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1967-06-29 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十九日(木曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 東海林 稔君       小澤 太郎君    大野 市郎君       鹿野 彦吉君    金子 岩三君       熊谷 義雄君    小山 長規君       坂田 英一君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       藤田 義光君    湊  徹郎君       粟山  秀君    赤路 友藏君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       島口重次郎君    芳賀  貢君       美濃 政市君    森  義視君       神田 大作君    中村 時雄君       斎藤  実君    中野  明君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君  委員外出席者         農林省畜産局畜         産経営課長   藤井 伸夫君         農林省畜産局牛         乳乳製品課長  松本 作衛君         農林省畜産局自         給飼料課長   山下 粛郎君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 六月二十九日  委員伊賀定盛辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として伊賀  定盛君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十八日  昭和四十二年産生産者米価に関する請願(内海  英男君紹介)(第一七六七号)  同外二十六件(大村襄治紹介)(第一七六八  号)  同(奧野誠亮紹介)(第一七六九号)  同外二十件(河本敏夫紹介)(第一七七〇  号)  同外八件(白浜仁吉紹介)(第一七七一号)  同外三件(田中武夫紹介)(第一七七二号)  同外一件(綱島正興紹介)(第一七七三号)  同(芳賀貢紹介)(第一七七四号)  同外四件(馬場元治紹介)(第一七七五号)  同外四件(三木喜夫紹介)(第一七七六号)  同外二十二件(金子一平紹介)(第一八〇三  号)  同外十九件(亀山孝一紹介)(第一八〇四  号)  同(篠田弘作紹介)(第一八〇五号)  同外三十九件(渡海元三郎紹介)(第一八〇  六号)  同外二十二件(内藤隆紹介)(第一八〇七  号)  同外十七件(野田卯一紹介)(第一八〇八  号)  同(芳賀貢紹介)(第一八〇九号)  同外八件(原健三郎紹介)(第一八一〇号)  同外二十二件(藤井勝志紹介)(第一八一一  号)  同(松浦周太郎紹介)(第一八一二号)  同外二十三件(武藤嘉文紹介)(第一八一三  号)  同外一件(江田三郎紹介)(第一八七二号)  同外十九件(大野明紹介)(第一八七三号)  同外六件(大村襄治紹介)(第一八七四号)  同(加藤六月紹介)(第一八七五号)  同外三十一件(鍛冶良作紹介)(第一八七六  号)  同外九件(小平久雄紹介)(第一八七七号)  同外一件(坂村吉正紹介)(第一八七八号)  同(篠田弘作紹介)(第一八七九号)  同外九件(周東英雄紹介)(第一八八〇号)  同(砂田重民紹介)(第一八八一号)  同(芳賀貢紹介)(第一八八二号)  同外一件(馬場元治紹介)(第一八八三号)  同外四十七件(古井喜實紹介)(第一八八四  号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一八八五号)  同外六件(古川喜一紹介)(第一八八六号)  同外七件(松野頼三君紹介)(第一八八七号)  同外十五件(松野幸泰紹介)(第一八八八  号)  同外十二件(森下國雄紹介)(第一八八九  号)  同外十二件(森山欽司紹介)(第一八九〇  号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第一八九一号)  同(安井吉典紹介)(第一八九二号)  同(山下元利紹介)(第一八九三号)  同外二十五件(渡辺美智雄紹介)(第一八九  四号)  同外八件(倉成正紹介)(第一八九五号)  同(阿部昭吾紹介)(第一九四九号)  同(安宅常彦紹介)(第一九五〇号)  同外三件(石川次夫紹介)(第一九五一号)  同(池田正之輔君紹介)(第一九五二号)  同外四件(大石八治君紹介)(第一九五三号)  同(大竹太郎紹介)(第一九五四号)  同外一件(加藤常太郎紹介)(第一九五五  号)  同(鹿野彦吉君紹介)(第一九五六号)  同外二件(勝澤芳雄紹介)(第一九五七号)  同外四件(角屋堅次郎紹介)(第一九五八  号)  同外三十二件(鴨田宗一紹介)(第一九五九  号)  同外二件(神田博紹介)(第一九六〇号)  同(木村武雄紹介)(第一九六一号)  同外十二件(吉川久衛紹介)(第一九六二  号)  同外八件(久保田藤麿紹介)(第一九六三  号)  同外一件(熊谷義雄紹介)(第一九六四号)  同(黒金泰美紹介)(第一九六五号)  同外四件(小坂善太郎紹介)(第一九六六  号)  同外十件(小松幹紹介)(第一九六七号)  同外十四件(佐藤文生紹介)(第一九六八  号)  同外六件(坂田道太紹介)(第一九六九号)  同外十件(櫻内義雄紹介)(第一九七〇号)  同(田中武夫紹介)(第一九七一号)  同(田中六助紹介)(第一九七二号)  同外十五件(高田富之紹介)(第一九七三  号)  同外一件(竹内黎一君紹介)(第一九七四号)  同(只松祐治紹介)(第一九七五号)  同(塚田徹紹介)(第一九七六号)  同(坪川信三紹介)(第一九七七号)  同外八件(中井徳次郎紹介)(第一九七八  号)  同外八件(西村英一紹介)(第一九七九号)  同外十六件(野田武夫紹介)(第一九八〇  号)  同外三件(羽田武嗣郎紹介)(第一九八一  号)  同(芳賀貢紹介)(第一九八二号)  同外十二件(葉梨信行紹介)(第一九八三  号)  同(華山親義紹介)(第一九八四号)  同外二十三件(福永一臣紹介)(第一九八五  号)  同外二件(廣瀬正雄紹介)(第一九八六号)  同(平等文成紹介)(第一九八七号)  同外二十一件(藤井勝志紹介)(第一九八八  号)  同外十六件(藤尾正行紹介)(第一九八九  号)  同外四件(藤波孝生紹介)(第一九九〇号)  同外二件(堀昌雄紹介)(第一九九一号)  同(三原朝雄紹介)(第一九九二号)  同外十六件(村上勇紹介)(第一九九三号)  同外一件(森田重次郎紹介)(第一九九四  号)  同(安井吉典紹介)(第一九九五号)  同外八件(山手滿男紹介)(第一九九六号)  同外四十件(吉田重延紹介)(第一九九七  号)  同外五十六件(渡辺栄一紹介)(第一九九八  号)  同外一件(渡辺惣蔵紹介)(第一九九九号)  同外九件(大久保武雄紹介)(第二〇〇〇  号)  同(山崎巖紹介)(第二〇〇一号)  同(藤本孝雄紹介)(第二〇〇二号)  同外一件(野呂恭一紹介)(第二〇〇三号)  同外一件(野原正勝紹介)(第二〇〇四号)  同(野原正勝君外一名紹介)(第二〇〇五号)  昭和四十二年産生産者米価に関する請願外一件  (亀岡高夫君紹介)(第一八九六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を  改正する法律案内閣提出第一二〇号)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前会に引き続き質疑を続行いたします。美濃政市君。
  3. 美濃政市

    美濃委員 昨日、今回出されました提案の趣旨に基因いたしまして、酪農政策についてお伺いをしたわけでありますが、そこで、一応一段階整理して、次の質問に入りたいと思います。  まず、昨日の質問で、大体答弁もそうであったわけでございますが、この政策は第一段階に、いわゆる牛乳の生産をする原動力は乳牛でございますから、乳牛生産体制をすみやかに確立すること、それから第二点としては、草地改良の問題と同時に、質的な技術開発の問題、これはすみやかに予算措置を要する問題でありますから、昭和四十三年度予算において所要事業計画並びに予算の確保をはかるように努力をいたされたいということを付言しておきます。   〔委員長退席倉成委員長代理着席〕 さらに、経営規模の問題に触れましたが、これは一がいに言えないところもございます。規模頭数につきましては、これは政策というよりも、むしろ農家のそれぞれの地域の実情、あるいは当該農家の体力あるいは技術等に及んでくる問題でありまして、畜産局長答弁も必ずしも適正でないとも考えておりません。また片やこういう意見もあるということを参考にして、今後の経営基準検討してもらいたいということでありまして、この問題はそのような考え方で進んでいただきたいと思います。  次に、金融の問題であります。そこで、金融の問題は、導入設備とに分けて対策質問をいたしたいと思います。いろいろ見解も承ったわけであります。いわゆる償却済み資産から見た場合の資本利子体系、いろいろ説明も承りました。しかし、私の言っておるのは、これは誤解をせぬようにしてもらいたいことは、乳価のみにとらわれて言っておるわけではございませんので、今回の近代化政策を進めるにあたって、一体これに対して設備投資は何ぼ必要とするか、その計算ができておるかということを第一点にお尋ねしておるわけであります。  第二点は、その需要額をどういう条件で達成しなければ、どういう条件金融をしなければ、この近代化計画、いわゆる全国で百万頭の乳牛増加して、生産量七百万トンにするという生産体制にはならないのでありまして、振興対策と言えないのであります。この点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 藤井伸夫

    藤井説明員 資金計画についてでございますが、国の酪農近代化基本方針は、その事項といたしまして、需要長期的見通しに基づきました生乳生産数量の目標、育成すべき経営の様式、それから流通等改善方法等、基本的な事項をうたっておるわけでございます。したがいまして、この国の基本方針に基づきました資金計画というものはつくっておりません。ただ、この国の基本方針に基づきまして、都道府県がそれぞれ近代化基本計画をつくっておるわけでございますが、それにつきましても、それぞれの計画について資金計画はつくっておりません。ただ、内容といたしまして、国の基本計画方針のほかに、具体的に家畜導入頭数とかあるいは草地改良の面積とか、現実にその事業量をあらわすものがあるわけでございます。その事業につきましてそれぞれ、たとえば家畜導入につきましては、自力導入幾らとかいうようなことで、一応それに基づきまして計算はできるような形になっておりますが、現在のところ、その資金計画はつくっておりません。
  5. 美濃政市

    美濃委員 この資金計画は伴っていないというのでありますが、これは資金計画なしに進めることは、私は、この計画の達成は絵にかいたもちになると思うのです。そういう政策裏づけがない。そういうことを全然考えていない。ただ絵にかいたもちのような生産計画だけをつくって、そうしてあとそれに対する裏づけ政策は考えていないということは、私はおかしいと思うのです。
  6. 藤井伸夫

