運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-06-27 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十七日(火曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       内海 英男君    加藤 六月君       桂木 鉄夫君    塩谷 一夫君       高橋清一郎君    中尾 栄一君       橋口  隆君    村上信二郎君       稻村 隆一君    木原  実君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       吉田 之久君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         内閣法制次長  吉國 一郎君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁行政         監察局長    稲木  進君         文部省社会教育         局長      木田  宏君  委員外出席者         内閣法制局総務         主幹      角田礼次郎君         行政管理庁行政         管理局審議官  岡内  豊君         行政管理庁行政         管理局管理官  安達 為也君         科学技術庁原子         力局政策課長  成田 寿治君         文部省文化局著         作権課課長補佐 加戸 守行君         厚生省社会局保         護課長     曽根田郁夫君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 山口 真弘君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 六月二十七日  委員広沢直樹君辞任につき、その補欠として鈴  切康雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第一三四号)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  許可認可等整理に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 松平長官、今回提案されたこの法案は、もちろん臨調答申に基づく措置でありますけれども、この臨調答申に盛られている許可認可に関する具体的な整理方針、それに対して、今回の改正案で全体の五二・五%が整理されることになる、こういう行管の御意思でございますが、この今回提案されている法案に漏れておる、残りの四七%という未処理許認可事項に関する処理目標をどこへ置いておられるか、これをちょっと御答弁願いたい。
  4. 松平勇雄

    松平国務大臣 整理等が必要であるということで臨調指摘しておりまする許認可事項のうち、未処理のものにつきましては、昨年十月から行政監察を実施いたしまして、本年三月末に、すみやかに処理について具体的処置を要するもの百八十件について勧告を行なっておるのでございます。今回処理されないものについては、勧告の推進の方向で整理の促進をはかってまいりたい、かように考えております。
  5. 受田新吉

    受田委員 その整理目標をどこへ置いておられるか、御答弁願います、期間的にも。
  6. 稲木進

    稲木政府委員 今回のこの一括整理法によりまして整理ができますと、先ほど御指摘のとおりに、臨調指摘した案件の五二・五%が、一応結末がつくわけであります。残りの問題につきましては、先ほど長官のお話がありましたように、今後各省とさらに折衝を続けておるということでございまして、私どもの考えとしましては、先ほど長官の話がありましたように、この三月に各省勧告しましたものは、大体なるべく早くやる、しかもこの中には法律改正を要しないような許認可事項もございますので、こういうものは準備が整い次第一つずつやってもらおう、こういうふうに考えております。法律改正を要する問題につきましては、次の通常国会目標にして改正案を提出するような運びに進めていきたい、こういう目標を置いて考えております。
  7. 受田新吉

    受田委員 次の通常国会で残余の四七・五%を完全に整理するという方針であるということを伺いました。もちろん、御提案をされているこの法案参考資料として添付されている書類を拝見いたしまして、行管が、許認可事項整理について各省との間で非常な苦心の折衝をされていることも、一応うなずけるわけですが、行政事務簡素化するという目標から遠ざかってきた従来の繁雑なこの許認可事項というものをすみやかに片づけていくという意味で、次の通常国会全面整理を御確約を願えたと思うのですが、長官答弁を願います。
  8. 稲木進

    稲木政府委員 ちょっと、残りの全部を次の通常国会において解決するというところまでは、われわれ現段階でははっきり申し上げることはできません。ただ、残っておりますものにつきましては、これが全部期限を切って、いつ幾日までにということは、ここで御答弁申し上げることはできませんが、ひとつできるだけたくさんのものをやっていくということで処理していく、こういうことに御了承をいただきたいと思います。
  9. 受田新吉

    受田委員 この許認可事項整理をするのに、非常に難航をしておる事項があれば、この機会に御説明を願いたいのです、勧告その他で。
  10. 稲木進

    稲木政府委員 この臨時行政調査会指摘しました許認可事項の中で、各省立場からしまして、考え方からしまして、臨調意見にどうしても賛成できかねるというような項目が、かなりございます。それから趣旨においては、臨調意見に賛成である、しかしながら、それを実現するためには、相当準備期間を必要とする、こういう考え方でもっていましばらくそれを待ってもらいたい、こういうような考え方のものがございます。それから大体各省としても、臨調指摘しておる方法でやりたいのだけれども、そのためには、いわゆる事務的な準備手続が要る、あるいはその省の審議会等に一応はかってからやる必要がある、あるいは一つの省の問題ということじゃなくて、関係の省といろいろ協議をし、打ち合わせをした上でやらなければならないとか、そういうようないろいろなニュアンスがあるわけでございます。したがって、そういう点で、私が先ほどはっきり申し上げなかったのですが、特に各省臨調意見に同調できないというような問題につきましては、これは今後相当準備期間が必要じゃなかろうかというふうに考えております。しかし、それ以外の問題につきましては、これは時間をかければ大体実現できるのじゃなかろうか、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 行管勧告をされた許認可事項の中に、昭和四十二年六月三十日までに改善措置を講ずるように指摘されたものが、ここへ網羅されておるわけです。六月三十日といえば、もう三日しかない、その間に法案を出されて、そしてあと三日後に処理される勧告で、すでに行管が報告を受けている勧告対象事項は何があるか、御説明を願いたいのです。
  12. 稲木進

    稲木政府委員 期限づきで勧告いたしましたものが、法律関係でたしか四十四件あったと思うのでございますが、その中で、各省とこの勧告趣旨どおりに実施しようということで話し合いのついたものが、今回の一括整理法に盛られているものでございます。残りの二十二、三件のものにつきましては、勧告いたしましたけれども、この法律改正手続を経るまでには話し合いが煮詰まらなかった、こういうものでございます。それから期限つき勧告しましたこの法律関係のもの以外に、政令その他の行政措置でもって実施可能なものが、二十一件ございます。これにつきましては、法律改正手続が必要でございませんので、各省でひとつその期限、六月三十日までに改善措置をとってもらいたい、こういう勧告をいたしたわけでございます。これにつきましては、その後どの程度に実現しておるかということは、現段階ではまだ私どもも確認いたしておりません。  なお、六月三十日ということをめどにいたしましたのは、この法律改正を要する問題につきまして、今国会が六月三十日までの会期ということに当初予定されてきておりますので、少なくとも今国会においてこの問題を解決したい、こういう趣旨で六月三十日ということにピリオドを一応打ったわけでございます。したがいまして、今後国会情勢等によりまして、六月三十日ということできちっと片づくものかどうかという点につきましては、われわれ今後の情勢によって考えていく必要があろうかというふうに考えております。いずれにしましても、一つの時期的なピリオドを打って、そうしてめどをつくっていくというのが、六月三十日の日にちの意義でございますので、さように御了承願います。
  13. 受田新吉

    受田委員 大体この許認可事項は、行管みずからが指摘されているように、各省にまたがっている。その各省にまたがっているものを、行管一括整理されるという役をお持ちになっておられる。したがって、各省セクト主義というものが、必ずこの間にひそんでおる。行管が強権を発動しても、言うことをきかぬ役所もある。行管苦労は私一応よくわかるのでございまするが、そこで行管の独特の設置法規定に基づく権限をこの機会に強大に発揮していただきたい。したがって、大体これを見ると、各省改正法案を出すべき性質のもので、とっくに処理しておかなければならぬような問題を、ここで行管一括整理苦労を背負っておいでになるように私は見るのです。これは当然各省がやらなければいけぬわけです。たとえば文部省関係などで、予約出版法廃止するというようなことは、これはもう文部省がやる仕事です。この許認可事項に便宜的にこの法律廃止をうたうような姿というものは、好ましい姿ではない。これは本則を誤っておる。私はさように考えるが、いかがですか。
  14. 稲木進

    稲木政府委員 御説まことにごもっともであります。この許認可事項整理等につきましては、本来各省がそれぞれ法律改正案国会に出していただくということが、われわれとしても最も望ましいというふうに考えておるわけでございますが、何しろこの法律改正をするにしましても、その改正内容がある特定許認可事項だけにかかわっておるわけでございます。やはりそういうふうになりますと、各省としましては、別にそれぞれの重要政策等についての法律国会提出という問題もかかえておりますし、いろいろと事務的に、何といいますか、そのある特定許認可だけの問題のために法律改正を出すということは、なかなか踏み切りがたいような事情もあるわけでございます。私ども行政管理庁としましては、やはり行政管理庁の使命として、各省行政のいわば総合的な企画、調整といいますか、そういうような任務を負わされておりますし、また行政監察として、各省の業務の運営について、常時運営改善をはかるための監察を実施しておるわけでございます。そういう立場からしまして、やはり各省に、そういう許認可等の問題について改正する案件がばらばらであちこちにあるというような場合に、こういうような一括整理法等方法等によって国会で御審議いただくということも、行政改善をはかるための一つ方法として適当なんじゃないかというような考え方でもって、各省話し合いの上で、こういうような方法をとったわけでございます。
  15. 受田新吉

    受田委員 予約出版法という法律は、許認可一本である、こういう御説明でございましたが、そうですか。これは法律もここで参考として出されておるが、この文章を見ると、許認可ばかりですか。
  16. 稲木進

    稲木政府委員 予約出版法そのものに書いてあることは、許認可事項ばかりではございません。
  17. 受田新吉

    受田委員 そういう法律廃止を、この許認可事項整理に便乗して法案をお出しになっているということは、これは筋違いではないかと思うのです。これは予約出版法廃止を別の形で提案されるべき性質のものではなかったかと思うのですが、いかがですか。
  18. 稲木進

