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1967-06-23 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十三日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       内海 英男君    加藤 六月君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       高橋清一郎君    中尾 栄一君       橋口  隆君    村上信二郎君       稻村 隆一君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       村山 喜一君    山本弥之助君      米内山義一郎君    伊藤惣助丸君       広沢 直樹君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      関  道雄君         総理府総務副長         官       上村千一郎君         総理府恩給局長 矢倉 一郎君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁行政         監察局長    稲木  進君         大蔵省国有財産         局長      松永  勇君         厚生省援護局長 実本 博次君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  岡内  豊君         行政管理庁行政         管理局管理官  安達 為也君         外務省アジア局         外務参事官   吉良 秀通君         日本国有鉄道常         務理事     井上 邦之君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 六月二十三日  委員赤城宗徳君、稻葉修君、木原実君及び鈴切  康雄君辞任につき、その補欠として加藤六月  君、中尾栄一君、村山喜一君及び広沢直樹君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員村山喜一辞任につき、その補欠として木  原実君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十二日  旧軍人恩給に関する請願外一件(世耕政隆君紹  介)(第一五〇五号)  同(古屋亨紹介)(第一五〇六号)  同(山手満男紹介)(第一五〇七号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第一五六九号)  同外五件(伊藤宗一郎紹介)(第一五九六  号)  同外一件(内海英男紹介)(第一五九七号)  同(大石武一紹介)(第一五九八号)  同(世耕政隆紹介)(第一五九九号)  同(田中榮一紹介)(第一六〇〇号)  同外二件(野田武夫紹介)(第一六〇一号)  同(船田中君紹介)(第一六〇二号)  同(武藤嘉文紹介)(第一六〇三号)  同外二件(渡辺栄一紹介)(第一六〇四号)  同外二件(愛知揆一君紹介)(第一六六四号)  同外九件(伊藤宗一郎紹介)(第一六六五  号)  同外一件(内海英男紹介)(第一六六六号)  同外一件(大石武一紹介)(第一六六七号)  同外一件(大坪保雄紹介)(第一六六八号)  同(大野市郎紹介)(第一六六九号)  同(大橋武夫紹介)(第一六七〇号)  同外一件(白浜仁吉紹介)(第一六七一号)  同(世耕政隆紹介)(第一六七二号)  同(松野幸泰紹介)(第一六七三号)  同外二件(松野頼三君紹介)(第一六七四号)  元満鉄職員であつた公務員等恩給等通算に関  する請願外四件(塚田徹紹介)(第一五〇八  号)  同(野田武夫紹介)(第一六七七号)  金沢郵政監察局存置に関する請願堂森芳夫君  紹介)(第一五〇九号)  同外一件(武部文紹介)(第一五七八号)  同外一件(大出俊紹介)(第一五八七号)  同(武部文紹介)(第一六〇五号)  同(森本靖紹介)(第一六〇六号)  同(佐野憲治紹介)(第一六七五号)  同(内藤隆紹介)(第一六七六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  六四号)  許可、認可等整理に関する法律案内閣提出  第一三四号)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  前会に引き続き質疑を許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 法制局部長さんおられますね。昨日当委員会におきまして既得権論争をやったわけです。そこで、憲法第二十九条に規定されている財産権は侵されないという、この財産権の中に既得権というものが入るかどうか、お答えを願いたいのです。
  4. 関道雄

    関政府委員 既得権ということばは厳密に法律上の用語でなく、むしろ法学上の用語だと思いますが、その既得権というものが法律上の評価に値する程度の内容を持つかどうかというのは、既得権の個々の既得権といわれるものの具体的な場合について考えなければなりません。場合によっては、それは財産権であるというふうに考えられる場合もあると思います。
  5. 受田新吉

    受田委員 恩給受給権というものは財産権として認められるかどうか、お答え願います。
  6. 関道雄

    関政府委員 認められると思います。
  7. 受田新吉

    受田委員 恩給受給権の中で、増加恩給を現に受けている人、増加恩給を受けている人は同時に普通恩給を受けるという恩給法上の基本規定があるわけでございますが、このたび、症状等差調査をする委員会答申の中に、既得権増加恩給を受ける人が項症の度を下げられる場合が出てきた場合がある。この扱いで議論があるわけでありますが、恩給局長さん、恩給受給権既得権増加恩給ももちろん既得権と判断されるという法制局の御見解でございますが、この項症を下げられる事例を昨日引例いたしましたが、この調査委員会における御報告に基づいて、恩給局政府扱いといたしまして、引き下げられる対象になった皆さんに対して、金額だけでなく、その項症——現に既得権として恩給を受けている人、その人の既得権は侵さない、しかし今後の新手の新しい該当者の場合は、当然新規定に基づいて規定する、こういう形をとるべきではないか。四項症から五項症に下がる、五項症から款症に下がっていくという特別の例の場合におきましても、新しく形を設案をしてきたというような場合に、四項症から五項症へ下げていくというような形で扱うべきであって、すでに出た、いまの法制局第一部長の御説明のとおり、恩給受給権既得権と認められるとなるならば、今後の該当者をそういう扱いにする、こういう扱いにされるのが筋ではないか。援護局長さんもおられるわけでございますが、当然この恩給法規定はそれぞれの援護法規定類推解釈をせられて法律案件として提案をされておるわけですし、またされるはずなんです。すでに出ている項症の特典を新たに引き下げていくという形は、確保するということは金額だけでなく、その項症も同時に確保していくという既得権解釈に持っていかないと、その増加恩給をもらって傷病の身で苦労している人々、その人々は非常に大きな打撃を受けると思うのです。人道問題としても、この点は、援護立場から見られたら、援護局長さんはどういう御見解をお持ちか。これは政府間の意見は違ってもいいわけであります。人道的見方で、援護される厚生省としての局長さんの御見解を、私見でもけっこうですから、ひとつ御答弁を願いたいと思うのです。
  8. 実本博次

    ○実本政府委員 恩給法障害別表援護法にもこれを準用しておりますので、お尋ねの問題につきましては、援護法障害年金の場合にもそういう問題を含んでまいるわけでございます。考え方といたしましては、やはりそれが既得権の侵害になるようなケースのものである場合は、これはあくまで既得権の保護をしてまいらなければならないわけでございまして、この問題につきましては、そういう見地からの考慮を配慮しながらもう少し慎重に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  9. 受田新吉

    受田委員 いまの厚生省援護局長の御答弁は、非常に同情的な御意見があるわけでございますが、私は、現に受けている処遇を、たとえ金額で保証されたとしても、その金額はやがて次のベースアップの機会などに必ず実質的に引き下げられた項症金額に直されると私は思うのです。こういう危険があるので、現に得た権利だけはどうしても確保するという、それは金額だけではなく項症として確保していくという形、新手を、新しいものを、新規定で採用するというような行き方をおとりいただかないと、これは特に人道問題として非常に大きな影響が起こると思うのですが、総務長官恩給局長さんも非常に御苦心をされておることはよくわかります。法のたてまえの擁護者として、気持ちはよくわかるのですけれども、この点はひとつ実績を尊重し、既得権利を侵害しないという立場で、報告書扱いを、私が提案したような方向で善処される政治的な配慮を私はお願いをしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  10. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 方針としてはまだ決定いたしておりませんが、この問題については十分検討はいたしたいと考えております。
  11. 受田新吉

    受田委員 疾状等差調査会から出されている新しい報告に対して、その扱い方を、従来は政令によって、あるいは特別の総理府令のようなもので処理されておるように思うのですけれども、恩給法別表改正するという、昨年もちょっと私、局長さんにお尋ねした問題があるのですが、はっきり法律事項として別表改正という運びに持っていかれる必要はないか。別表一の改正をなさろうという御意図があるかないか、御答弁願います。
  12. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 総理府といたしましては、症状等差調査会答申をいただいておりますので、この審議の過程の中でも、実はいままで運用方針にまかされていた部分がかなりございましたので、やはりこういう問題は、受給者がそれを明確に知ることができる状態にしておくことが望ましい、かように考えておりますので、したがって、別表改正でできる限り法律化していくというふうな考え方目下準備をいたしております。
  13. 受田新吉

    受田委員 別表改正に持っていきたいという御意図であるようでございますから、この点はその実現を期待を申し上げておきます。  私、きょうはそれぞれ他の省庁からも御苦労願っておりますので、あわせてお尋ねをしておきたい点がございます。それは今回の恩給法改正措置で、公務扶助料金額に、依然として准士官下士官、兵という将校以下の階級差指摘されてあります。そうして金額の幅も相当広がったような形になっております。私はたびたび指摘しておりますけれども、靖国の神として祭られているこの英霊階級差を設けるということは、原則として、神となってこの世にいなくなった方に対して階級差をつけるということは問題である。せめて准士官以下は将校扱いをしてあげて、その遺族に対しても将校の待遇を受けておるという安らぎを与える必要があると思うのです。これは、その階級差は、兵においては全部兵長統一をされた。下士官統一をして一階級にしておられる。そこまで前進したのです。このあたり英霊となった戦死者方々に、せめて将校並み少尉もしくは中尉扶助料を差し上げて、准士官以下は全部整理して、将校並み処遇をしてあげるという多年の私の主張をぜひ採用していただきたい。私は、昭和三十一年の十一月の末でした、舞鶴へソ連地区最後引き揚げ者を迎えに行った。そのときに、後宮大将が含まれておりましたが、これらの方々ソ連から帰るとき、私ははっきり後宮大将から聞いた。あなた方は将校である、せめて将校だけはソ連製洋服をつくってあげたい、こういう意向がソ連政府から申し出られた。しかし、後宮大将は、陣頭に立って、いま抑留の身となったお互いは階級差はないのだ、ともに苦労した同士だ、私たち将校だけが洋服をもらって帰る気には絶対なれないと、断固排除されて、階級差を全部抹殺して、同じ苦労をした同士として、平等の立場で祖国へ帰ってきましたと、お出迎えに行った私に後宮大将ははっきり言うてくれております。そこまで現実に、生きて帰った元軍人たちの間にも階級差を全部なくして、ともに苦労した同士としてあたたかい愛情をかわしておる。こういうときに、公務扶助料の中に将校以下の階級差を持った者が依然としてある。しかも今度は千円以上に拡大されているという部面もあったというのを見ると、どうも私は納得できない点があるのでございます。既得権でございますから、上級将校の分まで既得権は侵さなくてけっこうです。これは当然です。しかし下級者将校並み少尉もしくは中尉並みに引き上げたり、全部整理を一律の線に持っていくということは、すでに兵の階級にある人を兵長まで持ってきているのですから、当然理屈は成り立つと思うのです。総務長官、私はこれをしばしば指摘をして今日に来たっておるのでございますが、英断をふるわれる時期が、戦後二十二年の今日私は来ていると思うのです。御答弁を願いたい。
  14. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 受田委員のおっしゃることは私にはよくわかります。私自身長い間同じような体験をいたしたものでございますだけに、私も同じような気持ちは持っておるのでありますが、御承知のように、旧軍人恩給階級別によって今日までやってまいりまして、いろいろ事務的にも検討をいたしておるのでありますが、問題点もありますので、まだ受田委員のおっしゃるようなところにはいっていないわけであります。  なお、この際おわかりとは思いますが、今日までの事務的に扱った点について恩給局長から一応答弁させていただきたいと存じます。受田委員お話はよくわかります。ですから、私もそれは考えないことではないのであります。しかし、繰り返すようでありますが、今日まで階級別による支給ということで、そういうことにはならなかったその事務的な面を、ひとつお聞き取り願いたいと思うのであります。
  15. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 受田先生の年来の御主張よく存じておりまして、実は御趣旨のほども、いま総務長官お答えのとおり、私たちにも検討すべき余地があろうかと考えるのでありますが、いままで検討してまいっております段階からいたしますと、御承知のように軍人恩給は一応階級差ということを基本にして恩給の策定をやってきておりますので、したがってその仮定俸給の立て方からいきますと、公務扶助料にこれを持ち込みます場合にも、必然的にそういう階級差というものが出てまいるわけであります。しかし、先生からも御指摘いただいていることでもございますが、伍長、曹長間には一応ある程度統一したものを用意いたしたりいたしておりますので、そこの辺がおそらく先生方の一番の御関心を払われる事項ではなかろうかと考えるのであります。この扱いからしますと、大体伍長の階層にある人の倍率が、いわゆる階級が上に上がるに従って倍率を低めておりますので、したがって、その倍率からいきますと、この三者の間でも、伍長階級をとったほうが高く支給される、こういうことで、旧来そういう扱いをした例はございます。したがって、今日まで一応そういうことを足がかりにしていろいろな検討はいたしておるのでございますが、これまでの段階では実はそこまでまいりませんで、恩給審議会等でもこれらの問題が課題になるのではなかろうか、かように考えております。
  16. 受田新吉

    受田委員 昭和三十二年の臨時恩給調査会答申の中に、私も当時その委員としていましたが、はっきり明記されていることの中に、公務扶助料倍率を用いないで定額制にせよということを書いてあります。倍率制度そのもの一つ問題があるわけなんです。いまくしくも局長さんから倍率の根拠のお話が出たわけでございますが、このあたり定額制を採用する時期が来ておるのではないか、恩給審議会でそれをやっておるかどうか、問題を提起しておきます。
  17. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 先生の御主張のほどは、臨調の御答申の中にあることを十分承知いたしておりまして、したがって、旧来臨調で残された問題も、基本的課題として恩給審議会課題にせざるを得ないと考えておりますが、今日まだこの問題にまでは入っておりません。実は基本問題としての諸般の問題に触れ、調整規定という非常に重要な規定審議を目下続けておりますので、必然的にこれらの課題が逐次取り上げられることになろうと存じております。
  18. 受田新吉

    受田委員 これは当然倍率制定額制に切りかえるという時期が、いまの問題を解決する時期になると思うのです。御考慮願いたい。  厚生省援護局長が来ておられますので、公務扶助料に対応する戦死者遺族の方に遺族年金が出ている。同時に準軍属の方には遺族給与金が出ておる。この遺族年金遺族給与金という二本立ての制度に問題がある。軍人軍属、準軍属を問わず、ひとつ年金ということをはっきり打ち出して、準軍属の方にも遺族給与金を改めて遺族年金と銘を打ちかえる時期が来ておるのじゃないかと思うのですが、御所見を承りたい。障害年金またしかりです、障害給与金障害年金に切りかえる。
  19. 実本博次

    ○実本政府委員 いま先生お触れになりました、軍人軍属、準軍属処遇の問題でございますが、ちょうど先生お触れになりました、三十二年の臨時恩給制度調査会答申の中にその関係が触れてありまして、少なくとも準軍属については軍人軍属の六割ないし七割までの関係位置を持つべきであるというふうな答申が出ておりまして、その答申の線に沿いまして、昨年の援護法改正におきまして七割までといたしたわけでありますが、おいおいそういった方向軍人軍属、準軍属処遇改善をはかってまいりたいと考えておりまして、今国会に提案いたしております援護法改正の中にも、いままで軍人軍属だけに後順位者年金を差し上げておったのを、準軍属にもその制度を取り入れるというふうな改善を行ないまして、順次そういった軍人軍属と準軍属との処遇の均等をはかってまいるように努力をいたしておるところでございます。
  20. 受田新吉

    受田委員 私は、もう一つ両方にまたがる問題としてお尋ねしておきたい点があるのですけれども、老齢福祉年金その他の国民年金と、それから公務扶助料遺族年金遺族給与金併給制、また恩給年金併給制、これをひとつ一括して両方首脳部にお聞きしたい。  国民年金制度と、それから援護法恩給年金制度というものはそれぞれ立法の趣旨が違っている。特に文官の場合は年額二万四千円以下というきびしい制約を受けて併給制に大きなワクがはめられておる。公務扶助料は今度の改正で十二万九千五百円を限界として差額支給ということになっておる。こういうような扱い方はどうも私納得できないのです。少なくとも国家に奉仕し、その生命を捧げた方々に、国民年金との併給というものについては無条件でこれを許すという形をとるべきではないか。それから、文官恩給受給者の場合に、年額二万四千円という、この限度というものがかっこうの上で残っている。すでに最低受給額扶助料で三万、それから恩給で六万という最低制限引き上げ措置がされておりますけれども、そこに文官公務扶助料受給者との間においてもアンバランスがある。これをどう扱われるか。これもまたすかっと割り切って併給制を完全に実施するという方向に前進さすべきではないか。御答弁を願います。
  21. 実本博次

