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1967-07-06 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月六日(木曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       青木 正久君    赤城 宗徳君       荒舩清十郎君    内海 英男君       加藤 六月君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       高橋清一郎君    橋口  隆君       藤波 孝生君   三ツ林弥太郎君       村上信二郎君    山下 元利君       淡谷 悠藏君    小川 三男君       木原  実君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         防衛政務次官  浦野 幸男君         防衛庁長官官房         長       海原  治君         防衛庁防衛局長 島田  豊君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛庁人事局長 宍戸 基男君         防衛庁経理局長 大村 筆雄君         防衛庁装備局長 國井  眞君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君 委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 七月六日  委員赤城宗徳君、荒舩清十郎君、高橋清一郎  君、稻村隆一君及び米内山義一郎辞任につ  き、その補欠として橋口隆君、三ツ林弥太郎  君、青木正久君、淡谷悠藏君及び小川三男君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏君及び小川三男辞任につき、そ  の補欠として稻付隆一君及び米内山義一郎君が  議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月五日  旧軍人等に対する恩給処遇に関する陳情書  (第二〇五号)  水戸対地射爆場の返還促進に関する陳情書  (第二〇六号)  建設関係現場職員給与改善に関する陳情書  (第二〇七号)  靖国神社の国家護持に関する陳情書  (  第二〇八号)  同(第二四〇号)  郵政省設置法の一部を改正する法律案成立促  進に関する陳情書  (第二三〇号)  在外財産補償のための引揚者在外期間の計算に  関する陳情書  (第二三九号)  旧軍人恩給に関する陳情書外二件  (第二六一号)  同外九件  (第二九四号)  金沢郵政監察局存置に関する陳情書  (第二六二号)  憲法の一部改正に関する陳情書  (第二八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)      ――――◇―――――
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。木原実君。
  3. 木原実

    木原(実)委員 前回に続いてお尋ねをしたいわけでございますけれども、最初に基地関係の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  この数日来、当委員会におきましても、基地の問題と基地周辺農民諸君住民との関係等につきまして、いろいろな角度からの質問がございました。その際、先日の長官の御発言で、自衛隊基地住民関係につきましては、きめこまかに心から了解を得て基地の設営を行ないたい、こういう趣旨の御発言がございましたけれども基地住民関係につきましては、そういうふうに御了解をしてよろしゅうございますか。
  4. 増田甲子七

    増田国務大臣 木原さんにお答えいたします。  そのとおり御了解くだすってけっこうでございます。
  5. 木原実

    木原(実)委員 ところが、なかなかそうまいっていないという実情がたくさんあるようでございます。  具体的なことで初めにお伺いをいたしたいわけでございますけれども、千葉県の柏市に御案内のように現在ホーク基地がほぼ完成をいたしたようでございます。ところが、このホーク基地建設過程につきまして、どうも防衛庁やり方住民との関係というものが了解点に達していない。そのために、地元の自治体をはじめといたしまして、たいへん迷惑をし、混乱をいたしておるという実情がございます。  そこで、お伺いをしたいわけでございますけれども、この柏におけるホーク基地建設というのは、去る四十年の二月ごろ、地元ホーク基地ができるのではないか、こういう話が伝わりまして、当時四十年の三月でございましたか、参議院におきまして、加瀬議員のほうからこの点を防衛当局にただしました。ところが、そのときの長官の御発言では、これはホーク基地ではないんだ、射撃場なんだ、こういう御返答がございました。それを受けまして、地元の柏市会におきましては、満場一致で基地反対決議をいたしました。続きまして、柏市会を代表いたしまして防衛当局に陳情いたしました際、当時の次官の御答弁では、これまた、ホーク基地ではございません、従来の射撃場を拡充するものだ、こういう御答弁がございました。   〔発言する者多し〕
  6. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  7. 木原実

    木原(実)委員 ところが、その後、四十一年度になりまして、どうもホーク基地らしい、こういう話に相なりまして、再度市会では反対決議し、それから防衛当局にただしたわけでございますけれども、そのときの返答も、射撃場拡張である、こういう御返答でございました。ところが、本年に入りまして、にわかに基地整備が行なわれ、去る五月三日、これはあたかも憲法記念日の早暁でございましたけれども、突如としてホークの胴体が持ち込まれる、こういうことに相なったわけでございます。  そこで、こうなりますと、防衛当局が公式の場で発言をなさって、これは射撃場だ、こういう御返答であり、地元市会の正式の代表に対しましても、そういう御返答であった。ところが、できてみたものはホーク基地であった。これでは、何といいますか、一言で言えば、防衛当局やり方というのは、地元住民をだましたのではないか、こういうことに相なるわけでございまして、地元市会あるいは市長、それから市民一般にとりましても、はなはだしく防衛当局やり方に対して不信を抱いている、こういう実情でございます。  そこで、お伺いをしたいわけでございますけれども、一体どういう了解地元と取りつけたのか、この点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  8. 鈴木昇

    鈴木(昇)政府委員 柏の射撃場拡張につきましては、ただいま御指摘のように、昭和三十九年の秋ごろから地元とお話し合いをしてまいったわけでございますが、その後、翌年の四月、春に至りまして、一部の新聞が、ホーク基地を設置するのではないかというふうなことを報道いたしましたことから、地元方々から、市会あるいは市長さんというふうな方のお問い合わせがございました。当時におきましては、まだ第二次ホーク首都防衛のための配置位置というものは、これは一カ所でございませんので、それらのものの関係等からいたしまして決定を見ていなかったという段階でございましたので、当時におきましては、いまだ決定しておらないということをお答え申し上げたわけでございまして、御指摘のように、四十年の三月十三日の参議院予算委員会で、加瀬委員からの御質問に対しまして、小泉長官は、柏の土地買収は、射撃場を広くするという懸案の事項を進めているにすぎない、また、ホーク基地になるとかならないとかいうことは、いまの段階では明瞭に申し上げる段階ではございません、というふうなことをお答え申し上げておる次第でございます。その後関東地区におきますホーク配置位置等につきまして、次第に検討が進められてまいりまして、候補地についていろいろな検討が進められたわけでございます。  そこで、ホーク基地になる候補地ホーク訓練場候補地であることがあり得るというような段階に逐次至ってまいったわけでございますが、その間におきまして、市の当局方々には、松戸の補給処長、あるいは下志津高射学校長、あるいは陸幕第四部長というような方がお目にかかりまして、いろいろと御相談を申し上げてまいったわけでございます。四十一年の四月九日に——いろいろ反対があるようでございますけれども実物を見ていただいて御判断願うのが一番いいのじゃないかということから、たまたま四月九日が下志津高射学校創立記念日でございました。そこで、柏の市会議員市長、助役さん等幹部方々三十数名の方にお越しを願って、現物を見ていただくと同時に、詳細な説明を試みて御了解を願ったわけでございます。  その際の私どもの得ました印象といたしましては、何かこういうものかというふうな御判断をいただいたようでございます。そこで、越えて四月十四日に下志津高射学校長が柏市に参りまして、市長さんに、近く工事に着工いたしたいということについての御了解を得たということでございます。
  9. 木原実

    木原(実)委員 御了解を得たというわけでございますけれども、どうも市議会での市長発言では、了解を与えていない、こういうわけなんです。したがいまして、この射撃場からホーク基地になる過程というのが、なるほど防衛当局のほうでの計画変更があったというふうには受け取れましたけれども地元では、その点についての了解もほとんどない。  そこで、問題は二つあるわけですけれども、いわゆる射撃場——ホーク基地土地を提供した地主人たちに対する話し合いがどういう中身であったのか、こういうことと、それからもう一つは、下志津基地市長等を御案内してホーク実物を見せて、そのときの印象ではわかってもらえたのではないかということですけれども、確かにそのときに参りました市長市会議員諸君が来て報告をしておりましたけれども、それだけで市議会反対決議をくつがえすものではなかった、こういうことですから、地元市議会としては、これは反対決議は生きているのだ、こういうことに実は相なっておるわけでございます。  ともかく、それがいきさつでございますけれども、実際に地主に対する了解について、どういう話し合いをしたのか、その辺をひとつ明らかにしてもらいたい。
  10. 鈴木昇

    鈴木(昇)政府委員 地主に対しまして土地買収交渉は、四十年の一月中ごろから数回にわたって持たれております。それらの交渉は、地元農業協同組合とかお寺とかいうふうなところを使いまして——何しろ関係者が七十名程度おりまして、多いものでございますから、それらの方に対していろいろ御説明をしてまいったわけでございます。したがって、価額交渉のことはともかくといたしまして、御指摘ホーク関係了解はどうかということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、四十年の二月の終わりころに新聞に報道されたという関係からいたしまして、土地買収交渉の間におきまして、地主さん方からそういうことについて御質問が出ております。特に四十年の四月二十三日に、五十名からの地主さんがお集まりになった吉乗院でのあれでは、文書をもって回答をしてくれというお話がございましたので、それに対しましては、文書で御回答を申し上げますということで、このような回答をいたしております。  最近、新聞紙上に発表されているごとく、ミサイル基地候補地ということだが、将来その基地にする計画があるかないかという御質問に対しまして、首都防衛のために関東地区に第二次防空部隊を配置したいと、目下地区内の自衛隊施設駐留軍施設等についてその可能性を調査をしている段階であって、柏地区は現在までのところ候補地にはなっておりません。しかしながら、検討が進んだ段階において、柏地区候補地にならないということは断言できませんというのが第一点でございます。  第二点は、ミサイル基地または他の射撃場に変更しないという公文書地主に手交することができるかできないかという問いに対しましては、今後具体的検討の結果、候補地一つとして取り上げられる場合もあり得るので、将来にわたってホーク基地にしないという約束はできませんというお答えを申し上げている次第でございます。
  11. 木原実

    木原(実)委員 その際に、何か代償条件についてお話はいたしましたか。お約束をいたしましたか。たとえば、土地を提供してくれれば道路補修をするとか……。
  12. 鈴木昇

    鈴木(昇)政府委員 この地主との話は、もっぱら土地の広さの問題、それから、そこにあります道路水路のつけかえの問題及び価額内容としたものでございまして、周辺と申しましても、どの範囲かちょっとわかりかねるのでございますが、その内容はございます、その程度の内容のことは。
  13. 木原実

    木原(実)委員 代償事項はあったわけでございますね。たとえば道路補修をするとか広げるとか……。
  14. 鈴木昇

    鈴木(昇)政府委員 施設ができます際に、その取得される土地の中にある道路をどうするかということ、その取得される土地の中を通っておる水路のつけかえの問題、並びに進入路施設に入ってくる道路をどうするかという問題については、御相談をいたしております。
  15. 木原実

    木原(実)委員 再度確認をいたしておきますけれども、それでは補修道路その他については具体的な計画をお示しになりましたか、地主に対しまして。
  16. 鈴木昇

    鈴木(昇)政府委員 示しております。
  17. 木原実

    木原(実)委員 それでは、示された内容につきましては、私どもにひとつ資料として提出していただきたいと思います。  なお、ついでに伺っておきたいわけでございますが、基地安全対策というのはお考えになっていらっしゃるのですか。
  18. 鈴木昇

    鈴木(昇)政府委員 基地対策といたしましては、御承知のように周辺整備に関する法律がございますが、基地の運営によりまして各種の障害が生じて、地方の住民の方に御迷惑をかけるというものにつきましては、それらの障害の除去あるいは緩和に資するための諸般の工事等を行なうということになっております。そのようなことが起こればその対策を講じなければならない、こう考えておるわけでございます。
  19. 木原実

    木原(実)委員 これは長官にお伺いいたしますけれども基地安全対策一般につきましては、たとえば火災その他につきましては、御承知のように消防法から適用除外をされておると思いますけれども、いままで基地関係火災あるいはその他の事故、そういうものが一体全国的にどれくらいの件数にのぼっているのですか、報告がございますか。
  20. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 基地周辺事故と申しましてもいろいろございますが、ただいまちょっとその資料を持ち合わせておりません。
  21. 木原実

    木原(実)委員 基地内の報告があがっていないんじゃないかという話を聞くわけなんです。つまり消防法から除外をされて、たとえばこれはアメリカ駐留軍基地の場合もそうですけれども火災等があった場合には日本消防車は入れない。事前の査察が行なわれない。内部で安全対策をやっておるわけでございましょうけれども、その実情というものは付近住民にはわからないわけです。地元消防隊も入れないわけですから、消防基地のことに関しては完全なお手あげ。従来もそういう問題が間々あったわけです。  御承知のように多摩の弾薬庫等の問題につきましても、火災事故の場合に、消防車が入り口のところで押し問答をしておるという始末なんです。こういう法律の上では消防法適用除外になっておるわけですけれども、これでは付近住民の不安がほんとうに解消されるものかどうか。第一に、そういう基地内で起こった事故件数はおそらく中央で掌握していないはずなんです。いかがですか。
  22. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 基地内におきましての事故件数は、ただいま手元に持っておりませんが、私が存じております例を申し上げますと、福岡県の芦屋の射爆撃場、ここの施設の中で火災が生じました。御承知のとおりあの施設の中には防風林がございまして、地元人たちはいち早くそれを見つけまして、もちろん航空自衛隊からも出動いたしまして消火につとめましたが、地元遠賀支署のほうからも急遽消防車がかけつけて消火につとめたという事例はございます。したがいまして、こういう事例もございますので、昨年制定されました基地周辺整備法におきましては、そういう場合の措置といたしまして、消防施設地元が設備したいという場合には、国がその所要額の半額を助成するということとで、現に昨年度より実施に移しております。
  23. 木原実

    木原(実)委員 安全性の問題につきましては、いろいろ問題が残っておると思いますけれどもホークというのはたいへん安全度が高いと説明を受けているのですから、安全度は高いだろうと思います。しかしながら、これまた絶対に事故がないとは限らないわけです。具体的なことになりますけれども、柏のホーク基地には、どれくらいの弾頭が入れられているものでしょうか。あるいはまた、これが爆発をした場合には、どれくらいの影響力があるのか。
  24. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ホーク運用の問題に関する御質問でございますので、私から御答弁を申し上げますが、ホークについては十分安全性を確保されておりまして、ホークミサイル自体事故を起こすということはいまだかつてないわけでございます。  なお、ホークを配置いたしましても、実際に実射の訓練をやりますのは、現在はアメリカに行って実射の訓練をやっております。将来国内に射場を設けます場合には国内でやろうということで、柏その他のいわゆるホーク配置場所におきましては、ふだんは実射をいたさない限度においての訓練をやる、こういうことでございます。実射に伴う危険というものはございません。  なお、ホークミサイルそのものにつきましては、これは現地に一個中隊ですと六ランチャーございまして、それに三発ずつホークを装備するわけでございます。したがいまして、ミサイルといたしましては十八発ということになるわけで、それ以外の備蓄につきましては、これは別に弾薬庫に格約しておる、こうことでございます。したがいまして、通常の場合におきまして、ホークを配置することによる危険ということはないというふうに考えております。
  25. 木原実

    木原(実)委員 危険がないということですが、これはないと言えばないのでしょうが、絶対ということは言えないだろうと思うのです。ただそういうことで、時間がございませんので、このことに関しては打ち切りたいと思いますけれども基地ができた場合、最大の不安は安全の問題だと思うのです。したがいまして、消防法適用除外その他のいろんな特例があるわけでありますけれども、どうぞ基地内の安全問題については、それこそ地元と一体になって確保するように特に要望いたしておきたいと思います。  それではこの問題を打ち切りますが、次に防衛産業の問題について初めに長官にお伺いいたしたいと思います。  先日来、今年度から始まります三次防の予算のことにつきまして、長官の御見解は、これは国民所得の上から見て必ずしも高くはない、しかし、いろいろな事情があって、これでちょうどいいところだろう、こういう御発言もございました。なお、願わくば、将来国民所得の上で比較して、さらに大きな金額がほしいというふうに聞き取れるような御発言もございました。この点で御見解をただしておきたいと思いますけれども、私どもはこの三次防の計画を見ました場合に、一つには五カ年間という長期にわたりましていわば予算を先取りしておるわけであります。ですから、たとえば国民所得に比較をしてこの軍事費の支出が低い、こういうような判断だけの問題ではなくて、一つには五カ年という長期にわたって二兆四千億プラスマイナス二百五十億という金が、国の財政からそれだけ先取りされておる、こういうことになりますと、おそらくこれから先、経済的な変動があって、たとえば来年不況が来て税収が減るという場合にも、この分だけはいわば優先的に取っていく、こういうことにもなっておるわけであります。そういうような観点その他を考えてみますと、現在の日本国情から申しまして、必ずしも私どもはこれは小さな金額ではない、こういうふうに考えるわけであります。したがいまして、予算運用上その他の問題もございますけれども、そういう形で新しい計画が進められるわけでございますけれども、何といいますか、防衛産業国産化していく、育成をしていくいろいろな観点がおありだろうと思うのですが、防衛庁としては、そういう予算編成上の問題その他に関連をして、一体適正と考えて御承認になったんだろうと思うのですけれども、それらの点についての御見解をもう一度承っておきたいと思うのです。
  26. 増田甲子七

    増田国務大臣 木原さんにお答えいたします。  この数日来のお話でも木原さんよくおわかりのとおり、国防会議等において慎重審議いたしまして決定した線が総理大臣に答申されております。総理大臣は、この答申を受けて閣議決定をみたのが二兆三千四百億円プラスマイナス二百五十億ということでございます。  そこで、そのうちの物資調達は幾らあるかという御質問も従来からございまして、木原さん御承知のとおり約九千億円でございます。そのうち国内調達が八千億円でございまして、この八千億円の範囲内におきましては、なるべくりっぱな、しっかりした国防産業育成されるようにということは、もとより考えておるわけでございます。  それから、予算先取りというようなことをおっしゃいますが、それはお説のとおりでございまして、予算先取りにはなっております。しかし、たとえば建設道路予算にいたしましても、六兆六千億円という数字がおよそきまっておるわけでございまして、これもおよそのめどとして予算先取りには相なっておるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、国の他の施策に支障がないように、額としては財政経済国情、国力から見まして妥当な線である、こう考えておる次第でございます。
  27. 木原実

    木原(実)委員 もう一点お伺いいたしておきますけれども、新しく兵器の購入をする、兵器国産化ということが打ち出されておるわけでありますが、ただ今度の計画で購入されるであろう兵器等につきましては、ある意味では、新しいものについては、アメリカからまるまる買ってきたほうがコストの面では安くつくのではないか、こういう見解もあると思うのですが、いかがですか。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 まるまる買ってきたほうが安くつくということも初年度、二年度等においては言えると思います。しかしながら、やはり補給その他のことを考えますと、国内防衛産業をある程度やっていきませんと、すべて向こうにかかりきりというようなことではまずいということを私は考えておる次第でございます。
  29. 木原実

    木原(実)委員 そこで、お伺いいたしたいわけでありますけれども兵器国産化国内での兵器産業育成する、防衛産業育成をするという御発言でございますけれども、どうも従来の実績を見ますと、兵器の発注をするところ、あるいは武器の生産をするところというのは、きわめて限られた企業ということになっておるわけですが、何か技術上の問題なのか、コスト上の問題なのか、きわめて限られた企業生産を契約しておる、こういう面があるわけですが、いかがですか。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 細部にわたりましては装備局長からお答え申し上げますが、従来国防産業のことに非常になれておる。でございますから、全然新しいものにやるということはかえっておもしろくないというようなこともあると思います。そこで、国防産業に限りまして、随意契約ということも許されておりますし、指名による競争入札も許されておりますし、一般購入ということも許されておる。この三つの段階のうちで、どちらかと申せば随契がわりあいに多いのでございますが、これはやはり国防関係の事務当局から見まして、技術的良心、事務的良心から見まして、これが最も妥当な線であるというところへ随契をするのでございまして、特に片寄らせるというつもりはございません。ただ、新しいところにもやらしたほうがいいという線がございましたならばやらせたいと私自身は思っております。しかし、新しいところでやって、初めて注文を受けたけれども、どうもうまくできないということであれば、やはり国民の皆さまに申しわけないということで随意契約が許されているのではないか。一般的な答えで恐縮でございますが、細部にわたりましては装備局長からお答え申し上げます。
  31. 國井眞

    ○國井政府委員 ただいま長官からお答えいたしましたとおりでございますが、私ども調達をいたしますものは、一般民間で使うものと同じものというものでない特殊の兵器等防衛庁だけが使うというようなものが相当あるわけでございます。したがって、そういったものの生産技術は、必ずしもどこの会社でもできるということではございませんので、やはりある範囲に限られたものだけが生産できるというようなものもあるわけでございます。  それから、外国と技術提携をして、その結果、国内の産業が生産をするというようなものにつきましては、たとえばバッジの例でございますが、まず機種がきまりまして、どういった機種のものをとるかということがきまりますと、それを生産するところがおのずからきまってくるというようなものもあるわけでございます。ただ、私どもこれを、その他のものを含めまして、できる限り一般競争でいけるものは一般競争でいこうという考えでおりまして、ただいま長官からもお話ございましたが、随意契約で調達しておりますものは比率で申し上げますと大体三九%でございます。これは最近の件数でございます。その他は一般競争あるいは指名競争という形になっております。ただ、金額では、ものによって非常に一件でかたまるものがございますので、金額で申しますと必ずしもそういうふうにはならないのでございますけれども、そういう配慮を十分いたしていくという考えでございます。  なお、調達にあたりましては、それぞれ会計法あるいは予決令という法規がございますが、これにのっとりまして私ども適正な調達をするという考えでいっておりますし、また、部内的にも随意契約あるいは指名競争契約というような、ある限られた範囲での調達に入ります場合には、内部には指名随契審査会という機関を設けております。これは部内の需用の調達は調達実施本部というところでまとめてやるわけでございますが、その中の関係の課長、それから関係幕の担当者というような者が入りまして、適正な選定ができるように配慮をするわけでございます。
  32. 木原実

    木原(実)委員 おおむねわかりますけれども、私が心配いたしますのは、せっかく国内兵器産業育成することになるわけでありますが、どうもいままでの御説明を聞きましても、傾向としては兵器生産の一種の独占化あるいは寡占化、こういう現象がすでに出ているのじゃないか。こういうことになりますと、兵器産業の問題は、これからいろいろ日本の経済を動かす大きなものになっていく可能性があるわけであります。そうなりますと、そこに特殊な弊害が生まれてくるのではないか。こういう点について何か御配慮がございますか。
  33. 國井眞

    ○國井政府委員 ただいまの御意見は、独占化というものは必ずしも好ましくない、こういうお話でございまして、実は私どものほうから言いましても、ある一社だけしか生産できないということになりますと、将来引き続き調査をするということから考えますと、必ずしも好ましい事態ではございません。これはある程度の広がりを持った防衛産業としての基盤があって、私ども必要なときに必要なものが調達できる、これが好ましい状況でございますので、できるだけそういった方向を頭に入れながら私ども調達に当たっていく、こういう考えでございます。
  34. 木原実

    木原(実)委員 いろいろ問題が出ておるのですけれども一つ伺いをいたしておきたいわけです。  従来のいきさつの中で、調達関係ともなるわけでしょうけれども、どうもあまり役に立たないものを買い入れている面があるのじゃないかと思うのです。具体的にお伺いいたしますけれども、川崎航空で対潜哨戒機を従来買い入れていらっしゃいますね。これは現在使用されているのでしょうか。
  35. 國井眞

    ○國井政府委員 従来調達をいたしました航空機等については、これは私ども十分に活用しているはずでございます。
  36. 木原実

    木原(実)委員 三次防によりますと、四十六機量産という方式が打ち出されておりますけれども、これは間違いございませんか。
  37. 島田豊

    島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。
  38. 木原実

    木原(実)委員 これはすでに契約をして注文をしておるわけでございますか。
  39. 國井眞

    ○國井政府委員 全部は契約をいたしておりません。
  40. 木原実

    木原(実)委員 いたしてないわけですね。
  41. 國井眞

    ○國井政府委員 はい。
  42. 木原実

    木原(実)委員 全部はといいますと、部分的には発注をいたしておるということですか。
  43. 國井眞

    ○國井政府委員 ただいま私が伺いましたのは、新しい対潜哨戒機P2Vだと思います。これは目下内部においていろいろ準備を進めている段階でございます。そこで、これは従来ありましたP2V7というものの改造をいろいろいたしまして、新しい性能のものに一種の研究開発的な要素を加えましてやったわけでございますが、これにつきましては、今後調達に当たるという状況でございます。
  44. 木原実

    木原(実)委員 その辺どうも私しろうとでよくわからないのですけれども、われわれの国会の関係で言いますと、予算が成立していない段階で、ある意味では研究投資みたいなことになるのでしょうが、その辺の手続は一体どういうことになるのでしょうか。
  45. 國井眞

    ○國井政府委員 いままで改造をいたしました段階におきましては、これは改造のためのいろいろな経費をとりまして改造をやってきておるわけでございまして、そのための製造の費用ということではなくて、改造のための経費というのを別途とっております。
  46. 木原実

    木原(実)委員 新明和工業というのがございますね。ここは対潜飛行艇の問題ですが、試作第一号あるいはこの第二号、こういうようなものの開発を推進して三十七年度から四十一年度までに約六十五億円の経費がかけられておる、こういうことになっておりますけれども、それは間違いございませんか。
  47. 國井眞

    ○國井政府委員 新明和におきまして新しい対潜飛行艇の開発をしてきたことは事実でございます。
  48. 木原実

    木原(実)委員 この試作品はすでにもう買い入れているわけですね。
  49. 國井眞

    ○國井政府委員 ことし入るわけでございます。
  50. 木原実

    木原(実)委員 その辺もわれわれわからないところでありますけれども、ことし入るというわけですが、まだでき上がっていない飛行艇にも従来金をかけてきた、こういう関係になりますね。
  51. 國井眞

    ○國井政府委員 これは、研究開発の段階におきましては、必ずしも私ども、技術研究本部の中であらゆる点を、部隊内としてあるいは防衛庁内として、すべての研究をするわけではございません。民間との協力でやるということで、いまの新明和の飛行艇等はまさにそうでございますが、その際、新明和でいろいろ開発をする段階の経費というものはこれは見てやらなければならないわけでございます。したがって、でき上がったものが全部入らないと、一切金は払わないということではございません。  なお、飛行艇を受け取りますまでには、いろいろ社内での試験飛行というような段階を経て受け取るわけでございます。
  52. 木原実

    木原(実)委員 どうもまだよくわからないわけですけれども、一体、それじゃ決算の場合に、そういうものについて支払いをした対象の物品名、そういうものを監査されたときには、どういうふうにお答えになりますか。
  53. 國井眞

    ○國井政府委員 これは年度別の支出計画というものが全体の経費のほかにあるわけでございます。それに応じて各年度どういうふうに金が出ているか、こういう御説明になるわけでございます。
  54. 木原実

    木原(実)委員 日本鋼管で掃海艇「れぶん」というものをつくられたということですが、この「れぶん」というものの内容を少し御説明いただきたいと思うのですが……。
  55. 國井眞

    ○國井政府委員 掃海艇は、御承知のように、その名のとおりまさに掃海をやるわけでございまして、これにつきましては、日本鋼管でたしか調達をしておるわけでありますが、普通の自衛艦と違いまして、掃海ということの使命から、いわゆる磁気等をあまり持たない——完全にないのが望ましいわけでありますが、そういった船体、そういうことになるわけでございます。そういった点から、掃海艇につきましては、いわゆる木造部分等を含んだものになりまして、国内の造船業界で見ますと、一定の特殊なところだけができるというようなことになるわけでありますが、そういった点を考慮しながら調達をしているわけであります。
  56. 木原実

    木原(実)委員 この「れぶん」というのはすでにでき上がっておるわけですか。
  57. 國井眞

    ○國井政府委員 でき上がっております。
  58. 木原実

    木原(実)委員 この掃海艇「れぶん」というのは自衛隊の主力掃海艇になるというふうにわれわれ聞いておるわけでありますが、それではもうすでに現在就航しておるわけですね。
  59. 國井眞

    ○國井政府委員 編入をされておるわけでございます。
  60. 木原実

    木原(実)委員 いままで一連のことをお伺いいたしましたのは、やはり契約支出関係の管理につきまして、われわれになかなか捕捉できない面があるわけでございますけれども、それぞれ規定に従ってやっておられるものというふうに私ども解釈をいたしたいわけであります。  そこで、もう一つ伺いをするわけでありますけれども、今年は三次防の初年度にあたりまして、いろいろな契約が行なわれるわけですが、巷間いろいろすでに、諸種の兵器の契約競争というか、そういうものが渦巻いておる、こういう話を聞くわけでありますけれども、この兵器の発注について何か方針というものをお持ちでございますか。
  61. 國井眞

    ○國井政府委員 これはもう冒頭に申し上げましたように、あくまで法規にのっとって適正な調達をするということでございますし、また、随意契約等によりますものも、随意契約によらないとできない事情のものを選んで随契にする、一般的に申しますとそういうふうな基本的な態度で私ども臨んでまいっております。  なお、契約に当たっての実際の契約金額等の算定につきましても、これは調達実施本部に原価計算の担当の部課があるわけでございます。そこで厳正な原価計算をするということにいたしております。
  62. 木原実

    木原(実)委員 たとえば、すでに戦車については三菱重工に契約がいくことになっている。これは、従来のそういう慣例もあるでしょうけれども、そういう話が伝わっております。これは一例でありますが、もうすでにそういう検討をいたしておるわけでありますか。
  63. 國井眞

    ○國井政府委員 戦車につきましては、御承知のように国産戦車の開発を二次防でいたしまして、二次防ですでに調達をしてきているわけでございます。三次防は同じ形のものを引き続き調達をするわけでございまして、その際、合理的また経済的調達をするという点から申しますと、同じものを引き続きやっておるその一環である場合には、従来のところにいく。これは常識と申しますか、合理的な調達ということではないかと思います。ただ、発注は、まだ正式に契約はいたしておらないはずであります。
  64. 木原実

    木原(実)委員 どうも三次防の中に、発注されるであろう諸兵器は、おおむねすでに特定の会社とのコネクションといいますか、方向が明らかにされておる。これは話ですからどの程度に申し上げていいかわかりませんけれども、そういうふうに伝えられる面が多いわけですね。幾つかの、たとえば飛行機につきましては、外国との技術提携をやっておる会社もあるし、その間で競争もある、こういう形になっておるわけですけれども、どうもその辺についての何か策定の方針、これはなかなかむずかしいことですけれども、その辺をちゃんとしてもらいませんと、どうも兵器生産における私の心配は、限られた企業兵器生産に当たるわけですから、その間に、発注元である防衛当局との間にいろいろな問題が出てくるのではないかということをおそれるわけですが、その辺についての御配慮はいかがですか。
  65. 國井眞