    稲木政府委員 先生のおっしゃる意味は、私もよくわかるわけでございます。この趣旨は、許認可整理ということが主眼になっておりますけれども、要は、その法律によるいろいろな行政手続その他のきめられている事柄が、現在の社会経済情勢から見て必ずしも適当じゃない、適合していない、そういう角度で、いろいろな問題がここに整理だとかあるいは統合だとかいうふうな必要があるということで、臨時行政調査会も取り上げておるわけでございます。そういう意味からしまして、予約出版法自体許認可の問題だけを書いてあるわけではございませんけれども、やはりそういうような行政手続というものは、現在の情勢から見て不必要であるという観点で、予約出版法廃止ということを臨時行政調査会も取り上げておるわけでございます。したがって、ここでこの一括整理法名前としましては、許可認可等整理に関する法律案ということになっております。いわば「等」というところで広く解釈するというような考え方をとっておる。したがって、ここに書いてあるのは、ただ単に許認可事項だけの問題ではなくて、もう少し幅の広いもの、行政手続簡素化能率化、こういうような観点ですくい上げることが可能なものは、一応この中に入れてもさしつかえなかろうじゃないか、こういうような考え方で私どもおるわけでございます。
  19. 受田新吉

    受田委員 許認可等の等でごまかしたようなかっこうでいま説明されたわけですが、この法体系というものは、一応筋を通すべきだ。許認可関係のある法律だから、等の中で一括処理をしたい、こういうおぼしめしについては、一応あなた方のお立場としては理解できない節がないわけではないのだけれども予約出版法という出版業界にとっては一応大事な法律というものを、この許認可の中で片づけていくというのは、これは原則的には筋違いだ。長官、そうなんですよ。文部省まだ来られませんね。——来られたら一つ確認せねばいけぬことがあるけれども、この予約出版法という法律を見ると、これはずいぶん古い法律で、明治四十三年にできた法律、私が生まれた年にできた法律なんです。これはくしくも明治は遠くなりにけりの末期に、日韓併合のときにできた法律です。そいつがいま生きておって、これを読むと、第四条にはちょっと許認可と違うやつが出てきておる。「発行者ハ其法定代理人ハ第二条ノ届出ト同時ニ保証金トシテ管轄都道府県教育委員会ニ左金額納ムヘシ」これは戦後改正された節ですが、予約定価十円未満という本が、いまあるかないかということです。世の中にこんなものがあるか。予約定価が十円以下の書物があるかないか。あなたは整理される以上は、担当局長としてこれをお調べになりましたかね。
  20. 稲木進

    稲木政府委員 まさにおっしゃるとおり、十円未満の本はほとんどないと存じます。そういう意味で、この法律に書いてあること自体が、現在の社会情勢に全く適合していない法律であるというふうに考えております。
  21. 受田新吉

    受田委員 とんでもない法律が、長官、あるのです。新聞夕刊一部代金の出版物というものが、これを出すときには五百円ほど納めるのだそうです。とんでもない法律です。これがいままで生きていたというそのことがおかしいので、私たちもうかつであった。国権の最高機関であり、唯一の立法機関が、ちょっとうかつであったけれども、いまこれを見直したときに、おそらく世間でこういう法律があるということを知ったときに、予約定価十円以下の書物というような——表紙だけでも二、三十円はかかるのに、そういうものがここへ残っておる。そして予納金という制度がここに生まれているのです。そして「保証金ハ命令以テムル種類有価証券以テニ充ツルコト」ができる。五百円の有価証券というものは、どんなものがあるか、御答弁を願いたい。
  22. 稲木進

    稲木政府委員 ちょっと私もよくわからないのですが、そういうような有価証券というものはないこともないと思いますけれども、いずれにしましても先ほど申し上げましたように、現在のこの法律は、非常に御指摘のような点で社会経済情勢に全くそぐわないものである。しかもそれが放置されておる。しかし、この法律自体は一応現在まで生きておるわけでございますので、たとえば人事録だとかあるいは興信録というようなものの出版の際には、この法律による予約出版として、この法律手続を経て発行されておるものがあるわけでございます。ところが、こういうようにしてこの法律によって届け出が行なわれたということにより、あたかもその出版自体について文部大臣が何か内容にまで保証を与えているのだというような、いわば世間的な印象を与えるような形になっております。そういう意味からいいますと、ただ単に時勢に合わなくなったということだけじゃなくて、この法律そのものを生かしておくことにむしろ弊害もあるのじゃないか、こういうような観点で、やはりこの法律廃止すべきである、こういう考え方を持っておるわけでございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 廃止すべき理由は幾つもあるのですが、その罰則規定がここに一つある。それは届け出期間の十日以内というやつを怠った場合「第五条ニ違反シタル者ハ五十円以下ノ罰金ニ処ス」という、五十円以下の罰金というようなものがあるのかどうか。ちょっと株式などで端株というものがあって、五十円額面の端株十株券というものは、売買市場にないわけなんです。それを五百円の有価証券と見ればこの中にあるかもしらぬけれども、五十円以下の罰金というのが、五十円以下ですから、十円でもいい罰金ですが、これはあなたが整理された責任者として、文部省からきょう説明を願いたいのですが、あなたからも調べられたと思いますけれども、五十円以下というような罰金はいま生きておるかどうか。これはどこかにいまごろ五十円以下という罰金があるか、ないか。
  24. 稲木進

    稲木政府委員 この罰金五十円以下の問題でございますが、これは罰金等に関する臨時措置法ですか、何か、それによって、五十円以下となっておりますけれども、二千円以下に改まっておる、こういうふうに私は了承しております。
  25. 受田新吉

    受田委員 それなら「五十円以下」は二千円とするというように改まっておるというが、その根っ子法律がここに生きておるのです。これは現実にこういう制度がいま法律の上に生きておるのです。そのこと自身を改正していなければならぬのです。行管は、いままで文部省行政にあまり関与していなかった、勧告もしなかったわけですね。五十円以下の罰金があるのはおかしいじゃないかということを勧告したかどうか。
  26. 岡内豊

    岡内説明員 私からちょっと補足して説明させていただきますが、文部省関係法律に限らず、罰金一般につきまして臨時措置法というものができておりまして、一々法律改正しなくても、書いてある金額について何倍かにする——ちょっと私忘れましたが、そういう法律が出ておるわけでございます。これは文部省だけに限らないわけでございます。いろいろな行政法規罰金規定がございまして、それを一括して値上げをする、こういう法律が出ておるわけでございますので、一々その法律改正手続をとらないで、そういう便宜的な措置をとっておりますので、これは文部省だけに限らないということでございます。
  27. 受田新吉

    受田委員 これはやはり法体系をくずすものですね。原拠法律に五十円以下の罰金があるが、それは臨時措置で二千円にみんな切り上げるのだというような行き方というものも、これは法制局第四部長さん、こういうことで原拠法律にある規定を、かってに別の法律で五十円とか二千円以下を全部二千円と見直すものであるということで、基本法改正せずして、そういう別の法律罰金金額を直すことができて、元の法律が生きておる。この文句を内閣法制局としてどう御判断されるのですか。
  28. 角田礼次郎

    角田説明員 御指摘のような点は確かにあると思いますが、昭和二十三年当時に、当時の経済情勢の変動に伴いまして、罰金あるいは科料の額等を一斉に改めるという方針を立てたわけでございます。そして先ほど答弁がございましたが、罰金等に関する臨時措置法という法律が定められまして、個々の法律を一々直すということの煩を避けるということが一つ。それから同時にもう一つには、万一それが整理漏れというようなことがあっては非常な不均衡になるというようなことも考慮されたんだろうと思いますが、そういうわけで、特別にそれぞれの法律でむろん直すということはいたしたわけでありますが、それ以外の残ったものにつきましては、いま申し上げた臨時措置法で、一般的に二千円とするというふうに一応手当てしたわけです。むろんこういう措置がいつまでも残るというのは、決して法のあり方として好ましいことではないと思います。現に罰金等臨時措置という名前の示すとおり、あくまで臨時措置でありまして、その後新制度による法律につきましては、当然現在の経済事情に即した適当な金額が定められておりますし、また既存の法律につきましても、何か改正機会がありましたときには、そういう罰則の面というような面もあわせて直すというような措置をとっております。こういうものはだんだん少なくなっておるわけです。しかしながら、たまたまいま問題になっております予約出版法のごとき、長い間改正措置がとられずに今日まで放置といいますと語弊がありますが、そのままになっておりましたような法律につきましては、結局罰金等臨時措置法の上に乗っかってきて、いまのようなことになるわけであります。しかし、いま御指摘のように、当該法律を見た者が、非常に誤解をするという危険性は多分にあるわけです。こういう点につきましては、御指摘のように、できるだけ機会をとらえて現在の妥当な金額そのものに漸次直していく、こういう措置をとりたいというふうに考えております。
  29. 受田新吉

    受田委員 あなたは非常にいいことを言われました。これを見ると、五十円ぐらいの罰金だからたいしたことないと思ってなまけたのですね。そうしたら二千円取られた。これはちゃんと五十円と書いてあるじゃないかとやられたときに、いや別な法律があるなんて、国民をごまかすものですね。国民をごまかすために国会はいろんな法律をつくっておるということになる。やっぱり原拠法律にきちっと罰金金額を明記しておかないと、読む人は予約出版法を読んで、届け出を怠ったが、五十円で済むと思ったら、千九百五十円別のほうから出さなければいかぬというような被害を受けることになる。法律に忠実ならんとすれば、とんでもない被害を受けるということになるわけでありますね。これはどうも、何か日本の法律の体系の中に、変なところでぼこっと整理していくというような傾向があるのですが、部長さん、私ここでちょっと指摘したいことがあるのです。それは、ポ政令というものがある。ポ政令は、昭和二十七年、独立国になったときに、一斉にポ政令法律とみなすという法律を出した。そこで、いま出入国管理令とか物価統制令地代家賃統制令というような令が、法律としての効力を有するようなかっこうになっている。しかし、だれが見ても、令となっていると、政令としか思わない。政令かその他の省令とかいうものとしか見ない。ところが、それは法律とみなすということになっている。私は、もともとポツダム宣言の受諾に伴う政令法律とするというこの措置は、占領の落とし子国民の中に生きておるという意味で、非常に遺憾です。もうこういうポ政令ポツダム政令をそのまま法律とみなすということをやめてしまって、法律にすればいいですよ。そのものずばり法律にしていくべきだ。この間法務委員会でもそれを指摘したら、法務大臣はさっそく出入国管理令改正することに着手すると言明して、その晩から作業にかかっておるようであります。私の発言と同時に、その晩直ちに仕事にかかっておる。これは感激法務大臣だから、そうやっておる。感激せぬ方々では、そのままこの委員会を乗り切ればいいと思っている傾向がある。私は、田中法務大臣に深く敬意を表する。このあたりでポ政令法律とみなす事項を改めて、——いま指摘した出入国管理令物価統制令あるいは地代家賃統制令といういまわしいあれは、二十幾つかあったと思う。あの命令を全面的に法律に切りかえて、占領の印象を抹殺することを法制局考えるかどうか、御答弁願いたい。
  30. 吉國一郎

