運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-05-25 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十五日(木曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 倉成  正君    理事 長谷川四郎君 理事 森田重次郎君    理事 石田 宥全君       小沢佐重喜君    小澤 太郎君       大野 市郎君    鹿野 彦吉君       熊谷 義雄君    小坂善太郎君       坂田 英一君    坂村 吉正君       田中 正巳君    中川 一郎君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       藤田 義光君    粟山  秀君       伊賀 定盛君    栗林 三郎君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       柴田 健治君    島口重次郎君       森  義視君    神田 大作君       中村 時雄君    斎藤  実君       中野  明君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         食糧庁長官   大口 駿一君         水産庁長官   久宗  高君  委員外出席者         水産庁漁港部長 瀬尾 五一君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月二十五日  委員金子岩三辞任につき、その補欠として中  川一郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中川一郎辞任につき、その補欠として金  子岩三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小漁業振興特別措置法案内閣提出第六九  号)  外国人漁業規制に関する法律案内閣提出第  九六号)  農林水産業振興に関する件(米価問題)      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  中小漁業振興特別措置法案及び外国人漁業規制に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。熊谷義雄君。
  3. 熊谷義雄

    熊谷委員 両案に関連いたしまして、主として水産庁長官質疑をいたしたいと思います。きわめて簡単に進めていきたいと思いますので、そのつもりでお願いします。  まず、世界水産国といわれる日本漁業の、漁獲量からする世界漁業における地位、そしてその将来への見通しについてお伺いしたいと思います。
  4. 久宗高

    久宗政府委員 世界漁獲量におきまして、御承知のとおり、私どもはいままでナンバーワンであったのでございますが、数年前からペルー沖におきますカタクチイワシの非常な漁獲によりまして、漁獲量におきましては、残念ながら一位を譲っておるわけでございますが、漁獲金額におきましては、御承知のとおり、依然として世界第一位を誇っておるわけでございます。  全体の傾向といたしましては、急速に伸びてきておりますものの中に、ソ連漁獲高伸びが、ここ数年非常に著しいかっこう伸びてきておりまして、また、それが相当長期計画によって行なわれておりますので、世界各地漁場におきまして、いわば日本に追いつき追い越せという形をとっておるわけでございます。私どもに一番関係の深い太平洋水域におきましても、特にアメリカ沿岸におきます底びきあたりが急速に伸びました結果、これがやはり直接的にはアメリカの十二海里法案を促進したような懸念もあるわけでございます。   〔委員長退席長谷川(四)委員長代理着席〕 また同時に、注目すべき動きといたしましては、詳細がわかりかねておるわけでございますけれども、カーブとして急速に伸びておりますのは、中共漁業でございまして、東海黄海におきます漁獲量にいたしましても、私どもの常識的な感覚よりはもっと多い数字になってきております。したがいまして、世界の全体の漁獲量は、さような意味でふえておりますけれども、その中の構成では、いま申しましたように、三つの要素が非常に大きく動いておりまして、繰り返し申しますように、ペルー沖におきます異常なカタクチイワシ漁獲の問題と、ソ連中共におきます最近年の急速な伸びでございます。  私ども漁獲高は、実は白書でお話しいたしましたのは六百九十万トン弱というところでございまして、やっと三十七年段階をほぼ維持できたというところまで御説明をいたしたわけでございますが、数日前、四十一年の暦年におきます数字が出まして、初めて七百万トンの大台をこえまして、七百七万トンという数字になっておるわけでございます。したがいまして、量的に申しますと、初めて七百万トンの大台をこえたということでございます。漁獲の組成から申しますと、いろいろな問題を含んでおりまして、特に今後の需要の増につきまして、先般出しました経済計画あたりから言いますと、やはり相当需要伸びが多いものでございますので、そのギャップをどう埋めるかということにつきましては、格段な努力が要ると思うわけでございます。もちろん、沿岸沖合い遠洋と見ました場合に、やや沿岸漁業横ばいになっておりますのは、非常に私どもも苦慮しておるわけでございますけれども、幸いにいたしまして、沖合い漁業あるいは遠洋の一部におきまして急速な伸びを示しておるものもございますので、新漁場開発その他の努力はもちろんでありますが、基本的には、沿岸におきます増産体制と申しますか、これらの施策について格段な努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  5. 熊谷義雄

    熊谷委員 いま長官お話にもありましたように、日本漁獲量がついに世界で第二位に落ちた、こういうふうなことであり、さらにソ連及びその他諸外国漁業動向相当大きい動きが見られている、こうしたようなことですが、日本として特に注目しなければならない諸外国動き様相について御説明願いたい。
  6. 久宗高

    久宗政府委員 広範な御質問でございますので、大筋だけ申し上げまして、落ちがございましたらさらに補足させていただきたいと思います。  いろいろな考え方があるわけでございますが昨年来各地におきまして——昨年と申しますより、ここ数年の傾向でございますけれども遠洋関係から申しますと、低開発国におきます食糧問題もございまして、漁業に関する関心が非常に高まってきておりますのが一つ、また漁業先進国といわれますところにおきましても、あらためて食糧供給におきます漁業地位が確認されまして、相当漁獲努力をふやしてきておるような関係がございまして、国際的にはそれぞれ新しい動きが出てきております。一応非常に伸び切っておりました私ども関係から申しますと、世界各地紛争が生じまして、やや追い立てられた感じと申しますか、守勢に立った感じが実はあるわけでございます。また、日本周辺におきましても、外国漁船の出没が問題になりまして、昨年は業界といたしましてもやや騒然たる形になったわけでございますけれども、よく冷静に考えてみますと、こちらが外に出ておりました関係で、各地においてそういう紛争を生じたとは申しますわけでございますけれども、やはりそれぞれの国が漁業に関して相当積極的な意欲を持ち出したことにつきましては、低開発国関係で申し上げれば、こちらからは遠洋というかっこうで行っておりますけれども向こう沿岸で魚をとる形になりますので、何らかの形で紛争が生じるわけでございます。主として低開発国関係におきましては、一方でやはり漁業におきます協力を非常に希望しておられるわけでございますので、漁業協力の問題と関連いたしましてお話を進めることによりまして、単なる領海なり専管水域といったような法的問題をもう少し越えた形でお話し合いがつく分野が、こちらの努力次第では相当あるのじゃないかというふうに一応考えておるわけでございます。  また、先進国との関連におきましては、私ども一番ショックを受けましたのは米国の十二海里の問題でございます。特にジュネーブ会議以降やや戦国時代のような形になっておりますときに、指導的な地位にあります米国があのような措置をとられましたことによりまして、その後、数カ国がそれをきっかけにさらに十二海里問題に入っていくという経緯がございましたので、私どもといたしましては、米国との関係におきます十二海里問題について、それぞれの法的立場をたな上げにいたしまして、具体的に個々漁場をどういうふうに利用したら、資源的にも、双方経済の上においても一番よかろうかということで、三回にわたりまして、困難な交渉ではございましたけれども、一応わがほうから言えば、実績のほぼ大事な点は確保できた、かつ漁場秩序を、十二海里法案といったような問題と一応切り離して、現実的な二国間での取りきめができるという非常にいい例ができたというふうに考えておるわけでございます。さような意味におきまして、相当懸案の国国があるわけでございますが、ああいう実績をそれぞれの国と具体的に話をきめながら、漁場調整をとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  一番近い中共との関係におきましては、国交がいまのような状態でございますので、政府間のお話し合いができないわけでございますが、これは御承知のとおり民間協定で非常に具体的なお話し合いをしておりますので、一応のめどはついているわけでございます。  ただいま交渉いたしておりますニュージーランドは、また別なケースでございまして、比較的実績の少ない国とどんなような取りきめをいたしますか、これも一つのモデルになると考えますので、米国との関係あるいはニュージーランドとの関係がほぼ固まりますと、その種の問題についての実績が出てまいりますので、それを基礎にいたしまして、国際漁業におきますわがほうの合理的な権益と申しますか、実績というものにつきましては、さような実績の積み重ねによって対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  7. 熊谷義雄

    熊谷委員 日本漁場関係がクロスしておる、特にソ連韓国台湾等についての状況は……。
  8. 久宗高

    久宗政府委員 ソ連との関連でございますけれでも、御承知のとおり、長い経緯と問題を包蔵しておりました日ソ漁業条約も、昨年末で一応前段階が終わりまして、昨年の十二月以降は、どちらか一方がもういやだと言えば、一年後にはそれが廃棄されるという効力を持つ新しい段階に入ったわけでございます。私どもは、日ソ漁業条約内容につきましては、いろいろな問題がございますけれども実績につきましても、あるいは委員会の運営につきましても、若干の不満はございますけれども、大局的に見まして、北洋におきます資源維持ということに客観的に見て相当効果があったということは、一応双方が認め合っておるわけであります。さような意味におきまして、そういうことを前提にいたしまして、現在の段階でこれを廃棄するという考え方はとっておらないわけでございますが、大部分の問題は、委員会におきます論議のしかたなりきめ方についての運用よろしきを得れば、それは資源維持についての効果的な機構であるという考え方に基づきまして、お話を進めたいという基本的な態度でございます。ただ、本年の交渉のように、日本サケマスを例にとりますと、日本沿岸サケマスまで含めて五分五分にしろといったような、むちゃな御要求をなさいますので、こういう態度では私ども非常に困るということで、これは徹底的に私どもは論駁いたしまして、最終的にはソ連側も本年はその問題を取り下げられたわけであります。さようなことで、ソ連側といたしましても、やはりこの条約によりまして、特にサケマス資源維持ということについて効果があると考えておられますので、この継続を希望しておられるのは歴然としておるわけでありますが、今年の交渉のように、条約ワクをやや逸脱して、いわばむちゃな御要求があるとするならば、私どもとしては考えざるを得ないという気持ちがいたしたわけでございます。幸いにいたしまして、一応その問題は取り下げられまして、本年度のワクお話ができたわけでございます。さらに私どもといたしましては、ソ日関係におきましてはサケマスが非常にクローズアップされまして、またカニという問題がこれとからみ合いまして、いつもむずかしい交渉をしてきたわけでございますが、カニにつきましては、曲がりなりにもやや長期のお話し合いができたということは、一つの新しい展開であるように思いますし、さらに私どもから申しますと、ソ連極東における漁業の今後の発展計画を仄聞いたします場合に、いずれは多獲性の魚類につきまして漁場におきます競合相当起こり得ると考えております。現に若干の魚種につきましてはさような問題が起きておりますし、またこれは極東地域に限りますと、先方におきます漁獲処理その他が非常にそごを来たしております結果、過渡的にそれをさばきたいといったような問題が、輸入問題とからんで非常にやっかいな問題を起こしかけておるわけでございます。これは単なる貿易問題ではございませんで、やはり漁場調整といいますか、漁業調整が本来的な目的であろうと考えますので、多獲性の魚類につきまして、公海におきますその漁獲につきまして、私どもといたしましても、考え方を整理してソ連側交渉をする必要があろう、またそのような準備を進める必要があろうというふうに考えておるわけでございます。  それから、韓国との関連でございますが、非常にむずかしい交渉過程を経ましてああいうような取りきめができまして、すでに一年の実績がそこへ出てきたわけでございますが、幸いにいたしまして、当初考えられましたような紛争が、両国の努力によりまして比較的円満に調整がつきまして、今日まで若干の問題はございますけれども、おおむね所期の体制になっておるように思うわけであります。ただ、北洋サケマス出漁問題といったようなことが表に出ましたために、昨年来相当論議を呼んだわけでございますが、私どもといたしましては、日韓お話をいたしました取りきめの内容、特に先方漁業に対する援助ということにつきましては、誠心誠意それを実行してまいりたいと考えておるわけでございます。しかし、北洋サケマスにつきましては、累次委員会でも申し上げておりますように、私どもといたしましては、日米間なり日ソの間に条約上の義務を持っておりますので、それらの関係から、私どもの国際的な信用なり、あるいはわが方の漁業秩序維持そのものについても問題がございますので、この点についての御協力はできないということは当初から、また個々の具体的な問題につきましても、非常にはっきりと申し上げておるわけでございます。  なお、経済援助との関連におきまして、請求権に基づきます一連の問題、あるいは民間信用供与におきます漁船の建造その他がございまして、これらが若干の魚種につきましては急速に競合関係に入ってくるのではないかという御懸念が一部にございます。しかしながら、私どもといたしましては、韓国漁業構成から見まして、やはり沿岸沖合い遠洋といったような一つ体系がございませんと、いきなり遠洋漁業そのものだけ取り上げられても、マーケットの関係一つ考えましても問題があるわけでございますので、御相談を受けます場合には、やはり私どもが明治以来長年積み重ねてまいりましたような体系が必要ではないかということを、繰り返し申し上げておるわけでございます。しかしながら、やはりあのように発展途上の国でございますので、どちらかと申しますと、非常にはでと申しますか、目に見えます遠洋への志向と申しますか、それが非常に強いような感じがいたしますので、これが急速に伸びました場合には、起こり得る日本漁業とのフリクションはやはり双方のために避けるべきではないかという考え方で、援助を申し上げます場合の内容の御相談におきましては、何年間でどの程度のことをやるか、いま発展のテンポを考えて調整をいたしておるわけでございます。若干の漁区におきましては、急速に韓国船がふえて、そのために非常に圧迫を受けておるというような見方もございます。たとえばサモア周辺におきますカツオ・マグロその他の問題につきましてはさような問題もございますけれども、基本的にはいま申しましたようなことで考えておるわけでございます。  台湾につきましても、いまの遠洋関係におきましては、ほぼ同様のことが申し上げられるのではないかと思うのでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この段階になってみますと、やはり私どもの、沿岸から沖合い、さらに遠洋という体系が、長い時間をかけてでき上がりまして、それに伴う一連関連産業がかっちりできておるというのが一つの強味でございまして、部分的にとって比較して、いま直ちにあわてて措置をすることは、必ずしも適当ではないのではないかという考え方で対処いたしたいと思っております。
  9. 熊谷義雄

    熊谷委員 先ほど来の長官お話にもありましたように、日本漁業国際状況を考えてみると、そうたんたんたる状況下にはないということが言える。日本のほうから向こうに出かけていっての関係、さらに新しい様相として、向こうのほうから日本沿岸にまで寄せてきての問題、そうしたようなことで、まさに国際的な性格なり様相なりが非常に強くなってきている日本漁業の情勢だ、こう言えるわけです。さらに、そうした国際関係の底を流れるものとしては、何としても資源問題が大きい問題になっているのではないか、こうしたようなことが考えられるわけです。  そこで、わが国における水産物需要について、将来五カ年後にはおおむね九百万トン、十カ年後には一千万トンの水産物需要がある、こうしたようなことだと言われるわけでございますが、この需要に対して、日本漁業立場から、この供給を確保することをどのようにしてやっていこうとするのか、そしてまた、その可能性があるのかないのか、その点伺いたいと思います。
  10. 久宗高

