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1967-07-04 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月四日(火曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 森田重次郎君 理事 東海林 稔君       安倍晋太郎君    小澤 太郎君       大野 市郎君    鹿野 彦吉君       金子 岩三君    熊谷 義雄君       小山 長規君    坂田 英一君       坂村 吉正君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       藤田 義光君    湊  徹郎君       粟山  秀君    赤路 友藏君       伊賀 定盛君    兒玉 末男君       佐々栄三郎君    實川 清之君       柴田 健治君    島口重次郎君       芳賀  貢君    美濃 政市君       森  義視君    神田 大作君       中村 時雄君    斎藤  実君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         食糧庁長官   大口 駿一君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 六月三十日  委員島口重次郎辞任につき、その補欠として  渡辺惣蔵君が議長指名委員に選任された。 同日  委員渡辺惣蔵辞任につき、その補欠として島  口重次郎君が議長指名委員に選任された。 七月三日  委員中尾栄一辞任につき、その補欠として坂  村吉正君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員熊谷義雄君及び栗林三郎辞任につき、そ  の補欠として世耕政隆君及び芳賀貢君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員世耕政隆君及び芳賀貢辞任につき、その  補欠として熊谷義雄君及び栗林三郎君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十九日  消費者米価等引上げ反対に関する請願広沢賢  一君紹介)(第二〇二九号)  中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(米内  山義一郎紹介)(第二〇三〇号)  昭和四十二年産生産者米価に関する請願秋田  大助紹介)(第二〇三四号)  同外一件(荒木萬壽夫紹介)(第二〇三五  号)  同(井手以誠君紹介)(第二〇三六号)  同外二件(井出一太郎紹介)(第二〇三七  号)  同外十一件(石川次夫紹介)(第二〇三八  号)  同外五件(稲富稜人君紹介)(第二〇三九号)  同外一件(宇野宗佑紹介)(第二〇四〇号)  同外二件(植木庚子郎紹介)(第二〇四一  号)  同(小笠公韶君紹介)(第二〇四二号)  同(大竹太郎紹介)(第二〇四三号)  同(大野市郎紹介)(第二〇四四号)  同(大平正芳紹介)(第二〇四五号)  同外十件(神田大作紹介)(第二〇四六号)  同外十五件(金子岩三紹介)(第二〇四七  号)  同外十件(北澤直吉紹介)(第二〇四八号)  同外四件(木部佳昭紹介)(第二〇四九号)  同外十八件(久保田円次紹介)(第二〇五〇  号)  同外十件(工藤良平紹介)(第二〇五一号)  同外十件(藏内修治紹介)(第二〇五二号)  同外五件(黒田寿男紹介)(第二〇五三号)  同(小山長規紹介)(第二〇五四号)  同外一件(斉藤正男紹介)(第二〇五五号)  同外四件(坂田英一紹介)(第二〇五六号)  同外三件(塩谷一夫紹介)(第二〇五七号)  同(進藤一馬紹介)(第二〇五八号)  同外二十件(砂原格紹介)(第二〇五九号)  同外四件(高橋清一郎紹介)(第二〇六〇  号)  同外一件(田澤吉郎紹介)(第二〇六一号)  同外十二件(高田富之紹介)(第二〇六二  号)  同外九件(竹下登紹介)(第二〇六三号)  同外四件(綱島正興紹介)(第二〇六四号)  同外八件(床次徳二紹介)(第二〇六五号)  同外二十八件(永山忠則紹介)(第二〇六六  号)  同外十八件(中曽根康弘紹介)(第二〇六七  号)  同(永江一夫紹介)(第二〇六八号)  同(野原正勝紹介)(第二〇六九号)  同(芳賀貢紹介)(第二〇七〇号)  同外七件(橋本龍太郎紹介)(第二〇七一  号)  同外九件(原茂紹介)(第二〇七二号)  同外一件(福家俊一紹介)(第二〇七三号)  同外十一件(福永健司紹介)(第二〇七四  号)  同外十九件(橋本登美三郎紹介)(第二〇七  五号)  同外四件(船田中紹介)(第二〇七六号)  同外四十件(古屋亨紹介)(第二〇七七号)  同(保利茂紹介)(第二〇七八号)  同外四件(松浦周太郎紹介)(第二〇七九  号)  同(松澤雄藏紹介)(第二〇八〇号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二〇八一号)  同(安井吉典紹介)(第二〇八二号)  同外六件(遠藤三郎紹介)(第二〇八三  号)  同(八木昇紹介)(第二〇八四号)  同外四件(高見三郎紹介)(第二〇八五号)  同外五十三件(志賀健次郎君外二名紹介)(第  二〇八六号)  同外十四件(福井勇紹介)(第二〇八七号)  同外十件(浦野幸男紹介)(第二〇八八号)  同(相川勝六紹介)(第二一七六号)  同外七件(足立篤郎紹介)(第二一七七号)  同(井上泉紹介)(第二一七八号)  同外九件(石野久男紹介)(第二一七九号)  同外二十三件(上村千一郎紹介)(第二一八  〇号)  同(大坪保雄紹介)(第二一八一号)  同(小渕恵三紹介)(第二一八二号)  同外九件(小澤太郎紹介)(第二一八三号)  同(大野市郎紹介)(第二一八四号)  同外七件(海部俊樹紹介)(第二一八五号)  同(仮谷忠男紹介)(第二一八六号)  同(工藤良平紹介)(第二一八七号)  同(小平忠紹介)(第二一八八号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二一八九号)  同外三件(坂本三十次君紹介)(第二一九〇  号)  同外三件(篠田弘作紹介)(第二一九一号)  同外二件(田中龍夫紹介)(第二一九二号)  同外十八件(田邊誠紹介)(第二一九三号)  同外九件(田村元紹介)(第二一九四号)  同(田村良平紹介)(第二一九五号)  同外一件(竹本孫一紹介)(第二一九六号)  同外二十一件(登坂重次郎紹介)(第二一九  七号)  同外一件(堂森芳夫紹介)(第二一九八号)  同外二十四件(中垣國男紹介)(第二一九九  号)  同外八件(中野四郎紹介)(第二二〇〇号)  同(中村寅太紹介)(第二二〇一号)  同外五件(灘尾弘吉紹介)(第二二〇二号)  同外二件(西岡武夫紹介)(第二二〇三号)  同(福田一紹介)(第二二〇四号)  同外二件(古井喜實紹介)(第二二〇五号)  同外十二件(細田吉藏紹介)(第二二〇六  号)  同外十九件(松野幸泰紹介)(第二二〇七  号)  同(三池信紹介)(第二二〇八号)  同(安井吉典紹介)(第二二〇九号)  同(山下元利紹介)(第二二一〇号)  同(山田耻目君紹介)(第二二一一号)  同外七件(山中貞則紹介)(第二二一二号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二二一三号)  同外二件(吉田賢一紹介)(第二二一四号)  同外一件(渡辺栄一紹介)(第二二一五号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第二二一六号)  同(渡辺肇紹介)(第二二一七号)  同外十四件(池田清志紹介)(第二二一八  号)  同外五件(大竹太郎紹介)(第二二一九号)  同(藤本孝雄紹介)(第二二二〇号)  同(岡本茂紹介)(第二二二一号)  昭和四十二年産なたね基準価格に関する請願外  一件(小山長規紹介)(第二一七三号)  養ほう振興に関する請願高見三郎紹介)(  第二一七四号)  農業協同組合農事放送施設の助成に関する請願  (亀岡高夫君紹介)(第二一七五号) 七月三日  鳥類保護のため千葉新浜地区現状保存に関  する請願外一件(臼井莊一君紹介)(第二二七  八号)  同(千葉三郎紹介)(第二二七九号)  昭和四十二年産生産者米価に関する請願植木  庚子郎紹介)(第二二八〇号)  同外四件(中尾栄一紹介)(第二二八二号)  同外五件(大竹太郎紹介)(第二二八三号)  同外一件(大野市郎紹介)(第二二八四号)  同外七件(大橋武夫紹介)(第二二八五号)  同(太田一夫紹介)(第二二八六号)  同外四件(勝間田清一紹介)(第二二八七  号)  同(川野芳滿紹介)(第二二八八号)  同外十件(工藤良平紹介)(第二二八九号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第二二九〇  号)  同外四件(斎藤寿夫紹介)(第二二九一号)  同外二十七件(笹山茂太郎紹介)(第二二九  二号)  同外四件(正力松太郎紹介)(第二二九三  号)  同外一件(田村元紹介)(第二二九四号)  同(高田富之紹介)(第二二九五号)  同外七件(谷垣專一君紹介)(第二二九六号)  同外二件(塚田徹紹介)(第二二九七号)  同外六件(辻寛一紹介)(第二二九八号)  同(坪川信三紹介)(第二二九九号)  同(中澤茂一紹介)(第二三〇〇号)  同(芳賀貢紹介)(第二三〇一号)  同外三件(橋本龍太郎紹介)(第二三〇二  号)  同外三十三件(三ツ林弥太郎紹介)(第二三  〇三号)  同(森本靖紹介)(第二三〇四号)  同(安井吉典紹介)(第二三〇五号)  同外二件(渡辺肇紹介)(第二三〇六号)  同外一件(齋藤憲三紹介)(第二三〇七号)  同外三件(小沢貞孝紹介((第二三〇八号)  同(折小野良一紹介)(第二三〇九号)  同(小平忠紹介)(第二三一〇号)  同外二十件(丹羽喬四郎紹介)(第二三一一  号)  同外四件(吉田賢一紹介)(第二三一二号)  同外二件(青木正久紹介)(第二三五〇号)  同外十二件(赤城宗徳紹介)(第二三五一  号)  同外六件(井村重雄紹介)(第二三五二号)  同外一件(伊賀定盛紹介)(第二三五三号)  同外一件(小川半次紹介)(第二三五四号)  同外一件(小澤太郎紹介)(第二三五五号)  同外七件(大竹太郎紹介)(第二三五六号)  同(太田一夫紹介)(第二三五七号)  同外二十五件(久野忠治紹介)(第二三五八  号)  同外五件(工藤良平紹介)(第二三五九号)  同(小平忠紹介)(第二三六〇号)  同外八件(高橋清一郎紹介)(第二三六一  号)  同外二件(塚田徹紹介)(第二三六二号)  同(西岡武夫紹介)(第二三六三号)  同(安井吉典紹介)(第二三六四号)  同(柳田秀一紹介)(第二三六五号)  同外一件(山口敏夫紹介)(第二三六六号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第二三六七号)  同外三十三件(渡辺肇紹介)(第二三六八  号)  同外二件(石田博英紹介)(第二三六九号)  同外二十二件(有田喜一紹介)(第二四〇八  号)  同外二十六件(板川正吾紹介)(第二四〇九  号)  同外二十五件(江崎真澄紹介)(第二四一〇  号)  同(太田一夫紹介)(第二四一一号)  同外八件(大竹太郎紹介)(第二四一二号)  同(大野市郎紹介)(第二四一三号)  同外五件(加藤六月紹介)(第二四一四号)  同外一件(工藤良平紹介)(第二四一五号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第二四一六  号)  同外一件(田村元紹介)(第二四一七号)  同外一件(中馬辰猪紹介)(第二四一八号)  同外三件(塚田徹紹介)(第二四一九号)  同外十三件(中尾栄一紹介)(第二四二〇  号)  同(中村重光紹介)(第二四二一号)  同外一件(長谷川四郎紹介)(第二四二二  号)  同外六件(橋口隆紹介)(第二四二三号)  同外三件(畑和紹介)(第二四二四号)  同外十一件(堀川恭平紹介)(第二四二五  号)  同外十三件(村山喜一紹介)(第二四二六  号)  同(安井吉典紹介)(第二四二七号)  同外一件(山下元利紹介)(第二四二八号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第二四二九号)  昭和四十二年産生産者米価に関する請願外一件  (澁谷直藏紹介)(第二二八一号)  同外一件(天野光晴紹介)(第二三四九号)  同外三件(齋藤邦吉紹介)(第二四三〇号)  昭和四十二年産生産者米麦価に関する請願(阿  部喜元紹介)(第二三一三号)  同(井原岸高紹介)(第二三一四号)  同(高橋英吉紹介)(第二三一五号)  同(關谷勝利紹介)(第二三一六号)  土地改良区の職員給及び事務費に対する財政措  置に関する請願三池信紹介)(第二三四四  号)  昭和四十二年産なたね基準価格に関する請願(  秋田大助紹介)(第二三四六号)  同(川野芳滿紹介)(第二三四七号)  同外五件(山中貞則紹介)(第二三四八号)  同外十一件(宇野宗佑紹介)(第二四〇六  号)  同(中馬辰猪紹介)(第二四〇七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を  改正する法律案内閣提出第一二〇号)  農林水産業振興に関する件(昭和四十二年産  麦の政府買価格及び麦の標準売渡価格等)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  昭和四十二年産麦政府買い入れ価格及び麦の標準売り渡し価格米価審議会答申等について、政府から説明を聴取いたします。大口食糧庁長官
  3. 大口駿一

