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1967-05-30 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十日(火曜日)    午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 高見 三郎君 理事 長谷川四郎君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 東海林 稔君 理事 玉置 一徳君       安倍晋太郎君    小沢佐重喜君       小澤 太郎君    大野 市郎君       鹿野 彦吉君    熊谷 義雄君       小坂善太郎君    小山 長規君       坂村 吉正君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    藤田 義光君       湊  徹郎君    粟山  秀君       伊賀 定盛君    兒玉 末男君       佐々栄三郎君    實川 清之君       柴田 健治君    島口重次郎君       美濃 政市君    森  義視君       神田 大作君    中村 時雄君       斎藤  実君    中野  明君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         水産庁長官   久宗  高君  委員外出席者         農林省大臣官房         技術審議官   原  政司君         水産庁漁政部長 池田 俊也君         水産庁生産部長 亀長 友義君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小漁業振興特別措置法案内閣提出第六九  号)  外国人漁業規制に関する法律案内閣提出第  九六号)  農林水産業振興に関する件(農作物の作付及  び生育状況)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  中小漁業振興特別措置法案及び外国人漁業規制に関する法律案の両案を一括議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 本法案の具体的な内容に入る前に、その前提となる基本的な点について、まず長官にお伺いしたいと存じますが、本日の新聞報道なり、先般発表されました漁業白書によりましても、現在日本相当水産物輸入をしておるということが報道されております。特に世界的に水産物等たん白資源に対する需要が非常に高まっている。こういう趨勢の中におきまして、かつては世界一の水産王国であった日本が、四十一年度の水産物輸入が一億六千七百万ドル、大体六百億円をこえる輸入であり、しかもその対前年の比較からいたしますと、六一%の増ということが報道されておるわけでございますが、これから水産庁として、このような水産資源確保なりあるいは需要動向に対する供給関係、こういう点をどういうふうに解決しようとされておるのか、お伺いをしたいのであります。
  4. 久宗高

    久宗政府委員 水産物の需給の問題についてでございますが、この前も申し上げたわけでございますが、経済社会発展計画関連におきまして一応試算いたしたものがございます。この関係では、四十六年の段階で、需要は約九百万トン、供給が約七百七十万トンという予測に立っておるわけでございます。これは今後の水産物生産につきまして、近海漁場におきまする未開発漁場が減少しておりますることもございますし、また多獲性魚生産の比重がだんだん高くなってきておりますので、したがって、変動要因も多いということ、さらには国際規制の強化ということもございますので、一応私どもの試算の基礎では、三十一年から三十七年にかけて伸びたような伸び率では若干無理があるのではないかということで、あのような数字になっておるわけでございます。このための対策といたしましては、新漁場開発なり、沿岸漁場改良造成繁殖水面保護水質汚濁防止といった一連施策こよりまして、水産資源維持増大をはかってまいるということと、さらには水産物利用関係相当まだむだがございますので、さような水産物有効利用につきまして努力をしてまいりたいという考え方でございます。  前回も申し上げましたけれども、一応の数字といたしましてのこの百三十万トンのギャップというものは、そのうちの三十万トン程度のものは、水産物高度利用ということで一応補われるのではないかというふうに見込んでおるわけでございますので、残りの百万トン、これは主として餌料関係ということになりますので、魚粉が問題になると思います。したがいまして、原魚に換算いたしますと百万トンでございますけれども輸入量といたしましては五分の一程度ということになるのではないかというふうに見込んでおるわけでございます。  それで、いま輸入お話が出たわけでございますが、私どもも、これが伸び率といたしましては相当ふえておりますので、若干前からのをたどってみたわけでございますが、四十一年度におきましては総輸入額の一・七六という。パーセントになっております。三十四年度段階ではコンマ以下であったわけでございますが、三十九年度に一・一三、四十年度に一・二七、四十一年度には一・七六ということで、総輸入額におきます比率は少ないわけでございますけれども、急速に絶対額がふえておりますので、非常に問題があると考えておるわけでございます。中身といたしましてはエビ輸入が非常に大きなウェートを占めてきておりまして、約三六%を占めておるわけでございます。それから魚粉が一一%、その他は一けた以下の数字になるわけでございますが、エビウエートが非常に高いというふうなことでございます。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 個々の内容は別といたしましても特にエビ輸入がふえているというのは、大体どういうふうな動向からそういう現象が起きているのか、この点、せっかくの機会でありますのでお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 久宗高

    久宗政府委員 何と申しましても、需要がべらぼうに強いのでございます。わが国の景気の変動にある意味ではかかわりませず、消費支出が非常な伸びで進んでおりますので、さような意味エビ需要が近年非常に上がってまいりまして輸入しております先の数も、方々でエビを買いあさるというような形になっておるわけでございます。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 今回出されました特別措置法等を読んでまいりましても、やはり国内における水産資源確保なりあるいは増大ということは、相当の困難が予想されるわけでございますが、長官としては、今回出されましたこの中小漁業振興特別措置法制定によって、先ほど申されました昭和四十六年度約九百万トンの国内需要に十分こたえるだけの生産力を高めるという見通しがあるのかどうか、この点お聞かせをいただきたいと思います。
  8. 久宗高

    久宗政府委員 いまお話ししました経済計画数字は、全体の経済計画をいたしますので、水産部門におきましても、それとの関連数字をはじいたわけでございます。はじいてみますと、いまのような数字が出るということでございます。傾向といたしましては、どうもこのようなテンポ消費支出伸びてまいります場合には、若干生産のほうが追いつきかねまして、一応計数的にはああいうようなギャップが出ておるわけでございますけれども、ただ、潜在的な生産力と申しますか、さようなものにつきましては、まだまだ相当やる余地がある。つまり、沿岸におきましても、年々出てまいります統計といたしましては横ばいというような形になっておりますけれども、ある種の漁法、たとえば定置網でございますとか、地びき網でございますとか、こういうふうな漁法をしておるわけでございまして、また、公害その他の影響もございますけれども横ばい傾向にあることが、必ずしもその中に発展性が全然ないということではないわけでございまして、もう少し沿岸それ自体を見直して考えれば、沿岸にはまだ相当に潜在的な生産力があると思うわけでございます。ただ、中小漁業につきましては、何と申しましても、経営におきます弱さが、特にこのような急速な経済発展の中で相当のひずみが出ておりますので、従来の施策では非常に不十分でございますので、今回、全体の漁獲高の半分のウエートを持っております中小漁業でございますから、これに対しまして特別な施策を裏づけに持ちまして、経営そのものの確立をはかっていくということではないだろうかというふうに思うわけでございます。  遠洋のほうにおきましては、前回にも申し上げましたように、いろいろな国で相当規制が出てきておりますけれども、これはそれぞれの国別対策が考え得るのではないかというふうに考えられますし、また、漁場開発余地も、やり方いかんによりましては相当潜在的な開発可能な漁場が具体的にも考えられますので、全体としての漁獲高を現在の水準以上に伸ばしていくことにつきましては、必ずしもそう悲観的ではないという見方をしておるわけであります。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 特に、この際、いま長官が答弁されましたが、沿岸漁業関係におきましても、工場排水あるいは下水道の整備、また、その他公害による沿岸漁族資源の死滅ということは、先般の新潟の場合もあり、あるいは水俣、あるいは宮崎県の延岡湾、こういうようなところにおいて、各地公害によるところのいろいろな被害というものが年々相当被害額にのぼっておるわけです。特に水産庁としては、やはりその原因追及の所管というのが厚生省にある関係で、ややもすればこれに対する取り組みというものがいつも後手後手で、沿岸漁民の意欲というものがこれによって非常に阻害をされておるということが各地において聞かれておるわけでございます。これは、工場排水を中心とする公害に対してどのような取り組みをしようとしておるのか。この点、今回公害基本法がわが社会党からも出されまして、政府に積極的な取り組みを要請いたしておるわけでございますが、こういうふうな点について、今後水産庁としてはどのような取り組みをしようとしておるのか、この点お聞かせいただきたい。
  10. 久宗高