    藤井説明員 先ほど申し上げましたように、直接どれだけの資金が要るというような計算はいたしておりませんが、年度ごとに区分いたしまして、制度融資を必要とするものは幾らとか、そういった事業実施方法別事業量算定しておるわけでございます。そういったその計画に基づきまして、各年度ごと所要事業量を算出するような処置を考えるというような形で進めることに相なろうかと思います。
  7. 美濃政市

    美濃委員 次に、これは検討を進められておるのは農政局でありますが、経済局長さんに伺います。共同作業で進められると思いますし、また、実施段階になればこれは経済局所管でありますが、一昨年ごろから畑作営農振興対策室を設けて、いろいろの問題が審議されております。本日は加工乳に伴う質疑でございますから、この近代化に限って資金対策経済局でまとめた、この近代化計画を進めるにはおおよそどのくらいの資金が要るだろうというまとまったものがあれば、それをお聞きしたい。  それから、そういう総量はまとまっていなくて、あるいは都道府県別に必要に応じて年度別計画を立てていくといたしましても、それを進める資金体制、いわゆる制度資金条件ですね、これはどのようにいま進められておるか。
  8. 大和田啓気

    大和田政府委員 御質問の第一点のほうは、現在農政局で調査検討いたしております畑作総合対策関係するものと承知いたしますが、まだ農政局検討中で、私どもにまとまった話し合いはございませんので、当然、農政局作業が進みますのにつれて金融で受け持つべき部面がありますれば、私のほうはそれに応じていろいろ努力をいたしたいと思います。  それから、酪農近代化計画の全体の資金の量は、いま畜産局から立てていないというお話がございましたが、私どもも全体の資金量についての作業はいたしておりません。ただ、毎年毎年公庫なりあるいは近代化資金ワクをきめますときに、別に近代化資金におきましては畜産幾らというふうにはきめておりませんけれども、全体のワクをきめますときに、畜産局からの要望は十分こなしていままでもきめておるわけでございますから、年度年度の必要に応じて資金量は十分見ていきたいというふうに考えております。その場合の融資条件でございますが、御承知のように、近代化資金末端金利はだんだん下げて、現在六分になっておりますし、畜産経営拡大資金は五分五厘でありますが、構造改善推進資金融資分が三分五厘でございますので、私ども将来の問題として、農業金融全体あるいは酪農近代化ということに焦点を合わせて金利の再検討をいたすことは十分考えられますけれども、ただいまのところは、金利を動かすというふうに考えておらないわけでございます。
  9. 美濃政市

    美濃委員 これは昨日もいろいろの問題でお伺いしたわけですが、いまの御説明を聞いて、全く私は不十分だと思うわけです。  もう一点、昨日の例を出しますが、これに対して北海道開発庁でまとめた中に、いまの近代化資金ではだめだと表明しておるわけです。その理由は繰り返しませんが、昨日申し上げてあるわけです。これは乳価の中における計算と新しく始める経営推進する資金、これは新施設でございますから、農家個人自己資金もちろん入るでしょう。しかし、現在これだけ急激に四十六年までに乳牛頭数を倍にするというのでありますから、なかなか農家自己資本でまかなえる範囲、これは乳牛頭数増加がそれだけでもめんどうだと思います。さらに開発庁が出しておりますのには、非常に設備が悪いと書いてあるわけです。なお多い非耐寒畜舎、あるいは寒地農業でございますから、いわゆる冬季間の飼料を期間的にも長く貯蔵しなければならないから、その量が多くなる。サイロ設備の問題、これらを考えると、とてもいまの近代化資金と言われますけれども、十五年の五分資金、六分五厘資金、こういう性格の資金では進めることができないということを昨日申し上げておるわけです。それでは新施設を進めることができない。乳価計算では、償却済み施設として資金を全体の金利体系からこうだという説明を聞いたのですが、新しく設備を進める、新しく投資を行なって進めるといっても、少なくとも農家自己資金で対応するというようなことはできない。これは北海道に限らず、いずれの地域でもそうだと思います。全国で五カ年間で百万頭の乳牛を二百万頭にするというのでありますから、この頭数増加分自己資金で補う能力は私はないと思います。全然ないとは申しません。限られた農家はありましょうけれども、全体の農家頭数増加分自己資金で調達する能力はない。もちろん導入資金も必要である。そうすると、基本設備投資畜舎サイロ、この新設備借り入れでやるわけですが、この融資限度は現在のところ農林金融八割限度となっております。これも八割の借り入れ金をするということになっておりますと、昨日から申し上げておるように、新施設計算すると、乳価の中の償却費で払うということになると四十年、金利は新施設計算すれば三分五厘ですから、これは間違いないのですから、乳価の中で設備投資を行なわしめる金融体系はどうなければならぬかということを検討しないでこの案を進めようということは、これは仏つくって魂入れず、すなわち、この計画案というものが絵にかいたもちになる。同様のことを開発庁が調査した結果を公表しているわけですね。それをここで聞いても、依然として案がない。これは一体どういうことなんでしょうかね。同じ国家機関役所で、片一方の役所はこうなければならぬと言っておるし、これを担当する農林省はそんなことはいま考えていない、こういうのであります。全く何か精神分裂症のような体質で日本の行政は進められておるのじゃないかという感じを持つわけですが、どうでしょうか。
  10. 藤井伸夫

    藤井説明員 先生御指摘のとおり、この計画を推し進めますには多大の資金を必要とすることは間違いございませんし、そのうちの相当部分借り入れによらざるを得ないということも確かでございます。しからば、金利水準をどの程度にすべきかということでございますが、これは経営あり方なりあるいは乳価水準、いろいろございまして、私どもにはなかなかきめがたい。とりあえず、御承知加工用原料乳価算定に際しまして、借り入れ資本については七分四厘五毛、それから自己資本については五分五厘というふうに計算いたしておるわけでございまして、この金利は、現在の金利体系からいって妥当なものじゃなかろうか。もちろん、御指摘のように、全体のあり方を勘案しての金利水準検討ということは必要と思いますが、とりあえず保証乳価算定については、ただいまのような考え方計算しております。
  11. 美濃政市

    美濃委員 これは今後検討する、そういう方向で金利体系の問題、この政策を進める制度資金年限の問題、金利の問題を検討する必要があると思いますが、それも絶対現行でやれないということをここで申し上げて間違いないという自信を持って私は申し上げておるわけです。長くは言いませんが、片や国の機関である開発庁はこのように言っているわけです。それは、ここでいま政策が煮詰まっていなければかくかくしますということは言えないにしても、依然として現行金融を一応頭に描いてこれを進めようとする姿勢というものは、これは私だけが言うのではなくて、国の同じ機関の中にこういう食い違いがあるのですね。これはどのようにお考えになりますか。また、検討するというのであれば、検討でもいまの時期ですからやむを得ないと思いますが、検討するとしても、これはすみやかに検討して、四十三年度にはこれに伴う金融のスタイルができなければならぬと私は思うのです。
  12. 大和田啓気

    大和田政府委員 御指摘北海道開発庁の調査なり意見なりがどういう意味を持っているか、私よく承知いたしておりませんが、先ほども申し上げましたように、現在の構造改善推進資金三分五厘、あるいは近代化資金六分、畜産経営拡大資金五分五厘がはなはだ高利であって、そのために酪農振興が非常にむずかしくなっているというふうには、私は実は考えておりません。ただ、私ども農業金融をあずかる者といたしまして、当然、金利体系全体の問題あるいはどのように資金を必要とする農家に円滑に貸されるかということについて、絶えず関心を持って検討いたしておりますし、現在も、昨年の八月から東畑四郎さんを座長にして、金融の研究をやっております関係で、いま御指摘のように、三分五厘、四十年というところまでは、私は率直に申し上げて、とても飛ぶ勇気はございませんけれども農業金融全体の問題としても、また酪農の問題としても、現在の五分五厘あるいは六分が無理であるかないかということについては、十分検討いたしたいと思います。
  13. 美濃政市

