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1967-05-16 第55回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十六日(火曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 本名  武君    理事 仮谷 忠男君 理事 高見 三郎君    理事 長谷川四郎君 理事 森田重次郎君    理事 石田 宥全君 理事 東海林 稔君       安倍晋太郎君    小沢佐重喜君       小澤 太郎君    大野 市郎君       鹿野 彦吉君    金子 岩三君       熊谷 義雄君    小坂善太郎君       小山 長規君    坂田 英一君       坂村 吉正君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       湊  徹郎君    粟山  秀君       伊賀 定盛君    金丸 徳重君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       島口重次郎君    芳賀  貢君       美濃 政市君    森  義視君       神田 大作君    中村 時雄君       斎藤  実君    中野  明君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君  出席政府委員         農林政務次官  草野一郎平君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農政局長 森本  修君         農林省農地局長 和田 正明君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         農林省蚕糸局長 石田  朗君         農林省園芸局長 八塚 陽介君         食糧庁長官   大口 駿一君         水産庁長官   久宗  高君  委員外出席者        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 五月十六日  委員赤路友藏君及び栗林三郎君辞任につき、そ  の補欠として芳賀貢君及び金丸徳重君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 五月十六日  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を  改正する法律案内閣提出第一二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業共済基金法の一部を改正する法律案内閣  提出第二八号)  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 本名武

    本名委員長 これより会議を開きます。  農業共済基金法の一部を改正する法律案を議題 といたします。  本案に対する質疑はすでに終局いたしておりま す。  これより本案討論に付するのでありますが、 別に討論申し出もありませんので、直ちに採決 いたします。  本案原案のとおり可決するに賛成諸君の起 立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 本名武

    本名委員長 起立総員。よって、本案原案の とおり可決いたしました。(拍手)  なお、ただいま議決いたしました本案に対する 委員会報告書作成等につきましては、委員長に 御一任願いたいと存じますが、御異議ございませ んか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 本名武

    本名委員長 御異議なしと認め、さよう決しま した。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  5. 本名武

    本名委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。大野市郎君。
  6. 大野市郎

    大野(市)委員 農林大臣に若干の質疑をいたしたいと思います。  それに先立ちまして、農林委員会は定刻から実は全員参集して農林大臣のおいでを待っていたような状況であります。公務で御多忙のことは重々わかりますが、わが農林水産委員会担当委員会でありまするので、この点ぜひとも確実に委員会のお約束は守っていただきますように、私与党の一人といたしましても、ぜひ大臣の御勘案を深く願う次第であります。  大臣は、去る日、新聞の記者に語られまして、国民全体の納得のいく農政をやるんだというお話でございますが、まことにそのとおりであればけっこうでありますが、その具体的な内容はたくさんあると思いますが、国民全体の納得のいく方向というものは、一番簡単なことばで表明せられるならばどれでありましょうか。それから、その内容によりまして納得のいく農政と言われるが、それをどういう方法国民全体に納得をしていただくような方法をとらるるか、PR方法でもけっこうでありますが、そういう心がまえを一緒にお聞かせ願いたいと思います。
  7. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 委員会の開会に問に合いませんで、まことに恐縮でございました。けさほどは九時から閣議をいたしましたが、ちょうどジュネーブのケネディラウンド最終段階でございまして、それに対するわれわれのほうの腹がまえ等もいろいろ意見がまちまちでありまして、そういうことでだいぶおくれました。  もう一つは明日に控えておりますいわゆる公労協関係スト宣言について、いままでのようなあり方でなくて、やはりせっかく調停委員会というものがあるのだから、調停委員会を活用して、なるべく職員諸君のストライキなどを回避するような配慮をすべきではないかということで、三公社五現業の関係閣僚の打ち合わせをいたしておったので、たいへん気はせいておりましたが、そういうことでございますので御了承願いたいと思います。  それから、私は、農林政策全般につきまして通覧いたしまして、御承知のように、終戦後農林省といたしましては、まず、あの当時何よりも国民の空腹に対して食糧を供給するということに全力をあげて京いりました。そのために、農林施策としては、まず生産を上げることだということで、非常な努力をいたしてまいったのであります。そのうちに、昭和三十年ごろ、史上まれに見る豊作というようなことで、ややおなかの中については安心感を持つようになってまいりました。  それを契機といたしまして、わが国ではやはり急速な経済成長伸びが出てまいりました。そういう成長伸びに比べて、低生産性部門であるといわれておる農業中小企業等は、ややこれに間に合わない状況になってまいりましたことは御承知の通り。  もう一つは、そういう日本経済情勢変化に伴って、物価等の問題が非常に大きく取り上げられるようになり、これは当然なことでありますが、そこで、私どもやはり生産性を上げて、そして食糧その他の農作物の増産に努力することはもちろん継続しなければならないが、農林政策の中では、やはり農業生産を拡大すると同時に、従業者の生活安定ということに力を入れなくちゃならぬ。それと並行して、やはり消費者対象にしての施策をもう少し充実すべきではないか、こういうようなことを考えておるわけであります。ともしますと、物価問題等のいろいろな会合に出てみますと、農林省生産にだけ力を入れておって、消費者対象とする施策に欠けておるような言辞をなす者もおりますけれども、私どもは、農林省がやっておりますことはそうではないと思います。やはり流通機構の整備について非常にいろいろ力を入れ、来年度予算等でも新規の計画を出しまして、予算で御審議を願っておることも御承知のとおりであります。したがって、心理影響もございますから、たとえばラジオ、テレビジョンその他を用いまして、一般家庭消費者に向かって、農産物の現在の状況はどうなっているかというようなことを周知徹底せしめることも考えて、現に実行いたしておりますが、さらに四十二年度予算では、御承知のように、地方統計事務所に出てまいりました各地の農産物相場等は中央に集中されておりますけれども、それをまた地方に送り返して、そして地方生産者地方消費者の便宜に供するというようなことに一段の努力をするように予算を要求いたしておったわけでありますが、そういう面にさらに力を入れまして、政府農林施策が全体の国民理解を持ってもらうということが必要である。そういう意味で、私は、農林政策の中で、生産流通PRと、そういうものを三つあわせ行なうことによって、一般国民消費者大衆にも理解してもらうような施策を講じていくべきではないか、こういうことを考えて申しておるわけであります。
  8. 大野市郎

    大野(市)委員 根本の姿勢を伺ったわけでありますが、ただいまのお話の中にも、農林省仕事がいわゆる消費者行政まで手を伸ばすものだという御見解をはっきりしていただいて、それなりにこれはやはり一般国民PRの材料なんであります。われわれお互いは知っておるのでありますけれども一般国民は知らないことがほとんどなんです。ですから、わかりきっておるじゃないかということが、実は必要な問題がございますので、自分知識あるいは経験の中だけで御判断なさらないで、ぐっと知らないものという立場でもいいと思います。そういう形で、実はこうなっておるんだよというようなことをあらゆる機会にやはり大臣から御説明していただくのが、血の通った、全国民納得のいく農政PRだと思いますので、そういうことをまず劈頭御注文申し上げたわけであります。ただ、お話の中には全部が包含されたようでありますが、国民全体の中での消費者立場から、ほかに実業界と言いましょうか、財界と言いましょうか、そのほうの筋から、安いものが外国にあるならそれは買ってくればいいという、国際分業についての根強い合理主義が流れております。これは一般大衆と言いましょうか、家庭を守る消費者には案外わかっておらぬのですけれども、根強い力で、この食糧自給度の問題とか、いわゆる輸入食糧をどうするかということ、あるいは保護農政というが、合理化の時代にそれらもだんだんと洗い出しをしなければならぬじゃないかという声があがっておるのを聞いておるわけであります。これは保護農政あるいは食糧自給率二つの問題を並べましてもつながることでございますが、この点に対しまして御見解を承っておきたいのであります。
  9. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 政府は、やはり食糧自給度を高めるという方針は、ただいまのところ変える必要はないと思っておるわけであります。なるほど、ものによりましては、全然野放しに自由な競争をさせましたならば、各国それぞれの特徴を持っているものがございましょう。しかしながら、私どもは、全体の国民バランスのとれた経済成長を試みていくという観点に立ちますならば、やはりどこの国でも御存じのとおりに、ことにわが国のような国際競争力の弱い面を持っております農産物等においては、野放しの自由というようなことは、現在の段階においては考えられないわけであります。したがって、農業基本法等にも示しておりますように、われわれはやはりある程度自給度は高め、そしてしかも、それによってきわめて合理的な妥当な価格消費者食糧を供給する、こういうことが調和のとれたやり方ではないかという方針でただいままでやっておりますし、これからもこういう方向でやってまいりたいと思っております。
  10. 大野市郎

    大野(市)委員 私どもはその点をかねて一番心配しておったのでありますが、御承知のように、島国である点ではイギリスが一番似ておると思いますが、まあイギリス国柄日本は違いますけれども、彼の国の自由放任貿易の波をくぐって、穀物条例以来たいへんな目にあわされて、当時は農民自身の声は国柄で出なかったのかもしれませんが、たいへんな淘汰を受けて、そうした結果一応は工業立国という形でイギリスは進んだようでありますが、第一次世界大戦前後から始まって方向転換に踏みきらざるを得ない。しかも第二次世界大戦に突入して以来、戦後の姿というものはまるで変わって、食糧自給度の問題で大あわてにあわてた歴史がごく身近い近代にございます。そういうような点から考えましても、ただいまの食糧自給率を現在程度にやるべきだというお話でございますが、私は、むしろもう一歩進めて、食糧自給率の拡充をやらなければならぬ。お米はそれでも九五%以上の自給率ということで、需要は確保いたしておりますが、これからの食生活変化に応じての、たとえば牛乳というふうなものに対しましても、新しい形でその自給策というものと取り組んでいただかなければならぬ。ただいまの自給現状維持だというのであっては農政の進歩にならない、かように考えるのでありますが、この新興農産物に対する自給率増進についての御所信を伺いたいと思います。
  11. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 仰せのとおりでございまして、まあ、数年このかたの日本食糧状況を見ておりますと、昔と違いまして、米麦にたよるという傾向よりも、さらに畜産関係酪農、果樹、野菜等に対する国民需要が非常にふえてまいりました。最近景気が鈍化したといわれておる昭和三十一九年から四十年度などでも、やはり一般国民食生活傾向というものは依然として変わっておりません。それにやはり都会地ばかりでなく、地方人たち食生活が最近著しく都会化したと申しますか、これは国民全体の体位向上のためにはしごくけっこうなことでございますから、われわれとしては、それをまかなうためにやはり全力をあげるべきであるということでございますが、豚、鶏、卵等は御承知のように十分でございますが、畜産関係について若干の問題がございます。  そこで、私どもといたしましては、いまケネディラウンドで論議されておりますような濃厚飼料原料外国から輸入を多量にいたしておるわけでありますが、そういうことにつきましても、国有林を活用することによって草地の造成をいたしたりなどして、自給飼料をできるだけ間に合わせる、そして畜産並びに酪農をさらに強化してまいりたい。要するに、私ども国民の全体の食糧自給度を高めるということについて、さらに力を入れてまいりたいと思っております。
  12. 大野市郎

