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1967-07-04 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月四日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    荒舩清十郎君       内海 英男君    加藤 六月君       桂木 鉄夫君    塩谷 一夫君       中尾 栄一君    丹羽 久章君       藤波 孝生君    箕輪  登君       村上信二郎君    山口 敏夫君       木原  実君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         国防会議事務局         長       北村  隆君         総理府恩給局長 矢倉 一郎君         防衛政務次官  浦野 幸男君         防衛庁長官官房         長       海原  治君         防衛庁防衛局長 島田  豊君         防衛庁教育局長 中井 亮一君         防衛庁経理局長 大村 筆雄君         防衛庁装備局長 國井  眞君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 七月四日  委員佐藤文生君、高橋清一郎君、村上信二郎君  及び山下元利辞任につき、その補欠として丹  羽久章君、箕輪登君、中尾栄一君及び山口敏夫  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中尾栄一君、丹羽久章君、箕輪登君及び山  口敏夫辞任につき、その補欠として村上信二  郎君、佐藤文生君、高橋清一郎君及び山下元利  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月三日  靖国神社国家護持に関する請願池田清志君  紹介)(第二二二二号)  松山郵政監察局存置に関する請願外五件(大平  正芳君紹介)(第二二二三号)  金沢郵政監察局存置に関する請願外一件(桂木  鉄夫紹介)(第二二二四号)  旧軍人恩給に関する請願外十九件(田中龍夫君  紹介)(第二二二五号)  同(竹下登紹介)(第二二二六号)  同外三件(増田甲子七君紹介)(第二二二七  号)  同(松野頼三君紹介)(第二二二八号)  同外二件(三ツ林弥太郎紹介)(第二二二  九号)  同(森田重次郎紹介)(第二二三〇号)  同(森山欽司紹介)(第二二三一号)  同外七件(愛知揆一君紹介)(第二二三二号)  同(池田清志紹介)(第二二三三号)  同外一件(稻村左近四郎紹介)(第二二三四  号)  同外一件(宇野宗佑紹介)(第二二三五号)  同外一件(内田常雄紹介)(第二二三六号)  同外二件(大坪保雄紹介)(第二二三七号)  同(坂田英一紹介)(第二二三八号)  同外二件(坂本三十次君紹介)(第二二三九  号)  同外二件(青木正久紹介)(第二三一七号)  同(秋田大助紹介)(第二三一八号)  同外三十六件(加藤常太郎紹介)(第二三一  九号)  同外十六件(亀山孝一紹介)(第二三二〇  号)  同外二件(川野芳滿紹介)(第二三二一号)  同外一件(草野一郎平紹介)(第二三二二  号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第二三二三号)  同外七件(三池信紹介)(第二三二四号)  同外二件(渡辺肇紹介)(第二三二五号)  同(井村重雄紹介)(第二三七〇号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第二三七一号)  同外十一件(小川平二紹介)(第二三七二  号)  同外十八件(小澤太郎紹介)(第二三七三  号)  同(大竹太郎紹介)(第二三七四号)  同外四件(大坪保雄紹介)(第二三七五号)  同外二件(川野芳満紹介)(第二三七六号)  同外一件(櫻内義雄紹介)(第二三七七号)  同(竹内黎一君紹介)(第二三七八号)  同(竹下登紹介)(第二三七九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二三八〇号)  同外十二件(長谷川四郎紹介)(第二三八一  号)  同外二十一件(橋本龍太郎紹介)(第二三八  二号)  同外二件(森田重次郎紹介)(第二三八三  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  六四号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一二号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四一号)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑を許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 総務長官、一応の質疑は終わっておるのでありますが、先回の委員会上村長官長官にかわって答弁した中に、長官と十分相談して御期待にこたえたいという二つ問題点があるわけです。法案を通過せしめるにあたりまして、ぜひ担当国務大臣である塚原長官に確認の発言をしていただきたい、これを申し上げます。  恩給法の審査の過程で、特に大東亜戦争に参加した英霊の処遇をいろいろと論議した中に、私たちがいまなお戦後二十二年たって忘れることのできないのは、日本近海並びに太平洋地域海底深く沈没している旧日本艦船である。この艦船の中には、軍艦陸奥のように、数百名の英霊をかかえたまま海底に静かに眠っている船もあれば、数十人程度の英霊をそのままかかえている艦船もある。その中で、水深五十メートル以内の艦船大半これを引き上げておるという実情であることをこの間答弁がありましたけれども、その他三千二百有余隻大半は、依然として日本近海及び太平洋地域戦争つめあとをそのままに海底に眠っておる。その中で、終戦直後に外国人が盗んだような形で船を引き上げて、窃盗をしたような実例もあると聞いておる。また船の中へもぐり込んで、醜悪なるサルベージの行動によって、重要なる機材、物品等を窃盗している事件が相次いでおる。その間に英霊を損壊しているという事実も、私たちは知っているわけです。この機会に、外務省はこの間、外交交渉で何とかしたい。フィリピン賠償の実践のための沈船引き上げというような問題をかかえておるが、関係外国と十分連絡して、英霊を損壊しないように、これらの艦船引き上げるために外交努力をしたいという答弁がありました。また、大蔵省国有財産局長から、沈没艦船国有財産である。国有財産であるけれども、しかし、大蔵省の側から見たら、それは単にスクラップとしての財産価値がどの程度あるかを評価するしか道がない。したがって、英霊のことを考えてかれこれするというたてまえではない。昨年など国有財産局長も、このスクラップ価値として見るときば、その軍艦を爆破して、こわして上げるのが一番簡単だ。そうすると、英霊を爆破することになるという答弁もあったわけです。非常につらい立場にあることを言うておりました。厚生省援護局長から、英霊を大事にするためにあらゆる努力をはかってこの引き上げ努力したいという答弁がありました。そこで、いままでの上村長官が、非常に誠意ある、総合的な対策総理府で立てて、御期待にこたえたいという意味の御発言があったわけです。したがって、このままでおいておいたら、恩給法の適用を受ける立場英霊のおからだというものは、永久に日の目を見すに海底のもくずとなられる危険かある。国は金が幾らかかっても、スクラップとしての価値ということではなくして、この機会英霊引き上げという意味から、南方諸地域遺骨収集と同じような規模で、ひとつ国費を思い切って投じて、引き上げ可能の艦船は早急に英霊本位でひとつ引き上げるべきである。こういう提案を私がしたわけです。これに対して総務長官は、私の提案は、関係各省はそれぞればらばらにしておいたら、いつまでたっても片がつかぬ、この機会総理府に何らかの機構を設けて、沈没艦船引き上げ対策総理府総合的施策で、英霊本位でこれを強硬に推進するというお考えはないかという質問でございます。これに対して、総理府の思い切った施策機構の上か何かの形、あるいは行政措置予算措置等をひとつ十分御検討していただきたい。それが一つ。  それからもう一つは、この国家のためになくなられた英霊を祭る靖国神社が、現在は宗教法人として一切国家的祭祀を受けることができないことになっている。このままの形で靖国神社国家法人にすることには、非常に問題があるということに形がなっておる。憲法二十条と憲法八十九条で、宗教関係行事等に対する財政援助、こういうものに一つの制約がある。この機会に、靖国神社宗教法人の性格を変えた形で、国家的規模による、祖国に生命をささげた方々国家予算で祭りを行なうような形の道をとる方法を、総理府はどう考えているか、その二つをお尋ねしたいわけでございます。ひとつ御答弁を願って、これで質問を終わります。
  4. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 質問二つに分かれておると思いますが、第一問のほうは、私も受田委員と同じように、戦後二十一年以上たった今日、なお海底深く英霊が眠っておるということ、これはまことに耐えられないことであります。ことに長い間軍籍にありました私といたしましても、まことに耐えられない気持ちで一ぱいでございます。今日までそれぞれの省がそれぞれのお仕事をなすってきておると私は聞いておりまするけれども、運輸省、あるいは厚生省、あるいは大蔵省等からも、それぞれの御発言があったようでありますが、私は、やはりそれぞれの省が中心になってやること、これはもちろん当然進めていただくと同時に、総合調整という立場から、私のほうには内閣審議室という各省の者が全部集まっておる機構もございますので、この機構を十分活用して、総合調整の妙を発揮しながらこの問題に当たることが、いま一番適当ではないか。この新しい機関を設けるということが、はたしてとるべきかどうか、これは検討に値すると思いまするが、さしあたりの当面の問題としては、各省からお集まり願っておる方々中心として、総合調整役割りを果たしながら、関係官庁と連絡をとってこの問題の解決に当たっていきたい。もちろん、予算措置についても、十分の努力を払う考えでございます。  それから第二の靖国神社国家護持の問題につきましては、前にも受田委員から御質問を私ちょうだいいたしましたことをよく記憶いたしておりまするが、これは各党においても、特に自由民主党においても、非常に検討を重ねておりまするし、われわれも関係閣僚の間でもお話も進めておったようなものでございます。憲法との関係もございまするけれども、国家護持立場から、この問題を解決するため前向きの姿勢で臨みたいと考えております。
  5. 關谷勝利

    關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  6. 關谷勝利

    關谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに裁決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 關谷勝利

    關谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  8. 關谷勝利

    關谷委員長 この際、細田吉藏君外三名より、本案附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。  趣旨の説明を求めます。細田吉藏君。
  9. 細田吉藏

    細田委員 ただいま議題となりました自民、社会、民社、公明四党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は次の事項について速かに検討の上善処するよう要望する。 一、外国政府職員外国特殊法人職員最短恩給年限をこえる職員期間及び抑留、留用期間通算並びに最短恩給年限に達していた者が、外国政府職員外国特殊法人職員となった場合の職員期間通算について、その早期実現に努めること。 二、最短恩給年限に達していた者が、琉球島民政府職員となった場合における在職年通算並びに内地の官公署職員から、琉球島民政府職員となった場合における在職年通算について、その早期実現に努めること。 三、傷病恩給症状等差調査会報告の取扱いについて、従来の傷病恩給受給者既得権が充分尊重されるよう配慮すること。  右決議する。  本案内容は、先般来の当委員会における質疑を通じてすでに明らかになっていると思いますので、よろしく御賛同をお願いいたします。
  10. 關谷勝利

    關谷委員長 本動議について採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  11. 關谷勝利

    關谷委員長 起立総員。よって、本案について附帯決議を付することに決しました。  この際、塚原総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。塚原総務長官
  12. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 ただいま御議決のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分検討いたしたいと存じます。どうもありがとうございました。
  13. 關谷勝利

    關谷委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 關谷勝利

    關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  15. 關谷勝利

    關谷委員長 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、並びに防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤惣助丸君。
  16. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 最近の中東戦争、またベトナム紛争等の悲惨な争いは、いつ解決するか、この見通しもつかないのが現状であります。さらに中共の水爆実験が行なわれ、それに伴う核装備も現実の問題となってきております。私は、このような不安定な国際情勢の中にありまして、わが国安全保障という問題について、あらためて根本的な検討をする必要があるのではないかと考えるものであります。いままで防衛問題に関する質疑は数々行なわれてまいりましたが、必ずしも明快な、納得できる答弁ばかりではなかったと思います。このような重大な問題こそ、国民の基盤の上に立ったものでなくてはならないと思うものであります。すなわち国民世論の合致というか、ナショナルコンセンサスを求めていくという姿勢政府が示すことが、最も重要なことではないかと思います。そこで、私は国民立場から、いままでの論議で納得のできない点、明らかとなっていない点について質疑したいと思います。  今回提出されました防衛法案の中に、自衛隊予備勢力確保のため、予備自衛官を六千人増員して三万人とするとありますが、この六千人の増員の根拠は何でありますか、お伺いしたいと思います。
  17. 増田甲子七

    増田国務大臣 予備自衛官は三万人、それから三次防の末期におきましては三万九千名を適当とわれわれは認めておる次第でございます。ところが、いままで予算はいただきましても、三万名の充員ができません。しかも、陸上自衛隊等は、いま充足率が非常に上がりまして、九〇%になりました。航空自衛隊は九八%というところでございます。海上自衛隊も同じでございます。そういうふうに充足率は上がりましたが、予備自衛官は一〇〇%であります。その一〇〇%の予備自衛官をぜひとも六千名増員いたしまして、三万名にいたしましても、希望者が非常に多いわけでございまして、自衛隊を退団した方に予備自衛官をお願いするわけでございますが、財政、経済の事情等によりまして、いまのところは三万名で満足する、こういう線でございまして、三万名をもって十分とは考えていないのでございます。三次防末期におきましては、三万九千名を御賛成願いたい、とりあえず六千名増員いたしたい、こういうことでございます。
  18. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ただいまも発言ございましたが、さらに九千名増加する、このように増員計画があるそうでありますが、どこまで予備自衛官をつくっていくのか、その構想をお伺いしたいと思います。
  19. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これは自衛隊の現在の人員充足方針が、申し上げるまでもなく、志願兵制度をとっておるわけでございまして、他の諸外国と違いまして、要するに予備兵力というものが十分確保されておらないということが、わが自衛隊の人員問題の大きな一つの問題になっておるわけでございます。そういう意味で、従来から予備自衛官制度を設けましてそれに対する対策といたしておりますが、予備自衛官制度は、現在のいわゆる後方部隊で、有事においてそのまま行動できるというふうな状態でございませんので、やや定員的に不足を生ずるような状況になっておるわけでございます。その予備自衛官は、有事におきましてそういうふうな後方支援部隊を急速に整備をするというふうな必要があります場合に、これを投入をするということを主たる目的といたしております。そこで、ただいま長官からお話がございましたように、二次防におきまして三万名の定員確保するということでございましたが、諸般事情のために、現在二万四千名でございまして、今回お願いいたしております六千名の確保によりまして、一応二次防の目標が達成できるということでございます。そこで、当初われわれといたしましては、予備自衛官につきましては、毎年三千名ずつ採用するということで三次防計画考えておりましたが、六千名の確保が漸次ずれてまいりました関係で、三次防におきましては九千名を確保いたしまして、総員三万九千名ということでございます。  そこで、将来の予備自衛官規模としてどういうふうな見通しを立てるべきかということでございますけれども、これは四次防以降の問題でございますので、まだそこまで具体的には検討いたしておりませんけれども、先ほど申しましたようなわが国志願兵制度における予備兵力の問題を考えますと、人員充足の可能な限りにおいて、四次防の段階においても逐次ふやしていくということが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、それが無制限に定員確保をするということではもちろんございませんが、その辺のめどをどの辺に置くかということにつきましては、今後四次防の段階において十分検討いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  20. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 同じように、陸上自衛官が約二万人もの欠員がありながら、さらに今回の三次防においては千五百名の定員増を生ずる、その真意が理解できないわけでございます。いままでこれだけの欠員がありながら実際にやってきているわけであります。そこで、定員を増加しなくても、欠員を充足するだけで間に合うのではないか、このように考えるわけであります。千五百人増員の理由について、長官にお伺いしたいと思います。
  21. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤さんの御質問は、常識的にはそう考えるのが普通でございます。そこで御疑念に対してお答えいたしますが、今度新しくヘリコプター団というものを組織し、またヘリコプター隊の新編をいたしたいと思っております。そういうわけで、陸上自衛隊についての御質問でございますから、陸上自衛隊についてお答えいたしますが、陸上自衛隊内容はそういうことでございます。  一般に昭和四十年度、四十一年度、それから四十二年度、合計いたしまして約四千三百人の増でございますが、航空海上との充足率は、先ほど申し上げましたとおり、九八%と一〇〇%に近いのでございます。陸上は八九・七、八%、ざっと申しまして九〇%でございまして、そこに約二万人弱の欠員があることは、御承知のとおりでございます。しかしながら、一面予算面からする、財政状況から陸上自衛隊はこれくらいにしておいてくれというような要望も実はあります。そういうわけで、必ずしも一〇〇%予算をいただけないということもございまして、これは内輪を正直に申し上げますが……。いま、陸上自衛隊充足率は、だんだん盛んになってきております。そして曹の階級、昔で申せば下士官の階級、それから尉官以上の階級、昔で申せば将校の階級、この階級充足率は一〇〇%でございまして、今度千五百名ふえますと、曹の階級、それから尉の階級、佐の階級、これが相当充足されるわけでございます。それが定員が増になりませんと、たとえば一佐でやめたいという人が二佐でやめなくてはならない。そして自衛官となることを人生の目的とし、国の守りに任ずるということで一生終わりたいという人が二佐で終わるということになりますと——一佐にならなければ、もう二年間つとめられるところがつとめられない。ともかくも曹以上の充足率は、一〇〇%近いのでございます。そういう関係で、昇進関係や定年の関係が非常に行き詰まっておりまして、その行き詰まっている関係を今回皆さまの御賛成によって打開できるわけでございまして、ぜひともそういう事情を御勘案願いたいというのが、私の答弁でございます。
  22. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ただいま欠員のことについては、いろいろと諸般事情、また大蔵省予算の面というような話も聞きましたが、 しかし、私は、この欠員が多いということは、ほかにまた原因があるのではないかと思う。そういう点について、どのような考えがあるか、伺いたいと思います。
  23. 増田甲子七