    美濃委員 これはすみやかに検討してもらいたい。これは開発庁も出しておりますし、それから一昨年ころから、北海道としても、このいわゆる経営資金は、いまの金融制度では、その改善方を強く要請してきておるわけです。これは全国的にも要請が高いわけですね。ですから、いま検討するということでございますが、すみやかに検討して、できるだけ早い期日にその態度を明確にしていただきたい。  次に、時間の関係政務次官も行かれまして、若干これは皆さん方質問するのは無理かと思いますけれども、昨日も質問が出ておりましたが、加工原料乳補給金制度推進ということを強くうたっております。この加工原料乳補給金制度推進する中において、昨日の質疑にも出ておりましたが一番懸念することは、現在もかなり畜産経営の中で生産拡大を慫慂しながら、消費、流通、そういう問題の政策が欠けておるところから、今日、豚肉に対する問題、豚肉生産者が非常に苦境に立っておる、こういう一つの問題があります。それからまた、同様のこの補給金制度の中で、大豆制度あるいはなたねの制度を振り返って考えてみますと、あれをつくりました昭和三十年当時、国内自給度を向上するということで、その当時の政策としては、一般会計から三十億出しまして、当時のアメリカから輸入される大豆基準といたしまして、国内大豆価格あるいはなたね価格生産費格差補償制度を一応確立したわけです。当初三十億一般会計から繰り入れをしたが、その後政策方針を変えまして、制度は残っておりますけれども、年々一般会計からの繰り入れば減額していく。五年も六年も、これだけ農業パリティ指数が上がる中で、価格を据え置きにしておく。これはもう、私どもに言わしたら、自給を放棄したということです。そういう過去のこの種の政策一つの疑問と不信感を私どもは持っておるわけです。  そこで、この運用につきましても、当初、この政策を立てまして、保証乳価基準取引価格の差額は国の責任でそれを補完して、酪農の安定をはかっていく。また、最近、先ほどから質問を申し上げております。いわゆる国際的需給動向、そういうものからこういう近代化計画を立ててきた。そういたしますと、国際的需給動向も、今後需給逼迫動向が一応続くといま言っておっても、これは経済条件ですから変わらないということは言えません。五年、六年、年限の推移に従って、また国際的に乳製品過剰という状態が起きないということも言えないわけですね。そういうふうに考えてまいりますと、本年度予算で大幅に一般会計から繰り入れを減額して、この差金に依存する補給金体系政策転換をしてきたということは、全くこれは不安なわけですね。七百万トンにすれば、現在の需給推算では、差益金というものはなくなるのでしょう。七百万トンにこの五カ年間でするというのであります。昨日から言っておるように、私どももしたいと考えております。私どももこの政策を非難しておるわけじゃないのです。できればこうしたい。こういう生産体系にすることが、日本畑作経営もこの面を通じて進歩をたどることでありますから、非常にいいことである、これは積極的に進めるべきであるという意見に立って、その進め方を論議しておるのであります。そうすると、七百万トンになれば、おそらくこれは生乳自給量との問題がございますから、ここで的確に何ぼということを申し上げることは、これは推定ですから、私も避けたいと思いますけれども、少なくとも七百万トンになれば、加工乳は八十八万トンではないわけです。百五十万トンになるか何ぼになるかは、消費の動向と、時日を過ぎてみないと、的確にどうこうと言うことは避けたいと思いますけれども、少なくとも七百万トンの生乳が五カ年後に確保された場合、その加工乳は八十八万トンではないはずです。加工乳が多くなれば事業団の輸入は減少する。そうすると差金はなくなる。加工乳がたとえば倍になって百六十万トンになったということになれば、補給金はふえる、差益は減る。そういう性格を持っておる差益に、本年度のいわゆる補給金勘定におけるこの補給金を、差益に依存する体制にすりかえてきたということは、これは私どもはどうしても了解できないわけです。これは悪く判断すると、そういう国際的な需給動向との関係もあり、あるいは一面関税の一括引き下げとか、いろいろ問題があるわけですね。そういう問題とからんできて、悪くすると、これは七百万トン生産を達成して、農民は膨大な設備投資をしてこの政策に向かって真剣に努力をした、その頂点の時期になって、この法律の運用が、大豆、なたねのあの補給金制度の運用のように国の政策が後退した場合、一体膨大な借り入れをして設備投資をした日本酪農はどうなるんだ、そのときの農民はどうするんだ、その危険を感じます。これはことしの政策後退によって、感じるなといっても、はっきり感じなければならない原因をつくっておるということであります。この点はどのようにお考えになっておるか。これはちょっと本日は次官もおいでになりませんし、あとに保留したいと思っておりますが、その前に一応御意見を承りたい。
  14. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいまの先生の御質問は、この法案の内容におきまして非常に重要な問題点になる点でございますし、昨日倉成先生からの御質問もございましたので、政策的な判断につきましては私の答弁の範囲外であろうかと思いますが、私ども事務的に考えております点は、この法律におきまして、従来のたてまえといたしましては差益を不足払いの財源として使うというふうになっておりましたものを、この異常な差益の発生の状態というものが、すなわち生産の異常な停滞ということに基づくわけでございますので、この生産の停滞をこの機会におきまして急速に回復するということのためには、どうしても差益というものを生産対策に振り向けていかなければならないということで、この法律のいままでの規定を変えまして、生産対策にも使えるようにということで、むしろ前向きに取り組んでおるつもりでございます。もちろん、この差益につきましては、先ほど先生からお話がございましたように、恒久的なものとは考えておりません。一時的なものとして処理すべきものであろうかと思いますので、当然、一般会計からの財政負担というものにつきましては、制度の本来の考え方というものに基づいて必要なものは支出されるというふうにわれわれ事務的には考えておるわけでございますけれども方針といたしましては、また後ほど上の方から御返答をいただくということにお願いしたいと思います。
  15. 美濃政市

    美濃委員 いまのこの点は、今後酪農の位置づけの問題あるいは国際的な輸入の中でいろいろ派生しておる問題を調べておりますが、外国から入るものが安いという原因の中に、日本でとっておると同じような管理価格の問題あるいは余剰農産物、国際ダンピングの価格の問題いろいろ問題があるわけです。そういうことを考えますときに、単に国内生産を増強したからそれだけで国際対応性ができるというものではなくて、さらに今後の国際経済を考えるときに、経済戦争はまだ熾烈になると思います。そうなってまいりますと、いわゆる基幹をなすものは、やはりそれらの状態から画然と隔絶できる体制が私は必要だと思います。これはこの法律の最も基本をなすかなめでございますので、いずれ大臣が出席されるときに、これはきちっとくぎづけをしてかからないとたいへんなことになるかなめでございますから、大豆、なたねの運用のように、後退したときには、もう畑作物の転換などという問題ではなくて、ばく大な設備投資をして、政策方針が変わったときには農民はたいへんなことになるわけですから、これはきちっとしてかからなければならぬ一番大切なところでありますので、大臣に重ねてこの問題は質問いたしたいと思いますので、保留をいたしておきたいと思います。  次に、この差益の生産振興に使う方法の問題でございます。昨日も説明を承っておりまして、あまり硬直した制度をつくらないで、いわゆる地域指定生産者団体に交付して、そうして使途についての計画はそれぞれの地域に適合する計画を立て、標準になるかなめはつくっておいて、事業対象を協議して進めていく、これは非常にいいことだと思います。地域の特殊性というものを尊重して、こちらからあまり条件を縛らないで、地域事情を振興に組み入れさすというやり方、これは非常に民主的で、地域事情が取り入れられてよろしい方針だと私は思います。しかしながら、この配分の基準でございますが、これは指定生産者団体に交付するのでありますから、対象事業を行なう事業対象の生産者ですね、これは指定生産者団体を通して牛乳を販売しておる生産者を対象とすると判断してよろしいかどうか。
  16. 松本作衛

    ○松本説明員 差益の使用のしかたにつきましては、昨日局長から御説明を申し上げましたとおり、現在の段階では検討中でございますが、方向といたしましては、昨日局長から御説明したような方向を考えておるわけでございます。したがいまして、現在の段階におきましては、その運用のこまかい点につきましては、なおいろいろと検討しなければならぬ問題が多いかと考えております。ただ、ただいま御質問のございました指定団体を通した生産者ということに限定するかどうかという点につきましては、この不足払い制度というものが指定団体を中心にして共同販売体制を確立していくということでございますので、この方針に即した考え方で当然進むべきものであろうというふうに考えております。
  17. 美濃政市

    美濃委員 どうも質問答弁があまり——高度な答弁ですから、私の質問の趣旨のようにも解釈できるし、そうでもないようにも解釈できるのですが、これはいまここではっきり答弁することはまずいですか。まずければまずい、もっと検討なら検討でよろしゅうございます。私はそのように解釈していいかどうかということを聞いておるのであります。
  18. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいま申しましたように、運用につきましては検討中であるということで、最終的なことをお答えしかねるわけでございますけれども、方向といたしましては、先生おっしゃったような方向でわれわれも考えていくつもりでございます。
  19. 美濃政市

    美濃委員 そうすると、そういう方向を原則とすると、昨日の質疑で、局長説明を聞いておりましたが、三十四億という金は大きいようにも思いますけれども、しかし、全国的にこれを使うということになれば、末端へいきますとまことに少ない金額ですね。多いとも言えるし、少ないとも言えるわけです、いった時点において。そういうことでございますから、これはやはり私の考えは、全国的に使うこの程度の金に学識経験者を入れて相談する、いろいろ言われておりましたけれども、まずそのやり方、進め方は、前段で私自身はいいやり方でしょう、こう言っておるわけで、そういうやり方の上に立って、この配分の基準というものは、そういうことを原則とするのであれば、それを原則として、乳牛頭数とかあるいは乳量とか、そういうものの基準によって、この資金をたとえば都道府県なら都道府県別配分基準によって配分して、その配分額は一〇〇%基準配分ということも、これはどうかと思います。やはりそのほかに、言われておりました、いわゆる指定生産者団体が行なう調整乳業工場とか、今後できないとは言えませんから、そういうものに対する出資とか、あるいはその他育成地域の問題とか、あるいは特別の対策も要るでしょうから、一〇〇%配分はどうかと思います。だから、たとえばこの法律で計画されておる三十四億の八〇%は基準配分にする、二〇%は特別対策によって調整をする、こういうことにして、あまり政治的にあるいは学識経験者などといって第三者の関係のない人の意見といったって、そういうことは行政上どうかと私は思うのです。そういう三十四億程度全国に流す金を第三者の知恵までかりる必要があるかどうか。やはり配分基準をつくって八〇%を配分で流して、二〇%程度は調整用として、これは農林省のきちっとした考え方で処置していけばいいのでないか。この程度の資金を流すのに学識経験者を寄せて協議云々——都道府県を寄せての協議はよろしいと思いますけれども、学識経験者云々というと、何か審議会のようなことまで考える必要があるかどうか。私は、やはり配分基準をつくって八〇%は基準配分、二〇%は調整配分、こういう常識をつくることが好ましいのでないか、こう思いますが、御意見を承りたい。
  20. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいま申し上げましたように、この運用の方法につきましては、現在検討中でございますので、こういう方向でいくということをはっきり申しかねる面が多いわけでございますが、昨日局長がお話を申し上げました、配分の方法につきまして学識経験者の意見も聞くと申し上げましたのは、これは県の段階におきまして具体的な事業を進めていく際に、指定団体を通ずるからといって指定団体だけの考え方のみではなくて、都道府県ないしは学識経験者の意見も聞くということも考えられるということを申し上げたわけでございまして、国が各都道府県ないしは都道府県の指定団体ごとに配分するというふうな考え方につきましては、いま先生から御指摘がありましたように、やはり一定の基準を定め、その基準に基づいて配分をしていくということになろうかと思いますので、国の配分の段階であえて外部の人の意見を聞くということを申し上げたわけではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  21. 美濃政市

    美濃委員 大体いまの問題は御答弁でよくわかりました。そういうことであれば、配分の段階の学識経験者というような私の聞き違えであったということで、そういうふうに理解をいたします。  次に、融資事業を主体にする、こういう説明であったわけですが、これはすでに質疑の中で申し述べたように、末端は金利高で困っておりますので、融資対象——融資対象というと、きのうこれは私の聞き不足かもしれませんが、融資事業を主体にするというふうに説明を聞きまして、それから先の説明はなかったように聞いておったわけです。たとえばこれを原資として三分で貸すとか、三分程度という説明もあったわけです。原資として三分程度に運用をするのか、利子補給として、たとえば農協系統の原資を使って、これを利子補給として、かなり多くの金額を低利にして運用しようというのか、この説明は具体的になかったと思う。したがって、融資対象事業とは、利子補給をもってかなりの金額の融資事業を展開しようとするのか、これを原資としての融資事業を主体にしようとするのか、それを聞いておきたいと思います。
  22. 松本作衛