    久宗政府委員 政府といたしましても、公害が非常な問題になってまいりまして、本格的に公害基本法を立案しようという段階にきておるわけでございますが、率直に申しまして、私ども水産業関係で申しますと、いろいろ資源関係の立法をしていただいたわけでございますが、やはり一番基本的には、公害というものについての考え方と申しますか、被害者の側に立ってみますと、個別の企業の方が公害についての認識と申しますか、観念を持っていないのではないかという感じすらするわけでございます。したがいまして、今日までのところでは、さような加害者の側におきます。全く公害の何たるかを認識されない態度というものと、また、現実には私どもの手足が不十分でございまして、たとえば具体的に申しますと、県にいろいろ問題が下がってまいりました場合に、知事が、水産の部局の代弁者をしていただきます場合と、加害者の側の立場も同時にお持ちだというようなことから、法律ができましても、現実実施過程におきまして、非常に不十分な形にならざるを得なかったというふうに実感しておるわけでございます。今回人の問題にまで及んでまいりましたので、公害が本格的に政府施策として取り上げられ、その間におきましていろいろ論議がございましたけれども動植物生育環境の問題が基本法の中に組み入れられましたので、さような意味で、あらためて公害の問題についての認識が、加害するほうにも、またその被害を受ける側におきましても、新たに認識されたことを契機といたしまして、本格的な取り組みをいたしたいというふうに考えておるわけでございます。沿岸におきましては全くひどい実情になっておりまして、とても私ども水産行政だけでは対処できない、もっと大きな社会的なバックがあって、初めてこのような問題が取り上げられると思うわけでございます。今度の公害基本法が成立いたしますれば、今日まで各種法律をつくっていただきながら、十分に守り切れなかった具体的な幾つかの問題について検討いたしまして、その実施過程において十分な効果があげられるような態勢で臨みたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 現在の日本のいろいろな漁業の実態を見てまいりますと、特に沿岸漁業に従事している零細な漁民というものが非常に多数を占めておるわけです。そういう点から考えましても、せっかく今回の公害基本法制定にあたって、やはり被害を受ける側の漁民なり国民の立場というものが、いま少し保護されなければいけない段階になっているにもかかわらず、むしろ、加害者よりも被害者のほうがより損をするような形に、この法案が後退しているということが報じられておるわけでございますが、特に水産庁としては、いま少し積極的なこれに対する取り組みが必要ではなかろうかと思うのであります。特に今回提案されております漁災法にいたしましても、やはりその原因というものが工場なりそういう第三者原因に起因する場合は、全然漁民がその保護される対象になっていないという点等から考えましても、現在までの沿岸漁民被害というのは、そういう第三者のもたらした原因に基づくのがほとんどであります。そういう点から考えます場合に、特に今回の漁災法の成立と同時に、せっかく政府からだされましたこの公害基本法に対処する水産庁としての今後の積極的な対策が望まれるわけでありますが、この点について、再度ひとつ長官の御所見を承りたいと存じます。
  12. 久宗高

    久宗政府委員 率直に申しまして、公害という名前自体がふしぎに思うくらい、むしろ私害ではないかという感じを、被害を受ける私ども感じとしては持っておるわけでございます。したがいまして、あらためて公害ということに関連いたしまして政府の各部門が統一した見解を持ち、そしてこれに積極的に対処しよう、その中で、特に動植物生育環境も問題の中に含めて対処しよう、そういうような全体の体制が必要ではなかろうかというふうに思うわけでございまして、私どもといたしましては、現在の公害基本法が成立します過程におきまして、各省間で折衝いたしました中に若干の問題を残しておりますけれども、しかし、このような、政府が統一的に取り上げようという機運が必要でございますので、これを何としてもまず打ち出していただきまして、その実施過程において、過去の幾つかの苦い経験がございますので、これを現実行政の中で一つ一つ片づけてまいりたいという気持ちで積極的に取り組みたいと考えております。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 そこで、私たちは、もう何年前でしたか、はっきり年次は覚えておりませんけれども水質汚濁防止法制定されまして、やはり地域住民なり沿岸漁民保護する積極的な法律が出されておるわけです。そういう法律が出されておるにもかかわらず、実際私は有名無実状態に置かれているのが現状ではないかと思います。特にそういう点から考えますならば、水産庁はこの水質二法をたてにとって徹底的な追及をなされる有利な立場に置かれているのが、私は今日の水産庁立場ではないかと思うのですが、その辺の関連はどういうふうに御理解をされて、沿岸漁民の利益を守ろうとしてこられたのか、そのいままでの経過についてひとつお聞かせをいただきたい。
  14. 久宗高

    久宗政府委員 経過はよく御存じのような形でございまして、私どもといたしましては、科学技術庁といろいろ折衝いたしまして、水質基準その他につきまして、その指定をめぐりましても参加してまいったわけでありますが、何としてもテンポがはなはだのろいわけでございますのと、それから具体的にきめられました基準が、最終的なきめ手には、形の上はなりましても、実務的には非常になりがたい感じを持っているわけでございます。これもやはり詰めてまいりますと、公害に対します全体の国のかまえがきまっておりませんので、どこかで問題の輪が切れてしまいまして、結局現実行政の上ではそれがほんとう水質汚濁防止につながらない。したがいまして、今日あらためて公害基本法が問題にされるような場面になってきたというふうに思うわけでございます。この点、せっかく法律をつくっていただきましても、その実施につきまして必ずしも成果が得られませんでしたことをまことに私どもは遺憾に思うわけでございますが、ただ、この苦い長い経験の中で、現実行政の中ではどことどの辺に具体的な問題の所在があるのかということは、ほぼわかったような気がいたしますので、その経験から、今後の基本法実施段階におきまして、ぜひ一つ一つ片づけてまいりたいということを考えておるわけでございます。  なお、必ずしも十分じゃございませんけれども、私どもは、やはり現実河川ないしは沿岸におきまして、水質そのものをパトロールすることが必要ではないかということで、予算としても十分ではございませんし、昨年はたしか河川だけでございましたけれども、本年から沿岸につきましても若干のパトロールを置きまして、現場におきます水質汚濁を常時キャッチできるような形をとってまいりたいと考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、過去におきます一番の私どもの苦しかった立場といたしましては、国全体あるいは公共団体も含めましての公害に対します態勢と申しますか、姿勢がきまっておりませんために、現実行政としては思うにまかせなかったという点が一番の問題だと思いますので、この基本法がかりにできます段階におきまして、あらためてそのような問題を水産庁といたしましてももう一回整理し直しまして、法律ができました場合に、実行面におきまして穴のあかないような十分な態勢をとりたいと考えておるわけでございます。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 現在までのいろいろな災害の発生状況なり、また水俣等の場合から判断をいたしましても、あそこの場合は、たしか熊本大学と、それから名古屋でしたか、とにかく大学教授の意見が対立をしながら、最終的には熊本大学の分析が正しい、しかも、それが災害が発生してから十年後にようやく肯定されるというようなことになっておるわけであります。こういう点から考えますと、単に水俣の場合だけではなくて、これからの沿岸漁民の一番悩みであるこのような生活権を守るという立場と、同時に汚水対策に対して、この際、水産庁として独自の立場からこのような調査機構というものを拡充強化して、そうしてこのようないわゆる沿岸漁民生活権と、同時に水産資源確保する、魚族の保存と保護ということに対する積極的な取り組みが、私は今日ほど要請されるときはないと思うのですが、この点、長官だけの責任で御答弁できないと思いますので、非常に大きな課題でもございますので、この際、政務次官にもあわせてひとつ御所見を承りたいと存じます。
  16. 草野一郎平