    ○國井政府委員 たまたま飛行機の話が出ましたけれども、飛行機の調達にあたりましては、まず機種がきまりまして、どういう飛行機を調達するかということが先行するわけでございます。それで、いまのお話のように、どの会社のどことどういう結びつきをしているかということが先になって、その中から選ぶということではございませんで、あくまで機種が、別途の基準によりまして、われわれが必要とする飛行機はどういうものかという立場できまって、それから厳正な、どこにやらせるかということにするわけでございます。
  66. 木原実

    木原(実)委員 繰り返すようですけれども、ともかく今年は三次防の初年度であるので、いろいろ御配慮をいただきたい面が多いわけであります。これはあまりお尋ねしたくないことなんですけれども、官房長にお伺いをいたしておきたいと思うのですが、先般来、退職自衛官の就職先の問題等が、当委員会におきましてもいろいろ問題になりました。私の手元に防衛庁縁故者名簿、これは長官の官房のほうでおつくりになった資料ですが、あまり下級自衛官のことにつきましては問題にいたしませんけれども、これはどうもひどいですね。長官にもお伺いをいたしておきたいと思うのですけれども、たとえば幕僚長クラスですね。これは将の将たる地位だと思うのですよ。そうしますと、陸海空三軍の大体幕僚長がいま私が申し上げましたような名前の企業に大体やはり退官後就職をされておるわけですね。そうなりますと、中でのお仕事についてはこれはいろいろございましょう。たとえば顧問とか嘱託とか、つまりあれは六十二条でございますか、自衛隊法適用外でしょうから合法的だと思いますけれども、あまり下級の方々のことは申し上げたくないのですが、どうも幕僚長、つまり陸海空の現職の時代は最高の大将が、ストレートに兵器企業に天下りと言うとおかしいのですけれども、天下っておるわけですね。そうなりますと、これは疑いたくもなるわけだし、これまた、自衛隊の士気ということを長官よくおっしゃるのですけれども、これにも影響するんじゃないか、こういう感じがするわけでございます。  たとえば、ここに陸上自衛隊関係がございますけれども、幕僚長ですから名前をあげることを許していただきたいと思いますけれども、陸上幕僚長、将ですね。筒井さん、この方は国家公務員共済組合だということですが、その次の杉山さんからは、杉山さんは日本兵器工業会の顧問、それから杉田一次さんは三菱重工業顧問、三菱なんというのは、これはもう契約高から言いましても、ほんとうに圧倒的な量を占めておるわけでございますね。しかもこの三菱重工の中には、現在九人か十人の将官クラスが顧問として参加をいたしておる。こういう状態でございますね。あと海幕につきましても同じようなことが言えるわけであります。たとえば、前の海上幕僚長の将である西村さんは川崎航空、それから、同じく杉江さんは丸善石油、あるいは中山元幕僚長は石川島播磨、あるいはまた庵原さんは同じく三菱重工業、あるいは長澤元幕僚長は川崎重工業顧問と、こういうことですね。こうなりますと、これはもうそれから先は推測ですから何とも申し上げませんけれども、一軍の将が、退官と同時に、きわめて密接な関係にあった重工業の、兵器工業の会社の顧問等として活躍をする、いかがなものでしょうか。見解をひとつ承っておきたいと思います。
  67. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、お説は原則的に同感でございます。やはり法の六十二条で許されておりましても、道義的見地その他から申しまして、昔の上官が、多少とも影響力のあるといったような地位につきますと、国防産業が適正に、きびしく、公正に、国民から信頼される国防産業として発展されるということに何らかの影響を持ちますから——従来は法の精神にのっとって防衛庁長官は許可しておったわけでございますが、将来は、お説の線は非常に私は同感でございますから、その線にのっとって、きびしく監督してまいりたいと思っております。  一面、いつも申し上げておることでございますが、恩給というものは、一般官吏にいたしましても、自衛官にいたしましても、退職した後の生活を保障するものであるというふうに、われわれ若いころは行政法で学んだものでございますが、現在の恩給は、小づかいの足しにしかならないといったような状態であることも、木原さんよく御承知のとおりでございまして、それらの問題も前向きに解決いたしまして、しかしながら、ほかの職業につく場合は別でございますが、直接昔の上官が兵器産業について、そうして、そういうことはございませんでしょうが、幕僚監部あるいは内局等が、事務的、技術的良心に従って兵器産業育成発達をはかる、あるいは監督指導をする、そういう線に悪影響はもちろんないとは思いますが、しかし全然なしとは言えないわけでございまして、注意の上にも注意を加えてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  68. 木原実

    木原(実)委員 かりそめにも元の上官が、関係その他が生じていろいろな契約等が行なわれる、こういう少なくとも疑いのかからないように、これはいま長官の御発言がありましたように、適切な処置を望みたいと思います。  ところでもう一つ長官にいやなことをお尋ねをしなければならぬわけですけれども、こういう兵器関係の重要な諸会社から、事もあろうに長官御出身の与党に対しての献金があるわけでございます。直接自民党に、なかなかこの献金の関係というのはわかりませんけれども、公表されました官報等によりましても、自民党の関係、どこの派閥のどうということはなかなか私どもには憶測はできませんけれども、多額の献金があった。いかがでございますか。
  69. 増田甲子七

    増田国務大臣 木原先生の御質問は、国務大臣としての増田甲子七に対する御質問というふうにしてお答えさしていただきます。  政治資金規正法その他は、アメリカの最初指令によってでき上がりましたが、日本の社会道徳の通念と必ずしも合っているものとは思っておりません。したがいまして、政治資金規正法の解釈適用なり、あるいはこれに従う国民生活が、必ずしも政党及び生活自身が習熟していないと思っております。そこへ持ってきて今度の改正でございまして、私は閣議決定に参画したものでございますが、政党員という立場もございますから、政党というものはやはり善をなすものである、国家国民の幸福と生活の向上をあずかるものである、公益法人のうちの最大の公益法人であると私は思っております。その点どうも勘違いをなさっていらっしゃるのではないか。選挙制度調査会の答申を尊重しなければならぬということは、法律に書いてございますから、これまた法律を守りまして、私も閣議決定に喜んで参与したものでございますが、孤児院や養老院というものは、これは公益法人であることは明らかであります。その他社会施設は公益法人であることは明瞭でございますが、その公益法人のうちで合法政党であるのだから、合法政党というものは最大の公益法人であるということを前提として、ほんとうはあの選挙制度委員会等においても審議をしてもらいたい。何だか政党は悪をなすものであるという前提で、献金はこれだけしかしてはいけないのだというのはおかしな話である。孤児院や養老院には何十億でも寄付すればするほどほめられます。ところが、政党には二十万円以上は寄付してはいかぬということは、これはどうも……(発言する者あり)政党員として答えているのですからどうぞ。私は非常に検討を要する、これは労働組合にしてもそうです。これこれ以上はいけないということはおかしな話で、これは自社、民社双方を通じて、私は、きょうはそういう意味で、前提してお答えしているのですから、前提したお答えを許されていると思いますから。そこで兵器産業のほうが政党へ寄付をしておることはけしからないじゃないかということも、ひとつあちらのほうの選挙制度委員会のほうで御発言願いたい。私、いま特別意見はございますが、それぐらいにとどめさしていただきます。
  70. 木原実

    木原(実)委員 たいへん党員の感情のお話になりますけれども、あまり問題をそらしていただきたくないのです。とにかく具体的にあまり会社の名前をあげたくありません。しかし、たとえば契約高は最高の三菱重工という会社がある。今度はその会社にも三次防の全期間を通じてたいへん多額の契約が行なわれるだろうという観測があるのです。現にそういう動きもある。ところが、そういう会社には、たとえば元防衛庁自衛隊の幕僚長クラス、将のクラスが九人も十人もそこにはいっておる。こういう関係だけでもこれはきわめて大きな問題があるような感じがするわけであります。ところが、さらに、政権をとっていらっしゃる与党に対して、あるいは与党のだれかに対して献金が行なわれているわけです。そうなりますと、これは与党というよりも、政権の座にある、あるいは防衛政策の担当者である長官にひとつ、その辺のことについても、法のたてまえもございます、法改正の問題もありますけれども、しかしながら、少なくとも国民の前に疑惑を起こさせないような措置を講じてもらわなくちゃ、この分じゃとても三次防を認めるわけにはまいりません。
  71. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、いま役人という立場を離れて申しましたが、役人でございます。その役人という立場におきまして、防衛庁等において、いやしくも不公正なることが行なわれ、不当なことが行なわれるというようなことが全然ないように、きびしくみずからも持し、また、ここにおる部下も取り締まっておるわけでございまして、いやしくも変なことがあったならば、私は直ちに処断をするということをしばしば皆さまに申し上げております。そのとおり防衛庁の部下の役人はやっておると思っております。  政党に対する献金等のことにつきましては、お互いに国会議員は最高の政治家でございますから、政治家同士の御対話を願いたい。国会議員同士の対話が少し足りないのではないでしょうか。今度は私は政党人として申しますが、どうも私のお答えする範囲ではないと思います。
  72. 木原実

    木原(実)委員 これは常識と誠意に期待する以外にはないと思いますけれども、少なくとも兵器産業から、具体的に国との契約があるわけですから、少なくとも献金は禁止をする、それくらいの措置は、自民党の問題としても、政府の問題としても、あるいは防衛庁としても、契約をする相手方に対しては措置をとってもらわないことには、国民はかえって、それはむしろあなた方のためにとりませんよ。いかがですか。
  73. 増田甲子七

    増田国務大臣 国家と契約を結び、国家に迎合するという関係の者の政治献金は制約を受けておるわけでございまして、その制約の範囲ならばよろしいし、その範囲外ならばよろしくない、こういう点におきましては、木原先生のお説に全然同感でございます。
  74. 木原実

    木原(実)委員 繰り返すようですけれども、これは過去の例もございます。戦前の例もございます。たとえば、その国の軍隊というようなものが最も堕落する形というものは、こういう経済界との結びつきの問題が間々あるわけでございます。もうあまり時間がありませんので、この辺で結論にいたしますけれども、たとえば人事の問題につきましても、あるいはまた、特に時の権力を握っておる政党でございますから、そんなけちなところから献金を受けなくてもいろいろあがってくるわけです。これは党人として申し上げますけれども、あえて国民の疑惑を招くようなところからの献金を受けつけないというくらいの見識を示してもらいたいと思います。そうでないと、あなた方御自身が育成をしていこうとする自衛隊の士気にも私は関係すると思いますが、いかがですか。
  75. 増田甲子七

    増田国務大臣 木原先生の前に、ほかの委員の方にもお答えいたしましたが、産業から政党が献金を受けるといったような場合におきましても、ことに武器をつくる産業なんかにつきましてもきびしい態度をもって臨まなくちゃならぬということは、私は個人の人生観といたしましても、また道徳的の私の世界観から申し上げましても、お説と全然同感でございます。私は、この人たちから見まして、きびしさそのものであるという感じを相当受けておるのじゃないか。また、これからもそういう態度で臨んでいきます。いやしくも変なことは許さない、こういう態度で臨んでまいりまするから、木原さんのお説と同感でございます。
  76. 木原実

    木原(実)委員 お考えはよくわかりましたが、それではひとつお約束をしてくださいませんか。たとえば、防衛庁の高級の自衛官の人事の兵器工業の交流との問題については、何らかの規制の措置をとる、それからまた、兵器工業会社その他防衛庁とかなりの契約を結ぶ企業からの献金についても、少なくとも防衛庁当局としては、防衛政策上の問題として何らかの規制の措置をとる、こういうお話ができませんか。
  77. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、離職者につきましては、法に基づいて、この六十二条の第二項でございます。第二項に基づいて従来とも許可が行なわれているわけでございまするが、しかし、同じ許可をするにしましても、きびしい態度をもって臨みたい。というのは、何らかの不当勢力が、事務的、技術的良心のもとに一生懸命仕事をしておるわれわれの部局に対して影響があってはいけないからというあなたの御発言は、全然同感でございます。  あと、政治献金云々のことにつきましても、私はお説に同感する点が多々ございまするが、どうかそういうような線は社会党の書記長とか、民社党の書記長とか、自民党の幹事長等とも木原さんが良心的の立場でよくお話しを願いたい。それ以上のことは、どうも私の答え得る範囲ではないと思う次第でございます。
  78. 木原実

    木原(実)委員 それでは、最後に一つお尋ねをいたしておきたいわけでありますけれども、言うまでもなくこの三次防の計画全体は、これは軍備の拡大政策でございます。このところで長官にお伺いをいたしておきたいわけでございますけれども、軍備の拡大ということになりますと、これに歯どめがないわけでございますね。先日もわれわれの同僚の大出委員のほうから、自衛力の限界という問題について繰り返し長官に御質問いたしました。そのことと関連をいたしますけれども、しからば長官にお伺いをいたしたいのは、軍縮、軍備を縮小するという問題、つまり三次防の軍備拡大、この裏側の問題としての軍縮についての御配慮はございませんか。たとえば外交関係その他で言う軍縮ではございません。軍備を縮小をしていくということについての裏側の考えはございませんか。つまり、軍備縮小に裏づけられない、たとえば先日来、三次防、続いて四次防、五次防もあるだろうというような御発言等もお見かけいたしました。そうなると、これは永久に、日本の経済力が発展をするにつれて軍備が拡大をしていくという方針だけしか示されていないわけなのです。したがいまして、軍備を拡大をする場合には、当然その裏づけとして軍縮についての防衛政策上の考え方がなければ、ほんとうの意味で国民は安心できません。それらの点についての長官としての御見解をひとつ承りたいと思います。
  79. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、根本的には、しばしばこの席におきましても、あるいは本会議におきましても、参議院におきましても、申し上げておりまするが、皆さまお笑いになるかもしれませんが、私の個人的人生観、世界観は、武器よ永久にさらばということでございます。しかしながら、それに至るまでには、やはりものごとを現実的に考えなくてはいけませんから、その次には、国連警察軍ができまして——これは日本憲法関係でまた問題があると思いまするが、国連警察軍ができ上がりまして、そうして日本なんかは、あるいはイギリスでも、アメリカでも、ロシアでも、どこでも軍備がなくなって、国連警察軍がただ一つある、こういう状態がその次の状態であると思っております。その次の現実的な状態といえば、今度はあなたのおっしゃる核拡散防止条約、核等はよろしくこれはすべて製造せず、保有せず、廃棄する、こういうことにしていただきたいと思っております。そこで、せっかくジュネーブの十八カ国の軍縮条約におきまして、核拡散防止条約というものが米ソの間において交渉を見つつあるわけでございますから、その成功を祈っておるわけでございます。それからあとは、ヘーグの陸戦法規等によりまして、残虐なる兵器はいけない、毒ガスはいけない、化学的の細菌戦術等はいけない、ダムダム弾はいけないということは厳重に守られるべきものだと思っております。  それから、一般に軍事費が増高するということにつきましては、歯どめがないじゃないか、私は、いま現実の問題として、日本自衛隊は最小限度の自衛力であると思っております。これくらいは現実の問題として必要だと思っております。しかしながら、十八カ国の軍縮条約の中へ、十八のうちへ今度は十九という日本を入れてもらいまして、そして軍縮が、核のみならず、ほかにできるのでして、そして日本の持っておる兵器がその軍縮の対象になるというのでしたならば、自衛隊ではございまするが、軍という字は当たらないかもしれませんが、軍縮になる対象も出てきた場合には、いさぎよく軍縮には服したい、十八カ国だけでは困る、十九カ国にしてほしい、それは日本である、こういうことを日本政府はジュネーブにおける十八カ国に対して要望しておるのでございますから、十分誠意はあるわけでございます。ただ、いまのところまだその緒にもつきませんし、自衛力というものの限界いかんというお話でございまするが、歯どめはございます。その歯どめというものは国民所得の一・三%内外である。四次防、五次防という字は必ずしも使わないけれども、おそらく三次防で、あとは全部従来の兵器と、それから従来の自衛隊員がなくなってしまったら、将来自衛隊がなくなってしまうというようなことではないと思うのです。つまり国民所得の一・三%くらいの範囲の自衛力は整備してまいる、こういうことでございまして、内容においては充実されておりまするが、たとえば戦車のごときは、昭和四十六年末は昭和四十二年末よりも数十台減っておるわけであります。飛行機のごときは二百機も減っております。と申しますのは、俗なことばで申すと、ポンコツというのが非常に多いのですから、ポンコツに対する補充としての戦車でございまして、金額は物価の上昇とともにかさんではおりまするが、数字から見て強化されたという数字には——整備されておる、充実の途を多少歩んでおる、こういう程度であるのが三次防の二千三百四億円というものの内容でございまして、先ほど、ほかの予算を申しては——ほかの予算にも私は賛成なのですから、たとえば道路予算は六兆六千億あるというようなことも御勘案くだされば、なるほど自衛隊というものは、侵略に対してこれを阻止し、これを排除する最小限度の実力であるなあ、これくらいは設けておいたほうがよろしいということを、木原さんのほうから積極的な御賛意があるものと期待しておる次第でございます。
  80. 木原実

    木原(実)委員 もう時間がありませんので、あとと交代いたしますけれども、どうも、長官お話を承りましても、私はあらためて日本の防衛政策というものはきわめて貧困である、こういうことを痛感するわけであります。これだけの、まだ最小限度の自衛力だとおっしゃいますけれども、すでに世界的に日本自衛隊はもう第何位というふうにランクされるだけの実力を持っておる、国際的にはそういう評価もあるわけであります。したがいまして、お願いをいたしたいわけでありますけれども、これだけの軍備の拡大をやるわけですから、ただ、皆さん方の任務としては、軍備を拡大していく、自衛隊が質的に強化をされていく、そのことが任務ですから、どこまでもこれを拡大をし、強化をしていくということが仕事ですから、そのことを責めるわけにはいきません。しかしながら、全体から見れば、長官もよく御承知のように、軍備の拡大ということは、一国にとってはたいへんなことなんです。ですから、軍備の拡大を防衛庁が出し、自衛隊が出していく場合には、あわせて軍縮についての考え方というものをぴしっと出しませんと、いわゆる国民的合意というものは得られない、真の防衛政策というものにならないのじゃないかとわれわれは考えるわけです。ただ、これも私の意見ですから、もういまは申し上げませんけれども、あわせまして、先ほど来申し上げておりますように、今年度から第三次防衛計画が発足する、われわれの反対にもかかわらず発足するわけであります。ところが、われわれの反対があるということは、これは一つの軍備拡大についての歯どめなんですから、この反対があるということをひとつ十分に皆さん方の腹の中に置いていただきたい。たとえば、自衛力の強化に対して反対をするのは敵性分子であるとか、何だかんだととかく言うことでありますけれども、かりそめにもそういう形でわれわれに対処をされるということになれば、少なくとも国民の合意というものはなかなか得られないことになっていくだろう、いまだに国民の合意を得られないまま自衛隊が発足をし活動をしておるのだ、こういう実情があるわけでありますから、この本来の、それこそ国民的な意義を、長官、胸に置いていただきまして、ひとつそれぞれの任務についていただきたい、このように御要望申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。
  81. 關谷勝利

  82. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 増田長官にシビリアンコントロールに関することを中心にいたしまして、すでに過去の国会におきましても、今五十五回の国会におきましても、この点につきましては、いろいろな角度から論議をされておることでございますが、これらの問題も含めまして、第三次防も予算的に発足をする初年度でございますので、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。  私、委員の立場を守って発言をするつもりでございますが、大臣は私の母校の先輩でございます。それに甘えまして、あるいは失礼な発言にもなろうかと思いますが、その点もあらかじめお許しを願いたいと思います。  まず第一に、大臣は防衛庁長官とせられまして、すでに何回も、シビリアンコントロールにつきましては、その抱負をお聞きしておるのであります。この機会に、あらためて、直接その職責をどういうふうに今後実行に移していかれるかどうか、そういうことにつきましての御決意を承りたいと思います。
  83. 増田甲子七

    増田国務大臣 山本さんにお答え申し上げます。  わが国に、自衛隊法並びに防衛庁設置法によりまして、シビリアンコントロールの制度は確立をいたしておるわけでございます。すなわち、平時におきましても、国防会議議長である、また内閣の代表者である総理大臣が、つまり山本さんと私と同様に、せびろを着ておる者が制服を着ておる者をコントロールをする、こういうしかけはりっぱにでき上がっております。そこで、平素におきましては、せびろを着ておる私を助ける者として、同じくせびろを着ておる事務次官、官房長あるいは各局長、それから課員、部員、すべてせびろを着ておるわけでございまして、そのせびろを着ておる者が、すなわち文民が制服を指揮監督する、直接指揮監督するのは私でございますが、私が指揮監督する場合に私の補助をする、こういう立て方に内局方面におきましてはなっております。それから、幕僚部におきましては、幕僚部というものはもとより制服を着ておるわけでございますが、制服を着ております統合幕僚議長、それから陸幕長、海幕長、空幕長等を通じまして、せびろを着ている防衛庁長官が、隊の動かし方につきましても指揮監督する、こういうしかけでございます。昔のことばで申しますと、軍令、軍政、両方面を握っておるのが内閣総理大臣でございまして、その指揮監督を受けまして私が隊務を総括する、これが文民統制、シビルコントロールの実態でございます。
  84. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私どもは、自衛隊法あるいは防衛庁設置法等につきましても、憲法との関係において疑念を持っているわけでございますが、一応すでにできております法律でございますので、これを認めるにいたしましても、形式的には一応諸外国の例に従いまして形をそろえておるものと存じます。しかし、実態におきましては、このことが真に実行されておるかどうか、大臣の形式的なお考えを承ったわけでありますが、私どもはもっと基本的な大臣としての姿勢、長官としての今後のわが国の国際情勢なりあるいは軍事情勢に対応するシビルコントロールの責任者としてのあなたのお考えを承りたいと思っておるわけであります。  六月九日の防衛二法案の提案の説明の際に、わが党の大出委員から、この問題につきまして総理大臣に御質問をいたしたわけであります。そのことは一応形式的なことではございますが、昭和二十五年の警察予備隊の発足以来わずかに十七年間に、防衛庁長官が二十二人交代をいたしておる。平均一年もその任期についていない。一年ももたない大臣を乱造して、一体シビリアンコントロールができるものであるかどうかといって、総理のこの問題についての考えをただしておるわけでございます。これに対しまして総理大臣は、「ただいまいうシビリアンコントロールの問題は、防衛庁長官の任期いかんということとは関係がないのであります。また、私自身ももちろんかわってまいりますが、今日までわが党、自民党が政権を担当して、絶えずそのもとにおいてその責任を果たしておる。かように私は考えております」こういう答弁がございます。私ども国民の一人として、また国会議員の一人といたしましても、ただいま申し上げましたように、国際情勢あるいは軍事情勢等に立脚いたしまして、しかも私どもの終戦のときの総意でございました、憲法を堅持してまいるというたてまえのもとにおきまして、国防をいかに考えるかということは、きわめて重要な、国民とともに考えなければならぬ問題だと思います。それに対して、最高責任者である総理大臣が、たとい国防会議議長でありましても、そのもとにおきまして実質的に最高責任者である防衛庁長官がいわゆるシビリアンコントロールに関係がない、その任期いかんは関係がない、総理大臣がかわらない限りは関係ないという考え方、これは、総理が国防について真剣に考えていない、いわば防衛庁の事務次官以下、また自衛隊の幹部に対しまして、その成り行きにまかしておる。しかもその背後に、今日安保条約によりまして米軍との共同防衛をいたしております。米軍のいわゆる戦略によりましてわが自衛隊が推移をしてまいるということは、これはこれまでの経緯を見ますとそのとおりでございます。それに対しまして、総理大臣の、防衛庁長官の任期は問題でないという考え方について、国民として非常な不安を感じております。わが国と共同防衛いたしておりますアメリカの国防長官のマクナマラ長官でございますが、この方は、ケネディ大統領の就任のときから今日まで、いわゆる防衛問題に専念をしておるわけでございます。アメリカと比較いたしまして——わが国の防衛問題については非常に重要であります。これに対して、総理大臣は、ほとんど防衛庁長官の任期を問題にしないで、防衛庁の事務当局あるいは自衛隊にまかせまして、しかもそれの関連のある米軍との関係がどういうふうになっておるか、防衛庁長官は、国会で答弁をなさる機会のない長官もあったのではなかろうかと思います。いわばこの問題について、国会をいかに切り抜けるかということについての勉強——私は長官をよく存じております、長官はいろいろ勉強なさっておられる。しかし、勉強しておるということだけではいけません。私は、長官の責任は、勉強するということよりも、いかにわが国の防衛を政治的な立場においてコントロールするかということのほうを重視しなければならぬと思う。総理大臣の批判を長官にお聞きすることは、答弁もしづらいと思いますけれども、こういう基本的な姿勢、防衛に関する総理大臣の政治姿勢、私はこれは答弁として、おそらく総理大臣は不用意にお話しになったのでしょうが、全責任を持っておるのだという意味を強調したいというふうに善意に解したいと思いますけれども、事がきわめて重要でございます。この点につきまして、総理を、また国防会議議長を、直接補佐しなければならない長官の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
  85. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、防衛庁長官として国会に臨んで相当日も長くなりました。あらゆる機会において申し上げておりますのは、シビリアンコントロールとは、法をよく読んでみますと、国会という、つまりお互いにせびろを着ておる国会議員をもって構成する衆議院、参議院が最高の指揮監督者である。直接の指揮はいたしませんが、つまり監督者である。これがシビルコントロールのピラミッドの頂上であるということを、私はしばしば申し上げておるつもりでございます。  そこで今度は、自衛ということは行政権の範囲でございますから、その行政を、国会が国権の最高機関として監督するしかけも、自衛隊法に、七十六条にもございますし、七十八条にもございます。国会にかけて、事前において御承認を得なければ出動できない。あるいは事後二十日以内に承認を得なければいけないというようなこともございまして、国会がピラミッドの頂上にあるということを、この国会の本会議あるいは委員会を利用させていただきまして、今回初めてということではないでございましょう、前もずっとりっぱな長官がおられましたから。私は、防衛庁長官としては、国会が最高の監督者であるということがシビリアンコンロールの象徴でございますということはPRしたつもりでございます。  その次に、自衛権も行政権でございますから、行政権といたしまして、自衛隊の行動等については、自衛隊法七条がございまして、内閣総理大臣が最高の指揮監督者であるということが書いてございまして、佐藤総理大臣はそこを強調されたものと思っております。  それから、佐藤総理がもう一つ強調されておる点は、責任の継続性ということであります。長官がかわりましても、あるいは佐藤総理は、自分がかわってもということまで言われております。私は非常に謙虚な態度とりっぱな答弁であると思っております。自分がかわっても、政党政治として責任内閣がある以上は、自衛隊というものの指揮監督はわれわれシビリアンがやるのであるから、責任のコンティニュイティというものがあるから御心配ないようにという、こういう意味のものでございまして、決して防衛庁長官をないがしろにしたり、そんな見地から発言されたものではない。私は、あの答弁は不注意でもなければ、非常によくよく行き届いた配慮のもとに行なわれておる、こう感じておる次第でございます。もとよりあなたのおっしゃるとおり、任期が短いよりは長いほうが、責任も果たし得ますから、お説は同感できる点もございまするけれども、責任のコンティニュイティというところに力を入れて、総理自身がかわってもということさえ言われたのでございますから、あの点をひとつ、大出さんも山本さんももう一ぺん御玩味を願いたい、こう考える次第でございます。
  86. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 一応の答弁だと承りますけれども、事は、いま長官が言われた、そういうふうに責任が継続するのだ、一年で防衛庁長官はかわっていいものだというようなものではなかろうと私は思います。建設大臣が道路をつけ、道路五カ年計画によりまして多少道路の路線が変わりましても、これはたいして問題はございません。あるいは河川の改修が政治的にゆがめられても、たいしたことはございません。しかし、基本的にある期間わが国の防衛をどう考えていくか、現に長いほどいいという問題でもないわけであります。マクナマラ長官は、すでにケネディ、ジョンソン二代に国防長官をつとめて、みずから多くの民間あるいは幕僚の意見を徴しまして、過去から将来にわたる防衛についての膨大な報告書を議会に提出するという姿勢をとっておるわけであります。いまお話しの、国会が最高のコントロール機関であるということでございますが、私も初めて国会に出てまいりまして、最初の総理大臣の施政演説から引き続きましての予算委員会あるいはその他の機会におきましての、防衛庁長官あるいは総理の国防に関する御答弁というものは、これは何回も指摘しておりますけれども、第三次防の整備計画説明しておられるわけでありまして、その背景になるもの、あるいはどうしてこれが必要であるかという、それらの情勢判断につきましては、きわめてありきたりのことばで答弁しておられる。コントロールのしようがない。予算を認めるか認めないかということについて、認めてくれればいいじゃないかというような態度でありまして、おそらく、防衛に対して国会をほんとうに最高のコントロール機関とするという認識がない。これは防衛庁長官が一年ぐらいで交代をしておると、いわば確信を持っての過去から将来につながる見通しその他について、いかに反対がございましても、十分練った案を、その背景等も含めて説明し得るという確信がないわけであります。重要な問題が、これは多少野党の反対にあうかもわからぬ、それらに対しまして形式的に国会を通過させればいいということに、その全力を尽くしておるというふうに私どもは考えられるわけであります。したがって、大臣相当御年配ですけれども、総理に進言せられまして、自分の生きている限りは防衛庁長官をつとめさせてくれ、それだけの気概をもっておやりになっていただきたいと思っております。  次にお伺いしたいと思いますことは、私も明治生まれでございますので、昭和の初めから終戦までのきわめて軍国主義的、暗い時代を青年としてあるいは壮年として過ごしてまいったわけであります。私どもは、終戦と同時に、いわば私どもの立場からの責任も負わされたわけであります。この時代におきまして、私どもはこういう時代の回顧に立ちましての新しい憲法であり、また今後のわが国の防衛を考えていかなければならぬと私自身も決意しておるわけであります。この時代においてすら、大臣も御承知のとおり、永田軍務局長が相沢中佐に刺殺される。あるいは私どもの出身県の政治家、そしてかつ軍人でございました齋藤實さんも、軍人によって殺される。あるいは、これまたわれわれの政党政治を確立することに努力をし、しかも軍閥打倒に全力を尽くされた原敬も、やはり同じ運命にあった。あるいは渡辺教育総監が、やはり兵隊によって殺されておる。明治憲法におきましては、統帥権によりましてはっきり軍隊というものが国軍あるいはわが国の軍隊という意識を持っておった時代におきましてすら、軍人が上司を殺すということも起こっております。政治家も殺される。このことが、終戦につながる事件につながっているわけであります。国会におきまして、いまは防衛庁の皆さん方はそうではございませんが、佐藤中佐でございましたか、大喝してその発言を封じたというような、こういう時代もあったわけです。それから代議士の中には、寺内陸相と決死的な覚悟で発言してわたり合う、こういう時代を経ておるわけですね。私は、その時代が復活するとは思いません。しかし、わが国の防衛というのは、自主防衛ではないわけですね。アメリカとの共同防衛でございますね。南ベトナムの総理のゴ・ジン・ジェムでございましたか、総理大臣がやはりまた暗殺されたのですから、そういう過去の歴史に立って今後の防衛を考えていかなければいかぬ、私はこういうふうに考えるわけでございますが、大臣もそういう時代を過ごしてこられたと思うのであります。これらにつきまして、どういうふうにお考えになっておりますか。
  87. 増田甲子七