    増田国務大臣 それはこの法案提案いたした際に、たしか大出さんの御質問があったと思いますが、待遇あるいは勤務の状態、福利の関係、そういう点においてもし欠陥があるならば、どういう考えを持っておるか。総理大臣は、そういう方面欠陥があるならば、前向きの姿勢でりっぱに解決して、そうして自衛官になることを誇りとし、魅力があるようにいたします、ということを本会議でお答えいたしております。私は同感でございますから、あのお答えをもってお答えといたし、ことにきめこまかなる各般の措置を講じまして、自衛官になる希望者が多くあるように——多くありませんと素質のいい者が出ませんから……。何といたしましても希望者は相当多いわけでございます。その中でりっぱな資格者を選ぶわけで、相当の試験がございまするが、やはり多くあるようにいたしたい。特に陸上自衛隊につきましては、ことに士の階級陸士階級陸士長階級におきまして、希望者が少なくて欠員が多いのでございます。この方面のことにつきましては、被服の関係とか、あるいは宿舎の関係とか、その他給与の関係を積極的に解決してまいりたいと思っております。幸いにいたしまして、いまは九〇%まで、最近は急に上昇率が高まってきておりますということを申し上げておきます。
  24. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 国の国防基本方針決定されてから十年になりますが、この基本方針に示された四つの項目、その項目については、非常に抽象的であると思います。そのようなことが、国際情勢とは関係のあるものかないものか、まああると思いますが、また、この基本方針の裏づけとなるような資料があるかどうか。また、あるならば、その資料を提示して国民の説得が問題ではないか、このように考えるわけであります。その点についての見解を伺いたいと思います。
  25. 増田甲子七

    増田国務大臣 昭和三十二年の国防会議決定、すなわちあと閣議決定になっておりますが、その四項目は、非常に私はよくできておる、今日改善する必要がない、何ら支障を感じておりませんし、この範囲においてわれわれは自衛隊というものを組織し、訓練してまいるということでよろしいと思っております。欠陥というものをあまり感じていないのであります。
  26. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は、この基本的な問題を見てまいりますと、この基本方針だけを国民に示して、そして一次防の次は二次防、それから三次防、何ら将来の具体的構想を示さないで、自衛力という名のもとに軍備を強化していく、こういうことは、国民が納得がいかないと思うわけなんです。この四つの基本方針について決定した十年後の今日、具体的にどういう効果があったのか、御説明願いたいと思います。
  27. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、昭和三十二年に国防基本方針がきめられまして、それから昭和三十五年の六月二十三日に安保条約が改定されました。改定されましたけれども、その三年前にきまりました国防に関する基本方針は非常によくできておりまするし、第四項のごときは、国連憲章第五十一条を受けておりまして、国連憲章第五十一条か変わらない以上は、やはりこれでよろしい。各国はそれぞれ固有のあるいは集団的の自国を防衛する権利があるのである、この線にのっとっておりまして、別段支障を感じておりません。ただ、文言等は、その後、第二次防をつくるときに同じく閣議決定をいたしております、第三次防をつくるときに第三次防の大綱というものをつくっております、文章は多少の相違がございまするが、内容は、昭和三十二年の国防会議決定に基づいた閣議決定と少しも変わりがないと考えておる次第でございます。文句は、最も効果的なということがあって、その効率的ということは非常にこれは違うのじゃないかということを御指摘の向きもございましたが、よくお読みになれば、文章を前よりもちょっとニュアンスを変えたというだけで、本質的には少しも変わっていないのであります。
  28. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いま答弁がございましたが、基本方針は変わらない、非常にけっこうである、こうおっしゃっておりますが、しかし、一次防、二次防、三次防、それぞれの国防計画、すなわち基本方針等から見て、防衛整備計画を見てまいりますと、少しずつ変わっているわけです。たとえば一次防については、「国力、国情に応じた必要最小限度の自衛力を整備するため、」と、こうあります。また二次防にあっては、「在来型兵器の使用による局地戦以下の侵略に対し、有効に対処しうる防衛体制の基盤を確立するため、」こう変わっております。さらに三次防では、「通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的なものを目標とする。」このようにだんだんと変わっているわけであります。ここで考えますと、一次防の「最小限度」ということばはなくなって、三次防においては「最も効率的な」というように変わっている一つの中身ですね。私は基本方針の甘さと、何かまた政府が既成事実の積み重ねによってだんだん拡大していく、このように思われるのですが、この点についてお伺いします。
  29. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤さんにお答えいたしますが、昭和三十二年、いまから十年前の国防基本方針の第三項に、「国力、国情に応じ、自衛のため必要な限度において効率的な防衛力を漸進的に整備する。」——「漸進的に」とございまするから、漸次整備することは、これは昭和三十二年と昭和四十二年とでは変わっております。しかしながら、そのことは十年前にすでに文章でうたわれておるのでありまして、最も効率的と申しましても、最初のときに「効率的」と書いてあるのでございまして、それは「最も」といったって、一応御常識でおわかりでございまするが、最も効率的にはなっていないのです。最も効率的にいたしたいという願望だけでございまして、昭和三十二年に効率的になる防衛力を漸進的にやりたいということを最初からうたってございまして、少しずつだんだん上がっていくということを最初から予言してありまして、昭和三十二年の国防基本方針はよくできているという感じでございます。
  30. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私はここで思うことは、先ほども申し上げましたように、一つ基本方針をそのまま国民に納得しろといっても、日本の国情または日本の経済状態の中にあっては、国民はなかなか納得しないものだと思うのです。そこで、そういう漸進的にやるというならば、たとえば国防会議もあるわけでありますから、なぜ長期的な国防白書のようなものが出せないのか、その理由についてそれでは伺いたいと思います。
  31. 増田甲子七

    増田国務大臣 国防白書を出すという考えがあるかということを本会議大出さんからお聞きになりましたし、これは皆さんの御意見をやはり代表いたしておると思いまするが、長期国防計画という意味ではないように私は承っております。すなわち、国防の現状と将来の見通しといったようなことで、国民のコンセンサスを得るために何か出したらいいじゃないかというような意見もあるがどうか——大出さんは必ずしも出せと言っているわけではないが、何か出したらいいという意見もあるがどうかという御質問に対しまして、国防白書のごときものも、国民の同意と協力のもとに国防というものは行なわれるわけでございますから、目下研究中でございますということをお答えいたしております。伊藤さんも、おそらく長期見通し国防二十カ年計画なんということを言っておるわけではないと思いますが、国防五カ年計画、第三次防衛五カ年計画というのが三次防でございまして、その三次防の現状等、それから各国の国防状況等を正直に、客観的事実をわかりやすく国民に訴えるというようなことにつきましては、目下研究中でございます。
  32. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 もう一つは自衛力の限界ということであります。かつて予算分科会におきまして長官にお伺いいたしましたが、非常に何となく納得ができない、またはっきりわからないわけです。国民からいうならば、あいまいなように思うわけです。非常にむずかしい関係でありますから、そうはっきりと線は引けないと思いますが、しかし長官は、現状の国際情勢の中において、どの程度ぐらいまでの自衛力、また限界を、四次防、五次防とありますけれども、どこまでをもって限界と考えているか、その点についてお伺いします。
  33. 増田甲子七

    増田国務大臣 この前、予算委員会における伊藤さんの御質問に対してのお答えが私のお答えなんですが、そのときに明確を欠くというお感じをお持ちになったとすれば、もう一ぺん申し上げます。  やはりこれは常識できまる線でございまして、常識というものは元来あまり明確なものじゃない。そこで国民の皆さまの持っていらっしゃる普通の知識ということでございまして、普通の知識から申して、まず日本の自衛力をどれくらいにするかといいますと、第一に国力、国情から制約を受けます。それでわれわれは国民総生産の一%以内にいまとどまっております。それから国民総所得から申しますというと、一・二%くらいである。それからこの五カ年計画だけについて申し上げまするが、ベースアップが毎年毎年人事院からの勧告においてございましょうから、加え、加えて、うんと大きく見まして、物量のほうは一兆円以内でございます。二百五十億のプラス・マイナスがあるだけでございまして、ベースアップのほうはプラスだけでございます。そういたしますというと、二兆六千億、それから五カ年の国民所得というものは経済社会発展計画によりまして二百二兆円ということになっておりまするが、識者はそれを上回るであろう、二百二十二兆円ぐらいになるであろうと言っております。それからこの五カ年間の予算見通しでございまするが、予算全体は三十三兆円ぐらいになるであろう。本年の五兆円から五百億足りない線を加えてまいりまして、五カ年を加えておおよそ三十三兆円くらいであろう。そういたしてみますというと、これは予算の八%を上回るということはございません。八%以下でございます。大体七・九%ぐらいでございます。総予算を三十三兆円と押えて、ベースアップを加えて二兆六千億というものを三十三兆円で割るわけでございまするが、そういたしますというと、八という字は出てまいりません。七・幾らという字でございます。二百二兆円で二兆六千億を割ってみますと一・三%弱という数字になりますし、二百二十二兆円というふうにおそらく国民総所得は昭和四十六年末においてなるであろう。そういたしますというと、一・二%という線になります。そういうわけで、国民総所得を八で割りますというと、GNPが出るわけでございまして、GNPで二兆六千億を割ってみますというと、一%に満たない、こういう線が、自衛力の常識上の線である。きょうは具体的に申しましたが、常識的に見れば、国力、国情に応じという昭和三十二年にきめました線から見まして、おおよそそんな線でございまして、自由諸国で大国でも小国でもこれくらいな自衛力しか持たない国は全世界にないということを申し上げておきます。最低でございます。
  34. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そのことについては、前にも申し上げましたように、日本の場合は、軍隊ではないという面からいって、低いのが当然であると思います。  また三次防についてお伺いしますが、今回の三次防の大きな特徴は兵器の国産化であると思います。その国産化について大体三次防予算の何%が国産のために組まれているのか、また純国産化に組まれている予算をちょっとお伺いしたい。
  35. 増田甲子七

    増田国務大臣 大体のことを申し上げまするが、三次防末期におきまして向こうから安く買った兵器、援助された兵器等々と国産の兵器等と比べますと半々になります。大体昭和四十六年度末、つまり三月三十一日までに半々になります。それから金額から申しますと、調達額は約九千億円でございまして——二兆六千億になったと仮定してですよ。いまは二兆三千四百億、上下幅二百五十億円でありますが、そのうちの調達額は、ふえたといたしましても二百五十億しかふえないですから、それをふえたとしてざっと申すわけでございますから九千億になります。九千億の約一割が外国から商業ベースで買ってくる武器と、それからFMS、フォーリン・ミリタリー・セールズと申しまして、外国政府から安く買ってくる武器とございます。安く買ってくる兵器が三百億、あとの七百億くらいが商業ベースで買ってくる。その商業ベースで買ってくる中にノーハウといったようなライセンスに対する対価というものもございます。向こうの特許がございましょうから、その特許を買ってきて、その特許の方式によって日本で生産する。その特許に支払いする金も含めて一千億であろう、こういうふうに考えております。  あと詳細な点は政府委員に説明させます。
  36. 國井眞

    ○國井政府委員 大体長官から詳しく御説明申し上げましたので、そうつけ加えることばないかと思いますが、一部繰り返しになりますけれども、三次防で調達をいたしますものの中で、物の関係、そのうちで大体九割が国内調達のものであります。一割がいまお話のございましたように外国から購入するもの、そのうち三割が向こうの政府あるいは軍から買うもの、それから一般輸入が七割、こういうような形になる。それで、国内で調達をいたしますものの中には、純然たる国産ということで国内開発をいたしましてこれを調達するというものと、それから外国の技術を導入いたしまして、それによって国内のメーカーが生産をするものと、二つあるわけでございます。それから、国内のメーカーが技術を導入して生産いたします場合には、これは全額全量を国内で生産するという形にはどうしてもなりにくいわけでございまして、たとえば第一次の104の生産のときに国内の生産比率と申しますものが大体四割程度でございました。これをいわゆる国産化率というわけでございますが、そういった形で一部やはりどうしても外国のメーカーに生産をさせた部品等を輸入しなければならないという形になるわけでございます。これは一体どれくらいの数量になるかということになりますと、実際に契約をいたしまして、最終的に詰めませんとこの数字はなかなか出てまいりませんので、その辺のこまかい数字はどうだというお話でございますと、これはなかなかお答えしにくいわけでございます。ただ概括的に申しまして、従来の経験からいって、国内調達率が大体九割、それからさらに一割五分前後、あるいはものによって二割というふうに落ちたものが純然たる国内生産、ただしこの純然たる国内生産と申しましても、末端の各部品メーカー、下請業者まで入って検討するわけにまいりませんので、主契約者の段階検討いたしますと、大体そういうふうな形であろうかと考えるわけでございます。
  37. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いままでと比べますと、国内生産といとことになりますと、値段が高くなるわけです。そこで、いろいろと問題もありますし、また、国産化の基本的な政府方針というものがないように思うわけであります。また、ありましたならば、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  38. 國井眞

    ○國井政府委員 私ども、三次防を今度組みます際に、基本的な考えといたしましては、装備等につきまして自主的な調達体制というものをやはりもとにすべきではないか、これは、自後の維持整備というような点からも、国内に生産能力を持つということが非常にわれわれ重要な点であろうかと思います。  そこで、基本的に国産によることが根本の考えとしてあるわけでございますが、ただ、ものによりましては、非常に高い、経済的にべらぼうな差があるというようなものは、これは十分検討して輸入に振り向ける、あるいは調達数量が非常に少ないために国内で生産するのが必ずしも適切でないというようなものは、これはどこかから入れるというような形になるわけでございますが、基本的には国内で生産能力を持つべきであるという考えでございます。その際に、価格の点等につきましては、自後の長期にわたる整備の段階、これを見通しまして、たとえばナイキ、ホークというようなものにつきましては、今後の長い年月といいますか、将来のある期間の整備、部品の調達というようなことを考慮いたしますと、さしたる値上がりにはならないというようなことで、これを国産に振り向けるわけでございます。
  39. 増田甲子七

    増田国務大臣 装備局長の発言を私が補足するような形になりますが、これは国の方針でございますから……。私は、日本が独立主権国家として、なるべく自主的に装備したほうが、最初は高くても、あとは部品等をまた一々アメリカなりスイスなりに買いに行くよりは、結局は安くつくんじゃないか、それから、補給ということも必要でございますが、そういうようなときに、ちょっとやそっと、あまり遠いところでは間に合いませんから、やはり最初は高いようでございまするが、結局において、独立主権国家として、一つの誇りという点から見ましても、また経済という点から見ても安くつくということで、国内における国防産業従事者にも勉強をしてもらう、またさせるべく監督をするつもりでございます。
  40. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 防衛産業の調整計画の大綱については、国防会談の第三号の中に、国防会議決定するように法律で明定されているわけであります。なぜその点が実行されなかったかという点について御見解をお伺いします。
  41. 北村隆

