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1967-06-02 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二日(金曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    稻葉  修君       内海 英男君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       高橋清一郎君    橋口  隆君       稻村 隆一君    木原  実君       楢崎弥之助君    西宮  弘君       浜田 光人君    山本弥之助君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         労 働 大 臣 早川  崇君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         宮内庁次長   瓜生 順良君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁統計         基準局長    片山 一郎君         外務省条約局長 藤崎 萬里君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         食糧庁長官   大口 駿一君         水産庁長官   久宗  高君         中小企業庁次長 金井多喜男君         郵政省電波監理         局長      淺野 賢澄君         労働大臣官房長 辻  英雄君         労働省労政局長 松永 正男君  委員外出席者         農林省農林経済         局統計調査部長 松田 寿郎君         水産庁生産部長 亀長 友義君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 六月二日  委員稻村隆一君、吉田之久君及び大橋敏雄君辞  任につき、その補欠として西宮弘君、佐々木良  作君及び伊藤惣助丸君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員西宮弘君及び佐々木良作君辞任につき、そ  の補欠として稻村隆一君及び吉田之久君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六号)  宮内庁法の一部を改正する法律案内閣提出第  八三号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八号)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  3. 楢崎弥之助

    楢崎委員 昨日の新聞報道にも出ておったのですが、全国水産物小売団体連合会から、食品衛生金融公庫設立してほしいという陳情がなされておるということであります。いま環境公庫法の問題は、今国会に提出動きになっておるわけです。これらとも関連をして、食衛公庫設立動きも非常に活発になるであろうと、これは予想されることです。すでに佐藤総理からも、公団公庫整理統合、あるいは臨調答申を尊重する措置をするという政府方向も決定しておる段階で、このような新しく食品衛生金融公庫設立等動きに対して、農林大臣はどのようなお考えを持っておられるのか。
  4. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 新聞ではその記事を見ましたけれども、私どもまだ何も聞いておりません。
  5. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そのような要望が出てきた場合には、どのような考え方で処理をされるのか。
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいま政府はつとめて臨時行政調査会答申にありますように、公団公庫等の新設はできるだけやらない、行政を簡素化してまいる、こういうたてまえでありますので、いろいろ話がありますけれども、そういうたてまえに照らして善処してまいりたい、こう思っております。
  7. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、食衛公庫設立要望があっても、臨調答申の線に沿って農林省は阻止したい、このように確認をしてよろしゅうございますか。
  8. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 全然その要望もまだ聞いておりませんし、内容もわかっておりませんが、原則としては、ただいま申し上げましたような精神で対処をいたしてまいりたい、こう思っております。
  9. 楢崎弥之助

    楢崎委員 内容はわかっておらぬとおっしゃいますが、内容はもう食衛公庫考えていただければわかるのですよ。これは政府から融資をして低利長期金融をやるという問題です。水産物中心にしてです。それで、いま臨調答申の線に沿って措置をするという態度のようでございますから、それはそれで了承いたします。  そこで、私は、この種の動きは各業界からも出てこようと思うのです。これはおもに中小企業関係。それで、そういう公庫を持っておる業種は、言うなればその点では非常に助かるわけです。しかし、公庫公団整理という、その方向とは逆行する。業種間の格差は非常に激しくなってくる。こうした傾向について中小企業庁はどのようなお考えでございますか。
  10. 金井多喜男

    金井政府委員 中小企業金融関係につきましては、目下のところ、中小企業金融公庫、それから商工組合中央金庫並びに国民金融公庫、この三つだけが政府関係機関として存在しておるわけでございます。私ども、その中小企業金融行政については、政府機関としては、その三つ機関でもっていままでやっておりますが、金融行政の指導をやってまいりました感想といたしましては、それらの三つ機関については、特に中小企業業種について融資について特段の格差を設けるというようなことは、一般的に同じような金融内容であればやっていないわけでございます。もちろん、その中において、公害の関係であるとか、それから産業労働災害関係であるとか、こういったものについては特別の金利を適用しておりますが、要するに一般の中小企業近代化というような面につきましては、先ほど申しましたように差別をしておらないわけでございます。こういった点からいたしますると、ただいま先生のお尋ねのように、金融行政について格差が生じておるというような実態はない、こうお答えできるのではなかろうか、こう思っております。
  11. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私がお伺いしておるのは、この種の業種別金融公庫が今後もしできていくとするならば、そういう公庫を持っておる業種は非常に有利になるわけです。そういう業種によってこの種の金融公庫が持たれていくという傾向についてどう思われますか。
  12. 金井多喜男

    金井政府委員 私ども中小企業行政あるいはその中小企業行政一つとして金融行政、こういった問題について、要するに中小企業全般について、行政根本的な態度としては、それがいわゆる中小企業としての振興に役に立つものであるということが一つの柱であり、もう一つの柱は、同じ中小企業であるならば、やはり政府行政としては公平でなければならない、このように考えておるわけでございます。そういった点から、かりに特殊な業種別の金庫とか公庫等ができましても、それは少なくとも融資基準というようなものについては、金利等中心業種間の差別がないように運営されるのが、中小企業行政の見地からは一番望ましい、このように考えております。
  13. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私の質問のポイントに触れられておりません。しかし、言われることは大体わかりますので、この問題はこれで打ち切っておきます。  この委員会にいま提案されております農林省設置法の一部改正の内容の遠洋水産研究所問題に関連して、この際、国際漁業の問題について質問をしたいと思います。  そこで、まず最初確認をしておきたいのですが、一九五八年、それから一九六〇年、国際海洋法会議が行なわれて、例の領海及び接続水域に関する条約審議をされました。六〇年の審議の際には、日本政府委員会では賛成をし、本会議棄権となさった。その間の事情をひとつお伺いをしたいのですが、例の米加修正案、これについて、六〇年の場合ですよ、米加修正案について、委員会では賛成をされ、本会議棄権されたその間の事情を、まずお伺いしておきたいと思います。
  14. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 委員会段階では、領海六海里、漁業水域その外側六海里ということでございまして、これは伝統的に日本政府がとった立場からはたいへんな前進と申しますか、変更であったわけでございますが、そこまでは世界大勢からいってもやむを得ないであろうということで賛成いたしたわけでございます。ところが、その後中南米諸国から、さらにその外側の海についても、沿岸国特殊権益を認めさせるような修正がなされました。もうそこまではついていけないということで、この米加案に対する中南米修正案に対しては棄権ということにいたしたわけでございます。
  15. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、委員会には米加案がかかり、その際は日本政府賛成をした、しかし本会議修正案が出されたので、それにはついていけないから棄権をしたというお話のようです。そうすると、米加案には日本政府としては賛成だという態度である、そう確認をしてよろしゅうございますね。
  16. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 そのときに日本投票ぶり説明する際にも明らかにいたしましたように、その案がもし採択されて条約の形になれば、もちろんそのとおりにこれを認めるわけでございますが、それが否決された場合には、日本政府としては従来の立場に返るということをはっきりいたしておりまして、実はアメリカども現にそういう態度をとっておるわけでございます。
  17. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いま国連九十二カ国のうちで、専管水域を設定しておる国は幾つで、設定しようとしておる国は幾つか、もしおわかりであったら御説明をいただきたい。
  18. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 国連加盟国かそうでないかの区別なしで申し上げますと、十四カ国でございます。
  19. 楢崎弥之助

    楢崎委員 では、設定しようとしておる国を含めますとどのくらいになりますか。
  20. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 その点につきましては、どうもはっきりいたした数字を申し上げかねますので、御了承いただきたいと思います。
  21. 楢崎弥之助

    楢崎委員 水産庁は知っておるはずですね、私が知っておるぐらいですから。御存じなかったら私が言うてもよろしゅうございます。
  22. 亀長友義

    亀長説明員 いま条約局長がお答えになりましたように、専管水域を現在設定しておる国は十四カ国でございますが、このほかにもちろん領海で十二海里の制度をとっておる国が二十四カ国ございます。現在、十二海里を設定しようとするというふうに動いておりますメキシコでありますとかいう国は、いま条約局長が申し上げた数字の中に含まれております。このほかに、その中に含まれておらないものはオーストラリアだけであろうかと思います。そのほか、国としては意図しておる、あるいは水産業界は意図しておる、政治的に意図しておるけれども、それが政府法律になるかどうかという点についてははっきりしないという国はございますけれども、われわれが申し上げました十四カ国の数字のほかで、現在あるいは近く十二海里を設定するであろうとわれわれがいま判断しておりますのはオーストラリアだけでございます。
  23. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、それをお伺いしたのは、いま世界海洋国はだんだん専管水域を設定しようという方向に動いているわけですね。三十カ国以上が設定しておるか、あるいは設定しようとしておる、そういう情勢一つ。それから、昨年十月下旬でございましたか、米国の例の十二海里の専管水域バートレット法が通過をいたしました。そして日米漁業交渉が行なわれた。そういう現実がまた一つ。それから、政府は近くスペインやニュージーランドとこの種の交渉に入られるはずである、そういう情勢一つ。それから、現在農林水産委員会に提案をされておる外国人漁業の規制に関する法律、これはそれだけではありませんけれども領海利用についての外国漁業を制限するという問題、このような一連の背景を考えるならば、日本政府としては、領海を含めてこのアウターシックス、十二海里のフィッシングゾーンについて、領海も含めて明確な態度を示される時期にきておるのではなかろうか。従来の三海里の考え方を、世界趨勢に合わせて検討する時期にきておる、このように私は思うわけです。外務省はどのような御見解でございますか。
  24. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 世界の各国の趨勢が、いま楢崎委員の御指摘のように動いておることは認めざるを得ませんが、ただ領海漁業水域の問題は一応別に考えたほうがよろしいかと思います。  領海の点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、十二海里の漁業水域を設定した国でも、領海は三海里ということにいたしておるわけでございます。日本政府といたしましては、従来とにかく三海里という国際法上の立場をとっております。こういう国の立場というものはそう軽々しく変えるべきではないと思いますが、かりに変えようとしても、それでは何海里が国際法上なのか、もうめんどうになるわけでございまして、私どもはやはりはっきり国際会議が開かれて、国際条約でこの三海里が修正されない限り、三海里であるという立場を堅持したほうが、法律的にもまともないき方であるし、また日本の利益にも合致しておる、かように考えます。  それから、漁業水域という点ですが、これは日本の従来の立場は、関係国間の協定によって設定する場合はよろしいだろう、それで日韓間でもそういうふうにいたしたわけでございます。アメリカともこの間取りきめをいたしましたし、ニュージーランドともそういうことで目下鋭意交渉中でございます。  ただ、日本が反対しておるのは、国内法で一方的に設定する、そしてもう全然協定交渉にも応じないということは、つまりわれわれの漁業実績を認めない、そういう一力的なやり方に対しては、もう強く反対しておるわけでございまして、いままでの政府領海漁業水域に関する立場は、現在の段階においては変更する必要はないのじゃないか、かように考えております。
  25. 楢崎弥之助

    楢崎委員 六〇年の海洋法会議のときに、採決されれば、領海六海里ということは、日本政府はそういう方向を持っておったわけですね。採決されればということは、まあ表決のことは別としても、それが世界大勢になったときにはという意味ですね、そのときには六海里にする、しかし現在では三海里を変える考えはない、そういうことですか。
  26. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 さようでございます。
  27. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、いま日米漁業の問題に触れられたのですが、あのバートレット法に対する考え方は、専管水域についての法的ないろんなやりとりがあったろうと思うのですね。そして、何かいまのお話だと、国内法だけでただ一つの国が設定するのは疑義がある。問題点はそこなんですか、バートレット法についてのお考えは。
  28. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 いま、一つ例として日米をあげましたけれども原理原則を申し上げると、仰せのとおり、それが根本の問題でございます。日米間の漁業問題としては、そのほかにいろいろ実績の見方の問題とか、それぞれ実態的な問題もあったと思いますが、原理原則の点は、一方的設定国際法上の権利として認めるかどうかということが根本であったわけであります。
  29. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまの、一方的に国内法で宣言をして効力を持たせるという、このような考え方は、いまの国際漁業法の概念からいくと、それはどういうふうになっておるのでしょうか。そういうことは認められないということになっておるのですか。
  30. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 それが世界の国の間で意見の分かれているところでございまして、私どもは伝統的な日本立場からいたしまして、領海以外は公海なんだから、公海について、ある限られた分野にしろ、沿岸国が主権を及ぼすようなことをすることは、管轄権を及ぼすことは、それによって影響される国の同意なしにはできないはずである、そういう原則立場に立っておるのに対しまして、国内法でもできるという国は、まあ原則はそうかもしらぬけれども世界のこれくらい多くの国がもうこういうことをしておるから、これはいまやそういう国際の慣行が樹立されつつあるんだ、あるいは樹立されたんだ、そういうふうに説明するわけでございます。しかし、その説明に対しては、日本政府としては承服しておらないという状況でございます。
  31. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、日本政府としては、国内法で一方的に効力を持たせるような動きに対しては、反対であるという方針で臨まれるわけですね。それから、アウターゾーンに対する例の入り会いの問題は、これは入り会い権ありという態度で臨まれるわけですね。
  32. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 入り会い権というような一つ国内法上の用語を使いますと、また誤解を生ずるかもしれませんが、とにかく従来の実績は尊重せらるべきであるということでございます。
  33. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は当然そうあるべきであると思うのです。その点については、せんだっての日韓漁業で大いにやり合いをし、日本が放棄したことについて問題になり、それはずっと残ると思うのですね。あれは赤城さんの答弁と椎名さんの答弁は食い違いをしておるのですけれども、それはいいでしょう、残っておりますから。  それでは、日韓漁業の問題に移りたいと思うのですが、昨年サケマス流し網等操業試験をやったことは御案内のとおりです。そして、一応北洋サケマスは本格的な操業は見合わして、エビ等操業には本格的に今年度乗り出すというような問題が道北で起こっておるのでございますが、もし本格的な操業等が行なわれるようになれば、これは当然現存の日ソ漁業条約あるいは日米間漁業条約等関連が出てくるわけですね。  それで、まず一番にその点についてお伺いをしたいのは、漁業条約が二つの国である際に、第三国がそこに行って操業するというような事態が起こるときには、当然私はその第三国条約当事国に話をして、その条約の中に参加をして操業するというのが一番望ましい方法であろうと思うわけです。それはよろしゅうございますか。
  34. 久宗高

    久宗政府委員 条約が数カ国についてあります場合に、その関係水域に、同じ漁業水域に出てまいります場合には、常識的にもそれぞれの関係国お話があってしかるべきものと思っております。
  35. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その条約の傘下に入って操業する、これは当然であろうと思うのですね。ところが、この韓国操業について、ことしいよいよ本格的な操業をやるというのですが、この操業については具体的にどのように考えておられるのですか。
  36. 久宗高

    久宗政府委員 昨年秋ごろからでございますか、韓国北洋サケマスに出漁するといううわさが非常に流れたわけでございまして、また一部試験操業に出たといったような問題がございまして、非常に物議をかもしたわけでございます。私どもといたしましては、漁業協力関係もございますので、非常に重大な関心を持ちまして、韓国水産当局とも、最初閣僚会議がございました際にもその点について私ども見解を申し上げたわけでございます。すなわち、北洋サケマスにつきましては日米間の条約もございますので、私どもといたしましては、さような条約上の制約からも、サケマス漁業韓国が出漁される場合に協力はできかねますというお話を、非常にはっきりした形で申し上げたわけでございます。その後、御存じのとおり、いろんな経緯がございまして、ついこの四月でございますか、一応、本年度は試験研究がまだ不十分でございますので取りやめるという正式の発表があったように聞いております。
  37. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで大臣にお伺いをしたいのですが、日韓漁業協定を締結されて、その締結実施に伴う国内法として漁業水域設定法を通過さしたわけですね。そして政令によってその水域をきめる。現在は島根県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県等に、島も含めて十二海里の専管水域を設定している。いま、その取りやめたという情報が確実かどうか知りませんが、しかし韓国北洋漁業進出をするということは、これはもう具体的日程に上ってきている。したがって、日本沿岸漁業なり漁業者の不安、あるいは魚族資源の保護というような観点から、私は北海道専管水域を設定する必要があろうと思います。これは重大な問題ですから、農林大臣からお考え伺いたい。
  38. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、日米日ソ、それぞれ漁業条約を持っておるわけであります。そこで、いま韓国北洋進出お話が出ておりますけれども、これについては、水産庁長官がお答え申しましたように、自重するように促しておるわけでございますけれども、もしそういうような事実がかりに生じたような場合、いろいろな問題が起きてくるのではないかと思います。たとえば、ソ連と韓国とは国交を持っておりません。それでいろいろな国際的に想定されるやかましい問題が起こり得る可能性があるので、私どもといたしましては、ただいま水産庁長官の申し上げましたように、そういうことのないように、相互にひとつ話を進めて、そういうトラブルが国際間に起こらないように韓国側にも勧奨いたしておるわけであります。
  39. 久宗高