    大口政府委員 去る六月二十七、二十八両日に麦の米価審議会を開催いたしまして、本年産の麦の政府買い入れ価格並びに麦の標準売り渡し価格について御審議を願いまして、二十八日に米価審議会から答申をいただきました。引き続いて検討いたしました結果、六月三十日付で、本年産買い入れ価格並びに麦の標準売り渡し価格について最終的な決定に至りましたので、米価審議会に対する諮問案考え方並びに答申等につきまして御説明をいたしたいと存じます。  御承知のように、麦の買い入れ価格は、食糧管理法の第四条ノ二の規定に基づいて決定をいたすわけでございますが、ここ数年来、この規定に基づきまして、パリティ価格に基づいて麦の買い入れ価格決定いたしてまいったのでございます。御承知のように、農業パリティ指数というのは、食糧管理法施行令にきまっておりまする算式算定をされまする指数でございまして、この指数の性格を一口に申し上げますならば、農家の購入する物品あるいはサービス等物価動向指数であらわすものというふうに一口で申せるかと思います。  そこで、現在の食糧管理法によりますれば、この農業パリティ指数というのは、昭和二十五、六年を基準年次といたしまして、百分比の数字で出すということになっておるわけでございますが、この指数計算いたします場合に、農家が実際に購入いたしておりまする品目の種類、並びに、その品目指数計算いたしまする場合にどのようなウエートを持っているかということによって指数計算をいたす仕組みになっておるわけでございますが、現在までの指数は、昭和二十五、六年を基準年次といたしまして、昭和三十二年並びに昭和三十五年にそれぞれ農家支出構造の変化に伴いまして採用いたしまする品目並びにウエート決定いたしまして、今日に及んでおったのでございます。したがいまして、先般の麦価決定いたしまする直前の時点では、昭和三十五年の農家支出構造を反映する農業パリティ指数というものが算式最後についた算式になっておったのでございます。ところが、昭和三十五年以降のわが国の経済の急速なる変遷に伴いまして、農家経済も非常に変貌を遂げたのでございます。そこで、この最近における農家支出構造と、現在までの農業パリティ指数計算いたしまする基礎品目並びに支出状況等が、実態を反映しにくくなった状態があらわれてまいっておりましたので、農林省といたしましては、なるべく早い時点において現在の農家支出構造農業パリティ指数に正しく反映するような仕組みに改めるべきであるということを考えておったのでございますが、他方、農業パリティ指数と同様に他の政府機関の扱っておりまする指数、たとえば労働省の賃金指数でありますとか、小売り物価指数でありますとか、あらゆる指数がございますが、昨年統計審議会においてこれらの指数基準年次をどうするかという問題で御審議を願いました結果、なるべく早い機会に各指数基準時点昭和四十年に改めてそろえるほうがよろしいという趣旨の御答申をいただいたのであります。この御答申に基づいて、現在各省においては、ほとんど大部分が三十五年のウエートになっております指数を四十年のウエートに改めるべく作業をいたしておりまして、小売り物価指数のごときはすでに四十年のウエートに切りかえて発足いたしております。まだ準備中のものもございますが、おそらく本年中には相当部分指数が全部四十年のウエートに切りかわるという作業が行なわれるものと思っております。このような状況もございましたし、また昨年の米価審議会におきましては、明年からパリティ指数ウエート改正を実施いたしたいという旨を申し上げておったのでございます。ところが、農家支出構造を反映するための作業と申しますと、私どもは、農家経済調査に基づいて、農家が各品目にどれだけの金額を支出しているかという計算をして、それでウエート計算するという手順になりますので、昭和四十年の農家経済調査がまとまったその数字基礎作業をいたしますので、昨年の麦の価格決定いたします際にはその基礎データがそろっておらなかったということから、本年の米価審議会の前に新しいウエートによる農業パリティ指数計算を完了いたしておったのでございます。  そこで、本年の政府買い入れ価格算定にあたりましては、この農業パリティ指数がいま申しましたような背景で改定をいたした上で、その新しい指数で麦の政府買い入れ価格計算いたしたいという問題が、一つ例年と違った問題としてつけ加わったのでございます。ところが、農業パリティ指数というのは、一定の年次支出構造をもとにして、その後数年間の価格動向指数ではじきますために、通常各消費者はできるだけ安い品目に向かって選択をするということが働きまする関係上、パリティ指数ウェート改正いたしますと、指数としては下がるという形に相なるのでございます。これは現在農業パリティ指数がとっておりまするラスパイレス式の式をとっておりますることから来る現象であろうかと思います。そこで、いま申しましたような新しいパリティ指数でやりますと、本年の麦価をはじきますための基礎時点である本年の五月の農業パリティ指数が、変更しない場合にはじいた場合の農業パリティ指数よりも、相当低く出るということがはっきりといたしたのでございます。そこで、昨年は御承知のように改正前のパリティ指数の昨年五月の指数麦価がはじかれておるわけでございますので、その昨年の五月の旧パリティ指数と本年の五月の新パリティ指数とを比較いたしますと、パリティ上昇率が三・一三%というきわめて低い率にならざるを得ないという事態になったのでございます。御参考までにパリティウェートを改定しなかった場合の昨年の五月と本年の五月との指数アップ率は六・二六%で、ちょうど半分くらいにしか上がらないということになったのでございます。そこで、最近の麦の買い入れ価格パリティ価格によって決定をするという趣旨をここでるる申し上げるのも時間の関係でいかがかと思いますが、理屈理屈といたしましても、現実に成立をいたしておる昨年の価格と本年の価格との関係は、伸び率が非常に小さいということは、農家経済上も問題でありますし、また、かりにいまの指数理屈から申しましても、最近の支出構造を反映した形でやってももう少し高い指数伸び率になるはずである。と申しますのは、新しいウエート計算をした去年の五月とことしの五月の比率——もしかりに去年の五月から新パリティになっておったとした場合にどれだけ伸びておったかということで計算しますと、四・五二%になるのでございます。したがいまして、昨年現実に成立しておる価格と本年の価格との関係は、もしかりに最近の支出構造を反映しておったとするならば、三・一三%ではなくて、四・五二%だけ上がっておるはずであるということから、パリティウエート改正に伴う著しい影響を緩和する配慮ということで、いま最後に申しました四・五二という数字調整をいたしまして、そこで本年の麦価をきめていただいてはどうかということを内容とする御諮問をいたしたのでございます。  これが買い入れ価格についての御諮問でありまして、具体的に価格で申しますならば、大麦につきましては一俵二千三百二十六円、裸麦で三千百五十八円、小麦で三千三十四円、それぞれ前年の価格に対しまして大麦で百円、裸麦で百三十七円、小麦で百三十二円の引き上げということを内容とする原案を作成いたしまして、米価審議会に御諮問をいたしたのでございます。  そこで、このパリティウエート改正をするという問題並びに調整措置を講ずるという問題について、種々御議論がございました。価格伸び率が非常に少ないという観点から、現行パリティのままではじくべきであるという御意見、また、農業パリティ指数ウェート改正については理論的にも非常にむずかしい問題であるのに、十分の審議の時間がないという御意見、また、パリティは従来からそういうことになっておるのだから、むしろ新パリティのままではじくべきであるという御意見、いろいろ御意見がございました。しかし、御意見の末、最後答申になったのでございますが、その答申の案文は、お手元にお配りいたしております答申の第一項目にございますように、「現行パリティ指数による額を基準とすべきであるとの意見もあるので、新パリティ指数による場合には、現行パリティ指数による額をも参酌し、再生産の確保を旨として善処されたい。」という御趣旨答申と、それから、パリティウェート改正について十分な審議の時間がないのはきわめて遺憾であるという趣旨の御注意をいただいたのでございます。  そこで、農林省といたしましては、このような審議経過並びにいただきました答申を勘案いたしまして、先ほど諮問説明のときに申し上げましたように、新パリティ指数そのものではなくて、新パリティ指数の去年とことしの指数伸び率である四・五二%の伸びできめるという考え方を採用いたしまして、六月三十日付で決定をいたしました麦の価格は、いま申しましたような形で告示をいたしたのでございます。  次は売り渡し価格でございますが、御承知のように、麦の売り渡し価格は、食糧管理法の第四条ノ三に基づいてきめることになっております。この考え方もかいつまんで申し上げますと、家計麦価というものを上限といたしまして、この範囲内で対米価比に基づいて算出をする価格基準としてきめるのが従来の慣例でございます。家計麦価と申しますのは、家計費伸びから算出をいたしまして、家計伸び範囲内で麦の消費者価格を押さえるという観点から上限を画するのでございます。最近数年間の麦の政府売り渡し価格は、麦製品価格安定並びに麦の加工段階における加工経費上昇等に基づきまして、年々据え置きもしくは若干の引き下げを経て今日に至っておるわけでございますので、この家計麦価上限という機能は実際問題としてはほとんど働いておらないで、むしろ対米価比による計算ということで麦価が大体きめられておったのでございます。本年も同様に対米価比計算をいたしまして標準売り渡し価格をはじきましたところ、ほぼ前年と同様の水準であるという計算ができましたので、一応基本的にはほぼ前年と同様の水準であるということをもととして、これから後に申し上げます配慮を加えて若干の値引きをいたして決定をいたしたということでございます。  そこで、その配慮というのは二つございます。まず第一は、麦の管理改善対策というものを今後実施していこうということに伴う問題と、それからもう一つは、外国産の小麦の銘柄間格差を国内において若干手直しをいたしたいという問題と、二つございます。  そこで、まず、麦の管理改善対策の問題でございますが、現在の麦の管理制度は、御承知のように昭和二十七年に食糧管理法改正しまして、麦が間接統制になって、一応たてまえといたしましては、麦の自由流通を前提として一定の水準で価格を設定しておいて、その価格である限りは無制限に買い入れをするというのが現在の麦の制度の根幹であろうかと思いますが、その時点以来今日まで十五年を経ておりますが、麦の買い入れ価格パリティ価格を下回ることを得ずという規定になっております関係もありまして、年々買い入れ価格が引き上げられておる。これに対して売り渡し価格は、消費者価格の安定という見地から、年々据え置きもしくは若干の引き下げを行なっておるということから、現時点においては、買い入れ価格売り渡し価格が非常に大きな逆ざやになっていることは御承知のとおりでございます。このような事情から、間接統制とは申しますものの、ほぼ全量の麦が政府に集まっておる。むしろ直接統制に近い形になっておる現状でございます。  しかしながら、麦の生産面に目を転じますと、麦の生産がわが国の農業経営において裏作であるということから従属的な地位を持っておるということ、並びに麦の生産性が、経営規模が非常に零細であるということに基づいて非常に低いということから、年々麦の耕作面積は減少の一途をたどっておるのでございます。  そこで、先ほど申しましたような直接統制に近いかっこうになっておりますことの結果、麦の生産者と麦を加工する需要者との間には、ほとんど直接的には結びつきが何もないのが現状でございまして、麦の生産地が、需要者の面から見て、立地条件、品質等から見て、はたしてどの麦がより需要が強い麦であり、どの麦がさほどでもないということが需要面から全然反映しない。また、需要の面から申しますと、需要者のほうが工場の立地条件その他からして企業を合理化する場合に、現在政府が全面的に原料を管理をいたしておるという状態では、加工業界全体の合理化などという機運が生まれにくいというようなことから、昨年以来米価審議会の御建議に基づきまして農林省で鋭意研究をし、また、関係の業界、農業団体とも御相談いたしまして、麦の管理対策を若干改善をする。骨子としましては、生産者と消費者の間であらかじめ契約を結んで、その契約を尊重して政府は麦の買い入れ、売り渡しを行なうということによりまして、主産地における麦の生産がいまのように全国一律に減っていくというようなことを防いで、ほんとうに必要とする麦の確保をはかりたいということをねらいとする制度でございます。この新しい改善された制度のねらいはいま申しましたようなことでございますが、他方、現在の食糧管理法に基づく麦の無制限買い入れ制度というものはそのまま残しておくわけでございますので、直ちに麦の生産の切り捨てというようなことを意図しておるのでないことは申すまでもないことでございますが、そういうような制度に移り変わります場合に、契約の対象になりました麦については、需要者から一定額の生産奨励金を交付をするということを考えておるわけでございます。この生産奨励金の交付という事態は、現実には明年度以降に起こるかと思いますが、この生産奨励金を需要者が負担するということは需要者にとっては新たな企業負担になるわけでございますので、この支出をスムーズにするという見地から、麦の売り渡し価格から契約奨励金と申しますか、生産奨励金の負担増分を全部の麦にならして一定額の値引きをするということを考えておるのでございます。このために、トン当たり百七十八円の値引きをするということがいかがかということがまず第一点でございます。  それから第二点は、外麦の銘柄間格差の是正の問題でありますが、現在の食糧庁が輸入をいたしております麦は、カナダ、アメリカ、オーストラリアと、いろいろな国から小麦を輸入し、いろいろな品質の小麦を輸入いたしております。あまり長くなりますので、かいつまんで申し上げますが、麦には御承知のようにハード系の小麦とソフト系の小麦、簡単に申しますと、パン用がハード系で、めん用がソフト系というふうに御理解いただけばいいと思いますが、いろいろな種類の麦を輸入いたしております。その種類によって国際市場においてはそれぞれ品種間格差というものが生じておるわけでございます。ところが、国内にそれを買いまして売り渡します場合には、それぞれの品種の間の格差というものは、主として内麦との品質格差というものに着目をして売り渡し価格がきめられておるのでございます。内麦は御承知のようにソフト系の小麦でありますので、これと最も近いアメリカのウェスタンホワイトというソフト系の小麦価格をほぼ同一に置きまして、それから歩どまりその他の品質面だけに着目をして上下に開いておるということから、相対的に見ますと、国際市場で通用いたしております諸外国の銘柄間格差の開きの幅よりも非常に狭い幅の格差で麦が国内で売られておったということになるのでございます。これは水準の問題ではなくて、銘柄間の格差の問題でございますが、その結果、外国ではカナダのマニトバのハード小麦というのが非常に上等な小麦ということで非常に割り高な小麦になっておるのでございますが、国内でいま申しましたような観点で銘柄間格差ができております関係上、パン用の原料としてのハードのマニトバ小麦というものが比較的割り安に売られておったという現実がございます。その結果、ハードの小麦に国内の加工業者の需要が殺到いたしまして、最近の傾向としては、ハード系の小麦の要輸入量の率が年々非常にふえておるという実態になっておるのであります。そこで、食糧庁といたしましては、カナダの高い小麦を国内の需要があるためにやむを得ず——と言うことばが若干表現がオーバーになるかもしれませんが、一定数量をどうしても買わなければいかぬということで、むしろ外国の競争を生かして同じハードの小麦であればカナダにとらわれずアメリカの小麦あるいは豪州の小麦というような選択を若干阻害をされているという実態にあったのでございます。最近の国際的な小麦の需給事情からいたしますと、非常に一ころの過剰時代を過ぎまして、むしろ今後は需給がほぼ均衡する状態がここ数年間は続くのではないかというふうな見通しもある際でございますので、できるだけ諸外国の競争を有利に利用して麦を買い付けるということが、わが国の国際収支の面からも、また食管特別会計の収支の面から申しましても望ましいと思うのでございますが、いま申しましたような事情はできるだけ是正をいたしたい。しかし、急激にやることは、長年にわたって成立いたしました需要構造に急激な変化を与えますことになりますので、徐々にやってまいりたいということで、本年はその第一着といたしまして、ハード系の小麦を若干引き上げ、ソフト系の小麦に若干手直しをして、全体の水準としてはほぼ変わらないようにするというような、こまかい銘柄間の整理をいたしたのでございます。ところが、ハード系の小麦の原料値上がりに伴ってパンの原料の小麦価格が値上がりになるということから、一般家庭生活に直接影響の大きい食パンの価格等に影響があるということは、他面物価対策上も問題でありまするので、一定の金額をパンの業界に消費宣伝その他の費用に充当するように交付をすることによって、原料の価格が値上がりをすることが即二次製品の価格の値上がりに響かないような対策を講じてはいかがかという配慮から、小麦価格全体からトン当たり四十一円の価格を値引きをいたしまして、これを積み立てていまのような配慮に使用してはどうかということを考えたのでございます。そこで、標準売り渡し価格は、ほぼ前年据え置きの価格基準といたしまして、いま申しました生産奨励金のためのトン百七十八円並びにパン対策費のためのトン四十一円というものをそれぞれ値引きをいたしまして、いまのような配慮を加えてはいかがかという趣旨で、昨年の価格よりも引き下げた額の売り渡し価格を御諮問いたしたのでございます。もちろん、いまの価格を御諮問いたしまする前提としては、いま申しましたような麦管理改善対策並びに外麦の格差是正を実施するということを背景として御諮問いたしたのでございますが、これに対する御答申は、配付をいたしております答申の第二項にございますように、全体としてはやむを得ない、しかしながら、麦管理改善対策の実施については、農業団体その他の関係者と十分協議をして円滑な実施を期するようにしてほしいということが第一点、第二点としましては、二次製品の価格の値動きについては十分な配慮を加えるという趣旨の御意見をいただきまして、政府といたしましては、ほぼ諮問の原案を御承認いただいたということで、諮問案どおりの価格決定いたしたのでございます。  なお、米価審議会におきましては、麦の生産事情が年々減少いたしておるということから、政府の麦の生産対策というものが毎年審議会で御論議をいただいておるわけでございまするが、本年は特に、抜本的な対策を今後至急に講ずる必要があるということから、別途建議をちょうだいいたしまして、この抜本対策を講ずる趣旨を御鞭撻をいただいたのでございます。私どもとしては、早急にこの御建議に基づいた検討を省内をあげて実施をしてまいりたいというふうに考えております。  以上が本年の麦の価格諮問答申並びに政府決定内容の概要でございます。
  4. 本名武