    吉國政府委員 受田委員のただいままでのいろいろの御議論を承っておりませんので、あるいは的のはずれたお答えを申し上げるかもしれませんが、いまお話しのように、いわゆるポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件、昭和二十年勅令第五百四十二号に基づきます命令が、現在まだ生きておりますものが四十数件ございます。これは昭和二十七年の第十三回国会ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律を提案いたしますと同時に、事項別に、あるいは各省別に、たしか十数件の法律を提出をいたしまして、その四十数件のポツダム命令については、これが法律としての効力を有するような措置をとる旨の法律案を提案いたしたわけでございます。幸いにして第十三回国会にこれが成立をいたしまして、その四十数件のポツダム命令が、今日まで法律としての効力を持ち続けておるわけでございます。ただし、たとえば出入国管理令でございますとか、物価統制令でありますとか、あるいは連合国財産の返還等に関する政令とかいうような名称でございまして、すべて当時の勅令あるいは政令でございます。中には省令が法律としての効力を持っておるものも二、三ございます。このようなものが法律としての効力を有するということは、法令整備の上からは確かに望ましくない点がございますけれども、ただいままでの私ども考え方といたしましては、この内容に不備な点を生じて時勢の進運に合致しないような点が生じたものにつきましては、当然内容改正をいたしますわけでございますので、その際に法律として全部書き改めるということをすべきでございましょうが、その内容がそのまま現在の段階に適応できるというものでございますならば、これをあえて法律改正するほどの必要はないというのが、いままでの考え方でございます。もちろん担当の各省におきまして、これをあえて法律として書き直したいというような考え方で立案をして案を持ってまいりますならば、内閣法制局といたしましては、これを審査するにやぶさかでございませんけれども、内閣として統一的にこれを法律として書き改めるというまでの必要はないのではないかというのが、現在までの考え方でございます。ただ、法令整備という点から申しまして、先ほど申し上げましたように、やや適当を欠く点があることは認めておりますので、ときどき検討はいたしておるような次第でございます。
  31. 受田新吉

    受田委員 いまの昭和二十七年四月十一日の法律第八十一号でできた、このポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律、この名前そのものがいやな話なんで、自主独立国家として、どこかにこういう名称を用いるような法律があるということ、そのもの国民はいやがっておるのです。いま次長さんは、統一的に内閣としてはやらぬとおっしゃったけれども、私、いま二十幾つあると思ったら、四十幾つあることになっておる。これはまたずいぶん余分に出てきた話で、こういう法律があるということは、これは残念ですよ。これは行管仕事でなくて、法制局仕事ということになると私は判断するのだが、いま各省にまたがるものを内閣としてはやる気はせぬ、それぞれの役所でやるならやればいいのだ、こういうようなことでございますが、内閣法制局長官は閣議にも列席される重要なポストにあられる。とかく御用法制局といわれて、世間で批判を受けるこじつけ理論もときに展開されるおそれがある。日本が占領の支配に属するようなポ宣言の印象を、占領下にできた命令をそのまま法律とみなすというようなことでなくして、もうこのあたりで遠慮なく自主独立国家にできた法律として、新しくこれをやり直すということが必要ではないか、もっと勇気を持って次長さん、吉國さん、ひとつがんばられる必要があると思うのです。私は、いま非常に弱い御発言を承って、内閣法制局に対しての期待が非常に薄らいだ。国務大臣として松平長官の御答弁をいただきたい。
  32. 松平勇雄

    松平国務大臣 国務大臣としての答弁ということでございますが、私のほうの所管ではございませんので、責任ある御答弁は申し上げかねますけれども、しかし、サンフランシスコ条約も済んでからすでに長い期間たっておりますし、もう戦争という問題に関して国民はなるべく離れたいという気持ちもあるわけでございますので、そういった感情から考えますると、やはりこういったポツダム宣言云々というような名称のある法律は、なるべく早い機会になくしたほうがいいというような考え方を持っております。
  33. 受田新吉

    受田委員 これはやはり士気に関係する意味で、あなたの行管の職務権限の中にも、そういう自主性を十分回復する意味の任務があると私は思うのです。これは行管の任務からも、そうした法律の適用を受ける各省でございますので、ひとつ御検討を願う責任——一方国務大臣としての責任をいまはっきり言うていただきましたので、おそらく近い機会にこれが具体化するであろうことを期待しておきます。  そこで、吉國次長さん、私はいまの許認可整理法律整理ということを一緒に、これはつながりがあるからお尋ねしたいのですけれども、官吏服務紀律というのがある。これは国家公務員法ができても、現存しておると私は判断をしておる。官吏服務紀律あるいは官吏分限令、こういうものは生きておる。こういうものは新しい法律でそれぞれの職員の任務をうたうべきものであって、古いかっこうのものが、法律に類するものがいま生きておる。太政官布告のようなものも、生きておるものもある。旧憲法施行前の法律で生きておるものもある。民事訴訟法みたいに生きておるものもある。こういうようなことで、私もちょっと調べてみたところ、ここで新しい国を挙国体制で盛り上げようとする段階で、古いタイプのこういうものがいまの法律に残っておる、あるいは法律に準ずる規定として残っておるということには、疑義がある。もう一つ、戦前の法律は、全部かたかなで文語体で、しかも法律に目的がうたってない。目的というものがはっきりしない。たとえばこの間もここで大蔵大臣と議論したのです。これは法制局仕事になるから、今度あなたにお尋ねしておきます。大蔵大臣はのらりくらりと逃げ回っておったけれども……。相互銀行法ということになると、昭和二十六年にできたあの法律は、はっきりと、相互銀行の法律目的は国民大衆の金融の円滑な調整をはかるという趣旨でこれができておる。ところが、銀行法のほうには何ら目的がうたってない。銀行法と相互銀行法は、戦前と戦後で、同じ銀行形態であってこんなに違うのかと思って——法律の体系の上において、何かの形で近代的法律の条文に書き直す、これはたいへんな作業であるが、古いタイプの法律の文章と新しい法律の文章とには、国民そのものが非常に大きな差異を認め、いまの法律に非常に親しみを感じておる。これは許認可と並行する問題であるが、これについても、法律の体系を近代的国家の法律体系として組み直す御意図はないか。この二つを御答弁願いたいのです。
  34. 吉國一郎

    吉國政府委員 まず第一に官吏服務紀律についてでございますが、官吏服務紀律は、現在は形としては効力を有しておりません。と申しますのは、日本国憲法の施行の際に効力を有しておりました命令の規定法律事項内容としておりますものは、昭和二十二年十二月三十一日まで効力を有しておりまして、その後は効力を有しないということに、これは日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律というものによって、さような処理をされております。官吏服務紀律は、官吏の服務に関する事項について規定をしたものでございまして、官吏に関する事項は、憲法の規定等に徴しまして法律事項であると認められておりますので、官吏服務紀律は昭和二十二年十二月三十一日限りで失効いたしております。ただ、一般職の官吏につきましては、国家公務員法の規定で服務の詳細な規定がございますが、いわゆる特別職につきましては、国家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏その他政府職員の任免等に関する法律、これは昭和二十二年法律第百二十一号でございますが、この法律規定によりまして、特別職につきましては官吏服務紀律の規定がなおその効力を有すると申しますか、従前の例によるということで、官吏服務紀律と同じような規定に服するということになっております。  次に、法令整備の問題でございますが、受田委員仰せられますように、日本の法律は、現在時期的に分けてみますと、新憲法施行後の法律、これは日本国憲法の規定に従って国会の両院の議決せられたところによって法律として成立したものがございます。それから旧憲法時代の法律、これは旧憲法時代の帝国議会の協賛によりまして天皇が裁可せられた法律、さらにそれ以前の、旧憲法施行以前の法律が若干ございます。御指摘のように、民事訴訟法あるいは民事訴訟費用法等数件の法律が、旧憲法施行以前に、当時の太政官あるいは内閣のもとに法律という名称をもって制定されておりますが、手続におきましては議会の議決によらないものでございます。そのような時代的には三種類のものがございますし、文体につきましては、戦前の法律はすべてかたかな、文語体でございます。新憲法が公布せられました時期から、法令はすべてひらがな、口語体というかっこうで今日に至っておりますが、戦前のかたかな、文語体の法令が非常な格調を有していたというような長所もあるという学者もございますけれども、何と申しましても民主主義の国家におきましては、国民の理解に便である、非常に平易で国民の理解を容易ならしめるということが、民主主義の国家の法令の基礎的な考え方でなければならないということから、戦後の新憲法公布前後から後の法令はすべてひらがな書き、口語体を用いておりまして、これは両者を対比いたしますと、全くその間に大きな相違がございます。また文体ばかりでなく、法令の規定のていさいにおきましても、従来はあるいは解釈にゆだね、あるいは解釈通達等によって処理をいたしました事項も、できるだけ法令の上に明らかにするというつとめ方をいたしておりますし、法令の目的を明らかにし、あるいは法令上の用語の定義を明らかにするとか、許認可等行政処分の基準を明らかにするとか、いろいろ手段を講じております。このような形で、戦後の法令が望ましい形に——完全に望ましい形になっておるかどうかわかりませんが、理想に近い形態になっておるであろうと思いますが、このような形のものにすべての法令を整備したらどうかということが、受田委員の御主張であろうと思いますが、私どもも、法令整備につきましては年来心がけておるところでございまして、数年前にも一ぺん法令整備というものを各省別にやったことがございます。もうすでに効力を失っておるような法律廃止するし、非常にわかりにくい法令は書き直すということを旨といたしまして、各省別に処理をいたしたわけでございますが、いまだにかたかな、文語体の法律相当程度残っておるような状況でございます。一番基本法でありますところの民法の前三編、商法、刑法、民事訴訟法等がかたかな、文語体であることばかりでなく、相当多数の一般法令がかたかな、文語体になっております。各省とも、これの整備につきましてはそのときどきに努力をいたしておりまして、先ほど御指摘のございました銀行法系統につきましても、昭和二十八年でございましたか、金融業法というものに全部統括いたしまして、わかりやすい法令に書き改めるという試みもいたしたことがございますが、諸般の利害関係が錯綜いたしまして、ついに実現を見るに至りませんでした。しかしながら、私どもも始終努力をいたしておりまして、できるだけその理想の形に近づくように、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  35. 受田新吉