    大野(市)委員 自給飼料については、後ほどさらに触れたいと思いますが、この保護農政中身として、たとえばイギリスの一九四七年の農業法では、全農産物の八〇%からが不足払い制度対象となっておる。品目はほとんどの食糧品、羊毛までが入るようでありますが、そういう形で販路と価格保障をしておる状況であります。私ども理解するのに、生産基盤の強化が根本であって、これが恒久策で、価格支持制度ということは補強材であるというふうにウェートは違うと思いますけれども現実には先進国の苦悩の中に、価格保障制というものが相当大幅に取り上げられておるわけであります。アメリカにおいても余剰農産物処理の方策によって、同じく国際価格国内生産者に対する支払いの逆の状況に対しててこ入れをしておる。こういうことでありますが、わが国のいわゆる支持価格制度に対しては、まだ幾つも取り上げられておりませんが、この問題の当面の取り上げ方についての所見を伺いたい。
  13. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 もし一国はできることならば、やはり私は、自由な価格形成で、そして生産消費バランスのとれた形で行なえることが理想だと思っておりますけれども、それはしかし、国際競争に勝ち得るようなものでなければなりません。農作物に対しましては、先ほど来お話のございますように、そういう意味では非常に競争力は弱いわけでございます。しかも、それを増産してまいらなければならぬというところに、わが国農政一つの悩みがあるわけでありますが、いろいろな意味で、米麦は食管でございますけれども、その池、たとえば乳製品等においては、不足払いのような制度を採用いたしております。私どもがぜひ力を入れたいと思っておりますのは、主産地形成であるとか、そういう土地基盤育成等に力を入れて、そして生産が拡大され、そしてコストを比較的安くして、しかも農業経営として成り立つような構造改善その他の仕事を進めてまいって、そして適正な価格消費者に供給できるような農作物生産されるように、他の面で、土地改良であるとかその他の面で力を入れて、生産を増強していくようにつとめてまいりたい。しかし、部分的にはいま申しましたように、そういうことでなおかつ可能でない面については、特段の手段を講じてきめこまかくやはりやっていかなければいけないのではないか、こう思っておりますが、原則としては、やはり農業生産というものが、今日の日本経済社会の中で自立して、そして適正価格消費者に供給のできるような基盤を醸成してまいることがいいのではないか、このように思っておるわけであります。
  14. 大野市郎

    大野(市)委員 そのとおりで、私ども基本論はそのとおりに思いますが、先ほどの国民全体に納得のいく農政というときPR中身に、やはりその辺が、どうも農業というものに直接関係がないというので、要らぬことをしておるような印象を持って、方々に自己の主張をするグループがあるのですね。この辺の理解度というものは、執拗にお互いが続けませんと、何か片寄って農家の味方をしておるような印象を持っておる者がまだあるのです。ですから、こういうようなグループに対しましても、大臣としても、ひとつ極力啓蒙をしていただきたい。私は、特にEEC農業政策あたりがどうかと思いましたが、やはり社会問題としての農業の見方とともに、いまの農産物価格等農民所得維持というものを根本的に考えて、EEC農業政策を取りまとめておると聞いておりますので、そういうような西欧の姿を見ましても、それらの農業振興策を立てられることに対して、一部の筋からとやかくの論評を受けるいとまのないものだとわれわれは確信しておりますので、この点貫いていただきたいと思います。  これは希望であります。  それから、もう一つ貿易自由化で、きょうもそのお話でおそくなられたというのでございましょうが、しかしながら、私どもガットIMF八条国移行によって農産物の九二・四%ですか、そこまでの自由化を通告しておるのでありますが、そのほか、さらに開放経済がすでに舞台が回ったので、その他の重要農産物に対しても外の嵐を用意して、これらの自由化のできるような下地をつくれというようなことを、あらゆる機会に識者が唱えておりますが、私は、その一面、農産物貿易に関しましては、国際小麦協定等の事柄のように、やはり農産物市場組織化がそれぞれ有力主要国から発議があって、それらの自国主要農作物については、貿易自由化と別な方向市場の確保をあせっておる。それにはその国のエゴイズムもあらわれておるというような、二面の農産物貿易に関しての姿を見ておりますので、わが国IMF八条国移行になったからといっても、それは今後に残されておる重要農産物自由化に対してはよほど腰を据えていただいて、この主要世界各国現実の動きというものを冷静に見ていただくならば、自国の困るものを曲げて追随するという筋はないと思いますので、この点、いわゆるガット系貿易自由化と、ただいまの小麦協定砂糖協定その他にあらわれたような世界農産物市場組織化傾向の背反に対しまして、大臣の御見解を伺っておきたい。
  15. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 政府は、米麦をはじめ重要な農産物については、ただいまお話のように、貿易自由化というふうなことをやる意思はございません。これは御承知のように、各国ともそういうことについては事情はよく理解をいたしておることでありまして、私どもはいまやっておる程度がまあまあ大体のところではないか、このように考えております
  16. 大野市郎

    大野(市)委員 そこで、先ほども消費者へも十分説得の力のこもった農政を展開するという御言明でございますが、ぜひそう願いたいと思います。  ところが、さて現実の実例を一つ申し上げますと、行政機構の中で消費者行政を行ないます場合に、大臣のお考えがすなおにはなかなかいかないような事情も発見したのであります。たとえば農林省設置法には、表現自身も当時の実情であったろうと思いますが、その任務の第三条の中で見ましても、「農林畜水産業改良発達及び農山漁家の福祉の増進を図り、もって国民経済興隆に寄与することを目的として」というふうになって、消費の場面は「国民経済興隆」という中に包含されて表現をされておるようであります。そんな関係で、せっかくその任務の第二の条項では、流通消費を規制するという、いわゆる行政機構の中の明らかな国家任務があるのでありますけれども、これが、たとえばいま騒がれております牛乳小売り商合理化カルテルの問題について、私が別の委員会で質問いたしますために、そのときに下調べをしてまいりますと、これは中小企業であろうからというので、われわれ知識の足らぬために中小企業庁の担当者と談合してみますと、それは原局牛乳生産をするところでやるんだということなんです。農林省に戻って経済局をおたずねいたしますと、経済局の事務の中には、中小企業育成、その事業合理化をはかる、「商工業に関する団体指導監督を行なう」という規定がございますので、ここだろうと思って——合理化カルテルですから、「団体指導監督」でありますそして参りますと、いや、それは畜産局であるぞ、こういうわけで、畜産局のほうに参りますと、なるほど「畜産物生産流通及び消費増進改善及び調整」、こういうことがある。ですから、なるほど流通消費改善調整に当たるのかもしれませんが、そんなわけで、たどりついたところへ参りますと、私のほうでございますというようなわけで、まことにどうも、ぴんといや私がやるんですという反応が足らないのです。やらないとは申しません。足らないのです。そのために、私は、大臣に、消費者へも説得力のある農政をおやりくださるならば、そういう意味で、やはり行政機構としての活動がスムーズにいきますように活を入れていただきたい、このように実は自分経験から御注文をいたしたいわけでございます。  それから同じく、実は私は大臣の本意ではなかったと思うのでありますけれども新聞の伝うるところ、御承知のように、農林大臣が、消費者牛乳値段が二円ほど上がる、それは上がるのはやむを得なかろうと言ったという記事が新聞に載りましたために、至るところで実はそれが話題になりました。真偽はわかりませんが……。そして宮澤経済企画庁長官は、その点に対して質疑を受けましたときに、別の委員会で、絶対に牛乳小売り値段は上げさせませんということを言明されちゃっておるのです。われわれは、上げない方法があるなら一番われわれの望むところでございますので、上げない方法に対していろいろの手だてをお互いが考えておる最中でありますが、この点に対して、お間違いであろうと思いますが、閣内の不統一になってもわれわれ困惑をいたしますし、この点大臣見解を伺っておきたいのであります。
  17. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 牛乳の問題につきましては、私ども消費者のことももちろん考えなければなりませんが、一方において、先ほど来お話のありました国民食糧生産という立場から考えますと、酪農につきましては、私どもの調べましたところによりますと、生産者たる酪農家はたいへん経営が困難であるということを発見いたすのであります。そこで、いま肉牛の肉が高いものですから、まだしぼればしぼれるような乳牛を殺して、肉のほうに回してしまうというような傾向が出てまいりましたので、これはたいへんなことだということで、私どもは何とかしなければならないと思っておるわけであります。そういう考え方から、昭和四十二年度の予算では、御承知のように乳価に対して不足払いをいたしておりますあの畜産振興事業団輸入差益のうち大部分を、八〇%でありますか、三十数億円になると思いますが、これはひとつ一般会計に繰り入れるのでなくて、そういう生産者を助けるというような生産増強のほうにこの資金を回すようにしたいということで、たぶん本委員会にもその法案の御審議を願うことになっておると思いますが、これなどはいま牛を飼っておる人たち農協関係では非常な喜び方でございまして、まあそのようにいたして乳牛を増産したいと、こういうのが私ども考え方でございます。  そこで、先般、私ども牛乳について指導価格制というものをとってまいりましたけれども国民生活審議会というところから、さようなところに行政は介入すべきではないという注意もございましたし、それからまた、誤解ではございますけれども、御婦人の団体などでああいう指導価格なんというものがあるから値が上がってくるんだという非難もございました。大体原則としては、こういうものはやはり自由な価格形成が行なわれるべきものが本筋でございますし、そこで、先般一升十二円の値上げをするということが生産者とメーカーとの間に話のつきました機会に、小売りのほうの値段も上げるというようなことになってきた模様であります。私が申しましたことに誤解があったようでありますが、私は、生産者の手取りというものをもう少しふやしてやる法はないだろうか、そして、小売りのほうについてはもう少し合理化をすることができないだろうか、たとえば毎日々々ああいう小さいびんで配達しておるようなやり方、十年依然として古くさいやり方をしておる、いまは冷蔵庫も完備いたした時代であるからして、そういうような点はできるだけ節約をすることによって、ひとつ生産者に幾らかの金を回してやることによって酪農を盛んにしなければ、しまいには牛乳というのが払底してくるのではないかというようなことを申したわけでありますが、そういう意味で、私は、物価の関係もあり、きわめて大衆的な需要を持っております牛乳につきましては、いま私がここで申しましたような考え方を持っておる次第でありまして、できるだけひとつメーカー、小売り店等も近代的に合理化して、そして消費者の満足するような供給をやってもらいたい、こう思っております。
  18. 大野市郎

    大野(市)委員 一部の報道ではやはりニュアンスの違ったところで、私どももそれを祈っておったわけであります。私が申し上げますのは、この乳価の問題一つ取り上げましても、消費者にアピールのできる農政というお考えでございますけれども、実際上消費者の受けた印象は、政府は手も足も出ないものだからおっぽらかしたんだ、あとはおまえさんが買いたたいて、小売り値を上げないように努力をなさるより手がないんだというふうな印象で、全国の全紙面が埋め尽くされておったわけなんです。その後の動きを見ましても、農林省御自身のどういう手を伸ばされたかということが新聞の報道から姿を消しまして、経済企画庁というのが何かやられておるが、それも県庁に通知を出して、市町村に懇談会をつくるんだというふうなことで、あとは通達行政だけなんです。私は、こういうことで消費者納得できる農政理解してくれるかどうか、たいへん心配しておる一人なんです。これにはやはり合理化カルテルとか、あるいはさまざまな、団地に冷蔵庫を置く場所と冷蔵庫を貸してくれるならば、その日から自分たちで集団飲乳の方法にしたいという、各地の家庭の主婦のグループの声も載っておるのです。  こういうことも、消費者に対する十分な説得力ある農政ということであれば、わずか全体で五百万のモデルの予算でございますが、昨年なども予備費からある程度予算の流用も可能のようでございますが、そういう切実なニューストピックスのある、しかも、なるほど政府消費者のめんどうを見るわいというような、血の通った印象づけをする、PRの一番うまみのある場面が出ると思いますが、そういうようなことも、農林省としてその着想はお持ちなのでありますから、タイミングをとらえられて、これらを実施される御意思はありませんか。
  19. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大野さん御存じのように、私どもが見まして、牛乳メーカーと小売り店というものが、自分のシェアを拡大することに非常に熾烈な競争をいたしております。私は一々の会社について批判をすることは避けますけれども、なるほど、商売は自分の会社が利益をあげるようにするのは経営者の責任かもしれませんが、やはり牛乳のような大衆性を持っております仕事を扱っておるメーカー、小売り店というものは、私は、やはりもう少し消費者経済ということを考えて、ロスを省いて経済的におやりになったらどうかということを言っておるのであります。一々こういうところでいま非常に錯綜いたしております小売り業等のことについて申し上げませんけれども、私は率直に批判いたしまして、ああいう前近代的なシェアの競争というものはあまり感心しないと思うのです。もうちょっと合理化する方法があると思います。それと、厚生省などとも協議をいたしまして、比較的長時間保ち得るような容器を用いるとか、あるいはいまお話のありましたように、集団化しておるようなところへはそれはそれなりに簡単に輸送のできるような方法を講じるとか、これからも、いずれにいたしましても私ども畜産局と密接な関係のある仕事でございますから、そういう面について消費者の期待に沿うような指導をいたしてまいりたいと思っております。
  20. 大野市郎