    久宗政府委員 いまのお答えをいたします前に、先ほどの御質問で、外の関係だけ申し上げまして、一番肝心な日本列島周辺の問題を落としましたので、ちょっと補足さしていただきたいと存じます。  繰り返し申しますように、いままで日本漁業といたしましては、相当努力をもって各海域に国際的に出漁してやってまいりましたので、実は非常にうかつな問題でございますけれども沿岸におきましてよその漁船が入ってきて、こちらの漁業秩序体制的に乱されるというようなことは、実感として持っていなかったというのが正直な感じであろうかと思うのでございます。たまたま数年前から若干そのような問題が起こり、特に昨年は韓国での試験船がこちらに立ち寄るといったような問題を契機といたしまして、また北海道周辺におきます若干の底びき問題というようなこともございました上に、さらに安全操業との関連におきまして、ソ連側から寄港問題がからんで持ち出されるというような事態になりましたために、急速にこの沿岸守備体制がこれでよろしいかという問題が意識にのぼったわけでございます。  そういうような角度で見てみますと、まことにこれはおおらかな形になっておりまして、実は何も具体的な措置をとっておらなかったということでございます。世界のどの国を見ましても、やはり沿岸漁業を持っております国は、当然のことでございますけれども、少なくとも、漁獲物の直接陸揚げでございますとか、あるいは積みかえといったようなものを押えるというのを例外なしにとっておるわけでございますし、もっと突っ込んだところでは、寄港そのものを押えてしまうというやり方をとっております。これはもちろん漁業だけではなくて、いろいろ軍事その他の問題もからんでの問題かと思うのでございますけれど蔵当然、さようなことが国際的にもほとんど常識的な形で、しかも一つの定型化された形で行なわれておるわけでございます。私どもも、もちろんこれは主権の当然の発動でございますので、あえて国内法がなくても、たとえば領海内で操業が行なわれます場合、それを排除することは当然できるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そのような場合にどういうふうに具体的に処置をするかという問題を考えますと、やはり法律が要るわけでございます。先般、とりあえず昨年の九月でございますか、閣議決定によりまして、日本水域におきます。あるいは寄港問題に対します日本政府としての考えを宣明いたしますと同時に、一応過渡的な措置といたしまして、省令で領海操業と直接水揚げは押えるという形をとったわけでございますが、これでは不十分でございますし、積みかえその他を押えられないという問題もございますし、本格的にそれを処置いたそうといたしますと、今回御提案をいたしておりますような体制が要るのではないかというふうに考えているわけでございまして、これは非常におくればせではございますけれども、この程度のことがまず基本的に必要でございます。もちろん、これだけによって沿岸漁業秩序が守れるとは言えないわけでございまして、さらに、周辺漁船が入ってまいります、あるいは漁業に対して動いてまいります力関係いかんによりましては、もっと基本的な方策があるいは必要かとは存じます。しかし、少なくとも寄港制限いたします今回のような措置は、最小限度当然必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、資源との関連におきまして、需要見通し、それから生産がそれに追いつくかどうか、この供給可能性いかんというお話でございます。これはすでに経済計画を発表いたしておりますので、数字は一応省略いたしますが、私どもといたしましては、とにかく、ここ数年の非常な高度な成長によりまして、需要がべらぼうに高いわけでございます。若干の景気の変動にかかわりませず、消費支出そのものが依然として伸びますので、追いまくられてきた感じがいたすわけでございますが、もちろん安定成長の路線を選ぶといたしましても、消費支出はそう急速におりないと考えられますので、需要はやはり相当強いものと見ざるを得ないと思うわけでございます。したがいまして、さっきちょっと先生がお触れになりましたような数字が、幾つかの見通し一つとして他の指数との関連で打ち出されておりますけれども、ざっくばらんに申しますと、需要が強いということはわかりますけれども、どの程度かということにつきましてのほんとうの確信は得られにくいかと思います。確かに依然として相当ギャップが出るなというふうな感じを持っておるわけでございます。一応現在当たっております数字で申しますと、四十六年までの関連で百二、三十万トンのギャップがどうしても計数的に出てきてしまうわけでございます。そのうちの二、三十万トンというものは、現在の漁獲物利用にまだ相当むだがございまして、この辺にはまだ相当突っ込んで処理を合理化する可能性が残されておるように思いますので、一応のめどといたしましては、その二、三十万トンのものは、漁獲物利用高度化と申しますか、さような形でギャップを押えられるのではないかという感じ一つ持っております。それから、あとの百万トン近いものの中身を一応計数的に当たってみますと、これは餌料でございます。えさとかこの種のものがはみ出してしまうということになると思うのでありますが、この辺が、現在の段階で申しますと、やはり相当輸入にたよらなければならないのではないかという感じを率直に持っております。もちろん、これはえさとして考えます場合には、いま申しましたのは原魚で申し上げておりますので、輸入の数量といたしましては、その五分の一ぐらいのものが輸入の量として出てくる、こう考えられるわけでございます。いまは差だけを申し上げたわけでございますが、その根っこになります生産そのものにつきましては、今回のさっきお話いたしました七百七万トン台に乗せましたものの中身を見てみますと、やはり沿岸はやや横ばいになっておるわけでございます。沖合い相当伸びまして、遠洋でも若干の魚種につきましては伸び縮みがございますけれども、これも若干伸びておるということでございますので、何と申しましても、やはり沿岸漁業をどうやって体制づけていくかということが一番の問題のように考えております。表面的にはやはり遠洋が非常にはでに扱われるのでございますけれども、基本的には沿岸漁獲が非常に重要だと私は考えますので、これにつきましては、累次申し上げておりますような、構造改善その他を進めておりますけれども、どちらかと申しますと、今回お願いしてございますような、よくよく考えてみますと、協同組合、漁民組織の関連でございますとか、あるいは保証制度の不備でございますとか、そのようなものがやはり全体としての沿岸体制づくりに若干欠けておったように思いますので、漁獲そのものをふやす努力はもちろんいたしますけれども沿岸そのものの体制というものを固めていくことに総合的な施策として各制度を運用してまいることが、もっと必要ではないかという基本的な態度で臨みたいと考えておるわけでございます。しかしながら、具体的な漁業そのものにつきましては、御承知のとおり、増養殖関係相当いいものが試験研究でも出かかってきておりまして、まだ残念ながら、それがほんとうの施策の上に必ずしも全部が具体化されておりませんけれども、ぼつぼつではございますけれども、長年蓄積いたしましたものが、そろそろ半分企業的に、あるいはさらに企業化できる段階まできておるものもございますので、そのようなものをやはり主軸にいたしまして、沿岸漁業の中でも漁業種類の転換が行なわれていくのではないだろうか。それと関連いたしまして、いま若干停滞しておりますけれども、どうせこの数年の間にもう一つ大きな経済伸びがあり得ると考えられるわけでございますが、さような場合におきます労働の流出関係、これは相当覚悟せざるを得ないと思うわけでございますが、そのようなものと組み合わせて考えました場合に、これは必ずしもマイナスではない。沿岸漁業漁場は非常に錯綜しておりますので、労働力が抜けていく問題と、その新しい技術と、それを組織いたしますような組織化、この三つが組み合わさりました場合には、沿岸漁業はやはり新しい一つの展開をしてまいる可能性を十分に私は持っているというふうに考えますので、そのような形で対処していきたいと考えておるわけでございます。  それから、中小漁業につきましては、今回法案を出しておりますので、その内容といたしまして、いろいろ御審議をいただきたいと思っておりますけれども日本のいまの漁獲中身から申しますと、これがやはり中核的な役割りをいたしておりまして、半分以上のウエートを持っておるわけでございます。経営的には、中小漁業でございますので、非常に苦しい立場ではございますけれども、非常にファイトもありますし、一ばい船主ということで、その経営についてのいろいろな批判はございましょうけれども、非常に積極的な漁場開発でございますとか、そういうバイタリティーを持っているわけでございますので、それを制約しておりました金融なり税制関係というものに若干の手心を加えまして、これの伸びをぜひ私どもとしてはバックいたしたい。ここに相当ウエートがかかっているなということは感じているわけでございます。ただ、労働関係から申しますと、この辺が一番弱いことになりますので、大きく労働関係動きます場合に、この中小漁業がどういう形でそれを受け入れていくのか、この辺が私どもの施策としてはまだ十分手のついていないところでございまして、いろいろお知恵も拝借したいと思いますし、施策をさらに進めてまいりたいと考えておる分野でございます。  遠洋につきましては、先ほど申しましたようなことでございまして、これは国際的な問題でもございますので、あらゆる努力をいたしまして、漁場の確保をいたしますと同時に、やはり経済協力との結びつきにおきまして、これは相手国によっていろいろ違いますので、一律な対応のしかたでなく個別に一つ一つ話をつけて固めてまいりたい。そういうことによりまして、現在あの計画の中で考えております程度生産は何とか確保できると一応考えておりますけれども需要のほうがはたしてその程度にとどまるのかどうかにつきましては、これは一般経済との関連もございますので、私は多少の不安を持っておるわけでございます。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕
  11. 熊谷義雄

    熊谷委員 いま、将来五年後に九百万トン、十年後に一千万トンの需要、それに見合う漁業生産可能性があるかということに対しての長官の答弁は、率直に言って、どうも生産部面に対しての考え方は消極的に過ぎるんじゃないかという感じがするわけです。日本漁業生産は最近は横ばい、ついに世界第二位に転落した、そうしたような推移を見ても、さらにはまた、諸外国漁業伸展の状況、そうしてまた特に注目すべきは、わが国の中小漁業あるいは沿岸漁業漁場としている漁場にまで外国漁船の進出が見られる。そうしたような状況にあるのに、足りない場合は輸入をもって補足するというような考え方を基本的なものとして考えていくということに対しては、自分としてはいささかもの足りなさを感ずるのです。これはあくまでも、伸びの上にさらにプラスアルファが考えられる場合に初めて輸入によってというようなことを考えておくべきで、本質的には、みずからの手で生産することによってみずからの需要はまかなう、こうしたようなことでいかなければならないと思うわけです。漁場を、そうして漁業資源外国漁船にゆだねるていの行き方はとりたくない、こうした考えに立つわけですが、そこで、本論に入りまして、わが国の漁業の上に占める中小漁業の位置と、そうして今後の見通しについてお伺いしたい。
  12. 久宗高

    久宗政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、中小漁業の範疇でいろいろ調べてみますと、漁獲高で申し上げますと、約半分とお考えいただいてよろしいのではないかというふうに思うのでございます。半分ということは、たいへんなウエートを持っておるわけでございまして、さらにその中で、就業者の関係を考えますと、この中小漁業のウエートが非常に大きいということが言えると思います。そこで、現在までのところ、中小漁業につきましては、一連の施策をしてまいりましたけれども、やはり詰めて考えてみますと、基本的には金融の問題で非常に悩んでおりますことが一つと、税制関係で必ずしも優遇されてないということのために、本来ならばもっと伸びるべきものが伸びないということが、基本的に申し上げられると思います。そこで、中小漁業一般につきましての措置はもちろん必要でございますけれども、私どもといたしましては、やはりその中で、特に国際関係から見まして緊急に裏打ちする必要があるものが幾つか出てきております。カツオ・マグロなどはその典型的なものでございますし、また、日韓条約以後の状況で申しました場合、たとえば以西底びきにおきましても、現在の経営に必ずしも悪いとは言い切れないと思いますけれども、少し先まで考えますと、これは相当の裏打ちが要るのではないかということが客観的にも申し上げられると思いますので、そのようなものについての特別な措置が必要ではないか、こういうことで今回の御提案に至っておるわけでございます。中小漁業を全般的にとらえようといたしますと、どうしても抽象的になりまして、施策といたしましても具体性に欠けますので、ややしぼりをかけました形で措置をいたしておりますけれども、中小漁業一般につきましては、金融におきまして、先ほど申しました、金融関係におきます正常でない金融の圧迫も非常にございますので、そのような先から借りておりますものを正常な金融機関に切りかえる。その場合の債務保証といったようなことにつきましても、昨年末以来新しい道を開きまして、一応の措置をとっておるわけでございます。繰り返して申しますと、中小漁業一般ではなくて、やはり特定のものについて具体的な計画を立てまして、それに対して具体的な裏打ちをするという形で伸ばしてまいりたい、こういう考え方で対処をいたしたいと思っております。
  13. 熊谷義雄

    熊谷委員 私の質問はそうしたようなことではなかったのですが、長官のほうから本法案を必要とするという理由を説明になったようです。  そこで、日本漁業生産の過半を占める中小漁業に対する諸対策、これに対しては、沿振法に基づく施策を進めていくということであると思うのですが、この中小漁業の中から、いま長官何か二つばかり触れられたようですが、そういうものを取り上げて、これに対してこの法律に定める振興措置をとっていく、こうしたことのようですが、国際競争関係関連が強いとか近代化を必要とするとかいうようなお話ですが、そういうような見地からすれば、その指定業種はただ二、三にとどまるべきはずのものではないが、その程度のものであって、先ほど来申しているように、将来伸びていく水産需要に対応する生産措置がとれるかどうか、こうしたようなことになるわけです。そこで、特にこの種の振興措置をなぜとらなければならないかというその根本的な理由と、そうしてこの措置をとれば、どのように生産性が向上し、どのように漁業生産が確保され、増大されるか、その関係についてひとつ説明してもらいたい。
  14. 久宗高

    久宗政府委員 今回のような措置をとります場合、どの漁業を指定するかという問題でございますが、御承知のとおり、本問題につきましては、数年前からお話がございまして、特に、カツオ・マグロ漁業が不況になりました当時、相当緊迫した情勢の中で何とかしなければいけないということから、具体的に問題が動き出したように思うわけでございます。そこで、関係方面におきましても、これをだんだん固めてまいります過程で、どの業種をどういうように広げるかということで相当調整時間がございました。しかしながら、私どもといたしましては、今回の措置によりまして特別法を出しまして、それによって、準備のできたものから、さらにその必要がはっきりしたものから取り上げていこうという形をとるわけでございますので、法律を基本的なものをつくっていただきまして、さらにそれによって政令で指定していくという形をとっております。まんべんなく一ぺんに取り上げるということではなくて、まず必要度のほうから来るわけでございますけれども、国際的な関係を特に重要視いたしまして、そのような国際的な競合関係から見て、相当経営的にも問題があると思われるもので、かつ、準備がほぼ熟したというものから取り上げていこうということで、今回におきましては、カツオ・マグロ漁業と以西底びき網漁業をまず指定いたしたいと考えておるわけでございます。もちろん、これだけに限る必要はないわけでございまして、そのような国際的な関係相当裏打ちをするような事態になりました漁業、また、その漁業の内部におきまして相当の突っ込んだ準備ができてきている、そういう機運が醸成されたということになりますと、順次そのような必要に応じまして指定をしていくわけでございます。当面の問題といたしましては、いまの二つの漁業が緊急に措置する必要があろうかと考えておるわけでございます。  効果につきましては、おもだったものは、先ほど申しましたように、金融の問題と税の問題でございまして、具体的にはこの二つにしぼられるわけでございまして、それを中心に振興計画というものが組み立てられるわけでございますが、やはり個々の経営を当たってみました場合に、金利の問題に一番大きく経営が制約されておりますのと、また税の問題と、この二つがきわ立った問題になっておりますので、これを軸といたしましてその経営の合理化をはかってまいりたい、こう考えているわけでございます。  ただ、これによりましてどういう効果があるかということになりますと、結局マイナス面を排除したということになるわけでございますけれども、やはり私どもといたしましては、従来比較的問題になりながら、具体的な施策といたしまして、中小漁業関係にどうもあまり十分な施策ができていなかったという反省から考えますと、今回こういうような形で国会でもお取り上げいただくということになりますれば、いままで相当孤立無援と申しますか、ほんとうに船一隻で飛び出して行って、そして実は日本漁業の中核をささえておりましたような中小漁業の方々が、とにかくこの面に国としての政策の光が当たってきたということと、それの希望と申しますか、そういうことによりまして、一つの新しい時期を画するのではないか、そういう効果を私どもとしては特に期待いたしたいと考えておるわけでございます。  中小漁業におきましては、個々の経営も問題でございますが、それぞれの業種の団体なり、また中小漁業の相互の関係というようなものにつきまして、相当争いの多いものでございますので、そういった業種間の調整も含めまして、やはり中小漁業を本格的に取り上げる、このような機運というものをぜひ助長させていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  15. 熊谷義雄