    久宗政府委員 この問題につきましては、昨年来韓国水産庁当局とも相当突っ込んだ意見交換をしておるわけでございます。御承知のとおり、条約に基づきます正式の漁業委員会がございますので、これも近く第二回が開催されることになっております。したがって、私どもは、その際にもこちら側の考え方を述べ、また先方の具体的な計画その他がおありになるのかどうか、さような点につきましても突っ込んだ意見交換をいたしたいと考えております。
  40. 楢崎弥之助

    楢崎委員 もし北洋進出するような場合には、当然当該沿岸専管水域を設定するという方針でなくちゃならぬと思うのですが、いかがですか。
  41. 久宗高

    久宗政府委員 専管水域お話が出たわけでございますが、これは若干違うのではないかと思います。サケマスの場合は、主として公海の問題になりますので、かりに専管水域北海道につくるといたしましても、それよりさらに沖合いの問題になろうかと思うわけでございます。したがいまして、私どもは、専管水域については別の考え方を持っておりますが、いまのサケマスに出漁する関係につきましては、日米加関係、また日ソ関係にも市大影響がございますので、さようなことにつきまして十分先方の認識をはっきりさせたいというふうに考えております。
  42. 楢崎弥之助

    楢崎委員 専管水域については別の考えがあるというのはどういう考えですか。
  43. 久宗高

    久宗政府委員 サケマスで主として問題になりますのは、十二海里以遠の問題になろうかという意味でございます。おそらく専管水域について問題になるといたしますれば、サケマス以外の、もっとほかの漁業種類についての問題かと存じます。これにつきましても、直ちに専管水域を引く引かぬという問題ではなくて、やはりその漁業でどういう計画を持っておられるのか、それが日本漁業とどういう競合関係に立ち得るのかという問題について、もっと詰めた議論をいたしてよろしいのではないかと思うわけでございます。いきなり専管水域を引く引かぬという問題ではないと考えます。
  44. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それはあたりまえの話です。影響があると考えられた際には、当然専管水域を設定しなくちゃならぬと私は思うわけです。影響がないならする必要はもちろんないですよ。そうして、あなた方が検討された結果、影響ありという結論に達した場合には、当然そのお話を出されるのでしょう。
  45. 久宗高

    久宗政府委員 お話のとおりのような問題であろうと思います。すなわち、先方がどの程度にどういう漁業をやるかという問題と関連するわけでございまして、その度合いが、まさに専管水域を引かなければ調整できないという問題になりました場合には、考えざるを得ないのではないかと思うわけでございますが、しかし、私どもの現在の情報なり、先方との話し合いにおきましては、まだまだ先方におきます計画も熟しておりませんし、また、その計画自体お話につきましても、その利害得失を、日本立場に立ち、あるいは韓国立場に立って話を調整するという可能性は、私はまだ十分あるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、いますぐ専管水域の問題をそれと対抗的に出すという形の段階ではないというふうに判断しております。
  46. 楢崎弥之助

    楢崎委員 どうも話が行き合わないのですが、それはそれでいいです。なるたけ影響がないように、また、ほかの国際条約影響がないように、あなた方が話し合いの中で努力をされることは当然ですよ。私が言っているのは、その話し合いの結果、とにかく影響があるような操業進出をするなら、当然専管水域という問題は出てくるではないか。それを聞いているのですよ。
  47. 久宗高

    久宗政府委員 専管水域につきましても二つございまして、先ほど外務省からのお話もございましたように、私どもといたしましては、専管水域を一般的に引くことについては、いろいろ問題があると思っているわけでございます。ただ、二国間でお話し合いをして専管水域を引く例は、すでに日韓漁業条約でもしておりますので、一般的に、専管水域を一方的に引くという問題とは話が若干違うのではないかと思います。
  48. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私が言っているのは、一方的に引くのはよくないということをさっき確かめたのです。私はそういうことを主張しているのじゃないですよ。韓国との話し合いの中で、もし影響があるような操業方向が出てきたならば、当然専管水域の話を出さないといけないのではないですかということを言っているのですよ。一方的にしなさいなどというようなことは言っていないですよ。
  49. 久宗高

    久宗政府委員 お話しのとおりでございます。ただ、韓国との個別の問題にいたしましても、直ちにこの段階専管水域を問題にするのは時期尚早ではないだろうか、まだもう少しいろいろ話し合ってみる必要があるのではないかと考えております。
  50. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは、話し合いはいいですよ。そして、話し合いの結果——私は韓国とのことを言っているのですよ。北海道周辺に、日米加あるいは日ソ関連をして一般的な専管水域考えるべきじゃないかと言っているのじゃないのですよ。いいですか。日韓漁業の問題について言っているのです。そして煮詰めた話し合いの結果、影響があるような操業をどうしてもという場合には、専管水域というものは当然起こるのじゃないですか。あなた方は、国内法漁業水域設定法をすでに通過さしたじゃないですか。私が言ったような理由で、あれは政府は強行採決したのですよ。政府は、強行採決しておって、いまごろそういうあいまいな答弁がありますか。
  51. 久宗高

    久宗政府委員 それはおっしゃるとおりでございます。ただ、いまの時期にすぐ踏み切る考えは現在のところまだないと申し上げているわけであります。
  52. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いまの時期に踏み切りなさいとはだれも言っていないですよ。さっきから言っていることがわからぬのですか。もし、話を煮詰めてそうなれば、専管水域という問題が起こるのは当然ですよ。あなた方はその理由で法律を通したじゃないですか。何べん言ってもあなたはわからないから、もういいですよ。私はあたりまえの話を言っているのですよ。国内法漁業水域設定法内容を言っているのですから、当然政令できめる問題が起こるじゃないかということを言っているのです。何も、一般的に専管水域を設定しなさいということはこれっぽっちも言っていないです。  そこで、先ほど申しましたように、条約当事国以外の第三国が介入してくる場合に、いままであなた方は、その種の外国人漁業についてどのような制約をしておりましたか。
  53. 久宗高

    久宗政府委員 いままでは、そのような実例が、少なくとも北洋サケマスについてはなかったわけでございます。
  54. 楢崎弥之助

    楢崎委員 事実はなかったかもしれぬが、事実が起こったならばどういう措置がとれますか。何かそれに関連する法律があるはずだと思うのです。
  55. 久宗高

    久宗政府委員 この問題につきましては、御存じのとおり日米加条約に基づきます例の委員会があるわけでございます。昨年の委員会におきまして、この韓国北洋サケマス・ニシンの問題が出てまいりました。委員会におきましてもこれが取り上げられまして、それぞれの条約に縛られております関係政府に対しまして、重大な関心を持つべきだということを提起しようというお話が出まして、委員会の決定に基づきまして、それぞれの政府にこの問題について重大な関心を払ってもらいたいという勧告があったわけでございます。私どもといたしましては、先ほど申しましたように、この委員会に先立ちまして、この間の貿易の協定なり、あるいは経済閣僚会議の席上におきましても、北洋サケマスの問題につきましては、単なる漁業問題以上の非常に複雑な問題がございますので、きわめて慎重に取り扱われるよう申し入れをし、かつ、私どもといたしましては、経済協力の問題もございますので、それとの関連におきまして、国際的な条約関係、特に日本の信用にかかわるような問題が起こらないようにしたいという意向を伝えたわけでございます。
  56. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私がお伺いしておるのは、質問内容がわからなかったかもしれませんが、直接的には外国人漁業を制約する手だてはなかったと思うのですが、間接的に制約する国内的な法律か省令かがあったんじゃないですか。それを言っておるのです。
  57. 久宗高

    久宗政府委員 私がちょっと御質問を取り違えておりまして、失礼いたしました。実はこのサケマス問題とも関連いたしまして、昨年来日ソの問題に関連しましても、寄港の問題が出たり、あるいは韓国試験操業が行なわれたりというようなことでございまして、一番基本的な日本の沿岸におきます外国漁業の基地的な利用と申しますか、日本の港を利用いたしまして、韓国に利用されるような形につきまして、従来日本側の態度を明らかにしておりませんでしたので、閣議決定におきまして、さような日本側の基本的態度を鮮明にいたしますとともに、一応現行法でできる限りの処置をとりまして、それを今同外国人漁業の規制に関する法律の形に取りまとめて御提案をいたしておるわけでございます。これは領海内におきます操業の制限禁止と、それから、港そのものの利用についての規制でございます。しかし、これはあくまでその範囲の問題でございまして、それより外の海につきまして、つまり公海上の問題につきましては、必要がございますれば、条約の形なり何らかの形で規制が必要であるわけでございます。今回私どもで出しております外国人漁業の規制に関する法律につきましては、これは主として港の利用に関する問題だというふうに御理解いただければというふうに思うわけでございます。  なお、日韓におきますサケマスの問題につきましては、そういう問題も含めまして、私どもといたしましては、これが影響する範囲が非常に大きいわけでございますので、先方と接触のあるたびごとに、これについての日本側の考え方はお伝えいたしまして、先方でも慎重な判断をされるよう慫慂いたしておるわけでございます。
  58. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いま農水にかかっております外国人漁業制限の法律は知っております。そのほかに、ことしの二月十八日に決定をして二月二十五日から施行されておる省令がありますが、それは関係ないですか。
  59. 久宗高

    久宗政府委員 これは間接的に関係があるわけでございます。実はお尋ねの省令は、おそらく韓国の民間の動きで、日本側でサケマスに従事する労務者の雇用の動きがございました。私どもは、これは外国人漁業を直接規制するものではないわけでございますが、日本人並びに日本船舶につきましては、条約上私どもはその義務を持っておりますので、間接的にも、日本の労務者が外国人漁業に雇われまして、北洋の海域におきましてサケマスを採捕することは、何らかの形で押えざるを得ないということで、あのような措置をとったおけであります。一応それぞれの関係者に会いまして説得いたしたわけでございます。これはやはり法的な措置をとっておかないとまずいと考えまして、はなはだ遺憾に考えたわけでございますが、省令によりましてあのような措置をとったおけでございます。
  60. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、藤崎さんにお伺いしたいのですが、いま出された省令は指定漁業の許可及び取締り等に関する省令の一部を改正する省令でしょう。これが二月十八日に決定して、二十五日から施行されております。これは漁業法、それから水産資源保護法に基づく省令ですね。こういう省令でいわゆる外国人の漁業を制限するというようなことができますか。
  61. 久宗高

    久宗政府委員 これは御説明が不十分でございましたけれども、これは外国人漁業の規制ではございませんで、日本人自体の規制でございます。日本人を対象といたしまして、それが外国人漁業に雇われて北洋水域サケマスの採捕に従事してはならない。日本人そのものを縛る決定でございます。したがいまして、今回単独で外国人漁業に関する法律を出しております。この一連の外国関係のものはこの中にまとめておりますので、この省令関係ははずしておるわけでございます。これはたてまえといたしまして、日本人そのものを縛る規制でございます。
  62. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは私よく知っておるのです。しかし、その影響というものは、あなたが具体的に出されましたが、韓国日本漁船員を雇われるのに困ったわけですね。つまり韓国漁業について困らせるような一つ措置です、その影響考えるならば。あなたは形式は日本人対象だとおっしゃるけれども、その種のものをかかる省令ごときで設定をするというのは、国際的な感覚からいったらどうなんでしょうか。条約局長外務省見解を聞きたい。
  63. 藤崎萬里

    藤崎政府委員 国内法のどういうレベルのもので措置するかということは、これはどうも国際法の問題ではないと存じます。
  64. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたは、条約のことを文字のことばかり——そんなお役人では困るですよ。もう少し大局的な観点から、外務省藤崎条約局長といえば鳴り響いた方だから、そういう御答弁というものはないでしょう。わからぬならわからぬでいいですが……。
  65. 久宗高

    久宗政府委員 あれは日米加条約によりまして、日本船舶または日本国民が義務づけられておるわけでございます。したがいまして、いまのような雇用に応じました場合には、直接的に条約そのものの履行について違反になるわけでございます。条約を結びました場合には、当然それに伴う国内の処置をしなければならぬわけでございますので、従来私どもはうかつにそのようなことが起こり得るということを考えておりませんでしたので、それを規制する国内措置をとっておりませんでしたものですから、この点を放置いたしますと条約上の義務違反になりますので、急遽あのような措置をとったわけでございます。
  66. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それでは、このような職業を選択する自由を——これは憲法で保障されておる。それを省令ごときで、こういう制限ができますか。これは違憲ですよ。
  67. 久宗高

    久宗政府委員 もとになります条約につきましては、国会のほうの御批准をいただいております。
  68. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私が言っておるのは、この省令のことを言っておるのです。省令で、日本人が外国の船舶——この際は韓国でございますが、外国の船舶に雇われてサケマスの捕獲に従事してはならぬといったような職業の選択を制限するような措置を、たかが省令で制限できると思いますか。憲法との関係はどうなんですか。これは言語道断ですよ。もし何なら法制局長官を呼んでください。
  69. 久宗高

    久宗政府委員 先ほど、条約上と申しましたのは、条約に基づきましてそれを履行するために、国内措置を当然とらなければいかぬと規定が書いてあるわけでございます。そこで、それに基づきまして、あのような事態が起こりました場合に、私どもといたしましては、具体的に漁業法に基づきます——経営者のほうは当然漁業法で縛れるわけでございますので、それによってやっておるわけでございますが、従業者の雇用にまで及んでくるとは考えておりませんでしたので、従業者の問題には触れてなかったわけでございます。あのまま雇用が進みますと、少なくとも条約の中では、日本国民はという具体的な明文がございますので、これにまさしくひっかかってしまうわけでございます。そこで、それをどうしても排除するということになりますれば、漁業法に基づきます採捕という行為を押えるということが許されておりますので、これによって最小限度の措置をとったわけでございます。
  70. 楢崎弥之助

    楢崎委員 法制局長官を呼んでください。この問題は私は重要であると思うのです。こんな省令でこのような職業選択を制限するようなことが一体できますか。そのようなかってなことはできませんよ。これは長官がお見えになって見解を聞きたいと思います。  そこで長官、どうして人だけを制限するのです。金やったり船やったりすることは、同じことじゃないですか。どうして人間だけ制限して事足れりとしているのですか。もしそういう考えなら……。
  71. 久宗高

    久宗政府委員 先ほども説明の中でちょっと申し上げたわけでございますが、御承知のとおり、韓国との関係では漁業協力の問題がございますけれども、船舶につきましても、サケマス漁業にそれが使われるということでございますので、私どもは別の条約上の義務を負っておりますので、これは経済協力の中でも具体的にこの項目は落としていただきたいということで、現実に貿易協定その他をつくります場合におきましても、これを削っておるわけでございます。したがいまして、こういう措置をとっておりますのも、すべて日米加条約に基づきます日本国民の条約履行上の義務に従いまして処置をいたしておるわけでございます。
  72. 楢崎弥之助

    楢崎委員 片一方は、そういう要請で、労力以外はそういう要請で済ましておって、労力だけについて、こういう省令で縛るなんというようなことができますか。理屈に合いませんよ。これは、いまの法的な関係では、せいぜいこれだけしかできない、そういう答弁ならわからぬこともないですが、労力のほうは省令で縛って、そのほかの経済協力については話し合いでそうしておる。どうも私どもはそれは納得できませんですがね。
  73. 久宗高

