しかし私どもといたしましては、乳業全体がいまあります国内の経済構造の中における立場から見まして、御承知のように政府もそれぞれの援助をいたしておるわけでありますから、ことに牛乳というものが国民の食生活の中で大きな役割りを占めておる点等にかんがみまして、生産者保護、同時にまた消費者にも適正な価格で供給されるようにというようなことで、われわれに関係のある部面では指導的な立場をとっておるわけでありますが、いまのお話は四月幾日であるか、日付は覚えておりませんが、私は、ずっと前から、もうすでに牛乳については、他の物資と違いましてだいぶ長いこと価格は押えられておった。そのために、生産者の状態を分析してみますと、これではとてもやり切れないということで、乳牛を殺して値段の高い食用牛のほうに回してしまう傾向が各地に起こりました。百匁七百円も八百円もするのでありますから、安い乳をしぼっておるより肉に売ってしまうほうがいいという考えをみんな持たれるようになってはたいへんなことだということで、それぞれ施策を講じて、そういうことのないようにお手伝いをしてあげるから一生懸命やってもらいたいということを言っておったのでありますが、たまたまそのころ生産者メーカーがまず話を始めまして、そこで一升十二円を引き上げるという話ができたそうでありますから、この話を聞いて、私は、メーカー生産者でそういう話が出てきたことはきわめて常識的だとぼくも思う、こういうことを言っております。  しかし、当時は小売り値段についてまだ何にも三者の話し合いが済んでおらないときでありますから、もし新聞——見ておりませんけれども小売り値段を上げることが常識的であるというふうにとられたとすれば——私がきわめて常識的であると言っておりますのは、生産者メーカー話し合いで、一升十二円上げるあたりは常識的なことだろう、なるべく生産者のほうのめんどうを見てやるようにしてもらいたい、これは常識的なことで、いまでもそう思っております。しかし、私はそのことが小売り値段にはね返るかどうかということは、生産者メーカー小売り業者と三者がそれぞれ自主的に話し合っていくという、その前段でメーカー生産者話し合いをしておったのでありますから、私はそのことにつきましては何らタッチしておりませんからして、そのことによって、小売り値段が上げられるということを常識的であるという発言はできるはずはないのであります。もしそういうふうにとられたとすれば、私のことばが足りなくて誤解を生じたかもしれませんが、それよりもむしろ私は、そういうことの結果、生産者になるべく多く分配してもらいたいというのはやまやまだが、小売り段階においては、私どもも毎日牛乳を飲んでおりますけれども、ああいう配達の方法、それからしてメーカーがシェアの争いをして猛烈な競争をしております。そういうことに要するロスを節約することができるならば、小売り段階において値上げせずに済むのではないだろうかといったような、それらしきことばを発したというので、むしろ小売り業者団体から農林省に大ぜい押しかけて来られて、小売り屋がけしからぬということをあなたは言ったそうだけれども、というふうに非難をされましたが、私はいまでも考えておりますことは、いま申し上げましたように、生産者メーカーとの間で、一升十二円の引き上げをしてやるとメーカー生産者に約束されたことについては、きわめて常識的であると思っております。しかし、そのことが直ちに小売り値段引き上げに通ずるということになりますれば、われわれとしては、そのことについては慎重に考えなければなりません。これは当然なことであります。そういう意味で、メーカー生産者事前に相談をして、一升十二円引き上げるということになったという話を聞きまして、それはまず常識的なところだろう、そうやって牛乳生産性を高めるようにしてもらって、牛肉なんかに回してしまわないようにやってもらいたい、こういうことを申したわけでございます。
  5. 武部文

    武部委員 私は、いまの農林大臣説明を聞きましてまことに意外であります。いま大臣は、メーカー生産者に対して値上げを認めてやらなければならぬ、こういう点については、これはきわめて常識的な線だ、こういう答弁であります。私はここに全部の新聞を切り抜いて持ってきているわけですが、そういうことは一つも書いてございません。あなたの発言は、少なくとも小売り牛乳値上げの幅について発言をされておるわけであります。生産者乳価のことについてはほとんど発言がないのであります。全然新聞を見ていないということでありますが、このことは少なくとも消費者団体の会合でも問題になって、政府皆さんはあなたにかわって質問を受けておるわけです。その新聞を全部読んでみると、少なくとも小売り乳価については一本二円の値上げが常識的だ、この線については、どの新聞も同じように書いてあるのです。  もう一つ言えば、四月一日にさかのぼって値上げをした業者がある、これはまことにけしからぬ、こういうことを言っておられるわけです。四月一日にさかのぼって値上げをするということはけしからぬということは、四月一日でなければ、それはいつでもいいということに逆説的にはなるわけですよ。そういうことを堂々とあなたは発言をした。そのことが相当大きな問題になっておるわけです。それをいまこの席で、それも相当な期間がたってから、生産者メーカーとの間にそういう話し合いがあった、こういうようなことを言われるのは、私は心外です。同時に、この牛乳値上げ問題をわれわれがこの委員会で相当取り上げて、一体四月一日からどの程度上がるだろうか、何とかしてこれを食いとめることができないだろうかという論議をしておったのです。宮澤大臣もわれわれの意見に賛成して、少なくとも生産者乳価が上がることが即小売り乳価に響いてはならぬ、そういうことは政府としてもしたくない、こういう答弁をしておる。したがって、いま小売り乳価一覧表を持っておりますが、それを調べてみますと、いまだに小売り乳価値上げについて、いろいろ検討しながら、何とか上げないで済まないかという努力を、全国至るところでしておるわけでる。たとえば、一円上げたところもあります。また、北海道のように上げないところもある。こういう事実が現実の姿としてある。少なくともあなたの御発言になったのは四月十一日です。それから以降の値上げをずっと調べてみますと、四月の中下旬から五月にかけての価上げが非常に多いのです。ですから、あなたがいまこの席でそういうことをおっしゃるなら言うが、この委員会は、さっきから私が言うように七回目ですが、指導価格の廃止をめぐってこれだけの問題が起きているわけです。指導価格を廃止すれば自由競争になって、牛乳値上げを食いとめることができるだろうというのが農林省見解でしょう。そういうことで指導価格を廃止したところが、逆に小売り乳価が上がっておる。その現実をあなたはよく御存じだろうと思う。それならばあなたがここへ出てきて、堂々と農林省はこれこれしかじかだ、これによって生産者乳価が上がっても、消費者乳価値上げは食いとめることができるんだ、そういう説明をして、一般国民に対して、農林省見解を述べるような努力をなぜされなかったのか。私はこの点については非常に遺憾でございます。これについての答弁をいただきたい。
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 冒頭に申し上げておりますように、牛乳価格というものは、われわれのほうでは統制する何らの権限もないわけであります。したがって、いま申し上げましたように、いろいろな面で政府乳業について援助いたしておりますから、そういう立場で行政的にできるだけ善意の指導をいたすというくらいなことであります。したがって、結果的においては、私どもとしては彼らの決定についてとやかく申し上げる権限はありませんけれども、さっき私が申し上げましたように、生産者を助けるという意味で、一升十二円上げたということについては、私は常識的だと思うということを申しております。そのこと以外に、小売りが上げられることは当然であるというふうなことは、さっき申しましたように、私のことばが足りなくて誤解を生じたかもしれませんが、私はそのようなことを言ったことはありません。  それから、四月一日から上げる云々のことでありますが、それは私の家でもそうなんでありますが、牛乳屋が、四月一日から二円上がりましたというので、勘定を取りにきたという話であります。そういう話はラジオ放送なんかでも聞きました。しかし、私は、相互売買契約でありますから、その売買契約者である消費者小売り店との間に、正当な話し合いがあって値上げをしたという通告がないで、突然に遡及して何月幾日から値段が幾らになりましたということを言ってくるのはけしからぬことだ、こういうことは言っております。私どもの家庭において考えておることと同じことを言ったのでありまして、私が十一日に、四月一日から上げるのはけしからぬ、そういうことについて質問がありましたので、それは、もし上げるならば事前にちゃんと相互契約をして、承諾の上でなければ、遡及して料金の引き上げをすることはおかしいじゃないか、こう申したことは、家でも申しておりますし、よそでも言っておるわけであります。
  7. 武部文

    武部委員 時間がないようでありましてまことに遺憾でありますが、あらゆる報道機関があなたの記者会見報道いたしておったわけでありますが、いまの大臣発言によって、あの報道機関報道は間違っている、このように解釈せざるを得ないのです、ということよりも、むしろあなたから見れば、舌足らず誤解を生んだ、このように発言されたわけでありますが、私の持っている資料によれば、残念ながらどの新聞を見ても、そのように報道されておるわけであります。  きょうは時間もないわけですから、これ以上質問なり意見を申し上げることはできませんが、少なくとも冒頭に申し上げたように、この牛乳の問題は、いま全国的に見て非常に大きな問題になっておるわけであります。特に所管の農林省としては、この問題についていろいろ答弁をされておるわけでありますが、残念ながら相次いで乳価は上がっております。小売り乳価は上がっておるわけであります。これについて鉄道弘済会は、何とかいまのままでやろうといって据え置きです。あるいは特殊な冷蔵庫を備えられて、隔日配達をしたり、あるいは値上げの幅を二円にとどめたり、いろいろな努力メーカーとも組んで消費者はやっておるわけです。そういう努力のさなかに、私がきょう取り上げた問題は、農林大臣舌足らず説明がいかに大きな影響を与えておるかという点について、大臣見解をただしたわけであります。  大臣は、参議院のほうの関係で時間がないそうでありますから、またあらためてこの乳価の問題について、機会があればもっとじっくり農林省と、乳価だけでなしに流通機構もあわせて質問することにして、これで私の質問を終わります。
  8. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 唐橋東君。
  9. 唐橋東

    唐橋委員 私は、農業資材価格と、それに関連して肥料飼料農薬等価格、さらに畜産物のうちの豚肉の価格と、先日調査いたしました中央卸売市場の問題に関連して質問したいと思うわけでございます。  まず第一に農業資材についてお伺いするわけでございますが、実はこの問題は農林大臣からお聞きしたかったわけでございますが、一応お聞きしておいて、そしてなおさらに——私が皆さん方答弁で了解できればと思いますけれども…。ともかく現在農家経済というものが非常に苦しくなってきたということは、もう大臣並びに農林省皆さん自体がはっきりとつかんでおることだと思います。そしてその原因については、いろいろな角度から検討もせられ、そして施策も講ぜられておると思うのでございますけれども、それを大きく二つに分けてみれば、一つ農産物価格がやはり問題になる。  具体的に申しますならば、農産物価格が、生産費を補償するという価格が維持されておるならばいいわけでございますが、各種の場合において、現実はなかなかそうなっておりません。その反面、もう一つは、生産費がやはり伸びないとか生産費が非常に少なくかかる、こういうことでなかったならば、農家経済というもの、ことばをかえて申しますならば、農民所得というものが確保されない、こう思うのでございます。これだけ農民が人口に比して多い中において、やはりここには一貫した物価対策という考え方が基本的に成り立ってくると思います。そういう一貫した施策の中でとらえて考えてみたことがあるのかどうかということを、私はやはり農民の現在の困窮の度合いの中から、平素非常に疑問に思っていたわけでございます。  たとえば肥料対策はできた、しかし、いま申し上げました農機具価格対策はできていない、こういうようにばらばらである。あるいはまたいまの選択的拡大の中で、農産物価格というものがいろいろ考慮されていても、それに対する生産費というものがどれだけ考慮されてきたのかという、やはり農政全体の中から、いまのような考え方の中で総合的にものをつかんでいかれてみたことがあるのかということを、まず大きな疑問として平素私は持っておりますので、この点についてひとつ——こういう問題は大臣からお聞きしたかったわけでございますが、ともかく責任者のほうから一応お聞きしておきたいわけでございます。
  10. 加賀山國雄

    加賀山説明員 お答え申し上げます。  ただいまの唐橋委員の御質問、たいへん大きな問題でございますので、私の段階から申し上げる以上の問題かと存じますが、私、農政局参事官でございますが、農政局として扱っております資材もございます。たとえば農薬であるとか、機械であるとか、そういったものですが、そのようなものにつきましても、お説のように、片方価格に対する配慮というものが行なわれ、当然片方生産費、その両者の兼ね合いということでございまして、できるだけ安い生産費農産物生産する、そういうことが農家所得を上げるためにぜひ必要であるというふうに考えております。  なかなか完全な、そういったような農業用資材価格指導等が行なわれていないということでございますが、このおのおのの資材につきましては、後ほどまたおのおの担当のほうから説明をいたすことにいたしまして、全般といたしまして、そういう農業用資材ができるだけ安く農家の手に入るように、そのような指導はかねがね一般行政の中でやっておる、そういうふうに存じますが、完全とは申し上げかねる面もございます。
  11. 唐橋東