    増田国務大臣 山本さんが苦労された時代は、私が苦労した時代でございまして、御同感の節は多々あるのでございます。そこで、今度どうかというようなお話でございますが、旧憲法時代には、近衛さんのようなりっぱな内閣総理大臣でも、統帥事項には関与できない。帷幄上奏といったようなことがありまして、つまり二元的の国務でございました。二元的の国務というものはいまはないのでございまして、内閣総理大臣自衛隊のことにつきまして、昔のことばでいう軍令的の、つまり行動の方面のことの指揮、監督、それから昔のことばでいう軍政、つまり防衛庁の行政、こういうような方面のことも、両方とも内閣総理大臣一人が掌握し、最高指揮監督者として自衛隊法七条にも規定されておるのでございまして、私はこの線は憲法が改正されて非常によかったと思っております。九条の線につきましても、私どもはあれでいいと思っておるのです。あれはあなたのほうの解釈ば狭くて、私のほうの解釈は多少広いといったような世論がございましょうが、私どもは常識的に憲法九条を解釈しまして、自衛隊は合憲的であるというふうに信じておるものでございます。そこで、もう昔の悪夢に悩まされまして——当時私は普通警察をやっておりまして、普通警察というものにつきましては、全国の行政警察をやっておったわけでございます。特高警察はやったことはございませんが、普通の警察から見ましても、各種の暗殺事件が起きましたり、また当時のことばで申せば、陛下から預かった武器を私に使用する、今日のことばで申せば、国民から預かった武器を私に使用する、こういうとんでもない現象が起きまして、私は前半生を非常に不愉快なうちに暮らしたということは、山本さんも同様でございましょう。でございますから、今回のこの憲法なり自衛隊法なり防衛庁設置法というものは、そういうことの配慮がきびしく行き渡っております。でございますから、お互いせびろを着ておる国会議員が、自衛隊の行動を監督する。それからせびろを着ておる内閣総理大臣が、自衛隊を指揮、監督する最高責任者である。第七条でございます。第八条はせびろを着ておる防衛庁長官が隊務を統括する。これに違反すれば法律違反でございまして、法律違反というものは許されないという世論におそらくなっておるのが、この自由民主主義の時代であると私どもは確信をいたしておる次第でございます。
  88. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 法を守っていくという大臣のお話を聞いたわけでありますけれども、そういう過去の反省に立ちまして、私は、常に憲法を見詰めながら、防衛庁長官のコントロールというものを考えておるわけです。日ごろ私どもは、あげ足をとるわけではございませんけれども、きのうのだれかの質問のように、美濃部革新都政が実現したというようなことを、こういう委員会で口にしないほうがいい。私どもは学校で美濃部さんの天皇機関説やあるいは佐々木惣一先生に習ったわけでありまして、そういうふうな軍部の台頭によりまして、天皇機関説は問責されるというような時代があったわけであります。私どもは、こういうふうなことが、防衛庁長官の言っておられることに、たまに片言に出ることばの中に、何かそういうことがまた顔を出しつつあるのではないかということを非常に懸念するものであります。ことに、前は多少とも統帥権ということについての基本的な姿勢がありました。あるいは当然補佐しなければならない最高責任者が、部下の言うなりになっているか、あるいは部下を押えることによって命を落とすか、そういうことはあったにしても、多少ともやり方によったらいい方向もあったわけであります。しかし、いまは総理大臣が国防会議議長で、内容がよくわからぬ。自衛隊アメリカの極東の軍事戦力下にかりに、私どもは置かれておると思っておるのですが、置かれても、防衛庁長官総理大臣もあまり御存じない。そして、あとでもまた御質問申し上げますけれども、いわば防衛庁の最高責任者であるという意識過剰、このことが私どもは新しい禍根にならなければいいがということを懸念いたしておりまして、どうかその点、十分長官気をつけていただきたいと存じます。  そこで、私は、コントロールの前提としてありますことば、国会の上にさらに憲法だと思っております。この憲法について、長官はいまちょっとお触れになりましたけれども、端的にどういう認識を持っておられるか、お答え願いたい。
  89. 増田甲子七

    増田国務大臣 山本さんにお答えいたします。御指摘の最後のところは、憲法について増田甲子七はどう思っているか、憲法九条のことでございましょうね。憲法全般のことでございますか。(山本(弥)委員「全般でも、九条に触れてもけっこうです。」と呼ぶ)憲法全般につきましては、旧憲法十一条、十二条みたいな規定はございませんから、いまや行政の中に自衛隊も入っておる。自衛隊の行動というような行政を行なうにつきまして、国会の監督を受けておる。こういう状態でございます。  それから、九条についての御質問でございましたならば、お答えいたしますが、九条の第一項の規定、第二項の規定があるわけでございまして、第一項の規定は——大体ああいうような規定は、前から入っておりまする人民の名において国際紛争を武力を行使して解決することはいたさないような、そういう意味の戦争は否定するのであるといういわゆるケロッグ不戦条約がございます。これは昭和四年にわれわれが入ったわけでありまして、今日も条約締約国の一人として責任がございます。それからイギリスも入っておりまするし、アメリカも入っております。それから各国の憲法に、第九条第一項みたいな規定はあります。ところが、第九条第二項のような規定は、日本だけでございます。そこで、前項の目的をもってという字に芦田先生は非常に力を入れられまして、同じこの衆議院の、昔帝国議会の衆議院と言った時代の憲法改正特別委員会におきまして、前項の目的をもってするという字を入れられたということが芦田先生の著書にございますけれども、われわれはそこまでまだ進んでおりませんのでございまして、とにかく前項の目的をもって「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」それから続けて読みまして、「国の交戦権は、これを認めない。」こういうふうに読んでおるわけでございます。したがいまして、戦力に達するような自衛力ば持たない、こういうことになっております。そこで、砂川判決等によっておわかりのように、わが国は戦力は持たないのだけれども日本の固有の自衛権はあることを第九条第一項は否定したものとは思われないから、外国軍隊をもってわが国の防衛力の不足を補うことはしかるべきであるということが、判決理由に書いてございます。そういう理由で、外国の軍隊、すなわちアメリカの軍隊に助けてももらって、相互安全保障条約に相なっております。これは日本だけの恥ではございませんで、諸外国においても、イギリスのごとき栄誉ある独立主権国家でも、アメリカ軍に軍事基地を英国の本土に与えて、そうして共同防衛の実をあげておるのでございまするから、私は、日米共同安保体制といったようなものは、決して恥ずかしいことではない、こう考えておりますけれども、第九条第二項というものの制約がございますことは、よく認め、これに従ってまいる、こういう決意でございます。
  90. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 防衛庁長官としては、この憲法をあくまで尊重していく、これを堅持していくというお考えなわけですね。
  91. 増田甲子七

    増田国務大臣 まだ自民党の政党といたしましては、憲法改正をする——何も第九条に限りませんが、その他改正をするというような決議は、実はございます。けれども、池田内閣以来、憲法第九条には触れないということで政府の方針を堅持しております。その内閣の構成メンバーたる防衛庁長官は、佐藤内閣の構成メンバーとして、同じ方針を堅持してまいる、こういうことでございます。
  92. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 将来のことはわからぬが、目下のところは堅持していくということでございましょうか。
  93. 増田甲子七

    増田国務大臣 将来のことはと言っても、当分の将来でございまして、事情変更の法則というわけで、千年、二千年先はわかりませんが、そういうことでございます。
  94. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この憲法は、私どもは、唯一の原爆の被爆者ということから戦争を放棄したという憲法で守らなければならいと思っておりますが、長官もこれを守っていくということのようですが、この機会にちょっとお伺いいたしますけれども、これもすでに触れられた問題だと思うのですが、朝日新聞自衛隊に関する記事が連載せられました中で、海上自衛隊の軍艦が放射能の洗浄訓練をしておる。また、陸上自衛隊でもそういう訓練をしておるという記事が出ておりましたが、これは事実でございましょうか。
  95. 中井亮一

    ○中井政府委員 海上自衛隊の最近出ておりまする新しい護衛艦には、放射能に汚染をしたときに洗い流す装置というものをつけておりますのを、ときどき操作をさせておる。上から水が落ちるような装置になっておりますけれども、そういうものを操作をするような訓練といいますか何といいますか、一種の訓練だと思いますけれども、そういうことをやっていることは事実でございますし、それからまた陸上自衛隊におきまして、核防護——核爆発のあったあとに落ちてくるちり等を防護するというような意味で、化学防護衣の着用法、測定器材の操作のしかたというようなものを訓練しておりますが、これはまだ総員に行き渡るほどのものにはなっておりませんので、まだ総員にできるところにまでは至っておりません。ただ防護のための訓練でございます。
  96. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いま原爆に関しましてそのことをちょっと思いついたものですから御質問申し上げたのでありますが、そういう訓練ということは、そういうことがあり得る——いわゆる海上自衛隊におきましては、防衛の範囲日本の近海である、陸上自衛隊におきましては、あとで御質問いたしますが、出兵ができないので、国土内だ、そういうことで訓練をしておる。かりにそういうことがあったという場合の国民の被害といいますか、それはどのくらいなものでございましょうか。私どもは、そういうことが国土の中にあるとか、あるいはわが国の近海にあるとかということになりますと、おそらく広島や長崎の問題と比較にならない被害だと思うのでありますが……。
  97. 海原治

    ○海原政府委員 ただいま御質問になりました、かりにわが国に核攻撃があった場合にどの程度の被害があるかということにつきましては、かつて、三年ぐらい前かと記憶しておりますが、同じような御質問がございました。衆議院か参議院か忘れましたが、外務委員会でございまして、その際に、私どもは公式のそういう見積もりはいたしておりませんけれども、一部関係者の研究ということで、かりにたとえば東京に十メガトンの水爆がある日の午後四時落ちた、一体どの程度の被害が出るだろうかということの結果につきまして、申し上げたことがございます。正確な数字は私記憶しておりませんが、かりに某月某日の午後四時、これにつきましては風とかいろいろな問題がございますが、その際に八百万人ぐらいの人がおりました場合でも、十メガトンの水爆が地表面で爆発した場合には、約二百万人は生き残る、こういうことのこまかい数字がございますが、そのようなものも一例として申し上げたことがございますが、防衛庁として公に御説明申し上げる資料はございません。
  98. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 これは一発でございますか。一千万の人口の中に二百万人生き残るということは、一発で八百万人が死傷するという意味でございましょうか。
  99. 海原治

    ○海原政府委員 そういうことでございます。
  100. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 わかりました。順序といたしまして、先ほど長官から九条についての解釈もあわせて承ったわけでありますが、これも予算委員会だったと思うのでありますが、わが党の猪俣議員と総理とのいわゆる九条の解釈についての問題でありますが、いわゆる侵略戦争は否認をする、自衛戦争は認める、憲法には、韓国でも西欧諸国におきましても、侵略戦争を認めていない、すべて自衛戦争を認めておる、そして軍隊を置く、軍隊は自衛戦争にしか使えない、こういうふうな問答があったわけでありますが、結局そうなりますと、さきに長官がちょっと触れられましたように、自衛権の限界といいますか、これはどこにあるのかという議論になりまして、法制局長官との間の話し合いも、私ども傍聴いたしておりまして、きわめて不明確であり、結局は、日本憲法には自衛権の厳格なる限界があるのだというような程度に終わっておるわけでありますが、これにつきましては、長官も総理と同じお考えでございましょうか。
  101. 増田甲子七

    増田国務大臣 山木さんの御説ではございますが、自衛戦争ということばを使っておるならば、これは厳密に使えという御注文があるならば、お答えいたしますが、自衛実力行為ということでございます。自衛実力行為ということでございまして、交戦権を否定しておる日本憲法九条に、向こうから見ますと戦争でしょうが、向こうは侵略戦争をこちらへしかけてくるのでしょうが、それを排撃する実力行為としての実力行使でございまして、どうも常識上、しからば侵略はどんな範囲——日本自衛隊の持っておる実力というものは、通常兵器による局地に対する侵略を阻止し、排除する力があるという範囲のことを申し上げております。しからば、侵略とはどういうことかというのは、これは山本さんの新しい御提案じゃないかと思いますが、侵略とはどういうことかということは、これまた常識できめるよりしようがないので、侵略とは侵略ですなんと言うとまたしかられるかもしれませんが、とにかく日本の領海——領空ということばはないそうでございまして、領海、領土の空というのだそうですが、領海、領土上の空並びに領土、領海に武力的の急迫不正なる侵略があった場合を侵略という、それが局地的にあっ場合には、侵略するものに対して実力を行使する。つまり防衛戦争ということばでは語弊があるということを申しておるわけであります。しかしながら、日本の用語というものは、なかなか自衛隊にすべて通用するように日本の用語というものはございませんから、ときどきはいろいろなことばをあなたがお使いになっても、それはけっこうでしょう。けっこうですが、厳密に言えば、防衛戦争ということもないのでございまして、防衛実力行為ということでございます。
  102. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 同じような議論を予算委員会でもしておりました。きょうは逆に長官から講義を受けたわけなんですが、総理大臣は猪俣議員に、きょうは猪俣議員に憲法の講義を聞くというような発言があったのでありますが、私どもは、ことばの使い方ではないのです。国民の一人として、わが国の防衛なり将来のあり方について心配をしておるだけでございまして、御説明はお聞きしたいと思いますが、注釈のほうはあまり聞かしていただかなくても、また別の機会にお聞きしたいと思っております。  それで、そのときに、これも今回の国会か前回の内閣委員会かと思うのでありますけれども、自衛権の限界について、具体的な事例についての限界が明らかになっておるわけでありますが、個別の御質問に対して、海外派兵はしない、核装備は持ち込まない、日本でもそういう核爆発はしない、それから徴兵制度は採用しない、こういうことは、私はことばをあまり問題にしないのですが、自衛力の限界内だ、これをこえると自衛力の限界をこえるわけだという総理とのやりとりがあるわけであります。長官はどうお考えになりますか。これをこえる場合は、憲法九条違反というふうにお考えになっておりますか。
  103. 増田甲子七

    増田国務大臣 憲法九条によって、まずもってお互いに対話の形で明らかにしていただきたいのは、法律関係はできておりますから、これは合憲的であるというふうに立法府が見るということは、もちろんマジョリティの原則は支配しておりますが、これはまず常識でございます。それから行政府は法律の執行に任ずるわけでございまして、行政府たる防衛庁あるいはその最高指揮官である内閣総理大臣は、合憲的と見ておる防衛庁設置法自衛隊法を忠実に執行するわけでございます。そこで、侵略行為があった場合にどれぐらいが一体自衛行為かということは、鳩山内閣以来問題になっておるのでございまして、もし侵略行為があって、侵略者の基地をたたくにあらずんば座して死を待つ以外にないという場合には、侵略者の基地憲法上はたたき得る。しかしながら、日本自衛隊の派兵はしないのであるということになっておるようでございます。詳しいことは法制局長官のほうから御答弁があるほうがいいと思いますが……。  そこで、今度は司法府の見解でございまするが、司法府の見解は、砂川判決がやはりよりどころでございまして、あれには日本の自衛力というものは云々と明確には書いてございませんが、間接にわれわれは一つの推断を下すわけでございます。直接的には、日米安保条約並びにそれに伴う基地に関する法律は合憲的である。そこで、日米安保条約の関係は、日本憲法九条は、アメリカの戦力を借りてくる、外国の戦力を借りてくるというようなことまでを憲法違反と言っておるのではない。でございますから、そういうときにはアメリカの核の力を借りて——いま行政府は日本の中へ持ち込まぬとは言っておるが、司法府の見解は、横田なり厚木なりその他のアメリカ基地で、一たん事があるときに核の力を借りてきて、そうして、リタリエーションとして、報復としてわが国を守るためにアメリカの戦力が日本を守ってくれるということは、九条の関知するところではない。したがって、九条には触れないという判決がございますということを申し上げて、まず大体この範囲で、あとこれ以上答えると法制局長官の分になりまするから、お許しを願いたいと思います。
  104. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 法解釈ということよりも、長官として、わが国の自衛隊が海外に派兵されるということを、先ほど来のシビリアンコントロールからお認めになるのですかどうか。あるいは自衛隊が核装備をするということが、将来あり得るということをお考えになっておるのかどうか。それから、ただいまの徴兵制度ということをお聞きしているのです。
  105. 増田甲子七

    増田国務大臣 三つにお答えいたします。徴兵制度というものは、全然考えておりません。それから自衛隊海外派兵ということは、憲法に触れると思っております。それから自衛力の限界というものは、外国に脅威を与えないという範囲で実力を設置し、これを訓練する、その線はしかるべきものである、こう考えておる次第でございます。
  106. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 核装備はいかがでございますか。
  107. 増田甲子七

    増田国務大臣 核装備は、日本自身はいたしません。また、いたしては憲法に触れると思っております、すなわち外国に脅威を与えますから。
  108. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、徴兵制度もしない、海外派兵も核装備も憲法違反だということをお聞きしたのですが、海外派兵だとか徴兵制度も、憲法違反だとお考えになっておりますか。
  109. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、いまの憲法から見て、しかるべからずと考えております。
  110. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 よくわかりました。  四十一年六月二十三日の内閣委員会において田口委員の総理に対する質問に対しては、これはやはりこの事例をあげまして、憲法違反であるかどうかという質問をしているわけなんです。総理は、憲法違反の問題よりも、総理大臣がそういうことをしないと言うことが、国民にわかりやすいのじゃないかというふうな答弁をいたしておりますが、私は総理が憲法を自由に——長官答弁で私よくわかったのでありますけれども、総理自身が憲法に違反するかどうかということについては、総理みずから申されなければならぬと思うのですが、それ以上深くその会議録ではどういうふうな成り行きになったかわかっておらぬのであります。憲法に違反するかどうかということよりも、私自身——総理自身でありますが、総理自身がそういうことをしないと言うことが、国民に対しても総理の姿勢としてはわかりやすいことだという意味の答弁がなされておるわけであります。これが私先ほど長官にも申し上げましたように、国防会議議長としても、何としても憲法を守っていくのだ。かりに一歩譲りまして自衛隊法を認め、防衛庁設置法を認め、あるいは自衛戦力を認めましても、こういう重要な問題についての、憲法に違反するしないということよりも、総理みずからの判断によることが国民に対し信頼がおけるというよう意味——正確な文章はわかりませんけれども、この考え方が、私は国防会議議長として非常に重要だと思う。過去の時代におきましては、国会なり国民がこれを守り得なかったわけでありますが、統帥権の限界を縮小することに政治家は全力を尽くしたわけであります。しかし、今日きわめて重要な、平和憲法下におきまして総理が憲法に違反するかどうかということよりも、総理の判断によってこういう問題が将来情勢の変化によって変わっていくという考え方、これが——総理おられませんので、私はお尋ねする機会がございませんが、本会議におきましての大出委員質問に対する総理の軽率に漏らされた答弁その他と符合いたしまして、総理の自衛隊に対する考え方が、国防会議議長としての立場から十分配慮をしていない、国民に密接な関連のある重要な問題を軽視しておるというふうな印象を受けるわけでありまして、総理がおられませんので、長官に、それらのことにつきましても、私ども長官としてのコントロールといいますか、あるいは国防会議議長に対する補佐といいますか、その点の御配慮をお願いしたい、かように申し上げたいと思います。  そこで、私少しこの三次防の前提となる情勢をお聞きしたいのですが……。
  111. 山内広

    ○山内委員 ちょっと関連して。山本さんの質問の途中で腰を折ってはなはだ申しわけないと思うのですけれども、いま長官の御答弁の中にちょっと気にかかるおことばがありましたので、この際確認しておきたいと思うのです。それは核装備についての質問に対して、日本自身は核装備をしない、たしかそういう御発言があったと思う。いま非常に大事な沖繩の返還をめぐっても、あそこに核基地があるということ——重大な発言だと思う。日本自身は核装備をしないという、そのことはどういう意味ですか、もう一ぺんはっきり御答弁願います。
  112. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは高辻法制局長官が従来統一解釈として答えた線に沿うた答えでございます。日本自身は核装備をすることは憲法違反であり、外国の戦力のことは別であるということは砂川判決によっても認められておりますということを答えておる、その範囲を答えただけでございます。
  113. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、他国からの核は入ってくるのを認めるということですか。
  114. 増田甲子七

    増田国務大臣 行政府の方針として、核兵器は製造せず、保有せず、持ち込まずという方針を堅持しておることは、行政府の方針でございます。
  115. 山内広

    ○山内委員 ですから、そういうときは、日本自身なんて言わぬほうがいいと思うのです。それはなぜかというに、これは昨年の何月でしたか、いまここに資料を持っていませんけれども、たしかアメリカのマクナマラでしたか、ラスクでしたか、相当の責任者が、日本は何も核武装する必要はない。必要があるときはアメリカからどんどん持っていって、アメリカの核を使わせるのだということを記者会見で発表している記事が、出ているわけです、公式の会見で。ですから、こういうわずかなことばですけれども、法制局長官の言を長官自身が繰り返してお話しになるということは、非常に気になる。そういう意味で、この際もう一度はっきり、アメリカだろうがどこだろうが、行政府が、持ってこようが憲法違反だから絶対に持ち込ませないんなら、いま最後にお話しのとうり、日本は製造もしない、保有もしない、持ち込みもさせないことになる。それを何かそのときの行政の判断で、そういう姿勢を曲げられるようでは困る。
  116. 増田甲子七

    増田国務大臣 山内さんのおことばでございますけれども憲法論として言っているときに、九条の範囲になるか範囲外になるかという山本さんの、九条を含んでの防衛庁長官としての解説を聞きたいとおっしゃいましたから、解説としては、そうなるわけでございます。それはあくまでそうなるわけでございまするが、しかし、行政府といたしましては、製造せず、持ち込まず、保有せずと言ったからといって、憲法論はしないほうがいいというふうにおっしゃるのはいかがと思います。憲法論の詳細のことは、高辻君を呼んでお聞き願いたいと思います。
  117. 山内広

    ○山内委員 どうも政府の答弁は、そのときそのときの御都合で変わるから、私ども心配しているのです。長官は、いま在任中はそういうことで貫かれるでしょう。総理もそのことは——まさかうそだとは思いませんけれども、たとえばこっちからは攻撃しないといっても、いままでの国会答弁では、相手の基地からこっちへ持ってきていろいろなものを撃ち込んでくる、そこをたたかなければ日本の自衛ができないという場合には相手を攻撃しますというところまで、攻撃の範囲拡張するといういまの政府答弁になっているわけです。そういうことから考えて、相手方が核を使えばこっちも使うんだ、持ってないからそのときはアメリカから持ってくる、こういうことの危険を——特にさっきも申しましたとおり、沖繩という非常にデリケートなものを返還するとかしないとか、それを含んでやるとか、基地はのけておけとか、そういう論議の段階ですけれども、そういう点でこの問題は明らかにしておいていただきたい、こう思うわけです。
  118. 増田甲子七

    増田国務大臣 山内先生のお説はわかりますけれども憲法論と政治論とを一緒にされては困るんじゃないかと私は思います。そこで、行政府の方針がそうであるならば、ずっと信頼してくださっていいんじゃないか——ずっとというのは、やはり時間的に相当長期にわたってということでございます。
  119. 山内広

    ○山内委員 あらためてまたやります。
  120. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いま長官お話で、海外派兵は憲法違反だということをお聞きしたのですが、時の勢いで相手方の基地日本自衛隊がたたくことは差しつかえない、こういうような御発言がございましたが、これは間違いございませんか。
  121. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本に武力侵略が行なわれた場合に、相手方の基地をたたかずんば日本の生存はあり得ないという場合にはたたき得るということは、鳩山内閣が答弁いたしております、自来あまり変わっていないようでございますということをお答えしたわけでございます。
  122. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 非常事態になりますと、日本の空軍あるいは海上自衛隊は、相手の基地をたたくということがあり得るわけでございますね。
  123. 増田甲子七

    増田国務大臣 核のですか。
  124. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いや、日本自衛隊が相手国の基地をたたくということは、想定されているわけですね。鳩山内閣の方針以来、ずっとそういう方針を堅持して考えておられるわけですね。
  125. 島田豊

    島田(豊)政府委員 わが自衛隊の任務は、あくまで直接侵略及び間接侵略からわが国を防衛するということが任務でございまして、一応理論的には、憲法上は、ただいま長官からお話がございましたようなことは考えられるが、現実にわが自衛隊がそういう能力を持ち、またそういう行動を考えておるかということになりますと、これは全く違うわけでございます。あくまで、やはりわが国に対する直接、間接の侵略からわが国を防衛するというのが、陸海空自衛隊の任務でございます。
  126. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうすると、将来はいかがでございましょう、四次防、五次防というふうな整備が続きました場合。
  127. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三次防の前提となります一つの防衛構想と申しますか、それにつきましては、日米安保体綱を基調としながら、わが国みずからの防衛力を保持しまして、侵略を未然に防止する。その場合に、核の脅威に対しましては、米国の核抑止力に依存する。万一侵略が生起しました場合、たとえば間接侵略あるいはごく小規模の侵略に対しましては、わが国が独自でそれに対処いたしますけれども、非常にこれが規模が大きくなりましたような場合、わが国の能力ではこれに対処できない場合には、日米が協力をしてこれに対処するというのが、私どもの基本的な考え方でございます。その場合におきまして、わが自衛隊の果たすべき任務というものは、先ほど申しましたように、あくまで自衛ということでございまして、もしそういう相手方の基地をたたかずんばわが国が座して死ぬほかはないというような場合には、やはり日米安保体制、日米共同防衛ということでこれに対することになろうかと思います。
  128. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 共同防衛で対処するということは、端的にお答え願いたいと思うのでありますが、日本自衛隊がそういうこともなし得るということでしょうか。
  129. 島田豊

    島田(豊)政府委員 わが自衛隊の行動は、あくまで自衛ということでございまして、わが本土を相手方の侵略から守る、こういうことに尽きるわけでございます。
  130. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 これもしばしば論ぜられたことでございますけれども、三矢計画だとか、あるいはフライングドラゴン作戦、ブルラン作戦、こういったものはあるのでございましょうか、ないのでございましょうか。
  131. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三矢研究という研究自体はございました。しかし、これはあくまで幕僚間の研究でございまして、それが直ちに防衛庁計画に反映するものでもございませんし、防衛庁計画自体でもないことは、これは特別委員会でもすでに宣明されたところでございます。  もう一つ、ブルラン作戦ということばが出ましたけれども、ブルラン作戦というのは、全くそういう計画というものはございません。
  132. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 長官はどういうふうにお考えになっておられますか。これは答弁には関知しないという答弁でございますか。
  133. 増田甲子七

    増田国務大臣 作戦計画ということばを一応使わしていただくならば、いろんな計画を練っておることはございましょう。しかし、私は、フライングドラゴンということは、聞いたことはございます。それからブルランというのは、ときどき国会議員の御発言で聞いておりますけれども、存在しないと思います。一方は聞いていないというだけでございます。一方は聞いてもいないし、存在もしておりません。ただし国会議員は、ちょいちょいフライングドラゴンであるとか、ブルランということをおっしゃいます。
  134. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 なければそれでけっこうだと思うのでありますが、私どもは、どうもあり得るというふうな感じがするわけであります。これは今日の自衛隊の発祥を考えてまいりますと——その前に長官にお伺いしたいのですが、長官は、吉田内閣時代の官房長官をなすったと思うのでありますが、二十二年にはいまの憲法が出たわけですね。陸海軍が壊滅しておるわけですね。ないわけですね。この憲法は、当然国会の承認を得たわけなんですが、そのときの国会には出ておられたわけですか。
  135. 増田甲子七

    増田国務大臣 憲法制定のときは政府委員でございましたし、憲法公布、施行のときは国務大臣でございました。
  136. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 国務大臣として、官房長官として、陸軍、海軍が壊滅したあとの第九条の解釈につきましてはすでに承りましたが、そのときは、おそらく私どもは国民の総意といたしまして、いわゆる陸海軍、これに類似のものを持たないというふうな考えで進んだと思います。大臣はその重要な国務大臣として、官房長官として、陸海軍のない将来のわが国の防衛、これについてどう対処していくのかということをお考えになったことはございますか。
  137. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、制憲議会のときには、北海道長官として政府委員でございました。ですから、全般について責任はないと思いまするが、しかし、公布、施行されたときの昭和二十二年五月三日は、運輸大臣としての国務大臣でございますから、そこでやはり何らかの責任はあるわけでございまして、そのときの感じでは、制憲議会当時も私はおりましたが、野坂参三氏等は、軍備のない憲法なんかはけしらかぬから、私は反対する、日本には軍備は絶対必要だということを強力に発言されたことが、私は耳に残っております。
  138. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いや私は大臣として、国民全体がそういう虚脱の状態にあったと思うのでございます、そういう時代に国務大臣として、国民とともにわが国の防衛をどう考えていくかということを真剣にお考えになったのかどうなのか。占領時代ではございますけれども、いつかは占領も解けるわけでございます。そういうときに防衛をどうするのだということを、再建の国の重要な基礎づくりのときの国務大臣として、どういうお考えを持っておられたか、全然無関心であったのか、あるいは一つもお考えにならなかったのか。
  139. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、当時芦田厚生大臣からだいぶ話を承っておりまして、同僚の芦田さんから、前項の目的をもってという字へうんと力を入れたんだ。ある程度の軍備が——当時軍備ということばを使っていました。今日の自衛、防衛実力なんということばを使いませんで、正確に軍備と言っておりましたが、ある程度の軍備は持たなくちゃいけない。それで、前項の目的をもってという字を入れたんだということを私に二回も三回も——回顧録というところには書いてございます。あなたもお読みでょうが、これくらいの膨大な菊版の本でございます。そのことに特に自分が制憲議会の憲法制定特別委員長として力を入れたし、当時のGHQにもそのことを申し入れて、まさかのときに備え得るしかけをしてあるんだということを言っておりましたが、当時はまちまちでございます。実はまちまちでございまして、無軍備がいいという方も、自由党にも民主党にもございましたし、いろいろでございました。しかしながら、日本の占領が解除される前に、昭和二十五年八月に警察予備隊というものができたときに、正式な軍備を持つことはいやだということを言ったのは、吉田茂総理でございます。そのことは、私は聞いております。そこで、正式でない、実力部隊としての警察予備隊を持つんだ、こういうことでジョン・フォスター・ダレスとの話がついた。マッカサー元帥がそのけんかの仲裁もしたという話も、これまたしばしば聞いております。だから、いろいろな経過があって今日に至っておるんだ。今日のこういう状態になったことが、正直なる経過並びに結果とまではいきませんが、経過の私に対する御質問答弁であります。
  140. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、この重要な終戦のときに、政府もわが国のいわゆる無防備状態における国の再建、そういう状態の再建ということについて、いまの大臣の御答弁をお聞きいたしましても、ほとんど考慮を払っていないということを感ずるわけであります。そのことが、今日までの推移におきまして日本自衛隊を考える際に、私は十分考えなければならぬ点だと思っております。ですから、二十五年の朝鮮戦争が始まりましてから、やはりアメリカの恣意により警察予備隊ができ、それがさらにアメリカの恣意によりまして、途中の経過はございましたが、今日の自衛隊に、二十七年か九年でございましたか、発展していったという経過をたどっての自衛隊でございます。したがって、いわば国民の総意といいますか、国民のコンセンサスに基づくいわゆる防衛対策といいますか、国防の基本方針というものが生まれてこないで、アメリカの方針に従って警察予備隊から今日の自衛隊に推移をしてまいっております。したがって、装備から、訓練から、教育から、すべてアメリカに依存をしてまいっておる。このことが、私は、ただいまいろいろ三矢計画だとかあるいはフライングドラゴン作戦だとか、いわゆるアメリカの作戦の一環となっての計画を立てやすい体制にあるというふうに感じております。このことに対する、いわゆる自主防衛なりわが国の国益に関連しての自衛隊の将来のあり方を深く考えなければならない時期に至っておる、第三次防の整備及びそれにつながる将来の整備をいたします際に、そういう感じがいたしております。これにつきましては、長官のそういう経緯によってのコントロールが必要であるということを、ひとつよくお考え願いたい。したがって、いま申し上げました計画というものも、長官なり総理は十分お考えおきを願いたい。いわゆる長官としての立場において関知しないことはよくないし、また深く話し合いを進めておいていただきたい、かように考えております。いかがでございましょうか。
  141. 増田甲子七