    久宗政府委員 どうもことばが足りませんではなはだ申しわけないわけでございますが、これは条約をつくってまいります過程におきましても、最終段階になりまして、いろいろ海外漁業の問題が出ました際に、私どもといたしましては漁業協力韓国漁業の振興についてできるだけの協力はしたいし、また、するつもりでございますけれども北洋サケマスにつきましては、条約上の義務がございますので、経済協力の中でもこの部分は協力はできませんということをはっきり申し上げてあるわけでございます。それにもかかわりませず、先方では相当強い希望がございまして、貿易協定の際にも、具体的に、母船らしいものあるいは独航船と思われるものが実は内容の中に入ってまいったわけでございます。この点につきましても、事務的に相当突っ込んだ御相談をいたしまして、そういう分野を落としまして、はっきり私どもはその関係は御協力ができませんということを申し上げておるわけでございます。
  74. 楢崎弥之助

    楢崎委員 あなたがいかにそれを説明されても、これはつじつまが合いません。労力のほうだけは省令で縛って、ほかの協力の点では話し合いでやるなんというのは、どんなにあなたがおっしゃってもそれは理屈に合わないです。
  75. 久宗高

    久宗政府委員 労力の問題でございますけれども、労力全般を縛っておるのではございませんで、北洋におきますサケマスの採捕そのものについては、採捕そのものが条約に違反することになりますので、これを法律に基づきまして省令で規定いたしたわけでございます。
  76. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そういうことは私はわかっておりますよ。それは省令の内容でしょうが……。  そうしますと、長官、二月ですか、富山県の例の契約をして契約金まで取ってありましに事件、それは全部片づきましたか。契約された人は全部納得して引き下がりましたか。
  77. 亀長友義

    亀長説明員 当時、本省令が出ます一方におきまして、漁業者同士での話し合いを、われわれ当事者と大日本水産会を中心とする業者の団体との間で、いろいろ説得かたがた話をさせておりました。実際上も、やはりこういうことはまずいということで、その間にもちろん多少の見舞い的な金も出すというような話し合いで、お互いに一応納得をしたということで、また、韓国の会社との契約という問題も一応それで消滅をするという形になったというふうに承知しております。
  78. 楢崎弥之助

    楢崎委員 どうもこの取り扱いは非常に不明朗な取り扱いであると思うのです。また、この省令はそういうものだと私は思うのです。性質は違いますけれども、LSTの日本の乗り組み員の問題のときにどういうやりとりがありましたか。いろいろありました中に、これは個人の契約だからということが大きな一つの根拠でありました。LSTの問題ではそういう態度でおって、この問題では省令をもって制限をするなんというのは、これは私はたいへん問題のある措置であると思うのです。これはあなた方ほんとうに腹の底から絶対間違いないと思いますか。こういうやり方について一まつの不安があるんじゃないですか。
  79. 久宗高

    久宗政府委員 御承知のとおり、北洋サケマス問題が昨年の秋以来問題になっておりまして、これをこじらせてまいりますとはなはだまずいと私は考えまして、調整につとめたわけでございますが、残念ながら、ことしに入りましてから、具体的に労務者の雇用の問題が起こったのであります。この際、私どもといたしましては、韓国の当局のほうの御意向も伺ってみたのでございますが、これは必ずしも韓国の当局の意向ではない。しかし、個々の業者がさようなことをしていることは承知している、こういったような経過でございましたので、いかようにいたしましても、まずわがほうでこれを処置いたしませんと、条約そのものに違反になりますので、そこでいまのような措置をとったわけでございますが、一応、私どもといたしましても、省令の問題でもございますし、また採捕というふうに非常に限定した措置ではございますけれども、先生の御指摘されましたような問題もあり得るかと考えまして、この省令を出します際には、法制局のほうにもとくと御相談いたしまして、きわめて慎重に取り扱ったつもりでございます。
  80. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、これは重大な違憲行為である、このように思うわけです。あとで法制局長官が来たら、よくお伺いをしてみたいと思います。  それから、日ソ漁業の問題について最後に触れてみたいと思うのですが、例の歯舞、色丹諸島への接岸操業等内容とする赤城私案の問題、これと引きかえにソ連のほうから日本への寄港要求が出されて今日に至っておる。日本政府のこの問題に対する取り扱いの方針、見通し等についてお伺いしたいのです。
  81. 久宗高

    久宗政府委員 外務省のほうからお答えになるのが筋かと思いますけれども、私ども御連絡している限りにおきましては、御承知のとおり寄港問題がからんでまいりまして、実は非常に困ったわけでございます。いずれにいたしましても、私どもは安全操業の問題と寄港問題が直接的にからみ合うべき性質のものでないと考えまして、寄港問題と切り離しまして安全操業の問題は別途の形において解決するほかないのじゃないかというふうに考えております。
  82. 楢崎弥之助

    楢崎委員 いや、それはわかっておるのです。そういうことでこられましたが、ではその寄港問題は拒否をする態度で臨まれておるのですか。
  83. 久宗高

    久宗政府委員 さようでございます。
  84. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、その見通しはどうです。そういう態度を貫けそうですが。
  85. 久宗高

    久宗政府委員 これは、私どもの常識から申しましても、安全操業と寄港問題というもののからみ合い、まことに奇異な感じがするわけでございます。はっきり私どもとしては寄港問題と切り離したい。また、安全操業の問題については、別途に、これは漁民の長い悲願でもございますので、何らかの形でこれを貫きたいということで努力を続けてまいりたいと考えております。
  86. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これでやめます。あなたは私が質問しておるのにぴしゃっと答えぬですね。見通しがあるかということを聞いておるのです。いや、こうして努力したいなんて、努力するのはあたりまえです。見通しはどうかと聞いておるのです。
  87. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いまお答えいたしましたように、歯舞、色丹の安全操業の問題といわゆる寄港問題というのは、全然別個の性格のものでありますし、先般赤城君がモスクワに行かれましたときに、先方お話し合いがいろいろあったように新聞等でも伝えられておりますが、政府といたしましては、そのお話し合いには何のことも関知しておりません。しかしながら、安全操業は、ただいまお話のありましたように、政府としてもぜひやりたいことでありますが、その問題と寄港の問題というものは全く切り離して相互の間で考えておるわけでありまして、私どもといたしましては、そういうものを関連して話し合いをすることは、政府といたしましてはいたしませんつもりであります。
  88. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それじゃ、先ほどの問題だけ残して、これで終わります。
  89. 關谷勝利

  90. 西宮弘

    西宮委員 私は、農林省の機構の問題について、農林大臣あるいは行政管理庁の考え方をちょっとお尋ねしたいのです。  と申しますのは、食糧事務所あるいは統計事務所、この末端の組織についていろいろ新聞等に、まあ無責任なというと語弊があるかもしれないけれども行政管理庁長官の談話などが放送されたりいろいろしておりますので、そういうことで、こういう問題について不安を感じている人も相当あると思うのです。それでこの機会にそういう点について基本的な態度をお聞きしておきたいと思います。食糧事務所あるいは統計事務所に対して、農林省としてどういう態度でこれを見ておられるか、まず農林大臣の御意見伺いたい。
  91. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私どもは、原則論としては政府は臨調の趣旨を尊重いたしまして、できるだけ行政機構を簡素化するというたてまえでいろいろ検討し、またその趣旨に沿うように実現ができるように努力をいたしておるわけでありますが、お話しの統計、食糧事務所等につきましては、西宮さん御存じのように、戦後米の生産に鋭意努力をさせるということで、ああいう時代につとめておりましたあの統計事務所の性格というものは、ただいまは質的に非常に変化いたしておるわけであります。それで、一がいに人員が昔のままであるとか、そういうようなことだけで安直に判断されることは、再検討してもらいたいと私どもは思っておるわけであります。なぜかと申しますと、ただいま現に御承知のように、秋田、山形、福島、それから千葉、埼玉、各地に干害が非常に起こっておる。そういうことについて、農業団体をはじめ、農林省もそうでありますが、すぐに政府に報告をいたす、そういうための調査というものは、全部これらの農林省の出先機関の活動によってきわめて敏速にその被害状況を統計し、そしてそれに対処する立場をとっておる。終戦直後のあの増産対策にうんと力を入れた時代と、全くいろいろな角度において違ってきております。それから四十二年度予算におきましても、流通機構の整備のために、ただいままでは地方の統計事務所から地方の農作物の市況について中央に報告がまいっておりますが、その全国の市況が中央にまいりましたものをさらに逆にまた地方の統計事務所にこれを流す。とりあえずそのことだけの予算をいただいたわけでありますけれども、あの予算編成に際しましても、与野党をあげて国会議員さんたちは、さらにその一般の生産者にもそういう市況がすぐにわがるようにと、ただいま農林省では特定のテレビジョンやNHKのラジオ等においてもいろいろ御協力を願っておりますけれども、消費者に非常に喜ばれておるわけであります。しかも、消費者に存ばれると同時に、今度は生産者が自分の生産している農作物が、いま全国のどういう地方に品薄であって、その地方が高いのであるかどうかというふうなことが、生産者団体にすぐわかるようにせよ、こういう御要望で、こういうことについては、来年度予算でひとつぜひその過程を充実いたしたいと思っておるわけでありますが、そういう基礎的調査というものは、大体政府機関を見て、現業庁でもそうでありますが、民間産業でも、西宮さんごらんになっていると思いますが、近来の民間産業で経営上一番大事なのは統計なのであります。こういう大事な仕事をやっているところを、上つらだけなでられて答申をされる——まあ私は何も臨調を批評しているわけではありませんけれども、そういう御答申を願っている中にはごもっともだと思う点もありますが、こういう点についてはもう少し本質を検討してもらいたい、こう思って、ただいまはそれぞれ専門的に事務当局を通じて折衝をさせておるわけでありますが、少なくとも私どもは、いまの統計というのは非常に地方において縁の下の力持ち的な勢力をしておることを高く評価いたしている次第であります。
  92. 西宮弘

    西宮委員 農林大臣のお考え、よくわかりました。食糧事務所について特に御発言がなかったけれども、おそらくこれはいまの食管制度というものが継続する限りにおいて必要な機関でありますから、そういう意味で、当然だということで特にその点に触れられなかったのではないかと思います。統計のほうについての基本的な農林省としてのお考え、よくわかりましたが、行政管理庁、だれか見えているのですか。
  93. 關谷勝利

  94. 西宮弘

    西宮委員 それじゃ、お二人からひとつ考え方を簡単に聞かしていただきたいと思います。ただ、統計基準局長は、私新聞承知をしておりますが、この間後藤さんがやめてあとに就任されたので、日が新しいということでありましょうから、あまりこまかいことは御承知ないかもしれないが、少なくともその基本的な態度についてはすでに承知をしておられるのでしょうから、そういう基本的な問題について、お二人からお考え伺いたいと思います。
  95. 片山一郎

    ○片山政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。私は、農林行政の運営上必要な統計というものは、ぜひ今後とも充実していただきたい、かように考えます。ただし、行政の推移によりまして必要性の度合いが薄くなってきたというもの、こういうようなものはやはり整理していただく必要があろう、かように存じております。
  96. 大国彰

    ○大国政府委員 臨調の答申におきましても、統計調査事務所につきまして、その統計の内容におきまして必要性の薄れたものが時勢の進展とともに生じた場合には、それは整理縮小していく、そのかわり、まだ未開拓でありました、またこれから大いに伸ばしていくべき流通関係あるいはまた農家経済調査、そういった面の充実をはかれ、こういうふうにうたっておるわけであります。ただいま農林大臣からも御答弁がございましたように、農林省におかれましては、この臨調の答申の趣旨に沿われまして、種々流通方面の統計をふやされましたり、あるいはまた出張所の併合その他業務の簡素能率化の面で御努力をされておるようでございますので、私ども臨調の答申以後すでに二年半もたっておりますこの時点におきまして、さらに現在の統計調査事務所の実情を十分調査していただきまして、私どものほうの方針を立てたい、かように思っておる次第であります。
  97. 西宮弘

    西宮委員 ただいま行管のほうのお考えも、あれは二年半前の調査であるから、現時点における実態を調査して、それに対応する考え方を新たに立てたい、こういうことでありますから、そういうことであれば、われわれもそれに十分期待をしてよろしいと思うのですが、ただ、私どもこれは非常に基本的な問題でありますから、行管の担当官にはぜひ理解しておいてもらいたいと思うので、少しばかり私の気のついたことを申し上げたいと思うのです。  それはいま、たとえば行管局長は、これから大いに伸ばすべき方向として流通の問題云々と言っておったけれども、確かにその問題もあると思います。大いにあると思うけれども、しかし、そればかりではなしに、本来の農林行政の主軸をなしておる、基本をなしておるそういう問題について、大事な問題が相当あると思う。これは行管の皆さん必ずしも十分にマスターしておられると私は思わないのだけれども、たとえば農業基本法では、いわゆる生産政策、所得政策、構造政策、こういう三つを基本の柱にしているわけですね。その中のかりに生産政策についてだけ見ても、これは需要が増加する農作物は生産を増進する、それから需要が減退する農産物の生産は転換をはかる、それから外国農産物と競合する農作物については生産の合理化をはかる、こういうこと三つ内容としていわゆる生産政策を打ち出しているわけですね。国民の需要が増加をするものは増産をはかる、増進をする、あるいは需要が減退するものは転換をするとか、さらに外国農産物と競合するものはこれに応じた合理化をはかる、こういうことになると、これはとうてい農民にはそういう事実は判断できないわけです。こういう要素をとってみても、現に百姓をしている農家自身にとっては何の資料もない、何の目安もないわけです。これはもういやでも応でも統計にたよらざるを得ないと思うのだけれども、そういう基本的な問題について、行管としてどういうふうに認識をしておりますか。
  98. 大国彰

    ○大国政府委員 ただいまお話がございましたような基本的な政策の実現という面につきましても、十分考慮を払いまして、私ども機関のそれぞれの業務の実態を調査いたしたいと思っております。
  99. 西宮弘

    西宮委員 たとえば農林省では、昭和三十七年に、一番初めに農産物の長期生産見通しあるいは需給の見通しというものを立てまして、十年間の計画を発表したわけですけれども、それなども、たとえば反当収量の伸びとか、あるいは逆に一人当たりの消費量の減とか、こういうことが三十七年当時に予想されておったものと大いに狂って、食糧が不足する、こういうことで一時非常に大騒ぎをしたわけです。昨今回復をしておりますが、そういうことで一時ずいぶん混乱をしたことがあるわけですが、こういうことなども、要するに統計の不備あるいは統計を基礎にした見通しということに狂いがあったのだろうと思う。そういう点について、農林省としてどういうふうな反省をしておられるか。これは大臣でなくてけっこうです。
  100. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 御質問のように、昭和三十七年に農産物の需要と生産の長期見通しというものを発表いたしまして、その後五年を経過したのでございますが、御指摘のように、農産物の需要なり供給の面におきまして、当初の見通しとの食い違いが出てきておるということは事実でございます。現在、私どもも、この長期見通しについて、その後の新しいデータあるいは新しい動向というものに立ちまして、改定をいたしたいということで検討をいたしておる段階でございますが、狂いました一番大きな理由は、これは昭和三十七年当時見込みました日本の経済全体の成長の速度というものが、実績と非常に違ってきたということが一つはあるわけでありますが、そのことのほかに、やはり従来の統計のデータというものの扱い方なり、あるいはそれの制度の問題なりが、見通しを確定いたします際に十分な結果を生まなかったということも、これはないとは言い切れないと思うのでございます。こういう精緻な行政作業をいたしますには、仰せのとおり、正確な、かつまた内容の充実した統計のデータというものが得られなければやれるものではないということは、私どもも同感でございます。
  101. 西宮弘