    唐橋委員 まあやっておるのだけれども、こういうことなんですが、実は私もいままで提出されておる「農業の動向に関する年次報告」、それならばこれにどれだけのものがあるだろうか、こういうことで年次報告を見てみました。なるほど題目は、「農産物および農業資材価格安定、流通合理化ならびに農業所得の確保」と、こういうことが掲げられておるわけでございますが、あとでもいろいろ議論したいと思いますが、農家が持つ負担の中で最も大きな伸びを示しておるのは農業機材なんです。その農業機材についてはたった四行ほど、「農機具については、品質性能保持向上のため、農業機械化促進法に基づいて、ひきつづき農業機械化研究所型式検査を実施させ、四十年度は尿散布機等五和類、四十一年度は農用トラクター(歩行型)、飼料さい断機等種類をその対象とするとともに事後検査を行なった。」という程度で、いわゆる機械対策で、こういう種類検査を行ないました、こういう程度しか、これだけ大きな生産費の中に加わってくる農業機械に対する対策というのは出ていないわけです。  さらに、それならば今後どうするのかということで、「昭和四十二年度において講じようとする農業施策」、この中のやはり同じ項目のところを見てみますと、「農機具対策」として、「生産および販売ならびに修理整備体制合理化のための指導を行なう。」、こういう結論だけで、全く手が薄いということを私は言わざるを得ないのでございますが、この年次報告やあるいはこれだけでは——この裏に実はこういうものがあるのです、この説明資料の中にはなるほどこれだけだけれども、四十二年度においてはこれだけほんとうにとれるのです、こういうものがありとするならば、ひとつ資料としていただきたいのですが、そういう資料等は現在ありますか。まずそこからお伺いしたい。
  12. 加賀山國雄

    加賀山説明員 ただいまの唐橋先生の御質問でございますが、先生の御要求のようなこまかい資料がわれわれのほうでお示しできるかどうか、現在ここでお答えできないわけでございます。白書の中にわずか四行くらいしか書いてないという御指摘でございますけれども、そこに書いてございます農業機械化研究所型式検査を委託しておるというような問題等も、正しい性能機械流通させる、そういうことに間接的には非常に役立っておると私たちは考えておるわけでございます。そのほか、末端のそういった農業機械に対してわれわれが直接介入するということは、昭和二十五年でございましたか、それ以降いたしていないわけでございますけれども、そのような価格ができるだけ合理的に形成されるように、ただいまの農業機械化研究所におきましては、検査だけでなくて新製品の開発というか、そういうような仕事もやっておりますし、また、通産省関係になるわけでありますが、中小企業近代化促進法等に対して、農業機械というものをその中に対象業種として含ませるような努力、あるいは流通段階の問題といたしましても、御承知のように四〇%くらいが農協系統を通しますし、一方六〇%が商系を通すということでございますが、農協系統につきましては、農協のほうの流通過程近代化ということも考えておりますし、また商糸につきましても、先ほど申し上げました通産省との関係における流通合理化指導もいたしてまいっております。まあ間接ではございますが、そういったことによって末端農業機械価格が適正化されるような方向で努力をいたしております。  ただ、ちょっと一言申し上げておきたいのは、農業機械業界というのは、肥料業界であるとかその他の業界に比べまして、若干立ちおくれと申しますか、要するに日本の農業の中で機械の発生いたしてまいりました様相というのは、一番新しいものでございます。極端なことを申せば、野かじというようなものが、そのままかっこうだけは近代的な農機具会社というようなものになったということでございます。そういうことで、全般の肥握が非常にむずかしいということもございまして、逆に申しますと、そういうものに対する指導もなかなか十分にまいらないという点も、確かにあるわけでございます。
  13. 唐橋東

    唐橋委員 特にここは物価対策委員会ですから、生産中心とした農業機械価格中心として、農政全体の問題でなしに、そういうような点にしぼって進めていきたいと思うのですが、その価格の点で見てみますと、肥料、これは卸売り価格小売り価格というふうにわりあいによく示されておりますし、品質表示等もこれははっきりしておりますし、そういう点においては、使用者側のほうもあるいは取り扱う側のほうも非常に理解できる仕組みにできておりますが、それと比べてみるとえさのほう、飼料のほうは、肥料よりは多少あいまいになってきております。さらに今度は農薬になってくると、また飼料よりもあいまいになってきておる。さらにいま取り上げました農用機具については、非常に価格の体系というものがあいまいになってきておる、こういうように私は感ずるわけでございます。それからの飼料等については、いろいろ価格問題等もございますが、一応省略しまして、ただ、どれだけ農用機具が大きな負担になっているだろうかという簡単な資料を、農林省の統一の中から拾ってみました。  そうしますと、昭和四十年の二月に専業農家が百十一万八千戸、こういうふうになっております。第一種兼業が二百三万五千戸、第二種兼業が二百三十一万三千戸あります。そうしますと、専業農家と第一種兼業農家、第二種を一応考えないで見ましても、三百十五万三千戸の農家があるわけでございますが、一番伸びの多かった農用機具の中の耕うん機の台数をとってみますと、四十年の十二月で二百四十八万九千八百台、これだけの台数が入っておる、こういう数字が出ておるわけでございます。したがって、この数字を先ほどの農家戸数に当てはめてみますと、専業農家が全戸と、第一種兼業のうち〇・七ヘクタール経営規模以上の全農家は全部耕うん機を持っておる、こんなような数字が一応出てくるわけでございます。その他農業機械の問題としてトラクター、あるいは動力の防除機、動力脱穀機、動力のカッター、通風乾燥機というように、あらゆる作業が機械化されてきておって、そうしてその農家生産費に占める割合の伸びは、これまた大きな負担率を示しておるわけでございますが、その負担の率等は省略して、これだけ普及してきた農機具価格の問題について、いま申しましたように、肥料と比べてみれば全く野放し状態である、こういうことを私は言わざるを得ないわけでございます。したがって、この農機具価格に対して現在までにどのような——非常にむずかしいということはいまお聞きしましたが、どのようなことを価格対策としてとってきたのかということが、私は、最初申し上げましたように大きな疑問であるわけでございますけれども、そういうような点について、大まかにまず説明願いたいわけです。
  14. 加賀山國雄

    加賀山説明員 ただいまの御質問はたいへんむずかしい質問でございましたけれども、先ほど申し上げましたように、農機具の導入されましたのが、肥料その他に比べますと非常に最近のことでございますし、機械というものが、技術的には非常にローカル性を帯びております。たとえば作業機一つをとりましても、ある地帯で使える作業機もほかの地帯では使えないということもありまして、どうしても作業機等は非常に地域性を持たざるを得ないという特殊性もわが国においてはございますので、機械メーカーそのものも非常に小さく発生しました。しかし、だんだんと進んでまいりますと、だんだんと一体化されまして大きな企業になる、そういう傾向はあるわけでございますけれども、そのような進み方が、ほかのものに比べましてなお非常におそいという事実が一つございます。もちろん先生の御指摘のように、最近における米をとりましても、米の生産費の中における費用合計の中で、一番伸び率の高いのは機械じゃないかと私も思っております。もちろん労働費の問題もございますが、そういうことで、できるだけそういう費用が少なくなるようにということは、具体的には農機具価格が下がるようにということでございますが、そういうことで、特にローカル的なそういう機械のたくさんのメーカー、現在農業機械工業会というものがございますが、そこに登録されておるものだけでも百五十社を数えるという現況でございます。その中で耕うん機をつくっておりますものが約三十社でございます。トラクターだけをとりましても十五社、そういうことでございまして、なかなかそれを企業合同と申しますか、そういうことが困難でございます。  また、これは農業機械関係の特色かと思いますが、ある会社では、機械だけをつくらないでほかのものも一緒につくる、そういうこともありまして、ただいま農業機械だけの企業合同とか、そういうことがなかなか困難であるということでございます。また、機種のほうで申しますと、耕うん機であるとかトラクターというものと、作業機であるとか、乾燥機であるとか、飼料裁断機とか、そういう小さなものをつくっております中小メーカー、そういうものが歴然と分かれております。両者が一体化して生産コストを下げて安いものにしていく、そういう企業活動がなかなか困難である、そういうような業界の特色と申しますか、日本農業機械の特色が、私はなお存しておると存じておるわけでございます。しかし、そういうことでは、先生もおっしゃいますように、近代的な農業機械の導入がなかなかむずかしいということでございますので、通産省との関係もございますけれども中小企業近代化促進法等農機具の業種を指定いたしまして、それに対して特殊な、手厚い保護をとりながら国の指導を行なうなり、そういうことで対処せざるを得ない、また、していくべきだと思います。形はそういうことで、すでにその効果がなくなりましたが、業種別振興法等の対象として農機具を追加して指導してまいっております。そういうことで若干ではございますが、徐々にいい方向に向かっておるとわれわれは考えておりますが、それにはなおしばらくの時間がかかることも御了承願いたい、そういうふうに考えております。
  15. 唐橋東

    唐橋委員 いまのお答えの中に、価格を問題としてとらえ、そしてそれに対する対策は非常に困難だということは、私はそれは了承できるのですが、困難だとして、その困難に対処すべきだと、こういうことだけでは、私は農林省として現在まで無策であると言っても過言でないと思うのです。実際いまの農機具の会社を見てみましても百五十社がある、こういうようなことを言われますけれども、事実はもう大きな三大メーカーにだんだん実力が集中されてきておる。むしろ寡占化の方向に今後向いてくるのじゃないか、こういうことさえ考えざるを得ないのでございますが、このように小さいメーカーは非常に困難だ、大きなメーカーはどんどん伸びていく、それをかまわないでおくけれども、その中に含まれるいまの価格の問題、あとで出てくる流通問題等に、この辺で十分総合的な対策を立てるべきときであり、もう立てていなければならないと思うのでございますが、いまの答弁は、対策を立てるべきだという程度の答えなので非常に遺憾でございます。そういう遺憾の意を表明しただけでなしに、実はこの寡占化の問題について、私はいまから対策を立てておかなければならないのじゃないか、こういう点をまず具体的に、いまの困難の中から一つ取り出してみてお伺いするわけでございます。どんなふうにお考えになっておりますか。
  16. 加賀山國雄

    加賀山説明員 先ほど答弁いたしましたが、ちょっと数字を間違えましたので訂正いたします。百五十社は百七十社でございます。  それから、ただいま御質問の寡占化の問題でございますが、現況は、先ほど申しましたように、必ずしも寡占化が進んでいない。寡占化をするというのは、企業合同ないしそういうことをやるということになりますと、いろいろ機械業界の実情もございまして、寡占化はそれほど進んでいないというのが実情かと存じます。  それから、その次の御質問の、寡占化が起きた場合にそれに対してどう対処するかという問題でありますけれども、先ほどから何回も申し上げておりますように、そういうようなことをいたしますのにはかなり時間がかかるわけでございまして、結論的に申しますと、やはり大きな会社になりますとコストが下がる、そういう事実はあるわけでございますけれども、といって、中小メーカーをそのためにだめにしてしまうこともできないわけでございます。その間のかね合いが非常にむずかしいのでございますが、片方では、先ほど申し上げましたように、中小企業の企業合理化ということを法律を通じて行なうように努力をいたしますと同時に、時間をかけて末端価格と申しますか、要するにメーカーコストが下がるような努力をいたさなければならない、そのように現在の段階では考えておるわけでございます。
  17. 唐橋東

    唐橋委員 その寡占化の問題等は、今後の問題として非常に重要であるし、いま当面の問題ということでもないので、その点についての質問は一応打ち切ります。  流通過程の中で問題として出てくるのは、どういう流れでこれが取り扱われておるのだろうかというのを、数字的な、これもあなたのほうで出しておる資料の中から見ると、農協段階で四十年度に六百億七千五百万、経済連段階で四十年度が四百四十五億七千二百万、これが一つの数字として出てまいっておるわけでございます。それから商店関係で、商品手持ち額として百七十八億四千三百万、年間販売額が千十六億七千四百万、こんな数字が出ておりますし、また、この農業機械関係資料の中には、六百五億の数字も単協段階の取り扱い高として四十年度で出ておるわけでございますが、この中を見てみますと、一つは商業者のほうがだんだん縮小されてきて、農協系統、全購連並びに経済連、それから単協というこの一連の系列化が非常に大きな伸びを示しておる、こういうことでございますが、これらに対しては、農林省としてはどのように考えられておるのか。これが当然である、やはりあたりまえだろう、こんなような考え方の中にそれをとらえておるのかどうかというようなことをお伺いしたいのです。
  18. 加賀山國雄