    ○北村政府委員 防衛庁設置法六十二条第二項の第三号、「前号の」、つまり「防衛計画の大綱」です。「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」、これにつきましては、防衛計画の大綱をつくる場合に、非常に一部産業を圧迫するとか、あるいは反対に、ある程度産業の波を見てこの調整をはかるとかいうようなことを特別に計画するということは、その防衛計画の大綱の中ではいろいろ考慮しています。しかし、独立にその特別の産業をつかまえて、それの民需とそれから防衛庁で購入するものとの調整をはかり得る。防衛庁の調達というものが現在大きい影響力を与えているのじゃない。これは飛行機等特別なものは別でございますが、一般的にパーセンテージというものは平均して非常に少ないと思っています。それで、これなんかについての特別な大綱を国防会議決定しておるということは、現在までございません。
  42. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 長官に伺いたいのですが、この点がいつも言われると思うのです。で、その調整計画の大綱をはっきりと法律で明定されているわけですから、つくるのか、つくらないのか、このことについてはいろいろ産業界からも声があると思います。その点についての御見解をお伺いします。
  43. 増田甲子七

    増田国務大臣 国防基本方針と国防計画の大綱は、国防会議に時々かけているということは伊藤さん御承知のとおりでございます。第三にきめられました産業等の関連の調整計画、これはまだかけたことはございませんが、自衛隊法が動く場合に各省関係する範囲の法律その他につきましてもまだ検討中でございます。  それからこの際明確にしておきまするが、私は非常時ということばを使ったことはありませんし、非常時ということばは使いたくないのでございます。防衛出動時と、こういうことばに明確にしておきますから、伊藤さんの御質問機会をお借りいたしまして申し上げておきます。  そこで、いま国防産業というものは、全産業に占める割合は〇・五%でございます。その〇・五%のものであって、産軍協同というようなことばを使った人がございますけれども、これは国会議員じゃございませんが、そういうようなことを私どもまだ使いたくございませんし、将来も使いたくございません。しかしながら、ここに書いてございますから、その勉強はせんならぬ。いずれ調整の大綱ができましたならば、国防会議にかけたい。国防会議の事務当局でも、それぞれ事務官がおりまして研究しておりましょうし、私のほうでも研究はいたしております。  それから、国防会議の議員というものは、御承知のとおり、経済企画庁長官も大蔵大臣も入っておりまするし、通常メンバーとして通産大臣も科学技術庁長官も、法律によるメンバーではございませんが、習慣上のメンバーとして入っておりますから、いずれはこの大綱ができました場合にはかけるということになりまするが、まだ大綱をつくるという段階ではございませんで、勉強中の段階でございます。
  44. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この点が問題なわけなんです。時間がありませんから次に進みますが、どうかよく防衛長官も、私も勉強しますから、重ねてその点のことを明確にしていただきたいと思います。  防衛生産に関心の強いのは経団連である、これはもうあたりまえでありますが、この中に防衛生産委員会等、防衛産業界の政府への注文や要求がなされております。このような要望は今後ますます強くなっていくと思いますが、政府防衛産業に対する基本方策についてはどのように考えておるか、この点の御見解をお伺いしたいと思います。
  45. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほど私が、装備局長の答弁で大体いいと思いますが、それに補足して申し上げた線と非常に関連があると思います。そこで、日本もでき得る限り自国で国防産業というようなものはしっかりした育成をいたしたい、原則的にはそう考えておるわけでございまして、でございますから、調達が九千億ございましてもその一割を外国に仰ぐだけでございまして、漸次その割合はできれば少なくしてまいりたい。そうして国防産業を別段、全産業に占める割合を大きくしようとは思いませんが、しっかりしたものにしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  46. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 FXの問題でありますが、長官はいままでの予算委員会等におきましては、爆撃機になるようなものは購入しない、このように言っておりますが、このような機種選定の基準というものがあるのかどうか、明確に示していただきたいと思います。
  47. 増田甲子七

    増田国務大臣 基準というものは、常識的にはございます。他の委員あるいは議員から御質問がございましたときにもお答えいたしましたが、外国の脅威となるような戦闘機はこれを選定しないということが第一でございます。それからFXの候補機種というものは相当ございます。CL1010とかあるいはF104とかF111とかあるいはミラージュあるいはF105とか——F105はどうか知りませんけれども、いろいろございまするが、外国を侵略するような危険のあるようなもの、つまり外国に脅威を与えるというようなものは選ばない、そういう消極的の基準をしっかり持っておる次第でございます。
  48. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは私も常識的に考えまして、他国に侵略的、脅威的なFXというものがあると長官そうお考えでしょうけれども、そういうものがどういう機種にあるか伺いたいと思います。
  49. 増田甲子七

    増田国務大臣 外国に脅威を与えないFXを選定します、Fを選定しますと言ったほうがいいのですが、Fを選定いたします。そのXはあくまでもまだXでございまして、これからがすなわちXでございます。まだよくわからないのでございます。私はCL1010がいいか、F111がいいか、F104がいいか、ミラージュがいいか、F105がいいかということは——F104まではこちらで購入をしたりして私も現物を見ておりまするが、あとのことまでは本で読んだりするだけで、正直のところよくわかっておりません。
  50. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 このFXの問題につきましては調査団を派遣する、調査団を編成して三回くらいにわたってアメリカ、フランス、イギリス、西ドイツ等を訪問して、そして機種を決定する、このように一部に報道されておりますが、長官としてはこのFXの決定をいつごろに考えておられますか、お伺いします。
  51. 増田甲子七

    増田国務大臣 相当慎重に検討する必要があると思っています。よく新聞等に六月に調査団を派遣するとか、七月に派遣するということが書いてございますが、こういうことはどういうことだと私は部下を呼んで聞いてみたのです。こっちのほうで質問したわけです。ところがそういうことは考えていないという答弁でございました。そこで、私はまだ調査団派遣なんということを考えておりません。やはり机上ででき得るものならば机上で研究する。デスクの上ですよ。デスクの上で研究できないものについては、F104のときにも研究団が行ったわけでございますから、いずれ研究団は行かなければならぬと思っておりますが、そういませいてやることはない、慎重の上にも慎重を重ねて審議する必要がある、こう考えておる次第でございます。
  52. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、これも少し質問が早いかと思いますけれども、一応そのような報道が一部にあったわけです。非常に関心があるわけです。その機種等についても、いままでの委員会等においてこういう機種が一応予定になっている、こういう点でそういう機種があるわけです。その点の機種を教えていただきたい、こう思います。
  53. 増田甲子七

    増田国務大臣 名前を御指摘を願って、ここに石橋さんもいらっしゃいますが、まだ実は私自身こちらから教わっているような状態でありまして、そこでF104、それからF105ということはないでしょう。もう日本の立川、厚木等には米軍のF105があるのですから、それ以上のものではないか。つまりF105も対象になるかもしれません。それからF111であります。それからCL1010——これは「CLテン・テン」と言ってもわからないですから、「CL千十番」と言ったほうがいいかもしれませんが、CL1010、それからミラージュ、これはフランスのものらしいのですが、それからスウェーデンに何とかいうものがあるそうでございます。その名前はそちらさまから教えていただくほうが——まだわかりませんけれども、研究だけは命じております。そうして、およそ机上で研究し得る性能等がわかるならば、何も向こうへ行って名前と工場をちょっと見ただけで帰ってくるなんて——そういう第一団のやつが新聞に出ておりますが、第一団は一国を三日ばかり見て歩くなんという、三日ばかり見るくらいなら、CL1010ということを書いておけばいいのでして、それ以上のことは、向こうのほうからパンフレットやリーフレットをいろいろ送ってくるでしょうから、こちらにも専門家がおりますから、まず研究は、一国を二日や三日見るより実際乗ってみる。そしてその性能なり、要するに他国に脅威を与えませんが、しかし要撃能力の向上ということは考えておるわけでございます。そういう見地から選びたい、これが大体の防衛長官方針でございまして、それ以上は、今度は専門家の連中が良心的に選ぶということにさせたいと思っております。私の方針というものは、外国に脅威を与えず、しかも要撃能力を向上する、こういう二つ方針で選べということを言っておるわけでございます。
  54. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 特にこの問題については、大体一機が六億円から二十億円くらいする、このように聞いております。過去におきましても、このFXにつきましては、あのロッキード、グラマン事件——事件と言えるかどうかわかりませんが、そのようなことが大きな問題となり、非常に国民に不信の念を植えつけたことがございます。今回の決定にあたっては、厳重にこれらの点を監視するとともに、このようなことが再び起こらないように、政府は具体的にこのようにしてきめたい、そう考えるわけでございますが、その点の見解をお伺いしたいと思います。
  55. 増田甲子七

    増田国務大臣 お説はたいへんにごもっともでございます。FXの選定につきましても、また他の国防産業につきましても、りっぱな防衛武器をつくるように、しっかりした防衛武器をつくるように、私は厳正なる態度をもって終始臨むつもりでございます。
  56. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 次に、防衛産業と防衛庁とのつながり、こういう問題についてはいろいろな週刊誌また雑誌等にもそれらのつながりが世間から批判されている。また不明朗な関係があってはならないと思いますが、長官はどのように考えておるか、その点をお伺いしたいと思います。防衛庁と防衛産業との関係、これについてお伺いしたい。
  57. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはたしか参議院の予算委員会のときに参議院議員のほうから御質問があったと思いまするが、衆議院においては御質問が初めてであると思います。しかし、諸般の角度からの御質問はございました。たとえば自衛官をやめたときに国防産業のほうにすぐ入っていくのはまずいじゃないかという御質問もございました。参議院においては、ある週刊誌に出た点をとらえて御質問があったことがございますが、その週刊誌に出た記事等もよく調べてみますと、国防産業と直接関係のない人が、昔の上官が国防産業に関係のあるところの顧問をしておる、しかしながら国防産業に発注その他あるいは選定その他に関係のない部下が上官の誘いであるから実費を払って呼ばれた、こういうことでございまするが、しかし、これもおもしろくない現象であるというわけで、参議院において言明いたしましたとおり、綱紀耕正上厳重に処断をいたしております。  これから公の場合におきましても、私の場合におきましても、あるいは自宅においても、その他変な場所においても——というのは料理屋その他の場所等におきましても、いやしくも妙な接触があるというようなことがあるならば、私は綱紀粛正の見地から見まして、あらゆる官吏に必要でございまするが、武器をつくる産業なんというものはことに厳重に公正な態度をもって臨まなくてはならないと思っております。そういう態度をもって臨んでおりまするし、これから後も臨む決意と覚悟を持っておりまするから、私の態度というものは、いまや相当末端まで徹底しておるのではないかと思っております。増田防衛長官はちょっとおっかないぞというところがやはり知らしてあるんじゃないか、自衛官を相当愛してはおりまするが、変なことがあれば首が飛んでしまうということは考えておるのではないか——首というのは別に生理的な頭と胴とがばらばらになってしまうのではなく、つまり本人の社会生活上の首が飛んでしまうということぐらいは、自衛官の末端に至るまでわかっておるように私は思うのであります。自衛官を非常に愛してはおりまするが、その点は非常にきびしい態度をもって終始一貫臨んでおるつもりでございます。
  58. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 昭和三十五年から四十二年の三月までの退職自衛官民間会社就職一覧表というものがございますが、これは将と将補以上の者でありまするけれども、相当多くの人たち防衛庁契約会社に再就職しているわけであります。いろいろな問題はうわさだと思いますが、しかし、それも顧問とかまた嘱託のような役についている人が非常に多いようであります。最近官僚の天下りが問題になっているおりでもありますので、世間からいわれるような実態ではたいへんである、この点を非常に憂えるものであります。長官からいま答弁がありましたから話を進めますが、いずれにしても、就職先の役職が顧問とか嘱託とかになっております者は——自衛隊法の六十二条の離職後二年間は、離職前五年以内に従事していた職務と密接な関係のある営利会社の役員または役員に相当する地位に就職することを禁止されているのであります。そういう点について、なお一そうの長官の決意とまたそのようなうわさが起こらないように、またそういう具体的な方策があれば伺いたいと思います。
  59. 増田甲子七

    増田国務大臣 いままで自衛官をやめまして国防産業関係に入っておる者もございまするが、法規の命ずるところに従いまして、慎重に審査いたしまして、許可を与えたものでございます。しかしながらほんとうは——これは定年制その他もございまするが、自衛官をやめた後には何もしなくても残余の人生を送り得るというようなしかけに恩給法その他がなっておれば都合がよろしいと思いまするが、その点が、太平洋戦争開始前と太平洋戦争終了後とにおきましては、同じ恩給の額にいたしましても——恩給というものは元来退職後の生活を保障するものであるということをわれわれは行政法で学んだつもりでございます。そこまでいっていませんものですから、営利会社にも就職いたしまするが、しかし、法の命ずるところによりまして、法に従って厳重に審査いたしまして、そうして許可を出しておる、再就職をさしておる、こういう状況でございます。将来とも伊藤さんの御指摘の点は十分注意をしてまいりたいと思っております。
  60. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 少し内容が変わりますが、昭和三十九年また四十年の会計検査院から出されております決算報告書を見ますと、うしろのほうに防衛関係の未確認額表というのがあります。その問題について非常に説明があいまいであり、いろいろな問題点があるのではないかと思いますので、その点についてお伺いしたいと思います。——検査院の方おられますか。
  61. 關谷勝利

    關谷委員長 検査院からは来ておりませんが……。
  62. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それではわかる方からお答え願いたいと思いますが、大ざっぱな点は報告書にあるわけですから、できれば、非常に金額が大きいので、三十四年以来でありますから、一つ一つについて何の予算なのか、すなわち未精算、未納入品、お金を払っても納入されていない、しかも八年間もそのままになっていそ、こういうような実態でありますので、ひとつ詳しく説明していただきたいと思います。
  63. 大村筆雄

    ○大村政府委員 ただいま御質問のように、会計検査院の検査報告というのが毎年出されておりますが、検査報告の末尾に未確認事項というのが掲記してございます。この意味でございますが、これはわれわれが長期の契約その他をやります場合に、前金払い、概算払いをやりますが、検査院が検査をなさった場合に、その精算が未了の場合には、まだ検査が終わりませんよという意味で、それを未確認という整理をされております。そういう趣旨のものであるということを一つ御理解いただきたいと思います。  私どもが、今回の検査報告で未確認事項として掲記されております総額は、全体として四百九十一億円ございます。なぜこういう大きな金額が未確認になっておるかという理由でございますが、一つは御承知のとおり私どもの予算の中には二年ないし五年にわたる長期の国庫債務負担行為の予算というのがございます。たとえば四十二年度予算で申し上げますと、国庫債務負担行為が全体で約千億ございます。それから防衛庁の大型艦艇にだけ認められておる継続費という制度があります。これも五年間にわたって制度を活用できるたてまえになっております。私どもの大型艦艇は、ただいま四年間の契約システムでございます。したがいまして、契約いたしますと、それに対しまして前金払いとかあるいは概算払いをやります。やった結果、その精算が終わりますのが五年先あるいは三年先という事態になりますので、その精算が終わるまでは、検査院は決算未確認ということで整理をなさいます。したがいまして、三年先、五年先に物が納められて精算が終わりますと、そこで決算の確認が行なわれる、そういうシステムでございますので、その中間におきまして、当然膨大な決算未確認というものが出てまいるシステムになってまいります。  それともう一つ、そういう関係でございますのは、私どもに二次防期間あるいはそれ以前から四十一年までに、アメリカから無償援助のほかに多額の有償援助物資というものを買い付けております。これは、発注いたしまして入りますのは、当然二年なり三年かかるのが相当ございます、それから、アメリカ自身、世界各国に相当膨大な援助をやっております。したがいまして、アメリカ自身のそういう調達のほかに外国に対する調達補給の機関を持っておるわけでございますので、相当その受注量は膨大になってまいります。そういう関係で、発注いたしまして物が入りますまでに二、三年かかるほかに、物が入ってその精算まで実は数年かかるという事態になっております。したがいまして、古いものになりますと、三十四年のものが入っておるのですが、精算書が未着その他で精算が終わっていない、そういうものが相当ございます。そういう関係で、実は未確認事項というものが全体で四百九十一億という金額でございますけれども、国庫債務負担行為、それから継続費によるものは、システムそのものがそういうことになっておりますものですから、特にそのこと自体に問題はございませんけれども、アメリカの有償援助物資自身は、アメリカ自身のそういう膨大な機構との関連もございますので、なかなか精算が簡単に片づかないという点もあるわけでございます。それにいたしましても、古いもので三十四年のものが残っているということは、非常に私どもとしては事務の整理上困りますので、公式には外務省ルートを通じまするし、かつまた、アメリカにこれ専門に私どもの職員を四名駐在させてございます。かつまた、調達のこれに当たっております調達実施本部から担当の職員を毎年一回はアメリカにこれの整理促進に派遣いたしまして、そのつど数十億円の整理を行なってまいっておる現状でございます。
  64. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 理屈ではよくわかるのですが、たとえば三十四年度については、十七件で四億六十三万二千円、通信機器及び航空機用機器、こういうような品名になっているわけです。できましたら、この品名と向こうの会社名ですね、三十四年、三十五年、三十六年、三十七年、三十八年とございます、その点についてお伺いしたいと思います。順序を追って申し上げますので、最初に精算書未着の分についてお願いいたします。
  65. 大村筆雄