    ○実本政府委員 これは年金局のほうとも重なるわけでございますが、私のほうで考えておりますことをお答え申し上げたいと思います。  国民年金の中の福祉年金公務扶助料ないしは遺族年金併給の問題でございますが、これは本来ならば、先生さっき御指摘のように、両方制度趣旨が違いますから、両方がそれぞれの趣旨に従って、それぞれの対象者だけを相手にしていればいいわけでございますが、ただ戦争犠牲者である遺族方々に対します場合は、それぞれの処遇恩給なり遺族援護法なりでやっております上に、制度趣旨の違った国民年金福祉年金を積み重ねて受益さすべきではないかということで、便宜的にそういった併給方法をとってまいっておるわけでございます。それぞれの趣旨から申しますと、そういった制度の違ったものを両立さして、そして上に積み重ねていくというようなことをとるのは、全く便宜的な問題でございまして、それぞれの制度に基づく趣旨を一〇〇%生かすための給付の額を充実してまいれば、おのずとこの問題は解消していくのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  22. 受田新吉

    受田委員 漸進主義的に改正していく。今度の場合、恩給年金法対象になる問題でございますので、援護局長所管外におられても事実関連事項で御答弁願ったのですが、もう一つ文官恩給公務扶助料がまた違っている。文官が非常に冷遇されておるのです。これを含めて検討してもらえるかどうか。年金局長と御相談をされ、厚生省としての省議を進めていただきたいと思います。
  23. 実本博次

    ○実本政府委員 いまの御趣旨の線で、従来のそういった併給問題につきまして、厚生省としての態度をいま少し慎重に検討いたしたいと思っております。
  24. 受田新吉

    受田委員 恩給局長さん、昭和二十三年六月——ちょっと国鉄の問題で、井上さんおいでになっておられますか。——政府委員の御都合で、質問が入りまじって混乱しておりますけれど、途中で入れます。満鉄職員であった人が日本へ帰って国鉄職員になった場合に、満鉄職員時代前歴計算をしないで、全く新しい角度から当時国鉄に採用をされておる。したがって、恩給共済年金通算日本へ帰ってからが時点になっておる。今度満日ケース通算問題をわれわれ要求しておるのですが、それとあわせての問題として、いま現に、日本国鉄職員になった人は、三十年から四十年勤務した人が六、七万円の給与をもらっておる。しかし満鉄におった皆さんは四万円台である。三分の二とちょっとという程度給与ということになっておるのですが、国家公務員の場合、民間の場合は、半分同じような形態の性格を持っておるものには、八割あるいは十割まるまる認めるという前歴計算制度があるのですが、国鉄では満鉄勤務期間を全然前歴計算をしないで、ああいう給与をきめられたのかどうか。非常に大きな差が出ておる。同じ年齢で、同じ鉄道勤務年数で、三分の二ちょっと程度という非常に低い水準に置かれておる理由はどこにあるのか。給与の改定を根本的にする道が国鉄にあるのかないのか。御答弁願いたいと思います。
  25. 井上邦之

    井上説明員 ただいまの御質問、私、ちょっとわかりかねる点があるのですが、現在の給与の問題ですか、年金の問題ですか。
  26. 受田新吉

    受田委員 現在の給与です。
  27. 井上邦之

    井上説明員 現在の給与でございますれば、前歴をちゃんと見まして、同じような経歴の在来の国鉄職員との権衡をはかってやっておりますので、平均して言いますれば、そういうふうな差はないはずでございます。個人的にあるいは何らかの事情で低いものがあるかもしれませんが、平均してみますれば、そういうものはないはずであります。
  28. 受田新吉

    受田委員 それは具体的事例を示して——個人の差ということでなくて、前歴計算をどういうふうにされておるのですか。満鉄勤務期間をどういうふうに計算をして国が採用されたか。これはいま二万という該当者があるのですから、十分御検討されておると思いますから……。
  29. 井上邦之

    井上説明員 満鉄職員だけ特別の前歴換算ということをいたしておりません。一般に途中から入ってきます者に対しまして、年齢はどれだけであるか、あるいはほかの職場でどのくらい勤務をしておったか、そういうものを見ましてやっております。したがって、初めから、学校を出ましてすぐ国鉄に入った者、それとの差は若干はあるかもしれませんけれども、満鉄職員であるがゆえに低いということはございません。一般の途中から入ってきた者と同じような換算方法でやっております。
  30. 受田新吉

    受田委員 これはひとつ資料を用意して、あなたと別途また議論をさしてもらいましょう。  問題をもとへ返していきます。これはきのう大出委員から質問をされておりますので、重複を避けまして、満日ケース国鉄職員の共済年金通算制度、退職金の処遇等についての強力な申し合わせば附帯決議等で果たし得るとして、その点では質問を一応終わりにしておきます。井上理事答弁に対する私の質疑は非常に大きく食い違いますから、大蔵委員会における審査の際にあらためて私から提案をすることにします。  私、ここで文官の場合に例をとって、昭和二十三年六月以前の退職者、二十八年の退職者と、その時点を区切りにして断層が幾つか出てきておるわけですね。これは恩給局長御存じのとおりです。この断層を是正するための措置は、二十三年六月以前の皆さんにはすでに四号俸程度の是正を先般一応してあります。しかし、基本的な改定はまだできておらぬと私は判断するんですが、いまの断層による処遇を、恩給年金額を漸次現時点に公平に是正する措置は恩給審議会に提案されてあるかどうか、御答弁願います。
  31. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 いわゆる二十三年六月三十日以前の退職者に対するこれまでの手直しは、過去数回行なわれまして、ある程度の是正措置を講じてきたわけであります。先生ただいま御指摘の点は、その後における年次別格差というものが出てくるであろう。これらの措置をいかにするかという問題は、それなりに受給者にとっては重大な課題でございますので、恩給審議会でこの審議は一応議題として掲上することにいたしております。
  32. 受田新吉

    受田委員 同時に、きょうは、恩給年金を通じての関係者でありまするので、申し上げておきたいのです。  一般の公的年金制度との関連ということになると、なかなかデリケートな問題が一つありますけれども、恩給年金額あるいは扶助料の額が生活保護費とあまり違わないような金額になっておるという現状の人が相当あるわけです。これは最低額の引き上げということと、同時に、高級公務員で、高率の恩給をもらって、さらに公団、公社等で、きわめて高額の処遇を受けている、そういう人々に対して、最高制限額というものを設ける必要はないか。恩給年金額の最低金額の引き上げと最高制限額の設定というものを考えていくという私のひとつ新提案でございますが……。
  33. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 御承知のように、定額停止の規定を援用することによって、高額所得者については、公団、公庫ということに限っているわけではございませんが、当然所得による恩給の制限という形は出てまいります。  それから、もう一つの最低限の分につきましては、御承知のように、昨年の法律改正におきまして、最低額保障という形で長期在職者の保障をいたしたわけでございますが、この点については、あるいは先生の御主張からいきますと、まだ不十分だというお考えがおありではなかろうかと存じております。さらにつけ加えて申し上げさせていただきますならば、一応恩給は在職年によって計算をいたしております。したがって、在職年が非常に短い方々につきましての恩給は、それなりに低額に出てくる。ここらが御関心の材料の一つではなかろうかと思いますが、恩給制度上、実は現在においてはまことにやむを得ないと考えておるわけでございます。
  34. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。私は他の委員会から緊急に呼ばれましたので、恐縮ですが……。先般の当委員会で司祭大出委員から塚原長官に御質問になった恩給審議会に関する答申の問題でございますが、私どももこの点については塚原長官にぜひお願いをしておきたいことは、いずれ後刻採決の際に、三、四の附帯決議も提出されることと思いますが、それらの問題等もありますし、そのほかにも恩給審議会等において昨年の十一月、政府の非常な御援助によって中間答申も出ました。また、恩給審議会が、当面の公務員給与恩給受給者との関連の一番大事な問題だけでなしに、その他の元軍人受給者、傷痍軍人等の各般の希望も出ておりまするし、それらの問題も審議会で審議されておると伺っておりまするが、あるいは他の委員質問で長官は答えられたかどうか、私他の委員会に出ておりまして承知しておりませんので、もし答弁しておればけっこうでありますが、恩給審議会は、長官の答弁によれば、昭和四十三年三月三十一日までにでき得る限り答申をするという御回答があったわけであります。それでは四十三年度の予算に間に合わない。この問題があって、先般十一月の答申についても、そういう点を配慮して十一月中間答申を願ったわけでありますから、各般の問題並びに当面の大きな問題については、あるいは公務員給与恩給受給者との給与の公平、適正化の問題はあるいは来年になってもやむを得ないかもしれませんが、それまでに——それもできれば年内に予算に間に合うようにしていただきたいし、その他各般の五十数項目にわたる希望が各方面から出ておりますので、それらの問題のうち、恩給審議会検討をし、処理し得るものはできるだけすみやかに出していただきたい。その配慮をひとつ恩給審議会のほうへぜひ御援助を願いたいということについての長官の御回答を承っておきたい。
  35. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 仰せのように、恩給審議会は来年の三月末で切れるのでありますが、いま伊能委員指摘のように、やはり四十三年度の予算に盛るべきものがたくさんあると存じております。この委員会を通じての質疑応答におきましても、まに政府の考えておること、あるいはまた役所等において超党派的に持ってこられる諸問題、それからいろいろ矛盾の点等もございまして、政府も十分考えておりまするが、この委員会の御意見も参酌し、また、それらのものが答申として出され得ると私は想像いたしております。もちろん、それらの問題がすべて審議会の重要な議題になっておることも私は承知いたしておりますが、ただ、審議会はきわめて精力的に勉強していただいておりますので、私の立場からあまり内政干渉ということはやりたくありませんけれども、そこはおのずから意を通ずる道は私はあると考えておりまするので、先般私が退席いたしましたときにその御質問があったようでありまするが、十分この委員会の皆さま方の意を体し、伊能委員の御質問に沿うような処置をできるだけ私はとるように努力いたします。
  36. 浜田光人

    ○浜田委員 さっき受田委員の御質問で、法制局から、既得権財産権と思っておる、こういう御答弁でございましたが、それに関連して質問いたしますが、昭和二十年に海軍工廠の工員並びに用員、雇員、これらの多数の人に対しては、一たん退職金を支給しながら、マッカーサー指令によってその定額貯金を没収されておる、こういうケースに対して法制局はどういう理解をしておられるか。  それから援護局長お尋ねしますが、この人たちが、さっきも答弁されましたが、二十三年六月以降、この期間通算の問題で公務員として処理しておる、こういうことですが、そういう現在公務員に入った人たちは期間通算によって処理しておられる。しかし、好むと好まざるによらず、敗戦によって解雇されたこういう人たちの退職金の取り扱い、さっきの期間通算の問題と関連してどういう処置をしたら妥当か、これらについて御答弁をいただきたいと思うわけであります。
  37. 関道雄

    関政府委員 現在の憲法のもとにおきましては、一たん適法に支給をいたしました金銭を何ら理由なく没収をするということは考えられないことであります。ただ、いまの先生お話でございますと、占領中のマッカーサー指令部の指令によって行なわれたということでございますが、マッカーサー占領軍の行為につきましては、通常の憲法の支配外にあるということは、最高裁の判決にもございまして、そういうことで行なわれたのではないか、こういうふうに考えております。
  38. 浜田光人

    ○浜田委員 当時は占領中だから、マッカーサーが日本政府よりか強い権限を持っていろいろなことをやっておることはわかる。わかるけれども、その後に、さっきも援護局長答弁しておられたが、公務員には事実上その期間なんか期間通算しておるわけですね。ですから、多数の該当者、海軍工廠だけでなくして、陸軍省等にもたくさんおると思うのですが、そういう人たちは、今日憲法二十九条によってこれこれだと盛んに運動を展開しておられるわけです。だから、そういう片方では期間通算をしてそれらの問題を解決する、マッカーサー指令で一たんやったのを。だが、取り残された人たちはほうっておいていいのかどうかという問題、そういう点を質問しているのです。マッカーサーが政府よりか強い権限でやったということは知っておるから、マッカーサー指令でこれこれやっておるから、今日どういう取り扱いをしたらいいのか、すべきか、こういうことを質問しているのです。
  39. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 海軍工廠の雇用人の方々は、恩給関係から申しますと、御承知のように、恩給対象になりますのは、当時、官吏と雇用人の身分的な差異を一応前提として支給されておりましたので、したがって、この関係は共済ないし退職手当の問題と相なろうかと存じますので、恩給局の所掌の範囲と異なる関係にございます。
  40. 浜田光人

    ○浜田委員 したがって、法制局見解もぼくは出してもらいたいと思うのだが、厚生省援護局長に、さっき所管外だと言われるので、あえて聞きますが、今日いろいろと政府は、農地報償にせよ、あるいに引き揚げ者財産の問題にせよ、戦後処理としてたくさんやっていっておる。このように、かつては軍需生産に徴用までかけたりしてやらしてきた。それを一たん退職金を支給しながら、支払いをしながら、当時は上級の人は別としても、いわゆる工員とか用員とか、こういう人たちには支給したのは十八、九カ月分にして、最低保障をして、しかもそこの中で千円だけしか現金で渡さずして、あとは定額貯金を無理にさせたのですね。それを全部没収しているわけですね。だから、こういうマッカーサー指令でストップかけて、一部は今度はそれは閣議決定してやっておる、こうなっておるのですから、政府の責任であることは事実なんだ。その後そういう指令でストップして、事後、今度はそれも解除して一部払っておる人もあるのだ。ですから、政府のその行政指導あるいは指令の出し方、こういうことが、まちまちや不徹底等によって非常に損をしておる、不均衡な取り扱いを受けておるというケースなんです。だから、こういう人たちは当然権利があるし、けしからぬというので、今日騒ぎつつあるのだ。こういうのをどのように政府はこれから処置しようとしておられるのか、厚生省のほうに特に見解を聞きたい。
  41. 關谷勝利

    關谷委員長 援護関係は所管外ですから、筋違いのものを質問しても答弁に困りますよ。
  42. 浜田光人

    ○浜田委員 そうすると、委員長質問するのだが、こういうようなことはどこが担当ですか。
  43. 關谷勝利

    關谷委員長 それは政府のほうなら政府の代表者、また大蔵省なら給与課長だから、大蔵委員会にでもそれを質問するようにしてもらわなければ困りますね。
  44. 浜田光人

    ○浜田委員 そうすると、問題を処理する方針はきまっているのですか、たとえば戦後処理ということ……。
  45. 關谷勝利

    關谷委員長 所管外のほうに聞いたってわからない。
  46. 浜田光人

    ○浜田委員 戦後処理ということで……。
  47. 關谷勝利

    關谷委員長 それは大蔵省の給与課のほうだから、大蔵省のほうに聞かなければわからないので、筋違いに質問しても答弁のしようがないですからね。
  48. 浜田光人

    ○浜田委員 あなたは十分と言ったから、十分は守りますよ、あなたのほうからそう言わぬでも……。
  49. 關谷勝利

    關谷委員長 答える者がないでしょう。
  50. 浜田光人

    ○浜田委員 ないことはない。いま援護局長あるいは法制局長にこれを聞くのはあたりまえだから……。
  51. 実本博次

    ○実本政府委員 いま先生お話の点でございますが、それはおそらく各省共済の対象者の問題でございますので、それは大蔵省のほうからお答えがあってしかるべきだと思います。
  52. 浜田光人

    ○浜田委員 発言者が関連して時間をくれたんだから、委員長そう制約しなさんな。私は、少なくともいろいろまたがった事項だと思うのですね。そうなってくると思うのです。したがって、政府はどう処理するかということをきめなければならぬ。そこでさっきのように、公務員の退職期間通算ということは、既得権を認めておることでしょう。そうすると、それまでに一たん支払われた人たちの取り扱いをどうするかということは、少なくとも政府の中で期間通算をするときに、以前の分はどう処置するかということは検討して結論を出さなければならぬと思うのです。そういう点ではやはり関連がある。関連どころか、中心にその問題の検討をしなければならぬと私は思うのです。そういう期間通算なら期間通算する、こういう結論が出なければならぬと私は思うのです。そういう点についてお答え願いたい。
  53. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 恩給的に処理をいたします場合には、これまでたびたびほかの先生方の御質問お答えを申し上げておりますように、いわゆる退職されたときのその人の職がどういうところにあるかというふうなことが一つの基準に相なりまして、したがって、その人がいま御指摘の雇用人というふうな立場におられる方々の問題には、必然的に、たとえばその他の期間の場合を考えるにあたりましても、そういう身分的要素というものが働いておりました。恩給法の基礎の中では、そういうことによる基準によっての区分をいたしてまいらなければなりませんので、そういうふうな措置が、かりに諸般の改善措置を講ずる場合におきましても、おのずから一つの限界がございまして、それぞれの政府側の所掌の範囲内において、いま御指摘のような問題にも解決策を考えていく以外にはなかろうか、かように考えるわけでございます。
  54. 浜田光人