    加賀山説明員 先生お話しのように、確かに一般商系のルート、それから農業協同組合、県連それから全購連、そういう系統の流通経路と、二つに大きく分けられますが、先ほど申しましたように、機械においては現在農協系統はたしか三七%、四〇%近いものを占めており、あとは商系を通っております。ただいま御指摘がございましたように、商系よりも農協系のほうが伸び率が高いということは御指摘のとおりでございます。私のほうとしては、どちらがいいということは申しておるわけではございません。別に農協系統のシェアがふえるような指導をいたしたわけではございませんし、また商系が伸びないような、そういう措置をしたわけでもございせまん。全く機会均等でございます。ただ、農業協同組合がその性格からいって、末端農民とのつながりが若干ほかの商系よりも多いというようなこともございますので、あるいは機械を購入する農民側といたしますと、農協に買いに行ったほうが買いやすいというような事実があるかもしれませんが、そういう差だけでございます。決して両者のどちらを対象にしておる、そういうことではございません。
  19. 唐橋東

    唐橋委員 そういう意味を聞いておるわけではないのだけれども一つ資料としてこういうことがあるのです。私がなぜその問題を出したかというと、どちらがよけいだからどちらがいいのだ悪いのだという、こういう意味ではないのです。といいますのは、農業機械をずっと見てみますと、耕うん機のほうは農村価格、それから卸売り価格——卸売り価格のほうは非常に変動はありますが、その差がそんなに開いていないのですが、動力噴霧機や動力脱穀機、あるいはもみすり機というような機械の農村価格卸売り価格を見てみますと、農村価格のほうは全体においてずっと上昇しておる。それにかかわらず卸売り価格のほうはどうかというと、年度による変動はあるが横ばいなんです。ですから、結果としては農村価格は下がらないが卸売り価格は下がっておる、こういうことが言えるわけなんです。  その場合に私が問題にしてきたのは、今度あの系列を持っておる全購連、これは、あれだけ大きな農民組織を土台としているのだから、そうしてそれは農林省としてもわりあい指導的な立場で、普通の商業者より有利にやり得る一つの組織体だと思いますが、そういう一つの関連性の中でこの差が大きくなってきているということです。私が一番最初に農村の価格問題を出したのは、ここが一番大きな焦点にもなってくると思うからですが、農村価格が下がらないのに卸売り価格が下がってきておるという状態、そういうものに対して、やはりあなたたちはどこまでつかんでおり、これに対して対策を立てておるだろうかということをお聞きしたいわけなんです。
  20. 加賀山國雄

    加賀山説明員 ただいまの御質問でございますが、卸売り物価が上がっていないのに農村価格が上がっておるというふうなお話でございますけれども、私ども資料でございますと、卸売り物価のほうも、これは農機具種類によりまして違いがございますが、若干上昇傾向じゃないかというふうに考えておるのであります。  それから商系と全購連の系統で、何か卸売り価格が上がっていないのに農村価格が上がっている、そういうようなことで農協系統を通したほうが、俗なことばで申しますと高くなりはしないか、そういうふうな御指摘じゃないかと思うのでございますが、私のほうといたしましては特別に強い指導をいたしまして全購連の系統の扱いをふやす、そういうようなことをやっておるわけではございません。農機具の流れというのは非常に複雑になっておりまして、決済条件なり、運賃の問題なり、それからアフターサービスの問題なり、いろいろの問題が、先ほどから何回も申し上げましたように前近代的な状態にまだあるということもございまして、いろいろ錯綜いたしております。そういうことがいま御質問のような結果を招いておる一つ原因になっておるかしれないわけでございます。そういうことで、今後はそういう末端価格の変動と申しますか、上昇傾向が出ないような方向にわれわれは指導していきたい、そういうふうに考えております。
  21. 唐橋東

    唐橋委員 農民立場に立って素朴な質問も出てくるのですが、いまの問題と関連して具体的に例をあげてみたいと思います。  ここにカタログをいろいろ持ってきておりますが、どのカタログを見ても農業機械に対しては価格が書いてないのです。そのほか、今度は自動車をとってみますと、これは何型何ぼとはっきり出ておる。中には定価の書いてないのがありますが、大体定価を書いておるというのが普通の状態です。そのほか電気器具にしようが、あるいは日用品の衣服にしようが、特に電気器具などは非常に変わる各種の型に対して、税金買いは何ぼ何ぼだ、月賦買いは何ぼ何ぼだ、こういうふうに品質や型の表示と値段が出ておる。電気器具などは、御承知のようにどういう小さなものでも、あれだけ種類があるのに必ず値段が出ておる、それにかかわらず農機具だけは、なるほどそれは前近代的な組織でございますと言ってみても、いま申し上げましたように、販売系列等はほとんど系統的になってきて、農機具商や商店だって全国で何千軒とつかめるくらい、そういう一つの系列化の中にあって、このようなカタログには全然値段が入っていない。こういうことをいままで農林省は、これはいい悪いはあとでいろいろ問題になってくると思うのですけれども、これは自由だからしかたがないんだ、こんなことでいままで手が届いていないのか。知っていて放置して置いたのか。さっき私が肥料を出したのは、肥料のほうはほとんど値段が、これは農協に行って開いても、農民が取り扱ってきておるから大体常識でわかってきておる。農機具だけは、何か共進会に行って型を見てくる、あるいは機械屋に行ってこれを出して、これは幾らだと言うと、機械屋さんが定価表をめくってこれは何ぼだ。農協に行って聞いてみてはじめて係が値段表を見て、この機械かな、これはこのくらいだ、こんなような値段表示があるわけです。これはやはりあんたが言うような前近代的なものだという中に包含されておるのか。ともかくこのような農機具のカタログに値段がないということは、いまの販売系列の中で、肥料のような一つ値段の形成というものが行なわれていないという私の見方というものがあるのですけれども、これに対しては具体的にどうなんですか。
  22. 加賀山國雄

    加賀山説明員 ただいまの御質問でございますけれども、確かに自動車であるとか電気製品その他につきましては、店頭で価格表示が行なわれていることは事実でございます。それがそのとおり売られているかどうかということは別問題だろうと思いますか、そういう表示が行なわれている。しかし、農業機械につきましてそれが少しも行なわれていないではないかということでありますが、これは先ほどから何回も申し上げて申しわけないのでございますけれども価格の形成が農業機械の場合には非常にむずかしい段階にあるということが一つございます。それは販売のルートが、たとえば自動車のように、メーカーと販売会社がりっぱにでき上がっておりまして販売する場合、あるいは耐久財であるところのいろいろな電気器具等も、そういうものをつくるところと売るところとが非常に整然と組織化されている、そういうような場合においてはそういうことができるのではなかろうかと思いますけれども農業機械の場合には、先ほどから申し上げますように、非常にいろいろなルートがあるということが一つございます。それからまた販売業者メーカーとの間の決済条件等につきましてもいろいろございます。それから運賃の問題一つとりましても、肥料の場合にはたしかプール運賃ということになっているわけであります。農薬も運賃はプールいたしております。要するに、東京で百二十円で買ったものは西で買っても同じ値段であるということでありますが、農機具の場合にはそういうふうになっていないということも一つございます。それからまた、農機具の場合にはいろいろアフターサービスというのがございまして、いろいろ実際の需要者側に対しましてあとで十分にアフターサービスするということが重要でございます。それにかかるいわゆる人件費とかいろいろございます。そのようなことで、つくっておりますところ、それから流通経路、それから農業機械の現在の日本の農業における性格と申しますか、そういうようなことがいろいろと入り組んでおりまして、末端の表示というのがなかなかできない、価格形成ができないというのが正直なところではないかと思います。しかし、機械によりましてはメーカーが標準小売り価格を示しているものもございます。しかし、これは拘束的なものではございません。ですから逆に申しますと、メーカーが標準小売り価格を表示いたしますように指導いたしましても、末端ではそういうようなことが行なわれていないということがございます。  それからもう一つ、これは非常に基本的な問題になりますけれども末端表示をすることのいいところと悪いところと申しますか、価格形成にあたって末端価格形成があっていいか悪いかという問題、たとえばメーカー末端価格を表示するということになりますと、おそらくそこには相当中途段階におけるいろいろな経費を入れまして高くするものができるのではないか。そういうものがございますと、末端ではいろいろの業界が売り込みのため競争いたしますために値段を下げ、現実には競争のために値段が下がってくるのでありますが、しかし、末端表示をしてございますと値段をかえってつり上げるというか、維持をするという、そういう働きをするということも全然考えられないわけではない。そういうようなことで、われわれといたしましては、できるだけ販売業者が店頭の価格を表示するような指導というのは、行政指導としていたしておりますけれどもメーカー末端価格を表示するような、そういうことについては現在考えていないということでございます。
  23. 唐橋東

    唐橋委員 単なる説明なんですよ、あなたのほうは。たとえば、ルートが自動車業界やその他に比べて非常に複雑だと言うけれども、そんなに複雑じゃないのです。だから農機具の商店数をはっきりつかんでくださいと言うのですよ。そのためにさっき全購連系統が非常に大きな率を占めてきておることを申した。三〇何%、別な資料で見ると四〇%近くになってきております。そういう点に対して、非常にルートがめんどうでございます、こういうようなことをあなたのほうではすぐに言いますよ。また、アフターサービスが非常に大切だと言う。自動車、電気器具のアフターサービスはどうですか。あれほど複雑なものでちゃんとできておるのですよ。それからまた末端価格と言いますけれども、だから私はさっき、いわゆる卸売り価格と農村価格をわざと出しておいたわけなんですけれども、いわゆる農機具価格の伸び率というのは非常に少ないのです。  これは御承知のように、いまどういう競争になっているかというと、ずっと長い目で見てみますと、やはり型式の改良とか能率のあれですね。そうして価格というものは上げない。上げれば、農家経済が非常に苦しいから高いものは買えないのですよ。だから、やはり価格というものはある程度押えて品質競争している。こういう価格の形成が実は大きいと思うのです。これに小売りの定価をつければ、末端価格が上がるかもしれないと言うが、一社が価格を表示して出している、それは知っています。  私は、結論的にいま問題を取り上げてみて、いままでの質問に対するお答えを聞いておりますと、何かいままで農林省自体がこれを放置しておいた、そうして私がいろいろ質問をするのに対して、現状の説明に終わった、こう私は考えざるを得ないのです。いままで何回も、何かくどいような質問になりましたが、結果としては、私はやはりそうはっきりと受け取ります。ですから農林省自体は、機械化される今後の農政の中において、末端価格を決めれば非常に農家の買う価格も上がるなんというような、そんな経済の初歩みたいな考え方でなしに、真剣にこの農機具対策に取り組んでいただきたい。私はいままでの質問の中からはっきりと、いままでの農林省の無策ということについて、皆さんのおしかりを受けるかもしれないですが、やはりいままで非常に手が薄かったということを、私ははっきりとここで浮き彫りにされたような気がするのですけれども、今後やはりこの種の問題について真剣に取り組んでいただかなければならないということを、私ははっきり申し上げておきたいのでございます。これは大臣あたりからはっきりと御答弁をいただきたいところでございますけれども、この点はほんとうに大臣に伝えておいていただきたいと思います。どうですかいまの結論……
  24. 加賀山國雄

    加賀山説明員 お話の趣旨は非常によくわかりましてございますが、現状だけの説明ではなくて、私も将来にわたりましていろいろお話し申し上げたつもりでございますが、御指摘のような点もございますので、今後検討いたしまして、十分努力いたしたいと思います。
  25. 唐橋東

    唐橋委員 それからもう一つ価格の問題で、国内価格と輸出価格の問題が今後大きく農業機具にも出てくる、こういうことをやはり取り上げてみなければならないと思うわけでございます。  その場合に、物価問題懇談会でもこういう問題は取り上げておりましたが、何か輸出面での採算を国内価格にしわ寄せしてくるという危険性が、特に今度問題になっておる肥料、これで中共との問題が出てきておりますが、これはあとでお伺いしたいと思っておるわけですが、この点で、輸出と生産価格だけをこの資料でちょっと見てもそういう疑問が出てくるのですよ。あなたたちが出している資料の動力耕うん機の生産台数と金額というところです。これは種類を分けないで総括してありますので、それを一台平均にしますと九万六千五百四円です。動力脱穀機が一台にしてみますと三万七千八百十七円になります。それが輸出になってくると、いま申し上げました耕うん機をとってみましても、一台が九万六千五百四円という数字が出てくるのに対して、輸出が十一万二千七百円になっております。そうして今度農村価格を見ますと、これは二種類にこの資料ではなっておりますが、一つは十九万五千六百円、もう一つは十二万九千九百円という数字があなたたちの資料の中に出てくるわけです。そうしますと、生産価格、輸出価格、農村価格、こういうふうにも理解できますので、いまのところはそんなに輸出のための価格が国内価格にはね返るということは、この数字からは心配ないのでありますけれども、こういう点はいつの問題としてもいろいろな点を含んでいると思います。たとえば、輸出が十一万ならば国内価格はもっと安くできるのではないかと、この資料を見ただけでも出てくるでしょうし、あるいはまた今後の貿易の推移の中で、肥料のように非常にダンピング的な傾向が出てくるとするならば、さっき申しましたような危険性も出てくる。こういうことが出てきてからではやはりおそいと思うのですよ。そういう点に対していままで取り組んでこられたかどうかということを、私はいまの無策という中からはっきりとお伺いして、国内価格、特に農村価格というものを低くしていくという努力がほしいと思うのです。時間もないので別な問題に移りたいと思いますが、とにかく輸出面でのものと国内価格関係についてどのようにお考えになっているかをお伺いしたいと思います。
  26. 加賀山國雄