    西宮委員 私は一番最初に、農基法が唱えております生産政策についてちょっとお尋ねをしたのですが、所得政策、この問題についても、特に問題になっておりますのは、いわゆる他産業との格差の問題、これは農基法の第一条にも格差を是正するということがうたわれておるのだけれども、こういう格差を是正するということは、そもそもそういう統計的な基礎というようなものがなければ、これまた全く水かけ論に終わってしまうと思うのであります。おととし、相次いでいわゆる財界を代表する団体が日本農業に対する提言というようなのを行なっておりますが、その中の一つにも、たとえば格差問題をあまり神経質になり過ぎている、格差問題は騒ぐ必要がないのだ、こういうことを財界の人たちは言っているわけです。これは私どもはとんでもないことで、まさに農業基本法の第一条にうたわれておる格差の是正という問題について、そういう問題をあまり騒ぐから百姓が不安を感ずるのだというようなことは、全く何といいますか、くさいものにふたをするようなやり方で、まことにわれわれは納得できないのでありますが、こういう問題について、少なくともこれは基本法の第一条にうたわれた大原則なんでありますから、そういう点についても、ぜひ統計によってそれらの実態を明らかにしていくということは絶対必要なことだ。その必要性については、おそらく行管でも前段の生産政策と同じような理解をされると思うので、あえて答弁を求めませんけれども、そういう点について十分認識をして、特に行管の皆さんにそういう認識をしてもらいたいと思います。  それから、いわゆる構造政策の問題でありますが、これは最近農民層の分化ということが、あるいは分解ということがやかましくなっておりまして、しかもそれが分解の速度あるいは分解の基軸といいますか、そういう点がかなり激しく移動しておる。こういうような問題が、これは農業政策の重大な問題として取り上げられているわけですが、どうですか、行管はそういう点についてはあまり御認識はありませんか。
  102. 大国彰

    ○大国政府委員 私どものほうは、できるだけそういう面もひとつ認識いたしまして、調査といいますか、すべての査定にあたりましての基本的な考え方をつくり上げておるわけです。ただ、私どものほうといたしましては、常に最小の経費をもちまして最大の行政効果をあげるということを主たる念頭に置きまして、やっておるわけであります。あわせて政策面の実現というものも、最大の効果を発揮し得るようにということで常に考えておるわけでございます。
  103. 西宮弘

    西宮委員 農林省にお尋ねをいたしますが、いまの構造問題について、この間、離農の問題が構造政策にどう、あるいは構造変化にどういう影響を与えているかということについて、東大の福武さんを委員長にする委員会の結論が出たようでありますが、さらに農林省内部で武田次官を長にして構造政策の研究をしておるようであります。この結論はまだ出ていないようだが、いつごろまでに構造問題の基本的な調査、研究が完了するのか、ついでに聞かしてください。
  104. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 福武教授に委嘱をいたしました離農の実態調査は、非常に精緻な調査として御報告があったわけでありますが、現段階におきます、あるいは現段階までの離農の実態というのは、非常に地域的に特殊な離農の形をとっておる。大ざっぱに申し上げますと、その調査をまつまでもないのでございますが、都市近郊といいますか、そういう地帯におきます離農は、主として在村離農的な形で、結局通勤による他の産業への転職傾向が非常に出ておる。また、そういう通勤可能な転職、他産業への就業を困難とするような地帯では、離村離農の形が強く出ておるというような、そういう傾向の中で、それぞれ階層別あるいは地域別等についてこまかい分析がされて、御報告がされたわけでございます。そういう離農の傾向等も含めまして、将来日本の農業を産業として確立をしていくという際に、構造政策問題が非常に重要な問題である。従来もいろいろな政策的配慮がされてまいりましたが、この際いかなる構造政策の展開をはかるべきかということで、省内に御指摘のような構造政策推進会議ということで、全省的な組織を置いたのでございますが、現段階におきまして、省内における各種のデータの収集、整理、それから意識統一等を終えまして、具体的な方策、試案というようなことについての取りまとめの段階に入っておるのでございますが、結論等は、私どもとしては、今後外部の農業団体等あるいは農政審議会等の御意見伺いつつ、少なくとも七月の下句ないし八月の上旬ころまでには、検討結果をまとめて仕上げをいたしたいというふうに考えておるのでございます。
  105. 西宮弘

    西宮委員 私、以上農基法に定められた、あるいは農基法に盛り込まれた生産政策、所得政策、さらに構造政策、これが農基法の基本をなしておる三つの柱でありますから、それについてお尋ねをしたわけですが、しかもその農基法の中には、こういう政策を実施するについては、「前項の施策は、地域の自然的経済的社会的諸条件を考慮して講ずるものとする。」こういう一条がありまして、要するに地域ごとの特性に応じてそういう諸政策を樹立をしなければならないというふうにうたわれておるわけですけれども、そういう点で現に行なわれている統計の仕事などは、そういう目的を十分に果たしているかどうか、官房長はどういうふうにそれを見ておりますか。
  106. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 農業基本法には、いま先生の御指摘のとおりの記述がございます。また、農林行政の特色として、地域的な諸条件のもとに適切な施策の実現をはかるということが必要であることは、申すまでもないわけでございます。そういうふうにつとめてまいっておるつもりではございますが、御案内のように、農業ないし農業を取り巻く環境が全国的にも激変をいたしつつありますと同時に、また、地域的にも変化が激しいわけでございます。そういう意味では、現在の施策が地域の特性を十分に生かした施策であるかどうかということは、私どももさらに検討を要する問題であろうというふうに思っております。また、現在農林統計の活用というものが十分であるかということにつきましては、遺憾ながら、現在の統計の結果を地域的な特色を誘導するために、利用可能ではございますけれども、十分に利用可能な形まで編成をいたしておるということではございませんということを認めざるを得ないと思います。
  107. 西宮弘

    西宮委員 たとえば農林省の仕事は、直接行政と間接行政と、おのずから二つに分かれると思いますが、農林省の直営である国家管理の仕事もあるし、あるいは国が直営するというような事業もあるし、同時にまた、地方の自治体がやっておるのを指導したり、援護したりする間接的な仕事がある。そういう際に、特に自治体のやる仕事など、国が指導をしたり、あるいは援助したり、助成したりというような場合などは、統計も、地方の自治体が自治体のワクの中だけでやったのでは、どうしても正確が期せられないと思う。当然ワクを越えた統計が必要だと思う。しかも、その中には、行政区画とは関係のない、ある農業の集団について、あるいはまた次第に都市化していく地域の周辺の農業であるとか、いろいろそういう特性、特性があると思うのですが、これらは必ずしも行政区画とは一致しないわけです。そういう点について、現在の統計が十分の配慮がなされておるかどうか、どうですか。
  108. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 お話しのように、地方自治体と一定の行政区画の中での統計の整理ということは、これは必ずしも困難な問題ではないわけでございますが、ただ、統計を活用いたします際には、当該自治体等の行政区画を含む広域の統計的な諸要素というものの対比といいますか、そういうものがなければ活用できないという部門が多いわけでございます。そういう意味で、地域統計といいますか、あるいは農業的に申せば、農業地域における統計表との関連という問題を追求する必要があるのでございますが、現在も、特殊の分野につきましてはさような活用をいたしておりますが、まだ全面的にそういう活用の段階に至っておるとは申しがたいと思います。
  109. 西宮弘

    西宮委員 まだ十分に活用されてないというのは、はなはだ遺憾なので、われわれもぜひともそれを十分な活用ができるところまで高めていってもらわなければならぬと思うわけです。たとえば、さっき農業基本法の条文について地域的云々ということを申し上げたけれども、最近構造改善事業としてやっております仕事の中のねらいの一つは、いわゆる主産地を形成するという点にあると思うのです。そういう際には、主産地を形成するというようなことになると、これはどうしても全国的な視野、あるいはさらにもっと大きくいうならば世界的な視野と申しますか、そういう立場から検討してみないと、せっかく主産地を形成していっても、それを全部合計してみると、日本じゅうでは生産過剰になってしまう、こういうことも当然あり得るので、これは主産地がかってに、おのおのめいめいに地域地域でそういうものをつくっていくということになると、それはどうしても全体的な、あるいはさらに海外の農産物との関連においてもそれを検討していかないと、結局需給のバランスがとれなくなってしまう、こういう危険性、可能性が十分にあると思うのですが、そういう際にたよれるのは一にも二にも統計だと思うのですが、せっかく主産地形成を唱えておる農林省として、そういう点についていわば統計的な基礎づけというものが、十分自信を持ってなされているかどうか、もう一ぺんお尋ねをしたいと思います。
  110. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 いろいろごもっともな御意見でございます。また、御質問も当然そうあらねばならないという意味での御質問と思いますが、農林省としても、従来から現在の機構なりあるいは能力なりについては、十分にその目的に沿うように運営をしてきたつもりでございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、いろいろな諸条件が流動的な段階におきましては、統計の方法なり、あるいは統計のしかたなり、あるいはそれの集計分析の方法なりというものが変化をしてまいりますわけでございますので、これで十分であるかどうかということは、私はどうも言い切れないような気がするのでございます。
  111. 西宮弘

    西宮委員 いろいろまだ十全でないということをみずから反省しておられるようですから、ぜひその完ぺきを期してもらいたいと思いますが、農林省で、これは昭和四十一年の三月に出されたやつですけれども、農林水産統計の利用実績、その前にはたしか昭和三十七年のがあったと思いますが、かなり分厚なこういう資料を出しておられるのですけれども、非常に各項目が一ぱい網羅してあるので、われわれちょっと見ただけでは見当がつかない。ただ、われわれが見ただけでも非常に多方面に利用されておるということだけはわかりますけれども、たくさんの項目の羅列なので、集約的な意見を私はつかむことができないわけですが、農林省としては、こういうものを通して現在行なわれている農林省の統計が、その利用実績はどうであるか、かいつまんでいえば、要約していえばどうであるというふうに考えておるか、ひとつ聞かせていただきたい。
  112. 松田寿郎

    ○松田説明員 ただいまの西宮先生のお話の資料は、実はわれわれが行政とどういうふうに結びついているかという、内部で反省資料といたしましてたしかつくった資料についてのお話だと思います。それで、われわれは大小多数の調査をやっておりますが、その一つ一つについてどのように行政上利用されておるかという点を、各行政部局あるいは外部の人とも打ち合わせながら反省いたしまして、その重要度あるいはそれの改善の方途、どういうふうな方法によればさらに利用度が高まるか、あるいは公表時期というものにたいへん問題がございまして、一カ月早い公表によって非常に利用度が高まるとかいう問題もございますので、公表時期等もあわせて検討いたしました資料でございます。その結果に基づきまして、現在われわれは内部で事業年度のたびにそれによって改善の方途を講じておる、こういうことでございます。
  113. 西宮弘

    西宮委員 それでは、これは内部の反省資料ということで検討の材料にしておるという話でありました。これに基づいて反省をされた結果、どういうふうに欠陥があったり、またどういう点が非常によく活用されているというようなことを、農林省としては内部的に十分検討されていると思いますが、それをお聞きしておると時間が足りませんから、省略をしますが、ぜひひとつ、せっかく行なわれた膨大な調査ですから、こういうものを基礎にしてほんとうに農林行政の推進のために大いに役に立つ統計を充実をしてもらうようにお願いしたいと思います。先ほど大臣が一番初めの答弁の際に、だいぶその以前と今日の統計事務は内容が違ってきたという答弁があったわけですが、どういうふうに違ってきたのか、これは統計部長でもけっこうです、御返事願います。
  114. 松田寿郎

    ○松田説明員 御承知のとおり現在の統計の全国の組織ができましたのは、終戦後の食糧の供出に関連してできましたので、当初は米の生産あるいは収穫についての、米麦あるいはイモ類等の生産、収穫についての調査統計というものが主体になっておりました点は、管理庁からの御指摘のとおりでございます。ただ、その後米の供出の強制制度もなくなりまして、それとともに、たとえば農業の構造問題その他がだんだん出てまいりました。そのためには、いろいろな農産物の価格問題が非常に中心になってまいりました。米麦の価格、つまり生産費の調査等を相当大規模に拡充しなければいかぬ。さらには、畜産物、牛乳、あるいは豚その他の生産費の調査が、重要になってまいりました。あるいは最近では、野菜のようなものについても、生産費の調査を全然やらないというわけにはまいらないというふうな、価格の問題が拡充されてまいりました。また、構造政策の重要問題でございます農家の経済調査、これが現在の所得政策、構造政策の中心でございますが、こういう問題についても、農家経済調査という、相当農家に膨大な記帳をしていただくし、またわれわれのほうの調査員もそれについて指導あるいはチェックをするのに非常に手間のかかる調査でございますが、こういうものも相当拡充してまいる。あるいはさっき先生からもお話のございました現在の離農その他農業の就労状況、就業の動向を調べます、こういう調査も拡充してまいらなければならない。さらには、さっき大臣からもお話がございました生鮮食料品の流通価格対策の一環として、マーケットニュースをぜひ速報しなければいかぬ、こういう政府の施策に対応いたしまして、四十二年度からこの事業を拡充してまいる。このマーケットニュースと申しますと、単に市場のニュースを調べてこれを速報するというふうに聞こえますけれども、たとえばアメリカの例で見ましても、とのマーケットニュースの一つの大きな部分としては、やはり産地の状況、生鮮食品その他の成育状況、こういうニュースが非常に重要な部分をなしておる、こういうものは相当膨大な組織で調査しなければならない、こういうふうに現在は変わってまいっておる次第でございます。
  115. 西宮弘

    西宮委員 実は私も若干手元に資料を持っておりますので、いまお話のような点は、私も大体見当はついておるわけです。こういう点について、むしろ行管ではどういうふうに認識をしておられるか、お尋ねをしたいと思う。それは統計調査事務所が、かつて作統といわれた時代ですね、その当時は、明らかに米の供出のための機関であった。全くそれ専門の機関であったといってよろしいと思うのでありますが、その後だいぶ実態が変わってきまして、いわゆる食糧供出のための機関という性格から大きく変わってきておると思うのです。実は私も手元に若干資料を持っておりますが、そういう意味で作物統計というのが、終戦直後にはほとんど一〇〇%に近いのがあの役所の仕事であったと思うのですが、今日はおそらく二〇数%になっておるのではないかと私は思う。少し前の数字でもそうですから、最近はもっとそういう点が、作物調査に要する事業量というのは減っているんではないか。手持ちの資料を見ましても、たとえば作物調査について、かつて五百五十万戸の農家について面積調査をしておったのを、昭和四十一年ではわずかに十七万六千戸であるとか、あるいは作況調査についても、昭和二十三年ころには八十四万五千筆であったのが、今日わずかに二万三千筆になっている。あるいは坪刈り調査なんというのも、これまた極端に減っているわけです。終戦直後八十四万五千筆であったのが、いまでは一万五千何がしになっておる。これは麦です。前に言ったのは米です。そういう状況が至るところに見受けられる。いま統計調査部長が答弁をしたことは、数字の面でもきわめて明確な変化を来たしておると思う。そういう点で、統計の内容が著しく変わっておる。これは冒頭に農林大臣答弁をされておるとおりだと思うのですが、そういう点について、行管では十分最近の統計の仕事、農林統計の仕事というものを承知しておられるかどうか、ちょっとお尋ねをいたします。
  116. 大国彰

    ○大国政府委員 お話がございましたように、最近の農林統計はここ数年来質的に非常に変わってまいりまして、農作物調査のウエートが逐次減少いたしまして、現在大体三一%という数字になっております。それから新たに水産統計調査も加わってまいりましたし、さらにまた流通調査が、これはまだ微々たるものでございますが、これも芽を出してきている、こういうふうに変わっておりますが、ちょうど臨調の答申も、大体そういうふうに、現在——その当時行なっておりました統計のうちで、重要性の薄れたものにつきましては極力簡素化し、そしてまた流通なり、農家経済なり、あるいはまた特に水産方面についての統計資料、そういったものは積極的に取り上げる、こういうふうにうたってあるわけでございまして、私ども、そういった答申の趣旨が実現されておりますかどうか、もちろん実現されつつあると思いますが、その実情をさらにまた詳しくお伺いしたい、かように思っておるわけであります。
  117. 西宮弘