    草野政府委員 先ほど来水産庁長官お話しいたしておりましたが、この問題は、農林省だけの施策効果が十分期待できるというものでもございませんので、したがって、関係各省とも十二分にその目的達成のために協議を進めながら、前進的な努力をいたしたい、さように思っております。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 特にこの点、ひとつ今後積極的に取り組んでいただきたいことを強く要望したいと思っております。  次に、同じくやはり魚族資源確保ということと、現在、大体沿岸から近海漁業において、国内水産業者相当漁獲における規制を受けている問題があるのであります。たとえば太平洋上にある、九州の東海岸にありますリマ水域、ここは大体カツオマグロその他相当量の豊富な資源を持つところでありますが、これが現在日米間の安保条約関連をいたしまして、日本海上自衛隊あるいは米軍演習活動地域として約九千平方キロ、それに航空自衛隊なり海上自衛隊のいわゆる演習によって延べ年間六百数十日、あるいは予定されておりますところの科学技術庁のいわゆるロケット基地宇宙開発センターでありますが、これによりましても、今後相当制限がされるということがいわれております。今回出されました法案でも、特にカツオマグロ漁業あるいは以西底びき網漁業等対象とされておりますが、なかんずく、このリマ水域なりあるいはロケット基地等が及ぼす影響というものが、特にカツオマグロ等漁業に従事している漁民にとりまして、また国内水産資源確保立場からも、相当の損害を受けておるわけでございますが、安保条約に基因するところのこのような漁業制限なり現在の防衛庁関係の行なう各種規制というものについて、私は、もう少し水産庁なり農林省が積極的に取り組んで、国内におけるこのような水産資源確保努力をすべきであると思うのでありますが、こういう国内において当然解消できる規制の問題について、どういうふうな御所見を持っておるのか、お伺いしたいのであります。
  18. 久宗高

    久宗政府委員 リマ水域の問題につきましては、あれがきまります当時、非常に広範な地域でございましたので、いろいろ問題があったわけでございますが、私どもといたしましては、その後のいろんな変化がございますので、たまたま非公式ではございますけれども数次にわたりまして、もう少し縮小してもらえないものかどうか、こういう交渉を非公式にはしておるわけでございますが、残念ながら、今日までさらにその区域を縮小するような見通しは実はついておらぬわけでございます。  なお、御指摘のございましたロケット関係でございますけれどもロケットのいろいろな一連計画関連いたしまして、鹿児島、宮崎両県にわたりまして、漁民の間にいろんな問題が出たわけでございまして、水産庁におきましてもいろんな御相談を実は受けておるわけでございます。もちろん、ロケット一連計画重要性もわかるわけでございますが、どうもこの種の問題につきものでございますのは、お話が出てまいります過程におきまして、十分な御連絡が必ずしも水産当局にない間に、現地でいろんなお話が進み出しまして、それが関係漁民の間に非常な摩擦を生じまして、感情的にもなかなか解きほぐしにくい問題が出ておるように思うわけでございます。このロケット地域の問題につきましては、昨年度の末までに、一連ロケット計画から申しますと、どうしても打ち上げを行なわなければならぬというような緊迫した状態にまでなったわけでございまして、科学技術庁のほうと突っ込んだ御相談をいたしました結果、少なくとも本格的にロケット計画をお進めになる場合に、やはり漁民ほんとうの得心を得るような対策と申しますか、またそういう打ち出し方を政府としてすべきではないかということで、政府部内に関係各省の御連絡協議会ができまして、国としてできます一連施策についての具体的な打ち出しをいたしまして、現存お話を進めておるようなわけでございます。いずれにいたしましても、相当水面演習なりあるいはロケット計画その他によりまして規制を受けます場合に、少なくとも水産庁といたしましては、漁民立場に立ちまして、まずその計画が妥当であるかどうか、かりにどうしてもその計画をのまざるを得ない場合に、漁民に対する対策が万全であるかどうかということにつきまして、常に漁民の側に立って政府部内においても交渉をいたしておるわけでございますし、今後ともさような態度で進めたいと考えておるわけでございます。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 特に長官にお伺いしたいのは、リマ水域米軍日本海上自衛隊演習地域というのが、九千平方キロという広大な地域であり、しかも、この地域が指定されたのはたしか昭和二十七年だったと思っております。自来すでに十五年間を経ておるわけでございますが、この漁獲制限に対しましても、今日沿岸漁業から近海漁業へと進み、そして昭和三十七年に制定されました沿振法なり、これに関連する構造改善によって、相当出漁能力というものも高まっておるわけであります。そして政府の方針によって相当の資金も導入しまして、漁獲生産の増強に相当努力をしようという熱意があるにもかかわらず、現在のこれに対する防衛庁の取り扱いというものは非常に冷淡なわけです。しかも、現在の就業に対する制限は依然として昭和二十七年当時のまましながら、被害を受けている大多数の漁民があるにもかかわらず、依然として、補償の対象というのは、昭和二十七年当時に就労しておったその漁家だけが対象になっておるという、きわめていびつな状況に置かれております。この点は、一昨年でありましたか、農林水産委員会におきましても問題を提起し、そして防衛庁も出席をいたしまして、いろいろと事情を聞きましたが、問題の解決は、たしか施設庁の説明だったと思うのですけれども法律の改正によってその損害の補償なりあるいは制限は解消できる、こういうような説明もあったやに記憶をいたしておるわけでざごいますが、先ほど来長官も言われておりますとおり、国内における水産資源確保というのは、今日の世界の趨勢が専管水域の拡大あるいは領海を拡大するなど、日本の過去における沿岸から近海、遠洋漁業と、そういう昔のような甘い考え方というものは許されない国際的な情勢から考えましても、せっかくこのような水産資源の豊富な宝庫が、米軍なり海上自衛隊演習行動によって十五年間も規制されることは、当然私は、この際、段階的においても解消されるべき問題ではないかと思うのですが、この辺どういうふうな取り組みをし、これに対してこの解決に取り組んでいきたいというお考えを持っておるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  20. 久宗高

    久宗政府委員 御指摘のとおり、リマ水域は非常に前に設定されたものでございまして、その後の事情、特に沿岸ないしは沖合いの漁業関係の変化といったものを織り込んで考えますと、私どもといたしても、ぜひ確保したい、非常に優良な漁場と考えておるわけでございます。さような意味におきまして、昨年来も、非公式ではございますけれども、現在の利用度から見て、どうしてもあの水域を二十七年当時お考えになったような形で確保せざるを得ないのかどうかということにつきまして、私のほうからも数回にわたりましてお話を進めておるわけでございますけれども、いまだそれについての回答が、解決が得られておりませんのは、非常に遺憾に思っておるわけでございます。御指摘を受けるまでもなく、水域としても非常に重要な水域でございますので、私どもといたしましては、さらに考えを新たにいたしまして、リマ水域の問題につきまして、防衛庁当局を通しお話をさらに詰めてまいりたい、そういう気持ちでございます。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの点と先ほどの公害基本法との関連性につきましては、いずれ、問題が非常に重大でございますので、大臣の出席を求めて再質問をすることとしまして、この点を保留いたします。  次に、長官にお伺いしたいのは、水産庁からもらいました資料によりますと、大体漁獲生産関係なく、魚価の動向というものを見ておりますと、依然として魚価が高騰をいたしておるわけであります。大体生産が高まればある程度安くなり、少くなれば高くなるというのが常況でございますけれども、魚価の場合には、依然として生産の多寡にかかわらず高騰を続けておるというのは、一体どういうふうなところにその原因があるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  22. 久宗高

