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1967-05-30 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       内海 英男君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       高橋清一郎君    橋口  隆君       藤波 孝生君    稻村 隆一君       木原  実君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       吉田 之久君    有島 重武君  出席国務大臣         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         行政管理庁行政         監察局長    稲木  進君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         農林省農政局長 森本  修君         農林省農地局長 和田 正明君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   若林 正武君         建設大臣官房長 鶴海良一郎君         建設省計画局長 志村 清一君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       杉浦  滋君         農林省農政局植         物防疫課長   安尾  俊君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月三十日  委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として  有島重武君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月二十九日  中小企業省設置法案中村重光君外二十名提  出、衆法第八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一九号)      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 農林省設置法審議に入るにあたりまして、妙な法律が出されそうだから待ってくれという国対から話がありまして、先般、一日私ども質問を遠慮したのですけれども国有林野活用に関する法律案なるものが出てくるということでありますが、これは閣議決定をされたわけですか。
  4. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 閣議決定をいたしました。まだ提出されているかどうかは存じませんけれども
  5. 大出俊

    大出委員 きのう私林野庁の方に承ったところが、提出はされていないということのようであります。そこで、されてしまっているならともかく、されていないわけですから、できればお出しにならぬでいただきたいという気がするので——というわけで、ひとつ理由を明らかにしたいわけであります。  まず承りたいのは、農業会議所だとかあるいは町村方々主体になりまして、国有林開放対策協議会というものができておるのを御存じでございますか。
  6. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 できておるそうでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 会長は青森県知事の竹内さんがおなりになっておるようでありますけれども、この団体の方々が再三、農林省関係筋に陳情においでになっておるように承っております。どういう理由林野の売り払い等を主張されておるのか、そのあたりの理由を伺いたい。おそらく何べんもこれは農林省関係のところで陳情されておりますから御存じだろうと思いますけれども、明らかにしていただきたいと思います。
  8. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 大出委員お話し国有林野活用に関する法律案は、御承知のように、一般の農業もそうでありますけれども、最近の鉱工業等の著しい伸びの影響を受けまして、やはり労働力がそういう方面に流出をして、そこで森林の経営等にもいろいろ支障を生ずる。そこで、私どもといたしましては、この林業構造改善をいたし、同時にまた林業の所得を増進さしていくために諸般の施策をしなければならない。それからもう一つは、大出さんの御承知のように、わが国ではやはりできる限り食糧の自給度を高めてまいるつもりでありますけれども、若干その中で立ちおくれておるのは畜産及び酪農関係であります。そういうことを勘案いたしてみますると、民有地に接続をいたしておるような国有地をできるだけ効率的に活用して、あるいは草地の造成あるいはまたそういうところで畜産を助長してまいる。畜産酪農にいたしましても、わが国といたしましては、やはり飼料が大問題でございますので、そういうところでひとつ国土あとう限り利用していくことが必要である、そういうようなことが第一の目的でございます。
  9. 大出俊

    大出委員 いま大臣お話それなりに私はよくわかるわけでありますが、ただそれは、いま私が申し上げた国有林開放対策協議会方々の真の主張とは少し違いがあるような気がするのであります。というのは、いま大臣お話しになっているのは、農林行政を担当される農林省あるいは行政長官としての大臣という立場から、国有林野活用に関する法律を提案するお立場での話としては受け取れるわけですけれども、その方々が言っておりましたのは、ずばり申し上げれば、国有林野なるものを安く売れ、簡単に言えば。その理由の中には、明治以来のいろいろな経緯の中で、たとえば官民有地区分民有地林野の区分という問題などがあったりして、ときには税金をよけい取るというようなことで、おどかされて安く国に持っていかれたのだというようなことを主張している方々もあるわけですね。だから、その方方の主張一つ中心になっているものは、安く市町村等に明け渡せ、こういう主張だというふうに私は理解をしているわけであります。そういう動き一つあって、それとこれは直接関係があるかどうかわかりませんけれども、このたび国有林野活用に関する法律というものが出てくるとなりますと、どうもその以前のいきさつからいって、ふに落ちないわけであります。と申しますのは、例の営林局長あてに、「国有林野管理処分事務運営について」という通達が出されて、昨年の十月末から管理処分事務がこの通達ストップをされてきていたわけであります。これは国会において、いろいろ林野庁所管国有林野の交換、こういうふうな問題が論議をされて、ときに共和製糖問題等まで出てまいりましたので、そういう経過を背景にして、これはストップをされてきたと理解をいたしておりますが、それが四月の十八日に、林野庁長官から、全国十四の営林局長あてに、「国有林野管理処分事務運営について」通達四二林野政第七三八号というのが出されて、これによって改めるべきは改めたという形の中身になっております。私実はこのこまかい解説を六月一日号のジュリストなるもので読んで承知いたしておるわけですが、だいぶここに解説をいたしております。これでいきますと、この際特段活用を少しこれは悪い意味でし過ぎているものですから、だからとめろといって、とめたわけですから、またここで戒めるべきものは戒めて通達が出ているのに、さらに国有林野活用ということで法案が出てくるということが解せないのであります。どうもそこのところの真意のほどが明らかでない。だから形式的なことはいいのですけれども、ずばりどういうわけでこの種のものが出るのか、与党皆さん方に聞いてみても、どうもちょっと唐突なんだというお話があるくらい、なかなかわからないわけです。そこのところを簡単に御説明していただきたいと思っているわけであります。
  10. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 国有林につきましては、先年町村合併を奨励いたしましたときに、新たに生まれてくる自治体の財政的な基礎を与えるというような考え方で、国有林を払い下げたことがございます。私はそれはそれなり一つ意味はあったと思いますけれども、その後の経過を見て、必ずしも芳しくない利用をいたしておる地域もございますので、私どもは、ただいまお話しのように、林野庁といたしましては、とかくの問題も起き、またせっかく払い下げました目的が、国土保全その他のために十分な効用をあげておらないというようなところについては、大切な国有林をあずかっておる林野庁としては、もっと慎重なる態度で対処すべきであるということで、ただいまお話しのような通達出しまして、厳正に、その処分について、あとあと見守っていくという、しかもこの当初の目的に違反した行為をいたした場合には、それを取り消すなり、いろいろな処置をすることにいたしております。  まあ、さようなことで、私どもといたしましては、今度は先ほど申しましたような趣旨開放と申しますか、活用をいたすにいたしましても、やはりその受けたほうの当事者は、われわれが地方に通達をいたしました趣旨と同じように、国土保全その他にあやまちのないようにやってもらう趣旨は同じく強調いたしておるわけでありますからして、初めただいまお話し期成同盟会みたいな方々がお集まりになっていろいろ要望されましたことの趣旨にはあるいは反する面もあるかもしれませんけれども、やっぱり政府としては大切な国有財産でありますからして、いずれにしても政府方針を順守していただくということで、その活用をはかってまいりたい、こういうことであります。
  11. 大出俊

    大出委員 ところが、この国有林野活用に関する法律案なるものの中身は七条からなっている法律案のようでありますが、中身をこうずっと見てまいりますと、まずわからないですね。なぜわからないかといいますと、「農林省令で定める」というふうに細部にわたっては一切省令にゆだねているのが、七条しかないところに七つくらいあるわけであります。したがって、これは省令中身というものがおおむね明らかになりませんと、ワクは大ざっぱにこういうワクなんだというのだけれども、さてその中身省令でと、こうなると、さっぱりわからない。別にこういう法律がないわけじゃないんで、この委員会で先般私三日連続質問を申し上げたことがある防衛施設周辺整備法という法律も、これは長官権限にゆだねた点が十三ありました。しかしこれはその中身がわかっての論議をしてまいりました。ところが、これはどうも中身が、林野庁所管の方に承ろうとしても省令中身がない。まずわからない。七条のところからずっと当たってまいりますと、つまりストップをしてまいりましたものを、この際この四月十八日通達復活をして、評価問題等についても学識経験者七名をお集めになって、国有林野評価研究会が昨年十一月二十二日に発足をしたということなどを含めて、通達は出ておるけれども、これはいまやっていることと比べてみて、この中で特段に違うというところは、第七条の林野の売り払い等についての「確実な担保を徴し、利息を附し、二十五年以内の延納特約をすることができる。」という二十五年以内の延納特約、これくらいがこの法律の変わったといえば変わった点、こういうことになるわけです。そうすると、この二十五年以内の延納特約ということが一つ目的になっているような気がする法律であります。あと省令ということで、大臣権限でこれから先の細部規定出していこうというわけでありますから、さらにわからぬ、こういうようなことであります。そうなると、現在の通達が出されて、過去の行き方がまずいからという国会論議の結果として、改めるべきものは改めて、通達がいま大臣の御答弁のようにできている。そこに何ゆえに二十五年の延納主体とする新しい法案を出さなければならぬかという理由、これがどう考えてみてもわからない。したがって、そこのところをなぜ一体——特に違っているといえば延納の問題だけなのに、こういう出し方をされたのかという点が私の承りたいポイントであります。お答えいただきたいと存じます。
  12. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 事務当局から……。
  13. 若林正武

    若林政府委員 先生も御承知のように、林業基本法の第四条に国有林野事業使命が掲記されております。もちろん国有林野事業といたしましては、国土保全、その他いろいろの使命を持っておるわけでございますが、その中で国有林野の所在いたします地域におきまする農林業構造改善、その他産業の振興、または住民の福祉の向上のための林野活用ということが一つ使命の中に入っておるわけであります。当然他の国有林野事業との調整をはかりながら、ただいま申し上げましたような活用ということも考えてまいるわけでございます。ところで、最近におきまする農山村の実態等からいたしまして、農業構造改善あるいは林業構造改善さらにまた山村振興、こういった面に積極的に国有林野事業活用いたしまして、そういうものの振興をはかってまいる必要があるというふうに考えておるのであります。そういう線に沿いまして、この法律によりまして、国有林野活用についての国の基本的な方針というものをこの際明らかにいたしたいということでこの法案を考えている次第であります。
  14. 大出俊

    大出委員 先ほど大臣お話の中で、たとえば採草あるいは牧草、飼料等のそういう使い方が必要なんだということですけれども、この通達中身からいくと、用途については、国有林野法では「一 公用、公共用又は公益事業の用に供するとき。二 土地収用法その他の法令により他人の土地を使用することができる事業の用に供するとき。」とあり、三 に採草放牧用などという項目が入っております。あるいは四で五ヘクタール以下のものとされ、五ヘクタール以下については具体的に用途が示されていないので、次の七項目に限ることとされたということで、七用途が例挙されているわけであります。だからいまの国有林野法なりなんなりでやれないわけではない。にもかかわらず、一体なぜこの種のものがあらためて提起されなければならないのかというところがわからないと私は申し上げている。四条に基づいてこの法律が出されたというようなことは、第一条に、「林業基本法第四条の規定趣旨に即し、」とこの法律はうたっているのですから、これが目的でしょう。それはわからぬわけじゃない。わからぬわけじゃないけれども林野法もあればあるいは林業基本法もあれば、あるいは旧来、私どもから見ると、いろいろな納得のできないようなことがたくさんあった。先ほど大臣がおっしゃっているような町村合併促進法あるいは新市町村合併促進法などというものがあった。あるいは国有林野整備臨時措置法などというものがあった。しかしこれは全部期限切れして、現在はない。だから市町村基本財産というようなことで、ある意味林野を払い下げる、そんなばかな話はないと思うけれども、そういうふうなことがとられてきているわけでしょう。やってできないことはない。いろいろやってきた。にもかかわらず、なぜこの時点で——しかもさんざっぱら国会で問題になってストップまでして、それを四月十八日に復活通達出して、その中で改めるべきものは改めて、いま私が例にあげたようなことになっている。その段階で国有林野活用に関する法案というものをなぜ出す必要があるか、そのポイントを聞きたい、こう申し上げているわけです。しかも七条にいうところの二十五年以内の延納特約、これしか特段変わったところはない。いまお答えになったことは理由を見れば明らかなんだから、どうということはない。だから、しいてもう一つ言えば、現在すでに一部実施しているのだけれども、おそらくお持ちだと思いますけれども、第三条の二のところにある「前号に掲げる事業の用に供することを目的として譲渡された土地林業経営の用に供されていたものに代わるべき土地として林業経営の用に供することを目的とする国有林野活用」と、今回は幅が広がる。そこで、「当該譲渡をした者で農林省令で定めるもの」、これもまた農林省令、こういうところにまで触れて、なぜこの種の法案を出さなければならぬかわからぬ。そこを聞いているのです。いまの御答弁はあたりまえなこと、いまの法律でできることを言っているだけで、どこに違いがあるのか、何が目的なのかということを聞きたい。二十五年の延納特約まで持ち出す理由、もう一ぺん林野庁長官に答えてもらいたい。
  15. 若林正武

    若林政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この法律につきまして国有林野活用に関します国の基本方針と申しますか、こういうものをまず明らかにいたしまして、それによりまして農林業構造改善、その他の促進を積極的にはかってまいりたいということで、この法案を提案いたしたいというふうに考えたわけでございます。先生から御指摘のございましたように、従来と変わったところと申しますと、第三条の第二号、それから第四条「国有林野活用に関する基本的事項決定及び公表」というのがございますが、国有林野活用につきまして、この推進のための方針あるいは適地選定方法、その他当該活用実施に関します基本的事項農林大臣が定めまして、公表をして適正にやってまいりたい。さらにまた第五条「国有林野活用の適正な実施」というようなことで、用途指定なり買い戻しの特約等もつけるというようなことで、その適正な実施をはかってまいりたいという考え方をとっているわけであります。  それからまた、第六条で、当然なことかもしれませんが、活用を受けました相手方の義務というものもはっきり規定したい。それからもう一つは、第七条の延納特約の問題でございます。従来、農業構造改善、その他を進めます場合に、問題として残っておりますのは、活用対象地がたまたま若い造林地であったというふうな場合におきまして、御承知のように、費用価計算でその造林木の補償と申しますか、相手方農民から徴収いたしておったわけでございます。これは農民といたしましては廃棄処分をするだけの問題でございますので、そういったものを延納というふうなことによって優遇をしてまいりたいというふうなねらいで、こういうふうな点を入れたわけでございます。
  16. 大出俊