    加賀山説明員 ただいまのお話でございますが、現在の農機具輸出というのは、唐橋委員も御承知のように五%ぐらいのもので、ほとんど問題にならないようなものでございます。価格につきましても、いま御指摘のようなことでございますが、唐橋委員の御指摘のように、今後輸出が伸びるとかいうようなことの場合に、いまおっしゃいましたようなことがないように、十分に検討してまいりたいと思っております。
  27. 唐橋東

    唐橋委員 輸出関係は問題にならぬ、こう言うのだけれども、ちょっとあなたのほうの資料の輸出台数及び金額ということでは、五十三億八千二百五十六万円がこれの輸出金額なんですよ。輸入のほうは四十億五百十六万でしょう。これが少ないんですという考え方は、ちょっとおかしいですよ。
  28. 加賀山國雄

    加賀山説明員 少ないと申し上げましたのは、全体に占める割合が少ないということでございまして、農機具生産はたしか総額千億くらいだと思いますが、そのうちの五十何億でございますから、約五%くらいの輸出ということでございます。そういう意味で、占めるパーセントが少ないということでございます。今後これが伸びるという可能性も全然ないわけではございませんから、そういうふうになりましたときに、先生おっしゃいましたようなことがないように善処いたしたいと思っております。
  29. 唐橋東

    唐橋委員 農業機械については以上にして、またあとで機会があれば議論しなければならない点もあると思いますが、次に、先ほど申し上げましたように、今後農家の収人面の一つの例として、いま非常に問題になっております豚肉の問題について、二、三お伺いしたいと思うのでございます。  御承知のように、昨春の豚肉の低落以来非常に問題になってきておりまして、現在振興事業団が肉を買い入れた頭数を資料で見ますと、六十八万七千九百頭ということで、非常に多く買い入れておるわけでございます。しかし、それにしてもいまのような豚肉に対する非常な恐慌が出てきておるわけでございまして、その原因を大づかみにしてみますと、一つ農業基本法によって選択的拡大部門として養豚振興が奨励された。しかし、奨励はしたが、指導体制や当面問題になっておる価格対策、あるいは流通機構というものがそれに伴わなかった。私はこういうことを全体の基礎的な問題としてとらえて見たいと思うのでございますが、この豚肉一つをとってみても、農業基本法による選択的拡大として——その他の問題もございますけれども、ほんとうに指導体制や価格体制や流通機構の改善という全体的なものが非常におろそかにされた中に、いまの養豚の非常な混乱性が出ておる、こう考えるのです。この農業基本法による選択的拡大等に対して、一貫した施策というものを農林省はいままでどう考えられていたのか、まず基本的な問題をお伺いしたいと思います。
  30. 立川基

    ○立川説明員 ただいま御指摘になりました畜産関係におきましても、いま御指摘ございました豚肉なり牛肉その他、要するに国民の食生活が非常に高度化してまいりますものにつきまして、いわゆる選択的拡大の種日といたしまして、肉類なりあるいは乳牛なりその他の問題を取り上げてきておるわけでございます。これらの問題につきまして、先ほど御指摘のありましたように、第一の要点は、消費者が利用されるものについて、安定的に十分に数量を確保するということでございます。その点で、生産の増強ということにつきましてできるだけ努力してきたつもりでございます。  それから第二番目には、その価格が安定的に供給されるということでございます。たとえば、生産段階におきましても、生産基盤の育成であるとかその他につきまして、できるだけ努力をいたしまして、生産段階におけるコストの低下ということにつとめてきたつもりでございます、  それから第三番目には、そういうふうに生産されたものが、御指摘のように流通過程に入ってくるわけでございまして、その流通過程におきまして、いろいろの経緯なり何なりがございまして非常にむずかしい問題ではございますけれども、それの合理化ということで、流通改善なり何なりにつきまして、先般来予算なり何なりでいろいろ御審議願っておるような種々の施策をやっておるつもりでございます。  そういうふうに、実は生産なり流通なりコストの低下について努力したつもりでございますけれども、何分にも、先生が御指摘のように非常にむずかしい問題でございます。しかも、最近になって急速に展開してまいったような次第でございますので、必ずしも十分な成果は上がっていない面があるいはあると思うわけでございます。これらの点につきまして、後ほど御議論が出るかと思いますけれども農林省といたしましてはできるだけの努力をいたしてまいりたい、一般的、抽象的に申し上げれば、以上でございます。
  31. 唐橋東

    唐橋委員 時間がないので、豚肉関係は二、三点にしぼって、先ほど申し上げましたように、先日見学させていただいた問題に移りたいと思います。  一つの問題は、農林省が出しておる動向調査が非常にあやふやだということです。したがって、農林省の出している、だんだん頭数が減ってくるであろうという資料は、畜産農家に全部行っている。そうすると、おれだけ残ろう、おれだけ残ろうという気持ちがあるのです。いまいただいた答弁についても、実はいろいろ意見はあるんです。あるんですが、時間の関係でその議論は略しまして、問題点を一、二点お伺いいたしますが、いまの動向調査についてはどうなんですか。
  32. 立川基

    ○立川説明員 ただいま先生から御指摘のありました出荷動向調査は、御承知のとおり、各県から調査資料をとりまして、全国的に集計いたしまして、それを参考にして各県に配っておるわけでございます。ところが、先ほどから先生の御指摘のございますように、どうもその調査の結果と実績とを対比いたしますと、たいへん申しわけない次第でございますけれども、実際とかけ離れたと申しますか、非常に過小に出てくるきらいがあるわけです。そういうような趣旨で、そういうものを一般に知らせると、いま先生の御指摘になったような懸念があるのではないかということであろうと思います。この調査の過小に出てくる原因につきましては、いろいろ検討しているわけでございますが、時間がございませんので省略いたしまして、若干われわれの調査方法について問題があると思いますので、これは早急に改善いたしたいと思います。  それから、改善に至ります間におきまして、いま御指摘のような懸念もございますので、実は最近は、各県にその資料を配ります場合に、ただ単なるその資料だけではございませんで、従来からの実績と対比した数値なりあるいは別途の数値もあわせて知らせまして、単純にいまの数値そのものによって動向を把握することのないようにということを特に言い添えまして、各県の指導をやっておるような事情でございます。ただ、先ほどから繰り返して申し上げますように、調査方法そのものについて若干不備な点もございますので、早急に検討いたしまして、改めたいと思っております。
  33. 唐橋東

    唐橋委員 次の問題に移りたいのですが、一番問題になってくるのは買い入れの問題だと思うのです。買い入れの問題で、この間ちょっと新聞にも出ておりまして、買い入れ市場は畜産振興事業団ということで、豚の出荷は一向に減る気配はない、いまの豚の買い入れ価格生産者は十分に採算がとれる、こういうことで豚が減ってこないということなんですが、これは私から言うと非常に間違いです。むしろこの買い入れ価格の問題はいろいろ議論しなければならない問題なんですが、いまの金融の流れの中で、たとえば農協から金を借りた。そして飼料も来月になれば利子がつくのですよ。そういう金利やその他を全部計算していった場合に、生産費というものは非常にかかってきている、都市周辺で、何か残飯のようなものを取り入れて飼料としている少数の養豚家は別として、大部分の養豚農家というものは決してこれは高いものではない、むしろ逆に赤字だということがはっきり言えると思うのですが、この買い入れ価格については、ひとつ明快にお答え願いたい。
  34. 立川基

    ○立川説明員 ただいまの政府の買い入れ価格の問題でございますけれども御存じのように、いろいろ経常の形態がございます。経営の規模の問題あるいはいま御指摘のございました地域の問題なりその他がございますので、一がいには申されないと思います。ただ、総じて言えますことは、数年前に豚価がかなり高い水準にございまして、豚の飼育が非常にふえた時代がございます。そういう一昨年前後くらいな、そういうふうな状態のときでないことは、これははっきり言えると思います。総体的に申し上げまして、非常に採算がよろしいというふうには必ずしも私たちは考えておりません。むしろ俗なことばで申し上げれば、もうけは非常に薄くなっておるということは言えると思います。しかし、その出産頭数でございますけれども、四十二年の二月現在におきましても、非常にふえました昨年の二月現在の頭数に比べまして、なお一五%アップ程度の飼育頭数にもなっておるような状況でございますので、赤字ということばの内容にもよりますでしょうけれども、総じて言ってみれば、にっちもさっちもいかなくなっちゃってというふうには、必ずしも考えてないというのが私たちの大体の感触と申しますか、総体的に申した感じでございます。
  35. 唐橋東

    唐橋委員 議論は、豚の問題については残しておきます。あとでいろいろ機会があればやりたいと思います。まだ序の口です。  先日、市場を見学さしていただいたのですが、非常に有効な調査であったということで、私自身も、これまで運ばれたことに対して非常に敬意を表するわけですが、その中で一番問題になる点を二、三を取り出してみたいと思うのでございますが、一つは、中央卸売市場を通して実際東京都民に対してどのくらい、品目別ではございましょうけれども、どのくらい供給しているのですか。といいますのは、市場の重要性ということがその数字から出てくると思うのですが、多少大まかな品目でお示し願いたいのです。
  36. 森実孝郎

    森実説明員 東京、大阪各地域の市場によりまして、市場の地域住民に対する充足の程度が異なります。東京は全国で一番市場のカバーしている程度が高い率であります。概算でございますが、四十年度の推定の数字で申し上げますと、野菜につきましては、文京区部は九割、それから三多摩が二割ないし三割を中央市場を経由した荷がカバーしております。くだものは区部が九割、三多摩が約三割、それぞれ中央市場を経由したものがカバーしております。水産物については高いカバー率を持っておりまして、東京都内のうち区部は一〇〇%市場を経由しております。三多摩地区は大体これに対して七割ないし八割程度と推定されております。
  37. 唐橋東

    唐橋委員 その数字を聞きますと、重要性ということがわかるのですが、また資料を見ますと、今度は都内のものがやはり相当出ておりますね。しかも都内のこの機構を通じて、中央卸売市場を通じて都外に出ておるものというのは増加の傾向なんですが、そういうものの状態というのはどうなんですか。
  38. 森実孝郎

    森実説明員 実は東京の市場の市場区域は、現在特別区の置かれておりますところを市場区域としておりまして、三多摩は一応市場区域外ということになっております。しかし東京都が開設しておりますという観点で、両方をひっくるめて申し上げます。ちょっと申しおくれましたが、これから申し上げます数字は年間の数字ではなくて、スポット的に調査いたしました取りまとめでございます。年間で見ますと多少ズレがあると思いますが、そう大きな違いはないと思います。スポット調査でございますが、野菜が、区域外へ搬出されておりますものが一三・二%、このうち一〇・一%が都外へ搬出され、それから三・一%が三多摩に搬出されている。それからくだものは、二四・九%が区域外へ搬出されております。このうち三多摩に搬出されておりますものが約三・五%程度で、二一・四%が都外へ搬出されております。それから水産物は、鮮魚、水産加工品というものがありますが、鮮魚につきましては、三六%が区域外へ搬出されています。そのうち三多摩が五・九%、それから都外が三〇・一%ということになっております。なお、加工品はさらに高い搬出率を示しております。水産加工品はおおむね四割が区域外へ搬出されております。そのうち三五・六%が都外でございます。残った四・五%が三多摩というふうな数字でございます。これは三十九年に行ないましたスポット調査でございます。  その後の動向はどうかということを申し上げますと、最近の動きを見ておりますと、三多摩地域の人口の急増から区域外への搬出でも、特に三多摩地区に対する搬出は増加しております。また都外の搬出も決して低下しておりませんので、全体としてはやはり区域外搬出は増加の傾向にあるものと考えます。
  39. 唐橋東

    唐橋委員 それらの実態についての議論は相当出てくると思いますが、省略して、組織についてちょっと伺いたいのですが、この説明書の中で、卸売り人が、魚類部が九人、それから青果部が二十二人、それから仲買い人が、魚類部が千五百八十七人、それから青果部が五百五十二人。そうしますと、これらは前の組織にある本場、市場、分場という総体の人員ですか。
  40. 森実孝郎

    森実説明員 ただいまの御質問の数字は、総体の数字だと思います。
  41. 唐橋東

    唐橋委員 そうしますと、この本場、市場、分場の各人員の配置をあとで出してください。といいますのは、ここからどれだけの、たとえば神田なら神田は実際何人だ、築地は何人だということが出てきまして、一番混雑されている、非能率的だと見てきたあの狭さというものがどんなような実情なのか、こういう基礎資料にも相なると思いますので、あとで出していただきたいと思います。ともかく狭さのための非能率性ということはたいへんですね。それらに対しては、これは直接は東京都の問題であるかもしれませんが、どんなふうなことになっておりますか。
  42. 森実孝郎