    ○浜田委員 法制局に聞きますが、さっきの答弁で、政府より強いマッカーサー指令があったんだから、こう言われるが、さっきから説明しましたように、ずっと事実上政府がその強い指令をあとから取り消して行政を行なっておるわけですね。そういうときに、法制局として過去のこういう人たちの権限をどう見られますか。
  55. 関道雄

    関政府委員 一般的には先ほど御答弁申し上げましたとおり、既得権というものは尊重せらるべきであるし、それからまた同じような状況のもとに置かれた人々は、同じような法律上の取り扱いをすべきものであるということは、一般原則としてございます。したがって、われわれ行政の衝に当たっておられます各省において、いろいろなそういうものを法律案の形にまとめられて持っておいでになる場合に、私のほうで審査をいたしますときには、そういう精神で審査をいたしておる。それ以上につきまして、具体的なケースにつきましては、私いま知識を持ち合わせておりませんので、それについていろいろのことを申し上げるということができないわけでございます。
  56. 浜田光人

    ○浜田委員 最後に、そうすると、該当者が地方の行管を通じて総理大臣あてに書類を出しておるらしいのですが、おいでの各省で、行管のほうからそういう書類をもらっておられるところがあるかどうか。その見出しは「国家公務員に非ざる元海軍工廠工員に対し退職金を支給する為の立法措置の要望に就いて」こういうのを「内閣総理大臣佐藤榮作殿」ということで出しておる。その後関係のところへ書類を持っていっておるかどうか。
  57. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 ただいま私の所管ではございませんが、御指摘のような書類は当然共済関係の問題と相なろうと思いますので、おそらく大蔵省の主計局にはその関係書類は出ておるのではなかろうかというふうに考えます。
  58. 受田新吉

    受田委員 これからお尋ねするのは、きわめて簡明にお尋ねします。簡明にお答え願って時間をできるだけ縮めて片づけます。恩給局長さん、先般援護局長さんが、いわゆる特例公務職務関連によるところの援護法対象になる皆さんに対する特例措置を考慮したいというお気持ちを表明されておりました。傷庚軍人の場合も、内地で職務遂行に関連して発病傷疾の身となった皆さんに、この恩給特例法による特例公務方式を、すなわち、六割でけっこうでございますけれども、戦死者に準じた扱いをされた特例公務の方式を、傷痍軍人にも適用するということの御考慮が願ってあるかどうか。これはまた、恩給審議会にはかってあるかどうか。それから引き続き昭和二十一年の例の勅令六十八号で、目症度の皆さんに三百二十円の一時金支給規定を出したけれども、三年間の期限つきであるから、ほとんどの者が失格して、これは申請をしていない。こういう方は永久にからだを傷つけたままで生涯を送るわけですけれども、ささやかであっても、目症度の皆さん年金制度というものを採用するという方式、これもあわせてお答えを願いたい。  それから、幸い今度は例の二項症以上の方に対する特別加給制度が、一方二千円増額措置がされております。非常にけっこうなことでございます。と同時に、三項症以下の皆さんに対する特別の加給の配慮がされようとしているのかどうか、これをいずれも恩給審議会と合わせて検討の資料にしてあるのかどうかを、一緒にお答えを願いたいと思います。
  59. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 ただいま御指摘の第一点の、いわゆる現在障害を残して生存しておられる内地発病の方々について特別に措置を講じては、つまり特例扶助料相応の考え方をとっては、こういう御要望のあることを十分承知いたしておりますので、この点については、現在上審議会に付議をいたしております。  それから第二点の目症者についての点も、これは実はかねがね長い間の要求がございまして、目症者について何らかの措置をというお話がございます。この点は、実はさきの症状等差調査会である程度症状等差の見直しをいたしますので、この分によって救われる方もあろうかと存じます。しかし、その他一般残りの目症者についての措置は、これも審議会の付議事項といたしております。  それから第三点、いわゆる特別加給とお話しになりました介護手当、これを二項症以上としております分を三項症以下に下げる、ごもっともな御主張なんですが、本件につきましても、実はいろいろな検討対象として審議会の付議事項といたしております。
  60. 受田新吉

    受田委員 いま目症から上に上がっていく例もあるということで、たとえば一目症程度であったもの、小指切断の皆さん方が四款症に上がる報告書が出ておりますが、そういう場合に、小指が動かなくなったという人はどういうことになるかという取り扱い内規等も何かおつくりになると思いますが、それは公にしていただけるような内規をおつくりになるのかどうか。
  61. 矢倉一郎

    矢倉政府委員 先ほど申し上げましたように、実は症状の別表につきましてはできるだけ法律化していくという態度をとりたいと考えておりますので、それでほとんどが尽きるかと思いますが、しかし、それではまだなお援用、流用の問題の中で課題が残らないとも限りませんので、さような点についてはそれぞれ取り扱い規定を設け、これはいま先生指摘のように、できるだけ一般の御承知いただけるような方法をとるほうが好ましいのではなかろうか、さように考えております。
  62. 受田新吉

    受田委員 積極的な御意図を持っておられますので、期待しておきますが、援護局長さん御所管の件で、戦没者の父母に対する特別交付金支給法律も、この間通ったのです。非常にけっこうだと思います。同時に、戦傷病者の妻に対する特別交付金の支給も、七項症まで救われておる。款症度の皆さんの措置が残っているのですが、この問題も検討をされておるのかどうか、今後の問題としてお答えを願いたいと思います。
  63. 実本博次

    ○実本政府委員 款症度の場合には、むしろ戦傷病者の妻でなくて、御本人のほうの施策をもう少し進めてまいりたいと思っておるのであります。現在の時点ではそう思っております。
  64. 受田新吉

    受田委員 これはそのいずれにしても、当然項症皆さんに準じた扱いをされることを要望しておきます。  最後に、副長官が来られたから、少し政治的な問題になりますが——委員長、時間を縮めてやりますから、途中で発言停止にならぬようにしていただきたいのですが、大東亜戦争で日本近海及び太平洋各地で沈没した陸海軍の艦船、これは相当膨大なものになって、きょう、資料要求をしまして、厚生省からお出しいただいたこの一覧表を拝見をいたしましても、たいへんな数字に上っているわけです。全海域において大東亜戦争下における沈没艦船総計三千二百六十隻、そして海没者が三十五万八千五百人という膨大な数字が出ている。この中で、すでに引き揚げたものが百十三隻となっておりまするが、軍艦「陸奥」が私の郷里山口県の大島郡の沖合いに沈んでそのままに放置されて、英霊もそのままにこの艦船の中に眠っておられる悲壮な話があるのです。比較的浅い五十メートル以内の浅海に沈んでいる艦船は即時引き揚げを実施されて、そこに眠る英霊に御安堵を願うという形の政治が要ると思うのです。これに対して、この沈没艦船の引き揚げ及びその艦船に残り戦後二十二年海底静かに眠っておられる英霊処遇をどうしようとしておられるか。これは総理府総務長官並びに大蔵省国有財産局長並びに厚生省援護局長にそれぞれ御答弁願い、特に国務大臣たる総務長官はいまあちらに行かれましたから、副長官にこの扱いをお願いして、また外務省には一括してお尋ねします。  この沈船引き揚げ等は、フィリピン賠償協定などによって賠償の中身の中に包含されて、役務の供与あるいは沈船引き揚げというようなものが入っておるのですが、そういう外交交渉上の問題として、沈船引き揚げにどういう方針を持っておられるか、関係四人の首脳部にお聞きしたいと思います。これは全部恩給法関係する問題でございますので、関連質問でありますが……。
  65. 上村千一郎

    ○上村政府委員 受田先生のおっしゃるとおり、私も当時召集を受けてまいっておりまして、同僚の中でもまだそういう状態にあられる方もあると存じます。もう戦後二十二年を過ぎてまいっておりまして、これが処置につきましては、遺族方々英霊方々に対しましても何らか誠意ある処置を至急に講ずべきものかと思いまして、御意見に沿うように検討をいたしてまいりたい、こう思っております。
  66. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 私のほうは、実は沈没した艦船が普通財産として国有財産になって引き継がれておるという形をとっておる関係上これに関連してまいるわけでございますが、従来、沈没された艦船の払い下げを行ないます際に、その払い下げに関連して、英霊、遺骨が引き揚げられるということで厚生省と連絡をいたしまして、その処理に付随して厚生省として英霊の処理をお願いしておるという状態でございます。
  67. 実本博次

    ○実本政府委員 先生がいまお示しの日本近海におきまして水深五十メートル以内のものはどういうふうに処理するかというお話でございますが、その差し上げました資料の下から二番目をごらんいただきますと、日本本土の周辺に沈んでおります四百十艦船のうち、水深五十メートル以内にあるものが四十八でございまして、そのうちの四十七隻はもうすでに引き揚げてございます。そしていま一隻残っておりますのは、「陸奥」が一つだけ残っておる、こういうふうな状態で、いまその「陸奥」の問題につきましても、大蔵省のほうで御配慮を願っておる。こういう状態でございます。
  68. 吉良秀通

    吉良説明員 先ほどの御質問英霊の眠る艦船の引き揚げ等につきまして、外交交渉上の問題になります場合には、外務省としてもできるだけの尽力をいたしたい、そういう考えでございますが、具体的にはフィリピンの御質問でございました。これは賠償のお話でございましたから、賠償ということになりますと、先方が艦船の引き揚げを希望して、それを賠償に乗せることを提案してくる場合でございまして、その場合にも、その艦船の中に英霊が眠っておるということでございましたら、それについては別途当然適当な考慮を払わなければならない、そういうふうに考えておる次第でございます。
  69. 受田新吉

    受田委員 いただいた資料で「(D)欄のなかには、既に外国人により引揚げられたものもあると考えられる。」とある。これは外国人がかってに引き揚げることができるのでございますか。盗人みたいじゃないですか。
  70. 吉良秀通

    吉良説明員 私、そのお問いに対しまして責任のある答えをなす立場にあるかどうか、多少疑問に思っておりますが、常識的に申し上げまして、戦争中に沈没しました艦船の所有権の問題になるかと思いますが、国際法上、相手国の領海に沈んだ場合には、これは戦利品という形で当然所有権が先方にあるのではないかというふうに考えられます。したがいまして、そういう場合には先方がかってに引き揚げるということも可能であるかとは存ずる次第でございます。詳しくは条約専門家に聞きませんと、その辺実は自信はございません。
  71. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 いまの問題と関連して私のほうが従来沈没艦船を普通財産として処理をいたしてきておる関係上、こういうようにいたしておることを申し上げます。  艦船のうち、いわゆる戦利品としてとられたというようなものは別といたしまして、私たちが持っておる沈没艦船は依然として国有財産である。それで日本の領海にあるもの及び公海にあるものはそういう取り扱いをいたしております。ただ、平和条約に署名した国の領海にありますものは、平和条約第十四条(a)の二項によりましてそれぞれの国に帰属するという措置がとられておりますので、これはいまのような地域のものは国有財産として処理はいたさないという形でございます。
  72. 受田新吉

    受田委員 援護局長さん、外国がかってに引き揚げた、所有権の問題もあるし、平和条約の約束もあるでしょうが、そういう際に、中におられた英霊扱いはどういうことになっておるか。かってに向こうが処理して、英霊にそそうがあってはいけないと私思うのですが、そういうものは事前に交渉して処理されるという方式がとられているのか。これは、参事官、条約の関係でないとおわかりにならぬでしょうが、非常に大事なことだと思うのです。かってに日本の軍艦を引き揚げて、英霊を放棄していくというような形があってはならない。昨年松永国有財産局長は、国有財産である艦船を揚げるために英霊を大事にしなければならない、これを揚げるにはそれを爆破しなければならぬが、英霊を爆破するということになるので非常に恐縮しているという英霊爆破論をお述べになられました。これはそのとおりたいへんおそれ入ることでありますが、英霊爆破ということにならぬように大事に扱うということは、外交交渉と厚生省英霊の処理を大事にするという二本立てでお答えを願いたいのです。
  73. 実本博次

    ○実本政府委員 全く先生の御意見どおりでございまして、こういうものにつきましては、そういう情報が入りまして、的確なものにつきましては、さっそく外務省を通じまして当該国のほうにその真否を確かめて、英霊処遇については遺憾なきを期していきたいと考えております。おそらく、ここに掲げましたのは、先ほど外務省の参事官からお話のあった、戦争中かあるいは終戦直後の混乱の中での問題だろうと思いますが、少なくとも現在におきましてこういうケースがありますれば、先ほど私が申し上げたような方向で徹底的にそそうのないように取り扱っていきたいという方針でございます。
  74. 受田新吉

    受田委員 国有財産局長さん、あなたの御所管に属する艦船、これを民間業者に払い下げるという方式以外に、国家の力で、国家が監視をしながら英霊に損壊を与えないように、しかもその間に軍艦「陸奥」においても西日本海事でしたね、醜悪なる事件が起こって、中に入って、サルベージが盗みをしておる、かん詰めなんか持って逃げておるという、けしからぬことをやっておる。そういうことのないように監視を厳重にし、国有財産を保全して、同時に英霊を大事にするという国家の事業として全面的にこれに取り組む決意があるかないか。これは最後に政府の責任者として国務大臣たる総務長官にかわる副長官に御答弁をお願いしたいと思います。
  75. 上村千一郎

    ○上村政府委員 受田先生のおっしゃること、全く私は同感だと思いますし、総理府で各施策に対しまするところの、並びに事務の総合調整をいたしておる関係もございますので、私のほうでそういうことにつきまして、御趣旨に沿うような措置をいたしていきたいと考えております。
  76. 受田新吉

    受田委員 あなたのいまの御発言は非常に大事な御発言です。大蔵省も厚生省も外務省も一体となられて総理府が何かの委員会でもつくって——日本の近海及び太平洋諸地域に沈む大東亜戦争の悲しい膨大な数にのぼる艦船のうち、引き揚げたのはわずかに百十三隻しかない、三千二百六十隻というこの大量の軍艦、船舶の引き揚げについては、大蔵省も、もう一度国有財産局長さんにお願いしておきたいんだが、特定のもうけ主義の業者にこれをやらしてはいけない。採算が合わなくても国家でやってもらいたい。軍艦「陸奥」の場合は、昨年十億くらい引き揚げ費が要るということで、スクラップにして六億円とおっしゃった記憶があるのです。六億円のスクラップになる「陸奥」を引き揚げるのに十億円の金をかけるのではもったいないから民間にさせるという意味の御発言があったのですが、このために国家予算が膨大になっていっても、公団、公庫につまらぬ金を払うよりははるかに効果的な事業だと思う。日本近海及び太平洋に沈む艦船の一斉引き揚げに国費を投じて、国家の特別の機構を総理府にでも設けて、そして国有財産局長の多年の頭痛の解消ができまするように、あなたの熱心な御努力と、国家の力で解決するという大蔵省側の御意見英霊を大事にするために援護局長が陣頭に立たれて、英霊に損壊がないということを前提として金をよけいかけてもいい、英霊を大事にして引き揚げるということであれば国民は納得すると思う。そういう方式でやっていただけるかどうか。それから外交上は、外務省として、日本英霊を損壊してまで、もうけ主義で艦船を引き揚げるようなことのないように厳重に監視して、外交交渉でこの問題を解決するという総合的措置を政府で全面的におとりいただけるかどうか、お答え願いたい。
  77. 松永勇

    ○松永政府委員 私がいま所掌いたしております国有財産という観点から申し上げますと、これは財産価値というものに着目いたしておるわけであります。しかし、そういう財産価値というものに着目したいまの扱いがいいのか悪いのかというような点は、確かに受田先生のおっしゃるようにいろんな問題点があろうかと思います。ただ私たちがいままでの払い下げを通じて、その機会に英霊を引き揚げるということは、これはいわば便宜として行なわれておったことだと思います。したがいまして、私の所掌しておる面からのみ申しますれば、これは財産価値がないものを引き揚げるということ自体はなかなかむずかしゅうございます。別途、そういう問題をどう扱うかということを政府全体として検討するという事態になろうかと思っております。
  78. 実本博次

    ○実本政府委員 海底深く眠っておられます英霊のこと、あるいはその御遺族のことを考えますと、全く気持ちの上では受田先生のおっしゃるとおり、幾ら巨費をつぎ込んでもこれを政府の力で引き揚げるということが非常に望ましいわけでございますが、実際問題といたしましては、やはり先ほど先生の御指摘があったように「陸奥」の中に眠っておられる二百七十一の御遺体をお揚げするだけでも十億円かかるというふうな財政的な制約を考えますと、やはりいまのような国有財産である艦船の物資の活用をしながら、しかも英霊に傷がつかないように揚げるという方式をここ当分の間続けていかざるを得ない。  ただ、もう一つは、潜水技術といたしまして、いまはやっと水深五十メートル以内のところだけにしか及んでおりませんが、これを全海域に沈んでおりますものに全部及ぼすということになりますれば、今度はもっと百五十メートル、二百メートル、さらには千も千五百もといった深海に沈んだものにまで及ぼさなければならないというようなことになって、サルベージ技術、潜水技術的な制約もございまして、できるだけ英霊に傷がつかないようにくふうを進めていかなければならないのではないかと考えておるわけでございます。
  79. 吉良秀通