    熊谷委員 初年度にカツオ・マグロ漁業、以西底びき網漁業の二つの業種を指定する、こういえことでございますが、業界においては、この両業種とも、中小漁業の総体的な関連においては、比較的に近代化の進んでいる業種だ、こう言われている業種なんです。しかし、国際的な関連あるいは近代化を必要とする意味合いにおいて、まず施策のやりやすい業種を取り上げた、こういう考え方については、わからないわけではないのです。ただ、わが国の漁業生産の半分以上を占めていろ中小漁業に対する施策として、この二業種を取り上げて、それに対して金融、税制面から助成措置をとる。その大きく言っている金融措置が、公庫融資としてそのワクがわずかに三十億。三十億で一体どの程度の対措置がとれるのか、こういったような気がしているのです。ですから、この種の対措置を必要とする業種は、ひとりカツオ・マグロ漁業、以西底びき網漁業にとどまらない、他の業種にも及んでいくべきもの、こういうふうに考えるわけですが、一応段階的にそうしたような方針で今後は漸次業種を拡大指定していく、そして最終的には全中小漁業に対してその指定業種を広げる、こうした方針であると私は考えるわけですが、それでいいのかどうかということをひとつ伺います。
  16. 久宗高

    久宗政府委員 法文にも出ておりますように、特定の必要が生じましたものを指定をいたすわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、今回二つにしぼりましたのにつきましては、御質問にもございましたように、中小の中でもむしろクラスが上ではないかという御指摘は、そのとおりだと思うのでございます。ただ、初めての施策でございますし、やはり中身につきまして相当自信がございませんと、財政当局もなかなか納得しかねる問題もございましたので、たまたまカツオ・マグロのあのようなピンチとの関係相当の研究が業界自体でもされておりましたので、それを軸といたしまして法案の準備をいたしました。同時に、今回におきましては二つに限ったわけでございますが、先ほども申しましたように、もちろんそれに限るわけではないのでございまして、国際的にも相当問題が出てきた業種があり、かつ、それが経営的にもほうっておいたのでは相当問題があるというおそれがある、そういうような問題になりました場合には、またあらためてそういうものを指定して、その振興をはかっていく、そういうための基本的な法律をこの際お願いしようということでございます。しかし、全業種に及ぶかどうかにつきましては、また、それがどの時期になりますかにつきましては、今後の国際漁業との関連、また個々の業種の経営状態というものを十分見きわめながら指定をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  17. 熊谷義雄

    熊谷委員 全業種に及ぶかどうかはまだこの段階では言えないけれども、二業種に限定するものではない、漸次これを拡大していくものだ、こういう長官の答弁を了承して、進めてまいりたいと思います。  そこで、指定した業種、カツオ・マグロ漁業と以西底びきの振興計画について聞きたいのですが、まず、マグロ漁業振興計画について伺います。  マグロ漁業は、御承知のように四業種に分かれておる。その四業種全部を指定扱いにして、そうしてその四業種に対して一括して振興計画を立てるのか。あるいはカツオ・マグロ漁業の四業種についてそれぞれ振興計画を立てるのか。そしてまた、その具体的な考え方内容をひとつ明らかにしてもらいたい。
  18. 久宗高

    久宗政府委員 この問題は、中でも若干議論があった問題でございまして、別々に立てるべきかという議論もあるわけでございますが、私どもといたしまして、やはりカツオ・マグロは一本で立てまして一もちろん、その中が幾つか各論的には分かれますが、全然別の計画としてではなしに、カツオ・マグロは一本として計画を立て、その中でそれぞれの——いま三業種ございますけれども、それについての内訳を調整してまいったほうが適当ではないかというふうに一応現在の段階では考えております。  振興計画そのものにつきましては、個々の経営体の問題ではございませんで、その業種全体の計画になりますので、いまの法律の中でお書きしている程度のものになるわけでございますが、私どもといたしましては、その計画のつくり方につきまして、いわば国のほうでつくるという形をとっておりますけれども、実際問題といたしましては、やはり当該業種でのいままでの相当な研さんと申しますか、研究がございますので、さようなものを中心にして組み立てまして、それを政府が確認するという形を実質的にはとっていったらよろしかろうというふうに考えております。
  19. 熊谷義雄

    熊谷委員 何かその点まだはっきりしないような感じを受けるわけですが、私のほうから具体的な考え方を申し上げますから、それに対してどれをとるかというような考え方でひとつ御答弁を願いたいわけです。  たとえば三九型近海カツオ・マグロ、こうしたようなものについては、なるべく大型化の方向を打ち出して、事故防止、安全操業への方向を打ち出すことが絶対必要だ。さらに今度積載量基準の変更ということによって大型化が要請される。これは漁獲能力を増進するということではなしに、いわゆる安全操業、事故防止、そうしたようなことが主体になっておるけれども、中小漁業の弱い立場からすると、それを進めていくことはなかなか容易じゃない。したがって、船舶の大型化、あるいは水産労務対策としての省力化、機械化、こうしたような部面に対してこの施策を進めていくべきだ、こういう考え方一つあるわけです。他の一つは、中小漁業の経営体がきわめて弱体だ、したがってこれの強化をはかる、そうしたような意味合いにおいて、その方向の措置の上に立った対措置を考える。まあ大ざっぱに考えると、そうした二つの考え方があるのじゃないか。  そこで、先ほど私は四業種と言って、長官は三業種と言われた。それはいわゆる自由漁業部分を除いて三業種という意味でしょうから了承しますが、その三業種について、いまのようなことをそれぞれの事情に合わせて両方適用していく、こうしたようなことが最も実態に即した行き方じゃないかと考るわけですが、考え方についての基本方針を伺います。
  20. 久宗高

    久宗政府委員 カツオ・マグロ一本で扱いたいと申しますのは、やはり一つ体系としてそう考えておるわけでございまして、中身から申しますと、その中で、経営の内容から見まして非常に格差もございますし、性質も違いますので、当然それの扱いにつきましてこまかい注意が要るのだろうと思います。具体的には、たとえば三つの指定漁業の種類ごとに取り扱いを異にする問題があるというような場合におきましては、振興計画内容の中でもちろんそういう取り上げ方をいたしますが、たとえば公庫の業務方法書の内容なりで処理が可能であると思うのです。  そこで、先生の御質問になっておられますのは、基本的にその二つの考え方のどっちに重点を置かれるかという問題だろうと思うのでございます。これは正直に申しまして、非常にむずかしい問題でもございますが、切り離せないと思うのでございます。もちろん、中小漁業でございますので、やはり経営そのものが一番表に出てまいるわけでございますが、それとうらはらになります安全の問題なり労働の問題なりというものとは、これは全く切り離せませんので、私どもといたしましては、そのような両者のものを二つ考えながら、かつ、カツオ・マグロ一本となりまして、その中で種類によって問題の性質も違いますので、一つ振興計画ではございますけれども、その内訳におきまして、個別にそれぞれの業種に適した振興計画内容にいたしたい、またそういう努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
  21. 熊谷義雄

    熊谷委員 業界が懸念している面は、何か経営体の強化統合を主体にした行き方というようなことが考えられているのではないか。そうなると、なかなかに業界の実態からして、おいそれと振興は進まない。しかし、大型化の方向については、これは何としても焦眉の急を要する問題だ、こうしたようなことで、そうした問題がかりにあと回しにされる、除外されるようなことがあればたいへんだというような懸念があるやに伝えられるわけです。そこで、そうしたようなことのないようにということを特に申し上げ、さらに以西底びきにつきましても、カツオ・マグロ漁業と同じような考え方でいくのかどうか。計画内容考え方について伺います。
  22. 久宗高

    久宗政府委員 漁業の種類が違いますので、計画内容に具体的に入っていきますと、当然のことながら、違った内容が出てまいると思います。しかし、考え方といたしましても、基本的に同じでございまして、先ほどの答弁に尽きると思うのでございますが、ちょっとそのあとでお触れになりました統合の問題でございます。それと、個々の経営体としてはなかなかそう簡単にいかないのではないかという問題、これは確かに問題でございます。私どもといたしましては、個々の経営の問題でございますので、統合を強制するとか、そういうことはもちろんできないわけでございます。また、すべきではないと思うのでございますが、中小漁業の本来的な問題から申しまして、やはり個々の船を大きくするというだけではなくて、経営体そのものを強化する必要から、やはり統合という問題も起こり得るわけでございまして、また、そのために、いろいろな今回の税制措置におきましても、そういうことも考慮に入れているわけでございます。これはもちろん、そういうことによりまして非常に無理な統合を強行するというふうなことの可否は、これは別問題でございますけれども、統合そのものの重要性は、やはりなかなか踏み切りにくいことではございますけれども、またやってなかなかむずかしいことだと考えるわけでございますが、やはり客観的に見ることが必要ではないだろうか。適当なステップを踏んで、必要があれば、そのような統合まで必要になる経営が相当あるのではないかというふうに感じ取っておるわけでございます。
  23. 熊谷義雄

    熊谷委員 なかなかはっきりとした線が出ないようですが、それでは、本年度の予算措置からする金融ワクの面から逆にお伺いして、その方向づけを明らかにしてもらいたいと思うのです。  本年度の予算措置が、公庫金融として三十億のワク、金利は年六分、弱体な中小漁業対策として年六分の金利というものは、これはちょっといただけない高金利だ。少なくとも五分以下の金利でこそ初めて政府金融という名目が立つのじゃないか。基盤整備の方向においては、すでに二分五厘あるいは三分五厘というような金融方向も打ち出されている中で、弱い中小漁業に対して年六分、これが助成措置だというのでは、ちょっといただけない気持ちがするわけです。そうしてまた、数多い中小漁業に対して、初年度とはいえ三十億のワクということは、何かしら非常に辛いという感じを受けるわけです。そこで、先ほど来の長官のいろいろな話からしても、何かずいぶん辛いものを考えているのじゃないかという感じを受けるわけですが、端的に言って、三十億のこの少ない金額、これを四十二年度において必ず消化ができるような措置を進めていくのかどうか。この点を伺えば、おのずから内容は明らかになると思うので、その点を伺います。
  24. 久宗高

    久宗政府委員 金利は六分五厘でございますけれども、どうも高いではないかというので、ここにいろいろ言いわけが書いてあるわけでございますが、私ども実は非常に残念でございまして、もう少し低いものにしたかったのが実感でございます。しかし、金利の体系というような問題もございまして、いろいろ折衝しております過程で、私どもといたしましても、はなはだ不満ではございましたけれども政府といたしましては、この程度のことで出発せざるを得ないかなということで踏み切ったわけでございます。しいて理屈を申しますと、中小漁業者につきまして、これは経営規模もいろいろ問題があると思うのでございますけれども、農業との比較で申しました場合に——いつも農業との比較が出て困るのでございますけれども漁業の中の体系はございますけれども、全体の農林漁業の金融体系というものを持っておりますために、それとの比較で申しますと、所得面での差から申しますと、やや相対的に有利な形に数字が出てしまうわけでございます。さようなことから、農林漁業金融公庫の原資の大部分となっております資金運用部の借入金利、これくらいかなというふうなところでおりざるを得なかったわけでございまして、実は私どもも、これははなはだ残念に思っておるわけでございます。しかしながら、第一歩といたしまして、とにかく橋頭堡をつくりたいということで考えたものでございますので、これでスタートを切らしていただきたいと思っておるわけでございます。  なお、三十億で足りるかという問題でございますけれども、現在まで私どもが、こういう法案が進行しているということで、それぞれの業種につきまして、やや突っ込んで聞いておりますものから見ますと、少なくとも初年度のワクといたしましては、あれで足りないという形にはならない見込みでございます。少し準備がおくれます場合におきましては、若干ワクが残るのじゃないかという心配が実はあるわけでございまして、これはもちろんここで御審議いただきまして、法律が成立する段階になりますれば、大馬力をかけまして、少なくとも初年度のワクは消化したい。しかし、いまのところ、不足するということは、見通しからいってほぼないと考えておるわけでございます。
  25. 熊谷義雄

    熊谷委員 私が懸念している点が長官の答弁でも出されたわけですが、わずか三十億の資金ワクが消化できない、こうしたような考え方があるならば、先ほど来私が業界で懸念しているということを申し上げているように、おそらく計画内容計画条件というものが相当きびしい、辛いものを考えているのじゃないか、こういうことになるわけです。ですから、その点については、せっかく業界においてこの措置を要望し、実現したものが、ほとんどその効果が見られないということになったのではたいへんだ。こういうことになるわけですから、この点については、そうしたことのないように、三十億の資金ワクは近々にして消化されて、さらに追加要望が出るというような計画内容、また計画条件を打ち出すということを特に要望したいと思います。  そこで、中小漁業対策のこの措置は、いま話し合いをしてきたようなことで、ほんとうに一部分の対策にしかすぎない。しかも、金融と税制からする助成措置、そうしてまた、その措置が中小漁業の中の一部分ずつ進めていく。何年たって期待されているような業種にまで広がっていくかということが非常に懸念されるわけです。そこで、そうしたような中小漁業振興措置というようなものにすべての望みをかけて、中小漁業がこれを待っているというわけにはまいらぬと思うのです。そこで、何としても中小漁業対策の基本的な考え方は、基盤整備、すなわち、端的に言えば——時間の関係もありますのでしぼると、漁港等の整備というようなことに限定して一応考え方を伺いたいと思うのですが、中小漁業振興対策のまず基本的なものは、漁港整備であり、あるいは漁場つくりの大型魚礁の試作である等々ございますが、漁港整備について、現在施行している港湾修築の計画は八カ年計画であると聞いているわけです。本年はその六年目だ。五年目の四十一年度で、一体計画に対してどの程度進捗しているか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  26. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 現在の漁港の整備は、第三次漁港整備計画に基づいて事業を実施しているわけでございますが、三十八年度から四十五年までの八年計画でございまして、四十一年度までの進捗状況は三五・四%、事業費の比率で申し上げまして、そういう進度になっております。
  27. 熊谷義雄