    大出委員 あなた、そう言うけれども幼齢林なんというものは使いものにならないのだから、そこを買った場合には、これはコストは幾らか。たとえば林野庁の職員を使って植林をやっていれば、ただでやっているわけじゃないのだ。何がしかの単価で買わさねばならぬということで幼齢林なんか買わしたわけでしょう。その延納に限るというのなら限るというふうに書いたらいい。この法律は、そうじゃない。あなたはそんなことを言っているけれども、ねらいの中心は何かというと、農地法に所属がえをして売り払うというような場合に、これは三十年、五分五厘、こういう延納規定があるでしょう。これは何も特定のものではない。全体を同じにしようというわけでしょう。七条というのは幼齢林に限ったことはない。しかも問題は、国有財産法の三十一条の五年以内の延納特約国有財産特別措置法は、町村、会社、福祉法人等の十年あるいはその他の五年、こういう延納規定がありましたよ。なくなった法律には延納規定が幾つかありました。私はさっき例にあげた。そういうふうなもののところに符節を合わせようとするとなりますと、いま申し上げましたのはその中の一つの例であって、そこにねらいがあるのじゃないか。だから、私はひっかかるのですよ。安売りをしろというような主張は長年続いてきた。安売りはできないが、延納形式をとるからという持っていき方というものは正しくない、私はこう思っているのです。東北あるいは九州、長野、群馬と方々にあるでしょうけれども国有林野開放対策協議会というものがあって、いろいろな動きを示している。そこで、安く売り払えというのを、それはそうはいきません、延納でいきますからということになるとすれば、これはどうもいささか便宜的にすぎる。ほんとう安売りをしなければならぬ理由があるのなら、安売りをする理由を明らかに出したらいい。そういう意味で、私はこの法律というのはどうも納得ができない。あなたが言う第四条というのも、旧来通達でやっていたでしょう。この中にいっているのは、「農林大臣は、前条第一項の規定による国有林野活用につき、その推進のための方針適地選定方法その他当該活用実施に関する基本的事項を定め、これを公表しなければならない。」となっている。「公表しなければならない。」というところだけが違う。旧来通達でやっていた。だとすれば、それを天下に明らかにすれば足りる。ということになると、これは基本的な点じゃないですよ。やはり問題になるのは延納の第七条。そうするとそこに私は先ほど申し上げた疑わざるを得ない点が出てくる。だから今日このような論議をした国会あとでこの種のものを唐突に、冒頭に申しましたように与党の方も知らぬ方が山ほどおる中に国会出してくるということになるものだから、せっかく前向きで農林省設置法をとらえて質問しようとする矢先に国会でもめ出すということは迷惑千万です。そこでしたがって、私が冒頭に申し上げたように、これは言えば切りがない。私もこのジュリストの解説は読んでいる。一ぱい書いてある。したがって言えば切りがありませんから、閣議でおきめになったかどうか知りませんけれども、幸い国会には出してない、ということになるとすれば、あまりどうも平地に波乱を起こすようなことをこの際おやりにならぬほうがいい。しかも何となくもめそうな健康保険法の問題などもあるわけだから、あまりそういうことをおやりにならぬほうがいいのじゃないかと私は思う。この委員会防衛二法などかかえているから、とばっちりで、ストップなんかするというのではこっちも困る。そういうわけで、こういうことはあまり御無理をなさらぬほうがいい、こういうふうに思うので、そこらのところをもう一ぺんひとつ大臣、どうですか。
  17. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 政府趣旨は至って簡単明瞭でありまして、先ほど来私どもが申し上げておるとおりでありまして、通達でやっておるものをやはり明確に法文化して、そしてその運用について厳密にやるということが必要であると存じますし、この法律があったほうがいい、こう思うわけでございますが、その取り扱いにつきましては国会議員諸氏がおきめくださることでありますから、政府は、この法律を通していただきたい、扱いにつきましてはもちろん政党もあることでございますし、それぞれ国会の機関で御処理をなさる分には、政府としてはいかんともいたし方ないのでございますが、願わくはひとつ御賛同を得て——まだ提出してありませんけれども、通していただきたい、こういう考えでございます。
  18. 大出俊

    大出委員 そうなると、これは閣議決定はされたというわけで、閣議決定をしておりますと、政府方針でありますから、大臣としてはそうお答えになる以外に手はない。こういうことになるわけでありまして、七つもこの省令がありますから、省令中身がわからぬ限りは、ほんとうのところを言って、根底にあるものがわからない、こういう形になろうと思うのであります。私がいま申し上げたことが当たらずとも遠からざるところだろうと私は思って実は確信を持って申し上げているのですが、これ以上申し上げるとまた相当の時間、議論をしなければならないことになる、こう私は実は思うわけであります。そこで金曜日の閣議も通っておるとなれば、これは万やむを得ない、お出しになるということになるのですが、いまの答弁からいきますと、自信があるような、ないようなお話に受け取れるのですけれども、ひとつ……
  19. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 内容については自信があります。
  20. 大出俊

    大出委員 先ほど来申し上げたように、あんまりどうも、ときに政治情勢がいろいろあって、そういうことをやらなければならぬときがあるのかもしれないけれども、それにしても少し無理がある、こう思いますので、ひとつそこのところはあまり自説に固執されずに、混乱は避けて事をお進めになったほうがいいのではないか、こういうことを考えております。したがって、いまのような質問を申し上げたわけなんで、その点を十分慎重に御検討いただきたい、こう思います。それだけをいまの法案については申し上げておきます。  次に米価の問題で二、三点承っておきたいのですが、「上げ幅七%めど、政府今週から検討」などという新聞が出ておりましたね。どうも最近はだいぶ混乱をしてきているのですが、順を追って承っていきたい。  米審の委員構成は、議員ははずす、はずさぬという問題がありまして、党からも公式文書で申し入れ等を差し上げておるわけでありますが、少し園田副議長あっせんだ、云々だということが続きまして、変わってきておるように思いますが、どういうふうなことになりそうでございますか。
  21. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米価につきまして、上げ幅というのは、新聞の記事については私ども何も関知しておりませんが、毎年いわゆる米価問題でだいぶにぎやかになりますので、ああいうことはあまりいいことではないということで、しばらく前から私たちは農業団体とも米価の算定方式等について、事務当局ではもう数回相互に集まりまして、たいへん熱心に打ち合わせをしております。こういうことはいままでなかったようであります。私自身も農業団体の幹部に数回会いまして、結局私どもは食管法で示しておりますように、生産者米価というのはやはり生産者の所得を補償するというたてまえで国全体の経済の状況を見ながら妥当なところできめたい、こう思って、その下ごしらえのためにいろいろ努力いたしておる最中でございます。当然、時期がまいりますれば、米価審議会に答申を求めたいと思っておるのでありますが、この米価審議会の議員はまだ任期中でございますので、人さんが任期がある間に、あなたの次はこういう人をつくるんだなどということは失礼千万だという考え方で、任期が終わるまでは何か考えないほうがいい、こういうことであります。
  22. 大出俊

    大出委員 この六月七日が任期ですね。それまでは何となくぼうようとしているというわけですな。  ところで、片方のほうでは時期を見て自発的辞任だなどということで、本年は米審に議員は入れておこうということのようでありますけれども、いろいろ構想はお立てになったが、任期の終わるまで表向き言わないでおく、こういうことですか。
  23. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先般副議長の部屋で自由民主党の国対とか議運の方、それから社会党の議連の方もおいでになりまして、そこで国会対策ということで何かお話し合いがあるので、私が参考に呼ばれたようでありますが、散会いたしますとき副議長から、本日の会合で話の出たことは一切口外はならぬ、こういうのでございますので、遺憾ながらその内容については申し上げかねるわけです。
  24. 大出俊

    大出委員 どうも口外してはならぬということで遺憾ながら口外しないということになるとすれば、特に私が申し上げたことを否定したわけではないわけでございまして、否定したことも口外のうちになるということで言わないのかもわかりませんが、まあ委員構成、従来どおりという点について特に否定をされておらない、したがって否定をしていないと受け取っておきたいと思います。  そこで先ほどの点でもう一つだけつけ加えて承っておきたいのですが、上げ幅七%というのは、これは大蔵省の考えのようでありますが、生産者米価が前年度九・二%引き上げられて、百五十キログラムあたり一万七千八百七十七円、ことし十月から消費者米価を一四・四%上げるこの原因になっている。大蔵省が四十二年産生産者米価の政府決定にあたって、一、指数化方式を堅持する。次に政治加算を絶対つけない。次に、引き上げ幅は七%をめどに一万九千円程度とする。次に、消費者米価一四・四%値上げをさらに引き上げるのは避けるという基本方針を固めたというのですが、御存じないですか。
  25. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 それは大蔵省ですか。
  26. 大出俊

    大出委員 はい。
  27. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 全然私どもにはそういう知らせばありませんし、御承知のように、なるほど財政当局は大蔵大臣かもしれませんが、米価を決定するのは農林大臣でありますから、参考に大蔵省の意見は徴しますけれども、私の責任において決定するものでありますから、そういう雑音については、まだ聞いておりません。
  28. 大出俊

    大出委員 大蔵省の基本方針が雑音になりましたが、米価審議会というものの性格は、一体大臣何ですか。
  29. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これは御承知のように、農林省設置法の中に、米価審議会というものがございます。生産者米価をきめますときにその意見を聞きというふうになっていると思います。そういうことで、毎年米価決定には、その決定に際して、諮問のやり方はそれぞれの年によって違いがあるようでありますが、そういうことで米価審議会の意見を聞く、こういうたてまえだと理解しております。
  30. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは農林大臣の諮問機関であるということになる。そこで、問題は諮問機関だからということで、米審に諮問をして、大臣権限できめると、こういうことになる筋書きだと思うのです。したがって、米価というのが物価全体を含めての大きな柱ですから、そうなりますと、その種のものが旧来のように、今日もそうですが、単なる諮問機関に諮問をしてという手続だけできめるということであっていいかどうかという点が、これは旧来の問題の論争の一つの大きな点ですけれども、私は、やはりこの種のことは、国会審議の場所を持っているわけですから、そういう場所できめるべきだと考えているのですけれども、あらためてひとつ大臣の御意見を承っておきたいわけであります。
  31. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 そういうことについては、考え方はいろいろあると思います。しかし、ただいまは食管法というものがありまして、政府の責任において、行政府が米価審議会の意見を徴しながら米価を決定するというやり方をやっておるわけであります。私は、やはり現在の段階では、現状のやり方がいいんではないか、こう思っております。
  32. 大出俊

    大出委員 ところで、今年度の生産者米価は、七月大体おきめになる。それから消費者米価は一四・四%と、こうおっしゃっているんだけれども、八月になる、大体こういう予定で進みますか。
  33. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 まだその予定もきめておりませんけれども、わりあいに早く米の出回る時期になりますので、それらに見合って米審と相談してまいりたい、こう思っております。
  34. 大出俊

    大出委員 そのあたりについての農林省としての方針と申しますか、本年度の生産者米価あるいは消費者米価等の取り扱いについての、そこらはどういうふうにお考えでございますか。
  35. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほどお話し申し上げましたように、生産者の諸君のいろいろな御希望もいろいろいま打ち合わせ相談中でありますので、そういう経過とも見合いながら、米価決定の時期については流動的に考えておるわけでありまして、いまいつごろという予定は立ってはおりません。
  36. 大出俊

    大出委員 米価決定にあたりましての基本的な問題を幾つか承っておきたいのでありますが、一つは先ほど大臣が雑音と言っておられました大蔵省でありますが、この大蔵省のあなたのおっしゃる雑音の中に、米価決定にあたっての幾つかの基本線が書かれております。  ここでまず一つ問題になりますのは、大蔵省としては米価の算定基準は指数化方式が政府方針としてすでにきまっているということで、農業団体の主張する農閑期の賃金をも含めて実収入の均衝方式は問題にならないという立場である、こういうわけでありますが、昨年も指数化方式はとってきてはおりますけれども、このあたりは、農林省方針としてはどう考えておりますか。
  37. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど申しましたように、米価は米審の意見を徴しながら農林大臣がきめるものでございます。大体予算の獲得なんかでも、大蔵省というところは大蔵省の立場でいろいろ牽制球を投げたりいたしますから、そういうものに踊らされてから振りをしてはいけませんから、それはそれなりに参考に聞いておるだけでありますが、指数化方式にいたしましても、やはり食管法でいっておりますように、生産者の所得を補償するという考え方は、米価決定には当然参加するべき考え方でございますので、いろいろ言いますけれども、学者先生方の意見を徴しましても、一体その指数化方式というのはどういうことだ、それから積み上げ方式といわれるものは一体どういうものであるかというようなことについて、これはこういうものだという確然とした定義を下すものは、なかなか少ないようであります。指数化方式といいましても、やはり結局は一つ一つのコストを積み上げたその集積でございますからして、したがって、私どもといたしましては、その基礎になるべきデータのとり方をどういうふうにすべきであるかということをいま検討中であります。その過程において、先ほど来申し上げておりますように、たとえば労働賃金についてはあなた方のほうはどういう考え方ですかというようなことで生産者と話し合いをし、あるいはまた金利その他の問題についても、その計算の基礎によってはいろいろ結論が違ってまいりますからして、そういうことについていま打ち合わせているわけでありまして、ただいま私のほうでは、これこれこういうやり方でなければいかぬとかいう片寄った考え方で進もうといたしておるわけではないのであります。
  38. 大出俊

    大出委員 そこをはっきりしてほしいのですがね。昨年来の政府方針は、今度大蔵省が発表している中にありますが、指数化方式といわれるものは政府方針だといっているわけですね。いまのお話を聞いていると、それもどうも方針であるのかないのか、明らかでない。ここで指数化方式といっているのは、私も学者先生の書いたものを読んだわけですけれども、一口に言えば労働賃金、物財費のウエートを三十六年−三十八年を基準年次にしまして平均に固定して指数化したという形、だから、生産構造の変化などというものを計算に入れていない。いわばかつてのパリティ的なものだという見方が、相当たくさんの学者諸君の言い分でありますけれども政府方針なら方針だと、これは明らかにしておいていただきたいわけでありますが、そこらどうですか。
  39. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 米価をパリティでやるというようにはっきりいたしておるわけではありません。もちろんいまお話しのように、三十六年から三十八年までの三年間を基礎にした指数を基礎にした積み上げの指数化方式、大体いままでやってまいりました政府の計算のしかたというものは、そういうところにあったと思います。私どもといたしましては、やはりそういうことも基礎に置いて、そしてそのほかに諸般の情勢を見ながら方式を考えてまいるということでありますが、いま鋭意そういうことを農林省も研究し、生産者団体とも打ち合わせておるわけでありますから、近くそういう方向については、われわれが腹をきめてまいらなければならないと考えております。
  40. 大出俊