    大野(市)委員 そこで、農民諸君への説得ある農政は、これは根本でございますから、生産関係においては相当に力を入れた施策が行なわれているのは、お互いにこれを認めるのでありますが、特にいわゆる農民の年金の問題については、今国会に予算もとられてどんどんと実現の方向に前向きでやるのだということは、予算の説明で承っております。ぜひこの方向を推進していただきたい。先進国のフランス、米国、西独、英国、いずれもすでに早くからこの制度に踏み切っておるような事例もありますので、資料にはことは欠かないと思います。これは推進をぜひともお願いをいたします。  それから、土地改良におきまする用水と排水がありますが、用水はわかるのですが、排水の問題は、上流で降ってきたものを下流の農民がお金を払ってそのはけ口をつくっておるというふうな現状が方々でありますために、用水と排水との区別をして、用水は、これは使った利用者が負担すべきものと思いますが、排水に対しては、方向としてこれは利用者負担の原則で、国、県、市町村、自治体あるいは工場、そういうふうなものたちがもっと分担を多くして、農民の負担を軽くすべきであって、用水と排水に関する農民負担は軽重の差をつけるべきものと思います。  それから、同じ原理で、このごろモータリゼーションとかいうのだそうですか、まるで都会と同じようにかけ回って、道路なんかもほとんど公共道路と同じような農道が要求されてきておるのであります。しかも、利用者は農民だけではない。  こういうふうな時勢の変化に伴って、農道という名前であっても、農民だけが大きな負担をすべきものでない社会情勢があらわれてまいっておりますが、農林省として、こういう新しい問題に対していかなる御見解をお持ちになりますか。農民の負担軽減の方途をお聞かせ願います。
  21. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまの用排水のことについてどうなっておりますか、政府委員のほうからお答えいたしまして、私が……。
  22. 大野市郎

    大野(市)委員 それじゃ政府委員のほうはまた別の機会に承りますから、御研究を願います。  最後に、実はきのう、十五日、月曜日でありますが、東京新聞に、「食管制度を大幅手直し」「政府検討」という形でアピールが載ってしまったのでありますが、やがてシーズンがまいりますので、やがて出るだろうと思っておりますが、まだ予報の出ないうちに一つ当たりましたから、これは最後にひとつお伺いしておきたいのであります。大きな活字で「時期別格差は廃止」ということでございますので、これは経緯もあることでありますから、大臣の御見解を承っておきたいのでありますが、その前に、私どもとしまして、早場米というものの性格は、元来が、従来発足当時の早場米地帯というものは、御承知の良質美味な米の、全国に名の通った銘柄の産地が早場米地帯であったのであります。早場米というものの歴史はそういうものであります。そうして端境期に、食糧不足のときに、これらの地帯の諸君が供出をした。そのときには、それらの諸君は良質美味な米を生産しておった地帯だけであった。しかるに、当時の価格形成が等級間格差一点張りでありましたために、そこで、それらの問題に対してプラスアルファとしてのいわゆる時期別格差というものがここで生まれていった経緯もございまして、そういうようないわゆる制度の経過から見まして、みだりに、米の端境期に、去年豊作であったので手持ちが少しふえたから、今年はそれらのものに対して廃止をするぞなどというようなアドバルーンが部内から上げられますということは、関係の農民にとってはショックなのであります。いまもう植えたのです。いまや田植えの最中です。それらの連中が植えてしもうて、そうして、さて植えた、それは安う買うんだぞということになったら、それらの伝統ある地帯の農民諸君はたいへんな問題になるわけであります。私はかつて米審におりました当時にも発議をしたことがありますが、大体等級間格差だけで米というものを片づけてしまうという物質数量万能論が間違っておるのだ。やはり食生活なんですから、まずくたって栄養さえあればよかろうというわけにいかない。栄養もほしいが、うまいものが食べたいという食生活根本をわれわれはやはり考えないと、価格政策に対しても悪貨が良貨を駆逐する形になるわけです。いまや、このアドバルーンによりますと、昨年はとにかくえらい豊作であったが、食うに耐えないような劣悪な米が生産された、一等、二等は何%もとれないような状況で、質の問題が全く忘れ去られたというふうな内報もここに載っておる。それなら、それこそ私どもの要求しておりますところのやはり質の転換をお考えになるならば、等級間格差だけではだめなんです。水分だの歩どまり、粒、つまり、二ミリ以上だとかなんとか、そんな一粒の大きさと、水分が一四%以下ならどうだ、以上ならどうだというような機械的なはかりでもってものをきめるから、農家の諸君はつくっても食わないそういう米を国家に買わせておる状況なんです。農家自身も自殺行為に追い込んでいるわけです。しかも国民は、配給されたらこんなまずい米はということで突っ返す。こういうようなことでありますから、私は、米の高能率、高反収というスローガンが政府施策にあります。けっこうなことです。その高能率の中には質の問題を忘れてはならぬと思う。ですから、ただ反収をふやせふやせというものだから、いまのような形で、骨を折ってやるよりも、多収穫のものであれば品質、味は問わぬという形だ。銘柄別格差というものが昔はあったのです。産地銘柄ではありません。産地銘柄では数百種類にのぼりますから、これは技術上できないということはわかります。銘柄別格差といいまして、たとえば宮城のササシグレ、あるいは兵庫の旭、われわれ越後の越路早生、こういうような、全国四十七種類と記憶しておりますが、銘柄別格差というものの可能性が、数年前でありますが、農林当局の中にも同調者があった経験を私は自分で持っておるのです。ですから、食管の制度に対して大臣が御検討なさる場合には、それらの時期別格差の前身は早場米地帯の待遇の問題でありました、それらの歴史とそれ以後の実情と価格、そういうような問題に対しましても抜本的な御見識を持たれて当たっていただかないと、いたずらに、ただ外側の事情を知らない者の言動だけで世論だと思われますと、それは実態と違って、それらの地帯の農民諸君は、植えたはいいがどうしようということで、これはたいへんな生産意欲の阻害になるのでございますから、これはどうか、新聞の報道でございますので、いろいろ部内でも御意見のあることも当然でございましょうが、事の重大性に対しまして私は一言大臣に所信を申し上げて、御見解をこの席でもし伺えるならば——この点はいろいろ大きな問題の中の一つでございますから、御検討中であれば御検討中でけっこうなんでございますから、その点ひとつ御判断にまかせて、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  23. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 一つ新聞の記事につきまして、私はその記事の出ました根源を探ってみましたところが、一人の農林省の者が新聞記者と話をしておったのを何か誤解があったのであるということの釈明がございましたので、ただいまのところ政府といたしましては、食管制度というのは、御承知のように、農家経済にも国民経済にも、全般に対して大きな意義を持っているものでございますから、政府といたしましては、その根幹を変えることなしに、食管制度の運営についてできるだけ合理的にやってまいるということの方針には少しも変わりはないわけでございます。さようにひとつ御了承願います。  それから、時期別格差のことにつきましては、昭和三十七年の米価審議会の、各種の格差、加算を適正化するようにという答申の趣旨に沿いまして、三十八年産からその縮小を行なってまいったのでありますが、その後、端境期の需要に御承知のように若干の変化も見られておりますので、今日までそのまま据え置いておるわけでありますが、本年につきましては、需給操作にもかなりゆとりが生じておりますことや、消費者の品質に対する要求も年々強くなってまいっておりますので、そういうことについては慎重に検討してまいりたい、こういうことで、いまどうともきめておらないわけであります。  それから、いまお話の高反収のことについてでございますが、農林省といたしましては、お説のように、やはりその品質について重点を置いて考えてまいりたい、こういうことでございます。
  24. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまの問題は非常に重要でございますので、重ねて慎重に御検討をお願いいたします。  質問を終わります。
  25. 本名武

    本名委員長 柴田健治君。
  26. 柴田健治

    ○柴田委員 農林大臣に施政方針ということで所信の表明を私聞かしていただいたのですが、その所信表明の中で、大体三つが骨子になっている。  あと枝としていろいろ申されたわけでありますが、第一番に、需給の問題が第一点であります。  第二点は農産物価格の問題、第三点は要するに構造改善の問題この三つが倉石農林大臣の所信表明の中の骨子である。戦後それぞれの農林大臣がたくさん出たわけでありますが、それぞれの農林大臣の特色というか、持ち味によって、いろいろ日本農政が移り変わってきたことは御承知のとおりだと思います。   〔委員長退席、高見委員長代理着席〕  今度倉石農林大臣ができて、農民の側から見ておる日本の今後の農政というものは、どういう持ち味を出されるのだろうかという一つの期待と、また従前どおりのような農政であっては困る——今日農村に参りまして、農民の声は、農林省は農民の味方でなければならないのにもかかわらず、新聞紙上その他のマスコミ等で農民が受け取っておる受け取り方というものは、やはり通産省の外郭団体になったのではないか、また外務省の外郭団体になったのではないか、どうも農林省のほうが影が薄くて、外務大臣外国でどんどん農業問題を発言しておる、通産省は通産省で貿易自由化に伴ってかってな放言をしておる、こういうような印象を強く持っておることは、農林大臣承知されておるのではないか。こういう考えを私たちが農村におって聞かされるわけであります。そういう問題は、農林大臣として、とにかくこの所信表明の中で、私たちの解釈によれば、やはり持ち味を出され、この三つが骨子であるけれども、その中でどれをほんとうに重点にやられるのか、これをまずお尋ねしたいと存じます。
  27. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 昭和四十二年度の予算は大体五兆円足らずでありますが、その中で農林関係予算が五千億余りであります。私どもは、この予算の編成にあたりましても、ヨーロッパでもアメリカでも、御存じのように、全体の予算の中の一〇%以上を農林関係で占めておるという国は、そうざらにはありません。いま予算の御審議は、衆議院が済んで参議院に回っておるわけでありますが、私どもはあの予算を見ましても、ただいまの政府農林政策について非常なウエートを置いておることは間違いないのでございます。私が所信表明にも申し上げましたように、やはり五年前に制定されました農業基本法の方向というものは正しい。あの方向に沿って進めるべきではあるが、あの法律がきめられた当時の一般社会情勢は、その後、先ほど大野さんとのお話し合いにも一言申しましたように、一方における経済成長の速度が非常に早くて、農業並びに中小企業というものの生産性がおくれておったということは事実であります。そこで、私どもとしては、こういう跛行的な経済伸びではなくして、調和のとれた経済発展をしていかなければならないということのために、できるだけテンポを早くして、農業というものが国民経済の中で占めるウエートを重くしていくと同時に、調和のとれた産業構造をやっていきたい、こういう考え方を持っておりまして、農林省は、たとえば流通機構改善などについてはかなりの仕事をいままでもやっておったにもかかわらず、きわめて保守的で、宣伝がそれに追いつかなかったと見えまして、何か外から見るといかにもウエートが軽いように思われたということがあったかもしれませんが、現実政府の考えておりますのは、そうではなくて、やはり先ほど来お話しの食糧自給度を高め、そして他産業と比較して劣らないように農民所得を持っていくような、そういう農業をつくっていきたい、こういう考え方でございます。
  28. 柴田健治