    熊谷委員 いま漁港部長のお話によると、八カ年計画の五カ年だとすると、機械的な計算でいっても六二%程度にいかなければならぬ。それが三四、五%の線を低迷している。道路に、あるいは港湾に、各部面に対しての公共施設の関係については、年次計画を繰り上げ実施するというような積極的な施策を進めている。なぜ漁港に関してはそういうぐあいにおくれているか。この理由についてひとつ伺いたいと思う。
  28. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 まず第一に、先ほど先生の御質問の中で、漁港整備計画の進捗度の問題でございますが、四十一年度末の進捗度合いはどうかというようなお話でございましたので、四十一年度末の進捗の状況を申し上げたのでございますが、四十二年度の事業を実施いたしますと四八・七%ということで、御指摘のように、その期間には六二、三%ということでございますが、進度は半分足らずということでございます。したがいまして、漁業生産の基盤といたしまして、また、漁場と背後の消費を結ぶ結節点としての漁港の整備は非常に重要なことでありまして、このような進捗の度合いでは、現在の漁船の大型化その他の漁業情勢の必要性に対しまして十分対応できない、こういう状況でございまして、今後ともこの整備促進に対しましては格段の努力をしなければならない、かように考えておる次第でございます。  なお、他の目ざましい公共事業、たとえば道路、港湾等の促進に比べまして、漁港の促進がおそいではないかというようなお話でございますが、まことに私もその点を痛感しておりまして、何とかこの漁港整備の問題につきましても、現在の整備計画の促進に意を注ぎますと同時に、また最近の漁業の状態等も十分調査等いたしまして、適当な機会には新しい整備計画等を立案する等、いろいろと研究努力をいたしまして整備の促進につとめていきたい、かように考えておる次第であります。
  29. 熊谷義雄

    熊谷委員 漁港部長が、四十一年度ではおくれておったんだが、四十二年度を実施すればそうではないのだ、こう言うかと思って期待しておったけれども、一年先にいけば八カ年計画の六年目ということになりますから、機械的に計算すると七〇何%にならなければならないわけで、ちっとも進んでいない、こういうことが言えるわけです。そこで、何としてもこうしたようなおくれをそのままにしておくわけにはいかない、こういうことになると思うのです。そこで、八カ年計画を立案する場合に、将来に対して、利用する漁船トン数の増大、大型化に伴う増大を予測して立案してあると聞くのですが、立案した当時、八ヵ年目にどれだけの漁船トン数を予測したか、そうして現在はどれくらいの漁船トン数になっておるか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  30. 瀬尾五一

    ○瀬尾説明員 第三次漁港整備計画を立案するにあたりましては、三十四、五、六、三年間の調査を行なったわけでありまして、整備計画一つの大きな目標でございます動力漁船の総トン数を一体どういうふうにするか、こういう問題があったわけでございますが、これにつきましては、いろいろと検討いたしまして、一応二百三万トンということを想定いたしたわけでございます。しかしながら、その後、沿岸漁業の構造改善等も進み、また、漁船の無動力から動力化の問題、その他動力漁船の大型化の問題等もございまして、この二百三万トンの目標の数字は昭和三十九年だと思いますが、昭和三十九年度に一応二百三万トンという数字が出たわけでございます。四十二年の統計はまだ明らかではございませんが、四十年度では、大体二百十万トン程度の総トン数になっているだろう、こういうふうに考えるわけでございます。
  31. 熊谷義雄

    熊谷委員 私が考えていたような、いわゆる漁船の大型化による利用漁船トン数の飛躍的な増加です。八カ年計画の最終段階は、とつくの昔にそれを通り越しているという状況、それにもかかわらず、漁港修築の状況は遅々として進まない。いかに中小漁業振興特別措置法等の制定によって中小漁業振興対策を進めようとも、その基盤をなす施策についてこのようであれば、中小漁業振興は不可能だということになると思うのです。したがって、先ほど漁港部長ちょっと触れたように、何としてもこの実態に沿わない現在の八カ年計画、これを新しい修築整備計画に改めて、急速にこの伸び利用漁船トン数に合わせる漁港整備計画を打ち立てなければならない、これは焦眉の急を要するものだ、こう考えるわけです。そうしたような方向で対処しなければならないことを強く指摘したいわけですが、これに対して水産庁長官どう考えますか。
  32. 久宗高

    久宗政府委員 全く同感でございまして、漁港計画につきましては、国会におかれましても非常な研さんをしていただきまして、あの計画ができたわけでございまして、実施の状況は、ただいま部長から申しましたように、まことにどうもお話にならないことになっておるわけでございます。私どもといたしましては、本年の予算編成におきまして、ちょうど中小漁業の問題を取り上げることでもございますし、また、一斉更新との関連におきまして相当増トン数の問題もございますので、このような契機にぜひ質的な飛躍を得たいと考えまして、非常な御後見を得まして折衝いたしたわけでございますが、御承知のような、公共事業費の取り扱い問題が非常に予算の焦点でございましたために、総体的にはややおまけをつけていただいたようなものでございますけれども、実質的に考えますと、計画の年度から申しましても、非常に不満足な形にとどまったわけでございます。  ただ、経過を若干申し上げますと、この八カ年計画で進んでまいります過程が、たまたま非常な超高度成長の時期と時期が符節しておりましたので、予測したものよりも非常な大きなギャップがそこに出たわけでございます。それから、途中でさらに改定の問題を考えようという機運もあったわけでございますけれども、御承知のとおり、倍増計画の見直しの作業があの中間の段階に入りまして、さらにそれが中期計画になり、それがくずれまして、また現在の新しい経済計画になるというようなことで、数年間そのような国の全体の計画の改定、改定という形をとってまいりましたので、あのように八カ年間の計画をかっちり組んでおりますものですから、その計画が他の全体計画が進んでおります場合に、その過程で私のほうを切りかえます場合に、全体計画から飛び出してしまうおそれがございましたために、ややちゅうちょいたしているうちに時期を失したというのが実情でございます。  ただ、それは経過でございまして、今日考えてみますと、いまのような形のままでとうてい飛躍的な増額は考えにくいと考えておりますし、また、実態から申しましても、そこに相当大きな食い違いができてきておるわけでございます。また、漁港が、御指摘のように、沿岸なり沖合いなり遠洋も含めました漁業の基本的な基盤でございますので、さような観点から申しましても、また、市場の関係が非常に拡大いたしまして、背後地の関係も非常に変わってきております関係から申しましても、漁港の問題が単なる港の問題としてではなくて、他の関連産業なり流通を含めました非常な大きな意味を持ってきておるように思いますので、さような問題も含めまして、そろそろ本格的に、計画年度の途中でございましても、組みかえを考えるべき時期にきたというふうに考えておるわけでございます。漁港審議会のほうにおきましても、さような議論がぼつぼつ出ておるようにも思いますので、よく御相談をいたしまして、これは、時期をどういうふうに選ぶかによりまして、非常に全体の経済計画との関連がございますので、むずかしいわけでございますが、私どもといたしましては、さような作業に入りたいと考えておるわけでございます。
  33. 熊谷義雄

    熊谷委員 経過の説明、弁解ですが、その中に明らかになったように、いわゆる政府の政策の変化、経済成長政策をとったその段階において、すでに道路、港湾等においてとられたと同じようないわゆる施策がとられておれば、漁港の修築だけがおくれるというようなことの現象は生まなかった、こう思うわけです。端的に言えば、いわゆるテンポがおくれている、こう思うので、この際、思い切って新しい計画を立てて、急速にこれを進めるということを重ねて強く要望します。  さらに、その新しい計画に立った場合に、委員長を前にして北海道のことに触れるのはいささか気がひけますが、北海道の漁港修築については、その修築関係は全額国が負担している、こうした事実があるわけです。そのことによって、北海道の漁港修築整備は非常な効果をあげた。ところが、北海道と同じような事情あるいはそれ以上の地域が、内地というそのために、三分の二の、あるいは六割の国の負担、そうしたようなことで、北海道との間に格差があるわけです。北海道で効果をあげているわけですから、ひとつ今度の改正の場合に、北海道と事情を同じくする地域については、北海道と同じような国の助成措置をとるということを考えてほしい、考えなければならないはずだ、これが筋だ、こういうふうに考えるわけです。時間も長くなりましたので、私の質問はこれで終わります。
  34. 本名武

  35. 中川一郎

    中川(一)委員 熊谷委員に引き続きまして二、三お尋ねいたしたいと思います。  ただいま長官お話によりますと、マグロ・カツオあるいは以西底びき、二つに限ってとりあえずやり、逐次その他の業種についても及んでいくという話でありますが、法律の目的のところに、「特に必要であると認められる業種に係る中小漁業」と書いて、それを裏づけするように、第二条の二項の二番目に書いてあるのでありますが、「中小漁業者の相当部分の経営が不安定となっており又は不安定となるおそれがあるため、」、こういうふうにしぼってあるわけです。長官の言うような全体の業種に及ぶのだということであるならば、こういう締めつけをしておかないほうがいいんじゃないかというふうに思うわけですが、長官の見解を承っておきたいと思います。
  36. 久宗高

    久宗政府委員 全体の業種に及ぶと申しますと、若干語弊があるわけでございますが、たまたま今回私どもとして一応自信を持って取り上げられるのは二つだ、また、二つに限定するつもりではないと申し上げたわけでございます。法文にございますようなことで、国際的な関係から緊急に措置すべきもの、またそのようなものが特に必要なものというように限定をいたしまして、やや限定的に取り上げておるわけでございますが、施策が非常に具体的なものでございますので、限定的に取り上げざるを得ないわけでございまして、必要があれば、私どもとしても指定するのにちゅうちょしないわけであります。
  37. 中川一郎

    中川(一)委員 私が申し上げたいのは、先ほど熊谷委員質問に対しても、国際競争が非常に激しくなってきた。七百万トン現在あり、将来一千万トンに持っていきたいのだけれども、どうも輸入をしなければならないのじゃないかというのが日本の水産界の現状でございます。同時に、ナンバーワンであったものがナンバーツーに下がってきた。あるいは沿岸漁業振興が必要である。漁港もまた非常に情けない姿である。この辺で水産界は思い切った政策を講ずべき時期にきておるのではなかろうか。そのときに、一番大事なこの中小漁業を、そんな小さなところからスタートしないで、もっと大きなところから、全体をやるのだという姿勢の中から、部分をとらえていくという行き方がとられるべきであって、小さなところから遠慮していって、しぼってそこからやっていくのだというような、こそくというか、遠慮した姿勢で進むべきじゃないじゃないか。そういう点で、私は、長官考え方をひとつ変えていただいて、もっと大きなところから全体をやるのだ、そして国際競争に勝つのだというところからいく。財政事情その他もあるでありましょうが、小さなところからいくというのを変えていただくわけにはいかないか。私は変えるのが当然であると思うのでありますが、いかがですか。
  38. 久宗高

    久宗政府委員 実は、私どもの考えておりますのも、御趣旨のとおりのことなんでございます。したがいまして、特別措置法で国会の御承認を得て、そして必要に応じて具体的には政令で指定していく。限定しておるようでございますけれども、具体的な施策として考えますと、それぞれの振興計画が要りますし、それについてまたそれぞれ漁業の種類ごとに仕事の内容も違いますので、個別に取り上げるわけでございますが、考え方といたしましては、中小漁業を特別の措置法を出して振興しようという考え方は私は同じと思いますが、決して遠慮しておるわけではございませんが、行政の具体的な進め方を考えますと、個別に取り上げていく順序になるということをお考えいただけばいいと思います。
  39. 中川一郎

    中川(一)委員 そこがちょっと違うのですね。不安定となっており、または不安定となるおそれがある中小漁業の業種だから、不安定になってきたとか、おそれがあるところへこないとやらない。この考え方が私にはわからないわけなんだ。中小漁業日本の水産業の大宗を占めるもので、重要な地位を占めるのだ。諸外国との関係もあり、これは全体としてやるのだというふうに持っていくべきであって、不安定となり、またなりそうだというときにしかやらない。そういう縛りをしなくともいいんじゃないか。長官が言ったように、ぼつぼつやっていきますというのであるならば、少なくとも、それも了解いたしますが、その場合には、その二項をもう少し書き方を変えなければ、やりたくてもやれないのじゃないかという気がするわけですが、この点。
  40. 久宗高

    久宗政府委員 実は、逆の御質問と申しますか、だめも出ておりまして、中小漁業で不安定でないものはないではないかという議論もあったわけでございます。法文に書きますと以上のようなことでございますが、やはり非常に具体的な必要性がそこに出てきておって、しかも、業界におきましても、それに対処するだけの十分な覚悟があり、具体的な案も熟しているという場合に、初めて行政のルートに乗るわけでございますので、私どもが特にしぼりましたのは、初めての施策でございますし、一般的に中小漁業として取り上げました場合には、どうしても焦点がぼやけてしまいまして、形だけよくて、具体的な施策を伴なわないおそれがございましたので、だんだん詰めてまいりますうちに、そういう形の法案になったわけでございます。気持ちといたしましては、御趣旨のようなことで進めてまいりたいと思っております。
  41. 中川一郎

    中川(一)委員 それでは、それ以外の、沿振法にいう、これに該当しない小さいほうの金融措置というものは、どういうふうに考えておられるのか。また、中小漁業全体に及ぶと同時に、下のほうの零細漁業に対する振興についても、これにならったような金融措置を講ずべきであるというように思っておりますが、いまの沿振法で十分なのかどうか。十分でないとすれば、今後どうしようとされておるのか、この点も伺っておきたいと思います。
  42. 久宗高