    大出委員 生産者団体が総理に会っておられるようでありますが、この中身、新聞発表ですから、詳しい点がどこまでどうなっているのかわかりませんけれども、米価の、つまり事前調整というふうなことをしきりに言っておられるわけであります。ここらあたりは、大臣どうお考えになっておりますか。
  41. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 私どもは私ども立場として、生産者米価は何しろ日本の農作物の中核でございますので、できるだけよい価格で買い上げることができるならば、それはけっこうなことだと思いますが、やはり逆にまた消費者の立場を考慮しなければなりません。まあそういうようなことで、日本の経済全般から見て、しかも先ほど申しましたように、明日への生産意欲を持って増産をやっていただくためには、ある程度の米価を算出しなければならない。そういうことについて、いたずらに方式であるとか形の上で論争をいたしておって、最後には何やらわけのわからない政治的な積み上げでやっていくというふうなことは、これは筋も通らぬし、農民諸君はそんなことを決して喜んでいるわけではないのでありますからして、ひとつ事前に生産者代表とも総理大臣はお目にかかるほうがよかろう、こういうことで会っていただいたわけであります。これからもまだ何べんか会うことになっております。
  42. 大出俊

    大出委員 いまの答弁の中で二つあるのですけれども一つは、つまり皆さんとの間でも昨年もずいぶん混乱いたしました、ああいう形での政治米価的な形になることは避けたいということ。それから、できれば事前調整というか、つまり事前によく生産者の代表と話し合って、できれば意見の一致をはかりたいということが含まれているから、話すんだと思うのですね。そうすると、事前調整の形にやはりなる。その二点はできるだけやっていきたい、こうお考えですか。
  43. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 そのとおりであります。
  44. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいのですが、米審の小委員会報告というのがございますね、大臣でなくともけっこうでございますから、楠見さんの米価審議会の委員会の中に、米価算定について全面的に検討を加えるということで、小倉武一さんの小委員会がつくられまして、ずいぶんいろいろな検討をされた結果、ある意味では総花的だという感じがしますけれども、ここから答申が出てきているわけです。私ここに持っておりますが、一本この中に貫かれている中身というものは、生産者米価の算定はまず指数化方式を使うべきである。これは一貫してそう述べております。二番目に、算定された米価のワク外に特別な加算を行なうべきではない、これが大きな筋の二番目。三番目は、消費者米価算定にはコスト価格を用いるべきである。ここでいうコスト価格が何を意味するかという点は後に問題になりますけれども、これが三番目。それから生産者米価と消費者米価は切断して考えるべきではなく、両米価は当然スライドされるべきである、こういう点です。これは私は食管法違反だと考えております。つまり食管法のたてまえからいけば、切断して考えていると私は考えているわけであります。しかし、こういう点がある。それから五番目に、いわんや両米価の逆ざやによって生ずる食管赤字の財政負担はもってのほかだという趣旨。これは大体一貫して流れている中心点だと私は思うのですが、これについて、米価審議会の小委員会で、米価審議会にこの結論が出れば、これは大臣の諮問機関ですから関係があるし、おそらく大臣に対する答申でしょうから、そういう意味でこの五つの論点、農林省としてどういうふうにお考えになりますか。
  45. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいま御指摘になりました米価審議会の小委員会の報告は、まず報告の性格から申し上げますと、昭和三十九年の秋に小委員会が発足をいたしまして、最終的には四十年の五月二十一日小委員会報告という形でまとめられまして、米価審議会に報告がなされたのでありまするが、この内容を御一読していただければわかりますとおり、各項目についてそれぞれ、極端な場合には正反対の意見が対立をしておりまするので、意見が著しく違っております項目については、それぞれ違った意見を併記いたしておるのであります。したがいまして、米価審議会の本会議といたしましては、一本にまとまった報告という内容ではございませんので、一応この報告を拝承するということで、正式に採択をするという表現を避けた手続によって終わった経緯がございます。したがいまして、米価審議会から正式に農林大臣に答申という形で締めくくりがつけられておらないということを申し上げるつもりで申し上げておるわけでございます。お尋ねをするときには農林大臣の諮問によって発足をいたしたのでありますが、意見が一致を見ない部分があまりにも多いということから、さような経過を経たものでございます。  それからただいま大出先生があげられました点は、この小委員会報告では、いま私が申し上げましたようにAを是なりとする意見、Bを是なりとする意見、またAを不可なりとする意見というものが、随所に併記をされておりまするので、いま申されたように一貫をして、たとえば生産者米価の算定に対しましては指数化方式をとるべきであるというふうに断定をした個所もございません。それから消費者米価についてコスト価格をとるべきであるとの断定をした個所もございません。しいて申しますならば、消費者米価というものは、食糧管理制度をとっておる以上は、コスト価格を考慮に置くべきであるけれども、一方において食管法の制約があって、家計米価の制約があるので、コスト価格によるべきであるという配慮をしても家計米価のほうが低いので、従来は家計米価できまっておるという注釈がついての、その注釈を除いたところの表現であろうかと思います。それからスライド制という問題も、それほど全面的に多数の意見であるというふうには書いておりませんし、またただいま先生が御指摘になりましたように、食管法上の規定は現在生産者米価と消費者米価は別個の条文であるので、これは両者の関係は断ち切られておるのだという主張をせられておる委員も、もちろんございます。また必ずしもそう厳密に分離をして考えるべきではないという意見も、一方においてあることは御承知のとおりでございます。したがいまして、農林省といたしましては、非常に長期間にわたって小委員会で御検討されまして、意見が比較的一致しておる部分も多々あるわけでありまするが、基本的にいまあげられましたような問題については、五つの点すべて完全に意見の一致を見ておらない部分でありまするので、これらの小委員会審議経過は、もちろん私どもの今後の仕事に重要なる参考といたしておりまするけれども、すべての今後の私どもやってまいりますことに、この小委員会報告を唯一のよりどころとしてやってまいるということには、必ずしも考えておりませんので、御承知おきいただきたいと思います。
  46. 大出俊

    大出委員 米価の決定権限は大臣にある。これは先ほど来大臣が強調されておるところですね。私は、だからこそ実は質問しているわけなんです。米審のこの小委員会報告もここに持っておりますから、いまおっしゃることよくわかっておりますが、ただしかし、それだからこそ、ますますもって混乱をする、いろんな意見が飛び出してしまう。結果的に、中心がない。そうすると、しまいには政治的にものが片づく。ただしかし、大臣は、その政治的な点については極力避けたい、それを押えたい、しかも混乱を避ける意味では、事前に調整というような形における、生産者団体と十分話し合って——話し合うという以上は意見の一致を求めるわけですから、そこまでやりたい、こういう意欲を持っておられる。そうすると、今日一体なぜ米価は、その決定にあたってかくのごとく混乱をするか。それを掘り下げていくと、米審の小委員会としてはまさに混乱そのままを表に出してきているということになると、農林行政という面で農林省が責任を負うのだから、農林省として何か明確なものを出していかなければ、これは諮問機関なんですから——いまのような御答弁だと、何か横のほうでちらっと見たんだ、いろんなことを言っているわい、こういうかっこうのままにしていったのでは、聞いてみると、農林省は米審におまかせした、こういう調子の話になったのでは、いつになったって大垣が言ったようなことにはならぬ。大蔵省が言っておる、それは雑音だ。それなら、雑音でないものが農林省になければならぬ。それは何かというと、ない、おっしゃろうとしない。それでは混乱はあたりまえだと私は思う。その混乱の原因に即して問題を考えた場合に、農林省としてどうあるべきかということが、なぜないのですか。
  47. 大口駿一

    ○大口政府委員 私の先ほどの答弁、若干ことばが足りなかったために御迷惑をかけたと思うのですが、この小委員会報告というものが一本にまとまっておるという形ですべてのことを律しておるわけではございませんということを申し上げたわけでございますが、もちろん毎回の生産者米価なり消費者米価を決定いたします直前には、その年の米価審議会を開いて論議が重ねられ、もちろんその論議の中には、この小委員会論議されたことも引用していろいろ御論議があるわけでございます。私ども事務的に算定をいたします立場からいたしますと、できるだけ米価審議会の中における御論議が一本にまとまることが望ましいわけでございますけれども、各こまかい項目については、若干立場の相違その他で意見が分かれるところもございます。しかし、毎回米価審議会に農林省の案をお示しいたします際に、私どものほうは一切腹案がございませんからという形で諮問をいたしておるようなことではございません。
  48. 大出俊

    大出委員 そうすると、農林省方針は一体どういうことになるのでしょう。
  49. 大口駿一

    ○大口政府委員 きわめて形式的な御答弁になって申しわけないことになるかもしれませんが、食糧管理法の規定に基づきまして、生産者米価を決定いたします場合には、再生産の確保を旨として決定をする、消費者米価を決定いたします際には、家計の安定を旨として価格決定を配慮するということで従来もやってまいりましたし、今後もその方針でやってまいるつもりでございます。
  50. 大出俊

    大出委員 食管法の一条から四条までの規定がございますね、その規定に基づいてやっていくというたてまえで、そこで諮問機関が、米審というものがつくられている、こういうわけでしょう。米審というのも、いまあなたのおっしゃる法律趣旨に基づいて検討するわけです、法律違反を出すわけにはいかないだろうから。そうでしょう。それは初めからわかり切っている。だからこそ、米審もそういう検討をしておるのだが、いろいろなことになっておる。混乱を続けておる。とすると、その法律に即して決定をする具体的中身というものについて、農林省がものを考えていなければならないはずです。あなたは、いまあるとおっしゃった。あるというのは法律の条文であるということになるとすれば、形式的な答弁になるかもしれぬとおっしゃるけれども、だからこそ混乱を招く。そこのところを大臣はどうお考えになりますか。それでは混乱をするのはあたりまえじゃありませんか。
  51. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 先ほど私が申し上げましたように、ただいま両方の事務当局同士は十数項目にわたる計算の基礎について、この点はあなたのほうはどう考えるか、うちのほうはこういうふうに考えるべきものであると思うというようなことをやっているわけでありまして、したがって、これがだんだん日を重ねてまいるに従って双方の考え方が明確になってまいると思うのでございます。そういうときに、やはりどこまでも二本のレールであるか、あるいはそこで折り合い得るかということでありますけれども、いまその作業の途中でありますので、どうぞひとつ御了承願いたいと思います。
  52. 大出俊

    大出委員 そうすると、いまのお話は、生産者団体との間でという意味ですね。ことしは生産者団体との間で、例年と違って回を重ねて十数項目にわたるものを中心に煮詰めていく、意見の一致を求めていくという形をおとりになる、こういうわけですね。そうすると、意見の一致を求められた場合にはそれで実施をされる、実施に移す、そういうねらいでおやりになるわけですか。
  53. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 いま申し上げましたように、二本のレールであるか、うまく折り合うかということは、これからだんだん折衝してみないとわかりませんけれども、なるべくならば折り合うように両方で検討してみたい、こういうことでやっておるわけであります。
  54. 大出俊

    大出委員 ことしは、諸般の労使関係につきましても、あるいは官業などにつきましても、だいぶ話し合いムードが前進をしておりますから、旧来そこらじゅう大騒ぎになってしまうのが、なかなかうまいぐあいに話がついてきている。このあたりでひとつ手腕力量を発揮していただいて——これは生産費所得補償方式なんというものは労働賃金とある意味では見合うという一つのものの考え方がありますから、今回は閣内、労働大臣内閣だといわれるくらい、倉石さんがおり、大橋さんがおり、福永さんがおりというぐあいで、元労働大臣がそろっておりますから、そちらのほうはよくおわかりの方々ばかりでありますから、ぜひひとつそういうことで、ことしは混乱を避けて、生産者の皆さんも納得をする、そういうかっこうの結論をまとめ上げる努力をしていただきたい、こう思うわけです。  あわせて消費者米価のほうについては、予算的に一四・四%のワクのようなものがあるわけでありますが、そちらのほうはどういうようになりますか。
  55. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 これもやはりその時期が来ましたならば、大体予算米価としてはこういうことであるがということで、米審と御相談をしてきめたいと思います。
  56. 大出俊

    大出委員 そこで、二、三点事務当局の皆さんに承っておきたいことがあるのですが、配給制度の手直しと感ぜられるものが一、二ありますが、たとえば徳用米にだけ準内地米を入れるのでなくて、普通米その他にも入れておるという現実等々、だいぶ配給制度の手直しと見られるものがありますが、どうお考えになりますか。
  57. 大口駿一

    ○大口政府委員 恐縮でございますが、いまのは手直しをしたというふうなことでございますか。
  58. 大出俊

    大出委員 手直しをした、手直しをしておるということです。
  59. 大口駿一

    ○大口政府委員 現在の配給品目は、上米、並み米、徳用米という三段階になっておりまして、上米は内地米の一−三等、並み米は四、五等並びに準内地米でやや品質のいいもの、それから徳用米はその他という大ざっぱな区分でやっておるわけでございます。したがいまして、並み米の中には、内地米のほかに品質のいいと考えております準内地米が入っておるわけでございます。  そこでただいまのお尋ねは、どのことをさして申されておるのか存じませんが、昨年の米の作柄が非常に順調であった、また集荷も非常に順調であったということから、消費者が、現在の準内地米の入っておる並み米というものを非常に好まないということが例年よりも顕著に出ておりますので、政府の手持ち米の事情等を勘案をいたしまして、並み米の中に混入と申しますか、並み米の中に含ましめております準内地米の比率を、夏場に向かって若干減らすという措置をとっておることをさして申されておると思いますが、そういう措置を現在とっておるわけでございます。
  60. 大出俊

    大出委員 昨年の一月から配給制度が改定されましたね。たとえば徳用米、普通米——普通米とわれわれは言っておるのですが、普通米に準内地米を相当大量に混入をして配給ルートに流す、こうやってこられたはずですよ。だから、それをもとに戻すのかということなんです、私がいま申し上げておるのは。と申しますのは、一つ間違うと、これは外米輸入の一つの受け入れ態勢のような感じがするという点とからむからです。  それからもう一つ、配給制度改善懇談会というのがございますね。この中で、デパート販売などをやってきましたね。あれは今日どうなっておりますか。
  61. 大口駿一

