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久宗政府委員 御指摘の種類ごとの詳しい御説明がこの
段階でできますかどうか、いますぐ調べさせますが、一応私
どもで大ぐくりにくくって申し上げますと、いわゆる
沿岸の
経営と労働の分化しておりませんような形のものから、
中小漁業におけるような典型的な
中小漁業の就業
関係、さらにむしろ
工場労働者とほとんど同じような形の、たとえば工船における労働者の
関係ということで、
漁業における労働
関係はいろいろな種類に分かれますし、したがって、非常に複雑な構成を持っておるようでございます。それぞれの団体の組織を見ましても、やはりそういうような業種によります労働の質と
関連して、その組織ができておるように思うわけでございます。私
どもいたしましては、この
段階で、
漁業法におきましても、
経営の問題と
関連して労働問題を非常に具体的な産業
行政の中に取り込んでおるような
関係もございますので、今日まで非常に注意を払ってきたつもりでございます。ただ、何と申しましても、特に今度問題にしていただいておりますような
中小漁業におきましては、
経営そのものの安定がまだ得られませんために、労働者ぐるみ非常なじり貧の
状態の中で、それが今日のような他産業におきます大きな労働力の吸引がございますと、労働力が足りないという形で、
経営そのものが危殆に瀕するというところまで実はきているわけでございます。さような観点から、遅々としてではございますけれ
ども、
経営者の
考え方も徐々に変わってまいりまして、労働問題を単なる労働問題としてと申しますよりは、企業の存立問題といたしまして論議がかわされるようになってまいったわけでございます。
お尋ねがございましたので、若干触れますと、
沿岸漁業関係におきましては、そこの計数で申し上げましたように、若年労働力の流出、したがって、結果としての高齢化ということが
相当に進む様相を呈しておりますので、いかにして優秀な青年労働力を
確保するかということにつきまして、私
どもといたしましても特段の措置をとりたいと考えておるわけでございます。この点は、本委員会でたびたび御指摘を受けますような単なる労働の施設その他だけではなくて、
沿岸漁業なり
中小漁業におきます展望と申しますか、ビジョンと申しますか、さようなものがむしろ非常に必要ではないか。それによって初めて優秀な労働力が
確保できる、こういうふうに考えておるわけでございます。
なお、具体的な
施策といたしましては、
中小漁業におきまして二十トン以上の漁船
漁業につきましては、御承知のとおり、漁船及び小型船舶職員の労働条件の改善指導要綱というものを他の
関連の省と御一緒につくりまして、実はこれによって指導をいたしておるわけでございます。私
ども手足がございませんので、必ずしも十分徹底しないうらみがございますけれ
ども、いずれにいたしましても、居住設備その他の労働環境の改善のための措置を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
特に今回は、たまたま指定
漁業につきまして一斉更新というようなチャンスがございましたので、この一斉更新後におきまして建造されます船につきましては、二十トン以上の船舶に対しまして、これは
漁業法上の船舶適格要件といたしまして、船員設備の
基準を強制適用するという少し思い切った措置をとってきたわけでございます。なお、総トン数二十トン以上の全船舶に対しまして、船舶安全性の
確保の見地から、漁船の性能
基準の改正、これも乾舷マークというような、外から見てはっきりわかるような形の表示を義務づけるというようなことを試みとしてやったわけでございます。つまり、安全の問題につきましても、居住の問題につきましても、あるいはその他の労働条件にいたしましても、具体的な措置をとりませんと、すでに
中小漁業の範疇におきましては労働力が
確保できませんために企業がつぶれるといったようなものが、たとえば以東底びきあたりにも若干出てきておりますので、これはゆゆしいことだというふうに考えて対処をいたしたいと考えております。
なお、それよりももっと小さなものになりますと、指導が非常に不徹底でございますけれ
ども、一応私
どもといたしましては、五トン以上の漁船乗り組み員につきましては、船舶職員法にあります法定船舶職員の
確保と養成に資しますために、これは都道府県にお願いしておるわけでございますが、運航でございますとか特別運航技術修練会といったものの予算をいただきまして、これの
実施をいたしておるわけでございます。
なお、
関連して、
漁業乗り組み員の不足を訴えております中で率の高いものを見ますと、近海
カツオ釣り
漁業、近海
マグロはえなわ、遠洋
カツオ釣り、こういったところで、私
どもの調べました乗り組み員の不足率、これは必要な乗り組み員数に対しまして不足乗り組み員数が一体どのようになっているかというものを横に計数で調べたものでございますが、やはり若干
経営に無理のあるところに、このような横の
関係も、明らかに乗員不足がある種の
漁業については強く出てきておりますので、そういうものにつきまして、特別な指導なり、先ほど申しましたような船そのものの
基準でございますとか、そういうものを変えまして、少なくとも安心して優秀な労働力がこの産業に入ってこられるような体制を急速につくりたいということで指導をいたしておるわけでございます。