    増田国務大臣 山木さんの御質問は、私は大体において賛成でございまするけれども、ただおことばの中に、アメリカの恣意というのがどうもわかりませんが、ほしいままなる意思ということでしたならば、そういうことはちょっと妥当ではない……。
  142. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 指示でございます。
  143. 増田甲子七

    増田国務大臣 指示ということはございました。これは警察予備隊というのが、ディレクティブでできておりますから……。それからその次の保安隊からは法律でございまして、コンセンサスを得ないということをマイノリティーのあなた方はおっしゃるかもしれませんが、マジョリティーの私どもは、国会を通ればコンセンサスを一応得たものである。それから自衛隊法防衛庁設置法も、昭和二十九年六月から法律になって公布され、有効に今日まで存続しておるということで、あとPRのしかたが足りないということについておしかりはあるかもしれませんが、コンセンサスなきままアメリカの指令によって今日に至ったのであるという点は、ちょっとやっぱり国民の前に誤解を起こしまするから、その点はお考え直しを願いたい。やっぱり法律になっている以上は、これは国権を代表する最高機関である皆さま方がおつくりになった法律が、保安隊法であり、それからその次に自衛隊法であり、防衛庁設置法であり、国防会議の構成等に関する法律でございますから、やっぱりコンセンサスというものは、何といっても——松本市へ行ってみたところが、みんな賛成といったことがコンセンサスではないわけでございまして、総選挙によってお互いが国会議員をつくっております。これは少数党と多数党とはございまするが、お互いに審議をした上通った法律でございまするから、やっぱりコンセンサスの最高の象徴は国会であると私は考えております。
  144. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 国会を通った法律に基づく自衛隊であり、あるいは保安隊であるということはよく存じておるわけでありますが、その推移、そういう提案をし、そういう法律を通さなければならなかったという、いわゆる今日の自衛隊に発展するところの底流に流れているもの、これは国民の自発的意思によって盛り上がってきたのではなくて、常にアメリカの指示によって強化されたその事実を、よく頭に入れて将来に対処しなければ、自衛隊の方向も誤りますし、今後の国防も誤るのじゃないかということを申し上げたいと思います。ことに今日日米安保条約があるわけでございますが、安保条約の前提は、常に国連憲章を前提に置いておるわけでありますが、安保条約にも国連憲章ということばがしょっちゅう出てくるわけであります。この精神は、前文にもございますとおり、われわれの世代に二度の大きな惨禍を与えた、次の世代にこういうことを繰り返したくないと言っておるわけですね。ところが、現実は国連は弱化して、そしてその国連憲章のもとに認められた集団安全保障ということは、長期固定化する体制にあるわけであります。最近の中東の紛争につきましても、結論が出なかった。しかも人道的立場の難民救済ということが、圧倒的多数で通っておる。やはり私どもは、世界の国民が戦争を避けたいという気持ち、しかもそれの惨禍を認識して、これの救済は圧倒的多数で通る、こういうことになっております。これらにつきましていわゆる集団安全保障、それから国連を強化すること、この精神をどう——国連憲章の精神は、日本憲法と全く同じだと私は思っております。そういう理解をしております。その国連機構の強化ということに——これは防衛庁長官の直接担当ではないかもしれませんが、防衛庁長官の立場において、いわゆる今日の自衛隊を認めるにいたしましても、戦争を起こさないということが目的だと思うのであります。そのために、ほかの体制整備に私どもは努力しなければならぬ。安保条約の核のかさの下にという観念よりも、いわゆる国連を生かしていく努力を必要とすると思いますけれども、これについてどういうお考えでございましょうか。
  145. 増田甲子七

    増田国務大臣 山本さんの御意見に大体において賛成でございます。
  146. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そこで、私どもアメリカの防衛計画日本と共同作戦をする防衛計画でありますが、これはその基本方針については長官もよくおわかりだと思いますけれども、これは明らかにソ連というものを目標に置きまして、整備を進めておるわけであります。ソ連ももとより整備を進めております。その中に、これはマクナマラ国防長官の一九六七年の一月の国会に対する年次報告でございますけれども、いろいろありますけれども、その中にいろいろな軍の施設を装備いたしまして、そして「これらの措置によりソ連の防備網に対する米国の破壊力は一九七二年半ばまでに大幅に改善され、モスクワ型のABMが他の諸都市に配備されても、米国はソ連の奇襲攻撃をしのいだあと、ミサイルだけでソ連国民の三五%(八千六百万人)を殺すことができるようになろう。」という防衛整備基本計画を書いております。こうなりますと、防衛計画と言えるかどうか。いわゆる国連憲章の中心である、これを強化しなければならないアメリカが、その防衛計画の基本計画はこういう状態でございます。これとわが国は共同防衛をしておる。こういういわゆる防衛という問題よりも、いままで二度の惨禍からこういうことを次代に与えないという国連憲章とは、全然違ったアメリカの防衛計画である。これと日本は共同防衛をやっておるわけでございます。これらについてどう考えますか。ただ安易に第三次防あるいは第四次防、第五次防と強化していって、アメリカと一緒に何とか強化するというだけで済まされる問題かどうか。私どもは極限にきていると思うのであります。それらについての御見解を、将来の四次防、五次防につながることでございましょうから、長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  147. 増田甲子七

    増田国務大臣 高い良識を持っていらっしゃる山本さんの御意見でございます。そこでつつしんで拝聴いたしておきまするが、マクナマラが、たとえソ連の核侵略があってもということでございまするから、アメリカのほうで核侵略を——これはマクナマラ証言について言っておるのでございますよ。私がソ連と言っているわけじゃございませんから、某国がと言っておきますが、たとえ某国が核侵略をしても、一応侵略を受けて被害を受けても、今度はマスリタリエーションという字が書いてあります、大報量復爆撃をしてこれこれこういうことができるのだ、こういうことを言っておりますから、その前のたとえ云々というほうに力を入れてもらうというと、やはりあの膨大なる核兵器というものは、核戦争がないように——核戦争があったら、山本さんも増田甲子七ももうこの世の中にはいないのですから、意味がないのですから、そこでフルシチョフのことばを私は引用しておかしいかもしれませんが、フルシチョフが核戦争があって、人類がなくなっちまってから共産主義国なんという看板を書いたって意味ないじゃないかと言って、某公式論者ばかりのある国を非難しておりまするが、そういうわけで、私は核戦争がないということが必要だと思います。そのためには、ある機関においても申し上げましたが、核のバランスによって世界の平和が保たれておるわけではなく——これはお互い現実的な話でございますよ。核のアンバランスによって核戦争がないように保障されておる。その国と日本とが安保条約を結んでおるというのは、日本は核兵器は持たないのですから、私は国民を愛し、守るという点におきましては、山本さんも私も同様だと思います。私はここと結んだら危険だから、どこかほかのやりそうな国と同盟するなんということはさらさら考えないのでございまして、やらなそうな国とやはり安全保障条約を結んだほうがいいのではないかと私は思いますが、いかがでございましょう。
  148. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私の申し上げているのは、そういう防衛計画——これはソ連も同様でごさいましょう。そういう防衛計画が、防衛計画の名前に値するものであるかどうか。それは人類の破滅につながる問題であるので、そういう防衛計画を、アメリカとの防衛計画において将来の三次防から四次防、五次防ということよりも、もっとその根底をなす戦争をなくする努力が必要だ。いろいろお聞きしたいこともありますけれども、そういう意味で私は申し上げているわけであります。  そこで、一言だけ端的にお聞きしたいのですが、私はいまの情勢は、これは独断かもわからぬと思いますけれども、ベトナム戦争の推移とそれから朝鮮の三十八度線だと思う。もしここに問題が起きましたときに、日本自衛隊は出動いたしますか、どうですか。
  149. 増田甲子七

    増田国務大臣 出動いたしません。
  150. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 よくわかりました。  そこで、三次防の内容につきましても、長官の御答弁の矛盾がよくわかるのでありますけれども、これは一々他の方から指摘することだと思うのであります。私は、日本の直接侵略ということの懸念も、遠のいておるという考え方をしております。そこで、陸上自衛隊の強化についても疑問を感じますが、さらに昨日武部委員からの質問でございますが、間接侵略もしくは命令による治安出動、これに非常に重点を置いているようなお話がございましたが、これはほんとうでございましょうか。
  151. 増田甲子七

    増田国務大臣 それは武部さんが治安出動に重点を置かれて質問されたというのでございまして、私は、治安出動もなし得ると申したのであります。  それからこの機会において申し上げておきますが、治安出動した場合には、臨時国会を開いても同意を求めなくちゃならぬことではないのでございまして、治安出動の場合には、来たるべき国会において承認を得なければならない、こう書いてございますことを、この際あわせて、武部さんの御質問に対する御回答ということで、山本さんの御質問に対する御回答にあわせてお答えいたしおきます。
  152. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、長官から、現在自衛隊でやっておられます訓練の総時間に対しましてわずか数十時間だ、ただ東京の管区においてその三倍程度をやっているというお話を聞いたのでありますが、私は、こういう訓練は一切おやめになるほうがいいと思います。それは先ほども申し上げましたように、自衛隊のいままでの経緯、それともう一つは、私ども自衛隊に現に勤務しておられる方々に対しては、何らの感情を持っておりませんし、私も現地におきまして親しくしておるわけであります。そして今日自衛隊が何となしに、これも発言にございましたが、いわゆる日陰者のような印象を持ち、これが内攻していっているということも考えられるわけでありまして、たよるのは、いままで手をとり足をとり指導していただいた、そしてまた留学もし、あるいは相談相手にもなる米軍の幹部あるいはそれに属する方々ということに、かりにそういう事態になりますと、これは冒頭申し上げましたように、いわゆる国民のための自衛隊、これは教育方針にもそういうことをはっきりうたっておられると思います、そういうところから何となしに遠ざかっていくのではないか。その意味におきまして、治安出動訓練は一切おやめになったほうがいい。国民のための自衛隊というふうなことをもしお考えでありますならば、これは今後おやめになっていただきたい。旧陸軍におきましても、国民のための陸軍、海軍という思想は、一貫しておったわけであります、誤った方向にもまいりましたけれども。その点につきまして長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  153. 増田甲子七

    増田国務大臣 あなたも警察部長をなさいまして、よくおわかりだと思いますが、警察力をもってしては不足の場合ということは、米騒動なんかのときにあったのです。それから関東大震災のときにもございまして、治安出動というものは、何しろ発砲したりすることばかり考えるわけではございませんで、物件を防護したり婦女子が暴行を受けたりすることのないように、警察力の不足という場合が幾らでもあり得ます。そのときのことを総理大臣が良識をもって考えて、警察力では不足な場合に出動を命ずる。そしてあとで国会の御承認も得るわけでございますから、非常識なこともないわけでありまして、これこそは国民の保護者である、警察官の補助者である、愛されるゆえんであると、私は思っております。何しろ発砲することばかりあなたはお考えのようでございますが、そんなものではない。いろいろな物件を防護したり、そうして電灯がないときに電灯のかわりになってやったりして、暗い道でもよく通れるというようなことを、関東大震災のときには電灯がわりまで、出動した師団がいたしました。そういうわけでございまして、警察部長の経験をなすったあなたが、一切自衛隊は出動しないほうがいいなんておっしゃったらたいへんなことになりますから、やっぱり国民の保護者であるという立場において、そういうことを予見して、法規にもあるわけでございます。
  154. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 自衛隊が出動するという場合に、冗談半分に長官の言われておる、発砲することばかり考えるなということでございますが、それこそ私は非常に非常識な発言だと思います。かつての米騒動のときに、治安出動として陸軍が出ました場合に、これは地域民に非常な批判を受けまして、騒動を鎮圧するよりも、むしろこれが大きく広がったという原因をなしております。今日、私の経験からいたしましても、治安のことは、常に民衆と接触しておる、機動力もお持ちのようですから、警察におまかせ願いたい。そういう規定があることは、これは当然、自衛隊法をおつくりになるときに、あり得るという規定、しかも発動の場合の厳重な制約のもとにああいう規定をつくるということにつきましては、通りました法律ですから、私はいまのところ異論を申しません。しかし、かつての陸軍にあってもなかったようなことを、あり得るという予想のもとに訓練する、短時間ではありますけれども訓練をするということが、いろいろな要素から考えまして、国民の中に溶け込まないような、国民が反感を持つ自衛隊になる。自民党でおつくりになりました安全保障等につきましても、いろいろなことを書いておりますが、全くこれは軍国主義的復興のようなことを考えておるわけでありまして、私は非常に危険な要素が多分にあると思うのであります。しかし、それでもなおかつ最も力を入れておりますのは、やはり民生の安定、政治姿勢を正すということでございます。これは冒頭に書いておられます。それから国防の基本計画にも、その点を強調いたしております。全く私はそのとおりだと思います。政治の姿勢を正すということが、私どもはいろいろなことを主張いたしておりますが、私どもも、自民党でとり得る政策が、着実に遂行することによりまして、国民の生活がよくなるということであればいいと思うのであります。私どもも政党でございますので、議会民主主義のルールに従いまして、社会党の政権樹立ということを目標とはいたしますけれども、しかし、私どもは、政党が政策を実現するということよりも、国民の生活が少しでも前進をする、よくなるということが、私どもの念願しておるところであります。したがって、この安全保障に政治の姿勢をうたい、民生安定をうたいましても、こういうところに力を入れることによりまして、私は警察力で十分である、自衛隊の出動ということを考えなくてもいい、そういう事態は起こらないということを信じております。いたずらにそういうことを訓練することによって、教育のしかたによりましては、本来国民のために立つ者もあわせて——それは敵性な者も国民の中にはおりましょう、犯罪があると同じように。その国民の側に立つ者までも治安活動の対象としての訓練をいたしておりますと、一朝有事のときに、そういうことが行動となってあらわれる。したがって、自衛隊を国民に愛される自衛隊にしようということでありますならば、いまの治安出動の訓練——これはしっかりした訓練をいたしますれば、当然自衛隊本来の訓練をすることによって、万一そういう事態になりましても、十分役に立つと私は信じております。したがって、わざわざかつてなかったようなそういう治安出動の訓練までは、直ちにおやめ願いたい、こう思いますが、いかがでございましょう。
  155. 増田甲子七

    増田国務大臣 お説は重々ごもっともでございますが、前の安保条約のときは、間接侵略は、政府の明瞭なる要請があれば米軍が出動するとまで書いてあったわけでございます。今度は主として間接侵略その他警察力をもってしてはとうていおさめられないような治安撹乱現象と書いてあるのでございまして、まず間接侵略を書いてございます。つまり、ゲリラ部隊の潜入等は間接侵略でございますから。しかも、前の安保条約は、明らかに外国の一国もしくは二国の使嗾、扇動、援助に基づく暴動大騒擾等であって云々と、こう書いてありまするから、やはりそういうときに何も訓練していないということは、七十八条に照らして不忠実ということになるのでございまして、あなたは同胞相討つというようなことはまずいということだろうと思いますけれども、私はそういうことはまずいと思っております。結局、私が例をあげたのは、強盗殺人等があって、警察官も発砲するにあらずんばできないというような刑法三十六条、三十七条の範囲内しか武器は使っていないと私は思っております。そこで百三条等には、治安出動時の武器使用という規定がございまして、刑法三十六条、三十七条と、こういう場合しか——それと指揮官の命令によるにあらずんばと書いてございますが、その指揮官というのはやはり三十六条、三十七条のときにやるということであって、あとはやらないというようなことだと私は思っております。また、そういうふうにさせるつもりでございます。やはり護民官であるという立場で自衛官は働くべきであることは、お説のとおりでございます。
  156. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういうことをおやめになるという意味でございましょうか。
  157. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは原則的なことでございますから私からお答えいたしますが、国内にゲリラ部隊等が起きたような場合ということが、間接侵略でございます。それで外国人がかりにおりましても、それを直接侵略とは言っていないのでございます。そのときの訓練がまるっきりなかった、レンジャー部隊も何もなかったということは、これはまずいのでございます。治安維持行動における訓練を多少するようなことは、やはり義務ではないかと私は考えております。こういうことはむしろ方針に関する問題でございまするから、教育局長等に補足はさせますけれども、やはり方針に関しては練習は幾ぶんしておくべきである、こう考えます。
  158. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、自衛隊が国民の中に溶け込むという意味におきまして、平素の指揮官の考え方によりまして、そういう国民を対象にしての訓練ということは、現段階においては必要ないと信じております。そういう規定があることは、これはやむを得ないと思います。しかし、今日のわが国の警察がそういうことに対処し得る体制もできておりますし、それを警察で対処し得ないという事態、これは相当ゆゆしい事態だと私は思っております。したがって、それらのことは警察におまかせになって、本来の長官の言われる侵略者に対する自衛隊、これを国民に向けるという訓練は、自衛隊のためにとるべき策ではない。そういう訓練は、長官も御経験があろうかと思うのでありますが、これは訓練しなくても、いまの訓練で十分役に立つわけです。いたずらに国民に目を向けた自衛隊ということは、うわさに出るだけでも、おやめになってほしい。効果もない。  それからもう一つ、きのう問題になりました中央調査隊だとかそれから中央資料隊等も、警察の情報だとか、あるいは公安調査庁の情報等で十分であります。独自の情報機関を持つということも、私は反対でございます。これらは場合によっては、いま各国で非常に非難を受けておりますCIAとの関連におきましても、プラスよりもマイナスの面になる。常にそういう目で情報を集める、そういう目で調査をする、資料を集めるということ自体が、本来の自衛隊の国民に対する正しい資料調査ができないということをおそれております。これらも将来廃止する、あげて警察なり公安調査庁に一任をするというすなおな自衛隊の姿勢になっていただきたいということを考えておりますが、いかがでございましょう。
  159. 増田甲子七

    増田国務大臣 山本さんにお答え申し上げまするが、私もあなたと同様に警察、ことに普通警察でございまするが、長年やっておりましたが、警察力をもってすべての治安撹乱現象をおさめたいと思っております。またおさめるべきだと思っております。ところが、七十八条というものは、皆さんの議決によってきまりましたのは、これは警察力をもってしては不足であるという事態の間接侵略その他云々と書いてございまして、総理大臣が認めて、しかも国会の承認を得るわけでございます。そういう関係のときのことの練習ぐらいはしておかないと、私はやはり自衛隊の義務違反だと思うのです。私はそう思います。しかしながら、根本におきまして、日本国内における治安撹乱現象のごときは、警察力も、ことに最近は機動隊もできておりますから、警察で押えるべきものであるという点につきましては、あなたと同感であります。ただ、練習をやめるかやめないかというと、やはり多少の練習はしておかなくてはならぬと存じます。七十八条によって課されたる義務を果たし得ないものではないかと思います。  それから調査のことは、公安調査庁その他で調べているではないか。公安調査庁の調査とは違うのでありまして、つまりわが国の周辺諸国の——あるいは遠いところもあるかもしれませんが、大体周辺諸国の軍事情勢等を調査するわけでございまして、公安調査庁はそこまでできはしませんし、法律ではそういうことが書いてございます。そういうわけで、調査対象がおのずから違うわけでございます。
  160. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私の勉強が不十分であったかと思うのでありますが、そういう意味の付近各国の調査をするということであれば、それにとどめておいていただきたい。こういう機関は、ややもすればそれに直接関連がございますので、国内にまでその手が伸びるということは、またそこまでやりたいということは、これは調査する者にとってそういうことになるわけでありまして、それはそういうことの絶対にないようにお願いいたしたいと思っております。  もう一点は、法律があるからといって何か非常におびえるという、法律を使わなければいかぬという印象を、このごろ私は持っております。たとえば総理のデモ行進に対する宝刀的な規定を発動いたしまして、仮処分を取り消さしたという事例ですね。これは一定の方針がございましょう。国会の周辺は今後一切デモをさせないんだということもあるでしょうが、あまりにも事態を深刻に考える、そして宝刀的な規定に重点を置くという考え方は、将来本来の姿の政治が行なわれない。安易なやり方によって政治姿勢が出てくる。しかも総理大臣は、従来の時代よりも非常な権限を持っておられる。そういう体制、政治が安易になり政治の姿勢がくずれていくということを、私は憂えております。先ほど申しましたように、私は社会党員でございますから、基本的には社会党のいい政策が実現するということが、私どもの念願なんです。だから、あまりにものごとにおびえるために基本的な政治の姿勢というものがくずれないように、このことを冒頭申し上げましたいわゆるシビリアンコントロールの立場からお考え願いたい。  それから先ほど申し上げました訓練の問題ですが、これはいまの自衛隊のことをよくお考えになっておられる防衛庁の各局長ともよく相談して、どちらが自衛隊の将来、国民のためになるかということについてのお考えに立って再検討願いたい、こう思います。いかがでございましょう。
  161. 増田甲子七

    増田国務大臣 お説は大体において賛成であります。そういう方針にのっとってやってまいりたいと思うのであります。
  162. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 これで質問を終わります。
  163. 關谷勝利

    關谷委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時二十分休憩      ————◇—————    午後三時二十六分開議
  164. 關谷勝利

    關谷委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
  165. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ちょっと長官にお尋ねいたしたいのですが、昨日の当委員会で受田委員からの質問に対して、国連監視団に非軍事的なものであれば参加してもいいというお答えがありました。前回の外務大臣の答弁とはかなりに違った答弁がなされております。その違いをいろいろお尋ねすることはあと回しにしまして、外務省に自衛官が出向しておるということは明らかになっておるのでありまするが、こうした出向の事実は一体どれくらいあるのか、詳細に承りたいと思うのであります。これは重大でございますので、長官からひとつお答え願いたいと思います。
  166. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答えいたします。防衛駐在官として外務省の職員それからこちらの職員という併任の形をとっておりまするのは、米国に五人、ソ連に二人、英国に一人、フランスに一人、西独に一人、トルコに一人、中華民国に一人、南ベトナムに一人、インドネシアに一人、タイ——ラオスを兼務しております、に一人、インドに一人でございます。  それから、ただいま受田さんの御質問に対して、私が国連監視隊に自衛隊が入っていいというようなことを答えたというお話でございますが、私は、国連監視隊のことについては何ら言及していないのでございます。新聞等においてはそういうことが書いてございますが、国連監視隊の構成に入っていいとも悪いとも、私には御質問がなかったのでございまして、局長等への御質問に対するお答えは大体そのとおりですと言ったのは、つまり国連局長等に聞きました御質問に対する局長のお答え、すなわち外務省の職員という立場において行動いたしますし、その報告は外務大臣に対してなされますし、そこで外務大臣から私のほうへその報告が伝わってくると、こういう範囲のことを私は申したつもりでございまして、国連監視隊のことにつきましては、私はむしろ三木さんが前にほかの委員会でお答えになりました、慎重にしなくてはならないという消極的な意見でございます。
  167. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の質問がちょっとことば足らずだったので、長官誤解されておるようですが、私は別に長官がそうお答えしているとは言っていなかったはずであります。それは確かに国連局長からそういう御答弁があった。しかし、国連局長といえどもやはり政府の役人だろうと私は思いますから、それが長官と違った答弁をされるというのは、これは非常に困るのじゃないかと思う。一体、長官自体はどういうふうなお考えなのか。非軍事的ならば監視団に加わってもいいというような気持ちをお持ちなのかどうか、あらためて御答弁いただきたい。
  168. 増田甲子七

    増田国務大臣 きのうの国連局長の答弁も、私はうしろですからよく聞こえないわけです。その詳細は聞いておりませんが、三木君が前に参議院予算委員会における総括質問の際に、国連監視隊に日本がどんな形で入ることにつきましても消極的であるということを答えております。検討はせんならぬけれども、消極的であるということを答えております。その意見と同じでございまして、その意見と違うものであるならば、局長の皆さまに対する回答の中でもし三木外務大臣と違う線であるならば、これは再検討を要するのではないかと私は考えております。
  169. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは聞いておられなかったのですから困るのですけれども、これはやはり国会でなされた答弁ですから、非常に重大な問題だと思いますから、委員長において即刻速記録をお調べになりまして、違っているかいないか、確かめていただきたいと思います。
  170. 關谷勝利

    關谷委員長 淡谷委員に申し上げますが、その速記録を調べて持ってくるまでちょっと時間がかかりますが、その間ほかの御質問はどうですか。
  171. 淡谷悠藏

    淡谷委員 すぐできるでしょう。
  172. 關谷勝利

    關谷委員長 いや、ちょっと時間がかかりますよ。
  173. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長くかかるようなら考えますから、昨日質問に立ちました受田委員に、受田委員が聞いた答弁について、関連でひとつ希望したいと思います。委員長においてお計らいください。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 関連質問でやりましょう。いま淡谷委員質問にお答えになっている増田長官の御答弁を聞いておりますと、私きのうお尋ねしたお答えとちょっと違っているように承ったわけです。それは、いずれ速記録がくるからわかると思うのですが、私がきのうお尋ねしたことは、国連局長に対して、軍事的目的でない、平和的な立場での国連の監視団のような、そういう機構が認められた場合にどうかという念のための質問をしたことに対して、一九四七年の西イリアンにおける領事の監視団の問題の例を引かれて、その場合は防衛駐在官は外務省の職員として派遣されることが認められるという答弁があった。したがって、私はそれにたたみかけて、防衛庁長官に、外務省に出向しておっても、自衛官であるという根っこの身分に残っておると思うので、その自衛官の外務省職員としてのそうした場合における参加は、防衛庁長官としても御確認になるかと申し上げたら、そのときに国連局長の答弁のとおりであるという確認の御発言があったと私は了解しているわけです。それは念のために、根っこの身分が、よし外務省に出向しておっても、自衛官であるという身分があるがゆえに、この点は念のために増田長官に確認を求めたお尋ねをしたわけです。それに対しては、国連局長の答弁のとおりだ、こういう御発言があったので、そのことを聞いていなかったとなれば、聞かないで御答弁になったと思うのでございます。これはちょっと速記録で——はっきり、大きな声で私がお尋ねしておるわけですから、聞いておられなくて御答弁になったら問題は別です。私、あまりこの問題で発言したくなかったのですが、淡谷さんからの質問で私は関連質問の立場をとらざるを得なかったので、以上私が発言をしたこと及び長官がお答えになったことは、長官御記憶があるかないかをお尋ねいたします。
  175. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、その行政の機能としてお聞きになったというならば、お答えを——これは追加御質問でございますが、関連質問の受田さんにお答えいたしまするが、万事万端、外国へ参った自衛官の任務を併任しておるけれども、外務大臣の指揮、監督のもとに動くのである、こういうお答えをいたしております。この際もう一ぺん言えといえば、明瞭にいたしますが、そういうことでございます。外務大臣の指揮、監督のもとに動くのである、これが駐在官の職務上における地位であり、また職能であり、権利義務である、こう考えております。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 そのことも御答弁がありました。それは私、よく覚えております。同時に、国連局長の答弁の確認も長官がされたということも、私の記憶しているところではそうなっているのでございますが、これは速記録に残ったところで、第三者の速記者が書いたことによって確認する以外には道がないと思います。以上、関連質問を終わります。
  177. 淡谷悠藏

    淡谷委員 速記録ができているようでございますから、長官、ひとつお聞き願いたいと思いますが、受田委員質問に対しまして、服部政府委員からこういう答弁がなされております。「ただいま御指摘がありました国連機関でございますけれども、これはいわゆる平和維持活動と総称されているものでございます。そしていままで国連が創設以来大体二十幾つか設置されておりますけれども、その国連機関そのものが安保理なり総会なりの決議に基づいて設置されるわけでありまして、その場合場合によってその名称も異なりますし、それから任務、権限、目的というようなものも異なっております。大別いたしますと、第一には軍隊の性格を持っているような機関でございまして、たとえば朝鮮国連軍だとか、コンゴの場合、あるいは今度の中東の国連緊急軍というようなものは、軍隊の性格を持ったようなそういう機関。それから第二は、軍人を構成員とする監視団、こういうようなものもございます。それから第三には、全く軍人とは関係のない、軍事的性格は全くない、たとえば委員会とか、調査団とか、それから事務総長の個人的な代表団というような種類のものもございます。  いま御指摘の中東にはたして国連機関を設置することになるのかどうかということは、ただいまの緊急特別総会が今後どうなるか全く不明でございますし、決議案も否決されたような状況でございますので、はたしてそういう国連機関ができるのかどうか、その辺は不明でございます。ただ、今度の紛争のきっかけとなりました国連緊急軍、これがアラブ連合の要請によって撤退したわけですが、そういうものが復活する場合には、これはやはり相当軍隊的性格を持っておるわけで、こういうものに参加するのは、もちろん不適当ということでございます。  軍事監視団につきましても、これはやはり構成員は軍人でございますし——軍事監視団の中にも、全く兵器を持っていない丸腰のいわゆる軍人が参加している監視団もございますけれども、これもなかなかむずかしいんではないかというように私どもは考えておるわけでございます。したがって、現在のところ、われわれに対して国連側から何の照会もございませんけれども、またあっても、それは適当ではないとわれわれ判断いたしております。」以上のような答弁であります。長官いかがでございますか。
  178. 増田甲子七