    ○松本説明員 融資事業を主体に考えると申し上げましたのは、各都道府県から出てまいります計画の中心が、やはり経営規模の拡大、そのために先ほど先生からもいろいろお話がありましたような資金を充足していくし、そのための融資条件をこの機会に特別に緩和していこうということが中心になるであろうという意味で、申し上げたわけでございますが、この融資につきましての具体的な考え方といたしましては、いわゆる原資を出すということではなくて、利子補給の財源を出すということで、原資につきましては、系統資金を積極的に活用していこうというふうな考え方を現在持っておるわけでございます。
  23. 美濃政市

    美濃委員 次に、その進める過程におきまして、日本乳牛の質の向上、これはもう少し向上させなければならぬと思うわけです。これはしたがっていわゆる先進国から牝牛を入れるということも、一つ事業対象となってくると思うのです。そういう根本的に質の向上をはかるという対策、あるいは先ほどもお話しいたしました草質の改善、これは基本計画のほか基本的に国が行なうものと重複してはならないのでありますけれども、そういう点についても——これは少ない金額で将来に向かっては大きな経済効果を発揮するものでありますから、これをいろいろどうするこうするという質問ではなく、そういう点についてもこれは融資事業を主体にするという説明であり、私の考えておるように大体二割くらいは——いまの投資は少なくて、それが将来大きな経済効果を発揮するという助成事業ですね。これもお考えになっておると思いますので、十分検討願いたいと思います。  あといろいろ質問したいことも多かったわけでございますが、何か理事会のほうで十一時四十分ごろまでというお話でございましたので、一応終わります。あと保留した分は除きます。
  24. 倉成正