    吉良説明員 先ほども申しましたように、英霊の眠られます艦船の引き揚げが外交交渉の対象になります場合には、まことに、先生がおっしゃったように、英霊を傷つけることのないように十分な取り扱いを外交折衝上もやっていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  80. 受田新吉

    受田委員 それぞれ非常に熱心な御答弁がありました。特に国有財産局長は財産価値として見る場合しか大蔵省としてはできないが、何らかの便法を講じたいという御答弁がありました。これらの沈没艦船のスクラップとしての財産価値は、総額でどれだけになっておるのか、お答え願いたい。
  81. 松永勇

    ○松永政府委員 実はスクラップとして現在幾らになるかという試算はいたしておりません。個々の具体的な、たとえば「陸奥」のように引き揚げの日程にあがってきたものにつきましてこれを評価いたすということにいたしておりますので、現在の全海域にあるものが幾らになるかということはわからない状態であります。
  82. 受田新吉

    受田委員 副長官、あなたはいま非常に誠意ある総合的な機構を設けてでもやりたいということでしたが、いま国有財産局長も、国家として各省を通じてやるというならば大いに協力するということになっておるのです。いまは各省ばらばらで問題を扱っておるから、非常に冷酷になっておる。いま日本国民は、大東亜戦争終結二十二年、太平洋諸地域にこれだけのばく大な英霊と艦船が沈んでおることを早く解決したいと念願しておる。総合企画をするところを総理府に設けて、この問題の解決に前向きで取り組む決意を持っておるかどうか。
  83. 上村千一郎

    ○上村政府委員 実はどういうふうになっておるかということにつきましては、いま直ちに申し上げるというわけにまいりませんが、審議室がございまして、各省の審議官がまいりますので、先生のおっしゃることは、私、全く同感と存じますので、総合的に検討をすみやかに進めていくことだけは申し上げておきたいと思います。
  84. 受田新吉

    受田委員 それじゃもう一つだけで質問を終わります。  最後に外地戦没者の遺骨収集を徹底的に実施するということ、それから慰霊塔とか墓地の整備というもの、これもまた多年私が提案しておる問題である。中共の戦犯者の墓参は一回だけ成功しておる。昨年はモンゴルに私自身政府墓参団で参拝しました。こういう経緯を考えるときに、これらの外地に、あるいは外国に戦没した人のそうした処遇について年次計画でも設けて、できるだけ、二年か三年の計画によって、そういう墓地の清掃まで遺骨収集を含む措置をとるべきである。外交交渉とあわせてこの問題は、艦船の沈没と同様な措置をしてやるべきであると思うが、どうお考えか。特に中共の墓参ということについては、外交ルールができていないけれども、モンゴルという同じ共産圏の国でありながら、昨年政府墓参団を招き入れたというりっぱな事例がある。これをどうやるか。これもまた総合的な御答弁を願いたい。
  85. 上村千一郎

    ○上村政府委員 実は、いま先生のおっしゃるこの墓参という問題は、最も基本的な、人道的な問題でございまするので、いま先生のおっしゃるような二とについて私も同感でございまするので、その点もすみやかに検討を開始していきたいと思います。
  86. 実本博次

    ○実本政府委員 在外戦没者の遺骨収集並びに現地墓参等につきましては、政府といたしまして、昭和二十八年以来、数度にわたりまして、南方諸地域、ソ連諸地域等につきまして実施いたしました結果、大体地域的には、旧満州地域を除きまして、一応は終わったものと考えておるわけでございます。特に最近南方諸地域におきましては、何ぶんにもこれは非常に広範な地域に対しまして限られた人員と日数等をもって行なった関係もありまして、いまだに山野に未処理の遺骨が発見されるというふうな情報がたびたびもたらされている地点が出てまいっておりますので、このような地点につきましては、当該国と交渉いたしまして、さらに収集を実施することにいたしております。  昭和四十二年度におきましては、戦没者の一番多く出ましたフィリピンのうちのレイテ、マリアナ諸島のサイパン、テニヤンあるいはカロリン諸島のメレヨンといったようなうち、南洋の島々で玉砕されましたたくさんの遺骨がいまだに山野にさらされているというところについて、遺骨収集の計画を、予算もすでに確定いたしまして、練っておるところでございます。なお、残されました中部太平洋、その他ニューギニア、あるいはまたさらにはインド、ビルマもやり残しがございます。それから、お示しのような中共の地域についても、ここ数年、そういうところにつきまして収集計画を立てて実行してまいりたい、かように考えております。
  87. 受田新吉

    受田委員 吉良参事官、御苦労でございますが、中共の墓参団というものは外交交渉が十分できていない段階ですし、赤十字を通ずる手もあるが、何かの方法で外務省が努力されて、ソ連の墓地のできていない地域あるいは墓参のできていない地域も墓参のできるような方法をとる。厚生省と十分連絡をとって全面的な規模でこの問題の解決をはかっていただきたいわけです。  あわせて、まだ帰らざる夫帰還者は、われわれが厚生省からいただいた資料によりますと、全体で四千八百七十五人、ソ連四百四十六人、中国三千九百二十五人、北鮮百四十一人、これらの未帰還者の引き揚げはどういうかっこうで促進されようとしているのか。帰ることを希望しない数字も出ております。これはしかたがないが、帰国を希望しながら戦後二十二年、いまだ異国の丘で祖国の夢を追うておる方々はあまりにも残酷です。これ以上延ばすわけにいかない。  なお、厚生省はすでに戦時死亡宣言の規定法律で設けておる。この帰らざる見込みのない人の場合、家族の申し出で戦時死亡宣言をして、戦死と同じ扱いで、戸籍も抹消されて、英霊となられておる、こういうかっこうになっておるんです。しかし、二、三人は、なくなったことがわかっておりながら、御遺族気持ちで戦時死亡宣言ができなくて、未帰還者として扱っておる悲壮な方があると聞いている。こういうことを前提として、厚生省、外務省の態度をはっきりしていただきたいと思います。
  88. 吉良秀通

    吉良説明員 在外でなくなられました邦人の方の遺骨の収集の問題ないしは墓参の問題それから生存しておられながらいまだ帰られない方の問題、それぞれの問題につきましては、所管の厚生省と十分協議をしながら、従来外務省としてでき得る範囲のことをやってきた次第でございますし、今後とも厚生省と十分連絡をとりながら、外務省のできることをやっていきたいと一般的には考えておる次第でございます。  しかしながら、先ほど御指摘のございました中共地区につきましては、外交関係がまだございませんので、外務省のやれる範囲はほとんどないわけでございまして、どうしても民間の御協力、特に赤十字を通ずる御努力によってこれら未帰還者の帰還促進ないしは墓参、遺骨収集の問題をやらなければならないのが現状でございます。しかし、もし外務省にできることがございましたら、喜んでお手伝いをし、尽力をしたいというふうに考える次第でございます。
  89. 受田新吉

    受田委員 外務省の御努力で——北鮮の八名が帰還を非常に熱心に希望しておる人がいるんです。北鮮からこっちへ帰ることは、北鮮との帰還協定もあって、この問題はすぐ片づく問題ではないでしょうか、いかがでしょうか。
  90. 吉良秀通

    吉良説明員 北鮮の件につきましては、私いま初めてお伺いしたような次第でございますので、さっそく外務省としても調査してみたいと思いますが、北鮮につきましても、先生承知のとおり、外交関係のない現状におきましては、やはり赤十字を通ずる方法によって帰還の促進をはからなければならないことと存じております。
  91. 受田新吉

    受田委員 以上の国際的な大きな問題をひっかかえて、外務省、厚生省総理府が、この戦後二十二年の未処理の問題について、総合的に、積極的に取り組む熱意を持たないと、なかなかこれは解決せぬと思うのです。この機会に、総務長官代理副長官は、あなたのほうで各省長官と連絡を密にされまして、外地におけるお墓参り、あるいは御遺骨引き取り、それから未帰還者の問題をひっくるめて、勇気を持って根本的解決に前進をしていただきたい。御答弁願います。
  92. 上村千一郎

    ○上村政府委員 御趣旨、全く御同感でございますし、一刻も早く戦後の処理すべきものは処理して、新しい姿勢のもとに出発する必要もございましょうから、私といたしましては、たびたび申し上げておるような決意を持っております。総務長官にも先生の御真意というものはさっそくお伝えいたしまして、全力をいたしたいことを申し上げておきたいと思います。
  93. 受田新吉

    受田委員 非常にまじめな答弁です。あなたは非常に誠意がある。その点を実際に実行に移してもらわぬと話にならぬわけです。  あと一分だけで、答えが出れば解決するんですが、今度の恩給法援護法、みな関係する問題ですが、外国にも例があることですけれども、英霊を祭る神社は、総務副長官、国家護持方式に切りかえる熱意があるか、切りかえるに支障があるとすれば、どこにあるか、御答弁を伺って終わりといたします。
  94. 上村千一郎

    ○上村政府委員 これは政府の大きな問題でございまして、いま私がこの点につきまして結論的なことを申し上げるには、あまりにもまだ政府としましては煮詰まっていないかと存じます。私個人といたしましては、とにかく国のために尽くされた方に対しまして崇高の念を持って処遇すべきものは厚い処遇をいたすべきものだと考えております。
  95. 受田新吉

    受田委員 それではこれで質問を終わります。      ————◇—————
  96. 關谷勝利

    關谷委員長 許可、認可等整理に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  97. 大出俊

    大出委員 行政管理庁ができて何年になりますか。
  98. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 行政管理庁ができたのは昭和二十三年ですから、十九年になります。
  99. 大出俊

    大出委員 どうもあまりたいしたことをおやりになっていないのですが、臨調答申が出てから何年になりますか。
  100. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 御承知のとおり、臨調答申昭和三十九年の九月でございますから、三年になります。
  101. 大出俊

    大出委員 念のために承ったわけでありますが、ここに、設置法の改正ということで、許認可等整理に関する法律案というのが出ているのです。二十五ですか、幾つかありますが、どうもあまりたいしたものはないわけでございまして、さっきちょっとお話にありました、わけもわからぬ公団、公社に金を使うよりは、というような話もありましたが、どうもこれもあまり——行管の皆さんとしては、ない予算、ないそででずいぶん一生懸命おやりになった結果だと思いますので、その点の評価はいたします。ただ、しかし、全体から見ますと、大風に灰をまいたようなことになるんじゃないかという気がするのでありまして、あってもなくてもいいものだけやっと取りそろえて、抵抗のないところだけまとめてみたという感じなんであります。  そこで、一番根本になりますのは、私は行政管理庁自体の問題だという気がするのでありまして、つまり行管の機構改革からまず手をつけなければ、問題は解決をしないのではないか、こう考えております。また臨調答申の中に、行管に触れて改革意見が出ておりますが、長官というお立場上、一体今日の行管のあり方をどうお考えになりますか。——お答えがないので、私のほうから申し上げましょう。  お持ちになっているんじゃないかと思うのですが、四十二年一月の行政管理年報というのがございますね。皆さんのほうからお出しになったのだから、知らぬことはないと思うのですが、この行政管理年報のうしろのほうに付録の資料がございます。この資料のほうのページにして三十一ページをおあけいただければわかりますが、この十一というところを、年報をお持ちになっておったらあけて見てください。この十一というところに「行政管理庁」という項がございまして——御自分のところのやつを御存じないのじゃ困るので、よく見てください。「行政管理庁は、行政管理局、行政監察局、統計基準局の三局より成り、行政管理庁をとくに解体しなければならない理由はないが、」こういうわけです。そこでまず第一は、「行政管理の機能を強化すべしとすれば、総務庁(仮称)の部局とし、また、予算担当機構と統合することも一つ考え方であろう。」これが一つ。二番目は、「行政監察の機能を、政策の改善、行政運営の改善に全般的に活用しようとするならば、政党政治との関係も考え、強力な監察委員会とするか、または会計検査院の機能を充実し、これに統合することも考えられる。検査監査の重複排除と併せて中立的な行政監察の強化を重点におくならば、会計検査院に統合する案が可であろう。」これが二番。三番目が「統計基準局については、各省の統計の企画調整に関連を持つので、総務庁(仮称)に統合するのがよいであろう。」こうなっておりますね。それでおわかりいただいたと思うのです。  そこで長官に承りたいわけでございますけれども、行政管理庁は数々の行政改革意見等々をお出しになっておられるわけでありますが、長官みずからがものを言っております中に、国会に議席を持たれる方々から非常に風当たりが強い、それからまた、各省の官僚諸君からも風当たりが強い、こういうことを一つあげられて、公社、公団から、審議会から、これらのものを全部、許認可も含めますが、つまり臨調答申というものを行政改革のバイブルとしてお考えになるときに、この筋でものごとを進めるためには世論の風というものが必要なんだということをおっしゃっている。私はそれだけでは足りないと思っている。というのは、他のことばかりお考えにならないで、行政管理庁の機構というもの、あなた方の、自分のところの機構ということを真剣に一ぺんお考えにならないと、幾らいろいろの意見を出されたり、長官がものを言われても、それだけではものごとは前に進まない。アメリカのフーバー委員会の例もございます。したがって、広く国際的な視野等をもってながめてみて、どうあれば一体——今日、国民のだれもが行政機構を簡素化すべきものであるという意見を持っておるのでありますから、してみると、いかにすれば行政機構の簡素化というものが、幸い臨調というバイブルを一つかかえているわけでありますが進んでいくのだろうかという点について、根本的な御意見がもうあってしかるべき時代だ、こう私は思っているわけであります。じっくりその点について、一時間かかってもかまいませんから、御答弁いただきたいと思います。根本の問題ですからね。
  102. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 たいへんむずかしい問題ですが、臨調答申では、ただいま大出先生がおっしゃったように述べているわけでございますが、この機構の改革をするには強力な力がなければできないことは再三申し上げたとおりてございまして、現在の行政管理庁といたしましては、勧告という形で各省に申し入れるような関係から、強力という点では非常に弱いのじゃないかと思います。したがって、現在では、総理の裁量を待ってやるというような形でやっております。ですから、行政管理庁自体を臨調答申のように総務庁の部局としてやるという考え方一つと思いますが、また、別な面におきましては、総理を中心とした何らかの強力な組織をその上に——組織と申しますか、協議会のようなもの、あるいは何らかの形のものをつくりまして、そして、それが主体になって、われわれのほうがある程度の業務をやって、そこに資料を提供して、そこで最高決定をするというような形も一つ考え方じゃないかというように私は考えておるわけでございます。
  103. 大出俊

    大出委員 どうも長官にしてはたよりなさ過ぎるお話なんで迷惑するのですけれども、もう少し行政改革というものについて、いま国際的に申し上げましたが、皆さんのほうでかつてフーバー委員会のようなものをつくったらどうだという意見まで出てきて問題になったことまである。したがって、それらのことを踏まえて——まあ井原さんの時代ならおそらくお答えになったかもしれぬ、おられれば。皆さんの中で、どなたでもけっこうですが、少しそこについての御見解をいただけませんですかな。
  104. 稲木進

    ○稲木政府委員 行政管理庁の内部の強化という問題につきましては、実はわれわれ事務当局の立場としても、今後検討すべき課題であるというふうに認識を持っておるわけでございます。それにつきましては、現在行政管理庁には、御指摘のように、行政管理局、行政監察局、統計基準局と三つの局があるわけでございますが、この仕事の分担のしかたの問題、特に統計基準局の問題は一応おきましても、行政監察局と行政管理局との事務の分担については、相当将来考慮をする余地があるのではなかろうかというようなことも考えております。また内部の定員の配置等の問題につきましても再検討する必要があるのではなかろうかというような観点で、先般来、実は官房が中心になりましてそうした問題の検討会をしばしばやっておるわけでございます。まだ結論的な方向を見出すことはできませんけれども、要は、行政管理の機能を強化するためには、やはり行政監察の機能と組織あるいは定員等、あるいはその他の特殊法人等の問題を含めて政府の部局、関係機関を含めて、これをほんとうに合理的に能率的に管理するという観点から、どういうふうに持っていったらいいか、こういうことで、本庁のみならず、われわれの出先の問題も含めていろいろと検討しておるわけでございます。
  105. 大出俊