    本名委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。東海林稔君。
  5. 東海林稔

    ○東海林委員 ただいま大口食糧庁長官から、今年度の政府の麦買い入れ価格並びに政府標準売り渡し価格について決定までの経緯を含めて報告があったわけでありますが、私は、こまかいことは別としまして、政府がこのような決定をしたことに関連しまして、基本的な考え方について若干お尋ねいたしたいと思います。  まず第一は、いまのパリティ指数の問題でありますが、いろいろといま御説明もございましたし、また米審でも非常な御議論があったということでございますから、私はこまかい点に触れることを避けますが、ただ、一つ伺いたいことは、このパリティ計算につきましては、食管法の施行令の附録の第一に計算方法が出ておるわけですが、御説明をいただきますと、新しいパリティでは三・一三の上昇に対して実際には四・五二、調整をしてこういう数字にした、こういうことでございますが、この施行令の附録の算式との関連はどういうふうに理解したらいいのでございますか。これは新たに新しい算式をここに出したことになりますか。さらに、この調整というようなものは、算式の中には私はないように思うのですが、この関係をどういうふうに理解したらいいのでしょうか。
  6. 大口駿一

    大口政府委員 食管法の施行令算式は、式が三つ四つかかっておりますが、昭和三十二年のウエート計算をする部分と三十五年で計算をする部分と、それから一番基準部分の式と、三つを掛け合わした式からなっておりますが、今度の改正というものは、四十年のウエート計算をする式をさらに追加をして、四つの掛け算になるという式に改正をするということを内容といたしておるわけでございます。そこで、この改正をいたしました時点から、いわゆる農業パリティ指数というものは、ことしの四月から新しいウエート計算をした指数に全部移りかわるということになるわけでございます。したがいまして、パリティ価格というものを改正後の政令が発効した時点で見ますと、先ほど申しました実際の伸び率としては三・一三になる。この数字だけがパリティ価格ということになるのでございます。そこで、非常に影響が大きいので、調整をする配慮として、別途参考のために、新しいパリティ指数が去年の四月から発効しておったとすれば、その指数ではどういう伸びであるかということを別途計算をいたしますと、四・五二でございますので、四・五二という数値に補正をして、調整をして諮問原案をつくったという趣旨でございます。
  7. 東海林稔

    ○東海林委員 よくわからないのですが、まず第一点の四十年の数字をとるということについては、すでに付表の改正の手続は済んでおるわけですか。
  8. 大口駿一

    大口政府委員 ウエート改正についての米価審議会の御審議を経ました翌日の二十九日に政令改正をいたして、その政令改正に基づいて三十日に麦価決定しておるという順序でございます。
  9. 東海林稔

    ○東海林委員 もう一つ、調整係数の問題ですが、これは算式に出ておらない、こういうことですが、そういたしますと、食管法の第四条ノ二との関連はどういうふうに理解したらいいのでしょうか。
  10. 大口駿一

    大口政府委員 四条ノ二では、「生産事情其ノ他ノ経済事情ヲ参酌」するということ、それからパリティ価格を下回ることを得ずということになっておるわけでございます。従来はパリティ価格そのものできめておったのでございます。本年は価格の激変を緩和するという配慮を加えたわけでございまして、しいて法律の条文に根拠を求めれば、経済事情を参酌したというふうに私どもは理解をいたしております。
  11. 東海林稔

    ○東海林委員 しいて条文との関連を求むれば、そして私どもは理解しておる、こういうような話はおかしいですね。法律の条文にちゃんとこれによってきめなければならぬことになっているのですから、しいてそこに関連を求めればこういうふうに理解しておるという言い方は、私どもは納得できませんが、もっとそれを明確にしてもらいたいと思います。
  12. 大口駿一

    大口政府委員 非常に簡略に申し上げ過ぎたかと思いますが、もちろん、食糧管理法に基づく麦の価格は、生産事情、経済事情等を参酌して、従来もきめておったというたてまえでございます。そこで、麦の生産事情は、先ほど御説明の際にも申し上げましたように、最近では非常に生産性が低いために、生産が必ずしも十分ではないということで、価格面で生産事情を参酌するという必要が一方にあるかもしれないと思いますが、しかしながら、逆に経済事情といたしましては、現在の国内の麦の買い入れ価格売り渡し価格に大幅な逆ざやが存しておるということとか、あるいは外国の小麦との開差がますます開く一方であるということ等の経済事情を参酌いたしました結果、パリティ価格そのものできめるという方針が過去の方針であったと思いますが、本年も同様な方針でまいりますならば、新しい改定後のパリティ指数そのものずばりできめるということになろうかと思いますが、それにさらにことしは経済事情という点で、いまのパリティ価格ウェート改正に伴う伸び率の低下というものを新たに加えて決定をする。しかし、その新たに加えた配慮はどの項目にあてはまるかと申しますと、経済事情の配慮というものに一つプラスアルファとして加えたという意味をしいてということばで申し上げたのが若干誤解を生みまして、はなはだ恐縮でございますが、そういう趣旨に考えております。
  13. 東海林稔

    ○東海林委員 そうすると、いまの答弁からいうと、この法文との関連においては、パリティ指数の修正ではなしに、経済事情を参酌した、こういうふうにいまの御答弁は解釈できるのですが、その解釈で間違いありませんか。
  14. 大口駿一

    大口政府委員 パリティ価格そのもので決定をするという方針に、本年の特殊事情として経済事情をさらにつけ加えて参酌をしてきめた価格というふうにお考えいただきたいと思います。
  15. 東海林稔

    ○東海林委員 念を押すようですが、そうすると、いまの答弁からいくと、指数は三・一三をとる、経済事情を参酌した結果が四・五二になった、パリティ指数としては三・一三だ、こういうふうになりますね。
  16. 大口駿一

    大口政府委員 そういうことだと思います。
  17. 東海林稔

    ○東海林委員 それから、もう一つお伺いしますが、第四条ノ二で、ここに書いてあるわけですが、特に私が伺いたいことは、「再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、こういうことになっておるのですが、今回の買い上げ価格は、これでもって現在の麦の再生産が確保できるという自信でもってきめられたのかどうか。当然法律からいえばそうでなければならぬと思うのですが、その点について明確に御答弁願いたいと思います。
  18. 大口駿一