    ○大口政府委員 昨年の一月に改定をいたしました配給品目の改定の主たる内容は、それまで内地米の区分を特選米と普通米ということにいたしまして、特選米は内地米の一、二等、それ以下のものを普通米ということにいたしておったのを、新たに三等を入れたものを上米ということに改めまして、普通米から三等を上に上げて、残りを並み米という呼称に改めた。すなわち特選米というところを改めたことが主たる内容でございます。と申しますのは、内地米の一、二等ということにいたしておきますと、政府が実際に買い入れて売り渡しをし得る割合というものが非常に少ないのにかかわらず、最近の食生活の向上で、消費者がすべておいしい米をほしいという要求が非常に強いということから、特選米として売り渡した以外の米も、若干特選米とごっちゃに配給するという弊害が起きるということから、むしろ一、二等で限定をするよりは、やはり一、二、三等を含めた上米という項目を新設をしたほうがよかろうということでやったのでございまして、ただいま御指摘のような準内地米の混入割合というものに、特に手直しをしたわけではございません。それから、先ほど申しました、これから夏場に向かって準内地米の混入率をむしろ減らしておるわけでございまして、特に外国からの輸入政策との関連でやっているわけではないわけでございまして、消費者の希望、配給業者の希望、並びに政府の手持ち米の状況等をにらんで、実行でやっておる措置でございます。  それから、配給懇談会というものにおはかりをして御相談をした中で、普通外米の自由販売ということをおはかりをし、昨年の十二月から実はこれを実施をいたしておるわけでありますが、普通外米でもまた日本人の嗜好にもとのままではなかなか十分マッチしないということから、自由販売にいたしました後の売れ行きも、必ずしも、自由販売以前と比較をいたしまして、顕著な変化があったとは見られません。しかしながら、普通外米を何らかの加工をして、たとえばインスタントのカレーライスをつくるとか、そういうふうな加工の研究も現在進んでおりますので、それらが進んだ暁にはどのようなかっこうになるかということは、ちょっといま予測がつきませんが、外米そのままで、手を加えない状態の米の売れ行きというのは、自由販売の前とあとではさほど顕著な動きがないと、私ども理解をしております。
  62. 大出俊

    大出委員 配給制度のなしくずし改定ということばは悪いかもしれませんが、一つ間違うと、これは食管法の、法律そのものにもとってきますから、そういう点でいま御指摘を申し上げ、聞いてみたわけであります。  もう一点、米の生産についての作付面積等からいきますと、この数字を見ますと、三十六年からだいぶ減ってきておりまして、三十六年から四十年の間に五万三千町歩減少という数字がここに出ております。農林省統計ですが、これらの問題とあわせまして、食糧不足であるのかどうか。三十七年がおそらくピークだったと思いますけれども、そこらのところをどうお考えになっていますか。
  63. 大口駿一

    ○大口政府委員 米の生産が、作付面積は若干減っておりますが、それほど顕著な動きはないと思いますが、むしろ反収の伸びというものが最近頭打ちになっておる傾向は、私どもも憂えておる者の一人でございますが、ただ、昨年の四十一年産米は、作柄も全国的に平年作でございましたし、また、政府に対する集荷も、従来にない数量で、八百万トンをこしておるという状態でございますので、私どもはもちろんのこと、いま日本人の中で食糧不足という実感を持っておられる方はないのじゃないかというふうに考えております。
  64. 大出俊

    大出委員 このFAO、つまり国連の食糧農業機関の一九六六年の発表、年次報告等によりますと、東南アジアあるいはアジア地域においても、全体的な生産不足という報告になっております、一口に言えばね。そこで私は、ここでひとつ承っておきたいのは、米価決定とも関連をするのですけれども、農家の方々の生産意欲という点を、先ほど大臣もちょっと触れておられましたが、かつての河野構想以来いろいろな変遷がございますけれども、米というものの生産についていま新佐賀段階など——佐賀県のたいへん進んだものが出ておりますが、新佐賀段階に学べ、追いつき追い越せという問題もありますけれども、それらの問題とあわせてみて、佐賀県の知事さん以下が一生懸命やったということだろうと思いますが、一体農林省の基本的な方針として、米作というものに対するものの考え方——かつては米をよけいつくらぬでいいのだ、換金作物をつくれなんといった時代もあるのですから、この辺のところはどうお考えですか。
  65. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 過去においていろいろな経緯はございましたが、私どもは、あらゆる角度から勘案いたしまして、米作につきましては、全力をあげてその自給度を高めてまいりたい、こういう方針でございます。
  66. 大出俊

    大出委員 事前調整というところから農業諸団体、生産諸団体といろいろ話を煮詰める、こういうことで、基本的に米作というものは、その自給度を高める、こういうわけでありますから、ひとつそういう基本方針にのっとって、ことしはたいへんな混乱にならないように、とくと慎重な配慮をひとつお願いしたいわけであります。  ところで、これは行政管理庁に御出席をいただいておりますので、一点簡単に伺いたいのでありますけれども、総理が行管の松平長官をお呼びになって、公社、公団についての相当強い整理の方針をお出しになった。まことにこれはけっこうな話だと私は思っておるのであります。先般行管の皆さんに私は、倉石農林大臣が予算委員会において、行管が愛知用水公団に水資源その他を含めた調査においでになる四日ほど前に、愛知用水公団というものは存置をするのだ、将来は木曽川等々との関連でさらにこれはやっていくのだということをお答えになっている例を引いて、政府部内不統一ではないのか、どういうことになるのかという御質問を申し上げたことがあるのでありますが、当の倉石農林大臣おいでになるわけでありますから、愛知用水公団について、まずもってこれは六年前に終わっていなければならない筋合いのものでありますが、今日のこの段階でどうお考えになっておるか、承っておきたいわけであります。
  67. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 愛知用水公団は、御承知のように、地元はこの愛知用水公団の仕事のやり方について喜んでおるわけであります。そこで地元の岐阜、愛知、三重等の知事及びほとんどの国会議員諸君はもちろん、愛知用水公団が用水事業を行ない、そしてまたその維持管理についてきめこまかな施策を講じていってくれることについて、ぜひ現状のままで木曽川水系もやってもらいたいんだという要望が、しばしば地元から出ておるわけであります。臨調とか行政管理庁というような機関が、国家全体の立場から見て、行政を整理し、国費のむだを省き、事務を簡素化するというたてまえは、私どもも十分尊重しなければならないと思いますし、そういうことについて協力を惜しまないものでありますが、愛知用水公団につきましては、最近行政管理庁も再び調査団を派遣いたしまして、その結果の答えも八月中には出る模様でございますので、それらとも照らし合わせまして、私どもといたしましても善処してまいりたい、こう思っております。
  68. 大出俊

    大出委員 四月の二十日の衆議院の予算委員会におきまして大臣答弁している趣旨は、公団が建設中の豊川用水は今年度一ぱいで完成するが、私はぜひ愛知用水公団を残したいと考えている。そのすぐれた技術と経験をこれから木曽川の用水開発事業に生かしたい、こういう意味答弁をされているわけです。これは、愛知用水が終わったらいつの間にか豊川だ、これが本年一ぱいで終わったら、木曽川だ、こういういき方というのは、私はどうも納得できないのです。確かに愛知県知事桑原さんはしきりにそう言っておられるようで、政府要路の諸君とも話がついているんだと地元ではいっているわけですから、これは与野党を問わず、問題があるところでございまして、地元の諸君はそういう気になっていろいろ言うにしても、やはり筋は筋で私は通さなければならぬというふうに思っているわけです。いまの答弁を聞いておりますと、総理が前に出てものを言っておる時点ですから、最後のところが少し前回の答弁と違ったように思うのですけれども、したがって、そこらのところで私は念のために申し上げたいのですが、四十二年度で終わるんだが、大臣としてはなお今日木曽川のほうにというふうにお考えになっているのですか。
  69. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 愛知用水公団法の第一条かと思いますが、これには明確に木曽川水系の用水事業は愛知用水が行なうということに書いておるわけでございます。したがって、私どもはそういうそのままの計画で今日まで対処してまいったわけであります。先ほど御指摘のように、その後臨調、行管等からいろいろ勧告も出されております。政府としては、原則としてはできるだけ行管の趣旨に沿うように善処していかなければいけない、こういうことでありますが、その間に、やはり技術的に考えてみて無理な点は、こちらはもう一度行管当局とも慎重に研究をし直してみなければなりません。要は、やはりその行政を整理することによって所期の目的を達成することも大事であるけれども、そもそも用水事業などというものは一体何のために存在しているのかということを考えてみますと、やはり地元の農村の人々、そういう人々の利益をどのようにして農業立場から守っていくかということも非常に重大なことでございますから、そういう二つのことをひとつ相互に、同じ政府部内なんでありますので、持ち寄って、そして所期の目的は、つまり地方の用水事業を完全に成功させ、維持、管理をうまくやっていくということの目的がどのように達成されるかということ等も、これから十分——この間も管理庁は地元へ行って調査したはずでありますから、そういうことについて御意見がまとまれば、われわれのほうと協議をいたしたい、こういうことでありますが、現在のところはやはり愛知用水のすぐれた技術、これは水資源の人に聞きましても——水資源公団にもたくさん農林省出身の農業土木の技術者が行っておりますけれども、愛知用水につとめております農業水利関係の技術者は、地元の人々に非常に喜ばれている実績をあげておるのは御承知のとおりでありますから、こういう目的を阻害されないようにできるかどうかということを十分に検討してまいることは、やはり政府の責任ではないか、こう思っております。
  70. 大出俊

    大出委員 いまの答弁の中に、行管も再調査をしているということ、したがって、答申の延長、あるいはその後も行政監理委員会がありますけれども、答申の線に基づいて、それを原則として、こういうふうにおっしゃっていますが、したがって、再調査の結果がまとまれば、技術的な点等を含めて慎重に相談をしたい、こういうふうに受け取れるのですが、行管等の間で、そういう調査の結果に基づいての打ち合わせをおやりになる、こういうふうに受け取っておいていいわけですね。  そこで、もう一つあわせて承りたいのは、木曽川水系につきましては、国営事業でやっている面があるのじゃないですか。そこらの点はどうなっていますか。
  71. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 木曽川総合開発事業は、昨年度から農林省の直轄の国営事業で採択をいたしました。現在、農業用水のほかに若干電気とか工業用水に関係がございますので、関係府県との間で費用の分担のアロケーションの問題等を含めまして、実際の工事の施行の準備段階を進めている、こういう状況でございます。
  72. 大出俊

    大出委員 再度承りたいのですが、かつて八郎潟の干拓事業その他につきまして、国営事業でやってきたものをあちら側の公団のほうに移す、こういうことになって、先般の国会で、だいぶここで長い時間かけた経験があるのですが、その後労使双方で折れ合って、話し合いの結果まとまったということで、たいへん御同慶にたえぬわけですけれども、ひとつ間違って公団法第一条にあるから木曽川を、こう言い出すと、もともと成り立ちが成り立ちですし、片方は国営事業でやっているわけですから、そうなると、簡単に一条にあるのだからとなると、国営事業のほうはどうしてきめたのだ、こういう問題が出てくる。片方は水資源に一緒にしろといっている。ところが、水資源の中には農林だ、建設だとなわ張り争いが一ぱいあって、そう簡単にいきませんよ。となりますと、ひとつ間違うとそっちのほうに飛んでいってしまう。似たようなことが起こりかねない。そこで、私は先般からこの問題はそのことも含めて行管の皆さんに質問を続けているわけです。  そこで、もう一つここで明らかにしていただきたいのは、賦課金の問題です。行管の皆さん再調査されたそうですが、その後賦課金等の話し合いについては、地元でどういうふうになったのか。先般の御答弁では、縮小したけれども、なおかつ千円くらいしかとれない。たいへんな大赤字になるが、それは農林省に措置していただく、こういう答弁をいただいているのですが、そこらを含めて、もう一ぺん答弁してください。
  73. 稲木進

    ○稲木政府委員 賦課金の問題につきましては、当初の賦課の予定、これは反当約四万二千五百円ということに計画されておったようです。これは償還の金利も含めての金融でございます。それに対しまして四十年度から反当千円ずつを徴収する、こういうことでございます。四十一年度におきましても、同じように反当千円ずつで、この徴収金の合計額が四十年度、四十一年度で一億六千五百万という額が徴収済みになっております。こういうような私どもの調査の結果でございます。
  74. 大出俊

    大出委員 これは、水の恩恵を受ける農家の賦課金というのは、全部で約九十億円という算定で愛知用水公団が出発したわけです。それを、農地面積から割り出してまいりますと、十アール、したがって反当四万三千円、十四年償還、三十七年度から徴収する、こういう方針で進んできたわけでしょう。ところが、最初の計画の三万三千ヘクタールの受益農地、これを三万に縮めて、さらに、徴収年度については二万三千ヘクタールまで減らしたわけですね。だんだん減らしてきたわけですね。それでも、受益農家のつくっている改良区との関係で話がつかない。したがって、一万ヘクタールから十アール当たり年千円、こういうことになったということになるわけですね、筋道からすると。そうなると、九十億ということなんですから、これはたいへんな帳じりの合わない数字が出てくるわけであります。そこらのところを行管の皆さんはおっしゃらなかったけれども、先般の私の質問に対して、農林省に措置していただく、こういう相当強いお話があったわけでありますが、してみると、一体農林省のほうは、どうお考えになっておるのか。先ほどの点とあわせて答えてください。
  75. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 さっきお尋ねのございました定員関係、人間の配置関係でございますが、現在愛知用水公団は、五百六十二名ほどの職員を持っております。基幹事業が完了いたしますと、これらの技術陣の手がすいてまいりますので、もしお話しのように木曽総合の事業を公団で実施をいたしましても、現在の陣容で十分やっていけまして、そのほかに新規に人員を加えなければならない事情にはないと思います。裏返して申し上げますと、一つ実例を申し上げますと、本年四月一日に国営で採択いたしました両筑用水という九州の事業を四月一日から水資源公団の事業のほうへ移したわけでございます。その場合にも、そのことを理由に農地局の定員を減らすということはいたしませんで、本年の定員が編成されております。木曽総合、先ほど申し上げましたように、現在まだ実際の工事に着工いたしておりませんので、事業所の職員も二十名程度でございますが、もし移すようなことがございましても、先ほどお話もあり、昨年もいろいろ審議いただきました八郎潟の例もございますので、そのことを理由に農地局の定員を減員しないような方向でいきたい。と申しますのは、それ以外にも、来年度以降新規に着工いたさなければなりません国営の地区が多々ございますので、そういうところへの配置がえで処理できるというふうに考えております。  それから、二番目の賦課金の問題でございますが、これは先ほど数字をおあげになりましたが、概数としてはおっしゃるとおりの数でございますが、問題は二つございまして、一つは、賦課をいたしました三十七年には、二万三千ヘクタールということで賦課をいたしたのでございます。その当時は、まだ水の利用による農業経営の有利性等について十分地元の理解が深まりませんままに、負担が重過ぎるというようなことで延び延びになってまいっておりまして、先ほど行管からお話がありましたように、一昨年、昨年と、とりあえず千円ずつ納入されたわけでございますが、特に昨年の納入の際には、土地改良区の総会の決議として、とりあえず千円納めるけれども、近い将来正式に話がまとまればその分は追加して納入いたしますという話し合いになっております。現在地元のほうでは、水を利用しておりまするものとしては納入する空気ができてきておりますので、そういう空気をつかまえまして、今後地元とも話し合いを詰めまして、必要な追加額を徴収し、またそれに合わせて徴収していきたいというふうに考えております。特に、やはり土地改良事業でございますので、愛知用水の事業だけ地元分担金について特例措置を設けるということは、土地改良事業全体の制度をこわすことになりますので、私どもとしては、規定の筋は変えずに徴収をしたいと考えております。そうして世銀借款なりあるいはその他の預金部資金等々の償還を年次的にやっていきますことは、愛知用水公団と農林省との共同責任だ、そういう方向で、一応地元のムードも盛り上がってまいりましたので、そういうふうにしたいと考えております。  もう一つは、その後御承知のように、非常に日本の経済事情が激動をいたしましたため、当時予想いたしました指定地域の中に、相当多数の兼業農家あるいは農業をやめるような人が出てまいりまして、おれはもう水は要らないのだというような連中が相当出てまいりました。その連中の分を水を使います人に上乗せして賦課をするということは、地元負担として非常に多額になって問題がございますので、受益をしない面積に見合う分をどのように考えるか。それに基づいて水の使用料が減ってまいります。また、名古屋市周辺の都市化の傾向による都市用水、工業用水の需要も、愛知県から非常に強く言われておりますので、県も工業用水あるいは都市用水に農業用水を振りかえることとの見合いで、そういう賦課金の問題を解決しなければならないという、もう一つ複雑な問題もはらんでおりますので、それも地元の愛知県と話し合いを詰めておる、そういう状況でございます。いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、愛知用水公団としても、また私どもとしても、やはり賦課金を全体の制度として本来のルールに合わして徴収して、世銀その他への借款を計画的に返していかなければならない、そういう責任がある、そういうふうに考えております。
  76. 大出俊