    ○柴田委員 どうも大臣の言うのがよくわからぬのですけれども、こまかいことはいずれ次の機会にまた政府委員等によって数字的にお尋ね申し上げたいと思いますが、自給度を高めて、要するに生産も高め、価格も安定さしていくというこの問題で、農林大臣のこの三つの骨子の中で、いま農民が何を要求しているのか、日本農業日本の人口に合わして国内の自給生産度をどの程度まで引き上げていくかという問題は、今後論議しなければならぬと思いますけれども、まず当面のわれわれが関心を持っている点は、農産物価格の中で米である。いま当面植え付けを控えている農民の側からいうと、米の価格は四十二年産米はどうなるであろうか、どうきめられるであろうか、これがいま重要な関心を持っているところであります。その他の農産物には林産物、畜産物それぞれございますけれども、その点を省略して、米なら米だけを取り上げてお尋ねしてみたいのです。米の価格、四十二年産米のきめ方をこれから大臣にお尋ねしてみたいのです。  米価の算定方式論が常に毎年論議されるわけですが、米審においていろいろと論議され、その答申によって経済閣僚会議できめられる。四十二年産米、これは倉石農林大臣としてひとつ持ち味を出して、従前どおりの算定方式はとらないんだ、農民の側に立って、農民の要求をいれて、ひとつ今年度は別な角度で米価の算定方式を打ち出す、  こういうようなお考えはあるかどうか、ひとつお尋ねしたい。
  29. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 昨年度産米の価格を決定いたしますときに、いろいろな御議論がございました。  しかし、いわゆる指数化方式と申しましても、それから積み上げ方式と申しますか、いずれにしても、私は、結局基礎になる数字を積み上げていく点においては変わりはないと思うのです。しかし、ことしはそういういろいろなファクターについてどういうふうにやっていくべきかということについては、まだ考えをきめておるわけではございませんで、もうぼつぼつ時期も近づいてまいりますので、そういうことについて検討いたしまして、方向をきめてまいりたい、こう思っております。
  30. 柴田健治

    ○柴田委員 時期がまいりましたということですが、この時期、われわれの立場から大臣にお尋ねするのは、大体そのスケジュールというものが当然あるべきだ、こう思うのですが、いつごろ米価審議会の委員を任命して、そして答申を受けるまでの期日がいつごろだ、こういうスケジュールがあればひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。
  31. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 例年のとおりでいいと思います。つまり、七月の上旬に米審を開いて諮問をいたしたい、こういうふうに思っております。
  32. 柴田健治

    ○柴田委員 論争の問題は、いろいろ算定方式論の中にあるわけであります。われわれがお尋ねしたいのは、たとえば家族労賃の評価の問題、または物財等の費用の問題また利子等の問題、租税公課の問題等含めて、いろいろ論争してみなければならぬ問題がありますけれども、ただ、大筋としては、指数化方式がいままでとられてきた。農民のほうからいうと、生産費・所得補償方式をとってもらいたい、この声が依然として続いておるわけでありますが、私たち、今日の資本主義的な経済の中で一般の商品価格をきめるのに、指数化方式できめておる商品が幾らあるのかこういう一つの疑問を持つのですが、大臣として、日本の商業簿記から割り出して、一つの企業がある、その企業で生産されておる商品で、指数化方式で価格をきめておるという商品があれば聞かしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  33. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私は、そういうほうについてあまり知識を持っておりませんが、もちろん政府といたしましては、やはり米をつくっておる農民の所得補償の方式、そういう考え方を中心にして計算していくことには変わりはないわけであります。
  34. 柴田健治

    ○柴田委員 やはり指数化方式というのは、農民、生産者側から言うと、一つのごまかしだ、政府は農民をごまかしておる、こういう言い方が極端に出るわけですが、その理由としては、先ほど申し上げたように、日本の資本主義的な商業簿記から国民が知っておるコストの出し方というものは、やはり指数化方式というのを習ったことがない。商品の価格をきめるのに、指数化方式論で価格を出したということをいまだかって習ったことがない。あくまで生産費・所得補償方式というのが原則だ。この原則論をまず大臣も知ってもらいたいと思うのですが。その点についてお考えはどうですか。
  35. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいま微妙なところでありますから、私は、昨今度のやり方について批評をいたすことは避けますけれども、いわゆる指数化方式というものがごまかしであるということについては、私は納得しておりません。あれはあれなりに、やはりああいう計算の方法というものは、品物の価格をきめるときには、それ相当の筋の通ったものであると私は思いますが、本年どういうふうにやるかということについては、いま申し上げましたように、ただいま検討中でございますが、要するに、やはりこの次の生産意欲を農民に持っていただくために生産費・所得の補償はするという考え方が、米価決定には必要ではないか、こういうふうに思っております。
  36. 柴田健治

    ○柴田委員 米価審議会が構成されるまで——大臣が任命するのですが、要するに、諮問をする場合に、諮問のしかたというものはどうなんですか。やはり今年度はこういう方法でいくんだというか、パラで出して、審議会の委員の皆さんに大臣としては何も考え方を示さずに、昨年同様の方式を取り上げるかどうかということも参考としては申し上げ、もうパラで出すというお考えですか。
  37. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御存じのように、過去の歴史を見ますと、政府の数字を出して諮問いたしたときもございますようですし、その算定の方式について伺いを立てたということもあるようであります。  本年は、とにかく筋の通ったやり方でまいりたいという原則的たてまえは持っておりますけれども、どのような諮問のしかたとかなんとかいうことにつきましては、いまさっき申し上げましたように検討中でございます。
  38. 柴田健治

    ○柴田委員 筋の通ったということだけ言われたのですが、その筋の通ったということの筋論がよくわからぬのですが、大臣としては、筋はどういう筋をお持ちなんですか。
  39. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米価の決定というものは、やはり現在の段階では政府がきめるべきものである、こういうたてまえでございます。したがって、やはり政府生産者にも消費者にもごもっともだと思われるやり方で、また、両者ともこの辺が妥当だろうと思われるような数字を出したい、こういうことであります。
  40. 柴田健治

    ○柴田委員 まことにわかったような、わからぬような御答弁をいただきましたが、時間が非常に制約されておりますから、こまかいことはいずれあらためた機会にお尋ねしたいと思うのですが、まず、新聞紙上なりいまの報道をわれわれが聞くところによれは、米価審議会の委員は従前の構成を変えて、今年度は新しく変えるんだ、その中で、国会議員を除外するという声を聞くのですが、そういうお考えがあるのですか、どうでしょうか。
  41. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 たびたびそのお話はいままでもお尋ねをいただいたのでありますが、まだその米審の委員をどういう方をお願いするかということについては、ほんとうのところ、政府としても考慮中ございますが、強く言われておりますのは、臨時行政調査会でいろいろな答申を出しておりまして、その答申は、できるだけ行政機構について政府は臨調の答申を尊重せよというたてまえでございます。それで、臨調の答申によりますと、ああいう審議会からは国会議員はわずらわすべきものではない、こういうことを政府に言ってきているわけでございます。一方において、やはり国会議員に参加していただくのが妥当であるという御要望がございまして、何といいますか、あちら立てればこちらが立たないというようなことで、いま一体どういうふうに対処していくかということをこれから考えなければならぬのでありますが、何しろ、きのうまで朝から晩まで予算委員会でくぎづけになっておりまして、まだそういうことについて相談をする時間もございませんし、まだ任期満了しておりませんのですから、任期の終わるころまでには何とか政府の態度をきめたい、こう思っております。
  42. 柴田健治

    ○柴田委員 大臣として、お考えが結論が出ないということはないと思うのですがね。米審から国会議員を、たとえ臨調のほうから答申があっても、農林大臣としては、はずすかはずさないかというくらいのことはお考えがあろうと思うのですが、そういう自信がまだないのですか。
  43. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、国会議員の方をわずらわしておりますのは、国会議員というわけではなくて、学識経験者ということでお願いをいたしておるわけであります。したがって、学識経験者といわれる中には、かりにこれからお願いしても、お断わりになるような方もあるかもしれませんし、なかなかめんどうな模様でございますが、したがって、各方面の御意見を承って、慎重にひとつ政府としての態度をきめてもらう、こういうことにいたしたいと思っております。
  44. 柴田健治

    ○柴田委員 臨調のほうの答申があるからということですが、国会議員というのでなしに、学識経験者ということでいままで入っておったと言われるのですが、われわれの見解は、やはり国会議員であるがゆえに、そこに学識経験者という結論が出るんだ。とにかく学識経験者として、法の精神をどう解釈せられても、それは大臣の解釈でありましょうけれども、われわれはあくまでも国会議員をいままでどおり審議会の委員に任命して、そして審議をしていただいたんだ、こう解釈いたしておるわけでありますが、どういう理由か、いままで国会議員が学識経験者として両刀使いである。そのために弊害があった、いろいろの弊害が多いから、この際は、国会議員になってもらうのをひとつ遠慮してもらう、こういう答申ということは、その理由というものは、大臣としてはどういう報告を受けておられますか。
  45. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 答申の中には、弊害があるとかなんとか、そういうことについては何にも言っておりません。ただ、こういう行政府委員会審議会には国会議員はお願いしないほうがよろしい、こういうふうにいっているだけでありまして、その理由を別にこちらから問い合わせてもおりません。
  46. 柴田健治

    ○柴田委員 大臣にお尋ねしたいのですが、米価の価格決定については、国会で審議して、国会できめるべきだという意見が出ているんです。これはもう長年の意見でもあると思うのです。われわれは、常にこれは鉄道運賃も郵便料金も全部国会できめるんだ、しかも国民経済基盤をなしておるその米価の問題については、生産者米価、消費者米価含めて国会できめるべきだ、こういう意見があるのですが、この意見に対して大臣はどうお考えになりますか。
  47. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 財政法によりまして国会できめることも、私はもちろん一つ方法だと思いますが、御承知のように、米麦はその特例法によってただいまのようなきめ方をいたしておるわけでありますが、現在のところでは、やはり現行のままでいいのではないか、こういうふうに見ておるわけであります。
  48. 柴田健治

    ○柴田委員 まあ、われわれが国会できめるべきだ、こう主張しておるわけですが、要するに、歴代の農林大臣倉石農林大臣は特別な持ち味を出した、こういう一つの異色の政策として、ひとつ国会できめるように踏み切ったらどうですか、そのお考えはありませんか。
  49. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 まあ、米価につきましては、ただいま申し上げましたように、いまのように政府責任において米審の答申を得てきめるというやり方が、いまのところは最も妥当ではないか、こういうふうに考えております。
  50. 柴田健治

    ○柴田委員 先ほどの大野先生の御質問の中でも、やはり生産者消費者すべての国民納得のいく農政をと、こう大臣も答弁されたのですが、納得ということになれば、生産者である農民にも納得できるようにしなければならぬ。また消費者も国会できめたほうが筋が通る。国民の前で明らかになる。それをただ陰で米審の答申を受ける、その答申によって経済閣僚会議できめるというようなことで、こそこそきめる。特に農民のほうからいうと、農村関係の産物が、ややもすれば非公開、秘密主義で価格をきめられる、こういう一つの不満を持っておるわけです。塩の価格をきめるのでもそうだし、たばこの価格をきめるのだってそうだし、ことごとく農林漁村で生産される価格はこそこそ陰できめていく、ごまかしだ、こういう極端な言い方が出るのもやむを得ないことだと思うのです。やはりガラス張りの中で政治をするという基本的な公式論からいっても、国会で米価をきめるべきだ、これこそ筋が通るんだと私は思うのです。大臣は先ほど筋論を言われたのですが、われわれの要求の筋論もひとつ考えていただいて、四十二年産米の米価は国会できめると、こういうことで踏み切る意思があるかどうか、ひとつお聞きしたい。
  51. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 人によって見解は違うかもしれませんけれども、行政府がその責任においていろいろなことを決定するということは、国民によって与えられた責任を果たすりっぱな手段だと私どもは心得ております。つまり、いまのような議会政治では、総選挙というもので多数選ばれた者が行政府をつくることになっておりますから、やはりその行政府の決定することは、国民によって選ばれた者の決定であるということで、民主主義議会というものが運営されておると思います。それについて反対の方もあるかもしれませんけれども、そういうことで、私どもは、行政府の責任で決定するということについて、別に隠しがましいこともございませんし、うしろ暗いとも思っておらないわけであります。ただ、いまの米価のようなものの決定を国会でやったほうがいいではないかということにつきましては、これはもう財政法でもいっておりますように、そういうことは悪いことではないのでありますから、このことは、政府見解は別としても、そういうふうに取り扱うということでやってやれないことはないと思いますが、昭和四十二年産米価をきめるために、いま私どもといたしましては、先ほど申しましたように、いままでのようなやり方で、米審の意見を聞いて政府が決定するというやり方を本年はとってまいりたい、こう思っております。
  52. 柴田健治