    ○大村政府委員 三十四年に十七件、四億六十三万二千円、通信機器、航空機用機器関係でございます。これは精算書未着でございます。中身のこまかい点につきましては、装備局長のほうから御説明申し上げます。
  66. 國井眞

    ○國井政府委員 非常にこまかいものになりますのであれでございますが、三十四年についてだけ申し上げますと、たとえばファイア・コントロール・システム、G2コンパス、航空機部品等が、三十四年精算書未着のものでございます。
  67. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに品物がきてないのですね、未着ですから。
  68. 國井眞

    ○國井政府委員 ものによりましていろいろございまして、物が入りましても、精算書というものをあとから送ってくるわけでございますが、これがまだ届いてないということになりまして、たとえば一括幾つかの数量を発注いたしましても、一部精算書だけがこないために全体が未整理という形になっておるものが、相当あるわけでございます。そういうこまかいものにはなるわけでございますが、そういった状況でございます。
  69. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは三十五年、三十六年、三十七年、三十八年とございますが、これについて一括して説明してください。できれば向こうの会社ですね。それから何に装備するのか、何に使ったのか、その点についても教えてもらいたいと思います。
  70. 國井眞

    ○國井政府委員 いま相手方の会社というお話でございましたが、これはFMSという形で米軍から入れておるものでございます。  それから、精算書未着の分をさらに三十五、六、七、八年ということで申し上げたいと思いますが、三十五年につきましては、同じくファイア・コントロール・システム、その他航空関係の部品、カメラ、あるいは航空関係の無線機、音響武器関係の部品というものがございます。三十六年の分でございますが、それは航空関係の部品、それから同じくファイア・コントロール・システム、短魚雷、教育訓練用の機材、砲弾等がございます。それから三十七年分でございます。同じくファイア・コントロール・システム、短魚雷、航空機部品、航空機用の通信機補用部品及びジュリー装置というようなものでございます。それから三十八年、これは航空機用部品、高射砲部品その他等でございます。これを見まして、航空関係の部品が各年度にわたっておるということでございます。
  71. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 続いて物品未納入の分についてお願いします。
  72. 國井眞

    ○國井政府委員 未納入の分につきましては、三十四年はございません。三十五年分が航空機部品、それから三十六年は、砲弾の一部、航空機部品、それから三十七年分、航空機部品、短魚雷、装軌車用の部品、砲弾、それから三十八年につきましては、航空機部品、サイドワインダーの訓練弾その他と、一部砲弾等でございます。それから装軌車部品がございます。なお、先ほど精算書未着と申し上げました分は、物が入っておりまして精算書がついてない、こういうものでございます。ただいま申し上げましたのが、物品未納入のものでございます。
  73. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この三十五年度の未納入分の航空機部品というやつですね、四十三力三千円とございますが、これはどの航空機の部品ですか。
  74. 國井眞

    ○國井政府委員 海上自衛隊関係のS2F関係のものであったと思いますが、その部品でございます。
  75. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それでは続いて、精算手続中のもの、またクレームの未解決のものを説明願いたいと思います。
  76. 國井眞

    ○國井政府委員 それでは引き続き、精算手続中のもの並びにクレーム未解決のものを続けて申し上げたいと思いますが、精算手続中のものは、三十四年度航空機部品、三十五年度同じく航空関係の部品、三十六年度は補給のカタログ、それから短魚雷、航空機部品、通信電子関係の部品、測定機等がございます。それから三十七年につきましてはM61ガン、それから補給カタログ、航空機部品、ヘルメットというものがございます。それから三十八年は、M61のガンとカメラがございます。  それから最後に、クレーム未解決のものでございますが、これは三十五年からでございまして、修理用の部品でございます。それから三十六年は砲弾の一部、それから航空機の部品、三十七年は通信電子関係の部品でございます。三十八年は航空機用部品、こういうことになっております。
  77. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 非常に古くて、しかもまた大ざっぱな説明でありますので、主としてそれについて検討はなかなかむずかしい問題でありますが、しかし、会計検査院の不当指摘事項、さらにまた、この問題等については、検査院からたびたび注意があった。三十九年度においては何ら説明をしないで、未確認額表が提出された。四十年度で初めて説明を補足したと、このようにもいわれております。私は、このような会計検査院の指摘について、どのように考えるか、その点についてお伺いします。
  78. 大村筆雄

    ○大村政府委員 お答え申し上げます。ただいま指摘とおっしゃったわけですが、会計検査院で検査報告を出されます場合に、非違不当事項につきまして指摘事項というのが、検査報告大半を占めるわけでございます。その場合に、先ほど申し上げましたように、四十年度の決算はかくかくしかじかであったけれども、検査が完了してないのがただしこれだけあるよという意味での付表を掲記されておるわけでございまして、そのこと自体に対して特に検査院が指摘云々という点ではないのでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、制度のたてまえ上こういうものが出てくるのにやむを得ない、国庫債務負担行為とか継続費とかいうものは、これはやむを得ないものでございますけれども、米軍から有償援助で買い付けておりますものについて、相当古いものにつきましては、私ども事務の整理が非常に困りますものですから、これにつきましては、外務省の公式ルートを通ずることはもちろんでございますが、専門の駐在員を四名常時派遣いたしまして整理いたしますほかに、毎年一回はこれが処理に当たっております調達実施本部の担当職員を派遣いたしまして、毎年そのつど数十億円の促進整理を行なっておる、そういうことでございます。
  79. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 関連。三十四年度から今日まで長い間未確認事項があるということは、これは問題だと思うのですよ。それで三十四年度あるいは三十五年度の国民所得に占めるところのパーセントというものは、かなり大きいものがある。それをそのまま今日まで未確認事項としておるということに対して、長官はどういう態度で今後お臨みになるつもりなんですか。その点。  それからもう一つ、次期の戦闘機をきめるのに、長官は、他国に脅威を与えないような機種を選ぶと、こういうふうなお話であったのですが、まるっきり脅威を与えないような戦闘機がはたしてあるであろうか。脅威を与えるのと抑止力とは、どういう関係があるのか。その点長官に伺いたい。
  80. 増田甲子七

    増田国務大臣 会計検査院の関係上、それからアメリカ政府なりアメリカ軍との関係上、なかなか確認がおくれておる点につきましては、会計検査院の指示もあったわけでございますし、これから後も厳重に促進をはかるように督励するつもりでございます。  それから戦闘機の選び方でございますが、要するに他国に脅威を与えないということはどういうことか、それは抑止力と関係があるかどうか。抑止力というものは、つまり侵略がないようにする力を抑止力と私どもは考えております。諸外国でいうように、全世界に武力的紛争がないような抑止力とまでは考えておりません。わが四つの島に侵略がないようにという範囲でございまして、抑止力ということばは、大体翻訳らしゅうございますが、日本のことばでもございます。じゃまをする力、侵略がないようにじゃまをする力、こういう範囲で選べば、おのずからそこに鈴切さん、良識というものが出てくるのではないでしょうか。あと、この武器はどうだ、あの武器はどうだ、いやしくも武器であって脅威を与えない武器はないという話でありますけれども、私はそんなことは考えないのです。一応客観的に、脅威を与える武器であるかどうかということは、わかると思います。それから客観、主観がわからないときには、手ぬぐいでも武器だなんと言う人がありますが、そんなばかなことはないのでありまして、出刃ぼうちょうも武器だなんて言いますけれども、これはそんなことはないのです。これは外国に脅威を与えないことは明瞭でありますから、やはり客観的にきまる。客観、主観、どうも不明瞭な線だけは主観できめていって、われわれは抑止力として使うだけであって、絶対に向こうさまに脅威を与えないようにその武器を使う、こういう……。どうも明確を欠くと言いますけれども、やはり知識の平均の水準を常識というのですから、その常識の水準で、鈴切さんも常識を持っていらっしゃるし、やっぱり良識できめていったら——良識とは何ぞやといわれても、これは困ってしまうので、あとは文部省へいって聞くということになりますけれども、お互いに良識の範囲できまる。しかし、第一に武器が脅威を与えるかどうかは、客観的に私はきまると思います。客観、主観のわからない線は良識できめていく、こういうことであります。
  81. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま常識でと言われたのですが、その常識で考えた場合、抑止力というのは、相手が日本の国に攻めてきたときに完全にやられるなという、そういう相手方が脅威を感ずるからこそ効果があるのではないでしょうか。ですから、脅威と抑止力とはうらはらのものであるということ、それを防衛長官はいかにもことばのあやでうまく逃げられるけれども、私はそう考えます。この点いかがですか。
  82. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴切さんの御質問はすべて妥当でありますが、いまの点はちょっと妥当を欠くと思います。と申しますのは、外国に脅威を与えるというのは、外国へ侵略をしていく、そういう脅威ということでございまして、どうも日本に出刃ぼうちょうがあってぐあいが悪いなというようなことは、これは絶対に脅威ではございません。外国日本に侵略せんとするときにじゃまをする力、これが抑止力でございます。だけれども、これは脅威ではないのです。どっかの国が、どうも日本自衛隊というものはおれの国を攻めてくるなあ、相当の武力を持っているなあというふうに思われるものだったならば、持たない。それは脅威というのでございまして、脅威と抑止力とはうらはらだというような考えではないのでございまして、どこかの国が、全世界に武力的紛争が起きないような抑止力ということばを使っているところもございます。そんな抑止力ということばではございませんで、われわれは、外国日本に侵略してくるときにじゃまになる力がある、それがじゃまをして日本を攻めてこない、でございますから、日本の国が守られ、一億の国民がまくらを高くして眠ることができる範囲の防衛武器を持つ、こういうわけでございます。
  83. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だいぶ横道にそれてしまいましたけれども、本筋へ戻して、続いてお伺いしたいと思います。  精算書未着のものにつきましては、アメリカとどのように交渉し、これからまた解決していく前向きの姿勢を伺いたいと思います。
  84. 大村筆雄

    ○大村政府委員 先ほど申し上げましたように、米軍自身が膨大な調達補給機構を持っております関係で、なかなか事務がそうこちらが思うとおり動きません。が、外務省を通じまして公式に促進いたしますほかに、すでに現在アメリカに職員を四名駐在さしております。それに専門にそのことを当たらしておりまするし、かつまた、先般五月にも調達実施本部の職員一人を派遣いたしまして、その結果、数十億の精算も促進できる見込みでございます。こういう体制でありますほかに、引き続き、先ほど三次防に関連してお話が出ましたが、装備の国産化の方針が着実に進められることによりまして、だんだん有償援助物資の調達量が減ってまいる傾向になろうかと思います。
  85. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は、八年間もそのような状態で置いていて解決ができない、とんでもないことだと思うのです。特に精算書未着ということについては、品物は来ているけれども精算ができていない、理屈からいいますと、これは納得せざるを得ないわけでございますが、未納入だとかクレームの未解決、それがまた七年も八年もそのままになっている、そういうことについて、私は納得がいかないわけです。その点についての問題は、こちらの怠慢なのか、向こうが悪いのか、その点をはっきり聞かしてもらいたいと思います。
  86. 大村筆雄

    ○大村政府委員 先ほど申し上げましたように、もの自身は入ってきておるわけです。ただ一部、三十五年度を例にとりますと、一万三千円ほどの未納入がございますが、大部分、九九%ぐらいのものは、精算書未着とか精算手続中とかという、事務処理の遅延ということでございます。この点は、先ほど申し上げましたように、何ぶんにも米軍相手のことでございますし、米軍自身が、自分のところのきわめて膨大なる軍需のほかに、世界各国を相手にしております関係で、なかなかそう簡単に運ばないということもございますが、私どもも極力これが促進には努力しておりますが、大部分がそういう事務的な理由に基づくものでございます。今後とも努力したいと思います。
  87. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 世界のいろいろな都合があるでしょうけれども、日本は、いままでもいろいろ話がありましたように、非常に貧乏な国でありますし、アメリカの都合によってそのような中にいつまでも置いておくということは、とんでもないと思います。向こうに、いまもありましたように、四人も行っている。であるとするならば、もっと積極的に、また早く解決するようにしてもらいたい、していくのが当然ではないかと思います。また、前払いで全部支払われているようでありますけれども、これは法的に根拠があるのですか。あると思いますけれども、会計のことですが、根拠をお聞かせ願いたいと思います。
  88. 大村筆雄

    ○大村政府委員 予算決算及び会計令臨時特例第二条及び第三条の関係でございます。
  89. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 三十五年以降のいわゆる未納入のものがかなりの額にのぼっておりますけれども、納入の可能性、また、いつごろ納入するかということについて、伺いたいと思います。
  90. 國井眞

    ○國井政府委員 その点につきましては、現在出先の者を督励いたしまして促進をはかっておるわけでありますが、ただ一言申し上げたいと思いますのは、三十四年以降の数字がいろいろあげてあるわけでございますけれども、たとえば精算書未着というようなものにつきましても、これは三十四年、五年と申しますのは、契約の年度でございまして、ものにつきましては逐次二年ないし三年を経て入る予定のものでございまして、そういった非常に古い年度が出ておりますが、これはその年度に契約をいたしましたものが現在どういう状況にあるかという形で出てまいるわけでございます。  ただいまお話しの今後の予定ということにつきましては、できるだけ今後詰めていきたい、かように考えております。
  91. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 未納入のものの中に部品が非常に多いように思いますが、この部品の未着ということで兵器の運用に支障を来たすようなことはありませんか、お伺いいたします。
  92. 國井眞

    ○國井政府委員 入ってないものもございますけれども、これについて特別なそのための支障というものは、現在生じておらないようでございます。
  93. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 もしあまり影響がないというのでありますならば、これはむだづかいではありませんか、たとえ金額が小さいにしても。全体では四百億以上でありますから、その面から見れば小さいかもしれません。しかし、税金である以上は、一銭でも一円でもしっかり監視をし、また納得のいくような使い方をしなければならないと思うのです。そういうような、部品が到着しなくても何ら影響ない、そんなら最初から買わなければいいのです。その点についてお願いします。
  94. 増田甲子七

    増田国務大臣 確かに伊藤さんのお説は、一理あると思います。そこで、部品納入等がおくれている点は、なお督促をいたします。それからせっかく向こうへも相当駐在しているわけでございまするから、精算書を早く出せということも督促いたすつもりでございます。
  95. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これがもしか国内においてこのような状態ならば、たいへんだと思うのです。アメリカであるから、特殊な関係もありまして、そういうことがあったのかもわかりませんが、時間もございませんのでこれ以上はきょうはやめたいと思いますが、いずれにしても、それらの未納入についてははっきりと、また必ず早くやる——私が考えることは、三次防をする前に、こういう問題は一切片づけてからやるべきではないか、このようにも考えているわけであります。その点について、そういう促進または今後のことについて考えているならば、長官の具体的な今後の方策をもう一回伺っておきたいと思います。
  96. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま申したとおりでございまして、督促をいたしまして、部品で未納入のものは早く納入しろということを、米軍なり米政府に要望いたします。それから精算書も早く出せ——なかなかごたごたおくれておる点もございます。でございまするから、こちらの部下も督励いたしまするし、こちらから米国その他購入する国に対しましても奮励をいたすことを、先ほども申しましたが、あらためて重ねて言明いたします。
  97. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 時間が参りましたので、以上で終わりますけれども、どうか国民にそのような疑惑を与えることのないように、さらにまた、国防についてはあくまでも国民の基盤に立ったナショナルコンセンサスというものが、非常に大事である、そういう面についての政府姿勢をしっかりと確立していただきたいと思います。以上をもって質問を終わります。
  98. 關谷勝利