    大出委員 地元の新聞あるいは中央の新聞等が伝えるところによりますと、そんな高い水は買えないとか、あるいは恩恵を受けていないとか、ずいぶんたくさんの関係農家の諸君から、賦課金は払わないという空気が相当広範にわたってある。したがって、皆さんがおっしゃることとだいぶ違う。行管の皆さんに前に質問したときに、私が言ったと同じようなことを言っておられた、調査に行かれて。なお細部調査があがってくると言っておられた。したがって、そこらは大きく食い違うわけですね。行管の皆さんは細部の調査があがってくるというふうに言っておりましたのですが、その後どうなりましたか。
  77. 杉浦滋

    ○杉浦説明員 再度の調査でございますが、これはただいま実施中でございまして、逐次その結果をまとめておるわけでございますが、御指摘の問題につきましては、ただいま農地局長からも御答弁がございましたような方針でいろいろ公団のほうでも努力されておるということは、実地に私ども見てまいりましたけれども、今後またどういうふうにしたら一番いいかというようなことにつきましては、なおいろいろ検討すべき余地があろうかと思いますので、その点慎重に調査結果を取りまとめ中でございます。
  78. 大出俊

    大出委員 どうもこの間私が質問したときからいままでの間に、農林省に行管のほうが歩み寄った感じがするのです。総理が前に出てきたから、この辺でまとめなければぐあいか悪いというので、政府部内が不統一ではいけない、統一しようというふうに動いておるような気がするわけですが、その点どうも解せないのです。しかし、大臣が先ほど言っておったように、先般の予算委員会答弁で、木曽川のほうにという強い御発言がありましたが、いまのお話によりますと、そうではなくて、再調査もされておるようでありますが、慎重にひとつその結果を見て相談したい、技術的な点についても十分話し合いたい、こういうわけでありますから、その辺でだいぶ変わってきておる。原則として答申の線でということでありますから、そういう点で、行管のほうもひとつあんまりおとなしくならぬでやっていただきませんと——長官がいないからしょうがないけれども、あんまりおとなしくなって、農地局長がいまおっしゃいましたようになんて言っていてはうまくないので、現実にはどうも賦課金が取れそうもないので農林省に措置していただきますなんと言っていたんだから、あまりたおやかにならぬでやっていただかぬと、行管の存在価値を失いますよ。そこらのところを御指摘を申し上げておきたいと思います。  そこで、時間の関係もありますから……、たしか七つばかり指摘を受けている公社、公団が農林省にはある。例をあげれば、魚価安定基金であるとかあるいは日本てん菜振興会とか、幾つもあります。魚価安定基金なんというのは、サンマだけですね。最近とれない。そうなると、安定基金も何も——これはずいぶん長くなりますから簡単に申しますが、全く意味がない、どこから考えても。私どもはそう考えるわけであります。蚕糸事業団の場合にやはり同じことが言えたわけでありますけれども、これはこの間法律的な手直しが行なわれております。このサンマの場合も、同じ意味だと私は思うのです。蚕糸だって、シルク王国じゃなくて、輸入ばかりしているところへ、一定の数量の何俵というのを蚕糸事業団で買うというわけでありますから、あれも全くふざけた話でございますから、同じようなたいへんな国の資金のロス、こう考えなければならぬと思うのです。また、てん菜糖のほうにいたしましても、研究はしているのだけれども外国品種のほうがいいなんということで、てん菜振興会のほうで新しい品種がどんどん出てきて、そこで効率があがっていったなんということはさっぱりない。そうだとすると、これもまた当然どこかに統合すべき筋合いである、こう考えなければならぬと思うのです。いまあげました、蚕糸のほうは一応ああいう法律的手直しが出ましたのでさておきまして、二つの問題について、ひとつ簡単に御答弁いただきたい。どう考えていますか。
  79. 桧垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 てん菜振興会につきまして、臨調の答申では、同振興会は御承知のように主としてビートについての育種研究を中心にした機構である、ところが、これを国の試験研究機関と特に分離してやる必要はないのではないかという御指摘があったわけでございますが、これは経過的にいろいろな問題がございますけれども、要するに、わが国でビートの研究というものは、国の試験研究機関の中でも非常に弱体な研究しか行なわれていない実情であった際に、これを急速にわが国に適した品種及びその栽培技術等を確立する必要がある。同時に、開発された品種については、普通の試験研究機関が行ないません増殖事業もあわせてやるということで、そこに特色を持たせまして特殊法人をつくったわけでございます。そういう意味では、今日までいろいろ研究を重ねてまいりまして——新しい品種が全然出ていないというお話でございますが、私も専門家でございませんからその品種について具体的にあげることがこの場ではできませんけれども、最近一、二のわが国に適した品種の作出にも成功をいたしておるのでございます。それの増殖配付に入ろうとする段階でございます。これを国の試験研究機関に統合することが効率的であるかどうかは、なお、そういう事実にかんがみまして、農林省としても慎重に検討いたしたいという考えでございます。  魚価安定基金につきましては、これは答申の内容では、農林省所管の農水産物について総合的な価格安定機構というものを考えて、その中に畜産振興事業団及び魚価安定基金の機能を統合すべきであるという、非常に大ざっぱに言いますと、そういう答申であったわけでございます。この点につきましては、魚価安定基金が、御承知のように多獲性大衆魚というものの不時の増獲といいますか、水揚げの多い時期に、そのために魚価が暴落することを防止するという意味でできたものでございますが、魚価安定基金のような、水産物の需給の調整、価格の安定という機能と、畜産物についての価格安定機能その他の事業を行なっております畜産振興事業団を合併させることが——こういう機能を行ないますときには、私どもの経験では、それぞれ専門的な当該生産物ないし商品についての見道しなり判断なりというものについて、適時適切に運用されることが必要である。そういう際に、異質のものを、非常に質の違うものを統合することについては、これはまた、私は形式的に統合することにもそれなり意味があろうかと思いますけれども、問題があるという点は率直に申し上げざるを得ないというふうに考えております。魚価安定基金それ自体として今後どういうふうにやっていくかということは、答申の根本的な御趣旨にも沿いつつ、私どももまじめに考えていかなければならぬというふうに考えております。
  80. 大出俊

    大出委員 担当でない方が御答弁だものですから、どうも適時適切な御答弁で、まことに痛み入るわけです。これはだいぶ調べましたけれども、専門でない人に詳しく聞いてみても、ますますわからなくなるのだろうと思うのです。新種なんと言ったって、わからないというのだから話にならぬと思うのですけれども農林省がえらくおこったというので、何とか新種をつくらなければならぬというので、てん菜振興会が一生懸命やっていると聞いております。これは話にならぬと思うけれども、まあ適時適切な御答弁と聞いておきます。  ところで、やはりこれも実態がないのですからね、サンマの点なんかも。そういうものは、やはり行管の指示のように、整理すべきものはしなければいけないでしょう。またその中身のほう、これはどういうふうに趣旨に沿うように発展させるかは検討事項だなんて、設立の目的があるのですから、その目的とするものがないのですからね。そうだとすれば、それをまた新しく何かひっつけてなんかという、そういう考え方はよくない。時間の関係がありますから、先ほどの大臣答弁と同じように、これまたひとつ行管のほうと、調査の結果に基づいて十分慎重な討議をしていただきたい。  そのほか、畜産物のほうもありますし、いろいろありますけれども、担当の方もおいでになりませんようですから、一括して公社、公団のほうは、そういうことでひとつ進めていただきたいと思います。  それから、植物防疫の関係で、アメリカシロヒトリだなんだというような害虫が入ってきて、特にアメリカシロヒトリというのは、公園の緑地を食う云々というので、ずいぶん大がかりで世の中じゅう騒いで、子供まで知っているということになったわけでありますが、林野を含めまして、あれにどのくらい予算を計上してお使いになっておるか、防除、駆除のほうに。
  81. 森本修

    ○森本政府委員 アメリカシロヒトリの防除につきまして、数年来種々の助成その他をやってまいりました。最近の四十年以降は、主として自主防除ということで、それぞれ植物を管轄あるいは管理しておりますところの主体において防除をしていただいておるということで、ここ一、二年来の防除に支出いたしました経費は、一年間で約四百万円程度でございますが、それ以前におきましては、薬剤費あるいは人夫賃、燃料等につきまして、それぞれ地方に補助を数年いたしております。数年いたしました累計は、約六千八百万円ということでございます。
  82. 大出俊

    大出委員 六千八百万もかけて防除に当たる、これはたいへんなことだと私は思うのですが、その他いろいろ加えると六千八百万で済んでいるのかどうかもわかりませんが……。  ところでもう一つ承りたいのですが、ミバエという果実を食べるハエ、これも最近だいぶ、三百何十頭なんていう数字が出てきておりますけれども、これらはどういうふうにおとりになっていますか。
  83. 森本修

    ○森本政府委員 ミバエにつきましては、植物防疫法上、そこのミバエが発生いたします地域からの植物の輸入は禁止をいたしております。したがって、国内においてはほとんど発生をしていないという状況でございます。
  84. 大出俊

    大出委員 バローイングネマトーダという、ミカンネモグリセンチュウ、こういうのだそうですけれども、これらもだいぶ危険な状態になりつつあるというふうに承るのですけれども、この点は皆さんのほうでどうおとりになっておりますか。
  85. 森本修

    ○森本政府委員 ミカンネモグリセンチュウにつきましては、最近ハワイからアメリカに輸出をされます植物にかなり付着をしておるという情報を得ましたので、たしか昭和四十年だったと思いますが、植物防疫法上、そういった地域からの植物の輸入は禁止をしておるという措置をとっております。ただ一部、御案内のように、ハワイから八丈島へ植物が入ってきまして、それに付着をして八丈島に発生をしておるというふうな情報を得ましたので、特に八丈島につきまして緊急防除を実施するということで、現在実施をいたしております。
  86. 大出俊

    大出委員 ジャガイモガというががオーストラリア軍の食糧なんかに付着して入ってきて、呉から西日本一帯に今日すでに広がっているということがあるわけですが、これらはどういうふうに処理をされていますか。
  87. 森本修

    ○森本政府委員 ジャガイモガにつきましては、昭和二十九年から四十年まで緊急防除を実施いたしたわけでございますが、最近におきましては、東海以西、若干まだ残存をいたしておりまして、そういった発生いたしております地域の周辺におきまして防除を実施いたしておるわけでありますが、国といたしましても、薬剤費あるいは指導費等につきまして、若干の助成をいたしております。なお、天敵等が効果的であるということで、それについても増殖をし、被害の軽減につとめておる、こういう状況でございます。
  88. 大出俊

    大出委員 そこで、全体的なことを承りたいのですが、今日の植物防疫の全体をながめてみて、皆さんの側で、不十分な点、あるいはこうしようと考える点等々がなければならぬと私は思うのですが、どういうようにお考えになっておりますか。
  89. 森本修

    ○森本政府委員 植物防疫のやり方につきましては、御案内のように、国際的な植物防疫条約というものがございまして、もちろん日本も当然この条約に加盟をいたしておりまして、ほぼ国際的な条約に基づく、あるいはそれの方法によりまして防除いたしておりまして、技術的には、国際的に見ても、日本の植物防疫体制はかなり整っておるというふうに思っております。ただ御案内のように、最近輸入の植物は、木材にいたしましても、あるいは穀類にいたしましても、かなり増加をしてきておる、そういう関係がございまして、増加する植物の輸入に対応いたしまして、どうして検疫体制を即応していくかということが、当面必要だというふうに思っております。
  90. 大出俊

    大出委員 たとえば羽田支所の業務年報みたいなものだとかいろいろ資料を集めて私ここに持っておるのですが、国際的に見て、あれだけたいへん混雑をするところで、その衝に当たる支所の皆さん方、何名くらいおるのですか。
  91. 森本修

    ○森本政府委員 羽田支所は、御指摘をまつまでもなく、空港といたしまして、最近入港の機数あるいは入国の人の数も相当増加をいたしております。それに応じて植物防疫のほうでも検疫件数を増加してきておるわけでありますが、私どもとしましても、そういった植物の検疫件数の増加に対応いたしまして人員をふやしてきておるわけでありますが、四十一年度現在におきまして、全体の人員といたしましては十六名羽田支所におります。
  92. 大出俊

    大出委員 これは十六名でやれったってできる中身ではないですね。私は、年次別出入国機数から始まりまして、人員から勤務の状態、夜間勤務の状態、それから郵便局との往復の時間、全部ここにずっとあるのですけれども、これを見ると、たいへんなんですね。三十七年の一万二千八百二十機というのが四十一年で二万六千三百九十八機、機数もたいへんなふえ方であります。それから人のほうも、三十七年に三十八万八千五百十人、これが四十一年では九十三万四千三百五十六人、これはもう倍どころの騒ぎではない、急激にたいへんなふえ方をしておる。したがって、これは毎年三〇%ぐらいずつふえてきておるわけですね。たいへんなふえ方になっておる。将来は大型機も羽田には発着をする、こういう構想があります。そこへもってきて、いまのお話でいくと十六名だという。はたしてこれは十六名でやれる筋合いかどうかという点を——これは担当の皆さんも、たいへんなオーバー労働を私どもに訴えている。直接いろいろと聞いてみましたがね、とてもじゃないが、これはやれない。しかも、それでもし一つ間違えば——携帯してくる禁制品、くだものあるいは種子、苗等々、たくさんあるわけですが、それらを一々やらなければならぬ。しかも先ほどのミバエなんていうものは、これは飼育期間なんかきまっているのじゃないですか。まずそれを承りたい。ミバエを発見した場合に、具体的にどういう処置をとるのですか。——現場の仕事を知ってくださいよ。
  93. 森本修