    ○柴田委員 財政法からいうと、国会できめるということが本筋だ、私はそうとるんですよ。いまやっておるのは、特例法を適用してやっているんですが、特例法の法の権威というか、財政法の権威、どちらが重ですか、それをちょっとお尋ねしたい。どちらが貴重なんですか。大臣としては、特例法を尊重するほうがいいのか、財政法という法の精神を守るのがいいのか、どちらが重ですか。
  53. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、財政法三条で特例をきめておるわけでありますからして、特例は三条から出ておるものでありますから、私はどちらが重いということもないと思います。三条に即してその特例が設けられておる、こういうことであります。
  54. 柴田健治

    ○柴田委員 私は、特例というものは、法の運用の面から便宜上つくる、財政法の本筋というものはやはり守るべきではないか、こう思うのですが、大臣は、あくまでも特例も並行して同じものだ、こういう御解釈ですか。
  55. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私が申し上げましたのは、特例は財政法三条にいっておる特例でありますから、したがって、その三条によって私どもはやっておる、こう理解しておるわけであります。ただ、あなたのお時間について御迷惑をかけてはいけませんから、続けて申し上げますが、四十二年産米の決定については、従来どおりやる方針できめております。
  56. 柴田健治

    ○柴田委員 私は、商品を取引する場合には、売り手と買い手というものが話し合いをするというのが原則だと思うのです。買い手のほうだけがかってな解釈を出して、売り手のほうの意見を聞かないというのは、これは片手落ちだと思うのですが、その点はどういうようにお考えですか。
  57. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、その決定の前段に、米価審議会という権威ある審議会、ここには生産者の代表もたくさん来ておられます。でありますからして、私どもはそういう御意向はやっぱり尊重して決定いたしたい、こう思っておるわけであります。
  58. 柴田健治

    ○柴田委員 売り手のほうが生産者でありますから、生産者のほうの代表が入っておるからいいというのではなしに、生産者のほうは生産者のほうでこういう方々を米審内にひとつ委員に入れてもらいたい、政府、買い手のほうは入れないと言われても、生産者、売り手のほうはぜひこういう学識経験者を米審に入れてもらいたいという要望があれば、やはり売り手と買い手の取引条件の話し合いということになれば、両方から意見を持ち寄って、それならこういう中間機関である米審という委員会審議してもらおうじゃないか、こういうのが大体筋論じゃないかと思うのです。生産者のほうは学識経験者の委員に——たまたま国会議員を使うと、また法理論で大臣の答弁は逃げるのですから、国会議員というのではなしに、生産者側のほうからこういう学識経験者を入れてくれ、こういう要求があった場合には、大臣は受ける用意があるのですか。
  59. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 もうすでに農業団体等からいろいろな要望が出ております。そういうことを十分しんしゃくいたしまして、政府方針を決定するときに私のほうから述べてみたいと思っております。
  60. 柴田健治

    ○柴田委員 生産者のほうから強い要望があれば、国会議員を入れても差しつかえない、こういう含みがあるということですか。
  61. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、現在まだ任期中の方々がいらっしゃるのに、おまえさんはもうこの次はやめていただくんだとかいうようなことを言ったり考えたりすることは、失礼千万だと思う。したがって、任期が切れるまではこの問題に触れたくない、こういうことでございます。
  62. 柴田健治

    ○柴田委員 どうもその任期論を私はお尋ねしているのではないので、大臣として四十二年産米にどうしても取り組まなければならぬ責任をあなたは負わされておるのですから、そういう任期論を私は聞いておるのではないのです。そういう人道論や任期論でごまかされるとは私は思っておらぬですが、そういうごまかしの答弁でなくして、農林大臣として、長期の展望で、これからの農政はこうあるのだという表明もせられるわけなんだから、任期論にこだわらずに、私はこういう考え方で取り組みますというぐらいなことは言えると思うのですが、その点どうですか。あくまでもそういう任期論にこだわってごまかすというような答弁でなくして、すなおに、私の考えはこうでありますということで答弁願えませんか。
  63. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 やはり政府としてきめるものでございますから、私の個人の考え方を出すよりは、あちらこちらの関係者の意見を十分に承って、そこで政府としての態度をきめることがいいと思っております。したがって、その時期が参りますまでは私はやはり白紙でいるほうがいいのではないか、こういう態度でおるわけでございます。
  64. 柴田健治

    ○柴田委員 どうも最後にはそういうことで白紙論で逃げられるのですが、歴代の農林大臣倉石農林大臣ぐらい答弁のじょずな人はないということを初めて知りました。名答弁だと思うのですけれども、われわれからいうと、しんにゅうの、わからないという迷答弁になっちゃうのですよ。わからない答弁というものは、これは答弁にならないのですよ。だから、相手を説得する、理解させるような答弁を願いたいのです。もう目前に控えているのですよ。七月上旬に諮問をするというのですから、もう腹が固まってもいいはずだ。農民の側からいうと、大臣はまだ腹をきめてないのだ、審議会の委員の任命方式までもきめてないのだということになれば、非常に失望を感ずると思うのです。非常に期待をして、倉石農林大臣は労働問題も詳しいけれども農政においてはもうベテランだという声をいまわれわれは聞いておるのであって、その日本農政担当し、主管大臣として、きまらないということは何としても理解できないのですが、逃げるつもりでそういう白紙論を言われたのですか。ほんとうに考えてないのか、その点がよくわからないのですが、どうですか。
  65. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私ほど率直に考えていることをしゃべるやつはないのじゃないかと思っているのでありますが、事実、先ほど申し上げましたように、臨調の答申は尊重せよということで、私どもの持っております審議会を統合したり、それから公団をどうしろとか、いろいろなことをいま盛んにいわれて、それに検討を加えている最中であります。したがって、そういう米審の委員というようなことにつきましても、臨調の答申はできるだけ尊重せよ、こういう指示を総理大臣からは各省長官に出しているわけであります。私どもは、まだそのことについては各方面からいろいろの御意見が出ておる最中でありますから、実際のところ、どういうふうなことをやるべきかということについてきめてないわけであります。そこで、もう一カ月も二カ月も前から、予算委員会等においてしばしばお尋ねがございますけれども、まだまだ任期があるし、すぐにわずらわすべき問題もないし、そういうことをいまごろ言ってはいけない、こういうことでございまして、ただいまおっしゃったようにこまかしと言っても、期日が来ればごまかし切れないのでありますから、そういうことぐらいは、私も不敏ながらわかっておるわけでありますから、実際に腹がきまっておれば申し上げます。けれども、私一人でいまどうこうということはできない立場でございまして、いろいろな方面の御意見をまとめたものをそれぞれ相談をするところへ持ち出しまして、いかにいたすべきや、こういうことで決定をしていただくということでございますので、いまは腹も何もないわけでありまして、正直に申し上げれば、白紙というところが腹だというふうに御理解を願いたいと思います。
  66. 柴田健治

    ○柴田委員 ただいまの答弁は、いろいろ各方面と相談ということなんですが、それぞれ相談をする機関は、どことどこと相談しなければならないのですか、それを聞かしていただきます。
  67. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 政党内閣制でもございますし、それから私は閣僚でもございます。それから農林団体ともいろいろ関係を持っておりますので、それぞれのところに落ち度なくひとつの御相談をいたしたい、こう思っております。
  68. 柴田健治

    ○柴田委員 臨調のほうから答申があったからということで、非常にこだわりを言われるようですけれども、ことしの予算の編成のときでも、臨調のほうから答申があって、いろいろ公団だとか公庫だとかいうものをつくったらいけないぞ、こういう答申を受けながら、もう政府のほうはどんどん公団や公庫をふやしてつくっていくという状態で、この米審の委員だけ国会議員を五名や十名委嘱するのに臨調のほうの答申にこだわるということは、ちょっとふしぎなように思うのですが、大臣はふしぎに思いませんか。
  69. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 公団、公庫の増設のことにつきましては、松平行管長官からも予算委員会で御説明申し上げましたように、あれに引きかえて減らしていくものもございますから、純増は三つであるということであります。  それから米審の委員のことだけ答申を尊重するわけではございませんで、たとえば農林省では六つほどありましたものを合わせて、審議会ももう三つほどに減らしております。それから、ほかの役所でもそれぞれあとう限り臨調の答申に沿うように、ただいま各省ではいろいろと案を練っておる最中でございます。
  70. 柴田健治

    ○柴田委員 いずれ、米価の算定方式なり、また米審に諮問するその姿勢の問題いろいろ時期を見てお尋ねしたいと思うのですが、私は、次に、農村をこれから立て直していく、農民の生産意欲を高めさせていく、そういう手段として、農林大臣は今度の所信表明の中ではあまり熱が入っていない、こう思っておるのです、生産意欲を高める施策というものがないのじゃないか。やはり生産意欲を高めるためには、基礎的諸条件を考えてやるべきじゃないか、こう思うのです。   〔高見委員長代理退席、委員長着席〕  まず、たとえば構造改善を三本の柱の中に入れておりますが、構造改善事業を進めていく、土地基盤整備事業をやっていく場合に、税金の問題をどうするのか。これは一つの例を申し上げると、大きな企業家には、府県の条例で企業誘致条例をつくって、固定資産税等を三年間なら三年間、五年間なら五年間免除する、こういう条例を設けて恩典を与えていく。それから一方では、農村の構造改善事業基盤整備に相当な借り入れ金で、金利が高い。長期にわたり償還をしなければならぬ。そういう一つの負債は、農民からいうと、いまの農業基本法の精神でやっておる構造改善というものは半ば借金政策だ、こういう強い意見があるわけですが、この構造改善をやらせる場合には、やはり農民に対しても固定資産税の免除くらいは三年間なら三年間、五年間なら五年間くらいやってやるのだ、特例法を設けてでもやってやるのだという、そういう恩典を一方では与えていかないと、大きな会社だけは固定資産税を三年間なら三年間、五年間なら五年間を免除するというような恩典を与えると、これでは農民の立場から見る構造改善事業というものは不公平だ、こういう意見も出てくるわけです。この課税の問題を、もっと農村の固定資産税というものを考えたらどうか。家屋や何かは別としても、田畑につく固定資産税相当な資本をかけて改善事業をやる場合は租税特別措置法を改正してでも固定資産税を免除してやるというような、そういう倉石農政のあり方、農民の定着する農政を打ち出していくべきではないか、こう思うのすが、その点のお考えはどうですか。
  71. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 生産意欲を増強してもらうためには、やはり所得をふやしていくことを考えなければなりませんが、そういうことの基礎になるのはやはり土地改良だと思います。同時に、土地改良については、すでに御承知のように、四十二年度予算は、ほかのほうの公共関係予算はわりに渋かったのですけれども農林省の公共予算については、前年に比べて二〇%くらいふえておると思いますが、そういうふうにわれわれはまず土地改良、同時に農基法でも申しておりますように、構造改善というものはぜひ進めてまいらなければならぬ。そういうことをいたしますためにも、御承知のように、ここ数年来非常に労働力が流出をして、たいへんやりにくくなっていることもございます。そういうためには、やはり流出した労働力を補うために機械化をしていかなければならない。そういうことについては政府も格段の努力をして援助いたしております。したがって、私どもといたしましては、決して満点であるとは申しませんけれども、既定の方針に従って構造政策を進めて、そして同時に、経営の規模を広げていくことに援助を与えるということが必要であると思います。そのためには、やはり農地の流動性を高める、あるいは他産業でりっぱな所得を得られるような人で畑を粗末にしておるような人には、そういうものについて何らかの形をとって離農しやすくしてやって、同時に、逆に今度は残って後継者が農業を引き継いでいこうとする場合には、いままでよりも手厚い援助を与えて、農業を守っていくという考え方を持ってもらう。そのためには、後継者の育成資金なども、御承知のように昨年に比べてかなり予算を増額いたしておりますし、同時に、先ほどちょっとお話のありました農民年金制度というような新しい制度を実行することによって、農業に従事しておる者が、やはり晩年は安心だという考えを持ってもらうと同時に、生活改善等にも力を入れて、そうして近代的文化を同時に取り入れていくことのできるような援助も与えていきたい、こういうように考えて、日本農政というものは、よその国に比べますと、わりあいにきめこまかなことをやってきたのじゃないかと私は思うのでありますが、それは十分ではございませんけれども、基本的には後継者を育成し、農業を守り、生産性を高めていくということに全力をあげてやってまいりたいと思います。
  72. 柴田健治