    森実説明員 確かに御指摘のように、東京、大阪並びにこれらの地域の周辺におきましては、人口の急増傾向からして一人当たりの消費量は非常に増加して、かつ品ぞろえが要求されておるので、市場の狭隘化がここ数年の間に顕著になってきておることは事実でございます。東京の市場でも、私どもが見ておりますところでも、神田市場とか豊島市場あるいは淀橋市場等の狭隘は、特に目立っているのではないかという感じを持っています。そこで農林省といたしましては、昨年の十二月以来中央卸売市場審議会を開きまして、特に東京、大阪及びその周辺地域における新市場の建設という問題を、現在数カ月にわたって御審議を賜わっております。私ども事務当局の提案としては、今後東京に六市場、大阪に二市場の建設を進めることの可否あるいは東京、大阪以外の近県にそれぞれ市場建設を進めることの可否について、現在御審議を賜わっております。  なおこの審議を並行いたしまして、東京につきましては現在砧と板橋の二市場につきましては、すでに用地取得を行なっておりまして、できるだけ早急に工事を進め開場にこぎつけたいと存じます。
  43. 唐橋東

    唐橋委員 その規模の狭さ等についての議論もいろいろ出てくると思いますが省略して、調査された委員が全員異句同音に非常に問題として指摘されたのは、卸売りをされた値段を見て、現在私たちが日常見ている小売り値段との大きな違いというものがどこから出てくるのかということが最大の疑問のように思われたし、私もその点の疑問を持ったのでありますが、配付された資料等も検討してみて、それらの点に対する解明も今後の問題だと思うのですが、きょうはそれらの点は省略して、私ここでお聞きするのは、この中で標準小売り価格というのが出てきておるわけですね。そうしますと、委員が疑問にされた卸売りと小売り、しかも都内でついた値段が、小売りにいっただけでもそれだけのものになるという点は非常に問題じゃないか、こういうふうにあの現場で出された意見、そして現場で渡されたパンフレットを見てみますと、そこに標準小売り価格決定というのが出てくるわけですね。だとするならば、標準小売り価格の決定はどういう仕組みで出されたのかということが、第一の疑問になってきたわけです。
  44. 森実孝郎

    森実説明員 現在標準小売り価格という制度は、東京、大阪、名古星屋、横浜等の諸都市で、各都市が自主的に実施された形でやっておられます。この価格のきめ方は画一的でございませんが、東京について申し上げますと、市場ごとの卸売り価格の大相場、この大相場と申しますのは、当日に同一品目で最も多量にせり落とされた価格、つまり当該品目の価格を代表するものと認められた価格でございます。この大相場を基礎といたしまして、品質は大体中級品またはそれ以上を基準といたしまして、青果物については小売り価格卸売り価格の大体一・三倍、それから水産物は、卸売り価格に仲買い人のマージンを加えましたものを一・三一五倍いたして、これを標準価格にするということにいたしまして、市場ごとにきめられた価格を、都から標準小売り店として指定されている小売り店へ伝達いたしまして掲示させるという運営が行なわれております。
  45. 唐橋東

    唐橋委員 その標準価格とその追跡調査というものの関連が一番問題になってくると思うのです。そういう点が一番物価の方向づけをする場合の問題点であり、御意見をいただきたいところだと思っておりますが、私の時間がなくなりましたので質問は省略します。  最後に、そこでは問題にならなかったのですが、バナナの問題があそこで多少出ました。というのは輸入品の問題でございますが、輸入品がやはり今後いろいろな場合に大きな問題になってくると思うのであります。その中の代表的なものとしてバナナとノリの問題について簡単にお答えを願いたいわけなんです。特にバナナで、生産地の価格とそれから日本の国内に入ってきた浜相場、それから小売り相場、こういう三段階におおよそなると思うのですが、それらの点についてひとつお答えをお願いしたい、こう思うのでございます。
  46. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 現在わが国の国内に流通しておりますバナナの大部分、ほとんど八割以上は台湾産でございまして、国内産はございません。したがいまして、生産地といいますと台湾になるわけでございますが、現在台湾産バナナにつきましては、台湾側におきまして統制価格をきめておりまして、一かご当たり四十五・三六キロでございますが、八ドルものと七ドルものの二種類がございます。国内に陸揚げされましたあとの価格につきましては、輸入販売価格の適正を期するということで、輸入業者の代表とそれから加工業者の代表とが着船ごとに現品の品質を確かめ、市況なりいろいろな事情を勘案いたしまして、両者話し合いをいたしまして取引の目安価格といいますか、取引の基準価格といいますか、いわゆる浜相場というものを定めまして、個々の輸入業者と輸出業者がそれを目安として相対で取引をしております。それ以降につきましては、ほとんど全量相対で末端まで取引をされておるという状況でございます。
  47. 唐橋東

    唐橋委員 その場合に価格の一番問題になるのは、さっき申しましたように現地の買い入れ価格、それから浜相場、小売り相場、その中でどこが一番マージンのあるところであって、そのマージンをもっと縮めることによって消費者価格というものを下げられるのかということが、輸入の場合の一番中心価格の問題になってくると思うのですが、それらの点についてはいろいろ問題があると思うのです。お答えを願えばまた多少議論も発展すると思うが、簡単にお答えを願って、私は議論はしないでこれで終わりたいと思います。
  48. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 バナナの国内流通価格の根本と申しますか、一番重要な点は、先ほど申し上げましたように、一つは台湾の輸出統制価格がきめられておるという点でございまして、実は自由化以後、いわば台湾側の売り手市場といいますか、そういう形になっておりました関係で、わが国では御案内のとおり輸入組合を育成をいたしまして、台湾側に対抗して価格その他で十分交渉できるようにしてまいるということになってまいったのでございます。たとえば、自由化直後におきましては、台湾からの輸入価格はすべて八ドルでございましたが、これを交渉いたしまして、昨年は八ドルものと七ドルもの二つの種類に分かれさせるということに成功しておりますし、さらに本年に入りまして、七ドルものの範囲を広げてもらうということが実現をいたしておるわけでございまして、そういう手段によりまして台湾側の輸出統制  価格をできるだけ引き下げさせるというのが第一のポイントであろうかと思います。  第二番目といたしましては、いわゆる浜相場、この点にあるわけでございまして、現在どちらかといいますと、輸入業者のほうは輸入組合という形で非常に強力になってまいっておりますが、全国に約一千軒ほどございます加工業者の力がやや弱いのではないかということで、通産省と共同いたしまして、全国打って一丸となりました加工業者団体を育成するということで、できるだけ浜相場を明朗化し、引き下げていくという点に重点を置いて指導をしておるわけでございます。  この二点が一番大きなバナナ価格引き下げの要因ではなかろうかというふうに考えております。
  49. 唐橋東

    唐橋委員 最後に一つだけ。問題提示の形になりますが、さっきも農業機具の輸出問題にちょっと触れたのですが、いま大きな問題になってきているのは中共への肥料の輸出だと思うのです。これは三十六、七年ころですか、国外の価格と国内価格が非常に大きな問題になったのですが、今度もまたものすごい安い値段できまりそうだ。そしてそれが韓国並びに台湾にも——その値段も、トン当たり四五・三〇ドルのものが現在三一・二二ドルになってきた。こういう問題になりますと、三十六、七年のころ示したあの問題と同じ事態が出てくるのじゃないかということが懸念されるわけですが、これについてどんなふうにいま考えられているのか、ひとつお伺いして質問を終わりたいと思います。
  50. 中村健次郎

    ○中村説明員 ただいま御質問がございましたように、中共に対する肥料の輸出価格が非常に下がりまして、三十五、六年当時の問題に近い問題を起こす事態になっております。ただ、当時は肥料二法という法律がございまして、政府がマル公をきめておりました。マル公をきめる際に、輸出の赤字は、別途日本硫安株式会社に積み立てさせまして、国内価格には転嫁させないという方法をとりました。三十九肥料年度以降は、メーカーの代表と消費者側の代表でございます全購連との間で、硫安につきましての価格の取りきめをいたすことになっております。これが三十九年から三カ年すでに取りきめられてございまして、現在その価格流通いたしております。したがって、この四十二肥料年度からの価格が、現在硫安メーカー十六社と全購連との間で取りきめの交渉が行なわれております。全購連は、御承知のように肥料の七割を扱っております。末端の単協の扱いは九側に至っております。こういった消費者農民の組織であります農協団体がシェアの大部分を持っておりますので、全購連の買い手としての力は非常に強うございます。そういう関係で全購連自体、輸出赤字を国内価格に転嫁させるというようなことは決してさせないという気がまえで交渉いたしておりますし、農林省といたしましても、たてまえとして輸出赤字は国内価格には転嫁させない、こういう考え方指導いたしておりますので、赤字転嫁という問題は起きないと思います。
  51. 唐橋東

    唐橋委員 この問題についての議論は残っておりますが、時間の関係で終わります。
  52. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 有島重武君。
  53. 有島重武

    ○有島委員 先般当委員会におきまして、四党共同決議いたしました乳価安定に関する件についてでありますけれども、これについて宮澤経企長官は、政府部内の連携をとりつつ、決議の趣旨を実現するよう極力努力する、このように言われたわけでございます。この問題につきまして、農林省としてはどのような措置をとられたか、それをまずお聞きいたします。
  54. 立川基

    ○立川説明員 先般本委員会において四党御提案によりまして決議をいただきましたので、その線に沿ってわれわれもいろいろ検討しておる最中でございます。御決議の中の最初の基本的対策でございますが、この考え方につきましては、農林省としても従来からこういう考え方に立っておるのでございまして、基盤整備なり草地造成その他いろいろな施策につきまして、本年度の予算におきましては、昨年度に比べますとかなりの程度の増額をして、ただいま御審議をいただいておりますのもその一つでございます。それから昨日、加工原料乳の関係の法律で、従来の乳製品の売買によります価格の剰余金を別勘定に移しまして、酪農の振興に使えるようにするという法案を本国会に御提案したのも、そういうような考え方でございます。  さらに、緊急措置の問題でございますが、これにつきましても関係各省と御相談をしておるわけでございますが、そのうちの、ことに末端小売り段階におきます合理化の問題につきましては、本年度予算が認められますならば、大体五百万円くらい要求しておりますけれども消費者小売り段階とでほんとうにじっくり話し合っていただきまして、どうすればお互いに納得のいく合理的方策がとれるかについて御相談願う。そしてそのモデルの地区におきまして、要すれば牛乳の保管のための施設なり何なりの若干の助成もやりたい。そういう方回の具体策についても早急に、予算の通り次第実施ができますように、具体的に検討を進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  55. 有島重武

    ○有島委員 先日の新聞に、農林省牛乳流通改善研究会というものを発足させる、そういうような記事が出ておりましたけれども……。
  56. 立川基

    ○立川説明員 いままだ確定の段階にまで至っておりませんでしたので申し上げませんでしたけれども、ことに先ほど申し上げました小売り段階でのモデル地区の問題のほかに、本委員会でお取り上げになっておるいろいろな問題がございます。一プロパーの問題ではございませんで、各省共通の中小企業の団体の問題もございますので、いま言われたような研究会を持ちたいということは考えております。ただ最終的に決定になっておりませんので申し上げておりませんでしたが、できればそういう形で研究会を持って、まじめに取り組んでいきたいと考えております。
  57. 有島重武

    ○有島委員 この研究会の構成人員とか中心者とか、そういう具体的なことについてはまだきまっておらないのでしょうか。
  58. 立川基

    ○立川説明員 まだ具体的に確定しておりませんが、いずれにしましても学識経験者なり、実際にそういう衝に当たられる方の、何と申しますか、実際に即応した案を考えたいと思いますので、そういう方が構成メンバーになられるかと思います。この問題は、法律の問題なりいろいろ問題があると思いますので、それぞれの専門によって違うと思います。一応そういう構想を持っておりますが、まだ確定しておりませんので、正式に、何人で代表をどういうふうにするかというところまでは、まだ固まっておらないわけでございます。
  59. 有島重武

    ○有島委員 これは昭和三十七年三月でございましたか、農林省畜産局長から、「飲用牛乳の小売販売価格の調整および生産供給の確保について」というような通達が出ておったようでございますけれども、その中に、すでに店頭購入の問題もあったようであります。こうした問題についていまから研究を始めるという、これはどういうことなのか。研究の段階は、もう過去数年にわたって論議されておるはずです。国民は一日も早くその安定または牛乳が安くなることを望んでおる段階でありますから、これは早急に実行に移すべきときじゃないか、そういうように思うわけですけれども、どうでしょうか。
  60. 立川基

