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久宗政府委員 いまのお答えをいたします前に、先ほどの御
質問で、外の
関係だけ申し上げまして、一番肝心な
日本列島周辺の問題を落としましたので、ちょっと補足さしていただきたいと存じます。
繰り返し申しますように、いままで
日本の
漁業といたしましては、
相当の
努力をもって各海域に国際的に出漁してやってまいりましたので、実は非常にうかつな問題でございますけれ
ども、
沿岸におきましてよその
漁船が入ってきて、こちらの
漁業の
秩序が
体制的に乱されるというようなことは、実感として持っていなかったというのが正直な
感じであろうかと思うのでございます。たまたま数年前から若干そのような問題が起こり、特に昨年は
韓国での
試験船がこちらに立ち寄るといったような問題を契機といたしまして、また
北海道周辺におきます若干の底びき問題というようなこともございました上に、さらに
安全操業との
関連におきまして、
ソ連側から寄港問題がからんで持ち出されるというような事態になりましたために、急速にこの
沿岸の
守備体制がこれでよろしいかという問題が意識にのぼったわけでございます。
そういうような角度で見てみますと、まことにこれはおおらかな形になっておりまして、実は何も具体的な
措置をとっておらなかったということでございます。
世界のどの国を見ましても、やはり
沿岸漁業を持っております国は、当然のことでございますけれ
ども、少なくとも、
漁獲物の直接陸揚げでございますとか、あるいは積みかえといったようなものを押えるというのを例外なしにとっておるわけでございますし、もっと突っ込んだところでは、
寄港そのものを押えてしまうというやり方をとっております。これはもちろん
漁業だけではなくて、いろいろ軍事その他の問題もからんでの問題かと思うのでございますけれど蔵当然、さようなことが国際的にもほとんど常識的な形で、しかも
一つの定型化された形で行なわれておるわけでございます。私
どもも、もちろんこれは主権の当然の発動でございますので、あえて
国内法がなくても、たとえば
領海内で
操業が行なわれます場合、それを排除することは当然できるわけでございますけれ
ども、いずれにいたしましても、そのような場合にどういうふうに具体的に処置をするかという問題を考えますと、やはり
法律が要るわけでございます。先般、とりあえず昨年の九月でございますか、
閣議決定によりまして、
日本の
水域におきます。あるいは寄港問題に対します
日本政府としての考えを宣明いたしますと同時に、一応過渡的な
措置といたしまして、省令で
領海の
操業と直接水揚げは押えるという形をとったわけでございますが、これでは不十分でございますし、積みかえその他を押えられないという問題もございますし、本格的にそれを処置いたそうといたしますと、今回御提案をいたしておりますような
体制が要るのではないかというふうに考えているわけでございまして、これは非常におくればせではございますけれ
ども、この
程度のことがまず基本的に必要でございます。もちろん、これだけによって
沿岸の
漁業の
秩序が守れるとは言えないわけでございまして、さらに、
周辺に
漁船が入ってまいります、あるいは
漁業に対して動いてまいります
力関係いかんによりましては、もっと基本的な方策があるいは必要かとは存じます。しかし、少なくとも寄港制限いたします今回のような
措置は、
最小限度当然必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
なお、
資源との
関連におきまして、
需要の
見通し、それから
生産がそれに追いつくかどうか、この
供給の
可能性いかんという
お話でございます。これはすでに
経済計画を発表いたしておりますので、
数字は一応省略いたしますが、私
どもといたしましては、とにかく、ここ数年の非常な高度な
成長によりまして、
需要がべらぼうに高いわけでございます。若干の景気の変動にかかわりませず、
消費支出そのものが依然として
伸びますので、追いまくられてきた
感じがいたすわけでございますが、もちろん
安定成長の路線を選ぶといたしましても、
消費支出はそう急速におりないと考えられますので、
需要はやはり
相当強いものと見ざるを得ないと思うわけでございます。したがいまして、さっきちょっと先生がお触れになりましたような
数字が、幾つかの
見通しの
一つとして他の指数との
関連で打ち出されておりますけれ
ども、ざっくばらんに申しますと、
需要が強いということはわかりますけれ
ども、どの
程度かということにつきましてのほんとうの確信は得られにくいかと思います。確かに依然として
相当な
ギャップが出るなというふうな
感じを持っておるわけでございます。一応現在当たっております
数字で申しますと、四十六年までの
関連で百二、三十万トンの
ギャップがどうしても計数的に出てきてしまうわけでございます。そのうちの二、三十万トンというものは、現在の
漁獲物の
利用にまだ
相当むだがございまして、この辺にはまだ
相当突っ込んで
処理を合理化する
可能性が残されておるように思いますので、一応の
めどといたしましては、その二、三十万トンのものは、
漁獲物の
利用の
高度化と申しますか、さような形で
ギャップを押えられるのではないかという
感じを