    大口政府委員 再生産の確保を旨としてという規定は、現在価格支持制度をとっておりまするいろいろな農産物の価格決定する条文に見られる表現でございますが、私どもの理解といたしましては、この「再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」ということを考えます場合の基礎となる生産費というものは、農産物そのものの生産事情並びにそれぞれの農産物を取り巻く経済事情等によって、必ずしも一様ではないというふうに考えております。麦の場合につきましては、私どもが考えております生産費と申しますのは、主産地において商品生産を主とする麦作農家生産費というものが、麦の価格でカバーできるということを目途として考えるべきではないかということが従来からの考え方でございまして、本年もそのようなことを念頭に置いた次第でございます。現在の麦の価格と主産地における商品生産を主とする麦の経営の生産費との関係は、たとえば北関東の小麦等につきましては、おおむね各階層とも生産費をほぼカバーしておる。しかしながら、麦の生産が逐次生産性の高い地域から生産性の低い地域へ重点が移っておるような地帯においては、必ずしもこの生産費をカバーし得ないという実態ができておりますが、基本的には価格政策と、ただいま米価審議会の建議に申されましたような生産対策とを並行して行なうことによって、一方においては生産性の向上をはかり、一方においては価格についてはいま申しましたような考え方麦価をきめてまいっておるというのが従来からの考え方であり、本年も同様な考え方でまいっております。
  19. 東海林稔

    ○東海林委員 農林省調査した生産費を償う価格だから、それで再生産が確保できるのだ、こういう考え方のようにいまちょっと聞いたのですが、生産費の内容にも非常に問題があるわけですよ。しかしながら、私は群馬なんですけれども、御承知のように、群馬でも、主産地であるけれども、麦はどんどん減っているということです。これは、これまでの農林省の麦の買い上げ価格というものが再生産を償っておらぬということを現実にあらわしているのじゃないか、こう思うわけです。したがって、そういう点から見れば、いままでの麦価のきめ方というものは、生産費というものに問題があるんだが、それはともかくとして、現実には再生産を償っていないからだ、こういうふうに私は理解しているわけなんです。したがって、ことしは、これまで何回もいろいろと建議等もあったんだから、少なくとも生産対策とあわせて、麦価決定にあたっては、再生産を償うという法律の条項をそのとおり実現できるような考慮の上で、麦価というものはきめられてしかるべきじゃなかったろうか。現在の麦が非常に不振だということは、やはり基本的には、農業基本法の決定の際に、選択的拡大として畜産とか果樹というものに力を入れ、しかし、米麦というものを相当軽視して、特に麦作についてはむしろ減作というような政府の態度を示したことが非常に影響した。したがってまた、その後における政府の麦作に対する対策というものも非常に消極的であった。そういう点に問題があると思うので、麦作に対する政府の政策、態度というものを根本から変えなければ、これはなかなか容易でないということは私もわかるわけですけれども、しかし、少なくとも法律にこういうふうに書いてある以上は、麦価決定する場合には、やはり法律の趣旨に沿うような考慮がされるということが当然であろうと思うのです。したがって、昨年までに麦価をきめた場合と、今年の麦価決定にあたって、政府決定の際の基本的な態度に何か変わりがあるのかないのか、いままでと同じような考え方麦価をきめたとすれば、やはり麦作というものは従来どおりさらに減退を続けるのではないか、こういうふうに私は心配するものですから、特に何か今年の麦価決定にあたって従来と違った積極的な考え方を持って麦価をきめたのであれば、その点を明らかにしてもらいたい、こう思うわけです。
  20. 大口駿一

    大口政府委員 お答えいたします。  政府買い入れ価格決定の基本的な考え方は、昨年と本年とで大きく違ったところはございません。しかしながら、先ほど麦の管理改善対策の内容をかいつまんで申し上げたのでございますが、この制度のねらいといたしまするところは、現在のように、主産地もそうでないところも一律に麦の生産量がどんどん減っていくということでは、非常にゆゆしき問題であるということから、麦の契約ということを通じまして、主産地のほんとうに内麦として需要される地域の麦について、生産奨励金の交付等を考えまして、生産対策とあわせてそのようなてこ入れをしてまいろうということが、一つのねらいでございますので、このような考え方を具体的に織り込んで諮問いたしたという点では、昨年と今年とは基本的に違っていると思います。
  21. 東海林稔

    ○東海林委員 きまったあとですから、あまり議論してもしかたないので、来年、今度はきまる前にまたひとつ大いに議論したいと思います。  それで、売り渡しのほうですが、先ほど御説明がありましたように、ハード系について若干の値上げを今度は考えたわけですが、影響として、新聞等にも出ておりますように、パン等の価格に相当影響するのではないか。政府では行政的な措置によって値上げは抑制する自信があるやに新聞には出ておるのですが、この際、国会の場においてそういう点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
  22. 大口駿一

    大口政府委員 外麦の銘柄間格差是正に伴いまして、小麦を大きくハードとソフトに分けますと、ハード系は、一部値下がりをしましたものと値上げをしましたものと相殺をいたしますと、ほぼトン五百円ぐらいの値上がりになろうかと思います。ソフト系につきましては、全体の水準としては変わらないというふうに考えております。  そこで、製粉業界に対しましては、ハードもソフトもおかまいなしの一律の値上げということは絶対に困るということで、協力を要請いたしまして、パン用については、若干の原料の値上がりを小麦粉の価格に反映して値上げをするということは、これはやむを得ないとするも、めん用については、原料の値上げは困るということを強力に要請をいたして協力を求めておるのでございます。小麦粉からつくります二次製品、パン、めん等につきましては、直接的には政府はその価格について行政権を持っておらないのでございますが、少なくとも政府の玄麦の払い下げ価格を契機として原料の値上がりのあるものについては、先ほどのような手を打って末端価格の値上げを抑制したいということで、パン業界にも協力を要請し、協力の確約を得ております。その他の二次製品につきましては、原料面が値上がりをするということにならないと私どものほうは思っておりますので、もし原料が値上がりをしない場合には、これは原料の値上がりを理由にした値上げというものは困るという趣旨で協力を求めておりますし、もちろんそういう業界としても、この際原料が現実に上がらないのに、他の理由で上げる、ことばは適当でないかもしれませんが、この際便乗して値上げするということのないように協力を求めておる次第でございます。
  23. 東海林稔

    ○東海林委員 次に、先ほどの報告にもありましたのですが、米審から建議がありまして、麦の生産について抜本的な対策を確立するために、米価審議会委員等を含む協議会等を設け早急に検討を行なうこと、こういうふうになっているわけですが、従来とも抜本的な麦対策を確立せよということは年々建議されておったわけです。特に今度は米価審議会委員等を含む協議会等を設ける、こういうふうな具体的な内容を含めた建議になっているわけですが、これに対処してこういうふうな協議会を設けて、そうして麦対策を講ずることを政府としては考えておるのかどうか。協議会を設置せずに、農林省だけで考えるというようなことになっているのかどうか、そういうような点にも政府の考えを明らかにしてもらいたい。
  24. 大口駿一

    大口政府委員 麦の対策というものは、長年にわたって米価審議会でも御論議があり、政府としてもいろいろな角度でいろいろな方の御意見を聞いて、今日までいろいろ研究をいたしたのでございますが、必ずしも十分な成果があがっておらないというのが偽らざる現状ではなかろうかと思います。もちろん、このような成果があがらないということをまたさらにくふうをするということは、大臣に御建議をいただきました結果当然でありますので、私どもとしましては、御建議の趣旨に従って、できるだけ早くそのような検討の場を設けるべきであるというふうに考えておる次第であります。
  25. 東海林稔

    ○東海林委員 ここで私は、この協議会を設ける場合についての若干の要望を申し上げたいと思うのでありますが、ここには米価審議会委員を含むということになっていますが、特にやはり麦生産農家を代表する方、それから、麦の問題は畜産、飼料との関係が非常にあると思いますので、そういう方面の方も含めて、そうして早急にこの対策についてひとつ検討してもらいたい、これは要望でございます。  次に、関連してお伺いいたしますが、例年でございますと、麦価の問題が済みますと、続いて米価の問題に政府は取り組む。その一つの段階として麦の価格が済んだ七月上旬には、米審を開いて政府の米価に対する考え方を出し、諮問する、こういうことになっておるのですが、先般本委員会でも、大臣は、大体例年どおりのような順序でいきたいというような趣旨を答弁をされておりますし、なお承りますと、米審の小委員会では大臣は、七月の上中旬に米審を開いて米価の問題を諮問したい、こういうふうに言われたというふうにも聞いておるわけであります。きょうはすでに四日でございます。例年でいきますと、七月上旬に米審に米についての諮問を出して、答申を得、大体おそくとも十日か十二、三日ごろまでには政府の米価の決定があるのが従来の例でございますが、本年度はどういうことになっておりますか、ひとつその点をこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  26. 大口駿一

    大口政府委員 米の米価審議会の日取りにつきましては、今年のように国会会期中という特殊な事情もございますので、農林省といたしましては、早期開催ということで、鋭意事務的な準備は現在取り進めておりますが、最終的には大臣が関係の方面と十分御協議の上、御決定になるというふうに承知をいたしております。
  27. 東海林稔

    ○東海林委員 ちょうど大臣がお見えになりましたので、大臣にお伺いします。  米審の開催時期がいつかということをお尋ねしておるところなんです。この前、大臣は本委員会で、大体例年どおりやるつもりだというようなことを、だいぶ前ですが、そういうお答えもございました。なお、承りますと、米審の小委員会では、七月の上中旬に開くつもりだ、こういうようなお話もあったように承っておるのです。新聞を見ますと、いろいろなことが書いてありまして、国会中じゃうるさいから、国会が済んでからやるというような意見もないではないというような意見も出ておるのですが、私どもとしてはそういうようなことはまことに心外でございます。ぜひこれは早くきめて、米審を開いていただいて、米価を決めていただかないと、これは予約等にも非常に影響があることでございますので、どう考えておるか、大臣からその点をこの際明らかにしていただきたいと思います。  なお、先ほどの理事会では、今月の六日または七日、大臣においで願って、いろいろと本委員会で米価の問題についての御論議をするということを委員長に責任を持っていただくことになりましたので、米価の内容についてはその際にいろいろとお伺いしますが、ただいまは米審はいつ開くことになるのかということだけをお伺いしたいと思います。
  28. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 米価審議会はなるべく早いほうがいいと思っておりますが、国会の関係政府と与党との間にいろいろな折衝をいま続けておる最中でありまして、まだ本格的に何とも言明する段階になっておりませんが、今明日中には明確にして、なるべく早く御連絡いたしませんと、委員の方々も御迷惑でありますから、なるべく早くきめて通知をいたしたい、こう思っております。
  29. 東海林稔

    ○東海林委員 いま今明日中ということでございますが、そうすると、おそくてもあした、できればきょうやりたいというのが大臣の考え方だ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  30. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私の考え方はきょうでもやってもらいたいのでありますが、いま申し上げましたように、私の自由にもいきませんが、なるべく私の考えが通って早期に行なわれるように、さらに努力いたしたいと思います。
  31. 東海林稔

    ○東海林委員 繰り返すようですが、そうすると、おそくてもあしたじゅうにはきまると、こういうことですね。きょうきめたいんだけれども、おそくともあしたはきめる、こういうことですね。
  32. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 そういう方向で努力します、こういうことであります。
  33. 東海林稔

    ○東海林委員 まあ、実力大臣といわれる大臣にしては、少し答弁が自信がなさ過ぎるのですが、これも押し問答しても進みませんから、これでやめますが、ぜひきょうじゅうにきめてもらいたいというのがわれわれの念願ですが、おそくてもあしたじゅうにぜひきめていただきたいと強く要望します。  大臣に対する質問はそれでいいのですが、もう一つ長官に、先日同僚の石田君から米に関する資料要求をいたしてあるのですが、この資料要求はいつ出されますか。
  34. 大口駿一

    大口政府委員 一部の資料で準備がおくれておりましたのですが、現在内部の決裁を進行いたしておりますので、早急に提出いたす運びになっております。
  35. 東海林稔

    ○東海林委員 早急というのじゃ非常にまた怪しいことばなんで、もう少しはっきりしてください。最初申しましたように、六日に米価の問題を本委員会審議することになっているのだから、それまでに間に合うようにぜひ出すように私は強く要求するのですが、いいですか。
  36. 大口駿一