    ○立川説明員 なるほど御指摘のように、前々からこういう方向で進めたいということでわれわれも考えておりましたし、いろいろとやってみたわけでもございますけれども御存じのように、問題が非常にむずかしい問題であるわけです。ビンの形の問題にいたしましても、それから店頭販売の問題にいたしましても、なかなかむずかしい問題でございますので、いま先生のおっしゃいましたように、今後強力にそれを進めてまいるということを前提にして、どうすれば現在の事態に合ったような形で、しかもそれが各地域地域で実効性の持てるような形にできるかということで、そういう方法を具体的に考えてまいりたい。ある意味では、先ほど申し上げましたモデル地区では、実験的にやってみたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 有島重武

    ○有島委員 ただいま、今後の努力ということでございますけれども、それはおそらくもう数年前にも言われたことだと思うのです。そしてそのむずかしい点でありますけれども、そのむずかしい点は、技術的な面と、それからもう一つには法律的な制限とか、そういうことがあるのだろうと思います。その点について、これをそうした障害を排除する方向に持っていくのが農林省立場じゃないかと思いますけれども、その一番むずかしい点はどういったところに難点があるのか、それをお伺いいたします。
  62. 立川基

    ○立川説明員 率直に申し上げまして、現在の状況においてむずかしいというのは、消費者の現在の消費慣習と申しますか、具体的に言いますと、毎日消費者の御家庭に朝きまってお届けするという形の慣習を、どういうふうにしたら実際に消費者も御納得になって、今度は違った形でやりましょうという形になるかということが、率直に申し上げてやはり一番基本になるのではないかと思います。そこらあたりモデル地区なり何なりというものを設けまして、話し合いもし、相談もし、それからさらに先ほどから繰り返し申し上げますように、何らかの物的な施設なり何なりというものが、そういうものを転換してまいるのに必要であるということならそういうことも考えて、従来予算的措置なりが十分とれなかったものですから、もし今度の四十二年度の予算がお認め願えるならば、ある程度のことはできると思いますので、そこで第一歩を始めたい。消費者のいまの慣習なり何なりというところを、どういうふうにして納得させて変えていくかというところが一番問題だと思います。あと法律なり何なりの問題につきましては、私というよりも、むしろ公正取引委員会なりその他のほうの御関係になるかと思います。
  63. 有島重武

    ○有島委員 いまのお答えですと、問題の難点の重点は消費者側にあるのだ、そういうことになりますか。
  64. 立川基

    ○立川説明員 ちょっとことばが足りませんでしたので、あるいは消費者に全部転嫁したように見えたかと思いますが、もちろんそういう問題と同時に、いわゆる小売り店舗の現在の経営の状況もございますし、非常に数が多くて労務費がかかっておるという状態の問題、あるいは現在の店舗の施設なりを、決議にも御指摘がありますように、どういうふうにして改善していくか、あるいは全体の組織そのものを合理化するなり、そういう問題も当然あることはもちろんでございまして、消費者側の問題、それからいま申し上げました小売り業者側の問題、さらには、先ほどからお話がありましたように法律の問題、それらの点が、私がいま気づきます重要な問題点だろうというふうに考えております。
  65. 有島重武

    ○有島委員 この問題にいたしましても、先般当委員会でもってメーカー側、小売り店側、それから消費者側、その参考人をお呼びしていろいろと伺ったわけであります。そして店頭売りの方向については、これは三者ともによい、そういうような方向の結論であったわけでございますが、これは先日の論議を待たずとも、大体その方向はきまっているはずでございます。ところが、いまお話になったように、何らかの処置をとってというようなことばが出てくるわけですよ。いまの段階に至ってもまだ何らか適当な処置を講じなければならぬと思っておりますというようなおことばでは、これは国民としては、農林省はそういうことばかり言っているけれども、ほんとうは親身になってやる気はないのじゃないか、そう思われてもしかたがないのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  66. 立川基

    ○立川説明員 この前からの御議論でございまして、いまの小売り店におきます経費の中で、労賃がかなりなウエートを占めておりますし、それを軽減するという意味で店頭売りというのを進めていくということは、もちろん非常に合理的な意味のあることだというふうに考えておるわけでございます。ただ、先ほどからも繰り返して申し上げますように、ほとんど大部分の現在の牛乳の消費の状況というものが家庭配給でございまして、店頭売りという形が現実にいま行なわれているものはごくわずかでございます。したがいまして、そのわずかなものをふやしていきますやり方について、たとえて言えば、小売り店で何時から何時までというふうに瞬間を切って、どれだけの範囲の人がどれだけ来てくれるかでやはり違ってくると思うのです。小売り店のほうでも、それでは朝から晩まで何人来てくれるかわからないけれども、店頭でやりますということでは、それだけ人件費が増すということで、かえってマイナスが考えられますから、そういうことではなくて、ほんとうにレールの上に乗って、かなりの人がかなりの地域でまとまって合理的な方法でやれるという方法でやったらどうか。それにつきましては、生産者の方と、小売り業者の方と、消費者の方々がよく話し合っていただいて、それでそういうふうな合理的な方向へできるだけ進めていったらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  67. 有島重武

    ○有島委員 話を伺っておりますと、いろいろな困難な条件を克服する、すべての条件がかなったら動き出す、それまでは考えているというふうにとられてもしかたがないんじゃないかと思う。たとえば、先日の一つのそうした結論について、それでは消費者なり小売り店なりにどれだけPRをなさったか。農林省としてはこうした方針で進んでいくのだ、そういうことがある程度徹底すれば、国民はやはり政府というものを信頼しておりますよ。農林省から、農林省は基本的にはこういった方向なんだ、それがはっきり出れば、その方向にやはり動いていくんじゃないかと思います。そうしたPRについてはいかがなんでしょうか。
  68. 立川基

    ○立川説明員 先ほどから申し上げますように、一つの方向を大体定めまして、それによって全体として今度の牛乳小売り段階なり何なりの問題を進めていくということで、あわせて施策を定めて進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございますけれども、その間に、実際にできることで、それでしかもわれわれが従来から考えておることについては、どんどん進めるということは異議がございませんので、極力その趣旨に沿って、そういう方向でできるものから逐次進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  69. 有島重武

    ○有島委員 逐次お進めになるという、それは当然そうであるべきであると思いますけれども、いま申し上げているのは、こうした方向に進むのだという方針を国民にPRしたらばどうか。もっとそれが国民に徹底していくようになさったらばどうか。いかがでしょうか。
  70. 立川基

    ○立川説明員 御趣旨の点はよくわかりましたので、いまのわれわれの考えておりますことを、なるべく国民皆さんに徹底するようにいたしたいと思います。
  71. 有島重武

    ○有島委員 近日中にやってもらいたいと思います。
  72. 立川基

    ○立川説明員 率直に申し上げまして、私たちが多少じっくり考えたらどうかと思っておりましたのは、ただ口で店頭売りをできるだけやるようにとか、合理化するようにということではなくて、ことしの予算のときに考えましたように、実はそこに予算的な裏づけなり何なりを持ちまして具体的に進めていくということ、あるいは総合的に考えてどうだというふうにしたほうが実効があがるのではないか。新聞発表するなりあるいは通牒なりを出すということだけではなくて、そういうように考えたらどうかというふうに実は私考えておったものですから、そういうことでおるわけでございますけれども、ただ、先ほど来御指摘を受けて、よいことをいつまでも待っておってもぐあいが悪いじゃないか、よいことはよいことで進めるということで考えたらどうかということでございますから、したがいまして、全部が全部一ぺんにどうこうということにはまいらないと思いますけれども、よいことでできそうなことについては、極力進めてまいりたいという趣旨を、何らかの形で明らかにしたいというふうに考えております。
  73. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、近日中にそういったことのPRを、何らかの形で行なうわけですね。
  74. 立川基

    ○立川説明員 そうです。
  75. 有島重武

    ○有島委員 次に、牛乳の容器のポリエチレンの袋の使用について、先般やはりこの委員会で話が出ました。それでコンマ一ミリのポリエチレンの容器の使用の可能性について、これは十分認められるのじゃないかという方向に論議がかわされておりました。農林省としてはこれをどのように思いますか。
  76. 立川基

    ○立川説明員 お話の容器の点でございますけれども、われわれといたしまして、厚生省のほうで食品衛生上特別に問題がないということであるのならば、経済的にも合理的であるということであれば、特別異論を申し上げる筋合いではないというように考えております。
  77. 有島重武

    ○有島委員 この所管は厚生省であると思います。その使用許可については厚生省であると思いますけれども、もし問題がないならば私たちとしても異論がないという言い方は、これは乳価安定に深い関心を示されておる農林当局の御発言としては少しおかしいのじゃないか、こう思うわけなんですが、いかがでしょうか。
  78. 立川基

    ○立川説明員 ことばがちょっとまずくてあれかと思いますけれども、実は私が申し上げましたのは、衛生上に特に問題がなく——実はその内容をあまりよく存じ上げてなかったものですから、経済的にも採算ベースに乗り、そして消費者にも御不満がないというようなことであればけっこうだということで、この前御指摘のありました新しい包装についての勉強が十分でなかったものですから、自信を持って私はそれを積極的に進めますというようにお答えできなかったので、考え方としてはいま申し上げたような趣旨でございます。
  79. 有島重武

    ○有島委員 消費者といたしましては、牛乳が安くなれば一番喜ぶのですよ。それでこの問題につきましては、どうかさっそく調べていただきたい。そしてこれが厚生省の所管であるならば、そちらのほうの許可をというのではなく、その扱いについてどんどん農林省側からも推進すべきじゃないか、そう思うわけであります。お願いできますね。よろしいですね。
  80. 立川基

    ○立川説明員 この包装の内容そのものを、先ほど申し上げたようによく研究しておりませんが、ものの考え方として、非常にコストの安い包装容器ができるということについては、農林省としても積極的に推進すべきだというふうに考えております。
  81. 有島重武

    ○有島委員 それじゃ速急に調べてください。  次に、科学技術庁では、昨年の八月からなま野菜に関するコールドチェーンの実験を開始しておると聞いておりますが、本日科学技術庁のほうの解説的な資料をここに受け取りました。実験は計画どおりにこれが進捗しているかどうか、またこの実験の上で困難または矛盾を感じられている点があるかどうか、そういったことについて伺いたい。
  82. 佐々木即

    ○佐々木政府委員 お答えいたします。  先般の当委員会の御要求によりまして、いま先生の御指摘のとおり資料を提出いたしました。扱っております仕事がかなり多岐にわたっておりますので、お許しをいただけますなら、この資料について経過報告を申し上げたほうがよろしかろうと思います。あるいは結論だけずばりということで御注文でございましたらそういたします。どちらでもけっこうでございますが、いかがでございましょうか。
  83. 有島重武

    ○有島委員 きょうは時間も非常に長引いておりますし、結論をずばりとおっしゃっていただきたい。非常に困難を感じておられる点があるならば、そのことをお伺いいたします。
  84. 佐々木即