    受田委員 その暫定的な措置として、古い法律の文章はアラザルベシというのがアラサルヘシとなっている、濁点が打ってない、サルヘカラス、これをひらがなに直して、濁点は濁点として打つ、そして適当に句読点を送るということにしておけば、非常に法律が読みやすくなる。それを一括して、法律でかたかなは全部ひらがなに変え、そしてそれは濁点、半濁点をつけること、そして適当な句読点を送るということにすれば、一つ法律でできるわけです。全部書き改められるじゃないですか。簡単に、いまのように、罰金を二千円以下を二千円に整理するのですから、簡単なことです。一つ法律でできる。そうして国民に親しまれる。それは格調が高いというけれども、アラサルヘシみたいなのは、格調はちっとも高くない。いかがですか。
  36. 吉國一郎

    吉國政府委員 かたかな、文語体の法令を整備するにつきまして、非常に斬新な立案の方式を御教示いただいたわけでございまして、私ども研究してみたいと思いますが、ただ濁点、半濁点の点につきましては、従来明治時代に制定せられました、たとえば商法の一部の規定は、確かに御指摘のように、スベシというところはスヘシと書いてございます。あるいは「及ビ」というのは「及ヒ」と書いてございます。そういうような点はございますが、これは現在の取り扱いといたしましては、すべて濁点が付せられたものとして取り扱うということで、たとえばその法律改正する場合に、「何々スヘシ」を「何々スベシ」に改めるということで、すでに濁点が打ってあるものとして取り扱うようなしきたりになっておりまして、この点は両院の法制局もさように扱っておられるはずでございます。したがいまして、法令の編さんの技術といたしまして、このような形にするように法令の出版方面にも働きかけておるわけでございますが、そのほかの句読点を打つというような点につきましては、句読点は、はたしていかなる部分に打つかということにつきまして、またいろいろ議論を生ずるような点もあるかと思いますが、なおよく研究してまいりたいと思います。
  37. 受田新吉

    受田委員 句読点を打つというのは、ちゃんと近代的なかなづかい用法が文部省から示されておる。それによってやればいいのですから、ちっとも苦労は要りません。それだけでも、もう非常に近代的な印象を受けることになる。現実に原拠法律は、みなアラサルヘシです。いまあなたが改正部分についてだけ指摘をされたのだけれども原拠法律はみなそうなっている。これをいまのようなかっこうで、暫定措置として一歩前進をおとりになる御検討を願いたい。  それからもう一つ文部省加戸さん、たいへん済まぬことですが、あなたのお役所でやらなければいけない法律廃止が、許認可整理されようとしておるわけです。この予約出版法で、この法の規定に基づいて、あなたのところで扱われた予約出版手続をされたのが、どれだけあるか。予納金十円未満が五百円、それから十円以上千円という予納金を納めたのが、この一カ月間あるいは過去十年の間にどのくらいあるか、そこはあなたにおまかせしますが、この予約出版法に基づいて罰金の処断を受けたのがどれだけあるか、具体的な数字をお示し願いたいと思います。
  38. 加戸守行

    ○加戸説明員 御説明申し上げます。現在までの処理件数と申しましても、これは実はこの法律ができましたのは明治四十三年でございまして、戦前は内務省が所管いたしておりました関係上、文部省に引き継ぎまして、以前の、戦前の件数等についての状況は把握いたしておりません。ただ最近の件数について申し上げますと、昨年度、四十一年度が十三件、昭和四十年度、一昨年が二十二件、昭和三十九年度、一昨々年が十五件、平均大体年間十数件という数字でございます。ただ、現在までにこの予約出版届け出に基づきまして保証金を保管しております状況が、予約を履行した者が返付し、履行しない者が滞っているわけでございますけれども、現在各都道府県教育委員会で保管しております金額が二十五万四千円、つまり二百五十四件でございます。この全部が金額予約定価十円以上の、つまり千円でございまして、金額十円未満のものはございません。かようなことであります。
  39. 受田新吉

    受田委員 それから罰金を受けたもの……。
  40. 加戸守行

    ○加戸説明員 失礼いたしました。私どもの関知した限りにおきましては、罰金の適用のケースはないように存じております。
  41. 受田新吉

    受田委員 年間十数件の騒ぎですか、実際の予約は。
  42. 加戸守行

    ○加戸説明員 はい。
  43. 受田新吉

    受田委員 そのくらいしかないですか、現実に。
  44. 加戸守行

    ○加戸説明員 はい。
  45. 關谷勝利

    關谷委員長 不規則発言をしないように、質疑を速記のとれるように……。
  46. 受田新吉

    受田委員 現実にこの届け出をしないで予約出版をしている者がおるかおらぬか。厳重に監視しているかどうか。
  47. 加戸守行

    ○加戸説明員 いま質問を聞き漏らしましたけれども……。
  48. 受田新吉

    受田委員 罰則の適用を受けた者がどれだけおるかということと、それからこの予約出版法の所定の手続を経ないで、やみに葬って出版をしている者はないかということです。
  49. 加戸守行

    ○加戸説明員 罰則の適用につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもの関知いたした限りではございません。おそらくないものと考えられます。ただ、現実には予約出版届け出をいたします者が、人事録とか、興信録、紳士録といいましたようなたぐいの一般の職員名簿あるいは社会人名簿、そういったようなものでございまして、これに文部大臣届け出をいたしまして履行している者が年間十数件ございますけれども、これ以外にも相当数あるということは予想されますが、私ども承知いたします限りにおきましても、ある程度社会的に行なわれているような状態は、実態としてございます。また、各都道府県からもそういうようなものはいかがしたらよろしいかというような問い合わせもございまして、法律が、この予約出版法廃止に関しまして行政管理庁のほうからも御説明があったと思いますが、罰金額が低くなり、あるいは予約出版法が当初意図しましたような実効を期しがたい実情におきましては、この法律廃止する方向にあるということだけで、積極的な指導をいたしておりません。さような状態でございます。
  50. 受田新吉

    受田委員 文部省はずるいですね。これはあなたのお役所が持っている法律です。それを廃止するというのにもう大賛成だというなら、早くこれは整理されるべきです。それから予約出版全集というものは、どういう扱いになっておるのか、こんなものは予約出版の中に入らないのか、それは数限りなく出ているのか、それはどうなっているのか。もう一つ予約定価十円以上のものしかない。十円以下はないというならば、このあたりで予約定価を、たとえば千円以上あるいは千円以下というように、途中で改正すべきじゃなかったか。いまごろ定価十円以下の予約出版物が、興信録みたいな中にあるかないか。ありもせぬようなことが現に生きているようなことをしないで、途中でこれは当然文部省提案で予約出版法改正案を出される筋であった。それは全然十円未満のものがない。これは架空の規定である。時宜に適しておらない。だから、予約定価千円とか、あるいは三千円とかということで区切りをつけた改正案をとっくに出しておらなければならなかったのに、なぜなまけたかということで、文部省の職務怠慢です。法律事項というのは大事なことなんで、それを軽々しくあってもなくてもいいような考えで残しておかれたのか。それで改正するということは筋が通らぬと思います。文部省はどうですか。人格高潔な方々でお占めになっておるので、こういうことに御遠慮されておったのですか。御答弁願います。
  51. 加戸守行

    ○加戸説明員 第一点の全集ものにつきましては、この予約出版法制度が、代金を前取りいたしまして、予納いたしまして、その代金をいただいたあとで全集を発送する。そういったような制度に対する規制でございます。現在行なわれております大きな出版社の全集等につきましては、予約金といいますか、そういうものを取るシステムを採用しているものが少のうございます。したがいまして、この予約出版法の規制の対象になっていないものがほとんどではないかと考えます。  それから第二の予約定価十円というものにつきまして、なぜそのまま放置してきたかという御質問でございますが、先ほども説明申し上げましたように、予約出版法が成立いたしまして、当初は立法の目的あるいはその法の実効を期せられた面もあったのでございますが、終戦直後貨幣価値が急激に変動いたしまして、またこの予約出版法の規制の目的自体が、現実には予約出版届け出をすることによって文部大臣認可とかあるいは文部大臣許可というような、むしろかえって文部大臣のお墨つきをいただいたという方面で利用するというような傾向が一般的でございました関係上、このような規制を、予約定価を上げあるいは罰金等も上げることによってなお法律の実効を期するという点から申しますれば、予約出版物以外にも、たとえば一般の商品等についても同じような問題があり得るのじゃないか、なぜ出版物だけについてこのような規制を加えるのか、かりに出版物に規制を加えるといたしましても、新聞、雑誌にも同じような規制を及ぼすべきではないかというような意見もございまして、延び延びに放置されてきたというのが実情ではないかと考えております。
  52. 受田新吉

    受田委員 延び延びに放置したというのは、筋が通らぬですよ。これはずるいですよ。いま許認可等整理法の中でこれを出すのは筋違いだ。文部省がやる仕事なんです。文部省が、十円以下というような全然ないようなものを、いまの時勢に合わぬようなものを、そのまま生かして今日これを採用しておられるということは、もう間違いなんで、文部省は、これを見ると、氷山の一角で、ほかにいろいろなものがあるのじゃないかという不安を抱き出してしまうのです。十分御注意を願いたい。あなたのほうは、それでは御苦労さんでございました。  それでは、時間がまいりましたので、最後に基本的な問題に触れます。  各種の審議会を十分整理して行政機構の簡素化に処したいというのが、行管の大きな使命であると思いますが、昨年私がこの国会指摘したとおり、この審議会は、昨年三十四でしたか、整理した。ことしはどうして整理しないのか。国会議員が入るとか入らぬとかで米価審議会が大いに騒ぎ立てておるが、一体ことしはなぜ審議会の整理をおやりにならないのか、何か気がねがあるのでございますか、行管。つらい立場がおありならば、苦衷を訴えていただきたい。
  53. 松平勇雄