    大口政府委員 それまでには間違いなく間に合うと思います。
  37. 東海林稔

    ○東海林委員 では終わります。      ————◇—————
  38. 本名武

    本名委員長 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。倉成正君。
  39. 倉成正

    ○倉成委員 先般の委員会で質問を留保した部分について、農林大臣にお尋ねいたします。  不足払い制度における生産者補給金の財源については、立法の精神並びに第四十八回国会の本委員会における質疑の経過にかんがみ、輸入差益はあくまで補充的なものであると思うのでありますが、農林大臣の責任ある御答弁を承りたいと思います。
  40. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 政府の酪農政策は、牛乳及び乳製品の国内自給を目標とする酪農近代化基本方針に基づくものでございますから、その酪農政策の一環として講ぜられております不足払い制度は、本来、乳製品の輸入差益金に大きく依存することを期待するものではございませんで、ことばをかえて申しますならば、不足払い制度の財源としては輸入差益は補完的なものとして考えられておるわけでございます。前々から政府は一貫してそのように申してまいったわけでありますが、ただ、現実の需給関係から輸入が必要となりまして輸入差益が生じた場合に、これをいかに使用するかが問題になるわけでございますが、現行法では不足払いにのみ充当することとなっておるわけでございます。しかし、最近の乳製品の需給事情から見まして、輸入差益を不足払いのみに充当することは妥当ではないと考えます。これを酪農振興対策にも活用し得る道を開くために、今回法律改正を提案して御審議を願っておるわけであります。したがって、ただいまの情勢にかんがみまして、酪農振興対策に必要な財源を確保し得るよう十分配慮してまいる所存でございます。
  41. 倉成正

    ○倉成委員 ただいま大臣の答弁で明らかになったわけでありますが、本来酪農振興の立場からは、輸入差益が多額に発生するということは好ましいものではない。国内の自給度を高めて、できるだけ乳製品の輸入量を少なくすべきものであると思うのであります。たとえ輸入差益が多額に発生したからといって、不足払いの主たる財源にすべきでないということは、これは明らかでありまして、ただいまの大臣の説明は、すなわち要するに、不足払いの財源は一般財源より支出するのがたてまえであって、輸入差益は補完的なものであるというふうに解釈をいたしたいと思いますが、念のためにもう一度はっきりしていただきたいと思います。
  42. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいま御指摘のとおりがたてまえであると信じております。
  43. 倉成正