    ○森本政府委員 ミバエが出まして検疫をいたしますときにあたりましては、一定の期間一定の器具で培養いたしまして検査をしておる、そういうことでございます。
  94. 大出俊

    大出委員 これは人の問題、定員の問題がまたからみますから、そういいかげんでなしに、飼育期間がこれこれで、どういうふうに飼育するんだというふうに言ってください。そんなことを言われてもわからぬ。
  95. 安尾俊

    ○安尾説明員 ミバエの検査につきましては、ただいま農政局長から御報告ございましたように、問題となります植物を二十五度の定温器に入れまして、一週間から、場合によっては一カ月の間ここで飼育をいたしまして、虫の有無を検査をいたします。
  96. 大出俊

    大出委員 これはわずかな人間で——一定の温度を保たなければ死んでしまうのですから、いろいろやるものをやって、一定の温度で飼育するわけですよ。たいへんに手がかかる。標本をつくるのでしょう。そうでしょう、御存じでしょう。そこまでやらされたんじゃ、とてもじゃないが、できないですよ。ミバエ三百七十頭発見、こう書いてあるのです。きまっているのですから、みんなそれをやらなければならぬ。そうでしょう。これはさっきも言ったミカンネモグリセンチュウ、バローイングネマトーダとか何か出てくるたびに、それぞれの規定に基づいてやらなければならぬ。その仕事をいまのお話のように十六名でやれといっても、やりようがないのですよ。だから、言うならば、羽田空港というのは、そう言っちゃ悪いけれども、ある意味では野放し状態だ。必死になって十六人の方々ががんばってやっている。それで、一つ間違ってアメリカシロヒトリが入ってきてしまえば、それだけでさっきお話がありましたように六千八百万も吹っ飛んじゃう。これは皆さんのほうが手当てしている中身ですから、そのほかの自治体その他がやっているのを加えたら、たいへんな金、そういうことにしたのではこれは困る。してみると、そういうことにならぬ前に何らかの手当てをしなければならぬ。どうするか、人をふやすより手がないじゃないですか。防疫体制というものを、もう少し人の面で強化する以外に手がないんじゃないですか。そこらをどういうふうにお考えになりますか。
  97. 森本修

    ○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、全般的に輸入量が増加をしております。そこで、私どもとしましては、検疫の能率化といいますか、そういうことについても、従来種々配慮をしてきておるわけでございます。たとえば、これは羽田空港のみではございませんが、港湾におきます植物検疫の問題でもございますが、各種の機械器具類を新しく購入をして配置するといったようなこと、あるいは消毒の方法につきましても、できる限り能率化をするというふうなことで、各種研究、また実施をしております。また機動力を強化するというふうなことで、あるいは事業用の自動車とか二輪車といったようなものを各地域に配置をして、できるだけ能率的に検疫業務が進められるようにということで従来努力をいたしておりますが、何ぶんにも輸入数量が極度に増大をいたしておりますので、そういった検疫方法の能率化だけでは対応がし切れないという面もございます。したがいまして、ここ最近は、あるいは設置法等におきましてもごらんいただいておりますように、事情の許す限り、できるだけ人員の配置についても増員をするということで対処をしてきておるつもりでございます。
  98. 大出俊

    大出委員 そういうていさいのいい答弁をなさらぬで、大蔵省もあるので——先ほど、大蔵省は雑音だと倉石大臣はおっしゃったけれども、雑音などということはあまり気にしないで、必要なものはふやさなければだめですよ。行管が一番けしからぬと思っているのです。何でもかんでもスクラップ・アンド・ビルド、何かふやそうとすると、片方を減らして持ってこいということで、みそもくそも一緒なんだ。そういうことをすると、かえってものごとの筋が通らない。必要なものは必要なんで、一応おやりにならなければしようがない。害虫がやたらに入ってきて、あとになって大騒ぎするなんてばかなことをやっている。これは社会主義の国へ行ってみたのですが、新潟からの第六次帰国船を清津で迎えて、そして記念にサクラの木を五十本大成公園の広場に植えようとした。そのサクラの木も、めったなことでは検査が通らない。たいへんな検査ですよ。町の木をながめてみたって、みんな消毒薬があらゆる木にちゃんと塗ってある。だから、外から入ってくる害虫については、徹底的に検査をして、そうなっておる。私はそれがほんとうだと思うのですよ。そう思うじゃなくて、それが正しいと思う。ところが、日本の場合には、まことにいいかげんなんです、この点は。あれだけの羽田の国際空港で、十六名なんということでやれるはずがない。だから、勤務態様を見てみると、何交代のたいへんな勤務状態です。これは私もそのほうの専門屋だからだけれども、とてもじゃないが、これでやっていけるのは超人です。服務表が全部ございます。私もその方面の出身だからよくわかっておるのだけれども、これでやれるなら——夜勤、日勤、明けに分けまして、これはたいへんです。十六名で差し繰るのだったら、穴があいてしまう。それであなたのほうは、その標本にするまでの飼育期間なんかも御存じない。そういうことでは、やはり現場にしわが寄って、苦労をするだけですね。だから、それの足らないところは足らないと率直にお認めにならないと、ものごとは前へ進まない。だから、足らないがごときことを言いながら、結果的には努力中でございますなんということを言うから、一生懸命にもっとふやしたいと思っておるのだけれども、大蔵省に削られてどうにもならないのだ、実際にふやさなければしようがないならしようがないとおっしゃったらどうですか。
  99. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 植物防疫につきましては、いま農政局長が申し上げましたように、万全を期して努力はしておりますが、何しろ御承知のように、出入りの激しい、だんだん数がふえてくる。同じようなことが動物防疫にいえるのでございまして、実は横浜の動物試験場でも、獣医が定員より一名足りないということですが、それを補充したくても、われわれが納得できるような技術をわきまえておる獣医を入手するのがなかなか困難であるというふうなこともございますが、御指摘のとおりのことを、実は農林省内でももっぱら関係局部長から申し出があるのでございまして、この点につきましては、来年度予算においては十分考慮して、当局と折衝をいたして、万全を期してまいりたい、こう思っております。
  100. 大出俊

    大出委員 私が申し上げようと思ったことを先に大臣おっしゃられて、どうも大臣のほうが少し局長より詳しいのじゃないかと思っておるわけなんです。いまのあとから申されたことは、横浜の磯子の八幡橋というところに、お説のとおりに動物検疫をやっておるところがある。これは橋のたもとに馬その他の水飲み場がありまして、馬の飲料水と書いてある。そういう変わったところです。ところで、そこでやっておる方は、ホルマリンを消毒するのに使いますから、もう体内に浸透しちゃうのですね。これは肉体的に非常に害の多い劇薬を使います、そういう職場ですね。それからいまの羽田に限らず、植物検定、穀物検定の例からいいますと、船の薫蒸などというのをやるわけですね。私横浜で、選挙区ですから、よくわかっておるのですが、ハッチの下まで行って、ふるいで穀物をふるって——港湾の沿岸労働者、船内労働者と同じですよ、スタンバイするハッチの下まで行って、ふるいでふるって、ないか調べて、あと薫蒸器でもってぶっと吹き上げて消毒する。ところが、その消毒を一ぺんやると、何か炭酸水みたいなものを飲まないとからだに非常に悪い、こういうことなんですね。そういうふうな点について、クロールピクリンだとかあるいはメチルブロマイドなどというものを吹きつけて消毒をする。ところが私、横浜の穀物検定に行ってみましても——私はよく行っちゃしゃべってくるんだけれども、行って見ても、ここも人が足りないし、どうしようもない。何をやっているかというと、船は不定期に入ってくるわけですから、朝出かけていってまず薫蒸をやる。やってから証明書を出すわけです。それらの事務作業を検疫官が自分でやるわけですね。そうすると、どうしても時間外労働なんですね。時間外労働なんだけれども、満足に手当は払われていない。私、聞いてみると、自主的におやりいただいていると言わんばかりのことを言って逃げる、こういうことですね。隣の税関なんか、月額二十五時間ぐらい超勤予算がついているのに、片方は十五時間足らず、十時間からそこに差がある。やっていることは、例の税関吏が行く前に行って、ハッチの下まで行って、ふるったり何かやらなければならぬ仕事、こういうことですね。そういう点からいくと、決定的に足りない。そういう状態を局長さんの立場で現実に見ていただいて——実際やりきれたものじゃないですよ。私は、地元で仲がいい方々ばかりだから、よく知っている。羽田にしてもそうです。もう一つ、さっきお話あったから言うけれども、最近アラスカやなんかからどんどん木材を輸入するでしょう、日本の木材には限りがあるので。そうすると、木材の指定港が方々にできる。大分でも今度そんなものができる。そうすると、指定港ができたはいいけれども、出張所がそこへ一つできる。一人なんですね。一人ではたして定員かと言いたくなるぐらいなんですが、一人で、おまけに所長兼事務員兼小使までみんな一人でやる。そういうことでは、これは万全を期しておりますなんて大きなことを言ってみたって——先ほど、内閣委員長の地元のほうにもできるそうだけれども、一人ですよと言ったら、いや一人だという話、これではとてもじゃないが、やられたものじゃないですよ。そういう点こそ私は国の行政の面で力を入れるべきところだ、こう考える。だから、せっかく大臣お話を承って、その点はまことに前向きの御答弁なんでありがたいと思っているのですけれども、どうかそういう点をお考えいただいて、もうちょっと皆さんのほうで現場を知っていただいて、そして人を思い切ってそこにふやす、こういう御努力をいただきたいのです。いまの例の木材の輸入の指定港の問題も、穀物検定や何かの問題も、羽田の支所の防疫問題も、あるいは動物検定の問題も含めて、もう一ぺんはっきりしてください、大臣がせっかくそこまで言っておられるのですから。
  101. 森本修

    ○森本政府委員 御指摘のように、木材等が最近かなり輸入が増加し、また輸入個所もふえてきております。そういう関係から、できるだけそういった需要のある港に対しては人を配置したいということで、ある意味ではそういった需要と輸入の関係で、先ほど御指摘のような人員の配置をいたしたわけでございます。ただ、御指摘がありましたように、配置の状態としては、必ずしも正常な状態とは思っておりません。したがって、四十二年度予算におきましても、そういった地域については、一部複数に配置をするというふうなことで漸次体制を整備したいというふうに思っておるわけであります。なお、大臣お答えもございましたように、私としましても、できるだけ防疫所のそういった面の整備については、今後前向きに努力をしたい、こういうふうに考えております。
  102. 大出俊

    大出委員 大臣に御答弁いただきましたのでそれでいいようなものですけれども、気になるものですから重ねていま質問したわけですが、私も、実は現場でいろいろ聞きまして、詳しく調べてみたのです。確かにそれは泣き泣きやっているんですよ。ですから、そこらはひとつ御調査をいただいて、ぜひそういうふうにお願いをしたいわけです。最近五カ年間の輸出検疫量の変遷などをとってみましても、穀物類その他、三十七年を一〇〇とした場合に、四十一年では輸入食糧等の増加の関係で三一九〇という数字になっているんですね。非常にふえているわけです。ぜひそういう点等を御検討いただきたいと思うのです。  それからもう一つ、尾崎さんにおいでをいただいたのは、薫蒸手当を三十七年に参議院の鶴園委員その他がいろいろ苦労をされてどうやら日額六十円という数字——ところが今日私、質問しようと思っているやさきに人事院がお出しになった人事院規則九−三〇を見ると、第十四条に「有害物取扱手当は、次の各号に掲げる場合に支給する。」とあって、そうしてこちらのほうで「人事院規則九−三〇(特殊勤務手当)の一部を次のように改正する。」ということで六十円を八十円にする。そうすると、三十七年から本年までたっているのに、日額六十円のものを八十円にするというのは、一体いかなる根拠に基づいたのかということを詳細に承りたい。  それからもう一つ、羽田の支所のような、こういうところの夜間作業をろくな手当ももらわないで、超勤ももらわないでやっている、こういう交替制勤務、特殊な業務について、手当がないということは、私は不合理きわまると思う。このあたりは一体どう考えているのか。いまここに間に合っていないんなら、人事院勧告の時期も近いですから、早急に御検討いただいて、今日バローイングネマトーダとかミカンネモグリセンチュウが入ってきたら、日本の柑橘類が全滅するといわれている世の中に、かつミバエなど三百七十頭もあらわれている世の中に、十六名なんてばかげたことではほっておけない筋合いなんだ。やはりそういうところに無理を重ねて検疫に当たっている諸君に対しては、格段の皆さんの御配慮をいただかぬと仕事が前進しませんよ。あぶなくてしょうがない。そういう点、あわせて御答弁いただきたい。
  103. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 有害物取り扱い等の作業に従事する職員につきましては、現在特殊勤務手当が支給されているのでございますが、これは昭和三十七年に大きな改正を行ないまして、その後情勢がだいぶ変わっておりますので、今回改正をするということにいたしたのでございます。その後三十七年以降における給与水準の上昇の程度、それが約三割強でございますけれども、その関係、それから他面におきまして、同種につきましての民間における作業に対しましてどの程度の手当が支給されておるかということを調査をいたしまして、その両者を勘案をいたしまして、今回三割程度の引き上げをするということで、今年度予算に盛り込みまして、すでに実施をしているところでございます。今後もそういう情勢の変化につきましては十分注意をいたしまして、改定につきましては怠らないようにいたしたいというように考えておるのでございます。  なお、交代制勤務者につきましては、現在いろいろ問題がございまして、最近のように労働事情が逼迫してまいりますと、どうしても夜間勤務等につきましては相対的に不利な作業ということになるものでございますので、これにつきましては、特に今後十分注意をして、処遇の改善あるいは労働条件の改善ということに注意してまいりたいというように考えておるのでございます。それにつきまして、現在わがほうの職員局におきまして、交代制勤務に従事しておる職員につきまして調査をいたしておりまして、現在約三万七千名ぐらいの職員をつかんでおります。そういう関係につきまして、いろいろなタイプがございますので、それぞれに応じまして、処遇及び労働条件の適正化ということで、適応した措置を講ずるように今後さらに調査を継続したいというふうに考えております。
  104. 大出俊