    増田国務大臣 そのことばを聞いた範囲内では、なかなかむずかしい。つまり最後のところで——最初のずっとのくだりは、外務省員でなければ発言できないことばでございます。最後のくだりの国連監視隊というものに入るのもなかなかむずかしい状態でございますというならば、そのとおりでございますと私が言ったでございましょう。
  179. 淡谷悠藏

    淡谷委員 しかし、これは性格が三つに分類されていることは、ひとつ御注意願いたいと思うのであります。非常に軍車的な要素の強いもの、それからないもの、こういうような区別をしておいて、今度の監視団はどれか非常にむずかしいというような答弁をされておる。これに続いて受田委員から、「国連に協力を要請された場合に、いかなる場合も日本は参加しないということが基本方針だというお考えですか。」という質問をされております。これに対して服部政府委員から「ただいま申し上げましたように、監視団とかいろいろな場合がございます。軍事的性格を持っているのはあまり適当ではないんではないかと思いますが、たとえばこれまた一つこまかい例でございますが、インドネシアにオランダ軍の撤退を監視し、その監視の状況を安保理に報告する任務を持った国連の委員会ができたことがございます。この構成は、バタビアに領事館を持っている安保理事国の領事館付軍事専門家というようなものが構成員になっておりますが、そういう場合にわれわれのは妥当しないのですけれども、領事館付軍事専門家、ほかの大使館なり領事館のいわゆる武官連中がこれに参加するような場合であるならば、あるいは考えられるのではないかというような気持ちもいたします。」という答弁です。これは明らかに軍事的性格が強くなければ参加する場合もあり得るというふうにとれるのですが、いかがでございますか。
  180. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま聞いておりますと、局長のことば自身を批評するようでありますが、ややこしい表現で、何でございまするけれども、ようでございます、思うのでございます、何でございます、そうでございますが、しかしそうではございませんようでございますといったようなことばでございまして、全くわからないような日本語になっております。いま速記を見ても、そこで私がこちらから聞いて、国連監視団にアタッシェが入る、たとえば休戦監視団に入るというようなことは、私の記憶する範囲におきましては、これは外務委員会でございまして、三木さんからもあとから承りましたが、そういうことはむずかしいということを言っておりました。そのことを私が当該局長なり参事官が反駁した意味で言ったというふうにはとっていないわけでございまして、ございまするから、けさの新聞見てびっくりしたのです。いわんや増田長官が肯定したなんということはございません。これは全くややこしい非常に不明確なる日本語を使ってございます。でございますから、やはり明確に使ってございまして、国連監視団には入るのである、三木外務大臣とは不幸にして所見を異にするというふうなことを局長が言った場合に、私が肯定したならばこれはたいへんなことになりますが、全くややこしくて何だかわかりませんが、どうもえらいことでございます、むずかしゅうございますというようなことばかり言っておりまして、明確には、淡谷先生の御指摘ではございまするけれども、これは言っておりません。
  181. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで、防衛庁長官の明確な御答弁をお願いいたしますが、いかなる場合でも監視団には絶対参加しない、そのように明確に御答弁願いたいと思います。
  182. 増田甲子七

    増田国務大臣 私も三木外務大臣が外務委員会において発言したと同様でございまして、いかなる形においても休戦監視団のごときものに入ってはいけないという三木さんと全然同じでございます。所見が違うということはございません。
  183. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで、今度は閣僚としての増田甲子七先生にお聞きしたいと思うのですが、外務大臣はそういう気持ちを持っておるのに、その外務大臣の指揮下に入っている局長が外務大臣と違ったかのごとき印象を持った表現をするということは、閣内の意見統一の場合にどうなりましょうか。
  184. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は三木さんと見解を異にしたことは一ぺんもないのでございまして、あと外務省の職員と三木さんとの所見が違うならば、これは調整が必要だと思いますが、局長も軍事的性格の全く何もない、何かコミッティか何かに入るというような場合を設定しているのでございまして、休戦監視団にアタッシェ同士が入っているなんということは、私はいけないと思っております。そこまで国連局長なり参事官が考えて、おれは外務大臣の部下ではあるが、外務大臣と所見が違うというふうな発言をしたのではないように思います。
  185. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その次は、受田委員からこういう質問をされておるのであります。「いま国連局長の指摘されたような外交官としての国連への協力、特別の軍事目的でない協力をするときに、ユニホームのかっこうで行くか、あるいは洋服を着て行くか、せびろを着て行くか、わかりませんけれども、自衛官という一応の根っこの身分のある、あなたの名目上は部下である人のそうした行動に対しては、外務省に行っておるんだから別に支障がない、こういう解釈でよろしゅうございますかということをお尋ねしたのです。」これが受田委員質問ですが、それに対して増田国務大臣は、「外務省の局長の御答弁のとおりでございます。」これはきょうとは少し御答弁が違うようですな。いまこの局長の答弁のことを言っておりますが、これははなはだ明瞭だと思います。
  186. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、その速記録にあらわれた局長のことばも、なかなかややこしい、不明瞭な日本語だと思っております。でございますから、自分がうしろから聞いて、そのとおりでございますと言ったかもしれません。それは言ったでしょう、書いてあるのですから。しかし、それは外に行った場合には外務大臣の指揮、監督のもとに動くということは、私はかたいそういう認識と信念を持っておりまして、いまでもそういう意味でございます。外に行った場合には、外務大臣の指揮、監督を受けて働く、防衛庁長官の指揮、監督を受けて働くわけではございません。
  187. 淡谷悠藏

    淡谷委員 だんだん長官の言うことも回りくどくなりましたね。もっと直截に言ってほしいのですが、受田さんの質問は、こういうことなんです。局長の答弁を前に置きまして、身分がどうであろうが、やはりあなたの部下は部下なんだから、局長の言ったことを長官は肯定するかどうかということです。率直に言って、きのうは聞いていなかったんだから、私の答弁も若干誤解されるかもしれぬけれども、私の本心はこうだということをもう一ぺん明瞭に言ってくださいませんか。さっきあなた聞かなかったというのだから。これは追及しません。逃げ道をこしらえます。
  188. 増田甲子七

    増田国務大臣 私の本心は、三木外務大臣が答えておるとおりでございます。
  189. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで、あなたの非常に愛する自衛官が、外務省へ参りますと外務大臣の部下になる。これは閣内不統一がなければいいのですが、そのほかに外務省以外に出向しておられるような事実はございませんか。あったら、この際ですからお知らせ願いたいと思うのです。
  190. 海原治

    ○海原政府委員 外務省自体には、私のほうから三人程度の職員が出向しております。これは外務省のたとえば中近東課であるとか、あるいは条約課であるとか、そういうところに他の通産省に勤務しますと同じような形で出向しまして勤務しております。これは内局からのいわゆるせびろ組でございます。
  191. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのほかにございませんか。あったら、総ざらい教えてくれませんか。役所でも、あるいは軍需工場でも、あるいは学校でも、およそ自衛官として方々へ散らばっているのがあると思う。あるいは船に乗り込んでいるのもあるでしょう。それをこの際ですから、ひとつ一切をおあかしを願いたいと思う。
  192. 海原治

    ○海原政府委員 いわゆる制服の自衛官として派遣勤務になっておりますものは、先ほど大臣からお答えしました防衛駐在官だけでございます。それから文官で、本来防衛庁に採用してその職員になりました者が、出向と申しますか、その形で勤務しておりますのが、いま申したものでございます。それ以外にはございません。
  193. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはずっと前ですけれども、軍需工場に、武器の問題ですから、いろいろ間違いがないように出向さしているという御答弁があったことがあると思うのです。こういう例はございませんか。あるいは監督その他のものでも……。
  194. 海原治

    ○海原政府委員 これは私どものほうの、たとえば艦艇とか戦車とか、こういういわゆる兵器生産しております工場に、その納品の検査状況を調査いたしますために、いわゆる昔の監督官的なものが各所に派遣されております。
  195. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはあくまでも自衛官として、出向という名義じゃないのですね。出張か出向かどっちなんです。
  196. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 自衛官の身分で自衛隊の組織の中で働いているものでございます。いまの駐在官事務所の中には、自衛官がおります。シビリアンもおりますが、それは防衛庁全体の組織の中でございまして、会社その他に派遣したものではございません。また、他の役所に出向したというものでもございません。
  197. 淡谷悠藏

    淡谷委員 現在工場へ行っている監督官は何名くらいで、どこどこへ行っていますか。
  198. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 いま申し上げました駐在官事務所というのは、防衛庁の中の調達実施本部の組織下にありますが、その駐在官事務所は、東京、田無、立川、横浜、宇都宮、厚木、岐阜、それから名古屋に一と二とございます。それから大阪、伊丹、神戸、明石、玉野、長崎、舞鶴、これは出張所でございますが、そういうふうな組織がございます。全体の人数は、ちょっといま資料がございません。
  199. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それは地名ですが、工場の名前はおわかりになりませんか。
  200. 國井眞

    ○國井政府委員 工場の名前は、いまちょっと資料がございませんので、記憶いたしておりませんが、たとえば航空機関係につきましては、三菱の航空機工場のございます小牧等に行っておるわけでございます。それから、その他バッジ関係につきましても駐在官が出ておりますが、このバッジ関係の工場は、日本アビオトロニクス株式会社の、たしか瀬谷工場に出ております。そういったところ、各関係の工場等に派遣をされているわけでございます。
  201. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あとでかまいませんから、ひとつその工場の名前など調べて出していただきたいと思うのです。それから、海外へ行っているのはございませんか。これは別段工場関係じゃなくても、海外派遣の自衛官というのは、どれくらいありますか。
  202. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 アタッシェ以外に、長期出張の形で外国に行っているものは、正確には記憶しておりませんが、数名程度——アメリカに二名行っております。
  203. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは自衛官の海外出張ですからね。それも何万何千何百何十何名のうち一名というならいいけれども、数名だとか何とかいうんじゃなくて、海外に出ているんですから、はっきりしたことを教えてください。
  204. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 アメリカに二名でございます。
  205. 淡谷悠藏

    淡谷委員 アメリカのどこへ、どういう任務でか、御説明願います。
  206. 國井眞

    ○國井政府委員 アメリカに出ておりますのは、長期出張で二名出ております、これは米国からMAS等で購入いたしますもの、すなわちFMSで購入いたしますものの出荷促進等の事務で出ておるのでありますが、場所はベーヨンとサクラメントであります。
  207. 淡谷悠藏

    淡谷委員 アメリカに二名という御答弁なんですよ。いまのはただ一名です。
  208. 國井眞

    ○國井政府委員 ベーヨンに一名、サクラメントに一名であります。
  209. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どれくらいの期間で行っておるのですか。
  210. 國井眞

    ○國井政府委員 大体二カ年でございます。
  211. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それから海上自衛隊で、これはどういうのか知りませんが、方々回っている船があるようですが、現在そういうふうな世界各国の港を周遊しておったり、あるいは演習などもやられておるようですが、日本の国土にいないような海上自衛隊は、どれくらいあります。
  212. 中井亮一

    ○中井政府委員 海上自衛隊の本年度の遠洋練習航海、国産艦四隻で六月二十六日から十月二十七日にかけまして、アメリカ合衆国、カナダ方面に現在出ております。
  213. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あとば今年度の計画は別にありませんか。
  214. 中井亮一

    ○中井政府委員 六月の下旬からつい七月の初めにかけまして「あまつかぜ」が沖繩沖でターターの射撃訓練のために行ってまいりました。そのほかには、本年度の計画としてはございません。
  215. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それから国内の大学などに、自衛官で入学しておるのがあるはずですが、これはどれくらいあります。
  216. 中井亮一

    ○中井政府委員 現在一般大学の大学院の修士課程に五十八名、博士課程に五十一名、合計百九名の自衛官等が在学をしております。
  217. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは自衛官の身分を持ったままで在学しておるわけですか。
  218. 中井亮一

    ○中井政府委員 そのとおりでございます。技本から自衛官でない方もいっておると思いますが……。
  219. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これに長官。自衛官というのは学校へいくことはできるのでしょうな。これはどうですか。普通の官庁のいろいろな役人さんだと、役人の身分を持ち、俸給をもらいながら大学に入学することはめったにないように思うのですが、防衛庁は別ですか。
  220. 増田甲子七

    増田国務大臣 自衛官の身分を持って学校にいくことも、けっこうなことだと思っております。
  221. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一番最後のことばは、どうも言語門晰な長官に似合わず、だいぶあいまいでしたが、はっきり言ってください。
  222. 増田甲子七

    増田国務大臣 自衛官として修行するために、けっこうなことだと思っております。
  223. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは防衛庁は、自衛官が学校に入りたいときは、いつでも学校にやってくれるのですね。本人の希望があれば、大学に入れれば何人でも学校にやるのですな。
  224. 増田甲子七

    増田国務大臣 防衛庁の方針として、自衛官を他の学校に入学させて研修せしめるわけでございまして、やたらに方々の学校にいっていいというわけではありません。
  225. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは長官、この百九人は全部自衛隊のほうから派遣して学校で勉強しているのだというふうにとってよろしゅうございますね。自衛隊のほうから派遣しているのだと……。
  226. 増田甲子七

    増田国務大臣 さようでございます。
  227. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで、百九人の内訳をひとつお聞きしたい。どこの学校に何名。これは長官でなくてよろしい。
  228. 中井亮一

    ○中井政府委員 東北大学二十九名、東京工業大学二名、東京医科歯科大学一名、千葉大学一名、静岡大学一名、名古屋大学九名、金沢大学一名、京都大学十四名、大阪大学十八名、鳥取大学一名、九州大学十一名、札幌医大二名、東京都立大学六名、大阪府立大学七名、大阪市立大学一名、早稲田大学一名、慶応大学三名、東京医科大学一名でございます。
  229. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官はたいへんけっこうなことと言っておりますが、国民としては、ただ大学へ入るために自衛隊に入ったわけじゃない、私はそう思っていないと思うのです。ですから、少なくとも百九名というような自衛官が大学に派遣されたならば、何らかの任務、何らかの自衛隊のための目的を持って入っておられると思いますが、一体これらの諸君はどういう任務を持って学校へ入っておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  230. 中井亮一

    ○中井政府委員 自衛隊の新しい装備等の、これから先いろいろと運用するにしましても、研究をいたしますにつきましても、一般大学の普通の学生の課程を終了している程度では自衛隊としての任務を十分全うするところまでいかないある一部の業務がございますので、そういう業務を遂行いたしますために、より高度の知識あるいは研究能力を大学院の課程に通わして修業さしておるものでございます。これから先も、必要なレベルの教育を一部の人にもちろんさしていくわけでございます。
  231. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはあとでよろしゅうございますが、派遣されておる方の名前とその目的をはっきりおっしゃっていただきたいと思います。  一体防衛大学というのは、どういう任務を持っておりますか。
  232. 中井亮一

    ○中井政府委員 防衛大学校の本科課程は、幹部自衛官としての必要な教育を施しているものでございまして、研究科課程というのがございますが、そこでは、いまの一般大学に行っている人たちに近い修士課程に当たる二年間の教育を、基礎的な知識の向上あるいは研究能力の向上のためにしております。
  233. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ、結局防衛庁としては、防衛大学だけではとても間に合わないから、一般大学に派遣するのだというふうに理解してよろしいのですね。
  234. 中井亮一

    ○中井政府委員 防衛大学校は、現在まだその各講座を建設している途中でございまして、十分なところまでいっておりませんのでその補助的な手段といいますか、必要な程度において一般大学にもお願いをしておるものでございます。
  235. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは名目は一体どういうふうになっておるのです。はっきりした名目は……。
  236. 中井亮一

    ○中井政府委員 それぞれの身分を保持したままで普通の自衛隊の学校に入学を命ずるのと同じような形で、いついつからいついつまでどこそこのどういう学校の課程で修業を命ずるというような形で、人事発令をして勉強さしております。
  237. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ自衛隊としてはどういう命令を出すのです。学校へ行ってこいという命令を出すのですか。あるいは任務を付与して、これを勉強してこいというのを出すのですか。それを一体どこできめるのですか。一般家庭ではなかなか大学へやれない人もたくさんいるのだが、自衛隊に入ってどんどん学校へ自由に入れればこれはいいわけですけれども、隊としては一体どこが決定して、どういう名目で、どういう辞令を交付してやるのです。
  238. 中井亮一

    ○中井政府委員 各学校で大学院の入学募集案内がございます。その募集案内に応じて、私のほう、自衛隊側のほうで必要な、たとえば電子工学であるとか、あるいは飛しょう体工学であるとか、それぞれの一年間に必要とする人数というのを私のほうで調べまして、それぞれの学校を受験をさせて、それぞれの学校で普通の入学試験を通った者が入学を許可されて、私のほうでは命令をしてそこで修学をさせておる、こういう形でございます。
  239. 淡谷悠藏

    淡谷委員 学校側としては、別に自衛隊のほうで自衛官をやるからというようなことはないのでしょうね。ただ一般の学生と同じように入試をやる、及第した者は入れるのだというような形になるでしょうね。自衛官だということをはっきり名のってやっているのですか。
  240. 中井亮一

    ○中井政府委員 おそらく学校側のほうでは御存じになっているだろうとは思いますけれども、試験としては競争試験でやっております。したがって、大学によっては自衛官であるがゆえにといいますか、職を持っている者については入学試験を受けさせないというような学校もございますので、そういうところにはもちろん行けないわけでございます。
  241. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そういう実例はありますか。
  242. 中井亮一

    ○中井政府委員 私の聞いておるところでは、東京大学の各学部におきましては、大学院の普通の学生としての受験資格を与えられていない。与えられていないといいますか、受験することを拒否されているといいますか、よくわかりませんけれども、とにかく向こうのほうが願書を受け付けてくれないという形になっているというふうに聞いております。
  243. 淡谷悠藏

    淡谷委員 履歴書には自衛官という身分をはっきり書いているのですか、入学試験の場合の。
  244. 中井亮一

    ○中井政府委員 書いていると思います。
  245. 淡谷悠藏

    淡谷委員 本人がかってにいくならばそれでいいのですが、自衛隊が学校にやっているのでしょう。本人が入るのじゃなくて、これこれの任務を持って自衛隊の費用でこれを勉強してこいといって学校へやるのでしょう。そうなれば、何か学校との間に話し合いもあっていいし、履歴書なども、これこれを記載しろということを指令してもいいのじゃないですか、何かいくだけはやりますけれども、思いますとか、そうでしょうというのでは、自衛隊が派遣するのか、本人の希望でいくのか、はっきりわからないじゃないですか。どうですか。
  246. 中井亮一

    ○中井政府委員 普通よく大学院の場合には、事実問題としては、その教室の先生と一番近い同じようなことをやっておりますのが防大の教授にたくさんいらっしゃいますので、その人たちがお互いに連絡をとりながらやっているというふうに私は聞いておりますが、形式的には、おそらく、職業の欄があれば、その職業欄には自衛官ということを書いて出していると思うわけでございますが、そういう欄がなければ書かないだろうと思います。
  247. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなた、自衛隊で一体何をやっているのでしょう。教育のことをあなたやっているのでしょう。人ごとみたいな話するんじゃない。だろうと思いますとか、中に欄があれば記入すると思いますとか、そんな無責任な話ありますか。
  248. 中井亮一

    ○中井政府委員 職業欄に記入しております。
  249. 淡谷悠藏

    淡谷委員 はっきり記入しているのでしょう。それでは、自衛隊と全部書いているのでしょう。自衛官とは書いているのでしょうね。正式の自衛官の身分を持って、俸給を受けているのでしょう。したがって、もし自衛官という身分を隠して、書いてないとすれば、誤った、偽った履歴書になりますね。
  250. 中井亮一

    ○中井政府委員 私、願書の形式そのものを見ておりませんので、私が自信を持って言わないということをおしかりを受けているのだと思いますけれども、自衛官ということは、相手の先生方は御存じであるというふうに認識しております。
  251. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官は、これはたいへんけっこうなことだと言っております。けっこうなことでいいのですが、自衛官として入学させるならさせるように、もっとはっきりした姿をとるべきじゃないですか。何だかもやもやっとして入っている。教育局長も、だろうと思うとか、私見ておりませんとかという答弁ですね。これでは、長官の言っているように行なわれません。私は、増田長官は短期間の長官ですけれども、決してロボットの長官ではないと思います。それだけに期待を持ちますが、こんなかっこうで、万一学校との間にトラブルが起こったらどうしますか。現に東京でトラブルが起こっているでしょう。入学試験を受けさせないというのです。あなたの言うけっこうなことが拒まれて、長官、黙っておられますか。もっとはっきりした自衛隊の責任なり義務なりを果たしてやるべきじゃないですか。
  252. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま教育局長は、履歴欄をはっきり見ていないからということを正直に申し上げましたけれども、東京大学等において拒まれているということは、履歴がはっきりしているから拒まれているわけでございますから、これは明瞭にいたしております。自衛官で、ただ学校へ入って月給をもらっているはずはないのでありますから、自衛隊に勤務すべきなんですから、学校で一生懸命修業し、学問にはげむというのは、これはやはり自衛官たる身分を明瞭にしておるからであります。  そこで、東大等は、やはり有力なる学校でございますから、歓迎してもらいたい。私は、東大が入学を拒んでいるということは、非常に遺憾なことであると思っております。各大学がそれぞれ置かれておるというのは、あるいは京都大学が置かれ、その他の大学も置かれて、大隈さんが早稲田をつくり、福沢さんが慶応をつくったというのは、みんなそうしなければ、結局十年一日のごとく、古きノートを繰り返すという教授もあるのですから、そういうだめな教授はだめだということで、各私立大学、公立大学があって共存できるのでございまして、防衛大学だけではよくないと思っております。専門科目のない点もございまするし、専門科目がかりにありましても、競争して勉強しておるところに、それぞれの官公私立の大学の存在意義があるわけでございまして、それぞれの大学は、ぜひとも、文化的な自衛官をつくる意味からも、歓迎していただきたい。私は、文化的自衛官というふうに特にこの際申し上げましたが、そういうことを理想といたしております。
  253. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それは長官、学校には学校の規則がありますね。校則がありますね。方針もありますし、大学には私立もたくさんあるでしょう。それを、自衛官の任務を持っているのは自衛隊で一生懸命やってくださいというような考えを持っている学校はないかもしれませんが、そういう学校があった場合に、長官は、防衛庁長官の権威をもって学校にぜひとも入れさせるという考えですか。そうじゃないでしょうね。そこまではいきませんわね。これはいかがですか。
  254. 増田甲子七

    増田国務大臣 それは、同じ閣僚ですから、文部大臣にもう少し頼んで、東大のほうへ頼んでみてくれないかということを言ったっていいと思います。私は、むしろ言うべきだと思います。
  255. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官、これは簡単に言いますが、これは実に重大な問題ですから、教育と国防とのあり方、あるいは自衛官と一般学生の身分のことなど慎重にお考えにならないと、思わざることが発生するということを警告しておきます。  さらにもう一つお聞きしたいのですが、自衛隊の中で、米国に、ナイキ、ホークの集団訓練のために留学している人があるはずですね。これはいまの報告の中に漏れておりましたが、いかがですか。
  256. 中井亮一

    ○中井政府委員 ナイキとホークにつきましては、部隊を建設いたしますまでの間は、部隊の基幹要員にあたる人たちの非常にたくさんの人が米国の各学校で教育を受けておりましたが、現在は、自衛隊の学校で教育をほとんど大部分できるようになりまして、非常に少ない数の人たちが教育を受けに行っております。行っているのは十人ぐらいずつだったと思いますが、あとでまた御報告いたします。
  257. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはあとでは承知できませんな。ナイキ、ホークの集団訓練のためには、三十九年度には四百五十五、四十年度は七百三十六、四十一年度は六百三。この資料はあなたのほうの書類ですよ。これはでたらめにつくっているのですか。しかも、私は、たったいま、一切の海外派遣のことを質問しているのですよ。アメリカに行っている二人しか報告しないじゃないですか。一体、こんなでたらめな答弁がありますか。
  258. 中井亮一

    ○中井政府委員 現在と言われましたので、私、正確なことを申し上げようと思って探したわけでございますが、ただいまおあげいただきました数字で、関連させて説明させていただきますと、遠洋練習航海で昨年千四十八名、それから沖繩の研修に千二百六十九名、それから留学等で千百六十二名という数があります。その留学等の中に、ナイキ、ホークの研修に行っておりますもの、それから「あまつかぜ」の派遣等があるわけでございます。
  259. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうもそういうようにあなたにからまれると、こっちも黙っておれませんが、現在といったって、四十二年度はまだ中間でしょう。それじゃ、四十一年度の千二百六十九名は、沖繩から現在どのくらい帰っているのですか。
  260. 中井亮一

    ○中井政府委員 昨年千二百六十九名の沖繩の現地研修に参りました者は、おおむね五日ぐらいの短い期間の沖繩への出張でございます。現在は、四十二年度に入りましてから沖繩に現地研修で参っております者は、約五百人くらいになっておると思います。現在は、陸の幹部候補生学校と、空の幹部候補生学校の学生が——空の幹部候補生学校の学生は、予定どおりでありますと、きょう向こうを離れて日本へ帰るはずでありますが、陸の幹部候補生学校の学生は百五十人くらい現在残っておるはずでございます。
  261. 淡谷悠藏

    淡谷委員 自衛隊というのはそういうところですか。かなり厳重な人員に対する把握もできておると思っておったのだけれども、一生懸命定員を増加しようというのですが、その定員があっちへ行ったりこっちへ来たりして、と思いますとか、帰っているだろうと思いますとか、まるで全然管理ができていないじゃないですか。現在、行ったら六月の末日でこう、五月の末はこう、昨年度はこうという答弁が、的確に出てこなければならない。規律を重んずる自衛隊でしょう。そうじゃないですか、長官長官にそれについてお聞きいたします。
  262. 増田甲子七

    増田国務大臣 一般的に海外へということでしたら——海上自衛隊はという先生の御質問もあったことですから、それじゃ陸上自衛隊も答えればいいじゃないかということを私も隣で言ったのですが、いま申し上げたのは、海上自衛隊でしたらということを言っているわけでありますから、政府委員が苦労している点も御了承願いたいと思います。  そこで、一体海外へ行っている人は幾らあるかと言えば、日本の四つの島から沖繩へは一千四百名以上本年も見学に参りまして、もう参って、帰って、その期間は約五日間ばかりでございまして、目的は戦跡の見学と、それから米軍施設の見学でございます。それから海上自衛隊は、練習艦隊が今回で十一回目の遠洋練習航海をいたしております。その人員は約一千百名でございまして、護衛艦、昔のことばで言えば駆逐艦四はい、すべて国産のものが行っておるわけでございます。  そこで、淡谷さんがお聞きになりたいことは、米国の学校へどれくらいナイキ、ホークの練習のために留学しておるかということに対しては、教育局長がこれは調べてすぐ答えるべきだと思いますので、私もいますぐ調べて答えろということを下命したような次第であります。
  263. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官の御苦心は十分わかります。さっき言ったのは、そういうようにざっくばらんに洗いざらい報告してもらいたかったのです。  それから、特にナイキ、ホークの集団訓練のためにアメリカへの留学は、三十九年度は百十五名、四十年度は百二十九名、四十一年度は百三十一名という数が出ているのですね。今年は一体どうかという質問をしているのです。それから、そのほかに視察等でやはり二十三名、四十名、四十五名と出ているのですね。ですから、少なくとも定員を変える法律が出ている場合には、定員くらいははっきりつかまえておかなければ、これは意味がないのですよ。
  264. 増田甲子七

    増田国務大臣 さっき政府委員が二名と言ったのは、欧米諸国へ出張命令といったことで長期出張をする場合があります。その二名がサクラメントとベーヨンだということで、三カ月とか四カ月行くのは、またあとで答えるつもりだったと思います。  そこで私がお答えいたしますが、ナイキ、ホークの練習には、アメリカに数百名行っております。数百名と大ざっぱなことを言うのは、やはり国務大臣、防衛庁長官で、数字のこまかい点はまた政府委員から説明させますが、これは練習に行きまして、場所がないものですから、あのネバダ州といったような一日汽車に乗っても砂漠が続いているというようなところに行って練習をさせてもらっておるわけでございます。  それから今度はナイキとホーク——ナイキはアジャックスともう一つのナイキをつくりますから、やはりそのナイキの操作のしかた等は、向こうに行って相当期間いないことにはできない。向こうに行って演習するというのは、ちょっと日本流の考えでは二週間か三週間でいいと思いますが、少し機械の操作なんか——やはりほかの自衛官の生徒に自衛官の先生が教えるわけでありますから、その自衛官の先生になるには、二年なんていうことは長期でありますから、先ほど答えた二人だけで、サクラメントというところとベーヨンというところに二年ずつおるということを局長が正式に言っておりますから、あとのほうは三カ月か四カ月ではないかと、しろうと考えには思いますが、すぐに答えろ、すぐに答えろとおっしゃるものですから、政府委員のほうもあわててしまって、なかなかはかがいかない。追及はあまり急でなくて、やはりわれわれも一生懸命ですから、そこで、だめじゃないかということでなく、即問即答ということをしばらく御猶予願えれば、非常に幸いでございます。
  265. 淡谷悠藏

    淡谷委員 防衛庁長官、それではゆっくり聞きましょう。  長官の部下を思う涙ぐましい思いやりには、心から敬服します。それは非常にいいのですが、私の質問を少しかみ分けて聞いていただくと、そういうことではないと思うのです。定員を改める法律ですから、やはり現在の定員がどうなっておるかということをはっきりと確かめておく義務を感じます。留学というのは、二カ月、三カ月というのを留学と言いますか。留学は、三十九年度は百十五名、四十年度は百二十九名、四十一年度は百三十一名という数字が出ておるのです。それがアメリカに二人とも言っておるのはおかしい。留学はいつからいつまで、どうなっておるかということを少し休憩してもかまいませんから、間違いのないようにゆっくりお答え願いたい。
  266. 中井亮一

    ○中井政府委員 先ほどお尋ねのナイキについては、四十二年度にアメリカで教育を受けます者の数は、十五名でございます。ホークのほうは二十八名でございます。
  267. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは四十一年度のナイキ、ホークの集団訓練の六百三名は、いつ行って、いつ帰ってきたのか、ゆっくりでよろしゅうございます。
  268. 中井亮一