    倉成委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  25. 倉成正

    倉成委員長代理 速記を再開してください。  芳賀貢君。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 畜産局長に尋ねますが、法案担当の局長として、審議する委員会が大事か、雑件審議のために他の委員会に行くのが大事か、その点はどう考えておりますか。
  27. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 お話の点に関しましては、私の関係をしております。所管をしております法律が提案されておりますので、当農林水産委員会がたいへん大事だと思っておりますが、物特のほうからお呼び出しがございまして、当委員会理事会で決定をされましたので、それに従いまして参っておったわけでございます。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 今回の改正案の内容について、重要な諸点だけについてお尋ねいたします。  第一の点は、せっかくの補給金法の改正でありますから、この際、単に輸入乳製品の売買差益金の活用ということだけでなくて、むしろ、当初から加工原料乳だけを対象にした本制度の欠陥というものが年を追って露呈しておるわけでありますから、この際、根本の問題として不足払い制度の抜本的な検討をする必要があると思うのです。社会党が一昨年政府案と同時に提出しました牛乳法案なるものは、これはもう完全に理想の法案であって、これを直ちに自民党政府に求めるということは無理があると思いますが、一番大きな問題は、生産された生乳を用途に区分して、加工原料乳だけを法律の対象にするというところに、当初から欠陥があったわけであります。ことしの春の飲用乳の価格紛争等の実例を取り上げてみても、この際、生産された国産生乳全体を対象にした補給金制度というものを強力に確立する必要があると思いますが、この点については政府としていかように検討を行なっているか、明確にしてもらいたいと思います。
  29. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 不足払い制度につきましては、御承知のように、四十一年度から出発をいたしたわけでございまして、まだ一年を経過したというふうな状態にあるわけでございます。不足払い制度ができます際にも、この点に関しましてはいろいろ御議論があったように伺っているわけでございますが、市乳につきましては、地域の実態なり需給の実態なりというものによって価格が形成される、しかも、乳製品のような需給操作によりまして価格安定をするということもむずかしい、こういうふうなこともございまして、加工原料乳のみにつきまして不足払い制度が行なわれたわけでございまして、現在一年間の経過になっているわけでございますが、今後この不足払い制度というものがどのように運用されるかというふうなことにつきまして、実態を見詰めながら、牛乳の取り扱いについては検討してまいるべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、飲用乳も対象にした制度の抜本改正について、政府として再検討の必要がある、その意思があるということですか。
  31. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 現在のところはそういうふうなことは考えておりませんけれども、今後この不足払い法の運用によりまして、加工原料乳というものの生産その他が規定されていくわけでございますが、それとの関連で市乳がどのようになるかというふうな今後の推移を見まして、いろいろ検討すべき問題は検討するというふうに考えておるわけでございまして、現在のところ、市乳につきましても不足払い制度を適用するというふうな点については考えておらないわけでございます。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、端的に言って検討の必要がない、そういう考えですか。
  33. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 今後の推移を見まして、どのようにすべきかということは検討すべき問題でございまして、現在のところ、不足払いを適用すべきであるというふうには考えておらないわけでございます。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、これは政策上の問題ですから、局長から農林大臣にこの点を伝えておいて、この法案があがるまでの審議の中で、政府としての、担当の農林大臣としての所見というものを明らかにしてもらいたいと思います。したがって、これは保留しておきます。  第二の問題は、四十二年の加工乳の保証価格の決定にあたりまして、特にわれわれが重要視しておりました自家労賃の算定については、今年からようやく主要な加工なま乳の生産地域における他産業との均衡労賃方式を採用したということについては、これは二カ年にわたる委員会の審議を経て、あるいは昨年の委員会において、約一週間を費して時の坂田農林大臣と議論をしました。この重要な問題について、ようやく法律の精神に基づいた自家労賃の算定が行なわれたというふうにわれわれは判断しておるわけでございます。労を多とするというところまでいかぬが、法律の精神が尊重され、委員会の意思がおおよそ実行されたということに対しては、十分認めていきたいと思いますが、その際、自家労働の中の主要労働部分だけについて均衡労賃をとり、ことさらに一部の付随労働と称する時間について、従来どおり日雇い労賃を採用したということについては、これはいかにも小手先の感があるわけでありますが、今年の場合は別といたしまして、四十三年度価格の決定の場合には、投入された自家労働については、当然他産業均衡方式を完全に貫くという努力をすべきであると思いますが、この点はいかがですか。
  35. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 お話のように、今年の告示におきまして、保証価格につきましては、特殊な労働につきまして都市均衡労賃の評価がえをいたしたわけでございます。これは先生も御承知のように、酪農労働というものは、拘束性と熟練性という意味におきまして、他の農業労働と違った点があるわけでございます。そういうふうな点から見まして、酪農労働の特殊な労働につきましては、特別な評価がされてしかるべきであるというふうな考えに基づきまして、そのような考え方に即した労働につきまして評価がえをいたしたわけでありまして、今後もこのような考え方で進んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 算定の結果によると、自家労働の投入時間が百キロについて七・六四時間、そのうち、付随労働と称する一・六六時間というものは、これがいわゆる臨時労賃ということにされておるのですが、これをいつまでもがんばる必要はないと思うわけです。貴重な生産者の労働に対して一本立ての評価をやるということは当然であるし、この種の技術を講じてもこれは価格面にそれほど大きな影響はないのです。しかし、生産者から見れば、せっかく均衡労賃でやってくれるのに、この分だけをことさら別扱いにするというのはおかしい。生産者の立場から見れば、何も付随労働なんということは考えていないわけだから——直ちにことしのがけしからぬと言うわけではないですよ。来年以降の分については、これは相当時間も圧縮されておるわけです。昨年の場合には大体十時間何がしということになっておるが、ことしの場合には七時間何がしということになっておるわけですから、それほど多頭化も進んでおらぬのに、価格算定上の技術として、極端に投下労働時間というものを圧縮しておるということだけを見ても、ここにも問題はあるわけですが、とにかく全投下労働時間に対しては同一の評価を行なうようにする、この点は局長から当委員会において明確にしてもらいたい。
  37. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 生産費調査に基づきまして労働時間を出しておるわけでございます。したがいまして、経営の合理化が進むというふうなこともございまして、投下労働時間が減少してまいっておるというふうに思うわけでございます。この投下労働時間の中で、先ほど説明申し上げましたような、他の農業と違いました酪農の特殊性を持った労働につきまして、特に特別な評価がえをいたしたわけでございまして、そういうふうな考え方で進んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、この問題は資料として明細なものを出してください。いわゆる農林省のいうところの主要労働と付随労働というものはいかなるものであるかという点と、四十一年と四十二年の間において百キロあたり三時間も労働時間が圧縮されるという、その重大な根拠というものがあると思うのですから、これらの点は資料を提出してもらって、それに基づいて論議を試みたいと思うわけであります。  次に、今回の改正点でありますが、われわれとして非常に不明朗に考えておる点は、乳製品の輸入売買差益金というものを国内の畜産振興のために即効薬として使うという趣旨のようでありますが、その場合、いまの法制上の制度からいうと、国が加工原料乳に対して交付するいわゆる補給金の交付というものは、事業団を通じて行なわれておるわけであります。一昨年の法律審議の場合においては、国内のなま乳あるいは乳製品の供給力というものを高めて、需要を満たすようなことを最大の目標として進めるわけでありますから、今後といえども乳製品の輸入差益というものが高まるということは、これは政策的に見ても決して好ましいことではないわけです。ただ、差益金の吸収ということになれば、輸入量が増大すればするほど売買差益金はふえるというわけでして、安易な考えでいえば、結局差益金に依存して、加工なま乳の交付金をそこに財源として求めるということにおちいりやすい危険が当初から予見されておったわけですね。いまの政府は信用できないわれわれの不信感もあって、その点は強く指摘して論議した点でありますが、この点については、昨日同僚の倉成さんからもお話があったとおりであります。そこで、一般会計からの負担と差益金からの交付金への使用の区分というものをこの際明確にしてもらわぬと、剰余の出た分についてのみその八〇%を畜産振興の部面に使うとか、酪農振興のために使うということでは、これは全くざる法のような形になって、何もきめ手ないと思うのです。この点を明らかにしていただきたい。
  39. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 加工用原料乳の不足払いの法律が制定をされましたときには、乳製品の輸入はきわめて少ないということで、したがいまして、主として一般会計からの交付金によりまして不足払いの財源に充て、残余のものにつきましては輸入差益でもって充てるというふうなたてまえになっておったと思うわけでございます。たまたま四十一年度におきまして、生産が停滞をいたしましたことから、輸入が非常にふえまして、その結果、差益が出たということになるわけでございますが、現在の法律のままにおきましては、差益は非常に多いわけでございますから、差益だけをもってしてもなおかつ不足払いの財源に充てられるということになるわけでございます。しかし、このような状態は妥当でない、一方で酪農が停滞をいたしております関係から差益がふえてくるということもございますので、この際、差益を使いまして酪農振興をやる、そしてこの差益が出ないような状態にするということが最も望ましいというふうに考えまして、今回の法律の改正をお願いをいたしておるわけでございます。一般会計からの交付金をどれだけ入れるかという問題につきましては、これは毎年の予算できまって問題になるわけでございますから、したがいまして、幾ら一般会計から入れるかということはなかなかきめにくいのではないか。一般会計の状況、差益金の状況、それを使用する酪農振興費の状況等を考えまして、一般会計から幾ら入れるかということをきめていくべきではないかというふうに実は考えておるわけでございまして、これは予算の際におきましてできるだけ努力をして、一般会計から入れるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは具体的な事例として、四十二年度の予算編成の場合に、農林省が加工原料乳に対する交付金の必要額というものの概要要求を当然大蔵省に出したはずですね。ですから、農林省として当時一般会計からどれだけ交付金を出すべきであるという概算要求額と、今年度の決定された交付金の財源内訳というものは、非常に大きな差があるでしょう。それをまず説明してもらいたいと思います。
  41. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 四十二年度の交付金としましては四十億を見積もったわけでございます。四十億の中身といたしまして、一般会計からの交付金二十億ということを予定いたしまして、予算要求をいたしたわけでございますが、予算ではそのとおり認められておるわけであります。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 それは結果がそうなったということじゃないですか。最初は、農林省の概算要求の四十億円は一般会計から支出すべきであるという概算要求をやっておるわけですね、去年の八月出したのは。それが最終査定の結果、大蔵省の方針として、とにかく急激に差益金増加しておるので、折半方式で一般会計から二十億円、差益金から二十億円ということで、四十億円が交付金財源として畜産事業団に交付される、こういうことになっておるのじゃないですか。その点正直に言ってください。
  43. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御質問の点でございますが、確かに要求は四十億円要求をしております。ただ、予算を作成いたしますのは大体七月ごろでございますが、その当時におきましては、まだ輸入差益が非常にふえるという想定が全くなかったわけでございます。八月ごろから御承知のように生産が非常に停滞をしてまいりまして、乳製品の需要が急増してきた。それに対しまして輸入が増大したという事実がございまして、それから非常に差益がふえてきたという結果になったわけでございます。そういうようなことを考慮いたしまして、最終予算決定の際に二十億ということになったわけでございます。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 一昨年の法律審議の場合は、赤城農林大臣も、決して輸入差益金に依存はしない、しかし、最低必要量は事業団が一手に乳製品の買い付けをすることになるので、国内の乳製品価格の安定をはかるということになれば、当然差益というものは出る、差益の使い方というものは一応どうするかということは、方針だけは法律上これは定めておかなければならぬので、その場合には、これは一部交付金の財源として充てることもできるという経理も行ないます、しかし、これに依存するということは絶対にしないということを明確に言明しておるわけなんです。ですから、毎年の要求は法律に基づいて正しいと思うのですよ。そうでなければ、四十三年の予算編成の場合には、三十億円は差益金から、十億円は一般会計からということにもなりかねないでしょう。だから、今度の改正を機会にして、加工原料乳に対する交付金というものは一般会計が負担すべきものであるという原則を明確にして、全部差益金を使ってはならぬということにはいたしがたいとしても、一般会計負担の原則を貫くようにしなければ、今回の改正というものは大きな成果をあげることはできないと思うのですよ。使った残りの八〇%なんというのは、局長が考えてもおかしいじゃないですか。
  45. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 差益がどの程度発生するかということにつきましては、必ずしも十分な見通しができかねる面もあるわけでございます。安定指標価格水準に乳製品を安定させるということをねらいといたしまして、輸入いたしましたものを売り渡すということになるわけでございます。そういうふうなことから、輸入差益が一体どれだけ出るかということも十分わからぬわけでございますので、一律に一般会計から幾らで、輸入差益から幾ら幾らでというふうなことは、なかなかきめがたいと思うのでございます。私たちといたしましても、酪農振興というものを緊急に行なう必要があるというふうなことから、この差益を使うということにいたしておるわけでございますから、差益につきましては、酪農振興の必要のために十分使ってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、一般会計から幾ら入れるかという問題につきましては、輸入差益との関係を見ながら妥当な交付をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 それは間違いなんですよ。毎年の差益がどれだけになるということは、これは捕捉しがたいでしょう。しがたいから、なおさら補給金は一般会計がこれを負担するということで予算を編成すべきだと思うわけです。しかし、輸入が絶無ということにはそうならぬですからね。たとえば四十億円補給金が必要であるとするならば、その九〇%の三十六億円は必ず一般会計が負担する、残り一割程度については差益金に依存するということでいけば、そう大きな狂いはないと思うのですよ。一般会計負担の原則でいくということになれば、少なくとも九〇%は一般会計が当然持つという、この程度のことは明確にできると思うわけです。もし農林省だけで明確にできないとすれば、これは直ちに大蔵大臣の出席を求めて、これは法律上大事な点ですからして、責任ある負担の区分というものをこの際明快にして、法案の審議を進めるべきであると思いますが、その点はいかがですか。
  47. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 一般会計からの交付金というのは、毎年度の予算によってきまるべきことですから、あらかじめ幾らということを前もってきめておくということは困難であるというふうに実は考えておるわけでございます。先ほど申しましたように、輸入差益の発生状況等を見まして、それから酪農振興にどれだけ使うかというふうなことを考慮しながら考えていくというふうなところが妥当なんではないかというふうに実は考えておるわけでございます。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ答弁にならぬですよ。元来交付金は全額一般会計が負担すべきものであるが、最近の乳製品輸入の実情等にかんがみた場合、これは絶無とは言いがたいので、総体の一割程度までは差益金に依存するが、一般会計はその九〇%は当然負担する、これは原則として明らかにしておかないといかないと思うのですよ。もう二年目で折半になったらあれじゃないですか。この法律をこのまま通しても、今度は三分の二差益金で負担せいとか、全部負担せいと言われても、これは拒否の方法はないでしょう、いまの法律の解釈から言えば。まして大蔵省と農林省の力関係ということになればなおさらだと思うわけです。だから、改正を機会にその点を明らかにしておく、そうして、差益金というものは何もむだづかいしろというわけじゃないので、できるだけ短期間に輸入に依存しなくてもいいような状態をつくるために、差益金というものをあげて酪農振興の効果的な部門に活用するというのがこの政府の提案の趣旨ですから、そうなると、交付金に回さないようにして全部これを活用するということが一番効果があがると思うわけです。これは局長としてたいへんな答弁であるとすれば、農林大臣から明確にしてもらいたい。その場合には大蔵大臣も一緒に出席して、けしからぬやり方をやめるようにしてもらわなければいかぬと思うわけです。
  49. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 もちろん、輸入が全くなくなれば、当然補給金は全部一般会計から出すということには変わりはないと思います。たまたま最近の実態に基づきまして、輸入が増大いたしまして差益が出ておるということでございますので、できるだけ輸入がないようにするためにも酪農振興に使うということは、私は正しいというふうに考えておるわけでございますけれども、輸入差益が非常にふえてくるという状態にあれば、これはやはり輸入差益の一部も補給金の財源に使うというのは、前の法律、現在改正提案をいたしております前の法律の趣旨からいっても、そういうことではないかというふうに考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、差益の発生状況等とにらみ合わせてやはり考えていくべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 四十一年の予算編成の場合は、これは最初の年でございましたが、一般会計からは三十八億円負担する、それでは足りないので、この三十八億円は四半期のうちの四分の三半期までにそれを使って、残りの分については四十二年度の予算で不足分は補てんするという、こういう方針で昨年の交付金の方針はきまっておるわけです。それが一年たって今度は二十億円差益金から出せ、残り二十億円を一般会計で負担するということになれば、このままでいけば、来年はますます差益金依存ということになると思うわけです。それでは急速な酪農振興の施策というのは進まないでしょう、財源を交付金に全部取られてしまえば。だから、そこを委員会としては心配して指摘しておるわけですから、担当の局長として、一体この交付金の負担の原則というものをどうするかということは、やはり所管の局長としても明確にしておく必要があると思うのですよ。
  51. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 四十一年度におきましては、この差益が大体四十二億発生をいたしておるわけでございますから、四十二億の八割ということで酪農振興に使うことにいたしておるわけでございます。   〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕 四十二年度におきましては、一般会計から二十億を交付するということになっておるわけでございまして、差益の発生をいたしたものから、不足払いに必要なもののうち二十億を取った残りを差益の中から出すということで、残りが酪農振興に使用されるということになってまいるというふうに考えておるわけでございます。先般も申し上げましたように、四十二年度におきましては、四十一年度の経験にもかんがみまして、安定指標価格水準に乳製品の価格が安定をいたしますように輸入売り渡しをいたすことにいたしておりまして、本年以上の差益が発生するのではなかろうかというふうに実は考えておるわけでございます。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長に申し上げますが、これは非常に大事な点ですから、農林大臣並びに大蔵大臣の出席を次回に求めて、加工原料乳に対する交付金の財源措置をどうするかというこの原則規定を明確にしてもらうようにしたいと思います。  もう一点だけ、この点局長にただしますが、四十一年の場合には四十億円差益金が出るということになれば、農林省方針どおりでいけば、その八割ですから三十二億円使えるわけですね。四十二年度にたとえ同額の四十億の差益金が出たとしても、それは二十億円はまず天引きで交付金のほうへ回すわけですから、残りは二十億しかない。しかもその八〇%以内ということになれば、十六億円しか四十二年度は活用できないということになるわけです。ですから、同額の売買差益があがっても、交付金のほうへどれだけ回すかということによって、毎年毎年活用の額というものに大きな変動がくるわけですから、そういう点を見越した場合にも、交付金に対する一般会計負担の原則というものはどうしても明らかにしておかなければいけないということを繰り返して指摘しておるわけです。この趣旨はわかると思いますが、どうですか。
  53. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 お話のようなお考えはわかりますが、実は輸入差益の変動によりまして、一般会計からどれだけ出すかということの率をきめることはなかなかむずかしいのではなかろうかと私は思っております。輸入が全くなく、差益が全くないという状態になれば、これは全額一般会計から交付しなければならないわけでございますから、九割と一割、八割と二割、五割と五割というふうなことをきめるのは非常にむずかしいというように私は考えておるわけでございます。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 それではこの点は農林大臣と大蔵大臣にただします。  次に、差益金の活用の内容ですが、昨日資料要求いたしました省令の中で、この使途はおよそ明確になるわけですが、具体的に何に使うかということをこの際明確にしていただきたい。
  55. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 使途といたしましては、この差益の発生をしたことの経過にかんがみまして、まず酪農振興ということを考えておるわけでございますが、生産の拡大と合理化に使用したいというふうに基本的には考えておるわけでございます。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 基本的じゃなくて、この金は何に使うかということを具体的に聞いておるのですよ。
  57. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 具体的に申し上げますと、まずこの金は、性格からかんがみまして、一般会計で助成または補助をいたしておりますのと同種のものに使うということは適当でない、また、補助金であるという性格にかんがみまして、個人施設に対する補助だとかあるいは零細補助というものは適当でないというふうな、一般補助に伴います制約がございますので、その制約の範囲内におきまして、先ほど申し上げました生産振興経営の合理化ということに使用したいというふうに考えておるわけでございますが、緊急に生産の拡大、経営の合理化をはかるために使います関係から、非常に長期を要します投資に使うということは必ずしも適当でないということで、緊急臨時に使うというふうに進みたいと思っておるわけでございます。その際、中央で一々事業をきめまして行ないますことは、事柄の性質上必ずしも妥当ではないのではないか。むしろ地方の実態に応じまして、これはぜひやりたいというふうな、酪農振興をはかりますためのさわりになるような仕事もあろうかと考えますので、この際、総ワクを各県別に配分いたしまして、そのワクの中で各県からやりたいという仕事のメニューを提出してもらいまして、それについて協議をいたしまして、協議がととのったところで使ってもらうことにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  交付のしかたといたしましては、指定生乳生産者団体にまず助成をいたしまして、指定生乳生産者団体におきまして都道府県あるいは学識経験者と協議をいたしましてメニューを決定し、また現実の補助なり助成をするというふうなたてまえをとりたいと思っておるわけでございます。  ただ、一般的にいいまして、各県から出てまいりますものの中で、定型的にぜひ使いたいというふうなものが予想されるような仕事があるわけでございます。その最も代表的なものといたしましては融資であろうというふうに考えるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、現行制度としてありますものにつきましては対象にしないというたてまえをとっております関係から、近代化資金だとか、そういったものにこれを使うということは妥当でございませんので、別個の金融といたしまして、系統資金を借りまして、近代化資金で認められておりますのと同種の事業について仕事をいたします場合には、三年間、三分五厘程度の利子になるように利子補給をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  そのほか、補助といたしましては、草地改良事業につきまして、現在認められております国営、県営、団体営以下のもので、緊急に必要な草地を造成するというふうな場合も考えられますので、そういうものに対して助成をするということも考えられるわけでございます。これは例示的でありまして、各県からの具体的なメニューの提出によりまして協議をして仕事を進めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、現在政府は酪農振興にそれぞれの施策を講じておるわけですが、これは重厚なものは一つもないのですね。種類は雑多にあるけれども、完全な効果があがるまでの重厚性というものはどれ一つを取り上げてもないのですよ。しかも手薄な雑多なものは対象にしない、それ以外ということになると、非常に局限されると思うわけです。ですから、むしろ、いまある制度であっても、手薄であって効果があがらぬというものに、これをさらに加算するとか付加するというようなことも効果的な方法だと思うのですよ。その点はどう考えているのですか。