    久宗政府委員 御指摘のように、魚価の値上がりが非常に問題になっておるわけでございます。動きを見てみますと、三十五年を一〇〇といたしまして、たしかお手元にも差し上げておったかと思いますが、数年の間は毎年一〇%ないし二〇%の伸びをしてきたわけでございますが、四十一年におきましては、指数で申しますと、一八一でございますので、対前年比は一・八ということで、その前数年にございましたような二けたの伸びというようなことは、若干ここで訂正されているように思います。しかしながら、傾向といたしましては、依然として相当価格が上がる要素があるように思います。  そこで、いまの原因について、いろんな考え方がございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、ここ数年の高度な成長によりまして、需要がとにかく非常に強いわけでございます。特に魚のほうで見てみますと、農村にきます需要でございますが、これが量におきましても、またやや高級魚に向かっているといった傾向からいたしましても、指数的に非常にはっきり出ておるように思います。さような意味におきまして、農村部の需要相当著しく増大いたしまして、そういうものが一つの新しい需要の要素になっているように思うわけでございます。  それから、もちろん、資源の制約でございますとか、あるいは国際規制の強化といったような事情もございまして、国内生産伸びが停滞してきたことのほかに、生産と流通面におきますコストの上昇、これがコストの上昇を生産性の向上で吸収しにくいといったような問題もございまして、依然として消費者価格の上がる要素が強いということを一応言わざるを得ないように思うわけでございます。これはやはり全体の経済伸び関連して、必ずしも漁業施策だけで対処できない問題がとも思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、それぞれの生産から流通に至ります輪が非常に小さいために、ほんとう生産性が大きく伸びないためのひずみであろうかと思うわけでございます。  対策といたしましては、もちろん、生産の安定的増大が一番問題でございますので、この分野に大きな力が必要だと思うわけでございますけれども、たびたび御指摘のございますような流通の改善にいたしましても、あるいは中間経費の節約にいたしましても、これらの点につきまして格段の努力が要るであろうというふうに考えているわけでございます。  魚の価格全体といたしまして、後ほどまた御審議いただくはずになっております協同組合におきまして、それぞれの市場を持って処理に当たっておりますけれども、末端の生産者の手元を離れますところの組織そのものがどうも必ずしも十分ではございませんし、何ぶんにもなまものでございますので、流通過程も非常に複雑な形になっておりますところへ、急速な都市の拡大と、また需要の非常な変化がございますので、非常にコントロールしにくい問題であるわけでございます。が、加工品の分野が非常に広がってきておりますので、やり方によりましてはもう少し調整がつくのではないか。いまのところ、ちょうどそのような過渡期にございまして、現実の拡大いたしました都市に対する配給の問題と、それから、その全く新しい市場の形成に対します供給あるいは流通の体制がまだ未確立であるというふうなギャップがちょうど重なりまして、先ほども申しましたような消費者価格の相当の大きな伸びがとまらないということになっているように思うわけでございます。
  23. 兒玉末男

    兒玉委員 次にお伺いしたいのは、この法案制定にあたりまして、いろいろの問題点をあとで御質問いたしますが、その前提として、現在、先般の白書でも明らかになっておりましたが、沿岸漁家の所得というのが、依然として都市勤労者平均所得の大体七〇%そこそこじゃないか。それからまた、同時に、このような漁業に従事する漁業労働者の賃金状態というのがどういうふうな状況に置かれているのか、この点まずお聞かせをいただきたいのであります。
  24. 久宗高

    久宗政府委員 白書の構成によりまして、毎年、年報といたしまして所得の比較をいたしておるわけございますが、沿岸におきましては、過去に数回出しましたレポートを見てみますと、沿岸漁家としてまとめました場合に、やはりまだ養殖漁家のウエートが実は相当高うございまして、特にノリが非常に伸びておりますので、ノリの消長によりまして、平均いたしました数字が非常に大きく開くわけでございます。さような意味におきまして、沿岸漁家の平均でものを申し上げることが、若干実態を誤って伝えるのではないかという感じがいたしますのと、特にこういう生産性の比較ないし所得の比較におきまして、年々御報告申し上げることよりは、たとえば五年ならば五年というものを限りまして、そういう意味におきます生産性なり所得の大きな動向をつかんだほうが、むしろいいのではないかという実感を実は持っておるわけでございまして、無理に年々の数字を読もうといたしますと、短期的な現象であるものを動向と見誤るおそれはないかといったようなこと、特に今回の白書におきましては、さようなことを非常に痛感したわけでございます。大きく申しまして、やはり沿岸におきましては、養殖関係の漁家の所得と、それからいわゆる漁船漁家の所得を比べますと、相当格段の開きがございまして、養殖漁家もノリがあまりよくございませんでしたので、この前のレポートよりも下がっておりますけれども、格差といたしましては相当高い。これをひっくるめました沿岸漁家の数字は、先ほどお話に出ましたように、まだ三割くらいのギャップがあるわけでございますけれども、そういう問題を包蔵しているように思うわけでございます。  それから、御質問を取り違えているかもしれませんが、漁業労働者の関係を見てみますと、中小漁業のところの分析で申し上げておりますように、相当これはよくなりまして、形の上では、三十人以上の工場労働者との比較におきましても、ほぼそれに近い線にいっておるのではないかという数字を書いたわけでございます。先般、労働関係の方とも白書をめぐっての突っ込んだ意見交換をいたしました際に、そこの記述につき、労働の行なわれます環境なり、また漁船の中の労働でございますので、それと一般の職場におきます労働を単なる報酬だけで比較することは妥当かどうか、いろいろ議論が出たわけでございますが、一応数字といたしましては、比較的いいところにいっておるように思われるわけでございます。しかし、現実漁業労働条件その他を考えますと、これは直ちに比較することの可否ということが問題になりましょうし、また、現実の問題といたしましては、中小漁業におきまして、特に労働者の確保が次第に困難になっておりまして、数字のいかんにかかわりませず、他の産業に抜けていく方が相当多いということは、私どもとしては、今後の漁業、特に中小漁業におきます相当大きな問題でありまして、いかにして労働力を確保するかという問題が、企業それ自体の存立にもかかわる問題になってきておりますので、さような点をばく然とではございますけれども、今度の白書の中でも指摘をいたしたわけでございます。
  25. 兒玉末男

    兒玉委員 先般の漁業白書によりますと、漁業労働者の都市への流出が相当多くて、今後の経営相当困難をもたらすような情勢にあるということが指摘されておるわけでございます。そういう点から考えますと、いま長官が答弁されたように、これからの日本漁業発展する重要な基礎は、何といっても優秀な漁業労働者を確保するということが絶対的な問題じゃないかと私は思うわけですが、そういう点で、依然として漁業に従事する労働者の待遇がよくないからこそ、流出が多いということを白書が指摘しておるのではないかと私は思うのです。いま漁業におきましても、たくさんの階層別、また業種別にあるわけでございますが、この法案の資料にもございますけれども、約十四の種類があるようでございます。これに従事する業種別の大体の平均賃金ないしそういうふうな資料があれば、御説明いただき、現在の労働条件がどういうふうな状況に置かれているか、この点、もしおわかりでありますならばお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 久宗高