    久宗政府委員 今回の中小漁業についての特別法も、沿振法を基礎にいたしまして、その中の中小漁業の部分を具体化したものとお考えいただければと思うのでございますが、関連して御質問のございましたものは、いわゆる沿岸漁業のほうにもこれと同じような特別法が要るのではないかという御質問かと思うのでございます。一応私どもで現在考えておりますのは、ああいう沿振法を非常な論議の木打ち出していただきまして、あれが基礎になりまして、私どもといたしましては、沿岸沖合い漁業の基本法とでもいうべきものとしてあの実施に当たっておるわけでございますが、中小漁業の場合は、もちろん振興計画は業種一本で立てますけれども、どちらかと申しますと、個別の企業の中身相当立ち入って考えておるわけでございます。沿岸漁業の場合、これを形式的に分けられませんが、一応沿振法で取り上げられております中身から申しましても、法制化はしておりませんが、構造改善事業といったような形で全体として取り組んでおるわけでございます。もちろん、個々沿岸漁業に対する金融の道は別途に開いてはおりますけれども、それ以外、いろいろな施策を組み合わせまして、構造改善と銘打って全体としての一つの施策をしておるわけでございます。金融措置にいたしましても、御承知のとおり、構造改善事業においては三分五厘といったような非常に安いものが出ておるわけでございますので、一応ああいうような打ち出し方をして、いま中途まで来ておりますし、初めのころはずいぶんまごつきましたけれども、最近になりまして計画内容相当いいものが出てきておりますし、したがって、近代化の仕事につきましては、補足事業をさらにことしから追加してありますような措置をとっておるわけでございます。したがいまして、現在のところでは、特別法を用いまして、沿岸漁業のちょうど中小漁業と同じような形での施策は考えてないわけでございますけれども沿岸漁業におきます個々の経営の内容が非常に変わってまいりまして、個別の経営としてもある施策で裏づけしたほうがいいではないかという段階におきましては、特別法ということも考え得ると思います。しかし、私どものいまの順序といたしましては、やはり沿岸漁業につきましては、構造改善事業を根幹といたしまして、また、今回おはかりいたしておりますような漁民組織の強化でございますとか、保証制度の裏打ちでございますとか、そういうものを総合的に全部固めてやっていきまして、次の段階で初めて特別法が要るかどうかの問題を考えてみたらどうかという程度に考えております。
  43. 中川一郎

    中川(一)委員 沿岸漁業のほうが中小漁業よりは不安定度が高いわけです。ですから、これはひとつ大いに考えていただきたい。  そこで、いま漁業構造改善の話がありました。非常にりっぱな制度だということで喜ばれたのでありますが、農業構造改善事業と同様に、どうも評判があまりよろしくない。それはなぜかというと、資金ワクがきまっておりまして、一地区について幾ら幾らということがきまっておるものですから、やりたい事業はたくさんあるけれども、実質は中身が伴わないという非難が非常に強いわけであります。特に、私の選挙区になって恐縮でありますが、襟裳岬から千島のあの根室を通って稚内に至るというか、網走方面、オホーツク海まで含めて一地区になっておりますが、その地区に、正確な金額は忘れましたが、何か二億とか三億とかの縛りがある。あれだけ広いところに二億や三億です。今日、橋一本かけても二億や三億かかる時代に、そういう頭打ちで、計画を立てようにもにっちもさっちもいかないという声も耳にするのであります。そういうことになっておるのかどうか。もしそうだとするならば、これは思い切り、この際、法律は必要でないことなんですから、こういう中小業者の対策をやるのと並行して、その面の打開策を講じていただきたい。長官の見解を承ります。
  44. 久宗高

    久宗政府委員 国でこの種の施策をいたします場合に、北海道におきますその地域をどう分けるかという問題が、いつも問題になるわけでございます。個所数をふやしたりいたしてやっておりますけれども、北海道の実情から申し上げれば、どうも間尺に合わないという問題が、構造改善のみならず、他の施策におきましてもいつも問題になるわけでございまして、御指摘の問題につきましては、確かにそのような問題があると思うのでございますが、一応現在地区をきめてやっておりますので、ちょっと全体系を動かすところまで実は踏み切れないわけでございます。農業構造改善と違いまして、あちらでは、町村ごとに計画が立てられる程度の非常に濃密な施策になっておりますが、私のほうの関係は、一般的に申し上げれば、県単位になりまして、その中で施策をばらまくような形をとっておりますので、それ自体相当問題があるわけでございますが、特に北海道に当てはめました場合に、いろいろな不都合があろうかと思うのでございます。したがいまして、この近代化の仕事につきましては、四、五年やってみました経験から見て、最近になりまして非常にいいものが実は出てきておるわけでございます。事情も違い、また技術関係でもいろいろな新しいものが熟してまいりまして、そういうようなことを契機といたしまして、第二ラウンドと申しますか、補足整備事業というような形で、せっかく出てまいりました意欲をもう少しつないでみたいということをやろうとしておりますので、それとの関連で考えるのが一つ考え方かと思うのでございますけれども、地域をさらに割り方を変えて、配分金額を変えるということになりますと、どうも現在のところ、そこまではちょっと踏み込めないように思うのでございまして、補足整備事業との関連で、なるべく、御指摘のございましたような、地域の実情に即した施策をしてまいるように特別に考慮をいたしたい、関係者の御意見をよく伺って処理に当たりたいと考えます。
  45. 中川一郎

    中川(一)委員 そうすると、基本線は変えられない、まあ、アフターケアでその辺のところは補っていきたいという長官お話でありますが、どうしてその基本線が変えられないのか。大きい地区には大きな計画を持ってしかるべきじゃないか。大きいところも小さいところも頭打ちの、資金は一地区幾ら、これ以上出てはならないというのでは、あまりにも能のない話ではなかろうかと思うのです。水産庁長官としては、そんなことは考えておらないんじゃないか。ただ、大蔵省がおって、これはいつも大蔵省に弱い農林省でありますから、大蔵省がなかなか言うことを聞かないんですと言うならば理解はできるわけですけれども水産庁長官としてはそれでは通らぬのではなかろうか。力道山に食べさせる飯も、小学校一年生に食べさせる飯も、量は同じでありまして、あとでアフターケアでキャラメル一つ上げますということでは、少しおかしいんじゃなかろうかと思うのですが、ひとつここでもう一回御答弁願いたいと思います。
  46. 久宗高

    久宗政府委員 この種の計画を立てます場合に、予算の積算その他がございまして、一応形にはめまして折衝してきめるわけでございますが、実施の過程でそれぞれの地域の実情にできるだけ即したいと思うわけでございますが、御指摘のように、この一地域につきましての金額が非常に少ないのでございますね。これは毎回大、げんかをするわけでございますが、どうも必ずしも実現いたしませんで、すでに仕事も始まっておりますために、他とのバランスの——まあ低い意味の公平論で、はなはだつまらぬ議論だと思いますけれども、一応現在のところ、一定の区域につきましての金額のワクをきめざるを得ないわけでございます。ワクの増額はもちろん考えたいと思って今日にまで至ったわけでございますが、やや今度の第二ラウンドが、全体として足りなかったものをもう少し何とかしようじゃないかということにお考えいただければ、私ども多少そういう気持ちもあっていたしましたので、第二ラウンドとの関連で、穴のあいておりますところ、不足部分を調整してまいるというようなことが、一応行政的には考えられると思うわけでございまして、それぞれの配分基準を大幅に変えるということになりますと、全体に響きますので、ちょっと御希望に沿いかねると思うのでございます。
  47. 中川一郎

    中川(一)委員 それじゃ第二ラウンドでひとつ大いにやっていくことに期待をかけまして、それはそれで終わらせていただきたいと思います。  最後に一つ、この問題に限っての最後ですが、次官がお見えですから、次官にひとつ大臣にかわって答弁を願いたいのは、どうも水産庁のやっておられることはけちじゃなかろうか。たとえば漁港にいたしましても八カ年計画です。どこでも大体五カ年計画というのをやって、期間が短く、しかも大体計画に到達しておる。水産庁の漁港計画は八カ年で、しかも六年目で半分にも到達しておらない。具体的な例を言うと、私のところにも厚内という漁港があります。これは昭和三十四年に着工いたしまして、まさに十年たとうといたしておりますが、まだ船一隻つなぐこともできない。今後何年かかるかわからぬ。これも一つの例でありますが、このように、漁港予算を見てもみすぼらしい姿であり、漁業構造改善事業を見ても、どうも喜ばれない姿。水産行政は、どちらかというと、非常に過酷な扱いを受けておるように私は思うのですが、次官はそう思いませんか。
  48. 草野一郎平

    ○草野政府委員 おっしゃるとおりであります。八カ年計画、しかし、場合によっては、私は何もかも五カ年で切らなければならぬとも思っておりません。できることなら、十カ年計画、百カ年計画くらいがあってもいいんじゃないかとも思うのですが、それが間延びした計画になってしまってはいけないということで、水産予算が、そうした意味において、いかにも縮んでおるようなかっこうに見られるということであるならば、ひとつこれは水産関係に御熱意のある方々にバックアップしていただきまして、私たちも馬力をかけまして、いまにも米価問題も起ころうとしておりますが、あれ以上の勢いをひとつ出してもらおうかということをお願いもいたし、私たちも努力しなければいかぬと、さように思っております。
  49. 中川一郎

    中川(一)委員 次に、外国船の規制に関する問題について、一、二伺いたいと思います。  今度規制をいたしますのは、領海水域に限る——法律文章はとうなっておるかわかりませんが、その領海の長さといいますか、幅は三海里だというふうに伺っております。日本では外国に向かって十二海里説を主張しておらないので、三海里以外に言えないんだというような話を伺っておるのでありますが、そのようになっておるのでありますか。
  50. 久宗高

    久宗政府委員 領海は三海里といたしておるわけでございます。御質問の趣旨は、専管水域が要るのではないかということでございましょうか。
  51. 中川一郎

    中川(一)委員 専管水域が要るのじゃないかというのはそのあとにくる問題で、今回規制できるのは三海里だけなのかということです。
  52. 久宗高

    久宗政府委員 領海といたしましては三海里でございます。
  53. 中川一郎

    中川(一)委員 規制できるのも三海里ですか。
  54. 久宗高

    久宗政府委員 外国人の漁業活動を規制いたしますのは、三海里内の問題でございます。
  55. 中川一郎

    中川(一)委員 そこで、私どもの心配しますのは、三海里で一体効果があるのかどうか。できれば十二海里とか、もっと幅広い規制が必要ではなかろうか。三海里ぐらいで特殊な法律をつくってしまうと、三海里から先は自由にできるのだということの裏づけをして、かえって害があるのじゃなかろうかという心配もするのですが、その辺はどうですか。私は、三海里くらいのけちなものならば、この際やめてしまったほうがいいんじゃなかろうか。できるならば、この機会に十二海里ぐらいを領海だというふうに、日本考え方を変えてはどうだろうか。それには日本のマイナス面もあろうと思います。日本でそういう十二海里をやるならば、日本外国へ行って交渉をする場合にも、十二海里を認めなければならぬというマイナスもあろうかと思いますけれども沿岸漁業振興という面からいくならば、外国へ行ってとってくる人は、一、二というか、非常に数少ない業者であります。沿岸漁業の被害を受けるのは非常に数多くの人であります。したがって、数少ない人にこの際少々がまんをしていただいて、数多い沿岸漁業を助けるという方向に今回持っていったらどうだろう。そうすることによって、初めてこの法律が生きるのではないか。それが踏み切れないくらいならば、三海里内に入ってきたときはどうこうという規制はやらぬでもいいじゃないか。  もう一つ、この法律には寄港をさせないという問題もありますが、これは閣議決定ですでに押えてあるはずでありますから、その点、長官の見解を承ります。
  56. 久宗高

    久宗政府委員 この法案関連いたしまして、領海なり専管水域の問題がいろいろな形で出ますので、この機会に一応まとめて申し上げておきたいと思うわけであります。  私のほうで、つまり日本側におきまして、三海里に領海を考え、たまたま十二海里専管水域問題が国際的にも非常に問題になっておるわけでございますが、今回の法律で、その領海が三海里であるか、十二海里であるかということは、直接には実は問題ではないのでございます。かりに十二海里でございましても、十二海里外の問題はどうなるかという問題が依然として残るわけでございますので、一応それを切り離しまして、十二海里の問題に若干触れますと、もちろん、私どもは、三海里に非常にこだわって、それをただ金科玉条としておるわけではございませんで、十二海里の問題がいろいろ問題になりますけれども、一番問題になりますのは、十二海里説をとるとらぬという問題ではなくて、十二海里という場合に、国際的に確立されておりました三海里以外のあとの九海里のところで既存の漁業がどういう形で認められるのかという問題につきましては、国際的にはこれは全くいま百鬼夜行でございまして、そこの内容が固まってないわけでございます。したがいまして、三海里でなければならぬということではないのでございますけれども、実は、その三海里以外のところにおきます既存の漁業の取り扱いが、国際的にまだ何ら定説と申しますか、確立していない。現にいろいろな国でかってなことをやっておりますが、そういう内容を抜きにいたしまして、十二海里に飛び上がるわけにいかない。したがいまして、私どもといたしましては、あくまで三海里が少なくともこの段階におきます国際的に確立された領海であり、入ったときの管轄権の行なえる範囲であって、それ以上の問題につきましては、ある国が一方的に十二海里を専管水域だと言って宣言をいたしましても、それによってわがほうは拘束されないという立場を堅持しておるわけでございます。もし、この内容が非常に確立しておりまして、外の九海里におきましては、既存の漁業はこういうふうに取り扱われるのだということが国際的な慣行として確立しておれば、何もこだわる必要はないと考えるわけでございますが、現在はそのような状況でございませんので、わがほうの立場を堅持しながら、具体的に問題の起こりました国と、その専管水域なるものの法律論はたな上げにいたしまして、ではどういうふうにそこを利用しようかという相談を個別にしておる。そういう実績を固めました上で、ある段階まで来れば、かりに国際的なそういうお話が出ました場合にでも、九海里のその専管水域内の問題というのはこういうふうに取り扱われるべきものだということが熟してまいりますれば、またそういうことをわれわれが努力をして、実績を積み重ねながら国際慣行をつくっていく必要があるだろうというぐらいに実は考えて対処しておるわけでございます。  そこで、今回のこの法案でございますが、直接ここで言っておりますのは、もちろん領海内の操業は禁止しておりますけれども、寄港と関連いたしまして、近海におきます漁業操業を、港を押えることによって規制しようという考え方でございます。したがいまして、たとえば直接の水揚げも押えておりますし、積みかえも押えますし、その他港へ入って行なうあらゆる行動が規制されるわけです。漁夫の休養その他資材の積み込み一切がこれによって規制されることによりまして、日本の漁港をいわば基地的に反復利用できない状態に置くこと、これがねらいであるわけでございます。したがいまして、これは最小限度必要なことでございまして、もちろん、こういう国内法がございませんでも、よその国がかってに港に入ってくれば、それは困る、出ていけと言っていいわけでございますけれども、法治国でございますし、どういう官憲がどういう措置をとって出ていけと言うかとか、そういう問題は、やはり国内法がきちんとそろっておりませんと、いろいろなトラブルが起こりますので、さような意味での最小限度措置をとったわけでございます。御指摘のように、たまたま私どもは三海里を領海と考えておりますので、三海里以外の外のところは全く規制がないじゃないかということになりますが、これは港に入れないいまのような幾つかの制限がございます結果、港を基地的に利用して日本列島の周辺漁業を反復行なうことは、これによって相当規制される、こう考えられるわけでございます。もちろん、これによって十分ではございませんで、もっと外国漁船の出没が多くなり、それで、日本の三海里より外の公海における漁業におきまして、われわれのやっております沿岸漁業なり沖合い漁業に甚大な影響が及んでくるという場合におきましては、もっと違った形の規制が当然に必要であろうと思うわけでございます。これは現在の漁場利用関係から申しますと、かりに十二海里の専管水域日本側でやったといたしましても、なおかつそれより外での問題が残っていると思うわけでございます。したがいまして、そういう場合におきましては、その問題の起こりました漁船の国と政府間におきまして相当の取りきめをするとか、次第によりましては、さようなことも必要になってくるわけでございまして、決して今回の法案がこれで十分というものではございませんけれども、逆に申しますと、最小限度、これはいかなる場合におきましても、十二海里の専管水域を設けました場合におきましても、なおかつ港そのものがかような形で十分措置をとっておきませんと、沿岸の基地的な漁業におきます反復的な利用によるこちら側の漁業市場の混乱ということが予想されますので、専管水域を設ける設けないにかかわらず、本法案のような措置が必要だろうというふうに考えておるわけでございます。
  57. 中川一郎