    大出委員 昭和三十五年に、行政審議会の答申が出たことがありますね。覚えておりますか。あまりたよりない顔をしておられるので困るのだけれども、このときは、行政審議会にたくさんの参考人に御出席をいただいていろいろな意見を徴したわけですね。そのときに経済同友会の方々等から意見がだいぶ——たとえば郷司浩平さんみたいな方から出ましてね。記録もあります。私調べておりますが、アメリカのフーバー委員会のような超党派的な力のあるものをつくったらどうかという意見が出た。これが当時非常に大きな波紋を呼びまして——犬丸さんが次官のころですね。これが三十五年の十二月の七日に答申の形で、この種の意見が織り込まれて出ているわけです。これは小沢佐重喜さんが長官になったときですね。これは当時はずいぶん各方面からの論議を呼んだわけであります。私は、やっぱりこういう意見が出てくるということは、いまの行管の形では何も結局できないのじゃないですか。世論の風が必要だという前に、一体みずからの機構というものはどうあらねばならないか。せっかく世論の風はこれだけ吹いている。行管がものを言うならば、いまが一番いい時期だと私は思っている。だとするならば、この辺にまで触れて、今日の行管というものはどういうふうに持っていけばいいか。幸い臨調答申というバイブルもある。世論の風もある。だとすれば、どうすれば一体やっていけるのかということを真剣に御検討になって、世の中に明らかにする、そういう態度がやっぱり必要だ、私はこう思っておるわけですよ。そうでもしないことには、皆さんが幾らいろいろものを言おうとしても、陰でみんな手足を引っぱられてしまうということになる。それではいけないと思うから、こういう機会に皆さん意見を少し言うてもらえぬかと思って私は質問しているわけです。私のほうから、フーバー委員会を調べてみたら実はこうこうこうだと説明して言うのは簡単だけれども、そうじゃなくて、皆さんのほうで苦労をされてきた実績があるわけでしょう。ずいぶん方々にぶつかって苦心惨たんされた、査察をやるとすれば査察についてはこうこうこういう態度でやりなさいという——ずいぶんばかな話ですよ。だから、そういうことになってくると、できないものはできないのだから、ここが壁であり、ここが溢路であるということをなぜ明らかにしないか。この態度がないと、私は行管が本気でやる気になっておるか疑わしい。それならば、行管自体を整理統合しろと言いたくなる。そういう意味で、どうですか、もう少し御意見ないですか、そこのところ。
  106. 稲木進

    ○稲木政府委員 第五回の行政審議会の答申で、いろいろ将来の行政機構の簡素化あるいは運営の合理化ということをやるためには、アメリカのフーバ委員会のような強力な行政診断の機関を持たなければならぬ、こういう答申があったわけでございます。この答申に基づきまして、当時政府としては、この答申趣旨に基づいて、御承知のとおり、臨時行政調査会というものができたわけであります。その臨時行政調査会が二年半にわたるいろいろな調査活動の結果出たのが、御承知のとおり、十六項目にわたる行政改革の改革意見であります。行政管理庁としましては、この臨時行政調査会の出された行政改革に対する意見、これを一つ基本にしまして、そうしてこの改革意見を実現するということで、この点につきましては当時の池田総理もこの意見を尊重してやるのだという政府のかまえを示されております。佐藤内閣におきましても、同様の立場に立って、このことをしばしば内外に言明されておるわけであります。この改革意見の実現を推進するというのは、行政管理庁がその中心になってやれということになっておりますので、及ばずながらわれわれ行政管理庁としては、そういう一つ基本に立って邁進していこう、こういうかまえで、実は長官の御督励を受けてわれわれは努力しておる、こういうつもりでございます。
  107. 大出俊

    大出委員 それならば、これは意見がなければならぬと私は思うのは、これは長官に承りたいのですけれども、いま私が読み上げました、「11、行政管理庁」というところに書いてあるのはポイントなんですよ。(1)というところで言っておるのは、予算権というものを一方握らなければ、ほんとうの改革はできないのではないかというのが一点ですよ、せんじ詰めて言えば。それからもう一つの、二番目の監察の機能というところで取り上げているのは、会計検査院くらいな強力な検査能力、権限というものを持たなければやれないのだというのが二番目ですね。これは人事権を持たなければなかなか世の中は治まっていかないのと一緒ですよ。それはモハメッドではないけれども、バイブル、いわゆるコーランと剣を持っていなければ、ものごとをやるときには前へ進まない。そうすると、いまの行政管理庁の監査能力というのは一体どれだけあるのだ。それから統計基準局については、各省の統計の企画調整に関連を持つから、総務庁というものを一つつくって、そういうところに統合しろと言っておるのですが、そのいい例を申し上げると、あなた方は農林省の統計なんかについてずいぶん昔からものを言っておるのですね。倉石さんのお話によれば、統計というものはもっと広げるのだと言っておった、この間大臣に質問したら。皆さん意見と全く正反対だ。お百姓さんなんというのは統計に弱いのだ、してみると、統計というものはもっとどんどん広げてりっぱなものにしなければいけないのだと言っておる、一例をあげれば。そこで皆さんのほうで出しておる、ずいぶん長い間たなざらしになっておるおたくの行政監察月報ナンバー七十八、一九六六年三月、これに「地方農政局の機構、要員配置の適正化および業務運営の合理化について」を読んでみたが、読みくたびれるくらい長い。これだけのものを出しておられる。ところが、ものをここに載せたということにすぎないことになっておるでしょう。そうすると、やはり皆さんのほうで三つのここであげている点については、その点について行政管理庁としてはこう考えるということをなぜ言わないか、こう私は思うのですが、長官、おやりになっていた実感としてどうですか。
  108. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 私、この仕事に携わって日も浅いのでございますけれども、やってみまして、確かに現在の機構と申しますか、権限では、非常に弱いもので、御指摘のとおり、われわれではなすべき限界があるということを非常に痛切に感じておるわけでございます。したがって、臨調答申のような形になれば、非常に強力なものになって、ばきばきと仕事を片づけていかれるので非常にいい形になるとは思いますが、しかし、現実には、予算権を行管に持ってくるとかあるいは会計検査院の機能をここに持ってくるということは、なかなか困難な問題ではないかと思います。私がいま考えておりますのは、そういう大きな変革はなしにして、しかも強力な力を持たせるにはどういうふうにしたらいいかということを考えた結果、行政監理委員会意見もございますので、それを取り上げていま官房長官と打ち合わせをいたしておるのでございますが、総理を中心として、なるべく少ない関係閣僚で閣僚懇談会をつくりまして、そして行管の案をそこへ持っていって、そして閣僚懇談会の承認を経て強力に推し進めていったら、一歩前進じゃないかというふうに考えておりまして、官房長官にお話しいたしたのでございますが、当時病気で、官房長官に申し上げてそのままになっております。しかし、昨日官房長官が新しくきまりましたから、その問題に関しまして前向きで検討してまいりたいというふうに考えております。
  109. 大出俊

    大出委員 世の中に天下り人事とかいうことばがありますが、いま言われる閣僚懇談会だけれども、まずさいふの口を握っているのは大蔵大臣だからというので、これはおそらく欠けないでしょう。そうなると、さいふの口を握っている大蔵省というのは、公社・公団をつくろうとすれば、ちょっと待てといって待ったをかけておいて、公社・公団をつくるなら、いち早く、だれだれを入れろ、こうくるわけでしょう。そういうところを相手にしてみたって、これはそれこそマッチポンプということばがあるけれども、まさにマッチポンプですね。一生懸命待ったをかけて、各省は往生して大蔵参りをして、つくるときにはこれとこれを入れろ、そうでしょう。そうすると、やっとつくったものだから、しかたがないといって大蔵官僚をみんな入れちゃう。これは一覧表を見て私はびっくりしたのです。片っ端から大蔵です。行政管理庁は、公社・公団の役員がたらい回しでぐるぐるとやって、退職金を山ほどもらっている人を一覧表でおあげになるのをきらうから、私は次の国会まで時間をかけて全部拾ってやろうかと実は思っている。これは全部大蔵中心、あとは農林省、そういうことになっている。一番多いのはとにかく大蔵省、通産省もけっこうあります。そういうところと話し合ってみたって、来年から、今度のあなたのところの目標は農林省をおやりになる、こう一生懸命言っておられるが、そうなってくると、閣僚懇談会なんていってみたって、ブレーキがかかればとて、行管の長官を激励して、さあおやりなさいということにはならぬと思う。そこにやはり溢路がある。だから、行管の機能というものを高めるためにはどうするかという点を、もう少し皆さんのほうで研究をして出してもらう。皆さんが言えなければ、もう一ぺん行政監理委員会のほうに持ち込んで、行政監理委員会からもう一ぺん行管の皆さん自身の機構の問題について、せっかくここで三点あげているのですから、もうちょっと明確なものをなぜ出させるところまでおやりにならぬか。そのくらいのことをやらなければ、私は前に進めない。具体的な例は、これから二時間でも三時間でも五時間でもかかってあげますけれども、そういうふうに私は考える。これは出発点だから、私はくどいように聞くのだけれども、そういうふうに進める気はありませんか。長官がものを言わなければいかぬですよ。それを局長に言えといったって、局長はまたどこかでたたかれちゃうんですからね。もう少し機構を強めようじゃないですか。
  110. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 この問題はなかなか大きな問題でございますので、御意見の御趣旨をよく体しまして、前向きに検討してまいりたいと思います。
  111. 大出俊

    大出委員 どうも歯切れが悪くて困るのですけれども、これは長官自身が言っているのですよ。読売新聞の縮刷版五月号をここに持ってきていますが、「審議会は花ざかり」というのが上、中、下で載っている。いまの行管は、機構上いかにも力が弱い。きっと新聞記者が聞いたのでしょう。それに対するあなた自身の談話が要約して載っている。世論の風を相当たよりにしているということですよ。そうでなければ、とてもじゃないけれどもできないというのです、あなたは。そうでしょう。そうすると、世論の風がたよりで、それがなければできない程度の機構なんですよ、行管の機構というものは。それをあなた自身が感じておられるから、そう言っておられるのでしょう。そうだとすると、これは何とかしなければならぬことになる。ここには太田薫大将意見も載っていれば、蝋山さんの意見なんかもいろいろ載っていますよ。そうすると、これはどっちから見ても、確かに監理委員会がものを言っているように、間違いなくいまの機構に問題がある。  そこで、ちょっと中のことを聞きたいのだが、旅費だとか人だとかいう面では、どうお考えになりますか。
  112. 稲木進

    ○稲木政府委員 人員の問題につきましては、私ども行政監察という面からいいますれば、大体現在の陣容でもって調査にこと欠くことはないというふうには考えております。旅費の面につきましても、まず大体既定の予算でもってほぼ調査——これはもちろん多々ますます弁ずでございますけれども、何とか最小限度の調査はできるというふうにも思っております。ただ内部的な問題としましては、組織、機構、あるいは定員の管理、あるいは審査、こういう業務と、行政監察でやりました監察調査の結果というものは、相互に相反映し合うものでなければならぬ。われわれの今後の課題として、管理局と監察局の接近の問題、こういう点については、事務的に改善すべき余地があるのじゃなかろうかというふうな考え方をいま持っております。機構、定員の審査を管理局でやるにしましても、やはりその行政の運営の実態というものを知らなければ、なかなかそう簡単に割り切れるものではないというふうに考えておるわけであります、そういう意味で、むしろ当面行管として課題にいたしておりますのは、管理局が少し規模が小さ過ぎるのじゃないか、管理局を充実強化するという方向検討すべきじゃなかろうかというようなことが、現在の中心の課題として考えておる問題でございます。
  113. 大出俊

    大出委員 さっき私があげましたのは、行政管理局の機構の一例なんです、いま局長はそうおっしゃるけれども、私も何年にもなったのですから、行管の皆さんとおつき合する期間もだいぶありまして、個々の方々からいろいろのお話を承る機会もだいぶふえてきたわけです。そうすると、こぼすことしきりですよ。あなたがそれを御存じないとすれば、局長としての資格に欠ける。これは不眠不休で、ずいぶん旅費も足りない。人も足りない。仕事は多過ぎる。あっちからもこっちからもつつかれるので、応接にいとまがない。まさに死の苦しみだというわけですよ、ほんとうにこれは。そうでしょう。それを御存じの上で局長は言っておられるのだと私は善意に解釈をするけれども、予算要求をして人も採った以上は、この席上で足りませんとすぐ言うたのでは、これは役職上困るということになるとは思うけれども、しかし、私の耳にしきりに入ってくる限りは、まずもってこれは長官、あなたが百年長官をやっておられるわけじゃないのだから、せめて長官をおやりになっている間にそこのところを気をつけて見ていただいて、おれのあとをだれがやるにしても、今日の行政管理庁というのは、いまの予算、いまの人員でやれということはめちゃくちゃだ——皆さんのほうがいま行政機構を簡素化していこうというので苦労している世の中なんだから、本家本元のおれのほうをふやすといえば、ほかのほうへも波及をするからといってがまんしている気持ちはわかる。わかるけれども、必要だからこそ臨調だって答申を出しているので、それをやっていくのはどこがやるのだといったら、行管に間違いない。だから、臨調そのものもわずかばかりの予算でずいぶんこれは苦労して、赤坂離宮かどこか知らぬけれども、いい場所を占領したはいいけれども、会議費が年間幾らか忘れたけれども、ほんとうにスズメの涙で、蝋山政道さんがうちを出るときに、奥さんが、からだがもたぬじゃないかと言われたら、この仕事に命をかけて、命を落とすならわしは本望だと言って、熱が四十度あるのに出ていってしまった。ところが、太田薫さんのほうは——ぼくは、彼が議長で私が副議長で六年も一緒におったからよく知っておるのだけれども、心臓病で、奥さんが毎日弁当を届けるのですよ。中にコンニャクととうふとニンジンしか入っていない、心臓病だ、糖尿病だというので。それでも彼は命をかけて、それこそやらなければいかぬのだというのでやってきたのですよ。だから、それだけ努力をしているのだから、困苦欠乏に耐えてがんばっているのだと言われれば、そうかもしらぬ。そうかもしらぬけれども、私どもがいろいろ皆さん質問してみる限りでは、もうちょっと調べていてもいいのではないかと思う点が、そうなっていない。それは皆さんの能力がないのじゃない。今日の機構なり、予算なり、定員なりということから見ていけば、無理もない、こう思わざるを得ない。だから、そういう点は、やはり長官、ぜひひとつこれはさいふの口を握っておるほうにものを言うことは言って、それこそ総理にものを言って、これはほかのほうに、そのことのゆえをもって行管おまえさんもかと言われないように、最初からそれはそういうふうに実情を明らかにして、そのためにはそれこそ世論の風が吹いてくるように、今日の行管の苦衷というものを世の中に明らかにすべきだと私は思う。そしてその方向に世論の風が吹いてくるようにしむけるべきだ。国民は期待しているのですから。そういうふうに私はお願いをしたいのです。特に川島さんが行政管理庁長官のときに、この臨調というものを何とかつくり上げたわけですね。石橋さんとの討論等がありました。ところが、川島さんの持論というのは、いかにして行政を簡素化するかということ、これに成功するかどうかということが、佐藤内閣に対する世論の信頼を高めるかどうかというポイントなんだ、だからやるんだ、というのが川島さんの持論だったはずですよ。だとすると、そこまでみんなが苦心をしてつくり上げてきた臨調体制だし、監理委員会体制だし、さて行管の今日の状態なんだから、やはりそこまで考えていただければ、世の中がわからぬことはない。この点だけは私は長官にとくと申し上げておきたいのですけれども、いかがなものですかな。
  114. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 行管の体制として、人員の問題あるいは予算の面で非常に不足じゃないかというふうなお話でございますが、私率直に申しまして、御承知のとおり、行管の定員はいま千六百六名でございますし、それから予算の面から見ますと三十九億九百万円でございまして、そのうち大体十九億ぐらいが人件費で、それから十七億五千万円が地方に統計関係のことを依頼しておる、それの人件費でございまして、したがって、残っているのは二億五千万、それで事業をやるわけでございまして、仰せのとおり、全く予算面においては、それだけでは十分な事業はできないことは私も認めておるわけでございまして、これは来年度の予算面においては、何とかしてふやす努力をいたす考えでございます。しかし、予算の編成が本年度を基準にして何割というふうにきめられてあるものでございますから、われわれのような基礎の少ないところは、二割にしても、三割にしても、ごくわずかな形になる。その反対に、大きな基礎を持っておるのは、一割でも、われわれの予算の全体以上になるというような形、あの形でやっておられますと、私のほうとしては急速に予算をふやすということはなかなか困難ではないかというので、ああいう方法は、私どもといたしまして、何らか変えていただきたいというような考えも持っております。それは来年度の予算のときに、私としても大蔵大臣なり総理に申し上げて、解決してもらいたいと思っております。また、人員の問題は、確かに十分とは私は考えておりません。ことにいま監察局長が申し上げましたように、管理関係の方面は非常に少なくて、ことに予算の編成期になりますと、もう仕事が非常にふくそうしてまいりまして、おっしゃるとおり、からだをこわすくらいに働いているわけで、この点も、私どもといたしましては何らか考えなければいけないというふうに考えております。そのほか、行政相談員の手当の問題にいたしましても、全くこれは一年に三千六百円でございますから、そういう点も、私どもとしては非常に苦にしておる点でございます。
  115. 大出俊