    久宗政府委員 御指摘の種類ごとの詳しい御説明がこの段階でできますかどうか、いますぐ調べさせますが、一応私どもで大ぐくりにくくって申し上げますと、いわゆる沿岸経営と労働の分化しておりませんような形のものから、中小漁業におけるような典型的な中小漁業の就業関係、さらにむしろ工場労働者とほとんど同じような形の、たとえば工船における労働者の関係ということで、漁業における労働関係はいろいろな種類に分かれますし、したがって、非常に複雑な構成を持っておるようでございます。それぞれの団体の組織を見ましても、やはりそういうような業種によります労働の質と関連して、その組織ができておるように思うわけでございます。私どもいたしましては、この段階で、漁業法におきましても、経営の問題と関連して労働問題を非常に具体的な産業行政の中に取り込んでおるような関係もございますので、今日まで非常に注意を払ってきたつもりでございます。ただ、何と申しましても、特に今度問題にしていただいておりますような中小漁業におきましては、経営そのものの安定がまだ得られませんために、労働者ぐるみ非常なじり貧の状態の中で、それが今日のような他産業におきます大きな労働力の吸引がございますと、労働力が足りないという形で、経営そのものが危殆に瀕するというところまで実はきているわけでございます。さような観点から、遅々としてではございますけれども経営者の考え方も徐々に変わってまいりまして、労働問題を単なる労働問題としてと申しますよりは、企業の存立問題といたしまして論議がかわされるようになってまいったわけでございます。  お尋ねがございましたので、若干触れますと、沿岸漁業関係におきましては、そこの計数で申し上げましたように、若年労働力の流出、したがって、結果としての高齢化ということが相当に進む様相を呈しておりますので、いかにして優秀な青年労働力を確保するかということにつきまして、私どもといたしましても特段の措置をとりたいと考えておるわけでございます。この点は、本委員会でたびたび御指摘を受けますような単なる労働の施設その他だけではなくて、沿岸漁業なり中小漁業におきます展望と申しますか、ビジョンと申しますか、さようなものがむしろ非常に必要ではないか。それによって初めて優秀な労働力が確保できる、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、具体的な施策といたしましては、中小漁業におきまして二十トン以上の漁船漁業につきましては、御承知のとおり、漁船及び小型船舶職員の労働条件の改善指導要綱というものを他の関連の省と御一緒につくりまして、実はこれによって指導をいたしておるわけでございます。私ども手足がございませんので、必ずしも十分徹底しないうらみがございますけれども、いずれにいたしましても、居住設備その他の労働環境の改善のための措置を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  特に今回は、たまたま指定漁業につきまして一斉更新というようなチャンスがございましたので、この一斉更新後におきまして建造されます船につきましては、二十トン以上の船舶に対しまして、これは漁業法上の船舶適格要件といたしまして、船員設備の基準を強制適用するという少し思い切った措置をとってきたわけでございます。なお、総トン数二十トン以上の全船舶に対しまして、船舶安全性の確保の見地から、漁船の性能基準の改正、これも乾舷マークというような、外から見てはっきりわかるような形の表示を義務づけるというようなことを試みとしてやったわけでございます。つまり、安全の問題につきましても、居住の問題につきましても、あるいはその他の労働条件にいたしましても、具体的な措置をとりませんと、すでに中小漁業の範疇におきましては労働力が確保できませんために企業がつぶれるといったようなものが、たとえば以東底びきあたりにも若干出てきておりますので、これはゆゆしいことだというふうに考えて対処をいたしたいと考えております。  なお、それよりももっと小さなものになりますと、指導が非常に不徹底でございますけれども、一応私どもといたしましては、五トン以上の漁船乗り組み員につきましては、船舶職員法にあります法定船舶職員の確保と養成に資しますために、これは都道府県にお願いしておるわけでございますが、運航でございますとか特別運航技術修練会といったものの予算をいただきまして、これの実施をいたしておるわけでございます。  なお、関連して、漁業乗り組み員の不足を訴えております中で率の高いものを見ますと、近海カツオ釣り漁業、近海マグロはえなわ、遠洋カツオ釣り、こういったところで、私どもの調べました乗り組み員の不足率、これは必要な乗り組み員数に対しまして不足乗り組み員数が一体どのようになっているかというものを横に計数で調べたものでございますが、やはり若干経営に無理のあるところに、このような横の関係も、明らかに乗員不足がある種の漁業については強く出てきておりますので、そういうものにつきまして、特別な指導なり、先ほど申しましたような船そのものの基準でございますとか、そういうものを変えまして、少なくとも安心して優秀な労働力がこの産業に入ってこられるような体制を急速につくりたいということで指導をいたしておるわけでございます。
  27. 兒玉末男

    兒玉委員 いま大体抽象的に御説明があったわけでありますが、特に私がお聞きしたかったのは、現在のこの各種漁業に従事している人たちの労働条件あるいは労働賃金、また、いま長官も言われましたとおり、陸上における工場労働者、一般労働者と違って、特異な作業形態にあるし、危険率も非常に高いし、また作業する状態が千変万化する海上の作業である、こういう点等から、私は労働賃金等にいたしましてもかなりの差異があると思うのですが、そういうふうな大まかな状況でもいいので、大体どういう状況に労働条件があるかということを実は聞きたかったわけであります。もしこの点が概略説明にとどめるなら、それはけっこうですが、あとでひとつ資料を、今後の質問の材料にしたいと存じますので、ぜひ出していただきたい。いま説明できる範囲のものは御答弁をいただきたいと思います。
  28. 池田俊也

    ○池田説明員 漁業種類別の賃金でございますが、これは統計調査部が調査した資料でございますが、おも立った業種につきまして申し上げますと、以西機船底びき網につきましては、出漁一日当たり約二千二百円でございます。それからサンマ棒受け網、これが同じく大体二千円でございます。それからサケ・マス流し網、これが約四千百円でございます。カツオ一本釣り千七百円、マグロはえなわ一千六百円、大体そのような状況でございます。
  29. 兒玉末男

    兒玉委員 これはもちろん操業する場合の金額であろうかと存じますが、この人たちの操業する日数というのは、正確な数字は別といたしましても、大体一年間三百六十五日のうちにどの程度の就労日数といいますか、漁労日数といいますか、就労されているのか、この点おわかりでしたらお聞かせいただきたい。
  30. 池田俊也

    ○池田説明員 就労日数でございますが、これは漁業種類によりまして非常に違いますので、実は一がいに申し上げかねるのでございますが、たとえて申しますと、サケ・マス等では大体三カ月ぐらい、それからマグロでございますと周年というのもございます。もちろん、サケ・マス等で三カ月やっております以外のときは、また別の漁業に従事しているわけでございます。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 詳細な資料はひとつ後日提出を要求いたしまして、次の点をお伺いしたいと存じます。  次にお伺いしますのは、特に今回特別措置法ができるわけでございますけれども昭和三十八年に沿岸漁業振興法が制定されてようやく五年目を迎えたわけでございますが、今回さらに新たな特別措置法を提案をしなければいけなかった点については、いろいろと提案説明もお聞きしましたが、沿振法を十分に私は読んでおりますと、この中に、沿岸漁業振興、同時にまた、中小漁業に対しましても具体的な事項が第九条に明示をされ、そしてこれに対応するところのいろんな措置も書いてあるわけでございますが、今回のこの特別措置法と沿振法との関連について、特に沿振法のいままでの成果というものがどういう状況にあり、これだけでは中小漁業に対するところの十分な成果を期待することができなかったから、これを出されたものと思うのでありますが、この辺の関連経過について、一応お聞かせをいただきたいと存じます。
  32. 久宗高

    久宗政府委員 沿振法は、これは長い御検討を経まして、本委員会におきましていわば基本法的な形で成立させていただいたものと理解をしておるわけでございます。したがいまして、私どもは、これによりまして沿岸なり沖合いなりの漁業の基本的な方向をお示しいただけたということで、それに沿いまして一連施策をしてまいったわけでございますが、沿岸漁業につきましては、御承知のとおり、構造改善事業という形でこれを具体的な施策に移しておるわけでございますけれども中小漁業につきましては、ただいま御指摘のございましたような第九条によりまして、これを訓示規定と申しますか、若干の語弊があるかもしれませんが、これによって直ちに実体的な施策が動きだすと申しますよりは、方向づけがなされまして、これをさらに具体的に処理をいたしますために、今回特別法という形でお願いをいたしておるわけでございます。したがいまして、その対象につきましても、取り上げ方につきましても、特別な業種につきましてその裏打ちが必要な業種を政令で指定いたしまして、それについて特別な振興計画を立てまして、これによって一般とは異なる優遇措置をつくろうというのが法律の形とかまえでございます。  内容は、もちろん、先般も御説明申しましたように、中小漁業一般につきまして問題はあるわけでございますけれども、特に最近国際的な漁業関係におきます競合が次第に強くなってきておりますし、また今後にその競合がさらに強化されるおそれが十分ございますので、さような意味で、問題になります業種を次々に取り上げまして、それの裏打ちをしてまいりたいということでございます。今回は、そもそもこの中小漁業に対します特別な措置を必要とするきっかけになりましたマグロ漁業におきます一連の不況、これを背景といたしまして、また、特に国際関係におきましては、相当新興の国との間におきまして競合関係も出てきておりますので、これをまっ先にモデルとして取り上げたのでございますのと、また以西底びきにつきましては、日韓の話し合いの結果によります網目の規制といったものもございますので、現状におきましてはまだまだ一応形は経営数字を見ましてもよろしいわけでございますけれども、やがてここにおきましては相当激しい競争関係に立たざるを得ないと考えまして、特別にこれを取り上げようといたしておるわけでございます。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 具体的内容はまた後日御質問いたしますけれども、特に今日の日本漁業というものは、特定の漁業が国の政策によって非常に強化されるということは、もちろん、これは総花的な施策よりも、その対象となった企業については、確かにその成果が期待できるかもしれませんけれども、先ほど来いろいろと質問の中でも明らかにされておりますけれども、広範で、しかも階層別にその企業の内容におきましても複雑多岐でありますが、今回特にこういうふうな業種だけを限定したといたしましても、いま国内需要供給関係、あるいは国際的な動向、こういう点から判断いたします場合に、やはりその底辺にある中小漁業関係の安定ということを最も重視されなければ、このえりすぐられた特定の漁業だけが手厚い国の保護政策を受けるということでは、国全体の水産業の振興あるいは中小漁業全体の振興にはたしてどれだけの貢献をするかということが、非常に問題点があまりにも多過ぎ、しかもその対象があまりにも限定され過ぎている感を深くするわけでございますが、この点はどのようにお考えになりますか。お伺いいたしておきたいと思います。
  34. 久宗高