    ○柴田委員 私は、日本農業の一番発展できない要素というものは、あまりにも基盤整備事業がおくれておる、これが言えると思うのですよ。その基盤整備事業を今後どんどん進めていくと、やはり土地改良事業ということで、いろいろ関係法でそれに対する補助、融資の裏づけ等かあって、進めておるわけですけれども、やはり土地の基盤整備聖業を思い切ってやらしていく。農民を定着さして、後継者対策も多少の融資だけでは後継者対策にならない。やはり総合的な農政という立場で土地の基盤事業が一番大切だと思うのですよ。  これを進めていく中に、一方では融資の償還、一方では固定資産税ということではいけないので、土地改良事業、そういう農業基盤整備事業に対して固定資産税をある程度免除してやるんだ、こういう何年かの時限立法ででも免除していく。ただしその土地改良事業を行なった土地だけですけれども、そういう固定資産税を免除していくというような規定を考えるべきではないか、こう考えてお尋ね申し上げたのです。これもかわった倉石農政の持ち味を出してもらいたい、こういうことでお尋ねしておるわけですが、その点はどうですか。
  73. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いま私のほうだけでここで明言申し上げることはできませんが、私はやはりこの農地の流動性等を考えてみても、税制については、一般農業関係の税制についてはさらに掘り下げて検討していく必要があるのではないか、こう思っております。
  74. 柴田健治

    ○柴田委員 この機会に参考のために申し上げますが、たとえば農業用の施設をつくる場合、共同化、協業化ということで共同作業場であるとかいろいろ施設をつくる場合、農民には免除規定が非常に少ないのです。民間会社のほうはたくさんある。たとえば四日市とか石油コンビナートで、大臣行ってごらんなさい。あの大きなガソリンタンク、どんな小さいタンクでも一個施設するのに施設費が八千万から一億かかる。大きいのになると三億五千万から四億くらいかかる。それだけの建設資金が要るわけですが、それには固定資産税がかからないようになっている、あれは法の解釈からいうと。それから固定資産ではないという解釈、どう考えてもあのタンクが動くわけじゃないのだから、われわれは固定したという解釈だ。ところが、農村のほうは簡単な百五十万か二百万の施設をつくると、県の条例で不動産取得税を取られる。不動産取得税は一回だけでありますけれども、引き続き固定資産税を取られる。もう逃げ道がないわけですよ。こういう不公平な税制の中で農業という産業が発展するかどうか。これはもう農林大臣、主管大臣として、厳正に政治というものは公平を期していくように努力しなければならぬ。その面から見て、いまの税制の面から見る日本農業の姿というものは、これは矛盾がある。これをできる限り改善しなければならぬと思うのです。  それから、やはりこれからの新しい農業基盤整備事業に対しては、いま構造改善におきまして林業構造、農業構造でいろいろ構造改善をやっています。これもほとんど全部借り入れ金です。その高い金利——金利でもそうですよ。農業の融資の面は、金利が非常に高い。中小企業のほうは、これはもう当然弱いから、弱い面であるから助けてやるということは考えられますけれども、設備近代化資金が都道府県の債務負担行為、無利子である。農村のほうにどれだけ無利子の制度があるか。ささやかな、一つか二つか、少しあります。  これはもうだれも恩典が受けられない。それから融資の面においても不公平なんですよ。こういう不公平な措置を政府がとっておいて、せいぜい農民に生産意欲を高める——生産意欲を高めるためには、先ほど農民年金を言われましたが、昨年は団体職員の共済事業としての一部改正で農林年金、今度は農民年金だ。農民年金でもどういう構想なのか。このやり方は、国民年金がいまあるわけですが、この国民年金とのかね合いをどうするのか。これは農民年金、農民年金ということを出して、また農民は三年間ぐらいごまかされるのじゃないか、四年ぐらいごまかされるのじゃないか。いまにも老後の保障をしてもらえるような錯覚を与える。ところが、これは早く実現させなければならぬ。生産意欲を高めて、農民がとにかく農業という産業に従事するような定着心を起こさしていくということは必要であるから、われわれも大いに賛意を表して、この農民年金制度でももっと具体的に、ひとついずれ時期があったら御質疑を申し上げたいと思うのですが、並行して、また農民の労働災害をどうするのか。農民の農作業中における労働災害、こういうものも、農民年金制度と並行して考えるべきじゃないか、こう私は思うのですよ。それで、生産意欲を高め、農業を発展させるためには、農民の生命身体というものの保障がなければならぬ。その保障を考えながら、また新たに生産の手段のいろいろな施設をスムーズに改善さしていくような方途を講じなければならぬ、これが大体原則だと思うのです。税金の問題も、構造改善を強く進めていく中でとにかく課税をなるべく安くしてやるという考え方、それからもう一つお尋ねしたいのは、農民の労働災害を今後どう取り扱っていくのか、お考えがあれば聞かしてもらいたいと思います。
  75. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農業関係の税制につきましては、私どもにおいてもいろいろ再検討すべきものがあると考えておることは、先ほど申し上げましたとおりでございます。  それから、現行の労災保険のことでございますが、これは御承知のように雇用関係がございますもので、雇い主とその下に働く者との間に結ばれるものでございまして、したがって、農業関係においてもそういうような雇用関係に立つ者につきましては、労災というのは、私は同じ趣旨だと思うのでありますが、農業関係におきましては、御承知のように、その雇用の関係というものが非常に捕捉しがたい状態でございます。しかし、私どもといたしましては、労災補償、これは自分の資本、自分経営においてやるのでないものについては、農業といえどもこの恩典に平等に浴するのが筋ではないか、こういうふうに思っておりますので、労災についてはさらに検討してまいりたいと思っております。
  76. 柴田健治

    ○柴田委員 雇用関係の中で災害が起きた場合には法的な措置があるわけですから、いろいろ救済の道はできるわけですが、個々の農家の農作業中における労働災害というものは、一年間で相当起きておると思うのです。その数字については政府委員にあらためて聞くといたしまして、大臣として、農民の農作業中における災害の補償というものは早急に取り組む必要がある、こう私は思うのですが、この点について、四十二年度じゅうでもそういう取り組みの考え方をまとめるとかなんとかいうお考えがあれば聞かしてもらいたいと思います。
  77. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 たいへん失礼いたしました。私が勉強不足で、農業につきましては、特定農作業従事者について、雇われておらない者でも特別な加入の道が開かれておるそうでございまして、これの加入数も漸次増加の傾向であるそうであります。ですから、ただいまお尋ねのような件は、これをできるだけ拡充してまいるということによって、雇用関係にない者についても労災の恩典に浴するようにできるだけいたさなければならぬと思っております。
  78. 柴田健治

    ○柴田委員 そういう点についてもっとPRをしてもらいたいと思うのですけれども、農村の者はあまり知ってないということで、どういう方法でやるのか、もっと具体的に、先ほどPRをやりたい、こういう御答弁があったようですが、それこそPRをしてもらいたい、こう思うのです。  それからもう一つ農林大臣にお尋ねしたいのですが、近ごろ幹線自動車高速道ということで、日本の全土を五道に分けて高速道をつける。この高速道をつける理由としては、いろいろ後進地の開発、地域性の開発、格差是正という問題で、新設する理由が明らかになっておるわけですが、この高速道が通る農村地帯の農民は土地や林野を提供するだけで、地域開発について何も構想がない、何も考え方を知らしてくれてない。たとえば土地の買収について個人個人の買い上げ方式というか、区画整理方式、いろいろあるようでありますけれども、それでなくして、そういう縦貫道が通る、高速道が通る付近の農村対策というものは、農林省はどう考えておるのかという、農民側から見る要求というものがあるわけですが、この点について、大臣としては、こういう高速道に伴うその付近の地域開発、特に第一次産業の開発についてはどういうお考えを持っておられるか、その点についてお尋ねしたい。
  79. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまのようなお話につきまして、実は建設省関係で、第一には、宅地審議会の答申で、都市の宅地及びその周辺の農村地帯、そういうことについて、もう御存じでもございましょうが、非常に私どもから見ますと画期的な結果になるような答申が出ておりますが、同時にもう一つは、いまお話のありましたような問題についての計画が建設省にあり戻す。私どもといたしましては、国家全体から見ますと、無計画に良田をつぶしてまいる今日の姿というものは、将来たいへんな禍根を残すようなことになるんではないか、こういうことをおそれるわけであります。ただいま私ども政府部内で申しておりますのは、ばらばらに宅地の問題であるとか、あるいは建設道路関係であるとかいうものを出さないで、国家全体としての土地利用を計画的に進めるべきではないか、こういうことを申しておるわけでありますが、これは農林省だけあるいは建設省だけではなくて、政府部内のある調整機関が中心になって、国土の利用計画をおよそ計画的に進めるべきである。したがって、われわれの必要とする食糧こういうものが十年先、十五年先、二十年先というようなものについておよその検討が計画されておるわけでありますから、そういう計画と見合って、やはり土地利用についてはある程度の計画性を持つべきではないか、こういうことでいま検討をさせ始めておるわけでございます。  ところで、いまのお話のように、その前に部分的に農村を縦横に走る道路敷地等になりました地域につきましては、これはやはりそれぞれの場所に応じていろいろな影響の実態が違うと思うのでありますが、私どもといたしましては、そういうことについて、その土地の農家の実情に応じてそれぞれのことを農林省としてはせなければならないのではないか、こう思うのでありますが、これはその土地のそれぞれの受ける影響の実態等に即して考えなければならぬことでありまして、一がいにそういうことについて一つの答えを出すことはむずかしいと思います。
  80. 柴田健治

    ○柴田委員 高速道で非常な貴重な耕地を大幅にとられる、採草地もとられる。たまたま金を借り入れをして土地の基盤整備事業もやったところを分断される、またはかんがい用水施設もとられてしまう。まことに弊害が出てくる地域がたくさん出るわけですが、これらについて、農林省関係者と——たとえば建設省がやるわけですが、建設省が道路公団に委嘱して工事をやらせる。ただ一片の補償だけではその地帯の農民がいよいよ困るわけなんですが、たとえば干拓地をどんどんつくって入植させていくとか、転職させていくとか、その点について、農林省関係当局とどれほどこの高速道の問題についてそれに関連する話し合いをしておるのか、どこの窓口でやっておるのか。大臣としてはまとまってないなら、いつごろまでにそういう構想をまとめるとか、抽象論でなしに、何か少し具体的に聞かせていただきたいのですが、この点について……。
  81. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大事なことでございますので、先ほど申しましたように、無計画でやるということは国全体としてはプラスでないということで、大体の計画性を持ちながら、各省で調整してそういう仕事を進めていかなければならないということで、いま政府部内でそういう相談を始めたところであります。
  82. 柴田健治

    ○柴田委員 その結論はいつごろか、見通しはわかりませんか。
  83. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 なるべく早く出したいと思いますが、いつごろ出るかということをいま御返事することは困難だと思います。
  84. 本名武

    本名委員長 関連して質疑申し出がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  85. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣にお伺いしたいのでございますが、先ほど柴田委員からも質問がありましたので重複を避けまして、しぼって御質問したいと考えます。  まず第一点は、来月の七日でございますか、米審の任期が完了するわけでございますが、昨年度の産米の諮問にあたりまして、いわゆる中立系と目される十数名の委員が現在辞表を出したままになっておるわけです。これは一体なぜ辞表を出して今日に至っておるのか、これに対して大臣としてはどのような措置を今日までとってきておるのか、まずこの点をお伺いしたいと存じます。
  86. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 昨年の答申のときに、結論を出すことが不可能になったのを機会に、若干の人が辞表を出されたそうでありますが、それは受理しておるわけでありませんで、そのままになっておるわけであります。
  87. 兒玉末男