    ○中井政府委員 昨年第二次のホークで集団留学いたした者の帰ってまいりましたのは、四十一年の十二月でございます。
  269. 淡谷悠藏

    淡谷委員 行ったのはいつですか。
  270. 中井亮一

    ○中井政府委員 三十九年の十二月からでございます。
  271. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官、お聞き願います。あなたは、二カ月か三カ月だろうとおっしゃいましたけれども、あなたの優秀な部下は、二年留学をいま答えていますよ。これはおかしいですよ。
  272. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、これから編成する予定になっておりますホーク部隊の集団留学で行ってきたものでございます。これが三十九年の十二月から順次派遣をされて、四十一年の十二月に帰ってきたということでございます。
  273. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで長官、あなたはゆっくり質問しろと言うから、いまでもゆっくり私は質問しておるのですが、結局やはり答弁ができないじゃないですか。どうも答弁のほうが悪いらしい。   〔「休憩、休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
  274. 關谷勝利

    關谷委員長 静粛に願います。
  275. 中井亮一

    ○中井政府委員 私、いま長官の御答弁のとおりでございまして、集団留学と言われましたので、一番初めに行きだした基幹要員の一人から始めて、一番最後に総員そろって帰ってきたときまでの期間を申し上げましたので非常に長くなりましたが、実際に部隊としての訓練として参りましたものは、そんなに長いわけではございませんで、ごく半年以内のことでございます。初めの基幹要員になる者が、非常に早く出かけて、非常にむずかしい技術的なことの教育を受けて、そのうちのオペレーターのように、発射をすることをやるような人たちは、あとのほうから出かけて、半年以内の訓練を受けて、最後にみなそろって帰ってきたというのが、部隊の建設の手順に合った教育訓練なのでございます。
  276. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ますますわからぬですな。少なくとも、長期と言わなくしても、数カ月を要する出張には、出張の結果もあるはずでしょう。三十九年から四十一年には、何名がいつ出発して、何名がいつ帰ってきて、続いて何名が出発したかということを詳細にゆっくりでよろしいですから、御答弁ください。旅費勘定に困るじゃないですか、つかみ金みたいに……。
  277. 中井亮一

    ○中井政府委員 いまから書類を持った者が参りますので、よろしくお願いいたします。
  278. 淡谷悠藏

    淡谷委員 お待ちします。
  279. 増田甲子七

    増田国務大臣 私の知っている範囲のことをお答えいたします。やはりそう長くはございません。要するにナイキアジャックスとホークとを発射する訓練のために、日本は場所が狭いし、基地等もなかなか貸与されない状況でございますから、そこであまり害のない広大なる砂漠があるアメリカへ行って撃つわけでございます。そこで、その取り扱い方等は、先生になる者と生徒になる自衛官があるわけでございます。そこは教育局長が分けて言っております。先生になる自衛官と生徒として発射だけできる自衛官、先生になる自衛官は比較的長く行っておる、生徒になるほうは、ただ発射訓練だけしてくるから比較的短い、要するに半年以内である。それから現在は十名ばかり練習に行っているそうでございます。政治家としての淡谷さんが政治家としての増田甲子七からお聞きになりたいということは、現在十名おるということで、そこのところがやはり要点じゃないでしょうか。いま練習のために十名行っているそうでございます。いままで行った数をあげろと言えば、第一は、ナイキの練習のために昭和三十六年五月から十月に順次派遣しまして、一番長い人が半年でございまして三百三十九名、第二のナイキの撃ち方それから操作のしかたを勉強に行ったのが、昭和三十九年一月から昭和四十年十二月、これは二年間にわたるようでございますが、順次半年ばかりずつ行っておるわけでございまして、二年行っているわけではないのでございます。これはもう帰ってきてしまった。第一次のホークの操作並びに射撃等の練習に参りました。必ずしも教わるばかりが能じゃないのでありまして、場所が広いからそこでやれるというわけでございます。それが三百二十七名でございまして、昭和三十八年五月から始まりまして、三十九年十一月に終わった。その期間はおおむね六カ月以内でございます。何も先ほど申したことにこだわるわけじゃございませんが、二年も留学しておる者はたった二名でございますから、その二名ということを教育局長が申したのでございます。  それから第二次のホークの運営、また勉強、それから発射訓練等に三百二十七名、昭和三十九年十二月に参りまして、昭和四十一年、昨年の十二月に帰ってまいりまして、いまのところは十名ばかり残っておる。十名残っておるという点、これが政治家淡谷さんが政治家増田からお聞きになりたい要点じゃないかと私は思います。  それからその次に、ナイキハーキュリーズというものは、今度新しいものでございまして、これはいずれライセンスは参りましょうが、撃ち方その他のことは、これから場所のあるところに行って練習しなくてはなりません。日本ではこれを生産いたします。非核弾頭用に生産することは、石橋委員にもたびたびお答えをいたしましたが、生産もいたします。それからランチャー、発射装置等も、日本で非核用に生産するわけでございます。しかしながら、これは撃ってみるというところは、百三十キロも行くのですから、日本で撃たれる練習をされたところは、非常に迷惑を感ずる。これは政治家淡谷さんが、やはり御納得がいくのじゃないか。そこでネバダあたりに行って練習させてもらうというわけでございまして、将来も相当必要であろうということを、私は将来まで加えて言っております。しかしながら、これは第三次防の範囲内でございまして、まだ急にはそういうことはないわけでございます。
  280. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いま長官の概論は承りました。その概論だけでは、数字の解説はつきません。いま各論に入るそうですから、私も各論を聞いてからまた質問いたします。どうもこれでは、長官のような数字では全然合わないのです。全然合いませんから、概論としては承っておきます。政治家の話で、どうせこれくらいということですから……。
  281. 中井亮一

    ○中井政府委員 期間のことを尋ねられましたので、期間は、先ほどのナイキ、ホークの最初の基幹要員のように非常に長い期間を行っている者もありますけれども、通常は先ほど大臣が言われましたように、とにかく半年くらいというのが一番多い数でございます。その留学ということで行っておりますのが百三十一名で、ナイキ、ホークの集団留学——先ほどの留学といいますのは、ナイキ、ホークでないようなものでございますが、ナイキ、ホークの集団訓練で、年次射撃とそれから先ほどの基幹要員を含めて留学をしてきた者が六百三名、それからそのほかに、先ほど二名のことを申し上げました人数を含めたものが、視察であるということで四十一名、こういうことになっております。
  282. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そんなことは、私の書類を見てわかったのでしょう。聞いているのはそうじゃないのです。結局、たとえばあなた方が出張旅費を払う場合に、何人がいつからいつまで行ったのだということを明確にしておかなければわからないでしょう。あなたのほうから出しておる書類ですからね、読めばそのとおりです。いまあなたのほうへ持っていったのだから。そうじゃなく、この数字がどういうふうな構成になっているのか。たとえばナイキ、ホークの集団訓練にしましても、四百五十五名というのは、三十九年度は何月から何日間、行ったのは何人、帰ったのはいつ、これくらいの調査ができるのは、あたりまえでしょう。それさえもできないというのであれば、私どもはやはり証憑を調ベてみなければならない。(「決算委員会だ」と呼ぶ者あり)これは決算委員会でもやりますよ。委員長は幸いに決算委員長の体験ある堂々たる委員長ですから、こういう答弁の間にぴんときているでしょう。それを聞きたいのですよ。これを読むなら、私でも読む。   〔発言する者あり〕
  283. 關谷勝利

    關谷委員長 静粛に願います。   〔「理事会を開け」と呼びその他発言する者あり〕
  284. 關谷勝利

    關谷委員長 担当課長が書類を持って向こうを出ておりますので、しばらくお待ちを願います。
  285. 中井亮一

    ○中井政府委員 ホークでございますが、ホークの部隊につきましては、四十年の十月三日から九日まで七十名、それから四十年の十一月二十八日から十二月四日までが七十名、合計百四十名、それから四十一年度は十月三十日から十一月六日まで七十四名、四十一年の十一月六日から十一月十三日まで七十四名、これが年次射撃に行っている数字でございます。
  286. 淡谷悠藏

    淡谷委員 まるで合わないじゃないですか。あなたはいま、四十年度百四十名という計数を出しましたね。七百三十六名でしょう。それから、そのあとは百四十八名というのは、六百三名でしょう。ますます合わぬじゃないですか。
  287. 中井亮一

    ○中井政府委員 ナイキの四十一年度の年次射撃の出張でございますが、十月十六日から十月二十三日まで九十名、十月三十日から十一月六日まで九十名、四十二年の一月二十二日から一月二十九日まで八十九名、四十二年二月十九日から二月二十六日まで九十名、四十一年度は三百五十九名、これがナイキの年次射撃に参った者の数でございます。
  288. 淡谷悠藏

    淡谷委員 まるで合わないじゃないですか。七百三十六名ですよ、四十年は。四十一年度は六百三名ですよ。てんであなたの報告は合わないですよ。
  289. 中井亮一

    ○中井政府委員 年次射撃の中で、ホークは集団留学で九十六名でございます。
  290. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは委員長お聞きのとおり、てんで幾らやっても混乱するばかりなんです。これはよその資料じゃないんですよ。こっちの資料防衛庁、いまの説明防衛庁、それがてんで合わない。これはもっと責任のあるはっきりした御答弁をいただきたいと思います。   〔「休憩しろ」と呼び、その他発言する者あり〕
  291. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  292. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいま申し上げましたように、ホークの集団留学で九十六名、それからナイキの年次射撃で三百五十九名、それからホークの年次射撃で百四十八名で、四十一年度にアメリカに参りましたナイキ、ホークの集団訓練という数、六百三名でございます。
  293. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それで、旅費は幾ら払っております。
  294. 大村筆雄

    ○大村政府委員 ただいま手元に四十一年度がございますから申し上げますと、ホーク関係は二千二百十三万一千円でございます。それからナイキの関係は七百七十九万四千円でございます。
  295. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ホークのほうは一人当たりどれくらいですか。それからナイキは一人平均どれくらいです。
  296. 大村筆雄

    ○大村政府委員 計算いたしますから、お待ちください。
  297. 淡谷悠藏

    淡谷委員 第一回の数字と第二回の数字は、全然別ないまの答弁です。第二回のほうは、どうにか数字を合わせているんです。だから、これはやはりはっきり旅費の支払いのほうで人数を確めたいわけです。
  298. 中井亮一

    ○中井政府委員 四十年度のナイキ、ホーク集団訓練の数字を申し上げます。ホークが二百十四名の集団留学、それからナイキが二百二名の集団留学、それからナイキの年次射撃が百八十名、ホークの年次射撃が百四十名、これを合わせて七百三十六名でございます。
  299. 増田甲子七

    増田国務大臣 そこで淡谷さんに……。いま教育局長の申し上げた線で、淡谷さんの持っていらっしゃる線、すなわち昭和四十年度のナイキ、ホークの集団訓練の七百三十六名という数字は合ったわけでございます。それから昭和四十一年の六百三名という数字も合ったわけでございます。それで、留学という線は、まだ教育局長申し上げてございませんが、これは、実はいま正直に申しますが、内局に通知がないそうでございまして、幕僚監部等から数字を集めまして、これは総計だけ出してございまするから、この一番数字の大きい七百三十六名と、昭和四十一年度における六百三名とは、いま具体的にこまかに向こうにおった期間等から申し上げましたから、御了承を得たものと思いまするが、あとの件は資料を幕僚監部にいま申しつけましたから、これからこの百三十一名、それぞれこれは幕僚監部が命令を出すものですから、そこで内局では必ずしもこの数字はこまかにだれだれがどこに行ってどうということはございませんが、資料はこまかにすみやかに提出いたしますから、どうぞ御了恕の上、ほかの質問のほうへ御進行願いたい、こう思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
  300. 淡谷悠藏

    淡谷委員 せっかくの長官の御了寧なお話でございますが、私は納得しておりません。納得するためには、長官がさっき答えたことはでたらめであったという言明がほしい。長官が言った答弁、全然合っておりません、だれが教えたか知りませんが。それから教育局長が言ったことも、二回にわたって、これはでたらめです。これは数字を合わせようと思えば合いますよ。しかし、問題は、きょうの委員会は定員に関する法律委員会なんです。定員に関する委員会だ、定員の構成が、出張旅費その他で全然合わなかったら、意味ないじゃないですか。私は納得いきません。まず、さっきお話ししましたこの出張旅費やその他の明細な御答弁が願いたいのが一つ。それからさっき長官がシビリアンコントロールを強調したばかりですよ、ついさっき。それが幕僚が出張命令出したんだから私はわからぬじゃ、答弁にならぬです。これはシビリアンコントロールがこわれております。私は、どうしてもいまの段階では納得できません。
  301. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、先ほどやはり資料に基づいて言っておるのでございまして、想像に基づいてでたらめは申していないのであります。これは縦割りに割ってみると、先ほど申しました第一次ホーク、第二次ホーク、第一次ナイキ、第二次ナイキということになりまして、昭和三十六年のことすらお答えいたしております。そこで教育局長は昭和四十年、四十一年のことをお答えいたしておりますから、こちらは昭和三十六年のことまで正直にお答えいたしておる。この一生懸命なありさまというものを、どうぞおくみ取り願いたいと思います。
  302. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一生懸命になっても、間違いは間違いです。第一、長官答弁は、私の質問に答える答弁じゃなくて、かってな答弁をしております。私は三十六年など聞いていない。肝心かなめの三十九年、四十年はみな違っている。いまの報告と合わないんですよ。長官、落ちついて考えてください。長官はそういうことをお考えにならぬでよろしい。これは教育局長でたくさん、正確な答弁をやはり待ちましょう。
  303. 増田甲子七

    増田国務大臣 これに書いてございますとおりのことを言っております。第二次ホークの三百三十七名を加えて、そこで昭和四十年がこの七百三十六名になるわけでございまして、七百三十六名という数字を言わないといけないということになるかもしれませんが、その内訳のほうをこまかに申したようなわけで、結局加えますと、昭和四十年度の一番海外に派遣したうちで大きい部類、集団留学、年次射撃等は、昭和四十年度は七百三十六名になりますが、その中の第二次ホークというのが三百二十七名であります。これは七百三十六名の構成部分でございます。それから六百三名は昭和四十一年度でございまして、これは教育局長が申し上げたとおりでございます。そこで、昭和四十二年の現時点においては、アメリカに十名おるということも、先ほど申しました。あとは、これからの話はまたお尋ねがあればお答えいたしまするが、毎年ナイキとホークの射撃練習には若干行っております。そうして射撃練習は、いま教育局長がお答えいたしましたとおり、約一週間しかいないのです。往復で二月、三月かかるものを、それを留学とかなんとか長期にわたるとか言われても、アメリカ日本とは非常に遠いのですから、やっぱりこれは時間がかかりますが、向こうにおるのは、射撃練習は一週間だけでございます。
  304. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは一生懸命ですけれども長官があまりそう主張しますと、もう一ぺんきょうの速記録を持たなきゃだめなんです。さっきの数字といまの数字、違っているのですから、最後の数字と。だから、予算のほうも、支払った旅費のほうも、いま答弁を出すそうですから、あまりせかずに待ちましょう。
  305. 中井亮一

    ○中井政府委員 私が説明が悪くて申しわけありませんが、こういうことでございます。いまの第一次ホーク、第二次ホークで行っております大臣お答えになりました三百二十七名というのは、それぞれお話を申し上げましたように、基幹要員が、初めに第一次ホークの場合には、昭和三十八年の五月から順次派遣をされまして、三十九年の八月だったと思いますが、ほとんどの者が参りまして、三十九年の十一月に終了をして、三百二十七名の総員が帰ってきた。そうしてその人たちの年次射撃訓練というものが、第一次ホークで編成を終わった人たちの年次射撃の訓練に、先ほど四十年の十月、十一月にかけまして百四十名、四十一年の十月から十一月にかけまして百四十八名が行ったわけでございます。それから第二次ホークの部隊のほうは、三十九年の十二月から基幹要員が参りまして、それが四十一年の十二月に三百二十七名が総員帰ってきて、この者につきましては、第二次ホークにつきましては、四十一年度は、年次射撃は部隊の編成のときにアメリカで年次射撃をやってまいりましたので、本国、日本へ帰りましてからは、現在編成の準備をしておりまして、ことしの秋に年次射撃に参ることになる、こういうことでございます。
  306. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうすると、また数字が合わなくなりますね。さっきの答弁とまた違ってきているんです。少し落ちついて整理したらどうですか、こっちも同じことを聞くのはいやですから。
  307. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいま申し上げましたのは、この数字のほうでいきますと、二年にまたがって行った場合には、出発時に入れてありますので、若干ずつあるいは違っているということがあるかと思いますので、後ほど整理をさしていただきたい、こう考えております。
  308. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いまは定員に関する法律を審議しているのですよ。あとからでは間に合わないのですよ。どうもいまのような答弁じゃ、納得いきません。   〔発言する者あり〕
  309. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  310. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま教育局長が数字が間違っているかもしれませんがと言ったのは、これこそは修正を要するのでございまして、先ほど六百三名の構成部分ということは、これこれで六百三名になるということを教育局長が申しました。それから七百三十六名の構成内容も、教育局長が明確に申して合計七百三十六名になるということを申し上げたので、淡谷さんがわからぬ、わからぬというだけおっしゃっても、私は困るのですよ。私のほうでは、七百三十六名の構成内容として第二次ホークが三百二十七名入っておる、これは別にでたらめを言った数字じゃございませんで、ここに数字もございます。そこで、要するに七百三十六名というあなたのお持ちの数字、その数字の構成内容は、いま教育局長が申したとおりでございます。これは昭和四十年度。昭和四十一年度の六百三名も、構成内容が三つございまして、何月の幾日から幾日にわたるものが百何十名、幾日から幾日にわたるものが二百何十名ということで、合計で六百三名になるということをあなたにいま答弁申し上げたとおりでございまして、要するに七百三十六名、昭和四十年度は、内容は明確になっております。四十一年の六百三名も、内容は明確になっております。そこで、私がもっと明確に、自分も明確にいたしたい、それからあなたにも明確にして差し上げなくてはならぬと思うのは、留学の百二十九名、昭和四十一年度の留学の百三十一名、三十九年度の四百十五名、これらのものの内容等を、どこへ何年くらい行っているか……(淡谷委員「そんなことを聞ていない」と呼ぶ)発言中でございます。何年くらい行っているかということを勉強して、これから……。
  311. 淡谷悠藏

    淡谷委員 こっちで質問していることを答弁しない。肝心のことに答えない。自分一人で納得している。私は質疑しているのです。質問してから答弁してください。
  312. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は答弁している。それはあとのことはあとから調べてお答えいたします。
  313. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私はそんなことは聞いておりません。
  314. 増田甲子七

    増田国務大臣 それでしたら、答弁はいたしません。
  315. 淡谷悠藏

    淡谷委員 こっちで納得しないことを答弁してどうするのですか。長官、気をつけなさい、少し。   〔発言する者多し〕
  316. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。   〔「休憩、休憩」と呼び、その他発言する者多し〕
  317. 關谷勝利

    關谷委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後五時十分休憩      ————◇—————    午後六時三十九分開議
  318. 關谷勝利

    關谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
  319. 淡谷悠藏

    淡谷委員 休憩中にいろいろお調べを願いました、米国へ行っているナイキ、ホークの集団訓練の三十九年、四十年、四十一年度の四百五十五、七百三十六、六百三というこの集団留学、年次射撃の要員について、内容説明をできだけ詳しくお願いいたします。
  320. 中井亮一

    ○中井政府委員 三十九年度ホークの集団留学百六十七名でございます。これは三十九年の九月までに出発をいたしまして、その年に帰ってまいりました者が百五十名でございます。残りの十七名は十二月以降に出発をして、四十一年の十二月に帰国をしております。ナイキの集団留学が百十九名、ナイキの年次射撃が百六十九名、合わせて四百五十五名でございます。四十年度第二次ホークの集団留学が二百十四名、この者は四十年度中に出発をして、帰りましたのは四十一年の十二月でございます。ナイキの集団留学は二百二名でございまして、ほかにホークの年次射撃が百四十名、ナイキの年次射撃が百八十名、合計七百三十六人でございます。四十一年度ホークの集団留学が九十六名、ナイキの年次射撃が三百五十九名、ホークの年次射撃が百四十八人で、六百三名でございます。なお、前に御説明をいたしました第二次ホークの三百二十七名の、三十九年の十二月から四十一年の十二月まで出張しておりました者は、出発の年次で申し上げますと、三十九年度に十七名、四十年度で二百十四名、四十一年度が九十六人、合計三百二十七名、これが先ほど第二次ホークとして三百二十七名と申し上げた者の出発の年度でございます。  なお、年次射撃はホーク、ナイキいずれも約一週間という短い期間渡米しておりますが、集団留学というほうは、先ほど御説明申し上げましたとおり、かなりの年度を越す長さの出張をしておりますので、出張命令の出ました年度に集計をさしていただいているわけでございます。
  321. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官、いまお聞きのとおりのような答弁ですが、長官はさっき、まあせいぜい一カ月か二カ月というお話をされましたが、実際は多人数、かなり長期の留学がなされています。長官、前の御答弁取り消しますか。
  322. 増田甲子七

    増田国務大臣 修正いたします。
  323. 淡谷悠藏

    淡谷委員 相当長い間の留学をしている人が多いのですが、現在は、新しい年度では、この関係の米国におる人は一人もいないという確認をしてよろしゅうございますか。
  324. 中井亮一

    ○中井政府委員 先ほど申し上げました四百五十五名、七百三十六名、六百三名と申し上げたものは、一人も米国に残っておりません。
  325. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ほかにあなた方のほうの資料で見ますと、留学は三十九年度で百十五名、四十年度が百二十九名、四十一年度は百三十一名としてある。この内容を詳しく御説明願いたい。
  326. 中井亮一

    ○中井政府委員 米国の陸軍、海軍、空軍の術科関係の学校に主として行っております。三十九年度は陸上自衛隊が十五名、海上自衛隊が七十八名、航空自衛隊が二十二名でございます。四十年度は、陸上自衛隊が二十五名、海上自衛隊が六十二名、航空自衛隊が四十二名、合わせて百二十九名。四十一年度が、陸上自衛隊六十三名、海上自衛隊二十二名、航空自衛隊四十六名、合計百三十一名でございます。
  327. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この留学しておる人がいつ出発して、いつ帰ったのか、御報告願いたい。
  328. 中井亮一

    ○中井政府委員 後ほど資料として提出さしていただきたいと思います。
  329. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いま答えていただきたいのです。少なくとも定員法を審議している委員会ですよ。出張した人の出発の日と帰った日ぐらいは、ちょっと見ればわかるじゃないですか。あとまで待つ必要はないでしょう。すぐ出してもらいたい。
  330. 増田甲子七

    増田国務大臣 淡谷さんの御質問、まことにごもっともだと思います。そこで、いますぐ出すべきではございますが、やはり資料収集に相当時間もかかりますから、しばらく——非常に恐縮でございますが、すみやかに提出いたしますから、いますぐという点は御容赦をいただければ幸いでございます。
  331. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それはおかしいですな。こまかい金の勘定でもしてもらうならそうだけれども、これくらいの人数の人がアメリカまで出張して、その出発の日と帰ってきた日がわからぬということが一体ありますか。これじゃ全く乱脈ですよ。しばらく待てというのは、どのくらい待てばいいのです。
  332. 増田甲子七

    増田国務大臣 明日の午後までには提出いたします。
  333. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは明日の午後まで質問を保留してよろしいですか。
  334. 増田甲子七

    増田国務大臣 そのときまでに資料をととのえるわけでございますし、きょうはちょうど幕僚監部も帰っておりますし、でございますから、その点どうぞ御容赦を願います。ひたすらお願いいたしておる次第でございます。
  335. 淡谷悠藏

    淡谷委員 しかし、資料なしで審議しろというのは無理ですよ。資料が出るまで待ちます。
  336. 増田甲子七

    増田国務大臣 御要望はごもっともだと思います。ただ、しかしながら、出張命令簿等を取り調べる関係もございまするし、きょうはもう役所もひけております。そこで、明日の午後と申しましたが、なかなかそこもできないそうでございまするが、最善を尽くして部局を督励いたしまして資料を提出いたしますから、どうぞその点を御容赦をいただきたいことを切に懇請申し上げる次第でございます。
  337. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官のその気持ちはわかりますがね。私はやっぱり増田長官のときに、防衛庁の経理をちゃんとやってもらいたい。一体、防衛庁に出張簿があるのですか、ないのですか。出張簿があったら、これだけくらいの人数は薄冊一冊あればわかるのです。しかも、いま定員法で、国会議員の皆さんが晩めしも食べないで審議しているのですよ。シビリアンコントロールを徹底するならば、幕僚を呼びなさい。関係があるのです、議員が一生懸命やっている場合、さっさといなくなってしまう。要求された資料も出せない。そんなことで一体定員に関する法案の審議ができますか。出せなければやっぱり私は保留します。
  338. 増田甲子七

    増田国務大臣 重ねての御発言、非常にごもっともでございます。  そこで私は、内局のみならず、幕僚部に対しまして、文官の監督というものは徹底する所存でやっておる次第でございます。ただ、しかしながら、出張命令簿等は、それぞれの部局で保管しておるものでございまして、その部局を督励いたしまして、そうしてありのままをお答えいたしまするには、幕僚の首脳部はいま防衛庁におりまするけれども、係官がちょうど退庁時刻でもございまするし、本日のところは整備できませんから、しばらく御容赦を願いまして、その次の御質問にお移りくだされば幸甚の至りでございますから、どうぞその点の御寛大なる御高配をくれぐれもいただくよう懇請申し上げる次第でございます。
  339. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、さっきからの質問で感じるのですが、答弁が実にでたらめなんですよ。  アメリカに残っている人が二人と言うかと思えば、すぐ十人だと言う。さっき休憩中話したときは十二人と言う。今度四人と言ってきているのです。人の問題ですよ。一人でも行くえ不明になったら大騒ぎでしょう。それを的確に把握ができないような状態で審議が進められますか。出張簿なんというものは、秘密なものじゃないです。それさえ提示できないような防衛庁であるならば、私は最大に妥協してこの問題だけは保留します。この問題を保留してあしたやる限りは、あとは進みません。これを委員長、お計らい願いたい。
  340. 關谷勝利

    關谷委員長 淡谷委員に申し上げますが、事務の問題で、そういうふうな詳細のことの資料はあとから提出することで、質問を進めていただいてはどうですか。
  341. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうはいかないのです。いまも言いましたが、人間の数の問題ですよ。一人だっておろそかにできないでしょう。現在アメリカにいる四人というものの根拠は、どうしてもいまの資料がなければわからないのです。これは防衛庁長官も、大事な部下のことですから、四人がどうしているかということを明らかにしなければ、今後の統制はできないと思うのです。私はこれは断じて妥協できません。
  342. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいまの四人でございましたら、ナイキの補充員教育のために幹部が一名、四十二年の三月から出張しておりまして、出張命令が出ておりますのは四十三年の三月まででございます。それから曹が三名、四十一年の十月に出張を命ぜられまして、帰国は四十三年の三月ということで、アメリカの防空学校に行っております。
  343. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それくらいわかっているじゃないですか。それならあとのほうもわからぬことはないでしょう。その四名がわかっておってあとの人はどうしてわからぬか。その辺がどうも私はおかしい。
  344. 關谷勝利

    關谷委員長 教育局長が淡谷君にちょっとお話ししたいというのですが……。
  345. 淡谷悠藏

    淡谷委員 じゃ、休憩しなさいよ。委員会を開きながら話しておることもないでしょう。
  346. 増田甲子七

    増田国務大臣 昭和三十九年度において百十五名留学生を出しておる。昭和四十年度において百二十九名留学生を出しています。昭和四十一年度において百三十一名留学生を出しておる。これがどういうところへいつ幾日に行っていつ帰ってきたか。現在四名残っておるということは、淡谷さん御了解のとおりでございますし、この人数のことも御了解でございます。  そこで、この昭和三十九年における百十五名、つまり三年前のものがいつ行っていつ帰ってきたか、昭和四十年、すなわち一昨年のものがいつ行っていつ帰ってきたか、昭和四十一年、すなわち昨年のものが百三十一名、いつ行っていつ帰ってきたかということは、出張名簿等を見ないとわかりませんが、行く先は向こうのそれぞれの防空学校とか、ナイキハーキュリーズとかあるいはアジャックスとかの関係のことを学びに行っておるわけでございまして、ただいま四名おるというのもそういう関係に残存いたしておるわけでございます。いま残存いたしておるのは四名でございまして、あと二名の者は前に申し上げましたが、都合六名ということになっております。  そこで、何ぶん過去のことでございまするから、今後は厳重に、すぐでも資料を提出するように私も監督いたしますから、このたびはぜひ御容赦をいただければ幸甚この上ない次第でございます。
  347. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはおかしいことを聞きますね。いまの四名というのはこの数の中に入っているのでしょう。四名だけは、はっきり行った日もわかるし、帰る日もわかる。あと百名ちょっとぐらいの出張がわからぬはずがないじゃないですか。百名ぐらいの出張がわからないような状態で全軍の統率統制ができるとは私は思わぬ。しかも、これがわからないと、その次の質問ができないのです。私、さっき旅費の精算の答弁を求めております。この答弁は滞在日数その他を参照しないとわからないです。旅費の精算できる限りは滞在日数がわかっているはずです。わからないはずがない。
  348. 關谷勝利

    關谷委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後七時十分休憩      ————◇—————    午後八時二十七分開議
  349. 關谷勝利

    關谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。
  350. 淡谷悠藏

    淡谷委員 たいへん申しわけありませんけれども、米国の出張でもう一つ残っているのがあるのです。それは一番最後の視察等というのがありますね。三十九年二十三名、四十年は四十五名、四十一年は四十一名、これもひとつ御説明願いたいと思うのです。
  351. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 視察等と資料にございます数字でございますが、この内訳を申し上げますと、三十九年度は統幕で三名、陸上自衛隊で十名、海上自衛隊で二名、航空自衛隊で八名、こういう人たちの合計の数でございます。それから、次の四十年度の四十五でございますが、統幕で五、陸上自衛隊で九、海上自衛隊で十六、航空自衛隊十五、こういう内訳でございます。四十一年度の四十一は、統幕で二、陸上自衛隊で十二、海上自衛隊で十、航空自衛隊で十七、こういう数字でございます。これは先ほどの集団留学とかいうふうなのと違いまして、いわゆる一般的な視察の出張でございまして、一般的な視察の意味でアメリカに出張した、こういう人たちの数字でございます。
  352. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それなら大体の出発と帰ってきた時期はわかるのですね。
  353. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 これはいわゆる一般的な視察でございまして、二週間とか三週間とか、あるいは長くて一カ月くらいの出張でございまして、この数字の人たちの、何月何日に出発して何月何日に帰ったということは、もちろん記録はございますけれども、現在私の手元にはその一つ一つはございません。
  354. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これも、さっきの資料同様、早急には出せないという資料ですか。
  355. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 個々の出張記録を調べる必要がございますので、直ちにはちょっと御要求の資料はできないかと思います。
  356. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきの資料の件もありますから、これはあとで一括していろいろ御処置を願うことにいたします。  そこで壁頭、私、お尋ねしましたときに、アメリカの出張は二名という線が出まして、それから休憩中いろいろ操作をしておる間に十二名が残り、あるいは十名だと言われ、四名だと言われたのですが、現在アメリカにいるのは何人が正しい数ですか。
  357. 中井亮一