一つ持っております。それから、あとの百万トン近いものの
中身を一応計数的に当たってみますと、これは
餌料でございます。
えさとかこの種のものがはみ出してしまうということになると思うのでありますが、この辺が、現在の
段階で申しますと、やはり
相当輸入にたよらなければならないのではないかという
感じを率直に持っております。もちろん、これは
えさとして考えます場合には、いま申しましたのは原魚で申し上げておりますので、
輸入の数量といたしましては、その五分の一ぐらいのものが
輸入の量として出てくる、こう考えられるわけでございます。いまは差だけを申し上げたわけでございますが、その根っこになります
生産そのものにつきましては、今回のさっき
お話いたしました七百七万トン台に乗せましたものの
中身を見てみますと、やはり
沿岸はやや
横ばいになっておるわけでございます。
沖合いが
相当伸びまして、
遠洋でも若干の
魚種につきましては
伸び縮みがございますけれ
ども、これも若干
伸びておるということでございますので、何と申しましても、やはり
沿岸漁業をどうやって
体制づけていくかということが一番の問題のように考えております。表面的にはやはり
遠洋が非常にはでに扱われるのでございますけれ
ども、基本的には
沿岸の
漁獲が非常に重要だと私は考えますので、これにつきましては、累次申し上げておりますような、構造改善その他を進めておりますけれ
ども、どちらかと申しますと、今回お願いしてございますような、よくよく考えてみますと、協同組合、漁民組織の
関連でございますとか、あるいは保証制度の不備でございますとか、そのようなものがやはり全体としての
沿岸の
体制づくりに若干欠けておったように思いますので、
漁獲そのものをふやす
努力はもちろんいたしますけれ
ども、
沿岸そのものの
体制というものを固めていくことに総合的な施策として各制度を運用してまいることが、もっと必要ではないかという基本的な
態度で臨みたいと考えておるわけでございます。しかしながら、具体的な
漁業そのものにつきましては、御
承知のとおり、増養殖
関係に
相当いいものが試験研究でも出かかってきておりまして、まだ残念ながら、それがほんとうの施策の上に必ずしも全部が具体化されておりませんけれ
ども、ぼつぼつではございますけれ
ども、長年蓄積いたしましたものが、そろそろ半分企業的に、あるい
はさらに企業化できる
段階まできておるものもございますので、そのようなものをやはり主軸にいたしまして、
沿岸漁業の中でも
漁業種類の転換が行なわれていくのではないだろうか。それと
関連いたしまして、いま若干停滞しておりますけれ
ども、どうせこの数年の間にもう
一つ大きな
経済の
伸びがあり得ると考えられるわけでございますが、さような場合におきます労働の流出
関係、これは
相当覚悟せざるを得ないと思うわけでございますが、そのようなものと組み合わせて考えました場合に、これは必ずしもマイナスではない。
沿岸漁業の
漁場は非常に錯綜しておりますので、労働力が抜けていく問題と、その新しい技術と、それを組織いたしますような組織化、この三つが組み合わさりました場合には、
沿岸漁業はやはり新しい
一つの展開をしてまいる
可能性を十分に私は持っているというふうに考えますので、そのような形で対処していきたいと考えておるわけでございます。
それから、中小
漁業につきましては、今回
法案を出しておりますので、その
内容といたしまして、いろいろ御審議をいただきたいと思っておりますけれ
ども、
日本のいまの
漁獲の
中身から申しますと、これがやはり中核的な役割りをいたしておりまして、半分以上のウエートを持っておるわけでございます。経営的には、中小
漁業でございますので、非常に苦しい
立場ではございますけれ
ども、非常にファイトもありますし、一ばい船主ということで、その経営についてのいろいろな批判はございましょうけれ
ども、非常に積極的な
漁場の
開発でございますとか、そういうバイタリティーを持っているわけでございますので、それを制約しておりました金融なり税制
関係というものに若干の手心を加えまして、これの
伸びをぜひ私
どもとしてはバックいたしたい。ここに
相当ウエートがかかっているなということは
感じているわけでございます。ただ、労働
関係から申しますと、この辺が一番弱いことになりますので、大きく労働
関係が
動きます場合に、この中小
漁業がどういう形でそれを受け入れていくのか、この辺が私
どもの施策としてはまだ十分手のついていないところでございまして、いろいろお知恵も拝借したいと思いますし、施策をさらに進めてまいりたいと考えておる分野でございます。
遠洋につきましては、先ほど申しましたようなことでございまして、これは国際的な問題でもございますので、あらゆる
努力をいたしまして、
漁場の確保をいたしますと同時に、やはり
経済協力との結びつきにおきまして、これは相手国によっていろいろ違いますので、一律な対応のしかたでなく個別に
一つ一つ話をつけて固めてまいりたい。そういうことによりまして、現在あの
計画の中で考えております
程度の
生産は何とか確保できると一応考えておりますけれ
ども、
需要のほうがはたしてその
程度にとどまるのかどうかにつきましては、これは一般
経済との
関連もございますので、私は多少の不安を持っておるわけでございます。
〔
長谷川(四)
委員長代理退席、
委員長着席〕