    ○佐々木政府委員 実はこれに着手いたしまして、実際に仕事に入りましたのは九月でございまして、今日引き続いてやっておりまして、本年度の予算の御承認がいただけましたら、来年の三月一ぱいまで続けるということでございます。実際はコールドチェーンの仕事そのものは低温流通でございますから、夏場に向かうこれからが、いわばコールドチェーンのほんとうのいいところが出てくるということがあるのではないかと思います。したがいまして、秋から冬を通じて春先までというところの経過だけについて、いままでの考え方を御報告申し上げるということにとどまるわけでございます。  これは、内容から申しますと、多少の例外はございますが、一品目につきまして、野菜で申しますと、一日おきに出荷いたしまして、おおむね一カ月ということを基準にしております。十五回産地から東京都の市場に運ばれるということでございまして、何しろ野菜につきましては、あるいはくだものにつきましては、日本で初めての経験でもございまして、そのつど技術的には多少の手直しをするということが次々出てきまして、そのつどそれを手直しをしていくということで進んでまいっております。その限りにおきましては、おおむね手直しの範囲で満足すべき状態で品物が東京都に運ばれておるということは申し上げられるかと思います。  ただその間に、産地のほうでコールドチェンの品物として出荷いたしますことにつきまして、多少なれないということがあったりいたしまして、たとえばキャベツとかあるいはキュウリ等については、産地でもってフィルム包装をしてそれから出すわけでございます。そして市場ではそのまま小売り店に出されるという形でございますので、勢い、選別が悪いといたんだものがそのまま包装されて市場に出てくる。普通の場合ですと、上物でございますと、適当にそれをのけて売るということができるのでございますが、その点が、いいものと悪いものとがまざってしまうということで不便を感じて、そこで、さっそく産地のほうに人が出向いたりいたしまして、普通物以上に選別をきびしくするようにというようなことも、技術的にはあるわけでございます。そういった問題を起こしながら、それを手直ししながら、喜ばれている品物が市場に出ているということで、むしろ私どもの実験の中でも、アンケート等をとりますと、おおむねよろしいないしは非常によろしいというのが八、九割、特にキュウリなどは、おすし屋さんが、例のカッパのすしに使うので、非常によろしいということでお得意がつくといったような状態でございますし、また、たとえばニンジンでございますが、九州とか北海道ないしは青森のニンジンの東京への出荷というものは、どろつきで出しております。洗って丁寧にしますと、そのためにきずがついていたみが早い。しかしながら、市場のほうではどろつきはあまり好まれないというところから、お値段が大体三分の二ぐらいのところですか、半分までは下がりませんか、非常に安く出荷しておるといったものが、産地洗いにして、消費者にすぐ喜ばれる形に仕上げて送りましてもいたまない、長距離輸送をやってもいたまない、こういうようなことから、産地も非常に希望を持ってきておるといったようなこともございます。品質の点ではおおむね大過なく、さらに、暑い時期に向かいまして大いに効果が出せるのではないかというふうに期待しております。  それから、同じコールドチェーンでも、実は青果物が中心でやっております。と申しますのは、科学技術庁の姿勢としては技術の開発ということが中心でございまして、たとえば魚のようなものは、すでに農林省で事業としておやりになっておるということで、これは取り上げておりません。肉も若干いたしておりますが、これも実際は、低温で流通しておるものも、魚ほどではございません、あるいは牛乳ほどではございませんけれども、多少はある。しかし問題がありますので、そこら辺の打開に乗り出しておるといったようなことでございます。肉につきましては、実は実験受託者の工場ができましたのが予定よりややおくれまして、一月から操業を開始したということもございまして、いまのところ特に問題はございません。特によくいったとか悪くいったとかというふうに、結論を下す段階まではまだいっておらないというのが実情でございます。  それから、いわゆる海上輸送の問題がやはりございまして、これは、同じ輸送いたしますのも、ほかの場合はトラックとか貸車でございますか、冷蔵コンテナを船に乗せて輸送するという問題を取り扱っております。これも、いままでのところは、非常に鮮度の高いものが特に南九州からでございますが、勢い東京市場ではわりあい珍しいものを届けておるということでございまして、多少問題は残しながらも、全体としては鮮度の高いものを送る技術が一つ見通しがついたということでございます。  それからチェーンでない、そのチェーンを展開させますのに必要な部分と申しますか、そういった点につきまして、たとえば二十世紀ないしはカキのガス貯蔵の、私どもこれをスポット調査と申しておりますが、そういうこともいたしております。それにつきましては、大体一冬いたしまして、二十世紀等については三月までガス貯蔵をやっても、どうやらりっぱな商品として消費に向けることができそうなところまで到達いたしております。それからカキにつきましては、大体一月一ぱいぐらいまでは、ことしの実験では、まあまあ商品として使えそうだというところまでまいりましたけれども、これは、ほんとうに進めるということになると、大量のものが動くわけでございますから、これも、もう一冬これを実験すれば、およそ何らかの形がつくのじゃなかろうかというふうに考えております。  それから最後に、ちょっと質が違いますが、同じスポット調査の中で、最近工場給食とか学校給食が非常に進んでまいりまして、その中でだんだんに大量に一つの施設がこれを扱うようになってまいりました。また、合理的に安くものを処理いたしますのには、多々ますます弁ずるということになるわけでございます。もっとも、内容に至りますと、むしろ品物を集めて調理するまでに整えるという段階のものと、それからそれを煮たり焼  いたりして食堂に配るという仕事と、いささか性  質を異にしておりまして、前段階のほうは大量になるほどいい。そしていつでも調理段階のところに届けられるようにストックしておくのが合理的にできるのがいい。調理の段階というのは、むしろ、たくさんの食堂を持っておりますから、それをいっときに一定の時間に届けるというためには、あまりふえては困る。それを合理化するのには、むしろ食材の調達調製とその食材を調理するということとの二段階に分化させまして、食材の調達調製の上それを調理部門に届けるという段階までのところで一つの実験が行なわれるということになれば、その場合、当然温度からいいますと、前段階が低温帯であり、後段の調理が高温帯ということになるわけでございますが、その前段階の分について、全国給食協同組合連合会などが施設をつくりましたので、そこに委託をいたしまして、そういう低温における食材の物の出し入れというところに一つの基準をはっきりさせたいという仕事をしております。これがはっきりすれば、今後そういうのをどんどんおやりいただくという一つの目安ができてくると思います。この点につきましては、工場がやはりことしの二月にでき上がりまして、三月から仕事を始めておる段階でございます。これも調査はいたしておりますけれども、しばらくその成果等については御報告しかねるというのが実情でございます。
  85. 有島重武

    ○有島委員 見通しは明るいというような結論でございますね。
  86. 佐々木即

    ○佐々木政府委員 技術的には、私どもはだんだん確信を持ってきたということであります。
  87. 有島重武

    ○有島委員 先日の新聞紙によりますと、ある青果会社が厚さ〇・七ミリのセロポリ袋を用いて、ほぼ常温で貯蔵ができる、それから透明な八キロから十五キロの小袋で扱いやすいのだ、それからキヌサヤなどの未成熟なもの以外はどんな青果物でも利用できる、ことにキャベツ、白菜なんかの場合には、収穫直後に処理すれば一年間も保存ができる、こういった技術を開発したという報道がございましたが、科学技術庁としては、これを調査検討なさいましたでしょうか。
  88. 佐々木即

    ○佐々木政府委員 これは五月の十日の日経に出ておりました。私も拝見いたしました。内容をよく読みますと、かなり技術的に矛盾をしている点が少なくないということで、さっそく当該会社のほうに問い合わせをいたしております。それから、できればなるべく近い機会に、実際におやりになっておる機械ないしは貯蔵状況も拝見したいと思っておりますけれども先生の御質問があることを知りまして、間に合いませんので、電話で事情を聞くということもいたしました結果の総合判断と申しますか、そういうことを御報告申し上げます。  この新聞紙上から察せられまするこの内容の技術的な効果の分析といいますか、何をねらってどういうふうに効果が出たとおっしゃっておるのかということが問題であろうと思います。  大体三つに分けられまして、第一に包装効果、そう申しましても次のガス貯蔵効果以外のいわゆる密閉包装による効果がまずあげられると思いますが、この点につきましては、たとえば水分の蒸散を阻止するとか、荷いたみを防ぐとか、あるいは小売りの際店頭での見ばをよくする、あるいは小売りの際の取り扱いがスムーズにいくとかいう効果、これは疑いのないところでございます。そういう点がございますので、私どもの実験の中でも、フィルム包装をするということも取り上げて実施いたしております。  それから、問題は第二以下でございます。第二には、ガス貯蔵効果がここでうたってあるわけであります。確かにこのガス貯蔵による効果というのは一つございまして、この点は、貯蔵庫でこういうことを実施するということは、すでにアメリカでも洋ナシとかリンゴについてやっておりますし、日本でもリンゴは、農林省指導によりましてすでに実用化されておる。それから二十世紀、甘ガキにつきましては、先刻申し上げましたように、私どもはいま実験段階であります。なお、ミカンも実験をしておる団体があるわけでございますが、それは大きな貯蔵庫の中でガスをコントロールしながら貯蔵しておるということでございまして、なお多少実用化されておるものの中で、フィルム包装と組み合わせた方法として、日本で甘ガキをいたしております。これは〇・〇六ミリのポリエチレンのフィルムの中に入れて、零度で貯蔵しておるということでございます。これは炭酸ガス濃度が五ないし六%のところに自然にコントロールされまして、それで長く味を落とさないで保たれておるということでございます。ここの新聞にありますように、人工的に注入をするということは、どこでもやっておりません。ただ、これは問題がありまして、おおむねこのフィルムは、ガスが外と中とで交流がありますから、その間、甘ガキの日本の例などは、カキ自身が呼吸作用を自然にやっている中で、カキから出す炭酸ガスがフィルムを通して外部の空気と自然に交流しながら、濃度五ないし六%で自然にコントロールされていくというような形でものが進んでいくわけであります。それが新聞で伝えるように、人為的にガスを注入するということになりますと、逆に酸素の不足でカキの分子間呼吸が行なわれまして、ガスえそを起こして品物がだめになるというような点がございまして、この点はよほどはっきり詰めませんと、にわかには信用ができないという問題が前段階にございます。  なおまた、ここの新聞では、真空冷却の効果ということが一つあるのではなかろうか。その点では、真空冷却法というのは現にアメリカでも相当大量に扱っておりまして、大体二十分くらいで必要な温度に下げられるといったようなことはございますけれども、袋の中に入ったごく少量のものが、こういったガスの交換のできる袋の中で、真空状態にしたためにいきなり百度に下がるというようなことはちょっと考えられない。ここにも問題がございます。  なお、電話でただしましたところ、新聞にありますマイナス百度というのは間違いだとか、あるいは一年もつというのは一カ月のミスプリントであるとか、それから〇・七ミリは〇・〇七ミリの間違いだとか、いろいろ問題があるようであります。私ども決して新しい技術というものが、科学的な試験研究機関と申しますか、そういう場からしか出てこないものだときめておるわけではございませんで、決して無視はしておりませんが、電話で聞きましたりあるいは新聞の内容等から見て、にわかに、これがあるからといって、私どもがやっておる実験は根元から無意味なことになるというようなものではなくて、なお研究さるべき問題が多分にあるというふうに理解しております。今後ともこの会社の実際にやられた方の話を伺ったり見せてもらったりということで、私どもも勉強したいと思います。
  89. 有島重武

    ○有島委員 ただいまの科学技術庁のお話では、いろいろな成果があるわけでありますが、経済企画庁としては、物価対策の面から、こうした実験についてどのように評価されておるか、このことを伺いたいと思います。
  90. 中西一郎

    ○中西政府委員 いまお話にございましたように、すでに一年にわたっていろいろな実験が行なわれております。私ども一昨年来技術開発ということで、特に人手不足経済になっていくこれからの一般経済情勢を考えますと、人手に多く依存をせざるを得ない流通形態を続けていますと、いつまでたっても物価問題は解決しにくい要素があろうということで、四十一年度の予算を編成するときから、経済企画庁と科学技術庁と協力しまして、体制を整えてきたわけです。今後も同じような歩調で、よく全体の推移を見守ってまいりたいと思っております。  なお、科学技術庁の試験研究のほかに民間でいろいろな試みが進んでおります。たとえば、全購連が幾つかの府県で県の漁業協同組合連合会と提携しまして、魚のコールドチェーンの市場開発をしておる。あるいは冷凍魚協会が東京で五十数カ所ですか、展示をしてPRをしておる。あるいはまた、小さな会社ですが、神奈川県にあるある会社が、切り身を一人で一万切れといいましたか、非常に能率のいい作業ですが、これも近いうち機械化するということも言っております。台所へ行くころにちょうど食べごろの解凍ができておるというような技術開発。そのほか婦人団体でも、特にコールドチェーンに着目したという婦人団体が、いまメンバーを非常にふやしつつあるというような動きがあります。それぞれお互いに連絡をよくしながら、いい方向へ行くように見守ってまいりたいと思っております。
  91. 有島重武

    ○有島委員 経済企画庁としては、こうした実験に基づいて、これを将来用いていきたい、そういった方向に行っていらっしゃる、そういうお話でございますね。  農林省においては、この実験、いままで中間報告もあったと思いますけれども、これをどのように評価しておられるか。
  92. 小沼勇

    ○小沼説明員 先ほど科学技術庁の資源局長からお話もございましたが、四十一年度から科学技術庁が行なっておりますコールドチェーンの実験調査につきましては、農林省といたしましても、園芸試験場など試験研究機関が中心になりまして、全面的に協力をして進めておるわけでございます。もちろん、これは主として技術的な観点からの検討でございます。事例的な実験は、着手してからまだ数カ月しか経過しておりませんので、四十二年度も継続してやられることと思いますけれども、私どもその成果につきまして、現段階で必ずしも十分それが確実にいいというふうには判断しかねる段階でございます。今後も事例的な実験あるいは試験研究機関で技術的な問題の解明をいたしますとともに、またそのコールドチェーンの導入の経済面はどうか、経済的に一体それが有効であるかどうかという判断もあわせてやっていく必要があるだろうということで、わが国の食料品の生産から流通、消費に至る全体の形態の中で、その実情に合ったコールドチェーンのしかたはどうかということを検討して、いいものであれば入れていきたいというふうに考えるわけでございます。
  93. 有島重武

    ○有島委員 ただいまのお答えですけれども、これがいいものであるかどうか、経済的に採算が合うのであるかどうか、これから検討してやっていきたい、そういうようなことですか。すでにもう数年来これは問題になっておりますから、そういったことについてかなりの結論が出ておるのじゃないか、そう期待しているわけでございますが。
  94. 小沼勇