    關谷委員長 武部文君。
  99. 武部文

    ○武部委員 本委員会で同僚の諸君から、航空自衛隊並びに海上自衛隊について、第三次防の詳細について質問がありましたので、私は、第三次防の中における陸上自衛隊内容について、若干の質問をいたします。  第三次防の防衛力整備計画の主要項目の中に、陸上防衛力の向上、こういう項目があって、第三次防において初めて大型・中型のヘリコプター八十三機、こういう問題が出てきたのでありますが、現在ヘリコプター部隊は霞ケ浦にあると思いますが、今度購入しようとする大型、中型のヘリコプター八十三機の内容について、まずお伺いいたしたいと思います。
  100. 島田豊

    島田(豊)政府委員 大型ヘリコプター、バートル107をいま予定いたしておりますけれども、これを三十機、それから中型のヘリコプター、機種としましてはHU1Bというのがございますけれども、そういうものを考えておりますが、それを五十三機、その程度を購入いたしたいと考えております。
  101. 武部文

    ○武部委員 お聞きいたしますと、大型はバートル107型三十機、中型はHU1型ですか、五十三機、こういうことのようでありますが、大型のバートル107型というのは、一体搭載人員は一機に何名ですか。
  102. 島田豊

    島田(豊)政府委員 二十数名でございます。
  103. 武部文

    ○武部委員 そうしますと、いまの説明でいきますと、大体一機で一個分隊の人間が乗れる、したがって四機で一個小隊、バートル107型の三十機フルに運転をして二回往復すれば、大体一個連隊、千名の輸送が可能になるというふうに理解していいですか。
  104. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三次防におきますヘリコプターの整備構想につきましては、わが国土の地形の関係、また外国におきますところの空中あるいは地上におきますところの機動力を強化するという趨勢にかんがみまして、地上の自衛隊員をできるだけ急速に要所から要所に運搬をいたしまして、単なる人数、人の頭数だけではありませんで、それをさらに何倍かに活用するというふうなことを考えておるわけでございます。  ただいまの御質問の大型ヘリコプターの構想でございますが、御指摘のように、普通科の一個連隊を大体二回に分けまして、二回で往復できる、往復といいますか、運搬できるということを考えておるのでございます。
  105. 武部文

    ○武部委員 中型のHU1五十三機は、どこへ配置する予定ですか。
  106. 島田豊

    島田(豊)政府委員 各方面隊に——まだ編成いたしておりませんけれども、方面ヘリコプター隊というふうなものを編成いたしまして、この構想といたしましては、各方面隊の中におきまして、普通科の一個中隊程度の人員を二回で要所から要所へ運搬する、こういうことを考えておるわけであります。
  107. 武部文

    ○武部委員 わかりましたが、さらに伺います。  バートル107型の航続距離、それからHU1型の航続距離、これをちょっと伺います。
  108. 島田豊

    島田(豊)政府委員 お答え申し上げます。  大型ヘリコプターの運用方法といたしましては、大体中央に一つヘリコプター団を編成いたしまして、これによりましてそれぞれの戦闘地域に一個連隊を二回ぐらいに分けまして輸送するとしまして、その航続距離は大体——いまちょっと正確な手持ち資料はございませんけれども、二百五十キロ程度は行けるというふうに考えております。
  109. 武部文

    ○武部委員 わかりましたが、大型の三十機を中央に団として設けるという。先ほど私申し上げますように、現在のは霞ケ浦ですね。そうすると、今度三十機の大型バートル107型の配属される基地はどこですか。
  110. 島田豊

    島田(豊)政府委員 現在第一ヘリコプター隊は霞ケ浦にございますが、これを団にいたしまして人員を増強しますと霞ケ浦では間に合いませんので、いまのところ——いまのところと申しますか、三次防におきましては、木更津にこれを持っていきたい、木更津基地に団を編成いたしたいというふうに考えております。
  111. 武部文

    ○武部委員 さらに輸送機十機、現在十機はC46だと思いますが、その本隊は美保にある航空団、木更津にも46の輸送団がある。そうすると、このヘリコプターの団が初めて中央に設けられるわけでありますが、この46の輸送団はどういうふうになりますか。さらに十機の購入を輸送機としてやりたいというのですが、これはC46なのか、それとも違った機種なのか、これをお伺いしたい。
  112. 島田豊

    島田(豊)政府委員 現在、御承知のとおり、C46の基地は美保にございまして、木更津にもその派遣隊を持っておるわけでございます。ヘリコプター団が木更津にまいりますときにおきましては、現在木更津のC46の輸送機部隊を入間に移すという計画でございます。なお、輸送機の十機につきましては、YSHを六機、それからあとの四機につきましては、現在開発中でございますところのいわゆるCX次期輸送機、これを整備する計画が四機ということでございます。
  113. 武部文

    ○武部委員 大体わかりましたが、いまの説明を聞いておりますと、二次防までの間にヘリコプターというものはほとんど出ておりません。したがって三次防で急に八十三機、さらに輸送機十機を追加をする、こういうものが出てきたわけでありますが、ただいまの輸送力の内容等を見ますと、まさに空飛ぶ陸上自衛隊、こういうようなことが想定されるわけであります。一体三次防の中において、なぜヘリコプターというものがこういうふうに主力になってあらわれてきたのか、そのヘリコプターを八十三機設けるに至った根本的な理由は一体何か、それを伺いたい。
  114. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三次防の作業をいたします場合に、二次防までのわが自衛力というものの現状ということにつきましていろいろ分析いたしまして、その欠陥、弱点というふうなものを三次防期間中においてできるだけ是正し、これを保持していきたい、こういうことで、一つは要撃におきまする防空能力の向上という問題、それから海上自衛隊におきましては、非常に弱体でありました周辺海域の防衛能力を向上するということを柱にいたしたわけでございますが、陸上自衛隊におきましては、御承知のとおりに装備全体が非常に老朽化しておりまして、これを更新し、近代化するということが一つの大きな事業でございますが、と同時に、現在の自衛隊の勢力というものをできるだけ活用するという意味におきまして、地上におきましては、人員輸送の装甲輸送車、空中におきましては、ヘリコプター及びその突貫輸送をなしますところの固定翼の輸送機、こういうものを整備することによりまして、自衛力をさらに一そう向上させるということをねらったわけでございまして、陸上自衛隊は、御承知のとおりに移動、機動性におきましては非常に鈍重な性格を持つものでございますので、それに機動力を与えるという意味でヘリコプターの構想というものを打ち立てたわけでございます。
  115. 武部文

    ○武部委員 現在ベトナムでヘリコプター作戦などが行なわれておるわけでございます。そういう面でのヘリコプターの現実問題としての効果というものが相当広く宣伝をされ、また国民大衆の中にもヘリコプターというものの認識が相当深まっているように思います。これはあとで問題になると思いますが、日本の国内においてヘリコプターの部隊が出動をして、直接、間接侵略等について、どのような内容をもってこれの効果があがるというふうに考えておられるのか。たとえば、中型は各五方面隊に分割をして置く、しかし、現実には中央団というものは三十機一千名がいつでも移動できるような体制がこの東京のすぐ近くに置かれておる。こういう点を考えると、その目的とするものは、いまおっしゃったように、何か通常自衛隊の戦力が動きが鈍いので、ヘリコプターによって早急に移動ができるようにしたい、これだけではないように私は思うのですが、この点について何かお考えがありますか。
  116. 島田豊

    島田(豊)政府委員 陸上自衛隊の任務は、御承知のとおりに直接、間接の侵略に対しましてわが国防衛する、その場としては、陸においては陸上自衛隊が行なうわけでございまして、どういうふうな事態にも対処し得るだけの配備なりあるいは人的な面での整備なりというものをしておかなければならないわけでございます。ただ、日本の国土の中におきまして、各方面隊とも一律にすべてのものを増強し整備していくということはなかなかむずかしいわけでございまして、あらゆる事態——どこに対しまして間接や直接侵略が生じましてもそれに対処し得る、こういうふうな効率的な自衛力というものを造成をしていく必要がある。そういう意味におきましては、機動力の増強ということは、人的な面における一つの節約にもなるわけでございます。また、これは適時適地に人員を輸送し得るという意味において対処力も非常に増強し得る、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味で中央に団を置きますのは、やはり部隊を適時に適地に適切に運搬する、また各方面隊におきましては、それぞれの中である程度の機動性を発揮できる、こういうふうなことでこの構想ができ上がっておるわけでございます。
  117. 武部文

    ○武部委員 それじゃ今度は長官にお伺いします。  自衛隊法の条文の中に、自衛隊の行動として防衛出動と治安出動があります。防衛庁設置法の六条二項の中に、防衛出動の可否については国防会議の承認を得なければならぬ、こういう明文がありますが、治安出動については、設置法六十二条二項の五、この中に入っておるというふうに理解していいものか。それとも治安出動はそういう条文に入っておるのか、おらぬのか、その点について明確な答弁をいただきたい。
  118. 増田甲子七

    増田国務大臣 武部さん、防衛庁設置法の六十二条じゃないかと思います。そこで、六十二条には、防衛出動に関しては国防会議の議を経て総理大臣決定する、こういうことになっております。したがいまして、防衛出動以外の治安出動は間接侵略その他警察力をもってしては対処できない、こう総理大臣が認めた場合に、総理大臣の命令によって治安出動が行なわれるわけでございまして、もとよりわれわれ総理大臣の補助者たる者の進言、補助によって総理大臣が慎重に決定するわけでございます。
  119. 武部文

    ○武部委員 私が言ったのが違うのですか。六十二条第二項の五の中に「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」という項目があります。いま長官の言われた六十二条二項の四に「防衛出動の可否」というのが確かにあります。ありますけれども、治安出動についてはないから、それは五の中に加わるのかどうか。
  120. 増田甲子七

    増田国務大臣 六十二条と言われたのを六条二と言われたように聞き違いましたが、お説のとおり六十二条に書いてあるわけでございまして、その他国防に関する重要なる事項というふうに治安出動の場合は考えていないのでございます。
  121. 武部文

    ○武部委員 そうなってくると、治安出動は、内閣総理大臣が一存で、現状を自分なりに判断をして治安出動を命ずる、ないしは治安出動を準備させる、そうして国会が開会されておらぬときには二十日以内に事後承認を求めればいいんだ、その程度に治安出動というものをお考えですか。
  122. 増田甲子七

    増田国務大臣 武部さんのおっしゃる、一存で独断でというようなことばは、ちょっと当てはまらないことでございまして、あらゆる情勢を内閣総理大臣各省大臣が慎重にやられると同様に慎重に調査し、勘案し、研究し、検討した上で、この治安出動というものは一般警察力をもってしては間接侵略その他の事態に対処できない警察力の補助的活動として治安出動を総理大臣が命ずるわけでございます。  それから独断とおっしゃいますけれども、国会閉会中の場合は、二十日以内に臨時国会を必ず召集いたしまして承認の手続を国会に求めなくてはいけないわけでございます。
  123. 武部文

    ○武部委員 防衛出動については国防会議の承認を得なければならぬ、これはこの設置法に明確に書いてあるわけでありますから当然でありますが、治安出動については、その条文によれば、いま長官言われるように「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては、治安を維持することができないと認められる場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」したがって、それはいまおっしゃったように、あなたに御相談になるか、それは別にして、国防会議なりその他の既設の機関にはからないでもできると明文になっておるわけです。ですから総理大臣の独断でそういうことができる危険性があるのではないかと私は質問をしておるわけであります。
  124. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはあくまでも間接侵略あるいは国内の種々の治安上好ましくない現象であって、警察力をもってしては対処できないという場合に、補助的活動として治安出動が総理大臣から下命されるわけでございまして、独断というわけではないのでございます。その際には、もとより国家公安委員会等とも総理大臣は相談をいたしますし、また総理大臣の補助者として私が国家公安委員会とも十分連絡をとるわけでございまして、要するに行政官庁という立場において——行政官庁というのは総理大臣をピラミッドの頂上とする行政官庁でございます。その総理大臣が出動を命令いたしまして、そうして二十日以内に、国会閉会中の場合には臨時国会を召集して承認の手続を求めるというわけでございますから、独断独断とおっしゃいますけれども、どうも独断ということばが、たとえば農林大臣が農林行政をいたしておることは独断だというようなふうにおっしゃられると、やはりピラミッド的な官庁といたしましては、これはピラミッドの頂上にいる者が責任を持って、そうして国会に対して憲法六十六条の規定に従って責任は全般的に負うわけでございます。これは、憲法六十六条のみならず、七十八条の規定に従いまして国会の承認を得る。承認がなければ事後において効力を失う、こういうわけでございますから、何か独断というと悪いことをするように見えますが、どうも、そういうふうな感じのする独断ということばは、私どもは避けていただきたい、こう感ずる次第でございます。
  125. 武部文

    ○武部委員 あとで事後承認を求めたって、これは何にもならぬのですよ。すべて事が済んでしまって、あとでそれは承認を受けなかったから、それで出たものが消えるかというと消えるわけでもないでしょう。ですから、私どもが心配するのは、治安出動なる名において、少なくとも「間接侵略その他の緊急事態」というのはまずどういう事態をいうか、それから伺いたい。
  126. 増田甲子七

    増田国務大臣 「間接侵略」とは、一国もしくは数国の援助を受けまして、あるいは使嗾扇動を受けまして国内にゲリラ部隊が起きるとか、あるいは内乱、暴動のごときものが起きる、しかもその大規模なるものを私どもは間接侵略といっておると思います。そうでないと、間接ということはないのですから、ただの内乱でございます。もし国内に治安撹乱現象が起きたという場合に、間接というものは外国が間接に日本を侵略するということでございますから、一国もしくは数国の外国ということが前提になります。それから「その他の緊急事態」というのは、外国と何ら関係のない暴動、大騒擾であって、警察力をもってしては——両方ともそうでございますが、警察力をもってしては対処できない、治安の維持ができないと認めた場合に、国家公安委員会とも十分連絡をとって、ということは八十五条に書いてありますから、ですから独断独断とおっしゃいますけれども、方々の役所と連絡をとって、そうして国防会議にはかけませんけれども、十分に慎重なる検討を加えた上命令が下るものと私は解釈しております。でございまするから、どうも独断ということばは語弊があるんじゃないか、その点は御修正を賜わらば幸甚この上ないわけでございます。
  127. 武部文

    ○武部委員 どうも修正するわけにはいきませんが、さらにそれでは質疑を続けます。  三十五年六月の、安保騒動の起きましたときに、練馬の首都警備師団の第一師団が、内輪で治安出動の準備をしたというような報道が一部にされておったわけでございますが、これは事実でございますか。
  128. 島田豊

    島田(豊)政府委員 三十五年の安保騒動のときに、第一師団が治安出動に関する準備をしたというような事実については、私は承知をいたしておりません。
  129. 武部文

    ○武部委員 それでは重ねてお伺いいたしますが、三十五年安保騒動が起きたその年の秋に治安行動草案なるものがつくられた。内容も非常に詳しく一部には報道されておりますが、治安行動草案なるものがつくられて、現実にそれがいまあるのかどうか、それを伺いたい。
  130. 中井亮一

    ○中井政府委員 三十六年の二月、三月にかけまして、国会で当時そういうものがあるかどうかということで論議されたことはございます。その草案につきましては、陸上自衛隊の部内限りの訓練参考として草案という形のものでございますので、その後鋭意部内において検討を加えつつ、現在部隊における基礎的な行動の研究とか、各学校における関係事項の研究などの成果を織り込みまして、成案にほぼ近づいているのが現段階でございます。それは治安行動教範というような名前になっていま案としては考えているものでございます。
  131. 武部文

    ○武部委員 そうしますと、三十五年の五月の自衛隊の治安出動に対する防衛庁訓令第二十五号そのものは、現在も生きているというふうに理解していいわけですか。
  132. 中井亮一

    ○中井政府委員 昭和三十五年五月四日、防衛庁訓令第二十五号、自衛隊の治安出動に関する訓令というものは現在生きております。
  133. 武部文

    ○武部委員 そうすると、治安行動草案なるものは、ただいま言われました訓令第二十五号以外には、防衛庁としては正式なものはないというふうにおっしゃっておるのですか。
  134. 中井亮一