    久宗政府委員 ただいまのような御批判は十分あり得ることと思いますし、現在の法案の立て方・なり、とりあえず私どもの考えておりますことが、確かに御指摘のような欠陥を持っているように思うわけでございます。ただ、沿岸漁業につきましては、少なくとも現在のところ、構造改善事業をああいう形で展開しておりますので、それの帰趨を見ながら考えていきたいと思いますし、個別の企業、個別の経営に対する施策よりは、それに伴います。連の組合組織でありますとか、あるいは保証制度でございますとか、そういうものも不十分でございますので、そういうものの総合力を結集してみたら一体どこまでいけるだろうかという問題が、むしろポイントではなかろうかと思うわけでございます。ただ、中小漁業につきましては、御指摘のように、今回取り上げようといたしておりますものは、たまたまその経営なり国際関係におきます競合関係が浮き彫りにされておりますので、これを取り上げておりますけれども、常識的に見ました場合に、中小の中でもいいところじゃないかという御指摘は免れないと思うのでございます。ただ、私どもといたしましても、ばく然とした中小漁業振興ではなくて、何かやはり具体的に措置しなければならぬということと、しかもその内容は、金融でございますとか租税のやり方といったものが中心になりますので、いわばこれを一つのモデルの突破口といたしまして、まず相当内容の熟したものにつきまして取り上げてみたらということを考えたわけでございます。今回の計画、この法律案におきましては、国の施策もさるこながら、やはりその業界におきます覚悟のほどと申しますか、体制の熟し方といったものが実は非常に大事でございまして、国だけ先走りましても、十分こういうものはできにくいと思いますので、業界におきますさような受け入れ態勢というものの熟し度合いを見まして、それとの関連において取り上げてまいりたいというふうに思うわけでございます。もちろん、中小漁業一般につきましての施策は従来どおりいろいろな金融措置があるわけでございますが、さらにこれを特段の措置をいたそうといたしますと、どうしてもしぼりをかけざるを得ない。そこで、私どもといたしましては、最初は大事をとりまして、この二業種を少なくとも四十三年度には指定をいたしたい。さらに他の業種につきましても、そのような必要が顕現化し、かつ、その業界におきます体制が整備されてくれば、指定を加えまして、逐次必要なものに及ぼしてまいりたいという考え方でございます。このしぼりのきかし方、また計画をどの程度にしぼり上げるかという問題につきましては、中小漁業の実態から考えまして、私どもといたしましては、できるだけこれを弾力的なものにいたしたいと思うわけでございますが、しかし、何と申しましても、やはり特別な施策でございますので、行政的には一応他のバランスも考えまして、ある程度のしぼりをきかさざるを得ない、さような意味におきまして、振興計画を立てます場合におきましても、単に業界でつくったものを国が承認するとかそういう形ではなしに、御一緒に共同作業でそれをつくっていこうというくらいの考え方で臨みたいというふうに考えておるわけでございます。
  35. 兒玉末男

    兒玉委員 この際、特にお聞きしたいのは、いま長官が答弁されましたとおりに、以西底びきとカツオマグロ漁業の二種類にしぼったという最大の理由といいますか、これはどういうところにあるのか。この点、先ほどちょっと御説明を聞く中において聞き漏らしましたので、特に重大な問題であると思いますので、再度お聞かせいただきたいと思います。
  36. 久宗高

    久宗政府委員 これはいろいろな経過がございいまして、先ほどもちょっと触れたわけでございますが、中小漁業を何とかしろというお話は、先ほど御質問にもございましたように、沿振法が出て以来強い御要望であったわけでございますけれども、直接のきっかけになりましたのは、数年前からのカツオマグロ漁業におきます不況対策相当緊迫した形で出てまいりまして、これを中心にカツオマグロ業界におきまして相当きびしい再建策と申しますか、そういうものが動き出したわけでございます。そういうものをやろうといたしますと相当法的な裏打ちが必要だということで、次第にその問題が中小漁業全般についての何らかの措置をしようではないかということで、各業界もそれぞれ勉強を始められまして、一時はそれを全部まとめた中小漁業振興策のような案になりかかったわけでありますけれども内容的に申しますと、業種別にも非常に問題が違いますのと、特に国際的な関係を考えました場合の緊迫度と申しますか、先ほども申しましたように、これが単なる政府施策ではございませんで、業界の自主的な決意なり体制に基づきまして、これに政府が力を貸していくという形をとっておりますので、やはりこれはしぼりをきかしていかざるを得ないということで、しかし、それをそのような施策をする基本的な形というものは、法的にはっきりしておいていただく必要がございますので、今回の法案の改正にいたしましても、特別法をつくっていただきまして、その中でやり方を十分きめておきまして、個々の漁業種類をいつ、どう取り上げるかにつきましては、政令によって指定させていただくような形にしたわけでございます。やはり一般の中小企業に関する一連施策を見てみますと、一般的にいたしますと非常に水準の低いものになりますし、水産業と他の中小企業を比較いたしました場合に、やはりこちらは原始産業でございますので、現在におきましても一般の中小企業対策よりは比較的いい形をとっているように思うわけでございますが、それでも不十分だということで、さらに手厚い援助をいたすといたしますれば、このような形でしぼらざるを得なかったわけでございます。  なお、四十三年度におきましてカツオマグロと以西を取り上げようとしているにつきましては、これは何と申しましても、その業界におきます受け入れ態勢というもののめどと、それから現実には、国際競争関係がどのくらいのテンポで、どのくらいの強さでくるだろうかということを頭に置きまして、まずこの二つから取り上げてまいろうということにいたしたわけでございます。
  37. 兒玉末男

    兒玉委員 このいただきました資料によりましても、特にカツオマグロというのは、自由、近海、遠洋と、しかも出漁する漁船の勢力分野から見ましても相当の隻数を保有しているわけです。でありますから、いま長官の答弁されましたようなこの施策というものが、国内に約十四種類でございますが、その全体の数からいきますと約三〇%程度を占めるわけでございますので、それぞれ同じカツオマグロ漁業におきましても三つの種類があるわけでございますが、こういう点に対しまして、いわゆる施策の重点というものは当然比重があろうかと思うのですが、こういうような具体的な点等はいずれあとで質問するとしまして、いま長官が答弁されましたとおり、このカツオマグロにしましても、あるいは以西底びきにいたしましても、国際的な関連ということを再三言われたようでございますが、今回同時に提案されました外国人漁業規制に関する法律案とも関連が非常にございますので、この際一応外国人漁業規制に関する点も、基本的な点だけをお伺いしながら、今後関連して御質問したいと思っております。  まず第一に、この外国人漁業規制に関する法律案の基本的な点といたしまして、この法案を提案をしなければいけなかった理由等については、よく説明を聞きましたが、現在、わが国の水産業に対しまして、具体的にどこの国がどういうふうな影響を与えておるのか、この点、まずお聞かせをいただきたいと思っております。
  38. 久宗高