    松平国務大臣 審議会等整理につきましては、御指摘のとおり、昨年三十四行なったわけでございますが、引き続いてこの整理をやる考えでございましたが、今年度は特に特殊法人と部局の統廃合に関しまして主力を注いでおりました関係上、この審議会の整理の方面が多少おくれておるのが現状でございまして、ただいま行政改革本部を中心に検討を進めておるわけでございまして、運営改善の問題も含めた法律案を次の通常国会にはぜひ提出できるように、ただいま作業いたしておりまして、現在の段階では次の国会に提出するように努力をいたすという所存でございます。
  54. 受田新吉

    受田委員 審議会の議論はひんぱんにやられておることだし、もう答えは出ておる。したがって、実行待ちの段階だと思うのです。その実行を遠慮しておられる。各省との間の折衝に非常に苦労しておられるのじゃないか。各省のなわ張りがあまり強過ぎて、行管がそこへ攻撃を加えるのにくたびれているのじゃないかという印象が濃厚なんです。行管はすかっと処分できないのかどうか。いかがですか。そのことをすかっと言ってください。正直に言えば手伝いますから。
  55. 松平勇雄

    松平国務大臣 審議会の整理も、多少むずかしい問題もあろうかと思いますが、行管といたしましては、やはり最後の決を出すのには相当な調査がまだ必要でございますので、それをやり次第、結論が出ましたら、すかっとやりたいというふうに考えております。
  56. 受田新吉

    受田委員 それがちょっとすかっとしないな。去年出したんですから、ことし引き続き出されると期待しておった。去年も私発言の中で注文しておいたはずです。(「約束済みなんだ。」と呼ぶ者あり)約束があった。約束どおりやっておらぬのです。長官になられてから、お人柄がしからしめたのかもしれないが、御遠慮があるのじゃないですか。遠慮しなさんなよ。行管の伝家の宝刀をどんどん引き抜いて、すかっとやってもらいたい。次の国会に必ず整理を断行されるという御意思を明言していただけば、私は質問をその点ではやめます。
  57. 松平勇雄

    松平国務大臣 ただいまある程度調査が進んでおりますから、次の国会には整理に関する法案を提出することが、私はできると思います。その方針で進んでまいります。
  58. 受田新吉

    受田委員 最後に、この行政改革の基本問題に触れて質問を終わります。  行政改革の基本方針は、総理が施政演説でもはっきり述べておられる。ところが、臨調の提案の一番大事な、内閣の根本機構の問題については、一向行管は手をつけておられない。内閣府を設置し——この内閣府というのには、非常に妙味を感じておる。予算編成権などは内閣府が握るべき問題で、大蔵省が握っておるから、終始大蔵省に気がねして、思うように仕事が運ばない。この臨調答申の中には、私はなかなか妙味のあるのが出ておると思うのです。総務庁というのをつくって、そこへ例の行政監理委員会を持っていく。経済企画庁のほかに総合開発庁というのを設けよう、なかなかこれは意味のある基本的な行政改革です。それから内閣補佐官制度を設ける。ここに書いてあるこの補佐官は、強大な内閣総理大臣のブレーンとして働き得る機関としての立場で、これとはだいぶ変わった、臨調方針とは変わった、いわば総理の単なる小使いみたいな人間、官等だけは高くしておいて、何らの権力のない、つまらぬ存在を今度法案でお出しになっておるようです。これはもっと本質的な、臨調が出した基本的な内閣府の設置、そしてそこに総合開発庁とか総務庁とかいう役所をつくって、そして予算編成権は内閣が握る——人事権はある程度握ったかっこうになってきておりますが、同時に予算編成権を握って、すかっと内閣が強大な権力を発揮できるような力をつけるような行政改革というのは、どうですか、行管長官、一向おやりになっておらぬが、これでいいのですか。
  59. 松平勇雄

    松平国務大臣 内閣の機能強化に関しまして臨調答申をいたしております内容は、ただいま受田委員の御指摘されたとおりでございます。今度御審議願っておる内閣法の一部改正法案内容臨調答申趣旨とでは、若干相違していることは全く御指摘のとおりでございます。すなわち、第一に臨調答申の内閣補佐官というものは、内閣及び内閣総理大臣のブレーンと考えられておったんでございますが、今度の法案で内閣総理大臣のブレーンであることを明らかにしておる点が、第一点でございます。第二には、臨調答申の内閣補佐官には、行政各部の施策の調整を行なう等、積極的、能動的に外部に対して行政上の作用を行なう任務を持つようになっておりますのに対しまして、法案の内閣補佐官は、行政各部はもとより、国会国民一般に対しましても、行政上の作用を及ぼす権限は与えられておりません。もっぱら内閣総理大臣に対する進言または意見具申という内面的補佐をするにとどめられていることでございます。これらの相違点は、臨調答申どおり内閣府が設置されるとかというのでございますれば別でございますが、現行内閣制度との関連において、臨調答申趣旨を尊重しながら現実に即して実行可能な制度ということを考えますならば、こり案が最も適当であるというふうに考えた次第でございます。
  60. 受田新吉

    受田委員 この臨調答申に私非常に魅力を感じておる。それはその答申の内閣府の機能というものが、非常に強大であることを期待しているのですが、内閣による総合調整、それから重要政策及び各省間の総合調整ですが、重要政策の中に予算編成権を含める、こういうことをひとつ握らない限りは、大蔵省というものの古い官僚機構が常に内閣の施策推進に一つの大きな壁をつくっておる。そういう点で強大な政策決定権、総合調整権というものを強大にするためには、そういう面を担当して内閣及び総理大臣の最高のブレーンとしての補佐官を置くというかっこうにせねばいけぬわけです。何か場当たり的の思いつきで、この臨調答申を誤解したごとくに名称だけをそのまま用いて法案を出されておられるわけだが、行政改革の基本問題に触れて、行管長官としていませっかく優秀なブレーンがあなたの周辺にはおられる。その知能をすぐり、また総理をみずから動かし——佐藤総理も施政演説ではっきり言っておるこの基本的な改革にひとつ乗り出してもらって、そうして定員問題などもあまりがたがたやらぬと、すかっとやってしまえばいいわけなんですから、局の新設などというものはやめてしまえばいい。いまも途中で二つも三つも局や部をつくっておる。二局五部というものが、今度の国会で出されておる。こういうものは、いまのような中途はんぱなときにやらぬで、根本的にやっていく、こういうことをひとつ考えていただきたい。よろしゅうございますか、大臣。  そしてもう一つ各省間にまたがる行政監察業務というものを、これは臨調答申にも明記はしていないけれども、私はこれは大事なことだと思うので、郵政監察局をどうするかというような問題、これらを含めて各省間にまたがる監察業務というものを、できれば行管などが一括握って、その省その省の特色を生かしながら、統一的な強大な監察機関をつくって、各省ににらみをきかすようなかっこうにしたほうがいいのではないか。各省ぱらぱらの監察業務を、行政委員会のかっこうで統一した監察機関とする御意思があるかないか。これは私かつて指摘して、時の長官から共鳴をいただいた問題である。むずかしい問題のように見えて、簡単なことです。
  61. 松平勇雄

    松平国務大臣 いま各省間にまたがる監察業務を一本にまとめてやる意思があるかというような御質問でございましたが……。
  62. 受田新吉

    受田委員 最初のほうの答弁がまだです。二ついまお尋ねしておるのです。最初の大事な内閣の機能強化……。
  63. 松平勇雄

    松平国務大臣 わかりました。この問題はなかなか大きな問題でございまして、確かにお説のような形も考えるわけでございますが、今日までいろいろ各省においてやってまいりました現状でございますので、急激にこれをまた一本化するということは、なかなか困難かとも存じます。しかし、たいへん貴重な御意見でございますので、私どもといたしましても検討いたしてまいりたいというふうに考えております。  それから、最初の内閣機能の強化の問題に関しましては、予算編成権その他を内閣府あるいはそういった機能でやるようにしろというような御意見でございますが、臨調にもそのような意見を申し述べておりまして、私どもといたしましては、その意見を尊重いたしまして、内閣の強化をはかるべく努力をいたしておるわけでございますが、何といたしましても、現行制度の非常に根本に触れる問題でございまして、ことに予算の編成権という問題等は、やはりそれに伴うスタッフを相当入れなければ、たとえば歳入、歳出両面にわたるところのスタッフを入れるとか、その他いろいろな問題が起こってまいりますので、急激にはそこまではまいりませんが、今回の内閣法の一部改正は、一歩前進というような考え方のもとに、私どもといたしましてはこれを賛成いたした次第でございます。
  64. 受田新吉

    受田委員 終わります。
  65. 關谷勝利

    關谷委員長 山内広君。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
  66. 山内広

    ○山内委員 いま内閣法の話が受田さんから出ましたので、まずこの問題についてお尋ねしておきたいと思います。中身につきましては、御意見もあったようですが、出尽くしているようですから、このことについてはあまり触れません。  ただ、私はこの内閣法をずっと読んでみまして、実は非常な怒りと申しますか、憤りを禁じ得ない法案の出し方だと思うのです。というのは、いまも受田さんから指摘のあったように、なかなか行管長官というのは仕事がやりづらい。あとでだんだん申し上げますけれども各省の中に入ってなかなか相互調整が困難になっておる。私はお気の毒だと思っているのです。ですから、それをどうしても強力にバックアップするのは、総理みずからでなくちゃならぬ。ところが、この内閣法を見ますると、とんでもない中身になっておるわけです。先ほど御指摘のような点もありますけれども、それはそれとして、まあ少しでもよくなるんだからということですけれども、この中には補佐官を三人ふやす、それからこの補佐官の職務を助けるという理由で、七十九名の職員を百二名にふやす案が入っているわけです。百人足らずのところへ二十三人、これに補佐官三名、合わすと二十六名でしょう。欠員不補充の号令をかけ、各省はどんどんどんどん予算もふえ、業務もふえているけれども、全部凍結して、人の採用まかりならぬというたてまえをとっているでしょう。それが、総理がみずから、自分の権限をもって、あるいは自分の仕事を楽にするというと語弊があるかもしれませんが、こういう自分のブレーンだけを手前がってにどんどん提案してくるなんというのは、もってのほかですよ。これは、長官はこういうところをチェックして、総理みずからがそういううしろだてになって支持してくれなければならぬ、ところが、こういうものをお出しになっては、士気に影響するからおやめなさいと言って、これは勧告するのがあたりまえなんです。これはおそらく長官もあまり御存じないうちにこういうことがきまったろうと思うのですが、各省が欠員不補充で一名もとらないというやさきに、二十六名の増員をわずか七十名か八十名のところで計画をされ、国会に出してくるという、このことについて、長官いかにお考えですか。
  67. 松平勇雄