  59. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 本来一般会計から出しております助成事業等は基本的なもので、今回の差益から出します助成は付随的なもの、臨時的なものというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、一般会計でやります基本的なものにつきましては、あくまで一般会計から支出をいたしまして、補助ないし助成をするということにいたしたいと思っておりまして、それ以外におきまして相当いろいろな仕事をやりたいという希望があるわけでございますから、そういうものをこの際思い切ってやって、生産振興経営の合理化に役立てたいというふうに考えておる次第でございます。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 いま例示として局長が言われたのは、おそらく利子補給のことだと思うのです。これは結局、系統団体といっても農協が主体ですが、農協の原資に近代化資金と同じような形を整えさして、それに対して末端の貸し付け条件が年三分五厘になるように利子補給を行なうということなんですね。どうですか。
  61. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 そのとおりでございます。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 二番目は、飼料対策は非常に緊急性を要するわけですが、草地造成についても、現在行なっておる国営、県営、団体営は除外して、それより規模の小さいものを対象にするというわけですか。
  63. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 国営、県営、団体営というものは、おおむね公共育成牧場という形で事業が行なわれておるわけであります。現実には公共育成牧場に育成牛を出すというようなこともあるわけですけれども、本来的に自家経営の中で育成するという場合もあるわけです。そういう場合には、やはり相当な草地なり飼料畑を持っておらなければならないわけでございますけれども、現実に、統計等を見ましても、一町五反ないし二町以上の相当な面積の経営におきましてはかなり乳牛が増大をいたしておりますけれども経営規模の小さいところではなかなかそうはいかないというふうなこともございまして、この際国営、県営、団体営以外のものにつきましても、草地を拡大するということに対しまして助成措置を講じたらどうであろうかというふうに考えておりまして、こういう点につきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれ各県からメニューを出していただきまして、相談をいたしたいと思っておるわけでございますが、例示的に考えてみますと、こういうふうなものも想定されるというふうに思っておるわけでございます。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、生産者団体等のこれに対する期待と要請が相当強いわけです。その中には、たとえば若齢牛、生産された子牛を十分育成して、期待された乳の生産があがるように育成するという、この種の問題ですね。あるいはまた、集団育成の施設に対して強力な助成を行なうというような点も、強い要請の中に掲げられておるわけです。ですから、こういう点は一体どう考えておるかという点ですね。特に、昨年の七月、畜産物価格安定法の改正の際、牛肉の輸入を事業団が一元的に行なう、その差益は肉牛の生産増強のために活用するということが、乳製品より一歩先んじて法律改正でこれは行なわれておるわけです。だから、それにならう措置を講ずるというのが今度の改正であるというふうに考えるわけですが、それとの関連で考えましても、やはり乳牛の数量的な確保ということは非常に生産上大事なことになるわけですから、この種の点については今回どういうような助成措置を講ずるか、聞かしてもらいたい。
  65. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 この点につきましては、各県からどのようなメニューが出てくるかということにかかっておるわけでございますけれども先ほど申し上げました融資事業で見ますと、現在の近代化資金におきましても、子牛の育成というものにつきましては資金の貸し付けの対象にいたしておるわけでございますから、今回新しくつくりたいと考えておる資金制度におきましても、子牛の育成というものはその対象にしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 いま局長の言った近代化資金の対象は違うんじゃないですか。この育成のための飼料代について若干融資ができるという道が昨年の法改正で講ぜられておりますね。子牛の育成資金というものは、これは種牛以外は出ていないんじゃないですか。
  67. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 近代化資金では、子牛の育成資金に対して貸し付けができるという制度は開かれておるわけでございます。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 それはえさ代でしょう。
  69. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 えさ代が主体でございます。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 えさ代といったってわずかじゃないですか。一体どれだけ貸し出しておるわけですか。
  71. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 どれだけというあれはないわけで、必要に応じて必要なものを借りるということで、農協がそれを貸し付けした場合に、利子補給をするということになっておるわけであります。今回の私たちの場合は、今度の新しく認めようという事業につきましては、個人の育成資金というものについても利子補給をいたしますし、また、公共牧場等の育成ということにつきましても、育成資金の利子補給をしたらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、子牛の育成資金についても末端三分五厘の資金でいくようにするわけですね。
  73. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 さようでございます。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、草地造成改良だけでなくて、自給飼料の緊急増産ということもこの際必要な問題ですが、この点はどうお考えですか。特に、先般来論議されておる麦作と自給飼料との関係政策的に重要な問題だと思うわけです。きのうの農林大臣の答弁から見ても、麦に対する政策というのは、これは皆無ですね。何にもないのですよ。つくりたい人はつくってください、無理におすすめしませんという程度なわけですね。しかし、裏作とか既耕地を荒廃させるのはもったいないから、なるたけ飼料作物をつくってもらいたいという程度の、全く空疎な答弁がきのう行なわれておるわけです。ですから、これらの問題と関連して、差益の活用というものを、一番大事な自給飼料の緊急増産というような場合に、一体どう考えておるのですか。
  75. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 これも、もちろん県から出てきたメニューにつきまして、相談をいたすことになるわけでございますが、御承知のように、自給飼料の増産総合対策というのを現在の予算で行なっておるわけでございます。このものと同種のものにつきましては、これは妥当でないと思いますけれども、それに該当しないようなものにつきまして、協議があれば十分協議に応ずるという考えでおるわけでございます。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、この具体的な助成事業の内容については、単に都道府県の指定生産者団体からメニューが出てきたからというのじゃなくて、そちらからも希望するメニューを出してもらう必要があるが、畜産局自身として最も理想的なメニューをつくって、地域的にそれが適合するような数種のメニューをつくることも必要だと思うわけです。ですから、来週の審議の場合には、そういう理想的な、最も栄養価値の高いメニューをひとつ出してもらいたいと思いますが、どうですか。
  77. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 定型的なものといたしまして、特に代表的なものについての融資について申し上げたわけでございますが、その他の点につきましては、各県の事情もいろいろまちまちで、たとえば北海道の場合、あるいは近畿等の場合、非常に事情が違っておるわけでございますので、一律にこういう事業が妥当であるというふうにきめてしまうのはいかがであろうか、むしろ、そういうことよりは、各県の実情に応じて必要なものを出さしたほうがいいのではないかというのが今回のやり方のねらいでございますので、こちらでこういう事業、こういう事業ということを一々きめてかかるのは、どうも適当でないのではないかというふうに実は考えておるわけでございます。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 このメニューというのは、きめてかかるものじゃないのでしょう。世界のどこのホテルに行っても、メニューというのは一種類だけではないのですよ。その中からお客の選択に基づいて料理をつくるわけです。だから、私が持参する希望のものもあるが、ホテルの支配人であるあなたのほうで親切にメニューをつくって、北海道麦はこれがいいと思いますがどうですかというぐらいの努力をする必要があるのじゃないですか。何にも支配人が動かないで、おまえらメニューをつくってこい、しかし、その中で政府のやっているものは全部除外しますよということだと、むだな苦労をさせると思うのです。
  79. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 コックが一人でございますと、メニューはきめてかからなければならぬわけですけれども、非常にコックが多いわけですから、注文があれば何でも応ずるという体制でございますので、向こうから持ってきたメニューに即してひとつごちそうを出そうという考えでおるわけでございまして、一応どういうふうに考えるかという例示的なものとして、実は融資問題と草地の問題をあげたわけでございます。したがいまして、そういうふうな思想と、そういう例示をあげれば、県としても必要なものについて十分りっぱなメニューができてくるのではなかろうかというように実は考えておるわけでございます。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、次回までに資料として岡田式メニューをひとつ出してください。  それから、もう一つは、たとえば三十二億円活用できるとすれば、それを全国都道府県の指定生産者団体にまず配分するということが説明されておるわけです。配分ということになれば、どのような算定基礎を用いて配分するかということになるが、それは何を根拠にするのですか。たとえば原料乳の取り扱い実績なら実績というものを基礎にした配分とか、いろいろあると思いますけれども、適正にやるということになれば、これは有力な配分基礎になると思うわけですが、どう考えていますか。
  81. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 公平適切にやりたいというふうに考えておるわけでございますが、なお、配分の方法については検討してまいらなければならないと思いますけれども、現在の酪農の各県の状態なり、それからどの程度伸びておるかということなり、今後伸びる可能性がどうであるかというふうな点、いろいろな点を考慮して公正妥当な配分をきめるべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 公正妥当なというようなおざなりな答弁は倉石君に聞けばいいのであって、何を基礎にして三十二億円を配分するかということは、事務当局のやる仕事じゃないですか。えらそうに公正妥当なんと言うのはおかしいですよ。何を基礎にして三十二億円を配分するかということについて構想があると思うのですよ。
  83. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま申し上げましたように、現在の乳牛頭数なり、それから伸びてきておる状態なり、今後伸びる状態というふうなものを総合的に勘案をしてきめるべきものでございまして、何か一つのものだけできめるということは妥当ではないというふうに考えておりまして、どのような配分基準をつくるべきかということについては、現在検討をいたしておるわけでございます。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 元来、これらの問題は、法案審議をする場合、審議の資料あるいは素材として用意して、必要な場合にはこういう具体策がありますということで審議に応じてもらわなければ、法案の審議というのは進まないわけですよ。そう思わぬですか。政省令の問題にしても、あるいは事業団の事業計画や収支予算というものもいまだに農林大臣が承認していないというような問題も、これは事務的な怠慢と言われてもしようがないと思うのです。ですから、非常に注文や希望の多い問題の処理ですからして、軽々に局長から具体的な方策を出すということは慎重を要する点があるかもしれぬが、しかし、委員会で審議する場合、前向きに取り組む姿勢というものはどうしても必要だと思うわけです。きょうは無理だとすれば、次回に、この配分についてはおおよそこういう方向でいきたい、やり方はこういうような種類があるとか、これらを総合して当局において実行する場合はきめるとか、もう少し実のある答弁をしてもらわぬといかないと思うが、どうですか。
  85. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 その点につきましては、具体的にどのような形に使用すべきかということを検討いたしまして、大体の考え方を固めたわけでございますが、具体的な配分等につきましては、ただいまおおよその考え方を申し上げたわけでございまして、詳細にここでいますぐきめてしまうというわけにもなかなかまいらないのではないかというふうに考えているわけでございますが、さらに検討いたしたいというふうに思っております。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長に申し上げますが、この問題も次回までにぜひ農林省のほうから資料として、あるいは口頭の答弁でもいいですから、十分用意するように委員長から伝えてもらいたいと思います。  それから次に、これに関連した問題ですが、一昨年の法案成立の場合に、四項目の附帯決議を付しておるわけです。四項目の中で着々と実行に移された問題もあるが、その中の一つとして、生乳の遠距離輸送の施設について速急に検討を進めて実行すべきであるという点も、四項目の一つに入っておるわけですね。これは先般私が予算委員会の分科会で農林大臣あるいは国鉄副総裁に質問したわけですが、どうも、判断からすれば、国鉄の関係は熱意を持っているが、農林省は全然熱意がないという逆な印象を受けておるわけです。事業団の育成事業の中にも牛乳輸送の技術協会というものがあるわけでありますが、一体これらの協会というのは何をやっておるわけですか。国内の需給の状態、流通状態というものが円滑にいってないわけですから、どうしても、根本的な解決をはかるということになれば、主要な生乳生産地域から大消費地に国の政策として生乳の輸送をやるということは、これは緊急不可欠な問題だと思うわけです。どういうわけでこれに熱意を持って取り組まぬかということをまず聞かしてもらいたいと思います。
  87. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 生乳の長距離輸送の問題につきましては、しばしば先生からお話があるわけでございますが、この点につきまして、道庁、ホクレン、各メーカー共同で、国鉄等に委託をしまして輸送のテストをやったことがあるわけでございます。その結果を見ますと、非常にコストが高くなるわけでございます。そういうような関係から、にわかに長距離輸送ということが可能であるかどうかという点につきましては、非常に疑問があるわけでございますが、畜産局といたしましては、御承知のように、リースをつくりまして、長距離輸送が生じました場合、これに対して施設等をできるだけ安く貸与するというふうな形で貸与してまいっておるわけでございますが、長距離輸送の問題につきましては、今後も重要な問題でございますので、われわれとしても十分検討したいと思っておるわけでございますが、現在の生乳のままではなかなか困難であるということで、滅菌牛乳の採用等の問題とからめましてこの問題は検討すべきではないかというふうに実は考えておるわけでございます。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 現在、加工乳の保証価格と飲用乳の価格差は、これは一升単位にすれば、飲用乳は幸いにして四月から百円の大台に乗ったわけですね。加工乳の保証価格は七十五円ですから、一升について二十五円の価格差があるわけです。いろいろな事情があるとしても、厳然として二十五円の差があるわけですね。従来は用途別の価格差というものは一升について大体十五円範囲であったのが、ことし飲用乳は一挙に一升について十二円上がったというような事情もあって、現在は約二十五円の一升当たりの価格差があるわけです。この現実を踏まえて、遠距離輸送というものの可能性というものは十分判断すべきだと思うのです。局長は高い高いと言っておるが、国鉄から正式に出された輸送運賃の資料について見ると、北海道の北見の遠軽から東京の秋葉原までの運賃が、一般冷蔵車使用と冷凍機つき冷蔵車使用の場合ですが、一般冷蔵車の場合にはトン当たり五千円。だから、キロ当たり五円ですね。一升にすればこれは九円くらいということになるわけです。それから、冷凍機つきの冷蔵車の場合には、これは一割増しの一トン当たり五千五百円。だから、キロ五円五十銭で、一升十円ということにこれはなるわけです。だから、これは高い高いと言ったって一升について十円の範囲でおさまるわけですからして、政策的な特別の配慮を講ずるとか、あるいは事業団とか国が専用の牛乳列車というものをつくって国鉄に運営させるというようなことをイギリスのように講ずれば、まだまだ輸送運賃というものは低減することは確実なわけです。だから、単に逃げ口上で運賃が高いからだめなんだということでなくて、一升十円以内でなま乳の長距離輸送がいまの運賃制度のもとにおいてできるわけですからして、これはもう少し前向きに取り組む必要があると思うわけです。どういうわけでへっぴり腰でおるかということが全然わからないわけなんですが、近代化計画から見ても、将来国産牛乳は市乳化の方向に進めるわけでしょう。昭和四十六年の計画達成年においては、国産牛乳の七〇%以上は市乳に向けるということになっておるわけですよ。この状態ではそれは到達できないとしても、とにかく総生産が上がらなければ市乳化の割合はますますふえると思うわけです。そういう場合、どうして輸送政策というものを解決量るかということは非常に重大な点だと思うわけですね。この点について、もう少し熱心にやるとかやらぬとか、はっきりしてもらいたい。
  89. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 少し御説明申し上げたいと思いますが、北海道からの長距離輸送の問題につきましては、御承知のように、生乳道外輸送研究協議会というもので貨車及び船舶によって東京、大阪までの送乳が行なわれましたし、また、国鉄が東京、大阪へ濃縮の形で貨車輸送試験を行なったわけでございます。これらの試験成績から見ますと、牛乳の変質等の技術的問題はあまりないというふうなことは明らかになっておるわけでございますけれども、輸送費用としましては、船舶で輸送する場合には生乳キログラム当たり七円七十一銭、貨車で輸送する場合にはキログラム当たり十二円九十四銭ということになっておりまして、現在の北海道と関東の乳価差では必ずしもカバーし切れないのではないかというふうな問題があるわけでございます。したがいまして、もちろん、先生のおっしゃいますように、市乳がだんだん拡大していくという問題もございますので、長距離輸送というものは、私は今後必要な問題であろうというふうに思っておるわけでございますけれども、その辺は滅菌牛乳等を今後どういうふうに考えていくかというふうな問題とからみ合わして輸送コストの問題を考えてみないと、にわかに生乳の輸送が可能であるということにはなり得ないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、もちろん前向でこの問題については対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 局長の資料はでたらめじゃないですか。私のは、正式に委員会で国鉄に要求して、国鉄から計算をした上で出された資料に基づいてやっておるわけですから、これによると、一般冷蔵車使用の場合にはトン当たり五千円、それから冷凍機つきの冷蔵車の場合には五千五百円ということになっておるわけです。この金額の議論は別にしても、先般の予算委員会における国鉄副総裁の磯崎君の言を借りても、国鉄は熱心にやっておるのだが、農林省が不熱心であるという、そういう意味の発言もあるし、国鉄の輸送状態から言っても、下り便の北海道向の貨物はふくそうしておるが、帰りの貨車は非常に余裕があるというので、政策的に一列車千トン立ての編成で急行使でなま乳を運ぶというようなことについては、コンテナ方式とかいろいろなことを研究しておるわけなんですよ。だから、ただやるとかやりたいとかというのは、政府内部における方針が積極的に打ち出されてこないわけだから、お客がなければやらぬということになるわけですからね。勉強してないから、そういう七円だとか十円というでたらめな説明をするんですよ。
  91. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 おことばでございますけれども、先生のは濃縮の費用が入ってないと思うのです。濃縮の経費がかかるものですから、それと輸送費が入りまして、そしてコストになってまいりますから、そこで、私のほうが申し上げましたのは、そういうふうなコストとして申し上げておるわけでございます。それで、いまの価格差ではにわかにすぐ採用ということにはならないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、もちろん、メーカーのほうも、そういうことでございますので、直ちにそういうふうな状態にはなっておらないわけでございますけれども、まあ最近滅菌牛乳というのも出てまいりますので、そういうものとからみ合わせまして、これはやはり研究していかなければならないのではないかというように思っているわけでございます。   〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 これは次の機会にまた論議するが、何も濃縮しなければ運べぬというものではないですからね。濃縮して運んで、またそれを薄めて消費者に販売するなんというばかなことをしなくても、一升十円で新鮮ななま牛乳が輸送できるわけですからね。古い時代の考えにとらわれないで、なま乳そのものをどうして運べるかということを研究してもらわなければいけないと思う。これはまだ時間がかかるから、局長のほうももう少し勉強して、少なくとも私と対等のレベルで牛乳輸送が論議できるようにしてもらいたいと思うのです。  最後に、これもむずかしい問題でありますが、畜産事業団の買い上げた豚肉について、先般来農林省としては国内に試みに二千トンの放出を行なうということがすでに発表されておるわけです。これのやり方いかんによってはいまの支持価格を下げるような作用も生ずるわけでありますからして、十分見通しをつけてやってもらいたい点と、これからの問題として、どうしてもいまの畜安法制度を守るということは、これはわれわれとしても農林省としても一番大事なことだと思うわけです。そうなると、単に買い上げ制度だけを続けるということだけでも限界に来るし、畜肉の場合には、でん粉の買い上げと違って、五年も十年も保管しても変質しないなんというわけではありませんからして、これは非常にたいへんな苦労が伴うと思うわけです。そこで、きき目のある方策として、この際、実行上困難があるとしても、競合畜肉であるところの輸入羊肉、いわゆるマトンの輸入については、自由化で放任しておくということでなくて、昨年法律で決定しました牛肉と同様に、これは畜産事業団が一元的に取り扱う、こういうふうに輸入マトンの取り扱い方針を法的に規制する必要があると思いますが、これはどう考えていますか。
  93. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 豚肉の売り渡しにつきましては、御承知のように、昨年の三月から買い上げましたものは八十七万頭にもなっておるわけでございます。いつまでも保管ができるかということにつきましては問題があるわけでございますので、逐次放出をしたいというふうに考えておるわけでございますが、極力価格に悪影響がないということを旨として売り渡しを行ないたいということでおるわけでございまして、御承知のように、六月は非常に加工の需要期でもございますし、したがいまして、六月から放出をいたすことにいたしたわけでございますが、放出のしかたにつきましても、特に需要を拡大するということを旨として放出をいたしておるわけでございます。  それから、マトン、馬肉の問題でございますが、マトンは四十一年にやや輸入がふえたわけでございます。これは、一つは、豚の価格が高くなるであろう、従来のビッグサイクルからいくと高くなってもいいはずであるわけでございますが、そういうふうなことで、一つは思惑があったということと、それから、ニュージーランド等で綿羊が気象上の影響もありまして非常に少なくなるというふうな点もございまして、輸入がふえたと思うのでございますが、豚肉価格が低迷している現在におきまして、競合いたします羊肉や馬肉が多量に入るということは妥当でないということで、私のほうで行政指導もいたしておりますし、また、六月からハム、ソーセージ等につきましては内容の肉を明示するという措置をとったわけでございます。この結果、マトン、馬肉等の入っておりますハム、ソーセージの消費がかなり減っておるように思われるわけでございますし、現に輸入も昨年に比べまして六〇%程度の輸入になっておりまして、行政指導と相まってJAS規格の改定というものが相当の効果をあげてまいっておるというふうに考えておるわけでございまして、今後も十分な指導によりまして目的を達したいというふうに考えておるわけでございます。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いているのは、昨年から輸入牛肉については事業団扱いに法律改正したわけだから、この際困難が伴っても、マトンについては同様の措置を講ずべきでないかということを聞いておるわけです。
  95. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、マトン、馬肉につきましては、すでに自由化をいたしておるという関係もございまして、さらにこれを輸入統制を加えるということにつきましては、なかなか困難な問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 困難であるから、この際取り上げて、あえて行なうべきであるということを言っておるんですよ。いままで間違ったことをやってきておるわけだから、これをこの際国の法律を完全なものにしていかなければならぬ。豚肉の買い上げをどんどん進めて、いまの百二十円をもう下げないということでいけば、これは限界に来ると思うのですよ。しかし、われわれとしては、いまの畜安制度というものは、これをあくまでも堅持しなきゃならぬ、守っていかなければならぬという基礎に立つわけですから、そうなれば、昨年はマトンと馬肉で七万五千トン入っておるわけでしょう。これは枝肉にすればやはり六十万頭分ぐらいということになるわけですから、これは膨大な数量なんですよ。だから、昨年牛肉についても事業団の一元取り扱いということに法律改正でしたわけですからして、この際、打開の方法としては、事業団がマトンについても扱うということに当然すべきだと思うんですよ。こういうことができなくて、国内放出を二千トンやってみても、これは幾らにもならぬじゃないですか。やがて百万頭買い上げになるんでしょう。
  97. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 牛肉につきましては、御承知のように、割り当て物資になっておるわけでございます。そこで、その割り当て物資につきまして、一部は事業団で輸入する、一部は民間で輸入するというふうな形になっておるわけでございます。それからマトン、馬肉につきましては、すでに自由化した物資でございます。牛肉とは取り扱いの性格が違っておるわけでございますので、すでに自由化いたしましたものにつきまして、これをまた割り当てに戻す、あるいはこの事業団で買い入れをするというふうな形にするということは、なかなか外国との関係もございましてむずかしい問題だというふうに考えておるわけでございます。
  98. 芳賀貢