    ○中井政府委員 アメリカに行っております陸上自衛隊関係が十二名、それから海上自衛隊が六名、それから先ほどちょっと申し上げましたのは航空自衛隊の四名、合計学校関係で行っております者が二十二名、こういうことでございます。
  358. 淡谷悠藏

    淡谷委員 またすっかり変わってしまいましたね。完全に変わっているじゃないですか。さっきは全部引き揚げたというのでしょう。そうして今度は数名いるじゃないですか。何を見て一体答弁しているのです。根拠のある答弁しなさい。
  359. 中井亮一

    ○中井政府委員 先ほど、三十九年度が百十五名、四十年度が百二十九名、四十一年度が百三十一名と、このように言っておりますのは、留学の関係人たちでございまして、もちろんいま言いました数字は、四十二年度に入ってから出かけた人たちが入っております。
  360. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきはどうして四名だと答えたのです。全然数が合わないじゃないですか。
  361. 中井亮一

    ○中井政府委員 先ほどは航空自衛隊の防空学校へ行っております者の四名を、たまたま手元に資料がございましたので申し上げたわけでございます。
  362. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そんな答弁では承認できません。また変わるかもしれないですよ。たまたま手元にあったから四名——答弁に全然誠意がないじゃないですか。そんな答弁では了承できません。
  363. 中井亮一

    ○中井政府委員 先ほど残留がございませんと申し上げましたのは、この表でございますとナイキ、ホーク集団訓練と言っております四百五十五名、七百三十六名、六百三名、こういうふうに数字に出しておりますものの残留者がいないということで申し上げたわけでございます。
  364. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官も落ちついて聞けと言いますから落ちついて聞きますが、一番最判に私聞いたのは、全然無拘束で、現在アメリカに何人おりますかと聞いたら、二名だと答えているでしょう。それからしばらくして今度は十二名だと言う、また十名だと言う、今度は四名、今度は何名になります。人間ですよ局長、人間がそうふえたり減ったりして一体どうします。一人だって大ごとだとさっき言っているじゃないですか。もっと正確な数字の根拠を示して御答弁願います。
  365. 中井亮一

    ○中井政府委員 私の説明の不行き届きでたいへん申しわけありません。初めの御質問の趣旨と、ただいまの御質問の趣旨が、どうも私のみ込めないままに御答弁をいたしましたので、たいへん申しわけないことでございますが、ナイキの関係の補充要員の教育ということの御質問を受けたつもりで、先ほどは防空学校へ行っております者四名ということを申し上げたわけでございます。ただいまは、現在アメリカに行っている者が何人いるかという御質問でございますので、調査した結果を御報告したものでございます。
  366. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の聞き方が悪いような御答弁ですが、それならあらためて申し上げますがね。一番最初に聞いたときは、ワクをはずして、どれでもいいから、一体自衛官はアメリカに何人いますかと言ったら、一名だの二名だのと言って、結局二名に落ちついたでしょう。これが聞き方が悪いのですか、伺いましょう。
  367. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 二名というのは私が申し上げた数字でございますので、私から御説明申し上げますが、私が最初にお伺いしましたときに、駐在官の数字が出ましたので、それに類する長期の滞在の者というふうに私が誤解いたしまして二名と申し上げた。その長期の駐在の者は二名でございますけれども、それ以外に教育訓練、研修等で行っている数字を私は含めなかった、こういうふうに御了解願えればけっこうだと思います。
  368. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたはそういう答弁をしますから、またこれは長官に聞かなければならないです。そういう答弁をしたから、長官は、あとはたいてい一カ月二カ月、短かいのでは何週間、こう言うのだ。調べてみれば何年というのがたくさんいるじゃありませんか。長官、私はこれは意地が悪いようですが、自衛隊に対する国民の考え方というのは、長官自身お信じになっているようなものじゃない。特に出張簿が見えないとかなんとかいうので数が大幅に移動するようでは、これはから出張じゃないかという疑いさえ国民にはあるのです。その国民の疑いを晴らしたいから私はしつこく聞いている。さっぱり答弁ができないじゃないですか。私は何もナイキの訓練とか短期滞在とか言ったのじゃないですよ。現在アメリカにいるのは何人かと聞いている。ワクをはめていないのです。それがもう答弁のたびごとに数が変わっている。出張簿を出せと言えばわからない、出せないと言うし、一体こんなでたらめな出張がありますか。それではいまの新しい数字について、根拠を明確に示してください。
  369. 中井亮一

    ○中井政府委員 私の調査の不行届きで、たいへん申しわけございません。十分調査をいたしまして、すみやかに提出をさせていただくことにいたしまして、後ほど即刻資料として提出させていただきたいと思います。
  370. 淡谷悠藏

    淡谷委員 後ほど即刻というのは、いつのことをさすのですか。
  371. 中井亮一

    ○中井政府委員 調査次第、提出させていただきます。
  372. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたはいま調査の結果を答えたのでしょう。これではどうも審議できませんね。
  373. 中井亮一

    ○中井政府委員 たいへんごめんどうをおかけして申しわけございません。いままでに私の手元にございます、先ほど申し上げました陸上自衛隊の十二名というもの、それから海上自衛隊の六名、航空自衛隊の四名というもののほかにもまだあるかどうかは、まだ調査しておりますが、さしあたりいまの二十二名の……(発言する者あり)ことばの使い方が悪くて申しわけございませんが、二十二名につきましては、陸上自衛隊を歩兵学校に三名、それから航空学校に一名、通信学校に三名、需品学校に一名、飛行学校に二名、幹部学校に二名、それから海上自衛隊は水中処分隊に二名、水路関係で一名、それからエアステーションに三名でございます。それから、先ほどの空の関係では、防空学校に三名ということでございます。
  374. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いまの合計をひとつ話してください。
  375. 中井亮一

    ○中井政府委員 合計は二十二名でございます。
  376. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきはあなた四名というのをまことしやかに答弁しましたよ。いま聞いてみると、いま手元にあったから四名と言ってしまったと言うのです。今度の場合、二十二名というのは、調査をするっていっても調査する段階でもないでしょう、事実あるんだから。ひとつ伺いますが、この陸上自衛隊の十二名はいつ行ったんです。
  377. 中井亮一

    ○中井政府委員 古い者が四十一年の十一月、それから一番新しい人が四十二年の六月でございます。
  378. 淡谷悠藏

    淡谷委員 古い人は何名です。新しい人は何名か。
  379. 中井亮一

    ○中井政府委員 四十一年の十二月から行っております者が一名、それから四十二年の……。   〔発言する者多し〕
  380. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。あまり皆さんが言うと、なおあがってしまいますから……。
  381. 中井亮一

    ○中井政府委員 四十一年が、行っております者が四名……。
  382. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは委員長から注意してもらいたいのですが、これでは幾ら質問したって、答弁のたびごと変わっているのですよ。これは朝まで聞いたって合わない。たったいま一名と言って、今度四名、これではとてもむだな質問ですよ。どうするんです。   〔発言する者多し〕
  383. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  384. 増田甲子七

    増田国務大臣 ちょっと答えさせていただきます。  ただいままで判明しておるものが二十二名でございます。それからあとの二名は、最初申し上げたことはこれは事実でございまして、約三年ばかりいろいろなFMSのためにおるわけでございます。これはサクラメントにおりますし、一つアメリカの東海岸のベーヨンというところに長期駐在しておることは、あたかもアメリカにおける日本大使館に五名おる、それと同じような性質のものを二名、最初申せばよろしいと思って、人事局長が申したわけでございます。それから、あとのほうでだんだんふえてまいりましたことは、非常に私は恐縮に存じております。そこで正確にはこれは各幕につきまして申さなくてはならないのでございまして、そこで……。(「各幕とは何だ」と呼ぶ者あり)各幕というのは陸幕、海幕、空幕、各幕につきまして調査をして申し上げていることをつけ加えさせていただきます。  それから、この二十二名の内訳を申せ。昭和四十一年に出張した者というのは、すぐ私が計算いたしましたら四名でございます。あとの十八名は昭和四十二年になりましてから、すなわち本年出張した者でございます。
  385. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは別に犯罪じゃないのですから、判明も捜査もないのです。出張した者をそのとおり書いておけばわかることなんでしょう。
  386. 増田甲子七

    増田国務大臣 書いてあるのです。
  387. 淡谷悠藏

    淡谷委員 書いてあったらわかるじゃないですか。書いてあるものを読むために、二度も三度も長官に鉛筆までも出して計算させなければ出てこないということは——十二という数字ですよ。一体、生きた人間、十二の数がそんなに調査したり、判明したりするということがありますか。(発言する者多し)それじゃ、これは動かない御答弁ですね。動かない御答弁は、陸が十二名、海が六名、空が四名、これは動かないですね。   〔発言する者多し〕
  388. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  389. 増田甲子七

    増田国務大臣 そういうことではないのでございまして、実は年々留学というのが百二、三十名あるわけでございますから、いま教育局長が二十二名とは言っておりますが、これはただいままで判明しておるという数字でございまして、おそらく出たり入ったりいたしております。出たり入ったりいたしておりますから、一年通じておるというのではないのではないのでございまして、それは二、三カ月というのもございますれば、一年というのもあるわけでございまして、およそ現在幾らいるかということは、多少時間をかしていただきますと、私はもっとふえるかもしれない、ふえるかもしれぬけれども、およそ常識で考えることで、いま教育局長にもそういうことを申しつけたわけでございますが、やはり一年に百二、三十名留学しておるのですから、私は、いまの時点では、二十二名というよりもプラスアルファがありはせぬかと良心的に考えた次第でございまして、別段犯罪捜査でも何でもないから、調査といっても捜査とは違うわけでありまして、あなたのおっしゃるように一生懸命取り調べまして——犯罪の捜査ではないのでありまして、内容を取り調べましてお答えいたしますから、しばらく御容赦を願いたいと思います。
  390. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いつまで待つのですか長官。いつまで待てばわかるのですか。長官から御答弁があっても、すぐまた変わるかも知らない数字の御答弁では、待ったってしようがないでしょう。判明してからひとつ御答弁を願いたい。待ちます。
  391. 中井亮一

    ○中井政府委員 昭和四十二年度の留学計画としまして、七十九名のものがアメリカに留学をすることになっておりますうちの十八名が四月から六月にかけて参りまして、残りのものがきょう以降逐次参ることになります。昨年度に行っております四名と合わせて現在二十二名のものが留学としてアメリカに行っておるものでございます。
  392. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私にはどうもますますわからないですね。七十九名でしょう、今度は。さっきは二十二名とあなたのほうから言っておるでしょう。二十二名の内訳をいま聞いておるのですよ。ことしの計画はこれから聞きますよ。現在アメリカにいるものは一体何名ですかと私は聞いておる。
  393. 中井亮一

    ○中井政府委員 二十二名でございます。
  394. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはいつ行って——さっきは四十一年の十一月に行って四十二年の六月に帰ったとあなたは言った。行ったのですか、帰ったのですか。一名と四名がまた変わっておるから、四十一年の十一月に行ったのは何名か。四十二年六月に行ったのは何名か、はっきり言ってもらいたい。
  395. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいまの御質問でございますが、四十一年の十一月から三月にかけて出かけたものが四名ございまして、そのものはまだ向こうに行っておりまして、六月に帰ってきたと言ったつもりはございませんが、四十二年の六月までに、四十二年度に入りましてから十八名のものが米国に行っておる、こういうことであります。
  396. 淡谷悠藏

    淡谷委員 混乱しないように、またはっきりゆっくり聞きますが、さっきの質問はこういうことだったのです。あまり長くなったからお忘れになったでしょうけれども、二十二名のうち十一名は陸上でしょう。そのうちの一名が四名に変わって——一名のものが四十一年の十一月に行ったのだ。これが四名になったら、あとの三名はやっぱりついていったことになるのですか。一つずつ聞きましょう。
  397. 中井亮一

    ○中井政府委員 私、先ほど四十一年の十一月一名と言い始めて四十一年度集計したものですから、私の話の間違いがどうも誤解を生んだということをたいへん私は残念に存じます。私の御答弁が悪くて誤解を生じて申しわけございませんが、四十一年度出かけたものは四名でございます。現在四名のものがアメリカにおりまして、四十二年産に入りましてから十八名が出かけている。合計して二十二名現在留学しておる、こういうことでございます。   〔発言する者多し〕
  398. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  399. 淡谷悠藏

    淡谷委員 四十二年の六月だとすぐこの間ですから、これははっきりおわかりでしょうが、何という人が行っているのです。その氏名は……。
  400. 中井亮一

    ○中井政府委員 名前は、現在私わかっておりませんので、後ほど御報告さしていただきます。
  401. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは、あとからひとつ御報告願います。ついでに四十一年十一月に行っておる残りの四名の名前も伺いたい。  海上の六名は一体いつ行ったのですか。
  402. 中井亮一

    ○中井政府委員 海上自衛隊の六名は四十二年の四月、五月、六月にかけてでございます。
  403. 淡谷悠藏

    淡谷委員 空軍が四名おったでしょう。
  404. 中井亮一

    ○中井政府委員 航空自衛隊の四名は、四十二年三月で、四十一年度でございます。
  405. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それと最初に聞きました二名の関係は、どうなるのですか。明るいうちに二名聞きましたね。
  406. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 いまの二十二名とは、最初に私が二名と答えました二名は全然別の数でございまして、最初の二名は、長期滞在している二名でございます。
  407. 淡谷悠藏

    淡谷委員 最初の二名は全然別なワクであって、いま残っているのは二十二名と確認してよろしいですね。これは長官の責任で確認してもらいたい、また変わっては困りますから。
  408. 増田甲子七

    増田国務大臣 二十二名と、それから最初答弁いたしました大使館付の者と同様な長期滞在をいたす者が二名、合計いたしまして、大使館付は五名でございまして、他の残余の者は二十四名でございます。
  409. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ちょっと長官、そうすると、これは、大使館付の者が五名で、あと二十四名だとすると、二十九名になるわけですね。
  410. 増田甲子七

    増田国務大臣 二名というのは長期滞在で、大使館付と同じように需品関係、FMS関係を扱っている者が二名、それから二十二名は留学生、合わせて二十四名になります。大使館付の者が五名で、合計いたしますと、アメリカにいる自衛官関係の者は二十九名ということでございます。
  411. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その二十九名は、いま突然どうして出てきたのですか。大使館のほうは、いままでは入れてなかったわけですね。
  412. 増田甲子七

    増田国務大臣 大使館は、淡谷さんの御質問ではなかったけれども、ほかの……。
  413. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いや私の質問ですけれども……。
  414. 増田甲子七

    増田国務大臣 大使館は五名ということで申しております。英国には一名、あるいはインドネシアに一名という数字は申し上げてあります。
  415. 淡谷悠藏

    淡谷委員 じゃあ、こうなりますね。二十九名のうち二名のさっきお話しになったのと、いまの二十二名で二十四名、あとアメリカの大使館には五名ということになりますね。これはやはり自衛官の身分を名のったままで行っておるのですか。武官ですか。
  416. 増田甲子七

    増田国務大臣 それは併任の形でありまして、一昨日、昨日来申し上げておりますとおりで、外務省の書記官、あるいま参事官、あるいは領事という形になっておるかもしれませんが、そちらと自衛官の併任でございますが、外務大臣の指揮、監督のもとに終始働いているわけでございます。
  417. 淡谷悠藏

    淡谷委員 俸給はどっちが払っているのですか。
  418. 増田甲子七

    増田国務大臣 外務省でございます。
  419. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、俸給は外務省が払って、外務大臣のもとにつくならば、結局自衛官という身分はしばらくの間お休みですか。これはもう俸給も払わないし、防衛庁長官の手から離れているのですか。どっちですか。
  420. 増田甲子七

    増田国務大臣 外務省で大蔵省から予算をいただいて払っているわけでございます。したがいまして、その関係は、定員の外になるわけでございます。
  421. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、これは定員外で、自衛官というのは、ただのなごりのようなもの、大体そう思っていいですね。そうすると、二十四名が正しいということですね。五名なんか入れる必要がないでしょう。  そこでお聞きしますが、これら海外に出張しておりました自衛官の旅費、出張費の支払いはどうなっているか、お答えを願いたい。
  422. 大村筆雄

    ○大村政府委員 旅費の支払い総額でございますか。
  423. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私がさっきからずっと聞いておりまして、大体三十九年から四十年、四十一年と、米国あるいは沖繩にかなりの数が出張しておりますが、これは、いつからいつまで行ったものやらまだ不明であります。しかし、おそらくは出張費、旅費は払っているだろうと思いますので、その払っている形を御答弁願いたいのであります。
  424. 大村筆雄

    ○大村政府委員 私どもの外国旅費は、ナイキ、ホーク等の集団訓練外国旅費あるいは留学生等外国旅費、それぞれ旅費法に基づきまして、出張命令が出ますと、それに応じてそれぞれの基準に基づいて支度料、交通費、滞在費を支給しております。
  425. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうもはっきり聞き取れませんが、集団訓練とあと何を扱っているのですか。
  426. 大村筆雄

    ○大村政府委員 留学生等外国旅費でございます。
  427. 淡谷悠藏

    淡谷委員 内容をひとつ御答弁願いたい。どのくらい払ったか。
  428. 大村筆雄

    ○大村政府委員 お手元の資料にナイキ、ホークの集団訓練関係と書いてございます。したがいまして、ナイキ、ホーク等の集団訓練のために支弁したものを申し上げます。三十九年度が七千百万円でございます。それから四十年度が一億六百万円でございます。四十一年度が六千四百万円でございます。
  429. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その員数はどのくらい払っておりますか。
  430. 大村筆雄

    ○大村政府委員 員数は、私ども支弁いたしておりますものは、ただいま説明いたしましたように、その年に出発し、その年に帰るものは旅費総額を支給いたしますが、その年に出発いたしまして翌年に帰ってくるもの、それにつきましては、翌年帰ってくる旅費は支給いたしません。当該年度分だけでございます。したがいまして、旅費支弁額とただいま教育局長が申し上げました員数とは、必ずしもパラレルではございません。
  431. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そう用心しないでもいいから、はっきりしなさい。まだ合うとも合わぬとも言っておりませんよ。何名ですか。
  432. 大村筆雄

    ○大村政府委員 したがいまして、給局教育局長が申し上げましたのは、これは出発命令ベースでございますから、出発命令ベースの数としてお考えいただきたいと思います。ただし、支払い金額の中身は、帰る者と行く者と、それぞれその年に支払った金額でございますから、正確に何名ということを申し上げるわけにはまいらないのでございます。
  433. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、数を聞いておる。それは何も意地悪く聞くのではない。さっきも言いましたとおり、国民の中には、自衛官のから出張があるということを言っている者がある。こういう疑惑を解くためにも、はっきりしたいから言っておるのです。員数を言ってください。
  434. 大村筆雄

    ○大村政府委員 出張命令ベースと申しましたのは、先ほど教育局長が申し上げましたとおりの数字になろうかと思います。
  435. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それをはっきり言ってください。
  436. 大村筆雄

    ○大村政府委員 三十九年度に四百五十五、四十年度が七百三十六、四十一年度が六百三でございます。
  437. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この資料を見て答えているのですから間違いないでしょうが、あなた方のほうにも資料があるのでしょうね、支払いの。
  438. 大村筆雄

    ○大村政府委員 ございます。
  439. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なぜそれを見ないのですか。ちゃんと数字を合わせるために防衛庁で出してきて、それをわれわれが問題にしている。その資料を見て答えるのは、どういうことなんですか。
  440. 大村筆雄

    ○大村政府委員 それは、お手元に差し上げましたこの資料は、私どもの一応打ち合わせをしました資料でございますので、その数字で申し上げておるわけでございます。
  441. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは、これ以外には払っていないわけですね。さっきあなたの言うのと全然合わないでしょう。あなたは、これは何か出張命令が出たので言ったので、前の年の分は考えていないと言ったでしょう。
  442. 大村筆雄

    ○大村政府委員 そうは申し上げておりません。私どもは支払いベースで申しておりますから、当該年度に出張して、当該年度に帰った者は、それは旅費総額を支払います。ただし、当該年度に出発しまして、翌年度にわたる旅費の場合には、当該年度分だけ出発のときに渡しまして、そして翌年度帰るときには、その翌年度帰るときに所要経費を出す、そういうことでございます。
  443. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ、その内訳、何人あったかをひとつ御答弁願います。
  444. 大村筆雄

    ○大村政府委員 翌年度にわたりました者で翌年度に帰った者の数は、いま手元にございません。
  445. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたのほうで、翌年度に回った者はその年しか勘定しないというのでしょう。残っているのは、経理のほうじゃわからないのですか。何人自衛官がアメリカに残されたか、どうせあなたのほうで金は払うのでしょう。それがわからないということがありますか。三十九年は残ったのは何名、四十年は残ったのは何名、四十一年は何名ということは、わかるんじゃないですか、金を払っているんだから。——これは私はないとは言わせませんよ、きょう昼からちゃんと予告してあるのですから。あなたも答えると言っているいまさら手元に資料がないとは言わせませんよ。
  446. 大村筆雄

    ○大村政府委員 先ほど人員の点は教育局長から御説明申し上げましたので、私どものほうは、先ほど旅費の支払い総額は幾らかという御質問でございましたので、実は旅費の支払い総額を中心にして申し上げておるわけでございます。人員につきましては、先ほど教育局長が申し上げたそのとおりでございます。
  447. 淡谷悠藏

    淡谷委員 経理と人数は別じゃないですか。翌年に滞在した者は払わぬというのだから、それがどれくらいありますか。何人あるか、正確にどれくらいあるか。これは当然また帰るときには払わなければだめでしょう。わかっているんじゃないですか。
  448. 大村筆雄

    ○大村政府委員 さっそく調べましてお答えします。
  449. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これで一体さっそく調べましてという資料が幾つたまったと思いますか。一つ一つみなあとで調べますというのでは、このまま審議しても無意味ではないか。どうするのですか。
  450. 大村筆雄

    ○大村政府委員 その年に帰ってきた者に対して支給いたしました旅費の対象となる人員でありますけれども、三十九年度は七十八名、四十年度は二百三十一名、四十一年度は百二十六名でございます。
  451. 淡谷悠藏

    淡谷委員 四十一年度は、あなたの俸給支払いの関係では、現在アメリカに何人残っていますか。
  452. 大村筆雄

    ○大村政府委員 四十一年度命令を出しまして、四十二年度にわたる者はございません。
  453. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の言うのは、そうではなくて、四十一年度まだ向こうに残っておる人がおりますかと聞いておる。四十一年度は、帰ったのは百二十六名でしょう。
  454. 大村筆雄

    ○大村政府委員 もう一回お尋ね申し上げますが、ナイキ、ホークの集団訓練関係で四十一年度行かした者で、四十二年度残っているのは何名かという御質問ではございませんか。
  455. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それがわかっていて、あなたは帰ってきたのは百二十六名だというのでしょう。そうすると、四十一年度は、行ったのは全部で六百三名でしょう。これはみんな帰ったとさっき教育局長が言っておるが、六百三名と百二十六名だと、私の勘定では合わないから、何人が残りましたかと聞いておるのです。
  456. 大村筆雄

    ○大村政府委員 四十一年度百二十六名と申しますのは、四十年度出した者のうち、翌年度にわたるものが百二十六名でございます。四十一年度出しました六百三名は、全部四十一年度で帰ってきておるということでございます。
  457. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはまだ資料が出ませんから、あなたのほうに聞きますが、一体三十九年度は三十八年度分から何人繰り越しておりますか。
  458. 大村筆雄

    ○大村政府委員 念のためにまたお確かめいたしますが、三十八年度に出張させた者で三十九年度にわたる者は何名かということでございますか。
  459. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたの御答弁は、翌年度にわたった者には支払いをしないというから、三十八年度に出張命令が出てアメリカに行った者が、全部帰ったのか、それとも三十九年度まで残った者がおるのか、それは何人かと聞いておる。
  460. 大村筆雄

    ○大村政府委員 翌年度にわたって帰る者に旅費は出さないといったではないかとおっしゃったと思うのですが、それは違います。先ほど申し上げましたのは、それは翌年度にわたって帰る者については、帰る旅費は支給いたします。出るときには当該年度分の旅費を支給いたしまして、翌年度帰るときは、旅費としてその年の予算から出しております。こういうことを申し上げたのであります。
  461. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そう言ったから、翌年度に払うのは何人かと聞いているのです。持って回らなくてもいいじゃないですか。
  462. 大村筆雄

    ○大村政府委員 それは、先ほど申しましたように七十八名でごごいます。
  463. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、教育局長、七十八名残ってくると、三十九年度は四百五十五名に七十八名加わるのですね。   〔発言する者多し〕
  464. 關谷勝利

    關谷委員長 いま相談していますから、ちょっと待ってください。
  465. 大村筆雄

    ○大村政府委員 先ほど教育局長から、三十八年度の集団入学のうち三十九年度に帰ってまいりました者を、百七十七名というふうに申し上げたように思います。したがいまして、私どものほうで帰国旅費を支給いたしましたのは七十八名でございますから、その差額の九十九名と申します者は、これは出国時に帰国旅費まで支給して出張させたものであろうかと思います。
  466. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あるのですか、ないのですか。あろうかと思うという答弁はない。あるのかないのか、はっきり答弁してください。
  467. 大村筆雄

    ○大村政府委員 その点は確かめまして、あとでまた整理をいたしまして御答弁いたします。
  468. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一つ一つみんな答弁ができないじゃないですか。みんなあしたまで待てとか、しばらく待てとか、後刻、さっそくにとか言っているんですがね。どうもこれじゃ答弁できないじゃないですかね。しかも、四十年には二百三十八名が繰り越しているでしょう。これまた合わないですがな。これまた合わないでしょう、さっきの話とは。
  469. 大村筆雄

    ○大村政府委員 ちょっと聞き漏らしましたが……。
  470. 淡谷悠藏

    淡谷委員 四十年は二百三十八名という数字が出ていますね。
  471. 大村筆雄

    ○大村政府委員 二百三十一名でございます。
  472. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一名ですか。これは三十九年から繰り越したんでしょう。
  473. 大村筆雄

    ○大村政府委員 さようでございます。
  474. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと、それと、出張命令が出ましたのは七百三十六名。そうしますと、これと合わせますと、相当な数になりますね。これは教育局長のさっきの答弁とはまた数字が狂いますわな。
  475. 大村筆雄

    ○大村政府委員 二百三十六名と申しましたが、七百三十六名でございます。
  476. 淡谷悠藏

    淡谷委員 いや、一名と言ったじゃないですか。
  477. 大村筆雄

    ○大村政府委員 失礼いたしました。七百三十六名というふうにただいま申し上げましたのは、これは出張命令で出国させた者の数でございます。
  478. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ちょっと待ってください。出国命令で出したのは七百三十六名じゃないですか。これを見ますと、年度別自衛隊員の沖繩・米国出張状況というタイトルがついておって、出張命令を出したものだけ書いたという教育局長の答弁ですね、これじゃまるで数字が合わない。
  479. 大村筆雄

    ○大村政府委員 私が七百三十六名と申し上げましたのは、ナイキ、ホーク関係の集団訓練アメリカにその年に出張さした者の数でございます。二百三十一名と申しますのは……
  480. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっき二百三十八名と聞いたら、今度二百三十一名、そうしたら今度は六名だ、また一名だと言う、どっちがほんとうなんですか。
  481. 大村筆雄

    ○大村政府委員 私は、先ほど二百三十一名とはっきり申し上げました。
  482. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そんな、自分の言ったことを……。一ぺん速記録を調べましょう。数字が違うというのはどうしたことですか。速記録を調べてください。
  483. 大村筆雄

    ○大村政府委員 二百三十一名と申し上げました。
  484. 淡谷悠藏

    淡谷委員 じゃ速記録を調べてください。自分の言っていることばさえわからないなんて……。これはみんな聞いているんですがね、確認しますが、二百三十八、二百三十一、二百三十六、終局的にはどれが正しい数字ですか。
  485. 大村筆雄

    ○大村政府委員 最初から二百三十一名というふうに申し上げました。
  486. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そんなこと言うなら、最初から二百三十一と言ってください。それじゃ調べなさいよ。——それじゃ調べなさい。   〔「速記を調べろ」と呼びその他発言する者多し〕
  487. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  488. 大村筆雄

    ○大村政府委員 私が申し上げましたのは、七百三十六名というのと二百三十一名というのと申し上げたわけでございます。
  489. 淡谷悠藏

    淡谷委員 答弁を二転三転さしておいて、そう言ったはずだなんて、承服できません。速記録を調べてください。自分の言ったことの誤りを自分が気がつかないんじゃ、答弁にならぬです。
  490. 大村筆雄

    ○大村政府委員 二百三十六と申したということもございましたが、二百三十六でございません、二百三十一でございます。もし二百三十六とお聞き取りいただいたら、私の発音が悪かったわけでございます。二百三十一というふうに訂正いたします。   〔「発音の問題じゃないよ」と呼び、その他発言する者多し〕
  491. 大村筆雄

    ○大村政府委員 二百三十六でございません。二百三十一でございます。もし二百三十六と言ったとすれば、間違いでございます。二百三十一に訂正いたします。
  492. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ、あなたの言うことをゆっくり聞きますが、三十九年、四十年、四十一年の支払いの内容です。これは前年度出張命令が出たものに対しては前年度支払って、それが翌年に繰り越して、七十八名、二百三十一名、百二十六名という数字が出てきますが、これと出張命令が出ましたこの数字とり関係、支払いの関係を、ゆっくり御説明願いたいと思います。
  493. 大村筆雄

    ○大村政府委員 正確にと申しますと個々の出張命令者ごとに当たらなければなりませんので、大体こういう数字に相なるということをひとつ御理解願いたいのでございますが、四十年度を例にとりますと、七百三十六名に対しまして出張命令が出されて、それに対して出張旅費を支給されております。そのほかに、四十年度におきましては、前年度からの、帰ってきております二百三十一名に対しまして、帰国旅費が支給されております。さらに、四十一年度には、四十年度から繰り越されております百二十六名に対しまして、帰国旅費が支給されております。
  494. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ、三十九年、四十年、四十一年ですね、七千一百万、一億六百万、六千四百万という旅費が支給されていますが、これは、いまの関係を入れますというと、三十九年、四十年、四十一年ごとに、総計何人に支払っておりますか。——すぐわかるでしょう。
  495. 大村筆雄