    久宗政府委員 外国人漁業に関します法律でございますが、具体的には、港に寄りますことにつきましての規制をいたしまして、日本列島周辺におきまして漁業を反復的に行なうために利用できるような体制を規制したいというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、このような発想の法案を出さざるを得なくなった経緯といたしましては、数年前から気配はあったわけでございますけれども日本列島の周辺におきまして、ソ連並びに韓国の漁船が相当の活動を近ごろになりまして急速に始めつつあるわけでございます。ソ連につきましては、サンマ漁業等につきましても、数年前から関係者が非常に神経をとがらしておるわけでございますし、また昨年は、御承知のとおり、安全操業との関連におきまして、先方の漁業相なり外相が見えました際に、寄港問題が関連して出まして、非常に物議をかもしたわけでございます。と同時に、その時期と前後いたしまして、韓国側から底びきの問題が出まして、北海道周辺におきます底びきの試験操業といったような問題、さらにはサケ・マスに出る出ないといったような論議が出てまいりまして、非常に物情騒然となりましてこの寄港問題が表に出てまいったわけでございます。私どもといたしましては、いままで海外に非常に進出しておりましたので、日本沿岸周辺におきまして外国漁船から脅威を受けるといったようなことにつきましては、はなはだうかつでございますけれども、あまりそのほうに関心がございませんでしただけに、関係者のショックは非常に大きいものがございまして、政府といたしましては、昨年の九月に、閣議決定の形におきまして、この寄港問題に対する政府としての基本的な態度を宣明したわけでございます。これはいずれにいたしましても、事が起こりました場合に、国内的にいかように処置をするかというそれぞれの担当部局の問題もございますので、法的な問題をきちんといたそうということで、今回の提案になったわけでございます。  したがいまして、現実の問題といたしましては、ソ連なり韓国が中心問題でございますけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、普通の沿岸漁業を持っております国が国際的にも普通にやっておりますことを、必ずしもそういう法律の体制が整っておりませんでしたので、最小限度必要な日本側の姿勢と申しますか、また、事が起こりました場合の処置の基礎といたしまして、今回の法案を早く成立をいたしまして、日本のこの種の問題に対する基本的な国の姿勢を明らかにいたしたいと思っておるわけでございます。
  39. 兒玉末男

    兒玉委員 少なくともこれは問題が対国際的な問題であり、日本相当世界の多数の国々の沿岸漁業もし、また、漁獲物等の積みかえなり、いろいろなことをやっておるわけでございますが、今回特に対象がソ連と韓国、こういうことにしぼられた形でいま御説明がなされましたが、特にソ連、韓国の場合、漁獲制限とかあるいは公海における漁業上の問題について、先ほど私は御質問したわけですけれども、大体具体的にどういうふうな影響国内水産業に与えようとしているのか。先ほど、単にサンマの漁獲はどうこうとか、あるいは安全操業、こういうばく然とした御答弁をなされましたが、私は、これには、相当突っ込んだところの検討の上にこういう措置がとられるようになったものと思うのですが、この辺、再度お聞かせをいただきたいと存じます。
  40. 久宗高

    久宗政府委員 御質問が、具体的に日本周辺においてどういう現実問題があるかというお尋ねでございましたので、お答えの範囲がソ連と韓国に限定されたようなことになるわけでございますが、さようではございませんで、もちろん、これは外国人漁業に対しましては全部一律に適用されるものでございまして、ソ連、韓国に限ったことではないわけでございます。  なお、趣旨のところで少し飛ばしましたので、この機会に、なぜさようなことをいたしませんとわが国漁業の秩序の維持に具体的な影響があるだろうかという問題につきまして、一応私どもで考えておりますのは、少なくとも日本近海におきまして、非常に多数の沿岸漁民が限られた資源を分かち合っておるわけでございますので、明らかに漁場の狭隘な関係があるわけでございます。このようなところに外国漁船が無秩序に進出することを許すといたしますれば、当然ここに資源保護が脅かされるという問題が出てまいるわけでございます。  その上に、第二といたしましては、すでに私どもといたしましては、非常に微細な漁業調整上の規定を設けまして、各種規制を加えて操業をさせておるわけでございます。さようなことでございますので、公海での操業につきまして、これらの規制を受けない外国漁船が進出するというようなことになりますれば、当然その規制そのものの維持が困難になるわけでございまして、それによって漁業の秩序が破壊されるおそれは十分にあるわけでございます。  さらに、第三といたしましては、私どもは、アメリカないしはソ連等の諸国との間におきまして、漁獲規制等を含む条約を締結しておるわけでございます。   〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕 これを順守すべき義務を持っておるわけでございますが、わが国の近海におきまして、これらの条約のらち外にある外国人漁業の操業活動を助長するようなことになりました場合には、国際条約順守の観点からするわが国の国際的立場が困難となるおそれが、これまた十分あるわけでございます。  そこで、本法におきましては、まず第一に、領海内の外国人漁業を禁止いたしますと同時に、外国漁船がわが国の港や領海を利用する行為そのものを規制することによりまして、近海におきます操業増大のための基地的な利用を押えたいということであるわけでございます。  なお、この場合に、関連して申し上げますと、このような法律そのもので処置をいたしたいと考えておりますのは、罰則を伴うような問題がございますことが一つ、それからもう一つといたしましては、領海への出入ないしは港湾の利用、輸出入等に関する一連の諸法律があるわけでございますが、外国漁船につきましては、特段の制限したものが非常に少ないわけでございまして、むしろそのような法制のたてまえが、各種の自由がむしろ認められておるというような関係になりますので、漁業関係から申しますと、この点が逆になりますので、さような若干の特殊な分野におきます理念の修正につながるような特則的な制限でございますので、これは法律的な形をとることが望ましいと考えたわけでございます。  なお、申すまでもなく、外国人を対象といたしまして、わが国の主権を発動する意味で、重要な規制内容としておりますので、この種の規制は、単独の法律によりまして統一的に宣明するのが通例でありますので、かような形をとっておるわけであります。
  41. 兒玉末男

    兒玉委員 時間が大体来たようでございますが、あと一点聞きたいのは、今回のこの法律はやはり国際的にもかなり関心を持たれるものと思うわけでございますが、中でもソ連、韓国との関係においてそうでありますが、現在諸外国がそれぞれの国内水産資源確保という立場から、専管水域の設定あるいは領海の——日本は三海里説をとっておりますけれども、現在国連加盟国の中においても相当の国が十二海里説をとりまして、自国の権益擁護に相当力を入れておるわけでございますし、日本が今回こういうふうな寄港制限等を行なった場合、やはり日本と同じ立場にあるような関係国への影響ということも十分考えなければいけないわけでございますが、今回日本がとろうとするこのような制限について、諸外国においてはどういうような措置をとっておるのか、今後の法案審議の過程におきましてきわめて参考になると思いますので、概略でもけっこうでございますので、お聞かせをいただきたいと思っております。
  42. 久宗高