    ○兒玉委員 若干と言いますけれども、私が聞き及んだところでは、二十五名のうち、十一名が辞表を出しておるといわれますが、なぜこの人たちが辞表を出さなければならなかったか、その理由について大臣の御所見を承りたいわけです。
  88. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私はよく存じませんから、食糧庁長官から……。
  89. 大口駿一

    ○大口政府委員 辞表を御提出になりました委員の数は十一名でございますが、十一名のうち、会長、副会長は、会の運営の責任を感じてという趣旨で辞表を出しておられますが、それ以外の方々は、理由として私どもが承っておりますところでは、米価審議会の運営をもっと軌道に乗せるようにという声明をお出しになって辞表をお出しになったと聞いておりますので、その声明に申されたことが理由ではないかというふうに推察をいたしております。
  90. 兒玉末男

    ○兒玉委員 少なくとも米価審議委員任務というのは、もちろん政令事項による大臣の諮問機関であったといたしましても、この米審がいろいろと検討する米価、麦価の問題というものは、国民生活にとり、また生産農民にとりましても、きわめて重大な意義を持つものと私たちは断ぜざるを得ない。しかも、いままでのここ二、三年の傾向を見ましても、米審の答申されたことがあまり尊重されないで、最終的に、もちろんこれは現在の段階においては閣議決定ということになりますけれども、答申が尊重されないまま、政府と与党間においてのいわゆる政治的な色彩というものが非常に強い、米審の答申が尊重されなかった、こういうところに原因があるんじゃなかろうかと思うわけですが、大臣はその点どのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  91. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いろいろな事情があるようでございますけれども、先ほどもここで申し上げましたように、価格の数字をお示しして、これでやってもらいたい、こういう審議会への政府からの申し出では昨年はなかったようであります。つまり、どういう方式で米価を決定すべきであるかという方式を伺った。そこで、いろいろ論議されましたけれども、御承知のような結果になってきたということだと思うのであります。私が聞いておりますその辞表提出の理由は、そのように聞いております。
  92. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、やはり問題のとらえ方というものに、もう少し真剣に対処していくべき必要があるのではなかろうかと思います。  重複する点を避けたいと思いますので二、三点にしぼってお尋ねいたしますけれども、当面麦価の決定がたしか六月中に決定をされなければいけないという条件があるわけでございますが、六月八日に再任しましても、先ほどの大臣の答弁では、まだその構想も白紙の状態だということでございますけれども、麦価の決定は、当然これはいままでの例から見ましても、少なくとも六月三十日までに諮問をして決定するようになっているかと思いますが、この辺の関係についてはどういうふうな処置をとられようとするのか、明らかにしていただきたいと思います。
  93. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 それまでには新しく委員を委嘱いたしまして、そこで御審議を願いたいと思っております。
  94. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これに関連しまして、この前の一月の総選挙によりまして、現在二十五名のうちの衆参両院六名のうちの三名の新しい議員は、すでに欠員の状態になっておるわけでございますが、これは当然来月の七日までは当選決定と同時にその欠員補充をすべく取り扱いをするのが妥当ではないかと私は思うのですが、その辺の欠員補充が今日まで放置されておるのはどのような理由によるものか、この点明らかにしていただきたいと存じます。
  95. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、米麦価格をきめます審議会を開いてお願いすべき事柄がまだ一つも出ておりませんので、そのままになっておるわけであります。
  96. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点、私は非常に遺憾に思うのでありますけれども、佐藤総理が、三月二十五日と二十九日の衆議院予算委員会において、この国会議員の米審参加の点について、基本的に立法府が行政にタッチするのは好ましくない、こういう答弁をしまして、非常に注目を浴びておるわけですが、先ほど柴田委員の質問に対しましても、大臣は明確な答弁をされてないわけでありますけれども、これは社会党といたしましては、先般申し入れもいたしておりますが、特に国会議員が除外されるということが——他の審議委員にも除外されましたけれども、米価なり麦価等の問題は、国民生活、消費者生産農民自身非常に重大な関係を持つものであって、これを除外するという筋が一体どこにあるのか、佐藤総理の答弁によると、基本的には立法府が行政に干渉するというのは好ましくないと言っていますけれども、少なくとも米価の場合は、すでに二千億をこえるばく大な食管の赤字会計をかかえている今日、一体この問題がどうしてこれが政治問題として行政への干渉になるのか、この辺、佐藤総理の答弁の趣旨がどの辺にあったのか。もちろん、これは農林大臣にとりましても重大な問題でございますので、この辺の関連性をどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと存じます。
  97. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米審にどういう方をお願いするかということにつきましての私の考え方は、さっき申し上げたとおりでありますが、予算委員会の席で総理大臣の申されましたことは、一般論として、やはり立法、司法、行政の三権はなるべく混淆しないほうがいいのだというたてまえを申されたことだろうと思います。それはその限りにおいては私はりっぱな見識であると思いますが、そのことは一般論としておっしゃったことだと思います。したがって、米審のことについて具体的に総理大臣が何を考えておられるかということについては、まだ相談もしておりませんので、私はよく承知いたしておらないのであります。
  98. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そこで、私は、先ほどの柴田委員質疑の中にもあったわけでございますが、何と申しましても、この米価決定というのは、売り手、買い手の関係であります。大臣も御承知のとおりに、先般の農業白書に対する農林大臣見解も出されておりましたが、特に食糧の増産ということは、世界的な食糧情勢から判断しましても、また国内における四十年度の食糧増産というのもわずかに前年度の一・三%しかふえていない、きわめて憂慮すべき状況にあるから、食糧増産等については積極的な施策をとる。同時にまた、消費者米価の点については、物価への影響ということを十分慎重に考慮する。こういう注目すべき発言をされているわけでありますが、少なくとも今日の米作農民というのは約五百万戸、しかも米の現金収入というものが、全体の米に依存する度合いが四〇%をこえている。そういう点から考え、しかもさらに、米を政府に販売する農家は大体三百三十万戸を数えているわけでございます。こういう点から考えます場合に、先ほど社会党が申し入れをしましたことの国会議員を参加させろという問題は、特に農民、生産者団体、こういう直接政府と取引をする生産農民の切実な要望というものが入っていることを私たちは十分理解をしているがゆえに、こういうふうな申し入れもいたしたわけですが、売り手、買い手の関係、特に三百三十万の米作農民、農民の四割以上を占めるそういう生産民の立場ということを、この米価決定にあたって大臣としてはどういうふうに理解をし、どのような取り扱いのしかたをしようとしているのか、この点きわめて重大な点でございますので、お聞かせをいただきたい。
  99. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 全体の農業の中で、米の占める比重が非常に大きいことはお説のとおりでありまして、したがって、私どもも、国民の主食である米の取り扱いについては、非常に慎重であり、また明日への生産意欲を起こしていただくために、生産者米価のある程度の補償というものについては、私どももできるだけいたすことが必要である、こういう見解でございますけれども、それを決定します前に米審におはかりをいたす。その米審の構成員について国会議員の方をわずらわすかどうかということとは、私は別につながりはないと思います。しかしながら、いまさっきからお話しのように、委員について国会に議席を持っておられる方をお願いするかどうかということについての意見がきまっておらない問題でありますが、前段の米作農家の経済を確保し、明日への生産意欲を持っていただくために政府は最善の努力をするということは、あなたと全く同じ考えであります。
  100. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間も過ぎましたので、あと二点だけにしぼって御質問したいと存じます。  第一点は、大臣の御答弁きわめて注目すべき答弁だと存じますので、たとえば一般生産農民の全国の連合組織である日本農民組合、あるいはその中に包含する総評関係の各民主団体、あるいは各単位組織を持つ全国の農協関係の連合組織、こういうふうな機関等の意見というものを十分に私はこの際お聞きすべきだと思うのですが、この辺どのような御所見か、お伺いしたいと存じます。
  101. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 農林省におきましては、農業団体とは従来もそうであったかもしれませんが、特に最近は密接な連絡を保ちまして、ひとり米価のことのみならず、日本農業を進めてまいるために緊密な連絡をいたしております。したがって、生産者米価につきましても、基礎的によってきたる数字、算定方式等につきましても、それぞれの方々とわれわれのほうとはいろいろなお話し合いをいたして、十分それに一致するかどうかということは別問題といたしまして、生産者側の御意見等については十分よくこなしてまいるつもりでございます。また農業団体もそういうことに非常に協力的でございます。いろいろな申し出がございますけれども消費者側に立つ人たちが国会議員云々のことについていろいろ申されてきておる文書がまいっておりますけれども、私どもといたしましては、いろいろな方の各方面の御意見を承りまして、政府のこれに対する態度をきめてまいりたいということは、先ほど申し上げましたとおりでございます。
  102. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に、特に要望し、またお聞きしたいことは、先ほど当初質問しましたとおりに、米価審議委員の十一名のいわゆる中立あるいは学識経験者等が辞表を出したということは、やはり今後の米審の運営にあたりまして、相当大臣の諮問機関として慎重な配慮がなされなければ、差し迫っておるところの麦価の問題、また米価の作定にあたりましても相当困難が伴うのではないか。  この前、どこの新聞だったかわかりませんが、現在の米価審議会というのは、急行列車にたとえるならば、通過駅に取り残されたお客さんみたいな存在であって、全く存在価値というものが認められておらないというように皮肉った表現もなされておりましたが、特に今後、米審の存在というものが、むしろ強化される形において、あるいは先ほど柴田委員も指摘しましたとおり、鉄道運賃なり郵便料金などと同様、いわゆる国民全体に重大な影響を与える問題でございますし、今後の課題として、やはりこれは米審の強化もしくはこれが答申というものがやはり百パーセント尊重されるような運営に持っていくなり、さらに社会党が主張しておりますように、特にこれは生産農民、消費者ともに重大な国民生活に関係の深い課題でございますから、当然今後の課題として、これは国会の議決に待つべき方向にこの米価問題を持っていくべきではなかろうかと考えるわけであります。この点、特に今後の米審の運用、答申の尊重、さらに米価作定にあたっての国会における議決、こういう問題等を検討すべき段階ではないかと考えますが、以上要望と、それから御見解をただしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  103. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米価決定にあたりましては、食管法の示しますように、生産者の所得方式を中心といたしまして、米審の意見を承り、決定をいたしたいと思います。  御意見の決定方式等につきまして、将来のことにつきましては、私ども慎重に検討いたしまして、多くの国民納得のできるような方向に持ってまいりたい、こう思っております。
  104. 本名武

    本名委員長 中村時雄君。
  105. 中村時雄

    ○中村(時)委員 先ほどからいろいろ社会党の質問に対して御答弁をされている。しかし、確定的な一つの結論というものがなかなか出てないようなので、時間の許す限り私も米価問題まで進めていきたいと思います。  まず第一に、私ちょっとお聞きしておきたいのは、現在ジュネーブで開かれておりますケネディラウンドにおいて、十五日の夜、きょうの新聞を見ますと、日本時間にすると本日の朝になるわけでありますが、宮澤長官の談話の中に、穀物援助の問題は政府が考えておるようなところで落ちつくであろう、こう言っておりますが、一体政府はどういう考えを持ってこの問題に臨まれたのか、お聞きしたいと思うのです。
  106. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 新聞の報道はいろいろございますが、政府に対してまだ確報はございませんので、その点について明確なことを申し上げることは困難でありますが、このたびのケネディラウンドにおきましては、御承知のように、穀物協定の中で国内政策及びその輸入量の約束というのがあります。それから価格帯の大幅な引き上げ、それから粗粒穀物の取り扱い、もう一つは、いまお話のワク内における低開発国援助、私どもといたしましては、ケネディラウンド考え方一般的であり、自由な取引を各国がやることによって流通を円滑ならしめると同時に、各国の交流を盛んにしていこうという基本的な考え方はけっこうだと思います。わが国農作物に対して、先ほどお話のありましたような点で自由化することの不可能な問題については断じて譲ることはいたしませんけれども、その他の可能なものにおいてはケネディラウンドの協定を妥結するほうがわが国全体としては利益ではないか、このような方針に基づいて折衝せしめておったわけでありますが、いろいろな点において妥結を見た模様でありますけれども、最後の穀物の低開発国援助協定につきましては、わがほうの主張で完全に対立をいたした。そこで、だんだんと折衝をいたしました結果、やや妥協に傾いてきておるようでありますが、それは、当初アメリカやEEC、英国などが約束をいたしましたようなものとは、私どもといたしましてはその主張を異にする、今日まで代表がそういうことで折衝いたしてきておるわけであります。元来、わが国は、英国と並んで食糧の大輸入国でありますから、そういう輸入をすると同時に、今度はその輸入をしておる物の値を若干上げられたと同時に、低開発国に対する食糧援助というふうなことをケネディラウンドのようなところでまとめて話し合うということは筋が通らないということで、わがほうはそういう主張をやってきたわけであります。
  107. 中村時雄