    ○倉成委員 よくわかりました。
  44. 本名武

  45. 芳賀貢

    芳賀委員 先日本法案の審議の際に、重要な点については農林大臣の出席を得た際に質問する予定になっておりましたので、保留した部分について大臣から明快な答弁をお願いいたします。  第一の点は、この改正法案に一番関係のある問題でありますが、昭和四十三年以降、一体加工原料乳に対する国の補給金の財源措置というものをいかようにするかということを明確にしてもらいたいわけであります。たとえば、昭和四十一年から発足したわけでありますが、昭和四十一年度の場合には、加工原料乳に対する補給金はそのほとんどが一般会計から事業団を通じて支出されているわけであります。ところが、四十二年度の予算の場合には、補給金総額を四十億とみなしまして、そのうち二十億円については国の一般会計から事業団に対する交付金として支出する、残りの二十億については乳製品の輸入による売買差益金を充当する、こういうことになっておるわけでございます。そういたしますと、今後数年の間、おそらく一定量の乳製品の輸入というものは避けることのできない事態であると思いますが、これに対応して、今回政府の法律改正によりますと、輸入差益金をあげて、緊急対策として国内の酪農振興のために最も高度に重点的に活用するというのが政府の意図であります。そういたしますと、一番中心になる問題は、乳製品の差益金の余剰分の八〇%を使用するということでなく、その前段として、一体加工原料乳の補給金というものは、一昨年の法律審議の場合においても、当時は赤城農林大臣でありますが、補給金の財源というものは、当然国の負担において一般会計からこれを支出するということが明らかにされておるわけであります。したがって、四十二年度の場合にはすでに予算が成立されておるわけでありますが、この政府改正案が委員会の賛成を得て通った場合、将来どのように補給金に対する財源措置を行なうか、これが明確になり、かつ納得できないと、この法律の改正は必要ないということになると私は思います。
  46. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいまのお話は、倉成さんにお答えいたしました趣旨政府の方針でありますので、原則としては一般会計でやるべきものである。御存じのように、この法制定当時には、輸入差益が今日のように出てくるということはまず予想もいたしておりませんでした。したがって、数字は多くなりましたけれども、原則といたしましては、一般会計がこれを出すべきものであって、輸入差益は補完的に使用すべきものである、こういうふうに考えておるわけであります。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、明年以降はどうするかということを大臣からはっきりしてもらいたいと思います。
  48. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 明年以降も今日のような輸入差益がはたして生ずるかどうかということにつきましては、その見通しは私どもといたしましても確たるものはないわけであります。したがって、これから先の見通しと申されましても、予測は非常にむずかしいということしか申し上げられないわけであります。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、これは政府提出の資料でありますが、畜産振興事業団が昭和四十一年度に乳製品の輸入を行なったわけでありますが、この買い入れ数量は、バターにつきまして九千百四十トン、脱脂粉乳について一万五千七百五十トン、全粉乳について二千七トン、ホエイパウダーについては二千五百二十九トン、バターを除いた粉乳類が合計して二万二百八十トン、これが四十一年の政府が提出した実績であります。   〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕 それに対して、先般資料を要求いたしまして、農林省から提出されました畜産振興事業団の四十二年度事業計画、これはまだ案になっておるわけです。法律から言いますと、畜産振興事業団は三月一ぱいに予算あるいは収支計画あるいは事業計画等、法律所定の事項については農林大臣に提出して、新年度が始まる前の年度内に承認を得なければならぬということになっておるわけでありますが、これは農林大臣の怠慢と私たちは思っておるわけでありますが、事業団に対する予算関係、収支の関係、事業計画に対しては、もう七月に入ったわけですが、いまだに農林大臣は承認を与えていない。これはもう明らかに農林大臣の怠慢であると私は断定しておるわけです。したがって、政府の承認したものではありませんが、事業団の提出した内容によりますと、四十二年度の輸入見込みは四十一年度よりも相当増加しておるわけです。たとえば、バターについては一万六千二百トン、粉乳類合計いたしまして五万四千六百トン、こういうことになると、四十一年度よりもバターは五割増、粉乳については倍以上輸入に期待しなければならぬということになっておるわけです。もちろん、国内の乳製品の市況の推移あるいは輸入価格等によって左右されるわけでありますが、この事業団が提出いたしました輸入見込みあるいは計画というものが大きく狂わないという見通しである場合においては、相当膨大な差益があがることは予測できるわけです。おそらく五十億をこえる、あるいは六十億に近い輸入差益があがる場合もあり得るというふうに推定されるわけであります。この事業を担当しておる事業団の提出した四十二年度の輸入見込み等から判断した場合、ことしはどうなるかわからぬというものではないと思う。したがって、これは加工乳の補給金の財源に関係のあることでありますので、せっかく保留しておる事項ですから、もう少し明快に、一般会計から四十億なら四十億というものは負担するとか、あるいは少なくとも九割は一般会計から負担して、残りの一割程度というものは、輸入がどうしても続くわけですから、そこに財源を求めて、残り分については国内の緊急な酪農振興にこれを全面的に充てる、これでこそ初めて法律改正政府の目的が達せられると思うわけです。もう一度大臣から明らかにしていただきたい。
  50. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 事務的に少しおくれているようです。私のところへまだまいっておりませんが、今度のこの法改正によりまして——当初法制定当時には予測もしておりませんでした輸入差益が出てまいったのでありますから、こういうような輸入差益がこのように出てまいるということのよしあしについては、いろいろ私は議論もあると思いますし、政府においても研究をしなければなりませんが、そういうものが出てまいりましたときに、やはりできるだけこれは生産意欲を増強し強化して、国民の需要をまかなうために援助するということは必要なことであるというたてまえで、今度法案を提出いたして御審議願っておるわけでありますが、しかしながら、先ほど申し上げましたように、この不足払いに対する原資というものは、これはやはりたてまえは一般会計が負担すべきものであると思っておるわけでありますが、おくれておりますので、これからの計画のことについては政府委員からひとつ御答弁申し上げます。
  51. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま御質問の指定乳製品等の輸入でございますけれども、これは、一応畜産局で試算をいたしました四十二年度の需給表に基づきまして不足量が四十三万九千トンというふうに考えておりまして、その数字からバターとか粉乳等の輸入量を計算をいたしたわけでございますが、もちろん、これにつきましては、今後の生産の見通しなりあるいは国内の価格というものによりましてかなり変化はあるかとも思いますけれども、現在想定をいたしておりますものはここに掲げておる数量であるわけでございます。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 四十一年度と四十二年度の一般会計からの交付金の内容でありますが、四十一年度の場合には、事業団に対する交付金が総額で八十億二千六百万円、そのうち学校給食に対する助成金が五十億円、それから加工乳に対する補給金が三十億二千六百万円、こういうことになっておるわけです。ですから、昨年度からは学校給食に対する助成と加工原料乳に対する補給金の二種類だけが一般会計からの交付金の額ということになっておるわけです。それで、四十二年度の場合には、大臣御承知のとおり、学校牛乳に対する助成が六十五億円、加工乳に対する補給金財源が一般会計から二十億二千六百万円。したがいまして、四十一年度と四十二年度の場合、一般会計の加工原料乳に対する負担は十億円減少をして、先ほど申しましたとおり、一般会計から二十億円、差益金から二十億円ということになるわけであります。こういうことになると、結局、法律の改正を行なっても、まず優先的に交付金に充当する金額を差益金から取る、その残額分の八〇%しか活用できないということになると、これはゆゆしい問題だと思います。  われわれも、四十二年がこうなるということは予測してなかったのです。油断もあったわけであります。先日の質問を通じまして明らかになりましたように、農林省としては、大蔵省に対して四十億円の全額を一般会計から出せという概算要求をしておったところが、これは大臣が弱腰であったかもしれませんが、折半ということになったわけです。こういうことはわれわれとして全然予測できなかったわけです。もう少し強力に大臣がやれると思っておったのが、この分については全く大蔵省に一方的にやられた形なんですね。  それで、この点が明らかにならぬと、来年度はまた差益金が不可避的に相当これはあがるわけですからして、来年は、三十億円差益金から出す、残り十億円だけ一般会計からということにもなりかねないわけですね。ですから、この際、法案審議の場合に委員会の意向というものをここで明らかにして、農林大臣においても責任を持って、四十三年度の予算の場合においては少なくとも九〇%は最悪の場合でも一般会計からこれを出す、残り分については差益金から充当する、この程度のことでわれわれも一歩譲って、最初から具体的な数字をあげて質問しておるわけでありますからして、この趣旨に沿って、ぜひ明年度以降の予算等については善処をしてもらいたいと思うわけです。この点が明確になれば、あとはすらすらといくわけです。
  53. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 よくわかりました。  そこで、来年の差益につきましては、大体先ほどお話がいろいろございましたけれども、たてまえとしては、これはやはり一般会計から出すべきものであるということで、差益は補完的に用いるべきものであるというのが政府の考えているたてまえでありますが、これはひとつ財政当局とも話し合わなければ、私がここで独断で申し上げることは不可能でありますが、大いに努力をいたしたい、こういうことでひつと御了承を願います。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 実は、本日は当委員会に大蔵大臣も一緒に出席を要求しておいたのですが、あとでよく考えて、まず信頼できる農林大臣の決意を明らかにしてもらって、それからでもおそくないということで、きょうは特に農林大臣だけということにしてあるわけです。  そこで、いまの御答弁でありますと、それでは、もう七月から来年の予算編成に入るわけですし、八月下旬には例年で言うと概算要求を出すことになるわけですね。そこで、財政当局の関係もあるでしょうが、農林省としての予算編成の場合には、この必要全額を一般会計に求めるということで予算編成作業をされるかどうかですね。これは農林大臣の判断でできる範囲だと思うので、その点を明らかにしてもらいたい。
  55. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 せっかく皆さんの御協力を得て農林省で予算を組みましても、うまくいかないというようなことがあってはいけませんので、もちろん私ども大事な問題だと思いますので、財政当局とも十分打ち合わせまして、できるだけ多くこういう措置ができるように最大の努力を払います。こういうことでひとつ御了解を願います。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 私のいまお尋ねしているのは、農林省としての予算の概算をつくる場合、昨年までは全額一般会計から支出するということで要求をしておるわけです。四十二年度の場合にも四十億これは農林省から要求しておったが、結果的に二十億削られて折半ということになったわけです。ですから、結果はどうあっても、四十一年、四十二年の予算の概算を編成する場合においては、農林省としては法律の趣旨に基づいて全額を一般会計に求めておるわけですからして、それさえもできないということにはならぬと思うのです。それもできないということになれば、最初からもうふんどしをはずして妥協するということになってしまうと思うのですよ。どうなんですか。
  57. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 昨年は四十億要求だったようでありますが、それが二十億。ことしは、いろいろな事情を勘案いたしまして、先ほど倉成氏にもお答えいたしましたようなわけでありますが、大いにひとつ努力をしてまいりたい。こういうことで御了承を願いたいと思います。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 これは了承の外ですから。法律をわれわれが一方できめるわけですから、全額一般会計から出せるように、立法府においてそうきめて、そうして行政責任者の大臣にやってもらう、これしかしようがないですね。この点は委員会独自の方針で進んでもらいたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、輸入乳製品があげた差益金の活用でありますが、先日の畜産局長の答弁によりましても、これはあげて酪農振興に用いるということが明確になっておりまして、当然なことであります。どのような振興対策に用いるかということについても、先般内容をただしたわけでありますが、明らかになった点は、まず第一に、酪農振興事業に要する新しい資金措置を創設して、これに対して利子補給をこの財源から行なう。そうして、この融資については、末端の生産農家に対して年三分五厘以内の資金でこれが活用できるようにする。この点については、一部に無利子というような説もありますが、農林省の意欲が三分五厘以内にするというところにあることをわれわれとしてはおおよそ理解したわけであります。それから、もう一つは、拡大生産を生乳の面において行なうことになれば、当然乳牛の増殖ということが必要になるわけでありまして、特に生産された子牛の育成という点についても強力な措置が必要となるわけであります。この点について、子牛の育成事業等についても対象として強力な施策を進めたいという点もおおよそ了解できるわけであります。それから、目下のえさ事情、飼料事情から言いましても、ほとんどが輸入飼料に依存するというような状態はやはり一日も早く脱却する必要があることは言うまでもありませんので、現在国営、県営、団体営の助成対象になっておらない小規模の草地造成あるいは改良事業等についても、これを重点的に対象として取り上げる。あるいはまた先般の麦の対策にしても、農林省が今般発表された管理対策というものは、われわれとしては全然期待も魅力もできない、空疎なものであります。先般農林大臣が当委員会で発言された内容も、中身は全然からっぽであるというような全く期待はずれのことで、われわれとしては、今後麦対策等についてももう少し責任のある施策を進めてもらいたいし、これに関連して、やはり裏作が相当最近は荒廃しておる関係もありますので、自給飼料の緊急増産等についても意欲的にこの差益金というものを活用する。おおよそそれらの点は明らかにされたわけでありますが、やはり、法律通過の前に、この際政府の主要なる指導方針として示し得るもの、先般は岡田式メニューを出してもらいたいということを私は言っておるわけですが、この点を大臣を通じてもう少し明らかにしてもらいたいと思います。
  59. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私ども、選択的拡大という方向で国民食糧の需給を考えますときに、大きな悩みの一つは畜産及び酪農であります。これにつきましては、率直にわれわれの足らざるところには全力をあげてカバーしなければならないということで考えておるわけでありますが、そういう際に、こういう輸入差益が相当金額にのぼってまいった。そこで、こういう機会を活用して、ひとつこういう資金を酪農並びに畜産業の助成に使おうという新しい考え方を持ち出したわけでありまして、その趣旨については皆さまに御賛同をいただけると思うわけでありますが、それをもちまして、先般も政府委員からお答え申し上げたと思いますし、ただいまもお話のございましたように、酪農及び畜産を拡大いたしてまいるために、ネックになっております飼料その他の問題については政府としても大いに力を入れてまいりたい、こういう方向にこの資金を活用いたしてまいりたい、こう思っております。
  60. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 たゞいま大臣のお話がございました線に沿いまして差益の使用をはかってまいるわけでございますが、その際、先般も申し上げましたように、一定の制約条件をつけまして、その範囲内では最も酪農振興をはかりますために必要な施設等に対する助成をいたすというふうな考え方でございまして、考え方といたしましては、都道府県段階に必要なものをきめて要求をしていただくという形にいたしておるわけでございまして、中央で一定のワクをきめることは必ずしも妥当ではないと考えておるわけでございますが、お話のような点につきまして、当方で一応想定をいたしましたメニューといたしましては相当なものがあるわけでございますので、一々申し上げるのもいかがかと思いますので、主要なものについて申し上げてみますと、まず第一に、先ほどお話がございましたように、酪農振興資金というふうな低利な資金を考えておるわけでございす。それからまたお話がございましたような、一定の面積以下の小規模の草地改良というふうなことも考えられるわけでございますが、さらに、草地改良事業の採択基準以下の施設、たとえば牧道だとか雑用水施設だとか電気導入施設等についても、助成の対象として考えられるというふうに思うわけでございます。また、補助の対象となっておりません関連施設でございますが、たとえば牛衡器だとか車庫だとかいうふうなもの、小規模草地改良事業の牧野、樹林というふうなものも対象として考える。また、補助対象となっていない草地管理用の機械というものの導入の助成も考えられるわけでございます。それから、お話がございました飼料作物の増産でございますが、この点につきましても、現在飼料作物の増産総合対策事業というものが一般会計の予算で助成されておりますが、一定の条件がございますので、この条件以下のものにつきまして本資金から助成を行なうとか、また、飼料作物の種子の生産性及び品質の向上のための共同利用施設というような問題についても、現在は助成がございませんけれども、本資金を使いましてこのようなものに利用できるということで、例示をいたしますと非常にたくさんございますが、主たるものをあげてみますと、以上のようなものが対象となるというふうに考えるわけでございます。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 いま局長の述べられた点については、これはあとで資料として提出を願いたいと思います。  次にお尋ねしたいことは、畜産物価格安定法並びに事業団の運営に関係のある問題であります。政府が買い上げました豚肉の貯蔵あるいは処置の問題でありますけれども、この点について、農林大臣としてこれからの運営をどうするかということも非常に重大な点でありますので、見解を明らかにしてもらいたいと思います。  そこで、先般畜産局長にも指摘した点でありますが、国産の豚肉と競合するものは何としても輸入羊肉であると思います。マトンですね。これが現在自由化されておるわけでありますが、国産の畜肉の保護というものを重点に考える場合においては、やはり野放しの自由化をそのまま放任しては対策が進まないと思うわけでありますので、輸入マトン等の規制措置について、一体どのような具体的な方策を持っておるか、その点を明らかにしてもらいたい。   〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 畜産振興事業団が買い上げております豚につきましては、御承知のように、最近非常に需要が拡大されてまいりまして、先般は二千トンを放出いたしましたが、まだ需要は非常に活発でございます。豚の値段の状況も、御存じのように、非常に需要がふえて、活発になってきた。そこで、それと関連いたしまして、輸入でございますが、輸入のことにつきましては、これはなかなかむずかしい問題もございまして、もし政府側がこれを押えるような様子でも見せれば、おそらく、業者でありますから急速にそれを見越して輸入をいたすというようなおそれもありますので、慎重に対処しなければまずいと思っております。しかしながら、現在の国内の豚の状況と、ただいまお話しのようなものを関連して考えますと、この抑制ということはなかなかむずかしいのでありますが、行政指導によって適宜うまく対処いたしてまいりたい、ことにメーカーは、われわれのほうの要望も、意のあるところを十分承知いたしまして協力的でございますから、そういう方向で指導の妙味を発揮してやってまいりたい、こういう態度でやっております。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 マトンの輸入先は、御承知のとおり豪州、ニュージーランドですが、一たん自由化した品目を規制するということは困難である事情は当然わかるわけですが、われわれとしては、これを割り当て制にしろというようなことでなくて、国の機関である畜産事業団が必要に応じて直接買いつけをする、こういうことは、やはり国内の政策を遂行する上においては各国においてもとり得る措置であるというふうに考えておるわけです。しかし、大臣のいま言われたように、そのような法制上の手段を講じなくても、政府の行政的な施策によって事実上の調整がもしできるとすれば別ですが、そういう確信があって言っておられるのか、その場限りの答弁として言っておられるのか、この点は非常に大事な問題ですから、もう一度明らかにしてもらいたい。
  64. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 マトンにつきましては、本年一月から四月までの輸入数を見ますと、昨年同期に比べて六割ぐらいに低下いたしております。そういうことでございますから、これが非常にわが国の業界を圧迫するというような徴候はただいまのところ見られませんが、私どもは、先ほど申しましたように、国内産の状況を十分メーカーに指導いたしておりますので、ただいまの私どものやり方でまず大体だいじょうぶだ、こういうふうに自信をもってやっておるわけであります。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、八十三万頭も買い入れをしておるわけですから、古いものは一年以上経過するというようなことになると思うのです。これは初めてのことでありますが、一体、畜肉をいつまでも貯蔵して、それが市販されたような場合に、人体に影響を及ぼすようなことがあるかないか、こういうことはやはり十分研究を要することだと思うわけであります。先般の病菌豚肉と違って、事業団が買い入れて保管しておる豚肉が価格安定上放出の時期を失うということも、これはあり得るわけです。そういう場合、長期に貯蔵した豚肉が有害である、有毒であるということになると、これは取り返しのつかないことにもなるわけでありますから、やはり、いまの買い上げ制度を守るという立場から言った場合、これらのこともたいへんな配慮が要ると思うわけでありますが、そういう点に対する研究等はどの程度まで行なわれておるわけですか。
  66. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいまの点についてお答えいたします。  豚肉の冷凍保管されたものがいつまでもつかということに関しましては、国際的にももちろん、わが国におきましても確たる基準というものは存在しておられないわけでございまして、このように長期にわたって保管をいたしますことは初めてであるというふうに存じております。  そこで、事業団が買いました豚肉が腐敗、変敗するということになりますと著しい国損を生ずるということにもなりますので、きわめて慎重に対処いたしておるわけでございまして、買い入れましたものにつきまして、絶えず専門家によりまして検査をいたしております。その結果は、現在のところ、予想以上に品質良好であるというふうに報告をされておるわけでございます。一方におきまして、研究所等にも委託をいたしまして研究をいたしておるわけでございまして、現在のところ、特に問題になるということはございませんけれども、しかし、いつまでこれが耐え得るかということにつきましては、これはやはり問題もあろうかというふうに思われますので、やはり、できるだけ早く、生産価格の動き等を見ながら、逐次市場に放出していくということが必要であろうかというふうに考えておる次第でございます。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 けさの日経の市況欄を見ると、豚の白上が三百九十一円ということになっているのです。これは上限を一円こえておるわけですね。ですから、こうなると買い上げの必要は当然ないということになるが、一体どうして急に豚価が高騰したか。これは大臣の施策よろしきを得たとは考えられないわけですが、これは一体どういう原因なんですか。
  68. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 この原因につきましては、現在こういう事態が起きたばかりのときでございますので、確たるデータによります判断というのはなかなかむずかしいわけでございますけれども、まあ考えられますことは、一時病菌豚事件もございまして豚肉の消費が減退しておったわけでございますが、五月ごろを境としまして急速に回復してまいりましたということが一つと、それから、御承知のように、六月、七月というのは豚肉の加工品の需要期に当たるわけでございます。そういう意味で需要が増大しておるという点が一つでございます。  一方で、生産の問題でございますけれども、価格安定制度の効果がある程度あらわれまして、やや生産が縮小しておるのではなかろうかというふうに考えられる点もございますが、これらの点につきましては、さらにデータをとりまして十分検討する必要があると考えておるわけでございます。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、大臣にお聞きしておきたいのは、将来にわたっての国産の肉豚の生産、あるいは養鶏の場合もそうでありますが、一方において価格支持制度があったとしても、生産面において非常な変動があるわけでありますからして、制度と生産というものをいままで以上に直結させて、必要な場合には、むしろ生産者が自衛手段として、みずから生産に対する計画化あるいは規制を行なうということに一段と発展した生産者自身の生産体制というものが必要だと思うわけです。いまの自民党の自由経済のもとにおいて農業生産だけ計画生産といっても矛盾が生ずるわけでありますが、どうしてもこれらの制度を強力に維持するということになれば、生産面における計画化ということが重要なことになると思うわけです。ぜひこれは明年度以降、これらの国が制度を設けて行なっておるような農業の生産部面等についても、これを厳重に有権的に縛るということでなく、生産者自身も生産の計画化というようなことに対して、需要に対応するそういう行動というものが必要になると思うわけです。ただ生産者に責任を転嫁するということでなくて、やはり計画的な経済を進めるということは、今日の経済事情、あるいは近代的な国家においては当然必要と思いますので、この点については、今後の新政策といいますか、検討の意思があるかどうか、いかがですか。
  70. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御存じのように、自由経済と申しましても、その中におのずから計画性があるということは当然なことであります。ことに、需要と供給の関係が乱れてまいりましたのでは、生産を幾らしてもまずいのでありますから、そういうことについて、農林省生産者の団体と常に緊密な提携をとりまして、需要供給の状況を見ながら指導をいたしてまいりたい、こう思っております。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、先日保留した問題が二つあるわけですが、その一つは、現在の加工原料乳の補給金法ですね。いま審議しておる法律の全面的な再検討が必要じゃないかということです。いまの法律は、用途別に加工原料乳だけを対象にして、これに補給金を支出しておるわけでありますが、これは、一昨年の法律審議の場合においても、用途別に区分して加工原料乳だけを国の保護の対象にするというやり方は、これは最初から問題がある、長続きしないということをわれわれは指摘をしまして、社会党としては牛乳法案なるものを提案したわけでありますが、そこで、この際、国内で生産されるなま乳の全部を対象にした国の補給金制度、あるいは不足払い制度というものを確立する時期に到達しておるというふうにわれわれは判断いたしますので、この点に対する農林大臣の見解と、もう一つは、一番大きな問題でありますが、これからのえさ問題、飼料政策というものが非常におくれておるわけでありまして、畜産が伸びても、全面的に外国に飼料を依存するということになれば、むしろ外国の飼料を消化するために日本の畜産があるというような、まことに不可解な現象が生じておるわけでありますからして、これは農政の中でも一番おくれておる問題でありますからして、この際、政府としても重大な決意を持って飼料の基本的な政策、対策を立てる時期に当面しておる、もうおそ過ぎると思うわけでありますが、これに対しても、これからの農林省が中心となった新農政の展開に対して、飼料政策をどうするかという点についてお考えがあれば聞かしておいてもらいたい。
  72. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 お話しの加工原料乳につきましては、取引条件が御存じのように相対的に不利でございますので、そういう点にかんがみて不足払いを行なうことにいたしておるわけでありますが、一方、飲用向けの牛乳につきましては、需給の実勢によりまして妥当な水準で取引価格が実現されるべきものであると私どもは考えております。また、飲用牛乳は、本来地域的な商品でございまして、地域によって価格も異なっておるし、それからまた、価格安定操作にもなじまないものでございますので、ただいまのところ、生乳について不足払いをいたすということは政府は考えておりません。  それから、もう一つ、飼料でございますが、これはわが国の農政の将来にとってなかなか大事な大きな問題であると存じます。御指摘のとおり、国民の食糧に対する需要の傾向が近代化してまいりまして、多々ますます弁ずるというわけでございます。したがって、そういう面でいろいろな農作物の生産状況を勘案いたしてみますと、私どもは残された大きな問題は、先ほどもちょっと申しましたけれども、酪農と畜産であります。これはえさというネックがございます。そこで、私どもといたしましては、長期の計画を立てまして、濃厚飼料についても国産ができるように全力をあげなければなりませんし、さらにまた、草地の改良等をいたしまして、これは麦対策等でも政府委員がお答え申し上げておるかもしれませんが、作付地帯についてそろばんに合わないということで放棄いたしておかれるような地域を、そのまま放棄することなく、われわれとしては、こういうところについてただいま試験場等で鋭意検討しております。日本でうまく育ち得るえさを育成いたしまして、そして草地を拡大してまいる、そういうことによって飼料の輸入をできるだけ防遏することによって、一方においては畜産を高めてまいりたい。それからまた、専門家等の間には、引き合わないということで麦をつくらない者もあるけれども、その主たる目的が飼料ということを目的とした麦の品種もあるようでございます。そういうものについても、ただいま試験場においては、わが国の土壌に合うかどうかということについて非常に熱心に検討いたしておるようなわけでありまして、そういう研究を続けることによって、飼料の自給度を高めてまいることに農林省は全力をあげてまいりたい、こう私は思っております。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの問題については、基本的な問題ですから、後日また十分論議することにいたしますが、ただ、前段の、なま乳に対して不足払いをする意思がないという御発言がありましたが、現在でもなま乳に対して不足払いをやっているが、なま乳のうちの加工原料乳だけが対象になっているというところに問題があるわけです。四十一年度の実績から見ても、不足金の不足払いの対象になっている数量は、八十万トンを割る程度の加工原料乳ですね。そうすると、総体の実績の三百二十万トンから見ると、三〇%以内ということになっているわけです。そうすると、七割以上が飲用牛乳向けということになっておるので、七割の分に対しては何ら国の施策を及ぼさない。わずかの加工原料乳だけについて国が不足払いをやる。しかも、やり方というものは、生産者保護ということよりも、メーカーに対して安い原料乳を供給するような運営がいま講ぜられておるわけでありますから、そういう国の大事な税金を巨大な乳業メーカーに対する保護政策に使うような印象を与える運営をこの際整理して、やはり農民が生産した全部のなま乳に対して強力な保護政策を講ずるということに発展させる必要があるとわれわれは考えておるわけです。ですから、この点については趣旨を取り違えないように十分大臣としても判断されて、今後前向きの検討をぜひしてもらいたいと思うわけでございます。  以上で本法案に対する保留しました質疑を終わるわけでありますが、最後に、先ほど同僚の東海林委員から、米価決定のための米価審議会の開催を一体いつするかという点と、延長された七月二十一日までの会期内において米価の決定を行なうかどうかということについて適切な質問があったわけでありますが、どうもわれわれが考えまするに、たとえば先般ようやくきまりました米価審議会委員の人選の問題にいたしましても、農林大臣みずからの諮問機関として人選する場合の委員会の構成等についても、いつも逃げ腰の態度で、たとえば国会議員締め出しの問題等についても、農林大臣が締め出しに一番意欲を持って、国会議員が入ることに反対しているということが新聞では伝えられておる。委員会では、大臣としては何とか国会議員を入れるために苦慮しておるというようなことを発言されておるわけでありますが、どうも平素の倉石さんらしくない歯切れの悪さというものをわれわれは常に感じ取っておるわけです。米審の問題については、やはり国会の意思というものがあって当然なこととして、従来どおりわれわれの同僚が委員に加わっておるわけでありますが、いま一番注目を浴びておる米価審議会、自分の諮問機関である審議会をいつ開くかということについては、大臣自身の意思によって決定ができると考えておるわけです。しかも、新聞の伝えるところによると、これを自民党政府が党略的に悪用するというような意思が非常に強いわけですね。たとえば昨日の農協の米価大会の場合には、幹事長の福田君は——これもまた新聞の伝えるところによると、国会内における彼の動きと、きのうの大会の発言は全く食い違っておるわけです。自民党こそが一番真剣に農政を考えておる政党であるとか、国会会期中に米審も開くし、米価もきめる、価格については皆さんの希望を十分取り入れて決定いたします、わが党こそは日本の政党の中で最大に農政を重点にする政党である、こういう少しオーバー過ぎるはったりをかけておる。これは別に追及する意思はないが、そういうもろもろの情勢の中で、農林大臣だけが何か警戒して消極的に、へっぴり腰のような形で、自分のきめられる責任の範囲の問題も明快に処断できないということは、実にわれわれとして残念に考えておるわけです。ですから、この際、やはり大臣自身として、自分は米審をいつから開く予定である、必ず国会の会期内に米価をきめる。この程度のことは明快にしてもらいたいと思うわけです。たとえば、関係の深い大蔵大臣にしても、国際会議に出発する日取りが十四日から、滞在が十八日までということになれば、この期間中は大蔵大臣なしにきめるということはなかなかできがたいと思うわけです。そうすれば、どうしても大蔵大臣が外国に出かける前に米価を決定しなければならぬということになると思うのです。そうすれば、逆算しても、どうしてもおそくとも七、八日ごろに農林大臣が米審を開くということをおきめにならなければ、これは順調に進まないと思うわけです。また、一部には、米審副会長の小倉武一君が十一日から十四日までマニラの農業国際会議に出発する予定になっておる、小倉君がいなければ米審が開けぬというような、そういう間違った言辞も実はなされておるわけです。もしそうであるとすれば、小倉君がいなければ米審が開けぬとすれば、そういう人は人選しないとか、副会長である小倉君がいなければ米審の運営ができないというような会長の川野重任君の意思であるならば、そういう会長は遠慮してもらうとかいうことを農林大臣として強力に指導することによって、早期に開会ができると私たちは信じておるわけです。先ほどの御答弁によると、今明日ということを言われたわけですから、いまさら私の質問に対してきょうすぐにきめるともたてまえ上言いかねるかと思いますが、これは当然、少なくともわれわれの期待するように、この委員会に農林大臣が御出席になった場合には、すでに米審の開会日取りはこのように私がきめました、米価決定は会期中の何日までにきめることに方針を定めましたという、そのくらいなことを言ってもらえば、初めて農林大臣としてのあなたに対する期待感を高めることができるというものです。これは与野党を通じてそういう期待をみんな持っておるわけであります。いかに農政ふなれといえども、従来のあなたの行動が農林大臣になったことによって非常に制約されておる。へまを出さぬようにあまりにも慎重に警戒し過ぎておるから、独特の行動ができないと思うのですよ。だから、この際、やはりこの委員会を通じて、米審の開会日取り、決定の時期というものは即刻発表されるのが適当でないかというふうに考えますが、この点についてもう一度明確な御発言を願いたいと思います。
  74. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いろいろ御激励をいただきまして、ありがとうございます。  そこで、米審の委員の話もございましたが、あれは、しばしば私が申し上げておるように、臨時行政調査会から、こういうところには国会議員をお願いすべきでないということで、それをただ正直に私は実施しようといたしただけで、他意はありません。  米審の開会日取りにつきましては、お説のように私が会長に通知をして開催すればいいのでありましょうけれども、やはり、御存じのように、いろいろ各方面と相談をいたしてきめなければなりません。しかし、私の気持ちは、麦価が済んだわけでありますし、また、もうすでに早く産出される地方のこともありますから、予約金を払うにいたしましても、なるべく早く価格をきめていただくべきである、こういうことでありますから、米審をなるべく早く開催をいたしたいという気持ちは前々から持っておるわけであります。したがって、私の考えが通りますようにこれからもさらに努力を続けてまいりたい。ただ、ここで日取りを申し上げて、もし狂ったときには責任問題でありますので、その辺はひとつ御了承を願います。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長に申し上げますが、ただいまの問題は、これは私一個の意見ではありませんので、この際委員長として、農林委員会全体の意向をそんたくして、明日も委員会が開かれるわけでありますからして、きょうじゅうに日取りが決定できないような場合においては、明日の委員会の冒頭に農林大臣から、米審開会の日取り、並びに国会の会期中にいつごろをめどにして米価をきめるという、この二点についてはぜひ明らかにされるように、大臣に対して要求を行なってもらいたいわけです。
  76. 本名武

