○木原(実)
委員 私は、実は
防衛庁
長官並びにきょう御出席の
政府委員各位には初めて
質問を申し上げるわけであります。たくさん
質問したいことがあるわけでございますけれども、本
会議の時間も迫っておりまして、時間がございません。そこで、問題を一、二にしぼりまして御
質問申し上げたいと思います。
これは先ほど同僚の武部
委員からも御
質問があり、それに対する
長官の御
答弁もございましたが、
一つは治安出動の問題でございます。これは
長官の御
答弁にもございましたけれども、われわれにとりましては、どうも治安出動に関連しての
自衛隊のあり方、こういう問題はきわめて重要な問題であろうかと思います。
長官は、何とか
自衛隊はお役に立ちたいのだ、そのために訓練をしておるのだ、こう申しておりましたけれども、訓練の
内容のこともさることながら、治安出動というものは、文字どおり
国民を敵にするわけであります。私どもが何としても許せないのは、この一点でございます。なるほど警察予備隊創設以来の伝統はあろうかと思いますけれども、しかしながら、
国民を敵にする訓練を公然とやっているという軍隊は、おそらく世界各国の軍隊の中でも、特定の植民地国等の軍隊等を除いてはないはずであります。そのことに関連いたしまして
長官にお伺いいたしたいわけでありますけれども、しからば、治安出動を必要とするような、あなた方の言ういわゆる間接侵略とは何か。いままでもいろいろ議論がございましたけれども、昨年の六月でございましたか、
長官が所属いたしております自由民主党で出した「
わが国の
安全保障に関する中間
報告」というのがございます。この中では、きわめて明確にそういうことが指摘をされておる。この中間
報告によりますと、安保条約の体制の中で、さしあたって近隣の諸国がいわば軍事的に侵略をしてくるおそれは比較的少ない、こういう分析の上に立ちまして、いわゆる間接侵略による危険性が実在をしておるのだ、こういう前提に立ちまして、実はこういうことが書いてあるわけでございます。「第一にあげねばならないのは、
わが国の政治的秩序と伝統的
国家観を破壊しようとする「革命工作」である。この脅威は主として、国外の政治勢力によって指導された「反帝・反米運動」である。かれらの世界革命戦略の上では、
日本の「解放」が
中心課題とされており、すでに強力な統一戦線工作を推進する行動に移っている。
厳重な警戒を要するものに、北鮮政権からの破壊的、革命的な工作がある。とくに
わが国に多数存在している北鮮系学校は、
わが国において反日教育、革命教育を実施し、このままでは将来
わが国に重大な脅威となろう。」以下こういう一連のことばが連ねてあるわけでありますけれども、これはきわめて危険な思想であると思います。私は、同じ党の出身である
長官の見解をこの場で正式に承っておきたいと思うわけでありますけれども、この文章の中にあるような間接侵略の危機というものは、一体ほんとうに実在をしておるのかどうか、あるいはまた、この文章の中では、明確に北鮮ということばが使われてあります。これは朝鮮民主主義人民共和国のことであろうと思いますが、これは先日の当
委員会におきましての
長官のおことばによりますと、
防衛庁は仮想敵国はつくらない、ただし侵略者だ、こういうことばで統一をしろという指示を
長官はなさったと思いますけれども、さてそうなりますと、あなたの所属されておる自由民主党は、明確に仮想敵国
——間接侵略者としての仮想敵国あるいは脅威をこういうところに求めておるわけであります。一体こういうことを
長官は承認をされて、自由民主党から選ばれて
長官におなりになったか、見解をひとつ明らかにしていただきたい。