    ○中村(時)委員 先ほど大臣の出席がおくれたのは、このような重大な問題のいろいろな相談にあずかっておる。これは緊急の問題でもあるし、将来食糧事情の上から一つの目標になってくるので、私は緊急にこのことを御質問しているわけなので、その点御了承願いたいと思っております。  私も、いま大臣のおっしゃったように、ケネディラウンド一つの関税引き下げの中において、この食糧事情を取り上げて云々するということは、非常に問題の取り上げ方の焦点としては合ってないのじゃないか、こういうふうに思っております。だがしかし、一応取り上げられたものは取り上げられたもので、きょうの新聞紙上を見てみますと、一部の新聞では、御承知のように、宮澤企画庁長官との対談まで載っておる。そこで、考えてみますと、宮澤さんがこういうことを言っていらっしゃる。日本の援助分担率は総額四百五十万トンの五%とすることなどを一応きめられたものである。そういたしますと、日本のほうの小麦の国際基準の価格、これも上限と下限があるのですが、宮澤さんの取り上げていらっしゃるのは一ブッシェル当たり一ドル七十三セント、この方向であるならば大体いけるのじゃないか、こういうふうな御発表をされておる。ところが、実際の国際価格の水準の立て方というものは、下限のとり方をしておるのであって、上限というものは二ドル十三セントを上限としておる。そうすると、そういう姿の中でいま申しました四百五十万トンの五%を日本が支給するという方向の確率が生まれる場合に、いずれあとからお尋ねをいたしますが、世界の食糧事情の中において、現在の——過去ではありません。現在の食糧事情の中において、ほんとうにそういうことが可能となってあらわれてくるかどうか、そういう点はお互いに研究をし、お互い方向を確立する。私は質問をしてあなたのあげ足をとろうとは思っておりません。非常に重大な問題なので、そういう点での御見解をひとつお聞きしておきたい。
  108. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 穀物協定で、ある程度のものが輸出国の要望によって引き上げられるということにつきましては、ただいまお話があったようであります。そこで、私どもといたしましては、そのかわりに、今度はこちらで輸出すべきものの関税定率を引き下げるということのいろいろな交換をいたしてみますと、究極においてはこれを取りまとめるほうがいいのではないかと判断をいたしたわけであります。援助につきましては、先ほど私が申し上げたことで御了解を願いたいと思います。
  109. 中村時雄

    ○中村(時)委員 確かに、関税一括引き下げの交渉という問題は、総体的には私も異論はございません。しかし、個々の問題となると、いろいろな問題があるわけです。先般も、大臣は、参議院の予算委員会関係でちょっと顔を出してすぐ帰られましたが、バナナの問題でもそうであります。  非常に高率であるという。高率であるという反面には、農業生産をどう擁護するかというたてまえが生まれているから高率になっておる。それを一年間五%ずつ、二年間にわたって一〇%引き下げる。ところが、自民党の話では特にあなたの選挙区であるところの長野県のリンゴをその交渉に持っていくこと、さらにはまた国内の機構を整備する、この二つの条件でこれを認めるというような行き方をしておる。ところが、実際の問題として、大蔵省のほうに問いただしてみますと、そうではない。ケネディラウンドの一環として実際の関税引き下げをやらなくちゃならないのだ、このほうが私は筋が通っておると思う。また、一部の政策の上からくるその一〇%引き下げによって、バナナの価格は安くなるとおっしゃる。しかし、そのことを私は具体的に一つ一つの項目を並べまして原価計算をして、事実においては引き下げという方向はできないのじゃないかということを申しましたら、それもそのとおりになっている。そういうふうに、ただ一つの国内的な状況の中で個々の問題を取り上げられた場合には、いろいろな問題があると思うのです。そうすると、問題としての転換をしますと、いまの世界の食糧事情の中で、日本ははたして五%の責任がとれるかどうか。口では言えますよ。そういう点ではどういうようにお考えになっていらっしゃるか。
  110. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど私どもが反対をいたしております理由の中に申し上げましたように、わが国輸入国でございます輸入したものでそのまま低開発国に物で援助するなどということをケネディラウンドの協定に加えることは、大体筋が通らぬ。こんなところへそういうものを持ってくるのが間違いだということで、われわれは反対をいたしたわけであります。ところが、御存じのように、四重要国といわれておりますアメリカ、イギリスEEC日本——もイギリスも大体において四百五十万トンを了承いたした模様であります。イギリスも、EECの中でフランスもそうでありますが、彼らは、過去の歴史で、南アフリカ等については何らかの形でかつての植民地に食糧援助的なことをやらなければならない政治的理由をたくさん持っています。したがって、彼らは腹の中で、援助をといっても、どうせする援助をこういうところでそのワク内でやっていることはさしたる苦痛はないでしょう。しかし、わが国はそういうものを持ってないのでありまして、ただ援助はすなわち援助であります。しかも私どもは、今度のケネディラウンドでも主張させておりますし、また国内でもそういうふうに感じておりますのは、われわれはやはり東南アジアの平和のためにどうしても早く彼らのよって立つ農業というものを助けることが必要である、こういう見地に立ってアジア農業開発閣僚会議などをいたしまして、アジア開銀の中に一定の基金を設けたりしてこれを援助することにいたしておりますが、これは食いものをただ与えるということではなくて、生産を増強して生活を安定させるということが第一の目的でございます。食糧の援助を与えましたのは、飢餓に瀕しておるインド、それからややそれに似ておったインドネシア等には、先般御承知のように援助をいたしましたけれども、しかも今度のケネディラウンドで問題になっておりますのは小麦であります。東南アジアの人々がほしいのはむしろ米であります。そういうところを考えてみますと、私どもは、宮澤長官が出先でどういう約束をいたしおるか、その約束が取りきめられたかどうか、その点については留保されておりますので、まだつまびらかにされておりませんけれども、宮澤君はおそらく四百五十万トンの中の五%というものを了承したと申しますのは、小麦に換算して二十二万五千トン、千四百万ドルそこそこになるだろう。これはそういう英国やEECと同じようなことをやろうというのではない。むしろ、われわれのほうが言っておりましたように、肥料とかその他のもので援助をしてやろうということを前々から主張いたしておりましたので、どういう形でその四百五十万トンの五%に該当するものを協定いたしたかということについての内容をつまびらかにいたしておりませんが、われわれは、いま申し上げましたように、英国やEECの引き受けましたような援助は、あり南定の中で取り結ぶことは筋が通らぬ、こういうことを言っておるわけであります。
  111. 中村時雄

    ○中村(時)委員 その点了解をいたしましたが、私の言っているのは、その五%という問題は、一つ食糧問題としては、御承知のように二つに分けて考えられる。一つは人間が主体として食べるところの食糧問題であり、これは特に低開発国が中心になってあらわれてくる、こういうふうに見ていいのじゃないかと思う。もう一つ方向は飼料の問題でございますが、人間の食糧は、主としていま言ったように低開発国ですが、いままで出しておった、たとえばアメリカであるとか、カナダであるとか、フランスであるとか、そういうふうな一つ方向というものが、昔の手持ちの数量と違って、出回ってくる数量というものは非常に少なくなっておる。だから、そういう少ない中に、はたして日本がそういう責任をとれるかどうか。たとえばその内容を見てみますと、日本の低開発国に対する食糧援助として毎年三十二万五千トンの小麦、雑穀または現金を供給する、こういうふうになっておる。そうすると、現金を出してそれを買われるにいたしましても、それだけの余剰価値がはたして世界食糧事情の中にあるかどうかということです。かりに日本輸入国であるがゆえに金を出して物を買って向こうへ納めるという問題は別にして、いまの食糧事情の中においてそういう取り上げ方ができるかどうか。ただ話の内容ではできますよ。それだけの食糧を買うてきておまえに渡してやろうこういう、ことはできる。しかし、問題の主体は、そうことでなくして、どういう現在の食糧事情になっておるか、そのほうが私は大事だと思うのです。そういうたてまえをとったときに、アメリカにしても、手持ち数量はうんと減っております。カナダにしても昨年の不作で非常に困っておる。おそらく輸出ができるような状態ではないと思っておる。そういうときに、いま言った小麦の援助方式をもし日本が承認するとなれば、日本の背任行為が出るのではないかというおそれがあるので、私はそういうことを言っておる。  そうすると、日本の立つ姿というものは、二つの面が出てくる。一つは、先ほど大臣のおっしゃったように、食糧輸入しているような日本立場という問題と、世界の食糧事情という二つの観点の上からいって、先ほどあなたもちょっとおっしゃいましたが、肥料の問題であるとか、あるいは農機具をそのかわりに輸出をするとか、そして向こうの国の生産の向上の方向日本方向というものを明確に打ち出して行く最もいいチャンスではないか、こういうふうに考えられてくる。そういう立場から私はあなたの真意を聞いておきたかった、こういう質問のしかたなんですから、その点御答弁を願いたいと思うのです。
  112. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど申しましたように、その食糧援助の内容についてはまだ確報がございませんので、何ともここで仮定して申し上げることは困難かと思いますが、われわれが可能な限りにおいてやり得ることは、買い入れたものをそのままただで提供してやるということよりも、やはりわが国の可能なやり方によって援助をする、この援助というものは、一般的に世界全体の利益になることであるから、それをあえて日本は拒もうとはいたしませんが、日本に合ったようなやり方でこの援助をやるべきである、私はそういうふうに思っております。
  113. 中村時雄

    ○中村(時)委員 それでいいと思いますけれども現実にそういう問題が出てきたのです。というのは、先般私がフィリピンに行ったとき、大統領あるいは農林大臣と会ってみました。ところが、向こうの要望しているものは、やはりそういう生産技術に対する援助であるとか、あるいはいま言った農機具、肥料等の現物援助であるとか、もちろん、内容についてはいろいろな問題がからんでおりますけれども、そういうことをよく言われている。だから、その方向の確立を誤らなかったら、私は、いま言ったように小麦の現物給与じゃなくとも、日本立場というものは明確に打ち出せる。しかもほんとうに現地の生産の向上をはかるという立場の援助ができるのじゃないか、それを一つ言っておきたかった。それとも、しもそうでないということになりますと、先ほどあなたもおっしゃいましたが、トン当たりいま言った上限下限というものを勘案いたしますと、日本の分担というものは年間大体二十二万五千トンくらいになるのじゃないか。金額に直しまして千四百三十万ドル前後というものになるのじゃないか。だから、それだけの大きなものを持つならば、いま言った方向に腹をしっかり締めてこの際やっていただきたい。  ただ、私が質問したのは、おそらく宮澤さんの話では、政府の考えていることを前提にして発言をされていらっしゃるから、あなたもその内容を十分承知の上で言われたのじゃないか、こういうふうに思ったものですから、御質問した、こういうことなんですが、その点の内容のこまかい点がおわかりにならなければ、帰ってからでもけっこうですから、その結果だけの報告はしておいていただきたい。  それから、いずれ、日本農業政策の基本的な姿勢の問題等に対しましては、次の委員会においてこれを取り上げたいと思っておりますので、委員長のほうで取り計らいを願いたい、こう思っております。
  114. 本名武

    本名委員長 引き続き理事会を開会することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