    本名委員長 芳賀君に申し上げますが、先ほどの理事会の申し合わせもございますので、明朝の理事会において善処することにいたしたいと思います。  斎藤実君。
  77. 斎藤実

    斎藤(実)委員 時間もあまりございませんようですから、率直に問題点だけを農林大臣にお尋ねをいたします。  わが国の酪農現状は、国民的な要請から見て、今後とも問題が非常に深刻になってくるであろうということは大臣も御承知だと思うのですが、この酪農の振興に対しては強い国民の要請もありますし、また、政府としても、この問題については本格的に取り組むという意思もおありのようです。それで、私のお聞きしたいことは、農林省昭和四十六年度を目標として酪農近代化計画というものをお立てになっているわけです。それによりますと、都道府県、全国の四十六年度の生乳生産目標は六百七十三万九千トン、このように聞いているわけです。飼育頭数は二百十九万六千頭。この数字は現在の生乳生産量の約二倍、飼養頭数等も昭和四十年度から見ればやはり二倍の目標になっておるわけです。ところで、最近乳価が伸び悩み、あるいは生産量の伸びが非常に渋滞をしております。ですから、こういう現状から見て、この酪農近代化計画を達成するためにはかなりの努力が必要だろうと思いますし、酪農振興の面から、はたしてこの計画が実現できるかどうかということを私どもは不安に思っておるわけですが、目標完遂の具体的な見解を大臣にお尋ねをいたします。
  78. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほどの御質疑に対しても申しましたように、わが国の国民の食糧需要の傾向から見まして、酪農にはうんと力を入れなければいけない状態でありますので、いまお話しのような目標を立てておるわけであります。しかし、いろいろな制約のもとになかなかこれを予定どおり完成することについては困難もあるのでありますけれども、政府といたしましては、全力をあげてこの目標数を達成したい、こういうことで努力をいたしてまいるわけであります。
  79. 斎藤実