    大出委員 これは私も知らないで質問しているわけではありません。ここに予算もみんな持っているけれども、これはもうやれと言うほうが無理だと言わざるを得ぬような状態なんですね、私どもに言わせると。これは私も長く組織運動をやってきましたが、また郵政省の育ちですが、ともかく一つの運動体が満足に仕事になっているのか、なっていないのかということは、予算書を見れば一ぺんでわかる。どのくらい行動をする金があるのか、見れば一ぺんでわかる。人は山ほどいるけれども、飛び歩くほうの金がないとなれば、ろくなことはしてないに違いない。これはできない。だから、そういう点からいけば、これはどうしてもいまの状態では、このけつをたたくほうに無理がある、私はそういう気がしてしかたがない。だから、質問をしながらいつもそう思うのだけれども、これはもう少し何とかそこのところをしなければ、われわれのほうから注文することに無理があるという気になる。そこのところを、いまのお答えではっきりしましたが、やはり明らかにしておいていただいて、これはひとつ今後の問題に、われわれもそのつもりで——やはり内閣委員会というものは所管委員会ですから、だから、そういう点でこれは与党、野党でなしに——与党、野党ということでつくり上げた臨調でもないし、また行管でもない、行政監理委員会でもない、そういうふうに考えなければできないわけですから、ぜひこれは内閣委員長を含めて御努力をいただくということにしていただきたいと思っているわけです。  そこで、順番に承りたいのですけれども、審議会の整理という問題につきまして、前の国会にたしか三十四ですか、整理をするという法案が出まして、このときは、ここにおたくのほうの年次報告にございます。これを一々指摘をしていきますと時間がかかりますから、どうせ何時間でも材料があることですから、なるべくその辺省略してものを言いますけれども、これは最初参議院のほうにお出しになりましたね。それを途中から引っ込めて衆議院のほうに回してきましたね。混乱のあとで、これは一括採決云々と大騒ぎになって通ったというかっこうになっている。当時私は質問をいたしまして、こんなにたくさんありますので持ってこなかったけれども、議事録に残っているのです。これは来年もおやりになりますかと言ったら、やります、明確な答弁になっている。ところが、ことしはどうもおやりになれそうもない。その責任は一体どういうふうにお考えになりますか。
  116. 大国彰

    ○大国政府委員 審議会の第二回目の整理につきましては、現在審議会の運営をも含めました原則を一応行政改革本部で担当してやっております。現在、それで各省のほうと具体的に折衝いたしております。早急にその方針を確立いたしました上で、本年中に第二回の改革整理を実施いたしたい、かように思って鋭意努力しておる最中でございます。
  117. 大出俊

    大出委員 一つ例をあげて承りたいのですが、対外経済協力審議会というのがいまございますか。
  118. 岡内豊

    ○岡内説明員 現在ございます。
  119. 大出俊

    大出委員 この予算はどのくらいになっていますか——。四十一年が三百八十四万一千円なんですね。これできまったかわかりませんが、このとおり通っているとすれば、四十二年度は三百八十七万六千円になっているはずなんですね。ところが、これは総理が会長なんですね。日銀の総裁、学識経験者、九人がメンバーなんです。三十八年、九年には総会を三回開いていますね。あと開いていない。開店休業なんですね。ところが、これは池田さんがアメリカへ行ってこられて、いろいろ力説をして、帰られてつくった審議会ですね。ところが、それっきりになっておるということですね。佐藤さんが引き継いでやっておられるわけです。これが四十二年で三百八十七万六千円ということになっているわけですね。これは査定額で少し削ったかもしれませんが、これも、どうもあなた方は審議整理は本年もおやりになる、こういうことなんで、やるんだろうと思っているのですが、いま管理局長お話では何かいろいろ検討しているとおっしゃるのですけれども、昨年私がここで質問したのですからね。そのときに、三十四の整理をおやりになったのは、これはたいへんけっこうなことで、ぜひひとつ進めてくれ。ところで、来年はどうするんだ。来年もやりたい。おやりになりますか。やります。こういうことになっておるわけです。だから、ことしもやるんだと私は思っておった。ところが、これは何回か行管の皆さんに御質問をする機会を得ているけれども、藤尾さんがここでだいぶいきまいたときにも、ことしはどうもやらないのかしらん。やらないということになると、これは公約違反でございますので、その理由を承っておかないと、審議の場で審議をしたことですから、そこらのところはどうなりますか。まさに整理できる審議会があって、なぜ整理できないかという点を、いま例をあげたわけでありますけれども、それがどうなっているわけですか。
  120. 大国彰

    ○大国政府委員 御指摘の点につきましては、私どものほうで関係各省と個別的に打ち合わせをしておるのでございますが、なかなかその間の意見が合いませんので、いましばらく私のほうで十分努力をしてみたい、かようにいま存じておるわけでございます。
  121. 大出俊

    大出委員 それでは、いま私があげた審議会については、この担当各省とどういう話し合いになっておりますか。次に私は担当省を呼んで質問をいたしたいと思いますので、経過を御説明いただきたい。
  122. 大国彰

    ○大国政府委員 ただいまお尋ねがございました対外経済協力審議会につきましては、現在のところそのまま存置するという方針でございまして、いま総理府はまだ廃止につきましての打ち合わせはいしておりません。   〔委員長退席塚田委員長代理着席〕
  123. 大出俊

    大出委員 どうも妙な答弁をされるのでもう一ぺん承りたいのですが、私がちゃんと御説明申し上げておりますように、三十六年の六月に池田前総理がアメリカを訪問されて、ケネディ大統領と会談をされ、日本の低開発国援助構想などということをいろいろお話しになって帰られた。これが一つのきっかけになって対外経済協力審議会が生まれた。総理を会長にして、経済閣僚、日銀の総裁、学識経験者等九人。三十八年、三十九年に総会が三回開かれただけで、あと開かれていない。そこで、四十一年には三百八十四万一千円予算が計上されて、四十二年には三百八十七万六千円計上されている、こういうわけです。開店休業になってしまっているものを、存置することになっておりますというのは、私は解せない。あなたのほうは、審議会を整理せよということで答申を得ていて、しかも昨年お出しになったときに私いろいろ質問を申し上げて、来年やりますと言ってこられて、それでいままだそのままでございますとは、筋が通らない。何べん聞いても一緒かもしれませんけれどもね。
  124. 大国彰

    ○大国政府委員 事実この四十一年度に開催していなかったという点につきましては、私どものほうで少しうっかりしておりまして気がつきませんでしたので、直ちに事実を調べまして、私のほうで研究したいと存じます。
  125. 大出俊

    大出委員 私の持っている新聞は五月二日の新聞でございまして、記者の方が調べて書いているのです。これ以後あわてて開いておれば別だけれども、しかし、ここでは開いていないと書いてあるから、開いていないと思う。四十二年度の予算をまた取っているじゃないかと書いておりますから。そうでしょう。私はこの間御質問申し上げたときに、次に公社・公団から、審議会から、あるものは全部承りたいので、ぽんぽんお答えいただきたいと申し上げておいたのですが、ところでもう一つ承りたいのだが、台風常襲地帯対策審議会、これもどうも開店休業組の感じがするのでありますが、台風が全く来ないわけではないのですから、最近開いておりますか。
  126. 岡内豊

    ○岡内説明員 台風常襲地帯対策審議会につきましては、大体仕事も任務も終了しておりますので、私どもといたしましては、これはどこか似たようなところに統合するかどうかということで、いろいろ話し合いをしている審議会でございます。候補にはあげておりますけれども、最終的になかなか結論が出ないというようなことで、一応留保になっておりますが、私どもといたしましては、もうこういうものはやめていただきたいというふうに考えております。
  127. 大出俊

    大出委員 こういうのは困りますね。つまり三十九年から活動は一切してないのですよ、全部ストップ。ところが、ふしぎなことに、予算だけは二十四万七千円くっついているのですね。そうでしょう。そこへ持ってきて経済企画庁の言い分は、何かといえば、各省でやっている幹事会のほうでやっているからけっこうですという。関係各省でつくっている幹事会のほうで仕事を進めているから、支障はないのだというのですね。こういうばかげたことをほうっておいて、ことし出すとおっしゃっておって、あなた方がお出しにならぬという手がないと思うのですがね。どうも話が前に進まぬで困るのですが、あなた、ストップになっているのだから、去年出すとおっしゃっておいて何でこの国会に出さないのですか。
  128. 岡内豊

    ○岡内説明員 実はその点でございますが要するに、私どもいろいろ折衝をいたしておりますけれども、話し合いのつく見込みのあるような機運というものがなかなかまとまりませんので、したがいまして、まとまった一本の整理法としてはなかなか出しにくいということで、一応ストップになっております。なお折衝を続けておる、こういう段階でございます。  それで、昨年改正をお願いいたしました整理法につきましては、当時閣議決定がございまして、非常に活動の不活発なものは発止または統合するというようなことが原則でございます。それ以外に、新しく、私どもといたしましては、臨時行政調査会答申に書いてございますいろいろな原則を書き並べまして、まずその原則につきまして政府部内の意見がまとまりましたならば、具体的な個々の審議会について検討いたしまして、整理を進めていきたい、こういうふうに考えておりますので、若干手間どっておる、こういうことでございます。
  129. 大出俊

    大出委員 不活発も何も、やってないところはやってないんだから、不活発にも入らぬ。そういうところがあるのに、あなたのほうは整理法案を用意されないというのはどういうわけですか、一つでも二つでも、必要なものを置いておいて予算を組んでおくというのはこういうことなんですか。行管の立場上どういうことですか。やってないことをお認めになっておいて、やらないのに予算だけ置いておくのですか。これは国民の税金ですよ。
  130. 岡内豊

    ○岡内説明員 それはごもっともでございますが、要するに法律上は置かれておることになっておりますので、しかも将来一年間のことでございますから、あるいは開かれるかもしれませんということで、若干の予算は、法律上残っておりますと、つけざるを得ないというようなことがございまして、財政当局のほうはつけておるのだろうと思います。
  131. 大出俊

    大出委員 そういうことを言っていると、ここには一般の方いないからいいが、税金を払っている立場からすれば、おこりますよ。法律上あるから、開かれるかもしれないから予算をつけておこうなんて、一体そういうばかげた話がありますか。いまのやりとりを聞いていて、長官、どうですか。そんなこと言ったら、国民が黙っていませんよ。
  132. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 開店休業のような状態の審議会が、ほかにもまだあるかと思います。私どもといたしましては、ただいまやっている作業の順位といたしましては、非常に回りくどいようでございますけれども、廃止する目標をどういうふうにするか、また審議会のあり方をどういうふうにするかというふうな基準をつくりまして、そしてそれを閣議で承認してもらって、それを基礎にしてやるということを段取りとしてはやっております。一方、並行して各省庁とも個々に打ち合わせをしておるのでございますが、まだそれがある程度にまとまってないものがございますので、数が相当まとまって、一括御審議を願うような考え方を持っておったのでそういった結果になったわけでございますが、御指摘のとおり、全く開店休業の状態を何年か続けておるというものは、当然廃止するのが私は正しいと思っております。早急に調査をいたしまして、御趣旨に沿うように運んでまいりたいと思います。
  133. 大出俊

    大出委員 これは正しいも正しくないも、あなた自身で認めているじゃありませんか。台風常襲地帯対策審議会というものは、経済企画庁自身が各省の関係で設置をされている幹事会のほうで仕事を進めているから、しようがないんだ。審議会の審議じゃない。各官庁の官僚の皆さんがやっておるにすぎない、予算だけ組んでおるけれども。一体そんなばかな話がありますか。それを、法律があるからしかたがありません。じゃ、何のために行政管理庁は必要なんですか。  話がさっぱり前に進まぬで困るんですが、念のために聞きたいが、まだほかにもたくさんあると言うんですが、ほかにあるというのをあげてください。
  134. 岡内豊

    ○岡内説明員 開店休業になっておる審議会でございますが、大体整理が進んでおるわけでございますけれども、現在残っておりますのは、不服審査関係審議会でございまして、これは不服審査制度全体の法制的な考え方から、そういう不服審査の道を閉ざすということは、民主的な考え方からいって非常に逆行ではないかというふうな議論がございまして、こういうものが若干残っております。
  135. 大出俊

    大出委員 ほかにもたくさんございますと言っておいて、不服審査一つしかあげませんが、ほかにあるのを言ってください。
  136. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 他にもあると私が申し上げたわけでございますが、私といたしましては、実際に調べて申し上げたわけではなく、多分あるのじゃないかと思って申したわけでございます。まことに申しわけございません。
  137. 大出俊

    大出委員 どうも長官、そういうふうに答えられたんでは、質疑にならぬじゃないですか。とにかく、たくさんあるとお思いになったわけですね。とにかくたくさんあるだろうと思うのですが、うしろのほうの実際にやっておられる方は、わからぬが、長官が言ったんでお答えになったと思いますが、それ以上追及いたしません。  角度を変えてお伺いいたしますが、諸外国には、たとえばアメリカ、フランス、イギリス、ドイツあたりで、審議会というものはどのくらいございますか。   〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
  138. 大国彰

    ○大国政府委員 ただいま資料がございませんので後ほどお答え申し上げます。
  139. 大出俊

    大出委員 これを見ますと、審議会が、アメリカが七十一ありまして、イタリーが五十四です。ドイツが五十四、イギリスが二百四十一。ところが、フランスには、ふしぎなことに四千七百もあるんです。これはおのおの国情に違いがありまして、フランスの四千七百というのは、目的が日本の行政と違う、そういう行き方を認めてやっているんですから、これは官僚がやるべきところを審議会がやる、はっきり割り切ったやり方です。ところが、アメリカの例なんかからいきますと、官僚がやるべきものを審議会にやらすべきでないという意見が強い。だから、こういう数字になっておるわけです。だから、フランスのような例外を除けば、英国の二百四十一等から見て、日本が一番多いことになる。いずれにしても日本審議会というものは多過ぎる、そういう結果になりますよ、いまの数字からいって。日本の行政のあり方をフランス流に変えれば別だ。パリ市なんか市長がいないのだから、市会議長が行政をやっているのですから、そういう国とは違う。そうなると、これはやはり日本の場合には、早急に整理統合しなければならぬのですよ。イギリスが二百四十一、アメリカが七十一、イタリアが五十五、ドイツが五十四、こういうことです。だから、そうなると、二百六十ある日本というのは、これはやはりトップクラスということになる。だから、そうだとすると、やはり審議会というのは——いまあなたたくさんあるやつをおわかりにならなかったけれども、これは私は開店休業を二つ例をあげたけれども、この国会にもう一ぺん出しますと言っておられたのだから、本来ならば、私は当然出すべき筋合いですから、特段の理由のご説明がないのですけれども、そこらのところを少し御研究をいただいて、審議会というものをどうするかという点をもうちょっと御見解をいただけぬものですかな。何か行き当たりばったりやっているような気がしてしようがない。
  140. 大国彰

    ○大国政府委員 行管といたしましても、今国会にぜひとも審議会の第二回の整理法案を出したい、かように思って努力をしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、まず審議会についての基本方針と申しますか、運営の方針をまず定めまして、その基準に合わせまして整理をしていくということになりましたので、その間各省との折衝その他でひまをとりまして、ついに今日まで至ったわけでございますが、次の国会には必ず出すように努力をしたいと思っております。
  141. 大出俊

    大出委員 必ず出しますとおっしゃるかと思ったら、出すように努力いたします、こうなってしまったのですが、またそうなると、今国会も出すと、そこでおしまいになると思ったところが、ように努力いたします……。管理局長、前国会の経過からいって、出さなければならぬ筋合いになっているのです。これは質問を申し上げて、出しますと言ったのだから、だから私はさっき二つ例にあげた。私もいろんな仕事をやっているから、なかなか調査できかねる。だから、開店休業方式の二つをあげた。だから、これから調査をなさると管理局長がおっしゃるから、それはそれでもいいのだけれども、ともかく出すと言ったのだから、まとめて出してください。事実開店休業であるものがあるのだから、審議官だってお認めになっておるものもあるのだから。そうでしょう。経済企画庁のほうでも要らないと言ったと言っているのだから。そういうものは予算がくっついているままで置いておいて、法律があるから予算がつくのでしかたがありません、置いてあります、こういうことで放任されたのでは、それは国民諸君だって納得しないです。だから、そこのところはひとつ早急に皆さんのほうで御調査いただいて——それは、だからこそ冒頭に、人も足らぬでしょう、予算も足らぬでしょうと申し上げておるので、それはわかっておる。わかっておるけれども、前国会で整理法案を出されると明らかにしたものは、やっていただかなければ困る。  それから一つ管理局長に伺いたいのですが、前国会にお出しになった整理法案のときは、基準は設けなかったのですか。
  142. 大国彰