    中川(一)委員 法律のねらいが、港を反復利用させることを押えることが主なんだ、三海里でも十二海里でも、その辺のところはあまり問題ないのではないかという印象の長官の答弁を承ったわけです。確かに、十二海里であっても、十二海里から外については規制の方法がないことは事実であります。その三海里と十二海里の間の九海里についても相当大きな問題がある。たとえば底びきの問題なんかも、これは大きな障害となってくるわけですから、できるならば十二海里にしておいてもらったほうがいいのではないか。先ほど、その問題については百鬼夜行で、それぞれの国によって違うというならば、日本も自分の国をよくするために、十二海里をとったらいいのではないか、なぜそれがとれないのかという点なんです。
  58. 久宗高

    久宗政府委員 日本専管水域を一般的に設けないというのではございませんで、私のほうでも、たとえば韓国との間には十二海里の専管水域を引いたわけでございます。これは、あくまで二国間の合意に基づきましてそういうものを引くことは、内容自体によってはちゅうちょするものではないのでございます。ただ、私どもといたしましては、最近のような国際情勢の中で、それぞれの国がかってに、おれのほうは十二海里だ、ここへ入ってきてはいかぬとか、そういう形のものを一方的に宣言されて、そうでございますかと言うわけにまいりませんので、それは認められない。したがって、二国間で話し合いがつけば、韓国との例のように、十二海里の専管水域をお互いに引き合うということは、十分あり得るわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたのも、十二海里問題についての考え方としては、その三海里と十二海里の間の九海里の中身がまるできまっておりませんで、それぞれかってなことをやっておりますので、そういう状況において、その中身を抜きにして十二海里一般を受け入れるわけにいかない。また具体的には、たとえば北方の安全操業の問題におきましても、たまたまこれがソ連の十二海里との関連で起こっておりますので、わがほうが十二海里というような問題をかりにのむ場合には、全く別の新しい角度の問題が出てきてしまうという問題もございますので、私どもとしては、きわめて慎重に処置をとりたいと考えたわけでございます。  なお、本法案におきましては、領海内におきます漁業を禁止しておりますので、地域によりましては、十二海里であったら非常に便利だということも起こり得ると思うのでございますけれども、やはりこの際には、日本列島全体の考え方と、さらに現在外に出ております関係を頭に置いて、それぞれの利害得失を考慮する必要があろうかと思うのでございます。御指摘のような、外へ出ておりますものは一部であって、沿岸の多数の漁民とのバランスはどうかという御意見もあり得ると思うわけでございますけれども沿岸だけ考えましても、十二海里の専管水域を引くことが利益であるかどうか、これはまだ相当問題が残ると思いますので、慎重な態度で臨みたいと考えておるわけでございます。
  59. 中川一郎

    中川(一)委員 私の言いたいのは、日本の場合は、沿岸については十二海里が専管水域だというふうにきめておいても、長官の言うように、三海里を主張してくる国もあるだろうと思うのです。また、外国に行って、三海里まで入れろ、公海ではないかと言って主張している国もある。そういう国については特殊な考慮を払ってやる。原則的には十二海里だということはできないのかどうか。ここでいう本邦水域とは十二海里であるというふうに言っておいたほうが、日本のためになるのではないかという気がするので、申し上げたのです。それは十二海里にはできないのですか。
  60. 久宗高

    久宗政府委員 沿岸水域で、日本周辺で具体的に問題になります国は、実はソ連とか韓国とかいう国があるわけでございますけれども、また、そういうところが、どういうような領海制度をとり、どういうような専管水域制度をとり、また寄港制限についてどのような措置をとっているかということを具体的に頭に置きますと、現在のような形をとっておることが、一応この段階では妥当じゃないかと判断しているわけでございます。  それから、向こう側に入ります場合に、日本がかりに十二海里を引きました場合に、あるいは今度のような寄港の制限をいたしました場合に、相手方が報復的に出るかどうかという問題でございますが、これは現在でもいろいろな国に話をつけて入っておるわけでございます。入れておるほうの国は、それぞれ何か利益があって入れておるわけでございまして、たまたま私どもがこういう制度をしきましても、先方日本の近海に来たり、日本の漁港に入る必要が全然ございません国が大部分でございますので、トラブルは起こらないというふうに考えておるわけでございます。  そこで、先生のおっしゃるように、そういうことであれば、一方的に十二海里にしておいて、個個に話をつけたらいいじゃないかというお話でございますが、十二海里にするということ自体が、国際法的にいま問題がある。つまり、一方的に日本が十二海里と宣言すれば、それが国際法的にはそれでいいのだというふうには私ども考えておらないわけでございまして、そういう立場の問題が一つと、それから、かりに十二海里というものを引きました場合におきましても、日本沿岸の海の構造から申しまして、もし専管水域を持つなら、もっと非常に広範囲な専管水域を持たなければ、おっしゃるような意味漁業の防衛にはなりかねるのではないだろうかというふうに考えますので、今回のような措置でまず港の関係だけを確立しておきたい。十二海里云々の問題は、日本周辺におきます外国漁船の今後の動向、また諸外国に出ております地域におきまして、これからどのような話し合いがついていくか、さらには国際的にその問題はどの程度の扱いになっていくか、このような三つの問題を頭に置きまして、弾力的に処置してまいりたいと考えておるわけでございます。  繰り返して申しますように、私どもは、三海里が何でもかんでもいいのだ、これでなければおかしいのだと言っておるのではないのでありまして、十二海里であってもかまわないわけでございますが、その十二海里がいいという場合には、その中におきます既存の漁業実績というものにつきまして、それをどう取り扱うのかという、合理的な、かつ科学的な国際慣行というものが確立しておれば、必ずしも私どもは三海里にこだわるものではないわけでございます。
  61. 中川一郎

    中川(一)委員 長官の言うように、今度の問題はソビエトと韓国でしょう。少なくとも韓国については、十二海里が専管水域だということで、あの日韓交渉ができ上がっているわけですね。その外に共同規制水域というのがある。あの方式をならっていったらいいのじゃないか。おそらく十二海里を引いたって韓国は文句は言えないと思う。韓国は十二海里を主張しているのですから、日本も十二海里だと言ったって、韓国はそれは国際法上おかしいとは言えないはずです。そのほかに、十二海里の外については、これは共同規制なり何なりのまた取りきめをすべきではないか。三海里にしてないからといっておこってくる国はどこかにあるだろうか。おそらくないのじゃなかろうか。日本の三海里のところに来て魚をとっているのは韓国とソビエトだけです。ソビエトも、この資源保護については非常に理解のある国ですから、おそらく、十二海里までは専管水域で、資源の保護をしてやるのだ、入ってきてくれるなと言っても、ソビエトは文句は言わないだろう。ソビエトも韓国も文句を言わないならば、世界じゅうのどこの国も文句を言ってくるところはないのではないか。だとすれば、この際、十二海里に引いておっても、何も国際的なトラブルは起きないだろう。それをなぜできないのか、私にはちょっとまだ先ほど来のお話では理解ができかねるということなんです。
  62. 久宗高

    久宗政府委員 繰り返しになりますが、かりに十二海里を引きましても、たとえば韓国との関係ソ連との関係を考えましても、十二海里の専管水域を引いただけで事足りるかと申しますと、いまの漁業の実態から見まして、もっと別の措置が必要になるのではないかと考えるわけでございます。ただ、最小限度必要なのは、寄港そのものはあくまで制限しておきたい。直接の水揚げはもちろんでございますし、転載等もはっきり規制できる体制にしておく必要があるわけでございまして、そのような基地としての漁業の反復的な利用は、ぜひこのような措置でないと押えられません。もっともカナダみたいに、領海に入ってくることそのものを押えてしまう、こういうようなドラスチックなところもありますけれども、これは私のほうの事情とはちょっと違います。私どもとしては、領海内の漁業そのものは禁止いたしておりますけれども、あとは港を利用する関係規制しておけば、漁業の反復的な利用によりますこちらの漁業秩序の撹乱は防げる、こう考えておるわけでございまして、先生のおっしゃいましたように、十二海里をやっておけば、当面沿岸のところだけを考えますと、それも一つ考え方かと思うわけでございますが、その場合でも、なおかつ寄港制限は要りますし、さらに十二海里より外へ出ましたところでむしろ問題が起こりやすいわけでございます。漁業種類から考えまして、そういう場合には、おそらく領海とか専管水域の問題じゃなくて、二国間における公海におきます漁業取りきめ、そういうものがやはり必要になるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  63. 中川一郎

    中川(一)委員 そうしますと、ようやくわかってきたのですが、この法律のねらいは、寄港を押えることが主なんだ、だから三海里でも十二海里でも問題が残るのだ、こういうわけですね。だとするならば、三海里にしろ、あるいは十二海里にしろ、海の上での問題は別途考慮したい、この法律では押えることができないから、何らかの問題が起こることははっきりしておるし、これはひとつ何とかしたいのだという意向がちらちらと見えるのですが、それでは具体的に韓国なりあるいはソビエトと、サンマ漁船なりサケマスなりあるいは底引きなりについて、話し合いをする用意をお持ちなんですか。
  64. 久宗高

    久宗政府委員 今回の措置で寄港について規制ができますと、たとえば三海里より外の公海におきましても、その漁業を基地的に利用できないという制約が加わりますので、実際の効果領海以外にまで及ぶわけでございます。ただ、それでは不十分だと申し上げておるわけでございます。  いま具体的な御質問で、それではこれ以外に、領海外における公海におきます漁業競合について、何らかの措置を考えているのかというお話でございますが、私どもは、たとえば日ソ関係におきましても、サンマその他イカも含めまして、いろいろ問題がだんだんむずかしくなりかけてきておるわけでございまして、こういうような問題につきましても、何らかの調整が必要ではないかというふうな段階にきたというふうに考えておるわけでございます。また、その他の国につきましても、必要があれば、つまり、寄港制限だけでは十分でなくて、かつ領海の幅員その他の関係から見て、どうしても調整がつかない、しかも実際には紛争があり、二国間で相当話し合いをする必要があるという場合におきましては、二国間で当然話し合いをしなければならぬわけでございまして、それがどういう形のものにまとまりますかは別といたしまして、二国間で話し合って処置をきめるべきものだと考えるわけでございます。
  65. 中川一郎

    中川(一)委員 二国間で話し合ってきめるべきものだと思います、そこまではわかる。そのべきに基づいて行動を起こす用意があるかどうか、具体的なものをお持ちかどうかということをお尋ね申し上げておるのです。
  66. 久宗高

    久宗政府委員 これは、いま具体的にすぐどういう条約を結ぼうとか、どういう交渉をしようとかいう段階での準備が熟しているとは申し上げておらないわけでございます。ただ、そういう必要が客観的に起こってくるなという予感をはっきり持っておるということでございます。したがいまして、具体的にすぐそのような二国間交渉をする段階まできたと申し上げているのではないので、誤解のないようにしていただきたいと思います。ただ、私どもは、そのような話し合いをする必要性がそろそろ起こってくるのではないか、またそういう準備は、私どものほうとしては、当然いろいろ試験研究も含めてしておく必要があるし、業界とも突っ込んだところまでお話し合いをしておく必要があるなというふうに考えておるわけでございます。
  67. 中川一郎

    中川(一)委員 時間がきましたので、以上をもって終わりますが、先ほど来熊谷委員お話にもありましたように、日本の水産界は非常な曲がりかどにきているのじゃなかろうかと思います。外国からの侵入、特に韓国やソビエト等が漁業に非常な力を入れておる。この中で日本の水産業者が競争していかなければいけない。おそらく今後相当大きな問題が起きてくるのではなかろうかと思います。したがって、中小漁業についての対策についても、もっと幅広いことをやっていただく。あるいは漁法ももっともっとスピードアップする。あるいは漁業構造改善も、アフターケア程度じゃなくて、思いきりやらなくてはいかぬのだ。あるいは外国規制についても、そういうことをやらなければいけないのではなかろうかと思います程度ではなくて、積極的なことをやっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  68. 本名武

    本名委員長 倉成正君。
  69. 倉成正

    ○倉成委員 時間もありませんので、数点について、ごく簡単に御質問申し上げたいと思います。  わが国の漁業の姿というのが、御承知のように、北は北海道から南は九州まで、また北洋に、あるいは南太平洋に、非常に千差万別でありますから、これを一律に論ずることはできないと思います。しかし、ここでただいま御提案になっています中小漁業振興法というのを拝見しますと、要するに、業種を指定して振興計画を立てさせる、そして税、金融について優遇措置を講ずるということでありまして、これ自体としては、決して反対する理由もないし、けっこうなことであると思うわけでありますが、私がこの際お尋ね申し上げたいのは、一体、この中小漁業振興特別措置法という発想が、日本漁業振興の中でどういう位置づけをするのかということをお伺いしたいのであります。もっと端的に申し上げますと、漁業に従事しておる若い人々が、自分の職業に自信と誇りを持ってやっていくということが大切なことでなかろうかと思うのでありますが、現実には若い基幹労働力はどんどん漁業から逃げていくという実態があることは御承知のとおりです。したがって、日本漁業全体について、十年先、二十年先の長期のビジョンを水産庁は一体持っておられるかどうかという点が第一点。  第二は、現在の基幹労働力とも言うべき若い労働力はどういう推移を示しておるか。特に地域的にもしおわかりであれば、お示しをいただきたいと思います。
  70. 久宗高