    ○中井政府委員 先ほど、先に御説明いたしましたのは、自衛隊の隊員の動作あるいは部隊の指揮、運用等に関して教育訓練の準拠を示したものとしての教範ということで、現在審議をしているものでございます。後ほど申し上げましたのは、自衛隊の治安出動に関する訓令として、治安出動時の手続等をきめているものでございます。
  135. 武部文

    ○武部委員 本年の二月ごろに、朝日新聞が通算十五回ばかり、自衛隊と称する一連のものを新聞に発表いたしまして、非常に詳しく各自衛隊特に陸上自衛隊内容について報道がされました。われわれはそれを見て、国民の皆さんもおそらくそうだと思いますが、内容を見て実に驚きました。たとえば、そのことといま私が言う治安行動草案なるものとの関連があるわけですから質問するわけですが、本年の二月二十五日の朝日新聞の自衛隊という項目の中に、治安行動草案なるものを想定をして、暴動が起きた場合どういうふうにして鎮圧をするか、軽易なる装備を有する暴徒、これは竹やりや刀剣を持ったもの、強力なる装備を有する暴徒とはピストルや小銃、猟銃、こういうものを持ったもの、それを相手にして訓練をしておる。まず、相手を倒すには、その指揮者を狙撃兵が狙撃をしてまず倒す、こういうふうなことが新聞記者に語られておるのであります。これは新聞を見ていただけばわかることでありますが、それにはっきりと書いてある。そういう訓練をいわゆる治安出動の内容として、暴徒の幹部、指揮者を狙撃をして倒す、そのあとは軽微なるものについてはピストル、あるいはまた、強力なるものについては飛行機まで出る、こういう治安行動なる訓練がされておると報道されておるのであります。先ほど聞きました訓令第二十五号には、そんなことは一つも書いてない。だとすると、三十五年の六月以降、あの安保騒動以降において、自衛隊の中に治安行動草案なるものがつくられて、その項目に従って、いま言うような狙撃兵がどうだとか、ガスがどうだとか、こういう訓練が非常に活発に行なわれておるということが報道されておるわけでありますが、これについて防衛庁の見解を承りたい。
  136. 中井亮一

    ○中井政府委員 すでに警察予備隊以来、国内の治安の維持に当たる任務というものは、ずっと続けて課せられております。それに従いまして、国内の治安の維持のために必要な訓練というものは、教範がまだ未制定ではありますけれども、現在までも続けられております。その際に、具体的ないろいろな訓練にあたって必要とするような各種の事態というものは、それぞれ考えに入れながら、それに対処した行動の要領をずっとやっていることは事実でございます。
  137. 武部文

    ○武部委員 したがって、いまの私の質問に対して否定はされなかったと思います。だとすると、もう一項目、各師団の中において、治安活動と称して、年間最低四十六時間、特に練馬の首都警備師団の第一師団は、年間四十六時間の約三倍の時間をかけて治安活動についての訓練を行なっておる、こういうことが、私どもの耳に入っておるわけであります。また、さらに各連隊に百人前後のレインジャー要員というものが置かれておって、それが養成され、その目的は要人の警護とか現行犯の逮捕とか、そういうことを目的として訓練をされておる。これも新聞に明らかにされておるところでありますが、そういう点について、防衛庁はそれを認められるかどうか。
  138. 中井亮一

    ○中井政府委員 レインジャー訓練につきましては、普通科の各部隊でできる限り普及するように、現在も訓練をさしております。  それから治安行動に関係をした訓練も、それぞれ時間を示して、基本教育あるいは練成訓練をそれぞれやっております。
  139. 武部文

    ○武部委員 私の質問に答えてないわけですが、いまの各師団が年間四十六時間程度、特に東京の練馬の第一師団はその三倍、そういう治安活動の訓練をやっておるということは事実ですか。
  140. 中井亮一

    ○中井政府委員 首都の治安を確保する任務を与えられております第一師団につきましては、治安行動に関係をした訓練の時間をふやしていることは事実でございます。
  141. 武部文

    ○武部委員 それではさらに、自衛隊の市ケ谷の部隊に中央資料隊あるいは中央調査隊なるものがあるはずでありますが、現実に存在をしておれば、その存在をしておる事実と人数をちょっとお伺いをしたい。
  142. 島田豊

    島田(豊)政府委員 陸上自衛隊の中央資料隊、中央調査隊、こういう部隊は現に存在しております。それぞれの自衛隊の任務を遂行するに必要な各種の情報を収集、整理をする、また調査をするということが任務でございますが、その調査隊員なり資料隊員の数でございますが、陸上自衛隊の中央調査隊につきましては六十名、中央資料隊が二百二十九名でございます。
  143. 武部文

    ○武部委員 中央資料隊の任務は、国内外の防衛警備情報の収集というふうに理解していいか。それと中央調査隊というのは、自衛隊の隊員の士気なり思想調査を目的としたものだというふうに理解してよろしいのですか。
  144. 島田豊

    島田(豊)政府委員 中央資料隊につきましては、これはいろんな公刊された資料を収集いたしまして、それについての分析、検討を行なうというのが、主たる任務でございます。中央調査隊、これは外部からのいろんな働きかけに対しまして自衛隊自体を防護する、あるいは秘密の保全を確保する、こういうことを調査隊の任務といたしておるわけでございまして、要するに、自衛隊を秘密から、あるいは外部の働きかけから防衛し、防護する、そのために必要な調査を行なっておるのが、中央調査隊でございます。
  145. 武部文

    ○武部委員 三十五年の安保騒動のときには、治安出動というものはございませんでした。私は、冒頭からヘリコプターの問題を質問したのでありますが、それこれ関連をいたしましていろいろ調査をしてみますと、自民党の安全保障調査会の編集になる「日本の安全と防衛」という膨大な冊子の中に、日本の労働組合その他大衆運動、こうした問題についてのあらゆる想定がされております。それと間接侵略ないしは治安出動の原因となるべきその他の緊急事態、この内容について、いろいろな想定がなされておるのであります。われわれから見ると、まことにあ然とするような内容でありますけれども、そういうものを一連考えてみると、先ほどの中央資料隊といい、中央調査隊といい、さらには練馬の第一師団の治安行動草案の内容、さらにはそれらの具体的な演習の実態、そういうことから見て、特に一九七一年が三次防の最終の年になっておる。来たるべき安保騒動というものは一九七〇年、こういうことを考えてくると、この間に一連の関係があるように思われるのでございます。ヘリコプターが今回一千人、二回にわたっていつでも出動が可能になっておる。特に木更津と東京の付近に置かれている、こういうことをいろいろ考えてみたときに、これは一連の治安出動に対する準備の体制ではないかと想像できるのであります。一九七〇年は、前回の一九六〇年よりも相当大きなデモンストレーションが行なわれるのではないかというようなことすら、巷間いろいろ伝わっておる、こういうときに、治安出動の名をかりてそうした大衆運動、労働運動に対する弾圧というか、介入というか、そうしたことが予想されるような事実が、私は冒頭申し上げたような種々の事例を通じて考えられる向きがありますが、これについて防衛長官の見解を承りたいと思います。
  146. 増田甲子七

    増田国務大臣 ヘリコプター団の御質問から始まりまして、御意見を含めた御質問に対しましてお答え申し上げます。ヘリコプター団というものを置きたいということは三年前から頼んでおるわけでございまして、ようやく今回の予算で皆さまの御賛同を得たわけでございます。もっとも、予算は毎回通っていますけれども、今回この定員法改正によって——防衛二法と申しましても、主として定員法改正でございますが、定員法改正によって、ヘリコプター団が充実されて、非常に陸上自衛隊の機動力が増加する。動きの悪い陸上自衛隊では意味ないですから、そこで動きのよろしい陸上自衛隊、こういう意味合いにおきまして、ヘリコプター団を若干ふやしたい。八十三機なんというのは、私から見れば若干でございます。きわめて若干でございます。  それから治安出動の点につきましては、独断ではないというようなことにつきましては、私も力説いたしまして、あなたは御修正にはなりませんでしたが、心の中では大体肯定されておるのではないかと私は思いますが、この際特に御修正願いたいのは、来たるべき安保騒動ということをあなたはおっしゃられたけれども、そういうことをあなたのほうから御発言になることは、ちょっと穏やかならぬ御発言だと思います。あなたは安保騒動をなさるのですか。私は、このことを回答をかねて御質問いたします。
  147. 武部文

    ○武部委員 防衛長官の挑戦を受けまして申し上げますが、一九六〇年の経過は御承知のとおりであります。しばしば国会でも論議をされておるわけでございまして、あなた方の態度いかんによってそういう結果になる、こういうことをひとつ答弁しておきます。  次は、先ほど公明党の伊藤君からも質問がありましたが、陸上自衛隊定員増員の問題であります。十三個師団の陸上自衛隊が現在おるわけでありますが、御承知のように二万人欠員だ、その欠員の原因について、いろいろ本会議でも大出君の質問にお答えになっておるようでありますが、残念ながら二万名についてはほとんど動きが変わりません。先ほど、少し充足率がいいとおっしゃったけれども、ちょっとぐらいのことで、たいしたことはない。そうなってくると、そういう事実の前になお自衛隊増員をされようとするのか。充足率の一〇〇%のほうにのみむしろ重点を置くべきではないか、こういうふうに考えますが、いかがでしょう。時時に、これまた本会議、さらには予算委員会で問題になりました市町村段階における適格者名簿、このことについては、淡谷委員のほうから非常に詳細にわたって質問がありまして、速記録を読むと、防衛長官答弁は、ほとんど的を射ておりません。御存じないようであります。しかし、現実に、市町村段階においては、この事務でたいへんな迷惑を受けておる。したがって、この際適格者名簿をとることについて中止をする意向があるか、この点について、二つお伺いしたい。
  148. 増田甲子七

    増田国務大臣 武部さんに私から一応お答え申し上げまして、不足の分は政府委員に補足させます。まず、二万名の欠員欠員とおっしゃいますけれども、従来はお説のとおりでよかったのであります。現在は、陸上自衛隊欠員は一万六千六百六十名でございまして、前は八六%ぐらいの充足率でございましたが、最近向上いたしまして、先ほど八九・七%と申しましたが、これを訂正いたします。九〇・三%、そういうふうに充足率は向上いたしております。そこで、自衛隊員と各省国家公務員と比べるとなんでございますが、どこの役所でも、九五%ぐらいのものでございます。五%ぐらいは欠員があるということは、良識の所有者である武部さんにおいてお認めのとおりであります。そういう見地から見ますと、海上自衛隊航空自衛隊は九八%といいますから、よほどよろしいわけでございますが、陸上自衛隊は従来充足率が悪かったものですから、なかなか財政当局が認めてくれないわけです。定員はそれだけであるけれども、銭はそれだけ出さぬぞということで、九二%ぐらいを目標にするようにしか、なかなか予算を出してくれませんが、われわれの成績がだんだんよくなりますと——ほんとうは昭和四十六年末九二%という予算しか出してくれないしかけになっております、いまの三次防の二兆三千四百億をもってしては。そこで、これだけ充足率がだんだんよくなるのだから、ひとつ九三%くらいにしてくれぬかということを私どもは申し出るつもりでございます。それから、幹部要員等はほとんど一〇〇%でございまして、そこで幹部になれる者が一つ下で終わってしまう。定年もございまして、二年よけいつとめられる者が、五十歳までつとめる者が、四十八歳でやめんならぬ。そういうようなことで、今度の定員増は四千三百名余でございますが、そういうような異動の関係で非常に困っている者は、約六千五百名でございます。その六千五百名の方が、せっかく自衛官を希望しながら、自分の所期のところまで昇進できずに終わってしまう。人生の目的として自衛官を志しながら、中途はんぱでやめんならぬというようなことも多々あるわけでございまして、どうぞ皆さまの御賛同を得まして、防衛二法を通していただきまして、六千五百名の方が、自分たちが人生の目的として自衛官を志した、その志を全うできるように、また兼ねて——兼ねてというよりも、主目的国家の守りでございまするが、国家の守りに任ずるというとうとい使命を果たすことができますように、御配慮あらんことを切に武部さんにも陳情申し上げておく次第でございます。
  149. 武部文

    ○武部委員 充足もたいへん必要だと思うのですが、あんまりやっきになって、何でもかんでも数さえ集めればいいというようなことでは、質の向上どころか、質がますます低下をして、先日の新聞のように、自衛隊員の殺人犯、そういうことが新聞紙上で取り上げられるのです。自衛隊の犯罪は非常に多い。ですから、集めるだけが能じゃないのですよ。ですから、そういうことにもぜひひとつ心がけていただかなければならぬ、こういうふうに考えます。  そこで、この問題について私は先ほどからいろいろ質問をいたしましたが、どうも治安出動、治安警備という名のもとに現在の自衛隊がやっておる具体的な行動、演習、訓練、そういうことを見ると、常に、何か自衛隊が日常民衆と敵対的な立場に立って、その鎮圧を訓練しておる、暴動だということで訓練をしておる、こういうふうな自衛隊のあり方の現状に、若干危惧の念を持たざるを得ないのであります。同時に、暴動鎮圧を常時訓練をしておる、こういうことでは、自衛隊に対する国民の信頼感がわくということにはならぬと思うのであります。あの新聞記事は、よく読んでいただきたいのでありますが、たしか十五回にわたって載っております。具体的に幹部の皆さんが新聞記者に発言をされる、それをみんなテープレコーダーにとりながら慎重にものを言われて、あれだけ出ておるのですよ。いまの狙撃兵の問題にしたってそうですよ。竹やりを持った者にはこれだ、あるいはそれ以上のピストルを持った者にはこれだ、そういうような暴動鎮圧の訓練が非常になされておる、こういう点について、あまり明確な答弁はありませんでしたが、私どもはそれを見たときに、治安活動、治安出動という名をかりて、大衆運動なりそういうような労働運動なりを弾圧する意図が政府にあるのではないか、こういう点を若干危惧を持っておるから、きょうは質問をしたのであります。この点について、最後にひとつ明確な答弁をいただいて、次に移ります。
  150. 増田甲子七

    増田国務大臣 まあ私がしろうととして考えたときに、自衛隊が訓練をし、練習をして、まさかのとに——自衛隊の任務というものは国防が主でございます。そのときに七十六条が発動されただけじゃ何にもなりませんで、役に立つ国防の実をあげて、国家国民の御期待にこたえる。そのために訓練をしておる時間は、一年におよそ二千八百時間だと思っております。それに対しまして、この治安出動というものは四十六時間平均という、あなたがよく御勉強で御指摘の時間でございますから、御指摘のとおりでございましょう。そこで練馬部隊等は、首都の治安に万一の場合には任ずる。この万一とは、警察力をもってしては不十分と認めた場合ということでございます。やはり内乱とか暴動とか、その他治安上好ましくない現象というものに対処する主たるものは、警察でございます。第一に警察で、その補助者として出動する。しかし、補助者として出動するのは従任務といいますか、主任務はやはり国防でございます。主従の関係の、その従の任務の場合に、練馬が四十六時間よりもよけい訓練をしておるということは、いま教育局長が答弁いたしましたからそのとおりでございましょうが、まずそれくらいはやはり訓練をしておきませんと、治安出動した場合に何ら役に立たない。第一は、七十六条の防衛出動が命令されたときに役に立たないものではだめでございますから、その方面に一生懸命猛訓練をいたしております。従任務として治安出動した場合に、四十六時間かける二プラスアルファぐらいなことで、まあ百時間ぐらいじゃないかと思うのですが、しろうとから考えて私は申すのですが、二千八百時間のうちで、百時間かりに練馬がやっておる。よその自衛隊は四十六時間である。それくらいやっておかぬと、治安出動という場合は、府県知事から要望される場合がある。その場合は府県会に承認を求めなくちゃならない、こういう規定も同じ自衛隊法にあるわけでございまして、そういう場合に役に立たないようなことではしようがない、やはりお役に立ちたい、こういうところで忠実に一生懸命訓練をしておる。よろしいと、こういうことを武部さんからほめられていいのじゃないかと私は思います。
  151. 武部文

    ○武部委員 これは見解の相違ですから、これでやめます。  次に、三次防の中において戦闘団を新設する意向がありますか。現在七編隊ですか、七つありますね。
  152. 島田豊

