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吉國政府
委員 まず第一に官吏服務紀律についてでございますが、官吏服務紀律は、現在は形としては効力を有しておりません。と申しますのは、日本国憲法の施行の際に効力を有しておりました命令の
規定で
法律事項を
内容としておりますものは、
昭和二十二年十二月三十一日まで効力を有しておりまして、その後は効力を有しないということに、これは日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の
規定の効力等に関する
法律というものによって、さような
処理をされております。官吏服務紀律は、官吏の服務に関する
事項について
規定をしたものでございまして、官吏に関する
事項は、憲法の
規定等に徴しまして
法律事項であると認められておりますので、官吏服務紀律は
昭和二十二年十二月三十一日限りで失効いたしております。ただ、一般職の官吏につきましては、国家公務員法の
規定で服務の詳細な
規定がございますが、いわゆる特別職につきましては、国家公務員法の
規定が適用せられるまでの官吏その他政府職員の任免等に関する
法律、これは
昭和二十二年
法律第百二十一号でございますが、この
法律の
規定によりまして、特別職につきましては官吏服務紀律の
規定がなおその効力を有すると申しますか、従前の例によるということで、官吏服務紀律と同じような
規定に服するということになっております。
次に、法令整備の問題でございますが、
受田委員仰せられますように、日本の
法律は、現在時期的に分けてみますと、新憲法施行後の
法律、これは日本国憲法の
規定に従って
国会の両院の議決せられたところによって
法律として成立したものがございます。それから旧憲法時代の
法律、これは旧憲法時代の帝国議会の協賛によりまして天皇が裁可せられた
法律、さらにそれ以前の、旧憲法施行以前の
法律が若干ございます。御
指摘のように、民事訴訟法あるいは民事訴訟費用法等数件の
法律が、旧憲法施行以前に、当時の太政官あるいは内閣のもとに
法律という名称をもって制定されておりますが、
手続におきましては議会の議決によらないものでございます。そのような時代的には三種類のものがございますし、文体につきましては、戦前の
法律はすべてかたかな、文語体でございます。新憲法が公布せられました時期から、法令はすべてひらがな、口語体という
かっこうで今日に至っておりますが、戦前のかたかな、文語体の法令が非常な格調を有していたというような長所もあるという学者もございますけれ
ども、何と申しましても民主主義の国家におきましては、
国民の理解に便である、非常に平易で
国民の理解を容易ならしめるということが、民主主義の国家の法令の基礎的な
考え方でなければならないということから、戦後の新憲法公布前後から後の法令はすべてひらがな書き、口語体を用いておりまして、これは両者を対比いたしますと、全くその間に大きな相違がございます。また文体ばかりでなく、法令の
規定のていさいにおきましても、従来はあるいは解釈にゆだね、あるいは解釈通達等によって
処理をいたしました
事項も、できるだけ法令の上に明らかにするというつとめ方をいたしておりますし、法令の目的を明らかにし、あるいは法令上の用語の定義を明らかにするとか、
許認可等の
行政処分の基準を明らかにするとか、いろいろ手段を講じております。このような形で、戦後の法令が望ましい形に
——完全に望ましい形になっておるかどうかわかりませんが、理想に近い形態になっておるであろうと思いますが、このような形のものにすべての法令を整備したらどうかということが、
受田委員の御主張であろうと思いますが、私
どもも、法令整備につきましては年来心がけておるところでございまして、数年前にも一ぺん法令整備というものを
各省別にやったことがございます。もうすでに効力を失っておるような
法律は
廃止するし、非常にわかりにくい法令は書き直すということを旨といたしまして、
各省別に
処理をいたしたわけでございますが、いまだにかたかな、文語体の
法律が
相当程度残っておるような状況でございます。一番
基本法でありますところの民法の前三編、商法、刑法、民事訴訟法等がかたかな、文語体であることばかりでなく、
相当多数の一般法令がかたかな、文語体になっております。
各省とも、これの整備につきましてはそのときどきに努力をいたしておりまして、先ほど御
指摘のございました銀行法系統につきましても、
昭和二十八年でございましたか、金融業法というものに全部統括いたしまして、わかりやすい法令に書き改めるという試みもいたしたことがございますが、諸般の利害
関係が錯綜いたしまして、ついに実現を見るに至りませんでした。しかしながら、私
どもも始終努力をいたしておりまして、できるだけその理想の形に近づくように、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。