    芳賀委員 これは高度の政治判断が必要ですから、この問題も次回に農林大臣から御答弁をいただきたい。これはどうしてもやらなければならぬ問題です。つまり、このマトンの輸入規制ですね。これは割り当てを言っているのじゃないですよ。マトンについては、国内畜産保護の立場から、国の機関である事業団が一元的買い上げをするということについて政府の方針をまとめて、次回に農林大臣から明確にしてもらいたいと思います。  それからもう一つ国内にどういう方法で放出をしても、これは供給がふえるわけですし、国内事業団が抱いておるということも、これは供給力がふえていくわけですから、これだけで問題の処理はできないと思うのです。ですから、この際積極的に輸出ができるものであれば、凍結豚肉についても、相手国を十分調査選定して、そうして海外に放出するということをやはり積極的に研究する必要があると思うわけです。この点についてはどういう研究をしていますか。
  99. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 お話のとおり、国外におきまして需要がございますれば、それに対して売り渡すということも十分可能でございますし、できればそういうことが望ましいというふうには考えておるわけでございます。ただ、御承知のように、豚肉につきましては、ほとんど国際流通というものがないわけでございます。したがいまして、牛肉だとかそういったものとはかなり性格が違っておりますので、いろいろな情報を集めておりますけれども、まだ的確に輸出が可能であるというふうな情報は入っておらないわけでございます。今後もできるだけ情報を集めまして努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  100. 芳賀貢