    西宮委員 私の手持ちの資料でも、統計事務の簡素化というようなことで、統計事務所のほうでもだいぶいろいろやっておる、あるいは人員を減らしたり末端の機構を統合したり、ずいぶんそういうこともやっておるということは、私も承知をしております。むろんそういう点で簡素化させられるものは、これは大いに簡素化してもらわなければならぬ。これはぜひともやってもらわなくちゃならぬと思います。しかし、同時に、必要なものはぜひ拡充をしていかなければならぬ。私は実は現場におりまして、ことに私は、私の経歴からいうと、地方自治体に勤務をしておりまして、統計の仕事をその立場からながめておったわけですが、統計の仕事が拡充されるということは、当時自治体におりました私どもにとりましても非常に貴重なものでありまして、そういう面でぜひとも広域的な観点から統計資料が完備されるということをわれわれは待望しておったわけです。そういう立場からいって、ことに最近の新しい農村の動き、そういうものに対応する統計資料の完備ということは、絶対に必要だと思うのです。まあ小さな数字にこだわるつもりはありませんけれども、いま農林統計は現在三一%だというのだが、私は昭和四十年の資料をもらっておりますが、それには二八%ということになっておるので、私は、さらにその分量が小さくなっているんじゃないか、そういうこまかいことを議論するつもりはございませんけれども農林省のほうでもよくそういう点を行管と連絡を密にして、この統計行政に対する、あるいは統計機構に対する行管の考え方に十分な認識をしてもらうように、農林省としても十分な努力をしてもらいたい、また行管のほうでもそういう勉強を大いにやってもらいたいということを、私は両方にぜひお願いをしなくちゃならぬと思うのです。行管としてはどうですか。何か、これをいつごろまでにどういう結論を出すといったような、そういうスケジュールはきまっておるのですか。
  118. 大国彰

    ○大国政府委員 ちょっといまのお答えの前に、先ほど三一%と申し上げましたが、これは統計調査事務所における調査関係の定員のパーセンテージでございまして、農作物調査に従事しております定員が三一%、こういうことでございます。  それから、いまの部局等の問題につきましてのスケジュールでございますが、これにつきましては、閣議の申し合わせもございまして、私どもといたしましては、ことしの八月末までに何らかの結論を得たい、かように考えておるわけでございます。
  119. 西宮弘

    西宮委員 八月末までに結論を得たいということであるとすると、非常に時間的には切迫していると思うのですが、いままでの少なくともここで論議をされただけでも、農林統計の質的な変化、したがって、現時点におけるその重要な役割りというようなことは、十分行管でも認識をしてもらったと思うのですが、そういう事実を十分踏まえてそれに当たってもらいたい。  私は、今日、行政機関の中にももっと手を加えていいんじゃないか。あるいはさらに、最近などはいわゆる公団、公社というようなものが続出をして、そういうことで世論の批判も強く浴びているわけです。そういうものに大きく思い切った手を加えていくということは、行管として当然なさるべきことだと思うのです。ところが、そういうことはなかなか手がつかないで、いわば抵抗力の弱いところ、そういうところにいち早く手をつける、こういう傾向がありはしないか、そういう点を非常に私は心配するのです。  そこで、最後に行管にお尋ねをしますが、少なくとも、きょうここの論議だけでも、かなりそういう点は明確になった、あるいは農林大臣考え方も明白に表明されたと思うのですが、そういう点を踏まえて十分検討される、そういう用意があるかどうかについて、一言お伺いしたい。
  120. 大国彰

    ○大国政府委員 根本的に申し上げまして、行政改革はこれは政府の問題でございまして、それぞれの所管の各省がまず簡素、合理化ということに努力するわけでございまして、私どものほうも、もちろん行管といたしまして十分調査をし、検討し、その推進に当たるわけでございます。ただいま統計調査につきましても、そういった意味農林省のほうのいろいろな御方針その他を十分承りまして、私どものほうも、またそれを各省の期待されております行政の効果をできるだけ能率的にあげるという面におきまして検討を加えて、いろいろと意見を申し上げたい、かように思っておるわけであります。
  121. 西宮弘

    西宮委員 それでは、行管の考え方もわかったので、十分農林省の意向も検討して、あるいは十分にこれを聞いて、その上で最後の方針をきめたい、こういうことでありますから、ぜひ農林省のほうからも積極的にそういう点について行管と連絡を密にして、手落ちのないようにお願いしたいと思います。  最後に、大臣に御答弁願って終わりにいたしますが、私、現地におりますと、こういう点でかなり不安を感じ、あるいは動揺しておるというような向きもあるわけです。冒頭の大臣答弁でそういう第一線の諸君もかなり安心をしたのではないかと思うのですが、ただ、農林省の中で現に欠員がある。それを欠員を流用するというような形で実質的にはだんだん人が減らされていく、こういうような現実があることは、私どもも非常に残念だと思うのですよ。ですから、そういう安易な形で実質的にこれに従事をする人が減らされていくというようなことにならないように、そういう点についても十分な配慮をお願いしたいと思うのですが、食糧及び統計の事務機構について私はお尋ねをいたしましたので、最後に、いま申し上げた欠員の不補充云々というような問題とあわせまして大臣のお考えを聞いて、終わりにしたいと思います。
  122. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 行管の考え方は、やはり同じ政府の中でありますし、冒頭に申し上げましたように、たてまえとしてはこの趣旨を尊重して、できるだけ簡素化する、こういうたてまえでありますから、なお農林省当局も行管と十分協議の上に、行政事務が簡素化されながらも能率があがってまいるように努力をいたしたいと思います。  人員のことにつきましては、臨調に政府答申を求めたときの考え方もありますので、そういうことを体して、私どもも善処してまいりたいと思っております。
  123. 關谷勝利

    關谷委員長 木原実君。
  124. 木原実

    ○木原(実)委員 米価審議会の問題について、関連をして農林大臣にお伺いいたしたいと思います。もうすでに米審の問題につきましてはいろいろと論議が行なわれてまいりましたし、本委員会におきましても、先日大出委員のほうから御質問を申し上げ、大臣の御答弁をいただいたわけですが、どうもなおすっきりしない点がいろいろな面にわたってあるようなので、ひとつ単刀直入にお伺いいたしたいので、率直にお示しをいただきたい。  まず、大臣にお伺いするのでございますけれども、米価をきめるやり方の問題でございます。米価審議会、こういうものを諮問機関としてお持ちになって農林大臣が御決定になるわけでございますけれども、いままでの米審の実情あるいは運営、そういうものに照らして、はたして現状のままでいいのかどうか。私の考えでは、特に昨年あたりの米審の混乱ぶり、あるいはそれに引き続きましての与党の議員と政府折衝との間に行なわれたいろいろないきさつ、こういうようなものを見ますと、これほどの国民生活にとって重要な関連を持つ米価の決定が、あのような米価審議会ではたしてきめていいのかどうか、非常に大きな疑問を持つわけでございます。そういう点について、米審のあり方という問題よりも、米価を決定する決定機構というものが、あるいは諮問の機関というようなものが、ああいう形のものでもいいのかどうか、こういうふうに疑問を抱くわけですけれども、その辺の御見解はいかがですか。
  125. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私は、いま農林大臣という立場ですから、なるべく気をつけてものを言わなければいけないと思いますけれども、一代議士として、昨年の醜態を見ておりまして、見るに忍びざるものがあると思っております。大体米というのは、法律によれば、いまは、いろいろ御意見もありましょうけれども政府ことに農林大臣がきめるものであります。食管法でそのように命じておる。しかし、木原さん御承知のように、何しろいま全体の農作物の中で一番大きな部分を占め、国民の食糧の主たるものであります。そういう点から考えましても、それから農業従業者の立場から見て、この農業従業者が、農基法にいっておりますように、やはり増産をやってまいります重要な立場におる、こういうものについての理解は、どの国会議員もみな持っておると思うのであります。そういう立場から見ますといろいろな御要望が出るのも、これは当然だと思うのです。そういうことが集積されて、昨年のようなことになったのではないか。これは私は、原因は無理からぬことだと思うのです。そこで、ことしは納得のいくような方向で、天下のもの笑いにならないようにしたいものだということは、おそらくどの代議士も、口に言うと言わないとにかかわらず、みんな何万票ととってくる代議士でありますから、腹の中ではちゃんと心得ていらっしゃるわけなんです。そこで農林省としては、ただいま一生懸命で、生産者団体等とそれらのお考えについて毎日のようにやっているわけです。こういうことは、そういう資料をもって地方から選ばれておる国会議員さんたちにお示しをして、まずまずこの辺のところではないかというのが自然に出てくるのじゃないだろうか。そういう御意向等も参酌して、妥当な点できめられるべきものでありますが、食管法の命ずるところによれば、やはり米価審議会というものによって御意見を伺ってきめる、これはございます。それをやっておるわけでありますが、差しさわりもありますから露骨には言いませんけれども、従来行なわれておりました米価審議会の経過というものは、正直にいって感心しないのであります。ああいうことは、生産者の利益にもならないし、国全体の利益にならないと私は思うのですよ。そこで、しかしながら、米価審議会というものはことしもつくっていただくわけでありますから、良識のある人たちがりっぱな審議をしてくれたと思っていただくような、じみちな議論を重ねていただいて、そしてそれを参考にしてきめるようにいたしたい、こういう念願でございます。
  126. 木原実

    ○木原(実)委員 私も、倉石さんの政治家としての御発言、たいへん了承できまして、現状ではどうにもならないのじゃないかと思うのです。これは、米価審議会が歴史的に果たしてきた役割りというものは、確かにあったと思います。しかし、どうもこの二、三年来の米価審議会の中での混乱ぶりというものは、異様なものがあるのですね。なぜ異様なものがあるのか。これは当然ですけれども一つには、米価審議会の構成の問題でもあると思う。生産者と消費者と、それから学識経験者という中立的立場の人たちと、こういう三者構成はいいわけですけれども、しかしながら、米価の持つウエートというものが、農民の中でも、それから消費者の中でも、関係度が非常に高まるにつれて、利害対立が激しくなってくる。そうなりますと、これはお金の伴っておる問題でありますから、米価審議会という、ああいう形の中で何か一本になる可能性というものが見失われてきたのではないか。それにもかかわらず、米価審議会の過去の実績に照らして、何か良識のある線が出るだろう、こういうことでやってきたのだろうと思いますけれども、事実の問題として、この数年来のあの混乱の中に、すでにもう米価審議会は機能を失ったと断定をしてもよろしいのではないかと思うのです。ところが、問題がその辺から少しすりかえられまして、行管の方もいらっしゃいますけれども、あの米価審議会の中から国会議員が引き上げれば何かかっこうがつくのではないか、こういうような議論になりまして、大臣御案内のように、ことしは何か国会議員を引き上げたら米審が少しはすっきりするのではないか、ちょうど臨調の答申なんかをたてにとりまして、そういう問題が出ましたけれども、先ほどもおことばがございましたけれども、もう一歩突っ込みまして、国会議員が特に昨年あるいは一昨年あたりの米審の中で果たした役割りというものは、一体どういうふうに御評価なさいますか。これは与党野党問わず、国会選出の委員がたいへん奮闘いたしたわけですけれども、国会議員がいたためにたいへんおかしくなったのか、あるいは国会議員がいて、世論形成の中の一つの役割りで何かを果たしたのか、その辺をひとつ、率直な御意見をあわせて聞きたいわけですけれども、どうですかね、その辺は。
  127. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米価審議会に国会議員をお願いいたしておるのは、国会議員という立場でお願いしておるわけではございませんで、二十五名以有の学識経験者をもって組織する、こういうわけでございますから、学識経験者としてお願いしているわけであります。その意味においては、国会議員の中にも非常にその点についての勉強をしていらっしゃる方もおありでありますから、学識経験者としてごりっぱな方だと思います。私は、国会議員が入っておるから毎年毎年混乱するのだというようには聞いておりません。また、私は米価審議会に入ったことはありませんから、内容はよく存じませんけれども、大体日本政府のやっていることの中で、いまあなたがおっしゃったように、それぞれの立場立場で譲り合わないような主張をさせるような妙な組織を持っているのですよ。労働関係でもそうでしょう。三者構成というので、全然主張が違うのですね。労働側、使用者側、中立委員、話が合うわけがないのですよ。それだのに、ことしは公労委というところでうまいことをやった。大成功だと思うのですが、あんなあんばいにはなかなかほかのものはだめなんです。そこで私は米審につきましても、ちょっとあなたがおっしゃったけれども、いまは生産者代表とか消費者代表とかというようなことでお願いしておるはずではないと思うのですけれども、ついそのお立場を見れば、農協の代表であったり、片一方は消費者何とか連盟というようなことになってきますから、ああいうところで満足な御答申を得られるということが、いまのような日本人の考え方の中で成功するかどうかということは、私は疑問だと思いますけれども、歴代の審議会の経過を見ますと、まあ去年ほど激しいことはありませんでした。でありますから、私どもは、どういう方をお願いするにいたしましても、それぞれ社会的にりっぱな方でありますから、ことしの公労委がああいうりっぱなことをやったのですから、米審だってできないことはないではないか、ひとつことしはみんなで識者が納得するような答申を得られることを期待いたしておるわけであります。
  128. 木原実

    ○木原(実)委員 私の見通しでは、大臣の御期待のあれはよくわかるのですけれども、現状のままでいって構成をされるということになれば、ことしも大同小異じゃないかと思うのです。総理大臣もだいぶん御心配なさって、生産者の代表とお会いになったりいろいろ工作をなさっておるようですけれども、つまり利害を対立させるようた構成の中でなければ、国会議員の問題も出ましたけれども、国会議員もそれぞれ利害対立の中に巻き込まれますと、生産者の側の立場に立ったりあるいはまた消費者の側の立場に立ったりするのは、やむを得ない面があると思うのです。ですから、私の結論を申し上げますれば、これは米価審議会というものが機能を喪失をしたのだから、この際に何か米価の決定の機構と言いますか、そういうものを抜本的に変える時期に来ているのではないか、こういう感じがするわけです。ことしはおそらく大臣の構想もおありでございましょうから、米審を継続してやるということになりましょうけれども、先行きの見通しはどうでありますか。在任中にひとつ米価を決定する機構について何か抜本的に改革をしていこう、こういうお志はございませんか。
  129. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 世の中の事象というのは、森羅万象刻々に変わってまいるわけでありますから、それに対応して常に研究を続けていかなければならないと思いますけれども、私は、現状のところでは、食管制度というものの根幹は守っていくことがいいのではないか。木原さん御承知のように、われわれ終戦後代議士に出ましたころ、食管法というのをつくるときに、これは消費者を保護する目的が多かった。今度はだんだん世の中が変わってきまして、いまは生産者を保護するようにも作用がいたしておる。こういういろいろなことを考えてみますと、やはり食管制度の根幹を守りながら、その運営をひとつ円満にやっていくということがいいのではないだろうか、こういうように考えておるわけです。
  130. 木原実

    ○木原(実)委員 どうもおことばを返すようですけれども、食管法を守るというおことばがあったわけですけれども、どうもことしあたり食管法が守られていないのじゃないか、こういう感じを抱くわけです。たとえば消費者米価はすでに予算できまっておるわけですけれども、一四・四%の値上げなんというのは、これは消費者保護とはいえませんですね。そして生産者米価はどういうことに相なるのかはこれからの問題でございますけれども、食管法第三条の精神からいけば、これは絶えず赤字の問題で消費者米価の値上げが行なわれ、一方ではコスト高によって生産者米価の値上げが行なわれるわけなんですけれども、事実ことしなんかの消費者米価の決定、予算上での決定の措置なんかを見ておりますと、事実上スライド制でございますね。スライド制という制度はできておりませんけれども、生産者米価が上がっていくのだ、それを予想して、これは三年間連続、しかも大幅値上げでございますね。これはいわゆる家計上の米価を安定させるのだという食管の面から見れば、性質の面から見れば、これは事実上崩壊しておる、こういうふうに見るわけです。その中にはいろいろ議論があるわけですけれども、その点はどうですか。食管の精神を守るというお考えの上に立っての御見解ですか。
  131. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 御承知のように、いわゆるスライドではございません。一四・四%ですけれども、あれは予算米価でございまして、もちろん決定するときには米審の御意見も承ってきめなければなりませんが、やはり生産者米価というものは、法が申しておるように、生産者の翌日への生産意欲を持たせることを考えて計算しなければなりません。消費者米価というのは、家計の安定ということを目ざしておる。御承知のように、一四・四というのは二年分でございます。私どもといたしましてはこの制度が完ぺきだとは思っておりませんけれども、現在の国民生活の中で、常識的に生産者米価と消費者米価というものを見て、一般の人が大体あの程度であろうということは、だれも予想しておったことだと思うのです。理屈はいろいろつきましょうが、満点ではないかもしれませんが、食管制度というものはうまくできているから、あの根幹は動かさないようにして運用の妙を発揮していきたい、このように考えているわけでございます。
  132. 木原実