    ○大国政府委員 基準は二つあります。
  143. 大出俊

    大出委員 前国会に基準が二つあった。それについて私は質問している。ところが、いまあなたは基準を設けることになりましたから、その基準をまずつくりまして、それから、こう言う。前の国会に出したときも、ちゃんと基準はあるのですよ。そんなことを言うなら、二つの基準というのは、どういう経緯で新しい基準をつくることに変わったのか、事の経過を全部説明してください。
  144. 岡内豊

    ○岡内説明員 前回の基準は、簡単に申し上げますと、活動の不活発なものは廃止する、それから審議事項が類似するようなものは統合する、こういう二つでございまして、いま私どもがいろいろ検討いたしておりますのは、臨時行政調査会の中央省庁のあり方というところに、審議会についてという別の章がありまして、いろいろなことが書いてございますので、その中で基準としてとるべきものをいろいろ検討いたしまして、少し範囲の広い基準を実は考えておるわけでございまして、その基準につきまして、目下各省庁といろいろ打ち合わせなり折衝をやっておる、こういう段階でございます。したがいまして、その基準を閣議決定した暁におきまして、その基準を今度具体的な審議会に適用いたしまして整理を進めていきたい、かように考えておりますので、少し範囲を広げたいというふうに私ども思っておりますので、その関係で作業がおくれた、こういうようなことに相なっております。私どもとしては、そういうことで日夜気にしながら努力もし、考えてもおるわけでございますが、何分にも関係各省庁非常にたくさんになりますので、なかなか仕事がはかどらない、こういうことでございます。
  145. 大出俊

    大出委員 そういういいかげんなことを言ってはいかぬじゃないですか、前回ここで論議をして、私も一ぺん質問するとめったに忘れないほうで、覚えているのですよ。だから、基準があったじゃないかと言ったら、二つあるとおっしゃる。あなたも不活発なものはとおっしゃった。ちゃんと基準は自分で言われている、そうなっているのに、しかも現に不活発というよりはやっていないところまであるのに、あなた方はかってに自分たちで新しい基準をこしらえるということにきめた。きめて、その基準ができるまで整理しないなんて、そんなばかな話はないじゃないですか。この席上で基準を明らかにしているのですよ、昨年。事の経過も明らかにならないで、別なところに——臨調では三年前から書いている、始めている。二つ明確に基準を出されてお出しになった。ところが、われわれがながめてみると、不活発なもの、類似なものもまだたくさんあるのではないか、何で三十四にしたのだ、本年またやるのです、こう言うから、じゃ来年出すのですな、出します、こうなっている。その二つの基準に基づいてきめた。それをあなた方かってに、断わりもなく、三年前に出ているのを例にとって基準をつくり直す、それまでは出せません、そういうばかな話はないじゃないですか。そんなら、長官がここのところでいろいろ言っている。審議会は花盛りと出ている。方々の各省から風当たりがだいぶ強くなると書いてある。風当たりがだいぶ強くなって、あなた方は基準をつくりますということにして、整理をしないで延ばしておると、こう受け取られてもいたしかたがないのではないか、そこのところは長官、どうなんですか。
  146. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 先ほど来お話しいたしておりますように、審議会の整理統合ということは、実際に積極的にやる考えでいま作業をやっておるわけでございまして、決してやらないという考え方は毛頭持っておりません。ただ、おっしゃるとおり、少し作業がおくれておる点は、これは率直に認めるわけでございますが、場合によったら、調整の数が少なくても、できたものから次の国会にかけるというような形でお願いするようなふうになるかとも思いますが、私どもの考え方としては、決してそれをなおざりにするというような考え方は持っていないことは、はっきりと申し上げていいと思います。
  147. 大出俊

    大出委員 では、概括的に承りたいのですが、二百六十からある審議会のうち、どのくらいのものを整理しようとお考えになっていますか、いままで御検討の結果として。
  148. 大国彰

    ○大国政府委員 ちょっと現在の段階で廃止統合する数と申しますと、いま具体的には申し上げる段階まで至っておりません。
  149. 大出俊

    大出委員 それでは審議官のほうに承りたいのですけれども、折衝しているというのですが、どのくらい折衝しているのですか。あなた方が各省といま一生懸命やっているというのですけれども、審議会……。
  150. 岡内豊

    ○岡内説明員 審議会のことだけで毎日あれしているわけではございませんのでありまして、やっておりますが、まだ各省でこれは考えてもよろしい、検討してもよろしいという数は一けたでございます。
  151. 大出俊

    大出委員 一けたなら、さっき私があげたのだって一けただ、二つだから。そんなものをこれから基準をつくって——一けたというそういうはかなことなら、なぜいま出さないのですか。それなら、あなた方が出さぬようにしておるということになりますよ。
  152. 岡内豊

    ○岡内説明員 どうも私舌足らずでたいへん申しわけないのですが、私どもとしてはもう少しやりたいという気持ちがありますので、ちょっと見合わせておるというような状況でございます。
  153. 大出俊

    大出委員 ちょっと見合わせて、一けたを一生懸命上げてみたって、やっと二けたになりましたと言っても十だ、そういういいかげんなことでは困るのですよ。やっぱりそれは基準をつくって、その基準で——大騒ぎして基準まで改めて、去年の基準から聞いてくれろ、去年の基準だって当てはまるのは幾つもあるのに、それにはそれだけの前向きの整理方向がなければならぬと私は思うのですが、そこのところはどうなんですかね。
  154. 岡内豊

    ○岡内説明員 大出先生のおっしゃるとおりでございまして、二けたで十くらいじゃ私どもも満足できませんので、もう少しやりたいということで努力をしておる、こういうことでございます。
  155. 大出俊

    大出委員 そういうことになるとすると、これは申し上げていれば切りがないことになるので、したがって、別なことを少し承りたいのです。  ここに出ている許認可の事務の整理統合の問題につきまして、この辺でひとつ承っておきたいのですが、臨調答申からいきますと、これはずいぶんたくさんあったですね。今回これ二十五というわけですか、言うならば大ものは。大もののほうはあまり出てこない、こういうことなんですけれども、どういうわけで二十五になってしまったのですか。
  156. 稲木進

    ○稲木政府委員 臨調指摘しております許認可の整理統廃合といいますか、そういうものの具体的な数は、全部で三百七十九件になっております。この許認可の整理統廃合の問題につきましては、臨調答申が出ましてから、直ちに行政改革本部等におきましてもこれを実行に移すということで、いろいろ基礎的な段取り等もつけたわけでございます。その後、閣議決定等も行なわれまして、許認可の整理統合を推進する、こういうことでまいってきております。その中核体として行政管理庁がこれを担当することになったわけでございますが、私どもは、この許認可の整理統廃合を推進するために、過去臨調答申が出て以来二回にわたって作業をやってきたわけでございます。それで、昨年の段階におきまして、大体全体としましては許認可の整理統廃合が一応臨調指摘した全体の四割くらいができたわけでございますが、さらにこれでは不十分だということで、昨年の九月以来さらに各省と折衝を始めてきたわけでございます。その結果、これは行政監察としてやったわけでございますが、いろいろと調査しました結果、早急に実施可能じゃないかというふうに考えたものと、さらにもう少し時間を与える必要があるのではないかというふうに考えたものと、それから各省のほうとしては、臨調はそう言っているけれども、それについてはその主管省としてはどうしても直ちにそういう方向に持っていくことは無理だと考えるというようなものと三つに大きく分けまして、そういう三つのグループになったわけでございます。私どもとしましては、各省が直ちに実施困難だというふうに考えたものの中でも、行管の立場から考えれば、やれるじゃないか、こういうものも相当あったわけでございます。したがって、そういう行管の見解のもとに実施しても差しつかえなかろうと考えたものも含めて、時期的に一応今国会の終了時期を一つの区切りにしまして、それまでにやってもらいたいというものと、それから時間的に、もう少し関係各省との連絡をするとか、あるいはその省にあります審議会等にかけるというような手続的なものを踏んでからということにしたほうがいいと考えるものと、そういうふうに分けまして、勧告をいたしたわけでございます。私ども勧告いたしました件数につらねまして、今回整理法案に乗っかったものが、実は法律改正を要する問題につきましては、歩どまりは半分くらいしかないわけでございます。私どもこれは非常に残念に思っておりますが、先ほど来ちょっと出ましたが、私ども行管としましては、各省に強制権なり命令権がございませんから、一応各省が納得したものだけでもこの国会で法律改正の手続を踏みたい。それにはばらばらに単独法の改正案を出すよりは、こういうような形のものでやったほうがいいのではなかろうか。それはひとつ各省にやってくれと言っても無理だ、まあ行管が乗り出すほうがいいのじゃないかということで、こういう形で御審議を国会でしていただこう、こういうことにしたわけでございます。
  157. 大出俊

    大出委員 いま局長のおっしゃる御趣旨のほどはよくわかるのですが、ただ、私は大筋だけ一応聞いておきたい。中身に入りますと、これまた二時間や三時間じゃ終わりません。残り三十分くらいしか時間がありませんので、また本会議が始まってしまうと思いますので、あれにしますけれども。ところで承りたいのは、大筋を聞きたいのですが、皆さんの行政管理年報の資料のほうの二十九ページに「専門部会最終報告概要」というのがある。ここからずっと専門部会の最終報告概要が並んでおりますが、この許認可のところの項について読んでみますと、いま実は三百幾つというお話ですけれども、そうではない。最終報告は、そういう報告をしていない。だいぶ数の違いがある。私は、やはり臨調答申なんというものは、言うならば行管のバイブルですから、冒頭から申し上げておるように、的確にお調べ願いたいと思います。そこで申し上げます。この四七ページの一番上のところから三分の一くらいおりたところに「調査対象」というところがあります。この「調査対象」というところに「現行法上許認可の種類は相当多く、これらのうちから、とくに国民の日常生活に関連の深いものとして」いいですか、長官、「日常生活に関連の深いもの」ということで調査対象にあげておるのですよ。これは正しいと思う。やはり関連の深いものからやってもらわなければ困る。そこで「許可、認可、免許、承認、登録、試験、検査、検定、報告、届出等をとり上げた。」というわけですね。そうしたところが、「上記に関連する個々の許認可はその数が約八千に上る。」というのですね。これはたいへんなものですよ。だから、真剣に整理したってたいへんなことになる、八千もあるのですからね。この八千のうち「今回調査検討を行なった許認可はこのうちの約三千五百(約四四%)」というわけですね。四割ですよ。そこで「整理改善指摘した許認可は千百二十」ある。あなたはいま三百幾つとおっしゃるから、ちょっとそういう御認識では、バイブルを読みそこなっていたのでは困るから、私は申し上げるのですが、読んだとおりですよ。これはあなた方の年報が間違っていない限り、間違いない。「千百二十に上っている。なおこのほか」——「このほか」ですよ。いまあなたは法令とおっしゃったけれども、「このほか法令に基づかない許認可類似行為の整理改善指摘したものが五百十五ある。」というのです。いま法律云々とおっしゃったわけですけれども、法律改正を必要としない許認可類似行為、これだけでも五百十五ある。三百どころじゃない。そうすると、指摘しているのがこれだけあるわけですから、それが今回二十五というのは、いかにもどうもこれは——これまた私が冒頭申し上げたように、行管の能力、予算、人、こういうものに私は関係してくると思うのですが、三百とおっしゃったから、それだけしか調査対象にされなかったのだと思う。しかし、臨調答申が出てから三年になるのです。だから私は、冒頭行管というのは一体いつできたんですか、たいへん無礼な質問なんだけれども、臨調というのはいつできたんですかと承ったのですが、そうだとすると、少なくともここに八千ある中の三千五百を対象に調べた。その事務局を担当されたのは、いまの次官の井原さんですよ、そうでしょう。そのときの資料がないはずはない、資料はある。不眠不休でお調べになった資料がある。それこそ離宮の庭で朝から晩まで臨調の諸君がやって、鳥の声を聞いてほっとしたという話もこの新聞には出ている。そこまで苦労してこれを片づけた。その貴重な資料があっての上の皆さん調査なんです。その資料をつくるときには皆さんも不眠不休でおやりになったのだから、そうだとすると、せっかくここに千百二十に及んでいる。しかも、その法律改正のワク外にあるものが五百十五もある。とすると、ここらあたりをいま私が御質問申し上げたら、まるっきりどうも見当の違うものの言い方をされたんでは私は困る、これはあなた方が出している報告ですから。そうでしょう。だから、そこらのところをもう一ぺん言い直していただけませんか。議事録に残ることだから、私は困る。
  158. 安達為也

    ○安達説明員 臨調において指摘したのは八千件というお話でございますけれども、臨調が各法律全部調べまして、大体許認可等等の中にはずいぶん広い概念も入っておりますが、八千ぐらいあるのじゃないかというふうなことで調べたわけであります。その中から民間の各団体、それから市町村、府県も全部含まれておりますけれども、現在、日本の許認可の中で不平不満というものは一体どのくらいあるだろうかということを調べたことがございます。それが大体二千余件あったのじゃなかろうかと思います。その中には整理統合、廃止するとか委譲するとか、規制緩和をしてくれとか、もう少し早く押してくれとか、手続を簡素化してくれというような要望、意見がございます。それで臨調としては、非常に短い期間だし、全部を取り上げることがなかなかむずかしいのではなかろうかということで、廃止、委譲、規制緩和、統合、その四つの意見、要望のあるものだけを一応取り上げたということでございます。その中から、臨調は手足がございませんので、行政管理庁の監察局に依頼いたしまして実態調査をしたわけでございます。その実態調査をした中から、これは廃止をすべきだ、あるいは統合すべきだというものを個別に指摘したのが三百七十九件あったということでございます。それで行政管理庁としては、その三百七十九件について、先ほど監察局長お話し申し上げたとおり推進をしてきた。しかしそれだけでは足らない。やはり三百七十九件以外にも国民の不平があるものは相当あるということで、行政管理庁としてはただいま監察をいたしまして、その面の調査をして、その結果について、また改善を要するというものは改善をしていくという形に考えております。
  159. 大出俊

    大出委員 監察局長はその三百七十九件ですか、これをいまお答えになった、こういうわけですか。
  160. 稲木進

    ○稲木政府委員 はいそうです。
  161. 大出俊

    大出委員 ところで、いませっかく中心に触れた御答弁がありましたから承りたいのですが、私も先ほど審議官が言ったように、審議会のことばかりやってるわけでもないし、こればかりやっているわけでもないので、なかなかそこまで調査ができかねますけれども、この五百十五件と指摘している、つまり法律改正のワク外にあるものですね、このほうの、つまり法令に基づかない許認可類似行為について、あなた方のほうで当然これは調査すべき筋合いだと思っておりますけれども、概要をひとつ簡単に——簡単といってももう時間がありませんから、本会議までしゃべっちゃってもいいですけれども、御説明いただきたいのです。
  162. 安達為也

    ○安達説明員 法令に基づかない許認可行為というやつは相当ございまして、前の行政審議会でもいろいろ指摘された問題でございます。それで、三百七十九件の中に法令に基づかない許認可行為というのがやはり相当ございまして、その問題については、相当重点的に改善をしていきたいということで改善いたしまして、たしか、その七〇%以上は廃止いたしました。
  163. 大出俊

    大出委員 その七〇%以上を廃止したというのは、この年報に載っておりますか。
  164. 安達為也

    ○安達説明員 年報をちょっと持っておりませんが、いままで整理済みだということで百五十三件ありますけれども、この百五十三件の中に一覧表が載っております。
  165. 大出俊

    大出委員 それから、「各省庁に共通する一般的な問題」ということで、「用語、用例」から始まりまして、ずっと各省の、これは廃止すべきである、統合すべきである、こうありますね。これは皆さんのほうは各省庁と相談をしてきたわけですか。
  166. 安達為也

    ○安達説明員 専門部会の答申は別といたしまして、臨調指摘した三百七十九件については、全部個々にわたって実態調査もいたしましたし、各省がなぜできないのかという理由についても調査をいたしました。
  167. 大出俊

    大出委員 ところで、二十五件しか出ていないのですけれども、今日までそれだけ努力をされた結果として、各省庁とのやりとりの中で廃止できそうだという皆さんのお考えに立てるものは法律改正も必要でしょうが、合わせてどのくらいになりますか。
  168. 稲木進