    ○大村政府委員 三十九年度でございます、これは前年度の繰り越しが七十八名でございます。ホーク関係の繰り越しでございます。これが四百五十。それからプラス、同じくプラスでございます、プラス三十九年度出張命令を出した者が、四百五十五名でございます。合計いたしまして五百三十三名でございます。それから、四十年度でございますが、前年度から繰り越し分ホークは二百三十一名でございます。  はなはだ申しわけないのですが、先ほど——ちょっとお待ちください。   〔発言する者多し〕
  496. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  497. 大村筆雄

    ○大村政府委員 お待たせいたしました。三十九年度、前年に繰り越して帰国旅費を支給した者は、七十八名でございます。それと、当該年度出張命令が出ました者が四百五十五名でございますから、合計五百三十三名でございます。これは繰り越し分はホークでございます。それから四十年度繰り越し分、ホークが二百三十一名。このほかに、ナイキ関係で三百二十二名でございます。それからその年に出張命令を出しました者が七百三十六名でございますから、合計千二百八十九名でございます。それから、四十一年度……
  498. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ちょっと、途中ですが、いまの数字は、さっきの御答弁と違うのですがね。二百三十一名でしょう。二百三十一名に七百三十六名じゃ、これは千にならないでしょう。
  499. 大村筆雄

    ○大村政府委員 おわびを申し上げなければいけませんので、先ほど二百三十一名と申しましたのは、ホーク関係だけでございます。そのほかに、ナイキ関係が三百二十二名ございました。それをつけ加えるのをちょっと忘れたのであります。それから四十一年度でございます。四十一年度は、ホーク関係が百二十六名、これは前年度繰り越しでございます。それと当該年度の出張命令が六百三名でございますから、合計七百二十九名でございます。
  500. 淡谷悠藏

    淡谷委員 たいへん夜おそくてお疲れなせいか、たいへん数字が二転三転するのですが、さっきはどうして三百何名が落ちてたんですか。再々言うけれども、人の数ですよ。三百何名落として勘定して、この俸給はどうなるのです。落とした勘定ですか、落とさない勘定ですか、これをもう一ぺん伺わなければしようがないです。四十年は、二百三十一名じゃなくて、総計して——ここにあるのはナイキ、ホーク集団訓練としてありますからね。これをよく見て、落ちついて勘定してください。
  501. 大村筆雄

    ○大村政府委員 前年度繰り越しのものは、ホーク関係は二百三十一名でございます。そのほかに、ナイキ関係が三百二十二名ございます。
  502. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで教育局長、あなたの数字はどうなる。こうなると、あなたの勘定では、三十九年度に居残った人は何人おります。三十九年度に帰った人は何名おります。あなたもゆっくり落ちついて御勘定ください。合わないです。
  503. 大村筆雄

    ○大村政府委員 お答えいたします。先ほど私が申し上げましたように、三十九年度が、帰国旅費を支給したのが七十八名、四十年度が、帰国旅費を支給いたしましたものが、ホークが二百三十一名、ナイキが三百二十二名、四十一年度が、ホークが百二十六名と申しました。これは私どもが帰国旅費を支給したものの人員でございます。したがいまして、その年に帰った者に支給するのはもとより、場合によりましては、翌年早々あたりに帰る者につきましても、前年度末に帰国旅費を送ることもございますので、実際に旅費を支給した人員と帰国した人員とは必ずしも一致いたしません。
  504. 淡谷悠藏

    淡谷委員 実際に帰る前に、帰る旅費の前渡しができますか。できません、会計法上。これは大切な問題ですよ。そんなことをしょっちゅうやっているんですか。
  505. 大村筆雄

    ○大村政府委員 旅費法によりまして、翌年早々等に帰国する場合には、前年度の末に旅費を支給することは、これは可能でございます。
  506. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それは前渡しでしょう。あとで精算しているのですか。精算しているならば、そうしたケースの精算額を御答弁願います。
  507. 大村筆雄

    ○大村政府委員 もちろん帰国いたしますと、旅費の精算はいたします。
  508. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その額は幾らかという、年度別に、三十九、四十、四十一年、そういうケースの精算額を御答弁願います。   〔発言する者多し〕
  509. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  510. 大村筆雄

    ○大村政府委員 いずれにいたしましても、これは外国旅費のみならず、国内出張の場合でも、旅費の精算はいたすわけでございます。したがいまして、こういう集団訓練等の場合には、一応前もってきちんと予定ができておりますから、大体——大体と言ってはいけませんが、支給したとおりの精算はできております。
  511. 淡谷悠藏

    淡谷委員 前渡しのことはまだいろいろ問題はありますが、あなたのほうじゃ大体帰国の予定がわかっているから、それによって計算したというのでしょう。それがどうして私には出せないのですか。さっきからその問題でもんでいるのでしょう。経理上どうしても必要だから、出張命令を受けて、行ったときと帰るときとはっきり出しなさいというのに、あなたのほうはそれで計算したというのだけれども、それじゃあるはずですね。それが出ないでもんでいるのですよ。それじゃ、この数は変わりませんか。三十九年の七十八人、二百三十一人、三百二十二人、百二十六、それに出張命令が出たこの数字は変わりませんか。
  512. 大村筆雄

    ○大村政府委員 旅費支給対象人員は、先ほど申し上げた数字のとおりでございます。
  513. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで教育局長、あなたに聞いているのですが、あなたからさっきすっかり聞きましたが、三十九年度の帰国人員は何人です。
  514. 中井亮一

    ○中井政府委員 三十九年度に帰国いたしましたのは、第一次ホークの集団留学で参りました者が三百二十七名でございます。それからナイキの年次射撃が、一週間ぐらい行ってまいりましたのが百六十九名。これだけでございます。
  515. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この総計は四百九十六名ですね。そうしますと、三十九年度分に払われた旅費は、四百五十五名に七十八名ですから、合いませんね。合わないでしょう。合いますか。
  516. 中井亮一

    ○中井政府委員 第一次ホークの集団留学で三十八年度から行っております者が百七十七名ございまして、先ほど経理局長が答弁しましたように、そのうちの一部には、三十九年度に帰る分の旅費をもらって行っている者もいるということでございます。
  517. 淡谷悠藏

    淡谷委員 七十八名という勘定がそれでしょう。あなたは前年度から繰り越した人を勘定しなかったのです。ただ出張命令によって帰った人の数だけを勘定しましたから、いまの経理局長が言った前年度からの繰り越しが、全然勘定されていない。ひどいのは、さっき数字を直しましたが、四十年度二百三十一と三百二十二、これは合計して五百五十三になります。三十九年度の出張したのは四百五十五人ですよ。四百五十五人出張して五百何人帰れますか。子供産んだのじゃあるまいし……。
  518. 中井亮一

    ○中井政府委員 前年度に行った人と、それから三十九年度に出張命令をもらって四十年度まで残っている人もありますので、数は違ってくると思います。
  519. 淡谷悠藏

    淡谷委員 何名ありますか。三十九年度から四十年に残った人が、何名あります。
  520. 中井亮一

    ○中井政府委員 旅費の支給に関係いたしましたところは、経理局長の申している数字でございます。
  521. 淡谷悠藏

    淡谷委員 経理局長の数字というのは、あなたのほうの数字と合わなければ意味がないでしょう。どっちか間違っているのでしょう。五百五十三名というのは、三十九年からの繰り越しの人員だと経理局長は言っているのですよ。さっき再々直しておいて、それに対して前年度三十九年度の出張命令は、四百五十五人じゃないですか。四百五十五人がどうして五百名になるのです。
  522. 大村筆雄

    ○大村政府委員 お答えいたします。先ほど申しましたナイキ三百二十二名、ホーク二百三十一名、これは三十九年度に行った者で帰った者のほかに、三十八年度に行った者で帰っている者もございます。  それから先ほどちょっと触れましたように、昭和四十一年度早々帰る者等に四十年度末に旅費を支給している場合もございますので、教育局長の数字と若干食い違うかと思います。
  523. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは若干という問題じゃないでしょう、経理局長。三十八年から七十八名が三十九年に繰り越したのだとあなたはおっしゃったでしょう。それから三十九年から三百二十二名と二百三十一名の五百五十三名が繰り越した。それにあなたの説明では、その当年に行って引き揚げた四十年度の七百三十六名を加えて千何名かが帰った、旅費をもらっているとはっきり言ったじゃないですか。その五百何名が、どうして前年度の四百四十五名という出張者から出てくるかということです。三十八年度から繰り越したというならば、三十八年度からそれじゃ四十年に繰り越した数を言えばいいじゃないですか。数が合わなくなって、初めてあなたは合わそうとするでしょう。明確にお答えになってください。これは経理局長の数字です。
  524. 大村筆雄

    ○大村政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、帰国旅費を支給した人員と、それから当該年度出張命令を受けまして旅費を受けた人員との合計を申し上げたわけでございます。したがいまして、帰国旅費を受けます場合は、三十九年度に行った者で四十年度に帰る者と、一部三十八年度に行きまして四十年度に帰る者、そのほかに四十一年早々帰った者について旅費を支給する場合がございますから、それの合計の帰国旅費を支給した人員が三百二十二名と二百三十一名でございます。
  525. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ますます不明朗です。三十八年度から四十年度に繰り越した数を、なぜさっきあなたははっきり言わなかった。突っつかれるまで隠しておいたのですか。前年度からの繰り越しをお話ししなさいと言ったら、あなたは何べんも直して言ったじゃないですか。いまになって合わなかったら、また三十八年度と……。  それじゃ、もう一ペンはっきり合うような数字を出しなさい、教育局長と一緒に合うようなものを。出張命令のない者に金を払ったり、帰国してない者に払ったりしたら、たいへんな問題ですよ。
  526. 増田甲子七

    増田国務大臣 私から一応私の所見を御答弁申し上げますから、しばらくお聞き願いたいと思います。  先ほど来、私ももう少し数字を知っていないといけないと思っております。まず第一に、その点をおわびいたします。  それからその次に、経理局長の言っている線と教育局長の言っている線とが、必ずしも合致しておりません。淡谷さんのおっしゃるとおりです。そこで、経理局長の申し上げておる線は、たとえば昭和三十九年に出て昭和四十年、四十一年にまたがった者は、三人に勘定しております。ところが、教育局長のほうはこれは一人に勘定しておるわけでございまして、そういう数字がそれぞれ違いがございまするが、そういう数字はどうぞそういうことで食い違うもの……。そこで、正確には一年度、一年度の旅費の支払いで、延べ人員で勘定いたしました経理局長の数字が、私は正しいと思っております。教育局長の数字はなぜ違うかといいますと、教育局長は教育の見地からおよそこれだけ出そう、こういうようなことで出しておりますから、翌年帰った分も、それは淡谷さんにお答えはしております。おりますけれども昭和三十八年に出て三十九年までおって、昭和四十年に帰った者が三人になっておりますから、一方は昭和三十九年から勘定して——もっと三十九年に帰った者の中に三十八年度に出張した者も教育局長は答えておりますが、そういうような線で多少の相違があることをどうぞ御了承願いまして、なお正確には——そういう線で違うことは御了解くだすったことと思いますから、なおこの場ですぐ計算して申し上げておりますが、なかなかこの場では人間も上がるものでございまして、なかなか有能な連中が部下にもおりますけれども、即問即答というわけにはいかない点は、どうぞ御了恕のほどをひとえにお願いを申し上げる次第でございます。
  527. 淡谷悠藏

    淡谷委員 せっかく長官お話ですけれども、その勘定はもう私さっきからやっているのですよ。やっているから前年度からの繰り越しがどうなっているか聞くのです。だから、三十八年から三十九年に繰り越した数が七十八名と答弁も出ている。これは三十八年で一ぺん旅費は支給されています。それがまた三十九年に支給するのですから、二人になるでしょう。それが三人になるというのは、その次の年にまたやったら三人になる。そのくらい勘定していますよ。それで合わないからおかしいのです。もしそんな数を合わせようと思うならば、いま経理局長と教育局長と、この採算した表を出してごらんなさい。
  528. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は繰り返して申すようでございまするが、正確には、旅費を出した人の人数というのが一番正確でございます。それから教育局長は教育の見地から出した人の数を言っておるのでございまして、一人が二人になるといったような勘定はございません。そこで、何月幾日に帰ったかというようなことを正確に調べるには、やはり旅費支給規則による経理局長が出したその数が一番正確でございまして、教育局長等において数を申し上げて間違いがあった場合にはお許しを願いたい、こういうことを私は申しておるのでございます。教育局長はあくまで実人員を申しておるだけでございます。あといつ帰ってきたといっても、ほんとうのところは経理局長が旅費を出すときにうそは言えないのでございますから、四月一日に帰ってきたといえば二年度にまたがる、こういうようなことになりますし、三月三十一日に帰ったならばその当該年度でよろしい、こういうようなことになるのではないか。私はこれは一般のものをさしという意味において御答弁申し上げてぜひとも御了承いただきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  529. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それは別段むずかしい計算じゃないのですよ。はっきりわかっています。教育局長の数字と合わないのはわかっている。わかっているのですが、私はわからないことがはっきりすればいいんです。七十八名を繰り越したなら、繰り越した、帰った数も教育局長わからぬことはないでしょう。だから、ぼくはさっきからあなたに年度に分けて、この年は何人帰りましたかと聞いている。そのときは前年からきたものをあなた全然報告してないのです。   〔発言する者あり〕
  530. 關谷勝利

    關谷委員長 質問者以外の御発言は御遠慮ください。
  531. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ずいぶん休んでおる間にあれこれ数を合わして、これで間違いありませんということで、ちゃんと私の表はできている。これにいまあなたのおっしゃった、前年度から繰り越した数の誤差を入れましても合わないのです。
  532. 増田甲子七

    増田国務大臣 両局長の話の相違でございまするが、休憩中に淡谷さんと教育局長とが話をし勉強したということも、私は教育局長から報告を受けております。しかしながら、あくまで教育の見地で一人やったものは一人しか勘定していませんし、その年に帰らずに翌年に帰ったというようなことを申しても、数の間違いがあるとすれば教育局長のほうに実はあるわけでございまして、お話が済んでおるということでございますが、やはり旅費を正確に出すという経理局長のほうの数で延べ人員というものはきまるわけのものでございまするから、どうぞ御了恕願いたいと思います。
  533. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官、そういうお考えならば非常に私は残念ですよ。経理局長が間違いがないものといってきめてかかることは、私は間違いだと思う。それは教育局長が出した数字、これは正確でしたよ、出したものは。ごまかしてなかった。そして結局四十一年度にはアメリカにはおりませんという答弁が出てきたのです。ですから、これと誤差があるとすれば、前年度からの繰り越しの人員が——これだけでしょう、そうじゃないですか。教育局長、あなたは前年度の繰り越しの人員は私に報告したわけでしょう。そうじゃないですか。確かめましょう。   〔発言する者あり〕
  534. 關谷勝利

    關谷委員長 御静粛に願います。
  535. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は一つのものさしを申し上げたのでございまして、会計法その他から見ましても、いま経理局長の言うところによりますと、翌年度帰るものでも前年度に支給して会計法上間違いがないという話でございます。そうしますと、二人には勘定しない部面もある。ところが教育の見地から見ますと、四月三十日に帰ったというものは、これはつまり年度から申しますと、昭和三十八年に出まして昭和四十年の四月三十日に帰ったといたしますと、その年度に帰った人数におそらくあなたに報告されたでございましょう。でございますから、両者必ずしも一致しないというそういうものさしがある、そういう表示があるということをぜひとも御了解いただきたいということでございます。
  536. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官もよほどお疲れになりましたね。そういうことがあるから私はこの誤差をはっきり出してくださいと再三言っておるじゃないですか。前年度、前々年度の繰り越しの人員があったらこれも勘定に入れておるでしょう。これを入れると違っておるわけがわかってくるのです。これは教育局長とそれから経理局長との違いの原因がわかるのです。ですから、結局のところは七十八名という前年度からきた数は支払いには入っておるでしょう。教育局長は繰り越してきた人を勘定してなかったんでしょう。どうですか、それは。
  537. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は一つのものさしについてあなたに御了解を得たいと思って申すのでございますが、来年度帰るときまったものでも、その前の年度の終わりごろ出せるという話でございます。そういたしますと、経理局から見た人数は二人にならずに一人で終わってしまう。ところが教育局長の見た見地からすると、四月三十日に帰ったものは今度は翌年の繰り越し人数のほうに勘定する、こういうことになります。また経理局長が他の見地から、すなわち三年分いたというようなことになりますと三人載るというふうに勘定いたしますし、教育局では一人を訓練してその一人が足かけ三年いた、こういうことになりますから、狂いが毛頭あってはけしからぬということにはならない、そういうことを賢明な淡谷さんにおいて御了解を得たい。またものさし以外のこまかい数字をここで出せと言いましても、それは御無理でございますから、後日すみやかに提出いたします。
  538. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そんなことは、さっきからくどいほど申し上げているじゃないですか。合わないなら合わないでいいから、合わない原因をはっきりしなさい。教育局長は前年度からの繰り越し人員を見ていなかったでしょうと、いま念を押しているでしょう。長官もあまりそう部下を案ずるあまり答弁を横取りしないで、言いたいことを経理局長に言わせなさい。さっきも長い時間やったのだから、でたらめな教字を出すと私は思わない。前年度からの繰り越し人員は入ってないのでしょう。
  539. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいまのナイキ、ホークの集団訓練の欄のところの数字でございますが、教育局の私のほうでは、発令のあった年の年度に入れておりまして、御指摘のとおりに帰国のほうのときにはこの勘定の中には入っておりませんので、そういう帰国のほうの立場で考えますと、数字が違っておる点を御容赦いただきたいと思います。
  540. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そんなことは、さっきからあなたとは休憩中幾らも話しているじゃないですか。しかし、あなたは帰った人数も出しておりますよ。読みましょうか。この出張命令を受けた数と帰った数をずっと合わして、結局四十一年はだれもいないという結論が出たでしょう。帰らなければみんな向こうにいるはずです。そうじゃないですか。どうも前に言ったことを点々と変えるようじゃしようがないですな。あれほど長い時間言ったでしょう。
  541. 中井亮一

    ○中井政府委員 淡谷先生とお打ち合わせをいたしましたことでございますが、集団留学ということで年度をまたがって米国へ留学をして、一緒にまとまって帰ってきている、そういう性質のものと、それから年次射撃で一週間くらい行っているものと、とにかく二種類あるということはお話ししたとおりでございます。その集団留学として参りましたほうが、出発の時点のほうで命令を出されている数字というものが、前にも御報告いたしましたとおり、第一次ホークの集団留学というのは三十八年度に百七十七名、三十九年度に百五十名が発令をされて三十九年度中に合計三百二十七名が帰国しております。そのほかに一週間くらいの年次射撃があるわけでございます。  それから次が第二次ナイキでございますが、三十八年度に十二名発令がありまして、三十九年度に百十九名が発令をされ、四十年度に二百二名が発令されまして、合計三百三十三名が四十年度中に帰国をいたしております。そのほかに年次射撃のものが、前にも御答弁しましたとおりにございます。  それから第二次ホークの集団留学が三十九年度に十七名、四十年度に二百十四名、四十一年度に九十六名がそれぞれ発令をされて、合計三百二十七名が四十一度中に帰国をしております。そのほかに年次射撃に行っている者があるわけでございます。それは前にも御報告したとおりでございます。
  542. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのとおりなんですよ。そのとおりでいきますと変な数字になるといま言っているのです。三十九年度にあなたの言ったのはホークの集団留学は百六十七名、三十九年度の四月に行って九月に帰っているでしょう。そうじゃないですか。それは違うか。それから三十九年の十二月、それが十七名、これはあなたの言う百六十七名ですか、これに入ったのじゃないですか。数は違いますか。違ったらもう一ぺん言ってください。百六十七名という集団留学は何年から何年までおったのか。
  543. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいま淡谷先生の申された百六十七名の内訳でございますが、第一次ホークの要員としての百五十名が三十九年度中に出かけて、三十九年度中に帰ってまいりました。それから第二次ホークの集団留学の要員が十七名、三十九年度中に出発をいたしまして、四十一年度に帰国をしております。
  544. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それからナイキは百十九名、三十九年の四月から四十年の三月まで、これは間違いないでしょう。それから年次射撃に行ったのは百六十九名、これは三十九年の十月十一日から十月十八日まで、これは間違いないですね。
  545. 中井亮一

    ○中井政府委員 ただいまの第二次ナイキの集団留学の百十九名は、三十九年度中に出発をしまして、年度を越して四十年度に帰国をしているのと、年次射撃の一週間くらい行きましたのが百六十九名、間違いございません。
  546. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきあなたは、三月まではその年度に入らぬと言っていましたが、四十年の三月だと、年度からいうとやはり三十九年度じゃないですか。
  547. 中井亮一

    ○中井政府委員 私が言い間違いをしているかもしれませんが、出発したのが四十年の三月までに出発して、年度は三十九年度中でございますが、三十九年度に出発をいたしまして、年度を越して四十年度に帰国をした、こういうことでございます。
  548. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それによると、三十九年度は米国には何名残っていますか。これくらい教育局長が把握できるでしょう。
  549. 中井亮一

    ○中井政府委員 第二次ホークの集団留学の十七名と、第二次ナイキの集団留学の百十九名を足しまして、百三十六名でございます。
  550. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それがナイキ、ホークの集団訓練で米国に残った人数ですね。そうじゃないですか。翌年に繰り越すのでしょう。そこで三十九年から四十年に二百三十一名と三百二十二名が前年度から繰り越したといいますか、繰り越し人員がどこにありますか。
  551. 大村筆雄

    ○大村政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、翌年帰国するものにつきましても、前年に帰国旅費を支給することが会計上できますから、したがいまして三百二十二名ないしは二百三十一名の中には翌年帰る者の帰国旅費の支給人員も含まれておるわけでございます。
  552. 淡谷悠藏

    淡谷委員 翌年帰るというのは四十一年度に帰る人の分を四十年に支払ったのですね。
  553. 大村筆雄

    ○大村政府委員 さようでございます。
  554. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その精算をひとつ聞かしてもらいたい。
  555. 大村筆雄

    ○大村政府委員 その人数はただいますぐ——もちろん調べればわかりますけれども、いますぐここへちょっと出しかねます。
  556. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ三十九年、四十年、四十一年の帰国旅費を支払った全部のトータルの人数をお聞きしたい。
  557. 大村筆雄

    ○大村政府委員 ただいまの御質問は、三十九年、四十年、四十一年、三カ年度それぞれにおきまして、帰国旅費の支給された者のトータル、そういう意味の質問かと思いますが……。
  558. 淡谷悠藏

    淡谷委員 人数です。トータルはさっき聞きましたよ。三十七年七千百万、これは何人に支払われたか。
  559. 大村筆雄

    ○大村政府委員 人員は三十九年度七十八名でございます。四十年度は三百二十二名と二百三十一名でございます。四十一年度が百二十六名でございます。したがいまして、トータルは七百五十七名ということになります。
  560. 淡谷悠藏

    淡谷委員 三十九年は七十八名ですね。これが七千一百万、それから四十年は五百五十三名で一億六百万、合いますか。七十八名で七千百万、五百五十三名で一億六百万、これはどういう手づまです。
  561. 大村筆雄

    ○大村政府委員 当初申し上げました七千百万あるいは一億六百万あるいは六千四百万というのはナイキ、ホーク関係の集団訓練関係の旅費の支出額でございます。したがいまして、帰国旅費のほかに当該年度出張命令を出しました出張旅費も含まれておるわけでございます。
  562. 淡谷悠藏

    淡谷委員 旅費の往復の分離はできませんか。
  563. 大村筆雄

    ○大村政府委員 ただいますぐここではできかねます。
  564. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではさらに聞きますが、沖繩に現地研修で三十九年度六百五十一人、四十年度は八百四十三人、四十一年度は千二百六十九人の出張がありました。この内容を御説明願いたい。どちらでもけっこうです。長官でもいいですよ。
  565. 増田甲子七

    増田国務大臣 内容と申しましてもこれは見学でございまして、三十九年度は六百五十一名、四十年度は八百四十三名、四十一年度は千二百六十九名でございます。戦跡の見学と米軍の施設その他の見学でございます。一週間前後でございます。
  566. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは一隊になって行ったのですか、それとも数班に分かれて行ったのですか。
  567. 中井亮一

    ○中井政府委員 数班に分かれて行っております。
  568. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その出発の日と帰った日ぐらいはわかるでしょうな。沖繩は近いのだから、アメリカみたいに遠くないから。
  569. 中井亮一

    ○中井政府委員 四十一年度に一番近い例として参りましたものの例を申し上げます。四十二年の二月十九日に鹿児島港を出まして、二月の二十日に那覇に入港いたしまして、それはLSTでございます。行きまして、それから二月の二十五日に沖繩をたって、航空自衛隊のC46、YS11を使って帰国している。こういうような形で四十一年度中には陸上自衛隊の幹部候補生学校が四十一年七月五日から四十一年七月九日まで、四十一年の七月八日から四十一年七月十二日まで、これは合計二百八十八名、それから陸上自衛隊の幹部学校が四十二年二月二十日から四十二年二月二十五日まで、陸上自衛隊幹部候補生学校が四十二年二月二十二日から四十二年二月二十五日まで、それから四十二年二月二十四日から四十二年三月一日まで、これは四百五十九名、航空自衛隊の幹部候補生学校が四十一年六月二十九日から四十一年七月二日まで百三十三名、それから同じく航空自衛隊幹部候補生学校が四十一年十月十八日から四十一年十月二十一日まで百三十二名、四十二年二月七日から四十二年二月十日まで百三十九名、統合幕僚学校が四十一年十二月九日から四十一年十二月十四日まで五十三名、防衛研修所が四十一年五月十八日から四十一年五月二十日まで三十九名というのが四十一年度でございます。
  570. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あとは出ないですか。四十年が残っているし、三十九年がありますよ。
  571. 中井亮一

    ○中井政府委員 いまのような形で行っておりますが、三十九年度は陸上自衛隊関係が三百八十名、航空自衛隊関係が百七十八名、統幕関係が四十四名、研修所が三十三名、内局その他十六名、六百五十一名、それから四十年度が、陸上自衛隊四百七名、航空自衛隊三百三十三名、統幕関係四十八名、研修所三十六名、内局その他十九名、合計八百四十三名、  四十一年度はただいま陸、空関係で申し上げましたので、その数字を、千二百六十九名の内訳を申し上げます。陸上自衛隊が七百三十七名、航空自衛隊が四百二十三名、統幕関係が五十二名、それから研修所が三十八名、内局その他が十九名、合計千二百六十九名、こういう数でございます。
  572. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは経理局長にお尋ねしますが、沖繩関係は、アメリカみたいに年度を越しませんから、計算はもっと簡単でしょうね。すぐにわかるでしょうな、これは。
  573. 大村筆雄

    ○大村政府委員 わかります。
  574. 淡谷悠藏

    淡谷委員 年度別に支払い旅費を御答弁願います。
  575. 大村筆雄

    ○大村政府委員 三十八年度三百五万三千円、三十九年度百二十八万三千円、それから四十年度百十七万円、四十一年度百三十六万五千円でございます。
  576. 淡谷悠藏

    淡谷委員 四十一年度は幾らですか。
  577. 大村筆雄

    ○大村政府委員 百三十六万五千円でございます。
  578. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これもさっきのアメリカの旅費と同じように、数に勘定してみると、どうも少し単価が合わないようですが、これは階級なんかの違いがあるのですか。
  579. 大村筆雄

    ○大村政府委員 沖繩に行きます場合は、私ども航空自衛隊の飛行機あるいは海上自衛隊の船を使いますので、輸送費はかかりません。日当、宿泊料だけでございます。
  580. 淡谷悠藏

    淡谷委員 輸送費のかかるような船は何かありますか。これはアメリカにせよ沖繩にせよですね。実費を自衛隊が負担しなければならないような船もしくは飛行機というのはあるのですか。ほとんど自衛隊の装備で行っているかどうか。
  581. 中井亮一

    ○中井政府委員 四十二年度のことでございますが、大島運輸という民間船を利用して沖繩へ行っている事例がございますので、その際にはいまの経費がかかるわけでございます。
  582. 淡谷悠藏

    淡谷委員 経理局長……。   〔発言する者あり〕
  583. 關谷勝利

    關谷委員長 質問者以外の御発言は御遠慮願います。
  584. 淡谷悠藏

    淡谷委員 三十八年度の三百五万というのはいままでの支払いで一番大きいのです。このときの人員はどれくらいですか。
  585. 大村筆雄

    ○大村政府委員 七十八名でございます。
  586. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは沖繩ですよ。沖繩も七十八名ですか。よく七十八という数字が縁がありますが……。
  587. 中井亮一

    ○中井政府委員 三十八年度は、私が初めに申し上げました陸上自衛隊の幹部候補生学校の学生であるとか航空自衛隊の幹部候補生学校の学生というようなものが行っておりませんので、ただいま経理局長がお答えしましたとおり、七十八名でございます。
  588. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それからさっきの御答弁でLSTということばを聞いたようですが、間違いありませんか。これは四十二年の二月十九日です。
  589. 中井亮一

    ○中井政府委員 揚陸艦、通称LST、これを使って沖繩へ行っております。
  590. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのLSTはどこの船ですか。
  591. 中井亮一

    ○中井政府委員 海上自衛隊に所属しておる船でございます。
  592. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは別なLSTとは違うんですね、例の直接雇用のやつは。同じ船ですか。
  593. 中井亮一

    ○中井政府委員 海上自衛隊の船でございまして、別の船ではございません。
  594. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それから自衛隊が外国へ旅行しますときに、一般の国民と同じような外務省の許可か何か必要とするのか、自衛隊はいつ、どこへでもかってに行けるのか、その点、長官からお答え願います。
  595. 増田甲子七

    増田国務大臣 一般の日本人と同様、外国へ行く場合には、アメリカ等へ行く場合には旅券の給付を受けて参るわけでございます。
  596. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃ旅券の給付も受けるし、旅行の条件としては一般国民とかわりがない、こう思ってよろしいですね。
  597. 増田甲子七

    増田国務大臣 さようでございます。  それから、この際つけ加えて申し上げますが、いままで両局長その他において即座に御答弁ができなかったり、数の正確を欠きました点は、深くおわびをいたします。いずれ、最も近い将来におきまして正確なる数を取りそろえまして淡谷さんに御提出する所存でございますから、何とぞ御了恕あらんことを重ねて申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  598. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そのお話はよくわかりましたが、まさかこの辺で質疑を打ち切る前提じゃないでしょうな、長官
  599. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 議事進行……。   〔発言する者、離席する者多く、聴取不能〕
  600. 關谷勝利

    關谷委員長 ……(発言する者多く、聴取不能)……両法案を一括して採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  601. 關谷勝利

    關谷委員長 ……(発言する者多く、聴取不能)……いたしました。  ……(発言する者多く、聴取不能)  これにて散会いたします。    午後十一時十二分散会      ————◇—————   〔報告書は附録に掲載〕