    ○木原(実)委員 ついでと申してはあれですけれども、その辺の米価のことをもう少しお伺いしておきたいのですけれども、生産者米価が上がっていく、したがって、食管会計上の赤字が出る、この赤字の内容につきましては、当然御検討なさっておられると思うのですが、どうもやはりわれわれが見た範囲の中では、消費者米価を上げる口実になる経費、つまり赤字の問題なんですが、赤字の中で、いわゆる売り買いによって生ずる損、この部分というものは、相対的にどうもたいしたことじゃないのです。何か中間経費がかなり膨大なような感じがするわけです。したがって、この中間経費というのはそれぞれあるわけですけれども、これは事務当局の方でもけっこうでございますけれども、本来行政費として負担すべきものなんで、純粋な面からいうと、何か赤字の中に繰り入れるのが——制度上は別ですよ、制度上は別ですけれども、一般論として、どうも赤字として計上するのには少し無理な面があるのではないか。つまり生産者の価格と消費者の価格の間に生じておる純粋な差額というのは、せいぜい三五%か四〇%どまりではないかと思うのですが、いかがでしょうか。あとは大体中間経費になっている。
  133. 大口駿一

    ○大口政府委員 現在の食糧管理特別会計においで一般会計から繰り入れを受けております損金額、これを通常赤字ということばを使っておるわけでありますが、御指摘のように、赤字と言われるものの中には、売買価格の差額の部分と経費の部分と両方あるわけでございます。そこで、これは国内の米の勘定、麦の勘定、輸入食糧の勘定、それぞれやはり売買価格の差損もしくは差益と経費というものがあるわけでございます。そこで、もちろん食糧管理の中間経費の中に、たとえば事務人件費でございますとか、あるいは運賃、保管料、あるいは米の販売業者のマージンというようなものがございまして、これはどれが一般国民が負担してしかるべきであるか、どれが消費者に転嫁すべきものでないかといういろいろな御意見は、過去において何べんかあったわけでございます。一般的に申しますならば、中間経費というから、すべてこれは消費者に負担をさすべきであるという議論も、いささか極端な議論でございますが、また中間経費は全部国で持つべきであるという議論も、あるいは運賃、保管料等のように自由時代においても消費者が負担しておる経費もあるわけでございますから、どちらの議論もいささか両極端であろうと思います。しかし、そのような根本的な議論はさておきまして、この間成立をいたしました予算におきましても、現状は中間経費のすべてを一般会計の負担でまかない、そのほかに売買の差損と申しますか、政府の買い入れます米の価格よりも売り渡す米の価格のほうが安いというような現状になっておるわけでございまして、それを今回十月の消費者米価の改定ということで、若干その形を是正をしたいということでこの間の予算の御審議をいただいたわけでございますが、最近二、三年来の傾向からいたしますと、中間経費はまるまる財政負担になっておるというのが現状でございます。したがって、ただいま御指摘のように、中間経費そのものを赤字と呼称することがいいか悪いかという問題はあろうかと思いますが、現状はそういうことであります。
  134. 木原実

    ○木原(実)委員 その辺の議論は、ここでの議論としてはこれでやめておきたいと思いますが、本委員会農林大臣お話ができるのはこれで最後じゃないかと思いますので、もう少しおつき合いを願いたいのですが、食管会計の赤字負担の問題でありますが、大臣の私見を伺っておきたいのですけれども、いろいろあります。いまのままでいけば二千億をこえるだろう、こういうような形で消費者米価の値上げの問題が出てくる、こういうことなんですが、国全体の財政規模も年々膨張しておる、こういう状態の中では、一体食管会計の中で赤字に耐えられる限度は、どれくらいだとお考えですか。いつも大蔵大臣からいじめられるばかりだろうと思いますが、あまりその方面はお気にしないで——先日この委員会で、大蔵省の考え方は雑音だというような発言がありましたけれども、一体一千億円ならいいのか、二千億円は多過ぎるのか、あるいは三千億でもいいのか。学者の中には、その国の軍備の費用ぐらいは、食糧の問題だから負担してもいいじゃないかというような、極端な意見もあるわけですが、どうですか。これは私見としてひとつ伺っておきたいのです。
  135. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 なかなかむずかしい問題でございますが、御承知のように、外国では、主食だけについて国が負担しているものもございます。先ほど来お話のように、現状のところは、わが国の食管制度というものは非常にうまくできている。そこで、この食管の赤字をだんだん累積することを放置してさくということになりますと、消費者米価を据え置いても、生産者米価は上がっていかなくちゃいけない。したがって、累増してまいるわけであります。そういうことになりますと、国民の負担において片方を大きな恩典に浴せしめるという結果になるわけでございますから、そういうことは、現在のように、できるだけその間のバランスをとっていくというやり方が、やむを得ないのではないか、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  136. 木原実

    ○木原(実)委員 あまり追及はいたしませんけれども、労働大臣もおやりになった経験で、もう一つ伺いしておきますけれども、御案内のように、消費者米価の問題というのは、所得の高い層にはたいして影響がないのですよ。ただ直接にぶつかりますのは、やはり低所得者層で、しかも日本の場合には、たいへん高度成長ですけれども、御案内のとおり、低所得者層が非常に多いわけですね。これはつまりエンゲル係数の高い層で、直接響く層が多いわけなんです。ですから、一部には、食管会計の赤字を国が背負うのは社会保障だという議論もあるくらいですから、これは私どもとしては、ある程度食管の精神を守っていくというのは、生産者に対してもそうですけれども、やはり消費者を保護していくという上からいけば、大臣おっしゃるように、なかなかいい制度だと思うのです。そうなれば、やはり財政の許す範囲、というものはなかなかむずかしい問題ですけれども、できるだけそういう意味も含めて、やはり消費者米価を押えながら生産者の要求にもこたえていく、こういうことですから、当然やはり国の負担のことについては、とくと御考慮いただきたいというふうに考えるわけです。  時間がないようですから、最後にお伺いしておきたいのですけれども、先ほど申し上げましたように、私ども考え方では、米価審議会というものはもうどうにもならぬ。したがって、ここで何かの方法で変えなければいかぬという考え方なんですが、思い切って国会の中で米価の問題を議決事項としてきめていく、こういう考え方はどうですか。
  137. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 そういういろいろな御意見もございます。これは法律事項でございますから、この国権の最高機関である国会でそのようにおきめくだされば、それに従う以外には方法はないと思います。
  138. 木原実

    ○木原(実)委員 もう一つ。それでは大臣よろしゅうございますか、私ども考え方では、米価審議会は機能を失った。ことしもいろいろ御苦労なさって運用なさるのでしょうけれども、そういう実績の上から照らせば、きわめて近い将来に、米価の問題は国会の中で審議をし、あるいは議決をしていく、こういう方向については、大臣御異存ありませんか。
  139. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 その前に、米価審議会がどうにもならないというおことばでございましたが、私は、みなの英知を働かせばりっぱな米審ができ上がる、こういうことを期待いたしております。また、そうなるはずであります。  それから国会が、もちろんいろいろな委員会がございますからして、ことに私ども農林水産委員会というものがあるわけであります。そういうところで農業政策全般についていろいろ御検討、願うということは、けっこうなことでありますが、しかし、その米価を国会できめる云々のことは、私はやはり先ほど申しましたように、国会でそういうふうな法律をおきめくだされば、それは尊重せざるを得ません。
  140. 木原実

    ○木原(実)委員 わかりました。      ————◇—————
  141. 關谷勝利

    關谷委員長 宮内庁法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  142. 山内広

    ○山内委員 すぐ採決するわけですが、その前に、御提案の法案を読みましても、ちょっとわからぬ点がありますので、簡潔にただしておきたいと思います。  宮内庁法の十一条を改正して、一般職及び特別職の定員の区分をなくするわけでありますけれども、そのお考えはどこにあるのか。定員管理の合理化という提案の理由でございますけれども、これが合理化になるのか、ならぬのか、ちょっと判断に苦しみますので、伺っておきたい。
  143. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 これは、特別職のほうの定員何名をふやす、一般職のほうを同じくらい減らすという場合のことを今度考えたわけですが、その場合に、いずれにしても行政組織法で、特別職については法律で特に明記したもの以外は人事院規則に委任されて、そこできめられるようになっておりまするし、人事院規則のほうに委任されておるその精神から見て、いずれにしても宮内庁だけでやるわけではありませんで、人事院のほうで十分審査されまして、よろしいということであれば、特に法律のほうの改正を待たないでそれが早く実施ができる。特に側近の関係ですと、いろいろの事情がありまして、半年、一年待っておるということも、それだけいろいろ御不自由な面がございますので、そういうような場合にも早くできるというふうにしたいと思うわけでございます。
  144. 山内広

    ○山内委員 この前の御説明の中では、特別職というか、宮内庁という特殊な職業を持っておりますので、任用の場合に楽だという御説明がありました。私は、それはうなずけるわけであります。なるほどそういうことはいえるだろう。しかし、法律事項で特別職と一般職を分けて、そしてさらに人事院規則と二重になっておるのは、何もこれをつくったときの誤りであったり、いま次長のお話のようなことがわからぬでつくったとは考えられない。国会審議もあったろうし、法制局もあったろうし、どうしてそういう二重の法案をつくったかといえば、やはりこれは国会というものを重視して、特別職というものをはっきり国会の法律事項にして議論をする。そして皇室が今後民主化されていくのも、国会もそれにつれて見ていく、こういう意図があったのではないか。そうとすれば——これは当時の議事録を読んだわけじゃないので、私の推測ですが……。とすれば、いま特別職と一般職を一緒にしてしまって、あなた方の御意見どおりに、どんどん特別職がかりにふえるとすれば、当時そういう配慮をしたとすれば、当時の国会の考え方を無視したものであり、これは国会軽視になるきらいがあると思うのですが、それについては、どういう御意見ですか。
  145. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この行政組織法の改正で、たしか昭和三十六年から、特別職の定員の分も含めて各省設置法等に数をあげるというように扱いが変わりましたのですが、それは数だけでございます。よく役所の関係でむやみに人をふやしてもどうかというようなことで、国会のほうで十分それを御審議監督されて、むやみにふえないように総額のところで押えられる。人事院規則のほうできめますのは、数だけでありませんで、たとえば侍従が何名、女官が何名と相当こまかくきめる。法律のほうは数だけになっておるわけですが、宮内庁の関係のほうは、結局問題として出てきますのは、側近に奉仕の侍従とか女官というような特別の人でありまして、その数をふやすといっても、そうたくさんふやすわけではございません。幾らかふやした場合に、一般職のほうの定員を減らして職員がむやみにふえるというようなことがないようにいたしますれば、この前行政組織法が改正になった精神にはおおむね沿えるのじゃないか。ぴったりではないかもしれませんが……。そういうことによって実際の運用が実情に合うようにできるようになれば、能率もあがりまするし、効果的だというのでお願いするというわけであります。
  146. 山内広

    ○山内委員 いま御答弁を聞きますと、人事院規則による特別職の拡充といいますか、それは職名は固定してしまったので、カッコ内の人員だけがこれから人事院規則で変わるのだ、こう理解してよろしいのですか。
  147. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 その点は、必ずしもそうではございません。法律のたてまえからいいますれば、そのほかに、特に特別職にする必要があるというものを人事院規則できめられる場合もございます。現状においてはいま申したことでございます。将来のことになりますと、ここではっきり言いにくい事情があるいは発生するかもしれないということでございます。
  148. 山内広

    ○山内委員 御答弁しずらいことは無理にお聞きしませんけれども方針としては、人員がふえる、こう理解していいと思うのです。  そこで、もう一つ伺いしてみたいのですが、法律事項からはずれても、人事院規則、あるいは予算書に出てくるという御答弁が前にありました。そうしますと、これは、予算に何名という数が出ちゃうのですから、予算を通さなければいまの人事院規則は変えないと理解してよろしいですか。
  149. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 人事院規則のほうが主でございまするが、予算の面についても、予算書の内訳のところにずっと出てまいります。ですから、そういう点で予算の拘束もあります。しかし、予算の拘束というのは内訳でございまするから、大蔵省のほうでときによると流用というようなこともございまするし、これは絶対のものでございません。人事院規則のほうは絶対でございます。
  150. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、予算書を見ればわかるのだから、むやみなことはできないということは考えられないわけですね。  それじゃ、もう一つ具体的にお聞きしますけれども、人事院規則による特別職と、法による六名のほうと、任命権者はもちろん違うわけですけれども、一たん特別職となると、その待遇とかその他において取り扱いに差別がありますか。
  151. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 一般職の場合ですと、国家公務員法の規律を受け、その給与なんかも人事院の勧告に基づいてきまってまいりますが、特別職の場合につきましては、国家公務員法による規律というのはなくて、別のことになります。それから、給与の関係も、人事院の勧告に必ずよるということでもないのでございます。しかしながら、実際は、人事院の勧告でできました俸給を、侍従とか女官には準用しております。しかし、それをどういうところへ格づけしていくかということをきめるのは、これは一般職の場合と違いまして、現在は総理府の人事局のほうで審査をしてきめられるわけであります。
  152. 山内広

    ○山内委員 最後に一点だけ。一般職の方々には現在労働組合が組織されておるのでございますか。どういうふうになっているか、ちょっと……。
  153. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 宮内庁には、宮内庁職員組合というのがございます。これは労働組合法による組合でございまして、そこに委員長もおり、またわれわれが団体折衝したこともございます。
  154. 山内広

    ○山内委員 もう一点。その労働組合なのですが、私ひがんだというよりも、なぜ無理をして特別職と一般職とを一緒にして取り扱いをするかということで一点考えられるのは、この辺の点が特別職にしておけば管理がやさしい、ものを言わせない、こういうお考えがあったら、これはとんでもないことだ。そういう行き過ぎを考えておるのですが、いかがですか。
  155. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 労働組合法との関係、労働運動という関係になりますと、一般職よりも特別職のほうがもっと楽なのでございます。人事院規則によると、いろいろな政治活動の云々という制限がございまするが、そういうむずかしい制限はすぐには適用にならないというので、特別職のほうが、かえってそういうことをやることは楽になるわけです。
  156. 山内広

    ○山内委員 首になるときは簡単でしょう。まあ見解の相違です。
  157. 關谷勝利

    關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  158. 關谷勝利

    關谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。  宮内庁法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  159. 關谷勝利

    關谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 關谷勝利

    關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  161. 關谷勝利

    關谷委員長 労働省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  162. 大出俊

    ○大出委員 きのうの理事会で一時半までにしようじゃないかという取りきめをしたばかりのところに、私はいつも二時までぴったりやるくせがあるのだけれども……。
  163. 關谷勝利