    ○稲木政府委員 先ほど申し上げましたように、われわれの考え方からすれば、本国会に、実は法律改正を要する案件を四十四だけはぜひやりたいと思ったわけであります。それが先ほど申し上げたようなことでこの数にとどまったということで、これは実は国会提出の時間切れにならないようにというようなこともありまして、一応各省との折衝を途中で打ち切ったわけであります。しかし、これはぜひ今後続けてやっていきたいと思っております。  それからもう一つ、先ほど申し上げたように、やろうと考えれば、関係各省との折衝だとか、あるいは審議会の意見を聞くとかいう手続は要るけれども、こういうことをやっていけば、やはり実現可能じゃないかというふうに考えるものが相当数ございますので、私どもとしては、出し得なかった分と、それからいま申し上げたような手続を、さらに努力をすることによって可能だというものを含めて、引き続きひとつやっていきたい、かように考えます。
  169. 大出俊

    大出委員 これはいままでの経過から見まして、法律的な権限に制約のある監察局なりの立場からすると、私は、やはり外堀を埋めるなら埋めて、内堀を埋める、大阪城の城攻めじゃないけれども、理詰めに次々と手を打ってこういうところに出してきていただかぬと、なかなか前に進まないと私は思うのですよ。だから、そのあたりは長官の御発言のようにいろいろなことがあるでしょう。あるでしょうけれども、そのためにこそ行管があるわけですから、やはりそういう点は逐一世の中に明らかになり、それが世論の風になって行管のほうを支持するというぐあいに風が吹くように、できるだけ表に出す努力をですね。といってみても、これは予算の面からいって、さっきのようにこれは二億何がしか——千六百人のうちで三十九億の予算で、十九億が人件費だというのですね。そして十七億五千万円が地方の人件費だ。そうなると残りは二億五千万円しかない、これが事務費、事業費である、こういうわけですから、それはその面から制約を受けると思うのですけれども、これは最近の状況を見ていると、新聞関係の、うしろにおられる皆さんもだいぶん協力をしておられますから、丘は花盛りだ。審議会は花盛りから始まって、公社、公団はまないたの上に乗っかった魚みたいで、まさに世論の風というのは松平行管庁長官大いにがんばれといって吹いているわけだから、この機会にどんどん出していただくよう、特にこれは御努力をお願いしたいわけなんです。  そこで、中身を一々御質問申し上げるつもりでおりますけれども、これをやっていきますと、残り十七分しか時間がございませんからできませんので、当面の、新聞にここのところ幾つか載っております行管の方針について、最後に一つ、きょうの締めくくりに承っておきたいのですが、「来年度の行政機構改革まず農林省にメス、8月に結論」と、こうあるのですが、これはつい最近の六月十四日の新聞です。ここに「まず農林省にメス」というので、農林省というのはまことにけしからぬところだ、公社、公団に関してはやめろとか、統合しろとか言われたのが一番多いのですからね。これは長官、どういうお考えに基づいて——統計事務もありますから聞きたいのですが、私は、農林統計事務に関するいろいろないままでのいきさつのやつをここに持ってきている。実は農林の統計の職場をこの前歩いてみたところが、長らくたなざらしになっている問題があるわけですけれども、不安定で不安定で生活もろくろく安心してやれないのだという意見が職場でたくさん出ている。私をつかまえて、そういう意見が一ぱいある。そうすると、農林統計というのは古くからいろいろ問題になっている。このメスの中心は何かというと農林統計だ。そうなると、不安定のままで、心配をしっきりでいつまでもほうっておいたのではぐあいが悪い。したがって、このメスはいい、大いにやっていただかなければならぬと思うけれども、どういうわけでこの農林にまずメスを入れるということになったのか。これだけ大きく新聞に出ているのですから、いままだ騒がれているに違いない。この「まず農林省にメス」というのは、そこからも見えるでしょう、長官はめがねをかけておりますからね。これはたいへんな記事ですよ。これはどういうわけなのか、ひとつ御説明をいただきたい。どういう方針なんですか。
  170. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 いま私のほうで調査いたしておりますのは、別に農林省を重点に置くとか、あるいはほかの省を重点に置くというふうにして調査をいたしておるわけではないわけでございまして、何べんも申し上げますように、臨調指摘いたしました十八のほかに、それも含めて百八を調査しておるわけでございまして、ただいまの段階においては、どこをやるというふうにはまだ至ってないわけでございます。ですから、農林省だけメスを入れるというのは、私のほうとしては別に発言した覚えはないわけでございまして、これはもう全部、私のほうとしては百八に対して同じ力でもっていま調査をいたしておるわけであります。結果的にはどういうものが出るかということはわかりませんが、しかし、臨調が十八指摘した数の中には相当農林省も入っておりますから、あるいはそういった点をつかまえて、新聞社のほうでそういうふうに書かれたのかとも存じますが、行政管理庁としては、農林省を特にやるというようなことは決して考えておらないわけでございます。同じように各省とも見てやっていく考えでございます。
  171. 大出俊

    大出委員 これを読みますと「松平行管庁長官は、」と、こういう出だしなんですよ。「佐藤首相の指示に基づき、」こうなんです。(松平国務大臣「何新聞ですか」と呼ぶ)読売新聞です。天下の読売新聞です。「公団、公庫の整理とともに各省の部、局など機構の改革を積極的に推進する方針で、その第一弾として、四十三年度予算で措置すべき整理について、八月末までに」これは本年の八月ですよ。「八月末までに具体案をまとめたいとしている。第一弾としては、これまでとくにムダが多いとされている農林省」むだが多いというのです。だから私は、これを見て、ははあ、八月末までにおまとめになると言っておるから、まず愛知用水公団は廃止だな、こう思ったわけです。まず一番最初に手をつけるのは愛知用水公団、これを存置するなんというのでは、たいした第一弾にはならぬと私は思っているのです。それで非常に関心を持ってこの記事を読んだわけです。そこで長官、この第一弾とはどういうことなのですか、お考えを承っておきたい、こう申し上げたわけなのです。
  172. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は、まだ第一弾も第二弾も話していないわけでございまして、新聞記者には私はそういったことを話した覚えはないわけでございます。何べんも繰り返しておりますように、全般にわたって調べておるわけでございます。
  173. 大出俊

    大出委員 だって、総理がこう言っているところがあるのですよ。まだ第一弾はやっていないのですよ。まだ話していない、これから話すのですから、まだやっていないのです、八月末をめどにやると言っているのですから。  そこで第一弾の問題として、これを見ますと二つ書いてある。「第一弾としては、これまでとくにムダが多いとされている農林省や通産省の機構がとりあげられることは確実で、とくに膨大な人員をかかえる農林省の統計調査事務所や蚕糸局の縮小、合理化がその中心となるものとみられる。農林省の機構について、行管庁では臨調答申に基づき、これまでも統計調査部、蚕糸局、食糧事務所などの整理の推進をはかってきた。しかし、農林省側の強い反対で実現をみていない現状である。統計調査部は、農林省関係の各種の統計事務を行なっているが、これに従事する公務員の数は現在、約一万二千人に達する。同じ統計事務でも、通産省の中小企業に関する統計部門の人員が約八百人であるのとくらべると十五倍にもおよぶわけで、臨調答申では、このうちすでに必要性の減少しているものについて早急に整理、あるいは縮小するよう勧告している。」ここからおしまいのほうにいきますと、「先月二十九日公団公庫の整理について佐藤首相が松平長官から説明を聞いたさい、首相は蚕糸事業団の整理と関連して「蚕糸局整理も行なうべきである」との見解を示している。」これは総理がそう言うのですよ。これを聞きたいのですがね。それから「農林省以外では、さる三十九年、当時の増原行管庁長官と桜内通産相との間でとりかわされた「四十年度中に局の整理を含む通産省の再編成を行なう」との覚え書きの内容がまだ実現されていない点から、通産省も整理の第一弾の対象となる公算が強い。今後機構の整理にあたっては必然的にそれに伴う配置転換の問題などが出てくると思う。各省当局及び公務員労組から強い反対が予想されるが、これをどのように処理して進めるか、きわめて注目される。」ここまで書いてあるのですね。ここにちゃんと、あなたが二十九日に総理に会って説明をした、こうなっている。そのときに総理から、蚕糸局なんというものはやめてしまえ、こう言われたというところから始まるわけですよ。ここらはどうなんですか。
  174. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 先月の二十九日に総理に説明いたしたことは事実でございまして、その内容は、十八の臨調指摘いたしました特殊法人の内容を説明しただけでございまして、総理のほうから、それに対してどうしろこうしろというような指示は、個々に対しましてそういう指示は受けておりません。ですから、その記事は間違いじゃないか、そういった点に関しては間違いじゃないかと思います。
  175. 大出俊

    大出委員 どうもこれは、長官は、新聞に書いてあるとおりで、私は断固やりますと、こう言われると思って、私は質問したのです。  そこで、八月までに決着をつけるということは、私の前半に賛同申し上げたことについて、愛知用水公団にしてもしかり、そのほか魚価安定基金にしてもしかり、たくさん私は例をあげましたが、あなたのほうは、いずれにしても八月末くらいのところで決着をつける、こう言っておられたわけですからね。そうしますと、私はいまのことに関連して、愛知用水公団は廃止をするというところから始まって、農林関係のところはびしびしとやっていくので第一弾だ、こう思ったのですが、それもできないようなことでは、とてもじゃないが、これは話にも何にもならぬ、こう思ったのです。いまの御答弁を聞いていると、どうもまた新聞はこう書いているけれども、そうじゃないということになるとすれば、たよりない結果に終わりそうな気がするので、この記事を離れてけっこうですけれども、八月末までにめどをおつけになると言われた公社、公団あるいは公団、公庫あるいは特殊法人、こういうものについて先般私があれだけ御質問申し上げたときに、八月までに決着をとおっしゃっているのですが、あけてみたら何もないというんでは、とてもじゃない、決着じゃない。何もしなかったことになる。そこらあたりどうですか、私どもは御期待申し上げてよろしゅうございますか。
  176. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 たびたび申し上げますように、ただいまは調査をいたしておりまして、その結果は八月末でなければ出ないわけでございますが、私どもといたしましては、臨調答申に沿って統廃合を行ないたいという考え方でやっております。しかしまた、臨調答申が出た当時と多少事情を異にしておるものもありますので、そういった点もよく調査をいたしますし、また同時に、臨調答申になかったものでも、あるいは統廃合の対象にしていいものもあるかとも考えられますので、そういった点もよく調査をして、八月末までにはどれを整理統合の対象にするかをきめたいというふうに考えておるわけでございます。
  177. 大出俊

    大出委員 結論が出ていないとおっしゃられれば、その時期を待つ以外に手がございませんが、私は、やはりこの際き然たる態度が望ましい。そうしませんと、そこから先に向かってものができない。八月末八月末と、こうお答えになってこられたわけですから、その中身がなるほどというふうに世論が考えるようでないと、吹いてきた風はとだえる。また私どもにしても、これからそのつもりでこれをやり直さなければならぬ、こう思っておるわけなんです。  そこで、まだ五分ばかり本会議まで時間がありますので、伊能さんが防衛庁の質問をとおっしゃらぬように、もう一つだけ質問を申し上げますが、「民間への補助金監察」というのが、これまた読売新聞の六月十五日でございますが、「行管庁新重点、天下りの根断つ」こういうことなんです。天下りをさせないようにするというわけです。これもそちらからお見えになるでしょう、長官御自身の写真がまん中に大きく載っている。「行管庁新重点、天下りの根断つ」横に読めばコンゼツですよ。こういうんですが、根絶するだけの決断があなた方にございますか。まず根絶するには決断をしていただかなければ根絶できないのですよ。来月から全省庁についておたくのほうで調べる、そう書いてある。
  178. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 それも実は私新聞に出てから読んだのでございまして、私は別に話したことはない。ただ参議院の議運の委員会などへ呼ばれまして、天下り人事に対してどう思うかというような御質問がございました際には、私は天下り人事そのものは決して悪いものではないというふうに答弁を申し上げております。というのは、要するに役人の次官とか局長になられた方は、みんな相当な才能のある方でございます。しかも、大体五十歳前後でやめられる方で、これからほんとうに仕事のできる方でございまするから、そういった方が特殊法人に行って手腕、力量をふるわれるのは非常にいいと思うのです。ただ問題は、それの任命のしかたが、現在の仕組みではよくないんじゃないか。それからまた、あと退職金とかあるいは手当等の問題に関して考慮を要する点があるのじゃないかという点を申し上げているわけでございます。根絶などということは、私は申したことはないのでございます。
  179. 大出俊

    大出委員 どうも新聞に出ているのが一々違うのでは、これはどうもあまりものを信用できなくなりますね。私は、それこそ、これは根があるから書いたのだろうと思うのです。  そこで私は、そうおっしゃるならひとつ聞きたいのですが、国立競技場というのがございますね、御存じでしょう。これも特殊法人の一つですよ。ここに今度はまたおまけに、戸田ボート場というのができますね、御存じないですか、御存じだと思いますがね。オリンピックのときに、この国立競技場というのは、天下り人事反対で大騒ぎしたところです。そこへまた戸田ボート場ができるというので、また天下りでとんでもない人がおりてくるという。そうしたら、さるりっぱな方が、国立競技場の役員のえらい方が、組合員の諸君から、また天下りじゃないかというので文句が出た。そうしたら、いや使いものになる人間はどんどん天下りでもよろしい、持ってくるんだ。ところが、この戸田ボート場というのは、何と場長が一人、部下が一人、こういうわけですよ。そこへ何で古手の役人でなければわからぬ、一般の人じゃ使えないのだ、こう言ったか。すると一番最後のほうに、いいじゃないか、補助金が七百万円かつてついたんだからいいじゃないか。天下りに補助金が七百万くっついてきた。だから大蔵省の方々はやたら売れちゃったりするわけですよ、天下りでそこらじゅうに。その人の能力の問題じゃない。あなたはそうだと言われておるけれども、そうじゃない。かつてのポストからおりてくる、それに補助金がくっついてくる。うちは裸で出すのではございませんよ、持参金つきです、こういうことになる。七百万円補助金がついたからいいじゃないかと、実際に組合の方に答えているんですよ。そうすると、これは能力評価じゃないんですよ。つまり補助金がくっついてくるということなんです。そうすると、やっぱり「民間への補助金監察」「天下りの根断つ」という、あなたはこの新聞はいいかげんだというのではなくて、ほんとうにこれは考えてくれなければ困ることですよ。そうお考えいただかなければいかぬと私は思うのですよ、でたらめだということじゃなくて。
  180. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 私、先ほど任命のしかたに非常に問題があると申しましたのは、そういった点も含めてでございまして、ことにそういう持参金のようなものがついてということでは、ますます私は任命のしかたをもうちょっと改良しなければいけないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  181. 大出俊

    大出委員 行管のほうで、公社、公団百八のうちの役員の方々で、一つの省の中、農林なら農林の中で、ある理事に任命されて、そこで退職金をもらった方がほかへ行ったということは、参議院のほうでいろいろ質問がありましたね。これは御存じでしょう。その種の一覧表的なものをおつくりになっておりますか。
  182. 大国彰

    ○大国政府委員 人事の関係につきましては、こちらのほうでそこまで調査をいたしておりません。
  183. 大出俊

    大出委員 行管の皆さん方が調査をすべきだと私は実は思っているんです。率直にいって、この新聞に書いてありますように、補助金の関係から、それから天下り人事というものがある。民間から入ってきた人なんてほとんどないですね、これを見ると、私の知っている限りでは。だから、私のほうも調べますけれども、やはりほんとうに公社、公団、特殊法人なんというものを整理なり統合なりしようとお考えなら、人事の面まで全部入っていかなければ、たとえば愛知用水公団にしても、水資源と統合といったって、水資源の中の農林、建設の争いなんというものはたいへんな話ですから、その面からだって大きな抵抗が出てくるわけです。そうすると、そこらのところまで皆さんのほうが入っていかざるを得ないはずなんです。ところが、そこのところはノータッチでございますでは、私はやはりこれは整理統合はできない、こう思っているわけですよ。本鈴が鳴りましたからこの辺にしておきまして、あらためた機会にやりたいと思うのですが、ともかく、行管の機構というものは、御自分のところだからというので遠慮する必要はない。だから、予算にしても人にしても、必要なものは明らかにすべきであり、かつ言うべきことは言うべきであり、世論の風は皆さんのほうに向かって吸収をして、この行政の簡素化なり、特殊法人の整理なり、審議会の整理なりのほうに吹かせるように、ますますもって御努力いただきたい、こう思うわけです。長官の決断のほどをひとつお願いいたしまして、終わります。
  184. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 たいへんありがたいおことばをちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。私も微力でございまするが、勇気をもって極力努力いたすつもりでございます。
  185. 關谷勝利

    關谷委員長 本会議散会後再開することとし、この際暫時休憩いたします。   午後二時二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