    大出委員 たいへん前向きなお話をいただきましたので、私深く追及いたしません。と申しますのは、四月一日で改定をされてしまったものをいまここでさらにと申し上げても——さらにと申し上げる理由は十分あるのですよ。これは薫蒸を終わって帰ってきて、サイダー一本飲んだって消えちゃうんですね。そうでしょう。とてもじゃないが、肉体的にその種のものを飲まなければいけないです、劇薬を使いますからね。クロールピクリンというものはそういうことになっておる。そうすると、どうしてもこれはやはり必要なんですね。そうすると、かつて三十六年に問題になって、三十七年に手をおつけになったけれども、あまり当時人事院の皆さんは御賛成でなくて、あまり国会筋がやかましいことを言うから、しかたがないということでおつけになったように私は歴史的に聞いている。聞いているのだけれども、ここまでくると、世の中穀物検定というものも必要になってきているんですし、しかも輸入食糧、これはいま御質問する時間がありません、資料はあるけれども、私が言ってもしようがないので聞きたいのですけれども、たいへんなふえ方です。そうなると、人のほうはふえてない。どうしても回数はふえる。だから、昼間事務をやっているひまがないから、薫蒸だけやってさておいて、夜になってから安全証明書その他をつくるための事務をその本人がやる、こういうことです。そうすると、相当なことをそこで考えておかなければ、肉体的に再生産ができない、そういうわけなんですね。ですから、ここのところはそういう点によく注意をされて、これからひとつ検討するとおっしゃるのだから、それはそれなりにいますぐといっても無理でしょうから、十分そこのところは御検討いただく。それから羽田の例をあげましたが、その種のことについても、その種の諸手当を十分御検討いただく。こういうことで前向きに進めていただきたい。この点私お願いを申し上げておきます。農林省関係方々のほうもおそらく異存はないと思うのですが、いかがですか。
  105. 森本修

    ○森本政府委員 御指摘のような事情でございますので、私どもとしましても、できるだけそういった点について今後検討し、努力をしていきたいと思います。
  106. 大出俊

    大出委員 大臣の時間が一時までというお話だそうで、たいへんお忙しいところでございますから、残った点はあとで皆さんのほうとまた相談をさせていただきます。  実は行政管理庁がいなくなってしまったからしようがないのですけれども、地方農政局について非常に膨大な——「行政監察月報」の七十八、昨年の三月、これを見ていただくと一ぺんでわかるのですけれども、一〇ページから始まりまして一一、一二、一三ページまであるのですが、たいへん膨大な指摘事項が出ているわけです。農民なき農政といわんばかりの中身でございます。これはどうしても何点か明らかにしていただかなければならぬ重要な問題がございます。これらの問題だとか、それからもう一つ、統計事務の面につきましては特にたくさん問題がありまして、これは行政管理庁の指摘もありますしいたしますので、何となく統計事務の皆さんのほうでは、職場におって、特に流通統計、それから機構問題を取り上げられて、行政部門に持ってくる、持ってこないという問題を含めて、いろいろ問題がある。職場の人たちがきわめて不安定な状態で、いつ持っていかれてしまうかわからないというんですね。職場の諸君に聞くと、常にそういう状態、そういう気持ちで仕事をしてきているという。そうなると、これはそのままほっておくということは酷な話になる。だから、農林省としてどうお考えなのかという点をただしたいわけです。そうでないと、たくさんの統計事務農林省には特に統計が多いですから、その方々が不安な状態、不安な気持ちで毎日やっているわけです。ところが、残念ながら大臣は一時までですから、時間がないのであります。したがいまして、この二つについて、大筋どうお考えになっているかという点を承っておきたいわけです。
  107. 倉石忠雄

    倉石国務大臣 ただいまお話しのように、臨調は、地方農政局の補助金関係部局、国営土地改良、それからその担当部門を整理縮小すること、それから地方農政局所管の農地転用であるとかそれから土地改良、農業団体に関する事務の大部分を地方公共団体に委譲するようにという答申を出しております。そこで、おわかりのように、農林業の改善発達をはかる上では、補助金というものは、補助金整理について全国知事会がいろいろなことを申し出たことについてすら、ほとんどの国会議員さんは、あの知事会の申し出について、これはただ総括的にそういうことを言うだけではだめなんであって、金額は少ないけれども、その補助金というものが農林政策の上では非常に効果をあげているんだというような御要望も、多くの国会議員さんからあります。これはやはり地方農村従業者の声だと思うのであります。したがって、そういう意味から、補助金は重要な役割りを私は果たしておると思うのでありますが、ことに土地改良事業のうちで、資金を取り扱う面、それから技術上困難な大規模なものは、国が実施する必要があるという考えをわれわれは持っているわけであります。先ほど来お話のありましたように、ただ簡単にその事務を縮小するという見地からだけ取り上げられることは、私は政治ではないと思うのであります。もちろん関係部局の整理縮小は考えなければなりませんが、いま申し上げましたようなことの部門を整理してしまうということについては、私どもは適当ではないと考えております。  それからまた、農林行政のうちの各種の事務のうちに、全国的な方針に基づいて、地域行政の観点から全国的な大きな目的の中に地域行政として取り扱うような仕事、そういうものは、やっぱり農政局がいまのようにやっていくことが適当ではないかと思っておりますが、冒頭に申し上げましたように、大筋としては、ただいまの政府は臨調の答申をできるだけ尊重して善処していくというたてまえでありますから、そういう実情を行管当局とも十分相談をいたしまして、なお慎重に対処してまいりたい、こう思っております。  それから、統計事務所のことがしばしば論議されるわけでありますが、大出さんよく御存じのように、あらゆる企業というものは、民間を含めて、私は近代国家においては、やはり統計が計画の基礎になるのだと思うのでございます。なるほど終戦直後のようなああいうことで、ただ米の増産ということの用にだけ統計事務所を考えられた時代と、今日の統計事務所の持っておる職務区分というものは、非常に違ってきております。本年、昭和四十二年度予算にも計上いたしてありますように、流通サービスというふうなこと、こういうことについて、統計事務所は流通機構の改善について新たなる活動を開始するようになりました。四十三年度予算には、おそらく国会側からの御要望もさらに倍加されまして、これを効果的に運営してまいるというためには、どうしても統計事務所の作用というものが、一番有効適切に働き得るわけでございます。したがって、統計事務所の職員というものをなるべく近代的に活用していくことは、農林省もその必要性を認めて対処してまいるつもりでありますけれども、この統計事務所が昔ながらの考え方に立って、ああいう仕事だけやっているのでは意味がないではないかという観測は、若干研究不足ではないかと思うのであります。したがって、私は統計と技術研究ということについてはうんと力を入れろということを農林省内でも指示をいたしておるような次第でありまして、ことに大出さんも御存じのように、天気予報の長期予報によりますというと、ことしは、先般報告もいたしてありますが、干ばつであるとかあるいは集中豪雨を招きやすい、異常な天候を予測しなければならないということでありますの七、ただいま地方農政局に対して、農林省としては技術的にそれぞれの地方においてそれに対処するようにせよ、こういう指令をいたして、未然にその損害を防ぐようにいたしておるのでありますが、そういうことについて、地方の農業協同組合なんかが、地方の作柄であるとか、それから国が大きな立場で異常な天候等について対処する、その用意をやらせる資料をつくっているのは、みんな統計事務所なんであります。したがって、私は、統計事務所を終戦後のあの当時の時代の人員は多過ぎるといったような安直な考えでものを律するということは、それは研究不足ではないか、こういうことを言っているのでありまして、総計事務所の人員を近代的に合うように活用するということはいたしますけれども、私はその統計事務所についてとかくのことをおっしゃる方は、もう少し統計事務所の効果について勉強してもらいたい、こう言っておるわけであります。
  108. 大出俊

    大出委員 私も、先ほども申しましたように、あんまりみそもくそも一緒な行管のものの言い方に賛成できないと申し上げているのはそこなんですが、必要なものはより強調して、その必要を伸ばさなければいかぬと思うのです。ところが、何か一つ必要だからこうしたいと言うと、何かスクラップ持ってこい、何かつぶしてこいという、そういう一律の言い方は、私は感心しない。そんな言い方をするから、行管のものの言い方が逆に筋が通らなくなる。そこに私は、行管というものが単に政治的に弱いというだけでなくて、あまりにもどうも場当たり的過ぎるという気がするわけです。そこで私も心配で聞いたのです。統計調査部報というのが農林省にはあるのですね。これの十一月号の中に、つまり言っていることはどういうことかといいますと、調査マンとそれから統計マンと組み合わされているわけですね。統計の仕事について触れている中に、第三にというところで、わが組織に働く人々は、統計部門に働く人々は、最も劣悪な職場環境の中にあっても、まじめに過重とも言える労働に従事していることである。このことは特に重大な問題である。真夏、真冬を問わず、外業の仕事のきびしさ、これは外で調査するわけですからね、内業の高度の緊張など、十数年そうやってきているという表現を、これはある課長さんがしているのですけれども、こういうことを考えてみると、これは非常にぴんとくる表現で、いまの農林統計の部門の諸君の状態をあらわしていると思うのですね。だから、そういう点等は、皆さんのほうで何か仕事をどこへ持っていかれるかわからぬというような状況で、不安定な気持ちの上にいつもいるということは、何とか払拭してもらいたいと私は思っているわけです。だから、そういう意味で皆さんの御見解を承りたかったわけですけれども行政長官立場でいまのようにお話しになりましたから、ぜひその趣旨に従って、各関係の局長さんのほうでも、何かいつどうなるかわからぬ職場なんだ、身分なんだという不安定さを払拭するような手をひとつ打っていただきたい、こう思っているわけです。  実は、統計部門についてこまかく御質問申し上げたい点がたくさんあるのですけれども、一時というお話で、二、三分過ぎたようでございます。前向きのお答えをいただきました点は、それぞれ具体的にひとつぜひお進めをいただくようにお願いいたしまして、終わりたいと思います。      ————◇—————
  109. 關谷勝利

    關谷委員長 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質議に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 提出法案審議に関連をしまして、土地収用法の問題で若干お伺いをまずしておきたいと思います。  その法律の多くを土地収用法を準用することになっておる例の安保条約六条に基づく特別措置法の問題をまず聞きたいのです。この特別措置法の三条にいう「その土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的」、これはどういう場合をいうのですか。
  111. 志村清一

    ○志村政府委員 駐留軍に関するこの特別措置法は、私ども所管でございません。でございますけれども、ここにいう土地の合理的な利用というのは、収用法上にいう土地の合理的利用と同様に解すべきであろうと考えております。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私も、本法の解釈等については、これは建設省ではないであろうと思っておりましたが、いまから十二、三年前——資料がないからはっきり言えませんが、十二、三年前に板付基地の収用問題が起こりました。このときに、この特別措置法の三条の、いま私が申し上げた解釈を福岡県の土地収用委員会に聞きましたら、福岡県の土地収用委員会は建設省にお伺いを立てて、建設省から回答が来たのです。だから、おたくの所管であるに違いないと思うのでお伺いしておるのです。いまあなたがおっしゃった解釈は、当時の解釈と違います。そんな簡単な問題ではありません。これは私あとでお伺いします砂川の問題、あるいは三里塚だってそうでしょう。この土地収用法の問題がからんできます。それで、まずこういうお伺いをしておるわけです。いまの御答弁ははっきりしませんですね。駐留軍の用に供するというものと、土地収用法の適正かつ合理的と、建設省の解釈は違うのです。もう一度、どなたからでもいいですから、ちょっと打ち合わせて答弁してくれませんか。
  113. 西村英一

    ○西村国務大臣 いまどなたもその答弁のできる人、その当時のことを知っている人はいませんから、もし必要がありますれば、後刻調べましてお知らせ申し上げます。
  114. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 懇切なお答えでございますが、実は先ほど申しましたように、直ちに本問題は関連してくる具体的な問題が控えているわけです。それで、私はこれをまず冒頭にお伺いしたわけです。それで、その当時——私は意地悪いことはしません。当時の建設省が下した御解釈は、こうなっておるのです。この特別措置法の三条の「駐留軍の用に供することが適正且つ合理的」ということは、米軍が必要とすることだ、こういう解釈です。いまのあなたの御答弁と違うのです。どうでしょう。
  115. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま大臣から申し上げましたとおり、当時の事情は私も承知いたしておりませんので、調べまして御回答申し上げたいと思います。
  116. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 くどいようですが、これが明確にならないと、この特別措置法の強行と申しますか、この特別措置法関係土地収用委員会は扱うことができますか。
  117. 志村清一

    ○志村政府委員 駐留軍関係土地の使用等に関しまして、裁決を申請するのは、土地収用委員会であると考えております。
  118. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは条文を明示してください。どの条項によるのか。
  119. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま条文を持ち合わせていないのでございますけれども、一部適用がございますので、それについて申し上げますと、この特別措置法の十四条で(土地収用法の適用)という項がございますが、その中で、これこれについて土地収用法を適用する、こうなっております。ただしカッコをいたしまして、第五章第一節を除く、かように書いてございます。この第五章第一節というのが、実は収用委員会の組織、権限を定めておる節でございまして、これに関連いたしまして、わざわざこの規定を除くとなっておるから、現在の土地収用委員会では駐留軍関係の問題は処理できないのではないかという御議論もあることは、承知いたしております。それらにつきましては、この第五章第一節を適用するといたしますと、かえって別途の収用委員会を組織する必要が出るという疑いもあるというようなこと等から、法技術上の問題としてかように書いたように承知いたしております。したがいまして、現行の土地収用法における収用委員会について、この特別措置法の裁決なりを審議することについては差しつかえないものと解しておる次第でございます。
  120. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの問題は、先年私は土地収用法の改正について議論をしたところです。まだ納得をしていないのです。これはまだ続けてやりたいと思います。そこで、土地収用委員会が却下をするときの条件、それはどういうことになっておりますか。
  121. 志村清一

    ○志村政府委員 ちょっと条文を調べさせていただきます。——土地収用法四十七条に(却下の裁決)という規定がございます。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 これに基づきまして申請を却下する場合があるわけでございます。すなわち、申請にかかわる事業事業認定の告示に示された事業と異なる、あるいは申請にかかわる事業計画が事業認定書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるという場合には、収用委員会は裁決をもって申請を却下できることになっております。
  122. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それ以外にはありませんか。
  123. 志村清一

    ○志村政府委員 収用裁決を申請いたしまして互いに話し合いがつくといったような場合には、実際裁決申請の効果がなくなるわけでありますが、それらの場合を除きまして、却下の裁決をする場合には、この第四十七条の規定によるものと考えております。
  124. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 事業認定の妥当性をこの土地収用委員会審議できますか。
  125. 志村清一