    關谷委員長 かまいません。
  164. 大出俊

    ○大出委員 かまいませんって、委員長みずからきめておいて、そういうことはよくない。朝の時間はなるべく二十分ばかり早く始めて、一時半で終わろう、そういう取りきめなので、となると二十分足らずしかないのです。社会党から質問者は一名しか出ていませんから、幾ら何でもこれは事労働省、しかも労働災害を何とか未然に防ごうではないかということで新しい部局をつくろうというわけでありますから、これをまさかそう簡単にあげるわけにまいりませんしたがいまして、関係がありますので、郵政省の電波監理局の局長さんにもお見えいただいておりますので、関連のあるところを少し承って、来週継続をさしていただきたい、こう思っております。  この設置法自体は、労働省設置法の一部を改正する法律案ということで、今日基準局の中にある部局を一部廃止等いたしまして、安全衛生局の設置を行なおう、こういうことだと思うのでありますが、あわせてこの労働災害防止に関する第三次産業災害防止五カ年計画などというものの策定等が、主要だと思うのであります。その前に、前提になるものとして、私は戦後二十数年来労働運動の指導的役割りをつとめてまいりましたが、とかく労使間に極端な、あるいは異常な争いの続く時代というものは、なかなか労働安全あるいは災害防止という面から行き届かぬことになりまして、いろいろな問題が起こるわけであります。そうい5意味では、労使関係というものがきわめて正常に動いていくということが、前提としてなければならぬという気がいたします。ところが、最近マスコミ、特に民間放送の諸君あるいはテレビの関係等々の組合あるいは使用者の間におきまして、私どもがながめてみると、ずいぶん異常な労使関係が見られるわけでありまして、それぞれの言い分がお互いにあるんだろうとは存じますけれども、その点につきまして、電波法という法律もございますし、あるいは放送法という法律もあるわけでございまして、これらの点について、労使関係がもつれてくるポイントになってくるところに番組編成会議なんというものがありますけれども、形式的にそれがやられておるとしても、会社側の恣意的な立場によるところの番組の変更あるいは廃止などというふうなこと、これらが次々に行なわれる、あるいは担当者をかえようという配置転換、そのための——私どもが解釈をすると、これは先制的な意味のロックアウトだと思いますが、指名ロックアウト等が次々に出てくるというふうなところから、労使関係がきわめて異常な状態に進んでいく、こういう傾向が見られるおけであります。そういう意味で郵政省の電波監理局長さんに承りたいのでありますが、まず今年の二月二十二日の、これは朝日新聞でありますけれども、だいぶ大きく、郵政省、テレビ番組を調査、偏向的な内容と、TBSテレビ「現代の主役」——これは閣議での郵政相報告、これは小林さんの報告になっておりますが、この中身を見ていきますと、ある番組、つまりTBS、東京テレビの番組が偏向化しているんだということで、電波監理局長等に調査を郵政大臣が命じた。これは調査に行かれているように書いてあります。その結果、閣議で郵政大臣から、当の東京放送の島津報道局長等が陳謝をしたという意味の閣議報告が行なわれた。このときに閣議の各閣僚諸君の中からたくさん意見が出まして、二階堂科学技術庁長官が「こうした番組の偏向問題については、スポンサーと調整してはどうか」——これは政府がですよ。こういう発言が出てきたり、先ほどここで答弁しておられた倉石農林大臣は、「政府はもっとNHKを活用すべきだ」、こういう発言をされておる。NHKの場合は、予算も、経営委員人事も、国会の承認事項なんだから、そういう観点から、政府としても、たとえば外遊後NHKテレビを通じて報告するなど活用すべきだ、こういう閣議内の話が出ている。NHKも当然これは協力してもよいではないかという、こういう発言がさらに続いている。ところが、これは最後のほうで、関係者からいろいろ注意があって、各閣僚の発言内容は一切漏らさないことに申し合わせて閣議を終わった、こうなっておるのですね。私は、かつてこの内閣委員会の席で、NHKという問題を中心に、また民放という問題を中心に御質問申し上げたことがある。NHKというのは特に薄謝協会などといわれますが、政府から金を一切もらっていない。国民一般の聴視料でやっておる。そうなると、当然これは政府が利用するの、あるいは人事は国会承認だからといって、NHKに帰朝報告させるの、そういう筋合いのものではない。これはたいへんな間違いだと思っておるわけであります。そこで、放送法等のたてまえから、ここらのところは一体どういうことになっておるのかを、まずひとつ、労使関係の根底になる問題、関連がありますので、淺野局長のほうからお答えをいただきたいと存じます。
  165. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 お答えいたします。ただいまお話のございました放送番組に対する政府関係でございますが、お話にございました二月の新聞の件は、あれは間違いでございます。一つ新聞だけでありまして、あとはそういうふうに取り上げておりません。事実は間違っておった、かように私ども考えております。  それから、政府は番組に対しまして干渉し得るか。これは現在の放送法のたてまえから申しましても、番組につきましては自主的に編成をさせるように体制ができ上がっておるわけであります。御指摘のように、放送番組は、放送法三条におきまして「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」こういうふうに相なっておりまして、私どももその点につきましては十分慎重に考えておりまして、放送業者の自主的な編成、これが良識をもってやられるように期待をいたしておる次第であります。その点につきましては、民放に対しましても、NHKに対しても、全く同様に扱っております。
  166. 大出俊

    ○大出委員 つまり放送法第三条は「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」、こうなっておるわけですね。したがって、番組についていま間違っておるというお話なんですが、ここには「陳謝の事実はない」という島津TBS報道局長さんの談話で載っておるわけですね。当時のこの新聞からいきますと、郵政省の側としては、左藤放送部長の話が載っておりまして、これは日の丸を扱った放送なんですけれども、参考のために私にそのフィルムを見せてくれといってTBSに行った、こう載っておりますがね、御当人が。それから報道局長のほうは、この番組が成功したかどうかということは別な問題だ。いろいろある。一つの放送について、それが成功だったとかあるいは不成功だったとかいう見方はある。あるけれども、少なくとも陳謝などというばかげたことを考えたことはない。よしんばあっても、政府に陳謝すべき筋合いではなくて、国民一般に対して責任を持つ公の報道機関なんだから、そういう意味の陳謝のしかたはあるいはあるかもしれぬ、番組がますければ。こういうまことに正しい談話を発表されておる。私は、やはりそういう立場がなければならぬと思う、この報道局長さんの言っておるような立場が。それが放送法の規定しておるような立場だと思う。そういう意味では、行って調べたことについて、いま局長さん詳しくお話しになりませんけれども、この新聞に出ておることが事実であるとするならば、確かにこれについては、あるいはTBSのほうから、どういうわけで「日の丸」をもう一ぺん見せてくれとかなんとかおっしゃるのですかと、文句が出るかもしれない。そういう筋書きの、今日の郵政省の置かれておる立場ではないかと思うのですがね。そこのところを、法律に基づきまして現在番組審議会が開かれておったりいろいろな形になっておりますが、民放一般について、郵政省は一体監督権というものをお持ちなのかどうかという点をまず承っておきたい。
  167. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 TBSの件につきましては、先方から見に来ないかということで、あとから見たわけでございます。事前に見せていただいたというわけではございません。同時にまた、TBSも非常に良識を持っておりまして、もしまずい場合には、国民の皆さまに対して申しわけない。この点は非常に私どもとしてはりっぱである、かように考えております。それで、現在政府のとっております立場といたしましては、やはり番組審議会に一切お願いをしておる。世論がいろんな場から、これは国会なり政府には参ると思うのです。そういった場合には、番組審議会にそういった点をお伝えをする。いずれにしましても、そういった材料をもとにして番組審議会において判断をしてもらわないと、こういったマスコミ等に関する問題は非常にむずかしい問題であります。番組審議会の場におきまして公平に判断をするように指導していく、こういう立場をとっております。
  168. 大出俊

    ○大出委員 いま民間放送の方々のほうの民間放送連盟というのですか、そういうところで、各民間放送がいろいろ行なわれた場合に、それを聞いておる機関があって、それをチェックしていって、そのことをスポンサーに伝えたり、あるいは別な関係方面に伝えたりというふうなことが行なわれていると私承っておるのですけれども、そういう事実を御存じですか。
  169. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 私、実はその点はいままで存じませんが、どういうふうにやっておりますか、民間放送連盟は、民間放送事業者がお金を出し合って、相互の研究、勉強をいろいろやっておるわけであります。番組編集コードといいますか、そういったものもつくっておりまして、お互いに切磋琢磨してやるという場でございます。チェックということではおそらくやっていないんじゃないか。研究をした結果を、要請があれば、自分たちがお互いに出資されたものでありますから、そういった場で意見を述べておるかは存じませんが、そういったことは、私どもは聞いておりません。
  170. 大出俊

    ○大出委員 これは後ほど労働大臣に対する質問とからんでまいりますから、そこで申し上げますが、淺野さん、せっかくお出かけいただいておりますので、もう少し承りたいわけであります。  ラジオ関東というところに限って承りたいのでありますけれども、これは神奈川というところに一つの地域を限定して許可をされておるのだろうと思うのでありますけれども、いつごろ許可になって、かつまたいまのように地域の限定をされたという意味の条件があって許可になっておるのだと思うのですが、ひとつその両方についてお答えいただきたいのです。
  171. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 ラジオ関東の免許になりました年は、正確には覚えておりませんが、たしか三十三年ごろではないかと思います。現在の民放のあり方といたしましては、地域性を免許の際における一番重要な項目にいたしております。したがいまして、ただいま先生おっしゃいましたように、神奈川県を主といたします神奈川県ローカル局という立場で免許いたしております。ただし、アンテナが東京に近くなっておる、タワー並びにアンテナの位置からいたしまして、東京都内にも広範に入っておるのが実情でございます。
  172. 大出俊

    ○大出委員 私、田中角榮さんが郵政大臣のころと記憶しておるのですが、だいぶいろいろチャンネルがございまして、私は当時組合の書記長のころでございますから、あるいはその直後一ラウンドおくれて許可になっておるのかもしれぬのですが、もしおくれておるとすれば、おそらくこういう事情だったと思うのです。それは川崎の小向にラジオ関東の送信設備がつくられている。場所的に非常によくないところですね。そういうことで、これはだいぶいろいろ問題があったように当時から承っておりました、私も郵政の部内ですから。ところが、これはとにかくどういう事情か、許可になったのでありますが、本来これは地域性を特に強調しておるということは、その地域に対してFMカーなんかにしてもすぐ飛び出していって、いろんなその地域に起こった事件に当たる、そういう地域に、公共性ということからいって貢献度がある、そういう条件ですね。だから、鶴見事故なんか起こったときは、私もよく知っておりますけれども、ずいぶんラジオ関東は喜ばれておるのです。すぐFMカーがすっ飛んでいって、実情をつぶさに神奈川県民に伝える。起こった個所が鶴見でございますから、たくさん関係者がある。ずいぶんこれはラジオ関東には感謝をしていたことがある。そういうものでなければならぬと思うのです。そういう意味で地域性が非常に強調されておったと思うのですが、間違いないと思いますが、いかがでございますか。
  173. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 おっしゃいますとおりでございます。
  174. 大出俊

    ○大出委員 ところが、これは実は三年ばかり前に移転をしまして、いまスタジオが実は横浜にないのですね。スタジオは、実は東京の郵政省のすぐそばに、麻布台にあるのですね。ということになりますと、まずもってFMカーというものも横浜にない、企画室なるものが形式的に存在する程度でありまして、三十名足らずの人しかいない。主力は、二百何名の方々ですから、ほとんど東京に来ている。しかも、東京都のごく境に送信所が置かれている。これは初めから問題になったわけですね。そうすると、これは横浜あるいは神奈川と、こういうのですけれども、実際には、神奈川には送信所なるものがあるだけであって、あとはみなスタジオまでこっちにきている。しかも報道部というものがかつてはありましたが、いまはない。そうすると、神奈川の地域性には何の関連もない、率直に申し上げると。こういう実情になっていることを御存じですか。
  175. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 大体……。
  176. 大出俊

    ○大出委員 大体ということでお認めになっておりますが、私は、そうなると、これはほんとうなら許可を取り消すべきだと思っている、こういうものは。神奈川のローカル放送、こういうことで許可になって、相当地域に対する公共性の主張が行なわれていて、それが許可条件になっているにもかかわらず、どうも川崎と東京の境のところに送信所をつくるなんてばかな話があるかということで、当時いろいろもめた。ところが、結果的には許可になった。当時からそんな意味では問題がある。ところが、三年前に、これは河野一郎さんの奥さんのやっておられたエビス興業なる会社が、東大の天文研究所のあと地を——国有地です、国有地をラジオ関東が使うのだからという公共性を主張して払い下げを受けた。ところが、中身を調べてみると、ラジオ関東は確かにあります、そういうわけですから。ありますが、同族会社である日糧があり、東京資材があり——この東京資材というのはつぶれて、偽装倒産して社長さんが逮捕されて、起訴されているのだと思いますけれども、日糧もどんどん縮小して、三百人の人が七十人に銀行の融資の条件で減ったというわけで、こういう形で、そのほかに八木下電機、日本端子、それから当時河野さんと仲のよかった大映、日魯漁業、これは部屋借り、こういう建物ができているのですね、こういうことになってしまった。おまけに最近は女子、男子の休養室、休憩室になっておった二階の七十坪ばかりのところを、みんな河野ビルに返してしまって、女子の休憩室も何もない。そういうことになると、これは本来、用途、使用その他の当時指定があったかどうか私は知りませんけれども、非常にふしぎなことだという気がするくらいなんですね。つまり局長いまお答えになっておりますように、全部移って、横浜には本拠がない、こういう状態になっているわけですね。つまりこういう会社の持っていき方、経営のあり方について、組合側としてはこれは反発します。神奈川に責任のあるラジオ関東なんだから、してみると、神奈川からみんな人間がこっちに移って、神奈川に事件があって出ていこうといっても、FMカーが東京からこの交通の繁雑な中を神奈川まで行けやしない。何やっているかというと、全部新聞のニュースソースから持ってきて放送しているわけですよ。そうすると、地域放送の意味が全然ない。許可条件を満たしていない、今日。そうすると、従業員ですら耐えきれない。そうなると、会社の方針に対して、おかしいじゃないか、神奈川で事件があっても行けない、そういうばかげたことが行なわれているというのはどういうわけだということになる。そもそも労働問題がこじれてくる発端が、こういうところから出てきているわけですね。そうすると、これらの件について、その責任を負わなければならない郵政省として、一体どう考えるか。あわせて承っておきたいのですが、最近はこの十キロというのを五十キロというように増力をしたい、昨年八月に、許可してくれといっているはずですね。それから東京Pにしてくれ——これは神奈川P、横浜Pですから、ピアシントというのですか、そういう放送形式、それを東京に切りかえてくれという。それなら何で神奈川で許可をとったか、だましたのじゃないかというような——そういう申請が出ている。さらに問題は、いま日本テレビと合併の話まで出てきている。これには郵政省、口をきいているのですよ。どういう口をきいているかというと、いまラジ関というのが経営も不振で赤字なんだから、合併してもおそらく民放界からは文句は出ないだろうということを言っている方がある。そうじゃなくて、本来神奈川放送の許可条件から見ておかしいわけですから、設立のいきさつからいって、そんな許可はいつまでも残しておく必要はない。そこに立ち返って、神奈川放送本来の姿に戻れといわなければならない、こういう筋合いです。  この点と、それから時間の関係でもう少し承りたいのですが、スタジオというものは、無線法、電波法等の関係からいきますと、どういうものになりますか。
  177. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 神奈川県にあるべきものが東京に営業所等が移転をしておる、まずこの点から申し上げますが、何年前でありますか、私もちょっと覚えておりません、当時電波におりませんでしたからわかりませんが、ただ、これにつきましては、現在京浜地区は一体化いたしております。交通上から見てみましても、また、ベッドタウンといいますよりも、むしろもう工業的に一体化してしまっております。そういった面から、主として神奈川県ということでいいのではないか、かように判断をして許可になったものと考えます。それで、送信所は、現在も神奈川県内にあるわけでございます。もっとも、御指摘のように、東京に非常に近くなっております。
  178. 大出俊

    ○大出委員 境です。
  179. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 もう東京との境にあるということは、神奈川県を主にし、そして番組の多様化といった面から、東京にも入ることもこれまたやむを得ないのではないか、こういうふうな判断がありまして、免許になったものと考えております。ただ、ローカル局は必ず県内でなければならないかと申しますと、たとえば山陽、山陰を見てみましても、二県にまたがっております。主として県を中心にしてということで現在やっております。電波の問題はなかなかむずかしゅうございまして、夜になりますと、お昼の電波の伸びに比べて、場合によりましたら倍以上も伸びてまいります。そういった面につきましては、ある程度やむを得ない面も出てまいる、かように考えております。  それから日本テレビとの合併の件でございますが、これは私、全くいままで聞いたこともございません。ラジオ関東につきましては、ここ二、三年来経営状況がだいぶ苦しかったようでございまして、それに伴いまして、いろんなうわさが出ておったということは聞いておりますが、日本テレビとの合併説があるということは、私、いままで存じませんでした。いずれにしましても、これはかってに合併できるわけではございません。そういった場合には、当然会社はつぶれるわけになります。そう簡単に合併とかなんとかという問題は、いまの状況では出ることはない。もしそういう状況になりましたら、これはもう廃止といいますか、波を返してもらう、こういう事態になるのではないかと考えております。  それから、スタジオからの連絡回線に対しては、おっしゃいますように、これも一々役所が口を出して許可しておりますから、これは免許の場合になりますと、アンテナその他全部関係してくるわけでございます。ただ、スタジオの内部につきまして、構造、それから休憩室はどうといった面になりますと、私どものほうはそこまでタッチいたしておりません。財政的基礎があるかといった免許の場合における状況だけで判断いたしておりまして、それ以後におきましては、現在商法上の株式会社制度をとっておりますので、財政状況の次第によっては設備がよくなったり悪くなったりいろいろ出てまいっておりますが、現在の法体系におきましては、政府側はその点には関与いたしておりません。
  180. 大出俊