    島田(豊)政府委員 航空自衛隊でございますか。
  153. 武部文

    ○武部委員 そうです。
  154. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これは一〇四部隊七個飛行隊。これは三次防体制でもずっと維持していくつもりでございます。
  155. 武部文

    ○武部委員 それでは、具体的な問題に私は触れて質問をいたします。したがって、航空輸送団のある美保基地は、三次防の中においてはどういう計画がありますか。
  156. 島田豊

    島田(豊)政府委員 美保基地は、三次防におきましても、従来どおりC46の輸送航空団の基地として使用していくつもりでございます。
  157. 武部文

    ○武部委員 そうしますと、現在、御承知のように、あの美保基地は、滑走路のそばを国鉄が通っておりまして、離着陸にいろいろ問題点があるところであります。C46の必要とする滑走路の長さは約千五百と私どもは承知をしておるわけでありますが、現在千八百メートルの滑走路があるわけであります。先般地元の報道によれば、防衛庁は、百八十メートル接地点を海側にずらして、それでもってC46の着陸にはなおひとつ安全がはかられる、このように近く官報に記載をするということが出ておりましたが、いつごろ記載するのですか。
  158. 島田豊

    島田(豊)政府委員 現在、着地点を変更するという手続につきまして運輸省と手続をやっておるところでございまして、いつそれを実施に移すかということは、いまのところではまだ明確ではありません。
  159. 武部文

    ○武部委員 そうすると、百八十メートル接地点をずらすということについては、大体考えておる、ただ、運輸省との関係で、いつ官報に記載するかということについてはまだきまっていない、そういうふうに理解いたします。  それから、滑走路のいたみが非常にひどい。したがって、滑走路の修理をおやりになりますか。
  160. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これはこれからの問題でございますけれども、一応三次防計画といたしましては、現地の滑走路が非常に荒れておりますので、それについての最小限の整備、補修をやる必要があるのではないかというふうに考えております。
  161. 武部文

    ○武部委員 その場合に、滑走路の角度を十ないし十五度振るというようなことが若干言われておるようでありますが、それは事実でありますか。
  162. 島田豊

    島田(豊)政府委員 御承知のとおりに、進入正面のところに下に駅がございまして、その駅があるための危険の防止につきましては、現在まで自衛隊の基地と駅との関係において十分連絡をとりながら安全を確保してまいっておるわけでございます。今後の問題といたしまして、滑走路面を補修いたします場合に、そういう問題についてどういうふうに持っていくか、ただいまお話しのように、駅との関係において若干角度を変更するかどうかというふうなことも含めまして、これから検討いたすというところでございまして、その辺についての方針はまだきめておりません。
  163. 武部文

    ○武部委員 わかりましたが、それでは突き詰めてもう一つ質問いたします。かりに角度を振る場合、現在の基地内滑走路の長さは千八百、C46は千五百あればいい。したがって、かりに滑走路を修理するその間に、飛行機の飛ぶ区間を保持するためには角度を若干変えるということも考えられるわけですが、基地内において角度を変える、したがって基地外にそれが出るというようなことはない、かように理解していいですか。
  164. 島田豊

    島田(豊)政府委員 その問題は、まだこれからの検討問題でございます。
  165. 武部文

    ○武部委員 基地内だけで滑走路を変更するということを、私どもは聞いておるわけであります。したがって、もし基地外に出るとするならば、片一方は海で、片方は民有地しかない。その場合に、民有地をたとえば買収して基地を延ばすというようなことを考えておられるのですか。島田(豊)政府委員 まだその辺のことはこれからでございます。したがいまして、民有地を買収するとかいうようなことは、いまの段階では何とも方針がきまっておりませんので申し上げられません。
  166. 武部文

    ○武部委員 重ねて質問しますが、滑走路の長さを延ばす必要はないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  167. 島田豊

    島田(豊)政府委員 滑走路を延長するという計画は、いまのところございません。
  168. 武部文

    ○武部委員 わかりました。  それでは航空祭について質問いたします。  航空祭というものが各基地で行なわれておるようであります。この美保基地で先般まことに盛大な、おそらく基地始まって以来の盛大な航空祭が行なわれた。これは防衛庁がこういう点について具体的な指示を与え、また許可を与え、その計画について承知の上で航空祭を実施されたかどうか、それをお聞きします。
  169. 海原治

    ○海原政府委員 自衛隊の各部隊が催しますところのいま御指摘の航空祭のような行事は、それぞれ基地の部隊長限りで実施いたしております。
  170. 武部文

    ○武部委員 そこで私がお伺いをしたいのは、今日まで美保基地は長い歴史を持っておりますが、三万人もの観衆を動員して行なわれたのは、この航空祭が実は初めてであります。そうしてその際に、格納庫の中に夢の美保空港と称するパノラマが、大きなものがつくられたのであります。そういう点を御存じでありますか。
  171. 海原治

    ○海原政府委員 現地から送られてきました写真で承知いたしました。
  172. 武部文

    ○武部委員 ここに写真がありますが、この写真を見ますと、夢の美保空港、こういう大きなパノラマがつくられて、その写真によると、現在の千八百メートルの滑走路か中海——これは新産業都市に指定をされました中海です。ここに約一千メートル滑走路が延ばされて——その付近は全部埋め立てをされておるのであります。これは一体だれの権限で、だれの責任でこういう滑走路が一千メートルも海に延ばされて——付近のほうには大きな埋め立てがされて、現在の民間航空のターミナルは、全然片一方のほうにりっぱなものができておりますが、こういうことを御存じでありますか。
  173. 海原治

    ○海原政府委員 この点につきましての御質問があるということをあらかじめ御連絡いただきましたので、私どもで調べたわけでございますが、この美保基地につきましては、先生御存じのように、昔からいろいろといわく因縁がございます。当初はF86Fのために滑走路を拡張する、あるいは中海にもっと大きなものを出すとか、いろいろな経緯がございました。現在ただいまにおきましては、先ほど防衛局長から御説明ありましたような状況でございます。こういう過去がございますので、おそらくこういう基地の者といたしましては、いろいろな感じは持っていると思います。それがいま御指摘の夢の美保空港ということになってあらわれたのだと思います。現実のものでない証拠に、夢ということばが私はつけられたものと思います。
  174. 武部文

    ○武部委員 まさに夢でしょう。夢でいいが、現実にその基地の司令は——いまの千八百の滑走路、その中の千五百でもC46は十分に離着陸できるんですよ。にもかかわらず、千メートルの滑走路を、それも民間のです、自分のC46を飛ばすためにつくったのじゃないのです、民間の飛行機が離着する、将来の地元の発展のためにはという注釈をつけているのです。現実にいま美保の空港に発着する飛行機は、YS11六十人乗り、これもオーケーです。それからフレンドシップ、オーケー。それからバイカウント六十八人乗りが、美保空港には離着陸できておるのです。それを、いまの民間航空には全然関係がないし、ましてや基地の司令が、自分の所管であるC46が自由に離着陸できるのに、なぜこんなものをつくって、一体何の理由で千メートルも滑走路を延ばすのですか。自分の権限で、自分の研究でこういうことをしたということを基地司令は言っていますよ。しかし、見た者は一体どう思いますか。いままでそんなことをひとつもしない航空祭に、三万人も動員をかけて、そしてこんなものを見せて、将来の美保基地はかくかくになりますと、持っておる家主は、自分に一つも影響がないのに、貸しておるたな子の飛行機まで心配することはないのですよ。一千八百メートルを二千八百メートルまで滑走路を延長して、どうです、美保空港はこんなものだ、こういうことを出したときに、地元はどう思いますか。少なくとも三十一年以降今日まで、何回か紛争が起きて、そして二回にわたって滑走路の延長は中止になっておるのですよ。そういう事実があるにかかわらず、新しく赴任をしてきた一基地司令が、独断でこういうものを格納庫の中で大々的に宣伝をしてやったということに対して、地元の人から非常に不満が起きているのです。この間、大出君が地元の者を連れて防衛庁に行ったら、それはまことにけしからぬ、注意をしておくというのだったそうですが、現実に注意されましたか。
  175. 海原治

    ○海原政府委員 まずお断わりいたしたいと思いますのは、あくまで航空券、お祭りでございますので、そこにいろいろな出品をいたすわけでございます。しかも、問題の展示物は、あくまで夢のということで出しておりますので、その辺のところが、いろいろ見方によりましては、いまの先生のような御疑問も出るかと思いますが、つくったものは善意でございますが、善意が必ずしもそのとおり客観的に認識されるとは限らないのでありまして、今後は十分に注意するようにということで、私ども関係者相戒めております。
  176. 武部文

    ○武部委員 最後になりますが、これはあまりいい効果をあげていないのですよ。むしろ、防衛庁がやっぱりこういうことを考えておる、地元の空気いかんによってはいつでもやってやるぞ、こういうことが防衛庁の中にあるのではないかという疑心暗鬼をやはりもたらしたのです。私も、基地司令に会って聞きました。聞きましたが、やはり自分はりっぱなものだと思う——あなた、どこからこの土を持ってくるのだという話までしたのですが、かってにこんな膨大なものを埋め立てて、ましてこの中には、さっきから言うように、新産業都市としていま埋め立ても始まっております。干拓事業も起きておる。もし、かりに滑走路を千メートル延長したら、水流が変わってたいへんなことになるのですよ。そういう問題も漁業組合の中に起きておる。にもかかわらず、一基地司令が独断でこんなものを三万人もの人に見せて、将来の美保空港はかくかくだ、地元の産業の発展のためには、基地はこれだけなくてはならぬ——山陰の飛行場はほかに四つあるのですよ。ここばかり延ばしたら、ほかの飛行場はどう言いますか。鳥取、隠岐、出雲、米子、四つあるのですよ。将来の発展のためにといってここだけ延ばしたら、米子、鳥取、出雲、隠岐はおこりますよ。そういうことを全然考えないで、ただ自分の独断で、基地はかくあるべきだというような、地元で非常に紛争のある問題について、一基地司令が何の権限もないのにこういうようなことをやることは、大きな行き過ぎだと私は思う。ぜひそういう行き過ぎについては、ひとつ十分戒めてもらいたい、そういう点を要望して、私の質問を終わります。
  177. 關谷勝利

    關谷委員長 木原実君。
  178. 木原実

    ○木原(実)委員 私は、実は防衛長官並びにきょう御出席の政府委員各位には初めて質問を申し上げるわけであります。たくさん質問したいことがあるわけでございますけれども、本会議の時間も迫っておりまして、時間がございません。そこで、問題を一、二にしぼりまして御質問申し上げたいと思います。  これは先ほど同僚の武部委員からも御質問があり、それに対する長官の御答弁もございましたが、一つは治安出動の問題でございます。これは長官の御答弁にもございましたけれども、われわれにとりましては、どうも治安出動に関連しての自衛隊のあり方、こういう問題はきわめて重要な問題であろうかと思います。長官は、何とか自衛隊はお役に立ちたいのだ、そのために訓練をしておるのだ、こう申しておりましたけれども、訓練の内容のこともさることながら、治安出動というものは、文字どおり国民を敵にするわけであります。私どもが何としても許せないのは、この一点でございます。なるほど警察予備隊創設以来の伝統はあろうかと思いますけれども、しかしながら、国民を敵にする訓練を公然とやっているという軍隊は、おそらく世界各国の軍隊の中でも、特定の植民地国等の軍隊等を除いてはないはずであります。そのことに関連いたしまして長官にお伺いいたしたいわけでありますけれども、しからば、治安出動を必要とするような、あなた方の言ういわゆる間接侵略とは何か。いままでもいろいろ議論がございましたけれども、昨年の六月でございましたか、長官が所属いたしております自由民主党で出した「わが国安全保障に関する中間報告」というのがございます。この中では、きわめて明確にそういうことが指摘をされておる。この中間報告によりますと、安保条約の体制の中で、さしあたって近隣の諸国がいわば軍事的に侵略をしてくるおそれは比較的少ない、こういう分析の上に立ちまして、いわゆる間接侵略による危険性が実在をしておるのだ、こういう前提に立ちまして、実はこういうことが書いてあるわけでございます。「第一にあげねばならないのは、わが国の政治的秩序と伝統的国家観を破壊しようとする「革命工作」である。この脅威は主として、国外の政治勢力によって指導された「反帝・反米運動」である。かれらの世界革命戦略の上では、日本の「解放」が中心課題とされており、すでに強力な統一戦線工作を推進する行動に移っている。  厳重な警戒を要するものに、北鮮政権からの破壊的、革命的な工作がある。とくにわが国に多数存在している北鮮系学校は、わが国において反日教育、革命教育を実施し、このままでは将来わが国に重大な脅威となろう。」以下こういう一連のことばが連ねてあるわけでありますけれども、これはきわめて危険な思想であると思います。私は、同じ党の出身である長官の見解をこの場で正式に承っておきたいと思うわけでありますけれども、この文章の中にあるような間接侵略の危機というものは、一体ほんとうに実在をしておるのかどうか、あるいはまた、この文章の中では、明確に北鮮ということばが使われてあります。これは朝鮮民主主義人民共和国のことであろうと思いますが、これは先日の当委員会におきましての長官のおことばによりますと、防衛庁は仮想敵国はつくらない、ただし侵略者だ、こういうことばで統一をしろという指示を長官はなさったと思いますけれども、さてそうなりますと、あなたの所属されておる自由民主党は、明確に仮想敵国——間接侵略者としての仮想敵国あるいは脅威をこういうところに求めておるわけであります。一体こういうことを長官は承認をされて、自由民主党から選ばれて長官におなりになったか、見解をひとつ明らかにしていただきたい。
  179. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は御指摘の文章等は存じております。しかしながら、木原先生の御所属の社会党もそうでございますように、まだ党議というものになっておりません。あなたのほうで、たとえば防衛通の方がある特定の意見を持たれましたけれども、社会党の党議になっていないことは御承知のとおりでございまして、そこで自民党の党議にまではまだなっていないのでございまして、あとは外交調査会というほうにも私は所属いたしておりますが、そこで盛んに研究しておる過程でございます。でございますから、一つの機関がそういう文章を出した、その文章を出すにつきましては、一生懸命勉強して、良心的に勉強した結果を出したものと思いますけれども、自民党の党議ということにはなっていないことを、木原先生も政党員でございますから、御了解があってしかるべきものと思います。  それから、現実に間接侵略の危険があるかどうかということにつきましては、私は必ずしもそういうことは考えておりませんが、しかし、自衛隊というものは、いついかなる場合におきましても、外部からの武力行使という直接侵略、それから外部と連絡をとった内部における内乱等その他緊急事態というものに備えるものが自衛隊でございまして、各国どこでも、国内の内乱、暴動等に備えておる軍隊はないというお話でございますが、そういうことはございません。どこの国でも、たとえば日本の昔の陸軍、海軍、空軍が存在したときでも、地方長官が師団長に出動を要請するという場合が、明瞭に規定してございます。そういう軍というものが各国にはございますし、日本自衛隊でございますが、治安出動のことにつきまして、それぞれに要請があれば、フランス軍隊ならば、フランス国内の暴動等に出動いたしましょう。そういうふうに出動した場合には、同胞を敵とする、このことばは、これは大ざっぱな公式論でございまして、当たらないのでございます、たとえば人殺しをした日本人を警察官は敵としてはいけないといったようなことばは、非常に当たらないのでございまして、人殺しを、警察官は一般国民を守るためにこれを対象として捕縛し、あるいは法によって監禁し、審問し、処罰するということが、警察官に課されたる使命でございまして、その補助者として、あくまで第七十八条というのは、警察力の足りないときの補助者として補助活動をする、こういう範囲で訓練しておるのでございますから、そういう訓練をしておるということがわかれば、一般民衆も、民衆保護の警察官の補助者にも自衛隊はなってくれるのだなあ、感謝にたえない、こういう気持ちになると私は思います。
  180. 木原実