    久宗政府委員 確かに、御指摘ございましたように、いつも水産行政で長期のビジョンに欠けるではないかという御指摘がたびたびあるわけでございますので、私どもといたしましても、さようなものをぜひ描きたいと思うわけでございますが、たまたまこの時期におきましては、いわば過渡期中の過渡期とも考えられますので、非常に長期の、しかもやや具体的な形でビジョンを描くことは、私は困難なように思うわけでございます。ただ、そうかと申しまして、全くそのような見当がついていないかと申しますと、そうでないわけでございまして、国際的に申しましても、食糧問題その他から見まして、漁業の位置づけが、先進国におきましても後進国におきましても、非常にここ数年大きくクローズアップされてまいりまして、しかも、それが一つの具体的な動きになってきておるように思うわけでございます。専管水域の問題その他につきましても、トラブルが起こりますので困りますけれども、しかし、これはやはり別の意味から申しますと、漁業の位置づけがそれぞれの発展段階に応じて急速に評価され直してきたなというふうに思うわけでございます。日本におきましても同様でございまして、ここ数年の非常な経済成長の中で、たまたま第一次産業といたしまして、労働の面におきましてもその他の面におきましても、非常な思いもかけない波を食いまして、若干まごついてはおりますけれども可能性といたしましては、需要は非常に堅調に伸びております。もう少しテンポが段階的に進むものであれば、私どもとしてはむしろ非常に条件のいい問題と考えておるわけでございます。たまたまここ四、五年のギャップが非常に大きかったために、本来ならばプラスであるべき要素がマイナスに動きまして、行政もそのために少し見当がつけにくい形ではございますけれども、決して私どもとしては現在の状況が条件としてマイナスとは考えてないわけでございます。さような意味で申しました場合に、やはり沿岸資源も含めまして資源利用につきまして、研究分野におきましても、遅々としてではございますけれども、増養殖部面で相当可能性が出てきておるわけでございますので、そのようなものをいかに組織化していくかという問題が一つ。また、遠洋におきましても——こちらからいえば遠洋でございますが、先方からいえば沿岸、といったようなものより、もっと中核なりもう少し深い部分につきましての漁場開発、あるいは漁業技術の開発ということの可能性も残されている問題と思うわけでございます。一番むずかしいのは、むしろ中間の中小企業ないしは中小漁業の問題でございまして、これがこのような一番過渡期におきまして、さらに大きな可能性との結びつきにおきまして、資本の欠除でございますとか、現在経営の持っております負担ということで、むしろ一番困難な問題ではないかと考えますので、私どもといたしましては、この段階では、やはり経営の問題としては中小漁業のところをまずてこ入れしておきたい。それから沿岸の問題につきましては、労働条件がもう一段と変わってまいりますものを契機といたしまして漁場の狭隘な利用関係がもう少し合理的な利用可能性が出てくるときに、それとの関連において一つめどをつけたらどうだろうか。遠洋におきましては、先ほど申しましたような新しい漁場開発についてはまだまだ相当可能性あり、こういう考え方で進めたいと思っておるわけでございます。  なお、就業人口につきまして、青壮年の動きについての御質問があったわけでございますが、地域的な分析はいま私手元に持っておりませんけれども男子の労働力の年度別の動きで申しますと、二十八年段階数字一つございます。   〔委員長退席、森田委員長代理着席〕 これは十五歳から十九歳が一一・四%、それから二十歳から二十九歳が二七・九%でございます。それに対しまして、三十八年が十五歳から十九歳が五・二、二十歳から二十九歳が二〇・六という数字になっております。それから四十一年は若干パーセントはふえまして、十五歳から十九歳が五・九、それから二十歳から二十九歳が一六・六というふうなことになっております。これらの傾向から、私どもといたしましては、景気の変動がおくれて四十年、四十一年段階へきておりますので、長期的な傾向として見るべきかどうか、若干の問題がございますけれども傾向的には、やはり青壮年のところが相当減りまして、これがやはり漁業の労働構成相当大きな影響を持っておりますし、特に今後漁業をどうしてまいるかにつきまして、そのような一番力の強い優秀な労働力をどうしてこの企業の中に残すかということが、漁業政策上の一つの大きなポイントであろうと考えておるわけでございます。
  71. 倉成正

    ○倉成委員 就業人口の問題については、もう少しきめこまかく御検討いただいた上でお答えいただきたいと思うのですが、要するに、若い人たちが漁業に魅力を持つということは、現在の生活もさることながら、将来に明るい希望が持ち得るかどうかということが一番のポイントではなかろうかと思うわけであります。ただいまるる沿岸漁業あるいは中小漁業遠洋漁業についてのお話がございましたけれども、やはり水産庁としては、もう少し意欲的に、それは十年先二十年先を確実に予測するということはできないかもしれませんが、将来のビジョンをもう少し意欲的に打ち出すということが必要ではなかろうか。さればこそ、水産庁という役所を農林省の中で外局として独立させておる意義があると思うのでありまして、私は、そういう点でもう少しビジョンづくりについて積極的に取り組んでいただきたいということを特に御要望を申し上げておきたいと思うのであります。  そこで長期のビジョンを考えていくときに、この法律関連して、一体沿岸漁業を中小漁業のようにだんだん大きくしていくのかどうか。たとえば数年前の合いことばとしては、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へということばがございましたし、また、小さな無動力船を動力にしていくというのが一つの大きな流れであります。そういった意味から考えてまいりまして、この中小漁業というのは、たん白資源の確保という意味、また、労働力の職場としてどのように評価するかということを実はお伺いしたいわけです。この点は簡単な御感想だけでいいからお聞かせをいただきたい。  さらに、時間もありませんからついでに申し上げておきますが、やはり長期のビジョンを考える場合に、技術革新ということについて、もう少し水産庁は自信を持っていいのではないか。特に深海養殖についてはかなりの技術革新が行なわれておりますが、今後の考え方としては、深海養殖あるいは海底牧場、こういう問題が、少なくとも十年あるいは二十年後の漁業を考える場合に、大きなウエートを占めてくる。ちょうどエネルギー資源において石炭から石油へという段階で、いま原子力が将来の課題として残されておるわけですけれども、この原子力の時代がいつやってくるかというのと同じように、やはり海を耕すというようなものが、かなり大きなウエートに将来はなってくるのではないかと私は考えておるわけでありますけれども、水産庁において、こういう問題についてどの程度取り組んでおられるかということをお伺いしたいのであります。
  72. 久宗高

    久宗政府委員 沿岸漁業ないしは中小の位置づけの問題でありますが、沿岸漁業につきましては、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという一つのスローガンの中で、ある意味では忘れられたと申しますか、沿岸はむずかしいのだといったような感じがばく然と与えられておったのではないかというふうに逆に思うわけでございますが、実態から見ますと、必ずしも沿岸漁業について一般にいわれておりますような悲観的な様相だけではないように思うわけでございます。御指摘のございました各種の技術の問題につきましても、最近におきましては相当いいものが出てきておりまして、ただ、ここ四、五年のあのような経済動きの中で非常な急速な波をこうむりましたために、また公害その他の問題もありまして、計数の上では横ばいになっておりますけれども、あらためて沿岸資源の本格的な利用を考えます場合に、特に養殖業その他の可能性を考えました場合には、私は、沿岸漁業はまだまだ相当可能性を持っていると思っておるわけでございます。それをどういうふうに組織的に掘り起こすかということが行政の一つのポイントであろうかと思います。むしろ、若干問題だと思いますのは、中小漁業の範疇でございまして、これは現在の段階では、漁業種類別に見ましても、漁場の分割から申し上げましても、相当詰んだ形になっておりまして、経営としてはまた非常に弱い面を持っておりますので、ここには相当手厚い個別的な企業に対する援助が要るのではないか。しかし、それを与えました場合には、ここが先ほども申しましたように五割もの、つまり半分ものウエートを持ち、相当の潜在力を持っていますので、そのような意味で、今回の中小漁業の特別法のような形で個々の裏打ちをしていくのが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、御指摘のございました養殖業におきます深海ということばが適当かどうか、若干問題があるかと思うのでございますが、おそらく御指摘のお話は、いま扱っておりますものはせいぜい水深二十メートル程度のものではないか、もう少し深いところ、そこで積極的な漁田の開発といったようなことを技術革新との関連で本格的に考えてみてはどうかという御質問と思うのでございますが、私どもも、この分野におきましては相当可能性があるし、また、現在までのところ、十分そこの方面の研究が進んでおりませんので、いわば未開拓の分野といたしまして、思い切った措置が必要ではないかと考えるわけでございます。はなはだ初歩的ではございますけれども、昨年来半ば企業的な規模におきます試験研究といたしまして、数個の県でいま御指摘のような、いわゆる二十メートル以深の相当深いところの調査に手をつけておるわけでございますが、まだまだ十分ではございませんけれども、これは非常にいろいろな可能性を秘めておりますので、御指摘のように、もう少し取り組むといたしますれば本格的な取り組みが必要ではなかろうか。さような意味で、科学技術庁方面ともよく御相談しながら、この方面の分野におきましては、試験研究の関係者を動員いたしまして、その可能性をできるだけ早く行政の分野に持ち込めるような措置でまいりたいと考えておるわけでございます。
  73. 倉成正

    ○倉成委員 長官のそういう意欲については敬意を払いますけれども、現実には予算を一体どのくらいとっているかはここで聞きませんけれども長官の頭の中にありますようにほとんどやっていないと、極端に言えば言っていいくらいのものではなかろうか。少なくとも水産庁としては、やろうと思っても、実際はほとんど大したことはない。おそらく、私は、もし意欲的に取り組むなら、宇宙開発に取り組むくらいの意欲を持ってこの問題に取り組む価値があるんじゃなかろうかと思うわけです。そういうことと関連して、沿岸漁業についても、御案内のように、たん白質資源を確保するという意味において、漁獲量その他においては確かにずっと近年相当量ウエートを占めてきておりますし、そのウエートはあまり減っていないということは御指摘のとおりです。しかし、問題は、この沿岸漁業に属している、従事している諸君が、一体どういう生活状態であり、また将来にどういう希望をつないでおるかという問題でありまして、現在の構造改善事業をもって足れりとすることは絶対にないと思うわけでありまして、もう少し私は、千差万別の日本各地沿岸漁業の実態を水産庁としては把握していただきたいということを特に御要望申し上げておきたいと思います。  以上の点と関連して、私は、先ほどちょっと長官、漁港部長のお話にも触れられました、漁港八カ年計画の問題について御所見を伺いたいと思うのですが、現在漁港八カ年整備計画をやっている。進捗度がおくれているというお話ですが、私は、その問題以前に、やはり現在の漁港整備というのは、ほとんど陳情行政によってつくられた細工のような気がするわけです。もちろん、漁場が庭先であり、自分の庭先の設備をよくするということは、現在の沿岸漁業の実態から、私も必要なことと思います。しかし、これから先将来のビジョンを描いて漁港整備を考えるとするならば、現在の八カ年計画を促進するということでなくして、やはりもっと違った角度から漁港整備ということを考えておかなければならないのじゃなかろうか。その際の方法論として考えられることは、全国一律に何でもやろうとするから、何もできないということになるわけでありますから、やはりやれるところからひとつ思い切った特色を出した漁港整備をやっていくというようなことをそろそろ考えていいのではなかろうかと思うわけでありまして、陳情があったから全国各地にそれぞれ非常に息の長い漁港整備をやっていくということは、私は、やらないよりはましかもしれませんけれども、どうも能のない話じゃないかと思うのですが、この点について長官の率直な御意見を伺いたいと思います。
  74. 久宗高

    久宗政府委員 全く同感でございまして、ああいう原始産業でございますので、今日までの漁港関係から申し上げますと、漁港の施設もさることながら、そこにおきます漁民生活の問題がございますために、どうしても焦点がしぼりにくいというような問題もございまして、やや総花式になって、かつ、時間がかかるという問題がつきまとわざるを得なかったように思うわけでございますが、御指摘のように、現在の計画の中でも、考え方としては、中核的な漁港に重点を置いていこうという考え方を持っておりますものの、なかなかそこにしぼり切れないうらみがございます。しかし、過去数カ年におきます大きな経済成長によりまして、漁業の実態はもちろん変わりましたけれども、背後地におきます交通なり市場の関係というものは相当大きく変わってきておりますので、おそらくこの次の段階で大きな計画を立てます場合には、さような意味で、いままでの意味の漁港よりはもう少し幅の広い——背後地との関係におきます問題におきましても、また漁業との関連におきます関係におきましても、もう少し幅の広い取り上げ方が必要ではないだろうか。また、そういう場合には、当然のことながら、ある中核的なところに集中してくるであろう。また、それがそこまで行きましても、交通その他の関連から、必ずしも漁業に大きな支障がなくて、相当中核的なことにしぼれるような段階になるのではないだろうか、こう思うわけでございますが、これをもう少しいまからでも試験的にさような試みがなされないかという御提案かと思うわけでございまして、内々に内輪では検討しておりますが、まだ必ずしも打ち出せないでおるわけでありますけれども、確かに将来の漁港のビジョンと関連いたしますと、さような取り組みが必要かと考えますので、検討さしていただきたいと思っております。   〔森田委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 倉成正

    ○倉成委員 長官のただいまの検討を信頼したいと思いますが、私は、どうも水産庁の仕事というのは、受け身、受け身といっているという感じがしてしょうがないわけです。やはりもっと積極的に前向き——前向きというのか、もっと積極的に攻め込んでいくというくらいの意欲を持つ必要がある。せっかく久宗さんが水産庁長官でやっているわけですから、国会答弁でどうということじゃなくて、もっと意欲的に、そうしていま長官がいつかわられるか知りませんけれども、あとの根をしっかり残していただきたいと思うのです。  そこで、最後に、時間もありませんから、ひとつ外国人漁業の問題と関連して、日韓漁業関係についてお伺いしたいと思うのです。それは、御案内のように、日韓漁業協定ができたことは非常にけっこうなことでありますけれども、おそらく、率直に言わしていただければ、日本の水産業、沿岸漁業という見地からだけ見るならば、私は、非常にマイナスの点が多くて、何も利益がないと思うのです。したがって、韓国漁業がだんだん成長してくるということになってまいりますと、いろいろな問題点が、日本沿岸漁業、あるいは他の漁業との競合の問題、あるいは漁獲物の価格の問題等出てくると思いますが、こういう点をなしくずしに——出てきた場合に、ノリの輸入規制する、何だかんだということではなくして、少なくとも十年後には一体どういう形になることが望ましいか。もちろん、韓国でも多くの人たちが生活しておられるし、こういう人たちが平和な、そして豊かな生活をすることが、やはり日本としても望ましいことでありますから、そういう将来の姿を描きつつ、日本漁業とどう調整をとっていくか、またそういう姿ができたら、それを積極的に日本の漁民に説得をしていくというような努力がなくて、ただ問題が起こったから騒いでいくということでは、水産行政としては私はいささかさびしい感じがするわけですが、この点についてはどうお考えになっているか、お伺いをしておきたいと思います。
  76. 久宗高