    松平国務大臣 この第十六条第一項の七十九人を百二人に改めるというふうに今度は提案いたしておりますが、実はこの問題は、御指摘のとおり、行管には相談がなしにきめられた問題でございます。
  68. 山内広

    ○山内委員 これは国家行政組織法のたてまえからいって、そういうふうにあなたのほうに相談なくともやれるとは、私思いますよ。しかし、いまこの行政改革を全般的にやろうと——少しくどいようですけれども、こういうムードの中で、あなたを孤立させるような、総理大臣みずからが自分のところだけ二十六名の増員を出してくるということ、このことはおかしいですよ。もうこういう問題が出ましたら、ぜひこういうときは勇気を持って総理に進言しないと、そういうことから各省もまた協力体制が出てこない。これが私、これから進めていく上においての大きなガンになるのではないか、こういうふうに考えるわけです。そういう総理のブレーンを人をふやしても強化しようというなら、むしろ行管長官のところをうんとふやして、そして権限も与えられて、そしてばりばり仕事のできるような体制をつくらなければいかぬと思うのですよ。これ以上は意見にもなりますし、だいぶ長官もお困りのようですから、このことについてはまたいずれあらためてお話ししたいと思います。  臨調答申を見ますると、許認可と思われるものが八千件もあるんだ。それを問題のありそうな二千件についていろいろ調査をして、最終的には三百七十九件でしたか、具体的な勧告があり、残りも百八十何件かまだあると思います。こういうことで、この許認可仕事も、先ほども質問に出たようですが、たいへんな仕事だと思うのですが、これはどういうことになりますかな。これは先ほども受田さんちょっと質問された半ばで私退席しましたので聞きませんでしたけれども、具体的にはどうしてこの未処理のものを処理していくのか、もう一度お聞かせいただきたい。
  69. 稲木進

    稲木政府委員 現在までに整理されたものが、臨調の具体的な、個別的な問題として指摘された三百七十九件のうちで、今回の一括整理法、あるいはこの六月までにわれわれが勧告しております政令以下の処理事項等を含めますと、大体二百件くらいになろうかと思うのであります。そうしますと、全体として大体五〇%以上のものが一応処理されるということを予定しております。ところが、まだ半分ぐらい残っておるものがございますが、これにつきましては、私ども法律事項につきましては、今回の国会には間に合いませんでしたけれども、なお引き続き、それぞれの主管省において準備を進めることによって、まずそう時間をかけなくてもやれるものがあるというふうに考えております。それぞれそういう問題については、すでに勧告いたしておりますので、できるだけたくさんの許認可事項整理されるように、次の通常国会を目途にして進めていきたいというふうに考えております。しかし、先ほどちょっと申し上げましたように、この臨調指摘した内容自体について、各省臨調の言っている趣旨には賛成しがたいというような件数も、相当含まれておるわけであります。したがって、これにつきましては、この臨調の方向に持っていくのには、まだ相当先まで時間がかかるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、臨調指摘しました三百七十九件のうちで、政令以下の行政措置処理できるものにつきましては、これは比較的順調に改善の作業が進んでおりまして、現在でもすでに七〇%までは進んでおるわけでありますが、大体私ども勧告いたしましたものの八三%までは改善できるというふうになっておりまして、いずれにしましても、法律改正を要する案件のほうが非常におくれておる、こういうことでございます。私どもとしましては、今後も引き続き、ひとつ根気強く各省話し合いを進めて、この改善を進めていきたい、かように考えております。
  70. 山内広

    ○山内委員 馬力をかけておやりになる意欲を持っておられるようですからけっこうですが、ただ、毎年たくさんの法律国会にかかってできると、たいていその中には許認可仕事が含まれていると言ってもいいと思うのですが、そうしますと、これは五、六年も手をつけないうちにはまたふえていく、こういう趨勢をどうして押えるのか、その考え方をちょっとお聞かせ願いたい。
  71. 稲木進

    稲木政府委員 許認可整理をわれわれ努力いたしておりますが、新しい法律ができるという場合において、やはり新しい行政の実態に即した許認可制度というものがまた新しく生まれてくる、こういうことも否定できない現実だと思います。それはその行政の実態から見て、やはり国民全般の福祉という観点から、ある特定の行為を行なう場合には許認可制度が必要であるということでできるわけでございますので、そのこと自体は、必ずしも私どもは否定できないと考えております。しかし、問題は、そういうような新しい許認可制度を設ける場合の考え方、こういうことが非常に大事な事柄ではないかと思うのであります。すなわち、ほんとうに許認可制度というような法的な制約を設けなければ法的な秩序が確保できないというようなものになるべくしぼってやっていくという考え方が、第一に必要ではなかろうかと思います。さらに第二点としましては、許認可制度を設けた場合において、この許認可の事務処理手続の簡素、能率化、合理化、こういうふうに着目していかなければならない。そういうような点につきましては、臨時行政調査会許認可制度の問題を取り上げた際の基本的な考え方として、なるべく許認可というものの数は少なくするようにしていく、どうしてもやむを得ず許認可制度をとる場合においても、その処理機関というものが、申請が出たならばなるべくすみやかにこれを許可する、あるいは許可しないという決定を下す、しかもその場合の手続が、国民に最も便利がいいように、なるべく下部の段階と申しますか、現地で解決できるように処理しよう、こういうようなことを、いわゆる現地制度の原則とか、あるいは総合性の原則とか、いろいろうたわれておるわけでございますが、そういうような考え方でもってこの新しい許認可制度をつくる場合には考えていかなければならない。このこと自体は、各省においてもそういう考え方をとっておると思いますし、私ども行政管理庁としましても、そういうような角度で各省に対してできるだけ話し合いをしていきたい、かように考えております。
  72. 山内広

    ○山内委員 今度出された内容をちょっと検討してみたのですが、ちょっと気になる点が二、三ありますので、これからただしていきたいと思います。  これは総理府本府の関係ですが、科学技術の関係で、いままで総理がいろいろな認定をしておったやつをかなり大幅に長官に委譲するという問題があります。これはなぜ心配があるかといえば、御承知のとおり、科学技術は、いま一番平和利用ということで国会は非常に強いチェックをしておるわけです。ところが、これだけ長官にどんどん委譲してしまいますと、長官はやはり業者に動かされたり、いろいろな研究機関の圧力にあったりして、平和利用という大事な最高の目的に向かって長官が動かされないという保証もない。そういう意味で、七つの法律に手をつけて長官に委譲するわけですが、この平和利用のチェックというのは、どこでどういう形で行なわれるのか、全く長官にその責任をまかしてしまうのか、その点の御判断をひとつお願いしたいと思います。
  73. 稲木進

    稲木政府委員 私から便宜お答え申し上げたいと思います。科学技術関係の問題につきまして、ただいま御指摘のようにいわゆる科学技術の平和利用という観点から、非常に重要な事項が含まれておるわけでございます。このたび総理大臣の権限を科学技術庁長官に移す場合におきましても、そういう趣旨も考慮をされまして、全部科学技術庁長官におろすということではなくて、たとえば原子力委員会の関係の問題にしましても、この原子力委員会におきますところの基本計画の問題というようなことにつきましては、やはり総理大臣にそのまま留保されております。したがいまして、科学技術庁長官におろされる権限というものは、事実上そういうような基本的な事項じゃないもの、そういうものを留保した残りのものをおろしていく、こういうような趣旨になっておるわけです。
  74. 山内広

    ○山内委員 そういう御回答だというと、この中身の分析をやらなければならぬので、非常にぼく残念に思うのですが、これはそういう平和利用を念頭に置いて、そういうあやまちを将来繰り返さないことを十分に配慮された案だとすれば、私はまあ安心しております。しかし、中身を見ると、必ずしもそうはなっておらない。たとえば核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律とか、あるいはいま問題になっております原子力船開発事業団の問題、それから核原料物質開発促進臨時措置法ども全部委譲しているわけです。   〔細田委員長代理退席、八田委員長代理着席〕 どうも平和利用というものを考慮しない考え方じゃないかというようにぼくは考えられてならないのですが、その辺をひとつもう少し詳しく……。
  75. 成田寿治

    ○成田説明員 御答弁申し上げます。日本の原子力の開発利用は平和利用に限るということは、原子力基本法ではっきり定めております。この平和利用を守るというために、主としてその役割りのために原子力委員会というのが総理府に設けられまして、原子規制法とかあるいはいろいろな法律で、重要な事項は原子力委員会の意見を聞いて行政処分をするたてまえになっております。したがいまして、原研法、規制法、原子力船事業団法、あらゆる法律を全部当たりまして、原子力委員会の意見を聞いて措置する必要があるものにつきましては、これは平和利用を守るという見地からも非常に重要なケースでありますので、これらは科学技術庁長官に委任しないで、従来どおり総理大臣の権限に残しております。したがいまして、御指摘のような御懸念は、われわれの検討の結果、ないというふうに考えております。
  76. 山内広