    久宗政府委員 今回日本がとろうとしておりますような措置は、沿岸漁業を持っております国といたしましては、むしろごく普通の形でございまして、国際法上も全然問題がございません。  なお、お尋ねのございました十二海里問題でございますが、少し誤解がございますので、ちょっと関連して申し上げますと、私どもは必ずしも三海里説にこだわっておるのではないのでございます。十二海里の専管水域と申しました場合に、一番問題になりますのは、少なくとも国際法的に確立されました領海の三海里をこえるその部分につきまして、既存の漁業がどのような扱いをされるかということにつきましては、前回の委員会でも申し上げましたように、これがいまのところ全く確立してないわけでございますので、この内容が確立されないままに十二海里専管水域を一方的にある国がきめました場合に、これに服するわけにいかないというのが私どもの基本的な立場でございます。決して三海里でなければならぬというふうに考えておるわけではないのでございます。いかにも三海里内におきます内容はほぼ固まっておりますけれども、少なくともいま専管水域につきましていろいろな動きがございますけれども、ヨーロッパにおきましても、あるいは低開発国におきましても、あるいはアメリカないしはカナダにおきましても、その十二海里の専管水域を引きました場合に、その中におきます既存の漁業の扱いというものが、全くいまのところ百鬼夜行でございまして、現在これらが国際的には何ら確立されたものではない。さような状況におきまして十二海里専管水域を一般的に受け入れるわけにはいかないというのが、繰り返し申しますように、私どもの基本的な立場でございまして、このような国際慣習というものは、待っておってどこかできめてもらう問題ではございませんで、やはり実際に漁業をいたしておりますものが努力をして、さような国際慣行を確立していくのが本来だと考えますので、さような立場に立ちまして、具体的に問題を生じておりますアメリカなりニュージーランドなり、これから交渉いたしますスペインといったものとの関連におきまして、一つ一つその専管水域内における既存の漁業の実績をいかに認めさせるかということにつきまして努力を重ねまして、かような実績の上に、国際法上の科学的な、かつ、双方にとって合理的な慣習を逐次打ち立ててまいりたいというのが、私どもの基本的な立場でございます。  なお、お尋ねのございました諸外国におきます今度の法案関連するような規制のしかたでございますが、これはいろいろございまして、少し典型的なのを申し上げますと、カナダは、これは領海内の立ち入りそのものを制限しておるわけでございます。これは御承知のとおり、漁業だけではなくて、相当軍事的な問題も含んでおるのではないかというように考えます。なお、領海内におきます漁獲物の陸揚げ及び転載、資材の補給あるいは乗り組み員の乗下船等も相当制限しており、カナダは相当きつい形をとっております。アメリカの場合には、外国漁船が公海で採取した漁獲物等を直接陸揚げすること、ダイレクト・ランディング、これと、または他の漁船から公海において転載した漁獲物を陸揚げすることを原則として禁止しております。入港については許可制をとるというのがアメリカの形であります。メキシコにおきましては、入港については許可制をとっておるわけでございます。そして燃料、食糧等の補給、船舶修理施設の利用はよいが、漁獲物の陸揚げまたは転載は許可されない、これはメキシコの場合でございます。もちろん、領海内においての漁獲物の転載は認められておりませんペルーでございますがペルーは入港は原則として禁止されております。それからノルウェーは、これは北欧のほうの関係でありますが、港湾内における漁獲物等の転載、漁獲物の陸揚げを禁止しておるという形をとっておるわけであります。また、一番多いのは、外国船の直接陸揚げ、公海でとりましたものを直接その国の港にいきなり持ってくるというのを禁止している例が一番多いわけでございます。ベルギー、デンマーク、フランス、アイスランド、アイルランド、イタリア、オランダ、ポルトガル云々ということで、これが数では一番多いわけでございます。  なお、ソ連、韓国につきましては、緊急避難の場合のほかは事実上わが国の漁船の入港は認められておらないということで、一番私どもと直接関連のございますソ連韓国におきましては、最もきつい形がとられているということであります。なお、念のため、ソ連におきましては専管水域ではございませんで、領海そのものが十二海里ということになっておるわけでございます。
  43. 兒玉末男

    兒玉委員 あと一問だけできょうは打ち切りたいと思います。  いま最後に言われましたが、ソ連の領海は十二海里ということですか。   〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 久宗高

    久宗政府委員 ソ連の領海は十二海里でございます。  なお、先ほどの御質問で、影響につきましてのお尋ねにお答えしなかったわけでございますが、私どものいまお願いしております規制のしかたは、少なくとも沿岸国の常識的な措置の範囲を逸脱するものではございませんので、これによりまして特別に報復的な措置をこうむるとは考えておらないわけでございます。特に私どもがよそにおきまして、十二海里内に入ったりあるいは港を利用しております低開発関係におきましては、それなりにその国としての利益があってわがほうを受け入れておりますのが一つと、また、そういう国からわが国の沿岸には漁船が来てないというようなことで、直接的にこれによって報復的な措置を受けるという心配はいたしておらないわけでございます。      ————◇—————
  45. 本名武

    本名委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、最近における農作物の作付および生育状況について、政府から報告を聴取いたします。原技術審議官
  46. 原政司

    ○原説明員 技術審議官の原でございます。ただいま委員長から御下命がございました件につきまして御報告申し上げます。  ただいま東北地方並びに関東地方、その他主として東日本におきまして、ちょうど田植えの最盛期あるいはそのかなり後半に入っております。東北におきましては、五月の八日から雨がございませんし、関東におきましては五月十一日から無雨の状態に入ってまいったのでございます。その後の推移は、五月二十八日に東北地方におきましては若干の雨が参りまして、地点で若干御説明申し上げますと、酒田におきましては十四ミリ、仙台におきまして十五ミリ、それから福島におきまして十三ミリ、  これは気象庁の数字でございませんが、私ども聞きましたところによりますと、福島県の浜通地方におきましては、これは非公式でございますが、二、三十ミリの降雨を見たというニュースを耳にしております。  なお、関東地方におきましては、ただいま申し上げましたように、五月十一日から無雨の状態が続いておりましたが、五月二十八日になりまして、水戸で四ミリ、宇都宮で九ミリ、前橋一ミリ、熊谷三ミリ、銚子六ミリというような降雨状況でございます。このような寡雨の状況でございまして、ちょうど北日本の田植えの時期でございますので、各地におきまして水不足の状態があらわれていることは御承知のとおりでございます。  昨日現在におきまして私らが入手いたしました各県からの情報によりますと、全国で申し上げますと、干ばつによる水稲の被害面積は約十二万町歩に及んでおるのでございます。そのおもなる地方は、先ほど申し上げましたように、東北地方並びに関東地方が主でありまして、その他、北陸、東海あるいは四国のごく一部に干ばつ状態が見られるのでございます。  なお、東北地方におきましても、宮城、山形、福島の各県におきまする被害が最もひどくございますし、関東におきましては、茨城、栃木、それから千葉並びに埼玉各県がなかんづく被害が多いようでございます。  被害内容といたしましては、一たん田植えはいたしましたけれども、用水不足のために初期の発育が非常に阻害されているという状態のものと、今日なお作付ができないというものがございます。作付不能面積は——ただいま不能というのは、現時点におきます不能面積でございますが、約四万三千町歩というふうに、各県の推定がなっておりますが、御承知のように、北日本あるいは関東地方におきまする田植えの時期は近年、この約十年間に非常に早くなりまして、早いところは五月の初旬から始まりまするし、大体早場地方におきましては、六月の上旬までに終わるというのが例年の田植え期でございまして、いわば早場地帯におきましては、そろそろ田植えの終期に近づいているという状態でございます。しかしながら、約十年以上前の状態を考えますと、おおむね田植えは五月の下旬から始まりまして、六月上、中旬まで継続しておりましたのが、東北並びに関東地方の通例であったわけでございます。いずれにいたしましても、非常な異例の雨のない寡雨状態が継続しておりますので、農林省といたしましては、先般来東北農政局並びに関東農政局を通じまして、干ばつに対する各般の対策をとってまいりましたが、昨日事務次官通達をもちまして、お手元にも御配付申し上げましたような、一段と干ばつ対策に対する手配を濃密にやるようにという趣意をもちまして、東北農政局、関東農政局、北陸農政局の各局長に通達を発した次第でございます。  通達の内容は、第一点が、少ない水でございますから、その使用配分についての指導を行なうという点が第一点でございまして、第二点といたしましては、揚水機等をこの際全面的に動員いたしたいということでございます。この点につきましては、当該県で間に合わないものは、全国的にあっせんを申し上げまして、積極的に水不足に対して御援助を申し上げるということで進んでおる次第でございます。第三点は、栽培関係でございます。御承知のように、好ましい田植えの時期がまいりましても、本田の水不足のために、今日なお苗しろに放置されているものもございますので、そういった苗に対する老化防止の措置の問題、あるいは予備の苗を地元の町村なりあるいは県内、場合によりましては県外から輸送をしていただく、あるいは確保するといったような措置、それから全体といたしまして、田植えの時期がたいへんおくれてまいりますので、それに伴いまして、品種の選定なりあるいは栽培法の点につきまして、いろいろくふうを要する事柄がございますので、そういった点につきまして手配を十分やるようにという趣旨をもちまして、事務次官通達を発した次第でございます。  なお、現地の特別指導といたしましては、昨日帰ってまいりましたが、東北三県、宮城県、山形県、それから福島県の干ばつの現地には、災害復旧課の専門官を派遣いたしまして、現地においていろいろ御相談申し上げ、また督励をいたしたのでございます。(「ダムの放水は」と呼ぶ者あり)  ダムの放水につきましては、農地局のほうと、それから建設省のほうにおきまして、専門家の間でただいま相談をいたしておりまするから、しさいにつきましては、御希望がございますれば、また専門家のほうから御説明を申し上げたいと思います。  以上、たいへん簡単でございますが、御報告を終わります。
  47. 本名武

    本名委員長 次回は、明三十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会