    ○木原(実)委員 長官、これは大事な問題でございまして、警察のお話はございましたが、たとえ話というのは、なるほど真実を語るかもしれませんけれども、しかし何も語らないと同じことなんです。昔の軍隊には私もおりました。しかし、かつての軍隊も、治安出動のための訓練をやったという記録はそうないのです。たとえば米騒動のときに、なるほど軍隊は出ました。震災のときに軍隊は出ました。けれども、これらのことも、必ずしもいい結果を生んでいないという反省が、昔の日本の軍隊にさえあったわけです。しかも自衛隊の中でも根本的な問題の一つは、公然と間接侵略という問題を設定をして国内に敵を求める、これはどう考えましても、あなたのおっしゃるいわゆる善意の警察力の補助だとか、こういうことでは済まない要素があるわけです。ですから、われわれは自衛隊の問題を論ずるときには、どうしてもその点にはひっかかるわけです。しかも、この隊員については厳重な罰則があるのは、御承知のとおりであります。たとえば親、兄弟が相手になったときでも、自衛隊員がこの命令を拒否したときは、五年以下の懲役ですか、こういう拘束力によって隊員が縛られておる。こういう形は——きょうはもう治安出動の問題を論ずるのは本旨ではありませんからあまり申し上げませんけれども、この点については、これからの自衛隊のあり方の問題としてくれぐれも考えてもらいたいと思います。これは今までも議論がありましたし、それからまた、これからもいろんな機会に具体的な問題に触れて論じなければならない問題であると思いますので、この辺で私はこの議論は一応しまいます。  それからもう一つ、そのことと関連するかどうかわかりませんけれども、同じく同僚の武部委員から若干質問がありまして、自衛隊の情報活動ですか、先ほど若干の説明がございました。防衛局長さんのお話では、中央に調査隊ですか、それと資料隊というのがある、こういうわけですが、一体防衛庁あるいは自衛隊——防衛庁でありましょう、それがやっておる情報活動の機構というのは、どういうことになっておるのですか。
  181. 島田豊

    島田(豊)政府委員 中央の機構といたしましては、内部部局に防衛局の二課がございまして、これが情報の収集、整理に当たっております。それから統合幕僚会議事務局におきましては、第二室というのが情報関係の部局でございます。それから陸海空の各幕僚監部におきましては、それぞれ陸上幕僚監部は第二部と言っておりますが、あとは調査部あるいは防衛部、こういうところで情報の収集、整理を担当いたしております。なお、各自衛隊が、それぞれ、陸上自衛隊につきましては、先ほど申し上げましたように、調査隊あるいは資料隊、この系統の部隊がございますし、それから海空につきましても、これは人数はそうたいしたことはございませんけれども、各級司令部のところにおきまして、情報収集の要員を若干ずつ置いておる。これが大体の機構でございます。
  182. 木原実

    ○木原(実)委員 教育機関で調査学校というのがあるのでございますか。
  183. 島田豊

    島田(豊)政府委員 陸上自衛隊調査学校がございます。ここで教育をいたしておる内容は、一つは語学の問題でございます。外国に留学をいたします者が、事前にそこでいろいろな語学を習得する。それからもう一つは、ただいまの情報要員をそこで教育をする。情報活動につきましてのいろいろな知識、要領、こういうものについて教育をするというところが、調査学校でございます。
  184. 木原実

    ○木原(実)委員 情報活動の範囲でございますけれども、いろいろ聞くわけでありますが、この情報活動の対象あるいは範囲、そういうものについてひとつ説明できれば……。
  185. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これは先ほど長官からお話しございましたように、間接侵略その他の緊急事態におきまして、治安行動が要請をせられた、治安出動命令が発せられたというような場合におきまして、自衛隊としましては、十分警察と密接な協力を保ちまして、情報についての連絡をやり、それに基づきまして自衛隊としてのいろいろな行動の計画を立てる、こういう必要があるわけでございまして、それに備えまして、平素から治安関係機関とは随時あるいは定期的に情報の交換をやっておるわけでございますが、わが自衛隊といたしましては、直接外部に対しまして情報を収集するという、そういう体制になっておらないわけでございまして、先ほどの調査隊の場合におきましても、一つは機密保全に必要な調査をやるわけでございますし、いま一つは、外部からの直接の侵略がありました場合に、それに必要な最小限の調査をやるというようなことでございまして、一般の治安関係が収集しておりますような治安全体に関しますような情報収集活動は、もちろんできないわけでございまして、そういう資料は、主として治安関係の機関からわれわれのほうはちょうだいいたしまして、それによっていろいろ検討する、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、情報活動の範囲と申しましても、要するに自衛隊が任務を遂行していく上に必要な最小限度のものである、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  186. 木原実

    ○木原(実)委員 もう一つお伺いしておきたいのですけれども、国際的な関係はどうでございますか。たとえばアメリカの情報機関。あわせて内閣調査室との関係、その他の連絡はございますか。
  187. 島田豊

    島田(豊)政府委員 国際的な関係につきましては、外務省からいろいろな情報資料をいただく。それからわがほうは直接と申しますか、防衛駐在官を必要な諸国に派遣いたしまして、これは身分は外務職員で自衛官を兼務いたしておりますが、この方法で駐在官がそれぞれの諸国につきまして調査いたしました、主として軍事情報でございますけれども、これを外務省を経由してわれわれのほうが入手をしておるというふうなことで、大体外交機関あるいは防衛駐在官の線をたどりまして、われわれのほうは情報を収集しております。それ以外には、外国の機関との直接の折衝、応接というものはございません。
  188. 木原実

    ○木原(実)委員 公式のルート以外にはないという御答弁でございましたが、先般も、これは真偽のほどはまだわかりませんけれども、御承知のように、内閣調査室の関係者であったという人がソ連で問題になったという事例がございます。なかなかこの情報活動というのは、これはたいへんなことだろうと思います。したがいまして、この道は一歩誤まりますと、どうも間接侵略をするほうに回ることにもなりかねないわけであります。したがいまして、きわめて重要な問題だと思うのですが、調査学校というものは、昔御存じのように中野学校というのがございましたが、中野学校出身の人がだいぶ教官としておられた、あるいはおられるということでございますが、どうでございますか。
  189. 島田豊

    島田(豊)政府委員 これは教育の問題でございますので、教育局の所管でございますが、中野学校の出身者がその教官になっていろいろ教育をしているというふうなことは、ちょっと私も教育局長もよく知らないのでございまして、おそらく教官はすっかり変わっておるというふうに考えるわけでございます。
  190. 木原実

    ○木原(実)委員 そこで、私もいろいろ情報活動のことについては心配なことがあるわけでありますけれども、いま局長さんのお話では、こちら側から出かけていって、公式のルート以外に情報活動をやることはない、こういうことでございます。ところが、昨年の九月から十月ごろにかけまして、防衛庁の職員で韓国に渡った方があるわけであります。この人の行動につきまして、朝鮮の労働新聞という新聞の十一月ごろの記事でございますけれども、きわめて手きびしい非難が浴びせられておる。そういう事実がございましたか。
  191. 海原治

    ○海原政府委員 いま先生御指摘の件は、先般御質問のございました官房広報課勤務の事務官が休暇をとりまして、旧在郷軍人でございますかの団体に同行しまして行ったときのことかと思いますが、このことにつきましては、先般御説明してございます。このことでございましたら、いま申しましたように、事務官が休暇をとりまして韓国に視察旅行に参っております。
  192. 木原実

    ○木原(実)委員 それと一緒なのかどうかということは私もはっきりいたしませんけれども、ただ、韓国に渡りまして、板門店まで参ったそうでありますけれども、北朝鮮のほうからだいぶ手きびしい非難を受けておる。しかも身分を秘匿いたしまして、商社の人間であるという形で出張をいたした、こういうふうに聞いておりますけれども、そういう事実はございませんね。
  193. 海原治

    ○海原政府委員 この私が申しております本人でございますと、これは先ほど申しましたように、正式に休暇をとりまして、私のほうから許可を与えまして、韓国に旅行いたしました。大体韓国へ参ります方々は、特に同行しましたものがいわゆる旧在郷軍人の方々でございますから、板門店の付近の視察には行っております。しかし、それ以上のことは何もいたしておりません。これが調査の結果先般御報告したところでございます。
  194. 木原実

    ○木原(実)委員 御本人がとってきた写真というものが、実は私どものところへ届いておるわけであります。これは板門店の写真である。あるいは主として十月一日の韓国側の国軍記念日の写真でありますけれども、こういうところに出動いたしたタンクであるとか、あるいは陸軍の軍隊の行進であるとか、あるいはこういう大型の戦車であるとか、こういう一連の写真が御本人がとってきたものとして入っているわけであります。これはどういう関係になっておるのか。私どもは、その辺のことはお伺いする以外にはないわけでありますけれども、どうでございますか。
  195. 海原治

    ○海原政府委員 本人がとってまいりました写真につきまして私調査もいたしておりませんが、いま御指摘のような写真でございますと、これは私どもにとりましては特別目新しいものではございません。あるいは板門店付近に行きましたときにあったものをとってきたものか、あるいは向こうからもらったものか、この辺のところは調査いたしましてまたお答え申し上げます。
  196. 木原実

    ○木原(実)委員 これは朝鮮の側の新聞記事によりますと、その前後にやはり三十八度線の付近を視察をした日本防衛庁の職員がいる、こういう非難のしかたであります。これにつきましては——これはなかなか言えないことだろうと思いますけれども、そういう事実はございませんね。
  197. 海原治

    ○海原政府委員 私がいままで申し上げておりますこと以外にはございません。
  198. 木原実

    ○木原(実)委員 これはなかなか公式には究明のできない分野が多いわけでありますけれども、しかしながら、たとえば韓国の問題等につきましても、かなり古くから日本の一種の情報活動が行なわれておる。場合によれば謀略活動にもひとしいようなことが行なわれたというようなうわさ、ないしは韓国なりあるいは朝鮮人民民主主義共和国のほうからのいろいろなそういう新聞記事、報道、そういうものが断続的にあるわけでありますね。そうしますと、その一つ一つの真偽についてはわれわれも残念ながら確かめるすべもございません、また、公式ルート以外にはそういうルートを持たないのだということの御答弁でございますから、究明のしようもないわけでありますけれども、しかしながら、私どもが一番心配をいたしますことは、情報活動というのは、御存じのように限界がないわけであります。しかも情報活動というのは、いろいろな作戦上にとりましては非常に優先をする問題でありますだけに、おそらくかなりな冒険もおかすことが、これはやや常識にもなるわけであります。そうなりますと、お調べになってそういう事実は明らかになったのだ、こういうことでありますけれども、休暇をとって職員が行ったんだ、こういうことだけで問題が解決をした、あるいはそういうことになるのかもわかりませんけれども、どうもやはり疑わしい。われわれ自身が疑念を持たなければならないというようなことについては、一つには慎んでもらいたいし、それから厳重にその辺のことをこれからも明らかにしていただきたいと思うのですが、あわせてお伺いをいたしておきたいと思いますけれども、韓国ないしはいま問題の沖繩あるいは南ベトナム等に対しまして、防衛庁の職員がどういう形で出張をしておるのか、そういう人数その他がおわかりでございましょうか。
  199. 中井亮一

    ○中井政府委員 沖繩につきましては、沖繩の第二次大戦の戦跡の見学、あるいは在米軍施設等の見学のために、毎年かなりの数が行っておりまして、昨年四十一年度は千二百数十名の者が行っておりますし、またことしも同じような数が、現在もそのうちの一部が行っております。そのほかに、ターターの射撃訓練のために「あまつかぜ」という自衛艦が先般行きまして、もう帰ってまいりましたけれども、そういうような事例がございますが、そのほかには、そういうような研修のような形で出張させているものは、ほかのところにはございません。
  200. 木原実

    ○木原(実)委員 南ベトナムについてはいかがですか。
  201. 島田豊

    島田(豊)政府委員 南ベトナムにつきましては、四十一年の八月に内局から一人と、それから陸幕一人、空幕一人、合計三名が軍事事情の視察に行った事実がございます。
  202. 木原実

    ○木原(実)委員 それはどこまでも軍事上の視察ということで、これはアメリカ軍に同行したわけですね。
  203. 島田豊

    島田(豊)政府委員 アメリカ軍に同行いたしたと申しますか、結局視察でございますので、いろいろアメリカ軍が案内役をしてくれたことは、おそらくあり得ることでございます。ですから、そういうことはあったと思います。
  204. 木原実

    ○木原(実)委員 そこで、情報活動の限界についてもお尋ねをしておきたいわけでありますけれども、国際的な関係と同時に、先ほどの治安出動の問題と関連をするわけでありますけれども、国内的な調査の問題です。これもいままでの御答弁の筋からいきますと、防衛庁が独自に調査をするということはほとんどない、こういうことですが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  205. 島田豊

    島田(豊)政府委員 先ほど申しましたように、調査隊が自衛隊を外部から防衛する、あるいは秘密を保全するというふうな目的のために必要な調査活動はやっておりますが、それ以外に一般的な情報を収集するというふうなことはございません。ただ、基地問題等が起こりました場合に、その基地問題につきましての正確な認識を持つという意味で基地周辺についてのいろんな情報を集めるということは、これはあると思います。それもしかし、直接というよりも、むしろ治安機関から情報をいただくということが主体になるだろうと思います。
  206. 木原実

    ○木原(実)委員 最後に、情報活動の対象として、気象あるいは地誌関係、そういうことから始まりまして、政治、経済、あるいは社会状態、そういうものまで調査の対象になさっておると思うわけでありますけれども、それがやはりどうも行き過ぎますと、かなり立ち入った分析をする、あるいはまた立ち入ったり介入をする、こういう側面も起こりがちであります。そうなりますと、私どもとしましては、冒頭の問題に戻るわけでありますけれども、防衛庁自身があるいは自衛隊内部の隊員の調査その他もするという面もありましょうけれども、外部に向かって独特な情報活動をやる、あるいはまた関係方面と連携をしながらやる、こういうことになりますと、必要であるといばえそれまでですけれども、ある意味では治安出動を前提にした、あるいは治安維持ということを前提にした、つまり自衛隊という軍隊が一般社会の中に介入をするということは、避けられないわけてあります。その点をおそれるわけでありまして、もう時間がまいりましたから締めくくりをしたいと思いますけれども、ひとつ長官お話を承っておきたいわけでありますけれども、情報活動につきましては、なるほど公式にはいままでお聞きしたとおりであります。残念ながらわれわれもそれ以上に突っ込んで公の場で追及をし、あるいは調査をする資料を持っておりません。しかしながら、とかくの話がちまたには流れておる。疑わしい動きもあるわけであります。したがいまして、これらの問題については若干の問題を留保いたしますけれども、ひとつ情報活動のあり方について長官の明確なお答えをいただきまして、きょうのところは終わりにさせていただきたいと思います。
  207. 増田甲子七

    増田国務大臣 国内における調査活動でございまするが、自衛隊として必要な限度にとどむべきことは御指摘のとおりでございます。厳重にその範囲を越えないように監督してまいるつもりでございます。  それから国外における調査活動でございまするが、主として外務省員としての自衛官の、昔のことばで言えばアタッシェでございますが、これはその国の軍事情勢を主として調査しておるわけでございまして、あとは経済、政治等の情勢は外交官自身がなさいまするし、また通産省からも出ておりますし、大蔵省からも出ておりまして、その国にどれだけクレジットを与えてよかろうとか、その国とどれくらい通商をやってよかろうとか、そういうようなことは、そちらの方面から調査はいたしておるのでございまして、私が防衛長官になりまして以来、外国に駐在しておる自衛官の身分を兼ねた主として外交官でございまするが、その調査活動というものは、ろくなものはございません。ろくなものはないと言うと、駐在している連中がおこるかもしれませんが、やっぱり大蔵省出身の者が向こうの駐在国の財政能力を調査する、通産省出身の方もおりますから経済能力を調査するというわけで、自衛官という身分を兼ねた外交官が経済、財政、政治その他万般のことは、ほとんど調査ができていないという状態でございます。私は、それでいいんじゃないか。結局総合的には、各官庁から外交官が出かけていっておりまするから、それらのものをやっぱり防衛庁にも情報を送ってもらいまして、そうして外国の情勢を知るということの責任と義務とがわれわれはあると思いますが、いまのところ、よその国における情報活動というものは、ろくにいたしていない状態でございます。
  208. 木原実

    ○木原(実)委員 それでは時間がまいりましたので、次会に持ち越したいと思いますけれども、どうぞその方面では、防衛庁の皆さんにお願いをしておきますけれども、あんまり必要以上に使命感をお持ちにならないようにお願いをいたしておきたいと思います。
  209. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、明五日午後零時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会