    ○山内委員 これは意見の相違になるのですが、とかくこういう事業家は、何といっても総理のところまで行けば、いま言った原子力委員会なども中に入るけれども長官みずからの責任でばんばんいろいろな仕事ができるということになると、ここがアリの穴の一角みたいになってくずれていく心配を私感ずるわけです。それはいまここで議論してもしかたのないことですけれども、いまの日本の科学技術のあり方が、もうそういう不安感を起こさすようなことになっているのです。それは総理みずからの気持ちにもありますけれども、そういう法制上の一角をくずすということには、私よほど慎重な配慮がここになければならないと思っているわけです。この点について、将来そういう点は十分配慮するというお考えであれば、きょうはこのくらいでとめておこうと思います。長官いかがですか。
  77. 松平勇雄

    松平国務大臣 原子力基本法の精神どおり措置いたします。
  78. 山内広

    ○山内委員 その次に、文部省関係のこの許認可の問題を見たときにちょっと気がついたのですが、公民館とか図書館というものには国の補助が出ているわけですね。たいていいままでは四分の一は国が補助しているわけです。そういう国が補助をするものも、全部これを市町村、都道府県の知事に委譲するということは、十分覚悟の上だろうと思うのですが、将来とも、あるいは各省全部その方針を貫いておやりになれるかどうか。国庫補助を出しているというたてまえで、各省はみんな握っておると思うのです。ですから、私は、少しぐらいの金の補助をえさにして知事や市町村の権限を中央で押える必要はない、思い切って出すものは出す、そういうものは委譲していいという考え方は持っていますけれども、この方針が一貫して貫かれないと、各省取り扱いがまちまちになると思う。この国費の補助と権限委譲の問題は、どう考えますか。
  79. 木田宏

    ○木田政府委員 ただいまの御質問、私直接伺っておりませんでしたので、お答えが多少ずれるかとも思いますが、今回設置の際の届け出制度を取りやめましたのは、一般的に補助で、県のほうを通じまして補助が出ておりますものについては、補助金事務の手続として、どういう公民館の建設が進んでおるかという点を都道府県の関係者は承知をいたしておるわけでございます。また、一般的に都道府県の教育委員会といたしましては、市町村の設置し、あるいは管轄内にあります私立の博物館その他の社会教育施設の現状については、当然職務上把握しておるべき立場にあるわけでございますので、そこで設置のつど届け出という制度廃止いたしましても、都道府県の本来の役割りからいたしまして、そういうものに対する指導を適切に行なっていくことができる、また、そうすべきものと心得まして、今回のような整理をいたした次第でございます。   〔八田委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 山内広

    ○山内委員 ちょっと事務的なことですけれども、さっきも言ったとおり、これは文部省ばかりじゃないので、私もこういうことは賛成なんです。わずかばかりの補助金で、ひもをつけて押えておく必要はない。委譲できるものはどんどんやったらいいと思うのです。ただ、これもやはり一つの限界がありまして、たくさんの、また、金額の大きくなるものを全部委譲してしまうと、またここにいろいろな汚職だとかなんとかという地方公務員のほうに波及した問題が出ないという保証もないわけですね。ですから、それをどの程度で押えるのか、やはり尺度というものがあると思うのです。ですから、その尺度ではかって、ふるいにかけられるものはこの際はっきりふるいにかけて、権限委譲されたほうがいいと思うのです。何かお考えがありましたら伺いたい。
  81. 木田宏

    ○木田政府委員 ただいまの御意見そのものは、私どもも全く同感なんでございますが、今回社会教育関係で図書館、公民館につきまして整理いたしました事柄は、法案整理されました法律そのものは、実は図書館法で見ますと、こういうふうに書いてあるわけでございます。「市町村は、図書館を設置し、廃止し、又はその設置者を変更したときは、その旨を都道府県の教育委員会に報告しなければならない。」そこで、これをむしろそのつど主義を改めまして、一般的な指導のしかたに改めるということで整理をいただきました場合に、都道府県の役目といたしまして、法案でごらんいただきますように、都道府県はその届け出を受理するという職務を、公民館、図書館の設置及び管理に関して必要な指導、調査を行なうという一般的な役割りに変えて、一般的に掲げたわけでございます。御指摘の補助金の配分につきましては、文部省から市町村の社会教育施設に補助金を配分いたします場合には、どうしても都道府県の教育委員会の事務的な協力を得て実施しなければなりません。また、事後の処理の適正を期する意味におきましても、文部省から直接個々の市町村との関係に係員を派遣するということは不可能でございまして、県の協力を得まして、そうした補助金事務の適正化をはかっておる次第でございます。したがいまして、今回の整理によりまして、一般的にはその権限を市町村に与えることになるわけでございますけれども、しかし、そのことは事務をルーズにしていいという趣旨で私ども考えあるわけでございませんので、個別主義を廃止して、その煩瑣な個々の事務を簡素化するかわりに、一般的な指導の体制は十分に整えていきたい、こういう姿勢でございます。
  82. 山内広

    ○山内委員 文部省だけについて私お尋ねしたのではなくて、各省ともこういうケースでもって当然委譲してもいいものだけれども、若干の国費が補助で出るということで、委譲とかそういうものを妨げているケースがあるのではないか、そういうふうに思いますので、行管、それをつかんでおるならば、お示しいただきたい。
  83. 大国彰

    ○大国政府委員 一般的には、補助金等が出ておる場合におきましては、補助金を交付する前の計画等を主管省においてそれぞれ立てるわけでございます。それからその計画を審査いたしまして、その計画が適当であるという場合に補助金の交付決定が行なわれる。そうして補助金を交付された後におきまして、その事業ができなかったという場合には、当然にその清算報告なり何なりの事業終了の報告というものが出るわけでございまして、したがって、そういう意味におきますいろいろな報告というものを、補助金をもらった側として主管省に提出することは、当然だと思います。したがって、それによりまして一応その実態が、どういう補助金によってどういうものができたかということは、それぞれ主務省において把握し得る実態になっているかと思うのであります。したがって、そういうもの以外に、先ほど出ましたような別途の報告をとる必要があるかどうか、こういうことになりますと、先ほど話の出ましたように、やはりそういうものはもう重ねて出す必要はないではないか、こういうことになろうかと思うのであります。したがって、今回の図書館等の問題についてそういう報告制度を取りやめたのは、やはりそういう趣旨であろうかというふうに私は思うわけでございますが、これが文部省関係だけの問題でなくて、ほかの省にもそういう同じようしかし、なお調査した上でそういう類似のものがあれば、同じような方法でこれを簡素化するというふうに持っていく必要があろう、かように考えております。
  84. 山内広

    ○山内委員 行管お気づきになっていないという正直なお話ですけれども相当あると思うのです。わずかばかりの補助金でひもをつけて委譲しないというのは、たくさんあります。ひとつそれは調査の対象にして十分お調べいただきたいと思います。  それから「行政管理年報」、非常に膨大な、精細な、りっぱなものをおつくりになっておられますが、これはもちろん全部目を通すわけにはいかぬのですけれども、この中で「行政需要の動向等に関する調査計画」というのがありまして、これは昨年の七月でもう調査が終わっていなければならぬように中身はなっておるのですが、現在作業はどれくらい進んでおりますか。
  85. 稲木進

    稲木政府委員 この行政需要動向調査と申しますのは、行政管理局におきまして組織、定員等の審査の参考資料を整備するという意味で計画したものでございます。何分流動する行政需要の新しい動向、しかもそれを将来にわたってその趨勢を見通しますことは、非常にむずかしい作業でございまして、とりあえず昨年から第一段階といたしまして、財政規模あるいはその他公務員の数の動向というような点から、国内あるいは若干の海外の資料等も参照いたしまして、一応の調査はしたわけでございますが、その間各省からも、将来にわたりまして行政需要の動向等につきまして照会をいたしたわけでございます。しかし、いろいろ抽象的な内容が多うございまして、実を申しますと、本年度の査定には直接に利用できないものが多かったわけでございます。なお引き続きまして、私どものほうでもいままでの研究を足がかりにいたしまして、さらに詳細な計画をつくりまして、今後組織、定員等の資料になる調査を引き続いてやっております段階でございます。
  86. 山内広

    ○山内委員 なかなかむずかしい仕事だとは思うのですが、これはやはり必要な仕事だと思いますので、早く結論をお出しになっていただきたいと思います。  この前の長官のときに、臨調答申に基づいて各省意見を今度は徴して、その作業が昨年の八月一ぱいにはできるというような回答があったと記憶するのですが、そのほうの作業は、全体計画のどれだけいっておりますか。
  87. 大国彰