    芳賀委員 私の調査では、かつてカナダが国内豚肉の保護政策を行なって、そうして凍結したものを海外に放出したという、そういう前例はあるわけですね。ですから、外国のこれに似た政策的な事例等も速急に集めて、これは十分検討するようにしてもらいたいと思うのです。いいですか。
  101. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 カナダの事情につきましては、現在の日本と同じような価格支持制度、安定制度をとっておったわけでございますが、第一回目の買い入れが非常にふえましてその結果全消費の二〇%程度を買い入れをするということから、ついに制度的な破綻を見たわけでございます。買い入れました豚肉につきましては、カン詰めにいたしましてかなり長期に保存しながら外国へ出したというふうに聞いておるわけでございまして、これは相当な長期にわたって外国に出したというふうに聞いておるわけであります。それで、現在のところは、私たちのほうでは、できるだけ輸出が可能であれば輸出ということを考えておるわけでございますが、国内需要といたしまして、できるだけ需要をふやして、たとえば農村消費等は、全体の消費から見ますときわめて少ないわけでございますから、まだ相当な消費が可能であるというふうにも考えられますので、そういうふうな新しい新規の需要を開拓しながら放出していくということも、基本的には考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  102. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかく、あなたが畜産局長になってから、牛乳問題についてはようやく市乳の生産価格も切り抜けた、加工乳の自家労賃も何とかわれわれの期待に沿うようなところまでいったわけですね。いままではいいのですよ。しかし、この豚肉問題というのは残っていますから、ここで十分がんばってこの解決をしないと、豚肉に命を取られるというようなことになってはたいへんですから、そういう点は、きょうの議論をむだにしないで、ぜひまた前向きにやってもらいたいと思うのです。  保留した問題については、次回に農林大臣あるいは大蔵大臣が出席した際に質問をすることにして、きょうはこの程度にしておきます。
  103. 仮谷忠男

    ○仮谷委員長代理 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。    午後一時十分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