    斎藤(実)委員 この酪農近代化計画は、府県及び市町村がどれくらい参加をし推進をしていくかということなんですが、お尋ねいたします。
  80. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、酪農近代化の市町村数は千五十四ございます。この千五十四につきまして四十一年と四十二年で計画を樹立するということで進めているわけでございます。
  81. 斎藤実

    斎藤(実)委員 そうしますと、四十一年、四十二年で一千五十四個の振興計画を進めるという答弁ですが、それでは、それ以外の市町村の酪農振興は一体どうなるのですか、お尋ねいたします。
  82. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 酪農近代化市町村として指定いたしましたところは、立地条件その他から見まして、今後酪農を大いに振興する可能性のあるというところにつきまして指定をいたしておるわけでございます。したがいまして、酪農を振興いたす場合の基本的な地域といたしましてはこの市町村ということになるわけでございますが、それ以外の地域につきましても、できるだけ酪農の振興をはかってまいりたいというふうに考えております。
  83. 斎藤実

    斎藤(実)委員 その他の計画に載ってない市町村に対しては、いつからいつまでというふうに、そういう計画があるのかどうか、つくってなければいつごろつくられるのか、お尋ねいたします。
  84. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 そういう地域については特に計画を立てておりません。将来地域的に伸びる可能性のある地区につきまして計画を立てまして、その計画の線に沿いまして酪農振興をはかっていきたいということでございます。
  85. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣にお尋ねいたします。  酪農には草地の改良事業の推進が非常に重要でございます。それで、草地の改良については多額の資金が投入されなければならないと思うのですが、農家経済的な理由で非常に困難を生じているわけです。現行草地改良についての補助率は、国営では十分の七、あるいは道営、県営は十分の六、小規模は十分の五というふうに、非常に地元の負担が多い。それで農家は非常に悩んでいるわけですが、農家経済的な問題を解決するために、この現行の補助率を少なくとも五%ないし一〇%アップする必要があるのではないか、そして経営規模の拡大による農家経営の自立を進めるべきではないか、強力なてこ入れをしなければこの酪農振興の意味をなさない、このように考えるわけですが、大臣にお尋ねいたします。
  86. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 草地改良はぜひ必要なことであります。そこで、従来とも金利については下げるように続けて努力いたしてまいっておりますが、四十二年度では、採択基準を引き下げるということによって、やりやすくなるように努力をいたしたわけであります。
  87. 斎藤実

    斎藤(実)委員 畜産振興事業団の乳製品の輸入が増大しております。これは政府の資料から判断しても非常に増大をしております。それで、国内の乳製品が非常に不安におちいっているように考えるわけですが、国内の乳製品の安定保護ということが当然必要になってまいりますが、この点について大臣に何か具体策があればお答えを願います。
  88. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 国内の乳製品につきましては、国内生乳生産の停滞ということもございまして、四十一年度におきましてはかなりの量の輸入があったわけでございます。先ほど申し上げましたように、四十二年度におきましてもかなりの輸入をせざるを得ないというふうに考えておるわけでございますが、御承知のように、乳製品の価格につきましては、安定指標価格というものがございまして、安定指標価格水準に安定させるということを目途にいたしておるわけでございまして、四十二年度におきましては、必要な乳製品につきましては放出をいたしまして、安定指標価格水準に安定させるということにいたしたいというふうに考えまして、努力をいたしておる次第でございます。
  89. 斎藤実

    斎藤(実)委員 いまの局長の答弁では、相当輸入量がふえるであろう、こういう答弁です。そうすると、輸入差益金も相当これはふえるという勘定になります。先ほど芳賀委員の質問に対して大臣から、輸入差益金がどれだけ出るかという見通しはなかなか困難だという答弁がございましたけれども、ちょっと相反する答弁のように感ずるのですが、大臣、どうですか。
  90. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま申し上げましたように、四十二年度におきましても乳製品の輸入というものはかなりふえるであろうというふうな見通しを持っておるわけでございますが、輸入差益金につきましては、輸入原料の価格、それから国内の売り渡しの価格等というものの関連もございます。したがいまして、そういうふうなものを総合いたしまして、差益が幾ら出るかというふうな計算ができるわけでございます。その基礎的な事情が変動いたしますと必ずしも明確な推定はできないわけでございますので、先ほど大臣が申し上げたようなことで、必ずしも明確な数字を出すということは困難な面もあるわけでございます。
  91. 斎藤実

    斎藤(実)委員 飲用乳の消費が非常にふえておりますし、加工用に回る量はそうふえていない。したがって、原料不足から、バターあるいは脱脂粉乳、練乳などの乳製品の価格が上昇しておりますが、この問題は非常に重要でございますので、この問題についてどう対処されていくのか、お尋ねいたします。
  92. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほど申し上げましたように、乳製品につきましては、安定指標価格というものがございまして、この水準に安定させるということを行なっておるわけでございます。最近乳製品の価格につきましてはかなり安定をいたしてまいっておるというふうに考えておる次第でございます。
  93. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次に、肉用の牡犢の育成についてお尋ねします。  肉資源の確保あるいは農家経営の向上の見地から、牡犢の育成が重要だというふうに考えるわけです。育成には一定のやはり年限が必要でございますし、その収益があがるまでの間、育成牧場の運営が非常に困難になってくるのじゃないか、有効な手を打たなくてはいけないというふうに感ずるわけですが、この点について農林省の基本的な考え方をお尋ねいたします。
  94. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 牡犢の育成でございますが、生まれました雄は、従来は生まれて間もなくつぶされるというような形態があったわけでございますが、一方で肉価格の騰貴という問題もございますし、肉資源の不足という問題も関連いたしまして、牡犢の育成ということが最近行なわれるようになったわけでございます。国内の牛肉資源が必ずしも十分でないという事情のもとにおきましては、この牡犢の育成というものは、非常に資源を供給する意味において有効であるというふうに考えておりまして、われわれといたしましては、牡犢の育成につきまして奨励をいたしておるわけでございますが、現在、競馬の益金から牡犢の育成牧場等につきましては助成をいたしまして、その振興をはかっておる次第でございます。
  95. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣から酪農振興については十分配慮もし力を入れるという御答弁がございました。畜産経営の中で、特に牛の多頭飼育は非常に困難が多い。特に飼料の問題、あるいは品質の改良、あるいは技術・設備等、非常に困難な問題がたくさんあるわけです、それで、一年に一頭生まれる子牛を育てて出荷をする場合でも、一頭当たり手間賃として三万か三万五千円かかる。これでは当然経営が成り立たないから、出かせぎに行くとか、あるいはほかの作物をつくるというふうになっていくと思うのです。新しく畜舎を建てる場合でも、一棟当たりやはり三十万ないし三十五万かかるという現状です。私は、この畜産振興について、政府が財政的にも相当力を入れて本腰を入れなければ国民的な要求を満たすような酪農振興ができないのではないかというふうに考えるわけですが、大臣はこの点をどう考えていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
  96. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、わが国の農産関係の中で一番足りないとわれわれが思っておるのは酪農及び畜産であります。そういう角度から、この国民の需要を満たすためには、えさをも含めて全力をあげなければなりません。したがって、農林省が農政の中で予算的にも最も大きな力を入れてまいらなければならぬのはこの関係であると存じております。
  97. 斎藤実

    斎藤(実)委員 酪農振興計画の中で、飼育戸数の問題ですが、東海あるいは関東が現在より一五%ないし二〇%も減少をするというふうに見込んおるようです。全国平均の一戸当たりの頭数は六・五頭、こういう現状で、現在の約二倍の頭数になる計画でございますが、私がここで疑問に思うのは、飼育戸数が減少する現状で、はたして昭和四十六年までの五カ年でこの計画がほんとうに達成できるかどうかということです。この疑問を持つのは私だけではないというふうに考えるわけです。農家の立場にしてみればやはり先ほど申しましたような問題点も多いし、農林省としても、この問題について、やはりはっきりとした財政的な見通しあるいは裏づけ、抜本的な施策が必要ではないかというふうに私は考えるわけですが、これは農民も期待を持って農林省の施策を見守っておりますし、重ねて大臣にお尋ねしたいと思います。
  98. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 ただいま御審議を願っております法律の趣旨なども、やはり輸入差益というようなものを活用いたしまして、畜産家、酪農家に対してできるだけの援助をして、その生産を拡大いたしてまいりたいということで、こういう資金は、先ほど畜産局長も芳賀さんの御質問にお答えいたしましたように、きめこまかにこの畜産及び酪農奨励のために国費を使うわけでありますから、かなりな成果が期待されると思うのでありますが、さらに、先ほど申し上げましたように、そういう助成のほかには、われわれとしては、国が草地の造成その他飼料の増産等について格段の努力をいたして、日本の畜産及び酪農の増産には全力をあげてまいりたい、こう思っております。
  99. 斎藤実

    斎藤(実)委員 局長にお尋ねしますが、指定生乳生産者団体の育成について、これを今後軌道にのせるためにはいろいろな問題点があると思うのでありまして、いままでも農林省としてはこの点について非常に施策が欠けているというふうに私も考えるのですが、今度どういう具体的な対策を考えていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  100. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 指定生産者団体は、不足払い法の基本となります団体でございまして、生乳の一元的な集荷販売機関でございます。今後生乳の生産流通の発展をはかりますためには、指定生産者団体を強化することが必要であるというふうに考えておるわけでございます。このために、四十一年度におきましては、学校給食につきまして指定生産者団体が関与をいたすということにいたしたわけでございますが、さらに、集送乳施設につきまして指定生産者団体に助成をするという措置をとったわけでございます。今後におきましても、生産振興のための助成措置等につきましては指定生産者団体に関与させるということによりまして、さらに一そうの指定生産者団体の強化をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  101. 斎藤実

    斎藤(実)委員 指定生産者団体の助成についていま考えているというふうに答弁がございましたけれども、具体的にどういう措置を講ずるのか、お尋ねしたいと思います。
  102. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 生産振興のためのいろいろな助成措置がございます。その助成措置につきまして、都道府県の中で配分をいたす場合におきまして指定生産者団体の意見を聞くというふうな措置をとりまして、指定生産者団体を強化してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  103. 斎藤実

    斎藤(実)委員 時間もまいりましたし、局長に最後にお尋ねいたします。  先ほど芳賀委員の質問もございましたように、四十数億という輸入差益金が出るであろうという見通しは当初はなかったろうと思うのですが、なぜこういうふうに当初の計画と現在で差が出てきたかということについてお尋ねしたいと思います。
  104. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、わが国の乳牛につきましては、三十九年ごろを境といたしまして生産伸び率が停滞をしてまいっておったわけでございます。これに伴いまして生乳の生産も停滞をいたしておったわけでございます。そして、四十一年度の上半期につきましては対前年比八%程度の生産の増があったわけでございますが、八月ごろを境といたしまして、急速に生産伸び率が減退いたしまして、対前年同月比で一%ないし二%程度になったわけでございます。こういうふうな事情がございまして、急速に国内の乳製品が不足をしてまいりました。したがいまして、その結果として輸入が増大せざるを得ない、その結果といたしまして、多額の差益の発生を見るというふうな事態になったわけでございます。
  105. 斎藤実

    斎藤(実)委員 この差益金の問題について、先ほどの答弁では、相当今後とも輸入差益金が生ずるであろうというふうに答弁がございましたけれども、どれぐらい見込んでいらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
  106. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 四十二年度におきます差益といたしましては、現在計算をいたしたところでは、約五十六億程度の差益が発生するのではなかろうかというふうに考えておりますが、先ほども申し上げましたように、買い入れ価格の変動なり、売り渡し価格の変動、また売り渡し数量によりまして、必ずしも的確な数字は申し上げられないわけでございますけれども、現在のところ想定をいたしておりますのは、ただいま申し上げましたように、約五十六億程度ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  107. 斎藤実

    斎藤(実)委員 先ほどの大臣の答弁あるいは局長の答弁を聞いて、いろいろ酪農振興については努力もする、あるいは近代化計画を推進するという答弁がございましたけれども、ひとつ本腰を入れて酪農振興のために力を入れていただきたいということを要望して、質問を終わります。
  108. 本名武

    本名委員長 他に質疑の申し出もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  次会は、明五日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十分散会