    ○大出委員 この電波法の十七条からいきますと、何らかの電波をそこで発信する場所がつくられた場合には、許可が要りますね。明らかに届け出でなくて、許可なんです。ですから、無線を発信する場所であるとすれば、許可が要る。ここの無線発信場所については要りますね。ところで、有線だとなれば有線で、また別の法規制があります。ところが、送信所が川崎なんですから、東京の境なんですから、スタジオが東京にあるのですから、何らかの形で川崎に送らなければならぬ、横浜経由なり何なりで。それが行なわれておるのが無線であるとすれば、やはり許可条件との関連が出てきますね。そこらはどうなっておりますか。
  181. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 ラジオ関東が送信所との間をどうしておるか、ちょっと私存じませんが、普通の場合でありますと、STリンクと申します無線回線を許可いたします場合と、それから電電公社の公衆通信回線によります場合と、二つございます。東京近辺の場合は、公社の公衆通信回線が非常に完備しております。おそらく公社の回線を利用するたてまえになっておると思います。そうなりますと問題は、それをどの程度使うか、経済情勢が、経営状況が悪くなりますと、先ほど御指摘のように、できるだけ自分で番組をつくらずによそから買ってくるということもやっておるかもしれない。経営がよくなりますと、また自分でそういった手足を持ちまして、公社の公衆通信回線をフルに使うということも考えられます。その点の運営になりますと、その状況がわかりかねます。
  182. 大出俊

    ○大出委員 いままで私申し上げておりますのは、労働大臣にお聞きいただこうと思って申し上げたのですが、そういう非常にむずかしい背景ができてしまったということですね。この種の非常にまずい——私ともから見ると、神奈川の諸君という立場から考えますと、あまりどうも感心しないことになってきておる。しかも経営状況が非常に悪くなってきておる。こういう状態ですから、そうすると、そこにいろいろなプラスアルファが加わって、労使関係影響がだんだん強くなってくる。そこで、アナウンサーの方、プロデューサーの方にしても、一生懸命になってやっておる番組についても、とかく会社の理事者側から一方的におろされる、変えるということになると、それに対してはやはり何がしかの、そんなことをいったって無理ではないかという従業員の意見が出るのはあたりまえ。あるいはスポンサーとの関係が出てくる。こういうわけなんですが、そこで、あるスポンサーがおって、ある番組がつくられておる。ところが、そこで取り上げた放送が、会社側のほうから担当の諸君に話があって、スポンサーが忌避しているからやめてくれ、おりてくれという話になった。ところが、実際にスポンササーに会って聞いてみると、その番組を聞いておって非常にいいといっておる、忌避も何にもしていない、こういうばかげたことが起こってくる。あるいはある番組について——あとから具体的な場合で申し上げますが、番組について、さっき私が申し上げましたような個所で何かチェックが行なわれて、それがスポンサーのほうに伝えられて、スポンサーが忌避をする、おりる、こういう問題が出てくる。これが至るところそういう形があらわれてきておるという二とこ付して、監野行政の責任官庁である郵政省の立場から、至るところそういうことが行なわれていてしかたがないということになるのかどうか。そこらのところをひとつ御見解を承りたい。
  183. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 現在のスポンサーとの関係につきましては、これはあくまで商行為といたしまして民間放送業者に自主的に行なわせておるわけでございます。したがいまして、その点につきましては、場合によりましてはスポンサーと民放業者との間にいろいろな話し合いが出てくるのは、やむを得ないと思います。これはあくまで商取引という面におきまして私ども見るたてまえになっております。  それから、ちょっと先ほどの点に触れさしていただきますと、日本テレビとの関係で合併問題が出れば取り消すというふうには申し上げましたが、合併ということは簡単にできないということを申し上げまして、承継または合併等は、新しい免許ということで大臣の承認または競願処理、こういうことに相なります。  それから先ほど忘れていましたが、増力の点でございます。こういった問題は、そのときどきの判断によって外国との混信の関係、そういった面につきまして、従来、長い間においてはパワーは逐次上がってきておる。外国からの混信等並びに都市雑音のため、ぼつぼつパワーが増力してきております。これは事務的なお答えでありますが、忘れておりましたので、つけ加えておきます。
  184. 大出俊

    ○大出委員 そう警戒してお答えにならぬでもいいですよ。私も、全くわからないわけでもないですからね。私がさっき申し上げたのは、郵政省のある人が合併するといったら許可するだろうという意味のことを言ったということを聞いておるのですが、御存じないなら御存じないでいいんです。  問題は、この四十年にFMカーの遭難事件が起きて、晴海埠頭で六人の方々が落ちてしまった。これは取材中の事故なんです。私は、これは当時からだいぶいろいろ険悪な労使関係にあったことを承知しておりますので、こういうときは何かが起こらなければいいがといろいろ考えておったときでございますが、何が直接の原因か私わかりませんけれども、どうも労使関係のもつれというのがいろいろ気になるところなんです。そこで、労働省の皆さんに一、二点承っておきたいのですけれども、この先制的ロックアウトといわれるものがいまあります。学者間でもいろいろな論議がございます。その種のことについて、どういうものをとらえてつまり先制的ロックアウトなどというのかという労働省の見解を、ひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  185. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 ロックアウトにつきましての解釈でございますが、先生御承知のように、現在労働法関係におきまして、ロックアウトにつきましての規定は全くないわけでございます。そこで、戦後いろいろな事件がありまして、判例等がだんだん出てきておりまして、それでこのロックアウトについての考え方といたしましては、使用者側の対抗的な手段というものとして認めるべきであるという考え方は、大体共通しておるのではないか。ただし、その場合に、ただいま先生おっしゃいましたような一定の条件が付せられて正当な争議行為として認めるべきではなかろうかというような議論が、共通の考え方のように承知をいたしております。結局、たとえば労働紛争が何もない、あるいはまた労働者側からする争議行為が起こる危険性がないというような場合に、一方的に経営者側のほうからロックアウト、非常に極端な例でございますが、そういうような場合におきましては、それは先制的、攻撃的なロックアウトである、そういうものについては、正当なものとは考えられない。しかし、いままで起こりましたいろいろな事例を見てまいりますと、たとえば労働者側のほうから、組合側からストライキを宣言をいたしまして、これに対して経営者側からロックアウトをかけるというような事態がございます。その場合に、普通の場合は、全面的な争議行為というよりは、むしろ部分ストあるいは指名ストというような場合に、それが経営に非常に大きな影響を与える。そうしますと、結局経営者側としては、実際上は事業の運営が——たとえば非常に小人数の部分ストであっても、経営に大きな支障が起こる。そうしますと、組合員全体にロックアウトをかけるというような事例が、相当あるようでございます。そのような場合に、先制的、攻撃的なものでなくて、受動的、防御的なものであれば合法——判決におきましても、いろいろなニュアンスがございまして、労使関係法研究会等の議論におきましても、まだ確定的な解釈というものは出ていないので、今後判決例の集積ということにまつのがいいだろうというような御意見も、専門家の先生方がおっしゃっておられます。現状の考え方といたしましては、そのような考え方が通説であったというふうに承知をいたしております。
  186. 大出俊

    ○大出委員 私も御存じのように長い間そのほうを専門にやってきた人間ですから、ずいぶん学者にも会い、判例も読み、解説も聞いてまいりましたが、まあロックアウトを私的財産権の保護云々というようなことで認める側の学者にしても、やはり攻撃的、先制的ということについては、そう賛成をしていない。そういう一般的な傾向がございます。私、いま一般論として申し上げているのですが、たとえばある放送関係のところでプロデューサー、アナウンサーがおりまして、一つの番組がつくられて放送される。そうすると、どうもこれが社会の一番根底にあるものを引きずり上げるような放送になった。ある人にとっては非常に困るというふうなことから、それをちょっと変えてくれと言ってきた。それで、経営者の側がアナウンサー、プロデューサーの方に配置転換だ、向こうへ行ってくれと言ってくる。ところが、労使関係の中で、そう簡単に配置転換などされたんではたまらない。専門職があるのですから、アナウンサーを専門にやってきている人に、事務をやれといったって、そうはいかない。それはそうはいかないということになって組合としてバックアップする。ところが指名で、あなたとあなたとあなたは会社にこなくてもよいということで通告がきた。首切りというのじゃなく、おいでにならんでくださいというわけです。ストライキも付もないのにこういうケースになるのは、どうも防衛的、防御的ということにはならぬと思うのです。とにかく配置転換しろといっても聞かない。しかし、その人はアナウンサーをずっとやってきている人だから、それをそう簡単にかえられたって——人間一生一つの職場で過こそうと思えば、勉強もしなければならぬし、希望も持たなければならぬ。それを、アナウンサーを専門にやってきている人に、事務をやれといったって、あるいはタイプを打てといったって、そうはいかない。そうすると、そういう段階で会社の言うことを岡かないからというので、いきなりあんたは会社に来なくてもよろしいと言う、そういう行き方は、いささか一般論としては強権的であると思いますが、そういうケースは一般論としてどうお考えになりますか。
  187. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 一般論といたしまして、配置転換がどのような状態でどういうふうに行なわれるかということにつきましては、労働協約があれば、その労働協約の規定によりまして、それからまた、就業規則があれば、その就業規則の規定によりまして、それぞれ会社によりまして非常にいろいろの違いが出てくると思います。ただいま設定されましたような想定の場合に、私ども理解の違いがあるかもしれないと思いますが、はたしていまのがロックアウトかどうかというのは、争議行為の問題でございますので、そういう点はおっしゃったようなのをロックアウトというのかどうかというのがちょっと判断できないのでございますが、そのような状態であった場合、たとえば協約にも就業規則にも抵触しない、あるいは就業規則の何らかの規定によってやったか、協約の根拠があってやったか、あるいはそれで不満足の場合に苦情処理の手続規定があるのかどうかというようなことになるのではないか。直ちにロックアウトというようなことが言えるかどうか、私ちょっと判断できないのでございます。
  188. 大出俊

    ○大出委員 前後の事情がありますし、労働慣行、労使慣行がありますから、確かにそういう言い方もできるかもしれません。ただ問題は、いま私が例にあげましたのは、そういう幾つかの問題が続いて、あとからまた具体的に申し上げますが、続いて、つまり組合の側も指名ストライキをやる。そうすると、また指名ストライキが起こるかもしれない、前もってこちら側のほうから先制的におまえさんとおまえさんは来る必要がないと言う、そういうケースなんですね、もうちょっとつけ加えれば。そうなると、今度は組合側も対抗上そこでまた指名ストライキが出てくる、こういう形ですね。実はきょうこの中身に触れてしゃべっていますと——いずれにせよ、時間がない。だから、まことに一般的な話をして恐縮なんだけれども、前段をここで一般論としてやっておかないと、また次に時間がかかりますから、いまのような波状的に続いている長いもつれですからね。さっきラジオ関東はということでそこでお話になっていたから、うすうす御存じの上で答弁されているんだと思いますが、そういう意味で私は取り上げておりますから、そういう前提で御答弁ください。
  189. 松永正男

    ○松永(正)政府委員 ラジオ関東の今回の事件につきましては、私ども県を通じまして一応の実情は聞いております。それによりますというと、いまおっしゃいましたような一応の説明でございますので申し上げたのでございますけれども、賃金紛争、それから配転等を問題にしまして労使間に紛争がありまして、いろいろな事態が発生してきておる。それで、ただいまのロックアウトにつきましては、県からの報告によりますと、このような報告を受けておるのであります。配転問題が起こりまして、これに関しまして組合側が三月の十五、十七、二十四日というような日に時限ストライキ並びに全面ストをやった。そうして、三月の二十日には、前記の配転に反対して新職場に就労していなかった五名について組合が指名ストに入ることを明らかにしたことから、会社側はこの五人に対して同日直ちに指名ロックアウトを実施した。これは非常に簡単な文章でございますけれども、このような報告が県から参っております。
  190. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係できょうのところは結論にしますけれども、いま、このような場合はロックアウトと言えないというふうにお話しになりました。そこで、私はおかしなことをおっしゃると思っていま言い直したんだけれども、そこまでくれば、あなたのほうがお調べになっているようだから、ラジオ関東と言ったほうがいいと思って——いまあなたのほうがお読みになったのではちゃんとロックアウトと書いてある。しかし、先ほどの答弁では、そういう場合にはロックアウトと言えるかどうかわからぬとあなたはお答えになった。そこにあまり用意をされないで、なまでひとつ聞いてもらわぬと、あなたのほうでは先入主があって、どうも何かそういう質問がありそうだから、青写真をこしらえておいてものを答えると、あとで大臣の判断を求めるからいいけれども、私は、そこが非常に微妙なことだと思うのですよ。どっちが先にどういう意思でものをやったか、ここが問題の焦点なんですよ、労使関係の問題というのは。六名に指名ストライキが来るなと予測したにしても、対抗策としてやったかもしれないけれども、ロックアウトを通告したのが早ければ、これは解釈のしかたになりますけれども、先制的、攻撃的に考えたんだということが言えるんですよ。財産権の保護だとか何だとかいうが、危険にさらされていない状態、にもかかわらず、ストライキが来るなと考えたからやっておいたという。これは先制的だという解釈に入る、私はいろいろな人の見解も聞いたけれども。だから、あなたがそこでお読みになったものは、完全ではない。しかもそこにはロックアウトと書いて報告が来ておる。ところが、私がここでものを言ったら、それはどうもロックアウトと言えるかどうかという言い方をされるのだが、そこのところの問題なんです。だから、それがもし私がいま言ったようなことであれば、あまり感心したことではない。いい悪いは裁判でもしなければわかりませんよ。わかりませんが、一般的にものを見て、イニシアチブというものは、いずれにしても、労使対等であっても、政府の場合総理がとるといわれますように、やはり会社側が経営をよくするためには、労使間を正常なところに戻す努力をしなければならぬでしょうし、そこには多少のズレはありましょう。私も当事者ではありませんし、皆さんもそうでしょうが……。しかし、私がいま念願しておりますのは、会社が不振であるそのしわ寄せを全部組合におっかぶせるようなことをやってはいかぬ。それは神奈川にあったものをこっちへ持ってきてやってきた、神奈川での広報活動が何もできない、そういう現実になると、やみくもにそれを組合に押しつけるということになってくると、これはだれが考えてみても、正常な労使慣行をつくるという努力をしていないということになる。そういう意味のことを前段に申し上げておきたかったんだ。  あわせて、淺野局長には、郵政省というものがあるのですから、してみると、商行為だというんで、民間テレビを含めてこれは商行為だ、どんな番組がどんなやり方で行なわれておっても、われわれは知らないということになると、では一体放送の公共性というものはどこへいってしまうのかということになる。商行為なら、どんな破廉恥な放送でも、世の中が喜ぶならやってもいいのかということになったら、それは世論の反発があったから、その番組はやめたということになる。そのまま放任できますか、監督機関行政立場にある方々が。ここのところを言いたい。商行為だから放任しておった、そんな無責任なことでしょうか。大臣は閣議で、NHKというものは人事は政府がやるんだということを言われて、もっと予算も使ったらどうだ、そういう不見識なことを——あなたは新聞の間違いだと言うけれども、天下の朝日新聞が、そう根も葉もないことを書きませんよ。あわててとめたというんですよ。だから、そういうことになっておるのであっては困るから、その認識を、この公共性のある放送だから、それをまず明らかにしておいて、ラジオ関東というひん曲がってきた会社の赤字云々、いろいろなことがある、あるいは合理化をしたい、そういうことを組合に押しつけるということになると、これは逆な結果しか生まないということを前段に申し上げておきまして、あとこの次の機会に残しておきたいと思います。時間の関係で、きょうはこれで終わります。
  191. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、来たる八日午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七全散会