    ○小沼説明員 生鮮食料品と申しましてもいろいろございまして、牛鮮食料品の中でも魚あるいは肉、そういうものについてはすでにはっきりと効果が出ております。しかし、大体低温流通の仕組みで問題になりますのは、こういう試験をうまく有効的に使う、たとえば品質なり鮮度をどれだけ保持できるかという問題が一つあるわけです。また観点としましては、やはりどれだけ流通のコストが合理化できるかという問題になるわけでございます。産地で枝肉にして持ってくるというふうなことも当然やるわけで、そういうコストの面がございます。もう一つは、やはり価格の安定効果というか、ある程度時期を調節しながら出していく、そういう部面でも効果が考えられる。いろいろその利点はございます。しかし、片方でそういうものをやっていく場合には、相当包装の部面あるいは温度調節のしかた等、それぞれについて、決して常温で輸送する場合よりもコストが安くなるということではなくて、その部分のコストはやはりかかってくる。それよりも利点が多いという場合には、これはやはりいいのではないかということになってくるわけであります。しかして、それは野菜についてはどうだろうという問題が当然出てくるわけで、これにつきましては、もう少しいまの事例実験をやってみたその結果を見て判断すべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
  95. 有島重武

    ○有島委員 いまここでもって問題になっておりますのは、魚や肉のほうではなくて青果のことです。そしてコールドチェーンを実施するかどうかというその問題点については、ここで幾つかあげられましたけれども、これもすでに論議され尽くしている。わけであります。そして技術庁としては実験を繰り返している。技術庁のほかにもたくさんの実験がなされております。そのことについて、その評価を当然始められているんじゃないか、こう期待しているわけですよ。まだそういう研究をやってからそれを始めるというようなことは、やはりやる気がないな、そういうふうに思われてもしかたがないんじゃないかと思うのですね。それはどうでしょうか。
  96. 小沼勇

    ○小沼説明員 現在事例実験をやっておる段階で、特に御指摘のように、蔬菜、くだものにつきましてはこの点が問題になるわけでございます。技術的な問題は、同時に経済的にもはね返ってくる問題でございますから、その点は、やはり十分に慎重にその結果を見て判断をして、いいものであれば進めていくということになると思います。現在事例実験の段階でございます。
  97. 有島重武

    ○有島委員 いまここでもってお話がございましたように、見通しは明るいわけです。見通しが明るいだろうということは、やる前から大体わかっていたわけなんです。にもかかわらず事例実験をまだ云々されている。それをやってから評価する、そうなりますと、これは非常にこまかい精密なデータをつくる、それにはさらに実験を繰り返すことが必要だと思いますけれども、いままでの段階において、これをその方向に進めていくべきだとすれば、これは相当以前から、そうした実験と並行して、そのほうの経済的な調査といいますか、これも同時に進められていくのが当然であると思うわけであります。そういった点を伺いたい。
  98. 小沼勇

    ○小沼説明員 御指摘のとおり、技術面の解明は、科学技術庁を中心にして、農林省の試験研究機関も全面的に協力してやっておりますが、同時に、それが経済ベースに乗るかどうかという問題、あるいは流通組織としてどうかという問題もあるわけでございます。この辺を同時にやはり検討を進めていくべきであろうというふうに考えております。
  99. 有島重武

    ○有島委員 同時に進めていくべきであろうと考えるというのですけれども考えるのは、これは国民立場でありまして、これを実施していくのが農林省立場ではないでしょうか。それはみんな考えておるわけであります。農林省側も考えておるのだ、これではいつまでたっても進まないということになるわけですよ。これは速急に開始をしていただきたい、そして何らかの報告をもらいたい、このように国民は思っているわけであります。速急に始められるお考えがあるかどうか。
  100. 小沼勇

    ○小沼説明員 科学的な実験とあわせまして、できるだけ御趣旨に沿うように進めたいと思います。
  101. 有島重武

    ○有島委員 物価の問題は、国民は非常に早く解決したいと思っている。一挙に全部解決するということは、これはたいへんでしょうけれども、それこそ可及的すみやかにと望んでいるわけです。ですから、ただいまのお答えでありますけれども、これは期待しておりますから、近日中に一つのお答えをいただきたいと思います。よろしゅうございますね。
  102. 小沼勇

    ○小沼説明員 近日中にすぐ結論が出るというふうなことになるかどうか、この点はまだ即断いたしかねますけれども農林省といたしましてもできるだけ努力したい、こう考えております。
  103. 有島重武

    ○有島委員 こちらの望んでおるのは、決定的な、それこそ結論ということでなくても、少なくとも中間報告をいただきたい、そう願いますが、それは可能ですね。
  104. 小沼勇

    ○小沼説明員 できるだけ御趣旨に沿うように努力いたします。
  105. 佐々木即

    ○佐々木政府委員 実は、私の申し上げたところと関連することがありますので、ちょっと補足させていただきます。  この実験を開始いたしますときから、最初から農林省と相談いたしまして、そして市場あるいは農協等との相談も、みな農林省と相談をして、その口添えを得て進めたわけであります。また、実験を実施する機会に、産地の人も消費地に来て見てもらい、それから消費地の人も産地に行って見てもらう。と申しますのは、かなりこういうものに理解がありませんとなかなか仕事か進まない、あるいは間違って扱われるということもございますので、そういうふうに進めてまいりたい。あわせまして、いわゆる技術指導と申しますか、指導チームと申しておりますが、実は一緒に勉強するチームですが、それは農林省の技術者も入っておりまして、一緒に勉強していくということでございますが、これには、いま申しましたように、技術的には私ども非常に明るい希望を持っております。その点はっきりしております。  ただ問題は、実際に農林省なり各省がこれをやりますときには、末端までコールドチェーンに応じた施設を持たなければならぬ。たとえば小売り屋さんで申しますと、せっかく百万も金をかけて施設を持ったが、科学技術庁の実験の中で一品目か二品目しか品物が出されなかったということでは商売にならない。私どもこの一年で、一応昨年の予算の範囲内での品目を選びましたけれども、今年度はできればすっかり品物を変えて、小売り屋さんでこれの扱いをされるときに、店の立地によりましてお得意とする品物が違うと思うので、そういう意味での最小限度のメニューづくりということを考えております。そういった点が——大量のものを扱うという各省の側は、実験とは違いましていろいろまだ問題が残っているということはあると思います。  それからもう一つは、何と申しましてもコールドチェーンをやればやっただけコストがかかることは間違いない。それがロスといかにカバーし合えるかということと、もう一つは、いまの市場の農産物価格、生鮮食料品の価格というものは、コストから出てくるかん詰め式の値段ではなくて、むしろその日のその市における供給と需要の関係でものがきまってくるというような関係がございまして、コールドチェーンによって長期貯蔵のできるもの、それから、短期ではあるがとにかく保てるものという中で、コストをこえて引き合うものを選び、しかもそれは、どこから、何を、どれだけ、いつ運んでくるかということにからんでくることが多いと思います。その点を私どもも調査の中で、実験とは違いますが、農林省と相談しながらそういう分析をやっておりまして、その辺になお問題はあるということを御了承いただきたいと思います。
  106. 有島重武

    ○有島委員 いま、ロスが出るというようなお話がございましたけれども、どんな仕事でありましても、短期的に見れば、ロスのほうが多くてもうけはないわけですよ。私たちにしましても、一日だけ見れば、一日ただ働きなわけですが、一カ月で見るから、あとで給料をもらえるわけですよ。簡単な話でございますけれどもね。ですから経済企画庁にも伺ったわけですけれども、それはどの程度の長期計画を立てれば採算が成り立つのだとか、そういったことが当然あると思うのですね。そういった点を伺いたいと思うわけですよ。
  107. 小沼勇

    ○小沼説明員 いま資源局長からお話がございましたように、経済的な問題はいろいろまだ検討すべき問題がかなりあると思います。実験的な事例の段階でございますから、生鮮食料品の中でも、魚類あるいは肉類についてはわりにはっきりしておりますけれども、くだものなり野菜についてはなお問題がございます。これについては、やはりこの事例実験調査とあわせてその経済分析をやる必要があるだろう、かつ、流通組織自体も変わってくるはずでございますし、その辺についても検討する必要があるだろう、それは早急に検討を進めたいというふうに、先ほどもお答えした次第でございます。
  108. 有島重武

    ○有島委員 先日、コールドチェーンの実施上で第一の難点は、消費者側の冷蔵態勢が欠如しておるというような意見が出たことがあるのですけれども、これは科学技術庁としてはどういう御見解ですか。
  109. 佐々木即

    ○佐々木政府委員 おそれいりますが、私、御質問の趣旨がよくわかりませんけれども、コールドチェーンそのものが広く行なわれまして、そうして実施されるという段階において、コールドチェーンがコールドチェーンらしく効果を発揮するという問題の消費者側の点につきましては、主婦が日々夕方になると一日分の材料を買い出しに行くという形ではなくて、やはり貯蔵のきくものでございますから数日分を買って帰る。特に、冷凍食品につきましては相当長期にもつものでございますから、それをたくわえておいて、そして日々必要に応じて切って戻して使うというのが、コールドチェーンとしては一番その効果を消費者側で発揮する点であろうと思います。その点で問題があろうという御質問がちょっとわかりませんが、いまの生活態様の中で急にそれを期待して、大きい冷蔵庫を買わせるというような動きをするとかいうことになれば、それはかなり問題は残っておると思います。長い目で見てみた場合に、やはり都市の消費者の生活態様というものは、いま申し上げましたようなことで、だんだんに大量のもの——大量のものというのは大げさですけれども、相当のものを貯蔵しながら使っていくことに、主婦ないしは御婦人が外で働く機会がだんだんにふえてまいりますから、なおさらそういう点は、方向としてはコールドチェーンの中で、比較的多くのものを貯蔵しながらお使いになるというのが自然の姿ではなかろうか、かように理解しております。
  110. 有島重武

    ○有島委員 いま長い目で見たらというお話で、わかりました。それでは短い目で見ました現実の問題といたしますと、たとえば、冷凍して運んできた魚を常温の市場でもって扱っておりますね。それからいまのコールドチェーンの実験の段階でも、常温の市場でもって扱っておりますが、これが十分に使用に耐えるわけですね。ですから、完全な状態は将来の問題といたしまして、冷蔵庫がないということが第一番の難点ではないのじゃないか、こう私は思います。
  111. 佐々木即

    ○佐々木政府委員 これは品目によりましていろいろ違うのだろうと思いますが、たとえば青果物のようなものは、いまの段階では、実は実験店という制度を特に設けたわけでございます。それは、チェーンそのものが末端までいかないとチェーンにならない。卸の段階で切れてしまったのではいけない。ところが、いま実際に野菜の小売り屋さんの段階でそういう施設を持っていらっしゃるところはほとんどない。そこで、チェーンの実験をするために都内で十五店を指定いたしまして、国が施設を買って貸してやって低温保持の機能を持たせ、商品を低温のままで末端まで届けるということをやっているわけでございます。ただ実験という点からいえば、それだけで実験になるはずなんです。  ところが、従来魚屋さん等で見られましたコールドチェーンに対する危惧の念から出てくる反対とかいうことも考慮し、かつまた新しい青果物市場での御理解を求めるということも兼ねまして、同時に実験店の数をふやせばいいのですけれども、それは予算の都合でなかなか困難であるし、かといって産地のほうでは、実験店十五だけの数量のものを少量運んできたのでは、いわゆる実験にならない。少なくもトラック一ぱい程度のものを出荷するという中でいろいろな実験をしないと、量が少ないと単位にならないということから、いまの実験店とあわせて、実験店で消化し切れないものについてはあえて常温に戻して、市場で不特定多数の消費者に流すということをやるわけでございますが、これは戻しますと、水分を吸いましたりしてやはり見ばが悪くなる。たとえば北海道のニンジンなどが、そのために腐っているのじゃないかという誤解を招いたこともございました。しかし、それはコールドチェーンで結んで冷蔵庫に届けるよりはもたないわけです。常温品に比べてより長くもちますが、やはり最初に品温をうんと下げておくともちが違うわけです。これはどれだけもたせるかというねらいによっていろいろあると思うのです。いま私どもはチェーンとし生産地から消費者まで一貫して低温を保つことを実験で取り上げておりますが、またそれが一番もつわけでございます。
  112. 有島重武

    ○有島委員 価格という立場から申しますれば、やはりいまのお話のようなことになると思います。コールドチェーンといいますと、初めから終わりまで一つの鎖になっておらなければならないわけでありますけれども、実際の生活上の問題といたしますと、そうした実験の中でもって現実にどんどん用いていくことができる部分がかなり多いのじゃないかと思うわけであります。ですから、コールドチェーンを完全無欠に実施するにはどうしたらいいかという問題も、これは当然調査していくべきだと思いますけれども現実国民生活をいかに安定していくか、物価の問題としてこれをどういうふうに用いていくか、そういった点をも速急にいろいろと調査して、中間でけっこうでありますから結論を出していただきたい。  以上でもって質問を終わります。
  113. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 以上で、質疑は終わりました。      ————◇—————
  114. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  生鮮食料品の流通問題等について、参考人の出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の出頭要求の日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 戸叶里子

    ○戸叶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会