    久宗政府委員 日韓関係につきましては、非常に長い期間あれだけもみにもんできまったわけでございますので、いろいろな経緯がございまして、私が受け持ちましてから一連の問題を処理いたします場合に、どうもまだしっくり話がいかない部面が相当あるわけでございます。特にやはり発展途上の国でございますので、こちらの考えておりますテンポと先方でお考えになっておるテンポの食い違いが非常にございまして、私ども漁業問題についてお話しいたしましても、よくわかるのですがということで、非常に無理な御注文をしてこられることが多いわけでございます。私どもといたしましては、やはり私どもの経験から申しましても、ステップはちゃんと踏んでいかれませんと非常に問題があると考えますので、特にまた非常に短兵急にお話が出てまいりました場合に、私どもの受け入れと申しますか、日本の漁民感情から見ましても、非常に受け入れがたいお話どもございますので、その辺は先方水産庁長官あるいは高官にお会いいたしました場合は、繰り返し繰り返し申し上げているところでございます。私どもといたしましては、やはり基本的にそう大きな食い違いはないと考えておりますけれども、どうもよほどテンポを調節いたしませんと、若干の漁業処理、ある地域については問題が起こる懸念がございますので、その辺のところはよく御相談をしながら、援助の問題にいたしましても、あるいは委員会の運営にいたしましても、こちら側の事情をよく申し述べまして、調節をしてまいりたいと考えておるわけでございます。ただ、根本的にどうしても相いれないといったようなむずかしい問題は、いまのところ必ずしもないと私は考えておりますので、お話し合いによりまして御相談ができるという態度で臨みたいと考えております。
  77. 倉成正

    ○倉成委員 時間もありませんから——いまの長官の認識は少し甘いと思うのです。少なくとも対馬その他の漁民感情としては、非常な不安を持っておるのが実態です。ですから、この点はしっかり腹に置いて水産行政を進めていただく必要がある。決して、話し合いをしたら何とかうまくいくだろう、現在何とかいっているからというようなものではない。やはりもう少し先になったらどういうことになるだろうという、非常な不安を持っておることは事実であります。私ははだで感じておりますから、この点はひとつ長官の認識を改めていただきたいと思います。  以上、数点について基本的な問題をお伺いいたしましたけれども、ひとつ十分将来の宿題として、少し勇気を持ってがんばっていただきたいと思います。終わります。      ————◇—————
  78. 本名武

    本名委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。大野市郎君。
  79. 大野市郎

    ○大野(市)委員 もう本会議の時間も迫りまして、時間がありませんので、要点を申し上げたいと思います。  御承知のように、すでに農家におきましては、苗しろはすっかり生育いたしまして、山手のおそい地帯で田植えがこれからという地帯が残る程度で、日本全国ほとんど田植えが終了をしておるという段階でございます。この段階でありますから、生産者の諸君は、米価の成り行きという問題に対して非常な関心を持つのは当然であろうと思います。また、やがて出来秋にこれは飯米として消費する立場からいたしまして、消費者のいろいろな米価の見通しに対しても、議論がすでに出ております。なお、国民経済的な見地からいいましても、食管制度自体に対してのさまざまな立場から、さまざまな意見が対立をしておるのが現状でございます。こういう段階でありますので、この農林水産委員会におきまして、最も真剣に米価の問題に取り組むのは当然のことであろうと思います。そういう意味合いからいたしまして、大臣の御出席を得て質疑をいたしたいのでありますが、参議院の予算の関係と承りましたので、次官御出席でありますので、質疑を続行いたしたいと思います。  しかし、政策を決定する重要な問題がたくさんございますので、委員長におかれましても、また大臣御出席のときに再質問の機会を与えていただきたいと思います。
  80. 本名武

    本名委員長 承知いたしました。
  81. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そこで、まず国会議員の一人といたしまして、私理解をいたしておりますることは、御承知のように、米価の決定は、食管法によりまして農林大臣がこれを決定するという行政措置法律で規定をされておることであります。これに対して米価審議会が、同じくその法律に基づいて農林大臣の諮問機関として、学識経験者を網羅し、生産者、消費者団体をそれぞれピックアップして、米価に関する根幹についての諮問が行なわれておるのが、引き続いてまいった形でございます。その中に学識経験者の種類として、国会議員が慣例として、いままで引き続いて米価審議会に本院からも送り込まれておったのでございますが、臨時行政調査会の答申などが内閣に届きました結果、行政府においてはその趣旨を尊重するという意味で、また行政官庁の諮問機関の中に立法府の国会議員が参加するということは、慣例はとにかくも、筋論としては、三権分立のたてまえからも土俵が違うのではなかろうかという議論がございますが、私は、筋論としてそれは正しい理屈であろうと思います。ただし、問題は、国会の場におきまして土俵があるといいながら、さまざまな時間的なゆとりがなかったとかいうような条件が重なって、国会で論議の時間が少な過ぎたという過去の例を耳にするのでございますが、これは非常に重要な内容の問題でありますだけに、この筋を通すからには、当委員会におきまして、十二分に国民的立場におきまして、消費者、生産者、すべての立場を網羅した議論が行なわるべきものと思いますが、委員長におかれましても、その趣旨で当委員会で十二分の時間を用意をしていただくように、本員も要請をいたしておきたいと思います。このような考えで、私は当委員会において十二分の時間をちょうだいして、これらの米価に関する問題点を、それぞれ行政官の長といたしましての決定権者である農林大臣に対して、詳細な国民の納得のいく、生産者の納得のいく、そういうものを突き詰めていかなければならぬと思いますので、この考え方に立って、私はこれからの質疑をいたすわけでございます。次官からも大臣にその趣旨のことはぜひお伝えをいただいて、円満に運営をしていただきたい。  そこで、私は、きょうは時間がございませんので、問題提起をして、資料の提出もお願いをしたいと思いますが、何よりも問題でありますのが、たとえば昨年の米価で、われわれがこれを外からながめておりましたときの感触、せっかく農林省、政府相当な資金を拠出して米価の決定をしたということを内外に宣言される、しかし、その結果、与党内ももとより、野党の国会の諸君も鼓を鳴らして攻めかかる、与党の諸君も鼓を鳴らして攻めかかるというようなことで、生産者団体はなおさらいきり立って、結局つかみ金五十億円というような世論に表現されて、積み上げられた米価の上に五十億円というものを生産者に差し上げることになったと、当時すべての報道がされております。この点、まことに、ものの運び、順序といたしまして、信念を持って行政庁の長官、農林大臣が米価決定の権限を行使なさるならば、それだけの責任を持って、その信念で米価を決定なさるべきであって、その責任は一に農林大臣にかかっておるはずであります。この行政責任というものをまず明らかにせねばならぬ。私は、政治の姿勢からいたして当然であろうと思いますが、昨年のあとで乗せられました五十億円が、現実の段階におきましてどのような配分でこれが所期の目的を達成するために使われておるか、実情につきまして、これは数字の問題がございましょうから、食糧庁長官に承りたい。
  82. 大口駿一

    ○大口政府委員 昨年の生産者米価が最終的に決定いたします段階で、稲作増産奨励の趣旨を兼ねまして、五十億円の金が一般会計の予備費から支出をされた経過につきましては、ただいま御指摘のとおりでございます。この趣旨は、稲作の生産の向上を期待するという趣旨で支出をされ、四十一会計年度中に各県に配分をされて、その詳細につきましては、ここで所管の問題を申し上げて恐縮でございますが、農林省では農政局が直接担当しておりまするので、県別の配分等の数字その他はただいま資料を持ち合わせておりませんが、聞き及んでおりまするところでは、各県に配分がすでに終わっておりますが、各県ごとにそれをどのような用途に充当するかというところまでまだ進んでおらないところが非常に多い。現在各県段階で農業団体その他で積み立てられて、今後最も有効な使途に使われるべく、現在検討がなされておるというふうに聞き及んでおります。
  83. 大野市郎

    ○大野(市)委員 すでに新しい米価決定の時期が近づいておる今日の段階であります。担当農政局長おられないので、それ以上の詳細の事柄はきょうは望みませんが、しかし、やはり論議をするときに、これらの行くえというものが、今年もやはり大きなファクターに考えられますので、農政にどのように有効に使われてあるか、これはやはり資料でひとつ次官から御明示をいただきたいと思いますが、委員長のほうでもお取り計らいを願います。
  84. 本名武

    本名委員長 よろしゅうございます。
  85. 大野市郎

    ○大野(市)委員 続いて、同じく資料要求につながることでございますが、御承知のように、お互い専門家はよくわかっておられると思いますが、国民は、米価の騒ぎの起こるたびにデモがあった、何があったというふうな現象的な小ぜり合いを、まあ興味本位に見まして、また例年の騒ぎが始まったかというようなことで、問題の核心についてなかなか知識を吸収するチャンスを失っておるのであります。特に私も米審に長らく派遣をされておった経験からいたしましても、米審は、御承知のように、偶発的でありましたが、ある暴力事件が傍聴人の間に審査員に対して行なわれまして、これが契機で非公開という原則が守られて、今日においては当日の審議の結果だけを米審の会長がごく短いことばにこれを要約して報道陣に発表をする、報道陣はそれを唯一の根拠として、あとは廊下とんびをして材料の収集をして、紙面に色どり、飾りをつけておるというのが、当時の私の経験した実相でございました。こういう形の米審の運営に対して、公開がいいか非公開がいいかという問題に対しては議論があるのですけれども、不幸ながら、偶発的な暴行事件というものでシャットアウトが決定された経緯がありますので、私は、この席で公開、非公開の是非論でなくて、現実の問題として非公開になっておる米審における発言内容というものが、国民に対してどのように反映できるかということには疑問を持っておるのであります。そのようなわけで、なおさらのこと抽象的な諮問の内容に、よいと思うというのとよくないと思うというのと、二つの意見があったというような、まことにどうも東洋人でなければわからない、そういう思考の形式が答申に載るというような実態を見るにつけまして、疑問を持っておった一人でございます。まあ、米審の運営については、別な諮問機関でございまするから、私が自分の私見を述べるだけでございますが、そのような形であるだけに、あらわれた具体的なものとしては、御承知のいわゆる積み上げ計算方式か、指数化方式か、混合所得方式かという三つの方式が、諮問小委員会において、四十年の五月の答申にあるそうでございますが、これをひとつ、要約したものでけっこうですが、答申をされたこの三つの方式について、資料として委員長から提出方お取り計らいをいただきたいと思います。  それから第二点は、毎年そうでございまするが、昨年もそうでございます。今年もそのように考えねばならぬ。それは何としてもほんとうに血の出るような叫びで要求をしてくるのは生産農家の代表であります。これは私は理由があると思う。生産農家の代表の諸君のこうしてもらいたいという意見が毎年出ます。そして農林省側は、事務当局においてかように考えるという計数の整理が行なわれるのでございますが、われわれ国会議員としまして、その間に立って両方の意見を聞きただそうといたしましても、どろなわ式で短時日しか余裕のないようなときに、両者の意見をわれわれが個々に飛び回って、そちらの意見はどうだ、あなたの意見はどうだと聞いて歩いたのでは、象の足をなでて全体を誤り伝えるようなおそれなしとしないわけでありますから、こういう意味合いにおいても、いわゆる生産者団体の具体的な要求事項、それから農林省の行政当局の具体的な決定をされんとするものの考え方、こういうものがこれからの論議で当然出てくると思いますが、これをいたずらに、何か悪いことでもしているかのようにひた隠しに隠しておいて、時間切れ一ばいで提出するのが政治だなどと農林大臣がお考えであるとすると、大間違いだと私は思います。そういう意味合いで、ガラス張りの中で行政決定権者は堂々と自己の所信を貫かるべきだと思いますので、この点、ガラス張りで、農林省当局の考え方も当委員会で出されるであろうことを期待いたしておりますが、これは特に次官から大臣にひとつ十二分に御進言をいただきたいと思います。  ただ問題は、五月に諸物価の指数などがきまる。それを取り入れるというふうな純技術的な計算の基礎をとる期間がございますので、事務当局にその指数が手元に入らないうちに、数字はどうだ、どうだと言われてもできないであろうことは、われわれ良識人としてわかります。そういう無理は言いません。そういう無理は言いませんが、そういうような心がまえでひとつ進んでいただきたい。  そこで、出せるのがある。資料として提出をしていただきたいのは、昨年農林大臣が決定された米価の決定様式に基づく諸要素、それと、昨年生産者団体の要求をしてきた米価の算定の諸要素、この比較は、昨年のことですから、手持ちがないことはないはずであります。こういうことでこういうふうにきめたんだが、こういう意見が違っておったのだということを対照表の形で、これを資料として提出をいただけたならば、今後の論議を具体的に煮詰めますのに、象の足をなで、鼻をなでて形が変わったというあやまちをおかさなくて済むと思いますので、そういう意味で、昨年の実例を比較して、こういうふうに主張が違ったが、この主張をとりましたという形のものを資料として提出をいただきたいと思います。これはできますか。どうですか。
  86. 大口駿一

    ○大口政府委員 資料を提出することは私どもやぶさかではございませんが、ただ、ここで申し上げておきたいことは、昨年まで農業団体が要求米価を算定いたしまする方式、内容、これはもちろん私どもも手元に持っておりまするから、これを提出することはできます。それから、最終的に政府の決定米価がきまりましたその内容につきましても、これはもちろんすでに公式に明らかになっております関係でございますから、これは資料の内容として記述できることはもちろんでございますが、ただ、ただいま先生がおっしゃいました昨年の農業団体の要求米価の中身の各項目と、政府が最終的にきめました米価の内容の各項目とを比較対照の形で出せないかという仰せでございまするが、御案内のように、昨年の政府の最終決定米価は、指数化方式によって算定をいたしました価格を、稲作の生産性向上を期待をして三百九十円加算をして、これを補正をするという形できまっておりまする関係上、その昨年の決定米価たる一万七千八百七十七円の、いまの三百九十円を加算いたします前の数字は、指数化方式で三十九年産米の米価を基準として指数ではじいて算出をされておりまする関係上、その内容個々に、たとえば労賃が幾らである、地代が幾らであるというふうな分解ができないかっこうになっておりまするので、厳密な意味で農業団体の要求米価の各項目と政府の決定米価の各項目とを同じラインで並べて比較対照して、その差幾らであるということを比較することは、ちょっと技術的に困難な点があろうかと思いまするが、なお資料の作成の過程でできるだけ御要望のことが明らかになるように、また御指示を仰いだ上で、できるだけ御要望に沿う資料の作成に努力いたしたいと思っております。
  87. 大野市郎

    ○大野(市)委員 もう一点、やはり資料でありますが、ただいまお話のとおりの三十九年産米が基準にされておるので、三十九年産米のその基準になったときのデータ、これは政府だけでけっこうです。これをやはり用意をしていただきたいと思います。
  88. 大口駿一

    ○大口政府委員 用意いたします。
  89. 大野市郎

    ○大野(市)委員 それらのデータを拝見いたしまして、今後の審議の資料に私はさせてもらいたいと思っておりますが、各論につきましてはいずれ機会を与えていただきまして、いろいろな観点からひとつ審議を進めていただきますように、私、時間がないので、そのことを特に要請して、質問を終わります。
  90. 本名武

    本名委員長 次会は、来たる三十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十八分散会