    ○志村政府委員 事業認定の妥当性につきましては、事業認定に対する異議の申し立てあるいは訴訟というものによって扱うのが正当でございまして、土地収用委員会自体ではその判断はしないというたてまえかと存じます。
  126. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと別のことですけれども、先にお伺いしておきます。三里塚です。新国際空港問題自体は御承知であろうと思います。建設省も関係省にきょうの新聞では入っておるようでございますが、これは土地収用法を適用するような事態が来ると思われますか。
  127. 志村清一

    ○志村政府委員 建設省といたしましても、あそこに新空港ができた場合に道路がどうなるか、あるいは水の問題がどうなるかというようなこと等については、いろいろ御相談にあずかっておりますが、用地取得の状況等につきましては、運輸省なり空港公団のほうでやっておりますので、私ども詳細に承知いたしておりません。
  128. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 土地収用法をあるいは適用しなければならないような事態と申しますか、関係があると思われますか。私が聞いておる意味はわかりますか。いま買収に応じない人たちがおりますね。話し合いが成立しないときには、どうなりますか。土地収用法の問題は、建設省の関係でしょう。それじゃ私の質問はいいですね。
  129. 志村清一

    ○志村政府委員 土地収用法の第三条におきまして(土地を収用し、又は使用することができる事業)という中に、国際空港もございます。その意味において、事業認定の申請もできる事業である、かように考えますが、事業認定をするかしないかということになりますと、認定申請書が出て内容を検討してみないと、わかりかねる次第であります。
  130. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 土地収用法のその程度の御解釈は、失礼ですが、私もよく承知しております。問題は、土地収用法を適用しなければならない事態があるいはくるかもしれないと私は思います。だから、私は土地収用法の解釈等を厳格にこの際しておかなくてはいかぬ、もう一度そういう意味で聞いておるのです。事業認定がもし出されれば、検討することになりましょう。あたりまえの話じゃないですか。事業認定が出されないことには、土地収用法関係ないですからね。その程度のことは、少なくとも私はわかっております。そういう御答弁をお願いしておるのじゃない。
  131. 西村英一

    ○西村国務大臣 それはちょっといまの段階で言わせるのは、楢崎さん、無理なんですよ。大体土地収用法は、やはり最後の手でしてね。土地収用法があるから、それでもうみな取り上げてしまうよという印象をやはり持たせるべきではないと思うのです。これはやはりあくまでも話し合いによりまして——それは私も空港の問題は多少は知っておりますけれども、それだからと申しまして、それじゃ土地収用法は成立するのだから、それで何もかもという印象は、あまり持たしたくないのであります。あくまでも意見は意見として伺って、そしてやむを得ざる場合が起これば、それはやはり公共の福祉のためには土地収用法が働くということです。いまこの段階におきまして、それを非常に強調して、何でもということを政府に言わせるのは、ちょっといま言いにくいということでございます。
  132. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 よくわかりました。しかし、私どもとしてはやはりいろいろの場合を想定して問題を明らかにしておかぬといけませんから、きょうも三里塚の問題でわが党は政府に申し入れをやります。それはそれでよろしゅうございますが、そういう大臣のお考えでいいと思います。  そこで、私は土地収用法の問題でお伺いしますが、土地収用委員会事業認定の妥当性を審理できない、それはどうしてですか。
  133. 志村清一

    ○志村政府委員 収用法の四十八条におきまして、収用委員会は却下の裁決をする場合のほかは、次に掲げる事項について裁決をせなければならぬとして、収用する土地の区域と損失の補償等等につきまして裁決する定めになっております。収用委員会自身につきましては、これらの条文を通しまして、事業認定そのものが有効か無効かという判断は収用委員会の任務ではない、かように解釈されているわけでございます。さような問題につきましては、別個に異議の申し立てなり訴訟ということで救済規定を置くということになっておると考えております。
  134. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 四十八条を出されたのですが、この四十八条の一項の四ですね、「その他この法律規定する事項」というのがありますね。これは裏を返せば却下の条件に入ってくるのですね。この法律に違反するときは、こうなるのですね。私は却下の条件の場合をお伺いしたのは、いまお答えになった問題と関連をするからです。そういうふうな解釈を建設省はなさっておるはずですが、却下の条件の中にですね。せんだっての御答弁とずいぶん違うのですけれどもね。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  135. 志村清一

    ○志村政府委員 御質問にございました四十八条第一項の四号は、裁決する事項でございまして、この法律にたとえば損失につきましても、移転の代行とか工事の代行とかいろいろな規定がございます。さようなものについての事項をあわせ裁決していくというふうに考えておる次第でございます。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その点もちょっと違うのですね、せんだっての御答弁と。それはそれでおいておきます。  いま問題点だけ先に出しておきますが、収用委員会関係の行政機関の意見を聞くということになっておりますね。それはどの程度聞かなくちゃならぬのでしょうか。ただ聞きおく程度ということになるのでしょうか。どの程度の拘束と申しますか、そういうものがあるのでしょう。
  137. 志村清一

    ○志村政府委員 事業認定を申請するのにあたりましては、起業地内にある土地の利用等について法令の規定に制限のあるときは、その法令の施行について権限を有する行政機関の意見書を添えるということになっております。それに基づきまして、収用委員会は裁決いたすわけでございます。収用委員会は、特に必要なときは両当事者、起業者、権利者専属係人を呼び出しまして、それらの両者の意見を聞いて公正な判断をするということにいたしておる状況でございます。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 二十一条のことを聞いているのです。これはいま局長がおっしゃるとおりだと思うのです。普通にいけば、あたりまえの答弁なんです。もう少し具体的に、たとえば一例をあげますと、その裁決について、あるいは事業認定について、これでは妥当性がないというような意見がもし出されたときには、どうなるのか。つまり事業認定機関とこの土地収用委員会は、別個の独立した機関でしょう。だから、土地収用委員会は、独自の判断と結論を出していいのだと思うのです。学者の意見も、土地収用法改正についての参考人の意見も、そうでありました。だから、事業認定に拘束されて事業認定の妥当性の審理ができないという議論も、そういうあれから言うとおかしいのです。それから意見聴取についても、もし私が申し上げたような意見が出されたときに、公正な判断をする、それはそのとおりですけれども、やはりその意見にある程度拘束される、そういうふうに私どもは解釈をしておるのですが、どうでございましょうか。
  139. 志村清一

    ○志村政府委員 先生御指摘の二十一条の規定は、事業認定官庁である知事あるいは建設大臣が、事業認定の申請を受けまして、それを事業認定するかいなかを判断するときの手続の一つでございまして、二十一条は、先ほど私が申し上げました十八条の規定における関係行政機関の意見書を起業者がとろうとしてもとれなかったというような事態のときに、それを補正、補完する意味におきまして、建設大臣または都道府県知事が、起業地内にある管理者とか関係行政機関に対して意見を求めなければならないという規定規定した次第でございます。収用委員会の審理の問題ではございません。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは事業認定に返ってよろしゅうございますが、事業認定をするについて、その妥当性の問題について、もしこういう意見聴取が事業認定をする際に含まれていなかったらどうなるのですか。そういう事実が明確になったときに、土地収用委員会は、事業認定の妥当性を審理できないのですか。
  141. 志村清一

    ○志村政府委員 この問題につきましては、十八条の規定でもって意見書をつけろとなっております。その意見書もつけてこない。また二十一条において、もしその意見書がないときには、事業認定官庁から行政機関の意見を求めなければならないということになっておりますので、そのような意味においては、要式行為に欠ける問題になろうかと思います。要式行為を欠くことが、その事業認定を根本からくつがえす問題であるかどうかという判断になるわけでございますが、いろいろな事態があり得るかと思いますが、適当でないことは間違いない。ただその場合、収用委員会にその問題を議論させるのではなくて、異議の申し立てによって、異議の申し立てを受ける官庁、あるいはそこで心もとないという場合には、同時にでも訴訟で争うという道が残されている、かように考えておる次第でございます。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、いま具体的な事例を出されましたが、そういう争いがあるときには、土地収用委員会は、そのかかっておる案件を審理するのを待たなくてはいけませんね、事業認定の妥当性が別個に争そわれているときに。
  143. 志村清一

    ○志村政府委員 それもケース・バイ・ケースであろうかと存じます。土地収用委員会は独自の立場において裁決することができるわけでございますから、土地収用委員会の判断において裁決に至ることは可能かどうか。事実といたしまして、事業認定の効果について係争中の問題について、収用委員会が裁決を出したという例は相当ございます。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではケース・バイ・ケースでそれはやられると解してよろしゅうございますね。私が念を押したいのは、それは裁判が行なわれている、争いが行なわれているから、それを待つ。待つということは、それに影響を受けることですね、その訴訟に。そういうこともあろうし、あるいはそういうことを無視してやってもいい、ケース・バイ・ケースによるのだ、こうですね、いまのお答えは。
  145. 志村清一

    ○志村政府委員 収容委員会は、一応事業認定は適法のものとして判断して進められるわけでございますから、私は一応訴訟になっておりましても、収用委員会としては審理を続けるのが妥当なのではないかと考えます。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その御答弁はおかしいんじゃないでしょうか。事業認定に基づいて土地収用委員会が審理をやるのですか。その事業認定そのものの妥当性が別個に争いになっておるときに、いまのような御解釈でやっていけますか、そういう強権的な解釈で。前のはよろしゅうございましたが、前の御答弁を訂正されましたか、ケース・バイ・ケースによってやるということを。これは大事なところです。具体的にすぐ応用しなければなりませんから……。
  147. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほども申し上げましたように、土地収用委員会は、この土地収用法の第五十一条にございますように、独立して職権を行なうわけでございますので、一応さような問題がありましても、収用委員会としては一応審理するたてまえであろう、その判断は収用委員会がいたすわけでございますが、さように考えております。しかし、確かに先生御指摘のように、目下係争中であって、裁決が出てしまった、もとの事業認定の効果そのものが問題である、しかも裁決が出て強制執行というような問題が出る、おかしな問題ができるのじゃないかという御指摘かと存じますが、それらにつきましては、別に訴えをもちまして処分の禁止の訴え等が出し得るわけでございます。裁判所の判断によりまして、裁決の効果である引き渡しあるいは工事の着工というものを一時差しとめるということも、実例としてあるような状況でございます。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは裁決が行なわれた後すぐ裁判の結論が出たようなときは、そういうことができますが、裁判がずっとおくれたとき、裁決が先に済んで、もう事を運んでしまって、あとからそういう事態が起こったって、もとに戻す場合には、実情としてはなかなかそうならぬでしょう。だから、いまの御解釈では私は困るんじゃなかろうかと思うのですよ、実際の取り扱い方としては。困ってもいいとおっしゃるのですか。
  149. 志村清一

    ○志村政府委員 私先ほど申し上げたことでございますが、事業認定の訴訟そのものの結論がすぐ出れば、もちろん問題は簡単に解決がつくわけでございますが、時間が長くかかるときに困るじゃないかという御指摘だと思いますが、そういう本訴とは別に、執行停止を申請する訴訟が提起された、これにつきましては、裁判所は非常にすみやかに判断を下しております。本訴と別の訴訟でございますから、場合によりましては、裁決のとおり執行してよろしいという判決があった場合もございます。またある場合におきましては、しばらく執行を待てというふうな判決を下した等々のこともございます。したがって、そういうような御判断は裁判所がいたすわけでございまして、先生御指摘のようなことは、ほとんど御心配は起こらぬのじゃないか、かように考えております。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なぜ心配が起こらないかというと、実際問題としては、そういうややこしい問題については、土地収用委員会が審理を延期しているから起こらないのですよ。あなたのような解釈でやられておったら、どんどん起こっておりますよ。板付だって、砂川だって、そうですよ。実際問題として待っておるんですね。だから、そういう収用委員会が、争いが別にやっておるからしばらく待とうというような、そういう収用委員会のあり方というのは、違法なんですか。あなたの考え方からいくと、違法のように聞こえますがね。
  151. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほども申し上げましたように、収用委員会は収用法の五十一条におきまして「独立してその職権を行う。」ということになっております。収用委員会の判断において審理、裁決ということになるわけでございますので、特に法律で定められておるような場合を除きまして、たとえば、私ちょっといま条文をそらで覚えておりませんが、緊急裁決等の申請があったら、何カ月以内というふうな規定もございます、そういったものに反しない限りは、収用委員会の五十一条の規定による自主的な判断が行なわれるものと考えております。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その独立した行政委員会ですから、土地収用委員会が待とうと、判決がはっきりするまで待とうというふうにきめてもいいということになるのでしょう、いまの御答弁からいったら。そういうふうにきめれば、独立の行政委員会だから、そうでしょう、いまのお答えは。——待ってください。そういうことはあり得ないというのですか。そうじゃないのでしょう。やはり独立した行政委員会だから、それを待とう、もし土地収用委員会がそういうふうな取り扱いをしても、それは違法ではない、こういうことでしょう、いまの御答弁は。
  153. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほども申し上げましたとおり、法律に特別の定めのない限りにおきましては、収用委員会は独自の判断でやる、収用委員会の判断によって審理なり裁決が行なわれるわけでございます。ただ、収用委員会自身が事業認定の効果を云々する、判断するという仕事はない、それだけのことであります。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、たとえば訴訟で事業認定が争われるときには、土地収用委員会事業認定を審理するのじゃなしに、裁判で争われておるその結論が出るまで待とうということをきめても、違法ではないんでしょうと私は言っておるんです。
  155. 志村清一

    ○志村政府委員 収用委員会の自主的判断、独立した判断で行なう場合には、違法ではないと思います。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 よろしゅうございますね、いまの解釈。私はきょうのやりとりを早速砂川なり板付で指導したいと思うのですが、そういうあれで別に行政指導なんかなさらないですね。よろしゅうございますね、もう一ぺん念を押しておきますが。
  157. 志村清一

    ○志村政府委員 収用委員会は、何度も言うように、独立してその職権を行なう機関でございますから、私のほうからとやかく収用委員会に申し上げることはございません。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一番最切に戻りまして、特別措置法の関係は、建設省が解釈等については所管でございますね。
  159. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほど先生の御質問の中で建設省が自分の所管であるような回答をしたというお話がございましたが、その辺のことにつきましてなお調べさしていただきたいと存じます。私は、これは建設省の所管法律ではないとただいまのところは考えております。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 特別措置法はわずかな条文ですね。その多くは土地収用法を準用しておるわけです、実態は。土地収用法所管は建設省ですよ。だから、形式的にはあなたのおっしゃるように、これは米軍関係だから、防衛庁か防衛施設庁かもしれないというお考えがあるかもしれませんが、それは形式的な問題であって、だから先年建設省が解釈を流したんですね。それは検討するとおっしゃってますから、検討して、次会に私が御質問申し上げたことも一しょにひとつきちっとした解釈の御答弁をいただきたい。  それじゃそれを保留しまして、終わります。
  161. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、来たる六月一日、午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会