    ○大国政府委員 お話しの問題でございますが、臨調答申に対します意見につきましては、各省に照会いたしまして、全部そろっておるわけでございますけれども内容的に申しまして臨調答申相当強い反発がございますので、そういった面におきます実情その他各省庁の意向を整理調査しておる段階でございます。
  88. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。ただいま同僚山内委員から、行政管理庁行政簡素化、合理化の基本的な問題についてお尋ねがあり、前長官は、確かに昨年の八月までには各省意見、なかんずく行政改革本部の意見を取りまとめるというような回答があったやに、私どもも伺っております。そこで、私はあとで御注文申し上げようと思ったのでありますが、非常に残念ながら、最近の行政管理庁はたいへんお忙しいので、特殊法人の合理化あるいは審議会、調査会の整理統合、もしくは目下法案としてわれわれ審議の依頼を受けておる許認可整理、これらの問題について、松平長官あるいは佐藤内閣の基本的な行政整理簡素化という基本の方針と、同時に一つの基本的な方針としてすでに一応取り上げられておる臨時行政調査会の結論、さらにまた最近の、その後に設置せられた行政監理委員会の考え方、こういうものを総合せられて、この国会が終わってからなり、あるいは来年度なり——さいぜんも松平長官から来年度の予算あるいは来年度の国会に出し得るような態勢でできるだけ早く行政の合理化、簡素化を進めていきたい、こういう御回答があったわけですが、私は率直に申し上げて、特殊法人の統合整理、あるいは審議会、調査会の統合整理許認可の簡素、合理化というものを、もちろん行政管理庁においては一つ方針のもとにやっておられると思いますが、われわれが御意見を伺い、あるいは法律案として出てくるものは、何かそれぞれの間に総合的な関連性のないアトランダムな取り上げ方のような感じで受け取れるわけです。この点は、おそらく各党の方々においてもそういう疑問を持たれるのではないか。当委員会においては、率直に申し上げて、常に超党派で政府の行政の合理化、簡素化にできるだけ協力をしようという態勢で今日までまいったことは、事実でございます。したがって、昨年わが党において取り上げた審議会の簡素化、合理化、整理の問題においても、本委員会においては超党派で御協力を願ったというような事実もございますので、どうぞひとつ歴代内閣の行政の合理化、簡素化方針——ことに佐藤内閣においては毎回の施政方針においてそれを強力に打ち出しておるという関係から、根本の臨時行政調査会のあの調査の方針、並びにあの調査によって出された結論、さらにまた新しい佐藤内閣においてそれに加える行政の合理化、簡素化方針とにらみ合わせて、特殊法人の問題については、基本の方針からこういうやり方をして、また審議会、調査会の整理についてはこういうやり方をした、許認可はこういうやり方をしたのだということで、縦横に関連がある一貫したものを出していただきたい。おそらくこれは私だけの希望ではなくして、委員会全体の希望であろうか、かように存じます。もちろんこれは非常にむずかしい問題で、たいへんな御苦労を願わなければなりませんが、私どもその点についての協力は、委員会をあげてやぶさかでないと思うのでございます。ただ、行政改革本部と称する各省次官を中心とした内閣におけるあの機構は、私はいつも率直にお尋ねをしたり意見を申し上げるのでありますが、行政不改革本部である。行政を改革しない、現状を守ろうとする本部であるように私には感じられますので、そういう困難をも乗り越えて、いま山内委員から御質問のあられた点等について、明快な結論を行政管理庁長官独断で出し、あるいは総理と行政管理庁長官の間だけでも、そういう方針を出していただいて、それに基づいてわれわれも協力をする。国民もまた協力をせられるだろうと思いますので、そういった方向で明快な結論を国会終了後において得られて、国会開会中でなく、国政調査の段階においてもお話が聞きたいということを質問かたがた希望として申し上げますので、長官の御回答をいただきたいと思います。
  89. 松平勇雄

    松平国務大臣 特殊法人の合理化の問題、あるいは審議会、調査会の整理の問題、また許認可整理問題、その他部局の整理等の問題等に関しまして、一貫した方針を立てて、縦横一貫した考え方でやるようにというような、きわめて適切な御意見を拝聴いたしました。私どもといたしましては、その御趣旨を体しましてただいま作業をいたしておりまして、御意見のとおり、なるべく早い機会にその方針を決定いたしまして、御審議を願うことにいたします。
  90. 山内広

    ○山内委員 今度の改正の運輸省関係ですけれども、地方鉄道法に基づいて主務大臣の権限を陸運局長に委譲しておりますが、具体的には内容はどういうものが委譲されるのか、お示しいただきたい。
  91. 山口真弘

    ○山口説明員 地方鉄道に対します監督につきましては、これは事柄が地方の住民の利益その他にもきわめて重要なものでございますので、国といたしましても、これに対しまする監督をいたしておりまするが、一方その監督のしかたについて、簡素化並びに能率化をはからなければならないわけでございます。これにつきまして臨時行政調査会並びに行政管理庁のほうから勧告がございまして、そういった勧告内容につきましては、従来省令でもってまかなえるものにつきましては、着着これを実施に移してまいったわけでございますが、法律改正をまたなければならない内容のものにつきましては、今回の御審議いただいております法律改正によりまして、これを権限委譲をするというように考えております。その内容といたしましては、現在では、懸垂式鉄道等特殊の鉄道におきまするところの事業の一時的な休廃止許可などを考えております。
  92. 山内広

    ○山内委員 少し質問が飛び飛びになりますけれども、身元引き受け人のない死体を今度は市町村が火葬、埋葬ができるわけですけれども、これはどうでしょう。こういうものをさがしておる住民にとっては、いままでならどこか一カ所、その県の知事のところに行けばわかったものが、全国の町村を歩かなければわからぬというのでは、これは非常に不便になるように思いますが、これはどういう解釈になりますか。
  93. 曽根田郁夫

    ○曽根田説明員 お答えします。現在行旅死亡人の取り扱いにつきましては、一応原則として仮土葬、それで知事の許可を得た場合に火葬ということにしておりまして、今度それの知事の認可をやめるわけでありますけれども、お尋ねの点につきまして、現在でも市町村長が埋葬いたします際に、本人の身元確認できるようないろいろな資料を記録することになっておりますので、その点の御心配はないものと考えております。
  94. 山内広

    ○山内委員 いや、私の聞きたいのは、県庁に行けばわかったものが、今度は全国の市町村長のところを歩かなければならぬのでは、住民に非常に不便を与えはせぬかということをお聞きしておるのです。
  95. 曽根田郁夫

    ○曽根田説明員 なお、その点につきましては、現行法で一応その旨を官報等に公示することにもなっておりますので、わざわざ県庁へ参らぬでも、一定の官署に公示もされ、あるいは官報にも載りますので、あまり心配はないのではないかと私ども考えております。
  96. 山内広

    ○山内委員 それから今度は公益質屋の貸し付け限度と貸し付け利率は、これはまかされることになるのですか。現在私はあまり質屋に行力ぬものですからわかりませんが、いまは貸し付け限度と利子は幾らになっておるのですか。
  97. 安達為也

    ○安達説明員 公益質屋は、現在貸し付け限度額は一口十円でございます。それから一世帯五十円になっております。それから貸し付け利率は百分の一・二五まで、これが固定しております。
  98. 山内広

    ○山内委員 ちょっと現実と合わないんじゃないですか。間違いじゃないですか、その五十円というのは。(「臨時措置法で直ってないか」と呼ぶ者あり)これは意地悪い聞き方をしているんじゃないですよ。公益質屋は庶民の金融機関でしょう、それをまかされたからといってかってに利子を上げたり、いろいろな制限を今後やられると困る。やはりわれわれとしては、そういう心配があったら一応確認しておく必要がある。これは電話をかけるか何かして、ちょっとこのままにしておけぬでしょう。
  99. 安達為也

    ○安達説明員 現在法律では一応いまお話ししましたとおり、一口十円、一世帯五十円になっておりまして、それが限度額でございます。それ以上こえる場合に知事の認可を得るということになっておりまして、ことごとく、そのほとんど認可を得なければならぬということで、非常に煩瑣であるということで、今度そういうことを廃止いたしまして、省令にまかせるということに一応なったわけです。それで私たちいま一口十円というのは違うというお話であれば、もう一度調査いたしたいと思います。
  100. 山内広

    ○山内委員 それがおかしいんじゃないですか。一人当たり十円、一世帯に五十円、それをこえるものは届けて許可を得るわけですね。今度はそれが要らなくなるというわけですが、それでは貸し付け限度額ということばを使えないでしょう。
  101. 安達為也

    ○安達説明員 現在法律ではやはりそういうふうになっておりまして、それが非常に不合理であるということで、今度の改正をして、法律によるとなかなか社会情勢に応じて変更ができない、それで省令にまかせれば、その社会情勢に応じて逐次それが変更できるということになってくるわけでございます。それで、いま申しました、非常にその点が不合理である、一々たてまえとしては県知事の認可を得なければならぬということは不合理ではなかろうかという臨調指摘で、今度そういうものを改めようということになったわけでございます。
  102. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、今度は市町村長がかってにできるわけですね。
  103. 安達為也

    ○安達説明員 省令で一応金額もきまります、利率もきまります。その範囲でやることになります。
  104. 山内広

    ○山内委員 だれに聞かせても、これは不合理で実情に合わぬことはわかるのですが、どれぐらいの貸し付け限度額、利率などをいま考えておられますか。
  105. 稲木進

    稲木政府委員 新たに省令等でもって貸し付けの限度額、利率等を現在の社会情勢に合うようにきめる、法律からはそういうような文句は落としてしまう、ここまでは話が詰めてございますが、この法律改正されたあとにおいて、どういうような額にきめるというところまでは、実はわれわれ行管と厚生省とはまだ話を煮詰めておりませんので、あれしておりますが、少なくとも現在の社会情勢に合うような金額で限度額がきめらるべきことは、これは当然だと思っております。
  106. 山内広

    ○山内委員 これはやっぱり庶民相手のものですから、もうこういう法律改正案を出すときに、この次はどうするとか、あるいはまたこういうものを諮問する審議会とか調査会があるならそこへ聞くとか、何かの目安というものがないと、ちょっと妙なことだと思うのですね。
  107. 稲木進

    稲木政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
  108. 山内広

    ○山内委員 それじゃ、希望だけ申し上げておきますが、早急に実情に合うものをお出しになるように希望しておきます。  では、もう時間もだいぶ過ぎておりますから、最後に一つだけ。これは許認可とは言えないかもしれませんが、仕事簡素化能率化ということで、お役所でいま考えなければならぬのは、やっぱり判こ行政だと思うのです。何か一つ仕事をしようとすると、何十何百という判こを押さなければ最後にものをいわぬというようなあり方、これはどこでもあるので、一々実例を言う必要はないと思うのですが、こういう点では、長官、何かお気づきになり、考えていることがありますか。特に他省とまたがると、もう書類が読めないぐらいに、何十何百という判がなければ、ものをいった最終的な決定にならぬわけですよ。いつでも役所に行くとそういう感じを深くするのですが、これは簡単に部内でできることですから、簡単におやりになったらいいと思う。
  109. 松平勇雄

    松平国務大臣 いわゆる判こ行政に関しましては、御指摘のとおり、非常に煩瑣な点があると私といたしましても感じて、おるわけでございまして、これは事務運営改善関係することでございまして、閣議等でも問題になったということを聞いておりまして、これにはやはり権限の委譲というような問題もからんでくると思います。したがって、私どもといたしましては、この問題に関しましても、今後調査をいたし、また研究もいたしまして、なるべくそういった煩瑣を避けるように、事務の迅速化をはかってまいりたいと思っております。
  110. 山内広

    ○山内委員 では終わります。
  111. 關谷勝利

    關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次会は、来たる二十九日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会